運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2021-04-14 第204回国会 衆議院 法務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月十四日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 義家 弘介君    理事 伊藤 忠彦君 理事 稲田 朋美君    理事 奥野 信亮君 理事 宮崎 政久君    理事 山田 賢司君 理事 稲富 修二君    理事 階   猛君 理事 大口 善徳君       井出 庸生君    井野 俊郎君       今枝宗一郎君    岩田 和親君       大塚  拓君    金子万寿夫君       神田  裕君    黄川田仁志君       国光あやの君    小林 鷹之君       杉田 水脈君    武井 俊輔君       出畑  実君    中曽根康隆君       野中  厚君    深澤 陽一君       藤原  崇君    盛山 正仁君       山下 貴司君    吉野 正芳君       池田 真紀君    寺田  学君       中谷 一馬君    松平 浩一君       屋良 朝博君    山花 郁夫君       吉田 宣弘君    藤野 保史君       串田 誠一君    高井 崇志君     …………………………………    法務大臣         上川 陽子君    法務大臣        田所 嘉徳君    法務大臣政務官      小野田紀美君    最高裁判所事務総局人事局長            徳岡  治君    最高裁判所事務総局家庭局長            手嶋あさみ君    政府参考人    (警察庁長官官房総括審議官)           櫻澤 健一君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 檜垣 重臣君    政府参考人    (法務省大臣官房政策立案総括審議官)       竹内  努君    政府参考人    (法務省刑事局長)    川原 隆司君    政府参考人    (法務省矯正局長)    大橋  哲君    政府参考人    (法務省保護局長)    今福 章二君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           蝦名 喜之君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君    法務委員会専門員     藤井 宏治君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   井出 庸生君     杉田 水脈君   武井 俊輔君     金子万寿夫君   山下 貴司君     岩田 和親君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     今枝宗一郎君   金子万寿夫君     武井 俊輔君   杉田 水脈君     井出 庸生君 同日  辞任         補欠選任   今枝宗一郎君     山下 貴司君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  少年法等の一部を改正する法律案内閣提出第三五号)      ――――◇―――――
  2. 義家弘介

    義家委員長 これより会議を開きます。  内閣提出少年法等の一部を改正する法律案議題といたします。  本案審査に資するため、去る十二日に、委員十二名が参加し、東京家庭裁判所視察を行いましたので、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。  まず、東京家庭裁判所裁判官及び家庭裁判所調査官から少年事件状況についての説明を聴取した後、家庭裁判所保護処分実情及び原則逆送事件における調査官による調査実情等について質疑応答を行いました。  次に、東京家庭裁判所少年審判廷及び面接室視察いたしました。  その後、東京地方裁判所裁判官から逆送後の少年刑事事件についての説明を聴取した後、刑事裁判における少年への配慮推知報道との関係等について質疑応答を行いました。  以上が、視察概要であります。  最後に、今回の視察に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げ、視察の報告とさせていただきます。     ―――――――――――――
  3. 義家弘介

    義家委員長 この際、本案に対し、松平浩一君外二名から、立憲民主党無所属提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨説明を聴取いたします。松平浩一君。     ―――――――――――――  少年法等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾掲載〕     ―――――――――――――
  4. 松平浩一

    松平委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正趣旨は、本委員会における審議の中で明らかになった、特定少年にとって特に不利益が大きいと思われる点を改正案から削除するとともに、いわゆる推知報道禁止に関連して被害者等配慮する規定を設けるものであります。  以下、この修正案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、特定少年保護事件について、虞犯を対象から除外する規定及び家庭裁判所による保護処分の特例に関する規定追加は、行わないこととしております。  第二に、人の資格に関する法令の適用に関する規定について、特定少年のとき犯した罪により刑に処せられた者を適用除外とする規定追加は、行わないこととしております。  第三に、記事等掲載禁止に関する規定について、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における記事又は写真を適用除外とする規定追加は、行わないこととしております。  第四に、少年事件に関する記事等出版物への掲載に当たっては、被害者及びその家族又は遺族の名誉又は生活の平穏が害されることのないよう十分配慮されなければならない旨の規定を設けることとしております。  以上が、この修正案趣旨及び内容概要であります。  何とぞ、御審議の上、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  5. 義家弘介

    義家委員長 これにて修正案趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  6. 義家弘介

  7. 義家弘介

    義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  8. 義家弘介

    義家委員長 次に、お諮りいたします。  本日、最高裁判所事務総局人事局長徳岡治君及び家庭局長手嶋あさみ君から出席説明要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 義家弘介

    義家委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  10. 義家弘介

    義家委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。屋良朝博君。
  11. 屋良朝博

    屋良委員 おはようございます。立憲民主党屋良朝博でございます。  まずは、原案について質問をさせていただきます。  冒頭ですけれども、お配りした資料の一ページで、事例と書いてあるものがあります。具体的な事例、私は、知り合いの弁護士さんに、何か、今回の改正案で懸念されるような事例というのはないものかということを問い合わせたところ、こういうことを教えていただきまして、それを私が、ヒアリングしたものを基に書き出したものですけれども、取りあえず読み上げてみます。  十八歳の少年ケースでございます。  幼少期から父親からの体罰を受け、親への反発が強く、中学生より家出を繰り返すようになる。飲酒、喫煙、深夜徘徊、怠学などによる補導歴多数あり。高校入学後、中退。十七歳のとき、バイクバイク部品窃盗、無免許運転逮捕少年鑑別所入所を経て、家裁での少年審判保護観察処分を受ける。その後、建設作業員として働いたが、不安定な生活が続いていた。十八歳のとき、地元の先輩に誘われ、公園で飲酒中、先輩からスーパーで酒を盗もうと誘われ、加担。スーパーで酒を服の中に入れて店を出た際、私服警備員に声をかけられ、とがめられる。少年は、とっさにその場から逃げようとして、私服警備員を押し倒したところ、私服警備員は転倒し、擦過傷を負った。少年は、強盗致傷罪逮捕、勾留され、家裁送致少年鑑別所入所家裁での少年審判少年院送致処分を受けたというふうな事例でございます。  この事例に基づき、私は、二つのテーマで確認をさせていただきたいと思っております。  まずは、事件の事実認定をどのようにしていくのかということです。もう一つは、執行猶予が推定される原則逆送事案について、それをどう対応していくのか。恐らく、これは事後強盗に類するものだと思いますので、これまでもかなり議論がなされてきたことだというふうに承知しております。  まずは、これが強盗なのか窃盗なのかという判断基準は何でしょうかという質問でございます。相手に負わせた傷の軽重に伴って、罪の重い、軽いが決められていくという、その相関性があるのかどうかということをまずは質問させてください。
  12. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  事後強盗罪と申しますのは、窃盗犯人が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をした場合に成立するとされております。  その暴行脅迫の要件につきましては、通常強盗罪、これから財物を取ろうとする強盗罪におけるものと同様に、相手方反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要すると言われております。すなわち、ただ暴行を用いただけで直ちに事後強盗罪になるのではなく、その暴行、あるいは脅迫事後強盗罪になりますが、その程度相手方反抗を抑圧する、相手方反抗を抑え込むという程度に足りるものであることを必要とされております。  委員先ほどけがをしたということに言及されましたが、けがをした場合というのは、今私が御説明申し上げたのは事後強盗罪というものでございまして、その結果、被害者けがをいたしますと、事後強盗致傷罪ということになりまして、通常事後強盗罪よりも重くなりますが、あえて申し上げますと、けがをしたかどうかということと、基本的な形である事後強盗罪が成立するかどうかということは関係がございません。事後強盗罪が成立するかどうかは、暴行脅迫のその程度の問題でございます。その基本的な事後強盗罪が成立した後に、被害者けがという結果が生じているならば事後強盗致傷罪という、事後強盗罪よりも罪の重い犯罪が成立するという関係になるところでございます。
  13. 屋良朝博

    屋良委員 そうすると、やはり、犯情というか、どういうふうな状態でそれが起きたのか、それが被害者に与えた状態というのが判断基準になっていくというふうな一般的な解釈でよろしいんですかね。では、お願いします。
  14. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  一般的な解釈ということでは、委員がおっしゃられたように、暴行脅迫程度がどうかということでございます。  ただ、これは実務的にといいますか、実際の事件では、具体的な被害者の、例えば、年齢、性別、その他の状況であるとか、現場状況であるとか、今度は犯人側状況とか、いろいろなものがございまして、具体的な事実認定としては、事案事案でございます。  検察当局におきましては、個々の事案におきまして適切に判断を行っているところでございまして、ちょっと実務的なことを御説明いたしますと、この事後強盗罪といいますか、窃盗犯人が逃げるときに、あるいは暴行を振るうという例はよくございます。これは事後強盗罪になるかというのはまさに争点になるところでございまして、かなりの件数、そういう事件検察が処理いたしまして、それが事後強盗罪になるのか、窃盗プラス暴行になるのかによって、それは刑が違ってまいりますので、被告人弁護人側も、この点は事案によっては争点としてまいります。  したがいまして、検察官は、先ほども申し上げたように、具体的な状況において、反抗を抑圧する程度に達しているか否かという判断を慎重に行った上で、これまでも処理しているところでございまして、この点については今後も引き続き適切に処理をしていくものと承知しております。
  15. 屋良朝博

    屋良委員 なるほど。なるほどと言ってしまいましたが、よく分からないんですけれども。  やはり、窃盗罪か、それが傷害プラス窃盗傷害かで、強盗なのか、事後強盗なのかという線引きというのは、やはりケース・バイ・ケースで、検察も非常に細心の注意を払って事実認定をしていくことだというふうに今改めて印象を持ちました。  ただ、今回の少年法改正で、特定少年にとって、逆送対象になるか否かのとても大きなポイントになるというふうな印象を受けておりまして、委員長を始め、この間、本委員会家裁見学に参加させていただきましたけれども、そのときに確認できたのは、犯罪事実について、検察が提出した資料に基づき家裁審判することであると。しかし、少年供述が曖昧だったり、質問に引っ張られたりする傾向があるため、よりきめ細かな配慮裁判では必要であるというふうな説明をいただきました。  そうした現状を認識した上で確認したいのですけれども、原則逆送事件が増えて、推知報道も解禁になるわけですから、保護処分判断とはまるで違う重みを持つことになると考えられます。供述が曖昧とされる少年による証言の信憑性を、家庭裁判所はどのように確認していくつもりなのか、これは実務に関することになりますけれども、御説明ください。
  16. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  非行事実についての確認というのは、現行実務でも非常に重要なポイントであることは間違いないかと存じます。  その上ででございますけれども、家庭裁判所におきましては、まず、少年の話をよく聞くということもございますし、また、一定非行事実の確認に必要な場合、否認事件などにおいて、一定の罪の事件について非行事実を認定するために必要であるというふうに認める場合には、審判手続検察官関与させることができるともされておるところでございます。この場合には、弁護士である付添人審判手続関与することとなり、これらの者の関与による証拠の収集、吟味における多角的視点を得て、家庭裁判所非行事実の存否を検討することとなるところでございます。
  17. 屋良朝博

    屋良委員 家裁調査官がどこまで事実認定を行うかということが一つ注目点になろうかと思うんですけれども、調査官役割が多分大きく変わって、もしかしたら、現状体制、要員では手に余るかもしれないというふうな印象を受けたんですね。現行制度体制の見直しとか、体制強化が必要になるんじゃないのかなというふうなことを、単純に見学したときに思ったんですけれども、その辺の懸念はありませんか。
  18. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  家庭裁判所調査官調査というのが少年事件におきまして大変重要なものであるということは、委員指摘のとおりでございます。  その上で申し上げますと、家庭裁判所調査官による調査現行法の下でも非常にじっくりと十分にやっているところでございまして、具体的に申し上げますと、現行実務と同様に、非行態様とか結果ばかりでなく、少年資質環境など、少年問題性について十分に調査を尽くすということになるところでございます。  ただ、申し上げておりますように、現行法の下でも十分にしっかりやっているところでございますので、その点については変わりがないというふうに考えているところでございます。
  19. 屋良朝博

    屋良委員 一つ確認なんですけれども、非行の事実の資料というのは検察が送ってきたものを参考にしていると、それで、調査官はこの少年に合った保護処分を考えていくというのが一般的な家裁役割だということになっていると理解しておりますけれども、そこに原則逆送というのが来て、冒頭刑事局長からも御説明いただきましたけれども、強盗なのか、窃盗なのか、様々な状況の中で、被害者に与えたダメージの軽重だとか、そういったものも、いろいろな様々なものを判断していかないといけないということの役割が多分これから家裁にも付加されていくだろう、与えられていくだろうというふうに考えるわけですね。  だから、これまでも十分やっているからこれからも大丈夫ですよということでは、ちょっと家裁役割というのがこれから少し変わっていくような気がするんですね、新しい法律で。その辺をどう受け止めているのかということを私は知りたいんです。もし、お答えがあるのであれば、教えてください。
  20. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  非行事実の確認判断、そこについての重要性というのは今までと変わりがないところでございますが、この点につきましては、家裁調査官による調査のみでなく、裁判官による審判廷における審理判断というところもございますし、そのような意味を含めまして、今後、この法案が成立した折に、より一層慎重に検討すべきではないかという御指摘かとは存じますけれども、その点については、これまでと同様、更に慎重にしっかり、裁判官による審理判断も含めてやっていくということになるかと存じます。
  21. 屋良朝博

    屋良委員 家裁で聞き取りした中で、少年状態を考慮し、あるいはその人間関係に考慮し、学校にも問合せを控える場合があるというふうな説明があったんですね。そうすると、事実確認、事実認定については、やはり検察が出してきた資料を今でも基に判断しているし、これからもそうするであろうということだと思いますけれども、ただ、今回、これから、新しい少年法では、犯情軽重を見ていかないといけないという役割を負わされているんですね。  私は検察を信用しないというわけではございませんけれども、これまでのメディアの報道にも、証拠を隠したり、いろいろな不祥事が報道されているので、これはやはりちゃんと公平公正に審理をして、逆送が適当なのか、そうじゃなくて保護処分を優先していくのかというふうなことが、やはり役割として迫られていく。これはもう回避できない役割を負わされていくというふうに、私は印象を持っているんですけれども。  調査官が今後、ちゃんとした調査をする、学校にも行って聞き取りをしながら、あるいは、現場に行ってどういうふうな状況だったのかを確認しながら、被害者の方にも会ったり、もしかしたら刑事さんみたいなこともやっちゃったり、そんなことをやって、ちゃんと事実関係確認した上での判断になっていくのかどうか、そういったことも想定されるのかということをちょっと教えてください。
  22. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  委員指摘のような少年資質、それから環境調整に係るような調査ということにつきましては、現行法の下でもこれはしっかりやっているところではございまして、その意味で申しますと、大きくその実務運用が変わるということではないところというふうに承知をしております。  事実の認定判断に関しまして、より一層慎重にすべき局面というのが増えてくるということがありました場合には、先ほど申し上げましたように、裁判官による審理判断というようなものを組み合わせながら、適切に運用していくところかというふうに存じます。  また、いずれにしましても、法案が成立いたしました場合に、事件動向等を慎重に見ながら必要な体制は整えていくということになるところかと存じます。
  23. 屋良朝博

    屋良委員 事実認定正確性を期するために、検察関与制度というのがあるというふうに聞いているんですけれども、それを使うのであれば、全ての逆送事件についてこれを適用しなくてはならなくなるんじゃないかというふうなことも考えたりする。そうすると、弁護士関与も必要になってくるだろう。  では、弁護士をどの段階関与してもらうのか、事情聴取段階からも関与してもらうのかどうかというふうな、様々細かな調整、細かな対応が必要になってくると思うんですけれども、それを全部、これまでもやってきたことだから大丈夫だというふうな説明では、なかなか、ちょっとその少年法が変わっていくということを想定した場合、私たちも野党として修正案を出させていただいておりますが、これは推知報道も絡んでくるので。  今回の私が事例として挙げさせていただいたものは、弁護士さんの印象を聞くと、これはもう恐らく執行猶予がつくぐらいのものだよねというのが普通の解釈だということだと聞いたんですね。そうしたら、執行猶予になると、保護措置も受けられなくなるわ、しまいには、推知報道が解禁されて、もう世間には顔も名前も知られて、社会的な制裁を受けないといけないわで。  これは、子供の将来、一生に関わることをある一時期の事実認定で決めて、事実認定した結果、逆送だから、今の逆送は死亡という客観的な事実があるのが前提だから分かりやすいんですけれども、しかし、私たち運用に関わってくる、大きくそこに依拠するわけですよね。私たち判断、そのときの、誰が、その裁判官の性格とかいろいろ関係してくるかもしれません、心証とかで。そうすると、これは本当にこのまま行っちゃっていいのかという疑問が湧いてくるんですよ。  だから、執行猶予にしたら、この子は執行猶予を受けたときから自由になることができるんだけれども、推知報道で更生の機会が奪われて、どっちがいいのかって、比較のしようがないような状況だけれども、社会的な制裁はもう受けちゃうよということを前提にすると、なかなか心配が後を絶たないというようなことなんですね。  ここは、これから深掘りしても、今までと同様にやっていきますというふうなお答えになると思いますけれども、しかし、審判公平性を保つために一体どうするのかということが、今後、恐らく問われてくるというような気がしております。  次に、保護処分が必要なのか、あるいは刑事処分しかないねというような判断になる状況も多々あると思うんですね、原則逆送があると。しかし、考え方としては、やはり家裁は、まずは、執行猶予が想定されるような事件では、保護処分が妥当なのかを検討して、その上で、刑事処分しかないねというふうな順番で、むしろ保護処分を優先させるべきだと私は考えておるんですけれども、それはどうでしょうか。  裁判所にお伺いしますけれども、まずは、やはり家裁の、少年法第一条の適用を受ける特定少年であるわけですから、やはり、保護処分をまず前提に考えた上で審理をしていく、審査をしていくというふうな順序でなければやはりおかしいなと思うんですけれども、どうでしょうか。
  24. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  本法案の六十二条二項ただし書というのは、現行法でまいりますと、現行法二十条二項ただし書と同様の例外規定を置くこととされているところでございます。  その意味で、先ほど来の委員の御質問とも関連するところでございますけれども、本法律案に定める原則逆送事件としては、より幅広い犯情のものが想定されるところではございますけれども、家庭裁判所におきましては、現行実務と同様に、家庭裁判所調査官による調査で、非行態様や結果だけでなく、少年資質環境など、少年問題性についても十分に調査を尽くし、その結果も踏まえた上で、法改正趣旨に即した適切な処分決定をするということになるものと認識しております。
  25. 屋良朝博

    屋良委員 どうもやはりよく分からなくて、推知報道で社会的な制裁は受けますよということが前提になるわけですから、前提というか、そういった状況に置かれるわけですから、保護するのか刑事罰を与えるのか、問題性が逆転しているんじゃないかなというふうな気がするんですよ。  だから、これは矛盾していないかなと思うんですね。現行少年法の中での対応であるということを前提にした場合、原則逆送で送ってはみたけれども執行猶予がついたよということだと、この子の保護措置というのが宙に浮いちゃうねということだと思うんですけれども。ちょっと、私、誤解していますか。もし、あれば教えてください。
  26. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  委員の御指摘は、改正法案でいきますと六十二条二項ただし書の運用というのがどうなるのかというお尋ねかと理解しております。  それを前提お答えをさせていただきますと、現行法の二十条二項ただし書にも同様の例外規定が置かれておるところでございまして、その運用におきましては、一般論としてではございますけれども、犯情非行態様や結果だけではなくて、少年資質環境など、その少年問題性を踏まえて、総合的に、保護処分が適切かどうかということを判断した上で結論を出しているところでございまして、それを考えた上でやはり検察官送致が適切であるというものについて逆送の決定がされているということかと認識しております。
  27. 屋良朝博

    屋良委員 では、入口で強盗なのか窃盗なのかというところを慎重に判断して、強盗であれば逆送しますけれどもということになるのかな。窃盗であっても、その犯情を見た上で、ちょっと程度を超しているなということ、ああ、それは違うわけですね、短期一年以上だから。だから、強盗でも逆送する事件とそうじゃないということが運用上ありますよというお答えなんですか。
  28. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりかと存じまして、その非行事実が原則逆送の対象事件に該当する場合でも、家庭裁判所といたしましては、その犯情及び少年問題性、要保護性に関わる部分、そこについてもしっかり調査をし審理をした上で、逆送するかどうかという結論を決定しているというところでございます。
  29. 屋良朝博

    屋良委員 済みません、堂々巡りになってしまうんですけれども、資料はやはり検察からもらって、それを基に判断していくんだけれどもというふうなことですよね。だから、そこでその審理公平性とかなんとか、いろいろいろいろ考えないといけないなというような気がしておりまして、この問題は難しい。  ちょっと視点を変えますけれども、私が冒頭紹介しました事例では、飲酒という非行があるんですね。飲酒は法が改定されても、それは非行非行で変わりないんですが、これは補導の対象になるんでしょうか。教えてください。分かりますか。
  30. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  今委員お尋ねの補導というのは、警察による補導ということでございましょうか。(屋良委員「警察」と呼ぶ)済みません、私ども、警察の活動は直接所掌しておらないのでございます。  警察におきましては、今後とも補導活動につきましては警察で定めておられている規則等にのっとって適切にやっていただけるものと承知しておりますが、済みません、これ以上の詳細はちょっと所管外ですので、控えさせていただきます。
  31. 屋良朝博

    屋良委員 そうでした。残念でした。ごめんなさい。  それで、私は、もうそろそろ時間なので問題意識を開陳させていただいて終わりますけれども、委員長もうちの寺田委員質問に対して、やはり立ち直りには出会いが大事なんだというふうなことを語っていただきました。大変重い言葉だったと受け止めました。少年たちに寄り添う、私たちの見守り、それが大事ではないかというふうなことを、この少年法審議を勉強させていただく中で本当に痛感した次第なんですけれども。  それで、最初の事例、それを教えてくれた弁護士は、地域で子供シェルターの運営に関わっているということなんですね。これは厚労省の助成事業になっているようなんですけれども、ネグレクトや虐待、非行、そして少年院、退院したけれども行く場所がない、児童福祉施設や自立支援ホームなど、落ち着き場所が見つかるまでの間、衣食住のケアをするのがこの子供シェルターのようです。十八歳以上は児童福祉法の適用外であり、通学したいが一時保護所では通学を原則認めてもらっていない、このような制度の欠陥を埋めるための運用がなされているそうなんですね。  こういった支援体制が十分じゃないと、少年法の改正、様々な、十八、十九歳の特定少年を取り囲む環境の激変というのに対応できないんじゃないかなというふうな気もしておるんですけれども、大臣、最後に、そういった受皿、それの整備の必要性を、御認識をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  32. 上川陽子

    ○上川国務大臣 犯罪を犯した方、また、非行の方々の社会においての状況があるということの中で、その方の立ち直りのためには、やはり、しっかりとした居場所と、そして仕事をしっかり持って、自立した生活を自信を持って営んでいくことができるということを社会全体で見守り、また寄り添い、そして切れ目なくその自立に向けて対応していくという全体の姿というものが大切であるということで、再犯防止は、そういう中で、特に、居場所と仕事とまた住まいを持つという形で、保護司の先生や更生保護の皆様が本当に心を砕いて、百何十年の歴史の中で培ってきた制度でございます。  施設をつくったり、民間の方々も非常に努力をしていただいておりまして、公の部分でやる部分と民の中でやっていただく部分の間には、本当に、受け取る相手の気持ちの中に、少し、公に行くと非常にがちがちにガードが非常に強くなるんですが、民の方のサポートというのはその方自身の心を開いていくという効果もありますので、それをうまく調整しながら、マッチングしながらやっていくという総合的な対策を取っていく必要がある、こんなふうに思っているところであります。  どの制度でありましても、一人の方の立ち直りを支援していくということの着地を見定めながら、今の段階で何をすべきか、教育的な対応が必要なのか、あるいは、今おっしゃったように、ある人と出会って、その方の非常に強い尊敬とまた指導の下で立ち直っていく、いろいろな形のものがありますので、そういったプログラムも含めてきちっと対応できるように、環境整備については十分にこれからもしてまいりたいと思っております。
  33. 屋良朝博

    屋良委員 十八、十九歳の子供たち、未来がある子供たち少年たちに関わることなので、本当に細心の注意を払ってやっていただきたいということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  34. 義家弘介

    義家委員長 次に、中谷一馬君。
  35. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。  私からも、まず冒頭に、少年法改正案について伺ってまいりたいと思いますが、刑事司法の国民理解、信頼確保で得られる日本社会及び国民の利益についてということで伺ってまいりたいと思います。  今般の法務委員会において、少年法質疑政府参考人から、十八歳、十九歳の者は、公選法及び民法の改正等により、重要な権利、自由を認められ、責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となるに至ったものでございます、そこで、十八歳及び十九歳の者が罪を犯した場合には、このような立場に応じた取扱いをすることが適当であり、刑事司法に対する国民の理解、信頼の確保という観点からも必要であると考えられているところでございますという趣旨の答弁が、今回の改正案において繰り返し述べられております。  その中で、刑事司法の役割について確認をしたいんですけれども、刑事司法の役割として、実体的真実の発見による適正かつ迅速な犯罪者の処分、適正手続の保障、両者の調和による国民の安全な生活の確保、犯罪者の改善更生による再犯防止、被害者等の保護など様々あるかと思うんですけれども、そもそも論として、刑事司法の国民理解、信頼確保によって得られる日本社会及び国民利益は何であると考えているのか、大臣の御所見を伺います。
  36. 上川陽子

    ○上川国務大臣 我が国におきまして、法制度でございますが、国民主権の基本的な理念の下で、国民の理解そして信頼を得られるものであるということが要請されるところでございます。  また、刑事司法制度ということでの御質問でございますが、犯罪を取り扱うということでございますので、その制度につきましては、罪を犯した者が将来再び犯罪に及ぶことを防止する、いわゆる特別予防に資するだけではなく、私的制裁禁止し、国家が刑罰権を独占する以上、被害者や社会の応報感情にも適切に応えていく、そして、制裁の威嚇により犯罪を抑止する、いわゆる一般予防と言われるものでございますが、にも資するものであるということが求められるところでございます。  その上で、少年法でございますが、保護を要する少年、若年者一般を対象とするものではなく、あくまで、罪を犯し、刑罰法令に触れ、あるいはそのおそれのある非行少年に対しまして、先ほど申し上げました刑事司法制度の中でその健全育成を図るものでございます。  そこで、少年法の在り方を検討するに当たりましては、少年の保護、教育の観点、そしてそれだけではなく、刑事司法制度の在り方といたしまして、刑事司法制度の存立基盤であります、被害者を含めました国民の理解と信頼の観点をも考慮することが不可欠であると考えられるところでございます。こうした観点から、これまでも累次にわたりまして少年法の改正も行われてきたと理解をしております。  そして、国民の理解、信頼に支えられた刑事司法手続を適切に運用をしていくということ、このことが社会秩序の維持や国民生活の安全、安心に資するものというふうに考えております。
  37. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 確認をさせていただきますが、日本社会及び国民の利益という観点でいうと、それは公共の福祉であったりとか基本的な人権の尊重であったりとか、そういった国民の安心、安全が守られるという観点があるという理解で大丈夫ですか。
  38. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、国民の信頼とまた理解、こうしたものに支えられてこそ初めて刑事司法の制度が、先ほど申し上げたような趣旨の中で、制度そのものが生きてくるわけでございますので、この運用におきましても、こうした視点からしっかりと担保することによって、ひいては国民の皆様また社会秩序の維持、あるいは国民生活の安全、安心につながっていくということであるというふうに考えております。
  39. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 刑事司法、これの信頼を得ることによって国民の安心、安全を確保する、そういった観点であるという理解をしました。  その上でなんですけれども、少年法第一条の目的には、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境調整に関する保護処分を行うとともに、少年刑事事件について特別の措置を講じることを目的とすると記載されています。  そして、先日、私から、この少年法の目的に関連して、非行を犯した者に対して、刑事処分とは異なり、単に刑罰を与えるのではなく、教育的な処分を行うことによって、非行のある少年が健全に成長し、再び犯罪を起こさないようにする少年保護を目的としているという理解をしているんですが、大臣は、今回の少年法改正において、この目的を達成することにより近づく法改正であると考えているんですかと伺ったところ、本改正につきましては、十八歳及び十九歳の少年につきまして、刑事司法全体としての再犯を含む犯罪の予防、抑止機能を低下させるものではございませんで、少年法第一条の目的そのものを阻害するものではないと考えておりますとの答弁をいただきました。  そこで確認をいたしますが、本改正は、犯罪抑止、再犯機能の低下をさせるものではないが、犯罪抑止、再犯防止機能を向上させる目的でもないという理解でよろしいですか。御所見を伺います。
  40. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先般、御質問に対しまして、この少年法第一条におきましての、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境調整に関する保護処分を行うとともに、少年刑事事件につきまして特別の措置を講ずることを目的とする規定というものを申し上げまして、本法律案につきましては、この同条については改正しておりませんので、十八歳以上の少年についても、引き続き同法のこの目的が適用するというふうに申し上げたところでございます。  改正は、十八歳、十九歳の少年につきまして、刑事司法全体としての再犯を含む犯罪の予防、抑止機能を低下させるものではなく、少年法第一条の目的を阻害するものでもないというふうに認識しているところでございます。  今、委員の方からも、さらに、今般の法律案につきましての趣旨についてのまた御言及を改めていただいたところでございまして、これは重ねて申し上げるところでもございますが、選挙権年齢を十八歳に引き下げる公職選挙法一部改正法の附則におきまして、国会の意思として、民法の成年年齢とともに少年法適用年齢を引き下げるかどうかの検討が求められたことを契機として、検討をしたものでございます。  その意味では、この検討の結果におきまして、少年法適用において、その立場に応じた取扱いをするということで、十八歳、十九歳の者に対しまして、特別少年という形で定義をし、定義というか、まとめてこの少年法の中に組み込ませていただいたところであります。  具体的な手続につきましては、家庭裁判所少年院、保護観察所等の専門的知見、ノウハウを引き続き活用していく、このことが極めて大事でありまして、そして、対象者の改善更生や再犯防止を図るということでございますので、十八歳以上の少年が罪を犯した場合につきましても、現行制度、この制度と同様に、いわゆる全件送致の仕組み維持ということでございまして、原則として、先ほど一条に掲げられた理念に基づきまして保護処分を行うこととしているところでございます。
  41. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 とても長々と答弁いただいたんですけれども、答えの本質は何も返ってきていないんですね。  私が伺ったのは、本改正は、犯罪抑止、再犯防止機能を低下させるものではないが、犯罪抑止、再犯防止機能を向上させる目的でもないという理解でよいですかと伺っています。よろしくお願いします。
  42. 上川陽子

    ○上川国務大臣 まさに委員指摘のところでございます。
  43. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 分かりました。  やはりこれは向上させる目的で本来は改正すべきだと僕は思うので、そういったところも踏まえて伺っていきたいということを思っているんですが。  EBPMという、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング、日本語訳をいたしますと証拠に基づいた政策立案ということが昨今言われておりまして、やはりエビデンスに基づいて政策を立案、作成することが重要だと思っているんですけれども、そもそも論でまずちょっと教えてほしいんですけれども、法務省としては、政策立案をするに当たって、このEBPMの概念というのは遵守をされていますか。それとも、ケース・バイ・ケースで、政策によって当てはまるものもあればそうでないときもあるなとお考えですか。大臣の御所見を伺います。
  44. 上川陽子

    ○上川国務大臣 EBPM、エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキングということでございます。エビデンスに基づきまして、政策立案につきましては、まず政策目的を明確化するということ、そして、その目的達成のために本当に効果が上がる政策手段は何かなど政策手段と目的の論理的なつながりを明確にし、このつながりの裏づけとなるようなデータ等のエビデンス、根拠を可能な限り集め、政策の基本的な枠組みを明確にする取組であるということでございます。  EBPMの大きな概念の中では、この取組を、あらゆる分野ということでありますが、委員の御指摘もございましたように、法務行政の中にはそのことに対して非常に難しいという部分もありますし、また、目に見える数値目標を掲げながらという部分もございますので、その幅は非常に広いというふうに私は思っております。  今回の所信におきましても、私の大きな方針の一つに、できるだけ、法務行政という大変なかなかエビデンスが見出しにくいことであるこの分野においても、でき得る限りそうしたマインドで仕事をするようにということで、所信の中で申し述べて、一つのチャレンジというもので設定したところでございまして、私としても、そうした方向の中の、無理やりに何かということになると、逆に非常にゆがんだ形のエビデンスが出てきてしまうという危険性もある中にあって、やはりバランスの取れた形で、できるだけエビデンスをしっかりと求めながら政策に資する形で遂行していくということが必要ではないかということを、私自身のポリシーとして位置づけさせていただいております。  その結果として、政府全体としても、この問題については内閣官房のEBPM推進会議がございまして、こちらの方でも絶えずそれぞれの実務家の中で検証しているところでございますが、法務省におきましても、政策立案総括審議官、これを置きまして、この方が各種政策プロセスにおけるEBPMの実践のことにつきまして横串で見ているという状況でございます。  これは、我が国にEBPMの発想が導入されてからまだ、保護司は百何十年でありますが、この制度そのものは大変短い歴史でありますので、いかにこれに応えていくのかというマインドを持って全ての政策についてもチェックをしていくという姿勢、これが何よりも大事ではないかと私自身は考えております。
  45. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 るるお答えをいただきました。大臣としてはEBPMの推進を行っていきたいと考えているんだけれども、法務行政全体の中で全てに適用しているかといえばなかなか難しいという趣旨の御答弁だったのかなと思っているんですけれども。  諸外国の事案の中で、EBPMをやゆをする表現としてPBEMという言葉があります。ポリシー・ベースド・エビデンス・メイキングという言葉でありまして、要するに、この政策を進めることにしたからそれっぽい根拠を準備をして理屈を後づけしようという、立案された政策に合わせてエビデンスをつくり上げてしまうということをPBEMと称しまして、こういったことになってしまうとそれは問題だなということをさっき法務大臣もまさにおっしゃられていたと思うんですけれども、法務省としては、政策立案をするに当たってはPBEMの概念は時として必要だと思いますか、それとも許されるべきことではないと思いますか。大臣の御所見を伺います。
  46. 上川陽子

    ○上川国務大臣 正直申し上げまして、今の概念について、私自身、EBPMのポリシーを進めていく上で考えたことがございません。  政策の芽というのは、必ずしも目の前に政策の芽があるものではなく、小さな声にも耳を傾けながら、これから将来に向かって大事なことについては、これはエビデンスというものの定義でありますが、そういったものにアンテナ高く関心を持って、そして小さなときにポリシーをやることによって大きな課題や問題にならないようにしていくということも極めて大事なので、物の考え方だと思うんですけれども、単純にポリシーという定義はどこまでの範囲で考えるのかとか、あるいはエビデンスというのはどういうふうに定義するのかということについてはやはり模索をしながら、そして社会の中で、あるいはポリシーメイクの、私どもも全てポリシーメイクに関わっているものでありますので、そういう中でいいモデルになるように努力をしていくプロセス、このことも大事ではないかというふうに思っております。  法務省の中でゆめゆめ今おっしゃったような、私、言葉にしたことがございませんのでそもそも言えないんですが、EBPM、そうした姿勢を持って謙虚にまいっていきたいと思っております。
  47. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 ありがとうございます。  そういった姿勢で是非進めていただきたいということを思っているんですが、念のため、確認なんですけれども、それでは、この少年法改正案はPBEMではなくてEBPMを基に作られた法案であるという理解でよろしいですか。
  48. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今回の少年法の在り方についての検討ということでスタートした大きな背景は、国会の意思という形で、選挙権の年齢を十八歳に引き下げる公職選挙法一部改正法の附則がございまして、民法とともにこれを十八歳未満に引き下げるかどうかの検討が求められたことが契機となっているところでございます。  その検討の結果でありますが、本法律案におきましては、十八歳及び十九歳の者が重要な権利そして自由を認められる、また責任ある主体として積極的な社会参加が期待される、こうした立場となるに至った一方で、成長途上にある、また可塑性もある、これは年齢で、二十歳になれば、十八歳になればこれで大人になった、社会がそう定義をするわけでありますが、一人一人の成長は限りなく可能性があるものでありますので、そういったものを一律にばさっと切るということについては、これは検討をしっかりしていただくということが大事だ、こんな含意を持って検討会が開かれ、また、そうした検討の結果、今申し上げたように、責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となるに至った一方で、成長途上にあり可塑性を有する存在であるということを踏まえて、これらの者に対する少年法適用については、十七歳以下の少年とは異なる立場に応じた取扱いを定めることとしたものでございます。  以上でございますので、本法律案につきましては、十八歳以上の少年の再犯を含みます犯罪の予防、抑止の観点も考慮しながら、先ほど指摘いただいたことだと思いますが、これまでの実務におきましてしっかりと積み重ねられました家庭裁判所少年院、保護観察所等の専門的な知見、機能、これを引き続き活用する、こういう趣旨で全件送致また保護処分の枠組みを維持する、基本的なものについてはそういう扱いをしたところでございます。  刑事司法全体としての十八歳以上の少年の再犯を含む犯罪の予防、抑止に資するということについては、これをもってエビデンスどうのと言われるとなかなか難しいことではございますが、この先にもそうした力強い目標を持って進めていくことが必要ではないかと思っております。
  49. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 大臣、時間が結構長くかかっておりまして、端的に御答弁をいただければと思うんですが。  ということは、これはEBPMに基づいた政策立案であるのか、そうでないのか。これだけ、端的に教えていただけますか。
  50. 上川陽子

    ○上川国務大臣 EBPMの、先ほど申し上げたような、様々なプロセスの中でどのように考えていくのかというのは個別ケースでございますが、そういう方向になるようにしっかりと意識を持って、それぞれ関わる者が違いますので、そういう視点を持って取り組んでいくということは極めて大事だと私は認識しております。
  51. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 分かりました。  その考え方は大事だということで、その中で、私、先日の国会の議論の中でも申し上げさせていただいたんですが、犯罪被害者をなくすために最も必要なことは、シンプルに犯罪をなくしていくことだと思っているんです。その中で、本改正は、少年の健全育成と非行少年の矯正につながって、犯罪を予防することで、結果としてこれは犯罪をなくすという目的に資すると考えていますかと伺ったところ、少年であっても刑事処分対象となるという原則を明示することによりまして、自覚と自制を求めて少年の規範意識を育てる、又は健全な成長を図るとの趣旨で設けられたものでございます、十八歳以上の少年について原則逆送の事件の範囲を拡大することも、自覚を高め、規範意識を向上させるとともに、再犯を含む犯罪の予防、抑止に資するものと考えられるところでございますという答弁をいただきましたので、更問いをさせていただきます。  十八歳及び十九歳の者に特定少年という枠を設け、原則逆送の範囲を拡大し、推知報道を解除して、少年刑事処分の原則を示すことの方が、原則逆送が限定的で推知報道が禁じられている現在の少年法で行われている施策よりも再犯防止、犯罪抑止になるという論に関して、科学的見地に基づいたエビデンスはありますか。端的に教えてください。
  52. 上川陽子

    ○上川国務大臣 犯罪の予防、抑止の効果につきましては、性質上、実証的な根拠をなかなか明確に示すことが難しい。そういう意味では、先ほど、EBPMの一つの難しい事案、エリアというふうに申し上げたところでございます。しかし、その中にありましても、やはり、その実態についての御理解をいただくということが必要だと思います。  その意味で、今、御質問ということでございますけれども、そういった上で申し上げるところでございますが、原則逆送の仕組みにつきまして、平成十三年の四月から施行されているところでございます。その対象となる罪に係る事件現状のところでありますが、人員の動向を見ますと、十三年度が六十五人、そして十四年度が八十七人、十五年度は八十六人、そして平成二十九年は十七人、そして三十年は十四人、令和元年は十人となっておりまして、おおむね減少傾向にあるところでございます。  現行の原則逆送の仕組みにつきましては、これは十八歳及び十九歳の者を含むものでございますが、少年の再犯を含む犯罪の抑止、防止に一定の機能を果たしていると評価をできるのではないかというふうに考えております。
  53. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 今の話を受けて思うんですけれども、やはり、そのエビデンスをどのように判断をしてその政策に充てていくかということが非常に重要だと思っているんですね。  よく専門家の御意見を踏まえてという趣旨の話が政府の答弁で出てくるんですけれども、専門家の意見というのは、実は、エビデンスレベル的にいうと、最も低いと評されるのが専門家の意見、権威の長年の経験というものでありまして、例を挙げると、例えば、何かしらの治療を受ける際に、統計学的な根拠はないけれども、専門家の○○先生はこれは推奨しているから大丈夫ですと言われても、普通は心配になると思うんですね。  なので、理想を言えば、やはりランダム比較の試験を行ってメタ分析をするような、エビデンスレベルでいったら一を目指すような、根拠取得というのを目指すのが本来的なものであると思うんですけれども、今述べられたエビデンスは本当に信頼できるエビデンスなんでしょうか。
  54. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今申し上げた数値でございます。これをどのように見るか、私は、先ほど、減少しているので一定の評価ができるのではないかと申し上げたところでございます。その考え方も一つの見方ということであります。また、委員の方からそれはそうではないと言われれば、そうした見方もあるかもしれません。  ですから、これは、データを見る見方はいろいろな見方がありまして、それは何に着目するかによってもその評価は変わってくるというふうに思いますが、今まさに事実を申し上げたところでございまして、これをどのように見るかということにつきましては先ほど申し上げたとおりでございます。
  55. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 その上で、じゃ、伺いますが、今示された数値以外のエビデンス、よりもっと精度の高いエビデンスというものを、今後調査や研究をしていく想定はありますか、教えてください。
  56. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど来、EBPMの対象としてなかなか難しい範疇であるということを繰り返し申し上げてきたところでございますが、しかしこの分野におきましても、やはり皆様の理解とまた信頼を得るべきための追求は限りなくしていくべきものというふうに考えておりまして、これは実験的な試みがなかなかできないので、一つのそれをやると、またそれの結果を生かして、じゃ、それを導入しようかということもございますが、試験ができませんので、政策的な効果を実証的に検討するという観点、このことについては、私は、御指摘いただいたとおり、必要だというふうに思っております。  今後、五年を経過した段階で、それまでに蓄積された運用実績、このことを踏まえまして、そのときの社会情勢や国民の意識、こういったことも様々な手法で把握しながら、制度の在り方につきましても不断の検討を行う、こういうことでありますが、特に五年の見直し、検討規定というものがございますので、そういった趣旨にしっかりと沿うように取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  57. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 EBPMの概念をしっかりと進めていった方が、その政策決定によって生じる負の効果が最小化ができて、自分たちが望んでいる効果の最大化というものが結果として図っていき得ることになると思っているんですね。なので、やはり、その科学的見地に基づいたエビデンスの収集というのは不断なく見直しを行っていただきたいと思いますし、今の精度が私は必ずしも高いとは思いませんので、特に法務行政は人の人生に大きく影響を与えるものでありますから、ここはより精緻なものが必要なんじゃないかなと思っています。  先日、参考人としてお越しをいただいた須藤教授も、諸外国の厳罰化に関する効果を検証した論文で、結論として、厳罰化は社会が望んだような結果を生み出さず、むしろ逆の効果になっていることが示されたという趣旨の論述をされています。それは重罪犯人としてのラベリングをされたことによるマイナス効果であったりとか、あとは社会復帰に向けた更生や家族のサポートの減少であったりとか、あとは成人の受刑者との接触による犯罪行動の学習とか、いろいろな側面があります。  これもまた、先日御紹介をさせていただいたものですが、一橋大学の葛野教授が公表した論文によれば、これまでの経験科学的な研究において、保護処分の場合よりも刑事処分の場合の方がより強い抑止効果を有するとの所見は示されていない、むしろ、アメリカで過去行われた研究は消極的所見を示してきた、しかし、厳重な処分はより強い厳罰効果を持つという強い信念があるためか、保護処分より刑罰の方がより強い抑止効果を持つと信じられている、しかし、規範意識の確認、強化による一般予防効果は、それ自体検証されていない仮説である、未検証の仮説としての規範意識の確認、強化による一般予防効果を、刑罰全体ないし刑罰制度一般を理論的に正当化するための根拠として用いることはできないという趣旨が論じられています。  私自身も、やはり、科学的エビデンスはすごく乏しいんだけれども、規範意識が向上されることで刑罰の一般抑止効果が発揮されて、きっとこれは再犯防止や犯罪抑止につながるに違いないというような議論だけだとちょっと危ういと思っていますので、是非、五年後の見直しということをおっしゃられましたけれども、やはり、より精緻なエビデンスの収集に努めていただくことを、大臣、やっていただけませんか。
  58. 上川陽子

    ○上川国務大臣 我が国の様々な改正、刑事司法の分野におきましてするときには、必ず外国の事例ということについて委員の皆さんからも御質問がされ、また、議院としては、じゃ、外国ではどうなっているんだろうかということでかなり調査をするところであります。  私も、今、須藤先生がお示しになったようなデータにつきましては、外国の事例もできるだけ努力して入手し、また勉強させていただくようにしているところでございますが、私が、ちょっと単純にそのデータを比較するということの難しさというのを感じているのは、やはり、社会のありようというか、無意識のうちにある行動とか社会の規範とかというものをなかなか比較ができない、比較というか、違うものでありますので、出てきた現象をデータとして比較するということについては少し慎重にしなければいけない、丁寧にやらなきゃいけない、こんなふうにも思っているところであります。  その意味では、今、日本の社会の中でも大きく変化をしているところでありますので、そういった変化の要因ということにつきましても丁寧にやはりチェックしていかなければいけないという意味で、五年後ということでありますが、できる限り、難しい領域ではありますが、やはり、何といっても国民の皆さんの理解と信頼が不可欠でありますので、そのためのエビデンスベースのしっかりとした調査を絶え間なくやっていく努力、これについてはやってまいりたいというふうに思っております。
  59. 中谷一馬

    ○中谷(一)委員 そろそろ時間が参りますので、最後に意見だけ述べさせていただきますが、一八四〇年代、ヨーロッパでは、医師のゼンメルワイスが産褥熱は手洗いによって防げるということを唱えました。しかしながら、自分たちが今までしてきた仕事の仕方に対して、多くの医師が死に至らせてしまった事実、当時の権威側の医師たちはこれを認めることができずに、医師の手が汚れているわけはないという否定をしました。時代が進んだ現代において、このゼンメルワイスのケースは、権威主義的なものが科学的な見地を遅らせた結果、多くの人を不幸にしてしまった事例として引用されています。  ある意味当然ですが、今まで進めてきた方向性が間違ってきたことを証明してしまうから効果検証をしないということは、あってはならないことだと思いますし、それは結果として誰も幸せにならないと思います。過去の行いが全て正しいなんということは絶対なくて、過去したことを変えることはできませんが、過去の意味を変えることはできると思いますので、過去したことを教訓に、その経験を未来に生かすような法務行政を進めていただきますことをお願いを申し上げて、私の質問を終了させていただきます。  ありがとうございました。
  60. 義家弘介

    義家委員長 次に、山花郁夫君。
  61. 山花郁夫

    ○山花委員 立憲民主党の山花郁夫でございます。  前回の質疑では、今回、少年法で、特定少年について推知報道の拡大ということですけれども、一方、そういう方向じゃなくて、被害者側の、報道もそうだし、そもそも警察の方が発表する際にどうなんでしょうという問題意識でやりました。最後に大臣から御答弁いただきまして、結構いろいろ思いがあっての御答弁だったと思います。  実は、あれを聞いていて自分も思い出したこと、思うことがございまして、といいますのも、恐らく同じ時期に国会に来て、政党は違いましたけれども、当初同じような関心で別々にやっていたのかなという気がいたしました。  前回申し上げましたけれども、当時、野党案で犯罪被害者基本法というのを、細川律夫先生が筆頭の提出者で、私がその事務局長を務めていて、作ったものがありました。後に違う形で成立して、やはり与党じゃないとなかなか大変なのかなという思いを持ったということを覚えているのと、あと、同じようなというのは、実は、一般犯罪じゃないんですけれども、交通事故で亡くなられた方々の、被害者の方々と割と向き合う機会がございまして、遺族会、被害者の会、犯罪被害者基本法とは別に、危険運転致死傷罪の創設ということも、これは野党側の議員立法でやりました。本会議趣旨説明、私も答弁の機会があったので、よく覚えております。  議員立法でしたので、いろいろアイデアがあって、選択肢として、一つは道交法の中に入れるというのもあったんですが、刑罰ですので、ちょっとそぐわないのかなと。結果、後に政府案として刑法の改正で入ってくるんですけれども、当時、僕らの感覚だと、自動車ですから、刑法に入れるというのがちょっと違和感があったので、特別法で提出をいたしました。もちろん成立はしなかったんですけれども。  先日の大臣の御答弁の中でも触れられておりましたけれども、やはり被害者の方々、本当に生活が一変するということ、朝元気で出ていったのにというような話も大変聞きまして、そういったことから、先日も、こういった事件があったときに、何か報道を見ていると、被害者のお宅まで押しかけていってみたいなのはちょっとどうなんだろうというような思いで取り上げたんですけれども、ちょっと後ほどもその話にもつながっていくかもしれません。  あの当時は被害者側の視点というのがあらゆる制度の中で欠けているところがあって、刑事訴訟の中でも限定的ですけれども被害者の方が参画できるようになったりとか、あと、法務委員会の所掌じゃないですけれども、犯給法、犯罪被害者給付金支給法等々、そういったものについても議論が盛んでした。また、法務委員会なんかですと修復的司法というのが、当時、司法制度改革とかの議論の中で修復的司法というのが非常に注目されまして、加害者の側と被害者とが向き合って、単に罰するというだけじゃなくて、加害した側にも、更生というか、相手と向き合ってという機会をつくっていくんだというようなことが非常に議論になった、そんな時期ではなかったかと思います。改めて、こうした少年法の世界でも修復的司法みたいな発想というのがもっと取り上げられていいのかなと個人的には思っております。  前回は被害者のことについて申し上げましたが、今回ちょっと被疑者のことについても議論をさせていただきたいと思います。  これは繰り返しになりますけれども、先日、総務委員会でプロバイダー責任制限法、要するにネットでの誹謗中傷等々での議論があってということと関係しているんですけれども、今、被疑者についても氏名が公表されていると思いますが、そもそもですけれども、前回と同じ質問対象が違うんですが、被疑者についても、例えば警察で発表するときに、公表しなければいけないという義務があるわけではないですよね。確認したいと思います。
  62. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  警察において被疑者に関する個人情報を発表することについて、法令上の義務はないものと承知しております。なお、都道府県警察における個人情報の公表については、各都道府県の個人情報保護条例等にのっとって適切に判断されているものと承知しております。
  63. 山花郁夫

    ○山花委員 前回もそうでしたけれども、警察ですから、都道府県警察で、それぞれの自治体の条例でということにはなろうかと思いますけれども、そうはいっても、おおよその指針といいましょうかガイドラインといいましょうか、同じか、あると思うんですけれども、どういう方針で、全部が全部、名前から何から公表しているわけではないと思うんですけれども、その辺はどんなルールになっているんでしょうか。
  64. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  警察としては、被疑者に関する情報を含め、事件に係る報道発表につきましては、各都道府県警察において、警察が取り扱う事件、事故の全てを必ずしも発表しているものではありませんで、三つの観点、公表することによって得られる公益、関係者のプライバシー等の権利利益、そして公表が捜査に与える影響などを、個別の事案ごとに総合的に勘案して、発表の適否やその内容について、組織として判断、決定しているところでございます。
  65. 山花郁夫

    ○山花委員 前回、被害者のことについて申し上げて、私は、被害者の場合ですが、原則として、御本人か、あるいはケースによっては御遺族になるケースもあります、御家族の、同意が必要なのではないかということでお話をいたしました。  ちょっと気になったのが、何か個人情報保護法なり個人情報保護条例に基づいて、これが適法なんです、公表していいんですという説明よりも、むしろ、今の、多分、考える考え方は一緒で、これは行政法上の、法的に言うと警察比例の原則、比例原則に従ってと言っているように聞こえるんです。  ただ、今回、比例原則みたいですよねというのは質問通告のときにお話ししましたが、ちょっとあの後、気がつきまして、これは被疑者のケースもそうだし、前回お話しした被害者ケースでもそうなんですけれども、よくよく考えると、義務はなくて、任意に公表していますということです。つまり、ちょっととがった言い方をすると、任意に個人情報を行政機関が開示していますと。  なんですが、これは個人情報ではありませんけれども、これも行政法の一般的な理屈です。公表という制度が行政法の世界ではあって、具体的に言うと、企業名の公表。これは制裁的な意味合いで使っているケースが多いと思います。例えば、法律を守らない企業に対してということで、法律のたてつけとしても、○○大臣は、事業者がこういう勧告に従わないときはその旨を公表することができるというスタイルです。  ここ何年かで問題になったケースでいうと、障害者の雇用の促進等に関する法律、法定雇用率を守っていない企業については公表しますよみたいな、そういうことであるとか、雇用の分野における男女のいわゆる雇用機会均等法等々、たくさんあります。また、取引の安全を確保するための公表制度ということで、例えば食品衛生法などで、厚労大臣が、食品衛生上の危害の発生を防止するということで、この法律又はこの法律に基づく処分に違反した者の名称を公表しとありますので、そういったケースで公表するというものです。  これは、それこそ我々が国会に来る前のことだと思うんです、九九年だと思うんですが、昔は、行政指導という制度があって、制度があってというか、法律の根拠に基づかない行政指導ということで、それが問題となりまして、行政手続法等々ができてきて、その中で、新たな手法として公表というのが用いられるようになりました。  それこそ、たかだか十数万円の罰金を払うんだったら痛くもかゆくもないみたいな企業にとっては、むしろ公表される方が痛いのでということで、そういう制度が注目をされるようになってきましたし、ここ最近でいうと、それこそ、私自身はどうかなと思うんだけれども、実際に耳目を集めたケースでいうと、このコロナ禍の中で、休業要請しているにもかかわらずパチンコ屋が開いているじゃないかということで、ある県がそのお店の名前を公表したというケースがあります。  どうも、犯罪とかの関係だと、我々はふだんちょっと麻痺しちゃっているのか慣れているのかなんだけれども、よくよく考えると、行政機関が公表するというのは余り、ペナルティー的なこういうことで使われているケースもあるわけですから、要するに、同意なく、任意で、例えば被害者の情報を公表するというのはやはり問題なのではないのかなと改めて思います。  先ほどの議論でもちょっと関連するようなことが触れられておりましたが、令和二年度の犯罪白書でいいますと、例えば、警察から検察に新規で受理している件数が年間九十万件ほどです。警察が、全部が全部検察に送っているわけではないでしょうけれども、少なくとも検察に送っている、要するに、いわゆる逮捕とかそういうことがあったんでしょう、九十万件ほどですが、うち、起訴までに至っているのが二十八万件です。つまり、それ以外のケースについては、嫌疑不十分のケースもあるでしょうし、中には誤認逮捕だったというケースもあるのではないかと思います。さらに、その中で、懲役、禁錮まで至るのが約五万件ということであります。  これは、一般の方々の印象だと、逮捕されると直ちに有罪で刑務所に行くみたいな、ちょっと極端かもしれませんが、そういう印象を持たれている方があるのではないかと思います。ただ、問題は、全然違うんですよね。九十万件処理しているのに、刑務所までというのは約五万件ですので、そういう意味でいうと、比率でいうと極めて少ないです。少なくとも、起訴まで行くレベルでも、九十万に対して二十八万ですので。ということがあります。  もちろん、これはいろいろな事情を考えて、そこまでやらなくてもということで、実は黒なんだけれどもそうだと判断されたケースもあれば、限りなく黒なんだろうけれども、ちょっと公判維持するまでにはということで処理しているケースももちろんあるんだとは思いますけれども、ただ、他方、必ずしもそうでないケース、つまり、ちょっとこれはどうなんだろう、白に近いのかなというケースから、明らかに誤認だったというケースも恐らくあるんだと思うんです。  ところが、これは被疑者について申し上げると、被疑者については、それでも、いろいろな事情を勘案して、実際公表しているケースがあるわけです。後々それが本当に黒だったかどうかというのは、一般の方は分からないけれども。  ただ、前回からの問題意識なんですが、昔と違って、そういったことがネットに出て、半永久的というか、閲覧がすごく容易な形でできるようになってしまっているという世の中になっているということは、ちょっと考えなきゃいけないことではないかと思います。  昔だって、新聞の縮刷版なんというのは国会図書館でほぼ永久に残っているので、探そうと思えば探せたのかもしれません。しかし、それは、わざわざ資料を探してコピーを取って、みんなにコピーを回すみたいなことをしないと広まりません。そんな時代でしたけれども、今や、もう指一本で操作すれば世の中に拡散できるという時代でありますので。  今、三つの要素をという話でございましたけれども、何か必要以上にというか、少なくとも、今まさに、国会ではプロ責法の議論があって、またこういう時代になってという認識は、多分、それは共有していただけると思いますので、今後、発表の段に当たって、より抑制的にというか慎重に、将来こういったことも起こり得る、起こり得るというのは、発表したことがずっとネットなんかでも追いかけられ得るということも考慮した上で、氏名の公表ということについては判断していただきたいと思いますけれども、警察の方で御答弁いただけますでしょうか。
  66. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  発表の適否、あるいはその内容について判断する際には、先ほど申し上げました、公表することによって得られる公益、それから関係者のプライバシー等の権利利益、公表が捜査に与える影響等を、個別の事案ごとに総合的に勘案して、要は比較考量しながら、組織として判断、決定するものと考えております。先生御指摘のような事情というものも十分勘案して、警察として対応してまいりたいと考えています。
  67. 山花郁夫

    ○山花委員 しっかりやっていただきたいと思います。  ここまでで、警察の方、御退席いただいて結構です。
  68. 義家弘介

    義家委員長 櫻澤審議官、御退席いただいて結構でございます。
  69. 山花郁夫

    ○山花委員 ありがとうございました。  さて、先ほど大臣には、同じ時期に国会に来て当初は同じような問題意識だったのかなというお話をしましたが、恐らく大臣は真っすぐに被害者の方に行かれたんだと思うんですけれども、私は途中からちょっと問題意識が矯正行政の方に行きました。というのも、先ほどの御議論でも、例えばエビデンスに基づいてということでいうと、何をやったら犯罪がなくせるのかというのは、ちょっとそれは難しい話だと思うんです。ただ、実際に先ほど申し上げたとおり、被害者の方々とお会いすると、やはり極刑を望んでおられたりとか、非常に厳しい御意見があります。  当時も振り返ってなんですけれども、特に私の場合、交通事故の関係者の方々でしたので、かつて学生の頃学んだ刑法の教科書にも、よい刑事政策というのは最良の社会政策であるというような話があって、思い出せば、もし交通事故の被害者を減らそうと思ったら、過失致死罪の刑を重くするよりも、例えばガードレールを造ったりとか、ミラーを造ったりとか、そういうことの方が有効な場合もあるんですよという教えだったと思うんです。  ちょっと、その応用ではないですが、被害者をどうやって減らすのかというのは犯罪を減らすということなんでしょうけれども、一般に、世の中にあまたあるのを何とか減らそうと思っても、それは容易なことではないけれども、私なりに、当時エビデンスという発想ではなかったですが、ただ、再犯率を減らすだとか、外に出た人がもうやらないということは、一つは数字として、そのことがひいては被害者をなくすということになるのではないかというふうに思っておりました。  そんなことを思っているときにちょっと名古屋刑務所でいろいろあったものですから、当時は森山真弓法務大臣でしたけれども、責任追及もかなりやりましたけれども、ただ、一方で、矯正行政の在り方だとか、そうしたことにも議論はつなげていったつもりであります。  今回、少年法も含めてなんですけれども、やはり再犯の防止という観点からすると、一度つまずいてしまった人であったとしても、社会復帰するに当たっての橋渡しということは非常に重要ではないかと思っております。  少年刑務所も含めてですけれども、刑務作業の中で職業訓練が行われていると承知をいたしております。建設関係が多いんですよね。溶接科だとか建設機械科とか、フォークリフトの運転とか、そういうのもやっています。中には資格を取るようなこともできるというようなことだと思います。  先日、協力雇用主の話もさせていただきましたけれども、つまり、橋渡しということでいうと、本当に協力雇用主さんというありがたい方々がいて、そこのニーズと、中でやっているメニューとができるだけ合致して、いわば外に出たときに即戦力であるみたいなことがあると、社会復帰もスムーズにいけるのかなと思うんですけれども、その点、例えば協力事業主さんのニーズを把握した上でメニューを追加するとか、あるいは、よりこういうところに重きを置くとか、そういったことが必要ではないかと思うんですけれども、現状、どうなっていますでしょうか。
  70. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  職業訓練の実施に当たっては、委員指摘のとおり、職業訓練の種目と社会におけるニーズがマッチしていることが非常に重要であると認識しておりまして、各刑事施設におきましては、職業訓練の実際を紹介する職業訓練見学会を実施いたしまして、その場で、御参加いただいた事業者等から、訓練の種目あるいは内容等に関する貴重な御意見をいただいて、それを踏まえて職業訓練の内容等の見直しを図っております。  また、そのほかにも、近時の各種技術の進歩で企業が求めている技能が変化しておりますので、協力雇用主等から、例えば内装や塗装の工事等の技術支援を実際にいただきながら、実務的なカリキュラムを導入するなど、工夫を重ねてきているところでございます。  今後も、雇用情勢の動向、技術の進歩等を踏まえて、雇用ニーズに合致する職業訓練となるよう努めてまいりたいと考えております。
  71. 山花郁夫

    ○山花委員 ごめんなさい、局長、通告していないんですけれども、記憶だとかなり開きがあったと思うんですが、出所後に手に職を持っているか持っていないかということで、再犯率というのはかなり違ったのではないかと思います。  もちろん、当然職を持っていた方が、まあ残念ながら協力雇用主さんも、この間お話ししたとおり、いい話ばかりじゃないんですよね。せっかく雇っていただいたんだけれども、またしでかしたみたいな人もいれば。だけれども、それでも雇ってくださるというのは大変ありがたいことだと思いますけれども。  ちょっと、もし今すぐ数字が出てこなかったら、ざっくりでいいんですけれども、再犯率に関しては、圧倒的に手に職を持っている人の方がというのは、それは言える話ですよね。
  72. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  今ちょっと手元に数値はございませんけれども、出所後、職業を持っていた者についての再入率については、低いというようなエビデンスがございます。
  73. 山花郁夫

    ○山花委員 済みません、通告していれば数字で言えたと思うんですけれども。  また、マッチングも大事なんですけれども、大変、最近は、報道等でも好意的に受け止められている話があって、アイソレーションガウンの話です。今、コロナの中で、そうした、防護服と言うとちょっと大げさだけれども、ガウンで、前面だけじゃなくて後ろも被曝しないようにというものの縫製を刑務作業でやって、大変、医療機関からも感謝いただいているという話がありました。  やはり、特に刑期が長かったりすると、社会から離れちゃって、自己肯定感が得られない中で、そういうことで社会から評価されているんだという思いがまた、今度、社会復帰した、世の中に出たときに大事なことだと思いますので、今回のこうしたいい取組などは評価されていいことだと思いますし、また、そうしたことに、いろいろ、感度というか、アンテナを張って、こうした取組がいざというとき機動的にできるようにしていただきたいと思います。  さて、だんだんまとめの方に入りますけれども、犯罪被害者とかの関係でいうと、やはりいろいろな感情をお持ちの方もいらっしゃいまして、総じて言えるのは、ちゃんと謝ってほしい、それを態度で示してほしいということは多くの方がおっしゃいます。お金の話になるとちょっと分かれまして、賠償すると言っても、そんなやつの金は要らないという人もいれば、逆に、賠償すらする気がないのかというような方々もいらっしゃいます。  刑務作業で作業報奨金というのがありますけれども、この使い道として、物品の購入とかだけではなくて、被害者に対して自分から損害賠償のためにお金を使いたいんだけれどもという申出があったら、それができるというふうになっていると思うんですけれども、この点についてどうなっていますでしょうか。
  74. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  作業報奨金につきましては、釈放後の更生のための資金という意味合いがございまして、受刑者の釈放の際に支給することを原則としておりますが、刑事収容施設法九十八条四項におきまして、この作業報奨金の釈放時支給の原則に対する特別な規定がございまして、受刑者が釈放前に作業報奨金の支給を受けたい旨の申出をした場合、その使用目的が、被害者に対する損害賠償への充当等相当なものと認められるときは、その支給のときにおける報奨金計算額に相当する金額の範囲内で、申出の額の全部又は一部を支給することができるというような規定がございます。
  75. 山花郁夫

    ○山花委員 つまり、出所する前に、被害者に償いたいということで、自分の刑務作業で得たお金を賠償のために使いたいのだということであれば、それは出る前であっても可能だ、こういうことなんですけれども、大変いいことだと思うんですが、ただ、他方、その作業報奨金というのが幾らかという問題でございます。  ちょっと時間があれなので私の方で読みますと、法務省の訓令の一部を改正する訓令に、法務大臣上川陽子名で出ておりますが、一等工から十等工がありまして、それぞれ、だんだんとよくなっていく、よくなっていくことがその人にとって幸せかどうかというと、刑期が長いことを意味するので、なんですけれども、ただ、一番最初の十等工ですと、これは時間給に置き換えると七円七十銭、一等工で五十円五十五銭という、これで間違いないですよねということと、大体、この報奨金、いろいろな方がいらっしゃいますから平均して幾らかというのは難しいかと思いますけれども、予算上これはどんなことになっているのか、お答えください。
  76. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど指摘の十等工は七円七十銭、それから一等工については五十五円五十銭ということでございます。また、予算上の額でございますけれども、令和三年度における受刑者一人当たりの予算上の釈放時の作業報奨金支給額は七万七千九百四十円というふうになっております。
  77. 山花郁夫

    ○山花委員 出所時に七万程度なんですよ、予算的に。だけれども、実際、それは相当いっているケースでありまして、何せ時給七円ですからね、七円ちょいということですので。  これでは、被害者に償いたいというお気持ちがあったとしても、だって、月額三千円とかそんなものですよ、七円で計算して、相場でいくと。それはとても無理ではないかと思いますし、また、社会復帰のことを考えたときにも、出たときに、だって、これから家もない、アパートももう追い出されちゃっているという状態で、これでは社会復帰してということはなかなか難しいんじゃないかと思います。  つまり、そのことが、ひいては再犯防止という観点からしても、いかにもこれは低過ぎるのではないかと思うんですけれども、この点について何か検討していただくことは可能かどうか、大臣、最後に御答弁いただきたいと思います。
  78. 上川陽子

    ○上川国務大臣 ただいま委員から作業報奨金の使途につきまして、被害者に対しての償いというところについての使途もあるのではないかということも踏まえて、作業報奨金の金額についての御指摘がございました。  そもそも、これは労働の対価としての賃金というものではございませんで、刑務作業に従事した受刑者に対しまして、原則、釈放の際に支給する金銭ということでございます。この額につきましては、作業が懲役受刑者にとって刑罰の内容そのものであるということでございまして、申し上げたとおり、一般社会においての自由労働とは本質的に異なるというものでございます。  そうしたことを考慮しつつ、受刑者の方の勤労意欲を高めることによりましての改善更生、この意識の、意欲の喚起、また所持金として持たせて釈放することによって円滑な社会復帰にも資する、こういうことでございます。  そのような意義がございますが、今後とも、社会情勢等も変わってくるということでございますので、適正な額となるように努めてまいりたいというふうに思っております。
  79. 山花郁夫

    ○山花委員 大臣お答えになった要素を勘案しても、私は低過ぎるのではないかということを申し上げて、終わりたいと思います。
  80. 義家弘介

    義家委員長 次に、池田真紀君。
  81. 池田真紀

    ○池田(真)委員 立憲民主党の池田真紀です。よろしくお願いします。  済みません、通告していないんですけれども、今までのちょっと議論を見て、そして、メモを、今日の予定を見て、質疑終局ということもあって、どうしても一言、気になる点だけちょっと述べさせていただきたいなと思って。  一点だけなんですけれども、施行年月日が、やはりこれは、私、令和四年四月一日からの施行というので、その理由が、成年年齢の引下げの改正民法施行と同日という一言が書いてあるんですけれども、そもそも、このこと自体に、法の中で、実際に立法趣旨とか目的という各法別の検討をするべきじゃないかというような考えに立ってこの間議論していたので、非常に、大臣先ほどの答弁でも、ほかの委員からの質問で、国会の意思で決まったことだとおっしゃっていましたけれども、決まったことは、検討することというのが決まっただけで、検討した後の結果というところがその時点で国会の意思で決定したわけじゃないなと思ってみたり、検討した結果をこの国会で、今、委員会でみんなで議論して決めていくんじゃないかなというふうに思っています。  だから、ちょっと腑に落ちない中で質疑終局を迎える本日なので、この令和四年四月一日ということでもし施行するということであれば、どんな取組をやっていかなきゃいけないのかということも併せて、積極的な議論が今まで余りなかったんじゃないかというふうに思っています。  特に、私の地元の新聞なんかだって、四百字ぐらいです。審議入りが、始まりましたよということがあって、そのことで、どういうことが懸念があってどういうことが起きるのかとか、どういう議論の結果、社会とか学校とか、あと、自治体とか地域に求められるかということも何も述べられていない、そんな報道だったので、極めて世の中にも、余り、知る人ぞ知るというような中で今審議がされているというふうに思っています。  これは、閣議決定されたのが二月の十九日です。三月二十五日からこの衆議院で審議が始まったということなんですけれども、どうですかね、皆さん。まあ、皆さんに質問はできないんですけれども、どうですかね。  卒業式とか、あと入学式とかの時期だったんですね。私は、この少年法の改正、ここで書くしかないなと思って、コロナだったから、コロナ感染防止ということで、実際にメッセージぐらいしか送れなかったんですけれども、この改正のことは大々に、みんなの入学式や卒業式の際のお祝いの中に入れさせていただきました。みんなで、十八歳にはこういうことになるということを今国会で審議しているから、学校の勉強以外にもいろいろ体験しましょうみたいな話をしたんですけれども。  これは、それに向けて何か考えってあるんですか。余り議論されてこなかったので。四月一日からの施行に向けて、大臣、ちょっと私の懸念なので、いや、大丈夫ですということであれば、そういうお考えを少し、ちょっと述べていただければありがたいと思います。若しくは、私の今のこの懸念に対して、受け止めだけでも結構ですし。済みません、突然なので。
  82. 上川陽子

    ○上川国務大臣 法律そのものを今御審議をいただいているところでございます。委員の御質問の中にも、様々な視点から御質問いただきました。  そうしたことも踏まえまして、これから、この法律案が国会の中で可決されたとするならば、その後の作業につきましては、周知徹底も含めまして、今まで、成年年齢の引下げに伴いまして準備を進めてきているところでもございますので、その中に改めてこの少年法の問題というものをしっかりと位置づけて、その上で徹底していくことができるように最大の努力をし、そして、運用につきましても、様々な者が関わりますので、そうした研修なども徹底的にやっていかなければいけないということでありますので、そうしたプログラムにつきましては、この後、そうなったらどうなるかというようなことについては、可決していただくということが前提でございますが、その後、施行に向けまして最大の準備を重ねてまいりたいと思っております。
  83. 池田真紀

    ○池田(真)委員 済みません、突然の質問だったんですが、ありがとうございます。御答弁いただきまして、ありがとうございました。  それでは、準備した質問を順次させていただきたいと思っています。  まず、社会復帰ということで、いろいろな防犯、再犯対策等あるかと思いますが、まず、自立準備ホームの支援について、ちょっとお伺いをしたいと思います。  そもそも、世に放り出されたという状況で出てきた場合に、天涯孤独というような方も多くいらっしゃいます。家すら借りられないという中で、この自立準備ホームというのが、国の方では、宿泊費千五百円、あと、自立準備支援金で二千円と食事給与費が千二百十三円ということで、今、その事業所の方にお支払いをしていただいているということですが、これは圧倒的に足りないという声が届いています。  実際に、五百人以上の元受刑者の方がいらっしゃるところでは、今現在二十二名いらっしゃって、障害者が八名もいらっしゃるということで、最初に面接といいますか、そのときの交通費も実費だったり、あとは、着替えも服も何もないので用意をしてあげるということで、実際に何か四十万ぐらいかかっている。なので、足りない分をこの間どうしていたのかというと、そこの会社の、ホーム等いろいろなことをやっているんですけれども、土地とか建物を売って二億円以上出していた、こういう奇特な方がいらっしゃるわけなんですけれども、そういうものでなければやれないということだと、なかなかこれは進まないんじゃないかなというふうに思っています。  この自立準備ホームの中の実態、形態は様々あるかと思いますが、実態調査というのが実際されているのかどうかということをお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、宮崎委員長代理着席〕
  84. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  自立準備ホームの現状についてお尋ねかと存じます。  現在、令和二年四月一日現在ですと四百三十二事業者、この数は年々増えてきております。また、その中で、一番多い運営主体はNPO法人の方々でございます。また、この中で、受入れ実績につきましては、令和元年度は千七百九人ということで、ここ三年間を見ますと年々増えているという状況にございます。  以上です。
  85. 池田真紀

    ○池田(真)委員 済みません、そういう役所的な実態調査じゃなくて、実際にそれを受け入れてくださっている準備ホームの方たちが、どのぐらい負担をして、実際どういうふうにかかっているのか、不足しているのかという実態調査をしていただきたいなというふうに思っているんですね。事前にレクもいただいたので、形態が様々なので取りようがないというようなこともおっしゃっていたんですが、これは是非努力をしていただきたいなと思うんです、認定に当たっても。一つの重要な社会資源にもなり得ますので、是非これはお願いをしたいというふうに思っています。  その中で、覚醒剤の使用、使用があってはいけないんですが、覚醒剤をやっていた方で、薬物の前科がある方たちというのが、保護観察中は実際に国の方でやってもらえるんですけれども、満期とか仮釈が終わったその場合に、自主的にそこの場所でやってくださっているということなんですね。実費で、結構高額で、それを何人もいらっしゃれば大変だということで、こういったものは実際助成があるのかどうかということをお伺いします。
  86. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  ただいま委員指摘のとおり、保護観察中であれば、薬物依存のある人に対しては簡易薬物検出検査を実施しております。それ以外の方であっても、保護観察期間の終了後の人、あるいは満期釈放となって保護観察の期間がなかった人につきましても、更生緊急保護の期間内であれば、その自発的意思に基づきまして、この簡易薬物検出検査ということを実施する場合がございます。ただ、その期間が経過した場合でございますと、現行法上、この簡易薬物検出検査を実施する法的根拠がございませんで、積極的な援助などは困難な現状にございます。  ただ、委員指摘のとおり、そういった人たちに対しての継続的な援助ということを行う必要性はあるなと考えているところでありまして、今般の法制審議会の答申におきましても、それを踏まえまして、犯罪者処遇の一層の充実を図る観点から、「保護観察所の長が、満期釈放者等への援助や関係機関等に対する専門的知識に基づく助言等を行うことができるようにするものとする。」というふうに明記されたところでありまして、今後、これを踏まえて所要の作業を進めて、早期に法律案を提出したいと考えております。
  87. 池田真紀

    ○池田(真)委員 実際の助言のみならず、支援まで結びつくように、是非とも望むところであります。  次、自立準備ホームに関してなんですけれども、これは引受人の話で、ここにも関わってくるんですけれども、居宅というか自宅に、もう真っすぐ独立していらっしゃる方というのは極めて少ないということなんです。これは、細かくその他の類型が分類されているわけではないので、これだけでは難しいと思いますけれども、一つの支援策として自立準備ホームがあります。もちろん施設もあります。  でも、私、思っているのが、確かにいろいろなケアが、施設入所で必要な方もいらっしゃいます。でも、そうではなくて、実際に、アパートの、居宅の権利というのが、憲法の二十二条一項で、居住移転の自由とか、職業選択の自由とか、いろいろな居宅的な、生きていく権利が認められているのに、選択肢がないなというふうに思っているんですね。これは、何でなんでしょうかね。
  88. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  刑務所出所者等の受皿というものは、やはり、本人の改善更生の舞台でございますので、必須の条件でございますので、その人に合った更生環境のある受皿が必要かと存じます。  そうしますと、一つのカテゴリーだけでなくて、多様なニーズに応じた受皿が必要であろうというふうに考えておりまして、その一つの方策としまして、これまで更生保護施設が百三施設、全国にございますが、そこが一手引受けでそのような方の受皿となっておったところ、それでは足らないということと、多様性に欠けるというような観点から、委員指摘のような自立準備ホームという仕組みが始まったということでございます。  この自立準備ホームの中には、様々な方がいらっしゃいますので、その枠を広げていきながら、受皿の確保に努めてまいりたいと思います。
  89. 池田真紀

    ○池田(真)委員 多様な方がいらっしゃるのであるからこそ、施設とかそういうメニューはあったとしても、居宅といったときに、自立準備ホームも、やはり御飯が出てきたりとかすると、実際に家事をするという、自立準備ホームからその後というのが本当に大変で、もう本当に大変なんですよね。御本人さんとしては、かなりの社会的な時間が、もう浦島太郎状態になっていたりとかするわけですから、切符を買うとか、あと、今のSNSなんというのもそうですし、いろいろな世の中の変化に対して一緒に寄り添うという支援が必要だというふうに思います。  もう一つの壁として、保証人があると思います。そういう保証人の制度はありますかね。
  90. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  今運用させていただいている身元保証制度が一つございまして、これは、就労時の身元保証人を確保できない保護観察対象者などにつきまして、民間事業者が一年間身元保証を行い、雇用主に業務上の損害を与えた場合など一定の条件を満たすものについては見舞金を支払う制度でございまして、原則として、業務に関連する損害以外は当制度の対象外となっております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕
  91. 池田真紀

    ○池田(真)委員 今、雇用主の話じゃなくて、保険の方の話ですよね。物を壊しちゃったとかそういう話なんですけれども、雇う際に、何か器物とか破損するんじゃないかとか、そういう懸念からということなんですけれども、それもやはり足りないそうなんですね。それはケース・バイ・ケースということだと思うので、会社で独自で保険に入ってくださいとか、そういう対応なのかもしれませんけれども、どういうことが起きているのかというのは、やはりフォローアップを是非お願いをしたいなというふうに思っています。  あと、もう一つなんですが、雇用主の保証制度という支援、もう一つあるかと思うんですね。協力雇用主に対しての就労支援金があるかと思うんですけれども、これも極めて少ないということで、まあ、人の支援の幅とかにもよるかと思うんですけれども、本当に大幅に足りないというふうなものもあります。  今日、一つ資料をつけていますけれども、新聞記事みたいなものでありますが、これは、雇用したいというふうに言っても、やはり、四十万かかるけれども、助成金は十六万しか出なかったと。この助成金が僅かで断念するという声が届いているわけであります。実際、無一文で出てくるので、結局、仕事に必要なものも買いそろえなきゃいけないし、作業着なんかもそうなるしというような形だと思うんですね。  あと、もう一つ、この就労支援金に対して、やっていることを伺いたいと思います。  報告を求めなければいけないことになっていると思うんですが、その中身というのが、この就労奨励金の対象とする雇用主であるということでいいですか。これは確認をお願いします。
  92. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  実際に雇用してくださっている雇用主さんでございます。  以上です。
  93. 池田真紀

    ○池田(真)委員 そうなんですよ。だから、雇用主というか、その雇用の中で、やはりこの仕事はちょっと難しかったとか、仕事に対しての相談とかが、当事者はできない。あるいは、そこの中で起きていることにもフォローができなくて、要するに、雇用主さんに対しての奨励金と、中身も分けてもらわなきゃいけない。  助言や指導を行っていただきますというものの中に、言葉遣いとか、あと挨拶とか、こういったものを、ちゃんと接し方について助言を行ってください、給料を浪費してしまう者に、計画的な消費とか、助言、指導をやってください、あと、無断欠勤した人に対して出勤するよう指導を行ってくださいということなんですけれども、これは、雇用と支援は別、しかも、雇用に対して指導しなきゃいけないのに、今のこの話って社会生活自立と日常生活自立なんですよ。その支援が必要じゃないですかね。就労自立をしていただく、そのための支援も必要なんだけれども、それとは別にその支援が必要なんじゃないかと。  一緒くたに行うことで、そこで居場所がなくなってしまったら、その方は逃げるしかないという状況になるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  94. 今福章二

    今福政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の制度は、刑務所出所者等就労奨励金制度ということだと存じますけれども、これは、刑務所出所者ないし前歴のある者がなかなか就職しにくいという現状から、その雇用を促進する、インセンティブを与える、そういう趣旨で設けられたものでございます。その範囲での支給ということになってございます。  ですので、一般的に、今御指摘の、刑務所出所者が立ち直っていく上ではいろいろな観点からの支援が必要だという御指摘だと思いますけれども、雇用主さんに全てその支援をお願いするという形での制度にはなってございません。そういった様々な制度に応じて、例えば、福祉であれば地域生活定着支援センターですとか、就労であれば、また、ハローワークですとか、様々なところとの関係機関と連携を進めながら、それぞれのニーズに応じて立ち直りを支援しているという状況でございます。
  95. 池田真紀

    ○池田(真)委員 今の支援をやってくださいというお願いまでして条件にもしているので、そこは、だから、ほかの施策が必要だということであれば、そこから見直ししていかなければいけないんじゃないか、役割分担もしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。  結構多く、鍵をなくしちゃう、おっことしちゃったといって、それで、その鍵を、なくなっちゃったといったら、相談したりとか、何とかセンターを呼んだりとかということよりも、ドアを壊しちゃうとか、あるいは逃げちゃうとかというような、要は、問題解決力とかそういったものが、まだまだ支援が必要な方たちが実際たくさんいるわけですよね。  その中で、あと、現場に、お仕事でヘルメットを忘れて、怒られるのは当然ですよ、建設現場でヘルメットがなかったら仕事になりませんから。危ないからと怒られたら、もう逃げていなくなっちゃって、それで行方不明になったんだけれども、その子が発見されたのが、これもまた、力がないし免許もあれだったんですけれども、トラックを盗んで走ってしまって、事故を起こしてしまって、そこで発見をされたわけです。  その子は、過去の記憶で、ちっちゃい頃にお父さんがいなくなっちゃったらしいんですけれども、そのお父さんがトラックの運転手だったというその記憶しかなくて、だったら、じゃ、お父さんみたいなトラックのドライバーになれば自分も自立できるんじゃないかなという思いを持って、自立の意思を持って、意欲を持ってそこに行ったんだけれども、ちょっと、鍵のかけ方とか、いろいろな絡まった糸のほどき方というのを、誰かと一緒に、寄り添い型でサポートしていく必要があるんじゃないかと思います。  あと、ごみの捨て方とか、そういうところも、地域によって違うけれども、全部、全介助でやってもらっていたんですから、中では。それをまず一からやっていくということも必要ですし、日常生活自立支援、そして社会生活自立支援。  それと、あとは、これがもしできなくなったら、刑務所の中にずっといるか、それか、あとは、最後、居宅に戻られたとしても、御高齢になって、例えば、生活保護で、働けなくなってというふうになったときに、被害者の方たちがおっしゃっていました、少しでもいいから反省して、少しずつでも返してほしいと。まあ、返すというわけではないけれども、支払いをしていく、損害賠償をやっていく。そういったときに、生活保護の場合は、五十八条、五十九条で、差押え、譲渡の禁止とありますから、本当に生活扶助の中で、最低生活が保てる中でやっていく、こっそりという形になるかと思うんですね。それって本当に被害者に向き合ったものになっているのかなと思うんですよ。  ですので、とりわけ、少年といいますか、若い子たちに関しては、そういう社会的な生きる力、地域で生きる力というのを、就労の、職業の選択ももちろん、機会ももちろん、日常生活や社会生活の自立、そして、誰もいない人たちに対しての公的な、後見人的な保証制度、こういったものが私は必要だと思っています。  先日、海外の中で、質問というか意見を述べさせていただきました、大臣からも御答弁いただきましたけれども。やはりあそこは、外に出てから当たり前に生きていけるようにというか、その力を失わないように、外と同じような暮らしを維持するような形で、お金の口座をわざわざ作ったりとかやっているというようなプログラムを、是非日本でもやっていく必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、御所見をいただけないでしょうか。
  96. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今委員の方から、就業というか、仕事という生活のみならず、日常生活や社会生活の中で自立をしていくということ、そして、それにふさわしい、ニーズにふさわしい環境をつくっていくということが極めて大事だ、こういう御指摘だと思います。  最後の自立するところまで、本当に協力雇用主の皆様も、また様々な更生保護に関わる皆様も、一生懸命取り組んでいらっしゃるわけでありますので、そのところで何が必要なのかということについては絶えずチェックをしているところでございますが、今、刑務所の中のプログラムと刑務所から出た後のプログラムということについての、これの連結ということが非常に重要ではないか。  先ほど覚醒剤の受刑者のお話がありましたけれども、出た後にもまた手を染めることのないようにしていくためには相当な抑制力がないといけないわけでありますが、それは自助努力の皆さんとともに、グループの中で解決していくという形で寄り添って、お互いに寄り添いながら頑張っていらっしゃる方たちもいらっしゃいますので、本当に多様な仕組みをうまく連結しながら、誰一人取り残さない環境整備というのが重要ではないかと思っております。  関係機関としっかりと協力しながら、就労も住まいも、また、地域社会の生活そのものも、その方にとっては大事な力として必要な能力でありますので、そういったところにしっかりと手が届くような形の仕組みづくりということについては、取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  97. 池田真紀

    ○池田(真)委員 ありがとうございます。ちょっとこれは、その後もフォローアップしていきたいなというふうに思っています。  私は、どちらかというと地域の側で、そういうところに、そこから支援策につながらなかったり、あるいはそこに合わなかった人たちに最後につながっていくという立場だったので、非常にもったいないなという、取組といいますか、人たちがたくさんいらっしゃいますから、そこをやって初めて被害者に向き合うということになるんじゃないかと思いますので、是非これはお願いしたいと思います。  時間がなくなってきましたので、これはちょっと一つ、私、資料をつけたんですが、説明だけさせていただきますが、女性支援をしているBONDさんからいただいた資料なんですね。  細かく、十八歳、十九歳の例で、どちらかといいますと、中には、ここには書いておりませんけれども、交際相手の薬物だとか、あるいは、場合によったら性犯罪だとかそういうところ、性風俗の関係とかで発見されたけれども、実際には罪は犯していないというような人たちが、おそれのある人たち、いわゆる虞犯、今回外される問題について、どうなっちゃうんだろうねというような心配を多くの人が持っています。  そして、二十六歳の子に関しては、これは十八歳の支援の、児相の終了なんですね。だから、これは、本当に十八の壁というのは、高校に行っていようと行っていなかろうと、十八歳の中でこの虞犯を発見していくというのは非常に大きなことだったなというふうに思っていますので、とてもこれは懸念するというところであります。  これはどうなっちゃうのかなというところをお聞きしたかったんですが、法案のとおりだというふうに思いますので、これはちょっとまた意見ということで述べさせていただきます。この間にも、虞犯の懸念については述べさせていただきましたので。  ちょっと続けてなんですが、最後の質問になるかと思いますが、セクシュアルマイノリティーの実態把握、矯正施設で、者、児問わず行われているのかどうか、お伺いしたいと思います。
  98. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  少年鑑別所及び少年院におきまして、いろいろな調査の過程で、性自認と生物学的な性に関する違和感などを抱いている者が明らかになる場合がございます。こうした場合に、少年鑑別所では、教室の指定などについては戸籍上の性別に従って対応しておりますけれども、入浴等を個別に行うことや、個別の事情を考慮して、必要な衣類であるとか日用品の使用とか、調髪等を配慮しているところでございます。  また、こうした事項につきましては、少年院等の処遇機関に関しても引継ぎを行っておりまして、少年院においても、個別の事情を考慮の上、同様の対応をしているところでございます。
  99. 池田真紀

    ○池田(真)委員 実態把握ということでいうと、数が少ないからというのをレクのときにおっしゃったんですね。  いやいや、少なくても、その割合が増えてきていたり多様だったり、そして、中での支援といいますか、どういうふうに教育をしていくのかとか、そういうところにつながっていきますので、実態把握を是非していただきたいんです。これは、児童養護施設とかも、二〇一七年ぐらいからです、民間の調査。ですので、政府としてしっかりこれは行っていただきたいんですね。  今回、実際に、二〇一六年に東京弁護士会が勧告を出しています。拘置所への勧告が出されているかと思いますが、本当に、人権侵害というようなことを子供たちに対して行ってしまうというような可能性が、特に子供の場合は、揺れ、表現ができていなかったり、まだ自認ができていなかったり、その揺れに寄り添う支援が必要なので、本当にこれは実態調査をして適切な支援につなげていただきたいというふうに思っています。  最後に、要するに、マイノリティーで、数が少ないからと言われてしまう問題について向き合うかどうかということは、極めて、再犯、防犯とか更生には非常に重要だと思っています。  今回は、今日はセクシュアルマイノリティーの話をさせていただきましたが、女子刑務所の中での出産、母子分離の問題、かつてから本当に、中では、堕胎とか、本当に痛ましいこともありましたし、それが実際、本当なのか、いいのか、その在り方で。こういう議論はまた改めてしていきたいと思いますが、極めて、この業界において、業界というのは、司法の中でもそうですし、ましてや、この立法、こういう政治の場面での女性というようなジェンダーの視点、極めて少ない、欠けてきたのが日本の政策なのではないかなというふうに思っています。  ここは、是非、子供の貧困の連鎖、ジェンダーの視点を入れていただきたいということを思っています。議論を改めてしたいと思いますが、一言、受け止めを大臣の方からお願いできればと思います。
  100. 義家弘介

    義家委員長 申合せのお時間が来ておりますので、大臣、簡潔にお願いいたします。
  101. 上川陽子

    ○上川国務大臣 多様性の観点というのは極めて重要であると認識しております。しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
  102. 池田真紀

    ○池田(真)委員 ありがとうございました。
  103. 義家弘介

    義家委員長 次に、寺田学君。
  104. 寺田学

    ○寺田(学)委員 寺田です。  一時間、質疑時間をいただきました。ありがとうございます。  私自身の価値観を押しつけることなく、一時間いただきましたので、この法案が採用した判断、そしてその価値観、そしてそれの論理整合性というものを、ちゃんと一時間の間で説明していただきたいと思います。  当初は大臣だけだと思いましたけれども、局長にも御登録いただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。  正直、この法律自体は、原則というものが一条でありますけれども、その上で、原則全件送致であったり、原則逆送であったり、その原則と例外というものが入り乱れています。特定少年という、原則の中に特定した一世代というものを設けて、今回は法改正を中心的にやっていくんですけれども。  これは通告していないんですけれども、物すごい基本的なことなので、大臣に、基本的なことです、大臣が御答弁されたことですけれども、改めて読みます。  少年法第一条、「この法律の目的」、「この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境調整に関する保護処分を行うとともに、少年刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。」、一条ですけれども。  この一条にある少年に、今回の法改正の中心的なものである特定少年は含まれるということでいいですよね。
  105. 上川陽子

    ○上川国務大臣 御質問のとおりでございます。含まれます。
  106. 寺田学

    ○寺田(学)委員 まず、原則が一つかちんと、改めてですけれども、確認をさせていただきました。  いろいろちょっと聞いていくので、稲田筆頭も階筆頭も、是非お力をかしてください。  まず、可塑性の判断というところから話を進めたいと思うんですけれども、今回、可塑性、今御答弁いただきましたけれども、いわゆる特定少年、十八歳、十九歳においても、いまだ成長の途中であって可塑性に富みということで一条の少年に入ることになるんですが、様々、今回、法改正の理由の中に、民法の改正であったり公職選挙法の改正というのも、いろいろ理由として中心的に挙げられています。  改めてですけれども、選挙権年齢が今回の法改正一つの大きな理由になっていますけれども、選挙権年齢の引下げの理由、根拠というのは、ちゃんと過去に遡りますと、二〇〇七年の国民投票法案から始まりますけれども、このときの検討で、与野党の合意で、若年者の意見を国政に的確に反映するとともに、若年者に責任も負担してもらう必要がある。政治的希望です。意思というか、政治的な意思を持ってこういうような形にしました。  これに基づいた上で、二〇一五年、公選法の改正をされますけれども、今申し上げた理由との整合性が理由として挙げられるのと、民主主義の一層の発展のため、若い人々がもっと政治に関心を持ち、そして若者のための政治ができるようにということが大きな理由。これもかなり政治的な意思です。十八歳ということで引下げをしたと。  一方、国法の統一性という話の中で当然出てくるのが、飲酒、喫煙の禁止は二十歳に維持した理由というのを主意書で答弁をされているんですが、二〇一八年です。  未成年の飲酒禁止法及び未成年者喫煙禁止法においては、健康被害防止及び非行防止の観点から、それぞれ二十歳未満の者による飲酒及び喫煙を禁止している、その年齢については、国民投票の投票権を有する者の年齢、選挙権年齢及び民法の成年年齢とは、その趣旨を異にするものであるため、必ずしも一致させる必要はなく、近年、国内外において飲酒及び喫煙が健康に与える悪影響を防ぐための取組が強化されている情勢を踏まえ、民法の一部を改正する法律によりこれを引き下げることとはしなかったものであると。  これに依拠するところというのは、飲酒及び喫煙の健康に与える悪影響という健康面、人体面です。  それで、質問したいんです。今回、大臣及び法務省も、何度も、十八歳、十九歳の特定少年においても可塑性に富むと言っていますが、その可塑性に富むと十八歳、十九歳を認定している根拠を教えてください。
  107. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  今委員、十八歳、十九歳について可塑性に富むと……(発言する者あり)ごめんなさい。今委員が、御質問の中で十八歳、十九歳について可塑性に富むとおっしゃいました。提案理由説明の言葉では、十八歳及び十九歳の者は可塑性を有するといって、ちょっとそれをまず申し上げさせていただきます。  少年について言われている可塑性というのは、一般に、人格的に発展途上であるために適切な教育や処遇によって更生することができる状態にあることを指すものと考えられておりますが、十八歳、十九歳の者の可塑性について実証的な根拠をお示しするということは、その性質上困難であると考えております。  その上で申し上げますと、少年法の在り方等について調査審議が行われました法制審議会の部会においても、少年には可塑性があることを前提とし、これに配慮した少年法に基づく現行制度が十八歳及び十九歳の者を含む少年の再非行防止や立ち直りに一定の機能を果たしていることについては、異論はなかったものと承知しております。
  108. 寺田学

    ○寺田(学)委員 いや、もう一回聞きます。  それは、法務省として可塑性があると言っているわけですから、あるのは何であると言うんですかと聞いているんです。  大臣、これは通告はちゃんとしています。何で可塑性があるという判断法務省は立っているんですか。
  109. 上川陽子

    ○上川国務大臣 これまでの少年法適用におきまして、二十歳以下の十八歳、十九歳も含めまして、十七歳以下も含めまして、教育的な指導とかいろいろな形で、その方たちが、可塑というか、成長を更に遂げていくという、ここについては、大人であったとしても、例えば四十代でも五十代でも、もちろん変化はします。その意味では、絶えずそのことを抜きにしては語れないというのが生き方そのものではないかと思うんですけれども、人間の一生ということではないかと思うんですけれども。  特にこの年齢については、非常に柔軟な年齢であるということで、これまで、少年法の中で、少年院、その他関係するところで取り組んできた、そのことについての実績の中に、可塑性に富んだ子供たちに対して様々なプログラムを提供し、そして、それによって立ち直っていく、こういうことを応援してきた、このことに実績がある、このように考えております。
  110. 寺田学

    ○寺田(学)委員 柔軟な年齢であると、大臣、今お話しされましたけれども。  私が申し上げているのは、さっきの公選法及び国民投票法は、結構政治側としての意思です。若い人たちにもちゃんと参画してほしい、若い人たちの意見を取り入れたいという政治的な意思で下げました。  飲酒、喫煙に関しては、健康に害を及ぼす。身体の問題ですよ、発育上の。  私は、今回の可塑性に富む、可塑性があるということに関しては、一方では、脳科学的な検証で、二十五、六歳ぐらいまで脳の発展は遂げられていくというようなエビデンスも出ているようですけれども、私は、今回、この可塑性があると法務省が判断する限りにおいては、政治的な意思というよりは身体的なものだと私は理解しているんですけれども、この理解は間違えていますか。
  111. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員が今、可塑性について、脳科学的見地、エビデンスとおっしゃいましたように、可塑性があるないというのは、基本的に人間の、生き物の話ですから、まさに科学的にあるかないかということを考えるものでございます。
  112. 寺田学

    ○寺田(学)委員 ありがとうございます。そこをはっきりしてもらえてよかったです。  それを基にちゃんと考えるべきだと思うんです。諸外国も引き下げているという議論がありますけれども、この可塑性というものを軸にして、脳科学的なことを軸にしながら一部年齢を引き上げて、社会的なことへの適用ということも含めてやっていく政策がありますので、ちゃんとエビデンスにのっとった上で私はやってほしいというのが、まず冒頭です。  次、虞犯について。  今回、特定少年の年齢の虞犯の保護というのを取りやめにすることになりましたが、一応昨日の段階で、何で特定少年に虞犯の規定適用しないとしたんですかという話を聞きました。  虞犯自体は、法定の事由に該当し、その性格、環境に照らし、将来罪を犯すおそれのある少年について、少年院送致を含む保護処分を課すことができるものとしているものです。しかし、権利、自由の制約という不利益を伴うことからすると、民法上の成年とされ監護権の対象から外れる十八歳、十九歳の者に対して、保護の必要性のみを理由に後見的介入を行うことが問題があるんではないかというような話でした。  一個ずつ整理しますけれども、保護の必要性のみを理由にと言われている以上は、保護の必要性はあるという立場ですか。
  113. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  現行の虞犯制度を適用する場合には、保護の必要性があるということを根拠に適用するものでございます。
  114. 寺田学

    ○寺田(学)委員 いやいや、ちょっと。これは法務省からもらった紙ですよ。何で特定少年特定少年と言ったら、改正法について聞いているんですよ。改正法について回答をもらったんですよ。この回答が違うんだったらやり直しですよ。  特定少年について虞犯の規定適用しないこととした趣旨といったときに、保護の必要性のみを理由に後見的介入を行うことが、他の法律との整合性を考えたときに問題点があると。結論としてはどうなったかというのは、法案を見れば分かりますよ。その法案に至るまでの事実認定、物事の考え方として、保護の必要性のみを理由にと言っている以上は、保護の必要性はあるんでしょう。  その後の説明は、それで聞きますよ。まず、一つ一つ。保護の必要性はあるんでしょう。
  115. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申します。  現行、十八歳、十九歳にも虞犯が適用がありますので、そういった状況にある少年につきましては、保護の必要性はあると考えます。(寺田(学)委員「ちょっと、特定少年について聞いているんだけれども」と呼ぶ)今、私、十八歳、十九歳と申し上げました。
  116. 寺田学

    ○寺田(学)委員 ごめんなさい、今回の法改正後の話ですよ。  特定少年について何で適用しないんですかと聞いたときに、様々利益衡量するんでしょう。そのときの利益衡量する上での一つの要素として、保護の必要性はあるが、それは、一番最初に戻りますけれども、一条に戻りますけれども、それは一条の趣旨にある少年に入っているわけですから、保護及び環境の変化を促すということは、その少年に対する、向けられた法律役割ですから、入っていると思いますけれども。  僕の理解が足りないだけかもしれないんですけれども、特定少年においても保護の必要性があるという立場には立っているんでしょう。その上で、他の法律との関係性を考えた上で今回の結論になったということでいいですか。
  117. 川原隆司

    川原政府参考人 申し訳ないです、若干私の説明が分かりにくかったかもしれません。  特定少年、十八歳、十九歳でございます。現在、それには虞犯が適用されていますので、法改正後、現在虞犯が適用されているのと同じ状態にある少年については、その意味で要保護性はございます。ただ、従前から御答弁申し上げておりますように、民法で監護権の対象とならなくなった、そういった事由から、特定少年については虞犯の対象から外すものでございます。
  118. 寺田学

    ○寺田(学)委員 でね、その利益衡量のもう一方ですよ。  民法上の成年とされ監護権の対象から外れること、これが利益衡量する上で、一つ理由としてはっきり挙げられているんですよ。なので、要保護性はあるけれども、利益衡量したときには問題があるから、今回外しましたと。  ちょっと違う角度から聞きますけれども、そもそも虞犯少年の保護者の監護権というのは十分に機能しているんですか。
  119. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  個々の虞犯少年のというのはなかなかお答えは難しいんですが、制度として、まさになぜ虞犯の制度があるかといいますと、その親の監護権が必ずしも十分でない結果、そういった状況にあるという場合に、国が親に代わってその健全育成のためにやるのが虞犯でございますので、繰り返し申し上げると、個々の少年の親ということではお答えできませんが、制度の前提が、そういった環境にある少年についての親の監護権が必ずしも十分でないということを前提にしているものでございます。
  120. 寺田学

    ○寺田(学)委員 監護権が十分じゃないから、虞犯の少年を、この言葉からいくと、自由は制限するけれども保護するんでしょう。  だから、監護権が形式的にあるかどうかというよりも、実質的に機能しているかどうかということで今まで自由を奪ってきたわけじゃないですか。意味、分かりますか。でしょう。  それなのに、今回、保護が必要な、要保護性があると認めている少年の、十八歳、十九歳の虞犯の少年ですよ、それを形式的ですよ。だって、元々ないんだもの、言うとおり。一般的に、制度上、十分な監護権がないからこそ、虞犯少年になり得て、だからこそ、それを理由に自由を奪って、法務省として、国としては保護して、環境を変えようとするんでしょう、一条にのっとって。  だとすれば、民法上、そもそも機能していない、及び頑張っているけれども子供が聞かない、少年が聞かないときの形式的な監護権が外されたからって、要保護性がある少年の保護をやめる、そのことにそれは優位するんですか、大臣大臣大臣大臣大臣
  121. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今回、要保護性がある虞犯少年ということで定義をされている部分でありますけれども、今までは十八歳、十九歳であっても、虞犯少年として位置づけてきたところでありますが、そして、今、これからの少年法改正におきまして、その対象から外れるということでありますが、問題の性質というか、問題の背景などは変わるものではございませんので、これに対しては、少年の健全育成のほかの政策の中でしっかりとそれを担保していくということは、これは極めて重要であるというふうに考えております。  少年非行対策課長会議等におきまして、関係府省連携をしながら対応するということでございまして、今ある制度の中でも、また、この問題につきましては、しっかりとした取組、そして非行防止のための取組、健全育成のための取組、これについてはしっかりと対応していきたいというふうに思っております。
  122. 寺田学

    ○寺田(学)委員 私は価値観を一方的に言っているんじゃなくて、今回、法律の価値判断に基づいた上で、まさしくこれが、私はもうぐちゃぐちゃになっていると思うんです。だって、要保護性を認めているんでしょう。  今までも監護権が十分に及んでいなかったわけですよ。それは親の問題なのか、少年の問題なのか分かりませんよ。だからこそ虞犯になっていたし、だからこそそれを保護してきたわけですよ。だけれども、今回、同じですよ。だって、そもそも親の監護権、保護者の監護権というものが実質的にない、でしょう、十分じゃないと言っているんですから、十分じゃない保護者の少年が、今回、虞犯の保護から外れるわけですよ。その理由は何か、要保護性はあるのにですよ。  形式的に、監護権が民法との関係で外れるからというのは、利益衡量してくださいよ。要保護性があって、少年法の枠組みの少年であって、保護の必要性は、十六歳、十七歳以下を含めて、いまだに持っている。親の監護権が十分に機能していない。それは親の問題なのか、少年の問題なのか分かりませんけれども、機能していないことは同じなんですよ。  ただ、形式的に、親の監護権が外れたから、その理由だけで、要保護の必要性があると認めている十八歳、十九歳の虞犯の少年を保護しなくするというのは、利益衡量として、政府はそういう利益衡量に立つんですかということなんです。大臣大臣
  123. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  委員質問の中で、監護権が法律上形式的にあるかという問題と、あったとしてそれが機能しているかと、二つの問題を論じておられまして、実は、この問題を考える上で、その二つの区別が極めて大切と考えております。  先ほど申し上げましたように、現行の虞犯制度は、民法上、保護者の監護権があることを前提に、それが十分機能していないことから、国が親に代わって、やるものでございます。ところが、この虞犯という制度は、確かに、少年の健全育成という点では少年にとってメリットのある制度という部分がございますが、一方では、これは、少年院に送ったり、保護観察ということで、自由の制約もあるもので、そこはデメリットのある制度でございます。  そうなってきますと、不利益な処分を課すということになりますと、そこは根拠が必要だということで、先ほど来申し上げましたように、形式的にといいますか、法律上認められている親の監護権が不十分なので、その監護権の枠組みを、まさに国が、後見的といいますか、満たしてやる……(寺田(学)委員「分かっている。虞犯制度の仕組みでしょう、それ」と呼ぶ)はい、というものです。  そうしますと、今度は、民法上、成年年齢が十八歳になりますと、枠組みとしての形式的な監護権がなくなりますので、ところが、それがないものに対して、その監護権を後見的に補充するということはできないものでございます。  すなわち、現行の虞犯制度はちょっと、イメージ的な例えで恐縮でございます、監護権というお皿がありまして、そこに載る料理が余り十分でないので、国がそこにプラスアルファしてあげるものですが、ところが、今度は、十八歳以上の者はそもそもお皿がないので、そこに載っかっているものが十分かとか、そこに何か足してやるというようなことができないので、繰り返し申し上げていますが、今度、特定少年には虞犯の制度をなくす、ただ、要保護性という意味で、委員先ほどからおっしゃっている事情がなくなるわけではございませんので、大臣が答弁されましたように、その後、いろいろな取組を考えているということでございます。
  124. 寺田学

    ○寺田(学)委員 皿の例え、よく分からないけれども、あえて乗っかりますよ。  その皿が、実質的に載っかるような皿じゃないからこそ、社会が皿をつくったんでしょう、今までの虞犯はそうでしょう。監護権というお皿がありました、だけれども、そこに載って、上に載るのが少年と言いましたけれども、皿がうまくいかないから、やる、引き取るんでしょう。もう、そもそも、その皿自体が、皿としての機能を果たしていないと言っているんじゃないですか。だけれども、皿は一応ある、機能していないけれどもあるんだということを言っているだけでしょう、それは。  だったら、今回の特定少年だって、皿は機能していないんですよ。元々皿は機能していないけれども、十八歳になった瞬間に、元々機能していない、利用できなかった皿がなくなったというのは、変わらないじゃないですかということです。  大臣、俺はやはりこれはおかしいと思う。何がおかしいかというと、ちゃんと保護対象にして、要保護性も認めて、少年法の枠組みに入れて、やっているにもかかわらず、こんな形式的に、民法でお皿がなくなりました、元々機能していないお皿がなくなりました、だから虞犯を保護する必要性はなくなりましたという利益衡量はおかしいということです。  大臣、御答弁を。
  125. 上川陽子

    ○上川国務大臣 お皿の例えはちょっと分かりにくいので、ちょっと申し上げることができないんですけれども。  民法の成年年齢が引き下げられます。十八歳、十九歳の者につきましては、契約もできますし、そして親の監護からも外れるということ、これは民法の改正によりまして決まったことであります。こうしたこともございまして、少年法については、国会の意思としてしっかりと検討するように、こういうことで今まで検討してきたところでございます。  虞犯による保護処分というのは、元々、監護権が形式的にしてもあるという者を対象にしているところでございますので、今回、民法が、引き下げられて、監護権そのものがなくなる、つまり、お皿がなくなるということになりますと、その者に対しまして、国家権力が、今のような形で、虞犯という形で保護をして、そして健全育成をすることができないということでございます。  それで、法制審議会におきましても、この点につきましてはかなり問題点を指摘をされまして、民法上の成年とされて監護権の対象から外れる十八歳、十九歳の者に対して、保護の必要性のみを理由にして後見的介入を行うということについては、成年年齢引下げに係る民法改正との整合性、また責任主義の要請との関係で許容されるのか。十八歳、十九歳の者が、民法上成年となるわけでありますので、罪を犯すおそれがあるというだけで処分をすることができる、これは国家による過度の介入にならないかということで、この法制審、法制度としての許容性や相当性の点で、最終的に、慎重であるべきという判断でございます。  さらに、保護の必要性につきましては、二十歳、二十一歳の学生さんもまたほとんど変わりがない、こういう議論もございまして、これは法制審議会の議論でございまして、いろいろな形で強い懸念が示されたということでございます。  法律案につきましては、お皿の形式がなくなった、そして、その方に対して国家的な介入をしていくということについては、これは問題である、こういうことで、外すわけでありますが、しかし、保護についての必要性はあるわけでありますので、それについてはしっかりと他の政策の中で取り組んでいくということについて、私、先ほど答弁したとおりでございます。
  126. 寺田学

    ○寺田(学)委員 よく分かりましたけれども、はっきり言うと、実質の要保護性を認めながら、形式を採用したということですよ。それは御答弁の整理をするとそうなりますよ。実質的に要保護性はあります、ただ、形式的に、監護権がなくなりました、だからこの制度は十八歳、十九歳から除外します。実質より形式を取るとこんなに御立派に言うものなんですかね。論理展開はそうですよ。実質より形式を取るんですか、法務大臣
  127. 上川陽子

    ○上川国務大臣 この基本的な枠組みを変えますと様々な課題もまた起きてくるところでございまして、大事なことは、この世代の要保護性、つまり、可塑性があって、また、これは若年ということにも広がるわけでありますが、その世代をどういうふうに考えていくかということの、これが本質的な、実体的な議論を加えなければいけないというふうに思います。それは更にほかのフレームワークの中でしっかりと取り組んでいく、このことについては、私、強く申し上げたいと思います。
  128. 寺田学

    ○寺田(学)委員 ちゃんとやってほしい。いや、本当はなくしてほしい。ただ、それでも、分からないですよ、にじみ出るような議論の中で、最終的にぎりぎりぎりぎりやった結果がこうなっているという政治的な結果はもう想像できます。いや、なくしてほしい、なくしてほしいけれども、ただ、それがもしこのまま改正されるとしたら、本当に今言った大臣の言葉を信じていますから、ちゃんとやってください。それが実質を取るということだと本当に思います。  次に行きます。原則全件家裁送致一定以上の犯罪に関しては原則逆送という、原則、原則というこの二つです。  十八歳、十九歳は引き続き少年大臣が述べられたとおり、一条における保護対象少年としながら、今回いろいろな仕組みをつくっているんですけれども、まず、そもそもとして、全件家裁送致を維持するということになった趣旨は何ですかとは事前に聞きました。  これまで、少年事件について、いわゆる全件送致の仕組みの下、家庭裁判所は、十八歳、十九歳の者を含めて少年非行の防止や立ち直りに重要な機能を果たしてきたものと認識しています。そして、十八歳以上の少年は、責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となる一方で、成長途上にあり可塑性を有することからすると、その改善更生、再犯防止を図るために、引き続き家庭裁判所の機能を最大限活用することは刑事政策的観点から合理性を有するものと考えるものから、このような形にしたと。  家裁にどんな裁量を持たせたんですか、この制度は。こういう仕組みにしました、引き続き存置、残したということも含めて、結論ですけれども。これは家裁に何の裁量を持たせるために、いや、言ってみれば、今回原則がいろいろ出てきますけれども、一定犯罪以上、一年とかそういうことですよね、一定犯罪以上と機械的に分けたんですよ。だとしたら、機械的に、それは当然ながら一定犯罪以上は刑事裁判に行き、一定犯罪以下は基本的に家裁に行くということをせずに、あえて家庭裁判所に全件を送るとした。それは家裁に何の裁量を持たせようとしたんですか、大臣。  局長、短くね。
  129. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  家裁の全件送致主義、これは家裁に何を求めているかということでございますが、まず、非行事実があるかないかを確定し、非行事実が存在するとした上で、その少年についてどのような処遇が適当か、すなわち、保護処分なのか刑事処分なのか、こういったことを判断するという機能を家裁に求めているものでございます。
  130. 寺田学

    ○寺田(学)委員 今、局長が言ったので、大臣、もう一回答えてください。これは家裁にどんな裁量を持たせたんですか。
  131. 上川陽子

    ○上川国務大臣 この今の制度でございますけれども、重大な事件につきましても、やはり十分な調査を尽くして、そして、個別の事案ごとに家庭裁判所判断によりまして、逆送せずに保護処分を選択できる、そうした判断を今までの家裁が行ってきた機能、これを十分に生かしていただきたいということで残したものでございます。
  132. 寺田学

    ○寺田(学)委員 保護処分が必要な少年に対して引き続き保護処分を、施すというのか、保護処分という処分を下す裁量を与えたということで間違っていませんか、大臣
  133. 上川陽子

    ○上川国務大臣 ここのところは、刑事司法の制度そのものの基本的な考え方のところともつながるところでございますけれども、先ほど質問をいただきました点でございます。  そもそも、この刑事司法、犯罪を取り扱う刑事司法制度ということでありますが、まず第一に、罪を犯した者が将来再び犯罪に及ぶことを防止する、いわゆる特別予防に資する。そして第二に、私的制裁禁止し、国家が刑罰権を独占する以上、被害者や社会の応報感情にも適切に応える。三番目として、制裁の威嚇により犯罪を抑止する、いわゆる一般予防にも資するもの、これが求められている制度でございます。少年法もまた同じでございます。刑事司法制度の中の一つの一隅ということでございます。  少年法については、保護を要する若年者一般を対象とするものではございませんで、あくまで罪を犯している、そして刑罰法令に触れて、あるいはそのおそれのある非行少年、これは虞犯のところにも関わるわけでありますが、に対しまして、先ほど申し上げたように、刑事司法制度の中でその健全育成を図る、これは理念にしっかりと掲げられているところでございます。  したがいまして、少年法の在り方の検討におきましては、もちろん、少年の保護、教育の観点、これは保護性ということの中で極めて重要な要素である、それゆえに家裁全件送致という仕組みの中で、今までの仕組みを取ったということでありますけれども、同時に、この刑事司法制度の存立基盤でございます、被害者を含めまして、国民の理解と信頼の観点、これを考慮するということのバランス、このことが不可欠であると考えられたところでございます。これまでの少年法の改正についても、その二つの要素、これを考えながら、最終的には社会秩序の維持、そして国民の皆さんの生活の安全、安心のためにということの中で、資するものとして位置づけられてきたところでございます。  今、もちろん、可塑性があるという少年の柔らかな年齢の中で、どこで何をどう切るかということについては、これは、もう様々な御意見がある中でありますが、民法の改正、冒頭の、ここに至った経緯の中で、民法の改正を、十八歳に引き下げるという決断を国会の中でも立法としてしていただきました。その前には選挙年齢の改正もしていただきました。社会の中で責任ある大人としての活動を、これからの未来のためには大事である、こういう趣旨の中で年齢の引下げをしたところであります。  積み残された問題の一つ先ほどお酒の話がされましたので、これは健康という観点の中の法律の理念の中でそのような判断をしていただいたところでありますが、少年法については、これについては、長い期間をかけて検討を重ねてきた上で、今のような保護性と、また刑事政策的な配慮、これについてのバランスを、でき得れば、可塑性を多く有する年齢でありますので、全件家裁送致し、きめ細かく調査をしていただいた上で、逆送の範囲についても拡大するわけでありますが、判断家裁でしていただくという結論でお願いをしているところでございます。
  134. 寺田学

    ○寺田(学)委員 委員長理事のお取り計らいによって、初めてですけれども家庭裁判所に行くことができて、実際に裁判長の方とお話をしたり、質問させていただくことができました。いろいろ理事から質問がある中で、改正された場合にどういう運用になるのかということは、当然ながら慎重に、それは改正された後でなければお話はできないということと、改正された後であれば、法に従って適切に判断をしていきたいという当然のお話がありました。  今までと違って、やはり、今回、原則家裁には送致されるけれども、一定犯罪以上は原則逆送という機械的な仕組みは取り入れられているので、まさしく何を基に、この立法趣旨が何であるかということを基に、恐らく個々別の件に関して裁判を行い、裁判長が御判断されるんだと思うんです。ですので、今大臣が、極めて保護性を重要視されながら、今までどおり家裁としての役割を果たしてほしいということは、大きな示唆だと私は思っております。  聞いたんですよ、裁判長に。今回、罪の軽い重い、軽重の話が出てきますけれども、罪の軽重と要保護性の高い低いというのは何かしら相関関係はありますかということを聞いたら、そこは結構はっきりと、一般的ではありますけれども、罪が重い場合には要保護性も高いという相関関係はあると、はっきり現場裁判長は言われていました。  もちろん、それは全て個々別にまで基準になるものではないと思いますけれども、まさしく今回、全件送致をするということを制度として残し、何でその趣旨なんだと聞けば、引き続き家庭裁判所の機能を最大限活用することなんだということですので、私は、これから改正された後に御判断される裁判長の方々が、しっかりとこの立法趣旨を理解した上で、理解されると思いますけれども、共に共有した上で御判断をいただきたいと思っています。  この点に対して、もう一度大臣として、責任者として御発言いただければ。
  135. 上川陽子

    ○上川国務大臣 家庭裁判所及び少年法に係る様々な、先生方も含めまして、本当に丁寧に一人一人の状況を、寄り添いながら、しっかりと向き合いながら、先のことを考えながら対応していただいているということについては、私は、この家裁の仕組みというのは非常に大事な仕組みだと思っています。  この中で、今のこの法制度の中で変えているわけでありますが、逆送につきましても、ただし書もセットしておりますし、基本的なフレームワークは変わっていないということでありますので、その大原則は生かしていただき、しかも、さらに、今回のことについて様々な意見が出ましたので、十八歳、十九歳の一人一人の特定少年に対しまして向き合っていただきまして、判断につきましてもぎりぎり判断をしていただく。ここの今までのノウハウやそして蓄積については、私は、これを高く評価していらっしゃるというふうに思いますけれども、このことを更に高みを目指して取り組んでいただけるように、私どもも、環境整備も含めて、徹底して対応してまいりたいというふうに思っております。
  136. 寺田学

    ○寺田(学)委員 何度も申し上げますけれども、私の価値観をあえて押しつけるつもりはないです。私は、価値観ありますけれども。  今回、十八歳、十九歳であろうとも少年法一条の少年の範囲の中に収め、そして全件送致をする仕組みを残したということ自体は、非常に大きな意味を持つものだと思っています。そのことがしっかりと、改正をされてしまった後は、その判断をされる方々に共有されることを祈っております。  前回も議論したんですが、五十五条移送の話です。これも、様々な価値観というか、両方の価値観がぶつかり合う中で折衷を決めたせいで、私は、少年がいわれなき責任を負わされることになるんじゃないかなと強く懸念しているところです。  お手元に簡単な図を作りましたけれども、ここにいらっしゃる方は法曹関係者の方も多いので御存じと思いますが、今回、家裁に全件送致されますけれども、その後、逆送される範囲が広がりますので、確実に逆送される件数は増えると思います。増えた上で、いわゆる刑事裁判の方に行きますけれども、その後、それも、残っている五十五条という法律によって、やはりこの人は保護措置に付すべきだという判断がされて、家裁に戻ってきます。  やはり、裁判官の方にいろいろお伺いしました、何人かに聞きましたが、家裁の方々と相談した上で五十五条の判断をすると。僕は知らなかったんですけれども、今回、逆送の範囲というのは、今、現行法は物すごく限定されていますから、その限定されている中においても、全国で、年間二件から六件、五十五条により刑事裁判から家裁の保護主義に戻っている。高等裁判所でも戻っているケースがあるそうです。十件以上あると私は聞きました。  なので、やはり徹底的に子供の保護主義、この子は今は駄目だけれども、絶対にこの子は更生できる、いわゆる少年に対する大人が、こういう場を使い、この法律の仕組みを使って保護主義で更生をさせ、その子にとってもいいし、社会にとっても、再犯が起きないということでプラスになるということで、これを残されているんだと思うんです。  前もお話ししましたけれども、今回、推知報道が解禁されますが、家裁から逆送され刑事裁判に乗って、名前が出てしまって、その後、五十五条移送で保護主義に戻るんですが、名前が出てしまっているんです。これは制度欠陥だと私は思いますよ。倫理にのっとった上で、保護主義にのっとって、今回、少年として保護主義を中心と考えているのに、こういう仕組みが生まれてしまった。  これは局長でいいですけれども、今回、推知報道の解禁をする、そういう法改正をすることによって、しかも五十五条移送をしっかりと残している、そのことによって、保護主義に戻る可能性がある少年の名前が出てしまう、そういう現象が起こることは、制度設計する上で認知していましたか、していませんでしたか。
  137. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  制度設計する上で、推知報道禁止を本改正案のように解除すれば、刑事裁判所に起訴されて、公開の法廷で審理された結果、五十五条移送で家庭裁判所に戻る者についても推知報道禁止の解除の対象になるということは認識した上で、制度設計を行っております。
  138. 寺田学

    ○寺田(学)委員 今後、逆送範囲が広がりますよ、改正法案だと。どばっと広がりますよ。恐らく、そういう意味においては、保護主義に付すべきだと刑事裁判所の方で考える可能性は、一般的に考えて増えると思いますよ。  これは大臣でもいいですけれども、同じ犯罪を犯して、家裁で保護主義に付すと判断される少年と、同じ犯罪を犯して、逆送されて、大人の判断ですよ、逆送されて、刑事裁判所でやはり保護主義に付すべきだと、同じ犯罪を犯しながら、名前が出る少年と名前が出ない少年があるんですよ。この名前が出た少年というのは、名前が出るようなことの責任を負うんですか、同じ犯罪を犯しながら。そこに差はあるんですか。制度によって生み出された差ですよ、これは。何かしらの積極的な責任を負わなきゃいけない少年の責めというのはあるんですかね、大臣
  139. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  今回の改正案推知報道禁止を一部解除するとしているものでございますが、推知報道禁止の一部解除というのは、特定少年に対して、犯した罪の責任に関する制裁を科すというものではございません。  その上で、従前から御答弁申し上げておりますが、なぜ推知報道禁止を解除するかというのは、特定少年という形で位置づけた理由は、これまでも説明しております。その上で、現行推知報道禁止というものが少年の更生に資するものである、そういったことは前提とした上で、一方で、憲法で保障された重要な人権とされている表現の自由や報道の自由を直接制約する例外規定であることや、被害者等については推知報道禁止する規定はないことなどを考えまして、特定少年につきまして、公判請求された後については推知報道禁止を解除する、そういう判断をしたものでございます。
  140. 寺田学

    ○寺田(学)委員 説明はいいですよ。僕も勉強しましたよ。それは分かった上で、この仕組みにしたせいで、同じ犯罪を犯しても、家裁保護処分に付された少年と、逆送されて刑事処分になって、名前が出て、もう一回五十五条移送で戻ってくる。同じ犯罪を犯した少年であっても差が出てしまうんですが、その差は、少年が取るべき責任があるんですかと聞いているんですよ。  認知しているんでしょう、こういうことが起きることは、答弁のとおり。認知しているんだったら、何でこんな、不利益ですよ。不利益でしょう。それは聞かないけれども、そうでしょう。  不利益を被るその少年、同じ犯罪を犯しているんですよ、ただ、大人の判断が違ったことによって。今まではいいですよ、名前は出ませんから、もちろん時間がかかっちゃいますけれども。逆送されて刑事裁判に行って、五十五条で戻ったときも、名前が出ていないからいいですけれども、今回、改正法案で名前が出ちゃうんです、同じ犯罪でも。  同じ犯罪を犯しても、判断によって名前が出ない、及び名前が出てしまって不利益を被る少年が生まれるんですが、それを認知しているんだったら、何でその少年は名前が出る責任を負わなきゃいけないんですかと聞いているんですよ。教えてください。
  141. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  まず、先ほどお答えしたことでございますが、推知報道禁止の一部解除は、当該少年の犯した罪の責任に応じたものではございません。  その上で、今回、推知報道をどの範囲で解除するかということにつきましては、委員先ほど来御指摘されていますように、罪を犯した者の更生、こういった観点と、それから憲法で保障される報道の自由との調整をいかに図るべきかという観点から、様々な事情を踏まえた上での政策的な判断として、本法律案では、特定少年について、公判請求された後は推知報道禁止を解除するのが適当となったものでございまして、今回の制度設計は今申し上げたような政策判断に基づくものでございますので、この仕組みにつきましては、法制審議会においても全会一致で採択された答申にも盛り込まれたものでございます。
  142. 寺田学

    ○寺田(学)委員 いや、ごめん、犯した罪という言い方をしましたけれども、この段階で罪は確定していないでしょう。  前回の議論でもやりましたけれども、組織的詐欺で起訴したけれども無罪になったというケース、例示しましたよね。  犯した……(発言する者あり)ちょっとうるさいよ。犯した罪という言い方をしましたけれども、違うでしょう。犯した罪は確定していないでしょう。犯した罪が確定していない段階で、何で名前が出る少年と名前が出ない少年が、仕組み上、生まれるんですかと聞いているんですよ。  生まれることは認知していたんでしょう。生まれることは認知していたんだったら、その理由を言ってくださいと言っているんですよ。(発言する者あり)
  143. 義家弘介

    義家委員長 御静粛に。
  144. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘の責任という問題でございますが、もちろんこの段階では有罪は確定していませんので、それはおっしゃるとおりでございます。  ただ、済みません、推知報道禁止の解除という制度は犯した罪の責任に応じた制裁を科すものではないという、まさにそういう一般論を申し上げたものでございます。  その上で、再三申し上げております、委員指摘のように、五十五条移送された場合には、保護処分に戻るにもかかわらず推知報道禁止が一部解除される、そういった状態に置かれるということは認知した上で、先ほど来申し上げておりますが、政策判断として今回のような制度設計に至ったものでございます。
  145. 寺田学

    ○寺田(学)委員 だから、その政策判断趣旨を教えてって言っているの。教えてください。(発言する者あり)
  146. 義家弘介

    義家委員長 御静粛に。御静粛に。
  147. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、推知報道禁止少年の更生に資するものであるという、これは委員再三御指摘の点、この点がある一方で、推知報道禁止規定が憲法で保障された重要な人権である表現の自由や報道の自由を直接制約する例外規定であることや、また、被害者等については推知報道禁止する規定がないということ、こういったことから判断いたしまして、罪を犯した者の更生と憲法で保障される報道の自由との調整をいかに図るべきか、こういう判断で政策判断を行いまして、今回の改正案のような内容としたものでございます。
  148. 寺田学

    ○寺田(学)委員 罪も確定しておらず、保護主義に戻るかもしれない少年が、その今言われた政策判断の知る権利より劣位にあるんですかって私は前回聞きました。劣位にあるんですか。政策判断をしたというんだったら。  劣位にあるんですか、大臣大臣
  149. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今の政策的判断の考え方の中で、局長が答弁したとおりでございますが、推知報道を解除する範囲、これにつきましては、罪を犯した者の更生と憲法で保障される報道の自由との調整をいかに図るべきかという観点から、様々な事情を踏まえた上での政策的判断をしたところでありますが、これは繰り返しのところでございますが。  この法律案におきましては、十八歳以上の少年にも、推知報道禁止を一般的に適用した上で、逆送されて公判請求されて、公開の法廷で刑事責任を追及される立場となった場合には、これは、二十歳以上の者と同様の扱いとして推知報道禁止を解除するのが適当と考えたものでございます。  これは、全会一致で法制審議会におきまして採択されたということで、答申にもしっかりと盛り込まれているところでございます。  いろいろな議論をした上でこのような判断をさせていただきました。
  150. 寺田学

    ○寺田(学)委員 僕が聞いているのは、推知報道の解禁の是非じゃないんですよ。御答弁されている内容は、推知報道を解禁する是非。解禁することの理由は何かと問われれば、国民に携わっている知る権利との関係なんだと分かりますよ。  ただ、今回、僕が言っているのはもっと具体的な話で、五十五条移送で、保護主義に付すべきと判断されて戻る、実例はあるし、これから増える可能性はありますよ、その少年たちの名前が出てしまうことは、その大きな判断判断であるんでしょうけれども、制度的なはざまに落ちて、被らなくていい不利益を被っているんじゃないんですかと言っているんです。そこをちゃんと救ってくださいよという言い方ですよ。  今回、原則逆送なんて強い機械的な仕組みを入れているんでしょう。だったら、基本的に逆送される可能性だってありますよ。もちろん、家裁判断してもらいますよ。それでも、わざわざ五十五条を残しているということは、もう一回刑事裁判の中で、この子は保護主義に付すべきだと、法律に定めて戻す仕組みを持っているんでしょう。持ちながらその子の名前が出てしまうということ自体が、整合を取れないじゃないかと言っているんですよ。  無罪の可能性だってありますよ。いや、それは公判に出る責任を負うべきだと、分からないですよ、ただ、推定無罪でしょう。実際無罪になる可能性があるのに、公判に出ただけで、名前をさらされるような責任を保護主義の範疇にある少年は負わなきゃいけないの。おかしいじゃん、そんなの。これは価値判断じゃないですよ。制度設計としての論理矛盾だと言っているんですよ。  これ、せめてここを修正してくださいよ。その子供に言えますか、いや、政策判断ですと。もちろん、推知報道の解禁は政策判断ありますけれども、この具体ケースは、完全に、制度の中ではざまに落ちて不利益を被る少年を増やしますよ。そこに対する心配りはないんですか。認知していたんでしょう、そういう、五十五条で保護主義に戻るかもしれない、将来無罪になるかもしれない、その子供が、名前が出てしまうタイミングに推知報道の解禁を置いたということ。  大臣、何とかしてよ、本当に。これ、顔向けできない。価値観の対立じゃないですよ、制度不備。もし、制度不備じゃないと言うんだったら、五十五条で保護主義に戻る可能性もあり、無罪になる可能性があるにもかかわらず、名前が出てしまうその少年に対して何と言うんですか。大人の都合ですよ、そんなの。大臣、頼みますよ。(発言する者あり)
  151. 義家弘介

    義家委員長 御静粛にお願いします。
  152. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど来申し上げているところでございますが、刑事司法手続、制度の中でのこの少年法の位置づけでございまして、十八歳、十九歳の者、民法の成年年齢が引下げになり、社会の中では、大人としての契約も結ばれ、そして、それぞれの責任についてもしっかりと責任を果たす、こういうことが求められているところでありまして、この少年法におきましても、今のような、保護性とそして刑事的な責任の中で、可塑性のあるところに着目する意味では全件家裁送致でありますが、公判に至ったプロセスの中で、その段階から二十歳と同じ扱いという形で、今の推知報道については禁止を解除する、こういう選択を政策的に判断をしたところでございます。二十歳以上の者と同様の扱いをするということによって、民法の成年年齢の引下げということでありますので、そのバランスということで今回の改正になっていた次第であります。  法制審議会におきましても、この点につきましてはいろいろな議論がございましたが、全会一致で採択されまして、答申にも盛り込まれたという状況でございます。
  153. 寺田学

    ○寺田(学)委員 いや、僕は推知報道の解禁の是非を言っているんじゃないんですよ。しかも、僕は、保護主義に立てとか現場主義に立てとかも言っていないですよ。政府が出してきた、この仕組み上、おかしいじゃないかと言っているわけですよ、論理的に。  だから、何度も聞いていますよ。局長でもいいですよ。同じ罪を犯しながら、名前が出る少年と名前が出ない少年が制度上、皆さんが提案している制度上、生まれるんです。同じ罪を犯しながら、名前は出てしまい、罪を犯していないかもしれない、そういう少年に対して何と言うんですか。何で僕の名前は出てしまうんだ、無罪になったのに、何で僕の名前は出てしまうんだ、保護主義に戻ってしっかりと内省に努めよというような指令が出てしまったのにと。そういう仕組みをちゃんと五十五条で残しているんだったら、それに基づいて整理してくださいよ、推知報道も。  認知していたんでしょう。知らなかったというんだったら間抜けだなと思いますけれども、それでも、じゃ、今から議論しますよ。分かっていてこういう仕組みにしたんだったら、何でそういう不利益を被る子供に、正当性の理由を言ってくださいと言っているんです。  局長に、僕、もう一回聞きますけれども、推知報道の是非なんて聞いていないですよ、解禁する是非なんて。制度の仕組みによってそういう少年が生まれるこの制度不備を、何てその当該少年説明するんですかということです。同じ罪を犯した人がいたとしても、名前が出てしまう仕組みになった、その仕組みは君の責任だよと言わなきゃいけないじゃないですか、責任を負う以上。責任ないのにさらされるんだったら、そんな立法は最悪ですよ。  局長、ちゃんと説明して。国民の理解を得るんでしょう。
  154. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  少年にどう言うかということでございます。  結局この問題は、少年の更生と、それから先ほど来申し上げています表現の自由等との調整をどこに置くかということでございます。五十五条自体の必要性はありますので、この問題を回避するために五十五条をなくすというような選択肢はあり得ないところでございます。  ところが一方、推知報道禁止というのは、表現の自由等の制約であって、いろいろ問題があるということから、さあ、ここをどこで調整するかということで、推知報道禁止は一部解除する。じゃ、次、どの時点にするかということを考えていった中で、例えば逆送の時点では、従来御答弁しましたけれども略式命令請求などが入って適当ではない、早過ぎる。一方で、最終的に有罪の確定ということになりますと、最高裁までの上告まで考えますと、時間もかかってしまって、知る権利との関係でそれが、報道の自由ですか、報道の自由との関係でそれが適当かということを様々考えまして、五十五条移送によって家裁に戻るということがあり得るということを認識しつつ、公判請求のときということにしたものであるので、繰り返します、その政策選択の正当性という意味で、大臣先ほどから、法制審議会の議論の結果、全会一致だということを申し上げているところでございます。
  155. 寺田学

    ○寺田(学)委員 結構大きいことを言っていますよ。報道の自由でしょう。報道の自由が優先しているわけですよ、どこかの段階で。  五十五条で、保護主義に帰ることがあり得る少年の、少年法ですよ、これ。少年法にのっとってその子の保護をして、環境を変えてあげて更生させて再犯を防ぐということを考えている法律ですよ。そのときに、報道の自由がどこかで優先してくるわけですよね。  報道の自由が優先する。逆に言うと、劣位にあるのは、子供の名前が本来の保護主義に戻る可能性があること、無罪になること。そういうことより、優位に立つんですか。
  156. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員、確かに、御指摘少年法では、少年の健全育成というのは大事な目標でございます。そのとおりでございます。  ただ、私どもが今、法改正をお願いしている中では、憲法を頂点とする法秩序全体を考えながらやるところでございます。  報道の自由、委員は大きなこととおっしゃっておられますが、まさに憲法の保障する人権の中でも重要な権利とされているものでございますので、その点を踏まえつつ、憲法を頂点とする法秩序全体の中における少年法の改正を考えるに当たって、先ほど来申し上げているような政策判断をしたということでございます。
  157. 寺田学

    ○寺田(学)委員 少年法の改正の議論をするときに、報道の自由というものが、その少年が、制度上残されている五十五条による保護主義に戻る権利よりも、そして、公判を続ける上で、時間がかかるかもしれませんが、無罪を証明する、そういう権利よりも、報道の自由が優位に立つんだと刑事局長が言うわけですよね。それを大臣が認めているわけですよ。  あと、井野さんですか、さっき、十八歳は大人だよというやじを飛ばしましたよ。もう、そんなレベルのところで議論する話じゃないでしょう、少年法少年法の中においては、大臣が言ったとおり、少年なんですよ、十八歳、十九歳。私が言ったわけじゃないですよ。  今回、いろいろな議論の中でこれで終局するのかもしれないですけれども、本当に、価値観がぶつかっているのは分かります。ただ、価値観のぶつかりによって制度的におかしくなっていることはちゃんと是正してくださいよ。それは与党、野党でやりましょうよ。お願いします。そのことだけお願いします。  以上です。
  158. 義家弘介

    義家委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  159. 義家弘介

    義家委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲富修二君。
  160. 稲富修二

    ○稲富委員 立憲民主党の稲富でございます。  今日が、少年法質疑、終局を迎えるということで、この法案質疑については最後の機会ということでございます。  今日は我が党からも修正案を提出をさせていただきましたので、まず、そのことについて質問させていただきます。  提出者に対して、まずはこの修正案の提案理由についてお聞かせください。
  161. 松平浩一

    松平委員 御質問ありがとうございます。  近年の法律改正により、成年年齢、選挙権年齢が引き下げられ、十八歳及び十九歳の者は社会において責任ある主体として積極的な役割を果たすことが期待される立場となったことを踏まえ、特定少年のカテゴリーを創設すること自体には反対するものではありません。  しかしながら、参考人の御意見、そして、この場で御審議なされた中で明らかになった特定少年にとって特に不利益が大きいと思われる点、すなわち、虞犯の対象からの除外、資格制限の緩和の適用除外推知報道禁止の解除、この三点については、少年の要保護性を重視し、改正案から削除すべきだというふうに思料いたしました。  さらに、推知報道禁止の及ばない被害者の取扱いとのバランス、こちらを考慮し、推知報道禁止規定犯罪被害者等への配慮規定を設ける、そういうことが必要であると考えました。  以上の理由から本修正案の提案に至ったわけでございます。
  162. 稲富修二

    ○稲富委員 どうもありがとうございます。  資料の一枚目を御覧ください。  改正後の少年法適用関係について、年齢とその対応について書かれているものでございます。  この十八歳、十九歳が少年なのか大人なのかということが、やはりこう、何というんでしょうか、処分によっては大人扱い、処分によっては子供扱いということなんですけれども、この修正案前提として、先ほど少し御答弁ありましたけれども、十八歳、十九歳の者については、十八歳未満の少年と区別することなく、成長途上にあり、可塑性を有する存在、そういうふうに位置づけている、そういう理解をしてよろしいでしょうか。提案者にお伺いします。
  163. 松平浩一

    松平委員 御答弁申し上げます。  十八歳及び十九歳の少年が、公選法の選挙権年齢や民法の成年年齢の引下げ等により、重要な権利、自由を認められ、責任ある主体として積極的な社会参加を期待される立場となったことに鑑みて、これらの者については、その立場に応じ、一定の範囲で、十八歳未満の少年とは区別した位置づけを与えることにも意味はあると思われます。  他方、十八歳及び十九歳の少年が責任ある主体として積極的な社会参加を期待される立場となったことは確かであるが、このこととこれらの者の可塑性とは直接に関連するものではなく、少年法運用実態にも鑑みれば、これらの者については、引き続き高い可塑性を期待できるものと思われ、提出者としては、このような理解を前提として本修正案を立案した次第でございます。
  164. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  委員の先生方のお手元にも、この修正案の要綱そして新旧対照表が配られているものと思いますが、まず、この一で、特定少年の虞犯を対象から除外をするという今回提出された閣法ではなく、今回は虞犯については規定追加は行わないものとするということ、一ですね。  二が、人の資格に関することで、特定少年に関しては資格の適用除外とする規定追加は行わないというのが二。  三が、記事等掲載禁止について、これも、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合は適用除外とする規定追加は行わない。  この三つ、大きくございますが、その問題意識、そして理由、その他効果などについて御説明いただければと思います。
  165. 松平浩一

    松平委員 お答え申し上げます。  まず、虞犯についてです。  少年法の虞犯に関する規定は、犯罪に陥る前に少年を立ち直らせようとするものであり、十八歳、十九歳の少年の保護、教育のためにも有効であります。また、参考人からは、十八歳で児童福祉法の適用が離れることで、少年法が最後のセーフティーネットとして機能してきたとの指摘もあったところでございます。  したがって、政府案による特定少年の虞犯を保護事件対象としないものとする改正は妥当ではなく、修正により、当該改正規定を削除することとしたものでございます。  本修正により、十八歳及び十九歳の者の虞犯についても、現行法のとおり、保護の対象となります。  次に、人の資格に関する法令の適用についてです。  若年者の再犯防止、社会復帰を図る上で、就労の促進は重要であるところ、政府案による改正がなされれば、就労の機会が狭まり、立ち直りの機会を失わせること、そういうことになってしまうため、当該改正規定を削除するとしたものでございます。  本修正により、特定少年のとき犯した罪により刑に処せられた者も、現行法のとおり、特例の対象となります。  さらに、記事等掲載禁止の特例についてです。  いわゆる推知報道禁止は、少年の氏名、住所など、少年を推知できるような情報を報道することを禁止し、未熟な少年の立ち直り、社会復帰の妨げになる情報を制限することで、少年が社会から排除され、再犯に至ることを防ぐ規定でございます。  政府案による改正では、十八歳、十九歳で逆送され、公訴提起された者について推知報道を解禁するとしておりますが、公訴提起は刑事処分相当性を確定するものではなく、一旦公訴提起された場合であっても、その後に家庭裁判所に移送され、保護処分に付されることとなる余地もございます。さらに、そもそも、推知報道の解禁には、少年の立ち直りや社会復帰を阻害するという懸念がございます。そのため、当該改正規定を削除することと今回したものでございます。  本修正により、推知報道については、現行の法のとおり、禁止されることとなります。  以上です。
  166. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  修正案の要綱の四つ目の、被害者等についての報道等に関する規定追加ということで、先ほど提出者から説明がありましたように、被害者についての新たな条文でございます。新旧対照表でいえば二ページになりますけれども、このように書かれております。  少年等に係る事件に関する記事又は写真の新聞紙その他の出版物への掲載に当たっては、当該少年等がした行為により害を被った者及びその家族又は遺族の名誉又は生活の平穏が害されることのないよう十分配慮されなければいけないというふうに書かれております。  そこで、新設する六十一条二項について、記事又は写真の新聞紙その他出版物への掲載、そして、害を被った者及びその家族又は遺族の名誉又は生活の平穏、そして、配慮とありますけれども、その主体は誰かということを御説明いただければと思います。
  167. 松平浩一

    松平委員 お答え申し上げます。  記事又は写真の新聞紙その他の出版物への掲載、こちらは、文言上明示されている媒体や方法はもちろんのこと、それ以外にも、例えば、テレビやラジオでの口頭による言及やインターネットへの掲載も含む趣旨でございます。こうしたものについても広く含むという点は、現行法少年法六十一条の解釈と同様であります。  次に、害を被った者及びその家族又は遺族の名誉又は生活の平穏についてでございますが、少年事件に関する記事等において、被害者やその家族、遺族の名誉やプライバシーを害するようなものがあるという現状を踏まえ、そのようなことがないようにする必要があると思われることから規定したものでございます。  そして、配慮する主体でございますが、こちらについては現行少年法六十一条と同じく条文上何ら規定されておりませんで、配慮の主体は全ての者ということになります。
  168. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  そして、先ほど少し触れられましたけれども、この記事又は写真の新聞紙その他出版物への掲載という文言がありますけれども、当委員会でも、被害者の人権、プライバシーが、事件が起こった後、インターネットを通じて拡散をしていくということがある、一方、加害者の方はある意味、顔が出ない、名前も出ないということがあって、それは不均衡じゃないかという議論がありました。  インターネットへの掲載が社会問題となっている中で、この二項の射程をこういう文言にしたというのはなぜかということを改めて伺います。
  169. 松平浩一

    松平委員 お答え申し上げます。  今委員に御指摘いただいた記事又は写真の新聞紙その他の出版物への掲載、こちらの文言に関しては、現行少年法六十一条との平仄を合わせるため、同条と表現を合わせたものでございます。  その上で、先ほども御答弁もさせていただきましたとおり、記事又は写真の新聞紙その他の出版物への掲載、こちらについては、文言上明示されている媒体や方法はもちろんのこと、それ以外にも、例えばテレビやラジオでの口頭による言及やインターネットへの掲載も含む趣旨でございます。  したがって、委員指摘の、被害者の個人情報をほかの個人がインターネットに掲載するということについても、新設する第六十一条第二項の射程に含まれるものと考えております。
  170. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  以上のような内容で、今回、閣法に対して我が党は修正案を提出をさせていただきました。いろいろ御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  続きまして、閣法の質問をさせていただきます。  少し順番を変えて、ごめんなさい、提出をさせていただいた質問でいうと五番目の、八条のことについて、ちょっと大臣に伺います。五年後の検討規定についてです。  これは午前中も少し触れられておりましたけれども、八条にはこう書いてあります。法律の施行後五年を経過した場合において、ちょっと中略します、施行後の社会情勢及び国民の意識の変化等を踏まえ、罪を犯した十八歳以上二十歳未満の者に係る事件の手続及び処分並びにその者に対する処遇に関する制度の在り方を検討を加え、結果に基づいて所要の措置を講ずるということなんですけれども、この五年としている理由と、国民の意識の変化等とは何を指すのか、そしてそれを、国民の意識の変化等をどう把握するのか、御答弁をお願いします。
  171. 上川陽子

    ○上川国務大臣 本法律案の附則第八条でございます。  先ほど読み上げていただいたところでございますが、施行後一定期間が経過した段階で、罪を犯した十八歳及び十九歳の者に係る事件の手続、処分等に関する制度の在り方に関して、それまでに蓄積された運用実績とともに、その時点における社会情勢や国民の意識の動向を踏まえて検討を行うとしたところでございます。  そこで、充実した検討を行うためには、新たに導入をする保護処分の執行を受け終わった者の再犯の状況等を含めまして、制度の運用状況に関する実証的なデータを十分に収集する必要があろうかと思います。  同時に、本法律案によりまして、改正後の少年法等や成年年齢の引下げに係る改正民法の施行後の十八歳及び十九歳の者を取り巻く社会情勢や国民の意識の動向を見極めるということが必要となるところでございまして、そのためには施行から五年程度の期間が必要ではないかと考えたものでございます。  本法律案の附則八条の国民の意識の変化等につきましては、社会における十八歳及び十九歳の者の立場、また、求められる役割等に対する国民の認識や評価等につきまして、その変化の有無、内容程度等を幅広く含む趣旨でございます。
  172. 稲富修二

    ○稲富委員 その国民の意識というところは、十八歳、十九歳に期待される国民の見方ということ、少しそういうことかなと思ったんですけれども、同時に、先日ちょっとこちらで大臣とやり取りをさせていただいた、社会情勢、国民の意識の中には、国民全体が何となく犯罪が増えているのではないかということと、実際の少年犯が減っているというこのギャップをどうするかということは、やはりすごく大きなことだと思うんですね。  それについて大臣は、犯罪動向について、やはり絶えず社会としても見ていく必要があるという御答弁をいただきましたし、そういうトレンドをしっかりと見ていくことが大事だという御答弁がありました。私はそのとおりだと思うんです。やはり、これをどう観測をし分析をしていくかということが大事だということも申し上げました。  そこで、まず、国民の意識という中にあって、これは刑法の法規範として、この一ページのお配りした資料を見ていただきますと、要するに、十八歳、十九歳はこれから、当然、法律少年だと。しかし他方で、虞犯のこと、そして逆送のこと、そしてここで、網かけは今回、改正案の中身に当たる部分です、あるいは資格に関すること、あるいは推知報道に関することは、分かりやすく言えば大人扱いをする。ただし、全件送致主義で、子供扱いなんだけれども、これらのことは大人扱いをするということなんですよね。  私、今回、この少年法質疑の中で、私も子供がいますので、今まだ十八歳、十九歳手前です、どう教えるのか、どう子供たちに教育をするのかということを一方で考えてまいりました。  当然、この法律の射程は罪を犯した少年であり、その対象になる子供が中心の話題ですけれども、別に罪を犯していないけれども、これから十八、十九になる、大人になっていく子供たちに、どうこの法律というのを社会規範として教えていくのかということも同時に大切だと思うんですよね。  その意味でいうと、例えば公選法が十八歳から投票ですよねというのは分かりやすい。だけれども、じゃ一体、子供たちにどう、少年なんですか、いつから大人になるんですか、刑法上はというのは、非常にこれは、大人扱いの部分と子供扱いの部分があって、分かりづらい。  私は子供に何と言うかと考えた場合に、当然、罪を犯しちゃいけないよ、悪いことをしちゃいけないよというのは簡単に言います。でも、十八、十九、学生になったときに、今、これだけ情報が多くなって罪にもすごくアクセスしやすいようになっている中で、子供たちに何をどう教えるのかということは、やはり我々の十八、十九と違う環境がある。ただ、子供たちの正義感とか倫理観は私はそう変わっていないと思うんですよね。  そこで、どうこの十八、十九を教えるのかということをやはり思うわけです。この法意識、社会規範としての十八、十九、刑法はこういう位置づけであるよということと、そうでない、これから十八、十九になっていく、大人になっていく子供たち、そして大人もそうですけれども、法が要請していることと、子供たちが考えていることは、多分大きなギャップがあると思うんです、私。社会もそうだし、国民もそうだし、そのギャップは、先日言った、犯罪が減っているけれども、国民が多く増えていると言うのと似通っていて、何か全く多くのギャップがあるんじゃないかと。  なので、ここをどう子供たちに伝えていくのか。対象である、犯罪を犯すかもしれない、あるいは犯した少年だけではなくて、これから大人になる子供たちに対してどうこれを教えていくのかということと、実効あるそういう法教育を、法務省もやっていらっしゃると思う。だけれども、それをやりましたよじゃ意味がないんですよね、やっています、やっていますじゃ。それを、実効性ある、本当に子供たちに分かってもらえるような実効ある法教育にするために、やはり考えてもらわなきゃいけないと思うんです。それが、私、ワークしなかったからこそ、大きなギャップ、国民の犯罪に対するギャップと、実際も大きく生まれてきていると思うんです。  もう一度、ちょっとここのところを、どうやったら実効性ある教育ができるのか、是非、ちょっと政治家としての大臣の、今私はこれを言っていますので、答弁で結構ですので、お答えいただければと思います。
  173. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今、委員のお話を聞かせていただきながら、今、年齢で、委員の方は、子供に対してどう教えるのかという発想、そして大人に対してもどういうふうに啓蒙していくのかという、こういう発想そのものの中に、子供はこの年から下とか、この上からは大人であるという、その一つの概念が、暗黙のうちに、大人は子供に対して教えるもの、そういう物の意識、物の考え方がちょっと入っているのではないかなということをちょっと感じたところであります。  私は今、ユースという世代、高校生から大学の、若年ですね、その世代の規範意識とか、真正面から教育ということではないわけでありますが、どんなに深く考えたり、そして行動しているか。あるいは、今、それこそ社会の中のごみ出しの一つとってみても、環境問題一つとってみても、教育の中で実践的に社会の一員としてどのような役割を果たしていくのかということに対して、真剣に考え、そしてみんなと一緒に議論しながら、そして具体的な行動を取っていく。こういう中に学びがあるのではないかと率直に思います。  もちろん、少年法規定はこのように変わります。どう変わりますかという、そうした情報についてはしっかりと伝達をしなければいけないわけでありますが、そもそも、社会の中で責任ある立場でどのように行動していくのか、このことについては、いろいろな角度からアプローチをしていく必要があるのではないかと思っております。  ある調査で、十八、十九歳の者の意識について調査したものでございますが、かつてと比べますと、この間の様々な、成年年齢の引下げがあるということによって、学校現場とか、また社会の中で、SNSとかを通して伝達をしていく過程の中で、むしろ大人よりも情報をしっかり持っているという結果もございます。  ですから、教育の否定をしているわけでは全くなく、教育をするわけでありますが、いろいろなアプローチの中で、責任のある主体として、私たち一人一人が、子供であったとしても社会の中で活動するわけでありますので、その意識をしっかり持っていく。そして、道路は青になって渡りましょう、こういうこと一つずつがルールを守っていくという規範意識につながっていくというふうに思っております。  今、この改正法案が成立したということを想定して、法務省としては、あるなしにかかわらず、十八歳前後の者に対して、効果的な周知の観点から、高等学校等に対しましてリーフレットを作っているわけでありますが、そもそも、リーフレットそのものも、高校生の意見を十分に聞きながら、大人の目線で物事を考えるのではなくて、子供の目線も入れて考えていくということで対応しているところでございますので、いろいろな工夫をしながら、今、大変大事な時期でございますので、そうした周知、教育については尽くしてまいりたいと思っております。
  174. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  いろいろな角度からという御答弁がありました。是非そういった意味で、どうしても形式的に、役所に入るとなりがちなところがあると思うので、いろいろな角度から是非お取り組みいただければと思います。  先ほど、どうしても我々、教育というふうになってしまうけれども、そういう別のアプローチがあるんだというお話があって、そうだなと今私も思いました。是非、いろいろな角度からそういう法規範というものを教えて、教えるというか、身につけていけるようにしていただければと思います。  次に移ります。最後、少し、もう五分しかありませんので、前回やった質問の残りで、少年院のこと、質問で提出した一番のことです。  事実関係をまず伺います。  近々閉鎖する予定の少年院はあるのか、その理由はということと、閉院した場合、閉じた場合に、少年はどこの少年院が担うのか。少年院の入所率の推移というのをお伺いをいたします。
  175. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  少年院の閉鎖の状況でございますけれども、本年四月に、鳥取県に所在する美保学園が閉鎖となりました。令和四年四月には、北海道に所在する帯広少年院を閉鎖することを検討しております。施設の閉鎖に当たりましては、少年院の入院者の収容動向や施設設備の老朽度の度合いなどを総合的に勘案して決定をしております。  閉鎖した場合の、少年はどこで担うのかという話でございますけれども、少年院に在院する少年が円滑に社会復帰できる環境を整えている必要性等を考えまして、閉鎖を行う施設の収容機能につきましては、可能な限り近くの施設に移転し、集約する形を取った上で、少年院送致となる少年を受け入れるということとしております。  あと、少年院の入院率、我々は収容率と呼んでおりますけれども、平成二十二年の収容率は約六〇%でございましたけれども、令和元年では約三一%というような動向になっております。
  176. 稲富修二

    ○稲富委員 大臣、非常にこれは、要するに収容率が減っていっているということで、当然、先ほど、閉院、閉じた場合は近くにというふうにおっしゃいましたが、近くといってもめちゃくちゃ遠いんですよね、当たり前ですけれども、少年院。  どうするのかという、私の地元にも少年院があって、収容率が減っている。一体これから本当に、今般の改正でまた原則逆送が増えて、もしかして少年院に行く数が更に減るかもしれないという中でどうするのか、本当にこのまま維持できるのかということがあるのと、あともう一つは、やはり少年院が持つ様々なこれまでの集積といいますか技術といいますか、そういうものを生かせないかというふうに思うわけですけれども、大臣の御答弁をお願いします。
  177. 上川陽子

    ○上川国務大臣 少年院の収容人員の減少ということに対しまして、地域の方々からいろいろなニーズがあるということも併せて、私もヒアリング等で聞かせていただいているところでございます。  矯正教育の知見とかノウハウは非常に厚いものがございまして、これをそのまま、例えば学校教育の現場で御指導いただきたいという形で、出向いて学校で指導するというようなこともございますし、地域の中でこの存在が大変大きな役割を果たしているなということも、広く、非行とか犯罪防止をする上でもやはり予防ということが大事ですので、そうしたところに行って幅広い貢献をしている、こうしたことも期待をされているところでございます。  矯正教育は本当にマンツーマンの形で、グループを通して手がけているところでございまして、このノウハウをしっかりと維持し続けるということは、これは社会的なインフラとしても極めて大事であるというふうに思っております。  この役割については、今回の少年法の改正に伴いましてどのような動向になるのかということは注意深くこれからフォローしていくところ、改正が成立した暁にはしっかりとフォローしていくと思いますが、そのノウハウはしっかりと維持することができる、あるいは若年の刑務所に収容される方々にもこのノウハウを生かすことができるような、こういったことも指摘をされているところでございますので、この問題につきましては幅広く検討をしていく必要があるなというふうに考えているところでございます。
  178. 稲富修二

    ○稲富委員 ありがとうございます。  ノウハウとともに、建物というか施設そのものも、これは非常に、収容率が三割ということになりますと、ほとんど空いているという感じで、施設そのものもやはり有効活用できないかというふうに思うわけで、是非今後の動向を見ながら対応いただければということを思います。  以上、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  179. 義家弘介

    義家委員長 次に、階猛君。
  180. 階猛

    ○階委員 我が会派では私が最後の質疑者になりますので、これまで出てきた論点も含めて、大臣にお尋ねしていきたいと思います。  まず、午前中に、寺田委員から虞犯の問題が提起されていました。そこの話をまずしたいんですが、皿問題がありました。監護権という皿がなければ虞犯はないんだというような答弁だったと思うんですが、そのお考えで間違いないかどうか、お尋ねしたいと思います。
  181. 上川陽子

    ○上川国務大臣 皿がなければ虞犯がないという、ちょっとその例えは、そのことについてはもう一度整理しなくてはいけないと思うんですけれども。  虞犯の制度につきましては、これは、その性格、環境に照らしまして、将来、罪を犯すおそれのある少年につきまして、少年院の送致を含む保護処分を課すことができるとするものでございます。  どのような立場の者に、どのような理由で、どのような内容の、国家による後見的な介入を認めるべきかにつきましては、論理的、一元的に定まるものではなく、政策的な判断を要する事柄であるというふうに思っているところでございます。  民法上の成年とされ、監護権の対象から外れる十八歳及び十九歳の者、ここのところが、さっき、皿がないという御趣旨であったというふうに理解しているところでありますが、そうした者に対しまして、少年法の中で、罪を犯すおそれがある、こういう理由で保護の必要性のみを理由に後見的介入を行うこと、このことが、法的な自律性を認めて親の監護権の対象からそもそも外した、皿をなくした、成年年齢引下げに係る民法改正との整合性でありますとか、あるいは、犯した罪の責任の限度で不利益が許容されるという責任主義の要請との関係で許容されるか、こういった問題がございまして、国家による過度の介入とならないかということもございまして、法制度としての許容性、相当性については慎重であるべきと考えられるところでございます。  今回、政策的判断といたしまして、十八歳以上の少年につきましては、この少年法の中で今まで取ってきた虞犯による保護処分はしないということをしたところでございます。
  182. 階猛

    ○階委員 要は、民法上の監護権という皿がなければ、特定少年、十八歳、十九歳は虞犯の対象としないということだったと思うんですね。それを称して、寺田さんは形式主義ではないか、もっと実質を考えるべきではないかと。私もそういう立場なんですけれども、要保護性があるということは、いわば生ものの少年が腐りかけているわけですよ。腐りかけているときに、皿があるかないかによって、手をかけるかかけないか区別する、場合によっては、皿がないという理由でそのまま腐らせてしまう、これがいいのかということだと思いますよ。皿にひっかけて言いましたけれども、要は、やはり、皿があるかないかではなくて、要保護性があるかどうかで判断すべきだと思っています。  ちなみに、私、昨日も役所に聞いたんですけれども、今回改正の対象になっている更生保護法の中で、六十八条二項という条文があるんですね。ここでは、一定の条件の下に、十八歳、十九歳の特定少年についても虞犯規定適用されるわけですよ。これとの整合性はどう考えているんですか。お答えください。
  183. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今の御質問でございますが、十八歳以上の少年については虞犯による保護処分を認めない、その一方で、十七歳以下で保護観察に付された少年について、十八歳以上であっても虞犯による通告及び処分を可能とする、こういうことでございますが、十七歳以下のときに保護処分に付された少年につきましては、十八歳に達した後も虞犯事由が認められるときには、家庭裁判所に通告し、処分ができることとしているところでございます。  この虞犯通告の仕組みでございますが、あくまで十七歳以下のときに保護処分に付された少年、これを対象に、既に開始されている保護処分の実効性を確保するための仕組みとしてこの取組があるわけでございまして、本法律案におきましては十八歳以上の少年に対しまして虞犯による保護処分を認めないことと、政策判断としては矛盾するものではないというふうに考えております。
  184. 階猛

    ○階委員 いや、私は先ほど説明とは矛盾していると思いますよ。  要は、保護処分が先行して十八歳より手前で行われている場合は、十八歳、十九歳になっても引き続き要保護性があるということで、監護権は外れていても、虞犯の規定適用するわけでしょう。さっきは、十八歳、十九歳は監護権が外れるので虞犯の規定適用がない、要保護性があっても適用がないということを言っていたわけだから、矛盾していませんか。矛盾していると思いますよ。
  185. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほどちょっと申し上げたところでありますが、あくまで十七歳以下のときに保護処分に付された少年ということを対象にしているところでございます。
  186. 階猛

    ○階委員 それは分かった上で聞いているんですけれども。  要保護性という意味では、十八歳、十九歳になっても要保護性があったとしても、虞犯規定適用は、監護権を外れているから、ないんだというのが最初の説明で、なぜ、十七歳以下で保護処分適用されていれば十八、十九歳では虞犯の適用があるのかと。その段階では、幾ら保護処分が先行されたとはいえ、監護権は消滅しているわけだから、監護権は外れているわけだから、最初の説明からすると、これは虞犯規定適用がないというのが論理的な帰結だと思うんですけれども、なぜそうならないのか。なぜ保護処分が先行していれば別な扱いになるのかということは、説明がされていないと思います。
  187. 上川陽子

    ○上川国務大臣 もう一度申し上げますと、あくまで十七歳以下のときに保護処分に付された少年対象に、既にもう開始されていますこの処分の実効性確保のための仕組みという形で、この法律案につきまして、十八歳以上の少年に対して虞犯による保護処分を、皿がないという理由でということで、先ほどそういうロジックでございましたけれども、これは政策判断として矛盾するものではないと考えております。  なお、現行少年法におきまして、二十歳以上の者に対しましても虞犯による保護処分はできないわけでございますが、少年のときに保護処分に付された者につきましては、二十歳に達した後も虞犯通告が可能とされているところでございます。
  188. 階猛

    ○階委員 要は、政策判断なんですよ。保護性があれば今言ったようなケースでは虞犯の適用もしているわけだから、保護性をもって虞犯の適用を決めるべきであって、監護権が外れるか外れないかで一貫して決めているわけじゃないんだから、そこは要保護性を見るべきだということを申し上げたい。  その上で、先ほどの寺田委員とのやり取りの中で、虞犯が適用がなくても、非行に陥らないようにするための手だてはいろいろしていると。その中で、少年非行対策課長会議という話も出てきたように思いますけれども、私、それは一体何をやっているんだろうと思って、昨日聞きましたよ。そうしたら、何と、昨年はコロナだから開催されませんでしたということですよ。その前は何をやっているか。一年に一回集まって情報交換しています、こんな話でしたよ。これで非行対策になるんですか。全くならないでしょう。そんなので虞犯規定をなくして大丈夫なんですか。大臣の考えをお聞かせください。
  189. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今の御質問は、今やっていること自体が、余り評価していないという御意見であるというふうに思いますが、私も、青少年の対策の担当大臣をしたことがございましたけれども、やはり、子供は年齢によりましてぶつぶつ切れるわけではございませんので、全体的な仕組みといたしましては、やはり、それぞれの所掌の中で、子供や若者に対して、その時々の中でしっかりと法律に基づいて子供や若者の支援をしていくということは、これはこれまでもそうですし、これからも変わらないと思います。  ただ、今までは縦割りになっている部分を横串型にしっかり情報交換していかないと、同じことを重ねてやっていくということも無駄でございますし、また、相乗的に連携を取りながら効果を上げていくということも極めて大事であるということで、この少年非行対策課長会議、私が当時のときにはありませんでしたけれども、今、こういう形で横串の仕組みをつくっているところでございます。  法務省もその中の一つでございますけれども、法務省の取組といたしましては、少年鑑別所におきまして、法務少年支援センターとして、非行犯罪に関する問題等に関するノウハウ等を活用し、相談、助言を行うほか、教育機関でありますとか、民間の団体、グループとの連携を図りながら、地域というコミュニティーの中での非行犯罪の防止のための活動を着実にやっていただいているところでございます。  また、全国には更生保護サポートセンターが設置されておりまして、保護司さんたちも駐在しているところでございますが、学校でありますとか、警察やあるいは自治体とよく連携をしながら、非行防止セミナーとか、あるいは住民からの非行相談等の実施などを行ってきております。  こういうそれぞれの仕組みの中に、関係するところの省庁の連携もしながら、より効果を上げていくということが、少年の健全育成や非行防止に非常に大事ではないかと思っております。  今回、このような形になりましたならば、また、十八歳、十九歳ということのみならず、少年非行防止とか健全育成ということにつきましては、総動員してしっかり手がけていく必要があるというふうに思っております。
  190. 階猛

    ○階委員 昨日、お話を聞いていて、現在のやり方だと、この虞犯規定がなくなった後、十八歳、十九歳、本当に悪の道に陥りかねないのではないかというふうに思いました。やはり虞犯規定はあった方がいいということを申し上げたいと思います。  それで、そもそも論なんですけれども、大臣にお尋ねしますけれども、十八歳は大人でしょうか、子供でしょうか。お答えください。
  191. 上川陽子

    ○上川国務大臣 民法の成年年齢引下げに伴いまして、成年に達するということでございます。  また、この少年法の今回の改正によりましては、社会的には責任のある者と認めていくという意味での行動に対しての責任を持つと同時に、可塑性やまた要保護性があるということでございますので、その点について着目し、この少年法の理念に基づいてしっかりと対応していくということであるというふうに思います。  二つの中で、大人か子供かということにつきましては、大人のような子供もいるし、子供のような大人もいるしと、これはちょっと言いにくいんですけれども、いろいろ、法律では今のようなたてつけではありますが、やはりそこのところの柔軟性についてどういうふうに見ていくかは一人一人の個に着目していかなければいけない事柄であるというふうに思っておりまして、その意味では、家庭裁判所家裁の機能を生かしていくということがこの段階で非常に大事ではないかと私自身は思っているところでございます。
  192. 階猛

    ○階委員 昔、榊原郁恵さんというアイドルがいましてね、十七歳は大人でしょうか、子供でしょうかという歌がありましたけれども、ここまでの大臣の答弁を聞いていると、ある質問に対しては大人のような扱いをし、ある質問に対しては子供のような扱いをする。十八歳、十九歳、どっちで考えているのかなというのがよく分からなかったんですね。  実は、私、民法の改正のときに、ちょうど大臣と、成年年齢を引き下げるということで、成人とは何歳を言うんですかということを聞いて、大臣はそのときは成年年齢に達した人を成人と言うという話から始まって、いやいや、そうじゃないでしょうといろいろな議論をする中で、最後は、多義性があるというような話で終わっていたと思います。  今も、成人というのは多義的な概念だというふうにお考えになっているということでよろしいですか。
  193. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今回、この成人、成年、大人、子供という概念のところに係る部分でございますが、本法律案におきましては、少年法で用いられています成人の定義につきましては削除する改正をすることとしております。  他の法律におきまして成人の文言が用いられている規定があるということも承知をしておりますが、把握している限りにおきまして、それらの規定におきましては法律上成人の定義が認められていないという上に、当省所管の法律でもないということでございます。  成人に該当するかどうかについてはお答えをすることがなかなか難しいというふうに思っております。難しいです。
  194. 階猛

    ○階委員 昨日、私も法務省の方に調べてもらってびっくりしたんですけれども、さっき言ったように、民法改正のときは、成年年齢に達したときに成人ということで、少年法もそうでしたけれども、二十歳になったら成人みたいな条文がほかにもあったんですね。ところが、今回の改正を経るとそういう条文がなくなるので、成人というのはどういう人なのか、まさに定義規定がないんですね。  そういう中で、十八歳、十九歳の特定少年は何か大人のように扱うような答弁も時折出ますけれども、私は、これは、成人というのが定義としてない以上、むしろ特定少年少年ということで明確に位置づけた上で議論を進めた方がいいんじゃないか、時として大人とか成人という言葉が出ますけれども、成人という言葉を使うのであればもっと定義をしっかり定めた方がいいと思うんですけれども、その点についてどうお考えになりますか。
  195. 上川陽子

    ○上川国務大臣 民法の成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の者が大人として完成されたという形で、それを前提とするということについては、先ほど来申し上げたとおり、これらの者に対しまして、いまだ成長の過程にあるということでございます。  また、民法の年齢の引下げによりまして社会参加の時期を二歳下げるわけでございますが、様々な分野におきまして積極的な役割を果たしていただき、また、日本のこれからの社会にとりましても大きな活力になっていただきたいということで、その当時、民法の引下げをしたところでございます。  このような認識の前提でございますが、民法上も成年として位置づけられるということに至ったわけでございます一方、成長途上にあり可塑性を有する存在であるということを踏まえまして、これらの者について引き続き少年法適用年齢としつつ、その立場に応じた取扱いをするための特例等を定めることとしたものでございます。
  196. 階猛

    ○階委員 相変わらず十八歳は大人か子供かよく分からないような曖昧な話になっているんですが、私は、もう十八歳、十九歳は、民法上の契約年齢、あるいは監護権が及ぶ年齢、それはそれとして、成人の定義規定がないわけですから、もう十八歳、十九歳は大人ではなくて子供、少年だという前提で議論をした方がいいと思います。  その上で、今回、法定刑が罰金刑以下の罪を特定少年が犯した場合であっても、保護処分ではなくて刑事処分になる、つまり逆送される場合があり得ることになりますけれども、それって一体どういう場合なんだろうかと。そんな罰金以下の刑で刑事処分になるというのはどういう場合なのか、ちょっと具体的に想定しにくいので、いかなる場合がそれに当たるのか、教えていただけますか。
  197. 上川陽子

    ○上川国務大臣 現行少年法でございますが、二十条一項におきまして、罰金以下の刑に当たる罪の事件につきましては、検察官送致、いわゆる逆送決定の対象から除外をされているところでございます。  他方、十八歳以上の少年ということでございますが、公職選挙法及び民法の改正等によりまして、十八歳未満の者とは異なり、重要な権利、自由を認められ、責任ある主体として積極的な社会参加が期待される立場となることなどを踏まえますと、罰金以下の刑に当たる罪であるからというだけで一律に刑事処分対象から除外するということにつきましては適当ではないというふうに考えているところでございます。  また、現在の実務上ということでありますが、十八歳以上の少年につきまして、先ほど道路交通の問題、ちょっと挙がっておりましたけれども、道路交通法違反を中心とする相当数の事件において、家庭裁判所が罰金刑の適用を想定して検察官に送致し、その後、検察官が略式起訴して刑事裁判所が罰金刑を科すという取扱いが行われているものと承知をしております。罰金刑につきましても、対象者の再犯の防止を図る上での教育的効果が相応に期待できることによるものとされているところでございます。  このような運用実情に照らしますと、十八歳以上の少年につきましては、罰金以下の刑に当たる罪、すなわち禁錮以上の刑が定められていない罪の事件でありましても、家庭裁判所事案に応じて適切な処分を選択できるようにするために、検察官送致決定の対象とすることが望ましいと考えられるところでございます。そこで、本法律案におきましても、少年法第六十二条一項におきまして、特定少年に係る事件につきまして、罰金以下の刑に当たる罪の事件も含めまして検察官送致決定をすることができるものとしたところでございます。  その上で、十八歳以上の少年に係る罰金以下の刑に当たる罪の事件につきましては、具体的にいかなる場合に刑事処分が相当と認められるかにつきましては、家庭裁判所が個別の事案に応じて判断すべき事柄でありまして、一概にお答えすることは困難でございますが、これが、先ほど申し上げた改正の趣旨を踏まえて判断されるというものと承知をしております。
  198. 階猛

    ○階委員 要は、交通違反に対応するために罰金刑も逆送対象にした、こういうことですね、端的に言うと。  ちょっと、余り長々しゃべらないでください、時間が足りないわけですから。我々も制限時間を守れと言われているんですけれども、大臣が長々しゃべると、すぐ時間が終わっちゃうので。  要はそういうことですか。端的に言うとそういうことですか。お答えください。
  199. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今回は、十八歳以上の少年のときに犯した短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件のうち、それぞれ、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪以外の事件についてということでございますが、本改正後は、六十二条第二項の原則逆送規定、これで逆送するか否かは判断されるという状況でございます。
  200. 階猛

    ○階委員 答えていないと思います。今、六十二条二項の話をしていましたでしょう。何を言っているんですか。今、六十二条一項の話をしています。  六十二条一項で裁量逆送される対象に罰金刑以下を加えた理由は何かと聞いていて、最初の答弁で、大臣は、交通事犯に対応するためだというようなことをおっしゃっていたので、それで間違いないですかということを確認までに聞いただけですよ。端的に答えてください。
  201. 義家弘介

    義家委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  202. 義家弘介

    義家委員長 速記を起こしてください。  上川法務大臣
  203. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今、交通事犯について申し上げたところでございますが、その可能性はありますが、最終的には家庭裁判所が個別の事案に応じて判断すべき事柄であるということでございます。
  204. 階猛

    ○階委員 交通事犯を処罰するためだけにこれほど一般的な、大々的な条文を設ける必要はないと思っていまして、何かそういう、立法事実と条文の書きぶりが整合していないんじゃないかというふうに思っています。  それで、六十二条二項、原則逆送事件を拡大されて、今回、いろいろな事件が原則逆送事件に加わることになります。  今日お配りしている資料、非常に細かい資料で恐縮なんですが、本法案により原則逆送の対象となる罪がずらっと並んでいますけれども、ほとんどは、十八、十九歳、処分されていないというか、案件がないんですね。数がある程度あるのが、強盗致傷とか強盗という強盗関係と強制性交等、この辺りなんですね。  他方で、今までもこういった事件については、現行法の二十条に基づいて逆送はされていたはずなんですよ。逆送される場合、どういうことを考慮して逆送するかというと、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときに、決定をもって逆送ということになっています。  今回は、今まではこの二十条に基づいて、今の考慮をした上で逆送となっていたのが、今度は原則逆送ということで、これからは、どういうことを考慮するかというと、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情というものを考慮するということなんですが、言葉は変わっていますけれども、私は、この元々の二十条の考慮要素の中に、新しく六十二条二項で考慮せよと言った要素は全て含まれ得るんじゃないかなと思っているんですけれども、この両者で考慮要素は変わるのか変わらないのか、この点についてお答えください。
  205. 上川陽子

    ○上川国務大臣 十八歳以上の少年のときに犯した短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件につきましても、逆送決定をするか否かを判断する際の考慮要素自体につきましては、本改正の前後で基本的に変わらないものというふうに考えております。
  206. 階猛

    ○階委員 考慮要素は変わらないということは、原則か、それとも裁量かという違いはあるんだけれども、同じことを考慮して最終的に処分を決めるということであれば、今まで、現行法の下で保護処分となっていた事案が、今回、少年法が改正されて原則逆送の対象事件になった、例えば強盗とか強制性交等、こういったものについて、じゃ、旧来、保護処分となっていたものが、法律が変わったからといって逆送となるのかといえば、さっき言った考慮要素が変わらないということからすると、結論は同じで、保護処分のままじゃないかなという気がするんですけれども、この点はどうなんでしょうか。お答えください。
  207. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございまして、短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件につきまして、逆送決定をするか否かの判断をする際の考慮要素自体につきましては、本改正の前後で基本的に変わらないものと考えております。  もっとも、原則逆送の制度につきましては、保護処分刑事処分のいずれの処分を科すかについての原則と例外の関係につきまして、二十条第一項の一般的逆送規定におきましては、原則として保護処分が相当であるけれども、積極的に刑事処分が相当であると判断される場合には刑事処分が選択されるというのに対しまして、六十二条の第二項の原則逆送規定におきましては、原則として刑事処分が相当でありますが、積極的に保護処分が相当であると判断される場合には保護処分が選択されることとなるところでございます。  したがいまして、短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件のうち、現行少年法の下では保護処分が選択されるようなものについても、本改正後は刑事処分が選択される場合があるというふうに考えております。  具体的にいかなる場合に刑事処分が相当と認められるか、これは家庭裁判所が個別の事件に応じて判断すべき事柄でございますので、一概にお答えするということについては困難でございますが、改正の趣旨、これを踏まえて適正に判断されるものと考えております。
  208. 階猛

    ○階委員 今の大臣の答弁も敷衍して私が考えたこととしては、原則と例外がひっくり返るわけですよね。ということは、限界事例保護処分にするか、あるいは刑事処分にするか、裁判官が悩むような限界事例については、今までは保護処分だったものが、これからは原則逆送だから刑事処分になる。だから、限界事例について判断が入れ替わるという理解でいいですか。ほとんどのものは、今まで保護処分だったものは保護処分だし、今まで刑事処分だったものは刑事処分で、限界事例、ボーダーラインのものだけ結論が変わるという理解でよろしいかどうか、お答えください。
  209. 上川陽子

    ○上川国務大臣 まさにそこが家庭裁判所が個別の事案に応じて判断をすべき事柄でありますので、一概にお答えをするということは難しいところではございますが、改正の趣旨、これを踏まえて適切に判断されるものと承知をしております。
  210. 階猛

    ○階委員 結論だけ答えてください。  ボーダーラインだけ結論が入れ替わるのかどうかということだけ、お答えください。
  211. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど来申し上げてきましたけれども、短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件のうち、現行少年法の下では保護処分が選択されるようなものにつきましても、本改正後は刑事処分が選択される場合があると考えております。  その上で、具体的にどういう場合に刑事処分が相当と認められるかにつきましては、まさに家庭裁判所現場の中で個々の事案に即して判断をされるということでございます。その際、この改正の趣旨を踏まえて適切になされるものと承知をしております。
  212. 階猛

    ○階委員 私は、余り、この罪の範囲を広げることによって大きく運用が変わることはないだろう、ボーダーラインのところがどうなるかというところなんだろうなというふうに、今日、御説明を聞いていて思いました。  以上で質問を終わります。
  213. 義家弘介

    義家委員長 次に、藤野保史君。
  214. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  早速ですが、配付資料一を御覧いただければと思います。  これは、四月六日の参考質疑で、法制審の委員も務められた川出参考人がおっしゃったところであります。  黄色い部分なんですが、民法の成年年齢が十八歳に引き下げられたこととの関係をどのように考えるかが結論の分かれ目となるポイントで、部会においても、その点が引下げ賛成論と反対論の最大の対決点でしたとあります。  左の方に、民法上成年となり親の監護権に服さなくなった十八歳、十九歳の者を、少年法上は少年として扱い、保護処分対象とすることができるのかということが、少年法における介入原理が保護原理であることとの関係で問題になってくる、そう説明をいただきました。  法務省にお聞きします。  法案特定少年に対する介入原理、これも保護原理であるという理解でよろしいですか。
  215. 川原隆司

    川原政府参考人 お尋ねは、特定少年に対する関係で保護原理がという話でありますが、講学上の原理として今回の保護少年に対する取扱いをどう説明するかに関するものでございまして、よって立つ立場に様々な捉え方があり得ることから、一概にお答えすることは困難でございます。
  216. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、実は、川出参考人は、この保護原理という言葉を、この配付資料一の僅か二ページの議事録で十回も使っているんですね。まさにキーワードなんですよ。  局長にお聞きしますが、四月七日の答弁で、松平委員質問に対して、保護原理という言葉と要保護性、先ほどから出ていますけれども、保護原理という言葉と要保護性は少し意味合いが異なりますと答弁されています。この要保護性と保護原理というのはどういう関係にあるんですか。関係お答えください。
  217. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  いわゆる保護原理と申しますのは、少年法における少年の取扱いの正当化根拠を説明する際に用いられる講学上の原理でございまして、これにつきましては様々な見解があり得るところでございますが、例えば、少年の保護原理とは、未成熟な少年の健全な成長という少年本人の利益を図るために国が後見的な介入をすることを認めるものなどと説明されているものと承知しております。  他方、要保護性につきましては、これは実務で一般的に用いられているものでございまして、一般に、少年による再犯の危険性と保護処分によるその防止の可能性を合わせたものと解されておりまして、現行少年法による保護処分は、一般に少年の要保護性において課されているものと承知しております。  すなわち、現行法上の保護処分については、一般に少年の要保護性に応じて課すものであり、要保護性の程度が高い場合には、当該少年に対して、犯した罪の責任に照らして許容される限度を超える重い処分を課すことを制約する規定はなく、制度上可能であると解されておりまして、御指摘の私の答弁は、こういった要保護性の考え方を念頭に置いて申し上げたものでございます。
  218. 藤野保史

    ○藤野委員 ざっくり言いますと、要保護性というのは、当該少年への介入の必要性とかいうものを、再犯の可能性とかを考えながら総合的に判断した、必要性に関わる概念だと思います。  他方、保護原理というのは、先ほど局長も正当化根拠と言いましたけれども、介入が必要だとしても、それはやはり人権を制約するんですね、少年の。少年の人権を制約するその介入がどうして正当化されるのかという、その正当化根拠がいわゆる保護原理、それについてはおっしゃったように諸説あるわけであります。  ですから、要保護性というのは、ある意味、必要性に関わる概念で、保護原理というのは、ある意味、許容性に関わる概念だと思うんです。人権制約を許容する原理ですね。  問題は、その川出参考人がこうおっしゃっていることなんです。その裏の方を見ていただきますと、こうおっしゃっているんですね。  特定少年に対する保護処分は行為責任の範囲内で行わなければならないということでして、これは、犯罪を行った十八歳、十九歳の者に対して、一般的に保護原理に基づく介入を行うことはできないとする考え方によるものとおっしゃっているんですね。  そして、続けてですけれども、こうした改正法案の考え方によりますと、十八歳、十九歳の特定少年に対する保護処分というのは、同じ保護処分という言葉が使われていても、十八歳未満の者に対する保護処分とはその正当化根拠を異にする。ここが重大だと思うんですけれども、その最後のところなんですが、少年法適用されることと保護原理が適用されることを切り離すということを認めるのであれば、このような立法も一つのあり得るものであろう、こうおっしゃっているんですね。  局長、お聞きしますけれども、もちろん、この法制審の後に与党PTがあったということも認識はしております。ただ、与党がお呼びになった参考人がこのような改正案説明をされたわけであります。  そこでお聞きせざるを得ないんですが、本法案も、こうした説明、こうした考え方に基づいて立法されているんでしょうか。
  219. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  川出参考人から御指摘のような意見が陳述されたことは承知しております。  もっとも、お尋ねは、本法律案における十八歳以上の少年に対する取扱いを講学上の原理としてどのように説明するかに関するものでございまして、よって立つ立場に様々な捉え方があり得ることから、一概にお答えすることは困難でございます。  いずれにいたしましても、十八歳以上の少年に対して、犯した罪の責任に照らして許容される限度を超えた処分を行うことにつきましては、民法上、成年とされ、監護権の対象から外れる十八歳及び十九歳の者に対して……(藤野委員「それは結構です」と呼ぶ)
  220. 藤野保史

    ○藤野委員 ですから、これは原理が違うんですね。行為責任という言葉を川出参考人は使っていらっしゃいます。  先ほどの答弁で、責任主義という言葉も出てきました。保護原理とは違うんですね。あくまで犯した罪に対する、いわゆる法益を侵害したことに対する非難や応報、これが責任主義とか行為責任ということになってくるんですが、ですから、原理が違う。  つまり、特定少年については、まさに正当化の介入根拠、介入根拠が違うんですね。保護原理ではなくて、それはあくまで犯した罪の責任の範囲という、その責任の原則が、原理が、表に出てくるわけです。  ですから、先ほど来、虞犯とか推知報道とかいろいろ出てくるんですけれども、私は利益衡量の問題じゃないと思う。十八歳、十九歳はそういう介入原理が違うんだから、そもそも虞犯なんというものは概念できないというふうに流れていくわけですね、論理的に。  ですから、そういう意味での原理的な変更、これが私は問題だと思いますし、特定少年について、それまでと違う、十七歳以下の少年と違う、十七歳以下は改正法案でも保護原理なんです。ただ、十八歳、十九歳だけ、第五章という、まさに取ってつけて、別の原理を使っている。  私は、介入原理を変えたことこそが危険だと思うんですね。原理的な変更ですから、それがどう作用していくか。少年法全体に作用していって変質させていくんじゃないか。保護原理の分野と行為責任の原理、いわゆる刑罰原理というのが同じ法体系の中で併存してしまうわけですね。これは非常に私は危険なことだというふうに思います。  具体例で見ていきたいと思うんですが、四月七日の大口委員の御質問で、こういう問いなんですね。少年院の話です。  少年院に収容可能な期間の上限を犯情軽重を考慮して定めるという点について、犯情軽重以外の要素、例えば、保護処分決定時で、要保護性の程度とか今後の見込みを考慮して、より短い期間を定めることができるのかという問いをされました。これはいい質問だというふうに思うんですね。  法務省にお聞きしたいんですが、これは端的にお答えいただきたいんです。そのときの答弁は物すごい長いので。できるかできないかを中心に、より短い期間を定めることができるのかという問い。もう一つ、私は加えて、より長い期間を定めることができるのか。これをお答えください。
  221. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  ちょっと御質問の御趣旨確認させていただきますと、犯情軽重以外の要素、例えば要保護性の程度などを考慮して、より短い、あるいはより長い期間を定めることができるのかという御質問だと思います。  少年法六十四条二項及び三項の規定でございますが、これは家庭裁判所少年院に収容することのできる期間の上限を定めるに当たっては、主として犯情軽重を考慮し、要保護性の程度や今後の見込み等の処遇に関わる事情は処遇期間における処遇に委ねることとして、基本的に考慮しないという趣旨規定でございます。  したがいまして、家庭裁判所少年院の収容期間の上限を定めるに当たり、要保護性の程度や今後の見込み等の処遇の必要性に関わる事情を考慮し、あらかじめ収容期間を限定することは想定しておりません。  他方で、本法律案においては、十八歳以上の少年に対する保護処分につきましては、犯罪軽重を考慮し、相当な限度を超えない範囲内、すなわち犯した罪の責任に照らして許容される限度を超えない範囲内でしなければならないとされており、要保護性を考慮して、その限度を超える収容期間を定めることもできないというところでございます。
  222. 藤野保史

    ○藤野委員 今のは端的にお答えいただいたと思います。  要するに、より短い期間を考慮することも、より長い期間を考慮することもできないんですね。要保護性なんかはもう考慮しないというんです。あくまで、犯した罪の責任に照らして許容される限度を超えない範囲内と。これがまさにキーワードになります。犯した罪の責任に照らして許容される限度を超えない範囲内、これが先ほど言った責任原理、侵害原理とか、そういうものに対応するものなんですね。  保護原理という、今の十七歳にも適用されるそういう今の保護原理だったら、こういう範囲には限られないんです。それはやはり家裁が、この少年にはより短くとかより長くとか、そうやって、その要保護性というか、いろいろなものに見合って総合的に決めていくんですけれども、本法案は、十八歳、十九歳に対しては、例えばこの少年院の収容期間については、極めて、もう決まっちゃっている、犯した罪の範囲内と、これがばあんと出てくるんです。ですから、ここの特定少年については保護原理よりも侵害原理が優先されているんですね。  そして、もう一つお聞きしたいのが、未決勾留期間を算入できる六十四条四項。これも、四月七日の川原局長の答弁はこうあるんですね。  もう時間の関係で、私の方で読ませていただきますが、現行法趣旨として算入されないんです、今は。  その理由として、局長は、その趣旨を申し上げますと、まず保護処分は、少年の健全育成を目的として保護、教育的な処遇を行うもので、本人の利益となる側面を有しており、捜査や裁判の適正な執行のために身柄を確保する未決勾留等とは性質が異なることから、現行少年法においては、その日数を保護処分の日数に算入できることとはされていないところでございます、こう答弁されました。  ところが、改正案は、これを算入するんですね。性質が違うんだけれども算入する。  この理由について、局長が衡平の観点ということをおっしゃって、特定少年に対する少年院送致の決定に至るまでの手続に特に長い期間を要した場合は、衡平の観点から妥当じゃないから算入するんだ、こういう御説明ですね。  しかし、決定に至るまでに長い期間を要するというのは、それだけやはり複雑な事案だ、あるいは五十五条に当たるような事案かもしれません。  いずれにしろ、何で長くなるかというと、やはりそれは、少年の置かれた環境や犯した犯情というのが難しいからだと思うんですね、判断が。ということは、仮に少年院送致になった場合は、長い処遇期間が必要になる可能性だってあるわけです。ところが、未決勾留期間を算入してしまいますと、これは元々キャップが決まっているのが、更に短くなるんですね。  局長、お聞きしますけれども、これは要保護性の後退、ひいては立ち直りにも障害になるんじゃないですか。
  223. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員が御指摘の点でございますが、本法律案におきましては、家庭裁判所少年院への収容期間の上限を定めるに当たって、未決勾留等の日数を少年院への収容期間に算入できることとする趣旨、これは御紹介いただいたとおりでございます。  もっとも、こういった規定趣旨からいたしますと、実際に未決勾留等の日数を算入することとなるのは、例えば、家庭裁判所による逆送決定、検察官による公訴提起を経て刑事裁判になったものの家庭裁判所に移送された事件で、一連の手続の間、観護措置及び勾留による収容が長期にわたって継続したような場合などに限られているものと考えております。  したがって、未決勾留日数の算入の仕組みを設けることによって、保護処分における処遇期間の確保ができなくなるような事態は生じるとは考えていないところでございます。
  224. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、それが、この法案ですと、例えば三年以内とか、六十四条の三項で、保護処分でも、三号の場合の保護処分をするときは、その決定と同時に、三年以下の範囲内において少年院に送致する期間を定めなければならないとか、いろいろ制約がもう決まっているわけですね。  現行少年法には期間の定めはないんです。現行は、送るとか、保護観察に処すとか決めて、その期間をどうするかはまさにそれぞれ決まっていくわけですけれども、法文上、明文でキャップがついているわけです、今回。それが、更に未決勾留で算入されたら短くなるんじゃないかというのが私の質問なんです。  結局、こういう発想というのは、刑事責任の範囲内でやろう、範囲内でやろうと。未決勾留も刑事的手続だから、それも算入するのは当然だ、そういう発想なんです。ですから、要保護性とか、本当に、長期間かかったということは大変なんだから、ちゃんと時間もかけてじっくり立ち直らせよう、そういう発想ではなくて、ここでも、ある意味刑事責任が優先されて、保護の考え方というのは後退するわけなんです。  ですから、そういう意味で、今回、本当に原理的な変更というのが持ち込まれている、そういう点が一番私は問題だというふうに思うんですね。  その上で、幾つか具体的な問題についてもお聞きをしていきたいと思います。  まず、虞犯なんですが、虞犯については、ちょっとその前に、厚労省が四月九日の私の質問の中で事実と異なる答弁をしたので、ちょっと訂正を求めたいと思います。
  225. 大坪寛子

    大坪政府参考人 御答弁申し上げます。  四月九日の本委員会におきまして、藤野先生の方から、児童福祉法の対象となる児童の範囲のお尋ねをいただいております。  その際、事実と異なる答弁が一部ございましたので、この場で訂正をさせていただきたく、また、質疑者の藤野委員及び委員会の先生方におわびを申し上げたいと思っております。  改めて申し上げますと、児童福祉法の児童の規定でございます。  同法第四条第一項におきまして満十八歳に満たない者と定義しているところでございまして、その上で、児童福祉法全ての規定が満十八歳に満たない者のみを対象としているわけではないこと、例えば、長くなるのであれですが、児童養護施設や児童自立支援施設におきましては、満十八歳未満を対象とすることを原則としつつも、生活の安定の観点から、満二十歳未満まで、入所等を延長して施設に在所させることを可能としております。  自立援助ホームにつきましても、社会的養護の措置解除後の者などでありまして、満二十二歳未満の者まで支援の対象としているというところでございます。  失礼いたしました。
  226. 藤野保史

    ○藤野委員 ですから、私、あのときの質問は、要するに、児童福祉法の対象にならない、十八歳、十九歳、特定少年が。それが、今の答弁でも、やはり児童福祉法というのは満十八歳に満たない者を対象とするわけで、結局やはり対象にならないんですね。  例外的に、十八歳になる前の段階でそういう施設に入所していたら、先ほど延長とありましたけれども、それは延長の場合はあります。それはあくまで延長で、初めから十八、十九を超えていたら、そもそも入所できないわけですね。  ですから、やはり最後のセーフティーネットというのは、今、法律上は少年法しかないんです、虞犯しか。  大臣は、虞犯との関係で、先ほど寺田委員との質問のやり取りでも、今回少年法は外れるけれども、ほかのフレームワークで強く取り組んでいくと、かなり力を込めておっしゃいました。先ほど委員とのやり取りでも出てきましたし、その際には、法務少年支援センター、あるいは更生保護サポートセンターということも御紹介いただきました。  私も、ちょっとこれはホームページ上ですけれども見させていただいたり、あと、詳しい方にお話もお聞きしたんですね。  確かにすばらしい取組はされていると思います。それぞれ各県にあったり、更生保護サポートセンターについてはもう八百を超える、九百近いセンターがあって、保護司の方が常駐もされている。そういう取組は本当にすばらしいものだというふうに思います。  ただ、ちょっと詳しい方にお聞きすると、やはりどうしても、受動的な対応と言うと変ですけれども、やはり建物があって、鑑別所に併設されていたりしますので、窓口があってということの中で、もちろん、研修をやったり出張教室をやったりはしているんですけれども、教室に行ってもやはりなかなか分からないんですよね、出前授業とかをやっても。  ですから、今の制度は、それはそれで本当に大事だと思うんですが、例えば、私、先日の質疑で、歌舞伎町とかそういうところに出ていって、アウトリーチでその支援を行っているColaboの活動も紹介させていただきましたけれども、Colaboの仁藤代表などにお聞きしますと、コロナの前からそういうJKビジネスとか性産業で搾取される女性というのはたくさんいたんだけれども、このコロナ禍でその数が激増していると言うんですね。だから、これはもう虞犯の典型です、そういうビジネスに捕まっていくというのは。  私は、やはり虞犯対策とおっしゃって、力を入れるとおっしゃるというのであれば、例えば、一方ではそういう拠点をしっかり持ってセンターをやるというのは大事ですけれども、アウトリーチ的なもので何かお考えのことはないんでしょうか。
  227. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今、厚生労働省を中心として、困難を抱える女性たちということで、この間、様々な検討をしてきていただいておりますし、また、調査もしてきているところであります。  まさに、委員おっしゃった歌舞伎町のケースにつきましては、まさにアウトリーチしていくという形で、その女性たちにとりましては、非常に世代が近いとか、あるいは相談しやすいということで、声をかけられること自体に大変意味があり、またそこからレスキューしていくという、そうしたきめ細かな取組については、これは極めて重要な役割を果たしているなというふうに思っております。  公ができることの限界もございますが、それではいけないわけでございますので、先ほど申し上げた更生保護サポートセンターとか、あるいは法務少年支援センター、こういったところは極めて大事な拠点でございますが、それとまた民間の様々なグループや団体のきめ細かな活動について、つながっていく、そして、地域の中で情報共有をしながら、役割をそれぞれ果たしていただきながら、少年と接触していく、こういうことは極めて大事なことだと思っています。  そういう方向の中をしっかりと整備していくということを念頭に置きながら、法務省におきましては、そうした拠点を中心に取り組んでいくということでありますので、全て連携をしながら取り組んでいく総合的な対策が必要だと思っております。
  228. 藤野保史

    ○藤野委員 虞犯規定のいいところは、本人が申請したり、少年鑑別所のそういうセンターに行くとか、そういうことをしなくても、町で、虞犯ではないかという疑いがあったら、例えば働きかけられる。それは、やはり虞犯規定という根拠があるからなんですね。これがなくなってしまいますと、様々なそういう連携そのものにも影響が出てくるというお話も伺いました。ですから、これは本当にセーフティーネットですから、これを外すというのは大問題だというふうに改めて指摘したいと思います。  次に、推知報道なんですが、十二日に東京家裁視察をさせていただきました。大変貴重なお話をいろいろお聞きしたんですが、一つ紹介したいのは、刑事事件における少年への配慮について、地方裁判所裁判官からお話を伺ったことなんです。公開法廷なんですけれども、やはり少年だということで、いろいろな配慮をされているという御説明をいただいたんですね。  例えば、氏名の秘匿については、本人には生年月日のみ言わせて、あとは紙で、このとおりかといって確認して、はいと言ったらもうそれで人定は終わりと。あるいは、法廷内の配慮としても、少年に対して呼びかけるときにはAとかあるいは被告人とかいう呼びかけで、実名は言わないとか、着席位置も、検察官と向かい合わせると顔がもうずっと出ていますから、傍聴席には背中を向けて座らせるとか、そういう配慮もしている。  あるいは、証人から本人が分かる可能性も大きいので、証人についても、出頭カードなどを示して、あなたはこういう方ですねと言ったら、そのとおりですと言ったらそれで終わるというふうなやり方とか、あるいは、入口の開廷表、入口に今日の事案とかいって普通は名前が出るそうなんですが、少年の場合はその開廷表にも氏名を書かないという説明もいただきました。心身や情操に対する配慮というのも、平易な言葉を使うとか、少年は疲れやすいので休憩を細かに取るとか、本当にすごいなというふうに思いました。  裁判官説明は、何でそういうことをするかというと、少年法一条の健全育成の理念が刑事裁判にも及ぶからだと、こういう説明なんですね。そういう意味での、なるほどなというふうに思ったわけです。しかも、改正後も、大臣、改正後もこうした運用は続けるとおっしゃったんですね。  それで、大臣にお聞きしたいんですけれども、この間、大臣はいろいろな場で、公判請求された場合には、公開の法廷で刑事責任を追及される立場となることに鑑み、推知報道を一部解除する、こうおっしゃっているんですね。しかし、実際は、公開の法廷でも、現状でもこれだけの配慮がされているし、今後も続けるというんです。  だとすれば、大臣、公開の法廷だから解除していいんだという、そういう理屈は成り立たないんじゃないですか。
  229. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  今般、特定少年につきまして推知報道を一部解除するということにしたものでございます。推知報道の一部解除をなぜするかということにつきましては、るる答弁をさせていただいておりますところでございますので、その上で、お尋ねは、公判請求されたことがなぜ推知報道禁止の解除と関係するのかというところでございますので、その点に絞って申し上げたいと思います。  どのような場合に推知報道を解除するかという点については、先ほど来申し上げております、罪を犯した者の更生と、憲法で保障される報道の自由との調整をいかに図るべきかという観点から、様々な事情を踏まえた上での政策判断として、本法律案では、十八歳以上の少年が逆送されて公判請求され、公開の法廷で刑事裁判を追及される立場となった場合には、家庭裁判所審判少年の保護の観点から非公開で行われることと対比して、刑事裁判が公開の法廷、すなわち傍聴人による傍聴が可能な状態で行われることも踏まえ、推知報道禁止を解除するのが適当と考えたことでございます。  このような仕組みにつきましては……
  230. 義家弘介

    義家委員長 挙手が上がっておりますので、おまとめください。
  231. 川原隆司

    川原政府参考人 法制審議会において全会一致で採択された答申にも盛り込まれたものでございます。
  232. 藤野保史

    ○藤野委員 そういう意味のない答弁に来ないでいただきたい。  要は、私が一番感銘を受けたのは、少年法一条の健全育成の理念が刑事裁判にも及ぶから、そうやって配慮しているんだと。大臣先ほど、一条は特定少年にも及ぶとおっしゃっているわけですね。ですから、この推知報道についてはやはり見直すべきだ。  もっと根本的に言いますと、大体、二十歳以上でも、先ほども出ましたけれども、無罪推定の原則が働いているわけです。だから、公訴を提起された人に対する犯罪報道をどうするかというのが本来立てるべき問いであって、そのことについて何ら見識も示されないまま、今回、特定少年だけ穴を空けるわけですね。これは、私、法務省としてはやってはいけないことだと思います。  政府も、弊害があることは否定していないわけです。では、その弊害を防止する何か対応策を取るかというと、取らないわけですね。近時、ネットの拡散が理由で自殺するという事例も実際に起きている。そういう中で、何の対応策もなく、弊害だけを増幅させるような法改正を行うというのは断固反対だというふうに申し上げたいと思います。  そして、資格制限についてもお聞きしたいんですが、資格制限についてというわけじゃないんですが、法務省は、二〇一七年の十二月に閣議決定された再犯防止推進計画、この計画に基づいて、翌年の二〇一八年に千人の協力雇用主に対するアンケートを行っていらっしゃる。これは非常に参考になるんです。私も読ませていただきました。今回はこういうアンケートは行っていないんですね。資格制限していいというふうにしようというにもかかわらず、それがどういう影響を与えるのか、そういう調査を行っていない。  大臣にお聞きしますけれども、どういう調査がいいかというのは確かにあると思います。協力雇用主がいいのか、あるいは、先日、片山参考人が日本看護協会に問い合わせたと。そうしたら、もう看護師になれないという答えが来たとか。だから、そういう協会とか業界団体がいいのか、それはまだ分かりませんが、いずれにしても、今回の資格制限の法規定の改正がどういう影響をもたらすのかというのは、やはり法案を出している法務省として何らか調査すべきじゃないかと思うんですが、そういう調査を行う予定というのはないんでしょうか。
  233. 上川陽子

    ○上川国務大臣 本法律案におきましては、十八歳以上の少年のとき犯した罪により刑に処せられた場合につきましては、少年法第六十条の資格制限の特則を適用しないこととしております。  御指摘のとおり、若年者の再犯防止、社会復帰のためには、就労の促進は極めて重要と認識しております。国会におきまして、御指摘を踏まえた上で、この法律案が成立した際におきましては、若年者に焦点を当てた前科による資格制限の在り方につきましては、関係府省と連携をし、政府としてもしかるべき検討の場を設けることとしているところでございます。  その際には、例えば、今委員指摘のような調査でありますが、若年者の社会復帰に際してのニーズにつきまして、協力雇用主を含めた有識者からの意見を賜りつつ、所要の調査を行うことを考えます。
  234. 藤野保史

    ○藤野委員 本来であれば、法案を出される前にそういう調査をされるべきだと思うんですね。そして、その立法事実に基づいて、法案を出されるなり出されないなり、やるべきだと思うんですが、今回はそれのないまま、先日の答弁だと把握もしないまま、この資格制限、法改正しようとしているということになります。  こうした今回の法改正というのは、私は、世界の流れとも逆行するというふうに思っております。  例えば、子どもの権利条約の四十条二項というのは、刑罰法規を犯した少年に対する手続の全ての段階における子供のプライバシーの尊重を保障しております。また、少年司法運営に関する国連の最低基準規則、いわゆる北京ルールズ、これの八条も、少年のプライバシーの権利はあらゆる段階で尊重されなければならず、原則として少年の特定に結びつき得るいかなる情報も公表してはならないとされているんです。ですから、推知報道を解禁するというのは、こうした世界の到達点から大きく逆行してしまうことになります。  そして、適用年齢そのものについても、世界では引き上げる動きもあるわけです。アメリカは、一九八〇年以降、少年法について、今の日本のように、厳罰化、厳罰化ということが進められました。しかし、二〇〇〇年代以降、幾つかの州で適用年齢を引き上げる、日本と真逆の動きが出てきております。  配付資料の二を見ていただきますと、これはバーモント州における少年の再犯についての調査結果がまとめられた資料であります。  これによりますと、家裁非行と裁定された少年がその後三年以内に刑事裁判で有罪判決を受けた割合というのは二五・二%ですね。黄色い枠の中の左の青い棒グラフです。刑事裁判で有罪を受けたその少年がその後三年以内に再度有罪判決を受けた、つまり再犯した割合というのは、その横の赤い棒グラフで四七・九%に上っている。だから、厳罰化したんだけれども、それがもう全然、再犯がもう倍近く増えてしまって、厳罰化が再犯防止としてうまく機能していない、こういう知見が得られたわけですね。  もう一つは、二十代半ばまで脳が成長、発達して、成熟を続けるという脳科学の知見、これも反映していると言われておりますが、これら二つの理由から、このバーモント州、アメリカの北東部にあるバーモント州では州法の法改正が行われました。二〇二〇年までに十八歳を十九歳にする、二〇二二年までに十九歳から二十歳に引き上げる、こういうことが起きているんですね。  アメリカでは、イリノイ州やコネティカット州でも同じような動きが起きておりまして、やはりそういう動きが出てきている。もう実際の再犯率とかにも出てきているんですね。  アメリカだけじゃなくて、国連の子どもの権利委員会は、二〇一九年に一般的意見二十四というのを出しておりまして、この一般的意見というものの中で、十八歳以上の者に対する子供司法制度の適用を認めている締約国を称賛するという一文が二〇一九年に追加されました。称賛する、つまり、十八歳以上にも少年司法制度の適用を認めている締約国を、いいねといって称賛しているわけです。  大臣にお聞きしますが、やはり、国連とか、ほかの国でも、適用年齢を含めて引き上げていくことも称賛されている。今回の法改正というのは、こうした流れから逆行しているというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  235. 上川陽子

    ○上川国務大臣 今回、少年法適用年齢の引下げに当たりましても、世界の中の動向につきましては、委員の御指摘いただいたアメリカも中心に調査をさせていただいているところでございますが、コネティカット州、ニューヨーク州、ノースカロライナ州につきましては、これまでの十六歳から十八歳に引き上げ、また、イリノイ州、ミシシッピ州、マサチューセッツ州、ニューハンプシャー州、ルイジアナ州、サウスカロライナ州、ミズーリ州は十七歳から十八歳に引き上げるということでございます。先ほど御紹介いただいたバーモント州につきましては、私法上の成年年齢十八歳ということでございますが、十八歳から二十二歳に引き上げた州ということでございます。  各国におきましてそうした状況が、アメリカの場合には大きな国でありますので州によってということでございますが、歴史や法文化、社会情勢、犯罪情勢等の状況に応じて形成されたものでございまして、国民の信頼、これを基礎として成り立っているということでございまして、適用年齢だけ捉えて諸外国の少年法制と比較することはなかなか難しい、適当ではないというふうに思っておりますが、年齢の区分につきましては、生まれてからずっと年齢区分でいろいろな法律ができておるところもございますので、情勢に応じまして、いろいろな角度からフォローしていく必要があろうかというふうに思っております。
  236. 藤野保史

    ○藤野委員 個別の国じゃなくて、私は、国連が、そういう世界の知見も踏まえて、この一般的意見というのは結構ちゃんと検証した上で出されるんですけれども、その上で、二〇一九年に、十八歳以上を法適用した国は称賛するという一文が加わったわけです。そういう意味で、やはり世界の流れだと思うんですね。  法務省の矯正局にお聞きしたいんですが、要綱の中で、若年受刑者に対する処遇調査の充実として、鑑別の対象となる受刑者の年齢の上限を、二十歳未満からおおむね二十六歳未満に引き上げるとしております。その理由は何なんでしょうか。
  237. 大橋哲

    大橋政府参考人 お答え申し上げます。  おおむね二十六歳未満の受刑者につきましては、改善更生のため、その特性に応じた矯正処遇を更に充実させることが重要であるとして、法制審議会の議論におきましては若年受刑者の充実した処遇が議論されておりまして、その前提として、個々の受刑者の問題性を的確に把握することが重要である、これらの者に対する刑事施設での処遇調査において、少年鑑別所の鑑別に関する知見等を若年受刑者に活用することが有効であると考えられることから、鑑別の対象となる受刑者の年齢の上限を、現行の二十歳未満からおおむね二十六歳未満に引き上げることとされたものと承知しております。(藤野委員「可塑性があるの」と呼ぶ)その元々の御議論の中でも、一般的に他の年齢層に比較して可塑性に富んでいるというふうな御議論がございます。
  238. 藤野保史

    ○藤野委員 ですから、そういう鑑別所の実務の積み重ねで、おおむね二十六歳までは可塑性に富んでいると。だから、刑事ですけれどもね、少年じゃないんですけれども、刑事の分野では、二十六歳まで鑑別の対象を引き上げようというふうになっているわけです。ですから、そういう意味で、日本の中でもそういう状況が生まれていますし、先ほど言ったバーモント州でも脳科学の発展ということも取り入れられているわけですね。  ですから、大臣にお聞きしますけれども、五年後の見直しというのがあるんですが、こうした国内外の動向や科学的な知見の発展も踏まえて、むしろ、例えば特定少年については元に戻すとか、あるいはむしろ引き上げるとか、そういうことも方向性として否定はされない、そういうこともあり得る、そういう理解でよろしいですか。
  239. 上川陽子

    ○上川国務大臣 本法律案の附則第八条におきまして、施行から五年後の検討について規定をされているところでございますが、まずは、検討の前提といたしまして、本改正後の少年法、更生保護法、少年院法や成年年齢引下げに係る改正民法の施行状況のほか、これらの法制の施行後におきましての社会情勢、国民意識の変化等を的確に把握することが必要となるところでございます。  そのため、これらの前提条件が明らかでない現時点におきまして、可能性としてでありましても、どのような方向性での検討があり得るのかにつきまして、今の段階で私が申し上げるということについてはなかなか困難であるということにつきまして、また適切でもないのではないかというふうに理解をしております。
  240. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、そういう方向性だと言ってほしいというわけじゃないんですよ。あらゆる方向性が否定されませんねという、当たり前のことというか、いろいろ知見も発展しますし、そういうので実際、引き上げた国もあるわけで、可能性としては、私は当然あり得るというふうに思います。  大臣は今日の委員会でもおっしゃいましたし、四月二日の当委員会で、私に対して、今後の運用について、第一条の理念に照らして、基本的人権をしっかりと守りつつ、矯正保護につきましては十分に少年法趣旨、理念が生かされるよう運用していくべき事柄というふうに考えていますというふうに答弁されていまして、これはやはり本当に大事だと思うんですね。今後どういう運用がされていくのかという場合に、やはり、この大臣の答弁、十分に少年法の一条の趣旨が生かされる方向での運用というのを強く求めたいと思うんですね。  最後になりますけれども、私もやはり、国民世論との関係、これは本当に大事だと思っていまして、やはり、誤解が多く、そのままになっていると思うんです。少年法は甘いとか、少年犯罪は凶悪化しているとか。時々のトピックとなるような事件があると、とりわけそうなるんですけれども、やはり、少年犯罪は、実態としてはそうではないし、減ってきているし、凶悪化もしていない。ただ、それが国民世論との間で大きな乖離がある。この乖離をそのままにしたままでは、仮に五年後、同じような法改正審議されたとしても、冷静な法律審議にはならないと思います。  やはり、私が法務省に求めたいのは、こういう国民世論と少年犯罪をめぐる事実との乖離をなくしていくために、この間大臣がおっしゃっているのは、世論調査の分析というか何というか、こういう見方もあるみたいな話ですが、そうじゃなくて、やはり法務省自ら、法務の実態に合わせて、国民世論、理解していただく、そういう能動的な努力が必要ではないかということなんです。  先日紹介したのは、一九六六年当時の法務大臣である石井光次郎大臣はこうおっしゃっているんですね。国の将来を背負う大事な青少年を扱う法律だから、縄張り争いなどというくだらない疑いを受けないよう、真正面から堂々と話を進めていくことが一番だといって、複数の少年法改正の試案を出して世に問うんですね。やはりこの姿勢が大事なんじゃないか。  それに対して、当時の司法府、最高裁も真正面から応えるんです。家裁の長官の会議を開いて、高裁の長官の会議も開いて、そして最高裁が特別の委員会をつくって四回も議論をして、意見書をまとめる。  当時の横田最高裁長官がこうおっしゃっています。  非行少年の問題は、少年環境、教育などの問題も含め、広い視野と高い識見の下に検討すべき大きな問題である、法務省が、この問題の取扱いに慎重であり、立法当局者だけで立案を進めないで、広く世に意見を問う態度を表明していることは誠に意義のあることである、こうおっしゃっていまして、私は本当に意義のあることだと思うんです。こうした当時の政府や最高裁の姿勢が、当時の国民世論の形成に大きく寄与したことは私は間違いないと思うんですね。  なので、大臣にお聞きしますけれども、その前にもう一つ、ちょっと紹介しますが、最高裁の判事も務めた団藤重光教授が、少年法三十五周年に当たって、こう述べているんです。  少年法は、司法の分野に足場を置いているだけではなく、広く教育と社会福祉の領域にも関連を持ち、その交差点にあって、独特の法領域を成し、独自の機能を有するのであると。独特の法領域を成して、独自の機能を有していると。で、少年の問題をめぐる司法と教育と福祉のどの領域にも深い関連のある少年法の意義と機能は極めて重大である、こう団藤教授が言っているんです。  これで、大臣にお聞きしたいんですけれども、例えば今後、最高裁とか家裁とか、日弁連とか刑事法学者、いわゆる司法の分野、これも大事なんですが、同時に、やはり例えば教育とか社会福祉の関係者とも連携して、少年法をめぐる本当の意味での国民世論、これを喚起していくために、法務省としてのイニシアチブを発揮していただきたいと思うんですが、その点について御答弁いただきたい。
  241. 上川陽子

    ○上川国務大臣 法律案につきましては、附則八条におきまして検討が求められているところでございます。  いずれにいたしましても、多角的な観点からの検討が行われるように、私としても適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  242. 藤野保史

    ○藤野委員 もう終わりますが、やはりそういう意味での大きな法案だ、少年法というのは本当に大事な法案だと。それを、やはりこれだけの審議で終わるというのは、私たちは強く反対して、質問を終わります。
  243. 義家弘介

    義家委員長 次に、高井崇志君。
  244. 高井崇志

    ○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。  私も、午前中の寺田委員の議論を聞いていて、本当に大きな問題だなと感じました。私もこの間、この少年法自体は賛成する部分も反対する部分もあるんですけれども、やはり推知報道のところは非常に私は大きな疑問があります。  ちょっと法務大臣がいなくなっちゃったけれども、なぜここまで法務省が報道の自由をそんなに大事にしなきゃいけないのかと思いますね。正直、この委員会でもやりましたけれども、報道の自由というのは、国民の知る権利と裏腹ですけれども、例えば、検察官の定年延長の解釈変更は国民に周知しなくてもいいなんていう答弁をされる法務省が、何かこの話になったら急に、報道の自由が大事で、少年の保護よりも大事だというのは本当に違和感を感じます。  特に、私も何度かここで、取材に対する、検察、それから今日は警察にも来ていただきましたけれども、やはり捜査情報とかあるいは起訴の情報というのは人の命に関わるわけですよ。自殺する人だって出てしまいかねない。一方で、じゃ、国民は何を知りたいかというのは、私はそこは、捜査の途中の情報をそこまで知りたいというのは、ちょっと、やはり興味本位というか好奇心というか、そういう部分が結構あるなと思うんですよね。そう考えると、そこの部分を事前に国民の皆さんに知らせる意味というのはどれほどあるのかということを強く疑問に感じます。  その中でちょっと具体的に、まず刑事局長にお聞きしますけれども、この間も聞いてきましたけれども、検察官の捜査に対する、起訴のときの、いろいろ報道の自由があるから取材を受けるのはいいですよ。しかし、それをどこまでしゃべるかというのはどういう考え方に基づいてやっておられるのか。それから、今回、推知報道禁止の解除になりますけれども、そのことによってそのスタンスに変わりはあるのか。そのことを教えてください。
  245. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  一般論として申し上げれば、検察当局におきましては、検察の活動を国民に正しく理解していただくために、国民の知る権利あるいは報道の自由の重要性を念頭に置きつつ、報道機関に対し、対外的な事件広報に当たっているものと承知しております。  まず委員のお尋ねは、一つ目に、どういう基準で、考え方でやっているのかということでございます。  これにつきましては、捜査に関する取材対応を含む事件広報に当たりましては、刑事訴訟法四十七条の趣旨を踏まえ、個別の事案ごとに、関係者の名誉、プライバシーへの影響及び将来のものも含めた捜査、公判への影響の有無、程度等を考慮し、公表するか否かや、その程度及び方法を慎重に判断しているものと承知しております。  二つ目のお尋ねは、今回、推知報道の一部解除ということになったとき、その部分は変わるのかということでございます。  現在も少年事件というのはございまして、現行少年事件に関しましては、推知報道禁止する少年法六十一条の趣旨をも踏まえ、検察当局事件自体を公表するか否かを判断し、事件自体を公表する場合におきましても、本人を推知することができる事項を含まないように留意をしているものと承知しております。  本改正によりまして、十八歳及び十九歳のときに犯した罪により公判請求された場合には推知報道禁止が一部解除されるわけでございますが、検察当局においては、個別の事案ごとに、先ほど申し上げた刑事訴訟法四十七条の趣旨を考慮して、公表するか否かや、公表する事項及び方法を判断することとなりますが、その際、推知報道禁止しないこととする本改正の趣旨を踏まえた上で、適切に対処するものと考えております。
  246. 高井崇志

    ○高井委員 ちょっと分かりにくかったですけれども、ちょっと最初に言ったことが私は気になりましたね。検察の何というか方針みたいなものを国民に知ってもらうと。これは、もうちょっと深読みすれば、まさに検察のやっている正しさを知ってほしいみたいな、やはりそこがあるんじゃないですかね。だから、検察がやっているのは正しいということを国民にある意味知ってもらうというか、誘導するために、自分たちの都合のいいタイミングで情報を出すというふうにも受け取れますよね。  これは警察にも同じ質問をしていますけれども、警察はどういうスタンスですか。
  247. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  警察としては、事件に係る報道発表については、地方公務員法、都道府県の個人情報保護条例、刑事訴訟法等にのっとって行っており、都道府県警察において、公表することによって得られる公益、関係者のプライバシー等の権利利益、公表が捜査に与える影響等を個別の事案ごとに総合的に勘案して、発表の適否やその内容について、組織として判断、決定しているところでございます。  御審議していただいている少年法改正案の規定が施行された場合であっても、警察においては、これまでと同様で、この考え方については同様であると考えています。  なお、少年事件に限って申し上げれば、推知報道禁止規定適用されなくなるのは対象となる少年事件の公判請求後であることから、これを前提とした対応を取ることになるものと承知しております。
  248. 高井崇志

    ○高井委員 いや、ちょっと警察も気になる答弁でしたね。公表することによって得られる公益って何ですか。捜査情報を公表することによって得られる公益とおっしゃったんですけれども、具体的にどんなのがあるんですか。
  249. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  事件の中には、同一犯人によって同様の犯罪が行われている場合もございます。そういったものについて事件広報をすることによって、その被害の申告、そういったものを更にきちんと警察の方に通報していただくというようなこともございます。そういうことを含めて、警察としては公益性を考えてまいります。
  250. 高井崇志

    ○高井委員 それは理解しますけれども。しかし、そこをやはり拡大解釈しているんじゃないか。つまり、公表して公益に資するんだということで、どんどんどんどん公表してしまってやしないかということを私は非常に危惧するわけです。  これは、今度、検察、警察両方に聞きたいんですけれども、今おっしゃったような、それが私は正しいとは思いませんけれども、そういう方針を、全国の検事あるいは警察、警察の方がもっと数は多いと思いますけれども、どういうふうに伝えていますか。
  251. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えいたします。  検察当局におきましては、先ほど申し上げましたように、検察の活動を国民に正しく理解していただくために、個別の事案に応じて、幹部検察官事件広報の対応を行っているものと承知しております。  その幹部検察官事件広報を行うに当たりましては、先ほど申し上げましたように、刑事訴訟法四十七条の趣旨を踏まえまして、その内容を慎重に判断しているところでございまして、事案によりましては、その上司あるいは上級庁と協議するなどして、適切な事件広報が行われるように努めているものと承知しています。
  252. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  事件に係る報道発表については、都道府県警察において、個別の事案ごとに総合的に勘案して、発表の適否やその内容について組織として判断、決定しているところでありまして、報道発表を行う際には、個別の警察官が行うのではなく、幹部職員又はその者が指定する者が当たるというふうに内部規定でしております。  なお、警察庁においては、これまでも、都道府県警察の広報担当者に対する研修等を通じて、事件に係る報道発表が適切になされるよう指導しているところ、引き続き指導に努めてまいりたいと思います。
  253. 高井崇志

    ○高井委員 いや、ちょっと警察にはもう一回聞きたいんですけれども。  私、報道発表のことを言っているんじゃなくて、取材ですよね。特に警察は物すごい多いですよね。私も地方勤務、岡山県庁で働いたことがありますけれども、県の課長でしたけれども、私のところに来るなんかよりも県警の、県警だと課長よりもっと、その部下の方とかに夜討ち朝駆け、最近は随分減ったといいますけれども、でも、いろいろな記者の方に聞くと、とにかく警察の、警察のクラブというのは何か別格なんですよ。そこでやはり花形で働いていて、とにかく夜討ち朝駆けして情報を取る。  マスコミはそれは必死ですよ。しかし、それに乗ってしゃべるというのはおかしくないですか。今の報道、記者発表はそれでいいですよ。個別の取材に対してはどういうスタンスでいて、それをどういうふうに現場の警察官なりに伝えているんですか。
  254. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  捜査を行うに当たりましては、秘密を遵守し、捜査の遂行に支障を及ぼさないよう注意しなければならないところでありまして、従来から、捜査上の秘密の保持については格段の配慮を払ってきたところでございます。  先ほど申し上げました、組織として対応する、あるいは幹部職員又はその指定する者が当たるということは、報道発表だけではなく、取材対応についてもこの旨を徹底しているところでございます。
  255. 高井崇志

    ○高井委員 本当ですかね。  ちなみに、何か規則とか通達とか、文書にしてそういうものを出していますか。
  256. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  私どもは、国家公安委員会規則で犯罪捜査規範というものがございます。これは、各都道府県警察における犯罪捜査を行う際に、その基本をまとめたものでございます。この中で、今申し上げたような基本的な考え方、そして、新聞発表あるいは取材対応について、こういう者が当たるというものを規定にしてございます。
  257. 高井崇志

    ○高井委員 まあ、あの、弱いというか、本当に、これはいい機会というか、少年法を改正されて推知報道を解禁、禁止解除で、ちょっと一度、検察はもちろんのこと、警察も是非、やはりもう一度、何というか、きちんと警察庁なりの考え方を示して、それで現場の警察官にまで、それは、幹部に取材といったって、報道の方はそうはいきませんから、現場の人に聞くんですから。何度も何度も夜討ち朝駆けされたら、ついしゃべっちゃうということはあると思いますよ。  だから、そこをそうならないようなための訓練であったり、せめて通達とか、そういったものをしっかりやるということが、やはり私は必要な、ちょうどいいタイミングだと思いますので、是非御検討いただきたいと思います。  今日は警察に来ていただいているので、ちょっと関連してというか、ちょっと話は変わるんですけれども、今回、二十歳か十八歳かというのが大きなテーマになっていますけれども、実は、公営ギャンブル、競輪、競馬、競艇、オート、これは全部二十歳なんですね。あと、宝くじ、これは実は、法律上の規制はないそうなんですが、聞いたら、ガイドラインみたいなのがあって、二十歳。今回、十八にするかという議論もあったけれども、二十歳でとどめた。それから、カジノは二十歳だったけれども、カジノに聞いたら、ほかが二十歳だからそれに倣ったと言っていました。  ほかはなぜ二十歳にしているかというと、青少年健全育成の観点、それからギャンブル依存症の観点からだ、みんなそろえてそういうお答えでしたが、実は、警察が所管するパチンコ、これは十八歳ですよね。これは何で十八歳なんですか。
  258. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 お答えいたします。  公営競技等につきましては、刑法上、賭博行為等が処罰の対象とされていることを前提とした上で、関係する法律規定により違法性を阻却した上で、一定の規制の下でその実施が認められているものと承知しております。  これに対しまして、風営適正化法に基づく規制の範囲内で営まれるパチンコ営業において行われる遊技につきましては、刑法第百八十五条に規定する賭博罪に該当しないものと認識しており、そもそも公営競技等とは性格を異にしているものでございます。  その上で、パチンコ営業を含む風俗営業につきましては、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものとなり得るものである一方、営業の行われ方いかんによっては、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすことから、風営適正化法に基づき必要な規制が行われております。  その中で、少年の健全な育成に障害を及ぼすことを防止する目的で、風俗営業を営む者に対し、十八歳未満の者については営業所に客として立ち入らせることを禁止しております。
  259. 高井崇志

    ○高井委員 何か、健全に行われれば国民のプラスになるみたいな答弁でしたけれども、そう言うと、じゃ、ほかの公営ギャンブルとかカジノとかは健全に行われても駄目なのかとちょっと深読みしてしまいましたけれども、でも、宝くじですら二十歳なんですよね。何でパチンコ、しかも、パチンコが賭博に当たらないというかギャンブルに当たらないというのは、これは相当やはり無理がある話だと思うんですよね。  私はそこで聞きたいんですけれども、パチンコというのは三店方式といって、私もパチンコをやったことがありますけれども、玉が出て、それを持っていくと、何か変な、メダルみたいな、こんなもの要らねえやというものに換えてもらって、それを隣にある交換所に行くとお金に換えてくれる。だけれども、この交換所とパチンコ店は全く関係なくて、この交換所は古物営業法の許可か何かを取っていて、しかも、交換所が別の流通業者にそのメダルみたいなものを渡して、別の流通業者が今度はパチンコ店と取引する、これを三店方式と俗に、パチンコをやる人なら誰でも知っている方式なんですけれども、しかし、やはり何かおかしいですよね、どう考えても。  何でそんなお金の価値も分からないメダルを、何千円も何万円も投資して、もらうのかというのは、普通に考えて、どう考えても何かおかしな方式だと思いますけれども、何でこういう、わざわざややこしい方式にしているんですか。
  260. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 お答えいたします。  客がパチンコ営業者から賞品の提供を受けた後、パチンコ営業者以外の第三者に当該賞品を売却することはあるものと承知しております。  風営適正化法におきましては、パチンコ営業者が現金等を賞品として提供することや、客に提供した賞品を買い取ることを禁止しております。パチンコ営業者以外の第三者が賞品を買い取ることは直ちに風営適正化法違反となるものではございませんが、当該第三者が営業者と実質的に同一であると認められるような場合には同法違反となることがございます。  警察としましては、こうした違法行為につきましては、引き続き厳正な取締りを行っていく考えでございます。
  261. 高井崇志

    ○高井委員 それが、だから、ややこしいわけですね。どう見ても隣にあるところが別主体、パチンコ店にとってもいい迷惑なわけですよ。その換金所というのを別につくらなきゃいけなくて、全然別人格だといって、最近、結構すぐ隣なんですけれども、昔はかなり遠いところまで行かなきゃいけなかったり、あと、店員に聞いても教えてくれないとか、そういうことなんですよ。  非常に、だから、何でこんなややこしいことをしているのかということで、実は、これ、もうこういうのはやめませんかというのは、政治の側からも今まで検討があるんですね。  例えば、これは二〇〇五年、随分前ですけれども、民主党の娯楽産業健全育成研究会という議員連盟ですね、ここで、パチンコ営業に関する法律の試案として、遊技場営業の規制及び業務の適正化に関する法律案大綱というのを発表した、これはパチンコの業界誌ですけれども。事務局長が、従来の風適法の枠からパチンコを外すこと、三店方式の換金システムをクリーンな形にすることの二点に集約して、新しい遊技新法の枠組みをつくったという、野党ですね。  それから、今度は与党ですね、自民党。これは二〇一四年八月十九日の報道ですけれども、自民党の、時代に適した風営法を求める議員連盟では、議連は、パチンコ業法などの新法制定か風営法改正によってパチンコ店内での換金を合法化する案や店内の景品交換所を公益法人化する案などを検討している、議連幹部は、パチンコ税を社会保障財源として目的税化し地方税にすれば、数百億から数千億の税収が見込めると皮算用をしていると。私は、この税目的というのはちょっとどうかなと。そうすると、業界も反発するわけですけれども。  税目的じゃないとですね、実は、最初の民主党の方は、これ、パチンコ業界も是非やってくださいということで、議連で議論が進んでいるんですね。私は、もうこの際、さっき言った三店方式みたいに、どう見てもおかしい方式はやめて、きちんとパチンコも賭博に位置づける必要があるんでしょうけれども、それで換金化するという方がすっきりすると思いますけれども、そういう法律を作るという考えはありませんか。
  262. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 パチンコ営業につきましては、風営適正化法に基づき必要な規制が行われております。  当該規制の範囲内で行われる営業につきましては賭博罪に該当しないものであり、新たに特別法を制定して違法性を阻却することが必要とされるものではないというふうに認識しております。
  263. 高井崇志

    ○高井委員 木で鼻をくくった答弁がずっと続くんですけれども。  これ、法務委員会、平成二十三年十月二十五日、自民党の棚橋議員がこういう質問をしています。この議連の主目的は、パチンコ店内での換金を認めることを法律上明記する、パチンコの、これはくぎ調整というんですが、パチンコ店の自由裁量として、警察の指導対象から除外する、所管を警察庁から経済産業省に移す、警察による調査を簡略化する、これが目的じゃないかと棚橋さんは言っているわけです。これはそうなんじゃないんですかね。つまり、警察が所管しておきたい、風営法の範囲内であれば、ということが私は一番の目的じゃないかと。  それはなぜそう思うかというと、全国の都道府県の遊技業協同組合、皆さんの地元にもあって、お世話になっている方もいると思いますけれども、私も岡山の方、存じ上げていますけれども、専務理事も事務局長も警察出身者です。私の感じでは、全国、四十七都道府県全部そうじゃないかと思っているんですけれども、この全国の遊技業組合の事務局長、専務理事、何人いて、そのうち警察出身者は何人ですか。
  264. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 都道府県の遊技業協同組合の専務理事、事務局長につきまして、警察出身であるかどうかにつきましては、私どもの方では把握はしておりません。
  265. 高井崇志

    ○高井委員 どうして把握できないんですか。警察庁の所管だと思いますけれども、遊技業組合。
  266. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 風俗営業ですので、確かに所管業ということにはなるかと思いますけれども、その事務局長や専務理事がどこのどういう方かということについて、私どもの方では把握しておりません。
  267. 高井崇志

    ○高井委員 これは、再就職者は公表していますよね、政府全体で。それを調べろって話かもしれませんけれども。  実はこれはからくりがあって、都道府県は公表していないんですね。だから簡単には調べられないんですよ。ですけれども、これは国会でこうやって質問になって、重要なテーマですから、これは、警察庁が今すぐ分からなくても、四十七都道府県に連絡すれば、各都道府県は分かっているはずですから、それを調べていただけませんか。
  268. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  警察庁では、国家公務員の再就職状況については国家公務員法の規定の範囲において把握しているところでございます。  一方、地方公務員である都道府県警察職員の再就職については、各都道府県が、その判断により、条例で一律の規制をしているものと承知しておりまして、警察庁が関与する立場にはございません。  警察庁では、個別の都道府県警察職員の再就職の状況というのは把握しておりませんけれども、警察職員の再就職については、関係法令による規制を遵守し、また、当該職員の再就職によって警察行政の公正性が損なわれないことが必要と認識しており、警察庁として、引き続き職員や都道府県警察に対する指導は行ってまいりたいというふうに考えております。
  269. 高井崇志

    ○高井委員 いや、ちょっとこれは理由になりますかね。やはり、こうやってテーマになっているわけですよ。  調べれば分かるはずですから、これはここで何度聞いても答えないでしょうから、これは委員長、提出するように、協議していただけませんか。
  270. 義家弘介

    義家委員長 後刻、理事会で協議いたします。
  271. 高井崇志

    ○高井委員 それでは、私の感覚では、多分全員そうじゃないかなと思うんですけれども。逆に、違うというなら違うと今言っていただければ、違うことが判明しますけれども、答えないんだったら、全員そうじゃないか、全都道府県そうじゃないかと私は推測しています。  何で、じゃ、この遊技業組合にこんなに警察出身者が再就職しているのか、その理由を教えてください。
  272. 櫻澤健一

    櫻澤政府参考人 お答えいたします。  警察庁においては、個別の警察職員が再就職を行った理由については把握はしておりません。  ただ、先ほども申しましたとおり、一般論として、警察職員の再就職によって警察行政の公正性が損なわれることがないことが必要と認識しておりまして、各都道府県警察に対しても指導を行っているところでございます。
  273. 高井崇志

    ○高井委員 これは、私の、結構動画で皆さん見ていますからね。答えないと、本当にみんなそうだと思いますし、そうだとみんな思っているんですけれども、そうじゃないんなら、せめて何割、半々だとか、何か言ってくれればいいと思いますけれども。  済みません、余り、これ以上、もう少年法の時間がなくなるので、今日はこのくらいにいたしますが、また引き続き取り上げたいと思います。  それでは、少年法、ちょっと時間も短くなっちゃったんですが。  先日、家庭裁判所を訪問させていただいて、大変勉強になりました。その中で、当日もお聞きしたんですけれども、審判不開始と不処分というのが約六割ぐらいいるわけですけれども、これがちょっと、今は六割ですけれども、過去十年ぐらい見てどうだったのかということと、併せてもう一問聞きますけれども、その審判不開始や不処分となった方というのは、そのまま社会に戻っていくわけですけれども、それの何かアフターフォローみたいなものはあるんでしょうか。
  274. 手嶋あさみ

    手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  家庭裁判所の一般保護事件、これは少年保護事件から道路交通保護事件を除いたものということになりますが、これにおけます終局総人員のうち、審判不開始それから不処分が占める割合は、平成二十三年には六六・一%でありましたのが、令和二年、これは速報値になっておりますが、五八・六%となっておりまして、過去十年間の動向としては減少傾向にあるというふうに認識をしているところでございます。  それから、もう一つお尋ねのありましたアフターフォローというところでございますけれども、少年事件につきましては、家庭裁判所に送致された後、少年が自らの非行及び問題性に向き合うとともに、その環境が改善されるように、調査官による調査それから保護的措置、また、事案によりましては、審判を開始した上で、裁判官によって審判期日においてといった形で様々な働きかけが行われまして、その結果、再非行の可能性の観点から、あえて審判を開始するまでの必要はない、若しくは保護処分に付すまでの必要はないということで、審判不開始又は不処分の決定に至る場合がございます。  こうした家庭裁判所における手続自体が少年の健全育成に一定の効果を有するところというふうに承知をしておりますが、手続の性質上、これらの決定がされますと事件は終局するということになりますので、その後において、家庭裁判所少年に対して何らかの働きかけを行うということはございません。
  275. 高井崇志

    ○高井委員 本当に家庭裁判所は重要な役割を担っていただいていると思うので、このアフターフォローと、あと、ちょっともう質問時間はないんですけれども、裁判官も、家裁と地方裁とかを行ったり来たりで、余り専門的にずっとやっているということじゃないそうなので、私はちょっと畑みたいのが、家庭裁判所畑みたいな人がもっといた方がいいんじゃないかなと思いましたので、それはちょっと提言として申し上げておきます。  じゃ、もうあと最後の質問だと思うので、大臣に。  大臣が離席されているときにちょっと話したんですけれども、やはり報道の自由を法務省はちょっと重視し過ぎじゃないかと、さっきの寺田委員質疑を聞いていて本当に思いました。  特に、犯罪情報とか捜査上の情報というのは人命に関わる問題ですし、私はやはり好奇心とかで国民が知りたいことに安易に答える必要は全然ないと思いますし、ましてやこのSNSの時代で、どんどん、これは十八歳、十九歳に限りませんけれども、そういったことを考えると、やはりこの報道の自由とのバランスをどう取っていくかというのは非常に重要なテーマだと思いますけれども、最後に大臣の御見解をお聞かせください。
  276. 上川陽子

    ○上川国務大臣 一律に推知報道禁止するということで、インターネット上での多くの情報が流通している現状状況を踏まえての上でも、今回、責任ある主体としての立場、刑事司法に対する被害者を含む国民の理解、信頼の確保の観点から適当ではないということで、推知報道については解除するということに決めたところでございます。  今、報道の自由と、そして個人のプライバシー、さらにSNSの時代でございますので、そういった社会環境あるいは現在の状況、様々なことをやはりしっかりと考えていかなければいけないということは委員指摘のとおりだというふうに思います。この問題は本当にエマージングというか、状況でございますので、この点につきましては、法務省としてもしっかりとフォローしてまいりたいというふうに思っております。
  277. 高井崇志

    ○高井委員 済みません、五分間違えていまして、まだ三分ぐらいありましたので、ちょっと同じ質問を、じゃ、刑事局長にも聞きたいと思います。  さっきからの答弁を聞いていて、報道の自由、報道の自由と、やはり、こっちで聞いていて、少年法報道の自由、どっちが大事なんだよと。そこのバランス、バランスなのは分かりますよ、バランスは分かるけれども、しかし、やはりバランスを失しているんじゃないかというのが我々の見た感覚ですので。  改めて、やはり、少年法だけじゃないですよ、刑事事件全般を所管する刑事局長として、報道の自由というのはもちろんありますけれども、しかし、さっきから言っているように、興味本位で知りたいとかいうことに対して答える必要はないし、それに対して、やはり、それだけの公益があるのであればいいですけれども、現実そうじゃないケースも多々見受けられるし、あるいは、検察や警察が捜査を正当化したいというために情報を提供しているとしか思えないような例もありますので、ここは是非刑事局長として最後にびしっと答弁をして、今後の決意を示していただきたいと思いますが、お願いします。
  278. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  委員の、報道の自由とそれから検察の広報の在り方ということでお尋ねだと思います。  それはまさに委員の本日の質問の最初にお尋ねになったこととの関係でございます、要するに事件広報に対してどう向き合うのかということでございます。  午前中も答弁をさせていただきましたように、報道の自由というのは、まさに憲法上の重要な人権として位置づけられているものでございます。今回の推知報道禁止の一部解除というのは、それに対してどういう法を作っていくかということで、これも午前中申し上げましたが、憲法を頂点とする全体の法秩序の中でどのような法を組み立てていくかという問題だろうと思います。  一方、今委員が御指摘の点は、個別に検察事件に関する対応をするときにどうするかということでございまして、これは、これも最初の御質問お答えしましたように、まさに刑事訴訟法四十七条の規定がございまして、それにのっとって適切に対応しているというところでございます。
  279. 高井崇志

    ○高井委員 そういうことが聞きたかったんじゃないんですけれども、推知報道の話だけじゃなくて、やはり検察全体の今後の在り方は、是非、この委員会で議論になりましたので、重く受け止めていただきたいと思いますし、まだ時間があるみたいなので、最後に一問、じゃ、大臣に、通告していますので。  報道の自由から、今度、犯罪被害者とか犯罪加害者、これをやはり守っていくという仕組みが非常に大事だと思いますけれども、そこをしっかり守っていく仕組み、どうやってつくっていくのか、どう考えているのか、最後に大臣から御答弁をお願いします。
  280. 上川陽子

    ○上川国務大臣 検察当局におきまして、事件広報におきまして、刑事訴訟法の四十七条の趣旨を踏まえ、また、さらに、今御指摘いただきました犯罪被害者等の権利利益を保護をするという犯罪被害者等基本法の理念、また、第四次犯罪被害者等基本計画、この趣旨にのっとりまして、被害者や御遺族の正当な権利利益を尊重すべく、被害者や御遺族の意思、これも十分に考慮して、今後とも適切に判断して対応していくものと考えております。
  281. 高井崇志

    ○高井委員 やはり捜査情報とか犯罪情報というのは本当にセンシティブで、冤罪もあるわけですからね、途中で流れて、さっきの寺田委員質疑のように、間違っていましたじゃ済まない、間違っていましたというか、確定していないときに、もう、一旦名前が出て、デジタルタトゥーになってしまうわけですから、ここは本当に、ある意味、もう報道の自由、憲法の報道の自由、表現の自由から、最も何か距離を置くというかセンシティブになってもいいのがこの分野だと思いますから、是非そのことは重く受け止めて、考えていただきたいと思います。  終わります。ありがとうございます。     〔委員長退席、山田(賢)委員長代理着席〕
  282. 山田賢司

    ○山田(賢)委員長代理 次に、串田誠一君。
  283. 串田誠一

    ○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。  今日は、ずっとほかの委員からも質問がございました推知報道を中心にお聞きをしたいと思っております。  六十八条がこの限りではないとしている六十一条は白表紙にも載っておりまして、もしお持ちの方は御覧いただきながら聞いていただけるとありがたいと思うんですが、参照条文というところの十四ページに六十一条は掲載されているわけでございます。  まず最初に、この六十一条の前身が大正十一年の規定だというふうにお聞きしているんですけれども、大正十一年のときの文言というのはどういう文言であったのか、お聞かせください。
  284. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のように大正十一年に制定されました旧少年法では、七十四条として、出版物への掲載に関する規定が置かれておりました。  この規定は、同条第一項におきまして、少年審判所の審判に付せられたる事項又は少年に対する刑事事件につき予審又は公判に付せられたる事項はこれを新聞紙その他の出版物掲載することを得ずと規定されておりまして、第二項におきまして、前項の規定に違反したるときは新聞紙にありては編集人及びその発行人、その他の出版物にありては著作者及び発行者を一年以下の禁錮又は千円以下の罰金に処すると規定されていたものと承知しております。
  285. 串田誠一

    ○串田委員 それが改正されたのがこの六十一条なんですが、この六十一条が改正されたのは昭和二十三年とお聞きしているんですが、それ以降変更がないということは間違いないですか。
  286. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のように、現行の六十一条、昭和二十三年以降、変更はございません。
  287. 串田誠一

    ○串田委員 実は、この六十一条は昭和二十三年にできたものでありますし、今、先ほどの法定刑、大正十一年の説明があったと思うんですが、新聞紙あるいは出版物に対する出版元に対しての規定ということなのだと、そのときには考えたんだろうと思います。  先ほど、ずっと刑事局長が、知る権利という話がありましたけれども、憲法二十一条には元々知る権利という文言がなくて、なぜ知る権利が言われるようになったのかというと、憲法第二十一条は表現の自由が規定されているけれども、表現ができるのは大手、そういう出版者であって、国民は表現をすることができないんだと、だから国民側から知る権利というものが大事なんだということを、憲法の授業では大体そんなふうにして説明をしてくるのかなと思うんです。  今までの委員会委員質疑の中でも、SNSとかネットだとか、今や、国民が非常に多様な表現ができるというような時代になっている状況の中で、この昭和二十三年の六十一条をそのままにしたまま、六十八条で、この限りであらずとか、この条文の解釈をめちゃくちゃに拡大しながら運用していくということに対する無理難題というものをやはり認識していかなければならないんじゃないかというふうに私は思っております。  その前提で、四月十一日に、侮辱罪が、法定刑に関して法務省が検討しているという話がありましたけれども、この内容について御説明いただけますか。
  288. 川原隆司

    川原政府参考人 お尋ねは、侮辱罪の法定刑の関係の検討ということでございます。  現在法務省におきまして行っております侮辱罪の法定刑の在り方に関する検討は、インターネット上の誹謗中傷が社会問題化していることを踏まえているものでございます。これは、ずっとこの少年法で御議論しているような、少年法の中ではなくて、もっと、それ以外の一般的な話を申し上げております。  インターネット上のものも含めまして、誹謗中傷による人権侵害は決してあってはならないものでございまして、人の名誉を侵害する行為に対しては刑事法上の対応も必要であり、侮辱罪の法定刑の在り方についてもしっかりと検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。
  289. 串田誠一

    ○串田委員 その報道の中には、昨年、ある有名な番組に出演していた女優さんが自殺をしたというようなことも挙げられていたわけですけれども、何が問題かといいますと、侮辱罪のような、要するに、昔は国民は表現ができなくて、知る権利の主体なんだというようになっていたのが、今や、SNSで誰でもが非常に発信ができるようになり、人を侮辱することもできるようになった時代なんですね。  そういうような時代の中で、大正十一年からほぼ同じ内容を引き継いだ昭和二十三年のこの六十一条を、推知報道をどうするかこうするかといって、果たして今の時代に合致するような当てはめができるのかどうかということをやはり検討していかなければならないと思うんです。  これはどんどん拡大解釈していくんだろうと思うんですけれども、六十一条の「新聞紙その他の出版物掲載してはならない。」と書いてあるんですが、その他の出版物というのはどの部分まで入るんですか。
  290. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のように、少年法六十一条は、「当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物掲載してはならない。」と規定しておるところでございまして、ここにいう「その他の出版物掲載してはならない。」ということは、直接的には紙媒体の出版物への掲載禁止するものと考えております。  ただ、その上で、委員のお持ちの問題意識との関係で、加えて御説明申し上げますと、この同条の趣旨は、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することにありますので、紙媒体の出版物への掲載以外の方法によるものであっても、例えば、インターネット上で本人であることを推知させる情報を流布するような行為であっても、このような趣旨に反するものと考えております。
  291. 串田誠一

    ○串田委員 その趣旨に反するものと考えておりますという、であるならば、やはりこれは昭和二十三年の条文の文言、そのままにしないようにしないと、侮辱罪のように、表現をする側を法定刑を重くすると言っているんだから、何がやってよいのか、何はやっていけないのかというのを明確にしなければ私はいけないのではないかと思っています。  「新聞紙その他の出版物掲載してはならない。」と書いてあるのを、ネット上のSNSにまでこれを拡大していくというのは、読んでいる文言的には、やはりさすがに無理がありますよ。そして、それによって何らかの行為が行われた場合、侮辱罪として刑事罰に処せられるわけですよね。  今まとめますと、この六十一条は、特定少年になっていない今の現行法上の少年に関しても、SNS上でこのようなことを公開するということは、SNS上でも許されないという理解でよろしいですか。
  292. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げたとおり、インターネット上その他、SNS上も含みますが、で、本人であることを推知される情報を流布する行為は、少年法六十一条の趣旨に反するものであり、同条の禁止対象に含まれると考えております。
  293. 串田誠一

    ○串田委員 そうしますと、そのような行為を行った者は、場合によっては侮辱罪に該当するということもあり得るということですか。
  294. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員、今、推知報道と侮辱罪の関係ということで、二つのことを重ねておっしゃっておられますので、ちょっと整理して申し上げますと、その当該行為が推知報道に当たるかどうかは別にして、刑法上の侮辱に当たる行為を行ったならば、それは侮辱罪でございます。それは刑法上の侮辱罪に当たる行為でございますので、それは刑罰の対象となります。  推知報道禁止というのは、まさに先ほど来申し上げております少年法関係で、本人を推知する報道の公にすることを禁止しているものでございまして、たまたまその二つのものが重なり合った場合、侮辱行為そのものが推知報道に当たり得るかどうかは別にしまして、一つのまとまりとしての、その公にする行為が推知報道禁止に当たり、また侮辱にも当たるのならば、それは両方にわたるということになろうかと思いますが、何がそれに当たっているかというのは、侮辱に当たるかという問題と推知事項に当たるかという問題、それぞれ別個に判断すべき事柄であると考えております。
  295. 串田誠一

    ○串田委員 たまたまとか言っているから、現実離れしているんじゃないかなと思うんですよ。  東野圭吾さんの「手紙」という小説は前に読んで、映画も見たんですけれども、兄弟にも及んで、アパートにも住めなくなるような状況にもなるわけじゃないですか。そういう関連性というものをしっかりと、侮辱罪とか、何をしてはいけないのかというのを国民にちゃんと知らせないと、これだけ見れば、「新聞紙その他の出版物掲載してはならない。」と書いてあるのを読めば、それ以外はいいだろうと読むのが普通だと思うんですよ。  今言ったような拡大解釈をこの法務委員会で聞いた人だから分かるのであって、この文言を読んでそこまで分かるかという話を考えないと。もう昭和二十三年の時代とこんなに違うんだから、あらゆるものに対しても、表示はしてはならないとか、これは何人もというのは入れないけれども、全ての人に対して対象となっているわけでしょう。  これは、恐らく、前回も聞いたんですが、大正十一年と昭和二十三年のときは、やはりこれをできる人間というのは、国民ではなくて、その新聞紙の出版者あるいは出版物の編集者というような特定の人を対象にしたのではないかと思いますよ。国民ができないわけだから。  何人もということであれば、主体が特定された人だけが刑事罰になって、その他の人たちはやっても刑事罰にならないというふうに当時から解釈していたんですか。
  296. 川原隆司

    川原政府参考人 委員のお尋ねは、旧少年法以来、この推知報道禁止対象となる、その推知報道の主体に変更があるかということでございますが、それについては、条文上、特段限定がございませんので、何人もということで理解をしております。
  297. 串田誠一

    ○串田委員 非常に、主体のない特別な規定でありますので、何人もとしか読みようがないんだと思いますけれども、その罰則を見れば、誰が主体となるのかというのはおおよそ想定できるわけです。  そして、推知報道に関して各委員が非常に慎重になっているのは、かつてと社会的制裁というものがはるかに違ってしまっている。それこそ新聞紙や出版物というのは紙面に限りがありますので、どんな事件であっても掲載されるわけではありません。非常に重要なものだけを編集者が選ばないと、紙面に限りがありますから、載せられないわけですよね。  それに対して、今SNSでは、それこそ新聞紙、それ以外ではなくても、全ての人がSNSにそれを載せることができるし、その範囲というのは全く制限がない。どんなちっちゃな事件でも載せることができるわけですから、当初の少年法のこの趣旨と今の時代というのは全く合致していないという認識を持たないと、やはり被害者の方々もそうですし、加害者の方々、これは加害者の家族というのが東野圭吾さんの「手紙」にありましたが、被害者も、被害に遭ったということが認知されることによって、その被害が、周りの人に対してもやはりそういう被害を受けたということが分かってしまうという面もあるわけですから、やはりここはもう少し、昭和二十三年の法律を今の時代に合致させながら、この限りにあらずというように、丁寧に私はやるべきではないかなと思います。  先ほど刑事局長が知る権利というのをずっとおっしゃっていましたけれども、憲法は公共の福祉に反しない限り許されるわけで、他方の人権を侵害しないようにしなければならないという意味では、少年Aを実名にしなければならないというのが、本当にどれだけの法益があるんだろうかということを考えながら調整していくということも私は必要なのではないかなと思っています。  ところで、前回、川原刑事局長質問しているときに混乱しているような感じがあったので、ちょっと整理させていただくと、今回の改正の二十条と六十二条の関係なんですが、二十条は、この十六歳が出てきたときには、罪を犯すときには十六歳以上、しかし審判時は、二十条ですよ、特定少年に至らない者。そして六十二条は、罪を犯したとき十六歳以上だけれども、審判時、特定少年というように振り分けが行われたということで、最終的な整理としてはよろしいでしょうか。
  298. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおりでございます。
  299. 串田誠一

    ○串田委員 そうしますと、これまでは二十条は特定少年も入っていたけれども、この六十二条ができたことによって、二十条には特定少年解釈から含まれなくなったということでよろしいですよね。
  300. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  現行法特定少年という概念がないものですから、審判時十八、十九歳の少年と考えますが、現行法は、審判時十八歳、十九歳の少年も二十条の対象でございます。  これに対して、改正法におきましては、審判時十八歳、十九歳の者を特定少年として特別の章にまとめましたので、改正法におきましては、特定少年に当たる者の関係は六十二条ということになります。
  301. 串田誠一

    ○串田委員 二十条からは特定少年は外されたということになるのかなと思うんです。  ちょっと先ほど推知報道に戻りますが、川原刑事局長は、私が十七と十八歳の共犯の事例でお話をさせていただいたときに、十八歳が報道されてしまうと、同じ高校の場合に十七歳も推知されるのではないでしょうかと言ったときに、これは議事録なんですが、十七歳の者が本当に推知されるような事項であるならば、十七歳の者を基準として推知報道禁止が働くところでございますというふうに発言されました。  この発言は正しく理解してよろしいですか。
  302. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  改めてちょっと整理して申し上げますが、少年法六十一条に違反するか否かにつきましては、掲載された記事等により不特定多数の一般人がその者を当該事件の本人であると推知することができるかどうかを基準にして判断するとされているものと承知しております。  そのため、委員がおっしゃっておられる事例のように、十七歳の少年と十八歳の少年の共犯事件において、このような基準に照らしまして、十八歳の少年の実名報道が十七歳の少年を当該事件の本人であると推知することができるような情報に当たる場合には、その十八歳の少年の実名報道少年法六十一条に違反するものとして禁止されることになると考えられます。
  303. 串田誠一

    ○串田委員 結論としてはそのとおりでいいと思うんですが、六十一条の条文は、どの文言でそういうふうに解釈ができますか。  六十一条は、「その者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は」「掲載してはならない。」と書いてありますよね。「その者が当該事件の本人であること」と書いてあるので、十七歳を推知させるかどうかということを、この六十一条の解釈論で、どういうふうに説明していくんですか。
  304. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  六十一条の条文に則して申し上げたいと思います。  六十一条は、「家庭裁判所審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者」、これは、委員がおっしゃっておられますように、十七歳の者の推知報道を念頭に置いて考える場合には、この者は、その十七歳の者になります。で、「については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを」、ここにあります「その者」、「当該事件の本人」というものもまた、これも十七歳の少年ということになります。「を推知することができるような記事又は写真を」、途中略しますが、「掲載してはならない。」、こういうことになると考えます。
  305. 串田誠一

    ○串田委員 後半は分かるんですけれども、前半は、「審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、」と書いてあるんですけれども、この「提起された者」には十七歳は入らないですよね。この前段の「審判に付された少年」の中に十七歳が入るという解釈をするんですか。
  306. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  十七歳の者でありましても逆送は可能でございますので。  設例を更に狭めていって、十七歳の者が保護処分になったという事例でということならば「公訴を提起された者」には入りませんが、済みません、委員のお尋ねが十七歳と十八歳の共犯事件でということでありましたので、その十七歳の手続区分については、私の方で特段限定するということなくお答えをしたものでございます。
  307. 串田誠一

    ○串田委員 ですから、特段限定していないから聞いているんですよね。十八歳の者を報道することによって十七歳が推知されてしまう場合に、川原刑事局長は十七歳を基準にして禁止になるとおっしゃられるから、それは六十一条から解釈できるんですかと質問しているんです。  今、川原局長は、最初のときの、推知された者が十七歳という答え方をされているので、そういう答えでいいんですかと聞いているんです。
  308. 川原隆司

    川原政府参考人 お答えを申し上げます。  委員の設例は、ちょっとこれは確認をさせていただきたいんですが、十八歳の者につきましては、公判請求をされていて推知報道禁止の解除になっている者ということでよろしゅうございますか。そうなりますと、その者につきましては、委員の設例そのもので、六十一条の対象ということは考えなくなりますので。  その上で、委員は、先ほど来、その十八歳の者の名前などを報道すると十七歳を推知することになってしまうのは問題なんじゃないだろうかという問題意識でお答えになっていますので……(串田委員「そんなことは言ってないですよ」と呼ぶ)要するに、その十八歳の者の実名報道が、十七歳の者との関係で、六十一条でちゃんと禁止されるのかということでございます。  まさに、十七歳の者の推知事項がこの推知報道禁止対象になるのかということをお尋ねでございますので、先ほど申し上げましたように、繰り返しになりますが、六十一条の家庭裁判所審判に付された少年又は少年のときに犯した罪により公訴を提起された者というのは、今の委員の設例ですと十七歳の者をいいまして、その者が当該事件の本人であることを推知することができるようなというときも、その者が当該事件の本人というものも、これも十七歳の者を指すということでございます。
  309. 串田誠一

    ○串田委員 だんだん訳が分からなくなってくるので。  前回の川原刑事局長とやり取りをしたときの議事録に、十七歳の者が本当に推知されるような事項であるならば、十七歳の者を基準として推知報道禁止が働くところでございますという答えをされているので、だから、十八歳が報道されることは、これは規定としてはそうだろう、そういうことになるんだろうと思うんですけれども、それによって十七歳の者の名前を表示するなんて一言も言っていないんですよ、推知なんですから。  十七歳が推知されることもあるんじゃないですかと言ったら、刑事局長自らが、その場合には、十七歳の者を基準として推知報道禁止が働くところでございますと言うので、それは六十一条の解釈論からそれを導き出せるんですかと聞いているんです。     〔山田(賢)委員長代理退席、委員長着席〕
  310. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  ちょっと前提としてこれも確認させていただきたいんですが、実名報道ということが出ているので、確認いたしますと、委員の設例は、十八歳の者の実名が報道されるということでございますね。その実名が十七歳の者の推知事項になるのではないかということでございます。  前回の私の答弁は、まさにその推知事項になるかどうかというのは、十七歳の者の推知事項になるかどうかという問題だということで、十七歳の者を基準にして考えるんですと申し上げました。  委員先ほど、それを六十一条の解釈で、文言でどこで読むのかとおっしゃられましたので、まさに、私の前回の答弁であります十七歳の者を基準としてというのは、十七歳の者の推知事項を六十一条で禁止することになりますので。十七歳の者の推知事項ですね、十七歳の者が推知される。  十七歳の実名を出すという意味ではなくて、十八歳の実名が十七歳の推知報道になるかということですので、それが、十八歳の実名が十七歳の推知事項になるかどうかというのは、まさに十七歳を基準として、例えば、十八歳の者の実名が出たとしても、およそそれが十七歳の者を推知される危険がなければ委員のような問題は起きないわけですから、そういった形で、共犯者である十八歳の者の実名が十七歳の推知報道になるのか、そういう基準で判断しますので、繰り返しになりますが、条文に即して説明ということになりますと、まさに六十一条の、先ほど申し上げたとおり、審判に付された少年又は公訴を提起された者、あるいはその者が当該事件の本人というのは、これは全て十七歳の者をいうことになるということでございます。
  311. 串田誠一

    ○串田委員 今、ちょっと、そういう解釈だということであるなら、そうすると、十八歳が本来は推知報道される場合があっても、十七歳を推知するようなことがある場合には、十八歳自身も報道されないということになるわけですね。
  312. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  十八歳の者に係る事柄が、繰り返し申し上げますが、十七歳の者の推知報道に当たるという限りにおきましては、十七歳の者の関係で働く推知報道禁止対象となるというものでございます。
  313. 串田誠一

    ○串田委員 はい、分かりました。だから、十八歳でも、本人自身が報道されることがあったとしても、それが十七歳を推知させるような場合には十八歳自身も報道されなくなるという、そういうことですね。  六十八条にそういうことは書いていないですよね。解釈論として、今、ここの法務委員会で発言していただいたということでいいですね。
  314. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  まさに六十一条の解釈でございます。と申しますのは、十七歳の者を基準としてということでございますので、六十一条の問題ということでございます。
  315. 串田誠一

    ○串田委員 ですから、六十八条は、六十一条の規定に関してこの限りではないと書いてある、適用しないと書いてあるからね。そうすると、分離されているように読めてしまうけれども、一体として読んで、六十八条も、六十一条の十七歳が関連するときは六十八条の報道も規制されることがあるんだと。報道されないこともあるんだということを六十一条との絡みで聞いているんですから。  そういうふうに回答されたということにさせていただきますよ。だから、六十八条はそんなことは書いていないからね。  次に、質問を……
  316. 義家弘介

    義家委員長 手が挙がっていますけれども、よろしいですか。(串田委員「はい、では」と呼ぶ)
  317. 川原隆司

    川原政府参考人 お答え申し上げます。  今委員がおっしゃったような六十八条と六十一条の関係というよりは、繰り返し申し上げますが、六十八条は十八歳の者の推知事項の関係、六十一条は、今の委員の設定ですと、十七歳の者の推知事項は六十一条の関係で、六十八条と六十七条がこれはどうなるかという問題ではなくて、あくまで十七歳の少年との関係で六十一条の推知事項の解除がなされないので、その者の推知事項は禁止対象となっていますよということでございます。
  318. 串田誠一

    ○串田委員 改めて言われると余計分からなくなってしまうんですけれども。  だから、十八歳の少年報道してしまうと、同じ高校だったりして、十七歳を推知させることがあると。そのときには、川原刑事局長自らが、十七歳を基準にして禁止するという話になっているので、では、十八歳も報道すると十七歳が推知されるときは、十八歳も報道されなくなるのかなと聞いたんですよ。だって、関係するでしょう、同じ、共犯の場合があり得るわけだから。川原刑事局長はそういうふうに前回答えているから、そういう質問をさせてもらったんですよ。  分離と言われても、分離する場合もあるだろうけれども、合体する場合もあるから、聞いていたら、十七歳を基準にして禁止が働くとおっしゃるので、これは六十八条が適用しないと言っておきながら、六十一条の十七歳を推知させるときには六十八条の適用しないの範囲の中に入るんだろうかなという質問をしたんです。  もし何かあったら、次回にしませんか。
  319. 義家弘介

    義家委員長 ただ、今日終局しますので。  川原刑事局長。分かりやすく簡潔にお願いします。
  320. 川原隆司

    川原政府参考人 委員がおっしゃるとおり、報道がどうなるかという意味では、十七歳に関する六十一条と十八歳に関する六十一条がありまして、十七歳に関する六十一条の禁止が残る限りは報道ができなくなるという関係にあります。  ただ、それが、六十一条が六十八条の例外になるとか、そういう法制的な関係で両者の条文の関係というのではなくて、事実関係に基づいて法の適用関係がそうなっているので、結果的に、十八歳の者については推知報道が解除されているにもかかわらず、十七歳の者との関係推知報道が解除されないものがあるということを申し上げているところでございます。
  321. 串田誠一

    ○串田委員 また議事録を見て考えたいと思うんですが、ずっと侮辱罪とか言っているのは、今や社会的制裁が比べ物にならない状況になっているので、推知されるかどうかということに関しては人一倍やはり気を遣わなきゃいけないと思うんですよ。それを、昭和二十三年の法律をいろいろな意味で拡大解釈したりやったりしても、やはり限界があるから、正面からここは規定をしていく必要が私はあると思っています。  ちょっと問題を変えますが、先ほどギャンブルの件がありましたけれども、飲酒、喫煙等で特定少年がいた場合、警察等はこの少年を、どのように今後、補導されることになるでしょうか。
  322. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 お答えいたします。  警察では、少年警察活動規則に基づく少年の健全な育成を図るための活動の一つとして、公営競技の投票券の購入、飲酒等の不良行為をしている少年を発見したときは、不良行為についての注意、その後の非行を防止するための助言、指導等を行う補導活動を実施しているところでございます。  これまで十八歳、十九歳の者に対する補導活動を実施してきたこと、また、今回の少年法改正案では、十八歳、十九歳の者が特定少年として同法上の少年と位置づけられていること等を踏まえますと、特定少年につきましても引き続き補導活動の対象とすべきものと認識しており、今国会における御議論等を踏まえつつ、今後、その具体的な内容について検討してまいりたいと考えております。
  323. 串田誠一

    ○串田委員 今、紹介がありました少年警察活動規則というのがあるんですが、ここで少年が定義があります。十二条、十三条、十四条。  十二条は、犯罪少年、触法少年、虞犯少年。十三条は、非行少年。十四条は、不良行為少年。こう定義があって、特定少年というのはないんですよ。  この後どうなるのかというのは、実はしっかりと考えていかなければならないんですが、この中では、犯罪少年でもないでしょう、犯罪じゃないんですよね。競馬法だとか公営ギャンブルに関して、未成年者の場合にはしてはならないとなっているけれども、刑事罰相手方を処罰するんであって、行為者は犯罪にはならないという理解をしているんですが、その後、十二条の触法少年や虞犯少年に、虞犯少年特定少年に入れないと言っているんですから、十二条の対象にならない。非行少年は、罪を犯した少年ですから、これも入らない。そうすると、十四条の不良行為少年に入るのかなと思うんですが、その場合に、必要に応じて、保護者又は学校等に連絡をするということになるんですけれども、これは特定少年という、少年法が改正されても変わりませんか。
  324. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 少年警察活動規則につきましては、今回の少年法改正案の審議を踏まえまして、今後どういうふうにしていくべきかについては検討していきたいと考えておりますけれども、先ほども申し上げましたように、不良行為少年特定少年の中でも不良行為少年に現在該当するような方につきましては、今行っているような対応を引き続きやっていきたいというふうに考えております。
  325. 串田誠一

    ○串田委員 学校が連絡を受けたときは、学校としてはどのように対応するでしょうか。
  326. 蝦名喜之

    蝦名政府参考人 お答え申し上げます。  特定少年であるか否かにかかわらず、御指摘の公営ギャンブルや飲酒等の年齢制限に反した生徒に対しましては、学校といたしましては、場合によりましては警察と連携しつつ、適切な指導を行う、これは、これまでも高等学校等に在籍している生徒に対しては行ってまいりましたけれども、今後も同様に考えてございます。
  327. 串田誠一

    ○串田委員 質問をしてきた趣旨というのは、学校教育法の保護者あるいは少年警察活動規則における保護者、若干定義が違うんですけれども、例えば学校教育法の十六条の保護者は、親権者又は未成年者後見人となっているんですね。来年の民法の成年年齢が引き下げられることによって、親権者がいなくなるわけですよ。そうすると、これまでは、そういう不良行為少年に関しては、少年警察活動規則に関しては、保護者及び学校等に連絡をすると書いてあって、保護者自身が既にいない、そしてまた、学校等に連絡をしても、学校等にも保護者がいない。今までは、保護者に連絡をしていたのが、特定少年になると、成年ですので、親権者がいなくなりますから、保護者がいないという意味では、十七歳と十八歳、同じ高校三年生でも扱い方が変わるのかどうか。そして、保護者ではないのに、両親といっても、何らかの自分の、成年の行為を両親に知らしめるということ自体が、何の権限によって行われることになるのか。ここら辺の法整備が行われていないことに対して、大変、私としては十分でないような気がするんですが、今後、この少年警察活動規則、これは、少年法を改正することによって、文言等も改正しなければならないんじゃないんですか。
  328. 檜垣重臣

    檜垣政府参考人 委員指摘のように、少年警察活動規則におきましては、少年法の定義を引用したりしておりますので、今後改正が必要になってくる部分もあろうかと思います。これにつきましては、また今後しっかりと検討していきたいと思っております。
  329. 串田誠一

    ○串田委員 補導はすぐに起きますので、ここの部分が十分にできていないところは、やはり政府も認識をしていただいて、速やかに改正していただかないと、保護者がいないんですよ、十八歳になると。親権者と後見人とか書いてある定義によりますと。  最後に、上川大臣に、先ほどからずっと推知報道質問をさせていただきましたが、大正十一年と文言は、後半部分、全く変わらない状況の中で、昭和二十三年にできたものを、今のネット社会の、非常に個人の情報を攻撃するようなことも起きるような時代の中で、このままでいいのかどうか。私は、この部分、しっかりと改正していかなければならないと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。
  330. 上川陽子

    ○上川国務大臣 先ほど来の議論の経緯も踏まえた上で、刑事局長からも答弁したところでございますが、少年法第六十一条の趣旨につきまして、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することにございます。  紙媒体の出版物への掲載以外の方法によるものであっても、例えば、先ほど来議論になりましたインターネット上で本人であることを推知させる情報を流布する行為につきましては、このような趣旨に反するものであるというふうに考えております。  そのため、もとより法律規定ということにつきましては、不断の見直しが必要ではございますが、現段階ではあえて同条の規定ぶりにつきましてそれ自体を改めるような改正をしなければならないというふうには考えておりません。
  331. 串田誠一

    ○串田委員 非常に重要なことですので、是非検討していただきたいと思います。  終わります。ありがとうございます。
  332. 義家弘介

    義家委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。  次回は、来る十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会