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2021-01-26 第204回国会 衆議院 文部科学委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日令和三年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 白須賀貴樹君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    尾身 朝子君       大串 正樹君    神山 佐市君       櫻田 義孝君    繁本  護君       柴山 昌彦君    谷川 弥一君       中村 裕之君    丹羽 秀樹君       根本 幸典君    馳   浩君       福井  照君    船田  元君       古田 圭一君    三谷 英弘君       山本ともひろ君    吉良 州司君       下条 みつ君    寺田  学君       中川 正春君    谷田川 元君       山内 康一君    吉川  元君       笠  浩史君    古屋 範子君       鰐淵 洋子君    畑野 君枝君       藤田 文武令和三年一月二十六日(火曜日)     午後四時四十五分開議  出席委員    委員長 左藤  章君    理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君    理事 小渕 優子君 理事 白須賀貴樹君    理事 原田 憲治君 理事 菊田真紀子君    理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君       安藤  裕君    石川 昭政君       上杉謙太郎君    上野 宏史君       尾身 朝子君    大串 正樹君       神山 佐市君    小寺 裕雄君       櫻田 義孝君    繁本  護君       柴山 昌彦君    谷川 弥一君       中村 裕之君    丹羽 秀樹君       根本 幸典君    馳   浩君       船田  元君    古田 圭一君       三谷 英弘君   山本ともひろ君       吉良 州司君    下条 みつ君       寺田  学君    中川 正春君       谷田川 元君    山内 康一君       吉川  元君    笠  浩史君       古屋 範子君    鰐淵 洋子君       畑野 君枝君    藤田 文武君     …………………………………    文部科学大臣       萩生田光一君    国務大臣    (東京オリンピック競技大会東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君    内閣大臣政務官     吉川  赳君    文部科学大臣政務官    鰐淵 洋子君    文部科学大臣政務官    兼内閣大臣政務官    三谷 英弘君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君    政府参考人    (財務省大臣官房審議官) 諏訪園健司君    政府参考人    (財務省主計局次長)   青木 孝徳君    政府参考人    (財務省理財局次長)   窪田  修君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君    政府参考人    (文部科学省科学技術学術政策局長)       板倉 康洋君    政府参考人    (文部科学省研究振興局長)            杉野  剛君    政府参考人    (文化庁次長)      矢野 和彦君    文部科学委員会専門員   但野  智君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十二日  辞任         補欠選任   藤田 文武君     美延 映夫君 同日  辞任         補欠選任   美延 映夫君     藤田 文武君 同月二十六日  辞任         補欠選任   丹羽 秀樹君     上野 宏史君   福井  照君     小寺 裕雄君 同日  辞任         補欠選任   上野 宏史君     丹羽 秀樹君   小寺 裕雄君     福井  照君     ――――――――――――― 一月十八日  青少年自然体験活動等推進に関する法律案遠藤利明君外八名提出、第百九十八回国会衆法第二〇号)  大学等における修学の支援に関する法律の一部を改正する法律案城井崇君外五名提出、第二百回国会衆法第一〇号)  独立行政法人大学入試センター法の一部を改正する法律案川内博史君外五名提出、第二百一回国会衆法第四号)  新型コロナウイルス感染症等影響に対応するための学生等支援等に関する特別措置法案川内博史君外五名提出、第二百一回国会衆法第一四号) 同月二十五日  国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案内閣提出第五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)      ――――◇―――――
  2. 左藤章

    左藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。萩生田文部科学大臣。     ―――――――――――――  国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  3. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 この度、政府から提出いたしました国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  新型コロナウイルス感染症影響により経済が低迷する中にあっても、世界各国科学技術イノベーションへの投資強化を計画しております。我が国としても、公的投資による科学技術イノベーション活動への力強い下支えを行っていくことが不可欠であり、その活動中核となる大学への支援が重要であります。  この法律案は、このような観点から、我が国大学研究環境整備を進めるため、国立研究開発法人科学技術振興機構において、政府出資長期借入れ等により調達した資金運用するとともに、大学に対し、国際的に卓越した科学技術に関する研究環境整備充実並びに優秀な若年の研究者育成及び活躍の推進に資する活動に関する助成を行う業務等を行うために必要な措置を講ずるものであります。  次に、この法律案内容概要について御説明申し上げます。  第一に、国立研究開発法人科学技術振興機構が、政府出資財政融資資金借入れ債券発行等により資金調達するために必要な措置を講ずることとしております。  第二に、調達した資金運用方法として、金融商品取引業者との投資一任契約を活用した信託等により、安全かつ効率的に行うこととしております。  第三に、国立研究開発法人科学技術振興機構は、大学に対する助成のために資金運用を行うに当たり、文部科学大臣が定めた運用資産構成目標資金調達等に関する基本指針に基づいて、資金運用基本方針を作成し、文部科学大臣許可を受けなければならないこととしております。  第四に、国立研究開発法人科学技術振興機構に、資金運用を担当する理事を置き、金融資産運用等専門家を充てるとともに、金融資産運用等学識経験者実務経験者により構成される運用監視委員会を置くこととしております。  第五に、国立研究開発法人科学技術振興機構業務として、国立大学から寄託された業務上の余裕金運用業務及び大学に対する研究環境整備充実等に関する助成業務を追加することとしております。  このほか、所要の規定整備を行うこととしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決いただきますようによろしくお願いいたします。  失礼しました。二ページの最後の行なんですけれども、文部科学大臣認可許可と読み間違えたということでございますので、訂正させてください。  以上です。
  4. 左藤章

    左藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 左藤章

    左藤委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、財務省大臣官房審議官諏訪園健司君、主計局次長青木孝徳君、理財局次長窪田修君、文部科学省初等中等教育局長瀧本寛君、高等教育局長伯井美徳君、科学技術学術政策局長板倉康洋君、研究振興局長杉野剛君及び文化庁次長矢野和彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  7. 左藤章

    左藤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本幸典君。
  8. 根本幸典

    根本(幸)委員 自民党の根本幸典であります。  今日は、理事委員先生方のお計らいで質問の機会をいただいたことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。  我が党においても、昨年の六月に取りまとめたポストコロナ経済社会に向けた成長戦略において、我が国研究基盤を抜本的に強化するため、世界に見劣りしない規模ファンド創設し、その運用益世界に比肩するレベル研究開発を行う大学等共用施設データ連携基盤整備若手人材育成などに充てるべきである、こういう提言をしたところであります。  政府においても、この提言を踏まえ、速やかに検討を進められ、今国会補正予算関連法案として提出されたことは大いに評価に値するというふうに思います。  そこで、まず、経済財政運営改革基本方針二〇二〇や国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を踏まえ、この度、科学技術振興機構法を改正し、科学技術振興機構大学ファンド創設するための規定整備するということでありますが、この大学ファンド創設趣旨についてお伺いをしたいというふうに思います。
  9. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症影響により経済が低迷する中にあっても、世界各国イノベーションへの投資強化を計画しています。我が国としても、リーマン・ショック後の反省を踏まえつつ、公的投資も含めた科学技術イノベーション活動への力強い下支えを行うことが不可欠と認識しております。  イノベーション中核を担うのは研究大学ですが、我が国大学研究基盤は諸外国トップ大学と比べて大きな格差が生じており、現時点での各大学の独力ではこの格差を速やかに解消することは困難な状況であります。  このため、国の資金を活用しつつ大学ファンド創設し、その運用益を活用することで世界トップレベル研究大学を目指した研究基盤強化を図るものであります。  あわせて、我が国研究大学経営体として自律し世界に伍する大学に成長することで、絶えずイノベーションが創出される仕組みを構築することを狙いとしております。
  10. 根本幸典

    根本(幸)委員 ありがとうございます。  今大臣から御答弁がありましたように、各国と比べると、その基金規模とかが大分見劣り格差があるということでありますので、これをつくることによって、外国大学としっかり競争ができるように進めていただきたいというふうに思っています。  そこで、研究基盤強化に当たっては長期安定的な支援が不可欠だと考えておりますが、しかし、不安定な経済情勢の中で運用益で安定的に研究大学支援するためどのような方針ファンド運用するのか、また、どの程度の収益見通しを持っているのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  11. 杉野剛

    杉野政府参考人 失礼いたします。  大学ファンド運用方針収益見通しについてお尋ねでございました。  まず、大学ファンド運用方針につきましては、改正法案二十八条一項におきまして、長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うということが明らかになっており、これを基本的な考え方としております。  具体的には、マーケットの短期的な動向よりも長期的な観点から、リスクをできるだけ抑えながら確実な収益を目指すこと、また、そのためにも、特定の資産に偏ることなく国内外の様々な種類の資産に分散して投資を行うこと、こういったことを今後文部科学大臣が策定することになります運用基本指針に盛り込むことを想定しております。  また、マーケットの短期的な動向によります一時的な損失の発生に耐え得るよう、運用開始直後から運用益相当割合元本に積み増すなど、リスクバッファーを十分確保することにも留意していく必要があると考えております。  一方、ファンド運用益見通しにつきましては、ファンド立ち上げ時点での国内外投資環境、これを十分考慮した上で、今後慎重に見極める必要があると考えておりまして、現時点で何%と具体的に申し上げることは控えさせていただければと存じますけれども、公的なファンドとして既に運用実績を持っております年金積立金管理運用独立行政法人通称GPIFにおけます過去の運用実績を見ますと、市場運用を開始いたしました平成十三年度以降、過去二十年間で年平均約三%のリターンを上げているということは、今後の検討におきまして一つの参考として考慮していきたいと考えているところでございます。  以上でございます。
  12. 根本幸典

    根本(幸)委員 ありがとうございました。  やはりこのリスクをどういうふうにヘッジしながら、かつ運用益をしっかり上げていくということでありますので、その辺りもこれからしっかりと対応していただければというふうに思います。そしてまた、この運用益を使ってしっかりと、世界に伍する研究環境の創出を目指して、努力をしていただければというふうに思います。  令和二年度の第三次補正予算案及び令和三年度財政融資において、大学ファンド元本として総計四・五兆円が計上されております。総合経済対策においては、十兆円規模大学ファンド創設することとされており、大学に対して将来十分な支援を行うためにも、早期に十兆円を目指すべきであるというふうに考えております。  是非最後になりますが、大臣に、今後の道筋大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
  13. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 博士後期課程進学者の減少や、世界トップ研究大学との資金力の差の拡大、研究論文の質、量双方観点での国際的な地位の低下など、我が国大学の置かれた状況に鑑みれば、大学研究基盤抜本強化は待ったなしの状況にございます。  今後の道筋については、世界に伍する規模大学ファンドとして十分な支援大学に対して行うためにも、大学改革制度設計等を進めながら、十兆円規模ファンド早期実現を目指してまいりたいと思います。
  14. 根本幸典

    根本(幸)委員 大臣から今御決意をいただきました。今回の新型コロナウイルス対策の中で、やはり日本科学技術、これは非常に、研究基盤をしっかりとすることは大事だということはよくよく我々も感じているところでありますし、また、ポストコロナ経済社会に向けて、これからしっかりと大学研究できる体制をつくっていただきたいというふうに思います。  どうか引き続きの御努力をお願い申し上げ、質疑とさせていただきます。ありがとうございました。
  15. 左藤章

    左藤委員長 次に、浮島智子君。
  16. 浮島智子

    浮島委員 公明党浮島智子です。  本日議題となりました内閣提出国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案について、その基本的な趣旨や背景についてお伺いをさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  去る二十日、バイデン氏がアメリカ合衆国の大統領に就任されました。そのバイデン氏は、大統領就任前の十五日、大統領府の科学技術政策局局長に指名されたエリック・ランダー博士に対してレターを送り、今後七十五年間を見据えた五つにわたる諮問をされました。  その中で、バイデン大統領は、アメリカ科学研究技術開発長期的な健全性をいかに担保するか、どのように学術的研究推進し、理数教育を改善すべきか、引き続き世界中の優れた人材が集まるアメリカであるために何が必要かという、切実で真摯な問いランダー局長に投げかけたところでございます。  この問いが端的に表しているように、今、先進国が、生き生きと新しい価値を創出しつつ、公正や個人の尊厳といった、人として生きるに当たって必要な価値が大事にされる社会として発展するに当たり、最も大事な役割を担っているのが、学術研究でありそれを担う大学研究機関であると思います。  アメリカ大学は、毎年どんどん成長しております。例えば、アメリカにおいては比較的新しい大学で、スタンフォード大学も、総合科学技術イノベーション会議上山隆大議員が指摘されているように、一九七〇年代までは大学基金運用に消極的でした。しかし、八〇年代を境に、九〇年代、今世紀に入ってからと、大学基金を効果的に運用するようになって、現在、大学基金総額日本円で三・一兆円であり、その運用益のうち一千五百億円を大学教育研究に投じており、スタンフォード大学の総収入は、その一千五百億円を含め、七千四百億円となっております。  それに対して、日本は、東京大学が法人化した際に、東大財政規模は千七百七十一億でした。二〇一七年度にはそれが二千三百四十七億円と、約六百億円近く増加をしていますし、その間、東大の大変な営業の努力により、百五十億円の東大基金もできているところでございます。  しかし、スタンフォード大学に比べて、東京大学基金は二百分の一、年間の財政規模は三分の一の規模です。国内では圧倒的な存在感を示している東大であっても、海外との比較においてはこの現状でございます。  スタンフォード大学は、東大の三倍の規模資金力を生かして、大学院博士学生若手研究者を集めて切磋琢磨する環境をつくって、そして、稼げない、日の当たらない分野だけれども、大学の公共的な使命から不可欠な分野への支援なども行っているところでございます。  私は、東京大学においては、この条件の中で、個々研究者のベースではむしろ頑張っていると思います。ただ、個人の、個々研究者に過度な頑張りを求めるシステムは長続きはいたしません。現に、修士課程からストレート博士課程に進学するストレートドクターがこの二十年間で半減近く減少しているということは、優秀な若者が我が国大学を見捨てていることの証左にほかならないと思います。  初めに申し上げさせていただいたバイデン大統領問いに重ねて申し上げれば、我が国大学は、引き続き日本国内の優れた人材が集まる日本であるために何が必要かという危機的な状況にあると思います。私ども立法府は、このことを真剣に考えなければならないと思います。  その状況を打開するためには、運営費交付金などの基盤的経費科研費などの競争的資金充実が必要であることはもちろんであり、公明党といたしましても引き続きしっかりと取り組んでまいりますけれども、他方大学の中にも希望も見えてきております。  この状況の中にあって必死に頑張っている研究者研究成果は大きな社会的な価値に結びついており、大学をめぐる新しいお金流れが生まれてきております。  例えば東京大学では、理学部化学科菅裕明教授研究成果を生かした大学発ベンチャー、ペプチドリームというのは、昨年の七月時点で六千億円に近い時価総額となっているなど、大学発ベンチャー時価総額合計は一兆円に達しております。昨年秋には二百億円の東京大学債を発行いたしましたし、ダイキン工業との産学連携は百億円単位の規模で今行われております。  これらの大学をめぐる新しいお金流れが、大学における自由な発想に基づく研究上の挑戦や若手研究者支援に結びつこうとしているところでございます。これらの動きを更に前進させることが今回の十兆円規模大学ファンド創設目的であると私は思っております。  そこで、大臣に、今申し上げたように、今回の大学ファンド趣旨目的についてのお考えと、その実現のための決意をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 今、先生からスタンフォードの例を挙げていただきましたけれども、欧米主要大学は、寄附金などを原資とした数兆円規模大学ファンドを保有し、その運用益人材研究設備投資することで充実した研究基盤を構築しており、このような取組我が国欧米との研究環境の差の一因となっているものと認識しております。  一方で、海外との寄附文化の違いですとか、資産運用管理体制現状を見ますと、我が国研究大学現時点早期独立海外と同様の大規模大学ファンドを造成することは困難であると考えております。  このため、まずは国の資金を活用しつつ大学ファンド創設し、その運用益を活用することで若手人材育成支援研究基盤強化を図り、あわせて、我が国研究大学経営体として自律していくよう促すことにより、我が国研究大学において絶えずイノベーションが創出されるような好循環を構築してまいりたいと思っております。
  18. 浮島智子

    浮島委員 ありがとうございます。是非とも、大臣が先頭に立って、リーダーシップを発揮していただきたいと思います。  今回のこのファンドは、これまでにない画期的なものであるがゆえに、今も申し上げさせていただいたところでもございますけれども、長期で安定、そして確実な運用が求められると思います。元本を毀損しないことと、しっかりと研究大学支援すること、この両立を図ることが重要であると私は思っております。  知恵経験をフル回転しながら長期安定な運用を確実に行うためには、ファンドが置かれているJST体制をしっかりと整えることが極めて重要だと思います。投資金融機関に関する知恵経験はもちろんでございますけれども、他方で、今回のファンド趣旨を深く認識し、その公共的な使命実現に取り組む金融実務経験者理事に据えるとともに、運用監視委員会にも実力と見識のある方をそろえ、万が一、元本を毀損しかねない、リスクが高い投資が行われようとしていた場合に、それを止める力をしっかりと持たなければならないと思います。  そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今回のJST法改正案に盛り込まれた基本方針の策定、資金運用担当理事任命運用監視委員会委員任命など、大臣に与えられた権限を踏まえ、どのように長期安定な運用を確保するための人材を集め、JSTのガバナンスを確立していくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  19. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 御指摘のとおり、資金運用を安全かつ効率的に行うことは極めて重要だと認識しております。  このため、本法案では、文部科学大臣が定める資産運用構成目標資金調達などに関する基本指針に基づいて科学技術振興機構資金運用基本方針を作成し文部科学大臣認可を受けることや、JSTにおいて、文部科学大臣の承認の上で経済金融等専門家運用業務担当理事に充てるとともに、文部科学大臣任命した外部有識者による運用監視委員会を新設することにより必要な管理運用体制整備することとしております。  これらの検討に際しては、文部科学省だけではなく、内閣府を始めとした関係府省と十分連携するとともに、経済金融等専門家の協力も得て、幅広く知見を集めながら対応することとしております。  こうした取組を通じて、JST体制をしっかりと構築し、資金運用が安全かつ効率的に運用していけるよう、国として責任を持って対応してまいりたいと思います。
  20. 浮島智子

    浮島委員 今大臣がおっしゃっていただいたように、他省庁との関係も極めて重要だと思いますので、しっかりと連携をしていくようにお願いをしたいと思います。  大学において、自由な発想に基づく研究上の挑戦があふれて、大学院の博士課程の学生さんそして若手研究者がしっかりと腰を据えて研究に没頭できる環境、そして、社会的な価値の創出を軸とした大学における資金の好循環、これをつくっていくことが極めて重要だということをお訴えをし、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  21. 左藤章

    左藤委員長 次に、牧義夫君。
  22. 牧義夫

    ○牧委員 立憲民主党の牧義夫でございます。  今回のこのJST法案審議に入る前に、三次補正でオリパラ関連の予算も盛り込まれておりますので、前回、臨時国会でも私はオリパラ関連で質問させていただきましたが、先にちょっと、懸念される東京大会、本当にできるのかどうなのか。  いろんな情報が錯綜をしております。有力な海外のメディアからも、東京大会中止じゃないかというような報道もなされて、慌てて政府が取り消すというようなこともございました。また、昨今、IOCが、オリンピック選手を優先的にワクチンを投与するというような話をしたところ、WHOは、ワクチンのオリンピック選手優先というのを否定するというような報道もなされております。  そんな中で、今回、三次補正で感染症対策八百五十七億円が盛り込まれております。これは具体的にどういうことをするのかということもお聞かせいただきたいんですけれども、その前に、予算委員会でも大臣はお答えになっていると思いますが、この期間に約一万人の医療スタッフを依頼したい、一人当たり五日間ぐらい動員をして、一万人の医療スタッフに従事していただきたいという依頼をするというようなお話もちょっと聞いたんですけれども、そういうことになると、かなり今ただでさえ医療が逼迫している中で、これは多分に地域医療にも影響すると思うんですけれども。  そういうことも踏まえて、この八百五十七億円、具体的にどう使うのか、まずお答えいただきたいと思います。
  23. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 お答え申し上げます。  令和二年度第三次補正予算案において、東京大会に向けた感染症対策等として八百五十七億円を計上しております。  その内訳は、一つ目が、東京大会が新型コロナウイルス感染症影響で一年延期されたことによる追加経費のうち、感染症対策関連経費の国負担分として五百六十億円、同じく追加経費のうち、パラリンピック経費の国負担分として百五十億円、三つ目が、ホストタウン、事前キャンプ地における検査実施経費、交通、宿泊施設の感染予防経費など約百二十七億円、四つ目が、国立競技場、代々木競技場、ハイパフォーマンススポーツセンター等における消毒、抗ウイルスコーティング、空間除菌など約二十億円となっております。  これらの施策を着実に実行することで、安全、安心な大会を実現していきたいと考えております。
  24. 牧義夫

    ○牧委員 安全、安心な大会に心がけていただくことは結構なんですけれども、先ほど申し上げたように、ただでさえ、現状においてさえ、今の国内の医療提供体制が大変逼迫しているという状況の中で、一般的な国民の健康、安心にしわ寄せが行かないようなことをしっかりと担保していただきたいということも併せて申し上げておきたいし、そういうことを踏まえて、本当にできるのかなということについては、もう八割以上の国民の皆さんが懸念を抱いている、疑念を抱いているという状況の中で、もうそろそろ、はっきりと見極めをつけるときが来ているんじゃないかなというふうに思います。  中止を決めろとか延期を決めるとかいう話をしているんじゃなくて、どういう基準でこれを決めるのか、見極めるのか。あるいは無観客という話も出ております。どういう基準でそれを決めるのかという一つの指標ぐらいは、私はもうそろそろ示すべきときが来ているというふうに思いますけれども、その点についてどう思われますか。まずお答えいただきたいと思います。
  25. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 東京大会の開催については様々な御意見があるということは承知をしております。政府としては、まずは感染拡大の防止に全力で取り組んでいるところであります。  東京大会については、昨年七月のIOC総会において競技スケジュールとその会場が決定されており、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと講じ、東京大会を開催するべく、現在、関係者が一丸となって準備を進めているところでございます。  先ほど、医療体制のお話がございました。午前中の予算委員会でも医療体制のことについて質問をいただいたわけでありますけれども、やはり一番大切なことは、地域の医療に対して、安心を持って受け入れていただけるような体制というものをつくっていかなければいけないというふうに思っておりますので、感染症対策専門家、そしてIOC、あるいは組織委員会、東京都、今、現地のJOCそしてJPCにも参加をいただいているコロナ対策の調整会議におきまして、しっかりと、感染症対策研究をされている方も一堂に会して、今後観客をどのようにしていくかということもこの春に決定をするという中間報告をしておりますので、様々な状況をしっかりと勘案しながら対策に努めていきたいというふうに思っております。
  26. 牧義夫

    ○牧委員 関係者の皆さん、JOCや組織委員会、東京都、政府の皆さんの御努力については否定するものではございませんけれども。  これはまた時間があるときにゆっくりお聞かせいただきたいと思うんですが、幾ら我々が頑張っても、各国から選手を送り出していただかないことには大会が成り立たないわけで、その辺の各国状況について今日お聞きしようと思いましたけれども、ちょっと時間がないので、またゆっくり、各国状況をどのように把握されているのか。選手が来ないんじゃ大会は成り立ちませんので、その辺のところも併せて、ちょっとまた日を改めてお聞きしたいと思います。  今日はありがとうございました。橋本大臣には、これで結構でございます。
  27. 左藤章

    左藤委員長 どうぞ退出してください。  牧義夫君。
  28. 牧義夫

    ○牧委員 引き続いて、今度は十兆円のファンドについてお聞かせをいただきたいと思います。  そもそもの、今回の補正予算の五千億については、これをどういうふうに用立てたんだということを担当の文部科学省に事前にお聞かせをいただこうと思ったら、これは財務省がお金をつくるので、その辺は我々はあずかり知らないところだというお話でしたので、今日は財務省からもおいでいただいて、お話を聞かせていただきたいと思います。  これは非常に分かりにくいお金の用立ての仕方で、私もさらっと聞いただけじゃ一遍に理解できなかったんですけれども、まず、外為特会のドルを日銀に引き取らせて、日銀からそれに見合った円が外為特会に入って、それで、その円で財務省の持っている金を買うということによって財務省にそのお金が入ると。  これはさらっと聞いただけじゃ、皆さん、すぐ理解できないと思うんですけれども、まさにこれは錬金術と言ってもいいぐらいの非常に手の込んだ芸当だなというふうに、ある意味感心もしたんですけれども、なぜこんな手の込んだ手法を使うのか。  これは立派な、日本の学術、科学、研究推進するためのお金ですから、こんな、何かタコが自分の足を食うようなやり方をしなくても私はいいと思ったんですけれども、まず、これはどうしてこんな手の込んだやり方をしたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  29. 青木孝徳

    青木政府参考人 金の売却収入の計上につきまして御質問をいただきました。  まず、金を持っておりますのは、一般会計の貨幣回収準備資金というところで持っております。これは、例えば造幣局が金貨を発行したりするときの原材料として持っておるというようなものでございますが、この金につきましては、天皇陛下の御即位でありますとか、それから、東京オリンピック・パラリンピックに係る金貨の発行というものが完了いたしまして、国の資産の有効活用を図る観点から、今後、記念金貨の発行に必要な量を除いて売却するということを考えておったところでございます。  実際、それを、じゃ、どこに売却したかという話で、先ほどお話のありました外為特会におきまして、まさに、この金を売却するに当たって、市中売却をしますと、金市場に不測の影響マーケットに不測の影響を与えかねないでありますとか、それから、政府の保有する金を売却して、要は、最終的に海外に流出させるということもまた一つよろしくない、そういう考え方に立ちまして、外為特会、特別会計におきまして、外貨準備の運用としてこの金を貨幣回収準備資金から取得するということにいたしました。  一方で、日本銀行の話も出ておりますが、その際、実際、外為特会が金を買うに当たりまして、外為特会が持っている外貨を日銀に売却をしたのでございますが、日本銀行におきましては、まさに、コロナ禍における緊急時の外貨資金供給の円滑な遂行に備えるため、外貨を必要としておったというわけでございます。  したがいまして、財務省の、売る側の貨幣回収準備資金と買う側の外為特会、それから日本銀行、それぞれが必要性があって、そこが合致してこういう形になったわけでございます。  最終的に、それを第三次補正予算の中で、そういう金の売却収入を歳入として計上するということになっておったところ、まさに大学ファンドへの出資についても、また別途、歳出の方で話がありまして、これは、大学ファンドへの出資につきましては、まさに、出資の資金調達のコスト、これを一般会計が負担するというようなことがないように、利払い費が生ずる国債発行によらない財源確保が望ましいと考えまして、この金の売却収入を活用するという整理をいたしましたところでございます。
  30. 牧義夫

    ○牧委員 大臣もお聞きになっていたと思うんですけれども、いいんですよ、お金に色がついているわけじゃないので。ただ、こういう形で捻出しなければこれからの国家百年の計を立てることができないのかというところが私の問題意識であって、その辺は大臣も多分共有していただけると思います。  この法案の中身そのものについても、今回、取りあえずJSTが財投の資金運用できるという仕組みをつくるだけの話で、その後の制度設計についてはまだこれからだというお話を事前のレクでもお聞かせいただいたんですけれども、結局は、まずお金ありきで、その後ゆっくり考えるというようなことで、私は順序が逆じゃないかなというふうに思いますし、研究強化長期的な視点で安定的に支援するというふうに、狙いも大臣述べておられますけれども、それは立派な話であって、誰も否定する話じゃないと思います。  この国家的な命題を、なぜコロナ対策に乗じて、悪い言い方をすればこのどさくさに紛れてそれをやるのかということについて、大臣の所見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
  31. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 提案説明でも申し上げましたが、欧米主要大学では、既に寄附金などを原資とした数兆円規模大学ファンドをもうそれぞれ幾つもの大学が個別に持っておりまして、その運用益人材研究設備投資することで充実した研究基盤を構築しております。  我が国研究大学がこうした欧米主要大学と伍していくためには、早急に大学ファンド創設する必要があると思っております。我が国としても、早急に大学ファンド運用を開始するため、今般の補正予算や令和三年度の財投計画で財政措置を講ずることとしました。  他方で、研究大学への支援を開始するまでには一定程度の期間を要することになります。そのため、その期間を有効に活用して、大学ファンド運用体制整備を行うとともに、内閣府を始めとした関係府省との連携や、経済金融等専門家の協力など、幅広く知見を集めながら、具体的な制度設計を遅滞なく進めてまいりたいと思います。  ゆっくりやるのではなくて、かなり急いでいるからこそ、今回補正で五千億をまず積ませていただきました。  今、財務省から御説明を聞いたとおりでございまして、牧先生の御発想からすれば、こんないいことをやるのに何で一般会計から堂々と出さないんだ、新年度予算で要求しないんだというのが多分思いだと思うんですけれども、それはやはり切り口といいますか、価値観の違いがありまして、少人数学級の結末を見ても分かっていただけると思うんですけれども、まさに、我々にとって大事だと思っても、なかなか財務省さんからは、それはいいことだから真水でしっかり応援しようということじゃなくて、かなりリスキーじゃないかというふうに多分財務省も思ったんだと思うんです。  この五千億については、直ちに使うのではなくて、今後ファンドを積んでいったときの、言うならリスクヘッジとしてちゃんと持っておかなきゃならないものですから、一回文科省には入りますけれども、ある意味では、外へ出して、いじれないお金になるわけですから、我々としても、本会計に一回それを予算計上するよりは、今非常に複雑な仕組みを御説明いただきましたけれども、そういう仕組みの中からちょうどいいタイミングで捻出をされた五千億という金額をこのような形で積ませていただいたことはありがたいことでありまして。  何よりも、この話、多分一年ぐらい、いろいろ与党でも野党でも耳に入ったと思いますけれども、牧先生は、本当にやるのか、本当に国が大学ファンドを十兆円も積むのかと、多分疑問に思ったと思うんです。世界中の人もそう思っていると思います。  しかし、ここで補正の五千億を積み、新年度の財投で四兆円を積むというこの意思を内外に示すことによって日本の本気度というものがしっかり伝わるんだと思っていまして、そういう意味では、一日も早くスタートさせていただきたい、こういう思いの中で、この補正予算でお認めをいただきたいと思っているところでございます。
  32. 牧義夫

    ○牧委員 大臣も私も多分同じような思いだと思いますので、これ以上突っ込むことは差し控えたいと思います。  ただ、さっきリスクヘッジという言葉がありましたが、余りこのリスクは冒すことのできない性質の運用にならざるを得ない話だと思います、財投ですから。  その上で、これはハーバード大学や、何かこう、民間からの寄附で、募って、そこから株式やらヘッジファンドなんかで運用してかなりの利回りを上げているということも聞いておりますけれども、今回のこれは、さっき、杉野局長でしたかね、GPIFに倣って運用すればおよそ三%という実績が過去二十年ぐらいであるんだというお話を聞きましたけれども、私、本当にそうなのかなというふうに、かなり疑問を持っております。  これは、やり方としては、要は、配当だとか利回りだとかいうインカムゲインを当てにせざるを得ない、安定的な収益を上げるためには、私はそうだというふうに思うんですけれども、このキャピタルゲインまで想定しているんでしょうか。株の売り買いや何かまでやってこれを運用しようとしているのか、利子、配当のみにとどめるのかということをちょっとお聞かせいただきたいと思います。  というのは、GPIFの実績を見ると、確かに、おっしゃるように、過去二十年三・〇九%というのがあるんですけれども、インカムゲインに限定した収益率でいうと一・六四%なんですよね。だから、安定的に運用しようと思ったら、三%なんか私は上がることはないと思うんですけれども、その辺、どうなんでしょうか。
  33. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 まず、その三%という目標値を文科省として外に示したことはないんです。たまたまGPIFをまねしてスタートすると言ったものですから、皆さんが、GPIFなら三%ぐらいの利回りを考えているんじゃないかというふうに多分思っていらっしゃると思うんですけれども。もちろん、三%、ありがたいことで、理想にしたいんですが、ここはもう背伸びをしないで、しっかり安定的な長期的な運用をしていきたいと思っております。  そういう意味でいいますと、大学ファンド運用については、長期的な観点から、国内外の様々な種類の資産に分けて投資をするいわゆる分散投資を行うことによって、リスクを分散、抑制しながら必要な収益を確保することを基本的な考えとしております。  本ファンド運用益見通しにつきましては、運用実績がある年金積立、いわゆるGPIFの収益率を参考にしつつも、国内外投資環境を考慮した上で慎重に見極める必要があると考えており、運用方針については、今後、総合科学技術イノベーション会議の下に設置をされる予定の有識者会議での議論を踏まえて、文部科学省内閣府を始めとした関係府省で検討してまいります。  大きな違いは、GPIFはキャッシュアウトしないんですね。運用をずっと続けて、言うならバランスシート上の利益を求めているんですけれども、我々は現金をつくらなきゃならないので、どこかでキャッシュアウトしなきゃならないので、そこは、そういった意味では、一つ一つけりをつけて、利益が上がったらけりをつける、そういう努力をしていかなきゃならないと思っています。
  34. 牧義夫

    ○牧委員 おっしゃるとおり、キャッシュアウトできないので。まあ、複利計算ができないということで、余り捕らぬタヌキの何とかはしない方がいいということだけ申し上げておきたいというふうに思います。  時間がないので、一つだけ最後つけ加えたいんですが、今回の補正で、芸術文化関係、二百五十億円の、アーツ・フォー・ザ・フューチャーですか、新規事業への助成というのが盛り込まれているんですけれども、これはフリーランスの個人が使えないなど、使い勝手が悪そうな案が示されているという声が上がっております。  二次緊急事態の宣言下では、夜八時のリミットが、これは要請というよりも働きかけというような扱いになっていて、補償の提案もないわけで、この分、間違いなく売上減ということになると思うんです。演劇ですとか映画ですとか、演劇ですと五割減、映画館ですと二五%減。  こういうことを考えると、もうちょっとこの実情に即した、固定費の一定割合を出すとか、あるいは売上減の分を補償するとか、そういうことを私は求めたいと思うんですけれども、最後に、その辺のところを今後きちっと考えていただけるのかどうかだけお聞かせをいただいて、質問を終わりたいと思います。
  35. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 文化芸術関係者におかれましては、これまで、徹底した感染症対策に御尽力いただきながらイベント等の開催に努め、文化芸術の灯を絶やさぬよう取り組んでこられたことに深く敬意を表します。  一方で、今回の緊急事態宣言の発令により、開催時間や収容人数の変更等の影響が生じているのは承知しております。  文科省としては、文化芸術関係者の支援は重要であると考えており、実演家や技術スタッフの方々や文化芸術団体に対し、その活動継続や技能向上に向けた積極的な取組や、収益力を強化するための取組などへの支援を行ってまいりました。  さらに、新たに第三次補正予算案、コロナ禍を乗り越えるための文化芸術活動充実支援事業において、緊急事態措置の期間中も含め、文化芸術関係団体等による、感染対策を十分に実施した上での積極的な活動支援することとしており、団体を介して、それらの公演等に参加するフリーランスの実演家等の皆様にも支援を行うこと等を考えております。  また、本事業の実施に当たっても、公演の中止に伴う費用等について、関係省庁と連携しつつ支援を行えるよう検討するとともに、緊急事態宣言の発令時に遡って支援対象とすることを検討するなど、可能な限り事業者の使い勝手のよい制度にしていきたいと考えております。
  36. 牧義夫

    ○牧委員 よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
  37. 左藤章

    左藤委員長 次に、笠浩史君。
  38. 笠浩史

    ○笠委員 最初に、今、牧委員からもありましたけれども、ちょっと私の方も、オリンピック、パラリンピックについて、橋本大臣に、まずお伺いを二、三させていただきたいと思います。  今日予算委員会で、先ほどの医療体制のことを含めて御答弁されておりますけれども、恐らくは春、三月には、まず海外からの観客を入れるのかどうか、それ以前に、今言われているのは、無観客、あるいは五〇%、あるいはフルで観客を入れるというようなところの方向性。  とりわけ、制限をかけていくとなると、早めにきちっとやはり方針を出していただかないと、国民も不安になりますし、海外の本当にアスリートを含めた関係者の皆様方、あるいは、楽しみにしている、観戦をしたいという海外の方々もおられると思いますので、その辺は、三月ぐらいにはしっかりと、無観客も含めた方針を出されるのかということで、まず確認させてください。
  39. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 東京大会における観客数の上限については、国、東京都、大会組織委員会によるコロナ対策調整会議で昨年の十二月に取りまとめた中間整理におきまして、内外の感染状況なども踏まえ、国内の上限規制に準ずることを基本とする最終的な決定は今年の春までに行うとの考えを提示しております。
  40. 笠浩史

    ○笠委員 特に、三月の二十五日には福島県のJヴィレッジで聖火リレーがいよいよスタートをするわけですから、その前には少なくともそういった大きな方向性というものはやはり出していただかなければならないし、それと併せて、この聖火リレー、もう既に準備に各自治体入られて、もちろん、組織委員会とそれぞれの都道府県なり自治体がいろんな協議をしながら、また様々組織委員会の方にも多々問合せ等々も、あるいはいろんな相談も来ていると思うんですけれども、この聖火リレーについては、基本的には自治体任せなのか、それとも、これに伴う様々、イベントであるとか、あるいは、ランナーの皆さんが一万人近く走ると思いますけれども、沿道の応援をどうするのか。  これは、それぞれの四十七都道府県、全くコロナの感染状況は違いますので、一律にということはやはりなかなか難しいのかもしれませんけれども、これは近く、やはりガイドラインなり、組織委員会としてはこういうふうに考えているよというようなことで、このコロナ対策を含めたガイドラインみたいなものを示すお考えがあるのか、お聞かせください。
  41. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 今年の三月に大会本番に先駆けて始まる聖火リレーについては、全国各地で多くの関係者が関わることから、安全、安心の確保を図るための感染症対策の徹底が必要であります。  そのため、コロナ対策調整会議の中間整理においては、感染状況政府全体の感染症対策を踏まえた実施形態とすることとしまして、人が集まるリレールート沿道やセレブレーション等における十分な対策を実施することなどを基本的な考えとして挙げております。  現在、組織委員会において、都道府県実行委員会とガイドライン案について協議をしつつ、中間整理に基づいて感染防止策の検討を進めていると承知をしております。感染症対策方針については早急に整理されるものと考えております。
  42. 笠浩史

    ○笠委員 これは、大臣、組織委員会が出すんですか、そういったガイドライン、今調整会議等々で検討しているやつは。その一つの方向性とか基本方針というのは組織委員会が出すということでよろしいですか。
  43. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 はい、組織委員会でやります。
  44. 笠浩史

    ○笠委員 やはり、今本当に、こういった一つ一つ、皆さん方が大変な、医療関係の皆さんも含めて、あらゆるいろんな、我々にはなかなか表には出せないいろんなことを想定して協議されているということは私も理解をしているんですけれども。  やはり昨今の世論調査などを見ても、だんだんに、今、みんなやはりコロナが心配ですから、ましてや今緊急事態宣言下なので。ただ、私、世論調査で、確かに、延期した方がいいというのと中止した方がいいというのがもう今八割を超えるような大体結果になってきているんですけれども、ある意味、延期した方がいいという人は、やはりオリンピックはいずれコロナを乗り越えたらやってほしいんだよねという声でもあるわけですよね。  問題は、もう中止しろという人たちがどんどんどんどん増えていくと、やはり、国民に喜んでもらえないような大会が世界各国の感動を呼ぶわけないわけですから、そういう意味ではやはり今一番大事なときで、きちんとした真摯で丁寧な説明を、大臣先頭に、あるいは総理もです。  私、大臣に、是非総理にも言っておいていただきたいんですけれども、いまだに、これは安倍前総理がおっしゃっていたことだけれども、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとしてという言い方をされるんですね。でも、今、本当にこの七月、八月に、人類がですよ、日本だけじゃないんです、打ちかつわけないじゃないですか。  だから、逆に言うと、やはり打ちかつための勇気と希望を与える大会にしていくというような思いをしっかりと私は国民に伝えていただきたい。そのためには、無観客のような選択肢も含めて、完全な形はもう無理です、しかし、どうやればこの大会を今年やれるのか。  私は、個人的には、延期なんていうのは、もう再延期なんかできないと思っていますので、やはりやるとすれば、不完全な形であっても、今、コロナと向き合いながら、どういう大会だったら実現できるのかということを、もっとやはり正直に、真摯に、国民の皆様方にも語りかけながら、説明をしながら今後の対応をしていきたいということを大臣に申し上げたいと思いますけれども、その点についてのお考えをお聞かせください。
  45. 橋本聖子

    ○橋本国務大臣 この東京大会の開催については様々な御意見があるというふうに承知をしております。やはりその中で、誰もが安心と安全において東京大会が開催されるということを望んでいるんだというふうに思います。コロナ対策を徹底してやらなければ、世界からの皆さんも喜んでいただくことにはならないというふうに思いますので、まずはコロナ対策を徹底して、政府一丸となって、対策をしながら準備を進めていきたいというふうに思っております。  そして、今お話しのとおり、やはり一番不安に思っておられる中の一つはアスリートだというふうに思います。やはりその中で、アスリートについては、入国から出国までの場面ごとに、厳格な行動管理ですとか、あるいは定期的な検査、そして徹底的な感染対策を講じることで、トータルでの環境整備、ルールづくりを行うなどの方針を提示しておりまして、中間整理を踏まえて、必要な対策を確実に実施をしていきたいと思っております。  また、様々なスポーツ大会における感染対策取組や専門的知見も踏まえて、引き続き、安全、安心な環境を確保することを最優先に、大会に向けた準備を確実に進めていきたいというふうに思っております。  夢と希望というものと同時に、世界が直面する大変大きな課題というものを解決するために、この東京大会というものを位置づけていかなければいけないと考えております。
  46. 笠浩史

    ○笠委員 ちょっと大臣説明は従来どおりなんだけれども、大臣、やはり、オリンピアンであり、メダリストであり、アスリートでもある大臣ですから、これは総理というよりも大臣自身が、そういう、心に響くようなメッセージをやはり常に発信をしていただくことを御期待申し上げたいと思います。  大臣、結構でございます。ありがとうございました。
  47. 左藤章

    左藤委員長 では、御退席お願いします。
  48. 笠浩史

    ○笠委員 それで、十兆円の大学ファンド創設のことについてお伺いをしたいと思います。  まず、萩生田大臣、そもそも、世界のトップ研究大学を目指すとか世界と伍する研究大学をというようなことがうたわれているわけですけれども、これはもう少し分かりやすく、どういうような大学を目指すのか。例えば、それはランキングなのか、あるいは優秀な論文数なのか。いろいろと、文科省からいただいている資料の中でも様々、博士課程の進学者が減っているとか。では、どういう大学を理想として今回のファンドの設立に至ったのかということを具体的にお話をいただけますか。
  49. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 大学ファンドを通じてその支援対象大学が目指すこととなる、世界に伍する研究大学ということは、世界トップレベル研究者などが集まっていること、それにより世界最高水準の研究成果を出すことができること、そのような研究成果により、官民問わず様々な資金が流入し、研究成果イノベーションにつながるという好循環を達成していることを想定しております。  また、具体的な研究内容につきましては、国際的に卓越したレベル研究成果を創出していることといった高いポテンシャルを有すること、世界トップレベル研究大学に向けた明確なビジョンを持ち、自律と責任あるガバナンス体制の確立などの大学改革推進や外部資金の獲得増加に取り組む意思があることなどの観点から、具体化を図ってまいりたいと思っています。
  50. 笠浩史

    ○笠委員 何かよく分からないんですよね。  これまでも、例えば安倍総理が二〇一三年でしたか、十年後に世界大学ランキングトップ百に十校以上入れるみたいな目標を掲げて、これは、なかなか十校なんというのは今もうとてもじゃないけれども難しいあれなんですけれども、そういうような大学をつくっていくということなのか。あるいは、そうしないと、これから、じゃ、いろんな形でその辺を、今度内閣府の方のCSTIの下でどういう大学支援の対象にするのかというときに、大学側からすれば、じゃ、どういう成果をきちっと出していけばいいのかということが明確じゃないと、なかなかこれはやはり難しいと思うんですよ、その評価も。単年度の評価ということじゃないと思いますので。  だから、やはり自分たちでファンドを持って、将来的には資金を獲得して、先ほどもありましたけれども、大学発のベンチャーみたいなものでどんどんどんどんイノベーションをやはり起こしていって、ある意味では日本経済に対しても活力をどんどん与えていくような、あるいはそれを先頭に立って引っ張っていくような、要するにそういった大学を求めているのか、なかなかこれは、どういうことで評価をすればいいのかということが見えてこないと、私は分かりにくいなというふうに思っているんですけれども、大臣のイメージで。先ほどのは、大体、文科省がいろいろまとめているやつだから。
  51. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 単純に、世界のトップ百に何校入ればいいとかという外形的なことを気にしているわけじゃないんですけれども。  先生も多分お気づきだと思いますけれども、この十数年で、大学院生から博士課程に行く若者はどんどん減っています。また、基礎研究ではいい研究しているんだけれども、やはり途中でギブアップしてしまって、違う道に行く研究者。これはポストの問題もあると思います。  ですから、実はこれ、十兆円積んだから直ちにバラ色な世界が待っているわけじゃなくて、繰り返し申し上げているように、大学自らもやはり改革をしてもらわなきゃいけないし、もっと言えば、それぞれの大学がどういうアドミッションポリシーを持って、きちんと自分の学校にふさわしい学生たちを集めて、そして、目標を持ってきちんと研究を続けていくような仕組みができるかという、大きな意味で大学改革とセットで進めていかないとやる意味はないと、私個人的には思っているんですね。  ですから、評価としてはもちろんのことながら、研究成果が、例えばですよ、ノーベル賞を得るような研究が出ることも一つの大きな評価だと思いますし、あるいは、研究に携わる人たちが安心してきちんと研究ができる体制ができて、そこに多くの研究者がぶら下がって研究を続けるようなことがもしできたとすれば、これすら、今、日本にはないわけですから、大きな成果だと思います。  その中で、社会に貢献する、世界に貢献するような研究が出て、新しい産業を興し、新しい雇用を生んで、そして結果として税収を生むようなことがあればこれはもう大成功だという評価をいただけるんだと思いますので、まさにそういう芽を日本中の大学是非持っていただいて、そこに我々は水をしっかり与えて光を与えていく、そういう努力をしていきたいなと思っています。
  52. 笠浩史

    ○笠委員 今、大臣は、日本中の大学にと。まさに、この後お伺いしようと思ったんだけれども。  先ほど来、三%みたいな話がありましたけれども、私、ちょっと、文科省の方からレクを受けたり、あるいは会派の部門の会議の中では、これが、まだ先々になるけれども、なかなか、三%上げたとしても、年間一千億ぐらいをずっと、ちゃんときちっと安定的に、指定される大学側に支援していくことはやはり最低限必要じゃないかみたいなお話をされていました。これは、数字はちょっと、ともかくとして。  しかし、そういうようなレベルであれば、対象となる大学が増えれば増えるほど、もう本当に十億円とか二十億とか、あるいは十校あれば百億ですよ、でも、そんなんじゃ、大学に今回出していくわけですから。だから、やはりある程度、恐らくは、イメージとすれば、かなり絞り込んだ形で対象の大学が今後決められていくんじゃないかというふうに思います。  私はそれでいいと思うんです。ただ、必ずこういったときには、じゃ、そのほかの、たくさん全国中に大学があるわけですよ、公立あるいは国立だって地方の大学もある、私立の大学もある、そういったところでもいろんなすばらしい研究があるじゃないかと。  だから、従来、やはり選択と集中という形で、様々これまでも、東大、京大、東工大等々の大学改革、その研究をどんどんと、同じような取組というのはここまでもしてきたけれども、必ずしも全てがうまくいっていない状況の中で今回のファンドなので、その辺をどういうふうに大臣が考えられているのか。  あるいは、あわせて、当然ながら、もし絞り込むというのであれば、それ以外の大学に対しては、これは財務省が金で用意したかどうか分かんないけれども、これは財投だからどうこうじゃなくて、本来はやはり、運営費交付金も含め高等教育に対する予算というものは、今まで以上にしっかりと大臣が、このファンドにかかわらず、ファンドができたからこそ更に獲得をして、そしてそのお金を、この対象にならなかったような大学の、この裾野の、いい研究に対しては支援をしていくという両方をしっかりとやっていかなければ、私は将来の日本の姿はないんじゃないかというふうに思いますけれども、その点についての見解を伺いたいと思います。
  53. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生御指摘のように、これは、今までのような研究補助のような仕組みじゃありませんから、やはり、どんと支援をして、そして、学校そのものがその大きな支援の中で運営を考えていただかなくちゃならないと思いますので、当面は限られた数ということになると思います。すなわち、薄く広くというのは考えていません。どん、どん、どんといけるような、そういうイメージでいきたいと思っています。具体的には、今後、CSTIの下に設置される予定の有識者会議の議論に委ねたいと思いますので、文科省と内閣府両方で協力しながら、関係省庁としっかり検討していきたいと思います。  あわせて、元々の、私が心配していますのは、じゃ、こういうことに選ばれない大学は、どんどんどんどんいじけていっちゃ困るわけですね。常に入替えを目指して勝負をしてもらっていかなきゃいけないと思っていますので、そういう意味では、全国の大学がいろんな意味で意識を変えて競争をしてもらう、それは大事なことでありますし、そこには、まず安定した運営費交付金はきちんと確保して、まずはきちんと、特別な研究じゃなくて、日本の高等教育の機関としてやるべきことはまずやってもらう、もちろんそれも全体的に底上げすることが望ましいと思っていますけれども、その上で、このファンドを使って、まさに世界に伍する、そういう大学をつくっていくということをイメージしていきたいなと思っています。
  54. 笠浩史

    ○笠委員 場合によっては、これはまた将来的なことだけれども、もしこのファンド、今回のスキームが非常にうまくいって、今度対象となるような大学が、十年後ぐらいに、あるいは十五年後ぐらいに、自分たちでも資金を、まさに自律してこのファンド運用していくような形になれば、そういったところに対する、ある意味では運営費交付金なんかはそうじゃないところに回すぐらいの、これは非常に好循環の理想的な姿でありますけれども、そうなれば、日本の高等教育の財源というものも、かなりまた今とは違った形でこれを獲得していくことができるんじゃないかと思います。  それと、最後に、ちょっと具体的なことなんですけれども、とにかくこのファンドを成功させるためには、やはりちゃんと利回りを稼いでもらわないといけない訳で、それで、JSTにも設置される、大臣任命する運用業務担当理事、これが非常に大事だと思ってくるんです。  ただ、大臣、これ、お一人ですよね、この担当理事。この方の存在というのは物すごく大きいと思うんですよ。よくあるんですけれども、こういう方は、はっきり言えば、国際的にもうどこでも引っ張りだこだから。いや、私、極端な話、外国人でもいいと思っているんですよ、本当に適性な方がおられるんだったら。ただ、あるいは、もう二千万だとか何だとかそういうことを言わずに、多くお金を払ってでも、きちっといい人材を獲得するぐらいのことをやっていかないと、ここで置く人を失敗したら。その人を監視する人も大事ですよ、しかし、まず、どういう人がこのマネジメントしていくのか、トップとしてやはりやっていくのかということ、これが私は肝だと思っているので、その点の大臣のお考えを伺いたいと思います。
  55. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。  そういった、世界的に能力のある人は引く手あまたですしね。どこからもいろんな好条件でいろんな引き合いがあるわけですから、そういう中で、ちゃんと目利きができる人をきちんと置くこと。そのためには、従来の給与にとらわれないような柔軟な対応も必要だと思いますし、今お話のあった、例えば外国籍の方であっても、業務をきちんと正しくやっていただくんだとすれば一つの案だと思いますので、これらにつきましては、関係府省としっかり検討をしてまいりたいと思います。
  56. 笠浩史

    ○笠委員 安心しました。  産業革新投資機構のああいう問題もありましたので、やはり、我々、民間の人が、どんなに優秀な人を引っ張ってきても、そういう人をいろんな中から我々も守っていかないといけないと思いますし、思う存分力を発揮していただけるような環境をつくっていただくことを、また大臣最後にお願いをして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  57. 左藤章

    左藤委員長 次に、吉川元君。
  58. 吉川元

    吉川(元)委員 立憲民主党の吉川元です。  余り時間がありませんので、早速法案について質問をさせていただきたいと思います。  文科省の説明資料を見ますと、大学ファンド創設検討するに至った背景、これはもう先ほど大臣も答弁されたりしておりますけれども、日本大学研究開発基盤が大変厳しい状況に置かれている、そういう認識だというふうに理解しております。  昨日のレクの際に二つに分けたんですけれども、併せてお聞きしたいんですが、なぜ若手研究者が減少し、なぜ日本研究開発基盤が他国の後塵を拝するようになったのか、その原因がどこにあるのか。  今から二年前、二〇一九年二月に、梶田隆章東大宇宙線研究所長、白川英樹筑波大学名誉教授、ノーベル賞を取られた方も含めて五十一人の学者の方々が、「大学の危機をのりこえ、明日を拓くフォーラム」、こういうものを結成をいたしました。当時の呼びかけ文を読み返しますと、この中では、運営費交付金や私学助成など基盤的経費の継続的な削減が教育研究の土台を弱体化した、最初にこういうふうに指摘しております。さらに、競争的な研究資金寄附金などを自ら稼ぐことのできる大学政府大学に求めてきた結果、社会科学よりも自然科学、基礎研究よりも応用研究長期にわたる研究よりも短期に結論が出そうなテーマが重んじられ、その帰結が、科学論文の量と質の低下、そして研究力、とりわけ基礎研究の基盤を弱体化させた、こういうふうに指摘をしているわけです。  非常に、院生を含めまして劣悪な環境にあると、野依良治名古屋大学特別教授、この方からは、欧米では学費が事実上免除されて生活に十分な給与が与えられている、一方で、日本は、授業料の負担はもちろん、生活のためのバイトに追われている、最悪の環境にいることは間違いない、ブラック企業だ、こういうふうにも述べておられます。  そういう意味でいいますと、今回のファンドの設立、その元になった、なぜこういう事態になってきたのかということについて大臣はどのように考えておられるか、答弁をお願いします。
  59. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 近年、トップ一〇%論文数の国際的なシェアの低下など、我が国研究力が相対的に低下していると認識しております。  この要因としては、欧米主要大学寄附金などを原資とした数兆円規模大学ファンドを保有し、その運用益人材研究設備投資することで充実した研究基盤を構築しており、このような取組我が国欧米との研究環境の差の一因となっていること、また、博士後期課程在学中の経済的な不安やキャリアパスの不透明さなどにより、研究力の要である若手が研究を志さない傾向にあることなど、要因として考えられると思っております。  先生から、ノーベル賞の受賞者の皆様からの発言等々にも触れられました。研究力の向上に向けては、めり張りのある配分に留意しつつ、運営費交付金などの基盤的経費科研費などの競争的資金によるデュアルサポートの充実を図ることが重要だと思っています。  ちょっと、これは補正と後先になっちゃったんですけれども、実は、令和三年度予算で、修士から博士に進む学生の一万五千人分の資金を要求をさせていただくことになりました。余りにも研究分野に対して我々としては支援が浅かったんじゃないかなというふうに思っております。そのために、残念ながら、優秀な人は海外に出ていく、また経済的に困難な人は諦めてしまう、また将来のポストがないということで非常に不安定な職業になってしまったことで研究者が枯渇していったということを繰り返してはならないと思っていまして、ここでしっかりフェーズを変えていきたいなと思っています。
  60. 吉川元

    吉川(元)委員 先ほど同僚の笠委員からも質問がありましたけれども、やはり、今回のファンドの設立をもって、例えば、今日財務省にも来ていただいていますけれども、必ず、運営費交付金や私学助成、これが減らされたら全く意味がない、それどころかより悪い環境に、先ほどのノーベル賞受賞者の皆さんのお話だと、競争的資金が全く駄目だとは言いませんけれども、それに頼るような大学の運営になってしまうと本当に基礎研究ができなくなる、そういうものが廃れてしまう。そういう点からいうと、やはり、運営費交付金科研費、この充実というのは引き続きやっていかなきゃいけないというふうに考えます。  実は、先日たまたま見たテレビの番組、二〇一九年度かな、二〇年かな、ちょっと覚えていませんけれども。野辺山天文台があります。ここが規模が大幅に縮小になっています。非常に日本でも有名な電波望遠鏡。その中で、出ていた所長の方、所長だったかそのOBかは分かりませんけれども、毎年毎年一%ずつ運営費交付金大学ではありませんけれども同じように運営費交付金が出ております、これが一%ずつ削られていくと。一%といえば大したことのないように見えるけれども、これが十年、十五年と続いていくと、本当に研究ができなくなる、実際に大幅に規模を縮小せざるを得なかったと。  そういう点も考えれば、この運営費交付金科研費充実、これは必ずセットで行うべきだということを思いますけれども、大臣、どう思いますか。
  61. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 全くそのとおりだと思っています。  今回は、ファンドをつくって、そして大学に新たな支援をしていくという別のフォームでありますので、既存のメニューは全部見直しをするんだということであったら、これは何のために新しい事業をやったのか意味がなくなってしまいますので、そこはしっかり守っていきたいと思いますし、財務省さんお見えですけれども、これは財務省がとか文科省がじゃなくて、日本の将来を考えたら、この数年間を反省すれば、おのずと、研究分野で、人で勝負していくしかないということは、今回のコロナを経験して、全ての国会議員が感じているんじゃないでしょうかね。  そういう意味では、まさに、日本が攻めに転じる、そのきっかけにしていきたいなと思っていますので、しっかり財源を守りながら、前に進めていきたいと思っています。
  62. 吉川元

    吉川(元)委員 次に、これは先ほど、これまた同僚の牧議員から、今回のお金の捻出の仕方、私も同じ質問を立てたんですが。  先ほどの財務省の答弁を聞いておりますと、たまたま造幣局に金が余っていて、たまたま日銀がドルが欲しくて、たまたま文科省からそれと同規模の予算要求、これが来たということでやったというふうにしか聞こえない答弁があったんですが、そういう認識でよろしいんでしょうか。
  63. 諏訪園健司

    ○諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどの御質問にもございましたが、改めて御説明申し上げます。(吉川(元)委員「経緯はいいですから」と呼ぶ)はい。  造幣局の方で、一般会計の貨幣回収準備資金で金を持っていて、これは天皇陛下の御即位やオリパラも終わったので、売却を検討しようとしていました。  先ほどの答弁の、その経緯ははしょりまして、したがいまして、今回の金の売却に関する取引、一般会計と外為資金特会、それから外為資金特会と日銀、そうしたものの各取引は、財務省及び日本銀行のそれぞれの必要性が合致したことによって今回行ったというものでございます。
  64. 吉川元

    吉川(元)委員 ここから先は邪推の域に入るんですけれども、今回のスキームというのに、やはり財務省は何らかのあれを持っているんじゃないかと。赤字国債を発行して、それを原資にして基金をつくるようなスキーム、これが一般化しちゃうと、ほかのところでも同じようなことをやり始めたら、これは本当に財政規律を守れなくなってしまう、そういうのがあるんじゃないかなというふうには思わざるを得ません。  あともう一点なんですけれども、五千億とは別の四兆円、これは財投ということでありますが、財政融資資金法の第一条の「目的」のところに、財投資金というのは、貸付先の、国や、あるいは自治体あるいは独法だと思いますけれども、そうしたものに対して確実かつ有利な運用となる融資を行う、こういうふうに定められているわけです。  今回のこのスキームでいいますと、三%運用益を見込んだ金融投資の財源に財投を使うことが確実かつ有利な投資に該当するのか、また、こういう形で財投を活用している例はこの大学ファンド以外にあるんでしょうか。
  65. 窪田修

    窪田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の大学ファンドへの財政融資資金の貸付けに当たりましては、確実かつ有利な運用を行うという、御指摘いただきました財政融資資金法の目的を踏まえまして、大学への助成支援にあっては、元本は取り崩さず、また、運用開始当初は運用益による資本強化を行う予定であるということに加えまして、今回御提案させていただいている法案の中で、今後策定することとされている基本方針において財政融資資金の確実な償還のために必要な事項について定めるといった規定を置かせていただくなど、必要な措置を講じているところでございます。  また、このような形の支援を行った例があるのかというお尋ねでございますが、財政融資資金の活用には様々な目的のものがございまして、融資資金を事業に直接充当するものだけでなく、低利融資により機関の財務状況の改善を助け、それによってそれぞれの機関が行っている事業の促進を図るものもございますが、今回の大学ファンドと完全に同じというものはございません。
  66. 吉川元

    吉川(元)委員 財投のお金を使うというのは、どうも余りいい、思い出というのは変な言い方ですけれども、というのはないんですね。といいますのも、この当委員会でも過去何度も議論してきましたけれども、奨学金、有利子奨学金というのはまさにこの財投のお金を使っている。それがあるがゆえに、様々な、返還の免除だとかあるいは猶予だとか、そうしたものに非常に、何というんですかね、それは簡単にできないんだ、これは財投で返さなきゃいけないお金だからそういうわけにいかないんだということで、何度も何度もこの当委員会でも議論をしてまいりました。  やはり、財投に頼るというのは、こういうやり方というのは脱却していかなきゃいけないんじゃないかというふうにも考えておりますし、そういう意味でいうと、今後、恐らく、民間からの出資あるいは大学等からの出資、こういうものをやっていくことになるんだろうと思いますが、そうしたものが中心になっていく、そういうのはどの程度の年月を予定をしているのか、あるいは、そこに向けた工程表のようなものは存在するんでしょうか。
  67. 杉野剛

    杉野政府参考人 財政融資を含む国の資金中心から、参加する大学の拠出金や民間からの拠出金、そういったものへ移行していくスケジュール的なものはどうであろうかという御質問でございました。  大学ファンドは、巨額の基金を保有する海外のトップクラスの研究大学に対抗し得るそういう研究大学育成するために、まずは国主導によりまして公的資金を活用して大規模ファンド創設するものでございますけれども、将来的には、各研究大学が自前の基金を造成することを目指すということにしておりまして、このため、各大学等からも大学ファンドに対して積極的に資金の拠出をお願いしたいと考えているところでございます。  法案では、大学ファンドの原資のうち財政融資資金運用につきましては、附則第五条の三に基づきまして、令和五十二年度までの最大五十年間を運用期間と定めておりますけれども、ファンドの今後の運用状況にもよりますけれども、できるだけ早い段階で、大学ファンドが、公的資金中心から、財政融資資金中心から、運用益その他の資金中心へと移行することを期待しているところでございます。
  68. 吉川元

    吉川(元)委員 じゃ、もうちょっとお聞きしますけれども、基金、先ほど積極的に大学からも出資を募るというような話ですけれども、どの程度の数の大学からどの程度の規模の出資を予定をしているんでしょうか。
  69. 杉野剛

    杉野政府参考人 大学ファンドに対しまして、関係する大学あるいは民間から積極的な資金の拠出をお願いしたいと考えております。ただ、一方で、各大学におきます余裕金の実情ということもあろうかと思っております。そういったことも勘案しながら、今後、総合科学技術イノベーション会議に置かれます有識者会議の御議論を踏まえまして、詳細については検討していきたいと考えているところでございます。
  70. 吉川元

    吉川(元)委員 ちょっとこの後もいろいろ。もう時間がほぼ、余りなくなってきているというんですが。  詳細は今後詰める、今後詰めるという話が多いんですよね、この法案について言うと。  財政審、これは、我々はこの文科委員会では常に、問題がある、特に教育の予算について様々な形で、削るという言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、やはりおかしいということは言ってまいりました。  ただ、昨年十二月十日の財政審の財政投融資分科会の議事録要旨を見ますと、民間ファンドの場合は出資を募る際に詳細を詰めたものだが大学ファンドは先にお金がついて後から詳細を検討するとしていて順序が逆ではないかと。  私は、これは至極真っ当な話だろうと。取りあえず金だけ出してくれ、詳細は後から詰めるから。これはちょっと余り、日頃財政審については非常に問題だというふうには言ってはおりますけれども、事この指摘は、私は当たっているんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。  今回の、大学研究開発基盤の整備助成業務を行うというわけですけれども、その場合、安定かつ比較的長期にわたる助成が必要だろうと。年度ごとに助成額、あらかじめ予定されている必要があると思いますけれども、助成対象の大学助成額をあらかじめ決めておくのか。それとも、運用の結果を踏まえ、運用益の内部でその助成額や助成対象の大学を決めることになるのか。この点の仕組みについて教えてください。
  71. 杉野剛

    杉野政府参考人 ファンドによる支援の対象となります大学あるいは助成内容の詳細につきましては、今後設置予定の有識者会議の議論等を踏まえまして決定する事項ではございますけれども、御指摘の大学助成額につきましては、さすがにこれは運用益を踏まえませんとなかなか決定することはできないと思っております。  とは申し上げましても、単年度ごとの運用益、これは年度によって上下はするわけでございまして、単年度ごとの運用益の額に応じて助成額を決定するというわけにはいかないと思っております。  したがいまして、例えば、一定期間の運用実績の平均値、あるいは中長期的な運用益見通しなどに基づきます一定の計算式に基づきまして助成額を算出することなど、大学に対しまして安定的に確実に助成ができる仕組みを今後検討していきたいと考えているところでございます。
  72. 吉川元

    吉川(元)委員 それで、GPIFというのは文科省が言われた言葉で、たまたまそういう話があったという話じゃなくて、GPIFの例を十分に踏まえるというような説明を文科省がしているわけですけれども。当然、同じポートフォリオでやれば、例えば株式、国内株式には四分の一充てるというような話になるわけで、株というのはやはり上下動は激しいですし、そして今の株価というのが果たして今の経済等を反映したものなのかというのは、恐らくそうじゃないんじゃないかという気がしてなりません。  場合によっては、非常に株価が下落した場合に損失が発生をする、元本が毀損する可能性もこれはゼロではないわけで、その場合には誰が責任を負ってどのような対応をすることになるのか、教えてください。
  73. 杉野剛

    杉野政府参考人 大学ファンドにおきましては、御指摘の年金積立金管理運用独立行政法人、いわゆるGPIFなどにおけます運用と同様に、長期的で分散型の資産運用によりまして、リスクをできるだけ回避しながら確実な収益を上げることを基本として運用をしようと考えておるところでございます。  ただ、御指摘のように、金融市場の動向によりまして一時的な損失の発生が起こることもあり得るわけでございまして、そうした事態にも耐え得るように、四・五兆円の元本のうち、資本性資金といたしまして五千億円の政府出資を用意すること、さらには、運用当初におきましては運用益相当割合元本に積み増すなどの対応を考えているところでございます。  その上で、更に必要な場合には、文部科学大臣が定めます基本指針、あるいは法案第三十条に基づきまして、運用方法の見直しや停止、繰上償還などの必要な対応をJSTに求めることとしており、こうした形で主務官庁としての責任を果たしていきたいと考えているところでございます。
  74. 吉川元

    吉川(元)委員 もう時間が来てしまいました。  ほかにも、運用益の配分等々についていろいろお聞きしたかったものがあります。  非常に詳細がまだ詰まっていない部分がありますので、またこれからも引き続き問題意識を持って議論をさせていただきたいと思います。  以上です。
  75. 左藤章

    左藤委員長 次に、畑野君枝君。
  76. 畑野君枝

    畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部改正案について、萩生田光一文部科学大臣伺います。  ハーバード大学など世界トップクラスの研究大学日本大学では資金力の差が拡大しているとして、大学ファンド創設によって日本大学長期安定的な財政基盤を抜本強化するとされています。  しかし、アメリカの私立大学は、一八〇〇年代から徐々に今日のような大型の基金をつくってきた、歴史的な経過もあると伺っております。  状況が大きく違うのに、日本大学ファンドをつくって、どうやって財政基盤を強化しようとしているのか、伺います。
  77. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 イノベーション中核を担うのは研究大学ですが、我が国大学研究基盤は諸外国トップ大学と比べて大きな格差が生じており、現時点で各大学努力ではこの格差を速やかに解消することは困難な状況にあります。  このため、世界トップレベル研究大学を目指した研究基盤強化に向け、まずは国の資金を活用しつつ大学ファンド創設し、その運用益を活用することによって、財政基盤の強化に資するものであります。  あわせて、我が国研究大学経営体として自律し世界に伍する大学に成長することで、絶えずイノベーションが創出される仕組みを構築することを狙いとしております。
  78. 畑野君枝

    畑野委員 法案では、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIFを参考資金運用に関する規定を定めていると伺っておりますが、GPIFは二〇一九年度期で八兆二千八百三十一億円の運用損を出すなど、運用益の確保にはリスクが伴うわけです。  元本割れするような運用損が出た場合にはどうするのか、伺います。
  79. 杉野剛

    杉野政府参考人 運用益リスクについてお尋ねでございます。  大学ファンドでは、GPIF等におけます運用と同様に、長期的で分散型の資産運用によります、よりリスクを極力回避しながら確実な収益を上げる、これを基本として運用することとしているところでございます。  ただ、金融市場の動向によりましては一時的な損失の発生が起こるわけでございまして、そうした事態にも耐え得るように、四・五兆円の元本のうち、資本性資金といたしまして五千億円の政府出資を用意しつつ、さらに、運用当初におきましては運用益相当割合元本に積み増すことを予定しているところでございます。  その上で、更に必要な場合には、文部科学大臣が定める基本指針や、法案第三十条に基づきまして、運用方法の見直しや停止、繰上償還などの必要な対応をJSTに求めるということを考えているところでございます。
  80. 畑野君枝

    畑野委員 今の御答弁、確認ですけれども、大学が出した寄託金とか拠出金の損失がある、そういうリスクもあるということですね。確認です。
  81. 杉野剛

    杉野政府参考人 大学ファンドの運営におきましては、各大学からも拠出金を出していただくように、資金を拠出していただくようにお願いをするということを想定しております。そうした大学から拠出された資金も併せまして、一体的に運用を図ろうとしているところでございます。  可能な限りリスクを回避して確実な収益を上げることを基本としておりますけれども、一時的な損失が発生する場合に大学からの拠出金も含めてそういった事態が発生し得るということは、御指摘のとおりでございます。
  82. 畑野君枝

    畑野委員 大臣、そういうことでよろしいですね。
  83. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 はい、そういうことです。
  84. 畑野君枝

    畑野委員 現在の低金利の下で、運用の委託先に支払う手数料なども考えれば、株式運用の比率を増やすことになるのではないかと思います。  GPIFは、基本ポートフォリオを変更し、設立当初一一%だった国内株式の資産構成割合を二五%に引き上げました。伺いますが、大学ファンドもこれに倣うのでしょうか。また、GPIFは、国内大企業の株価引上げの手段に活用されております。大学ファンドは、日銀、GPIFに次ぐ第三の公的マネーによる株価対策の手段とされるのではないかということについて伺います。
  85. 杉野剛

    杉野政府参考人 大学ファンド資金運用に当たりましては、世界に伍する研究基盤の構築のための支援長期的、安定的に行うことを目的といたしまして、法案第二十八条に定めるとおり、長期的な観点から安全かつ効率的に運用を行うことを基本的な考え方としておるところでございます。  このため、運用実績を持つGPIFあるいはアメリカ大学基金などを参考といたしまして、市場の短期的な動向よりも長期的な観点から、リスクをできるだけ抑制しつつ確実な収益を目指すことや、そのためにも、特定の資産に偏ることなく国内外の様々な種類の資産に分散して投資を行うことなどを運用基本指針とすることを想定しているところでございます。  実際の運用に当たりましての具体的なポートフォリオの在り方につきましては、今後、CSTIの下に設置する予定の有識者会議におきまして、国内外投資環境などを考慮した上で、経済金融等専門家の協力も得ながら、幅広く知見を集めて、今後検討することとしております。  なお、本ファンドは、世界に伍していく研究大学助成できるよう運用益の確保を図るものでございまして、御指摘のような株価対策の手段としての運用目的とするものとは考えておりません。
  86. 畑野君枝

    畑野委員 そういうふうに政府はおっしゃいながら、日銀もGPIFもそういうふうに使われてきているわけですよ、実際は。みんな知っていることです。  ちょっと確認ですが、運用資産の銘柄別の情報公開はいたしますか。
  87. 杉野剛

    杉野政府参考人 実際の運用方針あるいは情報公開の方針につきましては今後の検討課題だと思っておりますけれども、先行いたします公的ファンドでありますGPIFでも保有する銘柄は全て情報公開しております。その前例に倣って検討を進めたいと考えているところでございます。
  88. 畑野君枝

    畑野委員 聞けば聞くほど不安定な、運用益支援するというのは私は無責任だと思いますよ。  大学ファンドによる助成事業で若手研究者への支援を行うというふうにおっしゃるんですが、それでは伺いますけれども、ファンドへの参画大学ファンドによる助成事業の対象となるというのは、どのような大学を想定していらっしゃいますか。
  89. 杉野剛

    杉野政府参考人 大学ファンドによる助成事業によりまして、若手研究者、わけても博士課程学生の支援検討しておりますけれども、この支援につきましては、博士後期課程を置く大学、これは全国七百八十大学のうち約四百五十大学ございますけれども、博士後期課程を置く大学のうち、例えば、充実した教育プログラムがあり、キャリアパスの確保や学生への経済支援などに意欲的に取り組む、そういった専攻あるいは研究科を持つ大学を対象として選ぶことを想定しているところでございます。
  90. 畑野君枝

    畑野委員 幾つぐらいになるんですか。
  91. 杉野剛

    杉野政府参考人 先ほど申し上げました数字は、全国七百八十余りある大学のうち、博士後期課程を持つ大学が約四百五十校、約六割の大学に博士後期課程があるということを御紹介しましたけれども、その中から、先ほど申し上げました要件を満たす、かつ、そういったことで申請をしてくる大学を対象に審査をして選ぶということになりますので、現段階で何校程度ということを申し上げることは難しいわけでございますけれども、少なくとも、世界に伍する研究大学として、限られた数の大学支援を受けますけれども、それよりは幅広く、地方大学も含めて選ばれるのではないかというふうに想定しているところでございます。
  92. 畑野君枝

    畑野委員 法案を出すときに、選ばれるのではないかとか、そういう分からないことを言ってもらったら困るわけですよ。  法案第二十三条に、JST業務の範囲が規定されています。今回、第六項で助成事業が加えられるんですが、国際的に卓越した科学技術に関する研究環境整備充実並びに優秀な若年の研究者育成及び活躍の推進に資する活動助成するというふうに言っているんですね。  昨年十二月八日の総合経済対策では、ファンドへの参画に当たって、自律した経営、責任あるガバナンス、外部資金の獲得増等の大学改革へのコミットやファンドへの資金拠出を求めるというふうにしているんです。  こういうふうに言ったら、政府の言う大学改革に取り組む大規模大学、本当に限られた大学になるんじゃありませんか。大臣、どうですか。
  93. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先ほど他の委員にも申し上げましたけれども、当面、数校程度を想定しています。  ただ、初めから総合的な評価のみで判断すると、いわゆる、よく言われるような大学名がぼっと出てくると思うんですけれども、私は、地方などでも非常に卓越した研究などを行っているし、また、非常に安定的な経営をやっている地方大学もたくさんありますので、チャンスはいずれにもあるという形でスタートしたいと思っています。  その上で、今は、結局、例えば寄附税制なども日本の場合はまだ成熟していませんので、なかなか個人寄附が学校などに集まりませんけれども、今回のこのファンドをきっかけに、大学自らがお金を集める、しっかり投資をしていくというような形をつくっていくことができれば、まさに日本大学文化そのものを変えていくことができるんじゃないか、そういう期待もしておりますので、是非いい大学を選んで、いい運営を選んで、結果を出しながら、それを増やしていくという努力をしていきたいなと思っています。
  94. 畑野君枝

    畑野委員 数大学というふうに言われると、本当にショックが大きいですね。  昨年十二月二十日に放映されたNHKスペシャル「パンデミック 激動の世界」六「“科学立国”再生への道」を見ました。衝撃的な内容でした。番組では、昨年十月に新型コロナの治療薬の候補を発見したと、世界で最も多くダウンロードされた論文を発表した鹿児島大学の三人の研究チームを紹介しています。  最も若い三十五歳の特任助教、外山政明さんは、薬のエキスパートとして欠かせない、チームでただ一人の薬学部出身の方です。馬場昌範さんのチームの下で活躍されています。ところが、この外山さんは非正規雇用の研究者なんです。このまま今年のこの春以降も研究を続けられるかどうか分からないということです。  番組では、重要な役割を担う若手研究者が短い期限付でしか働けないという現実、これこそが、日本の科学が低迷している重大な要因として問題視されていました。私もそうだと思うんです。  資料を配付しておりますが、二枚目です。文部科学省にいただきました。二〇〇九年に全国の国立大学で働く四十歳未満の研究者のうち期限付の雇用は四九・一%だったのが、二〇一九年には六五・九%と大きく増えました。  運営費交付金の削減、成果指標に基づく再配分、研究費の競争的資金化など、政府が求めるそうしたものに応える大学に資源を重点配分する選択と集中、これで、多様で独創的な基礎研究分野が縮小するとともに、期限付プロジェクト研究が増えて、任期付教員を増やさざるを得なくなっているんです。  こういうのを見ていますと、学生たちは博士課程への進学を諦めてしまう、先輩たちを見ていれば。ですから、その対象大学も限定される。これは選択と集中を一層進めるものだと言わなくてはなりません。  伺います。  三枚目の資料に、科学技術・学術政策研究所が二〇一八年三月にまとめた「日本大学システムのアウトプット構造:論文数シェアに基づく大学グループ別の論文産出の詳細分析」というのを出されています。二〇〇九年から一三年の自然科学系、分数カウントによる論文数シェアです。  第一グループは、論文数シェアが一%以上の大学のうちの上位四大学、ここでは大阪大学、京都大学東京大学、東北大学が挙げられています。第二グループは第一グループを除く十三大学、第三グループは二十七大学、第四グループは百四十大学ということです。  次の資料四を見ていただきますが、そこに書かれているのは、各大学グループの論文数において責任著者が他大学グループに属する論文数の割合は約二割を占めている、大学グループ間の相互依存性も高まっていると言える、例えば、第三グループ、第四グループの大学研究活動の低下は第一グループの論文生産数にも影響を与える可能性があるというふうに指摘しているんですね。  私は、研究力向上というなら、選択と集中ではなく、研究力の裾野を広げる支援こそ求められているのではないかと思いますが、どういう認識でいらっしゃいますか。
  95. 板倉康洋

    板倉政府参考人 お答えいたします。  科学技術政策研究所によります先生御指摘の詳細分析によりますと、我が国の論文につきましては、十年単位で比較した結果でございますが、責任著者が海外機関や他の大学グループに所属する論文数の割合が増加するなど、国内外大学間の相互依存が高まっていると承知しております。  このため、我が国研究力の向上に向けては、大学ファンド創設による世界に伍する大学育成とともに、運営費交付金等の全ての大学に共通する基盤的経費、また、科研費等の競争的資金によるデュアルサポートの充実を図ることが重要であるというふうに認識しております。
  96. 畑野君枝

    畑野委員 昨年十二月の総合経済対策では、ファンドが行う助成事業と関連する既存事業の見直しを図るとしています。  大臣伺いますが、ファンド助成メニューとダブる事業は見直し、その分、運営費交付金や私学助成を減らすということなんでしょうか。そんなことがあってはならないと思いますが、いかがですか。
  97. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 私としては、大学ファンドによる支援は、国立大学法人運営費交付金や私立大学の補助金といった基盤的経費とは異なるものと考えておりまして、今後とも、こうした基盤的経費、さらには競争研究費なども含めて、必要となる大学への資金が十分に確保されるように努めてまいりたいと思います。  その上で、先ほど先生もおっしゃったように、私も問題意識は同じで、裾野を広げることとトップを高くすること、両方やりたいと思っています。  今年度、御案内のとおり、創発的研究というのを始めまして、約七百人を採択します。若手の皆さんが十年間腰を据えて基礎研究に取り組める環境を初めてつくらせていただきました。また、先ほど答弁しましたけれども、修士課程から博士課程に行かれる一万五千人の皆さんが、生活費を心配しないで博士課程でしっかり学んでもらえる、研究に没頭できる、そういう環境もつくってきました。  その上での今度はファンドでありますので、何か一つやるんじゃなくて、全体で底上げをしていかないといけないと思っていますので、そういう覚悟で臨んでまいりたいと思います。
  98. 畑野君枝

    畑野委員 創発的若手挑戦事業も、ファンド運用益が出るまでのつなぎにしないで、これを拡充していただきたいと思います。  最後に、大臣、このコロナ禍で、大学院生も学生も本当に困っているんです。大学院生協議会がまとめたアンケートでは、コロナ禍で収入が減ったが四三・三%、無収入になったのが一〇・三%と半分以上なんです。それで、是非、二度目の緊急事態宣言ですから、学生支援緊急給付金を再度出してほしい、残っているということですから。  それと、追加なんですけれども、授業料減額、免除と学費納入猶予がもう二月だというんです。それを院生から昨日伺いました。これも余っていると、国立も私学も。だから、是非、学費減免を含めて支援を徹底していただきたい。そのことだけ伺って、終わりますが、いかがですか。
  99. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症影響経済的に困難な学生が修学、進学を諦めることのないよう、しっかりと支えることが何より重要と考えております。  学びの継続のための学生支援緊急給付金につきましては、学校が推薦すべきと判断した全ての学生約四十二万人にまずは支給をさせていただきました。そのうち大学院生は三・四万人、学部生は二十九・九万人に支給しており、利用されていない額が約三十五億円ございます。  学生の“学びの支援”緊急パッケージを昨年十二月に改定しまして、無利子奨学金の充実や休学する学生への対応などの追加の支援策を盛り込んだところです。  これで年度末に向かいますので、よく現場、声を聞いて、まず、このパッケージは生きていますので、困っている学生さんには更なる追加をしたいと思いますし、誰一人取り残すことなく、しっかりサポートできる体制強化してまいりたいと思います。
  100. 畑野君枝

    畑野委員 是非支援を緊急にお願いしたいということを訴えて、質問を終わります。
  101. 左藤章

    左藤委員長 次に、藤田文武君。
  102. 藤田文武

    藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。  今日は、法案に入る前に、補正関連でGIGAスクールについて少し、前段お話を聞きたいと思います。  GIGAスクール構想では、これまで高校生の端末整備というものには予算はついていなかったわけでありますけれども、今回の補正予算で低所得者向けの予算がついている、そこだけなんですけれども。  まず確認として、文科省としては、高校生に一人一台の端末を進めていって、小中高の百二十万人の児童生徒全員が、一人一台の端末、クラウド環境下での学びを実現することを目指すというのは、これは間違いないということでよろしいですか。また、それはいつまでという期限を切っておられますか。お答えください。
  103. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省としては、高校生も含め、全ての子供たちに対するICT環境整備が急務と考えております。  このため、高校の端末整備については、自治体等設置者が独自財源で調達する事例や個人の端末の持込み、いわゆるBYODを進める事例など、多様な実態があることを前提に、設置者に対して整備を促して支援をする観点から、令和二年度第三次補正予算案において、低所得世帯の高校生への貸与等を目的として設置者が行う端末整備に対する補助を行う方向で考えているところでございます。  文科省としては、こうした支援を行いつつ、取組が遅れている自治体に対しては、一人一台端末環境に向けた目標設定や達成するための整備計画の策定に取り組むよう働きかけますとともに、その進捗状況を随時把握し、必要に応じて措置を講ずるなど、義務教育におきまして一人一台端末環境で学んだ児童生徒が高校に進学した後も同様の条件で学べる環境が一日も早く整うように、自治体等と緊密に連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  以上です。
  104. 藤田文武

    藤田委員 ありがとうございます。  補正予算で低所得者向けの予算がついたことは私は喜ばしいことだと思うし、前進していますし。ただ、この多様な実態、今局長答弁していただいたように、生徒用の端末の整備は、自治体が地方財政措置又は本補正予算内の地方創生臨時交付金を活用する、又は保護者負担というようなことが、多様な実態があるというふうに今おっしゃっていただきましたが、まず確認で、低所得者向けというのは、この低所得者の定義というのはどの辺りで切っておられるかということと、それは全体の何%を想定されているか、お答えいただけますか。
  105. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  これまで高校の端末整備につきましては、文部科学省では、教育のICT化に向けた環境整備五か年計画、これは二〇一八年から二〇二二年度の間の計画でございますが、これを踏まえまして、三人に一台分の端末整備に対する地方財政措置を講じたり、あるいは私学助成支援をしたりするとともに、御指摘のありました新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用事例として高校の端末整備を明示することなどを通じて、設置者による整備を促してまいったところであります。  自治体など設置者は、このような取組を活用して、独自財源で調達をしたり、あるいは個人の端末の持込み、いわゆるBYODを進めたりするなど、多様な実態がありますことから、文部科学省としては、設置者に整備を促して支援をする観点から、令和二年度の第三次補正予算案において、低所得世帯の高校生への貸与等を目的とした、設置者が行う端末整備に対する補助を行う方向で考えているところでございます。  その際の低所得世帯に対する補助について、原則として高校生等奨学給付金を受給している者の数を上限に、したがいまして、おおむね全体の一割程度に対して補助を行うことを想定しつつ、予算の範囲内で対応していくことを考えているところでございます。  以上です。
  106. 藤田文武

    藤田委員 ありがとうございます。  ここまでは確認していたんですが、それでいうと、一割の方に百六十一億円でカバーしている。私は、このGIGAスクール構想は前倒しになっていますし、コロナの状況で学習環境が結構変わっているので、やはり、これは一〇%で百六十一億円ということは、約一千六百億円ぐらいをざっとつけた方がいいんじゃないかなというのが問題意識であります。  それは、通常時であれば、多様な実態を見ながら、多様な実態に合わせながら徐々に、漸次進めていくというのは、それは合理的かもしれませんが、こういう、環境が前倒しで変化が激しくなっているわけでございますから、その方がいいんじゃないかなというふうに思います。  その案として地方創生臨時交付金の活用があるわけですけれども、この地方創生臨時交付金、いわゆる自治体のつかみ金、これは優先順位、やはり地域の実情によって意思決定は違うわけですよね。  その中で、私の地元じゃないんですけれども、とある都道府県の教育委員会が、二次補正の予算で地方創生臨時交付金の活用をして高校生の端末を整備しようというふうに働きかけというか要望をした際に、高校生の端末の整備にこの交付金を使用する明確な指示が文科省からないんだよ、だから優先順位としては、ある種の首長の判断、その役所の判断になりますよという、お茶を濁されて、整備できなかった自治体がある。  何か、文科省は、先ほどの答弁にもあったように、是非進めてほしい、プランを組んでいつまでにやるんだとけつをたたくわけですけれども、この緊急時のコロナの状況でもありますから、そういったひっかかりみたいなものをほぐしてあげた方が私はいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、そういった自治体が存在するという実態については把握されているでしょうか。
  107. 瀧本寛

    瀧本政府参考人 お答え申し上げます。  文部科学省では、昨年五月、この臨時交付金を担当しております内閣府とも調整の上で、新型コロナウイルス感染症対策地方創生臨時交付金の活用事例として高校の端末整備を明示をして自治体に向けて周知するなど、積極的な活用を促してまいりました。具体的には、五月の時点、六月の時点、さらには十月の時点で、通知をしたり行政説明の中で周知をしたりということで取り組んできたところでございます。  こうした中で、現在、この臨時交付金を活用して、今年度中に高校の一人一台端末環境整備を行う自治体もあるということは承知しております。  一方で、先生から御指摘あったとおり、自治体の中の優先順位ということで、残念ながらというところもあるのかもしれませんが、元々BYODを検討している中で、国の動きを見ながらその方針を出すのを一時的に止めていたような県もございますし、それぞれの県が様々でございますが、現時点でいいますと、四十七都道府県の中で既に三十四の自治体が一人一台整備する、財源については、それぞれ様々な、臨交金を含め、独自財源を含め様々でございますけれども、ということで推進をしているところでございます。  私どもとしては、引き続き、高校の端末整備が円滑かつ迅速に進むように、とりわけ、御指摘のような、整備に悩んでいるといいましょうか、様々な検討を加えておられる自治体も含めて、現在の取組状況等を随時把握をしながら、必要に応じまして、私ども、整備を進める際の専門家のアドバイザーとして、ICT活用教育アドバイザー、整備の計画から様々な手法から含めてアドバイスをする専門家でございますが、このICT活用教育アドバイザーを派遣して相談に応じるなど、高校のICT環境整備に向けては自治体と一緒に連携をして取り組んでまいりたいと考えているところでございます。  ありがとうございます。
  108. 藤田文武

    藤田委員 ありがとうございます。  局長からは終始前向きな答弁をいただきましたが、大臣、今のような、教育の自治とはいいましても、先ほど局長が挙げていただいたような、ある種の指示待ちというか、文科省からの明確な指示がないゆえにお茶を濁しているというところも現場の実態としてはあるということで、もう少し強いメッセージを、通知でも大臣の何らかのメッセージでもいいんですけれども、各教育委員会とそれから自治体のそういう裁量性をうまく解きほぐしていくようなメッセージを、是非強いメッセージを出していただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
  109. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 先生の地元じゃないという前置きがあっての話ですからほっとしましたけれども。  私、申し訳ないけれども、この世の中の動きで、首長が高校生の端末は後回しでいいんだと判断するんだとすれば、それは、その自治体のやはり大きな責任があると思いますよ。こうやって、使えるメニューについてはちゃんと説明しているわけですから。それを使って、あとはもうマインドの問題だと思いますよ。  現に、小中学校は四年間を突然一年に前倒ししたわけじゃないですか。そうしたら、中学生まで一人一台端末を持っていたら高校生もあった方がいいよねって、これはもう国会の中でいつも話題に出ていたことでありますし、それをぼうっと見ていたんじゃなくて、ちゃんと地財措置もしながら今日までやってきましたので。私は、済みません、御相談のあった自治体に、それはメッセージどうのこうのよりは、首長のマインドの問題だと言っていたぞと、こう言っていただいた方がありがたいなというふうに思っております。  いろんな財政事情があって優先順位があるのは分かりますけれども、せっかくこういう世の中になってきたんだし、他方、コロナはまだしばらく続いているわけですよね。高校生だって、もしかしたら学校によっては休校を余儀なくされる場合もあるわけです。そのときに、オンラインで授業を支障なく、遅れなく進めることができるようにするのはまさにそれぞれの自治体の長の責任だと私は思います。  そのための財政的な支援も含めてしっかりやっているつもりでございますので、逆に、先生から大いにメッセージを出していただければありがたいなと思います。
  110. 藤田文武

    藤田委員 力強いメッセージをいただきましたので。まあ、そこまで言っていただいたので、まさにどこの自治体か言わなくてよかったなというふうに思います。教育委員会の方も名前を出さないでほしいという要望がありましたので。今回のメッセージ、非常に強いメッセージだと思いますので、伝えたいというふうに思います。  それでは、法案、何問かさせていただきたいと思います。  このファンドについてはGPIF並みのいわゆる三%以上の収益率を目指すということが、私も文科省の方から聞いているわけでありますけれども。先ほど他党の委員も御指摘があったように、この市況の中で三%以上を目指すということは、一定のリスク資産やオルタナティブのような投資を組み入れていかないとなかなか難しいんじゃないかなという目標設定でもあると言えると思いますけれども、この辺りの、今の、現時点での想定、御認識をお答えいただけたらと思います。
  111. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 必ずしも三%ありきじゃなくて、ポートフォリオを含めた運用の仕方をGPIFをまねて、それに後ろからついていくようなイメージで頑張ってみようというのが正直なところです。  大学ファンド資金運用に当たっては、長期的な観点から、国内外の様々な種類の資産に分けて投資をするいわゆる分散投資を行うことにより、リスクを分散、抑制しながら必要な収益を確保することを基本的な考えとしています。このため、本法案では、GPIFと同様に幅広い資産運用方法を定めており、国内外の債券、株式に限らない多様な資産運用先生からも御紹介のあったオルタナティブ投資なども含めた、そういった資産運用が可能となっております。  なお、実際の運用に当たっての具体的な資産構成の在り方については、国内外投資環境などを考慮した上で、経済金融等専門家の協力も得て、幅広く知見を集めながら、今後しっかりと検討してまいりたいと思っています。
  112. 藤田文武

    藤田委員 ありがとうございます。  私自身は、この大学ファンドについては肯定的です、まず。分散投資に関して、こういったある種のオルタナティブや株式、リスク資産を一定組み込んでいくことも是としています。  ですから、反対の立場でないんですけれども、いわゆるガバナンスが多分大事だと思うので、そこは、今日は割愛しますけれども、しっかりやってもらいたいと思います。  それから、やはり気になるのは助成対象。先ほど共産党の先生のお話もありましたが、おっしゃられるような論調の不安は確かに分かるなとも思います。  その中で、大学の要件について、これはいろいろ事前にヒアリングしましたが、先ほど大臣からも答弁あられたように、研究の強さですね、プラス組織マネジメント、大学改革、それから、そこには集金力もある程度含まれてくる。この辺り、総合力で見るというのは、ある種、裁量性に任される判断も入り込む余地があるということも言えると思うんですが、今の、現時点での、要件に対しての考え方をお答えいただきたいのと、それから、その助成業務はやはり透明性、公正性が大事だと思うんですね、これの担保についてどのように考えておられるか、お示しいただけたらと思います。
  113. 杉野剛

    杉野政府参考人 お答えいたします。  大学ファンドにつきましては、科学技術あるいはイノベーション中核でございます大学研究力を強化するために、世界に伍する研究環境の創出を目指すものでございまして、まずは、世界に伍していく研究大学に向けた高いポテンシャルと明確なビジョンを持っていて、大学改革の加速に取り組むような大学、さらには、博士後期課程学生などの若手人材育成等に意欲的に取り組む大学、こういったことを基本的な要件といたしまして助成を行いたいと考えております。  具体的な大学の選定基準あるいは配分方法につきましては、今後、CSTIの下に設置されます予定の有識者会議の議論を踏まえまして、文部科学省といたしましては、関係府省と協力して検討することとしておりますけれども、委員御指摘の選定、配分の公平性、透明性につきましては大変重要と考えております。こういった公平性、透明性が担保できますように、しっかりと制度設計をしていきたいと考えているところでございます。
  114. 藤田文武

    藤田委員 ちょっと、事務方でもいいので最後に一問だけお聞きしたいんですが。  そもそも、行政の進め方として、今回、大学ファンドをつくるよと、そのつくるためのスキームの法案じゃないですか、今回のは。それで、助成業務は後で有識者会議を開いてしっかりとやっていくよと。でも、ここはある種、決まっていない。でも、ここを今回の質疑でも突っ込まれるわけじゃないですか。  でも、これは普通の民間企業で考えたら、入口と出口があって、出口、出し方が全く決まっていないけれども、入口の、集め方は、スキームをつくってもう集め始めます、公金も入れていくと。これはちょっと、進め方としては、僕はそもそも論としてどうかなと思うんですね。本来であれば、どのような基準によってどのような大学支援していくかというのが決まっていて、入口の議論がセットで行われる。これこそ透明性、公正性が担保される進め方じゃないかなと思うわけです。  特に十兆円規模ファンド、三%だったら三千億の規模お金が動く。それがある種の、有識者会議でいろいろ決めていくんですけれども、裁量幅があるわけですよね、国会審議も通さずに使えるお金が生まれるというわけでございますから。古今東西、人と金が権力ですから、ある種の権力機構をつくり出すわけです。  だから、私は、進め方としては、出口は完全に、ある種の、答弁は白紙ですよね、入口はまずスキームでつくってしまう、こういう考え方についてどう思われるか、一言いただきたいんですが、大臣でも事務方でも構いませんが、いかがですか。
  115. 杉野剛

    杉野政府参考人 我が国研究大学の実態を踏まえますと、欧米のトップクラスの研究大学に伍して今後研究力を高めていくためには、できるだけ早急に大学ファンド創設する必要があると考えまして、今般、補正予算や令和三年度財投計画という形で財政措置をお願いしたところでございます。  そういう意味では、まず最初に、ファンドの仕組みありきという形で審議をお願いしているところでございますけれども、他方、このファンドにつきましては、創設後、実際に各研究大学支援を開始するまでには、一定期間の時間を要するということになります。  私どもといたしましては、その期間を有効に活用いたしまして、御指摘の助成に関わる様々な制度設計を、関係府省とも連携し、また、専門家の御協力もいただきながら幅広く知見を集めて、具体的な制度設計を遅滞なく進めることによりまして、全体としての制度が、遅滞なく運用が始まりますように進めたいと考えているところでございます。
  116. 藤田文武

    藤田委員 事前の情報交換では結構議論したんですが、通告を明確にしていなかったので大変申し訳ありませんが、これは非常に僕は根本論として大事なところだなというふうに思いましたので、真摯にお答えいただいてありがとうございました。
  117. 左藤章

    左藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  118. 左藤章

    左藤委員長 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。畑野君枝君。
  119. 畑野君枝

    畑野委員 私は、日本共産党を代表し、国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部改正案に反対の討論を行います。  法案は、ハーバード大学などのファンドを例に挙げ、国が旗振り役となって研究資金確保のためのファンドを立ち上げようというものです。  しかし、海外大学ファンドは卒業生の寄附がその主な原資であるなど、日本大学とは歴史的、文化的背景が大きく異なっています。こうしたことを無視し、形だけ海外大学をまねしても、大学資金を確保するなど極めて困難と言わなければなりません。  本法案ファンド資金運用は、年金積立金管理運用独立行政法人、GPIF法と同様の仕組みで行うとしていることも重大です。GPIFは、二〇一九年度期で八兆二千八百三十一億円の運用損を出しています。運用益確保には大きなリスクが伴います。高等教育機関として安定した運営が求められている大学研究資金の確保を、大学自身が大きな損失リスクを負う方法で行うべきではありません。  また現在の低金利の下で運用益を出そうとすれば、GPIFが発足当初に比べ、国内株式の運用比率を大きく拡大していったように、大学ファンドも株式での運用が増えることが予想されます。GPIFが国内大企業の株価対策の手段とされているように、十兆円規模大学ファンドから数兆円が株式市場に投入されれば、日銀、GPIFに次ぐ第三の公的マネーによる株価対策の手段とされるおそれがあります。  大学ファンド助成事業は、若手研究人材育成目的とするといいますが、その対象は、国際的に卓越した科学技術に関する研究環境整備充実や、優秀な若年の研究者育成及び活躍の推進に資する活動に限られています。参画大学にも、自律した経営、責任あるガバナンス、外部資金の獲得増等の大学改革へのコミットやファンドへの資金拠出を求め、ファンドを使って大学イノベーション創出に活用しようというやり方も問題です。  今日の研究力低下や若手研究者不足という課題の解決に必要なのは、高等教育全体に対する公的支援の底上げです。大学ファンドでは、大学経営に大きなリスクを負わせるだけで問題の解決にはつながらないということを指摘し、討論とします。
  120. 左藤章

    左藤委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  121. 左藤章

    左藤委員長 これより採決に入ります。  内閣提出国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  122. 左藤章

    左藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  123. 左藤章

    左藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、白須賀貴樹君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党及び日本維新の会・無所属の会の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。菊田真紀子君。
  124. 菊田真紀子

    ○菊田委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明に代えさせていただきます。     国立研究開発法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 本法による大学に対する助成のための基金のような大規模かつ新たな仕組みを創設する際、補正予算で計上する場合にはその緊要性を含め、国会において十分に審議ができるよう努めること。  二 本法による大学に対する助成のための基金創設に伴い、これまで措置されてきた運営費交付金競争研究費などの大学への資金が十分に確保されるよう、引き続き大学長期的、安定的な運営及び研究基盤構築のための財政措置を講ずること。  三 国立大学法人から寄託された資金運用及び大学に対する助成に関する資金運用については、その責任の所在を明確にするとともに、必要に応じて国会に対する説明責任を果たす等情報公開に努めること。また、機構のガバナンス体制強化し、運用業務担当理事及び運用・監視委員に適切な人員を配置し、安全かつ効率的な運用が着実に行える体制を構築すること。  四 文部科学大臣が定める助成業務基金運用に関する基本指針については、運用開始当初は運用益相当割合元本強化に充てるとともに、長期的な視点から安全かつ効率的な運用が着実に行われるよう、有識者等の意見を踏まえた十分な検討の上で定めること。また、助成対象となる大学の要件についても、世界レベル研究基盤を構築する観点から、公平性を担保しつつ、地方大学を含め、適切な大学助成を行い、多くの若手研究者に十分な資金を配分できるよう、有識者等の意見を踏まえた十分な検討の上で定めること。 以上であります。  何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  125. 左藤章

    左藤委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  126. 左藤章

    左藤委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。萩生田文部科学大臣
  127. 萩生田光一

    萩生田国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  128. 左藤章

    左藤委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 左藤章

    左藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  130. 左藤章

    左藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十八分散会