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畑野委員 数
大学というふうに言われると、本当にショックが大きいですね。
昨年十二月二十日に放映されたNHKスペシャル「パンデミック 激動の
世界」六「“科学立国”再生への道」を見ました。衝撃的な
内容でした。番組では、昨年十月に新型コロナの治療薬の候補を発見したと、
世界で最も多くダウンロードされた論文を発表した鹿児島
大学の三人の
研究チームを紹介しています。
最も若い三十五歳の特任助教、外山政明さんは、薬のエキスパートとして欠かせない、チームでただ一人の薬学部出身の方です。馬場昌範さんのチームの下で活躍されています。ところが、この外山さんは非正規雇用の
研究者なんです。このまま今年のこの春以降も
研究を続けられるかどうか分からないということです。
番組では、重要な役割を担う
若手研究者が短い期限付でしか働けないという現実、これこそが、
日本の科学が低迷している重大な要因として問題視されていました。私もそうだと思うんです。
資料を配付しておりますが、二枚目です。
文部科学省にいただきました。二〇〇九年に全国の
国立大学で働く四十歳未満の
研究者のうち期限付の雇用は四九・一%だったのが、二〇一九年には六五・九%と大きく増えました。
運営費交付金の削減、成果指標に基づく再配分、
研究費の
競争的資金化など、
政府が求めるそうしたものに応える
大学に資源を重点配分する選択と集中、これで、多様で独創的な基礎
研究分野が縮小するとともに、期限付プロジェクト
研究が増えて、任期付教員を増やさざるを得なくなっているんです。
こういうのを見ていますと、学生たちは
博士課程への進学を諦めてしまう、先輩たちを見ていれば。ですから、その対象
大学も限定される。これは選択と集中を一層進めるものだと言わなくてはなりません。
伺います。
三枚目の資料に、
科学技術・学術政策
研究所が二〇一八年三月にまとめた「
日本の
大学システムのアウトプット構造:論文数シェアに基づく
大学グループ別の論文産出の詳細分析」というのを出されています。二〇〇九年から一三年の自然科学系、分数カウントによる論文数シェアです。
第一グループは、論文数シェアが一%以上の
大学のうちの上位四
大学、ここでは大阪
大学、京都
大学、
東京大学、東北
大学が挙げられています。第二グループは第一グループを除く十三
大学、第三グループは二十七
大学、第四グループは百四十
大学ということです。
次の資料四を見ていただきますが、そこに書かれているのは、各
大学グループの論文数において責任著者が他
大学グループに属する論文数の割合は約二割を占めている、
大学グループ間の相互依存性も高まっていると言える、例えば、第三グループ、第四グループの
大学の
研究活動の低下は第一グループの論文生産数にも
影響を与える可能性があるというふうに指摘しているんですね。
私は、
研究力向上というなら、選択と集中ではなく、
研究力の裾野を広げる
支援こそ求められているのではないかと思いますが、どういう認識でいらっしゃいますか。