○山尾志桜里君 国民民主党の山尾志桜里です。
会派を代表して、
RCEPについて
質問します。(
拍手)
今回の加盟国には、
中国と
ミャンマーが含まれます。現在進行形で自国民に対し重大な
人権侵害を行っている国と、今、
経済連携を前進させることが本当に妥当なのか、厳しい判断が突きつけられています。
まず、
合意時点と
状況が激変した
ミャンマーについてです。
国軍は市民に対する発砲や空爆をエスカレートさせ、今日までに七歳の少女を含む五百人以上が死亡しています。
今後、
日本として、
ミャンマー国軍による
RCEP発効を万が一にも認める可能性があるのでしょうか。
人権国家として、自国民を殺りくする
国軍と、
対話はしても正統性は認めないという一線を守っていただきたい。答弁を求めます。
RCEPの
合意形成は、
RCEP合同委員会においてコンセンサスが図られます。
ミャンマー国軍による
発効の是非、あるいは
ルール違反の疑いへの
対応など、今後の
課題は少なくありません。自由、
人権、法の
支配という
普遍的価値観に基づいて
日本が
合意形成をリードしていくに当たり、
各国の
価値観を把握する必要があります。
そこで、伺います。
昨年六月三十日に開かれた国連
人権理事会では、香港国家安全維持法について
懸念表明と支持表明、二つの共同声明が発表されました。今回の
RCEP加盟
各国につき、
懸念表明に
参加したのか、支持表明に
参加したのか、どちらにも不
参加だったのか、お答えください。
中国を含めて支持を表明した国が四か国、
他方、
日本を含めて
懸念を表明した国が三か国と把握していますが、正しいでしょうか。確認させてください。
その上で、
人権弾圧を内政問題として黙認したり、
ルール違反を数の力で押し通すような
枠組みになってしまう
懸念をいかに払拭するつもりでしょうか。お答えください。
注目された
電子商取引の
分野では、データローカリゼーション要求の
禁止と、データフリーフローの
規定が整備されました。
すなわち、原則として、自国でビジネスする海外企業に対してサーバーなどを
我が国に設置せよと要求することは
禁止される一方、加盟国間でデータの越境移転を妨げてはならないとされました。
確かにこうした
規定は、これまでは
自由貿易の
推進力として肯定的に捉えられてきたものです。しかし、
RCEPの加盟国には、適法性、公正性、
透明性といった根本的なデジタル原則を必ずしも共有していない国が含まれます。
韓国や
中国のサーバーに画像データなどが保管されていたLINEの問題、楽天、
日本郵政、テンセントの大型資本提携がもたらす情報流出への
懸念。今後は、個人情報
保護やサイバーセキュリティーなどの
観点から、むしろ
規制を求めるべき場面も出てくるのではないでしょうか。
データ・フリー・フロー・ウィズ・トラストという
方針の大前提であるトラストを確信できない国が含まれる今回の
RCEPで、
日本はどのような場面でデータ流通を
規制できるのか、サーバーを
日本に置くことを要求できるのか、例外が認められる公共政策上あるいは安全保障上の必要性とは何を指すのか、安全保障には
経済安全保障も含まれるのか、具体例とともに
説明を求めます。
昨年四月、習近平主席はこう演説しました。国際産業チェーンの
我が国に対する
依存関係を引き寄せ、外部の人間が供給を断つことに対する強くて有力な反撃、威嚇能力を形成する。
人権弾圧を理由とした
経済制裁を困難にするために、
サプライチェーンにおける
国際社会の
中国依存を強める
趣旨とも受け取れます。
こうした発信の上で、実際に香港やウイグルにおける
人権状況が悪化している今、むしろ
経済制裁を検討すべき場面で
経済連携をすることに強い
懸念を覚えます。
そこで、提案です。
今、議員立法で検討が進んでいる
人権侵害
制裁法と併せて、
人権デューデリジェンスの法制化です。一定の規模を持つ企業に対し、
政府のサポートの下、
サプライチェーンを含め、直接間接に
人権侵害に加担することのないような計画や実施
状況の公開を
義務づけるものです。この法制化についても、昨年末、
EUが二〇二一年に法案提出すると動き、具体的な取組のない国はG7の中で
日本だけになってしまいました。
価値を同じくする国々が
人権侵害
制裁法や
人権デューデリジェンスの法制化を加速度的に進める中、
日本がこうした取組なしに、今回、
RCEP締結の姿だけを見せてよいとは思えません。この二つの法整備を検討する
考えはあるか、答弁を求めます。
あわせて、
国会承認のタイミングです。
加盟十五か国のうち、
国内手続を終えた国はどこですか。
中国とタイが
国内手続を完了したと認識していますが、この
状況で、今、
日本が次に続く必要はないのではありませんか。
中国や
ミャンマーの
人権状況を見極めつつ、
オーストラリアや
ニュージーランドなどとよく
連携して、
国会承認に関してはもう一呼吸置くという判断を検討いただけませんか。
この条約に関しては、戦略的に時間をかけて
議論を続け、適切なタイミングで適切な結論を得るべきです。是非、与野党を問わず、議員の皆様にも、知恵を絞り、
政府に
働きかけいただくことをお願いして、代表
質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣茂木敏充君
登壇〕