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2021-04-07 第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月七日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    尾身 朝子君       大串 正樹君    工藤 彰三君       櫻田 義孝君    繁本  護君       柴山 昌彦君    谷川 弥一君       中村 裕之君    根本 幸典君       馳   浩君    福井  照君       船田  元君    古田 圭一君       三谷 英弘君    村井 英樹君       山本ともひろ君    吉良 州司君       下条 みつ君    寺田  学君       中川 正春君    谷田川 元君       山内 康一君    吉川  元君       笠  浩史君    古屋 範子君       鰐淵 洋子君    畑野 君枝君       青山 雅幸君    白須賀貴樹君     …………………………………    文部科学大臣       萩生田光一君    国務大臣    (東京オリンピック競技大会東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    文部科学大臣政務官    兼内閣大臣政務官    三谷 英弘君    会計検査院事務総局第五局長            原田 祐平君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君    政府参考人    (文部科学省研究振興局長)            杉野  剛君    政府参考人    (文部科学省研究開発局長)            生川 浩史君    政府参考人    (スポーツ庁次長)    藤江 陽子君    政府参考人    (文化庁次長)      矢野 和彦君    参考人    (公益財団法人東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会事務総長)           布村 幸彦君    文部科学委員会専門員   但野  智君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   中村 裕之君     工藤 彰三君   藤田 文武君     森  夏枝君 同日  辞任         補欠選任   工藤 彰三君     中村 裕之君   森  夏枝君     青山 雅幸君 同日  辞任         補欠選任   青山 雅幸君     藤田 文武君     ――――――――――――― 四月二日  教育費負担公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願津村啓介紹介)(第四九〇号)  同(山本和嘉子紹介)(第四九一号)  同(階猛紹介)(第五三〇号)  同(浅野哲紹介)(第五五五号)  同(森山浩行紹介)(第六一〇号)  国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増教育無償化教育条件の改善に関する請願津村啓介紹介)(第四九二号)  同(石川香織紹介)(第五三一号)  同(大河原雅子紹介)(第五三二号)  同(逢坂誠二紹介)(第五三三号)  同(櫻井周紹介)(第五三四号)  同(寺田学紹介)(第五三五号)  同(浅野哲紹介)(第五五六号)  同(神谷裕紹介)(第五五七号)  同(佐々木隆博紹介)(第五五八号)  同(長谷川嘉一紹介)(第五五九号)  同(日吉雄太紹介)(第五六〇号)  同(福田昭夫紹介)(第五六一号)  同(谷田川元紹介)(第五六二号)  同(屋良朝博紹介)(第五九三号)  同(山岡達丸紹介)(第六二六号)  特別支援学校設置基準策定に関する請願石崎徹紹介)(第五二一号)  同(大河原雅子紹介)(第五二二号)  同(逢坂誠二紹介)(第五二三号)  同(黒岩宇洋君紹介)(第五二四号)  同(重徳和彦紹介)(第五二五号)  同(寺田学紹介)(第五二六号)  同(牧義夫紹介)(第五二七号)  同(宮本徹紹介)(第五二八号)  同(柚木道義紹介)(第五二九号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第五六三号)  同(浅野哲紹介)(第五六四号)  同(笠井亮紹介)(第五六五号)  同(神谷裕紹介)(第五六六号)  同(源馬謙太郎紹介)(第五六七号)  同(穀田恵二紹介)(第五六八号)  同(志位和夫紹介)(第五六九号)  同(清水忠史紹介)(第五七〇号)  同(塩川鉄也紹介)(第五七一号)  同(篠原豪紹介)(第五七二号)  同(田村貴昭紹介)(第五七三号)  同(高橋千鶴子紹介)(第五七四号)  同(照屋寛徳紹介)(第五七五号)  同(長谷川嘉一紹介)(第五七六号)  同(畑野君枝紹介)(第五七七号)  同(日吉雄太紹介)(第五七八号)  同(福田昭夫紹介)(第五七九号)  同(藤野保史紹介)(第五八〇号)  同(宮本徹紹介)(第五八一号)  同(務台俊介紹介)(第五八二号)  同(本村伸子紹介)(第五八三号)  同(山崎誠紹介)(第五八四号)  同(岡本あき子紹介)(第五九四号)  同(本村伸子紹介)(第五九五号)  同(青山大人紹介)(第六一一号)  共に生きる社会を目指して障害者権利条約規定するインクルーシブ教育の実現を求めることに関する請願大河原雅子紹介)(第五五四号)  同(道下大樹紹介)(第五九六号)  同(金子恵美紹介)(第六一二号)  同(横光克彦紹介)(第六二七号)  子供たちが安心して学べる学校にすることに関する請願岡本あき子紹介)(第五九二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  会計検査院当局者出頭要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  文化財保護法の一部を改正する法律案内閣提出第二〇号)      ――――◇―――――
  2. 左藤章

    左藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出文化財保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として公益財団法人東京オリンピックパラリンピック競技大会組織委員会事務総長布幸彦君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、研究振興局長杉野剛君、研究開発局長生川浩史君、スポーツ庁次長藤江陽子君及び文化庁次長矢野和彦君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第五局長原田祐平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 左藤章

    左藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。神山佐市君。
  5. 神山佐市

    神山委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会、神山佐市です。よろしくお願いします。  本日の質問機会をいただきました。ありがとうございました。  民俗文化財は、文化財保護法上では、衣食住なりわい信仰、年中行事に関する風俗慣習民俗芸能民俗技術及びこれに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活推移理解のため欠くことができないものと規定されております。  しかし、これだけでは、民俗文化財とは何かという問いの答えとして必ずしも適切ではないと思います。  文化財の頭に、民俗の語が付されています。つまり、多岐にわたる文化財種別の中で、民俗文化財だけは唯一、民俗学という学問の名を直接冠しております。  民俗文化財そのものは、昭和二十九年に、文化財として独立した分野に確立されたと聞いております。当時は民俗資料と言われていましたが、昭和五十年の法改正により、民俗文化財と呼称が変わりました。  余談ですが、地理学に基づく地理文化財歴史学に基づく歴史文化財などの種別はありません。また、民俗という言葉一般用語ではなく、民俗学対象にした学術用語でもあります。民俗学学術用語をそのまま冠した文化財民俗文化財であります。柳田国男氏や渋沢敬三氏、折口信夫氏などの民俗学者の考える民俗をベースに、その中から行政保護対象としたのが民俗文化財なのであります。  私が思うに、民俗文化財は、定義すれば、各地域人々が上の世代から受け継いできた生活文化民俗のうち、行政保護対象としたもので、中でも無形民俗文化財は、今を生きる人々行為言葉、感情などの形のない部分ということになると考えていますが、御見解をお伺いします。
  6. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  文化財保護法における無形文化財民俗文化財とは、委員の今御指摘になりましたような、我が国民の生活推移理解のために欠くことのできない生活文化基盤となっているような風俗慣習民俗芸能民俗技術のことでございまして、これらは、日本風土の中で生まれ、育まれ、世代から世代へと繰り返し伝えられてきた、現在の私たちの暮らしの中に生きる無形伝承というものを指すものと考えているところでございます。
  7. 神山佐市

    神山委員 無形文化財及び無形民俗文化財について国が登録制度を設けることについては、地域で行われている様々な行事を国が一定の価値があるものと評価することで、地域のモチベーションの維持につながることが期待されます。  重要無形民俗文化財以外の無形民俗文化財のうち、記録保存、公開に対して経費の一部を公費による補助を受けることができるものとして、文化審議会の答申に基づき文化庁長官によって選択された、文化財記録作成などの措置を講じるべき無形民俗文化財、いわゆる選択無形民俗文化財が既にあります。  新たな制度と混同されることが懸念されますが、違いについて教えてください。
  8. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  国の文化財登録制度と、既に制度化されている記録制度との違いについてのお尋ねかと思います。  文化財指定制度とか、あるいは登録制度が、規制や補助といった様々なツールを用いながら継続的に文化財保存活用を図っていく趣旨のものである。これに対しまして、今委員から御指摘のございました記録選択制度は、無形民俗文化財について言えば、文化財保護法第九十一条に規定されているものでございまして、貴重な無形民俗文化財について、一時点での記録を作成し、後世において参照できるようにする、こういう趣旨でございます。  このように、新設する登録制度と従前からある記録選択制度と、その趣旨、目的は異なるものでございまして、これは、両者が相まってより適切に無形文化財保護を図る、それが可能となるというふうに考えております。  以上でございます。
  9. 神山佐市

    神山委員 これまで、文化財保護法に基づく文化財指定登録などは、現場担当者文化庁調査官など、その分野の学術的な専門家によって担われています。指定登録などは、学術的な専門性に基づく議論、検討を積み重ねることによって審査、決定が行われてきました。  登録有形文化財に比べて、特に無形民俗文化財は、同じ類型の文化財が多数存在し、それらの優劣をつけることが困難であり、文化財登録基準が多様となります。具体的には、調査官及び委員に、学術的に確立した専門的な知見を有する学識経験者確保及び審査のための現地調査が欠かせないなど、円滑な制度推進のためには文化庁体制の充実が欠かせないと考えております。  対応策についてお伺いします。
  10. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のように、国の登録制度を円滑に推進していくためには専門的な知識を有する職員等を充実させる必要があると認識しており、その専門家によって、地方調査現地調査など、研究調査が充実する必要があるというふうに考えております。  このため、文化庁といたしましては、例えば、芸能三人、工芸技術三人、民俗文化財三人、食文化二人、これは昨年度新規に配置いたしました、生活文化一人、こういった常勤職員のほか、専門的な知識を有する者の力をかりるという観点から非常勤の調査員の委嘱も行っておりまして、昨年度総計七十七名でございますが、そういった制度活用も含めて、必要な体制確保に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  11. 神山佐市

    神山委員 先ほどの質問と併せて、登録制度を新設する場合には、幅広く文化財裾野を広げて保存活用を図るとありますが、幅広く裾野を広げることは、基準そのものが曖昧になると考えています。さらに、柔軟に運用すれば、無形であるがゆえに有形よりも一層曖昧になる可能性が高くなります。また、登録するとなれば、国によるしっかりした学術的な調査も必要となりますが、この点について御所見をお伺いします。
  12. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  国の登録制度は従来の指定制度を補完するものであることから、委員指摘のように、今回の制度改正に伴い、保護を図る無形文化財裾野が広くなるということがございまして、その登録基準も、指定基準指定文化財と比較すると緩やかなものとなるというふうに考えております。  このため、これまで対象としてこなかった分野の積極的な保護を図っていくため、価値づけが定まっていない多種多様な無形文化的所産についての調査も進めていくこととしており、令和三年度予算におきまして無形文化的所産調査新規に計上しているところでございます。  また、登録する際は、文化審議会による専門的見地からの調査審議を経るということにしておりまして、委員指摘のように、運用に当たっては登録制度が曖昧なものとならないように努めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 神山佐市

    神山委員 無形民俗文化財には、風俗慣習民俗芸能民俗技術などがあります。このうち、風俗慣習民俗芸能についてはある程度容易にイメージができます。特に、高度成長期に生まれた世代方々にとっては、生活体験近代化の中で育ってきたわけで、民俗技術とはどういうものを指すのか分からないと思います。現存する民俗技術は何かという問いかけに答えられる体制市区町村にないとも聞いております。  民俗技術について、資料衣食住とありますが、説明をお願いします。
  14. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  民俗技術とは、地域における生活や生産に関する製作技術として伝承されてきたものでございます。  例えば、衣生活に関わる民俗技術といたしましては、鹿児島県の与論島に伝わる、イトバショウの繊維から糸を作り、布を織り上げる与論島芭蕉布製造技術、食生活に関わる民俗技術としては、石川県の能登半島で古くから行われてきた、海水を利用した塩田での塩作りである能登の揚浜式製塩技術など、こういったものが重要無形民俗文化財指定されております。  住生活に関わる民俗技術については、今後の調査研究に基づいて保護を図ってまいりたいと考えておりますが、例えばですが、カヤぶき民家の屋根ぶきの技術であるとか、豪雪地帯での雪囲いの技術など、こういったものが保護対象として想定されているところでございます。
  15. 神山佐市

    神山委員 風俗慣習民俗芸能も、宗教行為がほとんどだと思います。また、民俗技術にしても、大徳寺、一休宗純が伝えたものとしている大徳寺納豆を始め、寺で作っている保存食などがあります。宗教施設の中で行われているものは全て宗教事業宗教行為と捉えられかねません。  無形民俗文化財分野では、宗教的な行事について国が文化財として保護していくことの理解が得にくい側面がありますが、宗教行事文化財保護との関係について御所見をお伺いします。
  16. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  無形民俗文化財とは、四季折々の祭りや年中行事、人の一生の節目に営まれる人生の儀礼などの風俗慣習や、神楽、田楽、風流などの民俗芸能、そして生活なりわいに関わる製作技術等民俗技術でございます。  これらは、日本風土の中で生まれ、世代から世代へと繰り返し伝えられてきた無形伝承でございまして、地域において宗教的な要素を持つこともあり得ますが、一方で、神職が執り行うような宗教的な行事そのもの民俗文化財として取り扱うということではございません。宗教的な行事そのものではなく、その土地に生きる人々生活文化基盤となっているような部分対象民俗文化財としての保護を図っているところでございます。  例えば、神楽の多くは神社祭礼で奉納されておりますが、神楽重要無形民俗文化財指定に当たっては、神職方々による祝詞奏上玉串奉奠などの部分指定対象には含めておらず、神楽が演じられる部分民俗芸能として指定しているところでございます。
  17. 神山佐市

    神山委員 萩生田大臣にお伺いします。  無形民俗文化財は、生きた文化財と思います。社会状況生活形態に応じて様々な症状が出ています。廃れてしまうもの、息を吹き返すもの、現在最も深刻と考えているのは、過疎化少子化高齢化などによる、行事担い手、後を継ぐ世代の絶対的な不足であります。民俗文化財の登場した頃は、地域やそこに縁のある人が民俗を担っていましたが、この伝承システムは今や機能不全に陥っています。  担い手の問題として重要なことは、そもそもなぜ無形民俗文化財を担うのかという担い手側の意思であります。かつては、日常生活の中での楽しみや深い信仰など、その人の生活人生意味があったと推測します。しかし、現代においては、生活なりわいの在り方が劇的に変わったことにより、何が意味があるのでしょうか。来年が待ち遠しいという気持ち、自然や歴史への畏敬や敬意、祭り行事の日が近づくと躍動してくる心など、各人の生活人生における意味をいかに育んでいるか、課題と思います。  行政の立場から、無形民俗文化財保護に何ができるのか、妙案があれば教えてください。
  18. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 無形民俗文化財は、各地域に根差し、我が国民の生活推移理解のため欠くことのできないものであって、確実に後世に継承していくことが重要であると認識しています。  このため、今回新たに制度化する登録制度により、各地域に所在する無形文化財の価値づけを適切に進め、その保護を図っていきます。国が文化財として価値づけをしっかりと行うことで、地域人々の意識が変わり、その継承につながると考えています。  登録された無形民俗文化財の活動に対し、文化庁として、伝承者の養成や普及、広報、映像記録作成などの支援を行いたいと思います。  また、今回の制度改正が、日本各地に残る文化多様性や奥深さを国内外の多くの人に知ってもらえる機会となることも期待しております。  文化庁による情報発信も積極的に行っていきたいと思っています。
  19. 神山佐市

    神山委員 埼玉県議会から、無形文化財等保護推進を求める意見書が提出されたことをお伝えし、私の質問を終わります。
  20. 左藤章

    左藤委員長 次に、浮島智子君。
  21. 浮島智子

    浮島委員 おはようございます。公明党の浮島智子です。  本日は、文化財保護法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、無形文化財登録制度創設についてお伺いをさせていただきたいと思います。  無形文化財登録制度創設については、昨年の秋、党においても関係者からヒアリングを行わせていただきました。地域のお祭りなど、後継者不足に大変悩んでおられて、これまでも存続が危ぶまれてきたところでございますけれども、このコロナ禍において更に悪化をしているのが現状でございます。  他方、日本には、ユネスコ無形文化遺産を目指せる文化財も多く存在しております。こうした文化財ユネスコ無形文化遺産登録基準を満たすためにも、文化財保護法により、何らかの保護措置が必要だと思っております。  このため、無形文化財登録制度は非常に有益と考えておりますが、なぜこのタイミングで無形文化財登録制度創設するのか、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。
  22. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 地域祭りや書道、茶道、華道、食文化を始めとした生活文化については、今先生御指摘ございましたように、ユネスコ無形文化遺産も目指せるような文化財もたくさんあると思っております。  一方で、少子高齢化等による担い手不足でかねてから存続が危ぶまれている中、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて開催や公演等機会が減少し、一層厳しい状況に置かれていると認識しています。  こうした無形文化財に対しては、その伝承が途絶えてしまう前に、早急に法的な保護を図るとともに、その継承取組支援していくことが必要です。  現在、地域祭り民俗芸能などについては、都道府県ごとに総合的な調査を実施し、また、生活文化についても、その歴史担い手などの詳細な調査が進んできた分野もあるなど、これらの文化財をしっかり価値づけし、保護していく準備が整いつつあります。  こうした状況を踏まえ、今般、本法案により、学術的調査の蓄積に相当の時間を要する指定制度を補完するものとして、早急に無形文化財登録制度創設し、緩やかな保護を行うこととしたものです。  また、登録された文化財については、調査記録作成などの支援も実施し、我が国の貴重な文化財が確実に継承されていく環境を整備してまいりたいと考えています。
  23. 浮島智子

    浮島委員 是非とも、我が国の重要な文化財をしっかり守っていくために、よろしくお願い申し上げます。  次に、地方登録制度法制化についてお伺いをさせていただきたいと思います。  京都市においても、大文字の送り火など、市の登録無形民俗文化財というふうになっております。また、兵庫県でも、二十四の建造物、これが県の登録文化財となっているなど、指定制度に加えて、法律上の規定はないものの、独自に条例等登録制度を設けている自治体がございます。  こうした取組は、例えば、将来的には指定されていくような文化財が散逸したり消滅したりしないように、早めに保護をしていく、網をかけていくという観点からも大変すばらしい取組であると私は思っております。  このような取組が特定の自治体でしか実施されていないのはもったいないと考えますけれども、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 文化財地方登録制度については、御指摘のとおり、文化財保護法上の規定はありませんが、地方自治法に基づく独自の条例などによって三府県と八十三市町村において実施されており、登録件数は年々増加傾向にあると承知しております。  一方、平成三十年改正時に導入した文化財保存活用地域計画認定制度活用により、今後、各地域における未指定文化財の把握が進むことが見込まれており、地域文化財地域で守り育てるという観点から、その適切な保護を図るため、地域の実態に合わせた多様な保存活用の仕組みに整備が必要と考えております。  このため、今回、地方登録制度法制化し、国、地方文化財保護制度体系的整備を図るとともに、まだ登録制度を導入していない地域における取組を促進してまいります。  本法案が可決された際には、先行して登録制度を実施している地方公共団体取組を尊重しつつ、説明会の実施や好事例の提供など、各地方公共団体における検討を積極的に後押ししてまいりたいと考えております。
  25. 浮島智子

    浮島委員 是非とも、周知もしていただけるように、お願いをさせていただきたいと思います。  最後に、国と地方専門人材確保、また、保存技術人材育成についてお伺いをさせていただきたいと思います。  無形文化財登録制度創設すると、それだけ事務量も増えると思います。文化庁体制整備を行う必要もあると思います。また、法制化に伴って登録制度を導入する地方公共団体、ここにも同じことが言えると思います。  法律の円滑な施行のため、国と地方における文化財専門人材確保に向けて、どのような対応を実施するおつもりなのでしょうか。  それと同時に、また、これまでも何度か質問をさせていただいてきましたけれども、文化財を守るために欠かせないのは、文化財の修理に欠かせない保存技術人材育成、そして、修理に必要な用具、原材料の確保であります。  いろんな現場のお声を聞かせていただきますと、前にも質問させていただきましたけれども、能楽堂の方々からも、鼓が作れなくなってきたと。やはり、技術の人もいないし、用具もなくなってきた。私たちには機微な音色はよく分からないんですけれども、やはり大分違ってきていると。でも、そういうすばらしい日本の伝統文化をしっかりと継承していくためには、やはり人材育成をしていかなければいけないし、用具の確保というのは必須でやらなければならないと思っております。  これまで何度か、ずっと文化庁にも質問させていただいてきましたけれども、前向きな答弁、しっかりと取り組んでいくという御答弁は今までいただいておりましたけれども、文化庁として文化財の置かれている現状をしっかりと把握しているのか。また、私は、きちんと国として計画を立てて、何年でやるとか、しっかり計画を整えてやっていくべきと考えますけれども、大臣の見解を伺わせていただきたいと思います。
  26. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 御指摘のとおり、無形文化財登録制度の円滑な実施のためには、国、地方双方において専門人材を含めた体制整備を図ることが重要です。  この点については、本法案の基となった文化審議会の企画調査会からも御指摘を頂戴したところであり、文科省において、文化庁文化財保護に関する体制について必要な整備を行ってまいりたいと思います。  また、地方体制整備についても、企画調査会の提言も踏まえながら、専門知識を有する大学等との連携や、広域的な連携などの先進事例の横展開を図るとともに、文化庁調査官などから地方公共団体が指導助言を受けられる仕組みの構築を検討してまいりたいと思います。  また、御指摘のありました文化財の修理には、専門的な技術や用具、原材料が欠かせませんが、委員よりかねてから御指摘いただいているように、その存続や入手が困難な状況が続いてきました。  そこで、修理人材の育成については、順次、文化財保存に欠くことのできない技術を選定し、その保持者や保存団体を認定して支援をしてきたところです。また、用具、原材料については、令和元年度から実態把握のための調査に着手し、支援方策を明らかにした上で、令和二年度は二分野令和三年度は五分野に対して支援を行っているところです。  このように、文化財修理に必要な人材、用具、原材料に関し、実態把握と支援の実施をセットにして、令和三年度中に五か年程度の計画を策定したいと思っております。当該計画に基づき、必要とされる分野支援を講じるとともに、持続性のある文化財修理の仕組みを構築してまいりたいと考えております。
  27. 浮島智子

    浮島委員 今、大臣の方から、令和三年度中に五か年計画という御答弁をいただきました。  是非とも、この計画にのっとって、日本のすばらしい伝統文化を守っていくために大臣が先頭に立っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日はありがとうございました。
  28. 左藤章

    左藤委員長 次に、谷田川元君。
  29. 谷田川元

    ○谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。  三谷大臣政務官はどちらにいらっしゃいますか、ああ、そこに。失礼しました。  今日は、文化財保護法の一部を改正する法律案の審議でございますが、その前に、この法案の審議が遅れた一番大きな理由は、法案の誤りが見つかったということでございます。そのことに関して、まず質問をしたいと思います。  お手元に、皆さん、資料が配られておりますよね。それを見ながら質問したいと思うんですけれども。  資料一は、三月二十四日の理事会そして委員会の経緯を簡単にまとめたものでございます。  三月二十四日は一般質疑がございました。八時五十分に理事会が開催されまして、そこには三谷大臣政務官が陪席されていらっしゃいまして、法案の誤りについては一切発言をされませんでした。その後、九時に委員会が開催されまして、九時三十分頃、我が党の理事の下に、立憲民主党国対から法案の誤りがあると知らされました。それで急遽、牧筆頭、そして小渕筆頭がこの場で協議して、その日の法案趣旨説明は取りやめ、そうなったんですね。それで、審議の終了後の理事懇談会で、三谷大臣政務官から謝罪と説明があった。それを簡単に経緯としてまとめました。  そこで、まず三谷政務官に質問いたしますが、この理事会のときに、三谷政務官は法案の誤りがあったということを理解していたということでよろしいでしょうか。
  30. 三谷英弘

    三谷大臣政務官 お答えをいたします。  まず、今国会におきまして、文部科学省から提出をさせていただきました法案、この文化財保護法の一部を改正する法律案の参考資料も含めてですけれども、その点におきまして記載の誤りがあったことにつきましては、改めておわびを申し上げたいと思います。  その上でお答えをさせていただきます。  御指摘のとおり、その時点で私も存じ上げておりました。
  31. 谷田川元

    ○谷田川委員 では、どうして理事会の場で法案の誤りがあったということを説明しなかったんですか。
  32. 三谷英弘

    三谷大臣政務官 お答えいたします。  その点につきまして説明をさせていただきます。  本件につきましては、この法案審議の前日のうちに、当委員会の全理事の先生方のところに、確実にお耳に入るようにすべきであったというふうに考えております。また、それが不十分であった場合には、当然ながら、当日の理事会の前には全理事の先生方のお耳に入るように対応すべきであったということは十分理解をさせていただきました。そして、そのいずれについても結果が伴わなかったことについて、改めておわびを申し上げたいと思います。  なぜ、そういったことを申し上げることができなかったかについてなんですけれども、二十四日の朝の時点で、私も、この状況を改めて確認をさせていただいて、まだ御説明ができていないということについて委員長及び与野党の筆頭理事にお伝えをさせていただき、この同日の理事会の段取りについて御相談すべきであったわけでありますけれども、そういった確認を私として行うことがなく、そういったことが行われたものだと私において考えておりまして、その意味では、事務方との連携が十分ではなかったということについて、非常に申し訳なく思っております。  そういったことの結果におきまして、この朝の理事会での御報告が漏れることになったということについて、改めておわびを申し上げたいと思います。
  33. 谷田川元

    ○谷田川委員 重ねて指摘したいんですけれども、やはり、大臣政務官は文科省を代表して理事会に出席しているわけですから、少なくとも、前に根回しがあったかどうか踏まえて、あってもなくても、その場で一言まず最初に謝罪すべきじゃないかと私は思うんですよ。それがないということは、恐らく、このまま趣旨説明をやらせて、とにかく審議を早めよう、隠し通せばうまく審議が進むんじゃないか、そういう邪念があったと思わざるを得ないんですが、どうですか。
  34. 三谷英弘

    三谷大臣政務官 今の御指摘を深く受け止めさせていただきたいと思います。今後は、そのようなことを思われることのないように職務に専念していきたいと思っております。  以上です。
  35. 谷田川元

    ○谷田川委員 三谷さんから重ねての謝罪の言葉がありましたので、これ以上余り追及したくないんですが。ただ、一部マスコミが、我々の行動を、審議拒否という言葉を使っているんですよね。これは違うと思います。やはり、誤りのある法案を審議しろということ自体、無理があります。まさに、審議不能なんですよ。ですから、今回の件については、政府・与党の皆さんに大いに反省を求めたいと思います。  そこで、大臣、残念ながら、今回、文科省が提出した五つの法案全てに、合計二十七か所も誤りがあったんですよ。この主な原因は何なのか。オーバーワークなのか、それとも職員の気の緩みなのか、それとも何かほかにあるのか。大臣の見解と再発防止策を伺いたいと思います。
  36. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 まず、文科省より提出した法案の参考資料において、誤記、脱字や省略してあるかどうかが不明瞭な記載など、大変多くの誤りや不適切な記載があったことについて、改めておわびを申し上げたいと思います。  今回の誤りの原因については、先日の委員会で報告しましたように、現時点では、参考資料に対する意識の希薄やマニュアルの不備などが原因の一つと考えていますが、これは言い訳にならないと思います。引き続き、原因の徹底究明と有効な対策の検討を行っていく必要があると考えております。  私も、内閣府のデジタル法案に誤りがあったという報道を聞いて、ある意味では、各省から集まった新しいメンバーの人たちが大急ぎで作業をして、ああ、こういうことがあるんだなというふうに思っていたんですけれども、まさか文部科学省が、五つの法案全て、言うなら十割間違いがあったということは本当にお恥ずかしい限りです。  私も、現場の職員からいろいろ原因を聞いたんですけれども、要は、法案の文案については、伝統的に、読み合わせといって、複数の職員が一語一句、句読点まで含めてきちんと確認をしているんですけれども、その後につく参考資料については読み合わせをする慣例がなかったということで、これは、今までは大きな失敗がなかったのかもしれませんけれども、最近便利になってきましたから、どうしても、コピーをできますので、そうすると、本来、下の行から上の行まで取らなきゃならないのを、上から取ってしまうとかいう、そういった作業的なミスもあったんだと思います。  これも言い訳になりませんので、今後は、参考資料についてもしっかり読み合わせをする、あるいは、参考で引用している他の法律条例などについても、きちんともう一度確認をして、それが何を指すのかということも含めて、分かりやすいものを提案するということに取り組んでまいりたいなと思っております。  オーバーワークかという、先生、温かいお言葉をかけていただいたので、あえて申し上げれば、やはり国会の時期というのは職員は結構大変だと思います。私も、みんな一生懸命頑張っていることは認めたいと思うんですけれども。  私も、文科委員会の与党の筆頭もやったことがあるので分かるんですけれども、与野党間でいろんな調整をしていると、なかなか予定どおりに委員会が立たなくて、それで、前日まで筆頭間で話合いをして、分かった、じゃ、あしたやろうということになることもあるわけですね。そうしますと、そこから各質問者、各党がわあっと準備をしますと、どうしても通告が夜中になってしまう。  それに対してもう本当に徹夜で職員の皆さんが答弁をしっかり整理をするというようなことがありますので、できる限り計画的な委員会運営、これは私が口を挟むことじゃないんですけれども、していただいて、早め早めに皆さんから御通告をいただければ、しっかりとした、数字も含めた答弁をさせていただきたいなということも心がけてまいりたいと思いますので、そういった意味では、是非、現場も御理解いただいて、また御協力をいただければありがたいな、そんなふうにも思っているところでございます。
  37. 谷田川元

    ○谷田川委員 職員の方は一生懸命やって、でも、やはり人間ですから、誰でも過ちはあるんですよ。英語のことわざで、過ちは人の常なり、許すは神の業なりとありますけれども、やはり、過ちが出たときにすぐ報告する、特に委員会の野党関係者には気を遣って、誤りがありましたとすぐ言ってほしいんですよ。そのことを重ねてお願い申し上げたいと思います。  それでは、次に、東京オリンピック・パラリンピックの人件費問題について伺いたいと思います。丸川大臣、よろしくお願いします。  それから、布村参考人、いらしていますか、どこにいらっしゃいますか、ああ、そちら。失礼しました。布村さんのところにも私の参考資料は行っていますかね。はい、じゃ、よかったです。  お手元の資料二、皆さん御覧になっていると思いますけれども、四月一日付の毎日新聞が、スクープ記事をこのように掲載したんですね。「五輪「人件費単価」三十万円」と。これを見て、私も本当にびっくりしました。大会が始まったときから、やはり、十一万人のボランティアがいないと大会は成り立たないんだといって、ほとんどただ働きをしてもらう中で、一日三十万円ですからね、月給三十万じゃありませんから、三十日間だと九百万ですよ。もし三百六十五日を掛けたら一億八百万。いや、本当にびっくりしたんですよ。  そこで、丸川大臣伺いたいんですが、大臣は四月二日の記者会見で、こういう数字を耳にしたのが初めてで、どういう内訳で数字を出しているのか是非知りたい、そうおっしゃっていますが、その後、組織委員会から話を聞きましたでしょうか。
  38. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 御指摘の、組織委員会の人件費に関する報道について、私がその発言をした記者会見の後、その日のうちに組織委員会からホームページ上で見解が示されて、私もそれを拝見いたしました。  直接の説明は伺ってはおりませんけれども、御説明を御自身たちで果たしたということで、私としては、引き続き、これは組織委員会がきちんと説明をしていただくべきことであるという認識を持っております。
  39. 谷田川元

    ○谷田川委員 今大臣指摘していただいた組織委員会説明というのを、この資料三に載せております。  大臣、この文書を読んで、大臣は納得したという答弁ですか、今のは。
  40. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 私ども、国費をお支払いしてオリンピックをやっていただいている部分がございますが、これは、コロナ対策の部分、それからパラリンピックの経費の四分の一、そしてまた国立競技場のハード部分であります。  実際、コロナ基金、コロナ基金というかコロナの対策費というのは、都とお金を折半して基金を積んであるんですね。パラの経費もそうなんです、基金を積んでありますが。これについては、実際、支払いのときに、組織委員会と国と都で共同実施事業管理委員会というのを立ててありまして、これで全部支出をチェックします。  当然、我々が出したお金に対しては会計検査院の目が入るということは、組織委員会も、元財務省からおいでになった方がやっていらっしゃるので、よく分かっておられると思いますから、そのときに説明責任が果たせないようなことはなさらないだろうと私どもは信じております。
  41. 谷田川元

    ○谷田川委員 大臣は、記者会見で、初めて耳にした、是非聞いてみたいと。大臣自身も驚かれたんですよね。  大臣は、大臣就任前に組織委員会理事をされておりました。その理事会の席上で、こういった人件費のこととか、説明は一度もなかったんでしょうか。
  42. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 ございませんでした。
  43. 谷田川元

    ○谷田川委員 たしか、理事は、馳議員も理事でいらっしゃいますからね。理事としても、この記事に関しては相当関心を持っていると私は拝察いたします。  そこで、今日は、布村組織委員会事務総長がいらっしゃいますので、質問したいんですが。  私、毎日新聞の関係者に話をすることができました。それで、これは四月の二日でしたね、すぐ反論の、これをホームページ上に載せましたね。これに対して、訂正と謝罪を求めています、毎日新聞に対して。それで、毎日新聞の関係者に、こういう要求が組織委員会から出ていますけれども、それについてどう対応するんですかと聞いたら、この記事は事実に基づいて書いています、もちろん謝罪もいたしませんと、はっきりと私に言ってくれました。ということは、毎日新聞の記事が捏造されているか、あるいは組織委員会がうそをついている、どちらかだと思うんですよ。  そこで、布村さん、この組織委員会が出した抗議文というか説明に基づいて質問をしていきたいと思うんですが、まず、ワンパラグラフ目のところ、東京二〇二〇組織委員会が常識外れの高額な人件費を払っているような誤解を招く見出し及び内容である、こう書いておりますけれども、この説明をしっかり説得力を持たせるためには、契約内容と積算根拠を開示して、しっかり明らかにして、疑念を晴らすべきだと思いますが、いかがですか。
  44. 布村幸彦

    ○布村参考人 お答えいたします。  委員指摘の数字につきまして、毎日新聞の記事に基づいた数字でございますけれども、この数字につきましては事実ではない、誤解を与える数字であるということで抗議をさせていただいております。  大会運営に関する準備、運営業務につきましての委託契約という形になっておりまして、会場の運営に当たります個々人にお支払いする人件費に関する契約ではない、そういう契約になっております。  したがいまして、会場運営に当たる人に例えば一日三十万という数字が独り歩きしますと、人件費に誤解を生ずる、そういった趣旨で抗議をさせていただいております。
  45. 谷田川元

    ○谷田川委員 ですから、今の私の質問に答えてくださいよ。契約内容と積算根拠をしっかり開示すべきじゃないかと申し上げたんですよ。いかがですか。
  46. 布村幸彦

    ○布村参考人 お一人お一人の人件費につきましては個人情報に係ることでございますので控えさせていただいておりますけれども、トータルで、オペレーション、運営にどれぐらいの予算がかかっているかといった数字は出しているところでございます。
  47. 谷田川元

    ○谷田川委員 ですから、人件費単価、出しているんでしょう。人件費単価はこのぐらいの見積りだということは、しっかりあるんでしょう。それを公表してくださいと私は申し上げているんですよ。
  48. 布村幸彦

    ○布村参考人 お答えいたします。  繰り返しになるかもしれませんけれども、会場運営に関わります業務委託契約というものは、受託者に対しまして、大会運営に関する準備、運営業務についての委託という形になっておりまして、個々人にお支払いする人件費に関する契約とはなっておりません。  ということで、人件費の単価については、その契約上は出てきておりません。
  49. 谷田川元

    ○谷田川委員 皆さん、今の、聞きましたか。そんな丼勘定でやっているんですか。積算根拠なくして、人件費が適正かどうか分からないじゃないですか。  では、ちょっと更に質問をしたいと思うんですが、組織委員会は公益財団法人であられますから、公益法人認定法という法律に基づいて、業務委託事業などでどのような契約を行ったか、それを開示する義務がありますよね。そういう理解でよろしいですね。
  50. 布村幸彦

    ○布村参考人 組織委員会は、公益法人として成り立っております。  一方で、国、都と違いまして、民間法人という位置づけでもあります。基本的に、収入はスポンサーやチケット販売で賄う、国、都からの補助もいただいておりますけれども、基本は、スポンサー収入、チケット販売収入などで賄っているところでございますけれども、調達に関しましては、国や東京都の契約方法をベースとしつつも、より安い調達を行うべく、厳しい査定と交渉を含む民間企業的な方法を採用させていただいておるところでございます。
  51. 谷田川元

    ○谷田川委員 私の質問に直接的に答えていただけないので、もう少し本質的な話をしたいと思うんですけれども。  この反論文の五つ目かな、今回の会場運営については、全体では九社に業務委託を行っております、そして、ちょっと飛ばしますけれども、これまでの契約実績や大会時の需給状況、他社の見積りなどを踏まえて、できるだけ経費を抑制するよう交渉しています、こう書かれております。  それで、ちょっと私、素朴な疑問があるんですよ。何かというと、契約先九社、それぞれの契約金額と契約内容を私は明らかにすべきだと思うんだけれども、その九社が随意契約になった理由は何なのか。  特に指摘したいのは、二〇一八年に実施された、対象競技のテストイベント実施に向けた計画立案等及び計画支援業務委託の競争入札で落札した、委託した九社が随意契約先になっていると思われるんですよ。つまり、テストイベントでは競争入札を行いながら、大切な本大会の方は随意契約になっている。どうしてですか。
  52. 布村幸彦

    ○布村参考人 お答えいたします。  当初、テストイベントに際しましては競争入札で、その業務運営にふさわしい方を選ばせていただきました。  本来であればテストイベントの経験を踏まえて本大会の準備をする、そういう流れが明確になってきましたので、テストイベントに携わっていただいた方々に、引き続き、本番の大会の業務計画を立て、かつ本番の運営をしていただく、そういう流れに、判断をして、対応したところでございます。
  53. 谷田川元

    ○谷田川委員 この国会の質疑、私、いろいろオリンピックの費用に関してのものを大体議事録を見たんですが、歴代オリンピック担当大臣は、やはり、国民の税金が入っている以上は透明化してできるだけ情報を開示すべきだ、それは組織委員会にもしっかり指導していきたい、そういうような答弁を歴代大臣はされているんですよ。  丸川大臣、今のやり取りを聞いて、一層その思いを強くしていませんか。
  54. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 大会経費、一・六兆円ございます。このうち、国が支払いをしている、負担をすることになっている経費二千二百十億円。そのうちの千二百億円が国立競技場のハードです。残りの部分、パラの経費の四分の一と、そしてコロナ対策。これは明らかに議会でしっかりと説明する責任がございますので、私どももしっかり目を光らせていきたいと思います。  また、東京都が、この一・六兆円のうちの七千二十億円を出しておられます。これは、東京都が東京都議会に対してしっかり説明をする責任を負っておられる。  組織委員会は、民間の事業者としての収入が七千億円ほどあるわけですが、これはまさに、大会を遂行し、国民理解を得て、そして賛同を得て大会を実施していく上で、組織委員会においてしっかり説明責任を果たしていただきたい。  私は、これからも透明性を確保する観点から、組織委員会、これは運営主体です、そして開催都市は東京都です、しっかり、それぞれに説明責任を果たしていただくよう注視をし、また後押しをしていきたいと思います。
  55. 谷田川元

    ○谷田川委員 布村さんにお伺いしたいんですが。  昨日、私、内閣官房の担当職員に、ネット番組で「一月万冊」という番組がありまして、清水さんという方がナビゲーターで、それで、オリンピックの問題についていろいろと文章を書いていらっしゃる本間龍さんという方がゲストで来ていた番組を、是非それを見てもらいたいというふうに言ったんですが、その中で、毎日新聞の報道を裏打ちするような資料が動画で載っているんですよ。会場運営委託業務延期対応見込額一覧、それを見ると、間違いなく、一日三十万円以上と思われる内容が入っているんですよ。  布村さん、動画は見ていただいたと思うんだけれども、あそこに出ていた会場運営委託業務延期対応見込額一覧、あれは組織委員会資料であるということでよろしいですね。
  56. 布村幸彦

    ○布村参考人 お答えいたします。  先生御指摘の動画投稿サイトは拝見をさせていただきました。あそこで出ておりました資料につきましては、その動画で初めて知ったところでございますが、担当者が業務に当たり様々な資料を作成しているとは思いますけれども、御指摘のような人件費単価を設定した資料に基づいた業務委託契約は、した事実はございません。
  57. 谷田川元

    ○谷田川委員 昨日通告して今日の質問なので、なかなか精査できないかもしらぬけれども、是非、しっかり確認していただいて、組織委員会の人に、こういう資料を作ったことはありますかと、あるいは、そんなことを言わなくてもいいんだ、資料をしっかり持ってきて、布村さん、あなた本人がチェックしてくださいよ。一日三十万円の、そんなことはあり得ないと、あなた、自分の目で確認してくれませんか。それをこの委員会に報告していただけませんか。いかがでしょうか。
  58. 布村幸彦

    ○布村参考人 資料につきましては、万が一、内部の資料が漏れたとすれば、資料管理の徹底をしなければいけないと存じますけれども、あの資料に出た数字に基づいて業務委託契約をしたという事実はございませんので、そこだけはしっかり申し上げさせていただきたいと思います。
  59. 谷田川元

    ○谷田川委員 先ほどから、公表はできないと、守秘義務だとかいろいろおっしゃっているけれども、じゃ、理事会、結構、各界からそれなりの方が出ていますよ。やはり、少なくとも理事の皆さんには、積算根拠はこういうことで人件費はこうですと、そういう資料に基づいて説明すべきと思いますが、いかがでしょうか。
  60. 布村幸彦

    ○布村参考人 お答えいたします。  業務内容につきましては理事会ではタイムリーに報告をさせていただいておりますけれども、業務委託契約においてどのような形で積算をしているのか、そういった点につきましては、理事会で必要なときにきちっと御説明をしたいと思います。
  61. 谷田川元

    ○谷田川委員 理事の方が納得できるのか、それは注目したいと思うんですが。  ちょっともう時間がないので。  布村さんが全て決裁できるとは思わないので、やはり最後は、会長なりあるいは事務総長がそれなりに決裁しなきゃいけないので、この委員会に、やはり会長、あるいは会長、事務総長を呼んで詳しくお聞きしたいと思うんですが、理事会にお諮りいただけますか。
  62. 左藤章

    左藤委員長 理事会で協議させていただきます。
  63. 谷田川元

    ○谷田川委員 それで、会計検査院にも来ていただいていますね。一点だけ質問します。  国会の要請を受けて会計検査院が調査する、そういう受諾をされて、過去二回、報告書を出していただきました。  今回の毎日新聞の報道、あるいは今の私の委員会でのやり取り、これを踏まえて、会計検査院の今後の方針というか、どういう考えで臨むか、答弁いただきたいと思います。
  64. 原田祐平

    原田会計検査院当局者 お答え申し上げます。  今般、大会組織委員会が大会の会場運営を担う企業に業務を委託する際の人件費について報道がなされたということについては承知しております。  大会組織委員会に係る経費のうち、会計検査院の検査の対象となるのは、パラリンピック経費のうち国が東京都に交付した交付金が充てられた部分についてとなります。  会計検査院といたしましては、国の交付金が充てられたパラリンピック経費について、合規性、経済性等の多角的な観点から、その執行は適切に行われているかなどについて、引き続き適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
  65. 谷田川元

    ○谷田川委員 この問題は、また引き続き委員会で追及していきたいと思います。  それでは、文化財に関して質問していきたいんですが、お手元の資料四を見ていただきたい。  済みません、丸川大臣、それから布村さん、もう退席いただいて結構です。失礼しました。
  66. 左藤章

    左藤委員長 では、丸川大臣、布村参考人、御退席、結構でございます。
  67. 谷田川元

    ○谷田川委員 私の地元、香取市は、別紙にありますように、文化財の宝庫と言ってもいいと思っています。最近、観光客も増加傾向にありまして、よく、文化財保護活用の両立が難しいという指摘委員の方からされますが、私の地元ではそれがうまくいっていると私は思っております。  そうした中、十年前に東日本大震災が起こりまして、佐原の文化財も甚大な被害を受けました。特に、その文化財の所有者の苦労というのは大変なものがございました。幸い、当時の文化庁長官あるいは千葉県の配慮がございまして、補助金のかさ上げ等で、所有者の負担は五%で済みました。その五%についても、民間の財団が更に寄附してくれましたので、そういうわけで、かなり所有者の負担が軽減されました。  そこで、本格的な復旧修理に係る補助金のかさ上げはある程度配慮されているわけでございますが、被災した際、応急処置を行うための事前着工の制度が、国の文化財では制度は確立しておるんですけれども、残念ながら、県の文化財にはないんですね。  この際、県の文化財にも事前着工を認め、国が支援すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  68. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  国の指定文化財だけではなくて、地方指定文化財についても事前着工できるようにすべきではないかというお尋ねでございます。  地方指定文化財の災害復旧については、各地方公共団体が自らの判断で実施されるものでございまして、これに要する経費も特別交付税が措置されているところでございますので、地方指定文化財の災害復旧において事前着工の対応を行うかどうかは各地方公共団体の判断とはなりますけれども、文化庁といたしましても、速やかな災害復旧につながるよう、地方公共団体の求めに応じた技術的な助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
  69. 谷田川元

    ○谷田川委員 地方交付税措置がされるということなので、されるのであれば、間違いなく都道府県はやると思うんですよね。ですから、その辺、しっかり指導していただきたいと思います。  それで、資料四を見ていただいて、佐原の町並みが、一九九六年に重要伝統的建造物保存地区に選定されたんです。実は、この二年ぐらい前から、佐原の大祭も、国の重要無形民俗文化財に選定しようという動きがあったんですが、千葉県が、いきなり二つは無理ですよ、まずは佐原の町並みからやっていきましょうといって、それで、一九九六年、伝統的建造物保存地区に選定された後、じゃ、佐原の大祭を文化庁の方に持っていきましょう、そういう話になっていたんですよね。  それで、それから一年たって県に問い合わせたら、いや、まだ文化庁の方には何も言っていませんと。じゃ、すぐにでもやるべきじゃないですかと言ったら、いや、ちょっと作戦が必要なので、一、二年考えさせてくれ、九六年になったばかりで難しいといって、本格的に国と、文化庁と余り打合せをしなかったようなんですね。  それで、九八年に伊能忠敬記念館というのができまして、そのときの担当部長が、いや、これはもう、町並みもこうで、いいタイミングなので、一気に今、佐原の大祭を国の指定に持っていくのを頑張りますと言ってくれたんだけれども、正式に文化庁の方へ行ったら、千葉県がそこまで言うなら、じゃ、千葉県内でどれだけお祭りがあって、その佐原の大祭の位置づけはどういう格付なんだ、千葉県としてどのような見解を持っているんだ、そう言われて県が答えられなくて、そして三年間、千葉県内のお祭りを全て調べた上で報告書を提出して、二〇〇四年にやっと重要無形民俗文化財に選定されて、そして、二〇一六年にユネスコ世界無形文化遺産登録になった。  ということは、最初から国の方に町並みと一緒に上げていれば、少なくとも三年ぐらいの時間はセーブできて、選定されたという思いが私はあるんですよ。  そこで、今回、地方登録を行った地域文化財については、都道府県又は市町村の教育委員会が当該文化財を国の登録文化財として登録するよう提案することができる旨の規定を設けておりますが、市町村教育委員会が県教育委員会に相談せずに直接国に働きかけることが可能だという理解でよろしいでしょうか。
  70. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  地方登録される文化財の中には、国の登録基準に照らし、その文化財としての価値に鑑み保存及び活用のための措置が特に必要と認められるものであるというふうに考えております。  こうした文化財については国登録制度により保護することが適切であることから、地域において国登録による保護が適切であると考える場合には、国登録への提案を行うことができることとしております。指定都市以外の市町村が国登録へ提案を行う場合、文化財保護法第百八十八条の規定により、都道府県を経由して書類等の提出を行う必要がございます。  一方、登録の提案に先立つ事前の意見交換を文化庁と市町村が直接行うことは十分に考えられますので、文化庁といたしましては、市町村からの問合せについては、いつでも対応したいというふうに考えているところでございます。
  71. 谷田川元

    ○谷田川委員 是非お願いしたいんですが。  この間、担当者の方と話をした中で、今回コロナ禍で、普通だったら直接市町村の方と話す機会はないんだけれども、オンラインでやるから県と市町村の方が一緒になって話ができる、オンラインの方が率直に市町村の方の話を聞ける、これはいいですねと現場の方も言っていましたので。  なかなかやはり市町村は、県が消極的だとどうしても控えちゃうんですよね。しっかりした価値があるにもかかわらず、県の理解が得られないだろうとなっちゃったら国まで行けないんですよ。ですから、今回の法律改正案は、まさに、その地方文化財を国がしっかり応援するんだよというメッセージだと思いますので、是非、その辺、よろしくお願いしたいと思います。  もう時間がないので最後の質問にしますが、残念ながら、コロナ禍において我が国文化芸術活動は停滞してしまっております。  大臣、アメリカのニューディール政策の一環で、フェデラル・ワンという制度があったんですよ。それは何かといいますと、収入を断たれた美術家、音楽家、俳優、作家ら、約四万人を雇用しまして、業務発注や作品制作に数千万ドルを投じたというんですね。このような、日本版フェデラル・ワンというべき大胆で積極的な政策を講じてもらえないでしょうか。大臣、答弁をお願いいたします。
  72. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 文化芸術関係者におかれては、これまで徹底した感染症対策に御尽力いただきながら公演等の開催に努め、文化芸術を通じた希望の灯が輝き続けるように取り組んでおられますことに深く敬意を表したいと思います。  コロナ禍において、文化芸術活動団体の活動継続や収益力強化の取組などを支援することに加えて、団体の活動を継続し、雇用を維持するため、雇用調整助成金について、活動日額上限一万五千円の特例措置、また、政府系、民間金融機関による実質無利子無担保かつ元本返済据置き最大五年の融資について、実質無利子の上限額を六千万円まで引き上げるなどを実施をしてまいりました。  さらに、積極的に文化芸術活動支援策を講じるため、第三次補正予算や予備費を活用して、コンテンツ関連事業者が収益基盤の強化に資する取組などを実施する公演等へ総額七百七十億円の支援文化芸術関係団体が感染対策を十分に実施した上で行う積極的な公演など、総額二百五十億円の支援などを行うこととしております。  まずは、速やかにこうした事業を執行し、関係省庁と連携しつつ、コロナが収まった暁には、更に、活動の機会、今まで失った機会を取り戻すことができる支援というものも加えていきたいと思っておりまして、しっかり支援を続けてまいりたいと思います。
  73. 谷田川元

    ○谷田川委員 令和三年度予算が成立したばかりでございますが、与党の方からも、補正予算、大変声が上がっているようでございますが、是非、この文化芸術分野において、補正予算があるのであれば大きな上積みをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  74. 左藤章

    左藤委員長 次に、吉良州司君。
  75. 吉良州司

    吉良委員 吉良州司です。  今日は、文化財保護法改正法案審議でありますけれども、ちょっとそれに先立って、米中覇権争いの激化ということを受けて、文科、特に技術開発に関わることで二点、文化財保護法に入る前に質問をしたいと思います。  まず、以前も、私自身の高い関心があるということで質問させてもらいましたけれども、核融合エネルギー開発についてです。  フランスでITERプロジェクトが進み、それから国内においても、茨城県那珂市、あと六ケ所を中心に、この核融合の研究、実証、着実に進んでいると了解しておりますけれども、このITERの現状と、国内における核融合プロジェクトの現状について、また進捗状況について簡潔に答弁をいただきたいと思います。
  76. 生川浩史

    生川政府参考人 お答えいたします。  ITER計画等の進捗状況についてでございます。  まず、ITER計画でございますが、ITER計画は、核融合実験炉の建設と運転を通じて、核融合エネルギーの科学的、技術的実現性の確立を目指すプロジェクトでございまして、世界七極の国際協力により、二〇〇七年から計画が進められているところであります。  現在、実験炉ITERの建設は、二〇二五年に予定をされております運転開始に必要な工程の約七二%が完了しており、建設地であるフランス・カダラッシュで昨年七月から主要機器の組立てを開始したほか、日本が調達を担当しております超伝導コイルを今月までに三基サイトに納入するなど、コロナの影響を一定受けながらも、全体として順調に計画は進捗をしているというところでございます。  また、日・EUによる幅広いアプローチ、BA活動でございますが、青森県の六ケ所核融合研究所にある施設における材料試験にEUなどの研究者が遠隔で参加するための設備の整備が完了するなど、着実に進展をしているところであります。  引き続き、核融合分野において我が国が世界で主導的な役割を果たせるよう、ITER計画及びBA活動に積極的に取り組んでまいりたい、こう考えております。
  77. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  ITER、それから国内のプロジェクトも順調に進んでいるということでありました。  先ほど言いましたように、私が心配しておりますのは、今も答弁があった七極の中には、アメリカ、中国、ロシアが入っているわけですね。この米中の覇権争いの激化、それも、ある意味では先端技術の先頭を走るという意味での闘いでもあるという了解をしています。  そういう中で、この米中の覇権争いの激化、そして、先日は、バイデン大統領がインタビューを受けて、プーチン大統領を人殺しだと思うかと言って、アイ・ドゥーと言ってしまって、米ロの関係も険悪化することが想定されるわけです。  そういう中にあって、このITERプロジェクトは、今言った三国が関わる、七極が関わっているわけですけれども、今現在はその影響はないということでありました。  なかなか今後のことについては見通せないと思いますけれども、現時点において、今言った米、中、ロの覇権争い又は険悪化によって、このITERプロジェクトが影響を受けない、受けていないかということについて答弁いただきたいと思います。
  78. 生川浩史

    生川政府参考人 ただいま御指摘をいただきましたとおり、ITER計画には、日本のほか、米国、ロシア、中国を含む七極が参加をしております。御指摘のような国際情勢によるITER計画への影響は、現時点では見られていないというところであります。  ITER計画は、各極による現金貢献と、それから物納貢献により運営をされているところでございますが、現金貢献については、一部米国に未払いがございますが、二〇一八年分担金以降、着実に支払いが続けられている状況であります。ロシア、中国についても未払いはございません。物納貢献についても、各極で着実に機器製作が進んでいるということから、ITER計画は、現時点においては順調に進捗をしていると言うことができるとは思っております。  日本としても、御指摘をいただいております国際情勢等も十分注視をしながら、引き続き、各極やITER機構と協力をして、着実にITER計画に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  79. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。しっかり外務省と連携を取りながら、今言った諸情勢の関係悪化がITERプロジェクトに影響を及ぼさないように、なかなか日本だけでは難しいかもしれませんけれども、きちっと情報収集をお願いしたいと思っています。  私が、このITERそれから核融合プロジェクトを前々回の委員会質問でも取り上げさせてもらったのは、二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、やはり、化石燃料でもない、原材料を海外に依存しない自前のエネルギー源を確保するということが極めて重要だというふうに思っています。  もちろん、今の計画どおりにいっても、核融合発電、原型炉ができるのは早くて二〇四〇年代の半ば、多分五〇年代に入るかと思います。それでも、二〇五〇年のカーボンニュートラル、それ以降は、私には、この核融合発電を自前の発電源として有効活用してもらいたいという思いがあって、今現在は、よく英語で言うプルーブンというんですか、確実に証明された技術ではないという位置づけになっていますので、なかなか経産省、エネ庁あたりが作るベストミックスの中に組み入れられておりません。けれども、将来的に、この技術が今言ったようにプルーブンになったら、例えば核融合発電を日本の発電の何%にしていくんだ、このような、条件付のプランBとしてベストミックスの中に組み入れてもらいたいというふうに思っています。  そういう意味でも、この核融合プロジェクトの研究、実証というのを確実に進めていく必要があると思っています。  前回も萩生田大臣から力強い答弁をいただきましたけれども、自前エネルギー源を確保するという意味でのこの核融合発電に対する大臣の覚悟、本気度を問いたいと思います。
  80. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 核融合は、発電の過程で二酸化炭素の排出を伴わないことから、カーボンニュートラルの実現に向けて重要な役割を果たすと期待されております。  政府としても、昨年十二月に策定した二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略において、核融合を革新的技術によるイノベーションの一つと位置づけ、今後の研究開発の着実な推進を目指すこととしています。  このため、文科省においては、世界七極の国際協力により進めているITER計画と、日・EUによる協力で進めている幅広いアプローチ活動等に取り組んでいるところであります。  引き続き、ITER計画などを通じて核融合による発電に向けた研究開発を着実に推進してまいりたいと思いますし、もうしばらく時間は実用化までにかかるんだと思いますけれども、まさに次世代の新しいエネルギーとして、我々の時代にしっかり実用化に向けて研究を加速し、一日も早い運用ができるようにしていくというのが、今をお預かりをする政治家、我々の責任ではないかと思っていますので、しっかりサポートをしてまいりたいと思います。
  81. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございました。本当にしっかりとお願いをしたいと思っています。  次に、元素戦略プロジェクトについてお聞きしたいと思います、その成果についてですね。  これも、冒頭申し上げました米中覇権争いの激化によって、今後、日本の場合は、経済的に当然中国は大事なんですけれども、一方、これは外務委員会ではありませんけれども、南シナ海、東シナ海、尖閣、それから香港、チベット、ウイグル、こういったところ、また、よく言われる、専制主義とでもいいますか、民主主義からはほど遠い政治体制ということで、米国とある意味ではスクラムを組んで対処するということが多くなることが予想されます。  けれども、今言いました、中国は経済的にはまさに相互依存関係にある大事なパートナーでもあります。ですから、日本としても、貿易の最大相手国でもありますし、投資ナンバーワンの国でもあります。そこと事を構えなければいけないことも想定しながら、今後対処していかなければいけない。  そのときに、二〇一〇年の尖閣事案の後に、世界の六割のレアアース生産をしている中国が、日本に対して事実上の禁輸措置を取るというようなことがありました。こういうことをやられて、日本の生産活動、企業活動、また経済が傷むということがあってはならないというふうに思っています。  そういう意味で、前回の尖閣事案、それと前後する形で、この元素戦略プロジェクトによって、例えば、高性能磁石を作るために必要なレアアース、その中のジスプロシウムを、レアアースの中にあったわけですけれども、それを研究開発によって代替材料を作った。それによって、過度な中国へのレアアース依存をしなくて済むようになった。これは元素戦略プロジェクトのまさに成果だというふうに思っています。  このことも踏まえて、今後の、今言った対中国戦略を考える上で、これまで十年間にわたって続けてきた元素戦略プロジェクトの成果について、簡潔にお答えいただければと思います。
  82. 杉野剛

    杉野政府参考人 失礼いたします。  資源の乏しい我が国にとりまして、安定的かつ強靱な経済活動のためには、レアアースやレアメタルといった希少な資源の安定的な確保は重要だと考えております。また同時に、レアアースやレアメタルに依存しない材料開発といった視点も大変重要かなと考えているところでございます。  文部科学省では、資源リスクをサイエンスで克服する、こういうコンセプトの下に、希少な元素資源を用いない革新的な代替材料を創製することを目的といたしまして、二〇一二年度より、御指摘の元素戦略プロジェクト、これを十年間にわたりまして実施してまいりました。  その成果といたしましては、先ほど先生御指摘のように、ジスプロシウムを使わない高性能ネオジム磁石材料の開発を始めといたしまして、リチウム電池よりも高性能なナトリウム電池材料の開発、あるいはカドミウムなどの毒性元素を使わない高輝度の半導体材料の開発といった成果が出てきておりまして、社会実装に向けて既に企業との共同研究のフェーズに進んでいるものも出てきているという状況でございます。
  83. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  私自身も、ある意味では、政治の道を志した、一つのライフワークとして考えているのが、資源小国日本がどう生きていくかということでありますので、今の答弁の中であった、資源リスクをサイエンスで解決するということで、この元素戦略プロジェクトはもちろんですけれども、これに続くプロジェクトを、是非、文部科学省の中でも、また、経産省と連携しながら立ち上げて、今言った資源小国日本の安全保障に貢献していただきたいと思います。  もうこれは答弁は結構です。  では、文化財保護法改正についてお尋ねをいたします。  まず、改めてでありますけれども、今回の文化財保護法改正の目的について、優先順位も明確にしながら答弁いただきたいと思います。
  84. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  これまで、無形文化財及び無形民俗文化財保護制度といたしましては、規制と手厚い保護を図る指定制度はあったものの、有形文化財のような、幅広い文化財に対して緩やかに保護を図る登録制度はございませんでした。  今回の改正につきましては、この無形文化財及び無形民俗文化財について登録制度創設することで、書道や食文化などの生活文化も含め、これまで指定対象とはならなかった多様な無形文化財について積極的に保護を図るということを目的としたものでございます。  これは、無形文化財について、ユネスコ無形文化遺産保護条約の発効や文化芸術基本法の制定、改正などにより、その保護に対する認識が高まっている一方で、過疎化や少子高齢化の急速な進展による継承担い手不足が顕在化したことへの対応が目的でございまして、まさに文化財保護のために必要な施策であるというふうに認識しております。  なお、無形文化財無形民俗文化財につきまして、登録を通じて適切かつ効果的に保存活用することによりまして、観光振興や地方創生といった他の行政目的に資するということも当然あり得ると考えておりますが、地方創生等を直接の目的としたものではないということだけは申し上げたいと思います。
  85. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  実は、私、この法案説明を最初に聞いたときにぴんときたのはどういうことかというと、歴史もあり芸術性もあるんだけれども、今現在のそこに住んでいる人たち地域の人たちからは実はそれほど評価をされていなくて、結果的に、特に無形文化財無形民俗文化財については、単に人口減少が地域地域であるというだけではなくて、その魅力に欠けるがためになかなか担い手がないというような無形文化財もあるのではないかと。  私が思ったのは、今の、地域振興自体が直接の目的ではないということでありましたので、私自身は地域振興も重要な要素だろうと思っていたので、であるならば、歴史は浅くても、今現在そこに住む人たちから愛され、それから、特にパフォーマンスを伴うものであれば、それをやること、見ることによってその地域人々が心豊かになる、だからまた、それを大事にしていきたい、こういうような、無形民俗文化財まで至らないんだけれども、無形民俗文化、それを支援する、大事にすることの方が大事じゃないかということを事務方の人に実はぶつけたんです。  それに対して、今回のこの改正案は、今言った文化ではなくて、あくまでも文化財だと。  実は、たこ焼きの例を出してくれまして、たこ焼きというのは、それこそみんなから愛され、関西中心にこれだけ広がっている食文化はないんだけれども、逆に今、それだけ広がって、みんなから愛され、支持されているので、保護しなくても続いていく。だけれども、多くの、今言った、歴史あるもの、芸術あるものが担い手不足によって残念ながら保護されないということがあるので、今回のこの法改正についてはそういうものをきちっと保護していくんだ。今言った、文化財というよりも無形民俗文化については、文化振興という形で支援していくというメニューもあるし、支援していきたいと。  同時に、当然、コロナ禍でいろんなイベントの中止に伴い、貴重な無形民俗文化を披露する場がなくなっているので、そういうところに光を当ててもらいたいというふうな思いからやり取りして、得心いきました。今回は、文化財歴史あるもの、芸術性の高いもので、継承されなくなるおそれ、埋もれてしまうおそれがあるものをきちっと保護していく。今言った、今現在の人々の心を豊かにして、そして人々から愛されている、だから今現在担い手がいるというのはほかのメニューで支援していくということ、それを是非お願いしたいと思っています。  私の方から、ちょっと地元、大分市ではないんですけれども、大分県の一つの事例を紹介させてもらって、文科を始め国としての支援をお願いしたいと思っているんですが。  大分の中に、今は合併して佐伯市となっていますけれども、宮崎との国境に近い宇目町という町がありまして、そこに七百年続く鷹鳥屋神社というのがあるんですね。そこのお神楽があります。私も何回も見に行ったんですけれども、お神楽というと、通常は非常に荘厳、神様に奉納する舞ですから厳かなんですけれども、その宇目町のお神楽というのは、その荘厳さ、厳かさに加えて、時に若者が演舞し始めると、本当にその舞台の上を躍動、流れるように躍動していくんですね。ですから、それを一度見た人というのは、もう本当、食い入るように見ている。  そのお神楽というのがもっとすごいのは、これは文科省の政策が功を奏していると思いますけれども、地域に誇りを持とう、地域を見直そうという教育がなされている中で、小学生の頃から子供たちにお神楽というものを、興味を持ってもらい、そして実際やらせて、ずっと、その小学生たちが中学、高校になったら、実際にそのパフォーマンス、演舞をし始めるんですね。  結果、何が起こったか。その中心人物たちは今、二十代半ば、後半になっていますけれども、彼らが高校、大学を卒業したときに、例えば、東京の大学に来ている子供たちも、子供というかも、その神楽を守りたいからということで、わざわざ東京の就職先等をある意味では蹴ってというか返上して、大分に一緒にやっていた仲間が戻ってくるんです。  さっき言いました文化財文化、その鷹鳥屋神社に奉納するお神楽そのものも百年の伝統がある、神社そのものは七百年の伝統がある、そういうものなんですけれども、今現在、佐伯市の地域指定文化財には登録されております。  けれども、私がここで申し上げたいのは、そうやって、今回のこの改正案は、地域振興とかを直接的には目的とはしていない、けれども、貴重な文化財無形民俗文化財担い手が減少していることに対しても危機感を抱いて作っている法律です。そうであるならば、今私が言ったように、歴史は場合によっては浅いかもしれない、けれども、今言った、若者たちが、サケが生まれたところに戻ってくるように、そのお神楽があるから自分は大分に戻るんだ、その町に戻るんだ、こういう無形民俗文化、これを、今回の法律ではないにしても、今後もっともっと支援をしていただきたい、このように思っているところであります。  ちょっと私の話が長くなって恐縮ですけれども、萩生田大臣に、今回の法律法律理解しますけれども、今後そういった、地域を守り育てていくというか活性化させていく貴重な無形民俗文化、もっともっと支援をしていただきたいと思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  86. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生、政策というのは、法律上は、やはり枠を決めて明確に御審議いただいて御可決いただかなきゃいけないんですが、いい意味での副作用というのはいろいろ期待ができると思います。  次長が答弁しましたとおり、今回は、歴史的、伝統的な、消え入ってしまうんじゃないかというものを保護していこうと。率直に申し上げて、その価値は、国から見たときにはなかなか理解できないけれども、地元の皆さんからすると、こういう生い立ちがあって、こういうことで皆さんが大事にしてきたんだということを、この機会に足下をしっかり見ていただいて、そして記録をしていただく、調査をしていただく、その上で指定をしていただくということなので、本当に、きっかけをつくらせていただきますけれども、それをきっかけに、それぞれの自治体がそれぞれの自治体の持つ、地域の持つ文化のよさというのを再発見していただけるんじゃないかと思うんです。  ここには書いてありませんけれども、昭和の時代というのは、どこの市役所にも村役場にも学芸員というのが一人や二人や三人はいたんですけれども、今、専門職で雇うという時代じゃなくなってしまいました。しかしながら、大学で学芸員の資格を取っている学生さんも大勢いるんですね。地方公務員として働いていただくんだったら、私は、そういう資格を持った人がハイブリッドに現場に入って、ふだんは、教育委員会じゃなくてもいいですよ、財政当局で働いていても、選挙管理委員会で働いていても、こういうことになったら、ちゃんと横出しの仕事ができるような、そういう町役場、市役所というものもこれからつくっていただくいいきっかけになるんじゃないかということも、副作用の一つとしては期待をしております。  したがって、今回の法律を機に、地域を皆さんが大事にしていただく大きなきっかけになって、もしかすると、この中から全国区へ名を上げるすばらしい文化もどんどん出てくるんじゃないかということを期待しています。  あわせて、必ずしも、年月によって裏打ちをされたものだけじゃなくて、例えば、よさこいなんというのは、なんって言ったら怒られちゃうんですけれども、よさこいというのは、まだそんなに歴史はないですよね。北海道の中学で、非常に学校が荒れて、それを何とかしたいという先生がソーラン節を近代的にアレンジして、大漁旗などを振りながら集団でみんなでダンスをすることをやったら、それがすごく、みんなが心が一つになって、これはいいというので全国にだんだん広がってきて、今やソーラン節がかかっているよさこい大会はなくなっちゃいました。違う音楽でやっていますよね。  ですから、文化というのは生き物だと思いますので、歴史が浅くても、これからどんどん伸びていく。いや、我が町こそはこれは大事にしたいんだというものがあれば、直ちに指定ということにはならないかもしれませんが、それは文化芸術創造拠点形成事業などの補助金などで応援をしながら、将来に向かって育てていくということも同時にやっていきたいなと思っています。  今回、こういう法律を御提案させていただいて、皆さんにお認めいただくならば、これがある意味、オール・ジャパンで地域文化を大事にしようねというキックオフだと思いますので、そこから様々な上乗せをしながら、引き続きこれは深化させていきたいなと思っているところでございます。
  87. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。本当に期待どおりの答弁です。  これを第一歩として、今おっしゃったソーラン節もそうですけれども、二百年後には歴史ある無形民俗文化になっていますので、是非、これを第一歩として、支援の拡大をお願いをしたいと思っています。  最後に、せっかく皆さんに資料を提出しているので、ちょっとこれもまた何なんだというのがあるかもしれませんけれども、米ドルベースの日本、米国、中国の名目GDPの推移と、主要先進国の名目GDPの推移ということを挙げさせてもらいました。  これは、先ほど谷田川委員からも、ある意味では、補正予算も見ながら、この文化の振興に力を入れてほしいという話だったと思いますが、本丸の教育そのものもそうですし、こういう文化もそうなんですけれども、やはり経済力、国力がないと、より多くの予算を投じて力を入れることができないんですね。  ですから、ここではもう質問という形ではないんですけれども、先ほど大臣が言っていた学芸員、こういう文化が分かる人を地域地域にきちっと、専門家としても迎え入れられる、教育にしろ、文化にしろ、力を入れるためにはやはり先立つものが要る。それを本当に、我々、国力、経済力を回復して、この教育文化により多くの予算が割けるようにしていかなければいけないなという思いを述べまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  88. 左藤章

    左藤委員長 次に、畑野君枝君。
  89. 畑野君枝

    畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  文化財保護法改正案について伺います。  前回の委員会の冒頭に、萩生田光一文部科学大臣から発言がございました。提出された法案に関わり誤りがあったということです。国民の皆さんに関わることですので、しっかりと国民の皆さんに報告するよう求めておきます。  さて、初めに、文化財保護法改正案の趣旨について萩生田大臣伺います。
  90. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 書道や茶道、華道、食文化を始めとする生活文化について、近年、文化芸術基本法に位置づけられたことも踏まえ、無形文化財ユネスコ無形文化遺産にしたいとの要望が寄せられるなど、無形文化財の新たな保護措置検討すべき状況になってきました。  また、地域のお祭りなどについて、過疎化や急速な少子高齢化などによる担い手不足などの理由により、存続の危ぶまれる事態が増えているとの指摘があり、さらに、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて公開の機会が減少したことなどにより、一層厳しい状況になっております。  今回の文化財保護法改正は、文化審議会の企画調査会の報告を踏まえ、第一に、無形文化財及び無形民俗文化財において、先行する有形文化財等の制度を参考にしながら、従来の指定制度に加えて登録制度創設するものです。  また、平成三十一年四月に施行された文化財保護法改正により、文化財保存活用地域計画制度化され、各地域文化財の把握が進む中、地域の実態に合わせた多様な保存活用の仕組みが求められています。  このため、第二として、現在は条例等により独自に実施されている地方登録制度法律に位置づけるとともに、地方登録された文化財の国の登録文化財への提案制度創設をし、地域文化財保護取組を促進し、あわせて、国、地方文化財保護制度体系的整備を図るものでございます。
  91. 畑野君枝

    畑野委員 今大臣も御答弁されましたが、地域に根差した無形文化財保護する、これは大事だと思います。  第三回国連防災世界会議が二〇一五年三月十四日から十八日まで宮城県仙台市で開かれ、仙台防災枠組二〇一五―二〇三〇が採択されました。大事だったと思うんです。この世界会議の枠組みの中で、仙台防災枠組に文化遺産をどのように統合し得るかを検討した国際専門家会議である東京戦略会議の開催を始め、東京、仙台、それぞれでシンポジウムが開催されました。文化遺産と防災の関連性に関する議論が活発に行われたと伺っております。  その中で、特に、東日本大震災からの復興過程でのコミュニティーの再建との関連で、文化遺産の持つ意義が再確認されたと伺っております。その具体的な内容について伺います。     〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕
  92. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  東日本大震災におきましては、文化財に関しても、文化財保護法上の指定等を受けた文化財だけ、これに限っても七百件以上が被災するなど、極めて大きな被害がございました。  一方で、文化庁といたしまして、独立行政法人国立文化財機構も含め、被災地域における文化財復旧の取組に寄り添う中で、文化財、特に無形文化財が復旧復興に大きな力を持っていることを再確認させられたところでございます。  例えば、福島県の女川町の各浜には獅子振りが伝わっておりますけれども、震災により道具も全て流され、演者の方も亡くなられました。しかしながら、被災後、獅子振りで地域を一つにと、女川獅子振り協議会を組織、各所からの支援を受け、道具をそろえ、震災の年の八月には獅子振りの披露会が開催されております。獅子振りの周りには笑顔があふれたといいます。  また、千葉県のこれは香取市の例でございますが、国の重要伝統的建造物保存地区に選定される佐原という地域がございます。震災による地盤の液状化により、都市インフラに深刻な被害を受けました。一方、佐原には、国の重要無形民俗文化財指定される佐原の大祭が受け継がれており、甚大な被害を受けてもなお、何があっても祭りだけはやるんだという地域住民の意欲から、祭りの山車を通せるような復旧工事を早め、震災の年の夏には祭りの実施にこぎ着けております。  これらの事例は、地域において受け継がれる無形民俗文化財がいかに地域住民の心のよりどころになっていたか、こういうことを示すものだと考えているところでございます。
  93. 畑野君枝

    畑野委員 今、東日本大震災から十年を迎えた今年、当時亡くなられた方もいらしたということで、改めて哀悼の意を表したいと思います。  先日、東京文化財研究所に伺いまして、大変学ばせていただきました。  二〇一五年三月十一日から十三日に開催された東京戦略会議では、当時の文化庁文化財部の齊藤孝正文化財鑑査官、今回伺いましたら、現在、東京文化財研究所の所長をされておられました、その齊藤さんが、文化遺産と地域社会のレジリエンスという基調講演を行っています。  例えば、宮城県気仙沼市で、津波で市街地は壊滅的な被害を受けたが、地域にある一景嶋神社の鳥居を再建し、六か月後には例大祭が行われたことや、また、今次長も御報告されましたが、地震の揺れと液状化の被害が国の重要伝統的建造物保存地区に及んだ千葉県香取市では、地域が一体となって復興祈願をかけて恒例の祭りが実施されたことなどが紹介され、無形の遺産が心の復興を支え、有形の遺産が記憶の継承を支えながら、生活の再建や町の復興に活力をもたらす、文化は、被災地域人々がきずなを取り戻し、生活再建に取り組む活力となるもの、そのためには、生活に根づく様々な遺産に目を向け、これらを地域や国の防災計画に位置づけながら守っていくことが重要と述べておられます。  こうした議論を受けて取りまとめられた東京戦略会議の結論文書、国際専門家会合「文化遺産と災害に強い地域社会」勧告は、その基本的な考え方として、文化遺産を次のように位置づけています。文化遺産は、コミュニティーの強さやレジリエンスの源とみなせるものであるがゆえ、コミュニティーが全ての局面、例えば、計画、減災、災害時対応、復旧で災害に取り組むことを助ける有用なツールとなり得る、文化遺産は、単なる災害時の救済対象なのではなく、災害復旧や、更に重要なこととして、持続発展のための効果的なツールになり得る。  こうした認識は、文化遺産が、単に守られる対象にとどまらず、守ることを通じてその地域人々に生きる力を与える、積極的な意義を持つものであると私たちに問いかけていると思います。  萩生田大臣は、文化遺産の持つこうした意義について、どのように御認識されていらっしゃいますか。
  94. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今先生から御紹介がありましたように、災害の復興において、地域において伝承され、親しまれてきた文化財が果たす役割というのは非常に大きいと考えております。  東日本大震災においては、文化財について甚大な被害があった一方で、先ほど次長も紹介しましたが、谷田川先生のお地元の香取市の佐原の大祭ですか、こういったものを含め、地域の祭礼や行事民俗芸能や復旧復興を牽引し、被災した住民の皆さんを元気づけてきたと認識しております。  古くは、私の地元も、戦後、ちょうど夏に終戦を迎えて、秋口にどこからともなく始まった祭りのおはやしが皆さんを勇気づけて、そして、祭りをやろうということから町の復興が始まったということを先輩たちから聞いたこともあります。  私、東日本の震災直後は担当が福島県でございまして、何度もお邪魔していたんですけれども、まだ行方不明者が大勢いたり、災害のがらをどうするかというような議論をしている会議のときに、馬追をどうするかというのをすごくみんなが真剣に話していて、一体何の話をしているんだろうなと。馬追って何ですかと聞いたら、相馬野馬追というお祭りを今年やるかどうかというのを真剣に皆さんがその会場で会議をしているのを見て、ちょっとびっくりしたんですね。そんな余裕あるのかなと思ったんですけれども、しかし、それはやはり地域の皆さんを奮い立たせる大きな要因であったなと、後になってすごく肌で感じたところでございます。  有形無形文化が持つそういった力というものは、説明に限りがある、超える大きな力を持っているんだと思いますので、文化の復興は心の復興であり、地域地域の復興のよりどころとなるものであることを常に意識しながら、文化財行政に取り組んでまいりたいと考えているところです。
  95. 畑野君枝

    畑野委員 大事な御答弁でした。  我が国文化財保護は、こうした国際的な議論の到達点を踏まえて取り組んでいく必要があると思います。  国内で唯一、系統的に無形文化財調査研究し、記録保存を担っているのが、先ほど御紹介した東京文化財研究所です。第三回国連防災世界会議でも重要な役割を果たされました。  そこで伺いますが、独立行政法人文化財機構東京文化財研究所となった二〇〇七年度と今年度の研究所に対する運営費交付金は、それぞれどうなっていますか。     〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕
  96. 矢野和彦

    矢野政府参考人 ちょっと、お答えする前に訂正させていただきたいんですけれども、先ほど福島県の女川町というふうに申し上げましたけれども、宮城県の誤りでございますので、大変失礼いたしました。  御質問でございます、二〇〇七年度と今年度の独立行政法人文化財機構東文研の運営費交付金についてでございます。  人件費を除いた額でございますが、二〇〇七年度は五億七千万円、二〇二一年度は三億八千六百万円となっているところでございます。  なお、独立行政法人国立文化財機構全体で見ますと、人件費を含め、二〇〇七年度九十億四千万円、二〇二一年度九十億五千万円となっているところでございます。
  97. 畑野君枝

    畑野委員 先ほど、文化財保護に関する国際的な認識の発展について触れました。大臣も、その重要性について答弁されました。  今回の文化財保護法改正は、無形文化財登録制度を設けて、地方登録制度も法的に位置づけて、幅広く文化財保護しようとするものであります。  その点では、東京文化財研究所を始めとする国立文化財機構が果たす役割がますます重要になってくるというときに、国立文化財機構の運営費交付金も微増にとどまり、東京文化財研究所の運営費交付金は削減されているということですから、萩生田大臣法改正の内容にふさわしく、研究所の予算増、定員増など、必要な予算を確保するべきではないでしょうか。
  98. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 東京文化財研究所を設置、運営する独立行政法人国立文化財機構の運営費交付金につきましては、前年度に比べ四億円増加をしているとともに、人員につきましても、この度、八人増加をさせていただきました。  独立行政法人国立文化財機構では、設置する各博物館、研究所の機能を相互に連携させることなどにより、総合的に文化財保存活用に取り組んでいるところです。  引き続き、貴重な国民的財産である文化財保存及び活用を図り、次代に継承する取組を充実していくためには、先生御提案のように、しっかり予算を増やして、また人員も増やして対応していくことが望ましいと私も思いますので、頑張ります。
  99. 畑野君枝

    畑野委員 是非大臣、頑張ってください。  本改正案で、国による無形文化財登録制度創設されます。国内には、地域祭りや郷土料理など、放置しておくと消滅などの可能性が高い無形文化財が数多く存在します。また、無形文化財は人から人へと伝えられ継承されていくものですので、過疎化や少子高齢化といった担い手不足により存続が危ぶまれるものも多くあります。こうした現状にある無形文化財について、地方登録制度をつくり、幅広く文化財保護しようということです。  そこで、私は、まず、今年度の予算ではどのくらい無形文化財無形民俗文化財登録されると見込んでいるのか、また、国の支援はどのようになるのか、伺います。
  100. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答え申し上げます。  あくまでもこの法案を国会においてお認めいただいた場合でございますけれども、令和三年度の無形文化財無形民俗文化財新規登録は合わせて、これは初年度でございますので五件程度と見込んでおります。  それらへの支援として、記録の作成、伝承活動、普及、広報等のための費用を補助するということとしておりまして、一件当たり百五十万から二百万円程度、合計約九百万円ぐらいを想定しているところでございます。
  101. 畑野君枝

    畑野委員 これは法律が通ったことということですけれども、これが一回ということで、今後はまた検討ということになるわけですよね。はい、分かりました。  それで、現在、地方制度としては、法律規定されている指定制度条例に基づく独自の登録制度がありますが、それらに対する国の支援はどうなっているかということと、また、今回の法改正地方登録制度法律規定されることになりますが、改正案の内容を議論してきた企画調査会では、登録となると規制がかかるので、特別交付税などの手厚い支援がないと登録に当たって保有者の理解が得られないなど、国の財政支援の在り方についての意見も出されていました。  地方登録制度法律規定されることで、地方への財政支援の仕組みはどう変わるのか、伺います。
  102. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  現行制度上は、地方登録について、件数に応じて地方交付税措置が講じられているところでございますが、地方登録制度は各地方公共団体が自らの判断で実施するものでございまして、指定登録制度と同様に国庫補助による支援を行うことは、現在のところは想定していないところでございます。  地方文化財を積極的に登録していく取組を応援していくため、今後、制度の実施の状況も見つつ、法案が成立した際には必要な支援について適切に検討してまいりたいと考えております。
  103. 畑野君枝

    畑野委員 これは法律が通れば来年度から実施されるという制度だと思うんですけれども、地方登録制度法律に位置づけて、地域無形有形も含めてですけれども、文化財保護、促進をしようというのならば、国による財政支援を抜本的に強化する必要があるというふうに思うんです。  大臣に一言だけ御認識を伺いますけれども、ちょっと、私もいろいろと地域を回って伺ってきたので、それを御紹介したいと思います。神奈川県内なんですが、川崎市を伺ってまいりました。  小向の獅子舞は、県指定無形民俗文化財指定されております。一七〇〇年代にそのお宅から上人が出られて、それ以降続けられてきたと言われております。獅子舞の獅子頭なんですけれども、伺いましたら、羽根がオナガと違う、でも何だか分からない、こういうのも調べたいと。あるいは、十年に一度、この羽根を全部取り、そして漆を塗る、そういうことも必要になっていると。その後継者が、地域子供たちが参加するんですが、中学生になると部活などでやめてしまう、今、お孫さんは何とか引き継いでくれそうだという悩みを伺いました。  それから、稲毛神社は、川崎山王祭り宮座式が県選択無形民俗文化財に選択されています。これは、専任の神主がいない地方の神社で氏子の代表者が神事を行うという中世で見られた制度を引き継いで、関東地方では非常に珍しいということです。十年に一度の装束の新調も、今、宮司さんを始め神社が負担をしていらっしゃるということでした。  それから、川崎大師引声念仏・双盤念仏、これは、川崎市重要習俗技芸に二〇一九年に指定されまして、大変励みになると喜ばれているということです。かねをたたくんですが、右と左がありまして、普通に録音すると、どっちから先にたたいたか分からない。ですから、やはりそういう録音の仕方もいろいろと御苦労されているし、かねをたたきますので、これがいつ壊れるか分からない。そして、朝早い取組なので、御近所の方の取組で支えられていて、やはりここでも後継者のことについての御心配が寄せられました。  少し伺っただけでもたくさんの要望と課題があるんだなというふうに勉強させていただいたんですけれども、やはり、こういった制度を国の法律に位置づけていくとしたら、先ほど今後の検討ということだったんですが、総務省とも協議になると思うんですが、しっかりと財政的な支援を抜本的に強化していくということが必要だと思うんですけれども、大臣、御所見いかがですか。
  104. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほど来答弁申し上げていますように、これはある意味、初めの一歩だと思います。将来的には国もそういった財政的な裏打ちができる基金などを持って、困っている文化財継承のために補助を出すようなことのメニューをつくることができれば理想だなというふうに思うんですけれども、まずはそれぞれの地域指定をしていただくというのが今回の法案でございますので、そういったことも視野に入れながら、是非この制度を磨いていきたいな、現段階ではそういうふうに思っているところです。
  105. 畑野君枝

    畑野委員 それで、もう一つだけ。  東京文化財研究所に伺いまして、東京和楽器の三味線作りについて伺ったんです。大変危機感を持っておられました。  私、地元の邦楽器店に伺いましたら、やはり三味線の作製や修理という点では、この間、舞台公演や演奏会が中止される中で、大変御苦労をされている。やはり、愛好者が増えないと支えられないと。  それから、先日、国会には、能楽や寄席の団体の皆さんが来られまして、例えば能楽でいうと鎌倉薪能がコロナによって中止になったとか、あるいは、落語は三百六十五日開けてこそ成り立つのだけれども、それができなくなっていると。  こういったものも是非支援を強めていただきたいということを一言申し上げたいと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  106. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今御披露いただいた東京和楽器というのは、たまたま私の地元にある企業で、それで、私も知らなかったんですけれども、全国シェアの半分以上をそこで三味線を作っているということで。経営者は、このコロナの中で仕事も減ってきて、やめようということを従業員の皆さんとも相談をして、廃業すると決めて、それが報道に出たことをきっかけに、多くの皆さんから支援が集まり、また、文化庁としても、現場をきちんと見て、これは保存すべき技術だなということで、今年度から新たにその指定をさせていただいて、技術継承のための支援を行うことにさせていただきました。  我々が気がつかないうちに埋もれてしまう、朽ちていってしまう文化あるいは技術というものは国内にたくさんあるんだと思います。ここは、この法案の成立をきっかけに、アンテナを高く上げて、そして、国として、地方の皆さんと伴走できる、そういう体制を人的にも財政的にも充実させていく、それがこれからの課題だと思っていますので、今あるメニューもありますから、それを上手に使いながら、先ほど来お答えしているように、深化させていきたいなと思っております。
  107. 畑野君枝

    畑野委員 是非取組を強めていただきたいというふうに思います。  文化財保護法は三年前に大きな改正がされ、二〇一八年改正では、過疎化や少子高齢化などを背景に、文化財の滅失や散逸、担い手不足が喫緊の課題となっているため、未指定地域文化財の掘り起こしを含め、地域社会が総がかりで文化財保護に取り組めるようにするため、都道府県が策定する大綱を勘案して、市町村が文化財保存活用地域計画を作成することなど、文化財保存活用の計画行政化を推進する仕組みを法律化いたしました。また、計画の認定を受ければ地域文化財を国の登録文化財に提案できる制度も盛り込まれました。  伺いますが、改正法施行後、大綱を策定した都道府県数、地域計画を策定した市町村数、地域から国に登録の提案が行われ、登録された文化財の件数は、それぞれどうなっていますか。
  108. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  まず、文化財保存活用大綱でございますけれども、三十八の道府県において策定されております。地域計画は二十三の市町において策定されておりまして、また、一件の登録有形文化財について国に対しての登録の提案がなされており、現在、提案内容を精査しているところでございます。  更に言いますと、今年度中に七道県において大綱を策定するというふうに聞いてございまして、大多数の都道府県において今年度中の策定完了が見込まれております。  また、地域計画につきましては、四十以上の自治体から今年度の認定に向けた相談を受けており、今後も地域における取組を着実に支援してまいりたいと考えております。
  109. 畑野君枝

    畑野委員 今回の改正案の内容を検討した企画調査会では、飛騨市の市長さんから、少ししっかり調査をしたり、保存したりということになると、学芸員の力がどうしても必要になる、文化財保存活用地域計画もそうなんですが、なかなか私ども今踏み切れていないのはマンパワーの不足があるところが大きな要因でありまして、そうすると、その後、特に学芸員不足ということをどう解消するのかということが一つの論点としてあると発言されています。  市町村が文化財保存活用地域計画を作成するに当たっても、専門知識を持つ職員や学芸員など、専門人材確保は非常に重要になってくるということです。  伺いますけれども、文化庁は二〇一七年に、地方公共団体における文化財保護行政の現状に関する調査を行っています。一番多い、記念物、埋蔵文化財の専門的な知識や経験を持つ職員は、都道府県、一般市、町、村、それぞれ平均何人配置されているのか。  あわせて、一番多い埋蔵文化財担当者の状況と併せて、無形文化財に関する専門的な知識や経験を持つ者はそれぞれ平均で何人配置されているのか、伺います。
  110. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  先ほど委員が御指摘になりました調査によると、記念物、埋蔵文化財の専門的知識、経験を持つ職員の配置状況は、これはそれぞれ平均でございますので、都道府県が二十・五名、端数ということは本当はあり得ないんですが、あくまでも平均でございます、二十・五名、政令市と中核市を除く一般市が二・八名、町が〇・八名、村が〇・三名となっております。  さらに、無形文化財に関する職員につきましては、都道府県が〇・四名、一般市が〇・一名、町、村が〇・〇三名となっているところでございます。
  111. 畑野君枝

    畑野委員 今回の地方登録制度新設については、無形文化財も含まれるわけですから、今あったように、都道府県レベルでも極めて少ないわけです。市町村レベルではこれからどうやっていくのかという状況です。  だから、自治体任せで進むのかということでは、文化財専門職員の配置の必要性、どのようにお考えですか。
  112. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えします。  無形文化財登録制度の円滑な実施のためには、地方において専門人材確保を含めた体制整備を図ることが重要と考えております。  この点につきましては、本法案の基になりました文化審議会の企画調査会からも御指摘を頂戴したところでございまして、地方における体制整備については、専門知識を有する大学等との連携、広域的な連携など、先進事例の横展開を図るとともに、文化庁調査官等から地方公共団体が指導助言を受けられる仕組みの構築を検討してまいりたいと考えております。  それぞれの地方公共団体においても、職員配置の工夫などにより、体制整備取組を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。
  113. 畑野君枝

    畑野委員 最後に、萩生田大臣伺いますが、先ほど学芸員のお話をされておられました。一九七三年に、公立博物館の設置及び運営に関する基準が作られまして、都道府県、指定都市の設置する博物館には十七人以上の学芸員又は学芸員補を置く、市町村の設置する博物館には六人以上の学芸員又は学芸員補を置くものとされていたんですが、二〇〇三年の基準改正で削除され、「必要な数」となってしまったんですね。  しかし、そういう根拠がなくなってしまったものですから、そういったものをしっかりともう一回見直して、文化財保護を担うにふさわしい体制を再構築していく必要があると思うんですけれども、最後にそのことだけ伺います。
  114. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 昨年までで百四か所の日本遺産の指定をしました。このときにも私同じことを申し上げて、やはり調査記録保存をするには専門性の高い職員がいてくれないと、全く通訳ができなくなってしまいます。  そういう意味で、時代が変わりましたけれども、この時代に改めてまた専門性を持った学芸員の必要性というのは求められているんじゃないかということは全国にも発信をしています。財政の問題もあれば定数の問題もありますから、国があらかじめその人数を明記するというのは今の時代はふさわしくないと思いますけれども。  しかし、せっかくこういう法律ができて、地域文化を大事にしていこうというマインドが出てきたんだとすれば、先ほど私申し上げたように、昭和の時代みたいに、専門家として、役所の中に常にその仕事だけをという環境にはなかなかないかもしれないんですけれども、知識を持った人たちがある意味では役所の中にしっかりいらっしゃるということは極めて大事だと思います。  おかげさまで学芸員の数そのものは今増加傾向にありますので、このトレンドを大切にしながら、適切な措置を促してまいりたいなと思いますし、おっしゃるように、必要性があれば、専門性の高い、専門職としての学芸員の配置を再び必要とする時代が来るんだと思うので、今ちょっと過渡期だと思いますので、よく地方自治体とも連携を取りながら頑張ってまいりたいなと思います。
  115. 畑野君枝

    畑野委員 しっかりとした支援を求めて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  116. 左藤章

    左藤委員長 次に、青山雅幸君。
  117. 青山雅幸

    青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。  本日は、大変貴重な質問機会、ありがとうございます。  早速ですけれども、伺わせていただきます。  まずは、消滅の危機にある無形文化財無形民俗文化財に関する資料のデジタル保存についてお伺いします。  文化財保護法の一部改正により、幅広く文化財裾野を広げて保存活用を図っていくということは重要であり、進めていくべきものと考えます。  しかしながら、当然のことではございますけれども、予算や人員等の制約により、保存対象となるものは、ごく一部の、重要というふうに認定された、あるいは重要と考えられている文化財に限られ、大半のお祭りや伝統工芸、食文化等は十分な記録保存等がなされておりません。  しかしながら、地方のお祭りや伝統工芸、食文化等は、少子高齢化過疎化の急速な進展により後継者が不足していて、お祭りとか、後継ぎのいない高齢の職人による地域の伝統工芸や、その地域で特別な日にだけ食べられるような、そういう郷土食等の多くが消滅の危機に瀕しております。こういった記憶が日本から失われていくというのは、大変寂しいものでございます。  そこでお伺いするんですけれども、予算や人員等により重要な無形文化財を優先することは、これはやむを得ないことでございますけれども、文化庁保護対象から外れた無形文化財、とりわけ、消滅の危機にある地域固有のお祭りや伝統工芸、風俗習慣、郷土食等について、保護まではできないとしても、記録だけでも残していく必要がある、こう考えます。例えばNHKの「新日本風土記」など、今見ても、大変貴重な映像だなといつも思うわけですけれども。  こういったことに関して、現在、文化庁ではどのような施策が講じられておるでしょうか。
  118. 矢野和彦

    矢野政府参考人 お答えいたします。  文化庁におきましては、文化財保護法規定に基づきまして、重要無形文化財又は重要無形民俗文化財以外の無形文化財のうち特に必要があるものを記録作成等の措置を講ずべき無形文化財として選択し、その保護を図っているところでございまして、昭和二十九年の制度創設以来、無形文化財については六百五十件を選択しております。  特に変容、衰退のおそれが高いものについては、計画的に映像、報告書等により記録化を進め、後世においても参照できるよう記録保存を図っているところでございまして、今後も取組を進めていくということとしております。  加えまして、今般の法案では、文化財保護裾野を広げる観点から、指定に至っていない無形文化財対象として国の登録制度創設することとしており、これらの取組を通じまして、文化財の適切な保護を図ってまいりたいと考えております。
  119. 青山雅幸

    青山(雅)委員 ありがとうございます。  一歩前進ということは大変よく理解できます。  更にそこから、御提案なんですけれども、その登録云々ということになると、どうしても敷居が高い。そこまで至らなくても、やはり地域でどんなことが行われていたか、こういう記録保存というのは非常に重要かと思います。そういった無形のものに関するプラットフォーム、映像等の資料。  今、本当に進んでおりまして、本当に媒体も安くなっているわけですね。昔は、NHKなどは、今となっては大変貴重だと思われるテレビドラマなどもみんな消してしまっていた、ビデオテープが高価だったから。ところが、今そういうことは全然ないわけです。  こういったデジタル映像や画像の保存、これは検索も容易ですし、大した予算も必要ないわけですね。そして、こんなものは民間に任せれば、例えば、私なども時々自分の後援会のために地域の制作会社に頼んだり、大体、一件三十万くらいで作ってくれるわけです、三十分くらいのものを。  そういったものであるならば、容易に、各自治体が選定し、費用を国が持つというような形でやれば、後世にとって、どういったものがあったのかと、大変貴重な記録になると思いますし、また、取りかかることも容易だと思うんです。  これは是非検討していただきたいんですけれども、これについて大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  120. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほど次長が答弁をしましたが、文化庁では、これまで指定している以外の無形民俗文化財に関し、文化財保護法第九十一条の規定により、変容又は消滅してしまう懸念があるものについて記録の作成などを行ってきたところです。この場合の記録は、従来は文書資料として作成されることが多かったわけですけれども、近年は映像を資料として作成、保存するものも増えております。  こうした映像記録はユーチューブに順次公開を進めていますし、また、我が国の多様な文化遺産に関する情報を集約したポータルサイト、文化遺産オンラインを構築しており、無形民俗文化財を含む国や地方文化財等の情報発信に努めております。  こうしたポータルサイトを今後更に充実強化し、先ほどの記録作成の映像や画像など、様々なデジタルデータとリンクをさせて、豊富なデータベースをオンラインで提供できるような取組をしてまいりたいとこの機会に考えております。
  121. 青山雅幸

    青山(雅)委員 すばらしい取組だと思います。是非どんどんと広げていただきたいと思います。  続きまして、通告の順番を若干変えまして、医療法について聞かせていただきます。もし時間がありましたら、現代の美術作品に関してのものにまた戻ってまいりますけれども。  医療法について、今、御承知のとおり厚労委員会で審議が進んでいるわけですけれども、医師の多い少ないを決めるのは、医学部の定員に結局帰結してくるわけですね。なぜかといえば、今、医師の国家試験の合格率は非常に高いものですから、医学部の定員が増えれば自然と医師も増えてくる。  ところが、御承知のとおり、結局、医師の増減を決めているのは医学部の定員で、そこが厳重に管理されているがゆえになかなか増えてこない。そして、今の新型コロナのパンデミックでも、医師不足によって、欧米の十分の一くらいの患者数あるいは重症者数、死者数しかいないけれども、御承知のとおり、各地で大変な混乱と医療逼迫が起きていて、日本医師会の会長が医療壊滅とまで口にされるような事態が来ているわけです。  こういったことは予見できそうな話でもあり、予見できなかった、我が国はしてこなかった。なぜ予見できたかというと、二〇一二年に、ドイツは既に、日本の感染研に当たるロベルト・コッホ研究所というところで、このパンデミックシナリオというのを、まさに、本当に、今回の事態を八年前に予見しているようなシナリオを書いて、そこから着々と体制を練ってきた。こういうようなナショナルセキュリティーに関する備えというのは、私は日本にも絶対必要だと思います。  感染症に関して言えば、それには医師の数というのが要るわけですね。  医師の需給予測というのをずっと見てみますと、昭和三十五年頃に人口十万当たり百五十人という目標が立てられた。昭和四十八年に、閣議決定で、無医大県の解消構想が立てられております。昭和五十六年に琉球大学医学部が開設され、昭和六十一年に、今度は全国の医師が一割過剰というふうなことが言われ始めて、一〇%削減が言われて、医学部定員が八千三百人前後に削減されていった。その流れに乗って、平成五年には新規参入医師数を現状から一〇%削減が提言されて、平成十二年には更に定員が減って七千六百九十五人、こういう流れで来ているわけですね。  ところが、皆さん御承知のとおり、今度は勤務医不足がずっと言われ始めまして、医療崩壊とかいう話が今度また出てきまして、平成十八年には、二〇二二年には医師の需給が均衡するだろうと言われたんですけれども、英断で、平成二十年六月に骨太の方針二〇〇八で医師増員が決められまして、令和元年度には、今、九千五百五人。だから、減ったときには七千六百人くらいまで減ったのが、今、九千五百人と、定員は増やしているわけです。  そうしたところ、実は平成三十年の閣議決定で、医師の需給推計に基づいて、将来的な医学部定員の減員に向けて、医師養成数の方針について検討すると。今度はまた減らすという話なんですね。  お分かりのとおり、この推計というのは当てにならなくて、行ったり来たり行ったり来たりして、それによって非常に現実が振り回されている。  今足りないことは間違いないわけで、それによって日本中が大騒ぎになっているわけですから、今ここで減らすという話は幾ら何でもないんじゃないかなと私は思うわけです。  単純な絶対数だけじゃなくて、御承知だと思いますけれども、地域によって、例えば、いわゆる過疎地であるとか、東北地方であるとか、そういったところにはなかなかお医者さんが行きたがらない。あと、専門科目も、これもやはり非常にはやり廃りがあって、人気科目もあれば、人が行きたがらないところもある。もっと言えば、一番の問題は勤務医と開業医の、日本においては開業規制がないものですから、勤務医がどうしても減りがち、過重負担と言われれば、もうこれは勤務医の問題なわけですけれども。  こういうことについて、強制力を持った手段が取れないんですから、基本、やれることとすれば、絶対数を増やすというしかないわけですね。  絶対数を増やしておけば、私は弁護士でもあるんですけれども、司法試験がいきなり、合格者が二倍以上になって、三倍近くになって、全国の過疎地隅々にまで弁護士が行き渡ったということがあるわけです。五年くらいで行き渡りました。  そう考えると、やはり地域でのお医者さんが少ない、地域の偏在という大課題があるわけですから、厚労省はいろいろ言っていますけれども、やはり文科省は文科省で見識を持って、厚労省が言ったからそのとおりではなくて、特に地方はそうなんですけれども、お医者さんを、つまり医学部の定員を増やすということについて、是非、進言というか政策をつくっていっていただきたいと思うわけですけれども、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  122. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 医学部医学科については、昭和五十七年及び平成九年の閣議決定により、抑制方針に基づいて定員の削減を図ることとされております。  一方、医師の偏在は依然として課題であることから、平成二十年度以降、医師不足地域や診療科での勤務を条件とする地域枠を中心に医学部定員を臨時的に増員してきております。令和三年度現在で、医学部入学定員総数は九千三百五十七人となっております。  先生今おっしゃった問題意識は我々も共有しておりまして、今回、このコロナ禍で、医師が足りないというワードが出てくるんですけれども、潜在的に医師資格を持っている人が足りないのではなくて、必要なところに必要な医師を配置できていないというのがやはり大きな問題なんだと思います。  実は、地域の臨時定員枠は、増やした分だけちゃんと、不足をする都道府県に卒業後勤務をしていただいておりますので、そういう意味では効果があると思うんですね。これからは、やはり診療科目をどうマッチさせていくか。  それはもう、学んだ学生さんたちが国家資格を取れば、どういう診療科目につくかは、御本人の選択の自由はもちろんあります。しかし、それでは、総体的な数を増やしても、ちょっと弁護士さんの例を出されましたけれども、弁護士さんはどこまでいっても弁護士さんでいらっしゃって、得意不得意はあるかもしれませんけれども、地域に行っていかようにも対応できると思うんですけれども、医師の場合は、やはり専門科を決めてしまいますと、それ以外のことができません。  例えば、分かりやすく具体的に申し上げれば、産婦人科医が足りないという地域で医学部の定数を増やしても、誰も産婦人科を目指してくれなかったら、これは結果として、何年たってもその充足ができないわけですから、こういったことを、このコロナをきっかけに、厚労省とも胸襟を開いて話合いをしていこうということを今省内でも整理をさせていただいております。  医学部定員の在り方については、厚生労働省の有識者会議である医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、将来の医師の需給の観点を踏まえつつ検討が進められているものと承知していますが、御提案がありましたように、文科省としても、本検討会の議論の結果を待つだけじゃなくて、しっかり人材育成をするという使命を持って、厚労省ともしっかり連携した上で、地域や大学の実情などをしっかり見ながら、適切に対応していきたいし、声を上げていきたいと思っております。
  123. 青山雅幸

    青山(雅)委員 文科省としてもきちんと声を上げてくださるという今の御答弁、大変重要だと思っております。是非そのようにお願いしたいと思います。  今、大臣、せっかく丁寧な御答弁いただいたので一点だけ申し上げると、御承知のとおり、大学教育の中で専門科が決まっていくのは、六年卒業してから、研修に入ってから、研修の中でどこの科目にするか選んで、綱引きが始まるわけですね、うちの科へ来いという。ですから、必ずしも六年のところで専門性が決まるわけではないので、いつでも再教育は可能なわけです。しかも、日本は今、標榜医制度を取っていますので、いや、本当にこの人は内科のことに詳しいのかなと思うような方が内科をやっていたりする。それがいいとは言いません。  ただ、今のお話ですと、再教育ということも積極的にやっていって偏在をなくしていくということもあり得ると思いますし、そういったこともできれば、教育ですから、文科省としても少し関与していただきたいんですけれども。  通告していませんけれども、もしその点について何かお考えがありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
  124. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今先生御提案あった再教育というのは、具体的にメニューを持っているわけじゃないんですけれども、例えば、百名の定員の卒業生が、美容整形に五十人、皮膚科に三十人、眼科に二十人しか就職しなかったら、これは地域医療を支える人たちがなかなか出てこない。救急救命も必要だし、産科や小児科も必要だしという地域事情とマッチしないというのが今の現状だと思います。  おっしゃるとおり、大学卒業即ドクターになるわけじゃなくて、研修に進みますから。ただ、昔の研修医制度のように、徒弟制度のような縦の系列で、望むと望まざるとにかかわらず、これは昔の政治もそうだったと思います、文部科学委員会に入りたくなくても来いと言われれば行くみたいな、そういうものがだんだん医療現場ではなくなってきてしまっていますので、やはり、国家資格を取得した後というのは、御本人の意思というのが尊重される傾向にあることは否めないと思います。  したがって、地域枠と同じように、今、私、全国の知事の皆さんとも話しているんですけれども、せっかく奨学金制度が充実してきました。医者になるという選択肢がなかった学生さんが、奨学金を使って、その地元の県や何かとも連携をしながら、あらかじめ必要な診療科目に当たってもらう医師になってもらうことを前提に応援をしていくような仕組みもつくりながら、こういった差を埋めていくことをやっていきたいなと思っているところです。
  125. 青山雅幸

    青山(雅)委員 御答弁を聞いていると、厚労省は本当に縦割りが強くて、なかなか通じない。是非、文科省の方から動かすということで、日本の今の偏在を直していくということは御努力いただきたいと思います。  続きまして、これは非常に深刻な問題で、先週の「あさイチ」という、NHKなどでもやっていたんですけれども、今、コロナが非常に長期化して、子供たちの心身がむしばまれている、こういう現状があるわけですね。  これに関しては、私、文科省の衛生管理マニュアルを見ましたけれども、大変よくできているといいますか、多分日本で一番、不要な規制についてはなるべく排除しようという姿勢があるのが文科省だと思っています。  その意味で、文科省の今の取組を大変評価しているわけですけれども、ただし、残念ながら、それが、末端といいますか、各地方自治体あるいは各小学校に届いていない。  例えばマスクですね。マスクがどこまで必要なのかという話がありまして、特に子供です。WHOも十二歳未満の子供には推奨しているわけではないわけですよね。これをつけていると、一つには、慢性的な酸素不足という身体への直接的影響も考えられますし、中には皮膚炎になっちゃう子もいます。それから、子供にとって深刻なのは、表情が読み取れないという、人間としての基本的な技能みたいな基が失われている可能性がある。さらには、文科省、ここを気をつけていただいていますけれども、熱中症への影響も懸念されます。  私のところにSNS経由で訴えがいろいろ来るわけです。幼稚園でさえ、まあ、幼稚園だったら、普通外せという話なんですけれども、鉄棒やサッカーなどでもマスクをさせているところがある。あるいは、小学校の放課後、外遊びでもつけさせているところがある。あるいは、公立小学校で、体育で全員着用させているところもある。あるいは、野球チーム、クラブチームなどでも全員つけさせている。そういう声もお聞きしているわけです。これは明らかにちょっと過剰な問題で、大人の自己満足や過剰なやったふり感のために子供たちを抑えつけているのではないかと思っています。  すごく心配なのが、お手元の資料を御覧いただきたいんですけれども、これは児童生徒の自殺者数の推移です。大臣は当然御承知だと思いますけれども、すごく増えているわけですね。  まず一枚目は、小学校から高校までの通算ですけれども、二〇一九年まで大体三百人前後で推移していたものが、いきなり百人以上増えて、四百七十九人です。  内訳を見ると、二枚目をめくっていただくと、非常に数は少ないですけれども、小学校の子でも倍になってしまっている。それから、中学、高校の子供たちは一・五倍くらいになってしまっている。  三枚目をめくっていただくと、一番多感な年頃である高校生の女子の方は二倍くらいまで増えちゃっているんですね。これはどう考えてもコロナ禍の影響しかないわけです、世の中で二〇一九年と二〇二〇年で変わったのはコロナしかないわけですから。  資料の四枚目、資料四を御覧いただきたいんですけれども、これは文科省が、先ほどのマニュアルにもきちんとこういった数字が掲載されていて、私は、非常に感心といいますか、よく分かっておられるなと思ったんですけれども、コロナで死亡した子供というのは、日本では幸いにして一人もいないんですね。十代以下はゼロです。それから、感染率、これも他の世代に比べると低いわけです、十代と十歳未満は。  そういう事実を踏まえると、子供たちに果たして過剰な規制をする必要があるかということなんです。  例えば、最近、私は小学校の卒業式の様子を見たわけですけれども、ずっと黙って入場したりしているわけですけれども、最初から最後までマスクをつけっ放しなわけですよ。歌でも歌うときはつけてもいいかもしれません。でも、入場するときとか黙って座って聞いているときに何でマスクをつけていなきゃいけないのかということなんです。  そうしたら、先ほど御紹介したNHKの「あさイチ」で、びっくりしたんですけれども、富山市では、できるだけつけさせない、距離も先生方が一生懸命測って、このくらい距離が空いていれば椅子に座ってつけなくていいんじゃないか、子供たちが合唱するときも、お父さん、お母さんに自分の顔を見せたいということで、一歩下がらせて社会的距離を空けることによってマスクをつけないというすばらしい取組をやっていたんですね。  これはすごく難しいことで、努力も要るし、さっき言ったように巻尺を持ってやらなきゃいけないし、何かあったときに責任問題が出るかもしれない、そんなことを言う人がいるかもしれない。責任はないと私は思っていますけれども。  だけれども、そういう取組によって子供たちを守っていかないと、先ほどお見せしたような、自殺者が増えるとか、それだけじゃなくて、その同じ番組でやっていましたけれども、小学生の子が、三年生の子が体重が減少する、あるいは、小児科の人によると、心身不調を訴える子が増えていると。子供に大変な影響を与えるわけです。  そこで、大臣にお願いしたいことが、マスクなんかも、例えば、授業中でも静かにしている場合にはつけなくてもいいんじゃないか。あるいは、今非常に、三十人学級になり、そして開放的な、廊下と隔てるところさえなくて、例えば、冬はどうか分かりませんけれども、夏なんかは、窓を開けていたら本当にマスクを授業中している必要があるのか。あるいは、もっと言えば、登下校時には、恐らく、非常に都会の密集したようなところでなければ、田舎なんかはマスクをつけなくてもいいはずなんですね。  そういったことに関して是非検討いただきたいんですけれども、それに関して大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  126. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  マスクの着用についてですけれども、学校に対しては、感染症対策の専門家の見解も伺い、マスクの着用について、先ほど御指摘いただきました衛生管理マニュアルの中で、身体的距離が確保できる場合は着用の必要がないこと、あるいは、活動の態様や児童生徒の状況に応じて取り外すなど、臨機応変な対応が重要であること、特に幼児については無理に着用させる必要はないことなどを周知させていただいているところでございます。  実は、このマスクの着用については、これまでも、その時点での状況や知見を踏まえて、この学校衛生管理マニュアルの内容を見直しをしてきているところでございます。約一年前の第一版においては、常時マスクの着用が望ましいとしておりましたが、その後の知見等を踏まえて、今申し上げたような形に見直しをしてきているところでございます。  ただ、換気についても、今御質問の中でございましたが、この新型コロナウイルス感染症については、一般的には飛沫感染や接触感染によりうつるとされておりますので、飛沫感染を防ぐ観点からは換気が重要でありますけれども、換気と併せて、身体的距離が十分に取れない場合にはマスクを着用することが基本的な感染症対策とされているところでございます。  今後とも、子供たち状況に応じながら必要な対策が講じられるよう、マスクの着用に関する新たな知見あるいはその他の事柄についても、最新の知見に基づいて、必要に応じこの衛生管理マニュアルを見直しをさせていただきながら、学校に対して必要な情報提供を速やかに進めてまいります。  以上です。
  127. 青山雅幸

    青山(雅)委員 ありがとうございます。今おっしゃったとおりだと思います。  今も触れられた衛生管理マニュアルの内容も大変すばらしいものだと思います。現時点での最新の知見を踏まえたものになっていると思います。問題は、それが徹底していないこと、あるいは周知されていないこと。  この点については、是非大臣から、臆することなく管理者が、学校の校長先生であったり、市の教育委員会であったり、あるいはスポーツクラブの代表者、監督、コーチであったりが、その精神でもってやっていくことを是非ここで強く呼びかけていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  128. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 言うならば、未曽有のウイルスと今戦いを続けています。先生がおっしゃった現場の声というのはよく分かりますし、私たち国としては大きな方針を示していますので、その中で、ガイドラインを上手に使いながら、現場現場で、必ずしも画一的な対応を求めているわけじゃないので、例えば富山市の小学校取組などは、それはそれでよろしいんだと思います。  したがって、大きな方向としては、三密を避けてください、手洗いやうがいを奨励してください、マスクをつけていただいて、できる限りソーシャルディスタンスを取ってくれというこの方向を変えますと、やはりこれは混乱すると思うので、これはこれで理解してほしいんですけれども、しかし、これは全てをマストでやってくれというんじゃなくて、状況によって当然違うと思います。屋内と屋外ではまた違うと思います。そういったことは、是非教育現場の皆さんがそれぞれ判断をしていただきたいなというふうに思っております。  逆に、外していいですよと私が言えば、これは結構混乱が起きますので、大きな方針としては、今申し上げた、言うならば、予防措置は続けていただきたいんですけれども、マストではなくて、状況に応じて是非工夫をしていただきたいというのが正直なところです。
  129. 青山雅幸

    青山(雅)委員 政治的な限界というのもあるかとは思います。ただ、そこを踏み越えて、今日も、富山市のお医者さんの取組、できることとできないこと、ここはできなくてもいいんだということを明示していくことによって初めてマスクを外す。どういうときには外していいんだということも、安心して現場が取り組めるわけですから。  今のマニュアル、先ほどから申し上げているように、大変すばらしいものだと思います。例えば、こういうときにはしなくていいんだよと書いてあります。体育のとき、しなくていいんだよと。あるいは、周りが非常に閑散としているような、例えば郊外の学校などにおいて、登下校のときには必ずしも必要でないんだよとか、更に一歩進めた取組をしていただければと思います。  それから、まだ時間がございます、最後に一問、飛ばしてしまいました現代美術のことについてお伺いしたいと思います。  最近、現代美術、いろんなことがありまして、例えば、町の中にいきなり絵が描いてあって、それが大変な価値を生むような現代美術であるとか、ちょっと驚くようなことが出ているわけですけれども。  原則として制作後五十年を経過していない作品については、これまで文化財保護法対象とはされていなかったんですけれども、このような美術作品の中には、国際的な評価が高まり、海外に流出してしまったものもあります。この中には貴重な、国民的な財産と言えるものもあるという指摘もなされております。  そういった現代の美術作品に関して、やはりこれも今後積極的に保護するなり、大切にしていくというような方向性が必要かと思うんですけれども、これについて文化庁の方針を最後にお伺いしたいと思います。
  130. 矢野和彦

    矢野政府参考人 今、青山委員から御指摘いただきました文化審議会文化財分科会企画調査会の報告書におきまして、こうした美術作品について、例えば、学術的な調査研究が進み、系統的又は網羅的に収集されたものについては登録制度対象とするなど、幅広く保存活用していくために有効な方策を文化審議会文化財分科会等において検討すべきというふうにされているところでございます。  私どもとしては、こうした指摘も踏まえ、今後、文化財分科会等におきまして、登録基準の見直しも含めて、現代の美術作品の扱いについて、文化財保護観点からしっかりと議論してまいりたいと考えております。
  131. 青山雅幸

    青山(雅)委員 価値が出て一旦流出してしまうとなかなか元に戻せない、買い戻せないということもございます。是非積極的に御検討をお願いします。  本日は、貴重な機会をありがとうございました。
  132. 左藤章

    左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  133. 左藤章

    左藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出文化財保護法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  134. 左藤章

    左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  136. 左藤章

    左藤委員長 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十七分散会