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2021-04-23 第204回国会 衆議院 国土交通委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十三日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あかま二郎君    理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君    理事 土井  亨君 理事 平口  洋君    理事 簗  和生君 理事 城井  崇君    理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君       秋本 真利君    井上 貴博君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       小里 泰弘君    加藤 鮎子君       門  博文君    金子 恭之君       菅家 一郎君    工藤 彰三君       小寺 裕雄君    小林 茂樹君       小林 鷹之君    鈴木 淳司君       田中 英之君    田中 良生君       高木  啓君    中谷 真一君       中村 裕之君    鳩山 二郎君       原田 憲治君    深澤 陽一君       穂坂  泰君    堀井  学君       三ッ矢憲生君    山本  拓君       荒井  聰君    伊藤 俊輔君       岡本 充功君    辻元 清美君       広田  一君    松田  功君       道下 大樹君    山本和嘉子君       北側 一雄君    吉田 宣弘君       高橋千鶴子君    井上 英孝君       古川 元久君     …………………………………    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    国土交通大臣      大西 英男君    国土交通大臣政務官    小林 茂樹君    国土交通大臣政務官    朝日健太郎君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    政府参考人    (国土交通省不動産建設経済局長)        青木 由行君    政府参考人    (国土交通省都市局長)  榊  真一君    政府参考人    (国土交通省住宅局長)  和田 信貴君    国土交通委員会専門員   武藤 裕良君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   井上 貴博君     鈴木 淳司君   加藤 鮎子君     小寺 裕雄君   門  博文君     小林 鷹之君   鈴木 貴子君     原田 憲治君   田中 良生君     穂坂  泰君 同日  辞任         補欠選任   小寺 裕雄君     加藤 鮎子君   小林 鷹之君     門  博文君   鈴木 淳司君     井上 貴博君   原田 憲治君     鈴木 貴子君   穂坂  泰君     田中 良生君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  住宅の質の向上及び円滑な取引環境整備のための長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)      ――――◇―――――
  2. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより会議を開きます。  内閣提出住宅の質の向上及び円滑な取引環境整備のための長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省不動産建設経済局長青木由行君、都市局長榊真一君及び住宅局長和田信貴君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木啓君。
  5. 高木啓

    高木(啓)委員 自由民主党の高木啓でございます。本日は、質疑の時間をいただきまして、誠にありがとうございます。  早速ですが、法案審査に入らせていただきたいと思います。  長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律についてでございますが、まず、その長期優良住宅普及促進課題についてお伺いをしたいと思います。  資料によりますと、長期優良住宅賃貸共同住宅については、これはほとんど認定をされていないというふうに聞いております。都市部においては面積要件課題があるのではないかと私は思っておるんですが、都市部における賃貸共同住宅、その面積基準については、全国一律基準ではなくて、税制を含めた更なる面積基準弾力化というものが私は必要なのではないかと思うんですが、その点についてお伺いをさせていただきます。
  6. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  長期優良住宅認定基準につきましては、共同住宅の規模につきまして、原則五十五平米以上としてございますが、地域実情を勘案しまして、所管行政庁が、四十平米を下回らない範囲内で別に面積を定めることができることとなってございます。  我が国世帯人数につきましては、今後も小規模世帯の増加が継続すると見込まれるとともに、子育て世帯高齢者世帯において、適度な広さに対するニーズも高くなってきてございます。一方で、良好な住宅の質を確保するためには、ある程度住宅の広さは当然に必要でございまして、地方公共団体によりましては四十平米未満のワンルームマンションについて制限をしているという事例もございます。  こうした状況を踏まえまして、小規模世帯向けの良質な住宅整備を図るという観点を持ちつつ、今後、床面積要件を含みます認定基準につきましては、有識者等の御意見も伺いつつ、検討を行ってまいりたいと考えております。
  7. 高木啓

    高木(啓)委員 当然、面積基準というのはあってしかるべきなんですが、必ずしも、四十平米とかあるいは五十五平米とか、こういうものだけで優良という概念が決められていいのかなというのが私の疑問の一つであります。  続きまして、認定促進のインセンティブとして、共同住宅等容積率特例が認められることになるわけでありますが、これがどの程度活用されるのかということについて伺いたいわけであります。  つまり、特例が認められても、例えば都市部においては斜線あるいは日影規制、こうしたものが、ほかにもありますけれども、都市計画上の様々な規制によって、実質的にどの程度、この要件緩和特例というものが活用できるのか、このことに対してお伺いをさせていただきたいと思います。
  8. 和田信貴

    和田政府参考人 長期優良住宅につきましては、地域における居住環境維持向上に対する配慮に加えまして、今般の法改正において災害に対する配慮がなされるなど高い公益性を有するということから、特定行政庁許可によりまして、容積率緩和をすることができるようにしてございます。  一般的な容積率特例としましては、建築基準法に基づく総合設計制度というのがございますが、この例を見ますと、これまでの許可実績三千五百九十件のうち、共同住宅を含むものが令和元年度末で二千九十四件となっております。  このうち、許可実績が多い東京都、横浜市、大阪市、神戸市、福岡市、こういったものについて見てみますと、許可されたもののうち、おおむね半数が、今あります斜線日影規制、こういったものの制限を受けるという前提で、それで容積率緩和を受けているということでございます。  委員指摘のように、都市部におきましては、斜線とか日影とか、こういった規制が大きく利いてきているのは現実でございますが、そういった中でも、約半数がこういった形で容積率緩和を受けてきているという例がございます。こんなことから、今般の法改正における容積率特例も、一定程度活用されるのではないかと考えてございます。  こうした容積率特例とか、今回の住棟単位認定等措置によりまして、こういう共同住宅における長期優良住宅認定、これが進むように頑張っていきたいと思ってございます。
  9. 高木啓

    高木(啓)委員 この特例がないよりはあった方がいいと思いますし、これを一部であっても活用してもらった方がいいと思います。ただ、この特例が一〇〇%、本来は使えるべきだというふうに思います。これが、様々な都市計画規制によって、特例はあるんだけれども、残念だけれども、一部しか使えないと。これは、使えないよりは使えた方がいいんですよ。だけれども、これが本当に、果たしていい姿なのかというふうに私は思っています。  先ほど来申し上げていますが、一つ長期優良住宅に対する面積基準というものがあって、もう一つはその容積特例というものがあって、そうしたものが様々関わり合いながら、この長期優良住宅というのは設定をされるわけでありますけれども、一つ問題提起をしておきたいと思うんです。  この長期優良住宅優良という概念なんですけれども、何をもって優良なのかということだと思います。つまりそれは、私は、面積だけではないし、もっと言うならば、天井高などを含めたその住戸の体積といってもいいのか容積というのか、そのことだけでもないというふうに思います。  つまり、ここで私は決定的に欠けている視点があると思っているのは、それを使うユーザー視点というのがこの優良という概念の中に入らないのかということであります。つまり、ユーザーにとっては、面積が多少小さくても、ああ、この住宅はいいな、私の要するに要望に合っているな、こういうものは優良というふうに、私は、ユーザー目線でいえばそういうものだというふうに思うんですけれども、こういうことも含めて、もう少しこの長期優良住宅というものはやはり様々な視点を加味していただきたい、このように思います。  例えば、私の地元には非常に好評なマンションがあります。それは音楽マンションといいまして、防音がすごくしっかりしているので、音楽家の方や芸術大学の学生や、そうした方々にとってはもう理想的なマンションだとも言われています。こういうものがユーザー目線ということなんだろうというふうに思うわけであります。  もう一つは、私は、面積基準の話をなぜ持ち出したかというと、これは実は、例えば賃貸住宅においては、経営の面では非常に重要な視点だというふうに思うからであります。  つまり、供給をする事業者経営という視点は、この長期優良住宅という考え方には入っているのかどうかということであります。この経営視点、つまり、供給をする事業者視点というのは、やはり、社会インフラを私は提供しているという視点でこれは重要なことだと思っておりますし、だからこそ、面積基準、こういうものについても、しっかりとそれぞれの地域で検証していくべきだというふうに思うわけであります。  そして、この供給する事業者に対して、ただ単にそれは供給をしているということでなくて、社会インフラを担っているという、その一端を担っているというやはりリスペクトがあるべきだというふうに私は思っています。  つまり、経営居住性のバランスを考え優良という概念を是非、国土交通省にも考えていただきたい、このように思っております。  さて、続きまして、長期優良住宅普及促進には、先ほど言った、面積基準容積率特例だけではなくて、私は、最も重要なことは都市計画との連動だというふうに思っています。  長期優良住宅普及が進むということは、一定期間において、その場所にその住宅が存在をし続けることになるというふうに思います。例えば、都市部においては、都市計画上に長期優良住宅の例えば促進地区のような、そういう指定が位置づけられてもいいのではないかというふうに私は思っています。  つまり、それは何かというと、例えば、都市計画道路を造る、あるいは道路を拡張をする、そうすると、その沿道というのは、全部要するにきれいになっていくんですよ。ですから、そういうことを見越した上で長期優良住宅を進めていくということであれば、住宅単体に対する視点だけではなくて、都市全体の中で長期優良住宅がどうあるべきなのかということを、私は、都市計画的な、つまり、長期的な視点に立った、都市計画と連動した住宅都市政策であるべきだというふうに思うんですが、その点、いかがでしょうか。
  10. 和田信貴

    和田政府参考人 委員指摘のとおり、長期的な視点に立って都市住宅政策を進めていくことは非常に大事なことでございますし、長期優良住宅制度につきましても、都市計画あるいはまちづくり視点というのを踏まえて進めていくことが重要と思ってございます。  例えば、都市計画道路などの都市計画施設区域内では、もちろん長期優良住宅認定というのは行わないものでございますが、先ほど言われましたように、例えば、地区計画等建築物等の形態とか色彩とか、そういったものを定めているような区域では、長期優良住宅についても、そういった基準に適合することを求めてございます。そういった一体性というのを確保してやっていかなければいけないと思っております。  このように、都市計画のルールも踏まえつつ、長期優良住宅制度が運用されていくべきものでございます。  また、委員御提案のように、例えば、自治体によっては、地域実情に応じて都市計画道路がきれいに整備されるので、こういった周りには長きにわたって良好な住宅が残ってほしいと思います。こういった地域長期優良住宅などの優良住宅を誘導して、そういったところでなるべくやっていってもらおうというようなことは、地方公共団体まちづくり視点からも十分理解できるものでございますので、そういったまちづくりについても当然あってしかるべきだと思いますし、協力してやっていきたいと思ってございます。
  11. 高木啓

    高木(啓)委員 続いて、長期優良住宅における災害に係る認定基準の追加について伺います。  ここで書かれております災害リスクというのは一体何を指すのかということ。そして、その基準をどのように作っていくのか。さらには、立地地区災害リスクのある地区というものは公表されるのか。  それは、なぜかといいますと、災害リスク地域というものがいわゆる公的機関によって指定されることは、その地域地価に非常に影響があるというふうに私は思っています。このことは避けられないと思いますので、この点についてどのようにお考えになるのか、お伺いいたします。
  12. 和田信貴

    和田政府参考人 今般の改正によりまして、認定基準に、「自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。」を追加することとしております。これは、土砂災害、津波、洪水などの災害リスクが高い区域地方公共団体が既に指定している場合において、その既に指定されている区域長期優良住宅認定を行う際に配慮を求めるというものでございます。  具体的には、土砂災害特別警戒区域などの災害危険性が特に高い区域については、長期にわたる居住に適しているとは言えないことから原則認定しないこととし、災害危険区域のように、災害リスクに応じて建築の禁止から制限まで建築規制内容に幅がある区域については、所管行政庁の判断で建築制限内容を強化したり認定しないこととしたりすることができるようにする。  そして、浸水想定区域のように、建築制限自体はないが一定災害危険性はある、そして、一定危険性はあるものの、一律に居住を避けるべきとまでは言えない、こういうような区域につきましては、地域実情を踏まえまして、所管行政庁が必要な建築制限を定めることができるようにする、こういうことを考えてございます。  具体的な基準につきましては、このように所管行政庁において定めることとなり、例えば、浸水想定区域につきましては、災害時の物的被害を軽減するための対策として、居室の床面の高さを想定浸水深よりも高く設けること、あるいは、災害時の機能継続確保する必要性が特に高いタワーマンション等電気設備浸水対策などを定めることも考えられます。こういったものにつきましては、当然、時間的な余裕を持って事前に公表されるようにしていかなければならないと思ってございます。  おっしゃるように、地価への影響でございます。  地価への影響につきましては、例えば先ほど申し上げたような区域が、地方公共団体によって既に指定されている区域でございます、この区域指定された時点で、相当程度は既に織り込まれているのではないかと思っております。  もちろん、こういった一度指定されている区域というものがあって、そこで地価影響というのは織り込まれておりますが、更にこの長期優良住宅認定を、そこで制限をかけていくというところにつきまして、地価への影響というのは、これも全くないというわけではないと思ってございます。  こういった影響も勘案の上、人命あるいは財産、こういったものをどう優先して基準を定めていくのか、我々としても指針を作りながら、公共団体行政庁に定めていっていただきたいと考えてございます。
  13. 高木啓

    高木(啓)委員 災害リスクのある地域指定については是非慎重に行っていただきたい、このように思います。  続きまして、住宅瑕疵担保責任履行確保についてお伺いをしたいと思います。  この制度は、住宅品質確保という見地で、民間住宅公的住宅同列に実は扱っているわけでありますが、住宅瑕疵担保履行法の、平成二十年にこれは施行されているわけでありますが、法施行後十年が経過をいたしまして、私は、この考え方は、つまり民間住宅公的住宅同列考えるということは、正しいのかどうかということに非常に疑問を持っている一人であります。  つまり、公的住宅というのは公共発注者でありまして、入札によってその施工事業者を決めるわけであります。そのときには一定審査がそこで行われるわけでありまして、公的住宅瑕疵が発生した場合には、私は、民間だけに一方的に瑕疵担保責任を負わせるという今のこの制度というのは、どう考えてもおかしいというふうに思っています。これは、私は、この制度自体に、もう少し、この十年たってみてどうだったのかということの検証を加えるべきだと思うわけであります。その点について、どのようにお考えになるでしょうか。
  14. 和田信貴

    和田政府参考人 一般に、請負契約につきましては、契約内容に不適合がある場合には民法に基づく責任が生じますが、これは請負契約発注者公的主体であるか民間事業者であるかによる相違がございません。  このことを前提に、住宅品質確保法では、発注者が誰であるかにかかわらず、請負契約により新築住宅を引き渡した者には十年間の瑕疵担保責任を定めております。  また、住宅瑕疵担保履行法では、瑕疵担保責任が確実に履行されるために、新築住宅供給する建設業者等に、保証金の供託あるいは保険加入の義務を課してございます。  委員指摘のように、例えば公営住宅の場合には、発注者である公共団体により、入札時の事業者審査あるいは施工時の検査、こういったものが行われておりますが、もし瑕疵が実際にあった場合に、特に瑕疵の中でも、隠れた瑕疵というのはなかなか見つけられない場合もあると思います、こういったものについては、やはり瑕疵担保責任ということが確実に履行されること、こういったことが必要であるという点は、民間住宅公営住宅相違はないものかと思ってございます。  また、公営住宅工事を請け負う建設業者資力確保のための瑕疵担保保険料、こういったものにつきましては、工事に伴って発生する経費として予定価格に見込むように、公共団体に対し我々から周知してございますし、また、国庫補助の対象ともしてございます。こういうように、施工業者の負担とならないような措置も実行してございます。  こういったことから、今回、これまでと同様の仕組みを、そのまま維持することにしてございます。
  15. 高木啓

    高木(啓)委員 時間もなくなりましたので、この問題については、また取り上げたいと思います。  しかしながら、公共側が、発注者側が、ある一定関わっているにもかかわらず、住宅という意味では同じで、それは結構だと思います、瑕疵担保については責任を持つということも結構。しかしながら、一定関わっているにもかかわらず、施工者民間側にだけ責任を負わせているという制度は、私はどう考えてもおかしい、一定部分について公共側がその責任も持つべきだ。持たないから、今公共側の、特に自治体については、工事やこうしたハード事業に対して、やはり、私は技術力が下がってきているのではないかというふうに思うわけであります。その責任をしっかり果たしていただきたい、このように思います。  時間もなくなりましたので、今日はこの程度で終了させていただきます。  誠にありがとうございました。
  16. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、岡本三成君。
  17. 岡本三成

    岡本(三)委員 皆さん、おはようございます。公明党、岡本三成です。  質問の機会をありがとうございます。早速、入らせていただきます。  今回の法案の目的は、優良住宅長期にわたって住み続けられるように普及促進をしていくというものです。その意味で、まず、審議の前提となる現状の確認をさせてください。  日本住宅平均寿命が諸外国と比べて著しく短い、また、既存住宅の占めるマーケットシェアの低さ、これはどういう状況だというふうに思っていらっしゃいますでしょうか。  例えば、家が新築されてから建て壊されるまでの平均寿命イギリスは八十一年、アメリカは六十七年、日本は三十八年、約半分です。また、住宅売買における既存住宅の占める割合、これは、イギリス八六%、アメリカ八一%、フランスも七〇%、日本は一五%で、主要国の五分の一、六分の一という具合に、既存住宅売買シェアは低いです。  この現状の原因はどこにあるというふうにお考えか、答弁お願いします。
  18. 和田信貴

    和田政府参考人 今委員指摘平均寿命、あるいはデータでいいますと、平均築後年数の短さということかと思います。  これにつきましては、先ほど委員言われた数字、これは事実として我々も認識している数値でございますが、我が国住宅が短い期間で取り壊されてきて、平均築後年数が統計上低くなっているということですが、まず、考えられます要因としましては、戦後の絶対的な住宅不足の中で、質よりも量の供給を優先せざるを得なく、十分な質の確保されなかった住宅が建てられ、そして、そういったものが比較的短い間に壊され、新しいものに生まれ変わっていった。そういった意味で、ある意味、一九五〇年代等々における建物が非常に少なくしか残っていないということもございます。  また、高度経済成長期以降、大都市への急激な人口移動、あるいは都市型のライフスタイルといったものが変化してきまして、居住ニーズに合わなくなった住宅が次世代に引き継がれずに壊されてしまっているということがあるかと思います。  また、一九八一年、昭和五十六年には耐震基準改正されておりますが、そうしますと、それ以前に建築された住宅、もちろん、こういったものを購入されようとしたときに、購入予定者は安全に対する不安感というのがあるかと思いますし、また、それを直そうとするとかなりのコストがかかるというコスト感、こんなようなことから、既存住宅を改修して利用するよりも新しい耐震基準に基づいた新築住宅を購入する方が選好された、こんなようなことが考えられているかと思います。  また、住宅全体の中で既存住宅の流通のシェアが低いと考えられる要因につきましては、物件の維持保全状況とか性能、こういったものについての情報提供、これが十分でなくて、既存住宅の質や不具合に対して不安があること、あるいは、既存住宅を取得した際にリフォームをすることが多いと思いますが、こういったリフォームが実施しやすい環境になっていない、あるいは、耐震性等を満たす、既存住宅として取引され得る良質なストック、これが必ずしもまだ多くないということがあると考えております。  既存住宅に関する情報へのアクセス、あるいはリフォームしやすい環境整備ストック全体としての質の向上、こういったことに心がけていかなければならないと考えてございます。
  19. 岡本三成

    岡本(三)委員 つまり、戦後はまず量の確保から入ったけれども、現在は、人口も減少傾向にあるのでフェーズが変わってきたということで、質の確保に、より重きを置いていきたいということだと思います。  人生全体で考えますと、自分一人で住むときからパートナーと一緒に住むときになり、お子さんができて家族が増え、またパートナーと一緒、こういうふうに、住宅に対する需要も変わってくると思うんですね。それで、よいものを長く住むためには、どんどん住宅を移り変わっていくようなことも重要だと思っているんですけれども、既存住宅の価値を維持することがそのための条件だというふうに思っています。  実際に、日本は、残念ながら経過年数とともに住宅の価格が物すごく急落しているこの状況、これを改善するためには、やはり、いいものを造って、そして定期的にメンテナンスをしていって、マーケットのバリューを維持していくということが重要だと思っているんです。  私たちは、中古車を買うときに、エンジンの品質が分からなくても安心して買えるのは、毎年法令の点検を受けていたり、二年に一回の車検を受けているので、専門家じゃなくても、その価値が高いということを共有できているというふうに思います。  ホームインスペクションを行っていただいておりますけれども、これは大体売り買いの前後にだけやっている方がほとんどで、車みたいに、例えば米国は、毎年このホームインスペクションをやりながらその時々に必要な修理をしたりすることが、結局、売るときのその価格に直結するので、トータルとしてお得感があって、施主の方が、そういうふうにオーナーの方がされることが多いんですけれども、この既存住宅の流通市場の活性化のために今何が一番必要だと思って検討していらっしゃるか、答弁をお願いいたします。
  20. 和田信貴

    和田政府参考人 委員おっしゃるように、やはり、そういったことを心がけてやっていくことは大事だと思っていますが、こういった既存住宅の流通市場が活性化する、あるいは長い間使っていくというためには、まず、省エネ性、耐久性、こういったことに優れたストックをしっかりと形成しなきゃいけないと思いますし、委員言われたような維持保全情報とか、あるいは物件のいろいろな性能の情報、場合によっては取引価格の情報、こういったような情報へのアクセスがしっかりしている、そしてリフォームもしやすい、安心してできる、こういった環境を整えることが重要だと思っております。  今回御審議いただいておりますこの法律案を通じまして、長期優良住宅普及拡大を図りまして、省エネ性とか耐久性などに優れて、そして維持管理の履歴、管理とそうした履歴の保存、これが前提となるストックを増やしていきたいと思っています。また、省エネ、耐久性などが十分でない住宅も数多くあることから、リフォーム施策、こういったものにも力を入れていかなければいけないと思っております。  先進的な国の事例も学べるものを学びつつ、取引市場の透明性、信頼性の向上に向けて、いろいろな情報を分かりやすく提示していく、こういったことを努めていかなければならないと考えてございます。
  21. 岡本三成

    岡本(三)委員 局長、ちょっと時間の関係で次の質問を一旦飛ばさせていただいて、もし時間があったら質問させてください。  次、住宅に関わるローンのお話を聞かせてください。  米国や主要国でこれほど住宅の流通市場を含めて活性化されて、しかも長く住んでいる一つの理由は、リバースモーゲージというローンがあります。日本でも長く国交省を中心に取り組んでいただいておりますけれども、なかなか普及していません。  例えば、ほとんどの方は、住宅の購入は人生最大の買物ですから、購入をするときにローンを組んで、ローンを返済するごとに自分の住宅の資産価値がネットで資本としてどんどん増えていって、そして、払い終わったときには、その住宅を担保にリバースモーゲージを借りて、金利だけ払って、それで残りの人生を謳歌して、人生が、その方がお亡くなりになったら、その住宅を担保として売って、そして銀行が回収をして終わりと、住宅を中心にその方のライフプランが設計できるようなことができています。ただ、日本の場合には、住宅の十年後、三十年後、五十年後の価値をちゃんとコミットできるところがないので、なかなか進んでいないんですけれども。  昨年、旭化成ホームズと新生銀行が新しいローンを作りまして、これは、旭化成ホームズが、自分が造った住宅の将来の買取りを保証するんですね。ですから、流通市場で売れればそれでいいし、売れなければ、その価格を保証して買い取ることによって、ローンを借りた方の返済金額を少なくしたり、また、借りやすいような状況をつくっています。  このローン自体、住宅ストック維持・向上促進事業、国交省の事業に採択をされていますけれども、このローンも含めまして、どのように借りやすいものをつくって、しかも、将来的にその住宅がその方の資産としてライフスタイル全体に貢献をしていく、人生設計全体に貢献をしていくというような形をもっとつくることが、優良住宅を長く、長期にわたっていろいろな方に御検討いただけるような大前提になってくると思うんですが、このようなローンの更なる取組の拡大、国交省はどのように取り組むかということを御答弁をお願いいたします。
  22. 和田信貴

    和田政府参考人 今、委員からもお名前を出していただきましたけれども、国土交通省としましては、住宅ストック維持・向上促進事業という予算上の支援事業を持ってございます。この事業によりまして、例えばインスペクションとか住宅履歴情報とか、こういったものを活用しながら住宅ストックの維持管理あるいは金融等の仕組みを一体的に開発普及する、こういったことを支援してございますし、先ほど具体例として出されたものにつきましても、住まい価値向上促進の新型ローン推進協議会の取組ということで支援を行ってきているものでございます。  こういった一定の性能や維持管理を条件とした将来の買取り保証の仕組み、あるいはその他のいろいろな金融の仕組み、こういったものをまずは開発し、そして、それを開発しただけでなくて、実際に使われるように普及していく、こういったことを推進していきたいと思っております。
  23. 岡本三成

    岡本(三)委員 住宅ローンを引いて住宅を買う方が、この住宅ローンを払い終わればこの家の資産を中心に自分の人生設計がちゃんと成り立つということは非常に大きなポイントになりますので、是非、今の御答弁、実行をお願いしたいと思います。  先ほどちょっと飛ばしました件、質問させてください。  現在、建築法や建築士法で、関連資料を、建築の関連資料ですね、十年から十五年保存することが、保管義務があります。長期優良住宅法でも、第十一条でその保管義務を課しているわけですけれども、法律を読む限りは、その保管する資料は、紙媒体か又は電子媒体、例えば自分のパソコンのCドライブに入れるとかCD等のメディアに焼くみたいなことしか書かれていないんですけれども、今の御時世、クラウドして上げておけば、それを共有したり確認したりすることもできるわけです。  この法律の中でクラウドでもいいということは言及されていないんですが、全体を考えると読み込めるのではないかなというふうに思っているんですが、Cドライブやメディアに焼かなくても、クラウドの保存でこの保管義務をちゃんと果たしていることになるかどうかということを御答弁ください。
  24. 和田信貴

    和田政府参考人 一般に、法令により民間事業者に義務づけられている書類等の保存、これは先ほど言われたような、例えば建築士関係のいろいろな書類等が入ります。  これにつきましては、民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律という法律の規定や、あるいは個別法のそれぞれの規定により、電子的方法で行うことができることとされていまして、この中にはいわゆるクラウド上での保存も可能ということでございます。
  25. 岡本三成

    岡本(三)委員 では、クラウドでもいいということで確認させていただきました。  最後に、大臣に質問いたします。  仮にこの法律改正が通っても、しっかりとオーナーの方、施主の方に周知徹底をしてメリットを御理解いただかなければ、活用が進まないというふうに思います。  実際に、この長期優良住宅の申請、三か月ぐらいかかっているような事例もあります。その申請の費用も、高いところでは三十万円ぐらい。オーナーの方とすると、かなり高いハードルなんですね。この方々が、よりこの認定を受けたいと思っていただけるようなメリットの宣伝、普及の拡大、どのようにしていかれるかということにつきまして、最後に大臣に答弁をお願いいたします。
  26. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 そうした目的を持って今回法改正をするということですから、そのプロセスを簡易化する、簡便化するというのは非常に大事だと思っております。  ただ、私は、ちょっともう時間がないので、本当は一時間ぐらい話をしたいんですけれども、既存住宅の流通市場というのは長年の懸案で、なかなかこれが改善されてこなかったというのは、やはりそれなりの理由がある。加えて、このコロナウイルス禍の影響の中で、社会の変化が大きくなっていて、私は、住宅政策というのは、本当に、ひょっとすると、大きな転換期に合わせてやっていかなければいけないのではないかと。  先ほどの岡本さんの質問で、リバースモーゲージを使ってということ、これは非常に重要で、住宅を活用して豊かな生活をエンジョイできるアメリカと、我が国は、住宅を、ローンを組んだばかりにローンのために一生を使って、亡くなった後、その家が空き家となって社会問題になるというのは本当は極めて重大な問題で、そこを看過していくということは本当はあってはならないことなんだというふうに私は個人的に思っていまして、空き家問題につながるような住宅政策をどう変えていくのかということは非常に重要で、そういう意味では、住宅ストックの良質化、それを、新築ではなくても、リフォームして使っても十分だと言っていただけるような、住宅政策の転換をするための大前提住宅ストックの良質化だと思って、今回の法改正に臨んでいるわけであります。  ちょっと直接の答えでないと思いますが、そうしたことに向けて様々検討していかなければいけないという、ちょっと直接の答弁ではございませんけれども、そういう問題意識でこれからも臨みたいと思います。
  27. 岡本三成

    岡本(三)委員 ありがとうございました。  大臣の今の御答弁を実現できるような国交省の行動を期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  28. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、荒井聰君。
  29. 荒井聰

    ○荒井委員 今日は、長期優良住宅普及促進法の改正について御議論をさせていただきます。和田局長と議論できるのを楽しみにしていましたので。  私がこの二十年間ずっと、一番大きな日本の政策のテーマというのは経済の再建だ、再生だ、この経済再生はなぜ日本ができないのかということをテーマにしていました。  今日もたくさんの政治家がいますけれども、政治家一人一人が約一千億ぐらいの市場をつくる、あるいは新しい需要をつくるということを心がければ、年間五十兆円ぐらい増えるんですね。五十兆というのは全体で一〇%ですから、それだけの伸びを目指していくということを一人一人の政治家の政策の大きな目標としてほしいなというふうに思います。  その中で、非常に大きな需要、潜在的な需要があるのがこの建築であり、その中でも中古住宅です。アメリカでは、中古住宅の市場というのは新築よりもむしろ大きいぐらいで、かつ、この中古住宅指標がアメリカ経済の指標になっているんですね、今伸びているか伸びていないか、どうかということ。したがって、アメリカ経済を見るには、この中古住宅市場と雇用状況を見れば大体将来が分かるというふうに言われているんですけれども、日本ではほとんどこの中古住宅市場というものが成立をしていません。これはどうしてなのかというのは、後でまた和田さんと話をしたいと思いますけれども。  日本住宅政策の中で、世界のスタンダードから見てすごくかけ離れているなと思われるものが幾つかあります。私は、一番大きいのは、住宅売買の際に消費税をかけたことだと思いますね。消費財ではないんですよ、住宅というのは、本来。資産なんですよね。それを消費財だと、自分たちで、あるいは政策担当官も、あるいは政治家もそういうふうに思って、消費税をかけられるのが何の不思議もない、これでは、二十年、三十年経過したら取り壊しちゃうというのは当然だと思うんですよね。これは資産である、その資産をしっかり守っていくんだという前提が、政策の前提として必要だと思うんです。  日本の場合には、約三十年ぐらいで取り壊していますよね。これがアメリカだと六十年、イギリスだと八十年です。六十年、八十年になると、これは資産ですよ。そういう感覚が日本の消費者に、あるいは政策担当者にもないんじゃないか。  これはちょっと通告していないんだけれども、和田さん、どう思うか。
  30. 和田信貴

    和田政府参考人 確かに、消費税という名前、こういったことに起因しまして、住宅というのは消費されてしまうもの、長く使う資産ではないというような印象、そういったことを巻き起こしていることもあるのかもしれません。  消費税そのものは取引という行為に着目して税をかけているものということで、細かい税の性格はあるのかと思いますけれども、いずれにしても、住宅自体が長く使うという資産であるということまで、なかなか、国民あるいは事業者としてそこに関わってきている者、それが十分そういう認知をしているもの、そこまでまだ至っていないような気はいたしております。  本来資産であるべきなのに、とにかく住宅を買うことにまず一生懸命になって、何か、買ったら目的が達成されてしまったようで安心されて、後は余り手入れもしないで、とにかく生涯を全うするまでそこで過ごして、その間、長い間手入れされていませんと、やはり資産というような形で残らなくなってしまっている。こんなようなこともあるかと思いますので、そういった意味で、我々、しっかりとこれを資産として残していくという政策に振り向けていきたいと思ってございます。
  31. 荒井聰

    ○荒井委員 これは消費税をかけるとき、もっと抵抗するべきだったと思いますよね。  そのほかに、世界の常識から見て非常識な部分を幾つか指摘します。  一つは、耐久性に乏しいということですね。三十三年で取り壊しているわけですから、三十三年ぐらいで耐久性が切れちゃっている。しかし、イギリスやそのほかの国々では、うんと長もちしている。  その最大の原因は何かというと、外断熱の工法、これはヨーロッパやアメリカもそうですけれども、外断熱工法というのが一般的なんですね。あるいは、ドイツなどでは外断熱というのを義務化しています。外断熱をすれば躯体は守られるわけですので、耐久性は格段に上がるんです。  しかし、日本は、この外断熱というのは十五年ぐらい前に日本には導入されているんですけれども、紹介されているんですけれども、一部の人たちだけでこの外断熱が議論されていて、全く普及をしていない。  今、集合住宅マンションみたいなものですね、外断熱工法が採用されている例というのは、統計がありますか。少ないんだと思うんだけれども、どうですか、住宅局長。
  32. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように、きっちりとした統計というものを持ってございませんが、我々、調べておりますと、ちょっと委員の言われた建物そのものとは違うことかもしれませんが、例えば、寒冷地である北海道では、新築木造戸建て住宅、この約半数で外断熱工法を採用されておりますが、北海道以外の場所になりますと極めて少なくなってきている、こんな状況かと思っております。
  33. 荒井聰

    ○荒井委員 私も、外断熱、内断熱と関心を持ったのは、北海道庁時代に寒冷地型住宅の研究というのをやったんですね、調査研究をやったんです。そのときに、エネルギー効率を高めるのには、断熱の在り方とそれから窓枠の造り方、ここにほとんどが起因しているということが分かりました。そこを随分改良するような寒冷地型住宅というのを北海道初で造ったんですけれども、今その手法が本州でもどんどん普及をしています。  その中でも、外断熱というのは物すごく効率が高いんですね。全体の二割から三割ぐらいの熱効率が高まるんですけれども、ところが、それは採用されていない。なぜならば、経費がかかるからということだと思うんです。  この外断熱工法というのは、もっとむしろ、建物の耐久性を増す、それから、エネルギー効率が高くなるので暖房費やクーラーの利きがよくなるということを、業界も必要なんでしょうけれども、できたら国交省もそういう点はもっと宣伝するべき、あるいは外断熱の業界というものを育てていくべきだというふうに思います。ヨーロッパでは外断熱が一般的なのに日本では一般的ではないという、ここは一つ大きな違いです。  もう一つ、たくさんあるんですけれども、商習慣です。  不動産業界の商習慣で両手取りと言われている、売手と買手と両方から手数料を取っている、こういう商習慣を持っている業界あるいはそういう業種というのは、アメリカではありません。アメリカだけでなくて、ほかの国もないんだと思います。なぜならば、利益相反になるからです。買手はなるべく安く買いたい、売手はなるべく高く売りたい、それを同じ人があっせんをするわけですから、そこには、透明性とかあるいは納得性というものはなかなか出ないのではないか。したがって、アメリカではこれを法律で禁止している州もある、ほとんどのところが禁止していますよ。これが日本ではできない。どうしてなのか、なぜ進まないのか。  この習慣が認められているので、鶴保さんが研究していましたけれども、調査していましたけれども、囲い込みという現象が生ずるんですね。物件に対して、ほかの業者には知らせない、自分のものだとして、囲い込みという、そういう風習が生じます。結局、その囲い込みというのは、公正な商慣習とは離れたものになっていくんですね。  ここのところ、この間、随分いろいろな近代化に向けた取組を国交省はやられていると思いますけれども、その辺りはどう考えていますか。
  34. 青木由行

    青木政府参考人 お答えいたします。  御指摘ございました、宅建業者が自社の手数料の利益を上げるために、売主、買主双方の媒介を行ういわゆる両手取引を目指して故意に物件の取引状況を隠すような、おっしゃったようないわゆる囲い込み行為、これは、早期の成約可能性を狭める、あるいは物件の売主、買主の利益を損なう可能性がありまして、私どもとしても市場の公正を害するものというふうに思います。  このため、取引情報の開示を促進するべく、宅建事業者間で物件検索システムでレインズというシステムが御案内のとおりございますが、物件の売主、他の宅建業者が、ある物件に申込みが来ているかどうかの状況を確認できる、私どもこれをステータス管理機能と呼んでおりますが、この機能を平成二十八年一月に導入して、囲い込み行為の防止を図ったところでございます。  さらに、平成三十年の一月には、このステータス管理機能において、購入希望者から申込みがあった場合には、その申込みの日付の入力も必須化するということによりまして、虚偽の入力を抑止するための改善を行いまして、より一層の囲い込み行為の防止のための措置を講じてございまして、引き続き、宅建業者の業務の適正化そして消費者利益の保護の充実ということで、業界の近代化を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
  35. 荒井聰

    ○荒井委員 局長、このレインズの利用状況なり普及状況というのはどうですか。
  36. 青木由行

    青木政府参考人 レインズにつきましては、自分の会社にだけ売ってくださいというお願いをされた場合には、これは御案内のとおり、法律上、五日あるいは七日以内に物件登録という義務になってございます。そして、それ以外の複数の業者さんに頼む場合、これについては任意という形になっているところでございますけれども、これはレインズの方でも、例えば入力情報をいろいろ改善するなどして、消費者の方々に支持されるようにということで今改善も進めてございまして、取引の捕捉率については、まだまだ十分ではないかもしれませんけれども、充実をしてきているというふうに思ってございます。
  37. 荒井聰

    ○荒井委員 それじゃ、和田局長にまた戻るんですけれども、中古住宅市場を活性化させるための具体的な政策、これまでも随分やってきたと思うんですね。その一番の基本は恐らく長期住宅の建設だと思うんですけれども、ただ、そのほかに、今の住宅局を中心とする政策が、余りにも新規住宅に偏り過ぎているのではないだろうか。片一方で八百五十万の空き家があるのに、どんどん新規住宅を、まあ推奨はしていないんだと思うんですけれども、新規住宅にシフトしていくのをそのまま放っておいている。  ドイツでは、新規住宅については抑制をかけているんですね。日本と同じような現象が戦後ドイツでは起きていまして、このまま業界の自由にさせておくと空き家が発生するだろうということを既に二十年以上前から見込んで、そういう対策を取ったようであります。  この辺り、住宅局長はどう思われますか。
  38. 和田信貴

    和田政府参考人 確かに、日本住宅市場、この新築住宅、昨年度も、コロナのこういった中ではありますが、約八十万戸が着工されてございます。  一つには、先ほどちょっと申しましたが、住宅ストック全体、確かに空き家が八百五十万戸ということになっていますが、残りの約五千四百万戸、ここのストックの質自体が必ずしも本当に十分でないというのがございます、例えば、旧耐震の住宅でも約一千三百万戸あったりと。  こういったものにつきましては、もちろん、リフォーム、耐震改修によってきちっとしたものにしていくということは大事なんですが、一方で、改修、これは、日本住宅が元々個別性が高く建築されているということも相まって、リフォームコストというのがかなりかかるものが多うございます。場合によっては、新築することとそんなに変わらないような状況も出てきております。  こういった中で、国民側で、どうやって住宅を手に入れていくかといったときに、本来ならば、あるものを使っていくというのがもったいなくなく、いいはずであります。既存住宅、ただ、これをリフォームしてそれを使っていくということになるとすると、国民の、新築がある意味志向が高い、これは慣れてしまったからかもしれませんけれども、こういったコスト面、あるいは志向面、こういったことを踏まえて今の政策をやっているわけでございます。  おっしゃるように、空き家が非常に増えている、そして、これは今後も増える可能性を十分持っていると思います。そういったことを含めて、きちっと政策の方向性を考えて進めていかなければいけないと思っております。
  39. 荒井聰

    ○荒井委員 参考資料として、一、二、三と三ページ、これは新聞記事ですけれども、少し趣が変わってきたと、このコロナの状況で。特に、首都圏でマンションの中古市場が活況を呈してきて、新築よりも多くなってきているのではないかというデータさえあるというんですね。  これは、そういう価格の点もあるんだと思うんですけれども、住みやすさとかそういうものを探していくと、中古住宅であっても都心部がというような人もいれば、あるいは郊外でという、多様なニーズというのが今出ているんだと思うんですね。それに十分国交省が応えられているかどうか、住宅局が応えられているかどうか。幾つかの問題があると思うんです。  一番大きいのは、先ほどちょっと話をしましたけれども、消費税に係る、消費財として見て、資産としてなかなか鑑定されないというか評価されない。おじいさんやおばあさんが亡くなるとき、あるいはどこかへ移るときに、それが資産価値として評価されれば、十分、自分の手持ちの資金でリノベーションしたり、あるいは売買に参加できるという状況がつくれるんだけれども、そこのところがもう一つ何か政策として不足しているような気がするんだけれども、和田局長、どうですか。
  40. 和田信貴

    和田政府参考人 一つには、やはり、物件についてのいろいろな情報ということが、関係者、お住まいの方含めて、十分できていないようなところがあるかと思います。  すなわち、ちゃんと手入れをする、そして自分の住宅というのが今どういう状態なのか、こういった気持ちを持って手入れしていくことによって、それこそ消費ではなくなって資産になっていく部分というのはあるかと思います。ただ、これもやはり、ただ本人に、持っている人に頑張れと言うだけでは、なかなかそういうふうにはならないものかと思っています。  今回の法改正の中でも、多少芽出しといいますか、一つ考えていることがございますが、先ほどの御審議の中でも、インスペクションといいますか、検査みたいな、こういったものは非常に大事だと。それはやはり売主と買主双方が情報を共有する一つの場であるので、私もそう思っております。  本来は、人間ドックを受けるように、毎年こういったものが、あるいは定期的にされるということがいいんだと思うんですが、そこまでいっていない中で、少なくとも売り買いするとき、そういったときにはちゃんと物件の情報が分かるようにしましょうと。  これは、インスペクションすることであったり、今回、紛争処理の手続をつくるといったときに、瑕疵担保保険に入っているものは紛争処理と言っていますが、瑕疵担保保険に入るということは、取引のときに、検査をしてその現況を固めて、両方で情報を共有して、それで保険に入っていくわけですから、やはり情報が売主と買主で共有されるというきっかけづくりになります。  まだまだ足りない部分ではありますが、ちゃんと情報が少なくとも売主と買主の間で共有され、そういうことが分かっていれば、売主も、これはちゃんと手入れしておこう、積み上げていこう、あるいは履歴を残していこう、こういったきっかけにもなると思います。こういった、少し地味かもしれませんが、一つ一つ積み重ねていって資産というものにしていこう、そんなことで考えてございます。
  41. 荒井聰

    ○荒井委員 十年前から比べたら随分進捗をしたというふうに評価をします。  ところで、中古住宅に関するクレームの相談や紛争件数というのは今どうなっているでしょうか。  実は、私の友人が、札幌で二番目に古い、まあ、一番目はもうなくなったので、一番古い宅建業者なんですけれども、それがADRの紛争処理の調停官になったんですね。しょっちゅう東京に来ていました、毎週一回来ているような。結局、その疲労が重なって健康を害して、一昨年に亡くなってしまうんですけれども、私は、この紛争処理の仕方についても、もう少し何かシステマチックにできるような、あるいは中間でチェックできるような、先ほど岡本先生がおっしゃっていましたけれども、ああいう形があれば紛争処理というのももっと楽にできたんじゃないかなというふうに思うんですけれども、紛争処理の件数は今どのぐらいなのかお知らせください。
  42. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  紛争処理に至る前に電話相談という形で相談を受けてやっていくわけですが、まず、その相談につきましては、リフォームに関する相談が令和元年度現在で年間約八千件、そして、既存住宅売買取引に関するものが同じく令和元年度現在で九百七十件ございます。これは、住宅品確法に基づく紛争処理センターとして指定された支援センターでのデータでございます。  また、紛争処理の申請受付件数そのものにつきましては、令和元年度現在で約百八十件となってございます。制度開始後の累計としましては、千六百件を超えているところでございます。
  43. 荒井聰

    ○荒井委員 圧倒的に少ないと思うんですよね。きっと、本来、紛争処理のそういう場に持ち込みたいものが隠れてしまっているということだと思うんです。それはどうしてなのかというと、一つは、あっせん業者が右と左と両方気を遣いますから、あっせん業者に相談に行くことができなくなっているんですよね。そういうことが原因の一つかと思います。  ところで、前回も、私、公共事業における新技術という話をいたしました。住宅についても、新しい技術をどんどん推奨していく。例えば、今コロナですから、コロナに抗菌の素材を住宅の中に取り入れていく、そういうような標準装備のようなものをどんどん推奨したらいいんじゃないかというふうに思います。  それからもう一つ、この添付資料の中の一番後ろに載っけておきましたけれども、これは日本に長く住んでいるドイツの建築デザイナーです。この方が日本の古民家を対象に改築をずっとやって、こういう町並みをつくっているんですね。それで、それを販売しています。結構高い、いい値段で売れているということらしいです。これは多分外断熱だと思います、ドイツ人が造っていますから。そういうような新しい試みを推奨していく必要というか効果が、たくさん住宅の中に潜んでいるのではないだろうか。  コロナは、江戸時代にパンデミックスがはやっているときに、浮世絵で見ると、浮世絵の中に出てくる人はみんな青い着物を着ているんだそうです。その青い着物は何なのかというと、藍染めなんだそうです。江戸の末にペリー以下外国人が来たときに、日本というのは青い国であったと言ったと言っていますけれども、藍というのは何なのかというと、ある研究者が明らかにしたんですけれども、抗ウイルス性能があるんだそうです。それからお茶にも抗ウイルス性能があるというのは、最近どこかで研究発表されていますよね。  そういうものを素材の中に使っていく、床のコーティングだとか、壁のコーティングだとか、塗料として使っていくというようなことを考えていくと、このウィズコロナの時代に、新しい技術を一つ日本発で作ったことになるんじゃないかと思いますよね。あるいは、紫外線発生機、そういうものも家電メーカーと一緒に工夫をして、抗菌あるいは抗ウイルスのそういう機材として技術開発をしていくということが可能であり、また必要なんだと思うんですけれども、これは、住宅局長、どう思いますか。
  44. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のように、このコロナという関係では、いろいろな新しい取組、技術開発とまで言えるかどうかは別としまして、例えば自動水栓とか自動の玄関ドアに始まりまして、玄関回りに手洗い器を置くとか、あるいは、先ほど委員おっしゃられたような、手すり、ドアノブ、こういったものの抗菌、抗ウイルス建材、こういったものを活用していく。  あるいは、室内の換気との関係で、熱交換型の換気設備、これは最近開発されたものではありませんが、こういったものが多く使われるようになったり、紫外線やオゾンによる殺菌効果の高い器具あるいは除菌機能を有する空調設備の技術開発が進められていると認識しております。  この紫外線あるいはオゾンにつきましては、医学的な有効性とか安全性とかの評価、これは必ずしもまだ完全には定まっていないかと思いますので、こういったことを注視することも必要かと思っておりますが、いずれにしましても、こういったある意味社会の変化が技術開発のきっかけには必ずなっていくものだと思っております。  そして、そういった新しい技術を使った商品なり製品というものは、これは一つの市場といいますか、新しい価値を生み出していくものですから、こういったものを、評価がきちっと定められたものについては、住宅政策住宅局の仕事の中でしっかりと実用に向けて使われていくということは大事だと思っていますし、また、技術開発、いろいろなものがあると思います。民間主導でやっているものも多いとは思いますが、これは、例えば建材や何かでしたら経済産業省とか、いろいろなところと協力しながら、新しい技術というものが育っていくように心がけていきたいと思ってございます。
  45. 荒井聰

    ○荒井委員 最後に大臣に、住宅というのは、特に日本人がそうなのかもしれません、物すごく保守的なんですね。家は夏を旨とすべしと吉田兼好が言いましたけれども、北海道へ来て、本州型の通風のいい家を造ってそこで住んでいたんです。肺炎になる人がごろごろ出ていたということが記事として歴史書の中に出てくるんですけれども。それを、戦後すぐ、不足していましたから、安かろう、早く造ろう、そういう政策に転換をしました。しかし、八百五十万戸の空き家が出てきたわけですから、ここは大転換が必要なんですね。  そして、一番私が言いたいのは、資産価値としてちゃんと残していく、そのことが結果的には、今お金を持っているお年寄りが自分の住むところを少しでも快適にしたいということで、そのお金が市場に流れていく、それによって経済が回っていくということを期待するべきなのではないかと思います。片っ方では、二地点で住宅を持とうという動きも既に出てきています。  そういうことを考慮した住宅政策の大転換、先ほど岡本先生に御回答されていましたけれども、もう一度、改めて御決意をお願いします。
  46. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルということが宣言され、これは国際公約にもなり、また他方で、やはり、八百五十万戸という空き家が出ている、これをどうするかということ。まさに、私は、住宅政策を本気で見詰め直さなきゃいけない、既存の様々なことはあるんですけれども、それを乗り越えなければいけないというふうに思っています。今日は、荒井先生の質問で非常に頭が整理されて、ノートを取って、勉強になりましたけれども。  一つは、ちょっと済みません、時間も来ていますけれども、資産というと、私は本当におかしいなと思うのは、親の家は余り継承しないんだけれども、親が買った例えば絵画なんというのは非常に大事にしたりとか、どういうことなのかなと。  これは、私は、住宅ストックの質の問題というのももちろんありますので、その質、良質という概念が、今は長寿命化というか耐久性だけ求めているんですが、多分、今後は、省エネ、まさに外断熱、何で外断熱を取り入れてこなかったのかという経緯もちょっと理解できないんですけれども、そうしたこととか、バリアフリーですとか、また、優良という概念をどう変えるのか。抗ウイルスなんというのも今後入れていかなければいけない話だと思います。建築基準法自体が命に関わることだけのルールなので、そこの考え方をどうするかというのが一つ。  もう一つは、親の家を継ぎたくても、人生の過ごし方で、東京で、仕事でライフワークを終えなきゃいけないみたいな、これはまさに生き方と非常に関連が強いと思います。私はやはり、相当粗っぽい話ですけれども、誰もが最後の現役での五年ぐらいは地元で仕事ができるようなスタイルであれば、地元で最後は家を継承しようとかという、そういう人生の過ごし方が変わらないと、この住宅問題というのは最終的に非常にクリアしにくいのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味では、このコロナ禍というのは、もう一つ大きくチェンジできるきっかけになるのではないかというふうに思います。  先ほど、ドイツ人のカール・ベンクスさんの話をしました。これは新潟県の十日町市でやられていまして、十日町の市長は、私、高校時代の友人なものですからよく知っているんですけれども、十日町は昨年一年で百五十名移住者を受け入れているんです。  ですから、そうした社会の動きというのが間違いなくあるので、そこはやはり、相当国民一人一人の価値観が変わっていく中に、住宅政策もしっかりフォローできるような、先を見た政策に変えなければいけないという問題意識を持ってこれからも取り組んでいきたい、こう思います。
  47. 荒井聰

    ○荒井委員 ありがとうございました。これで終わります。
  48. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、伊藤俊輔君。
  49. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 立憲民主党の伊藤俊輔でございます。  引き続き、今日は、長期優良住宅法等の改正案に対しまして質問をさせていただきたいと思います。  政府が二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す中において、その実現には、住宅建築物における対策の抜本的強化も不可欠だと思います。  業務部門と家庭部門の最終エネルギーの消費量は、一九九〇年比で大きく増加をいたしました。現在では、全エネルギーの消費量の約三割を占めているということであります。そして、この業務部門と家庭部門におけるCO2排出削減の成否は、長期優良住宅普及促進を含めた住宅建築物の省エネ対策などに、取組に大きく関わるということになると思います。  先日、赤羽大臣は、住宅建築物の省エネ基準への適合義務化を含めた対策強化について、ロードマップを作成することが必要であり、検討を指示された旨発言がございました。先日閣議決定をされた新しい住生活基本計画にも、住宅の省エネルギー基準の義務づけが基本的な施策として明記をされております。つい先日は、十九日に、経済産業省と環境省合同で立ち上げた脱炭素社会に向けた住宅建築物の省エネ対策等のあり方検討会、第一回が開催をされております。  住宅建築物というのは、一回建ててしまえば少なくとも数十年間使用され続ける資産になります。今まさに建てられている住宅建築物の省エネ性能が、二〇五〇年のカーボンニュートラル達成に大きな影響を与えるということになると思います。また他方で、省エネ基準への適合義務化などの規制的な措置を講じるのであれば、特に中小の事業者が混乱を生じないように、十分な準備期間確保することも不可欠になろうかと思います。  これらいずれの観点からも、住宅建築物における省エネ対策等の抜本強化の具体策について、これまでの取組を含めてまずお聞きをしたいというふうに思います。
  50. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  まず、これまでの取組について説明させていただきます。  国交省はこれまで、誘導と規制の両面から、住宅建築物の省エネ対策を進めてまいりました。  規制措置につきましては、二〇一五年に建築物省エネ法を制定しまして、大規模な建築物について省エネ基準に適合させることを義務化いたしました。また、二〇一九年には、建築物省エネ法を改正し、義務化の対象を中規模の建築物に拡大するとともに、戸建て住宅等について建築士から建築主に対して省エネ基準への適合状況の説明を義務づける、そういった取組を順次強化してまいりました。  また、誘導措置につきましては、省エネ性能の高い住宅建築物の供給促進するために、経済産業省あるいは環境省とともに、ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHなどに対する補助を実施しているほか、住宅ローン減税あるいは住宅金融支援機構によるフラット35においても、省エネ性能の高い住宅に手厚い支援を行ってまいりました。  また、既存住宅建築物の省エネ性能の向上を図ることも重要と考えておりまして、ここにつきましても、三省で連携して、省エネ改修工事に対する補助を行うほか、こういった工事に関する所得税、こういった税の特例措置を設けてきておりますし、また住宅金融支援機構の金利優遇、こういったことを行ってきてございます。
  51. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  検討会や審議会における検討がこれから順当に進んだとしても、来年の令和四年の常会に関連法案を提出するというのが通常想定される最速のペースなんだろうというふうに思います。  第百九十八回の国会に提出をされた建築物省エネ法改正案は、令和元年五月に成立をし、公布をされました。小規模住宅建築物について、建築士による省エネ性能等の説明義務化が盛り込まれておりますけれども、その措置は、施行期日は公布二年以内とされて、この四月の一日に施行されたばかりであります。  この例に倣うと、既定路線になりつつあるように思えるこの省エネ基準への適合義務化が実現するのは、早くて今から約三年後の令和七年ということになります。この三年の間にも、毎年九十万戸程度、合計で約二百七十万戸の新築住宅が建設をされて、二〇五〇年においてもそれらの住宅由来のCO2排出が続くことになります。  このことを考慮すると、先ほど申し上げた、住宅建築物に係る取組の具体策について早期に結論を出していくことに加えて、今、制度の枠組みの中でできることを着実に実行していくことも重要なんだろうというふうに思います。例えば、先ほど述べた、この四月に施行された建築士による省エネ性能等の説明義務化もその一つだろうというふうに思います。  そこで、この省エネ性能等の説明義務化の実効性の確保に向けて、これまでの取組と、また、今後、その効果についてもしっかりとフォローアップをしていただき、運用改善を行っていく必要があると考えますけれども、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  52. 和田信貴

    和田政府参考人 委員指摘のように、この四月一日に説明義務というものが施行になってございます。  私ども、法律ができてから施行までの間に、中小事業者が省エネ基準を満たす住宅の設計、施工が十分にできるように、省エネ性能の計算方法、あるいは断熱性能の確保や結露防止などの施工上の留意点、建築主に対して説明を行う際の説明の進め方や留意点について講習会を行う、あるいは、昨今はコロナ禍でもございますのでオンラインで講座を行う、こういったようなことをして準備を整えてきてございます。  また、説明義務制度の施行に合わせまして、中小事業者が省エネ計算を十分にできますように、新たに簡易な評価方法、これも用意しました。  こういった結果、今年の二月に建築士や中小事業者を対象に実施したアンケートによりますと、省エネ計算が可能、あるいは仕様基準を用いて確認が可能と回答した者は約六割でありますが、計算を外部委託する予定、こういったようなことも含めまして、説明義務制度への対応を進めている者は約九割となっております。  引き続き、取組の効果をしっかりとフォローアップし、こういった中小事業者や何かの技術力現状、こういったことをしっかりフォローアップしながら、見直すべき点があれば見直して、改善していきたいと思っております。
  53. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 二〇五〇年のカーボンニュートラル実現というのは、極めて高いハードルなんだろうと思います。仮に、全ての新築の住宅建築物について省エネ基準への適合義務化を課したとしても、達成できるかは不透明だと思います。全ての新築住宅でZEHレベルの省エネ性能を実現をしても、目標達成に不十分であるとの見方もあります。既存住宅の省エネ改修の一層の推進や省エネ基準自体の強化など、省エネ基準の適合義務化以外にも更なる対策が求められると思います。  そこで、改めて、二〇五〇年カーボンニュートラル達成に向けて、住宅建築分野における具体策の方向性と、あわせて、この目標に向けた赤羽大臣の認識をお伺いしたいというふうに思います。
  54. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 今回のカーボンニュートラルの宣言とは別にして、これまでも、二〇一三年から二〇三〇年に向けて、住宅建築物における分野では四〇%削減を目標にやってまいりました。ほかの分野の中ではかなり高い目標でやっております。ただ、それを更に全体で四六%ということを目標にするということは、今、伊藤委員おっしゃられるように、より高いハードルになった、チャレンジしなければいけないということでございます。  他方、これまでの住宅政策、これは省エネだけではなくてバリアフリーなんかも、新しいものを導入するときには、やはりどうしても、これは所管の省庁なのでやむを得ない部分があるかとも思いますが、現場の状況、大手のハウスメーカーは多分住宅でいうと全体で二割ぐらいの住宅生産量で、残りの八割は中小企業ですとか職人の皆さん。そうした方たちにもフォローできるようなことというのは、まあ配慮せざるを得なかったということがあったというふうに思っておりますが、伊藤委員の御指摘のように、それを手をつけないとなかなか数字はクリアできないというのも、私も個人的には非常にそれを思っておるところでございます。  今回は、環境省と経産省と三省でこの十九日から第一回目の会議を始めさせていただきましたので、こうした大枠の中でやはり方向性をより明確に出して、その中で中小企業者の皆さんもフォローしてもらわなければいけないので、そうできるような体制をしっかり取りながら、この二〇五〇年カーボンニュートラル、ゼロに向けて、二〇三〇年、具体的なことはクリアするという、できるかどうか分からないんじゃなくて、やるんだという、結論から逆算したしっかりとした対策を取っていかなければいけない、こう決意をしているところでございます。
  55. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  高いハードルだということの認識を含めてですね。  長期優良住宅認定基準一つにも、省エネ性能に関する基準というものがあります。これを強化する方向で見直すという方針が示されております。  この長期優良住宅の省エネ性能に関する認定基準の見直しに当たっては、これも相当程度高い水準とすることが求められると思いますが、他方で、高過ぎる水準を設定をしてしまうと、長期優良住宅認定促進に阻害をする懸念があります。その点にも留意をする必要がありますけれども、両者のバランスをいかに取るのか、難しい判断が求められます。  具体的な水準については、今後、専門家を交えた検討を経て決定をされるんだろうというふうに思いますけれども、この省エネ性能に関する認定基準の強化について、現時点での政府の考え方をお聞きをしたいと思います。
  56. 和田信貴

    和田政府参考人 現在の長期優良住宅の省エネルギー対策基準としては、断熱性能のみを求めております。設備等のエネルギーの消費量、一次エネルギー消費量と呼んでいますが、に関しましては、これを認定基準の中に今は入れてございません。  この一次エネルギー消費量に関する性能を求めること、あるいは外壁や窓についてより高い断熱性能を求めること、こういったことが、この法案を提出させていただく前に行っていました社会資本整備審議会の小委員会でも御意見をいただいてございます。  長期優良住宅だけで住宅建築物分野のカーボンニュートラルに向けた取組が、これで全てできるわけでは当然ございませんが、やはり二〇五〇年に向けて積極的な役割を果たしていかなきゃいけない、これは委員おっしゃるとおりでございます。  一方で、高過ぎる水準といいますか、高い水準はいいと思いますが、いきなりそこまで、当然その価格にも反映するものですから、購入される方が、ちょっとそこまでいっちゃうと手が出ないということになりますと、逆に普及しないことにもなってしまいます。  こういったバランスをよく考えながら、有識者の御意見を踏まえて、カーボンニュートラルに資するように基準考えていきたいと思ってございます。
  57. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 現在、大規模事業者建築をする一戸建ての長期優良住宅認定取得割合というのは約八割である一方で、中小事業者認定割合というものは約一割にとどまっているということが課題だというふうに言われております。このような大手事業者と中小事業者の間の格差は長期優良住宅に限られたものではなくて、ZEHなどでも似たような傾向が見られるというふうに思います。  中小事業者の中にも、先進的な技術を持って、大手ハウスメーカー以上に優れた性能を持つ住宅建築をしている事業者もありますけれども、やはり対応が追いついていない事業者が少なくないのが実態だと思います。  今後、長期優良住宅の省エネ性能に関する認定基準が強化された際に、中小事業者が対応できず、格差が更に拡大することはあってはならないというふうに思います。  そこで、省エネ性能に関する認定基準の強化と併せて、中小事業者による省エネ技術等への対応の支援を強化する必要性があるというふうに思いますけれども、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  58. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように、中小事業者長期優良住宅での認定取得割合といいますのは約一割強と小さな割合になっています。中小事業者におきまして、こういった長期優良住宅の省エネ認定基準への強化、それから、そもそもの省エネ、これに向けての強化、こういった対応は、非常にこれまで以上に大事になってくると思っております。  私たちとしましては、大事なのは、まず実地訓練ということをしっかりやっていただかなきゃいけないんじゃないかなと思っています。これまでそういったところは必ずしも手厚くなっていませんでしたので、実地訓練も含めまして、中小事業者の省エネに関する技術力向上、これに取り組んで、長期優良住宅に中小事業者が取り組みやすくなっていくようにしていきたいと考えてございます。
  59. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  続いて、住宅寿命についてもお伺いしたいと思います。  住宅寿命に関する指標としてよく参照される滅失住宅平均築後年数、すなわち、取り壊された住宅平均建築から何年経過をしていたかを示す数値でありますけれども、我が国は承知のとおり三十八・二年にすぎず、アメリカイギリスに比べても半分程度という指摘があります。  なぜ、我が国の滅失住宅平均築後年数は諸外国と比較をして著しく短いのか。それは、日本住宅の物理的な耐用年数の問題なのか、また、それとも、それ以外の要因が大きいのか。それ以外の要因が大きいというふうに思いますけれども、この点について政府の認識をお伺いしたいと思います。簡潔にいただけたらありがたいと思います。
  60. 和田信貴

    和田政府参考人 我が国住宅が短い期間で取り壊され、寿命が短い要因としましては、物理的な要因と申しますよりは、絶対的な住宅不足で質の悪い住宅がたくさん建てられ、それが早く滅失したこと、あるいは、経済成長に伴って人口移動とかライフスタイルが変化して、ニーズに合わなくなった部分の住宅が次世代に引き継がれず壊されていったこと、あるいは、耐震基準改正等々によりまして、基準の前のものについてのニーズあるいは不安、コスト、こういったものから、そういった住宅について壊されていったこと、こういったことから、平均築後年数、これが短くなっているかと考えております。
  61. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 既存住宅の流通についてもお伺いしたいと思います。  流通の状況を見ると、既存住宅の流通はやはり低調でありまして、住宅市場は相変わらず新築住宅が中心となっていると思います。この理由について政府がどのように分析をされているのか、見解をお伺いをしたいというふうに思います。
  62. 和田信貴

    和田政府参考人 既存住宅の流通が進んでいない要因としましては、物件の維持保全状況とか性能、こういったようなものに対して情報が十分にアクセスできていなく、あるいは、既存住宅の質や不具合に対して不安がある、既存住宅を取得した際にリフォームを実施しやすい環境となっていない、あるいは、耐震性等を満たす、既存住宅として取引され得る良質なストックが必ずしも多くない、こういったようなことが要因となっていて流通が必ずしも十分に進んでいない、こういうふうに考えてございます。
  63. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 あわせて、既存住宅の市場における評価についてもお伺いをしたいと思いますけれども、リフォームなどを行ってもそれが適切に価格に反映をされないという課題が、かねてからの指摘があります。特に、木造戸建て住宅については、築後二十年間で一律価値をゼロにすると評価をする慣例というんですか、が存在するとも言われております。  そこで、木造戸建て住宅について、なぜ築後二十年間で一律価値がゼロと評価をされてしまうのか、端的にお伺いをしたいと思いますが、また、木造戸建て住宅に限らず、リフォームなどによる性能向上の結果が既存住宅の評価に適切に反映をされない理由について、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  64. 和田信貴

    和田政府参考人 戸建て住宅につきまして、築後二十年ないしは二十五年程度で市場価値をゼロとする慣習が残っていると言われておりますが、背景として考えられますことは、いろいろな方々にお聞きしてみましたことを総合的に勘案しますと、ついの住みかとして何十年も住み続けて、その間、お買い求めになることに一生懸命で、ずっと自分が住むんだということで、メンテナンス、こういったことが十分でなかった。  あるいは、築年数が一定程度経過している住宅は、耐震基準改正などを踏まえると、そのまま住むには不安であるものの、求められる水準を満たすためのリフォームに費用がかかる、こういったことから、耐震基準前の住宅について消費者から敬遠される、あるいは仲介する方からも敬遠される、こんなようなことがあって、もう価値はないものですよという扱いをされている。  あるいは、特に首都圏等においては、土地の価格が非常に大きいものですから、大体もうここで大きな方向が出ているから余り丁寧な査定はしないというようなこと、こんなようなこともあるのではないかと言われてございます。  また、リフォームにつきまして、リフォームにも本当に様々なものがございます。住宅の利用年数を長くするようなものもあれば、例えば内装のデザインとか個人の嗜好によるものも多く、また、キッチン、バス等の住宅設備、これは十年から二十年程度で取り替えられるというものですので、リフォームをされた方のお金をかけたという認識と、それから、それが利用年数を大きく延ばしているということ、資産価値ということにどれだけ利いているのかといった認識にギャップが出ている可能性も十分ございます。  また、本当にしっかりとしたリフォームをしているのにそれがなかなか反映されていないということも、これもあるかと思ってございます。
  65. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  ここまで、住宅の寿命、そして既存住宅の流通促進、そして既存住宅の適切な評価という三つの大きな課題についてお伺いをさせていただきました。  これらはそれぞればらばらな問題ではなくて、相互に関連をしている問題だというふうに思います。単純化して申し上げれば、既存住宅の流通市場が活発でないために適切な価格がつけられていない、そして、適切な価格で売却をされないので、所有者は住宅の質を保つための維持保全に投資をしない、しっかりと維持保全がなされないので住宅の寿命が短くなる、そうすると良質な既存住宅が少なくなり、既存住宅の流通は低調になるという悪循環になっているんだというふうに理解をしています。  どれが原因でどれが結果だというよりも、相互に結びついていて、難しい状態に陥っているんだというふうに思います。そのため、依然として、建てては壊すというスクラップ・アンド・ビルドの、この産業にとっては都合のいいと言われるような状態からなかなか脱却ができないでいるわけであります。  そこで、良質な既存住宅が多世代にわたって承継をされていく住宅循環システムを構築するための課題と、我が国住宅の在り方の構造転換に向けた今後の取組についてお伺いをしたいというふうに思います。
  66. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるような悪循環という形、こういったものになっている、そんなふうに考えてございますが、こういった悪循環、これを断ち切っていくために、例えば、今回御審議いただいています法律案を通じまして長期優良住宅普及拡大を図りまして、省エネ性能、耐久性、こういったものに優れて、そして維持管理の履歴が残っている、こういったストックを増やしていく。  あるいは、省エネ性、耐久性などが十分でない住宅、これも多くありますから、リフォーム施策というのをしっかりと充実していく。  あるいは、その情報ということに関して、住宅の取引市場の透明性とか信頼性の向上に向けて、価格情報、こういったものを消費者に分かりやすく提示する仕組み、こういったものを進めていく、必要な情報へのアクセスを進めていく。  こういったことを力を入れて、少しでもどこかで悪循環、こういったものが断ち切れるようにしていきたいと考えてございます。
  67. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  最後に、今後の住宅産業の将来像について大臣にお伺いをしたいというふうに思います。  二〇五〇年カーボンニュートラルがもし達成をされたとしても、その後の住宅産業を始め、日本の産業というものがどういう状況になっているのかということは極めて危惧をしております。例えば、デジタル改革やあるいはグリーン成長戦略、そういったものの方向性は世界の潮流だというふうに思いますし、避けては通れないんだと私も思います。  しかしながら、世界を見れば、これはアメリカも中国もそうですが、準備を整え、自分たちの国に不利益にならないように、産業のことも考えながら、十分に戦略を立てて、このデジタルの分野、あるいは環境エネルギーの分野など進められているというふうに承知をしております。  日本においては、こういった様々な対策をした後に、二〇五〇年、強い産業が残っていないとすれば、これは本末転倒になってしまうというふうに危惧をするわけであります。今回の住宅産業においても、同様に、将来、この住宅産業が明るいビジョンが見えているのかどうか、そういうビジョンを示しながら、逆算をして、今、一つ一つの目標達成に邁進をしなきゃいけないというふうに思っております。  そういう意味で、二〇五〇年の日本住宅産業の将来像について、最後に大臣の見識をお伺いしたいと思います。
  68. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 二〇五〇年の住宅産業についてというのは大変難しい問題で、可変的な要素がたくさんあります。  まず考えなければいけないのは、日本の人口は、二〇五〇年は約一億人というふうに推計されております。その中で、最も購買層が高いと想定される三十代から四十代の人口は現在より四割程度減少する、これは国立社会保障・人口問題研究所の統計でございます。そうした中でいくと、相当社会は激変しているだろうと思いますし、もう既にその端緒が、この今回のコロナウイルス禍の中で、働き方、住まい方の変化、私は、必ず、一人一人の価値観の変化で、相当この一連の中でも大きな変化がされるのではないか。  同時に、AIを始めとする情報通信技術ですとかロボットですとか、そうしたものは当然発展していくトレンドにあるだろうし、なければいけないと思いますので、ちょっとハイクオリティーな住生活になっていかざるを得ない。ですから、住宅産業も、そうした意味で、これまでの住宅産業の在り方でいいとせずに、やはり、恐らく、もう少し多角的な人材を育成しながら、時代の先を行くような住宅を提供していく業界になっていかなければいけないのではないか。  ただ、人口は減ったとしても、一億人が住まなければいけないし、生活の、人生の基本というのはやはり住宅にあるというのは、これは変わらない真理だと思いますので、そうしたことでいえば、二〇五〇年においても、我が国の産業界において、住宅産業というのは非常に重要な産業であるということは間違いないと思うわけでございます。
  69. 伊藤俊輔

    ○伊藤(俊)委員 ありがとうございます。  住宅の将来像において、スクラップ・アンド・ビルドという考え方からの脱却、あるいは新築から既存住宅への流通の転換、建物の価値が保たれる、また上がるような、省エネリフォームを始めとする投資、そういったことを着手をしていただきながら、住宅の質を高め、百年保つような住宅がもしできれば、先ほどもお話がありましたが、老後の生活を、住宅を担保にしながら、また自力でやっていけるような、リバースモーゲージのような考え方考えられるようになるのではないかというふうに思いますので、より具体的な住宅産業の将来像について示していただけることをまた求めて、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  70. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、広田一君。
  71. 広田一

    ○広田委員 立憲民主党・無所属の広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  法案等の質疑に入る前に和田局長にお伺いをしたいと思いますが、今国会、政府の提出法案に関してミスが相次いでおりますが、先日も地方公務員法でミスが見つかりました。この長期優良住宅法案は大丈夫でしょうか。
  72. 和田信貴

    和田政府参考人 いろいろな役所の法案でいろいろなことがあったということを私どもも本当に強く受け止めておりますが、私たちも注意しながら法案を用意し、そして閣議決定し、出してきたつもりでございます。  こういった点から、この改正法案、実際の条文、こういったものについて間違いないものを出させていただいていると思ってございます。
  73. 広田一

    ○広田委員 どうもありがとうございます。間違いのないものを提出をしていただいているということでございます。  今国会、我が国土交通委員会関係は数多くの法案が提出をし、される予定でございますけれども、現時点ではミスが出ておりません。非常にすばらしいことだというふうに思います。  政府の方は六月の中旬に再発防止策、これを発表するということでありますけれども、是非、国土交通省のチェックの仕方というのを他の省庁の方にも普及をしていただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  それでは、質疑等に入らさせていただきますが、まず、段々の質疑、御答弁の中で触れられておりました住宅の耐震化についてお伺いをいたします。  この住宅の耐震化問題につきましては、私は当委員会では何度か質問をさせていただいたところでございます。  二〇一六年の四月の十四日に熊本地震が発生をしました。私もその被災現場の、当時は益城町を視察をさせていただいたところでございますけれども、道路を挟んで右側の家は耐震化が不十分であったがために全壊をしておりました。左側の家は耐震化をしていたがために全然大丈夫でございました。すなわち、道路を挟んで天国と地獄のような状況だったわけでございます。  こういった観点で、南海トラフ巨大地震の発生率、これが三十年以内に七〇から八〇%になっておりまして、切迫性が非常に高まっているところでございます。南海トラフ地震に関しましては、中央防災会議のワーキンググループが平成二十四年に試算をした被害想定によりますと、住宅建築物の耐震化を九五%にすることで、地震による全壊棟数が約六十二万七千棟から約二十四万棟へ減少、減少率は六一・七%なんです。また、死者数も約三万八千人から約一万四千人へと減少、減少率は六三・一%でございます。このように、耐震化によって多くの命と財産を救うことができます。  大きな効果が期待できるところでございますけれども、地震から国民の命と財産を守る一丁目一番地の対策でございます住宅の耐震化の必要性と重要性について、まず赤羽大臣の御所見をお伺いいたします。
  74. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 私自身、一九九五年の阪神・淡路大震災で、自らも住む家を失った被災体験をしました。  市内くまなく、毎日現場を歩いておりましたが、結局六千四百名以上の方が亡くなられた。恐らく九割ぐらいの死因は圧迫死、家が潰れて、それに下敷きになったというふうに承知をしております。恐らく、阪神・淡路大震災のきっかけの中から、やはり耐震化、また住宅の再建というようなことが社会の大きな問題になったというふうに認識をしております。  加えて、その後、これは住宅だけではありませんけれども、学校の耐震化というのも、これは我が党が平成十五年ぐらいに、総点検をするべきだということで、結構、学校の耐震化は非常に厳しいものがあって、それから、たしかそのときの補正予算で、文部科学省の予算で五百億円ぐらい計上しながら毎年毎年耐震化工事というのを普及して、これも十五年間ぐらいだったと思いますが、今、全国の小中学校の公立学校はほぼ、当初目的としていた耐震化一〇〇%をクリアしているところが大半ではないかと。もう少し細部の耐震化という課題が出ているということはございますけれども。  ですから、そういう意味で、耐震化をしっかりしていくというのは、これは既存不適格というような問題がございますけれども、建築基準法以前のものも含めて耐震化を強化していくというのがやはり大前提だというふうに思います。  それともう一つは、私が阪神・淡路大震災のときに思ったのは、家の耐震化も大事なんですけれども、どういう土壌に建っているかということも大変大きな原因であって、阪神・淡路大震災の神戸でいいますと、国道二号線の北と南ですと十メーターぐらいしか違わないんですが、南側はほとんどの家が粉々にやられて、北はさほど壊れなかった。これは恐らく、北側は六甲山系というか岩盤で、二号線の下は堆積層だったと。ですから、その地盤なんかも随分影響があったと思いますし、あのときに活断層ということも、社会の問題になったのも、あのときがきっかけだったというふうに思います。私のマンションも活断層の上に建っていたということで、震度七を体験しましたが。  そうしたことの中で、やはり、土地の開発の在り方、また、今まさに防災・減災の角度からのハザードマップの活用等々も、これも大きな課題になっておりますが、そうした意味で、ちょっと答えはずれるかもしれませんが、安全、安心なまちづくりをしていかなければいけないというのは我々の大きな責任だと思いますので、その耐震化は大変大きな大前提だというふうな認識でおります。
  75. 広田一

    ○広田委員 どうもありがとうございます。  大臣の方から、阪神・淡路大震災の経験から、建築物の耐震化の必要性、重要性についてのお話がございました。大臣の方からお話があったように、土壌の耐震化も、学校の耐震化も非常に重要だというふうに思いますが、今日は、ちょっと時間の関係上、住宅の耐震化に絞らせて議論を進めさせていただきたいと思います。  前の住生活基本計画の中で、住宅の耐震化率を令和二年度までに九五%にするというふうな目標を掲げておりました。  令和元年の五月十日の当委員会で、この達成状況について質問させていただいたところでございますが、当時の住宅局長さんの方からは、二〇二〇年度、令和二年度の間には、その達成がどういう状況にあるのか、できているのかできていないのか、できていないとすれば、どの程度まで進んでいて、どういう形が、どこまでできているけれども、どの程度までが駄目だったのか、分析、検証する旨の御答弁をいただいたところでございます。  結果として、残念ながら目標は達成できなかったわけでございますが、その検証結果について、また住宅宅地分科会としてどのような議論がなされたのか、和田局長にお伺いをいたします。
  76. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  住宅の耐震化率につきましては、住宅・土地統計調査、これが直近のものが平成三十年の推計値として使えますが、これは約八七%にとどまっております。  委員がおっしゃられたように、住生活基本計画、これまでのものにおいて、二〇二〇年、令和二年までの耐震化率を九五%とすることということを目標に掲げておりましたが、耐震化のペースがこれらの目標に届いていないということでございます。  また、こういった原因の分析、そういったことに関しましては、国土交通省で、耐震診断を実施した戸建て住宅の所有者に対して、耐震改修の意向等に関するアンケート調査というものを令和元年度に行いました。そして、耐震化が遅れている理由について分析をいたしました。  特に、六十五歳以上の高齢者世帯あるいは年収が低い世帯では、耐震診断により耐震性不足が判明したにもかかわらず、耐震改修を予定していないという回答が六割を超えておりました。また、その理由としまして、「費用負担が大きいから」、これが約七割強、そして「古い家にお金をかけたくない」が約四割強、こういうふうに費用負担に起因するものが最も多く、その次に「耐震化しても大地震による被害は避けられないと思うから」「特に必要性を感じないから」、危機意識の低さにある意味起因するものが多い状況でございました。  こういったことにつきまして、審議会、あるいは審議会そのものではございませんが、そこに参画されている有識者の勉強会といいますか検討会といいますか、こういったところで、このアンケートも使いながら検討してまいりまして、やはり、今回目標が達成できないこと、これはもう事実なので、これ自体は問題であるけれども、それはしようがない、ただ、引き続き耐震性というのを、これはしっかりと追求していかなきゃいけないので、少し時間をかけてでも、やはりきちっと、耐震性の足りない住宅に住んでいらっしゃる方が意識をしっかりと持ってもらって、それを啓発してやっていくというプロセスを踏まないことには物事はなかなか解決していかないものですから、そこはきっちりと理解も深めながらやっていく、そうするとそれなりの時間はかかってしまう、そういったことで次の目標というものを掲げさせていただいて、十年間かけておおむね解消というところへ持っていく、こんな議論をしてきております。  その結果として、今回、反省もした上で新しい目標を作っているということでございます。
  77. 広田一

    ○広田委員 答弁を頂戴したわけでございますけれども、確かに、個々のアンケートを取って、特に高齢者の皆さんが、地震が来るのは怖いかもしれないけれども、あえて費用をかけてまで耐震化をするのはちゅうちょするというふうなことは、これは本当、高齢化が進めば進むほどその傾向が非常に強くなるんじゃないかなということは、正直言うと、当時からこのことは認識をされていたんだろうなというふうに思っております。だからこそ、それを克服するために、ちょっと後でまた聞きたいと思いますけれども、総合的なパッケージ事業とか、こういったものも導入をしてきたというふうな経緯があるんだろうというふうに思うところでございます。  まず、ここで聞きたいことなんですけれども、そもそも、令和二年に住宅の耐震化率を九五%に設定するというこの目標自体が現実性を欠いていたのじゃないか、こういうふうな指摘はなかったんでしょうか。
  78. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  なかなか高い目標であったという御議論はあったかと思います。九五%の設定、これ自体は確かに高い目標で、結果として達成されておりません。当時、これを設定したとき、あるいはその後、住宅局の担当者としては、高い目標を掲げて一生懸命頑張っていこうというつもりでやってきたと思いますが、今から考えますと、かなり高い目標であったということかと反省しております。
  79. 広田一

    ○広田委員 その高い目標であった一番の原因が、本来、耐震性が不足している住宅を改修をするのに、この九五%を実現するためには年間九十万棟を改修していかなければならないんですけれども、実際は三十万棟ぐらいだったというふうに承知をしているわけでございます。つまり、三倍もこの数字に開きがあって、そもそもが、高い目標というよりかは、実現不可能な数字というものを掲げてしまったんじゃないかというふうなことだろうというふうに思いますけれども、その点については、どのような御見解を持っていらっしゃるんでしょうか。
  80. 和田信貴

    和田政府参考人 今から振り返れば、高い目標という表現、高過ぎる目標で、かなり実現の可能性が、本当に低い、実現不可能と言われてもしようがないような、そういった高い目標であったと思ってございます。
  81. 広田一

    ○広田委員 そういった検証等を踏まえて、新しい住基本計画の目標といたしましては、耐震基準が求める耐震性を有しない住宅ストックの割合を令和十二年におおむね解消をするということ、そして、住宅宅地分科会では、そのステップとして、令和七年に耐震化率を九五%にすること、つまり、令和二年を五年間後ろ倒しにしているわけでございます。  そうすると、平成三十年を基準といたしまして、年間何棟の耐震化など、耐震性不足住宅の解消を進めていくことになるのか、この点について和田局長にお伺いいたします。
  82. 和田信貴

    和田政府参考人 この新しい目標ですと、今後は年間約四十万戸ベース、こういったものを達成していくということになろうかと存じます。
  83. 広田一

    ○広田委員 四十万戸というふうなことなんですけれども、例えば、若干ちょっと確認したいんですが、平成三十年の耐震性の不足住宅が七百万戸あるわけでございますけれども、これを例えば令和七年に二百七十万戸まで減少するというふうなことによって耐震化率九五%を実現する、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  84. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように、平成三十年、耐震性のないものというのが約七百万戸ございますので、それを年間四十万戸ベースで減らしていくということで、おっしゃるような数字になろうかと思います。
  85. 広田一

    ○広田委員 そうしますと、減少しなければならない戸数が六百三十万戸になるわけでございますけれども、そうすると、七年間として九十万戸、八年にしても八十万戸、これを減らしていかなければいけないので、四十万戸とは若干、令和七年を目標にした場合にはちょっと計算が違ってくるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点を整理して御答弁していただければなと思います。
  86. 和田信貴

    和田政府参考人 申し訳ございません。数字をちょっと勘違いしておりました。  令和七年度の九五%という目標に関しましては、年間六十万戸、七年間で約四百三十万戸を削減する、一年間で六十万戸を削減する、そういう数字でございます。
  87. 広田一

    ○広田委員 ちょっと自分の計算とは若干合わない点があるんですけれども、今局長の御答弁だと六十万戸というふうなことでございますが、今、年間の、先ほど申し上げたように、耐震不足の住宅を解消している棟数が三十万戸なんですよね。そうすると、これから五年間でこれまでの倍解消していかなければならないというふうなことになると、これも非常に高い目標になってしまうのではないでしょうか。
  88. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように高い目標だと思いますが、目標の最終設定としましては、今回、令和十二年におおむね解消、おおむね解消というのは、一〇〇までは行かないけれども、かなり一〇〇に近い数字と思っています。そして、その途中経過点として、なるべく前倒しで頑張っていこうということで、令和七年に今のような数字を申しました。もちろん、令和七年の数字に向けてしっかり頑張っていかなきゃいけないということでございますが、令和十二年、ここでおおむね解消ということを最終ゴールでやっていきたいということでございます。
  89. 広田一

    ○広田委員 ありがとうございます。  令和十二年度におおむね解消していただきたいという思いは一緒でございますけれども、これまでの目標設定といったものが高過ぎるがために達成することができなかったというふうなことで反省をされているわけでございます。その原因になったのが、元々三十万戸の耐震不足の解消だったものを、九十万戸必要だったというふうな非常に高い設定だった。しかし、今度も、若干改善されたとはいえ、年間六十万戸解消していかなければならない、倍なわけでございますけれども、そうすると、相当強い支援策、税制優遇等も含めてやっていかないと、これは現実的にまた同じことの繰り返しになってしまう懸念が非常に強いわけなのでございますけれども、この点は大丈夫なんでしょうか。
  90. 和田信貴

    和田政府参考人 目標を達成するためには、本当にしっかりとした支援が必要だと思ってございます。耐震化を達成していくためには、しっかりと耐震改修をする、あるいは建て替えをする、こういったようなことが必要になってまいります。  これから、耐震ももちろんですけれども、省エネの強化ということも併せてやっていかなきゃならない中ですので、省エネと耐震、こういったものをしっかりと併せてやるようなこと、こういったことも着眼して、耐震の支援策の強化を考えていきたいと思ってございます。
  91. 広田一

    ○広田委員 是非、先ほども言いましたように、非常に、倍々ゲームで進めていかなければならないというふうなことでございます。  どうして私が耐震目標にこだわるかといいますと、先ほど言いましたように、耐震化率が九五%になったら、南海トラフ巨大地震の場合でも本当に多くの方の命を救えるわけでございます。そういった意味で、耐震化率を引き上げることは是非ともやっていただきたいと思います。  ただ、その一方で、政府として、国土交通省として、住基本計画等で目標を掲げる以上は、やはり現実的な目標でなければ、私は、政府の目標に対する信頼感というものが損なわれてしまうと。特に国民の皆さんの生命と財産に関わる問題について、ここが揺らいでしまうと、私は、そのほかの政策についても大きな影響を与えてしまうんじゃないか、そういうふうな問題意識で質問させていただきましたので、是非とも実現に向けて頑張っていただくように、よろしくお願い申し上げます。  その上で、平成三十年度から住宅の耐震化を支援する総合支援メニューが導入されて、我が高知県では、三十四市町村全てで活用されているところでございます。  高知県での耐震改修実績は、熊本地震が発生した平成二十八年度が千二百二十七棟に対して、平成三十年度は千九百十一棟、令和元年は千六百三十八棟と、大きな伸びを示しているわけでありますが、この新しくできましたパッケージ、総合支援メニューの活用状況と、そして今後の課題について、和田局長にお伺いをいたします。
  92. 和田信貴

    和田政府参考人 今委員から御指摘ありました、いわゆる百万円のパッケージ支援というものでございます。これに取り組む自治体数としましては、制度を創設しました平成三十年度が二百十二の自治体でございましたが、現在、令和三年度の計画で九百二自治体、ここまで広がってきてございます。  また、こういった支援の中で、委員指摘のように、高知県では、ほぼ全ての三十三市町村で活用いただいております。こういった中で、地元の工務店が補助の申請を住民に代わって行う代理受領の制度だとか、住民の手続の負担を減らして活用しやすいという、いろいろな工夫がされながら、このパッケージ支援を使っていただいていると思います。  こういったところまでなかなか知恵が回らない、知恵が回らないと言ったら言葉が悪いですね、なかなかここまでできていない自治体も多うございますので、こういった好事例、これを全国にちゃんと展開していくということをこれから努めなければならないと思っていますし、また、先ほどアンケートのことを申しました。高齢者のところ、こういったところについて課題が多くあるということを申しました。  耐震化に積極的な公共団体、特にこういったところを中心に、我々どうしても、自分たちで今までやってきて、建築部局で頑張ろうとやってきたわけなんですが、防災部局あるいは福祉部局とこういった建築部局が連携して、福祉部局ですと、やはり高齢者の方々との接点も多うございます。こういった、高齢者に個別に耐震化の情報を届けるなど、きめ細かな取組ということができるようにして、そして耐震化が、身近なと言ったらあれですけれども、少しちゃんと身についたような情報としてなっていく。  やはり啓発というもの、以前委員の方から、大事である、大切であるという御指摘をいただいていると思いますので、なかなか高齢者の方々にその思いを届けるというのは簡単なことではないと思うんですけれども、こういった啓発の努力というのを更に力強くやっていかなければいけない、こう考えてございます。
  93. 広田一

    ○広田委員 局長の、静かな口調ながらも熱い決意を感じましたので、是非とも頑張っていただければなというふうに思います。  最後に、法案の、認定基準などを規定した第六条関係についてお伺いをしたいと思います。  これは、建築後の住宅維持保全期間について三十年以上というふうに設定をしている規定でございますけれども、この規定について、制定当時の議論から、長期優良といいながら三十年では期間が短いのではないかというふうな議論がございました。そのときは、同一の所有者による維持保全期間を考慮して設定した旨の答弁があったと承知をしておりますけれども、確かに、法制定時における維持保全期間の目安である取壊し住宅、つまり滅失住宅平均築後年数は二十七年なので、維持保全期間の方が三年長いので、これは平仄が合っているというふうに思うんですが、ただ、その後、平成二十五年から三十年の平均築後年数は、海外と比べれば、段々の議論があったとおり、非常に短いんですけれども、三十八・二年と、この間十一年も延びているわけであります。このように、法制定時とは私は状況は大きく変わっているんじゃないかなというふうに思うところでございます。  つまり、長期優良住宅維持保全期間が、今の住宅取壊し平均年数より下回っているというのは、これは維持保全期間としてはやはり短いのではないかなというふうに思うわけでありますけれども、この点についての御所見をお伺いいたします。
  94. 和田信貴

    和田政府参考人 長期優良住宅の中の維持保全計画につきましては、これは今の仕組みですと、三十年以上で計画を作って、そして、その時期が来ましたら、長期優良住宅がしっかりと残っているということを前提にして、改定をしていくということを前提にしてございます。すなわち、住宅が存在する限り、維持保全期間、これが終了までに改定をしていくという考え方に立っています。  三十年以上ということで定めているわけでございますが、委員指摘のとおり、同一の持ち主によるというのがおおむね三十年くらいというのがございました。また、その期間自体は、築年数や何かが延びてきているということで、おっしゃるとおり延びてきているわけですが、また、その法制定時も併せて我々は議論していた中で、戸建てとマンションですと、ちゃんと先を見てやるべき修繕というのは、マンションの方が割と多くなっております。  例えば、ちょっとした修繕をしていきながら、マンションというのは一サイクル回るときに、三十年ぐらいたつと配管工事や何かを取っ替えなきゃいけないとか、こういった大きな工事が入ってきます。こういったところまでちゃんと一回計画を作ってもらうということがまず大事じゃないかという議論も当時あったというふうに聞いてございます。こんなところから、三十年程度ということを一つ形にして、三十年以上というふうに定めてございます。  最初に申しました維持保全計画、これは、三十年たったらもう計画はなくていいよという仕組みではございませんで、この建物がちゃんと続く限り、また改定していただくということでございますので、今回、三十年以上ということをそのまま踏襲させていただいてございます。
  95. 広田一

    ○広田委員 どうもありがとうございます。理由はよく理解をすることができましたけれども、一方で、築後年数等も踏まえて、この期間については不断の見直しをしていただきますように要請しまして、質問を終了いたします。  どうもありがとうございました。
  96. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
  97. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  本日は、長期優良住宅法の改正についてであります。諸外国に比べて日本住宅は寿命が半分くらいということで、長もちする良質の住宅を増やしていこうということはよいことだと思います。  二〇〇九年から始まった長期優良住宅が、認定実績百十三万戸、全ストックの二%にすぎず、二〇一九年度の新築住宅は十万七千戸余で一二・一%、一戸建ては二四・七%、共同住宅は〇・二%にすぎないということです。長期優良住宅には住宅ローンや固定資産税の減免がありますが、残念ながら、二〇一八年の消費者アンケートで、長期優良住宅以外を取得した消費者の約六割が、制度について知らなかったと回答をしております。  資料の1は、現在の認定手続の流れです。新築の場合、着工前までに必要な書類をそろえて申請し、工事完了後の報告、その後三十年以上にわたって維持保全計画に基づいて点検、調査、記録を保存する。  それから、一枚飛んで資料の3が、長期優良住宅認定基準になります。劣化対策や、新耐震基準を上回っていることや、共同住宅ではバリアフリーなども条件となっているのは当然だと思います。  そこで、まず、今度、建築行為を伴わない既存住宅長期優良住宅の対象とすることになりました。その際、新築に標準を合わせている認定基準と全く同じではなくなるとは思うんですけれども、この基準をどのようにするのか、伺います。
  98. 和田信貴

    和田政府参考人 現行の長期優良住宅認定制度は、建築行為、これを前提として、建築計画と維持保全計画をセットとして認定する仕組みであるため、既存住宅については、一定の性能を有していても、増改築、こういった建築行為を行わない限り、認定を取得することができないことになっています。  今回、これを改正をお願いしているわけでございますが、長期優良住宅認定制度以前に建築された住宅の中にも、既に一定の性能を有しているものもあることから、ある意味、念のためという要素もございますが、制度の補完的な仕組みとして、増改築を行わなくても長期優良住宅認定を受けられるようにいたしたいと思っております。  長期使用構造等であることや、維持保全の方法について、この既存のものそのものの新築時の設計図書、そして建物の現況調査、維持保全計画、こういったものを基に所管行政庁等が審査を行い、認定するということを考えてございます。  具体的な認定基準ということにつきましては、現在、増改築を行って長期優良住宅にするということについての認定基準がございます。この認定基準を参考にしまして、基本的にはこれに寄り添う形で、有識者の意見を聞いて検討していきたいと考えてございます。
  99. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 小委員会の中でも住宅局長が、既存住宅長期優良住宅の性能を満たすものがあったとしても現状ではそのままでは認定できないということをおっしゃっていた。だから、何か手を加えなくても基本的に備わっているという考え方や、それから、新築時に長期優良住宅を認めたんだけれども、その後、要するに持ち主が替わって、流通して、新しい取得者が受けられるというインセンティブについて検討すべきだということが取りまとめにもありましたので、その範囲であれば、要するに、どんどん増やしたいから要件を緩和するという意味ではないということで、やはり確認できればいいのかなというふうに思っております。増改築のあれを参考にするのだというお答えでありました。  そこで、全国の自治体で、社会資本整備総合交付金の活用などによって、住宅リフォーム助成制度が取り組まれてきました。上限が十万円から百万円など自治体によって非常にばらばらではありますけれども、経済波及効果は十倍から二十倍にもなったと言われております。今は、省エネ、耐震、バリアフリーなど、様々な種類のリフォーム助成を行っているようです。こうした地方自治体独自の取組について、大臣の評価を伺いたいと思います。また、国としては長期優良住宅リフォーム推進事業を行っていますが、その評価も併せて伺いたいと思います。
  100. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 今のお話にありますように、社会資本整備総合交付金を使いまして、住宅の耐震診断、耐震改修に加えて、住宅リフォームの助成に取り組んでいる自治体が増えつつあるというのは大変喜ばしいことだというふうに思っております。  当初、国で決めたとき、実は私の、ちょっと若干不正確なんですけれども、なかなか兵庫県が導入をしませんで、県議会の中で、やはり私有財産についてそうした助成をするというのはいかがなものかというような議論が結構長くあって導入されてこなかった、そういう同様な自治体もあったかというふうに思っております。  今はそうしたこともなかなか、やはり一軒一軒の住宅は私的な財産であっても、それが何軒も連なると、やはり町並み、公共的な性質であるがゆえにそうした支援も必要だ、多分そういう理解で増えているということは非常に有意義なことだと思いますし、この取組自体はより有意義なものにしていかなければいけない、こう考えております。  そして今、国と国交省におきましては、長期優良住宅認定を取得する場合に活用可能なリフォーム支援策として、お話ございましたように、長期優良住宅リフォーム推進事業を行っているところでございますが、この事業におきましては、インスペクションの実施ですとか、維持保全計画、履歴の作成、また工事後の耐震性、劣化対策、省エネルギー性の確保、こうしたものを必須条件として、本格的なリフォームを支援しているところでございます。  よりよい住宅資本ストックをつくり、それを長く使っていただくということを目指しているわけでございまして、こうした今般の長期優良住宅法の改正に併せて、より一層、長期優良住宅リフォーム推進事業の活用が進むように、当該事業についても普及啓発にも取り組んでまいりたい、こう考えております。
  101. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 大臣、最初に、私有財産にというお話をされました。  災害のときに絶えずこの問題を議論してきたことで、私も災害特で住宅リフォーム助成制度、まだこんなにも普及しない頃にやるべきだということを随分しました。やはり、そのときの考え方も、個人の私有財産に税金を投入するのは難しいという考え方だったと思うんですよね。でも、それを一歩一歩乗り越えてきてここまで広がったんだということ、また、大臣がそれを有意義なことだとお認めいただいたということは、非常に貴重な前進であるかなと思っています。  浴室回りとか身近な住宅リフォームでは地元の工務店が活躍し、地域経済の波及効果も大きいことはお話ししたように立証されているんですが、ただ一方、長期優良住宅認定取得割合で見ると、先ほどもお話あったように、年間三千戸以上を供給するハウスメーカーでは約八割に対して、中小事業者や分譲事業者は約一割にとどまっております。  ですから、長期優良住宅リフォーム推進事業を、やはりこの規模の事業を引き受けるほどのまだ技術面が届かないとか、あるいは周知が足りないとか様々な課題があるのではないか。要するに、やはり地元の工務店に引き受けていただきたい、そういうことを一つ課題として思うんですけれども、いかがかということ。  それから、それとは別に、住宅紛争処理支援センターの住まいるダイヤルで受け付けた電話相談では、リフォームに関してのトラブルが二〇一九年で八千二百三十八件、約三・六倍にもなったといいます。今回、住宅紛争処理制度、ADRに既存住宅も対象として追加され、完成時効猶予も付与することになったというのは大変いいことだと思うんですけれども、やはりこの際、リフォーム施工業者の質を担保して活用する仕組み、つくっていく必要があると思いますが、どのように考えますか。
  102. 和田信貴

    和田政府参考人 委員おっしゃるように、地元の中小の工務店、こういった方々が長期優良住宅、この分野に取り組んでいただくこと、非常に大事なことだと思っております。  おっしゃるように、普及啓発、こういった知るということについて、まだ不十分な面があるかもしれませんので、そういったところは当然、もっと周知していかなきゃいけないと思っていますが、それ以上に、やはり技術的に、もし、なかなか到達できないということがあれば、こういったことこそきちっと支援をして、そういう長期優良住宅というものが設計し造れる技術、これを地域の中小の工務店、こういった方々に持っていただく。このための、いわゆる座学だけではなかなか厳しいと思いますから、コロナの中ですから、なかなかそういったことは配慮しなきゃいけないとは思いますが、きちっと身につく、そういった技術取得、これを支えて、支援していきたいと思っております。  また、リフォーム事業者、こういった方の中にもいろいろな方がいるので、質をちゃんと担保するようなことを考えなきゃいけないということでございます。  消費者が安心してリフォームを行う環境、これを整えるというのは当然のことでございまして、リフォーム事業者の業務の適正な運営を確保するとともに、加入に当たって第三者の検査が行われるリフォーム瑕疵保険の活用、こういったことが一つ重要なツールだと思っています。  また、リフォーム事業者の業務の適正な運営の確保につきましては、平成二十六年にリフォーム事業者団体登録制度、こういったものを創設し、現在、十六団体が登録しております。  この制度におきましては、登録団体に、構成員、個々の企業ですね、ここに、人材育成のための体制、計画を持つこと、そして、構成員が行ったリフォーム工事に関する消費者相談窓口を設けること、そして、一定規模以上のリフォーム工事をするときには瑕疵保険へ加入していただくこと、これを指導すること、こういったことへの適合を求めてございます。  国土交通省としまして、こういった制度普及、これを努めてきておりますが、これを更にもっと展開していきたいと思ってございます。
  103. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 実際に、リフォームに関する相談の五割が国庫補助事業だということでありますので、やはりそこが非常に重要だと思います。また、ADRには調査研究という役割もあって、やはり、そもそもの瑕疵の発生自体を防止することのために寄与するということも取りまとめにはありますので、今、登録制度を始めたということでありましたが、それがしっかりと機能することをお願いしたい、このように思います。  それで、昨年成立したマンション管理適正化法では、管理組合の役割が強調されました。今回、共同住宅では、長期優良住宅認定を区分所有者ごとに行っていたため、分譲業者の負担が大き過ぎるということもあり、三十年以上の維持保全を行うためにも、管理組合がまとめて認定の申請を行うということになったわけであります。  修繕のタイミングと積立金のことを昨年問題にしたわけでありますが、マンション管理計画とのリンクがどのようになるのか、管理組合の負担が大き過ぎるということにならないようにと思うんですが、どうでしょうか。
  104. 和田信貴

    和田政府参考人 昨年度御審議いただきまして、来年度の施行に向けて今準備を進めておりますマンション管理適正化法、これに基づくマンションの管理計画認定制度、これは、長期優良住宅という、ある意味優良なところだけでなくて、全てのマンションに関係するわけですが、マンションの適正な管理を推進するために、修繕の内容や資金計画、そして管理組合の運営状況、ここがこの後の長期優良住宅と違うんですが、修繕積立金等の管理組合の運営状況等を含む管理計画を認定する制度でございます。  長期優良住宅認定制度は、ハードについて一定以上の耐久性を当然備えていただかなきゃいけないんですが、維持管理に関する計画の策定を求めております。ここは、あくまでも、元々、ハードとの関係、そして長期に使っていくということの物理的な側面に注目しまして、維持管理に関する計画、ここは維持保全とか、こういったものの計画になっております。  基本的には、この両者、今回、住棟認定制度にしまして、管理組合を維持保全計画の実施主体として今回しておりますので、マンションの管理計画そして長期優良住宅の維持管理計画、ここは、維持保全や資金計画に係る内容、基本的に同レベルのものだと考えてございます。  マンション管理適正化法に基づく管理計画につきましては、管理組合設立後の正式な認定に先立って、ディベロッパーが着工前に管理計画を予備的に認定を受けるような仕組みというのをつくっていきたいと思っていますので、これを予備的に認定を受ければ、そのまま、長期優良住宅の維持管理に関する計画、ここのところの部分に当てはまっているということになると考えておりますので、あとはハードの基準がちゃんとしていれば長期優良住宅認定になる、そんな関係になると思ってございます。
  105. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 正直よく分からないですよね、今のはね。違うのは分かるんですよ。違いを説明する必要はなくて、どちらにしても、やはり長くもたせるために、そして維持管理がちゃんとできているということをセールスポイントにするんだと昨年説明したわけですよね。だから、その管理計画をやることと、またこの維持保全計画がまるっきり違うこと、作業を両方やらなきゃいけないという大変さということではなくて、効率よく生かしていくということで、管理計画の指針はまだ施行前ですので示されておりませんので、実際にこれがうまく機能していくように工夫をしていただきたいということで指摘をさせていただきました。ちょっと、もう少し見えてきてから、もう一度伺えればいいかなと思います。  それで、資料の2なんですけれども、第六条四項に、「自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。」という表現があるんですよね。これは認定基準を加えたというんですけれども、説明を聞いていると、そもそも災害リスクがあるところは長期優良住宅としてはふさわしくないから認定しないんだという説明をしておったわけですが、ただ、この条文の言い方だと、配慮すればよいのかというふうに受け止められるわけなんです。  実際、所管行政庁のアンケートを見ても、除外すべきエリアとして望ましいか否かということで、土砂災害特別警戒区域や津波災害特別警戒区域でも、望ましいと答えたところは五〇%にとどまっている、あとは条件付で可となって、これだと、結局、何らかの配慮をしたんだよということで認めてしまうのかしらと。  やはり、ここら、一体どこをどうするんだというのを明確にしてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
  106. 和田信貴

    和田政府参考人 まず、先ほどの御質問に対して十分にうまく説明できておりませんで、申し訳ございません。  災害への配慮ということでございます。  条文上は、おっしゃるように、災害リスクへの配慮、「自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。」というものを入れてございます。  これを実際に、どうその基準で運用していくのかということでございますが、まず、土砂災害、津波、洪水などの災害リスクが高い区域公共団体が既に指定している場合に、その区域認定を行う際の話でございます。  具体的には、災害の、この類型として申していきますと、土砂災害特別警戒区域などの災害危険性が特に高い区域、こういったものについては、長期にわたる居住に適しているとは言えないことから原則認定しない、こういったことを基本方針で定めていきたいと思っています。  また、災害危険区域のように、災害リスクに応じて建築禁止から建築制限まで規制内容に幅がある区域につきましては、所管行政庁の判断で、建築制限内容を強化して許可したり、あるいは、認定を全くしないということができるようにしたと。  あるいは、浸水想定区域のように、元々建築制限がない区域、ただし、一定危険性はあるものの、一律に居住を避けるべきとまでは言えない、こういった区域がございます。こういったところにつきましては、地域実情を踏まえて所管行政庁が必要な建築制限を加えて、そして許可することができるようにする、こんなようなことを、基本的な方針を国が作って示し、そして最終的には所管行政庁で自らの基準を作って運用する、こんなふうに考えております。  この具体的な基準につきましては、先ほどの、例えば浸水想定区域でやっていくときには、災害時の物的被害を軽減するための対策とか、あるいは、居室の床面の高さを想定浸水深よりも高く設けること、あるいは、災害時の機能継続確保する必要性が特に高いタワーマンション等電気設備浸水対策を行う、こういったことを定めて、これを満たしていれば許可をする、こういったようなことが具体的な基準として考えられます。  こういった基準を定めていただいて、時間的余裕を持って周知し、そして運用していく、こんなような仕組みにしていきたいと思ってございます。
  107. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 認めないものもあるとおっしゃいましたので、そこをやはり明確にしていただきたいということをお願いをしたいと思います。  答弁が丁寧過ぎて時間がどんどんなくなってしまったんですが、ちょっと飛ばしまして、資料の5を見ていただきたいんですね。  これは住宅性能表示の制度の事項の一覧なんですけれども、長期優良住宅と似た部分と、かなり違う部分があると思います。これは、黒丸が必須項目で、丸が任意で、圧倒的に任意が多いんですよね。どの程度、じゃ、任意の項目が評価されているのか。また、空気環境、これは六番にあるんですけれども、これはホルムアルデヒド対策や換気対策、室内空気中の化学物質の濃度ということで、非常にすごく大事なことだと思うんですね。私自身に寄せられる相談もすごく多いものですから、住宅性能表示制度に盛り込まれているのは大変よいと思うのですが、任意なので、実質どれだけ生かされているのか、知りたいと思います。お願いします。
  108. 和田信貴

    和田政府参考人 端的にお答えさせていただきます。  例えば、ホルムアルデヒドの発散量の少なさに関する等級の取得、これにつきましては、ここは任意の項目ですが、令和元年度におきまして、建設住宅性能評価を取得したもののうち、約七割程度となってございます。  また、ほかの例でいいますと、光とか視環境、こういったところにつきましては、戸建てで五割、共同住宅で五割、五五%、防犯については、戸建て五割、共同住宅三%、こんなような数字になってございます。
  109. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 七割というお答えでした。  私、すごく大事だと思うんですね。やはり良好な環境という、長期に住むということは、単なるハードの問題じゃなくて、やはり住む人の健康に優しい、それでこそ本当の長期優良住宅になるんだと思うんですね。  というのは、何が言いたいかというと、今回、住宅性能表示制度長期優良住宅と一体的に、かぶっているところは審査をしますよと言っております。とはいえ、資料の6を見ていただければ分かるように、かなり、項目は一緒でも基準は違うわけなんですね。これを一体的にすることで逆に緩和されるということがないように、今の、任意だけれども住宅性能表示で生かされているものはむしろ必須にしていくような前向きの見直しをしていただきたいなと思うんですが、ここは大臣、いかがでしょうか。
  110. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 おっしゃられる意味もよく理解するところで、先ほど荒井委員にも少し、優良という考え方について今後どうするのかというのは検討の余地があるというふうに思います。  ただ、現状でいいますと、長期優良住宅認定制度は、約百年、三世代以上にわたり使用することを想定した耐久性、維持管理の容易性等を備えた良質な住宅普及を図るための制度だということが現状です。  ただ、長期優良住宅認定基準であります耐震性、省エネ性、劣化対策、維持管理の容易性等の、こうした性能項目につきましては、いずれも住宅性能表示制度において必ず表示する項目となっておりますが、他方で、この表にも示していただきましたように、住宅性能表示制度の中には、光の取り入れ、採光ですとか、今言われた空気の話ですとか、音環境ですとか防犯に関することということについて、その住みやすさということを消費者の皆さんに分かりやすく提供するというための制度であって、必ずしも長期優良住宅制度がそこまで求めるのかというか、採光がよければ耐震が少し弱くなるとか、技術的なことはちょっと局長に聞いてもらいたいんですが、その辺の整理をしていかなければいけないんだというふうに認識をしておるところでございます。  いずれにいたしましても、冒頭申し上げましたように、今はこういう制度でありますが、恐らく、優良という概念をどうしていくのかというのは、しっかり検討することが大事なのではないかなと思います。
  111. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 是非、本当に人が長く住みたいという環境づくりということを検討していただきたいと思います。  今日質問できなかったこの資料の4の、市街地再開発の中でこの長期優良住宅をやる場合は補助率が大きく高くなるということでありますけれども、それに容積率緩和などもあると思います。  ただ、私は本当に、高層マンションとかあるいは公営住宅とかはむしろ標準装備していくべきだ、これだけ高く補助率を出して応援することよりも、当たり前のことなんじゃないのかというふうに思って、本当は質問したかったんですけれども、指摘にとどめて、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  112. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、井上英孝君。
  113. 井上英孝

    井上(英)委員 日本維新の会の井上です。  それでは、早速質疑に入らせていただきたいと思います。  今日は大臣和田局長にお聞きをしたいと思いますが、まずは局長にお聞きをします。  本法律案、ちょっと長いので省略させていただきますけれども、本法律案は、市場における住宅の質の向上を図ることということがまずは一番大きいと思います。また、あわせて、円滑な取引環境整備するという、この二つの柱によって、多世代にわたり良質な住宅が引き継がれる住宅循環システムというものの構築を図るものと理解しております。  具体的には、既にストックの数としては充足している我が国住宅市場において、既存住宅の流通を活性化し、よい住宅を長く大事に使っていくということを目指しているというふうに認識しています。  地球環境問題への対応や若年世帯の住居費負担の軽減を図る観点からも、いいものを造って、きちんと手入れをして、そして長く使っていくという、長期優良住宅制度普及促進ということだというふうに思います。  長期優良住宅は、長く、安心、快適に暮らせる家で、平成二十一年にスタートした認定制度基準をクリアし、認定を受けている家が長期優良住宅と呼ばれている。  これまでの新築の実績がありますけれども、細かい数字、平成二十一年から元年までの間で約百十三万戸、ストック全体の二パーである。各年度における新設の住宅着工戸数は、足下で一二・一、これは元年度、おおむね一一%で横ばいだというような様々な数字があるんですけれども、これまでの長期優良住宅認定制度の運用についてどのように総括しておられるのか、また課題についてどのようにお考えか、和田局長にお答えいただきたいと思います。
  114. 和田信貴

    和田政府参考人 お答えいたします。  委員おっしゃられたように、新築住宅全体の中で約一二%という現状になっていますが、このうち共同住宅につきましては、新築のうち〇・二%と、かなり低い数字になってございます。こういった共同住宅認定が進んでいないということは、一つ大きな課題と思っております。  その原因としましては、分譲マンションにおいて、例えば百戸の分譲マンションでは住戸ごとに認定手続が必要、こういったものが戸建て住宅と比較してかなり煩雑な手続になっていますので、認定がなかなか進んでいない、こういった原因の一つ、大きな原因の一つ考えています。  また、戸建て住宅につきまして、これは新築のうち、数としては二五%とかなり来ているんですけれども、その中でやはり中小事業者による認定というのが約一割強ということで、かなり少ない数字になってございます。ここが一つのまた課題だと思っていますので、この中小工務店のところを長期優良住宅整備に取り組んでいただくということが、新しくまた取り組んでいかなければいけない、そういったことかと思っております。
  115. 井上英孝

    井上(英)委員 是非、中小のそういう工務店、規模の小さい、小規模のそういったところも参加できるように、よろしくお願いしたいというふうに思います。  このほか、既存住宅の流通促進に向けて、やはり、中古住宅のイメージ、どうしても不安とか汚いとか分からないといったような従来のいわゆるマイナスイメージというのを払拭し、住みたいな、買いたいなと既存住宅を選択できる環境整備を図るため、国土交通省の告示で安心R住宅という制度ができました。これは四年前ですか、三年前でしたか、平成二十九年ですね、創設されました。こちらの利用実績を伺いたいと思います。また、このR住宅によっての効果というのをどのように評価しておられるのかも併せてお伺いしたいと思います。
  116. 和田信貴

    和田政府参考人 この安心R住宅につきましては、平成三十年の四月から運用を行っておりまして、令和二年の九月末時点で、累計三千三百二十五件の標章、印をつけた住宅が市場に出ております。  三千三百二十五という数字、必ずしも本当に十分な件数であるとは言えないかと思っておりますが、宅地建物取引業者におきまして、住宅の基礎的な情報、雨漏りしないとか、こういった基礎的な情報を明らかにして取引をすることの重要性、認識、意識、こういったものが浸透しつつある、こういったところについてはよかったことかなと思ってございます。
  117. 井上英孝

    井上(英)委員 当時、安心R住宅に関しての質疑も私はやらせていただいた記憶もありますので、是非、趣旨を機能させていただくように、改めてお願いしておきたいというふうに思います。どうしても、やはり中古住宅と新築ということになるといろいろな意味でのイメージも当時違うかったのを、どんどんどんどんイメージをチェンジしてもらえるようにお願いできたらというふうに思います。  また、近年は、地震のみならず豪雨災害が頻発し、甚大な被害をもたらしています。平成三十年七月豪雨では、西日本を中心に、河川の氾濫、私の地元でも様々な被害というのがありました。本年三月に閣議決定された新たな住生活基本計画では、頻発そして激甚化する災害新ステージにおける安全住宅住宅地の形成というのを目標として取り上げておられます。  本法案では、長期優良住宅認定基準に新たに災害への配慮基準というのを設けることとなっていますが、地域災害リスクに応じたきめ細やかな対応というのがやはり重要ではないかなと考えます。災害配慮基準の具体的な内容と、また、具体的にどのようなエリアでどのような配慮というのを求めるのか、局長にお伺いしたいと思います。
  118. 和田信貴

    和田政府参考人 いずれのエリアというのも、別の法律等で定められた災害危険性に関する区域でございますが、その中で、土砂災害特別警戒区域などの災害危険性が特に高い区域、こういったところにつきましては原則認定しないこととし、災害危険区域のように、災害リスクに応じて建築禁止から制限まで規制内容に幅がある区域、こういったところにつきましては、所管行政庁の判断で、建築制限内容を強化して認定したり、あるいはそもそも認定しない、こういったことができるようにし、浸水想定区域のように、建築制限はなく、一定災害危険性はあるものの、一律に居住を避けるべきとまでは言えない区域、こういった区域につきましては、地域実情を踏まえ、所管行政庁が必要な建築制限を定めて許可することができる、こういったことを考えており、これらを国が基本的な方針において示すこととしています。  また、これを所管行政庁の方で具体的な基準に作っていただいて、実際に認定していただくということを考えてございます。
  119. 井上英孝

    井上(英)委員 様々な配慮基準、しっかりと、やはり非常に災害が多いというか、是非気をつけていただけるようにお願いできたらというふうに思います。  続いて、この本法案、冒頭に申し上げた二つの柱があるということですけれども、その二つ目の住宅の円滑な取引環境整備、そして、具体的には住宅紛争処理機能の強化というのについてでありますが、お聞きをしたいと思います。  住宅紛争処理制度というのは、裁判外で紛争処理するための仕組みとして、平成十二年、当時としては非常に先進的な取組として創設されたものというふうに認識をしております。  現行制度新築住宅を対象とするものということでありますが、実績を見ると、過去二十年間は利用は進んでおり、ある程度定着してきているというふうに思います。一方、既存住宅に係る紛争を想起すると、新築住宅と比べ、複雑で解決に時間や力を要することが想定されるのではないかというふうに思います。  今般、住宅紛争処理の対象となる紛争としてはどのようなものが想定されるのか、また、指定住宅紛争処理機関にはどのような支援を行っていくおつもりか、局長にお伺いしたい。
  120. 和田信貴

    和田政府参考人 今般、紛争処理の対象に追加するというふうにしておりますのは、リフォーム既存住宅売買に関する瑕疵保険に加入した住宅についてでございます。  どんな場合にということを想定いたしますと、例えば外壁の塗装リフォーム、こういったことをしましたが、その工事後に塗装が剥がれてしまい、その修補に関してリフォーム事業者住宅にお住まいの方との間でトラブルが発生した、こういったような場合に紛争処理が活用される、そういったような例が考えられます。  また、紛争処理の制度、全国五十二の弁護士会が実施していますが、紛争処理を円滑に行うためには、弁護士会に対する支援を行うことが重要と考えています。  従来より、紛争処理支援センターにおきまして、経験のある弁護士さんあるいは建築士さんなどにも一緒にやっていただいて、法律的、技術的に参考となる資料集や手続マニュアルなどを取りまとめて提供する、あるいは、紛争処理委員、これは弁護士さんや建築士さんですが、こういった方に対する研修を行うなどの支援を行っています。  今回、既存住宅の紛争処理へ対象を拡大するに当たって、日本弁護士連合会などと必要な支援について今調整を行っているところですが、例えば、新たに既存住宅の紛争に関して法律的、技術的な知見を取りまとめ、資料集の拡充を図る、あるいは既存住宅の紛争に特化した研修を行う、こんなことを考えておりまして、紛争処理が円滑に実施に移されるように対応していきたいと考えております。
  121. 井上英孝

    井上(英)委員 是非お願いしたいと思います。  もうあとちょっと、三分になってきましたので、我が国は、現在、二〇五〇年のカーボンニュートラルということで、すなわち脱炭素社会の実現というのを目指しているということであります。ちょっと、もう時間もありませんので、次に大臣にお聞きをしたいというふうには思うんですけれども、住生活基本計画においても、省エネ基準の適合義務化を含めた更なる省エネ対策の強化というのを打ち出している。住宅の省エネ対策の底上げも大事なことでありますけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のためには、高い水準で市場を誘導していくということも重要であるというふうに考えます。  やはりその点、長期優良住宅は、三世代以上にわたり使用するというようなことで、耐久性を備える住宅だとか、建て替えの頻度が少なくなるとか、また、断熱性能にも優れた住宅であるということなどを踏まえると、カーボンニュートラルにも貢献するものであることが想定されるので、是非、長期優良住宅の省エネ基準というのをしっかりと見直していただく、そういう方針というのを挙げていただけたらと局長に要望しておきたいというふうに思います。  そしてまた、様々な目標がありますけれども、大臣にお伺いします、カーボンニュートラルに向けて、大臣の決意というのを是非お聞かせいただけたらというふうに思います。
  122. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 ちょっとこれは私ごとなんですけれども、かつてヨーロッパに行ったときに、OECDの事務局次長だったと思いますが、日本人のよく知っている方がいて、いろいろなアドバイスをしてくれたんですが、やはり、ヨーロッパに住んでいると、CO2の排出量の削減ということで、大変日本人の感覚が鈍いというふうに評価されていると。  そうしたことを受けて、それが直接かどうか分かりませんが、その中で、今回、総理が二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言して、それをやっていこうという、国際社会の中での足並みをそろえていくということでありますので、それは当然、私ども国交省、特に住宅建築部門は我が国のエネルギーの消費量の三割を占めていますので、ここがしっかりできるかどうかというのは本当に鍵になるというふうに思っております。  もう既に、国交省、経産省、環境省の三省合同で検討会を立ち上げ、この前も有識者の皆さんに様々な御意見をいただきながら、現実を踏まえながらどう進めていくのかということを、大変難しいチャレンジでありますけれども、目標はやり切るということで、そのために、中小の皆さん等が困らないような段取りもしっかりとしながら前にしっかり進めていきたい、こう決意をしております。
  123. 井上英孝

    井上(英)委員 どうもありがとうございました。
  124. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、古川元久君。
  125. 古川元久

    ○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。  早速質問に入りたいと思いますが、委員会前に大臣にもちょっと一言申し上げましたけれども、昨日の気候変動サミットで、菅総理は、二〇五〇年のカーボンニュートラル、その前段階、二〇三〇年において一三年度比四六%減と、これまで二六%だったのを二〇%引き上げる、そういう目標を表明をされました。こういう野心的な目標をしたこと自体、私は評価をしたいと思っています。  それで、昨日、ちょっとテレビを見ていましたら、その実現のためにはやはり住宅の省エネみたいなことも何か総理はちらっと言っていらっしゃったかというふうに私は記憶するんですけれども、住宅分野の省エネ推進も不可欠であって、この四六%という数字、これは、住宅分野でどれだけ省エネするとか、そういう具体的なものというのは、これも入った中での数字なんでしょうか、大臣
  126. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 これは、四六%という数字は、恐らく、二〇五〇年ゼロ、二〇一三年からスタートと。ちょっと変な話をすると、これはちゃんと経産省と環境省が責任を持って決めているわけですけれども、線を引くとというか、恐らく四六%前後だというふうには我々も思っておりましたし、そうした意味で、先ほど御答弁いたしましたが、住宅建築部門では元々、二〇一三年から三〇年、四〇%という、相当野心的な目標でありますけれども、それをチャレンジしているところでございます。  ですから、それを加速をして、四六%に合わせるべく取り組まなければいけないということでございまして、恐らく、これから政府の中で、各省庁と各所管のところのブレークダウンとかやり取りというのが詰められていくんだというふうに思っておりますが、我々は四六%を住宅建築の分野で実現するべく、しっかり取り組まなければいけない、そういう腹積もりで臨もうというふうに思っております。
  127. 古川元久

    ○古川(元)委員 この前、小泉環境大臣が、全ての住宅の屋根に太陽光パネルをしたらみたいな、そんな話もしていたんですけれども、そういうことも含めて、これから具体的な内容は検討するということですか。
  128. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 小泉さんが、ちょっとあれを読むと、例えばというような言い方で、ZEHの中ではこうこうこうだと、分かりやすい発言で言われたと思います。  ただ、この前、十九日の有識者会議の中では、積雪地域では全部屋根にパネルを載せるのは難しいというふうな意見も早速出たりとか、様々な御意見があると思いますので、それは、小泉大臣環境大臣として、全ての目標の中、責任者として話されたんだと思いますが、その一つ一つの所管分野は、我々国土交通省がしっかりとしたものを提言というか、目標として出さなければいけないというふうに考えております。
  129. 古川元久

    ○古川(元)委員 二〇三〇年まで十年しかありません。住宅というのは、そんな、すぐやって来年できるというものじゃないので、やはり具体的に、ではこの十年で住宅分野でどこまで省エネを進めるのか、そのために何をやるのか、一刻も早く具体的な案を作って、是非国会にも、我々も協力していきたいと思っていますから、法案として提案をしていただきたいと思います。今回の法案も、そういった意味ではそういう方向だと思っていますから、私たちはもちろん賛成ですけれども、是非そこをお願いしたいと思います。  その上で、グリーン住宅ポイントについて、今行われているものについて聞きたいと思います。  今のところの制度の利用状況は、どんな状況でしょうか。
  130. 和田信貴

    和田政府参考人 グリーン住宅ポイントにつきましては、本年の三月二十九日より、既存住宅の購入や工期の短い小規模なリフォームを除いて申請の受付を開始しており、直近四月二十一日現在で五百三戸の申請を受け付けております。  五月六日より全ての申請を、さらに、オンラインによる申請を六月一日より受け付けることとしており、今後、申請が本格化していくものと見込んでおります。
  131. 古川元久

    ○古川(元)委員 このコロナ禍での景気対策という一面はあるんだと思うんですが、このポイント制度住宅購入やリフォームのインセンティブになっている、そういうふうに言えるような状況にあるというふうに考えていますか。
  132. 和田信貴

    和田政府参考人 私どもとしては、まず、このポイント制度の創設に当たって、前回の次世代住宅ポイント制度では利用されなかった申請者や事業者等の意見もお聞きして、発行されたポイントを追加工事にも交換できるとか、対象期間に関する要件をなるべく簡素化するとか、オンライン申請もできる、最大発行ポイントを上げるなど、制度のインセンティブとしての設計を高めたつもりでございます。  また、三月、昨月末に、事業者に対して、これはまだほとんど申請が動いていない時期ではありますが、本制度への顧客の関心について聞き取ったところ、多くの事業者が、お客さんの関心はあると回答しております。まだその判断をするには早い時期だとは思いますが、今のところ、一定のインセンティブというふうに、方向に進んでいるのではないかと思っております。  いずれにしましても、制度の効果については、今後しっかり検証し、判断していきたいと思っております。
  133. 古川元久

    ○古川(元)委員 私が聞いたところによると、住宅に関心がある人が来て、こういう制度があるんですと言うと、ああ、それはいいですねと言うんです。だから、このポイントがあるから、じゃ、この機会にリフォームしようかとか、あるいは住宅を建てようかという、そこまでそもそも知られていないような状況みたいなんですね。もっと、制度をせっかくつくったんです、これは百万ポイントまであるわけですから、認知度を高めるために、何らかやはり政府としても方策を講じるべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
  134. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように、十分な周知というのをしっかりしなくてはいけないと思っております。  私どもとしましては、プレスリリースとか、業界団体を通じた制度の周知とか、こういうことをやっておりますが、こういったことだけではちょっと既存の手段かと思います。ユーチューブでの制度説明や何かも今回加えてみたり、あるいは、ウェブサイトでターゲティング広告、住宅取得に興味を持つ方のところには画面表示が入ってくるような、こんなことも更に使いつつ、制度の周知をしっかりやっておりますし、また、これから更にちゃんとやっていきたいと思っております。
  135. 古川元久

    ○古川(元)委員 せっかくつくった制度ですから、利用されるように、しっかり告知等、認知度を高めるために努力していただきたいと思います。  さて、私は、今回のこのグリーン住宅ポイント制度、新たな日常に対応する、これも目的の一つに入っていると思うんですが、そういう意味でいうと、新たな日常というのはテレワーク。テレワーク促進のためには、やはりそれに適した住環境整備というのが不可欠だと思うんですよ。前もここでもお話ししたかもしれませんけれども、やはり狭い家じゃなかなかテレワークをしづらいわけでありまして、例えばこの制度の適用要件の一つに、テレワークのための住環境整備につながるもの、そういった要件を追加して、例えば一部屋増やすとか、そういうリフォーム、テレワークに適した住環境整備を後押しするようにしてはいかがですか、大臣
  136. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 おっしゃられる意味はよく理解できるところでありますが、ただ、現状、それぞれの家族構成ですとか仕事の内容等によって、テレワークの環境というのはまだなかなか定型化は難しいというのが現実でして、どう定型するかで、これはポイント制度の対象にする、しないというのは、なかなかちょっと難しいというのが結論でして、今やられているのは、グリーン住宅ポイント制度の中にそうしたことは入れていませんが、そのポイントを使って、省エネ性能の高い住宅の取得やリフォームを行う際に取得したポイントを、いわゆるそれぞれの人がテレワーク環境整備のための追加工事や商品に交換できるということにしております。  具体的には、今おっしゃられたような書斎の増設ですとか、防音性能の向上のためのドアや窓の改善、間仕切りの設置、照明設備やインターネット環境整備等のテレワークスペース設置関連工事の実施ですとか、あとはパソコン、プリンター、業務用のデスクや椅子、商品への交換、それは、そういう意味では幅広く使えるというふうにしておるところでございます。
  137. 古川元久

    ○古川(元)委員 今出されている長期優良住宅、これを促進しようと。やはり住宅って、さっき荒井さんの話で、日本の場合は長もちしない。とはいっても何十年か。  より長期優良住宅促進しようというのですから、そのときに、なるだけ、やはり大きな家に住めるような住環境整備する。これは是非そういうことも考えて、制度をつくるときに長期視点に立って、特に住宅ですから、リフォームだって、そう毎年毎年できるわけじゃありません。そういった意味では、リフォームする機会に、じゃ一部屋、テレワークできるような、そういう部屋を増やそうとか、やはりそういうことにつながるような制度考えていただきたいということをお願いしたいと思います。  もう一つ、この制度なんですが、取得したポイントを追加工事に利用する場合には、来年の一月十五日までの入居完了報告をすることが要件とされていますけれども、大体標準的な工期等を勘案すると、来月、五月末ぐらいまでに契約を結ぶ必要があるんですが、これだとなかなか、結果的に利用できない人が多いんじゃないか。ですから、制度の最大限の活用を図るためには、この期限を遅らせるべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  138. 和田信貴

    和田政府参考人 おっしゃるように、令和三年度末までに事業を完了する必要があるため、取得したポイントを追加工事に活用する場合、令和四年の一月十五日までに本体工事と追加工事を終了し、完了報告をいただくということにしてございます。  注文住宅の新築など、契約後に、設計や施工等に一定期間を要する場合、ポイントを追加工事に活用するには、おっしゃるように、早期に契約を締結する必要があることから、私どもとしましては、補正予算案の閣議決定日でした令和二年の十二月十五日に、制度の対象となる契約の始期にしたとともに、ポイント対象となる要件等を公開して、早期の契約締結が可能となるように努めてまいりました。  しかしながら、おっしゃるように、なかなかタイトなスケジュールであるということは、そのとおりだと思います。お尋ねの完了報告期限につきましては、何らかの弾力的な運用ができないのか、こういったことを考えるように大臣からも指示をいただいておりますので、考えてまいりたいと思っております。
  139. 古川元久

    ○古川(元)委員 予算の執行の関係というのは、こちらの都合ですよね。こういうものはやはり顧客の都合というか、しかも商慣行というんですかね、住宅なんかは当然時間がかかるわけですから、やはりそこに合わせた形で、せっかくつくった制度が、結果的に期限でできないからというので、ほとんど使われないで済んだ、終わってしまったということにならないように、是非改善をいただきたいということをお願いしたいと思います。  時間も詰まってしまいましたので、最後の質問になるかと思いますが、長期優良住宅について、なかなか認定取得が増えない理由の一つには、やはり認定取得に必要なコストに見合うメリットがない、そういうふうに考える人が多いとも言われています。  やはり認定取得をもっと促すためには、例えば、購入時の税負担を軽くするとか、売却時には市場で高く評価されるとか、また、ちゃんと認定を受けると家賃がそれだけ分、高く設定できるとか、やはり認定取得に伴うコスト、これをはるかに上回るぐらいのメリットをつくる、そのことによって認定取得を促していくべきじゃないかと思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
  140. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 そうしたことも含めて、これまでも、認定を受けた長期優良住宅につきましては、住宅ローン減税の借入限度額を、一般より一千万高い五千万円に設定するなどの特例を設けておりますし、住宅金融支援機構のフラット35におきましても、〇・二五%の金利優遇がなされているところでございます。また、中小工務店が実施する整備に対しましても補助が、限度額百十万円でございますが、支援措置を設けております。  ただ、他方で、よく古川先生、御専門なので、私有財産にどこまで支援するのかという議論もありながらの中で精いっぱいやってきているということでありますので、私、今日、岡本委員の質問のやり取りで出ましたが、住み終わったときに、より価値がある、リバースモーゲージみたいなことを使って、それが流通するような市場の仕組みをつくっていくということがやはり大事だと思うんです。一つ一つの部分的な支援を深掘りするということよりも、全体の仕組みをしっかりと整えていくということが、私は、個人的な認識かもしれませんが、そうしたことにしっかり取り組むことの方が、我が国においての、長期優良住宅という本当の意味での文化が根づくのではないのかなというふうに思っておりますので、しっかりそうしたことも含めて取り組んでいきたい、こう思います。
  141. 古川元久

    ○古川(元)委員 長期優良住宅というのは、大臣、私有財産だと言われましたけれども、ある種、これは町並みをつくっていくことにもなるんだと思うんですよね。そういった意味では、やはりその町並みを維持していく。日本ぐらい、ある意味で、誰でも好き勝手に好きな住宅を造れる国は余りないんじゃないかと思います。例えばパリなんかに行ったら、高さ制限もあり、形も含めて制限される。それはまさに町並みということ。だから、そういう公共財の側面もあるということを考えたら、そこは一定の制約があってもいい。でも、その代わり、ちゃんとそこはそういうものとしてやはりサポートしていく、優遇もつくっていく。  だから、私有財産であるから自由だ、だからサポートも限られるんだというのは、ちょっとやはり、住宅は、特にこの長期優良住宅のようなものは町並みを形成する一つだ、そういう視点での是非メリットを、思い切った形でつくっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
  142. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 目指すべきはそうだと思います。ですから、私有財産であるけれども自分の資産は継承していくんだ、それは空き家にしてはいけないんだというところまで、やはりそういう文化を育てるということが大事なのではないかというふうに考えています。
  143. 古川元久

    ○古川(元)委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
  144. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  145. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出住宅の質の向上及び円滑な取引環境整備のための長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  146. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  147. あかま二郎

    ○あかま委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平口洋君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本共産党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。城井崇君。
  148. 城井崇

    ○城井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。     住宅の質の向上及び円滑な取引環境整備のための長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。  一 分譲マンション等を住棟単位長期優良住宅として認定する制度の導入に当たっては、一部の住戸が認定基準を満たさない場合の取扱いを含め、その運用の詳細について早期に検討を進めること。また、長期にわたり維持保全を行うこととなる管理者等の負担に配慮するとともに、管理者等に対して責務や必要となる手続についてわかりやすく周知すること。  二 長期優良住宅災害に係る認定基準に関して、認定を行う所管行政庁における円滑かつ適正な運用を確保する観点から、地域災害リスクへの配慮の方法に係る運用基準所管行政庁が策定できるよう必要な支援を行うこと。また、所管行政庁の準備期間を十分確保するため、運用に係る基本的な方針等を早期に示すこと。  三 共同住宅に係る長期優良住宅認定基準の見直しに当たっては、賃貸住宅の特性を踏まえ、良質な賃貸住宅供給促進されるものとなるよう検討を進めること。  四 長期優良住宅に係る技術的審査の求めと住宅性能評価の申請を併せて行うことが可能となることを踏まえ、長期優良住宅認定の申請を行おうとする者が住宅性能評価書を取得するか否かを適切に判断できるよう、その取得に係るメリットやコストについて十分な周知を図ること。  五 指定住宅紛争処理機関が行う住宅紛争処理の対象に既存住宅等の瑕疵に係る保険に加入した住宅に関する紛争が追加されることにより、同機関にこれまで以上に高い専門性が求められることに鑑み、住宅紛争処理支援センターによる情報提供や研修等も活用し、同機関に対して十分な支援を行うこと。  六 良質な既存住宅が市場で評価され、次の世代に承継されていく住宅循環システムを構築するため、インスペクション、住宅履歴情報住宅の状態を適切に反映する建物評価手法などの活用の促進を図るとともに、安心R住宅制度の運用見直し等により、既存住宅の円滑な取引環境整備を推進すること。  七 カーボンニュートラルの実現に向け、住宅や小規模建築物の省エネルギー基準への適合義務化も含め、住宅建築物の省エネルギー対策等の抜本的な取組強化についての検討を進め、早期に結論を得ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  149. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  150. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。
  151. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 住宅の質の向上及び円滑な取引環境整備のための長期優良住宅普及促進に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました各事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め、理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。  誠にありがとうございました。     ―――――――――――――
  152. あかま二郎

    ○あかま委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  154. あかま二郎

    ○あかま委員長 次回は、来る五月十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十三分散会