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2021-04-23 第204回国会 衆議院 法務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十三日(金曜日)     午後二時四十六分開議  出席委員    委員長 義家 弘介君    理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君    理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君    理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君    理事 階   猛君 理事 大口 善徳君       井野 俊郎君    大塚  拓君       神田  裕君    黄川田仁志君       国光あやの君    小林 鷹之君       武部  新君    出畑  実君       中曽根康隆君    野中  厚君       深澤 陽一君    藤原  崇君       本田 太郎君    盛山 正仁君       吉野 正芳君    池田 真紀君       寺田  学君    中谷 一馬君       松田  功君    松平 浩一君       山花 郁夫君    吉田 宣弘君       藤野 保史君    串田 誠一君       高井 崇志君     …………………………………    法務大臣         上川 陽子君    法務大臣        田所 嘉徳君    法務大臣政務官      小野田紀美君    政府参考人    (法務省刑事局長)    川原 隆司君    政府参考人    (法務省人権擁護局長)  菊池  浩君    政府参考人    (出入国在留管理庁次長) 松本  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官)  浅沼 一成君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君    法務委員会専門員     藤井 宏治君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   深澤 陽一君     本田 太郎君   山下 貴司君     武部  新君   屋良 朝博君     松田  功君 同日  辞任         補欠選任   武部  新君     山下 貴司君   本田 太郎君     深澤 陽一君   松田  功君     屋良 朝博君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案内閣提出第三六号)      ――――◇―――――
  2. 義家弘介

    義家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長川原隆司君、法務省人権擁護局長菊池浩君、出入国在留管理庁次長松本裕君、外務省大臣官房審議官赤堀毅君、厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官浅沼一成君及び厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 義家弘介

    義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 義家弘介

    義家委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。寺田学君。
  5. 寺田学

    寺田(学)委員 寺田学です。  質疑時間をいただきまして、ありがとうございました。  限られた時間ですので早速質問に入りたいというふうに思いますが、少年法に引き続き、非常に人間の人生を左右する大事な法律だというふうに捉えております。難民法難民条約、そういうところまで遡って、この法の持つ意味というのもしっかりと自分の中で捉えて、質疑を準備しました。  難民条約を締結したとき、昭和五十六年四月の衆議院外務委員会ですけれども、当時の伊東正義外務大臣が御答弁をされております。様々御答弁されているんですが、その趣旨として、「この条約議定書を締結し、難民の保護及び救済の充実を図ることは、難民問題の解決のためのわが国の国際協力を拡充する観点から望ましい」と考えるんだという、本当に大きな、崇高な理念と役割を携えて、しっかりと仕組みがつくられていっていると思いますし、そもそもですけれども、在留資格がない人であっても、もちろん、難民を認定したり、いわゆる在留特別許可という制度をあえて設けて日本国在留する仕組みをつくっているという意味は非常に大きいと思いますし、その趣旨というものに立脚した上でこの法律議論というものはなされるべきだというふうに思っています。  法律によってつくられる仕組み自体がしっかりとしているのか、整合的なのか、理念に基づいているのか、はざまがないのかということも大事ですし、私は、やはり何よりも、それを執行する運用が適正に行われているのか、そしてまた、かなり多大な裁量を持たせるような現行法になっていますし、今提案されている改正法もそうなっていますけれども、その裁量を任せることができる、信用に足る入管庁であるのかということがまずは問われることだと私は思っています。  法律改正法案仕組み疑問点議論することも大事ですけれども、まずその前に、本当に託せる入管運用になっているのか、組織になっているのかということはしっかりと議論したいと思いますし、その後に法律疑問点、論点を議論したいというふうに思っています。  人権局に、今日、来てもらいました。  私も歴史的なことをいろいろ見ているんですけれども、昔、出入国管理庁法務省ではなくて外務省外局に置かれていたと。法務省入国管理局に改組された理由について、六三年二月の参議院法務委員会で、当時の入管局長はこう答弁しているんですが、外国人上陸拒否ないし退去強制事務というものは、やはり外国人居住権とかあるいは在留権に対する重大な制限でございまして、運用のいかんによりましては基本的人権に関連する問題ともなるわけでございまして、人権擁護の府である法務省に所管させるのが一番適当であるというのが理由になって、法務省外局になっている、外局というか、今その中になっているということであります。  今回、人権擁護局に来てもらいましたけれども、法務省設置法法務省組織令の中において、第四十六条、組織令の中ですけれども、この人権擁護局は、「調査救済課は、次に掲げる事務をつかさどる。」ということで、「人権侵犯事件に係る調査並びに被害救済及び予防に関すること。」「人権相談に関すること。」ということですが、局長に御質問しますけれども、まず、在留資格のない外国人というものは人権局所掌範囲に入っているか。確認です。
  6. 菊池浩

    菊池政府参考人 お答えいたします。  法務省人権擁護機関におきましては、人権を侵害されたという被害者からの申告等を受けて、人権侵犯事件として調査を行い、事案に応じた適切な措置を講ずることとしておりますが、被害者からの申告がなされた場合、在留資格のあるなしにかかわらず、ひとしく人権侵犯事件調査救済手続の対象となります。
  7. 寺田学

    寺田(学)委員 しっかりと守られるべき人権を、在留資格があろうともなかろうとも、法務省として所管しているというような御答弁でした。はっきりしましたので。  在留資格のあるなしで、守られるべき人権というものは変わるものなんですか。
  8. 菊池浩

    菊池政府参考人 お答えいたします。  在留資格のあるなしによって人権範囲に違いがあるかといいますと、在留資格がないことによって法令に基づいて制約を受ける部分を除いて、人権範囲基本的に違いはないと考えております。
  9. 寺田学

    寺田(学)委員 この前提を基に、この議論というのは進めなきゃいけないと私は思います。  法案審議、中身を議論する上で、先ほども申し上げましたけれども、大前提です、入管庁入管の業務、現実が本当に信頼足り得るものなのかということが、今国民からも問われていると思います。  具体事例は、今日お手元にもお配りをしましたけれども、スリランカ人女性が死亡された事件。累次にわたってこの委員会でも先日議論されましたけれども、今、中間報告が出されて、最終報告に向けてまとめているところだということで、昨日の時点で、司法解剖は終わっているんですかということを聞いたところ、まだ把握していないという話でしたけれども、これは大臣質問しませんけれども、今日急に、事務所のポストにぺろんと一枚入っていました。こっちが昨日通告で聞いているんですよ。そして、重要な話ですよ。こちらも質問をもう一回練り直している段階で、その重要な情報に関して、こっちが聞いていることですよ、ポストにぺろんと入れているだけなんですよ。もうその取扱い自体に対して、まずは抗議しますよ。  そういうやり方をしているので、こちらも聞きたいんですけれども、まず、昨日の時点で分からないと言っていましたけれども、司法解剖が終わったと、法務省はいつ把握しましたか。
  10. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  一昨日でございます。
  11. 寺田学

    寺田(学)委員 昨日の時点で分かっていたんですか、じゃ。法案審議をやることだって分かっていたでしょう。
  12. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管庁といたしましては、一昨日の夕方の遅い時間に司法解剖の結果を把握いたしました。  その上で、御指摘の件について申し上げますと、本日のこの審議に備えまして、午前中、チェックを、御質問内容等々を確認をしておりましたところ、質問レクの際に一部の先生から司法解剖の結果という点について変化があれば教えてほしいという御指摘があったという形で私が認識をいたしました。それを受けて、部下に対して、そうであればその結果について至急連絡を取れる先生方にお配りをするようにという形で指示をしたものでございます。
  13. 寺田学

    寺田(学)委員 その対応の是非については、また後でやります。  今日お手元に配っていますけれども、複数報道で、このスリランカ人女性が亡くなられた件に関して報道がなされました。その中のTBS報道を刷った上でお配りをしているんですが。  まず、そもそも論を聞きますけれども、入管自体収容者に対して、健康に生存していくため、生存してもらう、生きていてもらう、そういう義務入管は負っているんですか。
  14. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管収容施設は大切な命を預かる施設でございまして、被収容者の健康を保持するためには社会一般医療水準に照らして適切な医療上の措置を講ずること、また、そのために必要な医療体制を整えることは出入国在留管理行政責務であると認識しております。
  15. 寺田学

    寺田(学)委員 そういうような姿勢と対応を整えるということではなくて、もう一個踏み込んで、健康で生きていてもらうために最善を尽くす、そして、生きているということに対しての義務を負っていますかということです。
  16. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  収容者につきましては、繰り返しになりますが、大切な命を預かる施設ということの前提として、先生の御指摘のようなところは入管責務として果たさないといけないところだと思っております。
  17. 寺田学

    寺田(学)委員 私のことを引用されましたが、先生のおっしゃるところというのはどういうところですか。
  18. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  病気になればそれに対して手当てをすればいいというだけのものではなくて、収容者がその収容施設内での生活において健康を維持する、その責務入管として負っているということでございます。
  19. 寺田学

    寺田(学)委員 繰り返し聞いたのは、昨日、レク段階で、もしそれがないと言ったらどう質問されますかというようなレクを受けました。どういうふうに固まっているのか分かりませんけれども、ここははっきりさせてください、本当に。  報道がありました。今日お配りしている、多分二枚配っていると思いますけれども、報道、「独自」という、「「仮放免必要」医師入管指摘スリランカ人女性死亡直前に」ということです。  その記事の中で、実際に診療された精神科医の方が実際に法務省に、入管に出した書面TBSとして入手しています。それに何が書かれているかということを書いているのが御参考までにお配りしたことです。この中に、書類を入手したと。アンダーバーを引いている二つ目ですけれども、患者仮釈放を望んで心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげればよくなるということが期待できる、患者のためを思えばと続いています。こういうことをちゃんとその書類に書いたとこの医師報道に対して言っているわけですよ。  裏返して見てほしいんですけれども、これは、今まで法務省が出した中間報告の、医師診察結果記載書面において書いていることを中間報告にどのように引用しているのかというのを、複数のものを載せたものです。  上の方は二月五日の状況についてですが、これも消化器内科医師診療結果記載書面ということで届け出たものに関して、中間報告の中では、一番下ですけれども、貴院にて継続医療をお願いしますという、かぎ括弧引用として使っています。その次ですが、二月十八日もそうですが、甲医師が作成した診療情報提供書ですけれども、それにも、一番下です、精神的要因につきまして、御高診願いますというのを、かぎ括弧引用として使っています。  表にある、実際に、最後、亡くなる二日前に診療した精神科医の方が出した書類の中には、まさしく先ほど申し上げた、患者仮釈放を望んで心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげればよくなることが期待できるというようなことを書いているにもかかわらず、裏返して見ると、じゃ、中間報告には何と書いているかというと、丁病院精神科医師は、これは表面のニュースに出ている医師ですけれども、Aが訴える症状の出現時期などが、Aが帰国希望から日本への在留希望に転じた時期と合うことから、「例えば、」これは池田真紀さんもやりましたけれども、病気になることにより仮放免してもらいたいという、「例えば、」ということで、そもそも、今まで、医師判断に関してはかぎ括弧をつけて、こうやって中間報告引用しているのに、何でこの、亡くなる直前精神科医部分だけは、かぎ括弧も使わず、かつ、池田さんの質疑でも明らかになっていますけれども、医師が言っていない「例えば、」という言葉を入れて中間報告をまとめたのかということです。物すごい疑問を持ちますよ、これ。  まず一つずつ確認しますけれども、報道にももう既に書類として入手されていますけれども、この精神科医が出した書類の中に、診断書ですよね、診察結果記載書面には、患者仮釈放を望んで心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげればよくなることが期待できるという記載がありましたか、ありませんでしたか。
  20. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  記載がございます。(寺田(学)委員「ごめん、聞こえない」と呼ぶ)記載がございます。
  21. 寺田学

    寺田(学)委員 記載があるのに、何でこのときだけ、「例えば、」なんて言ってもいない言葉をつけ加えた上で、引用もしていないんですか。
  22. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘診療情報提供書は、外部病院診察された先生から収容施設内の先生に宛てた、診療結果の情報の引継ぎ的なものでございます。その中に、先ほど記載されておりますと申し上げた記載とともに、その外部先生の見立てといいますか、診断についての考え方が示されているところでございます。  当庁といたしましては、亡くなられた方の名誉、プライバシーの関係から、その記載内容をそのまま中間報告として提示するのは適切ではないのではないかと思いまして、記載しなかったところでございます。
  23. 寺田学

    寺田(学)委員 そういうことを言われると思って、わざわざ作ってきたんですよ。ほかのときに言っているじゃないですか、自ら、かぎ括弧ですよ。発言発言というか記載内容括弧ですから、伝聞ですよ、そのまま切り抜きですよ、引用。貴院にて継続治療をお願いしたいと思います。かぎ括弧閉じですよ。これは二月五日。二月十八日、精神科的要因につきまして、御高診願います。括弧閉じ。  こうやって引用しておきながら、今プライバシーだ何だと言いましたけれども、何で、この一番大事な、仮放免したらよくなることが期待できるという精神科医診断だけ載せないんですか。何でそのときだけプライバシーだと言うんですか。大事な話でしょう、これ。仮放免したら、本人が望んでいると、患者仮釈放を望んで心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげればよくなることが期待できる。物すごい大事な診断じゃないですか。何でこれだけは引用しないんですかと聞いているんですよ。なぜこれだけ引用しないか、教えてください。
  24. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げました診療情報提供書には、委員が先ほどの御質問で御指摘になられた記載に限らず、それ以外の記載もございます。その点を含めてそのまま記載することにつきましては、亡くなられた方の名誉、プライバシーに影響を及ぼすのではないかと配慮した結果でございます。
  25. 寺田学

    寺田(学)委員 聞き方を変えます。  今参考人も認められたとおり、この記載が、報道のとおり、あったということでした。  患者仮釈放を望んで心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげればよくなることが期待できるということは、重要な記載であると思いますか、重要ではない記載だと思いますか。どっちですか。
  26. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  一概に、重要、重要でないということは、御指摘の点のみでは判断できないと思っております。この診療情報提供書記載内容全体で、どういう点を中間報告として取り上げるのかというところを判断した結果でございます。
  27. 寺田学

    寺田(学)委員 だから、その結果として、この一文、先ほど申し上げたところは重要じゃないと判断したんですか。中間報告記載するほどの重要性がない、報告するほどのことではないという判断だったんですか。イエス・オア・ノーですよ。
  28. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  我々が中間報告で取り上げるべき内容判断いたしましたのは、中間報告記載しているとおりでございます。
  29. 寺田学

    寺田(学)委員 中間報告に載せるべき内容ではないと判断したんですかと聞いているんです。イエス・オア・ノーです。
  30. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘部分をそのまま記載することは適切ではないと判断いたしました。
  31. 寺田学

    寺田(学)委員 適切ではない理由は何ですか。
  32. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘記載内容に関連する部分記載と併せて、総合的に判断した結果でございます。
  33. 寺田学

    寺田(学)委員 もう報道機関がお持ちになっていますけれども、当該医師が提出されたこの診療情報提供書理事会の方に提出していただきたいというふうに思いますが、御協議いただけますでしょうか。
  34. 義家弘介

    義家委員長 後刻、理事会で協議いたします。
  35. 寺田学

    寺田(学)委員 その上、池田さんが質疑もしましたけれども、「例えば、」と、この当該医師記載もしていない事項を書かれて一般化されていますけれども、仮放免の必要性に対して、「例えば、」という言葉で。この「例えば、」というのは誰が記載したんですか。
  36. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  中間報告を作成しました出入国在留管理庁でございます。
  37. 寺田学

    寺田(学)委員 あなたはそれのことについて、当然ながら、「例えば、」と記載されていることに対して認識をし、それを了解しましたか。したとすれば、理由を教えてください。
  38. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  同庁の次長として認識し、了解をいたしました。
  39. 寺田学

    寺田(学)委員 了解した理由を教えてください。
  40. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  先ほど述べましたとおり、診療情報提供書記載内容等から判断して、このような記載内容が適切だと判断した結果でございます。
  41. 寺田学

    寺田(学)委員 適切と判断した理由を聞いているんです。
  42. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  診療情報提供書委員指摘記載内容、その他のそれに関連する記載内容を踏まえまして、亡くなられた方の名誉、プライバシー等を考慮した結果でございます。
  43. 寺田学

    寺田(学)委員 大臣、冒頭申し上げたとおり、大事な法律ですよ。多大な裁量を与えていますよ、法務大臣法務省、そして入管。本当に命からがら難民として逃げてこられた方も、またそうじゃない方も様々いるかもしれませんし、在留特別許可制度も設けて、日本国として人道的に在留を認めるべき方もいるかもしれません。多大な裁量で、その裁量自体人生を左右するし、本当に多くの、何というんですかね、その人の人生そのものを左右しますよ。  そして、今回は生死まで関わりましたよ。亡くなられているんですよ。こんな説明で、この入管に多大な裁量を渡せと言われたって、そんなの無理ですよ。ちゃんと説明してと言っているんです、けしからぬとかそういうことを言う前に。ちゃんと、こういうふうにした理由は何ですかと。全部逃げていますよ、次長大臣、ここ、大事ですよ。ここの信頼が取られない限り、法律をどうやったって信用できないですよ。  大臣、お答えください。
  44. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の事案につきまして、この出入国在留管理庁におきましての大変重いことでございました。命に関わる施設でございますので、その意味で、私自身、客観的な調査をしていくということが極めて大事だと認識したところでございます。  公平性、公正に行うための第三者の方に入っていただきながら、しっかりと、その医療的な体制治療がどのように進んできたのか、そして、それに対してどのようにこの時間の中で対応してきたのか、また体調も日々変わっている状況でありますので、そういったことも客観的に出していくということが基本であるというふうに思います。  とりわけ、お医者さんに関する、診療と、そして治療、また診断治療、そして投薬、こういったことについては、体調と密接に関わることでありますので、私は、それに対してはしっかりとお出ししていくということが大事ではないかと思っております。
  45. 寺田学

    寺田(学)委員 それを踏まえて、今の次長説明で十分だと考えていますか。
  46. 上川陽子

    上川国務大臣 今の、診断書そのものエビデンスそのものがお医者さんの極めて高い見識の中での内容でございますので、私自身、その資料そのものを見たということがございませんので、今日初めて御指摘をいただきましたが、その点につきましては、今のような全体観の中で書くべきことであるというふうに思います。ゆめゆめ、例えばというようなことで解決できる話ではないというふうに認識をしております。  今次長の方から説明をさせていただきましたが、次長の中で、今までのそのエビデンスの中でどのように書いていくのかということについては、やはりしっかりと書くべきことではないかというふうに思います。
  47. 寺田学

    寺田(学)委員 いわば、今、中間報告に抜け落ちている部分、抜け落ちているというのはこちら側の見方ですけれども、書かなかったという判断に対しては、書くべきであったということですか。
  48. 上川陽子

    上川国務大臣 括弧して全ての引用という形の書き方もあります。どのように書くかについてはいろいろ判断だと思いますが、必要十分に書かなければいけない、つまり、診療エビデンスですので、これはプロ、お医者さんが書かれた診断でございますので、プライバシー問題等部分をこちらに置いておいたとして、大事だということではありますが、それに係る極めて重要な情報だというふうに思います。  前の調査のところに引用しているという、この括弧が極めて重要なことだと私は思っておりますので、今回、中間報告の中でどのように判断したのかということについては今説明したとおりでありますが、この中間報告中間報告でありまして、いろいろな御指摘をいただいております。フォローしながら、また、最終報告に向けまして、しっかりと書き込んでいく、そして、皆様にそれについて診断をしていただくことが、第三者的にも大事ではないかと思います。  特に、最終報告に向けましては、これからそれをどう乗り越えていくのかということにも係ることでありますので、その意味で大変貴重な、重要なレポートである、こういう認識をしておりまして、指示をしたところでありますので、私としては、最終報告に向けまして、こうしたことについてしっかりと対応していくべきことだというふうに思います。
  49. 寺田学

    寺田(学)委員 直前診療された精神科医の方が、仮放免してあげればよくなるだろうと期待できるということを載せなかったということに対して問題意識を持つとともに、私がもっと問題意識を持っているのは、私は、あえて外していると思いますよ、これ。そういう体質ということに対して信頼性を置けないんですよ。しかも、いけしゃあしゃあと、さっき何と言いましたか。こういうときだけプライバシーを使いましたよね。自分たちに都合が悪いからでしょう。違うんですか。もう、ちゃんとやり直さなきゃ駄目ですよ。こんな体質を残したまま新しい法律を作って多大な裁量権を渡すって、そんなもの、立法府としてやったら恥ですよ。  大臣、ちゃんと信頼できる入管にするということがこの法律の大前提ですよ。それ以外にも、今度の機会でやりますけれども、余りにも制度設計が決まっていないことも多い。在特の在り方、手続に関しても、昨日聞きましたけれども、いや、これから省令で決めるので今の時点で言えませんと。そんな段階審議できますか。そういう状態の、そういう態度の入管の姿勢、入管の態度のまま、こんなもの審議できませんよ。ちゃんと改めるように指示してください、大臣
  50. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の事案につきましては、特に命に関わり、死に至ったということでありまして、本当に痛ましい事案でございます。  私は、外国の中でそうしたことになった御本人は、本当に心からお悔やみを申し上げますし、また、御家族や御遺族の方々の心痛も、家族を異国の地でということについては、真相解明も含めて、十分にその情報を得たいという気持ちを思うと、この中間報告もなるべく早く、また、最終報告に向けても早く出して、そして皆さんに是非その情報を共有していただきたいという思いで、かなり強く指示をして、しかし、その上で、客観性が大事ですので、その意味での第三者の目をしっかりと入れる、こういうことも指示して取り組んできたところであります。  一番初めにスタートしたときのこの思いというものについては、しっかりと信用していただくことができるようにしていくということについては、極めて重要なことだと思っておりますので、最終報告に向けまして、今の御指摘も含めまして、しっかりと対応してまいりたいというふうに思っております。
  51. 寺田学

    寺田(学)委員 時間が来ましたので次回に回しますけれども、難民認定と政務の在り方、あとは、手続の担保という意味で弁護士の同席が必要であるということ、在留特別許可の手続の在り方、山ほど審議すべき問いがあります。是非とも、先ほど理事会協議事項にもお願いしましたけれども、しっかりとした議論ができるような環境整備を委員長と両理事にお願いしたいと思います。  ありがとうございます。
  52. 義家弘介

    義家委員長 次に、中谷一馬君。
  53. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  寺田委員に続きまして、入管法改正案について政府三役の皆様方、そして参考人の皆様方に伺ってまいりたいと思いますので、真摯な御答弁をいただきますようによろしくお願い申し上げます。  私からは、まず、国連人権理事会特別報告者及び恣意的拘禁作業部会による公開書簡について伺ってまいります。  基本的な認識ということで問うていきたいと思っているんですけれども、この書簡では、入管法改正案に深刻な懸念が示されており、懸念事項に関して回答を求められていますが、今のところ、政府からは、本書簡において一方的に見解を公表したことについては、我が国として抗議せざるを得ません、その上で、我が国としては、本書簡の回答に際し、改正法案内容やその適正性について、十分に理解していただけるよう、丁寧に説明を尽くしていく所存ですと述べられているものの、質問には全く真っ正面から答えていなくて、懸念事項については回答が残念ながら現時点においてはされておりません。  そこで、本件について、彼らに代わって何問か確認をさせていただきますが、こちらは大臣に伺わせていただきますが、書簡に記載をされている、出入国管理における義務的な収容と新たな監理措置、司法審査の欠如、出入国管理における収容期間の上限の欠如、ノン・ルフールマンに関する懸念、子供に配慮したセーフガードの欠如に関する見解について、これはすれ違いの御飯論法みたいな話じゃなくて、真っ正面から回答される予定がありますか。教えてください。
  54. 上川陽子

    上川国務大臣 まず、特別報告者の共同書簡ということでございますけれども、今まさに審議をしていただいている入管法の改正案につきまして、移住者の人権保護ということの観点で幾つか御指摘がございました。そして、国際の人権基準を満たしていないようであるということでの懸念も表明されているところでございます。  ただいま幾つか御指摘がございましたが、その懸念のレベルはちょっと様々ではございますが、私は、どの項目につきましても、そうした指摘に対しては真摯に受け止めるべき事柄というふうに基本的に思いながら動いているところでございます。  事前に実は説明をするということ、日本の社会全体に関わってこれまで積み上げてきたことでございますので、その実態につきまして、政府の側からも話を聞いていただくということは、私は大事であると思います。その趣旨は紙だけでは得られるものではありませんので、そうした面談の機会というのは極めて重要だということでございまして、これは本当に事前に聞いていただければもう少し理解がいただけたかなとも思うところでありますが、実は、四月の六日に、国連人権高等弁務官事務所に対しましてその旨の申入れをさせていただきました。  そして、その際、国連人権高等弁務官事務所からは、日頃から特別報告者の皆さんというのは比較的市民社会側の御意見というのを非常に聞いていただいているところでありますが、是非政府側の、今この問題、所掌している側の意見についても耳を傾けるようにということで、そんなふうな促しもしていただけるというようなこともございました。  これから、この改正法案につきましてはこの国会でまさに審議ということでございますが、まさに国際社会との接点のところに係ることでありますので、更に説明を尽くしてまいりたいというふうに思っております。  共同書簡の具体的な項目につきましては、関係省庁がございますので、随時連携しながら、適切に対応してまいりたいというふうに思っております。項目についての一つずつについてもそのような方向で検討してまいりたいと思っております。
  55. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 済みません、非常に長い御答弁をいただいたんですけれども、私の聞いている結論には答えていただいていなくて、シンプルに聞きますね、これは回答していただけますか、回答していただけませんか。
  56. 上川陽子

    上川国務大臣 共同書簡、御指摘のこのことにつきましては、丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに思っております。適切に対応してまいりたいと思います。
  57. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 回答されるということで理解をしましたが、その回答内容というのは私たちにも公表していただけるものですか。
  58. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  委員の方々に限らず、世の中の方々に、国連との関係で可能な範囲で公表することとしたいと考えております。
  59. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 それはいつまでに回答される予定ですか。
  60. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  現在、この特別報告者からの共同書簡の内容を受けまして、我々におきます考え方等を整理しているところでございます。その点の整理ができ次第、相手方に、国連に対して報告等をするとともに、公表等に向けての必要な手続を取りたいと思っております。
  61. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 答えていません。いつまでに回答していただけますか。
  62. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  政府回答は、一般的なルールといたしまして六十日以内に提出することが推奨されているところでございますので、このルールに極力沿う形で対応したいと思っております。
  63. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 分かりました。  六十日以内に極力努力をして返答されるということなんですけれども、この書簡に書いてある内容というのは、事前に聞いてくれれば政府が答えられたのにみたいな答弁大臣がされていらっしゃいましたけれども、多分ここにいる多くの皆様も、みんな懸念していることです。みんな心配していることでありますので、やはり、しっかりと、侵害が疑われている行為に対して説明責任を果たしていただくというのは、政府において非常に必要だと思っておりますので、返答をしていただきますようにお願いを申し上げます。  そして、その答弁も、すれ違っているものが非常に政府答弁はいつも多くなりますから、そうじゃなくて、ちゃんと真っ正面から答えていただくような、まさに国際社会への信頼が得られるような回答を行っていただきますことを要望させていただきます。  続けて伺います。  移住者、庇護希望者など、当事者、特に子供に関する意見ということで伺ってまいりたいということを思っているんですけれども。  両親のいずれか若しくは双方が入国管理法違反で逮捕され、在留特別許可を求めたものの認められず、収容された後に強制送還。残された家族、特に子供は、そもそも日本でしか育ったことがなく、日本語しか分からない。親が強制送還された国に行ったこともなく、日本にしか生活基盤がない。にもかかわらず、親子が引き裂かれる。こんな事例が現実として起こっています。  本件に関して、これは政務三役の皆さん全員に伺わせていただきます。  まず、小野田政務官に伺わせていただきますが、政務官、私、二〇一六年の選挙公報を拝読させていただいたんです。その際に、「子供たちの未来に、本気!」「すべての子供を貧困・虐待から守る環境の整備」と記載をされておりまして、全ての子供たちを守る政策について情熱を持たれているんだなということを思いまして、私自身、非常に共感するところであるんですが、全ての子供たちを守る観点として、入管法に係る当事者、特に子供たちと直接お話をして声を聞かれたことはありますか。教えてください。
  64. 小野田紀美

    ○小野田大臣政務官 ございません。
  65. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 続けて、副大臣に伺います。  入管法に係る当事者、特に子供たちと直接お話をして声を聞かれたことはありますか。教えてください。
  66. 田所嘉徳

    ○田所副大臣 そのように直接声を聞いたことはございません。
  67. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 続けて、上川法務大臣に伺います。  大臣は、二〇一七年の衆議院選挙の公約に対して、「誰もが生き生きと活躍できる社会の構築」ということを掲げられておりまして、「困難を抱える子どもたちへの寄り添い型の支援」「差別・偏見のない「人権大国」の実現」ということを記載をされておりまして、困難を抱える子供たちへの対策や人権問題について情熱を持たれているんだなということを、文章を読んで伝わってくるわけですが、日本に生まれたときから在住している子供たちが、差別され、苦しい生活を強いられている現実があることに対して、入管法に係る当事者、特に子供たちと直接お話をして声を聞かれたことはありますか。教えてください。
  68. 上川陽子

    上川国務大臣 ございます。
  69. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 どんな内容でお話をされましたか。プライバシーに配慮する範囲で結構ですので、内容を教えてください。
  70. 上川陽子

    上川国務大臣 私の出身は静岡県でございますが、静岡の地域の中では、経済のレベルの中で、様々な外国人の方々が仕事をされ、そしてまた、この地で生まれ育った子供たちがいらっしゃいます。  多文化共生ということ、集住都市会議という大きな自治体のネットワークがありますが、特に浜松、また私も静岡でありますが、そういう中で、そういう子供たちに対して、日本語の課外活動をしたり、一緒にキャンプに行ったりという形で、大学生の皆さんが生き生きと活動をしていらっしゃったりする。そういう中で、地域の中でなかなか学校に行くことができずに悩んで、そして外で日本人の子供とけんかをしたりというようなところで、非常に苦しんでいる、お子さんだけではなくて、御両親もそういう状況の中で、つまり、地域社会の中でそうした場面がたくさんありまして、それを四世ぐらいの方々、三世、四世ぐらいの方々がサポートしていくというようなこともございました。あるいは、病院のところで、一緒に付添いをするというようなケースもありまして、それは、結構子供さんの方が親御さんが日本語が通じないのでサポートする、こういう場面もありました。  皆さん一生懸命、この異文化の中での暮らしに順応しようと一生懸命頑張っているということ、そして子供の存在がその意味で大変大きな比重を占めているということ、こういったことも、私も、NPOの組織の中の一員でありましたので、活動をやってまいりましたし、そして調査もしてまいりましたので、そういったことをベースに、今、いろいろな形で現実に起こっていることを考えさせていただき、また、ベストを尽くして頑張っていきたいなと思っているところでございます。
  71. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 るる御説明をいただきまして、ありがとうございます。  今のお話、そういう外国籍の方で、まさに多文化共生の中でどう順応していこうか悩まれている方々に対するお話ということで受け止めさせていただいたんですが、それはまさにこの入管法に関係される方の声という理解で大丈夫ですか。
  72. 上川陽子

    上川国務大臣 私がそうした声を聞いたのが、かなり前からリサーチをしながらやってきたので、入管法の方々の声を直接ということについては、入管法で困っているという意味での声を聞いたということはございませんが、元々、入管に関して非常に不安定な気持ちを持っていらっしゃるということ、このことは、もう何十人もいらっしゃるわけでありますが、実感はしております。
  73. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 私も、入管法の改正案、これを審議するに当たって、やはり当事者の声をちゃんと聞かないと審議に挑めないなと思ったものですから、私自身も子供たちを中心にお話を聞かせていただきました。  本当に想像を絶するような、本当に苦しい体験をされている子供たちが目の前に現実としていらっしゃいます。そして、それを救えるのは、まさにここにいらっしゃる皆様お一人お一人しかいらっしゃらないと思います。  そういった現実を踏まえてなんですけれども、この法案を進めていくに当たって、当事者の子供たちの話、是非、この入管法の改正案に関係する子供たちの話を、大臣、聞いてあげていただけませんか。
  74. 上川陽子

    上川国務大臣 そうした現場の声を聞かせていただくということについては、私も日頃から努めてきているところでありますので、是非そうした声を聞かせていただきたいと思います。
  75. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ありがとうございます。  この答弁を聞いて、多分、申し入れる方々なんというのもいらっしゃるんじゃないかなと思いますので、そういった対応があったときには真摯に御対応いただけたら非常にうれしく存じます。  ちなみに、田所副大臣、小野田政務官に伺いたいんですが、聞いたことがないという話だったんですが、先ほど大臣ともやり取りをさせていただいたとおりなんですけれども、やはり、当事者の声を聞くということは僕は非常に大事なことだと思っているんですね。是非、そういった申出があったときには、話を聞いてあげていただけませんか。
  76. 田所嘉徳

    ○田所副大臣 上川大臣、まさに現場の声をしっかり聞くようにということで、一筆書きキャンペーンを進めているわけでございます。私もいろいろ、矯正施設や更生保護を見てまいりましたが、非常に重要な、そういう子供たちの環境を知るということがあるんだということも分かっております。コロナで中断しておりますが、そういう機会をできるだけ取るようにして、また見てまいりたいというふうに思っております。
  77. 小野田紀美

    ○小野田大臣政務官 様々な方の声を聞くというのは非常に重要だと思っておりますので、お声は聞かせていただきたいと思います。ただ、日本は法治国家でございますので、感情ではなく、法に準じてしっかりと判断してまいりたいと思います。
  78. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 今のお話、聞かせていただきたいんですけれども、確認ですが、聞いてはくださるということですよね。
  79. 小野田紀美

    ○小野田大臣政務官 さようでございます。
  80. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ありがとうございます。是非聞いていただければと思います。  ここからはちょっと、政府参考人の皆さんに、というか、松本次長に伺わせていただきたいと思うんですが、お三方と同じ質問をします。入管法に関わる当事者、特に子供たちとお話、直接その子供たちの声とかを、この入管法に関わる方の声を次長は直接聞かれたことはありますか。
  81. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  私、今の立場になってからまだそれほど期間が長くないんですが、前に法務省の秘書課長をしておりました。その際に、収容施設を訪問し、あるいは、これは正規の在留者という意味合いでございますが、ちょうど、日本語教育、子供の日本語教育の重要性というものが指摘をされ始めた頃でございまして、そういうところに力を入れておられる施設を訪ねて、職員の方あるいはそこで学んでおられる方と意見交換等をした経験はございます。
  82. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ごめんなさい。答えていただいていないんですが、当事者の方々、若しくはその子供たちとお話をされたことはありますか。
  83. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  当事者といいますのは、入管法の違反をされた当事者という……(中谷(一)委員「違反をされた当事者でも結構ですし、それに関連して在留特別許可を求めたものの、それが受け付けられずに強制送還された親の子供たち、そういうことです」と呼ぶ)申し訳ありません。御指摘のような方との意見交換というものは、したことはございません。
  84. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 是非、皆さんが作っていただいている法案一つ一つ、人の人生が大きく左右をするものです。なので、やはり当事者の声を聞くというのは極めて重要なことだと思っています。  何でこんなことを聞いているかというと、まさに公開書簡で問われている、入管法改正案において、市民社会や弁護士会、移住者、庇護希望者、難民代表など、関係するステークホルダーとの間で協議が行われたことはございますかと。この協議というのは、一方的に何か情報発信したみたいな話じゃなくて、ちゃんと意見交換をする機会はありましたかということを聞かれていて、もしあるんだとしたら、その結果、提起された懸念事項についてどのような対応を行われたのかということが問われているので、その詳細を、是非ちょっと松本次長に伺いたいと思うんですが。  子供たち以外でも結構ですので、このステークホルダーの方々との意見交換の状況というのはどうなられていますか。
  85. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、この改正法案の策定に当たりましては、収容・送還に関する専門部会というところからの提言を踏まえて、その中での様々な御意見、御指摘を踏まえた改正内容となっております。  この専門部会では、大学教授、弁護士、NPO代表等の方々に委員に就任していただきまして、様々な御意見等をいただいたところでございます。さらに、ヒアリング等、関係者からも行っております。さらに、改正案策定に当たりまして、あるいは改正案を国会に提出させていただいた後につきましても、支援団体の方々、あるいはUNHCR、あるいは日弁連、あるいは行政書士会との協議というのを行ってきております。
  86. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 協議が行われているということなんですけれども、その結果、出入国管理及び難民認定法の、まさに、特に身体の自由の権利、拷問からの自由である権利、ノン・ルフールマンの原則及び本コミュニケーションで言及されているその他の側面に関して、国際人権法及び難民法の下での関連基準に沿ったものにするため、改正法案及び同法を徹底的に見直すために行った検討内容について教えてくださいということが書簡の中に書かれているんですけれども、これに対する見解はいかがですか。
  87. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の書簡というのは、特別報告者の書簡ということでございますか。(中谷(一)委員「はい、そうです、そのとおりです」と呼ぶ)申し訳ありません。その点につきましての御指摘記載があるところは認識しております。  かつ、特別報告者についての、まず手続論で、ちょっと国の意見も聞いてほしかったというところは申し上げたところでございますが、我々の考え方等々というところも先方に必要に応じて示す必要があるとは思っております。
  88. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 必要に応じてというのは、先ほどの、六十日以内にそのことに関する返答を行っていただけるという理解で大丈夫ですよね。
  89. 松本裕

    松本政府参考人 そのとおりでございます。
  90. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 はい、分かりました。  では、続けます。  次は、諸外国と日本難民認定の比較に関する政府見解について伺わせていただきます。  資料を配付をさせていただいておりますが、まず、これはG20の難民認定率ですね。日本が残念ながら最下位になっているというものです。そして続けて、OECDの難民認定率ということで、これは、三十七か国中、日本がワースト二番になっているというものであります。ゼロ%台の国というのは、OECD三十七か国中三か国のみでありまして、大量の難民や避難民を生じさせる国との地理的要因などは諸外国によって大きく異なるので、難民認定率のみを単純に比較するのは相当ではないと考えます、こういう趣旨答弁をよく政府サイドからいただくんですけれども、これだけ多様な地理的要因などを踏まえても最低レベルの水準であるという現実について、これは大臣に是非お聞かせいただきたいんですが、これを見ていただいて、御所感いかがですか。
  91. 上川陽子

    上川国務大臣 今のようにグラフがございますと、認定率、全体の母数もありますし、そのうちの中でどの人数が認定されるのかということもありますし、いろいろその国々の事情によってということでございますので、ちょっと一概に他国と比較するというのはなかなか難しいなというふうに思うわけであります。  やはり、難民については、条約に基づきまして、真に庇護すべき難民という形で、ここの下で、申請ごとに申請内容を審査した上で庇護していく、認定していくということでありますが、その積み重ねという形の中でございますので、結果が非常に低いということについては、率直にそのとおりだなというふうに認識をしております。
  92. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 いろいろな地理的要因的な話を言い訳のように使われるときがあるんですけれども、いろいろな地理的な要因を踏まえたとしてもやはり最低レベルであるという現実は、私たちは受け止めていかなければならないと思います。  その中で、ロヒンギャを抱えているミャンマー、クルド人問題を抱えているトルコ、国連人権理事会が深刻な懸念を示しているスリランカ、そしてチベット族住民問題を抱えるネパール出身者に対するグラフというものも配付をさせていただいているんですが、二〇一九年における難民認定者が、スリランカが一人、その他はゼロ人となっているんですけれども、日本政府としては、大量の難民、避難民を生じさせるような事情がこの四か国にはないとお考えですか。大臣の御所見を伺います。
  93. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  難民認定は、それぞれの申請者の事情に応じて個々に判断しておるところでございます。  その上で、委員指摘のそれぞれの国の情勢、状況という点につきましては、これは申請者からではなくて、平素から当庁におきまして、例えば外務省、あるいは例えばUNHCRの協力の下、あるいは我々の職員の海外派遣等を踏まえて情報収集を適宜しておりまして、それらに基づいて判断しております。  ただ、一概にどの国がどういう状況にあるという形で申し上げることは困難でございます。
  94. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 参考人、出てきた上に答えていなくて、あと、指名をしておりませんので、指名した大臣に是非お答えをいただきたいと思いますが、日本政府としては、大量の難民、避難民を生じさせるような事情がこの四か国にはないとお考えですか、それとも、あると考えていますか。教えてください。
  95. 上川陽子

    上川国務大臣 難民の認定に当たりましては、特定の国籍を有し、また特定の民族に属することのみに基づいて判断しているものではございませんで、申請者ごとにその申請内容をしっかりと審査した上で、難民条約の定義に基づきまして、難民と認定すべきか否かということについて個別に判断をしているという状況でございます。  様々な、認定の適正性とかを判断するために外部の参与員の方にしっかりと申請、認定を見ていただいたりという形で、認定の判断がしっかりと、しかも透明に行われるようにということで対応しているところでございます。  直近でいきますと、それぞれの国の、その方のバックグラウンドとなる国、地域におきましてどういう状況であるのかということについては、私どもの持っている情報だけではなくて、UNHCRのもちろん情報をいただき、また、そうした中で、判断もきっちりできるように、研修もUNHCRの指導をいただきながら随時やっているところでございまして、トータルとしてそうした能力をしっかりと高めた上で、更にこうした難民の認定申請におきましての対応をしてまいりたいというふうに考えております。
  96. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 残念ながら真っ正面から答えていただいていないんですね。明らかに、この四か国、問題を抱えていると思いますよ。だから、日本と比較をした資料を今お配りをさせていただいていますけれども、日本がほぼゼロであるのに対して、G7の諸外国が基本的に難民の受入れをやっているんですよ。なので、こういった状況を私たちはやはり直視をしていかなければならないんじゃないですかということを思っているんですが、大臣、もう少し踏み込んだ答弁、いただけませんか。
  97. 上川陽子

    上川国務大臣 難民が生じているそれぞれの国々の実情、こうしたことについては絶えず情報を収集していく努力、これは適正な、適切な難民申請に対して応えるためにも大事だというふうに思っております。  そのレベルにつきまして、非常に難民の認定が高い国々との情報交換も含めまして、しっかり対応してまいりたいと思っております。
  98. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 これ以上は問いませんけれども、やはりよく言い訳のように使われる、まさにこの大量の難民、避難民を生じさせるような事情がない国々みたいなことを表現としてされることがあるものですから、明らかにある国についてもそういう認識を持たれてしまうと、それはもう本当に難民にとっても不幸なことだなと思いますので、認識をしっかり持っていただきたいということを要望させていただきます。  そして、これはもう最後の問いになるかと思いますが、出入国在留管理庁のホームページ、これは資料をお配りをさせていただいております。入管法改正案のQアンドAという欄が設けられております。その文言の中について気になる箇所がありましたので、読み上げます。  「Q8 今回の入管法改正より先に、難民認定手続を出入国在留管理庁とは別の組織に行わせるなどして難民の保護を十分に行い、日本の低い難民認定率を諸外国並みに上げるべきではないのですか?」という問いに対して、「確かに、日本難民認定率が欧米よりも低いと指摘されることがあります。 しかし、大量の難民や避難民を生じさせる国との地理的要因などは、日本と欧米とでは大きく異なりますので、難民認定率のみを単純に比較するのは相当ではないと考えます。 なお、韓国は、日本と同様、年間約一万件以上の難民認定申請を受けていますが、難民認定数は数十件~百数十件程度です。」というものです。  これに対して改善の提案をさせていただきますが、欧米だけではなく、中南米や他のアジア地域と比べても日本の認定率は低いので、日本難民認定率がOECD諸国でも最低水準、若しくは日本難民認定率がG20でも最下位という表記の方が正しいのではないかと思いましたのと、OECD諸国でワースト二番の日本が、同じく認定率ゼロ%台のOECDワースト三位の韓国と比較されてもアンサーに説得力が全くありませんので、OECDの平均的な数値の国、例えばイギリスやアメリカなどと比較して適正なアンサーを答えた方がよいのではないかと思いますが、大臣、これらに対する記載の改善に対して所見を最後にお願いいたします。
  99. 上川陽子

    上川国務大臣 委員からの御意見は、御意見として受け止めさせていただきたいと思います。  日本の中で今までまとめてきた数字ということでございますので、ここではそのような形で記載されておりますが、意見として受け止めさせていただきます。
  100. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 是非改善をいただきますことをお願いを申し上げて、質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  101. 義家弘介

    義家委員長 次に、松平浩一君。
  102. 松平浩一

    ○松平委員 立憲民主党、松平浩一です。よろしくお願いします。  今回の入管法改正、これに当たって、私もいろいろな方それから団体の意見を聞きました。それで、皆さんこぞって言うのは、やはり日本の収容の制度が国連の機関から人権侵害だとよく言われているということをおっしゃるんですね。  そこで、今日は、何にどう違反しているのか、どういう人権侵害の状況になっているのかというところを確認というか議論させていただきたいなと思っています。  まず、人権に関する全世界的に非常に有名な規約として、国際人権規約というものがあります。国連で採択された規約で、その中に市民的及び政治的権利に関する国際規約というものがあって、これはB規約、自由権規約と呼ばれています。今からこれは自由権規約と呼びます。  じゃ、前提として、我が国はこの自由権規約の締結国となっているのか、確認させてください。
  103. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  我が国は、一九七九年に自由権規約を批准し、同規約の締約国となっております。
  104. 松平浩一

    ○松平委員 じゃ、締結国となっているということですけれども、締結国はどのような義務があるのか、どういうことをしなきゃいけない立場なのか、教えてください。
  105. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  我が国は、自由権規約の締約国として、同規約を誠実に履行する義務を負っております。  自由権規約は、思想、良心、宗教の自由、表現の自由、身体の自由、集会、結社の自由、移動の自由、参政権等のいわゆる自由権を規定しております。
  106. 松平浩一

    ○松平委員 分かりました。  じゃ、具体的に自由権規約九条一項を見てみましょう。これは資料としてお配りしました。  これはどう書いてあるかというと、全ての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する、何人も、恣意的に逮捕され又は勾留されない、何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われないと書いています。  そこで、我が国の入管の収容がこの自由権規約の九条一項に反する、つまり、九条一項が禁止する恣意的な抑留に当たるかどうか、ここの部分をちょっと検討したいと思うんですが、これは、今読んで分かるように、非常にざっくりとした規定なわけです。これはちょっとざっくりし過ぎているので、この規定の解釈が重要になってくるんですけれども、そこで、この解釈としては、国連の自由権規約委員会というのがありまして、ここが重要な役割を果たしています。  自由権委員会というのは、各国の規約の履行状況の監督をする委員会なんです。その委員会が、自由権規約の四十条四項に基づいて解釈を出しているんです。これは一般的意見というんですけれども、この一般的意見という解釈はどういうものか。私も、ちょっとこれは後で聞きたいんですが、一応調べたら、国際司法裁判所も、規約の適用を監督するために特に設置された独立の機関によって採択された解釈に対しては大きな重みを与えるべきというふうに言っていまして、それ相応の権威を持っていると言えるんじゃないかと思います。  そこで、我が国の収容制度はこの一般的意見に沿ったものになっているかどうか、これを確認したいと思います。  一般的意見三十五号パラグラフ十八というものを用意したんですけれども、これは資料二でお配りしています。これをちょっと読んでみますね。  二行目ですけれども、「当該抑留は、諸事情に照らして合理性、必要性及び比例性があるとして正当性が認められなければならず、」また、「期間の延長の際には再評価されなければならない。」こう書いています。これを、ちょっと便宜上、第一文目としますね。  第二文目としてはどう書いてあるか。ちょっと飛ばして、「決定に際しては、事案ごとに関連要素を考慮しなければならず、広範な類型の強制的なルールに基づくものであってはならない。」と書いています。これを、ちょっと便宜上、第二文目とします。  次、第三文目としますけれども、「決定に際しては、逃亡を防止するための報告義務、身元引受人又はその他の条件など、同じ目的を達成する上でより権利侵害の小さい手段を考慮に入れなければならない。」と書いてあるわけです。  じゃ、この自由権規約の一般的意見、解釈基準に沿っているのかどうか、お聞きしたいんですけれども、まず第一文目ですね。我が国の退去強制令書による収容は、「合理性、必要性及び比例性」、書いてあるやつです、ここを考慮しているのかどうか。また、我が国の収容の、無期限収容になっていますが、ここに書いてある「期間の延長の際には再評価されなければならない。」ここに反しないかどうか。どういう認識でいらっしゃるか、お聞きしたいと思います。
  107. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の一般的意見につきましては、法的拘束力を有するものではなく、そこに含まれております勧告的内容は、各締約国にその実施が法的に義務づけられているものではないと認識しておるところでございます。  ただ、その上で、現行の入管法の制度について申し上げますと、主任審査官が発付する収容令書等に基づいて収容することができる旨規定されておりますところ、主任審査官が被収容者の情状等を考慮して仮放免することができる旨も規定されているところでございます。  そして、実際の運用におきましても、個別の事情を考慮して、退去強制手続の当初から仮放免を許可し、実際に収容することなく手続を進めているところでございます。  さらに、収容された者は、いつでも主任審査官等に対して仮放免を請求することもできますし、収容又は仮放免に関する処分に不服があれば、行政訴訟を提起し、事後の司法審査を受けることが可能でございます。  このような制度上あるいは運用上の仕組みによって一般的意見の要請は担保されているんじゃないかと認識しておるところでございます。
  108. 松平浩一

    ○松平委員 一般的意見の要請は担保されているとおっしゃいましたか、自由権規約じゃなくて。
  109. 松本裕

    松本政府参考人 そのように申し上げました。
  110. 松平浩一

    ○松平委員 分かりました。  じゃ、第二文について、収容の際、「事案ごとに関連要素を考慮しなければならず、広範な類型の強制的なルールに基づくものであってはならない。」こちらに反するかどうか。これについてはどう考えますか。
  111. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  この点につきましても、先ほど御答弁させていただきましたように、個々のケースに基づいて、収容オンリーではございませんでして、仮放免等の制度がございまして、運用上も仮放免を活用しているところでございます。  そのような意味におきまして、委員指摘の一般的意見書の該当部分につきましても、我々は、制度上、運用上、その適正な内容は確保できているものと認識しているところでございます。
  112. 松平浩一

    ○松平委員 じゃ、引き続き聞きます。  先ほど便宜上第三文と言った第三文、「より権利侵害の小さい手段を考慮に入れなければならない。」これに反するかどうか。どうお考えでしょうか。
  113. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  ここも、重なるところではございますが、収容という手段に限らず、個別の事情に基づき、逃亡、罪証隠滅あるいは不法就労活動のおそれ等を考慮して、収容の必要が認められない者については、退去強制手続の当初から、あるいは途中から仮放免を許可し、実際に収容することなく手続を進めておりますので、この要請も、我々としては、制度上、運用上確保できているものと認識しているところでございます。
  114. 松平浩一

    ○松平委員 認識が私は全然違いますね。  まず、収容令書発付に当たっては、入管法の三十九条で、退去強制事由に該当するに疑うと足りる相当の理由のとき、収容できると書いていますね。つまり、第一文目の合理性、必要性それから比例性、これは全く考慮されていないわけですよ。だって、退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由でもう収容しちゃっているわけですから。  もっとひどいのは、退令による収容です。退令による収容というのは、入管法五十二条五項で、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで収容することができると、何にも考慮していないわけです。何にも考慮していないわけで、まさにこれは反していますよね、この文言に。  それから、もう一つ、期間の延長の再評価のところ。元々退令は無制限じゃないですか。当然期間の延長がないので、反していますよね。  ちょっとその辺、どう考えますか。
  115. 松本裕

    松本政府参考人 入管法におきましては、一連の退去強制手続におきまして、違反調査から送還に至るまで、仮放免等されない限り、対象者を収容することとしております。  まず、その理由につきましては、我が国に不法に滞在しているなどの入管法違反者を対象に行われる退去強制手続におきまして、その最終形でございます送還を可及的速やかに確実に行うことが求められているということが趣旨でございます。  ただ、委員指摘の自由権規約の一般的意見との関係で申し上げますと、収容に限った制度とはなっておりませんでして、個々の事情を考慮した上での仮放免という制度がございまして、実際の運用におきましてもこの仮放免を活用しております。さらに、収容の不服がある者につきましては、司法審査も受けることが可能でございます。このような形で申し上げているところでございます。
  116. 松平浩一

    ○松平委員 済みません、仮放免というのは、収容された後にその方を仮に放免するかの話であって、収容に際しての一般的意見の話とは違いますよね。この一般的意見で言っている合理性、必要性、比例性というのは、収容に際して正当性が認められなければならないという話であって、釈放する、つまり放免する際の話じゃないわけです。  ですので、今のは理由になっていないと思うんですが、いかがですか。
  117. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まさに委員指摘のように、収容が原則となっているところでございます。その上で、運用上、収容と同時に仮放免という対応を取っているところでございます。  ただ、委員指摘のように、収容が大前提という制度について種々の批判があることも承知しております。その点を踏まえまして、今回の改正法案におきましては、収容に代わる監理措置という制度を導入したいと考えているところでございます。
  118. 松平浩一

    ○松平委員 じゃ、今のお話だと、現時点ではこの一般的意見に反するという認識でいいんですか。
  119. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  反しているとは認識しておりませんが、より適切な対応というふうに認識しております。
  120. 松平浩一

    ○松平委員 いや、どう考えても、今言った一般的意見の文言に沿っていないわけですよ。先ほど第一文目の話をしていますけれども、第二文目のところも、「広範な類型の強制的なルールに基づくものであってはならない。」と書いてありますけれども、全件収容主義を取っているわけです。それで、第三文目の「より権利侵害の小さい手段を考慮に入れなければならない。」全く考慮していなくて、ほかの手段を考えずに収容しているわけですよ。  だから、反していないと考えるというのは、これは僕は無理筋だと思いますね、正直。無理筋だから、いろいろ国連から言われているわけなんです。だから、私はここは素直に認めた方がいいと思いますけれどもね。  自由権規約二条二項で書いてあるのは、この規約の各締結国は、立法措置その他の措置がまだ取られていない場合は、この規約において認められる権利を実現するために必要な立法措置その他の措置を取らなきゃ駄目と書いてあるわけですね。先ほど外務省も、この自由権規約について、条約を誠実に遵守する義務を負うとおっしゃっていましたよね。外務省、おっしゃられていましたよね、そうですよね。だから、これはちゃんと守らなきゃいけないと思いますけれどもね。  しかもですよ、先ほど、今回、監理措置を取ることにしたと言っていますけれども、監理措置も、条件がそろわなきゃやはり監理措置というのは外に出られないわけなので、基本、全件収容主義をやめていないわけです。  だから、この自由権規約を、日本が締結している条約を守れていない状況にあるので、守れていないんでしたら、僕はこれは破棄しなきゃいけないと思うんですけれども、どうでしょう。これは守る気がないのにポーズで締結しているということなんですか。ちょっと、どういった認識なのか教えてほしいんです。これは大臣、いいですか、大きな話なので。     〔委員長退席、山田(賢)委員長代理着席〕
  121. 松本裕

    松本政府参考人 まず私から、入管庁からお答えいたします。  入管庁としては、先ほど申し上げましたように、勧告そのものに法的拘束力等はないと認識した上で、その上でも、現行の制度運用はこの一般的意見に反するものではないと認識しております。
  122. 松平浩一

    ○松平委員 大臣、いかがですか。この文言を見ていただいて、一般的意見の文言を見ていただいて、やはりこれは反していないということでよろしいんですか。
  123. 上川陽子

    上川国務大臣 今、現行法の出入国在留管理法におきましても、また改正法案におきましても、収容の要否の判断におきましては適正性を確保して、運用におきましても、収容の必要がない場合には収容しない、こういう原則にのっとって運用をしております。その意味では、外国人人権ということについても配慮をしているところでございます。  入管法の内容、その運用が適正なものであるかということにつきまして十分に御理解いただけるように、今、いろいろな形で御指摘がございます、それぞれにつきましてはしっかりと耳を傾けながら、不断の検討と適正な運用に努めてまいりたいというふうに思っております。
  124. 松平浩一

    ○松平委員 私は、この文言に反しているかどうか聞きたかったんですが、ちょっと次に行きますね。  国連からいろいろな勧告が出されています。時系列に沿って、我が国の収容に関してどういった指摘とか勧告がなされているか見ていきたいと思うんです。  まず、自由権規約委員会、国家報告という形で条約締結国の自由権規約の履行状況、これをチェックしているんです。それで、二〇一四年七月に我が国も審査されまして、この審査によって、自由権規約委員会から総括所見というものが出されました。この総括所見はどういう位置づけのものか、教えていただいてもいいですか。
  125. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  自由権規約の締約国は、国連に対し同規約の履行状況を報告する義務を負っておりまして、その規約第二十八条に基づき設置された自由権規約委員会は、締約国から提出された政府報告を検討することとなっております。  実際には、委員会は、各国政府との対面の審査を行い、被審査国に対する勧告を含む総括所見を採択、公表いたします。  総括所見の勧告は、我が国に対して法的拘束力を有するものではございませんが、その内容については関係省庁において十分に検討するべきものと考えております。
  126. 松平浩一

    ○松平委員 ありがとうございます。十分に検討する必要があると言っていただきました。  今の答弁では出てこなかったんですけれども、この国家報告への総括所見というのは、一般的意見と違って当事国に向けられた勧告であるから、その国に対する事実上の指示というふうにも言われているんです。  この総括所見、一応資料を用意させていただきましたけれども、まず二行目から。十分な理由の開示もなく、かつ、収容決定に対する独立した再審査もないまま、行政による収容が長期化していることに懸念を有するというふうに言われていて、その下、収容は最も短い適切な期間内に行われ、かつ、行政収容以外の既存の代替措置が適正に考慮された場合においてのみ行われることを確保しと、そういうことを言われているんです。やはりここでも、全件収容主義それから無期限の収容について、自由権規約違反だと言われているわけです。  じゃ、次、恣意的拘禁作業部会による移住者の自由の剥奪に関する改定審議結果第五号というものがある。これは二〇一七年の一月に出されています。この作業部会の指摘の位置づけと効力をどのように捉えていらっしゃるか、教えてください。
  127. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  御指摘の改定審議結果第五号につきましては、人権理事会の決議に基づき任命された独立した専門家グループである恣意的拘禁作業部会が作成した見解でございまして、国連やその機関である人権理事会の見解ではございません。  改定審議結果は、我が国に対して法的拘束力を有するものではございません。
  128. 松平浩一

    ○松平委員 これは無視してよろしいんですか。
  129. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 こちらは、作業部会、独立した専門家グループの見解でございます。法的拘束力を有するものではございません。
  130. 松平浩一

    ○松平委員 我が国に対してはどうでしょうか。効力をどのように捉えていらっしゃいますか。効力は全くないということですか。
  131. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  繰り返しで恐縮ですが、人権理事会の見解でございませんし、国連やその機関の見解でございません。法的拘束力も、我が国に対してもございません。
  132. 松平浩一

    ○松平委員 じゃ、我が国は、これは無視していい、何も検討もしないでいいし、一顧だに考慮しなくていい、そういうことですか。先ほどの総括所見とは扱いが違うという意味ですか。
  133. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  発出元の位置づけが異なりますので、その見解についても異なった扱いとなります。
  134. 松平浩一

    ○松平委員 済みません、もちろんそうなんですけれども、我が国の扱いですね、この文書をどう扱っていいのかというところです。検討もする必要はないですか。
  135. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  検討する法的義務はないということでございます。
  136. 松平浩一

    ○松平委員 法的義務。それは法的拘束力はないですし、法的に検討しろと言われているわけでもないんでしょうけれども、我が国として、この文書が出されたことに対してどのような立場でいればいいんですか。どういうふうにこの文書を扱えばいいかというところを教えてください。
  137. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  内容は承知しておりますし、関係省庁にも配付しております。
  138. 松平浩一

    ○松平委員 関係省庁に配付しているということは、検討しろということでよろしいんですよね。そういう意味じゃないんですか。ただ単に配付しただけですか。
  139. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  検討する法的義務はございませんので、その上で、その文書を見て適宜対応するということだと思います。
  140. 松平浩一

    ○松平委員 適宜対応することだと思いますと。じゃ、対応するかどうかは各省庁にお任せするということですか。そういう意味ですか、今のは。
  141. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  そういう性格の文書でございますので、当省からそれに基づいた対応をお願いしているということはございません。
  142. 松平浩一

    ○松平委員 分かりました。じゃ、この改定審議結果第五号については、特に日本政府としては考慮しなくていいということですね。了解しました。  じゃ、次に行きますね。  二〇二〇年八月二十四日から二十八日の第八十八回会期において、恣意的拘禁作業部会で採択された意見、この意見が出ました。こちらについては、大臣、記者会見されているので、反応されているんです。資料五でお配りしているんですけれども。資料五で会見をお配りしていますね。  これは何かというと、どういった意見書かというと、トルコ人のヤンジンさんとイラン人のディマンさんの長期収容について、日本政府に出された意見書なんです。このヤンジンさんとディマンさんの身体の自由の剥奪というものがやはり自由権規約に違反するよと言われているわけです。  それで、その理由ですね。先ほどから何度も言ってきた理由と同じなので、恐らく、これはこの二人に限らず、長期収容された方全員が通報されたら全員に違法と言われてしまうんじゃないかなと思うんですけれども、この意見書について、大臣はこういった記者会見をされているんです。  それで、どういうふうに大臣はおっしゃっているかというと、まず、この四角で囲った箇所なんですけれども、我が国の出入国管理制度は、出入国管理及び難民認定法の定める適正な手続に基づき、適切に運用されていますというふうにおっしゃっているんですね。それで、そのような制度及び運用の下で行われた各事案による収容は、恣意的拘禁に該当しないとまずおっしゃっているんです。  ここなんですけれども、そもそも我が国の入管制度自体が自由権規約に違反すると言われているので、我が国の制度で適切に運用された収容は違反しないと言われても、これは全く説得力がないわけです。  それから、次、この恣意的拘禁作業部会の意見は、我が国の出入国在留管理制度を正しく理解せず、明らかな事実誤認に基づくものであり、到底受け入れることができませんとおっしゃっているんですけれども、私はこれを読んで、明らかな事実誤認に基づくものでありと断言されていらっしゃるので、これはてっきり、この出された意見書がこの部会で一方的に判断されたのかと思ったんです。しかし、私、意見書を読んだら、作業部会は二人に関する情報提供を求めたのだけれども、日本政府は事実関係の回答を拒否したんだと書いているんです。さらに、日本政府は手続に協力すべきとも、批判もされているんです。だから、情報提供を拒否しておきながら、事実誤認だと批判されるのはおかしいんじゃないのかなと思いました。  あと、意見書を読んでいて私は不思議だったんですけれども、これは事実誤認は全然ないと思ったんです。意見書は、収容の必要性とか合理性を個別に考慮せずに収容を行っていますよと。そして、収容の理由を本人に告げていないなどで判断しているんですね。だから私は、全くそのとおりで、事実誤認はないと思いました。  だから、これは、政府がどういうことでこういう形で主張されているのか、作業部会に異議申立て書を提出されているので確認させていただきたいなと思いまして、それで事前に法務省に資料請求したんですけれども、この異議申立て書は出せないとおっしゃられたので。  ただ、やはりこれは確認させていただきたいので、この異議申立て書をちょっと見せていただきたいんですけれども、これはいかがでしょうか。委員長、お取り計らいをお願いしたいんですけれども。
  143. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 後刻、理事会で協議します。  松平浩一君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
  144. 松平浩一

    ○松平委員 はい、そうですね。  是非、異議申立て書を見せていただいて、また更に議論を深めさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  145. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 次に、池田真紀君。
  146. 池田真紀

    池田(真)委員 立憲民主の池田真紀です。よろしくお願いいたします。  昨日の質問レクの後に、夜ですが、私は深夜近くなってから知ったんですが、先ほど寺田委員も言いました、ネットニュースの方で診療情報提供書部分について見たんですね。その確認からさせていただきたいなというふうに思っています。  松本次長には二十日のやり取りの際に確認をさせていただいていましたけれども、それとはまた異なる報道がされましたので、今現在の御認識を改めて伺いたいというふうに思っています。  まず、この診療情報提供書は、当然、入管手元にありますよね、入管宛てのものですから。
  147. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の、報道で取り上げられたものというところは我々確認できないんですが、入管庁として診療情報提供書というものを入手しているのは間違いございません。その点は、先ほど来から議論になっている内容記載されているものでございます。
  148. 池田真紀

    池田(真)委員 入管宛ての診療情報提供書ですから、報道された中身ではなく、診療情報提供書がさあっとカメラで映っていましたから、それを、ねじ曲げている報道ではないということをまず申し上げたいと思います。  それよりも、ねじ曲げているのではないかと思うところが、むしろ中間報告のまとめです。  中間報告の中の調査の、何というんですかね、概要ペーパーみたいなものがありますが、三月四日の部分でも、外部の精神科からのものについては、こちら、抗精神病のお薬と、あと睡眠導入剤を処方した、これは精神科ですからね。その後に、ここに、仮放免等のアドバイス、むしろ心理的な、まさに専門的なアドバイスがここには削除されているんですね。次、何もないから再診の予約だけ指示した。これこそ捏造じゃないですか。
  149. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員の先日の御質問の中でも、あるいは本日の当委員会での御議論でも、当庁がまとめました中間報告書の「例えば、」という記載が適切ではなかったのではないかと御指摘をいただいております。その点は受け止めております。  この「例えば、」と記載した理由は、確定的な診断ではなかったということを表すために用いた表現でございますが、様々な御指摘が先日も、あるいは本日もなされたことは重く受け止めております。
  150. 池田真紀

    池田(真)委員 何を言っているか分からないんですけれども、「例えば、」というのは書かれていると思うんですよね、テレビで、ぐっと動いたときに私も拝見しましたから。  ただ、一番肝腎なところ、例えば何を言いたかったのというと、本人が、そういったストレスの部分から、仮釈をした方がいいんじゃないかという表現があるわけです。それは期待できる。でも、出してみないと分かりませんよねということだったと思うんですけれども、そのこと自体をカットしちゃっているわけですよね。そのことが問題なんじゃないんですかということを私は申し上げています。  引き続いてそのまま行きますけれども、もう一つあるんですよね。TBSさんのニュースの中で資料提供がありましたけれども、ここの部分で、何で仮釈を、仮釈と今は言いません、仮放免ね、しなかったか、その理由を伺わせてください。予定はしていたというふうに後づけで中間報告になっていますけれども、いつ検討し始めたんですか。     〔山田(賢)委員長代理退席、委員長着席〕
  151. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  亡くなられた方は、二度、仮放免の許可申請を出されております。まず最初は一月四日に出されておりますが、この点につきましては、二月二十五日に不許可処分と決定されまして……(発言する者あり)二月十五日。翌二月十六日に、亡くなられた方にその旨が告知されました。  その理由といたしまして、不許可の理由といたしましては、亡くなられた方が不法残留となった後に一時所在不明となっていた経緯や、面会に訪れていた支援者を除いて本邦に身寄りがなく、所持金も僅かであったことなどを考慮して行われたものであります。  その後、二月二十二日に二度目の仮放免許可申請がなされましたが、この点については、亡くなられた時点におきましてもまだ判断がなされていないという状況でございました。
  152. 池田真紀

    池田(真)委員 いつから検討したんですか。中間報告には検討していたというふうに書かれています。精神科の医師がアドバイスをされましたよね。その前後どちらなんですか。
  153. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  二回目の仮放免申請につきまして、仮放免をすることも視野に入れてという形になりましたのは三月五日頃と認識しております。
  154. 池田真紀

    池田(真)委員 評価は後ほどということで、事実確認だけさせていただきます。  この診療情報提供書委員会に提出をお願いいたします。
  155. 義家弘介

    義家委員長 ただいまの件につきましては、理事会にて協議いたします。
  156. 池田真紀

    池田(真)委員 次、事実確認をまた少しさせていただきたいと思います。ちょっと振り返ってしまいますけれども、今日はお配りをしておりませんが、中間報告次長の方はお手元にあるかと思いますので、通告もしておりますので、お願いいたします。  二月十八日ですけれども、精神科の方に受診しましょうということについては、これは、今日配付の資料で一番最後のページにつけましたけれども、大村で亡くなられたときの事件のまとめとして、精神科の受診もした方がいいよねというようなまとめになっていましたから、そういったところを受けてのことなのか、それとも別の判断なのか、教えてください。
  157. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の大村のケースを受けた調査報告書の該当部分があるのは認識しておりますが、本件におきまして、外部の精神科での診療という経緯につきましては、直接そこの内容とは関係なく、状況を申し上げますと、二月十八日に庁内非常勤医師が、これまでの検査等で病名がはっきりとせず、整形外科的な異常はないことから、ストレスから自律神経のバランスが崩れ、食欲不振、吐き気又はしびれの症状が出た可能性を疑いまして、これらを踏まえて、外部病院、これは精神科での受診を指示したというのが事実関係でございます。
  158. 池田真紀

    池田(真)委員 次に、二月の二十二日ですけれども、今度は内科の受診、通訳なしでした。このときに、医師判断なのか、あるいは、本人の要望があるとかないとかということがあるんですけれども、受診の基本的なルールとして、本人の要望がなければやらないのかどうか、お伺いさせてください。
  159. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  受診の手続、あるいはその判断者でございますが、収容施設におきましては、被収容者本人から体調不良による診療の申出があった場合、あるいは看守勤務員や診療室の看護師等の職員が被収容者体調不良を把握した場合、被収容者申出書に基づき、施設幹部による所定の決裁、例えば、名古屋入管局におきましては、処遇担当の責任者である首席入国警備官の決裁を経るなどして医師診療を受けさせているところでございます。こうした診療は、庁内診療室の常勤医師又は非常勤医師により対応することが基本でございます。  また、庁内診療室の医師が被収容者の症状等を踏まえて外部医療機関における受診を指示した場合は、その指示に従って外部医療機関で受診をさせております。  なお、休日や夜間に急に体調の変化が生じた場合においては、当初から外部医療機関で受診させ、あるいは救急搬送しているところでございます。  これらの外部医療機関における受診につきましては、事前の決裁ではなく、施設幹部への事後の報告により対応しているのが運用の実情でございます。
  160. 池田真紀

    池田(真)委員 これは、名古屋入管の被収容者処遇規則というところで、医療については第三十四条に定められています。それがちゃんとできていたのかどうかということも含めて、事実確認だけさせてください。  二月の二十四日、看護師の指導でおむつ外しというふうになっていますね。おむつが外れましたよというふうになっておりますけれども、これは理由、もう事前にお調べいただくようお願いしてありましたけれども、理由をお聞かせください。
  161. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  お尋ねの点につきましては、看護師がこの時期に亡くなられた方へのリハビリを開始した理由と同様でございます。  すなわち、看護師は、亡くなられた方御本人が自力で食事やトイレを行おうなどとする意欲及び能力の向上を図る観点から、看守勤務職員に対しまして、今後おむつの使用を控えるよう指導するとともに、御本人に対するリハビリを開始することとしたものでございます。
  162. 池田真紀

    池田(真)委員 そういうふうにこの中間まとめでは書いてありますけれども、この看護師さんの記録だけで見ますと、この二月の二十四日には、もう既に、不整脈、リズム不整等が初めて認められています。そして、その後なんですが、おしっこが出ないとおっしゃっています。「ストローある?」もうストローあるという言葉が言えるということは、既にその前に導尿の経験があるということではないかと思われます。  続いて行きます。二月の二十二日から三月の四日まで受診をしていないんですね。なぜ受診をしなかったか、教えていただけますか。
  163. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  大きく二点ございます。その間、先ほども申し上げました看護師のリハビリが行われておりまして、食事の量、これは決して多くはございませんが、それ以前よりも食事、水分の補給というのが改善の傾向が見られていたというのが一つの理由。もう一つの理由が、外部の精神科の病院というところを予約をしようとしていたところでございますが、当たりをつけた病院がコロナ対応等でなかなか調整がつかず、調整がついた病院が、三月、済みません、八日でしたか、外部の精神科であった、こういう状況からでございます。
  164. 池田真紀

    池田(真)委員 とても、例えば容体に合わせたリハビリというのは当然ありますけれども、今次長がおっしゃっているような内容でのリハビリって本当に必要だったのかな、それよりも医療の方が必要だったんじゃないかなというふうに思いますが、そのことが検証もできません。  排せつの確認、そして、あとは食事摂取の確認、補水の確認、都合の悪いところは記録が一切ないんです、今回。なので、こちらの資料も提供してください、委員会に。
  165. 義家弘介

    義家委員長 ただいまの資料要求については、理事会で協議いたします。
  166. 池田真紀

    池田(真)委員 これは、医療が本当に適切に受けられたかどうかというところにもなります。  そして、続いてなんですけれども、この後、面会をお断りしています、三月の五日。そして、面会のできなかった理由というのは、本人が眠いというふうにおっしゃっていたということでありましたけれども、例えば、モニターを通してとか、カメラを通してのような面会は検討はされていなかったのでしょうか。
  167. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  そのような面会の方法は実施しておりません。  なお、先ほど私、三月八日と申し上げましたが、三月四日の間違いでございます。済みません。(池田(真)委員「何のこと」と呼ぶ)外部の精神科での受診でございます。
  168. 池田真紀

    池田(真)委員 次、これは中間報告でいいますと十八ページからになりますけれども、ここら辺、記録が結構細かく、安否確認をしましたよというのがほかのところに比べてかなり多く書いてあるんですね。看守の方の確認をかなり多く書いてあります。その割には表現が曖昧なんです。書いているところ、書いてないところがありますので、確認をしていきたいというふうに思っていますが、幾つか見当たるんです、入室をしてという表現のところ、そして、外から声をかけたというところ、そして何も書いてないところ。これでは検証のしようがないと思うんですね。  特に、このような、状態が悪化している中ですけれども、例えば、午後零時、これは亡くなる日ですけれども、この日は全量未摂取、食事、外のところに置かれている、入口ですね、そこにもう未摂取といったものを確認したにもかかわらず、室内のAさんに向かって外から食事を促しています。これは適切ですか。
  169. 松本裕

    松本政府参考人 亡くなられた方に対しましての収容の過程におきまして、特に御指摘の、亡くなられる直前入管職員の、我々の対応が適切であったのかどうなのかという点の評価、検討につきましては、まさに今行っているところでございます。
  170. 池田真紀

    池田(真)委員 第三者の評価は別として、自分たちで、正しかったか正しくなかったかは検証もできないんでしょうか。
  171. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まさに自らの問題と捉えて、その点について、今、検討あるいは事実の評価というものを行っているところでございます。
  172. 池田真紀

    池田(真)委員 どういった運用方針なのかというところを確認しているので、それが日常ですとか、こういう状況になったら医者を呼びますとか、そういった判断基準はないんですかということを聞いているんですね。全部、第三者の方に今お任せをしていますということでは、ちょっと無責任過ぎるのではないかと思います。  これは、その後に妙に書いてあるんです、「室外から」。一時三十一分も。しかも、そのときにセットで書いてあるのは、反応を示さなかった。そして、その後にもあります、一時五十分も、二時三分も、「室外から」、そして反応を示さなかった。反応を示さなかったら、普通は中に入るんじゃないんですか。  いろいろなケースはありますけれども、そういったときに、中に入るといったときに、第一発見になる、ならないのマニュアルは、それぞれのところにありますよ、生死を伴うようなときには。誰と一緒に行動するのか、どういう決まりになっているんですかということを聞いているんですよ。反応を示さなくて、もしかしたら命が守られたかもしれないのに、そのまま放置されているじゃないですか。モニターさえついていたんでしょう。モニターもついていたのに、何で中に入っていないんですか。ずっとですよ、このまま。反応を示さないということをずっと記録で書いているんですよ。そして、示し合わせたかのように、何か、この間にカメラで、モニター等を確認をして、何かを確認したから、四人そろえて入ったんじゃないんですか。
  173. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  入管収容施設運用上、容体等を踏まえて、必要な場合にはちゅうちょなく救急搬送等の対応を取るということになっております。  その中で、委員指摘のような、亡くなられた方の状況を踏まえて、我々の被収容者に対する対応として適切であったのかどうかという点について、まさに今、評価、検討を行っているところでございます。
  174. 池田真紀

    池田(真)委員 いや、すぐに救急車を呼ぶんだったというんだったら、その後になってから救急車を呼んでいるんですよ。もうその時点で違うんじゃないんですか、今次長がおっしゃっていることとは。違う運用がなされていたんじゃないんですか。そのことぐらい何で言えないんですか。  だから、どこかしらに、この中間報告だって、捏造じゃないかと思われるようなことばかり書いてあるじゃないですか。都合のいいことばかり書いているじゃないですか。都合の悪いことは切り捨てているじゃないですか。資料も出さないじゃないですか。これじゃ、本当に浮かばれないと思います、亡くなられた方も。  そして、もっと言えば、医療に関して言えば、先ほどは名古屋入管の問題がありました。でも、これは大村のときも、報告書を、最終報告も出されていますけれども、また同じ。その前にも、言いますけれども、これは二〇一七年の、このときにはトルコ国籍の男性が大阪入管の中で暴行されて、しかも、骨折までされているのに、骨折をされている中、さらに体をねじ曲げて手錠をかけられて、そしてそのまま放置をさせられている。そこでも様々教訓を得ているんじゃないんですか。何にも変わっていないと思うんです。  そこで、次長に、今、こういう事件があって、最終取りまとめは第三者の方にお任せをするけれども、でも、我々としては、何かないんですかね、受け止め。一言お願いしますよ。
  175. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  私の御説明がちょっと舌足らずだったと思いますが、最終報告につきまして、調査に入っていただいている外部の五名の方々にお任せをするという認識は一切ございません。当庁として主体的に調査を行い、現時点での事実関係、あるいは更に必要な調査を行い、それとともに、対応等々の点について適切であったのか相当だったのかというところを評価をし、かつ、それらの点について、証拠資料とともに、外部の方々の意見等も踏まえて、最終報告に反映させたいと思っているところでございます。
  176. 池田真紀

    池田(真)委員 最終報告の前に、この中間報告だってもう信用できませんよ。この時点で違うじゃないですか。  そして、もう一つ確認をさせてください、このスリランカの方に関してですけれども。  先ほど寺田委員も話をしましたが、今朝付、四月の二十三日付で司法解剖結果といったものが投げ込まれているという極めて、しかもこの委員会があるのに、ちょっと不誠実な対応ではないかと思いますが、その中身について少し確認をさせてください。  甲状腺機能、甲状腺炎ということで書かれておりました。今まで幾つか診療をされておりますけれども、この中間報告書のまとめの中には一つも出ていません。これまでに入管が受けてきた医療の中で、そちらで確認しているこの甲状腺炎、把握をされていたのかどうか、教えてください。
  177. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  これまでの調査により把握した限りでは、亡くなられた方に対する診療や検査におきまして甲状腺炎による甲状腺機能障害が把握されたという事実は確認されておりません。
  178. 池田真紀

    池田(真)委員 そうしましたら、それまでの医療を見直した方がいいんじゃないですかね。いろいろなところに受診をするということ、医療、二月から三月まで、また精神科のところまで、三月四日まで医療も受けてもおりませんし、医療を受けるという、処遇の中での規則も守られていないということになるかと思います。  そしてもう一つ、甲状腺のといっても、今まで診断もされていなかった機能障害といいますと、極めて全身状況が悪化して、元々何かの病気をお持ちというよりは、甲状腺のですよ、ストレスとのバランスが本当に大きい。ですから、精神科の医師の方のアドバイスを受けて、一旦出たというようなことも、大きく、本当に仮放免は期待ができたことではないかなというふうに悔やまれる、私は悔やまれるなと思っています。  こういった評価が何もないということでありましたが、この事実、司法解剖の結果を受けて、これは皆さんに配っていただきましたけれども、これまでの診断書、あるいは診療情報提供書、そして司法解剖書、あとは看護師の記録、あと看守の日誌、様々な様式は決まっておりますね。これについては、全て、調査の対象者の方、最終報告に向けて今検討されている方々に全てこちらは提供されているのか、確認させてください。
  179. 松本裕

    松本政府参考人 お答え申し上げます。  中間報告に際しましても、外部の方々、調査に入っていただいている方に提供している資料等もございますし、今後、最終報告に向けて、今回の司法解剖の結果も含めて、必要な資料、あるいは外部の方々からお求めがある資料については提供する予定でございます。
  180. 池田真紀

    池田(真)委員 お求めがあるとか、あるいは報告に書かれているように一部の提供ではなく、全て提出していますかというふうにお聞きしました。もう一度お願いします。全てではなければ、ないで結構です。
  181. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  現時点におきましては、全てではございません。現時点におきましては、主に医療記録を交付しているところでございます。
  182. 池田真紀

    池田(真)委員 もう既に、一つの診療情報提供書をもって事実を書かず、そして、職員の解釈によって違った意味合いを持つ文章を作って中間報告に出されている。そして、それを御覧になられていて、次長も、組織的にも、そして大臣も、それはおかしいんじゃないという御指摘も今の段階でないということですから、全て様式のものは、公式にある様式、書類については、情報については全てこの調査チームに提供していただくことを望みます。御答弁をお願いします。
  183. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員の御指摘、あるいは本日のこの委員会での御議論を踏まえて、適切に対応したいと思っております。
  184. 池田真紀

    池田(真)委員 是非お願いいたします。  そして、ちょっともう時間がなくなったので、次の項目に行く前に、大臣、この一連のスリランカの女性の方について、私は本当に、この委員会のときに、衝撃でした。今朝の司法解剖の投げ入れの結果、そして診療情報提供書報道の、先日の国会答弁との異なり。中間報告の、まあ一部削除ですよ、事実の。これで、その後何を信じて、その後国会議論、審議をしていけばいいのか分からない。まず、これは大前提だと思います。  度重なるこういった事案があるわけですから、大臣、まずは、この方について、御遺族に対して何かお言葉はありませんでしょうか。御遺族に対して、是非お願いをしたいと思います。
  185. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の亡くなられた方につきましては、体調が不良の状態で、様々な訴えをされながら、また、所内における診療所のお医者さんの診断も受けたわけでありますが、また、外部病院にも行ったにもかかわらず、いろいろな形で、今の経緯も含めて十分な状況になっていないということ、またその結果として亡くなられたということにつきましては、本当に痛ましい事案であるというふうに思っております。  異国の地で、身内の方に、また御遺族の方、日本で、離れている中で、もどかしい思いをされて、そして思っていらっしゃるんじゃないかと、その心痛を考えますと、一日も早く、この死因はどうだったのか、そして適切に対応していたのかどうか、この事実を知りたいと思う気持ちというものについて、本当に切実ではないかというふうに思っております。  今、中間報告で、特に医療機関との関係も含めまして、体調がどういうふうに変化したのか、治療がどうだったのかということについて、まず適切に情報を把握して、そしてなるべく早くそれをお出しするということを心がけてやってきたところであります。  第三者の方にも入っていただくということでございましたので、一日も早く、この中間報告というところで御指摘いただいたことにつきましても、最終報告に向けまして大変大事な御指摘でございますので、このことを踏まえて、なるべく早い段階でお出しすることができるようにしっかりと指示をしてまいりたいというふうに思っております。  心からお悔やみを申し上げます。御本人の方の無念の思い、また御遺族の皆様に対しても、心からお悔やみを申し上げます。
  186. 池田真紀

    池田(真)委員 本当に、この最終取りまとめ、この審議が終わる前にというか、もう早く出していただきたい。  そして、大臣、命を守る、大切な命をお預かりしている施設だということを前回御答弁されていました。本当にそうなんですよ。国の責務。この収容施設においては様々な問題がまだありますから、収容施設からこの後、監理措置という新たな制度議論をする前にこれは解決をしていかなければならないと思いますので、早急にこれを求めて、今日の質問を終わらせていただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  187. 義家弘介

    義家委員長 次に、藤野保史君。
  188. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  私も、今の名古屋入管におけるスリランカ人女性の死亡事件、そして、TBSが報じた、外部病院から入管への診療情報提供書、これについてまずお聞きしたいと思います。  先ほど、寺田委員質問への答弁で、松本次長は、患者仮釈放を望んで、心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげれば、よくなることが期待できるという記載について、記載がございますと答弁をされました。  その上で、大臣にお聞きしたいんですが、これは、先ほど、なぜこの部分記載しなかったのかというのに対して、次長は名誉やプライバシーという言い方をされたんですが、私はこれは成り立たないと思うんですね。というのは、この三行、仮放免するかどうかというのはプライバシーとは全く関係ない。そして、むしろ書かれている方は、この人は仮放免されるために病気になったんだと言わんばかりの記述なんですね。松本次長言葉をかりて言えば名誉に関わるような言葉があえて書かれていて、仮放免というプライバシーとも関係ない部分が除かれているんです。  念のため指摘しておきますと、この中間報告そのものが、二ページにあるんですが、Aさん、Aのプライバシーに関する情報が含まれているが、国会での指摘もあり、報道でも通じて具体的説明が強く求められている、加えて、在日スリランカ大使館から詳しい結果の共有を求められている、こういったことも指摘しながら、Aのプライバシーに関する情報も含めて事実経過を明らかにすることが相当であるということで、在日スリランカ大使館の了承を得た上でこれを作ったと書いてあるんです。  ですから、プライバシーは全く理由にならない。むしろ、それを明らかにすることが、この方の名誉を回復していく上でも極めて重要なんです。なぜなら、中間報告にその名誉をおとしめるような表現があるからであります。  大臣、両者を比べてみますと、報告書の十四ページから十五ページがまさにこの部分なんですが、このいわゆる診療情報提供書では、いろいろ書いているんですけれども、TBSさんの報道でも、いわゆる、例えば、今私が申し上げたような、病気になることで仮釈放してもらいたいという思いから心因性の症状が生じているんじゃないかとか、この中心部分とか、あるいは、その後、クエチアピン一錠とかニトラゼパム一錠とか、これもそのまま中間報告に載っているんです。さらに、二週間後に再診察するという、この部分中間報告には載っているんです。ですから、このいわゆる情報提供書の大部分は載っているんです、中間報告に。この最後の部分だけが載っていない。  ですから、大臣、これは、この部分をあえて隠蔽したということになるんじゃないですか。
  189. 松本裕

    松本政府参考人 記載の在り方についての委員あるいは本日の御指摘は、非常に重く受け止めております。  ただ、中間報告記載をあのような形にした理由は、従来申し上げているとおりでございます。名誉、プライバシーというところでございます。
  190. 上川陽子

    上川国務大臣 今、その記述がどのように中間報告記載されていたのかということについては、委員が比較したとおりということでありますので、括弧で全ての字や項目が入っていないというのは事実だと思います。  それに対して、今説明次長からされたところでありますが、どうしてそのような形で、例えば「例えば、」というようなところで記載をしたのかということについては、私も、今のような理由ということで考えるということには少し不十分な状況だったんじゃないかなというふうに思います。  全部のフルで入れるということそのものも一つの考え方だというふうに思いますし、特に、お医者さんが処方している部分については、これは極めて強いプライバシーでございますので、そのことについての扱いについてのためらいもあったかもしれませんけれども、今回は、その病状と適切な治療が行われてきたかということについての事実関係をしっかりと把握をし、そして、中間報告にまとめるということが趣旨ですので、その意味から、今、委員の御指摘についての考え方、そのことについてはやはりきちっと書くことが大事ではないかと私は思います。
  191. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、書くことが大事ということであれば、これは極めて不十分なんですよ。  これを読みますと、この四日のその報告書を受けて、五日には仮放免を検討しているんです。報告書に五日から検討していると書いてあるんです。しかし、自分たちがやったかのように書いているんですよ。これが許せないところで、医師からこういう提案を受けて検討を始めましたというならまだしも、前日の六時に、「仮放免を検討することとし、」と。彼女ににおわせながら反応を見るみたいな、ちょっと、これは本当に許せないんですよね、この中間報告というのは。  もう一点お聞きしたいと思います。  今日の共同通信の、今日の十五時台の通信ですが、関係者への取材として、医師への診療依頼書で、管理局が詐病などの疑いがあると言及していたことも判明したと報道されております、共同通信で。これは事実ですか。
  192. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘報道をちょっと把握しておりませんので、ちょっと正確にお答えすることはできません。
  193. 藤野保史

    ○藤野委員 確認していただきたいんですが、要するに、このTBSというか、この診療情報提供書と併せて、共同通信が報じているのは、入管から診療依頼書の中で詐病の疑いがこの人はあるよと言及していたというんですよ。これは重大でして、しかも、この丁病院医師は初診なんです、初めてこの方を診る。初めて診るのに何でここまで、仮釈放してもらいたいから病気になったんだと書いたのかなと、私もこれを読んだときに、不思議なんですけれども、これで平仄が合うわけです。元々、入管から依頼したときに、詐病などの疑いがあるというふうにしているから、それに乗ったような報告が、報告というか、情報提供がされているということになるのではないかということなんですね。  この入管からの依頼書についても、中間報告には記載されておりません。これはなぜなのかということなんですね。大臣、これは結局、入管が描いているシナリオというのは、もうAさんが詐術だ、うそをついているということなんですね。このシナリオに合う記述のみ、この診療情報提供書からいただいたということじゃないのかと。それ以外はもう取らない、採用しないと。確かに、この情報提供書には、詐術だというふうにはまるような表現があるんです。ですから、それだけを採用して記載したということになる、そういう疑いが極めて強いと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
  194. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  今の、現時点での調査で把握している限りという前提でございますが、この診療に当たりましては、入管庁の非常勤医師から、この外部病院に対する診療情報提供書というものを提出しているところでございます。その内容としては、委員指摘のような内容は含まれておりません。
  195. 藤野保史

    ○藤野委員 これは引き続き追及したいと思います。  委員長にお願いしたいと思います。  先ほどもありましたが、診療情報提供書に並んで、入管から外部病院に対する診療依頼書、この提出を求めます。
  196. 義家弘介

    義家委員長 ただいまの資料要求につきましては、理事会にて協議いたします。
  197. 藤野保史

    ○藤野委員 この問題は、この事件は、引き続き追及していきたいと思いますし、まさに今日、死因が投げ込まれたという、本当にこの扱い、私自身も許せません。これも含めて、引き続き追及したいと思います。  その上で、法案に入っていきたいと思うんですが、これは法務省確認しますが、難民認定局に、二〇一〇年から二〇二〇年までの間で難民認定を受けた人数、そのうち、複数回目の難民申請において難民認定を受けた者の数、また、三回目の部分については、いただいた資料の部分をお読みいただきたい。
  198. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  平成二十二年から令和二年までの間に難民と認定した者の数は三百三人でございます。そのうち、二回目の難民認定手続において難民と認定した者の数は二十一人でございまして、三回目以上の難民認定手続において難民と認定した者はございません。  この二十一人には、二回目の難民不認定処分に係る取消し等訴訟における国の敗訴判決により難民不認定処分が取り消され、二回目の難民認定申請に対して難民と認定した者一名が含まれております。  なお、その者は、三回目の難民認定申請を行っていましたところ、二回目の申請に対して難民と認定したため、三回目の申請については取り下げられております。
  199. 藤野保史

    ○藤野委員 今、三回目の認定はないと言ったんですが、その後に言ったことが大事でして、配付資料の三を御覧いただければと思うんですが、これが入管庁からいただいた資料で、その一番下の米印のところですね。この一名については、敗訴判決により二回目の難民不認定処分が取り消され、二回目の難民認定申請に対して難民と認定したと。この人、三回目の難民申請も行っていたが、難民と認定されたので三回目は取り下げたという話なんですね。要するに、三回目を申請していたんです。  だから、カウントするときに、二回目のに、自分たちが負けて、敗訴して、二回目で認定せざるを得なかったから二回目であって、申請は三回なんです。二回の不認定処分を受けているんです。  重大なのは条文でして、今回の法案の六十一条の二の九の第四項ではどう書いているかというと、「二度にわたりこれらの申請を行い、いずれの申請についても第六十一条の二の四第五項第一号又は第二号のいずれかに該当することとなつたことがある者」と書いているんですね。  要するに、二度にわたって申請を行って、はしょりますけれども、要するに不認定処分を受けたことがある者なんです。  ですから、法務省、簡単に確認しますけれども、要するに、二回不認定処分を受けた者はこの条文に該当しますね。
  200. 松本裕

    松本政府参考人 該当いたします。
  201. 藤野保史

    ○藤野委員 ですから、重大なんです、大臣。  二回の不認定処分を受けても、実際、この配付資料の三の令和二年のところにありますが、一人、難民認定を受けているんですね。日本の厳しい厳しい基準をくぐり抜けて、三回目で受けているんです、事実上、申請で。けれども、それまで二回この不認定処分を受けたことがあったら、この人ははじかれてしまう。  大臣、今回の法案というのは、こういう事実を踏まえれば、こういう人を切り捨てることになる不合理な制度設計になるんじゃないですか。
  202. 上川陽子

    上川国務大臣 本法律案でございますが、三回目の難民認定申請を行った者につきましては送還停止効の例外となるところでございます。難民認定申請によって原則送還は停止されないところではございますが、行政訴訟の提起と併せまして退去強制令書の執行停止の申立てを行い、裁判所によりまして執行停止決定がなされれば送還は停止されるところでございます。  また、本法律案におきましては、三回目以降の申請者でありましても、難民又は補完的保護対象者の認定を行うべき相当の理由がある資料を提出した場合につきましては送還を停止することとしているところでございます。  三回目以降の申請者につきましては、司法判断を受ける機会、また、なお慎重な判断を行う行政上の手続、これが保障されているということでございまして、三回目以降の申請者を送還停止効の例外とすることによって、不当な結果は生じないシステムとなっているところでございます。
  203. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、これは生じるんですよ。  というのは、条文が、なった者というのであれば、まだ分からなくはない、不認定処分に。けれども、なったことがあるということになりますと、例えば令和二年で、二〇二〇年でやった人は、条文でいえば本則の方に入ってしまうわけですね。相当な資料とかいろいろおっしゃいましたけれども、条文のたてつけとして、まさにこういう人を切り捨てるというのは、私は本当に許されない。  今の制度でさえ、そもそも複数でいえば二十一人も政府が不認定にした人がいるんです。二百八十二人のうち二十一人ですから、一割に近いんですね。そうなってくると、先日のいわゆる政務官の主観で何か動くような話もありましたけれども、そういう不安定な制度の下でもやはり今回こうやって認定されているわけですけれども、そうした人たちがこぼれ落ちてしまう。これは本当に許されないと思います。  そして、もう一点お聞きしたいと思うんですが、今回の名古屋入管事件でも、STARTなどの支援団体の皆さんがこの方を長年にわたって支援されております。全国で多くの支援者、支援団体の皆さんが活動されている。  配付資料の五をちょっと御紹介しているのは、今のコロナ禍でも、コロナの下での支援ということで一つ御紹介しているんですが、群馬県太田市のNPO法人、北関東医療相談会アミーゴスの活動なんですね。これはいろいろ、無料の、低額診療とかそういう医療アクセスなどを紹介するという活動をされてきているんですが、やはりこのコロナ禍で、外国人生活を支えてきた知人とか家族が仕事がなくなって、家賃の滞納が増えているということなんですね。  この事務局長の長沢正隆さんに私もお話を直接お聞きしました。そうしますと、こうおっしゃっていたんですね。仮放免者の生活は同国人のコミュニティーが支えていた、同国人の方々は自分の残業代を仮放免者の支援に充てていたというんですね、残業代を。しかし、コロナの影響で、昨年四月以降ほとんどの外国人の残業が減り、仕事が減っていった。それまでは一人で暮らしていた彼らも、独り暮らしから二人、三人と住居をシェアするようになった。こういう状況の下、長沢さんたちは、いろいろな、無料の健診とかマスクの配布とか支援していたんですが、去年八月ぐらいから家賃の支援をずっとやられていて、もう四十件ぐらいやっているそうなんです。ですから、本当にこのコロナ禍でも大変な支援をされているなというふうに思いました。  大臣にお聞きしますが、こうした方は全国にたくさんいらっしゃるんですね。こうした方々の果たしている役割というのは大きなものがあると思うんですが、大臣も同じ認識でしょうか。
  204. 上川陽子

    上川国務大臣 我が国におきまして在留されている外国人の置かれた状況ということ、こうしたことに寄り添いながら、地方自治体を始めとして、また公益法人、またNPO法人などにおきまして、個別相談とかあるいは日本語の支援、また口座の開設等、また衣食住の世話など、様々な形で日常生活面での生活支援が行われているものと承知をしております。  法務省におきましても、多文化共生、これを推進する観点から、日本に住む外国人や支援団体等に向けまして、外国人生活支援ポータルサイトまた生活・就労のガイドブックなどで必要な情報発信を実施しているほか、FRESC、外国人在留支援センターでありますが、相談対応、また地方自治体の一元的相談窓口における相談実施に対しての支援を行っているところでございます。  また、出入国在留管理庁日本弁護士連合会、それに難民支援団体のネットワーク組織でございますなんみんフォーラム、これはNPOでありますが、なんみんフォーラムの皆様との合意に基づきまして、相互に連携をして、空港におきまして難民として庇護を求めた外国人の住まいを確保するための取組、これは平成二十四年から実施をしているところでございます。  その意味で、いろいろな生活のひだの中で起こる課題や問題に対しまして、支援者の皆さん、支援団体の皆さんの寄り添い型の支援というのは極めて重要なものであるというふうに思っております。
  205. 藤野保史

    ○藤野委員 極めて重要という御答弁でした。  私も各地で支援者の皆さんにお会いしてきたんですが、先ほども出ましたけれども、二〇一九年の六月に長崎県の大村入管センターで、四十代のナイジェリア人男性が、ハンストの末、飢餓死に至った事件。私も、同年十一月に現地の収容施設も視察させていただいて、支援の方々にもお話を聞いたんです。  長崎インターナショナル教会というところがありまして、柚之原寛史牧師という方が、十五年以上にわたって、三千八百人以上の被収容者に面会し、支援をされてきたというお話もお聞きしました。  長崎というのはやはり教会が多くて、牧師さんとか信者の方がこういう支援を行っていらっしゃるということもお聞きしました。その方々は、自分たちのことを傾聴ボランティアとおっしゃるんですね。私の事務所にもファクスで貴重な声を届けていただいております。  傾聴ボランティアというのは東日本大震災で広く知られるようになったんですが、要するに、相手に寄り添う、話し手の話をそのまま受け入れて、自分の価値観と違っていても否定しない、分かち合っていく、傾聴するということで、これは、各自治体で大変、東京都も力を入れてホームページなどで支援しているんです。  大村入管に行ったとき、この傾聴ボランティアの一人のKさんという方が私に分厚いノートを見せてくださって、それには、収容者国籍とかパスポート名、年齢、日本語ができるか、移送元、大村に入った日、四つのエリアがあるんですけれどもエリア、摂食拒否の有無、弁護士、仮放免、難民申請などの有無、家族や病気状況、そして入国からの経緯と。これがもう、びっちり書かれているんですね、一人一人に。面会のたびに更新していく。で、あっ、この人にしばらく会っていないなと、それを見て次に会うとか。本当にすごい活動をされていました。  最近になって自分の住んでいる大村にそういう施設があるのを初めて知ったという女性の方は、何ができるだろうと考えて、収容所の中で読む本、読める本を届けたいという活動をされたというお話も、別の方ですけれども、お聞きをしました。  茨城県の牛久の入管センター、大臣も行かれたことがあるかもしれないんですが、私も視察しまして、いろんなお話を聞きました。今、FREEUSHIKUという若者の皆さんが、面接されて、その面接の記録を私に届けていただいたこともあります。それを基に質問したこともあります。  東京の品川入管でハンガーストライキが大規模に起きたときには、いろんな、首都圏移住者労働ユニオンとかクルドを知る会の皆さんなどから情報をいただきました。  本当にいろんな方がいろんな形で活動されているんですね。ここで紹介を到底できないんですけれども。  やはり、先ほど指摘がありましたけれども、国連などから非人道的だと批判されている日本入管出入国管理行政ですけれども、しかし、そうした官の在り方を全国の多様な多数の民の親身な支援で何とか辛うじて支えようと、努力が積み重ねられてきた。これが日本入管の歴史だと思うんですね。ある意味、こうした民間支援の方々抜きにして日本出入国管理なんというのは絶対に成り立たないと私は言えると思います。  とりわけ、今回創設される監理措置制度。これは、こうした支援者、支援団体、弁護士、この方々が監理人になるような、そうしたような協力がなければ成り立たない制度設計になっております。  問題は、その支援者、支援団体の皆さんが今回のこの監理措置制度をどのように考えているか。  先ほど大臣も御言及されましたなんみんフォーラム、これが今年三月から四月に行ったアンケート調査がありまして、これは貴重な生の声が寄せられているんです。今日、これを冊子として配ろうかなと思ったんですけれども、ちょっと多いのでやめておきましたが、私、紹介したいと思います。  ちなみに、大臣、これはお読みになられましたか、このなんみんフォーラム。
  206. 上川陽子

    上川国務大臣 全て目を通したわけではございませんけれども、一部拝見させていただきました。
  207. 藤野保史

    ○藤野委員 例えば、十五ページには、監理措置対象者の処遇についての懸念という質問がありまして、九〇%が、全ての監理措置対象者に対して就労が、働くことが許可されていないことということを挙げておりました、九割。  同じ九割が、住民登録や国民健康保険の加入の可否が不明瞭である。八八%が、対象者の生活保障について、国による予算措置が不明瞭である。監理措置中の住居がどのように確保されるのか不明瞭である、八七%。  自由意見のところでは、様々な制限をつけておきながら経済的負担は対象者や支援者任せとして、一方でコントロールだけ及ぼそうという制度は無責任である。権利制約に見合った補償が最低限必要である。こう指摘されております。もう一つ紹介しますと、就労を認める、国保に加入できるなどの措置や、居住場所への援助措置などがなければ、仮放免されても、野たれ死にしかねず、絵に描いた餅のような法律になります、こういう指摘もあるんです。  大臣、お聞きするんですが、要するに、監理制度によって収容施設外で生活できますよ、収容じゃないですよとおっしゃるんですが、現状では暮らしていけないという声はこのアンケートにもうあふれているんですね。ですから、制度設計として、確かに施設外での生活は認めますが、実際に生活できるかどうかは知りません、入管は知りませんと、こういう制度設計なんですが、これ、ちょっと余りにも無責任じゃないでしょうか。
  208. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  監理措置に付されて、社会内で生活しながら退去強制手続を受ける外国人は、適法に在留している外国人と同様、自ら又は家族、親族等の援助により生計等を維持すべきものと考えております。  その上で、退去強制令書発付前に監理措置に付された者につきましては、退去強制事由に該当する疑いはあるものの、我が国から退去させることがいまだ決定されたものではないため、生計の維持に必要な場合、許可を受けて報酬を受ける活動を行うことを可能としたものでございます。  他方、退去強制令書の発付を受けた者につきましては、行政手続上、我が国から退去させることが決定されたものである以上、就労を認めないこととしております。  ただ、委員指摘のように、退去強制令書の発付前後を問わず、監理措置に付された者が社会内で生活するに当たりましては、監理人と、そしてこの監理措置に付された外国人を担当する出入国在留管理庁の職員が適切に連携することは極めて重要であると認識しております。
  209. 藤野保史

    ○藤野委員 全く中身がないんですね。  例えば、今回のスリランカ人女性は、八月二十日に収容令書が発付されて、翌日にもう退去令書ですよ。大体早いんです。それで、今お話があったように、退去令書の後は働けないんです、今回の制度。条文でそうなっている。もし、対象者が生きていくためにどうしても必要だからって働いたら、退令書発付後なら、もう義務違反で罰則の対象です。監理人にも、こうした人たちに対する監視義務とか届出義務が課されますから、それに違反したら罰則なんですね。  先ほど紹介した長沢さん、この方はこうおっしゃっているんですね。憲法が定める生存権を国に奪われた人たちだと。この国が助けない人の命を救うことが最優先だと思っていたが、これからは私たちの支援も共犯ということになりそうだというふうに述べているんですね。  こうした制度設計だから誰も手を挙げようとしていないんです。このアンケートに答えて、政府案の監理人を引き受けたいかという問いに対して、引き受けることができないというのが四六%、約半数なんです。引き受けたいとか引き受けたくないとかじゃなくて、引き受けることができない、両立しないと。そして、それを含めて、余り引き受けたくない、そして、引き受けたくない、できないというのを合わせると八九%なんですね。これ、もう私、衝撃を受けました。  大臣、先ほど、支援者や支援団体が果たしている役割は極めて重要だと答弁されました。しかし、その方々の九割が引き受けないと言っている。半分が、約半分が、引き受けることができないと言っているんです。今回の監理制度というのは、運用することができないんじゃないですか。
  210. 上川陽子

    上川国務大臣 先ほど来、支援団体の方々、また弁護士の皆様など、立場の重要性、そして果たしておられる役割というものは重要であるというふうに認識をしているところでございます。  被監理者が社会内で生活することを許容するという形で、新たな選択肢としてこの監理措置制度が導入されるという内容の今回の法案でありますが、円滑に運用するための監理人の役割、これにつきましては、十分に御理解をいただいた上で監理人になっていただけますように、丁寧に説明を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
  211. 藤野保史

    ○藤野委員 これは、プロですから、この人たちは。ずっとやってこられた、その方々がこうおっしゃっているということなんですね。  私、更にもっと深刻だと思うのは、これは単に制度がワークしないとかいうことではなくて、民間の支援の在り方そのものを大きく変質させる、根本的に変質させるということであります。  このアンケートの中から紹介しますと、例えば五ページには、仮放免よりも更に悪い、入管の下請のように難民移住者を監視する役割を背負わされ、支援者が支配者になってしまう、こういう指摘があります。六ページにも、入管の下請よろしく難民移住者を監視する役目を負う。七ページにも、支援者が入管業務の下請のようになる。十一ページにも、支援団体を監理人として、入管当局の下請の監視役のようにしようとしている。二十一ページにも、入管行政の下請のように支援者が関わるようなたてつけ。二十二ページにも、私たちは入管当局の部下や下請の監視役ではない。要するに、下請になるということがるる言われるんですね。  ほかにもこういう指摘もあります。外国人を支援、応援する立場から、監視、管理する立場、イコール敵対する立場になる。仮に弁護人が監理人となれば利益相反の問題を生じることになる、従来からの支援者が入管の手先に成り下がりかねない制度、十九ページ。二十ページには、支援者らが入管庁の監督下に組み込まれる構造なので、これまでのような支援関係ではなく、支配関係になる懸念がある。当局が民間監理者を管理下に置く。こういう指摘がるるあるんですね。  私、先ほども言いましたけれども、余りにも非人道的な、国際社会からも非難される日本出入国管理行政ですが、しかし、そうした官の在り方を民が親身な支援で何とか辛うじて支えようとしてきた、これが実態なわけです。ところが、この法案は、この民による支援の在り方を根本的に変えて、このアンケートに出てきているように、入管の下請、入管の手先、入管の監督下、そして敵対する立場、そういう立場に立たせるというんです、立たせるものなんです。  私、これは、日本における出入国管理における官と民の風景というのを大きく変えると思うんですね。根本から民の在り方を変えるものになる、この強い危機感がこのアンケートからひしひしと伝わってきます。  大臣、お聞きしますが、今回の法案は、民間の多様な取組を入管庁の管理下に置いて、出入国管理行政をますます政府による独断的、裁量的な制度にしてしまおう、収容施設の外にまで入管庁のそういう影響を及ぼそう、こういうことじゃないんですか。
  212. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  監理措置は、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれ等の程度を考慮して、監理人についていただくことによって、それらのおそれの軽減度合い等も考慮して、対象者を社会内で生活をさせようというものでございまして、その監理人の一定の届出義務等は必要なものと考えております。  ただ、委員指摘のような対立関係ということは、入管としても考えておりません。むしろ、対象外国人を、その監理人とともに、その対象外国人を担当する警備官とは別の入管の職員が共に支援、助言等を行うというような枠組みの運用を想定しておるところでございます。
  213. 藤野保史

    ○藤野委員 終わりますけれども、要は、この法案は、大変制度としても悪いだけでなく、今頑張っていらっしゃる民間の支援をもゆがめる中身になっている、このことを指摘して、質問を終わります。
  214. 義家弘介

    義家委員長 次に、串田誠一君。
  215. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  先ほど大臣からも、スリランカの方に対するお悔やみというのを御丁寧におっしゃられておりましたが、私も本当にその気持ちは変わりございません。そういう意味で、この方の名誉回復を少しでもしたいと思いまして、質問をさせていただきたいと思うんです。  まず、今回の改正の五十四条に仮放免という規定があります。白表紙にも書かれていると思うんですけれども、この五十四条の現行法と五十四条の改正第二項、文言が新設されていると思うんですが、ここの趣旨説明していただきたいと思います。
  216. 松本裕

    松本政府参考人 現行法上の仮放免の趣旨ということでお尋ねがございました。  現行法上、収容を原則としておりますが、健康上、人道上等配慮すべき事情がある場合には、収容を解いて社会内で生活をすることによって退去強制手続を受けるという制度現行法上にもございます。それが仮放免の制度でございます。
  217. 串田誠一

    ○串田委員 今、文言を聞いているんですが、五十四条と五十四条の二項は、現行法と今度の改正では文言を変えましたでしょう。だから、変えたのはなぜなのかとお聞きしているんです。
  218. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  改正法におきましては、監理措置制度を設けました。それとの関係で、改正法上の仮放免制度は要件をより明確化いたしまして、健康上、人道上その他これに準ずる理由がある場合に収容を一時的に解除する措置であると整理をしまして、その内容を要件に落とし込んだものが委員指摘の条文でございます。
  219. 串田誠一

    ○串田委員 まさに今回の件を思わざるを得ないんですが、今までは、「情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格、資産等を考慮して、」と書いてあるのが、今回の改正には、健康上、人道上、これに準ずる理由によりその収容を一時的に解除することを相当とすると、健康上というのをあえて入れたんですよ。  そして、私は、中間報告と今回の医師診療情報提供書、この後半部分が抜けているかどうかというのは後で階委員から細かく質問されるかと思いますので、その点ではなくて、この中間報告には、某医師が、「Aが訴える症状の出現時期が、Aが帰国希望から日本への在留希望に転じた時期と合うことから、」これは先ほどから質問されている「例えば、」の前の部分なんですが、このような形で中間報告されているのは間違いないんですか。
  220. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  間違いございません。
  221. 串田誠一

    ○串田委員 五十四条の仮放免は、健康上、一時的に解除することを相当と認めるときは一時的に解除する、健康上ですよ。  この診療情報提供書にも仮釈放という言葉はありますよね。何でこれは中間報告在留希望と、在留に変えているんですか。
  222. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  収容施設内から、現行法上の仮放免手続によって仮放免が許可されることによって、収容施設外の中で生活をする、そこを在留という形で表現したものと認識しております。
  223. 串田誠一

    ○串田委員 そうすると、仮放免と在留というのは、入管としては同じ言葉として理解されているんですか。
  224. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  運用上の表現でございますが、日本の中で生活をすることを在留という言い方で我々表現しております。その在留には、適法な在留もございますし、入管法上の規定に違反した不法な在留もあるというふうに認識しているところでございます。
  225. 串田誠一

    ○串田委員 医師仮釈放してもらえるというのを支援者から言われたというように、医師言葉には仮釈放と書いてあって、まあ仮放免のことなんでしょうけれども、在留とは違うじゃないですか。まるでこの方が在留希望に転じた時期、そして、希望と書いてありますけれども、医師には、支援者から言われた頃からと書いてあるんですよ。本人が希望したなんてどこにも書いてないじゃないですか。  何で、支援者から言われた頃からという言葉を希望というふうに置き換え、仮釈放と書いてあるところを在留というように、まさにこの方がそういうような思いで、何か病気でもないのに、病気であるかのように偽ったかのような流れに書き換えているというのはなぜなんですか。
  226. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  我々といたしましては、書き換えたということではないんですが、繰り返しになりますが、本日の当委員会での御指摘は重く受け止めております。
  227. 串田誠一

    ○串田委員 思いがないといっても、どう考えても、これはそういうように仕向けるような文言にわざわざ書き換えているでしょう。長い文章を省略しているわけではなくて、見事に言葉を書き換えているじゃないですか。  さらに、ここには「「身体化障害の疑い」と診断し、」と書いてありますよね。医師は、診断しなんて言っていないでしょう。ということも考えられると、確定はできないが云々というのも出てきているわけですよ。確定はできないが、ということも考え得ると。  何でこれは「診断し、」と書いたんですか。何で正しくこういうのを書かないんですか。
  228. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘診断というところは、御指摘の、今話題に取り上げられております診療情報提供書のみではない資料に基づいて判断した内容でございます。  さらに、誤解があってはいけないので申し上げますと、本邦への在留の希望に転じたというのは、御指摘病院での診察を受けて在留希望に転じたというふうに我々は認識しておらず、むしろ、中間報告では四ページにございますが、「令和二年十二月中旬頃からそれまでの帰国希望意思を撤回して本邦在留希望に転じた」というふうに今の時点では認識しているところでございます。
  229. 串田誠一

    ○串田委員 それだったら、この「医師は、」という主語を入れるのはおかしいでしょう。「医師は、」「診断し、」と書いてあるんだよ。医師診断しと書いてあるのに、何で、ほかのことからそういうふうに私たちは思ったのでございますとか言っているわけですか。主語が書いてあるじゃないですか、この中間報告書に。どういうふうに考えればいいんですか。
  230. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  この中間報告書で我々が記載した内容、十四ページ下段から十五ページ上段の記載の在り方と、御指摘診療情報提供書医師記載した内容との関係について、正確性を欠くのではないか、さらに、大臣からも既に御答弁がございましたが、医師診断書内容をつまみ食いではなくて正確に引用する必要があったということも考えられるのではないかというような指摘も、重く受け止めているところでございます。
  231. 串田誠一

    ○串田委員 重く受け止めるというよりも、一人の命がなくなったんですからね。やはり改善できるような認識がないと、何か悪くないようなことを言っていたらまた起きますよ。  改正法の中で「健康上、」というのを入れたということは、私は非常に大切なことだと思うんですけれども、今のような答弁だと、条文上改正しようがしまいが現行と変わらない、こういうような形で「健康上、」ということがあっても、一時的な解除は認められないような運用がなされるんじゃないかというふうに思うんですが、これは改正されると変わるんですか。
  232. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、本件につきましての事実の経緯、あるいは確認された事実を踏まえ、御指摘の仮放免の判断あるいは医療の提供等々につきまして、相当だったのか適切であったのか等の評価、検討という作業を今行っております。その結果ももちろん踏まえまして、改正法上の監理措置あるいは仮放免の制度は適切に運用しないといけないと思っております。  運用の姿勢というのが大事だという委員の御指摘は、そのとおりだと思っております。
  233. 串田誠一

    ○串田委員 そのためには、都合よくどこかを削除したりとか言葉を言い換えたりとか、やめましょうよ。  大臣、そういうことは絶対にこれからしないということを発言していただけないですか。
  234. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の中間報告趣旨は、今、体調が悪くなって死に至るところまでの経過について、医療的に、また外部病院も含めてどのように対応してきたのかということを、その事実を客観的、公正に調査をするということの趣旨で私自身指示をしたところでございます。  その部分が、今のように、先ほど来申し上げているんですが、十分にしっかりと引用をするという形で、その客観性の部分について担保ができないというようなこと、これは今、改ざんというような言葉を述べられたわけでありますが、そういう趣旨のものではないと私は信じておりますけれども、そういうふうに見られたとするならば、やはりフルでしっかりと引用をする、こういう客観性は当然のことながら必要な姿勢であると私は思っておりますので、そういったことをしっかりと指示をし、また、最終報告に向けましても、そうしたことが起こらないようにしていくよう指示をいたしたいと思います。
  235. 串田誠一

    ○串田委員 参考人質疑のときにも質問させていただいたんですが、医学用語というのが通訳において大変難しいということがありましたが、このスリランカの方というのは、言語としては何語を話されていたんですか。
  236. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  母国語はシンハラ語でございます。日本語も一定程度話されていたと認識しております。
  237. 串田誠一

    ○串田委員 スリランカはシンハラ語かタミル語が公用語になっているようなんですけれども。  こういう、体調が悪いときに自分の症状を訴えるに当たって、日本語がある一定はできるかというふうな話ですけれども、本当に、自分のどこが具合悪いかというのは、なかなか伝えにくいんだと思うんですよね。特に、このようなシンハラ語を、通訳人が健康状態が悪いときにつきっきりでいるというわけでもないと思うので、そういう意味からすると、具合の悪いことを伝えられないんですよ。  だから、そういったようなことも加味しながら仮放免等を考えていただかなければいけないし、私は、参考人質疑のときにも、機械翻訳というのが今非常に優秀なものができていますので、そういったようなことも応用しながら、本当に伝えにくいような状況であるならば、取りあえず一時的に解除することができるわけですよ、いろいろ管理しながら。  こういうようなものをやはりしていかないと、いろいろな言語があるわけですから、これは大臣も、ちょっとこの通訳に関してお願いできませんか。
  238. 上川陽子

    上川国務大臣 通訳人の方が絶えずそばにいるわけではございません。また、オンラインで外部から寄り添う形で通訳をするという手法もございますが、ネットの中で通訳言語、特に医療関係については最近非常に開発が進んでいるということでありますので、ちょっと言語的には何十か国というようなことにはならないかもしれませんけれども、そうしたものの積極活用ということで補足をしていく、補充をしていくということについては、しっかり対応してまいりたいと思います。
  239. 串田誠一

    ○串田委員 これは刑事裁判でも民事裁判でもお話しさせていただいたんですが、今言ったように、どこか通訳人が集中しているというようなことで、今は通訳人が、何か裁判が起きると全国に行かなきゃいけないわけですよね。  そういったものを、例えば東京地裁のどこかの部屋に集まっていただいて、通訳をするときだけオンラインか何かでやるというようなことも考えなきゃいけないし、機械翻訳というのもあると思うんですが、まさにこういう在留で健康を害するようなことが十分考えられますので、意思疎通ができるようなことの体制だけはしっかりと取っていただきたいと思うのと、せっかく改正法に「健康上、」と入れたわけですから、これは真っ先に、もう取り返しがつかないわけですからね、ここの部分は本当に重視していただきたいというふうに思っているんです。  参考人の中で、非常に心が痛いのは、親と子供が引き離されるというのがありました。これは、実は国連子どもの権利委員会から二〇一九年に勧告を受けております。  これは上川大臣にもいつもお話をさせていただいていて、上川大臣からは、官僚答弁に加えて御本人の気持ちというのを前回もお聞かせいただいておりますし、この子どもの権利条約をしっかりと守ってほしいという当事者というのはたくさんいるんですが、上川大臣に対する期待というのも大変大きいというのは私の耳にも入っているので、是非これは、一九九四年に批准してからずっと、ほかの政権も含めてなかなか履行できていないことに関して、踏み出していただきたいというふうに思っているんです。  前回の質疑では、稲田委員も私も北朝鮮の拉致問題というのをちょっと触れさせていただいたんですけれども、外務省には、アブダクションズ・オブ・ジャパニーズシチズンズ・バイ・ノースコリアといって、北朝鮮による日本人拉致問題というのは大きく外務省で載っているんですよね。ところが、昨年のEUからの非難決議、チャイルドアブダクションのアブダクションというのは何と訳すんだと言われたら、辞書がないから分からないと。外務省の北朝鮮による日本人拉致問題のときにはアブダクションと使っているわけですよ。ところが、外国から言われたアブダクションは訳せないと言うんですよね。  こういうような姿勢が、今のこの日本が子どもの権利条約を守っていないという非難につながっているんじゃないか。私は、それは外務省が訳せないんじゃなくて、法務省が何かそこら辺を横やりを入れているからアブダクションさえも訳さなかったんじゃないかなと本当に思うんですよ。  議連で国内のアブダクションの問題を取り上げると、法務省は、ハーグ条約違反というふうにすり替える。これに関しては与党の議員も大変憤慨されて、そういうことをやっていたら駄目だという話もありました。だから、私は、そういう意味で、法務省がかなりこの問題に関して軽視し過ぎているんじゃないかということを思っているんです。  今回の、二〇一九年の国連勧告で、収容に関して次のような勧告があります。「庇護希望者である親が収容されて子から分離されることを防止するための法的枠組を確立すること。」というのを勧告しています。要するに、収容されて子と親が分離をされるということがないような法的枠組みを確立することというのを二〇一九年に勧告されているわけですよね。  これは、子どもの権利委員会というのは、子どもの権利条約前提にして、これを守っていないということで、子どもの権利条約というのは、親と子というのをできる限り離さないようにしよう、ただ、子供の最善の利益によって、子供によくないときにはもちろん親から引き離すということは必要ですけれども、できる限りそういうことがないようにというときの、収容において親と子を引き離すという話が参考人からも出ましたが、この勧告、「法的枠組を確立すること。」というのは、この二〇一九年の勧告を受けて、改正法ではどこにそれを組み込んだんでしょうか。
  240. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  まず、典型的な制度といたしましては、監理措置制度、収容に代えて最初から、あるいは途中から社会内で生活をする制度というものを設けております。  さらに、若干間接的ではございますが、在留特別許可という点につきましても、申請手続を設けることによって迅速、確実な判断がなされる、そこも、より早い判断の下での我が国への在留につながるのではないかと思っているところでございます。
  241. 串田誠一

    ○串田委員 その監理措置というのが、そうすると、子どもの権利条約あるいは子どもの権利委員会からの勧告で、親から子供が分離されないという運営としてこの監理措置というのがこれからは使われていくんだというふうに今言われたということで理解してよろしいですか。
  242. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  現行制度では、収容を原則とする中で、仮放免制度を活用して、社会内で生活をして退去強制手続を受けるという制度がございます。  正確な統計はございませんが、委員指摘のように、子供さんがいらっしゃるようなケースにつきましては、仮に収容しましても、収容と同時に仮放免をするというような運用を行っているのが実情でございまして、収容によって親と子が分離されることになるというケースは極めてゼロに近いというふうに認識しているところでございます。  ただ、制度として、最初から収容せずに社会内で生活をするという制度を設けることがより適切ではないかという問題意識の下、かつ、それはいろいろなところにつながっていくんですけれども、そういう中で監理措置制度を設けたというところでございます。
  243. 串田誠一

    ○串田委員 そうしますと、この国連の勧告というのは、日本の実態というのを全く理解していないで勧告をしてきたというふうに受け止めているんですか。そして、この前の参考人質疑でも、親と子が離れてしまったということを参考人の方が切々と話をされていましたが、それは事実と反する、実際はもうゼロに近いんだ、そんなことはないんだ、この国連の勧告はとんでもない、こういうことですか。
  244. 松本裕

    松本政府参考人 国連の勧告、こういう御指摘をいただいたということは、当庁としてもその内容は受け止めております。ただ、我々の法制度内容あるいは運用の在り方については、しっかりと、御指摘の権利委員会との間でもコミュニケーションを取っていかなければいけないというふうに認識しております。
  245. 串田誠一

    ○串田委員 今言われたからそういう答弁ではなくて、改正法を作るに当たっては、この国連の勧告というものが前提にあって議論はされているんですか。
  246. 松本裕

    松本政府参考人 お答えいたします。  この国連の権利委員会の勧告あるいはUNHCRからの御意見等々ということも、改正法の検討に当たりましては参考としたところでございます。
  247. 串田誠一

    ○串田委員 大臣、子どもの権利委員会から子どもの権利条約を守っていないという指摘があり、昨年はEUから大変な非難を受けております。六百八十三対一という、非難決議の賛成が六百八十三というのは、こんな非難というのはなかなかされないんですよね。  ここの部分についての認識というのは、私、ちょっと法務省は足りないんじゃないかと。こんな恥ずかしいことをやりながら、今年は京都コングレスで法の支配だと言っているんだけれども、世界から見ると、子供の権利を守っていない国というふうに言われていると言ってもこれは間違いじゃないと私は思うんですよ。  この認識というのは、危機感は法務大臣としてはおありでしょうか。
  248. 上川陽子

    上川国務大臣 京都コングレスにおきましても、誰一人取り残さない社会の実現という国際的な共通のSDGsの目標に向かって、多様性と包括性を十分に重視するということで、今回実現したことでございます。  社会全体が持続可能なものであるために、これからの未来を担う子供たちの権利、そして、それに対しての法制度また運用という社会の仕組みそのものを根本から見直していくという姿勢、これは極めて大事であるというふうに私は思っております。  特に今回、ユースフォーラムということを実現することができまして、子供たちの目線というものは、大人にない極めて新鮮な指摘もございましたので、こういった面もいろいろな世代の声という形で、また、国籍を問わず、また人種も問わずという形の中で、これから、多文化共生、こういうキーワードではありませんけれども、国際的にいろいろな人の移動もある時代でありますので、そういう中で、子供の目線、また子供の権利、こういうことについてはしっかりと重視をし、向き合ってまいりたい、こんな決意を実は京都コングレスでもしたところでございます。  これまでいただきました勧告等につきましては、一からしっかりと課題把握をもう一度徹底しながら対応しようという、そんなこれからの、京都コングレスのレガシーも踏まえてやっていきたいと思っているところでございまして、少しは時間がかかるかもしれませんけれども、私の姿勢としては、チルドレンファースト、この姿勢を大事にしてまいりたいというふうに思っております。
  249. 串田誠一

    ○串田委員 前向きな答弁をいただきましたので、少し時間が残りましたけれども、終わりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  250. 義家弘介

    義家委員長 次に、階猛君。
  251. 階猛

    ○階委員 立憲民主党の階猛です。  私、本日は、内閣委員会で検察庁法の改正案も国家公務員法と一緒に審議され、採決されたと伺っています。この点についても、昨年来いろいろな問題があったので、お尋ねしたいと思っていますが、まずは、これまでの流れで、名古屋入管のスリランカ女性の死亡事案についてお伺いしたいと思っています。  まず、大臣に率直な印象をお聞きしたいんですが、結局、このスリランカ女性は仮放免の許可申請を二回したんだけれども、一回目は不許可で、二回目は判断が保留中に亡くなられた。  この仮放免の許可申請に対する当局の対応について、落ち度はあったと思われますか。それともなかったと思われますか。お答えください。
  252. 上川陽子

    上川国務大臣 まさに今、中間報告の中で、このスリランカの女性の死に至る背景、また特に、体調が悪い中での医療対応、また、それに対しての診断、その他事実をしっかりと把握した上で、仮放免のことも含めまして中間報告にまとめさせていただいております。  私自身、これの調査を指示したときに、客観性、公正性を図るということもありまして、第三者の方にも入っていただくという形で調査を指示しているところでございますが、今、仮放免のことにつきましても、様々、そのことについての事実がどうだったのかということも出ているところでありますので、これから、最終報告という形で、評価と分析を加えるというステージに入ります。その折にしっかりとした事実の調査がなされていなければ適切な判断ができないというふうに思っておりますので、この点について、私自身、予断を持って申し上げるということではなく、最終報告に向けましてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  253. 階猛

    ○階委員 今、予断を持って考えないということですけれども、予断を持った中間報告だったんじゃないですか、これは。予断があるから、さっき言ったような大事な情報が抜け落ちたりしているんじゃないですか。  そして、第三者が関わっていると言いましたけれども、第三者は、入管の中で亡くなった方の様子を撮影したビデオであるとか、今日問題になっている診療情報提供書、こういったものは御覧になっているんでしょうかね。第三者として、本当に主体的にこの中間報告に関わったんですか。さっきから第三者、第三者と言っていますけれども、本当の意味での第三者なんでしょうかね。その点、大臣認識、お答えください。
  254. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の中間報告の一番の眼目は、これまでの調査におきまして、特に亡くなられた方の健康状態、このことが亡くなったという背景の中で極めて重要であるということがございまして、それで診療状況とか体調の変化とか、そういう医療的、あるいは病院においてどうだったのか、こういうところを中心に事実関係の把握をするというのが主な趣旨で始まったところであります。  今回、それのバックになります様々なデータにつきましては、第三者の御指導いただいている皆様におかれましても、この中間報告をベースに、また、追加的なフォローアップも要請されているところでございますので、しっかりとそれに応えて調査をしていく、こうした姿勢が大事であると私は思っております。  今、中間報告で、委員の方からも、またこの委員会の方でも、様々な御指摘をいただいております。そのことについて、ねじ曲げられているのではないかというような御批判もいただいているところでありますが、それはそういうことではないと私自身は確信をしておりますが、しっかりと、事実に基づいて、丁寧に、中間報告の中で指摘されたことをフォローしていきたいと思いますし、最終報告に向けまして、その評価、しっかりしてまいりたいと思っております。
  255. 階猛

    ○階委員 どうなんですか。第三者の方はビデオも見ていないと聞いていますよ。そして、もしさっきから問題になっている診療情報提供書を読んでいたら、こんな記述にはなっていないはずですよ。見ていないでしょう。そこだけ、事実確認、お願いします。見ていないでしょう。
  256. 上川陽子

    上川国務大臣 通告いただいている状況でないので、ちょっと、担当の出入国在留管理庁が今必死になって調査をしている状況でございまして、私が大臣としてあれこれということを申し上げることができないということの中で申し上げるところでございますが、第三者の方については今まで見ている状況ではないという、今、報告を受けております。
  257. 階猛

    ○階委員 そういうことなんですよ。全然第三者じゃないんですよ。入管庁が作ったものを追認しているだけじゃないですか、それだったら。そういうやり方自体が、私はけしからぬと思いますよ。あたかも公正中立にやっているようなふりを装いながら、予断を持って作っている。  そこで、なぜそういうことをするかというと、結局、入管庁に落ち度がなかったことにしたいからですよ。  私は、落ち度はあると思っていますよ。三つ申し上げますね。  一つは死因です。今日ようやく、我々が出せ、出せと言っていたものが明らかになりました。私の手元に来ているものは、甲状腺炎による甲状腺機能障害により全身状態が悪化し、既存の病変を有する腎臓などの臓器不全が加わり死亡したというふうになっていますね。要は、病死と考えられるということであります。  七ページ目。先ほど串田委員もおっしゃっていたとおり、今回、仮放免、これは本来の趣旨に沿った適正な運用を可能とするための改正をしようとしているわけですが、本来の趣旨とは何か。一番左側の「現行法」のところを見てください。「仮放免は、本来、健康上の理由等による一時的な収容の解除のためのもの」ということになっているわけですよ。病気の人に仮放免は適用すべきなのに、それをやっていなかったんですよ。それが一つ目。  二つ目は、五ページ目を見てください。これは、「仮放免許可申請に係る経緯」。最初に申し上げたとおり、一回目は不許可となりました。そして、二回目、許可申請をしたのが、二月の二十二日ですね。先ほど来出ておりますとおり、二月の二十二日から、精神科の外部医師診療を受けた三月四日まで、診療は一切なかったわけです。  だけれども、そもそも、この二回目の許可申請の理由書には、下線を引いていますけれども、真ん中辺り、「体調が悪く、外の病院で点滴を受けたいが受けられない旨、職員にきちんと話を聞いてもらえないのでストレスが大きい旨及び外に出て検査を受けて安心したい旨などが記載されていた。」ということで、こういう許可申請理由書が出ていたにもかかわらず、一切診療がなかった。これが落ち度の二つ目ですよ。  そしてさらに、三つ目が、先ほど来問題になっている診療情報提供書。実は私の手元にあるんですけれども、先ほど、長時間理事会議論して、今日のところは出せないということになりました。引き続き、出せるように努力をしていきたいと思いますが、この診療情報提供書、昨日のニュースの画面を撮影したものを、資料九ということで皆さんのお手元にお配りしています。  この診療情報提供書には、明確に次のようなことが書いてあります。患者仮釈放を望んで、心身に不調を呈しているなら、仮釈放してあげれば、よくなることが期待できる。患者のためを思えば、それが一番よいのだろうが、どうしたものだろうかという記載があるけれども、こうした記載も考慮せず、そのまま、三月四日から亡くなるまで、身柄を解放するのではなくて、仮放免するのではなくて、そのまま収容していた。  こういう三つのことが私は落ち度だと考えますよ。どうですか。大臣、そう思いませんか。
  258. 上川陽子

    上川国務大臣 今委員から、評価に関する、分析、評価に係る御指摘がございました。  今、あくまで事実関係の調査をするということで、中間報告をなるべく早くお出しする、こういうことで指示をしてきたところでございます。これからこのフォローアップと再調査というか、課題について更に掘り下げてというところもありますので、そういったことを前提に、評価と分析を加えて、改善策というところにつなげていくための大事なことでございます。  今、階先生からおっしゃった三つの御指摘ということでありますが、先生の今のこの中間報告段階での問題提起ということで、その御意見については重く受け止めさせていただきます。  私自身大臣として、今の段階で、中間報告段階で、今のような事実の部分をもってこれについて申し上げるということは、私自身、今、差し控えさせていただくべきことであるというふうに思っております。
  259. 階猛

    ○階委員 いや、はっきり言って、三点目のことを隠していたわけですね。これは、もし明らかにしていれば落ち度につながるような事情だから隠したとしか思えないんですよ。  それから、死因だって、当初、肝機能障害と言っていたのが、さっき言ったのは全然違うじゃないですか。甲状腺炎による甲状腺機能障害。これも、なぜ今までかかっていたのか。でき得れば法案審議が終わるまで隠したいと思っていたのではないかというふうに思わざるを得ませんよ。なぜならば、健康上の理由は、仮放免の本来的な理由になるからです。  仮放免が、現行法でもきちんとやっていないのに、串田さんが言ったとおりですよ、なぜ条文に明記すればできるようになるのか。本来の趣旨に戻ると言いながら、本来の趣旨は全く機能していなかったじゃないですか。なので、こういうやり方では、とても法改正をする土壌は整っていないんじゃないか、そういうことなんですよ、我々が言っているのは。個別事案じゃなくて、本質的な問題なんです。  それで、私は、この中間報告、この間も藤野さんだったかな、これは中間報告に値しないというようなことをおっしゃっていましたけれども、まさにそのことがこの間の我々の質疑の中で明らかになったと思いますよ。この中間報告は撤回した上で、早急に最終報告を出してください。どうぞ、大臣の見解をお願いします。
  260. 上川陽子

    上川国務大臣 中間報告に対しまして、御指摘については真摯に受け止めたいというふうに思います。御指摘いただきました点を含めまして、しっかりと疑問にお答えするということが今回の調査趣旨でもございますし、また、これから更に検討、評価をしていくための大変大事なポイントであるというふうに認識をしておるところでございますので、出入国在留管理庁にしっかりと調査を更に行わせるよう、そして、できる限り速やかに最終報告に向けて報告を取りまとめていくよう、指示を徹底してまいりたいと思っております。
  261. 階猛

    ○階委員 大臣、先ほど私が言ったとおり、こんないいかげんな中間報告の下で、法案審議の環境は、土壌は整っていないと思うんですよ。その点はどう思われますか。
  262. 上川陽子

    上川国務大臣 この案件につきましては、大変、死亡事案ということで、私自身運用段階で過去もいろいろな事案がございましたけれども、大変重たく受け止めておりまして、それに基づいて調査をすぐに指示した、こういう状況でございます。  運用の中でこうしたことが起きることがないようにしていくというのが、これは大事な責務でございますので、これについては、この問題についての課題、問題、徹底し、またさらに、その改善に向けて最善の努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  263. 階猛

    ○階委員 聞かれたことに答えてください。  最終報告が出て、ちゃんと入管が機能しているかどうか、仮放免の本来の趣旨を貫徹する、そういう機能を果たしているかどうか、そこを確認した上でないと、仮放免の改正、また仮放免に代わる監理措置、こうしたものを設ける法案議論はできない、私はそう思いますけれども、大臣はそう考えないんですか。どちらですか。イエスかノーでお答えください。
  264. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の死亡事案の徹底的な検証、このことについては、しっかりと対応させていただきたいと思います。  同時に、出入国在留管理庁は今も動いております。中で、収容して、そして生活していらっしゃる方々もいらっしゃるということで、特にコロナ禍ということもございますので、特に診療、また健康管理、こうした医療体制のことにつきましては、体制整備が待ったなしという状況でございます。しっかりと対応をし、そして、今の現状についての整備をしてまいりたいというふうに思っております。
  265. 階猛

    ○階委員 いや、幾ら法改正を急いでも、それを使う入管局が信用できなかったら、機能しないじゃないですか。だから、まず、信用できるかどうか、ここをちゃんと明らかにする、これが制度改正の前提でしょう。そう考えないんですね、大臣は。
  266. 上川陽子

    上川国務大臣 私どもの出入国在留管理の中では、人が今もこの中で、私どもの所掌の対象として、収容施設の中でも、コロナ禍でございますので、仮放免の皆さんもこの間いらっしゃるわけでありますが、まだ残っていらっしゃる方もいらっしゃるということであります。命を守るということに最前線で努力をしていくということでありますので、この問題は本当に、最終報告に向けまして、速やかに対応してまいりたいと思います。また、この状況の中で、改善もしてまいりたいと思っております。  また、法律につきましては、長期収容の問題等の改善に関わることということでございますので、それについては、是非この委員会で御審議をいただきたいというふうに思っております。
  267. 階猛

    ○階委員 答えていませんよ、大臣。  そうしたら、我々がこの法案審議して採決した後に、実はこのスリランカ女性入管の落ち度、帰責事由によって亡くなったということが判明したとしますよね。そうしたら、業務上過失致死ですよ、これ。それぐらい重要な事案なんですよ。だから司法解剖しているんでしょう。そういう、刑事事件にもなりかねないから司法解剖しているんでしょう。  そういう事案なのに、それを脇に置いたまま法案採決なんて、そんな無責任なこと、国会ができるわけないじゃないですか。大臣だって国会議員でしょう。それぐらい常識的に考えてくださいよ。  それで、中間報告書にもちゃんと書いてありますよ、今後の予定が。死因に係る一定の結論を得た段階において最終的な調査結果の取りまとめを行うと書いていますから。もう死因結果は今日出ました。速やかにこの審議中に出すと約束していただけませんか。
  268. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の司法解剖の結果ということで、報告を受けているところでございます。この内容につきましても、様々なまた検討を加えながら、最終報告に向けまして速やかに検討してまいりたいというふうに思っております。
  269. 階猛

    ○階委員 いや、具体的な時期を聞いているんですよ。速やかにとはどういう意味ですか。お答えください。
  270. 上川陽子

    上川国務大臣 今回の状況が出ましたので、これを基に、また、今御指摘いただいていることについても、この内容についてフォローをし、そして検証し、効果をしながら分析し、最終的な報告書に速やかにまとめ上げていきたいというふうに思っております。
  271. 階猛

    ○階委員 もう一回聞きますよ。速やかにというのはいつまでにですか。お答えください。
  272. 上川陽子

    上川国務大臣 いつまでにというのを、あしたまでに、こういう形で申し上げることができませんので、今、これから、このことにつきましての事実も判明しているところでございますので、それに基づきまして、本当に可及的速やかにお出しをしてまいりたいと思っております。  もとより、この調査を長引かせるとか、そういう趣旨では全くございませんで、これについてはしっかりと死因を解明し、遺族の方にも、その方の、今どういう状況調査が行われて、そして、どういう状況で亡くなったのかというのを本当に待ちに待っていらっしゃるということでありましたので、中間報告は、その意味で早く出すように指示をしてきたところであります。最終報告も、その意味で、何が問題や課題であったのかということでありますので、その意味での速やかにということでの、この部分について、できるだけ速やかにお出ししたいと思っております。
  273. 階猛

    ○階委員 いや、できるだけ速やかにでは、全然、我々としては担保にならないんですよ。この中間報告に書いているのは、「死因に係る一定の結論を得た上で、最終的な調査結果の取りまとめを行う」。だから、前提条件は満たされましたよね。だったらもう、すぐできるじゃないですか。あしたとは言わないですよ。連休前ぐらい、来週中にはやってくださいよ。来週中。どうですか、大臣
  274. 上川陽子

    上川国務大臣 私は、今、調査を指示をして、そして客観、公正に調査をしていただくことを求めているものであります。現場の中で第三者の方も動いていただいているということでございますので、一週間後にというようなことを私自身が申し上げることは、ちょっと、なかなか難しいという状況であります。  また、今、司法解剖の結果ということで、この間の情報については、今日、昨日判明したということでありますけれども、甲状腺炎によりましてということでございますが、このことについて、これをもって司法解剖の結果が死因のところにつながるかということについては、いろいろ医学的な知見等ないものについては私もよく分かりませんので、これを適切にしっかりと判断をして、そして確定をしていくということの部分につきましては、やはり医療の専門家の皆さんからのセカンドもサードも要るかもしれません。そういったこともやはり客観的に公正に進めていくということが大事ではないかというふうに思います。  かといって、長引かせるという趣旨でそれを行うものではございませんので、今、階委員からは連休前とかというふうな明示をされていましたけれども、私の立場で、今、いつということについて申し上げるということそのものもできないという状況でございます。しかし、そもそもこの調査趣旨は、できるだけ速やかに調査結果を出していくということで始めたところでございますので、そのことにつきましてはしっかりとやらせていただきたいと思っております。
  275. 義家弘介

    義家委員長 田所法務大臣が官邸における会議出席のため、離席いたします。
  276. 階猛

    ○階委員 この中間報告書が信用できないということが明らかになっている中で、我々は最終報告が大事だと思っているんです。  他方で、この中間報告は、先ほど言ったように、死因が判明すれば最終報告できるということになっていますよね。ということなので、最終報告を急いでください。急ぐことはできるはずだし、急ぐ必要はあるんですよ。そこは御理解いただけますよね。それで、審議前提として必要だということも御理解いただいていますよね。  いつまでにとは言わないけれども、今言った二点はちゃんと理解しているのかどうか、お答えいただけますか。
  277. 上川陽子

    上川国務大臣 ちょっと、先ほど昨日ということで申し上げて、少し、何か、一昨日じゃないかという御指摘がありましたが、私自身が報告を受けたのは昨日ということの趣旨で、私自身の事実として申し上げたところでございます。  そのときに、司法解剖意味ということについてどう考えたらいいのかということでございますが、司法解剖の結果という形の報告は受けたわけでありますけれども、これにつきましては、やはりその結果のみで亡くなられた方の死亡の理由とか原因を判断するということについては適切ではないというふうに出入国在留管理庁として考えている旨の報告を受けておりまして、今後、司法解剖の結果、亡くなられた方の健康状態の推移、診察の経過、その間の検査結果等も踏まえまして専門医等の意見を聴取するということが出てきておりますので、適切にその調査、検討を速やかに、それも行わせていただきたいというふうに思っております。  そうしたことも受けて、できるだけ速やかに、最終報告に向けまして最善の努力をしてまいりたいと思います。
  278. 階猛

    ○階委員 ちょっと質問に端的に答えてください。  中間報告が信用できないので、最終報告を早くまとめる必要がありますよねというのが一点。もう一点は、もう死因が判明したんだから、中間報告の最後に書いてあるとおり、前提条件は満たされたからすぐにまとめに入れますよね。この二点、端的に答えてください。もう長々といいですよ。端的に答えてください。
  279. 上川陽子

    上川国務大臣 今、死因の判明を、これをもってということでは必ずしもないということを申し上げたつもりでございましたが、司法解剖の結果につきましては、司法解剖の結果として今報告を受けているところでございます。  出入国在留管理庁におきましては、司法解剖の結果、また、亡くなられた方の健康状態の推移、診療診察の経過、その間の検査結果等も踏まえまして専門医等の意見を聴取するということでございまして、適切にこの調査を積み上げてまいりたいというふうに思っております。  いずれにしても、最終的には、なるべく早くということの趣旨でスタートしたものでございますので、全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。
  280. 階猛

    ○階委員 今、死因だけじゃないという話を言われましたけれども、これもとんでもない話で、我々は、この中間報告の文言を見ますと、「Aの死因に係る一定の結論を得た上で、最終的な調査結果の取りまとめを行う」というふうにしかなっていませんよ。何を後から条件を加えているんですか。  それから、大臣のところに、いつ、死因、司法解剖の結果が伝わったか分かりませんけれども、私のところに伝わったのは今日の午前中です。かつ、この診療情報提供書も、私、いろいろ手を尽くして、今日、見ることはできました。落ち度につながる情報を、私が質問通告した後にようやく明らかになってくる中で、こういうやり方では全く審議が進まないじゃないですか。  不都合な情報も含めて、全部出してくださいよ。最終報告書、まだまとまらないんだったら、せめてそれぐらいはしてくださいよ。ビデオも見せる。それから、池田さんが言った様々な情報も出す。死体検案書それから診療情報提供書、正式には出せていないので、それも出させるようにする。いろいろな情報は国会に明らかにする。第三者に何を見せているのか見せていないのか、そうしたことも含めて徹底的な情報開示をするということはお約束いただけませんか。
  281. 上川陽子

    上川国務大臣 最終報告書の中でしっかりと分析、評価をした上で、そして改善も含めてお出しをするという流れの中で、今動いているところでございます。  今、この委員会でも様々な御指摘をいただきました。気がつかないところもあります。関係するところもあります。こういったことについてはまたフォローの調査をさせるということでありますので、何といっても客観、公正にやるということが大前提であり、それにつきまして疑義を生じるようなまとめ方について、私も先ほど申し上げたとおり、出すならしっかりと括弧つきで出すということが、これは客観性の部分でも極めて大事だというふうに思っております。  その意味で、先ほど申し上げたとおりでございますが、いずれにしても、最終報告、これに向けて全力で取り組ませていただきます。
  282. 階猛

    ○階委員 大臣、最後に一つだけ。  検察の理念ということを前回の質疑の中でも繰り返し触れられていて、理念の中に書かれている文言をしっかりと体得することが重要だということを言っていました。  そこで、一ページ目に検察の理念を持ってきました。下線部分、そこだけちょっと読んでもらえますか。
  283. 上川陽子

    上川国務大臣 私も、この検察の理念、絶えず読ませていただきながら来ました。この当時、理念を作り上げられた背景がございましたので、これにかける検察の皆さんの思いというものが体現されている、こう思って、先回もその旨の発言をしたところでございます。  読ませていただきます。「権限の行使に際し、いかなる誘引や圧力にも左右されないよう、どのような時にも、厳正公平、不偏不党を旨とすべきである。また、自己の名誉や評価を目的として行動することを潔しとせず、時としてこれが傷つくことをもおそれない胆力が必要である。 同時に、権限行使の在り方が、独善に陥ることなく、真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する、謙虚な姿勢を保つべきである。」。
  284. 階猛

    ○階委員 ありがとうございました。  これがちゃんと満たされるように、大臣として、検察だけでなくて、これは直接は検察の理念ですけれども、入管庁にも当てはまることだと思います。しっかり取り組んでください。  終わります。
  285. 義家弘介

    義家委員長 次に、高井崇志君。
  286. 高井崇志

    ○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。  私からは、今日は入管法の審議ということなので、今回の改正案の中身の前に、ちょっと、入管法ということでどうしても聞いておきたいことが何点かあります。それは、今の新型コロナの水際対策と言われる部分です。  今日、今頃、緊急事態宣言、三度目が決定をされると。今回、この三度目の決定の大きな要因は、皆さん御承知のとおり、変異ウイルスですよね。この変異ウイルス、なぜこんなに蔓延してしまったのかと、本当にじくじたる思いを持ってほしいんですよね、入国管理、あるいは今日厚労省も来ていただきましたけれども。  これは、報道によれば、去年の十二月の二十二日にイギリスから帰国した一人の男性から発生をしたと。その男性は、十四日間待機しなきゃいけなかったところを、待機せずに十人の会食をして、そこから広がっていったと。  もちろん、この一人から今のこんな蔓延があるわけじゃないと思いますよ。やはり同じようなケースが幾つもあったから、結局こんなにひどい蔓延になってしまったわけじゃないですか。  是非、まず、検疫をやっている厚労省に聞きたいんですけれども、今、現時点で、変異ウイルス流行国を指定して、そこの部分を水際対策を強化していますけれども、この指定が二十九か国と聞いているんですけれども、これは少な過ぎませんか。もう世界中でこれだけ変異ウイルスが蔓延している中で、どういう基準でこの二十九か国を選んでいるんでしょうか。
  287. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の流行国あるいは流行地域の指定に当たりましては、変異株が一定程度出現をしておりまして更に拡大していくことが想定される国・地域について指定の検討対象として、各国で公表されている変異株の流行に係る情報、あるいは新型コロナウイルス全体の感染状況、現地当局の見解、諸外国における水際対策等を踏まえて総合的に判断をし、指定を行っているところでございます。  この変異株の流行国・地域の指定については、当初、英国及び南アフリカ共和国のみであったものについて随時追加をしておりまして、結果として、現在、二十九の国・地域を対象としております。  御指摘のように、変異株の確認された国・地域ということでいいますと、このほかに七十か国余りの国・地域が当該国・地域で市中感染が確認されたり、あるいは日本の空港検疫等で変異株事例が判明した国・地域がございますけれども、それとは別に、この流行国・地域ということは今のような判断で行っているという状況でございます。
  288. 高井崇志

    ○高井委員 一定程度あって更に拡大する地域ですよね。そんな地域だけ指定したって、まあ、それは広がっていきますよね。なぜここをもっと厳格に強くやらなかったのかと、本当に今から後悔しても遅いんですけれども、しかし、今後また同じようなことが起こり得ますから、是非そこの部分を今日はただしていきたいと思うんですが。  その後、大体一月ぐらいからどんどんどんどん広がってきましたけれども、これは別に、変異ウイルスにかかわらず一月は緊急事態宣言で大変だった頃ですけれども、私は、友人でアメリカから帰国してきた人がいて、その人が、やはり誓約書を書かされるわけですね、二週間、毎日LINEで報告をすると。ただ、それを見ましたけれども、LINEで、何か、元気ですかみたいな連絡が来て、元気ですみたいに返せば、それでいいんですよ。別にGPSとか、追っかけている風もないですし。  それが、今、さすがにそれじゃいかぬということで、三月何日かから変わって、ビデオ電話をやるようになったと。それはいいことだと思いますけれども、でも、実際、ビデオ電話をやっている人ってどのくらいいるんですか。つまり、誓約書を書いた人のうち、実際に一〇〇%やっているんですか。
  289. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  委員の今御指摘のございましたLINEを使った確認というのは、健康状況確認ということで体温等を確認するもの、今現在はメールによる確認を行っていますけれども、それとは別に位置情報等の確認ということでありますが、この防疫対策、本年三月五日に公表した水際対策強化に係る新たな措置におきまして、入国者健康確認センターを通じて、先ほど申し上げた健康フォローアップのほかに、位置情報確認、そしてビデオ通話による状況確認等を順次行うこととしております。  同センターにおきましては、入国後十四日間の待機者の中で、メール等による健康状態の確認に回答せず、かつ、位置情報確認アプリによる呼びかけに応じない、あるいは自宅等から一定距離以上離れていることが確認された方に対しまして、ビデオ通話による状況確認を重点的に行っているというところでございます。  このビデオ通話による状況確認、直近、足下では、一日当たり約七十件の対象者に対し確認を実施しているという状況でございます。  引き続き、入国後十四日間の健康状態の確認と自宅等待機等の状況確認を確実に実施するために、同センターにおける確認体制の強化を鋭意進めてまいりたいと考えているところでございます。
  290. 高井崇志

    ○高井委員 一万何千人いるはずですよね。前回、私も別な委員会で、LINEをやり取りしない、つまりLINEに返事をしない人がたしか二割ぐらいいたと。もっといたかな。ちょっとごめんなさい。ということで、今の話はあれですか、メールや位置情報に応じない人にだけそのビデオ通話をやっていて、それが七十件ということなんですか。それをもうちょっと、割合を聞きたいので、全体の母数がどれだけで、どういう場合か、もう一度お答えください。
  291. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど委員お話しいただきましたように、ビデオ通話による状況確認というのは重点的にやっている形になります。  全体の母数といたしましては、今、入国者の総数は平均一日当たり約二千人ということでございますので、それで十四日間の待機ということでございますから、二千人掛ける十四日間ということで二万八千人前後という方が対象になろうかと思いますけれども、その中で、位置情報確認アプリによる呼びかけに応じない等という方について重点的にビデオ通話による働きかけをしているということでございます。
  292. 高井崇志

    ○高井委員 メールとかに応じない人はちゃんとビデオ通話は一〇〇%やっているんですか。それが知りたいんです。本来ビデオ通話をやってもらわなきゃいけない人がやっていない、つまり、何にもしないでほったらかしにされている人はどのくらいいるんですか。
  293. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 大変失礼しました。  多分、日によって大分違うと思いますけれども、呼びかけに応じない等の、あるいは自宅から一定距離以上離れているというような方については、一日当たり大体約二百人から三百名ぐらいが該当して、その中で、実際に本当に離れているかどうかというのはちょっと確認してみないと分かりませんけれども、重点的にビデオ通話による確認を行っている方が今、足下、七十人ぐらい、七十件ぐらいだということでございます。
  294. 高井崇志

    ○高井委員 では、二百人として、二百引く七十、残り百三十、百三十数名はどう、全く放置ですか。何もしないんですか。
  295. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど冒頭の御質問への答弁でもお答え申し上げましたように、確認体制の強化を鋭意進めてまいりたいと考えておりますので、これはまさに状況確認業務に従事する人員の増強ということになりますけれども、そうした人員増強に努めてまいりたいというふうに考えております。
  296. 高井崇志

    ○高井委員 人員の増強なんですかね。  いや、それは多分、嫌だという人ですよね。もうビデオ通話なんか面倒くさいし、位置情報なんて、ましてやメールすら嫌だという人が、メールぐらいすればいいのにと思うけれども、メールすら嫌だという人がかなりいるんですよ。そんな状況で本当によく入国管理、検疫、やっていると言えると思いますけれども。  これは通告していますので、なぜこの変異ウイルスの流入を防ぐことができなかったと厚労省としては考えていますか。
  297. 浅沼一成

    浅沼政府参考人 お答えいたします。  政府といたしましては、国民の健康と命を守り抜くことを最優先といたしまして、特に変異株への対応につきましては、昨年十二月十九日に英国政府からいわゆる英国変異株に関する公式発表がなされた後、強い危機感を持って速やかに水際対策の強化を図ってきたところでございます。先ほどのビデオ通話等もそういった対策の一環で進めておりました。  検疫では、これまで二百三十四名の変異株陽性者を発見するなど、国内への新型コロナウイルス変異株の流入防止に一定の役割を果たしたと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症の潜伏期間が一から十四日間程度であること、また無症状の方もいるということを踏まえますと、検疫での検査結果が陰性であっても、その後陽性になる可能性はあり、そのような場合でも感染拡大を防止することが重要であると考えております。  このため、検疫での検査結果が陰性であっても、入国後十四日間の自宅等での待機と公共交通機関の不使用を求めるとともに、健康フォローアップを実施し、健康状態に異常があった場合には速やかに必要な対応を講じることとしております。  この健康フォローアップにつきましては、各地域の感染拡大への対応など多忙を極める保健所に代わりまして、国が民間委託により設置するセンターが実施することとしたことにより、入国者の健康状態をより確実に把握し、異常が確認された場合には保健所と連携して速やかに必要な対応を取ることができる体制の整備を図ったところでございます。  水際対策につきましては、関係省庁が連携し、機動的に実施してきたところではございますが、今後とも、国内外の感染状況などを見極めつつ、政府全体といたしまして必要な対応を講じてまいります。
  298. 高井崇志

    ○高井委員 これは厚労省ばかり責めるのも申し訳ないと思うんですけれども、確かに保健所はそれはもう手いっぱいですよ。であればこそ、今日来ていただいていないですけれども外務省、あと法務省ですよね、やはりこの三省庁がちゃんと連携をして。  だって、これって、変異ウイルスを食い止めていたら、どれだけの違いがありますか、緊急事態宣言をやらなくてよかったら。もう何兆円というお金がこれで飛ぶし、予算だけじゃないですよね、どれだけの国民の皆さんが苦しい思いをしているかということを考えたら、なぜここにもっと力を入れられなかったのかということが本当に私は悔やまれますけれども。  これ、でも、まず一番やれるのは、法律を変えればいいんじゃないですかね。強制力を持たせて、もうそんな、登録しない人とかは全部罰則をつけて、位置情報だってちゃんと、それはもう、こういう事態ですから、外国から帰ってきた人には、やはり二週間は。本当ならもうずっと、去年の四月はホテルに缶詰にしていたから余り広がらなかったわけですよ、それがもう自由になっちゃって、PCR検査も結構簡単にできるようになったことで結構みんなが動くことになっちゃって、こうなっていますけれども。やはりそれは、法律を変えるというのが一つの一番手っ取り早い手だと思いますけれども、いかがですか。
  299. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  法律上の手当てをどうするかということに関してでございますが、実は、今国会で成立、既に施行されております検疫法の改正によりまして、入国後十四日間の自宅や宿泊施設等といった指定場所での待機の要請については、法律上の根拠を設けまして、この要請を受けた方についても、要請に応じる努力義務、これを課すということにまで手当てをいたしたところでございます。  また、先ほど答弁ありましたように、現在は入国時の誓約書の形で、この誓約に違反した場合には、氏名等の公表ですとか検疫法上の停留、外国人の場合は在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得るということで、関係省庁連携して、できるだけ担保、実効性が上がるように措置を講じているところでございます。  そこから更に進めまして、委員指摘のような、自宅等での待機を法律義務づけるという点、あるいは違反した場合に罰則を科すということについては、この方々、入国時の検査では一旦は陰性になっている方でございますので、こうした方々に個人の行動を直接に制限するという形になりますので、なかなか、私権の制約の程度としてはかなり強い措置を求めるということになります。この点については、現時点では慎重に検討する必要があると考えているというところでございます。
  300. 高井崇志

    ○高井委員 一旦陰性になった方と言いますけれども、最初に、十二月二十二日に、最初の変異ウイルスの方は陰性だったと聞いていますよね。それで、自由に行動して広がったと。  今、努力義務ではやはり守らないし、あと、誓約書だって、ちょっともう一回、改めてちゃんと整理して、何か、結局どのくらいの割合の人が守っていないのかよく分からなかったんですけれども、ちょっともう一回整理して、改めて通告しますので、やはり誓約書を守っていない人がかなりいますよ。だから、そこはやはり法律で手当てをしなきゃいけないと思います。  あと、法務大臣、是非、これは入管法がありますから、今は検疫法の話を聞いたんですけれども、私は元々、入管法の五条一項十四号、ここが、いわゆるテロ対策などの、法務省に聞くと、いや、テロだけじゃないんだと。分かっていますよ、そんなことは。バスケットクローズなんですよね。一から十三号まではちゃんと書いていて、あとはその他みたいなことでくくっていますけれども、これだけ大きな重要な話になっているわけですから、もうここに一号ちゃんと入れて、この新型コロナウイルスをちゃんとここに位置づけて、やはり位置づけることによっていろいろな施策もできてくるということがあり、ある意味象徴的な改正にもなりますから、私はこの改正をまずはすぐにやるべきだと思いますけれども、いかがですか。
  301. 上川陽子

    上川国務大臣 新型コロナウイルス感染症の感染、これが深刻な地域におきまして滞在歴等がある外国人につきましては、我が国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認める相当な理由があるとして、入管法五条第一項第十四号を適用し、迅速に上陸拒否措置を講じてきたところでございます。  現行の入管法の規定につきましては、まさに今刻々と変化をするこうした感染の状況でございまして、関係省庁と検討を踏まえた上で、法務大臣判断によりまして、その範囲を明確に限定しつつ、機動的に外国人の上陸を拒否し得るものであるということでございます。水際対策の最善の、最先端の措置として、この十四号をしっかりと運用してまいりたいというふうに思っております。  万全の措置という意味では、これは変異の方もまた大きく化けてきている状況でございますので、こちらの方もそれ以上の取組をしていかなければならないという課題であるということをしっかりと認識しながら、水際での防護にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
  302. 高井崇志

    ○高井委員 本当にそうしていただきたいと思います。法改正も是非してほしいですけれども。オーストラリアとかニュージーランドとか、よく言われている国はやはりロックダウンを、日本でもあそこまでやるのはなかなか難しいかなと思いますけれども、この水際対策はそんなに大きな国民の皆さんの負担はないので、海外から来た人にはちょっと申し訳ないけれども我慢していただくということを、やはり法改正をやるというのが一番効率的でリーズナブルだと思いますので、是非検討していただきたいと思います。  済みません、ちょっとこの話が長くなってしまったんですけれども、でも、大事な話なので、ちょっと今日よく分からなかった点もあるので、また聞きたいと思います。  それでは、改正案の方に入っていきますが、今日の議論も、ちょっと私も、途中、厚労委員会も同時にやっているので、出たり入ったりだったので全てを聞けていなくて、もし重複したら申し訳ないんですけれども、やはり、でも、ずっとこの間議論を聞いていると、本当に日本人権意識、人権擁護ってどうなんだろうと、何か諸外国と比べて、すごくそう感じるんですよね。  これは大臣、どうですか。人権擁護を所管する大臣として、日本って、人権擁護人権意識、高い国なんでしょうか。
  303. 上川陽子

    上川国務大臣 人権という言葉意味するその内容については、それぞれの皆さんの心の中にあるものであるというふうに思います。そういう意味で、意識ということに関わることだと思います。誰もが生まれながらにして、本当に人として極めて重要な、生きるために欠かすことのできない極めて重要な、基本的な権利というふうに思っております。  人権は誰にでも身近にあるものというふうに考えておりまして、例えば、子供たちに向けて言うとするならば、命を大切にしましょう、命を大切にするということ、自分の命も相手の命も大切にするということ、また、みんなと仲よくしましょう、こういう言葉の中に人権基本的な心のありようというものが映し出されるものというふうに思っております。  人権は、誰もが心で理解し感じることのできる、非常に大切なものであることでありますが、現実の社会を見ますと、偏見や差別がいろいろなところで生じておりまして、そして様々な人権問題が、また技術の発達等も伴いまして、形を変えて出てきているということ、これも深刻に受け止めていかなければいけないというふうに思っております。人権問題の解消、そして人権侵害のない社会の実現ということになりますと、まさに一人一人がお互いに違いを認め合う、こういう心を育んでいくことが何よりも大切であるというふうに考えております。  お尋ねの、人権意識の国際比較ということでのものでございますが、人権擁護の意識の高さというようなスケールで測るということについては、それは違いがあるということも事実でありますので、一概にお答えすることはなかなか難しいところでありますが、今後ともこの人権意識を高めていくということ、そして、差別、偏見が出てきたときにそれにどう向き合っていくのか、こういったことに社会全体として、また一人一人も取り組むことができるのか、こういったことが意識も行動も浸透していく社会、こういったことを目指して、更に人権啓発活動につきましても取り組んでまいりたいと思っております。
  304. 高井崇志

    ○高井委員 そういう抽象的なことを聞きたかったんじゃなくて、私の聞き方が悪かったかもしれないんですけれども。  先ほどからずっと議論されているようなことですね。収容施設における、やはりこういう対応が何か行われて、こういう国会で、こんなことで何かすごい議論になっているということ自体がもう、まず法務省そのものの対応はどうなんだと思いますし、あと、法務省だけじゃなくて私は外務省も、今、新疆ウイグルや香港やミャンマーなどの人権侵害に対して、この間もここで鷲尾外務副大臣に来ていただいていろいろやり取りをしましたけれども、ジェノサイド条約も結ばない、いろいろああだこうだと言って声明も何かはっきりしたものを出さない、こういう状況を見ると、本当に日本政府って人権意識、ちゃんとあるのかと。もう言われていますよね、何か日本って意識低いね、海外に比べるとと。あと、企業もそうなんですね。企業も、ウイグル産の綿とか、そういうのを使わないようにといろいろな国がもうやり始めていても、日本の企業は諸外国に比べればやはり対応が遅いと。  そういうこと、特にさっき日本国民とかと聞いちゃったからあれですけれども、政府と企業ということに限って言えば、とりわけ外務省それから法務省対応は適切だと、人権を所管する大臣として適切だと思いますか。
  305. 上川陽子

    上川国務大臣 国際社会におきまして、この普遍的価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配が保障されることが極めて重要であるというふうに思っておりまして、暴力によりまして死傷者が出ているという状況、こうしたことに対しましては、人権擁護を所掌する法務大臣として、極めて深刻な事態であるというふうに受け止めて、現状を憂慮しているところでございます。  それぞれの、ミャンマー情勢、またウイグルの問題等々につきまして御指摘でございますが、それぞれの所掌の中でしっかりと、この意識をしっかり持って対応していくということが大事であるというふうに思っております。  企業におきましても、対応一般につきまして私自身がコメントする立場ではございませんが、行動で示していくということについては世界にいろいろな形で伝わっておりますので、そういう中で芽が吹いているということも承知しております。まさに人権の意識が問われる、そういう場面ではないかと思っております。
  306. 高井崇志

    ○高井委員 本当に、この人権という問題がこの法案にも重要な論点になってきますし、法案の中身については、また来週、しっかりやりたいと思います。  ありがとうございました。
  307. 義家弘介

    義家委員長 本日は、開会が大幅に遅れましたが、質疑者、委員各位の御協力で、予定どおりの質疑を終えることができました。委員長として、委員各位に心から感謝を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会