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2021-02-25 第204回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会令和三年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       秋葉 賢也君    岩屋  毅君       小倉 將信君    金田 勝年君       今井 雅人君    奥野総一郎君       濱村  進君 二月二十五日  小倉將信君委員長指名で、主査に選任された。 令和三年二月二十五日(木曜日)     午後一時開議  出席分科員    主査 小倉 將信君       秋葉 賢也君    井野 俊郎君       泉田 裕彦君    岩屋  毅君       金田 勝年君    杉田 水脈君       津島  淳君    奥野総一郎君       濱村  進君    兼務 神田 憲次君 兼務 国光あやの君    兼務 小寺 裕雄君     …………………………………    総務大臣         武田 良太君    総務大臣        新谷 正義君    総務大臣政務官      谷川 とむ君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  藤田  穣君    政府参考人    (人事院事務総局給与局次長)           幸  清聡君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 村手  聡君    政府参考人    (内閣地方創生推進事務局審議官)        新井 孝雄君    政府参考人    (内閣府子ども子育て本部統括官)        嶋田 裕光君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 檜垣 重臣君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 川窪 俊広君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 藤野  克君    政府参考人    (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局長)            竹内 芳明君    政府参考人    (消防庁次長)      山口 英樹君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君    政府参考人    (文化庁審議官)     出倉 功一君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           堀内  斉君    参考人    (日本放送協会副会長)  正籬  聡君    総務委員会専門員     阿部 哲也君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   岩屋  毅君     井野 俊郎君   今井 雅人君     石川 香織君   濱村  進君     伊佐 進一君 同日  辞任         補欠選任   井野 俊郎君     泉田 裕彦君   石川 香織君     今井 雅人君   伊佐 進一君     濱村  進君 同日  辞任         補欠選任   泉田 裕彦君     津島  淳君 同日  辞任         補欠選任   津島  淳君     杉田 水脈君 同日  辞任         補欠選任   杉田 水脈君     岩屋  毅君 同日  第一分科員国光あやの君、小寺裕雄君及び第三分科員神田憲次君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (総務省所管)      ――――◇―――――
  2. 小倉將信

    小倉主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました小倉將信でございます。よろしくお願いいたします。  本分科会は、総務省所管について審査を行うことになっております。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算総務省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。武田総務大臣
  3. 武田良太

    武田国務大臣 令和三年度における総務省所管予算案につきまして、概要を御説明申し上げます。  本予算案につきましては、令和二年度第三次補正予算と合わせ、新型コロナウイルス感染拡大防止社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会の実現を目指し、中長期的な成長力強化取組推進していくという政府方針の下、総務省として、デジタル変革の加速による新たな日常の構築、ポストコロナ社会に向けた地方回帰支援、防災・減災国土強靱化推進経済社会を支える地方行財政基盤確保、持続可能な社会基盤確保に特に力を入れて取り組むために編成したものであります。  一般会計予算額は、十六兆五千九百五十二億円です。  以下、事項などの説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。  よろしくお願いいたします。
  4. 小倉將信

    小倉主査 この際、お諮りいたします。  ただいま総務大臣から申出がありました総務省所管関係予算概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 小倉將信

    小倉主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 小倉將信

    小倉主査 以上をもちまして総務省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 小倉將信

    小倉主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。
  8. 井野俊郎

    井野分科員 自由民主党の井野俊郎でございます。  今日は、コロナ対策ということで、こういうアクリル板がありますけれども、ちょっと声が聞き取れなかったら申し訳ないですけれども、しっかりと質疑をさせていただきたいと思います。  今日は、分科会ということもありますので、身近な問題について少し取り上げさせていただきたいと思います。  まず初めに、我々国会議員議員活動に大きく関わる問題でございます。  NHK国会中継、やっていただいておりまして、それは、国民皆様にも国会の議論の状況というものをしっかり伝えていくという意味では、本当に重要な中継をやっていただいているのかなというふうに思っておりますし、他方で、議員個人サイドから見ると、自分がどういう思想信条を持ってどういう活動をしているかということをテレビを通じて地元の方ないしは国民皆さんに知っていただくということも、大変それは有意義な中継だと私は思っております。  その中で、私も過去に二度ほど予算委員会テレビ中継入り質疑をさせていただいたことがあるんですけれども、このテレビ中継を、我々議員としては、例えば、こうやって地元有権者皆さんに、こういう質疑をさせていただきましたよとか、そういうのを使いながら有権者ないしは地元皆様説明することというのがよくあったりとかするわけですね、写真を撮ったり、中継映像を使ったりとか。  これについて、NHK国会中継というのは、無許可でこういうことを、変な話、有権者皆様に、不特定多数の皆様にお示しをするというか、これはそもそも問題があるのかなというのが、ふと疑問に思いまして、私もいろいろ著作権法等について調べさせていただきました。  まず、この国会中継なんですけれども、これは著作権が及ぶ著作物に当たるのかどうなのか、ちょっと確認していきたいと思います。  ちなみに、この著作物というのは、法律上、著作権法によると、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」というのが著作物の定義になっています。  これはどういうことかというと、単なる事実は、これは著作物ではなくて、あくまでもその人が考えていることを表現したものが著作物に当たるから、それを保護しようと。例えば、単なる客観的な事実は、当然に、一人の人が、著作権者が独占するものではなくて、みんな公共の、パブリックのものだということになっております。  ですので、これについて、まず、著作物に当たるのかどうなのか、国会中継というものが。NHKが当然流しておりますけれども著作物に当たるのかどうか、ちょっと教えていただければと思います。
  9. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  国会での議員参考人等発言ですが、当該発言者著作物であると認識しております。
  10. 井野俊郎

    井野分科員 そうではなくて、我々の思想信条を表現したものを全国中継していただいているのはNHKさんなんですよ。その映像ですよね、テレビ画像です、簡単に言うと。テレビ画像を、当然我々は録画して、場合によっては有権者に、私はこういう質問をしましたとかを有権者皆さんに例えば上映するということがあるんですけれども、そのテレビ画像著作物になるんですか。
  11. 正籬聡

    ○正籬参考人 NHKの行う国会中継ですけれども著作物伝達に重要な役割を果たしている放送事業者などに認められています著作隣接権があると認識しております。
  12. 井野俊郎

    井野分科員 では、それは、著作隣接権皆様はこの国会中継については持っているということになるという理解でいいですか。
  13. 正籬聡

    ○正籬参考人 今お話ししましたように、NHKの行う国会中継には、著作物伝達に重要な役割を果たしている放送事業者に認められる著作隣接権があると認識しております。  また、法律解釈ですので断定的な回答はお控えしたいと思いますが、国会中継については、NHKがカメラマンを配置して撮影していることなどから、NHK著作権がある可能性は高いと認識しております。
  14. 井野俊郎

    井野分科員 分かりました。著作隣接権者著作権者の一人でありますので、それは理解しました。  では、著作隣接権者が持っているということは、例えば私とか議員サイドがそれを、変な話、NHKの了解を得ずに有権者皆様の前で上映すること、録画したものを上映すること、これはもう完全に不特定多数の皆様に上映することになりますけれども、これは許される行為なんですか、許されない行為ですか。著作権を侵害している行為になりますか。
  15. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  NHK国会中継を録画して活動報告等に利用する際は、営利目的でない場合でも、原則として、著作権者であるNHK国会での発言者許諾が必要だと認識しております。  今御指摘のお話ですけれども、どんな映像が映っているのかという部分もあると思います。仮定の話になるので明確にはお答えできないんですけれども、個別のケースに応じて適切に判断していきたいと考えております。
  16. 井野俊郎

    井野分科員 そうすると、一々我々は、国会議員全員が、テレビ中継質疑したということのNHK画像を使うには、NHK許可が必要だということになりますね。果たして本当にそうなるのかというのは、私はかなり疑問に思いますけれども。  仮に隣接権として皆さんがお持ちだということであれば、当然、著作権者隣接権者著作権者は簡単に言うと我々質問に立った議員だから、当然そんなのは同意は必要ない。自分はむしろ、こういう思想信条を持ってこういう活動をしているんだというのを当然使いたいというのは、議員サイドで考えることで、わざわざ人のを映す必要はないわけですからね。  では、仮に、著作隣接権者として許諾が必要だ、我々は使えないんだということになった場合、当然、我々としては、あくまで、例えばそれが政治活動ないしは選挙活動で使うことになると思うんですけれども、それは三十八条の営利目的としないということには該当しない、私はすると思うんですけれども皆さんの考えではそうじゃないというふうに考えているということですか。
  17. 出倉功一

    ○出倉政府参考人 今先生から御指摘のありました著作権法第三十八条第一項でございますけれども、公表された著作物について、非営利、無料で、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる、こういうふうに定められておりますが、先生の御趣旨にあるような複製だとか公衆送信、こういうものは対象となっていないため、この三十八条一項に基づいてテレビ中継映像を録画等した上で上映するのは、行為はできないものというふうに考えてございます。
  18. 井野俊郎

    井野分科員 それは、ちょっとごめんなさい、NHKから聞きたいんだけれども文化庁でしょう、答弁したのは。NHKの認識はどうですか。
  19. 正籬聡

    ○正籬参考人 繰り返しになってしまうかもしれませんけれども国会中継を録画して活動報告等に利用する際には、営利目的でない場合でも、原則として、著作権者であるNHK国会での発言者許諾が必要だと認識しております。  個別のケースですけれども、どのような映像が、背景とかを含めて映っているかということにもなると思います。明確にはお答えできないんですけれども、個別のケースに応じて適切に判断していきたいと考えております。
  20. 井野俊郎

    井野分科員 営利目的でない場合でも著作権が及ぶというのは、私にとっては理解ができない論理なんだけれども、どういうことですか。法律上に、三十八条に、営利目的でない場合には著作権範囲外ですよと書いてあるんだけれども、あなたは、法律上、それを、この三十八条を無意味化するということ、どういうことですか。
  21. 正籬聡

    ○正籬参考人 法律解釈でございますので、私の方から結論めいたことをここでお答えするのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  22. 井野俊郎

    井野分科員 私は、事前通告して、このことを聞くよと言ってあるんですよ。それは多少、弁護士として、相談してここに臨むんじゃないの、あなたの仕事としては。明確に私は通告しているでしょう、三十八条の非営利目的に該当して著作権範囲外に当たるんじゃないですか、我々の政治活動ないしは選挙運動での上映はと。何でそれを答えられないんですか。別に個別のことを聞いているわけじゃないんだけれども
  23. 小倉將信

    小倉主査 それでは、もう一度答えてください。
  24. 正籬聡

    ○正籬参考人 NHK国会中継を録画して活動報告等に利用する際、営利目的でない場合でも、原則として、著作権者であるNHK国会での発言者許諾が必要だというふうに認識しております。
  25. 井野俊郎

    井野分科員 だから、それについては、三十八条に対してどう考えているのかということを聞きたいの。三十八条では明確に、非営利目的とする場合にはこの限りでないと言っているんだけれども、これについてどう考えているかということを聞いているんです。
  26. 正籬聡

    ○正籬参考人 大変、繰り返しで恐縮でございますが、営利目的でない場合でも、原則として、著作権者であるNHK国会での発言許諾が必要だというふうに認識しております。  以上でございます。
  27. 井野俊郎

    井野分科員 全くもって理解できないね。三十八条一項にはこう書いてあると私が言っているのに、何であなた方は著作権があると言えるの。法律をないがしろにしているということでしょう、それは。この三十八条一項でどう書かれようが、何て書かれようが、俺に著作権があるんだと言っているんでしょう、今の答弁はどう考えても。そんなのでいいの、NHKは。コンプラはどうなっているの。法律を遵守するというコンプラはないのかい。  何らかのこういう解釈が取れるから僕らに権限があると思っていると言うんだったら分かるよ、私だって。全然そうじゃないじゃない。ただ、僕らには隣接権者として著作権があると思っていると言うだけじゃない。はっきり言って、これは国会答弁として私は成立していないと思うよ、あなたの答弁NHKとして。大丈夫か。  是非、ここら辺、分科会主査にはちゃんと整理してもらいたいよね。  もうこれ以上やってもしようがないから、らちが明かないだろうから、次に進みますけれども、ちょっと本当にNHKは考えた方がいいよ。法律解釈じゃないんだし、何にも答えになっていない。  もう一個、私、更に言えば、先ほど文化庁の方から先に勇み足で答弁があったけれども、我々としては、こういう質疑をしましただとか、そういうことというのは、多分、何時間もやっている国会中継の僅か十秒とか二十秒ですよ、仮に使うとしても、自分はね。そんなことを延々だらだら見せるわけないから、我々だって。忙しい皆さんに来ていただいて、自分活動報告を聞いてもらう中において、使ったとしても十秒、二十秒の世界だと思うんだけれども。  とすれば、こういったものを、画像を使って、仮に、文化庁が言うように、何かコピーは駄目だとかいうんだったら、これは引用に当たって該当しないんじゃないのかなと思うんだけれども、それについてはどうです、文化庁
  28. 出倉功一

    ○出倉政府参考人 お答え申し上げます。  著作権法上の引用に該当するためには、公正な慣行に合致すること、それから、引用目的上正当な範囲内で行われることなどの要件を満たすことが必要であります。これらの要件を満たすものであれば、御指摘のようなものも含めまして、権利者許諾なくして著作物を利用することができます。  なお、当然ながら、この著作権法上の引用要件に該当するかどうかにつきましては、個別事案に応じて具体的に判断されることが必要だというふうに考えてございます。
  29. 井野俊郎

    井野分科員 ちなみに、引用の一応裁判所の判例というか考え方としては、主従関係があって、明瞭に区別されていることということなんですね。  当然、我々の活動の中では、一部だけたまたまこういうふうに使いましたが、当然そこは明瞭であると思うし、主従関係、当たり前だけれども、もちろん、国政報告会をやります、そしてひたすらNHK中継を流しているような国政報告をやったら、それは主従関係はもうぐちゃぐちゃ、逆転しているから、それは主従関係はないと言えるけれども、当然、我々の活動の中では主従関係も、普通であれば、一部引用して、こういうことをやりましたみたいな、自分の口頭で、こういうふうに活動しました、質疑しましたというのは、多分、主従関係は明瞭だと思うんだけれども。この点についても、どっちみち、引用という解釈が成り立って、私は問題ないというふうに思っていますけれどもNHKはそうじゃないと言うのかな。  ちなみに、引用についてはどう考えていますか、NHK
  30. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えします。  引用については、御質問の通告、ちょっと事前にいただいておりませんので、ここでNHKとして明確に見解を示すことは差し控えさせていただきたいと思います。
  31. 井野俊郎

    井野分科員 三十八条一項も確認できていないんだから、私に言わせると何も、まあ、よく勉強してもらいたいね、NHKには、法律趣旨解釈。本当にそんなので、ひたすら自分著作権著作権者といって、それで裁判に負けたらどうするんですかと私は思うよ。よく勉強しておいて。  では、次に行きます。  次、消防団についてなんですけれども、これは私も地元消防団の方からよく言われたことがあって、消防団、今、ただでさえ団員が少ない中において、若手を少し入れてもらう、やはり地元人たちも、若い人をリクルートしたり、入ってよと、地域で活躍している人を入れたりとかしているんですけれども、問題が、最近の免許制度の変更なんですね。  消防団が、例えば若手が入ってきて、普通は、普通の人は、普通の運転免許は当然持っているんですよね。だけれども消防ポンプ車は準中型車に該当するんですかね。となると、普通免許ではポンプ車が運転できない、そういう事態が生じかねないというふうに私も地元消防団の方から聞いて、これ何とかしてくれよ、十八歳から地域で活躍する人は地元で活躍してくれているので、十八歳から、免許を取った後、消防団に入っても、今度はポンプ車が運転できぬと。  そうなったときに、いざ火事が起こったときに全く出動できない事態が想定されるんですけれども、これについてはどう消防庁として考えているんですか。
  32. 山口英樹

    山口政府参考人 お答えさせていただきます。  委員指摘のとおり、道路交通法の改正によりまして、平成二十九年三月十二日より車両総重量三・五トン以上七・五トン未満の車両は準中型自動車とされ、新たに免許取得する方が運転する場合には、準中型免許取得が必要となっております。そういう意味で、それ以降に免許取得されたか、消防団員になられた方が三・五トン以上の車を運転する場合は、普通免許では駄目だということになっております。  これについては、私どもの方といたしましても、改善ができないかということのお声もございまして、昨年の二月一日時点で調査をさせていただきました。それによりますと、消防団車両で三・五トン以上のものが約三割ございます。また、その時点普通免許を保有している団員の方というのが一万一千人ほどおられまして、団員数全体で見ると一・四%ということでございます。  そういう意味では、現時点で、ポンプ車が動けない、そういったところまでにはなっていないとは思ってはいるんですけれども、これから入っていただく若い方々は、基本的に普通免許では運転できない。そういう意味では、私どもも、消防団員の準中型免許取得というのを進めていく必要があるだろうというふうに考えておりまして、自治体がそういったことを支援する場合には特別交付税措置等を行うことによって支援をする、そういった取組をさせていただいております。  また、来年度の予算案の中にモデル事業という予算を盛り込ませていただいておりまして、全国自動車教習所方々と協力しながら、消防団員の方が免許取得しやすいようなことを取り組んでいけたらと考えております。  以上でございます。
  33. 井野俊郎

    井野分科員 これは本当に喫緊の課題ですよ。早めに対処してくださいね、どんどん若い人が入ってくるんですから。予算措置で云々かんぬん、ちょっと余り、正直言って、地元団員からは、そういうのは十分認識していないし、新たに免許を取りに行くというのは相当負担になると思うので、そもそも、これは在り方をもう一度よく見直ししてもらいたいなと思っております。  続いて、総務省に聞きたいと思っております、これは内閣官房ともちょっと絡む部分ですけれども。  今、地方公共団体地方人材の育成といいましょうか、地方活性化というと、地方だけでの視点ではどうしても分からない視点、それはやはり、都会というか、中央省庁とか横断的に知識や経験を持っている方が地方に行って、それで活性化していくということが、私はこれは必要な、不可欠なことだと思っておりまして、今、内閣官房で十一月に取りまとめて、そしてそれを各地方公共団体に送っているということも把握はしているんですけれども、ただ、いかんせん、なかなか臨機応変に、また首長も、選挙があって初めて、またいろいろ変わったりとかするものですから、タイミングが合わないとちょっと人材受入れ等ができなくなったりとか、今、一年に一回ということもあったりとかするものですから、私の地元もちょっと困っているところもあったりしているところであります。  なので、中央省庁の役人の方に地方でももっと活躍を私はしてもらいたいなと思っておりまして、是非、そういった人材交流をより活性化していってもらいたいというふうに思っております。  こういった、地方にもやはりいろいろな課題、その地域地域によって、課題は様々だと思います、全国、いろいろな自治体がありますから。だから、そういったニーズに合わせてもっと人材派遣を柔軟に、例えば何年とか仮に決めなくても、例えば数か月でも、いろいろなやり方、派遣在り方というのはあると思いますので、それについて、是非、より柔軟に対応できないかということをちょっと聞かせていただければと思っています。
  34. 新井孝雄

    ○新井政府参考人 御指摘のとおり、地方公共団体地域活性化において人材が大事であるというふうに認識しております。  内閣府では、地方創生に積極的に取り組む市町村に対しまして、平成二十七年度より、地方創生人材支援制度を通じて、意欲と能力のある国家公務員、大学研究者、民間専門人材派遣支援を行っております。  平成二十七年度の制度創設以来、二百四十四市町村に延べ三百十五名派遣されておりまして、派遣者は地方版総合戦略の策定、遂行の中核を担うなど、市町村長の補佐役として地方創生の現場で活躍をしております。  御指摘令和二年度の国家公務員の派遣についてでございますが、市町村側から三十六件の派遣要請がございまして、二十件の派遣の成立となっております。  派遣に際しましては、希望する人材の専門分野、能力、受入れ時の職務内容等の市町村側のニーズや条件を把握し、それらを関係省庁及び民間企業にお伝えし、派遣の可否を判断いただいているところでございます。  なお、募集期間についてのお問合せがございましたが、市町村ごとに様々なニーズがございます中、各府省庁の人事異動のタイミングなどを勘案しまして、毎年秋に募集を行い、春ないし夏に派遣するというスケジュールを設定させていただいていることを御理解いただきたく存じます。  内閣府としましては、先生の御指摘も踏まえ、多様な人材が活躍する地方創生の推進に向け、引き続き関係省庁に協力を要請してまいりたいと考えております。
  35. 井野俊郎

    井野分科員 分かるけれども是非そこはもっと柔軟にやってもらえるとこちらはありがたいな、地方の、人材を受け入れる方として。  また、逆に今度は地方から送らせてもらっているということもありますので、是非その点も総務省としての取組を教えていただければ。受入れの方ですね、それについて是非もっと柔軟にやっていただけますか。その点、ちょっと総務省、どんなふうに考えていますか。
  36. 新谷正義

    ○新谷副大臣 御質問ありがとうございます。  まさに人材交流というのは、非常にこれは重要な課題だと思っております。地方公共団体地域活性化に取り組んでいく上で、やはり時代に応じた専門知識あるいは課題解決能力を有する人材、こういったのは、地域や組織の枠を超えて多様な連携をすることができる人材が求められている、そのように思っております。  こうした育成の取組の一環として、国の行政機関において地方公共団体の職員を受け入れるものであると承知をしておりますが、総務省におきましても、地方公共団体からの要請に基づいて、積極的に職員の受入れを行っているところでもございます。積極的にこれを行っておるところでありますが、それぞれ配属された部署において総務省の事務に従事することによりまして、地方公共団体の職員の資質の向上を図っておるところでもございます。  総務省としましても、様々な研修の機会を通じて、地方公共団体における人材育成の更なる推進に取り組んでいきたいと思っております。  ありがとうございます。
  37. 井野俊郎

    井野分科員 是非、これからテレワーク等の推進等もありますので、地方との人材交流、ましてや総務省から、自ら、地方でも仕事ができるんだという範を私は示してもらいたいなというふうに思っておりますので、新谷副大臣始め皆様には、地方の活性化、そしてまたその懸け橋、そして横展開という意味で頑張っていただければというふうに思っております。  以上で終わりにさせていただきます。
  38. 小倉將信

    小倉主査 これにて井野俊郎君の質疑は終了いたしました。  次に、小寺裕雄君。
  39. 小寺裕雄

    小寺分科員 滋賀四区の衆議院議員小寺裕雄でございます。  私、今日は地域手当を取り上げて、国家公務員の地域手当のそうした考え方が、地方公務員もそうですけれども、とりわけ福祉の現場で大きな影響を及ぼしていることについて、ある程度つまびらかにして、地方の首長さんやあるいは地方議会の皆さんからは、地域手当そのものが悪いんやというふうな印象が持たれているところでありますので、実は地方議会でも、この地域手当に関して、今度のそれぞれの市町の議会で議員皆さん質問を行われるようなこともありまして、そういう点でも、地域手当そのものに理解をしていただきながら、一体どこに課題があるのかなといったことを少し理解を深めてみたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  実は、昨年の十二月の六日に、武田総務大臣に公務として私の地元である近江八幡市においでをいただきました。目的は、近江八幡市を始めとする近隣市町の首長の皆さん方や、保育や福祉に関わる団体の代表の方々にお集まりをいただいて、それぞれの皆さんから、地方公務員の地域手当が様々な分野に影響を及ぼしているその実態について、武田大臣にお聞き取りをいただく趣旨の意見交換会を行うというものでありました。  出席された首長さんや団体の皆さんたちからは、地域手当がどれほど自治体や各種団体、法人等の運営や経営に大きな影響を及ぼしているかなど、具体的に様々な意見が出されたところであります。武田大臣からは、実情を受け止めて対応させていただくというふうなお言葉も頂戴をいたしました。  私は、かねてから、地元の首長さん方から、地域手当の見直しをお願いしたいという趣旨の要望を何度となくいただいておりました。また、福祉現場で働く皆さんや経営に携わっておられる方々からも、見直しをお願いしますという要望をいただいていたところです。  そこで、冒頭に申し上げましたように、武田大臣においでいただいて直接実情を聞き取っていただいたわけですが、私自身も地域手当について調べてみれば調べてみるほど、地域手当そのものに何か問題があるのかというふうな疑問が湧いてきたところであります。  そこで、今回の質問で、地域手当とは一体どういうものなのか、どういう制度で、どうやって算出をされて、地方公務員の地域手当や様々な価格単価の設定基準になっている現在の仕組みをどうすればよりよいものにすることができるのか、どうすれば困っている自治体や各種福祉関係の団体等を助けることができるのかという視点で、いろいろ質問をさせていただければと考えております。  こうも課題が多いというふうに捉えられている地域手当ですが、元々は、国家公務員の給与を、全国各地で勤務先の民間の給与水準を基礎としながら物価等を考慮して支給する手当というふうに理解をしております。いわば国家公務員でない人たちの手当やその他の単価設定の基準に使用されていることによって起きる問題について、人事院の方々からすれば、いろいろ言われても、我々に言われてもどうなんだという気持ちかもしれませんが、まずは、そもそも地域手当が導入をされた経緯についてお尋ねをいたします。
  40. 幸清聡

    ○幸政府参考人 お答え申し上げます。  国家公務員の地域手当につきましては、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないかなどの議論がある中で、全国一律に適用されます俸給表を補完し、地域の民間賃金水準を国家公務員給与に適切に反映させるため、民間賃金水準が高い地域の給与水準を調整する手当として平成十八年に設けられたものでございます。
  41. 小寺裕雄

    小寺分科員 ありがとうございます。  平成十八年に導入をされた地域手当でありますけれども、その算定する根拠となるデータでありますとか基準等についてはどのようになっているのか、お尋ねをします。
  42. 幸清聡

    ○幸政府参考人 お答え申し上げます。  地域手当の支給地域や支給割合につきましては、国民理解を得られるものとなるよう、政府統計を用いて算出した客観的なデータに基づいて、統一的な基準により定めることが必要であると考えております。  このため、民間賃金水準を都市ごとに集計することができます厚生労働省の賃金構造基本統計調査を用いて算出しました賃金指数に基づきまして、国家公務員が在職している地域について、民間賃金水準に応じた支給割合を定めることとしているところでございます。
  43. 小寺裕雄

    小寺分科員 実は、ここは割と誤解されていまして、私の地元でも、甲賀市という町は、結構田舎の方なんですが、六%ついていて、地元人たちからは、甲賀市は、僻地やとか何かそういうのがあるので、特別な加算があるんちゃうかというふうなことが実は言われております。また、それぞれの市町も、何でうちがゼロ%で、あの町が三%、六%ついているんやということで、お互いの自治体が疑心暗鬼になっているようなところも実はございます。  今のお話ですと、公平公正に、客観的なデータに基づいてということでありますので、そうしたことを基準にお考えをいただいているわけですけれども、結局、この国家公務員の地域手当の物差しが、先ほど来、問題に取り上げようとしている地方公務員の地域手当、それから福祉関係の団体の皆さんの各種それぞれの計算の基になっているということでありますので、今申し上げましたように、あくまでもこれは国家公務員の給与に関するいわゆる調査である。その上で、今申し上げましたような、地方公務員の地域手当、それから介護報酬の、保育の公定価格に含まれる人件費の単価設定に関しても、人事院でどうこうされていることではないということが大変明らかになるわけです。  そこで、こうした地方公務員の地域手当や介護報酬や診療報酬、今申し上げました保育の単価設定などの基となる指標として国家公務員の地域手当が活用されていることについて、人事院としてはどのように受け止めておいでになるのかということをお尋ねしたいと思います。
  44. 幸清聡

    ○幸政府参考人 お答え申し上げます。  今委員からもお話がございました各種の制度におきまして、それぞれの制度を所管する府省の御判断により、地域手当の支給地域及び支給割合が利用されていることは私どもも承知しておりますが、地域手当は、国家公務員の給与制度の一つとして、地域ごとの民間賃金水準の違いを国家公務員給与に適切に反映させるものでございますので、地域手当が他の制度において指標として用いられていることにつきまして、人事院として意見を申し上げる立場にはないと考えているところでございます。
  45. 小寺裕雄

    小寺分科員 別に、人事院を守るというか擁護するわけではありませんが、人事院がこの問題で悪い者やということではないということが明らかになりましたので、首長の皆さん方や、それぞれ地方でこの問題に取り組まれている議員方々にも、その点ははっきりと申し伝えておきたいなと思います。  そこで、今度は地方公務員の地域手当についてお尋ねをしたいと思います。  近江八幡市で開催した武田大臣との意見交換会でも、参加をいただいた地域手当がゼロ%である自治体の首長さん方からは、様々な意見が出されたところであります。  まず、開催地の近江八幡市からは、採用試験時において他の自治体とかけ持ち受験をした結果、内定後に辞退をされるケース、あるいは、採用後数年してから他の自治体に経験者採用等で転職をされるケースが見られること、お隣の野洲市では、特に平成二十七年度のことについてお話をされましたけれども、内定者の約二割、六名にも及ぶ辞退者が出たというふうな報告がありました。  また、これは人口五万人を基準というふうにされておりますので、その基準ということに満たない、対象となっていない竜王町や日野町の町長さんたちからは、文化圏でありますとか生活圏が一体的な地域であるにもかかわらず、こうした給与格差が生じるような制度が運用されていることで、人材確保に苦慮をしているという趣旨の御発言が出されたところであります。  私自身が全国自治体地域手当に関する状況について全てを把握しているというわけではありませんけれども、恐らく、全国各地の自治体から様々な要望等がお届けされているのではないかというふうに推察をいたします。  そこで、今日までに全国自治体から地域手当に関して具体的にどのような要望が届けられているのか、お尋ねをさせていただきます。
  46. 山越伸子

    ○山越政府参考人 お答えいたします。  地方公務員の地域手当につきましては、大都市近郊の地域地方公共団体を中心にいたしまして、主に地方公務員の人材確保の観点から、支給割合などの見直しに係ります様々な御要望をいただいているところでございます。  主な要望内容といたしましては、現行、市町村単位での支給割合になっていますが、市町村単位ではなく、地域の一体性を踏まえた広域的な圏域で支給割合を設定することはできないのかということ、それから、人口五万人未満であっても、賃金センサスのデータを用いて支給割合を設定することはできないのか、また、中核的な市からの通勤者率に基づきまして支給割合を補正する制度というのが現行もございますが、その補正の幅を現行より拡大することはできないのか、などの御要望をいただいているところでございます。
  47. 小寺裕雄

    小寺分科員 ありがとうございます。  そういうお話を聞いて、元々いろいろ調べた中に、聞くと千八百ぐらいたしか自治体が今あったと思うんですけれども、実は千三百、四百はゼロ%のところが多くて、これは、東京に隣接するところとか、政令指定都市がどんとあってその周りの狭い範囲にたくさん町が固まっているところに結構起きている問題だということが、私自身も、冒頭申し上げましたように、いろいろ調べていく中でわかったわけなんですね。  東京は特別で二〇%上乗せということになっているわけですけれども、そういう給与の高い、民間の水準の高いところに合わせて地域手当が高いところに出ていて、なおかつ、自分の町には、先ほどの統計データで、それほど給与の高いような企業がたまたまないようなことが起きると、その町だけがデータ的に加算されずに、近隣の市町と給与格差が生まれてくるということになるんであろうというふうに思います。  しかしながら、実は私の地元の滋賀県というところは、田舎で人口もさほど多くはありませんが、通勤圏内に大都市があって大変利便性が高い。ですから、近年まで人口が増加するような地域であったわけですけれども、住んでいるところは田舎なんだけれども、いわば三十分、四十分で京都に到着する、あるいは一時間で大阪まで通勤をされている方々がおいでになると、非常にそうした地域との給与バランスが悪いというような認識があるわけであります。  ですから、田舎であって、この地域手当がゼロ%で、そうした狭い範囲で大津市が一〇%いただかれていますので、非常にそういう近い距離に、田舎であってもこの問題が起きているというのが、実は割とレアケースというか、お伺いすると、そんなに多くはないということで、制度の中で少し漏れがあったりするのかなといったことを実は感じているところであります。  今、様々な御意見、御要望があるということがよく分かりました。  私の地元の滋賀県の事情を今一部お話をさせていただきましたけれども、先ほどの人口五万人以下の竜王町や日野町からは、やはり生活圏や文化圏など一定の範囲を拡大して見直してほしいというふうな御意見もございますし、今し方申し上げましたように、実は、県内だけではなくて京都市も大阪府も通勤圏内ということを考えますと、人材確保面で県外の自治体とも競合するような実態を思いますと、この地域手当の支給が勤務地をベースに考えておられることが果たして適当なのかどうかというふうなことも出されているわけであります。  つまり、近江八幡市がゼロ%で大津市が一〇%いただかれていると、得されるのは近江八幡市に暮らしながら大津市で御勤務されている自治体職員さんで、逆に、大津市でお住まいいただきながら近江八幡市へ通われている方々は、ちょっと何となく損しているのかなというふうな印象を持たれるのではないでしょうか。  そこで、様々なことを申し上げましたけれども、いろいろ要望が届けられている地域手当について、その要望に応えてその基準をもし変更しようとするならば、どのような基準の変更があるというふうに考えられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  48. 谷川とむ

    ○谷川大臣政務官 先ほど公務員部長からも答弁したとおり、地域手当については地方公共団体から様々な見直しの御要望があることは承知をしております。  地方公務員の地域手当については、地方公務員法第二十四条の均衡の原則にのっとり、国家公務員における地域手当の指定基準に基づき支給地域及び支給割合を定めることが原則としており、地方公務員において独自の指定基準を設定することは想定しにくいものであると考えております。  したがって、地方公共団体からいただいている御要望については、十年ごととされている地域手当制度の次の見直し時期に向け、人事院を含む関係機関とも共有しながら議論を深めてまいりたいと考えております。
  49. 小寺裕雄

    小寺分科員 ありがとうございます。  あと五年ぐらいでたしか見直しの時期が来るというふうに承知をしておりますけれども、幅広くこうした自治体の声にお応えをいただきますように、是非ともお願いを申し上げておきたいというふうに思います。ありがとうございます。  それでは、次に、今度は福祉の現場について、同じような問題が起きていることについて質問をさせていただきたいと思います。  先ほど来申し上げておりますけれども地域手当区分に準拠して、介護報酬、診療報酬、保育の公定価格、障害福祉サービス等の報酬における人件費相当額の算出に差が設けられております。特に特別養護老人ホームなどの単位の大きな施設では、その運営費に大きな格差が生じております。  その具体的な影響としては、武田大臣との意見交換会の中でも、同じ事業をしているにもかかわらず、隣の市と格差があるために給与水準が劣り、人材流出につながっていることや、雇用できる人員が少なくなってしまっているという意見が出されておりました。  ほかにも、国家公務員の地域手当に準拠して報酬を反映するというが、最低賃金は都道府県ごとに決められていて、その金額が適用されているにもかかわらず、市町ごとにこういう地域区分が異なることには疑問を感じているという意見も出されておりました。  元々、介護業界は人材確保が困難であるにもかかわらず、介護業界内での人材の奪い合いが手当の違いによって起きているのはいかがなものかという趣旨皆さんの御意見は当然であろうというふうに思います。  そこで、厚生労働省では、介護報酬においては、地域手当の設定に準拠した上で、隣接地域とのバランスを考慮し、公平性を確保すべきと考えられる場合について特例を設け、地域間格差を縮める配慮を行われたことと認識をしておりますけれども、具体的にはどのような取組を行われているのか、お尋ねをいたします。
  50. 堀内斉

    ○堀内政府参考人 お答えいたします。  介護報酬につきましては、介護保険法におきまして、事業所がある地域等も勘案した、各サービスに必要な平均的な費用を勘案して設定することとされておりまして、人件費の地域差を介護報酬に反映する仕組みとして地域区分という制度を導入しております。  この地域区分につきましては、公平性、客観性の観点から、原則といたしまして、民間の賃金水準を反映して設定されている公務員の地域手当に準拠することとしておりますが、先生指摘のように、地域間格差も縮める配慮も必要ということで、特例的に、隣接する地域の状況によって制度を設定しているところでございます。  この地域区分の特例設定も含めた取扱いにつきましては、三年ごとの介護報酬改定の中で、自治体の御意見も踏まえつつ、議論を行い、決定しているところでございまして、ちょうど今年の四月から新たな介護報酬の改定ということで議論がされていたところでございます。  その中で、令和三年度の介護報酬改定におきましては、高い地域区分の地域に全て囲まれている場合、あるいは、公務員の地域手当の設定がない地域であって、当該地域よりも高い地域区分の地域に複数隣接しており、かつ、その中に四級地以上の級地差があるような地域が含まれている場合、このような場合には、隣接地域地域区分のうち一番低い区分までの範囲で見直すことというふうに制度をしたところでございます。
  51. 小寺裕雄

    小寺分科員 ありがとうございます。  実は、以前県議をしているときに、前の見直しのときにも、滋賀県からもこのいわゆる地域区分の要望等も出していただいて、今回、そうした声もお酌み取りいただいて、少し前進して救われる地域が出てきたことは、大変率直に感謝を申し上げます。  先ほど、公務員の地域区分では救えなかった日野町は、隣接、ぐるりとされているということで今回救われるということで、この見直しに関して、地元でも大変喜ぶ声が私のところにも聞こえております。  そして、今、少し日野町のお話をしましたけれども、私の地元である四市二町のうち、一市二町が無支給地であり、今回の特例措置で救済されるのは今申し上げました日野町でありまして、四級地差がある自治体に隣接をしておらず、そもそも無支給地として相互に隣接をしている近江八幡市と竜王町、そして近江八幡市のお隣にある野洲市は、無支給地ということで今回も救われませんでした。そのため、さっきも申し上げましたような状況が今後も続くこととなり、介護の人材はそもそも人材不足というふうに言われている中で、更に施設の運営は厳しさを増すばかりというふうに言わざるを得ません。  そこで、地方でこそ、そうした求められている介護人材確保を着実なものとするために、今申し上げました近江八幡市や竜王町のような地域に対して更なる特例を設けるべきであるというふうに私自身は考えますが、いかがお考えになりますか、お尋ねをしたいと思います。
  52. 堀内斉

    ○堀内政府参考人 お答えいたします。  介護人材確保課題とする中、介護職員の処遇改善を始めとする総合的な人材確保取組を進めることは重要であり、介護が必要な方に必要なサービスを提供できるよう、しっかりと支援していくことが必要と考えております。  地域区分の見直しにつきましては、先ほど御答弁いたしましたが、令和三年度の介護報酬改定で措置したところでございますけれども、今後も、御指摘地域区分の取扱いも含め、地域区分の更なる見直しにつきまして、三年ごとの介護報酬改定の中でしっかりと議論し、各自治体の状況、御意見も踏まえながら議論してまいりたいというふうに思っております。
  53. 小寺裕雄

    小寺分科員 ありがとうございます。  次回の改定は三年後になるわけですけれども、その折には、是非、近江八幡市や竜王町の皆さんも喜んでいただけるような改定をお願いしたいと思います。  最後に、保育における公定価格と地域手当についてお伺いをいたします。  保育にも同じ問題があるのではないかという観点からお伺いいたしますが、人材確保が困難であるということは、介護と並んで非常に難しい職業の一つに保育士が挙げられております。保育人材確保については、待機児童の解消を進めるために、処遇改善ということで大幅な給与水準の引上げ等の措置が行われてまいりました。  であるにもかかわらず、ほかの職業との給与格差でありますとか、そもそも保育士のなり手が非常に少なくなっている中で、若手保育士の確保が困難である我々の地域では、隣接する自治体や通勤可能な自治体間で地域区分が異なることにより、保育人材確保が難しくなっているという指摘がございます。  その点についてどのようにお考えなのか、お尋ねをいたします。
  54. 嶋田裕光

    ○嶋田政府参考人 お答えいたします。  子ども・子育て支援新制度の公定価格におきましては、介護保険制度と同様に、民間給与について地域差があることを反映するために地域区分を設けているところでございます。  こうした具体的な設定に当たりまして、我々も、公務員の地域手当に準拠することを基本としながら、介護保険制度によるこれまでの対応も踏まえまして、周辺地域との格差を緩和する取組というのを順次行っているところでございます。  例えば、平成二十七年度から、公務員の地域手当の設定がない市町村につきましては、設定がある市町村に複数隣接している、又は囲まれている場合には、隣接している市町村のうち支給割合が最も近い市町村の地域区分まで引き上げるでありますとか、あるいはまた、令和二年度からは、公務員の地域手当の設定がある市町村につきましても、当該市町村の地域区分より支給割合の高い市町村に囲まれている場合は、当該地域を囲んでいる市町村のうち支給割合が最も近い地域区分まで引き上げるといったような措置を行ってきたところでございます。  地域区分の在り方につきましては、地方自治体皆様からも様々な御意見があるということは承知しておりまして、地方自治体や事業者団体が参加しております、私どもが置いております子ども・子育て会議というのがございますけれども、そこの議論でも、公務員の地域手当に準拠して設定するという基本的な考え方を維持しつつ、地域手当が地域民間給与の適切な反映を目的とする手当であることや、介護保険制度を始めとしたほかの社会保障分野における補正ルールとの整合性を踏まえて、さらに、必要となる財源の確保などを併せて検討する、こうされておりまして、今後とも、引き続きいろいろな議論をして、有識者を交え、検討していきたいと思っています。  ただ、いずれにしましても、保育人材確保は非常に重要な課題でございまして、保育士の処遇改善というのは非常に重要な課題ということで、高い使命感と希望感を持って保育の道を選んだ方々が長く働くことが望ましいということで、引き続き、いろいろな支援を考えていきたいと思っております。  以上でございます。
  55. 小寺裕雄

    小寺分科員 いろいろ申し上げましたけれども、やはり、地方において制度に救われない自治体が、それぞれ福祉の分野で御苦労いただいていることを十分御理解いただいて、今後の制度改正に努めていただければというふうに思います。  終わります。
  56. 小倉將信

    小倉主査 これにて小寺裕雄君の質疑は終了いたしました。  次に、泉田裕彦君。
  57. 泉田裕彦

    泉田分科員 自由民主党の泉田裕彦です。  本日は、質問の機会をいただき、誠にありがとうございました。  それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。  近年の通信・放送技術、この進歩は、日々、飛躍的にと言ってもいいほどスピード感を持って進歩しているという状況だと思います。特に、通信について見ますと、高速化が進んでいますし、それから、圧縮技術が進むということで、実質的な広帯域化も進んでいます。マルチキャストは物になるのかなと、十年、二十年ぐらい前は感じていたところはあるんですけれども、今やマルチキャスト技術も十分進化をしたというような状況になりました。  その結果、何が起きたかといいますと、結局、通信で動画を視聴することと電波を使って放送のテレビを見ること、映像を見ること、これは視聴者の側から見るとほぼ一緒になっちゃっているというところまで来ているわけであります。ほとんど差異がないというところまで来ています。  実際、我が家でも、テレビを見るときには、地上波のほかに、BS、さらにはCSも視聴できるようにしているんですが、一切電波を受信するアンテナを使っておりません。光ファイバーケーブルから変換をして全ての放送を視聴している、通信設備を使って放送を受信しているという状況になっております。  光契約のほかにも、移動体でどうかなと考えると、放送の方が、これは実質マルチキャストになっているわけですけれども、有利なようにも思えるんですが、例えば、トンネルの中に入ると、放送電波は届かないんですが、通信電波は届いているところがある、高速道路、新幹線も含めて。そうすると、映像を受信する際に、実は通信の方が柔軟性がもう既に高くなっているのではないかというところも実感をいたしております。  一方向で情報伝達をする放送、それから双方向で柔軟に対応できる可能性のある通信、こういう仕切りになっているわけでありまして、さらに、通信は時間をずらしての受信とかオンデマンドということも可能になっている。さらに、若者の憧れる職業の中にユーチューバーというものが入ってきた。自らが情報の発信者になる機会というのも出てきているということであります。つまり、リモート会議や、さらには、双方向で時間を超えて世界の方々とコミュニケーションを取るというようなことによって、人類社会、世界全体が大きく変容を遂げていく可能性があるという時代に我々は遭遇しているのかなというふうに認識をいたしております。  このように通信技術が進歩する中で、通信と放送を峻別した免許制度、通信免許それから放送免許というのをずっと分けたまま維持していった方がいいのか、少し放送と通信の融合を念頭に置いた仕組みというのも研究していった方がいいのか、次世代技術を日本が世界に先んじて、リードをしていくというためにはどういう制度設計が望ましいのか、検討すべき時期に来ているのではないかな、こういう問題意識で今日は質問させていただきたいというふうに思います。  まず最初に、電波は限りある資源であります。有効に活用する必要があると思うんですが、地デジでは、極めてハンドリングのいい四百メガヘルツ帯から七百メガヘルツ帯で大きな周波数帯が放送局に割り当てられております。これは有効な使われ方なのかなというのは以前から疑問に思っているところがありました。  具体的に言うと、各放送局に六メガヘルツ、三波分の電波が割り当てられているという状況になっています。最新の技術で圧縮をすれば、実は地上波で今の三倍の放送もできるんじゃないかということになっているわけですが、三波放送できる電波帯を活用しながら原則一番組しか放送されていないという現状をどのように評価されているのか、まず見解をお聞かせいただきたいと思います。
  58. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えさせていただきます。  今御指摘いただきました四百七十から七百十メガヘルツ、こちらは放送用周波数となってございます。四十チャンネル分あるわけでございますけれども、混信を避けて、効率的に利用するということが必要でございます。  現在の地上デジタル放送の方式、ISDB―Tと申しますけれども、この方式の中でも最大限利用されているというふうには理解してございます。  放送事業者は、自分に割り当てられている一チャンネル分を使いましてハイビジョン画質一番組を放送することができますし、それから、これに代えまして、標準画質で三番組放送することも、これは運用で可能だとなってございまして、実際、そうやっている事業者もございます。  どのように放送するかというのは放送事業者自身が判断することと認識してございますが、あと、ISDB―Tよりも更に映像符号化方式等の最新技術を導入することで多くの情報を送るということは、これは想定することはできると思いますけれども、ただ、技術的な検証がまず必要であるということ、それから、放送事業者の設備を全部整備しなきゃいけない、あるいは視聴者側の受信機の買換えが必要になる、そういったコストなんかもございますので、国民的な合意形成なんかが必要になってくる、そういうふうに理解してございます。
  59. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  現状においてはそういうことということだと思います。  これを、十年後、二十年後を考えたときどうするかということなんですが、以前、地上波デジタルを入れるときに、我が国はNHK主導でハイビジョンという規格を提案しました。ところが、デジタル化の波に遅れた提案で、結局、欧米の提案したHDTVが現在採用されているということになっているわけであります。  今後、圧縮技術が更に進歩をして周波数帯を有意義に使えるということであれば、むしろ世界をリードするということも是非検討をしていただきたいなというふうに思っています。  思い返してみると、地デジ導入の際は、様々な支援策を講じながら、テレビが売れました。コンバーターを入れて、視聴が難しい地域に対してもサポートをしながら、日本経済にも大きく貢献をしたという実績があるわけです。  今度の新しい技術ができるときに主導権を握れば、日本経済が大きく浮揚するチャンスということにもなり得るわけですので、現状については十分承知をしていますが、将来的に世界とどういうふうに手を携えてやっていくのか。VHSとベータの規格争いもありましたけれども、このときは、結局、ヨーロッパと手を組んだ方が勝つということになりますので、余り独自規格にこだわらなくてもいいのかもしれませんが、是非とも、次の時代、世界をリードするような形で制度設計を考えていっていただければとお願い申し上げたいと思います。  次、二点目なんですけれども公共放送、国営放送の在り方。  先ほどから申し上げているとおり、通信を使って放送に劣らないような形の情報伝達ができるようになったときに、今度は、公共放送、国営放送というのはどういうふうに制度設計すべきかという課題が当然出てくるということだと思っています。  そこで、世界の国々で、国営放送と公共放送、これは峻別するのが難しいというのは十分承知していますが、国営放送、公共放送を持つ国というのはどの程度あって、その運営経費はどのように調達されているのか、現状認識を伺いたいと思います。
  60. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えさせていただきます。  総務省で把握している限りにおいてでございますけれども、その中では、ほとんどの国で公共放送あるいは国営放送といった形態のものが存在しているというふうに承知してございます。  ただ、御指摘いただきました運営経費の在り方、調達方法、これにつきましては各国で違いがございます。  例えば、イギリスですと、受信機設置者に、これは受信許可料という名前なんですけれども、この許可料というのを、支払い義務を課すという制度になってございます。その徴収はBBCが行う。それがイギリスの在り方でございます。  フランスは、やはり受信機設置者に、公共視聴覚負担金という名前なんですが、この支払い義務を課すという制度になってございます。ただ、こちらは徴収は政府が行うとなってございます。  ドイツはまた更に違いまして、元々は、かつては英仏のように受信機設置者が負担をするというふうな制度でございましたけれども、二〇一三年以降、放送負担金制度という別の制度に変わってございます。こちらは、受信機設置をしているかしていないかを問わずに、皆様に放送負担金、これは全ての住居の占有者それから事業主に対して求めるんですけれども、その支払い義務を課すという制度になってございまして、その徴収は公共放送機関が共同で設立した負担金サービスというところが行うとなってございます。
  61. 泉田裕彦

    泉田分科員 詳細な御説明、ありがとうございました。  公共放送、国営放送等で、これが結論だという一つの方式があるわけではないということだと思います。その国の歴史とか、それから国民的コンセンサス等に基づいて制度がつくられているかなという印象を持ちました。  一方、では、我が国の制度は今どうなのかというと、必ずしも、国民皆さんに納得してもらっているのかどうかというところになると、課題もあるのかなというふうに受け止めております。  ちょっと幾つか細かい点をお伺いしたいと思うんですが、携帯電話に受信料がかかるんでしょうかと不安を持っている国民も多いかと思います。テレビが受信できる携帯電話の受信料は、日本ではどういうことになるんでしょうか。
  62. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えをします。  放送法に第六十四条第一項という規定がございます。これによりまして、NHKの放送が受信できる受信設備を設置した方はNHKと受信契約を締結しなければならないとなってございますので、携帯電話での、いわゆるワンセグ機能というのがついているものですね、これを設置される方は受信契約の対象となるわけでございます。  ただ、その方が既に例えば自宅でテレビを設置しておりまして受信契約を締結している、そういう方は改めて携帯電話のために受信契約を締結する必要はない、そういうふうな制度になってございます。
  63. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  今お答えいただいたとおり、自宅で契約をしていなくて携帯電話でワンセグで受信できる人は、受信料支払い義務があるはずである。  把握できるかどうかという問題。特に、最近の、地方から大都市に出てきた大学生等、テレビを持たずに、携帯、タブレット等だけで生活しておられる方、これにワンセグがついている場合というのは契約締結義務があるということだと思いますけれども、これは徴収率というのはどれぐらいになっているんでしょうか、受信料徴収率。分かる範囲でお答えいただければと思います。
  64. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えします。  受信料の支払い率がどれぐらいになっているかということでございますけれどもNHK令和元年度の決算概要、このベースによりますと、八二・八%でございます。
  65. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございます。  今のは、携帯電話だけじゃなくて、受信料全体の話ということだと思います。  いずれにしても、自宅にテレビがなくて、携帯でワンセグがついている人、これは分母を把握することも難しいということなんじゃないかなと思います。  一方、全世帯の中で徴収できている割合も、二割の人は契約締結義務から逃れているという現実があり、やはり国民の中に不公平感が出てくる原因の一つかなというふうに受け止めております。  これをどう解消していくかというのと、技術進歩をどう組み合わせていくかということは、一つの政策課題として是非検討していただきたいというふうに思います。  ちなみに、NHKの受信料徴収にかかる費用というのが、約七百億円弱かかっているわけです。こういう負担を国民全体でした上で不公平感が残る制度というのをやはり改善できないものかなという思いはどうしてもあるわけでございます。  それから、ホテル、旅館でありますが、これはどういう形で受信料契約をするのか。これは、放送法の、先ほど御指摘いただいた六十四条によれば、放送を受信することができる受信設備を設置した者が受信についての契約をしなければいけないというふうに定めているのであって、部屋ごとに課金するというのは、これは放送法六十四条から見て読めるのかなという率直な感じを持っているんですけれども総務省の見解を伺いたいと思います。
  66. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えします。  放送受信契約の単位につきましては、これはNHKが定める受信規約に定められてございます。  今先生がおっしゃいました事業所の関係でございますが、これは旅館、ホテルなんかも含むわけですけれども、基本的には部屋ですね。あるいは、部屋等といっていますが、部屋に相当するものという場合もありますけれども、これを単位とするとなってございます。  これは、基本的には、放送の受信をする方、ふだん視聴する方はどなたなのかという考え方によりまして、世帯では住居単位としていますし、事業所では部屋というふうになってございます。  そういった考え方でやってございまして、その中で、負担が事業所で大きいんじゃないかというものに配慮して、NHKでは、二台目以降については受信料を半額とする制度の適用なんかも行ってございます。
  67. 泉田裕彦

    泉田分科員 割引制度も含めて御説明いただき、ありがとうございました。  特に、コロナ禍の中で観光業が大きな打撃を受けているという中で、ホテルの一部屋一部屋にかかる受信料を全部負担するというのは、やはり事業者にとっても大変大きな負担となっている。確かに、臨時特例の措置を講じていただいたということは分かるんですが、NHKが料金を決めているからしようがないというのは、私は論理が倒錯しているんじゃないかなというふうに思います。NHKは放送法六十四条に基づいて受信料を徴収すべきであって、規定が法律の内容を定めるということではないんじゃないかなというふうに思います。  要は、世帯で契約をするときは、家族の分も含めて一契約、どの部屋にテレビが置いてあってもオーケー、一契約でいいですよと。今度は、ホテル、旅館は、ホテル、旅館の経営者が、経営者というか、会社の場合もあると思いますけれども、契約をして、部屋ごとに置いているのに、こっちはお金を取りますと。さらに、泊まる人は大部分がそれぞれ御自宅でNHKの契約を持っている方が泊まられるということに対して、更に受信料を課すというのは、やはり不公平感の元になっているんじゃないかなというふうに感じてなりません。  是非、こういうふうな、コロナ禍の中で負担感がすごく大きいと感じておられる方と、そもそも放送法六十四条に適合した受信料の取り方になっているのかどうか、今後どうするのかということも検討していただければなというふうに思います。  次に、在日米軍の受信料、各国大使館の受信料についてお伺いしたいと思います。  現状を伺いたいと思います。
  68. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えいたします。  まず、在日米軍の関係でございます。  NHKの受信料につきましては、在日米軍側の御主張がございます。そちらの主張では、日米地位協定に規定する租税である、受信料は租税であるということで、支払いが免除されるはずであるというふうな主張でございます。  我が国側でございますけれども、これは租税ではないというふうな理解をしてございまして、在日米軍も放送法あるいはNHKの放送受信規約の規定に基づいて受信契約を締結して受信料を支払う義務があるというのが我が方の立場でございます。  そういったことを踏まえまして、総務省としても、外務省あるいはNHK様と連携して、米国側に対して、この受信契約に関する我が国の立場の説明にずっと努めてきたところでございます。  それから、外交官あるいは領事の関係でございます。  こちらは、NHKにおきましては、国際社会における相互主義の慣行がある、そういうことを尊重して受信契約の対象外とすることとしておりまして、その旨をNHKのホームページでも公表している、そのように承知してございます。
  69. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  現状についてはよく分かりました。  これも不公平感の元になっているんじゃないかな。  つまり、在日米軍との間では、放送法から見れば受信契約締結義務があるにもかかわらず、裁判を起こすわけでもなく、取りあえず交渉をしていますと。一方、私人に対しては、裁判を起こしてでも受信料を徴収するという形になっている。  さらには、各国大使館、相互主義だから取らない。これは、理念としては分かると思います。ただ、放送法に書いてないんですよね。相互主義で取らないということであれば、放送法を正々堂々改正して、相互主義で大使館免除という規定を入れた方がすっきりするんじゃないかなというふうに思っています。  制度が、法律の条文で、六十四条で書かれているのが一つで、運用で人によって対応が変わるというのは決して国民理解を得るにいいやり方じゃないんじゃないかなというふうに思いますので、是非この点も、技術の進歩に合わせてどうしていったらいいかということを検討していただければとお願い申し上げたいと思います。  次に、新型コロナ対策、それから働き方改革、これは内閣の重要な政策課題の一つということになっているわけです。  その中で、東京都の人口が五か月続けて減少したというようなこともありますし、リモートワーク、これをどう活用して新しい時代の働き方をつくっていくのか。それから、地域における、日本全体でどういうふうに国土を活用しながら、競争力のある、そしてまた豊かな生活が送れる日本をつくっていくのかというためには、このリモートワーク、さらに、ワーケーション、さらには、週末に別の住まいを持つマルチハビテーション、こういったものを推進していくということが重要だと思います。  これを普及させていくためには、やはり、主たる事務所とそれからサテライト等、移動するケースもあるということですので、そこでの放送、情報のやり取り、これを円滑に整えるということが極めて重要ということだと思います。  仕事を円滑に進めるためにも、放送で流されているコンテンツ、ニュース、さらには、様々な情報番組、極めて有益なものがあるというふうに考えておりますが、これも、公共放送から受信料二重取りというような、二か所で取るというような形になると、なかなか少し負担感が出てくる可能性もあるかなと。  環境をいかに整えていくかということもやはり重要なんじゃないか。設置場所でいくのか、人に対して受信料を課していくのか、いろいろな考え方があってもいいのかなというふうに思いますけれども、少なくても、リモートワーク、ワーケーション、マルチハビテーション、こういったものを推進するための環境整備、受信料の二重取りはできない方向で検討できないものかなというふうに思うんですけれども総務省の見解を伺いたいと思います。
  70. 藤野克

    ○藤野政府参考人 御質問ありがとうございます。  先ほど申し上げましたように、また、先生指摘いただきましたように、一の事業者が、主な事務所と別に、ほかに事務所を持っている場合、これは受信設備の設置場所が複数あるということでございますので、改めて契約がそれぞれ事業所あるいは部屋ごとに要る、これが現状ではございます。  今先生指摘いただきましたように、リモートワークの推進、これも重要な課題だというのはおっしゃるとおりだと認識してございます。ですので、NHKにおいて、受信料の負担の在り方につきましても、そういったことも踏まえて、必要に応じての検討をしていただきたい、そういうふうに考えてございます。
  71. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  是非、今後ともよろしくお願いいたします。  そこで、改めて公共放送の意義ということを伺いたいと思います。
  72. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えいたします。  NHKは、公共放送として、放送法に基づきまして、例えば、広告主の意向あるいは視聴率、そういったものにとらわれない、豊かでよい番組を全国にあまねく放送する、そういった重要な社会的使命を担っているところでございまして、引き続きその使命を果たしていただきたいというのが我々の考えでございます。  我が国の放送は、この公共放送であるNHK、それと民間放送、この二元体制の下で、互いに切磋琢磨しながらこれまで発展してきてございます。  総務省としましても、この二元体制を維持しながら、NHK国民・視聴者から支持を得られる公共放送として事業を行う、そういったための必要な取組を行ってまいりたいと考えてございます。
  73. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  今御説明いただいたとおりだと思います。  やはり、公共放送というのは健全な社会の発展のために極めて重要な役割を果たしているというふうに考えております。  その中で、残念ながら、国民の中に不公平感、それから負担感がある、これをどう解消していくかということがやはり重要かなというふうに思っています。  例えば、公共放送をするのに、衛星放送から、それから地上波デジタルから全て、放送設備を全国あまねく自力で展開をしていくという体制の方がいいのか、ある程度、5G、6Gという通信基盤を活用した上で放送も乗っけるということと組み合わせていくということも考えた方がいいのか。  やはり、技術の進歩とともに、今後の受信料、運営経費の徴収の仕方というのはいろいろな選択肢があっていいんだろうと思います。冒頭、御説明を頂戴いたしたとおり、各国も、一つの方式というのはないわけです。この日本列島の中において、国民からも愛される公共放送、これをどういうふうにつくっていくかということ。  一つ提案として、二重投資、すなわち放送設備と通信設備を二重に整備するのではなくて、ある程度通信インフラの上に乗っかって放送もするということをして、コスト、つまり設備投資コストを下げた上で、七百億円弱の受信料徴収コストを、税のような形で、ほかの国でもあるんですけれども取得をし、ソフトの方に力を入れるということもあってもいいのではないかなというふうに思うわけであります。  時代の変遷に合わせた不断の制度見直しを、今すぐ答えが出るわけじゃないと思います、是非時代に合わせた不断の制度見直しを続けていってほしいと思いますが、総務省の意気込みを伺いたいと思います。
  74. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えさせていただきます。  通信網を活用するということにつきましては、昨年の七月に閣議決定されました規制改革実施計画におきましても、放送のユニバーサルサービスの在り方ということで、放送ネットワークをブロードバンドにより代替する、その場合のコスト・ベネフィットの比較考量を行うことを含めて検討を行うといったことが定められてございます。  ブロードバンドにつきまして、先生のおっしゃるとおり、非常にメリットもございます。他方で、放送につきましても、同時に多数の方に情報を送信できて、そして、ふくそうがないということで、災害時においての有効な情報伝達手段としてのメリットもございます。そういった点も踏まえながら、必要な検討を行ってまいりたいと思ってございます。  あと、費用負担の関係でございますけれども委員指摘のように、税金とか、そういった形で運営するということも考え方としてはあるかもしれないと思いますけれども公共放送の番組編集の自律性が損なわれるのではないかというような議論もございます。そういったところも含めて、慎重な検討が必要かなと考えてございます。
  75. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。  一歩一歩着実に、いろいろな検討を積み重ねていっていただければと思います。  それで、一言申し上げたいのは、例えば、税金で運営した場合に、政府が介入して報道がゆがむんじゃないかという懸念がある。これが一つの大きな論点というふうに承知しておりますが、裁判所を考えてみていただきたいんですけれども、あれは、内閣総理大臣が最高裁長官を指名し、かつ国費で運営費を全額賄う、でも、三権独立、分立の原則に基づいて、裁判所が政治の影響を受けているというふうに感じている国民は、少なくても我が国では極めて少ないのではないかなというふうに思います。  自前でお金を集めても、いろいろな許認可の仕組みとか、介入する余地というのは生まれてくるわけですから、それをむしろ排するような形で、運営費についてはコストを下げて、国全体の調和を高めていくという考え方もあっていいんだろうと思います。  ここの議論というのはセンシティブで扱いにくいということなんだと思いますけれども、裁判所の例があるじゃないかということで、是非、遠慮せず、検討してみていただければと思います。  最後になりましたけれども、新型コロナ感染症、地方財政についてお伺いをしたいと思います。  緊急事態宣言、ようやく解除される地域が出るのではないかという状況になってまいりました。  この第三波は大変大きな波で、影響を受けている人、本当に多くの人が御努力をいただいている。御苦労された皆様に、改めて感謝申し上げたいと思います。  この緊急事態宣言なんですが、実は、緊急事態宣言が出されている地域だけではなく、出されていない地域も大変大きな影響を受けております。東京都知事が、皆さん、おうちにいましょう、ステイホームと言うと、なぜか新潟県民もおうちにいて、ステイホームしちゃう、その結果、売上げが大きく下がるなんということも現実に発生しているわけであります。  経済活動が大きな影響を受けているということは、地方自治体の財政が財源不足を来してくるということを意味しておりまして、コロナ禍に対応するにも、元々地方自治体の裁量というのは限られておりますので、限界がある中で、対応が難しいという実態がございます。  是非ともコロナ禍に対応できる地方財政に向けて取組を進めていただきたいと思いますが、総務省の見解を伺いたいと思います。
  76. 馬場竹次郎

    ○馬場政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘ございましたように、現下の地方財政は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして地方税収が大幅に減収をするおそれがある一方で、感染症対策への対応などに多額な支出を余儀なくされておりまして、大変厳しい状況にあると認識をいたしております。  このため、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、ほとんどの事業を全額国費対応とする一方で、地方団体の判断によって自由度が高く地方単独事業に取り組むことができる財源といたしまして、内閣府所管の地方創生臨時交付金が措置をされているところでございます。  また、その時点時点におきまして求められる事項に地方団体が円滑に取り組んでいただけますように、地方税の減収への対応など、柔軟かつ適切に対応してきているところでございます。  さらに、地方団体が行政サービスを安定的に提供しつつ地域の重要課題に対応できますように、令和三年度の地方財政計画における一般財源総額につきましては、水準超経費を除く交付団体ベースで実質前年度を〇・二兆円上回る六十二・〇兆円を確保させていただいております。  総務省といたしましては、地方団体の実情を十分に把握し、地方財政の運営に支障が生じないように、関係省庁と連携をいたしまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
  77. 泉田裕彦

    泉田分科員 ありがとうございました。頑張ってください。  これで質問を終わります。
  78. 小倉將信

    小倉主査 これにて泉田裕彦君の質疑は終了いたしました。  次に、神田憲次君。
  79. 神田憲次

    神田(憲)分科員 自由民主党の神田憲次でございます。  本日の第二分科会発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  また、新谷副大臣におかれましては、御多忙のところ、ありがとうございます。  時間も限られておりますから、早速質問の方に入らせていただきたいと存じます。  まず、税務行政のデジタル化という観点からなんですが、与党の税制改正大綱では、感染症の拡大を踏まえ、従来に増して迅速に地方税務手続のデジタル化を進めていく必要がある旨、それから、引き続き、納税側、課税側双方のニーズを踏まえて、地方税務手続のデジタル化を推進するということが書かれておるわけですが、地方税務手続のデジタル化に係る今後の取組はどのような形で進められるのでしょうか。
  80. 新谷正義

    ○新谷副大臣 御質問いただきまして、ありがとうございます。  地方税務の手続のデジタル化は、納税者の利便性の向上、あるいは課税当局の業務の効率化、省力化、こういったところで適正、公平な課税の確保に資するものでございまして、社会的なコストの低減につながるものである、そのように考えてございます。  これまで、地方税のオンライン手続のためのシステムであるeLTAX、これを活用した申告、納税のオンライン化、あるいは収納手段の多様化等の取組を進めてきているところでございます。  令和三年度税制改正におきましては、地方税共通納税システムの対象税目の拡大を実施することとしてございます。  こうした取組を着実に実施するとともに、地方税の電子申告あるいは電子納税の利用率向上を図るなど、引き続き地方税務手続におけるデジタル化に一層注力してまいりたい、そのように考えております。
  81. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  この納税の事務手続ですが、マイナンバー制度が導入されて五年が経過したところでございます。マイナンバーカードの普及率は、新型コロナの対策で実施をいたしました十万円の特別定額給付金の申請、それから政府のマイナポイント事業等で増えたとはいえ、まだ二五%程度だと承っております。  地方税の執行におきまして、制度導入前に比べてどのような点が変わったのでしょうか。また、現行のマイナンバー制度の問題点、今後どういった点を抜本的に改善するのかをお聞かせください。
  82. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  地方税におきますマイナンバー制度の活用という観点から見ますと、個人の所得に対して課税をいたします個人住民税の課税が最も関わりの深いものでございます。  この個人住民税につきましては、市町村は、納税者から国に提出をされました確定申告書、あるいは企業等から市町村に提出をされます給与支払い報告書、こうしたものを名寄せ、突合をいたしまして、所得金額や税額を決定するという仕組みでございます。これにつきまして、マイナンバー制度の導入に伴いまして、平成二十八年分の課税資料からはマイナンバーを記載するということとなっておりまして、マイナンバーを活用した情報の名寄せや突合によりまして、納税者の所得情報をより的確かつ効率的に把握をするということが可能となってきているものでございます。  また、市町村が決定をいたしました所得金額や税額につきましては、社会保障分野等の手続で活用されているところでございます。そちらの面で見ますと、平成二十九年十一月から本格運用されております情報連携の仕組みにおきまして、市町村の課税当局から所得金額等がシステムを通じて提供をされるという仕組みが稼働しておりまして、所得証明に係る添付書類を御本人が添付しなければならないというようなことが省略できる、こうしたことから、納税者の利便性向上にもつながっているところでございます。  こういった変化が起きているわけでございますけれども、一方で、御指摘の問題点や改善点ということについてでございます。  地方税の課税実務に関しましては、今申し上げましたように、マイナンバーを利用することがマイナンバー制度開始時点からいわば認められている、使わせていただいているものでございますので、地方税に関して申し上げれば、マイナンバー制度との関係では、制度自体の問題点と改善点というよりも、今後の課題でありますとか運用上の留意点という観点からお答え申し上げることになります。  まず、課税側について申し上げれば、地方税情報は個人の所得など非常に重要な個人情報でございますので、マイナンバー制度の下におきましては、従来に増しまして、情報の適正な取扱いや情報セキュリティーの確保が重要になってくると考えております。  また、情報を提供する側の観点で申し上げますと、地方税情報をこれまで以上に情報提供ネットワークシステムを通じて活用していくという分野が拡大していくことが見込まれておりますので、そうした提供する情報の一層の正確性、迅速性を確保していくこと、また、そうしたことを通じてマイナンバー制度やマイナンバーのメリットについての国民理解が拡大していくように、PRや情報提供を進めていくことなどが、地方税に関します重要な課題になってくるものというふうに認識しております。
  83. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  もう一つ、マイナンバーカードについてですが、今般の特別定額給付金、この十万円の給付に関しまして、マイナンバーカードを利用したオンライン申請が必ずしもうまくいったとは言えないというふうに考えておるわけです。  聞くところによりますと、自治体ベースでは、せっかくオンラインで申請しておきながら、突合というか照合の作業は結局紙ベースに打ち直してというような、印刷してというような形にならざるを得なかった。  確かに迅速なる給付ということも求められましたし、それから、そういったITツールの十分な利用というのができなかったやに聞いておりますが、うまくいかなかった原因がどこにあるとお考えでしょうか。また、今後においては、マイナンバーカードとのこういったひもづけ、預金口座ひもづけ等が始まるわけですが、今後の対策もあればお聞かせ願いたいと存じます。
  84. 向井治紀

    ○向井政府参考人 お答え申し上げます。  まず、十万円の特別定額給付金のオンライン申請につきましては、事業主体でございます市区町村の全てで受付可能とし、その負担を極力軽減するために、マイナポータルという、マイナンバーカードを使ってログインする、そういうものの申請画面の構築を国等によって行ったところでございます。そして、マイナポータルにおきましては、受付した申請受付データを市区町村でダウンロードして、デジタルデータのまま市区町村の給付対象者リストを格納したパソコンシステムにインポートして突合可能とすることで、迅速かつ効率的な事務処理が可能となるようにしておいたところでございますけれども、幾つかの問題点が生じたと認識してございます。  一つ目は、自治体がまず給付システムをつくらないといけない。その給付システムを、早い自治体はすぐつくりましたけれども、遅い自治体は結局一月ぐらいかかっているところがございまして、給付システムがない間はやはりパソコンでやるか、あるいはもう紙でやるかということになりますので、結局、電子データで出たものを紙で打ち出して目視でやったという自治体は、特に給付システムができるまでの間はそうしたという自治体が、テレビなどにも出て、非常に問題になったというふうに考えてございます。  それから、やはり、自治体によってはそういういろいろなツールをうまく使いこなせなかったというところもあるようでして、私どもも随分サポートしたつもりではございますけれども、そこのところがうまくいかなかった部分もあるということでございます。  政府といたしまして、そういうところの自治体とのつながりを非常に大事にするということが必要だろうと思いますけれども、今回の反省点といたしまして、まず、給付自体を国ではなくて自治体にお願いせざるを得なかったというところ。それは、データベースが自治体にしかなかったということに尽きるわけでございますので、やはり、データベースの持ち方をどうするかというのは一つあろうかと思います。  それから、マイナポータルでやる場合でも、今回、マイナンバーそのものは使えなかった。マイナンバーが使えなかったら何が不自由かといいますと、世帯主のマイナンバーカードで世帯主は突合できますけれども、その同一世帯に住む方々は電子的には突合できないようなスタイルになってしまう。マイナンバーが使えれば、そこも電子的に、ストレートにできますので、マイナンバーが使えればよかったのではないかということが反省点だと思っております。  さらに、こういう給付を行う際に、私どもとして、こういうふうな危機事態を想定して、その上で何らかの、元々そういうことを想定したものをつくっておく必要があったのではないか、そういう反省点もございます。ここは非常に難しくて、災害というのは起こるか起こらないか分からないですし、コロナみたいな起こるか起こらないか分からないものを、準備してあらかじめお金をかけてやっておくということが必ずしも本当にいいのか、あるいは無駄だと言われる危険性もあるというところで、非常に難しいところでありますけれども、こういうことも今後検討していかねばならないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、そういうふうな反省点を踏まえまして、政府自治体とのデジタルの意思疎通というのをこれまで以上に、自治体の現場の方の意見を聞きながら、さらに、マイナポータルのUI、UXの改善とか、全地方公共団体のマイナポータルへの接続の実現等をやっていく必要があるというふうに考えてございます。
  85. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  データベースの持ち方というお話が今あったんですが、いずれにしても、千七百強の自治体全国にございます。そんな中で、そのデータベース、いわゆる国、総務省さんサイド自治体とのソフトの共用化というのは、やはり今後においては一体化を図らねばならない懸案であろうかと思います。さらには、データベースの持ち方とともに、これまでも感じてきていることですが、セキュリティーをどうするか、さらには、我が国にプラットフォーマーがないこと、こういった課題もあります。  全省庁のこういったITにかける費用、ソフト等にかける費用は、国の全省庁ベースで六千億から八千億などというふうに聞いておりますので、せっかくデジタル庁を、今年の九月ということになっておるわけですが、この辺の新たな取組が今急速に行われているところなので、そういった意味では、今後のますますの御努力をお願いを申し上げたいと存じます。  続きまして、地方税の電子申告、eLTAXについてお伺いいたします。  まず、その現状についてなんですが、eLTAXを通じた申告の対象税目及びその利用状況等をお知らせ願います。
  86. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  eLTAXは平成十七年の一月に稼働しておりまして、現在、全ての地方団体が対応、接続をいたしております。主として法人向けの税目でございます法人住民税、法人事業税、固定資産税の償却資産課税、また事業所税につきまして電子申告が可能となっておりますほか、個人住民税の給与特別徴収に関します給与支払い報告書の提出などについても対応できる仕組みとなっております。  令和元年度におけます、先ほど申し上げました申告対象の四税目について電子申告の利用件数を見てみますと、一年間で七百六十五万件となっておりまして、総申告件数に対する比率という意味での利用率は六一・八%となっております。  税目別に見ますと、利用率が高いものといたしまして、都道府県の法人事業税、法人住民税については七三・七%となっております。これは、その五年前、平成二十六年度に比べまして二〇・八ポイントの増ということになっております。同様に、市町村の法人住民税につきましても、令和元年度で七二・九%。これは、五年前の平成二十六年度に比べ一九・七ポイントの増というふうに伸びてきておりまして、それぞれの税目につきまして利用率が向上してきているという状況にございます。
  87. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  次に、eLTAXの運用時間についてお伺いしたいと存じます。  国税の電子申告、e―Taxで運用している時間帯で、地方税の電子申告であるこのeLTAXが運用していないということはございますでしょうか。
  88. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  まず、eLTAXの運用時間でございますが、これは、年末を除きます毎月の最終の土曜、日曜、及び、所得税の確定申告の時期に当たります一月中旬から三月中旬におきましては、土日祝日を含めまして全ての日で稼働してございます。また、地方税の申告件数が特に多い繁忙期となります一月十五日から一月三十一日までの期間につきましては、二十四時間運用をしているところでございます。  これを国税のe―Taxとの差というふうに見てみますと、地方税の場合、主に法人に関する税目が多く、法人の経理担当の方々あるいは税理士さん方がお使いになるということを踏まえまして、先ほどの運用時間になっているのでございますけれども、一方、国税との違いという意味では、先ほど申し上げました繁忙期以外においては二十四時間運用になっていないという点におきまして、国税のe―Taxとの間には差があるところでございます。  これまで順次拡大を図ってきているところではございますけれども、現状、そういう状況でございます。
  89. 神田憲次

    神田(憲)分科員 納税者の利便性向上という観点、先ほどのマイナンバーカードのところでも申したと思います。  いま一度確認ですが、毎月の月末の最終の土日と、その前週の土日は、eLTAXは使うことができるわけですよね。
  90. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答えいたします。  eLTAXを使えるのは、一月から三月、あるいはそういう繁忙期ではない時期のことについて申し上げれば、毎月の最終の土日については土日も対応ができておりますけれども、それ以外の土日については稼働していないというのが、いわゆる冬場から春場にかけての時期以外の時期でございます。
  91. 神田憲次

    神田(憲)分科員 そういうことになりますと、先ほど、法人住民税、事業税の申告が二十数%伸びたというお話、それで、利用率六一・八%までアップしているというお話がございました。当然、法人税本体の申告ができることによって、地方税の計算というのはでき上がっていきます。申告書も同様ですよね。そういった観点からは、是非、国税の方とも連携していただきたいと存じます。国税と調整をお願い申し上げたい。さらには、同じ時間帯での運用を行うべきであると考えますし、近い将来においては、三百六十五日二十四時間という体制をお願いしたいところでございます。  それから、さらには、個人住民税の申告書、これについてもeLTAXで申告できるようにしていただきたいというお願いを申し上げておきたいと存じます。  次に、償却資産税についてお尋ね申し上げます。償却資産税のeLTAX対応、これについては、全国自治体のうちどれぐらいの数が対応可能となっておりますでしょうか。
  92. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  eLTAXによる固定資産税の償却資産に関する申告につきましては、平成二十七年に全国全ての市町村において接続し、申告を受けることが可能となっておりまして、現時点では全ての市区町村が可能となっております。
  93. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  申告が可能にはなっておるんですが、先ほどの十万円の特別定額給付金のときと同じように、相当数の自治体で、せっかく送られた電子データが、やはり紙に印刷と。その紙に印刷したものを見ながら、また償却資産台帳の方に手入力しているというようなことも聞いております。  こういう形、つまり、せっかく利便性の高いITツールが生かされていない事例というのは、全国自治体の中でどの程度あると把握されていますでしょうか。
  94. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  令和元年六月に総務省におきまして調査を行ってみたところの回答でございますけれども、償却資産につきまして電子申告されたデータを紙で一度プリントアウトをして、チェック等の作業を行った上で、必要なデータを基幹税システムに入力をしている、こういうやり方をしている市町村が千五百六十五団体ございました。全体の九割ほどに当たります。  主な理由といたしましては、紙申告分と電子申告分を合わせてチェック作業を行うための事情といった理由でございますとか、電子申告されたデータをそのまま基幹税システムに取り込んだときにエラーが発生することが多く、うまく連携できないためなどの理由が回答としてあったところでございますが、これらの実務の改善に向けましても、私たち、自治体とともに取り組んでまいりたいと考えております。
  95. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  先日ですね、償却資産税の申告ですから、昨今は一月二十日までにお出しくださいというようなお願いが文書等で来るケースが多いんですが、おおむね一月三十一日をめどに提出というような形は今も変わっておらないと思います。  そうした意味で、この償却資産税の申告について、愛知県下の自治体では、定形外郵便ということになってしまいますから紙をやめて、事前に往復はがきを使って、資産の増減がありますかというまずお尋ねで、その往復はがきには、あるかないかの旨を、ゼロ番があるで、一番がなしというふうな記入をするように求められておりまして、ない場合はもう紙ベースのものを送ってこないということなんでしょうね。ある場合についてのみ加除の用紙をそれぞれ送るというような形で、恐らく、紙であるとか、それから通信費、その他もろもろ、封筒であるとか、いろいろな意味の削減を図ろうとしているんだなということが読み取れるわけです。  償却資産課税のあり方に関する調査研究委員会では、この税目についてはどのような議論が行われているか、教えてください。
  96. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘いただきました調査研究委員会の最近の検討、議論といたしましては、eLTAXの利便性の改善や電子申告率の向上について議論を続けていると承知してございます。  先ほど申し上げました、紙で一旦プリントアウトをしてチェックをするというような作業について改善ができないかということのほか、eLTAXにおいて複数市町村に一括で申告することが従前はできなかったという問題についての議論、あるいは、電子申告ができるということ自体を十分御存じない納税義務者の方が一定程度おられるのではないかという議論など、幾つかの課題指摘をされているところでございます。  こうした課題につきましては、この調査研究委員会での御指摘を踏まえて、例えば複数課税庁に対する一括申告に関しましては、eLTAXの改修を行いまして、令和二年十二月からできるように改良されておりますですとか、あるいは、エラーチェック機能につきましてもeLTAXを改修して改善を図っているなどを順次やってきているところでございますけれども、更に関係者の御協力をいただきながら取組を進めてまいりたいと考えております。
  97. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  さらに、行政手続コスト削減のための基本計画では、地方税について総務省はどのような対応を考えておるか、お聞かせください。
  98. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  行政手続コスト削減のための基本計画は、平成二十九年に策定し、いわゆるローリングをかけながら対応してきているものでございます。  これにつきましては、その中心となっております目標が電子申告の申告率を向上させるというものでございまして、平成二十九年に当初策定したときの計画は、電子申告率、法人住民税、法人事業税につきまして七〇%を目標とするとしたものでございます。これにつきましては、令和元年度で七三・九%となっておりまして、目標を達成しているところではございますけれども、更なる電子申告率の向上が課題だと考えております。  この観点から、eLTAXの主な利用者となっておられます税理士の皆様方に御協力をいただきつつ進めてまいりたいと考えておりまして、日本税理士会連合会の皆様方とも定期的に意見交換を図りつつ、関係機関と協力して努力を続けてまいりたいと考えております。
  99. 神田憲次

    神田(憲)分科員 ありがとうございます。  個人住民税とか償却資産税の申告用紙、これについても、各市町村が独自にばらばらに作成しておるわけで、レイアウトはおおむね一緒なんですけれども、印刷のカラーリングが違うとか、それから多少大きさが違ったり、独特なその自治体のサイズの様式になっておったり、これは納付書についても同様でありまして、自治体別にサービスの内容にばらつきが多過ぎます。  こういう点は、コストの無駄遣いと言うほかなくて、今後、要はIT化が進む流れの中で更に改善されるというふうに考えておいてよろしいでしょうか。そして、その上で、最終的には紙ベースのものがなくなるというふうな捉え方でよろしいでしょうか。
  100. 川窪俊広

    ○川窪政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のような、紙における申告書や納付書につきましての統一に関する論点につきましては、電子化を図っていくことがやはり最大の解決策であろうというふうに考えているところでございます。  eLTAXにおきましては、主として法人が行う申告及び納税の手続に関しまして、統一フォーマットによる電子化が行われております。eLTAXは全国に一つのシステムでございますので。これを用いまして、固定資産税につきましても、償却資産に関し、まず申告はeLTAXで行うことが可能となっております。  それに加えまして、令和三年度税制改正において、地方税共通納税システムの対象税目に固定資産税を追加するということを決定しておりまして、その結果といたしまして、償却資産分も含めて固定資産税について電子納税が可能となるということで、このためのeLTAX改修を行うこととしております。  また、御指摘の個人住民税につきましても、個人の方が行う申告や納税についてはこの後の課題ということになっておりますけれども、給与特別徴収分に係る給与支払い報告書の提出と、またその特別徴収税額の納入につきましては、eLTAXを通じて、全国統一フォーマットの下で行うことができるようになっております。  こうしたeLTAXの対象手続に関しまして、更なる利用率の向上を図っていくということがポイントになると思っておりますし、また、先ほど御指摘をいただきましたように、全国に統一されたシステムによりまして電子的にこうした手続を行っていくということにつきましては、紙から電子への移行というのみならず、フォーマットの統一化や事務処理の標準化という観点からも極めて重要な取組だと考えておりますので、一層尽力してまいりたいと考えております。
  101. 神田憲次

    神田(憲)分科員 時間が経過しましたので、最後に。  もう答弁はよろしいんですが、個人の課税という部分においては、国税と共通する部分が多々あります。総務省はeLTAXを走らせ、財務省はe―Taxを走らせる、こんなことになっておるんですよね。せっかくデジタル庁がという話を先ほど申し上げたとおりでございますので、国としてのいわゆるベースとなるフォーマット、それをきちんと両省が協調してということも今後求められる課題かと存じます。結果としてPDCAサイクルをきちんと回すということにもつながろうかと思いますので、今後においては包括的な改善をお願いを申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。  本日はありがとうございました。
  102. 小倉將信

    小倉主査 これにて神田憲次君の質疑は終了いたしました。  次に、津島淳君。
  103. 津島淳

    津島分科員 自民党の津島淳でございます。  予算委員会第二分科会、三十分のお時間を頂戴しました。心より感謝申し上げます。小倉主査、そして秋葉主査始め岩屋先生濱村先生分科会は二日間にわたってでございます、大変お疲れさまでございます。  また、新谷副大臣始め総務省皆さんは、今日は総務委員会との同時並行ということでございますので、大変お疲れさまでございます。質疑対応いただいて、心より感謝申し上げます。  私は、地方自治体の抱える現状、課題というものを幾つか、地元の案件も含めて取り上げてまいりたいと思っております。  そもそも、私の認識から申し上げれば、新型コロナのショックが来る前から、地方自治体というのは、人口減少であったり、それに伴う経済の縮小といったことで財政的に非常に厳しい。税収の落ち込みや、それに伴ってそれぞれの役所、役場においても人員削減と、ぎりぎりのところで行政を回しているという状況が続いているわけであります。  そこへ持ってきて、コロナによる様々な、今度は歳出の増。その上、自然災害リスクというものもございまして、歳出の増、あるいは、いろいろな対応に当たらなければいけないという大変厳しい状況にございます。  でも、一方で、このコロナというものを捉まえてみたときに、私は思うんですが、地方での暮らし、これは小倉主査のお地元の多摩の方でも、これもある意味、東京都心とはまた別の世界があるわけで、そういう感覚で地方というものを捉えた場合にも、それぞれの地方の暮らしというものを再評価する機会にもなっているということで、これから地方自治体というのは本当に頑張りどきだ。  今、この困難な状況を乗り越えて、地方に人を呼び込むという流れをつくっていかねばならぬ、その種をまいていかねばならぬというところで、今抱えている困難な課題というものを国も積極的に支援をして、その課題を乗り越えた先に新たな種まきをしたものが花開く、そのことがコロナ後の日本の、ある意味、健全な姿というのをつくり出していく、そういう認識を持っております。  そういうことを申し上げた上で、いきなりぐっとローカルな話に話が入っていくわけでございますが、地元、私は青森でございます。言わずと知れた豪雪地帯でございます。国交省が定める豪雪法、いわゆる豪雪法の中の特別豪雪地帯に私の住まいの青森市は入っております。  今年の冬はどうかといいますと、青森県内を含め日本海側で、十二月中旬から断続的に雪となりました。本年二月七日現在の累積降雪量、つまり、降った雪をずっと積み上げていったらどうなるかというと、これは、直近十か年の最大積雪年であった平成二十三年に匹敵するペースとなっています。  一般に、青森市、年間に降る雪が、ずっと積み上げていくと、六メーター、七メーター、青森市街でですね、というふうに言われている、そういう豪雪地帯であります。  どうなるかというと、県それから市町村では、もう除雪経費がかさんでかさんで、どうにもならぬ。近年は、道路の除雪のみならず、独り暮らしの御高齢の御自宅、これは、雪下ろしがままならない、雪片づけもままならぬということで、行政に救援を求めてくるわけですね。だから、行政が職員を出して、雪かき隊をつくって雪かきに行く、そういうことまでやっている。そういう中で、当然、雪に備えて当初予算をちゃんと組んでいるわけですけれども、足らなくなるということで、補正予算を組んで対応している。  では、例えば、県都青森市の例を挙げます。当初予算は二十九億円です。それに約十五億円追加しました。今、四十四億円。これも使い切るのではないか、そういう見込みがあります。  考えてみれば、四十四億ものお金をただ雪のために費やす。これは財政から考えてみて、非常に、ある意味硬直化している。それをほかに振り向けられればという本当に率直な思いがございます。文教予算に使えればとか、もっと社会保障に使えればとか、そういう思いはあるんですが、雪が降ってくるものだから、それはそれで用意しておかなければいけないし、仮に、雪が少ない年があったから、じゃ、来年も雪は少ないだろうとゼロ査定をする、そんなことはできないわけですね。そういったことも含めて、大変厳しい状況です。  そこへ加えての自治体財政、コロナによる歳出増ということ、それから税収の落ち込み、これはコロナショックによるものです。そういった中で、今後の除排雪経費の財源確保が喫緊の課題と言えますので、県、市町村への特別交付税の配分についてのお考えを総務省、これは是非、新谷副大臣、お願いします。
  104. 新谷正義

    ○新谷副大臣 御質問いただきまして、誠にありがとうございます。  豪雪地帯における自治体皆様地域皆様の御努力には本当に感謝を申し上げたい、そのように思っております。  特に本年度は、十二月の中旬以降、各地で大雪が発生をしておりまして、これまでに多くの被害が生じておるところでございます。大雪において、本当に、お亡くなりになられた方々には心から御冥福をお祈りし、また、転倒あるいは除排雪中の事故などによりまして負傷された方々に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  このような状況を踏まえまして、地方団体における当面の資金繰り、これを円滑にするために、災害救助法の適用の対象となった団体などに対しては、平年を大きく上回る大雪に見舞われた団体で繰上げ交付を希望した二百十八市町村を対象に、三月に交付すべき特別交付税の一部を、これは三百六十九億円になりますが、それを一月二十五日に繰り上げて交付をしたところでもございます。  また、地方団体の除排雪経費につきましては、普通交付税の算定におきまして標準的な所要額を措置して、実際の所要額がその措置額を超える場合には特別交付税によって更に対応すること、そのようにしてございます。  今後も、除排雪経費の実態を丁寧に把握をして、地方団体の財政運営に支障が生じないように、しっかり対応してまいりたいと考えております。
  105. 津島淳

    津島分科員 新谷副大臣、ありがとうございます。御丁寧な対応をいただいておるところ、心より感謝申し上げます。  今後の財政需要、雪の降り方はまだ予断を許さないところでございます。もう一回寒波が来るのではないか、北米を襲った寒波が今度、日本に来るのではないかと言われておりますので、是非ともまた自治体の声をよく聞いて対応いただきたいと存じます。  では、次に、広域合併を行った市における消防体制の維持について伺います。  青森県の地図を思い出していただくと、下北半島と津軽半島と二つの半島がある、特徴的な形をしております。その、地図でいうと東側、右側にあるのが下北半島、その圏域の中枢市が、むつ市でございます。  むつ市は、市の面積が八百六十四平方キロメートル、これは県内最大の行政面積で、日本全国でも屈指の広さを誇ると思います。これだけの広い面積を、消防及び救急搬送、五つの消防署、分署でカバーをしております。予算は、年間二十億円を擁しているところであります。これがむつ市の現状であります。  一方、西側の津軽半島の根っこに所在する五所川原市、かつて私の選挙区でございましたけれども、五所川原市では、広域合併をして、なおかつ隣接する中泊町、鶴田町と広域消防事務組合、地区消防事務組合により、約六百七十平方キロメートルをカバーしています。  いずれの市からも、現行算定方法による基準財政需要額と実際の経費とに大きな差があるんだ、そこを、財政を圧迫しているので、命を守る消防活動に支障が生じないように適切な財政支援是非ともお願いしたいという切実な声を頂戴しております。  この点についても、是非、新谷副大臣よりお答えいただきたいと思います。
  106. 新谷正義

    ○新谷副大臣 地方団体の消防行政に関する標準的な財政需要につきましては、普通交付税の基準財政需要額における消防費、これにおいて算定をしておるところでございます。  この消防費の算定に当たっては、人口を測定単位にするとともに、人口規模あるいは人口密度の大小に応じて、人口一人当たりコストが割安あるいは割高になることを反映してございます。これは基本的には、やはり大きなところである方がスケールメリットが働きやすい、そのように理解をしております。  基準財政需要額は、各地方団体の実際の決算や予算とは異なるものではございますけれども、人口規模が小さい団体など一部の地方団体からは、やはり算定額と決算額に乖離があること、このことから、消防費の算定方法において見直しを、意見をいただいておるところでございます。この意見は交付税法上の意見というところになろうかと思いますので、しっかりとこれは意見をいただいておるところでございます。  令和三年度の普通交付税算定に向けては、地方団体からの意見も踏まえまして、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、これは適切な算定についてしっかり検討してまいりたい、そのように考えてございます。
  107. 津島淳

    津島分科員 ありがとうございます。  基本的な考えは理解するところでもありますし、もちろん、自治体とて野方図に、かかっている経費というものを下さいと言っているわけでもない。消防の効率化について、むつ市でも具体の計画を立てて、一気に削減をするわけにはいかないものですから、消防力というものは。これは段階を追って、五年、十年かけて、それでも効率化を図っていくことをやっておりますので、そういった自助努力というところもお酌み取りいただきまして、今後適切に対応いただきたいと存じます。ありがとうございます。  さて、ちょっと話題を変えます。  今度の三月十一日で、東日本大震災の発災から十年となります。改めて、被災された皆様に本当にお見舞いを申し上げたい、真の復興を目指して更に更に頑張っていかねばならぬと思うところであります。  その節目を目前に、二月の十三日、福島県沖を震源とする地震が発生をいたしました。マグニチュード七・三、最大震度六強を宮城、福島の一部自治体で観測をしたところであります。改めて地震対策というものが問われている、そういうことではないかと思います。  そういった折も折、令和三年、今年の一月十三日に、地震調査委員会、これは文部科学省所管だと思いますが、地震調査委員会が、「長期評価による地震発生確率値の更新について」を公表いたしました。毎年毎年、地震発生の確率値というものをその時々の最新データによって見直しをしている。その見直しをいたしました最新のものを公表したということであります。  その中で、例えば、東日本大震災をもたらした東北太平洋沖地震と同じ海溝型地震、そのうち、私の地元に近い青森県東方沖及び岩手県沖北部を震源とするマグニチュード七・九程度の地震の発生確率、これがどうなっているかというと、今後五十年間で九〇%となっています。三十年だと、たしか六〇%ぐらいだったと記憶をしておりますが、今後五十年というちょっと長い期間で見ても、でも、九〇%というのは非常に高い確率であろうと思っています。  こうしたデータというものが全国に向けて公表されている。この地震発生確率値というものを全国自治体理解をいただいて、今後の地震そして津波対策に生かしていただかなければいけない。  今月十三日発生の福島県沖地震では、十年前の東日本大震災の経験も踏まえて、その災害対応マニュアルも見直し、避難所の設営も、最新の感染症対策も取った上で迅速に行った、そういうところもあったやに聞いています。  そこで、まずは、国全体の対策について、これは司令塔機能を担うのは内閣府防災だと思いますので、内閣府防災さんに国全体の対策について伺います。その次に、全国自治体に対し、今回の地震でのよい自治体取組をいかに横展開していくのか、これは考えを総務省消防庁さんに伺いたいと思います。
  108. 村手聡

    ○村手政府参考人 お答え申し上げます。  地震の被害想定やその対策についてでございますけれども地方公共団体が地震の発生確率などの地域の特性を踏まえた被害想定を実施して地震防災対策の推進を図っていただくよう防災基本計画に定めて、その推進を図っておるところでございます。  そうした中で、特に、地震の発生確率が高く、経済社会への影響が大きいという南海トラフなどの地震につきましては、国が被害想定と防災対策の検討を行って、これを踏まえて、国が定量的な減災目標や地震防災対策の基本的な方針を定める基本計画というのを策定いたしまして、一方で、関係地方団体がその基本計画を踏まえた団体ごとの計画を策定するということで、地震防災対策を推進しているところでございます。  国としても、自治体取組を、助言等に努めているところでございます。今後とも、地方団体や関係機関と緊密に連携して、地域ごとの特性を踏まえた地震防災対策に力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上です。
  109. 山口英樹

    山口政府参考人 お答えをさせていただきます。  委員からお話がございましたとおり、今回の福島県沖地震では、例えば、震度六強を記録した福島県相馬市の方では、テント等を活用いたしまして世帯ごとに十分な距離を保つ工夫をされていたということで、受付時の検温ですとか手指消毒の徹底などの対策も取られていたと伺っております。また、福島市においては、実際に発熱された方も避難所に来られたようでございますけれども、別室に案内するなど適切な対応が取られたと伺っております。  避難所における新型コロナウイルス感染症対策につきましては、これまでも、内閣府等と連携して、避難者が十分なスペースを確保できるようにすることなどを私どもも各自治体の方に助言をしてきたところでございますけれども、今回の各自治体の対応はそうした助言に沿ったものであるというふうに評価をさせていただいているところでございます。  私どもといたしましては、首長向けの研修であるトップセミナーですとか、市町村職員向けの研修の中で、こうした好事例を紹介することですとか、あるいは、事例集の中で取り上げて全国自治体に配付することによりまして、横展開を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。
  110. 津島淳

    津島分科員 ありがとうございます。  今回の福島県沖地震では、おっしゃるように、避難所の設営でも迅速に行われたというところもあり、さらに、要支援方々に対する迅速な避難の呼びかけといったことも行われたり、そういういろいろな取組、いい事例というのがございました。これを広くやはり共有していく。  これは、南海トラフという、地震発生確率が高いわけでございますし、我々が今ここにいるこの東京、首都直下地震というのはいつ起こるかということも言われております。また、ある意味、東京という都市型の災害、そこでの地震というものにどう備えていくかということも国としては当然考えていかねばならないし、自治体として問題意識、課題認識を共有していくということが必要だと思っております。  引き続き、災害に備えるということは国の最大の責務の一つであろうと思いますので、私も関心を持ち、またいろいろ提案してまいりたいと考えております。  それで、先ほど、二月十三日の福島県沖地震のことを触れました。今日になって、残念ですが、お一人の方が亡くなられました。福島市で建物の下敷きになった方でございます。今日そういう知らせがあって、亡くなられた方に心から御冥福をお祈り申し上げるところでございます。  ですが、二月十七日現在、私が総務省消防庁の取りまとめを調べたところでは、この十三日の地震で、東北から関東まで十県で、家屋の被害が、全半壊五十二棟、一部損壊が千九百四十五棟となっています。地震の規模、揺れの大きさに比べて、この被害の評価というのは、全半壊というのは最小限にとどまったのではないかと言われています。  そして、一方で、これはいいのかどうなのか、冬であり、コロナという状況があった、避難所へ避難した方が少なかったということをどう評価するか、これは難しいところがあろうかと思います。  ただ、東日本大震災の教訓からいえば、とにかく揺れが収まったら逃げてくれというのも我々の切なる思いであったわけですね。やはり、避難してほしい、避難行動に移してほしいというところもございます。  ですので、被害が最小限にとどまったこと、そして避難所への避難者が少なかったことをどう評価するか、コロナという特殊要因はありながらどう評価するか、これはまた大事なところであります。でも、先ほどありましたように、地域住民の協力により避難所を迅速に開設できたところもあったということであります。  結局、災害時には、住民お一人お一人の意識、そして、とりわけ、震災の経験を生かしていくこと、そうした経験を共有した上で、共助の取組で被害を防いで最小限に食い止めることが大事だろうと思います。  東日本大震災から十年たって、震災の記憶を持たない人たちが、ある程度、その地域の中心にこれからなっていこう、そういう状況でもあります。いかに、震災の経験も共有しながら防災意識を高めていくか。  これは消防庁にお伺いするんですが、こうした地域住民の共助の取組を更に前進するために、防災意識をどう高めていくか、是非お伺いしたいと思います。
  111. 山口英樹

    山口政府参考人 お答えさせていただきます。  消防庁では、都道府県や市町村と協力をしながら、自主防災組織の育成などに取り組んでおります。  自主防災組織の手引を作成いたしまして、それを使った取組を働きかけているほか、消防大学校におきましても、自治体担当者、消防本部の職員を対象とした講座を設けております。  また、令和二年度には、一府三県におきまして、自主防災組織の担当者を集めたリーダー育成のための研修会、こういったことも開催をいたしております。  また、Eラーニングということで、自主防災の取組、あるいは共助の取組、あるいは災害伝承、こういった内容のEラーニングも取り組ませていただいているところでございます。  今後とも、自治体と連携して地域住民の防災意識の向上に努めてまいります。
  112. 津島淳

    津島分科員 ありがとうございます。  Eラーニングという、これは一つのキーワードでございますね。今後、DXということが地方自治体でも進めば、より幅広く認識の共有、課題の共有、それから経験の共有ということが図れるということになってまいりますので、是非そういったことも活用して、そして、より多くの住民の皆さんが防災意識を高めていただき、とにかく逃げよう、そういう思いを持っていただくように、是非お願いをいたします。  では、質問、これが最後になると思われますが、人材について伺います。  地方自治体でいろいろな計画を策定するということがございます。例えば、私がライフワークとして取り組んでいることの一つの中に、地方公共交通の活性化ということがありますけれども、これも、例えば、地方公共交通網計画を作る、あるいは、まちづくりとリンクして、それでいかにコンパクト・アンド・ネットワークで町をつくるかなどという話もあります。  いろいろな計画を立てる中で、私も実際、地元自治体の話を聞いて、冒頭にも申し上げましたが、人材不足ということをよく聞かれるんですね。特に、自治体が策定を求められている基本計画の立案から詳細の策定、そして評価、分析、いわゆるPDCAを回す、それを行い得る人材が町、村、規模の小さい自治体ほど少ないという課題がございます。  今後、ポストコロナを見据えて、やはり地方がむしろ今チャンスを手にしようとしているということを冒頭に申し上げました。それを実現する、その種をまくため、基本計画作りというのは本当に大事なことだと思います。  そういった人材不足の解消が急務なんですが、地方自治体人材支援については、まずは内閣府の御見解を伺いたいと思います。
  113. 新井孝雄

    ○新井政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、多様化、複雑化する地域課題を解決し、様々な改革を推進するためには、地方公共団体において多様な人材確保されることが重要であるというふうに考えております。  内閣府では、地方創生に積極的に取り組む市町村に対しまして、平成二十七年度より、地方創生人材支援制度を通じまして、意欲と能力のある国家公務員、大学研究者、民間専門人材派遣支援を行っております。  平成二十七年度の制度発足以降、二百四十四市町村に延べ三百十五名が派遣され、派遣者は、地方版総合戦略の策定、遂行の中核を担うなど、市町村長の補佐役として地方創生の現場で活躍をしております。  こうした中、地方創生に向けた多様な人材確保を一層推進するため、今年度より、情報通信技術等を活用し、地域課題の解決をするデジタル専門人材派遣する取組を開始したところでございます。  また、令和三年度の派遣に向けまして、民間専門人材派遣対象を、これまでの原則十万人以下の市町村から、指定都市以外の全ての市町村に拡大することといたしました。  内閣府といたしましては、多様な人材が活躍する地方創生の推進に向け、総務省を始めとする関係省庁と連携して、地方公共団体人材支援に取り組んでまいります。
  114. 津島淳

    津島分科員 ありがとうございます。  内閣府さんとして、今、人材支援に取り組んでおられる、多様な人材を幅広く地方自治体にということでございました。  この分科会総務省所管の事項ということで、総務省さんには私の要望という形でお伝えをしたいんですが、総務省さんのスタッフの、人事交流ですか、というところでも、これは地方自治体にとってみれば人材支援ということにもなりますので、是非それも進めていただきたい。  内閣府におかれましては、一つ、今、日本全体の課題としては、人の流動化ということをいかに図っていくか。DXの進展により人余りという状況が生まれてきたときに、有能な人材をいかに地方で受け入れるかというところでは、持てる能力を地方自治体で発揮していただくということも大きなこれは地方創生の原動力になり得ることだと思います。  こうしたことを、まさにポストコロナの日本を見据えた種まきの一つとして取り組んでまいりたいと私も思っておりますし、是非総務省内閣府、政府を挙げて取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。  以上のことを申し上げて、私、予定していた質問を終わりましたので、質問を終わらせていただきます。  本日は、機会をいただいてありがとうございます。
  115. 小倉將信

    小倉主査 これにて津島淳君の質疑は終了いたしました。  次に、国光あやの君。
  116. 国光あやの

    ○国光分科員 茨城六区選出の衆議院議員国光あやのでございます。  新谷副大臣、本当に今日はお疲れさまでございます。  コロナの話題が世間を席巻しているわけでございますけれども、本日は、私、かねてからライフワークの一つでありましたネット上の誹謗中傷に関して、是非総務省の御見解をお伺いしたいと思います。  と申しますのも、インターネット上の誹謗中傷、実はこの十年間で、インターネット上で誹謗中傷を受けた、人権侵害に遭った、例えばお子様のネットいじめから、あるいは成人をされても、いろいろ、あらぬ誹謗中傷を受けられる。例えば、昨年も、新谷副大臣も医療者でいらっしゃいますけれども、コロナを診療なさる医者や看護師さんに、やはり、コロナだからうちの保育園には来るなとか、寄るなとか、非常に心ない誹謗中傷があったわけであります。  これらの件数というのが、この十年間で大体四倍に増加をしている。やはりインターネットユーザー、特にSNSのユーザーが、今やもう高校生ぐらいでも七割の方がSNSを使っておられるという実態がありまして、非常にそういうトラブルの事例も増えているということがあります。  実は私の地元で、ちょうど、高校生の女の子がネット上の誹謗中傷によりまして、事実無根の誹謗中傷を受けて自殺をされたということがかつてあって、それ以来、私もこのテーマは非常に関心を持って取り組ませていただいております。  お手元に配らせていただいたものが、昨年、自民党のPTで、党のPTで、インターネット上の誹謗中傷・人権侵害等の対策PTというPTがデジタル社会推進特別委員会の下にできまして、三原じゅん子先生が座長、私が事務局長を拝命をして、取りまとめさせていただいたものでございます。  実は、私も当選以来、いろいろな先生方やメディア等も、このインターネット上の誹謗中傷をやはり何とかすべきであって、今、余りにも被害者が泣き寝入りに近い状況だということを申し上げていたんですが、なかなか、正直言って総務省さんの腰も重くて、かなり難渋をしておりましたが、去年がらっと風向きが変わったことがありました。  それは、コロナの誹謗中傷、医療者への誹謗中傷や事業者の方へということもあったんですが、木村花さんという芸能人の方がお亡くなりになられて、それが「テラスハウス」という番組をきっかけにということがありまして、それで一気に、これはしっかり被害者救済をしていかなきゃいけないということでPTを立ち上げまして、そして取りまとめさせていただいたものであります。  この度、実際に、当時は法改正という話は余りなかったかと思うんですが、今、総務省におかれまして、法改正に向けて、プロバイダー責任制限法というプロバイダーの責任を制限するという法律を改正されて、実際、被害者救済に寄り添っていただく方向で法改正の動きがあるというふうに伺っておりますが、この動きにつきまして、是非、御見解、状況をお伺いしたいと思います。
  117. 竹内芳明

    ○竹内政府参考人 お答え申し上げます。  御質問のネットの誹謗中傷対策に係るいわゆるプロバイダー責任制限法の改正案につきましては、昨年四月から発信者情報開示の在り方に関する研究会において検討を進めていただいてきたところでありますが、昨年十二月二十二日に同研究会から最終とりまとめを御提言いただきました。  現在、総務省におきまして、最終とりまとめとして御提言いただいた内容を法案化する作業を進めており、今月中にも法案を閣議にお諮りし、国会に速やかに御提出できるように手続も進めてまいります。
  118. 国光あやの

    ○国光分科員 ありがとうございます。  本当に、昨年まで全く法改正の薫りもなかったような状況であったかというふうに、笑っておられますけれども、あったと思いますが、いいところ省令改正で、何か加害者の方、つまり書き込んだ方の電話番号を開示しますよという省令改正ぐらいが関の山ですかという状況であったところ、今御答弁いただいたように法改正にまでつなげていただいたということは、まずもって、被害者の皆さんも非常に期待をなさっておられます、心から感謝を申し上げたいと思います。  ただ、実際、この法案がどれぐらいの被害者救済、もちろん、表現の自由という憲法にも定められている自由というのは守る必要がありますが、実際、なかなか、テクニカルにどの辺りまで、例えば、書き込んだ状況がいわゆる人権侵害に当たる、誹謗中傷に当たるか。  そしてまた、実際にそれが該当したというときに、まず、裁判の手前でプロバイダーに、これ、ちょっと誹謗中傷で人権侵害に当たるから消してほしいんだと。もう今や一夜どころか、一時間ですさまじく拡散するのが今のネット上の被害でございます。被害者としては一刻も早く消してほしい。それは恐らくリベンジポルノやいろいろなほかの話とも同じような形だと思いますけれども、消してほしいけれども、そういう早期の削除、裁判に至る前の早期の削除がどれぐらい可能なのか。  そしてまた、実際に、それでもらちが明かないので裁判に持ち込むというときに、裁判、これは今回のみそだと思いますけれども、今まで非常に煩雑に手続がかかって、二、三年かかっていた裁判手続が簡素化されるということ、これ自体も貴重な一歩だと思いますけれども、実際に、では、どれぐらいそういう期間や手続が短縮するのかということも、被害者の視点にとってみられると非常に大きな関心事でございます。  その辺りの状況を具体的にお答えをいただければと思います。
  119. 竹内芳明

    ○竹内政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどお答えいたしました研究会の最終とりまとめにおきましては、被害回復と適法な表現を行った者の権利保護のバランスを図る観点から、権利侵害の明白性など現行の開示請求の要件につきましては維持することが適当とされた一方、手続の迅速化を図る観点から、現在、発信者の特定に二回の裁判手続を別々に経る必要があるのを一回の裁判手続の中で行うことを可能にすることが適当とされました。  加えて、開示請求の相手方に、ログイン型サービスのアカウントにログインしたときの通信を媒介等した者を追加することなどにより、ログイン型サービスでの権利侵害について、被害者が発信者情報の開示を受けられることを明確化することが適当などとする御提言をいただいたところでございます。  御質問の法案につきましては、この最終とりまとめで御提言いただいた内容を制度として具体化することを想定しており、一定程度の裁判期間の短縮が図られるなど、被害者救済が一層進むものと考えております。  また、権利侵害の範囲の明確化に資するため、裁判手続において要件に該当すると判断された事例などをガイドラインにおいて集積するなどの民間の取組総務省としても支援してまいりたいと考えております。  加えまして、違法有害情報の削除につきましては、インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ、昨年九月に取りまとめておりますが、これに基づく事業者の取組が進められており、本日、ちょうど今開催しておりますけれども、プラットフォームサービスに関する研究会の会合におきまして、事業者からのヒアリング結果を踏まえまして、更に取組を進めてまいりたいと考えております。事業者による自主的な削除の取組状況を検証して、取組を進めてまいりたいと考えております。  これらの取組を総合的に進めることによりまして、被害者救済の実効性向上につなげてまいりたいと考えております。
  120. 国光あやの

    ○国光分科員 ありがとうございます。  本当にこの一年で、最後におっしゃいました昨年の九月にまとめられたインターネット上の誹謗中傷の対策パッケージ、これ自体も、今まで全くこんなことはなかったといいますか、この論点自体が十年も二十年も議論されている中で、総務省さんとして初めてこれほどのパッケージを取りまとめていただいたこと、そして、今のプラットフォーマーの会議体も設置をいただいて検討いただいていること、本当に御努力に心から敬意を表させていただきたいと思います。この機運をこの法改正において実際に実効性の上がるものに是非していただきたいというふうに思っております。  一連の動きの中で、新谷副大臣、実は前職の高市総務大臣も非常にこの件は御関心をお持ちで、要望に伺ったときも、何度も非常に私自身もしっかり取り組みたいというお話もございました。武田大臣からも同じようなお言葉もいただいております。  これはやはり、なかなか役人の世界では、表現の自由という高い壁が、恐らく私どもが感じているよりも高いサミットになっていると思います。是非、政治の力も必要だと思いますので、意気込みをお聞かせいただければと思います。
  121. 新谷正義

    ○新谷副大臣 委員におかれましては、本日、様々御指摘をいただいておりまして、本当にありがとうございます。  おっしゃられた問題に関する意識、そこが、私、本当に委員と同じくしておるところがございまして、まさに問題意識を共有しておる、私はそのように思っております。  インターネット上で、やはり、匿名であるがゆえに傷つけることができる、こういうようなことは私は絶対にあってはならない、そのように思っておりますし、また、今回の法改正、案でございますけれども、これは閣議にこれからお諮りするところでございますが、こういったことは重要な一歩になると考えておるところでございます。  総務省としましても、個人の人格、あるいはこれを傷つけることへの誹謗中傷は許さない、こういう認識がありまして、関係省庁や関係事業者と連携をしてこうした問題に対応する必要がある、そのように認識をしてございます。  今月中にも、プロバイダー責任制限法の改正案、先ほど申し上げましたけれども、閣議にお諮りする予定でございまして、新たな制度ができることを通じて、これまでより迅速で効果的な被害者救済が進むものだろう、そのように思ってございます。  また、総務省としましては、先ほどもちょっとお話に出ておりましたけれども、この法案の今国会での早期の成立とともに、昨年九月にまとめたインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ、これに基づきまして、ネット上の違法有害情報に係る啓発や相談対応、あるいは事業者による自主的な取組推進について取り組んでまいりたいと考えております。  いずれにしても、私自身も、いわゆる匿名によることによって傷つけることは、これは再度でございますけれども、これはやはりあってはならないことだ、そのように意識を強く持っているところでございます。しっかり進めてまいりたいと思っております。
  122. 国光あやの

    ○国光分科員 副大臣、ありがとうございます。  是非、今こそ、ほかの諸外国では、ドイツ、そして韓国、アメリカと、この数年で、かなり実際に被害者救済に寄った法改正がなされているところでございます。是非、政治のリーダーシップで成し遂げていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  また、この対策に関して、総務省だけではなくて幅広く他省庁にもまたがります。例えば、先ほどお話があったような法務省や、そしてまた警察、そして、例えば学校関係ですと文部科学省などなど、たくさんの窓口がそれぞれにあって、なかなか相談体制が分かりにくいなというところもありますが、やはり皆さん、問題意識は共有していまして、総務省がしっかり対応されることで、ほかの省庁もしっかり参考にして動いていきたいというお話もいただいておりますので、是非総務省さんのリーダーシップに強く期待を申し上げたいと思います。  続きまして、今日は法務省もお越しいただいているかと思います。  昨年のプロジェクトチーム、PTでも非常に多くの先生方から御提言があった、そして被害者の方からもお話がありましたのが、プロバイダー責任制限法の改正をしたり、そういう強制力を出す中で、刑法上の対応。  例えば、今、侮辱罪や名誉毀損罪というものがありますけれども、それは、例えば事実無根の話をされた、一番最近の典型的な例でいいますと、常磐道のあおり運転。実際にあおり運転でかなりのトラブルになったわけですが、全く関係ない第三者が加害者というふうに言われて、随分、それが一夜にしてというか一時間ぐらいでもうすさまじく広がって、その方は相当、私生活、公私共に非常に大きな被害を被ったということ。  これは、コロナの、事業者さん、ここの店はコロナが出たんだぞと。実際は出ていなかったと。出ていたとしても、既存の事実を公知に、一気に広げられることは、相当な侮辱的行為であったり名誉毀損であるということを言えると思うんです。  実は、ただ、この侮辱罪や名誉毀損罪が明治の時代から全く量刑が変わっていなくて、当時は当然ながらインターネットなんてものは全くなかったわけで、何と侮辱罪については罰金より軽い拘留や科料であって、軽過ぎて、今の時代に必ずしも合っていないのではないかという指摘も多くいただいておりました。  この点について、法務省さんの方で、刑法上の対応について、前森大臣の頃に省内でプロジェクトチームを設置なされ、検討をされていらっしゃるというふうに伺っておりますが、その状況についてお聞かせをいただければと思います。
  123. 保坂和人

    ○保坂政府参考人 先ほど先生から御指摘のあったプロジェクトチームの提言におきましては、二点、刑事法上の対応として挙げられているものがございます。  まずは、事案の実態に即した積極的な捜査と適正な科刑の実現という点、それと、先ほどお話のあった侮辱罪の法定刑の見直し、この二点ございます。  一点目の積極的な捜査と適正な科刑につきましては、検察当局の方におきまして、インターネット上の誹謗中傷に対して適切な対処が求められている、こういうことを踏まえまして、事案の内容を踏まえた適正な処分に努めているものと承知をいたしております。  侮辱罪の法定刑につきましては、法務省といたしまして、検討の材料といいますか前提といたしまして、様々な調査を行っているところでございます。具体的には、現行法上の侮辱罪につきまして、どのような事案でどのような処分になり、そしてどのような刑が科されているのかということを調査いたしております。  それから、先ほどございました、侮辱罪というのが明治四十年の刑法に設けられてから法定刑がそのままなわけですけれども、元々その法定刑が拘留、科料というふうにされた理由や趣旨はどういうものかという調査、それから、実は、過去の法制審議会におきまして法定刑の在り方を議論されたことがございます。そのときの議論の状況について調査をいたします。  さらには、諸外国との比較の視点から、諸外国におきましては名誉侵害行為に対してどういう罰則が設けられているかということを調査し、そして、それを踏まえながら検討を進めているところでございます。
  124. 国光あやの

    ○国光分科員 ありがとうございます。  その検討のスピードが、被害者の救済、そして今の総務省におけるプロバイダー責任制限法の法改正の動きとなるべく連動する形で是非進めていただければというふうに思っております。  また、今、やはりネットリンチという言葉があるように、一瞬にして集団で一気に、例えば暴力だけでしたら一対一でその瞬間ということはあるんですけれども、ネットの世界では、一人ではなくて、一万人、下手すると百万人の方から、特にその方が知名度があればあるほど、非常に大きなネット上のリンチになってしまうという実際的な問題があると思います。  かなりそういう悪質的な事案も含まれると思いますので、事案の実態に即した積極的な捜査と科料の御検討について、是非、法制審などでも取組をいただけるようにお願いを強く申し上げたいと思います。  また、これは要望にさせていただきたいと思いますけれども、相談窓口のお話を申し上げました。実際に被害者の方が御相談なさる場合の窓口というのが複数あって、それがなかなか分かりにくいという点があるんですが、法務省さんの人権擁護局で行っていらっしゃる人権相談窓口が、比較的かなり身近に、お通いになる方が多いというふうに承っております。  ただ、実際に人権擁護委員の方が御相談に応じられることが多いんですが、人権擁護委員の方は、私の地元もそうなんですけれども、とてもSNSは恐らく使われないような、非常にシニアの方がおやりになっていらっしゃったりしまして、窓口があることは感謝申し上げるんですが、なかなかそれで実際の御相談というのが、実効性を持ちにくい部分というのが依然あるという指摘もありますので、是非、ここまで、冒頭申し上げたように、ネット上の誹謗中傷の事案は非常に増えてございますので、法務省の中におかれても、この事案に対しての相談体制の強化ということはしっかり取り組んでいっていただきたいと思いますし、政治の世界でも、是非応援をできればというふうに私個人としては思っている次第でございます。よろしくお願いいたします。  そして、最後に、相談の中でもう一つ。  昔から、一番初めに相談をされる窓口というのが、警察がございました。全国の警察署で、実際にネット上のサイバーセキュリティーの関係の観点などでも相談窓口を設置されておられますけれども、警察庁さんによくお伺いするんですが、実際、ただ、どれぐらいの相談件数があったりするかということも、余り把握はされていないとも承っております。プラス、やはり被害者の方にとってみると、警察署に御相談をされても、取りあえず様子を見ましょうという回答が圧倒的に多いというお声も随分いただいているところでございます。  警察として何か特にすることが難しいとしても、先ほどの法務省の相談窓口や、そして総務省がおやりになっている違法情報などの相談センターなど、これは実際にプロバイダーに削除要求のお手伝いをできるような機関でございますので、被害者の方にはそういうほかの関係の窓口も御紹介を是非いただきたい。余り、いわゆる、平たい言葉で言いますと、塩対応をしていただきたくないなと心から思っているわけでございますけれども、その点につきまして、警察庁の御意見を伺わせていただければと思います。
  125. 檜垣重臣

    ○檜垣政府参考人 御指摘のようなインターネット上の誹謗中傷に係る相談を受けた場合には、警察では、その内容に応じまして、関係する部署が連携して対応し、指導助言や、今おっしゃられましたような法務局人権擁護担当、違法・有害情報センター等の専門機関の教示や、そういったことをしまして、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じております。  また、当然、刑罰法令に触れるような行為が認められる場合には、法と証拠に基づき適切に対処しているところでございます。  今後も、引き続き、関係機関とも連携しながら、相談者の立場に立って適切に対応してまいりたいと思います。
  126. 国光あやの

    ○国光分科員 ありがとうございます。  是非、省庁の縦割り打破で、かなりまたがってしまうテーマにもなっておりますし、警察庁におかれては、いろいろな事案でお忙しいかとは思いますが、横の連携をしっかり取っていただければということを切にお願いを申し上げたいと思います。  本当に、これは法改正が実際に始まりますと、かなり世間的な関心もまた出てくるテーマだと思いますし、実際に、被害者の方は、かなり知名度のある方も含めて、また一般の方も含めて、かなり固唾をのんで見守っていることがございます。  いろいろな、今、総務省さんにおかれては、お忙しい、大変な時期かとは承知をしておりますけれども是非この件は前向きに取り組んでいただけることを私としては強く御要望を申し上げまして、質問とさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  127. 小倉將信

    小倉主査 これにて国光あやの君の質疑は終了いたしました。  次に、杉田水脈君。
  128. 杉田水脈

    杉田分科員 自由民主党の杉田水脈です。  本日は、公共放送の報道の在り方について質問をいたします。元同僚の三宅博先生も天国から見守っていてくださると思います。  質問したいことが多々ありますので、簡潔な御答弁をお願いいたします。  NHKは、主に国民皆様からの受信料によって成り立っている公共放送かと思います。その性格上、視聴者の多くはNHKに対し信頼を寄せています。私たち政治家も、例えば選挙の際にはNHKの当確が出て初めて万歳をするなど、NHKに間違いがあるはずがないという認識は広く共有されているものかと思います。しかし、近年は、インターネットの普及などに伴い、その認識や信頼に疑問を呈する視聴者も少なくありません。  報道の自由は守られるべきです。しかし、同時に、放送法第四条に掲げられるような、公安及び善良な風俗を害しないこと、政治的に公平であること、報道は事実を曲げないですること、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることも守られるべきですし、報道によって名誉が著しく傷つけられることはあってはならないと考えております。  本日は、NHKの報道によって、自分自身だけではなく故郷や家族の名誉を傷つけられた、また、この国の先人たちが国の発展を願って築き上げてきた偉業に対し、国の名誉すらおとしめかねない一方的な批判が国際問題にまで波及していることについて質問したいと思います。  NHKが公表しているNHK放送ガイドライン二〇二〇では、放送の基本的な姿勢として、NHKのニュースや番組は正確でなければならない、番組の狙いを強調する余り事実を歪曲してはならない、事実関係の誤りがあった場合には速やかに訂正する、意見が対立する問題を取り扱う場合には原則として個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝える、仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど放送全体で公平性を確保するように努める、番組では様々な意見や見方を反映できるよう出演者は幅広く選ぶ、事実と意見は明確に区別されるべきである、歴史的事件、事柄、事象について意見の対立のあるものや学問的に見解が対立しているものについては多角的に検証した上で放送する、意見が対立して裁判や論争になっている問題については、できるだけ多角的に問題点を明らかにするとともに、それぞれの立場を公平公正に扱う、基本的人権の尊重は、憲法が掲げる最も重要な原則であり、放送でも優先されるべき原則である、人権を尊重し、不当に名誉を傷つけたりプライバシーを侵害しないよう、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払うなどが書かれておりますが、果たして放送法第四条やこの姿勢は守られているのでしょうか。     〔主査退席、秋葉主査代理着席〕  昭和三十年十一月十七日、NHKで、長崎の端島炭坑、いわゆる軍艦島の坑内作業の様子を報じた「緑なき島」というドキュメンタリー番組が放送されました。  この番組は、端島を含む明治日本の産業革命遺産が平成二十七年にユネスコの世界文化遺産に登録されたことを記念し、DVD化もされています。  番組内では、ふんどし姿の作業員がつるはしを振るったり坑内を四つんばいで進む映像などが放送され、この映像は、戦時中のいわゆる強制連行、強制労働被害を報じる韓国のメディアに度々引用され、韓国・釜山の国立日帝強制動員歴史館でも展示されており、韓国が主張する強制連行被害の証拠として利用されてきた側面があると言っても過言ではないと思います。  しかし、端島の近現代史に詳しい、一般財団法人産業遺産国民会議、加藤康子専務理事の調査によると、端島炭坑では裸での作業が事実上禁じられていた、当時、つるはしは使われておらず、坑内の高さも一・五メートルが確保され、はいつくばる必要もなかった、坑内はガス爆発を防ぐため特殊な照明器具が設置され、ヘルメットには照明灯の装着が義務づけられていたが、番組の映像では作業員のヘルメットに照明が装着されていないなど、複数の点で元島民の証言や当時の坑内規則と食い違うことが分かりました。  元島民は、事実と異なると検証を求めていますが、NHKは、この元島民の問合せに対し、当時の端島における取材に基づき、制作、放送されたと回答しています。  NHKのホームページによると、NHKの番組のほとんどはNHK著作権を所有しており、NHKが作ったテレビ番組を放送以外の目的に利用する場合に、NHKの判断だけではなく、原作者、脚本家を始め、出演者など、協力いただいた多くの方々に改めて許諾を得なければならない仕組みになっており、企業など法人で映像素材や番組を利用される方に対しては有償で提供しているそうです。  NHKにお尋ねします。  釜山の国立日帝強制動員歴史館がNHK映像を展示するに当たり、制作者だけでなく、出演者等関係者全ての許諾を得て展示しているのか。また、映像使用に当たり、これまで歴史館側から支払われた使用料について教えてください。     〔秋葉主査代理退席、主査着席〕
  129. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  「緑なき島」、委員指摘のように、今から六十六年前の昭和三十年十一月に放送されたNHKの短編映画です。  短編映画は、記録的な材料をまとめたニュース解説風なものや風土記的なものが多くなっておりました、当時は。「緑なき島」は風土記的な内容で、当時の長崎市の端島を取り上げ、高層の鉄筋コンクリート住宅で暮らす人たちの様子や炭坑での作業、子供たちの学校生活、娯楽施設で楽しむ様子などを二十分にわたってまとめているものでございます。  御指摘の坑道内の作業の映像は二分ほどありまして、この場面では、黒く輝くすばらしい石炭を掘る坑夫の顔はさすがに喜びに満ちていますと紹介しております。  御指摘の国立日帝強制動員歴史館に関する御指摘については承知しております。  「緑なき島」の映像の一部が展示されているかどうかなど、事実関係を確認したいと考えております。
  130. 杉田水脈

    杉田分科員 ということは、そちらの歴史館が提示していることについて、NHK許諾を与えているんですか、関係者とか全部の。許諾を与えていないのに、向こうが勝手に展示をしているんですか。どちらですか。
  131. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  御指摘の韓国にあります国立日帝強制動員歴史館と、映像についてやり取りした記録はございません。  これについても、事実関係を確認したいと考えております。
  132. 杉田水脈

    杉田分科員 では、許諾を得ず、向こうは展示をしているということですね。  使用料なども、では、支払われていないということでよろしいですか。
  133. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  今お話ししましたように、その歴史館と映像について直接やり取りした記録はありませんので、委員指摘のように、何かいただいているということはございません。  事実関係を確認してまいりたいと思っております。
  134. 杉田水脈

    杉田分科員 では、文化庁にお尋ねをいたします。  著作権法において、著作物を第三者に無断で二次使用された際に、著作権者ができ得る対抗手段と違反者に対する罰則を教えてください。
  135. 出倉功一

    ○出倉政府参考人 お答え申し上げます。  一般論としてお答えいたしますと、我が国の著作権法におきましては、第三者が著作権者許諾なく著作物の複製などの行為を行った場合、自由利用を認める権利制限規定に該当しないときは、民事上の措置として、著作権者は当該行為の停止又は予防を請求することができることになっております。これに加えまして、民法に基づき、不法行為に基づく損害賠償、これを請求することもできます。  また、著作権を侵害した者に対する刑事上の措置といたしまして、著作権法におきまして、十年以下の懲役又は一千万円以下の罰金に処するなどの罰則も定められております。  ただし、著作権の侵害罪は親告罪となっておりますので、刑事当局が公訴を提起して罰則を科すためには、権利者からの告訴、これが必要となっております。
  136. 杉田水脈

    杉田分科員 先ほどのNHKさんの答弁におきましては、許諾も得ていない、そして使用料も向こうは支払っていないということです。  ですので、是非とも、これからしっかり調査をされるということではございますが、国民の受信料によって制作された映像が不正に使用されることがないよう、しかるべき御対応をお願いしたいと思います。  次に、総務省にお尋ねをいたします。  通常、テレビ番組の放送内容に対し、視聴者から、内容の一部に虚偽がある、そういった指摘が多数寄せられた場合、どのように検証を行うのが適切なのでしょうか。
  137. 藤野克

    ○藤野政府参考人 お答えいたします。  放送事業者において正確な放送を行うことは、まさに重要なことであると認識してございます。  放送法は、放送による表現の自由を確保するという観点から、自主自律を基本的な枠組みとする規律を設けてございます。  例えば、放送事業者は、放送番組に関して申出があった苦情その他の意見の概要を、自ら設置した学識経験者等から成る、民放の場合は放送番組審議会、又は、NHK様の場合は中央放送番組審議会等に報告しなければならない、そういうような規定がございます。  各放送事業者は、こうした枠組みの下で、正確な情報を提供する基幹的なメディアとしての使命に根差した放送をしていくべきと考えてございます。
  138. 杉田水脈

    杉田分科員 それでは、NHKにお尋ねをいたします。  元島民からの問合せに対し、NHKでは、当時の制作、取材に関わった部署の関係者などから聞き取りを行い、先の回答があったようですが、疑念を持たれている当事者の内部だけで行う検証で十分とお考えでしょうか。私は、第三者による検証が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
  139. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  番組などについて問合せ等があった場合は、その内容に応じて適切に対応しております。  「緑なき島」に関する御指摘を受けて、関係する資料の確認ですとか、取材、制作に関わった部署の関係者などからの聞き取りですとか、昭和三十年以前に撮影されて保管されていた炭坑の映像の精査など、できる限りの確認作業を行いました。  その結果、御指摘のような、例えば別の炭坑で撮影されたとかそういった映像が使用されたという事実はございませんでした。
  140. 杉田水脈

    杉田分科員 私が指摘しておりますのは、それは内部の方々であるとか実際に取材や制作をした人たちで、第三者の検証は受けていないということですよね。第三者の検証を受けていないで出したその回答が適切かどうかということをお聞きしております。  現に、実際にそこに住んでいらっしゃった、実際にそこで働いていらっしゃった方であるとか、そこの働いている内部規則とは全く違った、それから、先ほども、一・五メートルある、確保されていた、そんなはいつくばって作業するような場所はなかったというような、そのような事実が提示されているんですけれども、それとのそごはどのように説明されますか。
  141. 正籬聡

    ○正籬参考人 今申しましたけれども、できる限りの確認作業を行いました。  過去の映像、これは百四十本近くあったんですけれども、それも精査いたしまして、そこから、別のものを持ってきたという事実は確認されておりません。  そうした事実はなかったというふうに考えております。
  142. 杉田水脈

    杉田分科員 精査して、それが正しいというふうな内容を判断した人が内部の人であるということを問題視されているというふうに思っております。  この件については、納得がいくお答えがいただけるまで、こちらの方も更に追及を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  もう一点、昨年の十月十六日に九州・沖縄地域で放送されたNHK総合テレビ「実感ドドド!「追憶の島~ゆれる“歴史継承”~」」でも端島炭坑が取り上げられ、この番組内でも多くの疑問点が見つかりました。  本当は全て御紹介したいのですが、時間の関係で、数点に絞り質問いたします。  番組では、端島炭坑で働く父親を持ち、高校時代まで島で暮らした元島民の石川東さんへのインタビューを放送しており、守らぬといかぬものは守らぬといかぬでしょう、親たちが働いた場所だからと言う石川さんに対し、インタビュアーが、故郷に負の遺産が伝えられるのは嫌ですかと尋ね、それははっきり出てくれば嫌だと思いますよね、しかし、僕らはなかったと信じていますからと答える様子が放送されていました。  番組放送後に石川さんへの取材を行ったジャーナリストの大高未貴氏によると、その後に、何も今までに一つも出てきていないじゃないか、負になることが、要するに、私たち端島に住んだ人間が差別はなかったとそう言っているんですよと言ったことが抜けているじゃないかと放送後に電話でNHKのディレクターに抗議したそうです。すると、済みませんでしたと言われたそうです。  NHKによる石川さんへの取材は夕方五時から八時半まで約三時間半にわたり、俺がぼろを出すのを期待していたのではないかと振り返っています。  紹介したとおり、NHK放送ガイドライン二〇二〇では、事実関係の誤りがあった場合には速やかに訂正すると書かれていますが、NHKにお尋ねします。  ガイドラインにこの指針が書かれて以来、誤りが見つかって訂正を行った事例は何件ありますか。
  143. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  御指摘のように、NHKでは、放送ガイドラインに沿って、誤りが明らかになった場合には、できる限り速やかに、最もふさわしい放送枠と方法をもって訂正を行うことを原則としております。  誤りには、文字の誤表記ですとか読み違いから内容に関するものまで、様々なケースがございます。  テレビやラジオの全ての番組、インターネットの記事等について、その都度、できるだけ速やかに対応しております。  全ての事例を集計することは困難でございまして、この場で言える数はございません。御理解いただきたいと思います。
  144. 杉田水脈

    杉田分科員 質問通告を行ってから全然回答をいただけていなかったんですけれども、それは集計が数が多過ぎて不可能だということですか。
  145. 正籬聡

    ○正籬参考人 今申しましたように、文字の誤表記とか、それから読み間違いも、その番組内でその都度訂正することもございます。それを一つ一つ数えてはおりませんので、明確な数字として答えることはできないということでございます。
  146. 杉田水脈

    杉田分科員 私は、事実関係の誤りがあった場合が何件ありますかと質問をしております。  これを、テレビの放送だけで結構ですので、しっかりと精査して、数を教えていただけませんか。今日じゃなくても構いません。
  147. 正籬聡

    ○正籬参考人 放送の内容、その事実関係も含めて、読み間違いも含めて、それは事実と異なるようなケースもあると思います。その件数について、テレビ、ラジオ、インターネット、全てその都度集計しておりませんので、なかなかその数を幾つだということは難しいのが現状でございます。
  148. 杉田水脈

    杉田分科員 いや、おかしいと思いますよ。  テロップとかを出して訂正しているわけですよね。そのテロップの数とかを数えればいいわけじゃないですか。例えば直近一か月とか直近一年とか、そういう調査はできて当たり前じゃないですか。
  149. 正籬聡

    ○正籬参考人 テロップだけでなくて、その場で口頭で対応したりすることもございます。その全ての数を実際に集計しているということはございませんので、その数についてお答えするというのはなかなか難しいのが現状でございます。御理解いただきたいと思います。
  150. 杉田水脈

    杉田分科員 一番最初に申し上げたように、皆さんから受信料をいただいて放送しているNHKで、そして非常に信頼が高いNHKさんが、こういった事実関係に誤りがあった件数が分からない、集計していないというのは、これは私はゆゆしき問題だと思います。  今は出てこないということなんですけれども、今後はきっちりとこういったことも集計できるような体制を是非取ってください。それを強く要望したいと思います。  それでは、先ほどの石川さんの件に戻るんですけれども、ディレクターが済みませんでしたと非を認めているんですけれども、速やかに訂正する意向はありますか。
  151. 正籬聡

    ○正籬参考人 今御指摘の「実感ドドド!」ですけれども、去年十月に九州・沖縄地方で放送した、明治日本の産業革命遺産として世界遺産に登録されました軍艦島ですとか三池炭鉱などで進む歴史の継承活動の現状について伝えようと制作したものです。  取材に応じていただいた方々には、番組の趣旨説明した上で、意見や考えを様々な角度から伺って、番組を制作しております。  放送に誤りがあったとは考えておりません。
  152. 杉田水脈

    杉田分科員 様々な角度から多角的に取材されて、その出演者の一人の方が、おっしゃった事実を報道していないということに対して抗議をした、その抗議をしたことに対してディレクターが、済みませんでしたと自分の非を認めて謝っているんです。これは訂正すべきじゃないですか。
  153. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  番組に出演していただいた方の個別のやり取りについては控えさせていただきますが、NHKとして、放送内容について謝罪したり誤りを認めたりしたということはございません。  今後とも、事実に基づき、公平公正、不偏不党の立場から、多角的な報道に努めてまいりたいと考えております。
  154. 杉田水脈

    杉田分科員 このガイドライン二〇二〇で、事実関係の誤りがあった場合は速やかに訂正するというのは、何のために書いてあるんですかね。全然実行されていないじゃないですか。  もう一点、指摘したいと思います。  番組には、海上ツアーの女性ガイドが顔と名前を伏せて登場します。彼女は、会社から、あそこできつい労働をさせられたとかそういうことは言わないように、労務動員そのものを伝えないよう会社から指示された、上から圧力を感じていると話しています。  先の大高氏が、海上ツアーを催している五社全てに問い合わせたところ、そのうち二社には女性のガイドはおらず、一社は、女性のガイドはいるが無断でマスコミに出演することはない、別の一社は、全員に確認したが絶対に違う、会社独自の指示はしていない、残る一社は、自分にも取材があったが放送は行われなかった、圧力など一切かけていない、外交問題は国家間で解決すべき問題なので、あれこれ指図することはないとの回答で、どの会社も自分の会社のガイドではないことを明言しています。  取材協力者のプライバシーは守られるべきですが、この女性ガイドが実在するのか否かは当事者にしか分かりません。しかし、一部の視聴者から、いわゆるやらせの疑惑が持たれていることについては指摘をさせていただきたいと思います。  また、様々な意見や見方を反映できるよう出演者は幅広く選ぶとのガイドラインがありながら、取材を行った結果、制作者の意向に反した意見は反映されないという番組作りは、果たして公平公正な番組制作と言えるでしょうか。  番組の狙いを強調する余り事実を歪曲し、苦しい時代を助け合って生きてきた元島民に対し、故郷や家族の思い出を負の遺産などと公共の電波を通じて呼ばれることで、元島民の方々の名誉はどれほど傷ついたでしょうか。  彼らも受信料を納めている視聴者であり、NHKの番組で故郷が取り上げられることを楽しみにしていたかもしれません。  NHKにお尋ねします。  これらの指摘に鑑み、昨年十月十六日放送の「実感ドドド!「追憶の島~ゆれる“歴史継承”~」」はNHK放送ガイドラインにのっとった番組であったとそれでもお考えですか。
  155. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  取材に応じていただいた方々には、番組の趣旨説明した上で、意見や考えを様々な角度から伺って、番組を制作していると考えています。  委員指摘のように、放送法、放送ガイドライン、自主自律、公正中立、多角的な観点から伝えていくということは非常に重要だと思います。今後とも、その姿勢を堅持してまいりたいと思っております。
  156. 杉田水脈

    杉田分科員 私は、一個人として、この番組は、軍艦島は負の歴史であるという非常に強い固定観念に基づいて制作された番組であると感じました。  明治日本の産業革命遺産は、負の遺産として世界遺産に登録されたのではありません。長い鎖国の終えんを迎えた日本が、五十年という短い期間に飛躍的に産業革命を進め、近代国家に変貌を遂げた、そして、歴史を物語る優れた科学技術の集合体であることなどが評価された結果です。  つまり、先人の努力が国際的に評価された結果に対し、負の遺産があったという前提に基づき、負の遺産を強調して、視聴者にも負の遺産があったという印象を持たせるような番組作りではないかと感じます。  また、その影響が、日本国内だけではなく、国外にも波及しかねないことをとても懸念しております。  NHKガイドラインだけでなく、放送法の理念からもかけ離れているのではないかと思います。  「意見が対立する問題を取り扱う場合には、原則として個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝える。仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど、放送全体で公平性を確保するように努める。」とガイドラインに書かれているんですから、是非とも、シリーズとして、今後様々な意見を御紹介いただきたいと思います。  それでは、最後の質問に参ります。  平成三十年八月四日のNHK「ニュースウォッチ9」で、私の新潮45への寄稿文に関する報道があり、私の寄稿文は相模原障害者施設殺傷事件の犯人である植松死刑囚と根っこは同じだとする意見が放送されました。また、番組のキャスターは、浅はか、人一人一人の価値を数字で測るような考え方とコメントされており、翌日から事務所に、私を殺人鬼と呼ぶ電話やメールが多数届きました。  私は、違和感なく生活できる社会を構築することは必要だと考えており、その目的で、もし法整備や予算措置が必要になった場合には、効果と優先順位を当事者の方々と対話を通じて慎重に検証し、総合的に判断して実行すべきという立場で寄稿文を書かせていただきました。  当事者を差しおいてLGBTを政治利用すべきではないという思いや、政策の優先順位について私見を述べる、そういう目的であったにもかかわらず、文中に不用意に生産性という表現を用いたことにより、誤解や論争を招いてしまったことや、結果として傷ついた方がいらっしゃることを重く受け止め、反省しております。  が、私には、当事者の方々の人権を否定するつもりも、偏見を持って差別する意図も一切ございません。ましてや、こうして報じられたような、障害者や高齢者、難病の方、子供を持っておられない女性を差別するような言及も一切しておりませんし、考えてもおりません。人の価値を数字で測るような考え方に対する言及はおろか、そのような発想すらありません。  当番組の放送に当たり、私自身や事務所に対する取材は一切ありませんでした。NHKの放送ガイドラインでは、NHKのニュースや番組は正確でなければならないそうですが、寄稿文に一切言及のないこれらの放送内容を、取材もなく、どのような判断基準に基づいて正確であると認識しているのでしょうか。自身が掲げている放送ガイドラインと照らし合わせ、これらにのっとった放送内容であったと認識されているのでしょうか。NHKにお尋ねします。
  157. 正籬聡

    ○正籬参考人 お答えいたします。  平成三十年八月三日だと思いますが、「ニュースウォッチ9」では、杉田委員が当時月刊誌に寄稿した内容について取り上げました。  この中では、自民党の対応や杉田委員のコメントなどを伝えました。また、LGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちの反応や、相模原市で起きた障害者殺傷事件の「19のいのち」というNHKの特設サイトがあるんですけれども、これに寄せられた、障害のある方の家族の声なども紹介いたしました。  お伝えした内容は、事実に基づいて、様々な立場の人たちの受け止めですとか意見を紹介しておりまして、放送ガイドラインにのっとって制作されたものと考えています。  今後とも、事実に基づき、公平公正、不偏不党の立場から、多角的な報道に努めてまいりたいと考えております。
  158. 杉田水脈

    杉田分科員 先ほども申し上げましたが、寄稿文に一切書いていない内容なんです。それから、私への取材もなかったんです。それを、事実に基づいているというふうに誰が判断するんですか。  植松死刑囚と私が同じだとする意見を持つ方がいらっしゃることは、非常に残念なことですけれども、そこは私自身の至らなさが招いた結果だと思っています。しかし、そのような意見のみをNHKのニュースが取り上げることにより、そう思わない方々までそれを事実だと信じてしまう、それがNHKのニュース番組ということなんです。  冒頭も申し上げたとおり、NHK国民皆様からの受信料によって成り立っている、権威のある公共放送であって、一度放映された内容で与えられた印象を覆すのは大変困難です。視聴者からそれだけ絶大な信頼が寄せられていることを再度御確認いただいて、放送内容によって日本国民の名誉や心を傷つけることがないよう、襟を正して報道の自由を行使していただきたいと思います。  終わります。
  159. 小倉將信

    小倉主査 これにて杉田水脈君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日金曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十六分散会