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2021-01-26 第204回国会 衆議院 財務金融委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日令和三年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 越智 隆雄君    理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君    理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君    理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君    理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君       穴見 陽一君    井野 俊郎君       井上 貴博君    今枝宗一郎君       鬼木  誠君    加藤 鮎子君       勝俣 孝明君    門山 宏哲君       城内  実君    小泉 龍司君       田中 良生君    武井 俊輔君       津島  淳君    中山 展宏君       船橋 利実君    古川 禎久君       本田 太郎君    牧島かれん君       宮澤 博行君    山田 賢司君       山田 美樹君    海江田万里君       櫻井  周君    階   猛君       野田 佳彦君    長谷川嘉一君       古本伸一郎君    斉藤 鉄夫君       清水 忠史君    青山 雅幸君       前原 誠司令和三年一月二十六日(火曜日)     午後四時四十三分開議  出席委員    委員長 越智 隆雄君    理事 井林 辰憲君 理事 うえの賢一郎君    理事 神田 憲次君 理事 鈴木 馨祐君    理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君    理事 日吉 雄太君 理事 太田 昌孝君       穴見 陽一君    井野 俊郎君       井上 貴博君    今枝宗一郎君       大岡 敏孝君    鬼木  誠君       加藤 鮎子君    勝俣 孝明君       門山 宏哲君    城内  実君       小泉 龍司君    田中 良生君       武井 俊輔君    津島  淳君       中山 展宏君    船橋 利実君       古川 禎久君    本田 太郎君       牧島かれん君    宮澤 博行君       山田 賢司君    山田 美樹君       海江田万里君    櫻井  周君       階   猛君    野田 佳彦君       長谷川嘉一君    古本伸一郎君       斉藤 鉄夫君    清水 忠史君       青山 雅幸君    前原 誠司君     …………………………………    財務大臣    国務大臣    (金融担当)       麻生 太郎君    内閣府副大臣       赤澤 亮正君    内閣府副大臣       三ッ林裕巳君    財務大臣        伊藤  渉君    厚生労働大臣      山本 博司君    経済産業大臣      長坂 康正君    国土交通大臣      岩井 茂樹君    財務大臣政務官      船橋 利実君    厚生労働大臣政務官    こやり隆史君    政府参考人    (財務省主計局次長)   角田  隆君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君    参考人    (日本銀行総裁)     黒田 東彦君    財務金融委員会専門員   鈴木 祥一君     ――――――――――――― 委員の異動 一月二十六日  辞任         補欠選任   武井 俊輔君     大岡 敏孝君 同日  辞任         補欠選任   大岡 敏孝君     武井 俊輔君     ――――――――――――― 一月十八日  自動車に係る国民負担の軽減及び道路交通の安全のために講ずべき措置に関する法律案古本伸一郎君外二名提出、第百九十八回国会衆法第二九号) 同月二十五日  令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出第三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案内閣提出第三号)      ――――◇―――――
  2. 越智隆雄

    越智委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  財政に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  たばこ事業及び塩事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項 以上の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 越智隆雄

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  4. 越智隆雄

    越智委員長 次に、内閣提出令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。財務大臣麻生太郎君。     ―――――――――――――  令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ただいま議題となりました令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  今般、さきに決定されました国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策を受けて、令和年度補正予算(第三号及び特第三号)を提出し、御審議お願いいたしておりますが、以下、この法律案につきまして御説明をさせていただきます。(発言する者あり)  財政法第六条第一項におきまして、各年度歳入歳出決算上の剰余金の二分の一を下らない金額を翌々年度までに公債又は借入金償還財源に充てなければならないこととされておりますが、令和年度剰余金につきましては、この規定を適用しないことといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
  6. 越智隆雄

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。(発言する者あり)  ちょっと速記を止めてください。     〔速記中止
  7. 越智隆雄

    越智委員長 速記を起こして。  財務大臣麻生太郎君。
  8. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ただいま、この動議を提出させていただきました内容の一部に読み飛ばしがありますので。  公債又は借入金の、当該補正予算において国債発行を抑制する、当該補正予算においてという一文を足していただければと思います。
  9. 越智隆雄

    越智委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     ―――――――――――――
  10. 越智隆雄

    越智委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省主計局次長角田隆君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 越智隆雄

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  12. 越智隆雄

    越智委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。
  13. 津島淳

    津島委員 自由民主党の津島淳であります。  質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  麻生大臣予算委員会お疲れさまでございました。これから日本財政について、コロナショックという状況にありながら、過去、現在、未来と、ちょっと俯瞰しながら質疑をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まずは、コロナ、そして昨年の災害、あるいは豪雪災害によりお亡くなりになった方々に心からの冥福をお祈り申し上げたいと思うところであります。  そういう状況にある我が日本の厳しい状況をいかに早く脱却するか、大事な局面にある。その大事な局面にある今の三次補正予算に関わる今日は法案質疑ということでございます。  その法案質疑に入る前に、日本財政を含めて、これからに関わる同盟国アメリカ動向について一点お伺いしたいと思います。言うまでもなく、米国バイデン政権の発足であります。  麻生大臣にお伺いします。  第四十六代大統領に就任したジョー・バイデン氏は、財務長官に、FRB連邦準備制度理事会議長ジャネット・イエレン女史を指名いたしました。イエレン女史は、十九日、議会上院公聴会でこう述べているんですね。新型コロナ対策として積極的な財政出動を行うこと、対中国政策では不公正な慣行には積極的に対抗すること、貿易などの優位性を得るための通貨安を求めないことなどの考えを表明されています。  米国動向というのは、言うまでもなく我が国経済にも大きく影響いたしますし、また、財政金融政策、緊密な連携を取るために、早期イエレン次期財務長官会談をすべきと考えます。麻生大臣のキャリアを考えますと、大統領財務長官、共に初顔合わせではないと存じますけれども、是非、この際、麻生大臣のお考えを承りたいと思います。
  14. 麻生太郎

    麻生国務大臣 明日午前何時か、日本時間の午前八時だったか、正式にジャネット・イエレンFRB総裁アメリカ財務長官に就任ということを聞いております。  FRB総裁をやっておられましたときから面識は度々ありますので、この度財務長官になったということで、メール等々いたしてはおりますけれども会談といっても、今はなかなか直接面談というわけにまいりませんので、電話等々を近日中にさせていただこうと思ってはおりますけれども考え方は極めてはっきりしておられる方だと思っておりますし、アメリカの今の財政上の立場もよく分かっている。FRB、まあ日本銀行総裁財務大臣になられたみたいなものですから、両方よく分かっておられる方だと思いますので話がしやすいかなとは思っておりますけれども、向いておられる方向は極めてはっきりしているようにも思いますので。  私どもとしては、同じ方向を向いていると思っておりますので、いろいろなそごがあるというようなことを思っているわけではありませんので、カウンターパートとしては、我々としてはいいカウンターパートに恵まれているのかなと思ってはおります。
  15. 津島淳

    津島委員 ありがとうございます。  同じ方向を向いているという御認識を承りました。とても大事なところだと思います。  やはり、日米両国がしっかり同じ方向を向いてこのコロナに向かっていかなきゃいけない、経済にも、再生に向かっていかなきゃいけないという点で、そして、より緊密なパートナーシップを得るために、電話会談等早期実現され、また、実りある会談になることを期待しております。ありがとうございます。  それでは、令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案についてお尋ねしてまいります。  本法律案は、「財政法第六条第一項の規定は、令和年度一般会計歳入歳出決算上の剰余金については、適用しない。」というものでございます。  この同様の措置というのは、平成令和時代に限って言えば、平成年度、三年度、六年度、十一年度、十二年度、十四年度、二十二年度、三十年度の八回取られております。  直近で言えば、平成二十二年度剰余金を、東日本大震災の復旧のための二十三年度第二次補正予算財源にいたしております。平成三十年度は、その剰余金を、台風などの災害復興を含め、安心成長未来を拓く総合経済対策のための令和年度補正予算財源にしております。  それぞれ、この措置は異なる政権の下、取られております。いずれも、考え方としては、新たな借金を少しでも積み増さないという考え方に立っているというふうに私は理解しております。  そこで、今般提出されたこの法律案意義について、これは伊藤大臣ですかね、意義を御説明お願いいたします。
  16. 麻生太郎

    麻生国務大臣 答弁に、ちょっとお答えを副大臣の方からさせていただく前に当たりまして、先ほど読み飛ばしたところの部分について、私ども勘違いをしておりまして、一ページ丸々飛んでいると思いますので、改めて御説明をさせていただきます。  読み飛ばした部分でありますが、当該補正予算において国債発行を抑制するとの観点から、令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理について特例を定める必要があり、本法律案提出した次第であります。  この部分が抜けておりましたので、訂正の上、おわびを申し上げます。
  17. 伊藤渉

    伊藤大臣 先生の御質問にお答えさせていただきます。  今回の剰余金特例法案は、第三次補正予算関連法案として提出をさせていただいております。  この三次補正予算においては、感染拡大防止雇用生活支援に必要な施策民需主導経済回復のために必要な施策を積み上げ、所要の歳出追加を行ったところであります。  その上で、歳出追加財源は、建設国債等のその他の財源で賄えない部分について、全て特例公債追加発行対応するか、公債償還財源を活用してでも特例公債追加発行を抑制するかという選択がある中で、津島先生指摘のとおり、予算において特例公債追加発行を少しでも抑制することは財政健全化観点で重要であることから、決算剰余金約〇・七兆円を活用することとしております。  このため、本法案におきましては、決算剰余金の二分の一以上を公債償還財源に充てるとされている財政法第六条を、令和年度決算剰余金については適用しないところとしたところでございます。  何とぞ御理解を賜れれば、よろしくお願いいたします。
  18. 津島淳

    津島委員 ありがとうございます。  私の理解が間違っていないということであります。つまりは、新たな借金を少しでも増やさない、そのために剰余金を活用していこうということで、これはある意味、過去、この法案による措置、一貫している考え方であるということ、その点は確認が取れました。  続いて、それでは、歳出に当たる令和年度第三次補正予算のフレーム、枠組みといいますかに移っていきたいんですが、本法律案による剰余金財源とする令和年度第三次補正予算案は、現下の最優先課題コロナ感染拡大防止経済対策、さらには、昨年の豪雨災害、現在進行形豪雪災害への対策を含め、国土強靱化等、いずれも必要不可欠な内容であります。  これらを賄う財源として、少しでも新たな借金を減らすという観点から、繰り返しになりますが、今回の前年度決算剰余金の繰入れという判断をなさったということで、これは先ほど確認しました。  特に、新型コロナウイルスによる経済危機、いわばコロナショック、これは主にキャッシュフローの消失ということが大きな要因であって、それに対する給付等財源というのは、なるべく国債新規発行によらない方がよいと私は思っております。一方、災害復興等インフラ整備というのは、そのインフラが将来便益をもたらすことから、国債発行も許容されるというように私は思うんです。  さて、そこで、この三次補正予算案概要について、これは角田主計局次長、いらっしゃいますか、お願いをいたします。
  19. 角田隆

    角田政府参考人 お答え申し上げます。  第三次補正予算政府案におきましては、まず、医療提供体制確保検査体制の充実、ワクチン接種体制整備等感染拡大防止策に必要な経費雇用調整助成金特例措置緊急小口融資等特例付け等雇用生活支援に必要な経費などを計上いたしまして、コロナへの対応に万全の措置を講じるとともに、コロナ予備費による対応も可能なようにしてございます。  あわせまして、中長期的な課題につきましても見据えまして、地方公共団体デジタル基盤改革支援ですとか、ポスト5G、ビヨンド5Gの研究開発支援などのデジタル改革や、カーボンニュートラルに向けた革新的な技術開発支援などのグリーン社会実現のほか、中堅・中小企業経営転換支援や、国内外のサプライチェーン強靱化支援による経済構造転換等に迅速に取り組んでいくための施策を盛り込んでいるところでございます。  以上でございます。
  20. 津島淳

    津島委員 ありがとうございます。  コロナ対策感染症感染を抑制していくということ、それからコロナにより影響を受けた方々に対する支援というもの、さらにはコロナが浮き彫りにした日本課題というもの、これらを解決するためのいわば種まきということをやっていこう、そういう内容の御説明でございました。  そこで、次の問題なんですが、令和年度決算剰余金、この剰余金要因をいかに分析しているかという点にちょっと話題を移していきたいと思います。  私は、令和年度決算概要をこの質問を組むに当たって拝見をいたしました。これを一覧しますと、歳入税収落ち込みがある一方で、歳出では、予算執行に係る御努力や国債償還に係る金利差により、ほぼ同額の歳出の不用が生じております。再び歳入に目を転じてみますと、税外収入が約一兆一千億あるというのが令和年度決算概要でございます。  この決算概要から、今の日本経済状況がいかなる状況にあるか、その結果どうして剰余金が生まれたのか、その分析ということを政府参考人より御説明いただきたいと存じます。
  21. 角田隆

    角田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員が御指摘のとおりでございまして、歳入につきましては、税収が一・七兆円減少しておりますけれども、大きい動きは、まさにコロナ影響によりまして企業収益が減少しておりますことなどから法人税が〇・九兆円ほど落ちておりまして、また消費税も、コロナ影響消費も輸入も落ちてまいりまして、こういった影響によりまして〇・七兆円減少しているということでございます。  それから、二番目に御指摘のありました歳出の不用ですけれども、これはさまざまな要因がありまして、必ずしも経済と直接リンクするとは思っておりませんが、一番リンクするのは、恐らく、この低金利下で、積算金利よりも低い金利でございましたので、利払い費の減が二千億ほど立ってございまして、もろもろの要因を合わせますと、一・八兆円の歳出の不用ということになっているわけでございます。  税外収入につきましては、例えば日本銀行納付金は、経常利益の関係でございまして、結果的には予算よりも〇・七兆円増加しておりまして、こういった増を集めますと、一・一兆円の増加となっております。  こういった要素を踏まえまして、歳入では、これは意図的にということでございますけれども公債金特例公債をできるだけ発行しないようにしたいということでございまして、予算額よりも五千億発行を取りやめたということがございまして、結果として〇・七兆円ほどの剰余金が発生したということでございます。  以上でございます。
  22. 津島淳

    津島委員 ありがとうございます。  税収落ち込みということは、コロナによる法人税収あるいは消費税収落ち込みということですね。つまりは、経済がそれだけ傷んでいるということを表します。  やはり日本として、経済ももちろん大事です。しかし、財政健全化ということもこれは旗を降ろしてはいけないわけで、そのために、健全な、健全化というんですかね、あるべき姿というのは、やはり税収安定確保していくということに私は尽きるんだと思っております。  税収確保ということは、今経済が傷んでいて税収が落ち込んでいる、そういう分析でございますから、コロナの収束ということを前提として、しかし、適宜適切に経済回復というところに手を打っていくということも用意をしておかねばならぬと思うわけであります。そのことが税収回復ということにつながり、やはり日本財政健全化ということにつながると私は考えております。  それでは、時間も迫ってきましたので、多分最後の質問になると思います。アフターコロナ経済財政に与える影響について、ちょっと将来を見通していきたいと思います。  今ほども話がありましたけれども我が国経済は、コロナショックのただ中にあって、大変厳しい状況にあります。その対策のため、財政に大きな負担が今かかることはやむなしと思います。まずはコロナ感染拡大を抑える、感染状況に応じて柔軟に経済対策を実行していくことが肝要であり、いかなるフェーズでも的確な対策が講じられるよう予算確保しておく必要があります。今ほど申し上げたところであります。  ここで、アフターコロナ我が国財政考えていく上で、コロナ前の経済とそれが財政に与えていた影響というものを分析しておくことが重要ではないかと思っております。  私、先ほど、決算剰余金特例直近では平成二十二年、三十年に措置されたと申し上げました。二十二年から三十年にはこの特例法というのは出ていなかったわけであります。  平成二十七年度から元年度までの税収及び印紙収入の推移を見てみますと、おおよそ五十五兆円から六十兆円あります。これはいろいろな見方があろうかと思います。一つ読み取れるのが、税収が上振れをし、なおかつ安定確保ができていた、私はそう見ます。このことは、その間の政策をおおむね評価してよいものと私は考えます。こうした要因分析して、アフターコロナつまりコロナが収束した後、経済をどのようにし、そして財政によい影響をもたらすか、そういうことに生かしていく必要が我々に求められていると思うわけであります。  この点、財務省にお伺いするんですが、どのように分析しておられるか、これは船橋政務官お願いします。
  23. 船橋利実

    船橋大臣政務官 お答えいたします。  政権交代以降、アベノミクス、三本の矢を推進し、デフレからの脱却と持続的な経済成長実現に向けて取り組んでまいりました。その結果、経済面につきましては、極めて短い期間でデフレではないという状況をつくり出し、GDPは、名目、実質共に過去最高水準となってまいりました。  また、財政面につきましては、安定的な財源確保の取組もございまして、税収バブル期を超え過去最高を記録いたしますとともに、新規国債発行額を、当初予算ベースでございますけれども、約十二兆円縮減をさせるなど、財政健全化に一定の成果を上げてまいりました。  委員の御発言にもございましたとおり、この一年間、新型コロナによりまして経済財政は大きな影響を受けてございます。こうした中で、新型コロナ感染拡大防止経済回復財政健全化の三つに取り組み、いずれも実現をしていくことが必要だと思っております。  今後、新型コロナへの対応に万全を期した上で、デジタル改革グリーン社会実現等を通じまして民需主導経済成長実現していくとともに、社会保障持続可能性を高める改革など、歳出歳入両面改革を続け、経済再生財政健全化の両立を図ってまいりたいと存じます。
  24. 津島淳

    津島委員 ありがとうございます。  時間が参りましたので、私の質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  25. 越智隆雄

    越智委員長 次に、海江田万里君。
  26. 海江田万里

    海江田委員 立憲民主党・無所属の海江田万里です。どうぞよろしくお願い申し上げます。  質問の要旨を出してございますが、ちょっと順番を入れ替えまして、最初に、令和年度所得税等確定申告、この問題についてお尋ねをしたいと思います。  と申しますのは、これを私、今日、是非聞こうと思っていたわけでありますが、昨日、同じく衆議院の予算委員会で、公明党の遠山委員が、これはやはり去年も一月ほど延長したわけですから、今の状況から見て、三月十五日というのはちょっともう無理があるんじゃないのという質問をしましたところ、麻生大臣は、やはり三密もあるし、これは延期せざるを得ないのではないだろうかという趣旨答弁をしたと承っております。  ただ、私、どうしてこれを質問しようかと思ったかというと、ここのところ連日のように新聞に広告が入っているんですよ。広告が出ているんですよ。これは毎日と朝日かな、日経にも出ている。それから、テレビも流しているんですよ。それを見ると、全部三月十五日、納付期限が三月十五日。三月十五日、所得税及び復興特別所得税、贈与税、令和三年三月十五日まで。それから、消費税及び地方消費税、個人事業者、令和三年三月、こっちは三月三十一日まで。こういう形で書いてあるわけですが、これを見るとやはりみんな混乱するというか、さあ大変だということになるので。  これは一日も早く方向を出して、もう私は方向は決まっていると思うので、それだったら、もうこんな無駄な、納税者を混乱させる、あるいは税務署の職員もさあ大変だということになりますし、それから税理士の皆さん方もこれから大変な努力をしなきゃいけないわけで、早く、決めるんだったらもう決めて、とにかく延期する、去年と同じぐらいにおおよそ一月ぐらい延ばすんだということをやはりアナウンスをして、そして、こういうところでも無駄な、まず一回差し替えをやるか、一回ストップするとか、早くやってください。かなりの広告料を使っているはずですから。  どうでしょうか、麻生大臣
  27. 麻生太郎

    麻生国務大臣 何となく、昨年というか、三月三十一日までに、いわゆる納税を延滞なしで、延滞金利もなし、延滞税もなしで延ばす等々いろいろ緊急対応をやらせていただきましたので、今回もというような話が多分いろいろ出ているんだと思いますが、私ども令和二年分の確定申告というのは、いわゆる三密等々の集中を避けるというのを、まずはこう思っておりますので、例年よりは二週間程度前倒しして、二月の一日から開設させていただくということにいたしております。  そして、申告会場でも、あらかじめ様々な三密回避というのを講じているんですけれども安心して御相談いただける、お見えいただける環境の整備を進めております。  その上で、今委員指摘のありましたような申告の期限の取扱いについては、緊急事態宣言による等々、まだ緊急事態宣言は今宣言をされておりますままの状況でもありますので、これがどういうような状況になりますか、よく、まだ不明でありますので、私どもとしては、緊急事態宣言によります納税者への影響というものも考えながら、今後、必要な対策を検討してまいりたいと思っておりますので、今すぐこの段階で、早く決めろという御要望はよく分かりますけれども、今はまだ、今の段階では従来どおりという形にさせていただいて、前倒しということを考えております。  なお、感染対策としては、今、随分増えてまいりましたけれども、e―Taxの申告というのは何よりも効果があるというか、三密を避けるという意味で有効でもありますので、納税者の皆さんには、是非e―Taxを積極的に御利用、御活用いただければというのが率直な気持ちです。
  28. 海江田万里

    海江田委員 e―Taxの人はそういう相談なんかに来ないわけで、個人の昨年の申告がe―Taxが六割になった、これは一つの評価だろうと思いますけれども、やはり、本当にe―Taxができない人で、自分でできれば行かない、ただ、その場に行けばそこでコンピューターの操作を教えてもらえますからできるわけですけれども、まさにそこに行く時期が、ちょうど本当に緊急事態宣言の真っさなかじゃないか。二週間前に前倒しにしたというけれども、それはまさにこの緊急事態宣言のときに来てくださいよという話でしょう。こんなばかな話はないですよ。  これはもう四の五の言わずに、分かった、後ろに延ばすということを一言言えばいいんですよ。そうすれば、麻生大臣が言って、それでもうこんな無駄なことをやはりやらない。混乱しますよ、はっきり言って。どうして言えないんですか。そういうのが後手後手に回ったと言われるんですよ。
  29. 麻生太郎

    麻生国務大臣 御要望、おっしゃられることはよく分かりますけれども、一都七県なら分かりますよ。全国ですからね。  ですから、したがいまして、今のお話はちょっと、先ほど申し上げましたように、今の段階で、言えばいいんだというような簡単な話ではないということだと思います。
  30. 海江田万里

    海江田委員 もうこれ以上時間がありませんからやりませんけれども、一都七県のうち、では納税者の何%を占めるのかということでいえば、五〇%以上占めているわけですよ、これは。そういうことも考えて、それこそ本当に、どうしても菅内閣というのは後手後手に回るということを言われていますから、こういうときだけは、麻生大臣が、よし、俺のリーダーシップで早くやろう、早く決めようということをおっしゃってもいいんじゃないだろうかと思いますが、大変残念であります。  そして、本題の財政法の六条第一項の、適用しないということでありますが、今、津島委員からもお話がありましたが、去年もあったわけですよね、これは。去年も私、質疑に立ちまして麻生大臣とあれこれ議論したわけでありますが、去年は、私が見たところ、見立てでは、やはり去年は、まだ安倍総理が、八年連続して当初予算での新規の国債発行の額を少なくしたよということを、それこそずっと自慢げに、たしか所信表明演説でもお話をしていたと思うんですね。だから、やはり財政健全化のあかしとして、とりわけ当初予算での新規の国債発行額をずっと減額しているよというのは、それが見せかけのものでしかないということは、私はそのとき、去年申し上げたつもりなんですが、見せかけのものであったとしても、一応、アナウンスメントとしては通じるわけですよ。  ところが、今年の場合は、それはもう全然関係ない。まさにこの補正予算の中でもって、本来だったら財政法の第六条第一項でこれは償還の財源の方に繰入れをするのを、繰入れをしないで、そして今度の補正予算に使う。  確かに、補正予算特例公債発行枠は、使った分、抑えられますよ。だけれども、そうしたら、本来、原則に従って償還財源に回す方の額がそれだけ減るわけですから。そうすると、どうするんですか。やはりこれは借換債を出すしかないんじゃないですか、やり方として。  そうすると、結局、借換債と同額出せば、それは国債の残高でいえば、借換債だって公債の残高ですからね。一つだけ違うのは、借換債は、幾ら幾ら出しますよということを一々国会に、議論しないで、黙ってこれはできるわけです、政府が。だから、そういうメリットはあるんだけれども、結局、そのためだけにこれを今年も見送ったんじゃないですか。
  31. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今回のこの剰余金特例法案というのは、いわゆる三次の補正予算関連法案として提出をさせていただいておりますが、この三次の補正予算においては、感染拡大の防止とか雇用生活支援等々に必要な施策、また、民需主導等々の経済回復のために必要な施策というものを積み上げて、所要の追加というか歳出の追加を行わせていただいたんですが、その上で、この歳出追加財源というものを建設公債その他の財源だけで賄えないという部分について、今言われましたように、全て特例公債追加発行対応するか、又は公債償還財源を利用しても特例公債追加発行を抑制するか、こういうことになったという、選択だと思いますが。  予算において、私どもとしては、特例公債の追加というものをやはり抑制するということは、これは財政健全化観点からも極めて重要だとずっと思っておりますし、また、従来から、特に補正予算において歳出の追加のために特例公債発行するということは慎重に対応してきたところを踏まえまして、私どもとしては、決算剰余金を活用するというものとして、財政法第六条の特例法案を提出するということにさせていただいたという経緯です。  したがいまして、今回のコロナ対応する中で、日本財政というのは厳しさを増しておるのははっきりしておりますので、特例公債追加発行といったものはできるだけ抑制をする、そういった対応を取るということは政府の姿勢としても大事だと思いますので。どっちでも同じじゃないかというのは、借りて返すか、借りないで返さないかの違いで同じじゃないかと、前回、去年だか何かにそんなことを言われたことがありますけれども、海江田さんじゃなかったかな、どなたかに言われたから、なるほど、うまいことを言う人がいるんだなと思って、言われてみれば、簡単に言えばそういうことになりますねと申し上げた記憶がありますけれども。  いずれにいたしましても、今言われたように、私どもとしては、今回、こういった対応を取らせていただいたということであります。
  32. 海江田万里

    海江田委員 必要な額を、経済対策、これは積み上げたと言いますけれども、私どもの目からすれば、それは決して、本当に今この補正でやらなきゃいけないものではありませんよということは、先ほど来予算委員会で重々お話をしたところでありまして、それは繰り返しません。  だけれども財政健全化ということでいえば、やはりそれは、麻生大臣はほかでもいろいろなところで発言をしていますけれども、この予算の中に、補正予算の中に不要不急のものはないだろうかということをしっかりと目くばせをしなければいけない、チェックをしなければいけない。だから、私どもとすれば、最初から枠がありきじゃないだろうかというような疑念、疑問点があるというのが一つ。  それからもう一つは、これはもう麻生大臣には釈迦に説法でありますけれども財政法の中で、もう七十何年たっていますから、昭和二十二年ですか、私はまだ生まれていないんですね。ただ、そのすぐ後に生まれましたから、あの頃をずっと分かるわけですけれども、その時々の財政法の、とりわけ第六条一項の持つ意味というのは違ってくるわけであります。  私は、今回考えなければいけない点というのは、まず、財政健全化ということをいつも忘れてはいないよということを、幾らこんな時代に、コロナの、COVID―19で大変な歳出の需要があるときでもやはりその姿勢は持ち続けなければいけないわけで、そう考えたときに、とにかく目先のこの補正予算だけは何とか特例公債の額を減らすということを言っても、さっきもお話をしましたけれども、では、その後の償還の財源がどうなんだということ。  それから、去年の特例公債のときと違うのは、去年は、それでもやはり税収の不足分ですよ、これは。こういう時期だから、やはり税収がぐっと落ち込みますから、少なくともその税収の不足分に充てましょうという考え方があった。  これは財政法の中では非常に大切な話でありまして、特例公債を設けるときは何度も特例公債の法律を作り直しをしていますけれども、やはり最初は、急な経済の変化によって税収が落ち込んだときに、その落ち込んだ税収の中に限ってこの特例公債発行しましょうというところから始まったわけですよね。そしてその後、もう税収落ち込みを抜きにしちゃって、必要な歳出があって、建設公債でなお足りない分については特例公債発行しましょうと。そこからどんどんどんどん特例公債に対する歯止めがなくなったわけですよ。  だから、その意味では、今年の特例公債発行というのは、これまでの財政法の中でいろいろやってきた、そういうところも吹っ切ってしまって、とにかく、やはりこれはどんどんどんどん公債発行しようじゃないだろうかというふうにつながるんじゃないだろうかというのが私の見方なんですが、これに対する御意見を伺いたいと思います。
  33. 麻生太郎

    麻生国務大臣 おっしゃるとおり、これは片山内閣ですか、昭和二十二年、片山内閣のときに、これは戦争のときの戦時公債の話のあれから非常に公債が累積して、結果的に戦時公債でああいうことになっていったんですけれども公債の償還を確保するという観点からこういったものを定めたというのが、片山内閣のときに決められたんだと承知をいたしております。  したがいまして、今おっしゃるとおりに、今日も日本公債残高というのは極めて多額に上っておりますし、ましてや、コロナのおかげで一挙にぼんと増えておりますので、そういった意味では、私どもとしては、第六条の第一項というこの規定というか法律というのは、公債というものが今後、財政均衡するべくきちっとした方向に向かっていくために大事な法律なんだと思っておりますので、私どもは、引き続きこれは極めて重要な規定というか法律だと理解をいたしておりますので、こういったものを常に頭に踏まえて対応していかねばならぬものだと思っております。
  34. 海江田万里

    海江田委員 これは是非、麻生大臣の心の中にしっかりと位置づけをしてもらいたいんですが、今度、新たに第三次補正で多額の特例公債を出した、それから、もちろん建設公債も出しましたけれども、これで公債依存度が恐らく六〇%近くになるんじゃないですか。ちょっと、正確な数字は。  夏まででもう第二番目で、一番この公債依存度が高かったのは昭和十六年ですよ、真珠湾攻撃のときですよ。あのときの公債依存度というのがたしか五六・四%ですよ。それまで、今年の秋までの段階で実は五六・三%だったんですよ。だから、これで完全にそれを抜いて、まあ、戦後だけじゃない、戦前から比較して、あの戦争に突っ込んでいったときの公債依存度と全く同じになってしまったわけですね、これは。  そのことに対する、その当時の財政のかじ取りをやっていた大臣として責任ある考え方を示してほしいし、それから、この議論を、コロナの最中だ最中だということを言いますけれども、やはりどこかでこれに対して、この後始末をするんだということ、それはどういう方法でやるのが一番いいのかということ。私は、また公債に頼るのではなくて、やはり税制の方でやるべきだと思います。  ただ、税制についてはいろいろな考え方がある。私は、やはり税制によって、もっと公平な税制をやって、そして本当にしっかりとした財源確保して、少なくとも財政のこれ以上の悪化を防いでいくということを考えなければいけない、そういう議論を始めなければいけないときが来ているというふうに思うわけであります。  大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  35. 麻生太郎

    麻生国務大臣 六四・一ですね、確かにおっしゃるとおり。  今言われましたように、足下の新型コロナ対応のための対策というので歳出が増加するとともに、この新型コロナ影響も多く、税収自体が落ち込んでおりますので、財政状況が悪くなって国債依存度が大きく増えている、これは間違いなく事実だろうと思っております。事実、特例公債は約九十兆ということになろうかと思いますので、そういった意味では、比率も六四・一というようなことになっております。  今後、このコロナ影響を何とか乗り越えて、経済というものを通常、正常な状況回復していかなきゃいかぬところなんですが、したがいまして、そういったことになっていくということは、コロナが安定してくる、落ち着いてくる、減ってくる、なくなる。そういったようなことで、コロナ対応への政府支出というものが剥落する、なくなってくるということと同時に、いわゆる税収コロナ以前の状況に確実に戻っていくということが見込まれるんだとは思っておりますけれども。  いずれにしても、先ほど申し上げましたように、我々としては、少子高齢化という、この日本にとりましては国難とも言えるべき中長期的な最大の問題だと思っておりますので、いわゆる社会保障というものを考えていく上で、構造的な課題というものを我々は持っております。  したがいまして、この令和年度予算においても、私どもとしては、その対応として、毎年薬価の改定、これまで二年に一遍だったものを毎年薬価の改定をさせていただく等々、いろいろなことをさせていただいて、少なくとも、十年ぐらい前は毎年一兆ずつ増えていくと言われた社会保障ですけれども、大体五千億ぐらいまでに五、六年かかって抑え込んできて、少なくとも高齢化率の内で収まるという形で今やらせていただいたりしておりますけれども。  いずれにいたしましても、次世代のことを考えておかなければいかぬ、全くそうだと思いますので、基本的には、二〇二五年度のプライマリーバランスを安定化させるという目標は、今から四年ありますけれども、きちっとその目標を掲げて、私どもとしては、社会保障というものの持続可能性というものを考えておかなければいかぬというように思っておりますので、歳入歳出両面でこの改革というものを引き続きやっていかなければいかぬものだ、そう思っております。
  36. 海江田万里

    海江田委員 ありがとうございました。  いずれ、当委員会公債発行特例に関する法律の一部を改正する法律案が出てきますから、この続きはそこでやらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  37. 越智隆雄

    越智委員長 次に、階猛君。
  38. 階猛

    ○階委員 まず冒頭、大臣、先ほど肝腎なところを読み飛ばしているわけですよ。これから法案審議お願いしますということで、提案理由、まさに今、海江田先生への質問の中でもお答えがあったとおり、補正予算国債発行を抑制するということが目的なわけですよね。ここを読み飛ばすというのは、幾ら何でも緊張感がなさ過ぎると思います。まず、そこをちょっとおわびしていただきたいんです。
  39. 麻生太郎

    麻生国務大臣 というか、一ページ、私の方のこの紙では一ページ丸々読み飛ばしたという形になって、そこが今御指摘のとおりのところのページになっております。御指摘の、言われたとおりのページのところになっておりますので、一ページ読み飛ばして、肝腎なところが飛んでしまったと。誠に申し訳ありませんでした。
  40. 階猛

    ○階委員 かつ、大臣だけじゃなくて、後ろにいる人たちは何のためにいるんでしょうかね、本当に。前回、十一月二十四日のときは、法案審議じゃなかったんですよ。予備的調査の話で、関係ないところでしゃしゃり出てきて答弁を直したじゃないですか。今回のようなことこそ、後ろから出てきて直すべきですよ。何を本末転倒なことをやっているんですか。財務省の職員自体、緊張感が足りない。  今回、私は、やはり財政規律というものをもっと考えるべきだと思いますよ。というのも、資料をつけておりますけれども、この異常な財政収支、もうワニの口どころじゃないじゃないですか。コロナ対策があるにしても、これほど、財政自体も緊急事態宣言ですよ。だからこそ、この財政規律を守るための財政法六条一項をちゃんと守るべきだし、もし例外規定を定める特例法が必要だというのであれば、説得的な理由をちゃんと説明してもらわなくちゃいけない。  さっき海江田先生指摘もありましたとおり、結局、補正予算で赤字国債を抑制しても、一方で借換債の発行はその分増えるわけですよ。トータルでいうと、国債発行の抑制にはつながっていない。だから、意味がないんじゃないかと言っているわけです。  本当に発行を抑制したいのであれば、無駄な歳出を削る、これをやらなきゃ意味がないでしょう。単に国債の名目を変えるだけなら、わざわざこんな法律を通す必要はない。まさに不要不急ですよ、コロナ禍において。  どうですか。こんな法案、どこに意味があるんですか。大臣、説得的な説明お願いします。
  41. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今回の剰余金特例法案に関しましては、これは第三次の補正予算関連法案として提出をさせていただいておりますけれども、三次の補正予算は、御存じのように、感染拡大防止とか、また、コロナのおかげで失われた雇用とか生活支援に必要な施策民需主導経済回復につなげていくために必要な施策を積み上げて、所要の歳出の追加を行わせていただいたところであります。  その上で、歳出追加財源というものが必要になるんですけれども、その他の財源で賄えない部分につきまして、いわゆる建設公債ではなかなか賄えないという部分につきまして、いわゆる、特例公債追加発行対応するか、また、公債償還財源というものを活用してでも特例公債追加発行を抑制するかという選択なんだと思っております。  歳出を抑制する等々、当然のこととして、その上で、私どもとしては、コロナ対応してやらねばならぬということで、今回やらせていただいておりますが。  予算におきまして特例公債追加発行を抑制するということは、これは財政健全化観点からも重要なんだと思っておりますので、基本的に、従来から、特に補正予算においては、歳出の追加等々のために特例公債発行するということは私どもとしても慎重に対応してきたんだと思っておりますけれども、私どもとしては、今回、決算剰余金約七千億円というものを充てさせていただいて、特例法案を提出させていただくということにさせていただいたということでありまして、私どもとしては、コロナというものがなければ、それなりの、財政、少しずつよくなってきているとは思っておりましたけれども、残念ながら、今回、そういったようなものがこのコロナのおかげでかなり傷んでおりますので、これまたきちっと時間をかけて体勢を立て直していかないかぬと思っております。
  42. 階猛

    ○階委員 ほとんどさっきの繰り返しで、納得できる説明はなかったわけですけれども。  実は、昨年も、同じこの剰余金特例法案について、私、質問させていただいて、このパネル、お手元の資料の二ページなんですけれども、昨年は、この赤の部分の記述はなかったんですね。黒い部分だけあったわけです。  今回、昨年とどこが違うかというと、赤の部分なんですが、剰余金の発生の原因が去年とは違うわけですね。つまり、以前は税収が上振れするなどして真の意味での剰余金だったということなんですが、今回は剰余金というよりも赤字を埋めるための借金の使い残しなんですよ。ですから、本来の意味での剰余金ではないということから、左側に書いていますとおり、剰余金の発生の有無と原因という意味では、税収が上振れて発生したケース、あるいは税収が下振れたので発生しなかったケース、それに比べて、税収下振れでも発生している、まさに借金の使い残しが生じているというのは剰余金の発生原因としてはいかがなものかなということで、下とさせていただきました。  そして、このようなケースが過去に九例ほどあるかと思うんですが、平成以降、この九例のうち、特例法を定めたのが四回あるんですね。これが真ん中の段ですね。過去の借金返済への充当割合ということで、これも過去にはちゃんと五〇%超返済した平成十年のようなケースもあれば、財政法六条一項の規律に基づいて五〇%返済した場合もあるんですが、そうじゃなくて特例法を制定してしまっているという意味で、返済への充当姿勢についても下ではないか。  さらに、この四つの例の中でも、新規借金の抑制の程度、これを考えると、一番右側ですけれども剰余金を使うことによって国債発行しないで済んだ、これが一番いいケースで平成十四年。それから、資産が残る建設国債、これだけを発行したのが平成三年のケース。あと二つのケースは赤字国債発行しているんですが、今回とは違う。平成六年のときは、剰余金を使って赤字国債をどれだけ発行したかというと、二千百十億円。今回は二桁違うわけですね。十八兆五千三百七十億円ということで、新規借金抑制の程度においても下ではないか。  前回、下の下と言いましたけれども、今回は下の下の下ですよ。昔「ゲゲゲの鬼太郎」というアニメがありましたけれども、下の下の下ですからゲゲゲの麻生太郎になってしまいます。こういうやり方は、私は、絶対に許されない。今回のように、税収が下振れて剰余金が発生したような場合には、財政六条一項のルールどおり、公債又は借入金償還財源に充てるべきではないかと強く思いますけれども、この点、いかがですか。
  43. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今のお話は誠におっしゃるとおりなので、過去九回ありますので、最初が平成年度の補正、これが最初だったと思いますが、以来、過去三十二年間で九回ということになろうかと思っておりますが。  この決算剰余金は、御存じのように、これは税収の増減のみで決まるものではありませんで、税外収入とか、また歳出動向も見極めました上で、税収の見込みが確定していない状況の中で、決算上の不足が生じないように注意をしつつ特例公債発行を一部取りやめるとか、また、最終的に確定した税収と合わせるということで金額等々が決まるものだというように理解をしております。  決算剰余金については、その要因によっていわゆる使途を決めるのではなくて、今回は、結果的に生じた決算剰余金についてであれば、階先生指摘のように、既存債務の償還に充てる、これは一つの選択肢だ、私もそう思いますが、政府としては、新型コロナ対策等のために必要な施策を盛り込みました第三次補正予算財源確保するということの上で、多額に上っております特例公債というものの追加発行をなるべく抑制するべくという限りで、できる限りの対応ということを取るということが財政健全化に関わります政府の姿勢としては必要なんだ、私どもはさように考えました。  したがいまして、決算剰余金の全額を財源ということにして活用させていただいたということであります。
  44. 階猛

    ○階委員 要は、こうした努力がどれほどの意味があるのかということなんですね。もっと本質的なところにエネルギーを使うべきだし、本質的なところを解決するための法案をこの場では審議すべきだと思うんですね。  例えば、私は、東日本大震災のときに民主党政権がやったのと同じように、コロナ対策予算については特別会計を設けて、中長期的に収支を均衡させるような措置を講じたりであるとか、あるいは、財政政策の有効性や財政運営の持続可能性を第三者がチェックするための独立財政機関を設けたり、こういったことをこの場で議論するべきではないかと思いますよ。  こんな瑣末なことを今やる意味はないと思います。もっと本質的なことをやるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。
  45. 麻生太郎

    麻生国務大臣 特別会計の話をされておられるんですけれども、私どもは、特別会計につきましては、御存じのように、財政法で、特定の歳入をもって特定の歳出に充てということで、一般の歳入歳出と区分して経理する必要があるんだという場合など、そういったものに限って設定するものだといたしておると思っております。  今回の新型コロナ対策予算につきましては、御存じのように、復興関連予算というもの、あの東北のときの復興関連予算とは異なっておりまして、現在、財源確保というものの措置が特に講じられていないということなどを踏まえますと、今回、今言われたように、特別会計の設置というものを政府として検討はしておりません。  また、今言われましたように、経済財政運営につきましては、これは、経済財政対策の効果というものを含みます経済の見通しの作成とか、また財政健全化目標の達成に向けた評価とか、そういった中長期の経済財政に関する試算も行わせていただいておりますけれども、外部有識者の出てきておられます経済財政諮問会議の場でもこういったものを議論させていただいておることはいたしております。  重要なことは、これは、独立行政機関の設置という手段というかやり方というか、そういったものより、経済財政運営の方針について様々な観点から検討を重ねさせていただきました結果、政府一丸となって取り組むことなんだろうと考えて、この話をさせていただいておりますけれども、あれは菅内閣でしたかね、あのとき、特別会計等々いろいろ議論なされたことを思い出しますけれども。  いずれにしても、特定の歳出歳入というものがあるわけではありませんので、そういった意味では、今回このやり方でやらせていただいたということで、御意見としてはよく分かるところであります。
  46. 階猛

    ○階委員 御意見としては、最後、よく分かるとおっしゃったんですか。私は、よく分かっていただけるのであれば、是非これは建設的な議論をさせていただければと思います。  このままいくと、余りにもコロナ対策予算であるとか借金が膨らみ過ぎて、今までの財政健全化の努力をみんな無にしてしまう。でも、それは、もう幾らやっても無駄だという諦めにつながって、もう財政健全化は誰もやらなくなってしまうと、これは問題だと思うんです。だからこそ、コロナという特殊事情は別枠にして、今まで続けてきた努力はこれからも続けましょう、こういう発想に立って仕組みづくりをすべきだというふうに思いますので、是非、考え方理解できるとおっしゃっていただけるのであれば、建設的に議論をさせていただきたいと思っています。  時間がなくなってきましたので、別な話を最後にさせてください。  十一月二十四日、国政調査権の在り方についてここで議論しました。  並行調査、裁判係属中の並行調査について、内閣法制局の長官にも来ていただいて、係属中の訴訟については、裁判所と同様の目的で行われるなど、当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼす場合には国政調査権を拒否できるというのが法制局長官の答弁。それを受けて、麻生大臣は、我々が要求してきた予備的調査での、いわゆる赤木ファイルというものを提出せよという予備的調査の目的は、訴訟と実質的に同じだということを言われて、文書提出を拒否されたわけです。  他方で、麻生大臣は、我々の予備的調査の目的が、文書改ざん問題の真相を解明し、行政に対する国民的信頼を回復することだというふうにも言われています。  もし、予備的調査の目的をそのように解しているのであれば、むしろ訴訟の目的とは明らかに違います。訴訟の目的は、民事訴訟ですけれども、個別紛争を解決することによって権利を回復する、権利侵害を回復するということですから、明らかに違うわけです。ですから、目的が同一だということはあり得ないと思うんですね。  なぜ目的が同じだと言えるのかということについて、もう一度、分かるように説明してください。
  47. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは、私が憲法上の有権解釈というのを申し上げる立場にはありませんけれども、先般でしたか、本委員会内閣の法制局長官からの答弁があっておったと記憶しますけれども、一般論として、民事、刑事を問わず、係属中の裁判というものにつきましては、これは、裁判所と同様の目的で行われるなど、当該事件に係る裁判に不当な影響を及ぼすことがないような、国政調査への対応として、回答を差し控えることができると承知をいたしております。  国家賠償請求訴訟及び予備的調査のいずれも、文書改ざん等の問題の真相を明らかにすることを目的として御指摘のファイルの提出を求められていると承知をしておりますので、実質的には同じものであると私ども認識をいたしております。  そのため、御指摘のファイル等々につきましては、訴訟に関連することでもありますことから、国家賠償請求訴訟の一方の当事者である国としては、繰り返しになって恐縮ですけれども、あくまでも訴訟の場で国としての主張を明らかにして、証拠に基づいて立証して、そして裁判所の判断を仰ぐのが、これが基本なんだと思っておりますので、訴訟外の言動によって訴訟に対する司法審査に影響を及ぼすべきではないと考えているということから、従来より回答は差し控えさせていただいておると度々申し上げてきております。
  48. 階猛

    ○階委員 いや、民事訴訟の目的を非常に広く解して予備的調査と目的が同じだと言われていますけれども、民事訴訟の目的は権利回復でしょう。そして、過去の民事訴訟に対する国政調査権は拒まれたことがないということが、前回、海江田先生質疑で明らかになっているわけです。今回だけなぜ拒むのか。なぜ今回だけ目的が同一になってしまうのか。ここの説明がなければ、今の答弁は説得力を持たないわけです。  なぜ、今回については目的が同一だと言えるんでしょうか、私は言えないと思いますが、答えてください。
  49. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今申し上げたことと基本的には同じになろうとは思いますけれども、これは、当事者であります国としては、あくまでも訴訟の場で国としての主張を明らかにするということで、証拠に基づいて立証を尽くして裁判所の判断を仰ぐということになるのが、これが基本だと思いますので、いわゆる訴訟外の言動によって訴訟に対する司法審査に影響を及ぼすべきではないということなんだと思いますが。  先ほど言われました、御指摘の資料等々、現在係属中の国家賠償請求の訴訟についても、これは、存否を含めまして釈明等々を求められております事項として、原告が裁判長に釈明権の行使を求めているところでもありますので、裁判長の訴訟の指揮に委ねるということが適切なんじゃないのかなと思っております。  したがいまして、こうしたことから、本訴訟に不当な影響を及ぼすということがないように、訴訟外でのお答えを差し控えさせていただく。前にも申し上げたとおりです。
  50. 階猛

    ○階委員 時間が来たので終わりますけれども、全く理由になっていないと思います。  以上です。
  51. 越智隆雄

    越智委員長 次に、櫻井周君。
  52. 櫻井周

    櫻井委員 立憲民主党櫻井周です。  もう時間が押しておりますので早速質問に入らせていただきますが、通告しておりました最初の二つの質問財政健全化に関する質問は、既に海江田議員そして階議員との議論の中でおおむね出てきておりますので、そこは私からも意見を述べさせていただくにとどめます。  まず、そもそも、この財政法六条、今回適用しないということですが、これは、平たく言えば、借金返済にお金を優先的に充てて財政健全化を図りましょう、こういう趣旨だというふうに理解をしております。  ただ、最近の状況を見ておりますと、財政健全化への取組が後退してしまっているのではないのか、このような懸念も持っております。  例えば、二〇一九年の経済財政運営の改革と基本方針、いわゆる骨太方針でございますが、財政健全化という言葉は繰り返し出てきて、二〇二五年度PB黒字化というのもしっかりと書かれているわけでございます。さらに、注釈には丁寧に、「二〇二五年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。」ということも書いてありまして、「同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。」まで書いてあるわけでございます。  しかしながら、昨年、二〇二〇年七月十七日閣議決定の骨太方針には、財政健全化という言葉は一回しか出てこない。二〇二五年度のPB黒字化という文言はなくなってしまったわけでございます。一応、財務省説明では、二〇一九年の骨太方針を踏まえて引き続きやるんだ、こういうふうな形で、徳俵に残っている、こういう言い訳があるわけですが、しかしながら、文言としてはなくなってしまっているわけです。  お配りしております資料にも示しましたとおり、また、先ほどの階議員の資料にもありましたとおり、今年度財政状況、極度に悪化しております。新規発行国債、赤字国債で九十兆円、建設国債で二十二・六兆円ということで、百十二・六兆円の新規の国債発行国債発行残高は九百八十五兆円ということですから、債務残高対GDP比ではG7の中でも断トツで悪いという状況でございます。  財政健全化への取組が後退してはならない。今、コロナ禍、COVID―19という状況下にあってなかなか取組を進められないとしても、その構えぐらいは残しておかなきゃいけないのに、構えすらなくなってしまっているのではないのかということで、大変懸念をしておりますので、意見として申し上げさせていただきます。  その上で、実は私、昨日は、総務委員会にも所属しておりますので、総務委員会でも質問させていただきました。地方交付税法の改正案でございまして、要するに、地方財政の方も逼迫をしている、お金がないということで、それのやりくりのための法案でございました。特に、地方自治体については、赤字地方債を発行できないという制約がある一方で、まさにこのCOVID―19、感染症対策、ちゅうちょなく行わなければならないということから、地方財政をしっかり支える必要がございます。  ただ、総務省と地方自治体、自ら改善できるものはやはり改善していかなきゃいけないというふうにも考えます。特に、菅内閣、スローガン、自助、共助、公助ということで、まず自助からやるというのが菅内閣のスローガンなわけでございますから、これは総務省の中でできることはやるべきだということでございます。  昨日の総務委員会の中で私も、武田良太総務大臣に対して、例えばふるさと納税制度、これはしっかりと見直すべきではないのか。ふるさとを応援するというこの趣旨は大変すばらしいものだとしても、実態は返礼品競争に陥ってしまっているわけです。  このふるさと納税、令和元年受入額、四千八百七十五億円あるうち、何と、返礼品、またその送料には二千二百七十五億円も使われている。本来、この二千二百七十五億円というのは、行政サービスなり今年であれば感染症対策、こういったところに使われるべきものが、返礼品、高級食材など、しかも所得のそれなりにある方、高い方に送られているという状況でございます。  こうした状況があるわけですから、税金の使い方としては全く、賢い使い方、ワイズスペンディングとはほど遠いものだと考えます。  また、よその自治体にふるさと納税、行っちゃいました、その減収になった分については地方交付税で補填をされるわけでございます。ですから、地方交付税の財源不足に拍車をかけている、こういう状況もあるわけです。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますけれども、今後、財務大臣と総務大臣の間で地方財政について折衝する機会があろうかと思います。そのときには、やはり、総務省でまず自助努力を、ふるさと納税の返礼品は廃止ということを指摘をするべきだというふうに考えますが、査定する側の大臣としての御見解をお願いいたします。
  53. 麻生太郎

    麻生国務大臣 ふるさと納税という制度について、もう今おっしゃるとおり、これは総務省の所管でして、私どもがどうのこうのと、何か介入しろということを言っておられるんですか。(櫻井委員「いや、予算査定する立場でしょう」と呼ぶ)  これは、元々は、納税者のふるさととか地方公共団体というか地方団体の取組を応援しようという人たちの気持ちを橋渡しするとか、また、地方団体が自ら財源確保して様々な施策を実施するためにいろいろ勧誘してとかいうような制度ではうまくいっている、それなりの値打ちがあるんだ、私どもにはそう思えますけれども。  たしか令和年度、指定制度が導入されたんですよね、あれは元年度、五月か六月でしたかね、その頃に指定制度ができましたでしょう。それで、過度な返礼品を提供する一部の地方団体に寄附が集中しているという状況がある、これを改善するための見直しが行われたんだというように記憶をするんですけれども、少なくとも、こういった見直し等々を通じてこの制度というものが本来の趣旨というか目的に見合って健全に発展するということが望ましいので、今、うかつに介入するかのごとき話は危ないですなと思っています。
  54. 櫻井周

    櫻井委員 ちょっと、余りやる気はないというお話で大変残念でございますが、やはり、あらゆる面でこのワイズスペンディングという取組をしていくということは骨太の方針にも書いてあるわけですから、しっかりやっていただきたいというふうに思います。  その上で、本日は日本銀行黒田総裁にも来ていただいておりますので、質問をさせていただきます。  これまでも、日本銀行金融政策、特にデフレ対策、そして物価目標二%ということについて議論させていただいております。ただ、何かいつもちょっとはぐらかされているような気がしておりまして、今日はまず議論の出発点について確認をさせていただきたいと思います。  我が国の二〇一〇年のデフレについて、これは貨幣現象と捉えているのかどうなのか、貨幣現象なのかそうでないのか、これについてまずお答えをお願いいたします。
  55. 黒田東彦

    黒田参考人 この点は学者の方の中にもいろいろな御意見があると思いますけれども、ある程度長い期間を取ってみれば、インフレ、デフレというのは貨幣的な現象であるということは普通には言えると思うんですけれども、例えば、リーマン・ショック以降の、日本だけでなくて欧米の状況を見ましても、欧米の中央銀行も二%の物価安定の目標を掲げて金融政策を運営しているわけですけれども、リーマン・ショック後十年以上たってもなかなか二%の物価安定目標に達していないということは事実です。  そういう意味では、その間、日銀だけでなく欧米の中央銀行も大変な金融緩和をしてきたわけですけれども、その結果として二%の物価安定目標が達成されていないという意味では、金融政策だけで常に物価安定目標が達成できるのかというものについては、いろいろな疑問とか議論が出ているということは私も認めます。  ただ、通常であれば、異常な石油価格の下落であるとか、あるいは異常な、まあ、最近のコロナも非常に異常な現象ですけれども、そういったことの下でなかなか物価安定目標が達成されないということはあり得るとは思うんですけれども、長い目で見れば、通常の場合は、やはり物価の動向というのは貨幣的な現象であって、その意味では、金融政策がインフレもデフレも防止すべきであるということは言えると思います。
  56. 櫻井周

    櫻井委員 ちょっと、最後またはぐらかされちゃったので、もう一度お尋ねしますけれども、要するに、この十年の日本デフレは貨幣現象なんでしょうか、ないんでしょうか。
  57. 黒田東彦

    黒田参考人 何が貨幣現象かということについてはいろいろな議論があると思いますけれども日本銀行として、金融緩和、ある意味でいうと最大限の金融緩和をしてきたわけですけれども、その下でも二%の物価安定目標が達成されていないという意味では、金融政策に一定の限界があったということは認めますけれども、一般的に、インフレやデフレが貨幣的現象ではない、全く違う状況で決まってくるとは必ずしも言えないと。だから、そういう意味では、各国の中央銀行と同様に、私どもも責任を感じているということでございます。
  58. 櫻井周

    櫻井委員 ちょっと私なりに今の二回の説明理解させていただきますと、貨幣現象としての要素もあるけれども、それ以外の部分もあるというお話だったというふうに理解させて、うなずいていただいておりますので、そういうことかと思います。  貨幣現象である部分については、日本銀行としてしっかり取組を進めてきて、もうこの十年、異常な金融緩和をやってきたわけですから。でも、それでもなお解決できない。これは、日本我が国だけではなく、欧米の諸国においても同じような現象があるということだから、これは貨幣現象以外の部分もいろいろあるのではなかろうか、こういうことだと思います。  確かに、リーマン・ショック以降、その前もそうですけれども、やはり、グローバリゼーション、それから技術革新、こういった時代のスピードがどんどん上がっていって、それについていける人は大金持ちになれるけれども、そうでない方はどんどん中間層から脱落していく。こうした経済格差がある種のデフレの原因、社会構造の変化がデフレの原因になっているのではなかろうか。これは日本銀行が幾ら金融政策で頑張ってもどうにもならないんじゃないんですか、だから無理な金融政策を続けるのはもうやめたらどうですかということで、これまで議論させていただいたわけでございます。  ただ、本日は財政健全化が大きなテーマでございますので、その観点から、日本銀行の関係性をちょっと問いたいというふうに思います。  日本銀行としては、物価目標二%を達成するためということで、引き続き金融政策で長短金利操作つきの量的・質的金融緩和を継続する、これは昨年十二月十八日にもそのような方針を確認されております。そうしますと、今後も上限を設けずに必要な金額の長期国債の買入れを行うということですから、もっとどんどんどんどん買ってしまう、こういうことになろうかと思います。  二〇一九年、二〇一八年は、国債の買入れの額、大分落ち着いてきておったわけですけれども、二〇二〇年にはまたすごい量の国債を買っている。八十兆を超える買入れをしているという状況でございまして、これはまさに財政ファイナンスじゃないのか。先ほど来、財政規律、財政健全化ということを、海江田議員それから階議員、議論させていただいているわけでございますが、しかし、日本銀行がしっかりと買い支えていれば、規律も何もなくなってしまうんじゃないのか、こういう懸念もあるわけでございます。  ちょっと時間も押しておりますので、改めて黒田総裁質問させていただきますが、黒田総裁は、元々大蔵省、財務省の御出身で、特に税務を担当されてきたというふうに承知をしております。財政規律の重要性は、私なんぞよりもはるかに感じておられるというふうに推察をします。また、財務省退官後は、アジア開発銀行で、アジア各国の国、政府に対する貸し手として活躍をされてまいりました。融資先の国に対して財政規律を求める、そういう立場でお仕事をされてきたというふうに承知をしております。そして、今、日本銀行総裁として、日本国政府に対するまさに史上最大の貸し手ということでございます。  こうしたお立場、経験から、我が国財政状況、先進国最悪の財政状況をいかにして立ち直らせるのか、財政規律を求めていくのか、特に貸し手という立場から、御意見、御提案をよろしくお願いいたします。
  59. 黒田東彦

    黒田参考人 私も、個人的に、日本財政状況は極めて深刻な状況にあると思っておりますし、財政再建、財政持続可能性を高めていくということが極めて重要であるというふうに思っております。  いずれにいたしましても、財政運営そのものは政府と国会の責任において行われるものでありますので、具体的に私から何か申し上げるということはありませんが、一方で、日本銀行としての金融政策、このイールドカーブコントロール、長短金利操作付量的・質的金融緩和という金融政策自体は、あくまでも金融緩和を通じて物価安定目標の実現を図るということでやっているわけでして、御指摘のとおり、イールドカーブコントロールの下では、ゼロ%程度という長期金利の操作目標を実現するために必要十分な金額の国債を買うということになっていますので、実際の買入れ額というのは金融政策上の操作目標の実現を目指した結果として決まってきますので、かつてのように、これだけ買うという目標を立てて国債を買っていくという形では、この四年間はなくなっているということであります。  いずれにいたしましても、日本銀行国債買入れを含めて大規模な緩和を行っていますのは、あくまでも物価安定目標を実現するためであって、先行き、物価安定目標の実現が近づく場合には、当然、金融緩和からの出口ということを検討していくということになると思います。
  60. 櫻井周

    櫻井委員 先ほど来、デフレは貨幣現象なのかというような話をさせていただく中で、いやいや、日本銀行としてできることは全部やっている、つまり、貨幣現象としての部分があったとしても、その部分はもう既に金融政策でやっているわけです。それで利かない部分というのは、貨幣現象じゃないような、いろいろな社会構造とかそういったところが原因になってやっているんだから、これ以上金融緩和を続けたところで、それは余り意味がないわけですよね。  結局、意味がない、貨幣現象じゃない部分金融緩和で取り組んでいるというのは、まさに財政ファイナンスをやっている。日本銀行が、財政規律なんかもう気にしなくていいよ、どんどんお金を貸すから、もうどんどんじゃぶじゃぶやってくださいというようなことにある種加担をしてしまっている状態になっているのではなかろうか。  こういうことで、やはり貸し手責任というのもあるんじゃないんですか。実質、債券を買っているということはお金を貸しているわけですから。  そうした意味で、確かに、それは一義的には政府がしっかりやるべきことですし、国会で我々がしっかりやらなきゃいけない。それを黒田総裁に押しつけるというのは何か本末転倒なような気もしますけれども、我々、しかし一方で、貸し手である、貸し手責任、私も元々銀行におりましたから、貸し手責任というのはやはりバンカーとしての矜持として持っておかないといけないと思うんですが、黒田総裁、この貸し手責任という観点から、もう一度、御意見というか、貸し手責任としての答弁お願いいたします。
  61. 黒田東彦

    黒田参考人 従来から申し上げていますとおり、金融政策金融緩和の手段として国債を購入して、現在のようなイールドカーブコントロールという形で金融緩和を続けているわけでありまして、財政ファイナンスとか、あるいは国債の買い支えをするというつもりはありませんし、あくまでも金融政策として行っている、逆に言えば、先ほど申し上げたように、金融政策として、二%の物価安定目標が近づけば、イールドカーブコントロールも国債の買入れということ自体も、当然、出口に差しかかっていって、それを検討するということになろうというふうに思います。
  62. 櫻井周

    櫻井委員 ちょっともう時間になりましたのでこれで終わりますが、引き続き議論を続けさせていただきます。  以上で終わります。
  63. 越智隆雄

    越智委員長 次に、清水忠史君。
  64. 清水忠史

    清水委員 日本共産党の清水忠史です。  冒頭、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々に心よりお悔やみを申し上げ、また、闘病中の全ての皆様方にお見舞いを申し上げます。  また、困難な状況の下、日夜奮闘されている医療・介護従事者の皆様、また、保健所等で働いておられる皆様方にも感謝と敬意を申し上げます。  私は、新型コロナ感染した当事者として、今日は質疑をさせていただきます。  昨年十二月二十七日に三十九度近い熱が出たため、保健所へ連絡をいたしました。その職員の方からは、あなたはコロナ陽性の疑いがあり、この電話で検査の申込みを受け付けることはできるが、検査をするまでに十日かかる、結果が出るまで二週間かかる、その間は自宅待機となりますが、それでもよろしいか、こう言われました。PCR検査を受けるのに、これほどまでに時間を要するのかと驚きました。その間、仮に自宅待機となれば、家族に感染させてしまうリスクがあるわけですから、保健所からは、かかりつけ医がいるなら相談をとも言われましたので、私はその後、かかりつけ医に相談し、受診をし、そしてその後、発熱外来を受診し、抗原検査で新型コロナの陽性と判定されたわけであります。公共交通機関はその瞬間から使えませんから、約四キロ歩いて、約一時間以上かけて自宅に戻りました。  保健所からはその日のうちに連絡はあったものの、入院を希望したわけですが、私は大阪なんですが、重症者が増えています、あなたの症状では入院させられません、こう言われました。私の症状としては、激しい頭痛と倦怠感、それから関節痛がひどかったです。三十七度近い熱も続き、胸の痛みもあり、大変不安に思いました。体重は瞬く間に四キロ落ちまして、何とか入院できないのかとお願いしましたが、できませんでした。やむなくホテル療養になったわけですが、入所できたのは陽性確認から三日後であり、発症から一週間経過した日でありました。  保健センターの職員からは、あなたのケースは第三波が訪れるまでならば入院できたかもしれない、しかし、今は病床が逼迫しているので入院はできない、今は基礎疾患がなければ七十代でもホテルか自宅です、こういうふうに言われました。実際、私が入所した大阪府が管理するホテルには、高齢者の方、たくさんいらっしゃいました。驚きました。  私が体験したように、PCR検査をなかなか受けることができない、病院やホテルに入ることができないという人は多いはずです。自宅療養者は今三万五千人を超えている。自宅待機中に亡くなる方まで出てきている深刻な状況となっています。  政府はこの間、必要な検査を受けられるよう検査体制の拡充も進めてきたと一貫して答弁していますが、私の経験を今お話ししたように、すぐPCRの検査が受けられないというのが、私、現状だと思うんです。なぜいつまでたってもこういうことが改善されないのか。厚生労働省に質問いたします。
  65. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 お答え申し上げます。  今、先生のお話をお伺いいたしました。先生のようなケースも含めまして、コロナウイルスの感染が疑われる方など、検査が必要と判断される方が迅速、スムーズに検査を受けられるようにすることが重要であると考えております。  厚労省といたしましても、新型コロナウイルスに係る検査体制の整備に向け、累次の補正予算、あるいは予備費も活用いたしまして、発熱の症状のある方が地域で、身近な約二万九千の医療機関において診療や検査が受けられる体制の構築、こうしたことも含めて、検査体制の充実に努めているところでございます。  現状、例えばPCR検査に関して申し上げますと、四月上旬の一日約一万件が容量であったものが、現時点では十四万件程度まで拡大をしてきているところでございます。  引き続き、検査体制の整備にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  66. 清水忠史

    清水委員 いや、この間も、PCR検査の予約をしたものの、その検査を受ける前日に自宅で死亡したとの報道もありました。助かるかもしれない命が救われないというのが現下の状況だと思うんですね。やはり、こういう事態を生み出した政府の責任は、私は重いと考えます。  現時点では、各地で、病院や介護施設などでクラスターが発生する深刻な事態が起こっています。実は、大阪府がコロナによる死亡者数が全国一多いんですよね。昨日時点で八百四十三名ということなんです。なぜかといいますと、介護施設でのクラスター、これがやはり大阪で発生、多発しているわけなんですね。感染を防止するためにも、エッセンシャルワーカーの皆さんへの社会的検査として、定期的なPCR検査の必要性が高まっています。  しかし、これを実施する上でのネックとなっているのが、地方自治体の費用負担分の問題なんですよね。  この間政府は、地方創生臨時交付金の活用で全額国庫負担によって実施できている、こう答弁してきましたが、それならば、初めから全額国費で行政検査を実施すればいいんじゃないですか。これがずっとできない理由というのを教えていただけますか。
  67. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 お答え申し上げます。  感染症の蔓延防止の観点から行われる行政検査についてですけれども、これはあくまでも都道府県等が主体的に責任を持って実施していただく必要がございます。こうした観点から、感染症法の規定によりまして、都道府県等がその費用を支弁することとされておりまして、国においては、都道府県等が支弁した費用の二分の一を負担するということが規定をされているところでございます。  今般、コロナウイルスに対しましては、こうしたことに加えまして、先生も御指摘がありました、残り二分の一の都道府県等分の負担分につきまして、臨時交付金の対象ということにしているところでございます。  こうした措置を取ることによりまして、実質的に国の費用負担を行うということによって、早急に検査が実施できるように都道府県等には要請をしているところでございます。
  68. 清水忠史

    清水委員 臨時交付金で充てるというんですが、自治体の財政事情もまちまちだと思うんですよね。全額PCRに充てられるかどうかというのは、その自治体によるわけです。実質全額負担するというのであれば、初めから、行政検査については全額国が負担しますというふうに改善するべきです。これは強く求めておきたいと思います。  現状の感染者を見込んだ方針で作られた三次補正予算案ではありません、今回の補正予算案剰余金を繰り入れる補正予算案については。やはり余りにも楽観的過ぎると思います。私自身もコロナ感染して、検査できない、入院できないという強い思いをしたわけですから、これを改善するということが今求められているわけで、引き続き追及していきたいと思います。  次に、中小企業支援の問題について伺います。  緊急事態宣言発令の地域のみ、休業や時短への協力金が支払われる。しかし、長期化する新型コロナ影響により、地域や業種を問わず、多くの中小企業の経営が厳しくなっています。売上げの減少が五〇%に満たない業者であっても、長引く売上げ減で経営はかなり苦しいものになっています。  全国知事会、それから中小企業家同友会、そして全国商工団体連合会などから、持続化給付金や家賃支援給付金の延長、再支給の要望が高まっています。しかし、今日の午後の予算委員会でも、麻生大臣答弁の中で、これは断固拒否するという姿勢を崩しておりません。  財政制度審議会の昨年末の建議では、「こうした支援策」、これは持続化給付金のことですが、「こうした支援策の長期化は政府の支援への依存を招き、貸し手・借り手の双方にモラルハザードを生むとともに、新陳代謝を著しく阻害するおそれがある。」とし、持続化給付金等の打切りを提言したわけです。  麻生大臣にお伺いしますが、麻生大臣もこれと同じ認識でしょうか。そうだとすれば、この間の政府の支援により、貸し手、借り手の双方に実際にモラルハザードが生まれた事例などがありますか。それについてお答えください。
  69. 麻生太郎

    麻生国務大臣 持続化給付金と今の家賃のいわゆる支援給付金というのは、これは新型コロナのいわゆる経済に与える影響がまだよく分かっていなかった段階において迅速な給付が必要だということから一律に給付を行った、あのときの経緯ですよ。どういったことになればいいかと、私どもはその意見に対しては別の意見だったんですけれども、御党等、皆、十万円一律ということを言われた、なったんですが、なかなか迅速にはいかなかったというのも結果ですけれどもね。しかし、あのときはそうだったというのが元々です。  今回は、営業時間の短縮要請に応じていただいた飲食店等々への協力金とか、緊急事態宣言を踏まえた無利子とか無担保融資のいわゆる無利子枠の引上げとか、また、ポストコロナに向けた取組を行う事業者に対する支援など、いわゆる効果的な措置を講ずるということとさせていただいておりますが、持続化給付金の申請期限の延長なども行っているのは御存じのとおりです。  さらに、今、財政審の話というのが出ていましたけれども財政制度審議会の建議におきましては、持続化給付金の支援については、今言われたとおり、事業継続を支えたという意義を評価をしている一方、こうした支援策の長期化は政府へのいわゆる支援への依存を招き、貸し手、借り手のモラルハザードを生むなどのおそれがあるということを言っております。  こういった問題意識が示された、私どもはそう認識をしておりますので、ポストコロナに向けた前向きな取組を行う事業者に対して支援を行っていくということが重要なのであって、今回の緊急事態宣言によりまして影響を受けた事業者に対して一切支援しないなんて言っていることではないので、効果的な措置を講ずることとしているということでありまして、具体的には、無利子とか無担保融資の無利子の枠の引上げとか、飲食店への協力金とか、その納入業者、おしぼりとかいろいろ納めておられる方への一時金等々、費用や事業を支えていくということでさせていただいていると思っております。
  70. 清水忠史

    清水委員 私がお尋ねしました貸し手、借り手の双方に実際にモラルハザードが生まれたことがあるのかということについては、お答えになられませんでした。  いずれにしても、中小企業の皆さんの要望には背を向ける、歯を食いしばって頑張って事業の継続をしている方々に不誠実だと言わなければならないと私は思いますし、中小企業雇用と地域経済を守るために全力で頑張っているわけです。  一方で、収束に向けた新型コロナ対策への国民の期待に反して、GoTo事業など緊急性の乏しい経費が第三次補正予算案には計上されています。中でも軍事費は三千八百六十七億円も計上され、その大半が潜水艦、パトリオットミサイルなどの兵器購入費用の後年度負担の前倒しなんです。  麻生大臣、どうして赤字国債発行してまで防衛予算、軍事費の前払いをしてやる必要があるんでしょうか。端的にお答えください。
  71. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは自衛隊の装備品等のお話ですけれども、我々の認識はあなたと違って、私たちの周りを取り巻いている環境は極めて厳しいと思っておりますよ。軍備費というのは相対的なものですから。(清水委員「時間がありませんので」と呼ぶ)短くしろって、あなた、これを切っちゃうと具合悪くないですか、話が変なことになって。丁寧に説明させていただいた方がよろしいと思いますけれどもね。(清水委員「時間がありませんので」と呼ぶ)あなたの都合だけに合わせるわけにもいきませんので。  私どもとしては、厳しさを増す安全保障環境というものを十分に管理をしなきゃいかぬと思っておりますので、着実にこういったものをやっていくということは大切なものだと思った上でやらせていただいておりますので。  ちょこちょこっというような質問は、こういうときにはやらない方がいいです。
  72. 清水忠史

    清水委員 いや、後年度負担の問題を私は述べているわけです。それは補正予算で計上すべきものかということを指摘しているわけですね。  資料を御覧ください。  この配付資料は、経団連と軍事産業からの政府に対する要望書なんです。新型コロナ影響で経営が厳しいので、防衛関連企業について後年度負担分を前倒ししてくれ、こう書いています。露骨な要望に対して、政府は今回、満額回答するというわけじゃないですか。一方で、書き入れどきに、年末年始に時短や休業の要請を受けて、多くの飲食店が疲弊し、閉店までしているわけじゃありませんか。そういう飲食店に限らず、幅広い業種が苦しい状況にあえいでいるわけです。  大手軍事産業には赤字国債で調達した資金を支援しながら、廃業、休業が増えている中小企業団体の声には背を向けて持続化給付金を打ち切るなど、許されるものではありません。  今日のところは、この持続化給付金、家賃支援給付金の再支給、これを検討することを強く求めて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  73. 越智隆雄

    越智委員長 次に、青山雅幸君。
  74. 青山雅幸

    青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、衆議院議員青山雅幸です。  本日も貴重な時間、ありがとうございます。  早速です。  今回のこの特例法趣旨というのは、補正の財源として充てるために原則を曲げる措置を取ると。ただ、原則を曲げるといっても、これは順番として公債発行を少しでも先にするという考え方ですので、それはそれなりに合理性があると思っております。  ですので、この法案自体に反対するものではないわけですけれども、問題は、今回の第三次補正予算案を見ても、大学ファンドの創設に五千億円、カーボンニュートラルに向けた技術開発支援基金の創設に二兆円、グリーン住宅ポイント制度の創設に千九十四億円と、かなりの額が計上されています。また、農水省にも一兆円以上が配分されております。  要は、新型コロナ感染症対策というのであればこれは一定程度の理解をできるわけですけれども、三次までの補正にこれだけ、本来本予算に計上すべきようなものが入って、しかも、その財源として、原則を曲げるようなこういう特例法処理までされている。  そこで、やはり将来の財政規律に関して非常に心配になるわけですけれども、そういう観点から麻生財務大臣の御所見をお伺いしたい。
  75. 麻生太郎

    麻生国務大臣 大学ファンドについてですけれども、これは、今、御存じのように、世界レベルの研究基盤というものを構築して、科学技術とかイノベーションとか、そういった日本経済社会の発展に今後つなげていくという観点から、経済対策令和二年の十二月八日でしたかに閣議決定されましたこの中で、大学ファンドを創設してその運用益を活用するということにさせていただいて、事を急ぐということが一番大きな背景で、本予算まで待っておりますと、かなり、何か月かまた遅れますので。  そういった意味で、大学ファンドの早期の運用開始に向けて運用体制の整備などに速やかに着手する必要があるということから、こういった形での補正予算の計上ということになったと理解をいたしております。  グリーンイノベーションの基金につきましても、これも、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの目標というものは、今世紀後半のなるべく早い時期という従来の政府方針の大幅な前倒しでもありますので、現状の取組を大幅にスピードアップ、加速せないかぬという必要があるんだと思っております。  したがいまして、今回の経済対策において、グリーンイノベーションの基金によって、カーボンニュートラルに向けた革新的な科学技術とかそういったものの早期開発とか、また社会的実装をしていくとか、そういった支援をすることとしたものであって、補正予算で計上させていただくということにさせていただいた背景がそれです。
  76. 青山雅幸

    青山(雅)委員 それぞれ、この予算の使い道に関しては特に異議があるわけではない、むしろ非常に大事なものだとは思っています。ただ、それを本当に補正でやるべきものかどうか。本来、正々堂々と本予算でやるべきではないか。そして、財務大臣としては、やはり、そういったことは補正ではなくて本予算でやるのが筋ではあるというようなことをお考えになった方が、私は財政健全化という意味ではやはりいいのではないかと思っております。  時間もございませんので次の質問に移りますと、今、本当に財政が、コロナ対応ということで、かなり弛緩しております。それ自体は、私はしようがない、こういう状況ですから。日本だけではなくて欧米も全てそういう状況にある、ですからそこ自体に強く異論を唱えるわけではないわけですけれども、一方で、これでやはり、繰り返し述べておりますMMT的な考え方がどんどんどんどんはびこっていくということがあればこれは大変なことになってくるというのは、財務委員の皆様も懸念は共有されているところだと思います。  そこで、少しお伺いしたいんですけれども、今、よく私などもSNSで発信するわけですけれども、そうすると、幾ら国債を出しても逆に円高になっているじゃないか、だから大丈夫だ、そういうようなことを言われる場合があるわけですね。  そこで、気になって調べてみたところ、お手元の資料一を御覧いただきたいんですけれども、実は、円高になっているのは対ドルレートなんですね。何で対ドルレートが円高になっているかというと、これを見ると少し驚くんですけれども、二〇二〇年、アメリカの債務残高の増加額が物すごいわけですね。これは、単位十億ドルだから四兆ドルですか。対して日本が、非常に多く出したけれども八十三兆円である。つまりアメリカの方が物すごい債務を負っている、国債の残高を増やしているわけです。つまり、負け組競争でアメリカの方がより負けている。ですから、このコロナ禍にあって株式市場等々が暴騰しているのもむべなるかなと。  一方で、非常に財政については緊縮をしておりますEUなんかも、それなりに出している。しかしながら、やはりそれなりなわけですね。ですから、英国、ドイツ、フランスもそれなりに出しているけれども日本アメリカに比べれば、アメリカの十分の一以下、日本に比べれば半分以下しか出していないわけです。  そうすると、二枚目を御覧いただきたいんですけれども、ドル・円レートは確かに円高になっています。この一番下の水色のですね、これはドル・円では右下に下がっている、これは円高になっている。ところが、ユーロ・円は、これは灰色のものですけれども、非常にユーロ高、円の価値が下がっている。当然、ユーロ・ドルも下がっている。  ですから、ドル・円だけどうしても見がちですけれどもアメリカと一緒に負け組に入っている、通貨としては負け組に入っているという、こういう状況は、きちんと財務大臣としても、御認識は当然されているとは思いますけれども考えいただき、今後、コロナ禍が過ぎた折には、やはりプライマリーバランスの均衡に向けてきちんとやっていただきたいなと思うわけですけれども、こういった点について、お考えをお聞かせいただければと思います。
  77. 麻生太郎

    麻生国務大臣 今日、今、百三円八十銭ぐらいですかね。そんなものですか、今。  私ども、この種の話というのは、ドルの話だけじゃなくて、ほかの話をされるというのはすごく大事なところだと思うんですね。そういった意味では、今、ユーロの話とかいろいろされておりますけれども、これはドル安になっているんですよ、世界的に見ればね。そういったような観点指摘していただいたのは大変ありがたいと思っているんですけれども。  今、コロナになりましてから、私どもとして、国債発行させていただくにしても、コロナ対策だけとはいえ、多額の公債発行して予算を大幅に膨らませることによって、少なくとも債券相場とか為替とか金利とかいうものが大幅にぶれるということを最も、私ども財政を預かる方としては一番気になるところなんですが、今回のような形で、百四円、百三円八十銭等々、ほぼ鉄壁、百四円というのは全然変わらないという状況というのは、多分、世界中、みんな大量に、コロナ対策をしておられますので、財政支出を各国皆やっておるという形が結果として、みんなで同じ方向を向いていますので、金利も動かぬ、為替も動かぬという形になっているんだとは思うんです。もうちょっと黒田総裁あたりと詰めないかぬところなんですけれども、私どもとしては今そう思っております。  運がよかったといえば運がよかったということになるんだと思いますが、皆、世界中、同じ方向で、いや、俺のところはやらないというように、従来のドイツみたいな形で、変わりますと、ちょっとこれはマルクだけ別のものになっちゃうとかユーロだけ別なものになるという可能性をすごく気にしていたんですけれども、去年の四月頃でしたか、ドイツもいきなり電話をかけてきて、少なくとも過去七十年で初めて財政出動をドイツはするということを決めましたので、そういった意味では随分変わったなと思って、ちょっと正直あのときは、これでこっちだけということにならぬなとは思いましたけれども。  いずれにしても、今は世界中コロナで、G7というようなことは昔は年に何回かだった、今はもう電話やらテレビやらで週に二回ぐらいやられるときもありますから、そういった形でえらく連絡は極めて密になっているとは思いますけれども。  いずれにしても、こういったのは注意深くやらぬと、幾らやっても大丈夫だなんというような、モダン・マネタリー・セオリーという、MMTとかいうのを言っておられる方もあちこちおられますから、そういった意味では、私どもはそういったものに乗るつもりもありませんし、きちんとした財政を運営していくという姿勢を崩した途端に、私どもとしては、円安を、極端なことになりかねぬ、相場が動きかねぬということを注意しながら、きっちりこの種のものに対応して、従来どおり財政健全化というのは大事な基本方針として腹に収めておかないかぬものだと思っております。
  78. 青山雅幸

    青山(雅)委員 ドイツなどは、恐らくこのコロナ禍を過ぎれば直ちにまた財政均衡に向かってきちんとやると思います。日本も是非、今の大臣の御認識のとおり、国民が本当の意味で困ることのないように正しくリードしていただければと思っております。  どうも今日はありがとうございました。
  79. 越智隆雄

    越智委員長 次に、前原誠司君。
  80. 前原誠司

    前原委員 国民民主党の前原でございます。  第三次補正予算案について質問をいたします。  予算委員会と重複する部分がございますけれども、大事なポイントでございますので、質問をさせていただきたいと思います。  この補正予算案につきましては、閣議決定がされましたのは昨年の十二月の十五日であります。当日の全国陽性者数は二千四百二名、それまでに最も新規感染者が多かったのが十二月の十二日、三日前の三千三十八名です。七日間の移動平均が二千名台の後半で推移をしておりました。これが閣議決定をされたときに見えていた景色、光景であります。  それが閣議決定された後、年末に徐々に拡大して、年末には四千名を突破し、年明けには急拡大して、一月の八日には七千八百八十二名と約二・六倍に拡大をいたしました。今は若干落ち着きつつありますけれども、今後、変異種の動向を踏まえ、予断を許さないものがあります。  一月七日には一都三県に緊急事態宣言が再発令され、その後、十四日には二府五県にも拡大をされております。二月七日までこれが今のところ続くということでございます。  そこで改めてお伺いしたいわけでありますけれども、本予算の問題点は私は主に二つあると思っています、大きく言えばですね。  緊急事態宣言発出前に閣議決定され、その後、更なる経済落ち込みがあり、かつ医療機関の逼迫があり、こういったものが全く反映されていないということ。もう一つは、第三次補正予算総額は十九兆一千七百六十一億円と過去最大規模でありますけれども、この中で、感染拡大防止策は四兆三千五百八十億円で、全体の二割ほどにすぎない。  改めて問いますけれども、本当にこの予算コロナ対策は十分なんでしょうか。お答えください。
  81. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは、前原先生おっしゃるように、この第三次補正予算につきましては、緊急事態のいわゆる宣言が出される前に編成をされたものだということは事実でありますけれども、私ども、よく検討させていただきましたけれども医療提供体制確保とか検査体制の充実とかワクチンのいわゆる接種体制の整備などの感染拡大防止策に必要な経費というものはかなりきちんとしていると思っておりますし、加えて、雇用調整助成金特例措置とか、緊急小口資金等々の特別貸付け、また資金繰り支援、そのほかにも、よく言われる地方創生臨時交付金等々の、雇用とか生活の充実等々に充てる必要な経費などを既に計上してありましたので、コロナへの対応にはかなり万全な措置が講じられているものだと思っておりますし、コロナの予備費も五兆という形でやらせていただいている分はありますので、更なる対応も可能なようにしてあると思っておりますので。  したがいまして、今、三次補正予算というものを変更するというような必要はあるとは思っておりません。  したがいまして、今日、衆議院で予算委員会でこの法案を通していただきましたけれども、いずれにいたしましても、明日、あさって、参議院がございますが、少なくとも、こういった予算早期に成立させていただいて、予備費等々もうまく活用させていただきながら、この新型コロナへの対策というものを万全を期してまいりたいと考えております。
  82. 前原誠司

    前原委員 五兆円の予備費で必要があれば対応するということをおっしゃっておられますけれども、十分ですかねと申し上げたいと思います。  私の選挙区は京都市内でありますけれども、週末、ある貸切りバス会社の稼働台数、売上げを見せてもらいました。去年の四、五、六月はほぼゼロです。それからようやく七月以降バスが活用を始められまして、昨年の十月から十二月は、これはGoToの私は影響はあったと思いますけれども、五〇%を超える状況でありましたけれども、緊急事態が発出された今月は再びほぼゼロになっているという状況であります。  我が選挙区の清水寺、銀閣寺、前を歩きましたけれども、土日でもほとんど人が歩いていない、そして店も開けていない、シャッターが閉まっている状況であります。こういった状況が二月七日まで少なくとも続くのかということを考えた場合に、本当に背筋が寒くなるような思いがしているわけであります。  その上で、私は麻生大臣に伺いたいんですけれども財政健全化も必要ですよ、それは私は今までこの場でも、国会でも、予算委員会の場でも何度も申し上げてきたので、それについては異論はありませんけれども、このコロナ禍において、やはり本当に生活に困っている方々がおられる。お話を伺っていても、特別定額給付金、持続化給付金、困っておられる方で手元にある方なんてもうおられませんよ。やはりこれをもう一回何とかしてもらえないかということは、困っている方ほど本当に切実な私は思いじゃないかと思います。  所得制限を仮にしたとしても、一律にやるということであれば一部の富裕層には貯蓄になるだけじゃないか、そういった意見もありますし、それについて私は同意するものもあります。しかし、本当に困っている方々に対して、私は、この消えた、蒸発した需要というものを埋める、こういった施策というものは改めて必要だと思いますが、いかがですか。
  83. 麻生太郎

    麻生国務大臣 これは、今回の緊急事態宣言によりまして影響を受ける方々、今バス会社の話をしておられましたけれども、私どものところにもいろいろな話がよく参りますのでよく分かっておるところでありますけれども、これまでの経験に基づいて、私どもは効果的な支援策というのをそれなりにやらせてきていただいているんだと思っております。  したがいまして、この三次予算におきましても、雇用生活というものの、ここが一番肝腎なところだということで、効果的な支援が可能になりますように、御存じのように、雇用調整助成金特例措置をするとか緊急小口資金等々をやらせていただきましたし、個別に資金繰りの支援とか生活困窮者支援とか自殺対策などなど、いろいろな必要な経費を計上させていただいておりますのは御存じのとおりです。  さらに、今回の緊急事態宣言に当たって、これはより効果的な支援を図るという観点で、一律に何でもというのではなくて、営業時間短縮等々でいろいろ御協力をいただいた飲食店については、雇用調整助成金等々、大企業に当たりましても、例の十分の十とか、そういったような助成率を引き上げますとか、営業時間短縮への協力金に対する国からの支援というのを引き上げますとか、いろんな形でやらせていただいておりますし、いわゆる不要不急の外出等々、移動の自粛によって、先ほどのバス会社の話じゃありませんけれども、大幅に売上げが減少している中小企業者に対しては一時金を支給するなど、今いろいろやらせていただいておりますので。  今言っておられる、前回のように一律十万円といったようなあの給付金を再度、今この場で支給するということを考えているわけではございませんけれども、その他いろいろやらせていただいているのは御存じのとおりであります。
  84. 前原誠司

    前原委員 それでは足りないということを申し上げているわけであります。  そういった、本当に、こういったときには一番、やはり、困っている方々、あるいはこのコロナ前でも生活に困っておられた方々に、よりしわ寄せが行く。例えば、一人親家庭とか、あるいは学生さんとか、あるいは、言ってみれば所得の低い方々とか、こういった方々のやはり窮状というものをしっかりと踏まえて是非対応していただきたいということを改めて申し上げておきたいと思います。  それに関して一つだけ質問したいと思うんですが、営業時間短縮に協力してくれた飲食店に対して六万円、八時までですね、六万円を支給するということでありますけれども、これは皆様方の耳元にもよく入ってくる話じゃないかと思いますが、飲食店に対してのみ手厚いねと。  飲食店に対して納入している流通、卸、あるいはそれを作っている生産者、別途ほかにそういった生産者や流通に対する支援策があるというのは知った上で、お答えをしてもらいたいんですけれども、じゃ、この六万円ということに対して、川下である飲食の方々には支援策はあるけれども、川中、つまりは流通、川上、生産には何か支援がありますか。
  85. 赤澤亮正

    赤澤大臣 御指摘のとおり、時短要請に協力いただく飲食店においては、これは大変厳しい状況に置かれるということでありまして、御負担をおかけすることになります。  先般創設した地方創生臨時交付金の協力要請推進枠について、特定都道府県においては、支援額の単価を、一日、一店舗当たり六万円、月額換算最大百八十万円まで拡充ということであります。  一方で、これも御指摘のことと思いますけれども、その他関連事業者については、協力要請推進枠の対象とはならないというものでありますけれども、緊急事態宣言の下で時短営業を行う飲食店と取引があること、又は、不要不急の外出、移動の自粛により影響を受けたことにより、本年一月又は二月の売上高が対前年比五〇%以上減少した中堅・中小事業者に対して、法人四十万円、個人事業者二十万円を上限に一時金を支給することとしており、要件を満たせば支援の対象となる。  この違いについて何か理由があるのかという御指摘かと思うんですが、今回の緊急事態宣言においては、春、夏の経験、知見を参考とし、また、専門家から、特に飲食の場が急所であるという御指摘をいただいていることを踏まえて、飲食を中心とした感染リスクの軽減、これを実効的なものとするために感染防止対策などを講じていくということを基本的な考え方としており、そのために、具体的には飲食店にはほかの業種と違って二十時までの営業時間の短縮という厳しいものを要請しておりますので、このような考え方によって整理をさせていただいているところでございます。
  86. 前原誠司

    前原委員 飲食店に対してもまだまだ手薄なところがありますし、ましてや、川中、川上の方々にとっては、自分たちは何か光が当たっていないのではないか、そういう意見が多いということについては改めて申し上げ、是非そういった対応も必要であれば更に加えてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、変異型コロナウイルスに対する対応というところについてお話をさせていただきたいわけでありますけれども。  先ほど、GoToキャンペーンの話をしました。これが感染拡大になったかどうかということは、今議論するものではありません。これはまた精緻な議論が必要だというふうに思いますけれども、かなり楽観的であったのは間違いないと思うんですね。寒くなれば患者が増えると言われていたのに、それに対しては余りにも無防備であった、楽観的ではなかったか。この変異型についてもそういったところをしっかりと私は認識をしておかなければいけないのではないかと。ヨーロッパでは猛威を振るっておりますし、感染力は七割増になっているということであります。  これは、やはり同じことを繰り返しちゃいかぬと思うんですね。この変異型についてはしっかりと封じ込める、そして、この変異型の再拡大は起こさせないという意思を私は政府として示すべきだと思いますが、いかがですか。
  87. 山本博司

    ○山本副大臣 今委員指摘のとおり、この変異型に対する対応、これは大変大事だと思っておる次第でございます。  そのためにも、海外からの変異株の流入を防ぐためには、国内での感染拡大を防止するためでのまず水際対策の強化、さらには国内監視体制の強化、これを図ることが重要であると認識している次第でございます。  このため、政府としましては、変異株が確認された国、地域からの入国に対する水際対策を速やかに強化するとともに、国内の陽性検体につきましては、迅速にゲノム解析が行えるように、国立感染症研究所の体制整備を行ったところでございます。  いずれにしましても、しっかりとした体制を取っていきたいと思います。
  88. 前原誠司

    前原委員 水際対策も重要ですし、でも、もう国内にいるわけですよね。その方々がこれからどのような感染をしていくかということについて、しっかりとやはり体制を取っていかなきゃいけませんし、その莫大的な感染をどう防ぐかということについては、これは本当に、皆様方、特に政府の皆様方は相当な覚悟を持ってやっていただかなきゃいけないということを改めて申し上げておきたいと思います。  この法律、今かかっている法律につきましては、財政健全化は必要だとは思いますけれども、しかし、万全な措置を、しっかりと対応策を取るということにおいて賛成するということを申し上げて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  89. 越智隆雄

    越智委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  90. 越智隆雄

    越智委員長 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、順次これを許します。階猛君。
  91. 階猛

    ○階委員 私は、立憲民主党を代表し、ただいま議題となりました令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案につき、以下の理由で反対します。  第一に、本法案提案理由は、補正予算において国債発行を抑制することとされています。しかし、そのことにどれだけの意味があるのでしょうか。  確かに、本法案によって赤字国債新規発行額は約七千億円減ります。しかし、その分、償還期を迎えた国債の返済に充てるための借換債の発行額が増加するのです。  本法案は、国債全体の発行額を抑制するものではなく、単に国債発行名目を変えるにすぎません。コロナ禍において、まさに不要不急の法案です。  第二に、本法案に係る剰余金は常識的な意味での剰余金ではありません。前年度税収は当初予算案より大きく落ち込み、ちょうど一年前の補正予算で二兆二千億円もの赤字国債追加発行することになりました。その後、税収落ち込み幅が若干縮小し、日銀からの上納金を増やしたことで赤字国債追加発行で調達した資金が余ったため、会計上は剰余金と扱われるにすぎません。いわば、この剰余金借金の使い残しです。  財政法六条は、当初予算より税収が上回った場合に生じた真の意味での剰余金であっても、五〇%以上を過去の借金返済に充てることを求めています。そうであれば、今回はなおさら借金の返済に充てるべきです。財政法六条の特例を設け補正予算財源に横流しすることは、財政規律を著しく踏みにじるものであり、到底許されません。  以上のとおり、本法案は、麻生大臣提案理由を読み飛ばしてしまうほど無意味なものであります。また、剰余金の使い方としても、本予算の粉飾に使った昨年よりも更に悪質になっています。  財務省が本来注力すべきは、コロナ対策のための特別会計を設けて中長期的に収支を均衡させる措置を講じたり、財政政策の有効性や持続可能性を第三者がチェックする独立財政機関を設けたりすることではないでしょうか。  本法案を直ちに否決した上で、本委員会が真に国民と国家のためになる法案審議する場になることを強く望みまして、私の反対討論といたします。(拍手)
  92. 越智隆雄

    越智委員長 次に、清水忠史君。
  93. 清水忠史

    清水委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました二〇一九年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案について、反対の討論を行います。  本法律案は、二〇二〇年度第三次補正予算案を編成するに当たり、二〇一九年度一般会計の決算剰余金を活用できるようにするための措置を講ずるものであります。  本法案により決算剰余金が繰り入れられる二〇二〇年度第三次補正予算案には、地方創生臨時交付金の追加や新型コロナ対応を行う医療機関向けの緊急包括支援交付金の増額の措置などが計上されているものの、新型コロナ感染拡大防止策はたった四・四兆円、歳出全体の二割程度にすぎません。  そもそも、第三次補正予算案は、政府による二度目の緊急事態宣言が発令される以前に閣議決定されたものであり、その後に起こった新型コロナ陽性者の急増、医療提供体制の逼迫、入院やホテル療養できない現状や自宅待機者の死亡の多発などに対応したものではありません。  にもかかわらず、第三次補正予算案には、カーボンニュートラルに向けた基金創設に二兆円、六月まで継続するGoTo事業に一兆八百二十六億円、国土強靱化等に二兆九百三十六億円、軍事費の後年度負担の前倒し分などに三千八百六十七億円などを計上しています。  このような緊急性も必要性もない経費補正予算案に計上することは、財政法第二十九条の趣旨にも反するものです。  以上、二〇二〇年度第三次補正予算案と一体である本剰余金処理法案に対し反対することを申し述べて、私の討論を終わります。(拍手)
  94. 越智隆雄

    越智委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  95. 越智隆雄

    越智委員長 これより採決に入ります。  令和年度歳入歳出決算上の剰余金処理特例に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  96. 越智隆雄

    越智委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 越智隆雄

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  98. 越智隆雄

    越智委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十八分散会