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2021-05-07 第204回国会 衆議院 法務委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月七日(金曜日)     午前九時四分開議  出席委員    委員長 義家 弘介君    理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君    理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君    理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君    理事 階   猛君 理事 大口 善徳君       井出 庸生君    井野 俊郎君       大塚  拓君    鬼木  誠君       神田  裕君    黄川田仁志君       国光あやの君    小林 鷹之君       鈴木 憲和君    武井 俊輔君       出畑  実君    中曽根康隆君       野中  厚君    深澤 陽一君       藤原  崇君    盛山 正仁君       八木 哲也君    山下 貴司君       吉野 正芳君    池田 真紀君       寺田  学君    中谷 一馬君       松平 浩一君    屋良 朝博君       山花 郁夫君    吉田 宣弘君       藤野 保史君    串田 誠一君       高井 崇志君     …………………………………    法務大臣         上川 陽子君    内閣府副大臣       丹羽 秀樹君    法務大臣        田所 嘉徳君    法務大臣政務官      小野田紀美君    政府参考人    (内閣男女共同参画局長)            林  伴子君    政府参考人    (法務省矯正局長)    大橋  哲君    政府参考人    (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 安東 義雄君    法務委員会専門員     藤井 宏治君     ――――――――――――― 委員の異動 五月七日  辞任         補欠選任   小林 鷹之君     鬼木  誠君   野中  厚君     八木 哲也君   盛山 正仁君     鈴木 憲和君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     小林 鷹之君   鈴木 憲和君     盛山 正仁君   八木 哲也君     野中  厚君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 義家弘介

    義家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣男女共同参画局長林伴子君、法務省矯正局長大橋哲君、出入国在留管理庁次長松本裕君及び外務省大臣官房参事官安東義雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 義家弘介

    義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 義家弘介

    義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。伊藤忠彦君。
  5. 伊藤忠彦

    伊藤(忠)委員 おはようございます。  それでは、早速、この出入国法案についてスタートをさせていただきますが、まず、名古屋出入国在留管理局におけるスリランカ人女性対応について、最初にお伺いをしておきたいというふうに思います。  スリランカ人女性対応をされてきた職員が問題であったのではなくて、その組織全体の対応が問題であったのではないかということを感じられるところがたくさん聞こえてまいりました。現場の者が、上司がスリランカ人女性のことを一人の人間としてしっかりと見た上で、その気持ち、状況、そうしたことをしっかりと把握をして、このような結果を出さないように努力をしてきたかどうかというところは非常に重大であったというふうに思います。  是非、今回の事案の受け止め方について改めて述べていただきたいのと、既に最終報告に向けた調査を行っていると伺っております。今現在どういう状況になっておるかということについてお話をしていただいた上で、可能な限り速やかに取りまとめを出していただきたい、これをお願いを申し上げておきますが、どうでしょうか。その三点、まずお願いします。
  6. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管収容施設の中で被収容者が亡くなられたこと、そして、委員指摘の、被収容者への入管職員としての、あるいは幹部としての向き合い方、その点については非常に重く受け止めているところでございます。  現在、当庁におきましては、第三者方々とともに、名古屋入管局が内部、外部の医師、医療機関としっかりコミュニケーションを取り、亡くなられた方の病状に応じた適時適切な対応を取るとともに、仮放免した場合の支援者の下での支援内容医療的対応内容等を確認するなどして、より積極的に仮放免可能性を追求する必要があったのではないかとの視点で、最終報告に向けた調査を行っておるところでございます。  委員指摘幹部判断、認識の在り方という点につきましても、十分な問題意識を持って調査を進め、第三者意見も十分に踏まえて、可能な限り速やかに、現状といたしましては、第三者のお医者さん等々からの聞き取りを並行して行っているところでございますが、そういう内容も含めて、可能な限り速やかに最終調査報告として取りまとめたいと考えております。
  7. 伊藤忠彦

    伊藤(忠)委員 是非速やかに、そして深く、きちっと結果を出していっていただきたい、こう思います。何せ、今回取り扱う法案というのは、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者たち出入国管理に関する特例の一部を変えるということでございますので、そういう意味では、過去、強制処分を受けた外国人収容でありますとか送還でありますとか仮放免といった業務に生じている様々な課題改善につなげていくべき内容であります。  是非、その必要性にしっかりと御理解をいただくとともに、まず、本人に直接相対している職員から話を聞いた上で、処分を決断する組織全体が一致して事に当たるべきだというふうに思います。実地を本当に自らの目で見た者がそうしたことを行っているんだろうか、ここがすごく大事なところでございます。上の者は話を聞けばそれでいいということではなくて、しっかりとそうした人たちの様子をその目で見ていただいた上で判断をしていくということが、人を裁いていく大事なところだろうというふうに思います。  言葉も大事なことでございますけれども、まさに現場から事を拾っていくことをもっと大事にしていただくような対応ができていくかどうか、大臣にお伺いをしたいと存じます。
  8. 上川陽子

    上川国務大臣 出入国在留管理行政、この行政に関わる全ての者が、現場であろうが本庁であろうが、それぞれの仕事現場の中でしっかりとその仕事遂行することができるようにしていく。それは、委員指摘のように、一つ組織でありますので、力を合わせて対応していかなければいけないことというふうに考えております。  何よりも、風通しのよい環境をつくっていくということが大事かというふうに、私自身、就任以来考えておりまして、やはり、現場と距離が出ていくと、課題や問題がなかなか改善に結びつかないということであります。  現場改善努力と同時に、組織全体の風通しのよさ、これをつくるために、一つのやり方でございますが、一筆書きキャラバンということで、コロナ禍で少し中断しておりますが、政務三役が現場に行きまして、職員の方から直接忌憚のない話をぶつけていただく。これはいいスタートを切ってきたところでもございましたが、今、コロナで中断という状況でございました。  率直に意見を言うことができるということそのもの改善につながっていく、あるいは職場そのもの仕事の成果につながっていくということでありますので、今回の事案が発生し、また、命を本当にお預かりをしている施設であるということについては隅々まで徹底をしていく。当然のことでありますが、そうしたことの基本に立ち返ってまた取り組んでいくことができるように、改善策につきましても、そのような方向をしっかりと指示してまいりたいというふうに思っております。
  9. 伊藤忠彦

    伊藤(忠)委員 大臣、ありがとうございます。  是非、今の法務省としての指針というのが出入国庁に対してつながっていく話でございますので、これを大事にしていただきながら仕事を進めていただくということを基本にしていただければ大変ありがたいことだというふうに思います。  そして、今度のこの法律を変えていくというところの中で、様々変更をしていきます。例えば在留特別許可の問題一つ取りましても、今から、これからそうした中身についてもつくっていかなければなりませんし、それができたことについて、しっかりと内外の人たちに知らしめをしていかなければなりません。そうした方法、そうしたことが伝わっていかない限り、上手にこうしたことが進んでいかない、それは非常に大事なところだと思います。  まず、こうしたことについてどんな準備を今されておられるのか、もう一度お願いいたします。
  10. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  改正法におきましては、委員指摘のように、在留特別許可につきまして申請制度というものを新設しております。かつ、その在留特別許可考慮要素につきまして法律で記載し、その上で、その考え方が分かる内容ガイドラインとして作成する予定でございます。  申請していただく以上は、その内容を正確に理解していただいて申請をしていただくというのが入管庁としても大事だと思っております。そういう意味で、ホームページ等の広報に限らず、例えば外国人を支援しておられる方々、あるいはよく外国人手続をされる行政書士方々等につきましても、しっかりと広報したいと思っているところでございます。
  11. 伊藤忠彦

    伊藤(忠)委員 是非、そうした人たちとしっかりと積み上げていっていただきまして、スムーズにそうしたことができるようにお願いをしておきたいというふうに思います。  こんなことを申すのは非常に簡単過ぎると言われるかもしれませんが、この役所の一番大事なところの一つは、やはり言語の能力、これが必要です。英語だけじゃないと思います。これからは、中国語あるいはASEANの国々の言葉、まあスリランカという国はちょっと特別なところかもしれませんが、それでも大勢の人が、ミャンマーやネパールや、そうしたところからたくさん来ています。私も、ネパールの国との、例えば国際交流の議連の役職もやっておりますけれども、本当に多いです。そして、日本語を一生懸命学ぼうとしています。  私は、出入国在留管理庁職員皆さんがその職責に就くに当たっての試験なんかに英語の問題が入っているかな、外国語の問題がちゃんと別途あるかなと思ったら、実はないんですね。  こういう意味で、外国語準備というのは、今まさに、これから少子高齢化の中で、大勢外国人が移動してきます。いろいろなことが起こります。そういうことに対応していく準備というのは非常に大事だと思います。外国語の学習も中でしていただきたいと思いますし、入国管理庁業務の中でも、現場研修に行く。現場研修に行くというのは何かといいますと、日本の国内だけじゃなくて、相手国のそうした役所ともいろいろなやり取りをしながら情報を持ってくる、人と人とのつき合いをしながら、自分たちが困ったときに、いざというときに助けをもらえるような仲をつくる。  そうしたことを含めて、これからの出入国管理庁在り方について、大臣最後に一言いただければ幸いです。
  12. 上川陽子

    上川国務大臣 何といっても言語は大変大事なことだというふうに思います。とりわけ、今のようなケース、自分の体調を訴えるときの言葉。この方は、日本語コミュニケーションができるところまで、また伝達ができる力を持っていらっしゃったということでありますが、しかし、例えば痛いということも、ちくちく痛いのか、ずきずき痛いのか、これだけでまた診断が変わる余地があります。  こういったことも含めますと、言葉でしっかりと意思を伝えることができる、そのための通訳の皆さんの幅を広げなければいけないと同時に、今は機械がありますので、できるだけそうしたものも活用する形で、十分に意思伝達ができるようなそうした仕組み、あるいは対策、こういったことも重要な要素としてしっかりと取り組んでまいる必要があると思っております。
  13. 伊藤忠彦

    伊藤(忠)委員 ありがとうございました。  本当に、この事件が起こってからこの法案のことが出てやっているわけですから、いいこと、悪いこと、いろいろありますけれども、海外の人たちにとって、日本の国は困ったときも助けてくれる、そして、あの国にはまた行きたい、そう思ってもらえるような仕組みが、私はまさにこの法案改正する、このことだと思います。  法務省として是非頑張っていただくようにお願いを申し上げて、私からの質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
  14. 義家弘介

    義家委員長 次に、吉田宣弘君。
  15. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。  早速、質問に入らせていただきます。  まず、法案の、この改正の背景にある送還忌避者増加についてお伺いをしたいと思います。  まず、そもそも、送還忌避者、この方々はどのような方をいうのか、教えていただければと思います。
  16. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  送還忌避者というのは法令上の用語ではございませんでして、入管実務で使っている言葉でございます。出入国在留管理当局におきましては、業務遂行上、退去強制令書発付されたにもかかわらず、様々な理由送還を拒む者を送還忌避者と呼んでいるところでございます。
  17. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 実は、この法案審議入りをしてから、私の元に、送還忌避者増加客観的データ調査に基づいたものではありませんとの御指摘をいただいたところでございます。国民皆様からいただいた御意見でございますから、真摯に私は耳も傾けなければならないというふうに思っております。  そこで、送還忌避者増加に対する入管庁説明を改めてお聞きしたいと思います。
  18. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げました送還忌避者は、類型といたしまして、退去を拒んでいる被収容者退去強制令書発付を受け仮放免されている者、退去強制令書発付を受けて仮放免された後、逃亡して仮放免を取り消されて手配中の者が存在するところでございます。  平成二十年以降の送還忌避者の数、これは途中で若干統計の取り方が変わっておりますが、平成二十四年にはその合計が三千人を超え、平成二十七年には四千人に達しまして、その後も三千人以上と高い水準で推移しているところでございます。
  19. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 増加という言葉イメージは、増えていっているというふうな言葉イメージかと思います。今の御説明に基づきます限り、高止まりという言葉の方がより適切ではなかろうかというふうに思いますので、入管庁におきましては、今後とも、国民皆様がどのように理解をなされるのかという立場から説明をしていただきたく存じます。  次に、難民審査参与員について質問いたします。  難民審査参与員については、出入国在留管理庁ホームページによりますと、その任務が、歴史的な経緯も含めて説明があっているところでございますが、より公正中立手続難民の適切な庇護を図るという重要な任務を負っておられることが分かります。  ただ、難民審査参与員による難民申請者に対する不適切発言などが報道をされておりますし、弁護士皆様の集まりからも、難民審査参与員問題発言、行動に対する申入れもなされているというふうにお聞きをしております。  そこで、難民審査参与員適格性判断するために、具体的にはどのような仕組みが設けられているかについてお聞きいたします。
  20. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  難民審査参与員は、入管法の規定にのっとり、人格が高潔であって、公正な判断をすることができ、かつ、法律又は国際情勢に関する学識経験を有する者のうちから任命されるとされているところでございます。具体的には、日本弁護士連合会、UNHCRなどからの推薦を受けるなどしつつ、事実認定の経験豊富な法曹実務家地域情勢や国際問題に明るい元外交官国連関係機関勤務経験者、あるいは、国際法外国法行政法の分野の法律専門家などの中から選任しているところでございます。  ただ、これまで、委員指摘のとおり、難民不服申立てを行った当事者方々や、そういった方々の弁護を担っておられる弁護士方々などから、難民審査参与員の審理中の言動等配慮を欠くのではないかといった御意見、御指摘をいただくことがあったことも事実でございます。  当庁におきましては、そうした御意見等をいただいた場合には、必要に応じ、当該難民審査参与員本人に直接その内容をお伝えするとともに、協議の場などを通じて、定期的に参与員方々注意喚起を行うなどしているところでございます。その際は、その都度、参与員の職務の遂行に当たっては、当事者方々の境遇や心情等配慮していただくようお伝えし、お願いしているところでございます。  以上でございます。
  21. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 参与員皆様は、本当に立派な方々、見識高い方々がお務めいただいているということに関しましては、私も非常に安心をするところでございますが、やはり、目の前にいる難民申請をされる方、目の前におられる方は、我々と一緒の人間でございます。生きている方でございます。そういった方々へのやはり人としての配慮是非これからもしっかり周知していただきたいな、そのように存じます。  次に、在留特別許可について質問いたします。  先般、本会議でこの点について私は質問をさせていただきました。上川法務大臣からは、在留が認められない者の迅速な送還の前提として、退去強制手続において、在留が認められている者の適切、迅速な判別が必要であること、そのためには、退去強制手続対象者に対し、在留特別許可判断に当たって考慮すべき事情をより明確に示した上で、当該事情について十分に主張等をし得る機会を手続として保障することが必要であること、手続保障充実という観点からの制度創設である旨の答弁がございました。  手続保障充実という趣旨については私は大いに賛同するところでございますが、難民又は補完的保護対象者に該当せず、不認定だが、人道上の理由から在留が認められるべき者に対してどのように対応するかについてお聞きをいたしたいと思います。
  22. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、現行法上でございますが、難民条約上の難民とは認められない者ではございましても、本国情勢等を踏まえて人道上の配慮の必要がある者につきましては、在留特別許可等によって本邦への在留を認めているところでございます。  その上で、改正法案では、御指摘のとおり、補完的保護対象者制度を設けまして、難民条約で言うところの迫害の理由以外の理由であっても保護するという内容としております。  ただ、難民に該当しない、補完的保護対象者にも該当しない者でございましても、本国での事情等々を考慮した場合に、人道上の配慮必要性から本邦への在留を認めるべき者という者は存在いたします。そういう人たちに対しましては、改正法施行後におきましても、退去強制手続におきまして、申請又は職権で在留特別許可ということをなされるような内容となっているところでございます。
  23. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 次に、四月二十一日の審議において、我が党の大口委員の方からの質疑に対して、ガイドラインで記載をする消極的要素として、不法滞在期間長期にわたることを消極要素として記載することを考えている旨の答弁がございました。  一方、正規滞在であれ非正規滞在であれ、長期間にわたる場合、国籍国とのつながりが薄れて日本での生活基盤ができていくのが一般的であり、現行ガイドラインでは、その点を踏まえて、「当該外国人が、本邦での滞在期間が長期間に及び、本邦への定着性が認められること」が、このことは「積極要素」とされております。  正規滞在であれ非正規滞在であれ、日本滞在期間が長いことは積極要素として評価されているということがございますけれども、このような現行ガイドライン積極要素法改正後も維持されるという理解でよろしいのか、答弁を求めたいと思います。
  24. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  在留資格制度を取っております入管法におきましては、例えば、在留特別許可申請をした外国人が、長期間にわたり本邦正規在留して、その間、許可を受けた在留資格に基づく活動を行っているような場合には、一般的には、当該外国人我が国との結びつきを示すものであって、これは積極的に考慮すべき事情と考えているところでございます。  他方、我が国不法に滞在している期間長期化は、適正な在留管理を侵害するものでございまして、在留特別許可の許否の判断に当たりましては消極的に考慮すべき事情一つと考えているところでございます。もっとも、非正規滞在でございましても、御指摘のとおり、その間の生活の中で構築されてきました日本人地域社会との関係当該外国人我が国との結びつきを示すものでございまして、これは積極的に考慮すべき事情一つと考えているところでございます。  こうした点につきまして、これまでの現行ガイドラインにおきましては必ずしも明確ではございませんでした。その点につきましても、新たなガイドラインではしっかりとお示ししたいと思っているところでございます。
  25. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 確かに、不法滞在というふうな形が長期間続けば、それは違法性が増すという意味では消極的な話になるのかもしれませんが、内容は実質的に見ていただきたいなと思います。それはやはり、日本国との定着性というところを、これまでどおりしっかり積極的な要素として評価していただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。  最後質問になりますけれども、さきの本会議の私の代表質問におきまして、私は上川法務大臣に対して、今後の出入国管理行政に対する決意をお聞きをいたしました。  上川大臣からは、法務省は、現在、誰一人取り残さない社会実現という持続可能な開発目標の理念を踏まえて、入管法による外国人の受入れを推進するとともに、庇護すべき外国人は適切に保護しつつ、日本人外国人がお互いに尊重をし、ルールを守りながら共生する社会実現を目指す取組を進めておりますと。その上で、今回の入管法改正により、在留を認めるべき外国人社会構成員として受け入れるとともに、ルールを守らず、最終的に在留が認められないと判断された外国人退去させることを一層確実に実現することが可能となり、これによって、日本人外国人が安心して暮らせる共生社会実現につながっていくものと考えていますという御答弁がございました。  コロナ禍を乗り越えた日本未来日本人外国人が安心して暮らせる共生社会実現した未来、そのような未来を照らすような御答弁であったかと思い、私も全く共感するものでございますし、大臣のお心に感謝申し上げたいと思います。  ただ、様々この委員会でもこれまで議論がありましたとおり、運用の面については、これは様々、反省するところも多いのかもしれないなというふうに思います。  この法改正を機に、今、大臣がおっしゃった、答弁をしていただいたこの思いを、出入国管理行政に携わる全ての職員隅々まで私は行き渡らせていただきたいなと思うんです。ある意味、情緒めいた物言いになるかもしれませんけれども、上川大臣のその御決意を、全ての職員のまさに血液の流れに乗せるぐらい行き渡らせていただきたい。そうしたときには、恐らく、先日お亡くなりになったスリランカ女性の方のような悲劇はもう二度と繰り返されないんじゃないかというふうに私は期待もいたしたいと思いますし、確信もしております。  改めて、上川大臣から御決意のほどをお聞かせいただければと思います。
  26. 上川陽子

    上川国務大臣 今、委員から、先般の私の答弁につきまして触れていただいて、改めてそのことについても共有していただけるということで、大変心強く感じた次第でございます。  法務省の入国管理局、これが出入国在留管理庁となったのが、実は平成三十一年の四月でございました。共生社会実現に向けまして、在留外国人の支援等の新たな役割を担うということが業務の中で位置づけられまして、更に大きく、組織全体も変貌してきたところでございます。また、仕事も多様化してきている状況でございます。  こうした中で、出入国在留管理庁は、まず、人権にしっかりと配慮をすること、そして、入管法に基づきまして、外国人の受入れを推進するとともに、庇護すべき外国人は適切に保護し、日本人外国人が互いに尊重し、ルールを守って安心して安全に暮らせる社会実現を目指していく取組、このことを目指してきているところでございます。  こうした考え方については、外国人方々にも、異文化ということでありますのでなかなかお伝えができない中、積極的にしっかりとお伝えをしていくという努力をしていく、これも大きなミッションの一つと位置づけさせていただいてきたところでございます。  この上で、共生社会実現ということでありますが、やはり、地域社会の中で外国人の方を孤立させない状況をつくるということ、そして、地域コミュニティーの中の一員としてしっかりと、地域の皆様からもしっかりと、隣人として、また一員としてしっかりと受け入れていくということ、これはお互いの、相互のコミュニケーションが極めて重要であるというふうに思っておりまして、そうした環境の整備は持続可能な社会実現するために極めて重要な要素というふうに考えております。  まさに御指摘いただいたように、職員と、本当に隅々まで、こうした考え方がしっかりと、浸透というよりもしっかりとこれを踏まえて、そしてアクション、行動ができるようにしていくということは、これは責任ある立場の人間として当然のことでありますので、私としてもきめ細かに、今、血が通うようにということの御指摘がありましたけれども、まさにそうした気持ちで、立場に立って取り組んでまいりたいというふうに思っております。  多様性の中の社会日本の中に受け入れると同時に、誰一人取り残さないという意味での包摂性、このことについてはまさに問われている大きな課題であるというふうに思っておりまして、この推進にしっかりと取り組んでまいりたいと改めて決意を新たにしているところでございます。
  27. 吉田宣弘

    吉田(宣)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  28. 義家弘介

    義家委員長 次に、高井崇志君。
  29. 高井崇志

    ○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。  今朝の理事会で、またもや稲田与党筆頭理事から、本日、この三時間の質疑が終わった後に採決という提案がありまして、本当に、全くもって考えられないと思います。これだけ重要な法案を、しかも、法案の中身、物すごく大事なことがたくさんあるんですけれども、その実質的な審議、全然進んでいないですよね。やはりこれは、お亡くなりになったウィシュマさんのその真相究明、ここの部分、入管庁のそもそもの体質の問題、こういったことが問われていて、法案の中身になかなか入れない。  そして、加えて言えば、今コロナ禍ですから、私もこの後どうしても聞きたいことがあるんですよ。それは何かというと、インドの、私は入国を制限、いや禁止すべきだということを提案したいと思いますが、これもう今やらないと間に合いませんから、やはりそれを最優先でやりたいんですよ。  そういうことも考えると、この法案をこれだけ審議不十分の中で今日採決するなんというのは全く認められないし、もう一つ言えば、我々国民民主党は、まだ党内手続が終わっていません。これは委員長にも申し上げて、委員長配慮するとおっしゃっていただいていますし、我々、審議拒否はしない方針ですけれども、もし万が一、今日採決なんということがあれば、これには応じられないということははっきり申し上げておきたいと思います。  その上で、先ほど申しましたインド種の話、一つだけ聞きたいと思います。外務省に今日来ていただきました。  インドでは、七十二時間以内の陰性証明を取るのは難しいと報道されていますよね。しかし、日本は七十二時間以内のを取ってから入国してくださいということですけれども、これはどういうふうに対応するおつもりですか。
  30. 安東義雄

    安東政府参考人 お答え申し上げます。  現在、委員指摘のとおり、インドでは新型コロナの感染が急速に拡大しております。  このような状況を受けて、現在、在外公館では、在留邦人に対して様々な情報提供を行っており、特にPCR検査については、首都ニューデリー近郊の検査機関を案内するとともに、インド各地にネットワークを有する日本人向けの病院の予約や入院等の手続を代行する医療サービス提供会社を案内しているところでございます。  現在、PCR検査については、即座の受検が困難であるものの、十分な計画性を持って準備する限り、受検及び陰性証明書の入手は可能な状況にあると承知しております。  現在、インドからの入国者、帰国者に対してどのような入国の制限の措置を取るかについては、現在、政府全体として検討しており、速やかにその検討の結果について示す予定でございます。  以上でございます。
  31. 高井崇志

    ○高井委員 これはもう本当に速やかにやってください。  七十二時間以内、インドは今、大混乱していますからね。計画的にやれば取れるなんて、そんな無責任な、日本国民の方、インドにいる方に、そんな責任を負わすんですか。私は、やはりもうここは決断をして、入国禁止すべき、しかし、やはり邦人の方がいらっしゃいますから、邦人で帰りたいという方は、これはやはり何とかしなきゃいけないので。  私は、一年前、武漢でやったように、チャーター機を出して、一万人いるから大変かもしれません、でも、希望者だけですから。そして、その方についてはしっかりと専用機でお迎えをして、日本ではしっかり二週間、場合によってはもう少し滞在していただいて、そういう形で対応するべきだと考えますけれども、いかがですか。
  32. 安東義雄

    安東政府参考人 お答え申し上げます。  一般論として、邦人の退避が必要となるような事態が発生する場合には、まずは極力、商用定期便が利用可能なうちに、在留邦人の方の出国又は安全地帯への移動の確保に努めることとなります。  現在、日本とインドの間では、デリーから日系直行便が週五便運航しており、また、これ以外にも、ムンバイやベンガルールからの日系直行便、また、第三国経由でも帰国することが可能な状況にございます。  今後、商用定期便での出国が困難、あるいは、それだけでは不十分な状況に至った場合については、個別具体的な状況に応じて様々な可能性を検討することとなります。  以上でございます。
  33. 高井崇志

    ○高井委員 いや、全く緊張感が足りません。  本当に是非ここは、だって、変異種でこれだけのことになっているんですよ。イギリスの変異種で失敗したじゃないですか、我々は。そこをやはり、これは大臣にも是非、これは外務省だけじゃないですよ、外務省と厚労省と法務省です。  私は、今、入国制限すべき、これは入管ですからね、これは入管法の五条一項十四号でやればいいじゃないですか。バスケットクローズでいいですよ。とにかく、国民皆さんだって、みんな理解しますよ。是非これは大臣、やっていただきたいということをお願いして、今日は本題に入りたいと思います。  それでは、法案の話に入りますが、昨日、我々、野党の理事会メンバーで、佐々木聖子長官にお会いしてきました。大臣に本当は会いたかったんですけれども、お会いできず、でも、私は、長官に会ってよかったと思ったんです、いろいろお話を聞けて。  長官、実はプロパーの方なんですね、入管庁でずっと働かれて。ですから、お詳しかった。  そのとき、驚いたんですよ。長官って、プロパーの方って今までどれだけいるんですかと言ったら、私で三代目だと言いました。えっと思いまして、私、ちょっと調べたんですよ。どういう方が長官、歴代やっているか。  元々、入管庁というのは外務省だったんですね、昔は。一九四九年から外務省。でも、三年間だけですよ。その後、法務省入管局という内部部局になった。一九五二年からです。ここから何と四十五年間にわたって、二十一代の長官は全員、外務省、外務官僚です。驚きましたね。法務省の内部部局の局長が、二十一代にわたって外務省出身者。一九九九年にようやく法務省になりましたけれども、そこから五代続けて検事、検察出身者です。それで、二〇〇六年にようやく入管庁のプロパー。  入管の1種、キャリアというのがあるわけですよ。佐々木さんだって、東大を出て、キャリアで入って、しかし、そういう方がずっと長官になれず、二〇〇六年に初めてプロパーになって、今ようやく三代目。でも、途中でまた、五代ぐらい、検事だったり、プロパーだったりという状況なんですよね。  私は、これではやはり入管のモチベーション、どうなんだろうかと思いましたし、いろいろな入管局の問題が今出てきていますけれども、やはりこういうところに、人事に、私は表れているんじゃないか。  それで、失礼ですけれども、松本次長、再三答弁に立っていますけれども、私、松本さんの経歴も調べさせていただきましたが、最高検検事から来られた、一年四か月前ですね。その前も、津の検事正、それから東京地検の総務部長。ずっと検察ですよ。  ちょっと通告していませんけれども、入管局、入管庁で働いた経験、今以外にありますか。
  34. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管局あるいは入管庁での勤務経験はございません。ただ、津の検事正に出る前は秘書課長をしておりまして、その中で、入管行政については、秘書課長としての担当はしておりました。
  35. 高井崇志

    ○高井委員 法務省の秘書課長ですからね。入管庁の秘書課長じゃないですよ。つまり、入管庁の経験は全くない方が、一年四か月前に着任して、今、次長として全ての答弁を担っているわけですよ。  私、これは長官に来てもらった方がいいと思うんですよね。長官に答弁してもらう、そういう制度を、やはり国会で合意すればできるわけですから、是非つくってほしいと思いますし、大臣、これも通告していませんけれども、大臣はもう法務大臣経験も長いから、この現状を知っていたと思うんですよ。  やはり、これはちょっといびつじゃないですか。昔、外務省出身者、これは一番のいびつだけれども、だけれども、そのときは大臣じゃないけれども、今大臣で、そしてこれだけいろいろな問題が起こっている中で、やはり人事改革を、私、入管庁、やるのが一番大事じゃないかと思いますけれども、大臣の見解をお聞かせください。
  36. 上川陽子

    上川国務大臣 佐々木長官、今回、出入国在留管理庁という庁に、先ほど平成三十一年四月ということでございましたけれども、そのときの長官という形で頑張っていただいてきました。長い間、様々な入管行政に詳しく、また組織の中でも大変傑出したリーダーシップを振るってこられたということで、女性ということも含めまして、私たちも本当に喜んでいたところでございます。  人事の面は、いろいろな判断の中で、適材適所とよく言いますが、それに尽きるというふうに思っておりまして、様々な時代の流れの中で、またミッションをしっかりと推進していくための人材ということでありますので、そうした人材を育てていく努力、そしてまた、そうしたトップに行っていただくことができるように、いろいろな経験をしていただきながら、こういうキャリアコースということについても、これも極めて重要なことだと思います。  すぐに長官はできません。入省してから様々なところに努力をしていただきながら、そして育て上げていくという過程の中で、すばらしい方になっていただくということが必要だというふうに思っております。
  37. 高井崇志

    ○高井委員 確かに適材適所なんですが、もちろん検察出身の方も優秀な方がたくさんいますけれども、しかし、やはりこういう慣習というか、代々ずっと、入管に入っても長官にもなれない、検事の方が大体やるみたいなことが続くと、やはりモチベーションの意味でも、その慣習を改めていくところから私はやるべきだと思いますので、今回いい機会だと思いますから、是非、今後検事の方が長官になるとかじゃなくて、あと、次長も審議官も、実は検事の方なんですよ、まあ、立派な方ですけれども。しかし、やはりもっと入管庁のモチベーションを上げるということを、是非大臣、この機会に考えていただきたいと思います。  それでは、法案の中身ですが、先日、大臣に私、お聞きして、四月の二十八日の委員会で、監理措置対象者に対して財政支援をもっと行ってほしいということを申し上げたところ、余りいい答えじゃなかった中に一つ、こういう答えがありました。出入国在留管理庁といたしましては、必要に応じまして、大使館、領事館に対しまして自国民保護の観点から支援を要請することも考えておりますと。  一般的には大使館や領事館にお願いするというのはいいと思うんですけれども、難民認定申請者の場合は、やはり大使館とか領事館に知られると、それがかえってまずいということもあるんですけれども、これは、難民認定申請者については、その場合は行わないという理解でよろしいですか。
  38. 上川陽子

    上川国務大臣 今委員指摘のとおりでございます。  難民認定申請中の者の場合でありますが、その存在それ自体や個人情報が大使館等に知られることによりまして、その者に不利益が及ぶおそれがあり得るということでありますので、当然のことながら、その者の意向というものを最大限尊重しつつ要請を控えるという形の中で適切に対応していくべきことというふうに考えております。
  39. 高井崇志

    ○高井委員 是非、そのようにしてください。  それでは次、送還停止効の例外規定についてお聞きしますが、これは三回以上難民認定申請を行っている者に対して相当な理由がある資料の提出というのを求めますけれども、この相当な理由がある資料というのは具体的に何を指しますでしょうか。
  40. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  御指摘の資料につきましては、法律上その形態や形式に制限はなく、申請者の陳述や申請者が提出した申請書も含まれ得るものでございます。  その上で、改正法の、御指摘の相当の理由がある資料に当たるか否かにつきましては、申請者の陳述はもとより、本国事情に変化があるかどうかを含め、この点は、当庁として把握している情報も含みます、これを踏まえて、申請者が提出した申請書等の資料の内容難民等の認定を行うべき事情が含まれるかどうかを個別に検討した上で判断することとなります。  なお、私、今のポストに就きましたのは四か月前でございます。よろしくお願いします。一年四か月前ではなくて、四か月前でございます。
  41. 高井崇志

    ○高井委員 それは丁寧にありがとうございます、更にびっくりしたわけですけれども。じゃ、四か月しかまだたっていなくて、今やっている……(発言する者あり)いやいや、一年四か月と私が言ったので、済みません。失礼いたしました。  ただ、確かに、私が間違ったのを指摘していただいたのはありがたいんですが、より、私の質問からすれば、短い期間しかいなかったということ。  それと、私は質問通告、かなり詳細にしていまして、次長に聞くところはちゃんと次長と指定していますから。今のは大臣に指定していますから、そういうことのないようにしてください。次は大臣に聞きますから。  今の送還停止効の、相当な理由の基準ですね。これは、日本難民認定数が少ない要因の一つに、やはり難民該当性を示すための基準が高く設定されているという指摘があるわけですよ。そう考えますと、送還停止効の例外規定が求める相当な理由を省令で明確に定めるべきだと考えますが、いかがですか。
  42. 上川陽子

    上川国務大臣 改正法上の相当の理由がある資料という形で、今御質問、前の質問もございましたけれども、この中には、今説明したとおり、申請者の陳述、これはもとより、本国事情に変化があるかを含めまして、申請者が提出した申請書等の資料の内容難民等の認定を行うべき事情が含まれるかどうか、これを個別に検討した上で判断することとなるところでございます。  提出した資料の内容によっては、既に出入国在留管理庁として把握している本国の一般情勢も時々刻々変わることがございますので、これについては絶えず日本のネットワークの中で調べると同時に、UNHCR等のところからの情報もしっかりと収集しながら、判断を適正にしていくことができるように、不断の環境とそしてその方に対しての情報の積極的収集、こういうことも併せて、資料を確認しながら進めていくことでございます。  UNHCRにはガイドブックということがございまして、それは直接的にはこれが拘束されることではないわけでありますが、しかし、非常に大事な視点を示唆しているということでございますので、十分にそうした趣旨も配慮しながら対応してまいりたいというふうに思っております。
  43. 高井崇志

    ○高井委員 基準の明確化は本当に大事ですから、是非省令でお願いしたいということと、あとはやはり、法案もさることながら、入管庁の改革、これが一番大事だと思いますので、大臣のリーダーシップでお願いします。  ありがとうございます。
  44. 義家弘介

    義家委員長 次に、屋良朝博君。
  45. 屋良朝博

    ○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。よろしくお願いします。  通告の質問の順番を少し前後させてしまって申し訳ないんですけれども、先に在留特別許可に関する法案の運用についてお伺いしたいと思います。  先ほど、吉田委員質問長期の滞在というのは積極要素として残るのかということに対して、松本次長は、ガイドラインで示していきたい、不法状態の長期滞在というのは入管管理の状態を崩しているので消極要素なんだけれども、地域との結びつきなどについては積極要素として考慮していきたいというふうな答弁がありました。これは、いわゆる特別の事情をどう考慮するかということになってくるのかなと思います。  これまでの大臣の御答弁などを伺っていますと、子供の保護とか養育とか、家族の結合の原則とか、そういったものを念頭に置いているのかなというふうな印象を受けております。そうした要素を積極的に新しいガイドラインでもって明示していくというふうに理解していいのかどうか、そこをちょっと確認をさせてください。
  46. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  改正法におきましては、在留特別許可申請制度の創設とともに、法律上、その考慮要素というのを法定しております。その中で家族というような事項が規定されておりますが、その家族というものをどのように考えるのかという点につきまして、新たなガイドラインでお示ししたいと思っているところでございます。  その中で、現在検討中ではございますが、例えば、本邦で家族とともに生活するという子供の利益の保護の必要性を積極的に評価し、また、その間の生活の中で構築された日本人地域社会との関係や、将来の雇用主等の第三者による支援の内容が十分なものであることなどを積極的に評価することなどを規定したいと思っているところでございます。
  47. 屋良朝博

    ○屋良委員 お配りした資料は、平成二十二年から令和元年分の在留特別許可を出した事例集、事例の抜粋でございますけれども、これは大体家族がいる、子供がいるようなケースでありまして、もう既にこれは実態としてなされている。だけれども、これまで、在留特別許可を与える手続が非常に不明瞭だというふうな指摘がいろいろなところからなされている。それを実態と合わせて、鑑みて、そういった対応をしていく、ガイドラインに明記していくというふうな理解で、今の答弁によるとそういった理解でいいかなというふうな気がしましたけれども。  大臣、四月二十一日の委員会で、大口委員質問に対して、既に退去強制令書発付されている外国人三千人だけでなく、不法滞在者八万人についても、長期不法滞在特例としてマイナス評価はしない旨の答弁をなさっております。これは改めてちょっと確認をさせてもらいたいんですけれども、長期不法滞在者にも家族があって、養育などを通して日本社会に定着している事実がある外国人に対して、これまでほぼほぼ閉ざされてきた在留特別許可の門戸を開いていく取組を実施していくというふうに理解してよろしいんでしょうか。大臣お願いします。
  48. 上川陽子

    上川国務大臣 先日私が答弁申し上げた点につきましては、現時点で既に退去強制令書発付を受けている者は三千人余りということでございまして、これは送還忌避者という形で、在留特別許可判断におきましては、改正法案が意図する手続的な保障が与えられていなかったと言えるところでございます。このことは、約八万人の不法滞在者のうち、今後、改正法の施行前に摘発され、あるいは自ら出頭してくる者につきましても当てはまるものというふうに考えられるわけでございます。  そこで、これらの者につきましても、新たなガイドライン内容を踏まえまして、あるいはその内容に基づき、改めて在留特別許可判断をするということを検討しているところでございます。その場合、既に不法滞在期間が長くなっている点につきましては、特例としてマイナスとしての考慮事情に含めないということを考えているところでございます。
  49. 屋良朝博

    ○屋良委員 今の御答弁、僕はとても印象に残ったというか、非常に大きな変換を今考えているのかなというふうな印象を受けました。  これまで、在留特別許可制度はあったけれども、なかなかその制度で救われる方というのが限定的だったので、もうちょっとその人たち申請権を与えて、それに漏れた、既に退去強制令書が出ている人たちについても、職権という形ではあるけれども、新しいガイドラインも踏まえて改めて検討していこうというふうな理解でよろしいんですか、大臣。もう一度、そういうふうな理解でよろしいのであればそれでいいんですけれども、そこだけちょっと確認させてもらっていいですか。
  50. 上川陽子

    上川国務大臣 まさに考慮事情等についてお示ししてこない中でということで、今回のガイドラインの策定ということを提案させていただいているところでございます。今委員の御指摘のとおりでございます。
  51. 屋良朝博

    ○屋良委員 ありがとうございます。  それで、次の質問に移りたいんですけれども、今度、実態について、仮放免の子供たちについてなんです。  法務省のデータによると、令和元年十二月末までの仮放免中の外国人は二千二百十七人、そのうち未成年者は二百九十七人いることになっています。いわゆる送還忌避者と呼ばれる約三千人のうちの八割が仮放免者なんですね。ほとんどが入管収容所の外で暮らしているという現状があるということです。家族を持っていらっしゃるということなんですね。  彼らの法的地位について御説明ください。
  52. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  退令仮放免中の外国人につきましては、成年、未成年を問わず、退去強制令書発付されていることから、在留資格はございません。また、送還可能な状態になれば、速やかに所定の送還先に送還されるべき法的立場にあるというふうに認識しております。
  53. 屋良朝博

    ○屋良委員 不法滞在者、非正規滞在者というふうな地位にあるというふうに理解しておりますけれども、この仮放免中の子供、あるいは仮放免のまま日本で育って成人した方から私は直接お話を聞く機会を得ました。クルド人の方からいただいた手紙が手元にあるんですけれども、ちょっと紹介させていただきたいんです。  小さい頃から日本にいて、一月に一度、入国管理局に行かないといけない。仮放免の延長手続をします。もう二十年以上、この人たちは、毎月、月に一度、入国管理局に行って仮放免手続を延長しないといけないというふうな立場にあるんですね。その子が高校に入ってからは、もう一人で来なさいというふうに言われて、初めて一人で入国管理局に行ったときにいろいろ職員質問されましたと。学校のことも聞かれて全て答えたんだけれども、あなたは日本で学校に行っても就職できないし、時間とお金の無駄だ、だから国に帰ってと言われてショックを受けたというふうに書いているんですね。  それで、これは成績を上げよう、学校で頑張って成績を上げましょうというふうなことで、一生懸命勉強をして成績を上げて、その成績書を持っていった。そうしたら、どんなに頑張っても意味ないよと言われてしまったと。心ない言葉を投げかけられながら、毎月一回、入国管理局に行って、立場が不法とか非正規とかというようなことを言われて、どんなに頑張っても駄目だよと言われながら育っていった。これはもう人権の問題。  この方は、人権とは何ぞやというふうなことを自分で調べて、自分日本に住んでいるため人権が保障されていないと思い始めましたということを書いている。働くことや、他の県に移動する、仮放免中は県をまたいで移動することは禁止されているんですよね。そうすると、小学校、中学校は、修学旅行とか社会見学とかあるじゃないですか。そのたびに、入国管理局に行って許可をもらうという手続をしないといけない。これは人権が無視されていると思っても仕方ないですよ。こういうふうな状態をずっと続けている。  この子はクルド人なんですね。こう書いてあるんですよね。クルド人とは自分の国を持たない最大の民族です、いろいろな迫害を受けています、トルコの中でいろいろな差別を受けていますというふうに書いています。それを難民手続をしても認めてもらえない、それで仮放免中。仮放免というのは出国までの一時期の間の措置じゃないですか。しかも、これは準備する、出国の準備期間であるし、健康上の問題があるときには仮放免になるというのが基本だけれども、二十年以上。  この資料を見ていただいても分かりますけれども、二十年以上というのは結構いますよ。二十年以上いて、ようやく在留特別許可で定住者という形で在留資格をもらう。でも、これはマックス五年ですから。五年でも、それが延長されるという担保があれば、それは一生懸命日本で働いて、あるいは勉強して、日本社会の一員になるという努力、それは目的がありますけれども、仮放免中はそれがないんですよ。大学を卒業しても就職の機会が与えられていない。そうすると、ある子供は、もう自分の人生の夢が描けない、一番心配なのは、自分の妹、弟たちも同じような思いをするんだろうなと。それを考えたときに、もう心が痛んでどうしようもないというふうなことをおっしゃるんですよ。  こうした子供たちがいることを、上川大臣、もちろん御承知だと思います。幼い子にも、送還忌避者不法、非正規として扱うことが本当に人権問題じゃないのかということ、大臣の御認識をお伺いします。
  54. 上川陽子

    上川国務大臣 個別の事案につきましてということで御紹介をいただきました。そういうお子さんがいらっしゃるということについて御紹介をいただいて、また、そういう方ともお会いすることができる機会があればというふうにも思っているところでございます。  在留特別許可の許否判断につきましては、日本の場合には、個々の事案ごとに、子供の利益また生活基盤の有無を含めまして、在留を希望する理由、家族関係、素行、人道的な配慮必要性など諸般の事情を総合的に勘案して行われているところでございます。引き続き、個々の事案ごとに考慮すべき事情を適切に考慮し、適切な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。  子供の今のような主張ということについても、日本の中で暮らしながらの思いということでございますので、大変貴重な声だというふうに、私自身、思っております。
  55. 屋良朝博

    ○屋良委員 実は私も、この法案審議に参加するまで、入管手続とか、入管の問題とか、難民申請の問題とか、全く素人だ、分からなかった。私、聞けば聞くほど、これは改正しないといけないところがてんこ盛り、たくさんありますよ。  だから、国際機関が、おかしいでしょうと。先ほど大臣、個別の事案とおっしゃっておりましたけれども、確かに私が紹介したのは個別の事案ですけれども、しかし、二〇一一年に、移住者の人権に関する特別報告書という国連の文書が出ております。  そこにいろいろな問題が書かれていて、多くの子供たちは外国人専用の学校に行っているとか、地域の学校に入れる入れないは地域の自治体の判断である、だから保障されていない。外国人学校というのは、文科省の基準でそれが定められた学校かどうかというのが分からないので、学校じゃない。そうすると、義務教育までやったにしても、高校に行けるかどうかは、大検を受けなければ入れませんよというようなこととか、だから、教育の権利が保障されていない状態がありますよとか、あるいは、外国で、ばっと幼少期に日本に来て、言葉が分からない。日本では言語教育のサポートがないということまで書いているんですよ。  これはちょっと、私は、はっと気づかされて、これが人権保護なんだな、教育を保障するということなんですねというふうなことをこれで分からせられるということですよ。だから、日本配慮でもって小学校とか中学校とか義務教育を受けさせていますよと、これはどうも言い訳というか、国際的なスタンダードでいうとやはりおかしいんじゃないのということですよね。  それで、今伺った新しいガイドラインで、子供の権利とか、子供の親御さんからいうと、子供と一緒にいる権利、家族結合の原則とかそういったものをようやく明文化していこうと。ちょっと遅かったというふうに私は思います。それをしっかりやっておけば、透明性は確保されるわけですよ。ちゃんと働いていて、ちゃんと子供を日本で育てて、家族として地域と交流している、コミュニティーと交流しているという事実がはっきりすれば、それで在留特別許可も与えてあげて、定住者として、まあ、定期的に更新はしてもらうけれども、余り難しい話じゃないと僕は思うんです。何でそうなっているんだということですよね。僕はよく分からない。  二十一世紀の今、日本は国際化、国際化と言ってもう何年もたつし、彼らの起源をたどると、やはり労働力ですよ。労働力が不足していたので、日本外国人を入れて、一時期、不法滞在者ということを分かっていても見逃していたという事実があるわけですね。  今問題になったので、この三千人をどうにかしないといけないということでねじ込んできたのが今回の法改正だと私は理解している。まあ、間違っているかもしれません。そういうふうな印象を持ってしまうんですよ。  だから、三千人に対してちゃんとした処遇をするということが先にあって、ちゃんと人権を守ってあげる、そういう制度化をするというのが先にあって、それで、それでも守らない人たち、それでも日本の刑法に違反するようなことをする人たちは刑事罰を与えて帰ってもらう、あるいは強制送還するということを検討すればいいのにもかかわらず、そういった国際機関からの指摘に対しては、ほとんど、何か日本には日本事情がありますとかと何度もここで答弁を聞いたような気がするんですけれども、そんなに難しいことなのか。  基本的な人権を守ってあげて、学校に行かせてあげて、言葉が分からないんだったら、ちゃんと制度化して言語教育をしてあげましょうと。就職の機会を当然与えないと、大学に行っても何のために学んでいるか分からない、人生設計がつくれない。卒業して、仮に日本人の方と結婚したら、ようやくですよ、在留資格が与えられる。そんな制度というのはどうもおかしくないですか。  最初は労働力として入れている、一時期、不法滞在者であるということを見逃してきた、それで今、三千人をどうにかしよう。これはちょっと、今回の法案は本当に後先が逆転しているような気がするんですね。  そこで、もう一度伺いたいんですけれども、子供たちが送還忌避者になってしまうというのは、親が登録義務を怠ったということですよね。親が登録義務を怠って、何で子供たちが不法とか非正規とかという扱いを受けないといけないのか。これは法的な根拠があれば教えていただきたいと思います。
  56. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  子供が在留資格がない、様々なケースがあろうかと思います。  そういう点について、入管は、正規、不正規にかかわらず、外国人と接する、人と接する仕事でございます。そういう中で、委員指摘の人権に配慮した視点を職員が持って対応するというのは非常に大事なことだと思っております。  さらに、特に子供の利益の保護という点につきましては、出入国在留管理手続全般におきまして子の利益の保護という視点を大事にしないといけないというふうにも考えているところでございます。
  57. 屋良朝博

    ○屋良委員 申し訳ないですけれども、次長、今答えていない。何らかの法的根拠をお示しくださいと。  入管法によって、外国人登録していないという状態を不法滞在者だというような規定はあるんだけれども、しかし、これは親の過失ですよ。親が登録していなかったということを、この子たちは、二十年も、成人するまで毎月一回、入国管理局に行って仮放免の延長手続をし、小学校で普通の学校生活が、修学旅行とかそういった、県境をまたいじゃいけないという制約を受けるわけですよ、移動制限を受けるわけですね。  移動の権利というのは誰にでも認められるはずなんです。そういったことが制限されるべき法的根拠を教えてください。
  58. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管法上の制度といたしましては、入管法在留資格制度を採用しておりまして、適法に本邦在留する者、これは未成年者も含みまして、につきましては、何らかの在留資格を有していることが前提となります。したがいまして、在留資格を有していない者につきましては、不法の滞在という位置づけになります。
  59. 屋良朝博

    ○屋良委員 一体彼らが何をしたんだというようなことですよね。子供たちは、多分心の叫びとしてあると思います。一体私が何をしたんですかと、そんな扱いを受けないといけない。だって、生まれてから六十日間の登録期間があって、六十一日目から不法とかと言われるんですよ。まだ赤ちゃんじゃないですか。  僕は、この運用をやはり抜本的に見直さないといけないと。そういったことが今回この法案に、改正案に盛り込まれているかどうかということなんですよ。そこが見えない。見えないので、これはちょっとやり方に問題がありますというふうに言わざるを得ないと私は思っていて、無国籍児の問題を報じた新聞記事がありまして、その中で、上川大臣がコメントで、「この国で生まれた子どもの権利の基盤がそれで失われているなら問題だ。子どものたいへん大事な問題として掘り下げたい」「私自身、丁寧にいろんな角度から取り組みたい」というふうにおっしゃっております。  それで、その子たちの救済措置として、大臣は、どのような対応が必要なのか、そのコメントの具体的なお考えがもしあればお示しいただきたいと思います。
  60. 上川陽子

    上川国務大臣 今直ちに、こういう方向がいい、あるいはこういう選択肢がある、こういったことを委員の御質問に対してお答えするということについては、ちょっと段階的にまた検討を踏まえた上でというふうにならざるを得ないというふうに思います。  御自分のアイデンティティーに係ることでありますので、その意味でしっかりとこの問題について向き合ってまいりたい、この間、その決意を申し上げたところでございます。
  61. 屋良朝博

    ○屋良委員 ありがとうございます。  現時点で具体的にどうするんだということは言えないというのは十分理解できますけれども、ただ、これまでの審議の中で、大臣答弁とか今の松本次長の、新しいガイドラインにどのような意味を吹き込んでいくんだというふうな答弁を聞いていると、大体分かってくるような気がするんですね。不法滞在者、非正規正規化する一つの方策としては、やはり在留特別許可しかないんですよ、この国には。アムネスティーをやっていないんだから。そういうことだと私は理解しているんですけれども、その理解でよろしいでしょうか。大臣お願いします。
  62. 上川陽子

    上川国務大臣 まず、この問題につきまして、真摯に向き合っていくということが何より大事だというふうに思います。子供の最善の利益を図るということについては、これから、どの国であったとしても、その命とそして健康な育ちというものを支えていくのは重要なことであるというふうに思っておりますので、そういう視点からしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
  63. 屋良朝博

    ○屋良委員 どうもありがとうございました。  時間が来たので終わりますが、先ほど大臣入管は命を預かるので、そこでしっかりと対応されていきたいと。入管のみならず、こうした制度的に子供の権利あるいは親たちの権利を保護、擁護するような形にしていってもらいたいというような希望を述べて、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 義家弘介

    義家委員長 次に、中谷一馬君。
  65. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  まず冒頭、先ほどのちょっと屋良さんの質問で子供の話が続きましたので、大臣に子供の話をちょっと確認をさせていただきたいんですが、入管法改正案の審議、これを進めていくに当たって、私、前回の質問の中で、当事者の子供たちの話を聞いてあげてほしいと大臣お願いをさせていただきました。そして、大臣から、是非そうした声を聞かせていただきたいという温かい御答弁をいただきまして、子供たちから大臣に申入れがあったと思いますが、前回御答弁をいただいたとおりお話を聞いていただけますでしょうか。確認をさせてください。
  66. 上川陽子

    上川国務大臣 先回、委員の御指摘がございまして、私自身、当事者の子供の声を聞くことについては、これは、現場の声を聞くというのは私の信条としておりましたので、是非ということで、その旨を答弁させていただいたところでございます。  今、出入国在留管理庁におきまして、面会を希望する団体から要望内容を聞き取っているところでございます。いつ、どのような方法で、また、コロナ禍ということもございますので、当事者の声を聞くのか、適切かつ早急に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  67. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 是非早急にお願いをできればと思います。できれば、入管法が採決されるまでの間に、当事者の子供の話を聞いていただきたいと私自身は思っております。是非前向きに御検討いただきますようにお願いを申し上げます。  ちなみに、次長、着任をされて四か月ということでございました。次長も、もし、このセッティングをされることがあれば、是非同席していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  68. 松本裕

    松本政府参考人 次長として対応したいと思います。
  69. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 是非、やはり現場の声を知っていただくということは非常に重要だと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは入らせていただきますが、まず、私からは、今日、丹羽副大臣にお越しをいただいておりますが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関係する訪日外国人の検査体制及び待機措置の考え方について、入管法の観点を交えながら何点か確認をさせていただきたいということを思っております。  世界五大医学雑誌の一つであるイギリスのブリティッシュ・メディカル・ジャーナルが、今年の夏のオリンピック・パラリンピックを再考せよという論説記事を公表しました。  記事の中では、無観客でオリンピック・パラリンピックを開催しても、出場選手や大会関係者が入国し、隔離措置の対象から外し、検疫を免除したら、変異ウイルスが国内に流入し、感染が拡大する懸念がある。科学的根拠や倫理的責任を無視して、東京オリンピックを日本国内の政治的理由及び経済的な目的で開催することは、人類の健康と安全に日本が貢献するという基本方針と矛盾する行為とされており、大変心配をされています。  そうした中において、やはり、精神論ではなくて、科学的根拠、これが非常に重要だと思っておりますので、確認をさせていただきますが、オリンピック・パラリンピックを開催する際、無観客であったとしても、出場選手、審判、監督、コーチ、トレーナー、ドクター、パラアスリート介助者などのアスリート等に加えて、IOC、IPC、NOC、NPC、IFなどの主催者、諸外国の要人、オリンピック放送機構、報道各社など、多くの関係者が来日して活動されると想定をされまして、報道では、政府関係者の言葉として、最大九万人と仮定しているということが報じられております。  この人数は、検査体制をつくるに当たっても基礎的な数字になると思いますので、日本国内で活動するアスリート等及び大会関係者がどの程度の人数規模であるのですか、そのうち何名程度が訪日外国人であると考えているのですかと、何度か実はもう質問をさせていただいているんです。しかしながら、もう何か月前からも、何度伺わせていただいても、いや、検討中ですという言葉が繰り返されておりまして、真正面から何も答えてもらえないんですね。  ただ、開催までもう七十七日ですから、こういった現状を考えますと、やはりもう今の時期に、そもそも、外国人の方が何人来日されるのか、国民にしっかりと示していただいて、オリンピック・パラリンピックが現実的に開催できるのかできないのか、開かれたエビデンスを基にやはり議論するべきであると考えますので、いつまでにアスリート等及び大会関係者の訪日外国人数の想定をお示しいただけますか。副大臣、端的に教えてください。
  70. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 委員がおっしゃるように、東京大会に参加されるアスリートの数は、組織委員会によりますと、上限の数で、国内外合わせて、オリンピックは一万一千九十人、パラリンピックにつきましては四千四百人と承知いたしております。  アスリート以外の大会関係者につきましては、本年三月に開催されましたIOC、IPC、組織委員会、東京都及び国による五者協議におきまして、大臣より更なる縮減が不可欠である旨を申し入れまして、IOCから、東京大会に来日する大会関係者につきましては、大会に不可欠かつ運営上役割を担う人々に限定することが表明されたところでございます。  さらに、先月二十八日に開催されました五者協議を受けまして発表した共同ステートメントにおきまして、IOC、IPC、組織委員会は、更なる大会関係者の削減に引き続き努めることを表明いたしております。  これらを踏まえまして、現在、組織委員会において関係者の来日者数の精査を進めているところでございます。
  71. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 それをいつまでに精査を終えて示していただけますか。いつも速やかに示していただけると言うんですけれども、その速やかにが、大会の開催日の例えば一日前でも速やかにと言われても困ってしまいますので、今月中なのか、来月中なのか、是非教えてください。
  72. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 さすがに開会の前日ということはあり得ないというふうに思っておりますので、その辺は組織委員会と東京都また関係者としっかりと精査して速やかに進めていきたいと思っております。
  73. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 速やかに是非お願いを申し上げます。  その中で、この数が分からないと、要するに、入国でまさに防疫を行うに当たって、検査の体制というのをしくことが非常に難しくなると思っているんです。  今、我が国に入国するアスリート等に対して、調整会議の中で、出国前七十二時間以内の陰性証明の提出、そして入国空港でも検査を実施するとされているんですけれども、大会関係者がどうなるかという扱いはまだ全く出ていないんですね。  それに加えて、当局から実はヒアリングを受けて、僕もちょっとびっくりしたんですけれども、これは事実か、ちょっと副大臣に確認をさせていただきたいんですが。  入国時の検査で、コロナの陽性者に関しては、変異株のスクリーニング検査を一〇〇%行いますと。ただ、もちろん一定の割合で偽陰性が発生をしますから、通過をしてしまって、要するに入国してから陽性になる方というのも当然出てくるわけです。ただ、この方々に関しては、オリンピック・パラリンピックのアスリート等及び大会関係者に関しては、現在、この変異株のスクリーニング検査を行うことを想定していないというんですね。要するにゼロ%ということですかと聞いたら、ゼロ%ですとおっしゃられるんです。これは本当ですか。教えてください。
  74. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 検疫におけます入国検査で陽性となった場合、委員おっしゃられるように、全ての陽性者に対しては変異株のスクリーニング検査を実施しているものというふうに承知いたしております。  選手等が入国検査で陰性であったものの選手村で行った検査で陽性となった場合も、変異株スクリーニングを行うのかということも想定されますけれども、陽性となった選手を対象とした変異株スクリーニングの検査の実施につきましては、大会組織委員会において現在検討が進められているものと承知いたしております。
  75. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 今のところ新たな、要するに検査を予定されていない、ゼロ%ですということを教えていただいているので、それはちょっとさすがにまずいんじゃないかなと思いますから、スクリーニング検査を適切に行っていただく必要があるんじゃないかとまず思っておりますし、PCR検査は、釈迦に説法かもしれませんけれども、そのときの保菌状態を表すものですから、当然一定数の偽陰性というのが出てきます。そして今、ブルターニュ型の変異株のように、そもそもすり抜けちゃう、PCR検査を。そういったものも出てきますから、検査の在り方が非常に難しくなっている現状があるかと思います。  こうした現状を踏まえれば、本来は、日本への入国者に関しては、水際対策として十四日間の待機措置は求められると思うんです。なので、アスリート等であったりとか大会関係者に対して十四日間の待機措置、これを適用することというのは考えておられませんか。教えてください。
  76. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 お答えいたします。  東京大会におけるコロナ対策につきまして、国、東京都、大会組織委員会におけるコロナ対策調整会議におきまして、昨年十二月に中間整理を取りまとめたところでございますが、その後、変異株等への対応について検討を進めて、先月の四月二十八日、追加的対策についての方針を取りまとめたところでございます。  この中で、アスリート等につきましては、安全、安心な大会運営を確保するとともに、大会に出場する選手が最高のパフォーマンスを発揮することができるために、用務先を原則として宿泊施設それから練習会場及び競技会場に限定し、行動管理、健康管理を行うとともに、入国後は原則毎日検査を実施することを条件に、入国初日からの練習を認めることといたしております。  また、大会関係者の方でございますが、大会関係者の方々につきましては、入国後十四日間待機を原則といたしておりますが、入国後十四日以内に活動を開始しなければならないという大会運営に支障がある場合につきましては、用務先の限定、行動管理、健康管理を行うとともに、入国後三日間の毎日検査に加え、入国四日目以降、必要な検査を行うことを前提に、待機期間中の活動を認めることといたしております。
  77. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 これは、大臣と副大臣、両方に確認をさせていただきますが、特に入管法に関する部分についての見解を大臣から伺いたいと思いますが、イギリス型、南アフリカ型、ブラジル型、インド型など、世界中で感染力、致死率の高い変異ウイルスが蔓延をしている状態があります。ニューヨーク・タイムズでは、今このタイミングでオリンピックをやることが最悪のタイミングだと報じられていまして、要するに、スーパースプレッダーイベントになる可能性というのを心配されている現状があるんですね。  なので、やはり何万人もの方を海外から受け入れて、その方々がやはり自由に行動ができてしまうようなことというのは規制をしていかなければならない。だからこそ、今アスリート等に対する説明がありましたが、大会関係者に関しては明確に示されていない現状があります。なので、こうした状況下において、やはり待機措置を行わずにホストタウンなどに関係者を移動させるというのは非常に危ないことだと思いますし、変異株の感染拡大を招く危険性が高いと思っています。なので、そうした決定は極力行わない方がいいんじゃないかなと思っているんですけれども。  これらに対して、今、日本においても、入管法に基づいて、百五十二か国の地域に滞在歴のある外国人の方に、特段の事情がない限り上陸を拒否している、こうした現状がある。要するに、これは日本政府がそれだけ危機意識を持っていらっしゃるということだと思うんですけれども、今、オリンピックの関係者だけ特例でそれをやはり受け入れてしまって、変異株が蔓延してしまったときの責任というのは一体誰が取るのか、要するに、政府としてその責任が取れるとお考えなのかということを、大臣、副大臣、それぞれに伺いたいと思います。
  78. 上川陽子

    上川国務大臣 今、世界的に変異株が、新たな変異株が次から次へと起きているということでありまして、その正体というか顔もなかなか見えにくい状況の中で、リスクを最大限ヘッジしていくためにどうしたらいいのか、これはもう水際対策の基本中の基本であるというふうに思っております。  どのような事態であろうとも、その水際での対応につきましては、今のようなリスクに最大限ヘッジしていくということでございますので、出入国在留管理庁としても、また法務省といたしましても、この行政を預かる者として、他省庁と、水際でのリスク管理ということについては徹底して行うべきことというふうに私自身思っております。
  79. 丹羽秀樹

    ○丹羽副大臣 お答えいたします。  政府といたしまして、オリンピックにおける安心、安全な環境を確保することを最優先に、内外の感染状況を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策の取組や感染症の専門家の知見も踏まえまして、引き続き、東京都や組織委員会、IOCとは緊密に連携して準備を進めたいというふうに思っておりますし、また、水際対策につきましても、安心、安全な大会になることを最優先に、内外の感染状況を注視しながら、しっかりと進めていきたいと思っております。
  80. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 世界中で感染が拡大をしています。その中で、オリンピックの大会関係者だけが抜け穴になってしまうようなことになってしまうということは非常に危ないことだと思いますので、そういった指摘があるということを踏まえて様々な御検討を賜れればと思います。  では、丹羽副大臣、これで御退席いただいて結構でございます。ありがとうございます。
  81. 義家弘介

    義家委員長 御退席いただいて結構でございます。
  82. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 続きまして、難民該当性に関する規範的要素の明確化について伺わせていただきます。  これは松本次長に伺わせていただきますが、難民該当性に関する規範的要素の明確化について、四月十六日の本会議で、我が国及び諸外国でのこれまでの実務上の先例、UNHCRが発行する諸文書等を参考にしつつ、その明確化を検討しますという趣旨の答弁が、これは上川大臣からですかね、なされたと承知をしています。  その中で、日本難民認定数の少なさの一因として、我が国で、これまでの先例がUNHCRが発行する諸文書に基づいていない、このことがあるんじゃないかなということを思っております。例えば、難民認定要素一つである迫害について、国や裁判所は、生命、身体又は身体の自由の侵害又は抑圧と定義をしています。一方で、UNHCRが発行している難民認定基準ハンドブックには、生命又は自由に対する脅威に加え、その他の人権の重大な侵害や累積的な根拠も迫害の構成要素として述べられており、より広い定義がされています。  このように、UNHCRの見解と日本政府による難民条約の見解が矛盾している場合に、UNHCRの解釈を優先したいと考えているのか、それとも日本独自の解釈を優先すべきであると考えているのか、まずその御見解を教えてください。
  83. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、平成二十六年に難民認定制度に関する専門部会というものが開かれまして、その中の議論におきまして、委員指摘のように、UNHCRの諸文書中、国際的基準とされるものを日本における難民認定の基準として採用すべきというような意見が複数寄せられたところでございます。  このような議論を踏まえまして、この専門部会におきまして、難民該当性に関する判断の規範的要素を可能な限り一般化、明確化することを追求すべきという提言をいただきました。  これを受けて、当庁におきましては、難民認定制度の透明性向上の観点から、現在、御指摘のような明確化の作業を行っているところでございます。  この点につきましては、当庁が把握している情報には限りがございます。そういう意味では、UNHCRが持っておられる、文書に限らず、その知見、海外での取扱い、あるいは実務上の先例等も参考にさせていただき、かつ、その策定に当たりましては、UNHCRの意見も賜って、それもまた参考にして作成をする予定でございます。
  84. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 UNHCRの意見を参考にして作成をされるということなんですが、これは大臣伺いたいと思いますけれども、やはり、日本における難民認定在り方、抜本的な改善が私は必要なんじゃないかなということを思っています。その中で、この規範的要素の明確化について、UNHCRの意見を参考にするだけではなくて、国内外から指摘されていること、これを真摯に受け止めて、これまでの誤りを正しながら、UNHCRとともに策定してはいかがかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  85. 上川陽子

    上川国務大臣 今次長から答弁をしたとおりでございまして、この規範的要素の明確化、これによりまして、難民のより適切、迅速な認定、そして判断の透明性、これが確保されるということでございます。申請者サイドから見てみましても、それは大変、適切な申請にもつながるものというふうに考えております。  今、UNHCRが発行する諸文書等という話がございました。また、国際的に様々な機関が、いろいろな形でそうした実例を積みながら一つの情報をコミュニケートしている状況でございますので、そうした意見をしっかりと承った上で、また、実例についてのこうしたことのケーススタディー、こういうことも、十分に日頃からコミュニケートをしっかりとしながら、この制定に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  86. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 是非、日頃からコミュニケーションを取っていただいて、共に策定をしていただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  その中で、次に、在留特別許可申請について、これは次長に端的に確認ができればと思っているんですけれども、この在留特別許可申請は、日本語のみではなくて、申請者それぞれの国の言葉申請を行えるようにする予定ですか。確認をさせてください。
  87. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  この申請手続関係、特に提出書類様式等については現在検討中でございますが、申請書はできる限り多言語の様式を採用する方向で検討しているところでございます。
  88. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 多言語対応できなければ、やはり日本語が苦手な方が申請できなくなってしまいますので、是非御検討いただければと思います。  続きまして、監理措置制度について伺わせていただきます。  監理措置制度では、逃亡のおそれのない人、そうした可能性が低い人などを対象に、親族や支援団体、弁護士など、監理人の監督の下で生活できるようにする制度になっているんですけれども、最高三百万円の保証金の納付が必要で、対象者生活状況などの報告を監理人に義務づけ、逃亡に対する罰則は一年以下の懲役か二十万円以下の罰金又はその両方を科すとされております。  これは、そもそも保証金の最高額を三百万円とした積算根拠もよく分からないので確認をしますが、どういう状態の者が幾ら程度の保証金を支払うことを指標として想定をしているのか、また、申請者の要するに何%程度の方が監理人のなり手を見つけて保証金を支払えると考えているのか、政府の御見解を教えてください。
  89. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、現行法、仮放免では、法律上、三百万円を超えない範囲で保証金を納付させることとしております。これに倣いまして、改正法におきます監理措置におきましても、これを参考として、三百万円を超えない範囲内で保証金を納付させるとしたものでございます。  具体的に、個別の事案で幾らぐらいなのかという点につきましては、まさに対象となる者の資力等を踏まえて判断しております。現行の仮放免制度でも、決して高額な保証金を取っていないケースというものも間々あるところでございます。  さらに、監理人にどれぐらいの方が就いていただけるか、それは、どういう形でうまく機能していくのかという御質問だと理解しました。  もちろん、逃亡等を抑止するために監理人というものは不可欠な人だと認識しております。そういう意味で、当庁といたしましても、監理措置を積極的に運用するに当たりましては、監理人になっていただく方を適切に確保し、かつ、その監理人になっていただいた方と当庁の職員が適切に連携する、そこが非常に大事だと思っているところでございます。  その中で、どうしても監理人のなり手が見つからないような人に対しましても、これまでも申し上げておりますが、例えば、行政書士方々と連携をしとか、いろいろな、あるいは外国人を支援している方との連携を図り等々、そういうところを当庁としても努力をしていきたいと思っているところでございます。
  90. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 要するに、今の答弁だと、具体的な改善案が余りない上に、監理人になれる人が何%いるかというのもさっぱり分からないんですね。  また質問の機会をいただけるようであれば更問いをしていきたいと思いますが、なんみんフォーラムの監理措置に対する意見聴取によると、これは高井さんの質問でもされていましたけれども、九〇%の方が監理人になれない、なりたくないと回答をしているんですね。その中で、上川大臣が、皆様の懸念をしっかりと払拭し、多くの方々に監理人をお引き受けいただくことで制度を円滑に機能させると述べられているんですが、これは長々と答弁をされていたんですけれども、どれを見ても、制度を円滑に機能させるための具体策はさっぱり分からなかったんですね。  そこで、上川大臣質問させていただきますが、送還の実施を担保するための逃亡防止や出頭確保を図るという政府側の都合で監理人に届出義務を課して、違反した場合の過料の制裁を行われることに対してみんながなりたくないと言っていることの解決策が、入管庁との様々な交流と外国人に対する必要な助言指導という答弁で、何が解決されるのか全く分からないので、具体的な改善策を示すべきではないかなと考えるんですが、大臣の御所見を最後伺いたいと思います。
  91. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の制度におきまして、まだ実施している前ということでありますので、様々な内容につきまして、今委員が御質問されたような事柄も含めてしっかりと説明をしていく必要があろうかというふうに思います。  また、現場で既にそうした支援を行っていらっしゃる方々、あるいは行政書士等の士業の方々、こういった方々も、外国人方々との意思疎通をしながら対応していらっしゃるということでございますので、現場のそうした声につきましても、改善の方策について私の方から具体的に一、二、三と申し上げることが今はできませんけれども、まず、コミュニケーションをしっかり図って情報をお伝えし、また、御意見を聴取しながら、施策の運用という形でございますので、しっかりと御協力いただくことができるようにしてまいりたいというふうに思っております。
  92. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 現在のこの入管法改正案、国内外から本当に様々な懸念が表明されています。私たちもまだまだ意見、提言、行わなければならない事項はたくさんあると思っておりますので、引き続き審議を行わせていただければうれしく存じますので、よろしくお願い申し上げます。  以上で質問を終了させていただきます。ありがとうございました。     〔委員長退席、山田(賢)委員長代理着席〕
  93. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 次に、山花郁夫君。
  94. 山花郁夫

    ○山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。  先日、同僚委員からも質問がございましたが、私も四月二十七日に、スリランカのウィシュマさんの御遺族からのリモートでのヒアリング、伺いました。ちょっとその思いも体して質問したいと思います。  今回の案件に関してですけれども、司法解剖されたということで、御病気だったということですが、今回のこの事例に関して言うと仮放免をすべき事案ではなかったかと私は思うんですけれども、今回の判断について適切であったというふうに判断されているんでしょうか。その評価について伺います。
  95. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  亡くなられた方の収容を継続した判断、要するに仮放免をしなかったという点につきまして、適切であったか否かの評価、検討につきましては、当庁といたしましては、従来から仮放免判断に当たり健康状態を適切に考慮する方針としていたこと、さらに、コロナ禍への対応として仮放免の積極的な活用を行っていた事実を十分に踏まえる必要があると認識しているところでございます。  その上で、第三者も含む調査チームにおきまして、委員指摘の評価の点について今現在検討を行っておりまして、その点について最終報告で明らかにしたいと思っているところでございます。
  96. 山花郁夫

    ○山花委員 これなんですけれども、もし不適切であったのだとすると、どの点において不適切だったのかということは極めて大事なことだと思いますし、私はそうは思いませんが適切だったのだということだとすると、これは制度そのものに問題があるということになると思います。そうだとすると、制度の問題として、その次に何を改善すべきなのかというステップに入らなければいけないはずです。  先日、御遺族の方は大変つらい思いをされながらお話しいただきましたけれども、日本でこのような犠牲になる人がなくなるような法律を作ってほしいというふうに言っておられました。  これはいずれにしても、今回の法改正で、それではまだ評価されていないということですから、こういった方がもう二度と出ないようにということで今回の法改正には反映されていないというふうな認識で仕方ないのでしょうか。あるいは、もう、今回の改正案によればこういった方はなくなるということが言い得るのでしょうか。
  97. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  現行法の仮放免制度におきまして、かつ、運用上、先ほど申し上げたような視点で運用している中で、名古屋入管局の亡くなられた方への判断がどうであったのかというところは今検討をしているところでございます。  ただ、改正法におきましては、収容に代わる措置といたしまして監理措置制度というものを設けて、当初から、あるいは途中から、退去強制手続社会内で生活しながら受けるという制度が予定されており、かつ、仮放免制度につきましては、病気等、人道配慮すべき事情によって一時的に収容を解く措置という形で整理し直して制度化しているところでございます。  いずれにしても、その適切な運用が重要であるというところは共通しているところだと思います。
  98. 山花郁夫

    ○山花委員 先ほど紹介いたしましたけれども、本当に二度とこういうことがないような法律にしてほしいという悲痛な思いを持たれております。  でき得れば、今回の法改正によってこうした人は、まあゼロにはできないかもしれないけれども、もうほぼそんなことはあり得ないのだということを断言していただくような法制度にしていただきたいと思いますし、何より、我々がその評価とか最終報告をちゃんとしてほしいというのは、やはりそこがないと、今回の法改正について本当にこれでいいのかどうかというジャッジがなかなかし難いじゃないですか。法改正したけれども、やはりこの運用のところは適切だったのだ、制度的にこれじゃちょっとという話が出てきたとすると、ちょっと責任を持って採決できないのではないかということは申し上げておきたいと思います。  さて、仮放免制度の運用の原則についてということなんですが、平成三十年の二月二十八日に入管局長名で発出されているものがございます。衆議院の方で配られたこの資料にも掲載されておりまして、法務調査室が作った資料では三百ページのところにありますが、この原則について非公表という形になっています。  先日、藤野委員が配付されたのも真っ黒の、今日は配付されていませんけれども真っ黒のやつでありましたので、我々もこれは何だか分からないということでありました。  このことについてなんですけれども、これ、今、委員長代行ですけれども、委員長は御覧になっているのかしら、この中身、黒い部分について。
  99. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 黒い中身は……。
  100. 山花郁夫

    ○山花委員 分からないと思うんですけれども。  委員会の運営などについても、私、ちょっと発言させていただきたいんですけれども、つまり、お互い与野党を経験して、私もそちら側にいたことがあるので、ちょっとこれは出せないなというのがあること自体は理解はいたします。  そのことは理解しますけれども、委員会のやり方として、資料要求しますよね。議事録を見ると、資料要求します、委員長が、後刻理事会で協議します。で、結果については、理事会ではやられているんでしょうけれども、議事録には全然残らないわけですよ。  例えば私が、これを見なきゃ分からないじゃないかとここでやったとして、後刻理事会で協議します、で、後で議事録を見るとそのままになっているケースが多いんです。本来であれば、政府として出せません、はあ、さようですかというのは、これは議会の在り方として、私はいかがなものかと思います。  でき得れば、理事方々が、公表はしないまでも、理事会で見るとか、それすら駄目だということであれば、せめて両筆頭が中身を確認して、委員長の権限において、例えば、出してくださいと言ったときに、政府も駄目だと言っているが、委員長が、私の責任においてもこれは無理だと思うと。  ただ、例えば、これを見なきゃ分からないじゃないかみたいな質問に対して、自分は見たけれども、それとは、例えば、関係するなら問題ですよ、関係ないのであれば、委員長の責任において、それは別のことであるから、それは分けておいて質問してくださいというようなやり取りが議事録であれば、それは国会としても、ああ、そういうことなんだよねということで、しようがないかと。  まあ、しようがないかとなるかどうかは、いろいろ言いたいことはあるかもしれないけれども、本来、やはり国会の、議会の在り方として、政府が見せられません、はあ、さようですかということでは、ちょっと情けないのではないかと思いますので、そういったことについても是非御協議をいただきたいと思います。  代行ですけれども、委員長、御発言をお願いいたします。
  101. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 委員長代行の立場ではございますけれども、資料要求があったことについて、理事会で協議という内容については、全て理事会に諮らせていただいております。それは、各会派において、各委員に対して御報告というか御説明があるものと承知しております。  それ以上の理事会の持ち方については、改めて理事会で協議をしていただきたいと思います。
  102. 山花郁夫

    ○山花委員 今のようなことについても御検討いただきたいと思いますし、大臣も、そういう要求があったときには前向きに検討いただきたい、これは要望をさせていただきたいと思います。  さて、ちょっと時間の関係がありますので、次に行きます。  このヒアリングの際に、御遺族の方からも、ビデオが出されないことについて非常に残念であると言って号泣をされておりました。これも資料要求に関わることですが、発言の中に、遺族の方が説明をされた書類には二分ごとの記録が書かれていたということです。これは映像を見てのものではないかと思う、映像を見てみたいということをおっしゃっておられました。  ビデオを公開できないという理由についてなんですが、ベクトルは二つあると思います。御遺族の方に関して公開できないという理由、それと、国会に対して公開できないという理由、二つあると思うんですが、これはどういう理由で公開できないということになっているんでしょうか。改めて確認をさせてください。
  103. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  いずれも共通する理由と我々は認識しておりまして、それを申し上げますと、入管収容施設の一般的な性格といたしまして、収容施設の被収容者には重大な犯罪を犯した者とか、例えばテロリスト等も含まれ得るところでございます。したがいまして、入管収容施設に関する保安上の要請は非常に重要でございまして、こうした者の逃走、脱監を防止するため、施設の形状や設備、巡回の体制や頻度、監視カメラの撮影範囲や解析度などの具体的状況につきましては保秘の対象であると考えており、これまで、こうしたビデオの内容は公開していないところでございます。
  104. 山花郁夫

    ○山花委員 前回はプライバシーという言葉もあったと思いますけれども、それは、説明を変更されたんでしょうか。
  105. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  亡くなられた方の名誉、プライバシーというところの配慮もあるものと認識しております。
  106. 山花郁夫

    ○山花委員 これなんですが、御遺族に対してはそれは当たらないのではないかという疑問が一つと、階理事もそうですが、法律家の方であると分かると思うんですが、死者のプライバシーというのは、法務省としてそういうものがあるという認識なんでしょうか。
  107. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  そういう意味では、名誉という言い方もしたところでございます。  我々といたしましては、御遺族の方の了解というところは前提といたしましても、やはり亡くなられた方そのものの様子を逐一というところについても、配慮をする一つ要素だというふうに認識しております。
  108. 山花郁夫

    ○山花委員 ですから、一般的な考え方でいうと、死者についてはプライバシーはなくて、人権享有主体ではなくなるので、御遺族の方の例えば感情だとか、そういうのについて配慮ということはあり得るんだと思いますので、遺族の方が公開してほしいということに対しては、それは当たらないはずだと思われます。もし、それで御遺族の方が御了解ということであれば、少なくとも御遺族に対して見せないという理由は、私は一つ理由として欠落するのではないかと思います。  その上でなんですが、保安上の理由ということなんですけれども、今回、昨日ですか、理事方々からも、この審議に当たってビデオの公開をというお話がございました。  これは階理事にも少しお話をしたんですが、私自身、かつて法務委員会理事をやっておりました。そのときの議事録を持ってきましたけれども、当時、委員長が山本有二さんです。自民党の筆頭理事が園田博之先生でした。大先輩です。また、次席が塩崎恭久さんです。公明党が漆原先生、公明党の方はいらっしゃらないですかね。漆原良夫先生にも大変お世話になりました。  当時、名古屋刑務所での事件がありまして、私、いつの委員会でしたか、久しぶりに法務委員会に戻ってきたら、随分、資料の提出だとか答弁も後ろ向きになったなということを申し上げましたが、そのときに、昔こんなことがありましたというお話をいたしました。改めて議事録を見ると、当時、結構、やはり国会は国会でということを別にやっているんですよ。  実は、その名古屋刑務所の案件でもビデオの公表の可否ということが問題になりまして、これが平成十五年の話です、かなり前ですが。  今言った大先輩方が理事で、私、次席だったんですけれども、多少若げの至りで、あれは人が亡くなっていますからね、今回もそうですけれども。政府だけじゃなくて与党もこのことについて責任があるはずですよと、ちょっと生意気なことを申し上げたところ、委員長を始め、そのとおりであると当時お答えになられました。  実は、理事会でも、与党側の先生方もちょっと政府の説明に納得されていなくて、理事懇談会のときにこんなことがありました。政府の人間は全部出ていけ、議員だけでやるからということで理事懇談会をやりまして、その中で、ビデオのことも、法務省もいろいろ言っていたんですけれども、ここで決めようということで、じゃ、みんなで見ることにしようということで、理事会で、私も含めて、見ました。  その後の議事録を持ってきたんですけれども、一応、今日資料提示していませんので、第百五十六国会の衆議院の法務委員会会議録第二十九号、平成十五年七月二日水曜日の六ページのところです。  当時、野党筆頭は今の名古屋市長ですが、「先日、理事の懇談会といいますか、ビデオを見たんですけれども、」というところから始まります。大林政府参考人、これは当時の官房長です。「私もこのビデオを見させていただきました。」、中略いたしますが、具体的に申し上げますと、職員が受刑者の頭部付近を足で踏んだり腰の上に乗ったりというような場面がございました。あるいは、受刑者が、悲鳴といいますか、声を上げている部分がありました。この評価というのは刑事裁判で明らかにされると思いますが、私が見た感じではやや行き過ぎじゃないか、正直なところ、そんなふうに感じましたと。  これって、後に刑事事件になっている案件です。官房長が、刑事的な評価はともかく、こうでしたという発言をしております。  当時、矯正局長も、私、あのビデオを見て大変ショックを受けました。これはひどいと思いました。本当に、声もほとんど出ない状態と私は見受けました。しかも、吐いておりました。これはもう、よほど強く締めつけられていたから全く行動の自由を奪われていたわけで、先生、ほかの部分を御覧になったか分かりませんけれども、次に映っていたのを私が見たときは、次の人は自由に立ち上がって動き回っておりました。本来、革手錠はそういう限度でしか使用できないはずであろう、私はそのように感じました。これはひどいと思いましたと。  もう一回申し上げますが、これは刑事事件になっている案件です。つまり、この間も、刑事事件になるかもしれないから答えられないとか、いろいろおっしゃっておられましたが。  で、これは、議員の側も、ちゃんとわきまえて質問しています。  石原委員ですが、先般、今話の出ましたビデオを私も見させていただいたのですけれども、刑事局長や矯正局長も御覧になっておりますか。  樋渡さん、だから刑事局長、最近になって見ました。矯正局長も、私も先週でございますけれども見ましたと。  この後です。これは矯正局長にお尋ねしたいんですけれどもと言って、刑事局長には答弁を求めておりません。だって、刑事事件になっていますから。  つまり、今回の案件も、もしかすると事件になってしまうのかもしれません。可能性は否定できませんが、そのこととは別に、まさにこれは矯正施設で一体何があったのか、さっきも申し上げましたけれども、与党の先生方も、これは人一人亡くなっているんだぞということで、これはちゃんとしなきゃいけないということで、十五年ですから、今の委員長室ではなくて、古い建物の、七月、クールビズではなくて、私も何か暑かった記憶があります。狭い部屋でみんなで、今みたいにDVDじゃなくて、ビデオをデッキで回して見ました。  なので、本来、国会で議論するときには、こっちもちゃんとわきまえてやらなきゃいけないと思いますよ。とかく、過去の議事録を見ていても、ちょっとやはり責任追及みたいなところになってしまっているところがあるのも否定できませんが。  ただ、やはりそういうのを見た上で、これは理事方々、最終的に見たのは理事の人ですから、理事方々でこうやって議論して、こうだったじゃないか、ああだったじゃないかというような話があって、当時、このことについてさんざんやりました。  法務委員会、今は何か水曜日も普通に法案審議をしていますが、当時は水曜日は予備日だったと記憶しております。火曜日と金曜日が法案で、水曜日は、一国会、毎回、矯正についての質疑というのを行っていたということがありました。そのことが、当時、百三十年ぶりぐらいでしたか、監獄法の改正ということにつながっていったということもございますので、今回、ビデオについては、今何かいろいろ理由を述べられまして、保安上の理由ということでしたけれども、だって、これ、こっちは刑務所に入っている人ですからね、テロリストの疑いとかそういうレベルではなくて。  それについても、実際に矯正局においてはこのような取扱いをしたということと、あと、何となく、済みません、私も間が空いているものだから、だんだんと今みたいな国会の運営になっているのかもしれませんけれども、当時、与党の先輩方は、やはり、そういう問題意識が持たれたときにはこういうことをやっていたということは是非胸に刻んで、今後の運営、理事方々も努めていただきたいという要望をさせていただきたいと思います。  一応、委員長、御発言をお願いいたします。
  109. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 義家委員長始め理事各位も、その問題意識は持っております。このことは人の命が懸かっていることでございますが、重要に、重く受け止めておることは御報告をさせていただきたいと思います。
  110. 山花郁夫

    ○山花委員 その上で、ちょっと時間の関係で、最後質問になると思います。  今回、亡くなられた方が一月二十九日に作成して、三十日に投函されたお手紙がありました。病院に連れていってもらえない旨を訴えるという内容だったんですが、これは開封されたのが三月八日ということでした。  先ほど刑事収容施設法の話をしましたが、昔、それこそ刑務所の問題が非常に問題になったとき、情願制度と昔は言いました。結局、看守が自分たちで見ちゃっていたので問題だということで、今の制度になっている。要するに、第三者に見てもらうという形にして、不服申立て制度になっていますが、頻度について、今回、私、もっと頻度高く開封しないといけなかったのではないかと思いますけれども、ちょっとまとめて聞きます。  矯正局の方では今どんな形でやっておられるのかということと、あと、今回のことを受けて、もう少し頻度について、ちょっと工夫して高めていただきたいということで、順番にお答えいただきたいと思います、矯正局と入管に。
  111. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  委員先ほど御指摘の、刑事施設委員会のお話だと思いますけれども、刑事施設内に設置された提案箱に投函する方法によって刑事施設委員会宛ての書面を提出することができることになっております。  その提案箱を開封する頻度については、法令上定めがございません。提案箱に投函された書面の確認というのは各刑事施設視察委員会の責任において行われているところでございまして、委員会からお求めがあった場合を除いて、職員が提案箱を開けるということはございません。一般的には、刑事施設視察委員会会議、これが大体、年間に六回ないしは五回開催されるところでございますけれども、その開催に合わせて提案箱に投函された書面の確認がされることが多いというふうに承知しております。  そもそも、この刑事視察委員会については、平成十五年の行刑改革会議で、行刑運営の透明性の確保ということで提案されたものでございますので、そういう趣旨を踏まえながら、今後も、その透明性の確保の趣旨に合うように、この提案箱についての関係につきましても継続的に検討していきたいというふうに思います。
  112. 松本裕

    松本政府参考人 当庁におきましても、提案箱は視察委員会委員が直接開封することとされております。かつ、その開封の機会でございますが、委員会議形式で集まる機会や入国者収容所の視察の機会に開封しております。  ちなみに、頻度でございますが、令和元年度の会議の回数は、東日本地区で四回、西日本地区で四回、視察回数は、東日本地区で九回、西日本地区で八回でございました。  ただ、今回の亡くなられた方の提案箱の記載というのは、亡くなられた後に認識したというのが実情でございます。委員会の運営、提案箱をいつ開くのかということも委員会でお決めになられていることでございますが、今回の経緯をしっかりと当庁といたしましても委員会に御説明し、その頻度等、改善するべきところは改善したいと思っているところでございます。
  113. 山花郁夫

    ○山花委員 頻度については今のような、制度そのものでいうと、多分、別に制度としては落ち度はなかったということなのかもしれませんが、それこそ、今回のことはやはり本当にしっかり受け止めていただいて、いかにも遅かったという感は否めません。今後、善処していただきたいと思います。  また、矯正局から先ほど御紹介があった行刑改革会議についても、あの名古屋事案があって、あのときは本当に、弁護士の方から外の方も全部入れて、改革について議論した。本当に、本来であれば矯正局としてはちょっと嫌だなというような方々も入れて議論されたということでした。  今回の入管法についても本来そうあるべきではないかということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  114. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 次に、階猛君。
  115. 階猛

    ○階委員 立憲民主党の階猛です。  今の山花委員質問を引き継いで、まず大臣にお尋ねしますけれども、先ほど山花委員から非常に重要な過去の事実の摘示がありました。  大臣は、先ほどの山花委員が言われていた、平成十五年に法務委員会理事懇談会で名古屋刑務所の事案についてビデオが開示されたということは御存じでしたでしょうか。お答えください。
  116. 上川陽子

    上川国務大臣 今のような詳しい経緯については存じ上げませんでした。
  117. 階猛

    ○階委員 それであれば、いま一度、役所の言いなりではなくて御自身でちゃんと判断を示してほしいんですが、保安上の観点、保安上の観点と言って、ずっとビデオの開示に入管庁は消極的でした。先ほどの理事懇でもそういうお話でした。ただ、過去には理事懇でちゃんと開示しているわけですよ。であれば、保安上の観点ということでいえば、刑務所の方がよっぽど厳重であってしかるべきですよ。  入管施設は、別に罪人を拘束する場所ではないんですよ。どなたかのときに、過去の国会答弁で、船待ち場のようなものだといった答弁があったという指摘もありました。そういう場所なのですから、保安上の観点という意味でいえば、刑務所よりはもっと柔軟に考えてもいいだろうというふうに思うわけでして、保安上の観点をもってして、国会、とりわけ理事懇談会のような場でも開示しないというのは、私は合理的な説明になっていないと思いますよ。  大臣の見解をお願いします。     〔山田(賢)委員長代理退席、委員長着席〕
  118. 上川陽子

    上川国務大臣 ただいま、本事案に関しまして、被収容者の居室のビデオということで、開示の課題、問題を今理事会の方で御審議なさっているということでございます。  先ほど来答弁をさせていただいておりますが、外部の方が閲覧した場合に、施設の形状、設備にとどまらず、日常的な巡回の体制、頻度等の具体的状況が明らかになり得るということ、保安上の支障を生じ得るものということでございまして、こうした報告を出入国在留管理庁から受けている状況でございます。法務省として、その旨御説明をしているものということでございます。  理事会におきまして、今、国会の先生方が御審議いただいているということでございます。かねがね申し上げてきましたけれども、国会に対しましては真摯に対応してまいりたいということ、この姿勢については一貫させていただいているところでございます。
  119. 階猛

    ○階委員 答弁の趣旨が相変わらずはっきりしないんですが。保安上の観点というのは理由にならないと考えますけれども、その点、どうですか。端的にお答えください。
  120. 上川陽子

    上川国務大臣 今申し上げたとおりでございまして、保安上の観点からこのことにつきましては開示をしないということで皆様の方に説明をしている、こうした報告を受けているところでございます。  理事会におきまして、しっかりとその趣旨にのっとってまた対応をする、こうした真摯な姿勢でこれからも臨んでまいりたいと思っております。
  121. 階猛

    ○階委員 保安上の観点という答弁を維持されるので、それでは、過去の名古屋刑務所の事案では開示したのはどう説明するんですか、あるいは、今回、第三者と言われる方々に開示するのはどう説明するんですかということをきちんと合理的に語ってくださいと言われても、全く説明ができていないんですよ。  我々は、まず理事懇談会で見せてもらって、本当にこれは保安上の観点から問題があるのかどうか、ここを検証しようと思っています。その上で、このビデオを見た結果、やはり入管という施設にいろいろな運営上の問題があれば、そのことも含めて法改正の議論をしましょうということを言っているわけですよ。  今回の法改正法改正と言えるかどうかも微妙ですけれども、今回の法改定については、大きく言えば、入管の権限と裁量を大きく広げるということが含まれているわけです。そこで、権限や裁量が広がるということであれば、権力が暴走する危険も高まるわけで、その暴走が起こらないように、我々はちゃんと入管在り方をチェックしなくちゃいけないという立場から、今回のビデオの開示を求めています。  内部調査をしているから開示しなくていいんだということは全く成り立たないですよ。内部調査では全く牽制は働かないわけです。監視機能としては不十分なわけです。だからこそ、大臣判断で、過去の例にあったように、我々の理事懇でまず開示する、これを今日、決断いただきたい。これは過去にやっている話ですから、できるはずですよ。  大臣、きっちり答えてください。お願いします。
  122. 上川陽子

    上川国務大臣 国会におきまして、資料の提出、こうしたことに、お求めに関する事項ということでございますが、国会の御判断が示された場合におきましては、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいとかねがね申し上げてきたところでございます。その姿勢で今も真摯に対応させていただきたいというふうに思っております。
  123. 階猛

    ○階委員 それで、私どもが言っているのは、国会が判断する上で、今は現物を見ていないわけですよ。判断する上で、裁判でいえばインカメラ手続のようなものですよ、まずは内輪でそれを見せていただく、そしてその上で、国会で開示するかどうか、理事懇の場で協議して決めるということをやりたいので、その場には出してください。それを大臣に言っているんです。国会が決めるために出してくださいと言っていますから、国会が決めたら出すという話じゃないんです。決めるために、まず大臣判断が必要なんです。  大臣、出してください。お願いします。答えてください。
  124. 上川陽子

    上川国務大臣 このビデオ映像記録の開示につきましては、理事懇談会におきまして御協議いただいているというふうに理解をしております。また、理事会で協議をされている事項でもあると承知をしているところでございます。  申し上げたとおりでございまして、国会におきましての資料の提出の求めに関する事項に関しましては、国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいと考えております。
  125. 階猛

    ○階委員 いや、全然質問の答えになっていないんですよ。国会は判断しますよ。判断するために、まず事前に見せていただきたいということを言っているわけですよ。  私たちは、保安上の理由とか言われても、それを見ていないですから、本当に理由があるのか。ないと思っていますよ。なぜなら、先ほど山花さんが言ったとおり、名古屋刑務所の事例については理事懇に開示しているわけだから。さらに、今回も第三者方々には見せるわけですから。しかも、見せた上で、先ほど理事懇で確認しました、見せた上で、その見せられた内容について、第三者方々最終報告書に反映することも許される、こういうふうに事務方は言っていましたよ。そうであればなおさら、保安上の観点というのは全く理由がないと思いますよ。  保安上の観点は全く理由がないので、過去に事例もあるので、今回、人一人の命がなくなっています、それをうやむやにしたまま、法案を通して入管の権限と裁量を拡大して、また同じようなことを繰り返す。人権を擁護するのが法務大臣の立場でしょう。人権をじゅうりんするんですか。法務大臣、そういう瀬戸際に立たされていますよ。  ここをしっかり大臣言葉説明して、そして、大臣の決断で、まずは理事懇にお示しください。同じ答弁は繰り返さなくて結構です。私の問題意識をしっかり受け止めて、開示してください。どうぞ。
  126. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の調査でございますが、第三者の方にもお加わりいただきまして、そして、この加わっていただいている第三者方々に対しましては、秘密保持につきまして承諾をいただいているところでございます。関係資料を外部に公表せず、調査以外の目的には使用されないこととしていると報告を受けているところでございます。  客観、公正の中でこの調査がしっかりとなされ、また、お亡くなりになられた方の体調に関わる医療関係対応が適切であったのか等に関しまして事実をしっかりと掘り下げていくべきことというふうに考えて、今真摯に取り組んでいるところでございます。  重ねて申し上げるところでございますが、国会におきましての資料の提出につきましては、このお求めに関する事項でございまして、国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。
  127. 階猛

    ○階委員 国会の判断を示す前提としてまずは理事懇に開示してくれと言っているのであって、何で先ほどから同じ答弁ばかりなんですか。答えていないですよ。  それで、我々、理事会でも協議していますけれども、結局、物を見ないまま、一方では保安上の観点という言葉が出たり、プライバシーという言葉が出たり、いろいろな言葉が出て平行線なんですよ。物を見れば、私たちも、ほかの問題についても、いろいろな理事皆さんにも建設的な御議論をいただいて、ちゃんと前に進めてきています。このビデオについても、私たちは、別に何も揚げ足を取ろうとかそういうことではなくて、しっかり真相を解明した上で、法案審議に役立てたい、そう思っているわけですよ。大事なことですよ。  大臣、人権を擁護するんでしょう。だったら開示してくださいよ。我々が決める前提として開示してくださいということを言っています。ちゃんと答えてください。大臣が出すと言えば出せるはずです。
  128. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の事案に関しまして、私、当初から、早い段階で、この方の命をめぐりまして、特に体調について問題、課題がないか、しっかりと取り組むべきというふうに思い、そして、第三者の目線もしっかりと踏まえながら客観、中立にしっかりとお出しをするということで、中間報告もまとめさせていただきました。  今回、様々な、中間報告もなるべく早くお出しをして皆様の議論に付すということでございましたので、不足のところについては更に調査を加えて、最終報告をなるべく早く出すようにということで指示をしてきたところでございます。  この姿勢の中で、しっかりと第三者の方にも責任を持っていただくということでございまして、最終報告そのものにそうした全てのことが盛り込まれることができるように、しっかりと努力をしているところでございます。  今、関係する資料につきましては、様々な医師の資料等も含めまして、いろいろな形で公開状態にあるというふうに理解をしておりますが、このビデオに関しましても、このことにつきまして先ほど次長から申し上げたとおりでございまして、保安上の理由という形の中で、また、亡くなった方への思いをしっかりとはせながらということでございますので、そうしたところで今申し上げているところでございます。  理事懇談会へのビデオの映像記録の開示につきましては、理事会で協議をされている事項であると承知をしているところでございます。先ほど申し上げましたとおり、誠実に、理事会で決められたことについては対応してまいりたいと考えております。
  129. 階猛

    ○階委員 答えてくださいよ。決める前提として出してくださいと言っているわけですよ。決めたら出すというのは答弁になっていないんですよ。  もう一回、そこだけきちっと答えてください。
  130. 上川陽子

    上川国務大臣 理事会の協議事項ということでございます。国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲の中で誠実に対応してまいりたいというふうに考えております。(階委員「答えていないですよ」と呼ぶ)
  131. 義家弘介

    義家委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  132. 義家弘介

    義家委員長 速記を起こしてください。  階猛君。
  133. 階猛

    ○階委員 いいですか。名古屋刑務所の事例、山花さんがおっしゃっていたケースは、特別公務員暴行陵虐致傷罪という重大な犯罪についても、ビデオが理事懇に公開されたわけですよ。まして今回は、全然犯罪はないはずですよね。もしや入管職員が犯罪を犯していたら、とても法案審議どころじゃないわけで、公開された名古屋刑務所の事例よりはよっぽど公開することが問題はない事案だと思います。それで、それを見た上で、我々としては、これを国会で公開すべきかどうかということを判断したい。それを見ないで議論していても、ずっと平行線なわけですよ。平行線ということは、法案審議も深まらないわけですよ。  先ほども言ったように、これが真相が明らかにならないと、今回の法改正は全く意味を成さなくなる、そういう危険があるので、まずは理事懇の場に開示してほしい、過去の例を見習って開示してほしい。このことについて、大臣、端的にお願いします。
  134. 上川陽子

    上川国務大臣 法務省といたしましては、出入国在留管理庁からの報告を踏まえまして、先ほど来の答弁がございますとおり、保安上の観点などから、閲覧いただくことは相当でないと御説明をしているものでございます。  お尋ねの理事会の御判断のための閲覧ということにつきましても、国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたいと考えております。
  135. 階猛

    ○階委員 理事会の場でまずは見せることによって、それで国会としてどうするかを決めるということに対して、大臣は協力する意思があるということでいいですか。
  136. 上川陽子

    上川国務大臣 先ほど来申し上げているところでございます。国会における資料の提出のお求めに関する事項に関してでございまして、国会の御判断が示された場合には、法令の許す範囲内で誠実に対応してまいりたい、この姿勢は変わりません。こうした姿勢で今も臨んでいるところでございます。
  137. 階猛

    ○階委員 では、速やかに提出していただきたいと思います。国会が判断する必要があるので出していただきたいと思っていますので、その点はよろしいですよね。
  138. 上川陽子

    上川国務大臣 ただいま、今の件については、理事会、理事懇等ということで御判断をしていただいているところでございます。  法務省といたしましては、国会の判断が示されれば、法令の範囲内で誠実に対応する考えでございます。(発言する者あり)
  139. 義家弘介

    義家委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  140. 義家弘介

    義家委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩して、理事会を再開いたします。     午前十一時四十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十六分開議
  141. 義家弘介

    義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、階猛君の残余の質疑を許します。階猛君。
  142. 階猛

    ○階委員 先ほど来議論になっているのは、理事会の場で決めるのは、ビデオの公開を国会の委員会、秘密会の場でやるかどうか、これは理事会で決めることですけれども、その理事会で決める前提として、理事懇の場にビデオを出すかどうか、これは大臣が決めることですと。  大臣は、先ほど来、国会でお決めになれば出しますといったような答弁をされていますけれども、そういう問題じゃないということで、大臣の方が、理事懇の場に、先ほど言ったような、理事会で決定する前提としてビデオを開示することについてどうお考えになるのかということを明確にお答えください。
  143. 上川陽子

    上川国務大臣 ビデオの映像記録につきましては、先ほど来の答弁でございますが、収容施設の設備の状況、また職員状況等を撮影したものでございまして、繰り返しになるところでありますが、保安上の観点などから、その取扱いにつきましては非常に慎重な検討を要すると繰り返し申し上げたところでございます。  また、亡くなった方の名誉という観点からも慎重な配慮が必要ではないか、このことも申し上げてきたところでございます。  命を預かる入管施設におきましてこうした事案が起きたことについては本当に重く受け止め、そして、私自身、大臣として、なるべくこの事案の早い段階で事案の解明をしていくこと、そして、それに基づいて分析、検証しながら更に改善を進めていく必要がある、こういう強い問題意識を持ちまして指示をしてまいったところでございます。  もちろん、第三者の目線ということにおきましても、当初はそうしたチーム編成ではございませんでしたけれども、客観、公正を尽くしていくべきだというふうに強く思ったので、この点につきましても第三者のしっかりとした御判断を仰ぎたい、こういう思いで、調査チームの中でしっかりと御意見を述べていただくことができ、また調査についてもしていただくことができるようにしてきたところでございます。  こうした一連の流れの中で、中間報告につきましても、この間、なるべく早くお出しした方がいいという思いで、お医者さんに関わることですので、これは慎重にしていくべき事柄ではありますし、命に関わった事柄でありますので、丁寧にやっていく必要がある。こういう中で、しかしながら、記憶がだんだん薄れてくるということもありますし、やはり、なるべく早く中間報告を出した上で、その先に更に調査を加えて、そして分析、検証を加えながら、最終、こうした事案が二度と起こらないようにしていくということがこの調査チームのミッションということでございまして、尽くしてきたところでございます。  ビデオの記録をどのように御判断なさるかということにつきましては、今、理事懇、理事会で委員の先生方が御審議をいただき、長くこうしたことについて御議論いただいているということについては承知をしているところでございますし、また、今日も、そのようなことにつきましては、政府としても、また法務省としても、また法務大臣としても大変重く受け止めている状況でございます。  最終報告をしっかりとお出しをする、客観、公正にお出しをするということで、私自身も、いろいろな意見を述べたいところではあるんですけれども、そのことについては、この場におきましても、最終報告の結論を是非とも待っていただきたいということで、しかも、それについても迅速に出させていただきたい、こういう形でお願いをしてきたところでございます。  もとより、命に関わる部分を扱っているということの仕事をしているところでございますので、そういった客観、公正な事実につきましての、まず第三者を入れた形で最終報告に鋭意努力をさせていただき、私も大臣としての責任の中でこれを指示してきているところでございますので、是非、その最終報告に向けて努力をするということについて御理解をいただきたいというふうに思っております。
  144. 義家弘介

    義家委員長 階猛君、おまとめください。
  145. 階猛

    ○階委員 はい。まとめますけれども、事務方から先ほど聞いたところだと、七月ぐらいまで最終報告はでき上がらない、こういうお話でしたよ。それだと法案が、もう審議が終わっちゃうんですよ。国会が閉じちゃうんですよ。だから、私たちは、次善の策として、今すぐできること、ビデオの開示を求めているわけです。  それから、今日は取り上げませんでしたけれども、遺族も求めています、ビデオの開示を。  ビデオ開示は引き続き取り上げていきますけれども、先ほどの説明では全く不十分だと思っていますので、大臣が決めればできることですから、理事懇に提供することは。なので、大臣判断是非やっていただきたい。今日、名古屋の刑務所の問題が初めて出たので、それも踏まえて再検討していただいて、次回また質問するときにしっかりお答えいただきたい。その答え次第では、またこの委員会で不毛な時間が費やされてしまうということを申し上げまして、質問を終わります。
  146. 義家弘介

    義家委員長 次に、藤野保史君。
  147. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  私も、名古屋入管スリランカ人女性の死亡事件についてお聞きしたいと思います。  そして、先ほど来お話が出ておりますが、山花委員から大変貴重な指摘をいただきました。私も議事録を読ませていただきましたけれども、やはりこれは、今、階委員から法務大臣への姿勢を問う質問がありました。同時に、私もこの議事録を読んで思ったんですが、やはりこれは立法府の矜持が問われているというふうに思います。午前中、伊藤委員からもこの問題で質問がありました。委員長からも、度々、この問題の重要性が指摘をされております。  まさに、立法府として、与野党を超えて、これは必要なんだということの判断をやはりすべきだと思うんですね。なぜそれができないのか。当時の質問者、これは与野党を問わないわけでありますし、もっと言えば、このときは矯正局長とか、局長さんも御覧になっているんです。法案審議とおっしゃるんですけれども、法案審議をするというのであれば、それに関わる者はすべからくこれを見るべきだし、それほど大事な問題だというふうに指摘をしたいと思います。引き続き、この問題は与野党協議になっておりますので、私も強く開示を求めていきたいと思います。  その上で、今日は、この女性ですね、この方は、同居していたスリランカ人男性から暴力を受けていたということが明らかになっております。DV被害者なんですね。このことは中間報告からもうかがえます。  配付資料の一を見ていただければ、中間報告の三ページ、左側では、恋人に家を追い出されてということを、警察に出頭した経緯として入国警備官に話しているということが紹介されていますし、右側の二十ページには、仮放免申請の際に、その理由書の中に、暴力を受けている旨、そして、スリランカに帰ったらあなたに罰を与えるなどと書かれた手紙が届いたためスリランカに帰国したくない旨などが書かれている。暴力という言葉が出てくるわけであります。  配付資料の二を見ていただきますと、これは報道ではよりリアルに報じられております。毎日新聞のオンラインの四月二十二日、これは、Aさんが先ほど言った仮放免申請の下書きに書いたものが報道されているんですね。  黄色く塗っているところですが、私、彼氏から長い間殴られた、犬みたいに家の中で怖くて待っていました。ビザがなく、怖くて仕事を辞めていました。彼に家賃と食べ物のお金半分上げる、できなかったから、私も要らないと言われたと。  もう一つは、入管まで私に手紙来ました。彼氏すごい怒るとき厳しいになります。私がスリランカで探して罰やることと、あと、スリランカにいる彼氏のファミリーのみんな、私帰るまで復讐やるために待っていること書いてあった。  こういうことなんですね。つまり、この方がDV被害者であることはもう明らかだと思います。  そして、DV被害者に対して法務省入管庁はどう対応するかというのは、これは二〇二〇年度版の白書、出入国在留管理白書を読ませていただいたんですが、ここの六十九ページにこう書いてあるんですね。  二〇〇八年一月に、ちょっと略しますけれども、DV防止法の一部改正が施行され、これに合わせて法務省を含む関係府省で作成した配偶者からの防止及び被害者の保護等のための施策に関する基本方針を踏まえ、出入国在留管理庁は、〇八年七月、独自に措置要領を制定しており、DV被害者を認知した場合の適切な対応を求めてきたとあります。  入管庁、確認しますが、こうした措置要領を出されて対応してきたわけですね。
  148. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のDV措置要領というものを入管庁として作成をし、それに基づく運用をしておるところでございます。
  149. 藤野保史

    ○藤野委員 実績をお聞きしたいんですが、入管庁にお聞きしますが、名古屋局において、二〇一七年、一八年、一九年の間、こうやってこの措置要領の下で把握された外国人DV被害者の数を答弁ください。
  150. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  名古屋出入国在留管理局におけるDV事案の認知被害者は、二〇一七年で二十二人、二〇一八年が二十五人、二〇一九年が二十二人でございます。
  151. 藤野保史

    ○藤野委員 今答弁していただいたのは、配付資料の三の、これは白書の数字であります。  続いて、配付資料四を御覧いただきたいんですが、これが、今答弁ありました、当時ですけれども、二〇〇八年七月、法務省入管局が策定した、いわゆるDV被害、DV事案に係る措置要領というものであります。  これは、「基本方針」というのが2のところにあると思うんですが、「基本方針」には、「配偶者からの暴力は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害であり、人道的観点からも迅速・的確な対応が求められていることにかんがみ、DV被害者の保護を旨とし、在留審査又は」、ここが大事なんです、「退去強制手続において、DV被害者本人意思及び立場に十分配慮しながら、個々の事情を勘案して、人道上適切に対応しなければならない。」、こう書いてある。退去強制手続なんです。まさに今回の手続なんですね。  一枚めくっていただいて、「共通事項」というのがあります。ここの一のところに、「在留審査又は退去強制手続においてDV被害者又は」、ここも重要なんです、「DV被害者と思料される外国人を認知したときは、DV事案内容等について事情聴取を行うなどし、その事実関係を可能な限り明確にする。」、そして、その下のところには、「事情聴取は、DV被害者等の母国語を解する職員が行い、又はDV被害者等の母国語の通訳を介して行うとともに、柔和な態度で不安感を払拭するよう留意するものとする。」とあります。  入管庁にお聞きしますが、AさんはDV被害者又はDV被害者と思料される外国人なんですね。この措置要領にあるとおり、入管庁として、事情聴取、これは行ったのか。例えば、違反調査等の際に、母国語の通訳、これはついていたんですか。
  152. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  これまでの調査で把握している限りでございますが、まず、亡くなられた方が警察から入管に引き渡された直後に行いました入国警備官による違反調査におきましては、シンハラ語の通訳がついておりました。  その後、御本人から一月四日に仮放免許可申請がなされまして、その中に御指摘の、スリランカ人の彼氏から暴力を受けた旨の内容が記載されておりましたが、その頃以降に入国警備官から御本人と面接するなどした際には、通訳という意味におきましては、通訳人をつけて話を聞くということはなかった状況でございます。  さらに、御質問の、亡くなるまでの一連の経過を通じて、御本人について、入管当局として、DV被害者に当たるものとして特別な対応を取ったという事実は認められていない状況でございます。
  153. 藤野保史

    ○藤野委員 通訳がついたのは一番初めのときだけということでありまして、それ以降は特段の対応を取ったという事実は認められていない。これは四月二十日の池田議員の質問にもそう答弁されているんですけれども、法務省、そして名古屋局でも、実際にこの措置要領に基づいて毎年二十人以上の方をDV被害者として対応してきているわけであります。この通達の中にも、様々な形でそういう手続準備されている。  紹介したいんですが、この措置要領の四ページのところにあるんですけれども、退去強制手続、まさに今回の手続であります。ここの「身柄の措置」というところに、「DV被害者である容疑者に対して退去強制手続を進める場合は、当該容疑者が逃亡又は証拠の隠滅を図るおそれがある等、仮放免することが適当でないとき、又はその他の理由で仮放免により難い場合を除き、仮放免(即日仮放免を含む。)した上で所定の手続を進めるものとする。」とあるんです。まさに、退去強制手続を進める場合でも、仮放免した上で当該手続を進めろという、措置要領にそう書いてあるわけですね。何でこういう手続がされなかったんですか。
  154. 松本裕

    松本政府参考人 委員指摘の視点から、あるいは亡くなられた方の健康状態を踏まえて、なぜ仮放免をしなかったのか、その判断が適切であったのか否かというところを現在調査しているところでございます。
  155. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、今、答弁、その前にしましたけれども、要するに、DV被害者としては対応していない、特段の対応をしていないと。これが私はそもそもおかしいと思うんです。自分たちが決めたルールで、仮放免して退去強制手続をやりなさいと言っているわけですね。実際、そういう実績もある。ところが、この事案ではそういう運用をしていないわけです。なぜなんですか。
  156. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の視点で仮放免をしなかったという評価につきましては、まさに今調査をしているところでございます。  ただ、我々の現時点で把握をしている限りでは、委員指摘の、DV被害者という認識で何らかの対応を取っていたという事実は現時点では認められないというところでございます。
  157. 藤野保史

    ○藤野委員 それ自身がこの要綱に反しているんですよ。だって、ちゃんと調べろと書いてある。例えば三ページ、まあ一ページでもいいですが、幾つもあるんです、これ。あらゆる段階できめ細かい対応を求めているんですね。  例えば、一ページの真ん中あたりですけれども、「その手続においては、DV被害者が心身共に過酷な状況に置かれていたことに十分配慮し、DV被害者の心身の状況等に応じてきめ細かい対応を行うものとする」と。そして、地方局等は、警察、婦人相談所、NGO団体等と連携を図り、そして通訳人の確保とかについて相互に協力するよう努めるものとするとかですね。要するに、やはりDV被害というのは大変深刻だ、こういう認識の下に、きめ細かい対応というのを自分たちで書いているんですね。  ほかにも、例えば三ページの下のところには、立証資料等の提出が不十分なまま許可申請等があったときはその旨を付記した上で本省に請訓する、これもあります。つまり、DVというのは加害者が協力しないとなかなか明らかにならないケースもあるわけですね、ほとんどと言ってもいい。だから、そういう立証資料の提出が不十分な場合であっても本省と連携しろということが書かれているわけですよ。  ですから、DV被害者との認識がなかったということそのものが、この事案で問題になるんですよ。そういう認識はあるんですか。
  158. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  最初の仮放免申請で、亡くなられた方が先ほども申し上げましたような被害を訴えられていたという事実を前提として、委員指摘の指針、あるいは、繰り返し申しておりますが、亡くなられた方の健康状態等を踏まえて、なぜ仮放免をしなかったのか、収容を継続したのかというところにつきましては、しっかりと検証しないといけないと思っているところでございます。
  159. 藤野保史

    ○藤野委員 検証というより、理事会でもいろいろ、容体が悪くなられてからのことは仮放免について問題になっていますが、これは要するに、法務省自身が定めているルールとの関係で、私は聞いているんです。それについては、先ほど特段の対応をしていないという答弁、もう結論が出ているみたいなことを言うわけですよ。それは違うだろうと。  中間報告によると、二〇二〇年の八月十九日には逮捕して、翌二十日には収容令書を発付して、翌二十一日には退去強制令書収容しているんですよ。ほとんど、DV被害者であるということをきめ細かな対応という形でやっている形跡が、中間報告から全く見られない。  元々、私は、この段階でこの人は、退去強制手続に乗せるにしろ、乗せるべきじゃないとは思うけれども、乗せるにしろ、仮放免すべきだったと。あなたたちが決めたルールに書いているじゃないですか。なぜそうしなかったんですか。
  160. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  名古屋入管局が、彼氏から暴力的な行為を受けているという点を認識したタイミング、さらには、それを認識した上で、委員指摘のようなDV案件という形で対応を取っていないその理由、あるいは、繰り返しになりますが、健康状態等を踏まえて、あるいはコロナ禍での対応という状況の中で、仮放免をしなかった理由、相当性というところについて、今調査をしているところでございます。
  161. 藤野保史

    ○藤野委員 全く答えていないです。  じゃ、大臣にお聞きします。  要するに、法務省自身が出したこの措置要領が実践されていないわけですよ。この措置要領からすれば、私は、仮に退去強制手続に乗ったとしても、仮放免されるべきだったと思うんです。大臣、そう思いませんか。
  162. 上川陽子

    上川国務大臣 今のような、状況がどうだったのかも含めて調査を更に継続しているということでございますので、第三者の目線もしっかりと踏まえて、この点につきましても、先ほど来の答弁のとおり、しっかりと対応すべきというふうに考えます。
  163. 藤野保史

    ○藤野委員 いやもう、本当に人ごとというか、自分たちが作って、かつ運用もしているわけです。毎年二十人以上の方がこうやって保護されている、白書に出ているわけです。これは私、評価したいと思うんです。それがなぜこの事案で適用されなかったのか、幾ら聞いても分からない。その結果として命が失われているわけです。この重みが大臣答弁から出てこないというのは極めて残念です。  これは大臣、今後明らかになると思いますが、この自ら定めたルールが守られなかった、その結果、人一人の命が失われた。少なくとも、この責任について、大臣はどのようにお考えですか。
  164. 上川陽子

    上川国務大臣 今まさに調査チームがこの点につきましても調査をしているということでございます。今の委員の御指摘については、これは、この委員会の中での御審議も含めて、重く受け止めさせていただくところでございます。  今まさに調査をしているということでありますので、その調査結果、最終的な調査結果、しっかりとまとめ上げる、このミッションをしっかりと達成してまいりたいというふうに思っております。
  165. 藤野保史

    ○藤野委員 配付資料の五を御覧いただきたいと思うんです。  これは、Aさんと面会を重ねていた真野明美さんから御提供いただいた、亡くなられたウィシュマさん御自身が書いた手紙やイラストであります。中間報告でも紹介しているのが一月二十七日の手紙でありまして、これが配付資料の五であります。  黄色く塗っているところを紹介しますと、「まのさん。わたしの びょうき ぜんぶ おわりに して ちゃんと テストも やって くすりも もらって ここで びょうき おわりに するように がんばって げんきに まのさんの うちに きます。まのさんに もんだ」、問題だと思いますが、「もんだ あげたくない から」、こういうものなんですね。  一枚めくっていただきまして、配付資料の六は、これは中間報告では紹介していないんですが、同じ年の一月二十日の手紙であります。  左の上の方に、「あなた かいた の てがみ みた。わたし うれしい なりました。シンハラご がんばって かいて あった。きれいです。」。  これは、支援者の真野さんが、この亡くなられた方の母国語であるシンハラ語で、収容されている彼女に手紙を出された、そのことへのお礼なんです。その下にはシンハラ語でいろいろ書かれている。  右の方には、「まのさん きものう」とあります。「きものう」と日本語で書いてあって、ローマ字で「(kimono)」と書いてある、そして英語で「Japanese Traditional dress」。「きものう すき ですか。わたし 一かい も きものう を dress して ない。いっしょうに きものう を dressing して 二人 で しゃしん(photo) を やりたい です。」  ちょっと下の方に行きますけれども、「まのさんの おたんじょうび の とき 十一がつ二十三にち(on your birthday) きものう を いっしょうに して いる みたい です。できればね…」、こういう手紙なんです。  そして、配付資料の七ですけれども、これがその手紙に添えられていた、彼女自身が描いたイラストであります。恐らく彼女が着物を着ている。  本当に、こういう方だったんだということがよく分かります。  配付資料六に戻っていただいて、下の方のやつですけれども、こう書いてあるんですね。  「ほんとう に まのさんと いっしょう に いろいろ やる と おもって いる ときも ここる いたい おわり に なります。」、多分、心が痛いのが終わりになりますと言いたかったんだと思うんですね。「まのさん ありがとうございます。」と書いてあります。  そして、その下に、「わたしの paintings すてないでね… まのさん… わたし きたら みる できるね…」、こう書いてあります。一緒に着物を着て、このイラストを一緒に見ることを願っていたけれども、その願いはかなわなかった。  大臣、こういう方が仮放免されずに死に至ったと。入管庁が自ら作ったルールを守っていたら、私は、こういう結果にならなかったと。  大臣、遺憾というふうにこの間、答弁されております。私は遺憾では済まないと思うんですね。私は心からおわびすべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  166. 上川陽子

    上川国務大臣 私は、この方の死亡が私どもの施設であったということについて、命を預かる施設でございますので、大変重く受け止めさせていただきまして、この事案につきましては特に早い段階から調査をするよう指示をし、そして、第三者の目線もしっかりと入れながら、特に体調が極めて厳しい状況まで至ってしまったということ、その間、医療ということ、また、外の病院も含めまして、どういう状況なのかということを調査をしっかりとするということに力を入れるようにと指示をしてきたところでございます。  私、遺憾という言葉を発したつもりはございません。大変重く受け止めて、命に関わること、そして、亡くなられたということについては大変重く受け止めさせていただいていると申し上げてきたところでございます。  亡くなられた方、そしてまた、遺族の方に対しましても、日本の中でこうした状況になったということについて、どんなに切ない苦しい思いをしていらっしゃるのかということを考えると、私自身も胸がいっぱいになります。心からのお悔やみとともに、二度とこうした事態にならないようにしていくためのしっかりとした調査を踏まえ、改善に向けて尽くしていくということが極めて大事であるということであると同時に、真相を究明して、御遺族の方にもお伝えするということ、このことは極めて大事なことだというふうに思っておりますので、その点につきましてもしっかりと調査を尽くしていくということが大切というふうに考えております。
  167. 藤野保史

    ○藤野委員 時間が来ましたけれども、要するに、自らが作ったDV事案に関するルール、これも守れていなかったのではないか。  今日、ちょっとできませんでしたけれども、配付資料でつけていたのは、仮放免の運用方針もいまだに黒塗りを外さないんですね。どんな仮放免ルールを作っていたのかは徹底的に秘匿する、こういう入管庁に更なる裁量権限と罰則というものを与える、こういう改正案、これは絶対認められない、このことを強く述べて、質問を終わります。
  168. 義家弘介

    義家委員長 次に、串田誠一君。
  169. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  私は、質問通告は、連休もありましたので、昨日の午前中、朝一番に出させていただきました。ただ、今日の八時からの理事懇で、ビデオは見せられない、記録は見せられない、血液検査は手書きで写してほしいということで行ったわけでございまして、こういうようなことですと、質問通告どころか、質疑もこれを前提にしてできないですよ。  血液検査も、私もいろいろ審議をして、聞きながら、書き写したんですけれども、一月二十五日には、検査結果のうち、低いと認定されたのが一です。高いと認定されたのが六で、あとほとんどが基準値だったと。ところが、最後の三月六日、亡くなられたとき、体温三十七度ですから、恐らく亡くなられる直前なのかどうか分かりませんけれども、低いというのが十八、高いというのが二十三、合計四十一で、基準値を探すのがほとんど見つけられないぐらい、血液検査が異常な数字になっているじゃないですか。にもかかわらず、中間報告では、まさに詐病のような書きっぷりになっている。  前回から、このスリランカ人女性の名誉、名誉と言っているんですけれども、名誉を毀損しているのは法務省じゃないですか。私たちは、こういう、詐病じゃないんだ、本人が本当に苦しんでいるんだということを明らかにして、名誉を回復しようと思ってやっているんですよ。だから、全ての資料を見させてください、名誉を回復するためにやらせてくださいとお願いしているんじゃないですか。  先ほどから審議時間が足りないという指摘もありましたけれども、審議すべきじゃないんじゃないですか、大臣。今、インド型が大変な状況になっているわけですよね。どうやって、これ、入管でインド型を阻止するのか。アメリカはいち早く、五月四日から、二週間、インドに滞在した人は入国禁止と打ち出しているじゃないですか。それに、オリパラに関しても、ワクチン接種するんだと言っているけれども、完全にそれで阻止できるわけではないのはデータで出ていますよね。さらに、オリパラの時期に変異株がどういうふうに変化されているか分からない中で、今のワクチンがそれに対応できるのかどうかも分からないわけでしょう。それを今議論するのがこの時期じゃないんですか。  衆議院でこんなことをやっていたら、これでまた参議院に行って、また十時間、何時間といってこの議論をして、大事な国民を守る、あるいは選手も守る、こういうような議論をしないで、この入管法をやり続けているというのは、何の理由があるんですか、大臣、教えてください。ワクチンだとか、インド型のコロナだとか、そういうものを阻止するための議論ではなくて、こちらを優先する必要がある、その理由を、大臣、お答えください。
  170. 上川陽子

    上川国務大臣 これは、長年にわたりまして、長期収容の問題等におきまして、センターのところで長い間いらっしゃる方々がいらっしゃるということで、これに対しまして、検討会の方から、しっかりと解決すべきだというような御提言をいただきました上で、力を入れて取り組んできたところでございます。  外国人方々、今コロナということで、御指摘がございましたけれども、そういう状況の中にありましても、大変厳しい状況に置かれているということでございます。また、この法律も一日も早くお通しいただきまして、しっかりと対応していく必要があるということでございます。  今、様々な、この入管に関わる、あるいは水際に関わる課題や問題、これにつきましては、しっかりと一つずつの課題に向き合って対応していく必要があろうかというふうに思いますが、全てが極めて重要なことであるというふうに認識をしております。
  171. 串田誠一

    ○串田委員 在留外国人が反対しているんじゃないんですか。  今国民が、この新型コロナのインド型だとかで、入管で本当にしっかりやってもらいたいと言っているときに、この最終報告書が出てくるのは七月なわけでしょう。そうしたら、その後に審議すればいいじゃないですか。新型コロナのインド型だ、あるいは、オリパラの入国の問題だといって国民が大変心配しているのをそっちのけで、何で最終報告も出ないうちにこんな審議をずっと続けているんですか。今度また参議院にこれを移すんですか。どっちが大事だと大臣は思っているんですか。もう一度お答えください。どっちが大事だと思っているんですか。
  172. 上川陽子

    上川国務大臣 出入国在留管理庁は、あらゆる案件につきましてきちっと対応していく必要がある、今そういう役割を担っているものでございます。どれ一つ、これの方が優先だ、これの方が優先だと申すことができないぐらい様々な案件の中で、誠心誠意対応させていただいているところでございます。  今、変異株のお話がございまして、これにつきましては、政府を挙げての取組ということでありますが、水際を預かる者としては、その意味でのしっかりとした水際対策を徹底していくということが必要でありますし、また、国内におきましても、様々な課題を、人権の問題も含めまして御相談もありますので、こうしたコロナにおきましての対応につきましては、どれもこれも大切な案件としてしっかりと対応していく必要があろうかというふうに思います。  その意味では、全力で、法務省挙げて、どの案件につきましても真摯にしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。
  173. 串田誠一

    ○串田委員 全く、どっちが大事かというときに、これは、即日公布で施行するわけじゃないでしょう、数か月先でしょう。今、医療体制が、重症患者の病床が逼迫している中で、これ、インド型が入ってきたら本当にどうなるかというようなことで、みんな心配しているわけですよね。数か月も先の施行を今やって、毎日毎日心配している今の国民を後回しにするのはおかしくないですかというのを聞いているんですよ。それでもまだ、これをやる必要があると大臣は思っているんですか。  この結果が、もしもインド型が増えたりした場合には、これは、もうさんざん私、こうやって申し上げているし、ほかの委員も申し上げているわけですから、これに対する責任は大臣も感じるということでよろしいですか。
  174. 上川陽子

    上川国務大臣 今の御質問、インド株のお話がございました。これにつきましては、政府全体として、水際対策も含め、また国内に入ってからの隔離も含め、またその後の様々な、クラスター等の危険性、リスクもしっかりと対応しながら、これはもう待ったなしで対応すべき事柄であるというふうに認識をしております。
  175. 串田誠一

    ○串田委員 残念ながらちょっと価値観が違うので、質問を変えますけれども。  三月六日に、今申し上げましたように、血液検査というのはもう異常なぐらいな状況ですよ。まず、その異常なぐらいおかしいというのは認めていただけるんですか。
  176. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  亡くなられた日の血液検査の結果の数値が通常ではないということは認識し、その内容について、別途、お医者さんに意見を伺っている状況でございます。
  177. 串田誠一

    ○串田委員 ここまで血液検査が異常な数値を出しているということは外形的にも相当ひどい状況だろうなということで、ビデオを見させてくださいという話をしているわけですよね。  この中で、どうして、この亡くなられる二日前の三月四日、このスリランカ人女性を、治療等、診断をしてもらった先が精神科なんですか。
  178. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  それまでの、中での内科の先生、あるいは外での内科的な診察、さらには、整形でしたか、中での、体がちょっと痛いということで診てもらったところ、特段悪いところが見当たらない中で、精神面に起因する可能性も中のお医者さんから指摘をされて、一度精神科で診ていただこうということになったと認識しております。
  179. 串田誠一

    ○串田委員 本当に今の答えは失礼だと思いますよ。  特段どこも悪いところが見えなかったと。一月二十五日の血液検査と三月の六日の血液検査というのは、もうめちゃくちゃに変わっているわけでしょう。何でこの間、血液検査さえもしないんですか。具合が悪いと本人が言っているわけだし、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━血液検査をすれば一発でこんなに状況が悪いと分かるじゃないですか。何でそれもしないで精神科に行って、そして中間報告は適当に引用してあたかも詐病のような書き込みをしている。こういうようなことをまた最終報告でやるんじゃないかと。  だから、最終報告を見られないぐらいだったらビデオぐらいは見させてほしいというのが、野党筆頭がずっと申し上げていることじゃないですか。それを、何も見せないで、そして、血液検査もこんなに異常だというのを認めながら、大したことがないから精神科に連れていきました。こんなの、遺族の方が聞いたら、本当に残念ですよ。  ところで、先ほど、伊藤議員からも、シンハラ語という、通訳の話がありましたし、今DVで藤野議員からもありましたが、苦痛を訴えているときに、通訳というのは、一体、この状況のときに、何日配置し、何時間その通訳からその状況を把握していたんでしょうか。
  180. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、通訳人の配置的な意味合いでございますが、入管収容施設におきましては、通訳人を職員として配置していないため、被収容者が症状を訴えた際には、主に看守勤務者が症状を聴取することとなっております。  ただし、一般論といたしまして、被収容者が日常会話程度の日本語を話すことができない場合には、通訳人を介して症状を聴取するという運用となっているところでございます。
  181. 串田誠一

    ○串田委員 質問通告には、何日で何時間ですかという質問通告をしているんですよ。
  182. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  亡くなられた方につきましての収容日数は約二百日、初日を算入して百九十九日となりますところ、その間の通訳の使用状況について、網羅的、正確な把握をしてお答えすることは現時点では困難でございますが、現時点で把握可能な範囲においては、合計七回通訳を使用しておりまして、各回の通訳使用時間は十五分から三時間程度の間であったと認識しております。
  183. 串田誠一

    ○串田委員 今聞いていただいておりますように、刻々と状況が悪くなっていて、私たちが手書きで筆記したところですと、前回の質疑でも申し上げましたが、私、ここの中、胸を指して、大丈夫じゃない、これが二月二十五日です。次は二月二十六日、私、大丈夫じゃないと。  先ほど大臣もおっしゃられたように、やはり、どういうふうに痛いのかというのは、私たちだったら幾らだって描写できるじゃないですか。呼吸したときに胸が痛いとか、胃がもたれるとか、朝方が痛い、夜が痛い、呼吸すると痛い、食べ物を食べると痛い、飲み込むと痛い、いろいろなことを言うことによって、大体七割から八割は病名が分かるというような記載も私は読んできました。そして、胸が痛いというのは、たくさん、狭心症も含めまして十以上の病名がずらっと出るんですよね。  そういうようなことを訴えたくても訴えられるような通訳がいない中で、仮放免もしないでずっと収容しているというのは、そもそも人道上の問題にはならないんですか。通訳というものを本当に軽んじていると思うんですよ。御自身の痛いところ、苦しいところというのを訴えられるような状況にするということが人道上なのであって、それができないんだったら仮放免するしかないじゃないですか。そういう運営をしてこなかった。今後はそれはしっかりと行うということなんですか、この改正は。  五十四条には、健康上、人道上と書いてあるんですよ。これは健康上というもの以上に、やはり自分の訴えを聞いてもらえない、自分が、日本人がほかの国に行ったときに、痛いと言ったものを日本語が分からないといってずっと放置されていたら本当に悲しいし、ひどいなと思いますよね。  通訳が置かれていないというのはもう人道上の問題であって、これは一時的に仮放免をすべきであった事案だということでよろしいですか。
  184. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  現在、当庁の調査チームにおきましては、亡くなられた方と名古屋入管局とのコミュニケーションというところも含めて、さらに、それに限らず、内部、外部の医師、医療機関名古屋入管局がしっかりコミュニケーションを取り、さらには、亡くなられた方の病状に応じて適時適切な対応を取るとともに、仮放免した場合の例えば支援者の下での支援内容医療的対応内容等を確認するなどして、より積極的に仮放免可能性を追求する必要があったのではないかとの視点で調査を行っているところでございます。
  185. 串田誠一

    ○串田委員 その調査を見る前に何かどんどん進められるというのはおかしいじゃないですかと言っているんですよ。  今回のこの法案改正の中に五十五条の八十二というのがあって、「死亡の通知」というのがあって、被収容者が死亡した場合には、その遺族等に対し、その死亡の原因、日時並びに交付すべき遺留等を速やかに通知しなければならないと書いてありますよね、速やかに。亡くなられたのは三月六日ですよね。  だから、こういうようなことを改正しましたというようにして出されても、現実の運営はまだ死亡原因が特定できていないわけでしょう。速やかになっていないじゃないですか。こうやって書いた上で、法律を通して、運営はこういうふうにして、原因を特定しないでそのまま放置する、そういうような方針なんですか。
  186. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  今回、亡くなられた方の収容を継続していた点、仮放免をしなかった点については、現在、調査を行っているところでございます。  ただ、その上で、改正法につきましては、それぞれの制度の組合せによって、入管が直面している課題対応したいというものでございます。
  187. 串田誠一

    ○串田委員 先ほどの仮放免もまだ仮放免すべきかどうかというのが分からないと言っているんだったら、この五十四条で仮放免を一時的にするんだと書いていながら、現場では結局は仮放免しないということになるじゃないですか。  何で、この事案を見て、仮放免すべきかどうかと今の段階でまだ決断できないんですか。
  188. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  これも繰り返しになりますが、当庁といたしましては、従来から、仮放免判断に当たりましては、健康状態を適切に考慮する方針としておりました上、当時、コロナ禍への対応として、仮放免の積極的な活用を行っていたことを十分に踏まえて、亡くなった方の収容を継続した事実をきちんと調査し、検証する必要があると思っているところでございます。
  189. 串田誠一

    ○串田委員 時間にもなりましたが、今本当に大事な水際作戦として、国を守らなきゃいけない入管審議、本当に、コロナ国民から遠ざける、守るという審議大臣、させてくださいよ。これを申し上げまして、終わりにしたいと思います。
  190. 義家弘介

    義家委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十六分散会