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末松委員 だから、私も
最低賃金の
アップというものをずっと
研究した結果、
本当に、
生産性向上という、建前は非常にいいし、いいんだけれども、
本当の
意味でやはり
最低賃金を
実質的にしっかりと上げていくということは、そんな生半可なことではできない。やはり、
政府の
支援、特にコロナの場合、今、
中小企業、非常に息も絶え絶えのところが多い、
業界によっては。ですから、そういったところから負担はさせられないので、だから、そこは
政府が、国が代わって統一的にこれを進めて、強力に推進していくということが必要になると思うんですね。
そういった
意味で、じゃ、ちょっと見方を変えまして、
最低生計費という観点から見てみたいと思います。
資料の四をお開けいただきたいと思います。
これは、
中沢教授という、
静岡県立短期大学部の
准教授なんですけれども、この方はずっと
最低賃金の
最低生活費がどのぐらいかというのを
本当によく
研究されていまして、そういった中で調べてみたら、ここには、人間らしく暮らすには
最低賃金千五百円やっぱり必要ということを書かれていますけれども、この
最低生活費のイメージなんですけれども、
さいたま市、
名古屋市、
静岡市、
都会部と
地方というものも含めてここにモデルが書いてございます。
どんな
最低生活というのを考えたかというと、大体、いわゆる冷蔵庫とか
洗濯機とか、あるいは
掃除機とか、そういう
生活必需品は持つという中で、例えば、これに書いてあるように、映画など趣味は月に二、三回、大体五千円から六千円
程度消費する。忘年会や
歓送迎会は年に三、四回、一回が三千五百円から五千円。
泊まりがけの旅行は年に一、二回、一回二万から三万。これは、我々、生きている上で、この
程度は欲しいよねというのは当然あるわけです。
これで、大体、月にかかる
最低生計費というのが、これは真ん中の表に書いていますけれども、
さいたま市だと十九万八百二十四円、
名古屋市は十七万九千三百八十三円、
静岡市も十九万九千九百九十七円。
これを、今度は、ちょっとこの月百五十
労働時間で割るということ、これは
社会保険料と税金を加えた中で月百五十時間
労働で割って、大体、
さいたま市で千六百十三円、
名古屋市で千五百十三円、
静岡市で千六百四十四円、これが
最低賃金になるべきだと。これは
最低生活費から計算した答えで、例えば、実
労働時間というのがあって、これが百六十四時間ですね。これが月にそれぐらい、百六十四時間というのが、実際の時間があるわけですけれども、これで割ってみても、大体、
さいたま市で千四百七十五円、
名古屋市で千三百八十三円、
静岡市で千五百三円、このくらいは必要だよねというのが
最低生活費から出てきているんですけれども。
当時の
最低賃金というのが、これは二〇一七年ですから、八百四十五円、これが
さいたま市、
名古屋市が八百四十五円、
静岡市が八百七円。
本当に現実とかけ離れた
最低賃金というものが決められている。
こういうことを見ると何が分かるかというと、
本当に、
最低生活費の
費用とそれからこれに大きなギャップがあるということと、それから、
地方と
都会でそんなに
最低生活費は変わらないねと。車とかを持てば維持費とかいろいろなものがありますから。こういうことがあるわけなんですね。だから、そういった
最低生活費も考えていかなきゃいけないということでございます。
ここも省庁からちょっと
コメントを求めようと思ったんですけれども、ちょっと先を急ぎます。
次に、
最低賃金を引き上げた場合、よく言われるのが、
最低賃金を引き上げたら、失業率というのが、失業がどんどん増えて、結局人が雇われなくなって、これはまずいぞ、こういう
コメントがあるんですけれども、これは図の五を是非御覧いただきたいと思います。
最低賃金額ですね、これはどんどん上がっていっていますけれども、これに対して完全失業率というのが、これは線で示されておりますが、どんどん下がっている。だから、そういった
意味で、
日本では
最低賃金を引き上げていっても、完全失業率がどんどん下がっていっている。ですから、
最低賃金を上げれば失業率がどんどん上がるというのは、これはうそだということがこの表に表されているわけでございます。
特に、
令和二年については、ちょっとだけ完全失業率が上がっているのは、これはコロナの
不況によるせいだということでございますので、
本当に、
最低賃金額を上げても、別に完全失業率は上がらないということだと思います。
さらに、今度、どうやって
最低賃金が決まっているかということでございますけれども、これは図の六を是非御覧いただきたいと思います。
これは、面白いのは、
最低賃金の一番下の棒グラフなんですけれども、二〇〇六年までは、二〇〇四年が一円、五年が三円、六年が五円。ここから十円台に突入するんですね、上げ幅が。なぜかというと、これはどうも
最低賃金よりも
生活保護費の方が高いという話になって、これはちょっと本末転倒だろうということになりまして、そこで、二〇〇七年が十四円、八年が十六円、九年が十円、一〇年が十七円、一一年が七円、一二年が十二円、一三年が十五円、一四年が十六円、一五年が十八円。これは、
最低賃金がとにかく
生活保護費を上回らなきゃいけない、だから十円台になったんですね。
それから、これから面白いんですけれども、一六年から一九年が急に、一六年が二十五円、一七年二十五円、一八年が二十六円、一九年が二十七円。これは、安倍政権の方が三%
賃金を
上昇させるべきだということを、中央
最低賃金審議会がそこの、大体労使とそれから公益
委員という中立の
立場の方が決定するわけですけれども、官邸のことをきちんと忖度したというふうに思えるわけですけれども、ここはすっと二十五円、大体三%ずつ上がっているわけですね。ということは、政治主導によってこれはきちんと上がりますねということを示しているということなんですね。
ですから、
政府が
本当にやるぞといってこれを頑張ってやれば、これは
最低賃金審議会、労使、公益
委員という
方々であっても合意がすっと取れて、結局はそういった政治主導ができてきたというのがこの表に表されております。
もう一つだけ分かるのが、真ん中に格差というのが書いてあって、二〇〇二年ぐらいの格差が百四円、これは地域格差ですね。東京と、一番
最低賃金が
最低の県、この格差が百四円だったのが、二〇二〇年に格差が二百二十一円と約二倍強開いてきた。
つまり、
最低賃金の中でも東京とほかの地域の格差が開いてきた。
これはちょっと問題だなと思うわけでございますけれども、この格差が開いたことに対して、これは省庁の方、
コメントいただけますか。