○後藤(祐)
委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。
新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 まん延
防止等重点措置を公示する際に満たすべき要件について、
新型コロナウイルス感染症対策分科会が提言したステージ1から4、六つの指標及び目安との関係などを含め、あらかじめ客観的な基準を示すこと。
二 まん延
防止等重点措置の公示については、あらかじめ学識経験者の
意見を聴いた上で行うこととし、国会へその旨及び必要な事項について速やかに報告すること。また、まん延
防止等重点措置の公示
期間の延長、区域変更、又は解除についても同様とすること。
三 まん延
防止等重点措置の公示又は緊急事態宣言(以下「緊急事態宣言等」という。)について、都道府県知事からの要請を受けた場合は、当該要請を最大限尊重し、速やかに
検討するとともに、要請に応じない場合は、当該要請を行った都道府県知事に対し、その旨及びその理由を示すこと。また、緊急事態宣言等の延長、区域変更、又は解除についても同様とすること。
四 まん延
防止等重点措置の
実施に当たっては、緊急事態措置以上に、国民の自由と権利の制限は必要最小限のものとすること。また、「まん延を
防止するために必要な措置」とは、主として営業時間の変更及びみだりに出入りしないことの要請であり、営業時間の変更を超えた休業要請、イベントなどによる
施設の
使用停止、新型インフルエンザ等
対策特別措置法(以下「特措法」という。)第四十五条第一項と同様の全面的な外出自粛
要請等を含めないこと。
五 まん延
防止等重点措置においては、国民の自由と権利の制限は必要最小限とすることについて、緊急事態措置における場合より一層配慮すること。また、適用できない「正当な理由」が認められる場合を、具体的なケースを含めガイドラインで明確に示すこと。
六 緊急事態措置における命令及び過料を適用できない「正当な理由」が認められる場合を、具体的なケースを含めガイドラインで明確に示すこと。
七 まん延
防止等重点措置又は緊急事態措置(以下「緊急事態措置等」という。)に係る要請・命令の公表は、
感染拡大防止の観点から逆
効果になったり、誹謗中傷行為等が起きたりしないよう、その影響に配慮すること。
八 緊急事態措置等に係る立入検査の
実施に当たっては、原則として立入先の同意を得て行うこととし、同意が得られない場合も物理力の行使等は行わないこと。
九 罰則・過料の適用に当たっては、国民の自由と権利が不当に侵害されることのないよう、慎重に運用すること。さらに、不服申立てその他救済の権利を保障すること。
十 入院拒否等に対する過料の適用については、現場で円滑に運用がなされるよう、その手順などを分かりやすく示すとともに、適用についての具体例など、適用の適否の判断材料をできる限り明確に示すこと。また、宿泊
施設や居宅の場合も含め、本人、その子供や高齢者などの生活維持に配慮するとともに、必要な
対応を行うこと。
十一 積極的疫学調査の拒否等に対する過料の適用については、PCR等の検査拒否につながるおそれや保健所の
対応能力も踏まえ、慎重に行うこととし、現場で円滑に運用がなされるよう、その手順などを分かりやすく示すとともに、適用についての具体例など、適用の適否の判断材料をできる限り明確に示すこと。
十二 国及び地方
自治体は、かつてハンセン病や後天性免疫不全症候群等の
患者等に対するいわれなき差別や偏見が存在したことを重く受け止め、国民は何人に対しても不当な差別的取扱い等を行ってはならないことを明確にし、悪質な差別的取扱い等を行った者には法的責任が問われ得ること等も含めて周知するとともに、不当な差別的取扱い等を受けた者に対する相談
支援体制の整備など、万全の措置を講ずること。
十三 特措法第六十三条の二に基づく「必要な財政上の措置その他の必要な措置」は、同法第二十四条第九項、まん延
防止等重点措置及び緊急事態措置に係る要請に応じた事業者に対しては、行うものとすること。また、これらの要請に伴う
支援については、要請に応じたこと、要請による経営への影響の度合い等を勘案し、公平性の観点や円滑な執行等が行われることに配慮し、要請に十分な理解を得られるようにするため、必要な
支援となるよう努めること。
十四
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大により所得が減少している国民及び協力事業者以外も含めた事業者に対し、生活及び事業継続等が可能となるよう万全の財政・金融政策を講ずること。
十五
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大に伴う自殺が増加していることから、地方
自治体と連携し、自殺の原因となり得る事由に
対応した
効果的な
対策を講ずること。
十六 国及び都道府県は、
感染者のための病床等を確保するため、地方
自治体及び
医療機関等との連携や協力に応じる
医療機関への費用、収入等経営
状況を踏まえた財政的な
支援など必要な措置を講ずること。また、都道府県知事が
感染症の予防及び
感染症の
患者に対する医療に関する法律並びに特措法第二十四条及び第三十一条に基づき必要な
要請等を行えるものと解釈すること。さらに、正当な理由がなく勧告に従わない場合の医療関係者等の公表は、
医療機関等の事情も考慮し、慎重に行うこと。
十七 国、都道府県、保健所設置市等の間の情報連携の強化に当たっては、
患者等のプライバシーが侵害されることのないよう、個人情報の利用及び関係者による閲覧を必要最小限とすること。また、
新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理
支援システム(HER―SYS)の入力作業の効率化に向けたシステム更改等、負担軽減のための措置を講ずること。
十八
医療機関、介護
施設、障害者
支援施設等の職員等に対する検査を徹底するとともに、エッセンシャルワーカーを含め社会経済活動のための検査が受けやすくなるよう、検査
体制の強化に努めるとともに環境整備を進めること。
十九 約二週間ごとに変異する
新型コロナウイルスに対して、現在流行している変異株を把握し対処するため、ゲノム分子疫学調査(全ゲノムシークエンス)の
実施頻度を高め、速やかに公表すること。また、我が国における
対策に大きな影響を及ぼし得る
新型コロナウイルスの変異株の更なる市中
感染拡大を
防止するため、遺伝子解析等を
実施する検体数の増加、変異株を特定できる技術の確立と普及の促進等、変異株の
感染拡大防止に万全を期すこと。さらに、検疫官増員、検査
機器充実等の
体制強化、
感染防止対策が施された移動手段の拡充の
支援等水際
対策を徹底すること。
二十
感染症研究に係る国の機関の人員及び予算の十分な確保を含め、その
体制を強化すること。また、地方衛生研究所については、
新型コロナウイルス感染症対策における位置付けを明確化し、
国立感染症研究所及び保健所との連携を強化すること。
二十一
新型コロナウイルスに係るワクチン接種を迅速かつ円滑に
実施できるよう、副反応情報、審議会の議事録の速やかな公表など安全性及び
有効性その他の接種の判断に必要な情報を徹底して公表するとともに、住民票の住所地以外に住む者(例えば、単身赴任者や学生等)が当該
地域でもワクチン接種ができるようにすること。また、地方
自治体の接種
体制整備に対し人材や財政措置を含む国による最大限の
支援を行うこと。
二十二 まん延
防止等重点措置が設けられること等により、地方
自治体においても行動計画の見直し等の
対応が必要となることから、特措法の運用指針等を速やかに定め、公表するとともに、運用・解釈に関する地方
自治体からの
質問に対して迅速かつ誠実に回答すること。
二十三 国及び都道府県は、これまでの検査、保健所、医療提供
体制の問題点を検証の上、今後の計画的な整備を図ること。
二十四 新型インフルエンザ等の
感染拡大に伴う諸課題の共有・解決に向け、与野党に対して必要な情報提供を適時、適切に行うとともに、与野党の
意見を尊重して
感染症対策の
実施に当たること。
二十五 新型インフルエンザ等の
感染拡大により緊急事態宣言等の決定に至り得る場合においては、
会議録等の経過記録及び科学的根拠となるデータの保存に万全を期し、国民への説明責任を果たすとともに、海外の関係機関との情報共有を行い、今後の
感染症対策のために活用できるようにすること。
二十六 令和二年五月の緊急事態解除宣言の時期の妥当性など、
新型コロナウイルス感染症の
感染拡大に関する
政府のこれまでの
対応について、今後の
政府の
対応に活用するために、第三者的立場から、客観的、科学的に検証し、その結果を公表すること。
二十七 今次法改正の
実施状況を検証するとともに、前項の検証結果も合わせ、法制度面も含め必要な見直しを行うこと。
以上であります。
何とぞ
委員各位の御賛同をお願いいたします。