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2021-02-25 第204回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会令和三年二月二十二日(月曜日)委員会において、設置することに決した。 二月二十五日  本分科員委員長指名で、次のとおり選任された。       伊藤 達也君    神山 佐市君       河村 建夫君    村井 英樹君       川内 博史君    宮本  徹君 二月二十五日  村井英樹君が委員長指名で、主査に選任された。 令和三年二月二十五日(木曜日)     午後一時開議  出席分科員    主査 村井 英樹君       伊藤 達也君    尾身 朝子君       大野敬太郎君    神山 佐市君       河村 建夫君    古田 圭一君       川内 博史君    櫻井  周君       階   猛君    宮本  徹君    兼務 岡本 三成君 兼務 玉木雄一郎君     …………………………………    文部科学大臣       萩生田光一君    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 高原  勇君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 千原 由幸君    政府参考人    (内閣沖縄振興局長)  原  宏彰君    政府参考人    (消費者庁審議官)    片桐 一幸君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君    政府参考人    (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       竹内  努君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局長)          義本 博司君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局教育課程総括官)    串田 俊巳君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君    政府参考人    (文部科学省高等教育局私学部長)         森  晃憲君    政府参考人    (文部科学省科学技術学術政策局長)       板倉 康洋君    政府参考人    (文部科学省研究振興局長)            杉野  剛君    政府参考人    (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君    文部科学委員会専門員   但野  智君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   伊藤 達也君     古田 圭一君   河村 建夫君     大野敬太郎君   川内 博史君     階   猛君   宮本  徹君     田村 貴昭君 同日  辞任         補欠選任   大野敬太郎君     河村 建夫君   古田 圭一君     尾身 朝子君   階   猛君     櫻井  周君   田村 貴昭君     宮本  徹君 同日  辞任         補欠選任   尾身 朝子君     伊藤 達也君   櫻井  周君     川内 博史君 同日  第五分科員岡本三成君及び第八分科員玉木雄一郎君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (文部科学省所管)      ――――◇―――――
  2. 村井英樹

    村井主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査を務めることになりました村井英樹です。よろしくお願いいたします。  本分科会は、文部科学省所管について審査を行うことになっております。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算文部科学省所管について審査を進めます。  政府から説明を聴取いたします。萩生田文部科学大臣
  3. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 令和三年度文部科学省関係予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  令和三年度予算案の編成に当たっては、教育再生科学技術イノベーション、スポーツ、文化芸術関連施策を推進するため、文部科学省関係予算の確保に努めてきたところであります。  文部科学省関係予算案は、一般会計五兆二千九百八十億円、エネルギー対策特別会計千八十八億円などとなっております。  よろしく御審議くださいますようにお願い申し上げます。  なお、詳細の説明につきましては、お手元に配付しております資料のとおりでありますが、時間の関係もございますので、主査におかれましては、何とぞ会議録に掲載されますよう御配慮をお願い申し上げます。
  4. 村井英樹

    村井主査 この際、お諮りいたします。  ただいま文部科学大臣から申出がありましたとおり、文部科学省所管関係予算概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 村井英樹

    村井主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 村井英樹

    村井主査 以上をもちまして所管についての説明は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 村井英樹

    村井主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願いいたします。  なお、政府当局におかれましては、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本三成君。
  8. 岡本三成

    岡本(三)分科員 公明党の岡本三成です。  委員長また理事の皆様、質問機会をいただきましてありがとうございます。  まず初めに、大学ファンドについてお伺いをいたします。  日本大学学術研究基礎研究基盤を強くし、また、博士課程学生皆さん等を経済的に支援する、大変意義が大きいと思っておりまして、この大学ファンド重要性をよく感じております。  一方で、この予算が決まる前に御担当の文科省の方、内閣府の方と何度も面談させていただきましたけれども、心配な点、確認したい点もありますので、今日お伺いしたいと思うんですね。  私、国会議員になって九年目になりますけれども、その前、二十二年間、アメリカ金融機関で働いておりまして、国会議員になる直前には、アメリカ大学理事として、その大学基金運用を担当しておりました。私の経験というのは非常にレアな経験でありまして、その経験を基に、目的が達成できて、しかも、そのプロセスにおいても国民皆さんから様々な疑念を持たれないようにするということは非常に重要だと思いますので、何点か、確認、提案をさせていただきたいと思います。  まず、今回、最終的には約十兆円のファンドを組み、そこから出てくるその運用益に関しまして、大学を強化するための基盤をつくるための補助金として、また、学生皆さん博士課程だけで約七万五千人、今いらっしゃいますけれども、経済的に支援していこうということだと思うんですけれども、今回のファンドから上がってきた運用のその運用益をどのような基準で、大学だと大体何校ぐらいに、学生皆さんですと何人ぐらいに資金の提供をしようと思っていらっしゃるかということを確認させてください。
  9. 杉野剛

    杉野政府参考人 失礼いたします。  大学ファンドによる支援対象大学学生の数についてのお尋ねでございました。  大学ファンドにつきましては二通りの支援メニューを当初考えておりまして、一つは、世界トップレベル研究大学を目指す、そういった日本代表選手のような、そういった大学に対する重点的な支援と併せまして、博士後期課程学生などの若手人材育成に意欲的に取り組む大学への助成ということを想定しているところでございます。  まず一点目の、世界トップレベルを目指す大学支援につきましては、これは、今申し上げましたように、世界トップレベルを目指すという大学でございますので、それにふさわしい高いポテンシャルがあるか、あるいは、それに向けての明確なビジョンやプランがあるかといったことなどを中心に厳正に審査を行い、私ども、今考えている限りでは、まずは、当面、限られた数の大学支援対象とするということを想定しているところでございます。  一方、博士課程後期学生支援につきましては、これは先般の補正予算でも二百億円の財源をお認めいただきましたけれども、修士課程から博士課程に進学する、博士課程後期課程に進学する学生の約半数に相当します一万五千人がカバーできるようにということで、現在、支援対象である学生を差っ引きまして、七千人余りの学生対象支援を行うということをファンドでやりたいと思っておりまして、先般の補正予算の二百億円はそれまでのつなぎの予算としてお認めいただいたというものでございます。
  10. 岡本三成

    岡本(三)分科員 まず、一つ目大学の数、限られたという御答弁でしたが、事前にいろいろお話をさせていただくと、一つイメージとして、五校ぐらいだとおっしゃっていたイメージがありますけれども、私は、のべつ幕なしでたくさんにということは本末転倒だと思うんですが、余り絞り込まずに、それこそ運用益をがっちり稼いで、なるべく適切な数の。  というのは、例えばアメリカでも、三十年前に支援しようと思ったら、多分アイビーリーグを中心に限られた名前だったんですが、三十年前では考えも、考えもつかないは失礼ですね、余り名前が挙がっていなかったようなところが今、例えば科学の最前線の大学として、例えばカリフォルニア・ステート、テキサス・オースティン、三十年前、多分セカンドランクだったのが、今、アメリカの中でも最も最先端の研究をしているような大学になってきていますので。  五校ぐらいというと、多分もう皆さんが思いつくような、そこの本当に限られるところなので、もうちょっとポテンシャルのあるようなところに関してもしっかりと支援をしていただきたいというふうに思いますし、博士課程、とりわけよく話題になっていますポスドクの方、大変厳しいので、ポスドクになってしまったら食っていくこともできないんだったら、修士で終わっておいた方が人生プラスじゃないかと思う方もたくさんいらっしゃるので、より多くの方に是非支援をお願いしたいと思います。  次に、米国は確かに基金金額が多いです。その基金金額のほとんどというのは卒業生から集まってきています。  私も、アメリカ大学院に行っておりまして、毎年決まった額を自分の母校寄附をしております。そういうカルチャーがあるんですね。そのカルチャーを醸成することも大事だと思うんですが、他国でそういう基金が集まっているような国でやっているような取組等をまとめて、日本大学も様々取り組まれているんですが、是非その情報共有して、それがその大学でできること、できないことはあると思うんですけれども、こういう取組をしているようなところに卒業生はより多く寄附しているというようなものを調査して、ファクトの共有として日本大学共有したらどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  11. 伯井美徳

    伯井政府参考人 寄附文化の醸成に対するお尋ねでございます。  文部科学省では、大学独立行政法人等寄附を増やすことを目指しまして、平成二十七年度より、ファンドレージングに関する理解を深めるとともに、成功事例共有するための寄附フォーラムを開催しております。  また、先生指摘がございましたアメリカ事例なんかを含めた海外の好事例寄附金受入額を拡大している海外大学事例については、文部科学省としても調査を行っているところでございます。  例えばアメリカにおきましては、寄附金募集に関して、大学寄附金募集部門が学長と直結した重要な特別なポストとして強化され、専門部署として設置されていることであったり、あるいは、今御指摘ありましたように、寄附金募集同窓生業務が連携し、寄附金募集活動のために世界的な同窓生名簿整備、活用に注力している、それによって教職員、卒業生在校生寄附支援するという、一種の好循環が発生しているというような事例についても把握しているところでございます。  こうしたことを、海外大学寄附拡大に関する事例等をしっかりと踏まえた上で、先ほどのフォーラムなどでもこういうことを横展開できるように、寄附金を始めとする各大学外部資金の獲得に向けて必要な取組をより一層進めてまいりたいと考えております。
  12. 岡本三成

    岡本(三)分科員 是非お願いします。  私自身はどういうときに寄附したくなるかというと、寄附をすると、そこの大学在校生から、岡本先輩寄附奨学金をもらって、今年はこんなことを勉強しますというお礼状が届いたりします。五年に一回、同窓会があるんですけれども、その同窓会の主たる目的は、寄附をそこで募って母校に貢献することであったり、やはり卒業生をくすぐる様々な手段を講じているんですね。  是非情報共有大学にしていただきたいと思います。  最後に、大臣に御質問いたします。  これが一番申し上げたかったんですが、この十兆円の投資、先ほど杉野局長にも御答弁いただきましたけれども、はっきり申し上げまして、官僚の中でよくここまで勉強されて、いろいろなファンドのことも、局長もよく御存じだし、内閣府の方もそうだというふうに思いましたけれども、それでも、金融界の方のレベルからすると、なかなかそのレベルには行っていない。  特段、この大学ファンドというのは、全く違う常識で動いています。例えば、私、ベンチマークは何ですか、目標は何ですかと聞きました。目標というのは、日本の普通のファンドマネジャーだったら、日経二二五とかなんとかあるんですけれども、アメリカは全く違うんですね。その大学基金運用平均を出している会社があって、その平均目標です。  ですから、例えば、十兆円が、下がって九兆円になりました。これは、国民みんな怒ります。十兆円が、殖えて十一兆円になりました。みんな喜びますが、もし、十兆円が九兆円になったときでも、世の中ファンドが二割下がっていたら、このファンドは一割しか下がっていないので褒められるんですね。  要は、基本的な立ち位置を明確にすることがすごく大切で、そして、このファンド目的は、リターンを最大化することではなくて、例えば三%ぐらいの具体的なリターンで、三千億円ぐらいを原資として、先ほど申し上げた目的として使うということですから、もしかしたら、アベレージとか利回りとかじゃなくて、三千億円確保するということが目的かもしれません。  そう考えますと、何遍も答弁国会でも伺いましたけれども、JSTにちゃんとプロを雇って、ガバナンスも利いて、そんな甘くありません。四兆五千億で始めて十兆円のファンドをマネージできるような、世界中を探してもそんな人はなかなかいません。でも、ちゃんとプロセスは経ましたという言い訳合戦になるのがすごく心配なんですね。  金融機関は物すごいいいことを言います。新しいファンドの形を、ESGやSDGsにのっとったようなのをつくっていきましょうと。それはそうです。だって、大体、新しいお金が来ると、その一%が金融機関手数料として落ちますから、十兆円回り出すと、マーケットに手数料が一千億円落ちるわけです。みんないいことを言います。でも、そんな簡単じゃないんですね。  私は、何回も御提案申し上げていますけれども、三千億円を目標にするんだったら、日本が時間をかけて、今まで、ここまでつくってきたGPIFファンドがあります。これが、大体四%を目標にして、実質三%。これは、いろいろなテクニックが駆使されて、リスクマネジメント世界最高水準のがもうでき上がっています。  本当は、GPIF法を改正して、そこにも十兆円、ファンドを委託した方が私はいいと思っているんですけれども、そうすると厚労省の手も煩わさなきゃいけないので、本当に全く同じ基本ポートフォリオをつくってまねするぐらいのことでいいと思うんですね。  ちなみに、GPIFに聞いたら、百七十兆円運用しています。昨年の下半期だけで新たに三十兆円、新規で運用していますから、十兆円ぐらいすぐ引き受けられると言っていました。  けれども、法律的に難しいのであれば、要は、何か物すごくリスクを取ったりとか、又はガバナンスが利いているという形を取っても、結果的に、目的である三千億円ぐらいの規模をちゃんと学校学生に使っていただかなければいけないので、現実的には、これは麻生大臣記者会見の中で、文科省がやってももうかるわけないじゃないかというふうにおっしゃっているんですが、僕はそんなことはないと思うんですが、やはり、すごい知性の究極みたいなものが日本の中にあるので、是非それを活用することをお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  13. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 大学ファンドは、その運用益を用いて、世界トップレベルを目指す我が国の研究大学研究基盤を長期的、安定的に支援することを目的としているため、御指摘GPIFではなく、大学に対する資金配分業務の豊富な経験を持つJST大学ファンドに関する業務を追加することとし、今国会においてJST法を改正して措置したところでございます。  先生指摘のとおり、GPIFにつきましては、JST運用方針と同様に、長期的視点から安全かつ効率的に運用を行うこととしていることや、市場運用開始となる平成十三年度以降、二十年にわたる運用実績を有していることなど、大学ファンド運用に際し倣うべき点が多々あるものと認識しております。  今、先生との様々な質疑、やり取りを聞いていまして、もし政治家を辞めるような機会があったらファンドマネジャーをやってもらえないかな、こんな思いもしたわけです。  麻生大臣がおっしゃっているように、文科省お金を使うばかりだったので、もうけられるわけじゃないじゃないかということを公の場でも度々言われています。私は、あえて反論しておりません。ここは、知ったかぶりも背伸びもしないで、GPIFの後ろを、背中を低くついていこうと思っておりますし、ただ、一点だけ違うのは、GPIFは、先生御案内のとおり、キャッシュアウトしないわけですね。我々はキャッシュアウトして現金をつくっていかなきゃならないので、そういうその特別な事情も含めて、知見のある専門家皆さんに助けてもらいたいと思っています。  御指摘のように、一流のそういったファンドマネジャー世界から集めるといったら、そこにもまた多くの人件費がかかるんですけれども、今回、文科省が、博士過程育成をしていこうじゃないか、あるいは大学でいい研究、いい人材育成をするためにお金を使っていこうじゃないかということに対しては、大変多くの皆さんから高い評価をいただいておりまして、例えば、もう報酬よりも国のために力をかしたい、こう申し出ていただける方も中にはいらっしゃいます。  そういった皆さん方のお力をかりながら、是非GPIFの例を十分参考にしながら、JSTにおいてガバナンス体制整備などについて慎重に検討してまいりたいと思います。
  14. 岡本三成

    岡本(三)分科員 続きまして、公立工業高校等設備更新につきまして御質問いたします。  先日、予算の集中で萩生田大臣にこの件、御質問をして、一番最後だったので時間が足らずに、御答弁の時間もはしょっていただくようなことになってしまって申し訳ないと思っております。  まず、第三次補正で二百七十六億円、これで、工業高校ですとか水産高校ですとか農業高校に、その学校に備付けの大物の設備アップグレード、例えば3Dプリンター等予算措置をしていただきました。大変重要だと思います。  一方で、まだまだ足らないんですね。これからの産業界を担おうということで専門的な学校に行っていただいている若い皆さん、本当に国の宝だと思います。今、世の中も、デジタル化DX、様々に産業界も変わっておりまして、私は、少なくとも、この学生皆さんが卒業して、会社で使い物にならないと言われちゃいけないし、できれば、実業界でこれから取り入れるようなことを学校で勉強してきたぐらいのことを、学校設備の中でもざっと実習を受けていただきたいんですね。  例えば工業高校ですと、測量という機械があります。私、おやじが土建屋なので測量できるんですけれども、今、こんな測量を使っているところはないんです。ドローン測量するんですね。もう一瞬で、3Dで測量が完成します。昔の機械だったら、例えば二人で二週間かかるところは、今、一人で一日でできます。  例えば農業も、ドローンはすごくて、今農業AIと一緒になって、例えば農薬をまくのを、ドローンをずうっとしたら、それで画像解析をして、虫が食っているところだけ農薬をまくようなところにして、農薬の量を少なくしてブランディングしているような農業もはやってきています。物すごく技術が先に行っているんです。  ソフトウェアも承知しなければいけなくて、例えば昔は図面を引いていたのが、今、CADといって3Dになっているんですが、それが今はBIMといって、何にもないところに行って携帯電話をこう掲げると、その図面どおりに、何にもないところに、ここに柱を立てます、ここに水道管を入れます、工期は幾らです、寸法はと、全部出てきます。というのを学生のうちに学んでおいて、その学生会社に行ったら、その学生会社のゲームチェンジャーになるようなことをやっていただくような設備をそろえていただきたいんです。これ、何にもないんですよ。三十年ぐらい前のがいまだにあるんですね。  この高校公立高校等への設備というのは、各地方自治体交付金の中でやっていただくことが基本になっているんですが、残念ながら、自治体交付金からここまでお金がなかなか回っていないんですが、まず総務省にお伺いしたいんですけれども、交付金というのは元々ひもつきができないんですけれども、何とかこの学校設備お金が回るような形で自治体にお願いをするような交付金の配り方というのはないんでしょうか。
  15. 馬場竹次郎

    馬場政府参考人 お答えを申し上げます。  令和三年度から、公立工業高校を含めた産業教育のための実験実習設備整備をする経費につきまして、高等学校段階におけるICT化オンライン化推進等のため、地方交付税措置充実をすることといたしております。  総務省といたしましても、地方団体向け全国会議あるいは事務連絡などにおきまして、地方交付税措置充実をしたということについて周知を図っているところでございます。  地方交付税は、今御指摘ございましたように、一般財源でございますので、使途を制限するということはできませんけれども、今後とも、文部科学省とも連携をしながら、地方交付税措置の内容につきまして、地方団体に対して周知に努めてまいりたいと考えております。
  16. 岡本三成

    岡本(三)分科員 同じことを文科省にもお伺いしたいんですが、今回の補正ひもつきのようにしてしっかりと国から直接支援をすると、手がたくさん挙がります。学校に備付けのでかいものだけじゃなくて、本当に現場で使っているようなそういう小さいもの、またソフトウェア等に関しましても、是非文科省からも更なる支援を、後押しをいただきたいんですが、いかがでしょうか。
  17. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  実践的な職業教育を行っております専門高校においては、実験実習設備充実は、御指摘のとおり、大変重要なことでございます。とりわけ、デジタルトランスフォーメーションが加速度的に進む中で、設備最新化デジタル化緊急性必要性は極めて高くなっているところでございます。  こうしたことから、令和二年度第三次補正予算では、デジタル時代産業教育基盤となる大型デジタル装置緊急的整備促進を図るための補助事業を行うものですが、一方で、議員指摘のとおり、ドローンなどの計測機器といった小型設備についても、都道府県等の公立学校の設置者において整備充実を図ることも大変重要と考えております。  そこで、こうした小型設備も含めまして、産業教育のための実験実習設備整備する経費について、先ほど総務省さんからも答弁ございましたが、連携をさせていただいて、地方交付税措置充実することとしております。この旨、一月には都道府県等に通知を発出し、産業教育設備の計画的な整備と更なる充実を要請をさせていただいたところでございます。  文部科学省としては、関係省庁とも連携を図りまして、工業高校などの専門高校におきます産業教育設備充実、さらには質の高い実践的な職業教育が推進されるよう、今後とも必要な支援を進めてまいりたいと考えております。
  18. 岡本三成

    岡本(三)分科員 続きまして、USB投資詐欺まがいの商法について質問させてください。  二週間ほど前に私の住んでおります地域のお母さんから御相談があって、大学三年生の息子さんがUSBを買わされましたと。五十八万円。その五十八万円を買うために、消費者金融二社から、こういうふうに言えば借りられるからというふうに借金をされて、買っています。  これはもう三年ぐらい話題になっていて、NHKでも特集されています。  中身を見ました。中身は、バイナリーオプションといって、はっきり言って、本で買えば千円ぐらいのものが中に入っているだけです。それで、今コロナ禍で将来が不安な学生に対して、これを持って勉強して実際に取引をすれば十中八九勝てますからと言って買わせているんですね。勝てません。  そして、その会社は実際に実在していまして、この件はクーリングオフしてお金を取り戻しましたけれども、実際に所在もあって、そこの社長等がホームページで、私はこれでこの高級な車を買いましたと。多分、予想するに、この五十八万円を売った金で高級な車を買って、投資で買ったわけではなく。  さらに、これはマルチになっていまして、友達に紹介したら五万円とかもらえるんですね。もうとんでもないビジネスモデルなんです。  消費者庁に聞いたら、ここ一年間ずっとこれは相談があるんですが、去年は六千件ぐらい、急増しています。摘発も実際にされています。  時間がないので、済みません、消費者庁の方は、ちょっと質問を飛ばさせていただいて。  これは消費者庁にも是非取り組んでいただきたいんです。もっともっと摘発してもらいたいんです。これはぎりぎりで、コンテンツ商材商法なので法律で今取り締まれないんですが、学生に六十万ぐらい借金させて、その借金の方法も、うそをつかせて消費者金融から借りさせて、ほとんど価値のないようなものを売って、それを友達に紹介したら五万円上げますなんて、もう四年も五年も話題になっているんですよ。これは是非取り締まってほしいんですね。法改正が必要だったらやるべきだと思います。  その上で、鰐淵政務官、おいでいただいているので、大学を見てみますと、大学に、これが余りにも大きな話題になっているので、幾つかの大学は、こういうUSB詐欺に気をつけてくださいとホームページに載っているところがたくさんあるんですけれども、学生が六十万円借金するって大変なことなんですよ。それをもっと徹底をして、入学のときの、例えばそういう何か一番初めに説明するとか、徹底的にプッシュ型で学生への注意喚起を促していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  19. 鰐淵洋子

    ○鰐淵大臣政務官 お答えいたします。  民法が改正されまして成年年齢が十八歳に引き下げられることに伴いまして、今後、学生が消費者トラブルに巻き込まれる可能性が高まると考えられることから、学生が消費者被害から身を守るための消費者教育がより一層重要になってくるものと認識をしております。  文部科学省では、消費者教育の推進や消費者被害の防止につきましては、各大学等における積極的な取組を促す通知を発出するとともに、学生支援業務に従事する教職員を対象とした各種会議やセミナー等においても周知を図っているところでございます。  また、各大学等におきましては、消費者教育に関する授業科目を開設するとともに、消費者センターと連携して派遣講師による出前講座を学内で実施をしたり、学生に対するガイダンスや学生相談等において、消費者トラブルやその対処方法に関して学生等に注意喚起や情報提供が図られているところでございます。  今後、先ほど岡本委員の方からも御指摘がございましたけれども、さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を受けまして学生の皆様が様々な不安を抱える中、消費者被害に巻き込まれることが増えるおそれもございます。  そのためにも、しっかりと学生一人一人に情報が確実に行き渡るように、消費者庁を始めとして関係省庁としっかりと連携をして、緊密に連携を取りながら、各大学におけるガイダンスやパンフレット等を通じまして学生に注意喚起を図るよう働きかけるなど、消費者被害防止に向けてより一層文科省としても取り組んでまいります。
  20. 岡本三成

    岡本(三)分科員 消費者庁の方、済みません、答弁の時間をお願いできなくて。ただ、これを取り締まってほしいんですね。  学生が六十万円借金をして、それで、その中身はもうほとんど何の価値、私、金融機関に長く行っていましたけれども、それで読んで勝てるか、勝てません。そういうのが平気で行われているのは、去年も六件ぐらい行政指導をしていただいていますが、もうどんどん取り締まってほしいと思います。  最後大臣にお伺いしたいんですけれども、若者の自殺の件です。  残念ながら、我が国における自殺者、先進国の中で若者の死因に占める自殺者の割合、もう圧倒的に先進国で一番多い状況になっていて、若い世代、十五歳から三十四歳で死亡原因の一位が自殺。先進国では我が国だけです。  とりわけ、このコロナ禍の中で学生皆さんも大変なストレスを抱えていらっしゃって、昨年、児童数で自殺者は前年比で四割増しの四百七十九人、女子高生は倍増、百三十八人です。この状況をどういうふうに捉えていらっしゃって、文科省として今後どのように取り組むかということをお答えをいただければと思います。
  21. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 児童生徒が自ら命を絶つことは本来あってはならないことであり、児童生徒の自殺が増加していることについては大変重く受け止めております。  そのため、文科省においては、これまでもスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置の充実や組織的対応の強化にも取り組んできましたが、加えて、二十四時間子供SOSダイヤルの周知、SNS等を活用した相談体制の整備の推進、教職員等を対象とした自殺予防の研修会の実施、SOSの出し方に関する教育の推進などにより、様々な悩みを抱える児童生徒の早期発見等に向けた取組充実を図っています。  また、今般のコロナ禍において児童生徒の自殺者数が増加していることを踏まえ、本年二月十五日より児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を開催し、児童生徒の自殺等に関する背景や適切な対応等について集中的に御議論をいただいているところです。今後、児童生徒の相談窓口等の関係者へのヒアリングなどを進めていくこととしており、ICTを活用した効果的な自殺対策も含め、充実した議論をお願いしたいと考えております。  本協力会議における議論を踏まえ、引き続き、自殺予防教育を推進するとともに、コロナ禍における効果的な自殺対策について速やかに検討を進めてまいりたいと思います。
  22. 岡本三成

    岡本(三)分科員 大臣最後にもう一つだけ御提案申し上げたいことがあるんですが、昨年は例えば有名な若い俳優の方が自殺をされて、もしかしたら、その方を後追いされたようなことも見受けられるようなことがあります。  報道機関にはお願いをして、WHOの要請に基づいて、余りにも過激に扱わないように、そういうふうに扱うときには、最後に、こういう窓口の電話番号がありますからというのもつけていただくようにしています。  インフルエンサーの方、例えば若い方がすごく慕っているようなミュージシャンとか俳優とか、政府広報をしていただきたいんです。例えば、そういう方々が十人ぐらい集まって、一言ずつ、もし、何か、そういうふうに悩んだときには、御自分だけで悩まずにここに電話してくださいというふうな政府広報を、若い皆さん、テレビを御覧にならない方もいらっしゃるので、ネット上でもどんどんプッシュ型でマーケティングをして、いざというときに若い方々が相談できるような窓口にちゃんと電話していただけるようなマーケティングをしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  23. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 御指摘のように、啓発動画等を含め、幅広く児童生徒の自殺予防のための施策を展開していくことが必要だということで、今話合いをしています。  先生御提案のように、インフルエンサー、例えば若い人に人気がある、こういう人たちを使うことも有効ではあるんですけれども、他方、若い人たちも思考が多様でありまして、要するに、そういう人たちが出てくると、逆に自分がファンな人は出てこない、自分は見放されたんだ、こう思ってしまうような傾向も一部にはあるようなので。  いずれにしましても、身近で相談ができる環境、またインターネットなども含めて、常に相談体制が取れる啓発、こういったものをしっかり対応していきたいな、そう思っております。
  24. 岡本三成

    岡本(三)分科員 ありがとうございました。終わります。
  25. 村井英樹

    村井主査 これにて岡本三成君の質疑は終了いたしました。  次に、古田圭一君。
  26. 古田圭一

    古田分科員 自由民主党の古田圭一です。どうぞよろしくお願いをいたします。  最初に、GIGAスクール構想についてお伺いをいたします。  GIGAスクール構想では、一人一台端末につきまして、これまで高等学校対象に入っていませんでしたけれども、令和二年度の第三次補正予算におきまして、高等学校の低所得世帯等の生徒に一人一台端末が拡充されることとなりました。低所得世帯に限定とはいえ、高等学校段階にまで拡充されたのは喜ばしいというふうに思います。  現状、各自治体では端末の整備状況にはばらつきがあるようであります。端末購入の支援のため、私の地元山口県では、臨時交付金財源として私立の各高等学校にも支援をしていただいて大変助かっております。しかしながら、規模の大きい学校では財源として不足することもあります。  こうした実情を踏まえれば、私立学校も含め、高等学校段階の端末整備に対する国からの支援を更に拡充する必要があるのではないかというふうに思っております。  政府として、高等学校段階について端末整備を後押しし、高校生の一人一台端末を目指すという方針なのでしょうか。今後の方向性とその進め方についてお伺いいたします。
  27. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省としては、高校生も含め、全ての子供たちに対するICT環境整備が急務と考えております。  このため、高校の端末整備については、自治体等の設置者が独自財源で調達する事例や、個人の端末の持込み、いわゆるBYODを進める事例など、多様な実態があることを前提に、設置者に整備を促して支援する観点から、令和二年度第三次補正予算において、低所得世帯の高校生への貸与等を目的として、これは国公私立高校の設置者が行う端末整備に対する補助を行うこととしております。  文部科学省としては、こうした支援を行いつつ、取組が遅れている自治体等に対しては、一人一台端末環境に向けた目標設定、あるいは達成するための整備計画の策定に取り組むよう働きかけをいたしますとともに、その進捗状況を随時把握しながら、必要に応じて措置を講じるなど、義務教育で一人一台端末環境で学んだ子供たちが高校に進学した後も同様の条件で学べる環境が一日も早く整うよう、自治体等と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  28. 古田圭一

    古田分科員 ありがとうございます。  高等学校の中には、生徒に端末を購入させる学校も少なくないというふうに聞いております。今もBYODという話がありました。  現在、高等学校段階における端末整備につきまして、貸与、設置者負担と、購入、保護者負担の状況についてお聞かせいただければと思います。  また、学習記録の保存や端末の管理、それから廃棄などの点から見たとき、端末は貸与よりも購入の方がふさわしいのではないかと私思っているんですけれども、見解をお伺いしたいと思います。
  29. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  これまで、高校の端末整備につきましては、文部科学省では、二〇一八年度をスタートといたします教育のICT化に向けた環境整備五か年計画を踏まえまして、三人に一台分の端末整備に対する地方財政措置を講じたり、あるいは、私学助成で支援をしたりするとともに、先ほど議員からも御紹介ありました、新型コロナウイルス感染症対応の地方創生臨時交付金の活用事例として高校の端末整備を明示することなどを通じて整備を促してまいりました。  自治体など設置者は、このような取組を活用して独自財源で調達をしたり、個人所有の端末の持込みを進めたりするなど、多様な実態がございます。  公立高等学校におきますICT端末の整備状況については、全都道府県を対象に、その整備方針あるいは費用負担等を昨年十二月時点で確認をいたしました。その結果としては、設置者による整備を行う自治体が十二自治体、これは先ほどの臨時交付金の活用も含みますが。また、原則として新入生から段階的に保護者負担により端末整備を行うという自治体が九自治体ございます。これは都道府県を対象に聞きましたので、残る二十六自治体については、その負担の在り方についてはまだ検討中ということでございます。  こうした状況も踏まえた上で、高校の一人一台端末を整備するに当たっては、各家庭に負担を求めるかどうかにつきましては、各家庭の経済負担を特に考慮して、学校の設置者において適切に判断されるべきものと考えております。  また、このような現実が多様な実態であることを踏まえまして、文部科学省としては、自治体など学校設置者の取組支援する観点から、令和二年度の第三次補正予算においては、低所得世帯の高校生への貸与等を目的として設置者が行う端末整備に対する補助を行うこととしたところでございます。  文科省としては、高校のICT環境の一日も早い整備に向けて、自治体等に働きかけ、整備を促すなど、緊密に連携しながら積極的かつ迅速に取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  30. 古田圭一

    古田分科員 今回はそういうことで整備を進めるということなんですけれども、数年後には、今回整備したタブレットの更新が必要となってきます。  タブレットは、ノートや鉛筆と同じような文房具の一つというふうに捉えることもできるかと思います。そういうこともありまして、設置者からの貸与ではなくて、購入による個人持ちが適当であるというふうに私は考えています。その場合にも、タブレットは高額ですので、国は個人の購入に対して支援をしてほしいというふうに思っております。  令和二年度第三次補正予算及び令和三年度予算案では、高校生等奨学給付金によりまして、オンライン学習に必要な通信費相当の特例的追加支給のための予算が計上されております。数年後に訪れる端末の更新時期には、生活保護世帯や非課税世帯に対してはこの金額を引き上げるなどして、また、課税世帯については所得税控除額、扶養控除額の額を引き上げるなどすることによって、端末の個人持ちを進めてはどうかというふうに考えておりますけれども、大臣の見解をお伺いしたいというふうに思います。
  31. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 高等学校の端末の整備につきましては、先ほど局長からも答弁をしましたが、地方自治体が独自の財源を確保して端末の調達を進めている事例や個人の端末の持込みを進めている事例など、多様な実態が今あると思います。  このため、文科省においては、三人に一台分の端末整備経費に対する地財措置に加え、今年度第三次補正予算において、低所得者世帯の高校生に対する貸与などを目的として設置者が行う端末整備に対しての補助をつくらせてもらいました。  御指摘のとおり、GIGAスクールが始まりますと、いよいよ今年の四月から小中学生一人一台端末環境が整いますので、高校までシームレスで進んでいただくことが望ましいと思います。  いずれ、ここで整備したものが更新時期を迎えるわけでありますが、逆に言いますと、五年前まではこういった学校端末は十万円を切るという機械がありませんでしたが、今回は四万五千円で小中学生に配備をすることができました。間違いなく需要もあるわけですし、メーカーの皆さんも、ここについては社会全体で協力していこうという意欲を示していただいているので、より廉価なものでいいものが出てくるということも期待をしながら、一人一台端末環境整備に向けて、各自治体と協力しながらしっかり取組を進めてまいりたいと思います。  BYODも含めてどのような環境が望ましいか十分検討し、その上で必要な支援について検討することになるというふうに認識しております。
  32. 古田圭一

    古田分科員 まだ次回の更新時には時間がありますので、しっかり検討してほしいと思います。よろしくお願いをいたします。  学校教育の情報化をサポートするための人材についてお伺いをいたします。  令和三年度予算案や地方財政措置によりまして、ICT活用教育アドバイザー、GIGAスクールサポーター、ICT支援員といった様々な学校教育の情報化を支えるための外部人材の活用が進められております。それぞれの違い、役割についてお伺いしたいと思います。  また、ICT支援員についてお伺いしたいと思いますが、教師が授業にいかにICTを取り入れ、活用していくか、ノウハウやスキルがないと難しく、このICT支援員の配置は大変重要だというふうに考えます。ICT支援員は、学校のICT環境整備に係る地方財政措置により四校に一名配置することとされていますけれども、現在までにどの程度配置が進んでいるのでしょうか。  また、ICT支援員は、授業計画の作成とかICT機器の準備、操作などを支援するということでありますけれども、ノウハウやスキルを持ったICT関係企業に在職していた方などになってもらうのが望ましいというふうに思います。現在配置されているICT支援員はどのような経歴の方がなられているのでしょうか、その点についても併せてお伺いをいたします。
  33. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  学校におきますICT環境を整備し活用していくためには、御指摘のとおり、教師のICT活用指導力の向上を図るとともに、教師を支援する外部の専門的人材を活用する体制を整備することも重要であると考えております。  こうした外部の専門人材については、まず一つ目として、文科省大学や先進自治体の有識者等に委嘱をして、学校設置者に対してICTの環境整備の全体方針の策定や活用に関する専門的な助言、研修支援などを行うICT活用教育アドバイザー、この派遣の実施をするとともに、また第二に、当初四年で整備する予定でございました計画を一年に前倒しすることとなったGIGAスクール構想を推進するために、一人一台端末環境の整備を始めとした初期対応等を学校において行います主としてICT関係企業のOB等のGIGAスクールサポーター、この配置に係る経費の補助、そして第三に、御指摘ありましたけれども、ICT機器の準備、操作等の授業支援や、メンテナンス、トラブル対応など、校内での企画等の日常的な教師のICT活用の支援を行うICT支援員の配置、これらの促進に取り組んできたところでございます。  特に、ICT支援員については、地方交付税措置で措置しておりますので、網羅的に把握はできてございませんが、先ほど申し上げたとおり、日常的な学校におきます教師をサポートできる能力を持った方々に就いていただいているということで理解をしております。  文科省におきましては、こうした学校現場を支援する外部の専門的人材につきましては、ホームページを通じましてGIGAスクールサポーターやICT支援員の業務を担う人材の派遣を行う事業者等の紹介を行いますとともに、先月、一月でございますけれども、萩生田大臣から直接に民間事業者に対しても、各企業の技術者による学校現場への支援について協力要請を行ったところでございます。  文部科学省としては、学校設置者がこうした外部の専門的人材を適切に配置することによって、学校現場におきますICT活用が円滑に実施できるよう、引き続きその配置促進に努めてまいりたいと考えております。
  34. 古田圭一

    古田分科員 配置に向けてしっかり支援をしていただきたいと思います。よろしくお願いをいたします。  次に、授業目的公衆送信補償金制度についてお伺いしたいと思います。  この制度は、補償金を一括で支払うことによりまして、著作物を無許諾利用できる範囲を拡大しようとするものと伺っております。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大という事態の緊急性重要性に鑑みまして、導入初年度の令和二年度につきましては、特例的に補償金額は無償というふうにされています。  令和三年度からの本格実施に先駆けた昨年十二月には、例えば、高等学校では、生徒一人、年額四百二十円とするなどの補償金額の認可が文化庁長官より行われております。児童生徒一人当たりの金額としては決して高額ではありませんけれども、学校全体としてはかなりの金額になりますので、国の支援をお願いしたいというふうに思います。  この補償金に関しまして、昨年十二月の文化庁の通知におきまして、運営費補助金や私学助成といった基盤的経費の令和三年度予算案に補償金の支払いに必要な経費を計上しているとありましたけれども、具体的にどのような内容で、どの程度の金額が計上されているんでしょうか。お聞かせいただければと思います。
  35. 森晃憲

    ○森政府参考人 お尋ねの授業目的公衆送信補償金制度についてでございますけれども、これについて、私立高等学校等が本制度を利用する際には、補償金に対する学校設置者の負担を軽減するために、令和三年度より、国の私学助成による支援制度を設けまして、所轄庁である都道府県が学校に対して補償金に係る経費を助成した場合に、その助成額の二分の一を国から都道府県へ支援することとしております。  さらに、残りの都道府県の負担に当たる部分につきましても、地方交付税措置を講ずることとされているところでございまして、こういった形での支援を進めてまいります。     〔主査退席、神山主査代理着席〕
  36. 古田圭一

    古田分科員 ありがとうございます。  続きまして、中山間地域における教育につきまして大臣にお伺いしたいというふうに思います。  本年一月の中教審の答申では、中山間地域などの小規模な学校に関しまして、自前主義からの脱却を図る必要があるとした上で、高等学校段階につきましては、複数の高等学校を含めたネットワークを構築して、遠隔授業を実施するなど、ICTも活用してそれぞれが強みを有する科目を選択的に履修することを可能とすることなどが求められているとされました。  こうした取組支援して、中山間地域などの地域唯一の高等学校においても質の高い高等学校教育を実施するため、令和三年度予算案では、COREハイスクール・ネットワーク構想として二億円が新規に計上されています。  萩生田大臣も、定例記者会見におきまして、結果として統廃合を考えていかなければならないとしても、かけがえのない学校は残していくことが大事であり、地域経済にとってマイナスなのかプラスなのかを各自治体がしっかり考えることが大事であるという趣旨のことをおっしゃっておられましたけれども、私もまさにそのとおりだというふうに思います。  この中山間地域の学校は、児童生徒が少ない分、一人一人に目が行き届いて個別最適化された学びを実現しやすいという、今まさに文部科学省において進められている少人数教育のよさが生きてくるという側面もあるのではないかというふうに考えております。  地域の拠点としてばかりではなく、少人数教育という側面も含めて、中山間地域の学校は可能な限り存続を目指すべきと考えますが、萩生田大臣の見解をお伺いします。     〔神山主査代理退席、主査着席〕
  37. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 中山間地域においては、学校は地域コミュニティーの核としての役割も持っており、学校教育魅力化は地域振興の観点からも重要だと思います。また、中山間地域などにおいて、学校ICT環境を利用した遠隔・オンライン教育を行うことにより、子供たちが多様な意見や考えに触れたり、協働して学習に取り組んだりする機会充実を図ることも可能になると思います。  その上で、各地域の学校の在り方については、地域の実情に応じて、設置者である各自治体において主体的に判断されるべきものであると考えておりますが、文科省としては、小規模校のメリットを生かしデメリットの克服を図りつつ学校の存続を図る場合、統合により魅力ある学校づくりを行う場合のいずれの選択も尊重し、きめ細かな支援を行うこととしております。  先生指摘いただきましたとおり、これは、一回廃校してしまえば、例えば地方創生の政策を進める上で、若い人たちにそこに住んでくれと言ってもなかなかそういう展開にはならないと思います。したがって、このICT、上手に使いながら、今御指摘があった少人数のよさというものも生かしながら、地域地域で事情は異なると思いますので、ここは単純に、機械的に、単なる児童生徒数あるいは学生数によって廃止をする、統合するという機械的なことではなくて、やはり地域の将来像というものをしっかり考えて対応するべきではないかなと思っております。
  38. 古田圭一

    古田分科員 大変心強い答弁、ありがとうございます。  次に、高等学校の普通科改革についてお伺いをいたします。  本年一月の中教審の答申では、普通教育を主とする学科の弾力化、大綱化として、高等学校の普通科改革が盛り込まれています。これは、約七割の高校生が通う学科を普通科として一くくりに議論するのではなくて、各学校設置者の判断により、学際的な学びに重点に取り組む学科や地域社会に関する学びに重点的に取り組む学科などの特色、魅力ある教育内容を実現する名称を学科名とすることを可能とすることなどが内容となっています。  普通科は偏差値で決められてしまうことが多く、それが生徒のやる気を失わせてしまうというようなことも耳にしていますので、各高等学校が特色化、魅力化を図ることができるようになることは、学校のみならず、生徒にとってもよい改革ではないかと考えています。  まず、普通科改革に取り組むこととなった背景と今後の方向性についてお伺いをいたします。  それともう一点、あわせて、この弾力化により設置者がつけられる学科の名称について、設置者においてふさわしいと思う名称を自由に用いることができるのか、また、学習内容が従来の普通科とどう変わるのかなど、具体的な点も併せてお伺いいたします。
  39. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  普通科の改革についてでございますが、文部科学省の調査におきまして、高校生の学校生活への満足度や学習意欲に様々な課題があることが明らかになっておりまして、本年一月に取りまとめられた中央教育審議会答申におきましても、高等学校の特色化、魅力化を推進することによって高校生の学習意欲を喚起し、多様な生徒の学習ニーズに応じた教育活動を展開することが提言をされたところでございます。  文部科学省としては、中央教育審議会の答申を踏まえて、高校生の約七割が在籍して学んでいるこの普通科の在り方を弾力化し、これまでの普通科に加えまして、先生からも御指摘がありましたが、SDGsなどに関わる学際科学的な学びに重点的に取り組む新たな学科や、地域社会が抱える課題解決に向けた学びに重点的に取り組む新たな学科などを各設置者の判断により設置可能とする制度改正を検討をしているところでございます。  その際、学科の、御指摘いただいた名称につきましては、各設置者や学校において、その特色や魅力ある学びを実現するにふさわしい名称をつけていただくことができるよう、そうした方向で現在検討を進めているところでございます。  また、新たな学科におきます教育の特色としては、現行の普通科のカリキュラムに加えまして、各学科の特色に応じた学校設定教科に関する科目を少なくとも二単位以上設けることなどについて現在検討を進めているところでございます。  今後、年度内に関係省令等の改正を行わせていただきまして、普通科改革を始めとして、高等学校の特色化、魅力化を促進するための施策を推進してまいりたいと考えております。  以上です。
  40. 古田圭一

    古田分科員 ありがとうございます。  今、普通科でも、いろいろな特色を持った内容で学習するということですけれども、そういう改革を進めるのであれば、子供たちも、今よりもしっかりとしたビジョンを持って高等学校に進学する必要がありますので、高等学校に進学する前の義務教育段階でのキャリア教育というのを今以上にしっかり行わなければならないというふうに思います。  今回の普通科改革と併せて、義務教育段階のキャリア教育の推進を図ることなどは予定されているんでしょうか。今後の義務教育段階のキャリア教育の方向性や具体策についてお聞かせください。
  41. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  子供たち一人一人が将来の生き方や進路に夢や希望を持ち、主体的に進路を選択することができるよう、必要な基盤となる能力や態度を育てるキャリア教育の充実は大変重要であると認識をしております。  文科省としましては、小中学校の新しい学習指導要領におきまして、キャリア教育の充実を明記するとともに、小中高等学校を通じてキャリア教育が体系的に推進されるよう規定をしたところでございます。  具体的には、例えば、中学校段階でのキャリア教育の例としましては、職場体験活動が勤労観、職業観に関わる啓発的な体験として行われておりまして、社会的、職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度の育成が行われております。これは、公立の中学校におきますと、職場体験実施率は九七・七%という数字もございます。  さらには、今年度四月から小中高等学校において、学んだことを振り返りながら、新たな学習や生活への意欲につなげたり、将来の生き方を考えたりする活動を行う際に、児童生徒が活動を記録し蓄積する教材としてキャリアパスポートが実施をされておりまして、体系的なキャリア教育がこうしたものも活用しながら推進されております。  文部科学省におきましては、今後も一層のキャリア教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
  42. 古田圭一

    古田分科員 しっかり取り組んでいただきますようにお願いいたします。  次に、教員の働き方改革についてお伺いしたいと思います。  私立学校も、それぞれの建学の精神に基づいて特色ある教育活動を展開しておりまして、公立学校とともに我が国の公教育の一翼を担っております。しかしながら、教員の時間外勤務の取扱いにつきましては、給特法の対象となる公立学校と、労働基準法が全面的に適用される私立学校とで異なっております。  公立学校の教員につきましては、給特法により、時間外勤務を命ずる場合は、いわゆる超勤四項目に従事する場合であって、臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限られています。また、時間外勤務手当や休日出勤手当を支給せず、勤務時間の内外を問わず包括的に評価して、給料月額の四%に相当する教職調整額が支給されております。一方、私立学校の教員につきましては、労働組合等との協定を締結した上で時間外勤務を命ずることができ、時間外勤務手当、休日出勤手当の支給が必要となります。  また、私立学校の教員に適用される労働基準法では、時間単位の有給休暇は五日分が限度ですけれども、公立では五日分という制限がないということも伺っております。  このように、我が国の公教育を担っている同じ教員であっても労働環境が異なっていることについて、それでよしとするのか、お考えを伺いたいと思います。  また、私立学校は、少子化等により経営環境が厳しい中、人件費がかさんで困難な状況に追い込まれている学校も数多くあります。我が国の学校教育の中で私立学校が果たしている大きな役割を踏まえれば、私学の経営の健全性を高め、その振興を図ることが重要であると考えておりますけれども、私立学校における教員の働き方改革に対する支援につきましても、大臣の見解を伺いたいと思います。
  43. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今、公立学校の教員の給与の仕組みについては、先生詳しく御披露いただいたところでございます。  一方で、私立学校では、それぞれの建学の精神にのっとり多様な教育を行っていただいているところであって、労使協定に基づく時間外勤務命令が行われ時間外勤務手当が支給されるなど、当事者間での取決めに基づいて行われていくことが基本となっております。  また、働き方改革に取り組む私立学校への支援は大変重要であると思っておりまして、文科省としても、私立学校業務改善に向けた取組などに関する優良事例の御紹介や、厚労省と連携して、都道府県労働局や都道府県私立学校主管部課に労働法制上の仕組みについて学校法人向けに御説明を行う機会を設けていただくとともに、私学助成において、人件費を含む学校の経常的経費に対し国庫補助及び地方交付税措置による支援を行っており、毎年度、一般補助における生徒等一人当たり単価の充実や、特別補助における教員の負担軽減を図るための外部人材の活用などの取組を行う学校に対する支援を行っております。  御指摘のとおり、私立であっても公立であっても子供たちが学ぶその機能というものは担保していかなきゃならないんですが、他方、私学の場合はやはり建学の精神があって、経営者のお考えもあると思います。先生の論法で、同じ教員なのに給与体系が違うじゃないかといったら、校長や理事長の給与まで、じゃ、公立に合わせていいんですかといったら、これは多分、私立の皆さんは反対すると思いますよ。  ですから、そういうことを考えると、私立のよさというものもあるわけですから、その辺は是非それぞれで御努力していただく中で、しかしながら、働き方改革というこの大きなテーマにしっかり取り組んでいただける私立学校については支援体制をしっかり組んでいきたいな、そう思っております。
  44. 古田圭一

    古田分科員 働き方改革に対して、しっかり支援をお願いしたいと思います。例えば校務支援システムとか、そういうのもある程度助成していただければ、学校の方も教員の勤務時間等を削減できると思いますし、好事例等をしっかり集めていただいて紹介していただければというふうに思います。  時間が参りました。残りの質問はできませんでした。申し訳ありません。  どうもありがとうございました。
  45. 村井英樹

    村井主査 これにて古田圭一君の質疑は終了いたしました。  次に、階猛君。
  46. 階猛

    ○階分科員 立憲民主党の階猛です。  今日は、分科会での質問機会をいただきまして、ありがとうございました。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  昨年のこの場でもお伺いした、岩手県などが積極的に誘致を進めている国際リニアコライダーについて、まずお聞きしたいと思います。  資料をお配りしていますけれども、一ページ目の下の方、今、ILCの状況はどういうことかといいますと、国際推進チーム、IDTというものが発足している。このIDTではILC準備研究所の設立を目指しているわけですが、その組織と機能をまとめる作業を行っていて、十二月中にその概要を基に日米欧の研究所間の議論を始めるというのがこの一ページ目の下の方に書いてあります。  そこで、こちらは政府参考人の方ですか、政府参考人に伺いますけれども、今申し上げた点について、現在の進捗状況と今後の見通しについてお聞かせください。
  47. 杉野剛

    杉野政府参考人 失礼いたします。  ILCに関する国際推進チーム、IDTと称しておりますけれども、これは、高エネルギー加速器研究機構、KEKを事務局といたしまして、昨年の八月に、国際研究者コミュニティーであります国際将来加速器委員会、ICFAが設置したものでございまして、設置から一年ないし一年半の期間をかけましてILCの準備段階の計画を検討しているというふうに伺っております。  その後の検討状況につきまして、特に委員御指摘の準備研究所の組織と機能に関する検討状況、特に日米欧の研究者間の議論の状況につきまして改めてKEKを通じまして確認をいたしましたところ、IDTのワーキンググループ、今日お配りの資料にもございましたけれども、ワーキンググループの一におきまして、米国のジェファーソン国立加速器研究所の所長、あるいはフェルミ国立加速器研究所の副所長、欧州合同原子核研究所、いわゆるCERNでございますけれども、そのビーム部門長など、日米欧の研究者十六名で昨年十二月から国際間の議論を開始したと伺っております。  十二月の三十日に第一回、本年二月の二日に第二回の会合を行っておりまして、現時点では人員及び資金の分担についての議論の進め方が検討されているというふうに伺っております。
  48. 階猛

    ○階分科員 それでは、予定どおり進んでいるというふうにお伺いしておきます。  そして、もう一つ、この一ページの最後のところの部分ですけれども、「また、」ということで、「IDTではILC準備研究所で行うべき技術開発の項目を整理しており、来年一月から」、これはもう今年になりましたけれども、「一月から具体的な技術開発の分担案を議論する予定である。」というふうになっています。  この点について、現在の状況と今後の見通しを教えてください。
  49. 杉野剛

    杉野政府参考人 IDTによりますILC準備研究所で行うべき具体的な技術開発の分担案の議論に関して、これもKEKを通じまして確認をいたしましたところ、まず、超電導加速空洞やダンピングリング、あるいはビームダンプといった加速器施設に関する技術課題と、測定器技術開発、加速器施設とのインターフェースなど測定器に関する技術課題に分けまして、それぞれワーキンググループを設けまして、日米欧の研究者による議論が本年一月から予定どおり行われているというふうに伺っておりまして、その内容につきましては、現在のところ、採用する技術の選択やその研究開発の方針について議論が進んでおり、実施主体や実施のための人員、資金分担の議論はまだ必ずしも深まっていないというふうに伺ったところでございます。
  50. 階猛

    ○階分科員 議論の方は予定された時期から始まっているということなんですが、これからスケジュールということで、ILCの準備研究所を造るということが必要になってくるわけですが、そのILC準備研究所、二百億円強お金がかかるということでありますが、予算要求に向けて必要な条件ということで、三つ、この二ページ目の下の方にA、B、Cと掲げられております。  このAの、IDTが提案する準備研究所の組織、機能などが適切なものであり、かつ準備研究所における研究開発計画が実施可能なものであること。Bとして、準備研究所に対し海外から財政貢献を含んだ参加の見通しが立っていること。そしてCとして、文科省の了解が得られていること。この三つ、条件があるわけです。  そこで、大臣に伺いたいのですが、上のA、B二つの条件が満たされた場合は、文科省として、三つ目の条件である了解、これはちゃんとしていただけるというふうに理解していいものかどうか、お答えいただけますか。
  51. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ILC計画は、全長数十キロの直線上の加速器を造り、宇宙創成の謎の解明を目指す壮大な計画であり、素粒子物理学上の学術的意義を有するものであると認識しております。  KEKが国にILC準備研究所の予算を要求する前提として、準備研究所の組織機能や研究開発計画の妥当性、準備研究所に対する海外からの資金拠出を含んだ参加の見通しを得ることを条件としていることは承知しております。  一方、文科省としては、ILC計画について検討を深めるためには、準備研究所のみならず、ILC計画本体について、国際分担や技術的成立性を含めた様々な課題が解決されるとともに、国内外の幅広い協力が得られるという見通しが必要であると考えております。  去年もたしか、先生とここで議論しました。私は、この施設を国内に造ることは大いに賛成なんですけれども、これはやはり国際協力がなければできません。準備段階でも二百三十億のお金を仮に積んだとして、しかし、その先の見通しは全くつかないんだということでは国民皆さんの理解を得ることは難しいと思いますので、ここは、今申し上げたように、国内外の幅広い協力、これが大きなポイントになるのではないかなと思っております。
  52. 階猛

    ○階分科員 そうすると、ちょっと、条件A、Bが満たされただけでは少し足りないということなわけですけれども、そうなってきますと、このIDTがなすべき作業というのも、やはり予算に結びつくような作業をしなくちゃいけないと思うんですね。こうした作業をしていく上で、どれだけ時間がかかるのだろうかと思うわけです。  一方、このスケジュールという、二ページ目の横の矢印が書いていますけれども、もう二〇二一年ですから、もうそろそろ、今年の概算要求の時期ぐらいにはこのILC準備研究所の予算要求というのもしていかなくちゃいけないだろうと思っているわけです。  今大臣からお話がありましたけれども、三つの条件を充足するということを私たちも目指していかなくちゃいけないと思っています。  その上で大臣に伺いますけれども、この条件が充足される見込みは文科省としても十分にあるだろうというふうにお考えなのかどうか、お聞かせください。
  53. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほどと同じになりますけれども、私、この準備研究所の建設は、極論を言えば、日本単体の財力、能力でも対応できないことはないと思いますが、やはり国際研究施設でございますので、協力を申し出ている米、欧州等の協力の見込みというものを明確に、財政的な裏打ちも含めて確立していく必要があるんだと思います。  今、私ども日本は、フランスで造っているITER事業に参加しています。日本の負担金はきっちり払い、日本技術提供はしっかりやっておりますけれども、残念ながら、当初計画どおりに資金を拠出していない国があるのも事実でありまして、そうなると、やはりその設置者であるフランスはすごく困るわけです。  我々は、そういう海外での協力体制で、日本としては約束を守っていますけれども、そういう現実を知っていますので、今度仮に日本に造るということになれば、これは万が一のことがあったら日本は全ての責任を負えるのかと言われれば、これはとてつもない金額が後でついてくるわけですから、施設そのものの是非は、必要性は先ほど申し上げたように十分理解しています。  国際社会でこれはしっかりテーブルに着いていただいて、きちんと約束を確認をした上で私は進むべきではないかと思っております。
  54. 階猛

    ○階分科員 資金面の国際的な協力体制が重要だというようなお話がございました。  先ほど杉野局長答弁の中で、IDTの中で資金面の議論はまだこれからだというようなことがありました。今の大臣のお話も踏まえますと、まさにその部分が、この準備研究所設立、更にその先のILC本体の設立に向けて非常に重要だと思っているんですが、IDTの中ではきちんとその認識、共有されていますか。もし共有されていないようでしたら、是非そちらにこの情報共有してほしいんですけれども、いかがでしょうか。
  55. 杉野剛

    杉野政府参考人 ILC計画につきましては、準備研究所の問題のみならず、ILC本体につきましても、国際的な費用分担が大変重要である、鍵を握っているということは、コミュニティーの研究者の皆さん共通の理解だろうと思っております。  IDTにおきます検討も、どこまで幅を持って御議論されているかよく承知しておりませんけれども、十分意識された上で御検討されているのではないかと思っておりますし、今日のような御審議の様子につきましては、関係者にお伝えをしたいと思っております。
  56. 階猛

    ○階分科員 是非大臣、御関心を持っていただいているのはありがたいと思いますけれども、これは本当に日本の将来にとっても東北の未来にとっても重要な案件でございますので、引き続きフォローをお願いしたいと思っております。  さて、次の話題に移りますけれども、多分今日の分科会でも様々な議論が出ていると思いますが、コロナ禍で苦境にある若者への支援をどうしていくかということをお伺いしたいと思います。  昨日、ちょっと文科省の方に伺ったところ、後期授業料の納付猶予を受けた大学生が前年度に比べて五万人以上増加している、大体二十一万人ぐらいいらっしゃるそうですけれども、前年より五万人ぐらい増加していますと。猶予期限がこれから到来するわけですが、私は、今の経済状況を考えると、再度の猶予あるいは減免を認めるべきではないかと思っております。この点について大臣の見解を伺います。
  57. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に困難な学生が進学、修学を諦めることがないよう、しっかりと支えることが何より重要であると考えております。  御指摘の後期授業料の納付猶予者数につきましては、文部科学省大学に対して行った調査において、昨年度よりも多くの学生に対して納付猶予を行っている状況と承知をしております。先生、今、約二十一万人とおっしゃっていただきましたけれども、その実数を確認をしております。  文科省としては、引き続き、家計が急変した場合の高等教育の修学支援新制度や貸与型奨学金など、学生が活用可能な支援策を呼びかけることに加え、大学等に対して授業料等の納付猶予などの柔軟な対応をお願いしてまいりたいと考えております。  また、家計が急変した学生に対する大学独自の授業料等減免に対する支援については、これまでの令和二年度第一次及び第二次補正予算において、後期の授業料等の減免も含めて、各大学が十分に対応できる予算計上をしているため、引き続きその活用を呼びかけてまいりたいと思います。  いずれにしましても、コロナ禍という未曽有の事態の中で、学生さんたちも想定をしていなかった事態に陥っているわけですから、ここは社会全体で学生さんの学びを守っていく、その上では、そういう視点からすれば、国立、私立問わず大学皆さんにも是非これは御理解いただいて、御協力をしていただきたい、そう思っているところでございます。
  58. 階猛

    ○階分科員 昨年の夏ぐらいまでは、大学の中退者が激増するんじゃないかと言われていて、私もそれは気になって聞いたんですけれども、今大臣からいろいろな支援策のお話がありました、多分それも効果を発揮して、中退者自体はむしろ昨年より減っているということを伺って、これはこれで非常によかったと思っています。  ただ、最近、若者の自殺ということがよくニュースなどでも取り上げられていまして、私の資料でいうと三ページ目、ここでは、小中高校生の自殺が昨年一年間で、三百三十九人から百四十人増えて四百七十九人になりましたということが新聞記事としてあるわけですね。  ところで、大学生や専門学校、短大などにおいては自殺者はどうなっているんだろうか、それから自殺の防止対策をどのように進めているのかということを大臣からお聞かせください。
  59. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 厚労省の公表情報によりますと、昨年における学生の自殺者数は前年に比べて約一・三倍に増加しており、小中高の増加率に比べ低いものの、この事態を大変重く受け止めております。  学生の自殺を予防する取組として、各大学等に対し、学生の悩みや不安に寄り添ったきめ細かな対応を要請するとともに、学生支援を担当する教職員へのセミナーやワークショップを開催しております。また、厚労省と連携し、自治体で設置する相談窓口やメンタルヘルスケアサポートに役立つ情報等について、各大学等を通じ学生周知するとともに、各大学等の取組充実に資するよう、新入生支援等の取組事例の収集、発信を行っております。  今後、大学の自殺予防に関する有識者等との連携をし、自殺の分析や大学等における適切な対応等の検証を実施していく予定でございます。引き続き、関係省庁と連携しながら、学生の自殺予防に取り組んでまいりたいと思います。
  60. 階猛

    ○階分科員 要因分析をされるということでしたが、私、この間、全国大学生協連というところの学生生活実態調査の概要というのを見させていただいたんですね。これによると、大学生活が充実しているという人が八八・八%から七四・二%に、一四・六ポイントも下がっている。特に一年生、これは八九・三だったのが五六・五、つまり三二・八ポイントも激減しているわけですね。かつ、この一年生で充実していると答えた五六・五の人なんですが、対面授業あるいは対面授業がほとんどという方だと充実度が八〇%ぐらい、だけれども、対面とオンラインが半々だと七〇%ぐらいに下がる、かつ、オンラインが多いとなると五六%、全てオンラインだと四二%まで下がってしまうということなんですね。  私が何を言いたいかというと、やはり、生活環境が変わる一年生、なおかつオンラインが多い学生、こういったところが、孤立化だったりいろいろな悩みを抱えやすいんじゃないか。やはり、一年生をどうケアするか、それからなるべく対面に切り替えていく、この二つが重要ではないかと思っております。  大臣もお考えがいろいろあるかと思うんですが、今の私の考えについて何かコメントがあれば、お願いします。
  61. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 度々国会でも答弁させていただいておりますが、今年の大学生、本当にコロナの中で苦しみながら頑張っていただいていると思います。  大学サイドも、大学の社会的使命というものを感じながら、クラスターの発生を防ぐんだということで、オンラインに切り替えている学校もあるんですけれども。  私も一年生の皆さんから連日のようにメールなどをいただいて、夢の大学生活、夢見て東京へ来たけれども、もう既にマンションは返して、実家に帰りながら、朝から夕方までパソコンの前で一日が終わります、入学式にも行ったことがなければ、クラスの友達とも一度も会ったことがないんです、しかし授業料は父親の口座から引き落とされ、その中には図書館利用料も含まれています、私が考えていた大学生活と余りにも違って、休学を考えようと思いましたが、休学のためにまたお金を払えと言われ悩んでいます、こういう声を幾つも直接聞いて、特に一年生の皆さんにとっては、考えていた学園生活、キャンパスライフと余りにも違うということで、失望感を感じている、そういう方が大勢いらっしゃるんだと思います。  今年はもう本当に未曽有の中での対応だったので、誰を責めるわけにもいかないんですけれども、新学期までに、大学がやはりオンラインと対面のハイブリッドの授業をしていただいて、特に一年生や二年生は優先的にキャンパスに来ていただいて、しっかり学んでいただく、仲間を増やしてもらう、教授とも直接の語らいができる、そういう学校をつくり上げていくために、大学関係者に引き続きしっかりお願いをしていきたいと思いますし、そのために必要な設備など、納税者の皆さんの納得いただけるような支援があるとすれば、そこは文科省としても各大学法人や大学現場にも応援をしていきたい、こう思っているところでございます。
  62. 階猛

    ○階分科員 私の知っている大学生、一年生ではないんですけれども、ある有名私立の都内の大学に通っているんですが、この一年間で大学に行ったのは、事務手続でしか行っていない、まさに学費の納入とかそういうことでしか行っていない、自分たちは大学に何しに行っているんだろうかということを本当に残念に語られている人がいまして、せっかく努力をして希望の大学に入ったのに、こんなことでは、やはり先輩世代として申し訳ない気持ちでいっぱいですね。  本当にこの問題、ともすれば、我々、どうしても、シルバー民主主義ではないですけれども、上の世代の方の意見を聞いて政策判断しがちですけれども、こうした声なき声をやはり大事にしなくちゃいけないだろうなというふうに思っています。  もう一つ学生生活が終わるといよいよ就職活動ということになるわけですけれども、今年度も大変だったと思うんですが、昨日、お話を聞くと、内定率は徐々に上がってきて、過去のリーマン・ショックとかそういうときに比べるとかなりいいようだというような話も聞いています。  ただ、コロナ禍、まだまだ続くわけで、三月一日からですか、来年度の大卒の就職の方もいろいろな活動が始まるようですけれども、そういう中で、来年度の学生の就職活動も厳しいんじゃないかなと思っています。  コロナ禍がどういう影響があると考えているのか、そして、来年度に向けて、学生が希望の職に就くための支援策をどのように進めるのかということを大臣から聞きたいと思います。
  63. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響により、合同企業説明会の中止やオンラインによる採用面接の実施など、本年度卒業を予定する学生の就職活動にも変化があり、一部の企業では採用が中断されるなど、企業の採用活動にも大きな影響を及ぼしました。  このため、文科省では、これまでも、関係省庁と連携し、企業等に対して、新卒者等の中長期的な視点に立った採用や、卒業後少なくとも三年以内の既卒者が新規卒業予定者の採用枠に応募できるように対応していただくなど、最大限柔軟な対応を要請してきたところです。  加えて、三月一日からは来年度卒業を予定する学生に対する企業の採用活動が開始することを踏まえ、二月十九日に、経済団体等に対して、今後の就職・採用活動に関する基本的事項を取りまとめ、改めて要請を行いました。  また、今年度、一部の大学では地元定着に資する就職支援も実施されていたと伺っておりますので、地域の魅力ある中堅・中小企業と地域の大学が共同した就職支援取組などを更に情報収集し、広く大学等に紹介することも検討しているところです。  いずれにしましても、文科省としては、引き続き今後の動向を注視していくとともに、前途ある学生皆さんが就職を諦めることがないように支援をしてまいりたいと思います。
  64. 階猛

    ○階分科員 今、大臣のお話の中で、卒業後少なくとも三年以内の既卒者については新卒と同様の枠で応募可能というような話もあったんですけれども、これ自体、別に悪い話じゃないんですが、そもそも、枠が増えなければ競争が激しくなって、やはり就職氷河期と同じように狭き門になってしまうんですね。枠を増やしていくということを同時に進めなくちゃいけない。これはむしろ文科省というよりも厚労省や経産省も関わってくるんだと思うんですけれども、ここを是非文科省としても積極的に枠が増えるようなことをやっていただきたい。  もう一つは、最後の方で大臣がお触れになったような地方での就職ですね。私の地元岩手も若い人がどんどん都市部に流出してしまって、どうしても高齢化になってきている。若い人たちが地方の担い手になっていただきたいので、そういう人たちの就職の場を特に地方では積極的につくっていただきたいということです。  枠を拡大するべきだ、それから地方において特に枠を拡大すべきだ、これは私の考えですが、大臣の御見解があれば、お願いします。
  65. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生と問題意識を共有したいと思います。  例えば、特によく話題になる航空会社などは、今年ゼロ採用なんですね。ですから、その道を目指してきた子たちは、頑張っても、チャンス、チャレンジする機会もないわけです。我々、経産大臣や厚労大臣とともに経済団体の皆さんと度々お話をさせていただいて、確かに今年の卒業生は気の毒だよね、何とか来年、新卒扱いでもう一回チャレンジさせてくださいね、向こう三年間、何とか猶予を下さいということは、快く受け止めていただきました。  そうはいうものの、来年も卒業生は出てくるわけですから、これはおのずと倍率が高くなってしまうわけです。そのときに、経済界からも逆に申入れがあったのは、いわゆる公としても雇用をしっかり増やしていくという努力を一緒にしてくださいということも言われました。  幸い、例えば文科省でいえば、皆さんの御支援で三十五人学級ということになりますから、教員をだんだん増やしていかなきゃなりません。今まで教師を目指していなかったけれども、この際、教員、いいじゃないかと思っていただいて、学び直しをしていただける皆さん支援策などもセットで考えて、そういう雇用を増やすということも、それぞれの役所、足下を見ながら、お互いに努力していかなきゃならないんだというふうに思っていまして、そういった、相互で、官と民両方で数年間しっかり体制をつくっていく、そのことが必要だと思っていまして、我々にできる努力はしっかりやっていきたいなと思っています。  それから、先生が先ほど触れてくれたとおり、実は内定率が余り下がっていないのは何かというと、地方の企業の皆さんの就職の紹介を都市部などで積極的に今年やりました。当初は大手企業を考えていたけれども、こういう経済情勢の中で、じゃ、田舎へ帰って地元の企業で働くか、そういうインセンティブも働いたんだと思います。  平成の時代は、何か、上場企業に入れば勝ち組で地元の中小企業に残ったら負け組かのような、間違った価値観みたいなものが少し若い人たちの中に広がりましたけれども、まさに今目指している地方創生の時代は、ふるさとで個性ある仕事をしっかりやっていく、あるいはふるさとの会社を大きくする、こういうことに若い人たちの能力を発揮できるような環境というのも後押しができればな、そんなふうに思っているところでございます。
  66. 階猛

    ○階分科員 大臣のお考えは、全く私も納得できるところです。  あとはお金の問題だと思うんですね。前段に申し上げましたILCの問題もしかりですし、若者への様々な支援をしていくのもしかりですけれども、どうやって予算を確保していくかということで、今日お渡ししている資料の一番最後にカラーでグラフをつけさせていただきましたけれども、これは、昨日の財務金融委員会で前原先生が提出していたものでした。  これは、左側が諸外国の公的教育支出の対GDP比の比較を示したものです。右側、科学技術関係予算の推移の比較を示したもので、日本は赤の折れ線グラフですけれども、いずれもちょっと下の方で低迷しているという状況ですね。  これだと、やはりなかなか、若者にとっても科学技術にとっても将来への展望が開けにくいかなということで、最後大臣に伺いますけれども、こうした状況の下、どうやって我が国の未来を切り開くために日本の公的教育支出や科学技術関係予算を伸ばしていくのかということについて、大臣のお考えをお聞かせください。
  67. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 教育予算に関しては、OECDのデータによれば、二〇一七年度において、我が国のGDPに占める公財政教育支出の割合は三・一%、データのあるOECD諸国三十八か国中三十七位となっており、低い水準であることは事実ですが、厳しい財政状況の中から、例えば、令和元年十月からは幼児教育、保育の無償化、令和二年四月からは年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化、また、真に支援が必要な低所得世帯の学生等を対象とした高等教育の修学支援新制度を実施することで、家庭の経済事情に左右されることなく、誰もが希望する質の高い教育を受けられる環境整備に努めてきたところです。  さらに、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実する令和日本学校教育の構築を目指し、少人数学級の計画的な整備、また、GIGAスクール構想の拡充等、学校ICT環境の整備に係る予算を確保してまいりました。  文科省としては、資源に乏しい我が国が将来にわたって世界に伍していくためには教育投資が重要であると考えており、引き続き必要な教育予算の確保に努めてまいります。  また、科学技術関係予算については、ここ二十年にわたって中国が高い伸びを示し、米国も高い水準の投資を維持して行っています。これに対して、両国には及びませんが、我が国においても、ドイツや英国などの他の先進国と同様に着実に増加をしており、対GDP比では、米国、ドイツ及び英国を上回る水準にあります。  これは、一九九六年以降、科学技術基本計画に研究開発投資目標を定めて科学技術関係予算の確保に努めてきた結果であり、来年度からの第六期科学技術・イノベーション基本計画においては、五年間で約三十兆円という、これまでで最も野心的な投資目標を定めることを現在調整をしております。  研究開発投資の充実により、博士後期課程の学生を含む若手研究者への支援や、基礎研究学術研究の推進、十兆円規模の大学ファンドの創設と大学改革などの取組を行い、我が国の研究力の強化につながるよう、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  68. 階猛

    ○階分科員 時間ですので終わりますが、一点だけ。  エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング、EBPMということを政府は掲げておりますけれども、まさに今申し上げた二つの分野は、EBPMでエビデンスがしっかり示せるのではないか。  私も以前、民進党の政調会長というのをやっていたときに、高等教育の無償化というのが、諸外国の例を見ますと、いっとき税金は出ますけれども、将来、税収入あるいは社会保障のいろいろな保険料とかそういうことで、結局、投資よりもはるかに多いリターンがあるということが実証データとして示されていたわけですね。  こういうEBPMの形で政策の有効性を示すことによって、今なかなか財政が厳しい中でも、この重要な二つの分野については予算を多くしていけるのではないかと思っております。  是非、その点の御尽力もお願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  69. 村井英樹

    村井主査 これにて階猛君の質疑は終了いたしました。  次に、玉木雄一郎君。
  70. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 よろしくお願いします。国民民主党の玉木雄一郎です。  今日は、わいせつ行為を働いた教員等に対する対応の厳格化、厳罰化、再犯防止というテーマを中心に取り上げたいと思います。  その前に、ちょっと地元の案件、二件だけお伺いしたいと思います。  私の生まれ育った香川県さぬき市というのは人口減少が激しくて、この間、実は大学一つ移転する。三つある県立高校一つに統廃合される。実は、私の卒業した小学校も中学校ももうないんですね。そういうところで生まれ育ってきましたので、大学高校がなくなってしまうというのは非常に寂しい。ただ、これは今全国で起こりつつある話であります。  まず一つ大学について伺います。地元に徳島文理大学香川キャンパスというのがありますけれども、二〇二五年の四月に、県都である高松市の方に移転するということが発表されました。  今、さぬき市としては、その跡地について、いろいろな、民間も含めて様々な利活用の検討に入っておりますけれども、例えば、ほかでも例がありますが、民間のレジャー施設であるとかスポーツ施設とか宿泊施設に譲渡あるいは貸付けされる場合は、補助金適正化法二十二条で、大臣の承認が必要になるというふうに理解をしております。  私立大学が、特に補助金を受けて形成されたような資産等々について処分する際の手続について、大臣に伺いたいと思います。
  71. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 国庫補助を受けた財産について、補助金適正化法に基づき耐用年数を勘案して定めた処分制限期間を経過する前に処分する場合には、原則として、国へ当該財産の使用期間及び処分制限期間を勘案して算出した額を納付することを条件として承認を得ることとしています。  なお、処分制限期間経過前であっても、財産処分の事由により国庫納付の条件を付さないケースもあります。例えば、財産を取得して十年未満の場合であっても、設置されている自治体の地域再生などの施策、例えば再開発などで場所を移ってくれなんということを、市や県の政策でそういった話が舞い込んで、それに協力をする場合ですとか、あるいは、文化の振興等に資する事業に使用する建物などを整備するために取壊し又は廃棄を行うことが必要であって、個別に特段の理由が認められるものについては国庫納付の条件を付していないところでございます。
  72. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 今千人以上が学んでいるので、そういう学生もいなくなると、地域のお店、居酒屋さん、あるいはアパート、不動産の経営をされている方も相当今心配されているので、何か円滑に、もし大学がそこを去るのであれば、代替的な施設であるとか、何か事業がそこで行われるようにしなければならないというふうに思っております。  今大臣がおっしゃったように、地域再生に資するようなものであれば、県なり市がしっかりと計画を立てれば、そういった承認手続等々についてのある種の特例、例外もあるということでしたので、私も多少法律に関わったので、地域再生法に基づく地域再生計画を、内閣総理大臣の認定を受ければ、その場合はもう文科大臣の承認は受けたものとみなすというたしか規定もあったと思いますので、それは使えますよね、そういうの。一応、事実確認だけ。
  73. 森晃憲

    ○森政府参考人 先ほど大臣答弁申し上げましたのは、文部科学省補助金を活用して取得した財産の処分に関してでございます。  ですので、一般的には、文部科学省が私学の施設について補助するのは、建物に関しては耐震改修かあるいは災害復旧、そういう場合にほぼ限定されておりまして、大部分は、研究設備でありますとか教育設備、そういうものの補助で取得した財産についての処分に対しての、一定の耐用年数が来る前に処分をする前の手続ということでございまして、その際に、地域創生等に資するような、移転等に伴うような処分ということであれば特例がある、そういうお話でございます。
  74. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 これは、地域でまずしっかりとそういった計画を立てていく必要があると思うので、しっかりしたものができればまた相談をさせていただきたいなというふうに思っております。  次に、高校の件なんですけれども、三つの高校がありまして、その二つの高校は私の父と母が出た高校なんですね。それがなくなってしまって一つになるということなんですが、新たな高校、三つを一つにまとめるということ、二〇二七年度以降に統廃合、そして新設校という方針を県が出しているんですが、ただ、これに対して、OBを始め、三つの校舎や運動場などを活用して専門科の教育を行うキャンパス方式と呼ばれる形で残してはどうかということで、二万筆以上の署名が集まったということであります。  高校の廃校というのは地域の活力にもある種非常に大きな影響を及ぼしますので、この人口減少に伴う高校の統廃合について、小学校、中学校もそうなんですけれども、これについての文科省としての基本的な考えがどうなのか。  私は、実は従来からの持論で、少人数学級は必ずしも悪くないと。私は実は非常に子供の多い時代に生まれたんですが、私のところはちっちゃいので、一年生から六年生までずっと一クラスだったんですよ。中学校になって初めて二クラスになったんですが、ただ、少ない人数で学んでも、先生がちゃんとしていたり、一定の環境が整えば、特に最近だと、ICTを使えばバーチャルで非常にたくさんの人と一緒に学んでいるような環境をつくることもできるので、必ずしも私は少人数学級は悪いとは思わないんです。  文科省として、高校が特にそうですけれども、統廃合、学校の数、こういったものについての基本的な考えがどうなっているのか、お聞かせください。
  75. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  公立高等学校の設置につきましては、設置者である地方公共団体が適切に判断いただくべきものと考えておりますが、一方で、生徒や保護者のニーズ、進学動向、生徒の進学事情、地域の実情等に十分配慮しつつ判断いただくことが望ましいと考えております。  その際、小規模な高等学校を統合して教育環境の充実を図ることも考えられますが、各設置者においては、高等学校が持続的な地方創生の核としての機能を有することにも留意をしていただきたいというふうに考えております。  このため、各設置者においては、適宜、各高等学校が所在する地元の市町村を始めとする地域社会の関係機関との丁寧な意見交換等も行いながら、各地域におきます生徒の学びを第一に考えて、特色、魅力ある高等学校整備に取り組んでいただきたいと考えております。
  76. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 人口が減るから学校も減らすという単純な話ではないように私は思っているんです。鶏と卵みたいなところがあって、学校があるから初めてそこで子育てしようとか、そこで住み続けようということがあるので、ある程度、人口減少に伴って一定の整理は必要かもしれませんが、ある分水嶺を越えちゃうと、学校がなくなると一気にだだだだだっと逆に人がいなくなるということがあるので、私は、先ほど申し上げた自分の経験から、むしろ少人数学級は悪くないと。それをこの人口減少社会でどうやって生かすかをむしろ前向きに考えたい、考えてほしいなと思います。  その上で、今回、これは大臣の英断だと思います、三十五人学級を、本当にこれを政治決断でやられたということはすばらしいことだと思っています。  その上で、私の地元香川県では、小学校でも九八%、加配教員の弾力運用などで中学校の学級も八四%、中学校二年生まで、三十五人学級を今実現しているんですね。  聞きたいのは高校なんですけれども、高等学校についても、高大接続改革への対応などで教員の業務量がやはり増えている。この三十五人学級というのは高校でも私は必要だと思うし、そのための人員の増強が必要だというふうに思います。高校進学率が今もう九九%になった現在、高校進学はもう当然のようになっているので、小学校から高校まで一貫した三十五人学級が必要ではないかと思いますし、こうした香川県での比較的前向き、積極的な取組もあるので、是非ここは高校についても三十五人学級を進めるべきだと思いますが、大臣のお考えを伺います。
  77. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ちょっと先ほどの質問に戻りますけれども、文科省として、この分水嶺を越えたら統廃合すべきだみたいな基本的な考え方は持っていません。設置者の考えを尊重したいと思います。  それで、先生も御案内のとおり、学校の役目というのは、子供たちのもちろん学びの拠点なんですけれども、例えば、災害時に緊急避難をするのはどこも学校だと思います。あるいは、今回、ワクチンの接種会場にも、学校の体育館などが選ばれる自治体は数多くあると思います。  すなわち、私、学校は地域にとってコミュニティーのためにもかけがえのない施設だと思っておりまして、ただ人口が減ったから、子供たちが減ったからとにかく廃校だ、統廃合だという乱暴な話じゃなくて、せっかくICT環境などが整います、必ずしも遠隔教育がいいとは思いませんけれども、そういうものも上手に使いながら、小規模校の魅力というものも設置者が判断をしていただいて、私は、どちらも選べるようにするべきじゃないか、あるいは、小学校、中学校一つにして義務教育学校にしていくというのも一つの方法だと思いますので、安易な廃校は決して望んでいないということだけはまず申し上げさせていただきたいと思います。  その上で、先ほど、前の質問者が、この国で教育にもっとお金を使うべきじゃないかということを言っていただきました。私は、本当に、今回この三十五人学級の議論をする中で、なぜお金の割戻しで子供たちの人数が決まるんだろうかということにすごく違和感を感じました。  これだけ時代が変わって、先生方が多忙化をして、もう本当に教員の志願者が減っていく中で、四十人のクラスでどうやってICT環境の中で教室の中を先生たちが画面を見て回れるんだろうか、これは一列でもなくさない限り無理だ、そういう判断もございまして、三十五人に踏み切らせていただいたところでございます。先生方にも大変御支援いただいたことを感謝申し上げたいと思います。  その上で、学校は大変な職場だというイメージを払拭して、教師が再び子供たちの憧れの職業になるように、学校における働き方改革がまさに喫緊の課題だと思っています。高校も、学校における働き方改革を進めるため、外部人材の活用や部活動改革、免許制度の検証、見直しなどの様々な取組を組み合わせてしっかり取り組んでまいらなければいけないと思っています。  また、ICTを活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現するため、一人一人に応じたきめ細かな指導ができるようにすることが必要であり、これは小学生も中学生高校生も同じだと思います。  したがって、今回の学級編制の標準の引下げ計画を実施する中で、学力の育成やその他の教育活動に与える影響、外部人材の活用について、小学校ですけれども、しっかり実証的な研究を行うとともに、教師の養成や採用、研修などについて今後更に検討を行った上で、私は、やはり中学も高校もこういった方向を目指すべきだと思っていまして、その努力をしていきたいと思っています。
  78. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 なかなか、財源の問題があって、財務省との関係も厳しいとは思いますけれども、今、高校も含めて目指すという方向、私はすばらしいと思いますので、これは応援させていただきたいと思いますので、是非大臣のリーダーシップで進めていただきたいなと思います。  では、次に、学びの場における子供の性被害と、そういったわいせつ行為に関わった教員の再犯防止について伺います。  大臣も、記者会見も見させていただきましたし、いろいろなところで発言も見ておりますので、私、大臣と思いは同じだと思うんですね。やはり、本当であれば、そういったことを犯した人は二度と教壇に戻らせないというのが私はベストだと思います。  ただ一方で、憲法が保障する職業選択の自由であるとか、あるいはいろいろな制度をつくるときの個人情報保護の問題であるとか、いろいろな他の法益との関係でなかなか難しいのも承知をしております。  ただ、これはやはり、そういった犯罪、あるいはわいせつ行為を犯す教員の数が高止まりになっているのも事実なので、子供たちに安心して学ぶ場所なんだという、学校なりそういった場をしっかりと保障するのが我々大人の、また政治家の役割だと思いますので、大臣に伺いたいと思います。  まず、子供に対する性暴力、わいせつ行為を犯した者が、再度、子供に常時接する教師や、あるいは業種を変えて、職種を変えて保育士などの職業に就くことについての大臣基本的な認識を伺います。
  79. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 子供たちを守り育てる立場にある教員が子供たちにわいせつな行為を行うことは、断じてあってはならないことだと思います。  文科省としては、これまでも各教育委員会に対して、児童生徒に対するわいせつ行為について原則として懲戒処分とするなど、厳正な対応をするよう指導してまいりました。  文科省が昨年検討していた教育職員免許法の改正については、児童生徒等のわいせつ行為を行った教員が二度と教壇に立つことがないようにすべきとの思いを踏まえて、教員免許状の授与要件の厳格化を構想していたのでありますが、この問題については、教員だけでなく、保育士などの子供と日常的に接する職種に共通する課題であると考えております。  政府全体においても、昨年十二月に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画において、教育、保育施設等や子供が活動する場で働く際に、性犯罪歴がないことの証明を求めることを検討するなど、性被害防止に向けた環境整備を図る旨が盛り込まれており、文科省としても、こうした検討にも積極的に協力していきたいと考えているところです。
  80. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 是非引き続き検討していただきたいと思いますし、我が党としても、国民民主党としても、保育士及び教員の欠格事由を厳格化するための法案というものの骨子をまとめましたので、党内での議論を更に深めるとともに、各党にも呼びかけて、閣法でもしできないなら議員立法で是非、与野党各党の理解を得て成立させるべき法律だというふうに思っております。  そこで、これは事務方に伺います。子供に対する性暴力を犯した者が、教員と保育士の間で資格を変えたり、あるいは他県に移ったり、あるいは姓や名前を変えることで再び子供に常時接する職業に就いた結果、再犯に至った逮捕事例、これをお答えいただきたいと思います。法務省、分かりますか。
  81. 竹内努

    ○竹内政府参考人 お答えいたします。  逮捕事例につきましては、法務省で把握しているものはございませんで、他方、再犯の状況に関する統計データとして幾つか分析しているものはあるのですけれども、犯行時の職業に着目した分類というところまでは行っておりません。そのため、委員のお尋ねのあったデータについては、法務省としては把握をしておりません。
  82. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 文科省は把握していますか。
  83. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  報道で知り得た情報の限りということでございますけれども、御指摘のような事例につきましては、例えば、女子生徒にわいせつ行為を行って逮捕されて懲戒免職を受けた元高等学校の教員が、その後、他の県の中学校の教員として採用されて、再び女子生徒にわいせつ行為を行って逮捕された事案があったりとか、あるいは、いわゆる児童ポルノ禁止法違反で逮捕された小学校の元教員が、改名して、その上で他県の小学校の教員に採用されたところに、女子児童へ強制わいせつの容疑で逮捕された事案ということについて、報道ベースでございますけれども、把握しております。
  84. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 大臣、これ、どうですかね。こういうことが起こらないようにする法改正、制度改正が今すぐ必要だと思いますが、今あったような事案について、大臣、どうお考えですか。
  85. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 全くそのとおりでありまして、残念なんですけれども、名前を変えたり、あるいは、結局、今一定期間で罰が消えますので、再度免許の取得をして、そしてその上で再び現場に見えるということもございます。再犯率が非常に高いということも専門家からは言われていますので、やはりこれは何としても止めるべきだと思います。  私も閣法で何とか出したいと思ったんですが、先ほど先生も御披露いただいたように、憲法上の問題等々ありました。あるいは、やはり日本の矯正制度というのは、要するに、改心する、罪を償うということを前提に行っているので、じゃ、このわいせつ行為だったら駄目で殺人ならいいのかという極論にまで行ってしまいまして、そういう意味では、本当に壁にぶつかってしまったというのが正直なところなんです。  ただ、手をこまねいているばかりではなくて、今年から、向こう四十年間、採用の検索リストにきちんとアクセスができるようにして、しかもそれは、今度省令の改正で、わいせつ行為によって免許を失った、懲戒免職になったということも記載する予定でございますので、そういう意味では、いろいろな意味で追い込みをしながら、何とかそういう人たちに現場から出ていってもらいたい、こういう努力をしていきたいと思っています。
  86. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 今、大臣の口からも、再犯率が高いという話がありましたけれども、この再犯率について、特に小児わいせつ等についてはどうなのかというのは、これは法務省、分かりますか。
  87. 竹内努

    ○竹内政府参考人 お答えいたします。  子供に対する性犯罪をした者の再犯の状況に関しまして、法務省が把握しているデータといたしましては、平成二十七年度に法務総合研究所が公表いたしました性犯罪者に関する特別調査というのがございます。この特別調査では、平成二十年七月から平成二十一年六月までの間に性犯罪を含む事件で懲役刑の有罪判決が確定した者を対象といたしまして、その裁判の確定から五年以内の再犯の状況について追跡調査を行っております。  その調査結果でございますが、裁判確定から五年以内に性犯罪の再犯に及んだ者の割合を、前の確定裁判における犯行の類型に応じて分析をしているものなんですが、被害者が十三歳未満の強制わいせつ事件を犯した者の累計では九・六%、被害者が十三歳未満の強姦事件、当時の罪名でございますが、強姦事件を犯した者の累計では五・九%となっております。
  88. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 それは他の類型に比べて高いんですか、低いんですか。
  89. 竹内努

    ○竹内政府参考人 服役期間等が違いますので、なかなか単純な比較が難しいところではあるのでございますが、被害者に十三歳未満の者を含まない強制わいせつの事件ですと、先ほど九・六%と申し上げましたが、十三歳未満を含まない割合ですと八・一%になります。それから強姦事件でございますが、被害者に十三歳未満の方を含む強姦事件については五・九%と先ほど申し上げましたが、十三歳未満の者を含まない割合では〇・九%になっております。
  90. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 これ、いろいろな分析があると思いますが、犯罪白書を見ると、性犯罪犯(刑法犯)の再犯率が最も高いのは小児わいせつ型であり、その再犯の内容を性犯罪者類型に当てはめてみると、九人のうち八人の再犯が小児わいせつ型に該当したということで、やはり高いのではないかと思われますね。だからこそ、やはりしっかりとした対応が必要だというふうに思います。  そこで、大臣に伺いますけれども、これはまず事務方に伺います。この学校教員の欠格事由について今現在どうなっているのか、端的にお答えください。
  91. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  教員の欠格事由につきましては教職員免許法の五条で定めておりまして、十八歳未満とか、あるいは高校を卒業していない者というふうな形式的なものもございますけれども、実質的なものとしましては、禁錮以上の刑に処せられた者、それから、懲戒免職処分を受けて免許状が効力を失って、当該失効の日から三年を経過しない者などには免許を授与しないということになっているところでございます。
  92. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 それはやはり短過ぎるんじゃないかという、要は、また戻ってしまうということなので、これはもう少し長く、少なくともすべきではないかということと、あと、先ほど言った、職種を変えて、例えば保育士さんとして子供に接する仕事をしてある犯罪を犯しても、その後、教員になります、あるいは逆のパターンとか、それぞれ欠格事由が犯罪類型によっても職種によってもばらばらになっているので、その辺はしっかり合わせた方がいいんじゃないかということで、国民民主党として、そういった欠格事由をより厳格化する法案を作っております。  大臣是非これをお見せして読んでいただきたいんですが、こういう形で厳格化をする、特に職種を超えて移動することができないように、その辺をしっかりそろえていくということがまず第一歩としては必要ではないかなと思うんですが、こういった我が党の考え方について、大臣、いかがでしょうか。
  93. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生の党で様々な議論を踏まえて立案を検討されているというのは承知をしております。お聞きしております。中身についてはちょっと詳しく承知していないんですけれども、先ほどお話がありましたように、学校の教員のみならず、子供たちと接する機会のある職業の人たちが結果としてそういう犯罪を犯してしまうとするならば、教員免許法だけを改正したとしてもこれは解決にならないというのは御指摘のとおりだと思います。  したがって、ここは、例えば保育士さんですとか、過去に教員を失格して児童相談所で再犯ということもございました。こういうことも考えなきゃならない。あるいは、誤解なく申し上げますけれども、例えば塾の先生ですとかスイミングクラブのインストラクターだとかサッカークラブのコーチだとか、こういう人たちも含めて、子供たちと接する人たちが健全に仕事をしていただける環境というものをきちんと担保するための何らかの方策は、やはりこの機会に一緒に考えていただかなきゃならないな、そう思っているところでございます。
  94. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 ありがとうございます。私も同じ問題意識です。  いわゆる、イギリスなどはDBSという制度があって、公的機関がそういった犯罪歴等の証明、ないことの証明をするような、そういった公的認証制度がありますけれども、こういったものを日本でも何かの形で、全く法制度が違いますから諸外国と同じものをつくることは難しいかもしれませんけれども、例えば里親になるときに一定程度求められるような要件を同じように子供に接する職業には求めていくとか、こういったことはやはり何らかの形で必要ではないかなというふうに思っています。  特に今大臣がおっしゃったような塾の先生とか、あるいはベビーシッターとか、そういったケースもやはりあるので、その辺を、いろいろな、憲法上、他の法律上の制約はあるものの、きちんとしたある種の照会システム、証明システム、データベース、こういったものはやはり整えていく必要があると思うんですけれども。  我々、なかなか閣法で難しいところは議法で頑張りたいと思いますけれども、ただ一方で、またできるところから政府においても是非取組を一歩でも二歩でも前に進めていただきたいと思うんですけれども、大臣、ちょっと改めて決意をお願いします。
  95. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 なぜ法律が出せないのかと多くの皆さんから疑問の声が上がりました。我々立法側にいる人間は、内閣法制局の手続を経ないとなかなか法律提出ができないということは皆さん分かっていただけますけれども、国民にとっては、こういう事件が後を絶たないのに一体国会は何をしているんだという御批判をいただく、その気持ちも私は分かります。  他方、やはり、先生冒頭お話しいただいた憲法による職業選択の自由ですとか、あるいは日本は更生を旨として、更生ができるということを前提に矯正施設などが存在しているわけですから、それを全て否定してしまって、一度でも失敗した人は二度と立ち上がれない国ではないということも守っていかなきゃならない。  その中で、法律で他の職業、他の国家資格と横並びじゃなくてもいいんじゃないかという議論が出たのは、例えば犯罪を犯した医師や弁護士も再びその職業に戻ることはできます。しかし、医師や、職業はそのことが明らかになれば、そこには患者さんやお客さんは行かなくなると思うんです。ところが、学校先生、とりわけ公立学校先生は親や子供たちは選ぶことができないわけですから、そういう特殊な事情も考えながら、ここは一つでも前に進んでいきたい、こんな思いで今、内閣としても努力をさせていただいています。ここは、議員皆さん方のいろいろな知恵もいただきながら、御指摘のあったように、できるところから一つ一つ穴を埋めていくということもやっていきたいと思います。  四十年というのはすごく長い期間で、この採用システムがきちんとワークすれば、一度やはりわいせつで処分された教員が再び免許を取得したとしてもなかなか現場には戻れないと思うし、また、今は履歴書の形態が自治体によって様々なんですけれども、これを統一しようと思っています。要するに、過去にわいせつ行為などで処分歴があるかないかをもう一回ちゃんとチェックして、そこに偽りがあればいつでも退場させられるようなことも考えていきたいと思いますので、考えられる全てのことを一つ一つ前に進めていきたい、そんな思いでございます。
  96. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 是非進めていただきたいと思います。  我々立法府の側としてもできるだけ汗をかきたいし、知恵も出して大臣にも御提案を申し上げたいと思います。  最後一つ、それに関して、これは法務省ですかね、一つ答えていただきたいのは、今大臣がおっしゃったような懲戒事実を、官報掲載を徹底して、それを四十年に広げたというのは、これも大きな私は一歩だと思います。今月からそれを運用されるんですかね、たしか。今月からですかね。非常にこれは進歩だと思います。  加えて、地方検察庁が既決犯罪通知を市町村に通知して、市町村で犯罪人名簿をデータとして残していると思うんですね。教育委員会からの問合せとかがここでできるんですが、ただ、被害者側の年齢が必ずしもデータに入っていないので、小児犯罪だということが分からないので、こういったところ、被害者側の年齢も記載していくということをもうした方が私はいいと思うので、これは答えられますか。
  97. 竹内努

    ○竹内政府参考人 委員御指摘のように、地方検察庁から犯罪人名簿ということで自治体に提供している情報がございますが、その情報としていかなるものが含まれているかというのはちょっとこの場で私も存じ上げませんで、少し改善できるところがあれば、そこは考えていきたいと思います。
  98. 玉木雄一郎

    ○玉木分科員 そのフォーマットの見直しを是非やっていただいて、そういったこともきちんとチェックできるようにしていただきたいなと思います。  今日、大臣からは非常に前向きな答弁をいただいたと思っていますので、我々もしっかりとこれは対応していきたいと思いますので、是非政府としても進めていただきますことをお願い申し上げ、質問を終わりたいと思います。
  99. 村井英樹

    村井主査 これにて玉木雄一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、大野敬太郎君。
  100. 大野敬太郎

    ○大野分科員 自由民主党の大野敬太郎でございます。  予算委員会また分科会質疑ということで、長時間、長丁場に及んでおります。大臣始め関係者の皆様に御対応賜っておりますことを心から感謝と御慰労を申し上げたいと思います。  また、コロナ禍ということでありますので、大臣始め皆様方、本当にいろいろな取組をされているんだと思います。心から感謝を申し上げたいと思います。  私の中では実は、大臣が昨年、大学の対面授業、これの問題提起をされたことというのは非常に共感を持って拝見をさせていただいておりました。私の地元でもそういった声がありまして、切ないなと物すごく思っていたところ、大臣から強いメッセージが出されたことには改めて感謝を申し上げ、今の現状で直ちに何ができるということではないのかもしれませんが、今後の推移をしっかりと見て、また改めてお答えを賜りたい、そういうことをまず申し上げて、質問を始めたいと思います。  まず初めに、高専タウン・アンド・ガウンの取組についてお伺いをさせていただきたいと思います。  タウン・アンド・ガウンというのは、タウンというのは町、ガウンというのは大学生がアメリカで着るガウンで、大学とそれから地域の連携のことを言っておりますけれども。  今回は大学ではなくて高専でありまして、私の地元香川県の三豊市、香川県が二例続いて大変恐縮なところではありますけれども、たまたまでございまして、お許しをいただければと思いますが、三豊市が、AIとかテクノロジーによって地域社会課題解決に向けて何かしようということで、実際に中間支援機構を一般社団として立ち上げました。  これは実は、私と、それから市長の山下昭史さんという方、そしてAIの大家でもございます松尾豊先生、実は高校の同窓でありまして、三人でいろいろな知恵出しをして、今の形、骨格ができたのはちょうど三年前になるわけでありますけれども。  これは実は、ある種、昔、出島と言われた、大学の外部化法人制度、これの高専バージョン、あるいは自治体主導バージョンみたいになっているわけでありまして。  この部分、実際に何をやるかというと、MAiZMという名前にしているんですけれども、実際何をやるかというと、松尾先生大学のテクノロジーを地域の高専につないで、一方で、地域の金融機関あるいは中小企業、ここから社会課題を持ってきまして、それをマッチングをしていく。マッチングした上で、ファイナンスのアレンジメントとか、あるいは知財のアレンジメント、またベンチャーの支援とか、こういうことをやっていこう。また、大企業も、いろいろな先進的なサービスとかテクノロジー、こういったものを開発している一方で、社会実装が困難を来しているという場合もあるので、そういった大企業がいらっしゃいましたらしっかりと支援していこう、こういうコンセプトで始めたわけであります。  実際にそれが、実はどうなったかというと、僅か一年で高専の学生が起業いたしました、ベンチャーを立ち上げました。二例、早速出まして、しっかりと資金調達も成功している。これは松尾先生というベンチャー支援にたけた方がいらっしゃったからだということもあるんですけれども、結構エコシステムが成り立っていくのではないかなと実は思っておりまして、いい取組だと自分では思っているんですけれども、まず、この部分につきまして、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
  101. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 いい取組だと思います。  高等専門学校は、制度創設以来、地域で活躍する実践的で高い専門知識を持つ技術者を多く輩出し、日本の物づくりを支えてきました。こうした教育を行うに当たっては、これまでも、地元の自治体や企業と連携して、地域における課題を題材とした教育に取り組んでまいりました。  御紹介いただいた香川県の三豊市の取組については、高専生が最新のAI、ディープラーニング技術を習得し、地域が抱える課題解決に取り組むものと承知しています。物づくりの技術にたけた高専生が起業するきっかけをつくって地方自治体がそれを支援する点が特徴的であり、高専の強みを生かした先進的な取組だと受け止めております。  このような取組は、地域の活性化や高専における教育の質の向上につながるすばらしい取組だと思います。
  102. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございます。  実は、これは地方の大学に対するプレッシャーにもなっていくんだろうな、そこがちょっとポイントでありまして、さらにはサステーナブルファイナンスとか、あるいはオープンイノベーションという価値とも非常にマッチングが高い事業だと思っております。  そういった意味で、横展開していこうということを取り組んでおりまして、全国、今、実際に何か所かと連携を始めたところでありますけれども、是非文科省においては、大臣、応援をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  103. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生御存じかどうか、私、大臣になる前から高専の大応援団を自負をしておりまして、やはり、五年制の技術を習得するという教育システムは、日本にとっては極めて重要な人材育成システムだと思っています。  先ほど松尾先生のお話を出していただきました。松尾先生は、掛け値なしで、AI教育をやる上で、高専の卒業生と一般の高校卒業生ではもう全然そのスタートが違う、発射台が違うということも御指摘いただいておりまして、是非、高専が地域地域でそれぞれの個性を生かしながら人材育成をし、また地元の中小企業等との連携をしながら、新しい産業を興す、新しい雇用の場を生んでいく、その言うならば先駆者になっていただくんだとすれば、高専の価値というのはもっと大きく上がると思います。  いみじくも大学へのプレッシャーということを言っていただいたんですけれども、まさに、地方大学、これは是非、それぞれもう一回その存在意義、そこになぜあるのかということを含めて考えていただきたいということも今全国に促しているところでございまして、高専とも連携を取りながら、大学の果たす役割というものも見詰め直していただくいい機会になるんじゃないかと思いますので、大いに期待しているところでございます。     〔主査退席、神山主査代理着席〕
  104. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございます。十分、大臣大臣になる前に取り組んでいらっしゃったのは存じておりまして、あえて質問をさせていただいたところでございます。  ちょっと質問を変えさせていただきますけれども、基本的に考えていることというのは、今、MAiZMの話を申し上げましたけれども、基本的には同じような話でございます。科学技術政策についてお伺いをさせていただきたいと思います。  今まさに、第六期科学技術基本計画というのを審議をして立案していこうということをされているんだと思いますけれども、環境変化という意味では二つあるんだと思いますね。一つはサステーナブル、持続可能社会、もう一つは国際秩序の劣化、この二つに集約されるのかなということを改めて申し上げて、まず、前段のサステーナブルについてざっくりと御質問をさせていただきたいと思います。  まずは、研究開発投資の部分でありますけれども、今、累次の大学改革の中で、しっかりと自律をするような大学、自分で努力をする大学になっていただきたいということで、いろいろな取組がなされてきましたけれども、結構大学からはもう限界だというような声も一部伺っております。そういった意味で、基盤的な予算というのはしっかりと確保していくべきなんだと思っておりますが、一方で、税金だけに頼らない、持続可能的なイノベーションを生めるような、そういった環境もしっかりとつくっていただかなければいけないわけでありまして、これはもう継続的にお願いを申し上げなければいけないんだと思ってございます。  実際に、我々、党の中で、科学技術基本計画については提言をさせていただきました。私、事務局長で、議論にも参加させていただきましたけれども、やはり、こういう先の見えない時代だからこそ必要な投資なんだということを前提とした上で、しっかりと大胆な目標設定をしてほしい、こう申し上げたところ、先ほども議論を、大臣の御答弁を聞いておりまして、しっかりと三十兆円ということをうたうんだという話でありましたけれども。  ポイントは、官民で百二十兆、ここをコミットするということが重要なんだと思っております。そういった意味で、官民の意識合わせというのが何よりも大切なんだ、これがサステーナブルの社会を生んでいく基本なんだということを思っております。  ただ、一方で、書いただけではなかなか実現されないわけでありますので、実現に当たってやはり文科省の役割というのも結構大きいわけでありますので、大臣、実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、是非お伺いをさせていただきたいと思います。
  105. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 天然資源に乏しい我が国にとって、イノベーションの創出とその源泉となる科学技術の振興は、社会的課題や経済的課題を解決し、持続可能な社会への転換を図る上で極めて重要な手段です。  総理の施政方針演説を踏まえ、来年度から開始予定の科学技術・イノベーション基本計画の答申素案においては、五年間の研究開発投資総額について政府で三十兆円、また官民で百二十兆円を目指すとされました。  文科省では、科学技術イノベーション政策推進の中核を担う省として、今後策定される基本計画を踏まえて強力に取組を進めていく予定ですが、特に、研究力の抜本的強化が極めて重要であると認識しており、博士後期課程の学生の処遇の向上やキャリアパスの拡大、若手研究者が腰を据えて研究に取り組める環境の構築、基礎研究学術研究の推進、十兆円規模の大学ファンドの創設と大学改革などに注力していきたいと考えています。  また、様々な社会課題の解決に向けて、国際的に研究開発の競争が激しいAI技術、バイオテクノロジー、量子技術、マテリアル、宇宙、海洋、環境エネルギー、健康・医療等の重要分野の国家戦略に基づく取組の推進や、社会変革の促進に向けたスタートアップ支援やアントレプレナーシップの教育等の推進を通じたイノベーションエコシステムの形成の促進などにも注力していきたいと考えています。  リーマン・ショック後に研究開発投資が停滞した反省を踏まえ、科学技術イノベーションの力強い支援を進めてまいりたいと思っています。
  106. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございます。  民間側をどう喚起するのかというのが一番重要になるんだと思いますが、官民の意識共有ということでありますけれども、大学も、政府資金が民間資金の呼び水になるような取組というのはやはり必要なんだと思います。  呼び水と申し上げましたけれども、呼び水になるためには、それは呼んだら反応しないといけないわけでありますので、ではどうやって反応してくれるのかというところで、次に、大学ガバナンスコードについてお伺いをさせていただきたいと思いますが。  呼んだら反応すると言いましたけれども、まさにその基本軸は、やはり、どの社会でもそうですけれども、基本的に、明確なビジネスモデル、大学の場合はビジネスモデルというよりは経営計画なんだと思います、それから頑健なガバナンス、それから透明性。ここの三点の軸をしっかりとど真ん中に据えて、そして民間に対してしっかりと呼び水を、誘いかけるということになるんだと思いますが。  恐らくガバナンスコードもそういった観点で作られてきたんだと思っております。実際にそれは一昨年だったと思いますけれども、去年あたりから徐々に各大学で適合状況というのが公表されるようになっているんだと思います。私もちょっと拝見をさせていただいたんですけれども。  非常にいい取組だなと思っている一方で、ちょっと一部には、ガバナンスコードの適合の公表の状況が、どっちかというとお上目線というか、やれと言われたから取りあえずやるみたいな形に見えなくもないところがありまして。どちらかというと、これは、本質的にはマーケットとか市場とか民間とか社会とかそういったものに対してアピールするような、そういった方向でなければならないはずなんだと思います。まだやり始めたばかりですので、まだこれから大学側には継続的なアップデートというのを望んでいるわけでありますから。  一方で、国も、政府も、このガバナンスコード自体、中心になるような、その求めの方ですけれども、これについてはやはりPDCAサイクルをしっかりと回していって、それで、サステーナブルな社会にマッチするような形にしていって、民間の資金がしっかりと大学側に入ってくるような、こういった取組が必要なんだと思いますが、ここの部分、基本的な認識をいただければと思っております。
  107. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 国立大学法人のガバナンスコードは、国立大学法人の経営の透明性を高め、政府のみならず様々なステークホルダーに対して説明責任を果たすための基本原則を示すものであり、文科省内閣府、国立大学協会が協議の上、昨年三月に策定したものであります。  各大学法人は、同コードへの適合状況についての報告を毎年度作成、公表することとしておりますが、この報告については文部科学省が有識者の意見を得て確認することとしており、各法人に対しては、確認の結果も踏まえてアップデートを行うように求めてまいりたいと思います。  先生指摘のとおり、何となく、言われたから作ったんじゃないかというような雰囲気がある学校もないとは言えないまだ状況でありますし、まだ一年しかたっておりませんので、そういう意味では、まさによちよち歩きだと思うんです。  他方、では、地方の国立大学が常に文科省の方を向いて何か物をやっているんじゃないかなんということであったら、地元の皆さんと何か産業を興すとか資金を仰ぐとか、こういうことはなかなか進まないわけです。自分の足でちゃんと立っているかどうかということを地域の皆さんに見せていかなきゃいけない。その観点から、今、私ども、全国の国立大学、地方大学においては、それぞれの地域性だとか専門性を生かして、その地域でもっと地元の皆さんとの接点を持つようにプラットフォームをつくれということを指示しています。  すなわち、何も金太郎あめになる必要は全くないわけでありまして、四国なら四国、九州なら九州、北海道なら北海道で、その地場の産業などとどう連携をして、大学でどういう人材を育てることが地域への貢献になるのか、あるいは、共に研究する内容はどういうものがいいのか、もっと言えば、そこから起こせる企業というものはどういうものがあるのか、こういったことも含めて、それぞれが専門性を発揮していただくためにも、このガバナンスコードを明らかにしながら地域と共存していくというのは極めて重要なことだと思っていますので、更新の必要性に応じて不断に見直しを行いながら、政府大学とで継続的に内容の充実をしっかり図っていきたいなと思っているところでございます。
  108. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございました。  大変私も共感する御答弁を賜りました。これからも是非頑張っていただければと思います。  以下、質問は参考人にさせていただきたいと思いますので、もし大臣、お疲れのところでもあり、御退場いただいても結構でございます。  続きまして、サステーナブルファイナンスについてお伺いをさせていただきたいと思います。  これは同じ議論の流れの中でのサステーナブルファイナンスの話でありますけれども、まさに、民間資金と申し上げましたけれども、ESG市場というのがかなり拡大をしてきておるのは御承知のとおりだと思います。また、コーポレートガバナンスですね、大学じゃなくてコーポレート、企業の方ですけれども、これもある種このサステーナブルファイナンスに倣って変わっていくんだろうと思いますし、変わらなければいけないものなんだと思います。  一方で、大学を見ると、先ほどの大臣の御答弁にもありましたけれども、大学側というのはやはり、サステーナブルな社会ということで、地域の社会課題を解決してという、課題解決の方の意識というのは極めて高いのだと思います。  ところが、その一方で、それを支えるサステーナブルファイナンスの部分、つまりESG投資とか市場とか、そういったものにはほとんど議論が行っていないような気がしております。  そういった意味では、私自身は、大学というのはソーシャルベンチャーの一つなんだと思っていまして、長期安定的な資金というのが非常に重要になってくるんだと思いますので、そういったサステーナブルファイナンスというのも非常に重要なスポットだと思いますので、例えば大学ガバナンスコード、ここにもある種サステーナブルなファイナンスの要素というのも入れ込むべきだと思いますし。  また一方で、ちょっと違う話もしますと、国と大学、あるいは地方自治体大学、これは連携して、そして、ソーシャル・インパクト・ボンド、これを是非検討いただきたいと思っています。  それは何かというと、やはり、国にとっては、ある種成功報酬的なものになりますので、実現できたら資金を出す。一方、大学にしてみれば、長期安定的な資金を民間から調達できる。民間からすれば、成功したら国なり行政体から資金が得られる。そういったウィン・ウィンのケースになるんだと思います。  そういう、だけとは言いませんけれども、いずれにせよ、新しい時代のサステーナブル社会に向けて、新しい資金の循環というのも必要になってくるんだと思いますが、是非ここの部分は御答弁をいただければと思います。
  109. 伯井美徳

    伯井政府参考人 お答えいたします。  まさに大野先生指摘のとおり、国立大学法人の民間資金の調達については、今御指摘いただいた、時代に合った仕組みを模索し、更なる財源の多様化、基盤資金をしっかり確保した上での財源多様化というのは非常に重要な視点であると認識しております。  昨年六月に関係の政省令を改正いたしまして、先端的な教育研究の施設設備等の整備のために国立大学法人が長期借入れ、債券発行を行うことができるよう措置したところでございます。そして、その償還財源には寄附金等の業務上の余裕金を充てることを可能といたしまして、償還期間を四十年まで延長することといたしました。  これを受けて、二〇二〇年十月に東京大学が債券発行し、国立大学として初めてソーシャルボンドで資金調達した事例として、第六回のサステナブルファイナンス大賞というものに選出されております。  文科省としては、引き続き、更なる債券発行の対象事業の拡大や償還期間の延長について検討するとともに、今御指摘あったような、国と大学、あるいは地方と大学とが連携しながら民間資金を調達するようないろいろな仕組みをしっかり検討し、国立大学法人の財源多様化、更には財務基盤の強化ということに尽力してまいります。
  110. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございました。  債券発行の取組、これも非常に重要なポイントだと思いますが、一方で、同じ債券発行、機関債を発行して成り立っている計画であるところの大学ファンドも非常に重要な取組だなと思っております。これは先ほど大臣からもお話がございましたけれども。  この大学ファンドについて次にお伺いさせていただきたいと思いますが、これはポイントは二つ。一つ対象をどこにするのという話と、もう一つ資金運用をどうするの。ここが二つ重立ったポイントだと思いますが、どちらも、いずれにせよ、マーケットとの対話というのが非常に重要になってくるのだと思います。  そういった観点で、一つ、例えば、どこを対象にするのかという観点では、先ほどの大学ガバナンスコード、これも是非参考にいただきたい。これは、逆に言えば、ガバナンスコードの活性化にもつながりますので、そうしたら、ほかの手段というのも活性化していく可能性がある。それは債券の部分も活性化していく部分もある、そう思っております。  また、資金調達の部分、資金運用の部分について、これはもうまさに専門家がやっていただく領域でありますけれども、ただ一方で、所管省庁としても、あるいは関係するセクションとしても、サステーナブルファイナンス自体に非常に敏感になっていないといけない。例えば、TCFDの動きとか、あるいはESG市場の動きとか、しっかりとここは敏感になっていただきたいと思っておりますけれども、ここの基本的な認識を伺えればと思います。
  111. 杉野剛

    杉野政府参考人 二点お尋ねがございました。  まず、大学ファンドにおけます大学の選定方針につきましてでございます。  大学ファンド対象大学につきましては、一つ、昨年末の総合経済対策の中で、ファンドの参画大学について次のように条件が書かれております。それは、自律した経営、責任あるガバナンス外部資金の獲得増などの大学改革へのコミットを求めるということが閣議決定されておりまして、大学ファンド支援対象大学は、研究力のみならず、マネジメント、ガバナンス、これが非常に重要なポイントだということが明らかにされているわけでございます。  ということでございますので、先生指摘大学ガバナンスコード、これは、いやしくも、大学ファンド支援対象になる大学は当然の前提だというふうになるものだというふうに理解をしております。  それから、運用面につきまして、サステーナブルファイナンスについてもよく留意するようにということでございます。  正直申し上げまして、大学ファンドを担当するまで、TCFDでありますとかESG投資といった概念につきましては、詳細は承知しておりませんでした。大学ファンドの準備をする中で、先行します公的ファンドでありますGPIFが、既にTCFDへの賛同を表明し、それに関連する情報開示をやっていること、それから、運用に当たりましても、ESG投資について考慮を行いながら資金運用を行っているということを学んだところでございまして、運用の方針はこれから専門的に検討いたしますけれども、まずは、所管省庁として、こういったサステーナブルファイナンスの思想についてしっかり勉強させていただきたいと思っております。
  112. 大野敬太郎

    ○大野分科員 ありがとうございます。  当然、運用者、実態、誰になるのか分かりませんけれども、そこの方は多分明確に、明らかに、とても詳しい方がおなりになるのだと思いますけれども、所管省庁の皆さん是非同じ方向を向いていけるような体制を組んでいただきたいと思ってございます。  続きまして、質問をちょっと変えさせていただきたいと思いますが。  これは、変えさせていただくといっても、科学技術政策についての中の話でありまして、先ほど、二つの要素がある、一つはサステーナブルだ、もう一つは国際秩序だと申し上げましたけれども、この後段に移りたいと思います。  一つ目は、まさにシンクタンクの機能の話であります。  今、コロナ、冒頭お話を申し上げましたけれども、コロナ以外の感染症、あるいは気候変動とか、結構、社会課題というものが大規模で複雑多様化しているということでありますので、コロナもそうでありますけれども、決して政治という側面だけで解決できない。一方で、専門家と言われるアカデミアだけで解決できるかといったら、それもできない。やはり、その両者が組み合わさったような知恵を出していく、ここが一番ポイントなんだと思います。まさに、よく言われる、トランスサイエンスの時代に突入していったんだということなんだと思います。  政治というのは、やはり、どういう機能かといったら、みんなで決めたんだという側面、一方で、アカデミアというのは、正しいからこうしようと。この二つの組合せというのは非常に重要になってくるんだと思います。  そういった意味で、政府も、我々政治も、アカデミアからの助言というのは極めて重要な時代になっているんだと思います。  その上で、では、そのアカデミアはどういう助言の機能が求められるのかというと、当然でありますけれども、しっかりとその課題を分析していただける、更に言えば、その課題解決に向けて具体的などういう技術があるのかとか、どういう仕組みがあるのか、これをしっかりと提言を継続していただける、これは当然のことなんですけれども、もちろん政府から当然独立していないといけない。何か政府の言うことに倣って提言するとか、これは困るわけでありますが。  一方で、一番問題なのは、政府とか政治が持っている課題や制約、予算もそうですし、人員もそうですし、体制もそうでありますし、国際関係もそうでありますが、この前提が全く共有されずに、ある種好き勝手に提言されるのは結構困るわけでありますので、この前提を共有いただけるような機能がまさに必要でありまして、それはどこかというと、やはりシンクタンク機能しかまずはあり得ないんだと思っております。  そういった意味で、今政府の中でシンクタンク機能を具体的に検討されていらっしゃると伺っておりますけれども、早急に立ち上げてしっかりと運用していただきたいと思ってございますが、この点、是非答弁を賜りたいと思います。
  113. 千原由幸

    ○千原政府参考人 お答え申し上げます。  先生指摘のシンクタンク機能につきましては、科学技術・イノベーション基本計画の答申素案におきまして、国民生活、社会経済に対する脅威の動向の監視、観測、予測、分析、国内外の研究開発動向把握や人文・社会科学の知見も踏まえた課題分析を行う取組充実するため、安全、安心に関する新たなシンクタンク機能の体制を構築することとなってございます。  この新たなシンクタンク機能につきましてでございますけれども、我が国及び国民の安全、安心の実現に向けまして、先生指摘のとおり、政府からの課題設定や、またその背景となる社会情勢等の前提要因の共有を適切に行いまして、戦略的に育てるべき重要技術等に関する政策に資する提言を行うことが重要というふうに考えておりまして、高度な科学技術的知見を有する専門人材を糾合し得る仕組みを外部に構築すべく、鋭意検討を行ってございます。  来年度予算案におきまして新たなシンクタンク機能に必要な経費を計上しておりまして、来年度よりシンクタンク機能を立ち上げ、二〇二三年度を目途に組織を設立すべく関係府省庁と連携して着実に検討を進めてまいりたいと思います。
  114. 大野敬太郎

    ○大野分科員 実際にワークする、実際になるほどと思うようなシンクタンクが立ち上がりますように、その御尽力を賜りたいと思いますし、また、必要なことがあれば立法府でもしっかりと努力をして、重ねていきたい、そう思ってございますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、研究開発とかイノベーションのある種開放性とそれから制限について質問させていただきたいと思います。  これは何を言っているかというと、経済安全保障の話であります。私自身も昔、研究者でございましたので、研究とかイノベーションというのには、やはり開放性というのは絶対なくてはならない。それは、いろいろな方が集まって、そして知のスパークがあって、初めて革新的な研究成果が生まれる、これは間違いない話であります。  ただ一方で、では、技術流出防止に何もしなくていいのか。これは、そんなことはなくて、全力で取り組まないといけないんだと思います。というのは、例えば、では、今政府がやられている方針というのは、ガイダンスの周知とか、あるいは大学に体制整備を求めるとか、一方で、現場の研究が萎縮しないようにと。  こういった活動というか、具体的な取組をされている、これは承知をしておりますが、これだけだと、例えば、価値を共有するような国、アメリカとか、そういったところから共同研究の申入れがあったとしても、いや、日本と共同研究をやったら、いや、あそこは漏れるからねと言われたのでは話にならないわけで、全く進まなくなってしまう。そうすると、開放性といったって、向こうが開放してくれないということになりかねないわけで、そこはしっかりと取り組まなくちゃいけない。  より踏み込んだ制度設計というのが必要なんですけれども、ただ一方で、オープンネスとクローズというのは全く相反する話であります。そういった意味でしっかりとプリンシプルを打ち立てて、それを具体化していかなくちゃいけないんだと思います。そこの部分について、どういったプリンシプルでやっていくべきなのか、お尋ねしたいと思います。     〔神山主査代理退席、主査着席〕
  115. 板倉康洋

    ○板倉政府参考人 お答えいたします。  先生指摘のように、安全保障上重要な機微技術の管理につきましては、これまで、経済産業省と連携いたしまして、安全保障貿易管理に係る機微技術管理ガイダンスの周知を図るなど、大学等における体制整備を進めてきたところでございます。  他方、諸外国の動向も踏まえつつ、我が国としても、これまでの対応から一歩踏み出し、科学技術イノベーションの発展と技術流出の懸念の双方を踏まえた対応を進めていくことが必要であるというふうに考えております。  こうした情勢認識の下、文部科学省といたしましては、我が国の技術的優越を確保、維持するため、重要技術の明確化、重視する技術分野への重点的な資源配分、適切な技術流出対策などの実施に向けまして、関係府省との制度設計の検討を進めていくことにしております。  このような検討に当たりましては、現場の研究者が萎縮しないということはもちろんでございますが、先生指摘のとおり、先進諸外国との共同研究に支障を来さないということも重要であるというふうに考えておりまして、そうした観点も踏まえながら、関係府省と連携の上、検討を進めてまいりたいと考えております。
  116. 大野敬太郎

    ○大野分科員 多分、ポイントは、クリアランスと事後規制なんだと思います。いずれにせよ、しっかりと検討いただきたいと思います。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  117. 村井英樹

    村井主査 これにて大野敬太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、櫻井周君。
  118. 櫻井周

    櫻井分科員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。  本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。  実は、二時間ほど前は総務委員会でちょっと追及モードで一生懸命やっていたんですけれども、こちらは分科会ですので、大臣と率直な意見交換をさせていただきたいというふうに思います。  本日、二点質問を用意しておりまして、まず一点目は、大学教育における男女平等の実現ということです。  東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森前会長の女性蔑視とも取れる発言があったということは、これはあってはならないことなんですが、そもそもこの質問をさせていただくきっかけは、今から約三年前、二〇一八年の五月十八日に、文部科学委員会で、当時、私は委員でございましたので、林大臣質問させていただきました。この直前に政治分野での男女共同参画推進法が可決をしておりまして、これで政治分野での男女共同参画を進めていくに当たって、ずっとたどっていくと、やはり大学教育というのは重要なんじゃないのかというふうな思いに至り、それで質問させていただいたところです。その該当部分が資料一でお配りさせていただいているところでございます。  我が国のジェンダーギャップ指数、二〇二〇年度版も出ております、資料二で書かせていただいておりますが、これを見ますと、やはり経済と政治の分野で我が国は非常に成績が悪くて、そして教育と健康の分野ではそこまで悪くはない、むしろいい方なところもございます。  こうしたアンバランスな状況になっているわけなんですけれども、更に資料をもう一枚めくっていただきまして、女性の国家公務員の採用状況のフォローアップ結果、これは毎年発表されておりますけれども、徐々に上がってきてはおるものの、まだまだ三分の一ぐらいという状況が続いております。  それから、もう一枚めくっていただきまして、資料四、女性の国家公務員の登用の状況、フォローアップということで、こちらも見ていきますと、管理職になるともっと随分少ない状況になります。  これはやはり、我が国は、そもそも、大学を卒業し、それから就職して何年かたって管理職になる、さらに、企業の管理職、企業の取締役であるとか、あと議員であるとか、そういった責任ある立場に就くまでにはやはり時間がかかるわけでございます。ですから、若い段階からのこうした人材育成ということが重要になってくるのではなかろうかということです。この政治分野それから経済分野でも、取締役というところにたどり着くには、その前に、採用の段階でやはりまだまだ差が残っている。  更に遡りますと、大学教育はどうなのかというふうに見てみますと、実は、当時大臣をされていた林大臣質問したんですけれども、林大臣母校、二つありまして、東京大学とそれからアメリカのハーバード大学、その二つを比べたときに、東京大学では男女比が三対一ぐらい、二割ちょっとぐらい。一方で、ハーバード大学はほぼ半々、正確に言うと五一%対四九%か、それぐらいの割合で、もうほぼ半々でございます。  それから、もう一枚めくっていただきまして、萩生田大臣は明治大学の御出身というふうにお伺いしておりますが、明治大学についても見ますと、大体男女比が三対一ぐらいになっております。それから、私の出身大学であります京都大学を見ましても、大体三対一ぐらいというふうになっております。  このように、高校までは多分余りジェンダーギャップといいますか、男女差別とか男女の差って余りないんだと思うんですけれども、大学に入る頃から大分差がついていく。就職活動するときに更に広がってしまうというような傾向があるのではなかろうか、こんなふうにも感じるんですけれども、何でこんなことになるのか。  大学入試で女子学生、女子の受験生、不利に扱うようなことがあるのかどうなのか。以前、東京医科大学において、女子の受験生に対してちょっと減点するような、ないしは男子学生にげたを履かせるような、そういう得点調整があったという事例はありましたけれども、こんなことをやっている大学というのはごくごく僅かでございまして、多くの大学においてこんなことはやっていないというふうに思っております。  ですから、純粋に試験だけでやっているのに何でこんな差がついてしまうのか不思議に思い、三年前に林大臣にも質問させていただきました。当時の林大臣も、ううん、なかなか深遠な質問ですねと言いながら、結論は分からない。分からないということだったので、調べてください、当時の文部科学省局長さんも、調べます、こういうふうに言っておられたんですが、その後、余り調べた様子もないし、質問しても答えてくれませんので、改めて取り上げさせていただく、こういうことでございます。これ、大臣、何でだか分かりますでしょうか。
  119. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 大学全体の女子の学生割合は年々向上していると承知はしておりますが、確かに、先生指摘のような大規模総合大学などでは男子学生の比率が高いという実態がございます。  高等学校の管理職が考える男子生徒の方が大学進学率が高い理由というのから参照しますと、保護者が自宅から通うことができる近隣の進路先を勧めること、あるいは、女子生徒は男子生徒よりも浪人を回避しがちであったこと、あるいは、短期大学や専修学校への進路を選択することが多く見られることなどが指摘をされております。  このほかにも学問分野や立地条件での違いがあることが考えられることから、今後、大学における男女学生比率の状況や女子学生の進学に向けた取組内容について、必要な調査を更に行いたいと考えております。
  120. 櫻井周

    櫻井分科員 大臣のおっしゃられた分析も全くそのとおりだと思います。  また、それ以外のところにも、もしかしたらいろいろあるのかもしれない。家庭環境なり、男子と女子、二人お子さんがいたら、どっちにお金をかけるのかといったようなところで、もしかしたら家庭の中でも多少の差があるのかもしれませんし、それは、そもそも、この社会の中でも男性と女性で賃金格差がある。男性の方が賃金が高いから、同じ教育投資するんだったら男の子の方に投資をした方がいいというふうに考えるとか、いろいろなことがあるかもしれない。それによって男の子の方に教育を、よりお金をかけるということが、その後、就職した後、お金をかけられている男の子の方が給料が高くてということで、悪循環に陥っている可能性もございます。  ですから、こうした悪循環を断ち切らなきゃいけない。そうしないと、いつまでたってもこの男女共同参画というのは実現できないのではないのか、こういうふうにも思いますので、是非大臣、リーダーシップを取って、男女共同参画の社会の実現に向けて御努力いただきたいということをお願いさせていただきます。  続きまして、二点目の質問、児童生徒の満足度、ウェルビーイングというものでございます。  これも実は同じ三年前の五月に林大臣にも質問させていただいておるところでございますが、このときには二〇一五年のPISAの結果、これで、このとき、二〇一五年、初めて横断的にウェルビーイングの調査をやった、そうしたところ、日本の児童生徒の生活満足度が諸外国に比べてかなり低いということが明らかになり、日本社会において衝撃が走ったところでございます。  その後、二〇一八年の結果を見ましても、かなり低い状態が続いております。それが資料八のものでございます。この資料八なんですが、PISAの結果は文部科学省のホームページにも大体載っておるんですけれども、この部分については載っていなくて、しようがないので、私、OECDの方のホームページを見て、たどり着いて、この結果を見たわけでございますが、やはり、まず率直にこうした現状を見ていただきたいなというふうに思います。  その上で、大臣、何で日本の児童生徒の幸福感、満足感が低いんでしょうか。どういうふうに分析されますか。
  121. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 OECDによるPISA二〇一八調査の結果において、日本の生徒の生活満足度の平均値は六・二であり、OECD平均の七・〇と比べて低い結果でした。これは生徒の主観的な生活満足度を尋ねたものであり、東アジアの国が低く中南米の国が高いなど、地域的な偏りが見られます。このため、調査に参加した国の社会文化的要因を考慮してデータを解釈する必要があり、OECDの報告書においても、こうした結果を単純に比較することは難しいとしています。  したがって、生徒の生活満足度の分析に当たっては、こうした点に留意しつつ、分析結果を今後の教育政策に生かしていく必要があると考えているところです。
  122. 櫻井周

    櫻井分科員 確かにおっしゃるとおり、文化的な背景、中南米、いわゆるラテンな雰囲気の文化の中では、ある種、なるようになるさみたいなので、今が楽しけりゃというような文化があるのかもしれませんし、そうした、ダンスとかいろいろな楽しい、人生の中で楽しみがいろいろあるのかもしれない。  一方で、日本の、もしかすると、生徒児童、真面目にぐっと考えて、これができなきゃ駄目だ、あれができなきゃ駄目だというふうに思い詰めて、なかなか幸せな感じになれないというのがあるのかもしれません。  ただ、ともかく、人生、やはり幸せを感じてこその人生だというふうに思いますし、また国民の皆様が幸せを感じられるようにするということが政治の役割だというふうにも思いますので、是非、児童生徒の幸福感、満足感を高められるような、そうした環境整備をやはり文部科学省としても、そして学校現場においても進めていくべきだというふうに考えます。  大臣、そこでお尋ねですが、日本の児童生徒の幸福感、満足感、どうしたら高めることができるでしょうか。
  123. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 難しい質問だと思います。  先ほど先生なりの分析をしていただいて、例えば、ラテン系の子供たちが非常に前向きで明るい、極論を言えば、朝起きて天気がよければそれだけで、今日はいい日だね、楽しいね、こう思うのと、天気のよし悪しにかかわらず、今日一日自分が果たさなきゃならないことを考えながら通学する日本の子供たちとの違いというのもきっとあるんだと思います。  一方、日本人というのは、やはり奥ゆかしい民族だと思うんですね。余り自己主張をしたがらないというところもあって、例えば、国会見学に来る小学生最後質問を聞くんですけれども、なかなか一番最初に手を挙げる子供がいないなんというのも、これは日本の子供のある意味特性だと思います。  先ほど、ジェンダーイコールについての概念についてお話しいただきました。大事な視点ですけれども、今まで積み重ねてきた価値観みたいなものが根底にあるとすれば、それをブレークスルーしていかないとなかなか次の時代を開くことができないと思うので、まさに我々世代の大きな役目じゃないかなと思っています。  今般の学習指導要領の改訂においては、子供たちが未来を切り開いていくために必要な資質、能力を、知識及び技能、思考力、表現力、判断力など、学びに向かう力、人間性などの三つの柱に整理をし、バランスよく育成することとしました。委員御指摘のとおり、まさに知識や技能、思考力、表現力、判断力をどのような方向性で働かせていくか決定づける重要な要素であって、学校における学びを人生や社会に生かし、子供たち一人一人が自ら人生をつくり出していくという上でも大変重要だと思っております。  決定打といいますか、特効薬というのはないんだと思うんですけれども、是非、子供たちが、幸福感、満足感、こういったものを、言うならば自己をきちんと肯定する力というのを日頃から身につけていくことが極めて重要ではないかなと思っていまして、我々文科省としては、学校教育の場でそういったことをしっかり力を入れていきたいな、そんなふうに思っています。
  124. 櫻井周

    櫻井分科員 大臣の率直な御答弁もいただきまして、ありがとうございます。  ちょっと具体的な話に入っていきますけれども、じゃ、児童生徒が幸せを感じられない理由、個別具体的にちょっと考えてみますと、例えば、学校現場で体罰、これはいまだになくならない。私が中学生高校生だった頃に比べれば随分減ったんではなかろうかというふうにも思いますが、それでもそういった事案が散見される。  私の地元の宝塚市においても、昨年、これは体罰というよりはもう暴行だったんですけれども、教員が生徒に柔道の技をかけて背骨を折ってしまうというようなこともありました。これは暴行事件として今裁判が行われている最中でございますけれども、こういうことがあると、なかなか学校で幸せを感じるどころではなくなってしまうのではないのか。  学校教育法十一条では体罰は駄目ですよと明記されているにもかかわらず、体罰禁止というのがなかなか進まない。まあまあ、大体進んでいるかもしれないけれども、やはり、学校、いろいろ、たくさん先生がいるうちに一人でもそういう先生がいると台なしになってしまいますから、やはりこれは何とかなくしていかなきゃいけないというふうにも思うんですが、これは大臣、どうしたらいいでしょうかね。
  125. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 御指摘のとおり、体罰は、学校教育法の第十一条で禁止されており、許されない行為だと思います。  平成二十四年十二月には、大阪市立桜宮高等学校において、部活動中の体罰を背景とした生徒の自殺事案が発生したところであり、その後、文科省では、国公立、私立学校における体罰の実態調査を実施するとともに、懲戒と体罰の区別、体罰防止に関する取組についての通知を発出し、また、運動部活動での指導のガイドラインの策定に加え、平成三十年三月には運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン、同年十二月には文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインを策定するなどの取組を実施してきました。  こうした取組の結果もあり、令和元年度の体罰発生件数は六百八十五件と、平成二十四年の六千六百九十四件に比べれば減少しているものの、学校現場において今なお体罰が発生していることは遺憾だと思っています。  このため、文科省では、生徒指導担当者向けの会議などにおいて、教育委員会における体罰防止等のための取組の好事例周知しているところであり、今後とも、教育委員会学校における研修の促進、相談体制の整備など、体罰根絶に向けた取組を続けてまいりたいと思います。
  126. 櫻井周

    櫻井分科員 体罰もなくしていかなきゃいけないことで、是非取組を進めていただきたいというふうに思います。  また別な観点でございますが、特に小学校で校則というのは余りそんなに厳しいものはないと思いますが、中学校とか高校によっては、非常に厳しい校則、理不尽とも思えるような校則があったりするということが一つ問題だというふうに私も思っています。  私の地元の中学校、宝塚市の中学校なんですが、これの生徒会規約を見ますと、三条において、本会は、生徒の自主的な自治活動を保障し、民主的な学校生活を通じてよき社会人となることを目的とする、こういう生徒会規約になっているんですが、しかし、四条を見ると、本会の活動に関しては、担当教師の助言と指導を受け、職員会の承認を必要とする。全然自治でもないし、民主的でもない。もう教員による縛り。こういうふうにもなってしまうと、なかなか自主性とか学びに向かう力とか自己肯定感とかは育たないんじゃないのかというふうにも思うわけです。  また、昨年、福岡県弁護士会が福岡市内の中学校で校則に関する調査をしたというところで、例えば下着の色とか柄に関する校則は多くの中学校であった、髪型についても多くの学校であったということで、市内の中学生に行った聞き取り調査では、校則について意見すると、内申書に響くぞと言われる、校則のせいで学校に行くことがストレスなど、精神的な苦痛を訴える子供たちもいたりする。そもそも、下着の色、特にパンツの色なんかどうやってチェックするのかなと。脱がせるわけにもいかないし、それは脱がせたら大問題ですから、意味のない校則を作っているのではないのかというふうにも思いますし、理不尽な校則で縛られれば、児童生徒は幸福感、満足感が得られないのは当然だというふうに思います。  一方で、世田谷区立桜丘中学校では、力で抑えつける教育をやめて、もう校則をなくしてしまう、そうすれば逆に生徒の自主性が芽生えてくる、校則という枠がなくなれば、反発もなくなると。  私自身も、中学校のときには、公立の地元の中学校で、何かいろいろ厳しい校則もあり、また、こん棒を振り回すような体罰教師もいたわけなんですけれども、高校に上がったら、たまたま、公立だったんですけれども、自由な校風で、制服も何もない、自由勝手にしていいと。そんな高校だったものですから、そうすると、枠がなくなると反発するものもなくなって、わざわざ何か学ランとかそういうのを着る必要もないみたいな、そういうことで伸び伸びと楽しい高校生活を送らせていただいたんですが。  そういった私自身の思いも含めまして、また、こうした弁護士会がやっているいろいろな調査を見ますと、やはり、校則で縛りつける、力で押しつけるという教育がいろいろな意味で問題になっているんじゃないのか。大臣が先ほどおっしゃられた学びに向かう人間性、これはやはり力で抑えつけてもなかなか芽生えてくるものではないんじゃないのかなというふうに思うんです。  ですから、校則、理不尽なものについては廃止するとかいっても、なかなかなくならないんですよね。ですから、もう一旦全部なくしてしまう。それで、必要なものについては生徒が自ら生徒会の中で議論して決める。そうすると、かなり生徒の自主性というのがやはり育つんじゃないのか。  生徒会で、自分たちで、やはり、さすがにこんなルールがなかったら困るよねということで議論し合えば、それ自体が成長の糧になるのではなかろうかというふうにも思いますし、実際、学校の中でルールがないといっても、普通の法律、刑法とかそういったものは全部あるわけですから、世の中の最低限のルールは、学校の中は治外法権ではありませんから、あるので、校則を一旦全廃するぐらいの勢いでやってもいいんじゃないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。
  127. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 一般的に、校則については、まず制定するか否かも含めて、学校や地域の実態に応じて各学校において適切に判断されるべきものであって、制定する場合には、当然、必要かつ合理的な範囲内で定められるものが理想だと思います。  そもそも、是か非かを文部科学大臣が申し上げるというのも私は避けた方がいいんじゃないかなと思って、記者会見でよく聞かれるんですよ。こういうことがあったんですけれども、どう思いますかというんですけれども、そこは、設置者がそういう校則を作るに至った過去の経緯ですとか、あるいは私立の学校でいえば、いわゆる建学の精神だとか学校としてのアイデンティティーだとかいろいろなものがあるので、一概に外からいいとか悪いとか、外から理不尽だとかというのはなかなか言いづらい部分もあると思うんです。  他方、子供たちは、やはり成長の発達段階に応じて自主的に仲間内でルールを作っていくこともできるわけですから、そういうことも勉強の上では大事だと思います。  したがって、先生がおっしゃるように、大胆に、校則を日本中一回やめさせろということは発想としては面白いなと思うんですけれども、ここはそれぞれの設置者の責任において、あるいは学校の校長の判断において判断するものだと思うし、だからといって、縮こまって学生たちが我慢しなきゃならないかといったら、例えば、時代の変化で、それを説き伏せるだけのきちんとした論理があれば、私は、声を上げていくことも時には必要なんじゃないかなと思っているところでございます。  いずれにしましても、先ほどの、下着の色まで校則に定めるというのは余り合理的じゃないと思いますので、時代の変化とともに少しずつ見直しもあっていいのではないかなと個人的には思っています。
  128. 櫻井周

    櫻井分科員 大臣の特に最後のお言葉、ありがとうございます。  なかなか、児童生徒、中学生が声を上げるというのは難しいというのは一方であるわけです。何が難しいのかといいますと、実は高校受験。これは内申書があるというところが一つポイントでございまして、特に、兵庫県が特にひどいという話もあるんですが、私の地元、出身の兵庫県、これは内申書が二百五十点、当日の試験が二百五十点、合計五百点満点で合否判定される。内申書のウェートが高いから、内申書を気にして学校活動を送らなきゃいけない。教員に忖度しなきゃいけないというプレッシャーがあって、なかなか声を上げるというのは難しいんですね。  私も、今でこそ、何かおかしいじゃないかといって、追及モードでいろいろ発言もさせていただくんですけれども、中学校のときには、ああ、こう言ったら多分内申書に響くなと思って忖度する日々が続いたわけでございます。やはり、こういうことがあるとなかなか満足度も上がらないし、そもそも声すら上げられないということもあります。  これは、兵庫県の、レクの段階でそういうことも話をさせてと言ったら、兵庫県が問題じゃないですかと。国会で言うんじゃなくて、兵庫県に言ったらどうですかという話もあったんですけれども。  ただ、全国的に見て、内申書はある程度評価される、内申書に縛られてというのは、兵庫県に限らず、先ほどの福岡県の弁護士会が調査したときにも、内申に響くぞ、こういうせりふはよく聞くわけですので、やはりこの内申書の在り方は、例えば公立の高校入試にも、本番の一般試験のほかに、事前に推薦入試というのも大分広く行われております。  兵庫県ですと、推薦入試は先週ぐらいに終わっていまして、本番の試験は、一般試験は三月に行われます。例えば、推薦入試では内申重視とかそういうのでも構わないと思いますが、一般試験はもう内申点関係なし、私立の学校と同じような、もうフリーにやるというようなことをするとか、いろいろな方法があると思うんですね。  内申に縛られて身動きが取れないような中学校生活というのがやはり大きな課題ではなかろうかというふうに思いますが、大臣の御所見をお願いいたします。
  129. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 まず高校入試の選抜方法については、実施者である都道府県の教育委員会やそれぞれの私立の学校が決定して、その校長が学校や及び学科等の特色に配慮しつつ、その教育を受けるに足る能力、適性などを判断し、合否判定することとされております。  調査書と学力検査の比重の置き方についても、これは実施者の判断で決定するものであって、たまたま先生のお地元の兵庫県は、県立学校の場合、五対五なんだそうですけれども、これは、日本中見ますと、いろいろな比率がございます。  それで、確かに、恣意的に内申書というものをツールとして子供たちを抑えつけるような教育の在り方は私は決していいと思いませんが、他方、先生もそうだったと思いますけれども、通信簿というのはこうやって開くんですよね。左側が一から五までのような学力の評価、右側が日頃の生活態度ですとかあるいは行事に対する取組だとかであって、これは両方学校教育の成果でありまして、私は、そういう意味では、調査書というのは極めて重要だと思います。  あの一点刻みだけで評価をするという判断をすれば、例えば、私立の中学校を受験をしようなんという小学生は、学校に行く時間が無駄だという親子がいるわけです。ICT教育の充実をさせていますけれども、例えば、不登校になってしまったり、病気で学校に行けない子供たちにとってはいいツールですけれども、学力というか知識だけを詰め込むだけのツールとして使われるのでは、これは本来の目的と違うと思っていまして、ここは用心しなきゃいけないなと思っているところです。  したがって、私、人間力を育んでいくためには、もちろん授業の勉強も大事ですし、共同生活の中で協調性だとか、あるいは人が嫌がることもやってみるとか、あるいは自分の苦手なことからも逃げないで取り組むようなことも含めて、全てが教育だと思っていますから、それを客観的に評価していただいた調査書で、例えば点数では足りないんだけれども、こういう頑張りに、高校生活に期待してみようじゃないかといって入学を許可してくれる学校があるとするならば、これも一つの私は大きな判断だと思っていますので、どちらも大切なのではないかなと思っています。  繰り返しになりますけれども、それをツールに子供たちを抑えつけるような、そういう目的で調査書があるとすれば、それは望ましい姿ではないと思います。
  130. 櫻井周

    櫻井分科員 そうなんです。  多くの場合、ほとんど九九%は内申書は適正に作成されているとは思うんですが、とはいえ、いざとなったらそこで何かされるかもしれない、かつ、内申書の点数も公表されていなかったりするものですから、やはりそこは忖度が働く、自己抑制をしなきゃいけない、わきまえなきゃいけないということになりかねないんですよね。  ですから、そこは、私自身は推薦入試とか一部の入試で使うことについて反対はしませんが、やはり、ない試験というのももっと増やしていくべきではないのか。少なくとも、兵庫県みたいな半分というのは、これはもうどう考えたって、中学校の前半で成績が悪かったりすると、もう挽回しようがなくなっちゃって自暴自棄になっちゃったりしますので、そういう意味でもいろいろ工夫の余地があるのではなかろうかというふうに思います。  多分時間がなくなって、最後質問になろうかと思いますが、先ほどちらっとICT教育のことも、ICTを教育のツールでと、お話もちらっと今大臣されました。  これは私も大変期待をしているところです。学校の学習の中で、技能とか知識、こうしたものについては、多分、ICTを使って、タブレットで個別に学習する方が効率的に進められる部分がたくさんあるのではなかろうか。こういうところで効率的に進めることによって、それ以外の部分、例えばみんなでディスカッションするとかこういったことが、よりそういった時間を持てるようになるのではなかろうか。  また、学校の教員の方々についても、個別指導のところである種負担が軽くなれば、よりそうしたディスカッションとかそういった部分に力を割くことができるんじゃないのか、こういうめり張りがつけられるようになるのではなかろうかということも大変期待をしております。  そもそも、我が国の教育、ともすれば集団活動、集団行動をすることに重点が置かれてしまっていて、一人一人の個性を磨くというところが、なかなか行き届いていないのではないのか。各科目の学習においても、得意科目、不得意科目があったりするわけですけれども、そこを、得意を伸ばしていくようなことも個別学習であれば十分できる可能性はあると思いますし、そういう個性を磨いていくところを今後重点的に置いていくべきではないのか。  ある種、言われたことを言われたとおりにやるというのは、高度経済成長の時代には工場労働者としてそういった人材が必要だったのかもしれませんが、今やそういった作業についてはロボットがやっている。人間は創意工夫とかそういったところに活動の重点が移っているわけですから、そういったことも含めて教育の在り方を抜本的に改革すべきだというふうに思いますが、また、既に文部科学省としても取組を進めているとは思いますが、その辺についての大臣の思いを最後にお聞かせください。
  131. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 本年一月に取りまとめられた中教審の答申で、これまでの学校教育のよさ、これは受け継ぎながら、更に発展させた令和日本学校教育として、全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びを実現していくことが示されました。  具体的には、ツールとしてのICTを基盤として、スタディーログを効果的に利活用することなどによって、子供一人一人の特性や学習進度などを踏まえたきめ細かな指導や、子供一人一人の興味、関心などに応じた学習活動や課題の提供を行う個別最適な学びと、一人一人のよい点や可能性を生かし、多様な他者と協働しながら必要な資質、能力を育成する協働的な学びを一体的に充実していくことが求められております。  文科省としては、令和日本学校教育を実現し、教育の質の向上につなげるため、新学習指導要領を着実に実施するとともに、学校におけるICTの活用と少人数学級を車の両輪として進めることや、子供一人一人の学びを最大限に引き出すための教師の資質向上など、関連する取組に全力で取り組んでまいりたいと思います。
  132. 櫻井周

    櫻井分科員 時間が来ましたので、これで終わります。  大臣、率直な御意見、原稿から離れた御意見もお聞かせいただきまして、誠にありがとうございました。
  133. 村井英樹

    村井主査 これにて櫻井周君の質疑は終了いたしました。  次に、尾身朝子君。
  134. 尾身朝子

    尾身分科員 自由民主党、群馬一区選出の尾身朝子です。  本日は、科学技術イノベーション取組について質問させていただきます。  萩生田文部科学大臣を始め、文部科学省内閣府の皆様方に御出席いただき、ありがとうございます。  早速、質問に入りたいと思います。  資源の乏しい我が国にとって、人材の力と、科学技術の進歩、イノベーションを生み出す力こそが国力の源泉です。科学技術イノベーション立国日本として持続的に発展していくためには、基礎研究人材育成を始め、科学技術イノベーションの力を一層発展させることが不可欠です。  しかしながら、本年一月十八日、施政方針演説で菅総理が述べられたように、科学技術イノベーション立国日本にとって、二十年近くも続く我が国の研究力の低迷は、国の将来を左右する深刻な事態というのが現状です。  平成三十一年二月八日に私が予算委員会質問させていただいた当時でさえ、研究開発費の総額において、中国に二・六八倍の差をつけられていました。その後、この差が開くことはあれども、好転はしておりません。  この状況を一刻も早く克服し、持続的な科学技術の更なる発展の軌道に乗せていくことこそ、今やらなければいけないことではないでしょうか。  そこで、萩生田大臣に伺います。  日本科学技術イノベーションの現状について、御見解をお聞かせください。
  135. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 我が国の科学技術イノベーションの現状認識についてですが、AIや量子技術などの先端技術を中核とする国家間の覇権争いが先鋭化し、気候変動による災害の激甚化など脅威が現実化する中で、官民の研究費総額について、米国及び中国が著しい増加傾向にあるのに対して、日本は横ばいで推移している状況だと思います。  また、研究力の要である若手が研究を志さない傾向にあります。これにより、注目度の高い論文数の国際的なシェアが低下するなど、我が国の研究力が相対的に低下しているものと認識しています。  このような中、総理の施政方針演説を踏まえ、来年度から開始予定の科学技術・イノベーション基本計画の答申素案において、五年間の研究開発投資総額について、政府で約三十兆円、官民で約百二十兆円を目指すこととされており、現状の打破に向けて、科学技術イノベーションへの投資が極めて重要であると認識しているところです。
  136. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございました。  大臣が言及されました現状につきまして、引き続き細部について質問させていただきます。  大臣もお触れになりましたけれども、科学技術イノベーション立国日本を支えるのは研究者です。研究者が豊富にいてこそ、我が国の研究力が強化されます。  しかし、近年、研究者を目指して博士課程に進む若者が減少しています。これは大変にゆゆしき事態です。その理由としては、第一に、博士号取得後のキャリアパスが見えないこと、第二に、経済的に苦しい状況に追い込まれていることなどが挙げられます。  これを打破するためには、研究者という職業が魅力的であると思えることが大変重要です。  これまで、政府でも様々な取組が行われてきたと承知しています。昨年一月には、研究力強化・若手研究支援総合パッケージが策定され、若手研究者への安定的なポストの拡大や、博士後期課程学生の処遇の向上、長期で挑戦的な研究への支援などが盛り込まれています。  また、先般、いわゆる十兆円ファンドが創設され、運用に向け、動き出します。もちろん、このファンド目的大学そのものへの支援学生に対する支援が大きな柱とされていますが、その運用益が実際に恩恵を及ぼすまでには、どうしても数年単位の時間が必要とされます。  今すぐにでも支援の手を差し伸べないと、ますます研究者を目指す若者が減少してしまうと危惧しております。この課題に対して政府が本腰を入れてこれから取り組んでいく姿勢、実行力が問われています。  そこで、伺います。  今述べましたように、研究力強化の鍵を握るのは博士後期課程人材を始めとする若手研究者であり、これらの人材が経済的な不安を覚えることなく研究に専念できるよう、経済的支援充実を図るべきと考えますが、御見解をお聞かせください。
  137. 板倉康洋

    ○板倉政府参考人 お答えいたします。  博士後期課程学生は、我が国の先端研究の現場の重要な担い手であるとともに、将来の科学技術イノベーションを牽引していく貴重な存在であります。しかしながら、近年、経済的な理由あるいはキャリアパスの不透明さなどから、博士後期課程への進学者が減少傾向にあるという状況でございます。  このような状況を打破するために、文部科学省では、今般の大学ファンドによる支援の開始に先駆けまして、令和二年度第三次補正予算及び令和三年度当初予算に、合計で七千八百人規模の博士後期課程学生への経済的支援に関する経費を計上し、博士後期課程学生支援の抜本的な充実を図っているところでございます。  文部科学省といたしましては、これらの取組によりまして、大学ファンド運用益による支援が開始されるまでの間においても、博士後期課程学生への支援に着実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  138. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございます。  科学技術イノベーションの担い手である若手に対する支援を、是非ともよろしくお願いいたします。  次に、宇宙開発について質問いたします。  昨年、「はやぶさ2」が小惑星リュウグウのサンプルを回収し、地球に持ち帰ることに成功。うれしいニュースに日本中が沸き立ちました。  総理の施政方針演説でも言及のありましたとおり、高い技術力により世界初の偉業の数々を成し遂げた歴史的成果であり、コロナ禍で世界が暗く沈む中で、子供から大人まで夢と希望を与えてくれました。  今後も研究力に更に磨きをかけ、宇宙開発における我が国のプレゼンスを維持向上させることが重要です。  また、世界に目を向けると、中国、米国、UAEが次々と月や火星に向けて探査機を打ち上げており、有人宇宙開発においても、米ロ中が熾烈な競争を繰り広げております。人類の活動領域の拡大に向けて、世界各国が月探査等への関心を深める中、我が国としても戦略的に宇宙開発等に取り組むべきと考えます。  他方、これら宇宙開発競争の相手国との予算面での格差は歴然としており、いかに国際協力を戦略的に進めていくかが鍵となります。  我が国は、現在精力的に参画しているISSに引き続き、米国提案の月面探査計画、アルテミス計画への参画を表明しておりますが、戦略性を持って取り組むべきと考えております。御見解を伺います。
  139. 生川浩史

    ○生川政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、我が国では、関連予算に限りがある中、宇宙開発利用を効果的、効率的に進めていくためには戦略的な取組が必要不可欠であるというふうに考えております。  これまで、国際宇宙ステーション計画を始めとした国際宇宙探査については、我が国は、可能な限り、国際協力の中で、一国のみで取り組むことが困難なプロジェクトについても効果的、効率的に進めてきており、このような取組を通じて我が国独自の技術を培ってきたところでございます。  また、国際協力の下で月での持続的な探査活動の実現を目指す米国提案のアルテミス計画についても、我が国は一昨年十月に、ISS計画で培った我が国の強みを生かして、同計画へ参画することを政府決定をしたところであります。  さらに、アルテミス計画については、昨年七月に萩生田文部科学大臣とブライデンスタイン前NASA長官との間で署名をした共同宣言や、昨年末の十二月に日本政府とNASAとの間で署名をした民生用月周回有人拠点に関する了解覚書などを通じて、日本人宇宙飛行士の活動機会の確保も含め、我が国と米国との協力内容の具体化を図ってきているところでございます。  今後、これらの協力の更なる具体化を図りつつ、本年秋頃に予定をしております日本人宇宙飛行士の新規募集や、あるいは、委員言及いただきました「はやぶさ2」の成果による新たな知見の獲得なども通じて、引き続き宇宙開発利用をしっかりと戦略的に進めてまいりたい、こう考えております。
  140. 尾身朝子

    尾身分科員 大変心強い、明るい兆しの見える御答弁、ありがとうございました。  次に、北極域研究の推進について質問いたします。  昨年、総理が二〇五〇年のカーボンニュートラルを宣言したとおり、その実現に向けて、より一層研究開発に取り組む必要があります。カーボンニュートラルの実現には、産学官挙げての温室効果ガス削減技術開発が必要です。  一方、地球規模の気候変動を予測するためには、より多くの科学的データを収集する必要があります。政府として、地球規模での気候変動にも全力で取り組む必要があると考えます。  この中で、地球上で最も急速に温暖化が進んでいるのは北極域です。この一帯の変化が我が国を含めた地球規模の変化に影響を与えていると言われていますが、実は、北極域の観測データが乏しく、大きな課題になっているとも聞いております。  さらに、北極域は、気候変動だけでなく、夏の季節に海の氷が解けることにより利用可能となる北極海航路が国際社会の関心を集めています。北極域の脆弱な環境に配慮した、持続可能な利活用も重要です。  そこで、伺います。  我が国として、北極域研究を戦略的に進めていく必要があると考えておりますが、いかがでしょうか。
  141. 生川浩史

    ○生川政府参考人 今、委員から御紹介をいただきましたけれども、北極域は、地球上で最も温暖化が進行している地域であり、地球規模の気候変動予測を高度化する上でも非常に重要な観測対象になっております。一方で、これも御指摘いただきましたが、観測データが他の地域と比べて不足しているということが課題になっているところであります。  我が国は、長年、北極域の観測研究を続けてきており、現在も、北極域研究加速プロジェクト、私どもはArCS2というふうに言っておりますが、これを通じて北極圏に拠点を整備し、国際連携の下で観測活動や人材育成などを行ってきているところでございます。  また、海氷域での観測のため、令和三年度予算案において、砕氷機能を有する北極域研究船の建造に着手するための経費を計上させていただいております。本船については、国際研究プラットフォームとして運用することとしており、これにより、北極域研究における我が国のプレゼンスの強化を図ってまいりたいというふうに考えております。  さらに、本年五月には、第三回の北極科学大臣会合をアジアで初めて我が国において開催をする予定となっております。共催国でありますアイスランドとともに、国際連携による北極域研究の推進を強力に主導していくことを目指していきたいと考えております。  文部科学省としては、我が国の強みである科学技術を生かしながら北極域研究に戦略的に取り組むことにより、我が国のプレゼンスを発揮しつつ、国際社会での役割をしっかりと果たしていきたいと考えております。
  142. 尾身朝子

    尾身分科員 どうもありがとうございました。  次に、量子技術について質問させていただきます。  量子技術は、将来の産業競争力や安全保障にとって重要な技術であり、米国、欧州、中国を中心に、巨額の投資を通じて、研究開発や人材育成が急速に進められています。我が国でも、令和二年一月に量子技術イノベーション戦略を策定して、これに基づく取組を推進しております。  しかし、米欧中などと比べて投資規模に劣る我が国は、我が国の強みを特定し、そこに集中投資してこそ、諸外国をリードする成果を獲得できるものと考えます。いかにその強みを特定し、関連する分野の人材を集め、それを更に伸ばすために拠点化し、集中投資していくか、このことで量子技術を支える層の厚みを増していくか、その戦略性が問われると思います。  そこで、伺います。  国内外から顔の見える量子技術イノベーション拠点を早期に形成し、研究開発、人材育成の両面で諸外国にリードしていくべきと考えておりますが、文部科学省取組についてお聞かせください。
  143. 板倉康洋

    ○板倉政府参考人 お答え申し上げます。  量子技術は、経済産業、安全保障上の重要技術との認識の下、米国、欧州、中国を中心に、巨額の投資を通じて、研究開発などの取組が急速に進展しております。  我が国におきましても、令和二年一月に策定された量子技術イノベーション戦略に基づき、積極的な取組を推進しているところでございます。  本戦略では、量子コンピューターや量子センシングなどの我が国が強みを有する主要技術領域を特定するとともに、基礎研究から技術実証、国際協力、人材育成などに至るまで産学官が一体となって取り組む、まさに国際的に顔の見える量子技術イノベーション拠点を形成することとしております。  文部科学省といたしましては、関係府省等の連携の下、本戦略を踏まえまして、主要技術領域や量子技術イノベーション拠点に対する研究開発投資の大幅な強化に取り組んでいるところでございます。  また、明日、二月二十六日には、拠点の発足式典、シンポジウムも開催することとなってございまして、理化学研究所を中核組織といたしまして、今後、拠点の活動を本格化してまいることとしております。  今後とも、量子技術イノベーションの強化に向けまして、重点的な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。
  144. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございました。  まさに明日、量子技術イノベーション拠点の発足式という、タイムリーな話題だというふうに思いますけれども、今ほど御答弁がありましたとおり、めり張りをつけて日本の強みを更に伸ばしていくという戦略で、是非とも世界で量子の分野でも日本がリードできるように取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、マテリアル分野の研究開発戦略について質問させていただきます。  マテリアル分野というのは、我が国の輸出産業の要であり、我が国が産学において強みを持つ重要な分野です。しかしながら、近年、新興国が猛烈に追い上げ、また、ニーズの多様化により研究開発の高速化が求められる中、我が国の優位性に陰りが見え始めているとも言われています。  先般の統合イノベーション戦略二〇二〇では、「マテリアルによる新しい価値・産業の創出と、それを支える産業競争力や研究力の強化に取り組み、世界の産業・イノベーションを牽引するため、マテリアル分野に関する政府戦略を策定する。」とされています。  我が国は、多様な研究者、企業、世界最高レベル研究開発基盤を有しております。この強みを生かして戦略的に取り組めば世界をリードし続けることが可能だと思っており、この策定を急ぐ必要があります。  マテリアル分野において、どのように我が国の優位性を確保し、世界をリードしていくのか、御見解をお聞かせください。
  145. 杉野剛

    杉野政府参考人 マテリアル分野のお尋ねでございます。  委員御指摘のとおり、マテリアル分野は輸出産業の要でございます。また、社会を大きく変革する研究成果を創出するなど、長年にわたりまして我が国が強みを有する分野とされてきましたが、近年、その強みが失われつつあるのではないかと懸念しているところでございます。  そのため、昨年六月に文部科学省と経済産業省におきまして取りまとめた報告書も踏まえまして、現在、統合イノベーション戦略推進会議の下に設置されました有識者会議におきまして、マテリアル革新力強化戦略の策定に向けた検討が行われているところでございます。  その検討の中では、まず産学官共創による迅速な社会実装の推進、データ駆動型研究開発基盤整備、そして持続的発展性の確保の三つの基本方針の下で、今後の取組の方向性と具体的に取り組むべきアクションプランが取りまとめられる見込みでございまして、文部科学省といたしましても、この方向に沿いまして、令和二年度第三次補正予算及び令和三年度予算案におきまして、マテリアルDXプラットフォーム構想実現のための経費として百五億円を計上しているところでございます。  このマテリアルDXプラットフォーム構想では、まず、大学などの先端共用設備から創出されるマテリアルデータを、各機関の枠組みを超えまして、国立研究開発法人物質・材料研究機構を中核に全国で共有、活用する仕組みづくりを進めることと併せまして、創出されるマテリアルデータを活用することで、従来の研究手法に加えて、革新的な材料開発を目指す研究開発プロジェクトを開始することとしているところでございます。  文部科学省といたしましては、こうした取組を通じまして、本分野におけます我が国の優位性を是非確保してまいりたいと考えているところでございます。
  146. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございます。  マテリアル分野というのは本当に日本が優位を持っていたと私たちは信じておりましたので、その地位が揺らいでいるというのはゆゆしき状態だと思いますが、今ほどお話がございましたマテリアルDXプラットフォーム構想などを通じて、また、NIMSというのは世界中の研究者が訪問してくる場所だというふうにも聞いておりますし、共同研究など、オープン・クローズ戦略をしっかりと取って、今後もマテリアル分野の日本の優位性を維持していただければというふうに思っております。  次に、機微技術管理について質問させていただきます。  科学技術イノベーションにおける世界の覇権争いは激化しております。生み出される先端技術の中には、活用の仕方によっては国民生活への脅威となるおそれのあるものもあります。先端技術を適切に管理し、国民生活の向上と国際競争力の強化に役立てるために、機微技術の管理は我が国の安全保障や技術的優位性に直結する重要な課題であり、国内外の研究開発動向や戦略的に育てるべき重要技術課題等を把握し、取り組む必要があります。  他方、科学技術イノベーションの発展には、国内外の研究者との共同研究などを通じた知の融合が不可欠であり、研究成果の創出を妨げないよう十分配慮する必要があります。  つまり、研究成果の創出、育成、活用と、大学等における技術流出防止の強化と、このバランスをよく進めていくことが重要です。  そこで、伺います。  機微技術の管理について、具体的にどのように取り組むのか、お聞かせください。
  147. 板倉康洋

    ○板倉政府参考人 お答え申し上げます。  近年、米国等におきまして、安全保障上重要な新興技術につきまして、その推進と管理に関する議論が行われております。我が国におきましても、科学技術イノベーションの発展と技術流出の懸念の双方を踏まえた対応が必要となってきておるところでございます。  安全保障上重要な機微技術の管理につきましては、これまで、経済産業省と連携しまして、安全保障貿易管理に係る機微技術管理ガイダンスの周知を図るなど、大学における体制整備を進めてきたところでございます。  また、統合イノベーション戦略二〇二〇では、流出を防止すべき技術を守るための具体的な取組として、政府資金による研究成果の取扱い、外国からの研究資金の受入れの在り方といった内容が含まれておりまして、これらの課題につきましては、関係府省との緊密な連携が不可欠なものと考えております。  文部科学省といたしましては、これらの課題に対応するため、本年四月から新しい担当参事官組織を設置し、体制を強化することを予定しております。  引き続き、諸外国の動向も踏まえつつ、現場の研究者が萎縮することのないよう留意しつつ、関係府省と連携の上、検討を進めてまいりたいと考えております。
  148. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございます。機微技術管理というのは非常に重要なテーマだと思いますので、しっかりと取り組んでいただきますように改めて要望させていただきます。  次に、スマートシティーについて質問させていただきます。  第五期科学技術基本計画では、ソサエティー五・〇という未来社会像が掲げられました。ソサエティー五・〇では、経済的な豊かさだけでなく、質的な豊かさ、国民に安心と安全を提供できる持続可能で強靱な社会、一人一人の多様な幸せ、ウェルビーイングを実現することが可能となります。  このソサエティー五・〇の実現に向けては、新しい技術や新しい形の社会システムを社会に実装していくことが重要であり、そのような新技術の実装の場として、スマートシティーの果たす役割は大きいと考えます。  トヨタが二月二十三日に静岡県裾野市でウーブン・シティづくりの取組を開始すると発表しました。私の地元前橋市も、スーパーシティー構想に名のりを上げ、5GやAIを駆使した自動走行バスのデジタル実証実験などに取り組んでおります。  そこで、伺います。  内閣府は、データ連携などの技術的なハード面や、自治体を巻き込んだ産学官の体制づくりのソフト面を含めて、スマートシティーに関する各省の様々な取組を取りまとめ、連携させて進めていく牽引役としての役割が求められているものと考えます。これらについて、政府全体の取組をどのように進めていくのか、御見解をお聞かせください。
  149. 高原勇

    ○高原政府参考人 お答えします。  スマートシティーは、ICTなどの技術活用によるマネジメントの高度化による新たな社会サービスの価値の創出を通して、ソサエティー五・〇の先行的な実現と地域間の格差を、目指しております。  内閣府では、第六期科学技術・イノベーション基本計画の策定において、次世代の社会基盤であるスマートシティーの展開を府省連携の重点施策として計画しております。  昨年十二月に決定した新経済・財政再生計画改革工程表二〇二〇では、二〇二五年度までに計画的に百地域での実装、浸透を目指すこととしました。  スマートシティー事業では、内閣府が司令塔となり、府省連携で合同審査会を実施するなど、一体的に推進していくことで目標の実現に取り組みます。  また、先行する取組の横展開では、データ連携の共通ルールづくりに加え、産官学が集結した官民連携プラットフォームの活動を促進しております。参加団体は、企業、大学研究機関等を合わせて四百三団体、地方公共団体が百三十三団体となりました。  年度内には自治体向けのスマートシティーガイドブックを取りまとめ、普及に向けた人材の育成策を検討しているところです。  最後になりますが、関係府省並びに官民連携による一体的な推進で国内におけるスマートシティーの普及を進めるとともに、日本とASEAN諸国の国際的な連携など、世界に積極的に発信してまいりたいと考えております。  以上です。
  150. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございます。  まさに、スマートシティーを実現し、そしてソサエティー五・〇を実現するためには、省庁の横断的な、その壁を壊して、しっかりと取り組んでいくことが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、沖縄科学技術大学大学について質問させていただきます。  二〇一一年に設立された沖縄科学技術大学大学も、内容の充実を図りながら、今年十周年を迎えることになりました。この間、世界中から一流の研究者を招聘し、優れた研究環境の下で世界トップクラスの研究を継続しており、ネイチャーインデックス誌における科学論文の質において日本で一位、世界で九位にランクづけられました。  地元沖縄との緊密な連携を図り、このコロナ禍においても、持てる検査能力なども提供しています。  世界との産学連携のハブとなるような大学大学として、骨太に記載があるとおり、規模拡充による科学技術イノベーションの国際拠点とし、卓越した存在として成長し続けるためには、政府による継続的かつ手厚い支援が不可欠です。  そこで、伺います。  沖縄科学技術大学大学に対して、政府が今後も確実かつ手厚い予算措置をしていくべきだと考えますが、政府の見解をお聞かせください。
  151. 原宏彰

    ○原政府参考人 お答えいたします。  沖縄科学技術大学大学、OISTにおきましては、平成二十三年に設立されて以降、世界最高水準を目指しまして、科学技術に関する教育研究を推進しているところでございます。  先生指摘のとおり、ネイチャーインデックスの二〇一九におきまして、質の高い論文の輩出率世界九位、日本一位ということでランクインするなど、成果を上げてきているものと承知をしてございます。  OISTにつきましては、沖縄振興政策の重要な柱の一つといたしまして、その運営等に必要な経費を確保してきたところでございます。  先般成立した令和二年度第三次補正予算においては、第五研究整備等の研究環境整備の経費といたしまして約三十億円が措置されたところでございます。  さらに、令和三年度予算案におきましては、OISTの規模拡充等のため、教員の増員等に関する必要な経費といたしまして約百九十億円を計上してございます。  今後とも、沖縄の振興及び自立的発展並びに世界科学技術の発展に寄与することを目指して設立されたOISTが、所期の目的を達成することができるよう、運営につきまして不断の改善を行いながら、その発展を適切に支援してまいりたいと考えております。  以上です。
  152. 尾身朝子

    尾身分科員 ありがとうございます。  OISTはこれからも発展し続け、成長し続けていかなければなりませんので、是非とも継続的な支援をよろしくお願いいたします。  最後の一問になると思います。大臣に、今後の意気込みについてお伺いいたします。  科学技術イノベーションの投資については、基礎研究人材育成を始め、科学技術イノベーションの力を一層発展させるために、何よりも国としてしっかり投資することが重要です。  新型コロナウイルス感染症が蔓延する中でも、世界各国はイノベーションへの投資をむしろ積極的に強化しています。このような厳しいときにこそ、国がしっかりと投資していくことが、コロナ収束後の原動力となるのではないでしょうか。  三月には第六期科学技術・イノベーション基本計画が策定されます。総理は、施政方針演説について、「今後五年間の目標として、政府研究開発予算を三十兆円、官民の研究開発費の総額を百二十兆円とし、積極的にイノベーションを促してまいります。」と述べられました。私も、この総理の言葉に非常に勇気づけられました。政府一丸となって、総理が示された目標の実現に向けて取り組むべきと考えます。  先ほど大臣、冒頭にもおっしゃっていただきましたけれども、科学技術イノベーションに特に重要な役割を担う文部科学省では、萩生田文部科学大臣のリーダーシップの下、より一層強力に科学技術イノベーションに取り組んでいただきたいというふうに思います。  大臣の御決意をお聞かせください。
  153. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 天然資源に乏しい我が国にとって、イノベーションの創出と、その源泉となる科学技術の振興は、社会的課題や経済的課題を解決する上で極めて重要な手段です。  私、大臣就任以来、科学技術のイノベーション政策推進の中核を担う省の責任者としての自覚を持って、例えば、博士後期課程の学生を含む若手研究者への支援ですとか、十兆円規模の大学ファンドの創設ですとか、また、大学改革を進めさせていただき、研究力の抜本的強化に向けた取組、創発的研究、十年間、腰を据えて若い研究者の人たちに基礎研究に没頭してもらおう、こういう新しい制度もつくってきたところでございまして、多分、先生にもその胎動は感じていただいているんじゃないかと思います。  様々な社会課題の解決に向けて、国際的に研究開発の競争が激しいAI技術、バイオテクノロジー、量子技術、マテリアル、宇宙、海洋、環境・エネルギー、健康、医療等の重要分野の国家戦略に基づく取組科学技術イノベーションの発展と技術流出の懸念の双方を踏まえた取組、このような様々な重要な取組を、今後策定される第六期科学技術・イノベーション基本計画を踏まえつつ、強力に推進してまいりたいと思います。  リーマン・ショックの後に研究開発投資が停滞した反省、これは先生のお父様が常々私に言っていたことでありまして、今回、コロナの後に不要不急の研究を止めるようなことがあってはならない、まさに人への投資、研究への投資は次の時代を切り開く大きな鍵だというふうに思っていますので、科学技術イノベーションへの力強い支援、引き続き頑張ってまいりたいと思います。
  154. 尾身朝子

    尾身分科員 大変力強い御答弁、本当にありがとうございました。  我が国がソサエティー五・〇を実現し、これからも成長していくためには、基礎研究を始め科学技術イノベーションの力を一層発展させることが不可欠です。世界の中で、今後とも我が国が科学技術イノベーション立国日本として輝く国であり続けるため、私も全力で取り組んでいくことをお約束申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  155. 村井英樹

    村井主査 これにて尾身朝子君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日金曜日午前九時から本分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会