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2021-02-25 第204回国会 衆議院 予算委員会第七分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会令和三年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       佐々木 紀君    古屋 圭司君       山際志郎君    山本 幸三君       辻元 清美君    森山 浩行君 二月二十五日  山際志郎君が委員長指名で、主査に選任された。 令和三年二月二十五日(木曜日)     午後一時開議  出席分科員    主査 山際志郎君       勝俣 孝明君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    古屋 圭司君       本田 太郎君    宮崎 政久君       山本 幸三君    菊田真紀子君       小宮山泰子君    辻元 清美君       森山 浩行君    兼務 秋本 真利君 兼務 濱村  進君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    経済産業大臣      長坂 康正君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      粕渕  功君    政府参考人    (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      井藤 英樹君    政府参考人    (金融庁総合政策局審議官)            油布 志行君    政府参考人    (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君    政府参考人    (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       丸山 秀治君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           山本  史君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           依田  泰君    政府参考人    (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君    政府参考人    (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房技術総括保安審議官)    太田 雄彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           田村 暁彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君    政府参考人    (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         小野 洋太君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (中小企業庁次長)    奈須野 太君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           山田 知裕君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術参事官)         加藤 雅啓君    政府参考人    (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君    政府参考人    (環境省大臣官房環境保健部長)          田原 克志君    政府参考人    (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   古屋 圭司君     勝俣 孝明君   山本 幸三君     小林 鷹之君   森山 浩行君     小宮山泰子君 同日  辞任         補欠選任   勝俣 孝明君     宮崎 政久君   小林 鷹之君     本田 太郎君   小宮山泰子君     菊田真紀子君 同日  辞任         補欠選任   本田 太郎君     山本 幸三君   宮崎 政久君     古屋 圭司君   菊田真紀子君     森山 浩行君 同日  第二分科員濱村進君及び第八分科員秋本真利君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (経済産業省所管)      ――――◇―――――
  2. 山際大志郎

    山際主査 これより予算委員会第七分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりましたので、よろしくお願いいたします。  本分科会は、経済産業省所管について審査を行うことになっております。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算経済産業省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。梶山経済産業大臣
  3. 梶山弘志

    梶山国務大臣 令和三年度経済産業省関係予算案について御説明申し上げます。  初めに、新型コロナウイルス感染症影響により、これまでにお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、健康面生活面影響を受けていらっしゃる方々には、心からお見舞いを申し上げます。日々、この感染症の終息に向けて力を尽くしてくださっている保健所職員医療従事者方々、ワクチン、検査機器医療用物資の円滑な供給のために貢献していただいている事業者方々に、改めて敬意を表し、感謝を申し上げる次第であります。  また、二月十三日に発生した福島県沖を震源とする地震で被災された全ての方々に、心よりお見舞いを申し上げます。東日本大震災被災地方々復興に向けた希望が失われることのないよう、被害実態に合わせた復旧復興支援に取り組んでまいります。  昨年は、新型コロナウイルス感染が拡大して以来、事業雇用を何としても守り抜くとの決意の下、緊急時対応政策に重点を置いてきました。現下の緊急事態宣言により甚大な影響を受けておられる事業者には、一時支援金やイベントのキャンセル料支援等、必要な支援を迅速にお届けできるよう、引き続きしっかりと対応をいたします。  また、こうした措置を講じるのと併せて、新たな日常に向けた産業構造社会システム転換にも力を入れていかなければなりません。  ウィズコロナポストコロナの時代に向け、デジタル改革グリーン社会実現中小企業事業構築等を強力に推進してまいります。あわせて、サプライチェーンの再構築を始めとするレジリエンス強化、健康・医療分野の新たなニーズへの対応イノベーション実現する人材育成エコシステム創出にも取り組んでまいります。我が国を取り巻く対外経済環境が不確実性を増している中、これまで以上に国内政策一体となった対外経済政策を展開してまいります。経済産業省の最重要課題である原子力災害からの福島復興についても、着実に歩みを進めてまいります。  このため、令和三年度経済産業省関係予算案として、一般会計三千五百十七億円、エネルギー対策特別会計七千四百五十四億円、特許特別会計一千五百六十二億円、合計一兆二千五百三十三億円を計上しました。また、復興庁計上東日本大震災特別会計のうち四百五十三億円が、経済産業省関連予算案として計上されております。  具体的な内容については、次に申し述べます。  昨年十月、我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会実現を目指すことを宣言し、年末には、私からグリーン成長戦略を報告しましたが、グリーン成長を支えるのは、強靱なデジタルインフラや、それを前提とした産業活動デジタル化です。グリーンデジタルは、車の両輪となるのです。このような考えの下で、デジタル改革に取り組みます。  令和三年度予算案では、異なる事業分野システムデータをつなぐための技術標準の策定、モビリティーやバイオといった分野における企業を超えたデータの共有、AI、ロボット、ドローンなどデジタル社会を支える技術研究開発を進めることとしています。接触回避を円滑化するためのキャッシュレス決済の普及や、展示会等デジタル化も促進してまいります。  次に、グリーン社会実現に取り組みます。  二〇五〇年カーボンニュートラル実現のためには、あらゆる分野で、高い目標を掲げ、産学官が本気で取り組まなければなりません。このため、令和三年度予算案では、産業、民生、運輸といったエネルギーを使う側における、サプライチェーン全体での省エネルギー化を進めるとともに、鉄鋼、化学を始めとする様々な産業における製造プロセスの脱炭素転換に向けた取組支援します。エネルギー供給側では、再生可能エネルギー主力電源化するため、蓄電池の低コスト化次世代太陽電池研究開発を進めるとともに、洋上風力導入を拡大します。  あわせて、排出される二酸化炭素を吸収、再利用するためのカーボンリサイクル技術や、水素発電など水素社会実現のための技術開発に取り組むとともに、原子力を含むゼロエミッション電源の活用にも取り組みます。  中小企業小規模事業者は、全国三千万人を超える雇用を支える我が国経済の屋台骨です。コロナ禍でも事業を継続しながら、新たな日常対応するための事業構築事業再編等に向けた取組支援してまいります。  具体的には、IT導入や新サービスの開発による生産性の向上や、円滑な事業承継MアンドAに踏み出す取組支援するとともに、よろず支援拠点や商工会、商工会議所における経営相談体制も充実させます。  今回の危機をきっかけに、国民の命を守る物資をいかなる状況においても確保できるようにしておくことの重要性が強く認識されました。医療物資のみならず、自然災害技術流出等も含め、様々なリスクに対して強靱な経済社会構築するため、経済安全保障一体として捉えた政策等を進めます。  まず、自然災害に備え、分散型エネルギー導入燃料供給体制強化を進めるとともに、メタンハイドレート等国産海洋資源開発を進めます。また、国内外の重要技術動向調査や、多様化、複雑化する流出経路に応じた技術管理体制強化も進めます。さらに、人工呼吸器検査機器バイオ医薬品等開発体制製造基盤の確立にも取り組みます。  イノベーションを生み出すための人材育成エコシステム創出にも取り組んでまいります。  学校への一人一台の端末配備が進められているところですが、この取組と連携し、子供の頃から課題解決能力を育む新しい教育コンテンツ開発導入を進めます。また、次世代コンピューティングやマテリアルといった革新的な技術分野での産学官研究開発強化や、研究開発型スタートアップに対する段階的な支援を充実させます。  米中関係の緊張の高まり、英国のEU離脱等が起こる中で、我が国は、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づく国際経済体制を主導してまいります。その際、デジタル改革グリーン社会実現レジリエンスといった国内政策との一体性をより一層強化します。  具体的には、データ移転等国際ルールづくり、海外における脱炭素インフラ導入支援等を進めます。  そして、最重要課題であります福島復興です。  三月十一日で、あの痛ましい東日本大震災、そして東京電力福島第一原子力発電所事故から十年です。改めて、犠牲となられた多くの方々の御冥福をお祈りし、被災された全ての方々に心からお見舞い申し上げます。  これまで、様々な方の御理解と御協力をいただきながら、廃炉は着実に進展をし、ようやく本格的な復興も緒についてきました。引き続き、中長期ロードマップに基づき、ALPS処理水の取扱いも含め、安全確保最優先、リスク低減重視の姿勢を堅持しつつ、地域社会とのコミュニケーションを一層強化しながら、廃炉取組を進めてまいります。  同時に、事業、なりわいの再建、福島イノベーション・コースト構想の推進も、車の両輪として進めてまいります。福島の地から世の中を変える新たな技術や製品が生まれ、雇用創出地元企業取引拡大など、具体的な成果が地元に届くよう、全力で取り組みます。  以上が、令和三年度経済産業省関係予算案の概要であります。  委員各位におかれましては、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。  ありがとうございました。
  4. 山際大志郎

    山際主査 以上をもちまして経済産業省所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 山際大志郎

    山際主査 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。
  6. 勝俣孝明

    勝俣分科員 自由民主党の勝俣孝明でございます。  本日は、予算委員会の第七分科会、御質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。私、質問の時間がちょっと短いもので、少し通告からはしょって質問させていただきたいというふうに思います。  まず、私、今回トップバッターなんですけれども、二〇二〇年の二月の二十五日、ちょうど一年前のこの日に第七分科会が行われまして、私はラストバッターだったんですね。そのときも山際先生とそして梶山大臣ということで、この一年間、何がエネルギー政策として変わったのかということを中心にちょっとお話をさせていただきたいというふうに思います。  まず、一番変わったのが、やはり、二〇五〇年のカーボンニュートラル社会実現ということが明確に総理から所信表明演説で打ち出された。先ほど大臣からもございました。ここが一番、このエネルギー政策において変わったところだというふうに認識しております。  まず、第一問目はちょっとはしょりまして、二問目に先に行きたいというふうに思いますけれども、その中で、大臣からもありました、来月で十年を迎えます東日本大震災における原発事故の大きな反省、それから教訓を肝に銘じて、私たちエネルギー政策というものを取り組んでいかなければならない。一方で、昨年、三メガバンクが石炭火力発電から投資を撤退するという、いわゆるダイベストメントを明確にしました。  まさに、そういった中で、私たち再生可能エネルギーに大きく大きくアクセルを踏み出しているわけでございます。  まず、この第五次のエネルギー基本計画の中でも、再生可能エネルギー主力電源化していく、こういうふうに明確になっているわけなんですけれども、二問目の質問にまず最初に行きたいと思うんですけれども。  主力電源化するためには、現状の目標である、今、二〇三〇年に二二%から二四%の目標になっていますけれども、これを、主力電源化ですから、半分以上、五〇%にしてもいいんじゃないか、この二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指すに当たってですね。私も個人的に思っているんですけれども、そういう意見があるんですけれども、どうかということと、一年前と比較して、恐らく、それぞれの再生可能エネルギー進捗があったというふうに思っております。特に、太陽光発電事業の割合が昨年私お伺いしたときに非常に大きくなっている状況だったんですけれども、再生可能エネルギー事業ごと進捗状況をお尋ねしたいと思います。
  7. 茂木正

    茂木政府参考人 お答え申し上げます。  再生可能エネルギーについては、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けて最大限導入していく、これがまず基本方針ということになるかと思います。  その上で、今委員から御指摘がありました、電源ごと導入状況ということでございますが、まず、二〇一二年にFIT導入しまして、全体としては、当時一〇%であった再エネ比率が、二〇一九年で一八%まで拡大してきております。  太陽光については、当時〇・三%だったものが六・七%へ、それから、風力は〇・三%だったものが〇・七%へ、それから、地熱については〇・二から〇・三へ、バイオマスは一・三から二・五へ、水力は七・三から七・七へということで、これを見ていただきますと、御指摘のとおり、太陽光導入拡大というのが大変寄与する形で入ってきています。  今後、更に導入拡大をしていこうということになりますと、これは、洋上風力導入拡大ですとか、それから系統ルール整備、こういったことが必要になるわけですが、もう一つ課題としては、やはり賦課金も含めて非常に国民負担が増えているという、この問題。それから、やはり二〇三〇年という段階で見ていきますと、発電設備はそれぞれ導入までのリードタイムがございますので、こうした点で、どこまで導入できるかという点。さらには、地域とどういう形で共生して、信頼された形で再エネが入っていくか。こうした課題を併せて検討していく必要があると考えています。  いずれにしましても、エネルギー基本計画の見直しの中で、こうした点も踏まえて、電源構成についてはゼロベースでしっかり検討をしていくということになるかと考えています。
  8. 勝俣孝明

    勝俣分科員 ありがとうございます。  続きまして、四問目の質問に移りたいというふうに思います。災害の件ですね。  先ほど茂木部長からもちょっとお話がありました、まさに太陽光発電事業が非常に進んでいるんですね、再生可能エネルギーの中で太陽光の。実は、これは私も資料としてもらったのが、二〇三〇年のエネルギーミックスの中で太陽光目標が六千四百万キロワット。これは、昨年の六月の時点で、FIT導入したものと、それから、今もう認定して実際に稼働する前の状況、これを足すと八千万キロワットということで、もう一二五%ですよね。  ですから、非常に進んでいる状況なんですが、逆に言うと、太陽光発電事業が何でこれだけ進んでいるかというと、やはりそれだけ参入障壁が低いということなんですよね。低いということはどういうことかというと、いい面でもあるんですけれども、逆に言うと、それは、経験値の少ない、言ってみれば悪質な業者が入ってきやすい市場でもあるということなんですね。  ですから、ここは質問しませんけれども、是非、この再生エネルギー市場を拡大していくに当たって、やはり太陽光発電事業をしっかりと注視していく、行政自身も。先ほども申しましたけれども、健全な市場をつくっていくということが非常に大事なことだというふうに思いますので、そこは御指摘させていただきたいというふうに思います。  災害面についてちょっとお尋ねをしたいんですけれども、実際に、二〇五〇年のカーボンニュートラル社会実現という目標を立てました。それは、やはり、これだけの地球温暖化気候変動の中で、災害が多発しています、豪雨災害ですとかね。本当に、そういう状況の中で、今年も、昨年もそうだったんですけれども、災害が起こる、大型の台風だとか豪雨が起こると、やはり斜面にあるメガソーラーが流されたり、そういった光景が映像で映し出されたりしております。  私は、非常に、そういった状況を見ると、地球温暖化解決のために再生可能エネルギー導入しているにもかかわらず、逆に何か大きな災害をもたらしちゃっている、何か本末転倒になってしまっているような気がするんです。  それを、これは、何となく気がするとかではなく、しっかりと数字的、エビデンスに基づいて出していくことが大事なのかなというふうに思うんですけれども、経産省の認識している、近年の豪雨災害等によるソーラー発電事業被災状況を少し教えていただきたいと思います。
  9. 太田雄彦

    太田政府参考人 お答え申し上げます。  電気事業法では、五十キロワット以上の太陽電池発電設備設置者に対しまして、設備故障が生じた場合には速やかに経済産業省に報告することを義務づけております。  この報告によりますれば、自然災害による事故は、二〇一七年度では六十三件でございました。それが、二〇一八年度は、七月に西日本豪雨がございましたけれども、百四件になってございます。それから、十月には台風十九号の被害がありました二〇一九年度は、百一件の事故が発生してございます。二〇二〇年度につきましては、まだ統計の集計は終わってございませんけれども、令和二年七月豪雨等による発電所の浸水や土砂災害により、計十二件の事故が発生してございます。
  10. 勝俣孝明

    勝俣分科員 ありがとうございます。  次に、ちょっと今日は農水省さんの方に来ていただいていますので六番目の質問に行きたいと思うんですけれども、それだけ、先ほどお答えいただきましたが、百件を超えるこういった災害事象が年間で起きているような、こういう状況です。  実は、FITに対して認定をするときに、様々な法令に基づいてFIT認定されていますね、固定価格買取り制度認定されています。例えば、都道府県なんかでは、森林法に基づくいわゆる林発に基づいてしっかりと知事から許可をもらって、その上で認定に至るわけなんですけれども、私は、これが非常に、この法律が形骸化しているような気がするんです。  一つは、いわゆる林発林地開発許可なんですけれども、これを知事許可をする場合、四つの実は要件をしっかりと満たしていなければならないということなんですよね。  この四つ要件というのは何かというと、申請において、申請された場合、まずは災害防止ですね、災害のおそれがないこと。それから、水害防止水害を発生させるおそれがないこと。それから、水の確保、水源の涵養水確保に著しい支障がないこと。それから四つ目は、環境の保全ですね、環境を著しく悪化させることがないこと。しっかりとこの四つの条件を満たしていないと、要は、逆に言えば、許可しちゃいけないよということですね、許可しなければならないということなんですけれども。これは本当に、県知事がやはりしっかりと見ていかなければいけないことだと思うんですね。  その上で、今、例えば今日の朝日新聞さんもそうですけれども、先般の産経新聞さんにも載りましたが、山梨県が、これは知事さんが非常に厳しい条例を作っているんですね。抜け道を許さない日本一の条例を作るんだということでやっていますけれども、私は、この森林法自身をしっかりと改正して、林地開発許可をもっと厳しいものにしていくべきじゃないかなというふうに考えているんですけれども、いかがでしょうか。
  11. 小坂善太郎

    小坂政府参考人 お答え申し上げます。  議員指摘のとおり、森林法には林地開発許可制度というものが位置づけられております。この法律の中で、保安林以外の民有林で一ヘクタール以上の開発行為を行う場合は都道府県知事許可を受けなきゃいけない、都道府県知事は、議員指摘のとおり、四つ要件について審査し、それを満たす場合は許可する、そういった規定になっております。この森林法規定自体を見直すより、やはり、何が重要かと申しますと、例えば太陽光発電、そういった施設の設置の特徴を踏まえた許可基準を定めていく、そういったことが重要かというふうに考えております。  そういった観点から、農林水産省におきましては、令和元年六月に有識者による会議を行いまして、太陽光発電特殊性を踏まえた林地開発許可の在り方について検討を行いました。その検討結果に基づき、林地開発許可制度許可基準に関する技術的助言、この通知を見直しまして、同年の十二月に都道府県に発出したところでございます。  具体的に言いますと、傾斜が急な自然斜面に設置する場合は確実に防災施設を設置すること、さらに、太陽光パネル、水が出てきますので、雨水の流出量をきっちり安全に処理する措置を行うこと、さらには、周辺の森林環境保全のため、一定割合を切らずに残すこと、そういったことを定め、通知したところでございます。これを受けて、今年度中に大半の都道府県において基準の見直しが行われ、残りも来年度早々見直すというふうに聞いております。  引き続き、こういったことを通じて制度の適切な運用を進めてまいりたいと考えております。
  12. 勝俣孝明

    勝俣分科員 ありがとうございます。是非厳しいものにしていただきたいというふうに思います。  続きまして、FITの未稼働案件についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、これは先日の二月の二十一日の読売新聞にも掲載されていましたけれども、岩手県の事例で、遠野市の大規模太陽光発電の事例でございまして、ここも一級河川、猿ケ石川という川があるそうでございまして、この川に濁りが確認された、二〇一九年の四月に濁りがあった。その発端が、その上流で太陽光発電の大規模な建設工事が始まっていた、そして、雑木林を伐採した造成地から、土がむき出しになって、雨が降ると泥水が川に流れ込んでいたのが原因だったということなんですね。  実は、これは岩手県の事例なんですけれども、静岡県も、さっき、茂木部長のふるさとであります伊東市もそうなんですけれども、私の地元ですけれども、本当に、こうした伊豆半島なんかもそうなんですけれども、全国的に本当にこういう事例がたくさんあるんです。  何が言いたいかというと、こういった自然環境などの異変が起こって初めて住民が知るんですよ。これは本当に住民をばかにしたようなことで、要は、異変を知って初めてこういう事業があるということが分かるというのはちょっとおかしい話なんですね。ですから、地域との共生を図るのであれば、太陽光発電事業の計画段階でしっかりと地域の理解をまず得ることが先決だというふうに思います。地域の理解がない場合は進めるべきではないですし、そういうFIT法の認定の仕組みを私はつくるべきなのかなというふうに思います。  既にFIT認定している事業がこうした問題を起こしている中で、住民の反対などで事業が進んでいない案件も多数全国で散見されますけれども、いわゆる未稼働案件のFIT認定の取消しについて、現状をお伺いしたいと思います。
  13. 茂木正

    茂木政府参考人 FITのいわゆる未稼働案件でございます。これは、調達価格を維持したまま運転開始がなされない、こういう案件のことを未稼働案件というふうに言っておりますが。  まず、この未稼働案件の大きな課題は、やはり、調達価格、認定時のコストで算定されているわけですが、それを長い間稼働しないということでパネルの価格が下がってきて、これが実質的には利益になっている、これが国民負担になっているということでありますので、こういった点で一つ問題です。そして、稼働されないまま、長期間いわゆる送電線の容量を確保しているということになりますので、これは空押さえみたいな形になっているということであります。  さらに、こういう未稼働案件がありますと、事業者がこういう未稼働案件の発掘だったり、これを開発することに一生懸命になりまして、新規の案件の開発がなかなか進まなくなる。  こういった観点で、やはりFITの未稼働案件についてはしっかり対処をしていく必要があると考えています。  これまで累次の対策を講じてまいりました。二〇一七年の四月施行の改正FIT法では、送配電事業者との接続契約ができていない事業者については認定を失効させるということで、この取組によっておよそ二千万キロワットの太陽光未稼働案件を失効させたということでございます。それから、二〇一八年の十二月には、期限までに運転開始の準備段階に至らない事業用の太陽光については、これは運転開始の準備に至った段階の価格に、適正な価格に引き下げる、こうした措置も取ってきたところであります。  ただ、こうした措置を取っても、更に長期間運転を開始せずに系統容量を押さえているという案件が懸念されましたので、これは、昨年、まさに再エネ特措法の改正法を含むエネルギー強靭化法の中で、認定から一定期間経過した後も事業が実施されない場合には認定を失効させるという制度を措置したところであります。これは、来年の四月の施行に向けて、今、詳細設計を進めております。  こうした措置を進めていくことで、しっかりと新陳代謝を促して、再生可能エネルギーの最大限導入に向けてしっかりとした取組を進めてまいりたいと思います。
  14. 勝俣孝明

    勝俣分科員 ありがとうございました。来年の四月でございますので、しっかりと私も協力していきたいと思います。  最後の質問になります。大臣への質問でございます。  先ほど来から、るる再生可能エネルギー市場における質問をさせていただきました。このメガソーラー発電の事業というのが地方に多い理由というのは、実は、伊豆半島も、これは私の地元もそうなんですけれども、リゾート地です。リゾート地は、バブル期にやはりリゾート案件が非常に多かったんですね。実は、この問題になっている伊東市の案件もそうなんですけれども、元はといえば、ゴルフ場の開発の予定だったところが頓挫してしまった。例えば、長野なんかでもめているところもそうなんですけれども、本当はスキー場の開発の予定だった、そういったリゾート案件が多いところはもちろん地方に多いわけですから、こういった問題が非常に地方で多いということがやはり言えるわけですね。ですから、二束三文の大きな土地にこういった計画がされている、こういうことなんですね。  実は、今、全国で、先ほど林地開発許可の話がありましたけれども、私が認識している上では百三十八の市町村で、こうしたメガソーラー発電事業建設における厳しい条例が作られているということなんですね。  私、冒頭申し上げましたけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラル社会実現のためにも、まさに本当に健全な再生可能エネルギー市場をつくっていくということは本当に大事なことだというふうに思っております。  大臣に本当にお伺いしますけれども、地域との共生が取れていないFIT事業認定取消しに対して、改めてこれを徹底してもらいたいということなんですけれども、いかがでしょうか。
  15. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再生可能エネルギーについては、第五次エネルギー基本計画において、主力電源化していくものとしております。このため、議員指摘のとおり、地域に根差した再生可能エネルギー導入拡大を進めていかなくちゃならない。また、どんな事業をする人も、地域との共生というのは非常に重要なことだと思っています。  このため、FIT制度では、委員からの御質問があって先ほど参考人から答弁したとおりに、地域の自治体が定めた条例を含む関係法令の遵守を認定基準として定め、違反した場合には、必要に応じて認定を取り消すこととしております。実際、過去には、農地法違反の案件について認定取消しを行っております。  また、発電事業者地域住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務としておりまして、怠っている場合、FIT法に基づく指導を行っているところであります。  これらの取組を通じて、再生可能エネルギー発電事業が健全で長期安定的に運営されるように、引き続き厳正に対応してまいりたいと考えております。
  16. 勝俣孝明

    勝俣分科員 時間ですので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  17. 山際大志郎

    山際主査 これにて勝俣孝明君の質疑は終了いたしました。  次に、濱村進君。
  18. 濱村進

    濱村分科員 公明党の濱村進でございます。  今日は、大臣、よろしくお願いいたします。  私からは、事業再編と経済成長についてお伺いをしてまいりたいと思っておりますが、コロナの支援ということで、事業構築補助金を今回設定されたわけでございます。これは、要件が三つあるというふうに聞いておりますが、まず、コロナ以前、二〇一九年又は二〇二〇年の一月―三月の同三か月の合計売上高と比較して一〇%以上減少していることがかかっていて、売上げが減っていますねと。次に、事業構築に取り組むかどうか。さらには、認定経営革新等の支援機関、この支援機関と一緒に事業計画を策定すること。こうした大きな三つの要件があるということでございます。  実は、私は、当選以来ずっと言ってまいったのは、この日本経済の中で、ちゃんと事業構築事業再編、あるいは業種、業態を転換していかなければいけないんじゃないかというような問題意識を持ってこうした質問をずっとさせていただいてきたわけですが、一貫して成長性がない事業、ひとえに成長性といっても、例えば地域社会において生活を支えるための産業というのはなかなか成長はしません。だから、こういうものは除外します。こういうものは地域にとって必要です。  しかしながら、なかなか時代の流れにおいて、なくなっていきつつあるようなものとか、そういうものに固執し続けること自体は非常にもったいないと思っておりますし、企業の皆さん、これは規模の大きさを問いません。中小企業小規模事業者であっても、いい技術を持っていたりするわけでございます。  そういう方々が、どうやればビジネスとして成長できるのかということを促していくこと、これが非常に重要だと思っていますので、今回の事業構築補助金自体は非常に大事だと思っておるんですが、これは、そもそもコロナによる影響とは関係なく、つまりコロナ禍とは関係なく、平時でもちゃんとこういう事業構築支援すべきだというふうに思っておりますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  19. 梶山弘志

    梶山国務大臣 新型コロナウイルス感染拡大の長期化を受けまして、極めて厳しい事業環境となる中で、自社の技術、経験を生かしつつ、これまで取り組んだことのない新分野に活路を見出そうとする中小企業が増えてきていると承知しております。  こうした中小企業の新分野展開や事業転換に対しては、売上減少要件を課していない支援として、新製品、サービス開発等のための設備投資等を支援するものづくり補助金、ビジネスモデルの転換等に活用いただける持続化補助金、経営多角化や事業転換等による新たな事業活動への挑戦を支援する低利融資などの様々な施策により、支援を行ってきているところであります。  その上で、コロナの影響を受けて、売上げが一〇%以上減少している中小企業に対しては、補助率や補助上限額の面で手厚い支援をして、事業構築補助金を措置をしたところであります。  経済産業省としては、事業構築補助金のみならず、様々な施策を総動員して、引き続き企業の新分野展開や事業転換を促してまいりたいと考えております。
  20. 濱村進

    濱村分科員 もの補助とか、持続化補助金とか、低利融資、こうしたものを活用するというのはそうなんですが、残念ながら、今まで余り、私の認識では進んでいないんじゃないかと思っております。  じゃ、何で進まないんでしたっけということをつぶさに見ていく必要があるんじゃないかなと思っておるんですが、今回の事業構築補助金においては、補助金額三千万円を超える案件については金融機関が関与する、銀行、信金、ファンド、こうしたところが参加をして事業計画を策定するということになっております。金融機関、この金融機関がちゃんとこうしたところに入るかどうかが私はポイントなんじゃないかと思っているんです。  なかなか経産省さん主導で、金融機関まで巻き込んでというのがうまくいっていないんじゃないか、あるいは、金融庁側からも、こういう銀行が経営を革新していくというところについて、ちょうど隙間に落ちているんじゃないかというような問題意識を持っております。そういう意味において、今回の事業構築補助金、一つのいい取組、いいきっかけになるんじゃないかというふうに思っているんですね。  金融機関は、事業転換事業再編、こうしたところに対して、企業を伴走型で支援する、そういう役割があると私は考えておりますけれども、それがなかなかできてこなかったんじゃないかなというふうに考えております。  この点は、経産省と金融庁にそれぞれ御所見、御感想等をお伺いしたいと思っておりますが、まず経産省さんからお願いいたします。
  21. 奈須野太

    ○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  中小企業事業構築に成功するには、外部の専門家の知見やサポートを得て、十分な分析を基に合理的な事業計画を策定していただくということが重要でございます。そのため、補助金の申請に当たっては、金融や財務などの専門性を有する認定支援機関への相談を必須としております。  特に、補助金額が三千万円を超える大型案件については、事業計画の実現可能性、財務上のリスクなどを十分に吟味する必要がございます。また、補助金以外の事業資金の調達、返済についても相談を要するということで、金融機関も参加して事業計画を策定することを義務づけております。  金融機関においては、事業計画策定時の支援のほか、補助事業実施期間中、あるいは補助事業の終了後においても、必要に応じて新規事業の実施に関する助言やサポートを行っていただくということを想定しております。また、事業構築実現した後についても、投資資金の調達をいつまでも補助金に頼ることなく金融機関からの借入れへ切り替えて、更なる成長軌道に乗せていくという観点から、末永く金融機関に伴走をしていただくということを重視しているということでございます。
  22. 濱村進

    濱村分科員 金融庁にも同じことを伺います。
  23. 石田晋也

    ○石田政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、事業者の方に対しまして、金融機関が経営改善、あるいは事業再生、事業転換支援等を適切に実施するということは大変重要なことであると考えてございます。  金融庁におきましては、こうした観点から、昨年八月に公表いたしました金融行政方針におきましても、金融機関がコロナ禍を踏まえた経営の在り方について、事業構築、再生等を含めて、どのような選択肢が最適か、事業者としっかり対話を行い、それに基づき実効的な支援策を講じていくよう、対応状況を私どもとしても確認していくということを明らかにしております。  加えて、当庁より金融機関に対し、業界団体の意見交換会等の機会を通じまして、事業構築補助金制度等の制度や、あるいはREVICにおける事業再生支援機能等も必要に応じて活用いたしまして、また地域において、税務会計等の専門家、支援機関等とも緊密に連携して個々の事業者の経営改善にしっかり的確に取り組むよう要請してきているところでございます。  金融庁といたしましては、引き続き、関係者が協力して各地域で実効的な事業者の経営改善、再生支援等が行われるよう、関係省庁とよく連携いたしながらしっかりと対応していきたいというふうに考えてございます。
  24. 濱村進

    濱村分科員 特に地域においては、地銀さんであったり、信金、信組がこうした取組においてサポートしていただくことが重要だと思っております。そういう意味においては、まだまだ私は足りていないと思っております。事業再編、事業転換、進まなかったと思っておるんですが、ちょっと質問を飛ばします。  大臣、プロジェクトT報告書について、お読みにはなられましたか。じゃ、ちょっと率直に、いろいろ書かれていると思いますし、私もあの中に書いてあることの全部が全部賛同できるわけではなくて、議論があるなと思う部分もございます。  こうしたことをちゃんと議論していくことこそが重要だとは思っているんですが、その中において、「バブル崩壊後、「官から民へ」「構造改革」といったスローガンに代表されるように、市場における自由競争を重視し、政府は、規制改革やコーポレートガバナンス改革、税制改革、通商協定の締結といった市場環境整備を中心とすべきと考えてきた。」この前提自体は正しいと私は思っています。「そこには、「市場の競争環境を整えれば、民間企業が切磋琢磨し、世界の競争に勝つ企業が生まれる」という暗黙の前提があった。」、実は私、ここの暗黙の前提が結果として間違っていたんだろうなと思っています。  これは別に民間企業を責めるわけでも何でもなくて、民間企業のもう本当に昭和の戦後の頃から戦ってこられた方々が築いてくださった財産でずっと生き続けてしまっちゃったなという感覚を持っております。  私は民間企業出身でございますので、こうした過去の反省も踏まえて、これから新しい経済政策を考えていかなきゃいけないと思っておりますが、「新しい経済政策のアプローチが求められている。」というのはこのプロジェクトT報告書にも書かれておりまして、日本の企業組織や企業経営の在り方そのものの問い直しが必要であるということで整理がされております。  こうした評価について、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  25. 梶山弘志

    梶山国務大臣 報告書でも指摘されているとおり、コロナや第四次産業革命により事業環境が大きく様変わりする中で、日本企業全体の経営改革を進めるとともに、大企業に閉じ込められた資金や人材を解放して、業種や企業規模を超えた連携を推進していくことが重要と認識をしております。  OECDによりますと、新製品、サービスを投入した企業の割合は日本が先進国で最も低いということでありまして、また、二〇一〇年代の営業利益に対する設備投資や研究開発費の比率は、米国企業が伸びている一方で、日本企業は下がっているという現実もございます。このように、成長投資が不十分で、新しい稼ぐ力を生み出せていないことが国際競争力の低迷の原因と認識をしているところであります。  日本企業が付加価値の高い新たな製品、サービスを生み出すためには、長期的視点を経営に取り戻し、利益を研究開発、設備投資、スタートアップ等の企業買収など未来への投資に積極的に回すことが重要であると考えております。  そのために、大胆な投資を行うことができるよう、企業の硬直的な組織運営を見直し、優秀な人材の登用を進めることが重要でありまして、そうした観点から、コーポレートガバナンス改革を推進し、内向きマインドを排して改革を促すために、上場企業において社外取締役の選任を原則化し、社内の順送り人事だけではなくて、優れた経営トップを選ぶための新しい仕組みをつくるなどの取組を進めてきているところであります。  今後も、日本企業の経営改革を進めるとともに、予算、税制、法律による措置を総動員することによって、グリーン社会への転換デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業構築への集中投資を促すことで、日本企業イノベーションを後押しし、ウィズコロナポストコロナ時代における日本企業の国際競争力の向上を実現をしてまいりたいと思っております。  目まぐるしく変わる事業環境に対して機動的に、柔軟に対応できる企業組織、また、新たな考え方、理念というものも取り入れられるような柔軟な企業というものを目指して、側面からしっかりと支援をしてまいりたいと思っております。
  26. 濱村進

    濱村分科員 ポストコロナウィズコロナ時代でということではあるんですが、当然、今時代はそうではあるんですけれども、はっきり言えば、それ以前からもそうであったんですが、大きな局面を迎えたので、これをきっかけに変わらないと、最終的なスタートを今切らなければもう間に合いませんよというようなことだと思いますし、企業内にたまっているような現預金、こうしたものを吐き出していくこと、そしてまた、企業内だけで囲い込まれていると言うと言い方が悪いかもしれませんが、本来、もう少し多様な価値観を持って、外に出ていきながらいろいろなことを吸収して、企業の中から外にも働きかけながら仕事をしていく、こういう働き方が減っているんじゃないかというふうに思いますので、人材の活用、それを促していく必要があると思っています。  それをやるためには、やはり目標が必要なんですね。目標というのは、じゃ、事業者にとって何なんですかという話もあります。  ここからはちょっと事業者の育成という観点から話をしたいと思っていますが、一つあり得るのが、株式市場において、上場するということは一つ目標であろうかと思っています。  今、上場市場について言えば、残念ながら、集中化してしまっているという状況がございます。昔は、各地域、神戸とか広島とか新潟、京都、大阪も、ずっと上場市場があったんです。ですが、今は、東証と名古屋と福岡と札幌、こうしたところに集約されてしまっています。これって結局、地域産業の分厚さがなくなってきた理由はここにあるんじゃないかというふうに思っているんですね。  分かりやすく例えれば、サッカーのJリーグみたいなJ1、J2、J3という形で地域に密着して、顔が見えるコミュニティーの中で地域クラブとして発展していく中で磨かれていった、その上で最終的に日本を代表するようなクラブになっていくということになるわけですが、これを上場市場の中でもやはりつくり直さなきゃいけないんじゃないかなというふうにも思ったりするわけですが、金融庁さんの御所見を伺います。
  27. 油布志行

    油布政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、従前は、神戸、広島、新潟、京都などにも取引所が存在しておりましたけれども、売買高の低迷でありますとか、上場企業数が伸びないということで経営環境が厳しくなりまして、昭和から平成にかけて廃止又はほかの取引所と合併したものというふうに理解しております。  こうした中、残る地方取引所の札幌、名古屋、福岡でございますけれども、それぞれ、地元の上場企業から地元の投資家に向けた説明会を行ったり、あるいは、地元密着の優位性を生かしましてベンチャー企業等の発掘を行ったりということで、東京ではなかなか行い得ないような地方企業の発掘、活性化に取り組んでいると聞いております。  こうした取組を通じまして、また、取引所の取組以外にも、地域全体として、やはり地元のベンチャー企業を守り立てていく、そういうエコシステムができ上がるということが重要であろうと思っております。  委員おっしゃいましたとおり、地方へ上場する企業が増えて、さらに、その中から日本を代表する企業が育つように、私どもとしましても、地域における様々な取組を促してまいりたいと思います。
  28. 濱村進

    濱村分科員 今、審議官、エコシステムとおっしゃっていただきました。非常に重要な考え方だと思っています。ですので、是非とも金融庁さんも、経産省さんと一緒になってそうしたエコシステム構築に御尽力をいただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。  国際金融センターについて伺いますが、これは、政府だけではなくて、東京も大阪も福岡も興味を示しているという状況でございます。金融庁が取り組まれている国際金融センターへの取組について伺いたいと思います。
  29. 井藤英樹

    井藤政府参考人 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、日本には、安定した政治や法律制度、あるいは良好な生活環境や治安、こういった強みがございます。  また、大きな実体経済と株式市場、あるいは約千九百兆円という家計金融資産がありまして、資産運用ビジネスを始めとした金融機関にとって大きなポテンシャルがある市場だというふうに考えてございます。こうした日本の強みやポテンシャルを生かしまして、アジアあるいは世界における金融センターとしての地位を確立していくことが極めて重要であるというふうに考えてございます。  そのための取組一つといたしまして、新規の海外資産運用業者等の参入を促進するため、先般、拠点開設サポートオフィスを一月十二日に立ち上げたところでございます。  また、このほかにも、金融当局における様々な施策を講じておりますし、また、今般の税制改正には所要の税制上の措置も盛り込んでいただいてございます。  また、これらに加えまして、例えば、在留資格の緩和ですとか、居住、子女教育、医療といった入国手続や生活環境の改善についても、関係省庁、あるいは意欲ある地方自治体と連携して取り組んでいる、こういうふうに取り組ませていただいているところでございます。  その上で、こうした取組について、日本の強みと併せて積極的に様々な施策をプロモーションを行っていきたいというふうに考えてございまして、こうしたことによりまして海外の金融機関や高度金融人材を呼び込んでまいりたい、このように考えてございます。
  30. 濱村進

    濱村分科員 今税制もおっしゃっていただきました。法人税、所得税、相続税、様々手当てしてというようなこともございますし、あと、資産運用業者の登録等もちゃんとしやすくしようということ、あと、英語対応とか、そういうようなことも含めていろいろな環境整備の話をしていただいているわけでございます。  これはこれで重要なんです、資産運用する方々からすれば重要なんですが、そもそも、ちょっと本質的な議論として、発行市場としてどういう魅力があるんでしたっけという話をしたいんですが、若干、この議論をするときに、大体、先ほども個人金融資産とかそういう話も出て、流通市場の話しか出ていないんじゃないかなというふうに思っております。発行市場としては国際金融センターはどうあるべきかという点についてはどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  31. 油布志行

    油布政府参考人 御指摘のとおり、資金調達のための市場として、発行市場についても、これは大事なものであるというふうに考えております。  したがいまして、株式を例に取って申し上げますと、例えば、東京証券取引所においては、世界的にも相対的には上場しやすいマザーズ市場の存在などを強みといたしまして、特にその発展が著しいアジアのベンチャー企業のIPOに狙いを定めておりまして、香港やシンガポールの拠点を活用してプロモーション活動を行っているところでございます。  国際金融センターの議論におきましては、発行市場と流通市場両輪と考えてございます。発行市場の面でも、例えば、持続的な成長と企業価値を向上させる企業が数多く上場するといったような姿が重要であると考えております。
  32. 濱村進

    濱村分科員 もう少し、発行市場についてどうあるべきか、深掘りを私もしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  そうはいっても、今、大体、民間の調査とかを見ても、資産運用セクターへの期待が低いとかというようなことが書かれているんです。ですので、これに対しては、そうした資産運用会社とかに所属する金融実務に携わっておられる方々からの評価を上げていくしかないのかなというふうには思っておりますので、この方向性自体は、細かい話だねと言われがちなんですが、とはいえ大事なんですよということでやっていきつつも、大きな話もしっかりと議論していっていただきたいというふうに思います。  その上で、ちょっと視点を変えて、資金調達の手段の話で関連してお話をしたいんですが、クラウドファンディングでございます。  かなり支持を得てきて、一般的にも認知され始めているわけですが、大きく三つに大別できると思っています。一つは、寄附型、これは資金提供社に対して金融的リターンがないというようなもので、あとは金銭リターンが伴ってくる投資型、さらには、そうした何かしらのプロジェクトがあって、そこから提供される何かしらの権利、物品、商品、そういうものを購入するということで支援を行う購入型、大きく三つあるというふうに一般的には大別されております。  投資型については更に細かく分類されたりするわけですけれども、株式による投資の場合は、日証協が、株式投資型クラウドファンディング業務に関する規則ということで自主規制を設けておられます。ファンドによる投資の場合は、第二種金融商品取引業協会が、電子申込型電子募集取扱業等に関する規則で自主規制という形で、一応自主規制はしているんです。  一方で、投資型の中でも、融資とか貸付けによって投資をする場合は自主規制はありません。さらに、寄附型、購入型についても自主規制がありません。  これは、投資型については金融庁、寄附型、購入型については経産省、それぞれ、規制はないけれども、今どうお考えか、今の現状の御認識で結構でございますので、伺いたいと思います。
  33. 油布志行

    油布政府参考人 お答えをいたしますが、時間が限られておりますので、株式投資型ではないタイプの投資型クラウドファンディングについて申し上げます。  第二種金商取引業協会の電子申込型電子募集取扱業務に関する規則が適用されるものと、それから、同じ協会の事業型ファンドの私募の取扱い等に関する規則というのがございまして、これが適用されるものとに大別されます。  今御指摘のございました融資型は、前者の適用はございません。後者の事業型ファンドの私募取扱規則というものが適用されます。  ただ、この規則は比較的新しい自主規制でございまして、例えば、事業者の事前審査などについてはほかのものと同様の規制が課されてはおりますが、ただ他方で、ほかの自主規制と違いまして、クラウドファンディングに特化した内容にはなっていないということでございます。  私どもといたしましては、こうした点も踏まえまして、第二種金商業協会とも連携しつつ、融資型クラウドファンディングに関する対応について改善の余地がないか、この点について検討してまいりたいと考えております。
  34. 中原裕彦

    ○中原政府参考人 御指摘のございました寄附型、購入型のクラウドファンディングを行う場合に特化した規制は存在しないものと認識しておりますが、購入型のクラウドファンディングを行う場合には、いわゆる法制的なルールの面では、消費者保護の観点から、いわゆる景表法などの不当な表示の禁止などの規制の対象になるものというふうに認識をしております。  そしてまた、一般社団法人日本クラウドファンディング協会におかれましては、クラウドファンディングプラットフォームサイトを運営する際の自主的な運用基準のガイドラインを策定、公表されておりまして、寄附型、購入型クラウドファンディングの安全、安心な形での発展に向けて取り組んでおられるというふうに承知をしてございます。  寄附型、購入型のクラウドファンディングは、企業が新たな事業活動を行う場合の資金調達手段の多様化という観点から、有意義な取組であるというふうにも考えておりまして、その適切な発展が行われるよう、経済産業省としても、消費者保護の状況や業界による自主的な取組を注視し、また、関係省庁と連携しながら取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
  35. 濱村進

    濱村分科員 これはしっかりやっていただきたいと思っているんです。  まず、投資型、金融庁の方も、クラウドファンディングに特化しているわけではないんですが、これはこけちゃうと一気にこうした資金調達の手段がついえてしまうんじゃないかというふうに思ってしまいますので、ちゃんと支援するというか、よくよく見てあげていただきたいというのがお願いでございますし、寄附型、購入型も、一応自主規制はある、まあ、一社としてのクラウドファンディング協会が設けているということではありますが、ちゃんとそれも横目で見てあげていただきたいんです。  というのは、やはりこういうもの、例えば購入型とかであれば、事業者が逃げちゃったということになると、これは誰が責任を取るんだというようなことにもなりかねないわけでございますし、一気にクラウドファンディングによる資金調達等がなされない、一つの大きな業界を潰すことになるんじゃないかという危惧を持っておりますので、適切な支援と規制の在り方について今後もアドバイスいただきたいと思います。  是非とも、今後も、経産省さんにおかれましては、金融庁さんとも一緒になって地域事業者の育成のために御尽力いただきたいとお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  36. 山際大志郎

    山際主査 これにて濱村進君の質疑は終了いたしました。  次に、小宮山泰子君。
  37. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 立憲民主党の衆議員小宮山泰子でございます。  大臣におきましては、先週、予算委員会の方で質問させていただく準備をして、答弁の準備をしていただいたにもかかわらず、様々な疑惑の追及も含めまして質疑が遅れ、できなかったことを残念に思いますが、本日こうやって改めまして質疑をさせていただけること、答弁をいただけるということに感謝を申し上げます。  さて、そのときの題材でもありますけれども、グリーン産業市場規模やグリーン社会というものについての質問をさせていただきたいと思います。  まず最初、やはり、グリーン社会という言葉、最近だなと。十月二十六日の衆議院本会議所信表明演説を聞きまして、菅総理がその中で、グリーン社会実現に最大限注力していくことを述べられました。グリーン投資の更なる普及を進める、環境関連分野デジタル化により効率的、効果的にグリーン化を進める、世界のグリーン産業を牽引し経済環境の好循環をつくり出すとの方針を出されました。  最近は、行政の様々なところにグリーンばやりでございまして、いろいろな予算にグリーンがつく。過去にいえば地方創生だったり国土強靱化だったり、予算書を見るとはやりの言葉があちらこちらに散見されるということで、今回はグリーンではないかと考えております。  では、そのグリーン社会グリーン投資、グリーン化、グリーン産業、これまで使われている用語と何が違うんでしょうか。この意味についてお聞かせいただければと思います。
  38. 白石隆夫

    ○白石政府参考人 お答え申し上げます。  議員指摘グリーンという言葉でございますが、直訳すると緑でございますけれども、一般的には緑以外に英語で、環境に優しいでありますとか環境負荷が低いという意味で使われておりまして、脱炭素のみならず、自然との共生、循環型社会構築、水、大気環境の保全などを幅広く含む概念だというふうに捉えてございます。それらが互いに結びついて、全体として環境の保全につながるというものだというふうに考えてございます。  海外におきましてもこういった、日本だけではなく、例えば諸外国におきましてもグリーンニューディールでありますとかグリーンリカバリーというような言葉が最近はよく使われてございまして、これも脱炭素以外のものも含む幅広い意味で使われているというふうに承知してございます。  その意味で、カーボンニュートラル実現グリーン社会実現のための手法の一つと言うことができると考えてございます。  環境省としても、脱炭素社会、循環経済、分散型社会、この三つの社会への移行を加速するために本通常国会に四本の法律の提案を目指しているところでございまして、関係省庁と一丸となってグリーン社会実現に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  以上です。
  39. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 環境省の方からは、グリーン社会一つの要素としてのカーボンニュートラルという話がございました。一部の話で本当にいいのかというのは、後々また提案させていただきますが。  世界のグリーン産業を牽引し経済環境の好循環をつくり出すと述べられていますけれども、グリーン産業として、どういった規模の市場が形成されることとなるのか、これも期待をしているところではありますが、なかなか曖昧なことが概念としては大きいと思います。どんなような試算を出されてグリーン社会を目指すのか、大臣の御見解をお聞かせください。
  40. 梶山弘志

    梶山国務大臣 現在、世界全体の環境投資は三千兆円とも言われておりまして、これを我が国に呼び込んで経済成長の新たな原動力としていくことを目的としております。  そのためにも、私どもが掲げるグリーン成長戦略では、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、技術革新を通じて今後の成長が期待される十四の産業分野ごとに実行計画を策定いたしました。  例えば、洋上風力分野は、部品数が約三万点に及ぶものもあり、さらに、製造業、建設業、運転、保守など関連産業の裾野が広いということであります。水素分野では、水素発電技術など、我が国物づくり産業による輸出等を通じてグローバル市場の獲得余地があるということであります。我が国経済成長が期待されている分野でもあります。  この実行計画では、高い目標を掲げた上で、あらゆる政策を総動員して戦略の実現に向けた企業の挑戦を後押しすることとしております。この戦略により、二〇三〇年では年額九十兆円、二〇五〇年では年額百九十兆円程度の経済効果を見込んでおります。  二〇五〇年カーボンニュートラルは並大抵の取組では実現できない困難な課題であるという認識を持っております。だからこそ、経済環境の好循環につなげる産業政策として、イノベーション実現し、経済効果を生み出し、メリットを国民に還元できるように取り組んでまいりたいと思っております。
  41. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 経産省の資料におきまして、カーボンニュートラル産業イメージという図がございます。  これを見ながら、やはり、グリーン計画が他省庁の関連分野は避けて通っているような形になっているふうに思います。縦割り行政が如実に現れた図なのかなと。ひもづけをしているところが、省庁内でのひもづけになっておりますので。例えばエリートツリーとか農林水産業とか、そういったところには、この図だと、矢印で関連性があるようには見えないという図になっておりまして、存在は認めているけれどもというところがちょっと残念だなと。また、運輸や交通分野での関連性の打ち出しも薄いというのが印象であります。  目的としているカーボンニュートラル実現するには、農林水産省、国土交通省始め、他省庁の所管事業もしっかりと組み合わせることが重要だと思っております。これは本当に避けて通れない課題だと感じております。  この中で気になっているのは、近年、二酸化炭素を排出しない燃料として、水素ガスを燃料電池に用いることで電力を得る、水素ガスの活用の部分です。  水素は沸点が低く、マイナス二百五十二・九度、ガス、気体で取り扱うために、爆発の危険もあり取扱いが難しく、実際には補助金がつけられて導入される。つまり、補助金をつけなければ普及ができないというのが現実に起こっているのではないでしょうか。  そこで、私自身が注目しているのは、水素と窒素の化合物であるアンモニアの燃料としての可能性です。  窒素は、大気中約七八%を占めており、水素ガスと化合させることでアンモニアを得ることができます。アンモニアは、燃焼させると水と窒素酸化物を生じる。この窒素酸化物はそのまま排出すると公害の元となりかねませんけれども、触媒などを用いて無害化する技術はもう確立しています。  アンモニアは、沸点がまたマイナス三十三・三四度と比較的高く、液化しての輸送にも適しているということがあります。資料のカーボンニュートラル産業イメージの中でも、アンモニア輸送船、アンモニア発電の記載は見受けられます。  このアンモニアの燃料としての活用、これをもっと大きくしっかりと進める方がカーボンニュートラルに近づくのではないかと思いますが、この活用の促進と拡大について御所見をお聞かせください。
  42. 南亮

    ○南政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、アンモニアは、燃焼させてもCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルに向けて有望な燃料であると私どもも考えているところでございます。また、既存の生産、輸送、貯蔵技術等の活用も可能であることから、早期の実用化を期待しております。  火力発電へのアンモニア混焼につきましては、二〇二〇年代後半の実用化を目指しまして、来年度から実機実証を行う予定となっております。また同時に、将来的な専焼化又は船舶や工業炉等での活用に向けた技術開発も進めてまいりたいと思っております。  他方、将来的な需要拡大に対応した供給確保も重要でありますので、ファイナンス支援等を通じまして安定的かつコスト競争力のあるアンモニアのサプライチェーン構築すべく、官民で取り組んでまいりたいと思っております。
  43. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 是非、この分野、しっかりと見ていただきたい。特に、水素ありきでいろいろ書かれているものが多いですけれども、どんどん技術も革新をしていくという意味においては、このカーボンニュートラルを目指す経済産業省の中でのエネルギーの利用のところでは、こういった新しいものもどんどん入れていただきたいと思います。  そうなっていきますと、先ほど言いました計画のこの絵図では、カーボンニュートラル産業イメージ、ここの隅の方には「エネルギーの地産地消 分散型エネルギーシステム」の表記が結構ちっちゃく入っているんですね。本当に隅の方にひっそりと書かれておりまして、用語だけの記載では見過ごしてしまうんじゃないかというふうに危惧もいたします。  経済産業省として、エネルギーの地産地消を推進していくという考えをしっかり持っていらっしゃるのか。この点に関しまして、大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
  44. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、大きなイノベーションを期待する十四分野ということで記載をさせていただいているということでありますけれども、地産地消というのは非常に重要なことであると思っております。特にやはり災害時の分散型電源という意味では非常に重要でありまして、そういったものの組合せが今後の災害対策ということにもつながってくると思いますし、安定供給というものにもつながってくると思っております。  地域分散型エネルギーの普及促進に向けて、環境省と分散型エネルギープラットフォームを開催をして、関係する企業や自治体の参加の下に分散型エネルギー導入に向けた課題や先進的な事例の共有を図っていくために、来年度の予算も組ませていただいたところであります。  こうした取組を通じて、今後も関係省庁と連携しつつ、経済産業省としてもエネルギーの地産地消の取組に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
  45. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 グリーン社会の名の下に新たな社会像を実現していくのであれば、カーボンニュートラル実現を目指すにとどまらず、自然エネルギーの地産地消も活用して、産業革命以来、あるいは戦後の高度経済成長以降、現在に至るまでの大量生産、大量消費の上に成り立つビジネスモデル、これ自体を大きく見直す、改めていく必要があるんだと思います。この点に関してリードするのは、やはり経済産業省ではないかと思います。  そもそも、カーボンニュートラルにちょっと水を差すようですけれども、排出量が世界の三%に満たない日本の場合、国内のカーボンニュートラルによる地球の大気の改善効果というのは僅かなものではないかというところもあります。脱炭素社会への移行というのは産業革命につながるという意見もございますので、この点も含めて、やれること、また地球規模で考えること、ここも是非経産省にはやっていただきたいと思います。  その中で、目指すべき豊かな社会像として、文化的な消費生活を確保しつつ、できるだけ廃棄処分を少なくしていく社会へと転換を図ることは重要かと思います。経済産業エネルギーを所管する立場からの所見を求めたいと思います。
  46. 矢作友良

    ○矢作政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘が今ございましたように、経済規模の拡大に伴いまして、資源、エネルギー等の需要が増大しまして、また廃棄物の増加など、環境問題等も顕在化しているところでございます。こうした中で、経済全体として、大量生産、大量消費、大量廃棄型のビジネスモデル、これを見直していくことが重要と考えてございます。  こうした観点から、生産そのものからいかに無駄をなくしていくか、あるいは一度作ったものをいかに長期利用あるいは再利用していくか、そうした中でいかに中長期的に筋肉質な成長を目指していくか、こういった視点に立ちまして、経済産業省として、昨年五月、循環経済ビジョン二〇二〇を取りまとめたところでございます。  このビジョンにおきましては、あらゆる経済活動におきまして資源の投入量あるいは消費量の無駄を抑えつつ、形成しましたストックを有効活用しながら付加価値の最大化を図る、いわゆる循環型の経済社会活動への転換に向けまして企業取組を促していく、こうした方針を打ち出しているところでございます。  また、こうした取組の具体的な一例といたしまして、例えばプラスチックについての取組を申し上げれば、環境省等関係省庁と連携いたしまして、昨年七月よりレジ袋の有料化を開始して、過剰な使用の抑制といったものを促してございます。この結果、コンビニではレジ袋の辞退率が約七五%程度に上昇しているというふうに承知してございます。さらに、設計、製造から販売、提供、あるいは排出、処理、こういった各段階でプラスチックの循環利用を進めるための環境整備に向けまして、現在検討を進めているところでございます。  引き続き、経済産業エネルギーを所管する経済産業省といたしまして、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済から、あらゆる段階で資源の効率的、循環的な利用を図りつつ付加価値の最大化を図っていく、こうした循環経済への転換を進めて、新たなビジネスチャンス、成長につなげていけるよう取り組んでいきたいと考えてございます。
  47. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 今、立憲民主党におきまして、グリーンインフラワーキングチームというのを私が座長で立てさせていただきました。  これまでのインフラというのはコンクリートであって、つくったときから劣化が始まります。このグリーンインフラの発想でいえば、つくったときから自然との共生をするので、根が張り、強くなる。都会とかでは一概に自然を活用できないので、ハイブリッドインフラということで、両方のいい面を適材適所のように使うということを提案させていただきます。  こういったインフラや建築の面におきましても、新しい発想、新しいビジネス、産業というのをつくっていかなければならないんだと思っております。それが環境にも優しく、そして持続可能な開発にもつながっていくと考えております。  その観点でいうと、住宅や建築物などについては、省エネルギーから低エネルギーで生活ができる建築物など、建築の基本も変えていく必要があるかと思います。建築物省エネ法の質疑の際にも言いましたけれども、省エネから一層の低エネルギーを発展させる必要があるんだと考えています。  現代社会において低エネルギー化を目指す場合には、電力の利用をより積極的に減少させる、縮小化させることは避けて通れません。豊かで便利な生活は、大量の電力消費から現在成り立っている。できるだけ電力消費に頼らない生活への提案や、生活様式の変換を目指す。ここは、新しい産業や消費の在り方、経済が回るという礎になっていきます。このイメージというものを、大臣、どのように捉えているのかもお聞かせいただければと思います。
  48. 梶山弘志

    梶山国務大臣 グリーン社会をつくっていくためには、個人個人の意識と、また、それらを支える仕組みであったり技術が必要であると思っております。  自らのライフスタイルや価値観に照らして無理なく不必要な電気を節約していただくことは大変重要でありまして、ホームページ等を通じて広報で国民にこうした取組を呼びかけしておりますけれども、経済産業省の役割は、技術革新や省エネ機器の普及拡大等を通じて、より効率的に電気を消費することができる環境をつくること。使わないという認識とこれが合わさって、そういう社会につながるものだと思っております。  このため、断熱強化や、再エネ、蓄電池等の導入による住宅・建築物のゼロエネルギー化に向けた支援や、エアコン等のエネルギー多消費機器のトップランナー制度を通じたエネルギー消費効率の向上などに取り組んできているところであります。  こうした取組につきましては年末に策定しましたグリーン成長戦略においても取り上げているところでありますけれども、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現するためには省エネ、節電というものも当然必要です。それにはエネルギー起源のものだけではなくて、やはり住宅であるとかライフスタイルというものも大きく関わってくると思っておりますので、また御指導を仰ぎたいと思います。
  49. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 ありがとうございます。  今、全国でまだ、豪雪などでいろいろな被害が今年は出ております。秋田県と伺いましたけれども、電気給湯器で温めた水を用いて凍結を防止されていますが、停電した場合に水道管路の凍結防止機能が作動せずに、結果として破裂が起きるということが各地で起きていると伺いました。被害を拡大させて、復旧に時間と労力を、電気を使うことで現実には起きてしまっていること。以前であれば、アナログ的手法ですけれども、水道を細く開ける形が、給湯器を介して電気を使用する仕組みを選んだがためにトラブルが起きてしまうということもあります。  また、電気というのは、この前も震度六強の地震が福島県沖で起きました。このときも、かなりの数の、関東も含めて、震度二とか一とか、そういったところでも停電が大規模に起きるということで、かなりいろいろなところで電気に依存をするということによっての暮らしづらさ、生きづらさというのが起きてしまっているのも事実だと思います。  先ほど大臣がおっしゃっていただきましたけれども、日本は本来、伝統建造物においても、高密度、高断熱は大切ですけれども、空気が通り、夏はそこそこ涼しく、冬は木材ですので冷え切らないとか、様々な手法がありました。こういった建物においては別に、昔であればクーラーをつけているわけでもございません。  でも、建築家協会だったと思いますけれども、一年間、そういった工法をつくって検査をしたところで、冷房とかを使わなくても何とかいられるというような居住者の方のデータを取ったのもあります。その中では、残念ながら、政府の方において、快適な住まい方という中では必ず、基本的には冷暖房がつけられるということがあったりしますので、それがなくてもできるための基準が、湿度が大変大きいんですが、そこでは湿度はカウントに入らないんですね。  そういう意味においては、やはりしっかりとした調査というものを様々することによって、必要なところにはもちろん電気は使う、でも、使わなくてもいい暮らしというのもあるんだと思います。これは新たな産業にもつながるでしょうし、自然にも環境にも優しい、そして豊かさも享受できるという意味においては、住宅・建築物は国土交通省ですけれども、農水省であったり、環境省であったり、グリーン社会グリーン産業の旗振りの一翼を担う経済産業省には、所管の範囲内でカーボンニュートラル計画というのを出すのではなく、真のカーボンニュートラル計画を他省庁を巻き込んで是非リードしていただきたいと思います。  大臣に、先ほども言っていただきましたけれども、是非もう一度御決意をお願いいたします。
  50. 梶山弘志

    梶山国務大臣 断熱基準とか、そういうものはもう国交省と連携をしております。また、港でカーボンニュートラルポートというものをつくるということで、そういったものも連携しておりますし、風力発電も同様ということで、省庁の壁を越えて同じテーマに関しては一緒にやっていくということでもありますし、環境省ともこのカーボンニュートラルの件については折に触れて話合いをしておりますので、是非そういう思いで取り組んでまいります。
  51. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 その思いを込めまして、是非、自然エネルギーなどの積極的な活用も、経済産業省として、しっかりと絶大なる支援をお願いしたいと思います。  さて、続きまして、ジェンダー不平等の実態と経済損失について伺わせていただきたいと思います。  最近では、森喜朗先生のオリンピック・パラリンピック組織委員会での女性蔑視発言と取られたことが話題になりました。国内のみならず、先進国を始めとして、諸外国において大きな波紋を広げたのも事実でもあります。男女間格差、男性中心の社会のありようが現れたものであり、ジェンダー不平等な日本の実情というのも非難の対象となったというふうに感じております。  女性活躍ということに対して、女性活躍推進法の下で、法律まで作っているにもかかわらず批判を浴びる事態を迎えたというのは、大変残念な、またお粗末な現状でもあります。ジェンダーギャップ指数もこの数年下がり続けている、特に政治分野で順位を上げることがないというのも現実でもあります。  アメリカの大手金融グループ、シティグループが、黒人への人種差別が社会全体の経済損失につながっているという研究報告を取りまとめています。差別を背景としたもので、約千四百兆円の企業収益が生まれなかったと推計するのを始めとして、過去二十年間で日本円に換算してアメリカの社会において千七百兆円ほどの経済損失があったと推計を出されています。  人種差別、ジェンダー不平等などが経済損失につながっているという認識があるのか。この点の御見解をお聞かせください。
  52. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、人種差別やジェンダー不平等はあってはならないものと思っております。  損失に関しましては、詳しく承知をしておりませんけれども、逸失利益というものはあると思います。  例えば、ジェンダーに関して、女性の活用の中で、女性の比率が少ない会社は、どうしてもやはり市場に対して目が届かないところがあって逸失利益というものが生じてくるということでもありますでしょうし、また、ある商社では、来年度の採用というか、今年はもう採用は終わったかもしれませんけれども、総合職の半数を女性にするというような動きも出てきておりますので、しっかりとそういった動きを支援をしてまいりたいと思っております。
  53. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 大臣、今、不平等においての経済損失があるという認識、確認させていただきました。  そうしますと、EUとかはたしか同じような報告書を作っているかと思いますが、日本においてどれだけ不平等を起こすことによって経済損失があるのか。ここを直すことで、アメリカであれば、先ほどのシティグループの報告書ですと、GDPは五年間で五百二十五兆円ほど増えるという指摘をされています。こういった目標があることによって、不平等をやめることの利点が大きく皆さん意識を共有できる。そういう意味では、法律も必要ですけれども、早く現実の不平等を解消することとなるんだと思います。  そこで、是非、この報告書など様々な試算が世界では出されています、日本においても調査研究を行ってみるべきだと思いますが、この点に関して大臣の御見解をお願いいたします。
  54. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、御指摘の米国金融機関作成のレポートをしっかりと研究してみたいと思っております。先ほど申しましたように、損失というよりも、逸失利益がかなりあると思います。そういった点も含めて調べてみたいと思っております。
  55. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 ありがとうございます。是非調べていただき、平等な中で自由な競争、それが日本の活力につながる、その礎となる調査研究をしていただければと思います。  さて、不平等でいいますと、ジェンダー問題があります。同性カップル、同性婚、性の自認不一致の方など、いわゆるLGBTQ、性的マイノリティーの方々に対する行政対応の在り方、企業など社会の中でも、いまだに諸外国と比べて硬直的であり、不平等が生じている、また対応が遅れているというのは現実だと思います。  同性婚、同性カップルの場合、そのうちの一方の方が入国、在留許可が認められた場合、家族でありパートナーであるもう一人の方の入国、在留に対しては大きなハードルが維持されています。異性間でのカップルであればこの点に関しては伴侶として様々な権利が認められますが、同性であると日本は受け入れるのが非常に難しい状態が続いています。  在日米国商工会議所では、日本政府に対してLGBTカップルへの婚姻の権利を認めるよう提言を二〇一八年に行っております。LGBTカップルの婚姻が認められれば、日本でビジネスを行う企業もLGBTカップルの権利や保護が充実して、よりインクルーシブな生活・職場環境整備することにより、国際的なレベルの人材確保において他国と対等な条件で競争することができるようになるという指摘であります。  婚姻と同様の関係にあるLGBTQの個人同士で、他国では婚姻関係にあると法律的に認められる関係であっても、日本では配偶者ビザは発給されない。また、企業には、このようなカップルに住宅手当や配偶者の健康保険といった福利厚生を提供することに関しても障害が存在します。  先日は、同性婚の原告の方のカップルの方が亡くなられて、最期をみとるときに一緒にいることも拒否される、本当にそんなようなことが日本では多々起こっております。  LGBTカップルの婚姻を法律上認めること、また、入国、在留に関しての問題も解消するべきであります。この点に関しまして、政府からの御見解、現状の取扱いについてお聞かせください。
  56. 丸山秀治

    ○丸山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、現状についてお答え申し上げます。  同性婚の当事者がいずれも外国人である場合につきましては、その双方の本国で有効に婚姻が成立しているときは、本国と同様に我が国においても安定的に生活できるようにとの配慮から、特定活動の在留資格をもって入国、在留を認めております。  他方で、当事者の一方が日本人の場合、我が国においては同性婚が認められていないことから、相手方の本国において同性婚が認められていたとしても、我が国において公的な手続を何ら取ることなく関係を解消できることから、身分関係の明確性、確実性が十分とは言い難く、現在、在留資格を認めていないところでございます。  同性パートナーに係る在留資格の今後の在り方につきましては、今申し上げたような課題への対応を含め、引き続き慎重に検討してまいります。
  57. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 日本の対応は大変慎重ではありますが、同性カップルまた同性婚を認めているG7の中では、認めていないのが逆に日本だけなのではないでしょうか。台湾でももう既に、国民投票も含めまして成立もしております。  そういった意味において、大臣、ビジネス環境を整えるという意味においても、日本に来る優秀な人材若しくは日本の優秀な人材が、同性カップルがいるということで日本を選ばないという現実が起きているそうです。この点に関して、やはり、経済産業省としても、管轄は確かに法務省かもしれませんけれども、これもリードしていくべきなのではないかと思います。大臣の見解をお願いします。
  58. 山際大志郎

    山際主査 時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  59. 梶山弘志

    梶山国務大臣 私の知り合いでも、長くアメリカのIT企業に勤めていた方が戻ってきて、そういう環境で、アメリカのIT企業というのは非常に自由だということで、優秀な人材、多様な人材が集まるというお話を聞いたことがあります。  日本の企業におきましてもそれぞれ事例がありまして、株式会社丸井グループでは相談窓口を設置したり、NTTデータでは結婚、忌引、慶弔金といった社内制度をLGBTQの社員にも適用拡大をしているという事例もありますので、そういった事例を紹介することによって、またそういった事例が広がることを含めて、私どもも努力をしてまいりたいと思っております。
  60. 小宮山泰子

    ○小宮山分科員 事例は広がっています。でも、法律の壁があるんです。ここをしっかりと正すことが政府に求められておりますので、このことはまた引き続き質疑させていただきます。  ありがとうございました。
  61. 山際大志郎

    山際主査 これにて小宮山泰子君の質疑は終了いたしました。  次に、小林鷹之君。
  62. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 自由民主党の小林鷹之です。  本日は、梶山大臣始め政府の皆様とエネルギー政策について議論をさせていただきたいと思います。  まず初めに、二〇五〇年のカーボンニュートラルについてなんですけれども、菅総理は、このカーボンニュートラルにつきまして、社会経済を大きく変革をし、投資を促し、生産性を向上させて、産業構造の大転換と力強い成長を生み出していく、その鍵となるものというふうにおっしゃっているんです。ただ、私は、国民に対しては、もっと分かりやすい具体的なイメージを示していく必要があるんだろうと思っております。  梶山大臣におかれまして、二〇五〇年の日本がこんな社会になっているんじゃないか、そういうイメージがございましたら、是非共有させていただければと思います。
  63. 梶山弘志

    梶山国務大臣 産業の変革期であることは間違いありませんけれども、やはり個人の生活も大きく変わってくるということだと思っております。  これまでも、第四次産業革命ということで、様々な改革や、また技術進展、技術イノベーションというものが語られてきたわけでありますけれども、カーボンニュートラルの結果として、二〇五〇年の日本社会国民生活、そしてひいてはグローバル社会に変化が生まれていくものだと思っております。  例えば、カーボンニュートラルのために、イノベーションを起こして、デジタル技術も車の両輪として動き出すわけであります。このことが相乗効果を生むということでもありますし、エネルギーの有効利用や、これはいわばグリーンデジタル社会構築の基礎として使っていくということになると思っております。  具体的には、モビリティー分野、電動車と併せて、高度化された自動走行技術やコネクテッド技術が実装された車が町じゅうに存在するようになる。さらに、乗っている車だけではなくて、住宅であったり、様々なものがそこで結ばれていくようになる。そういったことも想像できるわけでありまして、インフラサービスがつながった社会を意味するものでありまして、エネルギーを最適に活用して、カーボンフリーであり、また、より安全で快適なモビリティー社会実現してまいりたいと思っております。  二〇五〇年の住宅・建築物というのは、更にまたネット・ゼロ・エネルギー化が大きく進んでおりまして、住宅・建築物の断熱性能強化に加えて、再エネやEV、蓄電池と、高度なエネルギーマネジメントを組み合わせることができるということでありまして、これによりエネルギー利用が最適化され、省エネかつ快適な生活というか、災害にも対応できるような体制もできるということにつながると思っております。  こういったものを含めて、カーボンニュートラルそしてデジタル化というものを両輪として、二〇五〇年を目指して進めていくということであると考えております。
  64. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 今大臣から、デジタル技術の発展ということで、自動走行ですとかあるいはスマートシティーのような話もありまして、非常に夢のある話なんだろうというふうに受け止めさせていただきました。ただ、そこでほぼ確実に言えることは、恐らく電力がないと成り立たない社会であることはやはり変わりはないということだと思っています。  伺いたいんですけれども、今大臣がおっしゃったような社会像を実現していくに当たって、どれくらいの電力が必要になるのか、その辺の見積りを教えていただきたいです。できる限り具体的な根拠も含めて教えていただければと思います。     〔主査退席、佐々木(紀)主査代理着席〕
  65. 小野洋太

    ○小野政府参考人 お答え申し上げます。  地球環境産業技術研究機構、RITEの試算がございまして、一定の経済成長、二〇三〇年まで一・六%、五〇年まで〇・四%、それから電化、これは例えば二六%という比率でございますけれども、これが例えば三四%から三八%になる、こういう前提を見込みまして、現在、発電電力量、これは一兆キロワットアワーでございますけれども、これが一・三から一・五兆キロワットアワーになる、このような試算がございます。  ただ、これにつきましては、省エネが更に進むということで、電力消費量がそれほど増加しない可能性があるという意見もございますし、他方で、委員指摘のとおり、デジタル技術の進展とか更なる電化で発電、電力量が更に増大する、こういう可能性もございます。  したがいまして、今後、多様な将来像があり得ることを踏まえながら、いかなる時代におきましても安定供給確保できるよう、こういうシナリオ分析も含めまして検討を進めてまいりたいと考えております。
  66. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。  今、RITEの試算を示していただきまして、基本的には、GDPの成長と電化で一・三倍から一・五倍ということだったんですけれども、今少し触れていただきましたデジタル化のところは、これはしっかり考えた方がいいと思っているんです、もっとしっかりと。  例えば、平成二十八年にソサエティー五・〇が提唱されて、既に四年余りが経過をしています。現時点では、ソサエティー五・〇どころか、コロナでデジタル化の遅れが露呈しましたので、そのもう前という感じですけれども、恐らく二〇五〇年には、もしかするとソサエティー五・〇の次のフェーズに移っているかもしれない。  そういう中で、デジタル化についてはいろいろな試算がありまして、例えば、去年の六月に、これは総務省の資料なんですけれども、ビヨンド5Gに関する資料の中では、低消費電力化の技術開発がなされない場合に、二〇三〇年のIT関連の電力消費量は二〇一六年の約三十六倍になるというふうに書いてあって、ITのやつだけですよ、ITのものだけで電力消費量が。今の総電力消費量の一・五倍になると。単純にすると二・五倍になるというふうに書かれているんですね。  別の試算もあって、おととしにJSTが試算を出していて、これによると、現在の技術のままであると仮定した場合にということで、IT関連機器だけで二〇三〇年には現在の倍の電力量、二〇五〇年には日本も世界も現在の二百倍というとてつもない電力量になるというふうに、そういう試算もあるんですね。なので、デジタル化影響を加味しないと、私はきちんとした試算にならないと思います。  確かに、データ量は激増しても、今少し答弁にもありましたけれども、エネルギー効率が上がるからさほど電力消費量というのは増加しないんじゃないかという見方もありますけれども、正直、今後クラウドがどんどん増えていきますし、膨大なデータを処理する人工知能、動画、あるいは先ほど大臣社会像にもあった自動運転ですとか、あるいは遠隔診療、こうしたものにはエッジが必要になってきますから、そのエッジに不可欠となるマイクロデータセンター、こうしたものがやはり需要がどんどん拡大していくわけですよね。  そうすると、そういったデジタル化の要素も考慮し、より精緻にやはり試算し直すべきだと私は思うんですけれども、もしその点について少しお考えがあれば教えていただければと思います。
  67. 小野洋太

    ○小野政府参考人 繰り返しになりますけれども、委員指摘のとおり、デジタル経済の進展と電化によって電力消費量が増加する可能性があるということは、我々も認識しておるところでございます。  これを踏まえまして、そういう将来像があり得るということも含めまして、それを踏まえまして安定供給確保しなければいけない、こういうことで、シナリオ分析も含めて、今後検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  68. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。  次に、供給サイドについて移っていきたいんですけれども、先ほど答えていただきました二〇五〇年の電力需要を満たしていくためには、グリーン成長戦略に、あくまで一つの参考値として、再エネで五〇パーから六〇パーというふうに書かれています。  私、もう少し具体的な規模のイメージを持ちたいです。例えば、電化が進んで、今御答弁ありましたように、政府が言うとおり現在の例えば約一・五倍の電力量になることを前提に、再エネ、ちょっと五〇パーか六〇パーということで少なく見積もって、全体の電力の五〇%、半分を再エネで賄うことになったとします。これを仮に全て太陽光で満たす場合、例えばパネルで大体何平米ぐらい敷き詰めることになるのか。また、仮にそれを風力発電で全て補おうとした場合、一体何基ぐらい必要なのか。その辺について具体的なイメージを教えていただきたいと思います。
  69. 茂木正

    茂木政府参考人 今委員から御指摘がございました点ですが、まず、発電量全体が先ほどのRITEの発電量の試算ですと一・三から一・五兆キロワットアワーということなので、五割から六割ということでありますと、再エネで七千から八千億キロワットアワーぐらいを発電しなければいけないということになります。  今、二〇三〇年の現状のエネルギーミックスですと、目標にしている数値、これの発電量がおよそ二千二、三百億キロワットアワーなので、これを更に三倍ぐらいまで、三倍から三・四倍ぐらいまで増やさないと七千から八千億キロワットアワーには届かないということになります。これは発電量です。  じゃ、これを設備に見たときどうかということですが、例えば、洋上風力ビジョンというのを先般政府で取りまとめましたけれども、この中で、二〇四〇年までに高位の目標で四千五百万キロワットを日本中に洋上風力発電を造っていこうということなんですが、これ、四千五百万キロワット全部入ったとして、発電できる量はおよそ千三百億キロワットアワーであります。  加えて、例えば今の太陽光の話でございますが、住宅の太陽光、例えば屋根置きの太陽光が新規の、例えば新築の戸建て、集合住宅に全部張り巡らされたとして、これと、さらに、荒廃農地ですね、現状ある荒廃農地の全てに太陽光が入り、さらに、これから増えていく分の半分にも入っていく、こうした試算をしていったときの太陽光導入量が大体三千億キロワットアワー、これはある研究機関の試算であります。  それから、例えば現行ミックスでいっています水力、バイオマス、地熱、こういった分野が予定どおり全部入ったとしても、これは千六百億キロワットアワーです。  これを全部足しても大体六千億キロワットアワー前後ということになりますので、更にそこから五百から一千億キロワットアワーぐらい上積みをしないとこの量には届かない、そのぐらいの数字であるというふうに考えています。
  70. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。  もう少し、例えば太陽光パネルで何平米とかというのを、具体的な数字を伺いたかったんですけれども、またちょっと機会があるときに教えていただきたいと思います。  なぜかというと、やはり日本は国土面積は相当狭いので、再エネ推進するのはいいんですけれども、再エネの設備ですとか、あるいは立地というのは相当な規模になると思うんですね、このカーボンニュートラルの、このグリーン成長戦略実現しようとすると。やはり具体的なそのイメージというものをちゃんと国民の皆様と共有した上で、例えば太陽光パネルでも物すごく敷き詰められることになったりすると、それはそれで多分いろいろな議論が出てくると思いますので、そこは今後また教えていただきたいと思います。  次に、この成長戦略で、一つの参考値とはしつつも、日本の再エネ割合を五〇パーから六〇パーとしているので、その根拠と実現可能性について教えてください。  例えば欧州の再エネ割合は、イギリスとかドイツだと、足下では、再エネ、大体三分の一ぐらいというふうになっているこうした国では、逆に、二〇五〇年、どういうふうなイメージを持っておられるのか、どういう方向を目指しているのか、簡単に教えていただければと思います。
  71. 小野洋太

    ○小野政府参考人 まず、イギリス、ドイツ等の再エネの割合は三割程度ということでございますけれども、電力分野でどういう取組を行っているかということについてお答えさせていただきます。  まず、再エネの最大導入ということをやっているんですけれども、これと併せまして、いわゆる電源の多様化ということもやっております。具体的には、原子力発電、それからCCS、これは火力燃料を使うということを前提としてCCS等についての取組を進めているというふうに聞いております。  さらに、このような電源の多様化に加えまして、再生可能エネルギー導入拡大、これをするための前提条件として、蓄電池の活用を含むスマートグリッドの活用とか、それから送電網の強化などについても取組を進めているというふうに認識しているところでございます。
  72. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 済みません、一点。分かりました、ヨーロッパの話は分かったんですけれども、その五〇パー―六〇パーの一つの参考値ですけれども、その根拠と実現可能性について、お答えできる範囲で構いませんので、教えていただけたらと思います。
  73. 茂木正

    茂木政府参考人 お答え申し上げます。  再エネの二〇五〇年の導入量については、これは様々な意見もございましたので、今、エネルギー基本計画検討の中で各研究機関にも依頼をして、いろいろな試算を出していただきました。そういう中で、かなり幅がございます。一番少ないものでは例えば二〇―三〇パーというところから、多いところでは八〇パー―一〇〇パーという声もあります。そうした様々な試算を我々も考慮しまして、今仮に五〇から六〇というのを一つの目安として設定をして、これから、これを参考値として、どうやったらそれが実現できるのか、あるいは増やすためには何が必要なのか、制約条件は何なのか、こういった点をしっかり検討していきたいと思います。  その際の一つの視点は、やはり、再エネを大量に導入してまいりますと、これは自然変動電源でございますので、調整力がしっかり確保できるか。それから、やはり送電線も含めたポテンシャルがある地域がかなり違いますので、こういったことから、しっかり送電線を引いてこれるかどうか。それから、慣性力という、事故が起きたりしたときに安定的に電力を供給できるシステム確保できるか。そして、何よりも立地がちゃんとできるかどうか、太陽光なども含めて。こういった視点をしっかり踏まえて検討を進めてまいりたいと思います。
  74. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。  グリーン成長戦略を読む限り、その五〇パー―六〇パーのところで、各国の比較というか、イギリスはこうで、アメリカはこうで、だから日本はある程度こんな感じというふうに読めてしまったので、各国のエネルギー事情はそれぞれ異なるので、余り、海外、特に欧州がこうだから日本もこうだという、それを何か参考にする必要は私は全くないというふうに思っています。また、一つの参考値とはいえ、国が示す数字はやはりそれなりの重みがあると思いますので、数字の出し方というのは私はもう少し慎重であってもいいのかなというふうに感じました。  ところで、電力需給の両面から見まして、再エネが安定供給にどれぐらい資するかというのを伺ってきたんですけれども、いわゆるスリーEプラスSのスリーEの中で、スリーEというのは別に全部同列じゃなくて、私はエナジーセキュリティーがその中で最も重要だというふうに思っています。  一昨年あたりから、実はエネ庁に対しても、先ほど言ったデジタル化などの需要も踏まえた上で、電力需要を、様々な前提を置いて、複数のシナリオを作って試算をしていただきたいということで依頼し続けてきております。  それは、仮に、例えば省エネ技術イノベーションが起こらなかった、そういう悲観的なシナリオにおいても必ず電力の安定供給確保できる体制をつくらなきゃいけない、そういう思いに基づくものなんですけれども、それなくして、電源別の割合を上げたり下げたりとか、そういう具体的な数字の議論をするというのは私はちょっと大きな違和感があります。  依然、まだそうしたデジタル化などを含めた試算が出てきていないということはちょっと残念ではあるんですけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指していくに当たってこの試算というのは私は絶対必要だと思いますので、改めて試算をお願いしたいと思います。  ちょっと時間が押しているので次の議題というかテーマに移りますけれども、今度はちょっと逆に足下の話なんですが、先日の寒波によって、あわや大規模停電かというところまでいってしまいました。今回は、大手電力会社ですとか、あるいは自家発電の企業対応にある意味助けられて、大惨事には至らなかった。  ただ、今回の教訓を生かしていくことが大切だと思っておりまして、現在、私が事務局を務めています真の地産地消型・地域共生型エネルギーシステム議員連盟というのがあって、それで先日、今回の寒波の原因というか背景は伺ったんですけれども、ではどうするというところについてはまだ伺っていなくて。  今回ちょっと伺いたいのは、我が国が今大きく依存をしているLNG、これは備蓄可能期間がやはり短いですし、今後のことを考えれば、購買力が更に大きくなっていくだろう中国を含めた海外との争奪戦になるわけですよね。そういう状況の中で、今後LNGをどうやって確保していくのかという点と、再エネについては、今回は太陽光だったわけですけれども、悪天候の中では頼りにならなかったわけですよね。こうしたところについて今後どう対応されるのか、お考えをお示しいただけたらと思います。
  75. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  今議員から御指摘がございましたけれども、今回の電力の需給逼迫でございますけれども、複合的な要因があったかと思います。断続的な寒波によって需要が非常に増えていったということが一つありますけれども、加えて、やはり今御指摘がありましたLNGの在庫、これがだんだん逼迫してくることによって、火力の制約運転が生じてしまった。あと、供給力自体が、やはり近年、予備の部分が若干減ってきているという傾向の中で、太陽光の出力が日によって変動するということが需給の逼迫要因になってきていたんだと思ってございます。  今回は、これは電力会社の皆様方の御努力というのもありますけれども、電力システム改革によって、広域機関が中心となって相互融通ができる仕組みができました。ですので、広域的な予備率でいいますと三・四%でとどまっておりますので、停電の危機ということは生じない形が実現できたと考えております。  一方で、課題は見えてまいりました。これは一つには、やはり燃料というものをどう考えて需給についての検証をし、あらかじめ備えておくかということが非常に重要であるということが分かってまいりましたので、ノミナル、キロワットアワー、どれぐらいの量が発電できるかという観点からの燃料の確保及びそれによる電力量というものをいかに事前にやっておくかということが課題だと思い、対応しておこうと思っておりますし、あわせて、広域的な量の融通をする仕組みをつくっていかなきゃいけない、このようなことを考えているところでございます。  御指摘の燃料の確保の部分なわけでございますけれども、一つには今申し上げたような、追加的なLNG確保リードタイムということを念頭に置きながら、電力の供給余力というのがあるかどうかというのを検証していくということに移っていきたいということを今進めておりますし、いざ不足した場合の対応について言えば、共同調達ですとか、若しくは備蓄ですとか、こういうことが共同で行うことが可能かどうか、コストダウンをどうしていけばいいか、こういう検討を始め、また、事業者相互の相互融通をいかに進めていくかということも検討しております。  さらには、委員指摘のように、上流の観点も非常に重要だと思います。上流権益の確保ということは、これも進めてきているところでございますが、柔軟な融通というのを可能にするためには、仕向地条項、これの一層の緩和若しくは撤廃ということもテーマになってまいりますし、また、アジアのLNG市場の拡大というものと、冬季に増えてくるLNGニーズに即応した形での取引契約というのを進めていけないかどうか、こういうことについて検討を進めていきたいと考えてございます。
  76. 茂木正

    茂木政府参考人 太陽光についても御質問ございましたので、お答えをさせていただきます。  太陽光については、御承知のとおり、これは天候によって大きく変動する電源でございますので、変動に対応するための調整力、これは不可欠でございます。そういう意味で、現状においてはこの調整力は火力発電によって確保されているというふうに承知しております。  もちろん、今後、気象の変化に応じて再エネの発電量、例えば太陽光の発電量がどういうふうに変化するのかということをしっかりする、予測精度の向上ということもしっかり進めてまいりますけれども、一方で、当面は容量市場などによって、調整力になる火力発電、火力電源の維持などを着実に行っていく必要があると思っています。
  77. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。  今回、日本だけじゃなくて、テキサスでも大変なことになっていますけれども、東日本大震災で想定外という言葉はもう使えないというふうに言われながらも、やはり想定外のことが起こってしまっている。私は、電力についてはこれは絶対あり得ない、もう絶対言っちゃいけない話だと思っていますので、その意味で、昨年末に党の新国際秩序創造戦略本部で提言を出させていただきまして、その中で、主要産業については、リスクシナリオをしっかりとつくった上で脆弱性を洗い出して、それに対する対策をしっかりと考えてほしいと。  主要産業の中でもエネルギーというのは一番重要な産業一つだと認識していますので、リスクの洗い出し、またその対策について、政府の現在での検討状況というのを可能な範囲でいいので、ざっくりどの辺りなのかというのを教えていただければと思います。
  78. 小野洋太

    ○小野政府参考人 お答え申し上げます。  昨年十二月の新国際秩序創造戦略本部の提言におきまして指摘されておりますとおり、電力を含むエネルギー分野の強靱化に向けまして、まず一つ目はリスクのシナリオの作成、それから脆弱性や経済安全保障上の課題の把握、分析、それから対応策の検討を進めることが重要というふうに認識しているところでございます。  それで、リスクシナリオの作成に当たりましては、まず第一には、寒波に伴う需給逼迫といった天候それから災害に起因するリスク、二つ目に、化石燃料の輸入途絶といった海外の情勢に起因するリスク、三つ目に、電力システムへのサイバー攻撃といった人為的要因によるリスクなど、いわば極端な状況も含めまして、国内外で発生している様々なリスクを十分に想定することが重要だというふうに認識しておりまして、いただきました提言を踏まえまして、現在、内閣官房とも連携しながら検討を行っているところでございます。
  79. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 ありがとうございます。あらゆる点について絶対大丈夫ということを思い込むことなく、複合事態なども踏まえて、深みのある検討をいただきたいと思います。  次に、第六次エネ基についてなんですけれども、先ほど申し上げたとおり、国ごとに置かれている状況が違うということを踏まえて作成をいただければと思いますが、時間の関係がありますのでちょっとはしょっていきますと、例えば欧州を見たときに、フランスなんかはもう原子力が七割超えているのでちょっと参考にならないですけれども、例えばドイツなんかは電源構成が日本に近くて自給率も高くない、しかも、今後、石炭と原子力の割合を減らしていくという方向性は何となく似ている。でも、ドイツの場合、欧州の国際送電網のど真ん中にいるので、いろいろな意味でリスクヘッジできるし、強みがあると思うんですね。  でも、日本は海に囲まれていますし、石炭、LNGは輸入、また再エネも、太陽光発電の設備自給率あるいは風力発電の自給率、これも物すごく低いし、今後のエネルギー源とされる水素、アンモニアも恐らく輸入中心になるだろう。そうなると、今後ますます我が国エネルギー自給率というのは下がっていって、特に有事の際に本当に安定供給ができるのか不安に思ってしまうんですが、その点についてどうお考えか、教えていただければと思います。
  80. 小野洋太

    ○小野政府参考人 お答え申し上げます。  エネルギーは全ての社会経済活動を支える土台でありまして、特に日本は資源に乏しいということでございますので、エネルギー安定供給確保は、有事の際も含めまして、いつの時代、いかなる状況におきましても最重要課題というふうに認識しているところでございます。  したがいまして、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中におきましては、まず再エネの最大導入、これはやっていくわけでございますけれども、それだけじゃなくて、省エネルギー、これを徹底して進める。それから、再エネ、水素などの脱炭素技術を海外に依存せず国内で安定的に利用可能にする、こういう環境整備。それから、確立した脱炭素電源であります、数年にわたって国内保有燃料だけで発電可能な準国産エネルギーというふうに言える原子力発電を最大活用していくこと。それから、カーボンニュートラルの時代におきまして、火力の役割は引き続き重要であるということを含めまして、資源権益の確保を進めていく。こういうことをバランスよく進めて、安定的なエネルギー供給を確立していくというふうなことが必要だというふうに考えているところでございます。
  81. 小林鷹之

    小林(鷹)分科員 アジアスーパーグリッドなる構想が今もあるのか、あったのか、分からないですけれども、やはり、日本は安全保障上、大陸とつなぐわけにはいかないので、つまり、日本は、エネルギーミックスを日本一国だけで実現していかなきゃいけない、そういう特殊事情があると思うんです。なので、そこの自給率を上げつつ、電力源を多様化するということは欧州とは比べ物にならないほど重要だというふうに思いますので、そこをもちろん意識してやっていただきたいと思います。  最後になりますけれども、原子力について、先日、アメリカのシックスティーミニッツという人気番組でビル・ゲイツさんが出ていまして、環境問題の提唱者であって再エネの推進論者であるビル・ゲイツさんも、やはり再エネというのは供給力が安定しないので原発は絶対必要だということを断言されています。  我が国においてカーボンニュートラル実現するには、原発が絶対不可欠だと私は思います。グリーン成長戦略原子力について可能な限り依存度を低減すると書いてあるのが、若干、ミスリーディングに思います。国民に対してやはり正面から向き合って、もっと明確なメッセージを国として出す必要があると思います。原子力に対する国民的理解を更に前進させる観点からも、是非、これから大臣を筆頭に、六次のエネ基がありますので、そこにしっかりとしたメッセージを書き込めるように頑張っていただきたいと思います。  質疑時間が終了しましたので、もう答弁は求めませんけれども、この原子力の話と、また、今、再エネ、私も推進すべきだと思いますが、内閣府の規制改革タスクフォースなどで若干、緩和にちょっと重きを置き過ぎた議論が走っているように私個人は受け止めておりまして、規制改革といったときに、緩和だけではなくて、やはりいろいろな意味で強化をすべき点もあるというふうに思いますので、その点については政府一体となって検討いただければと思います。  以上で終わります。
  82. 佐々木紀

    佐々木(紀)主査代理 これにて小林鷹之君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎政久君。
  83. 宮崎政久

    宮崎分科員 自由民主党の宮崎政久です。  今日は、私の地元沖縄の地域経済状況をお伝えをさせていただきまして、これを立て直していくための政策、また、沖縄から様々要望をいただいております、その実現に向けて努力をしていきたい、そういう機会にしたいと思っております。梶山大臣始め皆様、どうぞ今日はよろしくお願い申し上げます。  新型コロナウイルス、国内外の経済に大きな打撃を与えておりまして、沖縄ももちろん例外ではないわけであります。  沖縄経済、これは観光が主要産業でございます。新型コロナウイルス影響によって、国内外からの旅行者は本当に激減していなくなったという状況であります。入域観光客の方の数は、コロナ前の令和元年は、初めて一千万人を超えたといって大変喜んでいた状況でありますけれども、令和二年になりましたら、一月から十二月までずっと前年を下回りまして、三百七十三万人にとどまった。これは、前年対比でいいますと、実に六三・二%減という状況にございます。  主要ホテルの客室稼働率は対前年比四三%減、観光施設の入場者の数に至っては、十二月期でありますけれども、対前年比六七・三%減少というところでありまして、沖縄県内にはこの一年間、たくさんの人がいてにぎわっている、こういう場所はもうなくなってしまったというような状況であります。  観光は多くの産業と関連をして成立していますので、宿泊事業者、飲食事業者の方からお土産物店などの小売業の方、タクシーやバスなどを含めた個人のサービス業でも顕著な影響を受けているというわけであります。  先日、沖縄県バス協会の小川会長から、緊急支援の要請文を頂戴いたしました。修学旅行などの貸切りバス事業は、四月からの累計で実に五十六億円余りの減収、前年比で八四%マイナスということで、事業継続への危機感が募るばかりである、また、雇用調整助成金や持続化給付金を活用しても会社運営ができない窮状にある、こういう切実な御訴えをいただいたというところであります。  政府におかれましては、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短要請や不要不急の外出、移動自粛により売上げが減少した中小法人や個人の事業主に対して、緊急事態宣言影響緩和に係る一時支援金というのを給付することとされている。中小の法人は上限六十万、個人は三十万という形であります。  沖縄県は、政府緊急事態宣言の発令地域ではありません。そのため、沖縄県の事業者も一時支援金の対象に含めるようにということで、沖縄県商工会連合会米須会長を始め多くの皆様から、県内からたくさん要請いただいております。今年の一月二十五日には、私ども自民党の沖縄県選出の国会議員、西銘先生、國場先生、私、そして島尻あい子支部長、また沖縄県連の中川京貴会長連名で、加藤官房長官、西村経済再生担当大臣に御要請させていただきますとともに、二月の十五日には、私、直接、梶山大臣の方にも御要請をさせていただいたところでございます。  そこで、まず最初に、梶山大臣にお伺いをさせていただきます。  まず、今申し上げたような沖縄県における経済のこういう実情、窮状について、どのようなものと御認識をされておられるかという、御認識について一点、そしてまた、今回の一時支援金について、政府緊急事態宣言の発令地域ではない沖縄県の事業者であっても、所在する地域や業種を問わず支援の対象になるのは、これは原則であるという考えでよろしいかどうか、この二点についてお聞きします。
  84. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の緊急事態宣言、十一都府県ということになっておりますけれども、この人口で、大体、日本の人口の半分以上いるんですね。ですから、この地域からの観光客というのは激減しているという、どこの観光地も同じだと思います。  さらに、沖縄に関しましては、クルーズ等でにぎわっていた姿、また、空港がかなり便数が増えている姿というのは私も印象に残っているわけでありますけれども、そういったものがほとんどなくなっているというような状況で、観光産業としては大変厳しい状況にあるものと承知をしております。  一時支援金につきましては、この前陳情もいただきましたけれども、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛による影響を受けた事業者は対象になり得るということであります。  沖縄県を始め、緊急事態宣言地域以外の事業者であっても、緊急事態宣言地域の個人に対して対面で商品、サービスの提供を行うホテルやお土産屋、タクシー、バス事業者等は、要件を満たす限り対象となり得ると考えております。  詳細な要件につきましては、事例なども含めて、今後、申請要領やQアンドAを作成、公表していく予定でありますので、それらに従って申請を出していただければと思っております。
  85. 宮崎政久

    宮崎分科員 ありがとうございます。  大臣から、今、私が触れるわけではなかったクルーズの話も触れていただいて、また、空港のその実際の光景が浮かぶような御答弁をいただいたこと、県民の一人として感謝を申し上げます。こういった状況をもう一回取り戻さないといけないと私たちは強い決意でいるということも改めてお伝えさせていただきたいと思っています。  そして、この一時支援金の申請する手続について、ちょっと質問させていただきたいと思っております。  中企庁の方で公表していただいている資料によると、確定申告書や売上台帳のような必要書類のほかに、申請者が保存すべき証拠書類が必要だというふうに書いてある。この証拠書類のところが、見ると、宣言地域の個人顧客との取引を示す書類とあるわけでありますが、さすがに、例えば、沖縄県内の飲食店や関連事業者の方で、お客様、特に県外利用者の住居などについて書類やデータを持ち合わせているということは、ちょっとないわけであります。  そこで、この趣旨は、売上減少が緊急事態宣言に伴う外出自粛要請などに影響されているということの証明である必要であると思いますので、例えば政府が公表していただいているV―RESASの統計データの活用も考えられるところだと思います。V―RESASを見ますと、人の流れ、人流、消費、飲食、宿泊などが、月ごと、地域ごとで示されておりますから、非常事態宣言発令により、当該地域からの利用者の減少と、例えば沖縄のようなところでの事業者の方の売上げの減少との間の相関関係、因果関係を証明することはこれで容易にできるというふうにも言えるわけであると思います。  そこで、保存すべき証拠書類としてこういう統計資料を利用するべきだと私は思うんですが、そういうことでよろしいかどうか。また、それでいいということであるとした場合ですけれども、これは統計データですから、事業者ごとに個人が保有しておく必要性まで私はないのではないかなと思いますが、こういったことについて、政府での検討状況を教えてください。
  86. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今、証拠書類の保存のことについてでございます。証拠書類でございますけれども、これは緊急事態宣言に伴う影響を受けたこと、あるいはその売上減少について確認するためのものでございまして、申請者の宣誓をもって確認することを考えております。この宣誓の実効性を高める工夫として保存を求めているということでございます。  今御指摘ありました、顧客との取引に関する書類以外にも、御指摘ありましたそのV―RESASでございますとか、あるいは、地方公共団体や観光協会、それからいろいろな企業などが出している観光の関連の統計でございますとか、こういったもので保存していただくということも認める方向で今検討してございます。  それから、そういったものは個人個人で同じ書類を保管する必要があるのかということでございます。どのような形式で保存していただくかということについて今検討をしております。  いずれにいたしましても、事業者間の契約や業務の実態、それから、もちろん事業者方々の御負担といったようなものも踏まえた上で、実効性を担保しながら迅速に給付できる方法を検討いたしまして、順次、QAなどの形で公表してまいりたいというふうに思ってございます。
  87. 宮崎政久

    宮崎分科員 飯田部長、ありがとうございます。  大変短期間の中で精力的に中小企業庁がまとめていただいていることを、私もよくやり取りしていますので承知をしているところでございます。  今御説明がありましたように、それをしっかり疎明ができればいい。あと、中間に、金融機関、税理士さん、商工会議所、商工会、こういったところも関与していただくという仕組みが取られるというふうになっておるようでございますので、基本的には、今、飯田部長のお話にあった迅速に支給できる方法を検討しつつ、不正が起きないようにすることも大切でありますので、必要に応じて、改めての、例えば書類提出を中企庁が求められるようにするとか様々な、あと、万が一の不正のときには返還を含めたサンクションがあるとか、こういった形で対処をしていただくことも必要かと思います。  いずれにしましても、沖縄のような、私ども、この六十万、三十万の一時支援金に対する目線は非常に熱いものがありますので、是非、適用がなされるようにしっかりとした対応をお願いを申し上げたいと思っております。  次、もう一つは、GoToトラベルの再開についてちょっとお聞きしたいと思っております。  沖縄は海に囲まれております。隣県と陸でつながっていないというのが他府県との大きな違いであります。これは、観光業という観点から見ますと、飛行機による長距離移動が主となりまして、旅行計画を持って訪問されるお客様が多く占めているということになりますので、月ごとに客層というのが違いが出るわけでありますね。  例えば、家族旅行というお客様の層だとすると、春休みやゴールデンウィークの四月、五月、夏休みの七月、八月、冬休みの十二月、一月というようなところが客層になるわけです。そうすると、ターゲットを絞った経営というのは、ちょっと沖縄では困難。つまり、家族旅行だけにターゲットを絞っちゃうと、この六か月しか仕事が成立しないということになりますので、こういった意味からすると、基本的には、シーズナリティーといいますか、季節ごとに異なる客層の方々対応する観光業経営というのが求められることになるわけであります。  また、飛行機での往復が基本であるということからすると、予約から実際旅行するまでに二月程度間が空くということも特性になります。今度の週末は天気がいいから、じゃ、ちょっと沖縄へ行くか、そうはならないわけでありますね。近くの温泉に行こうというのとはやはり、距離があるということから、ちょっと違いが出てくるということであります。  沖縄へ観光で来ていただく方の大部分を関東、関西などの大都市圏の方が占めていただいております。先ほど大臣から御指摘もありましたけれども、こういった地域での経済活動、人の移動が止まると、併せて沖縄への観光、流入していた方が止まってしまう、こういった実情も持っているわけであります。  また、ここは、政策論のときに是非御理解いただきたいと思っているのが、近隣都道府県間でのマイクロツーリズムという経済効果も発生しないということであります。  実際、去年、GoToトラベルがスタートをして、十月に東京がGoToトラベルの対象になって、本州、特に関東近県、一円ではマイクロツーリズムの影響で旅行需要が喚起されたと数字でも報告されておりますし、報道などでもそういったことが、人出があるということが出ておりました。  しかし、私たちの沖縄では、十二月の中旬までは旅行需要も非常に弱いままでありました。実際の予約は十二月の下旬、末ぐらいのものから入ってきたわけであります。ただ、この部分も、結局、GoToの一時中止ということで全部キャンセルという形になってしまったというわけであります。  こうした沖縄の観光業、観光業を超えて、沖縄経済全体の特性から、大都市圏を含めた全国の旅行需要を喚起できるGoToトラベル事業というのは、我々沖縄経済、観光業は屋台骨でありますので、非常に重要な施策であると考えています。  海に囲まれた離島県の沖縄と、近隣の県が陸でつながっている本州の各県の観光とでは、行こうと決意をしてからその実行まで時間は異なる部分があるという本質的な相違がある。それゆえ、ある程度先を見越して観光の需要を喚起する支援策を打っていただかないと、実は、こういう遠隔地、沖縄、北海道のようなところでは支援にならないというような実情がございます。  もとより、コロナの感染拡大の防止対策をしっかりと取る、これは当たり前の、大前提のことであります。国家的命題である。それは十分に理解をした上でのことでありますけれども、経済活動をそのために止めざるを得なかった、そのことによって、私たちの沖縄においては、主要産業である観光が著しく停滞をして、県民の皆さんの暮らしには大きな影響が出ています。生活、暮らしは命に直結をしていると言っていいわけでありまして、県民の暮らしを支える、毎日の生活をちゃんと維持していただく、こういう意味でも、観光業に対してGoToトラベルで旅行需要を喚起していただく。  そして、県内の各地で、本当に多くの人に来てもらって、あのにぎわいのある景色をもう一回取り戻したい。空港にも人がいっぱいいる、国際通りや各地の観光地、離島にも多くの人がいる、離島への船着き桟橋のところにもいっぱい家族連れの人がいて、子供たちがきゃっきゃきゃっきゃ言いながら走り回っている、こんな姿をもう一回取り戻さないといけない、本当にそう思っています。  そこで、まず端的に、このGoTo事業の再開について、今政府はどのように考えているのか、お聞かせください。
  88. 村田茂樹

    ○村田政府参考人 お答え申し上げます。  GoToトラベル事業でございますけれども、現在、緊急事態宣言の発出に伴いまして、年末からの全国一律での停止措置を継続しているところでございます。  緊急事態宣言解除後の本事業の取扱いにつきましては、今後の感染状況や医療の提供体制等を踏まえまして、政府分科会の御意見もいただきながら、内閣官房を始めとした関係省庁とも連携の上、改めて政府全体として判断していくというふうに考えております。  また、再開後の本事業の在り方につきましては、昨年十二月に閣議決定されました総合経済対策の内容や全国各地からの御要望の声なども踏まえながら、また、御指摘いただきましたように、感染防止対策につきましても改めて再徹底、こういったことも含めまして、様々な観点から現在検討を進めているところでございます。  いずれにしましても、事業の再開に当たりましては、開始時期や実施方法などを決定した際には、利用者や参加事業者の皆様に可能な限り速やかに周知するよう努めてまいりたいというふうに考えております。
  89. 宮崎政久

    宮崎分科員 命と暮らしを守る、よく言う言葉ですけれども、これは本当に両方考えないといけないと思っているんです。  ワクチン接種が始まりました。医療的な部分で、コロナ対策、政府挙げて、私たち国民一緒になって、これをしっかりやらないといけない。そして、その先に、やはり暮らしをちゃんと守っていかないといけない。これはとても大切なことでありますので、是非、その辺の目付はお忘れなくお願いしたいと思っています。  このGoToの事業というのは、我々からしてみたら、去年失われた旅行のニーズを取り戻す唯一の方法とも言えるんです。ですから、ここのところ、いろいろな工夫をしていただきたい、今お話にもありましたとおり、工夫してもらいたいと思っているんです。時期とか場所とかも、必ずしも全部一律である必要があるのか、こういう検討をする余地もあると思っています。  例えば、さっきちょっと触れたような、マイクロツーリズムの影響、効果が出ない遠隔地、沖縄とか北海道ですね、こういったところに対しては、補助率を上げることによって観光需要の喚起をもっと力強く押していく。近くで、すぐ行こうぜと言えるところと、よし行こうと言ってから二月かからないと行けないところ、これは同じようにやる必要もないんじゃないかと私は思っております。こういった取組も是非していただきたい。また、さっき言ったように、時間がかかるので、再開する告知も早くしていただく必要があるんですね。  こういったちょっと具体的なところで、何か考えているところがありましたら、政府取組を教えてください。
  90. 鳩山二郎

    ○鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。  まず、現在の緊急事態宣言下、政府を挙げて、感染状況を早期に収束させることを最優先に取り組んでいるところであります。  観光関連産業は、昨年末以降の感染拡大やGoToトラベル事業の全国一斉停止措置等を受けて大変な苦境に直面しており、感染が落ち着き次第、しかるべき時期の再開に向け、再開後の本事業の在り方について、様々な観点から検討を行っております。  具体的には、昨年十二月に閣議決定された総合経済対策や、これまでに寄せられた全国各地の声を踏まえながら、補助金等の制度内容とともに、感染防止対策の強化、徹底なども含め、必要な見直しの検討を進めているところであります。  また、事業再開に関する周知はできるだけ早く行いたいと思いますが、他方で、本事業の運用については、その性質上、感染状況や医療の提供体制等を注視しつつ、政府分科会からの御意見もいただきながら、機動的な政府全体の判断が求められる事業であることも御理解をいただきたいと考えております。  いずれにいたしましても、沖縄県の経済において観光は非常に重要な役割を担っていると承知をしており、御指摘のあった沖縄の事情については、しっかりと受け止めたいと考えております。
  91. 宮崎政久

    宮崎分科員 鳩山政務官、ありがとうございます。  鳩山政務官、沖縄にも御来訪いただいて、私も御一緒して、様々、各地、一緒に見ていただいて、沖縄の観光を中心とする経済の実情、御理解をいただいていることをよく承知をしております。  国交省の中でこの具体的な制度論を詰めるに当たって、観光庁が中心になるのかと思いますけれども、是非リードをしていただいて、弱っているところに、よりきちっとした施策を打ち込んでいく、これが政策の工夫の肝だと思いますので、是非、非常に大きな打撃を受けている観光立県沖縄、何とか支援の手をしかるべきときにしっかりと差し伸べていただいて、我々、それまで頑張ってまいりますので、是非お力添えいただきたいと思っております。  我々、頑張っていきますのでというふうに今申し上げたんですけれども、まさにそういう事情にあるわけであります。例えば、今さんざん話をしているとおり、仮にGoToトラベル、再開をしたとしても、じゃ、すぐ、週末行こうかという話にならない、私たち沖縄であれば。数か月先でしかその効果が出てこないという状況になるわけであります。  今、この新型コロナウイルス対策、感染拡大をしっかり防いでいくということをやって、再開して、またその後ででないとその効果が戻ってこないということになっていますので、この波及効果がきっちり地元に来るまで、私たちはやはり、例えば事業者であれば事業を継続していかないといけないという状況にあります。  今日に至るまでも、先ほど申し上げたとおり、観光入域客の方がいらっしゃらないわけでありますから、売上げがないという中で事業継続をしていただいています。様々工夫をしながらでありますけれども、基本的には借入れによる対処をしていかなければいけないわけでありまして、長期化していく中で、元どおりに回復するまでの時期も十分に見通せないという状況でありますから、財務内容がこれ以上毀損をしないようにする配慮もどうしても必要になってくるわけであります。  例えば、返済の超長期化を認めることで毎月毎月のランニングの負担を減らすとか、劣後債の利用条件を緩和するとか、金融機関においても、貸出先の債務者分類の変更について厳しい対応を取らないように、しないとか、条件変更にも柔軟に対応する、こういった様々配慮していただくことが必要でありますし、こういったことに対して、地元でも中小企業金融を柔軟にという要請は非常に強いものがあります。  幾つも政府の方で取っていただいている手があることは承知をしておりますけれども、今日までどういった取組をしているのか、改めて御説明いただきたいと思います。
  92. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘ありました中小・小規模事業者の資金繰り、非常に重要だと思っております。これを支援するために、実質無利子無担保かつ最大五年間元本据置きの融資を実施しております。  上限額を引き上げる措置を行っております。緊急事態宣言の発令を踏まえまして、日本公庫の国民事業と民間金融機関による実質無利子融資の上限額を四千万から六千万、それから、日本公庫の中小事業と商工中金の実質無利子融資の上限額を二億から三億、それぞれ引き上げております。  また、返済期間、据置期間との関係で申し上げますと、影響の長期化を踏まえまして、梶山大臣、それから麻生大臣から、雇用調整助成金を含む様々な支援策の支給までに必要な資金、あるいは年度末までに必要な資金も含めて、引き続き、迅速かつ積極的に対応すること、返済期間、据置期間が到来するリスケについて最大限柔軟に対応することなどなど、累次にわたって要請しているところでございます。  引き続き、関係省庁とも連携しながら、事業者の資金繰り支援に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  93. 宮崎政久

    宮崎分科員 ありがとうございます。  梶山大臣と麻生大臣の連名のあの文書、私も、地元で御相談をいただいている方にコピーをお渡しして、金融機関との協議などにも使ってくれというふうなことを言うときもございます。  こういった形で、厳しい状況になったら、やはり金融でしっかり乗り切っていかないといけないという実情にございますので、いましばらく、こちらについても支援いただきたいと思っていますし、恐らく今日、この質疑をネットや様々なところで御覧をいただいている方も、沖縄の地元の方もいらっしゃると思いますので、是非そういった活用もしていただければと思っているところでございます。  雇用調整助成金の特例措置について、四月末までの延長が打ち出されておりまして、これについて、地元からも非常にありがたいということで歓迎の声が出ているところでございます。社会保険料について、併せて雇用調整助成金の特例期間については免除をしてもらうことはできないのか、こんな御要請もいただいているところであります。なぜかというと、多くの中小企業においては、社会保険料の支払いに実は借入金を充てざるを得ないというような企業もたくさんあるんですよね。ですから、例えば固定資産税については、令和三からは減免の措置が取られることになっております。こういった形で、延期だけではなくて減免の措置も取れないかということについての御要望がたくさんあります。  ちょっと今日来ていただいているんですが、時間の関係もございますので、このことについては、そういう要望が地元からもたくさん出ているということはお伝えをさせていただいて、今、はい、すぐやりますという話じゃないということも私も承知をしておりますので、是非、制度的な検討をこれからも引き続き支援策として考えていただきたいと思っておりますので、これは要望としてお伝えさせていただくことで終わらせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  ひとつ話を変えまして、地元からの要望という趣旨で同じ流れでお聞きしたいのが、薬剤師さんの偏在問題というのが実は沖縄にはございます。  人口十万人当たりの薬剤師の数は、平成三十年の厚生労働省の統計資料を見ますと、全国平均が百九十人、十万人当たりであるのに対して、沖縄は百三十九人、非常に少なくなっている。沖縄は四十七番なんですね、当然、最後ですから。四十六番はと見てみると、四十六番の福井県であっても百五十二人ということで、この人口十万人当たりの薬剤師の数は、沖縄が断トツでというか極めて少ない。全国平均から見ても実は七四%しかいない、こういう実情にあります。  また、沖縄では、本島北部とか離島、こういうところになると、薬剤師不足というのはもっと深刻になってきて、全国平均の五〇%にもなんなんとしているところであります。  そこでまず、この薬剤師の偏在という状況について、厚生労働省さん、今日来ていただいていると思うんですけれども、実情は、さっき言ったのは正しいと思うんですが、例えば原因分析などをされていらっしゃるのかどうか、教えてください。
  94. 山本史

    山本政府参考人 お答え申し上げます。  平成三十年の医師・歯科医師・薬剤師統計によりますと、委員指摘のとおり、人口十万人当たりの薬局、医療施設に勤務する薬剤師の数は、全国平均が百九十・一人に対しまして、沖縄県は百三十九・四人となっておりまして、全国で最も少ない数字となっております。  薬剤師の確保につきましては、各都道府県設置されました地域医療介護総合確保基金におけます医療従事者確保に関する事業が活用可能でございまして、この基金の活用について都道府県に周知を行っているところでございます。  また、令和二年度におきましては、薬剤師の需給動向把握事業というものを実施しておりまして、地域ごとの薬剤師の需給状況の現状を詳細に把握しつつ、今後の人口構成の変化や地域の医療提供体制等を踏まえ、将来の薬剤師の需給動向を推計することとしております。  こうした調査の結果を踏まえながら、引き続き、都道府県等の実施する薬剤師確保について、取組支援をしてまいりたいと考えております。
  95. 宮崎政久

    宮崎分科員 ありがとうございます。  この少ない原因なんですけれども、やはり人材育成機関がないからだと地元では思います。例えば、高校生で薬学部に進学をする若い有為な方はいらっしゃるんだけれども、本土の大学で頑張って勉強されて資格を取られて、でも、なかなかいい年齢だったりするから結婚されたりして帰ってこなかったりとか、こんなことも起きたりしておりまして、我々の地元人材育成機関がどうしても欲しい。  そこで、沖縄県の大学に薬学部、薬学科を設置したいという要望が県内ではあります。文部科学省の見解をお聞きしたいと思います。
  96. 川中文治

    ○川中政府参考人 お答え申し上げます。  薬剤部の設置に当たりましては、各大学が、各々の教育理念、目標社会的ニーズを踏まえまして、入学定員数を含めて、まず自ら計画するものとなってございます。  文部科学省といたしましては、各大学から相談があった際には、適切に助言してまいりたいと考えているところでございます。
  97. 宮崎政久

    宮崎分科員 ありがとうございます。  これもやはり地元からの要望ということであると思います。地元からそういう声がしっかり上がっていくように私たちも努力をしてまいりたい、人材をつくっていくということが必要だと考えておりますので、是非御配慮いただければと思っております。  今日は、梶山大臣とも議論させていただいて、観光立県沖縄の実情を御認識をいただいておるところでありますが、再生に向けての様々な手を今日議論させていただきました。  我々沖縄県民は頑張ってまいります。この状況でも負けずに、必ず再生を果たしていくという決意で努力をしてまいりますので、今後とも手厚い御支援をいただくことをお願い申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。  本日はありがとうございました。
  98. 佐々木紀

    佐々木(紀)主査代理 これにて宮崎政久君の質疑は終了いたしました。  次に、本田太郎君。
  99. 本田太郎

    本田分科員 自民党、京都五区選出の本田太郎です。  この度は質問の機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。私からは、大きく分けまして、中小企業に関する質問エネルギー政策に関する質問、そして通商政策に関する質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに、中小企業に関する質問から入らせていただきます。  我が国企業四百二十一万社のうち中小企業は九九・七%を占め、中小企業の業績が我が国経済へ与える影響は極めて大きいわけでございます。中小企業政策はその意味で極めて重要だと考えております。  それにもかかわらず、中小企業新型コロナウイルス感染症影響で業績悪化が著しく、さらに、その他の要因として、経営者の高齢化、国内需要の縮小といった構造的な問題、さらには大企業を頂点とする従来型のサプライチェーンモデルの限界などといった環境変化がございまして、様々な課題に直面しているところであります。  その中で、まずは中小企業事業承継についてお尋ねをしたいと存じます。  全国の中小企業の社長の年齢分布を見ますと、七十代以上の占める割合が年々増加し、データのある二〇一八年では二八・一%となっており、五年前の二〇一三年から六・五ポイントも上昇しております。他方で三十代、四十代の構成比が減少傾向にありまして、経営者の高齢化が進んでいることが分かります。  このように経営者の高齢化が進む一方で、次の経営者、後継者ですね、これの有無につきまして、帝国データバンクの調査結果によりますと、経営者が高齢の企業、例えば経営者が六十歳以上の会社におきましては五〇%近くが後継者不在という結果が出ております。  中小企業事業承継という課題に対して、具体的に政府としてどのような支援策を用意されていますでしょうか。また、それらの支援策はどの程度の効果が出ているのでしょうか。できるだけ具体的に答弁をお願い申し上げます。
  100. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  事業承継の問題でございます。  中小企業の経営者の高齢化が進みまして、後継者不在などにより廃業せざるを得ない状況というのは新型コロナの影響で深刻化しております。二〇二〇年の休廃業、解散件数は五万件弱ということで、過去最多でございます。こうした大規模な休廃業あるいは解散は地域の貴重な技術あるいは人材などの経営資源を散逸させるおそれがあるということで、事業承継を、従来からも取り組んでおりますが、引き続き一生懸命進めていかなきゃいけないというふうに考えております。  このため、経済産業省におきましては、中小企業事業承継を後押しするために幾つか政策をやっております。  一つは、都道府県設置しております事業承継ネットワークを通じまして事業承継診断、あるいは、事業引継ぎ支援センター、これも各都道府県にございますが、この企業間のマッチング支援を行っております。それから、二つ目に、補助金の関係で、事業承継・引継ぎ補助金によりまして、事業承継、引継ぎ後の設備投資あるいは販路開拓などの新たな取組事業引継ぎ時の専門家活用費用の支援などを行っております。  三番目でございますけれども、税制ですが、承継時の税負担を実質ゼロにする事業承継税制、それから、四番目で、令和三年度の税制改正におきまして、経営資源の集約化に関する税制措置を創設するということをやっております。  こうした事業承継税制の活用件数は、制度の拡充前後で約三倍強となっております。それから、事業引継ぎ支援センターのマッチング件数も、過去五年で約十倍に増加しております。事業承継は着実に進んでいるというふうに認識してございます。  先生御指摘の後継者の不在率でございます。引き続き高い水準でございますけれども、三年連続で改善して、二〇一一年以降過去最低という調査もございます。  引き続き、あらゆる施策を総動員して円滑な事業承継を後押ししてまいりたいというふうに考えております。
  101. 本田太郎

    本田分科員 ありがとうございました。様々な支援策を御紹介いただきまして、効果も出ているということでございますので、引き続きまして事業の承継支援をしていっていただきたいと思います。  次に、中小企業に関する質問を続けさせていただくんですが、中小企業は大企業と比較しまして一般的には生産性が低いと言われております。これが日本の構造的問題だとも言われておることから、今後の日本経済の好循環を取り戻すためには、中小企業生産性向上に向けた改革や施策の充実が大切であると考えております。そこで、中小企業生産性向上という課題に対しまして、具体的に政府としてどのような取組をされているのか。また、その効果についても併せまして御答弁をお願いしたいと思います。
  102. 村上敬亮

    ○村上政府参考人 お答え申し上げます。  中小企業生産性向上、極めて重要な課題でございます。例えば、新商品・サービス開発、プロセス改善のための設備投資を支援するものづくり補助金、ITツールの導入支援するIT導入補助金、小規模事業者が取り組む販路開拓等を支援する持続化補助金、これらの三つを総称して中小企業生産性革命事業ということで予算措置をさせていただいていますが、このほかにも様々な予算、制度、税制等で支援をさせていただいてございます。  ものづくり補助金、これを例に効果を御紹介申し上げますと、平成二十四年度の補正予算で創設されて以来、これまで延べ八万者以上の設備投資を支援してございます。この制度導入以来、三年から五年にわたり終わってからの事業化の状況を聴取してございます。  例えば、既に五年を過ぎました平成二十五年度補正予算事業の実績で見ますと、補助事業の交付決定をした時点と比較して、いただいた方々の約七割がその事業化に付加価値の増加という形で成功してございまして、そのときの対象予算額が千四百億、これは補助率が約二分の一でございますから設備投資としては三千億くらいの規模の事業であったろうということが推察されるわけですが、報告書によれば、この三千億の投資に伴う付加価値の増加分は約一・五兆円ということで、約五倍前後の効果を出しているということでございます。  こういったような効果のモニタリングもしっかりとさせていただきながら、生産性の向上に引き続き支援をさせていただければというふうに思ってございます。
  103. 本田太郎

    本田分科員 ありがとうございます。中小企業生産性向上、数字を挙げて御紹介をいただきましたわけですけれども、数字を見ていると、極めて大きな効果が出ているとお見受けをいたします。  他方で、では実際に、世の中におきまして、我々生活者として見た場合に、どれだけ中小企業生産性が上がって、景気若しくは経済がよくなったことに影響が出ているという実感が出ているのかというと、そこまではいっていないというのが正直なところでございまして、まだまだ、効果は出ておりますけれども、これからまだ道のりは長いというふうに思いますので、引き続き地道な努力をお願いしたいと存じます。私も、できる限りの応援をしてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。  続きまして、創業やベンチャー支援について質問をさせていただきたいと思います。  新たな創業やベンチャー企業の出現は、経済の新陳代謝を促して経済を活性化させるだけではなくて、倒産や廃業した企業の従業員を新たに雇用するなどの効果もありまして、雇用創出という観点からも重要だと思います。しかし、我が国の開業率は平成三十年度は四・四%と低水準にとどまっておりまして、政府は、昨年閣議決定されました成長戦略フォローアップにおいてアメリカやイギリス並みの一〇%台を目指すとしております。  そこで、お尋ねをいたします。開業率一〇%台を目指すために政府としては具体的にどのような施策を用意しておられますでしょうか。また、その効果についても御答弁をお願いしたいと思います。
  104. 村上敬亮

    ○村上政府参考人 貴重な機会をいただいて、ありがとうございます。  ちょっと宣伝をさせていただきますと、平成二十五年に、産業競争力強化法、これを改正をいたしまして、千四百六十の市区町村で創業支援のための計画を入れるというスキームを入れていただき、それぞれの市区町村でワンストップ支援窓口を整備するでありますとか、認定支援を受けた創業者に対しては持続化補助金の上限を百万円に引き上げるといったような措置、こちらは大体約十八万者、むしろ最近の方が増えてございまして、平成三十一年度で四万者の創業を結果として促している、こういう報告が上がってきてございます。  また、税制面では、会社設立時の登録免許税の軽減でございますとか、ベンチャー企業への資金供給を促すためのいわゆるエンジェル税制ということもさせていただいてございます。このエンジェル税制につきましても実績は着実に伸びておりまして、最初は、現行制度が開始された平成二十年度は大体十一億円くらいの利用額だったのでありますが、平成三十一年度には約五倍の五十六億ということで、着実にという表現だとは思いますけれども、実績を積み上げてきているところでございます。  また、産業競争力強化法の計画認定と併せて、平成二十五年から三十年までの間、現在はもう終了してございますけれども、一件当たり最大で二百万円の創業補助の措置をやらせていただきまして、これにつきましては、大体、三百億の予算をトータルで投じまして、約一万件の創業がここから直接生まれているというような状況でございます。  ほかにも、現在でも最大三千万円まで無担保、無保証人、低利融資ということでやらせていただいている政策金融公庫の融資がございますけれども、こちらにつきましても、平成三十一年度、単年で見まして約三万二千件の利用ということでございまして、制度開始当初は三百件からスタートした制度でございますけれども、着実に、認知と利用はそれなりに進んでいる。  さらには、量的なところだけでなく、優れたベンチャー企業への官民連携した支援やそのネットワーク化を目指すということで、J―Startupプログラムというものを始めさせていただきまして、トップクラスのベンチャー企業やアクセラレーターの方々から推薦していただき、百三十九社を選定して、いろいろな活動をしていただいている。  さらには、しつこいようで恐縮でございますが、起業家教育も重要だということで、全国十一校でモデル事業をやり、標準カリキュラムを見直し、七百八十六名の講師協力者リストの整備をし、全国七十六校に講師派遣を行うといったようなことをやってございます。  でも、先生御指摘いただいたとおり、開業率の数字の方で抜本的な改善があるかというところでいいますと、正直、上がっている年もありますし、戻してしまった年もありますし、一進一退しているような状況でございますので、引き続きこの分野につきましてもしっかりと力を入れてまいりたい、このように考えてございます。
  105. 本田太郎

    本田分科員 どうもありがとうございます。創業、ベンチャーに関する支援策は様々充実をしていただいていることがよく分かりましたし、ありがとうございます。  ただ、最後に答弁いただきましたように、そういった支援策があるにもかかわらず開業率がなかなかアップしないということであります。開業率の計算の仕方もいろいろあるんでしょうし、そう簡単な数字ではないとは理解はしておりますけれども。  また、それだけじゃなくて、幾ら支援をしても、日本国の国民性とか、あと教育の問題とか、そういった、何といいますか、経済的な面だけじゃないところで日本においては開業が少ないという理由がもしかしたらあるのかもしれませんが、その点をおくにしても、やはり、冒頭申し上げたように、新しい産業を育てていくということによりまして日本の経済復興とそしてまた雇用を生み出すということは非常に重要でございますので、様々、障害といいますか越えなければならない山はたくさんあると思いますが、引き続き頑張っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、話を変えまして、エネルギー政策についての質問をさせていただきたいと思います。  我が国では、一九七〇年代の二度のオイルショックを経験し、石油に代わるエネルギーとして天然ガスや原子力導入が進められてきましたが、平成二十三年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故の発生以降は国内の原子力発電所が稼働停止いたしました。その代替策として、特に天然ガスの割合が急増すると同時に、平成二十四年には固定価格買取り制度、いわゆるFIT制度が始まりまして、太陽光発電を中心に再生可能エネルギーのシェアも伸びてきているところであります。  こうした状況を背景にしまして、我が国エネルギー自給率を見てまいりますと、戦後の石油等の輸入増加が原因となって自給率は低下を続けてまいりました。また、平成二十六年には原子力の発電量がゼロになったこともありまして、過去最低の六・四%に低下してまいりました。ただ、その後、再生可能エネルギーの普及や原子力発電の再稼働によりまして、平成三十年のエネルギー自給率は一一・八%まで持ち直しているという状況でございます。  そこで、お尋ねをいたしますが、政府として我が国エネルギー自給率を上げるために現在どのような政策を進めておられるのか。また、今後についてはどのような方針で進めるつもりかという点につきまして答弁をお願いしたいと存じます。
  106. 長坂康正

    ○長坂副大臣 お答え申し上げます。  エネルギー政策を進める上では、本田委員もよく御承知のスリーEプラスS、まず第一に安全性の確保を大前提といたしまして、エネルギー供給の安定性の確保気候変動の問題への配慮、そして経済性についてバランスを取ることが重要でございます。資源の乏しい我が国におきましては、エネルギーの安定供給確保する上ではエネルギー自給率の向上は極めて重要と認識をいたしております。  こうした観点から、エネルギー自給率を高めるため、徹底した省エネルギー、脱炭素の国産エネルギー源である再生可能エネルギーの最大限の導入、そして、確立した脱炭素電源であり、数年にわたって国内保有燃料だけで発電可能な準国産エネルギー源である原子力の活用に取り組んできたところでありまして、今後も着実に進めていくことが重要であると考えております。  現在進められておりますエネルギー基本計画の見直しに向けた議論におきましても、エネルギー自給率の観点も踏まえつつ検討を深めてまいりたいと考えております。
  107. 本田太郎

    本田分科員 ありがとうございました。  今後、グリーン化、またカーボンニュートラル、こういった問題も大きく関わってまいりますし、引き続きまして再生可能エネルギーの普及促進に向けまして御尽力をいただきたい。また同時に、原子力につきましてもその安全性を確認しながらしっかりと進めていくということが大事だと私も思っておりますので、私もしっかり協力を、できるところはしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。  今、政府としての今後のエネルギー政策の方針についてお伺いをいたしましたが、他方で、私の選挙区には舞鶴市という港町がございまして、そこには関西電力の石炭火力発電所がございます。そのため、舞鶴港の貨物はその大宗を石炭が占めておりまして、また、火力発電所に関連して多くの雇用が生み出されているところであります。  こうした状況ですから、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けた政府エネルギー政策の中で、舞鶴市の石炭火力発電所も廃止されてしまうのではないかと、関係者や市民の中にも不安の声があるのも事実であります。地球温暖化防止のためにカーボンニュートラルや脱炭素社会を目指すという政府の方針には私も大賛成でございますが、一方で、石炭火力発電所を抱える地元の心配も理解できるところであります。同じように石炭火力発電所を抱える地域では、大なり小なり、同様の危惧があるのではないかと推察をしております。  そこで、お尋ねをいたしますが、全国にある石炭火力発電所について今後どのような対応を予定されているのか。また、地元の関連産業雇用についての対策についてどう考えておられるのか。所見をお伺いしたいと存じます。
  108. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  石炭火力は、現状におきまして電力の安定供給を支える重要な電源でございます。この冬の電力需給逼迫の中でもほぼ一〇〇%の設備稼働率ということになりますように、安定供給実現のために大きな貢献を果たしていると認識してございます。  一方で、委員も御指摘ございましたけれども、CO2をたくさん排出するという環境面での課題を抱えているところでございまして、カーボンニュートラルを将来的に目指し、そして二〇三〇年エネルギーミックス実現する上でも、現在、経済産業省の審議会の中では、非効率な石炭火力については徐々にフェードアウトしていく、これを実現するための取組を実効性のある方策をもって検討していきたいと思っております。  委員指摘のように、石炭火力には地元雇用ですとか地域経済を支えてきたという面もございまして、休廃止に伴います悪影響について懸念の声があることは私どもも承知しているところでございます。  こうした中で、現在検討しております具体的なアプローチでございますけれども、一律な基準をもって、これだけの基準がないと即廃止するということではございませんで、省エネ法の規制枠組みによりまして事業者ごとに保有する発電所の全体での発電効率を改善させる取組、若しくは、それぞれの発電所がより高い効率を求めていく、こういう取組を奨励し、この中で柔軟な形で対応していく。  これはどういうことかと申し上げますと、発電事業者に一定の自主性を与えることによりまして、例えば、発電所のアンモニアの混焼を進めていく、若しくはCCSに省エネに向けて取組をしていく、こういった取組もあるかもしれません。発電所の中でも効率的なものと非効率なものがあります。これのウェートを変えるということに対応ができるかもしれません。  いずれにしろ、電力の安定供給に配慮しつつ環境対応を両立させる方向で検討を進めているところでございまして、いずれにしましても引き続き関係者の御意見を聞きながら丁寧な議論を進めていきたい、このように考えてございます。
  109. 本田太郎

    本田分科員 明快な御答弁をありがとうございました。おっしゃったように、一律ではなくて柔軟な対応発電所ごとに見ながらやっていくということで、大変期待をしております。  石炭火力発電所でも新しいものや効率的なものも中にはございますし、設備的なものも含めまして、一気に破棄してしまうものが非常にもったいないというところもあるかと推察します。そういったところではうまく、新技術、アンモニアとか、おっしゃったCCS、こういった技術をうまく利活用して、例えば転用するとか、様々な生かし方を見つけながら進めていただけると、地域にとりましても心配が払拭されますし、また実態面でも、雇用や町のにぎわいも含めまして、そういったところに悪影響ができるだけ少なくなるようにできると思いますので、御尽力のほどをよろしくお願いいたします。  話題を変えまして、次は、通商政策について質問をさせていただきます。まずはRCEPについてであります。  RCEPは、ASEAN十か国、日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの十五か国が加盟する経済連携協定で、世界全体の人口、GDP、貿易総額の約三割を占める、非常に大きな経済圏を形成する協定であります。平成二十四年から約八年にわたる交渉が続き、昨年十一月に首脳会談で署名が実現したものでございます。  ただ、元々の交渉参加国であったインドが離脱したために、経済圏のサイズは随分と縮小したものとなってしまいましたし、また、自由で開かれたインド太平洋の実現を掲げる我が国の立場からすると、今後の安全保障上の見地からもインドの参加が望ましいのではないかなと私自身は考えているところであります。  昨年の首脳会談ではインドが望む場合にはいつでも加入交渉に応じるということが確認されたと聞いておりますが、今後のインドが加入する可能性や、また、我が国としてインドにどのように働きかけをしていくのかについてお尋ねをしたいと思います。
  110. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員指摘のとおり、インドがRCEPの署名に参加できなかったことは大変残念であります。私どももぎりぎりまで参加するように要請をしておりましたし、また、インドと日本の二国間でもやり取りをしてきたけれども、結果として参加しませんでした。  かかる観点から、昨年十一月のRCEP首脳会議では、日本が主導しまして、RCEPが引き続きインドに対して開かれていることを十五か国の首脳間で確認するとともに、インドのRCEP参加に係る閣僚宣言を発出をしたところであります。  この閣僚宣言では、インドが望む場合にRCEPに参加した十五か国はいつでも加入交渉に応じるということ、RCEP各会合へのオブザーバー参加や、RCEP締結国を対象とした能力向上支援への参加を認めること等の、インドの参加を歓迎する立場を明確にしたところであります。  また、インドの将来的な加入の実現に向けて、国際的なサプライチェーンにつながる競争力ある産業がインド国内に立地する環境整備することが極めて重要であります。インドが参加しないような方向性に行き始まった頃、一昨年の十二月でありますけれども、私ども、インドを訪問してゴヤル商工大臣とやり取りをさせていただきました。そして、その観点から、日印産業競争力パートナーシップにおいて物流の効率化や繊維分野の競争力強化といった協力を進めてきたところでもあります。  インドの加入の可能性について現段階で予断をすることは差し控えますが、我が国としては、こうした取組を通じてインドのRCEP復帰に向けて引き続き主導的な役割を果たしていく所存でありますし、また、二国間でもしっかりと要請をしてまいりたいと思っております。
  111. 本田太郎

    本田分科員 ありがとうございました。インドが加入できるように、これまでも相当な御尽力をしていただいたことがよく分かりました。今後も引き続き御尽力をいただければと思います。  やはり、自由で開かれたインド太平洋構想、こういったものを、別の枠組みではありますけれども、こういった枠組みを様々なところで重複的にいろいろな形で実現していきまして、インドから太平洋地域にわたりまして法の支配に基づく秩序を実現して、我が国、そして同盟国、自由主義国家の安定のためにも、我が国がリーダーシップを取れる、そういう地位を築いていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、韓国向けの輸出管理についてお尋ねをいたします。  我が国は、二〇一九年、韓国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生したとして、半導体材料の韓国向けの輸出等について包括輸出許可制度の対象から外し、また、輸出管理優遇措置対象、いわゆるホワイト国から韓国を削除いたしました。そして、包括輸出許可制度からの除外に対しまして韓国はWTOに提訴をし、昨年七月には、紛争処理委員会、いわゆるパネルが設置されたところと聞いております。  この後のWTOにおける状況、また、この件に関する我が国と韓国との交渉の状況についてお尋ねをしたいと存じます。
  112. 風木淳

    風木政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の韓国への輸出管理でございますが、二〇一九年七月に公表した運用見直しでございます。これは、あくまで安全保障を目的に、輸出管理を適切に実施する観点から実施したものでございます。  韓国側とは、二〇一九年十二月それから昨年三月に局長級の輸出管理政策対話を開催しまして、輸出管理当局間の意思疎通を真摯に積み重ねてきたところでございます。昨年七月に、御指摘のとおり、WTO紛争解決機関会合におきまして、韓国の要請によりまして、韓国向け輸出管理措置の運用見直しに関するパネル、小委員会設置されたところでございますが、これは関連三品目に関する輸出管理についての紛争処理ということになります。  このWTOでの韓国側の対応でございますが、対話と意思疎通を通じて懸案を解決しようということで合意してきたわけですが、それをほごにしかねないというものでありまして、こうした状況では政策対話の開催は困難であると考えてきたところでございます。  この輸出管理の運用見直しはWTO協定に整合的なものでございまして、日本としては引き続きWTO協定の手続に沿って粛々と対応してまいりたいと思います。  なお、委員から御指摘があった現在の状況でございますが、パネルの方は、パネリストの選定をWTO協定に沿って進めているという状況でございます。
  113. 本田太郎

    本田分科員 ありがとうございました。今御答弁がございましたように、状況は理解をいたしました。  我が国から韓国にこれから特別の何か働きかけをするというよりも、むしろ、やるべきことをこれまでやってきたけれども、交渉の経緯から逸脱するような対応があったために我が国としては推移を見守っているということ、そういう部分もあるかと理解をしております。もし理解が間違っていたら、また御指摘いただきたいと思いますけれども。  そのような状況であるということであるならば、あえてそこで私ども日本の方からこれをまた更に譲歩して話をしていくという必要はなくて、毅然とした対応をもって、粛々とルールにのっとって進めていくという姿勢が大事だと私も思いますので、引き続きまた御尽力をいただきたいと思います。  質問は以上となります。本日は、大変貴重な機会をいただきまして、ありがとうございました。  終わります。
  114. 佐々木紀

    佐々木(紀)主査代理 これにて本田太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、秋本真利君。
  115. 秋本真利

    秋本分科員 二月八日の予算委員会でちょっと積み残しちゃったので、先に、残り、私にとっての残りの方を聞きたいというふうに思います。  風力のアセスについて、河野大臣のタスクフォースのところでも、今一万のものを五万にせいや、年度内に結論を出してねということになっていると思います。このことについて、今どういう進捗状況なのか確認をしたい。五万キロ以下の部分については、海外なんかではスクリーニングというところの範囲に入れて、スクリーニングの対象にするというようなやり方をしているところもあったりするので、いろいろなやり方があるんじゃないかなというふうに思いますが、今どういうことを考えていらっしゃるのかというのが一つ。  それと、環境アセス。風力に限らず、どんどん短くするぜというふうに環境省は言っているんですが、確かに短くなっているものもあるけれども、じゃ、どのくらい、短くなっていると言っているものについて件数があるんですかと問い合わせたところ、問取りのときに聞いたら、例えば、実数として一件しかありません、三件しかありませんと。それは、その特段短くなっているものだけ取り上げてみると確かに短いんだけれども、全体として見たらどうなんかいなというところがあると思うんですよね。  じゃ、何でこんなにここは短くならないのと聞くと、これは正直なベースなのかもしれないけれども、環境アセスというのは環境省だけかというふうに思うかもしれないけれども、評価書のプロセスについては、一部経産省に先に回して事前に審査をしてもらう的なところもあるので、経産省にも協力してもらわないとアセスは短くならないんだよねということが私も分かりました。  だから、経産省にも、ここの部分についてはどのように考えているのか。経産省さんもその事前審査の部分というのは早くやってもらわないと期間の短縮にならぬので、これは環境省と経産省に、両方にお尋ねをしたいと思います。  また、農地の利用拡大というものについても、河野さんのところのタスクフォースでもいろいろ言われていますけれども、地域の農業委員会によって非農地認定がなかなかされなかったりとか、ソーラーシェアリングができないという事例も相次いでいますし、今日だかいつだかの新聞を見ても、どこかの県が条例で、山梨だったかな、山梨も、あと和歌山もたしかあるんですけれども、太陽光だとか洋上風力だとかを条例で規制しようぜというような動きが出てきて、こういうところというのはなかなか敏感な問題かもしれませんけれども、農地に関しては、ちょっとADR的なものを設けて、第三者にきちっと正当性を判断してもらうということもあってもいいんじゃないかなと思うんですが、この点について、それぞれの省庁にお伺いをいたします。     〔佐々木(紀)主査代理退席、主査着席〕
  116. 和田篤也

    ○和田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の昨年十二月のタスクフォースで議論があったところでございますけれども、環境省におきましては、経済産業省とともに、再生可能エネルギーの適正な導入に向けた環境影響評価のあり方に関する検討会というものについて、一月に入りましてから立ち上げたところでございまして、スピード感を持って検討を進めているところでございます。  検討会におきましては、タスクフォースにおける御指摘の方向性を勘案しつつ、スクリーニングの観点の論点も含めまして、有識者に加えまして、発電事業者、地方自治体などにも御参加いただきまして、議論を進めております。  御指摘の二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現するという目標の達成に向けまして、地域の理解の下で、地域環境に配慮しつつ、再生可能エネルギーの最大の導入を促進できるよう、御指示のとおり、年度内にということで、環境省として方向性を打ち出すということにしているところでございます。  また、併せて御指摘いただきましたスクリーニングにつきましてというところについても、実は、タスクフォースのみならず、この検討会でやはり委員指摘のような点についても意見が出ておりまして、したがいまして、このスクリーニングに関する論点も含めまして、併せて並行して議論を進めていくというところにギアアップをしたいというふうに思っているところでございます。  それから最後に、もう一点は、長期に及ぶ、短縮化のことについて、具体的に件数が少なくてかくかくしかじかという御指摘を賜りましたところでございますけれども、御指摘のとおり、まだ対象になる件数につきましても数件だったりとか、加えまして、要因は何なのかということについてとかもまだ十分把握できていないということもございますので、そもそも対象をしっかり増やしながら、なおかつ要因をしっかり分析するということを経済産業省とも連携しながら進めるということで準備を進めてまいろうと考えておりますので、よろしく引き続き御指導のほどお願いしたいと思います。
  117. 太田雄彦

    太田政府参考人 お答え申し上げます。  環境アセスメント手続の一層の迅速化に向けましては、経済産業省としまして、アセスプロセスの一つ一つを進めると、一つのプロセスが終わってから次のプロセスに進むというやり方だと時間がかかってしまいますので、行政手続と並行して実際の環境影響調査を進めることができるような手法を実証事業開発をしまして、それを発電所アセスの手引に盛り込むことで、事業者にその活用を促してございます。それに加えまして、環境アセス手続の手戻りを防止するために、チェックリストの作成や事例集の公表などということも行っているところでございます。  更なる手続の迅速化に向けまして、その原因を分析して、環境省とともに対策を検討してまいります。
  118. 山口靖

    ○山口政府参考人 お答え申し上げます。  農林水産省におきましては、再生可能エネルギーの円滑な導入を図るために、再エネの相談窓口を本省、地方農政局に設けまして、事業者からの相談に応じているところでございます。  先生が御指摘のような、転用許可の運用に係る疑義などがあった場合には、その制度の運用に不適切な点があれば、必要に応じまして、申請者あるいは許可権者である都道府県知事が適切な判断ができるように助言等の指導を行っているところでございます。  農林水産省としては、カーボンニュートラル実現のために再生可能エネルギー導入を図ることは重要であると考えておりまして、この相談窓口につきましても、今後とも適切に運用してまいりたいと考えております。
  119. 秋本真利

    秋本分科員 大臣、アセスの短縮は経産省さんも協力していただかないと短くならない部分があるので、今、手戻りがないように事前にということをおっしゃっていましたけれども、これが何か九か月前後、事前に出してもらって見ていたりとかすることが経産省でもあるみたいなので、環境省だけではないので、是非経産省としてもここの短縮というのにお力添えをいただきたいなと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  あと、次に国交省にお伺いをいたしますが、私が政務官だったときに洋上風力の新法を作って、そのときの港湾局長だった菊地さんに私が指示をして、これから港を使うことになるから各事業者に、どういう事業をいつどういうふうにやって、港をどういうふうに利用するのかということを全部ヒアリングするようにということで。  ただ、彼ら、普通に問い合わせたら、それはもう企業秘密なので絶対に教えられませんと最初言って蹴っ飛ばされたのを、公務員は守秘義務がかかっているから絶対に外に出さないから、政治家である私も聞きませんということで、当時の課長だったかにヒアリングをしていただいて、それならということで二十何社全部その情報を出してもらって、国交省がそれを基に基地港湾の指定とかを今行っているんじゃないかなと。私はもう政務官終わって何年もたっているので分からないんですが。  当時だと、想定で、マックスで十メガだったんですよね。当時は、まだ五メガとか数メガとかいって、一番大きいお化けみたいなのが九・五メガ、じゃ、十メガあればいいんじゃないというところでヒアリングをしたんだと思うんですけれども。今、普通に十三とか十四とか、下手すると十七とかいうものも机上ではもう出てきてしまっていて、とても十メガで基地港湾を基本設計していると全然スペックが足りないよねということになると思うんですよね。  私がいた頃のデータに基づいて施策展開しているというのは、いた者としてはありがたいところもあるんですけれども、ちょっとこの世界、日進月歩で進みがすごく速いので、数年たってしまった古いデータに基づいて施策展開をしていると手戻りが起こるのではないかなと思うんですけれども。この点について、情報を更新するというようなことを私はするべきじゃないかと思いますが、国土交通省さんはどう考えているか、お尋ねをいたします。
  120. 加藤雅啓

    ○加藤政府参考人 お答えいたします。  海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾、いわゆる基地港湾でございますけれども、これにつきましては港湾法第二条の四に基づき、昨年九月に、能代港、秋田港、鹿島港、北九州港の四港を指定し、十メガワット級の風車にも対応できるように既存の港湾施設の改良に係る事業を実施しているところでございます。秋田港では、来月にも事業完了予定でございます。  一方、風車の出力に関しましては、欧州の風力エネルギー協会、ウィンド・ヨーロッパの資料によりますと、大型化傾向にあるものの、二〇一九年時点においては、建設中の風車は平均七・八メガワットとなっていると聞いております。  このような中、更なる風車の大型化に適した港湾整備を行うに当たりましては、我が国におきましても、欧州よりも厳しい自然条件等を踏まえた検討が必要であると認識しているところでございます。  学識経験者からも、風車の大型化については、大きいだけが効率的ではない、日本の風土、規模に合ったレベルのものでまずはしっかり基地港湾の整備をしていただきたいといった旨の意見をいただいているところでもございます。  引き続き、有識者や産業界の御意見を丁重に丁寧に拝聴しながら、将来の風車の大型化にも十分対応可能となるよう、基地港湾に係る検討をしっかり進めてまいりたいと思います。
  121. 秋本真利

    秋本分科員 風車が大型化しているというのは国交省さんもしっかり認識されているということが分かりましたので。私がいた頃は、十メガでも、お化けみたいな、とんでもない大きさだねと言っていたのが、今は普通に、ヨーロッパで十二、三メガが実際にもう回っていますから。十四とか十七が机の上にはもう出てきて、設計図なんかには出てきてしまっていますから、十メガだとちょっとスペックが足りないんじゃないかなとすごく心配しているので、そこについては、本当に、経産省さんとしっかりと連携を取りながら、手戻りがないように整備を進めていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。  環境省に、ちょっと、全くエネルギーは関係ないんですけれども、欧州で、泡消火剤でPFAS、ちょっとやばいよねということで、PFAS、PFOSとかいろいろ、アルファベットが一文字、二文字変わっていろいろな言い方があって、いろいろなものがぶら下がっていて、種類があるみたいですけれども、いずれにしても、これらはちょっと、相当環境に負荷があるからやめようぜということが世界の潮流になってきていて、日本もこの流れに沿って、環境省が数年調査をして、今、地公体にもその情報を流して、なるべく早くなくしてねと。  うちの地元の成田空港なんかも三年以内になくすぜとか、いろいろ、消防も三年以内、自衛隊も三年以内とかとなってきていて、だんだんなくなっていく傾向にあるんですけれども、PFASを使用しない新たな消火剤の開発というものにも一生懸命傾注をして、世界に先駆けてそういうものを開発して日本がその分野でリードをしていくということも、私は環境先進国日本として求められているのではないかなと思うんですが、環境省はこの辺についてどういうふうに考えていますか。
  122. 田原克志

    ○田原政府参考人 有機フッ素化合物、PFASでございますけれども、これに関しては、現在、その一部について、国際的に製造禁止などの規制がなされておりまして、規制されていないPFASにつきましても、欧州委員会等で規制に向けた議論がなされております。  環境省におきましては、欧州委員会等で議論されております規制内容や根拠となる科学的知見等につきまして、関係する国に対して、今年度、調査を実施しているところでございます。  泡消火薬剤につきましては、御指摘のとおり、PFASが含まれているものがございまして、可能な限り環境汚染リスクの低い製品を使用していただくことが重要だと考えております。  委員指摘の代替製品の開発につきましても、今年度実施をしております調査の結果を関係団体等に情報提供しつつ、どういうふうな支援ができるのか、関係省庁と連携して検討してまいりたいと考えております。
  123. 秋本真利

    秋本分科員 是非よろしくお願いをいたします。  次に、この冬の電力需給逼迫に基づいて卸電力市場の価格がちょっと高騰したよねというところについて、お伺いをしていきたいというふうに思います。  私、この予算委員会でも梶山大臣と議論をさせていただいて、私は、今この時点の経産大臣梶山大臣でよかったなと本当に思っています。私は個人的には梶山さんは、出身母体でいろいろ言う人がいますけれども、歴代、この数代の経産大臣の中で再エネに一番理解があって、原発と再エネに対してフラットな姿勢で本当に臨んでくださっているというふうに思っているので。  この問題についても、一部では、自由競争の市場でこういうことが起きたんだから、それは受け入れて、潰れるところは潰れていけばいいんだよねということを言う人がいますが、この市場が自由化された後、全く、本当にイコールな競争条件なのかということについては、私は非常に大きな疑問を持っています。市場を独占的に支配できるだけの力のあるプレーヤーがかなりいる中で、小さなアリンコが踏み潰されていくのを、象とアリがけんかするのもありなんじゃないのと言っているのに等しいと思うので、私は是非、そうじゃないよねというところをここでお話をさせていただいて、できれば新たな対応策を大臣に打ち出していただきたい。  今の時点でも、経産省さんがインバランスとか価格について分割を認めていただいているということで、これは私は評価をしたいと思います。  だけれども、私は、例えば四回を四十回払いとか、百回払いじゃないですけれども、もっと薄く長くしていただきたいなと。その間に、市場が、本当に今回の事象が起きても仕方ないよねということだったのか、それとも、やはりちょっと是正をしなきゃいけないことがあったので更なる対応策を練らなきゃいけないのかという、私、時間稼ぎにもなると思うんですね。  例えば、一般の送配に積み上がったものは絶対に小売の方には戻しません、それはやはり遡及的な適用はいけないからと言うけれども、大臣、もし公取が出てくるような案件になって、おかしいよねということになったら、そのおかしなルールに基づいてこういう事象が起きたものについては、私は戻してもいいと思うんですよね。  今の議論は、市場は正しかった、自分たちのそのルール設計に何の問題もなかった、そこでたまたま予想していないことが起きちゃったので、だからこれぐらいしか救済策ができませんということなんだけれども、それ以上のものが出てくる可能性も、私は今の時点では否定できないんじゃないかなと思うので、薄く長くして、もし万が一そういうことが出てきたら遡及して対応できるという状況をつくるためにも、更なる分割払いを、もうちょっと長くするべきじゃないかなというふうに思っています。  それで、例えば、ちょっとお伺いしたいのが、大臣、HJKSって分かりますか。事務方に答えてもらっていいんですけれども。JEPXの市場に、発電事業者が、このぐらい発電できますよということを事前に報告するんですね。入力していきます。その数値が積み重なっていきますけれども。  これは、基本的には、広域機関が一般送配電事業者から情報を集めて最大供給力予測というものを出すんですけれども、これを上回るということは、私はおかしいと思うんですが、お配りした資料の青線、最大供給力を上回っちゃっているんですね。これは、私はちょっとおかしいと思います。  なぜかというと、HJKSは、インサイダー情報になるであろう入札制約があるときは、この炉は止まりまっせということを入力してお知らせをするんですよね。だから、HJKSの数値というのは自社需要と予備力と入札可能量を足し上げたもので、最大供給力はこれに更に入札制約を積み上げたものだと思うんですよ。だから、HJKSが最大供給力を上回るということはちょっとおかしいんじゃないかなと思いますけれども、この点について、私が間違っているのか、ちょっとお伺いをしたいと思います。
  124. 佐藤悦緒

    ○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  今先生が御指摘いただきました広域機関が出しております最大供給予想は、各社が、燃料制約やポンプアップの原資不足によって火力発電所や揚水発電所が設備容量まで供給できないという、予想した実際の出力低下を踏まえての予想値であるというふうに認識をしております。  他方、先生が御指摘いただきました発電情報公開システム、HJKSでございますが、これは、出力低下情報の開示につきましては、十万キロワット以上の出力低下が二十四時間以上継続することが合理的に見込まれる場合が開示の対象になっております。  そうなりますと、場合によってはでございますが、実際の出力低下が反映されず、設備容量そのものとなってしまいまして、先ほどの最大供給予想と外れることも起こり得るというふうに考えております。  もう少し具体的に申し上げますと、今般のLNGや石油の燃料在庫の低下に伴う出力抑制の実施に当たりましては、一部の旧一般電気事業者から、市場への影響を抑える観点から、朝夕のピーク時間帯にだけ燃料制約をかけずに運転していたといった報告も受けておりまして、このようなケースは、今申し上げました二十四時間以上の出力低下の継続といった要件に該当しない場合があったというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、今後、燃料制約等に伴う電源停止や出力低下情報について、ガイドライン上のルールに基づき適切に開示が行われていたか否かも含めて、徹底的に検証を行っていきたいというふうに思っております。
  125. 秋本真利

    秋本分科員 ちょっと分かりにくいのでもう一回聞きますけれども、HJKSは、じゃ、旧一般電気事業者の人たち、全部きちっと入力していたということは確認していますか。間違いないんですか、今回。
  126. 佐藤悦緒

    ○佐藤政府参考人 本日も各一般電気事業者からヒアリングをしておりまして、まさに今、その検証をしている最中でございます。
  127. 秋本真利

    秋本分科員 大臣、これ、HJKSって、やはり最大需要予測からこんなに大きく乖離するというのはおかしいんですよ。燃料制限があった場合は、止めるときは入力するということになっているわけだから、最大供給力をかなり上回るというのは、これは相当入力していない事業者がいたということの裏返しになるので。  そうすると、これを見て、LNGの在庫量は分からないわけですから、これを見て燃料の制限があるのかなということを小売は予測したりするわけですよ。  この中で、このHJKSというのは、デーのデータ、積み上げたもの、トータルのデータはデーのものしか出てこないんですね。アワーで出てこないんですよ。これはアワーも、個別の発電所をクリックしたら見れまっせと言うけれども、日本中の発電所は何か所あるんですか、だって。それを全部計算して電卓で足し上げて考えろということだと、足し上げているうちに一時間、二時間たっちゃうでしょう。瞬間でみんな見たいわけだから。そうすると、アワーもやはり瞬時に出していかないと私はいかぬなと思うんだけれども、これはアワーで出すことはできませんか。
  128. 佐藤悦緒

    ○佐藤政府参考人 今先生御指摘いただきましたように、各設備ごとに時間ごとでは出ておりますが、全体とかエリアになりますと、先生が御指摘いただいたように、そこまで細かくないということもあるというふうに承知をしております。  いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたが、出力低下情報の開示は、現在、十万キロワット以上の出力低下が二十四時間以上継続することが合理的に見込まれる場合のみになっておりますので、このような開示というのが適切かどうかということも、今日の御指摘も踏まえて検討していきたいと思っております。
  129. 秋本真利

    秋本分科員 私は、大臣、やはりその十万キロで二十四時間という要件もちょっとどうかなと思うし、デーでしかデータが出てこないというのもどうかなと思うんです。  つまり、だって、LNGは国際的な競争力の観点から見せませんと彼らは言っているわけだから、だったら、せめてこういう情報だけでもリアルタイムで見られないと予測できないわけですね、小売電気事業者は。何にも見えない中で、真っ暗闇の中で札を入れろと言われているのと同じなので、こういう情報は出すべきだと思うし、LNGの在庫量だって、もしオンタイムで出せないなら、私は欧米みたいに出してもいいと思うけれども、でも、オンタイムで出せないんだったら、せめて数か月後にきちっとした数値を出して、事後で検証できるようなシステムをつくっていくということをすれば、隠し球がありましたというようなこともなくなってくるんじゃないかな、そういう疑義を持たれることもなくなってくるわけなので、市場の設計そのものは、もう一回改めてするべきだというふうに思います。  今聞いてもらったとおり、HJKSをちゃんと入力しているかどうか調査中ということなので、ここでもしチョンボをしていると、やはり市場は本当に正しい情報に基づいた自由な競争で公正なものが行われていたのかというところについても疑義が出ると思いますし、これは、仮に入力しなくても余り大したペナルティーがないんですよね。これはもうちょっと厳罰を与えるべきじゃないかと思いますけれども、この点についてどう思いますか。
  130. 佐藤悦緒

    ○佐藤政府参考人 先生が御指摘のように、現行の電力適正取引ガイドライン上では、電源の停止情報や出力低下情報の全てが開示の対象とされているものではなくて、今御指摘いただきましたように、HJKSでの開示を念頭に置いております。  ただ、御指摘いただきましたように、今回のような状況を受けまして、開示というのも、現行でいいかどうかということも含めて検討させていただきたいというように思っております。
  131. 秋本真利

    秋本分科員 大臣、いろいろ改善しなきゃいけないところがあるので、こういう市場で戦っていた人たちを、自由な競争で戦っていたんだから死んだっていいよねというのは、私はちょっとやり過ぎなんじゃないかなというふうに思いますし、二月八日の予算委員会でグロスビディングの話をしたときに情報開示をとしていたら、今日までの間にいろいろ議論をさせてもらったら、そもそも市場に出していなくて。  発電事業者はJEPXに口座を持っていない人たちがいる、中には。そうすると、直接市場に出せないから、グループの小売に出して、グロスビディングしたことにして、価格を市場に連動させて取引したことにしますということが普通にあり得るというんですよ。市場を通していないわけだから、市場に数字も出てこないし、取引が終わった後に振り返ってみたら、取引していたということにして数字が見られるというだけなので。ここは市場を通っていないんですよね。  これをちょっと公取に聞きたいんですけれども、公取は、適正な電力取引についての指針では、一般電気事業者であった発電事業者等が、不当に、又は、正当な理由なく卸電力市場に電力を投入しない場合は、いろいろ、どうのこうのと書いてありますけれども、独占禁止法上違反となるおそれがあると書いてありますけれども、これは普通に読むと、「発電事業者等が、」となっているんですね。だけれども、今言ったとおり、大臣、発電事業者は入れていないで小売を介してやっている場合があるので、この独禁法、違法となる対象として、発電事業者等の「等」の中に小売電気事業者は含まれるかどうか、教えてください。
  132. 粕渕功

    ○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。  今の点につきましてですけれども、一般論として申し上げますと、小売部門がどの程度自社需要を確保して、またどの程度卸電力市場に電力を供給するか、この点につきましては、一義的には小売部門の判断だと考えております。  それで、しかしながら、今先生が御指摘ございましたように、旧一般電気事業者、これは小売部門を持っているところもありますし、発電も、両方持っているところもございますけれども、その旧一般電気事業者が、単独で、あるいは他の事業者と共同して、不当に電力投入を制限することなどによって、他の小売電気事業者が卸電力取引所において電力を調達することができず、その事業活動を困難にさせるおそれがあるというような場合には、これは独禁法上違法となるおそれがある、こういうふうに考えております。
  133. 秋本真利

    秋本分科員 大臣、これは事前に公取に、今言ったように、市場を通さないで発電部門が自社の小売でグロスビディングしていましたということを、していることが往々にしてあるんだよということを公取に、これについてと確認したら、それは知らなかったと言ったんですよ。知らなくてもしようがないと思いますよ、公取はプロフェッショナルじゃないから、この部門について。  だから、これは、小売が独禁法上の違反、違法の対象になると今ここで分かったことだけでも私は大きいと思うんですよね。小売がこれをやって、普通だったら発電部門にペナルティーがかかるんだけれども、こういうことをやると、小売だって独禁法違反になるぜということが今回分かったわけですから。  これを、今回、経産省さんと連携して、勉強していただいて、公取にはこういうことも是非しっかりチェックしていただいて、今回おかしなことが行われていなかったかということについて是非しっかり公取が、電取委もそうだけれども、公取も、やはり今回のことについては私は出てきていただきたいと期待をしております。  それで、大臣に是非、冒頭申し上げたとおり、いろいろな、まだ出てきていない事象とか、今日も三時からいろいろやっていただいているようですけれども、私は手戻りがあってもおかしくない状況なんじゃないかなと思うんですよ。だから、時間を稼ぐためにも、あるいは普通に対策を取るためにも、もっと、せめて分割払いを、四回じゃなくて、二十四回だとか四十回だとか長くして、時間を稼ぐという意味合いもありますし、せめて検証の結果が出るまで、新電力が倒れて死んじゃうということがない、そういう対応を是非取っていただきたいと思いますけれども、最後に大臣の意見を求めて、終わりにしたいと思います。
  134. 梶山弘志

    梶山国務大臣 新電力の相談窓口をつくっておりまして、いろいろな企業が、新電力が相談に来ているということも聞いております。  過去分には遡らないということで、この前もお話をしました。ただ、分割をしていきましょうということで、どういう分割が、幾つ、何回に分割すればいいのかということもあると思いますけれども、委員の御意見ですので、検討してみたいと思っております。  ただ、市場を形成する数値がどういう要件によって動くかということもあると思います。それについては、全て洗いざらいやはり検証せよということを私が指示を出しておりますので、そういったことも含めて、何か故意にもしされているようなことがあったら、それは大変重大なことではありますけれども、この状況の中でどういう行動がなされたかということも含めて、しっかりと検証したいと思っております。
  135. 秋本真利

    秋本分科員 時間なのでこれで終わりにしますけれども、時間をしっかり稼がないと死んでしまう新電力も出てきますので、是非、大臣、その辺も加味して勘案していただきますようお願いを申し上げて、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  136. 山際大志郎

    山際主査 これにて秋本真利君の質疑は終了いたしました。  次に、菊田真紀子君。
  137. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 立憲民主党の菊田真紀子でございます。  今日は、梶山大臣、長時間にわたり大変御苦労さまでございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  東京電力柏崎刈羽原発におきまして、東京電力が原子力発電を行う適格性に大いに疑念を抱かざるを得ない事案が立て続けに生じています。  まず、東電の社員が、他人のIDカードを無断で使い、カードの情報を改ざんした上で原子力発電所の司令塔である中央制御室に不正侵入した事案、次に、必要な安全対策工事を終えたと発表し地域説明会を始めていたにもかかわらず安全対策工事が完了していなかった事案、さらに、侵入検知に関わる核物質防護設備を過って損傷させた事案が発生しております。  今日は、東京電力にもこの分科会にお越しをいただきましてお答えをいただきたかったという件もあったんですけれども、予算委員会分科会には東京電力はお呼びできないということでありますので、原子力規制委員会と、そして経済産業省、資源エネルギー庁に質問させていただきたいと思います。  先ほど申し上げましたこれらの事案の概要及び現在の対応状況、そして再発防止策の検討状況について、まず経済産業省に伺います。  また、不正入室の事案は、もしかしたら過去にもあったのではないかというような話も漏れ聞こえてまいりますが、過去にも同様の例があったのかどうか、伺います。
  138. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、東京電力柏崎刈羽原子力発電所におきまして、昨年九月に、中央制御室員であった者が同僚のIDカードを不正に使用し、中央制御室まで入域した事案がございました。  そして、本年一月に七号機の安全対策工事が完了した旨を公表したわけでございますが、その後に、火災から守るための設備の一部に工事の未完了が確認された事案が発生したと承知してございます。  その対応状況でございますけれども、まず、不正入域事案につきましては、東京電力は、原子力規制庁の指示に従いまして、三月十日までに改善計画及びその実施結果について報告を行う予定と承知してございます。  工事未完了事案につきましても、他に同様の事案がないか、現在総点検を実施しているところでございまして、再発防止策を取りまとめる予定と承知しております。  また、委員も御指摘になりましたもう一点の事案、東京電力が二月十九日の日に、柏崎刈羽発電所におきまして一月二十七日に核物質防護設備を一か所過って損傷させ、代替措置を講じ、直ちに原子力規制庁に報告したこと、加えて、他の故障等が発生している核物質防護設備につきまして、代替措置の実施状況や復旧見通し等を順次原子力規制庁に報告したことを公表したと承知してございます。  この点につきまして、ほかに同様の事例がないかということのお尋ねでございますけれども、IDカードによる不正入構事案というものは、核物質防護に係るものでございますものですから、同様の事案があったかどうかということにつきましては、経済産業省は把握する立場にはないと認識してございます。
  139. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 経産省としては把握していないということでありますけれども、一月二十八日に資源エネルギー庁の長官から東京電力に対し、徹底的な原因究明と社員教育を含めた管理体制の点検に取り組むよう指導したと梶山大臣が記者会見でおっしゃったわけであります。  私は、原子力発電所の司令塔である中央制御室に不正に入室した今回の事案は、東京電力の管理体制に大きな疑念が生じ、東京電力の信頼が大きく損なわれている、こういう事態だというふうに考えております。  それでも、過去にも同様の事案があったのかどうか、なかったのか、真実はどうなのか、経産省として把握する必要はないと大臣はお考えなのでしょうか、是非お答えをいただきたいというふうに思います。
  140. 梶山弘志

    梶山国務大臣 一義的には核物質防護ということで規制委員会の所掌になっておりますけれども、私ども、この話を聞きまして、やはり大変遺憾に思っておりますし、重大な事案であると思っております。  そういったことも含めて、電力事業者、また東京電力を監督する立場としてしっかりと対応してまいりたいと思っております。
  141. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 原子力規制委員長にも同様の質問をいたします。  事案の概要及び現在の対応状況、そして再発防止策の検討状況、さらに、不正入室の事案が過去にあったのかどうか、伺いたいと思います。
  142. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  まず、IDの不正事案ですが、これは核物質防護規定に違反したものであり、先ほどお答えがありましたけれども、三月十日までに改善措置活動の計画及びその実施結果の報告を求めております。  また、この事案に伴って、原子力規制検査に入っておりまして、まだこの事案全てが明らかになっているかどうかを確定しているわけではありません。  先生御指摘の過去の事例についても、あるいはふだんからエラーが出やすいシステムであったのかどうかといったような点も含めて、詳細の把握に努めようとしているところであります。  まず、三月十日までの東京電力の報告を受け、その後、更に追加検査等を行って、事案の確定に努めていきたいというふうに考えております。
  143. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 委員長からは、過去の事例について今後しっかり詳細に把握をしていく、こういう御発言がありました。  原子力規制委員会が了承した保安規定には、社長は、重大なリスクを確実かつ速やかに把握をし、安全を最優先した経営上の判断を行うとともに、その内容を社会に速やかに発信するとあります。  不正入室について、昨年九月に不正が発覚した後、今年一月にメディアが報道するまで公表されることはありませんでした。社会に速やかに発信しているとは到底言えません。  私は保安規定に違反しているのではないかと考えますが、今回の事案は保安規定違反にならないのか、原子力規制委員長に伺います。
  144. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  本件は、核物質防護規定違反、いわゆるセキュリティー事案であります。このセキュリティー事案の公表には、当該原子力発電所は現在外部からの例えばテロ行為に対して弱くなっているという状態を明らかにしてしまうことにつながりますので、セキュリティー事案の公表に関して、東京電力を始め電気事業者が神経質になるところは当然でありますし、また、原子力規制委員会も、セキュリティー事案をむやみに公表することのないように、十分な代替策が取られている、ないしは復旧してからの公表という形になっております。  したがいまして、セキュリティー事案に関して公表できる範囲というのは極めて限られますし、また、東京電力はそのために公表をためらったものというふうに認識をしております。
  145. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 東京電力から原子力規制庁には、昨年九月二十一日に報告が行われました。しかし、規制庁から規制委員会に報告されたのは、今年の一月二十六日と伺っています。これもメディアの報道の後です。  原子力規制庁の内部でどこまで情報が共有され、誰の判断で規制委員会に報告しなかったのか、原子力規制庁に伺います。
  146. 山田知穂

    山田(知穂)政府参考人 本事案につきましては、原子力規制庁幹部では長官まで報告はされてございます。  また、報告時点では、原子力規制委員会に核物質防護上の重要な事案として直ちに報告すべき対象に該当すると担当部門が評価していなかったものでございました。
  147. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 報道等によれば、ID不正入室事案については、規制庁は四半期ごとに行っている報告の中で伝える方針だったとされていますけれども、昨年十一月十一日に、令和二年七月一日から九月三十日までの第二・四半期の事案の取りまとめ報告がなされた会議が開催をされています。しかし、そこでは今回の事案は報告されていません。  また、この時期がどういう時期だったかといいますと、柏崎刈羽原発の立地自治体である柏崎市長選挙が行われている最中でした。もしかしたら選挙に影響を及ぼすから意図的に隠蔽したのではないかというような声も漏れ聞こえてきます。  なぜ報告がなされなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
  148. 山田知穂

    山田(知穂)政府参考人 四半期ごとの報告の前に、非公開の原子力規制委員会の臨時会がございまして、そちらの方で御報告をした上で、その報告した内容につきましては、先ほど委員長からも答えましたとおり、セキュリティー事案でございますので、限られた情報ではございますけれども、公開をしているところでございます。
  149. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 その会議はいつですか。  委員長、速記を止めてください。
  150. 山際大志郎

    山際主査 速記をちょっと止めてください。     〔速記中止〕
  151. 山際大志郎

    山際主査 速記を起こしてください。  山田審議官。
  152. 山田知穂

    山田(知穂)政府参考人 非公開の臨時委員会を開催いたしましたのは、一月の二十六日でございました。
  153. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 ですから、昨年の九月に不正が発覚して、臨時会議で報告がされたのは今年になって一月二十六日ということですよ。  それで、規制庁本庁は昨年十月に、この事案で現地検査までやっておられるんですよね。当初から事案の重大性について認識していたから現地検査までやっていたのではないかというふうに私は考えるわけでありますけれども、いかがですか。
  154. 山田知穂

    山田(知穂)政府参考人 先生御指摘の検査につきましては、事案の中身、事案がどのような事案であったかということを明らかにする上で事実関係を確認をするという検査でございまして、当然、重要性があるという認識はございましたけれども、どこまでの重要性、重要なものであるかを確定するための検査であったということでございます。
  155. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 原子力規制委員会が東京電力の適格性を認めたのが昨年九月二十三日、柏崎刈羽原発七号機の再稼働に向けた許認可を全て完了させたのが九月三十日でした。原子力規制委員会は不正入室の報告を年が明けた一月二十六日に報告されており、つまり、本事案を把握しないまま、東電の適格性を認め、保安再稼働に向けた許認可を完了したことになります。  一連の原子力規制委員会の判断は本当に適切なものだったと考えているのか、また、本事案は判断に影響を与えるものではなかったと考えているのか、規制委員長に伺います。
  156. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用の事案につきましては、核物質防護規定に違反となる事案でありまして、保安規定の判断に影響を与えたものではないというふうに考えております。
  157. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 原子力規制委員会は、東電自身では改善が見込めないと判断をし、規制委員会が関与して改善を図る必要があると判断されました。  東電自身では改善が見込めないと判断した理由の説明原子力規制委員長にお願いします。
  158. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  先ほども御答弁差し上げましたけれども、核物質防護規定に違反をし、その評価を進める過程におきまして、本事案は重大なものであるという認識を持ちました。  規制が関与せずに改善を求めるものではなく、規制が介入をして、その改善が適切なものであるかどうか。また、東京電力は、核物質防護規定に違反するもの、また違反するおそれのあるものに関して、このID不正利用以外にも案件を抱えております。  そういった意味で、今後の検査を通じて、東京電力の行う核物質防護が十分なものであるかどうかを確認する必要があるという判断に至ったものであります。
  159. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 委員長は極めて深刻に捉えていただいているんだというふうに思いますけれども、核物質防護がしっかりしているというのは適格性の十分な要件だと過去に発言をされており、核防護規定にも東電スペシャルを考えざるを得ないと、防護規定の見直しにも言及をされておられます。  核物質防護がしっかりしていない東京電力は、現状、適格性が不十分ということになるのではないかと私は考えますが、原子力規制委員長の見解をお聞かせください。
  160. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  原子力発電所のように、いわゆる特定核燃料と呼びますけれども、核燃料を利用する施設を運用する際には、十分な核物質防護がなされていることが大原則であります。  セキュリティーに備える、セキュリティー事案、要するに、テロ対策として十分な核物質防護が取られていることは必要条件でありますので、適格な核物質防護が取られていない施設が運転をされるというのは、規制上も許されるものではありません。
  161. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 許されるものではないとはっきり御明言をいただきました。  私は、やはりこのような重大な事案を把握しないまま行われた審査というのはやり直すべきだと考えます。審査をやり直す考えは全くないのか、改めて規制委員長に伺います。
  162. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  まず、適正な段階を踏む必要があると思っております。まず、検査によって事案をしっかりと捉えて評価をすること、そして、今回は複数の事案が起きておりますので、その複数の事案それぞれについてきちんと把握する必要があると思います。  そして、核物質防護規定の、規定そのものの審査をやり直すという可能性は、可能性といいますか、ことは視野に入っているというふうに考えております。
  163. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 委員長がおっしゃる、審査のやり直しということですけれども、具体的にどういう手順になっていくのかをお聞かせいただきたいと思います。
  164. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  まず、今ちょっと複数の核物質防護事案が並行して走っておりますけれども、それぞれについて事案を明確に規制当局として把握する必要があります。また、それぞれについて評価を行う必要。ID不正利用については既に評価を東京電力に伝えておりますけれども、もう一方の、柏崎刈羽、それから東京電力について言えば福島第二でも核物質防護に係る事案が起きておりますので、それぞれについて評価を進めます。  その上で、核物質防護規定の変更、規定そのものの変更が必要かどうかという判断をして、必要という判断に至れば東京電力に申請のやり直しを求めて審査を進めることになります。
  165. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 私は、改めて、このような重大な事案を把握しないまま行われた審査はやり直すべきだと強く求めたいと思いますし、地元新潟県でも大変多くの県民が関心と懸念を持っております。審査はやり直すべきだという声が大変大きくなっていることを申し上げたいと思います。  次から次へといろいろな不祥事が起きているんですけれども、続きまして、完了したと公表した対策工事が未完了だった事案について、現在、国の認可を受けた設計と実際の工事との照合を進めているとのことでありますが、そもそもこのような手順は行われなかったのでしょうか。  少なくとも、工事が終わった際に適切、確実な照合が行われていなかったことは明らかですが、このような管理体制は適切と言えるのか、規制委員長にお伺いします。
  166. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  事業者の工事の進捗、完了も含めますし、一部未完了等を含めますが、とその公表については、原子炉等規制法の規制対象とはなっておりません。したがいまして、本件について原子力規制委員会が何らかの対応を取ることはありません。  なお、事業者の行う工事のうち、原子炉等規制法に基づき設計及び工事の計画の認可、届出が行われた工事については、事業者は、使用前事業者検査を実施し、その結果について、許可、届出対象の施設設備の供用開始前に原子力規制委員会の使用前確認を受ける必要があります。
  167. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 非常にお粗末だと思います。なぜ照合が完了していない状況で東京電力は地域説明会を開催したのでしょうか。  さらに、地域説明会を再開した後に、新たにまた未完了の工事が発覚しています。  このような東京電力の行動は、地域住民への説明を軽んじていることの表れにほかならず、地元の信頼を更に損なっていると考えますが、経済産業大臣、どのようにお考えでしょうか。
  168. 松山泰浩

    ○松山政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘地域説明会の意義でございますけれども、地域の皆様方に、進んでおります原子力発電所の工事の状況及び今後の行方等、状況を御説明する機会だというふうに認識してございます。  御指摘いただきました地域説明会、柏崎刈羽原子力発電所七号機の新規制基準に基づく審査並びに安全対策工事の完了を踏まえて予定されたものであったことは承知してございます。  東京電力は一月二十七日に、七号機の安全対策工事の一部の設置工事について、完了していないことを確認したことを公表したわけでございますが、その後も地域説明会を継続しているところでございますが、その中では、不正入域や七号機の安全対策工事の一部未完了の内容も含めて、地域の皆様方に発電所状況を御説明したものと存じております。  東京電力としての認識といたしましては、恐らく、不正ID事案や安全対策工事の未完了の問題も含めて、地元を始め国民の皆様方に御心配をおかけする中で、むしろ、これらの事業状況について、対策を含めて地域の皆様方に丁寧に御説明するべきものと考えて地域説明会を開催したのではないか、このように認識してございます。  いずれにしましても、原子力事業を進めていくに当たりまして、地元方々の御理解が必要不可欠でございます。東京電力に対しましては、本件を重く受け止めて、原因究明と再発防止に徹底して取り組むよう指導するとともに、原子力発電所安全確保地元を始め国民の信頼確保に努めてもらうよう伝えているところでございます。
  169. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 丁寧に説明するどころか、この地域説明会、もう本当に批判、非難が続きました。  そして、コロナ禍ということもあるようでありまして、それを理由にして、まだ質問したい方がいらっしゃるのに、時間を制限して、もう今日はこれで終わりですというふうにやっていますからね。なかなか地元の皆様に理解を得られるというようなものになっていないということを、ここでも皆様に、大臣にも是非しっかりと知っていただきたいと思います。  橘田東電新潟本社の代表は、不正入室と工事の未完了の問題について、二月十五日の記者会見において、背後に何かしら共通するものが絶対に潜んでいるとの仮説を立てている、起きたことへの対策だけでは安全文化の醸成につながらない、このように述べられています。  橘田代表のおっしゃる、背後に絶対潜んでいる何かしら共通するもの、これが一体何なのか、これをはっきりさせた上で、抜本的な対応策が講じられるのか見極める必要があります。それがないままに再稼働の手続を進めることは許されないと考えますが、経済産業大臣の見解を伺います。
  170. 梶山弘志

    梶山国務大臣 安全の確保地元からの信頼というのは、原子力事業を進めていくための基本であります。その意味で、IDカードの不正利用や安全対策工事の未完了など東京電力の不適切な事案が続いていることは誠に遺憾であると思っております。私としても大変重く受け止めており、先ほどお話がありましたように、東電の社長に資源エネルギー庁長官より指導をしたところでもあります。  こうした事案が続くようであれば、地元を始め国民の信頼も得られないものだと思っております。  信頼を獲得するためには、現場管理や社内の連携、社員教育、地元とのコミュニケーションなど様々な観点から、先ほど委員がおっしゃいました、橘田東電新潟本社代表の言うところの、背後に潜んでいる何か共通するものという仮説を立てた上で、しっかりと対応をして対策を講じていただきたいと思っておりますし、今般の事案の検証、事業者としての再発防止に徹底して取り組む姿勢を示していくという決意の下、東京電力には一層の緊張感を持って、その検証をしていただきたいと思っております。
  171. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 一連の事案への対応につきまして、私が一つ強い危惧を抱いている点があります。  それは、核防護上の理由、これを根拠として、報道で明らかになるまで公表されなかった、あるいは報道で明らかになった後も事案の詳細な説明を拒むケースが散見されていることです。核防護を理由にすれば、原発内で発生した事案を積極的に公開する必要はないと拡大解釈し、不都合な情報開示を控えることができるという取扱いが横行してしまっているのではないかという疑念です。  そうした疑念を払拭するために、核防護関連事案もできる限り透明性を高めるよう、情報公開のルールを早急に整備すべきと私は考えます。  これははっきりと質問通告はしていませんけれども、核防護関連事案の情報公開について、原子力規制委員長はどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。
  172. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  機密情報であることを理由に公開できる情報まで隠してしまうということを私は恐れています。これは、セキュリティー情報だけではなくて、例えば、これは商業機密であるとか、できるだけ多くの範囲を黒塗りにしてしまいたい、白抜きにしてしまいたい。そういったことは、今後、原子力が信頼性を得ること、信頼を得ること、また規制が信頼を得る上でも大きな障害になると考えています。  一方で、このセキュリティー情報、テロ対策情報は、今この発電所がこういうふうに弱くなっていますよということを悪意がある第三者に知らせてしまうことになりますので、慎重な検討が要るのも事実です。  委員指摘のように、透明性を高めるための手だてというのは今後も工夫をしていく必要がありますし、また、今回の事案を教訓に、私たち検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
  173. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 委員長、ありがとうございました。  時間が迫ってまいりましたので、急ぎたいと思いますが、次に、原発再稼働と避難計画の関係についてお尋ねいたします。  私の地元新潟県では、今年は例年になく大変な雪の量がありまして、大雪になれば、住民の移動に困難が生じ、身動きが取れなくなる住民が多数発生することが予想されます。  一月二十六日に、避難準備区域内で原子力防災訓練が行われました。防護服を着た自衛隊員が大型雪上車で孤立した住民を救出したり、県の消防防災航空隊のヘリコプターによる人形のつり上げといった訓練が行われました。今回は、UPZ内、つまり半径五キロから三十キロ圏内の区域で行われたものであります。約二万人の住民がいる、更に原発に近い、原発事故即時避難五キロ圏内は、よりスピーディーな避難が必要となります。  しかし、新潟県が策定した広域避難計画では、積雪による交通障害の影響が考慮されておりません。  大雪になれば、大雪時に原子力災害が発生すれば、避難困難になる住民が多数発生をする懸念があります。この一月二十六日も、強風で海も荒れ、ヘリや船での避難が困難な状況でありましたし、国道など幹線道路も雪で一時通行止めにもなれば、陸も海も空も、どこからも逃げられない、降雪時に加え、夜間の災害発生となれば、更に深刻になるわけであります。  梶山経済産業大臣は、しっかりと避難計画がない中で、原子力発電所の稼働が実態として進むことはない、このようにおっしゃっていますけれども、少なくとも柏崎刈羽原発については、現状においてしっかりとした避難計画は存在しないと言わざるを得ないと私は思うのでありますが、大雪でも住民が避難できる広域避難計画が必要ではないのか、最後に梶山大臣の見解を伺います。
  174. 梶山弘志

    梶山国務大臣 稼働する、しないにかかわらず、住民の安全、安心の観点から避難計画というのは策定することが重要であります。  先月、柏崎市内で訓練が行われたように、降雪地帯において、大雪が降っている中での原子力災害を想定していくことは極めて重要なことであると認識をしております。  どんな時間に災害は起こるか分からない、どんな天候の中で起こるか分からない、そういったときにどういう対応をするかということも含めて、様々な想定をする必要があると思っております。  このため、このような状況にある自治体が原子力災害の避難計画を策定するに当たっては、まず、道路管理者が策定する除雪計画を十分に踏まえる必要があると思っております。その上で、積雪により避難道路が通行止めとなった場合に備えて、代替の避難経路も設定をしておく、それでも避難が困難となった場合には、まずは屋内退避を行うこととし、並行して、自衛隊による除雪により道路の啓開を行うこととしておくといったような、住民の安全確保のために二重三重の対策をあらかじめ予定しておくことが重要でありますし、避難計画というのはやはり実効性、実際にできることが重要でありますから、そういったことも含めて、常に見直しを図っていく必要があると思っております。
  175. 菊田真紀子

    ○菊田分科員 時間が参りましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  176. 山際大志郎

    山際主査 これにて菊田真紀子君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日金曜日午前九時より開会し、引き続き経済産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会