○平井
国務大臣 この度、
政府から
提出をした
デジタル社会形成基本法につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
情報通信技術が急速に進展し、
国民の生活が大きく変化する中、データの利活用が、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展の実現のために不可欠となっています。また、
新型コロナウイルスへの対応において、国や地方公共団体の
デジタル化の遅れや不十分な
システム連携を背景に煩雑な手続や
給付の遅れが生じるなど、社会全体の
デジタル化の
推進が喫緊の課題となっています。
さらに、少子高齢化等の社会構造の変化により社会の多様性が増していく中、情報通信技術の活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会を実現することが重要です。
この
法律案は、こうした
状況を踏まえ、
デジタル社会の
形成に関する
施策を迅速かつ重点的に
推進し、もって
我が国経済の持続的かつ健全な発展と
国民の幸福な生活の実現に寄与することを目的とするものであります。
次に、この
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、
デジタル社会を、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて自由かつ安全に多様な情報又は知識を世界的規模で入手し、共有し、又は発信するとともに、先端的な技術を始めとする情報通信技術を用いて電磁的記録として記録された多様かつ大量の情報を適正かつ効果的に活用することにより、あらゆる分野における創造的かつ活力ある発展が可能となる社会と定義することとしております。
第二に、
デジタル社会の
形成に関し、ゆとりと豊かさを実感できる
国民生活の実現、
国民が安全で安心して暮らせる社会の実現、
利用の機会等の格差の是正、個人及び法人の権利利益の保護等の
基本理念について定めることとしております。
第三に、
デジタル社会の
形成に関し、国、地方公共団体及び
事業者の責務等について定めることとしております。
第四に、
デジタル社会の
形成に関する
施策の策定に当たっては、多様な主体による情報の円滑な流通の確保、高度情報通信ネットワークの
利用及び情報通信技術を用いた情報の活用の機会の確保、人材の育成、生産性や
国民生活の利便性の
向上、
国民による国及び地方公共団体が保有する情報の活用、公的基礎情報データベースの
整備、サイバーセキュリティーの確保、個人情報の保護等のために必要な
措置が講じられるべき旨について定めることとしております。
第五に、別に
法律で定めるところにより、
内閣に
デジタル庁を設置し、
政府が
デジタル社会の
形成に関する重点計画を作成するとともに、高度情報通信ネットワーク社会
形成基本法を廃止することとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、
デジタル庁設置法案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この
法律案は、
デジタル社会形成基本法に基づき、
デジタル社会の
形成に関する司令塔として、強力な
総合調整機能を有する
デジタル庁を設置し、
デジタル社会の
形成に関する
施策を迅速かつ重点的に
推進することを目的とするものであります。
次に、この
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、
デジタル庁の設置、任務、所掌
事務について定めております。
デジタル庁は、
内閣により、
デジタル社会の
形成についての
基本理念にのっとり、
デジタル社会の
形成に関する
内閣の
事務を
内閣官房とともに助けること、
デジタル社会の
形成に関する
行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを任務としております。
また、その任務を達成するため、
デジタル社会の
形成のための
施策に関する
基本的な
方針に関する企画立案及び
総合調整をつかさどるほか、
デジタル社会の
形成に関する重点計画の作成及び
推進、
行政手続における特定の個人又は法人その他団体を識別するための番号等の
利用、情報通信技術を用いた本人確認に関する総合的かつ
基本的な政策の企画立案及び
推進、データの標準化、外部
連携機能及び公的基礎情報データベースに関する総合的かつ
基本的な政策の企画立案及び
推進、国の
行政機関、地方公共団体その他公共機関及び公共分野の民間
事業者の情報
システムの
整備及び管理の
基本的な
方針の作成及び
推進、国の
行政機関が行う情報
システムの
整備及び管理に関する
行政各部の事業の統括及び監理等をつかさどることとしております。
第二に、
デジタル庁の組織について定めます。
デジタル庁は、
内閣総理大臣を長とし、
事務統括権、
関係行政機関の長に対する勧告権等を有する
デジタル大臣を置くとともに、副
大臣一人、
大臣政務官一人に加え、
デジタル大臣に進言等を行い、かつ、庁務を整理し、各部局及び機関の
事務を監督する
内閣任免の特別職である
デジタル監等を置くこととしております。
また、
デジタル庁に、全ての
国務大臣等をもって組織する
デジタル社会推進会議を置くこととしております。
なお、この
法律は、一部を除き、
令和三年九月一日から施行することとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、
デジタル社会の
形成を図るための
関係法律の
整備に関する
法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
情報通信技術が急速に進展し、
国民の生活が大きく変化する中、データ利活用の
重要性が高まっており、データの適正な
利用のためのルール
整備と併せ、マイナンバーの情報
連携の
促進やマイナンバーカードの利便性の
向上及び普及の
促進等を図る必要があります。また、
新型コロナウイルス感染症への対応において、押印、書面を前提とした
制度、慣行がテレワークの支障となるなど、社会全体の
デジタル化の
推進が喫緊の課題となっています。
この
法律案は、こうした
状況を踏まえ、
デジタル社会形成基本法に基づき
デジタル社会の
形成に関する
施策を
実施するため、個人情報の保護に関する
法律、
行政手続における特定の個人を識別するための番号の
利用等に関する
法律等の
関係法律について所要の
整備を行うものであります。
次に、この
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、個人情報の保護に関する
法律、
行政機関の保有する個人情報の保護に関する
法律、独立
行政法人等の保有する個人情報の保護に関する
法律の三法を個人情報の保護に関する
法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護
制度についても改正後の個人情報の保護に関する
法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護
委員会に一元化する等の
措置を講ずることとしております。
第二に、国家資格に関する
事務等における
個人番号の
利用や情報
連携を拡大するとともに、従業員本人の同意があった場合における転職時等の使用者間での特定個人情報の提供を可能とすることとしております。
第三に、地方公共団体が指定した郵便局におけるマイナンバーカードの電子証明書の発行、更新等、公的個人認証サービスにおける本人同意に基づく
基本四情報の提供及び電子証明書の移動端末設備への搭載を可能とする等の
措置を講ずることとしております。
第四に、地方公共団体情報
システム機構の代表者
会議に主務
大臣又はその指名する者を加えるとともに、同機構の
個人番号カード
関係事務について、国が目標設定、計画認可、財源
措置を行うこととするなど、国によるガバナンスを強化することとしております。
第五に、押印を求める手続についてその押印を不要とするとともに、書面の交付等を求める手続について電磁的方法により行うことを可能とすることとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、
公的給付の
支給等の迅速かつ確実な
実施のための
預貯金口座の
登録等に関する
法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この
法律案は、
デジタル社会形成基本法案に定める
デジタル社会の
形成についての
基本理念にのっとり、
デジタル化等による
公的給付等の受取手続の簡素化、迅速化を進めるため、各
行政機関等が行う
公的給付の
支給等に
利用することができる
預貯金口座を、
内閣総理大臣にあらかじめ登録し、
行政機関等が当該
預貯金口座に関する情報の提供を求めることを可能とするものです。あわせて、緊急時等の
公的給付の支給を
実施するための情報について
個人番号を
利用して管理できることとする等により、
公的給付の
支給等の迅速かつ確実な
実施を図ることを目的とするものであります。
次に、この
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、
預貯金者は、
公的給付の
支給等に係る金銭の授受に
利用することができる一の
預貯金口座について、オンラインにより、又は金融機関の窓口等を通じ、
内閣総理大臣に申請をして、その登録を受けることを可能とすることとしております。
第二に、
行政機関等は、
公的給付の
支給等に係る金銭の授受をするために必要があるときは、登録された
預貯金口座に関する情報について、
内閣総理大臣に対し提供を求めることを可能とすることとしております。
第三に、
行政機関等は、個別の
法律の規定によらない
公的給付のうち、
国民生活及び
国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害若しくは感染症が発生した場合に支給されるもの、経済事情の急激な変動による影響を緩和するために支給されるものとして
内閣総理大臣が指定するものの支給を
実施しようとするときは、当該支給を
実施するための基礎とする情報を
個人番号を
利用して管理することを可能とすることとしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容であります。
次に、
預貯金者の
意思に基づく
個人番号の
利用による
預貯金口座の
管理等に関する
法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
この
法律案は、
デジタル社会形成基本法に定める
デジタル社会の
形成についての
基本理念にのっとり、
預貯金者の
意思に基づく
預貯金口座への
個人番号の付番を
推進する
仕組みや、災害時又は相続時に
預貯金者又はその相続人の求めに応じ、
預貯金口座に関する情報を提供する
制度を創設すること等により、
行政運営の効率化及び
行政分野における公正な
給付と負担の確保に資するとともに、
預貯金者の利益の保護を図ることを目的とするものであります。
次に、この
法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、
預貯金者は、
預貯金口座への
個人番号の付番を希望する旨を申し出ることができるとともに、金融機関は、預貯金契約その他重要な取引を行う場合に、
預貯金者に対し、付番の
意思について確認しなければならないこととしております。
第二に、
預貯金者本人の
意思に基づき、預金保険機構を介して、一度の申出により、複数の金融機関の
預貯金口座への
個人番号の付番を可能とすることとしております。
第三に、災害又は相続の際に、
預貯金者又はその相続人が、既に付番された
預貯金口座の所在情報を金融機関窓口で確認するサービスを可能とすることとしております。
第四に、国は、預金保険機構及び金融機関と協力して、
預貯金口座への
個人番号の付番について必要な広報等を行うものとするほか、預金保険機構の業務の特例として、この
法律に基づき預金保険機構が行う業務について預金保険法を適用することとする等、所要の規定の
整備を行うこととしております。
以上が、この
法律案の提案理由及びその内容であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことを
お願いを申し上げます。