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2021-04-15 第204回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月十五日(木曜日)     午前八時四十五分開議  出席委員    委員長 金子 恭之君    理事 小里 泰弘君 理事 工藤 彰三君    理事 藤丸  敏君 理事 堀井  学君    理事 近藤 和也君 理事 早稲田夕季君    理事 大口 善徳君       岩田 和親君    大岡 敏孝君       金子 俊平君    神山 佐市君       繁本  護君    杉田 水脈君       鈴木 憲和君    平  将明君       高木  啓君    武部  新君       出畑  実君    中谷 真一君       中根 一幸君    根本 幸典君       原田 憲治君    深澤 陽一君       松本 文明君    宮崎 政久君       山本 幸三君    池田 真紀君       石川 香織君    岡島 一正君       柿沢 未途君    神谷  裕君       小宮山泰子君    高木錬太郎君       松田  功君    谷田川 元君       山本和嘉子君    江田 康幸君       岡本 三成君    吉田 宣弘君       田村 貴昭君    美延 映夫君       高井 崇志君    古川 元久君     …………………………………    国務大臣    (防災担当)       小此木八郎君    内閣府副大臣       赤澤 亮正君    厚生労働大臣      山本 博司君    内閣大臣政務官     和田 義明君    総務大臣政務官      宮路 拓馬君    政府参考人    (内閣府政策統括官)   青柳 一郎君    政府参考人    (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君    政府参考人    (消防庁国民保護防災部長)           荻澤  滋君    政府参考人    (気象庁長官)      長谷川直之君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 土居健太郎君    衆議院調査局第三特別調査室長           名雲 茂之君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   井出 庸生君     宮崎 政久君   武部  新君     繁本  護君   小宮山泰子君     谷田川 元君   佐藤 公治君     松田  功君   岡本 三成君     吉田 宣弘君   古川 元久君     高井 崇志君 同日  辞任         補欠選任   繁本  護君     武部  新君   宮崎 政久君     井出 庸生君   松田  功君     石川 香織君   谷田川 元君     小宮山泰子君   吉田 宣弘君     岡本 三成君   高井 崇志君     古川 元久君 同日  辞任         補欠選任   石川 香織君     佐藤 公治君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  災害対策基本法等の一部を改正する法律案内閣提出第五〇号)      ――――◇―――――
  2. 金子恭之

    金子委員長 これより会議を開きます。  内閣提出災害対策基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官青柳一郎君、総務省自治行政局公務員部長山越伸子君、消防庁国民保護防災部長荻澤滋君、気象庁長官長谷川直之君及び環境省大臣官房審議官土居健太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子恭之

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 金子恭之

    金子委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。
  5. 小里泰弘

    小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。  質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず最初に、この度、災害対策基本法の一部を改正する法律案、この参考資料誤りがあった件につきまして、二度とこういうことのないように反省を促しますとともに、今後の実効性ある再発防止策について、大臣のお考えをお伺いします。
  6. 小此木八郎

    小此木国務大臣 よろしくお願いいたします。  今、小里委員指摘の、本日御議論いただくこの災害対策基本法等の一部改正案でございますけれども参考資料誤りがございました。改めて皆様におわびを申し上げます。  今回の誤りについて、資料を作成する際の作業ミス確認漏れなどが原因であったと事務方から報告を受けておりますけれども、私からも、緊張感を持って一緒に仕事をしましょうということと、再発防止につきましては、府省庁横断設置されたプロジェクトチームにおける議論も踏まえつつ、内閣府において法案作成作業に従事していない職員チームでチェックを行うなどの体制をつくり、このような取組がしっかりと生きるように、誤りが再び発生しないよう取り組んでまいります。
  7. 小里泰弘

    小里委員 東日本大震災から十年の大きな節目を迎えております。大震災教訓を生かして、今後想定される大災害にどのように備えていくべきか、そういった観点から今日は伺ってまいりたいと思います。  東日本大震災発災をしましたときに、私どもは野党でありましたが、ここは経験のある自民党がしっかりと対策案を示していこう、そういうことから震災対策プロジェクトチームを立ち上げまして、私はその座長として取りまとめに当たりました。被災地の声をいただきながら、党を挙げて議論をしまして、避難所対策から復旧対策まで五百七十七項目の対策案を提言し、その多くが民主党政権によって実行されていきました。津波対策法復興基本法を始め、多くの特別立法議員立法も行われたのであります。  その一つに瓦れき処理に関するものがありました。瓦れき処理復旧復興に向けまして、瓦れき処理が進まないと復旧復興は始まらないのであります。そこで、私どもはいわゆる瓦れき処理特別措置法案を提案し、成立し、これを基に瓦れき処理が進んでいったという経緯があるわけであります。  瓦れき処理における大きな課題として、まず自治体費用負担の問題があります。自治体負担率そのものは一割とか数%とかいうものでありますけれども、その瓦れき処理量そのものが、総額、総量が膨大に及びますので、負担額はかなり大きなものになるわけであります。そこで、瓦れき処理特別措置法におきましては、市町村瓦れき処理に安定的に取り組めるように、その費用の全額を国が負担することにしたわけであります。  大きな災害になるほど、厚みのある対応負担割合明確化しておく必要がありますけれども現行制度ではどのような対応状況になっておるか、お伺いをいたします。
  8. 土居健太郎

    土居政府参考人 環境省は、廃棄物処理法第二十二条に基づきまして、被災市町村実施します災害廃棄物収集運搬処分に対しまして、災害等廃棄物処理事業費補助金による支援を行っております。  この制度によりまして、市町村が支出します金額につきまして、通常災害の場合につきましては、国庫補助が二分の一、加えまして、地方財政措置を含めますと、九〇%の財政措置を行っております。また、災害激甚災害に指定された場合におきましては、地方財政措置を拡充しまして、最大で九五・七%の支援を行っております。さらに、災害特定非常災害に指定された場合につきましては、地方財政措置の拡充、また災害廃棄物処理基金を合わせまして九七・五%以上の支援を行うという形で、災害に応じまして厚みのある対応負担割合明確化を図っているところでございます。
  9. 小里泰弘

    小里委員 かなり厚みのある対応最大の場合で九九・何%まで国が負担するという制度設計にはなっておるわけであります。そうなりますと、激甚災害指定あるいは特定非常災害指定というものをいかに迅速にやるかがまた大きな課題になるわけでありまして、政令の準備作業を始め、迅速な対応をいざというときには取っていただくように、よろしくお願いしたいと思います。  廃棄物の仮置場への搬入、搬出に関しまして、渋滞等発生をしまして、住民生活にも大きな支障が出る事態が生じたわけであります。大規模災害が想定される地域につきましては、あらかじめ仮置場の位置を想定して、そこに至る道路、港湾等輸送手段を確保する必要があると思いますが、対応状況をお伺いします。
  10. 土居健太郎

    土居政府参考人 御指摘のとおり、平時から、発災時に備えまして、仮置場必要面積を算定し、候補地を選定しておくということであるとか、収集運搬方法交通渋滞へも配慮した収集ルート事前に検討しておくこと、災害廃棄物処分方法を検討しておくことということが非常に重要だというふうに考えております。  このような観点から、災害廃棄物処理対策に関します基本的な考え方であります災害廃棄物対策指針にこのような考え方を盛り込みまして、当該指針に基づきまして、地方自治体における災害廃棄物処理計画策定を推進しているところでございます。
  11. 小里泰弘

    小里委員 いわゆる海の瓦れきの特性としまして、廃棄物が海の中で移動をしますから、その実施主体処理責任を負うべき主体が、国交省なのか、環境省なのか、水産庁なのか、あるいは都道府県なのか、必ずしも明確でありません。国が、処理を行うべき主体についての指針を定める必要があると思いますけれども対応状況をお伺いします。
  12. 土居健太郎

    土居政府参考人 東日本大震災により海に流出いたしました災害廃棄物処理につきましては、処理指針を定めまして、関係省庁地元自治体連携して取り組んできております。  今後の災害につきましても、この処理指針を踏まえまして、関係省庁等連携して、速やかな対応を行っていきたいというふうに考えてございます。
  13. 小里泰弘

    小里委員 現行法で、瓦れき処理市町村が行うべきものと第一義的には定められておるわけでありますが、いざというときに、多くの市町村は、様々な災害対応で手いっぱいでありまして、迅速かつ的確に瓦れき処理を行う余裕はなかったというのが東日本大震災経験であります。そこで、国に瓦れき処理責任を持って行わせるように、瓦れき処理が国の責務であることを規定して、国が自治体に対して主体的に支援を行うことを瓦れき処理特措法においては明記をいたしました。さらに、市町村から要請があり、必要があると認められるときは、国が代行することとしたわけであります。  大規模災害における瓦れき処理につきましては、国、都道府県市町村民間事業者責務役割明確化しておく必要があると思いますが、対応状況をお伺いします。
  14. 土居健太郎

    土居政府参考人 今御指摘ございましたとおり、平成二十三年に、東日本大震災により生じました災害廃棄物処理に関する特別措置法が制定をされまして、災害廃棄物処理が迅速かつ適切に行われるよう、国の責務といたしまして、地方公共団体に対して主体的に必要な措置等を行うことが位置づけられるとともに、国が必要に応じて市町村処理を代行するという規定を設けられました。  これは、非常災害時でありましても、災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理のためには、国、地方公共団体事業者関係者がそれぞれの役割を果たしつつ、相互に連携協力することが不可欠であるという理解に基づくものでございます。  こうした教訓、知見を基にしまして、平成二十七年に廃棄物処理法災害対策基本法改正いたしまして、国の主導的役割の下、関係者連携いたしまして、平時からの人的交流であるとか災害協定締結、国による処理代行等によりまして、より強固な廃棄物処理体制を構築するということが可能になってございます。
  15. 小里泰弘

    小里委員 ありがとうございます。  大規模災害ほど最後まで国が責任を持つということが大事なことでありますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。  平成二十七年七月に、廃棄物処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律案が成立をいたしました。私は当時、環境大臣としてこれを担当したわけであります。  この法律を受けまして、地域ブロックごとに大規模災害における災害廃棄物対策行動計画策定、あるいは自治体レベルにおける廃棄物処理体制の整備や災害協定締結などを始めとする災害廃棄物処理計画策定することとされたわけであります。それぞれの進捗状況をお伺いします。
  16. 土居健太郎

    土居政府参考人 今お話ございました法律改正を受けまして、地方環境事務所が中心となり、地方ブロック協議会、これを全国八か所で設置をしてございます。協議会の活動などを通じまして、平成三十年三月までに、全ての地域ブロックにおきまして災害廃棄物対策行動計画策定してございます。  また、自治体におきます災害廃棄物処理計画策定状況につきましては、令和三年三月末時点の最新の数値を今確認したところ、都道府県では一〇〇%、市町村では六六%という策定状況になっておりまして、環境省といたしましては、今後とも、地方公共団体におきます災害廃棄物対策の促進に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
  17. 小里泰弘

    小里委員 まだ、特に市町村におきましては道半ばという感がいたします。災害はいつ起きるか分からない、災害は待ってくれないということがよく言われます。しっかりと更なる対応をお願いしたいと思います。  東日本大震災におきましては、被災によりまして自治体機能が大きく損なわれました。中には、首長の貴い命を失ったケースもあったわけであります。そういう自治体機能が大きく損なわれているところに、避難所対策瓦れき処理罹災証明書発行等、膨大な被災業務が加わりました。深刻な要員不足に陥ったわけであります。例えば、義援金の支給が遅れることが大きく問題視されましたけれども、その最大の要因も、罹災証明書発行に当たる職員が深刻な人手不足であったということがあったわけであります。  大規模災害におけるこのような事態を想定しまして、全国自治体からの応援体制、これを速やかに構築するための仕組み制度というものを備えておく必要があるわけであります。東日本大震災における大きな教訓でありました。この取組状況総務省にお伺いします。
  18. 山越伸子

    山越政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、大規模災害発生直後には、避難所運営罹災証明書交付など、地方公共団体災害対策として短期間に多くの業務を行うことが求められます。  このため、総務省では、東日本大震災熊本地震での経験も踏まえまして、平成三十年三月に、他の自治体から短期で応援職員派遣する仕組みとして、全国知事会などとともに応急対策職員派遣制度を構築いたしました。  具体的には、被害状況人的支援ニーズの把握を行う先遣隊としての役割を担うとともに、災害マネジメント支援いたします総括支援チーム、また、避難所運営罹災証明書交付等災害対応業務支援するための対口支援チーム派遣を行っているところでございます。  直近では、令和二年七月豪雨において、この仕組みを活用して、延べ約六千三百名の応援職員熊本県内被災市町村派遣をしたところでございます。  引き続き、被災自治体ニーズ対応できるよう、これまでの経験を踏まえつつ、人材育成に努めながら、制度のより円滑な運用に努めてまいります。
  19. 小里泰弘

    小里委員 おっしゃるように、制度が円滑に機能するように日頃から対応しておく必要があると思います。特に、平素からシミュレーションに基づく訓練というものを、大規模災害が想定される地域ほど行っておく必要があるんだろうと思います。その辺も、もしお答えできれば答えていただければと思います。
  20. 山越伸子

    山越政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、日頃から、訓練情報伝達連携訓練をしておくことが極めて重要だと思っています。  訓練実績といたしましては、平成三十年に関東、中部ブロックで、令和元年度についても三ブロック令和二年度についても一ブロック訓練をしているところでございます。  引き続き、より効果的に制度を運用できるよう訓練を続けてまいりたいと思います。
  21. 小里泰弘

    小里委員 よろしくお願いしたいと思います。  東日本大震災におきましては、避難民を受け入れたいけれども国から何の指示もないといった声を方々の自治体から聞いた経緯がございます。省庁役所に問い合わせましても、どこが調整機能を果たしているのか分からないような、そういう状況でありました。  広域的な避難のための受入れについて今次の改正対応しておりますが、どのような状況か、お伺いをいたします。
  22. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  東日本大震災において、まず、市町村都道府県の区域を越えた被災住民受入れ実施に時間を要したということを踏まえまして、平成二十四年の災害対策基本法改正によりまして、災害発生後に、被災住民受入れについての他の市町村への協議ですとか、都道府県知事内閣総理大臣による協議相手先等に係る助言といった、広域一時滞在枠組みを整備したところでございます。  一方で、一昨年の台風十九号におきまして、災害発生前の広域的な住民避難について、避難先避難手段の確保が困難であったといった課題が明らかとなったところでございまして、今回の改正法案におきましては、災害発生するおそれがある段階での広域避難、まあ広域一時滞在災害発生後でございますけれども、おそれの段階広域避難についても、避難住民受入れについての他の市町村への協議ですとか、都道府県知事内閣総理大臣による協議相手先等に係る助言、こういった枠組みを整備することとしているところでございます。
  23. 小里泰弘

    小里委員 あらかじめ平時においてもしっかり準備をしておく、平時ほど、事前にできる対応、例えば協定締結とかいったことが大事でありますので、そういった、いざというときにスムーズに対応するための準備というものをよろしくお願いしたいと思います。  大規模災害時には、従来の制度が通用しない場面が多くあります。例えば、被災して自動車を失って、自動車を新たに取得しようという場合において、なかなかこれが、従来の制度がうまく通用しないわけであります。まずは役所被災していたり、機能を果たさない。あるいはまた、印鑑を本人が失っていたりして、車庫証明住民票印鑑証明などの提出が困難となります。手続が履行できないケースが続出をするわけであります。また、租税面で見ますと、失った車の重量税の還付、新たに自動車を取得する場合の自動車取得税に対する、また温かみのある配慮も必要となってくるわけであります。  このような平時制度が通用しない、いわゆる特例措置が必要となるのが大規模災害であります。あらゆる事態に備えたガイドラインを定めておくべきと思いますが、大臣のお考えをお伺いします。
  24. 小此木八郎

    小此木国務大臣 委員指摘のように、平時のときから、大規模災害、大規模にかかわらず災害時における様々なことを考えておくことが必要であることは、この委員会でも度々、委員の御指摘やら私たちの認識にもあるところでございますし、特に、今日も度々おっしゃった東日本大震災を始め大規模災害発生した際には、災害態様被害状況も踏まえながら、御指摘のあった自動車取得等に関わる支援も含め、様々な分野において特例措置は行ってきたところであります。  今後とも、国民の生命と財産を守るため、過去の災害対応経験知も生かして、様々な事態を想定して、できる限りの準備を進めていく必要があると考えています。  一方で、災害態様被害状況は様々でもあり、柔軟な対応を求められる場面もあることから、事前に一律の対応を定めるガイドラインを作成するのは困難でありますが、引き続き、関係省庁と密接に連携をして、災害対応の様々な場面においてニーズに応じた対応ができるよう努めてまいりたいと思います。
  25. 小里泰弘

    小里委員 さらに、過去を振り返りますときに、阪神淡路大震災では、まさに初めて経験する大きな災害、近代においてはですね。それだけに、いわゆる教科書がなかったわけであります。全くの初めて経験する事態でありまして、これに特例措置特例措置連続対応していかなければならなかったわけであります。東日本大震災では、幾分、阪神淡路大震災教訓が生きたわけであります。さらに、我々は、東日本大震災で大変な経験をいたしました。そこには多くの教訓があります。大規模災害になればこういう今まで考えられなかった事態発生をするんだということが分かってきたわけでありますので、それぞれの事態に対して、想定し得る事態に対して、可能な限り、大臣がおっしゃるように、可能な限りガイドラインを定めておく必要があろうと思いますので、是非よろしくお願いいたします。  東日本大震災では、各省庁がばらばらに動いている感が否めなかったのであります。官僚は、相当程度のところまではやりますけれども、なかなかのりを越える対応は取りづらいわけであります。そこは政治決断対応していかなければならないのであります。大規模災害時は、申し上げましたように、特例措置特例措置連続であります。異常事態を想定したガイドラインを用意しておくと同時に、政治決断を持って進める司令塔の存在というものが大事な要素になってまいります。すなわち、大規模災害時においては、専任大臣設置がやはり求められるんだろうと思います。  今次の改正では、内閣府に、防災分野を掌理する特命大臣を必置することとしておりますが、その性格をお伺いいたします。
  26. 小此木八郎

    小此木国務大臣 今おっしゃいました阪神淡路大震災でありますけれども、一九九五年、今から二十六年前、私は一回生でして、当選をした二年後、二年目に起きた大きな大震災でありますから、非常に大きな衝撃がございました。今、委員のお父上がそのときの対処に当たる専任の、阪神淡路大震災復興担当大臣に就かれたということも、今、記憶の中にございます。大変な御活躍をされたと存じています。また、復旧復興陣頭指揮に当たられたそのお立場、これは、専任大臣設置ということが本当に日本では初めてと言っていいぐらい、そういう体制がしかれたという中、特に連立政権という中でもございまして、非常に多くの政治的な決断もあったと思いますが、そういった発生した災害被害規模態様に応じて、任命権者である内閣総理大臣とよくそういうことについても話し合っていきたい、相談をしてまいりたいと思います。  これまで、防災担当大臣は、災害対応に際して、内閣総理大臣指揮の下、災害対応に係る主管の大臣として、関係省庁指揮調整において中心的な役割を果たしてきたと存じますけれども、今回の改正は、大規模化頻発化が進んだ防災の国政上の重要課題としての位置づけが更に高まってきたという中で、政府として、防災担当大臣が重要であることを改めて示すもの、政治家とすれば、その覚悟を示すということだと思います。その職を法律上必ず置く、つまり、防災担当大臣を必ず置くということといたしたところであります。  いずれにいたしましても、そういう発災時には迅速かつ適切な対応が、更にチームワークを持って結束して行える体制をつくってまいりたいと存じます。
  27. 小里泰弘

    小里委員 それぞれ簡潔に、また適切な答弁をいただきまして、ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  28. 金子恭之

    金子委員長 次に、大口善徳君。
  29. 大口善徳

    大口委員 公明党の大口でございます。  東日本大震災から十年、また、熊本地震から、四月十四日と十六日でございますが、五年の節目を迎えました。そうした大きな節目の本年、近年の台風災害等教訓等を踏まえ、災害対策基本法等改正案が今国会に提出された意義は大きいと考えます。  昨年、我が党は、全国ネットワークを駆使して、近年の台風地震災害被災地の関連する都道府県本部に対し防災対策に関する聞き取り調査を実施し、主な被災地に赴きました。また、未曽有のコロナ禍は、我が国の災害対応の在り方を大きく変えています。我が党は、前後して、避難所の総点検や分散避難取組など、コロナ禍を踏まえた防災対策についても各地で調査を実施いたしました。さらには、今後の我が国の防災、減災の在り方等について、有識者のヒアリングも行い、党内でも議論を重ねてきました。  それらを踏まえて様々な論点や課題を整理、集約し、昨年七月には、党として、新たな防災、減災に関する提言を取りまとめ、政府に申入れを行いました。本法律案は、そうした我が党の要請の内容も盛り込んだものと承知しております。国民の命と暮らしを守るため、次のまた出水期も考えますと、本法律案が速やかに成立することを望んでおります。  本法律案につきまして、最初に、この改正案の意義とともに、災害列島の我が国だからこその、世界一災害に強い防災大国日本の構築に向けた今後の防災・減災対策の取組について、小此木大臣の決意をお伺いします。
  30. 小此木八郎

    小此木国務大臣 ありがとうございます。  大口委員には、かつてから、国会対応も含め、様々なお仕事をさせていただきました。また、今テーマになっておりますこの防災対応につきましても、現在、気候の変動による災害のよく激甚化、頻発化と我々は口にするわけですけれども、そういった対応でもいろいろな御指導をいただいておることを心から感謝をいたします。  今回のその中でのこの改正案でありますけれども令和元年東日本台風等の教訓を踏まえ、災害時における逃げ遅れが生じないよう、避難勧告、避難指示の一本化、個別避難計画の作成など、円滑かつ迅速な避難の確保を図るとともに、災害発生するおそれ段階での国の災害対策本部の設置を可能とするなど、災害対策実施体制の強化を図るものであります。  国民の命を守るための法案というのは言うまでもない話でありますけれども、国会審議を通じこの成立をいただければ、梅雨までに施行できるよう、しっかりと準備を行ってまいりたいと思います。  また、昨年十二月には、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策、これを閣議決定いたしまして、流域治水対策やインフラの老朽化対策などに重点的かつ集中的に取り組むことといたしました。様々な災害被害を軽減するため、省庁の縦割りを排し、ハード、ソフト両面から事前防災に取り組んでまいります。  私の着任の後も、この冬の大雪ですとか二月の福島県沖を震源とする地震などの災害発生しており、災害時、またアドバイスも頂戴いたしました。災害はいつ起こるか分からない状況がますます増えておりますけれども、引き続き、災害から得られた教訓を踏まえ、防災・減災対策の不断の見直しを行いながら、あらゆる手を尽くして、我が国の防災力、これを高めてまいりたいと存じます。
  31. 大口善徳

    大口委員 大臣対応に期待をしております。よろしくお願いいたします。  本法律案では避難指示、勧告を一本化しますが、次の出水期が始まる六月までに国民一般にこれが周知されるには余りにも時間がタイトであり、迅速な周知の取組が不可欠です。国民への周知に向けて、メディア等にも協力をお願いしなければならないと思いますけれども、関係機関との調整状況を含め、どのように周知を進めるのか、伺います。
  32. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  新たな避難情報につきましては、御指摘のとおり、令和三年の梅雨どきから市町村によって円滑に運用されるとともに、住民にその内容が理解されるよう周知徹底することが極めて重要でございます。  このため、国会審議の状況、国会の法案の成立も踏まえなければいけないところでございますけれども、早い段階から都道府県市町村防災担当者向けには説明会を開始をしておりまして、広報誌の作成、新たな避難情報を用いた避難訓練など、周知の準備を開始していただくということ、それから、テレビ、インターネット等のメディアにおいて新たな避難情報について解説する特集を組んでいただけるよう、依頼は既に始めているところでございます。  改正法案が成立、公布をした後からは、新たな避難情報に関するポスターなど、指定公共機関や市町村等とも連携しながら、様々な施設や店舗等に掲示することを予定しておりまして、梅雨どきからの運用開始に向けて、しっかりと周知、普及、啓発を図ってまいりたいと考えております。
  33. 大口善徳

    大口委員 どうか徹底のほど、よろしくお願いしたいと思います。  次に、個別避難計画について伺います。  個別避難計画とは、災害時に自力で避難することが難しい高齢者や障害者の方々を誰がどこにどのように避難させるかを明確にし、確実に避難させるための実行計画を平時からしっかり備えるもので、高齢者等の逃げ遅れなどの課題を克服するため、極めて重要な計画であります。  ところが、この個別避難計画の作成はなかなか進まないのが現状であり、先般、三月三十日の消防庁の最新の発表では、昨年十月一日現在、全ての避難行動要支援者について個別避難計画が作成済みの市町村全国で約一〇%ということでございます。  個別避難計画の作成が進まない理由としては、これまでは、法的根拠がないことや予算、人材、ノウハウの不足などの課題があることが指摘されており、そうした意味でも、今回、同計画の作成が市町村長の努力義務として法律に明記される意義は大きいと考えます。  個別避難計画の作成の参考となる事項については、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針に記載されており、内閣府は本法律案の成立後にこの指針を改定する予定と聞いていますが、改定に当たっては、各市町村取組が加速するよう十分に配慮していただきたいと思います。  他方、近年、各地では、災害避難カードやマイ・タイムラインなど、住民が自らの避難行動を事前に決めておく取組も進んでいます。こうした取組が個別避難計画と相互に連携し、より効果的な避難計画を作ることも今後重要になると考えますが、見解を伺います。
  34. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  これまで、御指摘取組指針によりまして、市町村における要支援者の避難行動支援のための名簿の作成、任意の個別避難計画の作成を促してきたところでございますけれども法律が成立した暁には、今回の改正を踏まえて作成に努めることと努力義務がかかります個別避難計画について、一層分かりやすく、具体的な作成手順等も盛り込んだ形で取組指針を改定して、市町村における取組を加速させるべく取り組んでまいりたいと考えております。  また、内閣府としては、これまでも、地区防災計画の推進など、住民同士の共助による地域住民避難促進に向けた取組も推進してきたところでございまして、マイ・タイムラインあるいは災害避難カードといった優良な事例の周知にも努めてきたところでございます。  委員指摘のとおり、こういった住民同士の共助による避難促進の取組内容と個別避難計画の内容が整合をして、避難時に連動して実効性ある避難が行われることが大切でございますので、こういった取組が促進されるよう、十分周知啓発に努めてまいりたいと考えております。
  35. 大口善徳

    大口委員 地域でも、地道に、それこそ自治会の方と高齢者の方が一緒になって避難路を歩かれて、非常に現場に即したことをやっておられますので、しっかり連携をしていただきたいと思います。  個別避難計画は災害時に実際に機能することが重要ですが、作成が進んでいない自治体では、いきなり精度の高いものを作ることは難しいかもしれません。このため、一つのやり方として、例えば、現場の実情に応じて、まずは骨格的な内容に絞ったものを作ることから始めて、段階的にブラッシュアップして実効性の高い計画を目指すことがあってもよいと思います。  また、実効性の高い計画とし、災害時に円滑かつ迅速に避難支援を行うためには、計画を作成した上で訓練実施することが重要なので、各自治体における避難訓練実施等についても支援をお願いしたいと思います。  さらには、各地の先進優良事例の全国展開も重要です。内閣府は、避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組事例集を作成しているほか、令和三年度予算では個別避難計画作りのモデル事業を行っていくとのことですが、先進優良事例やモデル事業については、国からの情報発信に加えて、自治体同士での情報共有や交流の場づくりなど、国としても積極的に行うべきではないかと考えますが、大臣の見解をお伺いします。
  36. 小此木八郎

    小此木国務大臣 委員がおっしゃいましたように、避難計画、個別の避難計画の作成が進んでいないという自治体もあることから、まずは、特に必要な記載内容、避難支援実施者ですとか避難場所そのもの、こういったものに絞って作成することから始めて、更新の機会等を活用して記載内容の充実を図るという方法もある、こういうふうに考えています。  また、個別避難計画に基づいた避難訓練実施することによって、計画作成の段階では分からなかった課題が明らかになってくるということもございます。それに加えて、計画内容の改善、避難の実効性の向上につながるということを考えており、今後改定する取組指針等を通じて避難訓練実施を促してまいりたい、こういうふうに思っています。  さらに、今おっしゃいましたこの先進事例を横展開していく観点から、令和三年度予算において個別避難計画作成のモデル事業を実施することとしておりまして、効果的、効率的なモデルを創出して全国自治体に展開していくということに加えて、自治体間においてモデル事業の取組状況を共有する場やお互いに相談できる意見交換の場を設ける予定でもおります。こうした取組を通じて個別避難計画の作成を促してまいります。
  37. 大口善徳

    大口委員 自治体同士での情報交換と交流の場づくり、非常に大事でございますので、またよろしくお願いしたいと思います。  次に、各市町村に対する財政支援として、個別避難計画の作成経費について、令和三年度より新たに地方交付税措置を講ずることとなったとのことでございます。  今回の交付税措置については、三月十八日の本委員会において我が党の岡本委員質疑に対する答弁でも御説明いただきましたが、全国で作成する対象人数や作成期間、一人当たりの作成費用はどのくらいを想定しているのか、改めてお伺いします。
  38. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  個別避難計画の作成に当たりましては、介護が必要な高齢者等であってハザードマップ上で危険な地域にお住まいの方といった、まずは優先度の高い避難行動要支援者について取り組んでいただきたいと考えております。  内閣府としては、現時点で優先度の高い避難行動要支援者は約二百五十万人と推計しておりまして、この方々に係る個別避難計画の作成経費、先行事例等を踏まえますと、一人当たり七千円程度、全体では百八十億円程度要すると考えております。こういった優先度の高い方について、市町村の皆様方におおむね五年程度で作成に取り組んでいただきたいと考えておりまして、年平均では三十六億円程度、初年度の令和三年度はその半分の十八億円程度を要すると見込んでおります。  これらを踏まえて、令和三年度において、市町村における個別避難計画の作成経費について新たに地方交付税措置を講じることとされているところでございます。
  39. 大口善徳

    大口委員 次に、デジタル防災と今後の個別避難計画についてお伺いします。  今後はデジタル防災取組も重要になります。例えば、災害時に自分がどこにいても、GPSを活用して、スマートフォンのAI技術によってその地点からの避難誘導や救助依頼の発信などを可能とする技術も進みつつあります。将来的には、個別避難計画にもこうしたAI等のデジタルの技術を積極的に取り入れて、更に効果的な避難対策を進めていくことも考えられます。  政府では、昨年末より、デジタル・防災技術ワーキンググループを設置して議論を進めているとのことでありますが、個別避難計画に係るデジタル防災取組を含めて、現状と今後の取組について大臣にお伺いをいたします。
  40. 小此木八郎

    小此木国務大臣 御指摘にありましたように、デジタル技術を積極的に活用して、災害時に住民一人一人に対してきめ細やかに避難先への誘導を行うことなど、効果的な避難対策を行うことは重要であると考えています。  そこで、デジタル化への対応として、今般の災害対策基本法改正に併せて、マイナンバー法の改正も行うこととしております。  例えば、現在は、市町村の個別避難計画の担当職員は要支援者の介護度の変更の有無を福祉担当職員に問い合わせる、こういう必要がありますけれども、マイナンバー法の改正後は、個別避難計画の担当職員はマイナンバーを活用することが可能となり、要支援者の現況を迅速に確認できるようになります。これにより、個別避難計画の作成、更新に係る市町村業務の効率化、事務負担の軽減、こういったものに資するとともに、避難行動要支援者本人にとっても現在の状況に即した避難支援等を受けることが可能になる、こういうふうに考えています。  また、昨年十二月から有識者から成るデジタル・防災技術ワーキンググループを設置して、事前防災や、あるいは人命救助の場面等における防災のデジタル化の推進に向けた課題の整理、施策の検討、これを進めており、本年五月をめどに提言を取りまとめることとしています。  引き続き、自治体関係省庁連携しながら、効果的な避難対策の促進等に向けて防災のデジタル化を推進してまいりたいと存じます。
  41. 大口善徳

    大口委員 大臣のリーダーシップで大いに促進をお願いをしたい、こういうふうに思っております。  次に、今日は厚生労働省より山本博司副大臣に来ていただきましたが、よろしくお願いいたします。  人の命を守るこの個別避難計画の作成については、各地の実情に応じて、様々な創意工夫を促しながら進めていくことが大事であります、重要であります。これまで、個別避難計画の作成の先進地域である大分県別府市や兵庫県では、介護支援専門員、ケアマネジャーや相談支援専門員等の福祉専門職の参画が大きな効果をもたらしており、市町村の中でも、福祉部局と防災部局の綿密な連携が重要になります。また、個別避難計画の作成に取り組むことが、災害時だけではなく、平時においても地域福祉の強化や孤立防止につながることが期待されます。  そうした観点も含めて、今回の個別避難計画の作成の推進に当たっては厚生労働省がしっかり後押しをしていただきたい、こう思います。この市町村における福祉部局と防災部局の連携ということが非常に大事でありますので、この点、山本大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  42. 山本博司

    山本大臣 委員指摘のとおり、介護支援専門員また相談支援専門員は、避難行動要支援者のうち介護保険サービス等の利用者について、日頃からケアプラン等の作成を通じて避難行動要支援者本人の状況等をよく把握しており、信頼関係も期待できることから、この個別避難計画作成の業務に福祉専門職の参画を得ることは極めて重要であると認識している次第でございます。  このため、令和三年三月に、厚生労働省より自治体の福祉部局や関係団体宛てに、消防防災主管部局や保健医療などの関係部局との連携の下で、この個別避難計画の取組の検討及び実施準備に協力をいただけるよう依頼したところでございます。  また、令和三年度より、個別避難計画の作成に係る福祉専門職の参画に関する報酬等の経費につきましては、先ほどお話ございましたように、新たに地方交付税措置が講じられておりまして、一件当たり七千円程度、想定している形でございますけれども、講じられている次第でございます。  また、平時においてもしっかり対応するという意味では、令和三年度介護、障害福祉サービス等の報酬改定におきまして、ケアマネ事業所等に対しまして、一定の経過措置期間を設けて災害等に対する業務継続計画の策定等を義務づけるとともに、基本報酬の引上げを実施しております。例えば、ケアマネの報酬では一・八%引上げ、また障害福祉サービスでは最大四・一%引上げ、これは他のサービスよりも厚く評価している次第でございます。  今後とも、災害対策基本法を所管する内閣府を始め関係省庁連携しながら、福祉専門職の参画が確保されるように、関係団体に協力を求める等によりしっかりと対応してまいります。
  43. 大口善徳

    大口委員 山本大臣、答弁ありがとうございます。しっかりお願いします。  退席をしていただいて結構でございますので。  次に、広域避難対策の強化についてお伺いします。  大規模広域避難については、特に、首都圏、中部圏、近畿圏に広がるゼロメートル地帯等の低平地の避難対策が喫緊の課題でございます。我が党は、党の東京都本部とも連携をして議論を進めており、昨年七月の申入れでは、大規模広域避難対策を円滑に行う仕組みづくりを要請しました。  それを踏まえて、本法律案では、災害発生するおそれの段階で、つまり、発災前で空振りとなってしまうことも覚悟で、国民の命を守るため、国が災害対策本部を設置することができるようにすることや、市町村長が住民広域避難させる場合の協議の手続などの新たな規定を盛り込んでいます。  この法改正を踏まえて、国民に対して広域避難についての理解の促進や周知、普及を進め、今後は、住民を巻き込んだ避難訓練など、地域の実情に応じた対策を進めるべきだと考えます。さらには、新しいスキームがあるので、国と地方が平時からしっかり連携し、足並みをそろえて適切に広域避難実施することができるようにしなければなりません。広域避難が円滑に行われるようにするために、今後どのような取組を行っていくのか、伺います。  また、広域避難だけではなく、自らの地方公共団体内での垂直避難や公共施設や民間の大型商業施設への避難など、現実に対応可能な複数の避難パターンを組み合わせることで地域における総合的な避難対策を行うことが重要でございます。  これについて、政府は、東京都等と連携し、首都圏における大規模水害広域避難検討会で議論を進めているとも承知しておりますが、これまでの検討状況や今後のスケジュール等についてもお伺いしたいと思います。これは大臣にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  44. 小此木八郎

    小此木国務大臣 広域避難についてですが、やはり避難、これは広域になればなるほどより地域をまたがるということになるわけでありますから、日頃からの関係の構築、こういったものが重要になろうと思います。顔の見える、言ってみれば信頼関係をいかに築き上げるかということも重要なことだと思っておりますので、国の関係機関、地方、地域連携をして具体的な対応を検討しておくということが、これは言うまでもないことでございます。  このため、内閣府では、法改正に併せて、全国での広域避難取組を促進するため、広域避難の検討手順等の基本的な考え方について整理を行って、地方公共団体に周知していく予定であります。  また、広域避難の実効性を確保するためには、住民に対しての周知啓発や訓練等を進めていくことも重要であることから、内閣府において、広域避難に関する解説資料や事例集の作成等を行って、各地域取組が促進されるよう支援してまいります。  加えて、荒川下流域のような大規模水害が想定される地域では、他の自治体への広域避難だけでなくて、自らの自治体内で立ち退き避難や垂直避難などの避難行動を適切に行う必要があります。具体的な避難先としては、親戚、知人宅、ホテル、旅館、国や都が所有する公共施設、民間の商業施設などの活用を図ることが重要であると考えます。  こうした観点から、内閣府と東京都が共同で首都圏における大規模水害広域避難検討会を開催しており、今年二月には、荒川下流域を中心とした地域において、災害時に想定される自宅の浸水状況等に応じて、自宅からの立ち退き避難、自宅にとどまり安全確保など避難行動別に分類をして、それぞれの避難者数を試算したところであります。今年の梅雨期までに、これも、成立をさせていただいた後に、避難行動別の分類を踏まえた避難先避難手段の確保の方策や、住民への周知啓発手法等について基本的な考えをまとめる予定としております。  引き続き、都や関係自治体、交通事業者等の関係機関と連携して、多様な避難先の確保に向けた具体的な検討を行うなど、広域避難の円滑な実施に向けた取組を進めてまいります。
  45. 大口善徳

    大口委員 本法律案では、災害発生するおそれがある場合、発災前に国の災害対策本部が設置された場合に災害救助法を適用することを可能としています。これは、避難所の開設、運営に係る市町村費用負担の軽減につながるものと、画期的で、高く評価したいと思います。  一方で、広域避難が必要となる場合には、具体的にどのような費用が国庫負担の対象になるのか。例えば、自力で避難が難しい高齢者や障害者のためのバス等の借り上げ費用避難施設の借り上げ経費なども対象となるのか、市町村への財政支援の対象範囲や上限などについて伺います。また、国庫負担の対象となる事例など、ガイドライン等で分かりやすく示す必要があるのではないでしょうか。大臣にお伺いします。
  46. 小此木八郎

    小此木国務大臣 今回の改正により、大規模災害発生するおそれがある段階において国が災害対策本部を設置した場合に、災害救助法の適用が可能となります。これにより、例えば、事前広域避難する際などに必要となる避難所の供与、高齢者や障害者等で避難行動が困難な要配慮者の輸送のためのバスの借り上げ、こういったものの費用について国庫負担の対象となります。  これらの救助の基準については、内閣府の告示においてあらかじめ規定することになりますけれども、個々の状況等を踏まえた柔軟な対応が可能となっており、内閣府としても、都道府県等から協議を受けた際には適切に対応してまいりたいと存じます。  また、今回の改正による災害のおそれ段階における救助の対象範囲等の自治体への周知については、内閣府告示において規定するとともに、災害救助事務取扱要領、これにおいて、運用上の留意点、これらを分かりやすく示し、加えて、都道府県等の担当者に向けた全国会議において説明するなど、自治体とも連携して、円滑な事前避難の実現につながるよう周知に努めてまいりたいと存じます。
  47. 大口善徳

    大口委員 最後に、災害救助法の運用についてお伺いします。  本年二月に発生した福島沖を震源とする地震では、福島、宮城を中心に大きな被害発生し、福島県では八市九町に災害救助法が適用されました。  これに対して、宮城県では、その後、三月に発生した宮城県沖を震源とする地震による被害を含めて一万棟以上の住家被害発生したにもかかわらず、災害救助法が適用されていないため、被害の大きかった宮城県の山元町の町長、私、お伺いしたときに、災害救助法の適用を受けた福島県新地町は隣接する町なんですが、そこと山元町の被災状況に鑑み、国において同様の支援措置を講ずるよう、お話を伺ったわけでございます。  災害救助法が適用されると、住宅の応急修理の対象となるほか、中小企業、小規模事業者対策や、公共料金の支払い猶予、減免など、他の制度でも災害救助法の適用が要件となっているのでありますが、災害救助法が適用されるかどうかということは、そういう点で大きな影響があるんです。  災害救助法の適用については都道府県知事が判断することになります。現場の市町村長からの適用の要望があった場合にちゅうちょせず適用することなど、運用の改善が図られるべきではないでしょうか。また、災害救助法が適用されないことを踏まえて県や市町村が住宅の修理費用等について支援を行う場合には国として支援を行うことができないのか、併せて大臣にお伺いします。
  48. 小此木八郎

    小此木国務大臣 この災害救助法の適用でありますけれども、これは、ふだんから内閣府として、都道府県に対して、ちゅうちょすることなくこの適用を行うよう助言等はしてございます。都道府県がちゅうちょなく判断を行うためには、現場の市町村被災の程度や避難状況等の情報を迅速に把握することが不可欠であり、現場の市町村との緊密な連絡が、これも必要不可欠であると思います。  このため、救助法の適用が円滑に行われるように、内閣府として、引き続き、都道府県に対して救助法の適用に関し積極的に助言を行ってまいりますし、都道府県市町村の間における災害時の情報共有、この手段の確立について平時から取組を進めるよう都道府県に対して促してまいりたい、改めて申し上げます。  また、今年の二月の福島県沖の地震でありますが、ここでまとまった緊急対応策においては、救助法による支援の対象とならない場合でも、住宅の修理費用等を支援する措置も盛り込みました。具体的には、耐震性や瓦屋根の強度が不足した住宅に対する耐震基準等を満たすための改修工事について防災・安全交付金による支援被災した住宅の補修等に必要な資金に対する住宅金融支援機構による低利融資、住宅の補修等に関する相談窓口の設置や現地相談等の実施、こういったことにより被災者の生活再建に向けた支援を行うこととしています。  今後も、それぞれの災害における住宅の被災状況を見極めながら、必要な検討をしてまいりたいと存じます。
  49. 大口善徳

    大口委員 時間が来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  50. 金子恭之

    金子委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前九時四十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十分開議
  51. 金子恭之

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。池田真紀君。
  52. 池田真紀

    ○池田(真)委員 立憲民主の池田真紀です。よろしくお願いいたします。  今日は災害対策基本法改正法案ということでの審議入りでありますが、本当に長らく、この委員会を含めて、多くの委員からもこの間の避難名簿の話だとかたくさんの議論があった上で、一歩一歩前進してきているなというふうに思っています。それを実効性あるものにするために、幾つか確認をこの後させていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いします。  まず一つ目ですが、避難行動要支援名簿、そして個別計画の策定状況について伺います。  消防庁が今年三月三十日に公表した調査結果で、令和二年十月一日現在では、避難行動要支援者名簿作成済みが九九・二%、個別計画を全部作成済みの市町村は九・七%でした。前回の調査、令和元年六月一日現在では、個別計画を全部作成済みの市町村が一二・一%でありました。今回の調査では個別計画の策定率が下がっているんですね。この理由をまず最初に伺いたいと思います。
  53. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、消防庁の調査によります個別避難計画の全部策定市町村、前回調査の一二・一%から九・七%に減少をしているところでございます。  この理由につきまして、調査実施者の消防庁から自治体に聞き取りを行いましたところ、前回調査時点から今回調査時点までの間に新たに避難行動要支援者名簿に掲載された方、これが増えてきたところ、その全員に対しての個別避難計画を作成することができなかったなどの理由によりまして、全部作成済みの団体が減少したということでございました。  なお、個別避難計画が一部作成済みの市町村については、前回調査の五〇・一%が五六・九%に増加、また未作成の市町村は、三七・八%から三三・四%に減少しているということでございます。
  54. 池田真紀

    ○池田(真)委員 ありがとうございます。  名簿の改定みたいなのもすごく必要だと思うので、そこでタイムラグが出てくるということでありました。  続けてなんですけれども、今回のこの法案に、個別避難計画の策定が今度、市町村長の努力義務になるということでありますけれども、併せてといいますか同時といいますか、介護福祉施設に関連してのBCPの作成が今回義務づけられています。この法案とはまた別のところで位置づけられておりますけれども、高齢者福祉施設については、水防法、そして介護保険法では、避難確保計画、そしてあと非常災害対策計画の策定が義務づけられました。  在宅でケアを受けている場合には、本法律案による個別避難計画、今回の本法律案ですね、それとあと水防法に基づく避難確保計画、非常災害対策計画、これはどちらの対象になるのか。支援を必要としている人が計画から漏れてしまう、どれにするか分からないとか、そういう漏れてしまうことがないようにというふうに思うんですが、この取組についてお伺いしたいと思います。
  55. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  高齢者福祉施設等に入所されている方については、水防法等に基づきます避難確保計画、あるいは介護保険法に基づく非常災害対策計画により対応されることになります。一方で、御指摘のように、在宅で介護サービスを受けている避難行動要支援者については、今回改正により導入いたします、災害対策基本法に基づく個別避難計画の対象となることになります。  生活拠点によらず切れ目なく避難支援等を実施されることは大変重要であると考えておりまして、個別避難計画の作成主体となる市町村に加えて、避難確保計画を所管する国土交通省、あるいは非常災害対策計画を所管する厚生労働省等、関係省庁と十分に連携をして、支援を必要としている方がこれらの計画から漏れることのないように、しっかり連携方策を検討して取り組んでまいりたいと考えているところです。
  56. 池田真紀

    ○池田(真)委員 一方で、BCPの策定の方は三年間にわたって経過措置があって、介護報酬に伴うということなのでありますけれども、個別の方は自治体の方で報酬が出ていくのではないかと思われるというところで、これはまだ国の施策ではないということだと思います。  この個別避難計画作成のための費用なんですけれども令和三年度から地方交付税措置が講じられるということなんですけれども、普通交付税の不交付団体についてはどのような財政支援を行うのか、伺いたいと思います。
  57. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、個別避難計画の作成のための所要経費につきましては、令和三年度から新たに地方交付税措置を講ずることとしておりますが、普通交付税の不交付団体も含めまして、全国自治体を対象として、作成手順を明示した具体的な取組指針の提示ですとか、優良事例を全国的に展開するためのモデル事業、また、今、国土交通省の防災・安全交付金を始めとする活用の可能性がある各省の補助制度の紹介、周知などを行うことによりまして、不交付団体も含めまして作成の支援に努めてまいりたいと考えております。
  58. 池田真紀

    ○池田(真)委員 財政措置、極めて重要だと思っています。協力を、日頃関わっているケアマネさんとかにお願いしますねと言いましても、これはボランティアではなかなか難しいかと思いますし、あと、自治体で差が出てしまうということでも、これは計画がまだ進まないというふうに思いますので、是非そこはお願いをします。  計画は作ったものの、それが実効性はどうなのかといったときに、おおむね、避難に協力していただく方々が御町内の方でかなり御高齢であったりとか、あるいは同じ人が二十名も登録をしているとか、実際、実効性がどうなのかというところについては、把握をしたり見直しをしたりとか、どのような取組でしょうか。人の確保です。
  59. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  個別避難計画において、御指摘のように、避難支援等の実施者の確保が重要でございまして、そのためには、地域避難訓練等に参加を呼びかけるといった、地域における支援者の輪を広げる取組、あるいは、御指摘のような、高齢者で二十人ということがないように、個々の支援者の体力や状況を踏まえて、複数人で役割分担をすることといった、避難支援実施者の負担感を軽減するための取組が重要であると考えております。  また、避難支援実施者については、地域全体の共助によって避難支援を行う観点から、個人だけではなくて、町内会や自主防災組織等の団体も対象としているところでございます。  内閣府として、こうした取組について、今後、法案の成立を受けて施行後に改正いたします個別避難計画の作成手順を明示した具体的な取組指針、この改定を行う中でしっかりとお示しをするということと、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、今年度実施しますモデル事業において自治体取組支援して全国に展開するといったことで、避難支援実施者の確保についてより一層促進をしていきたいと考えております。
  60. 池田真紀

    ○池田(真)委員 これはやはり、実践というか実施をしながら、また検証して情報を収集していただいて、そこで、どうやったら実現するのか、実効性があるのかというのは繰り返し検証して進めていただかないとと思いますので、お願いしたいと思います。  避難行動要支援者名簿の作成のために、今回、説明の中で、マイナンバー法を改正して、名簿作成、計画の作成に当たりマイナンバーにひもづく情報を活用ということで説明があります。  このマイナンバーの中で、基本情報といいますか、住所がどこでとか基礎情報だけではなく、具体的に、避難支援を必要とする方というのは本当に様々な情報が必要だと思うんですね。  ただ、それをどこまでこのマイナンバーで確保していくのか、情報を共有していくのか、そして、あと日常の情報管理、個人情報保護の問題、そして、どういう災害時に共有をするのかといったような、同意がなくても共有をしていく、そういった基準といいますかガイドライン等、何か判断基準といったものがあるのか、お伺いしたいと思います。
  61. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  今般の災害対策基本法改正案におきましてはマイナンバー法の改正案も含まれておりまして、マイナンバーを活用して、避難行動要支援者名簿や個別避難計画の市町村の担当部局が、必要となります避難行動要支援者の要介護区分ですとか障害の程度等の情報を確認できるようにすることとしております。  具体的には、マイナンバーを活用して得た情報を踏まえて、避難行動要支援者名簿に掲載するかどうかの判断、あるいは個別避難計画への必要な情報の記載などにおいて活用することが想定されるところでございます。  また、個別避難計画情報の関係者への提供の関係につきまして、災害発生するようなおそれがある場合に、避難行動要支援者の生命又は身体を災害から保護するために特に必要があるときには、個別避難計画情報を消防機関や警察、民生委員、社会福祉協議会、自主防災組織などに提供することができるわけでございますけれども、こういった場合の留意点なども含めて、委員指摘のようなガイドライン取組指針などによりまして考え方をしっかりと示して、よく、自治体の方々で混乱が起きないように努めてまいりたいと考えております。
  62. 池田真紀

    ○池田(真)委員 今、御懸念もおっしゃられておりましたが、本当にそうだと思うんですね。具体的にこの個別避難計画の中にどういった情報を、必要な情報というのがアバウトなので、どういう情報というところも必要ですし、ましてや緊急時でありますから、本当に何か起きたとき、今の消防もそうだと思うんですね、消防だ、レスキューだといったときに、この方のいろいろな日常のケアの情報とかが分からなかったとしても、命を守る、その場で判断できるような避難をしてくださる。それはプロの話なんですけれども、これを地域でやる際に、どういう避難支援、援助が必要なのか。  日常の支援災害時とはやはり異なると思いますので、そこは極めて、考え方をまずしっかり定めておかないと、個人情報の問題にまた別の問題が発生したりとかすることを私は懸念しますので、是非ここは、命を守るというところの情報、そして使い方の基準を明確に、あと範囲を明確にしていただきたいなというふうに思います。作成前に是非ともお願いしたいと思います。  もし、はいとか、そういう、確認で、済みません、お願いです。もし具体的にお答えいただけるのであれば、こういう範囲というふうにおっしゃっていただいたら。
  63. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げたとおり、今後、ガイドライン等で、しっかり施行までに自治体に周知すべきことはしっかりとやっていきたいと思います。  ただ、一方、ちょっと個別避難計画については、冒頭の御質問にありましたように、策定率が低い状況にある中で、今後策定を促進していくために、余り膨大な情報を一人一人について作成をしなければならないというふうにしますと、市町村の方もなかなか負担が大変な部分もありまして、一番最初に取り組むところでは、まず、優先度の高い要支援者の方々について、特に必要な情報をしっかりと個別避難計画で定めていただく。例えば、避難支援者と避難先避難経路を明確にしていただく。個々の要支援者の障害あるいは介護の程度等について、必要なところはしっかりと記載していただかなくちゃいけないと思いますけれども、余り自治体が今後作成を促進するに当たって負担にならないような形もきっちり取っていかなくちゃいけないと思いますので、そこら辺も含めて、よくガイドラインで定めて周知していきたいと考えております。
  64. 池田真紀

    ○池田(真)委員 自治体負担にならないようにということでありますけれども、もう既に、この法案に入る前に、夏までにはという話もございますので、それまでには確実にお願いをしたいのと、そして、既にもう台風二号は発生していますから、もうちゅうちょはないんじゃないかなというふうに思います。リニューアルというより、今すぐできること、そして明確にすることというのが極めて重要だと思いますので、よろしくお願いします。  あともう一つは、DVとか、そういうところの日頃の情報管理には、本当に自治体の方はよくよく分かっていると思いますけれども、是非、政府の方もその配慮を忘れることのないようにお願いしたいと思います。  そして、次、担当大臣の必置化についてお伺いしたいんですが、その前に、関連して、大臣の必置化について伺いますけれども、その前に、今の避難計画の際に、今回の改正案の中で、必置化もあるし、そして避難基準、避難指示が変わるわけですね。その際に、幾らいろいろなものが変わったとしても、現場判断というのが、やはりすごく情報は重要だと思うんですよね。  そのときに、例えば球磨村のときもそうだったと思うんですけれども、夜間で人がいないというような、支援者の人がいない、ケアスタッフが二人しかいない、一人しかいないというようなところで災害が起きたときに、人手が足りないというだけではなく、もう一つの事実として、その前の情報で、土砂災害を気にしてというか、訓練をされていて、情報も事前にあって、土砂災害を気にされていて、一部の方々を下の方に移動させた。浸水よりも土砂災害を懸念をして、一生懸命、今回は支援したんですよね、避難をさせたんですよね、そういう事実も一つあるわけです。  いかに、ハザードマップとか、いろいろな情報が組み合わさって判断をするようにできるのか。判断をしていかなければいけないので、土砂の判断、そして、あとは浸水からの、河川氾濫とかの、もっと上に行った方がいいんだという判断。もっと言えば、外に行って早く逃げた方がいいという判断と、外に行かないで今そこの場にいた方がいいという判断と、いろいろな判断があるんですよ。判断するために、情報を是非、的確にお伝えをいただきたい、その工夫を今回、是非ともお願いをしたいと思っています。それでなければ、今回の改正法案制度を変えたとしてもなかなか実効性あるものにならないかと思いますので、そこは推し進めていただきたい。  もう一つ、大臣の必置化です。  中央省庁改革以降ということで、防災担当大臣、午前中の質疑にもありましたけれども、常に任命されていました。本法律案で必置化することをしたのはなぜか。必置化することによってどのような効果があるのか。今の小此木大臣と、そして改正後の小此木大臣、何が違うのか。是非教えていただきたいと思います。
  65. 小此木八郎

    小此木国務大臣 今朝も午前中から、二十六年前の阪神淡路大震災のあの大災害の話からございました。あれから二十六年ということですけれども、その間に起こった様々な災害について、国会でも多くの議論が行われていて、議員の皆様がそれぞれ、その地に向かい、本当に細かいところまで、気づかないところまで、党内であったり、あるいはこの議会の中で様々な意見を交わしていただいたと思います。私もその一人ではありますけれども、そういった中で、法律も様々改正されて今日を迎えているというふうに思います。成立がされれば、よく私たちは被災者に寄り添うという言葉を言いますけれども、それがしっかりとした、更に進むような体制を取ってまいりたいと思います。  防災担当大臣の必置化についてでありますけれども、そういう制度が、災害の大規模化あるいは頻発化、こういうことが進んでいる中で様々な政策が取られてきたわけでありますけれども、恥ずかしい話ですけれども、総理大臣が任命しなきゃ、防災担当大臣がなくてもいいようなことだったんですね、制度としてね。  それに気がついたとき、私は防災部局をちょっと怒りまして、じゃ、俺はいなくていいのかという話にもつながったんですが、その意気込みといいますか、やはり、政治家がこの立場に立つということ、そして、先ほど申し上げたように、被災者と寄り添うという、責任を持って選ばれた者が寄り添うという、先頭に立ってそこの場に就くということについても、法的な効果が生じるものではありませんけれども政治家の覚悟として、防災について平時からしっかりとした組織体制対応していくという、その姿勢を明確にするものと心得ております。
  66. 池田真紀

    ○池田(真)委員 済みません、政治家の覚悟はもちろんあるのはあれなんですけれども政治家の覚悟よりも、まず、組織について何が変わるのかお伺いしたいんですが、よろしいですか。組織が。
  67. 小此木八郎

    小此木国務大臣 組織そのものが変わるということよりも、繰り返しになりますけれども政治家の覚悟というものを皆さんに、前に出して、それを見せるものと心得ております。
  68. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  内閣設置法上の取扱いということでお話をさせていただきますけれども、これまで、必置される特命担当大臣というのが四つのポストについて定められているところでございますけれども防災担当大臣というのは、必ずしも法律上は置かれなくても法律違反にはならないということでございました。  大臣から私もお叱りをいただいたところでございますけれども防災の担当大臣というのが法律上置かれなくてもいいような仕組みというものは適当ではないということで、先ほど大臣からも申し上げたように、平時からしっかりした組織体制対応していくという政府の姿勢を明確にするために内閣設置法を改正する案をお示しをしているところでございまして、これによって防災関係の大臣以下の組織が変わるというものではございません。
  69. 池田真紀

    ○池田(真)委員 やはり組織が、覚悟とか平時連携とか、大事なんですけれども、それが機能するかどうか、誰が責任を持つのかというところが、ある意味、政府の覚悟になるんじゃないかななんて思っているんですけれども大臣、組織、今までと同じと言うんですけれども、大丈夫ですか、これで。
  70. 小此木八郎

    小此木国務大臣 統括官も私も同じような話だと思うんですけれども、今までは、つまり、防災担当大臣、これは私ということじゃなくて、防災担当大臣がいなくても、総理大臣がその責任を取るということであります。最終的な責任は総理にあるわけでありますけれども、閣内の中で、国民に対して、災害に対して責任があるのは防災大臣であるということは今までも同じなんですけれども、その体制として、覚悟として、それを改めて必置化という形でお示しをしたということであります。
  71. 池田真紀

    ○池田(真)委員 対策本部とかが、小此木大臣、早く、ばんとできるということでよろしいですか。
  72. 小此木八郎

    小此木国務大臣 災害規模にはよりますが、その判断もしっかりと、担当大臣責任によって起こるものでありますけれども、速やかにそういう体制ができるということはこれまでと変わりはございません。
  73. 池田真紀

    ○池田(真)委員 そのお言葉をずっと待っていましたので、安心いたしました。  そのための必置化ということで、実効性を是非ともお願いしたいと思います。もちろん、省庁連携とか、そもそもの組織といったものも、私たちも、立憲民主党の中では災害緊急事態はどういうふうにしていくべきかというような案を練り上げておりますので、是非また、今後改めて議論をしていきたいというふうに思っています。是非お願いいたします。  そして、次ですけれども、今日はちょっと資料をお配りしていませんが、義援金の差押禁止法、度々この委員会でも、議員立法ということで、都度、災害ごとに行っているかと思います。平成二十三年の東日本大震災、そして平成二十八年、熊本の地震、平成三十年の大阪北部の地震とあと平成三十年七月豪雨、令和元年は佐賀の豪雨と千葉の方で起きました房総半島の台風令和二年が七月豪雨ということで、これを都度、議員立法をしてきたかと思います。  しかし、これは、度々この委員会でも、我々の会派の委員ももちろん、そして、そのほかの会派の委員の方々もおっしゃっていたかもしれません。恒久化するつもりはないのか、いや、した方がいいんじゃないかというのが私の考えでもあります。  なぜかといいますと、平成三十年、北海道の胆振東部地震、私の地元北海道ですよ、義援金の差押禁止法をやらなかったんですよね。まあ、国会が閉会中ということもあったのかもしれません。災害対応としては、私たちも、対策本部で、上京してきていろいろ情報共有したりとかいろいろやっていましたけれども、ただ、このことが行えなかったということもありますので、やはりこれは恒久化すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  74. 小此木八郎

    小此木国務大臣 義援金ですが、寄附者が被災者を支援するために拠出したものであり、被災者自らが使用することが期待されるものであります。こうした観点から、義援金の差押え等を禁止する法律として、これまで、東日本大震災など特定の災害を対象に、災害ごとに五つの法律議員立法で制定されてきたと承知しています。  一方で、こうした個別の立法がなくても速やかに義援金の差押え等を禁止できる等の観点から、現在、一部の党において、特定の災害ごとではなく、一定の災害を対象に義援金の差押え等を禁止するいわゆる恒久法について議員立法を念頭に検討が行われているものと承知しており、その動きを注視してまいりたいと思います。
  75. 池田真紀

    ○池田(真)委員 これは、恒久化に向けて検討してくださるという前向きな今の結論でしょうか。もう一度確認させてください。
  76. 小此木八郎

    小此木国務大臣 政党においてですね、政党において、この恒久化について議員立法を念頭に検討が行われているものと承知をしております。まずはその動きを注視してまいりたいと思いますと申しました。
  77. 池田真紀

    ○池田(真)委員 これは、本当に北海道でそういうことが起きちゃっていましたので、私も北海道の議員だったのに、閉会中で、その後、開かれても行われなかったということもありますから、是非、必要性に応じてとかではなく、必要なんですから、そういう漏れがないように是非お願いをしたいなと思っています。ここで訴えさせていただきます。  そして、もう時間ですが、最後になりますけれども、この間、避難をどうするかということで、やはり災害弱者と言われる方たちの命をどう救うかというために、一つは、福祉避難所の話がこの委員会でもかなり話題になっていたかと思います。  福祉避難所を、事前情報をどういうふうにするかということも重要かと思いますが、しかし、その前の情報、どこに避難をしていくかということを、先ほど申し上げたような、避難の判断をするための情報提供をやはり政府は努めていく、判断がそれぞれの方たちにできるような情報を提供していくということがまず一つ大きな責任があると思いますので、事前そして災害時というふうに思いますので、それをまず一つお願いしたいと思います。  そして、あと、福祉避難所は、そういう方たちに対して、分けて分けて分けていると、また、災害弱者、支援が必要な人たちだけが固まることになってしまいます。場合によっては、インクルーシブ防災というような形で、立憲民主党の中では一つ大きな柱を持って今政策を進めておるところでございますので、そういったことも一つ考え方があるんだということも、この間、多分質疑をたくさんしていると思いますので、改めて、その考え方についても、大臣、受け止めだけいただいて、質問を終了したいと思います。最後に御答弁をお願いします。
  78. 小此木八郎

    小此木国務大臣 世の中の弱者、そして、そこに手を差し伸べなければならないということも議論の中でありましたし、実際に、被災地に赴く中で、そういう方々に接してきた、大臣として接してきたこともございます。今の議員の言葉をしっかりと受け止めて、更にその思いが広がるように努力をしてまいりたいと存じます。
  79. 池田真紀

    ○池田(真)委員 災害対策は本当に与野党ないと思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。  ありがとうございました。
  80. 金子恭之

    金子委員長 次に、高木錬太郎君。
  81. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 立憲民主党の高木錬太郎です。よろしくお願いいたします。  冒頭、金子委員長の御地元でもある熊本地震から五年がたちました。今朝の朝刊各紙でも社説で書かれておりまして、改めて、この場をおかりして、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますし、今なお仮住まいの方も大勢いらっしゃると聞いています。御苦労されている方も今なおいらっしゃるというふうに伺っておりまして、心からお見舞い申し上げたいと思います。  そして、それに関連して、熊本地震、お亡くなりになった方、直接死五十人、災害関連死二百二十一人という報道に接したわけでありますけれども、冒頭、これは質問をいたしません、私からもお願いなんですが、三月十八日、早稲田理事から事例集についての質問があって、大臣の方から、三月末から四月にかけて取りまとめてという御答弁があったかと思います。二年前、二〇一九年の四月に当委員会で私も、当時は災害関連死の定義づけがされた直後でありまして、それを取り上げて質問をいたしました。山本大臣でした、当時は。大臣も、先日の、三月十八日の当委員会でおっしゃられているとおり、これは避難所の改善にもつなげていかなければいけないし、何よりも関連死でお亡くなりになられる方が一人もないようにということでありますので、冒頭、改めて、熊本地震教訓を十二分に生かして、事例集を取りまとめて公表するという作業、是非よろしくお願いしたいということを申し上げたいというふうに思います。  それでは、法案質問に入っていきたいというふうに思います。  まず、避難勧告、避難指示の一本化についてお尋ねいたします。  百三十の市町村長に対する避難情報の改善に関するアンケートでは、避難指示の一本化について、すべきだという賛成の方や、そうでない市町村長もいらっしゃった、様々な考え方が示されていたというふうに伺いました。その中で、やはり一本化がいいという判断をしたその理由をお示しいただければというふうに思います。
  82. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  今回の避難情報の見直しを検討するに当たりまして、避難情報を発令する市町村長の御意見を伺うために、御指摘のように、百三十市町村長を対象にした避難情報の改善に関するアンケートを実施したほか、有識者会議委員としても二名の首長に御参加いただき、現場の意見を踏まえた議論をしてきたところでございます。  百三十市町村長の御意見としては、現行どおりのままがよいのではという意見もございましたけれども、やはり、警戒レベル四に避難勧告と避難指示の両方があると分かりにくい、かつ、避難指示まで避難しない、いわゆる指示待ちにつながるので一本化が望ましいという意見、さらに、警戒レベル四の発令後、更に状況が悪化した段階において垂直避難等を促すため発令できる情報も別途必要であるという意見もございました。さらに、警戒レベル五、災害発生情報と言っておりますけれども、取るべき行動が分かりにくく、また市町村災害発生を確認できないことが多いので、このままでは有効に機能しないのではないかという御意見もあったところでございます。  これらの御意見を踏まえて、昨年、内閣府の有識者会議において議論を進めて、警戒レベル四については、避難のタイミングを明確にするために、避難勧告と避難指示を避難指示に一本化する、それから、警戒レベルの五については、災害発生を確認したときだけではなくて、災害が切迫した状況においても発令することができる情報へと見直すということで、現行の災害発生情報を改めて、緊急安全確保というふうにするということを提言されたところでございまして、これらの提言を踏まえて、今般、災害対策基本法改正案提出したところでございます。
  83. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 今回の一本化で、受け止める国民の皆さん、災害発生しそうなおそれのある地域の皆さんが正確に情報を入手して、そして逃げ遅れることがないように避難すること、これが目的、最大の目的であって、犠牲者が出ないようにするということでありまして、今回の一本化が何とかそれにつながっていくように、私ももちろん期待するところでありますが。  大臣、そこで伺いますけれども、午前中の議論でも青柳統括官から詳しく国民への周知について、その手法について御説明がありました。大変詳しく、いろいろな形でということをおっしゃられていました。今申し上げましたとおり、国民にこの新しくなる避難情報が周知徹底されて、しかも定着しなければいけない、そのように思います。  そこで、大臣にお尋ねいたします。  大臣の、避難情報の一本化についての国民への周知徹底、これについての御答弁をいただきたいと思います。
  84. 小此木八郎

    小此木国務大臣 その前に、先ほどの災害関連死についての事例集については、改めてまた発してまいりたいと思います。  ただいま御審議いただいている本法律案が成立した場合には、その暁には、新たな避難情報について、令和三年の梅雨の時期、梅雨期から市町村により円滑に運用されるとともに、住民にその内容が理解されるよう周知徹底することが極めて重要であると考えます。  このため、国会審議の状況も踏まえつつ、早い段階から都道府県市町村防災担当者向けに説明会を実施し、広報誌の作成や新たな避難情報を用いた避難訓練など、周知の準備を開始してもらうとともに、テレビ、インターネット等のメディアにおいて新たな避難情報について解説する特集を組んでいただくよう依頼をいたしました。  さらに、改正法の公布後からは、指定公共機関等の協力を得て、新たな避難情報について、全国のコンビニエンスストアのレジのディスプレーへの表示、全国の郵便局、鉄道駅、高速道路のサービスエリア等でポスターの掲示などを予定しているほか、関係省庁市町村連携し、自治体庁舎はもとより、学校や病院、社会福祉施設等での掲示等も予定をしており、関係者が一体となって周知、普及啓発を行ってまいりたいと存じます。
  85. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 ありがとうございました。  行政の皆さん、今おっしゃられた様々な方々が御努力なさるのみならず、私たちも、地域の中で、こういうふうに変わると、いろいろな機会を通じて、私たちも発信者としていろいろな方々に伝えていきたいなというふうに思います。  次に、個別避難計画の作成について伺っていきます。  朝の議論、そして先ほどの池田委員議論にもありました。これまでの市町村の任意での計画作成時は大変低い作成率であって、予算や人材やノウハウの問題などが午前中挙げられていたかと思います。  そこで伺います。  作成するよう努めなければならないと第四十九条の十四に書かれてあると思うんですが、努力義務化するわけですけれども、このような書きぶり、努力義務にした理由を伺いたいと思います。
  86. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  近年の災害におきまして、高齢者を始めとする避難行動要支援者の避難行動を促進することが課題となっている中で、個別避難計画の作成を一層推進する必要があるということでございまして、先ほど池田委員の御質問でもございましたように、作成率が低いという中で、まず、今回、当該計画を法定化するということとしたところでございます。  一方で、現在の個別避難計画の作成状況あるいは市町村の作成負担を勘案しますと、避難行動要支援者の状況など、支援の必要性に応じて段階的に作成せざるを得ない市町村もあるということから、そういった自治体の実情にも配慮して努力義務ということにしているところでございます。
  87. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 自治体の実情というお言葉が、今、統括官からありました。  この法案を作成するに当たって、地方公共団体の意見を聞いた経緯はありますか。
  88. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  今回の制度創設に当たりまして様々な議論を進めてきたわけでございますけれども、サブワーキンググループという有識者会議で中間取りまとめを行うに当たりまして、全国市長会の防災対策特別委員会という七十一団体が加盟している委員会がございますけれども、こちらと、政策推進委員会、こちらは二十八市が入っている、それから、全国町村会の理事町村四十七団体、こういったところに対して意見照会を行う。さらに、有識者会議には、そもそも市長会の代表、町村会の代表、市長、町長に入っていただいて議論をしてきておるというところでございます。  また、全国市長会の防災対策特別委員会の場におきましても、二度ほど説明、意見交換を行って、地方公共団体の意見、全てではございませんけれども、できるだけ意見を聞いてきたところでございます。
  89. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 そういった意見交換や議論の場で、とはいってもなかなか作成は難しい、困難であるという趣旨の意見はありませんでしたか。  と申しますのも、そこを乗り越えなければ、幾ら法制化しても、努力義務化しても進まないわけでありまして、要は、課題についてどう乗り越えていこうというふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
  90. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げた各市町村からの意見聴取の過程において、努力義務化そのものについて否定的な意見はございませんでした。ただ、義務づけをされるということは難しいというところはございました。  また、課題として、やはり財政的な裏づけがないとなかなか進まないよという御意見もある中で、今回、作成経費について地方交付税措置という形で手当てをさせていただいているところでございます。
  91. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 午前中の答弁にありました、統括官の答弁にありました人材の問題、マンパワーの問題についてですけれども、これまでの個別避難計画作成について、当委員会でも、あるいはほかの委員会でも、多くの方々が問題意識を持って取り上げられて、議論がなされてきたことを承知しております。  人材、マンパワーというところにおいて言えば、福祉専門職の方々の参画を得てこれから作っていこうというお考えなんだと思うんですけれども、そこが私は、まあうまく回っていけばいいなという思いはありますけれども、果たして円滑に実際に作成されることになるのかなという心配をしておるんですけれども、済みません、通告していないかもしれませんが、そういったニュアンスの話はした記憶があるかなという感じなんですが、統括官、お考えをお願いします。
  92. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  福祉専門職との連携、参画というのは、非常にポイント、重要なところでございます。  個別避難計画の策定がこれまで進んでこなかった一つの理由としては、市町村防災部局と福祉部局との連携というところがなかなか十分ではなかったというところがございました。我々内閣府自身も、厚生労働省さんとしっかりと連携が十分できていたかというと、そこもちょっと弱かったところがございます。  また、福祉専門職の方々の御意見として、ボランティアでやるわけにはいかないよということで、これはやはりきちんと、お金がかかる話なので、そこも手当てが必要だというようなお話でございました。  午前中の質疑でも山本厚生労働大臣の方からも御発言がございましたけれども厚生労働省さんとも、今回の制度創設に当たってはしっかりと連携を取りながら検討を進めてきたところでございまして、これまで以上に、より一層、福祉の関係者との連携市町村レベルでもしっかり取っていただいた上で、先ほど申し上げました交付税措置という中で、きちんと、福祉専門職に働いていただく場合には、それを委託という形で、ちゃんとお金を手当てをしていただいて進めていただくということで策定の促進、また、人手、防災関係の職員だけで一生懸命やるということではない形で進めていただければということで考えているところです。
  93. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 次に、自治体の作成を促進するための支援として、モデル事業を紹介していく、横展開していくという話があったかと思いますが、できるだけ早くそういったものを自治体の皆さんにお示しするということもとても大事なことだなというふうに思っていますが、スケジュール感について、いかがでしょうか。
  94. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  今年度の予算で個別避難計画作成のモデル事業を実施するということでございまして、今、自治体から、参加したいという市町村の募集をかけて、応募も来ておるところでございまして、できるだけ早くこの選定を済ませて、実際にモデル事業、取組状況を進めて、年度内にはしっかりと、自治体間のモデル事業の取組状況を共有する場ですとか、お互いに相談できる意見交換の場も設けて、しっかり全国に展開できるような形での取組を進めていければと考えているところです。
  95. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 五年程度で作成に取り組んでいただきたいという旨の統括官の過去の当委員会での御答弁もありまして、そういうスパンで見ているので、年度内にはモデル事業が示せればということでありますけれども、ちょっと、急がなければいけないとするならば、恐らく、作成手順などを示した具体的な取組指針を提示することじゃないかなというふうに思うわけでありますけれども、こちらの方についてのスケジュール感はいかがでございますでしょうか。
  96. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  いわゆるガイドライン避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針、これも改定を行うことになりますけれども、こちらについては、やはり法律が成立して施行までに改定は行って、周知を図っていきたいと考えているところでございます。
  97. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 では、今後、先ほども申し上げました五年程度でという、一応目安と申しますか、目標的な五年という数字が示されていますけれども、そこまでに、どうでしょうか、内閣防災の方で、実際に自治体の方で作成できているかどうか、それを、まあ、ああせい、こうせいと強制などはできないということは分かっているんですが、進捗確認と申しますか、どういう状況になっているかということはしていこうという、そんなお考えですか。
  98. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  個別避難計画の作成状況そのものは、消防庁さんの方で毎年調査を実施しているところでございます。これを引き続き行っていただく中で確認を行うということになろうかと思いますけれども内閣府としても、やはり、消防庁さんのこの調査と連携をする形で状況を確認して、よりきめ細かな把握が必要であればそれを行っていくということで、まさに実効性のある形での作成状況の把握、フォローをしていきたいと考えております。
  99. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 今、統括官から、実効性のあるという、次の質問をしようとしていたポイントをおっしゃられました。  作っても、結局、避難に際して役立たなかった、あるいは使われなかったみたいなことがあっては意味がないわけでありまして、避難に当たっての実効性、これが計画作成の努力義務化によって確保されるのか、その点について、いま一度、統括官からお考えを聞きたいと思います。
  100. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  まさに、実効性確保という観点で、計画を作るだけではなくて、それがきちんと機能しなければいけないということになるわけでございます。  そのために、例えば、個別避難計画に基づいた避難訓練実施というようなことによりまして、計画作成の段階では分からなかった課題を明らかにする、計画内容の改善、避難の実効性の向上にもつながるということで、今後、取組指針の改定の中でも、避難訓練実施というのはしっかり促していきたいと考えております。  また、個別避難計画と直接リンクするものではございませんけれども、地区防災計画の推進というような、住民同士の共助による地域住民避難促進に向けた取組も推進してきているところでございます。マイ・タイムラインですとか災害避難カードといった優良事例の周知にも努めてきたところでございまして、様々な取組を通じて、この個別避難計画の内容が実際に避難時に実効性ある避難が行われるような形で取組が促進されるように努めてまいりたいと考えております。
  101. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 平成三十年、西日本を中心に発生しました豪雨災害、岡山県真備に何度も私、入りました。そして、その周辺の自治体も回りました。  ある自治体のある地域では、まさに訓練を徹底的にやっていて人的被害がなかったという地域の自治会、町内会の役員の方ともお話をさせていただきました。もう頭が下がる思いでありまして、日々の努力に感服いたしました。大変お年寄りの方、八十歳、九十歳、高齢の方がいらっしゃる中、一番若くて六十歳代と言っていたような記憶がありますけれども、日頃から、しかも、私の記憶では、夜間の、夜中の訓練をしていたという話も伺いました。だからこそ、あのときはたしか夜中なんですよね、豪雨が激しくなったのが。だから人的被害は出なかったんだと、ある種、誇らしげにおっしゃっていたのがすごく印象的でした。  見習わなきゃなと思いましたが、それを全国で展開していきたいのはやまやまですが、なかなか難しかったりもするのも重々承知しているんですが、今、統括官がおっしゃられたとおり、計画を作るだけではなくて訓練も非常に大事だということを改めて思うところでありまして。  また、先ほど取り上げました福祉専門職の方々も、これから、ひょっとしたら防災の知識を、ノウハウを身につけていかなければいけない、日常業務で大変な中、更にそこの力をつけていくことになろうかと思って、大変、何というか、頑張っていただきたいというふうに思うところであるんですけれども、そういった福祉専門職の方々も、地域の皆さんと一緒に計画を作ったり訓練をすることで、コミュニケーションを取ることで、災害が起こったときに留意すべきことが共有できたとか、すごくポジティブな話も伺わせていただきましたし、何とか、先ほど来申し上げているとおり、この計画が作られ、訓練されることで一人でも犠牲者が出ないようにしていきたいなと思うところであります。  うっかりしておりましたら五分になってしまいまして、準備していただいた皆さん、済みません。残り二問、したいと思います。  改正案の中身ではないんですが、実は私、埼玉に今は暮らし、活動エリアにしておるんですけれども、やはり富士山の噴火についてもきちんと備えなければいけないという問題意識を常々持っておりました。そこで伺いましたところ、昨年の四月に、大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ報告というものが公表されているというレクを受けました。  統括官、大変恐縮なんですが、たっぷりある中身だと承知はしておるんですけれども、首都圏への降灰の影響について、できればコンパクトにお願いいたします。
  102. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  富士山噴火に伴う広域降灰につきまして、昨年四月に報告書を取りまとめているところでございます。  この報告書におきまして、首都圏に広域に火山灰が堆積しますと、道路の通行困難あるいは鉄道の運行停止等の交通支障、またこれらに伴う物資の輸送困難や人の移動の制限、また電力の供給停止や断水などのライフラインの施設などの障害等の大きな社会的影響が生じるというふうにしているところでございます。これは、富士山の噴火は結構継続期間が長いものですから、相当広範囲に影響が及ぶという報告になってございます。  このため、現在、関係省庁から成る検討体制を設けて、救助や物資輸送等に必要な火山灰の除去、あるいは社会活動の維持に必要となる電力等の復旧対策、また大量の火山灰処理というものも必要でありますし、何より、避難を含めた住民の安全確保方策といった富士山噴火に伴う広域降灰への対策オペレーションについて検討を進めているところでございます。
  103. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 余り不安をあおってもいけませんし、正しく恐れるというのは非常に難しいんですけれども、ただ、今、統括官も少し触れられましたが、鉄道、道路、空港、水道、電気、通信、建物はもちろんのこと、物流への影響、食料の調達、それから日照、土地への影響、まあ日照と土地があれば農作物への影響も当然あるわけで、相当、報告書を見ますと広範に降灰の影響が出ると。  そこで、私は、もちろん、首都直下地震などでBCPを官邸も、霞が関も、そして国会も策定済みであり、首都直下地震の被害想定の変更によって改定もしているということは承知しているんですが、この降灰についても、多大な影響を与えるわけでありまして、とりわけ国会でそういう想定と申しますかBCPは作られているのか尋ねてみたんですけれども、やはり作られていないんですね。ここは、もちろん起こってほしくはないけれども、しかし、きちんと備えておかなければいけないところだというふうに私は思っています。もちろん、バックアップの機能に関してもそうだと思います。  という意味で、先ほどの避難計画については厚労省との連携不足がこれまではあったという話があったり、今私が申し上げました大規模噴火による多大なる首都圏への影響等々も、平時からきちんと想定して備えなければいけないという観点考えれば、もちろん、防災担当大臣内閣府で必置化することも大事ですし、先ほど来大臣がおっしゃられた覚悟も必要だと思うんですが、やはりここは、危機管理、緊急事態に備える、平時から様々な準備ができる、そういう新しい組織をつくる必要がある、私はそう思っておるんですが、最後に大臣にその見解を伺いたいと思います。
  104. 小此木八郎

    小此木国務大臣 新しい組織というのが何を意味するかということも含めまして、この委員会でも、防災省あるいは防災庁というんですか、諸外国の例も挙げながら、委員各位が提言といいますか、意見を述べられたことがございます。その中で、私はそれを全く無視するものではないという答えをいたしておりましたけれども、今、必要性ということからすると、私の意識から大分薄いものとなっているのも事実であります。  というのは、二度目の就任でありますけれども、やはり、夜中の災害発生やあるいは朝方の災害発生、すぐに事務当局からも連絡があり、官邸に集まったときには、もう各省庁のそれにまつわる代表の方が来られ、しっかりとその現場を確認し、総理の指示あるいは防災担当大臣の指示も含めて今、活用がされているということであります。  改めて申し上げますけれども、今の委員の主張を全く無視するものではありませんけれども、現在の中での私の考えを申し上げました。
  105. 高木錬太郎

    高木(錬)委員 デジタル庁も大事です。こども庁もとても大事だと思います。私たちも子ども家庭省を考えています。危機管理庁なのか、防災対策庁なのか、名前はいいんですけれども、そういったことにも継続して私も取り組んでいきたいし、この三年間、様々な現場を見てきて、委員派遣でも行きました、そういったことを更に災害対策に私自身も生かしていきたいという思いで、来年の常会でも当委員会議論できるようにしっかり頑張って結果を出したいというふうに決意を申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  106. 金子恭之

    金子委員長 次に、田村貴昭君。
  107. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  災害対策基本法改正案について質問します。  最初に、個別避難計画の作成についてであります。  高齢者や障害者など、災害時に自力で避難することが難しい要支援者に対して自治体事前避難方法を決めておく個別避難計画は、これは大切なことであります。しかし、困難も伴います。  朝日新聞、三月十日の報道では、佐賀県内の対象者約五万七千人のうち、全員分の計画を策定した市町はなく、全体の策定率は三割弱にとどまっています。しかも、市町によって策定率の高いところ、低いところ、こうした大きな開きもあります。  災害が起きたときに要支援者をどのように避難させるかを決めておく避難計画というのは、これは一朝一夕にできるものではありません。ずっと議論があっていますけれども青柳統括官、今、内閣府の資料で、計画の作成が完了しているところが一二%、一部完了の市町村が約五〇%。端的に言いますと、何がネックになっているんでしょうか。
  108. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  今回の改正で劇的に策定率が上がってくれることを望んでいるところでございますけれども、これまでなかなか進まない理由というのは、一つには、やはり、任意の計画で、お願いしますという中で、先ほども申し上げましたけれども防災部局のみにとどまって、福祉部局との連携が進んでいないこと、それから、任意計画であることもございまして、その策定に関して財政的な裏づけが全くなかったということ、そういったことを理由としてなかなか、これは、自治体によって差があるのは事実でございます。熱心なところは一生懸命作っているところがございますけれども、なかなかうまくいっていないところもあるというところで、今回、法定化をして、一律、努力義務という形を定めさせていただき、また、財政措置も講じさせていただこうというところでございます。
  109. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それで、具体的に問題点を挙げていきたいと思うんですけれども自治体、それから地域のコミュニティー、自治組織、支援団体、要支援者、そしてその家族、それぞれにやはり悩みと要求があると思うんですよね。例えば、避難させる支援者が確保できない、決まらない、避難支援員の連絡先が決まらない、名簿を民生委員などに知らせることに同意が得られない、役場の人手不足、障害や病気のことを知られたくない、近くに知り合いがいない、いろいろな問題があると思うんですよね。  今度、個別避難計画の作成は市町村の努力義務ということになるわけでありますけれども、こうした問題の解決なしに、幾ら努力だと言ったところで、進まないというふうに考えます。とりわけマンパワーの充実も必要であると思います。これらの課題解決にどういった国としての支援考えておられるのか。これは大臣の方にお伺いした方がいいですかね。よろしくお願いします。
  110. 小此木八郎

    小此木国務大臣 個別避難計画の作成に関して、委員がおっしゃったような課題があることは認識がございます。  個別避難計画では、市町村が作成の主体でありますけれども市町村職員だけで作成するのではなくて、関係者連携して作成する必要があり、市町村の作成事務の一部はケアマネジャーなど外部に委託することも想定しております。  個別避難計画の作成に関係する者のうち、特にケアマネジャーや相談支援専門員は、避難行動要支援者について、日頃からケアプラン等の作成を通じて避難行動要支援者本人の状況等をよく把握しており、信頼関係も期待できることから、個別避難計画作成の業務に福祉専門職の参画を得ることが極めて重要であると考えます。  こうした福祉専門職などの参画のためには一定の経費が必要となることが想定されるため、個別避難計画の作成に要する経費については、令和三年度、新たに地方交付税措置を講ずることとしております。  さらに、市町村の円滑な作成を推進するため、作成手順を明示した具体的な取組指針の提示、優良事例を全国的に展開するためのモデル事業の実施防災・安全交付金を始めとする活用の可能性がある各省の補助制度の紹介、周知などを行うこととしております。  こうした取組を通じて、市町村関係者連携して個別避難計画を作成する取組支援してまいりたいと存じます。
  111. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 大変、この計画を作るに当たっては、骨の折れる仕事だというふうに思います。マンパワーの確保、それから財政支援措置、これもしっかり行っていただきたいと思います。  次に、法案にも関連して、自治体防災担当職員ゼロ問題について質問します。  共同通信のアンケートに対して、全国の市区町村の二〇・五%が、防災の仕事に専従する職員が存在しないと回答しました。三月七日に配信されたこの記事に大変ショックを受けたのは私だけではないと思います。専従者が一人しかいないという自治体は一四・一%でありました。慢性的な人手不足が背景にあり、選挙や交通安全などの担当者がかけ持ちでカバーしている、災害はどこで発生するか分からず、全国的な底上げが不可欠だと報じています。  大臣は所信で、新型コロナウイルスの感染症の影響が続く中、被災者の安全と安心を確保するため、自治体連携し、情報共有を行いながら、分散避難避難所の衛生管理、必要な物資の備蓄など、災害時の感染防止対策に取り組んでおりますと述べられました。自治体連携することは当然大事なんですけれども、その業務に通じた市町村職員がいなければ、この連携も進んでまいりません。  そこで、お伺いしたいと思うんですけれども自治体職員は、防災の仕事だけでもたくさんあります。災害時には、対策本部を運営する、避難指示の発令の判断、それから被害情報の収集、関係部署との調整。平時の仕事は、防災計画、マニュアルの見直しや、防災知識の普及啓発、備蓄の管理。経験と知識を要する仕事がたくさんあります。今、担当職員ゼロの自治体でこうした状況を放置しておくことはやはり駄目だと思います。大臣、この対策についてどうされますか。
  112. 小此木八郎

    小此木国務大臣 防災対策の第一線を担う市町村において、防災を担当する人材を確保していくことは重要である、おっしゃるとおりであります。  一方で、自治体は限られた人員、体制の中で多様な住民ニーズ対応する必要があり、特に小規模自治体では、平時から防災に専従する職員を十分に確保するというのは困難な課題でございます。  このような中で、国としては、防災業務について専門性を有する市町村職員の育成、確保を図るため、平成二十五年から、防災スペシャリスト養成研修を実施しております。  地域防災マネージャー制度として、自治体防災の専門性を有する外部人材を採用、配置することを支援するため、これに必要となる知識、経験等を有する者を内閣府が証明する制度を運用しており、こうした者を雇用する場合には、特別交付税による措置がございます。  さらに、大規模災害発生した場合には、災害応急対策として短期間に多くの業務を行うことが求められ、被災自治体は、災害時相互応援協定など日頃の関係に基づく応援や、被災都道府県及び県内市区町村の応援を受けるほか、総務省応急対策職員派遣制度を通じた応援職員派遣により、避難所運営罹災証明書交付業務等の支援を受けることとなっております。  引き続き、総務省など関係省庁とも連携をしながら、自治体における防災体制の充実強化に取り組んでまいりたいと存じます。
  113. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 新潟日報の記事に目が留まりました。負担が大きいと感じる業務について、多くの自治体が、平常時に国、県から求められる業務が多いことを挙げたと。国、県からの調査、照会メールへの対応、量が多過ぎると指摘している。国から各種計画の作成や見直しについて通知されるが、対応すべき計画の数が大変多い、これが自治体の回答ですよね。だったら、平常時における市町村の専門職員、ここをちゃんと置かなければ、対応もできないと思います。  対応策については今大臣からお話がありましたけれども総務省との関係におきましたら、昨年度から、地方の技術職員の充実等に財政措置を創設しています。道府県に増員した技術職員のうち、市町村支援のための技術職員を配置して、その配置した職員から中長期派遣可能な技術職員数について財政措置を行うというものであります。御存じだと思います。その派遣を受ける市町村側には特別交付税で措置をする。こうしたものも積極的に活用して、そこでの正規職員が増えたならば、災害に専ら充てる職員が増えるわけですから、そうした方向をやはり目指さなければいけないと思います。  防災職員がゼロです、一人しかいない、これを解決するためには、どうでしょう、大臣内閣防災総務省がやはり一緒になって自治体状況をまず把握する、そして、こういう制度を使って不足分を、交付税措置をもって対策していくということを提案したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  114. 青柳一郎

    青柳政府参考人 大臣指揮の下、総務省とよく連携して、勉強してまいりたいと考えております。
  115. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 是非、連携してこの穴を埋めていただきたいと思います。やはり、平時から、それから、防災知識、経験、キャリアを持っている職員の方というのは本当に頼りになります。政府としての努力を要求したいと思います。  次に、被災支援制度の改善について質問します。  昨年、支援法が改正されて、中規模半壊に最大百万円の支援金が支給されるようになりました。昨年の七月の豪雨災害から、遡及しているんですけれども、七月豪雨での半壊被害は、内閣府の集計で、ホームページに四千五百四棟というふうに出ておりました。このうち、支援の対象になった中規模半壊の数というのはどのぐらいになっているか、これは内閣府は把握されているんでしょうか。
  116. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたしますけれども、申し訳ございませんが、ちょっと手元に資料がございません。調べれば分かると思います。
  117. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それで、これはやはり、せっかくつくった制度ですから、どういう形で適用されているか検証が必要だと思います。  私も、ちょっと聞いてみたんです。熊本県は、五百六十八の中規模半壊で適用だという流れだと。これは、率にすると、手計算なんですけれども、半壊の一五%ぐらい。それから、福岡県は、二百七十九件、大体二八%ぐらいであります。大分県は、県独自の制度があって、ちょっと数字を出すのが難しいんですけれども、大体一〇%台、二〇%台というところで私は受け止めたんですね。  数としてはやはり少ないなと。多くの半壊家屋は中規模半壊にはならない、その範囲外だと。つまり、自治体支援制度もなければ、何の支援も受けられないといったことになるわけであります。  中規模半壊は三〇%から四〇%未満であります。この要件は、床上浸水して、一階の過半の内壁及び建具が再使用不可能な場合が一つの目安というふうにも聞いています。しかし、こうした状況にあっても、中規模半壊の認定に至らないケースがあるわけなんです。そういうケースも、私、聞いてまいりました。  拡充された制度が公平に実態に即したものとなっているか、やはり、数も含めて実態の検証が必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  118. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  中規模半壊、拡充をして適用しておるわけでございますけれども、その実態、委員ただいまの御指摘のような不公平な取扱いというかアンバランスなところがないかどうかなども、ちょっとしっかりと県を通じて実態を把握した上で、そういったアンバランスな取扱いがないような形で、本来の制度拡充趣旨がきちんと適用されるように、ちょっと検証を進めていきたいと思います。
  119. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 西日本新聞が行った九州七県へのアンケート結果があります。紙面にも出ているんですけれども、四月八日付の西日本新聞を見ました。福岡、佐賀、熊本、大分、鹿児島、この五県が、更なる対象拡大が必要と答えています。福岡県は一部損壊まで、他の四県は中規模半壊に至らない半壊全て、ここまでを被災支援法の対象にすべきだと述べています。  大臣にお伺いしたいと思います。  被災に遭って修理に数百万円かかる、しかしその修理代が工面できずに再建ができないと被災者がつらい日々を送っている、そういうこともあります。更に支援制度の拡充が求められます。被災支援制度、大規模半壊への支援金の増額、半壊の適用の範囲の拡大、こうしたところが検討されていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  120. 小此木八郎

    小此木国務大臣 被災者生活再建支援制度については、その拡充をこの委員会にお諮りし、議論していただきまして、それが認められたところでありますが、一市町村で全壊十世帯以上など著しい被害を及ぼす自然災害発生した場合に、全壊や大規模半壊、昨年の法改正支援対象に追加された、今申し上げましたけれども規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して支援金を支給することとなりました。  支援法の適用基準を満たさない市町村については支援法による支援金は支給されませんが、二十五の都道府県において支援法と同様の支援制度が設けられており、これらの都道府県以外でも、災害発生に応じて支援実施している都道府県もあると承知しております。  引き続き、独自の支援制度を導入していない都道府県に対して、制度の導入を促してまいりたいと存じます。
  121. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 大臣が今言われた県独自の被災支援制度、これは内閣府の取りまとめがホームページに出ているんですけれども、九州、沖縄の八つの県で、支援法の中規模半壊に合わせたか、あるいは同等の支援制度があるのは、半分なんですよ。四県しかないんです。財政的理由で支援額の引上げができない、なかなか踏み切れないという県もあるわけなんですよね。ですから、ここはやはり、実態はそうなんだと、制度は国の制度としてあるんだけれども、しかし県の制度は追いついていかないし、そして条件が限られているのでやはり受けられないと。ここはやはり溝を埋めていかなければいけないというふうに思います。  もう一つ。支援法の適用は、自治体単位で、十世帯以上の全壊被害発生した市町村、また、百世帯以上の住宅全壊被害都道府県、これらの条件があります。  私、この災害対策委員会でも再三指摘してまいりましたけれども、家が全壊、半壊したとしても、住んでいる市町村の全壊戸数が一定数に達しないと給付金が受けられない、この矛盾があります。二月の福島県沖の地震においても、ある自治体は適用されるんだけれども、こちらの自治体は適用がない、こういう事態となっています。  被災者がひとしく支援を受けられるように、このような条件は改めるべきだというふうに思いますが、いかがですか。
  122. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  被災者生活再建支援制度は、委員も御案内のとおり、被災市町村都道府県のみでは対応が困難な自然災害発生した場合に、全都道府県の相互扶助、そしてそれに対する国による財政支援によって支援金を支給するということで、一定の要件を設けているところでございまして、一市町村で全壊十世帯以上といった自然災害発生した場合に支援金を支給する仕組みとなってございます。  これを単純に拡充するということになりますと、まずは、全都道府県の相互扶助という観点から、知事会とのお話合いということになろうかと思いますけれども、要件そのものについては、昨年、中規模半壊に拡充する中で、知事会との中では、こういった規模要件等の見直しまで当面は行う考えはないという形でお話合いはついているところでございます。
  123. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 その知事会も、平成三十年十一月の時点では、一部地域が適用対象となるような自然災害発生した場合、法に基づく救済が被災者に平等に行われるよう、全ての被災区域を支援の対象とすることと、やはり要望を上げているわけです。  先ほどの西日本新聞のアンケートでは、九州七県の全てが、この規定を見直すべきだと回答しています。適用対象の市町村が一つでもある場合、県内全ての市町村に適用すべきだとの意見が大勢を占めたとしているわけであります。  地震が各地で起こっています。気候非常事態の今、今年も想定を超える豪雨が襲ってくるかも分かりません。大臣、県知事のこうした要望は検討に値しませんか。検討に値すると思いますよ。検討されたらどうですか。この問題、矛盾です。いかがですか。最後にお答えをお願いします。
  124. 小此木八郎

    小此木国務大臣 知事の、今おっしゃる西日本新聞の御意見はお読みいたしましたが、一方で、現状のままでよい、あるいは、保険、共済に加入するなどの自助努力も求めていく必要があると。これは、去年も私、答弁したと思いますけれども、いろいろな意見があります。実情に即して、様々な観点から見てまいりたいと存じます。
  125. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 被災支援制度を前に進めてください。  以上で質問を終わります。
  126. 金子恭之

    金子委員長 次に、美延映夫君。
  127. 美延映夫

    美延委員 日本維新の会の美延映夫でございます。  本日、私で六人目の質疑者となりますので、重なる部分がありますが、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、早速質疑に入らせていただきます。  今回の改正点、論点が幾つかありますが、まずは個別避難計画について伺いたいと思います。  個別避難計画作成の前提となります避難行動要支援者名簿については、東日本大震災教訓を踏まえ、平成二十五年の災害対策基本法改正により制度化され、市町村長に作成の義務が課されました。現在、市町村の方々、また、民生委員さんや社会福祉協議会など関係された方々の御努力により、その作成率は九九%を超えております。  私、実際、作成された方に聞きますと、何で私の弱みをあなたにお話しせないかぬのというような、もう本当に難しい中の情報収集だったということで、その御労苦に頭の下がる思いです。  一方で、今回制度化されます個別避難計画は、市町村長に努力義務を課すということで、いわば義務よりも一段階弱いものとされています。命を守るというところに余り自治体に義務を課すのはいかがなものかということを考え合わせますと、妥当なところかとも思いますが、今回、個別避難計画を努力義務とした意図をお聞かせください。
  128. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  近年の災害におきまして、高齢者を始めとする要支援者の避難行動を促進することが課題となっている中で、個別避難計画の作成を一層推進する必要があるということで、今回、計画を法定化することとしております。  一方で、現在の個別避難計画の作成状況あるいは市町村の作成負担を勘案しますと、避難行動要支援者の状況など、支援の必要性に応じて段階的に作成せざるを得ない市町村もあるということで、そういった実情にも配慮して努力義務ということにさせていただいているところでございます。
  129. 美延映夫

    美延委員 そこは一定、理解はできますけれども。  次に、改正法の施行後の市町村においては個別避難計画の作成を鋭意進めていただくことになりますが、その内容は、要支援者お一人ごとに検討すべきことも多く、膨大な事務量になることが予想されます。昨今の被害頻発化、激甚化に鑑みれば、個別避難計画の作成は喫緊の課題であり、一刻も早く多くの方の計画を策定すべきでありますが、一番の問題となるのは、やはりマンパワーの不足だと思います。  例えば、関係するNPOなども巻き込んで、有償ボランティアとして動いていただくということも考えるべきではないかなと思うんです。これは情報流出防止の観点から検討すべき点も多いかもしれませんが、どうお考えか、御見解を伺わせてください。
  130. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  個別避難計画は市町村が作成の主体でございますけれども市町村職員だけで作成するのではなく、関係者連携して作成する必要がございまして、市町村の作成事務の一部は外部に委託することも想定しているところでございます。この際に、NPO等の協力を得るということも考えられるところでございます。  ただ、NPO等の協力を得る場合には、情報管理、本人の同意等についてきちんと説明をした上で進めていく必要はあろうかと思います。
  131. 美延映夫

    美延委員 いろいろ難しいことがあるのは分かっているんですけれども、やはりどうしても人を集めるということが必要だと思いますので、そこは是非検討していただきたいと思います。ありがとうございます。  要支援者名簿の話に戻りますが、その法定化の趣旨としては、東日本大震災により多数の要支援者の方が亡くなったことに加え、消防職員、消防団員、民生委員などの避難支援をされる方が多数亡くなったことも挙げられております。このような被害を出さないために、平常時からの避難に係る検討が必要であり、そのためには情報の共有が重要となります。しかしながら、平常時から避難支援関係者に名簿情報が提供されている方の割合は四割程度と、先ほどの作成率九九%に比べれば非常に残念な結果になっています。  秘匿性の高い個人情報が含まれるのだからということは想像に難くないのですが、政府としては、名簿情報の関係者への提供が進まない理由をどのように分析しておられますか。また、その分析を踏まえて、より情報の共有を進めていただくためにはどのような施策が考えられるのでしょうか。これは個別避難計画においても同様のことが言えるかと思いますが、そこを踏まえて御答弁をお願いいたします。
  132. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  避難行動要支援者名簿の情報については平時から避難支援関係者と共有して、避難の実効性を高めることが重要でございます。  名簿情報は、避難行動要支援者本人の同意あるいは市町村の条例に特別の定めがある場合には避難支援関係者に対して平時から提供できることとしておりますけれども、御指摘のとおり、名簿情報が提供されている者は全体の四割程度となっているところでございます。  この関係者への提供が進まない理由については、同意を得ることに係る市町村の事務負担ですとか、個人情報の外部提供に対する本人のちゅうちょといったことが考えられるのではないかと考えております。  内閣府といたしましては、市町村において、個別避難計画及び避難行動要支援者名簿の平時の外部提供に関する条例規定の整備、あるいは避難行動要支援者に対しまして、平時から避難支援関係者と情報を共有して避難の実効性を高めることが重要であることを説明して、個別避難計画等の外部提供に御理解をいただくことに取り組んでいただくことが重要であると考えております。  特に、今般、個別避難計画の作成、努力義務化ということに当たりましては、日頃から要支援者と信頼関係のある介護支援専門員、ケアマネジャーさんとか、相談支援専門員等の福祉専門職等の参画を得て進めることが重要であると考えております。こうした信頼関係のある方から説明をしていただくこと等によりまして、名簿あるいは個別避難計画の外部提供が進められるように取り組んでまいりたいと考えております。
  133. 美延映夫

    美延委員 次に、個別避難計画と福祉避難所とリンクさせていく必要について伺います。  福祉避難所については要配慮者への周知が重要である一方、広く周知すると発災時に対象でない多くの被災者が集まってしまうという指摘もあるため、周知が十分にされていないという課題がありました。  個別避難計画において定める内容としては、避難施設その他の避難場所及び避難路その他の避難経路に関する事項が挙げられているところですが、福祉避難所を必要とされる方については滞在する福祉避難所まで書き込むことにより、必要な情報が必要とされる方に届いているという状態になるのではないでしょうか。もちろん、避難の過程等において福祉避難所への滞在が必要となった方については別途の対応が必要となるのは当然のことですが、あらかじめその必要性が判明している方について個別避難計画に書き込むことにより、状況は大分変わると思います。  既に取り組んでいる自治体もあると伺っておりますが、政府のお考えを聞かせてください。
  134. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  福祉避難所の関係につきまして、委員指摘のような点、ございまして、昨年の、内閣府が設けた、今回の改正案をまとめられた有識者会議におきましても、福祉避難所ごとに受入れ対象者また受入れ対象者の属性を特定して、あらかじめ指定の際に公示できる制度の創設ですとか、事前受入れ者の調整等を行うことによって、避難が必要となった際に福祉避難所への直接の避難を促進していくことが適当であるという提言もいただいたところでございます。  こうした指摘も踏まえまして、内閣府としては、福祉避難所受入れ対象者を指定の公示の際に特定する制度を整備するなどの環境整備に努めるとともに、事前受入れ調整等を促進しまして、個別避難計画の避難先を福祉避難所として直接避難を進める考えでございます。必要な内閣府令、関係するガイドラインの整備を進めて、自治体取組を促してまいりたいと考えております。  こういった福祉避難所受入れ対象となる要支援者につきましては、個別避難計画に避難先の福祉避難所を記載することとなるということでございます。
  135. 美延映夫

    美延委員 今回の改正の大きなポイントになっているのが、災害発生するおそれの段階で様々な取組が可能になっていることだと思います。  昨今の大規模災害は、局地的豪雨、特に線状降水帯による豪雨が原因となっていることが多いわけですが、この線状降水帯については、その予測が難しいのだと言われてまいりました。今回の改正を大きく生かすためには、線状降水帯の予測の実現が不可欠かと存じますが、予測の実現に向けた現在の取組と今後のロードマップをお示しください。
  136. 長谷川直之

    ○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。  お話ございましたように、線状降水帯を事前に予測するということは非常に難しい課題でございますけれども、しっかり取り組んでまいりたいというふうに思います。  その予測精度を向上させるためには、線状降水帯の発生と関係の深い水蒸気の正確な把握と、スーパーコンピューターを活用した予測技術の高度化が必要と考えております。  このため、まず、水蒸気などの正確な把握のために、令和二年度第三次補正予算によりまして、洋上観測の強化、アメダスへの湿度計の導入、最新の技術を用いた気象レーダーへの更新、強化などの取組を進めているところでございます。  また、予測技術の高度化につきましては、有識者から成るワーキンググループを開催いたしまして、大学や研究機関とも連携した取組を始めたところでございます。  また、こうした取組と併せまして、予測精度の向上の進展に応じた効果的な情報発表にも努めてまいります。  具体的には、今出水期から、気象レーダーなどの観測により線状降水帯が発生しているということを検知した場合に、その旨をお伝えし、大雨による災害への危機感を高めていただくための情報の提供を始められるように検討を進めているところでございます。また、来年度には、半日前から、線状降水帯などによる大雨となる可能性についての情報提供を開始し、その後も段階的に予測精度の向上を図りながら、二〇三〇年には、半日前から危険度分布の形で情報を提供することを目指しているところでございます。
  137. 美延映夫

    美延委員 今聞いて、長官、二〇三〇年とは言わず、できるだけ早めによろしくお願いいたします。  今回の改正の大きなポイントとなっているのが、災害発生するおそれの段階で様々な取組が可能となっております。  次に、国として、平常時における市町村広域避難に係る協定締結について、どのように支援をしていくことをお考えでしょうか。
  138. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  市町村都道府県をまたぐ広域避難では、多数の住民広域避難させるために、多数の関係者と多岐にわたる調整を行う必要がありますことから、平常時より関係者間の顔の見える関係を構築し、具体的な対応を検討した上で協定締結等を行っていくことが重要であると考えております。  具体的な検討に当たっては、広域避難の対象となる災害地域の設定、広域的な避難場所、避難手段の確保などの検討、関係機関との調整等が必要となりますので、内閣府においては、こういった基本的な考え方を整理して地方公共団体等に周知するなど、地域における広域避難取組が円滑に進められるように、平常時から必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
  139. 美延映夫

    美延委員 さて、実際に災害発生すれば、その被災状況により広域避難広域一時滞在場所に切り替わり、災害救助法による救助もその種類が増えることになるわけですけれども、その際に是非切れ目のない支援がされるようお願いしたいと思いますが、ここで一点気になりますのが、広域避難避難先自治体被災してしまった場合です。広域避難をしている方々が利用している避難場所に地元の方々も避難してこられると想定できますが、急激に増える収容人員、求められるキャパシティーにどのように対応していけばよいのか、難しい対応を迫られることも考えられます。  このようなことについて、避難所運営ガイドラインに書き込むなどして、自治体が戸惑うことのないようにする必要があるのではないかと思いますが、御所見を聞かせていただけますでしょうか。
  140. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、広域避難受入れを行った市町村被災をするおそれもございまして、広域避難した住民が利用する避難場所に受入れ市町村住民避難するといったことも想定されるわけでございます。  そういった事態においては、避難先施設の確保、また追加の協議先の市町村の確保というものが必要となってまいります。  今回の改正法におきましては、都道府県知事による助言規定、あるいは、災害対策本部がおそれ段階設置されている場合の本部長による必要な指示、総合調整の枠組みも設けることとしているところでございまして、他方で、そのような事態とならないように、広域避難については、平常時から様々なリスクを踏まえた具体的な対応の検討や協定締結等をしておくことが重要でございます。  避難所運営ガイドラインというのは個々の避難所運営の話でございますので、ちょっと、直接そこではないんですけれども広域避難の検討手順等については、基本的な考え方をしっかりまとめて自治体に周知していく予定でございます。  今後とも、広域避難が円滑に進められるよう、平常時から必要な支援は行ってまいりたいと考えております。
  141. 美延映夫

    美延委員 ありがとうございます。  今回の改正により、非常災害対策本部の本部長は総理となり、本部員にも国務大臣等が充てられます。また、新たに、防災担当大臣を本部長とする特定災害対策本部を設置し、非常災害に至らない、死者・行方不明者数十人規模災害について対応することが可能になるということで、今までに比べて、より国を挙げて災害対応を行っていただくことになります。  災害対応を取り組む小此木大臣の御決意を最後に聞かせていただけますでしょうか。
  142. 小此木八郎

    小此木国務大臣 災害が起これば、これは小さいものでも大きなものでも、政治家の強いリーダーシップの下に国がまとまって迅速に対応していかなきゃならないということは言うまでもない話でございます。  今お話しいただきましたように、今回の法改正によりまして、非常災害対策本部の本部長を内閣総理大臣とすることで、指示権限を強化することになります。災害時に総理の強力なリーダーシップの下で高度な判断、調整を行う体制を整えるとともに、非常災害に至らない程度の災害に対して特定災害対策本部を設置することや、災害発生するおそれがある段階から政府の本部体制を整えることなど、国の災害対策実施体制の強化を図ることとしております。  近年、災害頻発化や激甚化が進み、防災の国政上の重要課題としての位置づけが更に高まる中、これまでの経験もしっかりと生かして、この対応に改めて当たってまいりたいと存じます。
  143. 美延映夫

    美延委員 大臣、是非よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。終わります。
  144. 金子恭之

    金子委員長 次に、高井崇志君。
  145. 高井崇志

    高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。  今日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。前回、十一月にも質問の機会をいただきました。  私は岡山が選挙区でございまして、もう三年近く前になります、あと三か月で三年たちますけれども、西日本豪雨災害経験をいたしまして、その際に知り合った避難所生活学会の理事長さんと一緒に、災害に大変先進国と言われているイタリアに視察も行ってまいりました。その経験も踏まえて今日はお聞きしたいと思います。  最初に大臣伺いたいのは、これはちょっと考えたくないことですけれども、今のこのコロナ禍の状況で、もし万が一、東日本大震災級のああいう災害が起きたときに、これはもう本当に想像するのも恐ろしいですけれども避難所に人が殺到したときに、果たして、もう密とかなんか言っているレベルじゃないような本当に悲惨な事態が想定されるわけですけれども、しかし、でも、起こらないとは限らない。  政府としては、もし起こったときにはどうするかということをやはりちゃんとシミュレーションしておく必要があると思いますけれども、その辺、大臣としてどのようなシミュレーションをされているのか、お聞かせください。
  146. 小此木八郎

    小此木国務大臣 もちろん考えたくはございませんけれども考えなければなりません。  そういう中で、コロナ禍においての大規模災害が生じた場合には、避難所における三つの密の回避など感染防止に十分留意する、これは基本的なことは一緒だと思います。  東日本大震災級の災害が起きた場合のシミュレーションでありますけれども、これはまだ、正直言って、十分とは言えません。コロナ禍における避難所の在り方については、ホテル、旅館等の活用も含めた可能な限り多くの避難所の確保、あるいは、マスク、消毒液等の用意など避難所の衛生管理、パーティション等を活用した避難所スペースの十分な確保などについて事前準備を促すとともに、避難所の具体的なレイアウト図、動線の参考例を自治体にお示しするなどという助言は行ってまいりましたところです。  また、南海トラフ地震や首都直下地震については、具体的な応急対策活動に関する計画を定めていますけれども、梅雨の時期までに、これらの計画の見直しを行い、避難所等における感染防止対策等を盛り込む予定でおります。  大規模な自然災害発生した場合に、膨大な数の避難者や帰宅困難者が発生すると想定されること、委員のおっしゃるとおりです。コロナ禍における災害対応について、しっかり検討し、対応力の強化に努めてまいりたいと存じます。
  147. 高井崇志

    高井委員 水害は夏の可能性が高いわけですけれども、地震はいつ起こるか分かりませんし、また、今おっしゃった中で、例えばマスクとか密を避けるとかパーティションとか、やはりそのレベルではもう済まないレベルの、私は、基本的には、避難所をもう徹底的に、ホテルとか旅館を借り上げるとかいうのは一つの手だと思いますけれども、やはりそこをもう抜本的に考え直さないと、今ある避難所のレベルをちょっと何か工夫して、換気をよくするとか、そんなレベルでは到底、コロナのクラスターがそこから発生して大パニックになると思いますから、是非これは一刻も早くシミュレーションをしていただきたいと思います。  その中で一つ提案なんですけれども、私はイタリアに行ったときに、イタリアというのは、実は体育館とかは使わないんですね。ほとんどテントなんです。八人用ぐらいの、もうちょっと大きいのもありますけれども、あるいは小さいのもあります。いろいろなテントが常に常備されていて、実は、これを四十八時間以内に被災地に届けるということが法律に明記されているんですね。  それから、三点セットと言っているんですけれども、ベッド、トイレ、それからキッチンカーですね。トイレとかは意外と軽視しがちなんですけれども、やはりトイレは一番大事で、今言った三つは十二時間以内に届ける。あと、キッチンカーまで用意するわけですよ。このくらいのことをイタリアは法律で定めてやっています。  私は、一番、このコロナということを考えれば、密を避けるという意味ではテントが非常に有効じゃないかと思いますけれども、これを、これはお金はかかりますけれども、この際、これがいい機会だと思いますから、日本もイタリアをまねて常備するというお考えはありませんか。
  148. 小此木八郎

    小此木国務大臣 昨年もイタリアの例をおっしゃったと思いますけれども、それはそれとして参考にさせていただきたいと思いますけれども、御指摘災害に備えた備蓄に関してですが、内閣府として、取組指針等において、自治体に対し、平時より、食料、飲料水のみならず、簡易トイレなど避難所環境の維持に必要な物資や感染症対策に必要な物資についても適切に備蓄するよう要請をしております。  また、コロナ禍での大規模災害発生に備えて、国においても、段ボールベッドやテント型パーティション等の備蓄を行うとともに、発災時にはプッシュ型で迅速に必要な物資を支援することとしております。その際には、避難所ニーズを踏まえ、パック御飯やレトルト食品とともに電子レンジ等も支援するなど、きめ細やかな支援に努めてきたところでありますけれども、いずれにせよ、避難所環境の改善は重要な課題でありまして、先ほど申し上げましたように、おっしゃったイタリアの例も参考にしながら、国としても、大規模災害に備え、不断の見直しを行いつつ、関係省庁自治体、民間企業とも連携を強化してまいりたいと存じます。
  149. 高井崇志

    高井委員 備蓄をやはりイタリアは相当徹底してやっていまして、大体、都道府県、イタリアは州なんですけれども、州単位で相当大きな備蓄庫を持っていて、さっき言ったテントとかキッチンカーとか、そういったものもベッドも、全部用意をしてある。  それから、実は、これも前回御指摘したんですけれども、イタリアはボランティアが大変発達をしていて、イタリアというのは日本の人口の約半分なんですけれども、その中で八十万人が、訓練を受けたボランティアというのがいる。これは大体、日本だと消防団がそのくらいの人数で、消防団は訓練も受けていますから、似たような。ただ、消防団というのは、日本の場合は、消火、火を消すというのがメインですけれども、イタリアの場合は、避難所に行って避難所運営をする。しかも、有給休暇が認められて、その有給のお金は国が会社に支給する。それから、会社は、これも法律で、休暇を拒むことができないというところまで決めているんですね。そのくらい徹底したボランティア組織というのがあるわけです。  前回、この話を私が申し上げたら、終わった後に赤澤大臣が声をかけてくださって、消防団を活用するというのは一つのアイデアじゃないかということで、内閣府においても検討したいというような趣旨のことをおっしゃっていただいたので、今日はちょっと、あえて副大臣に御指名をさせていただいて、災害時におけるボランティア、とりわけ消防団も含めたその在り方というのは今検討されていますでしょうか。
  150. 赤澤亮正

    赤澤大臣 御質問ありがとうございます。  委員からは、今お話があったとおり、昨年十一月十九日の当委員会で、イタリアのボランティア組織が大変しっかりしている、避難所運営にもすぐ駆けつける、我が国でいえば消防団がイタリアのボランティアに近いと思うというような御指摘をいただいておりました。  私自身も、例えば発災後に速やかにボランティアによる炊き出しが行われ、被災者に温かい食事が提供される、イタリアの例などは大変参考になるというふうに思っています。  特に、災害が頻発する超高齢社会の我が国において、私もちょっと知ったときには衝撃を受けたんですが、例えば、平成二十八年の熊本地震では災害関連死が死者の八割を占めると。これはちょっと、なかなか今までに記憶にないものでありまして、避難所運営を含む避難生活支援を格段に充実させる、抜本的に改善させて災害関連死を減らすことというのは喫緊の課題だと思っています。  そんな中、そういう問題意識の下で、昨年十二月に、内閣府に防災教育・周知啓発ワーキンググループ災害ボランティアチームというのを立ち上げました。避難生活支援を抜本的に改善するための人材育成地域防災力の向上について、有識者に検討いただいているところです。  我が国では、まさに委員指摘のとおり、これまで消防団は、避難所での炊き出し等の運営には関わらないで、火災の鎮火や、災害時、水難人命救助とか、そういったことで中心に活動している経緯、実態、あるいは、それにふさわしい装備を中心に備えている現状、さらには、発災時に今余力があるかとかいうこともちょっと考えると、本当に避難生活支援の抜本的改善がスピードを要する、直ちにやらなきゃいけないということを考えると、避難生活環境の抜本的改善を最速で達成するという観点から、現在、消防団の活用には必ずしもこだわらずに検討を重ねておりまして、今後の取りまとめの結論に応じて仕組みの構築や予算要求を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  151. 高井崇志

    高井委員 今、副大臣がおっしゃっていただいたとおり、災害関連死がこんなにあると私も知らなかったんですね。  実はイタリアは、日本の場合だと、何かやはり人命救助が先で避難所は後だみたいな、そういう空気があるんですけれども、イタリアは違うんですね。同時なんですね。なぜなら、災害関連死が多いから、避難所をちゃんと運営しないとそこからどんどん人が死んでいくということで、やはり私も同時並行でやるべきだと思います。そういう意味では、消防団の皆さんにもそこを手伝っていただく。  イタリアが大きく違うのは、ほかの地域から駆けつけるんですね。さっき言ったように、休暇を取って、一週間とか二週間とか、駆けつけでやる。そこまでやはり私は制度化する必要がある。  それから、さっき、備品をどこに蓄えるかということなんですけれども、実は、機庫、消防団の機庫みたいなところにイタリアはテントとか全部置いてあるんですよ。だから、日本でいえば機庫がちょうど合うなと私は思ったんですけれども、そういったことを考えると、私は、消防の役割というのはあるんじゃないかなと思います。  そこで、今日は総務省の政務官に来ていただいていますが、宮路政務官は、消防団で、消防団の操法大会にも参加したことがあるという、つわものなわけです。  ただ、前回、総務委員会でも取り上げたんですが、実は、皆さんも国会議員をされていると消防団とのつき合いはあると思うんですけれども、多くの方は分団長とかと会うと操法大会はすばらしいと思われているかもしれませんけれども、私の元にツイッターが物すごい数、来ていて、消防訓練、あれはやめてほしい、あんな何か画一的な時代錯誤の、そして、時期になると百時間ぐらい練習するらしいですね、離婚の原因にもなる、生活崩壊だ、本当にそういう切実な声が物すごくツイッターに集まっていて、今日もツイッターを抜粋したものを宮路政務官にお渡ししていますけれども。  これは、総務委員会では何度か取り上げて、政務官も、総務省で消防団員の処遇等検討会というのを今やって、中間報告が出たやに聞いていますけれども、ちょっとその辺の検討状況を教えてください。
  152. 宮路拓馬

    ○宮路大臣政務官 御指名を賜りました。ありがとうございます。  お尋ねのございました消防団員の処遇等に関する検討会につきましては、まず、消防団員数の確保に向けて、昨年十二月、消防庁において立ち上げたものでございます。先日、九日に、団員の処遇改善を提言する中間報告書が取りまとめられたところでございます。  この報告書を踏まえ、消防庁では、消防団員の報酬等の基準や、来年四月一日までに各市町村において必要な条例改正を行っていただくことなどを内容とした通知を各地方公共団体宛てに発出したところでございます。  今回定めた基準の主な内容は、年額報酬について、団員の階級にある方は三万六千五百円を標準とすること、新たに出動報酬を創設し、災害時は一日当たり八千円を標準とすること、報酬等の団員本人への直接支給を徹底することなどとなっております。  消防団員数の確保のためには広報の充実や訓練の在り方等についても改善が必要であるため、引き続き有識者検討会において検討を続け、今年の夏頃に最終報告書をまとめていただきたいと考えているところでございます。
  153. 高井崇志

    高井委員 その支給、報酬を直接支給してほしいというのもツイッターにたくさん来ていますが、それが徹底されるのは大変ありがたいことですが、やはり今は団員不足なんですよね。皆、団員を勧誘するのに、でも、やはりこの操法大会に毎日、月水金、夜、仕事が終わってから行かなきゃ、それは嫌だ、飲み会も強要されるとか、そういうことでやはり減っているんですよ、現実に。  ですから、是非、最終報告までまだ時間があるということですから、私は、もうここは操法大会廃止。全国大会が廃止されれば、だんだん、徐々にそういう訓練自体も。訓練も、だから非常に画一的な、訓練は必要だけれども、本当に火を消すための実際の訓練をやりたいという声がたくさん上がっていますので、是非、消防団を経験されている宮路さんに先頭に立っていただいて、あとは、ちょっと通告していませんけれども、是非、直接声を聞く、あるいはアンケートとかをやるとか、やはり現場の消防団員の声を聞く仕組みも併せて考えていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  154. 宮路拓馬

    ○宮路大臣政務官 私も、かつて、広島市中消防団千田分団で二番員として二回操法大会に出場しております。そうした経験も踏まえまして申し上げますと、操法訓練や操法大会は、やはり消防技術の習得や士気の高揚、一体感の醸成などの効果があるというのも事実であろうと思います。したがって、消防団員が災害の最前線で安全に活動するためにも意味あるものだというふうに思っております。  一方、操法大会に向けた訓練について、負担が大きい、あるいは形式的なものになりがちといった声があることは重々承知をしております。したがって、団員に過重な負担とならず、より効率的、効果的なものとなるよう、消防庁は従来から助言しているところでございます。  先ほども申し上げました消防団員の処遇等に関する検討会において、今後、訓練の在り方等についても検討していただくこととしておりますし、多様な意見をしっかり捕捉するためにどのような工夫ができるかについてもしっかりと検討してまいりたいと考えております。
  155. 高井崇志

    高井委員 一方と言った後段が大事だと思いますので、是非、その検討会、せっかくやっているんですから、議題に、大きな議題の一つに入れていただきたいし、また、その声を集める工夫というのを、今、通告がなくても前向きに御答弁いただきましたので、是非期待をしたいと思っております。  じゃ、宮路政務官は結構です。  それで、あと一、二問ですけれども、もう一つは、実は、AIを使った災害防災対策というのを私は提案したいと思います。  というのは、西日本豪雨災害のときに、岡山の真備町というところが、二百名亡くなりました。あのときに、川が決壊したわけですけれども、大きな川の小田川という支流から決壊したんですね。支流の小さな川が決壊したことが倉敷市に伝わったのはというか、倉敷市が避難指示を出したのが一時間後なんですよ。やはり、すぐに伝わっていなかったから遅れたと思います。  しかし、実は、ツイッターで決壊したというツイートが物すごく上がりました。ですから、AIで分析しておけば、その瞬間だけツイートが物すごく上がるわけです。そうすると、その瞬間に決壊したということが分かるんですね。今、AIの力で分かる。  これは実は、私の総務省で働いていたときの後輩の山口という、今、課長ぐらいかな、いまして、彼が慶応大学に出向していたときに電脳防災コンソーシアムという組織を立ち上げて、そこで五十五の提言を出して、内閣府にも、平副大臣とかに説明に行ったと聞いているんですけれども、このシステムを導入すれば瞬時に分かるわけです。  内閣府に言うと、ツイッターはデマもあるとか言うんですけれども、デマはそんな、物すごい数のデマなんか流せませんから、分かるわけですよ。AIだったらデマかどうかも含めて傾向で分かるわけですから、このシステムを一刻も早く入れるべきと二年間言っているんですけれども、何かまだ検討しているみたいなことを言われたんですけれども、是非これは入れていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  156. 青柳一郎

    青柳政府参考人 お答えいたします。  大規模災害に際しまして、市町村長が十分な情報の下で円滑に避難指示を発出することは極めて重要でございます。そのためには、SNSでの情報収集やAIを活用した情報分析等の先進技術の活用が効果的であると考えております。  内閣府で、科学技術・イノベーション担当が実施しております研究開発事業であります第二期のSIPにおきまして、SNS上でAIが人間に代わって自動的に被災者と対話して情報収集等を行うシステム、防災チャットボット、この開発、それから、大量の災害情報をAI処理して、必要な情報を自動抽出することで避難対象エリアや避難指示タイミングの判断の支援を行う市町村災害対応統合システムの開発を、私ども防災担当市町村とも連携して、令和四年度にかけてということで進めているところでございます。  一方、昨年十二月から、副大臣の下で有識者から成るデジタル・防災技術ワーキンググループというのを設置して、事前防災発災直前直後の場面等における防災のデジタル化の推進に向けた課題の整理や施策の検討を進めておりまして、本年五月を目途に提言を取りまとめることとしておるところでございます。  こういった取組を含めまして、防災のデジタル化を推進してまいりたいと考えております。
  157. 高井崇志

    高井委員 時間になりましたので終わりますが、災害対策はまだまだ提案したいことが今日もいっぱいあったんですけれども、時間がありません。是非、この災害対策特別委員会をもっと頻繁に開いていただきたいということをお願いして、終わります。  ありがとうございました。
  158. 金子恭之

    金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  159. 金子恭之

    金子委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出災害対策基本法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 金子恭之

    金子委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  161. 金子恭之

    金子委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、工藤彰三君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。早稲田夕季君。
  162. 早稲田夕季

    ○早稲田委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。     災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について留意すべきである。  一 新たな避難情報の運用開始に当たっては、的確な発令に繋がるよう市町村に対して十分な説明を行うとともに、住民等の確実な避難に繋がるよう制度の周知に努めること。  二 国の災害対策本部を設置するに当たっては、「誰も取り残さない」というインクルーシブ防災及びSDGsの概念に鑑み、その構成員には、災害時における男女共同参画担当、障がい者施策担当等の職を務める者が必要に応じて含まれるよう留意すること。特に非常災害対策本部を設置する場合において、当該職を担当する特命担当大臣設置されているときは、当該特命担当大臣も必要に応じて本部員とするよう努めること。  三 各市町村における個別避難計画の作成が進むよう、速やかに取組指針を改定するとともに、災害対応人材の確保、各種の財政措置、先進・優良事例に関する情報の提供、市町村等の情報共有の場の設置等、必要な支援を行うこと。特に、市町村について福祉部局と防災部局の綿密な連携が図られるよう後押しすること。  四 障がい者、高齢者等への実効性の高い避難支援を可能とするため、平常時における避難行動要支援者名簿及び個別避難計画に係る情報の避難支援関係者への事前提供を進めることができるよう、市町村支援すること。  五 水防法等に基づく避難確保計画による避難支援の対象外の避難行動要支援者については、速やかに個別避難計画を作成する等、切れ目のない避難支援が行われるよう、適切な助言をすること。  六 福祉避難所の在り方については、「令和元年台風第十九号等を踏まえた高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ」の最終とりまとめを踏まえ、その改善に努めること。  七 広域避難については、地方公共団体の相互応援や民間事業者等との協力に関する協定締結等、住民等への周知啓発、避難訓練実施、優良事例に関する情報の提供等、平常時から円滑な実施に向けた取組を進めること。また、広域避難のみならず、自らの地方公共団体内での垂直避難、公共施設や民間の大型商業施設への避難など、現実的に対応可能な複数の避難パターンも組み合わせることで、地域における総合的な避難対策の一層の強化が図られるよう支援すること。  八 国、都道府県及び市町村防災会議委員の任命については、女性、障がい者、高齢者など多様な主体の視点を取り入れることができるよう、制度及び運用の改善に努めること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  163. 金子恭之

    金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  164. 金子恭之

    金子委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小此木防災担当大臣
  165. 小此木八郎

    小此木国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。  ありがとうございました。     ―――――――――――――
  166. 金子恭之

    金子委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 金子恭之

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  168. 金子恭之

    金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会