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安藤(裕)
分科員 ありがとうございます。
まだ、これからの出生数についてはなかなか予断を持って言えないということでありました。しかし、婚姻数が減って、そしてまた経済的な環境が安定しない中で、少子化というものが、なお一層、残念ながら進行してしまうというのは、恐らく今のところは止めようのない現象なのではないかというふうに思います。
それらを踏まえて、これからの少子化
対策について今日は議論をしていきたいと思います。
皆さんのお手元に
資料をお配りをしておりますが、これは、
内閣府で作っています少子化の白書の図表を抜粋したものです。私は、非常にこの白書はよくできていると思っておりまして、この白書の
データを見ていけば、少子化はこういった問題に手をつけていけば解決するのではないか、そういったヒントを非常に強く与えてくれている
資料ではないかというふうに思っています。
一枚目は今までの出生数の推移を見ておりますし、そして、二枚目は婚姻件数の推移、これもどんどん減ってきております。そして、三枚目が五十歳時の未婚
割合の推移、これもかなり衝撃的な数字になっています。例えば、男性の未婚率、五十歳時の、一度も結婚していない人の
割合は、一九七〇年には一・七%であったものが、二〇一五年には二三・四%、実に四人に一人の男性が五十歳までに一度も結婚をしていないという
状況です。
そして、もう一枚おめくりいただきますと、平均初婚年齢と出生順のお母さんの平均年齢の年次の推移ですが、女性のところに注目してみると、平均の初婚年齢、一九七五年には、女性の初婚年齢が二十四・七歳、そして、第一子を産む年が二十五・七歳ということであります。これが二〇一八年はどうなっているかというと、女性の初婚年齢は二十九・四歳、そして、初めて子供を産む年齢は三十・七歳ということで、やはり、結婚する年齢が遅くなるとともに、初めて子供を産む年齢も当然ながら遅くなるということです。
そして、次の
資料ですが、完結出生児数の推移は、減ってはきているとはいうものの、夫婦の間でお子さんはほぼ二人ぐらいは産んでいるということが見て取れます。二〇一五年でも一・九四人ですから、ほぼ二人のお子さんは一組のカップルから生まれているということが言えます。
そして、先ほど未婚率の推移を見ましたけれども、次の
資料ですが、未婚者のうち、いずれ結婚するつもりと答えた者の
割合は、男性で八五・七%、女性で八九・三%ということですね。今、結婚するべきだみたいに言うと、結婚するという価値観を押しつけるなみたいなことをおっしゃる方も
一定程度いらっしゃるわけですが、しかし、この
資料を見ると、いずれ結婚するつもりであると思っている方は九割前後はいらっしゃるということです。
そして、次の
資料を見ていただきたいと思いますけれども、独身でいる理由。一番多いのは、男性も女性も、適当な相手に巡り合わないということですけれども、あと必要性を感じないということもありますが、やはり、男性の方を見ると、結婚資金が足りないというのもかなり大きな
要因であるということが言えると思います。
そして、次の
資料ですが、若者、若年層の非正規雇用
割合。これもどんどん増えております。全体で見ても、一九九一年には、これは男性の全年齢合計ですけれども、八・五%非正規がいた。裏を返せば約九〇%は正規雇用であったということですけれども、今、非正規の
割合は二二%です。
それから、次の
資料、二十代から三十代の所得分布。特に注目してもらいたいのは、三十歳代の所得です。一九九七年の三十代で最も所得で多い階層は五百万から六百九十九万円台、ここが二四%ほどあるわけですね。一九九七年で最も多いのは五百万から七百万円のところにあったということですが、これが二十年たってどうなったかというと、二〇一七年に最も多い所得階層は、何と三百万から三百九十九万円なんですね。実に三十代は、この
資料を見たら、貧困化してしまったということがよく分かると思います。
私、この
資料をちょっと組み替えてみたんですね。ちょっと組み替えてみて何を見たかというと、年収四百万円以上の人の推移を見てみました。年収四百万円以上の人の推移を見てみると、一九九七年には年収四百万円以上の人が五一・八%いたんですね、三十代で。三十代で五一・八%の人が年収四百万円以上だった。これが二十年たって、二〇一七年はどうなったかというと、年収四百万円以上の人は三七・七%です。だから、確実に三十代は貧困化をしているということがこういった
データからも言えるんだろうというふうに思います。
そして、次の
資料ですけれども、これは男性の従業上の地位とそれから雇用形態別の有配偶率ですが、三十から三十四歳のところを見てみると、明らかに正規雇用の方が有配偶率が高いということが分かります。正規雇用であれば五九%の人が結婚している。非正規の職員や
従業員だと二二%、
パート、アルバイトだと一五%しか結婚していないということですね。
次の
資料も非常に顕著で、男性の年収別有配偶率。年収五百万円以上の人だったら大体八割以上は結婚しているということがこの
資料から見て取れるわけですね。最近は、結婚はぜいたく品になってしまったみたいなことが言われますけれども、まさに、結婚というのはお金を持っている人しか今できないという
状況が、この白書からも明らかになっているんじゃないかというふうに思います。
それから、次の
資料ですけれども、妻の年齢別に見た、理想の子供数を持たない理由ですけれども、まず一番目に出てくるのが、子育てや
教育にお金がかかり過ぎるから。これはまさに所得の問題だと思います。そして、二番目に出てくるのが、高年齢で産むのが嫌だからというところです。やはり、こういった問題を正面から解決していく必要があると思うんですね。
それで、お伺いしたいと思うんですけれども、この少子化問題というのは、待機児童問題ということもさることながら、やはり貧困化とそれから格差問題であるというふうに言えるのではないかと思うんですね。したがって、これをどう
考えるかというのが一番の少子化問題のキーポイントではないかと思うんですけれども、今どのようにお
考えか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
〔北村
主査代理退席、
主査着席〕