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2021-02-17 第204回国会 衆議院 予算委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年二月十七日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 金田 勝年君    理事 後藤 茂之君 理事 齋藤  健君    理事 橋本  岳君 理事 藤原  崇君    理事 細田 健一君 理事 山際大志郎君    理事 奥野総一郎君 理事 辻元 清美君    理事 浜地 雅一君       秋葉 賢也君    秋本 真利君       伊藤 達也君    石破  茂君       今村 雅弘君    岩屋  毅君       うえの賢一郎君    上杉謙太郎君       江藤  拓君    衛藤征士郎君       小倉 將信君    小田原 潔君       大岡 敏孝君    鬼木  誠君       神山 佐市君    河村 建夫君       神田  裕君    北村 誠吾君       国光あやの君    佐々木 紀君       菅原 一秀君    田中 和徳君       田畑 裕明君    武部  新君       冨樫 博之君    中村 裕之君       長尾  敬君    根本  匠君       野田  毅君    原田 義昭君       福山  守君    宮澤 博行君       村井 英樹君    八木 哲也君       山下 貴司君    山本 幸三君       山本 有二君    渡辺 孝一君       渡辺 博道君    阿久津幸彦君       伊藤 俊輔君    池田 真紀君       今井 雅人君    尾辻かな子君       大西 健介君    逢坂 誠二君       岡田 克也君    岡本あき子君       岡本 充功君    川内 博史君       玄葉光一郎君    後藤 祐一君       櫻井  周君    田嶋  要君       中島 克仁君    長尾 秀樹君       長妻  昭君    長谷川嘉一君       堀越 啓仁君    本多 平直君       道下 大樹君    緑川 貴士君       宮川  伸君    森山 浩行君       屋良 朝博君    山崎  誠君       山本和嘉子君    太田 昌孝君       中野 洋昌君    濱村  進君       赤嶺 政賢君    藤野 保史君       宮本  徹君    藤田 文武君       西岡 秀子君    前原 誠司君     …………………………………    内閣総理大臣       菅  義偉君    財務大臣    国務大臣    (金融担当)       麻生 太郎君    総務大臣         武田 良太君    法務大臣         上川 陽子君    外務大臣         茂木 敏充君    厚生労働大臣       田村 憲久君    農林水産大臣       野上浩太郎君    経済産業大臣       梶山 弘志君    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    防衛大臣         岸  信夫君    国務大臣    (内閣官房長官)     加藤 勝信君    国務大臣         河野 太郎君    国務大臣    (まちひと・しごと創生担当)          坂本 哲志君    国務大臣    (経済再生担当)     西村 康稔君    国務大臣    (デジタル改革担当)   平井 卓也君    国務大臣         橋本 聖子君    内閣府副大臣       藤井比早之君    財務大臣        伊藤  渉君    国土交通大臣      岩井 茂樹君    厚生労働大臣政務官    こやり隆史君    衆議院法制局第二部長   齋藤 育子君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    近藤 正春君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君    政府参考人    (内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長) 新井 孝雄君    政府参考人    (国家公務員倫理審査会事務局長)         荒井 仁志君    政府参考人    (警察庁刑事局長)    藤本 隆史君    政府参考人    (総務省大臣官房長)   原  邦彰君    政府参考人    (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 湯本 博信君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            秋本 芳徳君    政府参考人    (法務省民事局長)    小出 邦夫君    政府参考人    (法務省刑事局長)    川原 隆司君    政府参考人    (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君    政府参考人    (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       志野 光子君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君    政府参考人    (厚生労働省健康局長)  正林 督章君    政府参考人    (厚生労働省医薬生活衛生局長)         鎌田 光明君    政府参考人    (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君    政府参考人    (厚生労働省雇用環境均等局長)         坂口  卓君    政府参考人    (厚生労働省社会援護局長)           橋本 泰宏君    政府参考人    (厚生労働省老健局長)  土生 栄二君    政府参考人    (厚生労働省年金局長)  高橋 俊之君    政府参考人    (国立感染症研究所長)  脇田 隆字君    政府参考人    (農林水産省大臣官房総括審議官)         青山 豊久君    政府参考人    (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君    政府参考人    (海上保安庁長官)    奥島 高弘君    参考人    (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君    参考人    (日本中央競馬会理事長) 後藤 正幸君    予算委員会専門員     小池 章子君     ――――――――――――― 委員の異動 二月十七日  辞任         補欠選任   石破  茂君     冨樫 博之君   岩屋  毅君     中村 裕之君   河村 建夫君     武部  新君   佐々木 紀君     田畑 裕明君   根本  匠君     渡辺 孝一君   古屋 圭司君     鬼木  誠君   村井 英樹君     上杉謙太郎君   渡辺 博道君     山下 貴司君   今井 雅人君     池田 真紀君   大西 健介君     中島 克仁君   逢坂 誠二君     伊藤 俊輔君   岡田 克也君     長妻  昭君   川内 博史君     田嶋  要君   玄葉光一郎君     山本和嘉子君   本多 平直君     尾辻かな子君   森山 浩行君     阿久津幸彦君   太田 昌孝君     中野 洋昌君   宮本  徹君     赤嶺 政賢君   西岡 秀子君     前原 誠司君 同日  辞任         補欠選任   上杉謙太郎君     国光あやの君   鬼木  誠君     長尾  敬君   田畑 裕明君     神田  裕君   武部  新君     河村 建夫君   冨樫 博之君     福山  守君   中村 裕之君     岩屋  毅君   山下 貴司君     渡辺 博道君   渡辺 孝一君     根本  匠君   阿久津幸彦君     森山 浩行君   伊藤 俊輔君     堀越 啓仁君   池田 真紀君     山崎  誠君   尾辻かな子君     本多 平直君   田嶋  要君     川内 博史君   中島 克仁君     大西 健介君   長妻  昭君     岡田 克也君   山本和嘉子君     屋良 朝博君   中野 洋昌君     太田 昌孝君   赤嶺 政賢君     宮本  徹君   前原 誠司君     西岡 秀子君 同日  辞任         補欠選任   神田  裕君     八木 哲也君   国光あやの君     村井 英樹君   長尾  敬君     大岡 敏孝君   福山  守君     石破  茂君   堀越 啓仁君     逢坂 誠二君   屋良 朝博君     道下 大樹君   山崎  誠君     宮川  伸君 同日  辞任         補欠選任   大岡 敏孝君     宮澤 博行君   八木 哲也君     佐々木 紀君   道下 大樹君     長尾 秀樹君   宮川  伸君     岡本あき子君 同日  辞任         補欠選任   宮澤 博行君     小田原 潔君   岡本あき子君     今井 雅人君   長尾 秀樹君     櫻井  周君 同日  辞任         補欠選任   小田原 潔君     古屋 圭司君   櫻井  周君     長谷川嘉一君 同日  辞任         補欠選任   長谷川嘉一君     緑川 貴士君 同日  辞任         補欠選任   緑川 貴士君     玄葉光一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  令和三年度一般会計予算  令和三年度特別会計予算  令和三年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 金田勝年

    金田委員長 これより会議を開きます。  令和三年度一般会計予算令和三年度特別会計予算令和三年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、公聴会の件についてお諮りいたします。  令和三年度総予算について、議長に対し、公聴会開会承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、公聴会は来る二月二十四日とし、公述人選定等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  5. 金田勝年

    金田委員長 次に、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房まちひと・しごと創生本部事務局次長新井孝雄君、国家公務員倫理審査会事務局長荒井仁志君、警察庁刑事局長藤本隆史君、総務省大臣官房長原邦彰君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、総務省大臣官房審議官湯本博信君、総務省情報流通行政局長秋本芳徳君、法務省民事局長小出邦夫君、法務省刑事局長川原隆司君、法務省人権擁護局長菊池浩君、出入国在留管理庁次長松本裕君、外務省大臣官房国際文化交流審議官志野光子君、外務省国際法局長岡野正敬君、厚生労働省医政局長迫井正深君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省医薬生活衛生局長鎌田光明君、厚生労働省職業安定局長田中誠二君、厚生労働省雇用環境均等局長坂口卓君、厚生労働省社会援護局長橋本泰宏君、厚生労働省老健局長土生栄二君、厚生労働省年金局長高橋俊之君、国立感染症研究所長脇田隆字君、農林水産省大臣官房総括審議官青山豊久君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、海上保安庁長官奥高弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金田勝年

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 金田勝年

    金田委員長 本日は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種等内外の諸課題についての集中審議を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。齋藤健君。
  8. 齋藤健

    齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。  質問機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。理事、そして御関係皆さんに感謝申し上げたいと思います。  私、前回、十一月にも質問させていただきましたけれども、その節にも申し上げましたけれども、私は予算委員会の在り方について私なりの考えがありまして、本日も私流に質問させていただきたいと思っています。具体的には、各政策において大臣が責任を持って取り組んでおられるので、基本的に大臣に御質問をさせていただいて、失礼ながらあんまりではないかなというときにのみ総理お話を伺いたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  今日は、我が党の委員がほかにもコロナ対策について質問されますので、私は、コロナ以外のテーマを中心に、提案なんかも織り交ぜながら質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、外務大臣にお伺いを、ちょっと質問の順番を変えて、させていただきますが、私は、菅総理がおっしゃいますように、何とかコロナを抑えてオリンピックを実現したいというふうに心から思っている一人であります。オリンピックは、皆さん御案内のように、平和の祭典ということであります。その原点に戻りまして一つ提案をさせていただきたいと思います。  一九九四年のリレハンメル・オリンピック、これは冬季オリンピックですけれども、それ以来、実は、開催国国連におきまして、オリンピック開催中は世界紛争休戦にしようじゃないかということを国連総会開催国提起をしまして、そして、その総会決議をするということがずっと行われてきております。今回、我が国で行います東京のオリンピックにおきましても、国連でしっかり決議をし、そして、組織委員会の当時森会長が、休戦にしようという呼びかけをしっかりと行っていただいております。しかしながら、外務省お話を伺いますと、なかなか現実には難しいということでございます。  実は、調べましたところ、紀元前八世紀古代オリンピックは始まっているわけでありますけれども、この古代オリンピックのときには、オリンピック参加をする国は、アテネとかスパルタとか、しょっちゅう戦争をしていたわけですが、休戦をして参加をしています。もっと言えば、休戦をしなければ参加ができないということでありました。  私は、そこまでやれということではないんですけれども、単に決議をして演説をしましたというだけでなくて、せっかく平和の祭典として日本でやるわけですから、もう一度、世界に対して休戦日本として働きかけたらどうかと。新しく就任されましたバイデン大統領に一緒にやろうじゃないかと言ってもいいかもしれませんし、現実紛争をしている当事国に働きかける外交努力をされてもいいと思うし。  簡単には実現しないと思っています。思っていますが、声をかけるだけでも意味があると思いますし、私は、もし少しでも前進すれば、大変すばらしい、歴史に残るオリンピックになるんじゃないかと思っていますので、是非、こういうスケールの大きい外交を、尊敬する茂木外務大臣に御検討いただけたらと思いますので、御見解をよろしくお願いします。
  9. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ありがとうございます。  紀元前八世紀古代ギリシャにおきまして大きな疫病がはやり、また災害が起こる中で、聖地オリンピア、この領有をめぐるポリス同士争いをやめるというところから古代オリンピックが始まりまして、まさに齋藤委員おっしゃるように、平和の祭典、このように呼ばれているわけであります。  当時でいいますと、限られたポリスの間で、アテネであったりスパルタであったりとか、停戦を合意すれば争いを止めることができたイフィトス王時代、その当時と、世界中で様々な対立であったりとか紛争、それが現に起こっていたり、また短期間のうちに起こる可能性がある地域をたくさん抱えている、こういう現代の状況は、やはり異なっているんだと思いますが、今日、どういう枠組みで、また、どこまで実効性を持って紛争を止められるか。困難な課題でありますけれども、それに向けて努力をするということは当然の務めではないかな、このように考えているところであります。  オリンピック・パラリンピックはスポーツを通じて平和でよりよい世界を築く重要な機会であるとの認識、国際社会に浸透していることは間違いないと思っておりまして、こうした考え方に基づき、我が国としても、御指摘のように、国連オリンピック休戦決議を提出して、採択されたところであります。  引き続き、オリンピックの精神も踏まえながら、積極的平和外交、特にこの時期、しっかり展開をする必要がある、このように考えているところであります。  ちなみに、ギリシャ地誌学者、パウサニアスによりますと、第一回の古代オリンピック開催をしましたポリスエリスという名前の都市国家なんですが、このエリスオリンピックの後に疫病を乗り越えることができた、そのように伝えられております。
  10. 齋藤健

    齋藤(健)委員 難しいことは重々承知をしておりますが、日本らしく、より一層の努力をしていただけたらと思います。  お忙しいところ、外務大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。  話はがらっと変わるんですけれども、実は私は、今、コロナ危機、これは大変な状況になっているわけでありますけれども、このコロナ危機が去った後に、日本は本当の危機に直面するのではないか、試練が待ち受けているのではないかという気がしてなりません。  一つは、経済であります。  世界から稼いでくる日本産業の力というものが間違いなく衰えてきているような気がしてなりません。この点は、前回、十一月の私の質問の際に数字を挙げて具体的に指摘をいたしましたので、ここでは繰り返しません。  ただ、我が国はそもそも、資源にも乏しい、エネルギーにも乏しい、食料も海外に依存せざるを得ない、そういう国でありますので、海外から稼ぐ力というものが弱まってくれば、そういうものも手に入れることができないということにもなりかねない、そういう国なわけですね。  そんな国でありますのに、例えば、今後十年後に輸出を今よりもどんどん伸ばしているなと思えるような産業が一体幾つあるだろうかと。自動車、家電、IT、私は非常に厳しいと感じざるを得ないと思っています。  総理は、経済あっての財政という表現をされておりますが、私はまさにそのとおりだと思っておりまして、経済力が弱まれば、財政再建もままなりません。経済力が弱まれば、社会保障の充実もままならないんです。地方もますます疲弊するんです。  そういう意味では、我が国は、やはりしっかりとした経済力を保持し続けること、これがなければやっていけない国でありますし、経済はいわば心臓みたいなもので、ここが弱まればいろいろな臓器が傷んでくる、こういうものだと思っています。したがって、そこが弱まってくるということが、コロナ危機の後にだんだんとはっきりしてくるのではないか。  二つ目は、財政であります。  これは言うに及ばずで、一昨日の岸本委員の御質問には胸打たれるものがありましたが、増税とか徹底した歳出削減とか、これは、やらなければ子や孫に大きな負担を残すことになる。これをいかに行っていくかということも目の前にあるわけですね。  それから、今、異次元金融緩和をやっておりますが、この出口をどうしていくか。これは相当難しい政策になると思います。そういうものも待ち構えていますし、少子高齢化は止まりません。労働力人口も減少していく。株高もありますけれども、これも一体いつまで続くんだろうかと。  私は、学生時代に一九二九年の大恐慌の研究をしていた時期がありますが、あのときも、この株価は異常じゃないかとみんなが思っているその先に起こったことでありますので、この点もしっかりと目配りをしていかなくちゃいけないし、安全保障も、尖閣始め、中国は圧倒的な軍事力をつけて、日本がううんと手足も出なくなった頃には私はやってくるんじゃないかというふうに思っておりますので、こういう可能性にも備えていかなくてはいけないということで、私は、こういう課題コロナ危機を克服した後にも日本試練として迎えて、立ち向かっていかなくちゃいけないというふうに思っています。  そこで、まず、産業経済について西村大臣にお聞きしたいんですけれども、前回、十一月のときにも質問を申し上げましたが、異次元金融緩和をしても、この技術革新時代に、チャレンジするような投資が伸びずに内部留保がどんどん積み上がっていく、これをどう考えるか。それから、一気に円安になりましても輸出の数量は伸びない、これをどう考えるか。  これほど有利な条件が整ってもなお日本産業競争力が後退を続けているように見えるという、これは、前も指摘しましたけれども、原因は政策にもあるかもしれませんが、プレーヤーたる企業の方に問題もあるのではないかという指摘前回させていただきました。  具体的には、欧米や中国に比べまして、日本の一部上場企業のトップというのは高齢化しています。そして、在任期間も短いということがはっきりしているわけです。高齢在任期間が短いということは、当然のことながら、なかなか思い切ったことができないということにつながりかねない。しかも、ほとんどが生え抜きの社長で、そして、女性外国人もほとんどいない、多様性がない。  技術革新が激しくて流れの激しい時代に後れを取りがちになるのは、私はこういうところに要因があるのではないかということを指摘させていただきましたし、これからデジタルトランスフォーメーションですとかグリーン革命日本は戦っていかなくちゃいけないんですけれども、こういうときに、高齢で、在任期間も短くして、そして生え抜きの男性ばかりで、そういった同質性の高い組織で、果たして中国やアメリカの威勢のいい、思い切りのいい企業と戦っていけるのか。  私は、デジタルトランスフォーメーショングリーン革命を行うにせよ、日本産業界世界と戦っていくためには、まずこういう問題意識への答えを出していくことが先ではないか、急がれるのではないかというふうに本当に思っています。  したがいまして、この点について西村大臣に、今後どういうアクションを起こしていくことが必要なんだ、この点について御見解を伺えたらと思います。
  11. 西村康稔

    西村国務大臣 今、齋藤議員がおっしゃられた様々な問題意識、私も共有しておりまして、強い危機感、これを共有しているものというふうに思います。  確かに、様々な政策企業への投資を促したりしておりますけれども、なかなか思い切った意思決定ができない、このことに本当に強い危機感を持っているところであります。御指摘のように、若手あるいは女性外国人、多様な人材を登用していくこと、その中で豊かな発想でチャレンジをしていくこと、これが何より重要だと思っております。十一月にも御指摘をいただきました。まさに日本組織改革をして、そして多様な人材を登用していくこと、これが何より不可欠だ、何より大事だというふうに考えております。  その上で、私の下に企業組織の変革に関する研究会を立ち上げておりまして、十二月に第一回目を開催しました。まさに、取締役会機能発揮多様性の確保、若者、女性の活躍、中途採用の促進に向けた環境整備など、様々な問題意識の、共通の問題意識提起をいただいているところであります。  既に、あわせてですけれども、金融庁、東証においては、コーポレートガバナンス・コードの改定を目指しておりまして、その中で既に、女性外国人中途採用者など多様な人材の確保、こういった方向性で議論が進んでいるところであります。三月を目指して、今年の春を目指してこの改定を進めておるところでありまして、併せて議論を行っております。  今後、先ほど申し上げた私の下の研究会、近々、第二回を開催いたしますけれども、これまでも様々御提言いただいている内容を具体化をしていきながら、春以降、経済財政諮問会議などの議論にも反映していきたいと考えておりますし、大事なことは、経済界にこうした問題意識を共有していただき、大きなムーブメントを起こしていくことだと思いますので、齋藤議員始め様々な関係者と一緒にこうした大きな動きを起こしていきたいというふうに考えております。
  12. 齋藤健

    齋藤(健)委員 私が想像していた答弁よりも踏み込んでいただきまして、ありがとうございます。  私は、今、日本は、優れた技術も優れた人材も持っていると思います。世界に冠たるものがあると確信をしています。ですが、企業の中で部長に昇進する年齢を見ても、明らかに中国海外に比べて高い。せっかく優秀な人材をうまく活用できていないというところ、優秀な技術を持っていてもうまく活用し切れていない。  いろいろ制度改正の話をされましたけれども、今でも私は、経営のトップが決断をすればやれることはたくさんあるのではないかと思っていますし、現にそういうことを断行されている企業もあります、一部ではありますけれども。私は、産業界からは、前回質問したら、国会議員が余計なお世話だというようなことも言われましたけれども、そんなことを言っている場合じゃ今ないと思いますので、是非、官民挙げて、相協力して真剣にこの問題に取り組んでいく、今、ムーブメントをつくるというお話をしましたけれども、是非それで進んでいきたいなと思っています。自民党の若手議員は幾らでもお手伝いしますので、是非よろしくお願いします。  次に、通商問題について一つ、これも提案をさせていただきます。  私は、通商の世界でも一つ危機が進行していると思っています。それは、トランプ大統領の時代に起こった関税の一方的な引上げ競争です。これは、私はゆゆしき事態だと思っています。これらの行為は、恐らくWTOのルールに違反する可能性が高いと私は思います。  WTO、世界貿易機構というのがどうしてできてきたかといいますと、もうこれは御案内のとおりですけれども、戦前、一方的な関税の引上げが自国ファーストの発想の下で起こって、そしてそれが第二次世界大戦の要因の一つになったという反省から、そういうことは戦後はやめようじゃないかということで、ガットができ、そしてそれがWTOへと発展的に展開してきたわけであります。そういうルールを世界が作り上げて、苦労して作り上げてきたわけです。そして、曲がりなりにも、トランプ大統領が登場するまでは、一方的な関税引上げというものを何とか一定の範囲内に、いろいろありましたけれども、一定の範囲内に何とか抑え込むことに世界は成功してきたんですね。  私が経験した日米通商交渉におきましても、WTOのルールがあるじゃないか、WTOのルールに反するようなことを幾らアメリカが求めてきてもできないんですよという、WTOを盾にして戦ってきたという経験を踏まえれば、そのWTOというものが使えなくなったときに、私は日本は結構大変だと思いますよ。  そういうルールをぶち壊したのが、実はトランプ大統領なんですよ。中国からの輸入品に一方的に高関税をかけ、そして中国がそれに対抗してまたアメリカからの輸入品に高関税をかけるということが行われて、今でも続いているんですね。  こういうルール無視の行動が世界で横行するとどうなるかということなんですけれども、容易に想像をできることですが、一方的な関税引上げが世界経済の発展を阻害する、これはそうですよね、それだけではなくて、激しいアメリカとの交渉を経験した身としては、WTOのルールが使えず、アメリカのような国と力勝負の交渉をしなくちゃいけないということになるわけですね。つまり、大国が、俺の言うことを聞けないんだったら関税を上げるぞというような、戦前のようなことが、ルール無視をしてもいいということになれば行われ始める、そういう可能性があるわけです。私はそれを非常に危惧をしております。そうなれば、世界は弱肉強食の世界になってしまいます。そうならないようにということでWTOが努力をしてきたわけでありますが、実はそれが、トランプ大統領以降、近年、今や風前のともしびになりつつあるというような現状なんです。  私は、世界経済とのつながりの中で繁栄をしてきた日本にとって、このことは一大事だと思っているんですよ。したがいまして、こういうルール無視の行為が、まだ横行していませんから、横行する前に、今なら間に合うと思いますので、何とかこのWTOの規律を取り戻す努力というものを日本が率先してやっていかなくちゃいけないというふうに強く思っています。  この点について、経済産業大臣の御見解を伺えたらと思います。     〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
  13. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 委員から御指摘ありました米中の経済摩擦に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大という状況の中で、国際協調の重要性は高まる一方であると思っております。  一時期は八十以上の国がマスク等の輸出制限を導入するなど、自国優先的な発想や保護主義的な措置が世界で広がっていることは事実であります。こうした中で、自由貿易の恩恵を受けている日本として、WTOを中心とした多国間での貿易・投資ルールの遵守を確保することが重要であります。  三極での貿易大臣会合もやっておりまして、そういった点での意見は一致をしてきているところでありますけれども、WTOの、まずは上級委員会の機能停止の問題を解決するためにも、WTO改革を具体化する必要があると思っております。さらに、補助金規律の強化など、時代に合った新たなルール整備の重要性が増してきていると思っております。加えて、デジタルの問題、これもWTO、国際間のルール決めが必要であると思っております。  一昨日、WTOの新事務局長が任命をされました。多国間主義を標榜する米国も含め、全加盟国の全会一致で新事務局長が選出されたことは、少し明るい兆しが見えてきたかなという思いもいたしております。  このモメンタムを生かして、新しい事務局長とともに協力して、米国も巻き込みながら、上級委員会の機能回復に向けた議論をリードするなど、WTOを中心とした国際貿易秩序の維持強化に日本が最大限の貢献をしてまいりたいと思っておりますし、紛争解決のためのやはりWTO、しっかり機能を強化をしていかなければならないし、回復もさせていかなければならないと強く思っております。
  14. 齋藤健

    齋藤(健)委員 今が本当に大事だという認識で、是非よろしくお願いいたします。  次に、農業に関して御質問させていただきます。  農業は、日本にとって極めて重要な産業であります。地域の活性化のためにも、あるいは、先ほど輸出の話をしましたけれども、十年後に輸出を間違いなく伸ばしていくことができる産業でもあります。  江戸時代の二百数十年間、日本はオランダから学び続けました。農業に関しては、今もなおオランダから学ぶべきことが多いと思っています。オランダは、九州と同じ面積と人口であるわけですけれども、にもかかわらず、アメリカに次ぐ世界第二の農産物の輸出国であります。しかも、農業の形態は家族農業が中心であります。  実は、一九七〇年代に遡りますと、主力のトマトの収量で見てみましても、単位面積当たりの収量は、オランダは日本と同程度でありました。ところが、今や七倍から八倍の差となっています。どこで、なぜこういう差がついたか、日本がオランダの農業改革から何を学ぶべきか、この点について農水大臣見解を伺いたいと思います。
  15. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 お答え申します。  先生も以前オランダに渡られまして、オランダの農業について調査をされた小冊子、拝読させていただきましたが、大変示唆に富んでおりまして、心から敬意を表したいというふうに思っております。  そういう中で、今お話あったとおり、オランダの農業につきましては、一九九二年の欧州の市場統合の頃から、市場の競争に勝ち抜いていく、あるいは、小売業者の大型化等の動きに対応するために、生産者組織を強化する、産学連携を進める、あるいは施設園芸の技術革新等の様々な改革を実施してきたと承知をしております。  その結果、オランダの農業につきましては、現在、一経営体当たりの平均経営面積につきましても日本の十倍以上となっておりますし、また、今トマトのお話がありましたが、コンピューターによる環境制御技術の導入等によりまして、非常に高い生産性を実現をしている、さらには、農作業の機械化ですとかスマート化、資材規格の統一等による生産コストの削減を実現をする、そして、十兆円を超える農作物の輸出を実現をしているということで、大きな成果が上がっていると認識をしております。  御案内のとおり、平地の多いオランダと中山間地の多い日本、その取り巻く環境というのは異なっておりますので、個々の農業政策それぞれが当てはまるかどうかという点はありますが、しかし、一方で、やはり、オランダの農業政策に一貫をする市場の声にしっかりと応えていくという点、あるいは新技術を導入しながら競争力を高めていくという点、そういうことで成長産業化を図っていくということは大いに学ぶべきことだというふうに考えております。  二〇一五年には、オランダにおきまして最先端の農業技術の研究開発を行いますワーヘニンゲン大学研究センターと我が国の農研機構、連携協定を締結いたしましたので、そういう研究連携の強化も進めてまいりたいと思いますし、我が国の農業につきましても、中山間地域に対する直払い等の地域政策を進めるとともに、スマート技術の開発、実装ですとか、デジタル技術の開発の加速化をする、また、主食用米から需要の見込まれる高収益作物への転換ですとか、マーケットインの発想に立った輸出促進等々、政策を進めるところでありまして、これらを通じて農業の成長産業化を図ってまいりたいと考えております。
  16. 齋藤健

    齋藤(健)委員 一九九〇年代の欧州の市場統合というのは、為替リスクなし、関税なしで、スペインのような強い競争力を持つ国とオランダは競争しなくちゃいけないという究極の場面に直面したわけです。そして同時に、ヨーロッパでは小売業界が大きくなりまして、そういう巨大小売業界とも対峙もしなくちゃいけない。つまり、オランダにとって黒船だったんですね。その黒船にどう立ち向かうかということで、オランダはこの間大きな発展を遂げたわけであります。  私は一つだけ紹介したいのは、今私も政策の小冊子を作っているんですけれども、その中でも紹介しているんですけれども、これは是非聞いていただきたいんですが、オランダには、ザ・グリナリーという生産者の組織があります。これは生産者が出資をして立ち上げた生産者組合であります。この組合は徹底的に生産者側に立った活動をしております。私も行きましたけれども、その敷地は驚くほど広くて、参加している生産者も五百ぐらいあります。  このグリナリーのすごみは、生産物の集出荷にとどまらずに、配送もやればパッケージングもやれば商品開発まで一貫して行いまして、その工程全体を支配することによって巨大な小売と対峙をして、マーケットを支配しようという努力をしているわけであります。  そして、一週間に処理される商品は百万箱に及びまして、物流上どういう状態にあるかというものを全てSAPと呼ばれるシステムで把握をして、そして、日本のクロネコヤマトを思わせるようなそういうものをこの農業組織が持っているんですよ。そして、扱われる品数は三百五十種類に及びます。取引している国は六十か国、驚くことに、オランダの生産者のための組織でありながら、巨大な小売を相手にして、どうも品ぞろえができそうもないときは、自ら輸入までして品ぞろえをしてマーケットに応えるということをやっています。  しかも、出資をしている農業生産者はこのグリナリーの活動に細かく関与をして、パフォーマンスが気に入らなければそのグリナリーの執行陣を首にするんですよ。そして、気軽に、ここはもう駄目だと思ったら脱退しちゃうんです。ですから、このグリナリーという組織は必死に生産者のために汗をかく、そういう生産者中心主義を貫いているわけであります。  つまり、このグリナリーという組織は、日本でいうところの出荷、集荷を行う農協と、取引のマッチングを行う卸売市場と、そしてクロネコヤマトと、そして小売の商品開発機能と、輸出入を行う商社の機能と、そういうものを全て兼ね備えて、農家のために、こういうものは欧州市場統合の危機感の中で彼らが努力してつくり上げてきたものであります。  今、日本は人口減少、そういう局面にあります。人口というのは人の口と書きます。この口がどんどん減っていくわけです。口に入れて食べていただくものを生産している産業にとって、これは欧州市場統合と匹敵するぐらいの危機だと思いますよ。この危機に立ち向かっていく際にオランダから学ぶべきものは、私は、その危機感とチャレンジ精神だと思います。是非、農業政策の中においてこのオランダの精神を貫徹するように、野上大臣の御尽力をお願いしたいと思います。  最後に、一つ御礼ですけれども、前回質問で、政府備蓄米を、子供宅食、一人親ですとか生活に苦しんでいる人に備蓄米をお届けするということをやったらどうかということを農林大臣に御要請いたしました。それが二月一日から、大臣のリーダーシップで実現をすることになりました。僅か二か月という間にそういう手を打っていただきましたことについて、最後、心から御礼申し上げまして、私の質問といたします。  どうもありがとうございました。     〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
  17. 金田勝年

    金田委員長 この際、田畑裕明君から関連質疑の申出があります。齋藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田畑裕明君。
  18. 田畑裕明

    田畑委員 おはようございます。富山一区、田畑裕明でございます。  質問機会をいただきまして、誠にありがとうございます。通告に従いまして質問させていただきたいと思います。  まず、本日、東京は快晴でございますが、全国的に、特に発達した低気圧、また冬型の強い気圧配置で、北海道やまた東北、日本海側中心、北陸を中心に、大雪また暴風雨の被害、暴風雨が今発生をしているというふうに承知をしております。私のふるさとも、昨晩から大変降雪がひどい、風が強いということを聞いているところでございます。関係の皆様方、お気をつけて、お仕事また生活をしていただきたいというふうに思います。  先週、地震もございました。政府におきましては、様々な事象につきまして、国民の安心、安全のためにしっかり職務を果たしていただくことを御期待を申し上げたいと思います。  それでは、私からは今日は、コロナワクチンについて、また、昨今の雇用情勢につきまして、また、高齢者施設の支援につきましてを中心に、お話質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、ちょっとコロナの関連で一問でございますが、最近、コロナの感染から回復をされた方々の後遺症についてのお話、私も耳にするところでございます。コロナ感染から社会復帰、回復をしたとしても、倦怠感や脱毛であったり、息切れ、味覚、嗅覚の異常など、後遺症に悩み苦しむ方々の声が寄せられているところでございます。  コロナ感染時の重症をしっかり抑える、そうしたことも大変大事でございますし、退院後の後遺症における重症度、こうしたことについてもしっかり対応しなければいけないのではなかろうかと思います。  コロナ感染時の重症度、また後遺症の重症度の違いについて、政府は、どう把握をし、認識をしているでしょうか。また、病態の解明、コロナ後遺症の症例の研究、分析、コロナ専門外来の設置を促進をし、国民の健康不安に寄り添うべきだと考えますが、御見解をお聞きをしたいと思います。
  19. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 お答えいたします。  委員指摘の新型コロナ感染症と後遺症との関係性でございますけれども、現時点でいまだ、その関連の有無が明らかになっては必ずしもいないというのが実態でございまして、これは、感染者数あるいは感染症例が圧倒的に多い欧米諸国でも同様の実態となってございます。したがいまして、まずはその実態を明らかにしていくということが大事であるというふうに考えております。  したがいまして、厚労省といたしましては、厚生労働科学研究の一環といたしまして、後遺症の症状や頻度、持続期間等、総括的な研究に加えまして、後遺障害の頻度が高いとされる呼吸機能、あるいは味覚、嗅覚障害に関する研究、これを今行っているところでございまして、速やかに取りまとめて、それを公表してまいりたいというふうに考えております。  いずれにいたしましても、こうした研究あるいは国内外の専門家の御意見、これを踏まえながら科学的知見の蓄積に努めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 田畑裕明

    田畑委員 ありがとうございます。  昨日時点で、コロナ感染をされ回復をして退院をされた方々は約三十八万九千人でございます。大変個人差はあろうかというふうには思いますが、後遺症で苦しんでいる方々も現実にはいらっしゃいます。しっかり、相談の窓口を含め、まずどこに相談すればいいのか、そうしたことについてもしっかり啓蒙啓発をお願いをするところでございます。  それでは、ワクチン接種体制につきましてお聞きをしたいと思います。  薬事承認をされ、いよいよ本日から接種が開始をされるところでございます。まずは、百の医療機関勤務をする医療従事者約四万人の方々に先行接種を開始をするところであろうかというふうに思います。一般の国民の皆様方、六十五歳以上の方々については四月以降だということが発表されているところでございます。  また、これまでの予算委員会の答弁におきまして、一つに、発症予防効果、重症化予防効果が、ワクチンを打つリスクよりもベネフィットが高いということ、二つに、ワクチン接種によって感染が完全に予防されるわけではないということ、三つ目、ワクチンを接種をし仮に感染しても、他人にうつすことを防止できるわけではないこと、また四つに、今ほど申しましたが、後遺症がなくなるわけではないこと、また、筋肉内注射であり、通常の予防接種より痛みは、個人差はございますが、高いことが想定をされるということ、また、接種をした後でも、マスク着用や、これまで同様に感染予防策を講じる必要があることが答弁等で明らかになっているところでございます。  それでは、承認前に答えようがないと答弁されていたことについて、四点連続で聞きたいと思いますから、まとめてお答えをいただきたいと思います。  一つは、十六歳以上が今回接種の対象者ということでございます。未成年でございますが、十五歳以上ということでありますから、接種においては保護者の同意書が必要でありますね。当面は接種対象年齢は下げることはないと言えるでしょうか、お答えをいただきたいと思います。  また、二つ目、アナフィラキシーや血管迷走神経反射への対策、経過観察として、接種後全員十五分間は接種会場にて休息をしてもらう、これで正しいでしょうか。過去に重いアレルギー反応を起こしたことがある方のみは三十分間待機ということでよろしいでしょうか。  また、三つ目、妊婦につきましては接種努力義務を適用除外とし、産科の医師との話合いにより妊婦さん本人が判断をして接種をするということでよろしいでしょうか。  最後、四つ目でありますが、変異ウイルスの監視、ワクチンのアップデートについての対処方針はどうなっていらっしゃるでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。
  21. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 委員、今、四点御質問をいただきました。漏れのないように回答したいと思います。  まず、接種対象年齢につきましてですけれども、委員指摘のとおり、二月十四日に薬事承認を行ったところでございますけれども、審議会等におきましても、国内外の臨床試験のデータ、これが限定的であるということ等から、接種の時点で十六歳以上の方を予防接種の対象とするということにいたしております。なお、今後、必要なデータが整ってくれば、安全性、有効性の評価を改めて行って検討するということもあり得るということは申し添えておきます。  次に、接種後の待機時間の関係でございます。委員指摘のとおり、過去に重いアレルギー症状を引き起こしたことがある方、また、過去に採血等で気分が悪くなったことがある方等につきましては、基本的に三十分以上待機をしていただき、その他の方については十五分以上様子を見ていただくということにしております。  次に、妊婦の方への対応でございますけれども、妊娠中の方の接種の場合もデータにつきましては少ないという状況がございまして、厚労科学審議会におきまして、接種の機会は提供する一方で、より慎重に接種を判断していただく必要があるということで、努力義務に係る規定を外す、適用しないということにさせていただいておりまして、主治医等に御相談をしながら判断をしていただきたいというふうに思っております。  最後、変異株への対応でございますけれども、ファイザー社のワクチンにつきましては、薬事・食品衛生審議会におきまして、現時点で流行している種々の変異株に対して一定の有効性が期待できるという評価をいただいております。引き続き、こうした情報収集を行いながら、適切にアップデートしていきたいというふうに考えております。
  22. 田畑裕明

    田畑委員 アナフィラキシーは、大変頻度は少ないというふうには想定をされるわけでありますが、起こる方においては大変、大変なことになるわけでございますので、経過観察、並びに、接種場所において医師が不測の事態に備える体制、全ての接種会場におきまして万全に整うことを、しっかり指摘をさせていただきたいというふうに思います。  なお、ワクチン接種に関して、やはり、正しい情報を持つものが、偽情報に負けないように、しっかり発信をし続けることが大切だというふうに思います。科学的な知見に基づき、政府また公的な機関からのワクチンに対する発信、専門家等により繰り返し発信をすること、そうしたことを強く求めたいというふうに思います。  もう一点、地方自治体からのお声でございますが、集団接種方式によりワクチン接種業務を実施する場合、当該場所におきまして診療所の開設の届けを行うこととなります。必要な看護師を確保するために、派遣法の規定が、自治体による接種体制に支障が出るとの声もあります。  特定の条件下で派遣による看護師でも医療行為ができるよう、特別な措置を行うべきではなかろうかと思いますが、いかがでしょうか。  また一方、医療人材が不足しがちな僻地でのワクチン接種におけます医療人材確保の特別な対応については、どう配慮されているでしょうか。お聞かせください。
  23. 正林督章

    ○正林政府参考人 お答えします。  新型コロナワクチンの接種に当たる医療関係者等の確保については、医療関係団体からも御協力いただきつつ、自治体と連携して万全な接種体制を確保していこうと考えています。  その上で、看護職員の確保については、都道府県ナースセンターを活用して潜在看護職員を直接雇用することも考えられることから、令和三年二月五日に、自治体と都道府県ナースセンターが連携して対応するよう周知したところであり、ワクチンの接種体制確保に当たっても御活用いただきたいと考えております。  また、医療関連業務に係る労働者派遣は原則として禁止されているところでありますが、地方分権改革に関する地方からの提案への対応として、僻地については、本年四月一日から、ワクチン接種会場を含め、医療機関に対する看護師等の派遣を可能とする予定であります。  厚生労働省としては、こうした取組を通じて、各自治体において万全の体制が確保できるよう、全力で支援してまいりたいと考えております。
  24. 田畑裕明

    田畑委員 今答弁ありましたが、僻地での接種についてはしっかり配慮しますということ、そのような通知が出されているということを確認をさせていただきました。また、看護協会を始め、潜在看護師の活用についてもいろいろ連携をし、今協議がなされているということもお聞きをしたところでございます。  しかし、大変大規模で史上初のこのような取組の中で、全てが予定どおりということにも、進む可能性もないことも想像されるわけでございますので、そのほかの手法も含めて、看護師の方は派遣法の規定にひっかかるわけでございますが、場合によっては柔軟な対応、そういったことも考えることも指摘をさせていただきたいと思います。  国民の皆さんにはお伝えしたいと思いますが、十五日から、国や各地方自治体、いわゆるコールセンターを設置をしているというふうにもお聞きをしております。様々な御不安については、ひとつコールセンターというものも活用もお願いをしたいと思います。  政府においては、〇一二〇―七六一七七〇、〇一二〇―七六一七七〇、これは土日を含む朝の九時から夜の九時、二十一時まで開設をされているところでございます。余りちょっと覚えやすい番号ではないかもしれませんが、よろしくお願いをしたいと思います。  繰り返しになりますが、国民の皆さんに丁寧に御説明、様々なチャンネルを使って、しっかりとした受け止めを、政府の皆さんにはお願いをしたいというふうに思います。  それでは、大きな二問目、新しい雇用、訓練パッケージ、労働政策についてお聞きをさせていただきたいというふうに思います。  これまで我々は、自民党雇用問題調査会、松野博一会長の下、昨年の四月以降、四月二十三日、五月十八日、八月二十一日、十一月十八日、そして本年の一月十二日、そして二月十日、六回にわたりまして、我々自民党として、政府に、雇用政策に対する緊急提言を行ってまいりました。一貫して私は事務局長として、その取りまとめの末席で対応させていただいたところであります。それぞれの段階におきまして最適な支援策を講じるべく要請をし、政府においてもお応えをいただいたというふうにも評価をしたいというふうに思います。  パネルをちょっと掲示をさせていただきました。  特に、雇用調整助成金、これは特例措置を講じていただいたわけでございまして、一月末で支給件数は二百四十二万件、支給決定額は二兆七千億余に上るわけでございます。特に、昨年の七月には、ひと月において四千四百億円、八月、九月においては五千億円を超える支給額がそれぞれ支給されているところでございまして、今も毎月二千億円前後の支給額ということでございます。  このパネルにもございますが、これはリーマン・ショック時との比較ということで作成をしたわけでありますが、青の棒グラフでございます。オレンジのリーマン・ショック時と比べても、支給額、またその支給の初動のスピードを含めて、政府においては、労働者の雇用を守る、また地域における経済を支える、そうした意味で、雇調金については、大変、初動を含めた体制が速やかになされたのではなかろうかというふうに思います。まさに異次元の対応ということが一目瞭然でなかろうかというふうに思います。  雇調金の効果もありまして、昨年来の雇用情勢を振り返りますと、完全失業率は、十月、三・一%にまで上がったところでございますが、そこを今、山ということで、失業率も下がってきているところでございます。完全失業者は二百万人前後、もちろんいらっしゃるわけでありますが、大幅な上昇というのは一度も生じていないところでございます。  特異点といたしましては、昨年一年間で、パートタイム労働者の比率、これは一九九〇年から調査をしているわけでありますが、調査以来で初めてパート労働者の労働者数が低下をしたところであります。率にして、労働者に占める割合は三一・四%でございますが、一方、正規雇用者は前年比三十六万人増で三千五百三十九万人であります。正規労働者は増加し、非正規労働者が減少しているというのは鮮明であろうかというふうに思います。また、求職活動を控えている離職したパートタイム労働者も存在しているというふうに分析できるのではないかと思います。非正規の就労支援、求職支援に軸足を移すべき段階になっているのではなかろうかと思います。  本年四月から、中小企業におきまして、改正のパートタイム・有期雇用労働法がいよいよ中小企業にも適用されるわけでありまして、いわゆる同一労働同一賃金でございますが、非正規労働者の処遇改善はもちろん、非正規の正規化へのシフトにも注力をするなど、労働市場の質的変化にしっかり対応すべきではなかろうかというふうに思います。現在でも、パートさんを多く雇用する飲食サービス業、小売業において、コロナの影響が明確に出ているということが統計上も分析できるのではなかろうかというふうに思います。  一方、雇用保険に入れない方々を中心に、求職者支援制度というのが、これまで政府もリーマン・ショック時の教訓を基に作成をし、今、法定化をされているところであります。受講料が無料ということ、国から認定を受けました民間の教育訓練機関等が訓練を実施をするということ、また、要件がございますが、要件を満たす方においては、この訓練期間中、月額十万円の給付金が支給をされるということでございます。  ただし、これまでも、出席要件が大変厳しくて活用しづらいという声がございました。先般十二日に発表されました新たな雇用・訓練パッケージでは、収入要件、出席要件が緩和をされたところでございます。これはしっかり周知をお願いをしたいというふうに思います。  そこで、総理にお聞きをさせていただきたいと思いますが、雇調金の特例措置によりまして、先ほどから申し上げておりますとおり、失業の連鎖は食い止められてきているのではないかというふうに思います。次は、雇調金頼みからの転換をし、出向の促進であったりですとか、浮き彫りとなりました非正規労働者の支援が必要でなかろうかというふうに思います。民間の力も活用しながら、労働移動や業態転換、求職者向け支援の拡充をしっかり促す政策を大胆に行うべきではなかろうかと思いますが、総理見解をお聞きをしたいと思います。
  25. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 新型コロナによる雇用への影響が長期化する中にあって、雇用を守るとともに、離職を余儀なくされた方などを支援する対策、極めて重要だという認識を持っております。  具体的には、今質問ありましたように、雇用調整助成金、これの特例措置に加え、先般の第三次補正予算において産業雇用安定助成金を創設をし、在籍型出向を活用した雇用維持、ここを実施をいたしております。また、非正規雇用労働者の円滑な就労に向けた支援として、ハローワークの体制強化や、新型コロナの影響による離職者をトライアル雇用する事業主への支援など、こうしたことも行っております。  さらに、御本人の能力開発を推進するために、特にデジタル化の進展等により求められるスキルが変化している中で、技術革新産業界のニーズに合ったスキルを身につけられるように、学び直しや教育訓練への支援などを行うとともに、仕事と訓練受講を両立しやすい環境整備に向けて、求職者支援制度の要件緩和など、こうしたことに取り組んでいるところであります。  あわせて、中小企業等事業再構築促進事業を通じて、非正規労働者の雇用の受皿となる中堅・中小企業の事業転換を支援することにいたしております。  これら多様な支援策がしっかりと行き届くように周知、広報を徹底するとともに、引き続き、雇用そして暮らしを守るための必要な政策、ここに全力で取り組んでいきたいと思います。
  26. 田畑裕明

    田畑委員 ありがとうございます。  厚労大臣にもちょっとお聞きをしたいと思いますが、雇用調整助成金、特例措置の在り方、今、四月末まで現行の特例措置を延長するということ、また、五月、六月については、二か月間において、一つには段階的に縮小、二つには地域特例や企業ごとの特例を決定をして、二本立てで六月末まではしっかりお支えしますよということが明確に打ち出されているところでございます。  特に厳しい業種の皆さんからは、七月以降の支援の在り方についても不安の声がございます。総理からは、今、在籍出向でやったりですとか、様々組み合わせ、しっかり行いながら、雇用、暮らしを守っていくという力強いお答えがあったわけでありますが、田村大臣として、今年の七月というか、夏以降についての雇用情勢に対応しながら、労働政策、どのようにお考えをされているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  27. 田村憲久

    ○田村国務大臣 委員がおっしゃられますとおり、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って非常に厳しい業種というものが散見されるわけで、それは例えば飲食店でありますとか、あと宿泊業、観光業、こういうのが非常に厳しい。にもかかわらず、失業率が三%を超えない、また、今、現状、有効求人倍率も、厳しくなっておりますが、それでも一倍以上というのは、これは雇調金というもの、あと休業支援金というのもありますが、こういうものの役割が非常に大きかったと思います。  今、現状、言われるとおり、本当に特例の特例でございまして、緊急事態宣言の下において、一部大企業においても助成率十分の十という、これはもう本当にいまだかつてないような対応をさせていただきながら、何とか企業に雇用をお守りをいただいておる。これが四月までは続くことが、まず今の現状、これは決まっておりますが、五月、六月は段階的に、これを本則に戻すための段階的な対応をする。その中においては、厳しい地域でありますとか厳しい業種に対しては、大企業に対しても一定の対応をということをこの五月、六月は考えておりますが、七月以降は、基本的には、雇用情勢が大幅に悪化しない限りは、現状というか元の本則に戻すという方向で検討いたしております。  ただ、そのときの状況がどういう状況か分かりませんので、そのときの状況が非常に厳しい状況がある、若しくは厳しいことが予想されるというようなことが起これば、そのときには臨機応変な対応、これも我々は考えていかなきゃならないと思っています。  いずれにいたしましても、雇用を本当に企業がお守りをいただいていることに我々は感謝をいたしておりますが、それを我々としても支援をしていくこと、これは大変重要なことだというふうに思っておりますので、またそこはそれぞれ、私も調査会のメンバーでございましたので、皆様方ともいろいろと御議論させていただきながら判断をさせていただきたいというふうに思っております。
  28. 田畑裕明

    田畑委員 大臣から大変丁寧な答弁をいただきました。ありがとうございます。  総理、我々この雇用問題調査会の提言には、雇用保険財政についても触れさせていただいています。雇用のセーフティーネットを確保するため、その健全性は大変重要不可欠であろうかというふうに思います。失業等給付の支援、支給など、雇用対策の実施を万全を期すべく、雇用保険財政、安定的な財政運営ができますように確保することをお願いをしたいと思います。麻生財務大臣にもお伝えをさせていただきたいと思います。  それでは、次はテレワークについて、坂本大臣にちょっと一点お聞きをしたいと思います。  リモートワーク、在宅勤務、働く場所を問わない就労が、このコロナを通じても広がっていようかと思います。地方創生の観点からテレワーク促進について、坂本大臣の御見解、お取組をお知らせをいただきたいと思います。
  29. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、地方への関心が非常に高まっております。東京へは二十四年間、東京への転入が転出を上回っておりましたけれども、昨年の七月からは六か月連続で、東京からの転出の方が上回っております。  そういうことで、一方で、全国で三割以上の方々がテレワークを活用されているという事情がありますので、こういうテレワーク等を活用しながら、これから、東京にいても、都会にいても、地方にいても、同じ環境で仕事ができる、生活ができる、そういうことを進めてまいりたいと思っております。  具体的には、令和二年度の第三次補正で、テレワーク推進交付金、百億円措置をいたしました。また、令和三年度の予算におきましても、民間企業とそれから地方公共団体を結ぶ情報交換、さらにはテレワークを活用した移住者に対する支援措置、そういったものを行っております。  委員の御地元の富山にしましても、富山駅前にスケッチラボというコワーキングスペースがありまして、そこで様々なワークショップなども行われているようですけれども、ここでもしテレワークに特化したいろいろな設備を整えたいということであれば、こういった交付金を活用して、テレワークの推進を更に進めていただきたいと思います。  そういう思いで、今後、東京への一極集中の是正、あるいは地方分散型社会、この取組を進めてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  30. 田畑裕明

    田畑委員 大臣、丁寧な答弁ありがとうございました。  坂本大臣におかれましては、孤独・孤立担当大臣にも御任命されたと拝見をしているところであります。また機会を捉えまして、いろいろ政策提言をやらせていただきたいと思います。  済みません、ちょっと時間の関係で先に、通告していたうちの高齢者支援について、一点お聞きをさせてください。  四月から介護報酬の改定がなされるところであります。通所介護等の報酬について、感染症や災害の影響により利用者等が減少した場合、状況に即した安定的なサービス提供を可能にする特例措置の創設、大変歓迎する声が聞かれているところであります。  また一方で、全ての介護サービス事業者に、感染症対策の強化、業務継続に向けた取組強化として、三年間の経過措置を設けて、指針、計画、研修、訓練の実施を求める、いわゆるBCP計画策定が盛り込まれたところであります。事業所の規模によっては負担感も大きいものであり、政府や地方自治体等の支援や指南も大変必要だというふうに思います。  とりわけ、基礎自治体との連携が大変重要であります。災害の種別や感染症の特性によって基礎自治体の窓口が縦割りで、何回も高齢者施設側は説明にエネルギーを要するのではないかという声も聞かれるところであります。訓練等を通じて、地域住民との連携もより一層必要であろうかというふうに思います。  業務継続計画の策定と基礎自治体の情報共有などに政府も積極的に関わり、レジリエンスな高齢者施設運営をサポートすべきだというふうに思いますが、お考えをお聞かせをいただきたいと思います。
  31. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 お答えいたします。  委員も今御指摘がございました、令和三年度の介護報酬改定におきまして、運営基準において、BCPの策定、あるいは研修、訓練の実施等を求めることといたしております。  御指摘のとおり、事業所あるいは地方自治体への負担、これを軽減していきながら、円滑にこれを運営していくということが重要になってまいります。  そのため、三年間の経過措置を設けつつ、その期間を準備期間といたしまして、自治体あるいは事業者が円滑に情報交換しながら進めていく。これを後押しするために、例えば、入所系であるとか訪問系、あるいは通所系、こういったサービス類型ごとにBCPのガイドラインをきめ細かくお作りをする、また、そのガイドラインをより詳しく解説した動画等による研修、こうしたことを実施をしていくというふうに予定をしております。  コロナ禍あるいは災害においても、介護が必要な方はたくさんいらっしゃいます。こうした方々に必要なサービスが提供できるよう、しっかりと自治体とも連携しながら、事業継続に向けた取組を応援していきたいというふうに考えております。
  32. 田畑裕明

    田畑委員 ありがとうございます。  昨日、田村大臣は、介護保健施設において新型コロナウイルス感染症の退院基準を満たした患者を受け入れた場合においては、介護報酬上、特例的な評価を行うということを明確に発表されたところでございます。  それぞれ高齢者施設、様々な事情で、地域の生活また高齢者の生活を守っていらっしゃいます。柔軟な対応を切にお願いを申し上げまして、質疑を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  33. 金田勝年

    金田委員長 この際、国光あやの君から関連質疑の申出があります。齋藤君の持ち時間の範囲内でこれを許します。国光あやの君。
  34. 国光あやの

    ○国光委員 茨城六区選出の衆議院議員、国光あやのでございます。  若輩にもかかわらず、御質問機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  今回、ワクチンに関して、今日から国立病院機構などでワクチンの接種が始まります。ちょうど今、この時間も、全国の約百の国立病院機構などの病院にワクチンが届き、そして接種が始まる。今日の夕方にも、たくさんの接種の感想や意見などが報道にも上ると思います。  私は元々、医療現場で働いていた医師でございました。その中で、実は第一波の頃から、地元の茨城が医師不足であります。ワースト二位の医師不足でありましたので、ずっと、コロナの患者さんも含めて診療に当たってまいりました。その中で、二つ、今実感することがございます。  一つが、先週末も地元の病院で当直をさせていただいておりましたが、医療関係者の反応、非常に今好意的に受け止められています。といいますのが、感染者が減ってきた、そして重症者が減ってきた。  例えば、東京都であっても、東京都内で一番患者さんを今まで受けてこられた大学病院がございます。菅総理もお目にかかられた東京医科歯科大学の、武田大臣も学長さんとはいとこでいらっしゃるかと思いますけれども、例えばその東京医科歯科大学では、十二月頭から患者さんが切れることがなかった。本当に逼迫されていました。しかし、先週末初めて、週末に新規の入院患者さんがゼロになった。これはすごいことです。  これは、やはり菅総理のリーダーシップで、感染拡大を防止する緊急事態宣言、本当に国民の皆様には多大なる御協力をいただいているわけですが、集中的な効果が功を奏してきて、国民の安心、そして医療の逼迫も緩和、これは本当に光が見えていることだと思います。是非この勢いで、しっかりと先を見据え、仮に第四波が来たとしても乗り越える、この体力をつけていかねばならないと思います。  そして、もう一つ、私自身が医師としても患者さんを診ていた中で感じること。  今まで、この一年間、実は、患者さんの外来診療だけでなくて、みとりも経験したことがあります。コロナの患者さん、実際どうなのかというと、やはり非常につらい、苦しい思いをして亡くなります。例えて言いますと、いわゆる首が絞められている状態。肺炎ですから、息ができません。肺の中には、海ブドウのように、海ブドウの関係者には大変失礼な、恐縮なんですけれども、海ブドウのような肺胞というものがたくさんあるわけです。これがウイルスによって潰れていく。息が吸えない。吸えない苦しみというのは、間近で患者さんを見ると本当に実感します。  亡くなった患者さん、そしてその家族が言われたこと、去年から四例の患者さん、四人の患者さんを私もみとってまいりました。ワクチンや薬があれば、やはり本当にその思いは、当事者の方は切実に思っていらっしゃる。そこで、今やっとワクチンという期待の光ができている。これを何とか軌道に乗せなきゃいけない。これが政治の責任だと思います。  そこで、改めて厚生労働省にお伺いいたします。  本日から、先ほど申し上げたように、ワクチン接種が始まります。ワクチンは、昨年はまだデータが余りなく、医療関係者でさえ、感染症や呼吸器の専門の先生でさえ、ワクチン、先生どうですかと伺ったら、いやあ、ちょっと、有効なのか、副反応がどれぐらいなのか分からないから、ちょっと俺、控えたいなというような方が実は結構いらっしゃいました。ただ、変わってきたなと思います。一月に入って、この二月に入って同じ質問を同じ方に聞くと、かなり好意的に皆さん、やはりこれは打たなきゃと、データが出てきて安心を感じている。医療のプロフェッショナルの医療者でも安心を感じているような、そういう実感を持っております。  国立病院機構などでの接種、当初一万人を想定していたと伺いましたけれども、どうも、私も昔、国立病院で働いていて、聞きますと、かなり希望者が多かった。相当な数の希望者がいらっしゃったようにも伺っておりますが、厚生労働省におかれては、今日から始まるワクチンの接種、どのような形でどのぐらいの規模の方に、そして実際の受け止めはどうなのかというあたりを、是非国民の皆様にもお知らせをいただきたいと思います。
  35. 正林督章

    ○正林政府参考人 お答えします。  御指摘の先行接種については、百の医療機関から先行接種の候補者として提示のあった約四万人の医療従事者に対し、本日十七日より開始することとしております。このうち約二万人の医療従事者については、継続的に観察日誌を御記入いただくとともに、二回目の接種後二十八日までに発現した症状などを調査することとしております。  先行接種による調査結果については、個人が接種の判断を行うための参考情報となるよう提供する予定であります。引き続き、国民の皆様に安心して接種していただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 国光あやの

    ○国光委員 ありがとうございます。  全国民が注目をしている接種でございます。厚生労働省の足下の病院でもございます、しっかり国民に安心、確実な情報を、安心を届けるように、是非御努力をいただきたいというふうに思います。  また、改めてここで、これでもなお、ワクチンの接種、非常に不安だというお声、私も地元でもたくさん伺います。昨日もたくさんのお声が、やはりちょっと受けるのは不安だというお声をいただきました。  そこで、やはり、受けるか受けないかを判断する中では、正しい情報が本当に大事です。今日、改めて、私も元々、実は専門が呼吸器内科で、特に感染症で博士号もいただいた、感染症の実は専門でもありまして、ちょっとまとめさせていただきました。(発言する者あり)ありがとうございます。こちらは、厚生労働省の資料などでまとめました、新型コロナ自体がどれぐらい危険なのか、いわゆる本当に危機を思わなきゃいけないかというふうなデータでございます。  今まで、この一年間の実績で分かっていること、それは二つです。一つは、年齢依存性で、やはりお年を召すと明らかに、一気に重症化率そして致死率が上がります。もう一つは、御高齢の方でなくても、私ぐらいの世代の方、私より下の世代の方でも、基礎疾患があるとやはりリスクが上がります。この二つです。  具体的な数字をお示ししておりますけれども、三十代の方を一としましたら、四十代、五十代と上がっていく中で、九十歳以上の方は三十代の方より重症化するリスクは約八十倍です。そして、基礎疾患、特に、ここに書いている糖尿病とCOPDという、これはたばこなどの吸い過ぎによって肺がかなりぼろぼろになってしまう肺線維症のような疾患でありますけれども、この二つが特に非常に危険である。糖尿病に関しては、ちょっと血糖が高いぐらいでしたらまだいいんですが、インシュリンを使っているレベルですと、普通の方の二十倍にリスクが上がります。  また、肥満、BMI三〇以上とありますが、これは、身長百六十センチの方、男性でも女性でも、大体体重が八十キロ以上ですとリスクが五倍です。どきっとされた方は、是非この機に、三密を予防されながら御散歩をされていただく、三密を予防されながら運動していただくことを強くお勧めをさせていただきたいと思います。  そして、やはり気になることが、一番避けたいのは、国民の命がコロナによって落とされることです。  よく急性期の病気、感染症や、例えば心筋梗塞や脳卒中などは、致死率という数字、陽性者、発生した患者さんから亡くなった方を割り算をして、致死率ということで、その病気のいわゆる危険度ややばさを判断します。  MERSやSARSは、MERSは三〇%、SARSが一〇%の致死率です。それよりは、SARSに比べると一〇%の十分の一、コロナの平均的な致死率は一%強。ちょうど今一・三%ぐらいだと思います。よく比べられるインフルエンザは、インフルエンザとまだ同等だろうというふうなことを思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、インフルエンザはコロナの十分の一、〇・一%の致死率です。ですから、SARSの十分の一がコロナです。コロナの十分の一がインフルエンザです。かなり、やはりここに、インフルエンザとまだ同じとは言い切れないファクトがあると思います。  また、これは年代別に見ますと、三十代、四十代の方ぐらいまではほとんど亡くなりません。数えるぐらいしか今までも亡くなっておりませんが、五十代以上からになると一気に伸びてきて、八十代で一二%の方、九十代の方ですと一六%の方が亡くなっておられる。こういう事実があり、今目指すゴールは、いかにワクチンや薬でこの致死率を下げること、インフルエンザが〇・一であれば、それになるべく近づけていくこと。そうすると、インフルエンザと初めて同等と言えるというふうにエビデンス的には考えられると思います。  そしてまた、いわゆる、今よく言われている有効性や、つまり、利益とリスクを正しく認識しましょうというお話がこの国会でもたくさん出てきています。ただ、国民が何で不安なのかというと、やはりまだはっきりしない。はっきりしないとみんな不安になります。  今、ここまでで分かっているファクトとしては、まず利益とリスクの考え方ですけれども、同じ副反応のリスクであっても、例えば、余り副反応においてそこまでリスクがない若い方で、今回のコロナですと重症化リスクが少ない方というのは、仮にワクチンを打たなくても、そこまで心配することはないと言えるかもしれません。なので、十六歳以上の方は今回は接種対象外になっていると思います。  でも、一方、同じ副反応でも……(発言する者あり)未満ではですね。失礼いたしました。  一方、同じ副反応の程度でも、ワクチンを打たないと危険ですという方、つまり高齢の方やリスクが多い方は、やはり重症化予防が非常に大事なので、ワクチンをする効果というのが非常に大事。このパネルでいうところの、こちらのワクチンの効果というのが非常にてんびんにかけると重たくなるというものでございます。  そして、有効性、一体どれぐらい打って得するんですか、利益があるんですかということをざっくり一言で申し上げると、発症するリスクが二十分の一になるということです。これは、国内の論文などをまとめた結果、二十分の一ぐらいになる。つまり、二十分の一になりますと、実効再生産数が減ってきて感染者数も減り、重症化率も減る、死亡者も減るという結果が当然起こり得るわけです。  ただ一方で、皆さんが気にされている副反応は、痛みや発赤などは当然出ます。なぜならば、ワクチンは、体の中に異物を与えて、それで免疫反応を起こして体によろいをまとうようなもので、自分の体に敵をやっつける兵隊をつくるようなものですので、どうしても熱は出ます。腫れます。それは、やはりワクチンは当然出てしまいます。  ただ、ほかの薬でも同じです。副反応、副作用は出ます。実際、じゃ、どれぐらい副作用のレベルがあるんですかということをまとめてみますと、皆さんがおなじみの抗生剤。例えば、風邪を引いた、何かばい菌が入った、痛いというときに抗生剤をお飲みになると、五千人に一人の方にアレルギー反応が出ます、重度のアレルギー反応。今回のワクチンは、mRNAワクチン、ファイザーのワクチンなどもそうですけれども、二十万人に一人。つまり、抗生剤の方が、普通の薬の方が圧倒的に副作用が出る率は高いんです。  でも、やはり何でワクチンって怖いのと思ってしまうといいますと、薬というのは症状が出てから飲むので、やはり、ああ、これは飲まなかった、抗がん剤だってそうですね、副作用はすごく出ます。でも、それは、その患者さんが実際にがんになっておられて、がんを怖いと思っている、自分の主観で自分が実際思っているということが非常に大きいと思います。  分からない、なってもいない病気に対して本当にやる意味があるのかということがあるかもしれませんが、是非この辺りのエビデンスをしっかり押さえながら、分かりやすく国が説明することが本当のリスクコミュニケーション、国民への安心、安全に当たると思いますけれども、ここで改めて、今回のワクチンの承認を経たデータも踏まえての安全性と有効性、是非大臣から御見解をお聞かせください。
  37. 田村憲久

    ○田村国務大臣 非常に分かりやすいお話、ありがとうございました。  非常に、今回のメッセンジャーRNAワクチン、ファイザーのワクチンでありますが、開発から早くできたので心配だというお声を言われる方がおられますが、これは、SARS、MERS等々で、既にこういうワクチンのデザインといいますかそういうものがあって、そういうような経験を基に今般こういうふうな非常に早い形で作られた、総力を挙げて作ったということでありますので、安全性、有効性というものは、そういう意味では、ちゃんと検証をそれぞれ製薬メーカーそして各国の審査当局でやっていただいておるということであります。  今般、PMDAで報告書を出していただいたわけでありますけれども、この中で、中和抗体価、これが海外での抗体価と同等レベル、これはしっかりついているので、発症予防効果という意味からすると、これは確認できるであろうということでございます。  一方で、重症化予防、広義の意味での重症化予防という意味からいたしますと、これは発症しなければ重症化しないわけでございますので、これは重症化予防効果はあると思います。ただ、一般的に言われる重症化予防効果ということになりますと、実は、治験の中において発症された方においての重症者例というのは少ないものですから、これ自体をなかなか確認することはできないというのが実態でございます。  そのような下でどういうような副反応があるかということでありますけれども、例えば、接種部位の疼痛は今回八七%ぐらい確認できている、それから三十七度五分以上の発熱は約三三%ぐらい確認できている、そして頭痛は四四%、約でありますけれども確認できているということで、これだけ見ているとなかなか他のワクチンと比較できませんので、例えば肺炎球菌ワクチン、これと臨床試験での評価をしてみますと、注射部位疼痛が六六から七九%ぐらい、それから三十七度五分以上の発熱は六%から一四%ぐらい、頭痛が二三%から二五%ぐらい。若干、肺炎球菌ワクチンと比べれば副反応率は多いですが、大体一日、二日でこういうものは消えていくというような形が国内治験において認められております。  なお、国内治験ではアナフィラキシーショックは認められていないんですが、海外でもう市販されておりますので、アメリカでは大体百万回当たり五件、それからイギリスでは百万回当たり二十件、これが認められておるということでございますので、そういう意味では、これから国内でいろいろな対応をしていく中において十分に情報を収集していかなければならないと思っています。  いずれにいたしましても、こういう情報を、副反応の情報をちゃんと国民の皆様方にしっかりと公表をさせていただいて、お伝えさせていただくこと、これがやはり、今委員が言われたように、リスクとベネフィット、国民の方々がそれぞれ御判断されるのに非常に重要だというふうに思っておりますので、しっかりとこれからも情報公開をしながら、国民の皆様方にしっかりと御理解をいただきたいというふうに考えております。
  38. 国光あやの

    ○国光委員 分かりやすい御説明、ありがとうございました。おっしゃりにくい部分まで代わりに前もって言ってしまいまして、大変恐縮でございます。  また、重度のアレルギー反応、アナフィラキシーショックというもの、多分、見ていらっしゃる国民の皆様方もお医者さんから言われたことがあるかと思いますが。アナフィラキシーショックやアレルギー反応は、実際今まで日本国内では発生がなく、おっしゃったように、そして、海外でも、いろいろニュース、報道では出てきていますけれども、実際にアナフィラキシーショック、アレルギー反応によって命を落とされた方というのは余りいない。  大体は、十五分以上の経過観察、そして、何かもし動悸があってもう本当に大変だというときにも、その場所でお薬だとか酸素を投与することでよくなるということでよろしいですね。はい、ありがとうございます。その辺りの分かりやすい御説明を、引き続き是非御努力をいただきたいと思います。  また、分かりやすくしてほしいと国民が思っている話で、もう一つ、ワクチンとともに治療薬があります。  最近、治療薬の話、余り聞かなくなってしまいました。ワクチンが余りにもフィーチャーといいますか、注目をされておりますけれども、私も、いろいろな医師に聞き取りをしたり、いろいろな研究者の方に聞きますと、確かに、今一番期待が持てる、エビデンス、科学的な根拠を持って期待ができるのはワクチンです。これは間違いないんですが、ワクチンも、ただ、常に治療や医療には不確実性があります。蓋を開けてみると、意外にそんなに日本で点々々ということも全くないわけではありません。というときには、ワクチン一本足打法ではなく、しっかり治療薬の方も開発を、承認を進めるということは非常に大事だと思います。  実際、この治療薬、何か片仮名の文字がたくさん躍っていて、一体何が何だか分からないというような声が国民の皆様の率直なところだと思います。改めてここで治療薬についても整理をいたしました。  今承認をされているものは三つ。  レムデシビルという薬。これは、昨年の五月に、アメリカのお薬ですけれども、緊急承認をされました。  そしてもう一つ、デキサメタゾン、デカドロンという二番目のものですね。こちらは、ふだんからステロイドという薬で現場で使われているものです。これが今、大体どの医者をつかまえてお尋ねをしても、一番いわゆる効きます、切れ味がいいとよく私たち医療者は言うんですけれども、切れ味がいいのはこのステロイド、二番のデカドロン、デキサメタゾンが一番効くんじゃないかと。実際、ガイドラインでも一番推奨されているのはこれです。  ただ、それだけでも、今のこれほど世界的な死亡者数なわけですから、足りないわけです。となると、まだ承認されていないお薬というもの、それの新しい特効薬が非常に期待されるわけですが、ざっと並べてみましたけれども、大体十三、四個ぐらい、今、国内でも治験などが走っているものがあるわけです。  アビガンはもう承認申請済みですが、それ以外にも、例えばアクテムラという、これはリウマチに使うお薬。リウマチで多分使っていらっしゃる方、たくさんいらっしゃいます。このお薬が意外に効く、効くんじゃないかというふうに言われていまして、これが内資、中外製薬さんのイノベーションでもありますし、実際にこれは日本ではまだノータッチ、推奨されていないんですけれども、イギリスでは推奨されました。これも期待が持てる薬だと思います。  また、八番の血漿分画製剤は、ちょうどコロナになった患者さんの血清を集めて治療薬にするものですから、これも機序を考えると、大体、薬は機序を考えると、ああ、効くか効かないかという目利きができるものなんですが、いわゆるいかにも効きそうな機序を持っているのが血漿分画製剤。  そしてまた、我が国が誇る、ノーベル賞を受賞したイベルメクチン、ちょうど五番目のものですね。イベルメクチンは、大村先生がノーベル賞を受賞されたもので、これは日本も大きく世界的に寄与していまして、アフリカに多く発生する、オンコセルカ症という寄生虫の病気に特効薬として効きまくるという薬です。これも新型コロナにも効くんじゃないかというふうに強く期待もされている部分があります。  これも改めて厚生労働省にお伺いしますが、しばらくちょっと話題が余りなくなってしまったこの治療薬、今、進捗状況はいかがなのかということを改めて教えていただければと思います。
  39. 正林督章

    ○正林政府参考人 お答えします。  治療薬の研究開発については、一日でも早く国民の皆様の不安を解消できるよう、政府としても様々な取組を進めており、日本医療研究開発機構、いわゆるAMEDですけれども、そういったところにおける事業等により支援を行っているところであります。  この開発については、既存の薬が使えないかどうかを確認する研究、抗体を活用した治療薬や治療方法に関する研究、新しい治療薬を作るために必要な候補物質を探す研究など、多くの機関によってこうした研究が行われており、厚生労働省のホームページにおいて紹介しているところです。  引き続き、有効性、安全性が確認された治療薬をできるだけ早期に実用化し、国民に供給することを目指すとともに、分かりやすい情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。
  40. 国光あやの

    ○国光委員 ありがとうございます。  なかなか、今研究開発中でありますので、おっしゃりにくい部分の中で進捗状況をお教えいただきまして、本当にありがとうございます。引き続きしっかりウォッチをしてまいりたいと思います。  続きまして、総理にお尋ねをしたいと思います。  私、ワクチンや薬、特にワクチンの、ずっとこの機会、見てきまして、非常にもったいないなと思うことがあります。  ワクチン、今回、ファイザーもモデルナもアストラゼネカも全部外資です。たまたま作ってたくさんできたから、こちら日本にも輸入させていただくことができているわけですけれども、実は日本は、半世紀以上前は世界でも冠たるワクチン開発先進国でした。日本脳炎のワクチンを作ったのも日本、ポリオをいち早く制圧したのも日本。そして、細菌でも、例えば北里柴三郎さんは、ペストという、今よく話題になる、本当に黒死病としてヨーロッパでたくさんの死者を与えたペストの細菌を発見したのは日本の北里柴三郎さん。そして、今、千円札でおなじみの野口英世さんも、黄熱病や梅毒の菌を発見もしています。  ただ、翻って今回のワクチン、アメリカに、そして諸外国に押されてしまい、なかなかそれが、ワクチンの安全保障という言葉やナショナリズムという言葉も出てきていますけれども、やはりちょっと少なくなると、EUが停止をしたように、もううちの地域から出さないぞというふうなことも起こり得るという。  ワクチンを開発からしっかり承認、事業化して、そして更に世界に再び貢献することというのは、非常に日本外交上も、安全保障上も、そして何よりも国民の命を守るために大事なことだと思いますが、改めて総理の決意をお聞かせください。
  41. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 新型コロナウイルスを始めとした予期せぬ感染症に対するワクチンの、治療薬については、まさに国内で開発、生産ができる体制、これを確立しておくということは極めて重要な危機管理、こう申し上げたいと思います。  今回の件につきましても、多くの国民の皆さんが、なぜ日本はないんだ、こうした疑問、そうした声があることも、私、十分に承知をいたしております。今後、今委員から御指摘いただきましたように、まさに検証をして、そして、新たなヘルスケア産業ですか、こうしたものをしっかり支援をしていく、こうしたことも大事だというふうに思います。  全体として、やはり国内でそうした今回のような治療薬、ワクチンができるように、更に徹底をして支援をしていくことが必要だということを今回のこの新型コロナウイルスの中で政府は痛感をしているところでありますので、しっかりと行っていきたいと申し上げたいと思います。
  42. 国光あやの

    ○国光委員 ありがとうございます。  インフルエンザや今回のコロナだけではなくて、恐らく五年か十年ごとに新しいウイルスのパンデミックの波がやってくると感染症の専門家は言っています。同じ議論をずっと繰り返して、当時の、民主党政権のときもそうでしたけれども、繰り返してきていますが、今こそしっかりと国内での開発、そしてしっかり承認をし、世界に冠たるワクチンの先進国の地位を取り戻すことを是非期待をしたいと思います。  最後に、梶山大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。  イノベーションの関係で、コロナではないんですけれども、ビッグニュースが先週飛び込んでまいりました。事業規模、世界トップテン以内に入っている台湾の半導体企業TSMCが、私、地元がつくばなんですけれども、つくばに、何と地元のつくばに、しつこく言って申し訳ありません、研究拠点をつくっていただけるというビッグニュースが飛び込んでまいりました。  これは、地元茨城の大臣でしたらお分かりだと思いますけれども、つくばを始め本当に皆さん大きく期待をされて、歓迎の声が多数上がっています。本当にこの声、イノベーションにとっても大事、そして半導体という、経済安全保障、各国が、いろいろな国が台頭してきている中で、台湾と日本の、外交上しっかり経済安全保障を守っていくぞという意味でも非常に意味のある取組ではないかと思いますけれども、是非御所見をお伺いさせてください。
  43. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 今委員からお話がありましたように、世界最大の半導体製造企業でありますTSMC、二月九日の取締役会におきまして、日本のつくば市に、地元のつくば市ということでありますが、研究開発拠点の設置を決定したことを歓迎をしているところであります。  デジタル化やグリーン化を進める中で、AIやビッグデータ活用などを支える先端的な半導体は極めて重要な技術であると認識をしております。世界で競争をしているわけですね、今。  従来より、つくば市にある産総研におきまして先端的な半導体の研究開発を行っているところでありますが、今回のTSMCの発表のように、海外の先端企業と国内の研究機関や日本メーカーの連携が進むことで、国内半導体産業の活性化につながることを期待をしているところであります。  経済産業省としましても、NEDOに設置しています先端的な半導体の製造技術開発を支援する基金を活用しまして、本年二月五日にプロジェクトの公募を開始したところであります。  こうした事業により内外の企業連携や技術開発を支援することで、先端的な半導体の製造技術の確保、サプライチェーンの強靱化、そして将来のイノベーションにつなげてまいりたいと考えております。
  44. 金田勝年

    金田委員長 時間が参りました。
  45. 国光あやの

    ○国光委員 はい。  ありがとうございました。地元茨城の皆さんも大変喜んでいらっしゃると思います。  武田大臣におかれては、済みません、ちょっと質問通告していたんですけれども、大変申し訳ありませんでした。  どうも、終わります。
  46. 金田勝年

    金田委員長 これにて齋藤君、田畑君、国光君の質疑は終了いたしました。  次に、中野洋昌君。
  47. 中野洋昌

    中野委員 兵庫八区、尼崎市選出、公明党の中野洋昌でございます。  本日は、質問機会を頂戴をいたしまして、心から感謝を申し上げます。  冒頭、二月の十三日に福島県、宮城県を中心に発生をしました地震におきまして被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早く日常を取り戻していただけるよう、政府には全力を尽くしていただくようお願いをいたしまして、質問に入らせていただきたいというふうに思います。  まず冒頭、このコロナ対策のまさに切り札でもございますワクチンの接種、これについて質問をさせていただきます。  先ほど来様々質問がございましたけれども、本日いよいよ医療従事者への先行接種ということで開始をいたしました。そして、四月以降、高齢者の方に対して接種、これがまさに始まるわけであります。これは、実際に準備に当たっておりますのは、市町村がそれぞれ制度設計をしておるということであります。都道府県もしっかりフォローをして、国、都道府県、市町村まさに一体となって取り組んでいく非常に大事な事業であります。  私ども公明党、それぞれの地方議会にもネットワークがございますので、しっかりと連携をして、この成功に向けまして全力を尽くしてまいりたいと思います。  他方で、このワクチン接種、まさに走りながら制度設計をしているところも様々ございまして、現場からはいろいろな声も上がってまいります。本日、こうした現場の声を基に、しっかりと皆様に安心をして、準備が円滑に進むように質問をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず冒頭、このワクチンの接種体制の整備に係る費用についてであります。  もちろん、国民お一人お一人がワクチンを接種をする、これは費用は無償ということでやっていくのでありますけれども、実際に今自治体が準備をしているわけでありまして、例えば、今いろいろなモデルが提唱をされております。東京都の練馬区のように、非常に多くの診療所を活用して非常に身近なところで接種ができるような体制も、今例としては挙げられているわけであります。  これに関心のある自治体も非常に多いかというふうに思いますけれども、他方で、問題は、現在、この体制整備については補助上限額、補助金があるんですけれども、上限額があるということでありまして、例えば接種の場所を増やしていけばそれだけお金がかかるのではないか、また、いろいろな施設であるとか訪問診療をしている方であるとか、どうしても訪問をして接種をしないといけないようなケースもあろうかと思います。  いろいろなことを考えていくと、スムーズに、円滑にやっていきたいんだけれども、現在の補助上限額、これは従来に比べて上げていただいておりますけれども、これでも賄い切れないのではないかというのが正直な現場の声であります。  必要な費用を国としてしっかりと支援をしていただく、これを是非この場ではっきりしていただきたいというふうに思います。田村大臣、お願いします。
  48. 田村憲久

    ○田村国務大臣 様々な自治体でどのような体制を組んでいただくか、なかなかこれ、まだ十分に情報が伝わっていないところもありまして、大変御心配をいただいておることを本当に申し訳なく思っております。  先般も、知事会ともオンラインで議論を、副大臣の方、御党の山本大臣にやっていただきまして、いろいろな御議論をいただいております。  練馬モデルでありますとかいろいろなモデルが出るんですが、もちろん、人口の少ないところに練馬モデルって、それだけ医療機関があるわけではないので、それは、それぞれの地域に合うやり方をそれぞれの事例に合わせて取っていただきたいという意味で、いろいろなモデルを示させていただいております。  しからば、その中において、やはりいろいろな接種の費用、準備の費用がかかるではないか、例えば医師の方々にどこかに移動してもらう場合、その交通費をどうするのであるかだとか、また一方で、今度は接種をされる方、これがどこかで集約される場合、非常に交通の便が悪ければ、その移動をどうするんだ、その費用をどう見るんだ、こういうことも含めて、合理的に必要性が認められればということでありますが、これは国が全額負担をさせていただく。  上限があるではないかというお話がございました。これは一応倍増をさせていただきましたが、これも一つの基準でございますので、ある意味、本当にそれが必要であるならば、それはしっかりと国が御負担をさせていただきますので、どうか、それぞれの住民の方々にしっかりと接種をいただけるような体制を各自治体で組んでいただきたいというふうに思っております。
  49. 中野洋昌

    中野委員 大臣からの御答弁、かなり現場で準備をする自治体も安心をして取り組んでいただけるのではないかというふうに思いました。  その上で、もう一つ費用の問題がありまして、それは、ワクチンの接種を記録をするシステムの問題でございます。  今回、ワクチン、二回接種をするというわけでありますので、もちろん接種をした情報はリアルタイムでやはり記録をする必要がある。そうしないと、途中で引っ越してどうするですとか、いろいろなことがあろうかと思います。  河野大臣のところで調整をいただいているというふうに承知をしておりますけれども、他方で、懸念としては、ワクチンの接種で、具体的には、恐らくお手元に接種のクーポンが届いて、それを現場に持っていく中で、そこにあるバーコードですとか、それを読み込んだり入力をしたりということであろうかと思いますけれども、事務的な経費、これがかかってくるであろうということであります。  先ほど厚生労働省の方からも費用の補助の話がございましたけれども、今でも上限を超えるのではないかという御心配もいただいておりまして、この経費をどこが見るのかということも非常に懸念をされております。  是非、大臣のところで、先ほどの田村大臣のところとは別途、必要な費用を確保して、是非実施をしていただきたい。これについて答弁をお願いいたします。
  50. 河野太郎

    ○河野国務大臣 自治体において接種体制を確保していただくための費用は、厚生労働省に一括して計上しております。  厚労省とそこは連携をしてやってまいりますが、いずれにしろ、接種に係る費用は国が負担をいたしますので、自治体には安心してやっていただきたいと思います。
  51. 中野洋昌

    中野委員 ちょっと、どういう形でというところ、今、いずれにしても国が負担をするというふうな御答弁でありました。ここが少し、やや不安が聞こえてくるところではありますけれども、しかし、必要な費用はしっかりと国が負担をするということで答弁いただいたわけでございますので、それは是非確保をお願いをしたいというふうに、改めてお願いをしたいというふうに思います。  続きまして、接種の順位についても質問させていただきます。  これは、今医療従事者の方が接種をされている、そして高齢者の方、基礎疾患を有する方、接種をする順位というものを国の方で決めているわけであります。これについても、やはり現場の状況によって、現場ではこういうふうに打っていきたいというふうなお声も非常に強うございます。自治体の裁量ということでもっと認めていただけないか。  小規模な離島であるとか、一部、今でも裁量があるということも厚労省からは言っていただいておりますけれども、もちろん、ワクチンが、総量がどのくらい確保できるかという問題はあるわけでありますけれども、やはりこうした現場の裁量を是非認めていただく方向で今後も進めていただきたいと思いますけれども、この方向性について答弁をお願いしたいと思います。
  52. 田村憲久

    ○田村国務大臣 接種の順番、これは、新型コロナウイルス分科会の方でこういうのを決めていただきました。分科会の方で一応方向性を決めていただいたんですけれども、言うなれば、今言われたように、自治体によって大きさがあります。例えば東京でも、離島等々は非常に少ない人口のところもあるというようなことを考えると、そういう行政単位で、例えば五百人ぐらいまでしかいないというところに関しては、もちろん接種順位というのが基本的にありますから、十分にワクチン供給量を確保するということが前提でありますけれども、それが見込めるんであるならば、それに対しては効率的に対応いただくということは、先般の手引にてこれはお示しを、二月九日だったと思いますが、お示しをいたしました。  あわせて、よく言われるのが介護施設等々、ここで、もちろん高齢者がおられますから接種するんですが、働く方々は順番は本来後なんですね。ただ、これも、やはりワクチンを効率的に接種していくために、ある意味、余らせないだとかいろいろなことを考えた場合に必要であるということで、自治体と施設の方が十分に連絡を取って理解をされておられるんであるならば、これに関しても、そう対応いただいてもこれは差し支えないというような形でお知らせをさせていただいております。
  53. 中野洋昌

    中野委員 現状、接種を進めるに当たって、必要な、お声の多い、そしてまた無駄のないようなという意味で、いろいろな裁量を今大臣の方から御答弁いただいているというふうに思います。もちろん今後の状況も考えながらということではあるんですけれども、これは是非、現場の裁量ですね、またいろいろな御意見を大臣の方にもお届けしたいと思います、積極的に前向きに認めていくような方向性で是非今後も検討していただきたい、改めてお願いを申し上げたいと思います。  もう一点、ワクチンの確保についてということであります。  今、EUの方からもワクチンの輸出に対するいろいろな規制もございます。世界中でワクチンが争奪戦になっているのではないか、こういう様相も大変強まっておりますけれども、ワクチンにつきましては、昨年来、公明党としてもいろいろな提言をしてきたと思っております。当然、海外から輸入をするという形だけではなくて、例えば国内でそのワクチンのもととなる原液、こういうものを生産をするようなケースも考えられるんではないか、こういうことも含めて柔軟に予算措置をしていくべきだとも訴えさせていただきました。  今、例えばアストラゼネカ社のワクチンにつきましては、私、地元、兵庫県でございますけれども、兵庫県のJCRファーマ株式会社というところが原液を受託生産をする、こういうふうな取組も実際にできているわけであります。  今後、あらゆる可能性、あらゆる手段というものを引き続き活用して、できるだけ迅速に、そして確実にワクチンの確保というものを是非進めていっていただきたい。これについても田村大臣から答弁いただきたいと思います。
  54. 田村憲久

    ○田村国務大臣 国内の主なワクチン開発中のものというので、一つはDNAワクチン、それからメッセンジャーRNAワクチンを今開発されているところもあります。あと、組み換えたんぱくでありますとか不活化ワクチン、こういうものをそれぞれ今開発を進めていただいております。もういよいよ臨床に入ってくるというものもあるというふうにお聞きいたしておりますが。  ある意味、今までも、二次補正などで研究費用、開発費用、それから生産、これのいろいろな費用は助成をさせていただくということをやってきたわけでありますが、今度は、三次補正で、いよいよその発症予防効果等々をしっかり見るために臨床でいろいろな試験をやるということに対しても一定程度助成をしようということで、しっかりと日本のワクチン開発にも我々で支援を更に加速的にやっていこうということで予算組みをさせていただきました。三次補正ですから、もう予算は成立しているわけでありますけれども。  ある意味、そういう意味では、もちろん海外のワクチンもそうなんですが、国内で生産体制をもってして、今、ヨーロッパでいろいろな出来事が起こっておりますけれども、そういうものに左右されずに、しっかり日本で供給体制をということは、それは委員おっしゃられるとおり、公明党からもいろいろな御提言をいただいていることも、我々、重々承知をいたしております。しっかりと安心できるワクチンが日本でも開発、生産できるように頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  55. 中野洋昌

    中野委員 ありがとうございます。  今日は、何点かワクチンの接種体制について質問をさせていただきました。  また、いろいろな状況が時々によって変わってくるというふうにも承知をします。そのたびに、恐らく、全国の自治体とともに、どういうことで、どういうスケジュールでやっていくのかというのも、またそれに応じて対応していかないといけない、そういうことは重々承知をしております。  是非、連携を自治体とも密に取っていただきまして、そしてまた、必要な提言また要望は、また政府の方に現場の声を伝えさせていただきますので、是非迅速に対応していただくように改めてお願いを申し上げたいというふうに思います。  続きまして、雇用と暮らしを守る取組ということで何点か質問をさせていただきたいと思います。  このコロナ禍の中で大変大きな影響が出ているんですけれども、例えば雇用であるとか家計であるとか、こうした点を踏まえますと、特に今回言われておりますのは、例えば女性の方、特に非正規の女性の方、こういう方の雇用に大きな被害が出ている。これは統計的な調査あるいはデータでもはっきり出てきたわけでございます。  私も、地元あるいはいろいろな現場でお伺いをいたしました。こういう方、今までなかなかスキルアップをするという機会も乏しかった、こういう方が一旦失業してしまうと、まあ、人手不足の業界も確かにありますので、そういう意味では雇用の募集というもの自体はあるんですけれども、なかなか次の仕事が見つかっていかない、こういう大変に厳しい現実についてもお声をいただいてまいりました。  例えば、私の地元尼崎のお隣の伊丹市で、こうした就労支援の取組を、私も現場を視察してまいりました。よくお話も伺い、実際に生活困窮者の支援の優良な事例として全国にも紹介をされておるようなものでございますけれども、こうした、失業してしまった、あるいは一旦引きこもってしまってなかなか次の就労に結びつかない、こういう方に対して、次の雇用までのつなぎということで、いわゆる簡単な、中間的な就労というか、そういうものを準備をしておく。そういうことを通じてどんどんステップアップして、次の就労にしっかり結びつけていただく。こういう事例を拝見をさせていただきました。  その中で、この伊丹市の事例で私がこれは非常にいいと思いましたのが、こうした中間的な就労について、市が自ら簡単な業務を発注をする、優先的に例えば発注をして、こうした就労支援のためのそういう就労というものを安定的にできるようにする。これは、なかなか常に自分で見つけていくというのも非常に大変でございますので、これはうまく自立や就労につながる税金の使い方だということで、私はこれは非常にいいモデルだと思っております。  こうした、特に、なかなか次のスキルアップそして就労というものが難しい、そういういわゆる弱い立場の人に非常に大きな影響が出ているということで、これからの就労支援というものも、一人一人に寄り添った形で、そして体制ももっと強化をして、強力に進めていかないといけないと思います。また、こうした自治体などが行う緊急雇用創出などの取組についても、やはりもっと大胆に後押しをしていくべきだというふうに思います。  こうした今後の雇用の取組、就労の支援につきまして、田村大臣から答弁をいただきたいと思います。
  56. 田村憲久

    ○田村国務大臣 よく、生活困窮者支援制度の中で、就労支援でそのような形のもの、民間の企業と連携しながらという形、いろいろな形で、NPOも御協力いただきながらやっていただいております。  今、全国のハローワークでコロナ対応のステップアップ相談窓口というのをつくっておりまして、これは個別、伴走型であります。そういうようなものも御利用いただけるというのも一つであろうと思います。  それから、求職者支援制度、これは実際問題、生活しながらですので、もちろん生活支援の資金はあるんですけれども金額が限られておりますから、働きながらということになりますので、これも弾力的に使えるようにということで、一つは収入要件、それから出席要件を緩和しながら、メニューも、ずっと学んでおっては働けませんから、そういう意味では、訓練の期間でありますとか訓練の時間、こういうものも弾力的にする中において受けていただきやすくする、こういうことも今やっておる最中であります。  あわせて、これはよくトライアル雇用というのが、就労困難者、使われております。もちろん就労困難なら使っていただくこともあるんですが、コロナで仕事を失われて、これは一遍に飲食店なんかの仕事がなくなりますから、業種の転換をしようという方に関しましては、こういうトライアル雇用、これも、これは事業主の方に助成が行きますけれども、使っていただいてということもあろうと思います。  今言われました、各自治体で雇用をつくっていただいてというようなこと、これに関しては、一つは地方創生臨時交付金、これでそういう事業ができることになっておりますので、これを利用いただくというのが一つ。それからもう一つ、今回のワクチンの接種でいろいろな業務が出てくると思います。これに対して雇用がかなり創出されると思いますので、こういうものを使っていただきながら次のステップアップにつなげていただくというのも一つであろうと思いますので、各自治体でいろいろなお知恵を使っていただきながら対応いただくために、何かございましたら我々相談に乗らさせていただきたいと思いますので、とにかく大変重要な観点でございますので、我々も支援してまいりたいというふうに考えております。
  57. 中野洋昌

    中野委員 それぞれの自治体でまたいろいろな取組をしたいという声も上がってこようかと思います。いろいろな形で是非後押しをということで田村大臣からもお話ございましたので、また是非よろしくお願いをいたします。  そうした中、私も今回、国としていろいろなメニューを準備していただいていると思うんです。そして今回も、求職者支援制度も含めて、かなり柔軟にいろいろな形で活用できるようにということで工夫をしていただいているということは重々承知をしております。  その上で、私も現場でいろいろなデータやお声を聞いて少しショックだったところがあるんですけれども、例えば今回、休業支援金ということで、フリーターの方ですとかあるいは非正規の方についても、こういう方も対象になりますよということで、制度を柔軟にかなり運用していただくということでやっていただいているんですけれども、民間で調査をされたようなデータを現場でお伺いをしますと、実際に、例えば女性の非正規で収入が非常に落ち込んだようなケース、こういう方に調査をすると、なかなかこれを、自分が対象だということも基本的にはやはり知らない方がほとんどですし、なかなか、それを知っていてもその活用まで結びつかないというふうなことを、実際現場のそういったデータとしても拝見を会議などでいたしました。  実際に声を聞いても、こういう支援制度があるんですよということを、質問があった方にはやはり紹介はさせていただくんですけれども、それがなかなか届いていかない、そういう思いを強くしております。こうした、いわゆる社会的に孤立をしている方、こういう方が困窮をされている。だから、国がいろいろな手を尽くして支援するんだけれども、これがなかなか届かない、こういう思いを強くして、これがコロナ禍で改めて浮き彫りになっているのではないか、こういう問題意識を強く持っております。  先日、我が党の竹内政調会長から、こうした社会的孤立に対して支援を強化していかないといけない、こういうふうに総理質問をさせていただきました。総理からも前向きな御答弁をいただいて、そして、孤独、孤立の担当の大臣ということで坂本大臣を任命をしていただいたわけであります。  こうした、新型コロナウイルスの感染症が拡大をする中で、いろいろな孤立をして、DVであるとか、自殺であるとか、孤立死であるとか、こうした状況がより深刻化をしている。これは、個々人の問題というよりもやはり社会全体で解決をしていかないといけない、そういう問題なのではないか、こういう問題意識を持っております。  厚労省の方でも、こういう包括的な支援体制ということで、生活困窮者の自立の支援であるとか、こうしたそれぞれの地域で包括的に支援をする取組というのをずっとやっていただいているということも承知もしております。私も、そうしたことを強化をしていくべきだということを長年訴えてまいりました。  また、このコロナ禍の中で、改めてこれを党を挙げてしっかり取り組んでいこうということで、昨日、公明党の中に社会的孤立防止対策本部、こういう組織も立ち上げさせていただいた、こういう状況であります。この取組は、是非、一過性のものではなくて、国の戦略として、これはもう本当に国を挙げて取り組んでいただきたい、こういう思いであります。  今後の取組の方針について、坂本大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
  58. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 社会的孤独、孤立問題に対しましては、それぞれの省庁が支援に取り組んでまいりました。  子供の貧困からくる孤独については、私、内閣府の方で、高齢者の自殺や孤独については厚労省の方で、学生の孤独問題については文部科学省の方で、それから、孤独に陥りやすい方々の住まいの支援については委員の出身省でございます国土交通省で、それぞれのところでやってまいりましたので、これを調整しながら、総合的にこれから孤独・孤立対策を進めてまいりたいと思います。  まずは、来週に、孤独、孤立を防ぎ、そして不安に寄り添うための緊急フォーラムを開催いたしたいと思います。それぞれの現場で活動をしていらっしゃるNPOの方々に来ていただきまして、現場の声をしっかり聞いて、問題を洗い出したいというふうに思います。  各省庁の連絡会議については、御党の方からも御提言をいただきましたので、それはしっかりと考慮してまいりたいと思います。  与党におきましても、今言われましたように、孤独、孤立に対しまして新たな組織をそれぞれの政党が設立されるということも聞いているところでございます。  そういった政党からの御提言、それから御論議を踏まえながら、孤独、孤立に悩む、あるいは不安を持っている皆さん方に寄り添うしっかりとした政策を立てながら、総合的に進めてまいりたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたしたいと思います。
  59. 中野洋昌

    中野委員 坂本大臣のところでしっかり取組を進めていただくということで、御答弁もいただきました。  我が党からは、関係省庁連絡会議など、いろいろな組織も立ち上げてということで、要望もさせていただいております。  私、総理にも質問したいんですけれども、総理の方で、前向きにこの孤独、孤立の対策というものを進めていくということで、大臣も任命をしていただきました。  私、先ほども申し上げたとおり、今回、コロナの、一過性の問題ではないというふうに思っております。今回浮き彫りになったわけでありますけれども、日本が抱えていく非常に大きな問題でありまして、これは是非国の戦略として、関係省庁連絡会議というお声もありましたが、私は、個人的にはもう閣僚会議ぐらいの構えでもいいと思っております。しっかり国の政策パッケージもつくっていただいて、国として大きく前に進める、こういう決意を是非総理にはお願いしたいと思いますけれども、答弁をお願いいたします。
  60. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 この問題が極めて重要な問題である、そういう位置づけの中で今回担当大臣を任命させていただきました。  まさに、今委員から御指摘がありましたように、コロナ禍の中でいろいろな問題が浮き彫りにされました。その中の大きな問題がまさにこの孤独問題、孤立、この問題であるという認識の下に、政府として、挙げて対策をしっかり打っていきたい、このように思います。
  61. 中野洋昌

    中野委員 是非よろしくお願いをいたします。  あわせて、総理には、先ほどお話しさせていただきました社会的孤立、こうした状況も十分に踏まえながら、今、政府の方で、このコロナ禍を乗り越えるための家計の支援であるとか雇用の支援、暮らしを支えるいろいろな支援策に取り組んでいただいております。  今後も、是非こうした弱い立場の人に寄り添って、こうした対策、しっかり強化をしていただきたい、尽力をしていただきたい、こう思いますけれども、併せて答弁をお願いいたします。
  62. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 新型コロナの影響が長期にわたる中にあって、国民の皆さんが感じておられる不安に寄り添い、そして暮らしと雇用をしっかりと守っていく、このことは政治の責務だというふうに思っています。  このため、政府としては、雇用調整助成金のこれまでに例のない特例措置だとか、あるいは緊急小口資金、住居確保給付金など重層的なセーフティーネット、ここによって支援を行っているところであります。また、就労支援の観点から、学び直しや教育訓練への支援などを通じて、技術革新産業界のニーズに合ったスキル、これを身につけられるように能力開発を推進をしていきたい、そう思います。  引き続き、国民の皆さんの生活やなりわいに対して常に思いをはせながら、まさに必要な支援をしっかり行っていきたい、このように考えています。
  63. 中野洋昌

    中野委員 コロナ禍の影響は続いていくわけであります。そして、今後の経済の情勢、様々踏まえながら、しっかり現場に届く支援というものが何なのか、何が求められているのかということにつきまして、改めて、それぞれの状況に応じて、我々からもお願いをさせていただきます。総理におかれても、是非それを受け止めて政策を進めていただければとお願いを申し上げます。  残りの時間で、経済を支える取組ということを取り上げさせていただきたいと思います。  私も党の経済産業部会長ということでございまして、緊急事態宣言が一月に発出をされ、それの前後におきましても、いろいろな中小企業からの声がございます、政府に提言を行ってきたところであります。  こうした声を受けまして、例えば、今、緊急事態宣言の中で、営業時間短縮の要請を飲食店にかけさせていただいているわけであります。これは従来、四万円ということでありましたけれども、緊急事態宣言の発出で六万円ということで、これも拡充をさせていただきました。拡充をしていただいたことに対しては大変ありがたいと思っておりますけれども、現場ではいろいろなお声も聞こえてくるわけであります。  例えば、典型的にありますのは、飲食店といっても規模が様々でありまして、今回、店舗ごとの支援ではありますけれども、この六万円というのでは到底これを支え切れない、もうちょっと規模に応じたいろいろな支援ができないか、こういうお声もございますし、例えば、元々夜八時まででもう店を閉めていた、営業時間の短縮の要請の対象ではないけれども、しかし、これは外出の自粛がありますので売上げが減っている、こういういろいろな声がございます。  緊急事態宣言への対応ということで、それぞれの地域によって実情も異なりますので、そうした実情に応じたきめ細かな支援が可能にならないか、こういうのが現場の切実な声であります。こうした声にどう向き合うのかということについて、西村大臣から答弁をいただきたいと思います。
  64. 西村康稔

    西村国務大臣 中野委員を始め公明党の皆さんからも、様々、地域経済の実情に応じた御提言をいただいておりまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。  御指摘のように、今回の緊急事態宣言で厳しい状況にある事業者の皆さん方、そうした状況に目配りを十分しながら、必要な支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えているところであります。  もうお話がございましたけれども、時短要請に協力いただく飲食店については、店舗当たり百八十万ということで多店舗の方にも対応しているところでありますし、雇用調整助成金も一人当たりですから、人数が多ければその分支援をできるということであります。  それに加えて、協力金の対象とならない、例えば、昼間中心の飲食店であったり、あるいは納入されている方とか、あるいは外出自粛の影響で売上げが減っている土産物屋さんとか、こういった、売上げが五〇%以上減少する場合に、法人の場合に、中堅・中小法人、最大六十万円、個人事業主の場合は三十万円の支援を行うこととしておりまして、これは、梶山大臣の下で三月初旬にも受付開始をできるべく、今準備をされているところであります。  あわせて、雇用調整助成金も、特に厳しい企業については、大企業についても十分の十、一人当たり、パート、アルバイトの方も含めて、月額最大三十三万円まで一人ずつ支援をしていくということができるようになっているわけであります。  その上で、御指摘のように、地域に応じて、地方創生臨時交付金一兆円を、これは坂本大臣の下で配分をさせていただきまして、それぞれの地域状況に応じてきめ細かな支援を期待しているところでありますが、昨年の例でいいますと、五〇%以上売上げが減っていれば持続化給付金の対象ですけれども、そうでない事業者に対する支援、あるいは、県内で使える観光のクーポンの支援とか、それぞれの地域の事情に応じて対応されているところでありますが、今も、一時支援金の今回予定をしておるものの対象にならない場合に、そういったところへの支援を考えている都道府県もありますし、また、売上げが三〇%以上落ちて五〇%にいかない場合の支援も考えている都道府県もあります。  いずれにしましても、それぞれの地域の事情に応じて、国の支援が届かないところも含めて、きめ細かな支援を期待をしたいというふうに考えているところでございます。
  65. 中野洋昌

    中野委員 地方創生臨時交付金での後押しというお話もしていただきました。そしてまた、経済産業省の方から一時金という形で、そうした飲食店への例えば納入業者であるとか、あるいはそれ以外の不要不急の外出の影響を受けた方について支払うということで、これも非常にありがたいというお声もある一方で、これはできるだけ多くの方に迅速に活用していただけるようにしていただきたいと思っております。  例えば、典型的によく聞かれますのが、緊急事態宣言の対象ではない区域の影響というものが果たしてどのくらい認められるのかというのは、いろいろな御心配、宣言外だからもう対象外じゃないかという御心配の声もいただきますし、また、今回、新たな制度設計として、一番最初に事業の確認をまず、いろいろな機関、認定支援機関ですとか金融機関ですとか、事業の確認をまず最初にやっていただかないといけないという、持続化給付金とは違う形で。これは確かに不正防止等々いろいろな意味で必要かとは思うんですけれども、新たな手続も入りますので、是非、目詰まりを起こさないように、できるだけ多くの方に迅速に活用できるようにしていただきたいという要望がございます。  大臣の方から、ちょっと、残り時間もありますので、簡潔に答弁いただきたいと思います。
  66. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出、移動の自粛により影響を受けた事業者は対象になり得ると考えております。これは、地域以外であっても、その影響を受けた者と要件に合致すれば、支払いの対象になります。  あともう一点、今委員からありました、一時支援の確認ですね。これは、不正受給が生じたことも踏まえて、結果的に、迅速な給付と適正な執行の両立を図る観点から、このようなプロセスを設けることにさせていただきました。  委員が御指摘のように、ここが目詰まりしないような工夫もしてまいりたいと思っております。
  67. 中野洋昌

    中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  68. 金田勝年

    金田委員長 これにて中野君の質疑は終了いたしました。  次に、長妻昭君。
  69. 長妻昭

    ○長妻委員 立憲民主党の長妻昭でございます。よろしくお願いをいたします。  先ほど、日本コロナワクチンの第一号の接種というのがなされたということで、接種を受けた東京の院長先生のコメントも入ってきているようでございます。今、続々と、コロナのワクチン接種が、今日から順次、今始まっている最中ということでございます。  改めて、総理、このコロナワクチンにかける思い、この意気込みを、総理の、原稿を読むんじゃなくて、総理の口から国民の皆さんに、今日初日でございますので、お話をいただきたいと思います。
  70. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 今日から始まりましたこのワクチン接種、これについては、国際的には発症予防、重症化予防の効果が期待をされており、今般の感染拡大防止の決め手になるものだ、このように考えております。国民の皆さんが自らの判断でこのワクチンを接種いただけるよう、政府としてはしっかりとした環境を整えて、国民の皆さんに、例えば副作用とか、そうしたことも含めて情報をしっかり公開する中で、しっかりこの接種を行って、このコロナとの戦いの中で何としても収束に向かわせたい、このように思います。
  71. 長妻昭

    ○長妻委員 決め手というお言葉があって、本当に決め手になってほしいと私も思っております。  そういう意味では、ワクチン接種に関しては、総理、自分がこの全責任を負うんだ、そういう覚悟というのはおありですか。
  72. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私自身、昨年の九月十六日に内閣総理大臣に就任をしてから、まさに何といっても最大の課題コロナの感染拡大を阻止することでありました。これに向けて、全責任は内閣総理大臣たる自分にある、そういう思いの中で今日まで全力で取り組んできました。  そして、その中で、このワクチンというのは、先ほど申し上げましたように、収束に向けて大きな期待がある、このように思っております。
  73. 長妻昭

    ○長妻委員 それで、私も多くの方からいろいろな聞かれることが多いんですが、その中の一つに、素朴な疑問として、欧米に比べて何で接種が遅れたんだろう、こういうことがよく聞かれて、担当の大臣からは、河野大臣や田村大臣からはいろいろなお話はこれまであったと思うんですけれども、全体を統括する総理として、総理の口から国民の皆さんに、こういう理由だから遅れているんだというのを分かりやすく、今日初日でございますので、総理の口から御説明いただければありがたいと思います。
  74. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私自身も、早くならないかということで何回となく厚労省を始め関係者と打合せをしました。  いろいろな中で、まず、ワクチンの承認が諸外国と比べて遅い、こうした御指摘があります。我が国は欧米諸国と比較をして感染者数が一桁以上少なく、治験での発症者数が集まらず、治験の結果が出るまでにかなり時間を要する、これがまず一つ。また一方、ワクチンは人種差が想定されて、欧米諸国の治験データのみで判断するのではなくて、やはり日本人を対象にした一定の治験を行う必要がある。さらに、有効性、安全性に配慮した結果、時間をこうした中で要したことは事実だというふうに思います。  そうした様々な御指摘は真摯に受け止めさせていただいて、何とか、今日始まりますので、ある意味で、慎重にではありますけれども、遅れを取り戻さないような形で、多くの国民の皆さんに一日も早くこの接種をできる環境をしっかりつくっていくのが、これは政府の責任だというふうに思っています。
  75. 長妻昭

    ○長妻委員 今総理がおっしゃった理由も、私、一つあると思います。つまり、いろいろな治験の関係で承認が遅れたということですね、日本の、安全性を確認する。これは分かるんですが、ただ、もう一つ、ワクチンの物を押さえる、これは承認と関係ないんですね。承認が出る前にあらかじめワクチンの物を、物を押さえる、契約をして確定させる、そちらの非常に不備もあったんじゃないかというふうに私は考えているので、それについて一点お尋ねするんですが。  総理は、昨年の七月には官房長官でおられたと思います。ちょうど昨年の七月、動きがありまして、ファイザーと厚生労働省との間で、田村大臣、責任者で、基本合意というのがございました。これも相当……(発言する者あり)加藤大臣か、去年の七月ですね、失礼しました。加藤厚労大臣との間で基本合意というのがございました。  そのときに、いろいろなハードな交渉があったというのは聞いております。私も、実は十年前、厚生労働大臣として、新型インフルエンザの関係で相当ヨーロッパの企業とやりましたから、相当ハードでありますけれども、それで基本合意を、今年の六月までに六千万人分を確保するという基本合意を昨年の七月にファイザーと結んだと。  ただ、そのときに、私は、もう少し強く押して、包括的契約まで持っていって、そこで今年の六月の六千万人分のワクチンを確定できたんじゃないのかなと。何か、まだワクチンができ上がっていないというようなこともあり、ちょっと詰めが甘かったんじゃないかなという、非常に私は残念な気持ちがあるんですね。  そのときに、総理は官房長官として相談を受けておられたと思います、昨年の七月に。この基本合意がぐだぐだになって、今、今年の六月までに六千万人というのがほごにされている状況でありますので、これは、去年の七月、六月の、官房長官として、反省というか、何か御感想というのはございませんか。
  76. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私自身、当時、官房長官として、ワクチンというのは極めて大事だという認識がありました。そういう中で、この交渉については、厚生労働省だけでなくて、外務省も入れて、オール・ジャパンでやる、そういう交渉だという指示をいたしました。  そういう中で、当時、今言われた分だけが日本に、物は確保する、そういう方向性になったんじゃないでしょうか。  ただ、具体的なところまでは確かに進んでいなかったわけでありますけれども、とにかく日本に国民の分だけ確保してという、そういう交渉は当時していました。
  77. 長妻昭

    ○長妻委員 それは分かるんですけれども、当時は、今年の六月までに六千万人分を確保するという基本合意ができたということで、昨年七月、発表があったわけでございますが、それが今、事実関係としてはほごにされているので、当時の詰めの甘さというのは検証して、今後の糧にするべく反省しなきゃいけないというふうに私は強く思います。  このワクチンについての質問は、同僚議員がこの後詳細にいたしますので私はここでやめますが、是非、その意味では、ワクチンの接種、速やかに全国民に接種できるような体制、万全の体制をお願いをしたいと思います。  そして次に、総理前回予算委員会で議論させていただいたテーマとして、助かる命が助からない、こういうような議論、これが進行していた。今は、少しは重症のベッドが緩和されているんですが、ただ、逆に、重症の方が高齢者を中心に長く入院されておられて、なかなかベッドがまだ空かないという状況も、いまだに予断を許さない状況が続いております。  総理は、前回の私の質疑で、入院できずに、助かる命が助からない件で、実態を総理は把握しているのか聞きましたところ、入院できず自宅で亡くなった例は聞いている、しかし、全国一律ではないということで、全国一律の調査はしていないというようなお話総理からございました。  私、実は、前回質問のときに警察にお伺いをして、いわゆる変死ということで警察が検視をした例、そしてコロナで陽性の方というのは何人ぐらいおられるんですかと聞きましたところ、二百人を超えるという警察からお答えがあって、私は、その後、今日、質問に備えて、その二百人以上の方の死因を調べてくださいと。そして、今日初めてそれができ上がったということで、刑事局長、御報告いただけますか。
  78. 藤本隆史

    藤本政府参考人 お答えをいたします。  令和二年三月から本年二月十日までの間に、検視等により警察が取り扱った新型コロナウイルス陽性死体は二百六十一件でございます。  その死因につきましてですが、医学的な見地から御遺体を検案し、これを判断した検案医等からの聞き取りにより警察が把握しておりますのは、内因死、つまり病死と判断されたものは二百二十一件で、この内訳は、その疑いがあるとされたものを含めて、新型コロナウイルス感染症百十四件、肺炎五十一件、その他のもの四十七件、また、不詳とされたもの九件でございます。また、不慮の事故等の外因死は三十二件。  以上でございます。
  79. 長妻昭

    ○長妻委員 変死という形で事件性があるというようなことで検視をされて、結果としては事件ではなくて新型コロナウイルス感染症だったという、疑いということで百十四件、百十四名ということですね、命ですから。  これが今日いただいた資料でございますけれども、例えば、都道府県別に新型コロナウイルス感染症の疑いという方は、多い順に三つの都道府県でそれぞれ何件か分かりますか。
  80. 藤本隆史

    藤本政府参考人 新型コロナウイルス感染症が死因とされたもののうち、取扱いが多い府県でございますが、東京都三十七件、大阪及び兵庫県それぞれ十二件という状況でございます。
  81. 長妻昭

    ○長妻委員 それで、総理、これは初めて出た数字なんでございますけれども、助かる命が助からなくなるというのは、コロナでいろいろな大変なことはいろいろありますけれども、ただ、助かる命が助からなくなるというのは、国家として絶対にこれは起こしてはならないことである。入院していれば助かったのに入院できない、税金も払い、保険料も払っている方がですね。そういうことは絶対に起こしてはならない。  これについては、また第四波が来る、また今回だって、これは収まるかどうか分かりません。収まる速度が鈍化しているという専門家の意見もございますので、そういう意味では、総理、これを是非分析をしていただいて、警察にとどまっているんです、この情報は。いろいろな役所に、これをちょっと分析して、どういう状況だったのか。本当に、涙をのんで、孤独にコロナでお亡くなりになって、病院にも行けなくて、そういう方々がこの数字の裏にたくさんおられると思うんですよ。  総理、是非、これをちょっと全省庁でいろいろ分析をして原因解明をする、原因解明しないと対策は打てないということでございますので、是非、総理の、最後、見解をお願いいたします。
  82. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 国民の命と暮らしを守る、これが政治の責任だと思っています。そういう中で、自宅療養中や宿泊療養中に亡くなられた方については、大変申し訳なく、心から、亡くなられた方の御冥福をお祈りを申し上げる次第でございます。  その上で、こうした方について、引き続き適切な実態把握、こうしたものに努めていきたい、このように思います。
  83. 長妻昭

    ○長妻委員 実態把握のみならず、本当に分析をして、全省庁を挙げて、こういうことが起こらないように是非取り組んでいただきたいと思います。  次に、年金の問題に行きますけれども、昨日、厚生労働省の年金局から二つの新たな資料をいただきました。今まで明らかにされていなかった資料でございますけれども、一つは、今皆さんにお配りしているメールでございます。  これは、日本年金機構の法令等違反通報窓口に来た、どなたかから来たメールの実物でございますが、今日は年金機構の理事長、水島理事長にも来ていただいておりますので、このメールについて、ここに、マイナンバーが流出しているということで、具体的に個人の方のマイナンバーの番号も書いてあるんですが、このマイナンバーの番号は本物の番号でございますか。
  84. 水島藤一郎

    ○水島参考人 お答えをいたします。  御提示をいただきましたメールは、二〇一七年、平成二十九年でございます、十二月三十一日に、当機構のホームページの法令違反通報窓口に寄せられた匿名メールの写しでございます。  及び、この内容は、三十年分の公的年金等の受給者の扶養親族申告書に記載された個人情報が中国のインターネットで見られるようになっていると記載されているほか、二枚目には、インターネットから取ったとされる申告書一枚、一件分の個人情報が記載をされております。(長妻委員「マイナンバーも」と呼ぶ)マイナンバーも記載されております。  このマイナンバーが正しいものであるかということに関しましては、私どもとしては、ここで確認をさせていただくことは差し控えたいというふうに思います。  ただし、当機構といたしましては、この通報メールを把握後、直ちに調査に取りかかっておりまして、外部の専門事業者の調査等を実施いたしました結果、マイナンバー等を含めまして情報の流出は生じていないというふうに判断をされ、また、委託事業者から中国の事業者に再委託された情報に関しましては、氏名と振り仮名のみであったという報告を受けております。
  85. 長妻昭

    ○長妻委員 これはちょっと、今の答弁、随分、昨日、水島理事長とお会いしてお話を聞いたんですが、そことちょっと違う答弁になっているんですが。  これはそもそも、三年前に、SAY企画という東京都の豊島区にある会社が、年金のデータを、厚生労働省から入力してくださいということで受託したと。受託したら、それをまた再委託しちゃいけないんですね、契約上は。ところが、中国の会社に再委託しちゃった、しかも五百万件、再委託しちゃったと。とんでもないということで大騒ぎになりました、国会で。  それで、何を委託したんだ、流出したら困るだろうということで調べたらば、結局、ずっと答弁は、いやいや、それは年金の、マイナンバーとか住所とか、あるいは配偶者の年収とかそういう情報は出ていなくて、それは名前と仮名、名前と振り仮名だけが五百万件、入力を委託しただけだよということで結局終わっていたわけですよ。まあ、処分も多少ありましたが。そのときに、このメールは一切公表されなかったわけですね。  これは、私は見てびっくりしたのは、ここにマイナンバーも書いてあるわけでありますし、あるいは年収も書いてあるわけでありますし、そして昨日確認いたしましたら、水島理事長は、これは実在する人物で、マイナンバーも年収も正しい情報である、だからびっくりして調べたんだと私に昨日おっしゃったんです、朝九時半に私の議員会館に来られて、そういうふうにおっしゃいましたけれども。  それは、じゃ、マイナンバーは正しくないものだということなんですか、さっき答弁でおっしゃいましたけれども。
  86. 水島藤一郎

    ○水島参考人 お答えをいたします。  二枚目のメールにございます黒塗りの部分でございますが、そこの部分には、個人情報の保護の観点から黒塗りをさせていただいておりますが、マイナンバー、配偶者氏名、生年月日、配偶者の年間所得等が記載をされております。  これに関しまして、基本的に正しいものだというふうに考えてございます。正しい情報である、御本人の情報であるというふうに考えておりますが、マイナンバーについて、今私がそれが正しいということを確定的に申し上げるわけにまいりませんので、今、差し控えたいと申し上げました。
  87. 長妻昭

    ○長妻委員 正しいけれども確定的に申し上げられないから控えるという、ちょっと意味がなかなか分かりづらいんですが。  じゃ、いずれにしても、これはどこから流出したのか。これはマイナンバーが流出しているわけですね。この方はどなたか分からない方がメールが来たわけですけれども、どこから誰が流出させたのかというのは確認はできているわけですか。
  88. 水島藤一郎

    ○水島参考人 お答えをいたします。  先ほど申し上げましたが、当機構では、この通報メールを受けましてから、専門的、技術的観点から外部の専門事業者によって調査を実施いたしております。  当該事業者の報告によりますと……(長妻委員「いや、どこから流出したか」と呼ぶ)どこからかと。(長妻委員「どこから流出したか、これが」と呼ぶ)まず、流出をしていないということを申し上げているわけでございます。我々の調査によりますと流出をしていないということを申し上げているわけでございまして……(長妻委員委員長、ちょっといいですか。ちょっと、意味分かる。ちょっと一回止めてください」と呼び、その他発言する者あり)
  89. 金田勝年

    金田委員長 水島理事長、答弁が昨日と今日で異なるという指摘がありますが、それはどのようになるんですか。(長妻委員「じゃ、もう一回聞きます」と呼ぶ)  はい、もう一回質問してください。
  90. 長妻昭

    ○長妻委員 これは、水島理事長、ちょっと時間もあれなので、つまり、ここのメールにあるマイナンバーとか年間所得額、配偶者の住所、名前、これは実在する人物の本物のデータだったのか否かというのをまず確認をして、かつ、その上、このメール、このデータはどこから流出したのか、盗まれたのかという流出経路は分かっているのか、その二点だけ端的にお答えいただければ。
  91. 金田勝年

    金田委員長 日本年金機構水島理事長、ただいまの二点についてお答えください。
  92. 水島藤一郎

    ○水島参考人 まず、この情報が流出をしたと申しますか、私どもに提供されたことは事実でございます。しかし、それが情報として流出しているかどうかということについては確認をされておりません。  したがいまして……(長妻委員「じゃ、どこからこれは盗まれたの」と呼ぶ)それは分かりません。(長妻委員「いやいや、これは正しいですか、情報は」と呼ぶ)
  93. 金田勝年

    金田委員長 本物かどうかはどうですか。
  94. 水島藤一郎

    ○水島参考人 情報の内容は正しいです。
  95. 長妻昭

    ○長妻委員 これは、聞いている方は不思議に思いませんか。情報の中身は正しいと。でも、何者かが通報窓口にこういう情報がネット上で漏れているよというメールを年金機構によこした。でも、この情報は流出していないとおっしゃいましたよね。  じゃ、流出していなかったら、これは誰が、内部の人がいたずらで送ったということですか。これはちょっと調べなきゃいけないんじゃないでしょうか。
  96. 金田勝年

    金田委員長 日本年金機構水島理事長。その上で、厚労大臣に。(発言する者あり)  静粛に。
  97. 水島藤一郎

    ○水島参考人 その情報がメールとして私どもに提示されたことは事実でございます。しかしながら、その情報が私ども以外に流出しているかということに関しましては確認をされておりません。(長妻委員「いや、だから、これはどこから流出したんですか。誰が漏らしたの」と呼ぶ)どこからであるかは分かりません。
  98. 長妻昭

    ○長妻委員 今分からないというお話でありましたので、これは確認、重大ですから。  そしてもう一つ、田村大臣にお伺いしたいのが、この三ページ、四ページ、配付資料でございますけれども、これは厚生労働省の部会の、下の部会の中に、この問題の、これはSAY企画のときに、問題が起こったときに検証作業班というのがつくられて、そこの中間報告書の、作業未了の未定稿というものを、これも昨日いただきました、厚生労働省に。  そうしたら、ちょっと私、驚いたんでございますが、この四ページ目の、中国事業者への情報漏えいについて、これは国会で、先ほど申し上げましたけれども、大問題になって、加藤当時大臣も答弁されました、マイナンバーなんか漏れていないみたいな趣旨のですね。  ここに書いてあるのは、中国事業者への情報漏えいについて、こういうふうに書いてあるんです。ちょっと驚いたんですが、中国の事業者には、氏名、振り仮名のみが開示されたとされているが、実際には、その他の情報が開示されていた可能性があると。  つまり、当時は、いや、漢字と振り仮名だけですよ、ほかは一切行っていません、こういうことだったんですが、その他の情報という、可能性があるということなので、断定しませんけれども、それがそちらのメールの話とリンクしていたとしたら、振り仮名と名前は五百万件が流出しているわけですから、仮にそういうことがあるとすれば、これは大変なことではないかと思いますし、何で当時正直にメールを開示しなかったのかなという疑問も残るんですが、是非、田村大臣、きちっと徹底調査していただけませんか。
  99. 田村憲久

    ○田村国務大臣 これも、委員も経過はよく御承知だと思います。こういうことがあって、セキュリティーをしっかり見ていただく、SAY企画とは別の、IBMに見ていただいておったんですが、そこが第三者を入れて検証した結果、いろいろなパソコンやサーバー全部調べたわけですけれども、結果、やはり氏名と仮名しかないということで、第三者にも評価をいただいたということであったわけであります。  ただ、その後、言われるとおり、委員の中で、いや、やはりそうじゃないんではないのか、長妻委員がおっしゃられるとおり、そういうものがあるわけですよね。だから、どこかネット上に流れたりなんかしていて、そこからそういうものがあるんじゃないかと言われる方もおられます。  しかし一方で、この中間報告を取りまとめるに当たって、いや、そうじゃないんじゃないか。これはどう調べても、ネット上にもそういうものはないし、あれからもう二年以上もたっているけれども、何のそういうような事象も出てきていない。だから、そうではないのではないかという委員もおられて、結果的に、これは中間報告案ですが、結局、中間報告になっていないんです。つまり、意見がまとまらなかったということなんです。ですから、中で、結果的には、今そういうことを認められないという形になっているようです。  ただ、どういう事情なのか、私、その認める方と認めない方がおられるというので、それに関しては、委員長に、どういう事情なのかということはお聞きを、なぜ、要するに、そういう意見が割れているのか分かりませんから、それは聞きますが、ただ、中ではそういうことになっておるということであります。
  100. 長妻昭

    ○長妻委員 私も、これを今日取り上げたのは、このメールに、マイナンバーが書いてある、正しい情報だと理事長おっしゃいましたけれども、それは初めてなんですよ。今日分かったんですよ、初めて。こんなこと知らされていなかったですよ、三年前、徹底追及しましたけれども。何でこれを出さなかったんですか、三年前。そういうことをおっしゃらなかったのかなと。年収まで、住所まで、名前まで、正しい情報が流出して、これ、ここで言わなかったら調べなかったんじゃないですか。  ちょっと、次の質問、最後行きますけれども、これ、徹底的に調べてください、いずれにしても。いずれにしても調べてください、加藤さんも当時厚労大臣で答弁されていますから。  次、最後行きますけれども、オリンピック・パラリンピックでございますが、これは総理にお尋ねするんですけれども、私も東京選出の国会議員でございまして、非常に期待はしている一人なんでございますけれども、いろいろ、今、候補者検討委員会等、がたがたしているなと。  総理は、組織委員会の顧問会議の議長だと、ルールに基づいて透明な形で決めてほしいという、次期会長についておっしゃって……(発言する者あり)ちょっとやめてください。今相談しないで、徹底的に調査していただきたいと思うんですが。  総理は、ルールに基づいた透明な形で決めてほしいというようなお話をされましたが、実際にその選考委員会は非公開で、メンバーも公表しない、場所も時間も公表しない。ただ、これがかえって混乱を招いているんじゃないか。  今、全部の理事にマスコミが直当たりして、あなたは選考委員会のメンバーですかと、どっと取材が行って、ホテルも全部特定されて、ホテルの出入口に全部マスコミの方がおられて、メンバーも全部明らかになって、一人一人聞き取りして、テレビを見たら顔写真が全部出ていますよ、八人の方の。  こんな何か茶番みたいな形で、秘密、秘密みたいで、今日内定するんですか。すぐもう決まっちゃうわけですか。昨日一時間やって、今日決まる。これは総理、透明性はあると思われますか、この選考プロセス。
  101. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、私自身が申し上げたのは、今委員からもありましたけれども、森前組織委員長辞任をされて、その次の方が、理事会も開かないであたかも決まったような報道がどんどんどんどん流れましたので、やはり私は、オリンピックの顧問会議の議長として、それはやはりオープンな形で手続を取って決めてほしいと、そこは強く申し上げました。  ただ、これから、今の状況はどういう状況であるかというのは私自身は正直知りませんけれども、それについて私がまた口を出すべきことじゃないんじゃないでしょうか。それは、その組織委員会の中でそこはしっかり決められるんだろうというふうに思います。
  102. 長妻昭

    ○長妻委員 総理は、ちゃんと正式に新会長を決定する際にはルールに基づいて透明な形で決めてほしい、こういうふうに申し上げているということで、今の形は透明の許容範囲には入っている、そういう理解でいいんですか、総理
  103. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まだ、組織委員会において、昨日、候補者検討委員会が設置されて一回目が開催をされた。ただ、どこで開催だとか、それについてどうすべきだとか、そうしたことはさすがに私の立場では申し上げることじゃなくて、やはり組織委員会が、そうした、ルールに基づいて透明な形で決定をしてくれる、そういうふうに考えています。
  104. 長妻昭

    ○長妻委員 透明な形で決定してくれるというのを希望するということなんですかね。うなずいておられますけれども、今そういうふうになっているのかどうか、疑問の声が上がっていると思います。  総理に一点またお尋ねしたいのが、当時、川淵さんが記者ぶら下がりで記者の方にお話しした内容によると、川淵さんは菅総理の名前を挙げられて、菅総理からもっと若い人や女性はいないのかと会長に言ったそうだということで、川淵さんが直接総理から聞いたんじゃなくて、又聞き、そこの会のどなたか、森会長なのかどうか分かりませんけれども、というふうに総理が言っているという話を聞いたという、そういうことがあるんですが、総理はそういうふうに若い人や女性ということを具体的におっしゃったわけですか。
  105. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私が申し上げたのは、先ほど申し上げたように、選考委員会も開かれない中で……(長妻委員「いや、若い人、言っていないですか、若い人」と呼ぶ)いや、そこについては言っていません。
  106. 長妻昭

    ○長妻委員 じゃ、若い人とか女性はいないのかというのは言っていない。これは、でも、けしからぬ話ですね、そういう意味では。総理の意向をというか、何かうわさで、総理がそんなこと言っているみたいな話で流布されるというのは、何か不透明というか、逆に、どういうふうになっているのかなということで、私もちょっと疑問を持ってくるんですけれども。  もう一点、オリンピック・パラリンピックの件で、私、政治がやる意思を持つというのは、これは別に悪いことじゃないと思いますが、ただ、最終的に決定するときに、専門家の意見を聞かずに非科学的に、アメリカの大統領も科学的ということをおっしゃっておられるので、やはり、オリンピック開催の可否のみならず、開催するにしてもどういう形態で開催するのがいいのかどうか、政治が始めから終わりまで決定するのではなくて、科学的、つまり科学者の、専門家の見地を十分に入れていく、意見を聞いていく、白紙の状態でですね、そういうことが必要じゃないかなというふうに思うんですが、これは総理はどう思われますか。
  107. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、東京大会については、昨年七月のIOC総会において、本年七月二十三日から、競技スケジュールと会場が決定をされています。  IOCバッハ会長とも、東京オリンピックは必ず実現することで一致しており、先日、バッハ会長は、世界の各国の団体に確認した上で、東京五輪の七月の開催に完全に集中し、コミットする旨を表明しています。  安全、安心な大会、これを実現するために感染対策が極めて重要であるのは、これは当然のことであります。昨年九月より、各省庁、東京都、大会組織委員会に感染症専門家を加えた調整会議、これを開催をしており、新型コロナウイルス感染症対策分科会の議論も踏まえつつ、具体的な内容を検討しているというふうに承知をしています。  引き続き、安全、安心な大会の開催に向けて、今準備をしているというところであります。
  108. 長妻昭

    ○長妻委員 これは総理、よく確認された方がいいと思うんですよ。  この調整会議、今おっしゃいましたオリンピック・パラリンピックのコロナ対策調整会議。これは二十名以上の委員がおられるんですが、感染症の専門家は二人だけなんですよ、そこに入っているのは。岡部先生と齋藤先生だけなんですよ。やはり二人、全体はそうでない方の意見になって。これはせめて、分科会、尾身先生が座長の分科会、GoToトラベルキャンペーンも、分科会に意見を聞かれたじゃないですか。分科会からも意見を出された。  ちょっと分科会のメンバーの方何人かとお話ししましたけれども、何でオリンピックだけ何にも聞いてくれないんだろうというふうにおっしゃっておられる方もおられるので、いっぱい知見があるということで、是非分科会の意見も、白紙の状態で、どういうふうに、可否も含め、形態も含め、私もやりたいですよ、オリンピック。それも含めて、変異株も、世界中から来て、そしてそこでまた変異株が、もし感染が起こったら、世界中に変異株がまた散らばっていきかねないわけでございますので、最後、総理、せめて分科会の意見は、いずれは聞くよと、別にあした聞けとは申し上げませんけれども、それは是非、総理、言っていただかないと、いろいろな思惑でスタックしています、今、はっきり言いまして。  そこら辺、総理、いかがでございますか。またメモが入って、ちょっと駄目ということが書いてあるみたいでございますけれども、何で駄目なんだろう。総理、どうぞ。(発言する者あり)
  109. 金田勝年

    金田委員長 静かに。静かにしなさい。
  110. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私は、この会でも、ここでも申し上げていますけれども、感染症専門家の知見、こうしたものを踏まえながら、安全、安心な大会を開催することができるように検討を進めているということを申し上げております。
  111. 長妻昭

    ○長妻委員 いや、その専門家は、分科会も入っていますか。
  112. 金田勝年

    金田委員長 橋本国務大臣。(長妻委員「いいです、いいです。委員長、いいですか、これで終わります」と呼ぶ)もういいの。いいんですか。(長妻委員「終わります。もう時間が来ましたから、私の時間。迷惑をかけますから、後の方に」と呼ぶ)はい、分かりました。
  113. 長妻昭

    ○長妻委員 では、最後、ちょっと一言だけ言いますと、分科会だけ何で外すのかなと。私は、分科会の意見をすごくこれまで日本は尊重してコロナ対策を進めてきたのに、オリンピックだけ何で分科会を外すのかと。外すとしたら、総理、駄目ですよ。よろしくお願いします。
  114. 金田勝年

    金田委員長 この際、中島克仁君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中島克仁君。
  115. 中島克仁

    中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。  貴重な時間をいただきましたので、私からも質問させていただきますが、ちょっと通告の順番を変更させていただいて、先ほども長妻議員からお話がありましたが、本日、我が国において、新型コロナウイルスワクチン第一号、接種をされたということでございまして、コロナワクチンに関してまず質問させていただきたいと思います。  私も医師でありまして、毎週末、白衣を着て患者さんと向き合わせていただいておる、医療現場また介護現場、患者さんの視点で質問させていただきたいと思いますので、総理には是非明快な答弁をお願いをしたいと思います。  ファイザー製薬のワクチンは、先週の薬事・食品衛生審議会、この審査結果を受けて日曜日に特例承認をされ、そして、初めて我が国において評価が示された三日後の今日、接種が始まるということで、これは、先ほど、遅くなったとか早くなったとか、それについてはるる総理も答弁されておりましたが、大事なことは、安全性、有効性に関して、国民の皆さん、また社会とどのように情報を共有していくか、このプロセスができていれば早く打つのも構わないし、できていないのなら、やはりその後接種が進むと禍根を残す可能性があるので、ここは極めて重要な局面だと。  そして、今はっきりしていることは、長期にわたった新型コロナウイルス感染症、局面を変えるかもしれないスタートラインに立った、それが本日だというふうに思います。先ほど、情報の共有、安全性、有効性ということとともに、私は、今日スタート、開始をされたということで、やはり今回のワクチンの目的に関して国民の皆様と共有することは非常に大事なのではないかと思います。  首相官邸のホームページに記載されているワクチン接種の目的、私も読みました。読みましたというより、二行しかなかったです、二行しかなかった。  河野大臣も、昨日、民放の報道番組に出て、これは国家的大プロジェクトだと。そして、総理も決め手だというふうにおっしゃっていましたが、この首相官邸に記載されている目的、お読みしますと、「新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り」、「できる限り減らし、」そして「結果として新型コロナウイルス感染症のまん延の防止を図る。」とされています。この「できる限り減らし、結果として」、全体とすると二行しかありませんので、そうなんだろうと思うわけですが、これは目的というよりは目標に、私、感じるんですね。  これは首相官邸のホームページの内容でありますから総理に確認いたしますが、今回のワクチン接種の目的というより目標は、集団免疫を獲得するという達成目標なのか、それとも、できる限り感染者を減らすといういわゆる努力目標なのか、この点について明確にお答えいただきたいと思います。
  116. 田村憲久

    ○田村国務大臣 集団免疫に関しては、まだ世界的に集団免疫というものを認められているわけではございませんので、どれぐらいの方々がどれぐらい打てば、また、実際問題、抗体価がどれぐらい続けばというようなことがございますので、これはまだ我が国として集団免疫を目指すというようなことは申し上げておりません。  その上で、目標が、努力目標なのか達成目標なのか、私、ちょっと意味がよく分からなかったんですが、あくまでもここに書かれているということが目的でございますので、あくまで、言うなれば感染拡大、蔓延の防止というのが目的であるということでございます。
  117. 中島克仁

    中島委員 できる限りとか結果としてというのが努力目標、まあ、努力目標というのは非常に都合がいい言葉で、やりはするけれどもそれは結果論みたいな、そんなふうに捉えかねないかと。  そして、もちろんそのとおりです、今回のワクチン、細かいことは恐らく今聞いても、これからデータが集積されてということで不毛の議論になってしまいかねないので、今現時点、今日スタートした時点で確認できることを確認させていただいておるんですが、先ほど長妻議員の決意をということに対して、明らかに、収束に向けて決め手と。そういう総理の御決意、このホームページにそういう御決意をしっかり目的の中に入れ込んだ方が私はいいと思います。各国首脳もそういう、今回のワクチン、その目的というか目標に向けて、そしてオール・ジャパンでというのであれば、ホームページ、国民の皆様誰もがアクセスできるものですから、最大のプロジェクト、この二行で簡潔にというよりは、先ほどの総理の答弁、決意を是非そのホームページに載せるべきだと思いますが、総理、いかがですか。
  118. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ワクチンの情報を国民の皆様に広く知っていただくために、入口として官邸にウェブサイトを設けさせていただきました。必要に応じて、更に詳しい情報が必要な方には、厚労省のホームページにリンクを張って詳しい情報を見ていただけるというふうに思っております。  そういう意味で、一番国民の皆様に分かりやすい入口として、官邸のホームページをおかりしてワクチンの接種のためのウェブサイトを作らせていただきました。目的として記載されていることで十分だと考えております。
  119. 中島克仁

    中島委員 私はあれを見て、最初、二行で簡潔というよりは、覚悟が感じられないな、そういうふうに感じました。先ほど決意を述べられた、そういう意味へ取れるようにする必要が私はあると思います。  時間がないので次に進みますが、先ほど言った、目的意識を共有するということとともに、安全性、有効性の情報を共有するということ、これはいわゆるリスクコミュニケーションということになるというふうに思いますが、我々、昨年の予防接種法改正案の審議の際、新型コロナワクチン五原則というものをお示しをさせていただいております。これは、国民の皆様が納得して接種ができるようにということで、一つ目として「リスクとベネフィットを包み隠さず、最新情報が更新される度に迅速に説明する」等々、いわゆる情報共有のための五原則ということであります。  確認ですが、田村大臣、この内容、昨年の質疑のときにも同意をしていただいております。これは責任を持って遵守していただけるということでよろしいですか。
  120. 田村憲久

    ○田村国務大臣 昨年の厚生労働委員会でも申し上げておりますが、この五原則の中において、最後の「救済制度の更なる充実を図る」という趣旨が救済を受けられやすい体制整備という意味であるならば、この五原則に対して我々も同じ考え方であるということであります。
  121. 中島克仁

    中島委員 五項目めはまあとしても、一番目から四番目、これはいわゆるリスクコミュニケーションを遵守するという内容だと思いますが、うなずいてくれればいいんですが、責任を持ってやっていただけるということでよろしいですね。いいですね、昨年も答弁していますから。  今、厚生労働大臣に確認しましたが、先週の我が党の森山議員の、今回のワクチンの役割分担について質問、そのときの河野大臣の答弁で、今回のワクチンに対する役割分担、河野大臣の役割はロジとリスクコミュニケーション、そして田村厚生労働大臣の担当はワクチンに関する政策決定だ、そのように答弁されていました。  私は、おやと思ったんですが、これはもう田村大臣よくお分かりだと思いますけれども、ワクチンに関しての政策決定をしていく上で、リスクコミュニケーションは欠かせない、むしろ最も重要なものだと思います。  河野大臣にお尋ねしたいんですが、先週そのように答弁されて、リスクコミュニケーションの担当は河野大臣で間違いないのか。政策決定していく上で、これはリスクコミュニケーションと一体的に取り組むべきものだと私は認識しておりますし、一般的にそういうものだと思います。これをなぜ切り分けるのか、切り分ける意義、どういったものなのか、お答えいただきたいと思います。
  122. 河野太郎

    ○河野国務大臣 国民の皆様に正確な情報をお伝えをしてワクチン接種を受けていただくために、私がロジとリスクコミュニケーションを担当いたします。ワクチン接種が行われていく中で、様々な効果、安全性あるいは副反応といった情報は、PMDA、そして厚労省の審議会で様々評価をされます。その取りまとめは田村大臣が行いますが、それを基にリスクコミュニケーションを私が担当するということでございます。
  123. 中島克仁

    中島委員 先ほど、田村大臣、この五原則、いわゆるリスクコミュニケーションは責任を持ってやるとおっしゃっていました。このリスクコミュニケーション、これは分科会の尾身会長も、今回の新型コロナワクチンに関してリスクコミュニケーションが非常に重要だと。HPVワクチン、子宮頸がんワクチンの問題を踏まえれば、このワクチンに対する国民の期待、非常に高い一方で、初めて遺伝子ワクチン、我が国のみならず世界でも大規模接種の経験がない、これに対する不安や懸念があることも事実です。  そういう意味で、このリスクコミュニケーションを今の段階から明確に図っていく、進めていく、これは、やはり今までの経験値がある田村厚生労働大臣大臣をやっているわけですから。  これは総理にお聞きしますが、元々、ワクチンの担当大臣を御指名したのは総理だと思います。このリスクコミュニケーション担当は、命じたのは総理ですか、それとも、河野大臣が自らこれを担当するとおっしゃったんでしょうか。
  124. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、国民の皆さんに自らの判断で接種をしていただけるように、副反応や効果を含めて科学的見地に基づいたワクチンに関する正しい情報を分かりやすくお伝えさせていくことが重要だというふうに考えました。  そうした観点から、田村厚生大臣がワクチンの安全性、有効性、副反応の情報を正確に収集をし、整理をして、その情報に基づいて河野大臣が分かりやすく丁寧な情報発信をする、このような役割を分担で両大臣でしっかり連携して取り組んでいく、そのような思いで指名しました。
  125. 金田勝年

    金田委員長 中島克仁君、時間が参りました。
  126. 中島克仁

    中島委員 はい。  時間ですので、また午後に続きをさせていただきます。ありがとうございました。
  127. 金田勝年

    金田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  128. 金田勝年

    金田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中島克仁君。
  129. 中島克仁

    中島委員 午前中に引き続いて質問させていただきたいと思います。  午前中は、ワクチン、リスクコミュニケーションの在り方でありましたが、やはりこのリスクコミュニケーション、ボタンをかけ間違えると、ワクチンによって新たな混乱、若しくは社会の分断を招きかねない。担当はいても、是非これは総理自らが先頭に立って、このリスクコミュニケーションの在り方を旗を振っていただきたい、示していただきたいと思います。  そして、私、午前中の冒頭にも言いましたが、国民の多くの皆さん、今日も午前中テーマになっておりましたけれども、ワクチン以上に、やはり治療薬また標準治療の確立に大変期待が、切望があると言ったらいいでしょうか、この標準治療また治療薬の登場の部分について御質問をいたします。  今回、感染拡大、年末から年始、一月にかけて、自宅で療養されている方、ピーク時に三万人を超えている。そして、今なお一万人余りの方が自宅で待機をしている。私も、年末年始と、感染確認され、自宅で待機されている方、電話で御相談を受け、状況はもろもろでありましたが、薬も全く出されていない、そういう状況の方もおられました。  こういう状況、今後また再度感染拡大が起きたとき、やはりある程度の標準治療というものは、もう一年余りたつこの新型コロナウイルス感染症、ましてや、我々、医療先進国と言っている状況の中で、やはりこの治療薬、国策として、全面で開発また承認に向けて取り組んでいく必要があると思います。  私は臨床医でありますけれども、新薬の開発、承認ということになると、そのプロセスを踏むためには、我が国の感染者数は非常に欧米各国に比べると少ないということで、また同じスキームでやっていると周回遅れになりかねない。そういった意味から、これまで培った我が国の経験医学というか経験医療を国の後押しで迅速に承認に向けていくことが必要だというふうに思います。  その経験医学的な観点からいくと、このパネルにありますが、イベルメクチンという薬、今日も午前中出てまいりましたが、これの開発に深く関与したのは、私の地元の高校の大先輩であります、山梨県立韮崎高校でありますが、大村智博士、ノーベル生理・医学賞を受賞されました。そんな御縁もあって、私も昨年、またこのコロナウイルス感染症初期から、北里研究所に何度も足を運ばせていただきました。  このイベルメクチンに関しては、我が国においても疥癬という病気に保険適用にもなっている薬。また、四十年前から、世界各国で年間三億人の方にも今現在使われている、そういうイベルメクチンでありますが、世界各国で研究成果が出ています。  今このパネルにお示ししてあるのは、三十五の研究、メタ解析によって、早期治療において八四%の改善、また後期治療においては三九%の改善、病気のフェーズによって当然ながら違いは出てまいりますが、注目すべきは、予防に関して九〇%の改善、こういう報告、成績が出ているわけです。  先ほども申し上げたとおり、我が国では疥癬という病気で保険適用になっておりますが、適用拡大に向けて今治験をしている最中です。しかし、先ほど、繰り返しですが、我が国の感染者数でいくと、通常のプロセスを踏んでいくと早くてもあと一年とか二年とか、こういう状況になってしまいます。  有事、一月の状況は、まさに三万人以上の方が発熱があり有症状がありながら薬も投与されないという例があった中で、これはメイド・イン・ジャパンの薬でありますから、改めて国が、東京都は公立、公社病院がこの治験に協力をするという姿勢を示しています。東京都が協力するわけですから、これは国としても、一刻も早く早期に承認できるように、そのための治験、最大限のバックアップをするべきだと思いますが、総理見解を伺います。
  130. 田村憲久

    ○田村国務大臣 国内でいろいろな治験といいますか治療薬、これに関してAMEDの方でいろいろな支援をしているわけでありますが、このイベルメクチンも、北里大学を中心にAMEDの方で今いろいろな治験を行っているといいますか、実際今やっている最中であります。  これは、医師主導治験で今ももちろん使えるわけで、そういう意味では、そういうような、「新型コロナウイルス感染症の治療薬に対する治験等の実施について」という事務連絡、これを出させていただいております。  あわせて、適応外使用では今も実は使えまして、一回飲めば、例えばもう自宅に戻った方は飲まなくていいというような、そういう便利さもありますので、医療機関で飲んでいただいて御自宅で待機いただく、こういう使い方もあろうというふうに思います。  いずれにいたしましても、まだ実際問題、これは用途外適応といいますか、それでやっておりませんけれども、実際問題もう今使っている、使えるというような形で御利用いただけるということであります。
  131. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 新型コロナに対する治療薬の研究開発については、一日も早く国民の皆さんの不安を解消するために必要だというふうに思っています。  今、大臣からるる御説明をさせていただきましたけれども、私自身も、やはり日本にとって極めて重要な治療薬だというふうに思っていますので、最大限努力はさせていただきます。
  132. 中島克仁

    中島委員 今、最大限支援をということでありますので、具体的に、先ほど大臣からも答弁がありましたけれども、通常のスキームでいったら時間がかかります。  今、適用拡大、また使える状況にはあるということですけれども、生産ラインですね。これは、安全保障的観点と先ほど申し上げましたが、大村博士とも度々電話で話をしています。今回のコロナで浮き彫りになった、例えば薬剤原料、感染防護品も全てそうでありますが、医療機器もそうです、全て海外依存。こういう状況を、やはり国家の安全保障の観点で、この先も、もちろん感染拡大しなければいいですけれども、ましてや新型インフルエンザやSARS、MERS、この十年余りで新興感染症が度々起こっている、こういう医療に対して、安全保障の観点で是非取り組んでいただきたい、具体的に示していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  次に、今回のコロナウイルス感染症、長期にわたっておりますけれども、様々なことが課題として浮き彫りになっています。  私、地元でも皆さんに聞かれるのが、我が国は、病床数、医療ベッドは千人当たり十三床と、世界各国の中でも非常に多い。さらには、医療先進国、世界に誇る国民皆保険制度を有する我が国が、感染者数は欧米各国に比べると非常に少ないにもかかわらず、なぜ医療逼迫、その危機にさらされなければならないのか。これは厚生労働大臣には前回聞いておりますので。  これは、次の感染拡大、招かないかもしれません。そういう状況の中で、この認識、なぜこういう状況に陥っているのか。総理、どのように認識されているか、お答えください。
  133. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、医療提供体制については、必要な方に必要な医療を提供するのが、これは政府の基本的な役割だというふうに思っております。  そういう中で、政府として、病床確保のために、年末年始、例えば東京都には、国と東京都が連携をしながら強い支援策を講じて、約二千床の病床を確保してきました。そうした中で、新規感染者数の減少に伴い、ようやく病床についても使用率が改善する傾向が今見られております。  この傾向を確かなものにしていくために、感染拡大防止をまずは徹底をしていくと同時に、その上で、感染症への対応については、局所的な病床数や医師などの不足、医療機関相互の役割分担、連携体制の必要性など、感染症に対応する上で課題がいろいろ浮き彫りになっていることを承知しています。こうした感染症対策という観点も踏まえるとともに、今後の人口構造の変化も見据えて、地域の医療提供体制について、それぞれの医療ニーズに合わせて効率的で質の高い体制をつくるということが大事だというふうに思います。  ただ、いずれにしろ、今は緊急事態でありますので、早急に、できることから取り組んでいって、この逼迫状況を脱したい、このように思います。
  134. 中島克仁

    中島委員 今逼迫している状況、早急に目の前の課題を解決するというのは大事な視点だと思います。ただ、今回浮き彫りになったのは、平時での医療計画また医療体制、この課題が浮き彫りになっておる。今るるおっしゃいましたが、感染症対策という視点が医療計画から抜け落ちていた。  そしてもう一点、先ほど、自宅療養をしている方、ピーク時三万人を超えていたと。そして、御自宅でお亡くなりになった方もおられる。先ほど私も対応していたとお話ししましたが、現在も一万人以上の方が自宅で療養されている。そして、自宅で療養している方々を健康観察している、若しくは入院の可否を決める、入院先を確保する、この業務をやっているのは保健所の方なんです。これは異常な状況だと思いますよ。  この状況、保健所機能も逼迫している。それは逼迫します。本来業務ではない、先ほど言った健康観察。自宅で軽症者といっても、私が何人かお話を聞いたのは、四十度の発熱、また喉の痛み、せきが止まらない。こういう状況の中で、それを健康観察しているのが保健所の方というのは、これはまさに異常な状況だ。  こういった観点で、こういう課題についてまず早急に対応する。もちろん、病床を確保するということは目の前の課題を解決することではありますが、それ以上に、今回浮き彫りになったもう一点、感染症の視点以外に、かかりつけ医の体制がやはり抜け落ちていると私は思います。  総理、ちょっとお聞きしたいんですが、総理は今国会冒頭、喉の痛み、報道では、せき込んだり声がかすれたりということがありました。我が党の小川議員の体調の確認に対して、喉が痛いけれども大丈夫と。総理には、かかりつけ医がおられますか。そして、今国会、大丈夫と言った、その体調の変化について、コロナ状況でありますから、それは、もしかかりつけ医がいたとするならば相談されたんでしょうか。
  135. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 官邸には医務官が常駐していますので、その医務官の皆さんに症状を逐一報告をさせていただいて、それで、喉の痛みというんですかね、そういうものを緩和する処置などを講じていただいております。
  136. 中島克仁

    中島委員 それは、内閣総理大臣ですから、気軽に連絡をして体調不良を相談して、そして指示を仰ぐことができると思います。多くの国民の皆さんは、このコロナ禍の間、冬場になればせきが出る、そういった状況を誰にも相談できない、発熱があっても検査ができない、そういう状況に陥っていた。  パネルに示してありますが、私はやはり、かかりつけ医、我が国に一体何人のかかりつけ医がいるのか、それさえも把握できていない状況の中で、今回のコロナ禍で、明確にかかりつけ医を制度化するべきだと。私は日本版家庭医制度創設と言っておりますが、このコロナ、そして次のフェーズ、また少子高齢化、人口減少、人生百年時代、この医療制度改革コロナの次のフェーズの医療の在り方として明確に位置づけていくべきだと考えますが、総理見解をお伺いします。
  137. 田村憲久

    ○田村国務大臣 日本も、日本医師会を中心に、かかりつけ医をしっかりと確保していく、こういう体制を整えていこうということでは、委員と考え方は同じだと思います。  一方で、病院に関して、二百床以上に関しても、これから外来機能の明確化というものをしっかりやって、本来は、まずかかりつけ医に行っていただいた上で、紹介状を書いていただくなりなんなりとかして大きな病院に行っていただく、こういうルートをこれからつくっていこうということで、いろいろと我々も法律改正も含めて対応していきたいと思っています。  ただ、イギリスのGP制度に関しておっしゃっておられるとすれば、これはちょっと、日本の場合は、フリーアクセス、そういうような非常に皆保険の中において基本的な体制があるわけであります。  併せて申し上げれば、例えば、眼科、皮膚科、いろいろな専門科、開業医の中でも分かれています。そういうものを、一つのかかりつけ医といいますか、GPのようなもので完全に日本の中で分けることができるかどうか、こういうところもございまして、委員がどういう意味合いでおっしゃっておられるのかちょっと分からないので何とも申し上げられませんが、かかりつけ医という形の中で、日頃より自分の健康をいろいろな形で診ていただく。併せて言えば、今回のコロナも、発熱者の診療外来といいますか、診療検査外来ですか、こういうものに関しては、そういうかかりつけ医に行っていただいて、まず、発熱したら、コロナかインフルエンザか、そういうような検査の対応をお願いいたしたいということを、我々としても国民の皆様方に情報発信をしてきたところであります。
  138. 金田勝年

    金田委員長 中島君、時間が参りました。
  139. 中島克仁

    中島委員 時間がないので終わりますけれども、かかりつけ医、漠然とし過ぎているんです。社会保障審議会の医療分科会でも、明確化するべきだと。私が言っているのは登録です。ある意味、GPに近いです。  もしGP制度があったら、今回のコロナ状況の中で、受診の目安とか、又は今回自宅療養している方が放置されるようなことはなかった。また、これから迎えるワクチン、イギリスもGPを中心に接種体制を整えているから迅速に進んでいるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  140. 金田勝年

    金田委員長 この際、後藤祐一君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。後藤祐一君。
  141. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。  今日は集中審議ということで、張りつけ大臣というのがおられまして、私は質問で答弁していただく必要はないんですが、元々ずっと座っていらっしゃるということを決められた方々がいるんですけれども、お忙しいので、例えばワクチンの話を私は今日するつもりはないんです。厚労省の関係も聞くつもりはないんです。お二人、お忙しいでしょうから、突然、帰っていただいた後、総理にそういうことを聞くなんて、そんなことはしませんので、今日、この後、総理総務大臣と、あと農水大臣に最初、少しだけお伺いしますけれども、あと西村大臣ですね、それ以外の大臣質問する予定はございませんので、御退室いただいて結構なんですが、お忙しいでしょうから。いかがでしょう。
  142. 金田勝年

    金田委員長 それでは、どうぞ。
  143. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 お忙しい大臣でしょうから。  それでは、西村大臣に聞きたいと思いますが、特措法が改正されまして、ここにあるような、例えば緊急事態宣言ですとか蔓延事態ですとかで、要請を受けて影響を受けた、特に飲食店なんかですね、今ですと、こういった事業者を支援するために必要な措置を講ずるものとする、これは法的義務であるという答弁をいただいておりますが、これについて、これは私も関わりましたが、附帯決議で、経営への影響の度合いを勘案して、必要な支援になるよう努める、こういうことになっておりますが、この経営への度合いを勘案した支援措置を講ずることが法的義務なわけですよね。では、この経営への度合いというものに比例するようなものというと何があるかというと、やはり人件費と家賃が大きいと思うんですね。  人件費については、雇用調整助成金と休業支援金についてもう少し何とかできないかという議論、これまでもたくさんございました。我々野党側からも、特に休業支援金については、シフト制の問題など、獲得したものもございますが、家賃については、昨年の五月とか六月ぐらいから、六か月分、家賃の支援給付金をいただいている方がいっぱいいらっしゃいますが、ちょうどこれが去年の十一月とかで切れてしまって、一番苦しかった十二月からこの一、二月というところで家賃の支援金が切れちゃっているんですよね。  緊急事態宣言にもうなっているわけですから、是非、西村大臣、特措法上の義務ですから、この支援の拡充として、特に家賃支援給付金を、もう六か月分が切れちゃっているので、もう一度給付する、特に、この緊急事態宣言と蔓延事態宣言の間ぐらいはもう一度給付するということを、まさに、これはやらないと、法律の義務だと思いますので、御検討いただけますか。
  144. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、特措法六十三条の二に義務を、義務づけられておりますし、附帯決議でも、影響の度合いを勘案しということで、いただいているところであります。そうしたものをしっかりと踏まえて対応していきたいと考えております。  その上で、どういった支援が必要なのか、これは、経営への度合いも勘案しながらでありますけれども、状況に応じて、適時適切に判断をしていきたいと考えています。  例えば、昨年の春の緊急事態宣言のとき、東京都における協力金は、一店舗持っている人はもう規模に関係なく五十万円のみでした。そして、二店舗以上持っている方は百万円ということで、これは五店舗、十店舗持っていてもそういうことでありました。  今回は、一店舗当たり最大百八十万円。これは、小規模な方には、もらい過ぎという議論もありますけれども、そうした方も含めて。そして、多店舗持っている方には、その店舗数に応じて、大企業も含めて、今回は十店舗持っていれば一千八百万円ということになります。ということで、昨年の支援とはまた、よりも拡充した支援を協力金で行っているということもあります。  さらには、雇用調整助成金も、パート、アルバイトの方も含めて、月額三十三万円まで、大企業も含めて、これは国が一〇〇%支援をするということにもなっております。  そういうことで、そういったことも含めて、更に言えば、一日六万円で月額百八十万円の、これも東京都などとも相談しながら決めましたけれども、新宿や渋谷などの家賃なども我々調べて、月額、平均的なところで八十万円とか九十万円とかというデータも踏まえて、あるいは経済センサスなども見ながら判断をしてまいりました。かなりの部分をカバーできるというふうに考えております。  しかしながら、今後の様々な経営への影響の度合いなども勘案して、まさに公平性の観点とか円滑な執行、そういった観点も配慮をしながら、引き続き、必要な支援になるように検討は進めてまいりたいというふうに考えております。
  145. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 家賃支援給付金について、やるかどうかを全く答えていないんですけれども、いかがですか。人件費とか、少し、そうはいっても、雇調金とかで、時間が長くなればそれに応じてという面があると思うんですけれども、家賃はもうすっぱり切れちゃっているわけですから、そこは御検討していただけないですか。
  146. 西村康稔

    西村国務大臣 今お答え申し上げたんですけれども、家賃を私ども調べて、新宿や渋谷などでも、駅前でも平均的な店舗で八十万円とか九十万円とかということであるといったことも踏まえて、月額百八十万円ということで協力金をさせていただいていますので、昨年の春の状況ともまた、以上に拡充させていただいていますので、現時点で家賃給付金を再び行うということは考えておりません。  ただ、御指摘のように、影響の度合いなども勘案し、また、アメリカやドイツの仕組みなども今研究を更に進めておりますので、引き続き、必要な支援となるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  147. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 六万円の算出に当たって家賃とかいろいろなことを調べましたという話ですけれども、六万円じゃ全然足りないところをどうするかという話が漏れている話なんですよね、この規模に応じてという話は。  最後のところに一縷の希望を感じましたので、ただ、もう、早くしないと店が閉まっちゃいますから、是非、この家賃支援給付金、早く始めていただきたいと思います。  西村大臣、お忙しいでしょうから、こちらで結構でございます。  続きまして、今日は、日本中央競馬会の理事長にお越しいただいております。急遽お越しいただき、ありがとうございます。  ちょっと、今日の一部報道で、この日本中央競馬会、JRAのトレーニングセンターというところがあるんですが、そこで競走馬の調教などをされておられる調教助手あるいは厩務員という方々がおられるんですけれども、この方々が、給料のほかに、自分たちの育てた馬が勝つとたくさんお金がもらえて、成績が悪いとなかなかもらえない、そういうような仕組みらしいんですけれども、収入が増えたり減ったりするわけですね。そこを持続化給付金の要件に当てはめて、個人事業主であれば一人百万円もらえるということで、不適切に受給していたという報道が今日なされておりますが、この調教助手らが、報道によると、百人以上、合計一億円以上の持続化給付金を、もしかしたら不適正かもしれない受給の仕方をしているということについての事実関係をお答えください、理事長。
  148. 後藤正幸

    後藤参考人 お答えいたします。  私どもといたしましては、報道を受けまして、雇用主であります日本調教師会に対しまして、事実関係の調査を行うよう要請をしているところであります。その上で必要な対応をしてまいりたいというふうに考えているところであります。
  149. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 ちょっと事実関係は分からないみたいなことですが、この日本調教師会も、その報道によると、昨年十一月にコロナによる経済的な影響はほぼ皆無という通達を出しているというようなことでございますので、是非早く事実関係を究明していただきたいと思います。  その上で、農水大臣、急遽お越しいただいてありがとうございます。  この事実関係を確認した上で、もし不適切だという場合には適切な対応を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  150. 野上浩太郎

    ○野上国務大臣 お答え申し上げます。  JRAの厩務員が持続化給付金を不正受給したとの報道は承知をいたしております。  報道されている調教助手、厩務員につきましては、JRAが免許している調教師に雇用されておりまして、JRAと直接の雇用関係にはありませんが、農林水産省としましては、これは、競馬に対する信頼を確保するために、JRAに対しては、事実関係を把握をして、不正受給があれば返還させるなど厳正な対応を取るよう指示をしたところであります。
  151. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 是非、早く事実関係を確認して、場合によっては厳しくチェックをしていただきたいと思います。  それでは、JRAの理事長と農水大臣、こちらで結構でございます。  それでは、この後、総務省の接待疑惑の話をやりたいと思います。  少し構図を簡単に国民の皆様に御紹介したいと思いますが、東北新社という、番組を作っている、放送している会社の部長さんとして菅総理の長男である菅正剛さんがおられて、この方と数名で、総務省の、この東北新社に対して放送法上の許認可権を持つ情報流通行政局の幹部あるいはそれ以外の方も含めて会食をしていた、そのお代を東北新社が持っていたという話でございますが、これは、もし許認可に直接関係しない場合は、所管企業と御飯を食べる、それでおごってもらうと、それだけで公務員倫理法違反なんですね。もしそれが認定された場合には懲戒処分になるということになるわけです。  昨日の本会議の答弁で総務大臣が、一日も早く調査を終え、処分を行い、その結果について関係法令に基づき公表するという答弁をされておられますが、処分を行いと、もう処分する気満々でいらっしゃるわけですね。  ただ、それは、あくまで所管企業と疑われてはいけないという意味で処分というレベルにとどまるんですが、この話、そこにとどまらないんじゃないかと思うんです。  というのは、この構図に書きましたけれども、この右下のところの「放送法に基づく業務」として、東北新社に関係する業務が大きく分けると四つほどありまして、青い四角のところですね。  二〇一七年の八月に、放送の認定をするための基準というのが改定されています。  その改定された基準でもって、二〇一八年の五月に、この囲碁将棋チャンネル、ファミリー劇場ホールディング、ザ・シネマホールディングス、こういったところの免許が、免許というかCS放送の認定がなされています。これは全部、東北新社の子会社になります。  三つ目が、二〇二〇年の三月十一日に、スターチャンネル1というのと3というもの、ちょっと見にくくて済みません、の放送事項、これは要は、どういう内容の放送をしますかという中身が変わるときも許可が必要なんですね、その許可を受けています。  それと、スターチャンネル1というものが、これは五年に一回認定の更新というのがございまして、去年の十二月十五日に更新を受けていて、今問題となっている会食というのがこの最後のやつの直前ぐらいになされていたわけでございますが、この許認可ですとか、ここに書いてあるような放送法に基づく東北新社あるいはその関連会社に対する直接的な業務、これとの関係でおごってもらったら、これは倫理法の世界にとどまらず、場合によっては贈収賄という可能性が出てくるわけですね。  今日は、そこまで至る可能性があるのではないかという観点からいろいろ確認をさせていただきたいと思いますが、まず、菅総理に伺います。  菅総理は、実はこの東北新社の幹部の方々とお食事をされていると思うんです。特に、東北新社の創業者であられる植村伴次郎社長というんでしょうか、もうお亡くなりになられていますが、同じ秋田出身で、大変親しくされているというふうに伺っております。そして、その息子さんの植村徹社長、この徹様もお亡くなりになっちゃっているんですが、この方々、あるいは御自身の長男である正剛さんも役員です、あるいは今の社長さんも含めて、この東北新社側の方々と会食したことはございますか。
  152. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私の長男とは、それは当然、家族で食事はそれはします。それ以外の方で、創業者の伴次郎さんと徹さんとは会食をした記憶があります。それ以外の方とはありません。
  153. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 伴次郎、徹さんと、最近でいうといつ頃ですか。特に、二〇一七年、一八年といったときは、こういった許認可なんかもあったときなんですね。こういったぐらいのときにお食事されていませんか。
  154. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私は、この十数年、二十年近いおつき合いですけれども、会食したのは多分数回だと思います。この近辺ではそうしたことはなかったと思います。
  155. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 そうすると、かなり昔ということですか。二〇一七、一八、一九、二〇とか、この四、五年はないということですか。
  156. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 それは記憶は定かではないですけれども、ないというふうに思っています。
  157. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 記憶は定かでないということなんですが、これはちょっと事前に通告していますので、是非、年月日をちょっと確定していただきたいんです。  というのは、これよりも前にも認定更新ですとかありますから、これは最近の主な具体的な業務を書いただけで、もっと遡るといっぱいあるんですよ、この青い枠の仕事というのは。  是非、菅総理が東北新社側と会食した日時、そして、費用負担がどちらであったかというようなこと、あるいは、タクシー券があるのかどうかはともかく、お土産をいただいているかどうかも含めて、これも通告していますので、これを文書で提出していただけますか。
  158. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私、今申し上げましたように、十数年、二十年近い中で、多分数回、二、三回程度だと思います。ですから、ほとんどしたことはないです。ただ、今の示されたところでは私はないという記憶であります。少なくとも、ここ数年間というのはそうした食事はしていません。
  159. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 調査の上、文書を提出していただけますか。
  160. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 それは、だって、多分、十数年、十年前後ぐらい前の話だと思いますから、それは調べるのもなかなか難しいんじゃないかと思います。
  161. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 そうなると、この調査ってどうなんだという話になってきちゃうんですよ。  そうしたら、息子さん、長男の正剛様と食べることは、これは家族だからあるでしょう。ですが、お食事されたとき、あるいはそれ以外も含めて、東北新社の、あるいはその関連会社の関係する、総務省の許認可ですとか認定ですとか、こういったことに関わるようなお仕事の話、これを聞いたことはないですか。
  162. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 ありません。
  163. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 間接的なものも入れるといろいろあるんです。例えば、これは、CS放送というものがどうあるべきかみたいな話だって、直接、実は絡んでくるんです。  BS放送とかCS放送という言葉も含めて、一切ありませんか。
  164. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 そうした話をした記憶は全くありません。
  165. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 菅正剛さんは今、総務省の調査対象にもなっておられますから、これはそっちの方で是非、総務大臣、確認をしていただきたいというふうに思います。  それでは次に、もう一つ確認したいことがあります。  菅総理は、献金をいただいていますよね。今お話に上がった植村伴次郎様から、二〇一二年九月に百万円、二〇一二年十二月に五十万円、息子の徹様から、二〇一四年十二月に百万円、二〇一七年十月に百万円、二〇一八年十月に五十万円、合計四百万円は、これは収支報告書上明らかになっておりますが、一部報道では更に百万円ぐらいあるんじゃないかという報道もありますが、この四百万円、受け取っていますか。そして、ほかにありますか。
  166. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 全部事務所に確認しましたところ、私が代表を務めている自由民主党神奈川県第二選挙区支部において、個人献金として、植村伴次郎氏から、二〇一二年の九月に百万円、同十二月に五十万円、また、植村徹氏から、十二月に百万円、そして二〇一四年十二月に百万円、二〇一七年十月に百万円、二〇一八年十月に五十万円、全額で五百万であります。  これは、一二、一四、一七年というのは衆議院の解散・総選挙のときでありまして、選挙のお見舞いということだというふうに思います。
  167. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 合計五百万円ですね、やはり。  五百万円の献金をいただいているということが明らかになりましたが、ほかに、パーティー券はいかがですか。東北新社あるいはその関連会社、この植村両社長、菅正剛氏含めた東北新社側の方々の個人献金も含めて、パーティー券はいかがですか。
  168. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 パーティー券の購入については、収支報告書に記載しているとおり、法令に基づいて適切に対処しています。
  169. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 二十万円を超えると名前が出るんですが、二十万円以下の場合、パーティー券は出ません。パーティー券、二十万円以下も含めて、購入していただいたことはありますか。
  170. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 法令に基づいて適切に処理しています。
  171. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 何年、幾らというところまではともかく、例えば、二〇一七年から二〇二〇年ぐらいに具体的な業務があるわけですよ。  菅総理は、総務省の幹部に対して一言言えばすぐ動くぐらいの関係なわけですから、実際それを受け取っているかどうかは極めて重要なんですが、受け取っているか受け取っていないかだけでも、お答えいただけますか。
  172. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 パーティー券については、法律で決まっているとおり、収支報告書というものを出しております。
  173. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 これだと、もしそれで、パーティー券を買ってもらっていて、頼みますみたいな話があって、総務省に、おい、あれ、何とかしてやれみたいな話があった場合には、贈収賄罪が成り立ち得るわけですよ。それが分からないと言われると困ってしまうんですよね。  これはちゃんと提出していただくよう、委員長、お取り計らいいただけますか。
  174. 金田勝年

    金田委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をさせていただきます。
  175. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 今、贈収賄罪の話がありましたが、例えば、総務省の担当局長である情報流通行政局長の方がおごってもらって、実際おごってもらっていたわけですけれども、あれ頼みますねと言われて、そのとおりの行政処分をやったりしたら、これは収賄罪が成り立っちゃうわけですけれども、じゃ、菅総理の場合、どうなるのか。菅総理、総務省の人じゃないから関係ないのかというと、必ずしもそんなことないんですね。  例えば、昔、ロッキード事件で、田中角栄総理大臣は、運輸相の職務権限に対して職務に関しお金を受け取ったということで有罪になっていますし、ほかにも、ある警察官がほかの警察署の案件についてお願いされて、頼むぞとやって有罪になった例もあります。  今日は、法務省の刑事局長にお越しいただいておりますけれども、この贈収賄罪における、職務に関し、賄賂を受け取ったという条文なんですけれども、この職務に関しというのは、今言ったように、組織が違ったりとか、広く解釈できる余地があるんですが、もちろん具体的な話じゃなくて一般論として、この職務に関しというものについての判例など紹介しながら御見解をお述べください。
  176. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えいたします。  刑法の収賄罪における職務についてのお尋ねがございました。  この点、まず一般論で申し上げますと、この職務とは、公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務をいうとされているところでございます。  これは、じゃ、個別の事案において具体的にどのようなものがこれに当たるのかということになりますと、これは捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断される事柄でございますので、こういうものが当たる、当たらないというのはお答えを差し控えさせていただきたいところでございますが、過去の裁判例でどのような例があったのかということでございます。  その点についてお答えを申し上げますと、この職務についての考え方の中で、本来の職務と密接に関係ある行為についてもこの職務に当たるとして賄賂罪の成立を認めた裁判例として、例えば、町議会の議員が町の行う土木工事について町長の組織した協議会の構成員として意見を述べるなどした事案、あるいは、国立大学の音楽担当の教授が学生にバイオリン選定について助言指導したとされる事案などがあるものと承知しております。
  177. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 そうなんです。だから、総務省の人だけが収賄罪が成り立つんじゃないんですよ。そこにすごく密接に関係している場合は成り立ち得るんですよ。菅総理と総務省の幹部の関係はもう皆さん御存じだと思いますので、なので、この献金をいただいているというのは極めて重大な事実なんですよ。  なので、献金をいただいていて、何らかの、あれ頼むぞと菅総理が具体的に言わないにしても、例えば総務省の幹部が忖度をして、菅総理に対して、あるいは当時官房長官に対して、あれ、ちゃんとやっておきましたから、あれとかいう言い方をして隠語で伏せながら報告を受ける、こういったことも大いにあり得るんじゃないかと思うんですね。  総務大臣に伺います。  この二〇一七年から一八年にかけて、この東北新社の囲碁・将棋チャンネルといったものが認定される、あるいはその基準が作られるといったときがございましたけれども、この周辺で、あるいはその後でも結構です、総務省の実際の放送に基づく業務に関連して、総務省の幹部から菅当時官房長官に対して何らかの報告、具体名を挙げないでも、あれ、ちゃんとやっておきましたからみたいなことも含めて、そして、菅総理本人でなくて、秘書官だとか事務所の秘書ですとかそういった方に対する報告も含めて、何らかの情報提供をしたということはございますか。
  178. 武田良太

    ○武田国務大臣 菅総理が官房長官に就任された日は二〇一二年十二月二十六日とお聞きしております。爾来、今日まで、菅総理が東北新社及びその関連会社に関する情報について話をしたり報告をしたことがあるか否かという問題に関して、課長相当職以上の総務省職員に対して確認をさせていただきました。現時点で、確認できる範囲において、該当する職員はおりません。
  179. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 それは、四人やそこらじゃそんな、足りないですよ。  皆さんには、配付資料の中に書いてありますけれども、ここ数年の放送法の許認可に関わるような幹部の方一覧みたいなもの、あるいは、決裁に実際電子的に判こを押した方のリストなんかもありますので、そこを網羅的に聞かないとそれは分からないと思いますよ。  武田大臣、調査では、菅総理に対する情報提供をした人間がいないかどうか、四人とかプラス一人、二人とかではなくて、そこも徹底調査することをお約束ください。
  180. 武田良太

    ○武田国務大臣 委員、四人というふうにおっしゃいましたけれども、本省の課長級以上であった者全員に事実関係を確認しております。四人だけではありません。
  181. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 じゃ、その聞いた結果は是非報告していただきたいと思いますが。
  182. 武田良太

    ○武田国務大臣 結果について、先ほどお答えさせていただいたとおりでありまして、そうしたことを確認できた者はおりません。
  183. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 どこまでの課長に聞いたのか、ちょっと後で確認したいと思いますが。  昨日、武田大臣が……(発言する者あり)いや、いいです、聞きません。  武田大臣が、昨日の衆議院の本会議で、本村伸子議員の質問に対して……
  184. 金田勝年

    金田委員長 補足ですか。
  185. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 もう次の質問をしています。
  186. 金田勝年

  187. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 ちょっと、今質問中ですよ、委員長
  188. 金田勝年

    金田委員長 今の関連でしょう。
  189. 武田良太

    ○武田国務大臣 今、指名を受けましたので。  先ほど申し上げましたとおり、課長相当職以上の総務省職員というのは総務本省の課長級以上であった全ての者でありまして、その全ての者から調査した結果、現時点で、そうした職員は、該当する職員はいないという調査結果であります。
  190. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 昨日、武田大臣は、衆議院の本会議で、本村伸子議員の質問に対して、本件に関して、適切に業務執行を行っており、本事案により放送行政がゆがめられたということは全くありませんとこの件に関して断言していますが、これは今調査中なわけですよね。調査中なのに、放送行政がゆがめられたということは全くないと何で断言できるんですか。いろいろ調べていった結果、実はこんな話をしていたとかいうことが出てきたら、これはゆがめられている可能性があるじゃないですか。何で、調査中なのに、ゆがめられていないことが断言できるんですか。お答えください。
  191. 武田良太

    ○武田国務大臣 現時点でというふうに私は申し上げて、逆に、ゆがめられたと言うのもまたおかしいと思うんです、今調査中でありますので。  そもそも、公務員そしてまた各省庁は、総務省だけではありませんが……(発言する者あり)
  192. 金田勝年

    金田委員長 静粛に。
  193. 武田良太

    ○武田国務大臣 やはり、中立性、公正性というものを持った、これを貫き通すことを当然、当たり前の上で職務遂行しているわけであって、それを翻す、覆すような具体的な事情といいますか事案というものがしっかりと確定できない段階で、組織を預かる身として、そうした指摘に賛同するべきではないし、私にはできない、そう判断したためであります。
  194. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 昨日の総務委員会の方の議事録では、放送行政自体がゆがめられているとは一切考えておりませんと。現時点なんて言っていないですよ。一切ないと断定していますよ。  調査中なのに、ゆがめられていることは一切ないということでよろしいですか。(発言する者あり)
  195. 金田勝年

    金田委員長 静粛に。
  196. 武田良太

    ○武田国務大臣 御指摘、言葉足らずがあったかもしれませんけれども、現時点でということに変わりはありません。  今なお、監督官である事務次官、そして弁護士の先生含めて、全力を挙げて今調査中の事案であります。そうした確たる証拠、事実関係に基づくものがいまだ届いていない段階で、疑念の段階で、そうした御指摘のことに賛同することはできないし、また、組織を預かる身として、あるべきではない、このように判断したからであります。
  197. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 ゆがめられたかどうかも含めて調査してくださいと言っているだけで、ゆがめられたと私は断定しているわけじゃないんですよ。ただ、調査の途中で、ゆがめられていないと断定するのはおかしいんじゃないかということなんですよ。  では、もし、ゆがめられている可能性があるような違う事実が出てきたら、責任取っていただけますね、大臣
  198. 武田良太

    ○武田国務大臣 もしの話にここで答えるべきものではないと思いますけれども、新たなる、そしてまた確固たる事実関係が出てきたときは、いろいろな面で私なりに判断する材料も出てこようかとは思っています。
  199. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 もう一つ、これまでの答弁の中で確認したいことがあるんですが、今日、秋本局長に来ていただいております、情報流通行政局長。まさにこの放送法の担当局長です。  十二月十日に菅正剛氏らと会食されたということでございますが、スターチャンネルに限らず、東北新社様の事業について、その会食の中で話題に上った記憶はございませんという答弁をされておられますが、審議官は、話していない、話題になかったと記憶しているという答弁をしていて、差があるんですよね。  スターチャンネルに限らず、東北新社様の事業についてお話があったということですか、十二月十日。
  200. 秋本芳徳

    秋本政府参考人 お答えいたします。  東北新社様そしてスターチャンネルの事業が話題に上ったことはないというふうに考えております。
  201. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 BSとかCSという言葉はどうですか。
  202. 秋本芳徳

    秋本政府参考人 東北出身者の、あるいは親御様が東北出身者の懇談会という位置づけでございまして、BSやCSについての話が話題に上ったという記憶はございません。
  203. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 では、BS、CSという言葉も話に出なかったと。  では、この放送業界全般についてはいかがですか。
  204. 秋本芳徳

    秋本政府参考人 お答えいたします。  放送業界全般の話題が出たという記憶もございません。
  205. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 BS、CSも、スターチャンネルも、放送業界の話も、一切、十二月十日の会食では話に出なかったということでございましたが、これは、これから本当にそうだったか確認する必要がありますが、こういったところで、武田大臣、行政がゆがんでいくんですよ。もし、そこでそんな話がされていたら、ゆがんでいく可能性があるわけですよ。  これは総理にお伺いしたいと思いますが、ただ、秋本局長もかわいそうなんですよ。菅正剛さんが総理の息子さんである、そして、会食の申出は東北新社側の方からあったわけです。なかなか断れないですよね。菅総理の息子さんが東北新社にいたということ、そして菅総理が総務省に非常に力を持っているということ、その上と下の両方から挟まれて、行政がゆがんでいるんじゃないんですか、あるいはゆがんでいる可能性があるんじゃないんですか。  菅総理にも責任があると思いますが、いかがですか。
  206. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 事実関係は全く承知をしておりません。  ただ、関わった者が誰であっても、国民の皆さんから疑念を抱かれるような、そうしたことについては避けなきゃならないというふうに思います。  今、総務省において、ルールにのっとってそこはしっかりと調査をしてほしいというふうに思います。私は、長男には、そうした調査の依頼があったら、事実に基づいて話すように、そういうことも申し上げています。
  207. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 最後に、総務大臣に調査の徹底をお願いしたいと思いますが、先ほど、菅総理大臣に対して、当時官房長官に対して報告したかどうかについては全課長に聞いたと立派におっしゃられましたけれども、ということは、これは会食の有無ですとか、どっちがお金を負担したですとか、お土産をもらっているかですとか、こういったことも、私は全課長にやる必要はないと思いますが、少なくともこの放送に関わるような幹部の方々に対しては徹底して全部やっている、山田真貴子さんなんかも含めてやっている、そして、やるということをお約束していただけますか。これは大臣ですか、さっきあんなに立派に言ったんだから。
  208. 原邦彰

    ○原政府参考人 事実関係にわたる点は、ちょっと私の方から御説明申し上げます。  昨日、御通告をいただきましたので、まず、会食関係。東北新社関連の放送番組に係る認定事務等を担当しているラインである情報流通行政局長、大臣官房審議官情報流通行政局担当、衛星・地域放送課長の経験者たる総務省職員については、国家公務員倫理審査会御指示の調査対象に加えて、国会での御議論も踏まえ、御指摘の事項も含めた詳細の調査を追加的に行っており、当初から着手している調査に併せ、速やかに事実関係を明らかにしてまいりたいと存じます。  また、昨日御指摘いただきましたライン外の事務次官等の幹部についても、御指摘を受けましたので、会食の有無の確認を昨日から今朝にかけて行いました。いずれも、会食の事実はなかったということでございます。
  209. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 何か総務審議官とか次官とか、そういう大事なところが抜けていますが、そこはきちっとやっていただいた上で、もし今日の答弁で言ったことと調査結果が違っていた場合にはしかるべき責任を取っていただくということを申し上げて、質問を終わります。
  210. 金田勝年

    金田委員長 この際、尾辻かな子君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。尾辻かな子君。
  211. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 立憲民主党の尾辻かな子です。  質問機会をいただきまして、ありがとうございます。今日は、池田真紀さんと一緒に、質問に入りたいと思います。  それでは、まずお聞きしたいと思います。  昨日の新型コロナウイルス、新規の感染者数は一体何人だったのか、そして、あわせて、その新規感染者数はどのようにして集計をされているのかということについて、まずお聞きをしたいと思います。
  212. 正林督章

    ○正林政府参考人 お答えします。  昨日、二月十六日の新型コロナウイルス感染症の新規の陽性者数は、千三百四人であります。  厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症の感染者情報について、都道府県のホームページの公表情報を収集し、取りまとめた上で公表しております。
  213. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私、今日は、本当に政府のデジタル政策は大丈夫なんだろうか、こういう視点で聞きたいと思うんですが、今、局長からのお答えは、新規感染者数、陽性者数は都道府県のホームページの公表情報を収集している。  つまり、私、昨日聞いたんですけれども、夜の十二時を過ぎた時点で、委託した会社のその従業員さんが、全部の四十七都道府県のホームページを目で見て、目視をして、そして手でそれを集計して新規感染者数を出している、そういうことでよろしいですか。うなずくだけで結構です。
  214. 正林督章

    ○正林政府参考人 はい、そのとおりであります。  ただ、それに併せてHER―SYSも導入しております。
  215. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 いや、ちょっとびっくりしたんです。これは手で、いまだに手作業で感染者数を集計している。  ということは、例えば、厚労省が出しているPCRの検査数とか、入院とか退院の方の数や死亡者数も併せてホームページで、都道府県のを見て集計されているということでよろしいですか。
  216. 正林督章

    ○正林政府参考人 はい、そのとおりであります。死亡者数、陽性者数も含めた新型コロナウイルス感染症の感染症情報について、同様に集計しております。
  217. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 いや、私、本当にこれはびっくりしたんですね。去年の今頃から感染者というのは出てきて、HER―SYSなんかも入ったので、デジタルで集計されているのかと思いきや、いまだに手作業だと。  総理、この事実を知っておられましたか。そして、知っておられたら、いつから御存じだったかお答えください。(発言する者あり)
  218. 金田勝年

    金田委員長 静かにしてください。
  219. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 このコロナが発生をしてからずっとそのような集計をしていることは承知しています。
  220. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 いやもう、デジタル頑張る以前の問題じゃないかなと。ちょっと衝撃なんですね。  じゃ、HER―SYSなんですけれども、これは本来、HER―SYSでできるものだと思います。それができていないんですが、このHER―SYSについては今どれぐらいお金をかけているのかということについてお答えください。
  221. 金田勝年

    金田委員長 厚生労働省健康局長正林督章君。(尾辻委員「止めてください、私の時間」と呼ぶ)答弁席へ早く来て、しっかり答えてください。
  222. 正林督章

    ○正林政府参考人 はい。  直近の契約で、十二月十八日付の契約金額では合計で十二億円であります。  ちなみに、HER―SYSについてもう少し説明したいんですけれども、よろしいでしょうか。(尾辻委員「いや、いいです、大丈夫です」と呼ぶ)
  223. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 今までに、HER―SYS、去年の五月から十二億かけて運用しているんですね。でも、例えば東京都では八百人、感染者数が漏れていた、HER―SYSに入力できていなかった、これは、現場にとっても実はHER―SYSが使いにくいということじゃないかなと。政府のデジタル政策、本当に大丈夫なのか。  次に、COCOA、接触確認アプリ、これ、まず費用を聞きたいと思います。COCOA、幾らぐらいかかったものなんでしょうか。
  224. 正林督章

    ○正林政府参考人 三億九千万円です。
  225. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 三億九千万かけて、七百七十万人の方に接触確認が届かない状況があります。これは早急に正常化する必要があると思いますが、私、聞いたら、二月中旬にはできるんじゃないかと言われています。でも、今日はもう二月十七日で中旬を越えようとしているんですが、まず、いつまでに正常化するのかということについてお答えください。
  226. 正林督章

    ○正林政府参考人 まず、今般判明した、COCOAをアンドロイド端末でお使いの方に対して昨年九月末より接触通知が到達していない不具合について、改めて、このアプリを御利用いただいている多くの国民の皆様の信頼を損ねたことについて、深くおわびを申し上げたいと思います。  発生した障害を解消するために、新しいバージョンを近日中にも配付するべく改修作業を行っており、接触確認アプリに対する信頼回復に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  227. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 それはいつまででしょうか。
  228. 田村憲久

    ○田村国務大臣 これは委託事業者に、なるべく早くということで、今直していただいている最中でございます。近く、これをしっかりと直した上で、御迷惑をおかけをしておる皆様方に対してしっかりと対応いただけるようにお願いをいたしたいというふうに思っております。
  229. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 結局、近くといっても、やはりめど、時期が出てこない、いつというのが出てこないというのは、本当に残念だなと思います。  菅総理になられてからこの五か月ですけれども、デジタルを頑張られるとかデジタル庁をつくると言うて、看板はすごく大きくなったんですけれども、実際というと、このような、COCOAとかHER―SYSもそうですし、雇用調整助成金のサーバーがダウンしたりとか、いまだに感染者数を手作業でやっている。本当にこんな状態で、今日からワクチンは、先行接種するというのが始まっていて、そこでもまたV―SYSというシステムがあったり、マイナンバーとひもづけるとか、本当に大丈夫なのかなというところが、私は本当に危惧をしております。  今、政府が更なるアプリを開発しているということをお聞きをしました。先日、伊藤孝恵参議院議員も質問されていたんですけれども、オリパラに向けて観客向けのアプリを今開発していると。  このオリパラ向けの観客アプリ、一体幾らなのか、まず値段だけ、内容は後で聞きますから、値段だけ教えてください。
  230. 時澤忠

    時澤政府参考人 お答えいたします。  御指摘のアプリ等の開発等に係る契約等の金額でございますが、アプリの開発に加えまして、データ連携基盤の開発、ヘルプデスク等のサービスセンター構築費など、複数機能の開発、運用、保守を含めまして、税込み総額で約七十三億円となっているところでございます。
  231. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 このオリパラ観客向けアプリ、今答弁いただいたように七十三億一千五百万。私、契約書をいただいたので、そうやって書いてあるんですね。  今、COCOAが三・九億円でした。つまり、COCOAの約二十倍がオリパラの観客等向けアプリに使われているんですね。  総理、この七十三億って御存じでしたか。
  232. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 全体の正確な金額については承知していませんでした。
  233. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私、これはCOCOAに比べて、COCOAは一億二千万、全員のところですよね。それに比べたら、何かえらい大きい金額だなと思うんです。  どんなアプリなのかということを、時間がないので、簡潔にお答えください。
  234. 時澤忠

    時澤政府参考人 このアプリでございますが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦を目的に海外から入国する観戦客の健康管理のために開発するものでございます。  このアプリを通じまして、訪日する観戦客に、入国前から出国後まで継続して健康管理を行っていただき、また、関係機関が本人への問合せや競技会場への入場制限を行うことで、感染拡大防止に資することを目的としているものでございます。
  235. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 そうなんですよ。今、無観客かと言うているときに、観客向けアプリをやっている、それも海外から。  これは、対象者は何人ぐらいですか。
  236. 時澤忠

    時澤政府参考人 契約上の想定でございますけれども、百二十万人を想定しているところでございます。
  237. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 この仕様書を見ると、海外から八十万人の観客、四十万人の選手団と関係者が入って、百二十万人、海外から入ってくるためのアプリなんです。  ところが、オリパラ組織委員会の前会長の森会長も、もう無観客も視野にという話をしていますよね。  総理、無観客という場合は、このアプリは一体どうなるんでしょうか。
  238. 橋本聖子

    橋本国務大臣 お尋ねでありますけれども、まず事実関係を申し上げますと、選手につきましては、オリンピック・パラリンピック合わせて、選手は最大で一万五千人程度ということになっております。  また、海外の観客についてでありますけれども、国、東京都、大会組織委員会によるコロナ対策調整会議におきまして、実効的な対策の検討を進め、昨年十二月に中間整理を取りまとめました。その中で、中間整理においては、外国人観客の感染症対策として、感染症の専門的知見も踏まえつつ、具体的な措置やアプリ等の導入の検討を進めるということでありますけれども、この観客につきまして、海外の観客等、国内も含めてでありますけれども、観客については、この春までに、様々な状況を踏まえて、専門的な知見を結集してしっかりと進めていく準備に今取り組んでいるところです。春までには決める予定です。
  239. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 ちょっと答えがずれているんですね。  私は、無観客の場合にこのアプリはどうなるのかということを聞きました。
  240. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、東京大会における観客の取扱いについては、各省庁、東京都、大会組織委員会における調整会議、ここにおいて、内外の感染状況も踏まえ、今年の春までにこれを決定することになっております。  また、本アプリは、東京大会を契機に開発するものでありますが、オリンピック・パラリンピック以外の場面での活用、ここも視野に入れて、今、開発を進めてまいりたい、このように思います。
  241. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 いや、それは、この仕様書や契約書には書いていない話ですよ。それに、先ほど橋本大臣が、いや、選手は一・五万人なんですということで言われました。じゃ、無観客の場合、このオリパラ観客等向けアプリは、一・五万人の選手のためだけにこのことをやるんですか。その後何かやると言っていますけれども、まだそれは、この仕様書には何もない状況です。  実は、このアプリの問題点はそれだけじゃないんです。このアプリの問題点は、実は仕様書にはこう書いてあるんですね、十四日間の入国の待機はなしでいいんです。このアプリを入れたら、これはもう本当に神アプリだと思いますよ、十四日間の入国待機なし、ワクチン接種も必要ない。  これは、私、危なくないですかね。世界中からもし来られた場合に、変異株の流入のリスクもありますし、市中感染が更に広がるというおそれもあります。ちょっと、GoToトラベルのようになってしまわないか。テニスの今、全豪オープンでも、選手たちが二週間足止めになったり、前哨戦も試合が中止になったりしているんです。  そこで、本当にこれで感染が防げるのかという観点で聞きたいと思うんです。  総理は、東京のオリパラ大会はワクチンに頼らないオリンピック・パラリンピックだとおっしゃっています。ということは、ワクチンに頼らず、この十四日間待機なし、ワクチンなしの神アプリ、このアプリで大丈夫だというふうに考えていらっしゃるということでしょうか。
  242. 橋本聖子

    橋本国務大臣 東京大会における外国人観客の取扱いについては、コロナ対策調整会議で取りまとめた中間整理におきまして、入国時点の外国人観客の安全性を確保するため、十分なスクリーニングを行う仕組みとする、そして、入国時に外国人観客に適切な行動管理、健康管理を求める仕組みとするとともに、感染又はそのおそれがある場合に、当該ケースを迅速に把握し、適切な隔離など医療面の対応等が行われる体制を構築するなど、実効的な仕組みとする、各国の感染症状況を踏まえて、二週間隔離の維持も含め、リスクに応じた適切な防疫措置を講ずることと、考え方を提示しております。  いずれにいたしましても、外国人観客の取扱いについては、国内外の感染状況、そして我が国海外との往来に係る状況、スポーツイベントの開催状況等を考慮して、今年の春までに決定する予定であります。  先ほど、選手の数は全体で一万五千人程度ということでありますけれども、さらに、そこにはこれから監督やコーチや関係者ということになりますので、まだそれは、この春までにどのように決定していくかということになります。
  243. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 いや、この契約書と仕様書には、入国後十四日間の自宅待機は事実上困難だからこのアプリを入れる必要があると言っているんですね。  確認ですけれども、この神アプリがあったら、待機なし、ワクチンなしで入国できるということでよろしいですか。
  244. 橋本聖子

    橋本国務大臣 今、中間整理、取りまとめをしているところですけれども、コロナの分科会あるいはコロナ感染症対策の調整会議の中で、専門的な知見も踏まえながら、国内外の感染状況も踏まえて、今後、海外の観客について、三月、春までに決定をするということで、今検討中であるということです。
  245. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 今いろいろな状況が考えられる中で、この道しかないみたいな形でアプリ開発に前のめりになるって、本当に危ないと思うんですね。国民の安全や健康が後回しになるとか、今までのデジタル政策を見たら、これは私、無駄遣いになるんじゃないかと本当に心配しているので、これからも追っていきたいと思います。  次に、オリンピック多様性のことについて少しお話をしたいと思っていまして、東京大会はどういう形になるのか、ちょっとそれはおいておいても、この大会を契機に日本が本当に多様性のある社会に変わる、そんな契機になってほしいと私は切に願っています。  というのも、私は、レズビアン、女性の同性愛者の当事者であります。日本で初めて、同性愛であるということを公表し、そして政治家に、政治の場にい続けているということです。ずっと議論で多様性と調和という話を聞いているたびに、その多様性に、本当にLGBTQのことは入っているんだろうかということを疑問に感じております。  そのことについてお聞きをしていきたいと思いますが、まず、総理、LGBTQの当事者と会ったり話したりされたことはありますでしょうか。
  246. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 あります。
  247. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 どんな話をされて、どういう立場に置かれているというふうに聞かれたでしょうか。
  248. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 大分前ですけれども、その方が、トイレとか、そういうところで大変不便を生じているので、何とか公共のものについてはそうしたことができないかという、そういう相談を受けたことがあります。
  249. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 恐らくトランスジェンダーの方のトイレ問題の話を聞かれたんだろうなと思います。ただ、LGBTQというのは、もっと多様な性的少数者の方々の総称でして、ほかにもやはり、いろいろな生きづらさというのを抱えております。  私自身も、例えば府議会議員としてカミングアウトしたときは、実名で公表するということは、私にも家族、父や母がいます。そうすると、いきなりレズビアンの娘を持つ父になり、レズビアンの娘を持つ母になり、地域や職場で、何かまるで悪いことをしたかのように、本当に小さくなって生活をしなければいけなかったとか、当事者自身もこの日本社会で生きていくというのは本当に厳しいものがあります。  カミングアウトを、実は多くの方はできていません。それはなぜかというと、やはり、それによって何かしら差別があるんじゃないかとか、そして、何よりもまず、この日本社会においては、自分自身が当事者かもしれないと思った人たちは、自分自身を受け入れられないんですね。自己否定。そして、こんな自分は一人なんじゃないか、この社会の中でという中で、本当の生きづらさがある。  例えば、ゲイ、バイセクシュアル男性で自殺を考えたことがあるという方は七割いるんですよ。自殺しようとした人の割合も一四%。でも、この国会はどうかというと、LGBTは生産性がないというような投稿をしたり、LGBTばかりになったら国が潰れるとか、そういう発言をされるんです。否定されながら生き続けることがどれだけつらいか、総理、分かりますか。  だからこそ、このオリンピック・パラリンピック大会を契機に、あなたの居場所がここにあると言いたいんです。そうするためには、やはり私は法制度が必要やと思うんです。同性婚やLGBTに対する差別解消法、これが全くない状態になっています。  今日は本当は法制局さんに来てもらって同性婚の話をちょっとしたかったんですが、もう時間がないので、まず総理にお聞きしたいと思います。  総理、私、二年前に、官房長官だったときに同性婚の話をさせていただいたときに、想定をしていないというお答えをいただいたかと思います。なので、それを前提にお聞きしますけれども、例えば、総理のお子さんやお孫さんが仮に当事者だったとして、同性のパートナーと一緒になりたい、結婚したい、そう言われたら、総理は何とお答えになるでしょうか。
  250. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 そうした方がいらっしゃることについては私も承知をしておりますが、仮に、自分の家族というんですかね、そういう状況にあったとしても、当事者双方の性別が同一である婚姻の成立を認めることは、まだ我が国では憲法上想定されていないわけであります。  そういう中で、同性婚を認めるか否かについては、我が国の家族の在り方の根幹に関わることでありますので、極めて慎重な検討をする必要があるだろうというふうに思います。(発言する者あり)  やはり、極めて慎重な検討を要するということになるだろうと思います。
  251. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 それは、子供が同性愛者であるということを受け止めるということなのか、受け止めないということなのか、どちらでしょうか。
  252. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 仮のことについてお答えすることは控えますけれども、非常に複雑な心境の中で、やはり、検討に検討を重ねる、そういう立場になるだろうというふうに思います。
  253. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 複雑な心境。実は、そういう複雑な心境になっている当事者はたくさんいます。そして、その当事者がこの国で生きてもいいんだと思えるためには平等な権利が必要で、オリンピック・パラリンピックはそれを実は日本政府に求めています。オリンピズムの根本原則にわざわざ性的指向が入ったのは、そういうIOCの意味があるんだということをもう一度かみしめていただきたいと思います。  最後、ちょっと、介護の話だけ少ししたいと思います。  実は、総理、この衆議院の予算委員会の中で、総理、私は調べたんですが、医療従事者の皆さんにはねぎらいの言葉があるんですが、介護従事者に関してはこの予算委員会でゼロ回です。今、コロナの中で、この一年、旅行にも行かず、忘年会も新年会も飲み会もせずに頑張っている介護従事者に対して、まず一言、言葉をいただきたいと思います。
  254. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず議員に申し上げたいんですけれども、私ども、コロナの中で発言するとき、必ず、医療従事者の皆さん、また介護の皆さんという、そういう中で挨拶させていただいていますことは是非御理解をいただきたいというふうに思います。  その上で、やはり介護現場の皆さんについては、新型コロナの感染が続く中にあっても、介護サービスを必要とする高齢者のために、強い使命感を持って献身的に御努力いただいていると承知しており、深く感謝を申し上げたいというふうに思います。  そうした意味合いもありまして、前回の改定率を上回る、介護報酬につきましてはプラス改定を政府としてさせていただいたことも是非つけ加えさせていただきたいと思います。介護の皆さんから私も要請も受けまして、現場がいかに大変かというお話を伺う中で、そういうプラスの改定をさせていただきました。
  255. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 プラスと言うても〇・七%ですし、ちょっと最後、ワクチンなんですけれども、介護従事者の、施設の人しかワクチン優先順位になっていないんですよ。実は、半分の在宅の人たちは一般の人と同じである。  総理、もし、介護関係者の方、本当に頑張っていただいている、同じようなリスクの中で頑張っていただいているのであれば、ワクチンの優先順位も施設の方と同じにすべきじゃないでしょうか。
  256. 田村憲久

    ○田村国務大臣 考え方の中で、まず、重症化される方々というのは優先するというのは、もうこれは御理解いただいておると思います。  医療関係者、介護従事者、その中で介護従事者は、施設関係者、従事者ということになっております。  これはなぜかというと、施設の場合、ひと方、感染者が、そこでお預かりになられている方が出たにしても、クラスターが出たにしても、しっかりとそこから介護をやっていただかなきゃいけない、従事者の方々は。つまり、そこから代わるということはできないわけでありまして、その後も、クラスターの中、感染防護しながら、言うなれば、しっかりと対応いただかなきゃならないということがあります。  一方で、在宅等々に対して訪問をされる方々は、場合によってそういうことが出た場合には、自ら、誰かが出た場合には、事業者が代わるでありましょうしというようなことがございまして、言うなれば、マストでその施設で対応いただくという意味からすると、やはりワクチンを打っていただいて頑張っていただかなきゃならないということでございますので、ここは優先をさせていただいておるということであります。
  257. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私は介護現場で働いていましたから、今の大臣の答弁は現実を見ていません。訪問介護事業者は、今、求人倍率十五倍で、人が全然いないんです。代わりはいません。  あとは委員会でやりたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  258. 金田勝年

    金田委員長 この際、阿久津幸彦君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。阿久津幸彦君。
  259. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立憲民主党・無所属の阿久津幸彦でございます。  総理、早いもので、本日で菅政権発足百五十五日目ということでございます。おめでとうございます。  米国のマスコミは、最初の百日間はハネムーン期間といって、余り批判もせずに大切にしてくれるそうなんですけれども、それ以降は日本と違ってかなり厳しい、辛辣なことを含めて批判も受けるというふうに聞いております。  そこで、総理、今日までの百五十五日間の総理としての自己採点は何点ぐらいになりますでしょうか。判この廃止やデジタル庁、GoToトラベルキャンペーン、今日はワクチンの接種もございましたよね、などでいろいろなことをやられたと思うんですけれども、その自己評価を伺いたいと思います。
  260. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 自分のことを自分で評価すべきじゃないというふうに思います。いずれにしろ、やるべきことを行って、結果として国民の皆さんに御判断をいただくんだろうというふうに思います。  私自身は、自民党総裁選挙の際に公約に掲げました、例えば不妊治療の保険適用化、これは予算措置をしっかりとさせていただきました。また、携帯電話の大幅な引下げ、こうしたことも、それぞれ大手三社がようやく競争できる環境はつくったということに思っています。それと同時に、やはり日本経済の成長戦略としてのカーボンニュートラル、グリーン、デジタル、これを日本の成長の両輪にしたい、そういう思いの中で取り組んできておりますと同時に、そして、何といっても最優先はコロナの感染拡大の防止をする、これについてもいろいろな御批判をいただいておりますけれども、そういう中で、やるべきことは一つ一つ着実にやってきた今日だというふうに思っています。  いずれにしろ、国民の皆さんの御判断を仰ぎたい、こう思います。
  261. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 それでは、念のための確認になるんですけれども、今やるべき、総理として立ち向かうべき最優先する課題は何でしょうか。念のため伺わせてください。一言で。
  262. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 コロナの収束です。
  263. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 コロナの収束ですということでございます。  それで、総理も御記憶にあると思うんですけれども、二月二日の総理記者会見のときに、イギリスの軍事専門誌のジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー東京特派員の高橋浩祐さんが最後に総理質問されたと思うんです。簡単に言うと、三つ質問したと思うんですね。なぜ日本でワクチン接種の開始が遅れたのか。それから、技術立国日本がなぜ自国でワクチンを開発できなかったのか。他国と比較してPCR等の検査数がなぜ少ないのか。  答えの方を先に申し上げると、ワクチン接種の開始でいうと、日本はG7、先進七か国で七位です。それから、OECDでいうと、三十七か国中三十三位になります。それから、PCR検査、人口比当たり百三十八位でございます。  冬場を迎えて、ワクチンの調達、接種、それから感染拡大の防止、これが最優先のやるべきことだったはずなんですけれども、これらの今のコロナ関係、ワクチン含めて、状況をどんなふうに御覧になっているでしょうか。     〔委員長退席、山際委員長代理着席〕
  264. 田村憲久

    ○田村国務大臣 先ほどワクチン接種は総理からお答えがあったわけでありますが、基本的に感染者が少ないという中で、要は、日本で治験というものがなかなか欧米のように進まない。一方で、人種差がありますから、一定程度治験をやらなきゃいけないと同時に、あと、つけ加えるならば、日本の国は、今までのワクチン行政の歴史から、非常に国民の皆様方がワクチンに対して慎重であられるということもございます。そういうことがあります。  それから、もう一点、PCR検査でありますが、一方で、人口当たりの感染者数というものがありまして、それを見ると、感染者数、アメリカ、人口当たりで見ますと……(阿久津委員「いや、もうそこは結構です、聞いていないから」と呼ぶ)いや、今言われました、PCR。  つまり、PCR検査がなぜ少ないかというのは、感染者が少ないからということで、感染者と比してみますと、欧米と日本とでは大体同じような比率になってくるということでございますので、それが一つの答え、まあ、ほかにもありますけれども、一つの大きな答えであります。
  265. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立憲民主党が批判だけではなくて提案もしているということを、ちょっとこちらの表を見ていただいて、説明はしません、見ていただければというふうに思っております。  それで、今のところをちょっと触れれば、ワクチン接種が遅れた理由は、新薬審査体制ができていないからだと思います。それから、技術立国日本日本でなぜ独自のワクチンを開発できないのか。これは、ワクチン開発企業が減少していることと、規模が圧倒的に小さい、スケールメリットの問題だということを考えております。  それで、ちょっと話をそのまま進めていきますけれども、ワクチン接種を見据えたコロナ収束に向けての見通し、これをやはり国民は聞きたいんですね。例えば、いつまでに何人ワクチン接種を終えて、どうコロナを収束させるのか、そもそも感染者数が何人になればコロナ収束とみなされるのか、そこのところを総理にお伺いします。
  266. 田村憲久

    ○田村国務大臣 シュウソクということの言い方なんですが、完全に終わるという意味からすると、それはもう新型コロナウイルスというものがそれほど健康に対して脅威にならないというときに終息ということになるんだと思います。一方で、一定程度収まるという意味の収束であるとすれば、一定程度収まれば、緊急事態宣言等々、これはベッドの数等々、つまり、言うなればベッドの使用率も関係しますが、そういうような五つの指標を見ながら、それは一定の収束の下で緊急事態宣言の解除ということになるというふうに考えております。
  267. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 まるで守護神のように、私が質問すると、ぺらぺらぺらっと詳細に、お詳しいですからね、田村大臣、お答えになる。これは私は、国民から見ると、易しい言葉で、アバウトでいいんですよ、アバウトで、国民に向かって菅総理が直接答えてほしいんです。  どうですか、見通し、今後のコロナの。どうやって収束させる、意気込みだけでも結構です。
  268. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、今年の年明けに緊急事態宣言を十三ですか、の地方自治体で行わせていただきました。その中で……(発言する者あり)大変失礼しました。十一の地方自治体で行いまして、今、宣言を発してから、当時、全国で七千五百人ぐらい新規陽性者がいたのでありますけれども、今は千人ちょっとのところまで、緊急事態宣言で国民の皆さんに御協力いただき、そしてまた、特に飲食店の皆さんには時間短縮に御協力いただき、多くの皆さんのおかげさまで、ようやく感染者が減少をし始めてきています。  そして、今日からワクチンの接種が、まずは医療関係者間に始まりました。そして、四月には高齢者の皆さんに接種が始まる。そうしたことが、現実に接種が国民の皆さん高齢者の皆さんに始まってくると、その接種を二回行うわけでありますけれども、そういう中で、世界の例を見てみますと、一つの方向性というのが見えてくるのではないかなというふうに思っています。
  269. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 総理、朴訥に話されるのは決して悪いことではないと思うんです。ただし、何度も何度も、そういう方の場合は国民に話された方がいいと思うんですよ、私。国民は総理の言葉を待っているんですよ。総理に直接、コロナの見通しがどうなっているのか、どうやれば収束するのか、ワクチンは大丈夫なのか、副反応が出たときにどうしたらいいのか、そういうのを厚生労働大臣じゃなくて総理から聞きたいんですよ。だから、是非そこのところをよろしくお願いいたします。  次に、ワクチンに関係する外交について少しお話をします。  総理は、首脳間の個人的な信頼関係の構築について、極めて重要だというふうにおっしゃっていますよね。その首脳間の個人的な信頼関係なんですけれども、ファーストネームで呼び合える世界の首脳、何人ぐらいいらっしゃいますか。
  270. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 お互いに確認をして呼び合っている首脳が三人であります。  ちなみに、バイデン大統領についてはジョー、豪州の首相についてはスコモ、そして、昨日イギリスのジョンソン首相と電話会談いたしまして、そこでお互いにこれからファーストネームで呼ぼうということで、ボリス、こういう形でまず進めていきたい、こういうふうに思っています。
  271. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ジョーとヨシというんですか。それも結構だと思うんですけれども、やはり、直接本当は会って、しっかりときずなを深めたいですよね。今、コロナ禍ですから、いろいろ難しい部分はあると思うんですけれども。  総理、それでは、バイデン大統領とは二度の電話会談をしていると思うんですけれども、コロナワクチンの調達や接種などについて、何分間話して、どんな約束を引き出せたのか、その内容をお伝えください。
  272. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 詳細について申し上げることは控えたいと思いますけれども、ただ、やはり最初の課題として、このコロナウイルス対策そして気候変動問題、こうしたことについて、最初にこの二点について話をさせていただいて、あとは、日本の尖閣を含む外交安全保障、こうしたことについてもお互いに、短時間でありましたけれども、一回目、二回目の中で基本的な政策は一致することができたというふうに思っています。
  273. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 総理、私の手元に外務省の電話会談の概要があるんですけれども、それを見ると、総理バイデン大統領との電話会談、これを見る限りは、コロナに関しては総理はほとんど何もおっしゃっていないんです。正確に言います、正確に言うと、日米でコロナに関して緊密に連絡は取りましょうということは、一回目の会談、二回目の会談、両方ともおっしゃっているんです。それで、コロナが落ち着いたら会いましょうということも言っているんです。だけれども、それ以上おっしゃっていない。  例えば、米国のファイザー社やモデルナ社のワクチンについて、一言も触れていないんです。今日、午前中の質疑の中で、長妻昭議員の方から、ワクチンについて現物の確保に不備があったのではないか、そういう質問がございました。現物の確保のお願いも、これで見る限りはしていないんですよ。  それで、変異株への有効性確認も全くされていないんです。イギリスのボリス・ジョンソン首相とも昨日電話会談されていますよね。変異株については何か話されたんですか。総理総理が話したんですから、総理、お願いいたします。
  274. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 コロナについては、お互いにしっかりした情報提供をしながら連携し取り組んでいこう、そういうことの話をしました。
  275. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 総理、それでは答えになっていないんです。  例えば、イギリス、ボリス・ジョンソン首相とは、アストラゼネカ社のワクチン調達の件で、アフリカ等で変異株への有効性はどうなっているんだ、そのぐらい聞いてくださいよ。聞いていないですか。     〔山際委員長代理退席、委員長着席〕
  276. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 今、昨日の電話会談の内容をやはりつまびらかにはすべきじゃないと思います。  ただ、申し上げましたけれども、先ほど、情報というのは、まさにコロナの変異株がどんどんどんどん増えているわけでありますから、それは情報交換をしっかりして協力していこう、そういう話はしっかりしました。  それと、外交ルートでそこは、アメリカともそうですけれども、イギリスともしっかり、事前事後、ここをしっかり外交ルートの中で詰めて、それを私自身も報告を受けています。
  277. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 この外務省からの概要を見ると、意外に詳しいことが書いてあるんですよ。例えば、中国の海警法を含め、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試み及び香港、ウイグル自治区の状況についての懸念を共有し云々かんぬんと書いてあるんですよ。結構オリンピックについても詳しく書いてあるし、カーボンニュートラルについても、総理、昨日話されていますよね、詳しく書いてある。だけれども、コロナについては、「ジョンソン首相から、新型コロナ対応も含め、二国間及び多国間で日英協力を深化させたい旨の発言がありました。」以上なんです。  私は、これはやはりコロナが最重要課題ですよね、コロナが最重要課題であるならば、各国首脳と、今は電話でもしようがないけれども、もっとコロナについて情報交換して、変異株についても情報交換していただいて、そしてその内容をしっかり相手に伝えていただきたいんですが、いかがですか。伝えていないんですか。
  278. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 どういうレポートが出ているか知りませんけれども、私自身は、コロナについては、先ほど申し上げましたように、一番最初に課題として取り上げています。そこで、これは変異株になるわけですから、この情報についてはしっかりした情報交換をしながらお互いに進めていこうという、そこはしっかり行っています。  いずれにしろ、そこのレポートというのは、お互いの戦略の部分について書かれているんじゃないでしょうか。
  279. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私が今やり取りをさせていただく限りは、大変失礼ですけれども、コロナ外交ができていない、そう言わざるを得ない、そういうふうに私は思います。  関連しますので、もうちょっと具体的な話をしたいと思います。  経済と暮らしの部分で、今国民はかなり窮乏している、かなり厳しい状況に追い詰められています。総理の地元の神奈川も秋田も、私の住む板橋区の商店街などもそうなんですけれども、かなりぎりぎりのところまで来ています。  そんな中で、ちょっと私、手紙をいただきましたので、その手紙を拝読させていただきたいと思います。  私は、一月二十九日に菅総理と面会し、会社からも国からも補償が受けられていない大企業非正規労働者の現状を訴えました。その中で、総理は、今ある制度では駄目ということなんだよねと聞かれ、また、自分が話を聞いたのだから、きちんと対応できるよう検討するとおっしゃってくれました。総理からの前向きな対応を受け、今後に期待していました。  翌週二月五日に、大企業非正規も休業支援金の対象にというニュースを受け、喜び、安堵しましたが、蓋を開けてみると、昨年四月から六月まで三か月間のみ。総理、話が違うじゃないですか。私たち労働者は、企業規模など関係なく同じように働いています。なぜ補償からこぼれ落ちている全ての方を対象にしてくれないのか。  私の職場の仲間には、雇い止めや解雇におびえ、闘うことができない女性がたくさんいます。そして、目の前の生活に精いっぱいで、声を上げることすらできない。知人の同僚の方では、昨年五月と十二月に自らの命を絶った方が二人います。こんなことが起こってよいのでしょうか。昨年一年間で女性の自殺者が八百八十五人も増えたことは異常だと思います。独身の方も子育て世代の方も高齢の方も、支援からこぼれ落ちることで孤独を感じ、未来に絶望します。立場の弱い女性が犠牲になっています。  平時でも精いっぱいなのに、一年も続いているコロナ禍です。今や四割を超えると言われている非正規労働者、その大半が女性です。私は、声を上げられず苦しむ方々の思いを背負い、数十万人の代表として動いています。どうか、昨年四月から現在に至るまで対象期間を拡大し、しっかり八割で補償されるようお力をおかしいただけますよう、よろしくお願いいたします。  これは総理も会われた女性です。総理は、いい答弁、その女性に対してされていたんですよ。いかがでしょうか、この問題。
  280. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 まず、企業の雇用維持の取組については、雇用調整助成金の特例措置を講じて休業手当の支払いを支援するというのが、これが基本です。  その上で、大企業においても、新型コロナへの対応が長期化する中で雇用維持の支援策を更に強化する必要があると考え、大企業に雇用されて休業手当を受け取りづらい勤務形態の方も休業支援金の対象にすることを、私、指示しました。  この特例は、原則として緊急事態宣言下の一月八日以降の休業が対象だと思いますが、状況に応じては昨年に遡って支給することとし、昨年の四月から六月までの支給率、ここは、当時の大企業に対する雇用調整助成金の助成などを踏まえて決定をさせていただきました。  詳細については厚労大臣から答弁させます。(阿久津委員「今の総理のお言葉で結構です。時間だから結構です」と呼ぶ)
  281. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。総理、是非もう一工夫していただいて、使いやすいようにすることをお願いいたしまして、質問とさせていただきます。  ありがとうございます。
  282. 金田勝年

    金田委員長 この際、田嶋要君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田嶋要君。
  283. 田嶋要

    田嶋委員 立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。菅総理、どうぞよろしくお願いいたします。  午前中から長丁場でございますが、今日は、ある意味、非常に重要な日でございます。ワクチンの初日ということが朝から言われておりました。引き続き、第三波が収まっても、仮に収まっても、医療現場は大変だと思います。医療関係者の皆様、介護関係者の皆様、現場で御奮闘いただいておられる全ての皆様に、私からもまず御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。  そこで、今日は、ワクチンあるいは新型コロナにひもづけながら、経済政策を中心に菅総理にお尋ねをしたいというふうに思います。できる限り総理自らのお言葉でお答えをいただきたいと思います。  総理、今、日本の景気はいいですか。
  284. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 いい分野もあればそうでない分野もあるというふうに思いますし、それぞれの分野の格差が出始めてきているのかなというふうに思っています。
  285. 田嶋要

    田嶋委員 格差とおっしゃいました。  御自身の御出身の秋田はどうですか。
  286. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私は、地方の消費が、地方が元気がよくならなければ、この国全体はよくならないと。そして、消費額も、東京を中心とする首都圏は三割で、七割は地方ですから、ですから、地方で消費が増えて、そして所得を引き上げる、そうした政策を、ここは国会議員になってからずっと訴え続けてきました。
  287. 田嶋要

    田嶋委員 よくなっていないという意味でしょうね、今の御答弁は。要するに、秋田を始め地方の経済はまだまだ厳しい、格差が大きいということをお認めになられました。  次の質問です。  昨日の日経新聞一面トップは何だったでしょうか。三万円を超えてきた。日経平均ですか、三万円を超えてきた、そういうニュースが流れているわけでありますが、総理、感想をお尋ねしたいと思います。
  288. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 株価の動向については、経済企業の活動を背景に、様々な要因によって市場において決まるものであり、その水準に一つ一つコメントすることは差し控えたいと思います。ただ、一般に、株価の上昇は、消費や投資、その活性化を通じて経済に好ましい影響を与える面もある、このように承知をしています。  実は、八年前、政権交代をしたとき、経済政策日本経済は極めて厳しい状況でありました。そういう中で、経済再生を最優先にアベノミクス、安倍前総理の下で私ども全力で取り組んできました。そういう意味で、新型コロナウイルス流行前のGDPというものは、名目、実質とも過去最高まで行ったというふうに思っています。そして、人口減少する中で、逆に働く人口を四百万人増やしたことも事実だというふうに思います。  そして、私、何よりもうれしかったのは、二十七年間下落し続けた地方の地価が、二十七年ぶりに上昇を見始めたわけであります。しかし、今、残念ながら、このコロナによってまた元に戻るような状況になっています。  ただ、株価というのは低いよりも高い方がいいに決まっていますし、やはり国民の皆さんの年金の運用とか、そういう意味においては大きな成果を上げているというふうに思っています。
  289. 田嶋要

    田嶋委員 おっしゃるとおり、官房長官として、二〇一二年から長らく政権の中枢におられます。その間、アベノミクス、まあスガノミクスとは余り言われませんけれども、いずれにしても、この期間の経済状況、言ってみれば株がこれだけ上がった、三万円を超えてきた。これは、アベノミクスとその後継者である菅政権の成績表として非常に誇らしい思いである、そういう理解でよろしいですね。
  290. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私ども政権奪還した当時の株価そして為替、そうしたことを見るときに、やはり三万円というのは目標の目標のまた目標でありましたから、そういう意味で、三万円を超えたということには感慨深いものがあります。
  291. 田嶋要

    田嶋委員 一つの達成だということだというふうに理解をいたしました。私も、株価が上がるか下がるかどっちがいいかと言われれば、それは上がった方がいい、そのように思います。  ただ、今、多くの方々が、ちょっと異常じゃないかと言い始めているのが事実だと私は思います。上がるのは望ましい、実体経済を反映して株価が上がってきているのか、格差は大丈夫か、総理おっしゃったとおりです。  その点はいかがですか。もうバブルに入っているのかもしれない、そういう声もございますよ。実体経済と乖離が広がっていませんか。
  292. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 先ほど来申し上げていますけれども、株価の動向については、経済企業の活動を背景に、様々な要因によって市場で決まるものだというふうに考えております。ですから、その水準の評価については申し上げるのを控えますけれども、ただ、低いよりは高い方がそれはいいに決まっています。  また、実体経済ですけれども、先日発表されました昨年十月から十二月のGDPは、前期比で一二・七%の成長でありました。そういう意味で、持ち直しが見られていることもこれは事実じゃないでしょうか。ただ、足下では、感染が今減少傾向であり、これまで三次補正のそうした政策効果もあったというふうに思っています。  こうした中で、引き続き、内外の下振れリスク、これは今いろいろ御指摘がされています。そうしたものに十分に注意しながら、そこはしっかりとした経済運営を行っていきたい、このように思います。
  293. 田嶋要

    田嶋委員 今日午前中、与党委員質問の中で、コロナ危機の後に本当の危機があるんじゃないかと大変心配をしているという、私は正しい指摘だというふうに思います。  また、今の株価、三万円を超えてきている理由が、実体経済がよくなって株が上がっていく、そういうことであれば安心だと思います。しかし、最近のこの急激な上がり方。そして、何よりも、買いたいと思う人が自分の判断で買っている人ばかりじゃなくて、政府が日銀を通じてお金をつぎ込んでいるじゃないですか。これはもう公知の事実ですね。当然、総理はそのことを御存じだと思います。  今日は、専門家である黒田日銀総裁は来ていただいておりません。あえて、テレビの前の国民の皆様に、一体どうなんだそこは、そういうことをはっきりと総理の御理解の下で御説明をいただきたいんです。大丈夫か日本、こんなに株価が過熱して大丈夫か、そういう声が広がっているんです。  ちなみに、ETF、そういうお金を三十五兆円以上入れているというふうに理解をいたしておりますが、一人十万円の給付金を今コロナで配っていますね。日本中の国民に配ると幾らかかりますか。これはお尋ねしません。十三兆円ぐらいかかるはずですね、掛け算すれば。その十三兆円の特別給付金、その三倍ものお金をずっと、安倍政権と菅政権の間にマーケットにつぎ込んでいるんですよ。  これって普通じゃないですよね。世界の中でもこういうことをやっているのは日本だけだ、こういう話がずっと言われているじゃないですか。  健全に育っているマーケットはいいですよ。優れたベンチャーがどんどん生まれてきて、それでみんなが期待して、日本に自信を持ってやるならいいけれども、支えているじゃないですか、公的なお金で。まさに官製相場ですよ、これ。これは本当に大丈夫ですか。恐ろしい状況に近づいているような、そこはかとない不安が広がっている。自助、共助、公助、本来だったら自分の判断でやるべき自由主義のマーケットに一番公助が入っているじゃないですか。三十五兆円ですよ。どうですか。
  294. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 この日銀のETFですけれども、黒田総裁は、経済、物価を好転させるための全体の金融政策の中の一環で行っている、株価の上昇を目的としたものではない旨、度々申し上げていることも事実だと思います。  金融政策の具体的な手法については、これは日銀に委ねるべきだと思いますよ。そして、今後とも日本銀行には新型コロナ経済への影響を踏まえて適切な金融政策の運営を行ってもらいたい、このように期待をしております。
  295. 田嶋要

    田嶋委員 二月五日の予算委員会で、この場で黒田総裁は何とおっしゃったか、読み上げます。  日本銀行のETFの買入れの効果は、いいですか、よく聞いてください、企業や家計のコンフィデンスが市場の不安定な動きに応じて低下するということのないようにする、そのためにそういうことを通じて企業や家計の前向きな経済活動をサポートすると言っているんですよ。これは当然、株価を押し上げるために金を出しているということじゃないですか。違いますか、総理
  296. 金田勝年

    金田委員長 麻生太郎財務大臣。(田嶋委員総理が立っています」と呼ぶ)手を挙げたのを指名したのです。その後、総理から聞きます。(田嶋委員「時間がなくなっちゃう」と呼ぶ)  手を挙げられたのを指名したのです。  麻生大臣、お願いします。
  297. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 今、繰り返しになろうかとは思いますけれども、金融政策の具体的な手法の話ですから、これは基本的には日銀の話であってね。やはり、日本銀行のおられないときに言われてもなかなか難しいことだとは思いますけれども、具体的な政策というのは日本銀行に委ねられるべきもの、まずこれが第一点だと思います。  その上で申し上げますけれども、このいわゆるエクスチェンジ・トレーデッド・ファンドという、ETFというものを買い入れるというものは、これは株式市場というもののプレミアムリスクへの働きかけを通じていわゆる経済とか物価とかプラスに影響を及ぼすということが目的であって、株価を目的に行っているというものでは全くない、これは繰り返し言われているとおりです。  また、現時点で、いわゆるこのエクスチェンジ・トレーデッド・ファンドというものを買入れを含みますこの金融緩和策の出口戦略に、いろいろ言われる方も世の中にはいらっしゃるんですけれども、そういったものでは時期尚早等といろいろなところが述べておられますので、この話に関しましては、御疑問の点が分からないわけではありませんけれども、私どもの立場としては今申し上げられるところであります。
  298. 金田勝年

    金田委員長 総理、補足はありますか。いいですか。
  299. 田嶋要

    田嶋委員 余り横文字を使われると、国民は分かりにくいんですよ。  今日の午前中も、与党議員からも、出口は相当難しいという話がありましたよ、やはり。これは、みんな心配している。  三十五兆、四十兆となんなんとするお金をつぎ込んで、じゃ、これは誰を幸せにしているんですか、誰の得になっているんですか、これだけのお金をつぎ込んで。秋田の皆さん、みんな投資しているんですか、こうやって。どうなんですか、総理
  300. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 株高というのは、まず、株式は幅広い層が所有していることも事実じゃないでしょうか。そしてまたGPIF、これの運用によって年金資産も運用をされています。こうしたことを考えたときに、株式の上昇というのは国民に幅広く恩恵があると思いますよ。  いずれにしろ、まだまだこれから、最低賃金の引上げとか、いろいろな課題はありますけれども、現状の株高というのは、私が申し上げましたように、国民に幅広くというふうに思っています。
  301. 田嶋要

    田嶋委員 申し上げたとおり、私は別に、株価が上がることはよくないことだと言っていませんよ。もちろん、それは全体としてはいいことだと思うんです。ただ、誰が一番得をしているんですかと。  今お配りのこの資料を御覧ください、このグラフを。これはよく予算委員会でも取り上げられる資料ですね、グラフですね。政府は、日銀を通じて三十兆、四十兆のお金を市場に入れているだけじゃなくて、制度としてこうやって応援しているんですね。このグラフはよく御存じだと思います。一億円までの合計所得の方は大体、所得の額とともに税率が上がる。しかし、この頭の、天井が二八・二%、そこよりも稼ぐ人、特に株式で利益を得ている人たちの税率がどんどんどんどん落ちている。これは日本の昔から言われている問題ですよ。  こういう状況にあったら、今、コロナで苦しんでいる御商売の方々、お店を閉じなきゃいけない、そういう苦しい状況にある方、学校に行きたくても学校が開いていない方々、子供の学校が突然閉まってしまって右往左往するお母さん、お父さん方、どう思いますか、これ。  要するに、国を挙げて強い人たちを応援する仕組みになっちゃっている。本当に今コロナで苦しんでいる方々には全然支援が十分届いていないのに、片っ方でこういう国になっているんですよ。こういうことでいいんですか、総理
  302. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 その考え方は、私、一方的だと思いますよ。株高になって恩恵を受けているのは幅広い国民の皆さんじゃないでしょうか。  私たち政権交代をしたとき、当時はたしか株価が八千円台だったと思いますよ。為替が八十数円でした。そういう中で、企業年金の運用は大幅な赤字だったんです。そして、年金そのものを解散しなきゃならない、そんな状況だったと思いますよ。  当時から比較して、私ども、何としてもそうした現状を変えたいということで取り組んできました。  今、この株価によってGPIFの運用益、七十数兆円出ていますよ。これは国民の皆さんの財産になるわけですから。さらに、企業年金も、当時、たしかマイナス三十兆円ぐらいあったと思いますけれども、これも、今、倍ぐらいになっていると思いますよ、黒字に。やはり、そうしたことが国民の皆さんの将来の年金に返ってくるわけでありますから、経済を拡大をさせよう、経済再生最優先、まさに安倍前総理のときに、私は、政権交代をしたときに、そのことを最優先に、今、取り組んできています。  今、この三万円を超えた株式についていろいろな意見がありますけれども、そこは常に、慎重さも考えながら、しっかり経済運営というものは私自身行っていきたいと思います。
  303. 田嶋要

    田嶋委員 るるおっしゃいましたけれども、どれもまだ実現していないことなんですね、これは。株価の数字上の話を今なさっている。  しかし、これ、午前中の議論と同じですよ。非常に危うい状況に、危険水域に入っているんじゃないですか、多くの人がそのように心配している。一寸先のことは本当に分からないですよ。かつてのバブルだってそうだったじゃないですか。そういう危ない橋を渡り続けているアベノミクスとその後継、こういうことを続けていていいのか、出口はあるのか、こういう議論がずっと続いているんですね。与党の皆さんからも御賛同いただけると私は思います。  まさに公助によって財テクを行っているような運営は考え直した方がいい。本当の意味で強い企業を育てる、実体経済を支援する政策を中心にやっていただきたいというふうに思います。  そして、もう一つ予算委員会で与党の先生から取り上げられたこと、幸せ度ということですね、幸福度、このことに関してお尋ねします。  デンマークと比較をしているのは、幸福度が世界一とも言われる国だからでございますけれども、私は、株価を見て達成感を感じるような政治じゃなくて、こうした指標に関して菅政権が一生懸命改善する努力をしてほしいと思います。  御覧をいただきたいと思うんですが、幸福度の下に一から十二まで、日本の現状を表す数字を並べさせていただきました。  これ、一二年の頃は、安倍政権が始まった頃は幸福度は四十四位なんです。四十四位だった幸福度が、自民党の先生が、これは大事だ、ウェルビーイングだとおっしゃいましたけれども、この十年間で六十二位まで落ちている。  次の腐敗認識指数、これは要は政治と金の問題です。二〇一一年は十四位。今は十九位ですよ。それはそうですよね、総理。次から次へと起きている。北海道も、広島も、続いているじゃないですか。終わりがない。それは落ちますよ。  そして、ジェンダーギャップ。これは最近どんなことがありましたか。森会長。私たちの、二〇一〇年の頃は九十四位、それが百二十一位と、落ちまくりです。私はあの森会長の一件は今後のスタートラインにすべきだと思います。  そして、これを御覧ください、報道の自由、六十六位、十一番。これは私たちの政権のときは何と十一位です。転落しています。  このあらゆる指標が、私は、幸福度、与党の先生からも強調された、日本はこちらに軸足を移していくべきじゃないか。株価もいい、GDPもいい、だけれども、こっちが今課題じゃないですか。コロナの中で苦しんでいる人が多い。  もう時間があっという間に過ぎてしまいましたので、最後に、総理。これはやはり、今、本当に苦しんでいる方々が多い。コロナが明けたらバラ色の日本なんてやってこないですよ、やはり。こうした指標、まさに、株価じゃなくて、こちらこそが日本の今、社会を映している成績表ですよ、これが。八年間、十年間、失われた日本ですよ。そうした状況を改善していくのが最大の仕事じゃないですか、総理。どうですか。
  304. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 私の政権では、株価上昇を目指すばかりということでなくて、一人一人が最大限力を発揮し、互いに支え合い、そして助け合う、安心と希望の政治というのを私は訴えております。  まず、このためにも、まず足下の新型コロナの感染拡大を一日も早く収束をさせて、皆さんが安心して暮らしを取り戻す、そうしたことを、まさに安心を目指したいというふうに思いますし、その上で、グリーン社会の実現、デジタル化、こうした中で、さらに、農業や観光による地方の所得向上など成長志向の経済政策を進めた上で、経済を再生をさせ、国民の皆さんの未来への希望につなげていきたい、このように思います。
  305. 田嶋要

    田嶋委員 総理、今回のコロナの感染症は世界同時に起こっているんです。そうすると、政治のリーダーの優劣がはっきり分かるんです。ニュージーランドのアーダーン首相、比べてみてくださいよ、いろいろな点で。ちょっと、今日、行きませんでしたけれども。  そういうことをやはり謙虚に考えて、何が課題なんだ、この日本は。見てください、この数字。これは事実ですよ。どれ一つ、僕はもう先進国じゃなくなりつつあると思いますよ。日本、大丈夫ですか。株価だけが独歩高で、実態は伴っていないんですよ。みんな苦しんでいるんですよ。そのことを、是非、総理にわきまえていただきたい。  さっきデジタルの話も出ましたけれども、尾辻さんの質問、まあ惨たんたる状況ですよね、COCOAも。COCOAもひどい。HER―SYSもひどい。つくるものつくるもの欠陥だらけ。デジタル、大丈夫ですか。紙と鉛筆と手作業とファクスですよ、いまだに。こういう状況じゃ駄目でしょう。  そして最後に、一点、自然エネルギーに行きます。  これを見てください、十番。菅総理、見てください、十番。情けないと思いませんか、これ。情けない。デンマークは八〇%になんなんとする。世界一の洋上風力発電もやっていますよ。日本は何ですか、これは。  僕は、菅総理が、二〇五〇年カーボンニュートラル、高く評価しています。ありがとうございます。高く評価している。ただ、なぜそれが官房長官時代にできなかったのかな。なぜ前任の、菅政権の前の安倍政権からやれなかったのかな。大変時間を失いました。今、先進国から、一番低いレベルですよ、自然エネルギー。  自然エネルギーは、総理、一点だけ言いますと、資源の乏しい国日本でしょう。資源なしでやっていけるようになってくるんですよ、だんだん、これからは。燃料を輸入しなくても電気をつくれるなんて、奇跡みたいなことじゃないですか。今までずっと、十七兆円、金を使っていたんでしょう、海外に。安定的に、これからそれができる時代がやってきた。わくわくするじゃないですか。イノベーション、技術開発。連日、日経新聞に電気自動車のことが出る。そして、今日も一面トップは水素ですよ。こういうことをやっていくのが大事なことですよ。どこまで落ちてしまったんですか、日本は。  こういうことを、是非、菅総理、二〇五〇年カーボンニュートラルは評価しますけれども、余りにも遅い、周回遅れ、二周遅れ、三周遅れ。先進国から脱落しつつある、そういう危機感を持って、与党の先生がおっしゃったとおり、コロナ危機の後に真の危機がやってくる、その自覚を持っていただきたいと思います。  最後に、御答弁お願いします。
  306. 金田勝年

    金田委員長 時間が参りましたので、簡単に、一言お願いいたします。
  307. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 デジタルにしろグリーンにしろ、全く進んでいなかったじゃないですか。私自身がデジタル庁をつくると言っているじゃないですか。そして、グリーンもそうですよ。(発言する者あり)
  308. 金田勝年

    金田委員長 静かに。  時間が来ています。
  309. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 ですから、進んでいなかったことをやろうということですから、それは是非協力してくださいよ。
  310. 田嶋要

    田嶋委員 だんだん口ぶりも前任者に似てきましたよ。十年前のことを悪口を言ってどうするんですか。今のことを問うているんですよ。今の日本がひどいでしょう。今の日本がひどいじゃないですか。(発言する者あり)
  311. 金田勝年

    金田委員長 静かにしてください。  時間が参りました。
  312. 田嶋要

    田嶋委員 幸福度は四十四位から六十二位……
  313. 金田勝年

    金田委員長 田嶋君、時間が過ぎていますから、収めてくださいね。
  314. 田嶋要

    田嶋委員 終わります、はい。  幸福度、四十四位から六十二位ですよ。喫緊の課題です。是非みんなで力を合わせて、先進国から落ちていかない、安心の日本を一緒につくっていきましょう。よろしくお願いします。  以上です。
  315. 金田勝年

    金田委員長 この際、理事会の申合せにより、国土交通大臣の退席を許可します。  次に、岡本充功君から関連質疑の申出があります。長妻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。岡本充功君。
  316. 岡本充功

    岡本(充)委員 それでは、限られた時間ですから早速質問に入りたいと思います。  私は、立憲会派の最後なので、ちょっとこの間、気になった答弁、確認だけちょっとしていきたいし、追加の答弁があればいただきたいと思います。  まず最初は、昨日の衆議院の総務委員会での質疑で、原官房長、こう答えられています。調査、例の東北新社の関係者と総務省の幹部が会食していた話で、答弁、こうしています。  秋本局長、これも、東北新社の事業が話題に上ったことはないと思うというふうに言っております。それから、湯本審議官、東北新社の事業が話題に上ったことはないというふうに言っております。加えて、先ほど私申し上げましたが、相手方からもこの点について確認したところ、先ほど申し上げたとおり、通常の意見交換あるいは親睦といったことであったというふうに承知しております。  これは間違いないですね。
  317. 原邦彰

    ○原政府参考人 お答え申し上げます。  私ども、今、正確かつ迅速に調査を行ってございます。その中で、大変いろいろな御議論ございますので、大臣からも、適時適切に、その時点で明らかにできることは明らかにすべきだということで、そのように御答弁申し上げてございます。
  318. 岡本充功

    岡本(充)委員 ちょっと確認なんですが、その時点でということは、これから先、昨日の答弁は変わる可能性があるという理解でいいんですか。
  319. 原邦彰

    ○原政府参考人 仮に、異なるような事実が出てくれば、それはまたヒアリング等を行う必要がある、このように存じてございます。
  320. 岡本充功

    岡本(充)委員 そうしたら、やはり昨日のときに、昨日の答弁はそう答弁するべきじゃなくて、やはり調査中なんだから分からないと言わなきゃいけないじゃないですか。だって、こんなにはっきり答えちゃっているんですよ。  じゃ、ちょっと秋本局長、確認したいと思いますけれども。秋本局長、確認したいと思います。(発言する者あり)
  321. 金田勝年

    金田委員長 静かに、静かに。
  322. 岡本充功

    岡本(充)委員 静かにしてください。  官房長が、東北新社の事業が話題に上ったことはないというふうに言っております、こう言われていますけれども、秋本局長、東北新社の事業、これは当然スターチャンネルも入ると思いますけれども、話題に上ったことはない、これでいいんですね。こう答弁されているんですね。
  323. 秋本芳徳

    秋本政府参考人 お答えいたします。  十二月十日に会食させていただいた際に、東北新社の事業が話題に上ったことはないと思います。
  324. 岡本充功

    岡本(充)委員 それは、スターチャンネルの事業も入っているという理解でいいですか、子会社の。それでいいですね、話題に上らなかったんですね。
  325. 秋本芳徳

    秋本政府参考人 スターチャンネルの話が出たことも記憶にございません。
  326. 岡本充功

    岡本(充)委員 記憶にないものをなかなか探すのは難しいんですけれども、記憶にございませんということでありますが。  総務大臣は、これは衆議院本会議、昨日、本事案により放送行政がゆがめられたことは全くありません、こう御答弁されています。このとおりでよろしいですね。
  327. 武田良太

    ○武田国務大臣 先ほど委員の同僚の先生からも同じ質問が寄せられました。  あの時点において、やはり公務員というのは中立性、公正性というものを確実に実施する、これを大前提として存在するものだと我々は考えているんです。それを翻す具体的な事実というものが示されない段階で、その指摘に私は同調することはできませんし、組織を預かる立場として、べきではないというふうに考えております。
  328. 岡本充功

    岡本(充)委員 いや、ちょっと、べきではないとか、現時点でと言うのじゃ。それは本会議の答弁ですから、本会議で言った、議事録は正しいですね、このとおりですねということを私は聞いているんです。  だから、このとおりですよね。現時点でとかと言ったら、これは本会議の話がやはり一日で変わるんじゃ困るんですよ。答弁したんです、昨日。
  329. 武田良太

    ○武田国務大臣 別に、自らの発言したことを翻すなんてさらさら思っておりません。  その時点において、確かな、確実な事実が出ていない段階において、放送行政がゆがめられたのか、この質問に対して、はい、そうですなんて答えることはできません。それは、私のみならず、組織を預けられている方々は、当然、その価値観というものは共有できるものだと考えております。
  330. 岡本充功

    岡本(充)委員 だとすれば、やはりそれは前提をつけておかなきゃいけないです。こんな言い切っちゃ駄目なんじゃないですか。まだ現時点で調査中なんですから、現時点においてはこうですと。調査の中で何が出てくるか、それは分からないんだから、こういうふうに言い切るというのは、まだこれは時期尚早だったんじゃないんですか。やはりきちっと、本会議の答弁ですから、正確な答弁をお願いをしたいと思います。  いろいろな課題がこの委員会で質疑をされてきました。ちょっと総理、今日は、前回外務大臣に聞かれているようなので、ワクチンの話です、今度は。大丈夫です。総理、ワクチンの話ですから、冷静に聞いてください。いいですか。  大西議員が、外国にいる邦人に対して、やはりワクチン接種できるようにしてほしいんじゃないか、日本で承認されたワクチンを接種できるようにしてほしいという声があるという質問をされました。そうしたら、外務大臣が、いろいろなケース、これは想定しております、こう答えられています。  是非、総理日本人の方が海外にいても日本で承認したワクチンが、それは簡単に受けられるとは言いませんけれども、いろいろな工夫をする中で受けられる環境をつくってもらいたい、その努力をしてほしいんです。努力をするということだけでも、今すぐこういうふうにしますとは言えないと思います、努力をするということだけでも御答弁いただけますか。
  331. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 海外在留邦人の安全確保は、政府の重要な責務の一つであります。新型コロナが拡大する中、その重要性というのは更に高まっているというふうに思います。  こうした観点から、各国のワクチン接種状況、体制などについても情報収集、提供を行ってきており、個別の状況を踏まえた上で、適切に対応していきたいと思います。
  332. 岡本充功

    岡本(充)委員 重要だということでありますから、是非期待をしたいと思います。  それから、もう一つ、これも皆さんのお手元に配っていますけれども、河野大臣が、これも我が会派の議員に答えられているんですけれども、ワクチンは日本に着きましたかという問いに対して、ファイザーが責任を持つということでございますから、政府からコメントを申し上げるのは差し控えさせていただきたい、こういうちょっと何か冷たい答弁なんですけれども、当然、連絡を取り合っているはずです。昨日も記者会見で、第二便の許可が出た、EU側から、こういう話をされていました。  答えられるのか答えられないのかということはあるのかもしれませんが、この第二便、一体どれだけの量が来るかということはもう御存じですか。答えられるのであれば、お答えいただきたいと思います、河野大臣
  333. 河野太郎

    ○河野国務大臣 第二便は、恐らく来週には日本に到着すると思いますし、量については差し控えさせていただきます。
  334. 岡本充功

    岡本(充)委員 なぜそれは、だって、もうEUの許可が出たんでしょう。許可が出た分はどれだけなのかということすら答えられない、そういうことなんですか。それは、ファイザーとの契約上そうなっている、そういう理解でいいですか。
  335. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ファイザーとの信頼関係上、ファイザーから明示的に、公開していいという許可が、許可というのか了解が出るまでは差し控えております。
  336. 岡本充功

    岡本(充)委員 そのやり方だと、結局、自治体はどれだけ来るのか分からないということは続くんですね。  ちなみに、第三便はいつ頃になるかということを、ここで言えないまでも、大体は聞いてみえるんでしょうか。
  337. 河野太郎

    ○河野国務大臣 様々なやり取りをファイザーとしているところでございます。
  338. 岡本充功

    岡本(充)委員 ということは、明示的にまだ聞いていない、こういう理解でよろしいですか。
  339. 河野太郎

    ○河野国務大臣 対外的に申し上げられる状況ではないということです。
  340. 岡本充功

    岡本(充)委員 こういう状況のやり方でいくと、昨日河野大臣が言われたように、一定程度たまってからスタートするんだという考え方は、私はそれはありだと思いますけれども、しかし、一体いつ来るのかというのが分からないという声はこれから先も続くことになる。そこはファイザーと協議をして、より速やかに対外向けに言えるような、そういう交渉こそすべきではないかと思いますので、指摘をしておきたいと思います。  その上で、こうした、第一便、第二便が来るというのは、総理にはほぼ河野大臣と同時に来ているんでしょうか。それとも、それより遅れてその情報が上がってきている。どうですか、総理
  341. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 共有していますから、一致していると思います。
  342. 岡本充功

    岡本(充)委員 こういうスケジュールでやるという話で今いるわけです。  私は、すごく危惧しているのは、三月にも医療従事者への接種が始まるという。三百七十万人、接種開始して、三週間後に二回目を打たなきゃいけないときに、もう四月に入ってしまうわけですね。そうすると、河野大臣高齢者への接種と医療従事者の二回目が重なる、こういうことになるという理解でいいんですか。それとも、重ならないようにするという理解なんですか。
  343. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ワクチンの供給量にもよりますけれども、重なる可能性はあると思います。
  344. 岡本充功

    岡本(充)委員 重なると結構大変になってくると思うんです。  六十五歳以上で医療従事者の人がいないとは言えないんですけれども、このシステム、岡本事務所の方でこれは作った図でありますけれども、上が厚生労働省の従来の法律に基づく接種の管理システム、下が今回河野大臣がつくられようとしているシステムです。  医療従事者で、今回、六十五歳以上の人でも接種をする人がいるでしょう。こういった人は、これでいうと、河野大臣の方のシステムにどういうふうに載るのか、ちょっと教えてください。医療従事者の方は、予防接種台帳には載ると思います。医療従事者の方、どう載るんですか。
  345. 河野太郎

    ○河野国務大臣 医療従事者につきましては、接種する医療機関がリストを作成し、それを基に自治体が後日入力していくことになると思います。
  346. 岡本充功

    岡本(充)委員 つまり、上のシステムに載るというのは分かるんですよ。ただ、新システムで同時に見れるという仕組みには載れないと。即日に載るのが下のシステムの売りでしょう。つまり、即日には載れないという理解でいいわけですね。
  347. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ナショナルデータベースは、高齢者の接種が、これが自治体がスタートするところでございますので、それに間に合うような開発にしていきたいと思っております。
  348. 岡本充功

    岡本(充)委員 後日、情報が錯綜して、誰が打ったか打たないか分からなくならないようにするために、これは即日、接種できるシステムをつくったんだけれども、即日には載れないということでありますから、これは後で混乱しないようにしていただきたいと思います。  もう一つ、私は、提案なんですけれども、予防接種台帳に載せるのを、これは一か月単位でいろいろデータをまとめてやるのを、これを一週間でやったら大分変わると思うんですね、毎週まとめると。大変だと思います。大変だと思うけれども、国家の一大事ですと、総理が本当に一大プロジェクトと位置づけるんですから、毎週登録してもらって、毎週自治体に送って、そして、書き込むのは自治体の職員というよりアウトソーシングで外に出しているようですから、毎週、それぞれ一週間ずつでまとめていけば三週間後には載るということになるんですが、田村大臣、こういう考え方はできないですか。そうすると大分解決すると思いますよ、これ。
  349. 田村憲久

    ○田村国務大臣 御承知のとおり、これは医療機関で、各自治体に一定期間ということで一月という形の中でお渡しをして、これは言うなれば事務の煩雑ということを考えた上でそういうふうになっているわけであります。  ただ、一方で、医療機関と自治体が、例えば二週間ごとにというようなことがそれぞれできるという余裕があるのならば、それは合意の下でやっていただく分には、それは十分であろう、できることであろうと思いますが、いずれにいたしましても、こういう接種、いろいろな各自治体でやり方が違うわけでありますから、そういう中において一律にということはなかなか難しいということは御理解いただきたいと思います。
  350. 岡本充功

    岡本(充)委員 こういうのをやはり好事例で紹介していくんだと思います。やはり、一か月かかっていると今言われているものを、ここを一週間でやれるようになる、二週間でやれるようになるだけで格段に情報登録は進むし、現状の今のシステムを生かせるんですよ。  ちなみに、この新しいシステムをつくるのに、河野大臣、幾らお金がかかったんでしょうか。
  351. 河野太郎

    ○河野国務大臣 今システムを検討しているところでございますので、確定したらお知らせしたいと思います。
  352. 岡本充功

    岡本(充)委員 まだ幾らかかるかも分からない、こういう状況です。  この間、本当にいろいろな課題がこのデジタルで出てきました。COCOAの話にちょっと行きたいと思います。  今日は平井大臣、お越しいただいています、済みません。  先日、記者会見で、COCOAのOSで、iPhoneのバージョンについても、もしかしたら不具合があるかもしれないという可能性を否定していないようです。その後、どうでしたか。不具合がありそうですか、ありそうでないですか。
  353. 平井卓也

    ○平井国務大臣 iOS版で一部から指摘のあった初期化されてしまう不具合というものですが、これは次回のバージョンアップで解消されるというふうに思っています。今、厚生労働省の方で検証をしておりまして、もうしばらくしたら発表されると思います。我々もそれをフォローして、今後またいかなる事態が起きても対応できるようにしたい、そのように考えています。
  354. 岡本充功

    岡本(充)委員 いつになったら完全な、要するにきちっとしたCOCOAの運用ができるのか、厚労大臣に、めどをお聞かせをいただきたいと思います。
  355. 田村憲久

    ○田村国務大臣 委員も御承知のとおり、これはオープンソースというものを改善しながらやっていっている。という意味では、当初、厚生労働大臣、今は官房長官だと思いますが、みんなで作っていくような、そういうアプリであると。不具合、今、これ以外でもいろいろとサポートセンターに、ほかにもいろいろなのが来ております。  例えば、今回直した部分に関しても、iOS、言うなればiPhoneの古いOSに関しては、なかなかアンドロイドとまだつながらないという部分も、実はまだ改善されていません。それは新たなOSを入れていただければいいんですけれども、そういうふうに、言うなればiPhoneとアンドロイドの親和性みたいなものも含めて、いろいろなところに問題があったりしますので、出てくる問題、またサポートセンター等々にいただく御意見、そういうものをお聞かせをいただきながら、日々改善をさせていきたいと思っております。  今回のことに関しては、先ほどもお答えいたしましたけれども、委託事業者、もう早急にやっていただくということでございますので、二月の中旬頃ということでございましたので、それに向かって、向かってといっても、もう今は二月の中旬に入っておりますけれども……(岡本(充)委員「二月も中旬だよ、今」と呼ぶ)まあ、中旬も幅がございますので、その中においてしっかり対応をいただけるものというふうに思っております。
  356. 岡本充功

    岡本(充)委員 二月の中旬頃と言って、今日、二月の十七日でまだ言えないというこの状況は、これはやはり私は問題があると思うし、いろいろな課題があると思いますよ。  ちなみに、このOSの不具合は、大臣はいつ聞いたのか、それから局長や課長はそれぞれいつ知ったのか、ちょっと教えてください。
  357. 田村憲久

    ○田村国務大臣 局長の方は一日ですね、二月の一日に担当者から担当局長等の幹部に報告をしたと聞いております。私も一日の夜にお聞きをいたしております。  ちょっと課長については、ここに書かれておりませんので、すぐに調べます。
  358. 岡本充功

    岡本(充)委員 これはちゃんと、連絡がどういうふうに来て、どう発表したのかというのも、私は今後の課題だと思います。  そこで、総理、ちょっと少し話を変えたいと思います。  今回接種を進めていくワクチンは、いろいろな課題があるんです。国民の皆さん方にきちっと情報を周知するという意味においては、やはり副反応の話は避けて通れないと思います。いろいろなメリットもあります。ただ、現にインフルエンザワクチンと、それから午前中はちょっとほかの、肺炎球菌ワクチンだったかな、との比較を議論されている議員がいらっしゃいましたけれども、これは現に副反応がやはり多いと。しかも、なおかつ若い方に多いというのが今回添付文書でつけられています。なかなかあれは読むのが大変ですよ。やはり、この副反応と比較をして、得られるメリットは何なのかということをてんびんにかけなきゃいけない、そのとおりなんです。したがって、これをどう説明していくかということが極めて重要。  それからもう一つは、私は大変驚いたんだけれども、今回、ほかの予防接種と横並びだからということで、この補償額が、副反応が出て休まなきゃいけない、通院して三日未満だと三万五千円、一月通院しても三万七千円ですよ。ちょっとやはり、国家的事業というぐらいだったら、これは少し金額として少ないんじゃないか。さっき、金額には同意できないと、もう厚労大臣から聞いているから結構です。  総理に聞きたいです。やはり、国家的事業だというんだったら、何かあったときには全責任を私が取りますと、なかなか明言はされないけれども、国としてちゃんと補償するんだと言うんだったら、この金額をもう少し増やしてみたらどうですか。もう厚労大臣は聞いているんです、前回聞いているから。総理です。総理、どう思われますか、この金額。
  359. 金田勝年

    金田委員長 厚労大臣、まず簡単に答えて。(岡本(充)委員「違う、総理に聞いているんです。この金額、総理、どう思われますかと聞いているんです」と呼ぶ)
  360. 田村憲久

    ○田村国務大臣 事実関係だけ申し上げます。(岡本(充)委員「事実関係はもう前回聞いているから」と呼ぶ)いや、言っていただかないから、国民の皆さんは分からないですよ。(岡本(充)委員「さっき御答弁されているからいいですよ。中島議員のときに話したじゃないですか」と呼ぶ)その金額だけじゃなくて、まず、医療費の自己負担分は別に支払われます。
  361. 金田勝年

    金田委員長 簡単に説明して。
  362. 田村憲久

    ○田村国務大臣 その上で、医薬品副作用被害救済制度でカバーされない通院も対象になるんです、通院部分も。そして、更に申し上げれば、障害があった場合には当然障害年金の対象になりますから。そういうものを総合的に勘案して、これは予防接種法の中で最も高い部類の金額ということでございますから、御理解いただければありがたいと思います。
  363. 岡本充功

    岡本(充)委員 そうやって、役所的な答弁はそうなるんです。  でも、実際のところ、国家的事業だという中で、亡くなられて四千四百万円。若い方、打ってもらわなきゃいけないんですよ、高齢者だけじゃなくて。  現に発熱で、これは熱が出たら大変ですよ、この時期。予防接種を打った後、家に帰って、熱が出ました、そうしたら、解熱剤をもらいに行ったら、発熱外来に並ぶんですか。発熱外来に並んだら、そこでコロナウイルスを拾っちゃうかもしれませんよ。  本当に、この数字が正しいかどうかは分かりません、数が少ないから、百十六人と。でも、これだけ出てくるのなら、これは対応しなきゃいけないんじゃないかと思っているんです。  総理、私の指摘を御理解いただきたいと思うし、みんなに打ってもらうためには万全の支えをしようじゃないですか。それで、みんなにやはり打ってもらえる環境をつくったらどうですか。総理、どうですか。
  364. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 他のワクチンとのバランスもやはり考える必要があるというふうに思います。  そういう中で、まさに国を挙げて行うことであります。先ほど厚生労働大臣がいろいろな場面について説明をさせていただきましたけれども、そういう形の中で進めていくというのは、それは自然なことじゃないでしょうか。
  365. 岡本充功

    岡本(充)委員 国家的な事業で一大プロジェクトだと言っていて、普通のワクチンじゃないと。総理にとって、政権の命運をかけていると。コロナの感染拡大をやはり防ぐことが政権の一番重要な課題だと言われているんですよ。だったら、ここに、一番重要な課題って、まさに命運をかけているぐらいの重要な課題じゃないですか。違うと言われるのは意外ですけれども。私は、やはり接種が進んでいってほしいと思うんですよ、みんなが納得の上ですよ。納得の上、接種が進んでいかなきゃいけないと思うんです。  今日は、感染研の所長に来ていただいています。科学的に言って、これは一体何割ぐらいの方が接種すれば集団免疫が獲得できると思われるのか、数字をちょっと教えてもらいたいんです、科学的な。どうですか。
  366. 脇田隆字

    脇田政府参考人 お答えいたします。  現在開発されていますワクチンは、臨床試験において、発症予防それから重症化予防が確認をされております。一方で、感染予防効果や集団免疫効果は現時点では明らかではございません。  今回のワクチン接種の目的は、新型コロナウイルス感染症による死亡者それから重症者の発生をできる限り減らして、結果として新型コロナウイルス感染症の蔓延防止を図るということでございます。  一方で、理論疫学におきましては、ある感染症において、集団免疫効果を獲得するために必要な予防接種率は、その感染症の基本再生産係数から計算をされます。したがいまして、新型コロナウイルス感染症の基本再生産係数を二から二・五というふうに推定した場合においては、少なくとも五割から六割の接種率が必要と計算ができます。  ただ、しかし、今現在使用されている新型コロナワクチンの感染予防効果が明らかでないため、現時点では集団免疫を達成するための予防接種率は不明ですが、今後更に科学的な評価が必要と考えております。
  367. 岡本充功

    岡本(充)委員 時間が来たから終わりますけれども、本当にこれを進めるためにはやらなきゃいけないことがいっぱいあると今日提案をさせていただきました。是非進めていただきたいと思います。  終わります。
  368. 金田勝年

    金田委員長 これにて長妻君、中島君、後藤君、尾辻君、阿久津君、田嶋君、岡本君の質疑は終了いたしました。  次に、赤嶺政賢君
  369. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  今日は、まず、米軍機による低空飛行訓練の問題から質問をいたします。  沖縄の地元紙のコピーを配付させていただいておりますが、昨年以来、沖縄県慶良間諸島の座間味村や渡嘉敷村、沖縄本島最北端の辺戸岬、金武湾、大宜味村など、県内各地で、米軍機によるかつてなかったような超低空での飛行訓練が立て続けに目撃をされています。住民からは、これまでとは全く違う、島に突っ込んでくるようだった、こういう不安の声が上がっています。  米軍機が飛行する様子は住民が動画で撮影しており、沖縄の地元紙などが公開をしています。それを見ますと、本当に超低空で住民の方に迫ってきて、目の前をかすめるように飛んでいく米軍機の姿が収められております。  総理に、事前に動画を御覧いただくようにお願いをしておりました。御覧いただけたと思いますが、どのようにお感じになりましたか。
  370. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 昨年末から、沖縄で米軍が実施する飛行訓練について、地元の皆様から不安の声が上がっていることは承知をしております。  また、御指摘をいただきました動画は拝見をいたしました。飛行高度の分析には専門的な知見が不可欠なため、私がコメントすることは差し控えたいと思います。  ただ、いずれにしろ、米軍による飛行訓練は、日米安保条約の目的達成のため重要なものでありますが、実施に当たっては、ルールを守って、安全面に最大限配慮し、地元の皆様方に与える影響が最小限にとどまるよう、防衛省、外務省にしっかり対応させたい、このように思います。  事実関係防衛大臣に答弁をさせていただきます。
  371. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 率直な感想も伺いたかったところであります。  座間味村の宮里村長や渡嘉敷村の座間味村長は、村民の生活圏での訓練はやめてほしい、このように訴えております。観光への影響も危惧しております。当然の訴えだと思います。昨日は、沖縄県議会が、低空飛行訓練の即時中止を求める決議、意見書を、自民党も含めて全会一致で可決をいたしました。  米軍機による低空飛行訓練は、これまでも日本全国で問題になってきました。訓練による騒音だけでなく、訓練中の墜落、木材運搬用ケーブルの切断、衝撃波による土蔵の崩壊、窓ガラスの破損、家畜への被害など、繰り返されてきました。ところが、政府は、日米安保の目的達成のためには必要な訓練だとして容認し、問題が起きたときだけ住民への配慮を求める、こういう対応に終始してきております。これでは、住民の命も暮らしも守ることはできません。  少なくとも住民の生活圏でこうした危険な訓練が行われることがないように、日米間でしっかり話し合うべきだと思いますが、総理、いかがですか。
  372. 岸信夫

    ○岸国務大臣 昨年十二月二十八、二十九及び本年の一月六日の慶良間諸島の周辺に及ぶ飛行、また二月四日の国頭村辺戸岬周辺における飛行、これについては、日米間の合意に基づいて行っているということの回答を米側から受けているところでございまして、関係自治体にはお知らせをしているところでございます。  また、それぞれの飛行を受けて、防衛省から米側に対しまして、航空機の運用に際して、引き続き日米合意を遵守するとともに、より沖合で訓練を実施するなど、周辺住民に与える影響を最小限にとどめるように申入れを行っているところでございます。  引き続き、今後とも、米側と連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、住民の、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  373. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 低空飛行訓練は日米の合意に基づいてやっているとアメリカが言い、日本政府は住民の安全に配慮してほしいと言い、一向に改善をされないわけですよ。今のような政府の対応では、住民の安全を守ることはできないどころか、日本全土に、沖縄だけじゃないですよ、既に本土でも広がっておりますが、こういう訓練、日本全土に、米軍の訓練場として日本列島を差し出すというようなことになっていきます、止めるすべがないわけですから。これは主権国家の政府がやることではないですよ。低空飛行訓練の中止を強く求めておきたいと思います。  次に、辺野古の問題について質問をいたします。埋立土砂の調達場所の問題です。  政府は当初、辺野古の埋立てに用いる土砂は、沖縄県外を中心に調達する計画でありました。昨年四月の設計変更申請の際に、これを変更して、沖縄戦最後の激戦地である沖縄本島南部から大量の土砂を調達しようとしております。戦後七十五年を経た今なお、戦没者の遺骨が発見され、遺族の元に送り届ける活動が続けられている地域であります。戦没者の血がしみ込み、遺骨の眠る地域の土砂を米軍基地の建設に使うことに、人間のやることではない、そして、戦没者を冒涜するものだ、こういう怒りの声が広がっております。  総理、この間の国会質疑の中で、関係法令で認められた採石場から調達されると答弁しておりますが、しかし、問われているのは法律に基づいているかどうかではありません。総理の政治的な判断の問題として、こういうことを認めるのかどうか。  この地域は沖縄戦跡国定公園に指定をされています。戦跡を保護することによって、戦争の悲惨さ、平和の尊さを認識し、戦没者の霊を慰めることを目的に掲げています。戦跡としての性格を有する国定公園は全国でもここだけであります。戦没者の無念と遺族の心情に寄り添って、この地域の土砂を辺野古の埋立てに使用することはやめるように指示していただきたいと思いますが、総理、いかがですか。
  374. 岸信夫

    ○岸国務大臣 変更承認後の埋立てに使用される土砂の調達先については、工事の実施段階で決まるものですから、県内、県外どちらから調達するかも現時点では確定していないところでございます。  さきの大戦において凄惨な地上戦を経験した沖縄では、今なお、厚生労働省と沖縄県で役割を分担して、戦没者の御遺骨の収集が進められております。開発業者及び採石業者が作業中に御遺骨を発見した場合には、市町村、警察へ通報し、沖縄県が設置しました戦没者遺骨収集情報センターが御遺骨を収集する仕組みが構築されていると承知をしております。  また、南部地区の採石業者においては、開発前に御遺骨がないかを目視でまず事前調査を行うとともに、御遺骨が眠る可能性のあるガマがある場所は開発を行わないなど、御遺骨に配慮した上で事業が営まれていると承知をしております。  変更承認後の土砂の調達先は決まっていないところですけれども、仮に南部の鉱山から土砂の調達が行われるとしても、現在行われている関係機関による遺骨収集の仕組みや採石業者の取組を踏まえて、御遺骨の取扱い等については契約関係の中で明記をし、採石業者によるしっかりとした対応を求めていくこととしたいと考えております。
  375. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 遺骨があるかないかを判断して採石業者は開発するようなこともおっしゃっておりますが、総理、私、伺いたいんですが、土に埋もれた骨がどういう色をしているか、御存じですか。
  376. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 承知をしておりません。
  377. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 骨がどういう色をしているかといえば、白いと思われるかもしれませんが、土と同じ色をしているんですよ。そして、簡単に見分けがつくものではないんです。しかも、沖縄ではサンゴのかけらが土に混じっていますから、実際に手にして重さを比べてみないと、それが遺骨かどうかは区別がつかないんです。採石業者は重機で掘り進めるわけですから、多くは遺骨に気づかず丸ごと採取することになってしまいます。  沖縄戦遺骨収集ボランティア、ガマフヤーの代表に具志堅隆松さんという方がいらっしゃいます。私も何度となく遺骨収集の現場に同行させていただいておりますが、子供の指の骨、その骨はボールペンほどの細さしかなく、自分たちでも見つけるのは難しい、このようにおっしゃっています。  そうした現場の状況を踏まえれば、業者が目視で確認をするとか遺骨に配慮するとかといっても、そんな保証はどこにもないのではありませんか。いかがですか。
  378. 岸信夫

    ○岸国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、まだ土砂の調達先については決まっていないところでございます。  いずれにいたしましても、関係機関による遺骨収集の仕組み、また採石業者の取組も踏まえて、御遺骨の取扱い等については契約関係の中でしっかり明記をして、採石業者によるしっかりとした対応を求めてまいりたいと思います。  また、その上で、採石業者に求めることとなる具体的な内容については、これまでの取組や状況を踏まえつつ、しっかり検討してまいりたいと考えております。
  379. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 先ほどから、例えば遺骨収集は厚労省と沖縄県の仕組みがあるんだとか、いろいろおっしゃっていました。  戦没者遺骨収集情報センターが収容する仕組み、これはボランティアの人たちが一生懸命求めてできている仕組みなんですよ。もう厚労省なんか、沖縄での遺骨収集は終わったという認識だったんですよ。終わったという認識のときに、開発現場で、区画整理の開発の現場やその他で遺骨がどんどんどんどん見つかる。終わっていないじゃないかということで、ボランティアの人たちが遺骨収集を始めた。厚労省や沖縄県も重い腰を上げた。だから、厚労省と沖縄県の仕組みがあるから大丈夫だというのは、大丈夫じゃないんですよ。まさにボランティアの努力で、今、遺骨収集をずっとやっているわけです。今までの後ろ向きの姿勢を改めさせたのは県民の側だ。  今やるべきは、もちろん辺野古に使うと決まったわけじゃないと言っておりますが、辺野古の候補地になっているんですよ、総理、糸満、南部は。七割ですよ、そこから。七割の土砂が辺野古に使うという候補になっているわけですから、これをやめて遺骨収集に全力を挙げるというのを国がやるべきことだと思います。  私、改めて、七十六年前の沖縄戦、あの地域で、今皆さんが土砂を採取しようとしている候補地域で何があったか、是非認識していただきたいことがあります。  沖縄は、さきの大戦で、住民を巻き込んだ悲惨な地上戦の場となりました。国体護持を至上命題とし、本土決戦を遅らせるための捨て石作戦で、日米合わせて二十万人以上が犠牲になりました。最も多かったのが住民の犠牲者で、約九万四千人です。その半数以上が南部で亡くなったものであります。なぜ南部で犠牲が集中したのか、当時の日本軍の責任が重大であります。  当時、学徒たちを動員して、ちょうど火災で焼失した首里城、首里城の地下には、第三十二軍司令部ごうが動員によって造られました。那覇市の首里城の地下には三十二軍司令部ごうがあります。  その司令部ごうが陥落をすれば沖縄戦は終わると誰もが思っておりました。嘉数高台、前田高地、天久、そして首里に近づいてくる。もうこの首里城で三十二軍が攻められたときには終わりだ、陥落だと思っていたときに、三十二軍司令部は南部に撤退することを決めたのであります。南部は多くの住民が避難していた地域ですよ。多くの住民が避難していることを分かりながら軍隊を下げたわけです。  そういうようなことをやって、戦闘を終わらせるのではなくて、住民が避難している南部に撤退しながら、最後まで持久戦を継続することを選びました。狭い地域に住民と兵士が混在することになり、住民は、米軍の攻撃だけでなく、日本軍からも砲弾の雨の中をごうから追い出され、食料を奪われ、口封じのために赤ちゃんに手をかけるよう強要されました。まさにありったけの地獄を集めたような戦場になったのが、今政府が土砂を採取しようとしている地域の、この地域であります。  今年で戦後七十六年になります。しかし、政府がそうした事態をつくり出した歴史的な責任を負っているということは、絶対にこれは忘れてはならないと思います。  総理、この点、どのように認識しておりますか。そして、南部からの土砂採取、これはやめるべきではありませんか。これは防衛大臣の答弁は要りません。総理の認識を聞いております。
  380. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 先ほど来防衛大臣が言っていますように、変更承認後の埋立用土砂については、県内と県外のどちらから調達するかも含め、現時点では確定をしていないということです。  そして、仮に南部で土砂を採取する場合には、沖縄防衛局が契約を締結する際に、業者に戦没者の御遺骨に十分配慮した上で行われるよう求めてまいりたいと思います。
  381. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 候補地ですよね。南部は、土砂採取地の、埋立ての七割の土砂を向こうから取る候補地になっているわけですよ。十分配慮するだろうって、どうやって配慮するんですか。技術的にも絶対に無理ですよ。  私は、こんな激戦地から土砂を取るのかと、こういうことを知ったときに大変愕然としました。私も、沖縄で保守の方々とよくお話をする機会があります。そうした中で感じるのは、今の政権と、今の菅政権、安倍政権ですよ、この政権とかつての自民党政権との違いであります。  二〇〇〇年の沖縄サミット開催を決めた小渕首相。小渕首相は、学生時代に占領下の沖縄を度々訪れ、遺骨収集に参加しておりました。沖縄を第二の故郷とまで話していました。そういう話をよく保守の方々からも聞きます。沖縄戦の激戦地から遺骨の混じった土砂を米軍基地の建設に使うという計画になってしまったことを亡き小渕総理が知ったら、どんな気持ちを抱くでしょうか。戦没者を冒涜する土砂採取計画は撤回することを重ねて強く申し上げておきたいと思います。  これには、菅総理とかつての小渕さんたち、もちろん、小渕大臣も辺野古を進めた方です。だから、私のその進めたやり方に対する気持ち、感情はあります。それでも、最低限の沖縄の歴史、最低限の沖縄の認識、沖縄ではこんなことは絶対やってはいけない、こういう認識は、以前の自民党なら持っていたと思いますよ。それを菅内閣や安倍内閣には全く感じられません。だから、沖縄に冷たい、こう言われるわけですよ。そういうようなことは本当に撤回すべきだと思います。  ちょっとまた、今年はSACO合意二十五年になりますから、今それをどう考えるかということについて質問を移します。  今年は日米両政府が普天間基地の全面返還に合意してから二十五年になります。当初の五年から七年以内に返還するという約束、普天間基地は五年から七年以内に返還するという約束は果たされませんでした。四半世紀にわたって普天間の危険性は放置され続けてまいりました。その上、今になって軟弱地盤が見つかったといって、更にあと十二年かかると言っているんですね、政府は。費用も一兆円近くが必要だとしています。  今日は埋立土砂の問題を取り上げてきましたが、南部からの調達を計画しているのは、県外の土砂に外来生物が混入し、その駆除のためには大量の土砂を高熱処理しなければならなくなって、現実的な対応策を見出せなくなっているからです。土砂調達一つ取っても行き詰まっています。辺野古の新基地建設は、政治的にも技術的にも破綻をしております。  私は、SACO二十五年たっても何も変わらない現状、これをどう考えるべきか、この原点は何かということから考えるべきだと思います。  そもそも沖縄の米軍基地は、沖縄戦で上陸した米軍が、住民を収容所に入れている間に、住民の土地を一方的に奪って構築したものであります。占領下であっても、私有財産の没収や略奪はハーグ陸戦法規という国際法で禁止をされております。  総理は、この沖縄の基地の形成過程をどのように認識しておられますか。住民の土地を奪って構築した基地は無条件で撤去するのが当然ではないかと考えますが、総理、いかがですか。
  382. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 普天間飛行場の場所には、戦前、役場や国民学校、郵便局、病院が所在をし、街道が通るとともに集落が所在して田畑が広がっていたとされており、戦時中の昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収し普天間飛行場が建設された、このように承知をしております。  沖縄の米軍施設・区域の形成過程について様々な御議論があることは承知しておりますが、いずれにしても、世界で一番危険と言われる普天間飛行場の固定化は絶対避けなければなりません。また、沖縄の基地負担軽減のためにも全力で尽くしてまいりたいと思います。
  383. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 戦争中に米軍が強制的に奪って造った米軍基地ということを総理もお認めになりました。  いずれにしても、危険な基地と言いますけれども、宜野湾村の町の真ん中に普天間基地を造ったのは米軍ですよ。これを容認しているのは日本政府ですよ。世界一危険な基地は日米両政府が造っているじゃないですか。ハーグ陸戦条約でいえば、土地の強奪は許せない、私有財産の強奪は許せない、強制的に造った基地は、これは無条件で返還すべきというのが当たり前ではありませんか。危険な基地は、菅総理、あなた方が普天間基地へ外来機が飛んでくるのを無条件に認めている、米軍の運用を無条件に認めているから世界一危険になっているんですよ。  ハーグ陸戦条約に沿って無条件撤去をしなければ、普天間基地の問題は解決しない。あと十二年、危険なまま放置しておくんですか。無条件撤去を求めるべきだと思います。いかがですか。
  384. 岸信夫

    ○岸国務大臣 普天間飛行場の辺野古移設をめぐる問題の原点は、先ほど委員からもお話がございました、市街地に位置して、住宅や学校に囲まれて世界一危険と言われている普天間飛行場の危険性の除去と返還でございます。  普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければならないと考えます。これは地元の皆様との共通認識でもあると思います。  普天間飛行場については、一九九六年四月に、当時の橋本総理大臣とモンデール駐日大使との間で、沖縄県内に代替施設を建設することを前提に、全面返還することに合意をいたしました。  我が国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しさを増す中で、日米同盟の抑止力の維持、普天間飛行場の危険性の除去、これを考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策である、この点については米側政府と累次にわたり確認をしているところでございます。  辺野古への移設が実現すれば、埋立ての面積は百五十ヘクタールと、普天間飛行場の面積四百七十六ヘクタールの三分の一程度になります。滑走路の長さも、千二百メートル、オーバーラン三百メートルを加えても、普天間飛行場の滑走路の長さ二千七百メートルに比べますと大幅に短縮をされると……
  385. 金田勝年

    金田委員長 時間が参りましたので、まとめてください。
  386. 岸信夫

    ○岸国務大臣 はい。  引き続き、普天間飛行場の危険性の除去と、それから辺野古移設に関する政府の考え方、これを、沖縄の負担軽減を目に見える形で実現するという政府の取組について丁寧に説明をし、御理解をいただきたいと考えております。
  387. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 大変長い答弁でしたけれども、本当に、かつての自民党の政治家だったら、戦場になった地域から遺骨混じりの、骨を基地に使うなんてことはやりませんよ。  そして、今、沖縄の米軍基地は、米軍のやりたい放題、占領下と同じなんです、植民地状態に置かれているんです。日本が主権国家という誇りが少しでもあるならば、辺野古の新基地建設はやめて、そして南部の土砂採取もやめるということを決意してもらうということを強く要求しまして、質問を終わります。
  388. 金田勝年

    金田委員長 これにて赤嶺君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田文武君。
  389. 藤田文武

    ○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。  今日は、先日来、我が党の馬場幹事長、そして、ここにいます足立議員、おとついの浦野議員からちょっと予告といいますか説明をさらっとさせていただきました新所得倍増計画、我々が考えるこれからのいわゆる政権構想、内政についてどうしていくかということを紹介しながら、ちょっと政府と議論をしていきたいと思います。  今、コロナ状況で国民の皆さんに多くの不安が広がっている、苦しみが広がっている。これを乗り越えて、新しい、明るい社会、前向きな社会をつくっていかないといけない。  私は、乗り越えるべき壁は今二つあると思います。一つは、短期的な、このコロナをいかに乗り越えるか。そしてもう一つは、構造的な問題。人口減少、少子高齢化、東京一極集中、GDPが自然増しない、国民の生活実感が全然豊かにならない、そして漠然とした不安が広がっている、これを前向きに変えていくというのが必要であるというふうに思います。  そこで、まず入りとして、先日、私が問題提起した有事と平時のセーフティーネットについて少し認識を問いたいと思います。  コロナが明らかにしたのは、我が国は、どの人がどの程度困っているかということを把握できない、そして、困っている人に対して公正公平な支援を素早く正確に届けるすべを持たないということが明らかになってしまったわけです。これをやはりつくり直していかないといけない。  先日、ヤフーの戦略責任者の安宅さんという方の講演をちょっとお聞きしまして、非常に興味深いことを言っていました。これからの社会はパンデミックレディー、ディザスターレディー、いわゆるパンデミック、感染症に対して準備ができている社会にならないといけない、ディザスター、災害に対して準備ができている社会にならないといけないと。つまり、この社会保障の分野においても、災害や感染症に対する有事に即応できるような仕組みというのを平時の仕組みに組み込んでおかないといけないという社会になると思うんです。  この観点からこれからのそういう社会システムを再構築していく必要があると考えますが、総理の御見解をお聞きしたいと思います。
  390. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 今般の新型コロナ対策に当たって、国民の命と暮らしを守るため、これまでにない規模で対策を行ってきました。その過程において、給付金の支給に遅れが生じた、あるいは、実際に厳しい状況に置かれた方々からお話を伺うと支援が届いていないケースがあった、こうしたことを認識をいたしております。  また、デジタル化が遅れる中で、働き方の多様化や地域のつながりの希薄化も相まって、支援が素早く正確にお届けできない方々がいらっしゃる、こうしたことは素直に反省しなきゃならないというふうに思います。  まずは、利用者目線に立ってデジタルの活用を進め、今般、給付のための口座を登録することにより迅速な給付を実現するための法案を国会に提出をしました。また、地域でお困りの方、孤立されている方の状況をしっかり把握、対応できる包括的な相談体制、この構築も本腰を入れるために担当大臣を、坂本大臣を、深刻化する社会的孤独、孤立に対する総合調整の大臣といたしました。  こうした取組を含めて、次の有事の際には即応することができるような、そうした体制を整えているところであります。
  391. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。問題意識課題意識は一にするというふうに感じました。  そこで、我々の課題意識を少し共有しながら認識を問いたいと思います。  まず、グラフを幾つかお見せします。  これは賃金の推移なんです。正確なデータが取れる一九九三年から、バブルの残り香で少し上がった後、右肩下がりになっています。赤が名目で、青が実質、いわゆるインフレ、デフレを加味したものがこの青になっています。  次が、じゃ、世界各国はどうかというと、世界各国の平均年収の推移、赤が日本です。これはずっと下にへばりついて、ほとんど変わっていない。でも、諸外国は上がっているんです。  そして、次のパネルが、これは一世帯当たり換算なんですが、平均所得と可処分所得の推移です。一九八五年はバブル前、バブルからその残り香を経て少し上がりましたが、そこからずっと下がっていって、これは世帯数も関係するので下がっているのは下がっているんですが、注目したいのは青の可処分所得とこの矢印の幅ですね。青と赤の差。つまり、可処分所得は所得に対しても下がり幅が大きいんですよ。  それは何かというと、税と社会保障の負担。これが次のグラフですが、一世帯当たりの非消費支出、つまり、税と社会保障の負担は上がっていっているということなんです。  これが国民の皆さんが生活実感として豊かにならない要因だというふうに私は思いますが、これについての御見解をいただけますでしょうか。
  392. 西村康稔

    西村国務大臣 御指摘のように、この間、長年日本はデフレが続いてきましたので、要は物価が上がらない、売上げが上がらない中で、企業はどうしても、賃金を上げずに、むしろ非正規を増やして労働分配率を少なくする形、賃金を抑える、人件費を抑える形で利益を上げてきたわけであります。そうした企業行動によって、御指摘のような、賃金が上がらない状態が続いております。  他方、もう一点言えるのは、高齢化が著しく、日本は急激に進んでおりますので、世帯で見ますと、高齢者世帯の割合が大幅に増えております。細かいデータが必要であれば後で申し上げますけれども、パーセントは非常に、一〇%台から三〇%近く増えておりますので、世帯当たりで見ると、どうしても年金で生活される方が多くて、可処分所得は落ちていくというデータになります。  ただ、一人当たりで見ますと、特に安倍政権、私ども、政権奪還した以降、毎年のように二%程度の賃上げにも努力をしてきておりまして、一人当たりで見ますと、これは緩やかに上がってきている状況であります。  いずれにしましても、デフレを脱却して、そして非正規をなくす、正規社員、これは女性も若者も含めて、そして所得を増やしていくという政策をしっかりと実現、実行していきたいというふうに考えております。
  393. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。課題意識は一緒やと思いました。  今の説明に対してですが、このグラフで、黄色の矢印のところはやはり注目すべきところで、可処分所得の下がり幅が大きいというのは、これは一世帯当たりですから、所得と可処分所得、これは計算は同じですから、ここを注目すべきだと思います。  そこで、少し我々の考えていることを共有しながら各論に入っていきたいと思います。  まず、我々、じゃ、新所得倍増計画、これは正確に言うと、可処分所得を増やしていこう、こういうことを考えています。  それは、今からこれの次に三枚のパネルで説明しますが、一つは税制、社会保障、これが国民の負担を下げましょう、それから、成長戦略で経済のパイを大きくして所得に還元しましょう、こういう話です。  税制、今日は税制は簡単にですが、税制といえば、消費税を上げるか下げるかということが、いつも選挙になったらこればかりなんですね。私は税体系一体的に考えるべきだというふうに思っていて、我々は結党以来ずっと言ってきたのは、フローからストックに課税の比重を移していこうと。フローは、消費税、所得税、法人税をやはり実質大減税していかないといけないというふうに思います。これは、成長のための税制、集めるだけじゃなくて、成長を促す税制をやるべきだというふうに思います。  次に、社会保障。  これは、我々はずっと、給付つき税額控除を言ってきました。給付つき税額控除の進化版であるこのベーシックインカム、今、特別定額給付金、去年、十万円の定額給付が行われて、諸外国でもこれが研究され始めました。  私たちが考えるのは、よくちまたで言う、社会保障を全部そこに吸収してしまって一本化するというような雑な議論ではありません。  いわゆる、この後、年金と生活保護の話をしたいと思いますが、問題が多い、非常にひずみが大きい生活保護や基礎年金、年金の一階部分、基礎年金の部分を含めて整理統合して、そして必要な社会保障は残すというものをやっていくということで皆さんの可処分所得を上げていくということを考えたい、これが社会保障改革。  そして、最後に成長戦略。  これは、我々がずっと、大阪から出てきた、地方から生まれた政党だからこそずっと言ってきた地方分権改革。そして、全業種にまたがる労働市場の改革。それから、各業種の大規制改革。そして、先ほど総理からもありましたデジタル。デジタル革命を起こしていかないといけない。  イメージでいうと、この図を見ていただきたいんですが、私の認識は、日本経済はポテンシャルがもっとあるはずで、でも、いろいろな古い習慣や雇用の硬直化や規制、既得権益、そういったピンで留められている状態、これを一つ一つ丁寧に抜いてあげて、そしてそのポテンシャルを最大化させてあげる、そして、今、脆弱なセーフティーネットじゃなくて、チャレンジできるセーフティーネットをしいていこう、これが私たちが考える構想の全体像であります。  それで、各論に。今日は、その中でも社会保障について、ちょっと各論をやりたいと思います。  まず、生活保護について、田村大臣と少し議論したいと思います。  総理が、一月二十七日、参議院の予算委員会で蓮舫議員とやり取りされたときに、最終的には生活保護があるというセーフティーネットの説明をされました。私は、制度の説明としては正しいと思います。そこに、蓮舫議員は、生活保護に陥らないようにするのが政府の仕事だろうというような返答をされました。  これは私、すごく象徴的だなと思います。陥るという言葉は、何か、生活保護に落ちてしまうような、そういうイメージ。でも、これは実際にあると思います。  その中で問題提起したいのが、生活保護水準以下の低所得者世帯、これはこの中でも捕捉率が悪いという問題があります。つまり、その中でも、低所得者層の中でも、生活保護制度を利用しているのは約二〇%ぐらいと言われている。その他の人たちは、低所得でも使っていないんですね。  これはいろいろな理由があります。例えば、大阪でも問題になりました不正受給、こういうものから、どうしても拒否感がある。生活保護を受けたくない、そういう後ろめたさのような心情。それから、財産が持てなかったり、扶養照会、これは国会でも問題になりました、扶養照会で今まで疎遠だった家族にも連絡しないといけないとか、あと、大学進学にも外れてしまうとか、これは貧困の連鎖を生んでしまう一因でもあります。  こういう捕捉率が低いという問題がありますけれども、田村大臣の御見解、お願いします。
  394. 田村憲久

    ○田村国務大臣 捕捉率というのが、なかなか実態把握できません。  というのは、本当に生活保護が必要な方の中で生活保護を受けている、これは申請主義でありますので、申請いただかなきゃ分からないわけで。しかも、生活保護というのは、まず扶養が保護に優先するわけでありますから、扶養する方がおられるのか。それから、資産も見ますし、フローの所得だけでは分かりません。更に申し上げれば、稼働能力を最大限生かしていただきますので、働く能力があれば働いていただくという形になると思います。  でありますので、フローだけ見て、所得だけ見て多分今委員はおっしゃっておられたんだと思いますが、それを見ますと、確かに、全国消費実態調査、平成二十六年でありますが、世帯数という意味からすると二八・三%、これは所得、低所得というところで。ところが、これ、資産を入れてみますと七五・五%になるわけでありますので。  一概に所得だけで言うのじゃなくて、生活保護というのは、あらゆるものを利用して、その上でまだ生活ができないという方々に対してその分を支給するという形になっております。そういう意味で御理解いただければありがたいというふうに思います。
  395. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  事前に担当課の方とも同じようなやり取りをさせていただきました。  今、大臣の答弁が指し示すのは、入口は非常に狭いんですね。実際に行政側も、Gメンなんかがいて、本当に必要なのかということをチェックする。でも、入ってしまうとなかなか抜けられない制度である。だから、この陥らないという言葉は、確かにそのイメージを象徴しているとも私は言えると思います。  それを有事のセーフティーネットとして、平時の仕組みでやる生活保護を有事のセーフティーネットとして拡張して運用するということが、私は適切ではないんじゃないかというふうに問題意識がありますが、この生活保護という、総理がおっしゃられた最終的に生活保護で救えるというこの有事のセーフティーネット、明日収入がなくなるかもしれないという災害や感染症、そういうものに有事のセーフティーネットとして適切かどうか、これ、御見解をお願いします。
  396. 田村憲久

    ○田村国務大臣 平素から様々な重層的なセーフティーネットといいますか支援策があって、例えば生活困窮者支援制度というものがあります。そのほかにも、雇用保険の対象にならない方々は求職者支援制度等あるわけでありますし、今般は、こういうコロナのときでありますので、特別にいろいろな対応をさせていただいております。  それでも対応ができない、どうしても生活を自立できない方々は生活保護という制度になるわけでありますけれども、生活保護も自立していただくことが基本的には前提の制度でございますので、例えば、生活保護に入った後に就労活動の促進費、これは、就労していただければ促進費として月五千円出たりでありますとか、あと、勤労控除、働いた者に対して控除というものがちゃんと立つ。それから、更に申し上げれば、就労自立給付金ということで、自立していただいたときに、その後、自立したらすぐにいろいろなものが負担がかかってきますので、それに対しての支援金みたいなものを出させていただいて自立を促しておりますし。  そういう意味では、自立支援するためのマンパワー等々も拡充しながら、もちろん、高齢者でもう働く能力のない方々等々は、確かに言われるとおり、なかなか完全なる自立は難しいのかも分かりません。でも、生活保護の中でもそれぞれ自分の御努力の中で自立いただくという部分はあると思いますが、完全な自立という意味からいたしますと、高齢者以外の若い方々であれば、十分にその能力を生かしていただくためのいろんな支援するための措置というものがあるというふうに御理解いただければありがたいと思います。
  397. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。さすが田村大臣、お詳しいのでいろいろお話しいただきました。  生活保護の問題は、これは私たちも更に、この今の現状のままでいいのかということを、それは問いながら、新しい制度を提案していきたいと思います。  そして、次に年金の問題に行きたいと思います。  グラフを見てください。これは、先日、足立康史議員が出したグラフと同じなんですけれども、今、国民年金、基礎年金を受けておられる方の分布です。  私が今回提起したいのは、低年金、無年金問題。基礎年金は満額もらうと六、七万なんですね、この一番右側のところ。でも、三万円台で既に百万人、四万円台で百万人、無年金も合わせると数百万人規模の方が今既にいらっしゃる。これからこの数というのは増えていくのかどうか。  そして、もう一つ問いたいのは、私も年齢が四十歳なんですけれども、就職氷河期世代のぎりぎりです。就職氷河期世代というのは、就職事情、景気の動向でちょっとひずんだ労働市場に差しかかってしまってうまく参入できなかった、最初に。その割を食っている。この人たちは低所得の人が多いし、非正規が多いし、その分、貯金ができない、資産形成がうまくできない、それが低年金、無年金問題につながって、老後、生活保護に吸収されてしまう、こういう流れが予測されるわけでありますけれども、今後、この低年金、無年金、どうなるように予測されておられますか。
  398. 田村憲久

    ○田村国務大臣 なかなかこれは予測が難しゅうございまして、今、被用者保険の適用拡大というのを、法律を成立した上で、これは二〇二二年、二四年ですかね、百人、五十人というような一つの基準で更に広げていこうということで、週二十時間以上働いている方々が適用拡大していく。  こういうものによって、国民年金だけですと、どうしても、それは減免はありますけれども、自ら納めない方々がおられる。しかも、基礎年金部分しかありませんから、そういう意味では低年金になりますが、被用者年金、厚生年金に入ると、二階部分等々も得られます。  そういう意味からいたしますと、そういうものに入っていただくと同時に、今、そういう氷河期世代の方々に対して、やはり非正規ではなくて正規の方に雇用を移動していこうという様々な努力をしておりますので、そういうものと相まって、なるべく低年金、無年金者を我々は減らしたいという思いの中で進めておりますので、言われるとおり、増えていかないように我々としては最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  399. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  これも恐らく課題意識は同じなんだと思います。ただ、その打ち手が、政府のプランA対我々のプランBで、どちらがこれからの時代に必要かということを今後も引き続き議論したいと思います。  今の話、適用拡大の話ですね。  年金はそもそも、保険数理、保険の概念で運用されています。つまり、入りと出がバランスしたら一生この年金財政は破綻しないとも言われていますが、それは積立方式では成り立つけれども、今、賦課方式といって、現役世代が仕送りのように、今受給していらっしゃる高齢者の負担を担っている。つまり、少子高齢化時代には無理のある制度なんです。だんだん、働き、払う人が少なくなる。  じゃ、この年金財政をどうしたらいいかというと、これは厚労省もお認めになられているのが、解決策は、入りを増やすか、出を減らすか。入りを増やすのは、先ほどの適用拡大するのも入りが増えます、企業が払いますから。それから、社会保険料を上げる、年金を上げる、徴収を上げる。若しくは、給付を減らす、又は支給開始年齢を上げていく。こういう二つの入りと出、合計四つの方法しか究極ないんですよね。  これはどれもよくない話じゃないですか。しかも、この年金財政には、基礎年金の財政には半分既に税金が入っている。だから、もう保険では成り立っていない制度なんです。  だから、私たちは、この年金はちゃんとセーフティーネットとして機能しているのかという疑問が、そして、それが持続可能なのか、セーフティーネット機能として持続可能なのかという問いが私は生まれてくるんじゃないかと。  だからこそ、高齢者にもそう、低所得者を支えている生活保護もそう、現役世代、子育て世代もそう、そういう人たちを一律にお支えして、チャレンジのためのセーフティーネットをしこうというのが我々の給付つき税額控除の進化版であるベーシックインカムだというふうに私たちは思っているわけでありますが、年金の話、この年金、先ほど言った事象のようなことを踏まえて、セーフティーネット機能として持続可能か、大臣の御見解を聞きたいと思います。
  400. 田村憲久

    ○田村国務大臣 平成十六年改革で、もう御承知だと思いますが、マクロ経済スライドという制度と、それから、基礎年金、これは二分の一国庫負担というのと、それから、保険料を上限を決めて、それで引き上げたというのがあります。これで百年、まあ百年といいますが、五年ごとに見直すから本当は百年じゃないんですが、計算をしまして収支を合うようにします。  ですから、そういう意味からすると、マクロ経済スライドが発令されていないので、そういう意味では厚生年金全体では目減りはしていないんですけれども、基礎年金が目減りしている、これをどうするかというのをこれから解決していかなきゃならぬという問題はあります。これは我々の課題で、今いろいろなプランを考えております。  基礎年金が上がれば、ある意味、所得の再配分、再分配ができますので、そういう意味では、収入のある方々が若干所得代替率が下がって、そうじゃない方々が上がるということで、これはいい効果がダブルで出てくるというふうに思います。  一方で、今言われた話を総合させて聞かせていただきますと、平均余命が延びるということが非常に大きいんですね。ですから、年金の支給を遅らせれば、実は今、将来的に今もらっている方々よりも損だという世代が、例えば一九九九年生まれの方が六十五歳じゃなくて六十六歳九か月でもらうと、年金を六十五歳、二〇一九年でもらっている方と、ケース3でいうと同じ水準になります。  それは、もらえる金額、要するに期間が延びるから薄くなるので、それを調整すれば今もらっている方々と変わらないということでありますから、平均余命が延びた分、ちゃんと働けるような環境をつくるということを考えれば、年金は持続可能性があるというふうに我々は認識いたしております。
  401. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  時間なので終わりますが、よく分かりました。政府の認識は、やはり政府の一員ですから、もちろん、現状維持、微修正、この現状の仕組みをどう微修正していこうかというのが御見解だと思います。  それは、でも、一面正しいと思いますが、我々はそれではもうもたないんじゃないかという課題認識の中で提案し、そして議論をしっかりとしていきたいと思いますので、引き続きお手合わせをよろしくお願いします。  ありがとうございました。
  402. 金田勝年

    金田委員長 これにて藤田君の質疑は終了いたしました。  次に、前原誠司君。
  403. 前原誠司

    前原委員 国民民主党の前原でございます。  日本安全保障の問題について質問をいたしたいと思います。  中国が二月一日から海警法という法律を施行しました。これに対して菅総理は、二月八日の衆議院予算委員会で、中国海警法については、国際法に反する形で運用されることがあってはならないと答弁されました。茂木外務大臣は、九日の記者会見で、尖閣諸島周辺の我が国領域内で独自の主張をするといった海警船舶の活動は国際法違反であると述べておられます。  総理の、国際法に反する形で運用されることがあってはいけないという答弁は、海警法自体は国際法違反ではないが運用次第では国際法違反になると。また、外務大臣も、尖閣での適用は国際法違反である、こう言っておられるわけでありますが、私の問題意識は、本当にそうかと。総理外務大臣も認識が甘いのではないかというのが私の考えであり、海警法自体が国際法違反の法律であると私は考えております。  資料一を御覧いただきたいと思います。  一番上に中国海警法を書かせていただいておりますけれども、海上で国家主権、主権的権利及び管轄権が外国の組織及び個人の不法侵害を受けつつあり又は不法侵害の差し迫った危険に直面しているときは、海警機関はこの法律及び他の関連法律、法規によって、武器使用を含むあらゆる必要な措置を講じて侵害を阻止し、危険を除去する権限を有すると。つまりは、武器使用をやりますよ、この法律に基づいてあらゆる必要な措置を講じて侵害を阻止し、危険を除去するために武器使用を行うということが書かれているわけであります。  その下を御覧ください。  国連海洋法条約の第三十条でありますけれども、軍艦による沿岸国の法令違反について書かれたものでありますが、軍艦が領海の通航に係る沿岸国の法令を遵守せず、かつ、その軍艦に対して行われた当該法令の遵守の要請を無視した場合には、当該沿岸国はその軍艦に対し当該領海から直ちに退去することを要求することができるということを規定されています。  つまりは、国連海洋法条約についても、軍艦については沿岸国ができることは退去要求止まりなんですね。にもかかわらず、上の方ですね、中国海警法の二十二条は、武器の使用を含むあらゆる必要な措置を講ずると書かれているんです。しかも、軍艦や公船、公船というのは公の船の意味でありますが、除外をしていません。日本の法律、例えば不審船への対応を規定した海上保安庁二十条二項は、わざわざ軍艦と公船を除くというふうに書いてあります。  極めて実務的なことでありますので、外務省国際法局長にお伺いします。今申し上げたことからすると、海警法の二十二条は国連海洋法違反ではありませんか。
  404. 岡野正敬

    岡野政府参考人 海警法につきましては、曖昧な適用海域や武器使用権限等、国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれていると考えております。  今委員指摘の海警法二十二条には、武器使用に関連する規定がございます。他方、中国の法律の読み方ですので我々もなかなか分からない部分もあるんですが、四十九条というのがございまして、警告が間に合わない場合に直接武器を使用することができるとか、第五十条というのがございまして、武器を使用する必要な限度を合理的に判断し、人員の死傷及び財産の損失をできる限り避けなければならないとも規定しています。全体としてどういうバランスになっているのか、なかなか分かりにくいところはございます。  海洋法条約の方でございますけれども、委員から三十条の規定の御指摘がございました。軍艦に対する退去を要求する権利がございます。他方、もう一つ、海洋法条約二十五条というのがございまして、無害でない通航を防止するために沿岸国が領海内において必要な措置を取るということが規定されています。この必要な措置の対象には公船、軍艦も含まれるものであります。  このような措置は、軍艦等が有する免除を侵害しない範囲で行わなければなりません。軍艦による侵害行為との比例性が確保されたものでなければならないということであります。  ですので、海警法、今御指摘のありました二十二条等が外国軍艦等の免除を侵害する形で運用される場合、これは国際法に違反することになるかと思います。
  405. 前原誠司

    前原委員 運用される場合ということをおっしゃったわけでありますけれども、しかし、今申し上げたとおり、言ってみれば、軍艦とかあるいは公船というものを除外していないんですね。除外していないことは、この国連海洋法条約の三十条ではあくまでも退去命令止まりであるにもかかわらず、結局それを行う可能性というのもあるわけです。  私は、こういったところは中国に遠慮する必要はないと思うんですよ。運用次第で国際違法になるかもしれないというのは、中国に軸足が寄った言い方なんですよ。これはまさに運用次第で国際法違反になる。国際法違反になるということを軸足に置いて主張するのが本来我々の主張すべきスタンスじゃないですか。運用がこうなれば国際法違反ですと、腰を引いた言い方じゃなくて、これは国際違法になり得るということを明確に言う、私はこれが大事だと思います。  つまりは、国際社会はこれから連帯していかなきゃいけないわけですよ。中国がひょっとしたら法の支配の今までの考え方を変えるかもしれない、そういうことについて懸念を持っているんだけれどもどうだろうかというスタンスに行かなきゃいけない。中国に遠慮する必要はないですよ。総理、いかがですか。国際違法になり得るというところの答弁で、その中国に配慮するような答弁の仕方はやめられたらどうですか。いかがですか。
  406. 金田勝年

    金田委員長 外務大臣。(前原委員総理に聞いているんです」と呼ぶ)外務大臣の後、総理。(前原委員「もう余り時間がないので、総理、お答えください」と呼ぶ)  外務大臣茂木敏充君。
  407. 茂木敏充

    茂木国務大臣 簡単に答えます。  懸念を持っていることにつきましては、米国に対しても、英国に対しても、またASEAN諸国に対してもしっかりと伝えております。  もちろん、海警法であろうと他の法律であろうと、我が国が主権又は主権的権利を有している海域で中国の国内法に基づいて管轄権を行使しようとすることは、日本の主権、これを侵害するものと考えております。
  408. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 中国の海警法については、曖昧な適用海域や武器使用権限など、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含む、こういうふうに考えています。そうした中で、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならない。そういう中で、こうした我が国の強い懸念を中国側に対し引き続きしっかり伝えていきたい、こういうふうに思います。
  409. 前原誠司

    前原委員 国際法違反の懸念があるということを明確におっしゃいませんか。
  410. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 国際法と整合性の観点から問題がある、そういう規定を含むと考えています。
  411. 前原誠司

    前原委員 ここは本当に、中国は尖閣を取りに来ているという前提で物事を考えないといけない。それであれば、国際法に違反するかもしれない、運用次第ではじゃなくて、これはまさに、我々は懸念をしている、そして国際法違反の疑いが極めて強いということをしっかりと言うことが大事なことだと思います。これから是非そういうトーンで、少し軸足を変えてお話をいただきたいと思います。  海上保安庁の二十条と国連海洋法条約についてお話を伺いたいと思いますけれども、先ほど、この海上保安庁の二十条の一項については、二十条二項では、公船それから軍艦は除外されるということを申し上げました。この一項というのは、いわゆる警察機関としての海上保安庁が、警察官職務執行法の準用に基づいて、言ってみれば、非危害射撃、そして危害射撃も正当防衛、緊急避難で行えるということが書かれているものでありますけれども、海上保安庁長官、この海上保安庁法は、先ほど、国連海洋法三十条で、いわゆる退去までしか求めちゃいけないということが書かれているわけですけれども、軍艦でも公船でも、仮にそういった船が武器を使ってきた場合、この二十条一項は使えるということでよろしいんですか。
  412. 奥島高弘

    ○奥島政府参考人 お答えをいたします。  委員指摘国連海洋法条約第三十条では、沿岸国が、領海の通航に係る沿岸国の法令を遵守せず、遵守の要請を無視した軍艦に対して、領海からの退去を要求する権利が規定されております。  また、国連海洋法条約第二十五条では、無害でない通航を防止するため、沿岸国が自国領海内において必要な措置を取ることができると規定されており、この規定は軍艦等にも適用されます。  海上保安庁は、領海において外国公船が無害通航に当たらない航行を行っている場合には、当該外国公船が有する免除を侵害しない範囲で、当該外国公船の侵害行為との比例性を確保した上で必要な措置を取ることができるものと理解をしております。  仮に中国海警局に所属する船舶が巡視船あるいは日本漁船への侵害行為を行った場合の対応につきましては、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難でありますが、ただし、国際法上許容される範囲内において、海上保安庁法第二十条第一項で準用する警察官職務執行法七条の要件に該当する場合には、警察比例の原則に基づき、武器を使用することは排除されないと認識をしております。
  413. 前原誠司

    前原委員 海上保安庁も、中国の海警に対してそういった事態になればちゃんと武器が使えるということであります。  内閣法制局長官、それでよろしいですか。
  414. 近藤正春

    ○近藤政府特別補佐人 お尋ねでございますけれども、国際法との関係は当局ではなくて、外務省がその解釈をしておりますので、先ほどの外務省の解釈、それからそれを踏まえた海上保安庁の解釈ということでございますので、私どももそれに異論はございません。
  415. 前原誠司

    前原委員 政府としてはそういった海上保安庁の考え方については了とするということでありますので、海警という、公船だから我々が二十条の一項というものを使えないということはないということは確認できたと思います。  さて、その上で、海警法第三条には、この法律が及ぶ区域を管轄海域としております。中国はどこが管轄海域なのかは明示しておりませんけれども、恐らく第一列島線の内側、つまりは南シナ海と東シナ海の全域を管轄海域と考えているはずであります。  そもそも尖閣については、一九九二年に制定した領海及び接続水域法で中国の領土であると勝手に決めつけています。武器の使用も法律で規定し、尖閣諸島に対する日本の実効支配を崩しかけているということは明白だというふうに思います。  海警法の施行を受けて、今の国内法で十分なのかという議論があります。  以前、旧民主党と維新の会で領海警備法案というものを共同提出いたしました。ポイントは、海上保安庁で対応できない場合、切れ目なく自衛隊が出ていけるようにと、自衛隊法八十二条の海上警備行動に対する準備行為、あるいは領域警備行為という新たな任務を自衛隊に付与して、日本の国土を守るという内容であります。  ただ、この法案はもろ刃の剣の側面もあります、正直申し上げて。切れ目なく対応しやすくなる、国家の意思を強く示すことになるという面がありますけれども、一方で、警察活動だとしても、外形上は実力組織である自衛隊が対応することで、中国が軍隊を派遣する口実をつくってしまって、日本からエスカレーションラダー、つまりは武力衝突の危険性を高めたと批判されかねないわけであります。  ただ、私は国家としての意思を示さなきゃいけない時期に来ているんだろうと思います。一義的には海上保安庁が対応すべきだというふうに思いますけれども、絶対に日本の固有の領土を守るためには国の資源を総がかりでしっかりと対応するんだ、切れ目ない、あるいは穴のない対応をするんだという意味においては、私は領域警備法というものをしっかりと作って、そして日本の国家の意思を中国に示すということが大事だと思いますが、総理、お答えをいただきたいと思います。
  416. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携、ここが極めて重要であり、必要な法制度の下に、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を進めています。  政府としては、武力攻撃に至らない侵害に際し、切れ目のない対応を十分行うために、引き続き、大型巡視船の整備など、警察機関、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、国民の生命財産を守る、我が国の領土、領海、領空を断固として守る、この方針の下に、冷静にかつ毅然と対応していきたいと思います。
  417. 前原誠司

    前原委員 切れ目なく対応できる、穴はない、これで十分なのかということを聞いております。  それで十分だという御答弁ですか。自分の考えでお答えください。見ないで。
  418. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 これは正確に申し上げなきゃ駄目な問題ですから。  そこは、今申し上げましたように、関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など必要な取組、これを推進をしており、今申し上げましたけれども、大型巡視船の整備、また警察機関、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、国民の生命財産、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜く、その方針の下に、毅然として、そしてまた冷静に対応していくということです。
  419. 前原誠司

    前原委員 我々も領海警備法というのを一度出しておりますし、過去に。また、現代に即したものをしっかりやはりやるべきじゃないか、こういう考え方を持っています。しっかりと、これは与野党関係なく、やはり、絶対に日本の固有の領土は守り抜くという国家の意思を示すという意味にも、私は、何らかの法律。体制強化も必要ですよ、おっしゃったように。必要だと思いますけれども、私はそういった国家の意思を示す法律も必要だと思いますので、また提案しますので、是非そこは前向きに検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  さて、日米安保条約との関係を申し上げたいと思います。大事なことです。  この尖閣に対してのコミットメント、いつから始まっているかというと、一九九六年にキャンベル国防次官補が、沖縄返還協定は尖閣が日本の施政下に置かれていると規定しているということで、明白だということを言って、アーミテージさんが二〇〇四年に、日本の施政下の領域への攻撃は米国への攻撃とみなすと。私が外相のときに、閣僚級では初めて、尖閣はと、つまり三段論法ではなくて、尖閣は明らかに日米安保条約が適用されると明言して、それが続いているわけです。  総理、ただ口先で、バイデンさんが電話会談で言ってくれた、国防大臣も国務長官も言ってくれた、そういうことだけで私は済む話じゃないと思っているんです。  この日米安保条約第五条、一番下を見ていただきますと、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、」つまりは、施政の下というのが入っているんですよ。これは、上のアーミテージさんにしても、一番初めに言及したキャンベル氏にしても、施政下ということが入っているんですね。つまりは、ちゃんと施政に入っていない限りは、日本に対して私はアメリカが必ずその日米安保条約、もちろんそういう状況をつくることが大事でありますけれども、施政下であることを守り抜くということが大事であります。  この点についてしっかりと認識をしておられるのか。敵に、敵にというか相手に手のうちをさらすことになりますので施政下の定義なんというのは聞きません。聞きませんが、こういうところが日米安保条約においては肝になっている、日米安保条約第五条においては。そういう認識はしっかり持った上で電話会談でそういった言及、言質を得て、そしてそれをしっかりつなげるために努力をしなきゃいけないという認識はおありかどうか、総理、お答えをいただきたいと思います。
  420. 菅義偉

    ○菅内閣総理大臣 我が国の施政下の領域が他国に占拠され、それを甘受するかのごときの前提に基づく議論は、これは不適当だというふうに思います。  御指摘のようなことが生じないように、政府一体となってここは毅然と冷静に対応したいと思いますし、政府として、米国が条約上の義務を果たす、このことを信頼しています。
  421. 前原誠司

    前原委員 当然だと思います。それを認識していただかなきゃいけないし、裏返すと、中国はそこの分断を図りに来る。私は、様々な形態があり得ると思うんですね。例えば、十年前のいわゆる漁船の衝突の問題にしても、あれは武装した、ひょっとしたら、言ってみれば、軍人が漁業民に成り代わってやっているんじゃないか。いろんなことがこれから考えられると思います。  そういう意味におきましては、是非、施政下であることを続ける、そしてその体制というものをしっかりと取り続ける、そのためには、先ほど申し上げましたように、この海警法というものは国際法違反であるということを軸に、これからしっかりと国内でもお話しいただき、あるいは海外にもそういったものを広める取組をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  422. 金田勝年

    金田委員長 これにて前原君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十八日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会