○中島
委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、
提出者を代表して、その趣旨を御
説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の
説明に代えさせていただきます。
育児休業、
介護休業等育児又は
家族介護を行う
労働者の
福祉に関する
法律及び
雇用保険法の一部を改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一 男性の
育児休業の取得促進については、それが男性の育児・家事参加の
機会確保と男女共同参画への意識改革につながることに加え、出産・育児においては、男性も女性も一定期間、職場から離れて育児に専念するということを
社会通念上も雇用慣行上も当然のものとして定着させることで、雇用・職業における女性への差別的取扱いはあってはならないし、許されないものであるとの認識の下、これを是正・解消し、真に男女が共に参画できる
社会を構築することに寄与する観点で、今後も引き続き前進させるための努力を行うこと。
二 男性の
育児休業取得率を令和七年において三十パーセントに引き上げるという政府目標の
実現に向けて、
労働者及び事業主の
理解の促進、
育児休業制度の
内容の周知、好事例の普及などに努めること。また、
制度内容の周知に当たっては、本法による改正で複雑化した
制度が
国民によく
理解され、もって
育児休業の取得が促進されるよう、適切な広報に努めること。
三 今回の出生時
育児休業は、一定の範囲で特別な
枠組みを設けることにより、男性の
育児休業取得を促進するための特別な措置であり、男性の
育児休業取得がより高い水準になり、この仕組みがなくてもその水準を保つことができるようになった場合には見直すこと。
四 今回の
制度改正の施行に当たっては、
企業の
理解を得た上で
実施していくことが必要となることから、全ての
労働者が
育児休業の権利を行使できるよう、小規模事業者であっても活用できるような形で代替要員
確保や
雇用環境の
整備等の措置に対して
支援を行うなど、事業主の
負担に配慮した
制度運営を行うこと。
五 事業主はその雇用する
労働者に対して出生時
育児休業の申出期限を適切に周知するとともに、その申出期限にかかわらず事業主及び
労働者双方が
早期の休業申出に向けて互いに配慮することが望ましい旨を指針に明記すること。
六
育児休業は
労働者の権利であって、その期間の労務提供義務を消滅させる
制度であることから、
育児休業中は就業しないことが原則であり、事業主から
労働者に対して就業可能日等の申出を一方的に求めることや、
労働者の意に反するような取扱いがなされることのないよう指針に明記するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。
七 出生時
育児休業中の就業は、あくまで
労働者からの申出が前提となっていることから、それを可能とする労使協定の
締結についても、使用者側からの一方的な押しつけにならないよう、
労働者側の意向を反映する適正な手続を明らかにし、周知を徹底すること。
八
育児休業中の
社会保険料免除要件の見直しに関し、
労働者が
育児休業中に就業した場合には、休業中の就業日数によっては
社会保険料の免除が認められなくなり、
労働者に想定外の経済的な
負担が発生する
可能性があることについて周知徹底すること。
九 選択肢の中からいずれかの措置を講じなければならないとされている
雇用環境の
整備については、可能な限り、複数の措置を行うことが望ましいことについて、事業主の
理解を得るよう努めること。また、研修については、
労働者のみでなく、事業主に対しても行われるような方策を
検討し、
労働者が安心して希望する期間の
育児休業を取得することのできる職場風土の醸成を図ること。
十
育児休業等の
制度への
理解不足により、
労働者の権利行使が妨げられることのないよう、事業主が妊娠・出産の申出をした
労働者に対して、
育児休業制度のみでなく、休業の申出先や休業中の所得保障などについても知らせることとするなど、
育児休業の取得に対して実効ある措置を講ずること。
十一
育児休業の取得意向の
確認等において、
労働者に対し取得を控えさせるような取扱いが行われないよう運用を徹底するとともに、違反が明らかになった場合には事業主に対して厳正な対処を行うこと。
十二 常時雇用する
労働者が千人を超える事業主に義務
付ける
育児休業の取得
状況の公表に際しては、
育児休業取得期間についても、その公表の促進を図る方策について
検討すること。
十三 上場
企業等については、有価証券報告書などの
企業公表文書等への
育児休業取得率の記載を促すこと。
十四 雇用均等基本調査における
育児休業取得期間の調査及び公表については、取得
状況を的確に把握し、もって今後の
育児休業制度の在り方の
検討に資するため、その頻度及び調査項目について必要な見直しを行うこと。
十五 有期雇用
労働者の
育児休業及び
介護休業の取得要件の緩和について、労使双方の
理解不足等により
対象となる有期雇用
労働者の権利行使が妨げられることのないよう、その趣旨を周知徹底すること。また、雇用の継続のために
育児休業及び
介護休業の取得を希望する有期雇用
労働者が確実に取得できるよう、引き続き更なる環境
整備に努めるとともに、今回の改正後の施行
状況について検証を行い、必要な
検討を行うこと。加えて、臨床研修医や専門医を目指す医師など、勤務先を短期間で移らざるを得ない者が
育児休業を取得しやすくなるよう必要な方策を
検討すること。
十六 派遣
労働者については、派遣契約の違いによる
育児休業及び
介護休業の取得
状況の実態把握を行い、取得促進に向けた運用の改善と具体的な促進策を
検討すること。
十七
新型コロナウイルス感染症による雇用保険財政への影響を踏まえ、財政運営の安定
確保策について早急に
検討するとともに、雇用保険の国庫
負担については雇用政策に対する政府の責任を示すものであることから、
雇用保険法附則第十五条の規定に基づき、安定した財源を
確保した上で同法附則第十三条に規定する国庫
負担に関する暫定措置を
廃止すること。
十八 本法附則の規定に基づく
検討においては、出生時
育児休業等の取得期間、出生時
育児休業中の就業、
育児休業の分割取得、有期雇用
労働者の
育児休業等の取得の
状況等について詳細な調査を行うとともに、その結果を広く公表すること。
十九 女性の就業継続を促進するためには男性の育児・家事への参画を促す必要があることから、
自治体が
実施する両親学級、父親学級等については、より男性が参加しやすく、産後の育児・家事について学ぶものとなるよう、必要な
支援を行うこと。
二十
育児休業取得促進に向けた事業主の積極的な取組を
推進するため、両立
支援等助成金の更なる拡充など、効果的なインセンティブの在り方について
検討すること。
二十一 同性カップルに対する
育児休業、
介護休業等の適用について、関連
制度における取扱いも踏まえつつ、必要な
対応の
検討を行うこと。
二十二 妊娠・出産・
育児休業等に関するハラスメントの防止に向けて、事業主に対して雇用管理上の措置の徹底を図るとともに、
制度を利用していない
労働者に対するパワーハラスメント
対策についても徹底を図ること。
二十三 働きながら安心して育児が行えるようにするという観点から、ひとり親
世帯など、子育て
世帯の多様化も踏まえつつ、本法附則の規定に基づく
検討を行うこと。
二十四
育児休業は子の養育のための休業であることから、子の養育という
目的を果たせないような形で
育児休業中に請負で働くことは
育児休業の趣旨にそぐわないものであることについて、適切に周知すること。
以上であります。
何とぞ
委員各位の御賛同を
お願い申し上げます。(拍手)