○
板倉参考人 弁護士で、
日弁連消費者問題対策委員会副
委員長、こちらは
電子商取引・
通信ネットワーク部会の
部会長というものを兼ねておりますが、
板倉でございます。
本日は、このような
機会を与えていただき、ありがとうございます。
お
手元に私の
意見陳述用の
資料をお配りしておりますので、こちらを参照しつつ、私の
意見陳述をさせていただきたいと思います。
主として、
条文案を既にいただいておりますので、
条文案に順番にコメントするという形を取っておりますが、八ページを見ていただきますと、
最初に附則を載せております。
これは何かと申しますと、いろいろな
法案、最近は、何年
見直しとか、
個人情報保護法などは三年
ごと見直しの
条項などがありますが、本
法案においても、三年を目途として見直すという
条項が入っております。
ただ、非常に
デジタルプラットフォーム関係は
動きが速い。それから、先ほどの
依田先生が
座長の
検討会、私も同じ
日弁連の
肩書で
委員をさせていただいておりましたが、残念ながら積み残しの
論点がいろいろございます。こちらの
論点の
議論や、今回設立されると思われる
デジタルプラットフォームの
協議会等の
状況を見て、三年では遅いということであれば、これは積極的に早めに
見直しの
検討に着手していただきたいと思います。
本当に毎日のように
デジタルプラットフォームないし
インターネットをめぐる事件というのは報道される
状況ですので、せっかく今回ベースになる
法律ができるということであれば、一から作るのに比べれば非常に
議論はしやすいと思いますので、ちゅうちょなく、これは前倒しで
検討していただきたいなと思います。
もう
一つは、先ほどの
検討会の
報告書でも、
消費者庁において必要な人材の
確保その他の
組織体制の充実を図るべきであると記載されたとおりですが、こちらは、
アメリカの
GAFA規制といえば、それはもう
連邦取引委員会、FTCにおいて
相当のパワーを持ってなされているわけでございます。
ヨーロッパにおいても、いろいろな機関が
相当の力を割いて監視、監督を行っているものでありますので、
日本においても相応の人員及び
予算が必要になると思います。
消費者庁等の
関係省庁に十分な
予算、それから
機構・
定員、
予算だけあっても駄目ですし、人だけ割り当てられても、ポジションを横から動かしてくださいでは、やはりこれも困ってしまいますので、
予算、
機構・
定員、是非、全て
確保していただいて、十分な
体制で施行していただきたいなと思います。
九ページに参ります。
こちらは三条の
条文を書かせていただいております。これは
取引デジタルプラットフォーム提供者の
努力義務の
条文ですが、
検討会で、様々な
関係事業者ないし
関係事業者の
団体に来ていただきまして
お話を伺いましたが、残念ながら、最もたちが悪い部類の
事業者というのは、そういう
検討会では、当然来ていただけるわけではありません。
ここで例に挙げておりますような、
情報商材の
取引デジタルプラットフォームのような、どう考えても、その
存在自体が極めて害悪である、この
極悪層というのは、私がつけた
ネーミングではなくて、
検討会の
座長代理をされていた神戸
大学の
中川先生の
ネーミングですが、もう
最初から悪いことをして、いざとなったら逃げるというようなのを
極悪層というふうに
消費者法の分野で呼んでおります。
こういう
取引デジタルプラットフォームについては、やはり、残念ながら
検討会でも
実態把握や
検討が十分ではなかったので、これらの
検討をした上で、今の
努力義務では、彼らは基本的には
効果はないわけです。守る気もないでしょうし、
協議会にも参加しないでしょうから。
効果がないということが分かれば、これは、ちゃんとやっていただける
デジタルプラットフォームに対して
勧告、
命令が出されるということはなくとも、
極悪層の
デジタルプラットフォームに対する
勧告、
命令、さらに、違反した場合の
罰則というのは
検討されるべきものだろうと思います。
それから、その下に記載しておりますのは、
日弁連の方で並行して、
オンラインの
紛争解決手続についての
意見書を出させていただいております。こちらも
資料の三として配付させていただいております。
内容は多岐にわたりますが、
デジタルプラットフォーム関係についても
意見を述べさせていただいておりまして、こちらの我々
日弁連の提案としては、適切な
身分確認等が定期的に行われない等の場合には、たな子ですね、
販売業者等々、
法案では
販売業者等と言っておりますが、
販売業者等との
契約をやめるといったようなことをしてほしいというような
意見の趣旨を述べております。
なので、この
努力義務全てについて
勧告、
命令、
罰則に変えるべきという
意見にはなっておりませんが、
オンラインの
紛争解決をきちんと整備していただく、そのためには、当然、相手方の
身元確認等が
犯罪収益移転防止法のレベルで必要であろうと。こういうことを
確認をして、ちゃんとやっていないというようなたな子については
取引をしないでほしい、その
取引をしないということについて、守っていただけないのであれば、
勧告、
命令、
罰則という仕組みも必要ではないかという
意見を、これは
日弁連として述べております。
十ページに参ります。
十ページは
利用停止要請の
部分ですが、これは割とテクニカルな
部分になってしまうんですが、こちらの定め方が、安全についての
表示が不適切な場合でたな子に連絡がつかないような場合には
利用停止要請ができる、こういうことになっております。全てこれは
表示に係っておりますが、一々、安全ですと書いて
出品する人はいませんので、安全じゃない場合に、その書いてないということを
表示として捉えないと、この
条項は機能しないことになります。
なので、是非ここは、非
表示も
表示に含める、ないしは、非
表示であることを全体として勘案して
表示であるというような解釈ですよというのが
確認できるといいだろうというふうに思っています。
もう
一つ、安全性の判断に資する事項以外は
消費者庁において内閣府令で定めていただくことになっておりますが、これはやはり、
消費者の権利
利益の
保護に必要なものというのが目まぐるしく変わると思いますので、十分な
内容で、かつ
相当の頻度で適切に改正して定めていただきたいなと思います。
それから、十二ページに飛びまして、
販売業者等の開示請求についてですが、こちらの開示請求は、損害があるというふうに主張される場合にたな子に連絡がつかないときに用いる請求になりますが、内閣府令で定める額を超える被害が要るということになりますので、こちらが余りにも高い、例えば何十万円ですとなると、ほとんど行使できないことになりますので、十分に低廉な額で内閣府令は定めてほしいなと思います。
もう
一つ、開示していただく
販売業者等の
情報、こちらが、これも内閣府令に係っているわけですが、同じような
制度として発信者
情報開示というのがあります。これは、関連してプロバイダー
責任制限法の改正が今国会にもかかっておりますが、その発信者
情報開示の対象
情報が限定列挙であったがために、非常に実務家は苦労してきたという事実があります。
なので、今回は、定め方によると思いますので、限定列挙ではなくて例示列挙、包括
条項を入れるような形で是非定めてほしいなと。これは府令レベルでできると思いますので、そのようにしていただきたいなというふうに思います。
それから、十六ページに飛びます。
こちらは、先ほどの
検討会の
報告書の、今後の
検討課題のところを抜いて記載させていただいておりますが、
依田先生からもありましたように、
CツーC取引の
実態把握及び
検討、これはやはり、
検討会としては積み残しだと思っておりますので、速やかに着手してほしいなと思います。
今回、結局、隠れBについては適用するというような形になっております。そうすると、CツーCの
デジタルプラットフォームにおいても事実上従わざるを得ないということになります。いるかもしれないので、結局、この
法律に従う。
他方で、この
法律に従ったとしても、この
法律に従った場合の免責というのはCツーC
プラットフォームのCの
部分はかからないということになって、
事業者としても宙ぶらりんだろうと思います。
議論としては、CツーCのCについては、
消費者法が適用されない、行政
規制等がないので
デジタルプラットフォームにかけるのも変なんだというような考え方も
一つあろうかと思いますが、
他方で、間接侵害のようなものはそれ自身の
責任であるといって定めることは決して
法制上は不可能ではないと思いますので、これは、CツーCの
実態把握、
検討を速やかに行うべきだろうと思います。
それから、積み残しの
論点では、私はやはり、不正、悪質レビューというのを残したのが非常に心残りです。こちらの
検討も速やかに行い、場合によっては、そのレビューを主導するような
コンサルタントであるとか、書いてしまうような人に対する直接の
罰則も含めて
検討すべきだろうと思います。
十七ページに参ります。
こちらも今回は
法案には入っていない話なのですが、外国
事業者の話です。
ここで
発言を引かせていただいているのは、
規制改革
会議の第十四回の貿易・投資等ワーキング・グループという平成二十六年五月二十七日の
会議の議事録で、これは法務省の
民事局参事官が直接コメントされていることでありますが、外国会社について、やはり登記がされていないということについては、いろいろ大変な問題が起きるんじゃないか、特にBツーCは大変な問題が起きるのではないかと平成二十六年の段階で御担当者が言っていますが、大変な問題が起きているわけでございます。
外国会社は、
日本において
取引を継続してするような場合には登記しないといけないことになっていますが、これが全く守られていません。
取引デジタルプラットフォームの
提供者にせよ、たな子である
販売業者等にせよ、外国会社の登記の
義務があるのに履行していないのは、これは単なる違法です。
日本国がなめられているというようなことにもなりますので、是非、これは積極的に代表者登記
義務の履行を徹底させる運用を
お願いしたいと思います。これは、
日弁連でもプロバイダー
責任制限法に関する
意見書の中で述べておりますが、
デジタルプラットフォーム、本法との関係でも同じことが言えます。
さらに、同
民事局の参事官は、場合によっては
取引継続禁止
命令というのもできる、外国会社が不法な目的に基づいて
日本で事業を行う場合にはそういうのもできるんだというようなことを自認されていることであります。なので、
極悪層である
販売業者等というのが
デジタルプラットフォームにはたまに紛れ込むわけですが、そういう者に対しては、法務省自身が御
確認されているとおり、
取引継続禁止
命令、これは、外国会社の事業が不法な目的に基づいて行われたときということですのでハードルは高いのかもしれませんが、例えば、被害者等の利害関係人と法務大臣が協力して申し立てることによって
取引継続禁止
命令を行うということも積極的に是非やっていただきたいなと思っております。
それから、十八ページは、まだ審議入りされておりませんが、特商法等の改正のポンチ絵を貼らせていただいております。
なぜこれを貼っているのかと申しますと、そちらの
法案で、左下に赤く囲みましたが、外国執行当局に対する
情報提供制度を入れるという案が示されております、預託法も含めてですね。
これは当然、
デジタルプラットフォームないしたな子、
販売業者等に対しての執行等を
検討される場合には、
アメリカのFTCであるとか
ヨーロッパの
消費者当局と
情報を交換するんだということも含めて、こちらの
法案でも提案されているというふうに
認識しております。このようなことができるという
体制も含めて、是非、関係当局には、人員、
予算、
機構・
定員等、十分な
体制を構築していただきたいなと思います。
私からは以上です。ありがとうございます。(
拍手)