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2021-03-12 第204回国会 衆議院 国土交通委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十二日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あかま二郎君    理事 古賀  篤君 理事 谷  公一君    理事 土井  亨君 理事 平口  洋君    理事 簗  和生君 理事 城井  崇君    理事 小宮山泰子君 理事 岡本 三成君       秋本 真利君    井上 貴博君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       小里 泰弘君    鬼木  誠君       加藤 鮎子君    門  博文君       金子 恭之君    菅家 一郎君       工藤 彰三君    小林 茂樹君       佐々木 紀君    鈴木 貴子君       田中 英之君    田中 良生君       高木  啓君    中谷 真一君       中村 裕之君    鳩山 二郎君       深澤 陽一君    堀井  学君       三ッ矢憲生君    村井 英樹君       山本  拓君    荒井  聰君       伊藤 俊輔君    岡本 充功君       辻元 清美君    広田  一君       松田  功君    道下 大樹君       山本和嘉子君    太田 昌孝君       北側 一雄君    吉田 宣弘君       高橋千鶴子君    井上 英孝君       古川 元久君     …………………………………    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    国土交通大臣      岩井 茂樹君    国土交通大臣政務官    小林 茂樹君    国土交通大臣政務官    朝日健太郎君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 馬場竹次郎君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官)  浅沼 一成君    政府参考人    (国土交通省大臣官房公共交通物流政策審議官)  久保田雅晴君    政府参考人    (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君    政府参考人    (国土交通省航空局長)  和田 浩一君    政府参考人    (国土交通省北海道局長) 後藤 貞二君    政府参考人    (観光庁長官)      蒲生 篤実君    国土交通委員会専門員   武藤 裕良君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十二日  辞任         補欠選任   秋本 真利君     村井 英樹君   井上 貴博君     佐々木 紀君   田中 英之君     鬼木  誠君   北側 一雄君     太田 昌孝君 同日  辞任         補欠選任   鬼木  誠君     田中 英之君   佐々木 紀君     井上 貴博君   村井 英樹君     秋本 真利君   太田 昌孝君     北側 一雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案内閣提出第一二号)      ――――◇―――――
  2. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房公共交通物流政策審議官久保田雅晴君、鉄道局長上原淳君、航空局長和田浩一君、北海道局長後藤貞二君、観光庁長官蒲生篤実君、総務省大臣官房審議官馬場竹次郎君及び厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官浅沼一成君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。堀井学君。
  5. 堀井学

    堀井委員 皆さん、おはようございます。自民党の堀井学でございます。  委員長を始め理事皆様に、質問機会をいただいたことに感謝を申し上げたいと思います。また、この法律案と関わりの深い委員として質問機会をいただいた与党理事皆様方にも感謝を申し上げたいと思います。  本日は、四国の選出の国会議員はおりませんが、北海道では中村先生鈴木先生と私と三名おり、その代表として質問をさせていただきたいと思います。四国の分まで質問させていただきたい。そして、JR貨物の分まで代表して質問させていただきたいと思います。  国交省は、本法案提出を見込み、昨年末の早い段階で、JR北海道JR四国JR貨物に対する支援継続拡充決定されました。各社共に新型コロナウイルス影響を受け、過去最大赤字という厳しい現状の中ではありましたが、この支援決定というのを年末に図っていただいた。大臣、副大臣政務官を始め、国交省鉄道局皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。  現行の法律は、今年の三月末をもって失効となります。この法律案については、令和十二年度までとする、十年にわたり支援延長を図る時限措置となっております。そもそも、新型コロナウイルス感染症とは関係なく、支援延長拡充を図るものであります。  昨年は、JR北海道JR四国、二社共新型コロナウイルス感染症影響を受け、国鉄分割民営化以降、最大赤字となる影響を受けております。加えて、JR貨物も厳しい状況が続いております。この一連の感染症による影響額を含んだ支援内容になっているのか、最初にお伺いいたします。
  6. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染拡大影響によりまして、JR北海道JR四国旅客需要が大幅に減少し、営業収益が大きく落ち込んでおります。また、JR貨物においても、国内外の経済活動の停滞による輸送需要の低迷という事態に当たっております。  このうち、特に影響の大きいJR北海道及びJR四国によれば、令和二年度の第三・四半期までの旅客運輸収入につきまして、JR北海道では対前年比五二%減の二百六十六億円、JR四国では対前年比五一%減の八十九億円となっております。  こうした状況を踏まえ、国土交通省としましては、各社資金繰りに係る対策として、雇用調整助成金国税等の納付の猶予等措置に加えまして、過去に鉄道運輸機構から貸し付けられた無利子貸付債務につきまして、今年度分の償還を猶予する措置を講じております。  しかしながら、感染拡大による影響収束にはいまだ至っていないことから、より抜本的な資金繰り対策が必要と判断し、今回の支援におきましても、鉄道運輸機構からJR北海道四国に貸し付けた無利子貸付債務を株式化する、いわゆるデット・エクイティー・スワップを実施することとし、法案の中にそのための規定を盛り込んだところでございます。  今回の新たな出資制度も活用することによって、各社債務の圧縮や資本の増強を通じて財務基盤を強化し、資金繰り円滑化を図ってまいりたいと考えております。
  7. 堀井学

    堀井委員 加味した内容になっているということでありますので、引き続きの御支援お願いしたいと思います。  次の質問は、ちょっと時間がかかりそうなので、短縮をさせていただきたいと思います。  感染症対策として政府の進めたテレワーク普及外出自粛等影響で、コロナ収束後においても、景気回復の鈍化により、思うような旅客需要回復が図られないことも考えられますので、このような場合の支援内容の変更や更なる追加支援を、コロナ影響を受けた日本経済のことも加味して柔軟に対応していただきますように、この質問は飛ばさせていただいて、皆様方にお伝えをさせていただきたいと思います。  次に、本法律案は、青函トンネル及び本州四国連絡橋改修費用負担の見直しが図られることとなっております。今後莫大な改修費用が見込まれていただけに、改正に盛り込まれたことは感謝するものであります。  しかしながら、JR北海道JR四国にある老朽化した土木施設は、青函トンネル本四連絡橋だけにとどまりません。広大な面積自然環境が厳しい北海道、台風の通り道でもあり大雨災害の多発する四国においては、劣化も速く、耐用年数も短くなります。  今後も改修工事に必要な修繕費が多額になることが予想されますが、これらの支援についてはどのような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。
  8. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  青函トンネル本四連絡橋は、いずれも昭和六十三年の開業から三十年以上が経過し、老朽化が進んでいることから、抜本的かつ大規模改修工事が必要となっております。  今後、青函トンネルにつきましては毎年約四十億円、本四連絡橋につきましても毎年二十億円の大規模改修が必要と考えておりますが、これらの大規模施設を維持するため、今後とも長期にわたり改修を実施していく必要がございます。  このため、特に厳しい経営状況が続くJR北海道及びJR四国につきましては、老朽化した施設更新等、必要な施設整備につきまして、これまで無利子付け助成金交付により支援を行ってきたところでございますが、引き続き、助成金交付によりこれらの整備支援するとともに、新たに、青函トンネル本四連絡橋の大規模改修に対しては、鉄道運輸機構による負担としてまいりたいと考えております。
  9. 堀井学

    堀井委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。  次に、貸付けを行う金融機関に対しての利子補給についてお伺いいたします。  政府利子補給を払って、会社市中民間金融機関から資金を調達させることとした、その目的ですね。今後、債務返済が滞った場合に、民間金融機関債権者という立場で会社経営に関与されたり、赤字線廃線を迫るような事態は生じないのか、お伺いをいたします。
  10. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  JR北海道及びJR四国鉄道事業については、将来にわたって非常に厳しい経営環境が見込まれることから、鉄道事業以外の関連事業を充実させることによって経営改善することが不可欠と考えております。こうしたことから、今回、利子補給という形で、鉄道事業のみならず、関連事業も含めて支援することができるよう、法案措置することといたしたいと思っております。  関連事業に係る資金調達に当たっては、これまで行ってきた鉄道運輸機構の無利子付けではなく、市中金融機関からの借入れに対する利子補給を行うことにより、各プロジェクト採算性について民間の視点から適切な審査が行われ、事業健全性を高めるものと期待しております。  利子補給の対象となる借入れは、具体的な開発案件の個別のプロジェクト単位金融機関審査を行うこととなりますので、この審査に際して、金融機関が個別の路線廃止を求めるなど、JR経営全体に影響を及ぼすことは想定されないと考えております。  国土交通省といたしましても、この利子補給制度も活用して、しっかりと経営基盤を強化していきたいと考えております。
  11. 堀井学

    堀井委員 ありがとうございます。そういう事態は生じないということで、安堵しております。引き続き注視してまいりたいと考えております。  この度の改正で、機構による会社土地取得等の業務ができるものと定められております。  実は、この規定は私の地元が深く関わっております。三月に廃線決定している日高線においては、管理費用が今後十年間にわたって約三億円程度固定資産税都市計画税が年間六百万程度負担が生じるところでありましたが、本規定によりJR北海道負担を軽減させるための改正となっており、感謝をさせていただきたいと思います。  国交省は、土地取得や不要な土地処分を行う機構に対してどのような役割期待し、効果を狙っているのか、お伺いをいたします。  また、当分の間と定めておりますが、どの程度期間を想定されているのか、お伺いをいたします。
  12. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  JR北海道等におきましては、路線廃止等により不要となった土地の大部分について、例えば、JR北海道におきましては百五十六万平米が処分できずに引き続き保有せざるを得ない状況となっております。こうした土地につきまして、自らの責任において継続的に管理しなければならず、侵入防止柵の設置、除草などの維持管理コストや要員の確保の面からも大きな負担となっております。  このため、御指摘のとおり、本法案によりまして、鉄道運輸機構による土地引取制度を創設をいたしまして、鉄道運輸機構土地管理及び処分をする仕組みを設けることといたしました。まずはこれによりまして、委員指摘のとおり、JR北海道等維持管理費用軽減等が図られると思います。  また、鉄道運輸機構の前身の国鉄清算事業団、この事業団発足以来行ってきました土地処分のノウハウを活用することによりまして、JR北海道等が保有する処分を一旦機構に集約をいたしまして、処分までの効率的な管理、売却後の利活用方策提案も含めたきめ細かな対応を図りながら、効率的、効果的な処分を行うことが期待されると思います。  なお、先ほど御指摘いただきました当分の間でございますが、各社からの土地引取りは令和十二年度までといたしておりますが、処分にはそれから一定期間がかかることから、引き取った土地管理処分については具体的な期限を設けずに、当分の間としたものでございます。
  13. 堀井学

    堀井委員 今後、北海道は、十年後に北海道新幹線が開通をされます。札幌駅前の大規模開発も行われる予定であります。輸送収支だけではなかなか利益を出していくことができず、こうした土地取得や不要な土地処分によって、不動産の取引等々で連結決算をもって黒字化を図っていかねばならないという厳しい現状北海道に待ち受けておりますので、この機構役割に我々も大変期待をいたしているところでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。  資料皆様方にお配りをさせていただきました。次に、今般の国の支援継続及び拡充において、JR北海道単独では維持することが困難な線区のうち、黄色線区に対する支援は別途検討することとなっております。お手元の資料を見ていただきたいと思いますが、非常に長い区間、そして、重要な路線のこの黄色線区についての問題であります。国交省はこの黄色線区に対してどのような見解をお持ちなのか、お伺いいたします。  またあわせて、今後、自治体支援協力によって改善が図られるかが存続の鍵となりますが、黄色線区沿線自治体都市部ではなく、町村や中山間地域を抱える極めて財政力の厳しい自治体であります。JR北海道が求める支援自治体が実施し、結果を出していくためには、国の財源措置が不可欠となると考えます。この財源措置必要性について国交省はどのようにお考えなのか、この二点についてお伺いをいたします。
  14. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  JR北海道単独では維持困難としておりますいわゆる黄色線区におきましては、JR北海道地域関係者の方々が一体となりまして線区ごとアクションプログラムを策定し、利用促進などの取組が行われているところでございます。  今回、JR北海道等経営自立に向けた支援継続することとし、かつ、より踏み込んだ支援を行うよう必要な措置を盛り込んだ国鉄債務処理法等改正案を取りまとめ、提案をさせていただきました。  その中で、この黄色線区につきましては、道庁協力をいたしまして、道の第三セクターが観光列車を保有をし、JR北海道に無償で貸し付けるといった、いわゆる上下分離の方式を活用した支援も行うことといたしております。その際、これにつきましては、鉄道運輸機構一定負担をするとともに、道庁負担に対しましても地方財政措置が講じられる予定となっております。  国土交通省といたしましては、こうした取組を通じまして、地域JR北海道とが一体となって観光列車を活用して需要を喚起し、JR北海道経営改善にもつなげていただくことを期待いたしておりまして、その後押しとなる必要な支援を行ってまいります。
  15. 堀井学

    堀井委員 財源措置道庁に行われるということで、極めて厳しい財政状況である北海道庁に対しましても、よろしくお願いをしたいと思います。  あわせて、基礎自治体、この路線を二年後に運行継続か決めることとなるわけでありますけれども、第二期集中改革期間ということが言われております。残り二年の折り返し地点JR北海道は立たされているわけであります。令和四年の収支改善が図られなければ廃線によるバス転換決断し、収支改善が図ることができれば沿線自治体協力支援による運行継続というのが決定をされるわけでありますけれども、この二択となっております。  これは、関係する沿線自治体にとっては非常に重たい決断が迫られることとなります。運行継続決定しても、沿線自治体にはいつまで支援金協力金を払い続けるのかという不安が広がり、財源措置を求める声が大きくなることは、これは言うまでもありません。  また一方、廃線によるバス転換という決断沿線自治体が素直に受け入れてくれるということは考えられません。私の地元日高線においては、五年間にわたって災害による路線影響を受けて運行できず、五年間ずっと七町の首長が国交大臣、そしてさらには様々な鉄道局皆様方支援お願いを求めてきたという、私には実体験がございます。  これには、私は、沿線自治体が受け入れやすい環境整備も国を挙げて支援をしていくべきだというふうに考えております。例えば、期間を短縮した高速道路整備ミッシングリンクの解消を図る、港湾の整備を行う、漁港、農地の整備林道整備等公共事業等支援をするなど、廃線地域の衰退につながるものではないという政策づくりも必要になるかと考えます。  三月で廃線決定することとなっている私の選挙区の日高線においては、十八年間でバス転換に係る費用は二十五億円となっております。それ以外で、線路の撤去、踏切の改修工事、さらには橋梁の撤去、護岸の整備等で、廃線が決まっても、今後八十億円の撤去費用がかかるということが言われております。合わせると百五億円です。非常に大きな財源となるわけであります。  まずは集中期間終了後、二年後に迫っておりますけれども、JR北海道決断を私は見守りたいと思いますが、この議論が再び北海道の最重要課題になるものでありますので、引き続きの議論、そして協議する場を是非お持ちいただくように、お願いを申し上げておきたいと思います。  最後に、大臣にお伺いをさせていただきます。  この度の改正は、各社に対して、令和十三年までには必ず経営自立を果たし、完全な民営化を目指すという国交省の本気の強い意思が示されたと私は感じております。各社共にその温かさを感じているところだと思います。  JR北海道においては、平成二十二年、自己都合退職者が二十人程度でありました。しかしながら、令和元年は百六十五人、令和二年においては二百人に及ぶと言われております。採用間もない若い社員も辞める現状が続いているわけであります。社員の中には、歯を食いしばり、給料が十年、二十年近く上がらずとも、懸命にJR北海道鉄道責任と使命を果たすために、必死で頑張っている社員もおります。  この法律改正を受けて、JR北海道JR四国JR貨物皆様に対して、各社で頑張っている社員に、大臣から期待とエールを含めてメッセージを送っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  16. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 このJR北海道の問題は当委員会でも何度も質疑があり、私自身も視察のたびに、一応、在来線には乗車をさせていただいて、そうした思い、また、北海道の広大な面積人口密度の極めて低いという特殊性、そうしたものを肌で感じながら、何か解はないかということを探ってまいりました。  ややもすると、国と地方の押しつけ合いとか、採算がなければ廃線だみたいな民営化の論理とかということで本当に片づくものではないというふうに、私なりにそう認識をして、広大な土地ですから、廃線をすれば、簡単に代替交通手段ができるという環境ではないわけですので、できるだけ路線は守れるようにという地元皆さん思いに応えられる、もちろん、経営ですからぎりぎりの判断もしなければいけない局面はあるかと思いますが、それは、これまで以上に国土交通省責任を持って、踏み込んだ形で支援をしながら、こうした支援内容とか国の意気込みをよく分かっていただいて、そして、社員皆様には、やはり誇りと、将来に対する不安をなくして、全力で頑張っていただきたいと心から念ずるところでございます。  以上です。
  17. 堀井学

    堀井委員 ありがとうございました。  質問を終わります。
  18. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、岡本三成君。
  19. 岡本三成

    岡本(三)委員 おはようございます。公明党、岡本三成です。質問機会、ありがとうございます。  今回のこの法案JR北海道四国、貨物、この三社の経営状況が非常に厳しいということで、引き続き経営支援しようということは非常に重要なことだと思います。  元々、JR北海道四国は、国鉄分割民営化の時点から人口減少等がありまして、経営基金を積んでも、それでも、運用益赤字補填しても、経営は難しいんじゃないかということも言われてまいりました。加えまして、金利が下がって、コロナもあって、今本当に厳しい状況だと思います。そのようなことを総合的に考えると、今回の二千四百六十五億円の支援は必要不可欠だというふうに思います。  その上で、国鉄民営化から今日まで、もう既に三十年以上経過をしておりまして、その間のJR北海道四国経営努力に関して、国交省はどういうふうに評価しているんでしょうか。仮に金利の低下がなくてコロナがなかったら、この二社というのは全然違う経営状況になっていたんでしょうか。それとも、元々の経営の今後の方針というものが甘かったんでしょうか。どういうふうな御評価か。  さらに、今回はしっかりと支援することが重要だと思っていますけれども、今後、経営努力に緩みが出ないように、どういうふうな指導方針を持っていらっしゃるかということを御答弁をお願いいたします。
  20. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  昭和六十二年の会社発足以降、JR北海道JR四国は、地域人口減少や他の交通手段発達等に伴う厳しい経営環境にさらされながらも、お座敷列車などのいわゆるジョイフルトレイン運行割引切符の販売などによりまして収入増を図るとともに、サービスの効率化等によって経費の削減にも取り組んできたものと承知しております。  先ほど御質問ございました経営安定基金運用益が、当初、国鉄改革時には七・三%という見込みを取っておりました。しかし、その後の低金利ということもございまして、今は三%前半という運用益になっております。  もしこれが、七・三%が確保されていたらどういう状況になったかというのは、非常にシミュレーションが難しいところでございますが、ただ、一つ言えますのは、そうした運用益が確保できないということを踏まえてこの法律平成二十三年にできまして、そして、それからは、この両社に対する支援を相当強化してきたということでございます。  今回、コロナウイルス影響等もありますので、規模内容共思い切った支援をしたいと考えております。ただ、これを経営自立につなげるためには、委員指摘のとおり、各社取組進捗管理の徹底と、支援効果検証が不可欠と考えております。  このため、各社経営改善取組に係る数値目標達成状況については四半期ごと検証を行うなど、経営自立に向けた取組が着実に進められるよう、引き続き指導監督をしてまいりたいと考えております。
  21. 岡本三成

    岡本(三)委員 JR四国に関しまして、観光列車等を導入をして大変な経営努力をされているのはよく分かっています。一方で、人口減少も進んで、高速道路や本四橋が整備をされると、いわゆるストロー現象で、JR四国が御苦労されているという現状もあります。  その上で、昨年の三月三十一日、JR四国は二〇一一年に十年間の経営自立計画を立てましたけれども、これが未達になっているということで、国交省から「JR四国経営改善について」という文書が発出されております。その中で、それまでの十年間のこの経営計画の未達の理由を分析するようにJR四国に求めており、そこから今後の十年間の長期ビジョン並びに五年間の中期経営計画を作るというような厳しい要求もされています。  その結果、昨年十二月二十五日、三社への支援を発表した同日に、JR四国から、今後の十年間の長期ビジョン二〇三〇と、同じく五年間の中期経営計画の骨子が発表されましたけれども、この新しいビジョンに関しまして、新計画に関して国交省はどういう評価をされているんでしょうか。この新しい計画が実現できれば自力で十分経営改善ができるというふうに御判断をされているんでしょうか。答弁をお願いいたします。
  22. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  今回の支援策の策定に当たりましては、令和二年三月にJR四国に対して行政指導文書を発出し、その中で、同社の経営自立計画の未達の要因分析を求めてきたところでございます。  また一方で、同社のみに検証を委ねるのではなくて、国としても、これまでの同社の取組や今後の支援がどうあるべきかなどについて、JR四国議論をしてまいりました。  こうしたことを踏まえまして、委員指摘のとおり、昨年十二月に、国として、今後必要となる支援策を公表するとともに、同社においても、中期経営計画及び長期経営ビジョンの骨子の公表に至ったものでございます。  この中期ビジョンにつきましては、まず、かなり先の将来的な計画でありますが、これを前提として今回の支援策は考えております。ただ一方で、足下、コロナ禍によりまして、この影響がどれぐらいになるのかということにつきましては、今まだ現在、この五か年計画につきまして最終的な調整を行っているところでございます。  この五か年計画とそれから今回の支援を同時並行でやることになってしまったのは、この法律が今年三月三十一日で切れるために、切れ目なく支援をするとすればこういうスケジュールになっているということでございますが、基本的には、将来ビジョンを達成するために今回の支援を行っていくという構造になっていると考えております。
  23. 岡本三成

    岡本(三)委員 加えて、JR北海道経営についてもお伺いをしたいんですが、元々、分割民営化のときに北海道は大変危惧をされていたというふうに私は記憶をしておりますが、仮にこの安定化基金がしっかりと運用益が出たとしても安定的な経営は困難だというふうな批評もたくさんありました。  加えて、鉄道輸送量も激減するんじゃないかと言われていたんですが、一九八七年、分割された後に、結果的に、実はこの輸送量、急増しているんですね。そしてその後、横ばいになっています。その意味からは、北海道はすごく頑張ったんじゃないかというふうに評価できると思うんです。  ただ一方で、この輸送の量の内容を見ますと二極化していまして、札幌を中心とした路線は大変増えているけれども、そのほかの地方路線は本当に大変な状況で、減少している現状なんですが、今後どういう経営方針JR北海道に適切とお考えかということを御答弁お願いします。
  24. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  御指摘の、JR北海道の旅客輸送量の二極化につきましては、具体的に見ますと、札幌都市圏では、札幌と空の玄関口である新千歳空港間の輸送を担う千歳線につきまして、JR北海道発足しました昭和六十二年との比較でも輸送密度が二倍以上になっており、また、昨年のダイヤ改正でも快速エアポートを増強するなど、輸送力増強が図られてきているところでございます。  まず、JR北海道経営改善に当たっては、札幌都市圏の旺盛な需要を取り込み、関連事業も含めた収益向上を図っていくことが重要であり、今回の法案において創設する利子補給制度によりまして、札幌駅前の再開発の後押しなども図ってまいりたいと考えております。  一方で、札幌都市圏以外の地域では輸送量が大きく減少しておりまして、国鉄時代であれば廃線となる基準の輸送密度四千人未満の線区が営業キロ総延長の七七%に達するという厳しい状況になっております。人口減少が続く地域にありましては、通勤、通学、通院などの生活交通の需要だけでは路線の維持は難しく、域外の観光需要を積極的に取り込む必要があると考えます。  JR北海道におきましても、本州の鉄道事業者と連携して観光列車運行などを行ってきておりますが、今回のJR北海道に対する支援の一つとして、観光需要を取り込んだ路線の維持を図っていくため、国と道が協力をして、北海道の第三セクターを活用した観光列車の導入を進めることとしております。
  25. 岡本三成

    岡本(三)委員 政府は株主なわけですから、四国北海道に対して、温かく厳しい経営指導を是非お願いしたいと思います。  最後、大臣に要望したいことがあるんです。  この法律日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律なので、もちろん、今回の法律の趣旨も、JRに対する支援継続拡充しますということなんですが、基本的な目的をちゃんと共有してほしいんですね。すごい冷たい説明になっちゃっているんです。  閣議決定した一月二十九日の国交省のホームページに、JRに対する支援継続拡充しますと書いてあるんですが、その目的は、地域住民の方々の生活を守り、地域の活性化を支援することですよね。にもかかわらず、手段ばかり言っているので、法律がすごい冷たい法律に聞こえるんですよ。いろいろなところで説明するときには、そこにいる人を守っていくんだというようなことを常に言及をしながら、この法律の目的ということを、私たち議員にも、そのほかのところでも徹底して言っていっていただきたいということが一つ目のお願い。  加えまして、先ほどの堀井委員質問にもありましたが、JR北海道四国、貨物の方々が物すごく退職されているんですね。北海道は、令和元年、百六十五名、これは新規採用数の五〇%が退職。JR四国は七十五名、新規採用数に対して五三%、JR貨物は三三%、それぞれ退職。  これは世代交代の新陳代謝だったらいいんですが、何と退職する方の中における三十代以下の割合、今後その会社を担っていく人、北海道は九五%若手です、四国は退職したうちの八八%若手、貨物は八三%、これから会社を担う人が辞めているんですね。何で辞めているかって、やはり分かるんですよ。将来生きていくために役に立ちたい、地域の役に立ちたいと思っているのに、駄目会社だと物すごい言われるわけです。  なので、JRの中で働くことの意義、誇りをやはり持っていただきたいと思っていて、私、大臣に二つ要望があるんですが、一つは、入社式とかに、大臣出席、リモートでしょうから、ビデオメッセージか何か送っていただけませんか。皆さんがこの会社の中で成し遂げていただこうとすることは地域住民のために本当に大切なことなんです、国の役に立っているんですとビデオメッセージを送っていただくようなことで、株主としての責任をちゃんと果たしていただきたいというのが一つ目の要望。  二つ目は、やはり給料が安いんですよ。辞めている方々のほとんどは、より給料の高いところに就職しています。当然です。生活するためには金が要るんですね。  今回、二千五百億円程度の、経営支援のために金を出しますけれども、組織を守っても人がいなくなったら会社は回らないんですよ。であれば、人件費に金を使うことも組織を守ることであり、その結果、目的である地域住民の生活の向上につながるので、私、やはり給料が安過ぎると思います。JR四国北海道、貨物の給料に関しても経営陣にしっかりと指導していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  26. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 まず、前半の政策についての思いとか、私は日頃から役所の職員に言っているんですけれども、様々なこと、どうしても国にいると現場が遠くなる。非常に、たまに説明でも、他人事というか第三者的なことを言って、そうじゃないだろう、こうした声はどこから出ているのかということを、現場から遠いとはいえ、それを分かった上で、困っている人にこんなことが言えるか、そうしたやり取りが間々あります。ですから、そうしたことは、やはり国土交通省の職員としては、そういう意識改革をしてもらいたいということは常に申し上げているところですし、それが、そうしたことがなかなか消えないので、ちょっとホームページを見ておりませんけれども、そういうことになっているものかと、改善に努めたいと思います。  また、若手の職員、これはもう昨日の、玉木さんにも同じことを申し上げましたが、組織の盛衰というのはやはり人材育成に懸かっていると思います。そうした意味で、若手の皆さんが離職しているというのは大変厳しい状況でありますし、いろいろ分析してみると、やはり将来に対する不安と、今の勤務状況が大変厳しい、そうしたことだというふうに出ているということでございます。  ですから、これはちょっと、入社式のメッセージというと、国が、国交省が株主になっているのって結構ほかにもあるので、何でそこだけという話にもなりますが、今回、法改正をした思い、国は、皆さんに対する期待とか、やらなければいけない使命と責任があるんだということを私なりに訴えさせていただくというような手段は、入社式云々じゃない。私、よく分かりませんけれども、それは、株式会社へ乗り込んでいってということではないので、やり方はいろいろあると思いますが、そうしたことを伝えることは具体的に考えたい、こう思っております。  そうしたことで、いずれにしても、現場の皆さんが、本当は、大変重要な鉄路を守るということを誇りを持って仕事ができるように、そうしたことがやはり何よりも最重要だという思いの中で、血の通う国土交通行政に徹していかなければいけないと思っております。  それで、給料については、これは結局、業務改善していかなければいけないということの中で、多分これまでは、そんな高い給料を取っているんじゃないというような批判があって、随分コストカットしてきた歴史があったんだと思います。ですから、今回のこういった支援も、まず、例えば真っ先に給料に入ると、何のためにやっているんだと、すぐ、常にそういう、何というか裏腹なところがあるので、多分この支援で給料云々ということは、すぐにはなかなかしづらいと思いますが、私はこの前、社長に申し上げたのは、こうした改革を成し遂げて、その結果、給与水準が上がり、若手の皆さんの離職が食い止められるようなことを目指して頑張ってほしい、こう伝えたところでございます。  以上です。
  27. 岡本三成

    岡本(三)委員 思いを共有していただいておりますので、是非しっかりと前に進めていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  28. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、荒井聰君。
  29. 荒井聰

    ○荒井委員 立憲民主党の荒井聰でございます。  冒頭、大臣、本当にありがとうございました。今度のこの施策、私が想定していた以上のレベル、水準でありまして、本当にありがとうございます。そして、大臣のこの姿勢、施策の結果だけではなくてこれを進める過程というものが、北海道関係者JR関係者、あるいは住民にも深く浸透しているというか、北海道へ来たら必ずJR北海道に乗っていただく、そしてたまには職員と対話をしていただく、そういう努力というか、それが伝わって、今まで冷たかった北海道庁も随分変わったというふうに思います。いや、一番変わったのが、私は鉄道局だと思います。  五年前、私がこの北海道JR問題を担うというか関心を持ってやり始めたときには、鉄道局は、北海道JRに対する支援はまるで砂漠に水をまくみたいなものだ、幾らつぎ込んでも結果は出てこないという雰囲気でした。確かにそのとおりだったんですね。事故は起きるわ、車両火災は起きるわ、脱線事故は起きるわ、挙げ句の果てに、社長二人が、元社長も含めて自殺をしてしまうという、これは経営体としては異常ですよね。  そんなところに、まあ法律で認めたところはやるけれども、それ以上のことはなかなかできないというのが、役所の立場としてはそんな状態だったのではないだろうかなというふうに思います。それを変えられたのは、私は大臣だと思います。そして、その下に、局長はもとより、石原課長や木村課長など、精鋭が本当に真剣に取り組んでいただきました。  今、霞が関の役人になりたいという希望者がどんどん減っています。それは、いい仕事ができないからなんですよね。仕事の量だけ多くてその成果がなかなか表れないというのを体験すると、こんなところにいられるかということで若手の人たちがどんどん辞めていく、あるいは新卒も入ってこなくなる。そういう中で、こういう精鋭をしっかりと鍛え上げていったというのは、私は大臣の大きな功績だと思います。  こんな意味も含めて、今度の取り組んだ方向性なり方針なり、大臣から一言ありますか。
  30. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 まず、荒井先生から過分なお褒めの言葉をいただいて何か恐縮をしておりますし、ただ、これも率直に申し上げて、荒井先生からこのJR北海道のことを長く議論していただいたということが大変大きなきっかけでありますし、やはり、役所の中の職員も、別に私が鍛えたということではなくて、そうした思いの中で、当時のJR北海道現状ですとか役所の方針ですとか、やはり行政改革云々というような流れの中とか民営化の中で、やはりじくじたる思いで、なかなかやりたいことができなかった若手職員も多分多くいたんじゃないか。  その中で、様々、私が申し上げたのは、北海道道庁がこうしないからという責任にするのでなくて、国として気持ちを込めてやっていきたいと私は思ったし、そうしたことに触れて、一生懸命、現場の北海道運輸局長を始め現場の人も、なるべく、道会議員の皆さんや首長の皆さんとも膝を突き詰めて、様々、率直な意見交換をしながら、何とかやろうと。  私は、後ろ向きの支援だけじゃつまらないし、北海道というのはやはり観光一つとってもまず物すごく可能性があると思っていますし、札幌が百九十万という巨大な都市ですけれども、二番、三番手が余りに小さいので、そこの中核というのが地方創生という政策と相まってできてくれば、間違いなく鉄道行政が復活する可能性があるのではないか。これは、私もそんな専門家じゃありませんけれども、私はあってしかるべきだろうなというふうに思っていますので。  これは実は、鉄道局だけじゃなくて、国交省を挙げて、できることはフルにやりたい、チャレンジしたい、そういう気分で、今回たまさかそうしたこの法改正の時期に当たりましたので、そうしたマインドで取り組んでいこうということで、責任ある課長を始め皆さんが、名前を挙げていただいて大変恐縮しておりますが、彼らが一生懸命やっていただいたことの成果というか結果がこの今回の支援策だというふうに思っております。
  31. 荒井聰

    ○荒井委員 ありがとうございます。  昨日、東北大震災の十年で、被害に遭われた方が述べられておりましたけれども、その中の岩手県の方が、復興の象徴として三陸鉄道が全線開通いたしましたと、うれしそうにそれを亡くなられた方々に報告をされていました。  鉄道というのは何か違うんですね、心に響くものが何か。鉄道の復興、あるいは鉄道を通すということが、私は、何なんでしょうかね、少し、道路が開通したというのとか、そういうものと違う、何か心に響くものがあるんじゃないかと思うんですね。  私は、道庁時代に、一九九〇年代の初頭だったと思いますけれども、全国でもローカル線としては百キロ以上の長い鉄道、池北線、これは銀河線と言っていたと思うんですけれども、それを廃線にしたんですね。そのときの直接の担当ではなかったんですけれども、最高責任者が副知事の鈴木さんという方で、その後、行政局長になられましたけれども、自治省から来られた方で、この方も鉄道が好きで、できたら存続させたいんだけれどもと言いながら廃線をせざるを得なかったという、その立場におられました。  鉄道がなくなると、必ず高校がなくなっちゃうんです。高校がなくなると、そこに、高校を卒業して就職するという人がいなくなっちゃうんです。つまり、地域が崩壊するんですね。どっちが先なのかというのは議論もあるんですけれども、私は、地域を存続させるために、高等学校と鉄道というのは不可欠なんじゃないかというふうに最近思っています。  北海道では今、高等学校の統廃合が進んで、結果的には、鉄道は要らないというような議論につながっていって、鉄道廃止が続いています。  今回私が非常に心配しますのは、日高線についてです。日高線を、結果的には、日高沿線の地方自治体の長が協議会をつくって、廃線を了解をしてしまったんでしょう。私はこれは非常に心配をしています。地域自体が崩壊するきっかけになるんじゃないか。  というのは、池北線でその例を見ているからなんです。あそこを廃線にしたことによって、あの沿線の地方自治体というのは極めて大きく崩れていきます。バス転換で、バスで通学させます、バスで運行させますというのがその当時の道庁の説明でした。私もその説明に加わった一人でしたけれども。でも、それは数年間で終わってしまって、バス会社経営体の中ではそんなに優遇してやれないというのが基本でしたから、結果的にはその地域の崩壊に結びついていったという極めて重たい過去を見てきました。  その意味では、冒頭おっしゃっておりましたけれども、この黄色線区というのをしっかり残していく、地域のためにどのような役割を担っているのかということを、しっかりと地域とともに議論をしていくということがとても必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  32. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 私、東日本大震災のときは、福島の原発の現地対策本部長、実は十一代目で、一年九か月間、福島に毎週通っておりました。そのときの、JR常磐線が開通しなくて、率直に言うと、なかなかお客さんも少ないし、放射能ですから、大変な、バラストも全部入れ替えなきゃいけないとか、組合からも、多分、随分いろいろな意見があったというふうに間接的に聞いております。  最初出された案というのは物すごく時間がかかる工程でして、私は、もう一度ゼロから考え直してくれと。相当前倒しをして部分開通があり、昨年三月だったかな、全線開通、ちょっと三月かどうかあれですけれども全線開通したときに、やはり、列車が通らない風景というのは生活感がないと私も思いました。浜通りの全駅で、何もセレモニーというのはなかったんですけれども、自然発生的にその喜びがあふれ返っていて、ようやく浜通りの復興も第一歩が始められたなというふうに思いました。ですから、私も、まさに鉄道の魅力というか力というのはそういうことであるのではないかと。  そうした意味で、冒頭申し上げましたが、黄線区については、基本的にはできるだけ死守するという方向で頑張るということが原則だと思っておりますが、これまでの経緯の中で、地元自治体JR北海道、様々議論もされてきているという経過もありますので、そこについては尊重しながら、そして、廃線という、ここの日高線は四月一日からそういう措置をするということで、バスの代替ということで、私が承知しているのは、在校生に対しての定期代についての支援ですとか、また、JRからは、廃止後十八年間、バスを維持するための支援金として、たしか二十五億円、これは何に使っても構わないということですけれども、そうしたものも出されているので、そうした中で、地域住民の皆さん、特に高校生の皆さんに、このことがあって進学を諦めたとかというような状況が出ないように、そこはしっかり注視していかなければいけない、こう思っております。
  33. 荒井聰

    ○荒井委員 これは道庁に大きな役割があるんだろうと思います、地域をしっかりと見ていくというか、そういうことのためには北海道庁の役割は大きいと思うんですけれども、北海道庁も財政が非常に厳しいので、なかなか新しい仕事ができないという過程の中にあります。そういう意味では、国の支援というのを待ち望んでいるという実態にあると思うんですけれども、それは鉄道局だけではなくて、地方交付税や地方債などの地方支援策というものをもまた併せ持っていなければ本当の意味の支援策にはならないということを感じているからだと思うんです。  今日、総務省は来ておられますか。今回の全体の計画の中で、地方財政についてはどのような取扱いをしていますか。
  34. 馬場竹次郎

    ○馬場政府参考人 お答えを申し上げます。  いわゆる黄色線区への支援といたしまして、北海道の三セクでございます北海道高速鉄道開発株式会社観光列車等を取得する経費につきまして、鉄道運輸機構による助成と、北海道による補助を協調して行うこととしていると承知をいたしております。  総務省といたしましては、国土交通省及び北海道とも十分協議をした上で、新たに、北海道による補助に係る経費の全額につきまして地方債を充当可能とすることとしておりまして、これによりまして、北海道財源の確保や財政負担の平準化が図ることができるようになるものと考えております。
  35. 荒井聰

    ○荒井委員 地方創生事業というのは、もっと使ったらいいと思うんですよね。  地方創生事業という事業をつくられた石破さんというのは、この方、鉄道すごく好きなんですよね。あの制度をつくったときに、もっと地方自治体から、鉄道補強というか、鉄道事業関連事業が希望として上がってくるんじゃないかというふうに思ったらしいんですけれども、全然上がってこなかったと。どうしてなんだろうか、そういう話を不思議そうに言っておられました。  私は、地方創生事業鉄道にも適用できるんだということが地方で余り知られていないんじゃないだろうかというような思いもあることと、あれは三か年間でしかないのでということもあったのかもしれませんけれども、今回のように鉄道車両を補助するみたいなものは、この地方創生事業を十分に使えるんじゃないかというふうに思います。  地方創生事業については内閣府かもしれませんけれども、実質は総務省が指揮を取っておられると思いますので、総務省からそういう点を少しサジェスチョンをしてやることが必要なんじゃないでしょうか。そうすることによって、鉄道局も少し肩の荷が下りるところもあると思いますので、是非そのことをやっていただければというふうに思います。  さて、その次、鉄道事業については、お客さんをどう増やすのか。これはインバウンドで、北海道なんかの場合にはインバウンドではどんどんどんどん増えましたので、調子よかったんですけれども、今ここに来てそれが止まっちゃっているんですけれども、いずれそこは戻るかもしれません。しかし、本当にインバウンドを、十分、鉄道の乗客として、そこを活用できるような仕組みになっているのか。  例えば旭川空港というのは、これからどんどん大きくなっていくと思います。しかし、旭川空港から旭川に行ったりあるいは札幌に行くのに、すぐそばまで鉄道が来ているのに鉄道を使えない。あるいは、千歳にしても、ほとんど千歳で降りた人は札幌に行くわけなんですけれども、しかし、そこは制限があってなかなか乗降客の増加に結びついていかないということがあります。  この空港アクセスの問題というのは、乗客を増やす大きな私は要因だろうというふうに思うんですけれども、しかし、そこの増強の部分について大きな土木事業が必要としますので、なかなか今のJR北海道ではできないという状況にあるんだろうと思うんです。  そこで、私は前から主張しているんですけれども、北海道全体の公共事業としてこの空港のアクセス問題というのを取り扱うようにしてはどうだろうか。大きな制度改革が必要かもしれません。しかし、そこまで踏み込む時期に私は来ているのではないだろうかと。これは、北海道局に聞くと、いや、できません、こう言うんでしょうけれども、これはもう政治的なそろそろタイミングなのではないかな、反対する中村さんがいなくなっちゃったけれども。これはいかがですか、どなたか。
  36. 後藤貞二

    後藤政府参考人 お答え申し上げます。  鉄道の空港へのアクセス強化は、委員のおっしゃるとおり、重要な課題であると認識しております。  北海道開発予算でございますけれども、北海道総合開発計画を効果的に推進するための公共事業を中心に計上しているものであります。したがいまして、JR北海道鉄道事業そのものに北海道開発予算を活用することは難しいと考えております。  なお、北海道開発予算の活用に関しまして、過去には、空港整備事業の一環として、空港敷地内のトンネル部分の整備において活用した事例があります。  現在、新千歳空港では、鉄道アクセスの強化について、JR北海道北海道庁、北海道エアポート株式会社など地元関係者において検討を行っていると聞いております。国土交通省としましては、地元からその検討状況についてお話を伺いながら、どのような対応が可能か検討してまいります。
  37. 荒井聰

    ○荒井委員 それが北海道局長からの答弁なんでしょうね。  私が言っているのは、北海道開発予算というのはもっと柔軟に扱ったらいいんじゃないですかということを言っているんです。それに法改正が必要なら、法改正したらいいんですよ。  元々、道路予算というのは道路特定財源という、ガソリン税の一部分を道路に使用するものだから、その建設に道路特定財源という財源の仕組みをつくったんですね。だから、道路特定財源をほかの公共事業に充てることはできないという理屈があったんですけれども、これは、道路特定財源に対する特定はおかしいという批判があって、一般財源にしたんですよ。  なおかつ、当時は建設省と運輸省で別々でしたけれども、もう既にこの両省が合併して一つの省になったんですよね。一つの省になったのなら、インフラ省庁として、まさしく日本のインフラを担う省庁だということで、北海道開発予算という形じゃなくて、北海道のインフラ予算だという形で、制度の大きな改革に乗り出すべきなんじゃないでしょうか。  そして、先ほども岡本さんからお話がございましたけれども、たくさんの人が北海道JR四国JRや、そういうところから流出をしています。どういう人が流出しているかというと、技術屋さんが多いんです。特に土木の技術屋ですね。地方自治体に就職する人が多いんですけれども、地方自治体で下水道だとか水道だとか道路だとかを造る技術者がどんどん少なくなっていますので。JR自体も、もはや、トンネルを造ったり整備をしたり橋梁を整備したりする人がほとんどいなくなっているんですよ。  どこに、北海道の場合にはそれがいるかといったら、それは開発局ですよ、大型の公共事業は。開発局の技術は、日本の中でも最も優れた技術陣だと思いますよ。  そういうところの技術陣を使っていく。予算を鉄道局にやれとか北海道JRにやれとかというのではなくて、そこが造ればいいじゃないですか。そのぐらいのことを考えて、北海道全体の公共事業、インフラの整備をしていくという段階に私は来ているんだというふうに思います。  元々二十分の時間しか私にはもらえなかったんですけれども、急遽十分伸ばしていただきまして、三十分ありますので、もう少し大所高所で、貨物の話をしたいと思います。  国鉄民営化で、JR東やJR東海など、日本の代表的な民間企業がこれによってつくられました。世界でもまれに見る民営化の成功例だと言われています。そうだと私も思います。それと匹敵するポテンシャリティーを持っているのが私は貨物だと思うんです。日本に、船も持ち、鉄道も持ち、飛行機も運営するような、そういう貨物会社というか、流通業者はいません。もしもそれがやれる可能性があるとすれば、私はJR貨物だと思うんです。  あの船の運航の技術、四国JRが持っていたんですけれども、それは今やもう三十年前ですから、そのときの技術屋さんやなんかはいなくなったんだと思うんですけれども、しかし、そのDNAは残っていると思うんですね。また、JR貨物の社長さんは、日本郵船ですか、フェリー会社の社長さんが転じておりますので、そこは十分に連携ができるんだろうと思うんです。  JR貨物の将来をどうするのか。特に、北海道の場合には青函トンネルがあります。あそこを並行で走らせるのは、十年先はもう無理ですよ。JR貨物をどうやって世界的な企業に育てていくのか、今のポテンシャリティーを発揮させるのかということは、大きな、私は、国鉄民営化の残された最大の課題だと思います。  もう一つは、北海道JR四国JR、十年後どういう状況が想定されるのかということを踏まえた運輸事業全体の再編のそういう理想というものも、理念というものも、もう十年しかないんですから、議論する時期に来たのではないか。その意味では、国鉄民営化、三十年たちました。三十年間の検証を踏まえた国鉄民営化白書といったようなものもしっかり作るべき時期に来たのではないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  38. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 我が国の民営化でいうと、一番大きな事業国鉄民営化だというふうに思っておりますし、やはり光の部分と影の部分があったんだろうというふうに思います。こうしたことは、やはりこれだけ大きな事業ですし、三十年間経過したことで総括をするということは非常に重要だと思いますし、そこから大きな学びというのも出てくるというふうに思います。  ちょっと、私、にわかにJR貨物のことをお答えする、ちょっと持ち合わせておりませんが、荒井先生から言われたのは、前回は、海上を活用したらどうだろうかと、食材ですね。私、確かに、釧路ですか、行ったときに、毎日のように生乳が海で運ばれて、すばらしい回数というかピッチでやられている、そこに相積みみたいなことは本当にできないのかということは検討しなければいけないと思いました。  ただ、そこをJR貨物にやってもらうというところまでちょっとまだ、そこはそういう想像はしていなかったので、そうしたことも含めて、大きな転換点もありますし、ここは本当に、うまくやれればすごく飛躍できるけれども、失敗すると本当にマイナスの方向の悪循環になってしまうという大変重要なことだという認識を持ちながら、国交省の中でしっかりと検討していきたい、こう思っております。
  39. 荒井聰

    ○荒井委員 JR北海道問題に最も関心を持っていたのは、去年お亡くなりになりました松田さんです。松田さんは、本当に、鉄道マン、国鉄民営化を引っ張っていった立て役者の一人ですから。彼、松田さんが常日頃言っていたのは、あのときの宿題はJR北海道JR四国JR九州の三島問題とJR貨物だ、この問題を解決しなければ、本当のJR民営化を成功させたとは言えないんだ、すぐ廃線しろというような議論になりがちだけれども、廃線をするということは国鉄マンにとっては敗北だ、本当の意味の解決策ではないと。そして、廃線をしようとしているその地域を全部乗ってみろ、どんな地域の状態なのか、それを利用している人たちの気持ちはどうなのかということを一人一人聞いて歩けということを言われました。  残念ながら、昨年の五月に亡くなりました。この計画書を見たら、よくやったと、私は、言ってくれるだろうというふうに思います。十年先のことは書いていないんだけれども、でも、これが、現時点でやれるだけのことはやったという、そういう評価を得ていただけるだろうというふうに思いまして、私の質問を終えさせていただきます。  ありがとうございました。
  40. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、広田一君。
  41. 広田一

    ○広田委員 立憲民主党・無所属の広田一でございます。  荒井先生の経験に裏打ちされました深い議論の後で大変やりにくうございますけれども、どうかよろしくお願いを申し上げます。  荒井先生の御質問の最後の点にあったJR四国について、私自身が四国の出身でございますので、このことを中心にして質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず、JR四国の将来像についてであります。具体的には、JR四国経営自立について議論をしたいと思います。  通常、経営自立というふうに申し上げると、東日本や東海、そして西日本のように株式を上場して完全民営化をすることだというふうに理解をいたしますが、四国の場合は、今度、経営ビジョン等を出そうとしておりますけれども、今後十年で完全民営化を達成することは、私は現実的には難しいんだろうというふうに考えます。  同じく経営が厳しいJR北海道の場合は、二〇三一年度に連結最終利益を黒字化し、特例業務勘定による国の支援を受けることなく当社は経営自立とあります。  四国も、資料にありますように、長期経営ビジョン二〇三〇年によれば、持続可能な経営体質、安定的な事業運営と継続的な維持更新投資を可能とする収支、キャッシュフローの実現を構築し、二〇三一年度の経営自立を目指すというふうにありますが、これは、通常考えられている経営自立とはやはり異なるものではないかなというふうに思うわけです。ここで言う持続可能な経営体質の構築というのは、あくまで経営自立を実現するためのプロセスだというふうに思うわけでありますけれども、そこでお伺いをいたします。  JR四国の十年後の将来像について、同社の目指す経営自立とは、具体的にどのような姿を想定して目指しているのか。この点、岩井副大臣、いかがでしょうか。
  42. 岩井茂樹

    ○岩井副大臣 広田委員にお答えをいたします。  経営自立についての御質問でございますが、まず一般論といたしまして、公共交通機関の大動脈を担うJR北海道、またJR四国、そして国土の物流ネットワークを担うJR貨物の再建の道、これはなかなか厳しい道だと認識をしております。が、一方で、この再建という課題というのは、大変重要な課題だとも思っております。  国鉄民営化から間もなく三十五年を迎えようとしておりますけれども、先生お地元JR四国におきましては、沿線の人口減少とか、様々な施設老朽化等があってなかなか厳しい経営だった、それに加えて、現在、新型コロナ感染症の拡大ということもあって、大変厳しい状況だと認識しております。  その中で、今般の法改正によりまして、JR二島貨物の支援を十年間延長するわけでございますが、委員指摘のとおり、まさに将来像が描けないと、なかなか持続的な、継続的な支援も難しいというふうにも考えております。  まずは、中期経営計画の最終年度である令和七年度において、JR四国単体で売上高の経常利益率を一%を達成することといたしまして、令和十三年度までに、経営自立として、グループ全体、ホテルの経営とかいろいろあると思うんですけれども、そのグループ全体で持続可能な経営体質の構築を目指してまいります。  このため、JR四国経営自立に向けた支援といたしましては、例えば、JR四国経営安定基金について、安定的に一定運用益を確保するとか、本四連絡橋改修費用に係るJR四国負担を免除するなどのことを考えております。そのため、必要な措置を今回の改正案に盛り込んでいるところでございます。  このように、JR四国に対しまして、これまでにない思い切った支援策を講じておりまして、まずは同社におきまして支援策を最大限に有効活用していただいて、十年後の経営自立の実現に向けて全力で取り組んでいただければと思っております。  以上です。
  43. 広田一

    ○広田委員 岩井副大臣の方から、るる支援策等についての御答弁をいただきました。その話を聞いても、今般、非常に手厚い支援策を講じていただけるということについては高く評価をしたいというふうに思うところでございます。  ただ一方で、ちょっと一点申し上げれば、このJR四国経営ビジョンと中期の経営計画というのは、実は骨子、概要だけであって、全体が公表されていないんです。本来であれば、このように法改正をする、多額の予算をつけるということであれば、やはり全文、全容をしっかり公表した上で国会で審議をしなければいけないのではないでしょうか。この点は、ちょっと順序が違うなというふうに指摘をさせていただきたいと思います。  ただ、その上でも、いろいろな支援策を講じていただいているわけでありますが、今の御答弁でも少しはっきりしないのが、持続可能な経営体質を構築するということは、それは非常に賛成であります。これはやらなければならないんですけれども、しかし、それがイコール経営自立ということではないわけですよね。持続可能な経営体質を構築することが経営自立だというふうに定義づけしているわけではないと思うんです。  JR四国とか北海道が言う、二〇三一年度に経営自立というのは一体何なのか。これまでは、冒頭申し上げたように、株式を上場して完全民営化するのが経営自立だったわけです。それを二〇三一年度に実現できるというふうにお考えで今般このような支援策を講じるのか、そうではなくて、JR北海道四国が考える経営自立というのはまた違った意味での在り方があるのか。この点、どういうふうに整理をされているのか、明確にしていただければと思いますが、岩井副大臣、いかがでしょうか。
  44. 岩井茂樹

    ○岩井副大臣 今般の改正案でございますけれども、経営自立ということで委員からの御質問でございますが、コロナ影響ということもある中で、なかなか読めないところもあるという中で、中期経営計画の中に全体像が示せないというのは、恐らくそういうようなこともあったかと思います。  そのような中で、国土交通省といたしましては、まずは持続可能な経営体質の構築、これの積み重ねにより経営自立を果たすことができるというふうに考えておりまして、その中で、先ほどお話ししましたとおり、鉄道だけではなくて、例えば子会社を含めた連結、マンションの分譲とかホテルの経営等の様々な連結の中で経営状況をよくしていただきたいという思いでございます。
  45. 広田一

    ○広田委員 御答弁にあったように、非鉄道事業等を含めて様々なことを駆使して、連結で経営状況改善させるというふうなことはよく理解できます。ですから、そういうふうなことを通じて、じゃ、JR四国の将来像として、経営自立といったものは一体どういうことなのかというところが、やはり今の御答弁を聞いても明確ではないんです。  本来であれば、経営自立というのは株式上場をすることによって実現していくというふうなのがこれまでの事例であったというふうに思うんですけれども、最終的な目標はそういう理解でよろしいのか、それをあくまで二〇三一年に目指していくのか。この点はやはりはっきりしないと、まさしく将来像とか経営自立というふうな大きな目標を共有することができなくなりますので、この点については是非とも明確にしていただきたいと思いますが、岩井副大臣、いかがでしょうか。
  46. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、経営自立イコール完全民営化、株式の売却かということに対しましては、この法律ができました平成二十三年の時点でも議論がございまして、その場合にも、完全民営化だけが経営自立ではないという議論を行っております。現時点におきましても、この法律を十年間延長するに当たりましても、その考え方は踏襲したいというふうに考えております。  では、どういう目標が経営自立の一つの考え方かというふうになりますと、平成二十三年にこの法律を作ったときも、先ほど副大臣が答弁をいたしました令和七年度における目標、この売上高、経常利益率一%というのは一つの目安として当時も考えておりました。  したがって、そうした経営自立というものは、そうした経営諸表から表れてくるものだというふうに考えておりますし、その最終目標としては、やはり株式売却、完全民営化ということがあるんでしょうけれども、少なくともここで述べております経営自立というのは、株式が売却されないと実現できないというようなものではないと考えております。
  47. 広田一

    ○広田委員 上原局長、お話ししたいことはよく分かるんですけれども、やはりちょっと曖昧なんですよね。ですから、是非、このJR北海道四国における経営自立というのは一体何なのかということを、それを支える地域住民の皆さんに対して分かりやすく御説明するように、これからも鋭意議論を積み重ねていっていただければなというふうに思いますので、その点、よろしくお願いを申し上げます。  その上で、先ほど岩井副大臣の方からもありましたように、四国が抱える構造的な問題について若干議論をしていきたいと思います。  JR四国の抱える構造的な課題は、第一に、人口減少、少子高齢化が全国に先駆けて進行することであります。  具体的には、国立社会保障・人口問題研究所によりますと、二〇二〇年の四国人口は三百六十九万八千人でありますが、これが二〇三〇年には三百三十六万六千人と、八・九八%減少します。つまり三十三万人減るんですけれども、実は、この三十三万人の減少というのは、高知県の県都高知市が消滅してしまう計算になるわけであります。非常に衝撃的です。  第二の課題は、百万人規模の大都市を有しないことです。四国最大の都市は愛媛県松山市です。それでも人口は約五十万人。よって、不動産などの非鉄道事業についても、やはり抜本的な収支改善は難しいのが現状であります。  第三は、これは率直に私自身ジレンマも感じますけれども、高速道路整備が進むことによって相対的に鉄道の競争力が低下することであります。  第四は、唯一、新幹線を持たないJRJR四国であります。これは鉄道事業収入の柱がないことを意味します。しかも、ほかのモードとの競争力が弱いわけであります。例えば大阪に行くにしても、私自身時々利用させていただきますし、岡山の乗換えは比較的待ち時間も少なくてスムーズだというふうに思いますけれども、そういった乗換えのストレス等々で鉄道の優先度が低く、かつ速達性も低いということであります。  そこでお伺いしますが、赤羽大臣におかれましては、我が四国の方には何度も足を運んでいただいております。先般は宿毛の方にまでも来ていただきまして、ありがとうございました。これらのるる申し上げた構造的な課題については、もう既に肌で感じられており、重々御承知だというふうに思いますけれども、この四国の構造的課題をどのように認識をされて、それらを踏まえて、課題解決のため、今回の支援策の在り方についてどのように考えられているのか、お伺いします。赤羽大臣、いかがでしょうか。
  48. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 今、広田委員が御紹介されたのは、これは客観的に事実だと思いますが、私、他方で、率直に申し上げると、北海道へ行くと、北海道ぐらいあれだけ広くて人口密度が低いと、やはりなかなか鉄道事業は難しいだろうなと直感的には思うわけですね。やりようがあるんじゃないかということで、違うことを考えなければいけない。北海道、特に、さっき申し上げましたが、札幌が百九十万で圧倒的に大きくて、第二、第三の都市というのは随分差がある、これもなかなか鉄道事業として難しい。  他方で、四国は、松山が一番大きくて五十万人ということは、結局、そういう、何というんですかね、人を引きつけるだけのパワーがある都市が少ないということが一つあるんだと思うんですが、他方で、私は、四国というのは非常に観光の資源もすばらしいし、また企業も、非常に世界に冠たる企業も幾つもありますので、僕は、四国って、そういう企業としてすごいところがあるなといいながら、なぜ、その四国の人がわざわざ阪神圏や東京圏に出てくるのかな、もっと地元で頑張ってほしいなと、こう率直に思うわけです。  結局、鉄道事業は、人口というか交流人口がないとやはり成り立たないというのが現実だと思いますので、それは、一つはやはり鉄道局だけの話ではなくて、国交省というより政府全体、地方創生をどう四国で盛り上げていくのかとか、観光でいうと、私は、非常に四国というのは魅力的で、一週間ぐらい滞在しながら四県を回っていただくと、恐らく、宿毛なんて、私も初めて行きましたけれども、あの自然というのは北海道の道東地区に負けないぐらいすばらしいものがあるけれども、多分、ほとんどの日本人は行ったことがないと思います、失礼ながら。  ですから、そういう、四万十川を見て、私も随分眺めましたけれども、初めてあの清流を見て感動したとか、そうした様々なことをする中で鉄道事業があるのではないかと。確かに、高速道路との、鉄道事業だけ考えると非常に、大体、高速道路が発達すると鉄道がマイナスになるというのは、これは北海道も多分似たところがあってなんですが、それはしかし、地域住民の皆さんにとってみれば、それは鉄道であろうが、やはり車で動くということも必要なので、そこはなかなか否定的にはできないわけであります。  しかし、私、ちょっといろいろなことを、答弁っぽくないので申し訳ないのだけれども、一つは、このコロナ禍という制約の中で、人の働き方、住まい方が変わっている、人口の移動も始まっているというところで、是非四国の持たれている魅力を発揮していただいて、地方移住ですとか二拠点居住ですとか、そうしたことを本当にうまく活用していただきたいなと思いますし、瀬戸内地域の方は、かつてに比べると随分そうしたことが成功されているのではないかなということも思いますし、太平洋側もしっかりと本当に応援したいと思いますし、やはり政府を挙げてしっかりやっていくことが、JR四国経営的な自立というか、前向きに頑張っていける、そういうきっかけになるのではないかなと、ちょっと抽象的ですけれども。  やはり総合的に、どう地方を創生していくのかということが大事なのではないかなというふうに思っております。
  49. 広田一

    ○広田委員 大臣の方からは四国の魅力についてお話をしていただきました。宿毛や四万十川の魅力についてお話をいただきまして、誠にありがとうございます。  そういう中で、大臣の方からお話がありました、やはり北海道と比べればまだまだいろいろなやりようがあるのではないか、その具体的なところとしては交流人口の拡大等、いろいろな形で追求していく、こういった御指摘であったというふうに思いますが、その一つの手法といたしまして四国における新幹線の整備、これについてお伺いをしたいと思います。  今回の支援内容、あるいは改正案においては、四国における新幹線が入っておりません。現状は、四国新幹線、四国横断新幹線は、基本計画路線としては位置づけられているところであります。四国四県の自治体皆さん地元経済界が中心になって、この整備計画への格上げ、さらには建設や実現に向けて、毎年様々な要請行動をさせていただいているところでございます。  そして、国交省の方も入っていただいております、四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会2が二〇一九年の十月に公表した、四国が目指すべき公共交通ネットワークの将来像には、新幹線を骨格とした公共交通ネットワークの構築を掲げたところであります。つまり、四国全体の総意といたしまして、この四国新幹線の実現を求めております。昨年、国会でも、改正交通政策基本法の中にも、高速交通網の必要性といったものが盛り込まれたわけです。  そうしますと、やはり新幹線というのは、本当に何か特別な交通網だというふうなイメージがあるんですけれども、二十一世紀はそうでなくて、公共交通の標準的なインフラであるというふうな位置づけも、これはしっかりやっていかないといけないんじゃないかなというふうに思っております。加えまして、昨日、東日本大震災から十年目の節目の日でありましたが、四国の場合は、南海トラフ巨大地震がいつ起きてもおかしくないような今現状であります。  こういったことをまさしくトータルで考えますと、鉄道を抜本的に高速化する、高規格化する、さらに、耐震化に優れた新幹線が私は必要不可欠だというふうに考えられるわけであります。  あわせて、四国新幹線というのは、四国だけがメリットを得るのではなくて、つながっている四国のみならず、岡山を始めとする中国地方であるとか、また、大阪と四国の各県庁所在地が一時間半で結ばれることになるわけです。関西との、それこそ交流人口の増大であるとかビジネスチャンス、こういったものが期待できます。それは、やはり反面、四国にとっては本当に厳しい競争にさらされるということにもなるわけですが、そういった厳しい競争をすることによって私は活力が生まれる、こういうふうにも考えます。  先ほど来、JR四国北海道の職員の退職の話がありました。職員の皆さんにとっても、将来、自分が働いているところに新幹線ができるんだというふうなことを持つことが、将来に対する希望にもつながりますし、そのことが私は職員の定着にも必ず寄与するんだというふうに思います。そういった観点に立って、四国新幹線の必要性について、赤羽大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  50. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 整備新幹線につきましては、これまで、北陸新幹線の金沢開業ですとか、あと、九州新幹線で熊本、鹿児島までつながったということで、その経済的な効果、人の流れというのは、明らかに大変な効果が発揮されております。それは非常によくわかります。特に四国は、四国という閉じたところではなくて、やはり本州との接続というのは非常に重要で、岡山からスムースに新幹線というか、アクセスがスムースにできるということは、交流人口を増やすという意味では大切だというのは、非常によく理解できます。  私も長年議員をやらせていただいておりますが、最初の頃は、四国に新幹線というのは四国選出の議員も余り言われていませんでしたし、言っても何か冗談で言っているみたいに、みんな、言っている方も聞く方も聞いていましたが、最近だんだん真剣味を帯びてきて、私もちょっと、ちゃんと受け止めなければいけないなというふうに思いますが、客観的にはそうだと思います。  他方で、これはもうよく御承知の上での御質問だと思いますが、整備新幹線計画、今、北陸、また北海道、そして九州の西九州ルートと残っておりますが、未着工区間についての財源というのは、ざっくばらんに言うと、まだ全くめどが立っていないというのが現実でありますので、そこのこと、新幹線は非常にメリットも多いですけれども、大変コストもかかる、これは事実でありますので、そのことをどうするかという現実の中で四国についてどう考えるかということ、しっかりと省内で検討していきたいと思っております。  加えて、あとは、他方で、四国は非常にある意味ではスモールなので、本当を言うと、新幹線というのは長距離にメリットが出るんだというふうに思いますので、もう少し、今の鉄道を乗り心地のよい路線にするとか、在来線のやりようももう少しやり方があるのではないかなというふうなことも含めて、これはもちろん、地元の首長さんの意見を聞かせていただきながらJR四国とも相談し、余り最初から駄目だというような話ではなくて、前向きに、できる範囲の中で、時間のかかることだと思いますけれども、着実に検討はさせていただきたいと思っております。
  51. 広田一

    ○広田委員 ただいま赤羽大臣の方から、着実に検討をしていくというふうなお話がございました。  今回の附帯決議案の方にも、与野党の理事皆さん始め、関係各位の御努力と調整の結果、「四国における新幹線についても検討を進めること。」の文言が明記をしていただいたところでございますので、やはり、この四国における新幹線整備というものを早期に方向づけるように、大臣の御答弁を更に更に具体化をしていただきますように上原鉄道局長にもお願いをしたいと思いますので、局長の方からも一言、この四国新幹線にかける決意のほどをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  52. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  現在、四国における新幹線の基本計画路線を含む、幹線鉄道ネットワーク等のあり方に関する調査に取り組んでいるところでございます。引き続き、四国の幹線鉄道ネットワークの検討に資する調査も進めながら、一方で、現在、四国における新幹線は、四国新幹線、大阪市と大分市間と、それから四国横断新幹線、これが先ほど、岡山から高知という、こうした基本計画が位置づけられているところでございます。  これらにつきましても、関係自治体皆さんとよくお話を進めながら、地域の意向も踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  53. 広田一

    ○広田委員 関係自治体の、また経済界の熱意も受けて、是非とも進めていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。  そうしたら、若干法案の中身について、残った時間で質問させていただきたいと思います。  経営改革の推進などについてでありますけれども、お配りした資料にありますように、「経営改革の推進」にある支援策は、非常に極めて手厚いものであります。よって、手厚いからこそ、各社の自助努力というものを促進させる、促すものになるのか、それとも、これまで以上に公的依存度を高めてしまうのか。こういった意味では、非常に大きな岐路に立っているんだろうと私は思います。  経営改革の推進のメニューであるDESや利子補給、不要土地引取りといったものは、これは経営改革策というよりは、一言で申し上げれば、公的資金の注入であって、経営危機に陥った企業に対する救済策、こういうふうにまず考えるべきではないかなというふうに思いますけれども、この点、上原鉄道局長、いかがでしょうか。
  54. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染拡大影響によりまして、JR四国におきましても旅客需要が大幅に減少し、営業収入が大きく落ち込んでいるところでございます。  当面は債務超過等の危機的な財務状況に陥る状況ではないと考えておりますが、感染拡大影響収束にはいまだ至っておらず、過去に鉄道運輸機構からJRに貸し付けた無利子貸付債務に関しましては、より抜本的な資金繰り対策が必要と判断をいたしております。このことから、今回の支援におきましては、当該無利子貸付債務を株式化する、いわゆるデット・エクイティー・スワップを実施することとし、法案の中にもそのための規定を盛り込んでいるところでございます。  今回、このDESを盛り込んだ趣旨は先ほど申し上げましたとおりでございまして、債務の圧縮、資本の増強を通じた財務基盤の強化を図って、円滑な資金繰りを確保するためのものでございますので、そういった趣旨を、委員指摘のとおり、しっかり明確にして説明をしてまいりたいというふうに考えております。
  55. 広田一

    ○広田委員 局長も、釈迦に説法で恐縮なんですけれども、通常、一般的には、DES等の金融支援を受ける場合は、モラルハザードを避けるために、支援を受ける側の経営責任、こういったものを非常に明確にしていかなければなりません。  例えば、DESでいいますと、すぐ思いつくのが、あの産業再生法によるダイエーとか長谷工なんかの救済なんですけれども、このときは実は経営陣は全て引責辞任しているんです。それだけDESなどの公的資金を注入するということは重いことでありまして、逆に、北海道とか四国の財務内容は公的資金を注入しなければならないほど、つまり、会社経営努力とか自助努力の限界を超えているほど厳しいものなんだというふうな、そういった理解に立った上で、その上で、なぜ公的資金を注入をしていくのかというふうな説明を、経営者の皆さん経営責任とともにしっかりと私は説明をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。  そういった中、コロナが一番の理由だというふうにおっしゃっているわけでありますけれども、結果的にこの無利子貸付分をDESすることの具体的な額というのは、北海道四国一体幾らになるのか。そして、そのDESを、コロナ影響がなくなったらこれはもうやめるのか、そういったやはり出口戦略等についても私はしっかりと明確にすべきだというふうに思いますので、併せてこの点、上原局長、いかがでしょうか。
  56. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  おっしゃられるとおり、産業再生機構など、これまでDESの活用に関しましては、委員指摘のとおりだと思います。  ただ一方で、JR四国は、現在も鉄道運輸機構が一〇〇%の株主の会社であるということで、それまで株式会社であったものが債務超過等に陥って公的資金が入るというのとは少し様相が違います。そうしたことをしっかり説明をしないと、一般的な金融関係皆さんやそういう方にも、すわ、公的資金投入ということで、財務状況について必要以上のそうした疑念を持たれる可能性もございますので、委員指摘のとおり、そこの点はしっかり説明をしていきたいというふうに考えております。  また、四国に対する支援の大まかな全体額につきましては今回御説明をさせていただいているところでございますが、その内訳についてはまだきちんと御説明できておりません。先ほど、経営計画があって支援策をつくるべきではないかという御指摘もいただきました。一方で、今回、コロナ影響で、切れ目なく支援措置を三月三十一日をまたいでやっていくためにはこうしたスケジュールになって、コロナ影響をきちんと計算することが遅れているといった事情を御理解いただきたいと思います。  その上で、中期経営計画が今、最終的に、大詰めで詰めているところでございますので、その公表に合わせながらきちんと、DESの金額でありますとか、そうした個々の支援額につきましても明らかにしてまいりたいというふうに考えております。
  57. 広田一

    ○広田委員 是非、今回の法案審議、また法案成立を受けて、JR北海道四国、そして貨物が経営自立をされるように心から期待お願いを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  58. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、道下大樹君。
  59. 道下大樹

    ○道下委員 立憲民主党の道下大樹です。質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  国鉄債務等処理改正案について質問させていただきます。  まずは、このような法案支援内容を公表そして提出していただきましたことに、赤羽大臣を始め国交省鉄道局の多くの皆様に、私も道民として、そしてJR北海道を利用する者として感謝を申し上げ、高く評価をさせていただきたいと思います。  私も当選以降、荒井聰先輩とともに立憲民主党でJR北海道問題検討ワーキングチーム、荒井座長、私、事務局長で様々取り組み、これまでもJR北海道への支援等について様々要望し、昨年十二月には鳩山二郎政務官伺いまして要望書を提出、そして十二月二十五日に国交省から今回のような支援内容が公表されたということでございまして、本当に私も一人の議員としてちょっと感慨深いというか、支援継続のみならず、拡大されている、拡充されていることに感謝と敬意を表したいというふうに思います。  今、私が着けているマスクなんですけれども、これは、二〇〇〇年から始まったJR北海道の釧網線のSL冬の湿原号というものでございます、そこで販売されていましたマスクでございます。  この冬の湿原号も、八年に一回の大規模修繕、蒸気機関車の、SLの大規模修繕をしなければならない。一億円なんですけれども、JR北海道にとっては大変大きな支出であります。改修をするか、それとももう継続を断念するか、JR北海道として検討していた中で、昨年十二月二十五日に拡充継続支援というものが発表されたことを受けたというふうに私は思っておりますけれども、SLの全般検査、そして客車のリニューアル、合わせて四億円の拠出を決めたということの報道がございます。そういった意味で、JR北海道もいろいろと頑張っているということを、皆様、御理解をいただきたいというふうに思います。  国鉄分割民営化で当初計画をされていて、経営安定基金七・三%という利率、結局、これは約五年後には、金利の低下で下がり続け、運用益は当初の計画の半減ということでございます。その問題点については、平成八年度の運輸白書にも書かれておりました。その後、国交省も様々支援施策は出してきましたけれども、小規模で、小出しで、なかなか十分な経営支援というものができていなかったのではないかというふうに思います。  JR北海道も、何もしていなかったわけではありません。様々、観光列車、これも全国よりも先駆けてやっていました。ニセコ、フラノエクスプレス、トマムエクスプレス、様々ありました。人員削減も行ってまいりました。経営の合理化も行ってきました。様々やっても、やはりこれは、今までのような赤字、そして今回のようなコロナ禍が影響を与えているという状況でございます。  さて、経営安定基金について伺いたいと思いますが、この経営安定基金運用益の使い道について、黄色線区とか赤線区とかいろいろありますけれども、いわゆる赤線区における赤字分の補填には使ってはいけないというような制限はあるのでしょうか。端的にお答えいただければと思います。
  60. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  経営安定基金は、国鉄改革の際に、厳しい経営状況が見込まれたJR北海道等に対しまして、その損失を補填し、将来的には経営の自立を目指していくため、設置されたものでございます。  この経営安定基金運用益につきまして、国として特段の制限を課しているわけではございませんが、その活用につきましては、当該基金が設置された趣旨を踏まえて各社経営判断すべきものと承知しております。
  61. 道下大樹

    ○道下委員 国鉄分割民営化時に創設された経営安定基金最大の目的は赤字路線維持のためであり、私はそれを忘れてはいけないと思っております。  今、JR北海道は、自治体と意見交換や交渉をして、赤線区廃止バス転換等を進めておりますが、私は、JR北海道経営自立という目標達成に向けて焦り過ぎて、一方的な赤字路線廃止バス転換を推し進めてはならないというふうに思っております。沿線自治体や住民から鉄路維持の要望がある限り、私は、廃止バス転換を行うべきではないと考えています。  赤羽大臣は、先月四日の衆議院予算委員会で、いわゆる黄色線区八区間について、私自身の決意として、むやみに廃線をしないと述べられました。本当に、非常に心強い御答弁でありました。また、一昨日、三月十日のこの国交委員会でも、黄色線区は国も積極的に支援して、知恵を出して死守したいという旨のお話、また、若手社員の離職についても、賃金の低さについても心配の発言をされていました。  そこで、私は、是非、赤線区についても、まず維持に向けて支援を願いたい。  私の生まれ故郷、十勝の新得町を通る根室本線新得―富良野間は、二〇一六年の台風豪雨によりまして、土砂流入災害で不通区間となったままであります。利用状況は低いんですけれども、道東と道北を結ぶ路線でありまして、インバウンド需要も見込まれる広域観光ルートでございます。俳優高倉健さんが主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地となった幾寅駅もあります。現在、道央と道東を結ぶ主要路線となっている石勝線が災害等により不通となった場合の人流、物流の重要な迂回路線ともなります。沿線自治体や住民は、不通となってからすぐに災害復旧と存続を求める団体を設立し、このコロナ禍においても、今月二十三日に札幌において集会を開く予定であります。  赤線区の存続について、赤羽大臣の所見を伺います。
  62. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 委員指摘JR根室本線富良野―新得間につきましては、昨年十月に当地を訪問させていただきまして、平成二十八年の災害以来、災害で被災をして不通となっている落合駅周辺の現状を視察させていただくとともに、沿線自治体の首長の皆様ともじっくり懇談させていただきました。  当然、地元皆さんは、廃線は何とかしてほしいという御要望は、それは当然のことというふうに受け止めておりますが、他方で、JR北海道という立場、幹部の皆様からも、皆さん鉄道マンで、廃線なんかはしたくないと当然考えている方が多い中で、国鉄時代の廃線のめどの一日当たり乗車密度が四千人のところ、この区間も多分、二百人未満という状況のところを今赤線区と呼んでいると承知しております。走れば走るほど赤字が生まれてしまう、そこに国としてずっと支援をする、これは、そこをどう見極めるかというのは、非常に難しい問題だと思っています。  それは当然、地元皆さん、今も、国交省もそうですけれども、北海道知事、道内の首長の皆さん、そしてJR北海道を始めとする交通事業者を入れて、腹を据えてしっかり検討していただいていると思っていますし、そこの議論が一番大事だということで、そうした議論がしっかりと、停滞しないように話をしていきたい、こう思っております。  基本路線は生活の足でもあり、可能性を秘めた路線については、なるべく、精いっぱい、頑張れるだけのことは頑張りたい、これは私の基本的な考え方でございます。
  63. 道下大樹

    ○道下委員 今、北海道新幹線は函館までで、年間百億円余りの赤字を出しています。私は、黄色線区や赤線区、これは札幌開業までの間に廃線じゃなくて、札幌延伸によって、これで黒字化が生まれ、そして他の黄色線区や赤線区赤字を解消できる、そこまでは、赤線区廃止というものは、これはまず一旦凍結とやってもいいと思っています。  残念ながら、台風災害で不通になった、日高線も高潮被害で不通になったまま、そして、そのまま廃止に向けてJR北海道が交渉を進めてしまった。私は、これは余りにも、沿線自治体、住民に対して、冷たい対応だというふうに思っております。  もちろん、開通させるためには、するということは、継続させるということですので大きな決断ではありますけれども、しかし、このJR北海道の対応がまだまだ、私は北海道民からの信頼を十分に得ているということはまだ言えないというふうに思います。  次に、個別の支援内容について伺いたいと思います。DESについてちょっと伺いたいと思います。  これは局長、今JR北海道は、コロナ禍において日々の現金収入が非常に、もう半減しているんですね。JR北海道としては、四国もそうだと思いますけれども、この支援が一日も早く成立して、すぐに手元資金を得たい。DESだとかほかのものも早期に実行していただきたいというふうに意見が国交省にも行っていると思いますけれども、この点について、どのような形で、どのようなスケジュール感で実行されるのか、伺いたいと思います。
  64. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  先ほど来から出ておりますが、私どもとしましては、まずこの法案を早期に通していただいて、切れ目なく支援を行うことによって、このDESあるいは出資、その他支援措置につきましても、早期に各社支援ができる体制をつくっていきたいというふうに考えております。  また、具体的な支援につきましては、株主であります、支援元であります鉄道運輸機構が手続の中でこれから進めていくことになりますけれども、鉄道局といたしましても、既に鉄道運輸機構に対しまして、法律が通ることを期待しながらそのスケジュールリングをさせておりまして、なるべく早期にそうした資金各社に届くように指導しているところでございます。
  65. 道下大樹

    ○道下委員 是非とも速やかな実行をお願いしたいというふうに思っています。  次に、JR貨物について伺いたいと思います。  東日本大震災から十年と一日がたちました。最近でも様々豪雨災害が発生しております。鉄路が寸断されても、何とか迂回路線等を通じて、代替輸送も含めてJR貨物は本当に努力をされていると思います。  そうした中で、今、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す我が国にとりまして、鉄道貨物は、モーダルシフトや労働生産性、担い手不足等の観点から、今後も極めて重要であるというふうに思います。そのための災害に強い鉄路の維持整備に向けて、物流や環境に関連する財源の確保、活用をしっかりと検討すべきではないかというふうに思っております。それらについての認識と、今後の取組について局長に伺いたいと思います。
  66. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  貨物鉄道輸送は、CO2排出量が営業用トラックに比べまして十一分の一でございまして、地球環境に優しいことに加え、貨物列車一編成で営業用トラック六十五台分の貨物を輸送できますことから、近年のトラックドライバー不足にも対応し、物流の生産性向上を図る上でも重要な役割を果たすものと認識しております。  とりわけ、我が国を代表する一大農林水産畜産地でございます北海道におきましては、消費地への安定、大量かつ環境負荷の低い輸送である貨物鉄道が非常に重要な役割を果たしております。  こうしたことから、JR北海道に対するこれまでの支援におきましても、貨物列車走行線区に係る支援として、木枕木のPC枕木化や高架橋の耐震補強、トンネル、橋梁の保全などの設備投資や修繕費の助成を行ってきたところでございます。こうしたことは、今後とも引き続き続けていきたいというふうに考えております。  また、今回提案させていただいておりますが、貨物調整金制度につきましても、JR貨物が並行在来線会社に支払う線路使用料の安定的な確保を図って、北海道あるいは全国的なネットワークを構築するのに必要だというふうに考えております。  こうした措置、さらには北海道と本州の物流の大動脈でございます青函トンネル改修費用JR負担の免除、こうした措置を講じることによりまして、貨物輸送災害時の輸送網の確保を図ってまいりたいと考えております。
  67. 道下大樹

    ○道下委員 JR六社とともにJR貨物も非常に重要であるというような、そのための様々な行政施策、今後の検討について御答弁いただきました。  るる質問させていただきましたが、やはり、今回、本当に継続拡充支援ということでありますが、これも、国交省の本気度とともに、しっかりとした経営自立しなければならないという、ある意味でプレッシャーというか、そうした姿勢を見せたというふうに思いますし、そのようにJR二島貨物も認識しているというふうに思います。  国交省として、今後、JR北海道に対して、経営自立に向けてどのような取組期待しているのか、大臣伺いたいと思いますし、あわせて、大臣は、これまで積極的に、障害者の方々、車椅子利用者の方々の御要望をしっかりと受け止めて、新幹線のバリアフリーを推進されてこられました。私は敬意と感謝を申し上げます。  一部では導入を前倒しして、四月中旬から始まると伺っております。是非これも進めるとともに、新幹線のみならず、是非特急車両などにも取組を拡大していただきたいなというふうに思います。併せて大臣見解伺います。
  68. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 まず、新幹線のバリアフリーにつきましては、私、長年、国土交通部会長をやらせていただいている中でも、新幹線、あれだけ、十六両編成でありながら、当初は一以上だったんですが、それを何とかして二以上になった。これは非常に歯がゆく思っていまして、他方で、バリアフリー化というのは、具体的に法律も作り予算もつけ、多くの駅がバリアフリーが当たり前になっている、しかし新幹線だけは全く手つかずだったというような状況で、私、非常にじくじたる思いでございました。  ですから、国土交通大臣という職責を与えていただいたので、このことだけは目に見える形で進めるということが、これは日本という国の、何というか、品性というか、成熟度合いに関わる大変重要なことだというふうに思って、一昨年ですか、十二月にJR全社の社長に来ていただいて、そうした会合をしたわけでございます。  当初はまだ、そのときでも、卵が先か鶏が先かみたいな発言をされている方も率直に言うといらっしゃいましたが、いろいろ議論を重ね、そこに障害者団体の皆さんも一緒に参加して、率直な意見交換をする中で、今回、今御紹介いただきましたが、昨年十月に移動等の円滑化基準を改正して、本年七月以後に導入される全ての新幹線車両について、車椅子用のフリースペースの設置、これは世界最高水準の設置を義務づけるということになりました。東海道新幹線では、六名の車椅子使用者が同時に利用可能となる新型車両が、この四月の中旬以後、順次投入されることになります。  他方、在来線の特急車両につきましては従来のままでございますので、ここは何とか順次していかなければいけないということで、特急車両におけるバリアフリー対策の在り方について、実はこれも、車椅子の使用者、使用されている方、また鉄道事業者などの関係者間で意見交換をする場を来週にも設けることになりました。新幹線で終わらずに、在来線の特急も順次、物理的にすぐ簡単にはできないかもしれませんが、計画を持って、これから真の共生社会を目指す日本にふさわしい鉄道にしていきたい、こう考えております。  前者のJR北海道につきまして、私は、厳しい叱咤の表れじゃなくて、深い愛情の表れだというふうに思いますが、やはり北海道は、私は本当、もっと前向きに取り組む潜在能力というのは物すごくあるというふうに思いまして、そうしたことで、赤字を埋めるためにとかというネガティブな、後ろ向きな話ではなくて、前向きに立ち向かっていける、簡単ではない事業でありますけれども、そうしたことに、少なくともJR北海道の全職員がプライドと意地と執念を持って立ち上がっていただけるような支援策にしたいということで、これを決めさせていただいたところでございます。
  69. 道下大樹

    ○道下委員 大変ありがとうございます。是非進めていただきたいと思います。  例えば、空港アクセスについて、私、先ほど荒井先生もお話がありましたけれども、もう一つ、今、北海道内七空港、民間委託が進められました。それで、運営権対価、この利活用というのもあると思いますし、また、開発局の予算だけじゃなくて、ちゃんと外からいろいろ持ってきて、そして利活用するというような柔軟な発想で進めていただきたいというふうに思います。  法案に関しては以上でありまして、次に、ちょっと関連するんですけれども、鉄道無人駅の自治体管理について伺います。  北海道では、私の知る限りでは、道内一つの駅で、JR管理を市町村に委託というか、自治体管理をすることになったものが一つあります。秘境駅であります。  私が知るところによりますと、この自治体管理、一駅当たり百から百五十万円、年間かかるんですね。でも、財政が厳しい自治体にとっては大変厳しいんですね。そうしたところがこれからも増える。道内の新聞報道によりますと、来年度から十八駅がそのような無人駅、そして自治体管理になるというふうに私は承知しています。詳しい数字はちょっと、もしかしたら国交省、総務省の方が知っているかもしれませんが、私は、この鉄道事業者の経営合理化による駅廃止は更に進むと思います。  駅を廃止するか自治体管理かということで、選択が迫られるんですね。自治体としては、駅廃止を回避するために自治体管理を選択するということがこれからも多くなると思います。秘境駅として自治体管理を選択する市町村もありますが、財政が厳しい自治体にとって管理経費負担も重くのしかかります。  北海道で先行するこの問題は、将来的には全国にも広がると思います。地方の公共交通維持のために、また、まちづくりや町おこしの一環として、駅の自治体管理経費について地方交付税の算定項目に入れるなどの方策を、総務省と国交省とで話し合って、縦割りじゃなくて話し合って私は進めていただきたいというふうに思いますが、総務省と国交省からそれぞれ端的に、しますという答弁だけで結構ですので、お願いしたいと思います。
  70. 馬場竹次郎

    ○馬場政府参考人 それでは、総務省の立場を御説明をさせていただければというふうに思います。  駅の管理経費につきましては、本来、鉄道事業者が負担をすべきものであるというふうに考えてございます。これを地方団体が自ら管理をすることを選択をする例もあるとは承知をしておりますけれども、これに必要な経費を地方の共有財源であります地方交付税で措置をするということについては、やはり慎重に考える必要があるものと考えております。  いずれにいたしましても、地方の公共交通の維持のためにどのような対策を講ずるべきかでありますとか、それに対して地方団体の関与の在り方につきましては、まず、所管でございます国土交通省において検討していただく必要があるというふうに考えてございます。
  71. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  全国の駅施設は、利用状況や立地など条件が非常に異なっておりますので、どのような管理、運営方法が望ましいかは一概には申し上げられません。駅の安全、利便性をどう確保するかは、地域にとっても大きな課題と認識をいたしております。  このため、昨年十一月から、駅の無人化に伴う安全・円滑な駅利用に関する意見交換会を開催いたしまして、バリアフリー対策などを中心として、駅の機能につきまして議論を始めているところでございます。  国土交通省といたしましては、この意見交換会の議論も踏まえながら、鉄道事業者に対して適切に指導してまいりたいというふうに考えております。
  72. 道下大樹

    ○道下委員 私、国交委員会に所属すると同時に総務委員会にも所属しておりますので、この案件についてはまたしっかりといきたいと思っております。是非、話合いはしていただきたいと私は思っております。駅がなくなると、人がいなくなり、町は更に過疎化します。町がなくなります。そういう観点でも話し合っていただきたいと思っております。  時間も参りましたので、最後に、今、コロナ禍で、また第四波というか、変異ウイルスも増えてきました。海外からの入国者に対する水際対策が今進められております。  海外からの航空旅客の入国者の制限について伺いたいと思います。  国交省は、厚生労働省から要請を受けて、国際線を運航している航空会社に対して、国際便による入国者数を制限するよう要請したと新聞報道にもありますし、私も承知しております。  その理由はなぜか。私は、変異ウイルスが入ってくることを止めるという目的も分かるんですけれども、しっかり今でも陰性証明を出した上で来ていただいて、そして空港周辺の施設で待機してもらうということをやっているんだけれども、入ってくるのが問題じゃなくて、そういう受入れ体制、待機者の宿泊施設が逼迫している問題、これが問題なのではないかとか、検疫体制、人手不足で十分な体制が取られていないから、入ってくる入国者数を止めているのではないかというふうに思います。  今、これは、要請があって国内の航空会社も新たな予約を停止しているだとか、これは結構、もうけたいのにもうけられない。一便当たり八十人以下にしなきゃいけないぐらい。それだったら赤字。利益とんとんよりも、全然赤字で飛ばすんですよね。これまでも、支援策は様々、航空機燃料税の減額だとか減免とか、いろいろやっていますけれども、私は、今回これは新たな追加支援措置が必要と考えますが、こうしたことに至った経緯などについて、厚生労働省にも来ていただいていますし、国交省からも、追加措置も含めて、支援措置も含めて、伺いたいと思います。
  73. 浅沼一成

    浅沼政府参考人 お答えいたします。  三月五日、政府といたしまして取りまとめました水際対策に係る新たな措置におきまして、検疫の適切な実施を確保するため、変異株流行国・地域からの航空便を始め、日本に到着する航空機の搭乗者数を抑制し、入国者数を管理することとされたところでございます。  これにつきましては、空港検疫の実務を担う立場から申し上げますと、従来のウイルスと比べまして感染力が強いと懸念されております変異株の対策が求められる中、検疫の実施に必要な人的、物的資源には一定の制約があることから、入国者数が管理されることは適切な検疫の実施に資するもの、ついては、国内における変異株の蔓延を遅らせることに資するものと考えております。  新型コロナウイルス感染症の水際対策におきましては、航空会社皆様には多大なる御協力をいただき、心より感謝いたしておりますが、現在の国内外の流行状況を踏まえますと、引き続き御理解と御協力お願いしたいと厚生労働省としては考えております。
  74. 和田浩一

    和田政府参考人 お答えを申し上げます。  ただいま厚生労働省から御答弁がありましたように、検疫の確実な実施を図るため、関係省庁からの御要請を受けて、航空局としては、航空会社に対して、到着旅客数を抑制するという要請をしております。  この到着旅客数の抑制の要請自体は昨年から実施をされておりますけれども、個別の減収補償は行ってきておりませんし、今般も行う予定はございません。  一方で、コロナ禍による航空会社経営への影響、これは極めて甚大であり、また厳しい経営環境に置かれていることから、これまでも、危機対応融資等の活用による資金繰り支援でありますとか雇用調整助成金などの支援をしてきたほか、令和三年度におきましては千二百億円規模で着陸料や航空機燃料税等の減免を行うなど、相当踏み込んだ支援を実施することとしております。  引き続き、航空需要の動向や経営状況を注視しつつ、航空業界の声をよく伺って、適時適切に対応してまいります。
  75. 道下大樹

    ○道下委員 ありがとうございました。終わります。
  76. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、高橋千鶴子君。
  77. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  JR北海道四国、貨物、いわゆる二島貨物への財政支援の根拠となる国鉄債務処理法が今年度末で期限を迎えることにより延長が必要となっていること、理解をしております。  資料の1にあるように、令和十二年度、二〇三〇年度までの延長JR北海道、千三百二億円に及ぶ各種支援策が示されております。また、二〇一八年七月二十七日の国土交通大臣の監督命令により、二〇三一年度経営自立を目指す第一期集中改革期間として、二〇一九年度からの二年間、同法に基づく四百十六億円の財政支援が行われております。至上命題となる二〇三一年度の経営自立にそもそも無理があるのではないか、このように思います。  民営化当時、JR九州と併せ、三島会社経営安定基金を配分し、七・三%の高利回りを前提として、その運用益で営業損失を補うこととされました。今や、超低金利利子収入は見込めないということでの、高めの利率を設定するという改正も含まれております。  二〇二〇年三月期の連結売上高に占める鉄道運輸収入の割合は、北海道が四二%、四国が四六%に対し、九州は三四%にすぎず、駅ビル開発など不動産事業で収益を上げ、株式上場を果たしました。鉄道会社経営自立とは、結局、不採算の鉄路を切り捨て、駅ビル経営など不動産事業で果たしていくことしかないのか。国は本来、公共インフラとしての鉄路を守る立場に立つべきではないのか、こういう視点で質問したいと思います。  二〇一六年十一月十八日、JR北海道は、当社単独では維持することが困難な線区を発表しました。道内の全路線の約半分に当たる千二百三十七キロ、十路線十三区間をその対象とするもので、その内訳は、急に飛んで申し訳ありませんが、資料の四にありますが、これはJR北海道のパンフレットそのものであります。  輸送密度二百人未満の線区を赤、これは留萌線と根室線が当たりますが、二百人以上二千人未満を黄色、既に話合いを始めている路線を茶色で色分けし、これらのトータルの営業損失は百五十三億円に上ると示されております。  本法案は、これまでのJR北海道に対する支援延長また拡張するものでありますが、これらの路線が維持、復活することにつながるのか、お願いします。
  78. 上原淳

    上原政府参考人 お答えをいたします。  委員指摘のとおり、今回の支援は、平成三十年七月、国土交通省から同社に対しまして、経営改善に向けた取組を着実に進めるよう発出いたしました監督命令に基づいて、徹底した経営努力がなされていることを前提としたものでございます。  この監督命令におきましては、鉄道よりも他の交通手段が適しており、利便性、効率性の向上も期待できる線区につきましては、地域の足となる新たなサービスへの転換を進めること、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区につきましては、JR北海道地域関係者一体となって、持続的な鉄道網の確立に向け、二次交通も含めたあるべき交通体系や事業の抜本的な改善方策につきまして、徹底的に検討を行うこととしております。  特に、今回の支援におきましては、委員指摘の十路線のうち八路線、いわゆる黄色線区につきましては、その観光需要を取り込むため、北海道の第三セクター会社北海道高速鉄道開発株式会社を活用した観光列車の導入といった新たな取組を進めることとしておりまして、道と一体黄色線区を含む地域の公共交通の在り方について、地域と結束した対応を図ってまいります。
  79. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 答えているような答えていないような気がしますけれども、当初、これが発表されたときは、本当にこの黄色い部分も含めて、赤だけでなくて、みんななくなっちゃうんじゃないか、この黒と茶色の部分しか残らないんじゃないかという指摘がされたわけであります。それが、国交省としてどうするのかということをもう一回確認をしたいんですね。  二〇一八年七月二十七日、国交省は、JR北海道に対して監督命令を発出しています。今の資料の下のところにそのポイントが示されておりますが、今局長がお答えになった、「他の交通手段が適しており、利便性・効率性の向上も期待できる線区において、地域の足となる新たなサービスへの転換を進める。」こういうふうにあるわけですよね。  それで、これは、国としては、赤線区にはもう鉄道ではなくバス輸送に切り替えるという趣旨なのかが一つ。それから、黄色線区、黄色については、大臣が繰り返し、できるだけ死守ということをおっしゃっているわけなんですけれども、昨年十二月にJR北海道国交省と道と三者の会議で示した支援お願い、これは資料にもつけてありますけれども、二枚目だったかにつけてありますけれども、この中には、黄線区は維持と書いているんですね。北海道が、維持したい、そして、アクションプランもやって、地域一体となった利用を深めるということをやっている。ここに、じゃ、ちゃんと応えるものになっているのか、確認をしたいと思います。
  80. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 今、前半部分、おっしゃられているのは、鉄道よりも他の交通手段が云々というところは、いわゆる赤線区というふうな位置づけで、これまで、先ほどの鵡川―様似間の日高線も含めて、バスへの転換が決まったというふうなことがございました。  他方で、いわゆる監督命令の中で、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区については、地域一体となって利用促進やコスト削減の取組を行い、持続的な鉄道網の確立に向け、あるべき交通体系について徹底的に検討を行うこととしており、いわゆる黄線区については、こうした考え方を踏まえた上で関係者議論をしていただいて、取組が行われているというふうに承知をしております。  黄線区について私も発言しておりますが、むやみに廃線するという姿勢ではなくて、何とか路線を維持することができないのかとの視点で、地域任せではなくて、国としても、地域協力し、地域に寄り添って、知恵を出しながら支援を行っていきたい。  今回の法案におきましても、国と北海道地元自治体協力をして、先ほど答弁もありましたけれども、道の三セク会社を活用した観光列車の導入などの支援も講じて、新たな観光需要取組等々を図りながら、総合的に活性化を図っていくように頑張っていきたい、こう考えております。
  81. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 次のお答えの中で少し否定をしていただければいいと思うんですが、二〇三一年度の経営自立という大命題をやるためには、それはやはり切り捨てることも必要なんだというふうな国の指導が理由になっては困るんです。そのことをはっきりさせていただきたいと思うんですね。  さっき道下委員も駅の話をしておりましたけれども、二〇二〇年の十月に、JR北海道は十八駅程度廃止を打ち出しておりますよね。こういう形でやはり迫られてくるわけなんです。  あしたが実はダイヤ改正になりますけれども、JR北海道は留萌線の減便を発表して、高校生が部活帰りの列車がなくなってしまうと声を上げて、道議会でも我が党議員が問題提起をし、申入れを行っておりました。私も本社に行ってきましたけれども、代行バスの運行と、通勤と通学定期はこれまでと同じ額でこのバスの利用ができるということの回答を得ております。  一方、資料の六を見ていただきたいんですけれども、これは、日高線バス転換に向けた沿線自治体との協議会に出された資料であります。先ほど荒井委員が提出した資料の一部でもあるんですけれども、これを見ますと、富川―苫小牧、通学定期は、一月分ですが、代行バス時代は一万四千九百八十円だったものが、代行ではなくバス転換を果たしてしまうと二万六千四十円に跳ね上がる。一番下の浦河高校から様似では、九千四十円が代行バス時代、それが一万八千三百六十円と倍額になってしまうんですね。  だから、切り替わる瞬間はほぼ鉄道時代と同額といっても、バス転換を果たして、それが当たり前になってしまうと倍額と。これでは、余りにも負担が大きいのではないでしょうか。  今回の法案で、JR北海道は、年約百五十億円の助成金を受ける。これを対象とする事業には護岸壁の新設や改築が例示されておりますが、これが日高線を指すと聞いております。  つまり、資料の五に戻って、日高線の経緯をJR北海道は書いているんですね。そうすると、丁寧に協議をしてきたと読めなくもないんですけれども、実際は、二〇一五年の一月の低気圧で盛土が流出し、翌二〇一六年の台風で被害が拡大しているんです。それをずっと改修をしないまま廃線を決めてしまった。六年間も改修せず、鉄路も復旧しないまま廃止バス転換になってしまった。  これは、二つ問題があるんですね。利用者負担が倍になるのはやむを得ないのか。災害があれば、それをよいことに廃線を進むというのは、やはりあってはならないと思いますが、いかがでしょうか。
  82. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  新たなバスの高校生の通学定期運賃につきましては、JR利用時、これはJRによる代行バスでございますが、最大で倍程度、一・七倍から二・一倍程度値上がりすると承知をいたしております。  これに対する激変緩和措置といたしまして、在学期間中の学生につきましては、廃止前のJR定期券と新たなバスの定期券の差額をJRが補償することとなっております。  また、今回、代替バス計画が、JR北海道と各自治体との間で協定が結ばれておりますが、この沿線自治体におきましても、通学定期の利用者の負担が増えないように、定期代に対する補助を独自に実施するところもあるというふうに伺っております。  さらに、JR北海道は、沿線七町に対しまして、当面のバスの運行費等といたしまして、十八年間で二十五億円を支援金として支払うというふうに伺っております。  国土交通省といたしましては、こうした赤線区等につきましては、公共交通の活性化が図られるように、JR北海道あるいは地域と一緒に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  83. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 後段の質問に対してはどうですか。災害を契機に廃線というやり方はおかしいと思いますが。
  84. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  元々地域の公共交通として、特に鉄道輸送密度が低くなっている、そういった路線につきまして、災害がございますと、これを復旧する費用、さらにはその後の路線の維持ということが大きな問題となります。  国土交通省といたしましては、そうした対策を講じていくために、例えば、上下分離自治体とした場合には、その補助率のかさ上げを図る、また、上下分離をしていただければ、その後の路線収支改善が見られるといった取組を進めてきているところでございます。  今回の件は、災害があった後、各自治体との間で協議が行われて、最終的にはこうした地域との合意が形成されたものと認識しております。
  85. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 やはり、災害が契機に、六年間結局放置をされたわけですからね。どちらもできていないんですよね、改修もできていなければ鉄路も動いていない、こういう状態がこれからも起こっていくのでは駄目なんだということを繰り返し指摘をさせていただきたいと思います。  最初の利用者負担のところも、こう答弁があったように、激変緩和措置でしかないわけですよ。だから、今の生徒を守るというだけであって、結局、これからはやはり、負担が増えたのが当たり前になってしまうということもちゃんと見て、公共交通という役割を果たすということをおっしゃっているんですから、それにふさわしいことを考えていただきたい。  つまり、桁違いの支援を一方ではしているわけですよ。それで、十数億の予算ができないのだということが本当にいいのかということを改めて指摘をしたい、このように思います。  それで、資料の7に進みます。  現行でも鉄運機構による無利子貸付制度というのはあるんですが、それを廃止して、今回は、JRに対して貸付けを行う金融機関に対して利子補給を行うと言っております。それを行うのがなぜなのかということと、併せて聞きますが、ここにあるように、その利子補給をする対象として札幌駅前の新JRタワーの建設を念頭に置いていると思いますが、その事業費は幾らと見込んでいるのか伺います。
  86. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  JR北海道及びJR四国鉄道事業につきましては、将来にわたって非常に厳しい経営環境が見込まれることから、鉄道事業以外の関連事業を充実させることによって経営改善させることが不可欠であると考えております。  こうしたことから、利子補給という形で、鉄道事業のみならず、関連事業も含めて支援することができるよう、今回の法案措置することとしたいと考えております。  関連事業に係る資金調達に当たって、これまで行ってまいりました鉄道運輸機構の無利子付けではなく、市中金融機関からの借入れに対する利子補給を行うことによりまして、各プロジェクト採算性について民間の視点から適切な審査が行われ、事業健全性を高めるものと期待いたしております。  今回の法案で無利子貸付制度廃止をいたしますけれども、鉄道施設等の整備支援は、新設する出資という制度により行うこととしておりまして、経営基盤の強化につきましては、無利子付けよりもより充実した形で実施することが可能になると考えております。  国土交通省といたしましては、関連事業も含めて必要な資金調達が図られて経営基盤が強化されるよう、今回の利子補給制度も活用して、しっかりと支援をしていきたいと考えております。  また、第二の点でございますが、札幌駅前の新JRタワーの建設につきましては、JR北海道グループの長期経営ビジョンにおきましても、開発、関連事業の拡大による事業構造の変革の一つ目の戦略の柱として、委員指摘札幌駅前の新JRタワー建設につきまして検討が進められているところでございます。  お尋ねの事業費につきましては、このプロジェクトは十年後の北海道新幹線の札幌延伸に合わせて開業を目指すものでございまして、事業主体を構成するJR北海道グループや札幌市及び外部のパートナー等の関係者で協議中の段階であるというふうに承知をいたしております。
  87. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 全くお答えになりませんでしたが、協議中の段階であるということで。私、本社に聞いてまいりましたので、二千億から三千億の事業だとおっしゃっておりました。  それで済むかもちょっと分からないんですが、資料の8に昨年の八月六日付北海道新聞がついておりますが、これは駅ビルに二案あるということで、二百五十五メートルの案と二百メートルの案だというので、今ある日航ホテルが入っているJRタワーは百七十三メートルですから、更に高くなるということは間違いない。  今お話しされたように、北海道新幹線札幌延伸に合わせたJR札幌駅南口の再開発事業、いわゆるバスタプロジェクトが既に進行しておりますが、その中心だと思いますし、その規模内容、特に、タワーの核となる国際水準ホテルという、これはJR資料にあるんですが、外資系を想定しているんでしょうか。そこら辺は幾らか決まっているんでしょうか。
  88. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  JR札幌駅南口の再開発事業につきましては、令和元年十一月に、札幌市、JR北海道JR北海道グループで構成される札幌駅交流拠点北五西一・西二地区市街地再開発準備組合を設立し、十年後の北海道新幹線札幌開業や札幌冬季オリンピック・パラリンピックを見据え、世界へつながる札幌の新たな顔としてふさわしい開発の実現を目指すこととされております。  本事業では、委員指摘のとおり、交通結節点の特性を生かし、バスターミナルの再整備や新幹線駅との連携を図るとともに、にぎわい、交流機能としての商業機能、宿泊機能を備えたホテル、道外からの本社機能を誘導する高機能オフィスなどの複合施設を目指していると承知いたしております。  新JRタワー建設を含むこの再開発事業につきましては、二〇二九年度の開業を目指し、各プロジェクト関係者で協議を行っているところであり、ホテルも含め、現時点では具体的な規模内容について検討中の段階と承知いたしております。
  89. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 大臣伺いたいんですけれども、さっき局長は、経営改善のために不可欠だ、この利子補給が、そういうふうにおっしゃいました。  ただ、JR北海道は、この事業を、北海道新幹線札幌延伸と冬季オリンピック・パラリンピック招致ですよね、まだ決まってない、を見据えた収益最大化というふうに位置づけているわけなんですね。  本当にそうなんだろうか。これは、一歩間違えば、今の情勢の中で新たな負債を抱え込むことになるんじゃないか。そういうことも考えなきゃいけないと思うんですが、いかがですか。
  90. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 結構大きなプロジェクトですから、そうしたプロジェクトリスクも踏まえての決断だというふうに承知をしております。  やはり鉄道ですから、先ほども申し上げましたように、利用客の増強というのはやはり不可欠であると思いますし、現実、今JRタワーが生み出している利益というのは大変大きいというふうにも伺っております。  加えて、今回、この札幌駅前再開発事業に関しましては、プロジェクト自体は札幌市、またJR北海道グループを併せた市街地再開発組合が実施するということにしておりますし、我々の今回の支援の範囲は、JR北海道及びその連結対象のグループが拠出する資金が対象となっておるということでございます。  この計画自体、平成三十一年四月に策定したJR北海道グループ長期経営ビジョンにおいて、この効果は二〇三一年度には千二百億円の売上げ、二〇一八年度と比較すると一・五倍を確保して、グループ全体の連結での経常利益の黒字化を図っていき、新たな赤字事業を発生させないこととしているというふうに承知をしております。
  91. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 大きなプロジェクトリスクを持っているから、だからこそ決まらないんですよ、なかなか。だから、規模をもう少し見直そうかということが今議論されている、そういうことだと思います。本当に私は、これは、これまで議論してきた、JR北海道を本当に維持しなければ、だからちゃんと支援するんだという議論とはまたちょっと異質のものだということで指摘をしておきたい、このように思います。  もう一点、違う質問をしたいと思います。  青函トンネル本四連絡橋に関わる改修費用負担見直しが提案されているんですけれども、その考え方ですね。青函トンネル本四連絡橋の維持の責任は、JR二島会社ではなくて鉄運機構が果たすという考えなのか。やはり青函トンネル老朽化が心配され、もう三十年以上たって、大規模改修も必要になってくると思うんですね。そのタイミング、費用負担割合、内容の見極め、いつ、どのように行っていくのか、お答えください。
  92. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  青函トンネルは、鉄道運輸機構が保有し、JR北海道が維持管理費用負担いたしております。しかしながら、このトンネルは、いずれも昭和六十三年の開通から三十年以上が経過をいたしまして、老朽化も進んでいる中で、今後、抜本的、大規模改修工事になっていくことが予想されております。  一方、こうした負担JR北海道にとって過大なものであることから、国鉄分割民営化時には国が資本費を負担したことを踏まえまして、今回、青函トンネルのこうした工事に伴う更新費用等につきましては、支援としまして、鉄道運輸機構会社に対して負担することといたしました。費用負担につきましては、鉄道運輸機構負担をするという形になりました。これは、国鉄改革時に国が資本費を負担したことに整合を取っているものでございます。  また、今後の大規模改修のタイミングということでございますが、これは、ほかの橋梁などは、不連続的に、何年かたったらどおんと大きな改修費になるというようなことがございますが、青函トンネルにつきましては、施設を保有している鉄道施設整備機構が、専門家の意見を踏まえながら、トンネル本体を含む施設の維持管理方法、これは、更新が必要となる施設の種類や更新の頻度、費用等につきまして、毎年検討を行って、その検討に基づいて毎年の維持管理費が算定され、それによって維持管理が行われているという、どちらかというと連続的に行ってきているものでございます。  この毎年の維持管理が行われていれば、専門家の皆さんからは、鉄道の安全な走行に支障を生じるようなことはないというふうに聞いているところでございます。
  93. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 今回、負担の見直しということで、鉄運機構がこれを見るんだということが明確にされたということは、大変評価をしたいと思っております。  私、青森県議会にいましたので、青函トンネル供用開始のときは、貨物のレールと新幹線のという、三線軌条というんですけれども、三本のレールを走る、片道は走る、そういうふうな特殊な構造になっていることや、何しろ、海底の下百メートル、全長五十三・八五キロ、海底部分二十三・三キロ、ここを車両が走るという点では、もちろん本坑のほかに避難誘導路なども設置をしているわけですけれども、極めて複雑な環境になっているわけで、当然のことながら、大規模改修、メンテナンスにも莫大な経費がかかる。ここを、人命優先で、絶対に事故はあってはならないし、それが費用を惜しむようなことがあってはならないという思いで確認をさせていただきました。  ちょっと、もう時間がなくなってしまいましたので、ここで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  94. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、井上英孝君。
  95. 井上英孝

    井上(英)委員 日本維新の会の井上です。  それでは、法案に関する質疑をさせていただきたいと思います。  まず初めに、もう重なる部分もたくさんあるんですけれども、JR北海道JR四国に対しての支援のこの法案による継続及び拡充というのが必要な理由というのを、改めて、上原局長、答弁をお願いします。
  96. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  一九八七年の国鉄分割民営化から間もなく三十五年を迎えますが、JR北海道及びJR四国は、以前から、沿線の人口減少高速道路等ほかの交通手段の発達による輸送人員の減少、経営安定基金運用益の減少などにより、厳しい経営状況に置かれております。これに加えまして、今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりその厳しさが増しており、いまだ経営自立の途上にございます。  両社は地域の基幹的な公共交通サービスを提供していることから、その再生は地域の生活や産業の維持発展のために必要不可欠であり、しっかりと取り組んでいかなければならない課題であると認識しております。  これらの両社が置かれた厳しい経営状況を踏まえまして、経営自立に向けた経営改善取組を後押しするため、これまでの特別債券による経営安定基金の実質的な積み増し等の累次の支援に加えまして、経営安定基金の下支え措置、将来の生産性向上に向けた設備投資に係る出資、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた債務の株式化などの新たな支援策を講じようとしているところでございます。  これらの支援を通じ、十年後に、JR北海道及びJR四国が目指す経営自立の実現を図ってまいる所存でございます。
  97. 井上英孝

    井上(英)委員 その中で、今、支援継続及び拡充というのが必要だというふうにおっしゃっていただきましたけれども、先ほど答弁にもあったように、経営状況がやはり厳しい二社で、国交省は、JR北海道に対して監督命令、平成三十年七月、そしてJR四国には指導文書、昨年の三月、一年前ですね、経営改善取組について検証し、着実な進展が確認されることを前提として、支援継続のための法律案というのを提出することを言われておったと思うんですけれども、この検証がどうなっているのか、どのような進展が確認されたのかというのを、改めて答弁をお願いします。
  98. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、平成三十年七月に国土交通省よりJR北海道に発出しました監督命令及び令和二年三月にJR四国に発出いたしました行政指導におきまして、令和三年度以降の支援につきましては、経営改善取組状況を確認し、着実な進展が確認されることを前提といたしまして、所要の法律案を国会に提出することといたしました。  これらを判断するに際しましては、JR北海道及びJR四国鉄道運輸機構鉄道局一体となり、四半期ごと検証を行い、経営改善に向けた取組の進捗状況を確認してまいりました。  また、JR北海道につきましては、地域とともに取り組む利用促進等の取組、個別の路線につきましての利用促進等の取組状況につきまして、令和二年十二月十二日の北海道鉄道ネットワークに関する関係者会議におきまして、その進展を確認をいたしましたところです。  さらに、JR四国につきましては、令和二年十二月に、経営自立計画が未達となった原因の分析、報告を受けたほか、長期経営ビジョン、中期経営計画等の策定状況についても報告を受けたところでございます。  これらの検証や報告を通じまして、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響はあるものの、両社の経営改善に向けた取組の進展を確認し、今般の法案提出に至ったところでございます。
  99. 井上英孝

    井上(英)委員 報告等があって、今回、これはまた改めて法案ということになったというふうにお聞きをいたしました。  ただやはり、先ほど上原局長がおっしゃったような環境ですね、人口減少だとか、ほかの交通機関、要は高速道路がだんだんしっかりとできてきたとか様々な、経営環境はやはり厳しいのかなというふうに思うんですけれども、この法案支援によってJR北海道JR四国というのがどのように再生するというふうにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
  100. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  重ねて申し上げますが、JR北海道及び四国は、以前から、沿線の人口減少高速道路等他の交通手段の発達による輸送人員の減少などにより、厳しい経営状況に置かれております。  また、これに加えまして、新型コロナウイルス感染拡大影響によりその厳しさが増しておりますので、今後のこの両社の再生は、非常に難しい課題を解決していかなければならないというふうに考えております。  一方で、先ほど申し上げましたとおり、両社は地域の基幹的な公共交通サービスを提供しておりますことから、その再生は、地域の生活や産業の維持発展のために必要不可欠であり、しっかりと取り組んでいかなければならない課題と認識をいたしております。  今回、JR北海道四国経営自立に向けた支援措置を講じることで、この両社の経営自立に向けた取組をしっかり後押しをしてまいりますが、特にJR北海道JR四国経営安定基金につきましては、安定的に一定運用益を確保するとともに、JR北海道につきましては今後三年間で総額千三百二億円、JR四国につきましては今後五年間で総額一千二十五億円を支援するなど、これまでにない思い切った支援措置を講じておりますので、まずは両社においてこの支援策を最大限に有効活用していただき、両社の再生を図っていくこととしたいと考えております。
  101. 井上英孝

    井上(英)委員 局長のおっしゃるように、しっかりと頑張っていただきたいという思いは私も持っていますし、ただ、非常に厳しい環境というのもあります。JR北海道四国において、両社とも分割民営化後に鉄道事業で単年度の黒字というのは一度もないというのが現状でもあります。  こういった中で、今回のこの支援で、両社、JR北海道四国に対する支援というのは最終的なものと考えているのか。また、最終的には、ほかのJR四社と一緒で、次のステップでもあります完全民営化というのがあると思いますけれども、その見解についてお伺いしたいと思います。
  102. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  今回の措置では、新たに十年後の経営自立を目標に支援の期限を十年間延長し、これまで以上にきめ細やかで手厚い支援を実施することとしたところでございます。  また、今回の支援に当たりましては、まずは両社の中期経営計画期間内の支援の具体的内容について昨年末に公表をいたしたところでございますが、各社の中期経営計画終了時、あるいは法律上は五年後の見直し規定を設けておりまして、これらを通じて、必要に応じて支援の見直しを図っていく所存でございます。  令和三年度以降におきましても、各JR北海道四国四半期ごと検証を通じまして、経営改善状況につきまして進捗管理を行い、経営自立を実現するために全力で取り組んでまいる所存でございます。  また、完全民営化という御指摘がございましたが、先ほどもちょっと御答弁させていただきましたが、まずは経営自立を目指して、財務諸表上の利益率等をクリアしていくことがまず第一だというふうに考えておりますが、最終的には株式の売却についても目標としていきたいと考えております。
  103. 井上英孝

    井上(英)委員 完全民営化と言うとちょっとステップが上がり過ぎかなという気はもちろんしていますけれども、やはりそれぐらい、JR北海道JR四国にとって、そういうふうなことになるような、また、今回の法案が一助になるように是非お願いをしたいというふうに思います。  続きましては、貨物調整金についてちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、令和元年度のJR貨物に対する貨物調整金は百三十一億円余り支給されています。同社の黒字はこれによって維持されているというふうに言えます。貨物調整金での線路使用の優遇措置というのは、公平性の観点から様々な声があります。  本法案で、貨物調整金については、特例業務勘定から建設勘定への繰入措置延長されることによって、十年間は財源が安定的に確保されるということになりますが、その後の在り方についてどのように考えているのか。また、この調整金のあることによって、やはり、JR貨物を含めて、体質をなかなか変えられていない一部分があるんじゃないかなという気もしますので、その辺、国交省としてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
  104. 上原淳

    上原政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の貨物調整金でございますが、これは、JR貨物が並行在来線会社に対して支払う線路使用料に係る助成金でございます。国鉄改革におきまして、JR貨物は、JR旅客会社に限定的な線路使用料を支払うことを前提として発足をしたものの、新幹線が整備された場合には、JR旅客会社から分離された並行在来線会社にはこの取扱いが適用されないことから、JR貨物の線路使用料が大幅に増加することを回避するために措置をしているものでございます。  こうした措置でございますので、現状では、厳しい経営環境に置かれた並行在来線会社支援としても機能しているというのが実態でございます。  また、JR貨物におきましては、黒字基調の経営が続いてまいりましたが、委員指摘のとおり、現下の経営状況はこの貨物調整金等の下支えがあって成り立っているのも事実でございまして、JR貨物の完全民営化に当たっても、これらの在り方については慎重な取扱いが求められているというふうに考えております。  いずれにいたしましても、本法案におきまして、引き続き貨物調整金の安定的な確保を図るとともに、無利子付けJR貨物に対して行うことにより、生産性向上に対する設備投資を促進いたしまして、JR貨物経営基盤の強化を図ってまいります。
  105. 井上英孝

    井上(英)委員 是非、いずれにしても、JR三社、鉄道局としてサポートできるところはしっかりとサポートしてあげていただいて、何とかいい環境というのを与えていただけたらというふうに思います。  時間も来ましたので、最後、大臣にお伺いをしたいんですけれども、法案とは少し違うんですけれども、新幹線、整備新幹線があります。北海道も今言われているように函館から札幌、さらには北陸、今現在、金沢まで行っていますけれども、それが福井の敦賀、そして、九州の西九州ルートだとかあります。そういった中で、北陸新幹線、敦賀から、今度はまた大阪にというルートの話があります。  今年の予算委員会で、大臣は前向きに答弁をいただいていると思いますが、様々なまだまだ課題があると思います。京都府内での環境アセスの話だとか財源の確保だとか、まだまだ課題もあるんですけれども、改めて、大臣の着工に向けた決意をお願いしたいと思います。
  106. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 北陸新幹線のみならず、今整備新幹線に対するそれぞれの地域地元皆様の御期待も大変大きいものでもありますし、地方創生にも大変大きな効果があるということも証明されていると思っております。  今、井上委員指摘の敦賀―新大阪間の整備につきまして、昨年十二月の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの、敦賀―新大阪間を令和五年度当初に着工するものとするとの御決議の内容を重く受け止めまして、関係機関と調整し、安定的な財源見通しの確保を含む着工五条件、この五条件の早期解決をしっかり図ってまいりたいと思っております。  今お話ありましたように、環境アセスの問題もありますし、恐らく新大阪の駅のこともクリアしなければいけないと思いますが、こうしたことを加えて、まずは詳細のルートの設定に向けた環境アセスの進捗状況ですとかそのスケジュール、工程を、ちょっと敦賀までのところは見える化ができていなくて御迷惑をおかけしましたので、しっかりそうしたことは維持しながら、地元自治体にもよく情報を発信して、しっかり着実に進めていきたい、こう考えております。
  107. 井上英孝

    井上(英)委員 ありがとうございました。
  108. あかま二郎

    ○あかま委員長 次に、古川元久君。
  109. 古川元久

    ○古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。  法案関連の質疑に入る前に、ちょっと冒頭、GoToトラベルについてお伺いしたいと思います。  まだ現段階では再開する状況には至っていないと思いますが、早期の再開を求める関係者は多いですし、政府大臣もいずれかの段階での再開を考えておられると思うんです。  ただ、関係者皆さんから、再開する場合に、例えば、中断前と条件が同じなのか違うのか、あるいはどういう条件の下でどの段階から適用されるのかと。具体的内容が分からないし、急に例えば一週間後から再開すると言われても、やはり準備が必要なので、再開までにはある程度のやはり期間が欲しいという声をよく聞くんですね。  これは、再開に当たりましては、やはり十分な告知期間を取って、具体的条件まで含めてきちんと国民の皆さんに告知する必要があると思いますが、その具体的条件や告知期間については、今の段階ではどのように考えていらっしゃるか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  110. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 十分な告知期間を事前に取るようにという御意見は、古川委員からもこの委員会で何回も受け止めておりますし、そのとおりだというふうに思っております。  ただ、今そうしたことを発言すること自体が非常になかなか難しい状況、それだけ感染状況の見通しが一定していない。緊急事態宣言下でもありますので、まずは、国土交通省としても、政府一丸となって感染拡大の早期収束に向けて最大限の努力をするというのが大前提でありますし、いずれにしても、いきなり始めるというようなことはできる状況でもありませんし、事業者の皆さんについても、どたばた感で混乱させるようなことは避けて、周知期間はしっかりと取ってアナウンスするということは約束させていただきたいと思います。
  111. 古川元久

    ○古川(元)委員 これは、大臣、前もそうやっておっしゃっていながら、結構どたばた、いろいろなことが起きて、現場は大変な目に遭っているんです。  ただでさえも本当に厳しい状況にあるわけなので、やはり、今度再開するに当たっては、その具体的内容とかをちゃんと早く、別にそれは、再開する場合にはこうですよということは、いつ再開するかまだ分からなくてもちゃんと示せるわけですし、再開する場合にはこれだけの告知期間を取りますということは、まだ今はその段階ではないと思いますけれども、ちゃんと伝えられることはできると思いますから、そこは、今言えないじゃなくて、今までの混乱が、また次再開されるときに現場の人が苦労しないように、きちんと対応していただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  再開した場合にの話なんですが、これからどういう条件でとか具体的な内容を詰めて、今検討しているんじゃないかと思いますけれども、この法案にも絡むところでもあるんですが、やはり鉄道とかバスとか、航空機もそうですけれども、公共交通機関はやはり非常に厳しい状況にありますから、GoToトラベルが前やっていたときに、私もちょっと関係者に聞いてみると、やはり、ホテルなんかは結構来る人が多いけれども、前だったら電車とかで来た人が、感染を心配して車を利用する方が多いと。  それこそ、ちょっとある地方へ行ってタクシーに乗ったら、どうですか、GoToトラベルでタクシー利用者は増えましたかと言ったら、やはり電車とかで来てくれないとタクシーを利用しない、車で来る人たちが多いから、なかなかそういうタクシー利用もしてくれないんですという話もありました。  やはり、そういうことも考えますと、電車とかバスとか航空機、こういう公共交通機関を使う人については割引を上乗せするとか、何かインセンティブを考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 これまでのGoToトラベル事業の実施期間、分析しますと、やはりマイカーで移動されている、それも近場のところに行かれているという方が多いというのは、これは分析で分かっているところでございます。  これはある意味では国民の皆さんは賢明に、やはり感染を防止するという、自衛的なところもあったかと思いますが、他方で、やはり公共交通機関の利用を促進したいというふうにも思っておりますので、大変な状況ですから。再開のときに、様々な今検討をしておりますが、公共交通機関を利用した場合には、例えば宿泊の割引の割合、上限額を少し変えるとか、そうした誘導策を考えるというのは今検討しているところでございます。  加えて、タクシーも、当然マイカーの人は乗らないということはありますが、地域共通クーポンの利用の中で、当地の周遊の観光タクシーみたいなことでは大変感謝されているということもつけ加えさせていただきたいと思います。
  113. 古川元久

    ○古川(元)委員 この辺も、具体的に早く内容を決めて、いつから再開するかはまだ分からないと思いますけれども、そういう今厳しい現場で頑張っている皆さん方にやはり希望を与えるようなことを是非していただきたいと思います。  それでは、法案関連の質問に移りたいと思います。  今回のJR二島貨物に対する支援は、将来の経営自立に向けての道筋が明確でないという問題はありますけれども、これまでにない思い切った支援でありまして、私も大変大いに評価しております。これは本当にありがとうございます。  その上で、現在、そしてまた今後、厳しい経営環境に置かれている公共交通の在り方を考えますと、今後の、法案で問題になっているJR二島貨物にはとどまらない状況ですね。JRグループだけ見ても、聞くところによりますと、今回のコロナ禍で、グループ全体で三兆円の減収と一兆円の赤字が見込まれている状況であります。これはJRだけじゃなくて、ほかの事業体の状況も似たようなものじゃないかと思います。  こういう状況は、じゃ、コロナ収束すると元に戻るかというと、そうじゃないんじゃないか。実は、今回のコロナ禍による需要減は、今後、人口減少とか高齢化、そういう進展に伴ってやはり需要が減っていきますから、そういう時代を先取りしただけじゃないか、そういう考え方もあるわけなんですね。  しかも、ビジネス環境も変わりまして、オンライン会議がこれだけ普及すると、今、出張なんかはほとんどなくなって、一度こういうのを体験してしまうと、もう出張というのは必要ないんじゃないか。新幹線なんかは圧倒的にやはりビジネス利用、出張とかの方が多かったわけなんですが、こういう今回のコロナ禍での需要の減というのは、コロナ収束しても戻ることはないんじゃないかなというふうに思うんですが、その点の認識はどのように大臣は持っていらっしゃるでしょうか。
  114. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 コロナ収束した後、戻るか戻らないかということについては、凡夫の私は余り、どうなるかは分かりません。  ただ、公共交通機関の事業者はそれぞれ相当危機感を持っていますので、そうした最悪のケースも考えながら様々なことを検討しているというのも事実でございます。  他方で、公共交通機関は民間事業者がやっているから国は何もしていないかというと、そうではないですし、公共交通機関としてその使命と責任を果たしていただけるために、令和二年度の第三次補正予算、また今の当初予算の中にも、公共交通機関の路線の維持等々で総計五百億円を超える手厚い支援予定しておりますので。  これは交通政策基本法にも書かれておりますが、交通に関する施策の推進は、国と地方公共団体、また交通関連事業者の関係者が連携し、協働しつつ行っていくということとされておりますので、そうしたことは当然のこととしてしっかり支援をしていかなければいけない、こう考えておりますし、実行してまいりたいと思っております。
  115. 古川元久

    ○古川(元)委員 今回の法案も、そういった意味では、足下のところの当面の、維持していく、あるいは何とかやっていくための支援、それは今までもやってきているところなんですが、大臣、ここの場で答えられないというふうにおっしゃいましたけれども、将来の需要。ただ、やはり、構造的な問題を見たら、これは北海道四国だけの問題じゃなくて、全国的に、これから本当に急速な人口減少が進んでいくわけでありますから、別に路線廃止というのは北海道とか四国だけの話じゃないんです、ほかのところもやはり真剣に考えていかなきゃいけないという状況になっていますが、しかし、本当にそれでいいのか。こういう路線がどんどんなくなっていくことが、結局、またそういう地方がより過疎化が進む、悪循環にやはりなっていくんじゃないかと思うんですね。  ですから、そういった意味では、確かに今でもサポートしていますから、でも、これまでの交通政策は、政府事業者の自助努力に頼って、基本は独立採算で維持してもらうというところだったと思うんですけれども、やはり、今、そしてこれから日本社会が直面している構造的な問題、その中での公共交通機関が、国民の生活を維持する、そのためにもう欠かせないものだ、公共財だ、そういうことを考えれば、そういうやり方自体、見直すということも考えていく必要があるんじゃないか。  例えば、今、高速道路なんかは、高速道路会社というのは別に持っているわけじゃなくて、管理はしていますけれども、下の高速道路自体は別の形になっているわけであります。  だから、線路の維持はそれこそ国がちゃんとやって、その運営は民間会社がやるとか、官民の役割の在り方というものをこの機会にきちんと見直す、そういう議論を始めるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  116. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 現在、交通政策基本法に基づきまして、平成二十七年に閣議決定をされた交通政策基本計画の見直し作業を行っているところでございます。  この中でも、改めて、国、地方公共団体、また事業者との連携、協働、また、事業者間の関係につきましても、これまでの競争から協調への転換といった方向で明確に位置づけをして、今後も持続可能な地域公共交通の実現に向けた取組を着実に推進してまいりたい、こう考えております。  また、昨年の通常国会で、改正地域公共交通活性化再生法と、それに関わって独占禁止法の特例法を成立させていただきました。これは、地域の実情を一番よく知る地方公共団体が主体的に地域公共交通の計画を策定しまして、例えばバス路線も、複数のバス事業者が共同経営を通じて路線の効率化やダイヤの改善が行えるように、これは独禁法にかからないようにといった法改正、よく御承知だと思いますが、こうした工夫もしながら、新しい時代に合った、状況に合った公共交通の在り方というのを模索していかなければいけないというふうに思っております。
  117. 古川元久

    ○古川(元)委員 最近、宇沢弘文先生が言われた社会的共通資本という言葉がかなりみんな共有されるようになってきましたが、ある種、私は、公共交通網、これも社会的共通資本だと思うんですね。やはりそういうものはきちんと国が責任を持つ、そういう大原則の議論というものをしていくときに来ているんじゃないか。  目先のところで今までも頑張ってきたことはよく分かりますよ。しかし、そういうものでは、本当に、そういう国土に張り巡らした、せっかくここまで張り巡らした鉄道網もなかなか維持が難しくなってきている現状がある。そういう視点に立って、長期的にこの鉄道網が維持できるためにはどうしたらいいのか、是非そのことを考えていただきたいと思います。  最後に、二〇五〇年カーボンニュートラルの関連で聞きますが、やはりそういった意味では、カーボンニュートラルの実現のためには、CO2の排出量の二割を占めるこの運輸部門、どう削減できるか。特に、そういう意味では、鉄道なんていうのは、鉄道を始めとした公共交通の利用促進をすることはCO2削減には非常に大きな効果があるし、やはりやらなきゃいけない、必要不可欠だと思うんですね。ただ、さっき言われたような、申し上げたような状況がある。  ですから、そこを維持していくためには、やはりお金もかかるわけで、その財源として、例えば、今政府の方でカーボンプライシングの検討がされているようでありますけれども、これを、公共交通を維持することはCO2削減に大きく貢献するんだからということでその財源に充てるのは、十分理屈が通る話じゃないかなと思うんですね。  ですから、例えばそういう形で、やはりそういう公共交通を守るための安定財源、これを見つけていくというか、きちんと国交省としても考えていく、そういう必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  118. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、公共交通の利用促進を図るということは重要でありますし、公共交通を維持するという立場では大変ありがたいというか、そういう方向に持っていければなというふうに思っております。  国土交通省の中の環境行動計画の改定に向けまして、環境分野での施策、プロジェクトについて検討する省内の審議会を立ち上げて、今、公共交通の利用促進についても議論させていただいているところでございます。その中で、先ほど申し上げましたような予算の措置も特段にさせていただいているということでございます。  カーボンプライシングにつきまして、現在、政府内で議論されております。その議論を注視しながら、いずれにしても、新たな時代での公共交通の機能が維持できるような財源確保をしっかりと検討し、努力していきたい、こう思っております。
  119. 古川元久

    ○古川(元)委員 やはり予算を要求するには、その財源もちゃんと示すということが大事だと思いますから、是非、国交省として前向きに検討していただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  120. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  121. あかま二郎

    ○あかま委員長 この際、本案に対し、高橋千鶴子君から、日本共産党提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。高橋千鶴子君。     ―――――――――――――  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  122. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  JR北海道JR四国及びJR貨物JR二島貨物会社への国による支援継続し、経営基盤の強化を図る必要があることは言うまでもありませんが、支援の対象となる事業は、安全、安心の運行を支える鉄道施設等の整備やローカル線等の地域公共交通路線の存続、維持など鉄道事業に対して行われるべきです。  政府提出の改正法案では、JR二島貨物会社に対する無利子付け廃止し、新たに規定を設け、金融機関が行うJR二島貨物会社経営基盤の強化に必要な資金の貸付けについては、今後十年間、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が当該金融機関に対して利子補給金の支給を行うことができることとしています。  しかし、経営基盤の強化に必要な資金には、鉄道施設等の整備に必要な資金以外の資金も含まれるため、JR二島貨物会社による過剰な投資を誘発するおそれがあります。  例えば、JR北海道が、札幌駅新タワービル、ホテル建設計画など不動産開発事業資金民間金融機関から調達した場合、機構が、その資金利子分を利子補給金として支給することができるようになります。  この不動産開発事業への投資は、大手不動産、開発事業者など特定の民間事業者の利益にもつながり、公共性、公平性を欠くものと言わざるを得ません。  さらに、コロナ禍の下、インバウンドを見込んだ観光、ホテル事業等の業績悪化は目に見えており、JR北海道の札幌駅新タワービル、ホテル建設事業等の収益が確保される保証はありません。むしろ、当該事業が、JR北海道への経営支援どころか、負債となり経営を圧迫するおそれすらあります。  このようなことから、利子補給金の支給に関する規定の新設をやめ、現行法の規定による無利子付けの期限延長を行うなど、所要の規定整備を行う内容の、本修正案を提出するものであります。  次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、「機構は、」「国土交通大臣が指定する金融機関が行う会社経営基盤の強化に必要な資金の貸付け令和三年四月一日から令和十三年三月三十一日までの間に締結した契約に基づくものに限る。)について、当該金融機関に対し、利子補給金を支給することができる。」旨の規定は、削除することとします。  第二に、JR二島貨物会社に対し、老朽化した鉄道施設等の更新その他JR二島貨物会社経営基盤の強化に必要な鉄道施設等の整備に必要な資金に充てるための無利子付けを行うことを、機構令和十三年三月三十一日までの間、JR二島貨物会社経営基盤の強化を図るため引き続き行う業務として追加することとします。  以上が、本修正案の趣旨及び主な内容であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
  123. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  124. あかま二郎

    ○あかま委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。  日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、高橋千鶴子君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  126. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  127. あかま二郎

    ○あかま委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、平口洋君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、公明党、日本維新の会・無所属の会及び国民民主党・無所属クラブの五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。道下大樹君。
  128. 道下大樹

    ○道下委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  なお、趣旨の説明は案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。     日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。  一 JR北海道JR四国及びJR貨物への税制面も含めた支援の実施に当たっては、安全運行の基礎となる人材の確保・育成並びに賃金及び労働時間等の労働条件の改善にも配慮し、将来像の明確化とその実現に必要な支援を行い、経営自立が実現できるよう万全を期すこと。なお、「二島特例」や「承継特例」などの税制特例措置をはじめとする既存の経営支援スキームについては、経営自立を果たすまでの間、現行水準の維持に努めること。  二 経営安定基金については、長期にわたる低金利により当初想定していた効果が十分に発揮できていないことから、経済・社会情勢の変化に応じた実効性が確保できるよう、適宜適切に検討を行うこと。  三 JR北海道JR四国及びJR貨物の三社は主体的に持続可能な鉄道サービスの提供に引き続き努めるとともに、住民の意向や地域の実情を踏まえ、国と地方自治体は連携して必要な施策を講じること。  四 地域における企業の立地、観光振興、地域内又は地域間の交流等を促進するための基幹的高速鉄道網の形成や空港アクセスの向上に努め、地域社会の維持・発展を図ること。また、札幌まで整備計画の進む北海道新幹線工事実施において地域住民への配慮に努めるとともに、四国における新幹線についても検討を進めること。なお、並行在来線の存続に関しては、物流面及び住民の足の確保も考慮した協議が行われるように指導等行うこと。  五 我が国の物流においては、環境特性、労働生産性などの面から貨物鉄道へのモーダルシフトを推進することが重要であることに鑑み、必要な幹線鉄道網の維持については、単に鉄道政策のみならず、物流や環境に係る財源の活用等様々な政策によって対処すること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  129. あかま二郎

    ○あかま委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  130. あかま二郎

    ○あかま委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣赤羽一嘉君。
  131. 赤羽一嘉

    赤羽国務大臣 日本国有鉄道清算事業団債務等処理に関する法律等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。  今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに、委員長を始め、理事皆様、また委員皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。  誠にありがとうございました。     ―――――――――――――
  132. あかま二郎

    ○あかま委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. あかま二郎

    ○あかま委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  134. あかま二郎

    ○あかま委員長 次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会