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青山(雅)
委員 ありがとうございます。
本当にいつも申しております二〇五〇年、二〇六〇年、三十年、四十年ずっとこの状態が続くというか悪化していくというか、不断の見直しというのは、見直しするための作業を積み重ねることが必要で、今
大臣がおっしゃったような難しい課題も、それは時間をかければできるわけですね。それを一週間、一か月でやろうというと難しいわけですけれ
ども。ですから、困難な課題ですけれ
ども、是非チャレンジをお願いしたいと思っております。
続きまして、この健保法の二割負担に上げることによる
受診抑制の問題についてお伺いしていきたいと思います。
今日の
議論を聞いておりましても、
受診抑制が
国民の健康に
影響を与えることについての非常に真剣な
議論がなされております。それ自体は大変有意義なことだと思っております。
ただ、若干視点として欠けているのは、
医療というのは本当に難しい側面がございまして、特に私は、個人的な経験で、
医療訴訟に深く、この十五年、二十年くらいずっと関わってきた患者側の弁護士からしてみると、
医療にはやはり光と影がある。これは私が別に言っているわけではなくて、これはアメリカなんかでは非常に基礎的な調査がなされております。
例えば、ここにCNNのニュースのデータがあるわけですけれ
ども、二〇一六年の話ですけれ
ども、米国人の死因、第三位は
医療ミスか、推計二十五万人が死亡、こういう
お話もあります。第三の
疾病、
医療過誤というふうな名前で、非常に大きな話題を呼んだこともあります。個人的にも、私の親しい家族が、過剰診療というか過剰な
医療によって苦しんだという経験もございます。そういうところから考えると、何が適正なのかというのはすごく難しいんだと思っています。
今日お手元にお配りした資料、これを御覧ください。資料1というものです。これを見ると、日本は、これは日本医師会の研究機構が出しているものですけれ
ども、OECDの中で第二位の
受診回数、一人当たりのですね。韓国に続いて第二位。非常に多く
受診回数、機会があるわけです。この十二回というのは、一番少ないスウェーデンが二・八ですから、四倍以上なわけですね。
もう
一つ。かなり大きな受け控えというのが昨年あったことは皆さん御承知のとおりだと思います。二〇二〇年、特に
高齢者の方が怖がって、一般の今まで通院していたお医者さんにも行かなくなった。私も、個人的に通っているある目医者さん、それまで物すごい混雑だったのが、
コロナ禍が発生して以来、通っている患者としては助かるんですけれ
ども、患者数が激減して通うのが非常に楽になったという事実がある。
そんな中で何が起こっているかというと、実は、二〇二一年の三月十五日に発表している
政府の発表によると、
感染症研究所でしたかね、いずれにしても公的機関の発表によると、超過死亡と過少死亡の推計を比べると、過少死亡が圧倒的に優位になっているんです。つまり、去年、受け控えの結果、実は逆に死亡者数が抑制されているというような事実もあります。
ですから、私は、これは単純に、
受診回数が減った、受け控えがあったからといって、直ちにそれが
国民の健康を損ねるかどうかというのはいろいろな解析が必要である。
というのは、私は、
医療過誤の訴訟をやっていると、
医療の常識は本当に五年から十年単位で大きく変わることがあるな。コレステロールが全部悪玉だった中から善玉もあるんだとか、あるいは、中性脂肪はすごく基準値が低く抑えられて、積極的な投薬をした挙げ句に、逆に健康被害を引き起こして基準値が引き上がるとか、やはりいろいろ揺れ動くんですね。そうすると、私は、やはり適正な
受診回数であるとか適正な
医療というのはどこかにある、ただ、それを測るのは非常に難しいので、そこだけの
議論をしていってもなかなか結論は出ないのではないかなと皆さんの
議論を聞いていて思うんです。
先ほどの
受診回数の表に戻るわけですけれ
ども、これを見ると、世界第二位。普通、平均的なところが六くらいでしょうか、それに比べると倍あるわけですね、
受診回数。そういうような日本の今の
現状を見ると、今回の改正案によって、これが、国際的な水準から見ての話ですけれ
ども、健康維持や療養に当たって不相当な水準まで抑制されるとは私は一概には考えられないんじゃないかなと思うんですけれ
ども、
政府はその点についてどうお考えになっているのか、御
意見をお聞かせください。