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柿沢分科員 先ほど来おっしゃられている見える化というのは、ヨーロッパでいうとエネルギーパスということで、実際に、住宅の販売や賃貸に当たって、エネルギー性能を表示するということが義務化されている。これも
是非国交省で取り組んでいただきたいテーマの一つで、今日は深入りしませんけれども。
もう一つ加えてヨーロッパのことを申し上げておくと、ドイツは、実は、部屋の中の室温が二十度以上に保てないとその建築物は違法だ、こういう扱いになります。イギリスは十八度だったと思いますけれども、十八度の室温を
維持できないと、その部屋は賃貸に供することができないということになっています。つまり、建築基準法の話がありましたけれども、
一定の室温を
維持する断熱性能を確保しないと、その建築物は、性能上、構造上、違法になるということをヨーロッパはやっているということを
是非御記憶にとどめていただければというふうに思います。
これは、義務化すると地場の工務店が困るみたいな話がいっぱいあるんですけれども、しかし、鳥取県は何でこんなことを始めたのかということをお
伺いをすると、逆なんですよ。つまり、鳥取
県内の住宅着工でも、具体名を出して恐縮ですけれども、一条工務店みたいな断熱性能の高さを売りにしたハウスメーカーがどんどん進出してきて、
地元の工務店の仕事が奪われていくことに対する危機感が背景にあって、これがこの断熱性能の高い水準を満たした健康省エネ住宅
事業を地場の工務店に講習を行って進めていこうということになったそうなんですね。
つまり、できないできないといって手をこまねいていれば、
地元の工務店も
地域経済も更に窮地に陥ってしまうということなんですね。断熱施工は地場の中小零細工務店のためにならないどころか、彼らのためにこそやるべきものだと私は思います。次の
質問でそれを申し上げたいと思います。
鳥取県では、これまで申し上げてきた
事業を、今度、新築のみならず、既存住宅のリフォームも対象にすべく、来
年度に向けて予定しているそうであります。断熱リフォームが
地元の中小零細工務店にとって大きな新規需要となったリーマン・ショック後のドイツの政策の事例を参考にしています。
日本の既存住宅ストックというのは六千万戸とか言われるわけですけれども、そのうち、もう既に八百二十万戸とか空き家になっているわけですよね。二〇三三年には空き家が二千百六十七万戸、二・六倍に増える、三軒に一軒が空き家となってしまう、こういうことなわけです。
人口減少が急速に進んでいく、その一方で、毎年七十万戸、八十万戸という新築住宅が供給されている。しかし、これから何が起こるか分かっているのに、景気
対策を優先して、住宅ローン減税で優遇までしながら、新築住宅をじゃんじゃん造ってください、こういう政策をいわば漫然と続けているのが今の日本の現状じゃないかと思うんです。
新築中心の高度経済成長モデルをいまだに続けているのは、その日本の
状況は、結果的に、新築六二%、十三・八兆円、リフォーム八・四兆円、しかも、リフォームの八・四兆円というのは、この大半は住宅ではなくて、むしろビル等の非住宅。住宅においてはほとんど新築一辺倒で、リフォームでの既存ストックへの再
投資がほとんどなされていない。
一方、ドイツの場合は、全体の七六%がリフォームになっていて、新規
投資は僅か二四%。そして、注目すべきは、省エネリフォームが全体の二六%、六百十三億ユーロというから、日本円にすると、省エネリフォームだけで八兆円の市場になっているんですね。しかも、これはリーマン・ショック後に、新築がなくなっていく
状況の中において中小の地場の工務店に新しい仕事をつくるということで、まさに、新築
投資の優遇や
補助を全部いわばスクラップしてリフォームにそれを回すという形で、新しく
政府の政策によってつくられた市場なわけです。
そういう
意味で、
是非、これはもう国全体の政策、そして税制も含めた、財務省を始め、国交省だけで取り組むべきテーマではありませんけれども、断熱リフォームで既存の住宅ストックの質の
向上を図って、そして、新築からリフォームにこうした住宅政策の重点をシフトする、こういうことを時代に合わせて行っていくべき、そうしたタイミングになっているんではないでしょうか。
そういう
意味で、鳥取県もそこに可能性を見出して、
地域の地場の工務店の
皆さんの新しい仕事をつくり出すということで、このとっとり健康省エネ住宅
事業をリフォームに広げていこうとしているわけです。ここについての視点を
是非大臣にお
伺いをしたいと思います。