○緑川貴士君 秋田県に住んでいる
立憲民主党の緑川貴士です。
立憲民主党・
無所属を代表して、
質問させていただきます。(
拍手)
菅総理の
訪米中も深刻さを増している国内の感染状況について、まずは触れなければなりません。
従来株に加え、より感染力の強い変異株が猛威を振るい、蔓延防止等重点
措置の適用エリアが広がっていたさなかの十四日、
菅総理は、現時点で全国的に大きなうねりとまではなっていないと答えられました。外遊を前に、心ここにあらずであったのか、他人事のようでした。
今の感染状況は大きなうねりになっているのでしょうか。今なお、そうではないのでしょうか。御
認識を伺います。
日米首脳会談は、アメリカの都合で先送りされて今回の
日程となりました。そうであれば、
日本としても、コロナの
影響が国内で悪化している中、陣頭指揮を執るために、日を改めたいと
バイデン大統領に申し入れるのが適切ではなかったでしょうか。リモートで行うことなどは検討されなかったのでしょうか。お答えください。
第三波を上回るペースで感染が広がる大阪、そして東京は、更に強い
措置を取るために、緊急事態宣言の発出を国に要請するとしています。そもそも、先月の緊急事態宣言の解除時はリバウンドの兆候が既に見られ、解除するべきではないと強い世論の声があったにもかかわらず、解除されました。また宣言が再び出されるということになるのであれば、前回の宣言は延長するべきだったのではないでしょうか。御見解を伺います。
自ら先頭に立ち、国民の命と暮らしを守り抜く覚悟で取り組むと
総理は繰り返しますが、緊急事態宣言は、出るたびにその効力が失われ、国民にその危機意識が届きにくくなっています。先の見えない戦いを強いられる国民のコロナ疲れもあり、宣言解除後はその反動による緩みも目立ちます。
飲食店以外も含めた休業要請など、より強い
措置を検討することも必要ですが、懸念される緊急事態慣れに対して、政府は対策の効果をどう維持し、そのために
総理としてどうメッセージを発信していかれるのか、伺います。
切り札であるコロナワクチンの供給は遅れ、国内の接種率は〇・九%と先進国では最低レベルで、大幅に遅れています。
菅総理は、
訪米中、ファイザーに追加の供給を要請しましたが、違和感があるのは、ファイザーが交渉には首相を出してほしいと逆指名された経緯もある中で、
総理がわざわざ
訪米したのに、結局、電話での
会談でした。単に電話で話すのであれば、
訪米前でもよかったはずなんですが、なぜ電話
会談だったんでしょうか。
また、ファイザーのブーラCEOとの
会談では、ワクチンの追加供給に向けた協議を進めることを合意したのであって、供給すること自体を確約したとは思えません。具体的にどこまで合意できたのか、お答えください。
ワクチンの効果的な使用頻度について、ブーラCEOは、二回目の接種が終わっても、その後、半年から一年の間に三回目の接種を受け、それ以降は毎年接種を受けることを想定しているようですが、
総理にはどんな
説明があったんでしょうか。
主要国は、既にこの冬以降のワクチンの確保にも乗り出していますが、国内では、来年使うワクチンの確保の時期は更に不透明です。来年用のワクチンの確保、そのためのワクチンの国内でのライセンス生産を進めることも重要であると考えていますが、今の進捗状況はどうなっているんでしょうか。お答えください。
東京オリンピック・パラリンピックの開催について伺います。
人類がコロナに打ちかったあかしと
総理が位置づけている大会の開催ですが、
会談後の記者会見では、
総理は、この表現を使わず、
世界の団結の象徴と表現しました。団結と打ちかつとでは意味が異なります。打ちかったあかしにはできないと判断して、位置づけを変えたんでしょうか。御
認識を伺います。
また、会見では、
総理に対して、公衆衛生の専門家から開催の準備ができていないという指摘がある、無
責任ではないかとアメリカメディアから
質問がありましたが、
総理、なぜ答えなかったんでしょうか。
また、大会の開催について、
総理は
バイデン大統領から
支持を受けたと答えていましたが、
日米共同声明には、大会を開催するための
菅総理の努力を
支持すると盛り込まれたのであって、正確な表現ではないと思います。
バイデン大統領から、大会を開催すること自体の明確な
支持の有無、また、選手団の派遣や
大統領の開会式の出席予定なども含めて、具体的にどのような
発言があったのか、正確な御答弁を求めます。
欧米メディアからは、選手一万一千人以上の安全を確保しながらイベントを成功させることは至難の業だと開催の懸念が伝えられ、
各国の世論も不安視しています。変異株の感染も
世界で拡大している中で、どのような条件が整えば大会の開催が可能であると考えているのか、具体的にお答えください。
共同声明で示されたように、
我が国の領土、領海における
中国による一方的な
現状変更の
試みや、
南シナ海における
中国の不法な海洋権益に関する主張や活動は、断じて容認できません。
同盟国、関係国と
連携して、毅然と
対応していかなければならない問題であります。
他方、
日本にとって、
中国は隣国であり、
経済的な結びつきも深く、日中関係を平和的に発展させていくことが
日本の国益にかないます。
対中関係において、
日米は、基本
認識は共有しながらも、それぞれが
中国に対して持つ関係性を生かしながら、
日米が
連携して外交を展開していくことが重要です。
バイデン大統領とは、そういった
日米の対中関係の違いを踏まえ、
連携を深めていくことについて議論はされたのか、また、
会談の結果について、
中国は激しく反発していますが、
中国に対し、
総理としてどのようなメッセージを発信していかれるのか、伺います。
会談で、
総理は、
日米のそれぞれが
中国と率直な
対話を行う必要もあると
発言されました。
対話によって、双方に横たわる
課題を
解決する外交
姿勢、その枠組みづくりを
日本として主導し、例えば
日米中の三か国による
会談を持ちかけることなども必要ではないでしょうか。御見解を伺います。
今後、日中関係が悪化した場合の
経済、また、
中国に軸足を置く
日本企業への
影響を不安視する声もあります。
ウイグルにおける
人権侵害を厳しく非難しているアメリカは、
中国当局へ制裁を科していますが、制裁に参加しない
日本に対しては、例えばウイグルでの
人権侵害に関連した製品や電気自動車の生産に不可欠なレアアースなどについて
中国からの輸入を止めるようアメリカから要請される可能性、あるいは、行政命令が
中国当局から出され、
中国国内で
日本企業が自由に活動できなくなるリスクも想定されますが、
総理のお考え、今後の
対応について伺います。
バイデン政権は、トランプ
政権時代の対中強硬
姿勢をむしろ更に強めることでアメリカ議会の
協力を得やすくし、それによって国内対策も円滑に進められるなど、議会対策としても今回の
会談を重視しています。初の
対面での
会談の相手に
菅総理を選び、
中国牽制の最前線に
日本を位置づけ、その役割へのアメリカからの重い期待というものは、共同声明で実務事項が詳細に盛り込まれた二千五百字の長文にも見て取ることができます。
共同声明は、五十二年ぶりに台湾に言及し、
日米両国は、台湾海峡の平和と安定の
重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的
解決を促すとまで明記されましたが、これが
日本にとってどのような意味を持ち、これまでと何が違ってくるのか、国民に向けて分かりやすく御
説明ください。
中国の軍事行動が活発化する中、不測の事態が起こらないとも限りません。
例えば、台湾が侵攻され、武力攻撃を受けることで台湾の安全が脅かされる事態というのは、
日本の平和や安全に重要な
影響を与える事態、いわゆる重要
影響事態と認定され得るのか、お答えください。
また、台湾が武力攻撃を受けている場合、米軍が台湾
防衛のため武力を行使している一方、
日本に対しては武力攻撃が行われていないという事態は、存立危機事態に該当し得るんでしょうか。
加えて、
バイデン政権は、台湾有事に際して、自衛隊による米軍の後方支援などについて具体的な期待を抱いているのか、また、そのような事態を想定した
日米共同での訓練を行っていく考えはあるのか、お答えください。
今回の
会談では、
尖閣諸島への
日米安保条約第五条の適用も確認しています。これまでも何度か確認され、その都度確認をするというのは、いわゆる
同盟のジレンマ、本当にアメリカは
日本の
防衛のために動いてくれるのかという心配があるからではないでしょうか。
日本が自国
防衛を行うのは当然ですが、事態によっては米軍による来援が必要です。
日米間で、どういった場合に米軍が出動するのかなど、そうしたシミュレーションを基にした共同作戦は想定されているのか。また、
日本が要請すれば必ず米軍が出動するという確信を今回の
会談を通じて持つことができたんでしょうか。お答え願います。
北朝鮮の核、ミサイル、拉致問題は、いずれも一歩も進展していないどころか、核、ミサイルについては、
北朝鮮は更に能力を向上させる
意思を明らかにしています。
バイデン政権は、現在、
北朝鮮政策の見直しを行っているとされていますが、
北朝鮮の
非核化よりも、段階的な脅威を減少する合意を模索するとも報道されていました。核放棄が前提でなければ
北朝鮮に対する合意はすべきではないと考えますが、そうした考えはアメリカには伝えているんでしょうか。お答えください。
北朝鮮がこれまで短距離
弾道ミサイルを飛ばしても、トランプ
政権では、ICBMをレッドラインと設定していたため、我関せずというアメリカの
姿勢でしたが、
日本にとっては、短距離
弾道ミサイルも深刻な脅威であり、在
日米軍がその標的にもなり得ます。
バイデン大統領が前
大統領より厳格な
対応を取るという考えは見えるのか、そして、短距離
弾道ミサイルの発射も国連決議違反の深刻な脅威であると
認識をしているのか、
総理のお考えを伺います。
拉致問題については、重大な
人権侵害であるとして、
日米が
連携して
北朝鮮に
即時解決を求めていくことを再確認したとしていますが、拉致被害者の家族は、
即時解決のために
日本が何をやるのか、具体的なことははっきりしていない、アメリカがどういう支援や
協力をしてくれるのかが見えないとお話しされています。いつまでに何をやるのか決めてもらいたいという声に、
総理、どう応えていかれるんでしょうか。
平和と安定は
防衛力のみによって達成されるものではなく、
日米両国によるサプライチェーンの確保や、それに向けた技術開発力の
強化など、
経済安全保障の確立の
重要性も確認されました。
一方、コロナ禍では、
日本の様々な
分野での技術の遅れや、サプライチェーン、医療提供体制などの脆弱さも浮き彫りになりました。
経済安全保障を確固たるものとするために、変化の時代に
対応した人材育成や研究開発などへの投資をどのように進め、
日本の技術力、産業
競争力を高めていかれるお考えなのか、伺います。
最後に、
気候変動対策は、必ずや成し遂げなければならない
課題です。
日米気候パートナーシップでは、官民の資本の流れを、
気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することに取り組むとされています。
ただ、現状では、
日本の金融機関が石炭産業への融資の総額で
世界第一位になっています。一方、
世界の流れに目を向ければ、海外の金融機関や機関投資家などによるダイベストメント、つまり投資撤退のターゲットは石炭関連企業から化石燃料関連企業にも広がっています。
総理は、こうした状況をどう捉えているのか、また、
日本の現状を踏まえ、高炭素な投資から離れていくことをどのように促されていくのか、御答弁を求めます。
今回の
会談は
日米同盟の深化に資するものでありますが、
日米の立ち位置の違い、そのずれを抱えていることを互いにこれまで以上に意識をしながら、共に
日米が
協力を進めていくことが何よりも重要であると思います。
日本の持続的な発展のために、今、
日本が注力するべきことは何か、
立憲民主党としても積極的に
提案をし、政府・与党と議論を深めていくことをお誓い申し上げて、
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
内閣総理大臣菅義偉君
登壇〕