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落合分科員 これは、もう一個、表を持ってくればよかったですが、核家族化が増えていることは確かなんですけれ
ども、同じ条件で、夫婦二人の子供二人の世帯で見ても、残念ながら、可
処分所得も下がってしまい、消費額も下がってしまっているというような数字も出ています。
やはり、今までの政策の何らかの副作用というか、そういうものが起こってしまって、なかなか家計にエンジンがかからないというところがあると思います。
私は、幾つか挙げたいと思うんですが、まず、これから後半に挙げるコーポレートガバナンス改革。会社法の改正が主ですけれ
ども、もうざっくり
最初に言いますと、短期的な利益を出すために、人件費とそれから長期的な投資が抑制されてしまっている。実際に、その数字も後で御説明しますけれ
ども、そういった副作用を生むコーポレートガバナンス改革がずっとこの二十年行われてきて、アベノミクスの柱でもありましたし、菅政権もそれを柱に掲げています。
それから、消費税増税。これは、日本は消費税の支払いを、仕入れ税額控除方式を取っているので、売上げから仕入れを引いた金額の一〇%を納税するわけです。そうなると、人件費に係る部分に消費税がかかるということで、どんどんどんどん人件費を払う余力が減ってきてしまうというような税制に比重を持っていきました。
それから、入管法の改正も行われました。これは
法務省の管轄ですが、いわゆる低賃金の労働者を大量に入れることを認めてしまう。これは歯止めもかけていますが、こういうことを認めたことで、やはり賃金の上昇する圧力が減ってしまう。
それから、働き方改革は、従来型の正社員じゃない働き方を認めていくということですので、これも正社員が減っていくような圧力となっていきました。
今挙げたものは、全体的には企業業績を押し上げることにはプラスになります、増税以外は。しかし、我々一人一人、一億二千万人の生活にはマイナスに結果的に働いてしまっている。それが
先ほどの結果に出ているということが問題だと思います。
コーポレートガバナンス改革なんですが、これは菅総理もこの前の演説でも柱に掲げておりました、成長戦略の柱ですね。
表の三を見ていただきたいんですが、九〇年代後半から、金融ビッグバンですとかそれからコーポレートガバナンス改革というのが本格的に行われてきました。これは二十年以上のこの推移を折れ線グラフにしたんですけれ
ども、売上高というのはこの二十年でそんなには上がっていません。一割も上がらないぐらい。それなのに経常利益は三倍になりました。
これは、何で売上げが上がっていないのに経常利益を三倍にできるのというと、頑張って利益を出すためにコストカットをしてきたわけです、各企業が。なので、従業員の給与は減ってしまいました、二十年以上前より。それから設備投資も減ってしまいました。特に二〇〇〇年代前半から、小泉政権ぐらいからコーポレートガバナンス改革を本格化したわけですが、その辺りから急に配当金だけぼんと増えて六・二倍にもなっているというような
状況です。
ここから見ても、やはり賃金が増えない改革をこの二十年間やってきた。しかも、その改革が成長戦略の柱になってきているので、なかなか
国民の家計がよくならないというような
状況になってしまっているわけです。
これはいろいろな分野、省庁にまたがっているので、
是非こういった場で取り上げたいと思いまして、
法務大臣のいる場で取り上げさせていただきました。
これは経済の話なんですけれ
ども、賃金だけじゃなくて、経産省も関わる設備投資、これにもダイレクトに
影響が出ています。例えば、菅総理はデジタル化が最も重要な柱だというふうにおっしゃっていますが、高度情報化社会が来るというのは三十年前から分かっていました。
これも総務省が、情報に対する、デジタルに対する設備投資額をずっと何十年もまとめているんですけれ
ども、この三十年間でアメリカはGAFAも生み出しましたけれ
ども、デジタルへの設備投資額は三倍になっています。ただ、日本は全然増えていない。もう情報革命を過ぎているのに、九〇年と比べてもほぼ変わらないというような
状況で、菅総理はデジタル分野のトップランナーになるとおっしゃっていますが、残念ながら、今の主戦場である5Gに関しても、先進国で最下位なだけではなく、残念ながら近隣諸国、中国や韓国にも遅れを取ってしまっている。なので、トップランナーどころか、世界にさえ追いついていないというのが現状です。
これは、会社法の責任は私は重いと思っています。こういった話を二年前の会社法改正のときに森
大臣に、こういう
状況なのにこの改正の内容でいいんですか、今まで以上に株主に利益が回るような、こういう会社法の改正をしたら、もっと世の中が悪くなってしまいますよということを申し上げました。そうしたら、法の改正の審議のときの森
大臣の
答弁は、会社は株主のものです、ですからそれに沿った改革をさせていただければと思いますというような
答弁でございました。非常に残念だったんですが。
上川大臣、コーポレートガバナンス改革、今後も続けていくと、総理の方針ですけれ
ども、このような株主の力をどんどんどんどん強めていく、そういう路線で会社法を改革していくのか、お聞かせいただければと思います。