○岡本三成君 公明党の岡本三成です。
私は、自由民主党・無所属の会並びに公明党を代表いたしまして、
特定都市河川浸水被害対策法等の一部を
改正する
法律案につきまして、
国土交通大臣に質問をいたします。(
拍手)
本年三月で、東
日本大震災から十年を迎えました。
改めまして、犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げます。
二〇一一年以来、
地震対策に重きを置いた
防災が進んでまいりましたけれども、
地震と並んで毎年のように起こる
水害が
激甚化しております。その結果、
水害による
被害者は、多い年で数百人にも上り、私は
政治家として自責の念を禁じ得ません。
洪水、土砂
災害、
浸水は、
地震と違い、あらかじめ豪雨の日時や降雨量がある程度予測できるため、
事前避難や
治水対策といった備えによって
被害を最小限に食い止めることができる
災害です。
自然
災害は、大勢の命に加えて、生活やなりわいを奪ってしまいます。
災害の多い国であるからこそ、
日本は、何をおいてもまず
防災、減災に取り組み、国民の命を守る
施策に全力を注ぐ必要があります。その意味において、今回
議題になっている
法案の意義は非常に大きいと考えます。
防災の根本目的は、命を守ることです。国を挙げて最優先で取り組むべき課題であると考えますが、
防災に対する基本認識をまず
国交大臣にお伺いいたします。
そもそも、現行の
法律は、平成十一年と十五年の福岡
水害や平成十二年の東海
水害など
浸水の
被害の多発を受け、
都市部の
河川流域における浸
水被害を防止する新たなスキームとして、
特定都市河川等の
指定、
流域災害対策計画の
策定、
計画に基づく
雨水貯留浸透施設の
整備などの具体的な
措置並びに規制
措置を定めたものであります。
近年、
気候変動の影響により、
全国各地で
水害が
激甚化、
頻発化しており、
河川の浸
水被害の総合
対策を一層
強化する
必要性から、今回の
法案提出になったものと理解をしています。
平成十五年の法制定以降、様々な
施策が
推進されてまいりました。国交省はこれまでの
浸水対策の
効果をどう評価しているのか、確認させてください。
都市
水害を防ぐためにこれまで様々な
対策が取られてきましたが、中でも
流域における雨水貯留
施設の
整備には大きな氾濫防止
効果があります。
現行法において、新規開発
事業などの浸透阻害行為に対しては、貯留浸透
施設の
設置が義務づけられています。今後は、既存の公園、学校などの公共
施設や大
規模施設の地下貯留浸透
施設の建設を一層
推進していく必要がありますけれども、そのためにどのような財政
支援をしていくのか、また、
予算措置以外にどのような
支援を考えているのか、お伺いいたします。
今回の法
改正は、
流域水害対策計画の
対象となる
河川を、
河川整備で
被害防止が困難な都市
河川に加えて、自然条件により
被害防止が困難な
河川も
対象として追加
指定するとしています。
自然条件から
被害防止が困難とは具体的にはどんな
河川なのか、また、国交省として
対象河川の拡大は幾つぐらいの
河川で
実施する予定なのか、お伺いいたします。
本
法案では、浸
水被害の危険が著しく高い
エリアを
都道府県知事が
浸水被害防止区域として
指定することになっています。
しかし、こうした
指定は、一方で住民不安を高め、地価の下落なども懸念されます。したがって、実際の
対象追加に当たっては慎重な配慮が必要となります。
地域住民や
関係事業者の方々の利害も絡むことから、
関係者の皆さんとの
事前調整が不可欠と考えます。
具体的にはどのような手続で追加
指定を行うのか、さらに、
区域内にある要
配慮者施設の
安全性の
事前確認を行うことになっていますが、どのような基準で
実施するのかをお伺いいたします。
東京都では、荒川等の下
流域である東部に広大なゼロメートル地帯を抱え、そこに約二百五十万人の方々が生活をされています。一たび荒川などの堤防が決壊すると、こうした
地域が広範囲にわたり
浸水し、場所によっては二週間もの間、
浸水が継続することが懸念されています。今後も更なる降雨量の増加が見込まれる中、こうしたリスクに対して万全の体制で臨まなければなりません。
昨年十二月に国交省と
東京都で
策定をした
災害に強い首都「
東京」形成ビジョンでも、こうした観点から、命の安全と最低限の
避難水準を
確保し、さらに、
浸水区域外への
避難を可能とする高台
まちづくりを
推進する旨がうたわれています。また、大
規模地震への備えとしても、町中でいち早く逃げることができる
拠点の
整備は急務であります。
この点について、今回の
法案ではどのような
措置を講ずることとしているのか、
大臣の所見をお伺いいたします。
本
法案に関しまして、Xバンドレーダーについてお伺いいたします。
国交省は、現在、
全国のXバンドレーダーからの
情報を、Cバンドレーダーと同様に、雨量に加工をして
民間に販売しています。Xバンドレーダーは、局地的な雨量の観測が可能になるため、豪雨に伴う
水害からの
避難を呼びかけるなどのサービス提供に大変有効です。そのため、その生データをリアルタイムで公開してほしいと
民間事業者から強い要望があります。是非、実現すべきだと思いますが、
国交大臣の
見解をお伺いいたします。
次に、
法案に
規定されている
利水ダムの
事前放流の拡大を図る
協議会に関して、荒川の第一調節池の中にある貯水湖である彩湖の利用についてお伺いいたします。
荒川の氾濫防止の要である荒川第一調節池は、一昨年の台風十九号の際にも大きな
役割を果たしました。しかし、調節池中央に位置する彩湖の利水容量七百六十万立方メートルに関しては、
事前放流を一切行っておりませんでした。
昨年十一月の
予算委員会で、私がこの点を指摘いたしまして、今後は
事前放流を実現するように要望いたしました。そして、翌十二月、
関係自治体との協議が調い、ついに現行
設備で対応可能な最大量である二百五十九万立方メートルの
事前放流が可能となり、
防災対策が大きく前進をいたしました。
しかしながら、まだ不十分です。ポンプの排水量の限界から、残り五百万立方メートルもの水量が
事前放流できないままとなっています。排水ポンプの増設には数十億円、建設期間も数年かかると推定されていますが、その
効果を考えると十分に価値があると考えます。
一方で、非常時に即応するには、移動式のポンプ車を配置しての排水を検討することも重要です。どのようにしたら、より多くの
事前放流が可能となり、
河川の氾濫を防ぐことができるかを、国交省一体となって早急に検討していただきたいと考えますが、
事前放流の一層の拡大につきまして、
大臣の所見をお伺いいたします。
国交省は、
水害を防止するために、
河川や下水道における
対策の
強化や
流域における雨水貯留
対策の
強化を掲げていますが、
実施に当たっては
予算の拡大が必要と考えます。
令和三年度の国交省全体の
治水事業関連費は九千二百四億円ですが、余りにも少な過ぎます。今後一層の
予算の増額を要望いたします。
防災に係る費用と自然
災害による経済損失を比較すると、いかに費用対
効果が高いか、一目瞭然です。例えば、二〇一九年の台風十九号による経済損失は約一兆六千五百億円と試算されていますが、八ツ場
ダムの建設費は五千三百二十億円。これで何兆円もの経済損失を防ぐことができました。
水害対策は、まさに国民の命に直結するものです。国交省は、今後、
治水対策予算の
確保にどのように取り組むのか、
大臣の決意をお伺いいたします。
政治家の最大の使命は、国民の命と生活を守ることです。公明党は、
防災・減災が主流となる
社会の実現のためにこれからも全力で取り組むことをお約束いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(
拍手)
〔
国務大臣赤羽一嘉君
登壇〕