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2021-05-26 第204回国会 衆議院 国土交通委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月二十六日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あかま二郎君    理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君    理事 土井  亨君 理事 平口  洋君    理事 簗  和生君 理事 城井  崇君    理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君       秋本 真利君    井上 貴博君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       小里 泰弘君    加藤 鮎子君       門  博文君    金子 恭之君       菅家 一郎君    工藤 彰三君       小林 茂樹君    鈴木 貴子君       田中 英之君    田中 良生君       高木  啓君    中谷 真一君       中村 裕之君    鳩山 二郎君       深澤 陽一君    堀井  学君       三ッ矢憲生君    山本  拓君       荒井  聰君    伊藤 俊輔君       岡本 充功君    辻元 清美君       広田  一君    松田  功君       道下 大樹君    山本和嘉子君       北側 一雄君    吉田 宣弘君       高橋千鶴子君    井上 英孝君       古川 元久君     …………………………………    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    国土交通大臣      大西 英男君    内閣大臣政務官     和田 義明君    国土交通大臣政務官    小林 茂樹君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  植松 浩二君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房高齢障害者雇用開発審議官) 達谷窟庸野君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 高明君    政府参考人    (林野庁林政部長)    前島 明成君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (国土交通省総合政策局長)            石田  優君    政府参考人    (国土交通省不動産建設経済局長)        青木 由行君    政府参考人    (国土交通省水管理国土保全局長)        井上 智夫君    政府参考人    (国土交通省道路局長)  吉岡 幹夫君    政府参考人    (国土交通省住宅局長)  和田 信貴君    政府参考人    (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君    政府参考人    (国土交通省自動車局長) 秡川 直也君    政府参考人    (観光庁長官)      蒲生 篤実君    政府参考人    (気象庁長官)      長谷川直之君    政府参考人    (海上保安庁長官)    奥島 高弘君    参考人    (中日本高速道路株式会社代表取締役社長)     宮池 克人君    国土交通委員会専門員   武藤 裕良君     ――――――――――――― 五月二十五日  特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件(内閣提出承認第二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件(内閣提出承認第二号)  国土交通行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. あかま二郎

  3. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あかま二郎

    ○あかま委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
  5. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 おはようございます。北海道衆議院議員鈴木貴子です。  まず、こうして質疑の時間をいただきましたことに心から感謝、御礼を申し上げます。課題指摘させていただきながらも建設的な提言型の質疑をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  まず一問目は、私自身のライフワークでもあります、日本海・千島海溝沖地震対策防災減災対策に絡めて、道路整備について質問をさせていただきます。  今の、よしと言っていただいた道路族中村先生堀井先生、そして野党も荒井先生道下先生と、この委員会には北海道選出議員が多々いるというのも、やはりこれは、北海道が本州と比べても道路整備率がまだまだ劣っている、こういうこともあるからこその、今回は、与野党の垣根を越えたこの質問に関しては、オール北海道質問だという思い吉岡局長にも是非答弁をいただきたいな、このようにも思っております。  千島海溝沖地震でありますが、向こう三十年の中で震度七クラスの地震がいつ何どきやってくるか分からない、その切迫性が非常に高まっていると指摘されているところであります。根室市でいえば津波想定高二十二メーター釧路町においては二十七・三メーターという想定もまさに出されているところであります。  そこで、沿岸部道路網というのは多くがいわゆる浸水予測区域となることから、もちろん命を守るという観点でもそうですが、津波が来たときにはどうしても避難生活避難所生活というものは中長期に及ぶことが簡単に想定されるわけであります。そういった意味で、救援体制若しくは救護物資を安定的に持続可能にプッシュで支えていく、経済活動を支えていくという意味でも道路ネットワークが喫緊の課題であります。  そこで、お尋ねをさせていただきたいのは、いわゆる北海道横断自動車道根室線整備促進急務でありますが、別保尾幌間、おかげさまで自民党を中心とした国土強靱化が、力を入れさせていただきました、三か年から五か年になったところであります。中長期の見立てというものが整備も必要ですし、もっと言えば、建設関係の担い手若しくは投資の促進という意味でも持続可能な仕事をしっかりと出していくというのが非常に重要であり、まさに政治の役割だと思っております。  その中で、別保尾幌間なんですけれども、計画段階評価着手に向けた調査推進と、もやっとした書き方になっております。非常に霞が関的な、お役所的な言葉ぶりになっているんですけれども、ここを計画段階評価着手だと格上げするのが急務であると思います。時間軸を示しながら整備を示していくことが重要だと思いますが、いかがお考えでしょうか。
  6. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘北海道横断道根室線につきましては、札幌市から釧路阿寒町までの区間が開通していますけれども、それより東側の部分の釧路根室地域ではミッシングリンクが残っているということでございます。  また、この釧路根室地域で唯一の幹線道路であります国道四十四号は、お話がありましたとおり、一部が津波浸水想定区域に位置しておりまして、災害発生時の緊急輸送や迅速な復旧活動を支える高規格道路として根室線は非常に重要であるというふうに思っているところでございます。  昨年十二月に閣議決定しました防災減災国土強靱化のための五か年加速化対策を受けまして五か年対策プログラムを作りましたけれども、ミッシングリンクが残ります根室線のうち、釧路阿寒町から厚岸糸魚沢までの区間については、既に開通済み釧路鶴野から釧路別保までの区間を除いては、事業中であります釧路阿寒町から鶴野までの区間については令和六年度開通予定である、平成三十一年度に事業化されました厚岸尾幌から糸魚沢までの区間については今年度より工事着手、残る未事業化区間につきまして、今お話がありました釧路別保から厚岸尾幌までの区間につきましてはこの五か年間計画段階評価着手に向けた調査推進するというふうなお示しをしたところでございます。  より具体的にというお話でございましたけれども、この未事業化区間でございますけれども、概略ルートや構造を検討する計画段階評価着手に向けまして、地域道路交通課題などの整理を進めまして、本路線の事業区間進捗状況も踏まえつつ、早期に計画段階評価着手できるように引き続き必要な調査を進めていきたいというふうに考えてございます。
  7. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 局長、大変丁寧な御答弁をありがとうございます。  インターネット中継もされておりまして、地元皆さんも、まさに経済界皆さんも、首長も、市民の皆さんが見ていらっしゃるわけであります。是非五か年計画の中で、今までになかった書きぶりだと思うんです、着手に向けた調査推進というのは。ある種これは非常に前向きなことだと思うんです。分かりやすく端的に、五か年の中でやるんだという一言、明快な御答弁をもう一回お願いします。
  8. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 お答え申します。  対策プログラムに書きましたので、五か年の中で着手するということでございます。
  9. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。その暁には吉岡道路と、貴子道路を期待しておりましたが、地域を挙げて、それぐらいの思い地域も一丸となって頑張ってまいりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。  次に行きますが、孤独・孤立問題であります。  今、孤独・孤立対策政府を挙げて、まさに菅政権の柱の一つとしても取り組んでいただいているところでありますが、例えば、今回、点字ブロック規格の統一そしてまた推進お話をさせていただきたいんですけれども、障害がある方が社会的孤立に陥る背景としてアクセシビリティーがあります。出かけたいけれども出かけづらい、安心、安全に出かけるということは、やはり環境整備が担保されて初めて皆さん外に行こうという気持ちにもなる、孤独感の軽減にもつながるというところでちょっとお話をさせていただきたいんです。  いわゆる点字ブロックというものは、以前は突起が、ぼこぼこが四十一個ありました。しかしながら、それだと踏んだときの感触が分かりづらいという当事者皆さんの御指摘もありまして、二〇〇一年に突起二十五個型というものに規格が変わったところであります。鉄道なんですけれども、二〇一九年などにも話題になりましたが、視覚障害者の方がホームから転落して命を落とされてしまった、実はこのときにも旧来型の点字ブロックでありました。そういったことを考えれば、せっかく新規格二十五個型に決まったのであれば、これをまず一〇〇%に、規格を新しいものに、踏んだときに当事者皆さんが分かりやすいものに改めるということが必要だと思っております。  事前の質問で、約六割、六〇%ほど今の規格の方に改まっているというお話でありましたが、裏を返せばあと四割まだ残っている。その四割を具体的に、例えばタイムラインを決めて、いついつまでに整備の見直しをする、若しくは、どこの場所から優先的にという順位づけも必要なんだと思います。そういった具体な対策計画すべきだと思いますが、見解はいかがでしょうか。
  10. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  点状ブロックを含むバリアフリー設備につきましては、バリアフリー法に基づく基本方針に従いまして、二〇〇一年から二〇一〇年度までは一日当たり利用者数が五千人以上の駅について、二〇一一年度から二〇二〇年度までは一日当たり利用者数が三千人以上の駅について整備を進めてまいりました。  この結果、ホームドア設置されていない利用者三千人以上の二千七百七十五駅のうち、二〇一九年度末までに二千七百三駅で点状ブロック整備をされているところでございます。  このうち、委員指摘JIS規格適合している点状ブロックにつきましては、二〇一六年にバリアフリー法に基づく移動等円滑化基準省令改正いたしまして、駅の新設や大規模改良を行う際にはJIS規格適合した点状ブロック設置することを義務づけました。また、既存の点状ブロックにつきましては、JIS規格への適合を努力義務化しているところでございます。  これによりまして、委員も御指摘がございましたが、既に点状ブロック整備されている二千七百三駅中、JIS規格適合しているものは二〇一九年度末現在で千八百五十一駅、六八・五%の駅におきまして今JIS規格適合しているという状態でございます。  国土交通省では、補助制度も活用しながらJIS規格適合した点状ブロックの更なる整備促進を図っております。  さらに、二〇二一年度、令和三年度、今年度の四月一日から適用されている新たな基本方針におきましては、一日当たり平均利用者数が二千人以上の施設につきましても、二〇二五年度までに原則としてJIS規格適合する点状ブロック等視覚障害者の転落を防止するための設備等整備することといたしております。  引き続きまして、JIS規格への適合を進めてまいりたいと考えております。
  11. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。目的は皆さん共有されていますが、大事なのはしっかりと目標を定めるということだと思っておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。  同じく孤独・孤立関連でありますが、鉄道自殺対策であります。  実は、年間で、上限はあっても約六百件ほど鉄道自殺があると言われています。諸外国に目を向けましても、鉄道利用が多いイギリスにおいてもその約半分の三百件だと言われており、日本における鉄道自殺、いわゆる飛び込みというものは非常に大きな、策を講じるべき課題一つであると思っております。  ただ一方で、今もありましたように、ホームドア設置というものは非常にコストもかかる、ゆえになかなか進まない。しかしながら、鉄道事業者さんのそれぞれの工夫によって進んでいることもあります。例えば、ホーム上にあるベンチの配置、普通は線路に向かっていると思うんですけれども、線路に対して平行から垂直の向きに変更されているところ、目につく場所相談窓口の案内を掲示していること、そしてまた、青色LEDホームの電気に替えることによって実は自殺がその年はゼロになったというような事例も実際に報告がなされております。  こういった自殺対策は、命に関わる問題であります、結果を出さないといけない。ゆえに、EBPM、データに基づいた対応というものが必要だと思っています。この沿線では、このホームでは何時から何時の時間帯に痛ましい事故が多いのか、若しくは属性、男性が多いのか女性が多いのか、サラリーマンなのか学生なのかによって、やはり相談窓口表示の在り方というものも変わってくると思うんです。  そこで、是非お願いをしたいのは、厚労省自殺の所管といえば厚労省であります、そこと国交省、そしてまた例えば各鉄道事業者若しくは市町村も巻き込んで、協働で過去のデータに基づいた実効性のある鉄道自殺対策というものを行っていただきたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。
  12. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  まず先に、先ほど私はバリアフリー省令改正を二〇一六年と言ったかもしれませんが、二〇一八年の誤りでございます、おわびします。  鉄道による自殺の件数は、議員指摘のとおり、令和元年度におきまして五百七十七件、平成三十年度では六百一件と、年間六百件程度発生している状況にございます。自殺対策は、人の命を守るという観点から重要であることはもちろんのこと、自殺によって大幅な列車遅延が発生することから、鉄道事業者鉄道の安定的な輸送の確保という観点からも取り組んでいくことが重要であると考えております。  鉄道事業者におきましては、例えば、JR東日本等では、厚生労働省が毎年三月を自殺対策強化月間と定めていることに合わせまして、生きる支援強化月間としてキャンペーン実施しておりまして、キャンペーン期間中には、一般社団法人日本いのち電話連盟と共催いたしまして、電話相談窓口であるいのちのホットラインを開設し、首都圏の主要駅に設置しているディスプレーやSNSを活用して告知しているという取組もございます。  また、東武鉄道では、踏切において姿見、鏡を設置する、あるいは、駅においてアロマディフューザーでアロマオイルの香りを拡散するような取組、あるいは先ほど委員指摘LED化というような取組を進めております。  国土交通省といたしましても、厚労省関係NPO団体とも連携をいたしまして、より効果的な対策実施できるよう、適切に対応してまいりたいと考えております。
  13. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。そしてまた、局長、ありがとうございます、今、最後におっしゃったNPOとの連携は非常に重要だと思います。現場の支援をされている皆さんというのはこれまでのデータ根拠を持っていらっしゃるわけでありますので、是非そういった根拠データに基づいた対策というものを進めていただきたいと強くお願いさせていただきます。  次に、共生社会におけるトイレ環境整備トイレ問題であります。  実は、昨年五月のバリア法改正のときだったと思いますが、自民党の部会の中で私はちょっと発言をさせていただきまして、それは何かといいますと、いわゆる多機能トイレなんです。  子供を連れて一緒に行った場合に、大人が用を足しているときに、子供、特に乳幼児、ベビーキープというのは五か月から実は二歳半まで使えるとなっているんですけれども、赤ちゃんを座らせておくわけですね、だっこしていられないので。しかしながら、それが、親が座る便房から対角線上で一番離れたところにある。つまり、ベビーキープ注意書きを見ると、必ず目の届くところに、手の届くところにと書いているにもかかわらず、それがかなわないという設計、造りになっている。これはいかがなものかということで声を上げさせていただきました。  結果、環境整備実態調査というものを進めていただきました。それもホームページ等々でも出ているので、是非皆さんにも御覧をいただきたいと思うんですけれども。  ここで、実は、調査結果というものは各種ガイドラインに反映させていくとなっております。時間が限られているので、こちらで説明をさせていただきますが。  ガイドラインなんですけれども、読み上げますが、具体的に示した目安であり、ガイドラインに従うことが義務づけられているものではないためと。つまり、活用した整備が期待されているという書きぶりなんです。活動報告十六ページに記載されていました。期待されているでは、ベビーキープが何でそこにあるの問題というのが解消されないと思うんです。  国交省として、ガイドラインに反映された実態把握調査結果が実際に新しい設置基準になっているのかというものを、具体的に整備状況進捗データを取るべきだと思います。これについて、データを取っていくということに関して、検討でも結構ですが、前向きな一言をいただけないでしょうか。
  14. 石田優

    石田政府参考人 お答えさせていただきます。  先ほど御指摘をいただきました調査研究につきまして、昨年度、当事者事業者の御意見を伺いながら取りまとめさせていただきまして、先ほど御指摘いただいた、便座に座った状態から手の届く範囲又は前方の近接した位置にベビーキープを設けることが望ましいなどの取りまとめをさせていただきました。先ほど御指摘がありましたように、ガイドラインに反映するとともに、事業者設計者に対して今周知を行っております。  この後、四月以降のバリアフリー法改正に基づく広報啓発キャンペーンの中でも周知するとともに、好事例の収集や周知などもしていきたいと思っております。  また、併せて、そういったものがどういうふうな状況になっているか、実態把握に努めながら、引き続き当事者の御意見も聞きながら取組を進めていきたいと思っております。
  15. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  ベビーキープだけじゃなくて、ベビーキープの横に手洗い場があるんですね。最近は自動センサーなものですから、親が用を足している間に子供が勝手に水遊びをしてしまって、気づいたら頭から水をかぶっているというようなことがあるんですね。運用の実態と照らし合わせると、何でそこに置いてあるのということがあるんです。是非当事者の声をしっかりと反映していただきたいと思います。  最後になるかと思いますが、道の駅であります。  全国に約千二百ある道の駅で、今、防災機能を高めていくという動きが広がっております。そのうちの約五百か所というのは防災機能強化のためのいわゆる防災道の駅に指定をされていますが、千二百引く五百、つまり七百というのは防災道の駅の拠点化がされていません。  ただ、災害があったときというのは、その地の利に疎い観光客の方であるとか外国の方、そういった方はやはり道の駅を頼るんだと思うんです。地元の方も何かあったときは道の駅に頼るんだと思うんです。  そういった意味では、防災道の駅の拠点化がされていない残りの七百に対しても最低限防災機能というものを持たせるということをしっかりと定めていくということが必要ではないだろうか。道の駅全体として、情報提供体制の充実、拡充、若しくは最低限備蓄体制というものを明文化していくべきと思いますが、局長見解はいかがでしょうか。
  16. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 今御指摘がありましたとおり、道の駅は、東日本大震災以降、やはり防災拠点としての機能強化を求められているところでございます。  他方、今御指摘がありましたとおり、地域防災計画に位置づけられていない道の駅についても、そもそも様々な機能があることから、災害時に避難場所としての役割を果たすことも期待されるところでございます。  こうしたケースも踏まえまして、設置者である自治体とも相談しながら、多くの道の駅で、御指摘のような備蓄機能であるとか外国人に向けた多言語対応を含めた情報提供機能など、そういうものが標準装備されるように応援していくことが大事だというふうに思っているところでございます。  国土交通省といたしましては、自治体ともよく相談しまして、全国の千を超える道の駅をできるだけ活用して、道の駅の防災機能強化を図り、ひいては地域防災力が高まるよう、引き続き努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  17. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  島根県の赤来高原駅では、いわゆる液体ミルクの三者連携全国初の協定も結んで取り組んでおります。こういったこともしっかりと後押しをしていただきたいと思います。  質疑を終わります。ありがとうございました。
  18. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、岡本三成君。
  19. 岡本三成

    岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。  質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  今日は、国土交通省日本の国土を守る上で最も大切なパートナーである建設業の業界を持続可能にしていくために今取り組んでいらっしゃること、これから取り組んでいただきたいとお願いしたいことにつきまして質疑をさせていただきます。  私が国会議員にしていただいたのは二〇一二年、九年前ですけれども、当時から建設業界に入ってくる若者がなかなか少ないということが話題になっていました。  当時、一番話題になっていたのは、やはり仕事の忙しさ、大変さに対して給料が安過ぎるということで、それから九年間連続で設計労務単価を上げていただき、今、あの当時と比べると五割以上上がっています。大枠では大変よいんですけれども、現状、元請のピンはね率が高くてなかなか協力業者まで回っていないという状況がありますけれども、大きな方向性を国土交通省に示していただいています。  もう一つ大きな問題だったのは、やはり休みが取れない、忙し過ぎる。私はおやじも兄貴も建設事業者なんですけれども、昭和の時代は休みがなくてもいっぱい給料をもらえれば働く方がいらっしゃった時代でもありましたが、今の若い方で給料が高いから土日も喜んで働くなんという、そういう文化、時代ではなくなったと思うんですね。  ですから、業界がしっかりと持続可能になるような取組国土交通省の方にしていただいておりますが、実効性を担保するような更なる取組お願いしたいという思い質問させてください。  平成三十年六月に働き方改革法が成立をいたしまして、長時間労働の是正、罰則つきの上限規制が設けられました。ただ、建設業は長年の慣行がありますので猶予が設けられておりまして、あと三年後、令和六年、二〇二四年の四月から適用されることになっています。  いろいろな事業者の方に伺いますと、国土交通省発注の公共事業はほとんど工期の適正化が図られています。自治体発注のものは、図られているものもあれば、かなり工期が厳しいような注文も多いそうです。一方で、民間の建設工事に関しては、その価格のみならず、工期の短縮化というのが最も大きな事業者の選定の基準になってしまうような現実があるというふうな話をよく聞きます。  現状の働き方改革の建設業界の取組国交省としてどのように認識されているか、まず伺いたいと思います。
  20. 青木由行

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、建設業の働き方改革につきましては、令和六年度からの罰則つき時間外労働規制の適用ということを見据えまして、これもまた御指摘がありましたように、若い方の担い手確保の観点からも喫緊の課題と思ってございます。令和元年六月に成立いたしました新担い手三法を踏まえまして、施工時期の平準化、生産性向上、工期の適正化などに取り組んでいます。  まず、施工の平準化につきましては、債務負担行為の積極的な活用、柔軟な工期設定などの取組推進するとともに、これも課題が多いと御指摘がありましたけれども、地方公共団体の発注工事につきましては取組状況の見える化を実施いたしまして、一定の進展が見られるというふうには思ってございますが、まだ課題のある自治体もありますので、引き続き強力に推進したいと思います。  また、生産性の向上につきましては、i―Constructionの取組、インフラ分野全体のDXを進めているところでありまして、民間事業者の方でもICT施工による省力化とかロボットへの取組といった様々な取組が進められているものと承知してございます。  また、工期の適正化につきましては、新担い手三法で著しく短い工期による契約締結の禁止という措置を入れまして、これを受けて法令遵守ガイドラインを改定しましたので、この周知徹底を図っているところであります。  あわせて、中央建設業審議会で、工期に関する基準、これを、働き方改革の要素も入れ込んだものというふうにしていますので、公共、民間工事を問わず周知を図っています。  また、週休二日制の定着ということが大変重要な課題でございまして、直轄の土木工事は原則週休二日対象工事として発注して、必要な経費補正も行っております。公共団体に対しても同様の取組を促しているところでございます。  さらに、民間団体の取組として、日建連さんが会員企業に原則四週八閉所の工期設定に努めることを要請していますし、あるいは地域の建設業の全建の方でも週休二日の休日確保に取り組むということを要請していまして、日建連の調査によりますと、民間主体の工事現場においても四週八閉所以上の現場というのが現在増加傾向にはあるというふうに思っております。  いずれにしても、ただ、課題がまだまだあると思っておりまして、しっかりと取組を進めてまいりたいと思っております。
  21. 岡本三成

    岡本(三)委員 局長、ありがとうございます。  あと十分しかないのでちょっとコンパクトにお願いしたいんですが、先ほどおっしゃった令和元年の新担い手三法で著しく短い工期の請負契約を禁止して、それをしっかりと担保できるように、違反者がいた場合には、ホットラインを設けて、建設事業者なりどなたかからホットラインに電話がかかってきたら国交省でチェックをして大臣からしっかりと勧告、公表するという、立入検査はもちろんやってもらいます、そういう仕組みをつくりました。実際に告発があったのは何件ですか。
  22. 青木由行

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘がございました著しく短い工期の禁止規定は昨年十月に施行されたところでありまして、この半年余りでは、勧告、公表を行った事案としては承知してございません。  御指摘がございましたように、駆け込みホットラインを端緒としていくということになってまいりますので、これについては、例えば通報者に不利益が生じないように情報を取り扱うことを明示するなど、これからそういった違法な端緒をしっかりと我々が把握する取組も進めてまいりたいと思っております。
  23. 岡本三成

    岡本(三)委員 ゼロ件なんですよ、ゼロ件。私は建設事業者の方に、ちっちゃな一人親方のところだけではなくて、その地域の中核を担うような、従業員百人規模の中小企業の建設会社の社長に何名もお話を伺いましたけれども、告発なんかできないんです。そんなことをやったら、すぐ不利益を被るような、そういう状況に会社がさらされてしまって、あそこの会社にちょっと前向きなことをお願いしても結局すぐチクるから仕事が発注できないみたいになっているので、現場では物すごく苦労していることがあっているんですが、実際には告発なんかできないんです、ゼロ件なんです。そういう状況もよく御理解をいただきたいと思っているんです。  どういう感じになっているかというと、ちゃんと休ませているという事実をつくるために現場監督だけ休ませる、給料ですから。その下の職人さんは、まだまだ日給の方も多いんですが、職人さんはずっと働き詰めです。ただ現場監督を週休二日で休ませて、この現場はちゃんとしていますみたいなところがすごく多いんですね。  なので、やはり、この業界全体、特に民間のところが本当に厳しいんです。国交省が、やはり業界を守っていくことがいざというときに日本の国土をしっかり守るときの人材の確保につながりますので、是非ここを対応いただきたいんですけれども。  実効性をどう担保するかということで、是非提案したいことがあります。それは何かというと、受注者ではなくて発注者に責任を負わせるということなんですね。社長に対して、長時間労働で社員を働かせたら罰則ですからねと言いますけれども、社員に対して、あなたが働き過ぎたらあなたを罰しますとは言わないじゃないですか。責任ある人にしっかりと責任を持たせなければいけないというふうに思っています。  例えば、設計が完了した後に建築確認申請をいたします。建築確認申請は、土地の配置等、設計の内容がしっかりと建築基準法に適合しているかどうかなんですが。ここに、工期の日程表も一緒に併せて、規模や中身の設計状況において、この工期でなければ適切にそこで働いている社員の方々の休みが担保できない、それを大きく逸脱した短いような工期に関しては建築申請の確認の段階で認めないなど、発注者を縛るようなことをしていただくような運用の改善を是非お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  24. 青木由行

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、建設業で働き方改革を推進するということを考えますと、受注者だけではなくて発注者にも、しっかりと適正に工期を設定すること、こういった意識を持っていただく、取り組んでいただくということが重要でございます。  御提案いただいた、設計ができて、そこで工期のチェックをするということにつきましては、建築物の設計段階におきましては具体的な施工方法ですとかあるいは工程に基づく工期が確定しておりませんので、大変恐縮ですけれども、やや導入については困難ではなかろうかなというふうに思ってございます。  民間工事の多くは、施工する建設業者が具体的な工期を発注者に提示いたしまして、協議の上、契約で工期が決まってまいります。そこで、新担い手三法におきましては、まず、建設業者が工程ごとに必要な日数を明らかにして、建設工事の工期の見積りを行うといった努力義務を規定として導入いたしました。  そして、先ほどお話が出ましたけれども、著しく短い工期での契約締結の禁止ということを盛り込んでいるんですけれども、併せて、著しく短い工期で契約を締結した発注者に対しましても許可行政庁が勧告、公表できることにしましたので、建設業者が通常必要と認められるような工期、働き方改革も入れ込んでそういった工期を提示したにもかかわらず、それよりもかなり短い期間を工期とする請負契約を締結した場合には発注者も勧告の対象というふうになってまいります。  こういった取組がこれからもしっかりと現場に浸透するように取組を進めてまいりたいと思います。
  25. 岡本三成

    岡本(三)委員 大きな目的は共有できていますので、手段は皆さんプロでいらっしゃるので是非実効性の高いものをお願いしたいんですが、先ほど申し上げたように、そういうルールを発注者に対して義務化していて、それが逸脱したときのためにホットラインを設けていただいて、ホットラインが来れば立入調査をして勧告、是正を促す、けれども実際には、半年しかたっていませんが、ゼロなわけです。  なかなか、やはり、仕事が今後来なくなっちゃ駄目なので、そういうふうなうわさになっちゃうので言えないんですよ。そこで、直接的に発注者に対してしっかりと責任を負わせるようなことをできないかと。これは民民の、民間同士の契約ですけれどもね。  けれども、例えば国土交通省が今後公共事業をやっていくときに、私はいつも思っていますが、その最大のボトルネックは予算ではありません。どんなに金があっても、受けてくれる事業者がいなければ公共事業なんか一ミリも進まないわけです。なので、この業界自体をしっかりと育成していくことこそが国土建設のうちで一番大切ではないかなというふうに思います。  最後大臣に御質問をさせていただきたいんですけれども、国交省は私は物すごく前向きに取り組んでいただいていると思います。この十年ぐらい本当に、業界全体のことが国のことだと考えて様々な取組をしていただいておりますけれども、多くの経営者の方々が工期を何とか適正にして社員の方が持続可能なようにしていきたいと望む中で法規制、ルールの強化を求めているという現状を受けて、国交大臣に今の現状の認識と今後の取組の御決意を伺いたいと思います。
  26. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 建設業界の人材を育成して確保していくという観点からは、やらなければいけない課題は相当たくさんあると思います。建設キャリアアップシステムなんかもそのうちの一つだと思いますが。  総論は皆さん賛成をしていただけるんだけれども、やはり、中堅以下の地方の現場では大変経営状況が厳しい中でそうした新しい制度設計お願いするということに大変な苦労をしながら、局長も先頭に立ってやってもらっているところでございます。今の委員の御提案につきましても、現状の慣習とは全く逆のベクトルのことを入れなければいけないという意味で、青木局長も、現状を見るとなかなか簡単じゃないというのは、それは多分、現状認識だと思いますが、岡本さんが言いたいのは、そうしたことを乗り越えていかないと結局サステーナブルな業界にはならないということだと思いますので。  適正な工期というのが守られないとそこから全てのひずみが始まるという御指摘は全くもっともなので、いかに実効性を保ってそうしたものが守られるかどうかというのは、受注者も発注者も両方とも利害関係者だというふうに思っておりますので、しっかり、受注者、発注者を含めて、民間工事でありますけれども、業界全体ともよく検討して話し合っていきたい、こう思っております。
  27. 岡本三成

    岡本(三)委員 ありがとうございます。  発注者側は、一日でも一か月でも早く完成するとそれだけ資金回収が早まるので、利回りが物すごく上がるんですね。マンションでもオフィスビルでも一緒です。  一方、受注者側もやはり仕事を取りたいといって常にそのひずみが現場労働者に来てしまっている現状を考えたときに、まさしく今大臣がおっしゃったように、持続可能な業界にしていくために、なかなか高いハードルでもそれを変えていこうということで、これまで十年ぐらいにわたりまして国交省皆さんに御尽力をいただきましたので、最後の一手として、最後のボトルネックが、私は、工期といいますか、働く方が気持ちよく働けるような環境、日程感だというふうに思っていますので、更なる御尽力をお願いして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  28. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、荒井聰君。
  29. 荒井聰

    荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。  今国会で質疑ができるのはもうそろそろないんじゃないかと思っておりましたところ、城井さんが配慮していただきまして四十分も時間をくれて、私に議論をしろというお話をいただきまして、本当にありがとうございます。小宮山さんもありがとうございます。  冒頭、前々回だったでしょうか、大臣から、立憲民主党でも気象庁の応援団をつくってほしいというお話がございました。実は、昨年の十二月に、私の個人的な形だったんですけれども、私と小宮山さんで気象庁の応援団をつくっておりました。中には民間人も入れて、特にユニークな方は、東大病院の前田先生というお医者さんなんです。  この方は、五回も今までがんの手術をして、一度は死んじゃったという、そういうようなことを書いている方、エッセーが日経新聞に載っておりましたけれども、そういう方がずっと災害弱者ということに非常に関心を持っていて、その災害弱者を救うためにどのような気象庁あるいは災害対策が必要なのかということを、自分の研究とは別に一生懸命やっていまして、それが高じて、気象予報士になりたいといって、その試験を受けている、そういう方でもあります。  そういう方も含めて、従来の気象学とか従来の災害とかと少し違った人たちにも加わってもらった応援団にしております。これをもう少し膨らませて、立憲民主党の議員にもたくさん入ってもらいたいなと思って、これからその活動を続けるつもりでおります。  この名前を、気象庁応援団、別名荒井郁之助研究会といたしました。荒井郁之助というのは、明治年間で地理課長をやっていた、日本の地理のほとんどを彼が測量して歩いたんですけれども、その地理課長としての職責が、まあ、先が見えたということで辞めまして、それで、函館に日本で初の気象台をつくったんです。これが気象庁の最初の創設だと言われているんです。気象台をつくって、ある程度気象観測の状況というのは分かったということなんでしょうか、数年でそこの台長も辞めまして、気象庁を囲む民間のブレーンといいますか、民間のそういう研究機関、研究所あるいはコミュニケーションのそういうものをつくって、そこで活動をしておられました。  つまり、気象というのは、伝えて初めて、あるいは基礎的な研究があって初めて気象観測は正確なものができるんだ、そういう信念だったんだろうというふうに思います。  そういうことを、そのDNAを気象庁は継いでいるわけですから、私はずっと気象庁に言い続けていたのは、観測をしたそれをどう伝えるのか、伝えたものをどうその被災地域対応できるのかということまで考えた気象庁であってほしいということをずっと言い続けておりました。  今回、九州で豪雨が発生をいたしました。線状降水帯が現れたわけですけれども、この線状降水帯の対策のために、昨年来から大臣を中心にその対策を、観測体制を強化をする、そういうことをやってきたわけですけれども、その効果、観測状況、これは気象庁長官、どうですか。どうだったんでしょうか。
  30. 長谷川直之

    ○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。  線状降水帯の予測精度向上のための洋上観測の強化につきましては、令和二年度の補正予算により、海上保安庁と連携して、衛星位置情報のデータを活用した水蒸気の観測に取り組んでいるところでございます。  気象庁の観測船への観測装置の取付けにつきましては昨年度末に完了し、衛星位置情報のデータがリアルタイムで取得できるようになっております。現在、実際に得られたデータを用いまして、水蒸気量への変換や観測精度の確認など、気象予測に用いるために必要な準備を鋭意進めているところでございます。  先週の九州における大雨には間に合わせることができませんでしたが、早急に準備を進めて、六月上旬からこの観測データを利用することを開始することとしております。  これから出水期もますます本格的になってまいります。線状降水帯に関するものも含めまして、的確な防災気象情報の発表に全力を尽くしてまいります。
  31. 荒井聰

    荒井委員 災害対策、これはコロナも同じなんだけれども、スピードが命なんですよね。昨年の十二月に、ほぼ予算が政府提案として出されるということが決まっているわけですから、予算が成立したらすぐ動けるような体制をつくっておくというのが、私は、これまで議論してきたことの成果であり、それに応える気象庁の責務だと思うんですね。それが残念ながら六月まで延びてしまったというのは、もう少し危機感というか、しっかりやってほしいなというふうに思います。  そのときに、今回も含めてですけれども、海上保安庁との関係はいかがでしたか。
  32. 長谷川直之

    ○長谷川政府参考人 海上保安庁との連携も進めてございまして、海上保安庁の測量船の方にも同じ観測装置を、設置を今進めておるところでございまして、気象庁側の準備ができましたら、順次こちらについても運用を開始したいというふうに考えております。
  33. 荒井聰

    荒井委員 毎年一兆円、民間の災害で一兆円出ているんですよね。公的な施設の災害も含めると、恐らく三兆円ぐらい集中豪雨で発生をしているのではないかなと思いますから、そのために観測あるいは事前の対策というものにもっと力を入れれば、その災害を減少させることができるというふうに思いますので、気象庁、頑張ってほしいと思うんです。  もう一つ、洪水による被害で、私は旧河川局の画期的な法体系の整備だと思います、流域治水ですね。この流域治水、よく踏み切ったな、そんなふうに思っているんですけれども、今回の九州豪雨は思ったほど災害は出ていなかったのかもしれませんけれども、この流域治水の考え方でどのような準備をし、あるいは関係するダムの事前放流というのはなされたのかどうか、そこをお聞かせください。
  34. 井上智夫

    井上政府参考人 気象予測を活用したダムの事前放流は、できるだけ氾濫を防ぐという観点から、流域治水の重要な柱の一つでございます。  ダムの事前放流については、本日までに、一級水系ではダムのある九十九水系全てで治水協定を締結し、二級水系でも海に近い位置のダムのように、事前放流効果が見込めないダムしかない水系を除く三百二十一水系全てで治水協定を締結し、出水に備えております。  先生御指摘の九州の豪雨、球磨川水系においては、昨年、令和二年の五月にもう既に治水協定を締結しており、気象庁の予測降雨量があらかじめ定めた基準を超えた場合に自動的に事前放流の実施を判断する体制を整えております。先日の五月二十日の大雨では基準に至らず、事前放流を行う状況にはなりませんでした。それからまた、雨が少なかったので、河川の氾濫には至っておりません。  引き続き、既存ダムを生かした洪水調節の機能を始めとする流域治水の取組を進め、安全、安心な地域づくりに取り組んでまいります。これから出水期が本格化しますので、万全を期して出水への対応に取り組んでまいります。
  35. 荒井聰

    荒井委員 局長、六月以降、集中豪雨が発生する確率は私は高いと思うんですね。その際の事前放流というのは恐らく実施せざるを得ないんだろう、あるいは、実施すると防災上非常に高い効果が出てくるんだろうと思うんです。そのときに、事前放流をすると、下流域に急に出水しますから、下流域が洪水が起きるとか、あるいは、下の方でキャンプして遊んでいた家族が流されちゃったとか、そういう事故がよく起きます。  河川だけのダムだったらば、通報あるいは警報の出し方というのはよく管理されているんですけれども、これに農業用のダムとか電力用のダムなんかも事前放流をすると、私は、そこのところ、十分に、下流に対する通報、警報、そういうものが整備されているのかどうかというのは少し不安なんですけれども、何か答弁ございますか、その辺りは。
  36. 井上智夫

    井上政府参考人 荒井委員指摘のとおり、国土交通省が担当しております治水ダムについては、既に下流の、放流先の安全性を確保するということについては制度ができております。  今回、事前放流をしていただく利水専用のダムの方々、農業用水の方々、発電のダムについても、同様に河川の水位の上昇が大きくなるようなところについては、ちゃんと事前に下流の方々に情報をお伝えして警戒態勢を取っていただく、そういうようなこと、訓練も含めてやっていただくよう協力をしているところでございます。
  37. 荒井聰

    荒井委員 その辺り、そごなきようにお願いをいたします。最近はスマートフォンとかそういうものもあるわけですから、そういうものを通じて情報が流れるような、そういう仕組み、これは気象庁によく言っていたんですけれども、河川局もそういう方法をよく検討していただきたいなというふうに思います。  次に、百年置きに首都直下型地震は起きている、それを一番最初に言ったのが、大正年間の今村明恒という、永遠の助教授と言われた、教授としょっちゅうけんかしていた人ですね。その人が、首都直下型地震は百年ごとに起きるという論文を発表し、それが世の中を騒がせたということで今村明恒は非難を受けるわけですけれども、しかし、実際に関東大震災が起きるわけです。関東大震災が起きたときに、今村さんは、東京大学の自分の講座にいたというんですけれども、その状況を見て、失敗した、もっと強く言っておけばよかったということを後悔したというふうに伝わっていて。  その後、彼は、関東大震災が起きたら、その後は東南海大地震が連動して必ず起きる、これは歴史的にもそうだと、それは彼が言っているんですから、僕が言っているんじゃないですけれども。そういうことを言って、東南海地震のための準備を時の政府に強く訴えかけるんですけれども、時の政府は、そんな予算がないと、当時はちょうど戦争の準備のための予算にシフトしていたんでしょう、ということで、無視をされるんですね。しかし、実際に東南海地震も、戦中なのか戦後すぐなのか、起きるんです。余り新聞発表はされなかったんですけれども、起きております。  関東大震災は必ず起きます、直下型地震は必ず起きるんだと思うんですけれども、そのとき一番私が心配するのは電信柱です。電柱です。  なぜなのかというと、ここに東京都の緊急輸送道路という地図、これは国交省からいただいたんですけれども、災害が起きたときに、救急車とか消防車とかが、避難道路、それをちゃんと逃げられるかどうかということが避難者を救うために絶対重要になると思うんですけれども、そのとき障害になるのが、電信柱が倒れることなんですね。電信柱が倒れると、消防自動車も救急車も通れません。このことは既に日本国内で何件か起きているんですね。  一つは、あの三・一一の東北大震災のときの、直接のきっかけというか原因、福島の原発事故のきっかけは、福島の第一原発に入る動力源の鉄塔が倒れたんです。そこで、あそこに来る電力が途絶えたんです。そのほかに、補助の電源も壊れちゃったとか、あるいは受電のところが水浸しになったとか、いろいろな原因があるんですけれども、しかし、一番の原因は鉄塔なんです。電柱なんです。  その後、東北新幹線がなかなか復旧しなかった。あれも、下部構造はもっていたんです。しかし、鉄柱がばたばたと倒れていって、それを復旧するのにすごい時間がかかったんです。  さらには、そういうことがあるにもかかわらず、鉄柱に関する、電柱に関する基準というのはずっと見直しをしていないんですね。この間、三年前ぐらいでしたか、千葉県の房総のところで大規模な停電があって、なかなか復旧しなかった。あれのほとんども電柱が倒れたことによります。  今回も、首都直下型地震が起きれば電柱はあちこちで倒れると思います。倒れたときにどうするのかということが一つと、それと、今やもう日本の大型電子計算機「富岳」というのは巨大な能力を持っているわけですから、その巨大な電子計算機を使って、地盤の強度とその地域地震の強度を推定して、どの辺りが危ないか、電柱はどの辺りを補強しなければならないか、そういうことを推計する、その時期に来ていると思います。  これは電柱だけじゃなくて、弱体化した建物などについても、建設関係の部局と連携をして、危ないところをマッピングしていく、それが大事だと思うんですけれども、道路局長、どうですか。
  38. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  首都直下地震の備えとしての地中化はどうなのか、推計したらどうなのかというお話だったと思います。少し長い答弁になりますけれども、お答え申し上げたいと思います。  まず、都市部における大地震でございますけれども、お話ありましたとおり、東日本もございましたし、古くは、古くはと言っては失礼ですけれども、阪神・淡路大震災のときでも分かるとおり、電柱が倒れるということによりまして、避難活動、救助活動あるいは緊急物資の輸送等に重大な支障を及ぼすということで、無電柱化は大事だというふうになっているところでございます。  首都直下においてどういう準備になっているかということをまず御説明させていただきたいと思います。  政府の首都直下地震緊急対策推進基本計画におきましては、首都中枢機能の継続性を確保するために、これを支える交通インフラについては、発災後三日程度で復旧をするということを念頭に目標を置いているということでございますけれども、御指摘ありました道路につきましては、災害対策の要員を送り込むとか資材を送り込むとか重要な役割を担いますので、緊急輸送道路のうち、特に重要な区間については、被災による通行障害が発生しても、一日以内で緊急自動車の通行の機能を確保するということが目標になっています。  これを受けまして、国土交通省と東京都、関係機関で、首都直下地震道路啓開計画を策定しまして、都心に向けて八方向から優先的に道路啓開を行うということで三十四路線を選びまして、そこに伴う作業の方とか備蓄場所なんかも定めて、あるいは建設業者とかレッカー事業者の協力の下、協定を結びまして、高速道路や国道、都道の損傷状況とか閉塞状況を見ながら、その影響が少ない区間を組み合わせて、道路の通行を緊急的に確保するという計画にしています。  そこで、その優先的に選んだ路線の無電柱化の状況がどうなのかということで確認させていただきますと、半分を占める高速道路は元々無電柱化が、ないわけでございますけれども、直轄国道の無電柱化率は約九割、都道は約五割で、一定の連続性はあるというものの、まだ無電柱化されていないところはあるということでありまして、まずその部分の無電柱化を急がなきゃいけないというふうに考えているところでございます。  その優先的な区間以外はどうなっているかということでございますけれども、そもそも、東京都の地域防災計画では、首都高速の中央環状線内の完成している都道ですけれども、そこの無電柱化をまず完了させるんだということ、それから多摩地域、周辺区部については、緊急輸送道路等についての無電柱化を推進するという目標になっていますが、現状を見てみますと、都内の無電柱化の整備率は、第一次緊急輸送道路というのでありますけれども、それだけ見ても、直轄国道ではまだ八割、都道では半分以下にとどまっているという状況でございまして、引き続き、防災減災国土強靱化のための五か年加速化予算なども活用して、しっかりと無電柱化を進めていかなきゃいけないというふうに思っているところでございます。  それからまた、新たに電柱を立てさせないということも最も大事ではないかなというふうに思っておりまして、緊急輸送道路などの道路区域内においては、平成二十八年四月から、占用を禁止する、新設電柱を立てることを禁止するという措置をしておりまして、都内では、国道、都道全線で電柱の新設が禁止されているという状況でございます。  国土交通省としましては、東京都とも連携しまして、首都東京の無電柱化を推進し、首都直下地震による電柱の倒壊による、緊急輸送道路機能が阻害されないように努めてまいりたいと思います。  御指摘の、推計したらいいのではないかなということもごもっともだと思いますので、そういう勉強もまたしてみたいというふうに思います。過去の地震を見ると、被害が大きかったところ、そうでないところが出ているということもある程度分かってございますので、そういう勉強もさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  39. 荒井聰

    荒井委員 国交省は、最も優れた技術者あるいは科学技術のセンターとしてずっと機能してきたわけですから、是非、そういう科学技術を駆使して、災害に備えた対策を組んでいただきたいと思うんです。  私は今、赤坂の議員宿舎にいます。あそこに入る道路は、狭くて、電柱がせせり出ています。恐らくあれは一番先に倒れてくるんじゃないかなと思います。倒れたときに総理はどうするんだ、総理はあそこを通って対策本部まで本当にスムーズに行けるんだろうかと。  阪神・淡路大震災のときに、兵庫県知事なのか神戸市長なのかどちらか忘れましたけれども、あの大地震が起きたので、すぐ対策本部をつくるのですぐ来てくださいと首長さんに言ったら、いつ車が来るんだと言ったという話があります。もちろん車はもう通らないんですよね、道路が封鎖されていましたので。歩いて行かないと駄目なんですよ。という状況があちこちで発生するだろうというふうに思います。そうするならば、やはりここは優先的に地中化しなきゃならないというような判断をするべきだというふうに思いますよ。そういうようなことを考えてください。  ところが、地中化の場合には、電力業者が今半分負担するのかな、という電力業者の負担が結構あるんですね。東京電力は一頃の力はないですから、その負担が余り過大なので逡巡をしているという傾向があるので、この仕組みについても少し改めたらどうなのかなと。全部一律に東京電力の負担を求めるのではなくて、主要なこことこことここについては云々かんぬんといったようなそういう仕組み、制度改正をするべきなのではないだろうか。これも急ぐんじゃないかなというふうに私は思います。  次に、カーボンニュートラルの話をしたいと思います。  カーボンニュートラルのためには、国交省所管の仕事というのは大変大きなウェートを占めていると思います。住宅、あるいは自動車、船、飛行機、全部使っていますね。そういうことに関して、基本的な大臣のお考えはいかがでしょうか。
  40. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 今御指摘がありましたとおり、国土交通省の所管というのは大変幅広くて、CO2の総排出量の相当大きな割合を占めているというのは事実でございます。  国が二〇五〇年カーボンニュートラルということを高らかに宣言をしましたので、その具体的な二〇三〇年までの目標も決められたところでございますので、国交省としては、その大半の、大変大きな役割と責任を果たす必要があると、当然のことながら考えております。  まず、家庭・業務部門、住宅・建築物の省エネ対策の強化というのは不可欠でございまして、ここは総排出量の約三割を占めております。  住宅の省エネ基準への適合義務づけに向けて、今、経済産業省と環境省の、三省連携した検討委員会も立ち上げておりまして、これもどうしても、これまでは、中小の工務店が建造している住宅の方が大半を占めているので、なかなか、大手ハウスメーカーのところ以外はこうしたものが義務はかけられないという現状の中で、住宅局は、そういう考え方が支配的なんですけれども、そんなことを言っていたらカーボンニュートラルというのは実現できないので、それは全く発想を切り替えて、それをやるという結論の中でどう前に進めていくかということと、あと、既存住宅につきましても、全部が全部建て替えるというわけにはいかない部分があったとしても、窓枠、外断熱に変えていくとか、部分的にも省エネ化を進めていけるような省エネ改修の促進、こうしたものも進めていかなければいけないと考えております。  運輸部門につきましては、これは全体の二割も占めておりますので、これは今具体的に進めておりますが、電動車の普及促進ですとか、デジタル技術の活用も含めたグリーン物流の推進ですとか、船でいうとゼロエミッション船の商業運航の実現なども着実にやっておりますけれども、加速もさせていかなければいけない。  また、インフラ分野では、港湾も非常にCO2の排出に関わりますので、カーボンニュートラルポートというのを今港湾局が提案をしておりまして、先日の日米首脳会談でもこうしたことが話題となって、日米の中でしっかりと進めていこうということでございますし、インフラを活用した太陽光のパネルの張りつけですとか洋上風力、こうしたものもしっかりと導入していかなければいけない。  実は今日、世界経済フォーラムというのが、夜、リモートで会議がありまして、こうしたことも私は発信することになっておりまして、大事なことは、制約という受け止めではなくて、新しい経済成長政策ということで前向きに取り組んでいかなければいけないだろうと。国土交通グリーンチャレンジとして、本年夏、具体的にまとめてまいりますが、こうした経済成長戦略として、これからの時代を生かすためにも、積極的にチャレンジをして実現をしていくように、強い意思を持ってリーダーシップを発揮して取り組まなければいけない、こう考えております。
  41. 荒井聰

    荒井委員 カーボンニュートラルに向けて、国交省が中心になって、エネ庁などとも検討しながら新しい技術開発をするべきだと思うんですね。  そのときに、住宅については、外断熱というのをもっとうんと使ったらいいと思うんです。今はほとんど内断熱ですけれども、外断熱を使うと躯体全体が守られていきますから長もちしますし、そうすると固定資産税なんかも安くなる可能性があると思いますし、エネルギーの省エネ、二割か三割ぐらい外断熱の方が高いんじゃないかと思いますけれども、それをもっと大々的に使っていくべきじゃないか。特に大型のビルの改築は外断熱を義務づけするぐらい、そのぐらいのことをやってもいいんではないかなというふうに思います。  それから、車に関しては、今、世界の流れは何となく電気自動車に向いていますけれども、私は、電気自動車の電気をつくるのは火力発電だったら何にも意味がないわけですから、主流は水素じゃないかと思うんです。この水素を使った、特に日本はハイブリッドの技術を二十年以上前から開発して、定着させているわけですよね。それと組み合わせていく。石油の部分、ガソリンの部分については、バイオテクノロジーを使ったバイオエタノールに切り替えていくということによって可能なのではないかと思うんです。  今日、エネ庁の部長さんが来ているんだけれども、ちょっと時間がなくなったので私から一方的に言いました。ごめんなさいね。  その次に、下水道の話。これも昨年からずっと私は言い続けていました。ここに来て、下水道に関する技術が相当進歩しました。昨年の十二月でしたか、大臣の方から、余り発生していないので希釈されていて反応できないんだというお話がございましたけれども、今、塩野義製薬がその辺りをブレークスルーする技術を開発したようで、十万人に一人の感染者が把握できると言っています。これは塩野義製薬の言い分ですから、本当かどうかは分かりません。でも、それによってかなりの確度で感染地域が分かるんだと思うんですね。  実際に、世界の潮流は、下水道をもっと感染症対策に利用しよう、そういう動きが大勢です。アメリカのアリゾナ大学などは大学の中の感染症をこれで完璧に抑えてしまいました。あるいはオーストラリア、あるいはオランダ、フランスなども、下水道から出てくるコロナウイルスの、遺伝子ですけれども、それを検出をして、変形型のコロナについても、今状況はどうなのか、地域ごとにどうなのかということも把握しているようであります。  私が調べたところでは、ここはというところ、マンホールごとの調査というのが今大きな流れになっているようで、マンホールごと、施設ごとのマンホールで調査をすると、普通の処理のところよりも百倍も二百倍も高く出てくる。そのことによって感染状況がどうなのかということが明らかになる。  この下水道調査のいい点は、発症していなくても、未発症であっても、コロナウイルスを所有していればそれが出てくるということなんですね。札幌の場合では、感染が急拡大する以前に、その四、五日ぐらい前にその兆候が見られた。この地域では四、五日ぐらいしたら出てくるぞということが分かったというんですね。したがって、この下水道を使った調査というのはもっと積極的にやるべきだと思います。  資料としてつけておきましたけれども、谷戸さんとおっしゃるのかな、下水道関係者ですよね、下水道部の方だと思うんですけれども、この方が、日本中全部やっても六十億くらいでできるということをこのペーパーの中で、これは下水道関係の専門紙ですけれども、そこからの引用なんですけれども、そうおっしゃっています。二ページ目のちょうど左側の上ぐらいで、年間調査費は六十億ぐらいで全部できるという話をしています。多分そうだと思います。  下水道に関する技術について、なぜ普及できないかというと、政官学、大学と、それからビジネスと、それと官の方、下水道部ですよね、下水道部が率先をして司令塔の役割を果たしていないからだという指摘があります。この辺り、水管理国土保全局長、どう思いますか。
  42. 井上智夫

    井上政府参考人 下水道を活用したコロナの対策につきましては、委員が御指摘のとおり、非常に重要なものです。  特に、先生御指摘ありましたように、発症前から市中感染の流行とか収束状況を早期に探知できるということでございます。また、これは下水道部局だけじゃなくて、保健衛生部局と連携してやっていくということが重要で、そのために、今年の三月に、有識者、関係省庁から成る検討会を設置して調査研究を進めているところでございます。  また、民間企業との連携というものも重要でございますので、その連携を図っておりますが、特に、民間企業においては、高齢者施設などの個別施設の単位でサービスを行うということをやっておりますが、下水道部局の方では、より広い範囲の市中を対象として、より低い濃度でもウイルスを検出できるような監視体制をしこうということで目指してやっておりますし、これについては札幌市なども並行して行っているところでございます。  また、国土交通省においても、委員が御指摘ございましたように、マンホールでの採水というようなことを初めてやっているところでございます。ただ、現在の手法におきましては、下水処理場へ流入する下水中のウイルス濃度と感染者数等との明確な相関関係が確認されるに至っておりませんで、まだ未然の感染対策を取るというところまでは至っていないという状況でございますが、万全の体制をしいていきたいというふうに考えております。
  43. 荒井聰

    荒井委員 ここは頑張ってほしいと思うんだよね。今、ありとあらゆる霞が関の中で、このコロナ対策については失敗の連続だと私なんかには見えます。その失敗の原因は、最大の原因は、スピード感がないということです。全く、検討ばかりやっていて。  トップリーダーというのは、決断をするのがトップリーダーなんです。失敗したら責任を取ればいいんです。でも、決断を誰もしないものだから、ずるずるずるずるいっているというのが今の霞が関の体質だと思います。  この辺り、国交省は、赤羽大臣の下、精鋭がそろったわけですから、失敗したら責任は大臣に取ってもらったらいいんですよ。この方は取ります、ちゃんと。それだけ度胸のある人です。その下で、もっと力を発揮して、どんどんやっていただきたいということをお願いをいたします。  最後に、最後というか、感染リスクの可視化というペーパーと次亜塩素酸水のペーパーを資料として渡しました。今のこの形で今の宣言をずっと続けていれば、食品関係あるいはレストランだとかそういうものがばたばたと倒れていきますよ。  しかしながら、山梨県だとか、あるいは和歌山だとか、幾つかのところでちゃんと感染を防いでいるんですよね。防げているんです。どうして防げているかといったら、そのお店がどういう形で感染を防ぐための対策をしているのか、どうやって消毒をしているのかということですよ、逆に言うと。あるいは、感染者がしぶきが飛び散っても、それを対策をするような、そういうことをやっているかということなんですね。  感染の蔓延を防ぐスペシャリストというのは、お医者さんじゃないんです、看護婦さんなんです。感染症が病院の中で、抗体の、菌が発生したときに、その感染症がわっと広がるんですね。コロナでもないですよ、普通の感染症ですよ。その責任は誰が取るのかというと、病院では看護婦長なんです。非常に厳しい看護婦長のいるところは、そういう感染の大発生というのは、病院の中の大発生というのはないんです。例えば、絶対土足では駄目だとか、絶対病室に入るときには手を洗うとか、あるいは、廊下は必ず一日に二回ぐらい水掃除をするとか、そういうことを徹底させているところが大丈夫なんです。ところが、その感覚が今の厚生労働省には僕はないんじゃないかというふうに思うんです。  ここで、感染リスクの可視化ということでCO2のセンサーを入れたのと、それから次亜塩素酸水を入れました。  次亜塩素酸水というのは、既に歯医者さんで広く使われているんです。それ以外に、養護施設だとか介護施設なんかでもかなり使っていたんです。特に、ノロウイルスが発生したときにはこの次亜塩素酸水を使っていたんです。ところが、厚労省が中心になって次亜塩素酸を使うなというキャンペーンをやっちゃったんですね。  ただ、次亜塩素酸にも二種類の次亜塩素酸水があるみたいで、食塩水を電気分解して作る次亜塩素酸水と、次亜塩素酸ナトリウムという別の溶液と混ぜて作るやり方で、本当の次亜塩素酸水と言われているものは食塩水の電気分解なんですね。これは食品添加剤として認められたものなんです。極めて安全なものなんです。  だから、この安全なものをもっと、かつて使っていたんですけれども、それを止めちゃったものだから、あっちこっちであれが使えたらという声が蔓延していますよ。これをちゃんと使えるようにすること。  それから、それが空間噴霧すると危険だということを言っています、WHOの通達だというふうに言っていますけれども、次亜塩素酸水というのは日本で発明したものです。そして、病院のそういう耐抗生物質の菌を駆逐するために科学者が作り出したものなんです。それをもっと使わない手はないと思います。WHOはそれを知らないんです、そういう製品があるということを。日本独自の製品です。そのことをもっと私たちは理解をして、このコロナ対策に当たっていくべきだというふうに思います。  時間が来てしまいました。荒井ゼミをこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  44. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、小宮山泰子君。
  45. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 おはようございます。  まず、今、第一報で、ロシア船と日本のカニ漁船が衝突をし死亡が出たという速報が入っております。是非、海上保安庁を始め皆様、しっかりと情報収集と、まず邦人の安全の確保をお願いしたいと思います。  また、新型コロナの緊急事態宣言また蔓延防止等重点措置の期間延長が、関係自治体からも政府に要望が始まっております。自粛と補償はセットでなければもう耐え切れないという状況に、様々なところで声が上がっております。  国会の方の会期、延長しない、東京都議選があるからと通例的に言われることもあります。オリンピックがあるからといろいろ言われますが、国会議員としては、緊急事態宣言下、またそれをする意味において、国民の命、生命や、事業者、そういう人たちを、現場で頑張っている、そういったエッセンシャルワーカーを始め皆様を守る、その思いで、閉じることなくしっかり対応したい、ここにいる委員の皆様方とはその思いを共有させていただければと思っております。  さて、本日は一般質疑でございます。建築基本法を制定をしようと、多くの専門家の方々が集まり、議論を重ねておりました。それをまとめられました建築基本法制定の冊子を改めて読みながら、神田順教授を始め皆様方の思いを読ませていただく中で、建築が単なる消費財ではなく社会資産として生き続けるというくだりがありました。これから、サステーナブルなもの、時代に合わせてこの点をしっかりとするための質疑をさせていただければと思っております。  日本は、古来より建築材料として木材を利用していましたが、昭和三十年頃は国内自給率が九割を超えており、戦後復興復旧に伴う住宅供給増加と昭和三十九年の木材輸入の全面自由化により、安価な外国産木材が建築市場の主流となり、その影響で、平成十四年には国内木材の自給率は一八・八%まで下落しました。国土の七割を森林が占める日本において、建築材料として利用できる木材は豊富に存在しているにもかかわらず、国産木材が今まで十分に有効に活用されてこないで、安価で大型の外国産木材に市場を奪われてきたという形です。  ところが、昨今、この国産木材市場に大きな変化が生じております。  先週の国土交通委員会で、深澤委員から、中小工務店、中小事業者が輸入材、国産材を含めて入手困難となり、事業に支障を来しているとの問いに、林野庁の前島林政部長から、川上から川下に至るまでサプライチェーンを構築していくことに国土交通省連携して取り組み、国産材で需要を賄っていける、国産材の安定供給体制を構築する取組をしていきたいといった答弁がありました。  私も、青年会議所の後輩も含めて、木材が高騰しているということで、本当に今悲鳴を上げているというのが入ってきております。  国土交通省では、林野庁とどのような連携を取り、国産材の安定供給体制の構築を行っていくのか、お伺いいたします。
  46. 和田信貴

    和田政府参考人 委員指摘のとおり、木造住宅供給事業者等からは、輸入木材の価格上昇と品薄が進行していること、国産材への代替需要の増加で国産材も品薄、値上がりが起きていることなどなど、お話を聞いてございます。また、木材の調達能力のある大手事業者に比べて、中小工務店に対する影響が大きいものと受け止めてございます。  このため、短期的な対応としましては、住宅用の木材の調達が困難になることなどにより資金繰りに影響を受ける中小工務店を想定し、中小工務店でも活用可能な融資制度の相談窓口等について周知をしているところでございます。  また、事業者による意欲的な取組も出てきており、複数の木造住宅供給事業者と林業事業者などが連携して、関係者の間で木材の需給をコーディネートすることにより、林業事業者にとっては年間の木材供給量を想定しやすくなり、木造住宅の供給事業者にとっては安定的な確保がしやすくなる、このような仕組みを構築している事例もございます。  このような事例を参考に、林野庁と連携しまして、木造住宅供給事業者と林業事業者等との国産材の中長期的な調達の協定や契約、複数の木造住宅事業者による共同調達の仕組みなどについて、事業者からの相談に乗るとともに、業界や市場の実態把握しながら、必要に応じて、これらに取り組みたいという事業者への支援を検討してまいりたいと考えております。
  47. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 人材不足や輸送方法の確保、さらには費用面などから、伐採されないまま放置された樹木があり、様々な課題が山林にはございます。  戦後、全国で広く植林された杉、ヒノキは、樹齢五十年、六十年を超えるなど、伐採に適した時期を迎えていると言われます。これらの活用用途についてどのような計画があるのか、簡潔にお聞かせください。
  48. 前島明成

    前島政府参考人 お答えいたします。  本年六月頃の閣議決定を目指して現在検討中の新たな森林・林業基本計画におきましては、木材の生産や運搬に対応した路網の整備、林業の生産性向上や従事者の確保、製材、集成材などの加工流通施設の整備といった施策を展開しながら、川上から川下まで一体となった国産材の安定供給体制を構築していくこととしております。  こうした取組によりまして、新たな基本計画案におきましては、林産物の供給及び利用に関する目標といたしまして、令和元年には三千百万立米である国産材の供給量を、令和十二年には一千百万立米プラスいたしまして、一・四倍の四千二百万立米まで拡大することを掲げております。この中におきまして、特に価値の高い建築用材につきましては、国産材の割合を四割半ばから六割強まで増加する、こういったことを目指してまいりたいと考えております。
  49. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 日本の伝統構法では、一本一本の材木の特性を生かしていくものであり、それに対して、現行の建築基準法の下で行われる現在の一般的な建築、在来工法では、材木も統一規格を材料とするという違いがあります。木材が安価に輸入されるようになったことも国産材が利用されなくなった要因の一因だと考えております。  今後、山林の管理、水源涵養機能の維持、そのほかの目的のためにも治山は必要ですが、山を守るにも、林野庁の計画も、切り出した木材が消費されなくては実行につながりません。国産材の消費、例えば木造建築、伝統的構法の住宅、木造の仮設住宅など、様々なことが考えられますが、これらの消費を増加させ、安定した市場形成が課題だと考えます。国土交通省計画があればお聞かせください。
  50. 和田信貴

    和田政府参考人 木材の利用は、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など森林の有する多面的機能の発揮や地域の活性化のほか、花粉症対策、こういったものにも資するものでありまして、我が国の森林資源が本格的な利用期を迎える中、このような国産材を含めた木材需要の拡大は重要な課題であると認識しております。  国土交通省としましては、自ら整備する公共建築物における木造化、木質化の推進や、国の木造建築物に関する技術基準などの整備と地方公共団体等への普及、あるいは、先導的な木造建築物のプロジェクトや林業事業者と工務店等が連携したプロジェクトに対する支援、あるいは、木造建築物等に関する構造あるいは防火関係基準の合理化の推進、中高層の木造建築物を担う設計者等の育成への支援などを行っております。  今後につきましても、農林水産省を始めとします関係省庁と連携して、公共建築物等の木材の活用、民間の先導的プロジェクトなどでの活用、建築基準の合理化、人材の育成などに積極的に取り組み、木材の利用促進を進めてまいります。
  51. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 国内市場を育成させることで、国内事業者にとり、安定した国産材の確保、つまり、安心して受注ができ、建築ができることで事業継続が可能になってまいります。今回のウッドショックに対しても、融資など短期の支援策、そして事業継続に向けての長期の支援を中小工務店等に対しても継続的に行うことを要望しておきます。  さて、CLT、木材の利活用でありますけれども、直交集成板の利活用の推進についてお伺いしたいと思います。  国交省では、サステナブル建築物等先導事業、木造先導型、つまり、木材を多く利用する建築物への補助制度実施しております。木造実験、その中においても、CLTというのは非常に強度もあり、また、コンクリートと違い、乾燥の時期も要らないという意味では、非常に有効な資材だというふうに考えております。  本年三月の閣議決定の住生活基本計画の中においても、CLT等の新たな部材を活用した工法等、中高層住宅等の新たな分野における木造技術の普及とこれらを担う設計者の育成等が盛り込まれたところであります。農林水産省、林野庁、そして住宅局を始めとした国土交通省関係部局と共々、国産材流通の促進を唱えております。  木材は、CO2を固定し、炭素を貯蔵するため、環境保護にも寄与します。CLTは木の塊で、従来の木造建築と比較し、単位面積当たりの木造使用量が多く、木材利用量を促す効果も期待されるところであります。また、CLT活用を担う設計者の育成推進や製造工場設置等の支援、より積極的な支援を展開するべきだと考えます。どのように取り組んでいくのか、国交大臣にお伺いいたします。
  52. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 まず、木材の利用の拡大は、お話にございましたように、グリーン社会の実現ですとか、林業の成長産業化、また地域の活性化、そして、山が整備されるわけでありますから、防災減災にも資する大変重要な課題であるというふうにまず認識をしております。  加えて、木材を利用するということは、今、小宮山委員からお話ございましたように、環境面でも大変大きな貢献が期待をされているところでもございますし、加えて、CLTには間伐材を活用することが可能だという利点もあるわけでございます。  こうしたCLTの利用推進に向けまして、国交省では、先ほど御紹介いただきましたが、サステナブル建築物等先導事業、木造の先導型の事業として、CLTを用いた建築物の実績、これは四十四件、そうした支援をする実例もございますし、また、建築基準法に基づいて構造・防火関係基準の合理化の推進もさせていただいたところでございます。  現在、国交省も一員となって、CLT活用促進に関する関係省庁連絡会議が立ち上がっておりますが、本年三月にCLTの普及に向けた新ロードマップも取りまとめられたところでございます。  国交省としまして、これまでの取組に加えまして、新たに、中高層の先導的なCLT建築物の整備を積極的に支援するですとか、その設計ですとか、大工さんへの育成の支援、また、万博等の展示効果の高い場所でのCLTの活用の促進をした施設等々を応援していかなければいけないと思っております。  多分、少しコストも高いというような課題もあるかと思っておりますが、そうしたことを、このCLTの魅力というか優位性みたいなことをしっかりと周知徹底をしながら、国交省としても積極的な取組を進めていきたいと考えているところでございます。
  53. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 国内市場も今後拡大すると考えられます。木造ビルにおいては一から二兆円の規模の新しいマーケットになるという試算もあり、期待もされているところであります。国産材を活用する市場を形成するよう、国交大臣により積極的な計画と施策の展開をお願いしたいと思います。  さて、最後課題でありますが、伝統的構法の木造建築の現実的活用の推進についてお伺いしたいと思います。  サステナブル建設物事業では、木造主導型に加え、気候風土適応型の事業公募も取り組んでおります。私も、以前には当時の石井国交大臣にも質問を重ねてまいりました。しかし、昨年の採択事例数は応募総数自体も少なく、また、建築許可を取るための書類も膨大となるため、まだまだ制度を改正しなければ活用には至らないのではないかと危惧しているところであります。  そこで、気候風土適応住宅への支援があること自体の周知が足りていないのではないかという疑問もございます。世界的に、SDGs、持続可能な開発目標にリンクするよう、環境負荷を意識し、未来の世代に負担を残さない社会づくりを意識した建築、住まい方も日本課題だと考えます。  日本は、元々自然との共生の中で建築技術が育まれてきました。昨年、ユネスコ無形文化遺産に伝統建築工匠の技の登録も決定されております。以前にも増して伝統的構法、気候風土適応住宅の建築が可能であることと、建築士、工務店、施主への周知を含め、国、地方自治体による積極的な取組が必要だと思います。  この点に関しまして大臣の御見解をお聞かせください。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 もう十年以上前になったかと思いますが、国土交通委員会の景観条例に関する視察で京都を訪問したことがありまして、そのときに、京都のいわゆる町家ですか、町家造りのところも見させていただきました。恐らく伝統的構法による木造住宅の範疇に入ると思いますが、風通しのよさですとか日射の制御ですとか、本当に自然を生かした優れた居住空間の確保がされているなというふうに思っておりますし、湿度の調節機能が高いとされている土塗り壁につきましては、結露の防止や快適性の確保等の効果があるとされております。  最近の、私なんかが今借り家で住んでいる家では、すぐ結露もするし、まさに家としての風格が、恐らく昔と比べると随分なくなったなというのは個人的に思っております。  建築物省エネ法におきまして、この伝統的構法による木造住宅について、土壁の、先ほどの湿度を調節する機能等々に着目して、気候風土適応住宅として位置づけて、断熱性能に関する基準への一律の適用は求めていないということでございます。  周知徹底がされていないのではないかという御指摘でございます。  平成二十八年度から、気候風土適応住宅の普及を図るための整備に対する支援を行い、また、取組事例については住宅事業者ですとか建築主に対して周知を行っているというふうにございますが、まだまだ全国的な広がりという意味では御指摘のとおりだと思いますので、これからの、まさに二〇五〇年カーボンニュートラルの時代にふさわしい、日本の特性を生かした住宅ということで、しっかり広報をしていきたい、こう考えております。
  55. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 先日、石場建て、神社や農家とかでよく見られるもの、これをまた新しく住宅で建てるということで、今工事が進んでおりまして、その石場建て、よいとまけの作業を、私自身も施主の家族の方々とともに交ざり、体験をしてまいりました。本当に、角度などを見るという意味では繊細な作業でありました。  これまで、伝統的構法をより採用したくなるように、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会で取り組まれたデータ整備、告示など、形に整えていくこと、建築士に使いやすくしていくべきだという観点質問も重ねてまいりました。この点に関しまして、簡潔に答弁をいただければと思います。
  56. 和田信貴

    和田政府参考人 仕様規定適合しない伝統的構法による場合、地震に対する安全性の確認のために、基準法により、精緻な構造計算が要求されております。  このため、国土交通省では、この構造計算の際に活用可能な継ぎ手や仕口などの接合部のデータベースの整備を進めており、専門家の確認が終了したものについて、平成二十九年三月から公開しております。  また、設計時の参考となるよう、伝統的構法の木造二階建て住宅について、データベースの伝統的要素を用いた構造計算の事例を示すなど、データベースの使い方を解説するマニュアルを本年の三月に公表しております。  さらに、精緻な構造計算を行うことなく伝統的構法を採用しやすくするために、安全性が確認できた壁や接合部の仕様を順次基準としてきております。  具体的には、一階の柱と土台を鉛直方向に固定しないだぼの接合方法や、土塗りの垂れ壁、上の方だけの壁ですね、こういったものについて、仕様規定として告示に追加しております。これらに加えまして、伝統的構法でよく使われる小屋ばり組みについて、実験等による知見が得られたことから、仕様規定に追加すべく検討してございます。
  57. 小宮山泰子

    ○小宮山委員 ありがとうございます。  是非、伝統的構法を生かし、そして吸湿、湿度等を含めて快適な住まい、そして社会資本というか資産となるような建築物に寄与することを心から願い、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  58. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、広田一君。
  59. 広田一

    ○広田委員 立憲民主党の広田一でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  本日は、半年前に質問させていただきました緑橋の不良、手抜き工事問題についてお伺いいたします。  本日は、大変お忙しいときにもかかわりませず、NEXCO中日本宮池社長に御出席をいただきました。誠にありがとうございます。  NEXCO中日本は、笹子トンネルの事故を教訓といたしまして、安心、安全な道造りにこれまでも会社を挙げて不断に取り組んでこられました。当該の工事も、二〇一六年に発生しました熊本地震においてロッキング橋脚形式の橋が落橋したことを受けて、資料の写真にもございますように、同じ形式の緑橋などの耐震補強を行い、安全性の向上を目的として実施をしてきたものであり、それ自体は、NEXCO中日本の積極的そして迅速な取組に関しては高く評価をしているところでございます。  だからこそ、今回の緑橋のような、耐震補強工事であるにもかかわらず鉄筋が入っていないという不良、手抜き工事がやられたことは信じられませんし、理解できないというのが率直な思いであります。もし首都直下型地震などの大規模な地震が発生すれば、落橋又は倒壊する危険性が極めて高いものであります。多くの命が犠牲になるかもしれません。よって、できるだけ速やかな原因究明と、実効性のある再発防止策を一日も早く講ずることが、危機管理上、今後同様な事案を未然に防ぐことにもなるとの問題意識の下で、以下、質問させていただきたいと思います。  まず、施工管理と検査状況に関連してお伺いします。  今回の緑橋のA1橋台のツーロット目の工事につきましては、資料をつけさせていただいておりますけれども、竣工検査の前提必須要件でもあります鉄筋検査、型枠検査を実施していないにもかかわらず竣工検査を行ってしまったことであります。しかも、合格と認定して代金まで支払ってしまった。  こんなことは、建設関係者のどなたに聞いても異口同音にあり得ないとおっしゃっております。社長自身も土木の技術者でありますので、このことは十分御理解をしているというふうに思いますが、なぜこういうあり得ないことが起きてしまったのか、その原因究明をまずしなければなりません。今回の手抜き、不良工事に関しまして、発注者側であるNEXCO中日本が原因究明しなければならない肝の一つがこの点であります。半年前の質疑においても、当時の源島取締役も、徹底調査をする、一生懸命やると約束をしてくれました。あれから半年がたったわけでございます。  改めてお聞きしますが、なぜ鉄筋検査、型枠検査をしなかったにもかかわらず竣工検査にかけて合格にしてしまったのか。その原因、理由について、現時点で分かっていることについて、宮池社長にお伺いいたします。
  60. 宮池克人

    宮池参考人 お答えをさせていただきます。  まず、先ほど御指摘がございましたように、笹子トンネルの事故を起こしたこの会社がまたこのようなことをやってしまったということで、厳しい御指摘をいただいております。今後しっかりと、こういったことが起きないように、これからもしっかりと頑張っていきたいと思います。まずはおわびを申し上げたいと思います。  それから、ただいま御指摘のございました施工不良に関しまして、鉄筋検査をせずに一部竣工をなぜしてしまったのかという御質問に対して、お答えをさせていただきたいと思います。  私ども会社が行いましたヒアリング等によりまして、現時点で弊社として把握している点について御説明を申し上げたいと思います。  一部竣工検査と言っておりますが、これは、跨道橋を管理する自治体から受託した補修工事分の費用を確定する必要があったということ、それからもう一つは、下請企業への支払いが促進されること、この二つを期待いたしまして、八王子の支社、支社の発意により実施したものと認識をしております。  一部竣工検査の実施当たりましては、工事の監督を担当するところの現場の事務所が、受注者に工事関係の未提出といった不備があることを認識しながら、まさか施工不良はないであろうという認識の下に一部竣工をしたということで、竣工に臨んでおったということでございます。  また、検査を担当いたしました八王子支社の検査員は、一部竣工の方法として、通常、監督員が立会いや書類の確認などの施工管理を日々着実に行っていることを前提に、全数検査ではなく抽出検査を行っているということから、当該検査におきましても同様な検査方法で行ってしまったということで見抜けなかった、その結果、抽出した検査記録に不備が見られなかったことから、検査の時点では施工不良に気づくことなく合格と認定してしまったという結果でございます。  しかしながら、第五回の外部有識者委員会の議事概要にありますように、一部竣工検査に関しましては疑義が生じております。具体的には、一部竣工は元々予定されていなかった、二つ目は、一部竣工の実施に関する支社と事務所の認識の相違があった、三つ目は、書類の不備が多数あり、検査が受けられる状態ではなかった、四つ目は、緑橋については現場検査が行われていない、五つ目は、一部竣工認定後も自治体への引渡しが行われていないなどの疑義を指摘されております。  当社といたしましては、外部有識者調査委員会調査、検証に協力するとともに、自ら実施すべき調査、確認を進めまして、できる限り早く事実関係を認定し、施工不良に関する一連の問題の原因の究明に当たるとともに、再発防止に向けた取組をしていくように努めてまいりたいと思います。  以上でございます。
  61. 広田一

    ○広田委員 どうもありがとうございます。  今の御答弁の中でございました、まさか施工不良はないだろうというふうな認識を持たれていたというふうなことであります。ただ、そういった認識をどうして現場の皆さんが持ってしまったのかというのがよく分からないんです。  先ほどの御説明にもございましたように、受注者側は、工期が遅れる、品質管理もできていない、また、工程管理に関する書類も未提出、工事工程の遅延などもあったというふうなことであります。  そもそも、今回受注した側は、NEXCO中日本さんの仕事について初めての仕事でもありますし、しかも低入札でありましたから、誓約書まで出しているわけであります。そういうふうなことを考えたときに、まさか施工不良はされていないんだろうというふうに、本当に現場の皆さんがそう思い込んでいる客観的な事実が私は見当たらないというふうに思っております。  ですので、半年前にお伺いしたときにも、現場の方がどういったことを弁明されているのか、これについて示していただきたいというふうにお聞きしたのはそういうわけからでもあります。  あれから半年たちましたので、ヒアリングについては済んでいるというふうに思いますので、今回の竣工検査を実施した方々を始め、現場の施工管理、監督に携わった方々へのヒアリング調査について、どういった弁明をされているのか、改めてお伺いいたします。
  62. 宮池克人

    宮池参考人 お答えいたします。  先ほど御指摘の、施工不良が発生いたしました緑橋については、結果として鉄筋検査が行われないまま施工が行われてしまったということです。  それで、工事の監督を担当する私どもの社員あるいは子会社の社員、施工管理の方からは、現実には工程表がなかなか提出されなかった、これは請け負いの方からですが、そういったもので工程が把握できない、それから、提出されても、現場の工程と実際の予定が変わってしまっているというようなことでなかなか検査の工程が築けない、それから、実際の施工工程が実際には把握できないので、そこに立ち会うこともできない、そういったことが未実施のまま事が進んでしまってこういった結果になってしまったということでございまして、先ほど申し上げましたように、まさかそういったものがあるとは思わないという発言もございますが、そういった中で進んでしまったということで、誠に残念に思っております。  それで、提出された工程表が実工程と気づかなかったということにつきましては、私どもの監督体制として非常に問題があるということでございましたので、週間工程表の提出義務、こういったものを再発防止対策として、既に社外の検討委員会の御指摘を入れましてルールとして決定しておりますし、できるだけ自主検査といったものも回避するように、立会い検査をきちっとやるようにということでもう既に体制を組んだという状況にございます。  以上です。
  63. 広田一

    ○広田委員 現状の再発防止策についても取り組まれているというふうなお話があったんですけれども、今の宮池社長の御答弁を聞けば聞くほど、なぜ竣工検査をしてしまったのかということがより一層理解できなくなるんです。つまりは、工程も把握できていない、そして検査すらできない、そういうふうに現場の方がおっしゃっているにもかかわらず、なぜ竣工検査をしてしまったのか。  下請業者等への支払い等々もしなければならないというふうなことは一定理解できるんですけれども、その支払いも大事ですけれども、より、この工事がしっかりと安全にされているのかどうかということをチェックすることの方がはるかに重要なわけであります。それができないというふうに現場が認めていたにもかかわらず、なぜ竣工検査をしてしまったのか。それは八王子支社等からの指示だったというふうな理解でよろしいんでしょうか。
  64. 宮池克人

    宮池参考人 私どもがこれまでヒアリングをした結果によりますと、八王子支社からの指示であったというふうに聞いております。
  65. 広田一

    ○広田委員 そうしますと、八王子支社は、現場はとても一部竣工検査ができるような状態ではないけれども、なぜ竣工検査をするように指示、命令をしたんでしょうか。  宮池社長もこういう御答弁は余り慣れていらっしゃらないというふうに思いますので、もう一度お伺いをいたします。  先ほど御説明があったように、現場の方では、工程が把握できないとか検査に立ち会うことができない、客観的な状況から見て、一部であってもとても竣工検査にかけることができないというふうに認識をしていたにもかかわらず、なぜ八王子支社が一部竣工するように指示、命令を出してしまったのか。  もちろん下請さんに対する支払いをしなければならないということは分かるんですけれども、それ以上に安全な、確実な施工をしていくということが大前提なわけでありますので、それをある意味しないまま強行してしまった。八王子支社がこのことを指示、命令した理由についてお伺いをいたしております。
  66. 宮池克人

    宮池参考人 お答えいたします。  先ほど先生からもお話がございましたように、私どもの会社のヒアリングの結果で現時点で把握している状況を申し上げますと、先生からもお話がございましたが、跨道橋を管理する自治体から受託した補修工事分の費用を確定する必要があった、それからもう一つは、下請企業への支払いを促進することを期待して支社の発意により実施したというふうに我々のヒアリングでは聞いておるところでございます。  以上です。
  67. 広田一

    ○広田委員 つまり、安全より受注業者側、下請業者側に対する支払いを優先してしまったというふうなことになるわけでございますけれども。これはまさしくあってはならないことだというふうに思いますけれども、宮池社長の御見解をお伺いします。
  68. 宮池克人

    宮池参考人 一部竣工の理由は先ほど申し上げたとおりでございます。  それで、安全より支払いを先行したという御指摘が今ございました。安全は、確実に、先ほど申し上げたように、まさかそういった手抜きはないだろうという認識の下にこういうことをしてしまったということ自体が非常に問題であるわけでございますので、その点についてこれからしっかりと、もう既に再発防止対策を考えておりますが、いろいろとこれからもしっかりとそういった対応を詰めていきたいというふうに思っております。  以上です。
  69. 広田一

    ○広田委員 是非、まさかこういうことはないだろうというふうなことが真実かどうか、またこの点についても検証をしていただきたいというふうに思っております。  そういった中で、次は赤羽大臣にお伺いをしたいんです。赤羽大臣は、今回の件について衆参の国土交通委員会で御答弁しておりますけれども、まずこの問題については発注元のNEXCO中日本の責任で原因究明をしなさい、そのことが、第三者委員会でそれが妥当性があるのかどうかという検証をしてもらう、全部第三者委員会に委ねるということは余りにも無責任だという旨の答弁をされております。つまり、この手抜き工事問題の原因究明の第一義的な責任はNEXCO中日本にあるとしているわけでありますが、このことについては宮池社長にも指示をしたという旨の答弁もされております。  そこで、赤羽大臣にお伺いしますが、なぜ鉄筋検査、型枠検査をしなかったにもかかわらず竣工検査にかけて合格としてしまったのか。現状の調査結果についてのお話はございましたけれども、まだまだ原因究明であるとか事実確認の認定というふうなところには至っておりません。発生してから半年以上たっているわけでありますけれども、現状についての赤羽大臣の御見解と、今後、国土交通省として指導をより一層強化しなければならないというふうに考えますけれども、併せて御所見をお伺いいたします。
  70. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 本件につきましては、私も広田委員と同じ気持ちだというふうに思っておりまして、NEXCO中日本たる企業が、こんなことはあり得ないだろうということを平然と起こされたということについて、大変ショックも受けておりますし、なぜこうしたことが起こったのかというのは、当然のことながら、自分の会社ですから、自分の会社の責任として原因究明をするというのは一義的には責任があるというふうに、そういう思いで申し上げました。  そのことが第三者委員会という有識者の皆さんからで通るのかどうかということを諮っていただかなければいけない。最初から自分たちの責任も果たさずに有識者委員会に丸投げするというのは少しおかしいのではないかということで、指示をしたところでございます。  ただ、今御指摘の点、八王子支社の発意によって一部竣工検査を云々ということのくだりは、委員会の議事概要にもありますように、委員会の先生方も全く納得はされていないということだと思いますし、そこはこれから解明をしなければいけない点だというふうに、私もそう思っておるところでございます。  時間がかかっておりますけれども、大変、安全に関わる大事な問題なので、そこはしっかりと、私は、ヒアリング等々は今一生懸命会社としてはやっていただいているというふうに承知しておりますが、徹底的にヒアリングを行って、有識者の委員会の皆様の中でもんでいただきたい、一定の結論を得て、他方で再発防止というのは当然のことながらしなければいけないので、もう一度、これはあってはならないことを起こしてしまったんだということを肝に銘じて、もう一度、一からやり直していただきたいというのが私の気持ちです。
  71. 広田一

    ○広田委員 質疑時間が参りました。  最後に、宮池社長に、現時点での再発防止に対するNEXCO中日本としての決意と、そのために果たすべき宮池社長としてのリーダーシップ、役割、責任についてお伺いをいたします。
  72. 宮池克人

    宮池参考人 大変御心配をおかけしておりますことを改めておわび申し上げたいと思います。  私ども、日本の社会経済を支える重要なインフラでありますところの高速道路の建設それから維持管理を担う弊社の責任は大変に重いと認識しております。このような事象を二度と起こさないよう、しっかりと取り組む予定でございます。  昨年十二月に外部有識者委員会より中間取りまとめが弊社に提出されまして、その中で当面の再発防止対策の在り方について御提言をいただいておることから、弊社といたしましては、当面の再発防止策を取りまとめ、工事の監督、検査に関する改善、それから契約の適正性に関する改善については既に実施しております。  また、現在継続している外部有識者委員会による調査、検証を踏まえまして、更なる再発防止対策に対しても取組を開始する予定でございまして、調査委員会には、私からできるだけ早く、調査の結果、最終取りまとめをお願いいたしまして、具体的な再発防止に取り組んでいきたいと思っております。  具体的な再発防止の方向性につきましては、調査委員会の検証を待つ必要はございますけれども、少なくとも、弊社といたしましては、会社組織のガバナンス、それから事業遂行に係る組織、権限の見直し、こういったことの抜本的な改善が必要だと思っておりますので、そういったことも既に準備を始めておるというような状況でございまして、今後しっかりと取り組んでまいりたいと思います。  よろしくお願いしたいと思います。
  73. 広田一

    ○広田委員 それでは、質問を終了します。どうもありがとうございました。
  74. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、道下大樹君。
  75. 道下大樹

    道下委員 立憲民主党の道下大樹です。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  時間も限られておりますので、早速、ハイヤー、タクシー産業支援についてまず伺いたいと思います。  一つ目は、雇用調整助成金の特例措置の延長についてなんですが、ハイヤー、タクシーに限らず、国交省所管の鉄道事業や航空だとかバスだとか、様々関係する事業は雇用調整助成金特例措置の延長を求めてきました。先日も、私も所属する、辻元議員が会長を務めるタクシー政策議員連盟でも、全タク連の会長らから強い要望を、雇用調整助成金特例措置が終わったら廃業するタクシー業者がばたばた出てくるというような話もいただきました。また、先日、今週月曜日ですけれども、私も、道内の立憲の国会議員や地方議員とともに北海道関係団体のところに伺いましてヒアリングをして、雇用調整助成金の特例措置の延長を求める意見をたくさん伺ってきました。  そこで、国交大臣は、これまでもそうした思いは共有されていると思いますし、積極的に関係閣僚や省庁に延長をお願いされてきたと思います。そのかいもあってだと思います、昨日の夜から一部報道では、厚労省が七月以降も特例措置について延長するという方向で今検討を進めている旨の報道がありました。ただ、正式決定していませんので、この点について、現時点での国交大臣見解並びに雇調金制度を所管する厚労省の今の検討状況について伺いたいと思います。
  76. 達谷窟庸野

    ○達谷窟政府参考人 お答え申し上げます。  雇用調整助成金の特例措置についてでございますが、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中で、前例のない措置を講じることによりまして、事業主の皆様の雇用維持の取組を強力に支援してまいったところでございます。  五月、六月につきましては、特に業況が厳しい事業主の皆様等に対しまして、日額上限一万五千円、助成率最大十分の十の手厚い支援を引き続き行っているところでございます。また、これらに該当しない場合でも、日額上限一万三千五百円など、リーマン・ショック時を超える水準の支援を行うこととしております。  一方、雇用調整助成金で長期にわたり休業による雇用維持を図り続けることにつきましては、働く方々の能力が十分に発揮されないことや、望ましい労働移動を阻害するなどの懸念があるところでございます。  このため、七月以降は、雇用情勢が大きく悪化しない限り通常制度に向けて段階的な見直しを更に進めていく旨をお示ししているところでございますが、いずれにいたしましても、雇用情勢等をしっかり見極めながら早急に検討してまいりたいというふうに考えてございます。
  77. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 コロナ禍がこれだけ長期化をする中で、率直に言って、大変厳しい業界とそうでない業界というのはある程度分かれてきているというふうに思っております。  今御指摘のように、国交省所管の公共交通を担っていただいている皆様、ハイタクも含めて、観光関係もそうですが、人手をかける集約型の業界が大変多いわけですし、その中で、移動制限等々がかかる中で、大変経営も厳しい状況となっております。  本年四月に実施をいたしましたサンプル調査でありますけれども、タクシー事業者皆さんでは八二%の方が雇用調整助成金を給付済み又は申請済みと回答していただいておりますし、私も全国を回りながらいろいろヒアリングをする中で、雇用調整助成金があるからこそ何とかしのいでいるということが、ほとんど異口同音に言われていることでございます。  感染状況が改善しない限りそうした措置は取らなければいけないというのは私は政府の基本的な考え方だというふうに思っておりますし、その中でも、公共交通機関を担っていただいている、使命と責任を果たしていただいている公共交通事業者の皆様の声をしっかりと守っていくとの決意を持って臨んでいくという覚悟でございます。
  78. 道下大樹

    道下委員 達谷窟審議官、来ていただきましたけれども、是非、延長する方向で今進めていますと御答弁いただきたかったなというふうに思っております。  それから、雇調金について、今は六月末までですけれども、事業者はもっと先の計画をしているわけですよ。ハイタク業界もそうですが、特にバス事業者は、運転手さんのことだとかダイヤのことだとか様々、半年間、少なくとも三か月以上先を見通して、それで事業計画するわけですよ。  はっきり言って、会社だって国だって一年間の予算とか計画とかを立てますよね。それで、それに向けて、ゴールに向けて、目標に向けてやるわけであって、雇用調整助成金の制度を三か月ごととか、延長するかどうか、やっと一か月差し迫ってどうするか決めるというのは、公共交通事業者も含めて、様々、飲食店とか、ほとんどのコロナの影響を受けた事業者にとってみれば、もっと早く延長するなら延長すると言ってほしいとか、もうちょっと長い期間制度を続けてほしいだとか、早めの発表を期待しているわけですので、その点を是非、これまでも御理解いただいていると思いますが、更に御理解いただきたいというふうに思っております。  ちょっと時間が短くなってしまったので、せっかく秡川自動車局長に来ていただきまして、済みません、運賃改定についてはもう御承知だと思います。これまでもハイタク業界は、それ以外の様々な、地方創生臨時交付金の活用だとか様々な要望をされてきました。それに応えてこられたと思いますが、運賃改定については、今このコロナ禍で、利用者に対して運賃が上がることはなかなか言いづらいと思います。  何とか昨年の二月一日に四十八運賃ブロックで運賃が改定された。それでコロナが来たんですけれども、あのときに改定しなければもっと悲惨だったと言われます。何とかあのときにぎりぎり運賃が改定されてよかったなというところがある反面、まだ適正な運賃でない、まだ運賃改定を求めているブロックもありますので、そういったところも含めて是非御検討をお願いしたいということで、意見を申し上げさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、ライドシェアと飲食宅配代行について伺いたいと思います。  今年二月十九日に、英国最高裁は、アメリカ配車サービス大手ウーバーの運転手について、個人事業主ではなく従業員として扱われるべきとの判断を示しました。フランスの最高裁も二〇二〇年に同様の判決を下しております。日本国内においてライドシェア導入を求める動きが一部の経済界からある中で、海外ではライドシェアに関する様々な問題が浮き彫りになり、運転手や利用者を保護する法制度を施行する動きが見られております。また、国内においてもライドシェアについて懸念する意見が広がっております。ライドシェアと英国最高裁判決についての国交大臣見解を伺いたいと思います。
  79. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 外国の司法判断について政府の一員である私がコメントするというのは差し控えなければいけないというふうに思っております。いずれにせよ、海外ではどういう判断をしようとも、我が国は、自動車による旅客の運送におきましては、安全、安心の確保が最重要、大前提だというふうに認識をしております。  ライドシェアにつきましては、これまでも何度も申し上げているとおりでございますが、運行管理ですとか車両整備等についての責任を負う主体を置かないまま、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形を前提とした旅客運送を有償で行うということは、安全の確保、また利用者の保護等の観点から問題があるため、認めるわけにはいかないという考えは全く変わっておりません。
  80. 道下大樹

    道下委員 今大臣から、考えは全く変わらないということで御答弁いただきました。  安全確保、利用者の安全確保を含めて、また、そこでハンドルを握る方々の雇用や安全ということも必要なんですね。ライドシェアというのはいわゆる個人事業主でありまして、責任だとか、事故が起きたときだとか、補償も全て個人事業主が、ドライバーが負わなきゃいけない。そういう不安定な中でこういうライドシェアというものが海外では進められてきた、そして国内でも進めようとしている動きが一部にあるということで、やはり、国民の安全、安心を守る政府として、こうした動きには是非国交省が先頭に立って、ライドシェアのような制度が導入されないようにお願いしたいというふうに思っております。  ライドシェアと同様のシステムを用いたものが、いわゆる飲食宅配代行、フードデリバリーというものでございます。コロナ禍の状況と重なって今急拡大しております。  飲食宅配代行に携わる方は、現在、個人事業主となっております。厚生労働省は、近く開催する労政審議会で、労災保険の特別加入の対象として自転車などでの飲食宅配代行に携わる個人事業主とフリーのITエンジニアを新たに追加する案を示し、省令改正を進める考えというふうに承知しておりますけれども、飲食宅配代行に携わる個人事業主である配達員の方々の労働組合は、今月二十四日に記者会見を開きまして、厚生労働省の方針に反対を表明されました。事業主が保険料を負担する本来の労災保険の適用を検討するよう求めていらっしゃいます。  最近では、一部の飲食宅配代行プラットフォーマーが配達報酬の計算方式を一方的に変更して、実質的には報酬が引き下げられることが多くなるという状況にもなっており、事業主と配達員との契約関係は看過できない状況だというふうに思っております。一方的に契約が変えられてしまったり、なかなか意見が言えないという状況であります。一方で、新型コロナウイルスの流行以降は、このフードデリバリーシステムによって飲食業界に恩恵をもたらしてきたのも事実であります。  配達員の労働組合の主張を尊重し、反映するべきだと思いますけれども、厚生労働省見解を伺います。
  81. 小林高明

    小林政府参考人 お答えいたします。  労災保険制度は、労働基準法に基づくものであり、事業主が労働者に対して負う災害補償責任を実質的に担保するための強制保険でございまして、これを直ちに拡大することはできないものと考えております。  一方で、業務の実態災害の発生状況等から見て、労働者に準じて保護することがふさわしい方々については、一定の要件の下に当保険に特別加入することを認めております。  御指摘のとおり、自転車配達員についても、現在、労働政策審議会において御議論をいただいているところでございます。  なお、特別加入の対象となるか、労働者として保護されるべきかについては、労働基準監督署において実態等の調査を行った上で適切に判断することとしております。
  82. 道下大樹

    道下委員 配達員の労働組合からの意見というものは、これに始まったものではありません。  昨年の八月十三日にも、当時の加藤厚労大臣宛てに労災保険制度の見直しに関する要望書というものを出して、厚労省の担当の方が一時間近くもお話を聞いてくださったということで喜んでいらっしゃったんですよね。その中では、ウーバーのような個人事業主に対する支配性が強く、雇用類似の状態で労働力を確保する企業側の責任や負担を回避して制度変更を進めようとする姿勢が顕著ですということで、個人事業主とプラットフォーマーとの関係性に関しては、やはり配達員は労働者性が高いというふうに言っているんですね。  そこで、この労働組合、ウーバーイーツユニオンは、労災保険制度の見直しにおいては、特別加入の拡大で済ませるのではなく、ウーバーのような労働力を確保して事業を行う企業が労災保険の保険料を事業主負担する形で労災保険の適用拡大を行うよう要請すると言っていらっしゃるわけであります。また、労働者災害補償保険法を改正して、実態を伴った適用対象の拡大を行ってほしいというような要望を出されているわけですから、こうしたことを踏まえて、労政審議会等での議論や厚生労働省の中での議論もしっかりと進めていただきたい。  これは日本国内だけの問題じゃなくて、海外ではもっと先を行っていて、労働者性が強いということで、労働者として判決も出ている。ヨーロッパや北欧ではたくさん出ているんです。日本が遅れてはならないと思いますので、この点、審議官には御答弁は求めませんけれども、私の意見として、しっかりと厚労省で踏まえていただきたい、議論をしていただきたいと思っております。  最後に、索道輸送について伺いたいと思います。  イタリアで、観光用ロープウェーが先日落下して、十四人の方が亡くなったという痛ましい事故が発生してしまいました。コロナ禍でしばらく休止していたけれども再開した直後の事故とのことで、事故原因は不明ですけれども、ロープが破断した可能性もあるというふうに聞いております。  これまでも、日本国内の索道事業者は安全確保に万全の体制で取り組んで、安全を確保されてきたというふうに思っております。私もスキーだとかでいろいろ利用させてもらっていますので、その安全性は認識をしておりますが、一つ残念なものがありまして、私の地元のロープウェーで二年前に、ゴンドラが非常停止して鉄塔にぶつかって、乗客ら七人が重軽傷を負った事故が発生してしまいました。国交省には報告があったと思います。  事故が起きたとき、若しくはけが人とかが出なかった場合に報告するのかしないのかとか、二年前に事故を発生させた事業者はその基準について認識をしていなかったということもありますので、こうした事故発生状況課題認識、これまで国交省として様々把握されていたと思いますが、その点について伺いたいとともに、今後の安全確保に向けた取組、さらには、今コロナ禍で索道輸送事業者も経営が厳しいので安全対策についてしっかりと国も様々な資金的支援などで補助すべきだと私は考えますけれども、その点について御答弁をよろしくお願いいたします。
  83. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  我が国における索道の事故につきましては、国土交通省令である鉄道事故等報告規則に基づきまして、地方運輸局への報告を義務づけているところでございます。  また、事故が発生するおそれがあると認められる事態、いわゆる委員指摘のインシデントにつきましても、同じ報告規則に基づき、地方運輸局長への報告を義務づけております。  例えば、保安装置等にゴンドラなどの搬器の運転の安全に支障を及ぼすような故障が生じた場合には、国土交通省に対してインシデントとして報告する義務がございます。一方で、突風などによって、意図的にゴンドラを停止させて、その結果大きく揺れたといったようなケースなど、事故の予兆に当たらないような場合にはインシデントには該当しないということでございます。  ただ、インシデントの定義につきましては、委員指摘のとおり、索道事業者の解釈が異なることがないように、報告すべきインシデントに対する解釈運用や事例を示しておりますが、判断が困難な場合は、国土交通省に相談の上、個別に判断していく、できるだけ幅広に相談、報告してもらうように努めてまいりたいと思っております。  また、索道の安全対策につきましては、技術面では、例えば、諸課題関係者間で共有、検討する推進会議を開催する、あるいはマニュアルの作成や研修の実施といった技術力の向上を支援するとともに、財政面では、索道事業者に対して、これまでインバウンドの促進のための支援を行ってまいりましたが、令和三年度からは抗菌、抗ウイルス対策などの感染症拡大対策に対する支援を追加いたしております。税制上の軽油引取税の課税免除の特例措置の延長など支援を進めているところでございますが、引き続き技術面、経営面でも支援をしてまいりたいと考えております。
  84. 道下大樹

    道下委員 どうぞよろしくお願いします。きっとコロナ禍で休止しているロープウェーなども結構あるかなと思います。全国の索道が本当にこれからも安全、安心の中で運用、運行されることを是非国交省としても後押ししていただきたいと思います。  これで質問を終わります。ありがとうございました。
  85. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
  86. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  東京都と大阪府で、自衛隊が運営する新型コロナウイルスのワクチンの大規模接種センターが二十四日から開始されました。既に地方都市でも大規模接種センターを設置すると発表が次々とあり、今、四十都道府県が実施するということが分かっております。  初日で七千五百人が利用したこと、その日のテレビニュースはどこも、接種会場に向かう高齢者を追跡をし、安心したという声などを拾っていたと思いますが、その中に、早くマスクを外したい、そういう声を拾っていたかなと思います。  その気持ちは本当によく分かるんですけれども、ただ、ワクチンの接種を終えたからといって、マスクをすぐ外していいというふうにはならないと思うんですけれども、まず厚労省に伺います。
  87. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  重要な御指摘、ありがとうございます。  直近の感染状況につきましては、足下の感染拡大を何としても抑えるということで、緊急事態宣言を発出して短期的、集中的な対応を行っているところでございますけれども、その上で、委員指摘のワクチン接種が進んだ後の対応ということにつきましては、現時点では、ワクチンを接種した方についても、マスクの着用を始めとした基本的な感染防止対策の徹底をお願いすることになるというふうに考えているところでございます。  もちろん、こうした感染対策につきましては、最新の科学的知見やワクチンの接種状況などを踏まえて、専門家の意見を聞きながら必要な検討を行っていくというものではございますけれども、現時点では、基本的な感染防止対策徹底を引き続きお願いするというふうに考えているところでございます。
  88. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 簡潔な御答弁、ありがとうございました。  厚労省が出しているQアンドAの中にも、ワクチンを接種した方から他人への感染をどの程度予防できるかがまだ分かっていないということや、ワクチンを接種した方もいない方も、まだ大規模に進んでいるわけではないので、共に社会生活を営んでいくためにはこれまでどおりの対策が必要なんだということを呼びかけているかなと思っております。  また、五月二十一日改定の基本的対処方針でも、英国型変異株の割合が全国で約八割、もう一部地域を除いてほぼ置き換わったと想定されていること、また、従来のものよりも重症化しやすいこと、特にインド型変異株については、英国型よりも感染しやすいことや、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されていることもあって、やはり、ワクチンを打てばもう安心なんだということはまだまだ言えない状況であること、このことは非常に大事なのではないか、しっかり周知していく必要があると思っております。  それで、ワクチン接種を、リスクの高い高齢者が優先という考えは理解できるんです。しかし、本来、無意識あるいは無症状で感染させる可能性がある若い世代、ここがしっかりと対策が取れなきゃいけない。そういう意味では、一遍にということはやはり無理なんだし、ワクチン頼みで全てを解決するということではなくて、やはり検査との合わせ技しかないんじゃないか、この認識が一致できるかどうかというのが一点。  やはりそのためには、学園や職場といった単位で思い切って簡易検査を行うこと。これは、簡易検査であっても、医療機関との連携を条件にすればしっかりとしたフォローができるということだし、自費検査を行っている医療機関にもメリットがあると思うんですね。  こういう意味で、国は検査の拡充を後押しすべきだと思いますが、御意見を伺います。
  89. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。  新型コロナウイルスの検査につきましては、感染が疑われる方など、検査が必要な方がより迅速、スムーズに検査を受けられるように、そうした形になるように体制を引き続き整備をしていくということ、そして、濃厚接触者に加えまして、感染拡大防止の必要がある場合には広く検査を受けられるようにするということが大変重要だというふうに考えております。  今委員指摘のございました無症状の方への検査ということで、現在、高齢者施設等の従事者への定期的な検査というものをお願いをしているところでございますが、これは、先ほど御紹介ありましたように、高齢者の方々が重症化リスクが高くて、集団生活をしている施設でクラスターが発生した場合の影響も大きいという点を踏まえまして、地域の感染状況に応じて、四月から六月にかけての定期的な検査の実施お願いをしているところでございます。  これは高齢者が重症化しやすいというエビデンスに着目しての取組ではございますけれども、こうした定期的な検査とは別に、例えば内閣官房におきますモニタリング検査におきましては、事業所やあるいは大学等を対象にして検査を行うような取組も進めているところでございます。また、厚労省におきましては、最大八百万回分の抗原簡易キットを確保しまして、これは、従事者の方などで軽度であっても症状が表れた場合に早期に発見をして対策につなげていくという観点から、こうした抗原簡易キットの活用というものも今取組を進めているところでございます。  いずれにしても、こうした様々な検査手法を活用いたしまして、厚労省のみならず関係省庁とも連携しながら、検査体制の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  90. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 検査の充実ということでおっしゃっていただいたと思います。  ずっと前から、もっと抜本的な拡充をと呼びかけてまいりましたけれども、ようやくここまで来たのかなと思いますが、引き続き、簡易キットの活用もしながら広げていただきたいということを重ねて指摘をしたいと思います。  それで、沖縄を入れて十都道府県で、緊急事態宣言、来月二十日まで延長するということがほぼ決まりであるみたいな報道がされております。  それで、まず内閣府に単純な質問でございます。緊急事態宣言は、人の流れを止めることが一番の目的ではなかったんでしょうか。
  91. 和田義明

    和田大臣政務官 お答え申し上げます。  今回の緊急事態宣言におきまして、基本的対処方針にありますとおり、感染拡大の主な起因となっている飲食の場面に対する対策の強化を図るとともに、人と人との接触機会を減らすために、人の流れを抑制するための取組を行うなど、徹底した感染防止策に取り組むこととしております。  したがいまして、委員指摘のとおり、人の流れを止めること、これは最も重要な目的の一つとなっております。  大型連休後は、イベントの開催に当たりましての人数上限規制や収容率の規制、また、大型商業施設については時短を設定し、テレワークの七割のお願いや飲食店の時短のお願いもしております。さらには、自治体の判断で上乗せ措置ができることにもなっている次第でございます。  引き続き、宣言の実効性の担保を担っていただいております自治体とも連携をしながら、基本的対処方針に沿って実効性のある対策を講じていく所存でございます。
  92. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 人の流れを止めることが最も重要であるとお答えいただきました。  最初の緊急事態宣言は、昨年四月七日、東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、兵庫、福岡の七都県でしたが、十六日には全都道府県に広げました。そのときはまだ岩手県のようにゼロだった地域もあったわけですが、そういう中で全体に広げた理由について、都市部からの人の移動等によりクラスターが都市部以外の地域でも発生し、感染拡大の傾向が見られ、そのような地域においては、医療提供体制が十分に整っていない場合も多いことや、全都道府県が足並みをそろえた取組が行われる必要があったことから、全ての都道府県に感染拡大の防止に向けた対策を促してきたと書かれているわけであります。  第一波、第一回の緊急事態宣言中のピークは七百二十人でした。それが百人台に落ちて解除していたことを思えば、効果を出したとその瞬間は言えるのではないでしょうか。しかし、その後の展開は、なぜ今解除なのか、なぜ今宣言なのか、なぜ今GoToなのかと、政府対策は、対策といいましょうか、判断、ずらしまくっていたと指摘せざるを得ません。まして、こうしたときになぜオリパラだけは実施なんでしょうか。  政府の基本的対処方針分科会の舘田一博東邦大学教授は、東京で緊急事態宣言が出されている状況で五輪ができるとは思わないし、それが分科会のコンセンサスだと述べました。  ところが、IOCのコーツ副会長は、宣言があっても五輪はできると述べ、バッハ会長は、誰かが犠牲にならなければと発言したことに批判が集中しています。  もう一度聞きますが、緊急事態宣言で人の流れを止めることとオリンピック・パラリンピックを実施することは、なぜ矛盾しないのでしょうか。
  93. 植松浩二

    植松政府参考人 お答え申し上げます。  まず、コロナ対策につきましては、安全、安心の確保ということで、まずは感染拡大を最小限に抑えるということで取り組んでいるところでございます。  その上で、東京大会に向けましては、最大の課題であります感染症対策に対処するために、国、東京都、大会組織委員会、それから感染症の専門家等によりまして、コロナ対策調整会議による実効的な対策の検討を進め、先月の二十八日に変異株等を踏まえた追加的な対策について方針を取りまとめたところでございます。  東京大会の在り方につきましては、主催者であるIOC、それからIPC、大会組織委員会、東京都において決定されるものでございますが、政府といたしましては、引き続き、安全、安心を最優先に、内外の感染状況等を注視しつつ、様々なスポーツ大会における感染対策取組や専門的知見も踏まえ、東京都や大会組織委員会、IOCなどと緊密に連携して、大会に向けた準備を進めてまいります。  以上でございます。
  94. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 なぜ矛盾しないのかという答弁には全くならないと思います。  大臣にも質問したいと思います。  東京オリンピック・パラリンピックを誘致した当初、東京オリンピック・パラリンピック招致委員会は、経済波及効果を約二兆九千六百億円、雇用誘発約十五万二千人とはじきました。また、二〇一三年のみずほ総研では、二兆五千億円の経済波及効果、雇用誘発二十一万人、そして観光客消費二千七十四億円、海外八十万人を含む五百五万人の観光客と試算しました。  宿泊施設が新たに建設をされたり、東京オリンピック・パラリンピックをインバウンドを始めとする観光業への貢献としても期待していたのが政府思いだと思うんですね。しかし、コロナ禍で、大幅に大会自体が縮小、行動も制限され、せっかく日本に来た選手たちもどこへも行くなと言われている状態になっているわけです。  率直に、大臣に、今の状況をどう受け止めていらっしゃるのか、そもそも、私がさっき内閣府に聞いた問いの答え、なぜ矛盾しないのかということも含めて、大臣思いを伺いたいんですね。それとも、ともかく大会を実施すれば、今までおっしゃっていた、V字回復につながるんだというふうに思っていらっしゃるのか、そこも含めてお答えいただきたいと思います。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 何度も申し上げたことがありますけれども、私、これまで、五十の観光地の皆様と、関係者の方々、首長の皆さん、交通事業者皆さん意見交換をやってきておりますが、その中で、やはりインバウンドの再開ということを期待される事業者というのは大変多いというのは、これはもう事実でございます。しかしながら、こうした感染状況が続くと、なかなかそれは展望が開けないだろうなと。  当初は、東京オリンピック・パラリンピックをきっかけにインバウンドの観光の再開がされればいいな、こういうふうに言われていた声もあった、これも事実でございますが、他方で、現在、同大会につきましては、国内外における感染状況ですとか防疫措置等を勘案して、海外の観客の受入れの断念という、そうした制約の下で開催をするという決定があったということ、これは、早期の感染収束が最重要であるという観点からやむを得ない決定であったというふうに私は思っております。  ただ、観光立国の責任者としての観点からいいますと、これは別に、残念ではありますが、全くこれからの観光立国政策としては悲観しているというわけではございませんで、本大会は、改めて言うまでもなく、世界中から日本にスポットライトが当たる一大イベントでありますし、世界中にアピールできるまたとない機会であるというのは間違いないわけでございます。  ですから、このため、大会特設ウェブサイトを含め、あらゆる媒体、メディアを通じながら、最新のデジタル技術等も駆使しつつ、日本各地の観光情報とか魅力を発信するとか、あと、震災から復興された東北の姿を世界中に発信できる、こうしたことも観光立国の政策としてはしっかりプロモーションも行っていかなければいけないと考えております。  そうしたことも、この近年、一連の中で進めてまいりました、WiFi環境整備ですとか多言語対応といった訪日外国人旅行者の受入れ環境整備、バリアフリー化なども、これも引き続き、観光地でそれぞれ準備をしていただいておりますし、そうした整備は進めていかなければいけない、こう考えておるところでございます。  そういうことで、それ以上は私の所掌ではないので、観光政策を。  私は、経済効果だけということではなくて、東京オリンピック・パラリンピックに対して、ちょっとこれは個人的な思いですけれども、小学校に上がる前に東京オリンピック大会を経験したというのは、私の人生、人格形成において大変影響が大きかったということがあります。ですから、経済的な云々とかということよりも、あの大イベントを日本でもう一度開催できるということ、世界の平和の祭典でもありますし、そうしたことというのは、やはり私は、個人としては、元アスリートということもありますけれども、アスリートにとってもかけがえのない四年に一度の大会でありますから、そこは本当に大事にしてあげたいなというのが個人の意見ということで、御質問であれば、そうした答弁でございます。  ちょっと、国土交通大臣の所管でもありませんので正式には答弁すべきじゃないかもしれませんが、高橋さんはよく個人的な感想をと言われますので、あえて御質問でございますので答えさせていただきました。
  96. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 思いがけず、大臣の個人の思いも聞かせていただきましたけれども。  私は、アスリートから見ても、やはり今回参加するかしないかが選手生命に関わる選択でもある、そう思うんですね。ですから、参加可能な選手だけ集まっての大会では、そこを目指してきた、最高の峰を目指してきたアスリートにとってもフェアではなく、また残念でならないのではないか。そういうことも含めて、もしアスリートの気持ちから個人的にオリンピックを思うというのであれば、そういう判断もあるのではないか、このように指摘をしたいと思います。  オリパラ担当局に質問します。  選手、大会関係者、ボランティア、それぞれの人数と合計をお答えください。  アメリカ国務省は、昨日、渡航勧告のレベルのうち、四段階で最も厳しい渡航の中止を求める勧告に日本を引き上げたわけです。しかし、一方、渡航中止勧告と東京オリンピック・パラリンピックは関係ないと言っているわけで、つまり、参加はできると言っているわけなんですが、なぜ、渡航中止なんだけれどもオリパラには参加できる、なぜ、さっきも聞いた、緊急事態宣言とオリンピック・パラリンピックが両立するのか。これは担当者に伺います。
  97. 植松浩二

    植松政府参考人 お答えいたします。  まず、人数の関係でございますが、東京大会に参加するアスリートの人数につきましては、組織委員会によりますと、上限の数で、済みません、これは国内合わせての数字になってしまいますが、オリンピックで一万一千九十人、パラリンピックで四千四百人と承知しております。  アスリート以外の大会関係者の来日者数につきましては、これも組織委員会によりますと、オリンピックで五万九千人、パラリンピックで一万九千人とされており、引き続き、東京大会に向けて来日する大会関係者の人数につきましては、更に削減するなど精査が進められていただいているところでございます。  続きまして、渡航中止勧告との関係でございますが、米国疾病予防管理センター、CDC及び米国国務省による今般の措置について、この引上げは、日本における新型コロナウイルスの感染状況等を踏まえ、疾病の予防管理のために決定、周知したものと承知しております。今回の引上げでは、日本への渡航回避は勧告されてはいるものの、必要な場合の渡航までは禁止されているものではないと承知しております。  さらに、米国オリンピック・パラリンピック委員会により、米国選手団の出場には影響がないとの声明が出されており、また、ホワイトハウスのサキ報道官におかれましても、オリンピックに対するアメリカの立場は変わっていないと強調されていると承知しております。  したがって、現時点においては特段の影響は見込まれていないと考えております。  政府としては、こういった、先ほど述べました安心、安全対策をきっちりすることによりまして、内外の感染状況を注視しつつ、引き続きしっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。
  98. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 どうして特段の影響がないという議論になるのかがさっぱり分からないんです。  事前合宿を取りやめた自治体が、済みません、自治体というのは受け入れる自治体意味です、が幾つになるのか、それからその理由と、これを取りやめた国が実際に事前合宿でやろうと思っていた調整をどのように図ろうとしているのか、伺います。
  99. 植松浩二

    植松政府参考人 お答えいたします。  ホストタウンや事前キャンプ地での事前合宿のうち、七十八自治体が受入れ中止になったと報道等で承知しております。主な理由といたしましては、相手国の選手団が直接選手村に入ることにするなど事前合宿を行わないことにした、これは五十七自治体ということで、大半を占めております。また、相手国が合宿地を一か所に集約したというのもございまして、それは五団体程度ございます。  事前合宿を実施しなかった選手につきましての調整につきましては、直接選手村に入るとしたようなところは自国において調整をするというようなことが見込まれておりますし、あと、合宿地が一か所に集約したところはその集約されたところで対応されることになると思いますが、いずれにしても、各競技団体において判断されるべきものと考えております。
  100. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ちょっと時間がないので、幾つか分けて通告したんですが、まとめて今、もう一度伺います。  選手の場合、入国前の陰性証明の提出や入国後の簡易抗原検査、十四日間の健康情報の履歴、リサーチですね、三日間は毎日検査を条件として、待機がありません。選手村までは組織委員会の責任で移動して、その後も選手村と競技場以外は出ちゃいけないよという話になるんですが、地方の場合は、事前合宿の場合は受入れ自治体が全て対応するということになるわけですよね。まずその確認。  それで、具体的に、地方に行く場合も公共交通機関を使わないと言われています。なので、専用車を用意しなければなりません。ただ、遠方の場合は飛行機や新幹線を使わざるを得ない。そうすると、新幹線は一両丸ごと借り切らなければならないし、飛行機でいいますと、選手が一人乗っていると、その両脇、前後、最低でも二席以上、つまり、その席を全部買い占めてスペースをつくる、そういう苦労をしなきゃいけない。その経費は国が出すということで、確認します。
  101. 植松浩二

    植松政府参考人 お答えいたします。  まず、事前合宿地あるいは地方会場におきましても、御指摘のとおり、滞在先の移動手段を限定するなどの行動管理、健康管理等々が求められます。これらの措置を実施するのは、受入れ責任者が管理することになっておりまして、地方会場を含めた大会関係施設におきましては、基本的には組織委員会が受入れ責任者を務める。一方、外国から入国した選手等がホストタウンや事前合宿地に滞在する場合はホストタウンの自治体が受入れ責任者を務める、そういう整理になっているところでございます。  次は、移動の関係でございますが、原則として公共交通機関は利用しないで、貸切りバスや新幹線一両借りなどの専用車両により移動することとし、やむを得ない場合は距離を確保した上での飛行機の利用等が認められておりますが、新幹線や航空機において選手等と一般の方を分離するための空席確保等に要する経費につきましては、国の方で支援しているところでございます。  以上でございます。
  102. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 これは本当にすごく大変なことなんですよね。結局、スペースを物理的に空けるために全部席を買わなきゃいけない。  それで、国が支援するのはそのかかり増し経費だけで、公共交通機関を普通に選手が利用してきて使った分は見込まないけれども、それ以上に、席を空けるために買わなきゃいけないシート代だけを出すということなわけですね。それが決まったのが昨年の十二月の三次補正なんですよ。余りにも遅い。  だから、自治体は、交付税措置くらいはしてくれるのかな、そんな思いで、それでも受け入れたいということで準備をしてきたということで、本当に大変なことだなと思うんですね。そこはよく対応していただかなきゃならないんです。  それで、二十三日の毎日新聞に、村内に医療機関がないので、もしものときはお隣の弘前市に行くしかないが、日程が決まらず調整できないというコメントが載っていたのが青森県の西目屋村でした。イタリアのカヌー選手団の事前合宿を受け入れる予定だったんですけれども、皮肉にも、この記事が載った翌日に、イタリアのカヌー選手団から、先方からの、事前合宿は中止という連絡があったわけです。  ここは、西目屋村というのは、世界遺産白神山地の入口で、ダム湖を走る水陸両用バスが人気の村であります。教育課長がおっしゃっていますが、せっかく日本に来て、西目屋まで来て、何にも見ちゃいけないし、しちゃいけない、それじゃ本当に受け入れた意味があるんだろうかと。私、そのとおりだと思うんですね。本当に村の自然を見てもらって、村民とも交流して、いい環境の下でコンディションを整えてもらうのが本来の事前合宿を考えた狙いだと思うんですね。  だけれども、長い距離の旅をして、しかも誰にも会わないで来て、途中、乗換えとかがあったとしても、売店にさえ寄っちゃいけない、トイレ以外は一切寄っちゃいけないというのが、このプレーブックに全部書いているわけなんですね。毎日、検査、検査で選手にとっては大変なストレスなんです。  実は、そのお隣の弘前市もブラジルのパラの柔道を受け入れる予定だったんですが、断ってきた理由は、大会のプレーブックを見て、遠方に行くのは負担過ぎるということを判断したんだそうです。成田から羽田、羽田から青森空港、そして専用道、普通でも長い道のりだけれども、その間ずっと拘束される、一般客とは動線を分けてと書いてあるから。それで、もう遠方に行くのは無理だ、やめようと判断したという、本当に切ない話ですよね。  今の事態を大臣に伺いたいんですけれども、昨年、誰がブレーキを踏むんですか、そもそもブレーキはあるんですかとGoToトラベルのことを随分議論しましたが、似たようなところがあると思うんですね。大きな経済波及効果や今紹介したような期待した効果は、既に見込めないです。むしろ、今後もキャンセルがあったり、そこによる経済損失があります。強引に進めたことで、万が一、起こり得る変異株の感染拡大を、世界に拡大なんてことがあったら、もっと取り返しがつかないことになるんです。  そういう意味でも、オリパラは中止すべきと大臣からも進言することがあってもいい。そうじゃないでしょうか。
  103. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック大会につきましては、開催に関する最終的な決定権を有するIOCは既に開催を決定しておりますし、各国にも確認済みと承知をしております。政府としては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加ができるようにするとともに、国民の皆様の命と健康を守っていくべく、現在、関係者が一丸となって準備を進めているというところだというふうに思っております。  私から中止の提言をという御提言ですが、私の立場からはそうしたことは思っておりません。意に沿わなくて申し訳ありませんが、そういう立場でございます。
  104. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 そうおっしゃるとは思いましたけれども、あえてお話しさせていただきました。  昨夜飛び込んできたニュースでも、国連のグテーレス事務総長が、我々には戦時体制が必要だ、こういうふうに、戦時中に匹敵するということをおっしゃったそうです。つまり、一九四〇年に開催が決まった東京五輪が日中戦争のために返上するということを日本側から申し出たということがあって、もしかしてこれで違約金もないんじゃないかなんということがちょっと飛び交ったりもしているんですが、やはりそういう決断もしなくちゃいけないと思うんです。  さっき自治体の話をしましたけれども、事前合宿、取りやめになったとしても、弘前市でいうと、三年前、パラ柔道の世界選手権で受け入れた実績もあって、一度できたきずなを本当に大切にして、今、結局来ることができなかった選手団に向けての応援動画を作っているということでした。  本当に、受入れ自治体がどんな思いで取り組んできたかと思うと胸がいっぱいになるんですけれども、だからこそ、今中止したからといって無駄にはならない、必ず次につながる取組をしているんだということを指摘をして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  105. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、井上英孝君。
  106. 井上英孝

    井上(英)委員 日本維新の会の井上です。  質疑に入らせていただきます。  今日は、吉岡道路局長、秡川自動車局長、それぞれお越しをいただいて、また、後ほど大臣にもお聞きをしたいというふうに思いますけれども、今日は自動運転の進捗について質疑をさせていただこうかなというふうに思っています。  官民ITS構想・ロードマップ二〇二〇、令和二年、昨年の七月にIT戦略本部で決定をされたということであります。その中では、二〇二〇年、昨年でありますけれども、昨年中に高速道路でのレベル3の自動運転システムが搭載された自動車の市場化等を図り、その後、二〇二五年をめどに自家用車の高速道路でのレベル4の自動運転システムの市場化、それから物流での自動運転システムの導入普及、限定地域での無人自動運転移動サービスの全国普及などを目指すことが政府全体の目標として示され、官民挙げて取組が進められているというふうに思います。局長、合うていますかね。  レベル3の自動運転システムに関しては、我が国では平成三十一年、おととしに、道路運送車両法又は道路交通法の改正により、対応する制度改正が世界に先駆けて行われたと、当時、記憶しています。  また、本年三月五日の報道では、本田技研工業からレベル3の自動運転システムを搭載する新型の車というのが市販車として世界で初めてまずは発売されるということになりまして、いよいよ、一般ユーザー所有のシステムが運転操作の主体となる自動運転車が高速道路を走行するということになります。  さらに、今後は、レベル4の自動運転システムについて実用化が進めば、高齢者などの移動手段の確保、社会問題の解決、どんどんどんどん、国際競争力の強化とか官民連携した取組、こういったものを開発も含めて後押ししていく必要があると考えますが、そこで幾つか質疑をさせていただきます。  過疎化や少子高齢化が進む中、特に地方部では、バス等の運転者不足、それからまた高齢者自身が運転免許を返納されるというようなこともあって、やはり公共交通の提供に対するニーズというのは高いのではないかなというふうに考えます。  特に、一人の操作者が複数車両を遠隔監視し、操作可能なレベル3の自動運転、さらには運転者や遠隔操作者を前提としないレベル4の自動運転システムというのは、やはり人手不足の中では非常に有効な交通手段だということが期待されます。  このような、現在、過疎地などにおいて実証実験の段階から進んで、地域限定的に事業化する先行事例というのを積み上げていく必要があると思うんですけれども、まず、地方部における自動運転の事業化の状況について、自動車局長にお伺いしたいと思います。
  107. 秡川直也

    ○秡川政府参考人 自動運転なんですけれども、交通事故の削減とか、あと、過疎地における移動手段の確保といった課題の解決に大きく寄与する手段だというふうに考えております。  このため、国交省では、地方部における自動運転サービスの実現を目指して、全国で実証実験を重ねてまいりました。  例を御紹介しますと、令和元年十一月から、秋田県の上小阿仁において、道の駅を拠点とした自動運転サービスを開始しました。本年三月からは、福井県の永平寺町におきまして、国内初となります遠隔監視によるレベル3での無人自動運転移動サービスを開始してございます。  今後、このような自動運転サービスの全国展開を図るとともに、二〇二二年めどのレベル4自動運転サービスの実現という政府目標に向けて、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  108. 井上英孝

    井上(英)委員 是非そういった進捗を、これからも事業化、是非進めていただけたらと思いますし、レベル5というたら、まだちょっと、年限も出ていないですし、なかなかちょっと、かなり先の話でありますけれども、もちろんそこに向かって、レベル3、それからレベル4と是非進めていただきたいと思います。レベル4は二〇二五年ですから、万博の年ぐらいをめどにレベル4という議論になっていますので、是非お願いしたいというふうに思います。  また、これまでの実証実験においては、地方部であっても、歩行者等が行き交う環境等では自動運転が継続できない事態も発生しております。事業化された事例の中には、歩行者やほかの車両等が進入しない走行環境において事業実施されているものもあると承知をしておりますが、その状況について伺うとともに、今後、地方部における自動運転の事業化に当たって、これと同様に、専用の走行空間の確保というのを支援することで課題を克服できるのではないかと思いますけれども、道路局長見解をお伺いしたいと思います。
  109. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  自動運転車の普及促進に向けました道路空間の在り方については、令和元年七月より、学識経験者により構成される検討会において議論がなされておりまして、令和元年十一月に中間取りまとめがなされております。  この中間取りまとめでは、実証実験を踏まえまして、お話がありましたとおり、路上駐車や歩行者を回避する等、自動運転が継続できない場合で手動介入が発生するなどの課題が確認されておりまして、その対応として、御指摘のとおり、自動運転車と他の車両の構造的な分離をするとか、あるいは自動運転に対応した専用の走行空間の確保などの方針が出されたというところでございます。  しかしながら、この方針に関しましては、具体の地域に適用した場合は、道路幅員が狭いということで十分に空間が確保できないとか、自動運転以外の一般交通に影響を及ぼすことも考えられることから、自動運転の走行空間については、道路構造や交通状況なども勘案して、地域の実情に即して検討する必要があるということでございます。  こうしたことから、社会実装に取り組んでおります先ほどの秋田の例とかあるいは滋賀の例でも、自動運転専用の走行空間の設定に加えまして、一般車両と混在した空間における看板の設置とか路面標示などによる走行位置の明示などの工夫についても、その効果を確認してきたというところでございます。  今後の自動運転サービスの本格的な展開に当たりましては、整備や維持に係る費用なども勘案しながら、地域の実情に即した走行空間の整備を進めていくことが重要であるというふうに考えているところでございます。
  110. 井上英孝

    井上(英)委員 是非、走行空間というのを充実させてもらえるようにお願いをしたいと思います。  時間もないのでちょっと駆け足で行きたいと思うんですけれども、先ほどおっしゃっていただいたように、様々な実証実験が行われていて、解決すべき課題というのが浮き彫りになっている。例えば、山の切土面や樹木にGPS信号が遮蔽される山間部であるとか、トンネル、橋梁下、また、ほかの強い電波の出ている箇所ではGPSによる自己位置特定というのができないというようなことも確認されていると聞いています。  このような課題の解決にも道路インフラ側の整備というのも非常に有効だと考えますが、吉岡道路局長に磁気マーカーの活用などを含めた対応についてお伺いしたいと思います。
  111. 吉岡幹夫

    吉岡政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御説明しました令和元年十一月の有識者検討会の中間取りまとめにおいても、今お話がありました自動運転車両の自己位置の特定については、やはり山間部とかトンネル内でGPSが測れないとか、あるいは雨のとき、雪のときの悪天候によるセンサー機能の低下などといった課題があるということがありまして、そういう課題への対応としては、磁気マーカーとか、お話がありました電磁誘導線とか、そういう整備が有効であるということは確認されているということでございますし、そういう意味で、道路インフラからの支援も大事だということでございます。  また、自己位置の特定のみならず、高速道路の合流などでもそういうことが大事だということでございまして、今後とも、自動運転に対応した車両の開発や普及状況も踏まえながら、道路インフラからの適切な支援についても取組を進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  112. 井上英孝

    井上(英)委員 ありがとうございます。是非お願いをしたいというふうに思います。  次に、近年、ドライバーさん不足で、バスを取り巻く環境というのが非常に変化しているというふうに思います。  大都市部においても、バスの自動運転導入に向けた機運というのが醸成をされているのではないかなというふうに思いますし、二年前の十二月ですかね、二〇一九年十二月には、国土交通省で、国交省において、池袋で自動運転の実証実験というのをやられたというふうに思います。  都市部における自動運転導入上の効果や課題についてお伺いするとともに、私の地元の大阪も、先ほども言いました二〇二五年大阪・関西万博というのもありますし、自動運転バスの導入というのを検討されております。都市部における導入の見通しについて、自動車局長にお伺いしたい。
  113. 秡川直也

    ○秡川政府参考人 都市部における自動運転なんですけれども、御指摘いただいたように、ドライバー不足とか交通事故の削減ということに非常に効果がある施策だというふうに考えています。  国交省では、経産省とも連携しまして、昨年度に全国五か所で、運転者が乗車した状態で自動運転バスの実証実験ということをやりまして、六千人以上の方に利用していただいたということであります。  実験の中で課題として分かったのが、Uターンのときに必要な場所でのスムーズな動きとか、あと、交通量の多い交差点での対向車や歩行者を検知すること、あるいは夕暮れどきなどの前方車両の検知といったところで、まだ課題があるかなというふうに思っています。  こうした課題に引き続き取り組みつつ、更なる技術の高度化を図っていきたいというふうに思っております。
  114. 井上英孝

    井上(英)委員 本当に、課題があるのももう明確に分かっているので、是非その課題を克服して進めていただけたらなというふうに思います。  ちなみに、大阪の万博では、大阪市高速電気鉄道、いわゆる大阪メトロは、輸送手段として自動運転バスというのを検討していると。レベル3からレベル4への変更をした先進的な運転バスというのを導入する検討をしています。また、予約状況に合わせて最適ルートで運行するオンデマンドバスを検討しているというふうにも聞いています。是非そういう夢のある環境で、なるように、空飛ぶ車も、ちょっと所管は違いますけれども、そういうことも踏まえて、是非国交省として頑張っていただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  また、次は、高速道路における隊列の走行技術の実現ということで、先ほども申し上げているように、やはりトラックドライバーの不足、それからまた高齢化もあって、物流業界でも非常に期待されているのが高速道路における隊列走行技術の実現だというふうに思っています。  先ほども言いましたITS構想・ロードマップでも、二二年度以降にそういった高速道路でのトラックの後続車無人隊列走行の商業化というのを実現して、そして、二〇二五年以降には高速道路でのトラックの自動運転を実現することを目標として開発を行うとともに、新東名においてそういう実証実験が進められてきたと思います。  先日、三月五日、国交省の記者発表によれば、二月二十二日に新東名の一部区間において後続車無人隊列走行というのが実現できたというふうにお聞きをしています。  今後、技術的に解決すべき課題、またその課題を解決するための方策、さらにはトラックの隊列走行に関する安全性確保のための走行空間の在り方というのにお答えいただきたいと思います。
  115. 秡川直也

    ○秡川政府参考人 トラックの隊列走行なんですけれども、御指摘いただきましたように、ドライバー不足だとか労働環境の改善ということに非常に効果は大きいというふうに思っています。  新東名での二月の実証実験なんですけれども、その結果、隊列に他の車両が割り込んだ、一般の車両が割り込んだ場合に、後続の車両が車線の中で自動停止してしまうとか、商業化に向けて解決すべき課題というのが幾つか分かったということであります。先ほど御紹介いただいた二〇二五年のレベル4というのに向けて、引き続きやっていきたいというふうに思います。  走行空間の在り方につきましても、技術開発の状況を見ながら、例えば本線合流部での安全対策だとか、隊列形成や分離スペースの確保などの検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 井上英孝

    井上(英)委員 最後大臣、自動運転に関する決意をお聞かせいただけたらと思います。
  117. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 自動運転につきましての国内でのニーズというのは井上委員おっしゃっていただいたとおりでございまして、少子高齢化、人口減少が進む中で、日々の生活の足ですとか交通事故撲滅といった課題上、大変大きな期待が寄せられております。  他方、世界の自動車市場に目を向けますと、まさに今、百年に一度の変革期を迎えておりますし、自動車メーカーだけではなくて、IT企業も自動運転車の開発にしのぎを削っているような状況でございます。  こうした中で、我が国としても、世界を牽引していくトップリーダーとなるべく、官民を挙げてしっかり取組を進めていく必要がある、こう認識をしておりますし、国交省といたしましても、まず、全国各地で自動運転車の実証実験を行いつつ、また、この世界の国際基準作りの主導を果たしていかなければいけない。あと、水素とか何かでスタンドが足りないとか、そうした意味での、サポートするインフラの整備というのもしっかりしなければいけないと思っておりますが、一生懸命今やらせていただいておりまして、本年三月、ホンダが世界初となるレベル3の自動運転の運転車を発売したところでございまして、今、二〇二五年を目途に、レベル4の自動運転車の市販化について政府の目標としても取組を進めているところでございます。  私、これは、一点突破すると、結構こうしたものの開発はすごい加速度を上げていくというふうに思っておりますので、世界を本当に牽引できるような形で、国交省としても果たすべき役割はしっかりと取り組んでいきたい、こう考えております。
  118. 井上英孝

    井上(英)委員 どうもありがとうございました。      ――――◇―――――
  119. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、内閣提出特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣赤羽一嘉君。     ―――――――――――――  特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  120. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。  我が国は、平成十八年十月九日の北朝鮮による核実験を実施した旨の発表を始めとする我が国を取り巻く国際情勢に鑑み、同年十月十四日以降、北朝鮮籍の全ての船舶に対する本邦の港への入港禁止しているほか、平成二十八年二月十九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された第三国籍船舶、国際連合安全保障理事会の決定等に基づき凍結又はその他の関連する措置の対象とされた船舶であって、その国際海事機関船舶識別番号が明示されるもの及び同年十二月九日以後に北朝鮮の港に寄港したことが我が国の法令に基づく手続等によって確認された日本国籍船舶の本邦の港への入港禁止しております。  関連する国際連合安全保障理事会決議は、北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄を求めておりますが、いまだにその実現には至っておりません。また、拉致問題については、現時点においても解決に至っておりません。  政府におきましては、こうした北朝鮮をめぐる諸般の事情を総合的に勘案し、令和三年四月六日の閣議において、引き続き令和五年四月十三日までの間、特定船舶入港禁止に関する特別措置法に基づき、これらの船舶の本邦の港への入港禁止することを決定いたしました。本件は、これに基づく入港禁止実施について、同法第五条第一項の規定に基づき国会の承認を求めるものであります。  以上が、本件の提案理由でございます。  本件につきまして速やかに御承認をいただきますよう、何とぞ御審議をよろしくお願い申し上げます。
  121. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  122. あかま二郎

    ○あかま委員長 本件につきましては、質疑、討論共に申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出特定船舶入港禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶入港禁止実施につき承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  123. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  125. あかま二郎

    ○あかま委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会