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2021-02-26 第204回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年二月二十六日(金曜日)     午前九時開議  出席分科員    主査 藤原  崇君       石川 昭政君    上杉謙太郎君       木村 弥生君    北村 誠吾君       田中 和徳君    根本  匠君       宮崎 政久君    山田 賢司君       大西 健介君    逢坂 誠二君       源馬謙太郎君    重徳 和彦君       津村 啓介君    山井 和則君       山本和嘉子君    藤田 文武君    兼務 安藤  裕君 兼務 鈴木 貴子君     …………………………………    防衛大臣         岸  信夫君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄基地負担軽減担当) 加藤 勝信君    国務大臣    (復興大臣)       平沢 勝栄君    国務大臣    (規制改革担当)     河野 太郎君    国務大臣    (まちひと・しごと創生担当)    (少子化対策担当)    (地方創生担当)     坂本 哲志君    国務大臣    (経済財政政策担当)   西村 康稔君    内閣府副大臣       赤澤 亮正君    内閣府副大臣       藤井比早之君    内閣大臣政務官     吉川  赳君    財務大臣政務官      元榮太一郎君    厚生労働大臣政務官    大隈 和英君    農林水産大臣政務官    池田 道孝君    国土交通大臣政務官    朝日健太郎君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    衆議院事務総長      岡田 憲治君    衆議院庶務部長      小林 英樹君    参議院事務次長      小林 史武君    参議院庶務部長     加賀谷ちひろ君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    近藤 正春君    会計検査院事務総局第一局長            内野 正博君    会計検査院事務総局第二局長            篠原 栄作君    最高裁判所事務総局民事局長            門田 友昌君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  川辺英一郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長)    (内閣地方創生推進事務局審議官)        北浦 修敏君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長)    (内閣地方創生推進事務局審議官)        菅家 秀人君    政府参考人    (内閣官房孤独・孤立対策担当室次長)       北波  孝君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 村手  聡君    政府参考人    (内閣大臣官房政府広報室長)          田中愛智朗君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   柳   孝君    政府参考人    (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       松本 貴久君    政府参考人    (内閣府子ども・子育て本部統括官)        嶋田 裕光君    政府参考人    (宮内庁次長)      池田 憲治君    政府参考人    (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 黒瀬 敏文君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     今川 拓郎君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 安東 義雄君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君    政府参考人    (国税庁徴収部長)    槇原耕太郎君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君    政府参考人    (文部科学省大臣官房文教施設企画防災部技術参事官)           笠原  隆君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           志村 幸久君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           依田  泰君    政府参考人    (農林水産省大臣官房審議官)           道野 英司君    政府参考人    (農林水産省大臣官房参事官)           大島 英彦君    政府参考人    (農林水産省農村振興局農村政策部長)       山口  靖君    政府参考人    (林野庁林政部長)    前島 明成君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           萩原 崇弘君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (国土交通省大臣官房審議官)           池光  崇君    政府参考人    (国土交通省大臣官房技術審議官)         江口 秀二君    政府参考人    (国土交通省道路局次長) 宇野 善昌君    政府参考人    (海上保安庁総務部長)  宮澤 康一君    政府参考人    (防衛省大臣官房審議官) 岩元 達弘君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    参考人    (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君    予算委員会専門員     小池 章子君    衆議院調査局第一特別調査室長           藤田 和光君    衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     名雲 茂之君    衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     阿部 哲也君     ――――――――――――― 分科員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     山田 賢司君   根本  匠君     石川 昭政君   大西 健介君     山井 和則君   逢坂 誠二君     岡島 一正君   藤田 文武君     杉本 和巳君 同日  辞任         補欠選任   石川 昭政君     宮崎 政久君   山田 賢司君     田中 和徳君   岡島 一正君     津村 啓介君   山井 和則君     近藤 和也君   杉本 和巳君     藤田 文武君 同日  辞任         補欠選任   宮崎 政久君     上杉謙太郎君   近藤 和也君     山本和嘉子君   津村 啓介君     源馬謙太郎君   藤田 文武君     青山 雅幸君 同日  辞任         補欠選任   上杉謙太郎君     木村 弥生君   源馬謙太郎君     重徳 和彦君   山本和嘉子君     大西 健介君   青山 雅幸君     美延 映夫君 同日  辞任         補欠選任   木村 弥生君     根本  匠君   重徳 和彦君     逢坂 誠二君   美延 映夫君     足立 康史君 同日  辞任         補欠選任   足立 康史君     藤田 文武君 同日  第七分科員安藤裕君及び鈴木貴子君が本分科兼務となった。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算  (内閣内閣府(内閣府本府)、復興庁及び防衛省所管)      ――――◇―――――
  2. 藤原崇

    藤原主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算及び令和三年度政府関係機関予算内閣所管について審査を進めます。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。
  3. 山田賢司

    山田(賢)分科員 私は、自由民主党の山田賢司でございます。  本日は、質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  また、西村大臣始め役所の皆さん方におかれては、連日コロナ対応に当たりながら国会への質問対応をいただきまして、ありがとうございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  まず、今、やはり何といっても国民の関心はコロナ対策でございます。実は、私の出身であります兵庫県も緊急事態宣言中でございます。これについては、報道なんかを見ておりますと、今日にでも解除されるのではないかということで、本当はこの解除の見通しについて大臣にお聞きしようかと思ったんですが、さすがに、今日の午後にでも発表されるかどうかというところでございますので、これについては今後の決定を見守りたいというふうに思います。  そこで、今行われております、緊急事態宣言下に行われている飲食店に対する営業時短要請、これについての妥当性についてちょっと御質問させていただきたいと思っております。そもそも飲食店感染源なのかという疑問を私は持っております。  お配りさせていただいております資料、なぜ飲食店感染源とされているのかということについては、政府分科会資料資料一を御覧いただきますと、これは東京都の例なんでしょうけれども、感染経路内訳、実はほとんどが、見えない感染感染経路不明というのが最も多く、飲食店というのは非常に少ない割合だというふうに考えています。  この中でも、感染経路が分からない感染の多くは、飲食店による感染によるものと考えられるということになっております。これは、飲食店感染経路だったということが判明しているのではなくて、考えられるという推測でございます。  推測だから駄目ということではないんですが、この推測原因は三つあって、これまでのクラスター分析の結果から、飲酒を伴う会食による感染リスクが極めて高い、クラスター発生の主な原因一つとなっていることが分かっているということと、二つ目には、実際に感染経路が判明している割合の高い地方でも、飲酒を伴うクラスター感染が最近になっても多く報告されている、そして、三つ目として、欧州の例が挙げられております。  その中で、クラスター分析というのは、これは二枚目の資料資料二でございますけれども、これは同じく新型コロナウイルス感染症対策分科会に出された押谷構成員クラスターの解析という資料でございますけれども、これによると、五人以上の患者数が発生したクラスター内訳というのは、一番多いのは医療機関で四五%、続いて、飲食が一九%、教育一五パー職場関連が一二パーといった形になっておる。なので、クラスターが発生しているところの中でも、一九%ぐらいは飲食によるもの。  ところが、その飲食内訳を見てみると、下の方に行きまして、ほとんどが、五〇%以上が接待を伴う飲食店である。そのほか、カラオケであったり、会食であったり、ホームパーティーというのがありますけれども、純粋にそれらを除いた飲食店というのは全体の二五%。  ということは、五人以上の感染者が発生したクラスター、このうち飲食によるものが二〇パーであり、その二〇パーのうち、接待を伴うものだったり、会食だったり、カラオケホームパーティーといった大勢食事をするものを除く純粋な飲食店二五%、約四分の一ですけれども、これらを掛け合わせると、普通の飲食というのは大体五%ぐらいなんじゃないかなというふうに推測がされるわけです。  もちろん、因果関係がきっちりと立証されるまで制限をするなとか、そういうつもりはございません。感染可能性が高いものについては先手を打って対策を講じることは必要だと考えますが、犠牲が大きいのに対して効果が見合っているのかという疑問があります。  また、兵庫県においては、これは三枚目に資料をつけさせていただいております。(5)というところで、感染経路別患者数として、私も驚いたんですけれども、県内の飲食店で十一月一日から二月二十一日までに発生した患者数というのは全体の一・五%、そして、クラスター分析をした中であっても、飲食店の占める割合は〇・九%で、ほとんどこれは冤罪ではないかという気がしておりまして、この点、本当に必要なものであればこれは制限をかけるべきですが、飲食店に対する、多大な犠牲を払っているのに対して効果が見合っているのかということ、この点について、大臣のお考えをお聞かせください。
  4. 西村康稔

    西村国務大臣 お答え申し上げます。  飲食店皆さんが何か悪いわけではなくて、飲食店従業員の方からお客さんにうつったケースも全くないわけじゃありませんけれども、それが多く見受けられるわけではなくて、飲食の場を提供されているわけでありますので、そこでマスクを外した会話が行われることによって感染が、特に無症状の人から十二月、一月にかけて感染が広がった、その起点となったというふうに分析をされております。  御指摘のように、この感染経路不明というのがたくさんあるわけですけれども、見えない感染ですね、一枚目の御指摘ですけれども。ここをずっとたどっていくとどこかで感染しているわけですけれども、それがマスクを外す機会飲食の場が多いのではないかということで、実は、このデータに加えて二枚目のデータでは、接待を伴う飲食店が多いわけですけれども、この飲食関係が、医療施設医療機関福祉施設を除けばやはり数は多いわけですし、十一月から二月にかけて別途のクラスター分析も行っておるんですけれども、全体で千七百八十八件、これは高齢者施設を除いたものですが、そのうちの五百十六件ということで約三分の一、そして、人数でも、一万六千人に対して四千八百人ということで、三分の一弱を占めております。マスクを外す機会が、やはり飲食の場で会話が行われますので、その機会感染が広がったものというふうに分析されています。  現実に、今回、そこに焦点を当てて八時までの時短ということで、飲食店皆さんには本当に厳しい御協力お願いしたわけですけれども、九五%以上の方々が御協力をいただいて、そして国民皆さんにも御理解いただいて、その下で、新規陽性者の数は一月のピークから約八割減ってきておりますので、こうした対策効果を持ったものというふうに理解をしております。  これは、昨年夏の大阪とか名古屋でも八時までの時短を行って感染を減らすことができたということでありますので、そういう意味で、今回、効果を持ったものというふうに理解をしております。  いずれにしても、高齢者施設福祉施設もやはり圧倒的に多いものですから、ここの検査を徹底的にやるということと、そして、飲食皆さん方に御協力をいただいて、そしてさらに、今後のことを考えれば、アクリル板とか換気とか、あるいは会話のときにはマスクを着けることを含めて、更なるそうしたいわゆるガイドラインの徹底も含めて、対策を更に継続をしていかなきゃならないというふうに思っております。  一方で、兵庫県の御指摘がありました。私も選挙区も近いわけでありますが、兵庫県は、確かに飲食店感染が少なかったものですから、時短要請を実は十二月も行っていなかったわけであります。これは私も知事とも何度も意見交換しましたけれども、御指摘のように、地域によって若干差がありますので時短要請はしませんでしたけれども、その兵庫でも、八時までの時短をやはり行うことによって感染をかなり抑えることができておりますので、そういう意味で、飲食店皆さんには大変厳しい状況になられたと思いますけれども、一定効果があったものというふうに考えております。
  5. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  結果的に、兵庫県を含め全国感染が抑えられつつあるということでこれはよかったんですけれども、これは本当に飲食店営業時短要請をした結果なのか。それは、人が出歩くよりは出歩かないにこしたことはないんですが、私が強調したかったのは、犠牲が大きい割に、これがどれだけの効果につながっているのか。こういったことについても、もし、あってはならないことですが、またこれが広がるときに様々な国民に対して御負担お願いするときには、こういったことを細かく分析していただいた対応お願いしたいと思っております。  そういう意味では、昨日、二十五日の分科会でも、今後の緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策ということが出されておりますけれども、そんな中でも、緊急事態宣言解除地域における当面の間の会食の在り方として、今大臣がおっしゃった、会話のときはマスクを着用だとか、あるいは、混雑していない店を選択、それから、これはちょっとどうかと思うんですが、同居家族以外はいつもいる四人までというのは、これはちょっと家庭のことに、五人家族はどうするんだとかいうところもあるとは思うんですけれども、私が言いたかったのは、これは、利用時刻の問題、八時という時短の問題ではないのではないか。  今おっしゃったような、大声で会話をしながら食事をしたり大人数で騒いだり、こういったことが感染拡大につながっているのであって、例えば一人で食事をするとか、そういったものについては制限する必要があるのか。中には、深夜の長距離ドライバーの方が食事をしようとしても、八時までと言われて食事も取れないといったお声も聞いております。  これは利用時刻の問題ではなくて、業態、飲食を提供する形態ですとか、あるいは店舗の感染対策の有無、そして、顧客が一人で食べるのか大勢で食べるのか、そういったものの態様に応じた制限とするべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  6. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、それぞれの飲食店で、お客さんとお客さんの距離を取り、みんながマスクをし、食べるときだけ外す、そして、アクリル板を置いたり、換気を、非常に風通しをよくすることによって、かなり感染リスクは下がるものと思います。  しかしながら、それをガイドラインお願いはしているわけですけれども、一店一店確認をして、そして、そうでないお店だけ時短なり休業要請なりということも当然あり得るわけでありますけれども、感染レベルがある一定レベルに達すると、これはもうそういう正しい行為をしている場合であっても一定制限をかけないと感染が抑えられない状況になるわけであります。  したがって、今回も感染レベルが非常に高い、全国で八千人程度の感染者が出るような日があったわけでありますので、そういう意味で、今回、八時までの時短、これは一律に緊急事態宣言の下ではお願いをしたわけでありますけれども。  御指摘のように、今後更にこの対策を進化させていくという観点からは、そうした対策を、ガイドラインを徹底させていきながら、そうでないお店に休業要請なり時短要請なりをやっていく、こういったことも考えられるわけでありますので、引き続き、今御指摘ありましたように、今回の対策がどのような効果を持ったのか、分析をしっかりしながら、また、これは人工知能なども使い、スーパーコンピューターで引き続きどういった対策が必要なのかということも分析も行いながら、対策は進化をさせていきたいというふうに考えております。
  7. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  まさに緊急事態でございますので、分析が精緻にできるまで対策を取らないと言っているのでは手遅れになってしまうので、取りあえずこういう形でお願いをする、ここまではいいとしても、もうこのコロナ感染が始まってから一年がたってきておりますので、こういった中で得られてきた知見なんかを生かして、是非きめ細やかな対応お願いしたいと思います。  そこで、飲食だけではなくて、実は、一番最初の資料に戻って、感染源の多く、これは飲食店というか、クラスターの多くは、家庭家族内の感染が多い。これは、資料一でも、また兵庫県においても、家庭での感染が四〇%を占めているということですね。  実は、飲食店よりも感染拡大の主要因になっている家庭内感染、この防止が何より大事なのではないかということを考えます。  もちろん、家庭内のことに行政が口を出したり立ち入ったりということはできないんですが、感染拡大防止を呼びかけるという観点からは、国民に対して、家庭内での感染をしないようにどういうことに注意をすべきか、あるいは、こうした方がいいんだよというような御提案があれば、是非お聞かせいただきたいというふうに思います。
  8. 梶尾雅宏

    梶尾政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、家庭内での感染というのは主要な感染経路一つでございまして、先ほど来言及いただいておりますコロナ対策分科会でも、この家庭内感染の懸念というのは示されているところでございます。  家庭内での感染への対策につきましてですけれども、一般社団法人日本環境感染学会が取りまとめました、御家族新型コロナウイルス感染が疑われる場合、家庭内で御注意いただきたいこと、八つのポイントというものがございまして、これは厚労省のホームページでも紹介しているところでございますけれども、そこに、注意すべきことが分かりやすく、例えば、小まめな手洗い、定期的な換気、手で触れる共有部分消毒、汚れた衣服等の洗濯、密閉した上でのごみ廃棄、基本的な行動ではございますけれども、こうした対策例が示されているところでございまして、こうしたことの周知を図ってまいりたいと思っております。
  9. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  もちろん、手洗い消毒、うがい、小まめにやるといったことというのはずっと言われていることだと思うんですね。これはもちろんやっていただきたいんですが、なかなかこの感染拡大原因となっている数字が減ってきていない。やはり家庭内での感染が多いというデータもあります。ということは、それを呼びかけていても効果が逆に上がっていないんじゃないかという気もするんですね。  実は、だから、世の中に対する意識としても、飲食店感染経路だみたいな感じになっているんだけれども、本当の感染拡大の主要因家庭内感染なんだということで、家庭内での感染にもっと気をつけてくださいということを是非広報していただければなというふうに思っております。  続きまして、感染防止に加えて、コロナによって困っている方々への支援というところに着目して御質問させていただきたいと思います。  昨年の夏に、一人当たり十万円という形で特別定額給付金が配られました。これは非常によかったという声もあります。中には、高所得者、困っていない方にまで十万円行くのはいかがなものかというような御批判もあります。  ただ、これもやはり振り返ってみると、緊急時でありますから、これを、この人は困っていてこの人は困っていないだとか、年収三百万まではいいけれども三百一万からは駄目だみたいな形にすると国民の分断を生んでしまう、あるいは、審査に手間をかけると迅速な給付ができないということで一律の給付としたこと、これについては一定合理性があるというふうに私は考えておりますが、この点、政府の方では、昨年夏の一律十万円の特別定額給付金についてどのように評価されているか、お考えをお聞かせください。
  10. 阿部知明

    阿部政府参考人 お答えいたします。  特別定額給付金は、昨年、全国対象地域として緊急事態宣言を行い、生活の維持に必要な場合を除きまして外出を自粛し、人と人との接触を最大限削減する必要があり、幅広い業種への休業要請も行った中で、人々が連帯して、一致団結し、困難を克服しなければならないことを踏まえまして、簡素な仕組みで迅速かつ的確に家計への支援を行うため、一律に一人当たり十万円を給付することとしたものでございます。  実施に当たりましては、その趣旨を踏まえまして、できる限り早く住民の皆様にお届けができるように取り組みました。昨年四月三十日に補正予算が成立した後、五月中にはほぼ全ての団体で給付を開始しまして、六月中旬には予算額の五割強を給付、七月中旬には予算額の九割以上、九月下旬の段階では予算額の九九・四%に当たる約十二・六六兆円を給付しているところでございます。  その経済や国民生活への効果でございます。  特別定額給付金が緊急経済対策の一連の施策の一つであり、それ以外にも様々な施策を講じていることに加えまして、緊急事態宣言解除による経済や国民生活への影響も生じていた中で、特別定額給付金効果のみを抽出することは技術的な困難を伴うものと考えております。  ただ、総務省の家計調査におきまして、令和二年六月分及び七月分のエアコン等の家庭用耐久財やパソコン等の教養娯楽用耐久財への支出が前年同月に比べて伸びておりまして、特別定額給付金による一定効果があった可能性も示唆されると考えているところでございます。
  11. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  そうですね。私もこの点に注目しておりまして、困っている方々に安心をしていただくという意味での定額給付金、そして国民を分断しないということ、そしてさらには、迅速な給付ができて、受付窓口である地方自治体が混雑して感染源にならないという意味では、この一律定額給付金というのは大変意味があったというふうに考えております。  他方で、一部にある批判として、高所得者や収入が減っていない人にまで行ってしまうのではないか、こういったことに対して、これは課税所得にして年末の確定申告とかで戻せばいいではないかというような御提案も多々あるところでございます。  この特別定額給付金を課税所得にしなかったというのはどうしてなのかということについて、財務省からお聞かせいただけますか。
  12. 小野平八郎

    ○小野政府参考人 お答えいたします。  これまで、生活維持あるいは家計への支援のための給付金といったようなものについては非課税とする取扱いをしてきております。今回の特別定額給付金につきましても、引き続き、家計への支援のための給付金という性格を有しているということですので、非課税ということで対応させていただいております。  なお、仮に、課税所得として、例えば確定申告を求めるような場合、通常ですと確定申告をする必要のないような方々が、かなりの数、確定申告をしなければならないという、まさにこういうコロナ状況の下でそういうことが適当か、そういう問題もあろうかというふうに考えております。
  13. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  ただ、聞くところによると、こういった給付金は一時所得になるということでございますので、五十万円までだったら申告不要ということですので、通常の方、まあ、家族六人以上いたら六十万円になってしまうんでしょうけれども、こういった工夫もできるのではないかなと思っております。  この辺は、生活の維持に必要なものということですから、本当に低所得の方というのは逆にここにかかってこないのかなと。確かに、生活を維持するために給付してもらって、いただいたお金を税金で持っていかれるというと、何のためにやっているのか分からないというところもあるんですけれども、この点、一律に配る場合にはもう少し工夫が必要なんだろうなと思いますが、一律に給付をする考えは今のところ政府はないということでございますので、この辺は課題とさせていただきたいと思います。  続いて、法人の方々へ、持続化給付金、法人二百万円、そして個人事業主の方には百万円を支給するという給付金が設けられました。これについても、事業者の方々は大変助かったという評判のいい政策だというふうにお声は聞いております。また、迅速に支給されたという点でも評価は高いと思っておりますが、反面、不正な受給事件も多発しております。オンライン申請としたということで、また感染防止を図ることができたという評価がある一方、ネットでしか申し込めないということで、ネットを使えない経営者が申請に戸惑ったというようなお声もあります。  こういったことを踏まえて、改めて、この持続化給付金の支給方法についてどのように評価するか、中小企業庁からお聞かせください。
  14. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  持続化給付金の評価でございます。  持続化給付金、二月の二十五日までに約四百二十三万件、約五・五兆円をお届けしてまいりました。国会の場でも様々な御指摘をいただいて進めてきたわけでございますけれども、御指摘のとおり、本当に助かったなどの声も数多くいただいておるところでございます。経済産業省としては、事業継続の下支えに一定効果があったというふうに考えております。  他方で、御指摘ありましたように、簡易迅速ということに努めて、その反面、不正が多く出ているということについては非常に残念に思っております。  それから、電子申請についてのお尋ねでございますけれども、こちらも、電子申請、例えば郵送などにしますと、これは何度も書面のやり取りをしますので、どうしても往復に時間がかかるという観点で、迅速支給の観点から、あるいは感染防止という観点から、電子申請ということでやらせていただいておりましたけれども、不慣れな事業者の方々も数多くいらっしゃるということで、こうした事業者の方々に向けて、全国に申請サポート会場というものも設置させていただきました。  加えて、各地を循環するキャラバン隊によるサポートなども途中から実施いたしましたし、商工会、商工会議所によるサポート体制の支援なども、できるだけきめ細やかなサポート体制の確保に努めてきたところでございます。  こうした体制を通じまして、電子申請が不慣れな方を含めて、様々な事業者に申請いただける環境の整備に努めてきたところでございまして、こうした結果、短期間でこれだけの支給額をお届けすることが実現できたのではないかというふうに思ってございます。  ここで得られた知見は、一時支援金でもしっかり活用してまいりたいというふうに思ってございます。
  15. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  今、最後におっしゃっていただいた、今後、また緊急事態宣言の影響を受けている事業者に対する一時金についても期待する声が大変高いんですが、これもやはりインターネットを使わないので申請ができないという経営者があったりする。  それから、これはサポートされるということだと思うんですが、そもそもこの制度を知らないという方もいらっしゃったりで、政府はもちろんいろいろなところで広報されていると思うんですが、我々がSNSなんかを使ってこんな制度ができましたと言うと、ああ、こんな制度を紹介してくれてありがとうございますというような方がいて、なかなかまだ浸透していないところがある。  これはやはり、ホームページに書いていても、インターネットをそもそも使わない経営者とかには届いていないので、なるべく多くの方に、紙媒体であったりテレビであったりという形で知っていただけるように工夫をしていただければというふうに思っております。  持続化給付金に関して、ちょっと追加で御質問させていただきたいんですが、この対象、大変幅広く設けていただいて、事業者だけではなくてNPO法人なども対象に含めていただいた。  ところが、宗教法人、これも別に宗教の応援をしてくれとかいうことではなくて、宗教法人が地域コミュニティーの一つの担い手になっている、一員となっているところがあって、こういうところで対象から外れたというふうに聞いておるんですが、最終的に、この持続化給付金が、宗教法人が対象から外れたという理由をちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  16. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  宗教法人につきましては、これまでも、公的金融、あるいは国の補助制度においても支援の対象とならないということになっていたわけでございます。  今般、持続化給付金におきまして、特に宗教活動以外の収益事業を行う法人につきましては持続化給付金の給付対象とするべき、そのような御意見もございましたけれども、与党でも様々御議論があったと承知しておりますけれども、反対を含めたいろいろな御意見があって、その結果、給付対象に含めるという判断には至りませんでした。  ただ、宗教法人であっても、宿坊ですとか駐車場などの収益事業を資金使途とする限りにおきましては、これまでも日本政策金融公庫国民生活事業の融資対象となってございます。要件を満たす場合には、こういった実質無利子無担保の対応などもできますので、御活用いただきたいというふうに考えてございます。
  17. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  ちょっと残りの時間が少なくなってきたので、ちょっと話を変えまして、今、二月、この時期というのは、毎年、予算委員会分科会のとき質問させていただいているんですが、まず、二月二十二日は何の日かということについて、政府のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  18. 川辺英一郎

    ○川辺政府参考人 お答え申し上げます。  一九〇五年、明治三十八年二月二十二日は、島根県知事が、閣議決定に基づき、竹島を隠岐の島島司の所管とする旨を公示した日でございます。  島根県は、条例で、二月二十二日を竹島の日と制定しているものと承知しております。
  19. 山田賢司

    山田(賢)分科員 島根県は竹島の日というふうに決めているということを承知しているということですが、政府は二月二十二日を竹島の日というふうに考えていないということでしょうか。
  20. 川辺英一郎

    ○川辺政府参考人 お答え申し上げます。  内閣官房領土・主権対策企画調整室で運営している領土・主権展示館、このツイッターがございますが、二月二十一日、二十二日の連日で竹島の日の関連投稿をするなど、竹島問題についても積極的な情報発信を行っているところでございます。
  21. 山田賢司

    山田(賢)分科員 ありがとうございます。  今、先にお答えをいただいたのですが、政府の広報オンラインというツイッターのアカウントで、二月二十二日は猫の日という投稿がされていまして、別に、猫を大事にしようとか猫のことを考えようということを否定するものではないんですが、領土というのは国家の基本に関わること、国土の、領土が奪われているというこの竹島問題を、島根県で一生懸命取り組んでいるこの竹島の日ということに言及せずに、猫の日ですというと、これはやはり何なんだということ、政府はどう考えているんだということになりますので。  今おっしゃったのは、領土・主権館のところは、確かに、見ると、ツイッターで書いているんですが、内閣府の政府広報オンラインのツイッターではなぜ竹島の日に触れていないのか、お聞かせいただけますでしょうか。
  22. 田中愛智朗

    田中政府参考人 お答えいたします。  ツイッターによる広報につきましては、基本的に所管の各省庁において行われるものというふうに考えておるところでございまして、政府広報室におきましては、国民の暮らしに密着した事柄を取り上げまして、各省庁の施策について周知を図っているというようなことを行っております。  御指摘の二月二十二日のツイートにつきましては、防災が生活上の大切な課題であるということを踏まえまして、ペットを気にする余り避難に支障が出ることがないよう、日頃から備えておくべきことを周知するという内容でございました。この日に行ったのは、広く関心を呼ぶために、ちなむ日に合わせて行うという一般的な広報の手法によるものでございます。  政府広報は、一般的に各省庁の要請に基づいて行っているところでございまして、領土・主権対策に関しましても、これまで、担当部局の要請を受けまして、領土・主権展示館のリニューアルに関して広告を実施してきたところであります。この点については今後とも取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
  23. 山田賢司

    山田(賢)分科員 今の話を聞いていると、所管の省庁からの提案がなかったからということであれば、これは戻って、領土・主権対策室の方が、二月二十二日、竹島の日だよと言ってもらわないと書けないということになるんじゃないでしょうか。いかがですか。
  24. 川辺英一郎

    ○川辺政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、我が室のツイッターでは、連日、関連投稿をするなどさせていただきました。  竹島問題についての情報発信に関する関係機関との連携につきましては、御指摘を真摯に受け止めつつ、今後ともよく検討してまいりたいと思います。
  25. 山田賢司

    山田(賢)分科員 時間が来たので終わりますが、これは、やはりそういう意識を政府全体で持っていただきたいと思うんですね。  例えば、今日は拉致対策本部を呼んでいないんですが、拉致問題についても政府広報オンラインのツイッターには載っていないんですね。これは、政府の拉致対策本部のアカウントでは書いているけれども、政府広報オンラインというところでは、ない。これは、所管省庁から上がってこないからやらないということではなくて、それぞれの所管省庁も意識を持って、政府の広報オンラインで上げていただきたいなというふうに思っております。  二月十九日から、拉致被害者である横田めぐみさんを扱った映画「めぐみへの誓い」というのが上映開始されています。拉致問題についても、是非、政府拉致対策本部と連携して、こういったことについても広報をしていっていただくように努めていただきたいと思います。  時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。本日は、ありがとうございました。
  26. 藤原崇

    藤原主査 これにて山田賢司君の質疑は終了いたしました。  次に、石川昭政君。
  27. 石川昭政

    石川(昭)分科員 自由民主党の石川昭政でございます。  政府参考人の皆様、準備中だと思いますので、一言、西村大臣に、御挨拶、お礼申し上げます。  西村大臣は、副長官当時から、コロナ対策、とりわけ経済対策に対して、我々は若手の議員連盟をつくりまして様々な要望を提出して御相談に参りました。本来であれば門前払いされても仕方ないような内容も含まれていたわけですけれども、一つ一つ西村大臣に我々の意見、要望を聞き取っていただきまして丁寧に対応していただきましたことを、この場をおかりして、まずもって御礼申し上げます。  その上で、西村大臣コロナ担当になられまして、私も自分のSNSのタイムラインを見ていますと、ほぼ毎日、西村大臣の発信を目にする機会がございます。それだけ、西村大臣国民に対しまして分かりやすく情報発信したいということを常に念頭に置いているんだなということを、私、拝見していてそう強く感じているところでございます。今後とも、是非、その姿勢を貫いていただきまして、国民が安心できるようなコロナ対策を講じていただきたいと思っております。  今回、質問機会をいただきまして、前半はコロナ経済対策を中心に、そして後半はワクチンについてお尋ねしたいと思っております。  昨年から続いておりますコロナ拡大によりまして経済は急停止をいたしました。その結果、日本経済は危機的状況が続いたわけでございます。そんな中で、我々は、先ほど申し上げた若手の議員連盟をつくりまして、百兆円の規模の真水の経済対策が必要だろうということを強く打ち出しまして、様々大臣の下へも働きかけてまいりました。  その結果、一次補正は二十五兆円、二次補正は三十二兆円、そして、今年成立いたしましたが三次補正は十五兆円、合計七十二兆円程度でございます。それで、昨年、令和二年の本予算の支出三十二兆円を含めますと、大体真水は百四兆円確保できたかなという結果になりました。その結果、様々な、本当にきめ細かな補助金制度をつくっていただきまして、対応いただいたと思っております。  その結果、先日、GDP、内閣府から速報値が発表されました。昨年十―十二月期は、そのおかげもあってプラス三%を確保できた。じゃ、令和二年度、暦年の実質のGDPはどうだったかというと、やはり、前年比でいうとマイナス四・八%に沈んでしまった。もしこの一次、二次の経済対策がなかったらもっとひどいことになっていたんだなと思うと、本当に背筋が凍るような思いをしております。しかし、今年に入りまして、一―三月期、緊急事態宣言再宣言の影響もあって、深刻なマイナスを覚悟しなければならないというふうには思っております。  西村大臣に、これまでの累次の補正予算、こういった国の経済対策コロナ対策にどういう影響、とりわけ経済対策でございますが、効果分析をされているか、西村大臣に御見解をまずもってお伺いいたします。
  28. 西村康稔

    西村国務大臣 石川委員始め自民党若手の皆さん方、日々様々な経済政策、研究をされて、何度も御提言をいただいて、そして今お話ございましたように、財政支出が今こそ必要だ、大規模な支出が必要だという御提言、私どもも、まさにそれに沿った形で、これまで、民需の落ち込み、経済を意図的に止めたわけでもありますので、そのことを実行してきたわけであります。  財投なども含めますと財政支出百五十二兆円、そして事業規模二百九十三兆円の対策を講じてきております。  その各種政策の効果もあって、御指摘のように、GDPの回復、これは他の先進国と比べても日本は非常に回復力の早い、大きい、そうした数値になっておりますし、経済の悪化が小幅にとどまっているということも言えると思います。  さらに、事業を支えるべく、五・五兆円の持続化給付金、先ほどもお話ございました、こういった効果もあって、それから無利子無担保の融資、これで、倒産件数は、過去四年間の平均を取りますと月大体七百件程度の倒産があったわけですけれども、二〇二〇年は六百四十八件と、昨年は過去四年間の平均よりも少なくなっております。  また、直近の一月も四百七十四件ということで、年末年始に資金繰り、私ども心配したわけでありますけれども、ここも対策をしっかり講じて、倒産も少なく抑えることができております。  そして、失業率も、雇用調整助成金二・九兆円を出しておりまして、これの効果もあり、失業率二・九%と、急激な上昇を食い止めることができております。これも先進国の中では低い水準に抑えられてきております。  まさに、様々な御指摘をいただいた、御提言をいただいた内容に沿って対策を講じてきた効果として、こうしたことが挙げられると思います。  その上で、今なお厳しい状況にある方もおられますので、協力金であるとか、あるいは雇用調整助成金、総合支援資金などを講じて、厳しい方への重点的、効果的な支援策を講じてきているところであります。  さらに、予備費も二・七兆円ございますので、機動的に必要な対策を引き続き講じていきたいというふうに考えております。
  29. 石川昭政

    石川(昭)分科員 ありがとうございます。  国が予算を計上しまして、それからシステムを組んで、そして国民の皆様の手元に届くのは、やはり数か月の期間がどうしてもかかってしまいます。  そういったことで、第二次補正予算では十兆円の予備費を積むべしということで、政府において用意をいただきまして、これは機動的に様々使っていただいたと思っております。予備費の残額もまだございますので、しっかり執行し切っていただくということがこれから必要になるかと思っておりますので、是非、大臣におかれましても、よろしくお願い申し上げます。  そこで、昨年の緊急事態宣言を受けまして、飲食店などを中心に、運転資金は無担保無保証の緊急融資を受けた方が非常に多かったわけでございます。  それで、今回もこの緊急事態宣言再宣言によって瀕死の状況に陥っております。このいわゆるゼロゼロ融資で廃業が一定程度抑えられていると先ほど西村大臣からお話ございましたけれども、その融資が、早ければ五月頃から返済がスタートするという状況になっております。その頃にもう客足が戻っていればいいんですけれども、なかなかそれまでに客足が戻るという見通しが立っていない中で、今、倒産は減っておりますけれども、自主的に廃業したり、あるいは休業しているという方が実に四・九万件あるというふうに言われております。この方たちがそのままもし廃業に至ってしまえば、そもそもコロナ前のGDPには戻らないわけですね、国全体としては。  こうした方々の事業再開、あるいはこの機に事業譲渡をしようという方に対して政府はどのように取り組んでいくのか、お取組をお伺いしたいと思います。
  30. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして中小企業の廃業ですとか倒産が増加いたしますと地域経済に多大な影響が生じると思っておりまして、今御指摘ありましたように、事業の転換でございますとかあるいは事業承継、さらには事業再生といったことに関する支援は重要であるというふうに認識してございます。  既に御指摘ありましたように、実質無利子無担保かつ最大五年間の元本の返済据置きの融資による資金繰り支援をやっておりますし、ものづくり・商業・サービス補助金、IT導入補助金など様々な支援も講じているところでございますけれども、加えまして、先般成立した第三次補正予算におきまして、まず、事業転換につきましては、新分野展開や業態転換を後押しする事業再構築補助金、あるいはその設備投資の際の適用利率を引き下げる公庫の特例制度などを措置しております。  また、事業の再生でございますけれども、こちらについては、再生協の体制を平時の約三百人から四百人に拡充するというほかに、中小企業再生ファンドの拡充にも取り組んでおります。  それから、事業承継の関係でございますけれども、事業引継ぎ支援センター、それから事業承継ネットワークを統合いたしましてワンストップの窓口にしていくということ、それから、補助金を活用いたしまして、事業承継、引継ぎ後の設備投資、販路開拓の取組、あるいは専門家の活用費用の支援なども行っております。  それから、税でございますけれども、近年、拡充を重ねて事業承継税制を拡充しておりますけれども、そのほかに、現在国会に提出させていただいております税制改正関連法案におきまして、経営資源の集約化に関する税制措置の創設も盛り込んでいるところでございます。  引き続き、必要な支援に取り組んでまいりたいと考えております。
  31. 石川昭政

    石川(昭)分科員 ありがとうございます。  根本匠先生は自民党の中小企業調査会長でございまして、こういった事業承継、とりわけ後継者のいない事業者をどう救っていくか、どうスムーズに第三者に移していくかということも、党の方でも議論を続けてまいりました。様々支援制度がございますが、やはり、切れ目なくやっていくこと、そしてこういう事業があるんだということを我々国会議員が地元の皆さんによく伝えなきゃならない。これは我々の責務だと思っております。  そんなことで、このままだとこの年度末の資金繰りに困って倒産や廃業を選択する方も出てしまうんじゃないかという懸念もあるわけですけれども、それについて、金融機関の返済を猶予する、もう少し、この緊急事態宣言が明ければ、また資金繰り、回ってくるから、ちょっと待ってくれないかという方も大勢おられます。また、税金の納入、納税ですね、これもちょっと待ってくれという方も大勢いらっしゃいます。これに対してどういう柔軟な対応をするのか、お聞かせいただきたいと思います。
  32. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 融資についてお答えいたします。  実質無利子無担保かつ最大五年間の元本据置きの融資を実施してございますけれども、コロナの影響が長期化していることを踏まえまして、梶山大臣それから麻生金融担当大臣の連名で、政府系、民間金融機関等に対しまして、累次にわたりまして、据置期間などが到来する既往債務の条件変更、いわゆるリスケについて最大限柔軟に対応していただきたい、それから、追加融資も含めた新規融資の積極的な実施、活用について最大限の配慮をしていただきたいということを、直近でも、一月十七日に大臣から、一月八日と二月五日には中小企業庁の長官と関係各省の局長名で要請しているところでございます。  引き続き、関係省庁とも連携して、中小・小規模事業者の資金繰りに万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
  33. 槇原耕太郎

    ○槇原政府参考人 お答え申し上げます。  特例猶予の申請期限が過ぎた後においても、新型コロナの影響により国税の納付が困難な場合には、既存の猶予制度を適用することも可能であります。  新型コロナの影響を受けている事業者に対して既存の猶予制度を適用するに当たっては、納税者個々の実情を十分に伺いながら、事業継続に必要な運転資金の確保に配意するなどの取組を行っているところであります。  国税庁としては、業界団体や関係民間団体を通じた周知を始め、あらゆるチャネルを通じて既存の猶予制度の積極的な周知、広報を図っていくこととしております。  引き続き、納税者の置かれた状況や心情に十分配慮し、積極的な周知、広報と迅速かつ柔軟な対応に努めてまいりたいと考えております。
  34. 石川昭政

    石川(昭)分科員 是非、そういった方の側に立った、寄り添った対応お願いいたします。  最近、報道を見ておりますと、大企業でも大変苦しんでいる状況の中で、資本金を減資をいたしまして、中小企業の範疇に入ろうとする事業者も出てきているわけでございます。第二次補正予算の中で、永久劣後債を使って資本にお金を投入するというスキームを作ったんですけれども、十分に使われていないのかなというふうにも受け止めているわけでございます。  そもそも、菅内閣の方針として、中小企業を育てて卒業させる、そういう後押しをする中小企業成長促進法を作ってやっていこうという中で、大企業がむしろサイズダウンしようとしている動きも出てきているわけでございますが、これについて、中小企業庁あるいは経済産業省として、どう考えて、どう取り組んでいくのか、お考えをお伺いします。
  35. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から生産性の向上についての御指摘がございまして、これは非常に重要な課題だというふうに思ってございます。  御承知のとおり、ものづくり補助金でございますとか、先ほど申し上げました事業再構築補助金など、様々な補助金あるいは税で事業者の積極的な取組を支援しております。また、成長促進法に加えまして、本通常国会におきましては産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を提出させていただいておりまして、規模拡大による成長を促進するための措置なども盛り込んでいるところでございます。  こうした中で、今御指摘ありましたけれども、個別企業についての言及は差し控えさせていただきますけれども、最近、大企業が減資をしている事例が複数あるということは認識してございます。減資の結果資本金一億円以下となる企業につきましては、例えば法人税の軽減税率などの中小企業税制の措置が適用されることになります。  ただし、もちろん、赤字法人につきましては、法人税は課されないわけでございますし、この軽減税率の適用もございません。また、直近三年分の各課税所得の年平均額が十五億円を超えるという場合も、軽減税率を始めとする中小企業税制の適用対象外でございます。  企業が減資を行う事情や目的は様々だというふうに承知をしておりますけれども、中小企業税制の適用状況も含めて、引き続き状況を注視してまいりたいというふうに考えております。
  36. 石川昭政

    石川(昭)分科員 そうですね。やはりこれは、様々事業形態は異なると思いますし、経営の考え方はあると思いますので、それに寄り添った形で是非対応をいただきたいと思います。  そんな中、事業再生が行き詰まって、これはどうしようもないといったときに、債務調整に入っていく事業者も出てくるわけです。そんな中、制度融資、とりわけ信用保証協会の融資を受けている方に関しては、求償権を放棄するため、都道府県が持っている、求償権を首長が同意するという手続が必要である、そのための条例の整備がまだ整っていないところが幾つかございます。  これに対して、整備を促すような取組をお願いしたいと思いますので、是非方針をお伺いしたいと思います。
  37. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、事業再生の局面におきまして、スポンサーの企業ですとか金融機関、保証協会などの様々な債権者が債権カットを含む再生計画に迅速に合意するということは非常に重要でございまして、その際に、保証協会が保有する債権の中に地方自治体から損失補償を受けているものが含まれる場合には、保証協会がその債権を放棄するには地方議会の議決が必要になるわけでございます。  この議決を必要とする場合に、手続に時間がかかり迅速な再生の妨げになるという問題がございますので、二十五の都道府県では、地方議会の議決がなくても首長の権限で債権の放棄を認めることができるという条例が整備されているところでございます。  こうした求償権放棄条例の整備を促すために、これまでも累次にわたって地方自治体に対する要請を行っております。直近では、昨年の十二月に、条例未整備の自治体に対しまして、内閣府、金融庁、総務省、中小企業庁の連名の要請文を出してございます。
  38. 石川昭政

    石川(昭)分科員 ありがとうございました。  次に、金融機関の貸し渋り、貸し剥がし対策についてお伺いします。  自民党でも様々な団体からヒアリングを行っておりますが、そんな中に、大手メガバンクから一括の返済を求められている、そういう悲痛な声を聞いております。こういうことが現場では起こっているということを、まず、金融庁は把握されていますかね。それに対する対応をお伺いします。
  39. 石田晋也

    ○石田政府参考人 お答え申し上げます。  金融庁におきましては、事業者の資金繰りが大変厳しい状況であることを踏まえまして、民間金融機関に対しまして、事業者の資金繰り支援に万全を期すよう、これまで再三、繰り返し要請をしてきたところでございます。  また、当庁におきまして新型コロナウイルスに関する相談ダイヤルというものも設けておりまして、そこに貸し渋り、貸し剥がしに関する相談が寄せられた場合には、相談者の同意の下、速やかに金融機関にヒアリングをするということで実態把握に努めるとともに、適切に対応するよう金融機関に求めてきているところでございます。  さらに、今般のコロナ禍におきましても、既往債務について返済猶予等の条件変更に迅速かつ柔軟に対応すること、新規融資について事業者ニーズに迅速かつ適切に対応することなどを大臣名で要請していることに加えまして、銀行法第二十四条に基づく、金融機関による条件変更等の取組状況の報告を求め、その状況を公表してきております。かつての金融円滑化法と同様の対応を実施してきているところでございます。  こうした要請等によりまして、中小企業者に対する返済猶予等の条件変更の実行率は九九・一%、当時の金融円滑化法に基づく実行率は九七・一%となっておりまして、総じて見ますと事業者の資金繰り支援に積極的に取り組んでいるものと認識しているところでございますが、委員から御指摘のような事例ということも私どもでも承知してございますので、改めて、事業者の資金繰り支援がしっかり適切になされますよう、私どもとしても金融機関の取組をしっかりフォローしてまいりたいというふうに考えてございます。
  40. 石川昭政

    石川(昭)分科員 是非よろしくお願いいたします。  次に、一時支援金についてお伺いします。  茨城県でも、この二十三日には独自の緊急事態宣言解除を行ったわけでございます。それでもやはり、多くの事業者が経営的に危機に陥って、救いの声が大勢上がっているわけでございます。  そこで、一時支援金制度でございますが、首都圏からのお客様、人流の減少を証明するのはなかなか難しいという声が多数上がってございます。エビデンスがあればこの対象になるとは思いますけれども、こういった方々をどう救っていくのか、できるだけ幅広く救済していただきたいと思いますが、今、どのように要綱など、要件などを作っているか、その点についてお伺いします。
  41. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答えいたします。  一時支援金でございますけれども、今委員御指摘のとおり、緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業や不要不急の外出、移動の自粛による影響を受けた事業者が対象になり得るところでございます。  したがいまして、緊急事態宣言対象地域以外の地域で事業活動を行う事業者、それから幅広い業種で、人流減少の影響を受けた事業者、こういった方々も支給要件に合致する限り支給の対象になります。  今、要件のお話がございましたけれども、緊急事態宣言に伴う影響を受けたことや売上げ減少を示す書類につきまして、直接のお客さんとの取引の証明をする書類があればそれでいいわけでございますけれども、なかなかそういった方々ばかりではございませんので、今、例えばV―RESAS等の、自社の所在地域への来訪者の居住地域に関する統計データ、これはほかにも地方公共団体や観光協会、民間事業者などのものがいろいろあると思いますけれども、こういった統計データなどによることも認める方向で検討しているところでございます。  いずれにせよ、広報をしっかり行っていくことが重要だというふうに考えておりまして、近日中により詳細な申請要領あるいはQアンドAを作成、公表して、準備してきてまいりたいというふうに思ってございます。
  42. 石川昭政

    石川(昭)分科員 是非幅広い方に救済の手を差し伸べていただきますようにお願い申し上げます。  ここで大臣にお伺いいたしますが、GoToキャンペーンもいずれまた再開するかと思います。しかし、これは観光、サービス業が中心でございまして、幅広く消費刺激策というわけにはいかないんじゃないかと思っております。  国全体のGDPを引き上げるためには、やはり七割を占める消費、とりわけ家計の最終支出、ここをどう刺激していくかということが私は大事だと思っていますが、今のところ政府は、減税もしない、あるいは追加で給付金も出さないというお考えのようでございますが、では、どういった策を今政府考えているのか、西村大臣にお伺いいたします。
  43. 西村康稔

    西村国務大臣 お答え申し上げます。  個人消費の動向、十一月まで、これはGoToキャンペーンなどもあって財・サービス共に持ち直しの動きが続いておりましたけれども、十二月以降、感染拡大、そして緊急事態宣言の下で、今厳しい状況になっているというふうに思います。持ち直しの動きに少し停滞感が見られるということだと思います。  他方で、貯蓄を見ますと、昨年、二〇年は、一九年と比べて、これは先ほどの一人十万円の特別定額給付金のお話もございましたが、それの効果もあって、前年に比べて四十八万円程度、二人以上の勤労者世帯で増加をしております。そうしたことを背景として、厳しい状況にある方々への総合支援資金とか住居確保給付金とか、こういった支援を行っているところであります。  そして、感染が落ち着けば御指摘のGoToキャンペーンも行っていくわけでありますけれども、ただ、これも、変異株の動向とか、感染拡大につながらないように、感染防止策の徹底も含めて考えていかなきゃいけないと思っております。  その上で、例えば、地方創生臨時交付金で一兆円配分をいたしましたので、それぞれの都道府県で、GoToキャンペーンが始まるまでの間、感染が落ち着いたところであれば、県内のそうした旅行のクーポンを配るとか、あるいは、何か支援策を講じていくということもあり得ると思いますし、政府としては、さらに、マイナポイントの消費活性化策、これも、予算、今、二千七百五十億円、五千万人の想定をしておるんですけれども、現時点で、交付されているのは七百億円程度でして、まだ二千億円以上残っております。  さらには、省エネの住宅の取得に対する、いわゆるグリーン住宅ポイント、これも三次補正で一千億円確保しておりまして、東京圏から地方圏に移住する場合、茨城に行くような場合も、最大百万円ポイント付与することになっておりまして、これも四月から申請受付開始予定であります。  こうしたことを活用しながら、一定の景気回復、消費刺激も行っていきたいと考えておりますが、大事なことは、もう一つ、賃上げの流れも継続することも大事だと思っておりまして、経団連にも直接の働きかけを行ってきているところでありまして、総理からも、諮問会議などの場で経団連会長にも申し上げているところであります。賃上げの流れの継続も大事であります。  さらには、この四月から同一労働同一賃金が中小企業に適用されまして、実は、昨年の年末のボーナスは少なかったんですけれども、パート、アルバイトの方に前年比プラス一九・五%、つまり、同一労働同一賃金の下でこうしたボーナスを初めてもらうような方、処遇改善も進んできておりますので、こういったことも含めて、所得増、賃上げ、こうした環境をしっかりつくっていければというふうに考えているところであります。
  44. 石川昭政

    石川(昭)分科員 ありがとうございます。  党の方からも援護射撃していきたい、協力していきたいと思っておりますので、是非よろしくお願い申し上げます。  それでは、次に、ワクチンについてお伺いいたします。  ワクチン接種、ある自治体では接種した方に割引券を配るなど創意工夫しながら、できるだけ多く、早くワクチン接種をしてもらおうということで工夫をしているところもございます。特に、若い人たちにどうワクチン接種していただくかということ、これは政府としても取り組んでいかなきゃならないというふうに思っております。是非、その取組について、まず一点お伺いします。  次に、高齢者施設は優先接種の対象となっておりますけれども、一方で、在宅でケアを受けている方、あるいはデイサービスの介護従事者の方も、できるだけ感染拡大させないという意味では早期に対応すべきだと考えております。また、歯科技工士さんという、歯医者さんの中で、差し歯とか入れ歯を作る、そういう技工士さんがいるんですけれども、こういった方々もワクチン接種の早期の対象にしていただきたいという声も聞いております。これについて政府のお考えをお伺いしたいと思います。
  45. 内山博之

    ○内山政府参考人 お答え申し上げます。  ワクチン接種につきましては、国民の皆様が自らの判断で接種いただけるよう、政府において安全性と有効性をしっかり確認し、副反応や効果を含め、科学的知見に基づいた、ワクチンに関する正しい情報を丁寧にお伝えすることが重要であると考えております。  商品券の配付による接種勧奨を検討している自治体があることは報道で承知をしておりますけれども、政府といたしましては、様々な媒体を通じて若年層を含む国民の皆様に正確な情報を提供し、国民の皆様が自らの判断で接種いただけるように取り組んでまいりたいと考えております。
  46. 大坪寛子

    ○大坪政府参考人 お答えいたします。  今お尋ねをいただきました接種の順位についてでございます。  先生御案内のとおり、接種順位につきましては、まずは医療提供体制の確保、それから御本人の重症化リスク、こういったことを踏まえまして、医療従事者の方、次に高齢者、その次に基礎疾患を有する者、あとは高齢者の施設で従事をされている方、こういった形で接種をするのがよいのではないかということで、政府分科会の議論を経て決定したところでございます。  今二つ御質問をいただきました最初の高齢者施設の従事者の範囲でございますが、これは、仮に施設で利用者がコロナ感染症患者として発生した後にも、その濃厚接触者となりました残った入所者の方に対してサービスを継続しなくてはならない、こういったこと、それからまた、施設でのそもそものクラスターを抑止する、こういった観点から、まず、入所施設、居住施設での利用者、ここに直接接する方を対象とするという方針が定まっているところでございます。  ただ、御指摘の、訪問の介護者ですとかデイサービスの従事者につきましては、仮に従事者の方が感染症患者となった場合、それはケアマネジャーとか自治体とかが連携の上で、介護サービスの在り方というものを、必要性を検討した上で、代替サービスなど様々な選択肢があろうかというふうに考えておりまして、施設系のサービスとはその性質が一定程度異なるというふうに考えております。  しかしながら、先生が御指摘のように様々事情がございます中で、ワクチンの供給量も当初は限られている中で、在宅系のサービスの従事者といって一律に優先接種の対象とすることは難しいのではないかと考えておりますが、引き続き現場の御意見、御事情などもよく把握してまいりたいと思っております。  二点目の歯科の技工士様の話ですけれども、医療従事者等ということにつきましては、特定の資格で限定しているものではございませんで、ここは新型コロナウイルス感染症患者に頻繁に接する方であれば対象となるということにしておりまして、勤務する施設や業務の実態に照らして柔軟に御判断いただきたいと思っております。
  47. 石川昭政

    石川(昭)分科員 ありがとうございました。  以上で私の質問を終わります。
  48. 藤原崇

    藤原主査 これにて石川昭政君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田文武君。
  49. 藤田文武

    藤田分科員 日本維新の会の藤田文武でございます。  今日は、第一分科会でお時間をいただきまして、ありがとうございます。  西村大臣にいろいろ見解を問いたいのと、あと、今日は財務省から元榮政務官に来ていただきましてありがとうございます。よろしくお願いをいたします。  今日は、西村大臣が、経済再生担当そして全世代型社会保障改革の担当大臣ということで、経済面とそれから社会保障面、両方を管轄されるという多分唯一の大臣でおられますから、その辺り、両面非常に関係するところでありますので、横断的に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  まず、先日、二月十七日、私、予算委員会に立たせていただいたときに、西村大臣から賃金についての問いに対して答弁をいただきました。  その中で、私どもの問題意識の中で、賃金水準や可処分所得がなかなか上がらない、どちらかというと、可処分所得は下がって、生活実感が下がっているんじゃないかという問いに対して、このような趣旨で答えられました。  近年、デフレが続いている、物価が上がらない、企業がなかなか売上げが上げにくくなっていて、非正規を増やしたり人件費を抑えたりする、労働分配率がやはり下がってしまって、そういうことで、そういう企業努力で利益を捻出しているというような、ある種のロジックを御説明いただきました。  これは、現象の説明としては間違ってはいないと思うんです。ただ、これは、ちょっと言い方が雑かもしれないんですが、もうちょっと企業は頑張って人件費を増やしてよというメッセージの裏返しかなとも思うし、それはどうなのかなと改めて考えたときに、元榮政務官も実業家出身であられると思うのでよく分かると思いますが、やはり、市況が厳しいときに、企業がこういう非正規を使って労働調整をしたり、また人件費をできるだけ抑えたり、パフォーマンスのいい人はもちろん雇いたいけれども、できるだけ固定費を下げたいというのは、合理的な行動だと思うんですね。なので、これはちょっとインセンティブ設計を考えないといけないんじゃないかという問題意識があります。  その上で、先日お話しいただいた、デフレからつながる、企業が利益を捻出するために労働分配率を下げているというロジックは、可処分所得や賃金水準が下がっていることの理由のある種の説明や対策も見せた説明として、これは正しい認識なのかなという疑問があるんですけれども、改めて御見解を聞きたいと思います。
  50. 西村康稔

    西村国務大臣 藤田委員そして維新の会、様々な、マクロ経済についても御提案をいただいておりまして、改めて建設的な御提案に感謝を申し上げたいと思います。  その上で、賃金が伸びていないことの説明、そして可処分所得をやはり上げていくんだ、これは、もう全く気持ちは同じでありまして、何とか、私の立場からいえば、賃上げをしながら、企業行動、人への投資も増やしていただきながら、そして全体として、利益も上げていく、経済成長していくということが望ましいと思っております。  御指摘のように、デフレの下で売上げがどうしても伸びないわけですので、人件費を抑えていこうという中で、非正規の方を増やしたりあるいはその賃金体系を変えたりする中で、世帯主を中心とした収入が伸び悩む。それから、全体として高齢化が進んでおりますので、年功賃金制度の下で、年功型の下で、高齢で所得の高い方、その方々が退職をして、相対的に所得の低い、賃金の低い若い人たちが増えてくるということもあって、全体として賃金水準は落ちてきているという現象面の説明もあり得るかと思います。  その上で、やはり国際的に見ても、この賃金の水準そしてこの賃上げの動向を見ても日本は低い水準にありますので、賃上げを継続していかなきゃいけないということで、私どもも、政権交代以降、七年連続で非常に高い水準の賃上げを実現してきております。  そして、国民全体の総所得を見ていかなきゃいけない。パート、アルバイトの方が増えると、奥さんが働きに出始める、あるいは高齢者も、辞めていた方がまた働きに出始めると、所得がそんなに高くないものですから、平均を取ると下がってしまいますが、総所得で見ますと、二〇一五年以降は名目、実質共に増加を続けております。こうした政策を続けていくことも大事だと思っております。  今申し上げたとおり、パート、アルバイトの方も含めて時給換算をすると、二〇一六年以降、一人当たりの一時間当たりの時給換算の賃金は上がってきておりますので、こうした傾向を、是非、流れを継続していかなきゃいけないというふうに考えているところであります。  そして、もう一点だけ。同一労働同一賃金も去年の四月から大企業で導入されまして、パート、アルバイトの方も、ボーナス、金額としてはそんなに大きくはないですが、初めてもらったという方もおられますし、こうした意味で、非正規の方の処遇改善もしながら、全体として、賃上げを継続し、まさに可処分所得が増えるような、そうした方向に持っていければというふうに考えているところであります。
  51. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  このデータの取り方は多分いろいろあると思うんです。今、西村大臣がおっしゃられたある種のこの見方というのも、それは一面で事実だと思います。でも、全体的な国民の生活実感を上げていくために賃金水準を全体的に向上させていくというときに、僕は、今日二つの視点から議論したいなと思っていて、一つは企業へのインセンティブ設計、もう一つは税で議論したいなと思うんです。  企業は、何も従業員の給料を高くしたくないというわけではなくて、できれば高くしたいはずなんです。でも、これは合理的な活動としてそういうふうになってしまっているというのがあると思います。これは恐らく、企業は、あらゆる規制とか負担というものが重くなってくればなるほど、やはり雇用というものを、これは今の状況ですと、一旦正社員で雇うと、ほとんど解雇なんてできませんから、潰れる直前じゃないと事実上できませんから、だから、すごい長期的なコストとしてやはり見てしまう。銀行からもそういう評価をされます。  例えば、今から挙げるものは、私は、全部否定しているわけじゃなくて、個別にはいいことだと思いますが、解雇規制が厳しいこと、最低賃金が徐々に上がっていくこと、社会保険料は年々上がる、年金のパート適用拡大がありました、これも、企業は負担が増えます。定年延長しましょう、これも長期的なコストが上がります。それから、同一労働同一賃金、これはもちろん非正規の方にはいいことですけれども、企業側は負担が増える。  つまり、私は何が言いたいかというと、日本の社会保障というのは、企業にできるだけ負担してもらう、企業が社会保障を負担できる雇用を増やしてもらうということをやろうという制度設計がメインであって、それからこぼれ落ちた人をユニバーサルに国が救っていこう、こういう制度設計のたてつけというか全体像だと私は認識しています。それも一つ考え方。  でも、なかなか経済全体が上向かない、こういう市況の中で、私が考えるに、企業からその負担を少し引き取ってあげて、企業に頼り過ぎない、労働者の生活の安心、安全を国がユニバーサルにある程度保障してあげるというふうな仕組みを構築すべきじゃないかというふうに思うわけです。だから、経済と社会保障は一体的な話というふうに私たちは考えるわけであります。  我々、いろいろ大臣にも委員会でも聞いていただいて、新所得倍増計画という意味で、給付つき税額控除とか、それからそれの進化版のベーシックインカムとかを提案していっているわけですけれども、そういう、企業中心から、企業からちょっとその負担を引き取ってあげて、そして国がユニバーサルに生活保障をしていく。そうして、企業がどんどんもっと前向きに活動できるというか、企業の力を最大化させるような政策転換をしたらどうかというふうに私たちは考えるわけでありますが、その点、御見解があれば教えていただけたらと思います。
  52. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、企業も利益を上げないと、当然、賃金も払えないわけですし、様々な負担もできないわけでありますので、やはり利益を上げていく体質、そして成長していくこと、こうしたことを国としても支援していければと思っております。  そういう意味で、生産性を上げるための、これまでも特に中小企業に対しては様々な支援策も講じているところでありますし、今般、補正予算の中でも、事業再構築で中小企業に対して最大一億円の支援をやろうということで、これまでのやり方を更に進化させていく、いわゆるデジタルトランスフォーメーションのようなことを行っていくことを含めて、あるいは、より利益の上がる部分を強化していく、こういった支援策を講じているところであります。  その上で、御指摘のように、税で一定負担をして国がいろいろな支援を行っていくのか、それとも、保険という形で一定負担を行っていただいて、そして社会保障をそれで見ていくのか、この組合せの議論があると思います。こういったことについては、引き続き、不断の努力、不断の検討を進めていかなきゃいけないというふうに考えているところであります。  一つ言えることは、少しでも多くの方に、支えられる側から支える側に回っていただくことが大事だと思っておりまして、これは、これまで働いていなかった女性、意欲はあるけれども働けなかったという方もおられると思います、それから、高齢者も、定年を迎えても能力も意欲もある、また体力もあるという方、働きたいという方が働ける環境、これも大事だと思います。  そういう意味で、全世代型の社会保障改革を引き続き進めていく中で、御指摘のように、企業には利益を上げてもらいながら、そして、支える側の人も増やしていきながら、全体としてどういう形で負担給付考えていくのか、これは、是非引き続き不断の検討を進めていきたいというふうに考えております。     〔主査退席、北村主査代理着席〕
  53. 藤田文武

    藤田分科員 真摯な御答弁、ありがとうございます。  支える側に回ってもらう、つまり、支える側が支えられる側を助けていくというような、これは一面あると思うんですが、ちょっと言葉の使い方として、みんなで負担してみんなで享受する、そういう再分配という方が私は何か適切なんじゃないかなというふうに思っていて、企業と労働者の関係もそうで、雇う側と雇われる側、半ば搾取する側とされる側みたいな印象というのはこれからの時代にやはり合わなくて、不思議だなと思うのは、労働不足の時代に、雇用する、採用するのが皆さん本当に大変なんですね。なのに、採用コストはもちろん上がっているんだけれども、全体の給与水準が上がらない、これは不思議だなというふうに思うんです。  だから、何かこれは社会のインセンティブ設計が悪いんじゃないかというふうにどうしても思ってしまうんですね。  その中で、今日は経産省さんからですか、労働分配率の高い企業に対して税制優遇等をやっていったらどうかというふうなことを思います。人材雇用のインセンティブを上げていくような制度設計を構築すべきじゃないかというふうに思いますが、これはいかがでしょうか。
  54. 飯田健太

    ○飯田政府参考人 お答え申し上げます。  中小企業は雇用の七割を支えておりまして、中小企業の従業員の皆様方の所得を拡大するということは、経済の好循環、持続的な成長にとって非常に大事なことだと思っております。  まず、賃上げについての税でございますけれども、中小企業の賃上げを支援するために、積極的に賃上げに取り組む中小企業につきましては、給与の支給額の増加額の一五%、又は、更に支給額の増加分を増やしたりいたしますと二五%を法人税額から控除する所得拡大促進税制というものを措置しております。  加えまして、足下では、新型コロナウイルス感染症の影響によって雇用情勢も悪化しつつあると認識しておりますので、雇用そのものの維持拡大が重要だと考えております。  したがいまして、現在国会に提出させていただいております税制関連法案におきまして、賃上げだけでなく、雇用の拡大を図る企業も評価できるように、継続雇用者に替えて、雇用者全体の給与等の増加を要件とするという適用要件の見直しを織り込んでいるところでございます。
  55. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  これは事前のレクのときにも教えていただきました。これはいいことだと思いますが、私、更に踏み込んで、例えば、今の話でいうと、増加分だけ税額控除できますよと。つまり、では、次の年はそこからまた増加するかということなので、常に上がっていけるかというと、これは、だから伸びない企業は一年間だけしかその利益を享受できないわけです。  考えるに、今回、コロナでエッセンシャルワーカーの大事さみたいなものが注目されました。エッセンシャルワーカーさん、肉体労働とかそういうふうな表現もありますけれども、非常に賃金水準が低い、業界的にも低い。例えば介護とか、そういう福祉の業界というのも低い。でも、介護とか福祉は、公金を使っていますから、診療報酬でこれは天井があるわけですよね、定員もありますから。だから、毎年人を増やして、毎年人件費を上げてというのは非常に難しい。一方で、AIが発展していくと、テクノロジー企業は人件費が余りなくてももうかるようになる。  こういうことを例えば是正するために、私は、エッセンシャルワーカーがたくさんいる、労働分配率がそもそも高いビジネスモデルの企業をやはり税制優遇してあげるべきじゃないかなと。そうすることで、人を増やす、また給与を増やすことで税率が下がったり負担が減っていくということをやっていくべきじゃないかなというふうに思います。これは回答はないと思うので、提言だけにさせていただきます。  それで、よく、企業も家計も、ストック、資産とか貯金みたいなものがずっと増えていっていますよという現象が、今、見て取れます。つまり、GDPがそんなに自然増しないのに、だんだんストックがどんどんたまっていって、企業も家計もたまっていって、つまり、みんな、これはなぜなのかなというのが問いなんですけれども、これは、不安だからなのか、投資先がないのか、いろいろ理由はあると思うんですけれども、なのに給与水準は減っていっている。  労働組合さんなんかは、企業がたまった内部留保、これをこういう時期だから人件費に吐き出せと言うわけです。これは、人情的にはよく分かります。でも、企業の合理的行動として、吐き出してしまったら、次なる、これはどこまでコロナが続くか分かりませんから、倒れてしまうかもしれない。だから、それは非常に難しいというふうなことが言えると思うんです。  まず、企業も家計も、いわゆるストックがどんどんたまっていっている、こういう状況に対して、これはなぜなのかということをどういうふうに捉えておられるか、御見解をいただけますでしょうか。
  56. 西村康稔

    西村国務大臣 これも非常に大事な御指摘だと思います。  企業の内部留保、利益剰余金は、まさに、業績が拡大する中で獲得した利益を蓄積したものと思いますけれども、二〇一九年度末で四百七十五兆円、その中でも現預金が二百三十七兆円あります。  これは、一つには、この間、デフレでしたので、物とかに投資をするとどんどん値段が下がっていきますので、いわば相対的にお金で持っている方が価値が上がっていくわけでありますので、デフレの中では現金で持つ方が得ということでありますので、そうした心理が働いたものと思いますが、この間、まさにチャレンジをして投資をしようという意欲がなかった裏返しでもありますし、また、投資機会を見出す、そうした成長分野が見つけ出せなかったということかもしれません。  様々な要因があると思いますけれども、いずれにしても、このお金がやはり投資で回っていかないと成長は見込まれないわけでありますので、まさに今、デジタルとかグリーンとか、そして、先ほど来御議論ある、人への投資、ヒューマン、こういったところの投資に向かうように、政府としても、御提案ありました様々な税制なり呼び水となるような私どもの財政支出、こういったもので民間の投資が進んでいくように進めていきたいと考えております。  他方、家計の方は、二〇一九年度末で一千兆円に上っておりまして、貯蓄が毎年一定程度積み上がっていくわけでありますけれども、御指摘のように、消費性向を平均で見ると、緩やかな低下傾向にあります。  これは、なかなかまだ分析は難しいんですけれども、この間、賃上げなどで可処分所得が少し消費支出よりも伸びているので、結果として、割り算をすると消費性向が落ちているということもあると思います。加えて、総雇用者報酬全体で見ると、雇用者数が増えているということもありますので、これは様々、更に分析を進めたいと思っております。  いずれにしても、これらについても、今後感染拡大が収まってくれば、いわゆるペントアップ需要と呼ばれる、これまでたまっていたものが出てくるものも含めて、外出、移動が正常化されてくれば、もちろん、ワクチンの接種の状況などにもよりますし、感染状況にもよるんですけれども、個人消費が回復することも期待をしたいというふうに考えております。
  57. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  このデフレで、現金で持っている方が減価しないというようなことは、確かに一面あると思うんですね。  これがやはり、私は、日本経済の一番の問題で、成熟国でなかなかGDPが自然増しない、人口も増えないですから、これは相関関係があります。実際に、そういう状況だから資産はだんだんたまっていくけれども、フローが何か目詰まりしているような状況になってしまっているというのが、これが多分一番の根本的問題じゃないかなというふうに思います。  そこで、税制で、成長のための税制という概念で、私どもは、フロー課税からストック課税に比重を増やしていったらどうかということをずっとここ十年ぐらい言ってきているわけです。  日本の税制の議論を俯瞰して見ると、私は大きく二つの議論に集約されてしまうなと思っていて、一つは、消費税を上げるか下げるか、これは選挙の前になったら必ず出ます。上げるのがいいのか、下げるのがいいのか。それは、下げる方が国民はうれしいから、ある種の人気取り政策としても使われてしまうという、これがまず一つ。  それから、もう一つは、租特。さっきの経産省さんに答えていただいた、雇用を増やしたら控除できるよという、これも一つの租特だと思うんですけれども、租税特別措置がありとあらゆるところに、張り巡らされているというか、ばんそうこうが貼られていて、なかなか、一旦始めたらやめられない。こういう二つが議論のほとんどかなというふうに私は思ってしまうんです。  ストック課税、フロー課税、この比重を変えていく、つまり、ストックがどんどんたまっているから、ある種の追い出し税として、どんどん付加価値の高いストックの使われ方をしてくださいという、背中を押すような税制、そして、私らはフロー大減税をやるべきだと思うんですけれども、それで、付加価値を生み出した人、利益を出した人には減税してあげよう、そういうフローの巡りがよくなるような、そういう成長のための税制に移行すべきじゃないかというふうに考えるわけでありますが、これは政務官の御見解をいただけたらと思います。     〔北村主査代理退席、主査着席〕
  58. 元榮太一郎

    ○元榮大臣政務官 フロー課税からストック課税への比重を移していくべきかということで、藤田委員からの建設的な御提案、ありがとうございます。  現在の税制は、時々の経済社会の変化を踏まえつつ、累次の改正を行ってまいりました。法人税については、成長志向の法人税改革として、課税ベースを拡大しつつ、法人税率を引き下げてまいりました。そしてまた、所得税については、フリーランスなど多様化が進む働き方に対して、できる限り公平な制度とするべく諸控除の見直しを行いまして、相続税についても、基礎控除の引下げや最高税率の引上げ等を行ってきたところです。  今後の税制の在り方については、経済社会の情勢変化等を踏まえつつ、必要な税収を確保していくことが大変重要であると考えております。  以上です。
  59. 藤田文武

    藤田分科員 元榮政務官、ありがとうございます。  私は、実は実業家時代に講演をお聞きしたことがありまして、非常にすばらしいなと。私も実業家の端くれとして尊敬しているわけでありますけれども、政権というのは、やはり、現状維持、微修正でやるというのは、これは当たり前だと思うんです。でも、私たちはそれではもう構造的にもたないんじゃないかという思いがありまして、恐らく、ベンチャー起業家の元榮さんはちょっとは共感してくださるんじゃないかなと思うわけでありますけれども、是非そういうぐらいの、このコロナということが私は気づかせていただいているんじゃないかなというふうに思うわけで、我々の提案も、是非ともお手合わせ、引き続きしていただけたらと思います。  ちょっと、年金に行きたいと思います。  年金も、先日の予算委員会で取り上げました。低年金、無年金の話を取り上げまして、これは田村大臣から、低年金、無年金が増えていくように読んでおられますかというふうにお聞きしたところ、増えないように努力したいということで、いろいろな制度の話をしていただきました。  なかなか、これから増えるんですと明言しづらいと思いますが、認識として、恐らく、増えると見込んでおられるから増えないようにしようというのが多分解だと思うんですけれども、私は、確実にこれは増えていく予測になっているんだろうなというふうに思うんですが、いかがですか。
  60. 依田泰

    ○依田政府参考人 お答え申し上げます。  いわゆる就職氷河期世代について非正規雇用が多いことは、低年金を増やす要素になり得ると承知をしているところでございます。  一方で、昨今の雇用情勢といたしまして、女性や高齢者の就労が増えていること、また、報酬比例部分がない国民年金第一号被保険者の割合が減少していることは、低年金、無年金を減らす方向に働くものと考えております。  このように、今後の低年金、無年金の数を見込むに当たっては、様々な要素がありますので、一概に予測するといったことは困難であるというふうに考えておりますけれども、こうした方々の年金給付の充実を図っていくということは重要な課題であるというふうに認識しているところでございます。
  61. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  年金にもやはり構造的な問題があって、誰かが悪いわけじゃないと思うんですが、まず、そもそも、ちょっと制度の確認をしたいんですが、年金は保険数理で成り立っていますよね。全部税金じゃなくて、いわゆる保険の概念で、入りと出をバランスさせようということがベースにある。  だから、保険というのは、いわゆる、多くもらう人、応分に、払った分ぐらいもらう人又はもらわない人、つまり、支給開始年齢が来る前に亡くなられる人もいる。つまり、簡単に言うと、もらう人ともらわない人がいるから成り立つというのが、これは保険のそもそもの仕組みですね。  これというのはそもそも正しいかということと、ちょっと併せて、今、年金財政は賦課方式ですね。年金に入ってきたら、二階部分と一階部分を分けて、一階の基礎年金は税金が半分入っています、十兆円以上入っています。賦課方式というのは、結局、今の現役世代が負担して、ある種の仕送りのように、給付されている今の高齢者の世代を支えている、こういう構造になっているわけです。  つまり、今の現役世代の数が人口動態的に減っていくと財政が厳しくなるという構造上の問題があると思うんですが、この二点、保険数理の話と人口動態の話、これは確認で、お願いします。
  62. 依田泰

    ○依田政府参考人 お答え申し上げます。  年金制度の基本原理についてお尋ねがございましたけれども、まず、年金制度につきまして、人生には、老齢とか障害でございますとか、様々な要因で自立した生活が困難になるリスクがあるわけでございまして、こうした生活上のリスクについては予測ができないため、個人だけで備えるということには限界があるところでございます。  こうした予測できない将来のリスクに対しまして、公的年金制度は社会全体で備えるものでありまして、あらかじめ保険料を納めることで、必要なときに必要な給付を受けることができる社会保険として、生涯を通じた保障を実現する仕組みであるというふうに考えております。  また、この財政方式でございますけれども、一般的に、年金財政は人口構成の変化に影響を受けるということでございますけれども、今後、少子高齢化が一層進行するということが見込まれる中で、長期的な給付負担の均衡を確保いたしまして、制度を持続可能とするために、平成十六年度の年金制度改正で様々な対策、例えば保険料を、固定をした上で保険料の引上げをしていく、また、負担の範囲内で給付水準を自動的に調整するマクロ経済スライドの導入、また、基礎年金の国庫負担二分の一への引上げなどを行っているところでございます。  こうした枠組みの下では、令和元年の財政検証では、経済成長と労働が進めば、将来的に所得代替率五〇%の給付水準は確保できることが確認されているところでございまして、年金制度の持続可能性や将来世代の給付の確保が図られる仕組みになっているというふうに考えているところでございます。
  63. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  これは、田村大臣から、平均余命の話がありました。平均余命、つまり、長生きしていくと、もらえる年数が長くなるのでたくさんもらう、結果的に高くもらえる計算になりますよという話なんですけれども、これは、私、結構数字のマジックだなと思って、要するに、結局、入りと出をバランスさせないといけないから、現役世代からの徴収は増やさないといけないし、支給開始年齢をどんどんどんどん後ろ倒しにする、つまり、できるだけ働いてくださいと。  これは、確かにいいことだと思うんですけれども、それを払ってきた者からしたら、あれ、ちょっと違うんじゃないかなというふうにも思うわけですね。  そうすると、簡単に言うと、働けるまで働いてください、無理だったら年金をもらってください、年金じゃ足りなかったら生活保護があります、こういうのが、シンプルに、老後の生活、社会保障制度だと私は認識しているんですね。  今、生活保護の問題は今日はちょっと時間がないので取り上げませんが、生活保護は内訳として高齢者がやはり伸びています。これは、捕捉率が低いとか言われるんですけれども、二〇%ぐらいとか言われますけれども、その他の八割の人に今の制度のまま皆さん受けてくださいといったら、もう自治体はパンクします。もう業務はそれだけになります。  ですから、これはなかなか難しいという意味で、さっき就職氷河期世代の話もありましたが、就職氷河期世代の人は、なかなか資産形成できない、賃金水準が低い、低年金、無年金につながって、老後、生活保護に吸収されていく可能性が高い。そうした場合に、年金が、ただでさえ今、財政で半分の税金が入っている。なおかつ、生活保護に吸収されれば、それはもう一〇〇%税金。つまり、年金が社会のセーフティーネット機能として機能し続けるかという疑念が湧くわけでありますけれども、これについての御見解はいかがでしょうか。
  64. 依田泰

    ○依田政府参考人 お答え申し上げます。  公的年金制度でございますけれども、老後の生活の基本を支えるものでございまして、引き続きその役割を果たすことができるよう、公的年金の機能強化を図ることは重要であると考えているところでございます。  特にその中でも基礎年金につきましては、所得の多寡にかかわらず、一定の年金額を保障する所得再分配機能を有する給付でありますので、この機能を将来にわたり維持することが重要であると考えておりまして、このため、基礎年金の所得再分配機能の維持、これは、昨年成立いたしました年金改正法の附則の検討規定も置かれているところでございますけれども、その維持に向けてどのような方策が可能か、検討を進めてまいりたいと考えております。  また、パートとか非正規雇用者に被用者保険が適用されれば、まさに二階部分が手厚くなるということ、また、保険料の未納が生じない、また、事業主が保険料の半額を負担するといった、給付負担の双方にメリットがございますので、先ほどもございましたが、適用拡大を推進していくということを考えているところでございます。  さらに、国民年金保険料につきましては、免除制度の利用、また、免除期間に応じて年金生活者支援給付金を支給するとか、そうした、低所得者を対象とした年金制度の機能強化を図っているというところも進めているところでございます。  また、先ほどございましたように、これは、六十五歳に達した後に数年間就労を延長するということで繰下げ受給をするということで年金を増額できるということで、個々人の就労の状況等に合わせて年金受給の方法を選択していただきたいということを考えておりまして、こうした様々な施策によりまして、引き続き公的年金制度の所得保障機能の維持充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  65. 藤田文武

    藤田分科員 ありがとうございます。  ちょっと最後、西村大臣にお聞きしたかったんですが、また議論は引き続きさせてもらいたいと思います。  つまり、今日挙げさせていただいたような社会保障と経済、両面を見たときに、私は、やはりチャレンジのためのセーフティーネット機能というのをしっかりしいて、日本の経済構造というのをもう少し、発展していく成長軌道を描けるように変えていかないといけないんじゃないかなという問題意識があります。引き続き、ちょっと今日は時間がありませんので、またやらせてください。  ありがとうございました。
  66. 藤原崇

    藤原主査 これにて藤田文武君の質疑は終了いたしました。  次に、山井和則君。
  67. 山井和則

    山井分科員 山井和則です。よろしくお願いをいたします。  コロナ対策、この三十分間、議論をさせていただきたいんですけれども、やはり、余りにも国民の苦しみ、地元の商店や中小企業の苦しみを今の政府は分かってくださっていないのではないかという強い危機感を持っております。そういう意味で、とにかくコロナ対策にもっと予算を増やしてほしい、そういう切なる願いで質問をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。  まず最初に、菅政権は観光立国ということをおっしゃっていて、経済と感染拡大防止の両立ということをおっしゃっておられます。私はいいことだと思います。  しかし、実際はそのとおりにはなっておりませんで、例えば、私は京都ですけれども、京都も観光が非常に打撃を受けておりますし、例えば、今日お配りしております、西村大臣の手元にもお渡ししておりますが、地元の宇治商工会議所、また宇治市観光協会からも要望をいただいておりますし、ここに配付してありますように、観光地、平等院の近所でありますが、宇治橋通り商店街、平等院表参道商店街、宇治源氏タウン銘店街からも要望書をいただいております。それに従って、これはまさに全国で同様の事態でありますので、御質問をさせていただきたいと思います。  今日は尾身会長にもお越しをいただいておりますが、緊急事態宣言が、例えば京都、もう二月末で解除されると見込まれておりますけれども、どっちにしても今までどおり自由に人が行き来して飲食できるという状況には戻らないと思います。  そこで、一つ目の要望は、ここにもありますように、緊急事態宣言やGoTo事業停止により多大な影響を受ける緊急事態措置協力金対象外事業者への支援。  つまり、晩の事業者へは、一時協力金とか、今回も、解除されたら六万円から四万円に一時協力金は減るのかもしれないけれども、支援はある。しかし、昼の飲食店あるいは飲食店以外のところ、このことについては、先日も西村大臣に要望しましたけれども、昼のお店から、中小企業からは、余りにも晩と不公平過ぎるという苦情が出ておりますし、また、晩のお店からも、小規模なお店は足るけれども大規模な晩の飲食店はこれでは全く足らないという苦情が来ております。ついては、緊急事態宣言解除後も様々な自粛規制が残る以上は、一時支援金、個人上限三十万、法人六十万を大幅に増額しないと日本全国で廃業や倒産が続出するのではないかと思います。  この質問は先日もさせていただきました。先が見えない中で本当に地元の商店街そして中小企業は苦しんでおります。是非とも西村大臣から前向きな答弁をいただきたいと思います。
  68. 西村康稔

    西村国務大臣 今回の緊急事態宣言の下で様々な事業者が厳しい状況にあるということ、京都の今お話ありましたけれども、私の地元兵庫県、観光地でいえば私の地元の明石も淡路島も、非常に厳しい状況にある中小企業の方から様々な切実な声を伺っているところであります。  その上で、御指摘のように、要請に従っていただいている飲食店、夜やっておられるところには最大百八十万円まで支援を行っているところでありますけれども、お尋ねの一時支援金であります。これは、地域そして業種を問わず、今回の緊急事態宣言の下で影響が大きいところに対して支援を行っていくということで、五〇%以上減少する中堅・中小企業、地域、業種を問わず対象となるということでありますが、最大六十万円、個人事業主の場合は三十万円ということにしております。  この算定に当たっては、経産省において三か月分の固定費などを勘案して設定をされているものというふうに承知をしております。詳細、必要があれば経産省に答弁していただければと思いますけれども。  さらに、それに加えて、雇用調整助成金、これは大企業も含めて使える、一〇〇%国が支援するようにいたしましたし、地方創生臨時交付金一兆円を配分をいたしました。  これによって、それぞれの都道府県そして市町村において、更に支援金の上乗せを考えているところもあるようでありますし、これは、五〇%以上の影響を受けたところでありますから、例えば三〇%以上五〇%までのところは出ませんので、こういった事業者に支援を行う都道府県、市町村もあるようでありますし、様々、それぞれの地域の事情に応じて、この一兆円の地方創生臨時交付金、一般の枠、これも活用していただいて、事業者への支援、引き続き行っていただければと思いますし、状況、これをしっかりと注視しながら、予備費は二・七兆円もありますので、必要な対策を機動的に講じていきたいというふうに考えているところであります。
  69. 山井和則

    山井分科員 先日この要望をして、そのときの答弁と、残念ながら全く一歩も進んでいないんです。しかし、あのとき以上に出口は見えなくなっているんです。まだまだ感染は、残念ながら長引きそうです。そういう中で、この一時給付金三十万、六十万を増やさないというのは、余りにも現実が分かっておられないと思います。西村大臣は経済再生担当大臣なんですから、コロナから事業者を守るという責任感をもっと持っていただきたいと思います。このままいくと廃業、倒産が続出します。なぜそこがお分かりにならないのか、極めて残念です。  そのことについて、この要望書の二点目、困窮する事業者の事業継続や雇用維持を図るため、事業規模に応じた持続化給付金及び家賃支援金の再支給をお願いしたいと。  私たちは、今回の政策の中で、八兆円規模の二回目の持続化給付金と家賃支援金の実施というものを今政府に要望をいたします。  やはり、昨年の持続化給付金で救われた事業所は多いんです。この要望書にありますように、一時支援金はしょぼ過ぎる、残念ながら全く不十分。にもかかわらず、この二回目の持続化給付金、例えば私の地元は宇治茶の産地で、これは農業とか茶業とかそういうもの、京野菜にも使えるわけなんですけれども、そういうところを支えていかないと、本当に日本の経済、がたがた、ぼろぼろになります。  西村大臣、先ほどの一時支援金の増額も是非やっていただきたいと私は期待しておりますし、同時に、やはり全国の事業所の願いは二回目の持続化給付金と家賃支援金なんです。私のところにも、SOSだ、自分の会社、自分のお店がSOSだ、緊急事態だという悲鳴のような叫び、メール、要望、たくさん来ております。是非、この二回目の持続化給付金、家賃支援金、私たちは、繰り返し言いますが、組替え動議で八兆円の予算をつけて、何としてもこのコロナから事業者を守りたい、そういう思いで要望しております。西村大臣、いかがでしょうか。
  70. 西村康稔

    西村国務大臣 厳しい状況にある事業者の皆さんの声、私も、地元も含め、切実な声を聞いているところであります。そうした切実な方への支援策として、先ほど申し上げた協力金と併せて六十万円、三十万円の一時支援金、支給をすることとしておりまして、もう三月初旬には受付開始ということで、経産省で準備を急いでいるところであります。  現時点で、昨年四月から五月のように、幅広い業種、全都道府県を対象として経済を意図的に止めることによって感染を抑えたということではなく、今回、焦点を絞って、飲食に起点をした感染拡大というところで、そこに関連するところ、もちろん不要不急の外出自粛もお願いしておりますので、それで影響を受ける土産物屋さんとか様々な昼間の飲食店も含めて、この支援金の対象としているところであります。  いずれにしましても、こうした支援策を着実に実行していくこと、そして、繰り返しになりますけれども、まさに年度末に向けて資金繰りを万全にしていかなきゃなりませんので、無利子無担保の融資の枠も拡充をしたところでありますし、さらに、この返済猶予なども含めて、しっかりとした万全の金融支援を行っていきたいというふうに考えているところであります。  二・七兆円の予備費もございますので、機動的に必要な対策状況を見ながら講じていきたいというふうに考えております。
  71. 山井和則

    山井分科員 予備費を使って今すぐこういう事業者の支援をすべきだと思います。  今おっしゃいましたけれども、これから三月末の年度末、倒産、廃業、雇い止め、解雇、今どんどん増えつつあります。コロナは災害ですけれども、必要なときに経済支援をせずにお店や会社が潰れる、これは人災です。今の政府による人災と言わざるを得ません。  一か月近く私たち、予算委員会をやっていますが、最初から今になるまで全く前向きな答弁がないのは、私は残念でなりません。与野党が対決する内容では全くない。私の地元の自民党支持者の方々も、全く同じ要望をされておられます。政党も関係ありません。  是非とも、経済再生担当大臣として、西村大臣、与野党を超えた声を聞いていただいて、一時支援金の大幅増額、そしてこの持続化給付金、家賃支援金、二回目、是非とも決断をしていただきたいと思います。  それと、残念ながら、自殺者が今増えております。特に女性は八百八十五人増えました。多くの方が非正規で、仕事がなくなった方も中にはおられるのではないかと言われております。そういう中で、一時給付金の質問西村大臣にしたいと思います。質問通告一に入っております。  私たちは、来週月曜日、コロナで大幅減収の世帯や、あるいは住民税非課税の世帯、二千七百万人に対して一人十万円を給付する、こういうコロナで生活困窮されている方への特別給付金法案を、来週月曜日、提出する予定であります。二・七兆円かかります。でも、西村大臣、このままでは雇い止めや解雇が増えて、残念ながら自殺者の増加も歯止めがかかりません。何とか、事業者への支援とともに、こういう生活困窮されている個人への十万円の支給、何とか決断をしていただけませんか。よろしくお願いいたします。
  72. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、昨年、女性の自殺者数が増えたこと、本当に重く受け止めなければならないというふうに思っております。三月は自殺対策強化月間でもありますので、この機会にいま一度、SNSなども始めとして、相談の体制、こういったものも強化していかなきゃいけないというふうに考えているところでありますし、政府一体となって取組も強化しようとしているわけであります。  その上で、確かに、厳しい状況におられる方、おられますので、そういった方々への支援、必要だというふうに考えております。  そうした中で、これまでも緊急小口資金などで対応してきたところでありますけれども、今般、総合支援資金を最大三か月分、六十万円分、再貸付けを行うこととしたわけでありますし、二人以上の場合には上限が百四十万から二百万円に、単身世帯では百十万から百五十五万円に拡充したところであります。そして、この緊急小口資金については、令和三年度、四年度に住民税非課税であれば償還を一括免除するということとしたところであります。そして、住居確保給付金、もう御案内だと思いますが、これも、一度もらえた方も、また三か月分再支給を可能としておりますので、こうした政策によって、厳しい方々への支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、状況をしっかり見て、必要な対策を講じていければというふうに考えております。
  73. 山井和則

    山井分科員 生活に困窮されている方々は、お金を貸してくれと言っているんじゃないんです。先日も総理に面会を、一人親家庭方々も面会されましたし、生活困窮されている休業手当が出ない方々も面会されましたけれども、給付してほしいということを願っておられるんです。  国会でも、給付金の質問をすると、お金を貸しますという答弁が返ってくる。やはり、生活困窮されている方は何十万も二百万もそんな気軽に借金できないし、市町村の社協も、返すめどがなかったらそんな簡単に貸してくれません。こういうことだと、どんどん自殺者が増えます。この給付金も、是非とも決断をしていただきたい。  そこで、尾身会長にお伺いしたいと思います。お忙しいところ、本当にありがとうございます。  報道によりますと、今日、本当だったら、東京や首都圏の三月七日の解除の方向も打ち出すんじゃないかというふうな報道もありました。しかし、東京を始め首都圏の三月七日の緊急事態宣言解除は、今日は方向性は出さないというふうになったと承知しておりますが、尾身会長、東京と首都圏の話ですが、三月七日、現時点で解除できると思われますか。
  74. 尾身茂

    ○尾身参考人 お答えいたします。  三月七日、いわゆる、東京始め、委員の御質問は多分首都圏のことだと思いますけれども、解除できるかというのは、これは、私は、今日、諮問委員会がこれからありますけれども、当然いろいろな議論が、東京以外の都道府県についても議論があると思いますけれども、そこで今日、東京が三月七日でできるかどうかということを判断することは多分ないと思います。  なぜならば、まだ一週間ぐらいありますよね。こういう大事なことは、なるべく直近のいろいろな指標、これは、感染状況だけじゃなくて、それから医療の逼迫というようなことも総合的に考えて、なるべく近くなったときに、私は、もう一度諮問委員会等々を開いて、最終的な、そこで、東京が解除されるのか、あるいはそうでないのかというのはそういうところでしっかりと議論するべきだと思っておりますし、するだろうとも思っております。
  75. 山井和則

    山井分科員 尾身会長のおっしゃることも分かるんですけれども、前日になって、あしたから解除するよと言われても、それは直前では困るんですよ。お店とか仕事とかいろいろな都合があるわけですから。  ついては、一週間前になっても、まあ、十日前ですけれども、十日前になってもまだ決められない。現時点においては、尾身会長、三月七日、東京あるいは首都圏、解除できそうだと思われますか、難しいと思われますか。現時点ではいかがでしょうか。
  76. 尾身茂

    ○尾身参考人 先生おっしゃるように、当然、急に決めるということではなくて、どういう考えでどういうことがあれば解除できるかということは、当然前もって決める必要がありますよね。  そういう中で、これからまだ数日ありますので、どういうふうに状況が変化するかは分かりませんけれども、私の今の現状、これは、感染症というのは日々変化しますということですが、今の現状は、東京都あるいは首都圏は、ほかの地域に比べて感染の減少のスピードが鈍化していることはほぼ間違いない。と同時に、感染の、そういう意味では下げ止まりという可能性も出てきているということで、そういう状況の中でしっかりと、今まで大きな考え方を示してきましたよね、そういうことに当たるかどうかしっかりと判断するべきだというふうに私は思っております。
  77. 山井和則

    山井分科員 ということは、尾身会長の今の認識は、減少のスピードが鈍化している、下げ止まりぎみだということで、今と同じような状況、水準、下がり方が来週も続けば解除するのは難しいということですか。あるいは、来週一週間、今と同じ水準あるいは微減ぐらいが続いたら解除できるとお考えですか。
  78. 尾身茂

    ○尾身参考人 東京都の動きが今これからどうなるかは、当然、先生も御承知のように、感染というのは、今日の人々の行動は少し後になって出てきますから、三月七日時点でどうなっているかは分かりません。ある意味ではこれからの人々の行動にもよりますので。  そういう意味では、現状では、私は、今東京は感染の減少のスピードが鈍化しています。それからまた三月の七日時点になってどうなっているかというのは、またこの感染状況、数だけではなくて、その他いろいろな指標が実はございます。今よく新聞なんかで言われているのは感染状況のほんの一部を見ているだけで、実はそれ以外の指標もいろいろありますので、そういうものをしっかりと分析すると同時に、現場の医療、現場の人、数に表れない現場の声というのもありますよね、そういうことを総合的に判断して決めるのが筋で、今、今日どうかと決めるのは、私はそれは本来やるべきことではなくて、しっかりと、なるべく最後まで。  ただ、今どういう考えでやるかという基本的な考えは当然持っているわけで、その考えに実際の数値あるいは現状が当てはまるかどうかというのは、当然なるべく近くまでいってやるのが筋だと私は思っております。
  79. 山井和則

    山井分科員 今の答弁をお聞きしておりますと、三月七日の、東京、首都圏の緊急事態宣言解除される可能性もされない可能性も両方あるということでよろしいですか。
  80. 尾身茂

    ○尾身参考人 私は、そういうことで両方の可能性もあるので、しっかりと判断していくことが大事だと思います。
  81. 山井和則

    山井分科員 確かに、私も、経済のことを考えると早く解除してほしいと思ったり、尾身会長も昨日記者会見されましたように、リバウンドすると取り返しのつかないことになるという気もします。  そこで、先ほどの質疑に関連して尾身会長にお聞きしたいんですけれども、解除したとしても、宴会をやっていいですよ、騒いでいいですよ、満員のところへ行っていいですよというわけには当然ならないと思うんですね。となると、一定の経済の打撃は続くと思うんです。今も西村大臣質問をさせていただきましたけれども、そういう考え方からすると、解除されたとしても、やはり一定のお店や中小企業への経済支援をしっかり続けないと自粛は進まないと思うんですけれども、尾身会長、いかがでしょうか。
  82. 尾身茂

    ○尾身参考人 お答えします。  先ほど西村大臣とのディスカッションにもあったようですけれども、私は一市民として、このコロナによっていろいろ経済的に困窮された、大変困った方が事業あるいは個人でおられる、そういう方に対してなるべく手厚い経済的な支援をやっていただきたいという気持ちはございます。と同時に、経済的な支援と同時に、リバウンドする可能性があるので、それを、ならないような、経済的な支援とは別のいろいろな対策というのは、昨日、実は分科会の提言をさせていただきました。そのうち両方が大事だと私は思っております。
  83. 山井和則

    山井分科員 確かに、おっしゃるように両立をさせていかないと駄目で、結局、感染拡大防止策をやる余り、本当に、会社が潰れ、解雇が増え、自殺者が増えたら、これもまた当然大問題なわけですから、しっかりとした経済支援の裏打ちが必要だと思っております。  そのことに関連して、西村大臣に、次、休業支援金のことをお聞きしたいと思います。  二月上旬の西村大臣の答弁の中で、休業支援金の大企業の非正規労働者に対する対象拡大質問が参議院であったときに、総理も面会されて要望を聞かれたので、早急にしっかりと対応させていただきますという答弁をされたんです。私もそれを聞いて、ああよかったな、大企業非正規の方も救われるのかなと。私だけじゃなくて、全国数十万人。例えば私は京都だけでも大企業非正規のホテルの方々数百人の相談に乗っていますので、皆さん本当にこれで、救われたといって、涙を流された方もおられるんです。  ところが、今日の発表によると、ここに資料がありますけれども、去年の四月から六月までの三か月と、七月から十二月まで半年間は何もなし、また一月からと。  これは、単純に言いますと、中小企業の方の休業支援金に比べて三割ぐらいなんですね、もらえたとしても。単純に言えば、中小企業と同じ働き方をされていた方、飲食店、ホテルであっても、五十万もらえると思った方が十万か十五万しかもらえない。百万円ぐらい休業補償がやっと来ると思ったら、二十万か三十万しかない。  昨日の晩も、私、要望を受けましたけれども、生活していけない、子供を学校に進学させられない、住宅ローンを払えない、もう生きていけないと。  中小企業と同じだけの補償があると思ったら、大企業の非正規の人だけ二、三割。おまけに、これは去年四月から六月ですから、そんな前のことは今から払いませんよという大企業、私、残念ながら続出すると思います。この半年間、七月から十二月までインターバルを空けたことによって、二、三割どころか、ゼロ。もらえずに泣き寝入りする。  もう一言だけ言わせてください。  シフトのアルバイトの方々は立場が弱いんですよ。相談しただけで、何言ってんの、そんなこと言うんだったらシフト入れないよ、雇い止めするよと。もう怖くて申請、申請以前です、相談すらできないんです。泣き寝入りなんです。そういう方を救ってくれと言ったのに、たった三割、あるいは申請すら事業者が嫌な顔したらできないというのは、余りにも不十分だと思うんです。  これは本当に、自殺者は増えます。もっと増えます、残念ながら。そうならないためにも、やはり、中小企業と同じように、去年四月から今日まで。ぜいたくなことを言っているんじゃないんですよ。中小企業の非正規労働者と同じ扱いをしてくれと言っているだけなんですよ。おまけに、それも、支払いが一年間遅れているんですよ。  何とか、この二、三割しかもらえない案ではなくて、当事者の方々が菅総理に面会して要望したとおり、去年四月に遡って中小企業と同じように全期間八割補償してもらえるように、西村大臣、してもらえませんでしょうか。
  84. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、休業支援金につきましては、本来、大企業においては、雇用調整助成金、休業手当を出して、雇調金でしっかりと国が支援をしていくという枠組みですので、大企業においては休業手当を出すのが私は社会的な責務の一つだというふうに考えておりますが、そうならない場合に、まさにシフトなどで働く方々への所得確保のために、休業支援金、非常に重要な制度だと思っております。  その上で、この対象となる期間あるいはこの賃金の何割支給するかなど、こういった制度設計においては、厚生労働省において熟慮した上で判断されたものというふうに承知をしております。  特にこの期間につきましては、まさに昨年の春の緊急事態宣言以降、既に雇用調整助成金の特例措置を活用して自己負担分も負担した上で休業手当を支払っている大企業もある中で、休業支援金の対象となる期間を過去に遡って拡大することは、こうした企業との間の不公平が新たに生じることもあり得ますので、そうした緊急事態宣言の下での影響も踏まえて対象期間を限定することとしたというふうに承知をしております。  今後とも、厚生労働省において、今般拡充した休業支援金が活用されるよう、これは私も周知していきたいと思いますし、そういったことに政府を挙げて努めると同時に、引き続き、この雇用調整助成金の特例措置の活用を、今はもう一〇〇%国が支援をするということにしておりますので、丁寧に働きかけていければというふうに考えております。
  85. 山井和則

    山井分科員 全く納得できません。不公平と言うんだったら、なぜ、同じような飲食やホテル、観光の仕事をしていて、中小企業の非正規労働の方に対して二割か三割しか休業支援金がもらえないのか。これこそ最大の不公平じゃないですか。  志村さんにお聞きしたいと思います。  私、もう何百人の方の相談に乗らせていただいておりますが、多くの相談は、事業主に相談したら、手間がかかるから申請するなと言われた、それでも申請するんだったら辞めてもらいますよ、そんな相談ばかりですよ。申請できないんですよ。勝手に申請したらどうなるか。何で勝手に申請したんだ、あなたはシフトから外す、雇い止め。本当にこれは使いづらい。泣いているんですよ。今回、三割であっても、大企業の非正規、私、残念ながら、相談して、申請するなと言われて、多くの人は申請できないと思いますよ。残念ながら、家庭崩壊、自ら命を絶つ人は増えますよ。  ついては、切なるお願い質問通告していますが、是非とも厚労省から文書を出していただきたいんです。申請に事業主は協力してください、申請やその相談を理由に雇い止めやシフト外しをしたら違法になります、昨年四月から六月までの大企業分は認めるが今年一月以降は認めないというような対応は駄目です、昨年四月から六月分と今年一月以降の申請はセットで対象になるという書面を厚労省に出していただきたいんです。  その書面を手に持って、厚労省もこうおっしゃっていますからと言って事業主と話をしないと、手ぶらで話をしたら切られるんです。シフトを外されるんです。泣き寝入りなんです。数十万もらえるかもしれないけれども、そう言われたらもう立場の弱い非正規労働者は手も足も出ないんです。  みんな泣いておられます。山井さん、助けてください、休業支援金は申請したいけれども、申請したら私はもうシフトを切られる、山井さん、どうしたらいいんですか。この声、志村さんに伝えるしかしようがないでしょう。守ってください、非正規労働の方を。  是非とも、この書面、非正規労働の方が申請や相談をしても首にならないようなお守りとなる書面を出していただけませんか。そうしないと、今日発表された、大企業も申請できます、これは絵に描いた餅になります。是非ともお願いします。
  86. 藤原崇

    藤原主査 厚生労働省志村大臣官房審議官、申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。
  87. 志村幸久

    ○志村政府参考人 はい。  休業支援金・給付金の申請に当たっては、事業主がその期間、休業させたかという事実の確認でございます。  先生おっしゃっているようないろいろな事案も含めて、都道府県労働局においてしっかり丁寧な対応をするということを心がけていきたいというふうに考えております。
  88. 山井和則

    山井分科員 ちょっと、答えていないじゃないですか。書面は出してくれるんですか、出してくれないんですか。労働者の人生、命が懸かっているんですから。
  89. 志村幸久

    ○志村政府参考人 休業支援金の支給に当たっては、その休業の事実の証明等について、労働者から出されたことについて事業主にも事実確認しながら丁寧に進めてまいります。ですから、端的に、今先生が質問したことに関しては、そのような手続では進めることはできないということでございます。
  90. 山井和則

    山井分科員 是非、引き続き議論をいたしますが、労働者の方を守れるように何らかの書面は出していただきたいと思います。  ありがとうございました。
  91. 藤原崇

    藤原主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。  次に、津村啓介君。
  92. 津村啓介

    ○津村分科員 皇位の安定的継承の問題について伺います。  二〇一九年五月に施行された皇室典範特例法では、その附帯決議に、本法施行後速やかに、皇族方の御事情等を踏まえ、安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について、全体として整合性が取れるよう検討を行い、その結果を速やかに国会に報告することと定めております。  また、菅総理は、昨年十一月の衆議院予算委員会におきまして、まずは、立皇嗣の礼をつつがなく終えることに全力で取り組んでいますので、終わりましたら速やかに対応していきたいと答弁をされています。  立皇嗣の礼は、昨年、令和二年十一月八日に執り行われまして、本日で百十日目となります。  官房長官に伺いますが、皇位安定継承の議論の開始時期及び進め方について、現在、政府ではどのようにお考えでしょうか。
  93. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 まずは、安定的な皇位の継承を維持すること、これは国家の基本に関わる極めて重要な問題であり、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、慎重かつ丁寧に検討を行う必要があること、また、女性皇族の婚姻等による皇族数の減少等については、皇族方の御年齢からしても先延ばしすることはできない重要な課題であり、この課題への対応については様々な考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには、十分な分析、検討と慎重な手続が必要であると考えております。  安定的な皇位の継承等に関する課題については、静かな環境の中で検討が行われるよう、附帯決議に基づき、適切な検討の在り方を現在考えているところでございます。まだこの途中といいますか、その検討段階でありますから具体的なことは申し上げるのを差し控えたいと思いますが、いずれにしても、政府としては、衆参両院委員会の附帯決議、この趣旨を尊重し、対応していく考えであります。
  94. 津村啓介

    ○津村分科員 加藤さん、更問いさせていただきますけれども、前回の菅総理の答弁の、速やかにという表現が今長官の答弁から抜け落ちたんですけれども、それはどういうことを意味しているんでしょうか。  現内閣の任期は、今年の秋まで残り八か月でございます。皇位継承について議論した先例である小泉内閣、野田内閣は、それぞれ有識者会議を半年から一年近く開催して一定の結論に至っております。残り八か月、既にタイムリミットに差しかかっていると思いますが、この様子では、菅内閣では本件について議論をしないという可能性もあるんでしょうか。
  95. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 同じことになって恐縮でありますけれども、静かな環境の中で検討が行われるよう、附帯決議に基づく、まず適切な検討の在り方をまさに考えているところでございますし、また、附帯決議の趣旨あるいはこれまでの総理答弁、これもしっかり踏まえながら対応させていただきたいと考えております。
  96. 津村啓介

    ○津村分科員 静かな環境に今足りないものは何ですか。
  97. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 今が静かとか静かでないということを申し上げているのではなくて、静かな環境で検討が行われていけるようにということを申し上げているわけであります。
  98. 津村啓介

    ○津村分科員 どういうものを目指してどういう御努力をされているのか、もう少し分かりやすくお答えください。
  99. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 これまでも、政府部内においては、衆参両院の委員会で可決された附帯決議の趣旨を尊重し対応していくためのいわば準備として、これまで、様々な議論の経緯を十分に検証する、また、事務方において有識者から個別にお話を伺うなど、最近の議論の動向などを踏まえて、論点や課題の整理などに努めているところでございます。そういう作業をまずは進めているということであります。  そして、こうした、先ほど申し上げた、今回御指摘の課題については、引き続き、静かな環境の中で検討が行われるよう配慮する必要があるということでございますので、そうした環境の中で御議論、御検討いただける、こういったことを念頭に置きながら、今、その在り方について、中での議論を進めさせていただいているところであります。
  100. 津村啓介

    ○津村分科員 附帯決議には、本法施行後速やかにとあって、それが二〇一九年五月、もう一年半がたっている。そして、菅総理は、立皇嗣の礼が終わりましたら速やかにとお答えになっていて、いずれも速やかにというのが一つのキーワードだと思いますが、官房長官があえて速やかにとおっしゃらないのはどういうことですか。これまでの答弁を踏襲されないということですか。
  101. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 附帯決議には、検討を行い、その結果を速やかに国会に報告すると書いてあるということだと思います。  いずれにしても、附帯決議を踏まえてしっかり対応していきたいと思いますし、検討を行い、その結果が出れば、まさに速やかに国会に報告させていただきたいと思います。
  102. 津村啓介

    ○津村分科員 旧宮家の皇籍復帰について議論させてください。  昨年春から夏にかけまして、当時の安倍内閣では、旧宮家の皇籍復帰も論点に含めた有識者ヒアリングを行っています。その後、旧宮家の方々とはコンタクトを取られたのでしょうか。この事実関係を伺いたいと思います。  昨年二月十日の予算委員会での答弁では、旧宮家の子孫の方々の皇籍取得の意向確認につきまして、当時の菅官房長官は、今までやっておりませんし、そこは考えておりませんと答弁をされています。その答弁の後、有識者ヒアリングが行われたという形になっておりまして、その前後関係がございますが、旧宮家の皇籍復帰も論点に含めた有識者ヒアリングを実施した後、現在も、この昨年二月の菅長官の御答弁、今までやっておりませんし、そこは考えておりませんという政府のスタンスに変化はないのでしょうか。それとも変化はあるのでしょうか。
  103. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 まず、旧宮家の皆さん方等々の意思の確認という御質問でありますけれども、確認したことはございません。
  104. 津村啓介

    ○津村分科員 それは私の質問の前段部分でございまして、後段部分で、私は、菅さんが昨年二月に、今までやっておりませんし、そこは考えておりませんとおっしゃったその後段、そこは考えておりませんという部分が、一年たった今、踏襲されているかどうかを確認しています。
  105. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 まずは、ですから、こうした議論をしっかり慎重かつ丁寧に検討を行う必要があるということ、そのことをおっしゃったんだということだと思います。そうした検討が行われている最中において、そうしたことは考えていない、こういう趣旨だと思います。
  106. 津村啓介

    ○津村分科員 踏襲したとおっしゃいましたか。
  107. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 ですから、そういった趣旨で、菅長官当時の答弁は、まさにそうした慎重かつ、検討を行っていく必要があるということなので、現時点でそうしたことは考えていないということであると思います。その点は変わりはありません。
  108. 津村啓介

    ○津村分科員 平成三十一年三月二十日、参議院の財政金融委員会におきまして、当時の安倍総理が、十一宮家の皇籍離脱を指示したGHQ指示について、こうおっしゃっています。私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えていないわけでございます。  菅内閣は、この安倍さんの答弁を踏襲されますか。  速記を止めてください。
  109. 藤原崇

    藤原主査 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  110. 藤原崇

    藤原主査 速記を起こしてください。  加藤官房長官。
  111. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 済みません、ちょっとその答弁、今突然おっしゃったので、私ども、見ておりませんので、そのことを継承しているかしていないかと言われても直ちにお答えできませんが、しかし、基本的に、政権として、前総理が言われたこと、それは継承していくべきものだと考えております。
  112. 津村啓介

    ○津村分科員 質問通告を旧宮家の皇籍復帰についてさせていただいておりまして、それは文書でお示しをしていると思います。  安倍総理の僅か二年前の参議院での答弁が今お手元にないというのは、にわかに信じ難いんですけれども、御確認ください。  速記を止めてください。
  113. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 いや、ですから、今おっしゃった質問通告は受けておりますけれども、安倍総理の云々というお話は聞いていないということであります。
  114. 津村啓介

    ○津村分科員 事実関係の確認ですから、すぐできることだと思います。お願いします。  速記を止めてください。  何で直近の政府答弁が確認できないんですか。直近の政府答弁ですよ、これ。それ以降、何か議論があったんですか。
  115. 藤原崇

    藤原主査 津村委員、もう一度、先ほどの質問をしていただいてよろしいですか。
  116. 津村啓介

    ○津村分科員 はい。  平成三十一年三月二十日の参議院財政金融委員会における安倍総理の、私自身がまたそのGHQの決定を覆すということは全く考えていないわけでございますと述べた政府の、この総理の答弁が、その後覆るような状況が生まれているかどうかということを伺っています。もし必要なら、私の手元にございますので、いつでもお見せできます。  速記を止めてください。
  117. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 申し訳ないんですけれども、非常に大事な事案であります。そうしたことについて御質問いただくというのであれば、我々も精緻に文書を読んで判断いたしますが、急に御指摘いただいて、それで答えるということ、これは控えさせていただきたいと思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、政権として、前総理ないし政府が言ってきたこと、このことはしっかり継承していく、これは当然のことだと思います。
  118. 津村啓介

    ○津村分科員 委員部にお願いしたいんですが、御参考までにこれを大臣のお手元に差し上げてください。  少し宮内庁の参考人の方とお話をしていますので、大臣、是非それを熟読いただければと思います。  宮内庁の次長に伺わせていただきます。  旧宮家の方々と現皇室の交流の現状とその法的根拠について伺います。  昨年十二月三日の参議院外交防衛委員会で宮内庁の小山永樹政府参考人が、「旧皇族の方々というのは、皇籍を離脱された後につきましては宮内庁としてお世話を申し上げる対象ではないということがございますので、極めて慎重な対応が必要である」と答弁されました。これを踏まえた上で、菊栄親睦会を含む旧宮家の方々と現皇室の交流の現状及びその法的根拠について伺いたいと思います。  また、ここは大事なポイントなんですが、御当人が戦後の一時期まで実際に皇族であった方と、生まれたときから皇族ではなかったその御子孫では、当然扱いが違ってくると思うんですが、その違いも踏まえて御答弁いただきたいと思います。
  119. 池田憲治

    池田政府参考人 お答えをいたします。  皇族であられた方が皇族の身分を離れられた後は、宮内庁としてお世話を申し上げる対象ではございません。  また、皇室の方々の私的な御交際について申し上げることは差し控えたいというふうに思います。  ただ、公表されている行事の中に、新年祝賀や天皇皇后両陛下のお誕生日祝賀などで元皇族の方々が御参列になっている行事がございます。  また、菊栄親睦会という任意団体がございまして、この会は、秋篠宮皇嗣同妃両殿下を始めとする成年の皇族方、昭和二十二年に皇族の身分を離れた方のうち当主の系統にある方及びその配偶者、それ以降皇族の身分を離れた方及びその配偶者を会員としており、宮内庁は、皇族方の公私にわたるお世話をしているということから、同会のお手伝いをしているところでございます。  直近で申しますと、平成二十六年五月十八日に天皇陛下傘寿奉祝菊栄親睦会大会が開催されたというふうに承知しております。  こうした御交際について、特段の法的な位置づけがあるものではないということでございます。
  120. 津村啓介

    ○津村分科員 私がここは大事ですよと申し上げた、元々、戦後の一時期、旧皇族であられた、例えば久邇邦昭様とかそういった方々とそのお子様方では、当然位置づけが違ってくると思います。  先ほど旧皇族の方々とおっしゃいましたが、それは御当人のことを指しているのか、それとも、その御子孫まで指すのであれば、それはお子様までですか、お孫様までですか。どういう線引きがされているんでしょうか。
  121. 池田憲治

    池田政府参考人 お答えいたします。  今私がお答え申し上げた中で、元皇族というふうに申し上げましたが、元皇族というのは、皇族であられた方で皇族の身分を離れられた方について申し上げております。
  122. 津村啓介

    ○津村分科員 では、その御子孫の方々は含まれていない御答弁だったということでよろしいですね。
  123. 池田憲治

    池田政府参考人 先ほど私が御答弁申し上げました中で触れた行事などにつきまして、元皇族と申し上げたのは、皇族であられた方御当人、詳しく申しますと、その方と配偶者というのがございますが、ということでございます。
  124. 津村啓介

    ○津村分科員 クリアになりました。そこは大きな違いだと思いますので、今後もそこはきちんと整理をさせていただきたいと思います。  内閣法制局長官に端的に伺います。  皇籍を離脱して民間人となられた元皇族及びその子孫の方は、現行憲法における国民に該当されるのでしょうか。また、門地による差別を禁じた日本国憲法上、その方々への新たな皇籍等への復帰、付与というものは許容されるのでしょうか。許容されるとしたら、どのような憲法解釈によるのでしょうか。お答えください。
  125. 近藤正春

    近藤政府特別補佐人 お答えいたします。  皇籍を離脱して民間人になられた元皇族及びその子孫の方々でございますけれども、今、国民というお話でございましたが、いわゆる、憲法上でいえば、当然、第三章が規定する基本的人権を享有する主体という意味で、そういうものに当たるということは当然であると思います。一般の国民の方と何も変わらないということだと思いますけれども。  お尋ねの皇籍等への復帰という問題につきまして、憲法との関係はどうかという御質問がございましたけれども、具体的な制度、趣旨、内容等が明確でないとなかなか御判断することができませんので、そこはちょっとお答えすることは困難であると思います。
  126. 津村啓介

    ○津村分科員 私は、憲法上にそういう余地があるのかというお話をしています。余地がある中でA案、B案、そういう話を法制局長官とさせていただくつもりはありません。  憲法上、門地による差別に反しない形で皇籍復帰という方法があり得るのか。あり得るのであれば、我々、一生懸命これは議論しなきゃいけませんから、そこは法制局長官としてしっかりとした線を引いてください。お願いします。それは法制局長官のお仕事ですよ。
  127. 近藤正春

    近藤政府特別補佐人 少し、法制局の立場でございますけれども、法制局はあくまでも内閣の法制局でございまして、担当省庁がいろいろ政策を立案したり立法化するような段階に、個々の案件に応じて、憲法との整合性等を議論すべきときはするということでございまして、一般的にふわっと憲法との関係を解釈するとかいうことはしておりませんで、あくまでも、個々の、政府の中における具体的な政策等々の必要性に応じて、それについて細かく慎重に判断をしていくということでございますので、今のような形での、大きい、一般的な設定における憲法判断というのは軽々にはできないというふうに考えております。
  128. 津村啓介

    ○津村分科員 私は一般的なことは聞いておりません。これまで、自衛権の問題を含めて、どこまで議論の土俵というものが広がっているのかということについては、歴代内閣法制局長官はきちんとその土俵のルールというものは設定してきてくださった、その上で我々は国会で議論を積み重ねてきた、そういう内閣法制局の位置づけがあったと思います。それを否定されるんでしょうか。  これは、憲法で旧宮家復帰の議論が許容される余地があるのかという極めてシンプルな質問であって、具体論ではありません。
  129. 近藤正春

    近藤政府特別補佐人 先ほど九条の話をされましたが、九条の話は、まさしく、自衛隊の活動に応じてどういうふうにできるかという問題で、まさしく政府部内で、法制局にもこれまで御相談があり、そうした中でその解釈について確立したものでございますから、まさしく行政による、自衛隊の活動という行政の執行の中における憲法問題として、法制局としてこれまで議論に参加し、お答えをしてきたことでございますから、まさしく、今の話はまだ政府部内で何も議論にもなっておりませんし、具体的な相談もございませんし、私ども、そういう意味では、それについて特段今まで検討もしてございませんし、判断する材料を持っておりません。
  130. 津村啓介

    ○津村分科員 官房長官、二つ伺うんですが、一つは、さっきとは別の、もう一つ質問通告の問い、今から読み上げますけれども、その後に、先ほど伺った、これも私は昨日の質問通告の枠内だと思いますけれども、今、資料も七、八分前に差し上げましたけれども、今回、有識者ヒアリングが行われたという新しい事態を踏まえて、その取扱いというふうに通告に書いているはずですけれども、として、直前の平成三十一年総理答弁に変更があったかどうかという質問二つ目としてさせていただきます。  一つ目の方は、眞子様が今後皇籍離脱をされた場合、佳子様及び三笠宮家の内親王様が女性宮家や皇女制度の対象になって、眞子様はならないというような線引きが今後生まれるとすれば、国民への説明は大変難しいと思うんです。ここは、分かりませんけれども、今これだけ眞子様の御結婚について大きな国民的関心もある中で、この二つの問題を全く切り分けるのは逆におかしなことだと思います。  眞子様の御結婚の前に女性宮家、皇女制度などの皇族減少問題への対応が何も議論されないというまま眞子様が御結婚されるという運びになれば、そのことは大変国民として喜ぶべきことでありますけれども、この皇位安定継承の議論という意味では、事実上、当事者が愛子様お一人に絞られてしまう懸念も私はあると思います。  女性宮家、皇女制度など皇族減少問題について、この眞子様の御結婚問題よりも前に議論を始めるべきではありませんか。
  131. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、女性皇族の婚姻などにより皇族の方が減少しているところでありますし、また、皇族方の御年齢からして、先延ばしすることができない重要な課題であるという、これはそういう認識を持っております。  ただ、この課題への対応については様々な考え方、意見があり、国民のコンセンサスを得るためには十分な分析、検討、慎重な手続が必要であるというふうに考えております。  ただ、いずれにしても、衆参両院から御可決いただいた附帯決議、この趣旨を尊重して対応してまいりたいというふうに思いますし、また、先ほど申し上げましたように、現在、附帯決議に基づく適切な検討の在り方、これを鋭意考えをさせていただいているところであります。  それから、先ほどの御質問、非常に大事な点でありますので、明示的にお出しいただければ政府内でも整理をして申し上げられたというふうに思いますが、この場でこうして出されても、なかなか直ちに申し上げるというのは難しいと思いますが。  ただ、いずれにしても、当時の安倍総理がこうした答弁をされて以降、こうした答弁の中身、内容を変えるようなこうした事象というのは起きていないものと承知しております。
  132. 津村啓介

    ○津村分科員 事務方の皆さんの御努力もあると思いますので正確なお伝えの仕方をしますが、私は文書で、昨年行われた旧宮家復帰に関する有識者ヒアリングの結果とその扱いという表現で事前の通告をさせていただきました。これは公開もしております。そうした中で、その前の年の安倍総理の答弁との関係性が変わったのかという問いをしたものでありまして、これが通告になかったものかどうかという御判断は、皆さんに任せたいと思います。  御示唆いただきましたので、質問主意書その他、改めて問いを重ねたいというふうに思っております。  それでは、もう一つのテーマに移らせていただきますが、長官のお時間もありますのでここで引き取っていただいて結構なんですけれども、長官、最後に一言だけ申し上げたいと思います。  これはさっきも申し上げましたように、私たちの衆議院の任期はあと八か月しかないわけで、最長でも。その中で、官房長官として菅さんが関わってこられた皇室典範特例法、ずっと菅さんが答弁されてきたものでもあります。  これが、いよいよ、一連の御代替わりの行事が終わったわけですから、ほかに障害になるものはないという中で、静かな環境、静かな環境とおっしゃいますけれども、オリンピックのこともありますし、コロナのこともありますし、これから何が起きていくか分からない中で、そんないつ来るか分からないものを待っているということではなくて、やはり責任を果たしていただかないと。  さっきも申し上げましたけれども、眞子様が御結婚されて皇籍を離脱されたら、じゃ、佳子様はどうなるんだ、三笠宮様の血筋の皆さんはどうなるんだという話になったときに、どんどん議論のフィールドが狭くなっていくわけで、そのことについて、是非、官房長官というのは大変なお仕事ですから、未来への責任を持って臨んでいただきたい、そういうことを申し上げているんです。  同じ岡山で、池田厚子様もいらっしゃいます。この皇族の問題、大変御関心があると思います。最後に一言いただけませんか。
  133. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 これは先ほどにも申し上げましたとおり、大変、国家の基本に関わる極めて重要な問題であるというふうに認識をしておりますし、また、特に女性皇族の方に関しては、御結婚等で減少している、こうした状況も踏まえて、先延ばしできない課題だということは十分承知をしております。  また、静かな環境と申し上げたのは、別に今が、静かな環境になることを待つということではなくて、静かな環境で検討が行われるような、そうした状況をつくっていくということを申し上げているので、別に、おっしゃるような、時間を後ろに倒すとか、そういうことを申し上げているわけではないということでございますが。  いずれにしても、附帯決議を頂戴をしているところではございますので、その趣旨に沿って対応していきたいと考えております。
  134. 津村啓介

    ○津村分科員 長官、ありがとうございました。これで、長官、結構でございます。  国会改革について伺います。  日本の働き方改革を進めていく上で、霞が関のブラックな勤務実態が指摘をされていますが、霞が関のホワイト化を進めていく中で、平成十一年の与野党申合せの遵守がうたわれる場面が増えております。  平成十一年の衆議院における与野党申合せでは、質疑者は原則として前々日の正午までに質問の趣旨等について通告する、政府に対してですね、となっておりますけれども、衆議院、参議院の事務局に三点伺わせていただきます。これは事前に通告したものをそのまま読み上げさせていただきます。  一つ、今の国会における三次補正予算審議において、質疑の前々日の正午までに委員会開会日時が確定した割合パーセント。二つ、今の国会における三次補正予算審議において、質問の趣旨等が前日終業時間までに省庁に伝達された割合パーセント。三つ、衆参の質疑における質問者と発言者の発言ボリュームの割合比較、パーセント。  質問通告時には、正確には前国会におけるデータお願いしたんですが、事務局の方から、時間の制約で三次補正の予算委員会における審議時間で答えたいとの事前の御相談をいただきましたので、それで結構でございます。  参議院の事務局は三番目の質問だけで結構でございます。  お願いいたします。
  135. 岡田憲治

    ○岡田事務総長 お答えいたします。  まず一番目の質問でございますが、前国会、第二百三回臨時国会の会期中、議院運営委員会を除く対政府質疑を行った委員会の開会回数は四十六回であります。そのうち、理事会等において前々日の正午までに委員会の開会日時が確定されたのは三十四回、割合で申し上げますと、委員会の開会日時が前々日の正午までに確定された割合は七三・九%ということになります。  問いの二番目でございますが、質問通告が行われた時刻については、当該時刻を記録として残しておらず、衆議院事務局として網羅的に把握しておりませんので、お答えすることは困難でございます。  問いの三番でございますが、御質問にお答えする前提として、今先生からございました御指示を頂戴して、予算委員会において令和二年度第三次補正予算の審査が行われた本年一月二十五日及び二十六日の両日における委員会議録の質問者及び答弁者の発言を文字数で積算いたしまして、それぞれ与野党別の割合を算出いたしました。  両日の委員会を合計いたしますと、全体の文字数は二十五万六千九百四十一文字、うち与党質疑に係る文字数は七万五千四百五十四文字で二九・三七%、野党質疑に係る文字数は十八万一千四百八十七文字で七〇・六三%であります。  これを与野党別に質問と答弁の割合を見てみますと、まず与党質疑では、与党質問者に係る文字数は三万七千五百五十一文字で四九・七七%、答弁者に係る文字数は三万七千九百三文字で五〇・二三%でございます。また、野党質疑では、野党質問者に係る文字数は十二万百八十八文字で六六・二二%、答弁者に係る文字数は六万一千二百九十九文字で三三・七八%となります。  以上が試みの数字でございます。
  136. 小林史武

    小林参議院事務次長 問い三につきまして、参議院の関係をお答え申し上げます。  去る一月二十七日及び二十八日の三次補正予算の参議院の予算委員会の質疑及び答弁につきまして、衆議院と同様、会議録上の文字数をお調べいたしました。両日合わせまして、与野党全体では二十七万三千六百三十六文字となりまして、うち質疑が十一万二千九百五十一文字で四一・二八%、答弁が十六万六百八十五文字で五八・七二%でございます。  また、与野党別で申し上げますと、与党の質疑時は全体で七万一千四百八十一文字となり、うち質疑が三万五千七百九十八文字で五〇・〇八%、答弁が三万五千六百八十三文字で四九・九二%。また、野党の質疑時につきましては、全体で二十万二千百五十五文字となりまして、うち質疑が七万七千百五十三文字で三八・一七%、答弁が十二万五千二文字で六一・八三%でございます。  以上でございます。
  137. 津村啓介

    ○津村分科員 最初の衆議院事務総長、岡田事務総長への御質問への答弁で、質疑の前々日の正午までに委員会開会日時が決まっていないケースが約四分の一あるということでありまして、これでは前々日正午までに質問通告というのはしようがないということがあります。  我々としては、与野党を通じてこれは改善を目指していくべきところだと思いますが、二つ目のところも実は大事でありまして、実際に衆議院で申し合わせているわけですから、それが本当に遵守されているのか、どういうふうに実態として運用されているのかというのは、これは衆議院として、事務局として、モニタリングするべきことだと思うんですね。  これは、霞が関の側では内閣官房が勤務実態調査というのをやって、一定の報告を時々出されています。何とかしてこのホワイト化を進めていこう、みんなが働きやすい環境をつくろうという努力を政府サイドがしているにもかかわらず、立法府が、自分たちが申し合わせたことが守られているかどうかということについて記録をしていないというのは、これは怠慢だと思うんですよ。私たちも努力しなければいけないと思いますし、記録を公表するように心がけておりますが、是非事務局としてもその仕組みを考えていただきたいということを申し上げます。  そして、最後に一言だけ。  先ほど御答弁いただきましたけれども、衆参で、野党の質疑時間については質疑者と答弁者の発言時間の比率に極めて大きな差が生じていました。六対三、三対六ということであります。  事務総長、岡田さんに伺いますけれども、議会運営を長年御覧になってきたその御経験から見て、この衆参の違いといったのはどういった背景によるものだと直感的に受け止められますか。これは御経験から、三対七と七対三ですので大変大きな差だと思うんですが、なぜ、衆議院では野党の質問時間に対して答弁が短く、参議院ではその逆なんでしょうか。どう受け止められたでしょうか。
  138. 藤原崇

    藤原主査 岡田事務総長、質問時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
  139. 岡田憲治

    ○岡田事務総長 はい。  お答えいたします。  ちょっとにわかな御質問でございますので、私の立場でお答えすることが適切かどうかもあれでございますけれども、一つには、衆議院と参議院で質問の方式が異なっております。衆議院側は御質問と答弁を含めての質問時間、参議院側は基本的に御質問者の持ち時間ということで計算がされているのだろうというふうに思います。  また、野党の皆さんの御質問につきましては、御質問の中でいろいろと論点、問題点、御自身の御関心事項等を御説明される中で、それに対しての御答弁ということで、やや御質問のお時間の方が長くなるのかなと。これは、済みません、私の私見でございます。  以上でございます。
  140. 津村啓介

    ○津村分科員 国会改革をこれからしっかり進めていく中で、こうした例えば片道方式も含めた質問の形式とか……
  141. 藤原崇

    藤原主査 申合せの時間が過ぎておりますので、協力お願いいたします。
  142. 津村啓介

    ○津村分科員 そういったものがどういうふうに現実の実態に反映されているかというのをしっかり分析していくことというのはとても大事だと思うんです。  今回、四日前の通告で、二日間の字数ですか、確認をしていただきました。大変ありがとうございます。これから、もっと時間がかかっても結構ですが、二日間の予算委員会だけの質疑についてでは必ずしも全貌が見えてこないと思います。委員会ごとといいますか……
  143. 藤原崇

    藤原主査 持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
  144. 津村啓介

    ○津村分科員 衆議院と参議院の違い、その方式の違いについて、これからまた是非分析をしていただきたいと思いますが、お願いできますか。
  145. 藤原崇

    藤原主査 岡田事務総長、一言、簡潔に答弁ください。
  146. 岡田憲治

    ○岡田事務総長 いずれにいたしましても、充実した御審議になるように、私どもも先生方の御指導等をいただきながら、事務に当たってまいりたいと存じます。
  147. 津村啓介

    ○津村分科員 ありがとうございました。
  148. 藤原崇

    藤原主査 これにて津村啓介君の質疑は終了いたしました。  次に、宮崎政久君。
  149. 宮崎政久

    宮崎分科員 自由民主党の宮崎政久です。  今日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。  今日は、私の地元沖縄県における基地負担の実情、また、過重な基地負担の軽減に向けた取組について改めて議論をさせていただき、また、一歩でも前に進めてまいりたいと思っております。今日は、細かい話というよりも少し大きい議論をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  加藤官房長官とは、今日は、沖縄基地負担軽減担当大臣として意見の交換をさせていただきたいと思っております。皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。  二月の七日、沖縄県浦添市の市長選挙が行われました。最大の争点は、那覇軍港、那覇港湾施設代替施設の浦添地先への移設の是非でありました。結果は、移設容認を掲げた現職の松本哲治市長が三選を果たし、これまでの市長選の中で最多の得票を取っての勝利ということになりました。  那覇軍港の移設については、松本市長は、四年前の市長選挙で移設を容認されて、軍港の位置については南側の案ということで公約を立てられて、市民の皆様の理解を得たという経緯を経ております。  しかし、その後の四年間で、日米両政府の協議なども踏まえて、今回の選挙では、南側案を撤回の上、改めて北側案で軍港移設を容認するという立場で選挙に臨まざるを得ませんでした。選挙の期間中、市民の皆さんからは厳しいお声もあったわけでありますけれども、市民の皆様の御理解をいただいて、結果を出させていただいたという次第であります。  よく言う言葉でありますけれども、こういう那覇軍港の移設のような問題、苦渋の決断というものの連続だなというふうに思っております。  地元がこれだけ努力しているのは何でなのか。それは、沖縄県内の過重な基地負担を軽減するためにはお互いに協力し合わないと前に進まないということを我々は理解をしているからだと私は考えています。  もちろん、基地がない方がいい、自分が住んでいるところの先に積極的に基地を誘致したいという人は、沖縄県民に限らず、これは誰もいないと考えています。しかし、自分の住んでいる地域のことはもちろん、沖縄全体のこと、日本の国のこと、私たちの国を取り巻く安全保障環境のこと、日米の関係、将来のまちづくりや例えば命の大切さ、もう挙げたら切りがないほど様々な事情を総合して、またさらには、今日という日を迎える日までの経緯だとか歴史とかこういったものも踏まえて、現実を踏まえて、もちろん理想も捨てることなく、しっかり考え抜いた結果が今回の選挙の結果になっていると私は考えています。  こういう基地とか安全保障という、いわゆるセンシティブなことが争点になる選挙は、選挙を戦う人もそうなんですが、そこに関わって意思を表示する市民の皆さんにも大変な御苦労があるわけでありまして、いずれについてもいろいろな意味での苦渋の決断がそこにはあるんだなというふうに思っております。  沖縄では、これだけ難しい問題に直面をしながらも、現実を踏まえた判断を続けている。将来のまちづくりもしっかりやっていきたい、こういった思いでいるということを是非政府には理解していただきたい。これは本音でそう思っています。  そこで、加藤大臣にお伺いしたいと思います。  沖縄の基地負担を軽減するという職務を担われて、実際に沖縄に足も運んでくださっており、地元でも話も聞いていただいております。御就任の直後には、浦添市の、今話題にしました西海岸、キャンプ・キンザーも御視察をいただいているところでありまして、本当にありがとうございます。  その上で、政府として、これからの沖縄の基地負担の軽減のための施策をどう進めていかれる所存であるのか。私たちとしては、少しでも早く県内全体の基地負担の軽減は進めていきたい、その上で、すばらしい、次の時代につながっていくまちづくりをきっちりとやっていきたい、そういう思いであります。そのためには、浦添市への那覇軍港の移設についても、できるところからでも着手をしていくべきだ、そんな思いでもあります。加藤大臣のお考えを聞かせていただきたいと思っています。
  150. 加藤勝信

    ○加藤国務大臣 今委員の御質問の中にもございましたけれども、米軍那覇港湾施設の移設先として、昨年八月、松本浦添市長が、苦渋の決断であるが代替施設の配置について北側案を受け入れると発言をされたところで、決断をしていただいたわけであります。浦添市長として大変重たい判断をされたものと認識をしており、また、こうした判断を含めて、日頃から米軍基地に関する課題に対して精力的に取り組んでいただいていることに敬意を表させていただきたいと思います。  政府としては、那覇港湾施設の移設に向けて、民港の港湾計画と並行して、代替施設の配置に係る技術的な検討を実施をしているところであります。那覇港湾施設の移設を着実に進めるためにも、民港の港湾計画に関する地元における検討が進むことを期待をしておるところであります。  また、昨年十月、私も、沖縄県を訪問し、浦添市を訪れ、市長からも港湾の移設先の話を含めて御説明をいただきましたが、その際に、米軍牧港補給地区についても、その現状、跡地利用計画について御説明を受け、早期返還についての御要望もいただいたところでございます。  計画に基づき牧港補給地区が返還された後に、その跡地の有効的な活用を図っていくことが、浦添市の振興にも大きく寄与するものと認識をしております。  政府としては、市長を始め地元の皆さんの思いあるいはお考え、これを真摯に受け止めながら、那覇港湾施設や牧港補給地区を含む沖縄の米軍施設の返還に向けて引き続き全力で取り組んでいきたいというふうに思いますし、まさに目に見える形で進めさせていただきたいと思います。
  151. 宮崎政久

    宮崎分科員 大臣、ありがとうございます。  目に見える形で進めていただくことが、私たち県民にとっても、また地域の人間にとっても、非常に大きなことになります。これからもそういったお取組を是非お願いしたいと思っています。  実はもう一点、ちょっと大きい問題について触れていきたいと思っています。  沖縄の過重な基地負担の軽減を図るための工程表としては、一九九六年、平成八年の沖縄に関する特別行動委員会、SACOの最終報告、そして、在日米軍の再編、特に、日米両政府で合意をされた返還スケジュールを明記した平成二十五年四月の統合計画があります。  過重な基地負担の軽減で象徴ともいうべきは、普天間飛行場の返還であります。そもそも、平成八年のSACO合意の原点になったのは、住宅密集地のど真ん中にあって、万が一事故が発生すると人命を失うおそれが強い普天間飛行場の早期の危険性除去、この一点であると言っていいわけであります。  宜野湾市の松川正則市長は、令和元年六月、宜野湾市民のことを真っ先に考えると現状では辺野古移設について容認せざるを得ないと表明されています。宜野湾市議会も、令和元年九月に、「普天間飛行場の一日も早い危険性除去のため、同飛行場の米軍基地キャンプ・シュワブ辺野古崎への移設・統合を進めるべきである。」と意見書を可決しておられます。  私も、松川市長の見解、また宜野湾市議会の意見と同じ思いでありまして、これを支持するものであります。  普天間飛行場の返還には本当に一刻の猶予もない、これは全ての人に共通した認識だと思っています。だからこそ、実は私は、政治の世界に入ってから一貫して、普天間飛行場の返還には最も早くて最も確実な方法を選択するべきだとずっと申しています。  初めて選挙に出たときは、当時は民主党政権でした。そのため、それまでの議論の経緯も踏まえて、最も早くて最も確実な方法であれば、その当時は、県外移設でも構わない、そういう主張もいたしました。  しかし、自ら、国会議員にしていただきまして、自民党が政権に復帰をして、政府の中で、また自由民主党の中で、また米国の関係者とはワシントンや東京や沖縄で直接会って協議をしてみて、様々な政策議論をしてみて、やはり日米両政府のこの政策、辺野古移設によって普天間飛行場の返還を実現するという政策が確固たるものであるということの確認もできました。  その結果、私自身も、辺野古移設を排除するものではないとして、辺野古移設を改めて容認するということにいたしました。  私自身、普天間飛行場の返還には、一貫して、最も早くて最も確実な方法を常に選択し続けているという自負ももちろんあります。でも、このとき、公約に反したという御批判を受けました。このことは今でも重く重く心でしっかり受け止めているものであります。  一刻も早い普天間飛行場の返還を実現する、これは私の使命だと自ら思っています。考えるべきは、普天間飛行場の危険性の除去を具体的に実現するということなんです。  実は、沖縄が本土に復帰をしてから、来年で五十年になります。半世紀です。そして、今年は、あの橋本・モンデール会談が行われて、SACOの最終報告がなされてから二十五年、もう四半世紀になるんです。私は、沖縄の過重な基地負担を軽減する問題は、私たちよりも次の世代に引き渡してはいけない、引き継がせてはいけない、本当にそう思っています。とりわけ、その象徴である普天間飛行場の返還は、我々の時代で責任を持って実現をしなければいけないと決意しています。  県内にも県外にも、歴史も踏まえて、特に県内は非常に様々な意見があることは十分に承知をしています。もっと言えば、私自身が何でもできるスーパーマンみたいな存在じゃないということも本当に十分によく分かっています。  ただ、基地の過重な負担の軽減、特に普天間飛行場の返還は必ず実現する、解決すると固く誓っていますので、一歩でも前に進めるんだという決意で、日頃、地元でも、意見が違うとおっしゃる方との間でも、膝を交えて正直に言葉を交わし合うようにし続けています。  沖縄には、今申し上げたとおり、過重な基地負担という問題があるんです。この問題を解決するためには、具体的に解決策を示して行動しなければ問題は解決しないんです。  でも、難しい問題に対して完璧な解決策を提示するというのは簡単なことではありません。そうすると、示した解決策が、でも、更にここが問題じゃないかとか、それも問題じゃないかとか、あの部分についても問題ではないかという議論が起きて、問題が問題であり続けることの繰り返しで、結果として、何もしない、何もできない、前に進まないということになるんじゃないか、私はこのことを一番危惧しています。  解決策で具体的に行動して、少しでも問題を小さくしていって、少しでも改善していくべきではないか、そう思っています。そして、まだ残る問題があるでしょう。でも、それは恐らく、前の問題よりも少し小さくなって残された問題と言うべきことなのかもしれません。残った問題があれば、そこに更に解決策を施していく、そしてまた解決策を施していく、その繰り返しが大きな問題を解決していく手順だと思っています。  だから、私は、この沖縄の過重な基地負担の軽減という問題に対しては、段階的な基地負担の軽減を進めていく、そして問題を一つずつ解決していく、これしかないと思っておりまして、それに真摯に取り組んでいきたいと思っています。私たちの時代でこの沖縄における過重な基地負担の軽減という問題を解決をして、次の世代にはもう絶対に引き継がせない。だから、具体的な解決策について私は地元でも国政の場でも行動をしている、そんな思いであります。  沖縄の過重な基地負担の象徴とも言えるこの普天間飛行場の返還には一刻の猶予もない、この取組に遅れがあってはならないと思っています。政府の取組の状況、見解について、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  152. 大西宏幸

    大西大臣政務官 どうも失礼いたします。  宮崎委員の御指摘どおり、普天間飛行場をめぐる問題の原点は、住宅や学校で囲まれ、世界で最も危険と言われている普天間基地の危険性を一日も早く除去することでございます。普天間基地の固定化は絶対に避けなければならない、これは政府と地元の皆さんの共通の認識であると思います。  委員が言及されました松川宜野湾市長の辺野古移設を容認せざるを得ない旨の御発言や、宜野湾市議会における普天間飛行場の辺野古への移設促進を求める意見書可決については、こうした思いを踏まえたものであると受け止めております。  その上で、これまで米国政府との間で累次にわたり確認してきておりまして、日米同盟の抑止力の維持と普天間基地飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策である、この方針に基づいて着実に工事を進めていくことこそが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながります。  防衛省といたしましては、今後とも、地元の皆様の御理解を得る努力を続けながら、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、辺野古移設に向けた工事を着実に進めてまいります。  以上です。
  153. 宮崎政久

    宮崎分科員 官房長官、ありがとうございました。大きな議論はここまででございますので、御退席いただいて結構でございます。  大西政務官、ありがとうございます。やはり、我々地元の思いがあります。我々は、我々というか私の見解かもしれない、最も早くて最も確実な方法でこれを解決したいと思っております。是非、大きなお力を発揮していただきたいと思っておりますので、また、地元の様々な声があります、耳を傾けていただきたいと思っているところです。  この基地負担の軽減ということを今日議論しているんですが、大事なことがちょっとありまして、返還の先ということも考えないといけないと思っています。返還跡地の活用という問題であります。  返還される基地や施設の跡地というのはいずれも一等地でありまして、ここに沖縄の将来、未来がありますし、もとより、我が国の明るい将来像をここにつくっていくという使命もあると思っています。  民有地である部分について地権者の方の意向が尊重されるべきことは、もちろんこれは当然のことであります。その上で、沖縄の将来や我が国の未来に向かって、この返還される広大な土地をどう活用するかということを考えるべきであります。  歴史もあるわけであります。返還の日を迎えることなく命を閉じられた多くの先人の皆様の思いも併せて、全ての時間を取り戻すぐらいの決意で未来づくりをしていかないといけないと私は思っています。  実は、今出ました浦添市でありますけれども、返還されるキャンプ・キンザーの跡地を最先端のデジタルシティーにしようという構想を掲げております。ここで言う最先端は世界最先端と言うべきでありまして、那覇空港から僅か十分程度のところに、既に現在においても周辺人口が五十万人を超える場所に二百七十ヘクタールもの広大な一団の土地があるわけであります。自然環境とも調和をして、西海岸とも一体的な活用を考えて、リゾートを形成して、最先端の町をつくっていく。地元でも、わくわくするような将来構想ということで大きな期待をいただいているところです。  その象徴として、本年九月にも発足するデジタル庁を浦添に誘致したい、今回の選挙でも改めてこういうことを打ち上げさせていただきました。東京への一極集中を打破するという意味で、沖縄に限らず日本全体に貢献するという意義もあります。  文化庁を京都に移転する際の議論からしても、様々な方法があり得るところでありまして、いずれにしても、デジタルを所管する国の機関が沖縄に足を置くということの象徴的な意義は大きいと思っています。デジタル庁の様々な機能を浦添市に担わせてもらって、将来のデジタルシティーに向かっていきたいと、地元では夢の広がるところであります。  政府の受け止めをお聞かせいただきたいと思います。
  154. 藤井比早之

    ○藤井副大臣 宮崎委員の御指摘の、世界最先端のデジタルシティーを目指して取り組まれていくということは、大変意義のあることだと認識をしております。  本年九月の設置を目指しているデジタル庁につきましては、先日、設置法案を国会に提出させていただいたところでございます。  他省庁と同様に、国会や他省庁との高度な調整等を要する業務を始め、各種の任務を担うこととされております。  そういった組織の役割を最大限発揮する観点などを踏まえて、その設置場所の在り方については検討を進めたいというふうに考えております。  また、デジタル改革の推進に当たりましては、地方公共団体の現場職員とオンライン上で意見交換を行うページを構築するなど、地方公共団体のお話もしっかりと伺っていくこととしておるところでございます。浦添市のように先行的な取組を講じられる地方公共団体とは、我々としてもよく連携をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、沖縄担当でもございますので、沖縄政策として申し述べさせていただきますと、今後、沖縄においては、在日米軍施設・区域に関する統合計画によりまして約千ヘクタールに及ぶ土地の返還が予定されており、牧港補給地区、キャンプ・キンザーなど大規模な基地跡地の利用は沖縄全体の振興における重要な課題であると認識をしております。  政府といたしましては、跡地利用計画を検討する地元市町村への支援など、引き続き跡地利用の推進に取り組んでまいります。
  155. 宮崎政久

    宮崎分科員 藤井副大臣、ありがとうございます。  まさに、沖縄振興という側面からしましても、二百七十ヘクタールのキャンプ・キンザーの跡地、西海岸と一体でこれから活用を考えます。普天間飛行場は四百八十ヘクタールございます。こういったところを、沖縄の将来そして日本全体、よく沖縄振興のキーワードで、沖縄が日本のフロントランナーになるという言葉を使いますけれども、名実共にそうなっていくように我々も努力してまいりたいと思っておりますので、御支援のほどよろしくお願いいたします。  同じく、基地返還跡地の件、もう一つ聞かせていただきます。これは西普天間住宅地区跡地の件であります。  基地返還跡地の活用に関するモデルケースにするんだということで、返還をされた当時の安倍総理大臣、菅官房長官にリードをしていただきました。ここには、琉球大学医学部と附属病院の移転が進められておりまして、地元としても非常に歓迎をし、感謝をしているところでございます。  ただ、この琉球大学医学部附属病院の設計がされたのは、もちろん、当然ですけれども数年前のことでありまして、当時、新型コロナウイルスがここまで蔓延するとは想定されてはいなかったと思います。感染症の対応に万全を期した、これからの時代に対応する病院として開院することが求められていることは当然でありますから、必要とあらば設計変更をしてでもこれに対応をするべきだと思いますし、感染症への対応をするために別建物が必要だということになるのであれば、建築し直してでもこういったことに対応できなければ、ある意味、これからできるものが感染対応ができなければもったいないという話にもなりかねないわけであります。  実は、昨年の十月に萩生田文部科学大臣に琉球大学及びこの現地を視察していただきました。大臣自らもこういった御指摘があり、適切に対応するようにという指示がその場でも出されたことを承知しております。  琉球大学が中心になりましてその後の検討が進んでいるということの報告はいただいているところでありますが、私は、この点、必要とあらば新しい建物も建てることは必要ではないかというふうに考えておりますけれども、政府の今の時点での検討の状況を教えていただきたいと思います。
  156. 笠原隆

    ○笠原政府参考人 先生の方から、琉球大学の施設整備につきましてお尋ねがございました。  西普天間住宅地区跡地におきましては、沖縄の国際性、離島の特性を踏まえた沖縄健康医療拠点を形成するため、琉球大学医学部及び附属病院の移転事業を進めてございます。  本事業につきましては、委員御指摘のとおり、昨年十月の視察時におきまして、文部科学大臣から、琉球大学に対し、新たな感染対策対応した計画へ見直すことについて提案がございました。これを受けまして、琉球大学におきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、移転後の施設について、陰圧対応の手術室を増設するなどの新病院の設計変更に加えまして、感染症研究強化に資する実験室ですとか、先生御指摘のございました感染対策のための新たな施設につきましても計画をしていると承知をしてございます。  文部科学省といたしましても、沖縄健康医療拠点にふさわしい機能を確保できるよう、しっかりと支援をしてまいります。
  157. 宮崎政久

    宮崎分科員 ありがとうございます。  新たな施設を検討していると。必要であれば新たな建物をしっかり建てていただくことが必要だというふうに思います。  元々、感染症蔓延までは全部が検討の対象にはない時代に、これは別に誰にも、要するに不備があったわけではないと思います。そういう時代に設計されたものでありますから、新しい建物をしっかり造っていただいて対応していただきたいと思っております。  地元の人間としてもそういったものがあると安心でありますし、また、そこに完成していく途中のプロセスでも、そういったことに向けての工事をしっかりやっていただくということは地元にとっても大切なことでありますので、この建物について期待を申し上げたいと思っております。  最後になりますけれども、防音工事の件、一つお伺いしたいと思っております。  実は、沖縄県内では、米軍の関係者や軍属の方とか、例えばシビリアンの方とか、もっと言えば、科学技術大学院大学の、OISTの関係者の方とか、様々な外国籍の方が生活をされておられまして、現在九つのインターナショナルスクールがあるというふうに聞いております。  沖縄に所在するインターナショナルスクールの中には、当然、米軍基地の周辺に所在することもありまして、米軍基地の周辺に所在すれば、航空機騒音などに悩まされている、防音工事をしなければ授業もままならないという意味では、公立学校や私立学校と変わりがないという点があります。  ですから、こういったところにも公費での防音工事を行ってもらいたいと地元で要望がありますし、私もそう思います。  ただ、いつものように、防音工事で助成できるのはどういうところかというと、これはいわゆる一条校や専修学校というところに法律で限られておりまして、インターナショナルスクールは各種学校に区分されておりますので、現状、今、法律、政令では対象にはなっていないというところであります。  確かに、日本人の子弟であれば、公立学校や私立学校に通学することは建前としては可能ではあるんですけれども、公立学校に通学できないようになってしまった事情を抱えている児童生徒さんがいらっしゃって、こういう方がインターナショナルスクールで受皿になっていただいているということも事実であります。また、様々な考え方から学びの場として活用されているという意味でいえば、公立、私立の学校と変わるところがございません。  憲法八十九条の私学助成との関係がありますので、学校法人になっているインターナショナルスクールを前提としてもちろん議論しなければいけないわけでありますけれども、一定の要件を付して、インターナショナルスクールであったとしても、一条校であるとか専修学校に準じるような基準を持って、これを充足するようなところには公費での防音工事を認めてほしい、こういう考えもあります。政府の御見解をお聞きしたいと思います。
  158. 鈴木敦夫

    鈴木政府参考人 防衛省におきましては、従来から、環境整備法の規定に基づきまして、防衛施設周辺に所在する学校や病院等の防音工事に対して助成を行っているところでございます。  また、防音工事の対象施設は、この法律第三条第二項及び同法施行令第七条第一号におきまして、学校教育法第一条に規定する学校や学校教育法百二十四条に規定する専修学校とされております。  その上で、御指摘のいわゆるインターナショナルスクールにつきましては、学校教育法第一条の学校に該当するもの、それから同法百三十四条の各種学校の認可を受けているもの、それからもう一つ目は、いずれの許可も受けていない無認可の教育施設が存在しているというふうに承知してございます。  このうち、学校教育法第一条の学校に該当するものにつきましては当然防音工事の対象となりますが、このほかの各種学校ですとか無認可の教育施設については対象となっておりません。  防衛省といたしましては、地域住民の方々に対して防衛施設の運用による御負担をおかけしていることについては十分認識しているところでございます。  しかしながら、特に静穏を要する施設のうち、国民生活の基本である教育に重大な影響を及ぼす施設に対して助成を行うことを目的としている現行制度上、学校教育法第一条の学校に当たらないインターナショナルスクールが防音工事の対象となっていないことについては御理解願いたいと思っております。  ただ、今回委員から御指摘を受けましたこの学校法、こうしたものは、学校法等を所管する文部科学省とも緊密に連携の上、今後とも、地域の皆様の御意見を十分に伺いながら、厳しい財政状況を踏まえつつ、防音対策事業に防衛省としても取り組んでまいりたいと考えてございます。
  159. 宮崎政久

    宮崎分科員 一つ一つ取り組んでいただくことが重要だと思っております。地域の声を聞いていただいてその課題を一つ一つ解決をしていく、そのプロセスが、今、防音工事の件についても出たと思っております。  今日は沖縄の基地負担の軽減について少し大きな議論をさせていただきました。繰り返しになりますけれども、SACOの最終報告から四半世紀になるんですね。私は、この問題、今の時代を生きている人間として、私たちの時代で絶対に解決をしなければいけないと思っています。この基地負担の軽減、これを我々の時代で解決をして次の時代には引き継がせない、その決意で政治に臨んでいる。  そのためには、問題を解決していくために一つ一つやるしかない。最適の解がすぐ出てくるわけではない。そのために一つ一つ取り組んでいって、順々に解決をしていく、そんな取組を皆さんと一緒にこれからもしっかりやっていきたい。政府と一緒になって、一緒にやっていきたい。厳しいことも申し上げます。厳しいことも申し上げるけれども、でも、この決意の下で、やはり我々の時代で解決しましょうよ。そういう思いで今日は質問に立たせていただきました。  これからも様々意見交換をさせていただくと思いますが、どうぞ、心を一つにして、沖縄のこと、またよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  160. 藤原崇

    藤原主査 これにて宮崎政久君の質疑は終了いたしました。  午後一時から本分科会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  161. 藤原崇

    藤原主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  復興庁所管について審査を進めます。  質疑の申出がありますので、これを許します。上杉謙太郎君。
  162. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。福島三区の自民党の上杉謙太郎でございます。  分科会での質問の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。  この分科会では、復興庁に関する、福島の復興に関して御質問をさせていただきたいというふうに思います。といいますのも、あと二週間で三・一一東日本大震災から十年の節目ということになります。そして、ずっと私ども、東日本大震災復興加速化本部、そして復興委員会、大臣始め、いろいろと福島の復興のために共に尽力させていただいてまいりました。そういった中で、今日は、この節目に当たって、まだ福島県の復興については課題は多々残されておりますし、来年度の予算も含めまして質問をさせていただきたいというふうに思っております。  また、先日、福島沖で大きな地震がございました。福島、宮城を中心に震度六の地震があり、様々に被害が出ているところであります。福島県におきましても、お一人の方がお亡くなりになったというニュースもありました。  本当に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  政府の方でも、今回の災害に対して、本当に身に余る、心温まる御支援をいただきました。そろそろ、災害の様々なメニューが出始まったところであります。御対応に感謝を申し上げたいというふうに思います。  では、早速、大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  平沢大臣におかれましては、就任以降ずっと、福島県に足を運んでくださったりですとか、様々に御理解をいただいてきたことに、改めて感謝を申し上げたいというふうに思います。  十年、そして十一年目を迎えるに当たって、いま一度、改めて、大臣の今後の復興に向けての意気込みをまずはお聞かせいただけたらありがたいというふうに思います。
  163. 平沢勝栄

    ○平沢国務大臣 委員御指摘のとおり、十年がたったわけでございます。  直後に、私、福島、宮城等を回らせていただきましたけれども、あのときは、全く、もう全て廃墟に化していたという感じでございまして、これは復興するのに相当の時間がかかるなという感じを持っていたんです。  今、ちょうど十年になったところですけれども、十年目の今、被災地は大きく立ち直っておりまして、例えば、福島も、宮城、そして岩手の沿岸部をずっと見てきましたけれども、もう完全に見違えるように生まれ変わっているわけでございまして、これも被災地の皆さん方の大変な御尽力があることはもちろんですけれども、同時に、全国の、世界の皆さんの応援、そして関係者の皆さんの大変な御尽力、いろいろなものがありまして見事に立ち直ったわけでございまして、復興を応援してくださった皆さん方、御尽力くださった皆さん方に、心からお礼を申し上げたいと思います。  しかし、まだまだこれからでございまして、二つに分けなきゃならないと思うんですけれども、まず、地震と津波の被災地域ですね。  これについて言えば、ハードの面はかなりでき上がった、いわば総仕上げの段階に来ているということが言えると思うんです。しかし、問題がないかといえば、まだいろいろと問題があるわけでございまして、とりわけ被災者支援でいいますと、被災者の心のケアというか、心の問題、これが大きな問題として今言われているわけでございまして、こうしたことも含めてしっかりと取り組んでいかなければいけないなと思います。  それから、福島であれしますと、これに原子力災害の被災地域ということにもなるわけでございまして、この問題はもうまさにこれからの問題でございまして、十年たって問題が解決したかというと、全く解決していないと言わざるを得ないわけでございまして、私たちの責任は極めて重いなと思っております。  この原子力災害被災地域でいえば、住民の帰還環境の整備とか、あるいは、人口がとりわけ大きく減っているわけですので、今後は移住、定住の促進、これをしっかりやっていかなきゃなりませんし、また、福島は原発ということで、大変なうわさというか根拠のないルーマーを流されていろいろな差別をされているところもありますので、こういった悪い風評の払拭に向けた国内外の情報発信等々、やることがたくさんありますので、こうした新たな課題やそういった多様なニーズに対応しつつ、本格的な復興再生に向けてしっかり取り組んでいきたいということで考えております。  いずれにしましても、今まで現場主義でやってきましたけれども、今後とも現場主義で、とりわけ、復興庁の場合は職員を半分は現地に置いておりますので、現地の皆さんの御意見、御要望等をしっかりと酌み取り、それを踏まえながら、これからも被災地の皆さん方に寄り添った施策を推進していきたいということで考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  164. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 大臣、ありがとうございました。  ただ、十一年目以降も、今大臣おっしゃっていただいたような課題が多々残っております。心のケアを始めとした被災者支援もそうでありますし、そもそもの原発廃炉、そして処理水の問題、また風評もそうでありますし、リスクコミュニケーション戦略。また、移住で来てもらわないといけないですし、営農も再開しないといけない。また、ちょうど昨日、復興庁さんの下にある有識者の会議で私どもの内堀知事始め現地とオンラインでやっていただいて、被災十二市町村の将来像に関する有識者会議も行われたと聞いております。  そういった中で、単なる復興、単なるといいますか、復興と今までは使っていましたけれども、やはりそれより踏み込んで、創造的復興という形で、復興というのは、多分、恐らく被災した皆様一人一人、復興のゴール地点というのは違うのかもしれませんけれども、私たち国に携わる者、そして県、自治体に携わる者が、何かしら一定の、復興からもっと先にある創造的な、また、将来、二、三十年を見据えた復興というのを考えていくべきであると思いますし、昨日そういった議論がされたというふうに聞いておりますし、我々もそういった意見を踏まえて、創造的な復興を十一年目以降もしていかなければならないというふうに思っております。  是非、大臣のリーダーシップの下、進めていっていただきたいというふうに思います。  ちょっと原発の話をしましたけれども、先日、本院の予算委員会の方で質問をさせていただきましたが、この前、福島県沖地震があって、東電の方で燃料プールから水が漏れたということを指摘させていただきましたけれども、経産省の方で、しっかりと東電側に、チェック体制でやっていくという話でありました。実際に今までも細かくやってくださっていたのでよかったんですけれども、先日の報道で、また地震計が、そもそも故障して、放置していたという報道もありましたので、しっかりと経産省さんにはやっていただきたいですし、復興庁さんとしても、しっかりと東電の方に厳しく指導をしていただきたいというふうに思います。  以上、苦言を申し上げておきたいというふうに思います。  さて、次の質問でありますが、復興に当たって、福島県は農林水産が盛んな地域でありますので、風評に関してでありますけれども、風評の中の、風評は国内の風評と、国外、海外の風評とありますけれども、しかしながら、今、輸入規制をしている国が随分政府の努力で減ってまいりました。もう十五か国を残すのみということになってきましたが、一方で、農水省さんの方では五兆円の輸出目標を掲げてやってくださっております。  そういった意味では、福島県産品がしっかりと他都道府県産品と同様に海外に打って出ていけるように、まずは、この輸入規制の解除をしっかりと、またもっと積極的に進めていっていただきたいというふうに考えておりますけれども、今日は農水省さんにもお越しいただいていますので、御答弁いただけますでしょうか。
  165. 道野英司

    道野政府参考人 諸外国における、原発事故による我が国の食品に対する輸入規制の撤廃につきましては、政府の最重要課題の一つとして、農林水産物・食品輸出本部の下、働きかけを行ってまいりました。  その結果、今先生御指摘あったとおり、原発事故後に輸入規制を導入した五十四の国、地域のうち、現在までに三十九の国が規制を撤廃いたしました。来月には、震災から十年目の節目を迎えます。この節目に向けて、世界的な新型コロナ拡大状況にあっても、相手国の事情に応じまして、在外公館を通じ、またテレビや電話による会議等を活用しながら、様々なレベルで規制撤廃に向けた働きかけを行っており、今年度はこれまでに五か国が撤廃をいたしました。  全ての輸入規制が一日も早く撤廃されるよう、引き続き、積極的かつ粘り強く働きかけを行っていきたいと考えております。
  166. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。外務省さんとも連携をして、是非引き続き、よろしくお願いしたいというふうに思います。  輸入規制を撤廃していくということと、先ほどちょっと申し上げましたが、福島県産品が、米でも和牛にしても、他県産品とこう、何というんですか、風評という問題がありますから、競争力が下がらないようにしていかなければならないというふうに思っています。  農水省さんの方の施策では、今度、輸出に向けた米に対して補助を出すですとか、いろいろとこれから施策がどんどん進んでいくというふうに思います。是非、福島県産品に対しても、不利とならないようにお願いをしたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  167. 道野英司

    道野政府参考人 原発事故による風評の払拭につきましては、極めて重要な課題と認識をしております。  このため、農林水産省では、平成二十三年四月以来、「食べて応援しよう!」のキャッチフレーズの下、東日本大震災の被災地産食品の販売フェアや社内食堂等での積極的な利用の運動を継続して展開しております。  さらに、福島県が県内生産者等と連携して取り組む第三者認証GAPや水産エコラベルの取得促進、農林水産物の放射性物質検査の推進、流通実態調査の実施や販売促進に向けた取組など、生産から流通、販売に至るまでの総合的な支援を行うとともに、流通事業者や消費者に対して、福島県産の食品の安全性や魅力に関する情報を幅広く発信しております。  また、海外に向けましても、引き続き、在外公館による情報発信の強化や、ジェトロによる福島県産を含む日本産農林水産物、食品のオンライン商談会の実施等の支援を行っているところです。  今後とも、風評払拭に向けて、関係省庁と連携し、政府一丸となって取り組んでまいります。
  168. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。  また、輸出に当たっては、恐らく、米も国内の需要がこれだけ少なくなっていって、毎年十万トンずつ下がっている。しかも、コロナがあってより一層追い打ちになっているわけでありますから、アジアを始め、世界に対してもう活路を見出すしかないというふうに思うんですよね。  そういったときに、中国を始めとして、中国だと米だったら薫蒸施設が必要でありますし、和牛の方も、これも前、委員会でやりましたけれども、アメリカの和牛枠が二百トンから六万五千トンに増えているわけでありますから、そういった意味では、いろいろな加工施設なりそういったものが必要になってくる。  全国に必要でありますし、特に地元でもそういう要望も上がってきておりますので、実際に輸出に向けていろいろと設備を造っていかないといけないというときには、是非とも後押しをしていただいて御支援をいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  169. 道野英司

    道野政府参考人 農林水産物、食品の輸出に当たっては、加工施設が輸出先国の規制やニーズに対応できず、輸出の機会を失うことが多いため、規制やニーズに対応した施設の整備を進めることが重要であります。  このため、令和元年度の食品産業の輸出向けHACCP等対応施設整備事業におきまして、福島県を始め、東北地方の十施設の整備を支援しているところであります。  また、昨年取りまとめました農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略におきまして、輸出先国の規制やニーズに対応したHACCP施設等の整備目標を設定し、計画的な施設整備に向けた支援を行うことといたしました。  令和二年度補正予算及び令和三年度当初予算案におきましても、輸出向けの施設整備のための予算を計上しており、福島県を始めとした東北地方も含め、輸出に対応した施設整備の要望にしっかりと応えてまいります。
  170. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  復興の姿というのは人それぞれ違うというのは冒頭申し上げましたけれども、例えば、米農家さんにしたら、自分たちが作っているお米がしっかりと他県産品の平均価格以上に売れることであるでしょうし、また、輸出等によって自分のお米がもっともっと売れるようになって、もっと作らなきゃいけないというふうになれば、復興よりもっといいことになるわけでありますから、それこそまさに創造的復興であるというふうにも思います。  復興という観点からいえば、そういう意味では、海外に出すということが、復興を世界に知らしめるといいますか、PRすることにもなるわけでありますし、それで福島県産の米にしても牛にしても食べてもらえれば、それ自身が風評払拭になっていくわけでありますから。  また、これは福島県のみならず、日本全体の農業ということを考えたときに、農林水産業を考えたときに、五兆円のみならず、もっとその先の輸出というものを考えていくことが、日本の農業、基でありますから、そういった中で活性化がどんどんしていく、夢のあることだというふうに思っておりますので、福島県のみならず、日本の農業のために、農水省さん、引き続き頑張っていただきたいというふうに思います。  続いて、国内といいますか、マツタケとかキノコ、山菜の件なんですけれども、復興の姿は人それぞれ違うというふうに言いましたけれども、例えば、野生のマツタケを取っている方々にとっては、今、出荷できないという状況が続いています。  これはもう何度も復興委員会の方でやらせてもらっておりますけれども、去年の十二月の復興特別委員会で質問させていただいたときに、非破壊検査装置というものがあって、これが来年度、実用化される見込みだという御回答をいただきました。今、厚労省さんの方で開発をされていて、これが進めば、あとはガイドラインを変えていけば来年度から実用化されるということだというふうに思います。  私の地元の方では、様々なところで、マツタケを始めとした野生のキノコ、山菜というものがあります。原木シイタケもそうであります。そういった方々を救う一つの手だてとして、この非破壊装置、前も説明しましたけれども、壊すことなく、電子レンジのようなものの中に入れて線量を測って、五十ベクレル以下だったらレシートが出てきて、それをもって出荷できるかもしれないということであります。  是非どんどん進めていただきたいというふうに考えておりますが、今日は経産省さんにもお越しをいただいていますので、御答弁いただけますでしょうか。
  171. 萩原崇弘

    ○萩原政府参考人 お答え申し上げます。  まず、食品を破壊せずに食用できる状態のまま検査する非破壊検査につきまして、委員御指摘のとおり、厚生労働省において実用化に向けた検証を行っておりまして、令和二年度の検証の結果、まずはマツタケについて、令和三年秋から実用化できる見込みとの報告を受けております。  この状況を踏まえまして、内閣府の原子力被災者支援チームといたしましては、都道府県が非破壊検査機器の設置などの検査体制を整えた場合には、非破壊検査により基準値を下回ったものについて出荷が認められるように検討したいというふうに考えています。  具体的には、原子力災害対策本部長が定めます出荷制限等の取扱いに関するガイドラインがございますけれども、こちらを本年三月を目途に改正いたしまして、出荷制限条件の見直しを行うことに向けて検討を進めたいというふうに考えております。  加えまして、御指摘いただきました出荷制限解除に当たっての地域の区割りでございますけれども、都道府県が適切に管理できる場合には、行政単位よりも小さい地域、エリア単位での解除をすることも認めることとしたいと考えております。  引き続き、御指導のほどをよろしくお願いいたします。
  172. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  あと、林野庁さんにもお伺いしたいんですけれども、この非破壊検査装置を導入するとすると、量産していかないといけないですし、直売所に置くですとか、各JAの支店レベルで置くですとか、やっていこう、普及を促進していかなければならないというふうに思っているんですけれども、是非やっていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  173. 前島明成

    ○前島政府参考人 お答え申し上げます。  野生キノコ等を対象とした放射性物質の非破壊検査機器につきましては、先生御指摘のとおり、厚生労働省におきまして、現在、実用化に向けた研究開発を行っているところでございます。林野庁、農林水産省では、キノコのサンプルを提供するなど、この研究開発に協力しているところでございます。  引き続き、厚生労働省の研究開発に協力しますとともに、地方自治体からの要望を踏まえまして非破壊検査機器の導入支援を図るなど、安全性が確認された野生キノコなどの出荷促進に取り組んでまいりたいと考えております。
  174. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。  農林水産関係は以上でございまして、次はインフラ等々に関してなんですけれども、防災の視点からもなんですけれども、この十年の節目に、この前、地震が起きたということでありました。  インフラ関係は十年前と比較はできませんけれども、そこまで被災がなかったという中ではありましたが、東北新幹線が止まるということもありました。ただ、東北新幹線については二十本電柱が壊れたということでありましたけれども、それは二十本で済んだというふうに私は評価をしております。震災以降、強靱の名の下、東北新幹線の橋梁にしても電柱にしても、ずっと毎日取替え工事をしてきてくださったからこそ、あれぐらいで済んだんだというふうに思っております。  もう既に開通していて、私も新白河駅からこの東京に来ましたけれども、一応、復旧状況、また、そうはいっても、まだ替えないといけない、強靱化していかないといけないところは多々あるでしょうから、そこら辺の今後の進め方等を御教示いただけますでしょうか。
  175. 江口秀二

    ○江口政府参考人 お答え申し上げます。  東北新幹線では、二月十三日に発生した地震により、電化柱などが被災しまして、一部区間で運転見合せとなっておりましたが、その後、復旧作業が進みまして、二月二十四日始発より全線で運転再開となったところです。  鉄道の耐震補強につきましては、東日本大震災等を踏まえまして、国土交通省では耐震基準を強化するとともに、JR東日本では東北新幹線の高架橋や橋梁などの土木構造物の耐震補強を実施してきたため、今回の地震によって土木構造物に大きな被害は発生しませんでした。  一方、電化柱につきましては、東日本大震災で被災した地区などエリアを決めて重点的に耐震補強が進められ、令和二年度末までに約二千二百か所の補強が完了すると承知しております。  今回の地震では、既に補強された電化柱では被害は発生しておらず、折損した電化柱二十本は、いずれも補強工事が行われていませんでした。  電化柱を含む今後の耐震補強につきましては、今回の施設の被害状況などを踏まえまして、JR東日本に対して、耐震補強の計画に問題がなかったかなど、しっかりと検証するよう指示しているところです。  国土交通省としましても、この検証結果を踏まえまして、必要な対策を検討してまいります。
  176. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いしたいというふうに思います。  また、併せて要望にもなるんですけれども、今、コロナ禍でありますので、人の往来が少なくはなっておりますが、この復興と、その十一年目以降、福島のみならず東北をより発展させていくという点でいえば、しっかり交流人口を増やしていかなければならないですし、産業のなりわいも必要になってくる。そういったときに、鉄道も道路も大事なわけであります。  特に、私の住んでいるのは、新幹線でいいますと新白河という駅に近くて、東北のちょうど玄関口であります。これは地元の方も活性化するようにやらなければならないことは多々あるんですけれども、是非、地元からも強い要望が今まで上がってきている、一つは、新白河駅の扱う終電を一本遅くしていただきたい、本数を増やしていただきたいということですとか、あとは、栃木県の黒磯から私どもの矢吹というところまではまだSuicaが使えないんですよね。DXの時代でありますし、復興の一環でそういったところも是非これから御検討をしていただけたらありがたいというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  177. 江口秀二

    ○江口政府参考人 新幹線などの列車の運行ダイヤの設定につきましては、一義的には、鉄道事業者が路線の利用状況などを勘案しまして適切に設定すべきものと考えております。  一方で、運行ダイヤは、沿線自治体や利用者にとっても関心の高い事項であるため、鉄道事業者において地元の要望なども十分に踏まえながら設定を行っていくことが重要と考えております。  また、委員御指摘のとおり、Suicaの利用範囲は、現在、東北線の黒磯駅までとなっているところです。  ICカードの導入範囲の拡大につきましては、新たな設備の導入等の費用が生じる一方、利用者の利便性向上に資するものでもあることから、JR東日本において利用状況等を考慮して判断するものと承知しております。  国土交通省としましても、いずれにつきましても、鉄道事業者に対し、地元の声をよく踏まえて利便性を確保するよう働きかけてまいりたいと考えております。
  178. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  続いて、道路なんですけれども、鉄道もそうでありますが、道路もそうであります。  東北は、中通り、真ん中を走るところは東北自動車道が通っております。そこを並行するように、国道四号線というのが通っております。地震だけでなく、福島県は、一年半前の十月に台風十九号というのもありましたし、最近では、他の県でありますけれども、豪雪によって通行止めになるという事案も多々発生をしております。災害続きの日本でありますよね。  地震も、台風も、また豪雪も、いろいろな点で人が避難しないといけないという状況が出てきて、そういったときに、道路というのは、やはり、しっかりと避難路として確保しておかなければならない、電車もそうでありますけれども。  そういう意味では、東北新幹線そして東北自動車道のリダンダンシーという観点から、国道四号線、実は、私の区間は、白河市というところから鏡石町というところはまだ片側一車線になっております。  そういったところはしっかりと四車線化していくべきだというふうに思いますし、先日、地震の後、国交大臣のお話で、常磐自動車道も暫定二車線のところを四車線にするという英断もされました。あれは浜通りの方。同様に、今度はこっちの一般道で、中通りでありますけれども、四号線を四車線化、しかも加速度的に。今までずっとやっていただいていて、鏡石区間ももうすぐ、来年度に四車線化しますし、どんどん白河までやっているところではあるんですけれども、ありがたいお話ですが、加速させるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでございましょうか。
  179. 宇野善昌

    ○宇野政府参考人 お答えします。  国道四号は、東北地方と首都圏を結ぶ大動脈であり、地域住民の生活及び経済活動を支える重要な路線ですが、白河市から鏡石町の二車線区間には渋滞等の課題があると認識しております。  このため、国土交通省としては、順次整備を進めており、鏡石拡幅約四・五キロメートルについては来年度内に全線四車線開通予定であり、このほかに、二か所で付加車線設置、一か所で交差点改良の整備を進めているところでございます。  また、矢吹鏡石道路約五キロメートルについては、国土交通省による計画段階評価を経て、今月十二日に福島県において四車線の都市計画決定がなされたところであり、国による早期の事業着手に向けて検討しているところでございます。  残る二車線区間については、国道四号の交通状況等を踏まえ、必要な計画の具体化に取り組んでまいります。
  180. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 ありがとうございます。  自民党福島県連におきましても、根本県連会長を筆頭に、この四車線化はずっと進めていっていただいているものでありますので、震災の多い時期になった今だからこそ、是非ともよろしくお願いをしたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたので、最後、また、平沢大臣にお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、先ほど、創造的復興というお話をさせていただきました。また、人それぞれによって、復興の姿というんですか、ゴール地点は違うというふうなこともお話をさせていただきましたが、そういった創造的復興というところの中で、しかも、今はテクノロジーもすごい発展をしてきておりますし、本当に世の中ががらっと変わってくるんだというふうに思います、デジタル化もしかりでありますし。  そういった中で、十一年目以降、復興庁さんの方でやっていかれる国際教育研究拠点でありますけれども、時間が来てしまいましたので簡単に一点だけ伺いたいと思いますが、どんな分野を研究するかという点では、やはりこの福島で、昭和の産物、昭和の最先端科学であった原子力、その原子力発電所が平成の時代に事故を起こした。今、令和の二十一世紀です。これからもう十年、二十年、三十年で、様々なテクノロジーによって社会は激変するというふうに思います。  そうすると、どうしてこの福島の地で国際教育研究拠点をやるのか。それはやはり、原子力に関すること、また、廃炉に関すること、エネルギーに関することをやるべきだというふうに私は思っております。そのようになってくださっているのでいいんですけれども、是非、この国際教育研究……
  181. 藤原崇

    藤原主査 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
  182. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 はい、承知しました。  では、大臣のリーダーシップの下、この研究拠点を進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  183. 平沢勝栄

    ○平沢国務大臣 福島は、御案内のとおり、地震でいじめられ、それから津波でいじめられ、それだけじゃなくて原発でいじめられ、そしてまた余震でいじめられているわけでございまして、非常に今、皆さんお困りですから、その福島の人たちを元気づけよう、勇気づけよう、頑張ってもらおうということで、今、福島に、イノベーション・コースト構想に基づいていろいろな最先端技術の開発と研究が、ロボットとかそれからドローンとかエネルギーで、行われているわけですけれども、それの総本山といいますか総司令塔として、今度、国際教育研究拠点をつくろうということでございますので、これをつくる以上は福島のプラスになるものじゃなきゃならない。  そして、日本人にプラスになるものじゃなきゃならない。だけじゃなくて、世界にプラスになるものであって、そして世界から高く評価されるものであって、これから世界の人が、福島に行ってみよう、それは何のために行くかというと、そういう教育研究拠点を見たいから行くんだというようなものをつくらなきゃならないということで今検討しているわけで、ともかく、これが早くできて、それで福島の人が元気、勇気づけられるようにしっかり我々は取り組んでいきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  184. 上杉謙太郎

    ○上杉分科員 是非よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  185. 藤原崇

    藤原主査 これにて上杉謙太郎君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  186. 藤原崇

    藤原主査 次に、防衛省所管について審査を進めます。  質疑の申出がありますので、これを許します。山本和嘉子君。
  187. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 立憲民主党の山本和嘉子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきます。  日頃から、地元舞鶴市、そして福知山市の自衛隊の皆様には大変お世話になっております。海上自衛隊の舞鶴地方総監部、そして陸上自衛隊の福知山駐屯地、その御家族も含めて大変お世話になっているというところでございます。  ちょっと今日、パネルをお持ちさせていただいたんですけれども、舞鶴地方隊は、その重要性という意味で、日本海側唯一の海上自衛隊の拠点として、秋田から島根まで海岸線と沖合を担当しているというところでございます。そして、半島有事の事態では、艦艇部隊が日本海に展開しますけれども、その支援は、日本海側唯一の海自拠点である舞鶴地方隊が実施をするというところでございます。  そこで、防衛大臣にお聞きをしたいというふうに思いますけれども、海上自衛隊における舞鶴市の戦略的位置づけ、安全保障上の効果、貢献はどのようなものか、大臣の御認識をお伺いしたいと思います。  それに加えて、昨年、舞鶴市内の造船会社でありますジャパンマリンユナイテッドという会社がありますが、そこの商船の造船事業からの撤退ということになりました。これは、海上自衛隊の艦船修繕事業への特化が発表されたということなんですけれども、地元経済への影響が大変懸念されておりますし、舞鶴市民も大変残念な思いではあります。海上自衛隊の今後のJマリンへの修理などの利用見通し、そこも含めてお聞かせいただければというふうに思います。
  188. 岸信夫

    ○岸国務大臣 ありがとうございます。  今委員の御地元の舞鶴でございますけれども、我々の海上自衛隊にとっても大変重要な、今五つあります地方総監部の一つが所在するところでございます。海上自衛隊にとって重要な拠点でありまして、日本海側で唯一、今お話がございましたけれども、唯一の護衛艦部隊や回転翼哨戒機部隊が配備されている場所ではございます。私も、昨年の十一月に、私自身で舞鶴を訪問しまして、部隊の視察を行ってきたところでございます。  舞鶴地区所在の部隊は、日本海正面を始めとする我が国周辺海域の警戒監視になくてはならない存在でございまして、所属する二隻のイージスシステム搭載の護衛艦、これは「あたご」と「みょうこう」でございますけれども、我が国の弾道ミサイル防衛の重要な一翼を担っております。  また、現在、舞鶴には、お話ございましたジャパンマリンユナイテッドの舞鶴工場がございまして、舞鶴を母港とする自衛隊の艦艇の定期的な検査また修理を担っていただいております。こうした検査、修理については今後も引き続き御対応お願いしたい、このように考えておるところでございます。  このように、舞鶴地区の所在部隊は我が国の防衛、警備に不可欠な存在でございます。部隊を受け入れていただいている地域の皆様に、また自衛隊艦艇の整備を担っていただいているJMUや多数の関連会社の皆様に平素より大変お世話になっておりまして、我々としては大変感謝をしておるところでございますが、引き続き御支援、御協力をいただきたい、こういうふうに思っております。
  189. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 大臣、ありがとうございます。  実際に去年の十一月にも出向いていただいたということも含めて、本当に感謝を申し上げたいと思います。今、Jマリンも含めて激励もいただきまして、本当にありがとうございます。地域の方、本当に頑張っていただいておりますので、自衛隊の方々と共存共栄でしっかり頑張っていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  引き続きまして、福知山駐屯地についてお聞きしたいというふうに思います。  陸上自衛隊福知山駐屯地は、災害派遣区域は、京都の宇治川以北の十市四町、南北百二十キロ、東西百キロと広大な範囲を災害派遣区域に指定していただいているというところなんですけれども、加えて、地域貢献も大変やっていただいておりまして、福知山駐屯地では毎年、献血運動をしていただいておりまして、私が所属する福知山東ライオンズクラブがサポートしているんですが、自衛隊員お一人四百ミリリットル、二百五十人が献血をしていただいて百リットルを毎年目標としていただいているというところで、毎年達成はもちろんしているところなんですけれども、そういった地域貢献もしっかり行っていただいているということを大臣にもお伝えしたいなと思っておりまして。  陸上自衛隊にとって、福知山市の戦略的な位置づけと、安全保障上の効果、貢献はどのように御認識されているか、大臣からお聞かせいただきたいというふうに思います。
  190. 岸信夫

    ○岸国務大臣 陸自の作戦基本部隊であります師団、旅団については、機動性、即応性を高めて全国的に展開して事態に対処する機動師団、旅団のほかに、これらが展開した後の広大な地域の防衛を担ってもらう地域配備師団、旅団がございます。  福知山駐屯地に所在をいたします第七普通科連隊が所属をいたします中部方面隊の第三師団は、今中期防期間中に地域配備師団に改編することとしておりまして、例えば、ゲリラや特殊部隊による攻撃への対応においては、原発等の重要施設の防護を担当することになります。  また、災害派遣においても、平成三十年の七月の豪雨などに対応しておりまして、人命救助等を通じて、この地域の安心、安全の確保に貢献してきておるところです。  このほか、第七普通科連隊の隊員は、平成二十五年に、連隊長を始めとする隊員が南スーダン派遣施設隊へ派遣されるなど、国際平和協力活動の分野でも活躍をしていただいています。  さらに、昨年十一月には、駐屯地創立七十周年を記念したコンサートを実施いたしました。地域方々にも御来場いただくなど、地元福知山市の皆様には、本当に日頃から、部隊の活動に対しまして御理解と御協力をいただいております。  引き続き、皆様の御理解と御協力を得られるようにしっかり取り組んでまいりたいと思います。
  191. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 ありがとうございます。  さっき大臣から御紹介いただいた音楽コンサート、私も出席をさせていただきました。そういった地域貢献もしっかりやっていただいている福知山駐屯地、大臣からも激励をいただいたというふうに思います。本当にありがとうございます。  引き続きまして、自衛隊員が災害派遣などで急遽、長期に家族の元を離れる場合があります。子育てや介護、家族の被災など、不安や懸念を抱える場合があるというふうに思います。自衛隊のある自治体では、昨今、自衛隊員の家族への緊急サポートを、締結を結んで制度化する事例が出始めているというふうに聞いております。地元舞鶴市でも、二〇一七年、海上自衛隊との間で、災害派遣の留守宅に保育士を派遣する支援体制が構築されました。いざというとき助けてくれる自衛隊を、助けられる側、住民、自治体がどうサポートできるか。いわばお互いさまの支援体制の好事例であるというふうに思います。  自衛隊に限らず、警察や消防、救急、海上保安庁など、災害派遣各分野でも業務継続体制強化、これは重要だと思いますけれども、そういうものの観点からも、全国的に横展開をするような、そのような自治体を国が支援すべきだというふうにも思いますけれども、その辺の御見解をお聞かせいただければというふうに思います。
  192. 赤澤亮正

    赤澤大臣 自衛隊は、我が国の独立と平和を守るため、日頃から訓練を重ねていただいて、人命救助を始めとして、災害対応の現場において大きな役割を果たしておられます。加えて、私、現在、山本委員の御質問には防災担当の副大臣としてお答えしておりますが、コロナ担当の副大臣も兼ねております。その立場からいえば、自治体の要請に応えて自衛隊員の中で看護官を派遣していただいたり、コロナ対応でも本当にお世話になっております。そういう意味で、心から感謝をし、この場をかりてお礼を申し上げるとともに、委員御指摘のとおり、自衛隊員の方々が安心して災害対応に従事できる環境づくりをすることは本当に重要なことだというふうに思っています。  陸海空の各部隊において、災害派遣時に駐屯地内の施設に子供を一時預かる取組を進めていることは間違いないんですが、その中で、自治体と協定を締結して、自治体が保育士の派遣などの支援を行っていると承知をしております。委員御指摘のように、舞鶴市でもそのような取組がされていると。  自衛隊のみならず、警察、消防、救急なども災害時に大変大きな役割を果たされております。そうした方々が業務に専念できる環境づくりを進めることは、緊急の災害対応において極めて大事な視点であるというふうに考えます。  各機関の施設や、災害派遣期間などは様々でありまして、防衛省・自衛隊の取組が他分野にそのまま当てはまるか、他機関にそのまま適用できるか、必ずしもそういった場合ばかりではないとは思いますけれども、好事例を各省庁で共有することによって、災害対応に従事される方々に対するサポート意識も高めて、災害対応体制の更なる充実に努めてまいりたいと考えてございます。
  193. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 ありがとうございます。  副大臣からも大事な視点だということもおっしゃっていただいておりますし、自身の家族よりもまず国民を守っていただいている自衛隊の皆様への、是非国としても支援をお願いしたいというところでございます。  引き続きまして、海上保安庁についてお聞きをしたいというふうに思います。  ちょっとパネルをまたお持ちしたんですけれども、我が国の海上保安体制強化については、中国海警法によって、状況が、国内法や国際法に基づく監視、治安維持から安全保障上の重大事案へと急変しかねないというふうに思います。いわば一触即発状態で、大変緊張感がある状況が日常化しているというふうに思っています。  二月六日の未明には、沖縄の尖閣諸島沖の領海内に中国海警局の公船の船が侵入した、海警に武器使用を認める中国の海警法施行後初の侵入だったというふうに報道されています。そんな中、海上保安庁の皆さんは、日々、大変難しい対応を迫られているというふうに思っています。  そんな中、防衛力に関する基本指針である防衛大綱や、五年ごとの具体的な政策や装備調達量を定める中期防衛力整備計画、いわゆる中期防などと緊密に連動して決定するということを考えれば、閣議付議案件への格上げを内閣として検討すべきではないかなというふうに思います。現在の海上保安体制強化に関する方針を一歩進めて、海上保安体制の大綱、海保大綱ですね、海上保安体制中期整備計画、海保中計などが国として必要な時代に入ってきたんじゃないかなというふうに思いますけれども、その辺りの政府の御見解をお聞かせいただければというふうに思います。お願いします。
  194. 朝日健太郎

    ○朝日大臣政務官 御質問ありがとうございます。  お答えをいたします。  海上保安庁の体制強化につきましては、厳しさを増す我が国周辺海域の情勢を踏まえまして、平成二十八年十二月の関係閣僚会議において、海上保安体制強化に関する方針が決定をされたものであり、同方針は、中長期的な期間を見据えて取り組む体制強化の方向性を明らかにしたものであります。  具体的には、体制強化の内容については、同方針を踏まえ、刻々と変化する情勢に機動的に対応するため、毎年年末に、総理大臣、副総理兼財務大臣、官房長官、国土交通大臣、外務大臣防衛大臣などによる関係閣僚会議を開催いたしまして、整備内容や優先順位の精査をした上で決定をしているところでございます。  山本委員御指摘のとおり、我が国周辺海域の情勢は厳しさを増しております。海上保安庁の体制を強化していくことは重要な課題だと考えております。  今後とも、我が国周辺海域の厳しい情勢を確実に見極めまして、海上保安体制の強化を着実に進めてまいりたいと思います。
  195. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 政務官、ありがとうございます。  このパネルにもありますとおり、冷静、毅然と対応を常にしていただいている海上保安庁の皆様に心から敬意を表したいというふうに思いますし、任務は大変重要だというふうにも思いますので、是非そういった方向性も提案をさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。  次は、日本の農業についてお伺いをしたいというふうに思います。  今回、中山間地等直接支払制度の第五期対策より、従来の地域振興八法に加えて、棚田地域振興法が追加されることになりました。  そこでお尋ねしたいというふうに思うんですが、指定棚田地域においてどのような支援が受けられるのかということ。また、済みません、地元のことで恐縮ですけれども、私の選挙区であります京都の北部の指定地域はどこであるか。また、あと、棚田で有名な京丹後市の袖志、あと福知山市の毛原、伊根町の新井というところは指定地域に当たるのかどうか。また、申請要件を満たしているのかどうか、お聞かせいただければというふうに思います。
  196. 吉川赳

    ○吉川大臣政務官 御質問いただきました指定棚田地域に関しまして、まず支援の内容、そしてさらには申請を行うことができるのか、要件ということで伺いましたので、お答え申し上げます。  まず、支援内容に関してでございますが、これは少し、済みません、先生、時間がかかってしまいますので、簡略に答弁いたしますと、総務省、文科省、さらには農林水産省、国交省、環境省、内閣府等でそれぞれ支援がございます。これは各省庁のもの、四十を超えますので、これらの施策、また先生も何らかの形で御確認いただければと思いますが、具体的に幾つか挙げさせていただきますと、農水省の中山間地域等直接支払いや各種基盤整備事業、さらには総務省の地域おこし協力隊、観光庁の地域の観光資源を活用したプロモーション事業等がございます。  これらの施策が十分に活用されるためには予算の周知や相談体制も重要でありますので、各府省の担当職員を、棚田地域コンシェルジュ、これは今約四百五十人ほどおります、選定し、予算の活用方法や各種制度の手続等に幅広く相談や周知活動を行っているところでございますので、それに併せて、指定棚田地域の追加指定については随時、都道府県からの申請を受け付けているところでありますので、是非、先生、挙げていただいた御地元でも、まずは積極的なその申請をしていただければと存じます。  また、この指定要件ということでございましたが、これは、個別に挙げていただきましたが、法律的には、法律上の棚田地域であって、棚田等の保全を図るため、該当棚田地域の振興のための措置を講ずることが適当であると認められ、かつ、当該棚田地域に係る振興活動が円滑かつ確実に実施されると見込まれることとされております。審査の際に、提出書類に併せて確認をするというようなことになっております。  本当に、先生、先ほど挙げていただいた京丹後の袖志であるとか、さらには福知山市の毛原、写真で見させていただきましたが、非常に風光明媚、そして、何となく歴史と人の生活の息吹が感じられるすばらしい棚田地域であると思いますので、是非、関係府省と連携して、政府全体で棚田地域の振興を支援してまいりますので、積極的な活用を御地元に働きかけていただけたらと思います。
  197. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 ありがとうございます。  政務官から今、ホームページも見ていただいたということなんですけれども、袖志と毛原は棚田百選にも選ばれておりまして、また、毛原はオーナー制度とかつくって地域としっかり連携をして、外部の方も入っていただけるような制度づくりもしているというところでございます。日本の原風景と言われる棚田地域をしっかり守るためにも、しっかり農水省さんでもバックアップをお願いしたいところでございます。ありがとうございます。  引き続きまして、農業分野の中山間地域直接支払制度についてお聞きをしたいというふうに思います。  今申しました日本の原風景である農村と、そこで営まれる人々の暮らしや農業を可能な限り未来に引き継ぐために、地域維持の政策面を重視して、制度離脱が起きないように、幅広い参加を促すように、対策期間の短縮や交付単価の大幅引上げなんかもしっかり検討していただくべきではないかなというふうに思いますが、その辺り、お聞かせいただければと思います。
  198. 池田道孝

    池田大臣政務官 先生御心配のように、今、日本の原風景であります農村、とりわけ中山間地域では、非常に厳しい環境がございます。  先ほど御質問の中山間地域等直接支払制度の交付単価につきましては、平地と中山間地域等の生産条件の格差の範囲内で設定をいたしておりますが、令和二年度の第五期対策から、生産性の向上や集落機能の強化のため、加算措置の新設、拡充を図っております。また、五年間の協定期間につきましては、農業生産活動の継続を通じて多面的機能の確保を図るため一定の期間が必要であると考えておりますけれども、第五期対策から、五年間の農業継続ができなくなった場合の交付金の返還を、従来の集落全体から該当する農用地のみに変更するなど、より取り組みやすくなるよう施策を改善してきたところでございます。  日本の原風景であります農村とその人々の暮らしを未来に引き継いでいくという先生の御主張もございます。そうした中で、引き続き、中山間地域等直接支払制度を始めとする地域政策の推進により、農業、農村の維持、活性化を図ってまいります。
  199. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 是非とも、地域を維持していただくということで、そういう観点でよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、最近、地元福知山市で、高齢化、後継者不足から、集落営農の法人化を行って、農地についても、省力化を目指して、国と自治体支援で圃場の大区画化を実施しているというところが多くあります。が、農業リタイア、そして世代交代による不在地主化、さらには相続未登記、相続放棄も重なって、小さな面積ですけれども、圃場中央に利用権切れの国有地が突如出現する事案が発生いたしました。一つの区画だけ国のものになったんです。この圃場の中、本当に僅かなところだけ国有地になったということなんですけれども、この集落では、農地と集落の維持がやはり一番の目標なんです。ほぼ全ての土地は使用貸借されておりまして、今回、原則使用貸借できない国有地ができて、作付するのか、もうこの圃場は今期やめようかなどと非常に困っておられる事案だったわけです。  今後、このような事例は全国的に起こるというふうに私は感じておりまして、農地中間管理機構を始め既存制度のフル活用や、農地の集積、集約化、地方創生なんかを政府は打ち出していただいておりますけれども、何らかの特別制度でこういったことの対応ができないかというふうに思いますけれども、御見解をお聞きしたいと思います。
  200. 池田道孝

    池田大臣政務官 御質問のように、全国では、耕作放棄地あるいは所有不明の農地がどんどん増えてまいっております。農地は農業生産の基盤であり、地域の重要な資源であるため、所有者不明農地の有効利用を図ることは重要であるというふうに考えております。  このために、平成三十年に農業経営基盤強化促進法等を改正して、所有者不明農地につきまして、農業委員会が所有者を探索、公示等した上で、農地中間管理機構へ最大二十年間貸付けできるという仕組みを措置したところでございます。  また、現在、法務省におきまして、所有者不明土地につき、所有者不明土地の発生予防と、既に発生している所有者不明土地の利用の円滑化の両面から、民事基本法制の見直しを検討していると承知をいたしております。  農林水産省といたしましても、法務省と連携し、積極的に所有者不明農地の有効利用を図ってまいりたいと考えております。
  201. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 ありがとうございます。  地域の維持と地域農業をしっかり守っていくという意味で、どうかよろしくお願いしたいというふうに思います。  次に、参議院議員を辞職した河井案里さんの件を引き続き質疑したいというふうに思います。  いわゆる当選無効、給与有効問題というところなんですけれども、今日は総務省さんにも来ていただいているというふうに思いますが、国会議員が自ら行った買収などで公職選挙法違反の有罪確定となった場合、当選の扱いはどうなるのか。また、今回のように有罪確定前に議員辞職したケースではどうなるのか。教えていただきたいと思います。
  202. 阿部知明

    阿部政府参考人 お答えいたします。  公職選挙法第二百五十一条の規定におきまして、当選人が買収罪などを犯し刑に処せられた場合は、その当選人の当選は無効とすることとされております。  同条の規定によりまして当選人の選挙犯罪による当選無効の事由が生じた場合は、原則として、同法第百九条の規定により再選挙を行うこととなり、その選挙期日は、同法第三十三条の二第二項の規定によりまして、その事由が生じた時期に応じまして四月又は十月の第四日曜日とされております。  また、国会議員が辞職し、欠員数が一定数に至ったときは、原則として、同法第百十三条の規定により、先ほど申し上げました選挙期日に補欠選挙を行うこととなりますが、買収等の当選人の選挙犯罪による当選無効に伴う再選挙事由と、辞職に伴う補欠選挙事由が同一期間に併存した場合は、辞職の時期にかかわらず再選挙を行うこととなってございます。  なお、選挙が再選挙として告示されることのほか、公職選挙法上、投開票手続や選挙運動期間など選挙の管理、執行等に関しては、再選挙と補欠選挙のいずれの場合も同様でございます。
  203. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 当選が選挙に遡り無効となった河井氏の歳費や文通費、また、立法事務費や公設秘書の給与など、議席があればこそ支払われた税金、それはそれぞれ幾らか、合計で結構ですけれども。それが返還されたのか。されなかったということですけれども、その理由をお聞かせいただければと思います。
  204. 加賀谷ちひろ

    ○加賀谷参議院参事 お答えいたします。  令和元年七月初当選の参議院議員が二月三日付で退職した場合の歳費、期末手当及び文書通信交通滞在費の総額は、四千九百四十二万六千五百十四円でございます。  立法事務費については、所属議員一人につき月六十五万円の割合をもって算定した金額を会派に対して交付するものとなっておりますところ、令和元年七月初当選の参議院議員が令和二年六月まで会派に所属した場合、当該会派への交付総額は、議員一人につき、十一か月分の七百十五万円でございます。  公設秘書の給与につきましては、個人情報の特定につながりますので、詳細については明らかにできませんが、その総額は三千九百二十万五千三百二円でございます。  また、支給された歳費等を遡って国庫に返納する義務を定める規定はございません。
  205. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 当選がなければ、議席もなく、給与なしが国民にとっては当たり前だというふうに思います。  国のお金が正しく、無駄なく有効に使われているかをチェックする会計検査院、このようにホームページにも書いてありますけれども、このような不適切、不合理な、いわば逃げ得というような事案をしっかり検査していただいて、原因究明を行いまして、是正改善を私は促すべきだというふうに思いますが、どのような御認識か、お聞かせいただければというふうに思います。
  206. 内野正博

    ○内野会計検査院当局者 お答えいたします。  会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づき、国会を含む国の会計経理について、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から常時検査を行っており、毎年、国会に対する会計実地検査を実施するなどしているところでございます。  国会議員の歳費等を含む国会の支出につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  207. 山本和嘉子

    ○山本(和)分科員 今、コロナで大変苦しい思いをしている方々にそういったお金をしっかり回すべきじゃないかなというふうに私は前回の予算委員会でも申し上げたところなんですけれども、ここでもそれを強く訴えたいというふうに思います。是非とも、会計検査院から、是正改善をしっかり、行って、促していっていただきたいというふうに思います。  質疑時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  208. 藤原崇

    藤原主査 これにて山本和嘉子君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  209. 藤原崇

    藤原主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。  内閣府本府について質疑の申出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。
  210. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 自民党の安藤裕でございます。  本日は、質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  坂本大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。  去年から、コロナがもう一年以上に及びまして、日本の様々なところに影響を及ぼしているわけであります。そんな中で、やはり、今、日本の国難と言われております少子化、これにも相当な影響が出ているのではないかというふうに思います。  令和元年の出生数も衝撃的な数字で、八十六万五千人ということでありましたけれども、令和二年、先日速報の出生数が発表になりましたが、八十七万二千人ということでありました。  そして、出生には大変大きな影響がある婚姻数ですけれども、婚姻数も、前年に比べて一二・七%減の五十三万七千組ということで、減少率は一九五〇年以来七十年ぶりの大きさ、大変大きく減少しているということになっております。  こういったことを踏まえて、これからの出生数についての見込み、今、政府としてどのように考えているか、まずお答えをいただきたいと思います。
  211. 嶋田裕光

    ○嶋田政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、先日、厚生労働省の方から公表されました人口動態統計速報によりますと、昨年の一月から十二月の出生数の速報値というのが八十七万二千六百八十三人と過去最低ということで、一昨年と比べましても二・九%の減少となっております。  加えて、新型コロナウイルスの感染症が流行する中で、婚姻件数の速報値も、議員の御指摘のとおりでございますが、一昨年と比較して一二・七%の減少というふうになっております。  また、妊娠の届出数につきましても、特に昨年の五月以降、顕著な減少傾向が見られているところでございます。  先日公表されました数字はあくまでも速報値でございますので、昨年の出生数は今年六月の概数公表に向けて今後精査されていくものと承知をしております。  したがいまして、具体の出生数の今後の見込みにつきましては、ちょっとまだ予断を持って言及することは差し控えさせていただきますけれども、我が国の少子化の進行が深刻さを増していることとか、あるいはまた、新型コロナウイルス感染症の流行が結婚行動や妊娠活動に少なからず影響を及ぼした可能性があるものというふうに受け止めておりまして、今後の推移についてはちょっと危機感を持って注目していきたいというふうに考えているところでございます。     〔主査退席、北村主査代理着席〕
  212. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございます。  まだ、これからの出生数についてはなかなか予断を持って言えないということでありました。しかし、婚姻数が減って、そしてまた経済的な環境が安定しない中で、少子化というものが、なお一層、残念ながら進行してしまうというのは、恐らく今のところは止めようのない現象なのではないかというふうに思います。  それらを踏まえて、これからの少子化対策について今日は議論をしていきたいと思います。  皆さんのお手元に資料をお配りをしておりますが、これは、内閣府で作っています少子化の白書の図表を抜粋したものです。私は、非常にこの白書はよくできていると思っておりまして、この白書のデータを見ていけば、少子化はこういった問題に手をつけていけば解決するのではないか、そういったヒントを非常に強く与えてくれている資料ではないかというふうに思っています。  一枚目は今までの出生数の推移を見ておりますし、そして、二枚目は婚姻件数の推移、これもどんどん減ってきております。そして、三枚目が五十歳時の未婚割合の推移、これもかなり衝撃的な数字になっています。例えば、男性の未婚率、五十歳時の、一度も結婚していない人の割合は、一九七〇年には一・七%であったものが、二〇一五年には二三・四%、実に四人に一人の男性が五十歳までに一度も結婚をしていないという状況です。  そして、もう一枚おめくりいただきますと、平均初婚年齢と出生順のお母さんの平均年齢の年次の推移ですが、女性のところに注目してみると、平均の初婚年齢、一九七五年には、女性の初婚年齢が二十四・七歳、そして、第一子を産む年が二十五・七歳ということであります。これが二〇一八年はどうなっているかというと、女性の初婚年齢は二十九・四歳、そして、初めて子供を産む年齢は三十・七歳ということで、やはり、結婚する年齢が遅くなるとともに、初めて子供を産む年齢も当然ながら遅くなるということです。  そして、次の資料ですが、完結出生児数の推移は、減ってはきているとはいうものの、夫婦の間でお子さんはほぼ二人ぐらいは産んでいるということが見て取れます。二〇一五年でも一・九四人ですから、ほぼ二人のお子さんは一組のカップルから生まれているということが言えます。  そして、先ほど未婚率の推移を見ましたけれども、次の資料ですが、未婚者のうち、いずれ結婚するつもりと答えた者の割合は、男性で八五・七%、女性で八九・三%ということですね。今、結婚するべきだみたいに言うと、結婚するという価値観を押しつけるなみたいなことをおっしゃる方も一定程度いらっしゃるわけですが、しかし、この資料を見ると、いずれ結婚するつもりであると思っている方は九割前後はいらっしゃるということです。  そして、次の資料を見ていただきたいと思いますけれども、独身でいる理由。一番多いのは、男性も女性も、適当な相手に巡り合わないということですけれども、あと必要性を感じないということもありますが、やはり、男性の方を見ると、結婚資金が足りないというのもかなり大きな要因であるということが言えると思います。  そして、次の資料ですが、若者、若年層の非正規雇用割合。これもどんどん増えております。全体で見ても、一九九一年には、これは男性の全年齢合計ですけれども、八・五%非正規がいた。裏を返せば約九〇%は正規雇用であったということですけれども、今、非正規の割合は二二%です。  それから、次の資料、二十代から三十代の所得分布。特に注目してもらいたいのは、三十歳代の所得です。一九九七年の三十代で最も所得で多い階層は五百万から六百九十九万円台、ここが二四%ほどあるわけですね。一九九七年で最も多いのは五百万から七百万円のところにあったということですが、これが二十年たってどうなったかというと、二〇一七年に最も多い所得階層は、何と三百万から三百九十九万円なんですね。実に三十代は、この資料を見たら、貧困化してしまったということがよく分かると思います。  私、この資料をちょっと組み替えてみたんですね。ちょっと組み替えてみて何を見たかというと、年収四百万円以上の人の推移を見てみました。年収四百万円以上の人の推移を見てみると、一九九七年には年収四百万円以上の人が五一・八%いたんですね、三十代で。三十代で五一・八%の人が年収四百万円以上だった。これが二十年たって、二〇一七年はどうなったかというと、年収四百万円以上の人は三七・七%です。だから、確実に三十代は貧困化をしているということがこういったデータからも言えるんだろうというふうに思います。  そして、次の資料ですけれども、これは男性の従業上の地位とそれから雇用形態別の有配偶率ですが、三十から三十四歳のところを見てみると、明らかに正規雇用の方が有配偶率が高いということが分かります。正規雇用であれば五九%の人が結婚している。非正規の職員や従業員だと二二%、パート、アルバイトだと一五%しか結婚していないということですね。  次の資料も非常に顕著で、男性の年収別有配偶率。年収五百万円以上の人だったら大体八割以上は結婚しているということがこの資料から見て取れるわけですね。最近は、結婚はぜいたく品になってしまったみたいなことが言われますけれども、まさに、結婚というのはお金を持っている人しか今できないという状況が、この白書からも明らかになっているんじゃないかというふうに思います。  それから、次の資料ですけれども、妻の年齢別に見た、理想の子供数を持たない理由ですけれども、まず一番目に出てくるのが、子育てや教育にお金がかかり過ぎるから。これはまさに所得の問題だと思います。そして、二番目に出てくるのが、高年齢で産むのが嫌だからというところです。やはり、こういった問題を正面から解決していく必要があると思うんですね。  それで、お伺いしたいと思うんですけれども、この少子化問題というのは、待機児童問題ということもさることながら、やはり貧困化とそれから格差問題であるというふうに言えるのではないかと思うんですね。したがって、これをどう考えるかというのが一番の少子化問題のキーポイントではないかと思うんですけれども、今どのようにお考えか、そのことについてお答えいただきたいと思います。     〔北村主査代理退席、主査着席〕
  213. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 まさに今委員がデータでお示しになったとおりでございます。まさに負のスパイラルと言ってもいいような状況になっていると思います。  個人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む要因、いろいろありますけれども、今お示しいただきましたとおりでございまして、ただ、夫婦の持つ子供の数は、今言われましたように、一九七〇年代以降、おおむね二人で推移をしております。このために、少子化の原因といたしましては、特に未婚化、晩婚化、この影響が大きいものというような見解があるところでございます。  とりわけ、若い世代では、非正規雇用労働者の未婚率が、特に男性で、正規雇用に比べて顕著に高くなっております。また、男性の年収別有配偶率を見ましても、いずれの年齢層でも、一定水準までは年収が高い人ほど配偶者のいる割合が高いという傾向にあります。  したがって、雇用の安定を図り、経済基盤をまず確保すること、これが一番でございます。  少子化社会対策大綱でも、若い世代の経済的基盤の安定に向けて、若者の就労支援、非正規雇用労働者の正社員への転換、待遇改善、こういったものを進めて、若い世代の雇用の安定を図るというふうに記述しているところでございます。  今後、様々な難しい問題もあるとは思いますけれども、厚生労働省とも連携をしながら、とりわけ、若い世代が将来に展望を持てるような雇用環境の整備をする、そのことが、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるようになるという環境整備をしていかなければなりませんし、結婚ができれば、今言われましたように大体二人平均ぐらいのお子さんをお持ちということでありますので、あとは、妊娠、出産、子育て、それぞれのライフステージの中で充実した政策をしていかなければいけないというふうに考えているところであります。
  214. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございます。  まさに今おっしゃられたとおり、職業の安定とか、あるいは雇用、そして所得の安定、これは政府としても問題意識を持っていらっしゃるということですし、是非このことにも取り組んでいただきたいと思います。  そんな中で、今、貸与型の奨学金を受けて学校生活、大学生活を送っていらっしゃる学生さんが非常に増えました。  何でこんなことになっているかというと、やはり、かつては親も所得があったので子供の学費を親が見るということがかなりできたと思うんですが、今見ていったように、三十代の所得もかなり減っていきました。ということは、恐らく、大学生、高等教育を受ける世代の親の所得が減っているので、子供の世代が貸与型の奨学金を受けないと大学に行けないという状況になっていると思うんですね。  そして、今、卒業して、その貸与型の奨学金を返済をしなくてはいけないということになってきますが、特にコロナでいろいろ経済環境が変わってきて、なかなか、所得が減っているという皆さん方も残念ながら増えてきていると思います。そして、今見てきたように、若い世代はただでさえ所得が減っている状況で、そこで奨学金の返済という負担を背負わせていると、事実上、実質所得を更に引き下げるという効果があるものだと思うんですね。  したがって、私の提案ですけれども、これは内閣府の方から、少子化対策の一環として、奨学金の減免ということを働きかけをしていただけないかということでございますが、いかがでしょうか。
  215. 嶋田裕光

    ○嶋田政府参考人 お答えいたします。  政府といたしましては、奨学金事業というのは、返還金を再度、奨学金事業の原資とすることでより多くの学生などへの奨学金の貸与を行うことというふうにしておるところでございまして、奨学金の返還に関わる債務の免除を行うことについては、財源確保等の観点から困難ではないかというようなお話を承知しているところでございます。  一方で、子育て世帯への経済的な支援の一環といたしまして、真に経済的な支援が必要な子供たちが経済的な理由によって大学等への進学を断念することがないように、昨年の四月でございますけれども、授業料等の減免措置とそれから給付型奨学金の支給の拡充を併せて行う高等教育の修学支援新制度というのを実施しているところでございます。  高等教育の修学支援新制度につきましては、少子化社会対策大綱におきまして、その成果や実施状況を踏まえ、多子世帯に更に配慮した制度の充実を検討するというふうにさせていただいているところでございます。  こうした取組も含めまして、引き続き、少子化対策大綱等に基づきまして、安定的な財源を確保しながら、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に大胆に取り組むということで、個々人の結婚や出産、それから子育ての希望の実現を阻む隘路の打破に強力に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  216. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございます。  今のところそういうお答えになるんだろうなとは思っておりますけれども、やはり、少子化の問題というのは、これからの日本社会全体の活力の問題になってまいります。そして、これから人口が減っていくと、やはりそれだけ経済活動をする人も減っていくわけですから、例えば、じゃ、財政再建が必要なんだとすれば、当然、経済活動を活性化しなきゃいけないわけで、それにはできるだけ多くの人がいろいろな活動をしてもらった方が一番いいというのは、これは自明だと思うんですね。そんな中で、いや、財源がないからといってそこにお金を入れないということは、結果的に将来の自分たちの首を絞めているということになるのではないかと思うんです。  そして、私、元々、内閣委員会で何度もこの財源の話についてはさせていただいておりますが、今日は余り詳細について話はしませんけれども、国債を出すという行為は、別に人の金を使っているわけではなくて、新しく通貨を発行するという行為ですから、何らこれはちゅうちょすることなく、特に将来への投資みたいなことに対してはちゅうちょすることなく使って全く問題がないし、むしろそうやって使うべきだというふうに思います。  やはり、この奨学金の問題は、今本当に、若い世代の皆さん方に大変な重荷になっています。月に二万とか三万とか、あるいは小さな金額であるにしても、所得が少ない中で返済をしていかなきゃいけない。これが三十になっても四十になっても続くというのは、本当に大きな負担だと思います。これは、政府として、若い人たちに安心して経済的な基盤を充実をさせるというためにも、この重たい負担になっている奨学金について何らかの強いメッセージを出すべきではないかというふうに思っております。  そして、次の質問に移りたいと思いますが、今、若い人たちの不安定雇用とそれから所得の減というものが結婚の妨げになっているのではないか、そして、これが結局少子化に結びついているのではないかということを申し上げましたけれども、今、最近は、政府の方で、副業や兼業を推進をするということが進められております。  私、非常に危惧をしているのは、これは結局、不安定雇用とか、あるいは低賃金化を促進をしているようなメッセージを政府が出しているように聞こえるんですね、取りようによっては。例えば、所得が少ない人は二つでも三つでも仕事をして稼げばもっと所得は上がるじゃないかとか、あるいは、自由な働き方をすればいいので、それで一生懸命頑張って稼げばいいじゃないか、不安定雇用というものは別に悪いことじゃないじゃないかというふうなメッセージのように聞こえるんですけれども、それについて、今政府は副業、兼業を推進することについてどのようにお考えか、改めて政府の進め方の考え方をお伺いしたいと思います。
  217. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 副業、兼業、今言われましたように様々な理由がございます。収入を増やしたい、それから、一つの仕事だけでは生活できない、そういう経済的な理由がございますし、また、自分が活躍できる場を広げたいというような理由もあります。ですから、私たちは、副業、兼業を希望する者につきましては、その希望に応じて幅広く副業、兼業を行える環境整備、これは行っていかなければいけないというふうに思っております。  あわせて、委員御指摘のとおり、若い世代の経済的基盤の安定に向けまして、若者の就労支援、それから、先ほども言いましたけれども、非正規雇用労働者の正社員への転換、そして待遇改善、これは進めなくてはなりません。そして、安定雇用をしっかりと図ること、働き方改革を進めていくこと、このことが重要であるというふうに考えております。  若い世代の皆さんたちが、どのような働き方、ライフスタイルを選択したにしても、将来にわたる展望を描けるよう環境を整えていくことが必要であるというふうに考えております。これも、厚生労働省を始めとする関係省庁と連携しながら、結婚を希望する方々がその希望をかなえられる、妊娠、出産、子育てを希望する方々がその希望をかなえられる、そういう環境整備に取り組んでいかなければならないと思っております。
  218. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございます。  副業、兼業、単に所得が少ないから副業をしなきゃいけないという望まない副業、兼業が進められることのないように、やはり、普通の雇用がちゃんとあって、先ほど見たように年収が五百万とか、せめてそのぐらいはちゃんと払う、五百万円以上はちゃんと払う。それでもなおかつ何かしたいという方はそれはやってもいいのかもしれないですけれども、まずそこまで達成していないのに所得が足りないから働かなくてはならないというふうな環境をつくっては、これは本当に日本社会の崩壊につながっていくと思うので、そうではないのだというメッセージをやはり政府の方からも改めていろいろな形で出していただきたいというふうに思います。  あくまでも、政府が推進しているのは正規雇用、雇用の安定とそこでの所得のかさ上げということを推進しているんだということをまたメッセージとして出していただければというふうに思います。  それから、先ほど見た資料の中で、妻の年齢別に見た、理想の子供数を持たない理由で、子育てにお金がかかり過ぎるからの次に、高年齢で産むのが嫌だからという理由がございました。  先ほど見たとおり、やはり初婚年齢も上がっておりますから、当然、子供を産む年齢も高齢化をしていくわけであります。  これを解決していくには、やはり若い年齢で結婚していただいて出産をしていただくというふうなことが必要だと思いますが、初婚の早期化を図るような施策というものは政府として今何かお考えかどうか、そのことについてお答えいただきたいと思います。
  219. 嶋田裕光

    ○嶋田政府参考人 お答えいたします。  若い世代の結婚をめぐる状況を見ますと、男女共に多くの人がいずれは結婚するということを希望しながら、適当な相手に巡り合わないとか、あるいは資金が足りないなどの理由でその希望がかなえられない状況になっているというふうには認識しております。  委員御指摘のように、若者の経済的な不安定さというのが結婚の希望がかなえられない一つの障壁となっておりまして、若い世代の結婚の希望が希望する年齢でかなうような環境を整備するということが重要じゃないかというふうに考えています。  このため、少子化社会対策大綱では、先ほど言っておりますように、雇用の安定など、若い世代の経済的基盤の安定を図ることのほか、出会いの機会とか場の提供、あるいは結婚資金や住居に関する支援など、地方公共団体が行う結婚の希望をかなえる取組を支援することを盛り込んでいるところでございます。  内閣府におきましては、結婚の希望をかなえるための公的な支援に取り組むべきというような声も多いことから、地域少子化対策重点推進交付金によりまして、地方公共団体が行う結婚の希望をかなえる取組も支援しているところでございます。  来年度は、結婚に伴う新生活のスタートアップを支援する結婚新生活支援事業の年齢、収入要件の緩和などの充実、それから、AIを始めとするマッチングシステムの高度化などを行うこととしているところでございます。  結婚は個人の自由な意思決定に基づくものである点には十分留意はしながらも、今後とも、結婚を希望する方々がその希望をかなえられるような環境整備に努めたいというふうに考えているところでございます。
  220. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございます。  おっしゃるとおり、結婚するしないは個人の自由というところではありますけれども、しかし、所得とか雇用環境によって結婚する自由を奪うということがあってはならないわけで、結婚する自由を若い世代、できるだけ若い世代に持っていただけるような施策をこれからも充実していただきたいと思います。  そして、最後の質問になりますけれども、お配りした資料の一番最後を見ていただきたいと思いますが、これは、中小企業白書から、うちの事務所で少し加工したものです。  これは、大企業の労働分配率と、それから付加価値額に占める営業純益の割合、そしてそれを合計したものの推移ですが、これを見ていただくと分かるんですけれども、労働分配率が下がって営業純益が上がっているという、当然といえば当然なんですけれども、企業は、給料を下げて、その分利益をかさ上げしているというデータがこの資料から見て取れると思います。  今、政府では、コーポレートガバナンス改革とかを推進して、ROEをもっと稼げるような企業にならなくてはいけない、そんなことを推進しているわけですが、結果的に今、こういった大企業の経営者の皆さんは、人件費の削減をして利益をかさ上げをして、それを配当金に回しているというような構図ができているんじゃないかということがこのデータからは推測がされるわけですね。  今、やはり、この少子化というものが、国で、全体で取り組まなくてはいけない課題だとすれば、大企業等の経営者の皆さんも、若い人たちにきちんと所得を渡して、そして安心して結婚ができる環境をつくってもらう、それが将来の消費者も誕生させるわけで、長期的に見ればそれが結果的に自分たちの企業の利益にもつながるんだ。  そういう意味で、是非、大企業の皆さんを始め、いろいろなところで、労働分配率をもっと上げるとか、若い世代へもっと高い賃金を払うとか、そういった働きかけをしていただきたいというふうに思いますし、短期的なROEとかで、四半期決算で数値がよくなったみたいなことではなくて、長期的な、子供たちあるいは社員に対する投資とか、そういったことができるような環境をつくるということも少子化対策の一環ではないかと思うんですが、そのことについての政府の見解を最後にお伺いをしたいと思います。
  221. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 企業の経営診断は委員の御専門でございますし、そういう中から少子化対策というものを取り上げていただいたこと、本当に敬意を表したいと思います。  中小企業も含めまして、企業が生み出します付加価値を高めるということ、そして、生産性の向上を図り、その成果を雇用の確保そして賃金の上昇へとつなげる、いわゆる成長と分配の好循環を実現するということがこれから更に重要になってくるというふうに思っています。  若い世代の方々が将来にわたる展望を描けるよう、雇用面、所得面双方におきまして環境を整えていくことが必要でありまして、引き続き、関係省庁とも連携しながら、個々人の結婚、そして出産、子育て、こういったものの環境整備ができるようにやってまいりたいと思っております。  これからも、企業等への委員の御指導もまた併せてよろしくお願いいたしたいというふうに思います。
  222. 安藤裕

    安藤(裕)分科員 ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。終わります。
  223. 藤原崇

    藤原主査 これにて安藤裕君の質疑は終了いたしました。  次に、源馬謙太郎君。
  224. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 立憲民主党の源馬謙太郎でございます。  今日は、質問機会をいただきまして、ありがとうございました。  今日は、保育士について主に伺っていきたいと思います。  まず、大きな問題意識として、保育士の方の待遇、賃金というのは、いろいろな改善の取組はされているものの、まだまだやはり低いというのが実態だと思います。保育士になりたいけれども、やはりその待遇がよくないことで人材が足りなくなっている、こういった背景があるというふうに思います。  処遇改善加算とかいろいろな取組をされておりますけれども、保育という少子化対策にとって大切な分野で人材確保がままならないというのはすごく大きな課題の一つだと思いますが、まず、大臣の現在の保育士等の賃金や待遇についての御見解を伺いたいと思います。
  225. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 保育士の皆さん方の待遇改善、非常に重要な課題であるというふうに認識しております。  平成二十五年度以降に、月額四万四千円に加えまして、平成二十九年度からは、技能、経験に応じた月額最大四万円の処遇改善を実施してきたところでございます。  令和元年の厚生労働省の調査を基に算出した保育士の年収は、男女で約三百六十四万円、女性では三百六十二万円というふうになっております。女性保育士の年収を女性の全産業平均の年収約三百八十八万円と比べますと、まだ約二十六万円の差があるというふうに認識しております。
  226. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございます。  今大臣がおっしゃっていただいたとおり、全産業の方の賃金との差がかなりあるということで、今、年収でおっしゃってくださいましたけれども、これを月額の賃金、そして当然賞与もあるんですが、それを月額として見た場合に、これは事前に内閣府からいただきましたけれども、女性の保育士の方の賃金が月額で三十・二万円、そして全産業の女性の賃金が三十二・三万円ということで、この格差二・一万円を、まずは解消を目指すという目標設定をされているというふうに伺いました。  ただ、それはそれで大切なことですが、やはり男女の差というのはもっと大きくて、男性も入れると、男女の保育士の賃金は三十・三万円、そして全産業でいえば四十一・七万円、これはやはり開きがあって、最終的にはこれをどう縮めていくかということが大切なことだと思います。  やはり現場に聞いても、男性の保育士が欲しいなという声が非常にあります。でも、やはり賃金が安くて、なかなか男性が保育士になってくれないという悩みを抱えていらっしゃる現場もあるわけで、女性の全産業と保育士の差を埋めるのを目標にするのではなくて、男女の全産業と保育士の賃金格差を埋めることを最終目標にしていただきたいと思いますが、そのことについての御見解と、それから、まずはということで女性間の差を埋めるということであれば、いつぐらいまでに、どのように埋めていく方針なのか、お伺いしたいと思います。
  227. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 処遇改善につきましては先ほど発言したとおりでございますけれども、男女の格差につきましては、これから努力を続けていかなければいけないというふうに思っております。  女性につきましては、厚生労働省の調査を基に算出した女性保育士の年収は、処遇改善の取組を始めた平成二十五年度と比べますと、六年間で全国平均で約五十三万円増加をしております。また、女性の全産業平均の年収との差は、平成二十五年度の約四十五万円と比べまして十九万円、差が縮まっておりまして、一定程度の処遇改善の効果が出ているというふうに考えております。  どちらにいたしましても、保育士の皆さん方、高い使命感を持って、そして保育の道を選ばれるわけでありますので、長く働いていただく、そのためには、やはり処遇改善というのを不断の努力で整備していかなければいけないというふうに思っております。引き続き、必要な支援を着実に実施をしてまいりたいと思っているところでございます。
  228. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございます。  今取り組まれていることが徐々にではあるけれども成果が出ているということはもちろん否定するものではありませんが、繰り返しになりますけれども、やはり目指すところは、男女合わせた保育士の待遇と全産業の男女合わせた人たちの賃金との差を埋めるということだと思いますので、今、やはりジェンダー平等とかが大事な時代に、女性と男性とを分けて、まず女性というのは、これは女性の待遇の方が低いことを容認していることにもつながりかねないと思いますので、是非、男女共の待遇の格差を埋めていただきたいと思います。是非よろしくお願いいたします。  それで、この保育士不足の状況で、保育所がどのようにして人材を確保しているかということに移っていきたいと思いますが、今日は、厚労省からも政務官始め、おいでいただいて、ありがとうございます。  事前にお伺いしたところ、保育士の就職件数を調べてみますと、平成三十年、ハローワークでは二万二千件ぐらい。そして、有料職業紹介、いわゆる人材バンクのような紹介業者、有料の、手数料を取る紹介業者を通して就職をした保育士の方は大体一万八千五百件。これは平成二十七年は六千件だったんですね。平成二十九年は一万一千件、そして平成三十年には一万八千件と、どんどん増えていっている。有料職業紹介所を通した就職がどんどん増えていっているわけなんです。そして、令和二年十二月に厚労省が行った保育分野における職業紹介事業のアンケート調査、これを見ても、利用した採用方法は、もう既に民間職業紹介事業所がハローワークを超えています、割合が。  これはこれで、もしその需要と供給がマッチして、保育士が欲しい保育所と保育士になりたい方とのマッチングがうまくいっているんだったら、それだけの事象を見ればいいんですが、やはりここに、度々指摘されているとおり、高い手数料がかかっております。事業者によっては二五%から三〇%、かなり高い手数料がかかっています。これはアンケートの中にもありますが、地域別で見ても、軒並み本当に六十万から八十万、政令指定都市でも、あるいは東京二十三区はもちろん高いんですが、こういった非常に高額な手数料がかかっている。  これも、手数料がかかって、いい人材を確保できて、長く勤めていただけるならまだいいかもしれませんが、そこには、例えば就職をあっせんされて就職して半年ぐらい、払戻金がかからなくなったときに辞めて、次の紹介所に行く。そうすると、保育所としては手数料を一年に何回も払わなきゃいけない、こういう事態にもなってくる。こういう問題もございます。  これは、民間の普通の企業が人材募集する場合と、やはり保育や医療や介護の場合はちょっと違うと思うんですね。保育士不足、少子化対策のための大切な保育所にこれだけの負担を迫っているという現状について、様々ほかにも問題はあると思いますが、政府の見解を教えていただきたいと思います。
  229. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 お答えいたします。  源馬委員の問題意識をこちらの方でも共有させていただいておりますが、職業紹介事業者を通じて保育士の方を採用した保育所に対してアンケート調査を行いまして、昨年十二月に公表させていただいております。八百七十八事業所で回答いただきまして、手数料額は平均で七十六・九万円ということで、先生御指摘のとおりでございます。  なかなか、その中でも、ほかの採用経路では人材が確保できない、あるいは、確実に求職者を紹介してもらえる、迅速に求職者を本当に困ったときに確保することができるというような理由で必要とされていることも明らかになった一方で、アンケートの九割の事業所のところで、紹介手数料がやはり高いというような声も寄せられております。  大切なのは、やはり、紹介サービスの質とそれに見合う手数料について求人者側が納得感を持っていただけるようにしていくことが重要と考えております。
  230. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 事業者の質と利用者の納得感ということなんですが、これが、現場に聞くと、必ずしも納得感が得られているという状況とはやはり思えないわけですね。  先ほど指摘した手数料、それから再就職あっせんによる乗換えというか転職、こういった問題に加えて、全然現場経験のない新人がやってきた、それで高い手数料も取られてという、そういったケースもあるそうです。  そういったことも含めて、やはり何とか改善をしていただきたいし、特に、税金で保育所の運営をされているわけで、そういった、本来は、先ほど坂本大臣にお伺いしたとおり、やはり賃金格差、もっと賃金に上乗せしてもらったりとか、もっとほかのところで使わなきゃいけない税金がこうした手数料に支払われている。そういう状況について、再度、政府の御見解、もう一度教えていただきたいと思います。
  231. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 紹介手数料の水準につきましては、先ほどの御指摘のとおり、保育だけではなく医療、介護の分野も同じだというふうに考えておりますが、労働市場の需給の状況ですとか求人の内容に応じて決定するために、なかなか一律に手数料の上限を設けるというのは、慎重な検討が必要だというふうには考えております。  さりながら、紹介事業者を安心して選択できる環境を整備していくことはやはり重要であろうというふうに考えておりまして、例えば、紹介事業者の手数料等の情報開示を義務化していく、あるいは、厚労省では人材サービス総合サイトというのを設けておりまして、法令遵守を宣言した紹介事業者の公表といった取組をしております。  今年度は、医療・介護・保育分野における職業紹介事業に関する協議会を設置いたしまして、適正な紹介事業、職業紹介事業者の基準の策定を年度内に予定しております。  優良な紹介事業者に情報公開と説明責任を果たすことを求めることによって、労働市場における紹介事業者の役割を適切に果たせるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  232. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 一つ、ちょっと細かなことをお伺いしたいんですが、問題の一つに、いわゆるお祝い金という制度というか、お祝い金というものを使って転職を促すようなことをしている事業所もあるというふうに認識をしておりますが、その辺りについて、何か対策は取られるんでしょうか。
  233. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 個々のケースについては、私も個人的に、例えば病院ですとか、そのようなことはよく耳にして、経営者の方から大変困っているということは聞いておりました。  また、様々な事例も含めて、協議会でしっかりと詳細を把握しながら、これから検討を加えていきたいというふうに考えております。
  234. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 お祝い金については、まだ何もないということでよろしいんでしょうか。禁止していく方向のようなお話を事前に伺ったんですが。
  235. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 お答えいたします。  お祝い金につきましては、やはり四月一日から原則禁止ということで今予定をしておりまして、そのことでお答えさせていただきたいと思います。
  236. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございます。  先ほど政務官から御紹介いただいた厚労省が作っていらっしゃるサイト、人材サービス総合サイト、この中で、優良事業所の認定とか、適合宣言をしてもらっているという御紹介がありました。  これは調べてみますと、許可を得ている人材紹介の事業所というのは二万五千六百以上ありまして、そのうち保育士の紹介をしている事業所は平成三十年度で二百四十五。この二百四十五の事業所のうち、先ほど御紹介のあった優良事業と認定をされた事業所というのは僅か十九ですね。そしてさらに、この二百四十五の保育士を紹介している事業所の中で、適合宣言、これは自分たちでチェックして適合宣言をやればいいだけなのに、これも五十六事業所しかないということです。  これでは余り実態的に効果があるとは思えません。ないよりいいのかもしれませんが、やるならもっと徹底的に、二百四十五ある保育士を紹介している事業所に、みんなにその認定を取ってもらうぐらいのことをやらないと、なかなか納得感が得られる、現場が納得する人材を紹介してもらえるというサービスにならないというふうに思います。そこは改めて指摘をさせていただきたいと思います。  加えて、人材サービス総合サイト、これは私も見てみましたが、やはり分かりにくいです、すごく。これは政府が作るどのホームページもそうなんですけれども、作ったというだけであって本当に分かりにくいし、私は最初どう検索していいかも分からずに、ちょっと電話で教えていただきながらしか、それでやっと分かりました。  私が保育所の方からいろいろお話を聞いて、自分が保育士で就職先を探しているつもりになって、どうやるだろうなと思ったら、これは政務官も同じだと思うんですが、まず検索しますよね、保育士転職とか保育士就職、これをやると人材紹介会社がばあっと上に出てくるんです。厚労省のサイトは全然出てきません。  二ページ目、三ページ目に行っても、さっきおっしゃった人材サービス総合サイトは出てきません。これでたどり着けというのはやはり無理ですね。厚労省人材サービス総合サイトと検索すればもちろん出てきます。でも、そんなことを検索する人は誰もいません。やはり、保育士になりたい人は、保育士就職で検索するんですよ。そのとき上に出てくるような対応というのもこれは必要だと思うんですが、例えば広告を打つことも、別に政府だからやっちゃいけないということはないと思いますし、何とか、このせっかく作ったサイトに、まあ、もうちょっと中身は変えていただく必要があると思いますが、アクセスしてもらうことが大事だと思いますが、その辺りについての御見解をお願いしたいと思います。
  237. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 先生御指摘のとおり、検索の面でも、例えば今コロナで非常に新卒の方の就職難ですとか様々な問題というものがございまして、そのことも含めて、御指摘のところを受け止めて、しっかりと善処してまいりたいというふうに考えております。
  238. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 是非お願いします。  重ねますが、そのサイトの分かりやすさと、就職をしたいと思う人がすぐこのサイトにアクセスして優良の事業者が分かるように、そして、人材を募集している事業所も、すぐここのサイトにたどり着いて、いい事業者に巡り合えるように、それもやはり、私、菅総理が目指しているデジタル化の大きなところだと思うんですよね。何か、やることを全てデジタルにすればいいだけじゃなくて、そこからどう使うかということなので、是非ここは力を入れて改善をしていっていただきたいなというふうに思います。  それから、もう一点。  やはり、保育所さんとかに聞くと、ハローワークをちょっと充実させてもらいたいという声が多くあります。この件について、具体策が何かないか、教えていただきたいと思います。
  239. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 御指摘のとおり、ハローワークは全国に展開しておりまして、私も視察に行かせていただいているんですが、人材確保対策コーナーというのを全国に設置いたしまして、保育分野を始めとした人材確保支援を今実施しているところでございます。  令和元年度は、ハローワークの職業紹介で、全国で約二万人の方々が保育士として就職いただいておりまして、令和三年度予算案においてはこれを更に強化を図りまして、この対策コーナー、百三か所から百十一か所という形で拡充をして、しっかりと人材確保支援をしてまいりたいというふうに思っております。  また、ハローワークでは、各地域の保育士また保育所支援センターと連携いたしまして、保育士資格を持つ求職者に対して、研修やセミナーの情報提供、また就職説明会の合同開催などを実施しておりまして、引き続き、厚生労働省として、あらゆる政策手段を用いまして、保育士の人材確保に全力で取り組んでまいりたいと思います。
  240. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 是非お願いします。  このハローワークについても、やはり、デジタル化でアクセスが簡単になるようにということと、それから、今御紹介いただいたとおり、ハローワークを通して就職した保育士が、令和元年が二万人だとすると、平成二十九年の二万二千人から減っている。恐らくですが、すごいスピードで件数が上がっている有料紹介事業所、これがもう逆転するんじゃないかなと思います。平成二十九年で二千人の差しかなくて、一万八千だったので、もうとうとう逆転しちゃうんじゃないかなというふうに思いますので、是非こうした、これこそやはり現場にとっては非常に納得感が得やすい制度だと思いますので、ハローワークの充実も併せてお願いしたいと思います。  それから、いわゆる一斉保育と自由保育ということについて少し伺っていきたいと思います。  これも、地元のある保育所さんからちょっと伺った話なんですが、保育の指針で、保育に当たっては、一人一人の子供の主体性を尊重し、子供の自己肯定感が育まれるように対応していくことが重要であるということで、いわゆる自由保育というか、一人一人の子供の主体性に任せた保育をしているところも多くあるように聞いています。  これはこれでいいことだと思いますけれども、そのことによって、小学校に上がるときに集団行動になかなかうまく切り替わらないというお声を、小学校から保育所がいただくんだということを多く聞いております。  保育についての考え方と、小学校と保育所の連携、こうした壁を取り除くことに関連して、どのような取組をしているのか、教えていただきたいと思います。
  241. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 保育所におきましては、生涯にわたる人間形成の基礎を培うため、一人一人の子供の発達過程等に応じて保育を提供しているところでございまして、保育所と小学校の接続というのは、保育が小学校以降の生活や学習の基盤となることに配慮した活動を行うことが重要だというふうに考えております。  自由保育、一斉保育ということを先生の方から御指摘いただきましたが、私も、今、ちょうど一歳になったばかりの子育てをしておりまして、大変勉強させていただいております。  自由保育、一斉保育ということに関して、厚生労働省としての定義というものはございませんが、一部の保育所において、子供の自主性を重視した、個々の子供が興味、関心を持つ活動を個別に行わせる保育の手法が採用されているということは承知しております。  その中で、外形的な保育の形態にかかわらず、あくまで個人としての子供の発達と集団としての経験を調和させながら保育を行うことが重要だと考えておりまして、このような保育所で提供される保育の基本原則等を保育所保育指針に定めるとともに周知を行いまして、各地方自治体において指針に基づいた適切な保育が提供されるように、助言指導を行っているものと承知しております。
  242. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございます。  事前に厚労省さんに伺ったところ、小学校と保育所の連携についての課題というのをどう認識されているかとお聞きしたら、子供の発達の状態の情報の連携不足ということと、あと、保育士としての知見、そして教師としての知見のすり合わせがないという二つを課題として捉えていますということでした。今指摘したような、一人一人の個の尊重と集団行動とのそういったそごの問題は把握していませんかと言ったら、把握していないというふうにおっしゃっていました。  ただ、やはり、今、私も地元で聞いたように、そういった声がありますし、実際、これは平成十一年、かなり昔ですが、青少年問題に関する特別委員会の中でも、精神科医のお医者様が参考人で来られていて、ここでも指摘されているわけですね、そうした問題を。学級崩壊の原因に結びつく、原因一つとなっているというふうにも指摘をされています。  ですので、もし課題があると捉えていないのでしたら、ちょっとそれは改めていただいて、こうした課題もあるよということを前提に取り組んでいただきたいというふうに思います。  それから、済みません、坂本大臣に戻りまして、ちょっと保育士とは全然関係ない話題なんですが、坂本大臣におかれましては、孤独・孤立対策担当大臣に新しく任命をされました。その対策室が必要というふうに政府が判断した背景と、それから意気込みを大臣からお伺いしたいと思います。  済みません。政務官始め厚労省さんはもう結構ですので。
  243. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 二月十九日に、孤独・孤立対策担当室を新たに設置をいたしました。常駐者六人、専従体制十人、そして総勢三十一人という布陣でございます。  これまで、孤立、孤独は、いろいろな、自殺その他にもつながってまいりますので、それぞれの各省庁でやっておりました。高齢者、自殺、そういったものは厚生労働省で、小中高校生あるいは大学生は文部科学省で、住まいの支援は国土交通省でというようなことで、それぞれの省庁でやってまいりましたけれども、長引くコロナの影響で非常にこの問題が顕在化をしてまいりました。  自殺者数も、二〇一〇年以来、増加に転じました。とりわけ女性の方、それから小中高校、大学生の方、若い方々の自殺も増えてまいりました。そういったものを総合的にこれから取り組んでいかなければいけないということで、私の方が一種の司令塔になりまして、そして各関係省庁、集まっていただいて連絡会議を開いて、そして調整をした上で、総合的に、孤独・孤立対策として今後取り組んでまいりたいと思っているところであります。
  244. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございます。  特に、コロナがありまして、非常に重要な課題になってくると思いますし、期待も大きいと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  私も先日、OECDのグローバル議員ネットワークという会合に出させていただいたときに、やはり世界的な問題として、今も、コロナが体に与える影響というのはもちろんですが、これからはやはりメンタルヘルスに与える影響というのを主に取り組んでいかなきゃいけないという、大きな議題の一つとしてそれが扱われていたこともありました。ですので、ますます大事になってくると思います。  これは参考人で結構なんですけれども、現在、今、日本が抱える孤独や孤立の問題の状況と認識、コロナの前から傾向としてはありましたが、コロナ前と、そしてコロナ後も含めての孤立・孤独問題の認識。そして、あわせて、二十五日に、昨日行われたというふうに聞いていますが、緊急フォーラムがある予定というふうに聞いておりますが、それがあったのであれば、その中で出された意見や、これから取り組んでいくべき課題などについて、最後に教えていただきたいと思います。
  245. 北波孝

    北波政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のありました孤独・孤立問題に対する認識でございます。これにつきましては、新型コロナの流行前からも、地域全体のつながりの強化、また生活困窮者支援、自殺防止対策、引きこもり支援など、各省庁において対策を行ってきたところは委員御指摘のとおりでございます。  一方で、昨年以降、新型コロナの流行が長期化する中で、女性や子供も含め自殺者が増加傾向にある。これは、大臣からも御発言がありましたが、望まない孤独や社会的孤立というものがより一層深刻な状況になっているというふうに認識をしております。  政府の方でも、生活に困窮し住まいを失った、そういう方などに対するアパート等への入居支援、また定着の支援というもの、若しくは、三次補正でも創設いたしましたセーフティーネット強化交付金を活用した自殺対策の強化というものも、取組の拡充ということをさせていただきました。  今般、先ほど大臣からも御紹介ありました孤独・孤立対策担当室というものを設置をし、政府一体として取組を進めていきたいというふうに思っております。  緊急フォーラムにつきましては、昨日でございますが、官邸において、孤独、孤立を防ぎ、不安に寄り添うための緊急フォーラムということで開催をさせていただきまして、実際に支援活動に取り組まれているNPOの方など十名の方から御意見を頂戴したところでございます。  そういう中で、それぞれの工夫であるとか、コロナ禍での工夫、若しくは現場からの今後の御提言というものもお伺いしました。これは個々に御紹介というよりかは、これからこの御発言の中から課題を洗い出しまして、関係省庁としっかり連携しながら検討を進めたいというふうに思います。  また、その際、参加者の方からはメッセージをいただいておりまして、これを一枚のメッセージ集として、今、内閣官房のホームページにも資料として掲載をさせておりますので、あなたは一人じゃないというふうなことで、メッセージ集を公表させていただいております。  これをきっかけに、政府としても、様々な支援の存在を国民皆さんに広く知ってもらいたいというふうに考えております。どうぞよろしくお願いします。
  246. 源馬謙太郎

    ○源馬分科員 ありがとうございました。終わります。
  247. 藤原崇

    藤原主査 これにて源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。  次に、木村弥生君。
  248. 木村弥生

    木村(弥)分科員 自由民主党・無所属の会の木村弥生です。  本日は、地方創生に関連した政府の取組についてお尋ねをいたします。  菅総理は、所信表明演説で、「活力ある地方を創る」と強い決意を述べられました。活力ある地方をつくるためには、観光やイノベーションなどにより、地方への人の流れをつくり、地方の所得を増やし、地方を活性化するという好循環の仕組みづくりが不可欠であります。  私の地元、京都の伏見は、京都にありながら、独自の文化を育んできた町と言われております。  この町は、かつて港湾都市でした。それでも、海がある、そういった港ではありません。移動と運搬が船が主だった時代には、水運の要衝は、政治、経済、軍事の面から重視されていました。伏見は、全国で唯一の内陸河川港湾の伏見港があります。かつては、平安京と全国各地を淀川水運で運ぶ玄関口として役割を果たしてきました。さらに、豊臣秀吉は、伏見に港を整備し、城を築きました。伏見は水に恵まれた町であり、幾筋の川と豊かな土壌から農耕も盛んで、日本でも有数の酒蔵の町として発展をしてまいりました。  現在、京都府と京都市の伏見区役所、さらに、地域の観光協会や、また商店街、また酒造組合、こういった民間事業者などが連携して、伏見港を国土交通省のみなとオアシスへの登録を目指して、官民連携し、昨年の秋から、港町伏見を切り口とした取組が進められています。十一月にはキックオフイベントがあり、私も行ってまいりました。  コロナ禍においても、このような意欲のある地方の官民が連携した主体的な取組について国が物心両面からしっかりと支援していくことは、活力ある地方をつくる上で非常に重要であると私は考えます。  みなとオアシスは、今、全国で一月の時点で百四十七か所あります。この制度の対象は港湾でありますが、内陸河川港湾であっても、地域住民の交流や観光の振興を通じた地域の活性化に資する港とも考えられます。  そこで、このみなとオアシスの制度の活用に当たっては、立ち上がり期におけるその運営主体の機能強化等々、考えられると思いますが、国土交通省のお考えをお聞かせください。
  249. 池光崇

    池光政府参考人 お答えいたします。  みなとオアシスは、当該オアシスを設置しようとする方からの申請に基づきまして、海に面した港湾であるか否かにかかわらず、住民参加による地域振興の取組が継続的に行われるなどの要件に適合しているということを確認いたしまして、国土交通省が登録をしてございます。したがいまして、委員御指摘の内陸河川港湾もその対象になり得るものと考えてございます。  また、登録いたしましたみなとオアシスにつきましては、社会資本整備総合交付金の重点配分でありますとか、国土地理院の地図でございますとかカーナビの元データとなる地図への掲載を促す、こういった形でのソフト、ハード両面での支援をしているところでございます。  御指摘の伏見港でございますけれども、港湾法に基づく地方港湾でございます。昨年十月には、伏見港が育んだ歴史、文化資源や食文化などを生かした地域振興を官民連携で推進するため、地域の関係者の皆様方が、「川のみなとオアシス 水のまち 京都・伏見運営協議会」、これを設置されたと承知してございます。  内陸河川港湾であります伏見港につきましても、みなとオアシスとして登録させていただきました場合には、海に面した港湾と同様に、必要な支援をしっかり行ってまいりたいと考えております。
  250. 木村弥生

    木村(弥)分科員 審議官の強いお言葉をいただいて、大変心強く思います。地域皆さんとともに、この伏見港、もっともっと発展していけるようにしっかりと頑張ってまいりたいと思います。  そこで、今、コロナ禍で地方の民間事業者を取り巻く経営環境が大変厳しさを増しております。こういった非常に不透明な中で、民間の活力の導入を前提とした、そういった取組に加えまして、新たに、国としての地方創生に関連したハード、ソフト両面からの補助メニューの早急な充実が不可欠と考えております。坂本大臣のお考えをお聞かせください。
  251. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 ありがとうございます。  話はいろいろと飛びますけれども、私も、太閤記あるいは徳川家康なんかを読みますと、伏見の町というのは、豊臣秀吉が開いた、淀川を改修して、非常に華やかで文化的な交流が行われていたということを承知をしております。  そういう中でのみなとオアシスの取組でございますので、官民連携の協議会の下で様々な活動がこれから展開されていくんだろうというふうに思っております。  そういう中で、私たちといたしましては、第二期まちひと・しごと創生総合戦略二〇二〇改訂版というものを作りました。  その中で、中堅・中小企業を始め、地域経済を牽引する企業に対しまして集中的な支援を行うことで、地域の特性に応じた、生産性が高く、稼ぐ地域を実現するということ、それから、特色ある農林水産品、あるいは観光資源、文化などの地域資源を生かした活力あるまちづくり等に積極的に取り組むことを掲げておりまして、委員の御指摘にもありましたように、関係省庁と連携をしながら、しっかりと地域発の取組というものを支援してまいりたいというふうに思っております。
  252. 木村弥生

    木村(弥)分科員 大臣、ありがとうございます。コロナが落ち着いたら、是非、伏見に足をお運びくださいまして、おいしい日本酒を召し上がっていただけたら、うれしく思います。  こういったまちづくりが、実は、備蓄倉庫、災害時の防災の拠点の機能強化になったり、また、航路の確保等、様々な観光コンテンツ等にも資するものと思いますので、是非みんなで頑張ってまいりたいと思っております。ありがとうございます。  次の質問に移ります。  スタートアップ支援事業についてお伺いいたします。  昨年の七月、国が重点的に支援するスタートアップエコシステムのグローバル拠点都市として、大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムが選定されました。これを受けまして、地元の京都府では、長年の歴史の中で培ってきた文化、芸術を基盤として、産学や企業間の連携による高度な技術を生かして、起業家が内外から集まってくるようなスタートアップ拠点を目指して取組を進めているところであります。  京都は、これまで世界で活躍する企業を生み出してまいりました。都の名のとおり、従来の習わしにとらわれることなく、積極的に新しいものを受け入れていこうという進取の気風や独自性を尊重する精神があること、そして、多数の大学を有するアカデミアの地でもあることなどが背景としてあると思います。  今、海外においては、イノベーションを先導する若い企業が生まれ、起業家が集まり、更に夢を持った若者たちが集まってくるといった好循環をもたらしています。京都が誇る歴史や文化そして芸術を含んだ世界に類を見ない取組が進み、世界から、起業するなら京都と言われるようになってほしい、関西三府県の強みを生かしながらも、ちょうど地理的なことも考慮して、乙訓地域を含む府内にその拠点が設置されることを私は大変強く希望しております。そのためには国の強力なバックアップが不可欠であります。  そこで、坂本大臣にお伺いいたします。  このスタートアップ支援事業は、地方創生に資するものであります。新型コロナの影響で地方が疲弊している中、地方を元気にするスタートアップ支援事業に対して地方創生の観点からも様々な支援が可能だと思いますが、大臣の見解をお伺いします。     〔主査退席、北村主査代理着席〕
  253. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 地方創生を進めていく上で、地域内経済の循環を促すということは大変重要なことであります。  このため、地方におけるスタートアップの創出を図る観点から、ローカルベンチャーの起業、創業の支援、それから地域商社の設立の支援など、地域経済の活性化に向けた地方公共団体の先導的な取組に対しまして積極的に支援をしてまいります。  とりわけ、京都は、二〇二二年八月以降、文化庁が移転することになっております。御提案のありました文化や芸術を含め、地方におけるスタートアップの創出に向けた意欲と熱意のある取組に対しまして、今後とも、地方創生関係交付金などを通じましてしっかりと支援してまいりたいと思っております。
  254. 木村弥生

    木村(弥)分科員 ありがとうございます。  ちょっと交付金のことについてお伺いする前に、このスタートアップ支援事業というのは科学技術またイノベーションにも関わることかと思いますので、また、この担当の政策統括官の御見解をお聞かせください。
  255. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  スタートアップは、その多様性と機動性から、イノベーションの重要な担い手と認識しております。御指摘のとおり、新型コロナの影響を受けた事業の停滞を回避し、地域の活性化を図るにも、スタートアップが次々と生まれる成長するエコシステムを、都市を中心に、自治体、大学、民間が連携して形成していくことが重要と考えております。  内閣府では、スタートアップエコシステム拠点都市を昨年七月に選定いたしました。この対象に対しまして、関係省庁と連携して、集中的な支援を実施しているところであります。  例えば、内閣府におきましては、今年度よりスタートアップ・エコシステム形成推進事業を新設し、拠点都市のスタートアップによる海外展開等を支援するプログラムを開始したところであります。  議員御指摘のあった、大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアムを含めまして、世界に伍するスタートアップエコシステム拠点が我が国に形成されるよう、今後とも、関係省庁と連携し、拠点都市への支援を通じてイノベーションの創出と我が国の国際競争力の強化を推進してまいりたいと考えております。
  256. 木村弥生

    木村(弥)分科員 ありがとうございました。  ただ、このスタートアップの支援事業を進めるに当たっては、また様々な施設整備を伴うわけでありますが、そういった中で、非常にコロナの影響で疲弊している地方にとって、大臣が先ほどおっしゃってくださいました、地方創生拠点整備交付金というのが大変ありがたいと思っております。  この交付金は、従来は補正予算で措置されていたものでありますが、令和二年度からは地方からの要望を受けて当初予算でも計上されるようになり、現在は、当初予算と補正予算の二種類となっております。  しかし、当初予算と補正予算の地方創生拠点整備交付金というのは、どちらも長所と短所があって、地方にとってはどちらで申請するかちょっと悩ましいという声も聞いております。  ちょっと詳しい説明はここで省きますけれども、例えば単年度しか使えないとか、また様々な、一団体につき五年間で一度しか申請できないとか、こういった課題がある中で、次の事業計画などの見定めができない場合にはちょっと申請するのをためらってしまう、こういったケースもあると聞いております。  今の交付金のことでございますけれども、更に申し上げますと、地方創生拠点整備交付金の対象施設というのが、現在、建築基準法上の建築物というふうになっております。このため、サーカステントだとかテント倉庫、またドームテント、コンテナ、アースバッグハウス、モバイルハウスといったようなものは交付金の対象とはなっておりません。  しかしながら、高価格の施設整備に交付金を活用するのではなくて、できるだけ低コストの取組や、また事業効果を早期に出すことを通じて地方創生を目指したい地方からは、こういった施設も交付金の対象としてほしいとの要望があります。  そこで、質問であります。  コロナで、私たちは疲弊して、そしてダメージを受けました。しかしながら、ある意味においては、これまでなかなか進まなかった、硬直化してきたものが大きく動くチャンスにもなっている、これも事実かと思います。そういった意味におきまして、これまでにはない新たな技術、生産性への考え方、大胆なシフトチェンジが求められているのではないかと思うのです。これらを鑑みましても、例えば、この地方創生拠点整備交付金についてはもろもろ弾力化を検討していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  257. 北浦修敏

    ○北浦政府参考人 お答え申し上げます。  地方創生関係交付金につきましては、これまでも、地方からの様々な要望を踏まえ、内閣府として、運用の弾力化に取り組んできているところであります。  委員お尋ねの地方創生拠点整備交付金につきましては、地方のニーズを踏まえ、今年度当初から新たに複数年度にわたる施設の整備も対象としているところであり、議員から今御指摘のありました、複数回の採用を可能にするような御提案等もいただいたところでございますが、今後の採択状況を踏まえつつ、地方の意見も聞きながら検討してまいりたいと考えております。  また、さらに、議員から御指摘のありました建築基準法上の建築物に限らない施設の整備、設備の整備などに係るものにつきましても、実は、令和元年度補正予算より、地方創生への高い効果が期待されるなどの一定の要件を満たす事業については、設備の整備などに係る費用も対象といたしておるところでございます。  いずれにいたしましても、地方創生関係交付金を効果的に御活用いただけますよう、引き続き、地方公共団体からの相談に丁寧に対応するとともに、運用の弾力化に努めてまいりたいと考えております。
  258. 木村弥生

    木村(弥)分科員 ありがとうございました。一定の要件を満たせばそれも考慮に、検討していくといった前向きな御答弁を頂戴いたしました。  地方が頑張ろうとしたときに、どこかでいつも、足止めを食らったり、また戸惑ってしまうことは多々あります。かつて、二〇一六年に待機児童問題が問題になったときに、小規模保育、ゼロ歳から一、二歳児の子供たちを預かる、そういった施設を更に増やしていこうとしたときに、結局、また建築基準法だとか消防法でスプリンクラーの設置が必要だとかあった中で、いや、そういうことは必要ないということが平場で分かったりとか、現場で頑張ろうとした中で、様々なこういったネックがあることも事実であります。  繰り返しになりますが、コロナで本当に皆が疲弊していた中で、わくわくする夢のある事業に向かって頑張ろうとするところを、是非、国としても後押しをしていただきますように、重ねてお願いを申し上げます。  ありがとうございました。  次の質問に移ります。  女性活躍こそ地方創生の鍵ではないかということであります。  このコロナ不況は、女性に打撃の多い不況と言われております。女性が貧困に陥るリスクが高まっております。  私が事務局長を務めます自民党女性活躍推進特別委員会におきましては、昨年に続きまして、コロナ対応の中核に女性と女の子をと題した緊急提言の第二弾をまとめ、菅総理に提出をいたしました。新たな雇用の機会を広げる意味で、例えばデジタル化社会を見据えた研修の充実などを提案しているところであります。  コロナ感染防止策として、テレワークが大企業だけでなく中小企業にも広がったことで、東京の一極集中、特に女性が東京に集中する状況を是正するチャンスが到来したと私は思っております。今のところ、東京から近隣の神奈川県や千葉県の方に移っているというようなドーナツ化が進んでいるのが実情かもしれませんが、私は、今こそ真の地方創生のチャンスではないかと思います。  しかしながら、地方独特の時代遅れの排他的な文化がそのままでは、結局、意味を成さないと考えます。真の地方創生は、女性が生きづらさを感じることなく、生き生きと自分らしく働くことができる環境があってこそだと思います。  そこで、質問でございます。  地方創生の観点から、無意識の偏見、アンコンシャスバイアスと言われておりますが、この打破をどのように捉えていくのか、大臣の見解を求めます。     〔北村主査代理退席、主査着席〕
  259. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 私は熊本の農村部の生まれ育ちですので、今委員が言われました、今で言うアンコンシャスバイアス、無意識の思い込み、こういったものを子供ながらも、あるいは若い頃から、もう嫌というほど感じてまいりました。  地方出身の女性が東京に転入してくる背景として、地方におけるそういった固定的な性別役割の分担、そして性差に関する偏見、今言われましたようなアンコンシャスバイアス、こういったものが根強く存在しており、それが、女性の活躍の場が限られているからやはり東京に出てくるというようなことは、私は大いにあるというふうに思っております。  こうした状況を打破し、地方において女性が活躍できる環境を実現することは、東京圏への一極集中の是正や地方における少子化、人口減少への対応にも資するものであるというふうに考えております。  私は、菅総理からこの地方創生担当大臣を任されるときに、農村、農業で地方創生をやれというふうに言われました。それを受けて、私は、女性が就農するような農業、農村にならなければ駄目だ、そのためには、やはりそういった様々な農村社会の女性に対する偏見、差別、あるいは農業経営体の改善、こういったものをしながら、女性がまずは就農したくなる、そうすれば、必ず地方創生はできるし、それに伴って男性の就農も増えてくる、農業の担い手も増えてくるというようなことを今も言っているところでございます。  今後とも、関係省庁と連携をしながら、女性活躍に向けた意識改革を始め、就労促進や活動の場の確保、そして女性にとって魅力的な地域づくりを通して、将来にわたり女性が活躍できる持続可能な地域社会というものを構築していくことが地方創生につながっていくものだというふうに確信をしております。
  260. 木村弥生

    木村(弥)分科員 大臣、ありがとうございます。  元々は、先ほどの女性活躍推進特別委員会の提言は、これからデジタル化に当たって、国も自治体もデジタル人材が非常に不足している、それも、非常にハイスペックな人材でなくて、三か月程度の研修で、例えば、情報弱者と言われているような高齢者の方や、また障害のある方たちにICTでつなぐという人材ですとか、また、これから行政が、ベンダーが共通化していくようなところで非常にニーズが高まるのではないかという観点から提言をいたしましたが、今大臣がおっしゃった、農村におきましての成長戦略としての、稼げる農業の担い手としての女性の活躍を期待するというお言葉を聞いて、大変うれしく思いました。  ともすれば、能力のある女性が、女性というだけで、あるいは年齢で差別されて、そういった能力を生かし切れないといったことが多々ございますが、私の地元の企業におきましても、そういった子育てが一段落した女性たちが活躍することで、くるみん、プラチナくるみんの表彰もされたんですけれども、非常に離職率も低くて、定着がございます。私自身も、子育てが終わってから、四十代で看護師、保健師になった。こういった、もっともっと女性の活躍を地方でこそ認めて、そして育てていくような土壌になることを心から期待するものであります。  次の質問に移ります。  今、困窮する女性が増えています。追い詰められて、どこにも相談できずに孤立している女性を救うために、二十四時間対応できる、ソーシャルネットワークを含めたあらゆる手段を用いた相談しやすい窓口が必要です。政府も、こういった問題を重く受け止めて、孤独・孤立担当大臣を設置されたと伺っております。  先日、あるテレビ番組で、生きづらさを抱えた女の子たち、これまで、日常的にたたかれたりどなられたりするのが当たり前だったような、そんな女性たちを支援するプロジェクト、BONDプロジェクトさんの取組が紹介されていました。そこでは、そういった支援していくNPO同士の連携の難しさというものが指摘をされておりました。こういう女性や子供の命や生活を守るセーフティーネットの役割を果たすNPOの努力だけでなく、また、行政としても、責任を持ってNPOとの連携を含めた体制の整備をしていくべきだと思っております。  そこで、是非、こういうことに関しての厚労省の見解を伺いたいと思います。
  261. 大坪寛子

    ○大坪政府参考人 お答え申し上げます。  弱者の女性というところで、いろいろなお立場の方がいらっしゃると思いますが、例えば予期せぬ妊娠などをされた場合の弱者、こういった方、妊婦に対して国としてどういった支援ができるかということを御説明をさせていただきたいと思います。  令和二年度の予算からこれまで、二つ事業を展開しております。一つは、若年妊婦への支援に積極的な、今先生からお話があったようなNPO、こういったところのアウトリーチ、SNSによる相談支援を行う若年妊婦等支援事業、それからもう一つは、産科医療機関ですとか乳児院などにおいて、そういった方々を受け入れて、生活ですとか居場所、こういったところを確保してさしあげる産前産後の母子支援事業、こういったものを展開をしてきております。  これらは令和三年度も引き続き事業を継続をしておりまして、各自治体におかれましても積極的に活用をしていただくよう、周知に努めているところでございます。
  262. 木村弥生

    木村(弥)分科員 ありがとうございました。  是非、その取組を更に進めていただければと思います。  今、孤独、孤立、それがトレンドになる一方で、私は、ウェルビーイングというのも一つポイントではないかと考えております。  今、ウェルビーイングの研究が進んでおります。先日、自民党の日本well―being計画推進特命委員会で拝見いたしました資料によりますと、主観的なウェルビーイング、幸せだとか満足に至る道というのは、条件として、社会的な寛容が決定的な要因として、生き方の選択肢が増える、困ったときに助けてくれる人がいるというのがあるそうです。調査によりますと、日本は、実感と豊かさを感じられていない例外的な国だそうです。それはなぜか。仮説として、まだまだ社会の寛容度が低いため、人生の選択肢があると思えず、ゆえに自己決定している感じがしないからだそうです。  硬直的な価値観の押しつけ、排他的な言動が生きづらい社会をつくっています。困ったときに助けてくれる人がいるという信頼感に加えて、多様性を受け入れていく寛容な社会を築いていくことが、アフターコロナの日本の進むべき航路であると思いますし、先ほど来申し上げております真の地方創生に不可欠な要素ではないかと思いますことを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  263. 藤原崇

    藤原主査 これにて木村弥生君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  264. 藤原崇

    藤原主査 次に、内閣所管について審査を進めます。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
  265. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。  木村弥生先生の、非常に、現場の声を聞いた、また、温かくも建設的な質疑を伺わせていただきながら、私もしっかりと引継ぎをさせていただきたいなと思っております。  今日は、新たに新設をされ、まさに注目も集めておりますが、孤独・孤立問題に関しまして、担当大臣質問させていただきたいと思います。  まず、昨日は、官邸にて、私も携わらせていただいておりますが、自民党の若手有志による孤独対策勉強会の緊急提言を受けていただきまして、ありがとうございました。そしてまた、その夜に緊急フォーラムが開かれたことと思います。  大臣、まず、このフォーラムに出られての大臣の御感想、特に心に刺さったというか残ったエピソードであるとかアドバイスというのがあれば、是非共有をいただけないでしょうか。
  266. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 大変充実した緊急フォーラムだったと思います。  九の団体、そして一人の方、十の、団体、個人に来ていただいたんですけれども、それぞれが現場で、支援を求める人に寄り添いながら本当にしっかり活動されているなということを改めて感じました。今朝、加藤官房長官とも、それから菅総理とも話しましたけれども、大変、昨日の緊急フォーラムを評価して、ためになったというふうなことを言っておられました。  その中で、特に私として印象に残ったのは、やはり、キーワードとして、つながる、つなぐ、こういった言葉が各団体から出てきたということ、それから、窓口は、対面であったり、ネットであったり、医療施設であったりするけれども、それを最終的にどう支援に結びつけていくのか、その出口の一本化といいますか、そういったものをやらなければいけないというようなことが印象に残りました。  それから、やはり官民連携、民民連携、こういったものをどうつくり上げていくかというようなことも出ました。  様々なことが出ましたので、問題の洗い出しと、そしてこれからのそれを克服するための構築、こういうものをしっかりと進めてまいりたいと思っております。
  267. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。  大臣、孤独担当の大臣に御就任されてから、ブログでも何度となくこの問題を発信されていらっしゃることも、私も拝読をさせていただきました。まさに大臣の、孤独対策というよりも、人に寄り添うことの重要性であるとか、つなぐ、若しくはつなげていくことの思いというものを感じさせていただいて、私自身、この問題を推進させていきたいと思っている者の一人として大変心強く思っております。  そこで、一方で、孤独・孤立大臣できたぞ、対策室もできた、しかしながら、まだまだ国民皆さんは、何をやるんだろう、誰のためのものなんだろうという印象というものも持っていらっしゃるのではないのかなと思っておりまして、政府のメッセージというものが非常に重要だと思っております。  そこで、今日この分科会において、大臣の個人的なエピソードで構わないんですけれども、大臣考えられる、経験をされた孤独のエピソードを是非披瀝していただけないものでしょうか。
  268. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 一番近い例でいいますと、やはり熊本地震です。二〇一六年、今からちょうど五年前、四月の十六日、午前一時二十五分でございました。私の家も半壊状態になりました。子供も孫も来ておりまして、五月の節句をする予定でありましたので。それで、近くの中学校に避難をいたしまして、一夜そこで、車の中で明かしました。余震がずっと続いておりました。不安の限りでありました。  夜が明けてその周囲を見ますと、ほとんどの家が崩れておりました。そして、車を走らせて各役場に行きますと、役場もそうですし、それから、橋もそうですし、河川もそうですし、土砂崩れも起きておりますし、まさに我がふるさとが荒廃しているということを痛感いたしました。  このときの孤独感、これはやはり人には言えないものがあったんだろうというふうに思います。これからこの地域をどうやって立て直していくんだ、多分私の背中にいろいろと要望が出てくるかもしれないけれども、それを一つ一つどうやって解決していったらいいだろうかというようなことを感じ、二日間ぐらいはその孤独感にさいなまれたことがあります。  ただ、避難所にそれから行きますと、多くの方々が避難をされておられまして、そして、坂本さん、頼みますね、いろいろなことを言われて、ああ、孤独を感じているのは私だけじゃないんだ、そして、孤立はしていないんだというような思いに駆られて、それから皆さん方に力をいただきながら復旧や復興への活動を始めた、加速をさせていったというような経験が、私にとっては孤独感と孤立に対する一番卑近な感じでございます。
  269. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。  今のエピソードの中でも非常に重要なのは、こういった言い方が正しいかあれですけれども、大臣でさえといいますか、孤独感をさいなまれたことがある。つまり、やはり孤独というものは誰しもが感じ得る感情であるということが一つ重要なメッセージだったと思います。  そしてまた、それは、その感情、孤独というものはいつ何どきやってくるかも分からない。大臣の場合に、今のエピソードでいえば自然災害ということでもありましたが、人生のライフイベントも様々あると思いますし、こういったものはいつ何どき起こるか分からない。だからこそ、やはり支援、何かあったときのための支援、つなぐ、つなげていく、その体制づくりが必要だなと改めて実感をいたしました。  そして、もう一つ重要な点を大臣は御答弁いただいたと思うんですが、孤独と孤立は違うと今大臣は明確におっしゃっていただきました。  ありがたいことに、孤独・孤立対策、マスコミの皆さんにもるる報じていただいておりますが、私自身が取材を例えば受けても、その記事の中で孤独と孤立というものが一緒になってしまったり、ぐちゃぐちゃに書かれてしまったりしていることも多々ありまして、そのたびに私も訂正をさせていただいております。  大臣のお言葉から、孤独と孤立、今、孤独のお話をいただきましたけれども、孤立というのはどういったことを指すと大臣はお考えでしょうか。
  270. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 私は、孤独というのは、やはり精神的に非常に、もう先行きが見えない、あるいは不安感が募る、こういうことであろうというふうに思います。非常に精神的なものであると思いますし、孤立というのは、客観的に、つながりが持てない、自分一人の状態になっているというようなことであろうと思います。  ですから、孤立していても孤独感を感じない人もいますし、その逆もある。孤立していなくても孤独感を感じる人がある。  いろいろな孤立と孤独のケースがあると思いますけれども、私たちが一番これからやはり気をつけていかなければいけないのは、もう先行きが見えない大きな不安感からくる孤独が最終的に自死あたりにつながっていく、こういったこと辺りに一番注意を払いながら、これから対応策を作っていかなければいけないというふうに思っております。
  271. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 ありがとうございます。  今の部分が非常に重要で、この対策を進めていく上で、そしてまた国民皆さんに伝えていく意味でも、非常に重要なメッセージだと思っております。  例えばなんですけれども、自殺をされた方も、家に帰れば家がある、仕事を持っていれば職場がある、同僚がいる、家族がいる、しかしながら自死を選んでしまった方、この方は社会的に孤立をしていたのかというと、様々な要因ももちろんありますが、孤独という個人の感情が、追いやられて自死を選んだ。そういった意味では、孤独という個人の主観的な感情だけれども、そこで誰かが、あなたが苦しんでいるのであれば、そこに支援をしていきます、こういったメッセージを、今の大臣の御自身の経験に基づいたエピソードも交えながら是非発信をいただきたいな、このように思っております。  特に、孤独からアプローチをしていくことで、対症療法的なアプローチではなく、孤独感を感じる人たちを少なくしていくんだ、あなたのため息を減らしていきます、そのため息を笑顔に変えていきましょう、こういった前向きなメッセージというものも同時に発信をしていただきたいな、このようにお願いをさせていただきます。  そこで、防衛省にも来ていただいておりますが、まさに防衛省、例えば自衛官、ある種、社会的孤立とは皆無といいますか、集団で生活もしておりますし。しかしながら、自衛官の皆さんの自殺というものも、やはり問題が指摘をされていることと思います。  そして、私自身も防衛の政務官を務めさせていただいたときに、様々ヒアリング等も、意見交換もさせていただきましたが、自衛官独特のやはり文化というものも根底にあるのではないのかなと思っております。  この孤独対策にアプローチをしていく上で、属性に照らしたアプローチというものが、画一的な、全ての人に万人受けするアプローチはないんだと思います。属性に応じたアプローチというものが必要だと思いますが、是非、防衛省としてどのようなことを取り組んでいらっしゃるのか、若しくは、どういったところに主眼を置いて取り組んでいるのか、教えてください。
  272. 川崎方啓

    ○川崎政府参考人 お答えいたします。  防衛省におきましては、平成三十一年四月に部外の専門家の方との意見交換を実施した際、自衛官は、一般の方と比較をして、困ったときに助けを求める態度に出られない、そういった特性があるのではないかという御指摘をいただきました。  その後、防衛省内で行われました自殺対策に関する議論の場で、当時の鈴木貴子政務官から、自衛官については、苦しいときに助けを求められる援助希求能力の向上が課題であるという御指摘をいただいたと承知をしております。  こういったことを踏まえまして、令和元年、秋のメンタルヘルス施策強化期間におきまして、苦しいときに助けを求めることは能力であって、援助希求ができる人ほど自己管理能力が高い、こういうことを自衛隊員に認識させるような教育を開始いたしました。また、隊員に対して実際にカウンセリングを体験させる、こういったことによって、カウンセリングというものに対する自衛隊員の心理的な抵抗というものを減らすような取組を行っております。  防衛省といたしましては、引き続き、隊員のストレス軽減や悩みへの適切な対応を行うとともに、隊員がその能力を十分発揮できるよう、健全な職場環境の整備に努めて、自殺事故の防止などに全力で取り組んでまいります。
  273. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 川崎局長は、引き続き是非よろしくお願いをいたします。  坂本大臣、今のこの防衛省の答弁を聞いていただいても、その属性に応じたアプローチの重要性、特に私自身、非常に政務官時代に感じたのは、相談に来てくださいと幾ら言っても、逆にそれは彼ら、彼女たちを苦しめることになる。なぜかというと、相談をすること自体がもう弱いものだという、何というんですか、烙印のように感じるという方が非常に多い。  だからこそ、組織の精強性を担保する上でも、自分の心身共の健康状態を維持するということは必要な能力なんだ、求められている資質だよというような投げかけをすると、ああそうか、じゃ、ちょっとカウンセリングに行ってみようかというような心持ちに変わってくれる。こんなことを私自身も体験、体感をしたところであります。  そこで、ちょっと今回設置をしていただいた孤独対策室の方の話なんですけれども、今現在、六省庁だと承知をしております。官房も、内閣府、厚労省、文科省、農林水産省、国交省また環境省からも来ていただいております。しかしながら、今答弁をいただいた防衛省は入っておりません。また、例えば自殺の統計、数値を持っている警察も入っておりません。  私は、やはり、孤独・孤立対策担当大臣をわざわざ設置し、室までこれだけの短期間の中でスピーディーに取り組んでいただいた、いかに菅政権が、菅内閣が一人一人の命に向き合ってくださっているか、これをしっかりと一挙手一投足で国民に対してメッセージを発信していくべきだと思っています。  そういった意味では、是非、孤独対策室、今六省庁でありますけれども、自衛官においては属性の問題もあります、警察においてもデータを持っております。そういった意味では、是非ともここの対策室の拡充を、もっと間口を広げていただき、また、来週には関係省庁連絡会議が行われるということでありますが、関係省庁連絡会議に入っていない省庁は、裏を返せば関係していないのかという誤ったメッセージにしないためにも、私は、全省庁連絡会議、全省庁で、国を挙げて、政府を挙げて取り組んでいく、そういったメッセージを是非とも発信していただきたいし、体制に表していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  274. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 対策担当室につきましては、これは定数に限りがあり、人数に限りがありますので、まずは厚労省とかあるいは文科省とか、そういったこれまで取り組んできた各省庁から来ていただきました。ただ、それを少し拾いますと、専従体制、常駐は六人ですけれども、専従は十人になります。それから、兼務も含めますと三十一人になりますので、それはもっと広がってくるであろうというふうに思います。  そして、昨日の緊急フォーラムを聞いて、様々な課題があるということが改めて分かりました。また、鈴木委員からの昨日の提言を受けて、これから、来週、関係の省庁会議のメンバーをどういうふうにしていくかというふうなことを検討していくわけですけれども、今言われたように、全省庁をやはり含めた関係省庁連絡会議にしていきたいと思います。  公正取引委員会とか宮内庁あたりが入るかどうかは、それは分かりませんけれども、できるだけ幅広く、特に今言われました防衛省の問題等につきましては、改めて、様々な課題がある、あるいはそれに対して取り組まなければならないということも理解をしたところでございますので、委員の指導も含めて、全省庁の関係の連絡会議、これを立ち上げていきたいというふうに思っております。
  275. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 大臣、ありがとうございます。  大変安堵したところでありますし、これは間違いなく大きなメッセージとして広まっていくことと思っております。  そういった中で、昨日も緊急フォーラム、私も報道等々で仄聞しているところでありますが、孤独であるとか孤立といったものの具体的な現場においても、相談件数といったものは増えてはいるけれども、では、その今回の対象たる孤独、孤立のデータというんでしょうか、調査というものがなかなかないということも御指摘をいただいているかと思います。  そういった意味で、全国調査をしていく上でも、やはり、指標というものを策定していくことが急務ではないかと思っておりますが、この指標作りに関しての今後の見立て、若しくは大臣のお考えを是非お聞かせください。
  276. 北波孝

    北波政府参考人 お答えいたします。  孤独に関して指標策定が急務ではないかということでございます。  先ほど来の御議論からもありますように、孤独というのは、精神的なもの、なかなか、どのような形でこれを指標化するか、これについては検討が必要だというふうに思っております。  そういう中で、孤独、孤立の実態というものにつきまして政府としても把握していくということは重要であるというふうに考えておりますので、実態を把握する際には、何を焦点に当てて、そういうことに当てるかということを明確にすること、これが必要だというふうに考えておりますので、しっかりと受け止めさせていただきたいと思います。
  277. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 まさに、我々、大臣もつくって、これから政策を、そしてまた予算も投じていくわけであります。やはり、検証可能な在り方というものを追求していく、そういったEBPMももちろん求められておりますし、何よりも、その政策の検証ができるようにという意味でも、大臣おっしゃったように、孤独という主観的な感情であるけれども、これをそういった指標に基づいて可視化させていく、数値に落とし込んでいく、こういったことが非常に重要になってくると思いますので、速やかな御対応、そしてまた、イギリス等々の先進事例などもしっかりと見ていただきながら、日本版の指標というものをお作りいただきたいなと思っております。  ちょっと、質問通告もるるありましたが、自殺のウェルテル効果の項目のところに飛ばさせていただきたいと思います。  実は、私、二月の四日、予算委員会でもこの問題を取り上げさせていただきました。  九月の女優さんの自殺報道を受けて、厚労省のホームページのデータによると、まさにその報道があった日から十日間の中で、二百六人のウェルテル効果による自死があったのではないかという推察もされているわけであります。  そういった中で、厚労大臣そしてまた官房長官からも、連日のように、WHOのガイドライン、これを遵守してくださいというお願いはしていただいております。しかしながら、あくまでもお願いである。  一方で、私もテレビなどを見ていると、ストレートニュースというのは確かに事実関係のみを扱ったやに見受けられますが、いわゆる情報番組などは、コメンテーターの人なども推測も交えて、WHOのガイドライン、必ずここに寄り添いであるとか、命の、心の相談窓口だとかの番号を表示していることを逆に免罪符に、延々とその自殺の報道がある。若しくは、その方の御家族であるとか、元血縁関係にあった方のところまで踏み込んで、またその翌週にも報道がある。私自身は、こういったことを検証する場が必要である、このように考えています。お願いではもう駄目である、十分でない。  自殺対策基本法にも、自殺というのは個人の問題ではない、社会課題だということをしっかりと理念にも打ち込んだその意義を、我々はしっかりと形にしていかなくてはいけないと思っております。  そこで、プロバイダーであるとか、例えば検索サイト、こういったところとの連携と強化というものが重要になってくると思いますが、今の現状、どのような対応がなされているでしょうか。
  278. 岩井勝弘

    ○岩井政府参考人 お答え申し上げます。  メディアによります自殺報道は、自殺を誘発する可能性がありまして、特に著名人の自殺に関する報道は影響が大きいことがWHOから指摘されております。  厚生労働大臣の指定調査研究等法人であります、いのち支える自殺対策推進センターの分析によりますと、令和二年十月の自殺増加においてウェルテル効果が起きた可能性が極めて高く、先生先ほど御指摘あられましたように、有名人の自殺、自殺報道を受けて増加した可能性のある自殺者数は、十日間で約二百人に上ると指摘されております。  WHOでは、メディアが適切な自殺報道を行うよう、自殺報道ガイドラインを作成しておりまして、厚生労働省及びいのち支える自殺対策推進センターでは、著名人の自殺が報道された際には、報道関係機関に対して、その都度、ガイドラインを踏まえた報道を行うよう要請しております。  その対象でございますが、新聞、テレビ局、番組編成担当、地方紙、地方テレビ局、一部週刊誌など二百四十か所に及んでおりますが、そうした中で、報道機関全体に対する課題として捉えております。  自殺は、個人の問題ではなく、社会全体の問題であり、自殺報道による自殺誘発の防止は、政府が取り組むべき課題であると認識しております。  引き続き、いのち支える自殺対策推進センターと連携しながら、報道関係機関等に対してガイドラインの遵守の徹底等を呼びかけてまいりたいと存じます。
  279. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 これは、もしかしたら、次は総務省に御答弁をいただければと思うんですけれども、例えば、ヤフーさんだったと思うんですが、その九月のときには、女優の自死の報道をあえてヤフーニュースのトピックに上げないという判断をされたように伺っております。  しかしながら、これは、あくまでもその検索サイト独自の判断、倫理規定等々での独自の判断だったと伺っておりますが、こういったことを、例えば最近はSNSもありますし、検索サイトの方でも、検索されればされるだけ上位に上がってきてしまう、この習性もありますので、やはり何らかの基準というかルール作り、お願いベースではなくて、検証していきながら、新しい取組が必要だと思いますが、総務省の見解はいかがでしょうか。
  280. 今川拓郎

    ○今川政府参考人 お答えをいたします。  お尋ねの点につきましては、先ほどの厚生労働省様の答弁にもございましたけれども、ウェブ媒体も含めたメディア関係者に対して、WHOのガイドラインを踏まえた報道に徹するよう要請をされているというふうに承知しておりますので、報道の自由との関係性にも十分配慮しながら、総務省としてもできることがあれば協力を検討してまいりたいと考えております。
  281. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 実際に、自殺総合対策の推進に関する有識者会議、これは総務省さん、出ておられます。その中でも、第二回会合、これは二〇一九年九月二十五日の議事録からでありますが、平成二十九年には二度の要請を行った、これはちなみに、プロバイダーに対して適切な、過度な報道等があれば削除するよう要請を行っておりますと。平成二十九年には二度の要請を行ったほか、定期的に代表的なSNS事業者に対し取組状況のヒアリングを行いまして、引き続き適切に対応するようにコミュニケーションを図っておりますと御答弁がされているところであります。  実際にウェルテル効果が推察されたのは、別に、今回、昨年の秋に限ったことではないと思っています。平成二十九年の間からも何度となくその問題があると思いますが、具体的にどのようなコミュニケーションを図られているんでしょうか。
  282. 今川拓郎

    ○今川政府参考人 お答えいたします。  ウェブ媒体を含めましたメディア等については日々コミュニケーションを取っておりますけれども、ただ、この点につきまして具体的な成果というのはまだお聞きをできておりませんので、厚生労働省様の、先ほどの報道に対する要請効果などを今後しっかり注視してまいりたいというふうに考えております。
  283. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 注視だけでは困るんです。具体的に取り組んでいただきたいということを申し上げているんです。  是非とも具体的に取り組んでいただけますでしょうか。端的にお願いします。
  284. 今川拓郎

    ○今川政府参考人 お答えいたします。  私、申し上げましたのは、周知ではなくて注視、しっかり……(鈴木(貴)分科員「注視じゃ困るんです。具体的に」と呼ぶ)はい。  まずは、各媒体の、メディアの取組を、どういったことをされているのか、それをしっかり見極めてまいりたいというふうに思っております。その上で、何かできることがございましたら、厚生労働省さんとも相談をさせていただきながら、何ができるか考えていきたいと思っております。
  285. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 時間も限られておりますが、非常に、最終、最後、ここが今回の質疑のある種隠れた裏テーマではなかったかと、大臣。  今回、まさに先ほども、関係省庁会議改め全省庁にしていただきたいと。この問題というものは、特に自殺ももちろんでありますけれども、どこの省庁だから関係があるではなく、全省庁である。今のやり取りを聞いていても、できることがあったらと。そうじゃないんですよ。総務省は、自殺総合対策の推進に関する有識者会議に出ていらっしゃるわけですから、待ちの姿勢では困るわけです。  今、支援だってアウトリーチをもっと促進していこうということがある中で、今回、この質疑でやり取りをさせていただく中においても、このウェルテル効果、つまり、自殺対策の関連であれば、この質問というのは厚労省であって、我々総務省ではないというやり取りがあったのが事実であります。  私は本当にお尋ねしたいんです、命に、色と役職、省庁の名前を書いているのかと。総務省が守るべき命と厚労省が守るべき命、何かあるんでしょうか。ないはずなんです。苦しいと思っている人たちに対して、ありとあらゆる知恵と英知を使って守っていく、支えていく、それがまさに自殺対策基本法の理念なんじゃないでしょうか。  大臣、最後に、時間となりましたが、今のこのやり取り一つを見ても、縦割りの打破というのが一つの大きな大きな鍵だと思っています。  検索サイト、昨今は、やはり若い人たちはインターネットとの密接な関わりがあります。実際にアンケートでも、自殺サイトを見たきっかけ、これは、検索エンジンからというのが、平成二十年ではテレビを見てだったのが、二十三年、二十八年と検索エンジンからにもう変わってきているんです。  インターネット、これは、規制ではなくて、罰則といったものではなくて、みんなでみんなの命を守っていこうという、まさに自殺対策基本法の理念を守っていく上でも、メディアの皆さんとまさに官民連携、民民連携の意味でも、是非とも大臣のイニシアチブを発揮していただきたいと思います。  大臣、最後に心ある意気込みをお願いいたします。
  286. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 ありがとうございます。まさにそこが、今度、対策室をつくり、担当室をつくり、そして全省庁による関係の連絡会議をつくる、そしてその中で私が司令塔になって、そして省庁の壁を取っ払って、支援を必要としている人たちに、ここにはこういう支援がある、こういう存在があるというメッセージを発するというようなことをしていかなければいけないというふうに思っております。お役所仕事に一番なじまない仕事になってくるだろうというふうに思います。  ですから、私は、訓示式のときに、やはり、皆さん方がこれからの社会を変えていく、そういう思いで、お役所仕事じゃなくて仕事に当たってもらいたい、それは、役人人生ではなくて、これからの自分自身の人生にも豊かなものを与えてくれるはずだというふうなことを言いました。  そういうようなメッセージをこれからも対策室として一体になって発していきたいと思いますし、具体的なメッセージの仕方につきましては、また党のそれぞれの勉強会もあると思いますので、その勉強会の方からの、特命委員会あたりからの様々な御指導も受けながら、これからのメッセージの在り方も考えてまいりたいというふうに思っております。
  287. 鈴木貴子

    鈴木(貴)分科員 期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  288. 藤原崇

    藤原主査 これにて鈴木貴子君の質疑は終了いたしました。  次に、大西健介君。
  289. 大西健介

    大西(健)分科員 立憲民主党、大西健介です。  私は、今日、前半は河野大臣とワクチンのことについて質問させていただいて、後半、国会等について質問させていただきたいと思っています。  まず、今日は、河野大臣、ワクチンの接種体制を組む前提になることについて幾つか確認したいんですが、先日、高齢者用のワクチンの配布について発表されたときに、百箱、五万人が二回接種できる量ということで、記者から、これは五回分で計算しているんですか、六回分で計算しているんですかと言われて、大臣がちょっと答えに窮するような場面があったんですけれども、まさに予算委員会で問題になっている、一瓶から六回分取れる特殊な注射器というのが確保できるのかどうなのかというのが前提条件に関わってくるというふうに思います。  既に増産をお願いしているということですけれども、作っているニプロのタイの工場では、足下の月間生産量は五十万本、増産開始に四か月から五か月かかって、供給までにプラス一、二か月かかる、そうすると早くても九月かなという話があるんですけれども、いま一度、まさに体制の前提になるこの特殊な注射器の確保の見通しということについて大臣に御答弁いただきたいと思います。
  290. 河野太郎

    ○河野国務大臣 針とシリンジにつきまして、今、鋭意努力しているところでございます。
  291. 大西健介

    大西(健)分科員 いや、努力しても、タイのニプロの工場は、今言ったように、増産開始に四、五か月、そして供給までにプラス一、二か月、九月だと言っているので、これはそのとおりということで間違いないんですか。
  292. 河野太郎

    ○河野国務大臣 別に、ニプロだけが供給しているわけではございません。
  293. 大西健介

    大西(健)分科員 でも、結局、努力していますだけじゃ全く見通しが立たないわけですよね。努力しているだけだったら誰でも言えるわけであって。ただ、先ほどの話のように、結局、供給数に対して何人分打てるのかというのは、まさにこの六回分の注射器が幾つ確保できるかによって大きく変わってしまうので、それはやはり、努力しているだけじゃ、私は、これは話にならないんじゃないかな、説明責任を果たしているというふうには言えないんじゃないかというふうに思います。  同じような話で、一回接種の話があります。  これについてもいろいろなところで聞かれていますが、田村大臣は、一回打ちは考えていないと。河野大臣は、もし一回でそれなりに効果があり、日本でもそれでいこうとなれば打ち方も変わってくる、これから考えなければならないということを初め言われました。まあ、今は、現時点では考えていないということも言われていますけれども。一方で、与党自民党内からは、ワクチンが順調に届かない場合には、政治的な判断として一回打ちも考えなきゃいけないんじゃないかという声が上がっています。  私がお聞きしたいのは、この一回接種、選択肢として完全に排除するのか、それとも、まさに自民党内で言われていることはそういうことだと思いますけれども、順調に入ってくればいいんだけれども、もし入ってこない場合には、政治的判断で一回打ちということも選択肢として、初めから、現時点ではそうじゃないけれども、選択肢として完全に排除するものではないということなのか、どちらなのか。これを河野大臣にお聞きしたいと思います。
  294. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ワクチン接種に関する政策的な判断は田村大臣でございますので、厚労大臣にお尋ねください。
  295. 大西健介

    大西(健)分科員 ワクチンをどれを採用するのかというのはまさに田村大臣の所管ですけれども、今言ったように、一回接種か二回接種かでは全然、河野大臣がまさに責任を持っておられるワクチン体制を組む前提が変わってくるという形なので、それを排除するのかしないのかということをお尋ねしています。
  296. 河野太郎

    ○河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますけれども、接種の政策に関しては田村大臣にお尋ねください。
  297. 大西健介

    大西(健)分科員 さっきのまさに注射器の話もそうですし、一回打ちを排除するのかしないかという話も、河野大臣が責任を持っているまさに接種体制を組む上での大前提なんですよ。それが違ってくれば、全然、河野大臣のやることが変わってくるという話なので、それについて、全く私は知りません、厚労省に聞いてくださいという話だと、私、これは話にならないと思います。  ちょっと通告していないですけれども、じゃ、今のお話に関連する話で、今日の報道とかを見ていると、今進められている医療従事者の接種ですけれども、当初三百七十万人ということで予定をしていたのに百万人増えたということで、これについても、記者会見の席で、たしか、河野大臣、三百七十万人の根拠は何ですかと言ったら、知りませんと言っていました。多分、今の話でいうと、これは厚労省考えることなので私は知りませんという話だと思うんですけれども、でも、三百七十万人が百万人増えるというのは、ちょっとずれましたという話じゃないですよね。  この百万人増えたことというのは、これは、報道等によると、厚労省は、元々、医療の実態調査のデータに基づいて大体人口の三%ぐらいが医療従事者だ、ですから、今人口一億二千五百万人に三%掛けて約三百七十万人という数字を推計値として出していたんだけれども、これが推計値ですよということが十分に内閣府に伝わっていなかったんじゃないかという話が出ていますけれども、そういう理解でよろしいのか。  それから、この一番大事な基本になる数字がそんないいかげんなことで、さっきから言っている、六回分の注射器がいつ入ってくるかも分からない、あるいは、一回打ちを排除するのかしないのかも、そんなことは全部厚労省に聞いてください、私は知りませんと。そんなことで、責任を持ってこの体制が組めるんでしょうか。今の百万人についてもお答えをいただきたいと思います。
  298. 河野太郎

    ○河野国務大臣 厚労省が推計をして三百七十万人と言っておりましたけれども、このコロナ感染症に関する患者さんに接する医療従事者あるいは救急隊員、万が一のときに輸送する自衛隊員、海上保安庁の職員、その他もろもろ、都道府県から上がってきた数字を合計したところ、かなり人数が増えたということでございます。
  299. 大西健介

    大西(健)分科員 じゃ、確認ですけれども、大臣は、これは人口に三%掛けてざっくり試算した推計値だということは知っていたと。つまり、百万人ぐらい増えたって、これは別に不思議なことじゃなくて、ああそうかと、別にびっくりもしなかったということですか。どうですか。
  300. 河野太郎

    ○河野国務大臣 それだけ医療関係の皆さんのワクチン接種の思いが強いということでございますから、これはどこかで打っていただくことになりますので、それはそれで吸収していかなければならぬと思います。
  301. 大西健介

    大西(健)分科員 私は、河野大臣に期待もしていますし、河野大臣が言われているように、これは今までにないプロジェクトですから、何が起こるか分からないから柔軟にやっていかなきゃいけないんだ、予想どおりにいかないんだということは、これは理解しますけれども、何度も繰り返しますけれども、六回分の注射器がいつどれだけ確保されるのかも分からない。一回打ちになるのか二回打ちになるのか、まあ、二回打ちで、絶対一回打ちはないというなら、それはそれでいいんですけれども、それも私が決めることじゃないと。それから、今のような医療従事者の推計値も、数字が百万人も変わってくるという話で、本当に一番基本のところが全く定まっていない。そのことによって結局迷惑を被っているのは、私は現場の自治体の皆さんだというふうに思いますので、ここはもっとしっかりやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  最後に、河野大臣、職場での集団接種というのも考えられるのではないかというふうに言われていますけれども、まあ大分先のことだと思いますけれども、例えばこの国会。国会議員がいて、国会議員の秘書がいて、国会職員等もいますけれども、国会の場で、例えば、我々も地元と東京と行き来をしている人間というのはたくさんいますけれども、今、地元に帰るのは難しいという方もいらっしゃるかもしれません。この国会の場での集団接種というのは、考え得る、考えられることなのかどうなのか、このことについてお聞きしたいと思います。
  302. 河野太郎

    ○河野国務大臣 単身赴任の方々は、居住地以外で打つことも可能であります。  国会議員が単身赴任に当たるかどうかということは、衆参、これは恐らく議運になると思いますが、議運で御判断をしていただくことでございますので、衆議院の議運委員長には、そのようなことを衆参で御相談いただきたいということはお願いをしているところで、その判断を待ちたいと思います。
  303. 大西健介

    大西(健)分科員 これだけ議員、議員秘書、そして国会職員とまとまった人数がいますし、場所もありますので、私は、職場接種の一つのモデルということでも考えてもいいんじゃないかと思います。これは既に議運にもそういう話をしていただいているということですので、立法府として考えていただきたいなというふうに思います。  河野大臣、お忙しいと思いますので、ここまでで結構です。ありがとうございました。  後半は国会についての質問をしていきたいというふうに思うんですけれども、まず、衆議院事務局に確認をしたいと思いますけれども、本館、議員会館、合わせて、現在、喫煙室というのが幾つあるか。参議院の方は今日はあえて聞きませんけれども、衆議院だけで結構ですから、本館、議員会館、合わせて喫煙室が幾つあるか。  また、喫煙室でマスクを外してたばこを吸いますから、クラスター、もう実際発生している事例も報告されています。そういう意味では、例えば民間でいうと、ショッピングセンターのイオンは、今、お客さん用の喫煙室というのは一時閉鎖しているということでありますけれども、国民に範を示すという意味では、緊急事態宣言が出ている中で喫煙所が一時閉鎖さえされていないというのは、これはいかがなものかと私は思うんですけれども、数と併せてお答えいただきたいと思います。
  304. 小林英樹

    小林参事 お答えをいたします。  衆議院におきましては、現在、本館二か所と議員会館三十九か所など、合計五十三か所に喫煙専用室を設置してございます。  先生お尋ねのコロナ禍における喫煙施設の在り方に関しましては、喫煙室内での感染リスク指摘する専門家の御意見ということについては我々も十分認識をしているところであります。  そういう観点から、喫煙室の利用に関しては、注意喚起を呼びかける掲示をしたり、そういった意味で利用者の方々に御協力を促している、お願いしているところでございますし、また最近は、一部でございますが、間仕切りを新たに設けるなどして、感染拡大防止ということに努めているところでございます。  撤去とか一時停止ということもおっしゃられたかと思いますが、院内における喫煙室の在り方に関しましては、平成三十年十二月十日の議院運営委員会理事会におきましてお決めいただいておりまして、そこでは、厚生労働省令に適合する喫煙専用室を整備すること、こういうふうに定められて、お決めいただいておりますので、そういった撤去なり一時的な使用停止ということになれば、同様に、各会派で御調整の下で、議院運営委員会の場で御協議をいただくものというふうに考えております。
  305. 大西健介

    大西(健)分科員 今何か掲示をしているという話ですけれども、例えば、確か新幹線の喫煙室なんかは、今やってはいますけれども、一回に一人しか入っちゃいけないということになっていると思いますけれども、例えばそういうようなことというのは掲示されているんでしょうか。  あるいは、もう一つは、今、最終的には議運で決めると。まあ、立法府の話ですから、先ほどの集団接種、職場接種も同じですけれども。じゃ、議運でこのことを議論していただく、あるいはしていただく予定というのはあるんでしょうか。いかがですか。
  306. 小林英樹

    小林参事 今具体的にやっていることというのは、先ほど、間仕切りを設ける、あと、基本的に、ステップマークみたいなものを置いてそういった距離を取っていただくということをある意味お願いしているという限りでございますが、この後、議院運営委員会で具体的にこの問題について御協議いただくかというのは、これからのことということになろうかと思います。
  307. 大西健介

    大西(健)分科員 何度も言いますけれども、やはり、国民皆さんに今このコロナ対策お願いしている中で、国会内で、マスクを外してたばこをぷかぷかやっている。しかも、その場で、場合によっては、一人ずつしか入れないということではなくて、たばこを吸いながら話をすることができるということは、これは全く国民に対して範を示すということに私はならないと思いますので、今日この分科会という公式の場で私、発言させていただきましたので、事務総長、議長にこのことはしっかり御報告をいただいて、しっかりと国会として、立法府として議論をしていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。  それから、次に、私自身は第一回の国会議員政策担当秘書試験の合格者でありますけれども、それまで縁故採用中心であった議員の秘書が、試験に受かれば誰でもなれる道を開いたという意味で、私はこの制度は画期的だったというふうに思っています。  ただ、政策秘書のポストというのは議員の定数しかありませんので数が限られている。採用する側も、どうしても経験者を求める傾向がありますので、資格を取っても採用に結びつきにくい。ですから、難関の試験を突破しても秘書になれないということであれば、この試験を受ける人はどんどん減っていくというふうに思います。  こういうことを、私、平成三十一年の分科会でも質問させていただきました。当時の向大野事務総長は、試験をやって、資格を付与して、それで終わりみたいなところがあった、合格された後のフォローの姿勢が必要、先生方にお願いしてインターンのようなことをしていただくことも考えたい、このように答弁していただきました。  これは非常に私、心強い答弁だったと思います。  また、試験組の現役秘書有志が、毎年、合格者向けにオリエンテーションをやっているんですけれども、私も参加をしていますけれども、このことを話したら、事務総長は、初めて知った、どういう協力ができるか考えていきたい、こういうふうに答弁していただいているんです。  そこで、対応状況を議員課に確認しましたら、お手元に配付した資料が出てきました。  1のところで、受験案内を予備校に置きましたとか、地下鉄に掲示しましたとかということなんですけれども、それはちょっと、正直言って、失礼ながらしょぼい話だなというふうに思います。  問題は、2の合格者のフォロー。これはほとんど何もできていないんじゃないですか。私は、全くやる気を感じないと思うんですけれども、ここをしっかりやらないと駄目だと思います。  例えば、現役秘書有志が手弁当でやっているオリエンテーション、これを正式に委託して財政支援するとか、議員事務所での合格者のインターンを、先ほど事務総長はインターンという話をされていましたから、インターンをあっせんするとか、あるいは、新規の合格者だけじゃなくて、採用を希望しているこれまで合格している人、この人たちに、勉強会だとか議員事務所との交流会を企画するとか、私は幾らでも考えられると思うんですけれども、これは全くやる気が感じられない。  是非、合格者へのケア、この充実をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  308. 小林英樹

    小林参事 今先生から御指摘いただきましたとおり、近年、国会議員政策担当秘書試験、資格試験の受験者が減少し、さらには、合格者の中からの採用者も少ない。これまた、先生御指摘のとおり事実でございます。  これに対してどういうふうにやっていくか、なかなか難しい問題であろうかとは思いますが、先生おっしゃられた、現職の政策担当秘書有志の方々で行われている合格者を対象としたオリエンテーション、我々として、お手元に配付の資料のような支援をやらせていただいているつもりではありますが、これがまだ十分でないと。先ほど具体的におっしゃっていただいたような、勉強会であるとか、インターンのあっせんとか、財政支援とか、そういったことも含めて、我々として、まだ不十分であるということは十分に自覚しなければいけないと思っております。  そういったことも含めて、今後、先生方、あるいは合格者、さらには先輩で試験に合格して採用されて現に働いている現職の政策担当秘書の方々の御意見、ニーズ、そういったことを拝聴しながら前向きに検討してまいりたいというふうに存じます。
  309. 大西健介

    大西(健)分科員 会議録にしっかり残っていますよ。向大野さんは、先生方にお願いしてインターンのようなことをしていただくことも考えたい、あるいは、私が言った有志のオリエンテーションにどういう協力ができるか考えていきたいとおっしゃっていますから。  是非お願いしたいのは、この有志のオリエンテーションをやっている人たち、これは超党派ですよ。私は自民党の議員の秘書さんたちといつも一緒にやっていますから。彼らの代表者を私、紹介しますから、話を聞いて、どういうことを事務局にやってほしいのか、あるいは、事務局はこういうことだったらできるけれども、そういうことはできないと、一回、これは話合いの場を持ってくださいよ。  私申し上げたように、先ほど、オリエンテーションをやっているんですけれども、今やっていただいているのは、会議室を貸していただいています。これはありがたいことです。それから、そこで、例えば、待遇について議員課の人が来て説明していただいています。それはありがたいことなんですけれども。  このオリエンテーションは何をやっているかというと、今、実際に試験組で働いている秘書さんたちが、あそこ、こういうブラック事務所みたいなのがあるので地雷を踏まないようにしなきゃいけませんよとか、どういうふうに採用に向けて活動したらいいかとか、ふだんどんな仕事をしているのか。これは、秘書の仕事といっても議員によってまちまちですから。議員さんによってまちまちです。ですから、これというものはないので、実際やっている人の話を聞くのが一番分かりやすいんです。だからやっているんです。  これが一番大切で、そこに、別に、議員課に来てもらって、何か制度の説明をしてもらっても困るんです。みんな働いていて、仕事をしている人が夕方来られるので。そんな時間はないので。ですから、逆に何ができるのかというのを、一回会って話合いをしてもらえませんか。これは是非。どうですか。いかがですか。
  310. 小林英樹

    小林参事 そういう機会を設けていただけるのであれば、私どもとしても是非そういう機会に積極的に参加をさせていただければと思います。
  311. 大西健介

    大西(健)分科員 これは、オリエンテーションの幹事役の秘書さんたちがいますので、私、近日中に庶務部長のところにお伝えしますので、是非、一回、直接話を聞いてみてください。そして、その中で、できること、できないことはあると思いますけれども、その中で何をできるのかというのを是非考えていただきたいというふうに思います。  何度も言いますけれども、この制度は本当にいい制度なんですけれども、このままいくと、私は細っていってしまうというふうに思います。椅子取りゲームと同じですね。椅子は限られているのでどんどんなくなっていくわけですから、しっかりこれはやっていただきたいというふうに思います。  次の問題ですけれども、資料の裏面を御覧いただきたいんですけれども、これは、ある中古車情報サイトに掲載されていたものですけれども、トヨタ、クラウンセダン、スーパーデラックス、元衆議院公用車というふうに書かれているんですね。  衆議院の公用車、恐らく、新しいものに買い換えるときに下取りに出しているんだと思います。それは当然、下取りに出していただいて結構なんですけれども、でも、何か、こういうサイトで衆議院公用車と銘打って出るというのは、ちょっと何か誤解を招くというか、ところもあるんじゃないかなと。  あるいは、逆に言うと、変な話ですけれども、私たちとか秘書さんたちが、下取りに出すんだったら私に売ってくださいと言ったら、売ってもらえるんですかという話もありますけれども、これはどういうルートでこういうふうに出ているのか。あるいは、下取りに出すんだったら、そのときに、こういう表記はちょっとやめてくださいねというような条件をつけて出すとか、そういうことができないのかということについてお聞きしたいと思います。
  312. 小林英樹

    小林参事 今回の先生から御指摘いただいたケースにつきましては、私どもも初めて承知した次第でございます。  仕組みといたしましては、先生よく御承知のとおり、院内の公用車につきましては、入替え対象となる公用車と新規購入の公用車、これを交換する形での競争入札を行っておりますので、落札業者が入替え対象となる公用車をいわば下取りする形となっております。その際、落札業者が当該公用車を下取り後においてどのように取り扱っているかについては、現在は把握する仕組みとはなっておりません。  その上で、大西先生の方から、今回、具体的なケースを提示していただいて、このような問題提起をいただきましたので、今後、例えば、直接取引、落札業者ということになりますが、そことの間で何らかの適当な取決めをすることができないかといったようなことについて検討を進めてまいりたいと思います。
  313. 大西健介

    大西(健)分科員 私、昔、会計をやっていたこともあるので、自動車交換差金の仕組みもよく知っていますけれども、先ほど言ったように、下取りに出すのはいいんです。ほかにも出ていて、例えば行政機関使用車みたいな形で書いてある。それならまだいいのかなと思いますけれども、衆議院公用車と書いてあって出ているというのは、ちょっと何か、いいのかなというふうに思いますので、それはやめてくれということの条件をつけて下取りに出すことは、私は可能じゃないのかなというふうに思いますので、そこは是非ちょっと工夫をしてみていただきたいというふうに思います。  次ですけれども、裁判所の関係ですね。  今日、私も、これ、ブルーリボンを着けてきましたけれども、これは、皆さん御存じのように、拉致被害者救済を願うバッジですけれども、大阪地裁の堺支部での民事訴訟で、裁判官の命令でブルーリボンの着用が認められないということがあったそうです。ブルーリボンのバッジというのは、これはかなりもう一般に定着をしてきているものでありますし、特に、これを着けているからといって、何か訴訟指揮に影響するというものではないと思います。  今回、訴訟指揮権の中でこの着用が認められなかったということでありますけれども、この着用を認めないというのは、私は、これはちょっと不当ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  314. 門田友昌

    ○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  当事者の方ですとかあるいは傍聴人の方が法廷内でブルーリボンのバッジを着用するということを認めるかどうかということに関しましては、個別の事案における裁判体の判断ということになりますので、事務当局としてお答えをすることは差し控えさせていただきます。
  315. 大西健介

    大西(健)分科員 個別のことですけれども、じゃ、一般論でいいんですけれども、ブルーリボンが訴訟指揮に影響するようなことというのはどういうことが想定されるんですか。一般論で結構ですので、お答えください。
  316. 門田友昌

    ○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  一般論ということでお答えできればいいんですけれども、やはり、最終的には個別の事件の訴訟指揮に関わる、そこに行き着くことになりますので、事務当局としては答弁を差し控えさせていただきます。
  317. 大西健介

    大西(健)分科員 もちろん訴訟の指揮をするのは裁判官でありますから、裁判官が具体的にその訴訟指揮において、ブルーリボンを着用していることが公正な裁判遂行上問題があると判断するならそれはいいんですけれども、やはりそこはちゃんと説明をしなきゃいけないと思うんですね。これはある種の表現の自由というか、それを侵害するような話であって、ちゃんと説明をすればいいですけれども、今こうやってお話ししても説明もしてもらえないということでは、これは私、いかがなものかなというふうに思いますので、ちょっとこれ以上ここでお聞きしてもこれ以上の答えは返ってこないかもしれませんが、こういう問題提起が国会の場でも行われたということはしっかり肝に銘じていただいて、そして、内部でも共有をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。  最後になりますけれども、会計検査院にお越しをいただいていると思います。  FCLPの移転地として政府が取得した馬毛島ですけれども、当初は、防衛省の評価額では四十五億円だったものが、いろいろな事情があってということですけれども、百六十億円という形で大幅に上回る額で最終的には買収をされたということです。もちろん、安全保障上のいろいろな事情があったということですけれども。ただ、四十五億が百六十億ですから、これはべらぼうに高いわけです。  そして、もう一つは、この資金の予算での取扱いなんですけれども、これは、予算計上しているんじゃなくて予算の流用という形、ほかの経費から流用する形でこれは出されたということを聞いています。この概算の根拠、これもいろいろなところで問われているんですけれども、これは概算根拠も示せませんというお話なんですね。  ちょっと、森友の問題とは違いますけれども、何でそんな高く買ったんだ、じゃ、概算根拠を示してくれと言っても、示せません。それから、お金の出し方も、流用でやっていますということで、これは巨額の税金の使われ方としては極めて問題があるんじゃないかと思います。これは是非、会計検査していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  318. 篠原栄作

    ○篠原会計検査院当局者 会計検査院は、会計検査院法第二十条に基づき、防衛施設用地の取得、管理等を含む防衛省の会計経理につきまして、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査を実施しているところであり、不適切な事態については検査報告に掲記するなどしております。  先生お尋ねの馬毛島の土地所有権の取得等を含む防衛省の会計経理につきましては、国会での御議論等も踏まえ、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  319. 大西健介

    大西(健)分科員 国会での議論も踏まえと言っていただきましたので、私、今、明確に指摘をさせていただきましたので、是非、会計検査院がしっかり検査をしていただけるものと期待をしております。  時間になりましたので終わりますけれども、最後に、いま一度、私は本当に、政策秘書の制度、議員課の政策秘書係の担当の人が、私たちは試験をやっているだけですからと、こういう姿勢では、せっかくのいい制度が駄目になってしまいますから、これは是非真剣にやっていただきたいということを最後にお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  320. 藤原崇

    藤原主査 これにて大西健介君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  321. 藤原崇

    藤原主査 次に、内閣府所管について審査を進めます。  内閣府本府について質疑の申出がありますので、これを許します。重徳和彦君。
  322. 重徳和彦

    重徳分科員 立憲民主党の重徳和彦です。  今日は分科会なので、地元のトラブルになっているPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアティブについてお聞きしたいと思います。  河野大臣もワクチンで大変お忙しい中だと思いますが、同じく所管されているPFIで、一自治体において大変な、深刻な問題になっておりますので、最後にコメントをいただければと思っております。  さて、PFIというのは、一般的に公共施設の建設、運営を民間事業者が担う仕組みでありますので、事業環境の変化が生じるなどトラブルが発生した場合には、自治体と事業者が対等なパートナーシップで協議をした上で事業内容を見直すということが想定されております。  PFI法施行から二十年以上たちますが、これまでに何らかのトラブルが生じて事業が中止、一時中断、契約解除に至った事例というのはどのぐらいあるのでしょうか。簡潔にお答えください。
  323. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  御指摘のPFI事業が中止、一時中断、契約解除に至った事例ということでございますけれども、内閣府で網羅的に調査したものはございませんけれども、令和元年十一月時点で、事業者による事業継続が困難となった事例というものを七件把握をしているところでございます。
  324. 重徳和彦

    重徳分科員 七件ということですが、トラブルの事例のうち、では、契約した内容、条件について、つまり、民間企業側の経営状態が原因というのが主だというふうに今受け止めましたが、自治体側が変更を求めて官民の協議が難航したとか、その手のトラブルというのはありますか。
  325. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  今ほどお答えしました七件でございますけれども、実は、そのうち二件というのは、民間事業者が経営破綻したというものに伴うものでございます。それから、ほかの五件でございますが、これらにつきましては、事業の経営悪化、それから事業コストが想定以上に増加したということに伴いまして合意解除したというものでございます。  したがいまして、委員御指摘のような契約内容や契約形式をめぐりまして官民協議が難航して、そして調わなかったものというものにつきましては、私どもとして現時点で把握をしていないという状況でございます。
  326. 重徳和彦

    重徳分科員 分かりました。  私の選挙区であります西尾市で起こっているトラブルについて、少し説明をしたいと思います。  五年前、市議会の議決を経て、複数の公共施設の建設、運営に関するPFI契約を締結したのですが、その一年後の選挙で、PFI見直しを公約に掲げた市長さんが当選をされました。このPFI、元々のPFI契約については、施設の整備方針、契約手法について市民から異論、反論がありましたので、新市長の方針の下でしっかり見直せばいいのではないかと私は思って、私自身は見守っておりました。  市がPFI契約を見直したいのであれば、事業者と真摯に協議をして、合意をして、再度議会の議決を経るなどして、契約変更するとか一部解除するとかすればよい話なんです。それから、事業者側に損害が生じたら、その場合は両者の合意に基づいて賠償するということになろうかと思います。  ところが、どういうわけか市は、こうした合意のないままに、一方的に通知を出したんですね。通知というのは、契約に付随する業務要求水準書というのがあるんですが、その変更手続の通知でありまして、既に一部着工済みだった工事も含め、事業を凍結し、全面的な見直しを進めようとして事業者ともめている。それはもめるでしょう。  このやり方は法律上も契約上も想定されていないやり方であり、残念ながらこの状態が続けば、民法で言うところの債務不履行、自治体による債務不履行に陥らざるを得ないということではないかと思います。自治体の債務不履行というのは、地方自治法にも、どの法律にも想定すらされていない異常事態だと思います。  最近では、地元の中部経済新聞という経済紙にも、西尾のPFIはもう破綻していると報じられています。  心配なのは、市長が替わると債務不履行されるリスク、つまり契約が実行されないリスク、こんなものがあったら、事業者は怖くて自治体と契約できなくなると思うんです。私自身も、総務省という役所で、地方自治に十六年半携わってまいりました。自治体においてそんなことがあってはならないというふうに思います。  今、西尾市では、国家賠償訴訟を含め、八件もの訴訟、民事調停、公文書開示請求などが起きております。  公共施設の建設、まちづくりが進まない一方で、工事を止めたことで生じる増加費用、遅延損害金、そして弁護士費用など、億単位の費用が市民の税金で支払われ続けている状況です。こんな状態が三年以上続いて、市議会でもずっと問題になっています。  この異常事態を何とか解決するために、何点か政府に確認をしたいと思います。  ちょっと重ねての質問になりますけれども、先ほどのトラブル事例の中で、今申し上げました西尾市のように、市長交代のような、いわゆる政治的事情によるものというのはないということだと思うんですけれども、改めて、じゃ、もう一回確認します。
  327. 松本貴久

    ○松本政府参考人 先ほど述べた七件のうち五件というものは、事業の経営悪化等によって合意解除した案件でございますけれども、経営悪化を踏まえて、やはり、その途中で市長が替わって、そこで見直しを始めたというのはありますけれども、元々の原因というのは経営悪化なのではないかというふうに考えているところでございます。
  328. 重徳和彦

    重徳分科員 合意の上解除という、先ほど御説明もありましたので、首長さんが替わったとしても、そういう合意がちゃんとなされた上でのものだというふうに承知をいたしました。  さて、このPFI契約の見直しについては、次に、ちょっと法的な問題点について確認をしたいんですが、PFI契約を締結しても、自治体からの通知によっても、例えば、設計、運営の仕様などの細かい具体的内容を変更することは一般的に認められていると思います。しかし、契約の根幹部分、例えば、施設整備そのものの中止とか、部分的な契約解除とか、こういうことまでは自治体からの一方的な通知一本で変更できるものではなくて、まさに、事業者との合意の上で契約を変える必要があると思います。  西尾市では、契約を変更あるいは一部解除とか、そういう手続をしなきゃできないことまで通知一本でやろうとしてしまったことが、混乱の元になったのではないかと思います。  そこで、一般論でいいんですけれども、PFI契約において、通知のみで自治体から一方的に変更できることはどういうことであって、事業者との合意、更に議会の議決が必要な場合もあるでしょう、そういったことがなければ変更できないことはどういうことでしょうか。
  329. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  内閣府におきましては、やはり、PFI事業の契約トラブルというものを減らし、円滑に事業を推進していくという観点から、契約に関するガイドラインとか、あるいはPFI標準契約というものを策定いたしまして、PFI事業の契約の在り方について関係者に周知しているところでございます。  PFIの標準契約におきましては、PFI事業は、事業契約書、それから業務要求水準書、それから事業者の提案書等に従い契約を履行するというものとしており、その適用関係については、事業契約書が最も優先するとしておるところでございます。  このため、事業契約書に規定されている事項を変更する場合には、業務要求水準書の変更通知だけで足りるものではなく、事業契約書の変更を行うことが必要になるということでございます。  ただ、個別事業の契約書というのは、必ずしもこの標準契約書を使用しているとは限りませんので、それぞれの事業契約書等の規定に基づいて具体的に判断をされていくこととなりますが、官民の連携事業でございますから、受発注者間で誠実に協議を行い、円滑かつ適正な対応をしていくべきものと考えているところでございます。
  330. 重徳和彦

    重徳分科員 ありがとうございます。  契約に書かれていることを変えるには契約を見直す必要があるということだ、当然のことだと思います。  西尾市では、PFI契約において契約したはずの公共施設の建設を市側が止めているという形になっております。私は、これは契約の一部解除に当たると思うんですね。そうだとすれば、これは、もちろん合意による契約の変更によらなければならないのであって、業務要求水準書の変更手続、そして通知のみによって行うことはできない、そういう理解でよろしいでしょうか。
  331. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  西尾市の個別の事例にということについては、お答えをちょっと差し控えさせていただきますけれども、一般論として申し上げれば、先生おっしゃったような解除でございますが、契約当事者からの一方的な意思表示による契約の一部又は全部の解除というものは、契約又は法律の規定により解除権を有する場合に、その解除権の行使としてなされるものと考えているところでございます。  PFIの標準契約におきましては、私ども、管理者等の解除権について、第五十六条というところで、事業者がPFI事業契約上の義務を履行しない場合等の解除権を規定しております。それが一つと、また、第五十七条では、管理者等が必要があると認めるときの任意解除権というものを規定しているところであります。  政策変更に基づく管理者等側からの一方的な意思表示による解除というものは、このPFI標準契約でいえば、第五十七条に規定する管理者等の任意解除権を規定している場合に、その解除権の行使としてなされる場合があるというふうに考えているところでございます。
  332. 重徳和彦

    重徳分科員 標準契約書の五十七条というのがあって、場合によっては任意解除、一方的な解除があり得るということですが、その場合に、それに付随する条件というか、手続があると思うんですが、もう少し詳しく御回答ください。
  333. 松本貴久

    ○松本政府参考人 PPP、PFI事業の運営というものを長期的に安定して行うためには、やはり、関係者がリスク管理に関して事前に十分な検討を行って、社会情勢の変化等により当初契約の内容を変更する必要がある場合においても適切な対応が可能となるように、協議とか、あるいは解除に関する規定をあらかじめ定めておく、合意しておくことが重要なんじゃないかというふうに思っております。  管理者等が任意に解除できる旨を規定するということにつきましては、この任意解除権というのは、やはり事業者にとっては予測できないリスクでございますので、内閣府における契約に関するガイドラインというものを作っておるんですが、その中でも、「事業者から請求される損害賠償の範囲や額について慎重な考慮が必要」ということを規定させていただいております。  その上で、PFIの標準契約、先ほど申し上げました第五十七条におきましては、管理者等の任意解除権の規定と併せまして、契約解除により事業者に損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならないという義務を規定しておりまして、そういうような場合の事業者のリスクへの対応というものを明確化しているところでございます。
  334. 重徳和彦

    重徳分科員 要するに、任意で解除する場合には生じた損害は賠償しなければならないということが書かれているということと受け止めました。  一応の確認ですが、これは、例えば首長さんが、あるいは議会でもいいんですけれども、そういう政治的意思によりまして、自治体側が契約を一方的な事情で変更しようという場合においても、同様だという理解でよろしいでしょうか。そして、それは事業者側のリスクを減らすというか、勘案したものであるということでよろしいでしょうか。
  335. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  標準契約書の五十七条で規定しておりますのは、管理者等が必要があると認めるときということでございまして、私ども、その背景といたしましては、政策変更というのは、PFIの契約は長期間にわたるものですから、社会的情勢の変化とか住民のニーズの変化等もあり得るわけでございますので、その政策変更に基づくものというものも想定をいたしまして規定をしているというところでございます。
  336. 重徳和彦

    重徳分科員 法的な話は分かりました。  次に、PFIに係る情報公開の在り方について質問させていただきます。  現在、西尾市と事業者とのトラブル、これは訴訟などがもうしょっちゅう報道されていますから、広く市民に知られるところとなっております。双方の主張の食い違い、こじれた原因、経緯を明らかにするため、公文書などの情報開示を市民やメディアが求めていますが、市が開示しようとしないという状況にあります。  契約内容には一般的な秘密保持義務規定というのもありますが、事業者側は、全て情報を開示して現状の問題点を公にして、市との協議も公開の場で行いたいという意向のようなんですが、市側が情報開示を拒んでいるという状況であります。  一般に、PFI事業は、透明性、情報公開、とても大事なことだと思いますし、この西尾市で現に起こっているトラブル、これを協議する結果次第で多額の税負担を負う可能性のある市民には、知る権利もあるだろうと思います。  そういう観点から、事業者側の了解さえあれば、本来、市側が積極的に公文書などを公開して情報開示を行うべきだと思いますが、内閣府の見解を教えてください。
  337. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  PFI事業は、従来、公共が実施した事業を、官民連携により実施していくというものでございまして、やはり、事業の透明性を確保するということは、公共施設等を利用する住民の方々あるいはそのほか関係者の方々理解を得る上で、重要なものだというふうに認識をしておるところでございます。  内閣府としては、このような考え方から、PFI事業実施プロセスに関するガイドラインというものの中で、「民間事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある事項を除き事業契約等の内容を公表する。」ということで、周知を図っているというところでございます。  御指摘の個別の西尾市の事案というものの情報の開示の是非につきましては、これはやはり西尾市において具体的に判断されるべきものだとは考えているところでございます。
  338. 重徳和彦

    重徳分科員 これも確認ですけれども、情報公開されると、市側の情報と事業者側の情報があると思うんですが、事業者側は、持っている企業情報なんかを開示することは構わないと言っている場合に、市側の事情において情報開示を拒むということもあり得るのでしょうか。
  339. 松本貴久

    ○松本政府参考人 具体の個別の事案ですので、なかなか、政府としてお答えするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、今お話を伺っておりますと、契約によって秘密保持をということでございますので、その契約をどういうふうに処理していくかということもあろうかと思いますし、市の方でどういう御判断をされるかということが、情報公開という観点ではまず必要なのではないかというふうに考えているところでございます。
  340. 重徳和彦

    重徳分科員 それでは、次に、国の関わりですね、PFIという施策を推進している国の関わりについて質問をさせていただきたいと思います。  今回の西尾市、これは十七万の都市、合併して十年ほどたちますけれども、中小規模の自治体と言えると思います。こういった自治体が先陣を切って新しいチャレンジをしようとした場合に、やはり、いろいろな問題点が出てきたり、難しい課題が出てくると思うんですが、そういった指摘、指導を含めて、内閣府が所管している施策ですから、内閣府のバックアップはとても重要だと思います。  近年、ワンストップ窓口というものがPFIのために設けられております。個別案件のサポート、特に、自治体側のサポートももちろんですが、リスクに今のようにさらされている事業者側からの相談に対するサポートが必要だというふうに思いますが、どのようにお考えですか。
  341. 松本貴久

    ○松本政府参考人 お答えいたします。  地方公共団体におけるPFI事業の促進、内閣府では、主として、コンサルタント等の専門家を派遣し、地域での事業実施環境の整備や初期段階における案件形成に向けた支援、そういうものを一つやってございます。それから、先生御指摘のワンストップの窓口ということで、相談に対応するということをやらせていただいているところでございます。  西尾市の案件につきましても、このワンストップの窓口におきまして、事業実施方針公表後の平成二十七年から平成三十一年にかけまして、ちょっとその時期、地元においてもいろいろな議論が起きている状況だったのかもしれませんけれども、ワンストップ窓口で合計九件、法令解釈等に関する相談をお受けし、回答することによりまして、一定のサポートをしてきているところでございます。
  342. 重徳和彦

    重徳分科員 特に西尾市個別のことをお聞きしますけれども、九件というのは、九回、西尾市から問合せがあったということですよね。それに対して、どの程度具体的に、今、実際、訴訟を起こされて、いろいろなことがあるんですけれども、その辺り、踏み込んだサポートも、サポートというんですか、フォローアップというのもされてきたんでしょうか。答えられる範囲でお願いします。
  343. 松本貴久

    ○松本政府参考人 具体の内容ということにつきましては、相手方の話でもありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、相手方といたしましては、西尾市それから民間事業者の関係の方、双方から合わせて九件ということで受けてございます。内容は法令解釈等に関する御相談ということでございまして、合計九件お受けをして、回答させていただいているところでございます。  それから、このワンストップ窓口、また、我々内閣府でございますけれども、紛争の調停とかあっせん等の機能は、権能は有しておりませんので、そういったところからの対応というのはさせてはいただいていないところでございます。
  344. 重徳和彦

    重徳分科員 今ちょっと言いましたけれども、西尾市は合併をしてもうすぐ十年たちます。西尾のPFIというのは、公共施設を再配置して、できるだけ財政的にも合理化が進むと同時に、やはり官民連携でまちづくりをしっかりやっていこう、こういうことで進むはずだったんですね。これから財政も、合併による特例的なものも減ってきますので、いよいよ厳しくなってくると思います。こんなときに裁判を起こして賠償金とかを払っている場合ではない。こんな状況なんです。  この問題というのは、今、内閣府さんの方からもいろいろと法解釈のアドバイスなどをいただいてきたとはいうことなんですけれども、もちろん、一義的にはまず市と市議会の間でよく話し合って、自治体の自治事務ですから、解決していくべき問題であろうというふうに、私もそう考えておりました。私も、ですから、市長さんが替わってから三年間は協議の進展を期待して見守っていたんですけれども、昨年の夏、市に対しまして敗訴判決が出て、巨額の税負担が始まったという段階に至りましたので、市政の問題ではありますが、国会議員である私も少し発言を始めたところです。  内閣府がもし、救いを求められていなかったのかもしれませんが、もう少し早くいろいろなサポートをしていただいていれば避けられた事態だったのかもしれないとか、いろいろと思いはあるんですけれども、このままいくと、西尾市が前代未聞の自治体によるPFI債務不履行事案を起こしてしまう、こんな状況になりかねない。その今の状態を私は大変危惧をいたしております。  現にもう困難に陥っている、今申し上げましたとおり、困難に陥っている西尾市のPFI事業でありますので、河野大臣に、国としても、市とか事業者に対してちゃんと状況の把握をして、そして、これはもう心苦しい話なんですけれども、西尾市の抱えている問題、こういったトラブルがほかに累を及ぼすようなこともあっちゃいけないと思いますし、そういう意味においても、しっかりとまずは実情を把握していただきたいと思います。  そして、これからも二十万人以下の中小規模の自治体においてもPFIを進めなきゃいけないと、恐らく国としても思っておられると思うんですけれども、中小規模の自治体がPFIをハンドリングするというのは、なかなか大変なこともあります。そういったことも含めて、これからどのように進めていくのかということについて、河野大臣からお願いいたします。
  345. 河野太郎

    ○河野国務大臣 これからの地方自治の在り方を考えていく中で、やはりPFIというのは非常に重要なことだと思っております。国としても、これを進めるべくしっかりバックアップをしていく必要があるというふうに思っております。  この西尾の案件、委員の御懸念は非常によく理解ができるところではございますが、何しろ今係争中でございますので、政府としては、委員おっしゃるように、まずしっかり実態を把握していくということをまずやってまいりたいというふうに思っております。  このPFIを担当することになりまして、自治体、特に小規模な自治体、それからファイナンスに関して地銀、やはり専門性がなかなかないという実態があると思います。そういう中で、内閣府としては、やはり、専門家を派遣するなり様々な方法で、自治体あるいは金融機関、PFIにどう取り組んでいったらいいのか、専門的なアドバイスがしっかりできるような体制は組んでいかなければいかぬというふうに思っております。  今後、地方財政を考えた上でPFIは非常に重要だと思っておりますので、内閣府の方でも、しっかりその辺、抜かりなくやれるように考えてまいりたいと思っております。
  346. 重徳和彦

    重徳分科員 ありがとうございます。まず実態を把握してという発言をいただきました。是非よろしくお願いしたいと思います。  いろいろな訴訟が起きているんですけれども、例えば、一例を挙げると、あるプールを解体する工事ですね、これもPFI契約に含まれている。だけれども、それをPFI契約の当事者たる事業者じゃない事業者に別途発注したり、これが二重契約じゃないかということで訴えられたり、こんなことまで起きてしまっています。  私自身、やはり地方自治の発展のためには、自治体そのものが、心から信頼される、事業者からももちろん、市民からも信頼される、そういう存在でなければならないと思います。大変心苦しいというか、お恥ずかしい話ではあるんですが、私の地元でこういった事案が起きているということが、これから更に発展しなきゃいけない地方自治に何らかの支障が出てしまってはならないと思っております。  そういう大きな意味で、地方自治、そして地方自治体の信用力をきちっと確保するといったことを所管されている総務省として、総務省の方からも今の実情をしっかりと把握するということをまずしていただきたいと思うのですが、一言お願いします。
  347. 黒瀬敏文

    ○黒瀬政府参考人 お答えいたします。  今おっしゃるとおり、このPFI、中小の団体も含めて、とりわけ厳しい財政制約の中で、公共施設の老朽化等が非常に進んでいる、これは各地方公共団体の共通の課題でございます。そんな中でも、このPFI事業の取組を推進していくということは非常に重要だというふうに、我々も、総務省といたしましても考えております。  そんな中で、様々な課題の御指摘もいただいていたわけでございますけれども、私どもとしては、地方公共団体が、公営企業等において民間活用とか、又は公共施設等の総合管理計画を検討するに当たってPFIを積極的に活用するように促すといったことを累次にわたって助言という形でしてきております。  また、先ほどのように、様々な課題、実務上の課題をいろいろと自治体は抱えておられますので、そういった課題についての調査、それから、逆に、それを克服するような優良事例の調査研究といったものも以前からやっておりまして、こういったものについて地方公共団体と共有をしていくということを通じて、またそういった横展開を通じて、様々な課題が自治体によって克服をされて、ひいてはPFI制度を活用して成功事例が生まれていくということを進めていきたいと思っておりますので、所管している内閣府とも連携をしながら、適切な対応に引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
  348. 重徳和彦

    重徳分科員 ほぼ時間が来ましたのでこれで終わりますけれども、PFIというのは各自治体にとっては新しい領域だったりするものですから、どうしても、ほっておくとトラブルがつきものなのかもしれません、潜在的には。そういったものがきちっとうまくいって、本当の意味でいい公共領域というものができるように、私から最後に国としても取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  349. 藤原崇

    藤原主査 これにて重徳和彦君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして本分科会審査は全て終了いたしました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  分科員各位の御協力を得まして、本分科会の議事を終了することができました。厚く御礼申し上げます。  これにて散会いたします。     午後五時九分散会