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源馬謙太郎君
立憲民主党・
無所属の
源馬謙太郎です。
ただいま
議題となりました
地球温暖化対策の
推進に関する
法律の一部を改正する
法律案について、会派を代表して質問いたします。(
拍手)
まず初めに、一昨日、
政府が決定した
福島原発処理水の
海洋放出に関連して、
梶山経産
大臣に
伺います。
原発処理水の
海洋放出に対し、
漁業者を始めとする
地元住民の大きな不安の声が漏れ伝わってまいります。
そこで、
漁業者に
風評被害が発生した際の具体的な
補償策をお示しください。また、
地元からの信用不安が著しい東京
電力による
海洋放出に対する
住民の
理解を得るための今後の具体的な方策もお示しください。
気候変動は急激に深刻化しており、実際に
被害を受けたとしても逃げるすべを持たない人々も多く、
気候変動による
難民、いわゆる
気候難民は大変な困難に陥っています。
国内も無関係ではありません。私の
地元浜松市では、昨年、
最高気温四十一・一度を記録し、埼玉県熊谷市と並び、
日本の
歴代最高気温となりました。
ダイビングで海に潜っても、年々海の水温が上がっていることを実感します。例えば、静岡県の
伊豆エリアの真冬の
海水温は、かつては十一度ぐらいだったのが、今年は一番低くても十五度ほどでした。ダイバーにとっては、
海水温が上がれば海に潜るには快適ですが、海の生物にとっては、一度の上昇は生死につながります。サンゴの白化、同じポイントで見かける生物の変化など、ダイバーが目にする海中の
環境は確実に変化をしています。これらの変化は、やがて非常に大きな変化につながりかねません。
昨年十一月には、この本
会議場で、
気候非常事態宣言決議が採択され、もはや地球温暖化問題は
気候変動の域を超えて
気候危機の状況に立ち至っているとの
認識を
世界と共有すること、そして、この危機を克服すべく、一日も早い脱
炭素社会の
実現に向けて、
我が国の
経済社会の再設計、
取組の抜本的
強化を行い、
国際社会の名誉ある一員として、それにふさわしい
取組を国を挙げて実践していくことを決意したところです。
このような状況の中、
菅総理が二〇五〇年までの
カーボンニュートラルの
実現を掲げたことは心強いことですし、評価すべきと思いますが、
G7諸国の中で実際上最も遅い
宣言であり、本来温暖化対策をリードすべき
我が国としては遅過ぎた感も否めません。そしてまた、その後発表されている対策は革新的技術ばかりに偏りが見られ、その他の面で具体性が乏しく、今こそ具体策をいかに打ち出せるかの最も大切なタイミングであるにもかかわらず、本当にこれで目標を達成できるのか、疑問です。
こうした観点から、本
改正案について質問を行っていきます。
本
改正案では、
基本理念を新たに設け、二〇五〇年までの
カーボンニュートラルの
実現を明記するとともに、脱
炭素社会実現の
主体として、
国民、国、
地方公共団体、
事業者、民間の団体等と、
関係者を規定する条文の先頭に
国民を位置づけています。
地球温暖化対策の
推進に当たっては、
国民の
理解や
協力が不可欠であることは当然ですが、その責任を負うべき国家の責務よりも、まず
国民を先頭に位置づけることに違和感を感じます。ともすれば、菅内閣は、地球規模の
課題である
地球温暖化対策すら、自助、共助、公助の考えに基づき、まず
国民が取り組むべきものであると示しているようにも思えます。まずは国が、
政府が先頭に立って積極的に取り組んでいくべきではないでしょうか。
国民の
協力と
理解が必要なのは、ほかのどの
政策も同じです。その
必要性を示すのであれば、その旨をしっかりとこの理念において規定し、かつ国が果たすべき役割をまず初めに明記すべきであると考えますが、小泉
環境大臣の見解を求めます。
本
改正案では、
気候変動対策の長期的な方向性を
基本理念として位置づけ、
地方自治体や
企業等の
取組を
促進して、二〇五〇年までの脱
炭素社会の
実現を牽引し、二〇三〇年に向けた
取組を加速しようとしています。
これらの目標達成に向け、
地方自治体や
民間企業の
取組を
促進していくことは重要なことです。しかし、小泉
大臣の、
国民の
理解や
協力なくして
カーボンニュートラルの
実現なしという
方針を具現化するには、具体的な
取組の中身にもっと
国民が参加できる開かれた
議論の場が必要だと考えます。
国民の関与を条文の先頭に書くよりも、実際に
国民が参加する仕組みを設けることの方が、はるかに意味があることだと思います。
例えば、欧州諸国などでは、近年、
気候変動対策に関する無作為抽出型の市民
会議である気候市民
会議の
導入が進んでいます。
フランスでは、二〇一九年十月に、全国から抽せんで選ばれた百五十人の市民が参加する気候市民
会議が
政府の諮問機関である
経済社会環境評議会の下に発足しました。この市民
会議は、二〇三〇年までに
温室効果ガスを一九九〇年比で四〇%削減するための具体的な
政策提言をまとめるために開催されました。
およそ九か月かけて、
温室効果ガス削減に向けて、憲
法改正から、交通、農業、貿易などを含む広範な論点を
議論し、鉄道と競合する国内の航空路線の段階的な整理や低公害車を購入するための無利子ローンの
導入など、約百五十項目の案が盛り込まれたと聞いています。なお、これらの提言のうちの約三分の一が反映された関連
法案が、本年二月に示されています。
我が国でも、昨年、札幌市で、気候市民
会議さっぽろ二〇二〇が開催されましたが、こうした、市民が直接
気候変動について
議論し、
政府に対し具体的に提言できる仕組みこそが、小泉
大臣が求めている
国民の積極的な関与を促すのではないでしょうか。
若者を含むあらゆる世代の広範な声を尊重し、脱
炭素社会への移行を適切に行っていくための市民参画の仕組みとして、
気候変動対策を討議する
会議をこの
法律に位置づけることについて、
大臣の見解を
伺います。
現行法には、
政府の
地球温暖化対策計画の
策定や変更に当たって
国会が関与する仕組みが盛り込まれておりません。
国民の代表として
国会が
施策の在り方や妥当性をチェックする必要があるはずです。
そのための具体策として、少なくとも
計画案の
閣議決定時や変更時に
国会への
報告を行う仕組みをこの
法律で規定する必要があると考えますが、
大臣の見解を
伺います。
二〇五〇年までの
カーボンニュートラル実現に向け、取り組むべき
施策の一丁目一番地は省
エネです。
政府からは革新的技術による効果ばかりが強調されますが、まずは
エネルギー使用量を減らすことが何よりも重要であり、そうした努力の上で、イノベーションも含めた再
エネの
導入に取り組んでいくべきだと再
認識すべきです。
しかしながら、本
改正案からはこの省
エネの重要性が抜け落ちています。まずは省
エネを徹底的に行っていくことを明記すべきであると考えますが、小泉
環境大臣の見解を
伺います。
さらに、本
改正案では、国の
取組に関する中身が希薄です。
国民よりも、
民間企業よりも、
地方自治体よりも、まずは国が率先して省
エネ、再
エネに徹底して取り組み、範を示す必要があります。
企業や
地方自治体に努力を求める前に、まずは国が実績を見せていかなければなりません。
立憲民主党は、分散型
エネルギー推進四
法案を二〇一九年に提出しており、このうち、公共施設省
エネ再
エネ義務化
法案において、国等の既存の建物について、各省庁が改修
計画を
策定し、二〇三〇年までに全ての建物で改修を終えることなどを示しています。
このように、関連施設の省
エネ、再
エネの
利用、改修を
計画的に実施するなど、国の具体的な
取組についてこの
法律に位置づけるべきではないでしょうか。
環境大臣の見解を
伺います。
地球
環境の
課題は
気候変動だけではありません。生物多様性の保全も、将来世代の地球
環境に影響を与える重要な問題であり、同時に取り組む必要があります。
再生可能エネルギー施設を増やし、
カーボンニュートラルを何としても達成しようという努力により、生物多様性を犠牲にするようなことがあってはなりません。
本
改正案では、各
地域で
促進区域を
設定して、太陽光や風力発電施設など、立地を
促進する
取組が盛り込まれていますが、これらが生態系や生物多様性に与える影響を防ぐための積極的な規定は盛り込まれておりません。この
地域は施設の建設を認めず、
環境や生態系の保全を優先する保全区域の
設定もできるようにすることも必要ではないでしょうか。小泉
大臣の見解を
伺います。
明日には
日米首脳会談が、そして二十二日、二十三日には
米国主催の
気候変動に関するサミットが開催される予定となっています。
これまでの国際政治を見れば、各国は、二〇五〇年までの
カーボンニュートラルという
政策の波を捉えて、自国の
産業に有利なルールを作ろうとする
動きが当然生まれてくるだろうと思います。
例えば、EUは
炭素国境調整
措置について検討を進めており、米国もこれに関心を示していると
承知していますが、
我が国の対応が後手に回り、国益を損ねるような事態を招くことがあってはなりません。
産業分野における
国際競争力を確保するためにも、脱
炭素化に向けた
議論において、
日本が
国際社会のルール作りに積極的に関与し、リーダーシップを発揮していくべきです。
この点についての見解と、具体的にこれからますます加速するであろう
国際社会における脱
炭素化のルール作りの場において
我が国としてどのようにリーダーシップを発揮していくつもりか、外務
大臣の見解を
伺います。
二〇五〇年
カーボンニュートラルの
実現に向け、本
改正案のみならず、グリーン成長戦略など様々な
施策が検討され、実施されようとしています。
例えば、自動車関連では電気自動車や燃料電池車などの
導入加速が期待されておりますが、こうした新たな形態への
転換が急激であったり無理があったりすると、関連する業界、とりわけ、裾野の広い業界の
中小企業への打撃や、そこで働いている方々の雇用にも多大な影響を与えることになります。
産業に必要な
電力の確保も重要です。
脱
炭素化への移行を確実に、そして国力を落とすことなく
実現していくためには、こうした
課題へも併せて目を向けていく必要があり、より多くの人が脱
炭素社会を受け入れていくための多角的な手当てが大事になることは言うまでもありません。
立憲民主党は、脱
炭素社会の
実現に向けて積極的に関与していくと同時に、働く人たちの雇用の公正な移行と、影響を受ける
地方の振興に、全力で取り組むことをお約束して、質問を終わります。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣小泉進次郎君
登壇〕