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2021-03-17 第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十七日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 神山 佐市君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    尾身 朝子君       大串 正樹君    佐藤 明男君       櫻田 義孝君    繁本  護君       柴山 昌彦君    谷川 弥一君       中曽根康隆君    中村 裕之君       根本 幸典君    馳   浩君       福井  照君    古田 圭一君       三谷 英弘君    村井 英樹君       山本ともひろ君    吉良 州司君       下条 みつ君    寺田  学君       中川 正春君    谷田川 元君       山内 康一君    吉川  元君       笠  浩史君    古屋 範子君       鰐淵 洋子君    畑野 君枝君       藤田 文武君    白須賀貴樹君     …………………………………    文部科学大臣       萩生田光一君    国務大臣    (東京オリンピック競技大会東京パラリンピック競技大会担当)       丸川 珠代君    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    文部科学大臣政務官    兼内閣大臣政務官    三谷 英弘君    政府参考人    (内閣公益認定等委員会事務局長)        清水 正博君    政府参考人    (文部科学省大臣官房文教施設企画防災部長)   山崎 雅男君    政府参考人    (文部科学省総合教育政策局長)          義本 博司君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局教育課程総括官)    串田 俊巳君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君    政府参考人    (スポーツ庁次長)    藤江 陽子君    文部科学委員会専門員   但野  智君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   福井  照君     中曽根康隆君   船田  元君     佐藤 明男君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 明男君     船田  元君   中曽根康隆君     福井  照君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第一六号)      ――――◇―――――
  2. 左藤章

    左藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣公益認定等委員会事務局長清水正博君、文部科学省大臣官房文教施設企画防災部長山崎雅男君、総合教育政策局長義本博司君、初等中等教育局長瀧本寛君、初等中等教育局教育課程総括官串田俊巳君、高等教育局長伯井美徳君及びスポーツ庁次長藤江陽子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 左藤章

    左藤委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。
  5. 菊田真紀子

    菊田委員 おはようございます。立憲民主党菊田真紀子です。  大臣、連日、大変御苦労さまでございます。  本日は、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律通称義務標準法の一部改正案について質問させていただきます。  今回の改正で、公立小学校の二年生から六年生まで、学級編制標準を現行の四十人から三十五人に引き下げることになります。少人数学級実現に向かう今回の法改正方向性は、私も賛同するものであります。  過去を振り返ると、民主党政権の二〇一一年に、小学校一年生が三十五人に引き下げられ、二年生についても実質的に三十五人以下学級となるよう財政措置を行いました。さらに、段階的に中学校三年生まで一律に三十五人以下学級となるよう計画を策定いたしました。しかしながら、二〇一二年に安倍政権に替わると計画は放置され、二〇一六年以降は概算要求に盛り込まれることもなくなりました。  安倍政権が終わり、菅総理の下で萩生田文科大臣が少人数学級実現に強い意欲を示され、今回の改正案がまとまったと巷間では言われています。萩生田大臣の熱意と突破力には敬意を表するところではありますが、改めて萩生田大臣に伺います。  民主党政権の少人数学級計画を無視し続けた安倍政権判断は誤りだったとお考えということでしょうか。
  6. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生今お話しになりましたように、義務標準法については段階的に見直しをしてきました。  民主党政権で平成二十三年に法改正をして、小学校一年生三十五人学級実現をし、本来でしたらそのまま計画的に続けるのが望ましかったと思うんですが、その後の政権交代もあって、一度は、言うならば頓挫をしました。  今、先生、かなり批判的な御指摘がありまして、またお褒めもいただいたんですけれども、最終的に菅内閣としてこれに取り組むことになりましたけれども、この方向性を決めたのは安倍内閣教育再生実行会議の場でございますので、安倍総理の下で少人数学級への方向性は決めさせていただいて、それを菅内閣が継承したということでございますので、そこまでとがって批判をされなくてもよろしいんじゃないかなと思います。
  7. 菊田真紀子

    菊田委員 今回の法改正では、中学校の三十五人以下学級実現は見送られることとなりました。体がだんだんと大きくなり、思春期を迎え、複雑な悩みを内面に閉じ込めてしまうことが多い中学生にこそ、教職員の目がしっかりときめ細かく行き届く必要があると考えます。  三十五人以下学級割合は、小学校の九二%に対して、中学校は七四%にとどまっています。実質的にはほとんど実現しているとも言える小学校の三十五人以下学級よりも、中学校の三十五人以下学級実現は、よりハードルは高いものの、ハードルが高いからこそ、実現すれば効果も大きいものがあります。  また、萩生田大臣は、三十人以下学級を目指すべきだとも発言をされています。中学校における三十五人以下学級実現、その先の三十人以下学級の、小中学校、さらには高校までの全学年における実現についてどのようにお考えか、萩生田大臣見解を伺います。
  8. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 予算編成過程における少人数学級検討に当たっては、地方団体を始め、学校現場における少人数学級効果必要性の声は大きく、そうした高いニーズも踏まえ、三十人学級を目指して全力で取り組んでまいりましたが、関係者間で様々な検討、調整を丁寧に行った結果として、小学校における三十五人学級計画的な整備をまず行うこととしました。  私としては、一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず、中学校においてもその必要性は全く変わりがないと認識しております。  今回の学級編制標準引下げ計画的に実施する中で、学力育成その他の教育活動に与える影響外部人材活用効果について実証的な研究を行うとともに、質の高い教師を確保するために教員免許制度等在り方について検討を行っていくこととしており、これらの検証等を行った上で、その結果を踏まえ、中学校も含め学校の望ましい指導体制在り方について検討を進めてまいりたいと思います。
  9. 菊田真紀子

    菊田委員 更なる少人数学級実現に向けて、今回の改正附則にある検討規定について伺います。  この法律の施行後速やかに、学級編制標準引下げ学力育成その他の教育活動に与える影響外部人材活用効果に関する実証研究を行うとともに、教員免許制度教員の資質の保持及び向上に関する制度在り方について検討を行い、それらの実証研究検討の結果に基づいて法改正を含む必要な措置を講じることと、附則検討規定が盛り込まれています。  三月十二日の当委員会で馳委員が、検討規定を今回あえて設定したということは、中学校における三十五人学級令和八年度から実現するという決意の表れであると受け止めてよいかと質問をされました。これに対して萩生田大臣は、令和八年度以降のことについて、しっかり検証しながら前に進んでいきたいと答弁されています。大臣は、これで闘いは終わりじゃないと思っていますともおっしゃっています。  確認させていただきたいのですが、検証は、小学校学年引下げが完了する令和七年以降に行うのではなく、令和八年からの中学校における実現を目指して、令和七年を待たずに行っていくということでよろしいのでしょうか。
  10. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 元々、小学校中学校の少人数化を目指すべきだという基本的な姿勢を申し上げ、多分、全ての会派の先生方もその方向性は共有していただきながら今日の日を迎えていると思います。  小学校における三十五人学級はまずその初めの一歩でありますので、あえて、小学校の少人数三十五人が成立した後に、そこから中学校検討しようというのは余りにもスピード感がないと思いますので、これは当然、二年生から順次三十五人に減らす中でしっかり結果を出して検証しながら、八年度以降、できればシームレスにいきたいと思っておりますが、今から余り手のうちを話しますと壁がどんどん高くなる可能性もありますので、ここは、まずは大事だということを皆さんで共有しながら、しっかり前に進んでいきたいなと思っています。
  11. 菊田真紀子

    菊田委員 是非、この流れを止めることなく、大臣おっしゃいましたように、スピード感を持って闘っていただきたいというふうに思います。  既に三十五人以下学級を実施している地方自治体には今回の法改正でどのようなメリットがあるのか事前に文部科学省に伺ったところ、地方単独事業措置していた定数が今度は国費で措置されることになるから、その財源活用して、専科指導やその他の教職員配置充実活用することが可能になるとの説明がありました。  厳しい財政状況に悩む地方自治体は数多くあります。地方自治体判断教育関係以外の事業予算が回されることはないのでしょうか。  また、少人数学級計画の実施に当たり、学級数の増加に伴う教室不足によって、施設導入費用負担が必要になります。立憲民主党部門会議で、地方自治体の実質的な負担割合、いわゆる裏負担は二割程度になると文部科学省から御説明をいただきましたが、二割であっても地方自治体財政負担が生じることになります。  地方自治体負担が生じることで、たとえ教育関係予算の中で財源手当てする場合でも、本来予定していた学校施設整備費等学校関係予算を減額をして教室不足対応する施設整備を行い、少人数学級実現するケースが発生するのではないでしょうか。  さらに、国の公立学校施設整備費の当初予算額は、令和二年の六百九十五億円から、令和三年度予算案では六百八十八億円と減少しています。毎年、補正予算でも手当てはされておりますけれども、補正予算というのは確実に保障されたものではありません。少人数学級以外の目的施設整備は後回しにされてしまうのではないかと懸念をいたします。  国及び地方事業において予算手当てが十分でなく、少人数学級関係以外の教育関係事業から予算が回ることになるのであれば、結果として、少人数学級実現教育上のメリット、インパクトは小さくなってしまうのではないかと考えますが、萩生田大臣見解を伺います。
  12. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今先生がお話しされたことというのは想像できるお話でありまして、気をつけなきゃいけないと思っています。  それで、私、大臣に就任して改めて感じたのは、少なくとも義務教育の必要な経費というのは、たとえ地財措置だとしても、それは根拠があって積み上げた数字なので、地方自治体もやはり同じ思いでしっかり子供たちに投資をしてくれなければ意味がないということを改めて感じました。  一例だけ申し上げると、やはりGIGAスクールを進める上で、パソコンは突然始まったわけじゃなくて、もう二十年以上地財措置で、三人に一台は用意しましょうねということで繰り返しやってきて、更新も何回もやっているわけですから。にもかかわらず、もちろん一人一台まで頑張って整備した自治体もあれば、三人に一台にたどり着いていない自治体も半分ぐらいあったわけです。  今回、実は、この三十五人学級を進める上で、一つ大きな取組を加えました。それは、国と地方協議の場というのをつくって、そして、推移を計画的に国と地方でしっかりチェックしていこうということにしたんですね。  それはなぜかといいますと、今回、少人数学級を進める上で、財務当局からは加配在り方についての見直しを求められました。私は、加配加配でやはり意義のあることですから、これは手放すことはできないということはずっと言い続けたんですけれども、しかし、やはり正しく使われていない実態があるのも事実でありましたので、ここは、新しいフェーズに入る上では、一度区切りをつけて、確かに襟を正してお互いにやり直しましょうということにしました。  すなわち、国と地方で、同じ思いでこの少人数指導効果というのを示していかないと、今先生がおっしゃっていたように、玉突きになって浮いたお金が子供たち教育関係のところに行ってしまうんだったら、何のための少人数学級かということになりますので、そういうことがないように、国と地方でスタンダードを決めて、ルールを決めて、しっかりお互いにそれに伴ってやっていきたいな、こう思っております。  これは、この機会ですから、二度と後退することがないように、与野党問わず、地方の議員の皆さんにも同じ思いを共有していただいて、是非子供たち教育環境をよくするということを、これは、そういうことができない人が首長である自治体というのは不幸だな、子供たちが不幸だ、そのくらいのメッセージが届くように、我々としてはきちんと、決まったことの最低限、上乗せや横出しでいろんな試みをする自治体があって、羨ましいなという話が全国に広がることの方が私はいいことだと思いますので、少なくとも、きちんとした最低限のラインというものは、全国どこを見てもちゃんと前に進んでいるという体制を、国と地方で責任を持ってつくってまいりたい、こう思っております。
  13. 菊田真紀子

    菊田委員 ありがとうございました。  国と地方協議の場をつくられたということは、本当に私はいいことだと思いますし、もう党派を超えてこの少人数学級実現に向けて私たちは取り組んできたわけですから、そうした思い是非地方自治体首長さん、教育関係に携わる人に共有していただきたいというふうに願っております。  今回の改正で必要となる教職員についてですが、今大臣からも少しお触れをいただきました、加配定数の一部を基礎定数に振り替えることとされています。  加配定数は、いじめ対応など特定目的配置されているものであり、加配定数が削減されればその役割が達成できなくなります。少人数学級実現は賛成ですが、加配定数が担っていた教育効果が低下してしまうということはいかがなものでしょうか。  三月十二日の委員会において大臣は、加配在り方について、必ずしも正しく使われていない自治体実態財務省から指摘を受けたとおっしゃいました。先ほどの答弁の中でも触れられておりました。三十六人以上学級の多い都道府県において、指導方法工夫改善加配措置が少人数学級でなく少人数指導活用されていることを指しているのかなと思いますが、習熟度別指導チームティーチングといった少人数指導取組は、少人数学級とは異なるメリットがあります。  昨日の参考人質疑においても、末冨参考人からは、児童生徒支援加配については全くもって不足をしていて、加配定数の切り崩しについては深く憂慮していると御意見をいただきました。また、清水参考人からは、現在来ている加配が剥がされて、クラスを増やすためだけに教員が増えたのではきめ細やかな指導ができなくなる、三千人の加配を振り分けるのではなくて、三千人の純増をお願いしたいとの御意見であり、さらに、本田参考人からも、教育上必要な措置ということが阻害されないよう、加配は別途維持してもらいたい、これをつけ替えることでは何ら改善にはならないと御発言をいただきました。加配定数から基礎定数への振り分けという対応には、三人の参考人全員から強い懸念が示されたことになります。  加配定数が減少することのデメリットをどのように考えているのか、大臣に伺います。
  14. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今回、義務標準法改正をいたしまして、小学校について、学級編制標準を五年かけて三十五人に引き下げ、教職員定数計画的な改善を図ることとしましたが、これに応じて、現在、自治体独自の少人数学級を実施するために措置しているものなど、加配定数の一部を含む合理化減活用することとしております。  御質問がございました中で、必ずしも正しく使われていないという表現についての御指摘がございましたが、とりわけ都市部においては、委員指摘のとおり、指導方法工夫改善加配チームティーチング習熟度別に使われたりする、裏返して言いますと、少人数学級に振り向けられていないという実態が比較的多いという状況がございます。  このことについてはそれぞれの自治体での御判断であって、チームティーチング習熟度別指導をしっかりやりたいからということで振り向けている場合もございますし、また一方で、相対的に都市部で少人数学級に振り向けられていないことの一つの理由としては、とりわけ児童生徒数が多い都市部で、国の加配自治体独自財源で少人数学級を実施するにはかなり大きな規模教職員配置が必要になるということもあって、限られた国からの加配定数、あるいは御指摘ございました厳しい地方財政状況の中で、少人数学級ではなくて少人数指導、すなわちTTチームティーチングであったり習熟度別であったりと、こういったものを選択している地方公共団体が多いという面もあるものと認識しております。  しかしながら、都市部であっても独自に少人数学級取組を進めている県もございますし、あるいは実際に、例えばでございますけれども、令和三年度の予算編成に当たって、さいたま市であったり千葉県であったり、学級編制標準引下げによる少人数学級実現についての要望も寄せられているところでございまして、都市部においても少人数学級へのニーズは高いと考えております。  少し補足しますと、国の加配自治体独自財源で、大都市部で少人数学級自治体独自の取組をやっている場合というのは、先ほど申し上げたとおり規模が大きいものですから、例えばですけれども、研究指定校に限って三十五人を先行してこの市の中でやるとか、あるいは特定学年に限ってやるとかというようなやり方でもって都市部でも一部だけれどもやっている。また一方では、地方では、比較的、学校の数、規模が小さいので、何度か御紹介申し上げましたが、秋田県のように全学年でほぼ三十人ということができている学級もございますが、こうした使い方そのものについて様々な議論があったということも事実でございますが、今回は、関係者の御支援もいただき、様々な協議の結果、まずは小学校の三十五人を進めていくと。  そうすると、その中で、自治体独自財源で三十五人を先行して実現していた部分については、我々としては、あくまで地方の、地方公共団体判断ではございますが、できるだけ、様々な課題がございますので、そうした課題に向けた部分に回していただいたり、場合によっては、地方独自としての少人数学級取組中学校に至っていないところもございますので、そうしたところを先行してやっていただこうと。考えていらっしゃる自治体もあると私は聞いておりますので、そうした例も紹介させていただいたりしながら、しっかりと、教育財源を有効に活用していただけるように促しは、引き続きお願いしていきたいと思っております。  以上でございます。
  15. 菊田真紀子

    菊田委員 大臣は度々、必要な加配定数は引き続き確保していくと述べられているんですけれども、必要な加配定数とはどの加配定数を指し、どの程度の数になるんでしょうか。
  16. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生御案内のとおり、加配配置根拠となるメニューというのは幾つかありまして、今局長からは少人数指導、少人数学級についての説明をしましたけれども、私が、必ずしも正しく使われていない実態というのはこれではないものがありまして、ここでそれをつまびらかにお話しすると、なるほど、そういう手法があるのかということで模倣されても困るので、是非御理解いただきたいんですけれども。  本当に厳しい交渉の最後の段階で、全く加配には一切手をつけさせない、自然減についても我々で自由に使うということではなかなか前に進めなかったことは御理解いただきたいと思うんです。  私は、たしか一般質疑のときに、先生方財務省の職員をここへ呼んで、答弁をしている姿を見て、アウェーの状態で我々のホームグラウンドに来て、本当に恐縮しながら理解を示した発言をして、あのときはすごく気の毒だなと思ったんですけれども、大間違いだったことに後で気づきました。だまされちゃいけないというふうに思いました。  したがって、今回、最終的な交渉の中では、そういったたてつけでスタートしますけれども、現場を知っている先生方からすれば、加配重要性についても当然、御意見が出るのは当たり前だと思います。したがって、私は、必要な加配についてはしっかり配置をしていく、このことを基本姿勢として皆さんにお約束をさせていただきたいと思います。  この段階ボリューム感を言うと、これは予算に直ちに反映するものもありますので、少なくとも、少人数学級を進めたら現場が大変になったということでは、これは全然改善されないことになるわけですから、そういうことがないように、しっかり中身を見ながら対応していくことを改めてお約束申し上げたいと思います。
  17. 菊田真紀子

    菊田委員 やはり、少人数学級実現で本当に教育の水準の向上を図るのであれば、教職員純増が必要だと考えます。  過去を振り返ると、小泉内閣の聖域なき構造改革で、児童生徒自然減を上回るペースで教員を削減する方針が打ち出されました。  今回、加配定数から基礎定数への振替によってのみ対応されることになれば、教職員純増は行われません。これから小学校学年での三十五人以下学級を進めるに当たって、教職員純増、これをどう考えているのか、文科大臣に伺います。
  18. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今後少子化が大きく進んでいくということは周知の事実でございます。したがいまして、先ほど私の方から、五年間かけて小学校学級編制標準を三十五人に引き下げていく中で、現在、地方自治体独自の少人数学級を実施するために措置しているものなど、加配定数の一部を含む合理化減活用するということで申し上げているのは、例えばですけれども、小学校の三年生から六年生までの三十五人学級活用されている国の加配定数部分がおおむね三千人程度ございます。この部分は、現在の位置づけ加配定数という毎年毎年の予算で不安定な位置づけのものでございますけれども、これが、法律改正を認めていただければ、基礎定数ということで法律で守られた数になっていきます。  加えて、加配定数学級担任の数と違って、法律に基づく基礎定数になった場合には、今のいわゆる義務標準法の規定に基づいて、規模に応じて専科の先生の分も、加配ではなく基礎定数の中で増加していくことになります。  今申し上げたこの三千人については、結果として言いますと、位置づけが変わるということですが、それに伴って若干の増があります。ただ、全体として自然減が非常に大きい中で、必ず純増になっていくかというと、この今申し上げた分に加えて、従来から、学校数も減っておりますし、少子化の影響による児童生徒数の減少に伴ってこれまでも合理化してきた少人数指導加配というのがございますので、こういうものについては今回の財源として活用されていくことになります。  繰り返しになりますが、我々として、真に必要な、個々の教育課題に応じた、それは例えば、生徒指導、いじめ、不登校であったり、まだ特別支援の通級のやつは完全に基礎定数化が終わっていませんので、加配定数もありますから、そうした特別支援とか、個々の教育課題に応じた、加配定数を含めて必要な教職員定数については引き続き確保をしてまいりたいと考えているところでございます。  以上です。
  19. 菊田真紀子

    菊田委員 質問を一問飛ばします。  平成十八年以降、教職員定数改善計画は策定されていませんが、これでは、地方自治体は長期的な見通しを持った採用を行うことができず、不安定な状態に置かれたままになります。このことは昨日の参考人の陳述の中でも指摘をされていました。  新たな教職員定数改善計画を策定すべきだと私は考えます。萩生田大臣も、昨年の臨時国会で、定数改善計画の策定が必要と述べられましたけれども、改めて、定数改善計画策定の必要性と、必要だと考えられるならいつまでに策定されるのか、大臣にお伺いします。
  20. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今回、まずは小学校の三十五人学級が、改正法を認めていただけますれば実現をするということになりますが、これまで小中学校の少人数学級実現に向け検討を進めてきたこと、あるいは過去の累次の改善計画では小中学校双方の計画的な改善を図ってきたことなどから、現時点の小学校の三十五人学級のこの法案、この実施をもって直ちに八次の計画位置づけるかどうかということについては、まだはっきりとした答えを持っているものではございません。  今回御提案させていただいている法案そのものの中に、段階的に進めていって三十五人を実現する、経過措置期間としての教室等の特別な猶予は六年度末まで、すなわち七年度には三十五人を必ず実現させるということで、段階的に進めていくことそのものについてはもう既にこの法律そのものの中に埋め込んでおりますので、何とかこの法律をお認めいただいて、小学校の三十五人学級の実施ということを進めさせていただけたらありがたいかと思っております。  以上です。
  21. 菊田真紀子

    菊田委員 大臣、先ほども申し上げましたように、昨年の臨時国会の中ではそのようにおっしゃっていたんですね。でも、この国会ではしっかりと明言されませんけれども、いかがですか。
  22. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 言い訳じゃないんですけれども、まず一つは、ここで義務標準法法律を提出させていただきましたので、向こう五年間については、計画的な採用、配置というものは定数の中ではできるということになりました。先生御心配のように、現場加配や何かの課題は残りますので、これはしっかりフォローしていきたいと思います。  加えて、今、中教審の方に、もう本当にフェーズを変えて、学校先生はどうあるべきか、どういう先生方が理想なのか、どういうニーズ現場にあるのかということも含めて、ここで新しい中教審のメンバーの皆さんに諮問させていただきました。  私、今年の四月から以降というのは、まず、公立義務教育小学校中学校も、いろんな意味でフェーズが変わってくると思うんです。したがって、先生方ニーズというものもいろいろ変わってくると思いますので、まずはそういった専門の皆さんの答申というものもしっかり受け止めてから考えていきたいなと思っています。  決して、計画を作らないんだと決めたわけではなくて、ここは若干、現場の様子が変わってくると思いますし、先生方の働き方も見直していかなきゃならない。どういう形で教職、学生を養成していくか、必ずしも四年間で卒業して現場に立ってもらうことを前提にしなくてもいいんじゃないかとか、いろんなことを今考えておりますので、その辺も含めて、是非しっかり将来像は示していきたいなと思っています。
  23. 菊田真紀子

    菊田委員 質問一つ飛ばします。  令和二年度の小学校教員採用試験の倍率は、十三の地方公共団体で二倍を下回り、全国平均で二・七倍と過去最低となりました。倍率低下の要因として、採用数の増加ということもありますが、公立学校教員採用試験の受験者数自体が近年減少しています。  学校現場はブラック職場というイメージが定着をしてしまっていて、大臣自身も、先日の委員会で、余りにも染みついたブラック企業だというものを払拭していかなければいけないと述べられていますが、その後に、数年かけてしっかり制度を磨いていきたい、このようにおっしゃいました。確かに、簡単に解決できる問題ではありませんけれども、数年かけてというのは少し切迫感に欠けるのではないかなというふうに思えます。  昨日の参考人質疑でも、参考人の方々から、時間外勤務手当の支給による働きに見合った手当の保障や、教育実習生が失望するようなアナログ的な学校現場改善教員一人当たりの児童生徒数が多過ぎることからくる教員の長時間労働の改善といった、教員の待遇改善必要性課題について御意見がありました。  教職員の処遇改善に向けて、考えられ得る方策をできる限り早期に講じていく必要があるのではないかと考えますが、いま一度、大臣見解を確認させていただきたいと思います。
  24. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 文科省としては、本年一月に「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上に関する検討本部を設置し、三十五人学級を担う教師の確保や、社会人等多様な人材の活用などを検討していくこととしております。  二月二日に取りまとめた「令和の日本型学校教育」を担う教師の人材確保・質向上プランにとどまらず、引き続き中長期的な実効性のある方策を検討し、教職の魅力を向上させ、人材確保につなげていきたいと考えております。  一方、公立学校の教師の処遇に係る検討については、現在、文部科学省が先頭に立って取り組んでいる学校における働き方改革の進展や、令和四年に実施予定の教師の勤務実態状況調査の結果などを踏まえる必要がありますが、検討の観点としては、働き方改革の総合的な取組の中で教師の職務と業務の量をどう捉え評価するか、これからの時代における教師の職務にふさわしい給与等の処遇の在り方をどう考えるか、教師集団の流動性や多様性を高める中で、それぞれの教師のライフステージやキャリアパスを踏まえ、子供たちと向き合い、教育の質の向上に取り組もうとする教師の意欲や能力の向上に資する給与等の処遇の仕組みをどう構築するかなどが考えられております。  これらを踏まえ、教師の処遇の在り方について引き続き検討してまいりたいと思います。  先生指摘の、確かに倍率が下がってしまっているということは事実でありますけれども、これも、必ずしも教職を希望する人たちがどんどん減っているということだけではなくて、減ってはいるんですけれども、しかし、たまたま今回は、この数年は、団塊世代の人たちの大量退職という要素があって、採用人数が各都道府県で増えているというものがあるので、結果として倍率が下がっている一面があります。  私がさっき国と地方協議の場と言ったのは、まさにこういうことでありまして、各地方自治体も、財政状況によって教員の採用を増やしたり減らしたりということを今までしてきましたけれども、そうするとこういう事態が起きてしまいますので、やはりなだらかに計画的に採用していただくようなことも協議の場の中でしっかり確認をし合っていきたいな、こんなことも改善一つとして考えています。
  25. 菊田真紀子

    菊田委員 時間が来ましたので質問を終えますけれども、教員の採用の内定時期についても、教員の採用は、民間企業が採用内定を出す時期に教育実習を行い、数か月遅れて教員の内定が出ることになっていて、これも優秀な人材を集めるに当たっては不利になっているという課題だと思いますので、これらも含めて是非検討をして、そしてスピード感を持って実現をしていただきたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  26. 左藤章

    左藤委員長 次に、笠浩史君。
  27. 笠浩史

    ○笠委員 おはようございます。笠でございます。  今日は、お忙しい中、丸川大臣にもおいでいただきましたけれども、冒頭、最初は、十五分ぐらいは、多分、丸川大臣とのやり取りとなりますので、萩生田大臣、もし席を外されるようでしたら離席して結構なので。気配りをさせていただきたい。  さて、丸川大臣、就任後初めて質疑を行わせていただきます。  といいますのも、先般、オンラインのIOCの総会がございました。その中で、バッハ会長が再任され、バッハ会長から、中国がワクチンを、北京大会のみならず、東京、北京とこれから一年の間に両方行われるわけだけれども、提供するという申出があって、それはバッハ会長は非常に歓迎をされているわけだけれども。  報道では、大臣の会見でもそうですけれども、日本の方には、東京あるいは政府もそうですけれども、日本サイドには全く何の事前の連絡もなかったということで、一様に皆さん驚かれていましたけれども、率直、その辺の表明があったときにどういう感想をお持ちになったかをお答えいただけますか。
  28. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 おはようございます。  御質問ありがとうございます。  笠委員におかれましては、日頃よりオリパラ推進議連幹事長代理というお立場で御指導を賜っておりまして、誠にありがとうございます。  このIOCバッハ会長の会見での発言の件でございますが、私ども、御指摘のとおり、事前の調整も全くございませんでした。突然のことでしたので大変驚きました。と同時に、その後、結局、私どもが直接何かコミュニケーションを取る機会がございませんでしたので、その真意のほどを確かめるということは今のところできていないわけでございますけれども。  いずれにしましても、ワクチンが承認されている国においてということでございますので、私どもの国は少なくとも中国製のワクチンの承認はされていないと承知をしておりますので、その国ごとに、あるいはNOC、各国のオリンピック委員会ごとに御判断をされることになるのであろうと思います。  ただ、ワクチンの事情というのは、各国、状況が違いますので、バッハ会長もワクチンの接種を前提にしないということをおっしゃっています。私どもも、ワクチンの接種を前提としないで、安全、安心な大会が開かれるように準備を進めてまいっております。
  29. 笠浩史

    ○笠委員 それは今大臣おっしゃったとおりなんですが、私が非常に違和感を感じましたのは、北京の大会のためだけだったらいいけれども、もちろん、今、コロナ、東京も同じ問題に直面しているから、そこを必ずしも分けろとは言いません。  ただ、どうも、北京の、あるいは中国が、このIOCという舞台、これは政治とはもう完全に切り離さなければならないんだけれども、今、御案内のとおり、新疆ウイグル自治区における女性に対する大変な、いろんなことが報じられております。そういう人権に関わる問題、あるいは香港の問題、チベットもあるでしょう、そういったところで、欧米諸国からも、中国に対する、あるいは北京オリンピックに対するいろんな批判の声も上がっておりますし、アメリカなどはまだ代表選手を派遣するかどうか決めておりません。あるいは、国際的な数多くの人権団体が、IOCに対して、果たして本当に北京オリンピックをやっていいのか、北京大会、そういったことに対する質問状なり抗議の書簡なりを送っておるというふうに承知しているんですが。  そういう状況の中でこういったことが出てくると、中国サイドは、ひょっとしたら、IOCの総会という舞台を、ワクチン外交を展開することによってそういう批判を打ち消していきたいというふうに私なんかは感じる部分が、非常に違和感を覚えます。  そして、もちろん、IOCは、当然ながら、政治的に中立でなければならないということで、その会長の対応というものも難しい点はあると思うんです。  しかし、大臣も御案内のとおり、これは明らかに、人種など、もし中国政府がそういったことを行っているとすれば、オリンピックの憲章違反でございますし、IOCの使命と役割について、IOCの使命は、世界中でオリンピズムを促進し、オリンピックムーブメントを主導すると明確に規定をされている。そして、いかなる形態の差別に対しても反対をし、行動すると。政治的中立を規定するとともに、いかなる種類の差別も禁じる、これがやはりオリンピック憲章なんですよね。  であるならば、私は正直、バッハ会長は、そういったことについてはこれまでも何の言及をすることなく、政治的中立ということだけを盾に、ある意味では逃げている、そして、何か中国に対して前のめりになっていっているんじゃないかというようなことを非常に危惧しております。  そこについて、大臣もお立場はありますけれども、率直、何か思いがあれば、あるいは、今度また五者協議があるということですけれども、そういった点も含めて、いろんな形で何か対応をされるようなことが今後あるのかどうかも含めて、御感想をいただきたいと思います。
  30. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 委員指摘のとおり、オリンピック憲章には政治的中立ということが書かれております。まさに、オリンピック、この精神を政治的に利用してはならないというのがこの趣旨だと思っておりますので、オリンピックに関わる全ての方たちがこれを貫いていただかなければならないと思います。  また、IOCが今後どう取り組むべきかということは、IOCの中、またそれらを構成するそれぞれのNOCからまず声を上げていただくことが必要かと思いますけれども、事北京で行われる冬のオリンピックについて、そのような疑念がもし世界から寄せられるとするならば、それはまず北京において御説明をいただく、疑念を晴らすような御説明をいただくということが一義的には必要なのではないかと思っております。
  31. 笠浩史

    ○笠委員 大臣も、なかなか、言葉を選ばないといけないと思いますし、そこは私も理解をしております。  ただ、伝えられるバッハ会長の会見などで、今回のこのワクチンのことに対して、その一面だけを捉えて、真の団結というオリンピック精神を象徴するもので、IOCとしては歓迎をするというようなコメントで、じゃ、オリンピック精神に本当に反しているかもしれないというような疑念が実際にいろんなところから出ているということもよく考えていただきたいなということを私の思いとして述べておきたいと思います。  それで、大臣、もう一点。  間もなく、いわゆる海外からの観戦客、これを入れるのかどうかということについて、報道されているところでは、昨夜あたり、来週の聖火リレーの前までということをおっしゃっています。二十二日に二回目の五者の協議を行って、組織委員会としては、海外からの観戦客は入れないということをそこで確認するということでよろしいでしょうか。
  32. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 前回の五者協議のときに、三月中に海外からの観客の皆さんをどうするかということを決めましょうという期限を切ったわけでございまして、橋本会長は聖火リレーの前にという希望を再三おっしゃっています。  実は、五者協議の日程はまだ動いておりまして、私、週末出勤することも視野に入れて今調整をしているところなんですが、いずれにしても、バッハ会長も、IOCの総会後の会見で、日本側の決断を尊重するとおっしゃっていただいておりますので、是非、海外からの観客についてはこの五者協議で合意を得たいと考えております。
  33. 笠浩史

    ○笠委員 これは、じゃ、まだ二十二日は確定はしていない、その辺も含めて調整をしているということでよろしいわけですね。  それで、もう一点。そのときに、仮にその五者協議が開かれたときに、もちろん、海外からの観客ということについてまずそこで結論を出すことになるわけですけれども、選手並びに大会の関係者は別として、IOCのいわゆるTOPスポンサーの招待客とか、あるいはどうしても来てもらわなきゃいけないところには、一部、別途受け入れるというようなことが報道されているんですけれども、その点についても、この五者協議でそこははっきりさせる、受け入れる受け入れない、あるいは、そこはまだ引き続き協議をしていくということになるんでしょうか。
  34. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 ありがとうございます。  まず、前回の五者協議の際に、IOCの側から何かスポンサーにまつわるゲストの話というのは一切発言がございませんで、私どもとしてはまだ聞いていない話という状況になっております。  今のところそのテーマに触れるというような前もってのお知らせもいただいておりませんので分かりませんが、仮にそういうお話があったとしても、私どもが即座に何か判断をできる状況に今ないと思っておりますので、これはお預かりして、いつ結論を出すかも含めてちょっと検討させてくださいという話になるんだろうと思っております。
  35. 笠浩史

    ○笠委員 今私がその点をちょっと指摘をいたしましたのは、昨年十二月に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型ウイルス感染症の調整会議で、まさに水際ですよね、アスリート等、あるいは大会関係者、さらには観客と、海外からどういうふうに受け入れて、しかも、安全に、しっかりと感染対策を行いながら受け入れていくかということが、今、この見直し検討されているというふうに承知しているんですけれども。  これはかなり、大会関係者といっても恐らくは五万人以上、あるいは様々そこに、観客は入れなくても、選手だけでもオリンピックでも上限でたしか一万一千人近いんですかね。それで更にそこにまたIOC関係みたいなことで、スポンサー関係みたいなことで海外から来ると、やはりそれによってかなり人数は違ってきます。  そうすると、この水際の対策、今日はお伺いしませんけれども、今もアプリ等々もまだ開発を進められているけれども、これも本当は海外の観客用に七十何億とかといって、これは大臣のところじゃないと思うけれども、用意しているけれども、じゃ、それもどういうふうに見直すんだということとかも含めて、やはりかなりいろんな、多岐にわたって対応していかないといけないので、早めに受入れ側としても、これは政府も協力をしながら、組織委員会、そして東京都が中心になって、この水際対策を徹底的にやっていかなければならない。  万が一にも、大会中にいろんな形でコロナの感染というものが起こるようなことになると、本当に、大会自体を成功させるために、そこが最大の鍵ですから、安全に行う、そしてそれはそのときだけじゃなくて今からの準備が大変重要だと思っておりますので。逆に言うと、やはり、組織委員会並びに東京都とも協力しながら、IOCに対しても、いろんなことを急いで結論をもう出さないといけないんだということを、今後、大臣の方も是非要請をしていただきたいと思います、今度の五者協議のときにも。  そのことをお願いをしたいと思いますので、最後、その点をお答えをいただいて、大臣は結構でございます。
  36. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 委員の御指摘のとおりでありまして、私どもは、やはり国民の皆様をお守りするという大切な責任を担っております。この点、前回の五者協議でも、私も、慎重な判断が必要ですという形でお伝えさせていただきましたけれども、引き続き、状況はどんどん変化していきますので、最終的に、大会のコンティンジェンシープランという意味ではしっかり更に詰めていきたいと思いますけれども、私どもも、五者のステークホルダーの意見の調整を進めながらも、しっかりとその点は指摘をしてまいりたいと思いますので、どうぞ御指導よろしくお願い申し上げます。
  37. 笠浩史

    ○笠委員 大臣、では、結構でございますので。
  38. 左藤章

    左藤委員長 では、大臣、御退席して結構でございます。
  39. 笠浩史

    ○笠委員 それでは、萩生田大臣に少人数学級のことをお伺いをさせていただきたいというふうに思います。  まず最初に、先ほど菊田委員からの質問でも、あるいはこれまでも、大臣は、まずは初めの第一歩であるということで、今回、小中三十人以下学級をというような形で交渉されてきたけれども、残念ながら、小学校の三十五人以下というところの決着になったわけです。  改めて確認しますけれども、今後とも、小中学校の三十人以下学級実現していくんだという目標は全くいささかも変わらないということでよろしいでしょうか。
  40. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 私としては、一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず、中学校においてもその必要性は変わりがないと認識をしております。  今回、小学校の三十五人という新しいスタイルでスタートしますが、その検証結果等をしっかり反映させて、この少人数のトレンドというものを続けていく必要があるのではないか、こう認識しておりますし、引き続き努力をすることをお約束したいと思います。
  41. 笠浩史

    ○笠委員 昨日、参考人の方々においでいただいて、当委員会で様々御意見をいただきました。  本当に、これは、我々与野党そうですけれども、参考人の方々も、少人数学級をやはり推進をすべきだということについては、皆さん、そのことは大いに推進をすべきということで、評価はまちまちだけれども、ただ、皆さんがやはりそろっておっしゃっていたのは、一つは、まだ三十五人というのはサイズが大き過ぎる、早く三十人以下に、あるいは二十人というようなところまでありました。  それともう一点は、スピード感がやはり大事なんだというお話がありました。  そういう中で、小学校部分、今、今回合意されている内容でいくと、令和三年、四年、五年、六年、七年と、五年かけて小学校六年までということになるわけですけれども、これを、例えば、今後、いずれか前倒しをして要求をするとか、あるいは中学校の一、二、三も、例えば、八年になること、あるいは、八年度を視野に入れての要求ではなくて、前倒しをして改めて要求をしていくというようなお考えがあるのかどうか、お聞かせください。
  42. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 小学校の三十五人学級化の前倒しについての御質問にお答え申し上げます。  少人数学級整備に当たりましては、児童の数の推移等も考慮し、地方公共団体が見通しを持って計画的に教職員あるいは教室の確保等に取り組むことができるようにすることが重要であると考えております。このため、令和六年度末までを経過措置期間として、第二学年から第六学年まで学年進行により五年間かけて段階的かつ計画的に三十五人学級整備していくこととしております。  今回御提案申し上げさせていただいている法案の中でも、改正法の二条のところで「第二学年から第六学年まで段階的に三十五人とすることを旨として、」と書かせていただいたのはこのことでございますけれども、前回の、約四十年前の、四十人学級実現をしていただいた際の学級編制標準引下げの際も、児童生徒の数の推移、あるいは学校施設の整備状況等を考慮して、低学年からの学年進行により計画的に教職員定数改善を行ったものと承知しております。  採用権者でございます都道府県とか政令指定都市におかれては、それぞれ、現在いらっしゃる教職員の年齢構成というのは非常に差がございますけれども、今後、将来も見込んで、法改正を認めていただいた場合は、年齢構成等も考えながら計画的な採用ができるというところが、加配定数対応するものでもないし、単年度での御提案でもないので、五年計画段階的にというところが、最も自治体が先の見通しを持った教職員定数の採用計画検討できる、また必要な教室の整備計画を立てられるというところが非常に大事だと思っておりますので、そうした点について御理解賜れたらありがたいかと思っております。  以上でございます。
  43. 笠浩史

    ○笠委員 瀧本局長中学校、先ほど大臣は余りこちらの手のうちを明かすとというようなこともおっしゃっていましたけれども、今のままだと、私の理解では、先ほどから繰り返し申し上げているけれども、小学校が終わった、例えばその翌年度から、これも財務省はイエスとは言っていないのかもしれないけれども、中学校については、どれくらいをめどに、改めて三十五人以下、あるいはもう一気に、小学校の三十人と一緒に中学校も三十人から要求をしていくのか。その辺はいろんな考え方があると思うんですけれども。  私は、小学校はもちろん大事なんだけれども、例えば、今、既にエビデンスとして、これまでも少人数学級のいろんな検証を行った中で、確かに、学力にどれだけの影響があるのかということはまだ、明確に効果はあるけれども、必ずしも、投資の割には効果は少ないんじゃないかというようなことも、ばらつきはあるんですけれども。ただ、少なくとも、不登校等々は改善をされるというようなことについては、やはり少人数学級効果というのはいろんなところでもう検証されているんですよね。  小学校に比べて中学校というのは、圧倒的に不登校の子供たちの数も多いわけですし、私は、何か小学校の低学年から順番にという発想ではなくて、やはり中学校というのは本当に急がないといけないと思うんですけれども、その辺を前倒して、改めて要求をきちっと中学は中学でしていくというようなことはお考えになっているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  44. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、昨年の一斉休校明けの分散登校の時期などに、とりわけ中学校でも、不登校だった子が、学級の数が半分ぐらい、二十人とか十何人の中に出てくるんだったら出てこれるようになった子がいるというような報告事例は幾つも聞かせていただいておりますので、そうした効果というのが期待できる部分としては一つあるのかなと思っております。  今回、小学校の少人数学級を進めていく上で御提案申し上げている法案の中の検討規定で、どのようなものを検証の対象としていくかという中には、当然ながら、生徒指導面での、いじめとか不登校とか、そうしたものも候補の一つになってくるだろうと思いますけれども、中学校そのものの、今後の要求をするのかとか、いつにするのかとかという今の御質問につきましては、まずは今回の小学校学級編制標準引下げ計画的に実施する中で、学力育成その他の教育活動に与える影響とか外部人材活用効果について実証的な研究を行わせていただいて、あわせて、質の高い教師を確保するために、教員免許制度等在り方についても検討を行っていくこととしておりますので、まずはこうした検証等を行った上で、その結果を踏まえて、今後の学校の望ましい指導体制在り方について検討を進めさせていただきたいと考えております。
  45. 笠浩史

    ○笠委員 端的に伺いますけれども、今回の交渉財務省との折衝の中で、なぜ中学校は認められなかったんですか。
  46. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  今回の予算編成過程におきます少人数学級検討に当たりまして、財務省からは、当然長い時間の協議がございましたので、例えばということで、学力を含む教育に与える効果をきちんと検証すべきではないかといった御指摘がございましたり、あるいは、教員の採用倍率が大幅に低下する中で、これは事実でございますので、大幅に低下する中で教員の質を確保することが重要ではないかといったような様々な御指摘もいただきました。  そうしたものに対して、私どもとして、もちろん、それに対する説明、先ほどの採用倍率であれば、団塊の世代の方々の大量の退職に伴う採用数そのものが多くなっていることに伴う採用倍率の低下、通常の現役の学生の方々の採用というのは余り落ちているわけではないこととか、データで示せるものはデータで示しつつ協議を重ねてきたわけでございますが、そうした様々な協議、調整を丁寧に行った結果として、小学校における三十五人学級計画的な整備を行うこととなったわけでございます。  私からは以上でございます。
  47. 笠浩史

    ○笠委員 今の理由というのは、我々が、かつて私も、小学校一年生をやりました、二年生の交渉もやりました、一緒なんですよね、財務省の主張も、財政審の主張も、我々の文科省の立場での主張も。ただ、ある意味では、もうお金ですよね、要は予算、もうそれだけだと思います。  私は、恐らく財務省の中でも、財務省という立場を離れれば、やはり少人数学級がいいよねというような考えを持っている方もいるんだと思います。  ただ、やはり正直言うと、これからのことを考えたときに、後ほどまたこの検証等々についても若干伺いますけれども、一番大事なことは、財務省からすれば、今子供たち人数はどんどんどんどん減っていっているわけで、今、恐らく、十五歳未満で一千五百万強ですか、それで、これが二十五年、三十年したらもう一千万ぐらいになっていくよね、ゆっくりゆっくり、徐々に徐々にやっていけば、そのうち子供の数も減って、何とかこれは少人数学級になるだろうね、そういうふうになると思う。  ましてや、三十人学級は、小学校中学校、最低でも我々はやはり小中の三十人、あるいは、その段階によってはもう少し人数を減らすような教育、あるいは、今後大きく変わっていくとすれば、GIGAスクール大臣なんかも一生懸命進めておられて、教育の、教室の姿、在り方も変わっていきますから、そういうのに応じて、今我々が考えているとおりの少人数学級在り方、あるいは、少人数学級と少人数教育をどのようにマッチングさせていくのか、組み合わせていくのか。  そういったことはいろいろ議論も必要だと思いますけれども、でも、少なくとも、三十人学級ぐらいまでは小学校中学校は必ずなるべく早く実現をするということを本気になってみんなで力を合わせてやっていかないといけないなと思う中で、そこを突破するためには相当なやはり政治的な力というのが本当に必要になってくるのではないかというふうに思っております。  そこで、今回、確かに、附則の中の検討規定が重要な意味を持ってくるということは私も理解をします。当然、少人数学級を進めていけば、教員の数あるいは質、これを両方を担保していくのは、これは我々の責務として、しっかり文科省も取り組んでいかなきゃいかぬし、そのことはまた委員会でも大いに議論していくべきだと思うんですが、もう一つの、学級編制標準引下げ教育活動に与える影響に関する実証研究。  これまでも、一つは、国においても、国立教育政策研究所等々でも、これは我々、小学校一年生の三十五人以下学級をやったときを受けて、今も度々いい研究を結構やっているんですよね、学力だけじゃなくて。昨日も参考人の方からも紹介があった音の影響だとか、それが少人数学級学級のクラスサイズによってどういうふうに聞こえていくのかとか、あるいは様々な、今度は教員の立場から、あるいは保護者の立場から、もちろん児童生徒の立場から、かなりの研究を行われているし、地方自治体においても、早くから先進的に独自に少人数学級に取り組んでいる自治体の数というのはかなりあって、そこもまたいろんな実証研究をされています。  そういったことを踏まえて、じゃ、何を今回、この実証研究の中で、特に今後の三十人以下学級につなげていく、中学校における少人数学級につなげていくために、小学校の三十人、中学校の三十五から三十、そういったところの流れにつなげていくために、どういう実証研究を、また、この法案が成立した後、いつぐらいから取り組んでいくのかということをお答えいただきたいと思います。
  48. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  少人数学級は、特定の教科等の授業といった学習集団のみならず、生活集団も少人数化するものであり、学習面のみならず、生徒指導や保護者対応等においてもきめ細かな対応がしやすくなり、学校教育活動の充実につながるものと考えております。  こうしたことから、多面的な実証研究を進めてまいりたいと考えておりますが、今後の検討でございますけれども、どのような観点に着目した検証を行うかということについては、また関係の方々とも議論をしてまいる必要がございますが、学習面について、例えばということで挙げますと、当然ながら、基礎的、基本的な知識、技能の学力面や、学習意欲、態度、あるいは自尊感情とか社会性なども関わってくると思います。また、生徒指導面では、先ほどもございましたが、いじめや不登校等の状況といった点も観点としては考えられるところだろうと思います。このほか、保護者対応等の状況でありましたり、教師の業務負担軽減といった観点も含めまして、調査あるいは検証を行っていくことが有用かと考えられます。  いずれにしましても、定量的なデータのみでは捕捉し切れない性質のものもございますので、定性的なものも含めて、幅広く調査分析を行っていく必要があろうと思っておりますが、委員からも御指摘ございました先行研究もございますので、そうした蓄積も参照しながら、専門家の方々の御知見、あるいは、とりわけ学校現場を抱える地方自治体等の御意見も伺いながら、具体の設計を、今後、法案成立してスタートさせていただければ、できるだけ速やかに着手させていただきたいと思っているところでございます。  以上です。
  49. 笠浩史

    ○笠委員 何か新しいことは全くないですよね。  だから、本当にこれに何年ぐらいかけるのか分からないけれども、二年、三年かける。もちろん、中長期的にきちっと、やはり子供たちの育ちというものをチェックをしていく、きちっとそれを観察をしていくということは、この少人数学級の長い目での効果のためには大事なんだけれども、我々がスピード感を持ってこの壁を乗り越えていくために、果たして本当に何が必要か。  それで、せっかくだったら、私、もう財務省も入れてもいいんじゃないかと思っている。どういうことを検証すればいいのか。財政審に関わる学者でもいいですよ。何かそういう人たちも巻き込みながら、じゃ、どういうことで納得をすれば優先してそのお金をちゃんと出すのか、それを最優先課題としてやるのかというようなことを、やはりスタートの段階からきちっと巻き込みながらやった方がいいのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  50. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  今後五年をかけて小学校三十五人学級計画的な整備を進める中で、先ほど申し上げたような実証研究を積み重ねて、財政当局にも丁寧に説明を行い、合意形成を図るよう努めながら、今後の望ましい指導体制在り方について検討を重ねてまいりたいと考えております。  以上です。
  51. 笠浩史

    ○笠委員 ちょっと時間が迫ってまいりましたので、大臣の方に伺いたいんですけれども。  大臣が、地方としっかり協議をしながらという方針を早々に打ち出されていることは、私も非常に評価をしたいと思うし、大歓迎です。その中で、実は、その協議に加わっていただき、また地方と一緒になってこの取組を、今回もやはり、地方自治体皆さん方も、もちろん、コロナという問題がありました、そして、あるいは、それに伴うGIGAスクールの、これを前倒ししてということもありました。ある意味では、今そういう一体感が、国と地方が一体となってこの流れをきちっと加速をしていこうというような雰囲気が出てきていることは間違いないと思いますので。  本当に、地方皆さんのこれまでの取組であるとか、あるいは今の問題意識、私、将来的には、どこまでも国が一律に、三十人ぐらいまで国が一律にでいいと思うんだけれども、やはりその先には、地方自治体がある程度、権限、裁量を持って、それぞれの地域の事情、抱えている子供たちの事情あるいは子供たちの家庭での事情、それぞれ違いますから、そういったところを、例えば裁量を持たせて、しっかりと財源を確保しながら、さらに、次のステップとしては、この少人数学級を進めていくということ。必ずしも一律の人数だけじゃなく、二十人とか、二十五人なんだ、その次は二十人になったということじゃなく、三十ぐらいまでは国としてしっかり小中まで急いでやって、それでその先はそういった柔軟な対応というものも必要になってくるんじゃないかと思いますけれども。  最後に、大臣に、その辺の、将来の理想的な、大臣の理想とする少人数学級あるいは少人数教育も含めた在り方というものについてお答えをいただきたいと思います。
  52. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 既に国会の場で数字を申し上げたのは三十という数字なので、私は、引き続き、そこに向かって努力をしていきたいと思っています。  いろんなことがあって、いろんなことを見直さなきゃならない時期に来ていると思います。率直に申し上げて、財務省には財務省の立場があって、限られた財源の中で財政運営をしていかなきゃならないわけですから、そのお立場も私は理解します。  しかし、仮に、自然減でどんどん学校数やクラス数が減っていくんだという前提で考えているんだとすれば、これは国の大きな方針に反した政策ですよ。少子化を反転させようというのがまさに菅内閣の政策なわけですから、そこにも反していると思います。  よくエビデンスで、例えばOECDの数字とかおっしゃるんですけれども、みんな都合のいい数字だけ持ってきて、全部見ていないわけですよ。OECDでいうんだったら、子供たちへの投資額が最も低いのが日本なわけじゃないですか。そういったことも含めて、ここはフォーカスを大きく引いて、教育に携わる皆さん全員がこの流れを止めないということがすごく大事だと思います。  私、この間、率直に教育関係者の皆さんともいろんなお話をして、申し訳ないんですけれども、平日に国会前で座込みとか絶対やめてくれ、そんな余裕はないはずだ、先生方は数が足りないんだから、増やさなきゃならないんだから、どういう手続を取ったとしても、もう平日に来なくていいですから、我々しっかりやりますから、こんなことまで申し上げました。  すなわち、いろんな立場の人たちがいますけれども、あらゆる人たち子供たち教育環境を整えるために、せっかく始まったこの流れを止めちゃいけないと思います。そのことが、与党も野党も超えて、皆さんが次の世代の子供たちのためにいい教育環境をつくるためのこの流れをしっかり加速をしていく、その努力を引き続き皆さんと頑張っていきたいなと思っております。
  53. 笠浩史

    ○笠委員 ありがとうございました。終わります。
  54. 左藤章

    左藤委員長 次に、下条みつ君。
  55. 下条みつ

    ○下条委員 立憲民主党の下条みつでございます。  質疑の時間を与えていただきまして、ありがとうございました。  今日は、私としては、民間にいて、アメリカにも十何年いて、やはり政策というものは、プラン・ドゥー・シー、つまり、計画を立てて、実行をして、それにチェックをどうやって入れていくか、これによって、すばらしい、文科省がつくった政策、法案がしっかり行き届いているかどうか、これについてちょっと、僭越ですけれども御提案させていただきながら、その後に法案についての質疑にさせていただきたいというふうに思います。  まず、文科省が、画期的ですけれども、今年の一月二十九日に、教育局長伯井局長のお名前で、大学等における新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するための取組の徹底について、この要請書をそれぞれの大学にお配りした。  私がお聞きしたのでは、これは全部で二十一ページあるんですけれども、相当な枚数になるんですが、これをやったということはすごくすばらしいよ。それも、文科省の話ではなく厚労の話を持ってきて、文科の学生関係、大学、また高等専門学校等々の関係者に送って、この上の太枠では、一人一人の学生に情報が確実に伝達される手段を確保し実施いただくよう併せてお願いする、要請する、そういうところでございます。  それで、私は、今言ったプラン・ドゥーの部分、これは確かにまだ二か月たっていない状態ですが、やはりこの部分についてどのように徹底して、特に、文科省に関係するのは、その添付の三にある、学生に対するいろんな支援策がありますよと、こんな分厚いのを送ってきていますけれども、この徹底度合いについて、やったことはいい、やったということはいいけれども、その後、徹底はどうしているんだということがポイントだと思うんですね。  ですから、一月二十九日だから、二月に入って、上旬等々を含めたところで、もう学校側は各大学生の方にメールでどんどん送っていると思うんですが、まずその徹底度合いについてお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
  56. 伯井美徳

    伯井政府参考人 お答え申し上げます。ありがとうございます。  文科省といたしましては、御指摘がありましたように、関係省庁の制度を含む、経済的に困難な学生等が利用可能な支援策をこれまでも累次にわたり大学等に通知をしております。支援を必要とする学生一人一人に情報が行き渡るようお願いをしているところでございます。そして、一月末には通知を発出したところでございますが、二月の段階でそのフォローアップもいたしております。  回答のあった大学のうち、八五%以上が既に学生一人一人に行き渡るよう情報提供を実施したということでございますし、残り一五%も引き続きお願いしているところですが、例えば、その手段として、大学独自の内部ポータルとか、学習管理システムのメッセージ機能を活用して一人一人にメールを直接送るというような取組をしているのが七六%ぐらいあったり、あるいは、学生個人のメールアドレスへ直接送付するのが六三%ぐらいあるということでございますので、今後ともそういうフォローアップをするとともに、また、新年度に向けて、学生が活用可能な支援策というのも日々刻々と変わっておりますので、そういう支援策も改めて取りまとめ、周知し、また、それもしっかりフォローアップしていきたいと考えております。
  57. 下条みつ

    ○下条委員 ありがとうございます。  非常にいいお答えを、まあ、期間がまだ、実際一か月半ぐらいなので、非常にいいフォローアップをしていて、六十何パーもあるし、七割あるし、八割あるということですから、是非フォローアップしていただきたいというふうに思います。  そして、なぜ私がこれを言うかというと、先般、読売新聞から、三月六日に、食住支援について、大学に、学食の無料チケット、食料品、弁当の支給、日本学生支援機構から補助する考えがあると。ただし、これは実を言うと、対面授業に向き合っている人たちを対象にすると言っているんですね。ということは、じゃ、対面授業に行けない学生たちは対象にないのか、同じ授業料を払って、同じコスト負担をして生活をしているのにないのかということが一つ。  それから、後でまたちょっと言いますけれども、やはり、イギリス株等々あちらの、ヨーロッパのコロナ株について、イタリアの低年齢層にがっと広がって学校閉鎖しちゃった。これは日本でも、起きるか起きないか、それは誰も分からない、起きるかもしれない。そうなると、余計、外出規制があって、対面授業のない学生が増えてきたら、これは、読売さんが言っている話というのは、実効度がどんどん落ちていくんじゃないかと。  今のままで、もし対面授業のところだけ食料サポートをした場合、大学が七百八十六校、短大三百二十六校、専修学校千百十九の、二十分の一の学生しか対象にならないということになっちゃうんですね。  だから、私は、なぜこういうことを言うかというと、昨日、菅総理が出された、低所得者さん、そして住民税非課税世帯等々に対する、二人親も含めて、子供一人当たり五万円の支給、それで五千億円超の予算がつく。これはすごくいいことなんですよ。でも、よくその中を見ていくと、十八歳までなんですね。  私は、毎度毎度言いますけれども、やはり、少子化になって、お子さんを何とか産んで、そして育てて、保育園、幼稚園、小中高、そして最高学府に行った学生さんたち、大学生さんたちをどうやって学校をやめないで救っていくかというときに、たまたま昨日出たものが、残念ながら大学生が入っていないということなんですね。  私は、もう一回言うと、さっきの徹底性の問題はやっていらした、それは分かった。でも、食料支援についても、対面しか入っていない。二十分の一の学生しか対象にならない。かつ、昨日の話は、確かに五千億円つく、これは僕は賛成しています。だけれども、残念ながらそこに大学生が入っていないというこのすみ分けに、非常に僕は、いいんだけれども残念なんです。  これはお金がかかる問題なので。私は、大臣、やはり、さっきおっしゃっていただいたとおりで、私は所属は立憲ですけれども、いいものはいいと。大臣おっしゃっていただいて、これは確かに予算がかかってくる話なんですけれども、これじゃ結局、大学生が置き去りになる可能性が、何となく、何となくですよ。私がここで言うのは、こうやって議事録に残すと後で分かるからです。  是非大臣、これは、大学生も、いろんな意味で、対面を含めたものを取っ払い、ウェブでもいいじゃないか。そして、この五万円支援枠に、今、今日明日は仕方ないにしても、今後、大学生こそ、今バイトができない、私もこの間やりました、何十人もの学生とウェブでやったときに、本当に苦労している。自転車で一時間半かけて通うとか、バス代を上げるとか、そういうふうにしながら彼らは頑張っている。その大学生に対して、何とかこの支援の枠を拡大していただきたいことを大臣にお聞きしたいというふうに思います。御意見よろしくお願いいたします。
  58. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響で経済的に困難な学生が修学、進学を諦めることがないよう、しっかりと支えていくことが何より重要であると考えております。  実は、今先生触れていただいた食料支援のお話は、別段、学校を差別化して配ろうということを目的としているのではなくて、たまたま筑波大学で地域の皆さんが農作物などを持ち込んでいただいて学生に支給したところ、非常に好評だったんですね。農林省の方でも、実は、このコロナ禍にあって、本当は現場に流通させたい食料品のストックがたまってしまったり、あるいは、与党からも同様の御指摘があって、同じように学生の皆さんに少し食料でも配ってあげることはできないだろうかという相談があったんです。  それはありがたいことなのでお引受けをしたんですけれども、大学に学生が来ていないのに大学に食料を運び込んでも、これはなかなかうまく配給ができない。少なくとも、学食がちゃんと開いていて一定の学生が来たりしているところに食材としてただでお渡しして、是非、ただで食べてもらったり、安く食べてもらったりすることで学生の応援ができないかということを考えた結果が、対面を一定の割合をやっている学校にお配りしましょうということになりましたので。  じゃ、対面をやっていないところはかわいそうじゃないかといったらそのとおりなんですけれども、しかし、文科省として食材を一人一人の人に配るという作業まではできないので、これはあくまで学校に入っていただいて、手挙げといいますか、一定の規模で学生が出入りしていることを前提に、手挙げをしていただくところに応援をしていきたいと思っていますので、決してどこかで差別をしようとかそういうことではないということは御理解いただきたいと思います。全ての学校にあまねくやることはできないので、そういう中で選択をしていきたいと思っています。  経済的に困難な学生に対しては、高等教育の修学支援制度、生活費も含めた給付型の奨学金による手厚い支援を行うとともに、大学等の授業料に対しても支援を行っており、これは来年度も継続して行いたいと思います。  また、学びの継続のための学生支援緊急給付金については、これまで約四十二万人に支給を行ってきましたが、秋以降にアルバイト収入の減少した学生等約一万人に対して、今追加の支給を行っています。  また、大学の中途退学者について、昨年度と今年度、比較をしておりますけれども、今のところ昨年よりやや少ない状況で推移していますけれども、年度末に向けて油断ができないと思っていますので、しっかり注視していきたいと思います。  学生支援機構の寄附金により、今後、感染症対策を講じながら今申し上げた対面授業を再開する大学等を対象に、その大学が学生に食料品などを提供したり、あるいは、去年一年生で、例えば、地方から都心に来て、一度アパートを借りて、礼金、敷金、手数料を払って借りたんだけれども、また一回実家へ戻っていらっしゃる学生さんがいます。四月以降、対面を一定程度やるということになれば、またもう一回アパートを借りなきゃならない、また同じ投資をしなきゃならないので、これは今、いわゆる宅建等々の、不動産関連業界にもお願いをして、去年の契約が確認できる場合は少しその減免をしてあげてくれないかと。それに加えて、今申し上げた資金を基に大学に助成もしていこうということで、できるだけ学生の負担を軽減していきたいと思っています。  アルバイトが減ってしまって収入が減って困っているという学生に対しては、学生支援機構で無利子の、単発の、ワンショットの奨学金もお貸ししています。  何となく、この話をすると、学生に借金を負わせるのかという議論になるんですけれども、いやいや、アルバイトさせるんですかというのと同じ話でありまして、アルバイトがないんだから、それは一時的に借りておいてもらって、これを社会人になって返してもいいです。ワンショットですから、例えば、十万円とか二十万円とか三十万円とか選んでいただいて借りておいて、要するに、バイトの収入が減った分は無利息でまず借りておいて、バイトが再開したらその中から一万円ずつ返していけば学生時代に返せるという仕組みをつくらせてもらっていますので、あらゆる環境に対応できるように、我々も学生の支援を続けていきたいと思います。  その上で、新年度になって更に状況が悪化するようなことがあれば、ここは今お話ししたような新たな支援というものも視野に入れて考えていかなきゃならないと思っていますので、思い先生と同じでございますので、学生の皆さんが諦めない、その応援をしっかりしていきたいと思っています。
  59. 下条みつ

    ○下条委員 大臣、ありがとうございます。温かいお答えが伝わってまいりました。ありがとうございます。  一つだけつけ加えさせていただくと、やはり、いろんな御支援があるけれども、さっき言ったプラン・ドゥー・シーのチェックの部分が、なかなか学生というのは、ある意味で、それが若さなんですけれども、いいかげんなものもあるし、知らない人も非常に、さっきも多かったので、周知徹底を再度お願いすると同時に、対面授業に限らず、こういうものがあるよ、だから食い物がない場合は来てくれやという、やはり対象を増やしていっていただければなということをつけ加えさせていただきたいというふうに思います。  次に、今は十八歳以上の、大学生等々についてのお話で、小中高、そちらの方のお話にちょっと移らさせていただきたいと思います。  昨年天皇陛下に拝謁して子供の貧困を話されたキッズドアの渡辺理事長、また、昨日もこちらに参考人でいらっしゃった日本大学の教授の末冨教授、あしなが育英会の方が、我々の党に御要請に来ました。  それは何かというと、最近、キッズドアに支援を求める高校生までの子供を持つお母さん、お父さん、保護者に対して行ったアンケートです。高校生までの、キッズドアに支援をどうしても頼むと言ってきた方々のアンケートに対する結果が今手元に来ています。  例えば、過去一年間に電気やガス、水道、携帯が払えなかったことがあった、その二人親家庭は約三七%、一人親が二一%、貯蓄が十万円未満が何と半分以上の五一%、そういう結果になっている。危機的である。  さらに、政府がせっかく進めておりますけれども、住宅確保給付金を利用している人は五%、九五%は利用していない、知らない人は四三%。総合支援資金特例貸付を利用している人は一三%、知らない人は五一%。  私は何を言いたいか。これだけの頭脳や前向きなお話を、いろんな意味で内閣挙げて、そして文科は大臣がリーダーシップを取っていながら、実際に知らない人が多いんですね。ここに、残念ながら利用できていない問題点があるし、それが行き届いていないために、学校をやめなきゃいけない、自ら命を絶たなきゃいけない人が相当増えてきている。  そして、もう一つ。先般、立教大学の先生で、つくろい東京ファンドの代表理事の稲葉先生から伺った話では、定期的に池袋で炊き出しをやっていた、そうしたら、昨年末以降は本当に急増してきた、池袋ではコロナの前の約倍に炊き出しの数が増える、例えば新宿では四倍にもなったと。炊き出しを求めてくる方々は、昔は、コロナ以前は五十代以上の路上生活者の方がほとんどであったと思う、最近では、ネットカフェで生活している若年層の男女とか、子供連れの家族がどんどん炊き出しに並んできていると。  ということは、そういう方たちが、実際にお金がなくて、食べるものがなくてそういうところに並び出している現状が、こういう、つくろい東京ファンドの方の御意見でも出てきているんじゃないかと思います。  そこで、これは高校生未満の方々のお話ですけれども、大臣は所信で、教育負担軽減等で、家庭の経済事情にかかわらず、誰もが質の高い教育を受けられるようにすることは大変重要、幼児期から高等教育段階まで、切れ目のない形での教育の無償化、負担軽減を着実に実施するとともに、コロナ禍においても学びの機会を奪われることのないようにやるというふうにおっしゃっていました。  私は、さっきも言いましたけれども、プランはいい、ドゥーもいい、だけれども、これが行き届くかどうかがやはり一番大事な部分なんですね。  特に私は、大学生たちがよく、パッドを持ったり、若しくは携帯もない学生もいるわけですよね、そういう方たちへの徹底というのが、こういうものがあるよ、救うものがあるよという徹底が、もう一度文科のお力をかりて、学校に行っている、先生方から生徒さんにこういうものがあるんだよというものを知らしめて、そしてそれをその御両親に伝えるということが僕は大事だと思うんですね。じゃないと、結局、新聞を取れない人もいます。私は仕事上皆さんと同じで取っていますけれども、今はネットで見るから、新聞も三千幾らかかるから嫌だ、年間四万円だと言う人もたくさんいます。  ですから、私は、この周知徹底というのは、特に、今言った住宅確保給付金とかそういうものを知らない、貸付金も知らない人たちがたくさんいる、親がいるわけです。だから、親御さん、それは見ないあんたが悪いというのも、それも分かるんだけれども、こういう御時世では、せっかく学校に対面で、小中高のお子さんが来ているんだから、そこに、何の力も要らないです、ただ指示を出していただいて、こういうものがあるから是非お父さん、お母さんに届けてねということをもう一つ、大学はこの間やっていただきました、小中高でも、今度はペーパーで、是非、ちびちゃんたちや中学生や高校生で苦しんでいる人たちに、親御さんに伝えるつてをどうか考えていただきたい、これが私の提案でございます。いかがでございますか。
  60. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  誰もが家庭の経済状況に左右されることなく教育を受けられるようにすることは大変重要であると認識しており、文部科学省においては、学校段階に応じた支援を充実しているところでございます。  御指摘義務教育段階においては、家庭の経済状況が厳しい児童生徒に対して、市町村が学用品費等に要する経費を補助する就学援助を実施し、これまでもその充実を図ってきております。また、高等学校段階におきましては、授業料支援の仕組みである高等学校等就学支援金に加えまして、低所得世帯を対象とした授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金による支援を充実しており、その充実を図ってきているところです。  文部科学省としては、こうした支援制度について、支援を必要とする児童生徒の保護者に必要な情報がきちんと行き届くことが御指摘のとおり重要であると考えておりまして、地方自治体と連携して周知に努めているところでございます。  先般も、ただいま申し上げたような高校生向けの様々な制度についても、例えばということですが、「「学びたい」をあきらめないで。」と冒頭に書いた上で、家計急変した場合はこういう対応ができますよといったようなリーフレットを作ったところでございますが、御指摘いただいた他省庁あるいは関係機関が実施する各種の支援制度も含めて必要な情報が保護者に届くように情報提供するなど、周知の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
  61. 下条みつ

    ○下条委員 ありがとうございます。いいお答えだ。  やはり、せっかく、これだけ優秀で温かい政策をつくっても、それが行き届いていない。さっき言ったように、半分しか知らないって残念ですよね。だから局長是非これを進めていただいて、ちびちゃんたち、これをパパとママに渡すんだよ、ママに渡すんだよという形でやっていただくと、知らない人も見るんですよ。そうすると、新しい、そういう、命を保護しているお父さん、お母さんを救うことにつながるので、ひいては子供の教育にもつながります。是非進めていただくことを再度お願いを申し上げたいと思います。  次に移りたいと思います。  次は、法案の方に入りたいと思うんですけれども。  先ほどから大臣も、三十五はすばらしいことだ、三十を目指したいとおっしゃっていて、私は本当に、何人もの同僚の皆様の方からもいろいろお話あったとおりで、非常にすばらしいことの実行ができるということで、大賛成であります。  そこで、例えば、四十が三十五になって三十になったといっても、問題は、人数だけではなくて、そこに行く生徒さん、そして相対の学校先生がやはりポイントではないかと思いますね。  そこで、まず、二つに分けます。  まず、生徒さんの方なんですけれども、私は、学級人数が少なくなったとしても、やはり、めちゃくちゃ勉強が好きな子供たち、普通の子供たち、そして、勉強は嫌いだけれどもスポーツが得意なのか、分からない子供たち、また、勉強に追いつけない子供たちがもし同じ教室にいたとしたら、そうすると、何が起きるかというと、簡単に言えば、できる子供たちは、何でこんなにつまらない授業をやっているんだと。  私は、いろんなPTAの方から直接聞きました。そうしましたら、こういうことを言っていましたね。言いにくいですけれども、できるお子さんを持っているお母さんたちが何と言ったかというと、子供が、授業は面白くなくて、簡単に言えば、授業の間は寝ていて、塾に行って目を覚まして聞くと言っていました。  ということは、せっかくつくった学校の授業というものが、やはり、相対になった子供たちとしては、うん、つまらないな、何だ、こんなことをもう一回教えるんだということになったとしたら、今、これだけ少子化で、お子さんを産まない理由の一つに経済状況、また自殺の原因の七割近くが経済状況と言われている中で、やはり学校で済めば一番いいんですよ。学校で済まないから授業の代わりに塾に行かせる、その新しい負担がやはり家族にかかってきているということだと思うんですね。  私は、これをすぐにやれとは言わないです、提案です、今日は。まずは三十五になったことはもう大歓迎、万歳です。三十とおっしゃった大臣のスタイルも大賛成でございますが、聞いていくと、やはり授業も、数学は点数が分かりやすいから個別指導があるんだけれども、できる子とできない子、でも、それ以外は一緒くたでやるというところが、僕は、言いにくいけれども、できるお子さんたちにとっては非常に不満、できないお子さんたちにとっては、追いつけない人たちにとっては自分の劣等感。そして、追いつけないお子さんたちは、また違うような形で学級のスクラムをこれから組んでいくことを提案していきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
  62. 串田俊巳

    串田政府参考人 お答えいたします。  学習指導要領におきましては、教育課程の編成及び実施に当たりまして、児童生徒が基礎的、基本的な知識及び技能の習得も含め、学習内容を確実に身につけることができるよう、児童生徒学校実態に応じ、個に応じた指導の充実を図ることとしております。  具体的には、例えば、先生指摘のあったような、算数、数学といった教科等によりまして児童生徒の習熟の程度に差が生じやすいといったことを考慮し、それぞれの児童生徒の習熟の程度に応じたきめ細やかな指導方法を工夫して着実な理解を図っていくため、学習内容の習熟の程度に応じて学習集団を編成し、指導を行うといったことが考えられます。  その実施に当たりまして、児童生徒に優越感や劣等感を感じさせたり、学習集団による学習内容の分化が長期化、固定化するなどして学習意欲を低下させたりすることのないよう十分留意すること、それから、学習集団を編成する際に、教師が一方的に児童生徒を割り振るのではなく、児童生徒の興味、関心等に応じて自分で課題や集団を選ぶことができるよう配慮することなどに留意していくことが必要かと考えております。  なお、義務教育段階におきましては、その発達の段階も考慮し、基本的な学級編制は変更しないといったことが適当であると考えておりますが、いずれにしても、各学校において、児童生徒学校の実情に応じまして、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を進めていただきたいというふうに考えております。
  63. 下条みつ

    ○下条委員 今の段階では恐らくその回答が精いっぱいだと思いますので、それはそうだと思うんですけれども、僕が言いたいのは、じゃ、何で塾が、世界中を見てこんなに日本で発展しているかというと、やはり、学校がつまらない子供たち、そういう子供たちは、結果的には学校で寝ていて、夕方から始まる塾に親御さんがお金を出して行かせて、結局、それが負担になっているから一人しか子供を育てられない、二人は無理だねと。だから、ある意味で、一・五倍、三倍以上かかるわけですよ。  私は、今日、全ていい答えを求めているわけじゃないけれども、ドイツみたいに十歳ですみ分けしろなんという話をしているわけじゃないんです。だけれども、原点は、やはり現場にいるPTAが言っていることが原点だと思うんです。今言ったように、プラン・ドゥーはいいと思う、こうやってください、こうやってと。実際は、各学校は、やはり文科省から明確な指示がない限りは、やはり、すみ分けをある程度つくってやるのは難しいという回答なんですね。  だから、私は、後で話しますけれども、これだけ教員のなり手がないくせに、塾の方はどんどんどんどん、給料がいいからみんな行っちゃうんですよ、そっちの方が学校よりも高い金を払って。みんな、そちらで、自分の息子にとって、またお子さんにとって、お嬢さんにとっていい方向の塾に行かせるというそのスタイルが、実際、海外から見たら異常なことだと僕は思っています。  そういう意味では、これはあくまで提案ですけれども、やはりお子さんたちにはお子さんの権利があるわけです。例えば、勉強したいという子供が十人いる、勉強したくないという子供が十人いる。そうしたら、勉強したい方はどんどんどんどん授業は進むわけですよ。勉強したくないのはなぜかなというと、追いつけない場合もあるし、勉強以外の、音楽が好きな場合も。それを丁寧に、これから時間をかけてもいいから、文科省で是非課題に入れていって、リーダーシップをやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。
  64. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほど答弁しましたけれども、公立学校というのは、本当にいろんな家庭のお子さんが集まっています。おっしゃるとおり、今までの授業の形態からすると、黒板の前に先生が立ち、誤解を恐れて、申し上げれば、後ろ足をそろえたようなスピード感で授業が進んでいるんじゃないかとおっしゃる親御さんもいらっしゃるのも事実だと思います。  しかしながら、私は、やはり子供たちがこれから社会の中で生きていく上で、いろんな生活環境、いろんな価値観、いろんな、自分にできることが友達ができない、友達にできることが自分ができない、こういったことをお互いに学びながら人として育っていく公教育であってほしいと思いますので、学習面のことだけ考えれば、習熟度別にクラスを分けて、できる子、真ん中の子、遅れている子というふうにやって、授業の中身のことだけ、知識を詰め込むということだけだったらそれはできるのかもしれませんが、学校というのはやはりまた違う価値観があるところだというふうに思っていますので、まずそれは御理解いただきたいと思います。  その上で、他方、勉強がよく分かっている子供たちにすると、授業が物足りないという、落ちこぼれに対して吹きこぼれというふうに言われていますけれども、こういうお子さんたちがいらっしゃるのも事実です。  四月から始まるGIGAスクール構想というのは、まさに個別最適な学びを子供たちに提供する、すなわち、授業はスタンダードで行いますけれども、先に行ける子たちには新たな課題を個別に出すことも授業時間内にできるわけです。あるいは、遅れを確認できた子供については、放課後それをフォローすることもできるようになりますので、今までの学校教育とは少しフェーズが変わってくると私は思っております。  もちろん、先生方は御負担もありますから大変なんですけれども、是非、黒板の前で一律の授業の進捗を図るのではなくて、一人一人の理解度、習熟度というのを常にチェックができるのがこのICTのよさなんだと思います。すなわち、今までは一日が終わらないと丸つけができなかったのが、ボタン一つで、その場で分かったか分かっていないかが分かるわけですから、そういう子供たちにきめの細かい指導をしていただくことで、今先生が御懸念いただいているような課題は少しずつ解決するんじゃないかと思っておりまして、そんな努力を続けていきたいと思っています。
  65. 下条みつ

    ○下条委員 大臣、ありがとうございます。  是非、提案させていただいて、今できることの範囲内で、GIGAを含めて進めていただくような形の中で、私どもも問題意識を持っていますけれども、是非、文科省の皆さんも問題意識を持っていただきたいと思います。  次に、ちょっと時間が迫ってまいりまして、今度は教員側の話をちょっとさせていただきたいと思います。  教員は、さっきからいろんな話が出ています、募集が減って、倍率が落ちて。その原因は、昨日の参考人もおっしゃっていたとおりで、時間外がないとか、長時間働くとか、七パーぐらいOECDと比べて給料が落ちているとか、いろんな事情があると思うんですね。  その中で、負担という意味では、やはり日本の小中高の部活の先生負担というのは物すごく大きいと出ています。それで、皆さんの方も、今度、二三年から、休日の部活は教員が関与しなくてオーケーよという通知が出た、これも存じ上げています。  私は、部活は休日だけじゃなくて平日もあるし、負担もすごくある。やはりこの二三年からはもうちょっと前倒しして、海外と同じように、学校先生は部活までやる必要はないじゃないかということをもう一度早めに周知徹底していただきたいというのが一つ。  ちょっと時間が来ていますので、もう一つ教員のなり手がない。それは、さっき言ったような長時間労働、給料が安い、大変だ、PTAへの対応、いろんなことがある中で、ここに、教員資格認定試験の概要というのが来ています。これを見ると、高校卒業の方で、二十歳から小学校教員免許を取得できる、そういうものが出ている。例えば、令和二年では、小学校の、高卒の人が受験して、約二二%の人が合格しているんですね。  私は、何を言いたいかというと、なり手が少ないんだったら、高校卒業の人でも小学校教員になれるんだよという、それを、やはりこれこそまさにプロパガンダ、周知徹底ですよ。せっかくいいものがあるんだけれども、周知徹底されていない。  一般のところで働いて、高校卒業だけれども、大学に行きたくても行けなかった、しかし、仕方なくて仕事をしたが、やはり自分が求めていた、学校で生徒に教えたいという気持ちの人は、この日本にたくさんいると思います。そういう人たち是非、こういうものがあるということをもう一度、これはある大きな団体もこのことを知らなかった、ちょっとその団体の名前は言いません、そのぐらいに余り周知徹底されていないので。  そういう資格がありますから、是非、今こういうコロナ禍で異常に、いろんな行政を含めた公務員関係は物すごい倍率ですけれども、教職員でもこういうのがあるよということを、もう一度、文科省がリーダーシップを取って徹底していただくことをお願いしたいと思います。  大臣、いかがでございましょうか。
  66. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  教員になるためには教員免許を取らなくてはいけない、原則としては教職課程を修了するということが免許取得のベースでございますけれども、先生指摘教員資格認定試験につきましては、高校を卒業した者というふうなことと、あと、二十歳以上の人ということを受験資格としまして、試験を行って、その人の、教職員としてのふさわしい能力を判定した上で免許を与えるという制度でございます。  社会人の登用を幅広く進めていくという観点から、私どもとしては、この試験を更に受けやすいような形にしていくためのいろんな見直しをしておりますけれども、御指摘のとおり、出願者数につきましては、小学校につきましては七百四十二人が直近でございます。まだまだ十分知られていない、大学あるいは教育委員会には広報しておりますけれども、それだけでは足りないと思っております。  今後、受験案内等をウェブサイトで掲載するとか、関係機関にメールを行うということに加えまして、新たな広報先としまして、ニーズがある方にしっかりリーチできるような形での広報先を開発するですとか、あるいは試験の分かりやすいモデルとなるような資料を作成しまして、より優秀な、熱意のある方を教職員に迎えるような取組を進めていきたいと存じます。
  67. 下条みつ

    ○下条委員 いい答えをありがとうございました。是非頑張ってください。  文科省は本当に、この国の礎である教育の本です。大臣にリーダーシップを取っていただいて、頑張っていただきたいと思います。  時間が参りましたので、以上にさせていただきます。ありがとうございました。
  68. 左藤章

    左藤委員長 次に、山内康一君。
  69. 山内康一

    ○山内委員 立憲民主党の山内康一です。  まず最初に、少人数学級実現に向けて、大臣が大変御尽力いただいてこの法案が出てきたということになるかと思います。大臣の御尽力に対して、心から敬意を表させていただきます。  その上で、最初の質問として、少人数学級編制の実施に伴って非正規の教員が増えるんじゃないか、その点について質問させていただきたいと思います。  もちろん、私も、この少人数学級の推進、大変賛成でありますが、少人数学級の編制を進めると、より多くの教員が当然必要になります。そして、教員を確保するために、一部の地方自治体が、人件費を抑えるために非常勤の教員を増やす、こういった懸念があるんじゃないかと思います。実は、そういった、少人数学級の編制を増やすために非正規の教員を増やすという事例は全国自治体であります。  例えば、この手元にあります本は、東北大学教育学部の青木栄一准教授の御本なんですけれども、「地方分権と教育行政」というタイトルで、サブタイトルが「少人数学級編制の政策過程」。この本の結論の一部を申し上げますと、いわゆる改革派の首長さんたちが少人数学級教育実現を選挙公約に掲げて当選すると、多くの場合、人件費を削減するために非正規の教員をたくさん雇って少人数学級実現する、そういった自治体が非常に多かったという、そういう本なんですね。  やはり、学校先生、非常勤だと安心して働けない、安定した雇用じゃないと、研修とか自己研さん、そういった意味でもいろいろハンディキャップがあると思います。そういった意味で、少人数学級の推進が非正規の教員の増加につながらないような措置が必要だと思います。  それについて、文部科学省のお考えを聞きたいと思います。
  70. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現し、一人一人に応じたきめ細かな指導ができるように、四十年ぶりに小学校学級編制標準を四十人から三十五人に引き下げることとし、今、皆さん義務教育標準法の改正法案を御審議いただいているところです。  正規教員や非正規教員の任用、配置については、御指摘のように、各教育委員会において判断されるものと考えておりますが、今回の計画的な改善により、三十五人学級に基づく教職員定数が児童数に応じて自動的に配置されることから、都道府県及び政令指定都市の申請に基づく加配定数措置と比べて、正規教員計画的な採用が行いやすくなると考えております。  各教育委員会において正規教員の採用や人事配置をより一層適切に行うことを促してまいりたいというふうに考えておりまして、先ほど来お話ししていますように、国と地方協議の場というのを設けたいと思います。  私は、義務教育に必要な人材のための国庫負担については明確に定数で配分をするわけですから、ですから、地方も少なくとも定数に関してはきちんと守っていただく、その上で、必要な加配などは、協議の上、配置をしていきたいと思いますが。  今、山内先生、御披露いただいた改革派首長のは、結局、市単独、市単の教員採用をしているものですから、継続的にずっと定年まで雇えないので非常勤で雇っているという事例があるのは確かにそうなんですけれども、今回の少人数は三十五できちんと定数管理をしますので、そこまでの人数を食い込んで非常勤で対応するというのは、私は望ましいと思っていません。  是非計画的な採用をしていただくことが大事だと思っていますので、そこはしっかり守っていただけるように国と地方で価値観を共有しながら、しっかり前に進めていきたいと思います。
  71. 山内康一

    ○山内委員 ありがとうございました。  昨日の参考人質疑で出てこられた本田由紀教授も、この委員会の配付資料の中で、法改正しても都道府県が人件費を節約するために非正規雇用の講師を増やす心配があるということを、そのリーフレットの中に書いてありました。  是非、国として、今大臣おっしゃられたように、しっかり地方自治体とも協議の場などで、非正規雇用を増やさないような努力をしていただきたいということをお願い申し上げまして、もし答弁があれば、局長からもどうぞ。
  72. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど大臣からも答弁させていただいたとおり、今回、法改正をお認めいただいた場合は、基礎定数で、法律できちんと確保されていくことになります。そうしますと、この部分については、少なくとも表の三分の一、国庫負担金として、義務教育教員の給与の三分の一は表から負担がされ、裏の三分の二も確実に地財措置がされる仕組みになっています。これはきちんとした正規教員としての額でされます。  先ほど御紹介いただいた著作については不勉強で読ませていただいておりませんが、あくまで、その上乗せ部分として自治体単独でやった部分についての非正規が多いという御指摘だったのかなと思いますが、今回は、御了解をいただければ、きちんとした法律に基づく給与が、負担金それから地財措置、併せてきちんと確保されていくことになりますので、その点については、これまで以上に正規教員計画的な採用が行いやすくなると私ども考えておりますし、しっかりと自治体ともよくよく連携を取ってまいりたいと思います。  以上でございます。
  73. 山内康一

    ○山内委員 大臣からも局長からも非常に的確な、前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。是非、今後、きちんとフォローアップして、実際に非正規教員が増えないかどうか、自治体のデータをしっかり見てフォローしていただきたいと思います。  次の質問に入ります。  今回の少人数学級推進の理由づけの一つとして、GIGAスクール構想や教育のICT化ということが文部省の政策文書などでも見られます。そこで、近頃、政府は、何かというとエビデンスに基づく政策立案、EBPMということを言っていますが、今回のGIGAスクール構想にしても、莫大な予算が投じられる事業ですから、何かエビデンスがあるんだろうと思います。  どういったエビデンス、あるいはどういった科学的な根拠に基づいてこの政策を推進されるのかを文部科学省にお尋ねしたいと思います。
  74. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  GIGAスクール構想の推進に関する状況として、例えば、OECDが実施をいたしますPISAの二〇一八年調査において、ほかの生徒と共同作業のためにコンピューターを使うといった項目など、学校でのICTを活用した学習の頻度を問う指標に関して、日本は残念ながら軒並み最下位層となっております。また、この同じ調査におきまして、例えば、コンピューターを使って宿題をする、あるいは学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見るなど、学校外ですね、先ほどは学校内の話を申し上げましたが、学校外で学習のためにデジタル機器を利用する頻度を問うものについても、OECDの平均を大きく下回っているというデータが示されております。  さらに、私ども文部科学省で行っております平成三十一年の全国学力・学習状況調査の児童生徒質問紙調査におきましても、授業でもっとコンピューターなどのICTを活用したいと思いますかという子供たち向けの質問に対しまして、小学生の八六・五%、中学生の七八・四%がもっと活用したいと肯定的な回答をしているのに対しまして、前年度までに受けた授業でコンピューターなどのICTをどの程度使用しましたかという質問に対しては、ほぼ毎日使用したというのは小学生の一〇・四%、中学生に至っては七・二%にすぎず、学校児童生徒のICT活用への関心に必ずしも十分に応えられていない実情があることを把握しております。  加えまして、各都道府県におきます学校ICT環境整備状況につきましても、例えば教育用コンピューターの整備率については、令和二年三月現在で、都道府県の中で、最高で一台につき一・八人という県もある一方で、最低では一台について六・六人の子供、こういう数字になっておりまして、これまた残念ながら、地域間の差が顕著という状況が見られます。  以上のような調査結果、各種データ等に基づきまして、文部科学省としては、ソサエティー五・〇時代を生きる子供たちにふさわしい、全ての子供たち可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するためには、学校において一人一台端末あるいは高速大容量の通信ネットワークの整備が不可欠との判断の下に、今回のGIGAスクール構想の実現に向けて取組を進めているということでございます。  以上です。
  75. 山内康一

    ○山内委員 今局長がおっしゃったことは、単にICTが活用されていないのは問題だということだけですね。要するに、ICTを使うことが無条件に善である、教育的に正しいことであるという前提で、今の説明、全て根拠になっていると思うんですよ。  私が期待していた根拠というのは、例えば、ICTを導入すると学力がこれぐらい上がりますとか、あるいは学校先生負担がこれぐらい減りますとか、そういうものがあるのかなと思って御質問したんですが、今のお答えは、単に、コンピューターの活用時間が少ない、あるいは装備率が低い、それだけですよね。それを根拠と言っていいのかなと。GIGAスクールに四千八百十九億円を使う根拠として余りにも弱いなという気がするんですけれども、ほかに何かそういったデータというのはないんでしょうか。
  76. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  先ほどは、ハードとしての整備状況の大きな格差といいましょうか、自治体間の差の状況でございましたり、子供たちが実際に活用できていない、希望する程度にはできていないというところを申し上げました。  今委員の方からは学力についてということもございましたけれども、学校教育におきましては、児童生徒に知識、技能が習得されるようにするとともに、あわせて、思考力、判断力、表現力等を育成し、学びに向かう力あるいは人間性等を涵養する必要があり、これらの児童生徒に育むべき資質、能力全体を見通して施策を展開していく必要があります。  こうした観点から、GIGAスクール構想による一人一台端末等の充実したICT環境の活用につきましては、例えばでございますけれども、教師がICTを活用して一人一人の反応や考えを即時に把握しながらきめ細かな指導を行うこと、あるいは、児童生徒が多様な意見考え方に触れたり、協働して学習に取り組んだりすることなどを通じて、授業改善を図るとともに、新学習指導要領において、学習の基盤となる資質、能力として位置づけられております情報活用能力の育成そのものにも大きく資するものと考えております。  実質的には、大体ほぼ半数の自治体がこの三月に端末の調達が行われますので、新年度、本年四月以降、一人一台端末環境下での教育実践が、正直言いますと、多くの学校にとっては初めてのものになってまいります。  今後、今申し上げた情報活用能力、これに関する調査でございましたり、あるいは全国学力・学習状況調査等も活用しながら、ICTを活用した効果的な学習の在り方、あるいはその効果等についてもしっかりと知見を蓄えて、児童生徒の確かな学力も含めた資質、能力の育成につなげてまいりたいと考えております。  以上です。
  77. 山内康一

    ○山内委員 今の御説明を聞いていると、例えば、ICTを活用すると協働的な学びができるといったことをおっしゃっていましたけれども、それはICTがなくてもできるかもしれないし、それで一体どれぐらい改善されるか、具体的なことはなくて、どちらかというと、こうなったらいいなという願望を述べられているようにしか聞こえません。何か根拠があるわけではないように思いますが、これ以上聞いても根拠はなさそうなので。  ちょっと確認したいと思いますが、教育のICT化というのは、学力向上目的とするものではないんですか。違いますか。その点いかがですか。
  78. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  ICTは、子供たち教育の質を向上させるためのツールの一つでございます。したがって、学力向上学力といっても、先ほど申し上げたとおり、狭い意味での知識、技能にとらわれず、それも当然含めてでございますが、教育全般の質の向上のために、ツールとしてICT環境を急速に今現在整えて、かつ、これを最大限に活用していただいて、子供たちに対する教育の質を向上させたいというのが我々の思いでございます。
  79. 山内康一

    ○山内委員 今のところ納得のいく根拠を示されたとは私は思っていませんが、次の質問に入りたいと思います。  三番ですね、教育のICT化の学力に対する影響について。  日本教育学会の会長を務められた東京大学名誉教授の佐藤先生、恐らく、文科省の皆さんはよく御存じの名前だと思います。学びの共同体などを提唱されているので、大体、教員養成系の学校に行った人は聞いたことのある名前だと思います。その佐藤先生が、学校教育におけるコンピューター活用効果に関して最も信頼できる実証研究は、PISAの調査委員会が二〇一二年のビッグデータを用いて分析したOECD二十加盟国の調査であるというふうにおっしゃっています。  そのPISAの二〇一二年のビッグデータの分析の結果は、結論を短くまとめると、学校におけるコンピューターの活用の時間が長ければ長いほど学力が低下したとあります。佐藤先生のお言葉をかりると、常識に反して、コンピューターの活用時間と学力とは逆相関の関係にあると。これはOECDの四十九か国のビッグデータの分析の結果だそうです。こういったデータがあります、エビデンスとして。  これについて、例えば、大臣、感想はいかがでしょうか、この常識に若干反するデータについて。
  80. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほど来先生が気にしていただいている、じゃ、エビデンスに基づく政策なのかと言われると、これは、世の中全体を俯瞰したときに、例えば、今の小学生が十年後、十五年後、社会に出たときに、ICTと接しないでできる職業というのはどういうのがあるのかと考えたら、やはり避けては通れないツールだというふうに私は判断をしました。あくまで目的じゃなくてツールでございますので、これをどう使いこなしていくのかということをこれから是非注目していただきたいなと思うんです。  例えば、紙の上で体積や球の話を算数でやりますけれども、なかなかやはり立体的に子供たちは捉えることはできませんけれども、今後、そのICTでやりますと、まさに画像で立体的に体積や球のことを学ぶことができます。  先日、石垣島に行ったときには、国語で雪の詩を小学生が読むんだけれども、石垣の子供は一度も雪を見たことがないというんですね、誰も、親も見たことがないと。こういう状況の中で、ただ単に学習指導要領にある詩だけを読んでもこれは子供たちの涵養にはならないということで、今後、このオンラインを活用して、北海道や青森などの雪国とつないだ雪の授業というのをやっていこう、こんなことも考えていますので、いろんな使い方はきっとあるんだと思います。  その上で、しかし、余りにもこれが目的化してしまうと、多くの時間をここに費やして、結果として子供たちの学習が前に進まないという事態に陥ってはならないというのは、導入前から我々は心配していることであります。  繰り返しになりますけれども、あくまで学習の補助教材であって、これを目的ではないですから、もう先生も生徒も画面につきっきりで物事に取り組んだのではなかなか学習効果というのは上がらないと思いますので、その使い方も含めて、今、三月末までに、様々なQアンドAあるいはガイドライン、こういったものを示して、そういうせっかくマイナスの指摘もあるわけですから、こういうことに陥らないように頑張っていきたいと思います。  AIドリルなんかは、物すごく子供たちにとって、習熟度でどんどん出題が出てくるので、十点か零点かじゃなくて、三点が四点になり、四点が五点になるという効果もありますので、上手に使っていくということに心がけていきたいなと思っています。
  81. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 済みません、細かな点で補足をさせていただきます。  御指摘のいただいたPISA二〇一二の調査結果に関してでございますけれども、この調査結果の中では、委員が引用いただいた箇所もございますが、一方で、学校でコンピューターを多少利用している生徒の方が、ほとんど使わない生徒に比べて成績も幾らかよい傾向はある、ただし、コンピューターを頻繁に利用する生徒、私の言葉で言うと過度にということだと思いますが、かえって学習効果が大きく下がってしまうということがございますということが分析として示されております。これを研究をまとめたOECDが公表をした際に、この結果について、これは学校で必ずしも効果的にICTを活用できていないことの表れだろうという見解を述べられています。  私どもとしても、単にICTを形だけ導入したということではなくて、あるいは長時間利用すればいいということではなくて、ICTを授業の中で効果的に活用すること、ツールとして効果的に活用することで子供たちの理解を深めたり、あるいは、私ども、新しい学習指導要領の中では、今後の社会を担う子供たちにとって情報活用能力というのは言語能力に並ぶぐらい重要な位置づけであるという考え方を示していますので、情報活用能力をしっかりと高めていくことも併せて、国民の方々の税金で整備させていただいているこのGIGAスクール構想を、しっかりと生きる形で使わせていただけたらありがたいと思っておりますし、我々も最大限それに向けて現場に対する支援を重ねてまいりたいと思います。  以上です。
  82. 山内康一

    ○山内委員 私も、教育のICT、全否定するつもりもありませんし、現代のラッダイト運動をやりたいとも思っていません。  今、大臣局長も非常にバランスの取れた答弁をなさったと思いますが、実際、現場に行く過程で、自己目的化してしまったり、あるいは、過剰に、何でもタブレットでやった方がいいんじゃないかみたいな勘違いをするような事例がたくさん出てくると思います。それから、ある学者がいわゆる教育アプリというものを分析してみたら、ほとんどは実際には教育効果がなかったといったような研究もあります。ですから、上手に使わないと非常に無駄になる、むしろ浪費につながるということもあると思います。  それから、エビデンスということに関して、私はエビデンス万能主義者ではありません。例えば、コロナ対策みたいに前例のない事態では、エビデンスはほとんどないので役に立たないと思います。他方で、ICT教育に関しては世界各国で既に実践がたくさんあります。既に実践がたくさんあることに関しては、ある程度エビデンスを踏まえて政策立案するという今の政府の方針は当然だと思います。  そういった意味では、既にエビデンスがあるんだったらちゃんと踏まえて政策立案する必要があると思いますし、そういうふうに今なっているのか、非常に疑問に思っているということをお伝えしたいと思います。  それから、先ほど局長の方から、例えば、教育用コンピューターの一台当たりの人数、一・八人、断トツトップは佐賀県ですね。それから、二位の熊本県が三・二ですから、非常に佐賀県というのは教育のICT化が進んでいます。それから、普通教室の大型提示装置装備率、いわゆる電子黒板とかプロジェクター、これも佐賀県が断トツなんですけれども。佐賀県というのは非常に教育のICT化が進んでいます。しかし、全国学力調査の結果は余り芳しくありません。あえて言いませんが。  他方で、教育装備率、ICTの進展度合いが一番低いのは秋田県ですが、皆さん御存じのとおり、秋田県の学力は非常に高いということを考えると、これまでの事例を見る限り、都道府県別のデータを見る限り、教育のICT化がすごく進んでいる県が余り学力調査はよくなくて、一番遅れている秋田県が非常に学力が優れている。  こういう事例もあるわけですから、このお金の使い道、四千何百億円、一気にICT化を進めましたけれども、本当にちゃんと活用しているのかと。  別に佐賀県が、もしかすると、ちゃんとお金をかけているけれども使い方がまずかったのかもしれません、OECDの調査のように。どうだか私も分かりませんが、単純に都道府県別データを見る限りは、教育のICT化は学力向上には必ずしもつながっていないということはあると思います。  こういったことも含めて、今後のGIGAスクール構想、私は、慎重になるべきところは慎重に、あるいは、上手にやらなきゃいけないところは上手にやっていかないといけないと思います。  私はてっきり、文科省からエビデンスといったときに、平成二十七年の、ICTを活用した教育効果検証方法の開発という報告書のデータが出てくるのかなと予想していたら、出てきませんでしたが、やはり文科省独自でやっている実証研究の結果、余り芳しくなかったんだと思います。だからあえておっしゃらなかったんだと思いますが。  学力向上に関して言うと、教育のICT化はよほど上手にやらないと、そして私も過度な使用というのは非常に危険だということを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  それから、もう一つ、デジタル教材に関しては、アメリカのカリフォルニア大学のメアリアン・ウルフ教授という方が、この方は認知神経科学と発達心理学の専門家ですけれども、小さな子供にデジタル端末を与えるときは十分注意しなきゃいけないということをおっしゃっています。この方のインタビューが読売新聞に結構でかく載ったので読まれた方も多いかもしれませんが、電子書籍よりも、特に子供、小さい子供には、紙の本の方がより理解力を高めるのに役立つという指摘をしています。  例えば、この本の中に出てくる事例でいうと、イスラエルの小学校五年生を対象にした大規模研究では、同じ物語を印刷か画面かどちらで読むかによって、読解力にかなりの差が出たということが言われております。どちらがよかったか。それは、電子書籍よりも紙の本の方が理解度は高まる。  それと同時に、子供たちにどっちが好きかというと、子供はデジタルが好きなんですね、紙の本よりデジタルが大好きなんです。過去の調査を見ると、大体、子供は非常にカラフルでいろんな動画が入っていたりするのでデジタルを好むんですが、それが理解力と学力につながっているかというと、むしろ逆のパターンが多いという研究がいろんなところで出てきています。  そういった意味では、例えば、小さな子供にデジタル教科書を使うのはちょっと危ないというのであれば、三年生から、四年生から、例えば高学年ぐらいからデジタル端末を活用して、一、二年生のうちはなるべく紙と鉛筆でやらせる、そういう配慮もあってもいいんじゃないかと。  こういった事例について、まず文科省、お考えを聞きたいと思います。
  83. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  委員から今御指摘いただいたような指摘については、文部科学省の中でも、特に今、ICTを活用した一つの大きなコンテンツとしてはデジタル教科書がございます。  デジタル教科書については、今、専門家会議で鋭意議論を進めているところでございまして、その中でも、全てをデジタルの教科書に移行するのではなくて、紙のよさをしっかりと考えるべきだといった御意見とか、今後、デジタル教科書が進展するにしても、紙を一定程度利用しながらやるべきだとか、様々な御意見がございますので、そうした様々な御意見も十分踏まえながら、今コンテンツの大きな例としてデジタル教科書を取り上げましたけれども、ICTを活用する上で、子供たちのための教育の質を向上するツールですから、それをより効果的に使っていく上で、科学的な知見として、それが正しいものとして、定説ということであれば、そういったものも踏まえた活用の仕方、ツールとしての利用の仕方等についても共有をしてまいりたいと思いますが。  現時点で言うと、余り長時間使用しないようにすることとか、そういったことについてはこれまでも考え方として示してきておりますけれども、御指摘いただいたような様々な研究成果等についても参考にさせていただいて、今後の利活用に当たっての全国に対する考え方を示していく中で、どのように反映していくかということについては今後考えさせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  84. 山内康一

    ○山内委員 先ほどから、長時間の使用はちょっと考えなきゃということを、是非真剣に考えていただきたいと思います。今どきの子供、スマホを家で三時間も四時間も見ています。授業の中でまた三時間も四時間も見たら、一日七時間も八時間もデジタル端末を見ているという可能性も出るので、そういったトータルな視点でどの程度の使用が適正かということも是非きちんと実証研究していただきたいと思います。  では、四番の質問に移りたいと思います。教育格差拡大への懸念についてということですけれども。  昨年のコロナ危機に伴う学校の一斉休校の影響について、もう既に大学の先生研究されています。法政大学の多喜准教授、早稲田大学の松岡准教授が、内閣府の調査データに基づいて、臨時休校中に生じたオンライン教育の格差について分析されています。これも結構広く知られているものだと思うので、御存じだと思いますが。  オンライン教育の実施状況に関して、住んでいる地域や家庭の収入によって非常に大きな格差が出たということが言われております。出身の家庭とか住んでいる地域という生まれはどうしても本人がコントロールできない要素ですが、生まれによる格差がオンライン教育では非常に顕著に見られるということ、このことは大変深刻だと思います。  もちろん、国立や私立の小中学校の方が公立よりもオンライン教育を一生懸命やっていましたし、それから、より高所得の人が住んでいる地域の公立小学校の方がそうでない地域よりもオンライン教育が非常に広く行われていた。それから、家庭環境を見ると、親が高学歴、高所得なほど、家にWiFiとかあるいはICTの機器がそろっていて、家庭でのオンライン教育の条件に恵まれているということは、TIMSSなどでも証明されていることです。  そういった意味で、オンライン教育学校の教室の教育以上に格差を拡大してしまうという現実があると思います。  そういった意味で、オンライン教育というのは、私は、やむを得ないときにやる本当に最後の手段か、あるいは遠隔教育とか障害者教育とか特殊なニーズの人にはいいですけれども、一般にオンライン教育がよいものだというふうには全然考えるべきではないし、非常に危険だと思っているんですね。  そういった意味で、オンライン教育による格差をどうやって埋めていくか、あるいはなるべくオンライン教育をしないで済む方策についてどう考えているか、文科省の見解をお尋ねしたいと思います。
  85. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  昨年の臨時休業期間中にICTを使用した学習について格差が広がったのではないかという大学研究者の調査研究があることは、私どもも承知をしているところでございます。  この中では、研究のまとめとして、教育行政は、オンライン教育の機会格差の実態を把握した上で、デジタル環境の整備だけではなく、不利な子供の学習機会を保障するための対策を考えるべきということが、まとめのところで書かれておりますが、私ども自身、文部科学省が実施した調査においても、例えば同時双方向型のオンライン学習指導を通じた家庭学習の実施率が低いなど、全国的に見てICTの活用状況に差が生じていたということについては認識をしております。  こうした状況も踏まえまして、文部科学省としては、これまで、補正予算等も通じて、地域を問わず全国一斉に一人一台端末整備を進め、経済的にICT環境整備が困難な家庭には、学校が貸与するモバイルルーター等の整備支援、あるいは低所得世帯への通信費の支援を行うとともに、指導面においても、各教科等の指導におけるICTの効果的な活用に関する参考資料や解説動画とともに、先行自治体の優れた取組事例など、参考となる情報の発信、共有といった様々な取組を進めてきたところでございます。  私どもとしては、子供たちとの、特に初等中等教育においては対面授業の重要性というものを痛感しておりますので、安易にオンラインに頼るということではございませんが、緊急やむを得ない場合、あるいは、子供の状態によっては、不登校、病気療養児など、様々な子供たちに対してオンラインを活用するということもございますので、今申し上げたような環境整備もしっかりと進めながら、地方自治体とも協力をして、今回の一人一台端末環境を最大限に活用しながら、子供たちの学びの保障に努めてまいりたいと考えております。  以上です。
  86. 山内康一

    ○山内委員 時間がないので、最後の質問に移りたいと思います。  デジタル機器やタブレット端末が子供の心身に与える影響についてお尋ねしたいと思います。  先日の三月十日の委員会のときに、同様の趣旨の質問をされた委員に対して、局長は、たしか、子供の健康に対する影響はまだ調査や研究をしているみたいなお答えだったと思うんですけれども、私はこの問題は非常に重要だと思います。  まだタブレットとかスマホが世の中に出て僅か十年ぐらいですから、その心身への影響というのは十分な研究の蓄積があるとは思いません。しかし、もう既に、世界各国でタブレットやスマホの心と体に対する悪影響が言われています。警鐘が鳴らされています。  そういった意味で、特に小さな子供に対するタブレット端末の悪影響というのは、いろんな精神科の先生とか小児科の先生も言っているわけですから、文部科学省、きちんと把握していただきたいと思います。  IT業界のカリスマ経営者の皆さん、例えば、スティーブ・ジョブズは、iPadを子供には利用時間を制限させていたと言われています。ビル・ゲイツは、十四歳まで子供にスマホを持たせなかったそうです。それぐらい、IT業界の本当によくITを理解している人たちが、自分の子には余り使わせなかったものです。  その影響というのをきちんと国として大規模な調査を行った上で、影響を評価して、私も全く使うなとは言いませんが、ある程度抑制的にICTを使える、そういう状況をつくることは大事だと思います。それについて、政府の答弁と、よろしかったら、最後、大臣の御感想を承れればと思います。
  87. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生の問題意識、極めて大事だと思います。  この四月から初めて、日本では、全ての子供たちに端末が配られるICT教育が用意ドンで始まるわけですから、もちろん先進的な自治体や先進的な御家庭もありましょうけれども、私は常々申し上げているのは、ここはスモールステップで進みたいと。ほかのことは結構加速してやりますと大きなことを言っているんですけれども、これだけはちょっとスモールステップでいこうと思っているんです。といいますのは、デジタルがもう万能だと思っていらっしゃる世の中の方も中にはいらっしゃって、もう、すわデジタル教科書だという話になるんです。  先生、さっき丁寧なお話をしてくれたんですけれども、例えば、小学校一年生で読書の姿勢なんかを学びますよね。それは、ちっちゃなタブレットだったら持てるかもしれないけれども、パソコンを配備している学校の子は、一年生がパソコンをこうやって持って画面を見ながら読むなんてことはあり得ないわけですし、これはページが変わらないですよ。  したがって、やはり、紙の教科書のよさというものもあるんだろうと思っていまして、こういうことも含めてやっていきたいと思いますし、特に、視力ですとか姿勢、また睡眠への影響児童生徒の健康に配慮すべき事項を整理をして、全国自治体学校現場に対して周知を図ってまいりたいと思います。  国の統計によりますと、特に児童生徒の視力の低下は今でも続いているわけですから、新年度から、児童生徒の近視の実態やデジタル機器利用を含めた日常生活との関連など、必要な調査を行うこととしております。  持ち帰りも奨励していますけれども、学校でも数時間、画面で授業を行う、うちへ帰っても、自習もいいんですけれども、ゲームなどをしたりとか、そんなことで、結果として日本中の子供たちの視力が下がるようなことがあったら、これはGIGAスクール構想の大きな罪になってしまうと思います。  健康面も含めてしっかりウォッチをしながら、利用のルールというものも、今御提案いただいたようなことも含めて、利用時間ですとか、あるいはフィルタリングですとか、こういったものを本当にきめ細かく注意をしながら四月を迎えていきたいと思いますし、その後もしっかり実証を確認をしながら、少しずつこれは前に進んでいきたい、こんな思いで取り組みたいと思います。
  88. 山内康一

    ○山内委員 以上で終わりますが、是非きちんと実態調査、把握をお願いしたいと思います。
  89. 左藤章

    左藤委員長 次に、吉川元君。
  90. 吉川元

    ○吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。  本日は義務標準法質疑ということでありますが、その前に、もう既に先般の大臣所信質疑でも少し指摘されておりましたけれども、質疑もされておりますが、私も、全日本私立幼稚園連合会等の不正支出について、一、二点確認をさせていただきたいというふうに思います。  今回、億を超えるお金が使途不明、不正支出ではないかということで、今、捜査ということにもなっております。幼稚園連合会、それから同PTA連合会、そして幼児教育研究機構、三団体、同じ住所の同じ事務所内に同居しているようでありまして、三団体の電話番号もファクスも同じ。昨日、レクの際に少し聞いたんですけれども、何人ここに働いているんですかということで聞きますと、機構の方に四人いることは分かるけれどもそれ以外はよく分からないというお答えでありました。ホームページも一括で管理をされておりまして、公益財団である機構については収支が出ておりますけれども、それ以外の二つの団体については、ホームページを見ても分からない状況であります。  まず、確認と質問なんですけれども、報道ベースでいいますと、幼稚園連合会もPTAの方も七千五百を超える私立幼稚園が加盟をしているということですから、ほぼ一緒なんだろうというふうに思いますし、この三団体の会費、それぞれ、どのような金額で、どのように徴収されているのか。  報道では、幼稚園連合会の方は、一園当たり一万二千円プラス園児一人当たり七十円の会費、それからPTA連合会の方は、園児一人当たり五十円の分担金というふうになっております。これが事実なのかどうなのかということと、それから、機構の方は幼稚園連合会がお金を徴収をしている、こういう報道がありますが、これは事実なのか。そして、公益財団の機構の収支予算を見ますと、一九年度、二〇年度とも約七千万円の会費収入を予算化していますけれども、この内訳について教えてください。
  91. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  全日本私立幼稚園連合会及び全日本私立幼稚園PTA連合会につきましては、任意団体でございまして、文部科学省が所管している団体ではございません。また、公益財団法人の全日本幼児教育研究機構については、所管している団体ではないため、御質問の三団体の会費収入に関して、文部科学省では直接把握をしているものではございません。  なお、全日本私立幼稚園連合会の会費については、私どもで同連合会のホームページを確認しますと、御紹介いただいた年会費は、一園当たり一万二千円プラス園児七十円掛ける加盟園の園児数というふうに計算されていると、ホームページ上の情報としては承知をしているところでございますが、一方の全日本私立幼稚園PTA連合会の会費については、同団体のホームページにも情報が掲載されておらず、私どもとしては把握ができていないところでございます。  以上です。
  92. 清水正博

    清水政府参考人 御質問のありました公益財団法人全日本私立幼稚園幼児教育研究機構につきまして御答弁させていただきます。  公益財団法人全日本私立幼稚園教育研究機構におきましては、会費については普通会員と賛助会員の別があり、同機構の会員規程において、それぞれの会員区分において会費が規定されてございます。この会員規程によりますと、普通会員は、都道府県私立幼稚園団体に加盟している私立幼稚園、賛助会員は、同機構の目的に賛同し、その事業に協力する個人、団体又は企業というふうにされてございます。  収入ですけれども、提出いただきました令和元年度の機構の正味財産増減計算書によれば、会費総額は六千九百万円、その内訳は、普通会員の会費が三百万円、賛助会員の会費が六千六百万円ということになってございます。  徴収につきましては、普通会員の会費は全日本私立幼稚園連合会が代行して徴収をしている一方で、賛助会員の会費は全日本私立幼稚園連合会を経由せずに徴収しているというふうに法人から伺っております。  以上でございます。
  93. 吉川元

    ○吉川(元)委員 任意団体ということであるので、文科省としても調べる手だてがないということで、それはそれで理解をするんですけれども、ちょっと金額が、数億の単位で不正支出がある。また、これは実際にどうやって集めているのか分かりませんけれども、園児一人当たり幾らというような形でお金を集めるということは、つまり保護者がいろんな形で負担をしておりますし、また、幼児教育の無償化も含めて国費、公費が入る。そういうところでこうした不明朗な会計が行われていたということは、やはり私は大きな問題だというふうに思います。  大臣も別のところで、あってはならないことだというふうにもおっしゃっておりますし、やはりこういうことが起こらないようにしていかなければいけない。  その点について、大臣、何かお考えがあれば教えていただければと思います。
  94. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 この団体は、文科省が直接所管をしている団体ではありませんが、やはり多くの日本中の園児が通う私立幼稚園の連合体ということを考えますと、幼児教育を担当している立場で、こういった、保護者の皆さんに疑念をかけられるようなことがあってはならない、集めたお金を正しく使うというのは当然のことだと思います。  したがって、今もう既に刑事告発がされておりまして、司法の判断を待つことになっていますから、真相究明をしっかりしていただいた上で、仮にこの団体が残るということであれば、やはりもう少し透明性の高いものに変わっていっていただいた方が、幼児教育を担う団体としてはふさわしいのではないかなというふうに思っております。
  95. 吉川元

    ○吉川(元)委員 任意団体ですので、やれることに限界があるというのも重々承知はしておりますけれども、やはり今言ったように大変な大きなお金でありますし、また、このお金の元が、それぞれの保護者の負担、最終的な負担にもなっているということも含めて考えれば、やはりしっかりと透明性のある運営をしていただくように私の方も希望したいというふうに思います。  それでは、法案の方の質問に移っていきたいというふうに思います。  今回、義務標準法改正をもって少人数学級への道が切り開かれたということで、大臣以下文科省、大変な御尽力、これに対して敬意を表したいというふうに思います。  ただ、大臣は、小中では三十人以下、これを目指しておられたというふうに認識しておりまして、記者会見の中でもかなり力強い決意、財布を持っている方が強いというのは、世の中的にはそうかもしれないが、それに負けないために、私、大臣になったつもりであります、こういう決意も示されておられます。結果的には、今回は三十五人以下学級ということで段階的に進めていくということになりまして、十二月十七日、折衝を行ったその日の記者会見で、隣の建物の壁は高かった、大臣はこういうふうにおっしゃられておりますけれども、同時に大臣は、決してこれで終わりではないということも述べられております。  これは、ほかの委員からも同様の質問があったと思いますけれども、やはり私も、この三十五人以下学級、今回小学校だけですけれども、中学校での三十五人以下学級、また、さらには小中での三十人以下、さらには高校でも更なる少人数学級、これを想定していかなければいけないというふうに思いますけれども、大臣、どのようなお考えでしょうか。
  96. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今先生からも御披露ありましたように、元々三十人学級を目指して全力で取り組んでまいりましたが、関係者間で様々な検討、調整を丁寧に行った結果として、小学校における三十五人学級計画的な整備をまずは行うこととしました。  私としては、一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず、中学校においてもその必要性は全く変わりがないと認識をしております。  今回の学級編制標準引下げ計画的に実施する中で、学力育成その他の教育活動に与える影響外部人材活用効果についての実証的な研究を行うとともに、質の高い教師を確保するために教員免許制度等在り方について検討を行っていくこととしており、これらの検証等を行った上で、その結果を踏まえ、中学校も含め学校の望ましい指導体制在り方について検討を進めてまいりたいと思います。
  97. 吉川元

    ○吉川(元)委員 是非中学校ももちろんですし、三十人以下を目指していただきたいです。また、高校についても是非取組をお願いをしたいというふうに思います。  一学級当たりの生徒数、OECDの加盟国の平均値、これは昨日の参考人の皆さん指摘にもありましたけれども、世界では趨勢は二十人というふうに、二十人学級に迫ろうという状況であります。財務省が何と言おうと、きめ細かな教育実現教員負担軽減に向けて、少人数学級の推進を毅然として進めていただきたいというふうに思います。  現在、普通教室というのは、八掛ける八、六十四平米、これが標準的な、最も多い教室の広さかなというふうに思います。ソーシャルディスタンスとして一メートルの間隔を空けますと、新JIS規格の小さな机でも三十人学級がぎりぎり、これは教育再生実行会議の初等教育のワーキンググループの資料の中にも、六十四平米でどのぐらい机が置けるのかというようなものが描いてあります。見ますと、四十人学級はもう無理、三十五でも、例えば電子黒板を入れようと思うとこれは恐らく無理だというようなことも出ております。  また、まだ導入が余り進んでおりませんけれども、新JIS規格の大きな方の机、旧JISよりも縦横それぞれ十センチずつ長いというふうに聞いておりますが、三十人分の机もこれだと並べられないかもしれません。  そうしますと、今回の三十五人以下学級を進めるだけでも確実に教室数は不足するはずでありまして、新たに必要となる教室数はどのぐらいを見込んでおられるのか、また財源はどのように手当てをするのか、教えてください。
  98. 山崎雅男

    山崎政府参考人 お答え申し上げます。  公立学校施設は、児童生徒の急増期に建設されたものが多く、全体的には少子化の進行に伴い教室数には余裕が出ている、多くの学校においては、今回の学級編制標準引下げに伴う学級数の増加に対応できると考えております。  三十五人学級の実施に伴う教室の充足状況について改めて調べたんですけれども、令和三年度につきましては、以前から計画されていた新増築や余裕教室の転用等により、ほとんどの学校対応できる予定です。また、もう一年後の令和四年度以降に向けた対応としては、児童数の増加等への対応も併せて増築等の整備が必要になる学校もあると見込まれます。  このような教室不足を解消するための公立小学校等の新増築につきましては、法律に基づきまして、国が経費の二分の一を負担することとなっております。また、この際、地方公共団体負担分の一部について地方財政措置が講じられ、地方公共団体の実質的な負担割合は二〇%になっているところでございます。  文科省としましては、各学校設置者が計画的に施設の確保を行うことができるよう促していく必要があるというふうに考えております。このため、各学校設置者における教室の充足状況などを継続的に把握するとともに、教室不足が発生する場合にはその不足を解消するための施設整備に対する国庫補助を行うなど、学校設置者としっかり連携しながら、三十五人学級を円滑に実施できるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
  99. 吉川元

    ○吉川(元)委員 次に、加配との関係について伺いたいというふうに思います。  今回、少人数学級実現のため、今後五年間で一万三千五百七十四人の改善数、そうなっているんですけれども、このうち三千人分は加配からの振替と聞いております。  ちょっと私の理解ができていないのかも分かりませんが、昨日質問レクをした際に、今、少人数学級加配定数として現在七千五百人が活用されていて、そのうち中学校小学校で、既に三十四人以下学級での活用、これを考慮した上で三千人を振り替える、つまり、現在三十五から三十九の少人数学級を編制するために加配しているものを振り替えて三千人というふうに私自身理解をしておりましたし、昨日のレクの際にもそういうお話を伺っておりましたけれども、先ほどの質問の中で、ちょっと違う、この三千人というのはそうではないものがあるんだというようなお話も、私自身、そういうふうに理解をしたんですが。  この三千人というのはどういう、いわゆる少人数学級加配定数としてつけられているもののうちの三千人というのは、これは私自身が最初に言った理解でいいのか、それとも違うのかということをちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。  それと併せまして、大臣の会見では、今言った七千五百人のうちの三千人分定数改善に振り替えるということですけれども、少人数学級以外の加配、ここからも定数改善に振り替えるというようなことがあり得るのか。これは後でまた質問いたしますけれども、指導方法工夫改善定数から四千人分を小学校専科指導支援へと発展的に見直すというふうにしておりますが、指導方法工夫改善定数約三万三千人ですから、例えば、ここから更に少人数学級定数改善に振り替えるということは起こり得るのか。この点について、どうでしょうか。
  100. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  まず、前段の御質問ですが、三千人についてということですが、事前の際に御説明を申し上げていたようですけれども、地方独自の少人数学級を実施するために現在小学校第二学年の三十五人学級活用されている加配定数を除きまして、これは加配定数基礎定数にするだけですので脇に置いておいて、除いて七千五百人程度加配定数が、地方独自の少人数学級を実施するために活用されております。  このうちの、三千人と先ほどおっしゃられた部分は、小学校の三年、二年生は置いておきましたので、第三学年から第六学年までの三十五人学級活用されている加配定数の数は、御指摘のとおり三千人でございます。  したがって、残る部分、七千五百引く三千の部分が、小学校学年等の三十人学級とか、あるいは、中には中学校の少人数学級等に活用されている加配定数が四千五百人程度いるということになってございます。  後段の御質問に関しては、地方自治体独自の少人数学級を実施するために措置している部分ではない加配定数ですけれども、子供たちの少人数化が非常に進んでおりますので、それに伴います合理化減等は、少人数学級加配のほかですけれども、少子化の影響による児童生徒数の減少に伴ってこれまでも合理化してきていた少人数指導加配についても財源として一部活用されていくことにはなります。  ただ、いずれにしても、私どもとして、個々の教育課題に応じた目的のある加配定数ですけれども、こうしたものが学校現場に支障が生じないように、しっかりと必要な教職員定数は引き続き確保してまいりたいと考えているところでございます。  以上です。
  101. 吉川元

    ○吉川(元)委員 先ほどの質疑の中で、何かちょっと違うような答弁があったような気がしたので。つまり、この三千人というのは、要は、既に三年生から六年生のところで先行して三十五人をやっている、そのために加配定数を使っている部分が三千人だ、それ以外はないという理解でよろしいんですね。
  102. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 国の加配自治体加配と協力しながら独自の少人数を進めていますが、国の加配として応援している部分で三十五人の少人数学級実現している部分、すなわち、言葉を換えれば、法改正を認めていただいて学年進行していけば、基礎定数に置き換わる部分が三千人相当ということになります。
  103. 吉川元

    ○吉川(元)委員 それぞれ自治体で、この加配を使っていろんな教育の工夫、取組が行われております。三年生から六年生で既に三十五人、これが三千人、国として見ているのが。これが基礎定数化されるから、ここが減るということについては一定理解しますけれども、それ以外の部分については、それを削ってしまいますと、今行われている教育に支障が出てくるということがございますので、そういったことがないように是非取組をお願いしたいというふうに思います。  これも先ほど同僚議員が質問しておりました。やはり、基礎定数を増やして、そして三十五人学級実現していく中で、教員が非正規で配置をされて実現をされるということ、これは私は本末転倒だろうというふうに思います。  大臣が、十二月十七日の会見で、正規の職員をきちんと配置していくことを心がけていきたいというふうに述べられている一方で、一人分の人件費で二人の非正規を配置しようという自治体の意向も否定しない、こういうふうに述べられて、なかなか、各自治体で行うことだから、それについて指示等々、そういう関係ではないというふうにおっしゃられるのかも分かりませんけれども、やはりここはきちんと正規で、基礎定数として配置されるわけですから、間違ってもそういうことがないように、もう一度、大臣答弁をお願いします。
  104. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 せっかく三十五人学級になるわけですから、基礎定数が変わるわけですから、その分は正規の職員をきちんと確保してほしいというのが基本的な考えです。  ただ、正規教員や非正規教員の任用、配置については各教育委員会に裁量権がございますから、そこまで私が全て縛ってしまうというわけにもいかないということを記者会見で苦しく申し上げたまででありまして、原則はそういうふうにしていただきたいと思っています。  今回の計画的な改善により、教職員定数が児童数に応じて自動的に措置されることから、都道府県及び政令指定都市の申請に基づく加配定数措置と比べて、正規教員計画的な採用が行いやすくなると考えております。各教育委員会において正規教員の採用や人事配置をより一層適切に行うことを促してまいりたいと思います。  そのために、国と地方協議の場というのをつくって、スタンダードはこれでいきましょうねということをみんなで確認しながら前に進んでいきたいと思っていますので、先生の御心配のないような方向を是非目指していきたいと思っています。
  105. 吉川元

    ○吉川(元)委員 実は、国と地方協議の場の中でも是非こうしたことについては合意形成をしていただきたい、これは最後に聞こうというふうには思っていたんですけれども、是非その立場でお願いをしたいというふうに思います。  次に、今年一月に令和の日本型教育の構築を目指してという中教審の答申が出されました。読ませていただきました。答申では、これまで日本型学校教育が大きな成果を上げることができたのは、子供たちの意欲や学習習慣だけでなく、子供のためであればと頑張る教師の献身的な努力によるものである、さらには、我が国の将来を担う子供たち教育は教師に懸かっている、ここまで断言をしております。一方、学校の役割が過度に拡大する中で教員は疲弊し、国において抜本的な対応を行うことなく日本型教育を維持していくことは困難だ、こういうふうに指摘をしておりますけれども、この中教審の答申の評価、指摘大臣はどのように受け止めておられますか。
  106. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 教師は子供たちの人生を変えるぐらい大切な価値のある職業であり、学校教育の成否は教師の資質、能力に懸かっております。我が国の学校教育が世界に誇るべき成果を上げていることができたのは、先生方の献身的な努力によるものであると考えています。  しかしながら、学校が抱える課題の複雑化、困難化に加え、保護者や地域の多様な期待によって学校の役割が拡大していき、直面する様々な課題対応するため、教師は教育に携わる喜びを持ちつつも大変疲弊をしており、国において抜本的な対応を行うことなく日本型学校教育を維持していくことは困難であると考えており、喫緊の課題として学校の働き方改革を進めていく必要があると強く認識しております。  学校における働き方改革は、何か一つをやれば解決するといったものではなく、特効薬のない総力戦です。まず、教師の業務削減につながるよう、今回の公立小学校における三十五人学級実現を始めとした教職員定数改善外部人材活用や部活動改革、免許更新制度検証見直し学校向けの調査の精選、削減などの様々な取組を推進しております。引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。  また、前期の中教審での議論に引き続いて、三月十二日に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について中教審に諮問を行いました。今後、時代の変化に応じた高い資質、能力を身につけた教師を確保し、教師が生き生きと活躍できる環境を整備できるように、中教審での議論も踏まえながら検討を行ってまいりたいと思います。
  107. 吉川元

    ○吉川(元)委員 この答申を読んでいまして、事実、こうだったんだろうと。ある意味でいうと、四十人学級をずっと四十年、学校がいろんな、様々な課題、多様化する課題対応する、そのために教師の献身的な努力があった、これは私は事実だと思うんですよね。  ただ、私自身感じるのは、これに寄りかかってきてしまったのが日本の教育行政だったのではないかと。教師はすばらしい仕事です、皆さんの努力が、子供たちの未来が懸かっています、これは確かにそうなんですけれども、それを強調する余り、教師に対して無定量な、いろいろな仕事をずっと増やしてきたのがこの間の教育行政だったというふうに私は言わざるを得ないと思います。  昨日参考人に来ていただいた東大の本田先生が、今から十数年前に、やりがい搾取という言葉をおっしゃっておられました。要は、すばらしい仕事だ、君たちの仕事は本当に意義がある仕事だということで非常に長時間働かせる、長時間労働が蔓延をする。ブラック企業の典型なわけで、そういう意味でいいますと、教師の献身性に頼る教育行政から是非私は脱皮をしていただきたいというふうに思います。  もう時間がありませんので、今、少し免許の更新制に関わる御答弁もありましたので、これについての大臣の認識を伺いたいというふうに思います。  働き方改革について、これはもうちょっと後で触れたいと思うんですけれども、処遇の改善、これは早急に実現することが必要だというふうに思います。  大臣は、検討会を立ち上げて、教師の人材確保・質向上プラン、これを打ち出しました。この中に免許更新制の在り方見直しも含まれておりますが、この免許更新制について、どのような認識、今後どういう方向でいくのがよいのかということも、なかなか言いにくいのかも分かりませんけれども、どういうふうに考えておられるのか、是非教えていただければと思います。
  108. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 教員免許更新制については、教師が、クラスを担任するなど、多忙な中で限られた時間を使って更新講習を受講しなければならず、個々のニーズに合った講習ではなく、スケジュール的に受けられる講習を受けているなど、負担感が生じているとの声を現場から聞き続けてまいりました。  率直に申し上げて、自分が受けたい講義が埋まってしまえば、そうじゃない講義でもいいから、とにかくこま数だけを、時間数を積み上げないと免許更新ができなくなるわけですから、前回と全く同じ授業をもう一回受けるなんという先生も中にはいらっしゃったんだと思います。  これまでも、中教審において、教員免許の更新制度や研修をめぐる制度に関しては包括的な検証を進めてきております。これまでの議論の中では、教員免許更新制について厳しい評価がなされており、教師の資質、能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことが並立できるように抜本的な検討が必要であるということについて見解が一致したところです。  さらに、今月十二日、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について中教審に諮問を行ったところです。諮問の中では、教員免許更新制度について、現場の教師の意見などを把握しつつ、今後、できるだけ早急に検証を完了し、必要な教師数の確保とその資質、能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただくことをお願いをしたところでございます。  もう既に諮問をしましたので、私が方向性をここで申し上げるのはいかがかなと思いますけれども、かなり方向性を申し上げてしまった上で諮問をしましたので、御理解をいただきたいと思います。
  109. 吉川元

    ○吉川(元)委員 この免許更新制については、現場の声というのは一致していると思います。皆さん、私もいろんな方にお話を伺いますけれども、廃止をしてほしいという声が一番多い声だというふうに思いますし、諮問しているので、その中での議論との関係もありますから、それ以上の答弁というのはなかなか難しいと思いますけれども、是非、この免許更新制については、私は廃止も含めて検討をしていただきたいというふうに思います。  次に、今回の少人数学級、これと働き方改革はどういう関係になるのか。もちろん、生徒の数が減りますので、その分負担も減るというふうには思いますが、どのような影響があるというふうにお考えでしょうか。
  110. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今回の学級編制標準引下げは、担任する児童の数が多いほど業務時間が長い傾向にあります学級担任の授業及び成績処理の業務に係る負担の軽減、また、保護者対応に係る負担の軽減等の効果が期待をされるところでございます。こうしたことについては、平成二十八年の教員勤務実態調査においても表れているところでございます。  他方、学習指導、生徒指導において一人一人に寄り添ったきめ細かな指導が可能になるなど、教師のこれまでの働き方を見直し子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようにするという観点からも、学校における働き方改革に大きく寄与するものと考えております。  以上です。
  111. 吉川元

    ○吉川(元)委員 確かに寄与はすると思うんですけれども、私は、これだけではなかなか、大きな改善にはつながらないんじゃないかというふうにも思わざるを得ません。  ちょっと時間がないので、教科担任制について何点かお聞きしたいと思います。  一つは、中教審の答申では、小学校学年から教科担任制を二二年度をめどに導入をする必要があるとしていますけれども、この導入の時期というのは二〇二二年度でいいのかということが一点。それと、あと、教科担任制の導入は、教員の持ちこま数の削減、授業準備の効率化による教育活動の充実、教員負担軽減にある、そういう目的であるということでいいのか。この点について、お願いいたします。
  112. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 小学校学年からの教科担任制については、児童の学習内容の理解度、定着度の向上と学びの高度化が図られる点、あるいは、学級担任以外に、専科教員を含めた複数の教師による多面的な児童理解を通じた児童の心の安定に資する点、あるいは、いわゆる中一ギャップの解消等、小学校から中学校への円滑な接続に寄与するものとされておりまして、一月の中教審答申においても、教師の負担軽減を図りつつ、個別最適な学びを実現するために、義務教育九年間を見通した指導体制の構築に向け、令和四年度を目途に導入することが示されております。  文部科学省としては、この答申も踏まえまして、また、この審議状況を踏まえて、並行して教科担任制に関する有識者による検討会議を立ち上げておりますので、ここでの専門的、技術的な検討も踏まえて、導入に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。  以上です。
  113. 吉川元

    ○吉川(元)委員 次に、教科担任制の対象としてどの教科を想定をしているのか。それから、それは文科省で教科を指定するのか、あるいは柔軟に教育委員会判断することを可能としているのか。この点はどうでしょうか。
  114. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  新たに専科指導の対象とすべき教科については、中教審の答申におきましては、例えばということではございますけれども、外国語や理科、算数を対象とすることが考えられるという言い方で示されていたところでございます。  一方で、既に現在の基礎定数の中で、音楽とか図画工作とか家庭とか体育等については、今申し上げた既存の教職員定数の中でも一定の考慮がされているところでございます。  一方、この対象教科を含む教科担任制の導入の在り方については、地域の実情に応じて多様な実践が行われているという現状も踏まえる必要がございます。また、当該教科の専科指導を行う教師の専門性の担保と人材確保といった点、あるいは学級規模、地理的条件に応じた教職員定数配置在り方など検討課題も多くありますので、これらも含めて併せて検討していく必要がございますので、先ほど申し上げた有識者による検討会議において具体的な教科等について検討させていただきたいと思いますし、その運用についても併せて今後検討させていただきたいと思います。
  115. 吉川元

    ○吉川(元)委員 まだほかにも聞きたいことがあったんですけれども、もう時間が参りました。  最後に、一点だけ、効果検証方法について。  私は、学力に偏ったものはやはり駄目だというふうに思います。とりわけ、学力テストでその成果を見るなんてことは私はあり得ないと。学力テストというのは、学力三要素の中の本当にごく僅かな部分しか対象としていないわけですから、その点について大臣のお考えをお聞かせください。
  116. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 全くそのとおりでありまして、ここで、少人数学級、ICT教育が始まって、一点刻みの全国学力テストの点数が上がったとか、そういうことだけをもってエビデンスなんというのは全くナンセンスだと思っています。  子供たちが、いろんな意味で学校が好きになって、明るくなって、そして皆さんが生き生きと暮らしていただけることが大事。昨日、末冨先生がいい言葉を使っていただいて、生きる力指標が大切だとおっしゃったというふうに報告を受けました。まさに私も同じ思いでございまして、いろんなことをトータルに考えて、幅広で、これは、やってよかったねということなのか、全然効果ないよねということなのか、これは、しっかり科学的な数値を出せるものと、感覚や現場の声を拾っていくものとトータルで考えて、しっかり評価していきたいと思っています。
  117. 吉川元

    ○吉川(元)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  118. 左藤章

    左藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時六分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  119. 左藤章

    左藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉良州司君。
  120. 吉良州司

    吉良委員 立民会派、今は無所属議員の吉良州司です。  まず冒頭、今回、三十五人以下学級実現された萩生田大臣の人間力、説得力、それからいい意味での執念に対して心から敬意を表したいと思っています。  対戦相手だった麻生副総理兼財務大臣も、財務省を背中にしょっていますので、一筋縄ではいかなかったんだろうと容易に想像できるわけですけれども、私自身、麻生副総理は、大局観をお持ちで、長期的視野もお持ちで、かついい意味で愛きょうをお持ちの敬愛する方でありまして、そういう意味では、私自身、麻生総理も大変敬愛をしております。財務省をしょった麻生総理も、萩生田大臣の説得力の前には首を縦に振るしかなかったんだろう、このように思っています。  その意味では、この萩生田大臣と麻生財務大臣の両雄がいたからこそ、今回、少人数学級化の第一歩ではありますけれども実現したというふうに思っておりまして、心から改めて感謝をしたいと思います。  この法案については、これまでの質疑にもあるとおり、反対する理由はどこにもないと思っています。それだけに、先週金曜日の質疑、それから昨日の参考人質疑、そして今朝の質疑も、懸念事項に対しての確認であったりとか、又は小学校にとどまらず中学までとか高校までとか、また、更なる少人数学級化に向けた、ある意味ではエールを交換するという質疑内容になっているというふうに思っています。  私自身は、そういう意味では、実務的な法案の論点に沿った質問というよりは、大上段に構えたといいますか、ある意味では大風呂敷を広げた、場合によっては書生論になるかもしれませんが、この少人数学級化の推進によって一人一人の児童生徒に丁寧に向き合っていく、その過程において、個々の児童生徒の能力、学力向上させるということに加えて、ある意味、社会的な変革、今、日本社会が抱えるもろもろの課題をこの少人数学級化の推進を契機として解決していく、そういうことも大きな目的一つに加えてもらいたい、そのような思いから質問させていただきたいと思っています。  まず冒頭、冒頭といいますか、質問ですけれども、以前やはりこの場で聞かせてもらったこともあるんですが、大臣、政治家は一体何のプロなのか。例えば、弁護士だったり裁判官はある意味法律のプロと言うことができると思いますし、通訳は語学のプロ。そういう中にあって、政治家は何のプロだと思うか、また、何のプロであるべきだと思っておられるのか、大臣見解を聞きたいと思います。
  121. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 冒頭、先生、ねぎらいをありがとうございます。  通告いただいたんですけれども、これはどういうふうに答えていいのか、ちょっと私も役人も分からなくて、あえて申し上げるならば、私の考えでお許しいただくならば、一口に政治家といっても、言うならば、一人一人の出自や生い立ちも異なりますし、また、今立っている立場、与党と野党ではまた違うものもきっとあるんだと思います。したがって、いろいろアプローチの違いはありますけれども、まず第一に、全ての皆さんが、自分のためじゃなくて人のためを思ってこの職業を選んでいると信じたいと思います。困った人がいればそれに寄り添って支えていくということを、これは何党の議員であっても同じように行っているんだと思います。その手法が違うだけなんだと思います。  じゃ、何のプロかと言われるとすごく困ってしまうんですけれども、あえて申し上げれば、私、政治家という仕事は、夢を形にする、まさに職人、プロフェッショナルなのではないか、こう思っているところでございます。  全ての政治家の皆さんが、それぞれの思いを持って様々な取組をされていると思います。特に、私は今、教育行政の先頭に立たせていただいているわけでございまして、もっと格好いいことを言えば、文部科学省というのは未来創造省だ、こう申し上げておりまして、よその役所がと言うつもりはないんですけれども、我々が今やっているのは、今のことじゃなくて、将来のことをやっているんだということを職員の皆さんともいつも確認をしながら仕事をさせていただいております。  したがって、今回、少人数に一歩踏み出したことは、これは今完結することじゃなくて将来につなげていくことであると思っていますし、そのことで、例えば、先生たちの働き方が変わったり、子供たちの習熟度が変わったり、学校の明るさが変わったり、いろんなことで一歩でも皆さん思いや暮らしがよくなれば、それをもって成果というふうに評価していただけるんだろうなと思っていまして、まさしく、いろんな人の異なる夢を一歩一歩前進させていくことが我々の仕事であり、そのプロであるべきだろう、こんな思いで仕事をしています。
  122. 吉良州司

    吉良委員 私が上から目線から語る立場ではないですけれども、正直、想像をはるかに超えるすばらしい答弁だと思います。本当に、夢を形にするというか、未来創造省って、すばらしい言葉、表現だし、内容だというふうに思います。  私自身は、今大臣がおっしゃったこと、全く異論ない、今言ったように高く評価するものですけれども、あえて職人的に言うならば、優先順位をつけるプロだと思っているんです。政治ということになれば、何千、何百、何万といろんな要望を受けて、それも、個人からのもの、団体からのもの、いろんなことで、これを実現してほしい、これが大事だという要望を受ける。ただ、それを、自分の哲学だったり信念だったり、そのことを有権者に訴えながら選んでもらう。そういう過程を通して、やはり、何千、何万とある課題の中でこれが一番なんだということをきちっと優先順位づけをして、なぜなんだということをきちっと国民に説明をして、その理解を得ながら実現をしていく、これが政治家のプロたるゆえんだろうというふうに思っています。  その意味で、私、手前みそで恐縮です、手前というか、自分のことを語って恐縮ですけれども、十五年ぐらい議員をやってきた中で、かなりの部分を、外交、安全保障、経済の中で、委員会に属しながらやってきたわけですけれども、今は、今大臣がまさにおっしゃったように、未来創造というか、この日本を子供に託して、将来世代に託して、いい社会を、いい国をつくってもらうしかないという思いで、今この文科委員会に属させてもらっています。  その意味で、大臣に改めてお願いしたいことは、今言った、これまで、それこそさっき財務省を相手にしていると言いましたけれども、いろんな省庁がいろんな事案について、こういう大事な案件がある、大事なプロジェクトがあるということをやっていきますけれども、私に言わせれば、まさに将来世代への投資、これ以上に大事なテーマがあるとは私には思えません。  そういう意味で、先ほど言いました、冒頭言いましたけれども、本当に、萩生田大臣の説得能力、説明能力、いい意味での執念、これをもってして、他省庁から予算を分捕ってくるなり、それから、時にはもう、これだけお金がかかるんだったら消費税を上げてでも子供たちに投資しましょうというような形で、政府・与党の中にあって、子供たち、将来世代への投資以上に大事な政治的課題はないということをきちっと共有していただきたい、このように思っております。  そのことをお願いした上で、学校教育目的、今回の少人数学級を推進することの目的というものを改めてお聞かせいただきたいと思います。簡潔に。
  123. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 義務教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家、社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものであります。  その上で、学校教育においては、教師と児童生徒児童生徒同士の関わり合い、地域社会での多様な体験などを通じて、知識、技能、思考力、判断力、表現力等の確かな学力、豊かな情緒、規範意識等の豊かな心、そして健康、体力等の健やかな体、すなわち知徳体のバランスの取れた生きる力の育成を目指すことを目標としております。  このような義務教育目的を踏まえつつ、ソサエティー五・〇時代の到来や、子供たちの多様化等に対応するため、GIGAスクール構想によるICTの活用と、その効果を最大化する少人数学級を車の両輪として、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく全ての子供たち可能性を引き出す教育へ転換するための第一歩だと思っております。
  124. 吉良州司

    吉良委員 官僚が用意されたメモを読まれて、でも、間違っていない、そのとおりだというふうに思いますが、私、その中で反応したいのは、やはり生きる力だと思っています。もうちょっと突っ込んで言うと、生き抜く力だというふうに思っています。  私自身、NHKの番組で「ワイルドライフ」とかそれから「ダーウィンが来た!」とか、ああいう自然物というのは本当に大好きなんですけれども、生き物たちが必死で生きていくための行動、これはいつも自分だったり人間に当てはめて感動します。  そういう意味で、こういう文明が発達しているからなかなかそうは行き着かないですけれども、究極の目的は、大事な子供たちに対して生き抜く力をつけるのが教育なんだろう、その目的なんだろうというふうに思っています。  それをブレークダウンすれば、人間性、人間力を高めて豊かな人生を歩んでいけるようにする教育だったり、また、ある意味で、それをバックアップするための経済的自立、その力をつける教育だったり、また、そういうところに行き着いたというか、それらを含めて、その次には、その人たちが生きる地域社会、国に貢献できる人材を育てていく、こういうことなんだろうというふうに思います。  この、今私が申し上げた三つの生きる力ということについては、また機会を改めて議論をさせていただきたいというふうに思っていますけれども。  私は、先ほど、冒頭に少し、社会的課題を解決すると大上段に構えましたが、二つばかり、時間があれば、一本に絞りますけれども、その社会的課題を解決するということについて、少しお願い、提案をしたいことがあります。  それは、時に子供たちが残念ながら自殺したり、引きこもったり、それからいじめがあったりということがあります。これは子供の世界もそうですけれども、大人の世界でも、日本社会、日本文化っていいところが山のようにあるんですけれども、一方、私自身が徹底的に排除したいと思っているのは、世間の価値観で生きていくという生き方なんです。  自分の価値観、自分の生き方ではなくて、常に世間を意識して、世間の価値観に自分を合わせていこうとする。このことが窮屈で窮屈で、ある人たちに言わせれば、それを同調圧力という言い方をしていますけれども、この世間の価値観に自分をあえて適合させて、好きでもない生き方、好きでもない考え方、好きでもない行動なのにもかかわらず、世間の価値観に合わせて生きていく。これが日本社会の中の大きな課題だというふうに思っています。  そういう意味で、これを、さっき言いました、子供たち児童生徒一人一人に丁寧に向き合う中で、自己肯定感、そして、世間の価値観ではなくて、おまえの、あなたの価値観で生きていけというふうに持っていく、そのような学校文化、教育文化にしてもらいたいというふうに思っています。  大臣、世界的によく言われるジョークなんですけれども、タイタニック号じゃないですが、大きな船舶が航行していて座礁する、船が沈むという場面があって、このまま船の中にいたらみんな死んでしまうから、船長が、それぞれの国民、民族に向かって、すぐに海に飛び込め、こういう指示を出すんですね。そのときに、例えば、アメリカ人に向かっては、ここで飛び込めば英雄ですよ、イギリス人に対しては、ここで飛び込むのが紳士ですよ、それからドイツ人に対しては、ここで飛び込む規則になっています、イタリア人には、ここで飛び込めば女性にもてますよ、こう言って飛び込ませるわけですね。  日本人に対しては何て言われるか御存じですか、これは質問通告にないんですけれども。御存じないですか。分かりました。私の方で言わせてもらいますと、実は、日本人に対しては、みんな飛び込んでいますよなんですよ。想像ついたと思いますけれども。やはり、これが日本社会だというふうに思っていまして、これがある意味、伸び伸びとできない理由の一つだ、このように思っています。  これも自分のことで恐縮ですけれども、私、会社派遣ですけれども、ブラジル留学したことがありまして、何でブラジルかというのは、日本と真逆の価値観がある、いい意味でも悪い意味でもいいかげんな中で、それでも生きていける、社会が成り立つというか、そういう世界に身を置きたかったということもあるんですけれども。  日本人の場合は、とかく花をきれいに飾ろうと思ったらそれが華道になり、お茶をおいしく飲もうと思ったらそれが茶道になり、極めて荘厳ないい文化なんですけれども、一方では、全てが堅苦しくなって、型にはまらないととなって、本当に息苦しいというふうに思っています。  これも、私がアメリカにいた頃に、娘が三人いて、それぞれ保育園だ、幼稚園だ、小学校だ、中学校だ、高校だ、行っていたんですけれども、びっくりしたのが、小学校五年の娘の卒業式。アメリカの場合は、州によって、またその中のカウンティーによって小学校が五年だったり六年だったり、高校が三年だったり四年だったりしますけれども、五年が卒業時、日本でいえば、我々の時代は「仰げば尊し」を歌う、それに相当する歌が、何と、あなたはあなた、私は私、違いがあるからいいのよという歌なんですよ。それを小学校五年のときの卒業式でみんなで歌うんです。  こういう意味で、私は、子供たちが大人になって伸び伸びと自分の能力を発揮していくためには、先ほど言いました、世間の価値観に合わせていこうではなくて、自分は自分でいいと自己肯定感を持って、自分の価値観で生きていく、その土壌をつくる。これも、少人数学級化で、子供たち児童生徒一人一人に向き合える、非常に大事な側面ではないかというふうに私は思っているんです。  そういう意味で、法律の中に盛り込むわけにはいかない、それはよく分かっていますけれども、大臣を先頭に、文科省でこれに関わる方々、また、文科省が指示、命令するというようなことではないと思いますけれども、こういうことも大事だよね、共有していこうねというような、是非、雰囲気をつくるか、大臣の何らかのメッセージで発していただきたいと思っているんですが、いかがでしょうか。
  125. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生のお話は、私も大いに同意するところもございます。  地元の小学生が、六年生が国会見学にお見えになるときに、できる限り直接お会いしてお話をしたいなと思って、ほんの少しですけれども私なりに国会の説明などをして、そして、時間もないので、代表で一人か二人、質問があったら手を挙げてくださいと言うと、まず、どこの小学校も、一回しいんとして顔を見合わすんですね。しばらくたって、必ず女の子がはいと手を挙げて最初の質問をするんです。そうすると、二回目の、二人目の、じゃ、次の人と言うと、わあっと手が挙がるんですね。私はこれを、中学生に上がったら、疑問があったら自らそれを解いていくことをしっかり身につけることと、恥ずかしくないから、何でも知らないことは聞くという癖をつけた方がいいよということを申し上げています。  これじゃ、まるで一億総ダチョウ倶楽部だといって、どうぞどうぞと言いながら、いよいよ自分の番になると手を挙げるという、これじゃ駄目なんだ、国際社会はもっとみんな自己主張する世の中だから、みんなが大人になったときにこれじゃ困るぞ、日本人の奥ゆかしさは大切だけれども、しかし、これからしばらくの間は、疑問に思っていること、分からないこと、積極的に自分で手を挙げて意見を言う癖をつけてくださいと言って帰すのがパターンになってしまいました。パターンになってしまいましたというのは、ほとんど同じですよ、対応は。  ですから、そういうことを考えますと、この少人数学級、僅か五人ですけれども、五人減ることで、先生たちが接する時間、いろんな意味で増えてくると思います。一人一人の個性を伸ばし、そして自己肯定感を高める教育是非やってもらいたいと思います。  他方、個性は大事なんですけれども、同調圧力とは言いませんけれども、やはりみんなと協調性を持つということはすごく大事なので、余りにも個性がとがった子ばかりだと、これまた先生方も大変だと思いますので、協力するべきところは協力する、そして、きちんと自分の個性を発揮できる場面では発揮するということが大事なんじゃないかなというふうに思っております。  そんなことが、この僅か一教室五人の児童が減ったことで、先生たちが心がけていただけるんだとすればありがたいと思いますし、また、そういう教育ができるように、ICTも上手に使いながら、是非充実した教育を進めていくことができるように努力したい、こう思っております。
  126. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。  私も、今言った協調性ということについては、東日本大震災のときに、あれだけの状況にありながらきちっと並んで、自分も大変なのに、もっと苦しそうな人に順番を先に譲るとか、今のコロナにあっても、ロックダウンとか強制じゃなくて、要請によって何とかこういう形になっているのも、ある意味それは協調性だと思うし、もしかすると、世間を気にするということのいい面が出ているかもしれません。そこのことは認めた上で、でもやはり、息苦しさのかなりの部分は、この日本の、そういう世間を気にし過ぎる、世間の価値観で生きていくところにあると思います。  今、本当に何か息苦しいなと思っている人たちに、ポルトガル語ができるようになって、自由に使えるようになって、ブラジルに行ったら、すごく解放感を持って生きられるというふうに思います。ちょっとそれは余談ですけれども。  あと、今大臣の方で、そういうことを意識して先生に少人数学級の中でやってもらいたいというようなことがありましたけれども、何らかの機会で、是非、世間の価値観で生きるのではなくて、自己肯定して、自分の価値観でというところは、大臣の何らかの発言の中で発していただいて、それをやはり全国教育現場で意識してもらえるようにお願いしたいというふうに思います。  それから、もう一点は、私が大上段に構えてお願いしたいこと、また、社会的な課題の解決になると思っていることの一つは、せっかくある同学年全員が義務教育を受けるわけです、その上の世代も、その上の世代というか学年もみんなが学校教育を受ける、そういうインフラがあるのであれば、私は、その教育を受けた子供たちが、今度は自分が大学生になったり、又は高校卒業、さっきの議論もありました、いいですけれども、大人になったときに、自分がまた下の子供たちに教えられる、その仕組みを、仕組みというのか意識づけ、場合によっては仕組みづくりをしてもらいたいと思っています。  ちょっと分かりづらいかもしれませんけれども、勉強する、してもらう、教育をするときに、あなたたちは人に教えられるように理解していけ、覚えていけと。そして、将来何らかのときに、自分の子供だってそうだし、それから、社会的問題の解決と大上段に構えましたけれども、例えば、土曜日に学童で教えたりとか、それから、経済的また家庭的に恵まれない子供たちに勉強を教える場というのはNPOとかでたくさんありますから、そういうときにその手伝いができる。  こういう意味で、みんなが、プロの教師になる人もいるし、プロにまではならなくても教えられる能力を身につけて、そして、今言ったそれだけの人であふれるようになるわけですから、全員とは言わないけれども、同学年のうちの三人に一人、五人に一人は必ず教えられる、それだけの能力を持つという人たちで日本中があふれ返れば、いろんなところで、困っている子供たち、今言った家庭が勉強できる環境じゃない子供たちに教えることができるようになるんです。  それと、もう一点つけ加えると、その子供たち本人のためになります。皆さん方には釈迦に説法ですけれども、今でもやっているのかな、中学とか高校とか、中間試験とか期末試験とかありますか。実力考査とかいうのもありますか、それはもうないか。何か、何ページから何ページというのが期末試験とか中間試験で、一切範囲がないというのが、我々の頃、実力試験というのでありましたけれども。  要は、人に教えられるように理解して覚えると、極端に言ったら一生忘れないですね。一夜漬けという言葉がありますけれども、そのときだけじゃなくて何年たっても覚えています。ですから、今言った、社会のためになる、人に教えられるように理解する、覚える、そして人に実際説明できるようになる、それは、今言った、長じて、恵まれない子供たちに教えるということにもつながってくるし、本人自身の学力向上にもなっていく。  そういう意味で、これも学校現場で、また、文科省が頂点にある教育行政の中で、そういうことを意識した、意識づけ、仕組みをつくっていこう、これも少人数学級の中で、先ほど来ずっと言っていますけれども、一人一人の個別最適な勉強というか向き合える中で私は実現していけるものだというふうに思っています。  大臣、この点も、今言った、法律の中に書き込むとか省令でどうこうするとかいうことはできないと思いますけれども、そういう問題意識、問題意識転じて目的意識というものを何とか浸透させるということについて、いかがでしょうか。
  127. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 理想的なお話だと思うんですけれども、今お話を聞きながら、どうやったらそういうことができるかなというふうに考えながら、答えてくれと言われないまま次の話題に行くことを願っていたんですけれども。  大学生で、教職を取っている子たち教育実習に行きますよね。だけれども、それは自分で職業の目的があってやってみることなので、そうじゃなくて、せっかく小学校から中学校中学校から高校、高校から多くの皆さんに大学等の高等教育を学んでいただくような仕組みができ上がりつつある中で、どこかでやはり自分より年下の人に勉強を教えるという機会は、何らかの機会であったらいいな、それはおっしゃるとおりだと思いますし、それがきっかけで将来教師を目指すというインセンティブにつながるんだとすれば、これまたいいことだなというふうに思いながらお話を聞いていました。  直ちに答えはございませんけれども、先生思い、今日は受け止めさせていただきたいと思います。
  128. 吉良州司

    吉良委員 もう時間もあと五分ちょっとになりましたので、幾つかちょっと省かせてもらって、そのために用意された皆さんには申し訳ないと思っていますけれども、最後、これまた社会を巻き込むという意味で、家庭、地域社会、それを巻き込んで、やはり教育に対する理解を深めてもらうということで、一つ提案をさせてもらいたいというふうに思っています。  これもアメリカで実際経験したことであります。私、別にアメリカが全ていいと思っていないし、かぶれたりしていません。いいことはよかった、そうでないことは批判的に見てきましたけれども。よかったなと思うことは、実は、九月にバック・トゥー・スクール・ナイトという行事があるんです。九月はバック・トゥー・スクールと言われますね。九月が日本で言う四月一日になりますので、みんな長期の夏休みを終えて新学期、新学期というかな、新しい学年が始まるぞというのがバック・トゥー・スクールなんですけれども、その九月の新学期が始まってちょっとしたら、実は親御さんたち学校に帰ってもらうんです。親御さんたちも、バック・トゥー・スクール。でも、親御さんたちは仕事がありますので、夜なんです。バック・トゥー・スクール・ナイトといって、夜の七時だったりそれぐらいに、日本でいうとPTAみたいなのが行われまして、学校長が自分を語りながら教育方針を語る、学年主任がそれを語る。  中学校の場合は、日本のPTAとかは、いわゆる担任としか面談しないですけれども、実は、今言った校長と学年主任の話を聞いた後、親は、十分間ずつ、数学の先生に会いに行く、理科の先生に会いに行く、国語の先生に会いに行く。子供たちが受ける授業、その教室で、その専科教師に全部会ってこられるんです。だから、家でも、担任だけじゃなくて、あの理科の先生は面白いなとか、そういうので盛り上がります。これは、子供を連れていくことは厳禁です、そのときは。だから、子供を通してだけじゃなくて、親が直接学校に触れ合える、すごくいいチャンス。  それと、実は、何より、バック・トゥー・スクール・ナイトというこの行事がもうアメリカ人に全部行き渡っていまして、ですから、例えば、私もアメリカ人の部下がいましたけれども、アメリカ人が、あしたはバック・トゥー・スクール・ナイトがあるから四時に帰らせてもらいますと言ったら、分かった、分かった、それはもう四時に帰れ、それまでにちゃんと済ましておけよと。今度、自分も、あしたはバック・トゥー・スクール・ナイトだから、自分は六時までに帰るので、必要なことは全部六時までに言ってくれと。ですから、葵の御紋のように、バック・トゥー・スクール・ナイトだと言ったら、誰もがそれを聞いて残業を命令するとかできない文化があるんです。  それも含めて、年に一度、大人たちがみんな学校に戻る、学校について、子供の教育について考える日になるわけですよね。  こういうことを、やはり、日本も少人数学級で本当に一人一人に向き合って、今日ちょっと時間がないので触れませんけれども、外部人材活用によって、科目を教えるプロとしての教師のほかに、いろんな社会のこと、いろんな人生の刺激、その科目がもっと面白くなるような刺激を与えられる外部人材というのをどんどん学校に招聘していかなければいけないと思っているんですけれども、そういうことを社会全体、地域社会、親からも理解を得ながら進めていくに当たって、そのバック・トゥー・スクール・ナイトという仕組みというのが非常に私は功を奏しているというふうに思っています。  もちろん、PTAに属することになりましょうから、文科省がこれをやれというようなことはできないと思います。今日私が申し上げているのは全部、命令とか法律で書けないことばかりですけれども、それでも私は大事な目的意識化だというふうに思っていまして、この点について、今言った社会、家庭、地域を巻き込んでいくということについて、大臣、いかがでしょうか。
  129. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 地域や保護者の理解や参画を得ながら学校運営をすることは重要だと思います。今先生もおっしゃっていただいたけれども、子供は誰が育てるかといえば、一義的にはもちろん親に責任がありますけれども、学校と地域と、まさに三方で子供たちを囲み、育んでいくことが大事なんだと思っています。  既に学校運営協議制度が定着して、コミュニティースクールなどが始まっている自治体学校もある一方で、なかなかやはりそういう地域の皆さんとの関わりがつくれない学校もあるのも現実であります。  先生たちだけが頑張ってもなかなか解決しない問題がありますので、地域と学校の協働活動を一体的に推進できるように、いい例を是非横展開しながら、地域の皆さん学校に出入りして、よく私も地元の後輩たちに、子供が何年生って、お父さんが、うちの子は小三と小一なんですと言うと、私は意地悪に、何組と聞くんですよ。そうすると、まずお父さんは答えられません。担任の先生はと聞くと、まず答えなんか返ってこないんですね。いや、それでおまえ、うちの子供はと言うのはおかしいぞ、こう私はちょっと偉そうに申し上げるんですけれども。  まさに全ての親御さんたちも、やはり学校に預けっ放しじゃなくて、学校でどういう人たちがどういう努力をしているのかを目の当たりにしてもらうことも大事ですし、子供が育ってしまった地域の人たちも、やはりいつまでもその地域の学校を大事にしてもらうということをみんなが心がけると、結果として子供たちにいい影響があるんだろうと思いますので、こんなことを心がけながら取り組んでまいりたい、そう思っております。
  130. 吉良州司

    吉良委員 ありがとうございます。もう時間になりましたので。  私が、社会の問題解決、課題解決と言ったのは、私も昭和にどっぷりつかっていましたので、二十二世紀なんて遠い先の話だと思っていましたけれども、今年生まれた赤ちゃんが二十二世紀を迎えるのは七十九歳とか八十歳なので、かなりの赤ちゃんが二十二世紀を生きることになります。今の中学生が教育学部を受験するような年になるまであと数年、小学校一年生がその年になるのもあと十年ちょっとです。それを考えると、いろんな日本の社会の停滞、課題を解決していくためにも、まさに一人一人に向き合いながら、子供たちをそういうことも解決できるように育てていきながら、日本を活力あるようにしたいなという思いを込めて、今日は質問させていただきました。  ありがとうございました。
  131. 左藤章

    左藤委員長 次に、畑野君枝君。
  132. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部改正案について、萩生田光一文部科学大臣に伺います。  少人数学級実現については、保護者、教職員地方自治体関係者皆さんが、長年にわたって、少人数学級、三十人学級を求める運動を続けてこられました。小学校学級規模は、一九八〇年に四十五人から四十人に引き下げられて以来、二〇一一年に小学校一年生の三十五人学級への引下げ実現されましたが、その後大きな逆流にさらされました。  二〇一五年二月の予算委員会で、私は、更に全小中学校での三十五人学級への前進を求めた際、当時の安倍晋三総理大臣は、三十五人学級実現へ向け努力したいと答弁されましたが、それから六年かかりました。  本法案は、四十一年ぶりに小学校二年生から六年生までの学級規模を四十人から三十五人に縮小するものでありまして、幅広い国民の皆さんの運動による前進です。  そこで、萩生田大臣に、今回の法改正の意義について伺います。
  133. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ソサエティー五・〇時代の到来や、子供たちの多様化の一層の進展、今般の新型コロナウイルス感染症の発生等も踏まえ、ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障することが不可欠です。  このため、今回、義務標準法改正案において、国が定める公立小学校学級編制標準を現行の四十人から三十五人に引き下げることにより、一人一人のニーズに応じたきめ細かな指導を可能とする指導体制と、安全、安心な教育環境整備してまいりたいと思います。  今回の法律を通じて、GIGAスクール構想による学校におけるICTの活用と、その効果を最大化する少人数学級を車の両輪として、誰一人取り残すことなく全ての子供たち可能性を引き出す令和の日本型学校教育の構築に取り組んでまいりたいと思います。
  134. 畑野君枝

    ○畑野委員 そこで伺いますが、附則第二条の経過措置では、「第二学年から第六学年まで段階的に三十五人とすることを旨として、」としています。前倒しして実施することも排除されていませんね。
  135. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  附則第二条の規定は、経過措置期間を設けて、令和七年度までに小学校における三十五人学級整備するものであり、具体的な整備のスケジュールについてまで規定しているものではございません。  一方で、少人数学級整備に当たっては、児童の数の推移等も考慮し、地方公共団体が見通しを持って計画的に教職員や教室の確保に取り組むことができるようにすることが極めて重要なことであると考えております。このため、第二学年から第六学年まで学年進行により五年間かけて段階的かつ計画的に三十五人学級整備していくこととしております。  先ほど委員から言及のございました、前回の、四十五人から四十人に学級編制標準を引き下げた際も、児童生徒の数の推移、あるいは学校施設の整備状況等を考慮して、低学年からの学年進行により計画的に教職員定数改善を行ったものと承知をしているところでございます。  以上です。
  136. 畑野君枝

    ○畑野委員 長い長い時間がかかってのこの到達でございますので、私は、スピード感を持って更に進めるべきだ、自治体への支援も、独自の努力もされておりますけれども、行うべきだと申し上げておきたいと思います。  昨日の参考人質疑の中で、三人の参考人の方が一致して求めていたのは、中学校への少人数化でした。  二月十五日の予算委員会で、この法案について、中学校での三十五人学級を進めるよう求めた私の質問に対して、菅義偉総理大臣は、望ましい指導体制在り方について、中学校を念頭に検討すると答弁されました。  確認です。附則第三条の検討事項に中学校も含まれていますね。
  137. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  一人一人に応じたきめ細かな指導は、小学校のみならず、中学校においてもその必要性に変わりはないと認識をしております。  今回の学級編制標準引下げ計画的に実施する中で、学力育成その他教育活動に与える影響あるいは外部人材活用効果について実証的な研究を行いますとともに、質の高い教師を確保するために教員免許制度等在り方について検討を行っていくこととしており、これらの検証等を行った上で、その結果も踏まえて、学校の望ましい指導体制在り方については検討を進めてまいりたいと思います。  委員から御指摘のあった昨日の参考人質疑では、多くの方が少人数学級必要性について述べられ、理想的にはということですが、三人とも二十人という意見を言っておられたということについては私も報告を聞いて知っているところでございますが、今はまず目の前の、四十人学級を何とか三十五人にさせていただく法案をお願いをし、その上でしっかりとした検証を進めさせていただきたいということでございます。
  138. 畑野君枝

    ○畑野委員 大臣に一言。この間も聞きましたけれども、これは当然、総理もおっしゃられたので、中学校についてもこの法案を実現する中で検討されるということで、もう一回確認です。
  139. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 私、予算委員会はちょうど総理の後ろに座っておりまして、畑野先生が今日と同じように、一度総理が答えているのに、もう一回確認すると言って、中学校を念頭にで間違いありませんね、そのとおりですと答えたのをよく聞いておりましたので、私も同じ思いでしっかり進めてまいりたいと思います。
  140. 畑野君枝

    ○畑野委員 今日は法案審議なので、改めて確認をさせていただきました。ありがとうございます、大臣。  今回の小学校三十五人学級のために、一万三千五百七十四人、国費約三百億円が見込まれるということを伺っております。そうですね。  それでは、中学校で三十五人学級を実施する場合、必要な教員数、国負担の経費はどれぐらいになると見込んでいますか。また、小学校中学校での三十人学級を実施する場合の必要な教員数、国負担の経費はどれぐらいになると見込まれるのか、お答えください。
  141. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今委員が述べられた少人数化をどのような計画で何年間かけて実施するかによって人数や費用は異なるわけでございますけれども、仮にということで、令和元年度の児童生徒数を基に、今委員から御指摘のあったそれぞれについて直ちに実施した場合に必要となる教職員定数とそれに係る義務教育費の国庫負担金の追加経費の試算をいたしますと、中学校の三十五人学級化については約一万六千人の教職員の数が新たに必要になりますし、これに係る義務教育の国庫負担金の追加的な額は三百五十億円。また、小中学校同時に三十人学級ということを仮に試算をいたしますと、約八万人の教職員の増と千七百億円の国庫負担金の追加的な経費が必要になるということでございます。
  142. 畑野君枝

    ○畑野委員 今局長からも昨日の参考人質疑の御紹介がありましたけれども、本田由紀参考人は、四十人、論外です、三十五人ですら少人数とは言えません、三十人でようやくぎりぎり何とかという、全世界的な、特に先進国における趨勢があると指摘をされました。  今、少人数化に更に向けていく上での具体的な数字が今日初めて示されたというのは、これは大変重要でして、私は、この間萩生田大臣がおっしゃってこられた、小中三十人学級へと、この決意を引き続き持っておられるのか伺いたいんですが、多分お持ちだと思いますが、いかがですか。
  143. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 国会でも繰り返し申し上げてきましたので、そこを理想として追求をしてきました。決して高めのボールを放って三十五に落ち着けたわけじゃなくて、様々な交渉の中で、小学校の三十五人までしか今回はたどり着けませんでした。しかし、これで終わりじゃありません。中学校も含めて、そして、最終的には私も三十人以下が理想だと思っております。
  144. 畑野君枝

    ○畑野委員 前向きな御答弁をいただきました。  さて、もう少し詳しく伺ってまいります。  四十一年前に義務標準法が改定され、第五次教員定数改善計画が一九九一年に終了すると、一九九三年には高校標準法が改定され、四十五人学級から四十人学級になりました。なぜ高校標準法が改定されることになったのか。その意義、目的は何か。そして、今後、高校の三十五人学級化、更なる少人数学級化も検討すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  145. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  一九九三年、平成五年の高校標準法の改正については、生徒の興味、関心、能力、適性等、一人一人の個性に応じたきめ細やかで多様な教育が展開できるようにということで、それまでの四十五人であった全日制の普通科等の学級編制標準を四十人に引き下げたものでございます。  高校についてもきめ細やかな指導が必要なことは同様でございますが、高等学校の場合、授業形態の多様性をより踏まえて考える必要があろうかと考えております。  いずれにしましても、今回の小学校学級編制標準引下げ計画的に実施する中で、そこにおきます学力育成その他の教育活動に与える影響外部人材活用効果についての実証的な研究等を行うこととしておりますので、これらの検証等を行った上で、その結果を踏まえて、学校の望ましい指導体制在り方については検討を進めさせていただきたいと思っております。  以上です。
  146. 畑野君枝

    ○畑野委員 是非、高校の少人数化を進めていただくよう、検討を求めます。  次に、国立、私立の学級編制基準について伺います。  今回の法律は、公立義務教育学校が対象となっています。国立、私立の小学校中学校は、小学校設置基準、中学校設置基準で、一学級児童生徒数は、法令に特別な定めがある場合を除き四十人以下とされています。  子供の教育条件の整備という点では、国立、公立、私立にかかわらず、ひとしく整備されるべきだと考えます。本法案で四十人学級が三十五人学級へと引き下げられることに伴い、同様に設置基準を引き下げるべきではありませんか。
  147. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  国立、私立の義務教育学校における学級編制については、小学校設置基準及び中学校設置基準において一学級四十人以下を標準としております。ただし、その上で、国立、私立の小中学校については、それぞれの教育方針に沿って運営が行われているものと承知しております。  公立小学校における学級編制標準は、今後五か年をかけて計画的に三十五人に引き下げていく予定でございます。一方の、国立、私立の小中学校の望ましい指導体制在り方については、この五年間の取組状況や、国立、私立の取組状況等も踏まえつつ、今後検討させていただきたいと考えております。
  148. 畑野君枝

    ○畑野委員 是非検討を求めます。  次に、幼稚園の学級編制は、幼稚園設置基準で、三十五人以下を原則とすると定められています。現場先生からは、小学校一年生が三十五人で、三歳児も三十五人ですか、三歳児は十五人、四、五歳児は二十人以下にしてほしいという声を伺っております。  幼稚園設置基準の引下げについても検討すべきではありませんか。また、少人数化すると園の負担が増えるというふうに言われるのですが、経常費助成補助の増額をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  149. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  幼稚園の学級の編制については、幼稚園設置基準において、御指摘のとおり、「一学級の幼児数は、三十五人以下を原則とする。」とされているところでございます。  一方、幼稚園の職員配置につきましては、子ども・子育て支援制度の公定価格において配置基準を超えた充実が図られているところでありますが、幼稚園設置基準の改正については、幼稚園教諭の人材確保の観点なども踏まえながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。  また、私立の諸学校の経常的経費に対する補助でございますが、経常的経費に対する補助は現在行っているところでございますし、令和三年度の予算案においては、児童生徒等一人当たりの単価の増額により私学助成の充実を図ることとしております。  以上です。
  150. 畑野君枝

    ○畑野委員 これもしっかりと検討していただきたいと思います。  次に、特別支援学校、特別支援学級についてです。  特別支援学校の小学部、中学部について一学級六人を五人に、高等部八人を七人に、幼稚部はありませんので三人にという要望が、設置基準の策定とともに寄せられております。さらに、特別支援学級も、八人を六人にという要望もございます。  これらも検討すべきではありませんか。
  151. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  特別支援学校学級編制標準引下げについては、また、小中学校の特別支援学級の御要望も含めて、現場からの要望として受け止めつつ、引き続き必要な教職員定数の確保に努めるとともに、障害の特性等に応じた、よりきめ細やかな支援が実施されるように、文部科学省としては取り組んでまいりたいと思います。  以上です。
  152. 畑野君枝

    ○畑野委員 設置基準を策定されるということですが、併せてこういう教員配置についてもしっかりと検討していただきたいということを強く申し上げておきます。  いろいろな検討課題があるということが明らかになってまいりました。  更に伺います。加配教員についてです。  昨日の参考人質疑の中で、清水秀行参考人は、各学校で必要な学年、必要なクラス、必要な子供に加配対応をするというのが一般的、非常に幅広く各学校活用することができる、引き続き置いてほしいと述べられました。  三十五人学級のための基礎定数化と、一方で、指導方法工夫改善加配など加配定数の維持拡充の両方が必要と考えますが、いかがですか。
  153. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えします。  今回、小学校について、学級編制標準を五年間かけて三十五人に引き下げ、必要となる教職員定数計画的な改善を図ることに応じて、現在自治体独自の少人数学級を実施するために措置しているものなど、加配定数の一部を含む合理化減等を活用することとしておりまして、少人数学級加配のほか、少子化の影響による児童生徒数の減少に伴いこれまでも合理化してきた少人数指導加配についても財源として活用することとしております。  いずれにしましても、学校現場で必要な加配教員学校現場に支障が生じないよう、個々の教育課題に応じた加配定数を含めまして、必要な教職員定数については引き続き確保してまいります。  以上です。
  154. 畑野君枝

    ○畑野委員 大臣、確認です。必要な教職員定数加配も含めて確保していく、大臣にも重ねて確認をしたいと思います。
  155. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 午前中の質疑でもお話ししましたけれども、ここで定数をきちんと見直すということがありましたので、加配の運用の仕方については、襟を正すところは正していこう、しかし、必要な人員配置はしっかりやっていく、これを基本姿勢にしたいと思います。
  156. 畑野君枝

    ○畑野委員 続いて、附則第三条、外部人材、これは具体的には何を指すのか、伺います。
  157. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  附則第三条の外部人材、これは教員以外の教育活動支援する人材ということでございますが、複雑化、多様化する学校現場におきます課題への対応、あるいは、教員の働き方改革の推進のためには、教師が教師でなければできないことに注力できるような環境を整備していくことが重要であると考えておりまして、そのためには、この教員以外の教育活動支援する人材の配置が必要不可欠と考えております。  具体的には、これまで、教師の業務負担軽減のための学習指導員やスクールサポートスタッフ、さらには部活動指導員の配置、また、様々な課題を抱える児童生徒支援するためのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった方々の配置について支援を行ってきたところであり、附則第三条の外部人材については、こうした方々、こうした人材を指すものでございます。
  158. 畑野君枝

    ○畑野委員 そこで、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーについて、それぞれ常勤、非常勤の割合を簡潔にお答えください。  学校での心理相談業務を行う、あるいは、福祉の専門家として児童生徒が置かれた環境への働きかけや関係機関等とのネットワークの構築、連携、調整などを行う専門職の方々です。  前回の私の質問で、養護教諭の必置、複数配置質問もいたしましたが、そうした学校現場とのよりよいコミュニケーションを取るためにも、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの皆さんを常勤化していくことが必要だと思いますが、文科省としてどのような検討がされていますか。
  159. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  まず、御質問の前段ですが、スクールカウンセラー等の雇用形態としては、令和元年度の実績として、スクールカウンセラーの常勤者は全体の一%、非常勤が九九%でございます。また、もう一方のスクールソーシャルワーカーについては、常勤が四%、非常勤が九六%となっております。  こうした方々の常勤化に向けては、スクールカウンセラー等が正規の職員として採用された場合を想定し、その効果や職務内容等について検証するための調査研究を実施をしてきているところでございまして、これまでの調査研究検証の中で、常勤配置は生徒指導上の諸課題の未然防止活動や組織的な対応が行いやすくなることなどが分かっております。  令和三年度の予算案におきましても、常勤の職として求められる職責や担うべき職務の在り方等の検討に関する調査研究を三年度の予算案に盛り込んでいるところでございまして、文部科学省としては、まずは、実態として日常的に相談できる体制整備に向けて、引き続き、スクールカウンセラー等の配置時間の充実や教職員と連携した組織的な対応の推進を図るとともに、将来的な常勤職としての確立に向け、検討をしてまいりたいと考えております。  以上です。
  160. 畑野君枝

    ○畑野委員 常勤化の検討是非早く進めてください。  教員免許更新制について伺います。  二〇二一年二月八日、中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会において、次期教員養成部会への申し送り事項として、教員免許更新制や研修をめぐる包括的な検証についてという資料が提出されました。この中で、免許更新制について厳しい評価がなされたと述べられております。どのようなものかお示しください。
  161. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  これまで中央教育審議会におきましては、免許更新制や研修をめぐります制度について包括的な検証を進めてきたところでございます。前期の中央教育審議会におきまして、教育委員会ですとか校長会、各教育関係団体からのヒアリングをさせていただきまして、その中で、いろんな形で課題指摘されたところでございます。  例えば、この更新制の趣旨としましては、最新の知識、技能の修得ということについて一定程度効果がある一方、費やした時間や労力に比べて効率的に成果の得られる制度になっているかという点においては課題がある。さらには、学校内外で研修が実施されていることに鑑みれば、十年に一度の更新講習の効果については限定的であるというふうな御意見があったところでございます。  さらには、ヒアリングの中においては、課題としまして、教師の勤務時間が増加している中において、講習に費やす三十時間の相対的な負担がより高まっている。その上で、時間的、あるいは費用、あるいは手続面において、教師に負担が生じている。さらには、臨時的任用等の確保に影響を与えているということで、退職教員活用懸念があるというふうな御指摘もいただいたところでございます。  中央教育審議会における次期教員養成部会への申し送り事項、これは委員が御指摘のところでございますけれども、これらの意見を踏まえて、教員免許更新制につきましての厳しい評価ということについていただいたことを承知しております。
  162. 畑野君枝

    ○畑野委員 非常に率直な意見だと私も読ませていただきました。加えると、こういう意見もございました。教員免許状の更新手続のミス、いわゆるうっかり失効が、教育職員としての身分に加え、公務員としての身分を喪失するという大変重い結果をもたらすことについては疑問があるなどなど、そういう率直な意見でした。  こうした問題に加えて、先ほどありましたように、育休等の代替教員を見つけようとする際に、免許更新されていない方から断られることが多々あるとか、本当に足かせになっているということを、臨時的任用教員の採用などに当たっても伺っております。昨日の参考人質疑の中でも、免許更新制については廃止、見直しが求められました。  こうした現状から、教員免許更新制は廃止すべきだと思います。抜本的見直しには免許更新制の廃止も含まれておりますか。
  163. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  前期中央教育審議会の議論におきましては、免許更新制について厳しい評価がなされております。その中で、教師の資質、能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことが両立できるような抜本的な検討が必要であるというふうなところにおいて見解が一致したところでございます。  今月の十二日に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について中央教育審議会に諮問したところでございまして、免許更新制につきましては、必要な教師の確保とその資質、能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論をいただくように求めたところでございます。  この見直し方向性につきましては、中央教育審議会でまさに今後議論を行う予定と承知しておりますけれども、何らの前提を置くことなく、抜本的な検討が求められるものと考えておるところでございます。
  164. 畑野君枝

    ○畑野委員 前提をなしにとおっしゃるんですけれども、多くが廃止というふうに、現場で言っているんです。  萩生田大臣、今後、現場皆さんからアンケートを取ろうというふうにされていると思います。是非、そのアンケートで出された現場教員の声を尊重していただきたいと思いますが、いかがですか。  では、まず局長から。その後、大臣もよろしくお願いします。
  165. 義本博司

    義本政府参考人 失礼いたしました。  これまでの包括的検証の中で教育委員会関係者等からヒアリングで得た事実認識が現場の教師の認識と一致しているかどうか裏づけるために、今後、現場の教師を対象とする一定規模の調査、アンケートを行うこととしております。  免許更新制が、全ての教師が十年に一度定期的に知識、技能を刷新し、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目的としたものである以上、最終的に現場の教師の認識というものを適切に把握することが検証の完了において不可欠だと認識しているところでございます。  この調査の結果をしっかり踏まえながら、できる限り早急に検証を終了し、中央教育審議会の審議を踏まえて、制度見直しに関する具体的な検討に着手してまいりたいと考えております。
  166. 畑野君枝

    ○畑野委員 大臣がこの問題に取り組んでいらっしゃるので、廃止も含めて、否定しない、廃止も含めることも含めて、現場の声を尊重していただきたいと思うんですが、どうですか。
  167. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 コロナ禍でこの一年、教育現場先生方、本当に大変な思いをさせています。しかし、歯を食いしばって子供たちの学びを守っていただいたこと、本当に感謝を申し上げたいと思います。  その中で、少しでも先生方負担軽減ということで、先ほどお話があった学習支援員ですとかスクールサポーターというものを募集しまして、全国から、もう本当に二万人を超える多くの皆さんが応募してくれました。その中の圧倒的多くがOBの皆さんでありました。  問合せは、免許更新が切れているんだけれども、手伝いに行っていいかと言われたんです。誤解を恐れず申し上げますけれども、免許を持っている一年目の先生と、免許の切れた四十年経験を積んだ先生だったら、それは後者の方が現場は本当に助かるというぐらい、やはり実績に裏打ちされた経験をお持ちでございます。  私は、この更新制度、やはりいろいろ課題があると思います。もう既に中教審にお願いをしていますので、私の方であらかじめ結論を導くような発言は控えたいと思うんですけれども、少なくとも、文科省でやる、さっきちょっともめていたのは何でかというと、中教審の方もちゃんと現場の声を聞くことになっていて、文科省も別のアンケートをやるということになって、その必要があるのかなと、済みません、そこで、今気づいたのでそんなことを言っていたんですけれども、やる以上は、その声をしっかり聞いて、中教審の先生方と合致できるような結果を導いていきたいなと思っております。
  168. 畑野君枝

    ○畑野委員 最後に、学校統廃合について一言だけ伺います。  附則第二条では、例外的に四十人学級を認める特別の事情として教室不足を想定しているということです。統廃合の見直しが必要だと考えますが、いかがですか。使われなくなった校舎の再活用なども検討すべきでありませんか。
  169. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  学校の統廃合については、文部科学省から地域に求めているものではなく、各地域の学校在り方については、地域の実情に応じて設置者である各自治体において主体的に判断されるべきものではございます。  なお、この少人数学級を進めていく上で、公立学校施設については、全体としては、少子化の進行に伴い教室数には余裕が出てきているわけですが、一部地域で様々な事情を抱えているところもございますので、既存施設の有効活用の観点から、余裕教室の転用等のほかに、現在の学校からの距離を含め、教育環境として適切な場合には、統廃合等により生じた廃校施設を利用することも考えられると思っております。  以上です。
  170. 畑野君枝

    ○畑野委員 私も、二十二年前の国会議員としての初質問は三十人学級でした。世界の流れは、三十人学級、そして二十人程度学級ですので、更なる推進を求めて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  171. 左藤章

    左藤委員長 次に、藤田文武君。
  172. 藤田文武

    ○藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。  今日は、少人数学級について法案質疑をさせていただきたいと思います。今日も最後になりましたので、皆様おつき合いいただけたらと思います。  ちょっと、今日、最初から最後まで、他委員会もありまして、ずっと議論を聞いていなかったので重なっているところもあるかと思うんですが。  議論のスタートとして、三十五人にした理由と背景をまず確認した上でスタートしたいんですが、三十五人学級にした背景と理由に加えて、今後、教育的な成果、インパクトみたいなものを評価していくということが必要かと思います。これがいいか悪いかということですね。でも、昨日、参考人の先生のお話を聞いていると、これは定量的に何か指標をピンポイントで挙げて結論づけるのは非常に難しいよということもございました。  だから、この評価について、具体的なイメージ、手順等が想定されていたら、併せて御紹介いただきたいと思います。
  173. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  今回、三十五人学級とした経緯や理由についての御質問からお答えさせていただきます。  ソサエティー五・〇時代の到来や、子供たちの多様化の一層の進展、今般の新型コロナウイルス感染症の発生等も踏まえまして、ICT等を活用した個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、今後どのような状況においても子供たちの学びを保障することが不可欠と考えております。  こうした中で、地方団体を始め、学校現場における少人数学級効果必要性の声は極めて大きく、そうした高いニーズも踏まえ、関係者間で様々な検討、調整等々を丁寧に行った結果として、小学校におきます三十五人学級計画的な整備について実現するための法案を現在お願いをしているというところでございます。  また、どのように評価していくのか、効果検証についての御質問についてお答え申し上げます。  少人数学級は、特定の教科等の授業といった学習集団のみならず、生活集団も少人数化するものであり、学習面のみならず、生徒指導や保護者対応等においてもきめ細かな対応がしやすくなり、学校教育活動の充実につながるものと考えております。  このため、今回の学級編制標準引下げ教育活動に与える影響については、こうした効果を多面的に検証することができるように実証研究を進めてまいりたいと思います。  具体的には、学習面、生徒指導面、保護者対応、さらには教師の業務負担軽減といったような観点から調査を行い、分析をしていくことが考えられるところでございますが、これらの影響ないしは効果については定量的なデータのみでは捕捉し切れない性質のものもございますので、定性的なものも含めて、幅広く調査分析を行う必要があると考えております。  これらについては、専門家の方々の御知見や、それから、現場を抱える地方自治体等の御意見も丁寧に伺いながら、具体の設計について考えてまいりたいと考えております。
  174. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  実際、事後の評価、検証は大事だと思います。大事だと思うんですが、これで方向性が大きく左右するものではないんじゃないかなというふうにも思っています。  というのも、昨日、与野党が呼ばれた三名の参考人の先生方もおっしゃられていましたが、少人数学級の方がいろんな面でいいよというのは、教育的価値の側面からすると相当なコンセンサスに至っているんじゃないかなというふうに思います。  それで、ハードルがあると。そのハードルは、やはり一番は人のところで、教員の質、量をどう担保していくか。これは、あした、あさってにできるものじゃありませんから。  そういう意味で、先ほど大臣からも、三十五人で満足しているわけじゃないよ、更に次を目指したいというような趣旨の御答弁を、今日のみならず、ずっといただいておりますけれども、やはり、三十人や二十人という、諸外国の事例なども見据えて、学級編制というのを目指すべきかどうかというのをお答えいただきたいのと、私が思うのは、やはり目指すのであれば早めに指し示すべきだと思うんです。それは、先ほど申し上げた、教員の質や量というのは、来年から一気に増やして担保できるものではありません。ですから、これは時間がかかります。  あと、後で箱の問題、施設の問題もありますけれども、施設はすごく、誤解を恐れず言うならば、お金をかけたらできる問題です。でも、人はそんなにお金をかけてもいきなりは育ちませんから、やはりこれは時間がかかる。だから、結局、六年生までいくのに五年かかる、そこから中学校、恐らくやるんでしょう、そこから三年かかるというふうな形になると、これは十年、二十年、三十年後の話になってしまう。だから、早めにこれを指し示して、スケジュールのイメージを戦略的に指し示すべきじゃないかなという思いがございます。  ですから、二十人、三十人、更なる踏み込んだ少人数学級を目指すのかどうか、そして、そういう中長期的な目標設定をすべきじゃないかということに対するお答えをいただきたいと思います。
  175. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答えを申し上げます。  委員からも御指摘ございましたが、昨日の参考人質疑では、少人数学級について、それぞれの参考人、専門家の方々からの多様な意見があったと思っております。  理想的にはという限定をつければ、皆さん、二十人という数字もおっしゃられてはいたと思いますけれども、例えば清水委員の場合では、小学校の一年生から四年生については、それと、それ以上についてはまた別の数字をお答えでございましたし、末冨先生の場合は、分散登校の経験を踏まえるとということで、ある一定の条件の下でのお考えをお述べになられておりました。また、本田先生におかれては、二十人が理想だけれども、せめて三十人というようなこともおっしゃられておりました。  こうした事柄について、委員指摘のように、中長期的なターゲットとして設けてはということではございますけれども、私どもとしては、今お願いをしている小学校の三十五人学級化の法案について御理解をお願いしつつ、法案が成立した後には、あくまでも今回の学級編制標準引下げ、すなわち、小学校の三十五人学級化を計画的に一年一年進めていく中で、その中での学力育成その他の教育活動に与える影響等々についてしっかりと丁寧に検証を行った上で、その結果も踏まえて、学校の望ましい指導体制在り方については検討を進めていくべきものと思っております。  以上です。
  176. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  今おっしゃっていただいたような考え方は一つあると思うんですね。それは一定正しいと思うんですが、仕込みに時間がかかる問題を抱えている、ハードルを抱えているということについては、やはり中長期の目標、ターゲットを示すべきじゃないかなと思うんです。  二〇五〇年カーボンニュートラルの話、これはかなり先の話ですが、ちょうどこの裏で、僕は農水も担当していましてやっていたんですけれども、相当先にまでかかる仕込みが必要だから、それだけ先の目標を立てているわけですから、これはそういう目線で、この法案が成立した後に是非向き合っていただきたいなというように思います。  もう一つ、人の問題と、もう一つは箱の問題、施設や設備。これは事前にちょっとレクで意見交換させていただいたら、三十五人学級だったら、ごく少数を除いて、箱の問題はほとんど発生しないだろうということはお聞きはいたしました。  これは、各自治体状況を把握しておられるかどうか、確認したいと思います。
  177. 山崎雅男

    山崎政府参考人 お答え申し上げます。  先生、昨日、いろいろレクの際に御説明申し上げたと思いますが、基本的には学校施設は生徒急増期に建設されたものが多いので、少子化の進行に伴って教室数には余裕が出ているというのが基本ではございます。  その中で、自治体に確認したのかという話ですけれども、本年二月に、三十五人学級の実施に伴う教室の状況について各学校設置者に確認しましたところ、令和三年度については、以前から計画されていた新増築や余裕教室の転用等により、ほとんどの学校対応することができるというふうに聞いています。  また、令和四年度以降に向けた対応としては、校舎を増築しなければいけませんので聞いているんですけれども、児童数の増加等への対応も併せて増築等の整備が必要になる学校もありました。具体的には、都市部やその近郊で人口が増加している地方公共団体において、そのような対応が必要になるものというふうに思っております。  文科省としましては、各学校設置者が計画的に施設の確保を行うことができるよう促していく必要があるというふうに考えておりまして、このため、各学校設置者における教室の充足状況などを継続的に把握するとともに、教室不足が発生する場合にはその不足を解消するための施設整備に対する国庫補助を行うなど、学校設置者と連携して、三十五人学級を円滑に実施できるよう、しっかりと支援してまいりたいと考えております。
  178. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  三十五人学級のシミュレーションはある程度できているというのがお答えだと思うんです。  私、これはさっきの話に通ずるんですけれども、大臣が、三十人を目指したいとかという御発言も当初ありましたけれども、じゃ、三十人学級だったら箱の問題はどれほど大きい問題かというのはシミュレーションされているんでしょうかというのが問いで、なぜならば、これもやはり乗り越えないといけないハードル一つで、でも、乗り越えればいいだけの話で、それを評価すべきだと思うんですね。  シミュレーションはするのはできると思うので、これをやっているかどうか、全国でどの程度不足や問題が発生するおそれがあるかということをお聞かせいただけたらと思います。
  179. 山崎雅男

    山崎政府参考人 お答え申し上げます。  現時点では、小学校において段階的に学級編制標準を三十五人に引き下げていくということを前提に、先ほど申し上げた学校設置者には確認しております。  この調査は継続的に実施していく予定でございますけれども、先生指摘の三十人とした場合のシミュレーションについては行っておりませんが、今後、少人数学級の実施に係る必要な情報については、適時適切に把握するように努めてまいりたいというふうに思っております。
  180. 藤田文武

    ○藤田委員 この法案成立後に是非やっていただきたいし、中長期的な教育在り方も含めて、ハードルはいろいろあると思うんです、そのハードルが乗り越えられるものか、そうでないものかということを検証していくことが階段を一つ一つ上がる第一歩だと思いますので、よろしくお願いをいたします。  では次に、教員の数や質の話に行きたいと思います。  近年、教員採用試験の倍率が低下しているわけでありますけれども、特に小学校においては顕著で、倍率二倍を下回る自治体もかなりあります。この倍率の低下の原因というのを何であるかというふうに分析、認識されておられますでしょうか。
  181. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、近年、公立小学校教員採用試験の採用倍率の低下傾向が続いておりまして、特に一部の教育委員会では二倍を下回るというふうなところがあるなど、著しく低くなっているところもございますので、文科省としては危機感を持って受け止めているところでございます。  採用倍率の低下の傾向の主な原因としては、採用数の増加によるというのが大きいところでございます。例えば、具体的には、小学校の倍率が過去最高の十二・五倍であった平成十二年においては三千六百八十三人であった採用数が、令和二年度においては一万六千六百九十三人と五倍近く増加したというふうな結果がございまして、採用倍率が二・七倍まで低下しているということがございます。  一方、直近で比較しますと、近年の大量採用によりまして既卒の受験者が少なくなったということがございまして、受験者数自身が減少したという要因もあると思っております。  それから、更に考えれば、午前中の菊田委員からも御質問がありましたように、民間と競合するということがありまして、教育実習の実施時期が採用活動と重なるとか、あるいは、教員採用の内定自身が数か月遅れるというふうなことも原因として考えられるんじゃないかなと思っているところでございます。  文科省としましては、従前から、各教育委員会に対しまして中長期的な視野を持って計画的に採用を行うように促したところでございます。また、各教育委員会におきましても、例えば、受験年齢の制限の緩和をする、年齢の制限はないというふうなところが四十一県市で見られるところでございますし、また、教職経験者に対して特別選考を行うというふうなことを行うことによって、いろんな工夫をしているということを承知しているところでございます。
  182. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。幾つか取組の例を挙げていただきました。  私、一つ提案というか、あれなんですけれども、奨学金の返済免除が昔ありました。これを調べてみると、昭和二十八年に創設された、社会的要請の強い教職とか研究職に従事した場合に返還の一部又は全部を免除するという制度があって、平成十年に大学、十六年に大学院は廃止されたわけでありますけれども、教員の数や質を上げていくという意味で、ここにやはり資源を投下していかないといけないよねというのが、今、これは教育の一番の根幹の問題なんじゃないかなというふうに思うわけです。  さっきの話の続き、つながりになりますけれども、人の問題は一朝一夕に解決されない。だから、より多くの人に目指してもらうことで、選別もできるし、質を上げていくということも一つの選択肢じゃないかなと思うわけです。  なので、インセンティブ設計として奨学金の免除制度、実は、今調べてみると、奨学金をもらいながら大学に進学している生徒というのは三分の一を超えています。だから、かなり多数の方に対してインセンティブ設計ができるんじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、お考え、いかがでしょうか。
  183. 伯井美徳

    伯井政府参考人 お答えいたします。  御紹介いただきましたように、旧日本育英会におきましては、昭和二十八年度から、教職や研究職に一定期間以上従事した場合に、奨学金の返還を全額又は一部免除する教育研究職免除制度というのを実施しておりました。  これは、特定の職種に対してのみ優遇することへの不公平感等の観点から、学部等については平成十年度、大学院については平成十六年度に廃止し、新たに、大学院進学のインセンティブ付与の観点から、優れた業績を上げた大学院生を対象とした返還免除制度を導入したというのが経緯でございます。  御指摘にありましたように、教職志望者を増やすためにインセンティブを付与するということは重要だというふうに考えておりますが、免除制度をそのままもう一度整備することについては、これまでの経緯も踏まえながら考える必要があるというので、何ができるのか、様々な角度から慎重に、しかしながらしっかりと検討する必要があるというふうに考えております。
  184. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  教職だけ優遇するのかという話、確かにあると思うんです、それは取り下げるときの理由としては。ただ、それを言い出すと、例えば租税特別措置とか全てそうじゃないですか。だから、決めの問題で、どこが大事かということを国家の方針として決め、そこに資源を投下していくということが多分政治家の仕事だと思うので、是非大臣にもお聞きおきいただけたらと思います。  それから、教育現場のマネジメントの話、これは管理職は結構大変になってきます。特に、GIGAもそうですけれども、変化が速い時代、そして、いろんな多様なニーズ、多様な御家庭の事情を抱えていらっしゃる生徒さんを、例えば、今日、外部人材の話もありましたけれども、いろんな多様な人材をマネジメントしながら質の高い教育を提供していく、そういうマネジメントサイドの能力は非常に重要だと思います。  この管理職の養成システムというのは、そもそも教員の、私も昔、教員を一年間やっていたので何となく雰囲気は分かるんですけれども、教員の世界でマネジメント能力を上げていくというのは余り強化されてこなかったと思うんですよね、雰囲気的にも。だから、私はこれは、今後は非常に重要だと思うし、民間企業でいうと、そういうノウハウというのは日進月歩で進んでいます。  ですから、そういうものを、管理職の養成システムというのを現状どう評価しているかということと、それから、民間のノウハウというのを積極導入していくべきじゃないかというふうに思いますが、お考えをいただけますでしょうか。
  185. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  校長を始めとする学校の管理職には、社会の急激な変化の中で組織的、機動的な学校運営等を行うことができるよう、リーダーシップやマネジメント力を発揮することが求められております。  このため、そうした管理職の養成は重要であると考えておりまして、独立行政法人教職員支援機構におきまして、人材育成等を専門にする大学教授等の外部講師を招き、校長等の管理職に対して、スタッフマネジメントや学校組織マネジメント等に関する研修を行っております。  また、管理職の養成については、各教育委員会においても適切に実施されるものでございますけれども、例えば、民間企業等における人材育成手法について校長の知識、理解を深める研修や、教頭等が学校と異なる組織、例えば民間企業でございますが、に派遣をされて、そこでの実務体験を通して、企業等における組織運営や人材の育成管理、活用方法を学ぶ、いわゆる民間派遣研修といった取組が実施されていると承知をしております。  文部科学省としては、学校における管理職の役割やその養成は極めて重要な課題考えておりますので、この教職員支援機構や、あるいは各教育委員会におきますこうした取組のより一層の充実を促してまいりたいと考えております。
  186. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  これは自治体の裁量にも任されていると思うので、自治体にも、私も個別、いろいろ提案していきたいなというふうに思いますが、前向きな御答弁をいただきましてありがとうございます。  次に、教員免許の更新制度。  もう大臣からすると、いろんな先生が聞いてはるから、しつこいわと思われるかもしれませんが、私も、この委員会でもそうだし、去年も予算委員会の分科会でもお聞きしたような気もしていて、教員免許更新制度については廃止した方がいいという意見です。  先ほど共産党の畑野先生も同じような主張をされていて、かなり強く思っていらっしゃるんだなと思いながら、維新の会と共産党はほとんどの政策で合致しないので、合致するということは、やはり廃止した方がいいんじゃないかなと改めて思いました。まあ、冗談ですけれども。済みません、本気でそう思います。済みません、共産党さんをネタにするつもりはありませんので、尊敬の念を持って今言わせていただいています。  いろいろデメリットを語られてまいりましたが、特に私は、今後、人をやはり確保していかないとという時代の中で、教員の世界というのが閉鎖的でなく開かれた世界になっていくように、一つの手法として、いろんな人材が教壇に立ってもらって教育現場に関わってもらうということは今後とても必要なことだと思っています。  その大きなハードルになっているこの教員免許更新制度というのは、この視点からもやはり廃止した方がいいんじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、もう先ほども答弁いただきましたが、一言大臣にお言葉をいただきたいと思います。
  187. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 教員免許更新制については、教師が、クラスを担任するなど、多忙な中で限られた時間を使って更新講習を受講しなければならず、個々のニーズに合った講習ではなく、スケジュール的に受けられる講習を受けているなど、負担が生じているとの声を多く聞いております。また、退職教師の活用が困難になりかねないという声もあると思っております。  既に中教審に免許制度をめぐる包括的な検証を進めていただいており、これまでの議論の中で、教員免許更新制について厳しい評価がなされております。教師の資質、能力の確保、教師や管理職等の負担の軽減、教師の確保を妨げないことが並立できるよう抜本的な検討が必要であることについての見解の一致があったところです。  今月十二日に、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、中教審に諮問を行いました。  諮問の中では、教員免許更新制について、現場の教師の意見などを把握しつつ、できるだけ早急に検証を完了して、必要な教師数の確保とその資質、能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について先行して結論を得ていただくことを求めているところでございます。  既に中教審に諮問させていただいておりますので、私が結論を導くような答弁は控えたいと思いますけれども、先ほど多くの皆さんから聞かれているとおりでありまして、いろいろ課題があることはもう否めないと思います。  それから、先生が今申し上げたように、外部から教員を採用したくても、この更新制が弊害になっているんじゃないかというのもそのとおりだと思います。  例えば、せっかく教職課程を学んで、社会に出て、その分野で一度は働いたんだけれども、やはり教員に戻ってみようと思ったときに、更新していないとこれは全然役に立たないということもあります。少なくとも学校を出たときには一度免許を取得しているわけですから、そういうことも考えると、これから多様な人材に教育現場に入っていただくためにも、いろいろ課題はあるんだろうと思っているところでございます。
  188. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  教職課程を経て免許を取り、教員現場でも働いて、今、社会で違う仕事をしている、まさに僕なんですけれども、僕も一年間だけ教員現場におりまして、私も、昨日も言ったんですけれども、やはりこのハードル、何か面倒くさいなとか、心理的なちょっとしたブロックにもなるし、実際、実務的にも面倒であるというのはもったいないなと思いますので、中教審にまずは行っていますから、それを踏まえて是非御決断いただけたらと思います。  それから、人材の流動性の話、民間企業とかほかの職種の方が教壇に立ちやすい制度への転換を進めるべきである、これも中教審に諮問されている内容かと思いますが、これは、具体的にはどのような方法を想定してこれをおっしゃられて、どのような形態を想定して是非を問われているのか、想定があればお答えいただけたらと思います。
  189. 義本博司

    義本政府参考人 お答えいたします。  中教審の「令和の日本型学校教育」の答申の中で、個別最適な学びと協働的な学びを実現していく教員というふうなことの話が出ておりましたけれども、絶えず変化していく学校や社会のニーズに柔軟に対応し、学校現場が多様な専門性を背景に持つ人材を取り入れること自身が、議員御指摘のとおり極めて重要なところでございます。  現状におきましては、企業等あるいはほかの職種で勤務経験を持って教員になっておられる方自身の数としては、小学校で二・八%、中学校で三・七%ということで極めて限定的でございますので、これを多様な専門性を有する経験を持った方々自身へ広げていくような議論を中教審でもしていただいているところでございます。  当面においては、小学校教員の免許が取りやすくなるような資格認定試験の見直しですとか、あるいは、民間の企業等での多様な経歴を評価できるような特別免許制度の授与方針を改定して、取りやすくしていくということを当面のものとして取り組んでいきたいと思います。  さらには、三月十二日に諮問させていただきましたけれども、その中で、委員指摘のとおり、民間の企業勤務経験等の多様な知識経験を有する人材を活用し、質の高い教師集団を構築するための具体的な方策ということでございますので、採用、養成、この中には免許もございますが、在り方について、既存の在り方にとらわれることなく、抜本的なところから遡って検討を行い、成案を得るものから順次取り組んでいきたいと思っているところでございます。
  190. 藤田文武

    ○藤田委員 ありがとうございます。  これは、民間で働いた方が転職して教職に就くとか教育現場で働く、そういう場合ももちろん想定のうちだと思うんですけれども、私は、一歩進んで、民間で今、いわゆるダブルワークとかパラレルワークとか、兼業、副業ですね、そういったものが推進されている中で、例えば、自分の時間の五〇%を民間で働きながら、五〇%教育現場教職員として働くということも、これは今後は結構スタンダードになっていってもいいんじゃないかなというふうに思うわけです。それが全部になる必要もないし、大多数になる必要もないと思うんですが、そういうパラレルワークというのが認められていくような現場がいいなというふうに私は思います。  これは教員の兼業、副業規定というものにも関わってくると思うんですね。非常勤だったら、ほかの職業をやっていて稼ぎもありますから別に構わないんですけれども、例えば正教員とか常勤講師とかというふうになると、これは兼業、副業は基本的にはできず、例外的に認められたらできるというような、こういう形式になっているわけです。  僕は、原則、例外を逆転させて、そういうパラレルワークみたいなものを認められるような枠組みというのがあってしかるべきじゃないかなというふうに思います。それが、民間から教職のパターン、それから、教員の方もやはり外の世界でいろいろ経済活動をしたり。  あと、私、今日は取り上げませんが、部活動の話、これは昨日の参考人の方もありましたが、部活動は教員の仕事から切り離して別でやっていくという方が望ましいだろうという昨日の先生の御指摘もありました。私もそう思います。そこは、やりたい方は兼業としてフィーを出してあげたらいいと思うんですね。納得感もあるし、責任を持ってやっていただける。  そういうような、今の教職員の方の兼業、副業の在り方、それから、今後、パラレルワークとかも含めた民間の方の兼業、副業の在り方、こういう緩和というものを考えていけないかなというふうに思うわけでありますけれども、大臣の御所見をいただけたらと思います。
  191. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 教員学校以外の企業等において様々な経験をすることは、その知見を学校に還元することにもつながり、学校教育を活性化していく上で有効であると考えています。  公立学校教員がその本務以外の事業や事務に従事することについては、現行制度においても、関係法令に基づき、教育委員会が認める場合に兼職、兼業を行うことが考えられます。しかしながら、兼職、兼業を行うに当たっては、その教員の本務に支障がないことなどが求められると考えており、その教員に与えられた校務や学校状況児童生徒や他の教員への影響に加え、当該兼職、兼業が職務の信頼性や公正性を損なわないようにすることも考慮される必要があると思います。  いずれにしましても、多様な専門性や背景を有する質の高い教職員集団の確保のための効果的な仕組みづくりは必要だと考えておりまして、学校における働き方改革の観点も踏まえつつ、御指摘の兼職、兼業の活用を含め、今後検討していきたいと考えています。  御指摘のありました例えばクラブ活動の指導は、今後、一回勤務を終えて、そして地域の一員として、兼業という形でフィーを払うということも想定をして今いろいろ検討を加えていますし、それから、例えば、小学校中学校じゃないんですけれども、高専学校などでは、物づくりの上で地元の企業の経営者の皆さんに直接現場に入っていただいて、ちゃんと授業として技術を指導していただいております。じゃ、その人が教員資格を持っているかといったら、持っていません。持っていませんけれども、特別免許で、実際にきちんとカリキュラムを組んで教えていただいておりまして、その方が多分、現場を知る上では子供たちのためになるんだと思うので、今までの概念にとらわれずに、是非、多様な人材を学校現場にも入っていただく、そういった試みをしてまいりたいと思います。
  192. 藤田文武

    ○藤田委員 時間なので終わります。ありがとうございました。
  193. 左藤章

    左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  194. 左藤章

    左藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  195. 左藤章

    左藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     ―――――――――――――
  196. 左藤章

    左藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、青山周平君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党及び日本維新の会・無所属の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。谷田川元君。
  197. 谷田川元

    ○谷田川委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明に代えさせていただきます。     公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 全ての子供たち可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びを実現するとともに、全ての子供たち教育ニーズに応じたきめ細かな指導体制と安全・安心な教育環境整備するため、政府は、少人数学級効果検証結果等を踏まえ、中学校三十五人学級検討を含め学校の望ましい指導体制の構築に努めること。また、高等学校学級編制標準在り方についても検討すること。  二 小学校六年生までの段階的な三十五人学級編制は、必要な加配定数を削減することなく、安定的な財源によって措置すること。特に、地方公共団体がそれぞれ行っている三十五人を下回る少人数学級やチーム・ティーチング等の少人数指導、いじめ・不登校等に係る指導、専科配置などの加配定数は、教育環境改善に必要不可欠なものであることを踏まえ、必要な教職員定数を引き続き確保すること。  三 三十五人学級を担う教員の人材確保のため、文部科学省が進める教員免許更新制や研修の包括的な検証において、教員免許更新制の大幅な縮小や廃止を含め、教員の資質能力の確保、負担の軽減、必要な教員の確保の観点から検証検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。  四 意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教員を確保するため、学校教育の水準の維持向上のための義務教育学校教育職員の人材確保に関する特別措置法の趣旨を踏まえた処遇の充実を図るとともに、義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を確実に行うこと。また、学校における働き方改革を推進するとともに、教育職員の勤務実態調査を行い、これを踏まえ、公立義務教育学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法その他の関係法令の規定について抜本的な見直しに向けた検討を加え、その結果に基づき所要の措置を講ずること。  五 学級編制標準引下げ教育活動に与える影響に関する実証的な研究については、学力育成のみならず、指導方法・学習環境の改善や不登校児童生徒、発達障害児童生徒など特別なニーズを持つ子供への対応などを含め総合的に行うこと。  六 学校における働き方改革に資するため、小学校学年の教科担任制は、教員定数増を含め検討し、小学校教員の持ち授業時数の軽減を図ること。また、中学校教員小学校指導する場合には、十分な負担軽減策を講ずること。  七 質の高い教員の確保に向けて幅広く人材を活用するために、多様な知識又は経験を有する社会人が働きながら教員免許状を取得することや教員免許状保有者が学び直しを経て学校現場で働くこと等を支援するなど、教育職員免許法の抜本的な見直しを含む検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。  八 本法により計画的な教員定数改善が図られることによって、地方公共団体においては必要な教員を採用・配置しやすくなる。国は、非正規教員が増加することのないよう、地方公共団体に対し、正規教員計画的・安定的に採用・配置するよう促すこと。 以上であります。  何とぞ御賛同くださるようお願いいたします。
  198. 左藤章

    左藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  199. 左藤章

    左藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣
  200. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  201. 左藤章

    左藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  203. 左藤章

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十九分散会