○山花
委員 前回、
被害者のことについて申し上げて、私は、
被害者の場合ですが、原則として、御本人か、あるいは
ケースによっては御遺族になる
ケースもあります、御家族の、同意が必要なのではないかということでお話をいたしました。
ちょっと気になったのが、何か個人情報保護法なり個人情報保護条例に基づいて、これが適法なんです、公表していいんですという
説明よりも、むしろ、今の、多分、考える考え方は一緒で、これは行政法上の、法的に言うと警察比例の原則、比例原則に従ってと言っているように聞こえるんです。
ただ、今回、比例原則みたいですよねというのは
質問通告のときにお話ししましたが、ちょっとあの後、気がつきまして、これは被疑者の
ケースもそうだし、前回お話しした
被害者の
ケースでもそうなんですけれども、よくよく考えると、義務はなくて、任意に公表していますということです。つまり、ちょっととがった言い方をすると、任意に個人情報を行政機関が開示していますと。
なんですが、これは個人情報ではありませんけれども、これも行政法の一般的な理屈です。公表という制度が行政法の世界ではあって、具体的に言うと、企業名の公表。これは
制裁的な
意味合いで使っている
ケースが多いと思います。例えば、
法律を守らない企業に対してということで、
法律のたてつけとしても、○○
大臣は、事業者がこういう勧告に従わないときはその旨を公表することができるというスタイルです。
ここ何年かで問題になった
ケースでいうと、障害者の雇用の促進等に関する
法律、法定雇用率を守っていない企業については公表しますよみたいな、そういうことであるとか、雇用の分野における男女のいわゆる雇用機会均等法等々、たくさんあります。また、取引の安全を確保するための公表制度ということで、例えば食品衛生法などで、厚労
大臣が、食品衛生上の危害の発生を防止するということで、この
法律又はこの
法律に基づく処分に違反した者の名称を公表しとありますので、そういった
ケースで公表するというものです。
これは、それこそ我々が国会に来る前のことだと思うんです、九九年だと思うんですが、昔は、行政指導という制度があって、制度があってというか、
法律の根拠に基づかない行政指導ということで、それが問題となりまして、行政手続法等々ができてきて、その中で、新たな手法として公表というのが用いられるようになりました。
それこそ、たかだか十数万円の罰金を払うんだったら痛くもかゆくもないみたいな企業にとっては、むしろ公表される方が痛いのでということで、そういう制度が注目をされるようになってきましたし、ここ最近でいうと、それこそ、私自身はどうかなと思うんだけれども、実際に耳目を集めた
ケースでいうと、このコロナ禍の中で、休業要請しているにもかかわらずパチンコ屋が開いているじゃないかということで、ある県がそのお店の名前を公表したという
ケースがあります。
どうも、
犯罪とかの
関係だと、我々はふだんちょっと麻痺しちゃっているのか慣れているのかなんだけれども、よくよく考えると、行政機関が公表するというのは余り、ペナルティー的なこういうことで使われている
ケースもあるわけですから、要するに、同意なく、任意で、例えば
被害者の情報を公表するというのはやはり問題なのではないのかなと改めて思います。
先ほどの議論でもちょっと関連するようなことが触れられておりましたが、令和二年度の
犯罪白書でいいますと、例えば、警察から
検察に新規で受理している件数が年間九十万件ほどです。警察が、全部が全部
検察に送っているわけではないでしょうけれども、少なくとも
検察に送っている、要するに、いわゆる
逮捕とかそういうことがあったんでしょう、九十万件ほどですが、うち、起訴までに至っているのが二十八万件です。つまり、それ以外の
ケースについては、嫌疑不十分の
ケースもあるでしょうし、中には誤認
逮捕だったという
ケースもあるのではないかと思います。さらに、その中で、懲役、禁錮まで至るのが約五万件ということであります。
これは、一般の方々の
印象だと、
逮捕されると直ちに有罪で刑務所に行くみたいな、ちょっと極端かもしれませんが、そういう
印象を持たれている方があるのではないかと思います。ただ、問題は、全然違うんですよね。九十万件処理しているのに、刑務所までというのは約五万件ですので、そういう
意味でいうと、比率でいうと極めて少ないです。少なくとも、起訴まで行くレベルでも、九十万に対して二十八万ですので。ということがあります。
もちろん、これはいろいろな事情を考えて、そこまでやらなくてもということで、実は黒なんだけれどもそうだと
判断された
ケースもあれば、限りなく黒なんだろうけれども、ちょっと公判維持するまでにはということで処理している
ケースももちろんあるんだとは思いますけれども、ただ、他方、必ずしもそうでない
ケース、つまり、ちょっとこれはどうなんだろう、白に近いのかなという
ケースから、明らかに誤認だったという
ケースも恐らくあるんだと思うんです。
ところが、これは被疑者について申し上げると、被疑者については、それでも、いろいろな事情を勘案して、実際公表している
ケースがあるわけです。後々それが本当に黒だったかどうかというのは、一般の方は分からないけれども。
ただ、前回からの問題意識なんですが、昔と違って、そういったことがネットに出て、半永久的というか、閲覧がすごく容易な形でできるようになってしまっているという世の中になっているということは、ちょっと考えなきゃいけないことではないかと思います。
昔だって、新聞の縮刷版なんというのは国会図書館でほぼ永久に残っているので、探そうと思えば探せたのかもしれません。しかし、それは、わざわざ
資料を探してコピーを取って、みんなにコピーを回すみたいなことをしないと広まりません。そんな時代でしたけれども、今や、もう指一本で操作すれば世の中に拡散できるという時代でありますので。
今、三つの要素をという話でございましたけれども、何か必要以上にというか、少なくとも、今まさに、国会ではプロ責法の議論があって、またこういう時代になってという認識は、多分、それは共有していただけると思いますので、今後、発表の段に当たって、より抑制的にというか慎重に、将来こういったことも起こり得る、起こり得るというのは、発表したことがずっとネットなんかでも追いかけられ得るということも考慮した上で、氏名の公表ということについては
判断していただきたいと思いますけれども、警察の方で御答弁いただけますでしょうか。