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2021-06-11 第204回国会 衆議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年六月十一日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 古川 禎久君    理事 池田 佳隆君 理事 大串 正樹君    理事 三原 朝彦君 理事 山田 賢司君    理事 山田 美樹君 理事 松原  仁君    理事 渡辺  周君 理事 浜地 雅一君       大野敬太郎君    木村 哲也君       佐々木 紀君    斎藤 洋明君       薗浦健太郎君    細田 健一君       堀井  学君    三ッ矢憲生君       山口  壯君    黒岩 宇洋君       源馬謙太郎君    村上 史好君       笠  浩史君    竹内  譲君       濱村  進君    笠井  亮君       森  夏枝君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    国務大臣    (拉致問題担当)     加藤 勝信君    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 小此木八郎君    内閣府副大臣       三ッ林裕巳君    外務大臣        鷲尾英一郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  岡本  宰君    政府参考人    (警察庁警備局長)    大石 吉彦君    政府参考人    (金融庁総合政策局参事官)            石田 晋也君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君    政府参考人    (公安調査庁調査第二部長)            竹田 公政君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君    衆議院調査局北朝鮮による拉致問題等に関する特別調査室長          大野雄一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任   下条 みつ君     黒岩 宇洋君   竹内  譲君     濱村  進君   串田 誠一君     森  夏枝君 同日  辞任         補欠選任   黒岩 宇洋君     下条 みつ君   濱村  進君     竹内  譲君   森  夏枝君     串田 誠一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  北朝鮮による拉致問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 古川禎久

    古川委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先立ちまして、一言申し上げます。  昨年六月、横田滋さんがお亡くなりになりました。横田めぐみさんが北朝鮮拉致されてから既に四十三年が経過しており、横田滋さんが御存命の間にめぐみさんの御帰国が果たせなかったことは、誠に痛恨の極みであります。  ここに、横田滋さん、有本嘉代子さん始め拉致被害者家族の死を悼み、謹んで黙祷をささげたいと存じます。  全員御起立をお願いいたします。――黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 古川禎久

    古川委員長 黙祷を終わります。御着席願います。      ――――◇―――――
  4. 古川禎久

    古川委員長 北朝鮮による拉致問題等に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官岡本宰君、警察庁警備局長大石吉彦君、金融庁総合政策局参事官石田晋也君法務省大臣官房審議官堂薗幹一郎君、公安調査庁調査第二部長竹田公政君、外務省大臣官房審議官赤堀毅君、外務省大臣官房参事官石月英雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 古川禎久

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 古川禎久

    古川委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。松原仁君。
  7. 松原仁

    松原委員 拉致問題の特別委員会が、二年間こういった質疑が行われなかった中で、ようやくこの質疑が行われるということになりました。  先ほど黙祷もありましたが、横田滋さんが亡くなって約一年経過しております。できることならば、横田滋さんが御存命のうちにこの拉致問題の特別委員会が開催をされ、そういった日本政治拉致問題に対しての情熱的な取組を横田滋さんには一目お見せしたかったな、こんな思いを痛切に感じております。その上で、質問を始めてまいりたいと思っております。  拉致問題の解決のためには、硬軟両様のあらゆる戦略、公式、非公式のあらゆるルートを駆使して交渉するべきだと、私も、拉致問題担当大臣を拝命をしていた人間として認識をしております。  既に総理大臣は、条件をつけないで金委員長に会うということを表明しております。これは柔軟な側のアプローチであります。しかし、硬軟両様と私が申し上げましたのは、強い強硬な姿勢も一方においてなければ北朝鮮という国との交渉はできないというのは、私もこの間二十年近く拉致問題を扱ってきた一つの結論であります。  そこで、お伺いいたします。  朝鮮総連に対して、私が平成三十一年二月二十一日、質問主意書で、一般論としての破産申立てが可能であるかと質問したところ、可能であるという答弁が返ってまいりました、内閣から。このことに関して、見解は変わっていないかどうか、まずお伺いします。
  8. 堂薗幹一郎

    堂薗政府参考人 お答えいたします。  一般論として、債務者が、いわゆる権利能力、社団として破産法が準用する民事訴訟法二十九条の要件を満たす場合には、その債権者破産手続開始申立てをすることができるとされているところでございます。  御指摘質問主意書はこの旨を答弁させていただいたものでございまして、この点に関する見解に変更はございません。
  9. 松原仁

    松原委員 つまり、朝鮮総連に対して破産申立てができると、法務省は今この場で表明したわけであります。  その上で、実際に破産申立てを検討するかを金融庁に問いたい。
  10. 石田晋也

    石田政府参考人 お答え申し上げます。  朝鮮総連に対して破産申立てを検討するかについては、個別具体的な債権回収に関わる事柄で、整理回収機構における今後の債権回収業務に支障が生じ得ることから、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  11. 松原仁

    松原委員 要するに、朝鮮総連に対してはこういった破産申立てが可能であるという話が法務省からされ、金融庁からは、朝鮮総連に対して、そのことに関しては個別具体的であるゆえに御答弁を差し控えるという話でありました。  次に、朝鮮総連は現在も破防法に基づく調査団体となっているかどうか、これをお伺いいたします。
  12. 竹田公政

    竹田政府参考人 お答えいたします。  朝鮮総連は、破壊活動防止法に基づく調査対象団体でございます。
  13. 松原仁

    松原委員 横田滋さんの追悼会において、加藤官房長官リモート参加をしていましたが、横田哲也さんが、どんどん時間が過ぎていくということを含め、朝鮮総連に対してもっと厳しい扱いをするべきではないかという発言をしたことは承知をしているでしょうか。
  14. 岡本宰

    岡本政府参考人 お答えいたします。  横田滋さんの一周忌の御命日でありました今月五日に、まさに、めぐみさんが通われていた新潟県の寄居中学校で行われました、横田めぐみさんとの再会を誓う同級生の会による「翼をください」の合唱に、加藤大臣オンラインで参加いたしました。  その際、私も大臣の傍らにおりましたけれども、その行事において、オンラインで参加された横田哲也さんが、政府には、朝鮮総連扱いが今のままでよいのか、若しくは何とかならないのかと発言されたことはお聞きしております。
  15. 松原仁

    松原委員 加藤大臣にお伺いいたしますが、拉致問題解決念頭にこうした措置を取る可能性政府は、私は、交渉としても、北朝鮮に示唆をする、若しくは検討するべきと考えますが、御答弁をいただきたい。
  16. 加藤勝信

    加藤国務大臣 委員の御指摘のありました、いわゆる破産手続開始の枠組み、また朝鮮総連に対する具体的な対応については、関係省庁からお答えをしたとおりであります。  私としては、全ての拉致被害者方々の一日も早い帰国実現に向けてどういう手段が効果的なのか、そういった判断を常にしながら対応していきたいと考えております。
  17. 松原仁

    松原委員 これは、加藤大臣、やはり北朝鮮という国は、やはり秘密交渉秘密交渉でやってほしいと思っている国柄です。私もやってきました。しかし、言うことを言わないと、日本はこの問題に関して不熱心だというふうな勘違いをする国家でもあると私は思っています。ですから、硬軟両様でやっていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  次に、平成十九年四月二十六日、河内拉致被害者等支援対策室長表明書を出している。このことが契機になって、チャンピオン訴訟と言われた古川了子さんの拉致認定を求める訴訟が取り下げられた、若干時系列はありますけれども、認識はそういう認識です。このことで、その後、田中実さんや松本京子さんが認定を、その前後でされていますが、この特定失踪調査会との意見交換はどうなっているのか。  特定失踪調査会は、その後、全く何の進展もないという中で、新たに法的な措置を講ずる、つまり、チャンピオン訴訟ですね、古川了子さんの拉致認定を求める、認めさせる訴訟のようなものをもう一回起こしたいという機運も高まっている。このことをどう認識しているか、お伺いしたい。
  18. 岡本宰

    岡本政府参考人 お答えいたします。  政府といたしましては、拉致被害者として認定された十七名のほか、北朝鮮による拉致可能性を排除できない行方不明者として、現在八百七十三名の方々につきまして、国内外からの情報収集分析捜査調査に鋭意努めているところでございます。  拉致被害者認定は、ただいま申し上げました情報収集分析捜査調査の結果、北朝鮮当局による拉致行為があったことが確認された場合に行うこととしておりますけれども、拉致可能性を排除できない事案につきましては、これまでのところ、北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っておりません。  政府といたしましては、今後も事案真相解明に向けて全力を挙げて取り組んでいく考えでありまして、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、速やかに拉致認定してまいります。  また、御家族に対しましては、拉致問題に関する様々な情報を提供しておりますほか、御家族からの問合せや相談にも誠意を持って応じてきております。御家族に寄り添った対応を今後ともしてまいりたいと考えております。
  19. 松原仁

    松原委員 いろいろとお話しになったけれども、要するに、それは、いろいろと言うのは結構なんだ。実際にやっているのかどうかという話だよ。少なくとも、またチャンピオン訴訟が起こるようなことがあったら、これは十分に特定失踪調査会との間で議論をしているということにならないし、理解も得ているということにならない。明確に言っておきたい。  次に、平壌において、六月中旬、反体制派のビラがおびただしく出された。このことを承知しているか。あわせて、北朝鮮経済状況悪化ということをどう分析しているか、お伺いしたい。
  20. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  我が国としては、北朝鮮動向について重大な関心を持って、平素から情報収集分析に努めてきております。御指摘の点を含め、様々な情報や報道に触れておりますが、その詳細や政府としての分析、評価については、事柄の性質上、お答えすることが困難である点は御理解いただきたいと思います。  他方、現時点において、金正恩委員長の下での体制に大きな変化があるとは見られておりません。  また、北朝鮮経済状況につきまして申し上げれば、例えば、本年一月に行われた党大会では、金正恩委員長自身が、制裁自然災害、世界的な保健危機により経済目標が甚だしく未達成になったと述べているものと承知しております。
  21. 松原仁

    松原委員 答弁は短くお願いしますね。  このことを受けて心配するのは、北朝鮮が極めて経済的に、中朝の貿易の問題もこれあり、なかなか今、経済的に厳しい。その中で、邦人保護観点から、拉致被害者健康面が危うくなるんじゃないかと私は心配しております。  コロナ感染予防対策を含む被害者医療ケア身体安全確保について、北朝鮮に強く申入れを行うべきだと考えております。いかがですか。
  22. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  我が国としては、新型コロナウイルスに関する北朝鮮当局対応ぶりを含め、北朝鮮をめぐる動向について重大な関心を持って、情報収集分析を行っております。  その上で、御指摘の点を含め、北朝鮮とのやり取りについては、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、明らかにすることは差し控えたいと思いますが、委員から御指摘をいただいた点は真摯に受け止めたいと考えております。
  23. 松原仁

    松原委員 真摯に受け止めてもらうのは、それは結構なんですが、我々は拉致被害者北朝鮮にいるということを政府で確認をし、言明をしている。であるならば、これは、拉致被害者邦人保護観点からやるというのは当たり前であります。  私がさっきから言っているのは、水面下でやるものというのはあっていいと思う。交渉の具体的な中身はあっていいと思う。しかし、外で言い放つ部分というものがなければ、北朝鮮はちょっとセンスが違いますから。私はそう思っている。彼らの言語で、彼らの行動様式を含めて、まあ、全くそこに一致させる必要はないが、言わなければ、全くもってこの交渉というのは何もないかのように過ぎてしまう。  私のところに、担当大臣以来、若干の関係があるところから、何で日本拉致問題の解決に余り熱心じゃないんだという、ブラフかどうか分かりません、そういう話が来ている。明確にそういうのは、水面下じゃなくて、言うことは言って、やるということが、私は北側との外交交渉で重要だと思っている。  彼らは、私が担当大臣のとき、いろいろとずばずば言ったら、私に対してむちゃくちゃな誹謗中傷をしてきた。しかし、それは、誹謗中傷という点では、このやろう、けしからぬと思うけれども、例えば私を、ネズミ小僧松原仁だと言ってきた。それぐらいの認識を持ってもらってやった方が、話ができているんですよ。全てを水面下でやるというのは、私は全く、そんなお公家様みたいなやり方で通用することはないということを、この際はっきりと申し上げておきたい。  それで、日本として、様々なコロナ対策治療薬、イベルメクチンとかと例示しましたが、これを拉致被害者に対して提供を行うべきと考えるが、このことについてお答えをいただきたい。
  24. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  政府としての今後の対応につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から、不断に検討していきたいと考えているところでございます。  北朝鮮への人道支援については、その必要性を含め、総合的かつ慎重に見極めた上で、適切に判断することと考えております。
  25. 松原仁

    松原委員 人道的支援をしろと言っているんじゃないんですよ、それも大事だけれども。邦人保護観点から、うちは用意があるというのを、北がどう思うかは別ですよ、言いっ放しで言うぐらいのことをやらなかったら、全然、北側は、日本は何も発信してこないと思うんですよ。水面下水面下でやればいい、水面上は水面上でやればいい。  大臣、どなたか、お答えはありますか。
  26. 茂木敏充

    茂木国務大臣 北朝鮮政策について、松原先生大臣を務められて、様々な難しさというのはお分かりだと思います。  今ちょうど、バイデン政権北朝鮮政策レビューを終わったところであります。北朝鮮側については、そのレビューの結果も説明したい、こういうシグナルを投げておりますが、残念ながら北朝鮮から反応がない、これが現状であります。  また、韓国の側も、南北間で対話をしたい、こういう意向を持っておりますが、それが正しいかどうかは別にして、それに対しても、現在、北朝鮮はそれを無視する、こういう状況にあるわけであります。  日本として、拉致被害者の皆さんを含めて、海外にいる邦人安全確保は最重要な課題だと思って取り組んでおりますけれども、そういった関係国の動き等々を見ながら、北朝鮮については、拉致そして核、ミサイル、こういった問題を包括的に解決していく上で、どういった対策を取っていくことが必要か。今は少なくとも制裁を緩めるべきではない、これが国際社会全体の一致した認識でありまして、そういったことで何ができるかということをよく考えていきたいと思っております。
  27. 松原仁

    松原委員 茂木大臣の御答弁ですが、ちょっと私はそれは違うなと思っていますが、時間がないので、これは、これ以上しません。  言いっ放しで言う、レスポンスはなくてもいい、こういう打ち込みをすることが、私は、この問題では大事だと。私の経験でそう思っているという、私の信念から申し上げているんです。  時間がちょっとなくなってきたので、次に参ります。  いわゆる菅総理北朝鮮会談可能性、お伺いしたい。
  28. 石月英雄

    石月政府参考人 日朝首脳会談につきましては、現時点でめどが立っているわけではございませんが、北朝鮮との間では様々な形でやり取りを行い、拉致、核、ミサイルといった諸懸案包括的解決に向けてあらゆる努力を行っているところでございます。  拉致問題の解決につきましては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要であります。菅総理自身も、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を表明してきております。あらゆるチャンスを逃さずに取り組んでいきたいと考えております。
  29. 松原仁

    松原委員 主体的に取り組んでいるとおっしゃるけれども、主体的に十分取り組んでいるようには見えない人たちもいる。この委員会だって二年間やっていない。それは院の側の議論だといっても、その理由は、三大臣がそろわないという話なんだから。  その上で、アメリカ外務省政府担当者は、日朝首脳会談において、日本北朝鮮一定解決がされたとき、私は、当然、人道支援的な部分に関してはハードルが下がるというふうに思っていますが、こういった人道上の支援において日本が一部制裁を緩和する可能性がある、先に日本がやった場合ですよ、条件をつけなくて会うと言っているんだから。そのときにアメリカはそんなの知らなかったと言うことはないと思うんだが、この辺に関する日米協議連携はどうなっているか、お伺いします。
  30. 石月英雄

    石月政府参考人 日米間では、北朝鮮への対応について、様々な可能性念頭に、外交当局間で緊密に協議を行ってきているところでございます。  バイデン政権との間では、本年一月の政権発足後から緊密に連携してきており、事務レベル外相レベル首脳レベルでの連携をしてきているところでございます。その中で我が国の考え方を伝えるとともに、今後の方針をすり合わせてきているところでございます。
  31. 松原仁

    松原委員 そういうことを言っているから駄目なんだよ。違うんだよ。北朝鮮側にある種の材料を与えなきゃいけないと思っているんだ。  アメリカとの協議で、例えば、アメリカが了解しなければそれはできないが、日本が、一定拉致問題の解決が起こった場合、成功したというふうに我々が評価する場合において、その一定のというのは政府が考えればいい、人道支援物資に関しては我々は考える余地がある、アメリカもそれは理解しているというようなことが、まあ言えるかどうか分からないが、このようなニュアンスを言うことによって、北朝鮮側は、この問題をやるメリットを感じる。やはり外交交渉だから、メリットを感じさせなきゃいけないし、それを、水面下水面上か、どういう形か分からないが、私はこの辺は水面上でいいと思っている。そういったことを検討するべきだということを申し上げておきたい。  アメリカが先行して、逆に、菅さんと金正恩ではなく、アメリカが先に、バイデンさんの側が接触した場合、アメリカ実務者が間違った方向に、我々が期待している方向と違う方向にこれが進んでしまっては困るわけでありますが、いわゆる事務方における協議というのはどれぐらいきちっとやっているのか。やっているのかやっていないのか、答弁してください。
  32. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、バイデン政権とは、本年一月の政権発足直後から緊密に連携してきておりまして、事務レベルにおきましても、船越アジア大洋局長ソン・キム北朝鮮特別代表との間を始め、様々なレベルでの意見交換を行い、すり合わせをしてきているところでございます。
  33. 松原仁

    松原委員 それ、きちっと頑張ってください。  北朝鮮との拉致交渉は、現在、膠着状況であります。全然膠着じゃないというんだったら、どなたか答弁していただきたい。通り一遍の話ではなくて、こういう具体的なことがありますよと。言えるものがないというんだったら、それはそれでいい。何か今、こう進んでいますよというのはありますか。
  34. 石月英雄

    石月政府参考人 北朝鮮との間では様々なやり取りを行ってきておりますが、その中身については、具体的に申し上げることは差し控えたいと思います。
  35. 松原仁

    松原委員 何にもやっていなくたってそう言えるんだよ、悪いけれども。そうやって時間が過ぎた。  私は、この拉致交渉は進んでいないと、残念ながら。進んでいない理由として、私は、申し訳ない、外務省が主導してやっているがゆえに、なかなか進み方が悪いんじゃないかと率直に思っています。  そこで、お伺いします。  拉致問題の解決のための交渉は、通常の外交交渉なのか、むしろ人質奪還交渉なのか、お伺いしたい。
  36. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するためには、交渉の形態や呼称にかかわらず、何よりも、金正恩国務委員長と直接会談をし、虚心坦懐に話し合うことが重要だと考えております。  菅総理自身も、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う決意を表明してきております。あらゆるチャンスを逃さずに、全力で取り組んでいきたいと考えております。
  37. 松原仁

    松原委員 その話は何回も聞いています。それは大事なことです。しかし、いきなり菅さんが行ってやるんじゃないんですよ。事務方がきちっとこれを積み上げていくんですよ。その手が、外務省人間交渉するのか、誰が交渉するのか。人質奪還交渉ですよ。  北朝鮮という国は、我々の常識とちょっと違うと私は思っている。言うことははっきり言い、場合によったら強烈なパンチを繰り出すということが必要だ。上品に収まっていたら、この問題はいつまでたっても解決をしないし、上品に言っていると、彼らは本気でやってこないんだろうと思っている。下品になれと言っているわけじゃないけれども、強烈に、彼らが分かる言葉を使わなければいけないと私は思っている。  その上で、外務省は、今まで人質奪還交渉を経験していますか。
  38. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  一般論として言えば、海外での邦人人質誘拐事件が発生した場合、第一義的には、被害者関係者事件発生国政府が中心となり対応することとなります。  しかし、そのような対応が困難になる場合もあることから、外務省としては、当該国の主権を尊重しつつ、邦人保護観点から、人質が安全に救出されるよう最大限の努力を行ってきているところでございます。
  39. 松原仁

    松原委員 警察は、人質奪還交渉というのはしたことはありますか。
  40. 大石吉彦

    大石政府参考人 警察は、人質事件捜査に当たりまして、人質の解放に係る交渉を行ったことはございます。
  41. 松原仁

    松原委員 結論から言えば、拉致問題というのは一般的な外交交渉ではないと私は思っています。  もちろん、交渉という点においては交渉です。交渉という点においては、それは交渉です。しかし、この手の交渉は、犯人の、犯罪者ですから、誘拐しているんですから、何か条約があってそうなったんじゃないんですから。そもそもの発端が誘拐ですから、国家テロですから、この部分を考えたときに、外交交渉というふうな、そんな高邁なものも必要かもしれないが、それだけじゃない、もっと直線的な議論というのが私は必要だと考えております。  前から、我々はこのことを議論してまいりました。昔は、西村真悟さんや、ああいう人とも議論してまいりました。やはり警察主体じゃなきゃ無理なんじゃないのと言ってまいりました。  現在の拉致対策本部には警察出身の人間が多数在籍していると考えますが、どうなっていますか。
  42. 岡本宰

    岡本政府参考人 お答えいたします。  事務局長を始め、何人か警察から出向をしていただいております。
  43. 松原仁

    松原委員 これは、人質奪還交渉であるという本質を考えたときに、交渉の現場に、私は、警察庁若しくは拉致対策本部の警察出身の人間が必ず同席をする、いや、この問題に対して、あらゆる側面において、するべきだと私は思います。そうしなければ、この十年、二十年、何でなかなかいかなかったのか。外務省は、頑張っているのは結構です。しかし、やはりこれはちょっと違う、外交交渉、何かそういうことではないと私は思っています。  そこで、大変恐縮ながら、加藤官房長官にこのことをお伺いしたい。
  44. 加藤勝信

    加藤国務大臣 私が拉致問題担当大臣として就任する際にも、総理から、拉致問題解決のためには政府全体挙げて対応すべしということを指示も受けているところであります。  また、これまで、例えば日朝協議にも、警察庁の職員が参加していたと承知もしているところであります。  引き続き、外務大臣国家公安委員長を始めとする関係閣僚と緊密に連携しつつ、関係各方面の御意見を伺いながら、オール・ジャパンでしっかりと取り組んでいきたいと考えております。  今、松原委員がおっしゃるところ、まさに通常の外交交渉とは異なるということは、そのとおりだと思いますが、一方で、総理がおっしゃっているように、条件をつけずにいわば金正恩委員長と会うという話、これも、そういう側面もあります。  したがって、まさに、申し上げたように、多面的な、あるいは様々な行政組織をフルに活用しながら、それに向けて努力をしていく、その思いで努力をしていきたいと思います。
  45. 松原仁

    松原委員 極めて重要な、いい答弁をいただいたと思っています。  もう一回、確認をします。  拉致問題は、通常の外交交渉ではない、まさに政府が挙げて一体となって取り組むものである、したがって、拉致問題の交渉においては、既に警察の出身の人間も同席をしているが、外務省だけではなく、警察庁も含めてこの問題は取り組み、時間が経過した中で、断固、北朝鮮に対してメッセージを出し、取り返すんだと。つまり、外務省だけではなく警察庁も、これは通常の外交問題ではないから参加する、こういう認識でよろしいですね。
  46. 加藤勝信

    加藤国務大臣 場面場面においてどういう役所が対応するか、それは様々あるんだろうと思いますけれども、まさに総力を挙げて、先ほど申し上げた、まずは、条件をつけることなく、金正恩委員長と総理が対峙するということを申し上げているわけでありますから、そうした状況をまずつくり上げていく、それに向けて努力をしていきたいと思います。
  47. 松原仁

    松原委員 しつこいようですが、したがって、この拉致問題は、外交的に外務省の専権事項ではなく、この交渉においては警察も参加をするんだ、私はそうするべきだと思っている。そうしないから解決が遅れているという認識でよろしいですね。もう一回、御答弁をお願いします。
  48. 加藤勝信

    加藤国務大臣 委員のおっしゃっている、交渉に参加するという意味をどう捉えるかというところ、ちょっと私も必ずしも理解をしておりませんが、一つ一つの事象で誰がどう構成して入っていくかということよりは、先ほど申し上げたように、それぞれ、つかさつかさがあります。その力を十二分に発揮をして、全ての方、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現、これを図っていきたいと考えております。
  49. 松原仁

    松原委員 その上で、幾つかまだ質問の残余があるんですが、これをやっておきましょう。  北朝鮮の労働党大会において、従来の規約に存在した、日本軍国主義と再侵略策動を粉砕しという表現が削除され、日本を非難する箇所がなくなったということを、韓国側のイ・ジョンソク元統一部長官が述べた。このことに対して、当然、外務省は知っていると思いますが、どのように考えているのか、拉致問題においてどのような影響が与えられると考えているのか、お伺いします。
  50. 石月英雄

    石月政府参考人 委員指摘の報道については承知しております。  我が国として、北朝鮮をめぐる動向については情報収集分析に努めてきておりますが、この報道を含め、公開情報からインテリジェンスを含むものまで様々な情報に接してきているところでございます。  こうした動向が日朝関係拉致問題に与える影響についても分析しておりますけれども、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、具体的内容については差し控えたいと思います。  いずれにせよ、政府として、引き続き、必要な情報の収集、分析全力を挙げていく考えでございます。
  51. 松原仁

    松原委員 これで私は質問を終わりますが、本当に、これは外交交渉ではない、人質奪還交渉であり、朝鮮という国の体質を考えて、我々はその国と対話をする。時としては、ずばっと言う。拉致被害者がいるんだ、だから、その拉致被害者に対して我々は新型コロナの薬を出す用意があると言い切ればいい。全部水面下でやっていたら、彼らは、何も言ってこないと思う可能性もあるんです。秘密交渉秘密交渉でやればいい、僕はそれは分かっている。でも、上で話を吹くというのは、それはそれで必要だ。そういうことをしないから全然進まない。しかも、今日、二年ぶりというのも、非常に間違ったメッセージを与えていることも、これは誰がということではないが、与党、そしてその与党の関係者には猛省を促したい。  日本がやる気がないというふうに彼らは受け取っている可能性があるということを申し上げ、そのために我々は毅然として闘う姿勢を表明するべきだと申し上げて、質問を終わります。
  52. 古川禎久

    古川委員長 次に、斎藤洋明君。
  53. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 自由民主党の斎藤洋明です。  拉致問題に関連しまして、今年の予算委員会の分科会に引き続きまして質問させていただきたいと思います。  まず冒頭、委員長からの呼びかけで黙祷もさせていただきましたが、私は新潟県から国会に送っていただいております。横田滋さん、横田めぐみさんに再会できずにお亡くなりになられたことについて本当に申し訳ないと思っておりますし、また、曽我ミヨシさんも大変御高齢になられております。一刻も早い拉致被害者の早期の一括の全員の帰国を目指して、私ども一生懸命頑張ることを改めてお誓いさせていただきたいと思います。  まず第一にお伺いしたいと思います。  拉致被害者向けラジオ放送という取組があります。拉致問題対策本部事務局による「ふるさとの風」、「日本の風」、また、特定失踪者問題調査会による「しおかぜ」等の取組があります。こういった拉致被害者向けラジオ放送に係る政府の取組状況についてお尋ねいたします。
  54. 岡本宰

    岡本政府参考人 お答えいたします。  北朝鮮内への情報伝達手段が限られている中、北朝鮮にとらわれております拉致被害者などの日本人の方々北朝鮮市民や北朝鮮当局に対して、日本政府日本国民、さらには国際社会からのメッセージを伝達する手段として、北朝鮮向けラジオ放送は極めて効果的と考えております。  このような観点から、日本政府は自ら、北朝鮮向けラジオ放送「ふるさとの風」、これは日本語ですけれども、それと「日本の風」、これは韓国語です、このラジオ番組を運営するとともに、民間団体、特定失踪者問題調査会に業務委託をいたしまして、その運営する北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」の中で政府メッセージを送信しているところであります。  「ふるさとの風」、「日本の風」につきましては、北朝鮮におけるこれらの番組の聴取機会を増やすべく、これまで予算措置を講じながら、周波数増、出力増大及び時間枠拡大を図ってきております。  さらに、北朝鮮における聴取機会の拡大を図るべく、米国の北朝鮮向けラジオ放送局でありますボイス・オブ・アメリカ、ラジオ・フリー・アジア、それから米国グローバルメディア庁との連携にも取り組んでおります。これまで、共同での番組制作や、北朝鮮人権侵害問題啓発週間、政府主催国際シンポジウムのライブ中継などを連携して行ってきております。  今後とも、北朝鮮向けラジオ放送の充実強化について積極的に取り組んでまいります。
  55. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 是非よろしくお願いします。北朝鮮向けの呼びかけは非常に重要だと思っていまして、それは、北朝鮮当局が国内への外国からの情報の流入を非常に恐れているということからしても、この有効性は明らかだと思っております。是非引き続きよろしくお願いしたいと思います。  第二点目にお伺いいたします。  拉致問題の解決のために、北朝鮮に対する現在行われております経済制裁は私は非常に有効だと考えておりますが、一方で、経済制裁の抜け道としての瀬取り行為が行われるおそれがあるという懸念があります。この瀬取り行為に対する対策は十分に行われているか、政府見解をお伺いいたします。
  56. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  我が国は、北朝鮮による関連安保理決議違反が疑われる活動について平素から情報収集分析に努めており、その一環として、米国及び関係国連携し、航空機による警戒監視活動を行うとともに、艦艇による洋上での警戒監視活動を行っております。  こうした中、我が国は、二〇一八年一月以降、これまでに二十四回、安保理決議違反が強く疑われる瀬取り行為を確認しており、それらを公表するとともに、安保理北朝鮮制裁委員会等への通報や関係国への伝達を行ってきております。  これらの取組の結果、例えば、日本が通報した船舶のうち五隻の船舶が二〇一八年に国連安保理制裁委員会によって新たに制裁対象に指定されるなど、具体的措置が取られてきております。  一方で、瀬取りを行う船舶は巧妙な手口を用いており、瀬取り行為を完全に防止するに至っていないことも事実でございます。  我が国としては、全ての国連加盟国が瀬取りの防止を徹底していくよう、米国を始めとする関係国連携して対応を強化していく考えでございます。
  57. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 瀬取り対策は是非引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。  私の立場で入手できる一般的な情報でも、経済制裁は相当に効いているということは伺いますし、また他方で、瀬取りが行われれば、もちろん経済的な面もあるかと思いますが、それと同時に、核やミサイルや大量破壊兵器の国際的ないわゆる闇のマーケットでの情報交換による拡散ですとか、様々な懸念があります。瀬取り対策は、今答弁いただきましたとおり、諸外国、とりわけ民主主義国家の海洋国家との連携が非常に重要だと思いますので、是非継続してお願いしたいと思います。  三点目にお伺いいたします。  バイデン政権でも引き続き北朝鮮問題、拉致問題を最重要課題として取り上げるという姿勢を確認できたことは大変ありがたいことだと思っております。  まず、北朝鮮当局アメリカとの交渉を優先しようとしているようにも私も見受けられますが、仮に米朝間で外交関係で何らかの動きが今後あることも想定されます。その中で、我が国も米朝関係で動きがあれば直ちにそのときに拉致問題解決に向けて再交渉を行うべきだと考えますが、政府の御見解をお尋ねいたします。
  58. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 拉致問題につきましては、菅政権の最重要課題でありまして、解決に向けて我が国自身が主体的に取り組むことが重要だと考えております。  今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため、詳細については明らかにできないことを御理解いただきたいと思いますが、北朝鮮に対しては、これまでも拉致問題の解決に向けて様々な形で働きかけを行うなど、あらゆる努力を行ってきております。  また、御指摘の米国との間でありますけれども、バイデン政権の発足直後から緊密に連携してきておりまして、例えば、四月の日米首脳会談や先月の日米外相会談等に際しまして、菅総理茂木大臣から拉致問題の即時解決に向けて引き続きの理解と協力を求め、バイデン大統領やブリンケン国務長官からの支持を確認しているところでございます。  米朝関係の今後の動向については予断することを差し控えたいと思いますけれども、今後、米国の政策レビューの結果を踏まえまして、対北朝鮮政策を進めていくに当たっては、引き続き米国と緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく全力を尽くしてまいりたいと存じます。
  59. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 ありがとうございます。この拉致問題につきましては、もちろん水面下での交渉ということも大事なんですけれども、環境が変わったときにすぐ動くということが大事だと思いますので、副大臣、是非引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。  続きまして、交渉を行うに当たっては、日本政府としては、拉致被害者の御家族のお示しになっているお気持ち、そして運動方針も最大限尊重していただきたいと思っております。特に、繰り返し家族会、救う会の方々から発していただいているメッセージの中で、全拉致被害者の即時一括帰国が実現するのであれば、私たちは帰ってきた拉致被害者から秘密を聞き出して国交正常化に反対する意思はありませんというメッセージを繰り返し表明していただいています。  これは、本当に御家族関係者方々の悲痛な思いだと思いますが、こうした思いは最大限政府としても尊重していただきたいと考えておりますが、御見解をお尋ねいたします。
  60. 三ッ林裕巳

    ○三ッ林副大臣 斎藤委員お答えいたします。  家族会、救う会が今年四月三日に策定、発出した金正恩委員長宛てのメッセージにおきまして、私たちは帰還した被害者やその家族に秘密の暴露を求めるつもりはない旨を述べていることは承知しております。  四月七日には、総理が拉致被害者家族会及び救う会の皆様と面会を行いました。この面会には私も同席させていただきました。そこでは、家族会、救う会の今後の運動方針及び当メッセージが総理に手交されましたが、議員御指摘の点も含め、政府として御家族の思いをしっかりと受け止めたところでございます。  拉致問題は菅内閣の最重要課題でございます。引き続き、菅総理加藤官房長官拉致問題担当大臣の下、政府一丸となって、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向け、あらゆるチャンスを逃すことなく全力で行動してまいります。
  61. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 副大臣、ありがとうございます。  今現在、北朝鮮に対して、我が国を始め国際社会は強い圧力をかけております。これは拉致問題の解決のための圧力であって、家族会、御家族関係者の方の思いとしても、まず圧力、これはやはり皆さんも表明されているところですが、まずしっかり圧力をかけて交渉の場に引き出して、一括帰国を求める。その中で、北朝鮮拉致被害者を帰したら不利益があるのではないかという懸念の下に交渉が進展しないのではないかというお気持ちだと思いますし、私もその可能性は十分にあると思っておりますので、是非、家族会、救う会の思いについては尊重していただきたいと思っております。  最後にお尋ねをいたします。  全体的に、先ほどもお話ししましたとおり、まず厳しい圧力を国際社会でかけて、拉致被害者の一括早期の帰国なくしていかなる見返りもないということは、交渉姿勢として極めて重要だと思っております。その上でですけれども、過去、この北朝鮮との交渉に関しては、我が国も含めて、先に何らかの見返りを提供したけれども何も得られなかったという経緯も多々ございます。そういった経緯も当然踏まえなければなりません。その上で、拉致被害者を全員帰国、帰してくれるのであれば、その後であれば北朝鮮に対する人道支援等の可能性は排除しないというふうに理解してもいいでしょうか。お尋ねいたします。
  62. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、北朝鮮交渉を進める際には、過去の交渉経緯等も踏まえて、政府一丸となって対応する必要があると認識しております。  委員指摘のとおり、今後の交渉の具体的な内容については、事柄の性質上、お答えすることは困難でありますが、その上で、政府としての今後の対応については、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、何が最も効果的かという観点から不断に検討していきます。  北朝鮮への人道支援につきましては、その必要性を含め、総合的かつ慎重に見極めた上で、適切に判断することとしております。
  63. 斎藤洋明

    ○斎藤(洋)委員 いわゆる見返りに関する議論は、非常に難しい面があると思っております。つまり、拉致被害者北朝鮮が国内に拘置しておけば何か得られるものがあるのではないかというふうにメッセージを与えてしまっては、これは逆効果になりますが、一方で、本当に帰国させてくれるのであれば相応の検討をする用意はあるということは、私はメッセージとして発して構わないと思っておりますので、あえて申し上げさせていただきました。  予算委員会の分科会のときにも私は触れさせてもらいましたが、例えば、北朝鮮は食料事情が今非常に厳しいということは、公開情報でも明らかであります。農地も非常に荒廃をしており、かつ肥料や農業資材も十分に国内にはないという状況が一般のニュースからもうかがい知れております。私は、我が国は米が今生産過剰に陥っており、毎年相当程度の量の米を提供する力があると思っておりまして、これをメッセージとして発することは何ら国益を毀損するものではないと思っておりますので、議事録に載せるためにあえて申し上げました。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  64. 古川禎久

    古川委員長 次に、山田賢司君。
  65. 山田賢司

    山田(賢)委員 自由民主党の山田賢司でございます。  まず冒頭に、本委員会の開催に御尽力をいただきました委員長、与野党両筆頭始め理事委員各位、それから政府関係者に感謝を申し上げたいと思います。  拉致問題は、我が国の同胞が連れ去られて四十年以上も自由を奪われて、肉親と会えないという異常な状態が続いている問題であり、政府のみならず、我々立法府にとっても最重要の課題であると考えます。  本委員会は二年ぶりの質疑となりますが、本委員会を開催するに当たっては、拉致問題担当大臣である官房長官、外務大臣国家公安委員長の三大臣の調整がつかないというのは理由になりません。菅政権においても拉致問題は最重要課題というのであれば優先して調整すべきであろうというのは、野党のみならず、我々与党としてもそう考えます。また、我々国会の側も、質疑を行わないのであれば毎回この特別委員会を設置する意味はあるのかという御批判を免れません。不要という意味ではなくて、むしろ必要であるからこそ、開催して質疑を行うべきと考えます。  その上で、あえて申し上げますが、拉致問題に関わる大臣は決して三大臣だけではありません。トップは総理、制裁観点からは財務、経産、法務、防衛、国交、放送の観点からは総務、衛生面では厚労、教育の観点からは文科など、様々な省庁が関連しております。国民の生命に関わる国家的課題であり、まさに全大臣拉致担当であると言えます。  この点に関し、実は、全大臣出席する委員会があります。予算委員会です。御承知のとおり、予算委員会は、予算案の審議のみならず、国政のあらゆる政策について関係大臣質疑ができます。しかも、毎回相当な時間をかけて行っています。今国会の予算審議においても、本体で七十八時間、分科会で八十三時間、合わせて百六十一時間の審議を行っていると承知しております。  では、その予算委員会を含めて、この二年間に拉致問題を取り上げた議員は実際にどれだけいらっしゃったのでしょうか。お手元の資料三枚目、資料二を御覧ください。令和二年度と今年度、昨日までの時点で、拉致問題を取り上げた一覧を拉致問題に関する特別調査室に調べていただきました。  行政監視も国会の重要な責務であるということは否定いたしません。しかし、真に拉致問題が重要であるならば、あれだけの時間を費やしている予算委員会の中でも是非拉致問題について取り扱っていただきたいと思っております。  その上で、本委員会においても、必ずしも三大臣がそろわなくても、テーマを絞るなりして、大臣が出られない省庁については副大臣、政務官、あるいは政府参考人という形で、工夫をして、是非質疑を活発化させていただきたいと思います。  その上で、質疑に入ります。  まず、北朝鮮に対しては、対話と圧力、行動対行動という原則の下、北朝鮮に行動を促すために、国連制裁決議に加え、我が国独自にも様々な制裁を科してきたところです。我々自由民主党としても、拉致対策本部を設けまして、資料一にございますような提言を始め、様々な要望、提言を政府に対して行い、政府においても制裁強化を図っていただいたと承知しております。  制裁の効果があるのかということは先ほど同僚の斎藤委員も聞きました。私自身も、効いてはいるんだろうと確かに思います。他方、だからといって、拉致被害者帰国につながっているわけではありません。  政府に対する質疑の中では、必ずと言っていいほど答えられるのが、何が最も効果的かという観点から不断に検討とよくおっしゃいます。最も効果的な制裁を検討して成果が出ているのか。北朝鮮は何度も弾道ミサイルを発射し、また、拉致被害者は一人も帰ってきておりません。最も効果的な方法を検討して成果が出ていないということであれば、更なる政策を考えないといけないのではないでしょうか。  度重なる安保理制裁決議に違反して何度も弾道ミサイルを発射している、このことに対して、国連安保理の行動を求める、あるいは、我が国独自の更なる厳しい措置を講じる必要があるのではないかと考えますが、政府のお考えをお聞かせください。
  66. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘北朝鮮による弾道ミサイルの発射、これは国連安保理決議違反でございます。我が国と地域の平和と安全を脅かすものでございます。  本年三月の弾道ミサイル発射に関しては、バイデン大統領は安保理決議に違反するものと批判しました。また、これを受けて、国連安保理においても北朝鮮情勢が取り上げられたものと承知しております。  我が国としては、米国を始めとする国際社会と緊密に連携しつつ、安保理決議を完全に履行していくとともに、我が国独自の制裁措置を厳格に実施していく考えでございます。その上で、更なる対応を含め、今後の具体的対応につきましては、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的かという観点から不断に検討していく所存でございます。
  67. 山田賢司

    山田(賢)委員 また、何が最も効果的かという観点から不断に検討ということなんですが、我々の認識では、効果が出ていないから更なることを、制裁なりを検討していただきたいということでございますが、何度聞いても同じ答えが返ってくるんだろうと思います。  国際社会連携、とりわけ米国、バイデン政権との連携というのは非常に重要でございます。先日の日米首脳共同声明においても、米国のコミットメントを再確認したとおっしゃっていますが、日本政府は米国に対し具体的に何をコミットをしてもらいたいと考えているのか、お聞かせください。
  68. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  拉致問題の解決のためには、我が国の取組に加え、米国との緊密な連携も重要であると考えております。例えば当時の米朝首脳会談におきまして、トランプ大統領が拉致問題に関する日本の考えを直接金正恩委員長に伝えてくれたのは大きな成果でございました。バイデン政権との間では様々なやり取りを行ってきておりますが、ブリンケン国務長官は三月に訪日した際、インタビューにおいて、北朝鮮協議する機会があれば拉致問題を取り上げる考えであることを明らかにしています。  北朝鮮に大きな影響力を有する米国が拉致問題の即時解決の重要性について我が国認識を共にし、我が国の立場を一貫して支持していることは大きな意義を有するものと考えております。  政府としては、引き続き、米国等と緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく全力を尽くしていく考えでございます。
  69. 山田賢司

    山田(賢)委員 ありがとうございます。  米国の圧力、そして米国の理解、協力というのは、大変重要な影響力を持っていると考えます。しかしながら、やはりこれは我が国自身の問題であり、我が国が主体的に動いていかないといけないということは言うまでもありません。  菅総理は、前提条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合うとおっしゃっておられます。現状では、対話の窓口を開けているというだけでは相手は乗ってこないんだというふうに思います。金正恩が対話に乗ってくるために、どうやって対話に持ち込ませるのか、お考えをお聞かせください。
  70. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  北朝鮮への対応につきましては、先ほどもありましたとおり、北朝鮮が最も関心を寄せている米国が北朝鮮政策レビューを現在終えたところでございまして、その内容については、日米外相会談等で米国側からも説明を受けているところでございます。これを踏まえ、日米日米韓で連携して対応していくことを確認しており、今後の北朝鮮の動きについても注視していく考えです。  その上で、拉致問題の解決に向けましては、委員指摘のとおり、何よりもまず我が国自身が主体的に取り組むことが重要だと考えております。北朝鮮に対しては様々な形での働きかけを行うなど、あらゆる努力を行ってきているところでございます。  いずれにせよ、政府としては、まず米朝関係の帰趨ですとか、変化する北朝鮮の最新情勢、こういったものを詳細に分析しつつ、引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく全力を尽くしてまいる考えでございます。
  71. 山田賢司

    山田(賢)委員 ありがとうございます。  北朝鮮に対する制裁が効いているかという問いの中で、制裁は確かに効いているというふうに考えておりますと申し上げました。  現在、北朝鮮においては、経済制裁、そして災害の問題、次にコロナの影響というものが大変重大な関心事であるというふうに考えております。  拉致問題の解決なしに制裁解除ということはあり得ないというふうに考えております。行動対行動の原則は守るべきと考えておりますが、一方で、金正恩にとって北朝鮮国内の新型コロナの封じ込めが最大の関心事である点に注目して、拉致被害者全員の帰国を実現させ、国際社会に復帰するということを条件に、人道支援としてワクチン提供をする、我が国独自、そして米国と協力してワクチン提供を提示するという選択肢はあり得ると考えますが、いかがでしょうか。
  72. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、北朝鮮においては、新型コロナの影響によって、貿易の大半を占める中国との関係を含め、輸出入や人的往来に様々な制約が生じております。また、経済制裁等により、相当厳しい経済状況に直面していると思われます。  政府としましては、こうした北朝鮮状況も踏まえつつ、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて何が最も効果的かという観点から検討してきているところでありますが、北朝鮮への人道支援につきましても、その必要性を含め、総合的かつ慎重に見極めた上で適切に判断していく考えでございます。
  73. 山田賢司

    山田(賢)委員 間違ってはいけないのは、人道支援だから先にやるということではなくて、拉致被害者の人権が奪われているという最大の人道上の問題、これを解決し、国際社会に復帰するのであれば、行動対行動で、彼らに対し人道支援を行うということを提示することがあり得るんだろうと思っております。  政府においては、様々な水面下交渉を行っておられて、オープンな場でお答えができないことは大変よく承知しております。だからといって、何も答えなくていいからそのままになるということではなくて、やはり我々国会議員自身も、立法府として政府の行動を監視し、そして追及し、あるいは協力をする、そういった形で、政府そして国会、一致団結してこの問題を解決するために取り組んでいきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  74. 古川禎久

    古川委員長 次に、浜地雅一君。
  75. 浜地雅一

    ○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。  時間を二十分いただいておりますので、私も余り超過しないように、スムーズに進めたいと思っています。  まず、バイデン政権の対北朝鮮政策、四月にレビューが行われましたけれども、ここをまずしっかりと確認をしたいと思います。それと、G7で日米韓が行われるんじゃないかということもございますので、韓国も重要なこの拉致問題のキーの国でございますので、そこの連携強化についてお聞きをしていきたいと思っております。  二〇一八年に、当時のトランプ大統領と金正恩さんが会談をするということがございました。  あのときに、思い出してみますと、非常に圧力が効いていたということで、これは経済的な圧力じゃなくて軍事的な圧力も非常に効いていたというふうに思っております。あのとき、トランプ前大統領は北朝鮮に対して非常に強い態度に出て、北朝鮮は非常に焦ったということがあったと思います。あのとき、日本海側に空母打撃群が展開をしまして、爆撃機も一緒に行っております。何度も北朝鮮の近くの海域で、訓練と称して、また警戒と称して、アメリカの空母打撃群が圧力をかけたわけです。そのとき、日本の護衛艦も武器等防護をしながら、一緒になって、当時、そういった警戒監視を続けたということでございます。ああいったやはり活動を、軍事的な圧力をしっかりとかけていかないと、私は、北朝鮮は動かないんじゃないかというふうに個人的に思うところでございます。  ただ、やはり、バイデン政権は前トランプ大統領と比べて北朝鮮に対してどうなんだろうというのが私の問題意識でございまして、バイデンさんの上院議員時代、二〇〇五年の発言になりますけれども、バイデンさん自身は、アメリカが北を包容すべく真剣な努力をしていると見たときにのみ北朝鮮は動くんだ、中国と韓国はアメリカが強硬にレジームチェンジを追求したとしても支持をしない、したがって、そういった選択肢は捨てなければならないということで、やはり、民主党政権になり、また、私は、バイデン現大統領の当時の発言を聞くと、対北朝鮮に対して、核、ミサイルも含め、当然そうなりますと拉致も含め、非常に軟化しているのではないかというふうに危惧をするところでございます。  そこで、外務大臣にお聞きをしたいんですけれども、改めて、米国の対北朝鮮政策日本としてどのように認識をしているのか。そして、G7に韓国も来ているんですよね、たしか。しっかりと、韓国、文在寅さんとともに、やはり歩調を合わせるべきだと思っておりますが、北朝鮮に対する米国の政策、それと日米韓、特にG7でどのように方向性をつけていくのか、御答弁をいただきたいと思います。
  76. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 北朝鮮への対応につきましては、委員指摘のとおり、これまでも、日米日米韓で緊密に連携してきております。  例えば、先月、G7外相会合に際して行われました日米韓外相会合におきましては、ブリンケン国務長官、鄭外交部長官との間で、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認をしまして、北朝鮮に対して国連安保理の下での義務に従うことを求めることで一致をしたところであります。また、政権の最重要課題である拉致問題につきましては、茂木大臣から両長官の理解と協力を求め、改めて両長官の支持を得たところであります。  我が国としては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指す考えに変わりはありません。  今後、米国の政策レビューの結果を踏まえまして、北朝鮮政策を具体的に進めていくに当たって、こうした我が国の考えについても引き続き理解を得ながら、日米日米韓で緊密に連携してまいりたいと存じます。
  77. 浜地雅一

    ○浜地委員 ありがとうございます。  しっかりと、両長官からのお言葉も今御紹介いただきました。あくまで、現在のアメリカは、このレビューを終わった現政権においても、朝鮮半島の完全な非核化は引き続き目標である、拉致問題についてもしっかりと米国の協力を伝えているということでございますので。ただ、この委員会が開かれなかったということも一つ大きな原因なんですけれども、やはり日本の国民の皆様は、また国際社会に向けて、米国が弱まっているんじゃないかというような、そういう発信を、副大臣はされなかったわけでございますが、そういった懸念は払拭をしていかなきゃいけないということでございまして、大事な答弁だったというふうに思っております。  次に、先ほどから自民党の委員の皆様方も言及をされておりますので簡単に質問したいと思いますが、軍事的な圧力を加えるかどうかはこれからでございますけれども、今どうしても米国は台湾の方に注力をしておりますけれども、やはりこのアジア大洋州というところについては引き続き米国の軍事的なプレゼンスというものは続くんだろうと思っています。  それと、もう一つの制裁が、やはり経済でございます。私は、先ほど、人道支援という名の下に、食料、まあコロナワクチンのところはやはりどうしても人道支援というところになろうと思っておりますが、私は簡単に、私個人の意見としては、支援をしていくべきではないと思っています。しっかりと経済を締め上げる、それぐらいのやはり覚悟がないと北朝鮮は私は動かないと思っています。軍事的にもしっかりとプレッシャーをかけ、経済的にもプレッシャーをかけ、そして、後ほどまた質問しますが、やはり人権の場でもしっかりとプレッシャーをかけていくという、やはり今は圧力の時期なのではないかというふうに思っております。  そこで、現在の北朝鮮経済状況をまず簡単にお聞きをしたいと思っています。  特に、中国との貿易が経済の約九割を占める北朝鮮でございますが、コロナの状況やまた水害等を受けて、現在、北朝鮮経済状況をどのように把握をされているのか、外務省に御答弁をいただきたいと思います。
  78. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  北朝鮮状況について確定的に申し上げることは困難ではございますが、中朝貿易につきましては、二〇二〇年の貿易総額が前年比で約八一%減少しているという情報があると承知しております。  また、本年一月に行われた党大会では、金正恩委員長自身が、制裁自然災害、世界的な保健危機、この三つの要因を挙げて、経済目標が未達成になったということを述べていると承知しております。
  79. 浜地雅一

    ○浜地委員 コロナもあり、国境封鎖もあり、中朝間の貿易量も約九割減っているということでございますので、本来だったらもう国家としては経済が成り立っていない状態になるわけでございますが、そういったときを捉えてしっかりと経済制裁の強いメッセージを加え、相手が譲歩してくるなら、やはり先ほどの様々ございました人道支援ということも一つの交渉材料として考えていくべきだと思っております。  先ほど瀬取りのお話もございました。二〇一七年の国連安保理決議に基づき、各国は共同して瀬取りを監視しました。二〇一八年のトランプそして金正恩さんの会談の中においても瀬取りの監視が続きました。嘉手納に様々な国々の哨戒機が来て、あそこから、嘉手納から旅立って日本海を警戒監視をしたのを私はよく覚えておりますけれども、まさに国際社会が一致団結をして行っている活動だと思っております。  しかし、先ほども御答弁ございましたとおり、制裁委員会には五十四件の報告があるというようなこともございますけれども、やはり抜け穴が非常に多い。夜間にやっている、又は、電子信号を止めて、そういったレーダーに映らないようにやっている、若しくは、船体の名前を隠して、どこの船か分からないようにしてやっている。逆に、北朝鮮と敵対をしているような国に対する仕向地を装って、これは北朝鮮向けではないというような、そういった偽装をしながら実は北朝鮮の方に物資が運ばれているんじゃないかということでございますので、ここは、ただ単に報告をしているんじゃなくて、抜け穴の防止についても具体的に、やはり制裁委員会等でも日本がイニシアチブを取っていくべきだと思いますけれども、外務省の御答弁をいただきたいと思います。
  80. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、瀬取りに関して巧妙な手口が発生しております。瀬取り行為を完全に防止するに至っていないことは事実でございますので、我が国としては、全ての国連加盟国が瀬取りの防止を徹底していくよう、米国を始めとする関係国連携して対応を強化していく考えでございます。  私自身も、アメリカの国連担当幹部と、瀬取りを含め、関連安保理決議の完全履行について意思疎通しているところでございます。
  81. 浜地雅一

    ○浜地委員 赤堀さん、国連にいらっしゃいました、代表部にいらっしゃいましたし、安保理でお仕事をされているのを私も拝見をしておりますので、また御自身の人脈も生かしながら、しっかりとこの瀬取りの強化をやっていきたいと思っております。  やはり、どうやったらこれを防止できるかという、その段階に来ているんだろうと思っておりますので、しっかりと効果のある瀬取り対策をやっていただきたいというふうに思っております。やはり、こういった経済での圧力というものが北朝鮮を動かす一つの大きなキーになろうかというふうに思うところでございます。  次に、北朝鮮の資金獲得源として今言われておりますのが、ハッカー等によるサイバー攻撃でございます。マルウェアを使った攻撃で、かなりの賠償金も支払っているんではないかというお話もございます。ですので、しっかりと、資金源としてのハッカー対策を是非、国家公安委員長にはお願いしたいというふうに思うところでございます。  そこで、これは警視庁の公安部のお話でございますけれども、警視庁の方には、外事第三課という部署が新設をされました。これまで外事第二課の中で中国や北朝鮮を、また東南アジアを見る部署だったんでありますけれども、この度新設をされ、北朝鮮専門の、そういったスパイ行為を取り締まったりする公安の部署ができたわけでございます。  しっかりと、警察庁としても、ここと連携をして、スパイの取締り強化を始め、様々、例えば外国産品の獲得工作を活性化させるおそれもございますので、様々な日本国内、国外における北朝鮮の活動を監視をしていただきたいというふうに思うところでございます。  そこで、国家公安委員長には、北の資金獲得手段としてのハッカー対策を今後どう進めていくのか、そして、先ほど申し上げました対日有害活動全般についてどのように進めていくのか、御答弁をいただきたいと思います。
  82. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 浜地委員指摘のサイバー空間、この脅威は、国の内外を問わず深刻な状況になっているということは申し上げるまでもない話であります。  こうした情勢の中ですが、北朝鮮は、外貨獲得も目的として、様々な形でサイバー攻撃、これを行っていると見られており、米国を始めとする諸外国もこの旨明言をしています。  サイバー攻撃の対処に万全を期すため、厳正な取締りを推進するとともに、その実態解明を強力に推し進めて、民間事業者や外国治安情報機関とも緊密に連携をしてまいります。それを更に強化をしていく必要があると心得ております。被害の未然防止及び拡大防止を図るよう、改めて警察を指導してまいります。  また、北朝鮮による対日有害活動について、我が国の国益を侵害するとともに、国民の生命、身体、財産、これに危険を及ぼすおそれのある重大な問題であるとも認識しております。  公共の安全と秩序を維持するという責務を果たす観点から、様々な情報収集活動を行うとともに、違法行為に対して法と証拠に基づき厳正に対処するよう、これも改めて警察を指導してまいります。
  83. 浜地雅一

    ○浜地委員 国家公安委員長におかれましては、しっかりとした対処をいただきたいというふうに思っております。  サイバー攻撃自体が脅威なんですが、やはり、北の方は目的がはっきりしておりますので、そこはしっかりとまた国内における対策をいただきたいというふうに思うところでございます。  次に、今、私の方は、口頭で軍事的な制裁、これは質問はしませんでしたけれども、私の考えを述べました。また、経済制裁という側面でのしっかりとした瀬取りの監視、抜け穴の防止、そして資金獲得手段としてのハッカー対策というお話をさせていただきましたけれども、二〇一八年からやや後退をしてしまったんじゃないかというところが人権の問題でございます。  当然、民主党政権、今バイデン政権でございますので、人権には共和党よりもより強くコミットをしていただく政権だというふうに私自身は思ってはおります。  しかし、二〇一八年六月のいわゆるトランプ大統領と金正恩さんのトップ同士のディールが行われているさなか、国連人権理事会では、人権状況決議の提出国であった我が国は、一時、提出国を取りやめたわけでございます。その後、提案国ということになりまして、今、提案国ということで活動をしているわけでございます。  私も実際、これはもう随分前になって、五年前になるんですけれども、外務の政務官をさせていただいたときに国連人権理事会に出席をしまして、やはり拉致問題についてステートメントをしっかりと行ったことを覚えておりますけれども、やはり、私自身としては、なぜ提出国に戻らないのか、提案国のままでおいて、これまでと同じような、国連人権理事会で日本がプレゼンスを果たしているのかどうかということが懸念されるところでございます。  そこで、まず、これまで行ってきた人権状況決議の提出国を一度やめた、そういった背景も含め、そして、なぜ再び提出国にならずに提案国にとどまっているのか、そして、提案国にとどまることによって何か不都合はないのか、日本政府の考え方をしっかりと国際社会に発信するツールとして有効かどうか、その点について外務省に御答弁をいただきたいと思います。
  84. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  二〇一九年は、第二回米朝首脳会談の結果と拉致問題を取り巻く諸情勢を総合的に検討した結果、国連人権理事会の北朝鮮人権状況決議の共同提出国にはなりませんでしたが、コンセンサスには採択いたしました。  その後、同年十二月の国連総会決議に関しましては、拉致問題に関するメッセージを国際社会が継続して発出することの重要性やその時点での日朝関係を取り巻く諸情勢を総合的に勘案し、北朝鮮人権状況決議の共同提案国として関係国議論に改めて参加することといたしました。  私どもが重視しておりますのは、北朝鮮の人権問題のうち我が国として特に重視している拉致問題について力強いメッセージが書き込まれるということでございますけれども、共同提案国ではございますけれども、決議案の起草段階から、起案者であるEUを始めとする主要国と緊密に意思疎通をし、しっかりとした文言が含まれるように取り組んでおります。  その結果として、本年三月に第四十六回人権理事会で採択された決議におきましても、北朝鮮に対して全ての拉致被害者の即時帰国の実現を強く要求するなど、拉致問題に関し、しっかりとした記述が確保できております。  救う会からは、同会のメールニュースにおいて、日本は共同提案国ですが、昨年の採択に比べ数か所でより強い表現となっている、外務省がかなり頑張って盛り込んだものと考えられるといった記載をいただくなど、一定の評価をいただいていると理解しております。  拉致問題は菅内閣の最重要課題でございます。拉致被害者の御家族も御高齢となる中、拉致問題の解決には一刻の猶予もございません。引き続き、米国等とも緊密に連携しながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、人権理事会の場等も通じ、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力を尽くしてまいります。
  85. 浜地雅一

    ○浜地委員 ありがとうございます。  今、救う会の皆様方のコメントもいただきました。私も後ほど聞こうかと思っておりましたが、日本は共同提案国ではあるんですけれども、昨年の採択に比べ、数か所でより強い表現となっているということを評価をいただいているところでございます。  そこで、ちょっと済みません、時間があるので、どういう点が、例えば、これまで提出国の中で動いてきた中で、ただ提案国になったとしても、救う会の皆様方が一定程度評価をいただいている強い表現になったのか、この委員会の場でもう少し御説明をいただきたいと思います。
  86. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  まさに、先ほど申し上げましたように、共同提案国ではございますが、起草段階からEUと緊密に連携しておりまして、その中で、例えば、被害者家族に対する被害者の安否及び所在に関する正確かつ詳細な情報の誠実な提供、これは二〇一九年十二月に共同提案国に復帰しましてから何度か強化した表現でございまして、半年ごとに少しずつ強化してまいりました。  そういったところも含め、あとは、先ほど御紹介した救う会のメールニュースの中で、その前に申し上げました、即時帰国の実現を強く要求するという表現などが、半年ごとの理事会それから総会での私どもの関与を経て、少しずつ強化されているところでございます。
  87. 浜地雅一

    ○浜地委員 ありがとうございます。  どうしても、共同提出国から一時取りやめて提案国になったことによって、日本国際社会での、人権の場での存在感だったり主張というのが弱まっているんじゃないかというふうに、私、実は、この質疑の前には思っておりましたけれども、先ほど外務省答弁において、救う会の皆様方の評価も含め、また具体的な表現ぶりも含め、日本がしっかりとこの拉致問題に対してより強い表現をかち取っているということを確認できまして、安心をしたところでございます。しっかりと、人権の場でも更にアピールをしていただきたいというふうに思うところでございます。  もう時間になりますので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。
  88. 古川禎久

    古川委員長 次に、渡辺周君。
  89. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。  質問は通告しておりますけれども、今、浜地委員議論がありまして、ちょっと受けて、私も同じ点につきまして質問をしようとしております。  今年三月二十三日の国連の人権理事会、北の人権状況の非難、拉致被害者の早期帰国を求める決議、これが、今まで日本は、二〇一八年までは十一年連続で文面の起草段階から主導して提出をしていた。今もやり取りがあったように、二〇一九年は共同提出を見送り、共同提案国にもならなかったということでございます。  今の答弁の中で、米朝協議があったりあるいは何らかの北朝鮮交渉の進展ということを勘案したというような意味の答弁がありましたけれども、実際、このとき、日朝交渉可能性というのはあったんですか。だからこそ、あえて刺激的な共同提出を見送り、共同提案をしなかったということで理解してよろしいんでしょうか。何か動きがあったんだ、それを念頭に置いていたということでよろしいですか。
  90. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  二〇一九年は、第二回米朝首脳会談の結果と拉致問題等を取り巻く諸情勢を総合的に検討した結果、国連人権理事会の北朝鮮人権状況決議の共同提出国にはなりませんでしたが、コンセンサス採択には参加いたしました。  北朝鮮に対しては、当時から様々な形でやり取りを行ってきておりますが、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがございますので、詳細について明らかにすることは、申し訳ございませんが、差し控えさせていただきます。
  91. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 二〇一九年の八月にフランスで行われたG7で、当時の安倍総理が終了後の会見で、冷静な分析の上に立ってあらゆるチャンスを逃すことなく果敢に行動していくということを表明したんです。二〇一九年のことでございます。ですから、そのときに、冷静な分析の上に立って、そういう分析が、つまり人権理事会において出さなかったことも含めていろいろと勘案されたのかなというふうに思うんです。  また、ちょっとその後のことについて伺いたいと思います。これ以上聞いても、戦略、戦術に関わることだからなかなかお答えができないということだとは思うんですが、それはちょっと別の角度で後で聞こうと思います。  先ほど松原委員からも質問がありました。先ほどからの委員会の中で繰り返し出てくるんですが、私は、やはり少し、これはどういう意味なんだろうということを本当に返す返すも思うんですが、条件をつけずにということですね。条件をつけずに会うということ、この言葉が先ほど来使われて、これまでも使われてきました。  条件をつけずに金正恩に会うというような方針は変わらないということでございますが、条件をつけずにというのは一体どういう意味なのかということを、改めてこの場においてちょっと伺いたいと思います。それはいかがですか。
  92. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  条件をつけずにとは、北朝鮮の核、ミサイル、そして最も重要な拉致問題の解決に向けて、相互不信の殻を破り、金正恩委員長と直接向き合うとの決意をより明確な形で述べたものでございます。  拉致問題の解決に向けては、我が国自身が主体的に取り組むことが重要でございます。御家族も御高齢となる中、拉致問題の一日も早い解決に向け、引き続き政府一丸となって全力を尽くしてまいる考えでございます。
  93. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 正直言って、分からないんですよ。これまでは対話と圧力という言葉をずっと使ってきた。つまり、圧力を背景にした対話でなければ意味がないということを日本政府は言ってきた。しかし、条件をつけずにというと、拉致問題の進展がなくても会うということに捉えられると思うんですが、そうではないということですよね。拉致問題の、当たり前ですけれども、進展をさせるための、当然、金正恩我が国の総理が会うというようなことでなければ何の意味もないと思うんですけれども、その条件をつけずにという言葉によって誤解を招くことはないのだろうかと非常に私はいつも懸念するんです。  ですから、そこはやはり当然のことながら、拉致問題を解決するために、拉致問題を前進させるために、拉致被害者の即時帰国を求めるために条件をつけずにというならまだ少しは分かりますけれども、そこの、条件をつけずにという意味をはっきりと言ってください。
  94. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国として、拉致、核、ミサイル、諸懸案を包括的に解決する、その中で、拉致被害者の一日も早い全員の帰国を求める、この基本的な立場は変わっておりません。  ただ、トップ会談を行うに当たって、トップ会談では、我々の立場は明確でありますけれども、ここまで言わなかったら会いませんよということではなくて、条件をつけずに会って、交渉を進めるということであります。
  95. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 これ以上言っても、限られた時間の中で、認識の相違があるのかなということで、この問題は余り深くは言いたくないんですけれども、ただ、今までは対話と圧力だと。圧力を背景に対話を求めなければ北朝鮮側は応じないという姿勢だった。  ですから、条件をつけずにというのは、拉致問題を進展させるための、拉致問題解決のための対話を開くことにしては条件をつけないということはあるかもしれないけれども、実際そこには、拉致問題を前進させる、あるいは拉致被害者の一日も早い帰国を実現するというために会わなかったら、ただ会うだけで、社交辞令だけのトップ会談だったら、まるで意味がないわけでございます。  もうそこのところは是非明確に、これからも、圧力を背景にした対話だということは筋を通していただきたいと思うんです。  ちょっとこれはもう一回、外務大臣、せっかく今答弁いただきましたので、引き続き聞きたいんですが、昨晩、菅総理がロンドンでのG7に出発されました。菅政権の、あるいはその前の安倍政権からの最重要課題、今日も繰り返しおっしゃられた、最重要課題である拉致問題は、G7の議題にはなるんでしょうか。いかがですか。
  96. 茂木敏充

    茂木国務大臣 もちろん、三日間にわたりますG7のコーンウォール・サミットにおきましては、様々な議題が取り扱われるわけであります。そして、そこの中で、地域情勢、ここについても突っ込んだ議論が行われると思っております。  政権の最重要課題であります拉致問題を含みます北朝鮮への対応につきましては、まず先月のG7外相・開発大臣会合においても、私から、拉致問題の即時解決に向け、G7に引き続きの全面的な理解と協力を要請し、G7各国から賛同を得て、共同声明にも明確にそのことを盛り込んだところであります。  こうした成果も踏まえて、G7のサミットにおきましても、拉致問題をしっかりと提起をし、首脳間でG7の連携を再確認したい、このように思っております。
  97. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それは、何らかの共同宣言という形に盛り込まれるんでしょうか。  今年五月のG7の外相会合で、茂木外務大臣は、即時解決に向けた理解と協力を求め、各国から賛同を得たというようなことが当時報道されておりました。  このいわゆる本番といいますか首脳会談で、ここには参加国以外にも、韓国でありますとかオーストラリアでありますとか、招待国が何か国か参加をするわけであります。その中で、まさに菅政権の最重要課題の拉致について、何らかの形で文章として盛り込まれることになりますでしょうか。そこはいかがですか。
  98. 茂木敏充

    茂木国務大臣 共同声明というのは、まさにこれから行われますコーンウォール・サミットにおきまして様々な議論が行われ、それを議長国でありますイギリスが中心になって取りまとめるということでありまして、まさにこの議論を踏まえてということでありますが、日本としては、この拉致問題、極めて重要な問題である、そういったことを提起をし、また各国に呼びかけていきたい。その結果として、G7としての明確なメッセージということが盛り込まれるということを期待をいたしております。
  99. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 いや、大臣、極めて重要じゃなくて最重要課題だと、所信のときに三大臣ともそうおっしゃったわけですよ。これまでは最優先課題かつ最重要課題の、最優先という言葉が今抜け落ちているわけなんですけれども、極めて重要なんじゃなくて最重要な課題ですから、是非とも、G7、先進国の首脳サミット、主要国である我が国が、やはり菅内閣の、あるいはその前の安倍政権から続く歴代の政府の最重要課題ということで、当然そこは、G7全ての支持と理解を得るためにも何らかの形で文章として残すべきだと思いますけれども、期待するんじゃなくて、是非それを実現していただきたいと思います。  いかがですか、そこは。
  100. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのように先ほどの答弁でも申し上げました。  そして、よく聞いていただきたいのは、政権にとって最重要課題であります。同時に、サミットでは様々な議論が行われるわけでありまして、そこの中で極めて重要な課題だと私は申し上げました。
  101. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ですので、それは、その共同宣言なる文書、共同声明等に盛り込まれるんですかということなんです。  というのは、この問題については、二〇一九年八月、二年前の先ほど申し上げたフランスのG7で、当時の安倍総理が拉致問題に言及して、G7全てから支持と理解を得たというふうに言われているわけなんです。  今年五月のG7の外相会合で、即時解決に向けた理解と協力を求めて、各国から賛同を得たというふうに大臣も会見でおっしゃっているわけなんですけれども、当然、何度も日本政府の立場をその場で表明してきた。  ですから、そこについては、これは様々な議題があるのは分かっています。中国の問題もあれば、気候変動の問題もあるでしょう。ロシアの問題もある。様々な問題がテーマになるのは分かっていますけれども、そこに参加する主要国である我が国が、やはりそこに是非盛り込むべきだと思うんですけれども、もう一回伺いますが、そこはいかがですか。
  102. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日本として、そういった議論を提起し、盛り込みたいと思っております。  ただ、御案内のとおり、これまでのサミットにおいても、共同声明が発出されなかったこともあります。今回そうなるとは思っておりませんけれども。  そして、まさにこの共同声明というのは、これから行われます議論、これを踏まえて議長国を中心に取りまとめるということでありまして、日本としては、そういった形で最大限の努力をしていきたい。  また、そういった支持は得られると思っておりますけれども、では、どれくらいのボリュームの共同声明にするのか、また、そこの中にどれだけ詳細に書き込むのか、まさにこれは現場において調整をする、これがG7の共同声明というものだ、こんなふうに考えております。
  103. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 といいますのは、中国による人権問題、例えば、チベットの問題、ウイグルの問題、モンゴルの問題、それから香港に対して、様々な力による同化政策が進められる、あるいは強制労働の問題。この中国による人権侵害ということが国際社会の大きなテーマになり、G7の国の中で、いわゆる人権侵害を理由にした経済制裁法、マグニツキー法ですね、これを制定していないのは日本だけなんです。ですから、当然、この人権問題の中で、中国による、新疆ウイグル、チベット、モンゴルの中国語教育、様々な問題が今世界的な課題になっています。  そこで、やはり忘れてはいけないのは、北朝鮮による人権侵害、最大の人権侵害である、まさにこの拉致問題であります。だからこそ、これを日本側として提起をして、中国の様々な今非難を浴びているような非人道的な行為に対して非難をすること、あるいは世界が取り組むということと併せて、同時に、やはり、日本は人権の問題からして拉致問題もそこに並列で出す、議題として取り上げるべきだというふうに思います。  なぜなら、そこには、イギリスもそうです、参加国のドイツもそうですけれども、北朝鮮の平壌に大使館を置いています。今はコロナで一時閉鎖しているのかもしれませんが、この国々、二十四か国、平壌には在外公館、在平壌の大使館がある。そこに、日本と大変友好的な関係のある国もあるわけですよね。アメリカなんかはその利益代表部としてスウェーデンに委託している部分もあるわけなんですけれども。それだけに、やはり、北朝鮮に対して国交があり影響を持つ国が、そこで中国の人権侵害問題と同じように北朝鮮による人権侵害の問題を並列で共有をし、認識をしてもらう、このことが、G7の中で我が国が取り上げる意義だろうというふうに思っております。  それについて、今日いらっしゃる方々、是非、英国に着いた菅総理とそのスタッフには連絡していただいて、この問題は、人権の問題が出てきたときには北朝鮮の問題を取り上げる、拉致問題を取り上げる、是非そのことをお伝えをいただいて、何とか文言を入れた共同声明を発出していただきたいというふうに思います。  それでは、ちょっと北朝鮮状況について伺いたいと思います。  先ほども触れられた委員がいました、北朝鮮の朝鮮労働党の規約に変化がある。これは、六月十日付の日経新聞の、拉致特の調査室からもらった資料の中にもありますけれども、金正恩が、六月上旬、朝鮮労働党の規約の内容を、行ったことが明らかになった。これまで、先々代、金日成、そして先代の金正日のいわゆる社会主義理念や先軍政治、軍事優先という思想ですね、これを、政治思想を変えて、いわゆる父親の遺産というものを削除したというような見出しでございます。独自性を模索しているんじゃないかと。  背景には、やはり、経済制裁による疲弊、経済疲弊と、それともう一つは、コロナが世界中に蔓延したことによって自ら鎖国をした、自主的に国の国境を閉じた、これによって物資の流入が非常に、闇の取引も含めて厳しくなった中で、非常に経済が疲弊している。もう既に、ウォッチャーの方々が言うには、北朝鮮の中で金正恩の悪口を、今までだったら保衛部というところが飛んできて強制収容所に連れていかれるんですけれども、そうしたことが、あるいは中傷するようなビラがどこかの大学の構内に貼られていた、既にそういうことも散見されるようになってきたという実はウォッチャーの情報もあるんです。つまり、それだけ体制が揺らいできた。  やはり、貧困で、三代体制を、もう三代目になるとカリスマ性もなくなってきて、しかも、そこで貧困が起きると、もうこの国で生きていく望みみたいなものがなくなって、やはり体制不満につながる。それを恐れてか、金正恩が、経済政策がうまくいっていなくて申し訳ないと言って涙を流したり、何か国民に宛てた手紙を書くシーンも出したりしながら、そういう意味では少し変化が表れているのかなというふうに思うんですが、その点について、日本政府、報道されていますけれども、北朝鮮の中に今少しそういう、あるいは金正恩、変化があるのかどうかということは認識していますでしょうか。いかがでしょうか。
  104. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  北朝鮮状況について確定的に申し上げることは困難でございますが、新型コロナの影響等によって、中国との関係を含め、輸出入や人的往来に様々な制約が生じ、また経済制裁等により、相当厳しい経済状況に直面していると思われます。  今年一月に行われた党大会におきましても、金正恩委員長自身が、制裁自然災害、世界的な保健危機、この三つの要因により経済目標が未達成となっているということを述べていると承知しております。  その他、北朝鮮が人民大衆第一主義ということをうたっていることなど、様々な北朝鮮動向につきましては、我々としても重大な関心を持って情報収集分析を行ってきておりますが、現時点において、金正恩委員長の下での体制に大きな変化があるとは見られていないと考えております。
  105. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、冷静な分析の上に立ってあらゆるチャンスを逃すことなく果敢に行動していく、これは二年前の当時の安倍総理の会見での発言ですが、冷静な分析が余りにも冷静過ぎて、もう何年も時間がたってしまっては何の意味もない。やはりそこは、今回のような、全く予想もしなかったような世界的な感染症の蔓延、そして、医療体制や経済、インフラが脆弱な国は、そういう意味では非常にダメージを受けている。北朝鮮がまさに今そう。  ですから、今、北朝鮮が何らかの弱みを見せているんだったら、そこに当然、拉致問題の解決ということを国際社会から、これを前提に、あなた方が救われたいのならば拉致問題解決の意欲を見せろ、そうすれば国際社会は悪いようにしないよという何らかのシグナルは送り続けるべきだと思うんです。  アメリカ、先ほど、G7に関係して日米韓の首脳会談も行われるというふうに聞いています、事実、バイデン政権は、北朝鮮政策について現実的なアプローチをするという。その政策推進の各段階では、これからも、これまでも、日本や韓国といったパートナー国、同盟国とは引き続き相談をしていくんだというんですけれども、韓国が入ることによって、韓国の文在寅政権は今、支持率が下がっています。その中で、何とか失地回復のためには、北朝鮮と何らかの形で動かしたい。そうすると、元々北朝鮮に対して融和的な政権でございますので、やはり韓国としても、政権浮揚のために何とかして北朝鮮を利用したい。  しかし、日本拉致問題がある以上は、北朝鮮の問題については、やはり相当厳しい覚悟で臨まなきゃいけない。  そこで、現実的なアプローチをするアメリカバイデン政権が、支持率の、何とか失地回復を狙う文在寅政権と一緒に組んで、日本抜きで朝鮮半島政策、北朝鮮対話を模索されたときに、拉致問題が外されてしまう可能性があるというふうに私は非常に危惧をするんですけれども、この点について、拉致問題について、この新たなバイデン政権北朝鮮政策について、バイデン政権にちゃんとそこを伝えてあるのか、ちゃんと共有されているのか、そこはいかがでしょうか。間違った判断をされないように、是非、日本側の最重要課題をしっかりと認識してアメリカ政権には交渉に臨んでもらいたいと思いますが、いかがですか。
  106. 茂木敏充

    茂木国務大臣 バイデン政権北朝鮮政策レビューを行うに当たりまして、日本側からも、最重要課題であります拉致問題を含めて、日本側の考えをしっかりとインプットをし、それも踏まえて北朝鮮レビュー、こういったものがつくられた、このように認識をいたしております。  そこの中で、先日の日米韓の外相会談におきましても、対北朝鮮対応をめぐっては、日米韓しっかり連携していくことが必要であるということを確認いたしております。米韓だけで何か物を進める、こういったことは全く想定しておりません。
  107. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ただ、想定外のことが起きるのが外交でございます。そこは、我々が望むと望まざると、冷徹な外交の現実の中で判断されることというのはやはり、あってはならないんですが。ですから、想定していないではなくて、それをさせないという是非強い決意をいただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  108. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのようなことはないと申し上げております。
  109. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 是非、この問題は、アメリカ頼みではなくて、そこはやはり、これだけ我が国として、小泉訪朝以降、いや、その前からずっと、家族方々、救う会の方々、最後に政治を動かして、ここまで大きな国家的なテーマになって、政権の最重要課題と言われるまでになりました。  当初は、横田滋さんが娘は北朝鮮にさらわれたと言って街頭でビラをまくと、それを道行く人にはたき落とされるような映像も私は見ました。最初は、それこそ何をおかしなことを言っているのかぐらいに思われた。ところが、それが二代にわたる政権の最重要課題と言われるまでになったわけでございます。  それはやはり肉親の、娘を奪還するという強いその執念、愛情がここまでになったんだというふうに思ったときに、やはり私たちは何とかしてこの問題を解決をしなければいけない、そのためにはやはり我が国が主体でやらないと、アメリカはこの問題について同じような認識を持っていませんから。何か金正恩に伝えておいたと言うけれども、本当にどこまでどう伝わったのか、我々には分かりません。  我々がやはりそこを、その人たちの魂を受け継いで主体的になってやらなければ、この問題を国際社会で動かせない。かつて、横田めぐみさんの御両親が、本当に世の中の誹謗中傷も受けながら、しかしここまで大きな問題にしたというのは、やはりその思いであります。ですから、私たちが国際社会の中で同じ思いで言って世界的な課題にしなければいけない、そのように思うわけでございます。  そこで、もう時間もありませんから、是非大臣に御提案したいんです。  官房長官、拉致問題担当大臣として、かつて厚労大臣のときに兼務されているとき、私も一緒にワシントンDCに二年前に行きました。何度か御一緒しております。是非、拉致問題担当大臣として会見をしていただきたいと思うんです。官房長官の会見だけじゃなくて、拉致問題担当大臣としても、そこを少しでも時間を分けて、定例会見の中で拉致の問題に触れていただきたい。朝鮮総連だって北朝鮮だって、大臣の会見で何を言ったかということは当然ウォッチしています。  残念ながら、ずっと、二年一か月も開かれなかった。冒頭に抗議しようと思ったんですけれども、最初に松原さんが言ってくれましたので私から重ねて言いませんが、やはり、二年一か月、国権の最高機関でこの議論が行われてこなかった。せめて、これから、拉致問題担当大臣として、官房長官会見のときに、是非、北朝鮮に向けてのメッセージ、あるいは拉致の取組については繰り返しやはりメッセージを発していただきたいと思いますが、いかがですか、担当大臣
  110. 加藤勝信

    加藤国務大臣 現在は、例えば国民集会等はなかなか開ける状況ではありませんけれども、できる限りそうした集会にも参加をし、また、その際にはそれぞれ会見を行うなど、タイミングを見ながら必要な発信にはしっかりと努めていきたいというふうに考えております。
  111. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 是非国家公安委員長にも伺いたいんですけれども、対話と圧力、やはり圧力というのは、世界に向かって制裁を呼びかけた日本、しかし、日本の国内では朝鮮総連が普通に経済活動をしている。世界に向かっては厳しい制裁を呼びかけているけれども、あなたの国では、日本の国では、朝鮮総連は正直、合法的に様々な経済活動も含めてやっているではないかと。世界から見ると、ダブルスタンダードじゃないかと思われるんですね。  私は、この朝鮮総連という組織に対して、日本の国は、やはり認識を持って、とにかく、朝鮮総連にしてみると、拉致問題を本国が解決してくれないとこの国で生活しづらくて困る、活動できないというような悲鳴が上がるぐらいのメッセージが本国に伝わって、やはりそこで、拉致問題に対して日本は相当深刻な今思いをしているということを、やはり朝鮮総連についても私たちはプレッシャーをかけるべきだと思うんです。それについてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。お答えいただければと思います。
  112. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 今日の委員会を通じて改めて思いましたのは、やはりこの拉致問題解決というものは日本にとって最重要の課題であるということ。この解決に向けて、私たち閣僚だけじゃありませんけれども、委員の皆様とも共有をしながら、朝鮮総連、その他の組織に対してもこの気持ちを向けてまいりたいと思います。
  113. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 この問題は、我が国が主体になって動かなければ、国際社会は動いてはくれません。やはり、今日やっと開かれたこの二年一か月ぶりの質疑でありますけれども、是非活発な議論が今後行われるように、委員長を始めとして、是非とも各位の協力の下で、日本国の国権の最高機関における北朝鮮に対するメッセージを発信する場として、是非今後も開く、そのことを努力することをお約束申し上げまして、質問を終わります。  以上です。
  114. 古川禎久

  115. 黒岩宇洋

    黒岩委員 立憲民主党の黒岩宇洋でございます。  私は、やはりこの拉致問題、少しずつ時間経過とともに国民の関心が低くなり、ともすれば風化されるのかという、これは拉致被害者の御家族の皆様も本当に懸念されています。このことが、拉致問題の解決自体が遠のいてしまう、そんな原因になってしまうのではないか、こういう時間との闘いという、こういうことに対して私も大変懸念を今日抱きながら、じゃ、どうしていくのか、今時点での問題点なんかもあえて苦言も呈させていただかなければいけないと思っております。  新潟県は、横田めぐみさんの誕生日には、毎年、県民集会を行ったり、また募金活動など、こういったことがローカルテレビにも出ますから、まだ、そういった意味で、非常に皆さんの声の後押しがある。  ただ、私、最近、東京で二十代の人と話をしていたら、拉致問題というこの言葉は知っているけれども、よくよく聞いたら、それが北朝鮮によるものだという、こういったことまでの認識がないと言う。ここまで、この問題自体が、なかなか世間にも今、定着しづらくなっている。だからこそ、政府もそうですし、この拉致特、国会としても、この問題について、やはり本当に鋭意専心的に取り組んでいるという姿を見せなければいけないと思っています。  そこで、私、茂木外務大臣にあえてお聞きしたいんですが、この二年一か月、この拉致特は開かれませんでした。今から考えるともう十二年前、鳩山政権ができたとき、私は拉致特の与党の筆頭理事でした。そのときも外務大臣の日程というのは押さえづらかった。ただ、単に忙しいというだけでなくて、外務大臣は衆参合わせて八委員会、担当委員会があるわけですから、そこで外務省からは、外務大臣の負担を減らしてくれという、こういう要請が当時来ました。今それがあるかどうか分かりません。ただ、私は、何を言っているんだ、そんなことで委員会を開かないわけにはいかないよということで、常に四大臣、あのときは国家公安委員長拉致担当大臣が一緒でしたから、三大臣を確保して委員会を開いていたんです。  そこで、茂木大臣、二年一か月の間というのは、臨時国会も合わせると、会期で四百日ぐらいあるわけですよ。その中で、たった三時間の所信質疑、この時間が取れなかったのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  116. 茂木敏充

    茂木国務大臣 十年前の話については、私は当事者でありませんので、存じ上げません。  あと、委員会を開くに当たってどういう議論があったかということについて、それは委員会において御協議をいただいて今日の開催になった、このように考えております。  委員会の要請には、できる限りそれには応じさせていただきたい、このような姿勢は変わっておりません。
  117. 黒岩宇洋

    黒岩委員 私はこの二年間国対にいましたので、拉致特も沖北も、これについてなかなか開かれない、これは、筆頭理事からの報告では常に外務大臣の予定が取れない、こういうことだったんですよ、常に。沖北は去年、閉中審査でしたけれども、ようやく開かれました。そう考えると、外務大臣、就任してこの二年間で最もないがしろにされてきたのがこの拉致特ですよ。  そう考えると、拉致問題が最重要課題だと言っていることと、私は、やはり行動が裏腹だと。やはり行動がしっかり示されないと人々の心は動かない。そういう意味で、この指摘に対して、茂木大臣、しっかりとお答えいただけませんか。
  118. 茂木敏充

    茂木国務大臣 委員会の開催については委員会理事会等々でお決めいただくことだと思っておりますが、この拉致問題、政権の最重要課題として取り組んでまいりたいと考えております。  国内世論の喚起、こういったことも重要でありますけれども、一方では、国際的にこの拉致問題に対する関心であったりとか日本に対する支持を集める、極めて重要なことだと思っておりまして、そういった外交上の取組は進めております。これまで様々な外相会談、この二年間の間で行ってきておりますが、必ずそこの中ではこの拉致問題を取り上げるという形を取っております。  私が外務大臣を務めておりましたのが二〇〇二年から三年の頃であります。その頃、この拉致問題、アブダクション、こういう言葉を持ち出すと、すぐに分かってくれる国もありましたけれども、なかなか、詳しく説明しないと分かっていただけない、そういう国もありました。  今、全く状況は違います。国際社会全体を見て、この北朝鮮の問題について議論をし、アブダクションと言ったらどの国もすぐに理解をしてくれて、日本の立場を支持をしてくれる。こういったふうに、国際環境は間違いなく変わってきている。そのための取組は外務省としてもまた外務大臣としてもしっかり進めている、このように思っております。
  119. 黒岩宇洋

    黒岩委員 今後のことですけれども、まあ担当大臣が記者会見する、こういったことも必要ですし、やはり実際、外務省が相当の部分を担っているわけですから、むしろ、行政府として立法府に対して、それを説明させてくれ、そういった、私は、ある意味、積極的なことも、これは与党との連携も必要ですから、これは強く要請をしておきます。  そこで、政府の取組ですけれども、これは加藤担当大臣にお聞きします。  第二次安倍政権になって、二〇一三年一月に拉致問題対策本部、これは旧本部を廃止して新たに設置した。この組織図があるわけですけれども、じゃ、この拉致対策本部、これ自体のこの八年間の活動実績、一体何回開かれて、どういった内容を議論したのか、それを端的に教えていただけますか。
  120. 岡本宰

    岡本政府参考人 事実関係でございますので、事務方からお答えさせていただきます。  平成二十五年一月二十五日閣議決定において内閣に設置されました拉致問題対策本部は、拉致問題に関する対応協議し、同問題の解決のための戦略的取組及び総合的対策を推進することを目的に、内閣総理大臣を本部長拉致問題担当大臣内閣官房長官、外務大臣を副本部長、他の全ての国務大臣を本部員として設置されております。  これまで、全大臣による本部会合について、三回開催しております。平成二十五年一月二十五日に開催された第一回の会合では、今後の対応方針等を議論し、平成二十六年八月五日に開催された本部会合では、拉致被害者等への今後の支援策の在り方の中間報告案を承認し、平成二十六年十一月二十八日に開催された本部会合では、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律の一部を改正する法律の議員立法による成立を報告、拉致被害者、御家族に対する総合的な支援策の改定を承認したものであります。
  121. 黒岩宇洋

    黒岩委員 今、ちょっと改めてお聞きしますけれども、拉致問題解決のために本部があると。加藤大臣拉致問題の解決、この解決というのは一体何を指すのか、何がゴールなのか、これは本部で当初に定められていますけれども、これを改めてお答えいただけますか。
  122. 加藤勝信

    加藤国務大臣 今おっしゃったのは、本部で決めた方針だと思います。済みません、ちょっと手元に今すぐ出てきませんので、ちょっとお待ちいただきたいと思いますが、基本的には、まず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現ということがその中に当然、一項目めというのは、あったところであります。  それから、ちょっと後半だけ読ませていただきますが、「拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者安全確保及び即時帰国のために全力を尽くす。また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しを引き続き追求していく。」、これが方針として掲げられているところであります。
  123. 黒岩宇洋

    黒岩委員 担当大臣、二度目ですので、これは、拉致被害者の確保、帰国、一、真相究明、二、三番目に拉致実行犯の引渡しと、これはやはり、ある意味、肝にしっかりと入れておいていただきたいと思います。  それで、先ほどの本部の話になりますけれども、まず、たった三回しか行われていない。しかも、最後は二〇一四年ですから、七年間一回も開かれていないんですね。  今の事務方の話だと分かりづらかったですけれども、一回目は、これはキックオフ会合ですよ、当然。初めて開くわけですから、キックオフ会合。二回目は、これは、拉致被害者等給付金の支給の期限が来ちゃうものだから、これに対する対応策ですよ。三回目、これも、拉致被害者家族に対する総合的な支援ということで、私が申し上げたいのは、これは、今大臣がおっしゃってくださった拉致問題解決のこの三項目については何ら触れていないわけです。むしろ家族支援といったところで。  だから、せっかく本部が開かれても、中身は、解決に向けての一歩、二歩という内容ではない。加えて、たった三回。そして、二〇一五年以降開かれていないわけですけれども、これは、古屋担当大臣、山谷担当大臣のときには開かれて、次、加藤官房長官担当大臣になったときから開かれていないんですよね。  これは、何で開いていないんですか。
  124. 加藤勝信

    加藤国務大臣 これは、それぞれ、この本部において議論すべき、そうしたときには当然開催をしていくということでありますし、また、この拉致対応、この本部以外、もちろん日々いろいろな形で連携を取っているわけでありますので、この本部を開いていないからといって、政府拉致問題対策なんて何もしていないということでは全くないということであります。
  125. 黒岩宇洋

    黒岩委員 私は、もちろん、何もしていないなんということは言わないし、そんなことはあり得ないです。  ただ、その本部を開くべきときには開くということは、すなわち、開くべきような進展がなかったことの裏返しということなんですよ、本部が開けていないというのは。  それで、先ほどこの組織図を見せましたけれども、この拉致対策本部の下に、政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会と拉致問題に関する有識者の懇談会というのが二つ直接ぶら下がっていて、その下に、必要に応じて設置する審議の場、そして、現存する拉致問題対策本部事務局、こういう組織図になっているわけですね。  これはもう私の方で申し上げますけれども、この政府の与野党連絡協議会、渡辺周議員もこれにも参加していますけれども、これは、じゃ何回かというと、九回開かれた。ただ、これは二〇一七年を最後に四年間開かれていません。次の、有識者との懇談会、これはたった三回です。これも二〇一七年以降開かれていません。そして、必要に応じ設置する審議の場というのは、これは一体何だと聞いたら、これ自体は、関係省庁拉致問題連絡会、担当大臣の下にですね。これは二〇一四年に六回開かれた。それ以降開かれていない。  すなわち、これは、本部自体は二〇一四年から開かれていないし、この本部に属する協議会、懇談会といったものは、この四年間、丸々開かれていないんですよ。大臣、これは理由は一体何ですか。
  126. 加藤勝信

    加藤国務大臣 それぞれ目的があるわけでありまして、例えば、政府・与野党拉致問題対策機関連絡協議会については、政府拉致議連役員、各党拉致問題対策組織代表とが席を同じくして、問題共有、自由な意見交換などを行い、超党派での取組の強化を図ることを目的として開催をしてきているところでありますし、また、拉致問題に関する有識者の懇談会は、拉致問題の解決に向けてのあらゆる対策を検討するため、有識者の専門的な見地から積極的に提言をいただくことを目的として必要に応じて開催をしてきたところであります。  これまでそうした形で開催をさせてきていただいたところでありますけれども、残念ながら、今委員指摘になりましたように、拉致問題について、五人の帰国以降、残念ながら一人の拉致被害者帰国も実現していない、こういう状況でありますし、また、様々な動き、大きな動きがあれば、もちろんそのことごとにそれに対する対応等についての御議論等、そうした場も活用しながら行っていくという姿勢ではありますけれども、残念ながらそうした機会がこの間なかった、こういうことでございます。
  127. 黒岩宇洋

    黒岩委員 今大臣がおっしゃったところが正直なところなんだと思います。外部的に物が動かない、だからこういった会合も開く必要性がなかった、こういう趣旨ですからね。  ただ、これは外部環境ではなく、自ら能動的に、やはりいろいろな情報を取ったり、いろいろな活動をしていく。このことがあれば、当然協議の場も必要になってくるということの表裏一体ですから、私は、この点について、本当に、会議さえ開いたらいいというわけじゃないけれども、でも、これだけ開けていない現実は是正をしていただきたいと強く思っています。  そこで、話をちょっと進めていきますが、では、この組織図でいうと事務局、これは数十名、大体五十名規模ぐらいだと聞いていますけれども、そこで今活動している。  ただ、これは今三室から成るんですけれども、一つは、総務・拉致被害者支援策、これはやはり被害者支援策ですよ。政策企画室というのが三室のうち一つありますが、これは基本的に啓発活動です。もう一つ、情報室、これは警察庁から来ている方が室長で、その中の人数はつまびらかにはできないということですけれども、ただ、基本的には国内の情報収集だと。そうなると、やはりこの三室というのは、先ほど申し上げた拉致問題の解決被害者の即時帰国、真相究明、加えて実行犯の引渡し、真相究明の部分情報室も関与があるかもしれませんが、しかし、この解決に関して考えると、やはりおおよそ内政なんですね、事務局がやっていることが。  そこで、やはり茂木大臣、実際はやはり外務省なんですよ、この解決に向けては。それで、では、実際にこの組織図で見ると、今申し上げたとおり、外務大臣が入っているのは本部だけで、これも七年開いていないわけですから。  私は、これは提案にしておきますよ。やはり事務局を、外務省北東アジア二課と、そしてやはり警察、実際に情報収集能力というのは警察が一番高いですよ、こことが一緒になった機能的な事務局をつくり直して、そのことによって上部にある親会議、中会議が開かれるようにしていく。こういったことを、これは提案にさせていただきます。  そこで、じゃ、外務大臣、この解決に向けての工程表って、何らかのものって示されているんですか。この三本について、いつまでに、何を、どのくらいという。そこをちょっとお聞かせいただきたいんです。
  128. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これだけ長い問題であります。様々な水面下も含め取組をしておりますけれども、じゃ、今の段階で何年までに確実に解決できる、こういったことを相手側からコミットメントを取るというのはなかなか難しい問題だと思いますよ。そういった意味での工程表を示すというのは、私はかなりきついんじゃないかなと思います。  さらに、相手もあって、その相手もどういう行動を取るか分からないわけですよ。経済目標が達成できない、今、経済制裁があり、自然災害があり、コロナもあり、相当大変な状況なのに、核・ミサイル開発を続ける、そういう判断をする体制なんですよ、あそこは。一九六二年のキューバと一緒ですよ。何であのSS2をあそこに配備をしたのか。もう、U2、ミサイルを見られるのが分かっているのにああいう配備の仕方をする。それをいろいろなモデルで検証すると、合理的意思決定モデルでもそうです、組織のモデルでも、ゲームの理論でもそうですけれども、どれも当てはまるんですよ。それは恐らく、当時のフルシチョフに聞かないと分からない。今であれば……(発言する者あり)いや、答えていますから、ちゃんと。聞いてくださいよ、ちゃんと。真剣に答えているんですから。それに対して金正恩がどう考えているかということです。本当に向き合わないと分からない。それは率直な感想だと思いますよ。
  129. 黒岩宇洋

    黒岩委員 これは最後、提案ですけれども、先ほどからある、条件をつけない直接交渉、これは安倍総理が二年前の五月六日に記者会見でおっしゃってから二年間、やはりこれを実現していただきたいです。さっき渡辺議員が指摘したとおり、当然、解決に向けてのですよ。  実際に、この間、北朝鮮は米朝、南北と、これは専門家の方に聞くと、やはり北朝鮮の外交部局ではこれを取り扱うだけでかなり事務的にも大変だったと。裏を返せば、さあ、次、日朝、こういったチャンスがそろそろ来ると。だから、私は、これを努力目標でもいいから、いついつまでにこういった交渉を取り組むんだ、こういったことがないと、本当に、横田滋さん、去年六月五日に亡くなって、もう横田早紀江さん、本当にやはり時間が迫ってくる、窒息するぐらい、皆さん本当に苦しんでいらっしゃるんですよ。だから、こういう人たちに少しでも明るい、時間的な光を見せていただきたいんです。  このことを三大臣に心からお願いいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。
  130. 古川禎久

    古川委員長 次に、笠井亮君。
  131. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  冒頭に、加藤官房長官、本日は、前回、二〇一九年五月十七日の第百九十八常会での質疑以降、実に六国会、二年一か月、七百五十六日ぶりの質疑の機会であります。この間、拉致被害者家族有本嘉代子さんが恵子さんと、横田滋さんがめぐみさんと再会できずに亡くなられました。先日、私も特定失踪者家族方々にもお会いしたんですが、いずれの方々も、命の炎が尽きる前に解決をと。この願いは痛切であるというふうに思います。  ところが、二年余りも質疑がなく、やる気があるのか、何のために特別委員会を設置したのかと国民から鋭く問われている。さっきもありましたけれども、いつも三大臣の日程がそろわないからとしてきた与党の責任とともに、担当大臣、官房長官の所信でも拉致問題は菅内閣の最重要課題としている政府の根本姿勢の問題だと言わなければいけないと思うんです。  私は、加藤官房長官のイニシアチブで当委員会出席を最優先にするように三大臣の日程を調整すべきだったんじゃないかと。その責任についてはどのようにお感じでしょうか。
  132. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まず、今、私、立たせていただいているのは、拉致問題担当大臣として立たせていただいておるということでございます。  その上で、ですから、私は担当大臣として、まさに国会においてお決めいただければそれに対してできる限り出席をする、こういう姿勢でこれまでも対応しているところでございます。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 担当大臣としてということであれば、まさにそのとおりだと思う。最重要課題、閣僚の一人という形でやっていて、担当されているわけですから、やはり、三大臣の日程を率先して調整してそろえるようにするというのが当然の、担当大臣としての仕事だと思うんです。  長年にわたる懸案となっている拉致問題の解決のためには、やはりあらゆる英知の結集が必要ではないか。今日も質疑の中で様々出されました。担当大臣である加藤大臣には、政府の取組について国会の委員会質疑でチェックを受けながら、与野党から知恵や提案を受けるという気はないんですか。
  134. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まさに本日も、様々、各党の委員から、またこれからも質疑が重ねられると思いますが、様々な御意見、御提言も頂戴をしているところであります。そうしたものをしっかり受け止めながら、今後の拉致問題にしっかり当たっていきたいというふうに考えております。
  135. 笠井亮

    ○笠井委員 であれば、文字どおり最重要課題にふさわしく、今日の委員会を皮切りにして、頻繁な質疑の機会を政府・与党に強く求めておきたいと思います。  そこで、次の問題ですが、菅首相は昨年九月に、総理就任後初の国連総会での演説で、日本の新しい総理大臣として、私自身、条件をつけずに金正恩委員長と会う用意があると表明をいたしました。あれから八か月余りが経過したわけですが、拉致問題は解決に向けて一歩も進んでいない。加藤大臣、その理由はどこにあるのか、どう取り組むか、その点、いかがでしょうか。
  136. 加藤勝信

    加藤国務大臣 これは本当に、先ほども申し上げましたけれども、五人の拉致被害者が帰ってこられてからこの間、お一人の拉致被害者も帰ってこられません。また、それに向けて具体的な動きも残念ながら生まれているわけではない。我々は本当にじくじたる思い、また、御本人、拉致被害された方、御家族そして関係者が積極的に運動していただいていること、そうした方々に対しても本当に申し訳なく思っているところであります。  ただ、これは、先ほど茂木大臣からもお話がありました、相手のあることでもあります。  ですから、私ども、先ほどの、総理が条件をつけることなく金正恩委員長とお会いするということはもう累次に申し上げてきているところでもありますし、また、あらゆる機会を逃すことなくこの問題に取り組んでいきたいということを申し上げているところであります。  引き続きそういう姿勢で、一日も早い全ての拉致被害者の御帰国に向けて全力で取り組んでいきたいと考えております。
  137. 笠井亮

    ○笠井委員 第二次安倍政権発足直後の二〇一二年の十二月二十八日、安倍首相は、北朝鮮による拉致被害者家族会のメンバーらと首相官邸で向き合って、もう一度首相に就いたのも何とか拉致問題を解決しなければとの使命感からだ、必ず安倍内閣解決すると誓ったわけです。それから七年八か月が経過したんですけれども、残念ながらというか、問題の解決には一歩も至らないまま、今大臣も言われましたけれども、そういう中で安倍総理は辞任をされた。昨年八月の辞任表明で、安倍総理は、拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極みだと、悔しさをにじませて言われました。  そこで、加藤大臣に伺いますが、あれから今日まで、事態は更に一向に進展していない、安倍路線の継承を訴えて誕生した菅内閣として、この安倍政権による拉致問題への取組を一体どういうふうに総括をされているのか、この点についてはいかがでしょうか。
  138. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まず、拉致問題について、北朝鮮への様々な形での働きかけに加えて、国際社会における連帯を、連携をしっかりつくり上げていくということで、関係各国に対して、ハイレベルでのあらゆる機会を捉え、何度も拉致問題に関する日本の立場を菅総理も説明をし、また多くの国々から支持も、また理解も得ているところでもあります。  また、昨年十二月の国連安保理、さらには今年の三月の国連人権理事会等でも御承知のような対応をさせていただいているところでもありますし、また四月の日米首脳会談では、菅総理から、拉致問題の即時解決に向けて米国に引き続きの理解と協力を求めたのに対し、バイデン大統領から、拉致問題の即時解決への米国のコミットメントが改めて示されたところでもあります。  そうした、それぞれの二国間等の特にハイレベルでの対応に加えて、国際社会における広報活動にも力を入れており、昨年十月には国際社会に向けたビデオメッセージ集を公表し、また十二月には国際シンポジウムを開催し、またこの六月下旬にはオンライン形式で拉致問題に関する国連シンポジウムも開催する予定でありまして、こうした内外の皆さんに対する広報啓発活動を通じ、あるいは各国との連携を通じ、そして先ほど申し上げた様々な働きかけを行うなど、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現に向けて、あらゆる面においての努力はさせていただいているところであります。
  139. 笠井亮

    ○笠井委員 私が伺ったのは、安倍政権による、本当に悔しさをにじませたということだったんですが、この拉致問題への取組で一向に進まなかったことについての、安倍政権での取組、それを引き継ぐということを言われているので、その安倍政権自体の取組をどう総括しているのかというふうに伺ったんですが、要するに、なぜ拉致問題が解決に進まなかったのか。  安倍政権が、対話のための対話は必要ないと圧力一辺倒でずっと来た、そのことがこの問題の解決を難しくしたんじゃないか、この間の取組でいったら。そのことについてはどうなのかということについて、加藤大臣、いかがですか。
  140. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まず、我が国の基本方針としては、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す、この考え方には変わりがないところでもありますし、また、拉致問題の解決我が国が主体的に取り組むことが重要であり、北朝鮮との間でも様々な手段を通じたやり取りを行い、拉致、核、ミサイルといった諸懸案包括的解決に向けたあらゆる努力を行ってきているところであります。  我々は、あくまでも全ての拉致被害者の一日も早い帰国の実現、この目的を達成していくことであり、そうした意味から何が大事かということを基本に置いて引き続き対応していきたいというふうに考えております。
  141. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣答弁では、政府の方針は一貫しているということをおっしゃりたいんだと思うんですが、そういうことで一貫していると言いますけれども、安倍首相は二〇一七年九月の国連総会で、対話とは、北朝鮮にとって我々を欺き時間を稼ぐため、むしろ最良の手段だった、対話による問題解決の試みは一再ならず無に帰した、何の成算あって我々は三度同じ過ちを繰り返そうというのか、必要なのは対話ではなく圧力だというふうに述べて、国際社会に最大限の圧力への同調を求めたわけですよね。  ところが、二〇一八年三月に米朝首脳会談の開催が表明されると、安倍総理は、北朝鮮の変化を評価すると、追認せざるを得なくなった。六月に米朝会談が実現すると、九月の国連総会では、拉致問題を解決するために、私も、北朝鮮との相互不信の殻を破り、新たなスタートを切って、金正恩委員長と直接向き合う用意があると、前提条件なしの対話を呼びかける態度に、明らかにこれは転換したんじゃないか。  そういう経過だったんじゃないんですか。
  142. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほど申し上げた基本の方針、これは何ら変わるところではありません。  ただ一方で、もちろん、これは相手国の動向等々を踏まえながら、我が国対応というのはそれに応じて、具体的な対応に応じては変わっていく、これは当然のことではないんでしょうか。
  143. 笠井亮

    ○笠井委員 日朝関係の打開には対話が必要なのは当然です。それなのに、対話のための対話は意味がないと圧力一辺倒の強硬路線に固執したのは、ほかならぬ安倍総理だった。二〇一七年の国連総会で、北朝鮮との対話は過ちと断じて、必要なのは対話ではない、圧力だと、対話の道を自ら閉ざしてしまった。それが、トランプ大統領が対話路線に踏み出すと、今度はそれに合わせて対話の道を探り始めた。  外交上、情勢に応じた柔軟性は必要だとしても、やはり確固とした外交戦略が我が国になさ過ぎると言わなきゃいけないと思います。  こうした安倍政権の路線をまともに総括もせずに無条件の対話だと言ってみたところで、菅内閣の下でも事は進まないと思わざるを得ない。圧力一辺倒のまともな総括のないまま、無条件の対話と言ってみても、事は進まないと思うんです。一々米国の顔色をうかがって対応を変えているんだけれども、本来、拉致問題は、米国に頼らずとも、もちろん国際協調は必要ですよ、だけれども、自分たちでできる課題だ、それぐらいに腹をくくってやらないと解決しないということは言いたいと思います。  そこで、茂木外務大臣に伺います。  第二次安倍政権の間で最も日朝が接近したのが、二〇一四年五月にストックホルムで開かれた日朝政府協議でありました。この協議では、北朝鮮日本拉致被害者らに関して包括的で全面的な調査を行い、生存者を発見した場合は帰国させる方向日本側と協議する、日本調査開始が確認されれば北朝鮮への制裁措置を一部解除することを柱としたストックホルム合意が結ばれました。続く七月三日には、政府から、北朝鮮側拉致問題に関する特別調査委員会体制が発表されている。  そこで、大臣、このストックホルム合意について、菅政権としてはどういう立場なんでしょうか。
  144. 茂木敏充

    茂木国務大臣 二〇一四年五月のストックホルム合意についてでありますが、それ以前まで拉致問題は解決済みとしてきた北朝鮮との間で固く閉ざされていた交渉の扉を開いて、北朝鮮拉致被害者を始めとする日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明させた、この点で有意義であったと考えております。我が国としては、引き続きストックホルム合意は有効である、このように考えております。  一方で、ストックホルム合意以降、北朝鮮の特別調査委員会による調査について、北朝鮮から調査結果の通報というのはありませんし、また報告書も提出をされていない、このことは極めて遺憾であると思っております。  拉致問題の即時解決、これにつきましては、米国を始め国際社会から幅広い今理解を得ているところでありまして、問題は、北朝鮮がストックホルム合意の履行に向けた具体的な行動を示していないことにあると考えております。  我が国としては、北朝鮮に対してストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早い全ての拉致被害者帰国を実現すべく、あらゆる努力を傾注していく考えであります。  先ほど、対話と圧力の話がありました。これは、どちらかだけを使うというよりも、この対話と圧力をうまく組み合わせながら、北朝鮮の前向きな行動、これを引き出していくことに極めて意味がある。対話だけをやって北朝鮮がまた核開発をする、ミサイル開発をする、そのための時間を与える、こういうための対話だったら意味がない、こういう考えは全く変わっていないわけでありまして、ですから、今は、国連決議を完全に履行する、そういった姿勢を国際社会にも呼びかけ、多くの国がそういう体制を取っていると私は考えております。
  145. 笠井亮

    ○笠井委員 対話一辺倒とか圧力とか、そういうふうな形でやるんじゃなくて、主体的外交戦略が必要だということを私は申し上げたので、国連決議、そして制裁問題でいえば、先日も、私も経済産業委員会で、政府が提案した制裁措置の継続については、この承認案件は賛成もして、全会一致でやっているわけです。問題は、今の状況の中でどういう主体的な外交戦略を持ってやるかだということは申し上げておきたいと思います。  そこで、茂木大臣、さらに、今のストックホルム合意ですが、二〇一四年五月二十九日に発表されたこの合意ですけれども、冒頭で、「日朝平壌宣言に則って、」ということを明記をして、これを日朝双方で確認をしている、当時の岸田外務大臣が同年六月十三日の参議院拉致特でそう答弁したような、そこは重要な中身だったということは確認できますよね。
  146. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国は、従来から一貫して、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指すといった考えでありまして、その方針に何ら変わりはありません。  この日朝平壌宣言、日朝双方の首脳の議論の結果として、日朝関係の今後の在り方を記した両首脳により署名された文書でありまして、北朝鮮側もこれを否定しているわけではないわけですね。我が国としては、日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実施されることが何より重要であると考えております。  ストックホルム合意の冒頭で、「日朝平壌宣言に則って、」、このように明記しているのもこうした点を踏まえてのことでありまして、日朝双方で確認した、これは意義のあるものだと思っております。
  147. 笠井亮

    ○笠井委員 この下で、合意文書では、「北朝鮮側は、過去北朝鮮側拉致問題に関して傾けてきた努力日本側が認めたことを評価し、従来の立場はあるものの、全ての日本人に関する調査を包括的かつ全面的に実施し、最終的に、日本人に関する全ての問題を解決する意思を表明した。」とあるわけです。  そこで、茂木大臣、更に伺いますが、この合意を受けて、北朝鮮は七月三日、当時、特別調査委員会を立ち上げたと発表しました。権限として、北朝鮮の最高指導機関である国防委員会から、北朝鮮の全ての機関を調査することができ、必要に応じて参加関係機関及びその他の関係者をいつでも調査に動員することのできる特別な権限が付与されると説明いたしました。その構成は、国家安全保衛部、人民保安部、人民武力部、人民政権機関、その他の機関や関係者を含む三十名規模としたわけでありますが、安倍総理は同日、国家的な決断と意思決定ができる組織が前面に出て、かつてない体制ができたと評価しましたが、そういうふうに評価したというのは、そうだったんですね。
  148. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのような体制ができたということであります。ただ、それが実行されていない、このことが問題なんだと思っております。
  149. 笠井亮

    ○笠井委員 実行されていない、問題だと。ただ体制ができたということ。  二〇一四年六月十七日の当委員会で、私も、我が党として、拉致問題の真相解明にとって北朝鮮の特殊機関が障害になっていることを指摘もしまして、北朝鮮側の責任者を、拉致問題の全容を知り、問題解決に責任を負うことができ、その権限を持った人物とするよう繰り返し指摘してきたと述べて、今後の日朝交渉に当たっては、特別調査委員会北朝鮮の特殊機関の存在に左右されず、真相を追求できる力を持ったものになるように、北朝鮮側に強く求めていく必要があると要求したという経過でありました。  しかし、北朝鮮は、二〇一六年一月の核実験、二月の弾道ミサイル発射を受けて日本政府が独自の対北朝鮮措置を実施したことに反発をして、特別調査委員会の解体を宣言したという経過だったと思います。  そこで、加藤大臣に伺いますが、菅内閣は、昨年十一月六日の政府答弁書、この中で、ストックホルム合意について破棄する考えはない、合意に基づき、日本人に関する全ての問題の解決に向け全力を尽くしていく考えであるという立場を明らかにしております。また、北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を実現していくというふうにしております。このストックホルム合意というのは、拉致問題などを解決する上で重要な前進の一歩となったもので、特別調査委員会設置の動きは問題解決への最初の一歩として重要だったということであります。  日本政府として、やはり今必要なのは、北朝鮮に対してストックホルム合意の実行を強く求めるということとともに、拉致被害者帰国の実現を始めとして、日朝平壌宣言で合意された諸懸案が前進するように、政府としての確固とした外交戦略を持つことではないか、経過の中でもそういうことが大事じゃないかというふうに思うんですけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。
  150. 加藤勝信

    加藤国務大臣 外交戦略ということであれば茂木大臣からお話をいただきたいというふうに思いますが、先ほど申し上げたとおり、日朝平壌宣言に関する基本的な方針については、確固とし、また一貫したものでありまして、日朝平壌宣言において確認された事項が誠実に実施されることが何よりも重要と考えております。  また、ストックホルム合意については、先ほど茂木大臣からもありましたように、包括的、全面的な調査を実施していない、大変遺憾な事態になっているところであります。  やはり大事なことは、先ほどから申し上げておりますように、一日も早く全ての拉致被害者帰国を実現をしていく、そのためにどういった方法が一番それに資するのか、そういった観点にしっかり立ちながら、あらゆる努力をしていくことだというふうに思います。
  151. 笠井亮

    ○笠井委員 今答弁ありましたが、私、大事なのは、やはり、日朝双方の行動によって、拉致被害者帰国の実現を始めとして、日朝平壌宣言で合意された諸懸案が前進することだというふうに思います。  そこで、重ねて加藤大臣に伺います。  最後になりますけれども、日本拉致問題が最優先だと言って、北朝鮮は過去の清算が最優先だと言って、互いに優先順位をつけて、それを相手に認めさせようとしたら、これは交渉のテーブルに着けないということになると思うんです。どれも大事な問題ですが、優先順位をつけないで、全てをテーブルの上にのせて、いわばパッケージというか包括的に解決をする、この考え方でまとめたのが日朝平壌宣言で、そこには、私、非常に外交の知恵が働いているなと、本当に今振り返っても非常に意義を感じるわけですけれども、やはり、その点では、拉致問題は日本国民にとって大変重要な問題ですけれども、そうした立場で取り組んでこそ解決の道も開かれ得るということになるんじゃないか。  つまり、どれも大事な問題と懸案はあるんですけれども、それを優先順位をつけないで、全ての課題をテーブルの上にのせて包括的に解決する、この考え方で平壌宣言はできている、そういう点での取組というのを本当に貫いていくというのが拉致問題の解決の道も開くことになるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  152. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まず、何回も答弁をして恐縮でありますが、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す、この考え方には変わりはなく、また一貫をしたところでありますが、具体的にどのように諸懸案を包括的に解決していくのかについては、まさに交渉そのものに関わるものであるというふうに思っております。  拉致問題担当大臣としては、先ほどから申し上げておりますように、何としても全ての拉致被害者帰国させたい、こういう思いで対応していきたいと考えております。
  153. 笠井亮

    ○笠井委員 拉致被害者家族、そして特定失踪者家族を始めとして、日本国民が、もう待てないという思いで望んでおられる。まさに今大臣言われた一刻も早い拉致問題の解決のためにも、日本政府は、日本国憲法九条の精神に立って、日朝平壌宣言を基礎に据えたプロセスが前進するように、積極的に関与するように重ねて求めて、今日の質問は終わります。
  154. 古川禎久

    古川委員長 次に、森夏枝君。
  155. 森夏枝

    ○森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。  北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会におきまして質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私は、昨年六月十日の衆議院予算委員会におきまして、当時の総理、安倍元総理に対して拉致問題について質疑をさせていただきました。本日は六月十一日ですので、ちょうど一年がたちました。  昨年と今年は、日本中、世界中が新型コロナウイルスの影響を受けており、多くの皆様が大変な思いをされている状況ではございますが、拉致被害者の御家族の皆様は、四十年以上も大変な思いをされながら御家族帰国を願い、活動をされております。大臣所信の中で、三大臣共に、拉致問題は菅内閣の最重要課題であること、拉致問題の解決には一刻の猶予もないと発言をされております。拉致問題は安倍内閣の最重要課題でもありました。  拉致問題が菅内閣の最重要課題であるにもかかわらず、なぜ二年以上もの間、この拉致問題の特別委員会において質疑が行われなかったのでしょうか。拉致問題の特別委員会は三大臣がそろうのが難しいということも伺いましたけれども、一年のうち、たった三時間、大臣がそろうことができないということはないと思います。閉会中審査もできますし、休憩を挟んだり、委員会を二日に分けるなど、工夫をすれば質疑はできたと思います。  委員会の開催については大臣がお決めになることではございませんが、この二年間、委員会での質疑が行われなかったことに対して、どのように感じておられますでしょうか。加藤拉致問題担当大臣、御答弁をお願いします。
  156. 加藤勝信

    加藤国務大臣 まず、委員会の運営について、これはまさに委員会でお決めになることでありますから、政府としてお答えするのは差し控えたいと思います。  他方で、本日のように、拉致問題について国会で建設的に御議論いただき、また様々な御提言をいただくことは大変意義深いというふうに考えておりますし、そうした御意見等もしっかり承りながら、この拉致問題、しっかり対応していきたいというふうに思っております。
  157. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  是非、全員の帰国に向けて、政府一丸となってこの拉致問題の解決に向けた取組をお願いいたします。  昨年二月には、有本恵子さんのお母様、嘉代子さんが、六月には横田滋さんが御逝去されました。拉致被害者の御家族の高齢化も大変深刻な問題となっております。  昨年の衆議院予算委員会質疑の際に、横田早紀江さんが寄稿されている産経新聞の記事、「めぐみへの手紙」を配付資料として、大臣委員の皆様にお配りをし、御紹介をさせていただきました。  病院で必死にリハビリするお父さんの姿を見ると、一刻も早く、めぐみと会わせてあげなければという焦りで全身がしびれます。私たちに残された時間は本当に僅かです。全身全霊で闘ってきましたが、もう長く待つことはかないません。その現実を、政治家や官僚の皆様はどう考えておられるのでしょうかといった内容の記事でした。  私は実は、この記事を紹介するために、前日に二十回以上読む練習をしました。私は、早紀江さんの言葉が胸に刺さり、涙が出て、言葉が詰まって記事が読めませんでした。予算委員会で泣かないように、しっかりと読めるように、何度も記事を読み、泣かない練習をして予算委員会に臨みました。あれから、はや一年がたちました。一人の帰国も実現をしておりません。  現在、緊急事態宣言が発出されており、私も、祖父母の法要にもお墓参りにも、田舎に帰ることができておりません。先週亡くなった大おばの葬儀にも帰ることができませんでした。会いたい人に会えないつらさは、このコロナ禍で多くの国民の皆様が感じられていることだと思います。  横田早紀江さんは、めぐみさんが帰国できたときにお父さんの遺骨を抱き締められるようにと、滋さんの遺骨はお墓に入れないそうです。  拉致被害者方々、そして帰りを待つ被害者の御家族方々は、四十年も家族に会うことができず、つらい思い、悔しい思いをされています。菅内閣の最重要課題というのであれば、いま一度、拉致問題の解決に向けた政府としての御決意、思いをお聞かせいただきたいと思います。まず、加藤拉致問題担当大臣、よろしくお願いいたします。
  158. 加藤勝信

    加藤国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、五人の拉致被害者の方が帰国をされてから一人の拉致被害者帰国も実現できていない、また、そうした中で、めぐみさんの帰国のために本当に一生懸命に活動され、そして、その手に抱きたいという思いを持っておられた、また、家族の方もそう思っておられた滋さんが亡くなられた、そして、それから更に一年が経過をしたということであります。  滋さんの命日には、めぐみさんの同級生の皆さん方も集まって、そうしたオンラインでの会合が開かれ、私も参加をさせていただき、そこで皆さんも「翼をください」という合唱をされたところでもあります。  そうした、本当に皆さんの思い、もちろん、横田家の皆さんだけではなくて、拉致被害者の御家族、また特定失踪者の方々の御家族もそうであります。そして一年一年、日にちがたっていく。様々な不安も持っておられるわけでありますから、そうしたことをしっかり我々は受け止めながら、一日も早く全ての拉致被害者の方が帰国していただけるように努力をしていかなきゃならない。これは、日々日々、私自身も自らにも言い聞かせているところでございます。
  159. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  直接、被害者家族の方であったり御友人の方のお声は、しっかりと加藤大臣のところには届いておると思いますので、是非よろしくお願いをいたします。  次に、茂木外務大臣、この横田滋さんの一周忌に際しての思い、御決意をよろしくお願いいたします。
  160. 茂木敏充

    茂木国務大臣 委員会の冒頭でも黙祷をささげさせていただいたところであります。先週六月五日、横田滋さんが御令嬢のめぐみさんの御帰国を待ちながら御逝去されてから一年となります。改めて、心から滋さんの御冥福をお祈りしたいと思います。  会いたい人に会えない、しかも自分の最愛のお嬢さんが突然にいなくなってしまった、言葉にならないものがあるな、そんなふうに思います。滋さんの御存命中に御令嬢のめぐみさんを帰国させることができなかったこと、痛恨の極みであります。  拉致被害者の御家族、皆さん高齢になっていらっしゃいます。拉致問題の解決には一刻の猶予もないというふうに考えております。  この問題、我が国自身が主体的に取り組むことが重要でありまして、安倍総理も、そして菅総理も、総理自身、条件をつけずに金正恩委員長と直接向き合う、もちろんこれは、拉致被害者の皆さん全員の一日も早い帰国のためにということでありますが、こういった決意を表明しているところであります。  引き続き、この問題、日本が主体的に取り組みますが、米国始め関係国とも連携をしながら、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するべく、政府一丸となって取り組んでいきたいと思っております。
  161. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  政府一丸となってと言っていただきました。しっかりとお願いをしたいと思っております。拉致被害者の御家族の方にも、私のような野党の一年生議員にも、交渉はできません。外務大臣にしかできない、外交ルートを通じて様々な交渉水面下での交渉、引き続きしっかりとお願いをしたいと思っております。  小此木国家公安委員長からも御決意をお願いいたします。
  162. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 改めて、横田滋さん、同じ神奈川県民でもございました。お会いをして、お話を伺う機会もかつてございました。加藤大臣茂木大臣、私も、それぞれ担当する閣僚といたしまして、無念の思い、これは共有しておりますし、警察といたしましても、様々な捜査をしながらいろいろな情報を得ることに、改めて、この最重要課題である拉致問題について、いろいろな情報を共有しながら解決に向けて力を尽くすということを指導してまいりたいと思いますし、私ども国家公安委員会といたしましても、その思いを共有して前に進めてまいりたいと存じます。
  163. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  高齢化も進んでおりますので、もう時間がございません。どうかよろしくお願いをいたします。調査をしっかりとしていただきたいと思っております。  昨年の予算委員会でもお話をさせていただきましたけれども、私は、拉致被害者家族連絡会、特定失踪者問題調査会の皆様とお会いをしてから、ブルーリボンバッジをつけ続けてまいりました。このブルーリボンバッジは議員バッジと同じぐらい重要なものだと私は思っておりますので、この一年間も議員バッジをつけるときには必ずつけてまいりました。  日米2プラス2において、ブリンケン国務長官とオースティン国防長官がブルーリボンバッジを着用して会談、会見に臨まれたということについては、私は、バイデン政権拉致問題に対する強いメッセージを感じました。  茂木大臣は、日米2プラス2の米側のブルーリボンバッジ着用に対してどのように感じられ、米側から拉致問題に対してどのようなメッセージを受け取られましたでしょうか。
  164. 茂木敏充

    茂木国務大臣 私も、森委員と全く同じ、そういう感じを持ったところでありますが、三月の十六日に行われました日米の2プラス2、これは、ブリンケン長官にとってもオースティン長官にとっても、初外遊先、ここが日本になって開かれたということでありまして、ブリンケン長官とも話をしたんですけれども、これは決して偶然ではないんだ、デリベレートリー、よく考えて日本を選んだと。まさに日米同盟の重要性ということであると思っておりますし、そこの中で様々な議論をする中で、この拉致問題の即時解決必要性、これについても確認をすることができたと思っております。  そして、共同記者会見において、その前の会談においてもそうでありましたが、私も岸大臣も、そして、先方のブリンケン長官、オースティン長官、四名がブルーリボン、このバッジを着用して並んで、その場でブリンケン長官から、拉致問題について、日本と極めて強く連帯をしている、拉致被害者の御家族から手紙をいただいたけれども、とても心を揺さぶられるものであった、こういう発言もありました。  このように、三月の日米の2プラス2においては、拉致問題に対する米国の力強いコミットメント、そして、拉致問題に関する日米の緊密な連携、これを内外に示すことができた、このように考えております。
  165. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  この米側のブルーリボンバッジ、本当に内外にしっかりと、バイデン政権拉致問題に対する思いも届けられたと思います。拉致被害者の御家族の方も見られております。しっかりと届いていると思います。  バッジ一つ、つけてもつけなくてもと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、私は、このブルーリボンバッジは、小さなバッジですが大きな発信力のあるものだと思っております。  拉致問題が菅内閣の最重要課題であり、一刻の猶予もない問題との認識であるのであれば、せめて全閣僚がブルーリボンバッジを着用してはどうかと私は思っておりますが、加藤大臣、いかがでしょうか。
  166. 加藤勝信

    加藤国務大臣 ブルーリボンは、拉致被害者の救出を求める国民運動のシンボルでもあります。  平成二十七年の新潟の県民集会において、家族会の飯塚代表が、国会議員は全員ブルーバッジをつけてほしいという発言もされたところでありまして、そうしたことも受け、毎年の北朝鮮人権侵害問題啓発週間においては、日本国民が一体となって拉致被害者を取り戻す強い意思を示す機会にするため、全閣僚、副大臣大臣政務官等に着用の協力を呼びかけているところでもあります。私自身はもうずっと常につけているところではありますが。  引き続き、国民の皆さんから拉致問題に関するより一層の理解と支援を得るため、ブルーリボンの着用、これも一つの運動の形でありますが、様々な形での取組を進めていきたいと考えております。
  167. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  是非、拉致問題担当大臣加藤大臣から、協力を引き続き要請していただきたいと思います。このブルーリボンバッジ、大変重要なものだと思っております。  拉致被害者家族もおっしゃられておりますが、国のやる気が感じられない、本気度が伝わらないといった厳しい声は、拉致被害者帰国を願う一般の国民からも私のところに届いております。拉致問題が菅内閣の最重要課題であるということを示す一つの方法として、是非、まず全閣僚のブルーリボンバッジの着用、御協力をお願いしたいと思っております。  次に、特定失踪者について伺います。  政府拉致被害者として認定した十七名にとどまらず、北朝鮮による拉致可能性を排除できない方々警察認定している特定失踪者は、警察庁のホームページによりますと現在八百七十五名とのことです。  特定失踪者は、拉致の事実を確実に裏づけることができれば拉致被害者として認定されることとなっております。  昭和五十一年二月七日に失踪した、当時東京学芸大学一年生の藤田進さんは、埼玉県川口市の自宅を、アルバイトに行くと告げたまま、忽然と姿を消しました。長年行方不明者として捜索願も出されていましたが、平成十六年に、脱北者が持ち出した写真を警察庁が鑑定をして、藤田進さん本人であることが確認されていると伺いました。また、実行犯と見られる人物の告白が週刊誌に掲載されるなど、拉致されたことが極めて濃厚と見られるようになりました。  藤田さんのように、拉致濃厚とされる方々も複数いらっしゃいます。  小此木国家公安委員長に伺います。  特定失踪者の御家族も高齢化をしています。国家公安委員長の所信の中でも、いっときの猶予もない状況にあると認識していると御発言をされておりました。特定失踪者の方々にも本当に時間がありません。家族に会いたいと願う多くの国民が家族の帰りを待っています。  二〇〇六年から拉致被害者認定がされておりませんが、特定失踪者の方々捜査は今もしっかりと行われているのでしょうか。
  168. 小此木八郎

    ○小此木国務大臣 拉致問題についての思いは先ほど申し上げたとおりでございまして、今後も強い気持ちで当たってまいりたいと思います。  今おっしゃいました特定失踪者、これは北朝鮮による拉致可能性を排除できない行方不明者警察はそう呼びますけれども、この事案につきまして、拉致可能性を含め、事件、事故等あらゆる可能性念頭に、捜査調査を継続しているものと私に報告が入っております。  なお引き続き熱心に進めるように、改めて話をしてまいりたいと存じます。
  169. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  御家族は、何度も申しますが、高齢化をしており、もう何十年も帰りを待っております。捜査が進まないということで、いら立ちも皆さんあると思います。どうか警察捜査を強力にしっかりと進めていただきたいと思っております。  国家公安委員長、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。  加藤大臣に伺います。  拉致被害者として認定されていない特定失踪者の中に確実に北朝鮮にいることが分かっている複数の日本人について、政府は把握をされているはずです。二〇〇六年以降、この十七名以外に拉致被害者認定がされておりません。  先ほど、国家公安委員長からもしっかりと捜査をするということは伺いましたけれども、やはり十五年も進展がないと、本当に拉致被害者認定をする気があるのか、もう十七名以外には認定しないつもりではないかと思われても仕方がないと思います。  今後、特定失踪者の中で、拉致被害者として認定をされる見通し、お考えはありますでしょうか。加藤大臣、お願いします。
  170. 加藤勝信

    加藤国務大臣 北朝鮮による拉致可能性を排除できない行方不明者として、現在、先ほど八百七十五名とおっしゃいましたが、私の手元で八百七十三名になっておりますが、国内外からの情報収集分析捜査調査に鋭意努めているところであります。拉致被害者としての認定は、こうした情報収集分析捜査調査の結果、北朝鮮当局による拉致行為があったことが確認された場合に行うこととしております。  今申し上げた八百七十三名の方については、現時点では北朝鮮による拉致行為があったことを確認するには至っていないところでありますが、先ほど小此木大臣からの答弁もありましたように、政府において、事案真相解明に向けて全力で取り組んでいるところでもあります。  北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合には、これは速やかに拉致認定はしていきたいと考えております。
  171. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  なかなか捜査も大変だと思いますが、捜査をきちんとしていただいて、しっかりと確実な事実の裏づけができたときには速やかに認定をしていただきたいと思っております。  特定失踪者問題調査会の荒木代表は、菅総理との面会を強く求められております。昨年十月には加藤大臣が面会されたとのことですが、繰り返しになりますが、菅内閣の最重要課題であるのであれば、国のトップである総理が面会をし、しっかりとその気持ちを受け止めるべきだと思いますので、是非、加藤大臣から菅総理にお伝えいただきたいと思っております。  昨年の予算委員会からこの一年の間にも、私のところには拉致被害者帰国を願う国民の声は届いております。拉致被害者帰国は何とかならないのか、我々が何か力になることはできないのか、ブルーリボンバッジをつけたらいいならみんなでつけるし、署名がもっと必要なら活動して集める、政府がもっと本気になって我々の、国民のやるべきことを示してほしいとの声が届いております。  私の知り合いの地方議員さんですが、二〇〇二年から街頭に立ち続け、拉致被害者救出に向け、署名活動を続けてくださっている方もいらっしゃいます。国会議員もしっかりしてほしいと、厳しい意見も言われております。拉致被害者帰国を願い、私のところに手紙や絵を描いて届けてくださった方もいらっしゃいます。自分が力になれているかは分からないけれども拉致被害者帰国実現のためにやれることをやりたいと、一国民として頑張ってくださっている方々、そして、コロナ禍においても力になりたいと願う国民はたくさんいます。  政府として、今はコロナ対策が大変なのは十分理解もしておりますけれども、本当に一刻の猶予もないこの拉致問題に対して、国民は何をすればよいのでしょうか。拉致被害者帰国実現に向けた世論喚起策について、加藤大臣、よろしくお願いいたします。
  172. 加藤勝信

    加藤国務大臣 拉致問題の解決のためには、まず政府が主体的に取り組んでいく、このことが当然でありますが、その上で、国民の皆さんが心を一つに、全ての拉致被害者の方の一日も早い帰国の実現に向けて強い意思をお示しをしていただくこと、このことは力強い後押しにもなるところであります。  コロナ禍の中にあっても、新型コロナウイルス感染防止対策を適切に講じつつ、全国各地で映画やアニメ等の上映会、集会、舞台劇等を開催するなど、世論に訴えるための様々な取組を行っているところでもあります。  また、昨年十月には、国際発信ビデオメッセージを公表し、十二月には、ウェブ配信を併用しつつ国際シンポジウムを開催するなど、国際社会に向けた広報活動にも力を入れております。今月下旬には、拉致問題に関する国連シンポジウムをオンラインで開催することとしているところでもあります。  また、引き続き、拉致問題に関する理解と支援を得るため、いかなる方途が効果的か等の観点から、不断の検討を行いながら、工夫を凝らし、拉致問題に関する啓発活動に積極的に取り組んでいきたいと思っております。  特に、先ほどの議論もありましたが、若い皆さん方におけるそうした浸透が弱いのではないか、こういう御指摘もいただいているところでありますので、学校の教育現場等々も通じながら、そうした若い層も含めて、広報啓発にも一層努力をしていきたいと思っております。
  173. 森夏枝

    ○森(夏)委員 ありがとうございます。  加藤大臣から、広報啓発にしっかりと力を入れるという御答弁をいただきました。  大臣からありましたけれども、拉致を知らない世代もたくさんいます。映画であったり舞台であったり、もっともっと広報啓発をしていただいて、皆さんにこの拉致という事実を知っていただきたいと思います。  本当にコロナで、皆さん、苦しい思い、つらい思いをされておりますけれども、拉致被害者、これも繰り返しになりますけれども、御家族の皆様、四十年です。もう想像を絶する長さです。私は三十九歳で、今年四十になるんですけれども、もう本当に、自分が生きてきたこの四十年、ずっと苦しい思いをされているんだと思うと、本当に、何とかお一人でも多くの、全員帰国がもちろんそうですが、お一人でも帰国が果たせないものかと思っております。  国民的な活動に、このブルーリボン運動というものを、もう少し全国で展開されるような取組にしていただけないかとも思っております。赤い羽根であったり緑の羽根の募金活動であったり、ああいったものは、皆さん、認知を大分されているかなというふうにも思うんですけれども、例えばですけれども、青いものを身に着けるとか、ブルーリボンを身に着けるといったような、そういう拉致を考える、拉致対策月間とか拉致対策週間のような、国民みんなで拉致のことを考える、取り組む、そんなイベントといいますか、そういうこともあってもいいのかと思いますので、是非、この時間のない、最重要課題である拉致問題について、大臣だけではなく、ここにいらっしゃる委員の皆様も御協力いただきまして、全員の帰国に向け、政府を挙げて、また日本国民全員で取り組んでいけたらと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  174. 古川禎久

    古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会