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萩生田国務大臣 この度、
政府から提出いたしました
著作権法の一部を改正する
法律案について、その提案理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
この
法律案は、著作物等の公正な
利用を図るとともに著作権等の適切な保護に資するため、図書館等が著作物等の公衆送信等を行うことができるようにするための規定を整備するとともに、放送同時配信等における著作物等の
利用を放送等における
利用と同様に円滑化するための
措置を講ずるものであります。
次に、この
法律案の内容の概要について御
説明申し上げます。
第一に、図書館関係の権利
制限規定の見直しを行います。
図書館関係の権利
制限規定については、従来から、デジタル化、ネットワーク化に
対応できていない部分があるとの課題が
指摘されてきたところ、今般の
新型コロナウイルス感染症の流行に伴う図書館の休館等によって、インターネットを通じた図書館
資料へのアクセスに係るニーズが顕在化いたしました。こうした
状況を踏まえ、権利者利益保護の
観点に十分留意しつつ、デジタルネットワーク技術を活用した国民の情報アクセスを充実させていくことが重要であります。
このため、まず、国立国会図書館が、絶版等で一般に入手困難な
資料のデータを、図書館等だけではなく、事前登録した
利用者に対して直接インターネット送信できるようにします。これによって、
利用者は、各家庭等にいながらにして、国立国会図書館のウェブサイト上で多様な
資料を閲覧することができるようになります。
また、図書館等において、
利用者の
調査研究の用に供するため、現行の紙媒体での複写サービスに加え、権利者保護のための厳格な要件の下で、著作物の一部分をメールなどで送信することができるようにします。その際、図書館等の設置者が権利者に補償金を支払うよう求めることとします。
第二に、放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化のための
措置を講じます。
放送番組のインターネット同時配信等は、視聴者の利便性向上やコンテンツ産業の振興等の
観点から非常に重要な
取組であります。他方、放送番組には、多様かつ大量の著作物等が
利用されているため、同時配信等を
推進するに当たっては、これまで以上に迅速かつ円滑な権利処理を可能とする必要があります。
このため、放送事業者の有する権利処理に係る様々な課題に総合的に
対応し、著作権
制度に起因して映像の差し替えなどが生じる「フタかぶせ」を解消することを目指して、同時配信等について、放送と同様の円滑な権利処理を実現いたします。
具体的な
措置としては、まず、
学校教育番組の放送や国会等での演説の
利用など、放送では許諾なく著作物等を
利用できることを定める権利
制限規定について、同時配信等にも適用できるように
拡充します。また、放送事業者と権利者が放送番組での著作物等の
利用を認める契約を行う際、権利者が別段の意思表示をしていなければ、放送に加え同時配信等での
利用も許諾したものと推定する許諾推定規定を創設することで、放送と同時配信等の権利処理をワンストップ化します。
また、集中管理等が行われておらず円滑に許諾を得ることが困難なレコードや実演について、同時配信等に当たっての事前の許諾を不要としつつ、事後的に放送事業者が権利者に補償金を支払うことを求めることとします。
さらに、放送に当たって放送事業者と権利者との協議が調わない場合における
文化庁長官の裁定
制度を、同時配信等でも活用することができるようにします。
このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願いいたします。