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2021-05-27 第204回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月二十七日(木曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 渡辺 博道君    理事 伊藤 忠彦君 理事 江渡 聡徳君    理事 津島  淳君 理事 中村 裕之君    理事 細田 健一君 理事 長尾 秀樹君    理事 山内 康一君 理事 中野 洋昌君       井林 辰憲君    石川 昭政君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       城内  実君    北村 誠吾君       齋藤  健君    斎藤 洋明君       高木  啓君    土井  亨君       西田 昭二君    野中  厚君       福山  守君    古田 圭一君       星野 剛士君    三原 朝彦君       宮澤 博行君    簗  和生君       吉野 正芳君    阿部 知子君       荒井  聰君    逢坂 誠二君       菅  直人君    日吉 雄太君       宮川  伸君    山崎  誠君       伊佐 進一君    浮島 智子君       藤野 保史君    足立 康史君       浅野  哲君     …………………………………    経済産業大臣      江島  潔君    文部科学大臣政務官    三谷 英弘君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 酒田 元洋君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 佐藤  暁君    政府参考人    (復興庁統括官)     開出 英之君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           堀内 義規君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           間 隆一郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君    政府参考人    (経済産業省商務情報政策局商務サービス政策統括調整官)         山本 和徳君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (環境省環境再生資源循環局長)         森山 誠二君    政府参考人    (原子力規制庁次長)   片山  啓君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)           文挾 誠一君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   簗  和生君     高木  啓君 同日  辞任         補欠選任   高木  啓君     簗  和生君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  原子力問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺博道

  3. 渡辺博道

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 渡辺博道

    渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岩田和親君。
  5. 岩田和親

    岩田委員 自由民主党岩田和親でございます。  本日は、この原子力問題調査特別委員会質問をする機会を得ましたことに心から感謝を申し上げながら質問を進めていきたい、このように思っております。  ちょうど福島第一原発事故から十年という節目を迎えるこの年でありますが、改めてこの原子力という問題は安全が大前提である、こういった思いを新たにしているところであります。  今回は二つのテーマについて質問していきたいと思っておりますが、やはり安全というふうなことをしっかりと担保していく、このことをしっかり進めていきたい、こういう思い質問をさせていただきます。  まず、原子力防災について質問をしてまいります。  佐賀県でも令和二年十一月に実施をされました原子力防災訓練ですが、やはり今の新型コロナ感染拡大といったものを踏まえた内容になっております。こういった原子力防災訓練各地実施されているんだろう、このように承っております。各地での訓練開催状況について、また新型コロナ感染対策内容についての例示も含めて、説明を求めたいと思います。
  6. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  昨年度、各地域実施されました原子力防災訓練につきましては、新型コロナウイルス感染拡大状況を踏まえ、住民の参加を見送った地域も一部ございますけれども、佐賀県などの玄海地域を始め多くの地域感染症対策を講じた上で訓練実施しております。  その際の感染症対策具体策としては、マスクの着用、手指消毒、人と人との距離の確保などの感染防止対策のほか、避難に伴う感染拡大を防ぐため、避難所避難車両における感染者などとそれ以外の者との分離などに取り組んでまいりました。  引き続き、関係自治体と連携し、感染症対策も含めた訓練などを通じて、原子力災害対策具体化充実化に取り組んでまいりたいと思っております。
  7. 岩田和親

    岩田委員 各地防災訓練はおおむね実施されたというふうな受け止めをさせていただきましたけれども、令和二年度の原子力総合防災訓練に関しては、感染状況というふうなものを考慮して結果的に中止になったというふうに承っております。密を避けるために人が集まりにくいという今の現状は十分に理解ができるところでありますが、原子力防災はできるだけ多くの住民に参加して体験してもらうということが重要でもあり、難しい課題であると考えております。  この新型コロナ感染状況の中で、実地訓練に制限がある、若しくは実施ができないという場合においても、地域住民には原子力防災について必要な知識を身につけていただき、実効性向上を図らなければなりません。こういった点も含めて、新型コロナ状況下における原子力防災訓練在り方についての考えをお聞きします。
  8. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  原子力災害はいつ発生するか分からないことから、新型コロナウイルス感染症が流行している状況下において原子力防災訓練実施することは、原子力災害対応実効性課題を確認する上で十分に意義があると考えております。  また、訓練実施の際には、新型コロナウイルス感染症対策も踏まえた避難などの防護措置について、日頃から行っているパンフレットなどを用いた住民への周知とともに、可能な限り住民にも訓練に御参加いただくことにより、住民理解を進めていくことも重要であるというふうに考えております。  そうであっても、感染症流行下では住民訓練に参加しにくい場合も考え得るため、例えば、北海道などのように、感染症対策を講じた訓練記録の映像を動画配信サイトなどで広く周知するなどの工夫を行っている地域もございます。  今後とも、内閣府として必要な支援を行い、訓練研修等を通じて、各地域原子力防災体制の更なる実効性向上に取り組んでまいります。
  9. 岩田和親

    岩田委員 福島第一原発事故より十年が経過をしたわけでありまして、これまでの間、全国各自治体地域防災計画を始めとする原子力防災については、それぞれ議論を積み重ねて必要な修正がなされ、また、実効性を高めるための取組が進められていると承知しております。  佐賀県では、避難経路複線化のために、七つの離島全てにおいてヘリポート令和三年度中に完成予定ということで、住民の安全、安心に確実につながっていると私も評価をしているところです。  一方、この原子力防災には更なる課題があるという意見も根強くあります。  避難の車が渋滞して計画どおり避難できないのではないか、自然災害との複合災害の場合に避難経路が寸断されて計画どおり避難ができないのではないか、そもそも避難道路の整備がいまだ不十分だなどを始め様々な指摘があります。  また、多くは語りませんけれども、地域によっては計画策定などの進捗にばらつきがあることも直視をしなければならない現実です。  不断の見直しを行い、実効性を高めていくといった文言がよくこの場で使われますが、全くそのとおりでありますけれども、この言い方が抽象的で精神論努力目標のように聞こえてはなりません。地域住民の十分な納得や安心につながるようでなければならないという感を私は持っております。  そこで、全国的にも、また各地域においても、原子力防災の更なる改善点はどこかを具体的に整理していく、スケジュールを示してきちんと実施していくというPDCAサイクルを更に強化すべきだと私は考えております。特に、改善が進んでいないという指摘もある中で、その議論と実行の過程地域住民公開して安全、安心につなげていくことにも注力すべきです。結果として着実に防災体制が強化されて、地域住民の安全、安心につながることを希望しております。  以上申し上げたことを踏まえて、原子力防災の更なる改善実効性向上についてどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
  10. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  今議員からは、まず、福島事故から十年がたち原子力防災についての改善点という御質問もございました。  この点につきましては、私どもはこれまで、原子力防災体制充実強化について、東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえて充実強化に継続的に取り組んできたところでございます。  具体的には、事故教訓などを踏まえて策定された原子力災害対策指針において、まず、原子力災害対策重点区域につきましては、IAEAの国際基準における設定範囲のそれぞれ最大値を採用して、原子力発電所からおおむね半径五キロの範囲にまずPAZというものを設定し、同じくおおむね半径五キロから三十キロの範囲においてはUPZという対象範囲を設定しております。  このPAZ内においては放射性物質放出前に予防的に避難し、UPZ内においては放出に備えて屋内退避放出後にはモニタリングの結果を踏まえ一時移転等実施するほか、要配慮者緊急事態の早期の段階で避難を開始するとともに、移動によりリスクが高まる方は放射線防護施設にとどまった上で避難の準備ができ次第避難を行うといったことなどが定められております。  その考えに従いまして避難計画などの事前対策が講じられているところでございますし、また、原子力防災体制の構築に当たっては、原子力発電所所在地域ごと地域原子力防災協議会を設置の上、国と関係自治体とが一体となって、地域防災計画避難計画具体化充実化に取り組んでいるところでございます。  その上で、避難計画を含む地域の緊急時対応については、原子力災害対策指針などに照らして具体的かつ合理的であることを各地域地域原子力防災協議会において確認するとともに、総理を議長とする原子力防災会議において了承することとしております。  もう一つ議員の方からお尋ねのありました原子力防災の更なる改善実効性向上についての取組でございますけれども、こうして一旦当該地域の緊急時対応を取りまとめた後も、継続的な研修訓練などを通じて、住民を含めた関係者対応能力理解度維持向上に努めているところでございます。また、訓練の結果などの反映に加え、新型コロナウイルス感染症などの新たな課題への対応策を盛り込むなど、緊急時対応につきましては、その改善見直しを通じて継続的に維持向上させているところでございます。  具体的な例といたしまして、佐賀県などの玄海地域の緊急時対応につきましては、まず最初に二〇一六年十一月に緊急時対応を策定した後に、翌年の二〇一七年九月に総合的な防災訓練実施し、その教訓反映する改定を二〇一九年一月に行い、現在は新型コロナ感染症対策などの反映のための改定に向けた作業を進めているところでございます。  いずれにしても、原子力防災に終わりや完璧はないとの考えの下、今後とも原子力防災体制充実強化に努めてまいります。
  11. 岩田和親

    岩田委員 お答えいただきましたように、もちろん、事故後、この十年の中で大きな原子力防災方針ということに関しては基本的に異論はないものだと考えておりますけれども、ただ、やはり、それぞれの地域実効性の問題の中で課題があるということ、もうあえて今日は細かいことを申し上げるつもりはありませんけれども、そこに正直、課題が足踏みになっているとか、そういったことがあるということを私は認めざるを得ないんだというふうに思っております。  今御答弁の中にもありましたけれども、佐賀県の例というのは比較的うまくいっているケースなんだと思っております。離島に人が住んでおられて、例えば天候不良で船で避難ができない、この課題に対してどうするのかということに対して、ヘリポートを全ての島に設置できる、それも今年度中ということですから、住民皆さんには本当に安心につながっているんだろうというふうに思っているところであります。  こういうふうな議論過程も含めて、しっかりと住民皆さん理解して安心していただく、こういったケース各地にある原子力立地地域できちんと具体的なところまでやっていくということを是非私はやらなければいけないんだろうというふうに思います。また、それも各地域任せではなくて国全体の方針として、具体的なスケジュールの中で一つ一つきちんと結果を出していく、このことを是非皆さんと一緒に原発事故の十年という節目で改めて誓い合いたい、このように思っております。  先の質問を急ぎたいと思います。核物質防護の問題について御質問をしていきます。  柏崎刈羽原発核物質防護の不備の事案が大きな問題となっております。ほかの原発等核物質防護に関する検査結果についても原子力規制委員会報告がなされたと伺っております。その概要について説明をしてください。
  12. 山田知穂

    山田政府参考人 令和三年五月十九日の原子力規制委員会報告いたしました令和二年度の検査結果及び総合的な評定におきまして、東京電力柏崎刈羽原子力発電所を除いて検査指摘事項が確認された施設は五施設、八事案でございました。  これらはいずれも、核物質防護機能、性能への影響はあるが限定的かつ極めて小さなものとなりますいわゆる緑の評定でございまして、検査対応区分が第一区分のままでございますので、引き続き基本検査を行うこととしているところでございます。
  13. 岩田和親

    岩田委員 これで全ての原発について検査の結果が出たというふうに理解をしているところであります。核物質防護についての全容が明らかになったこの時点で、今の電力会社核物質防護現状はどのようになっているのか、委員長の受け止めについてお聞きしたいと思います。
  14. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、核物質防護におきましては、悪意ある第三者を利する可能性のある情報は公にできない、公開できないという原則があります。しかしながら、厳正な情報管理を追求する余りに情報共有組織内で極めて限定されたところにとどまってしまう、その結果として事業者間における核物質防護に対する意識対策に幾分かのばらつきが生じてきたものというふうに受け止めております。  今後、更に、検査を通じまして、情報共有在り方を含めて、核物質防護の継続的な改善を図ってまいりたいというふうに考えております。
  15. 岩田和親

    岩田委員 今少し御答弁の中にも触れられておられましたけれども、その件について少し深掘りをして御質問したいというふうに思っております。  今もお触れになりましたけれども、核物質防護の難しさというふうなところは、この問題に関わっている人が事業者側でも規制の側でも一部分の人であるということであって、問題に気づく可能性がある人も少なくて限られているということがある、規制側にも改められるところがないか探っていきたい、また双方に改善する余地が随分あると考えているというふうなことをこの問題に関して発言されたというふうに報道で承っております。  これまでの原子力問題調査特別委員会でも、この問題で様々な質疑がありました。その中でも核セキュリティーは機微に関わる問題で、詳細について答弁がなされていない状況であります。ただ、私は、これでは原子力問題調査特別委員会機能を十分に果たし得ているんだろうか、こういう課題意識を持っております。  当然ですが、国民の負託を得て、そしてまた国会事故調の提言も受けて発足した当委員会には大きな責任があります。どうやって核物質防護の安全が担保されていると言えるのかというふうなことを私たちとしてもきちんとチェックしなければいけない、こういった点も含めてこのことは考えていかなければいけないというふうに思っております。  委員長の発言の中であった規制側改善点というふうなものはどういうふうなものを考えているのかという点も踏まえて、御所見を伺いたいと思います。
  16. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 先ほどのお答えの中でも触れましたけれども、情報管理に対して細心の注意を払う余りに、例えば、これまで核物質防護事案に対する委員会自身規制庁活動に対する関与が限定的であったというふうに感じています。したがいまして、委員会関与を深めることは重要であろうと思います。  さらに、検査一つを取っても、核物質防護に係る専門的な知識を有する検査官チーム検査として各施設検査して回るという形式を取っておりましたけれども、今後は、これの拡充も含めてですけれども、更に、各施設には常駐する検査官がおりますので、こういった常駐の検査官核物質防護に係る活動を監視するという取組も強めてまいりたいというふうに考えております。  また、大変難しい問題ではありますけれども、情報共有情報公開についても精査をしていきたいというふうに考えております。先生御指摘のとおり、監視する目が限られるということはやはりどうしても抜けや欠けを生ずる元となりますので、また、社会からの監視が限られてしまうということも問題ではありますので、情報共有公開在り方については今後とも精査を続けたいというふうに考えております。
  17. 岩田和親

    岩田委員 ありがとうございます。  もちろん、事業者側に対しての規制委員会規制庁としての取組というものも更なる向上を目指していただきたいと思いますし、また繰り返しになりますが、当委員会原子力行政原子力規制に関してきちんとチェックしてその責任を果たし得る、そのための委員会としての在り方というふうなものも、是非今後とも改善というふうなものを求めていきたいというふうに思います。  次の質問に参ります。  柏崎刈羽原発事案は、今後、東京電力から根本的な原因の特定や改善措置活動計画などを内容とした報告を求めて、原子力規制庁取組に応じて追加検査を段階的に実施するというふうになっております。  ここで私が問題意識を持っていますのは、安全文化というものについてであります。様々な取組の基盤となる安全文化が重要であるということは論をまちませんけれども、一方で、何をもって安全文化が確立したと評価できるのかという点はやはり難しい課題であります。  もちろん、言うまでもなく、様々なルール改善策をつくっても、安全文化というものが醸成、確立されていなければ、きちんと実行する担保にはなり得ません。一方で、安全文化をどうやって論理的、科学的に評価するのかといった点は私も課題として持っております。  規制側としてどのようにして安全文化というものを醸成、確立されたと評価するのか、お聞きしたいと思います。
  18. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 安全文化の状態をどのように評価するかというのは、これは、国際的にも、規制当局間の議論や、あるいは事業者を交えた議論でも、長く主要な課題として現在でも議論が続いている、大変難しい問題であることは私たちも認識をしております。  一方で、幾つかの機関から、健全な安全文化の特徴であるとか、あるいは安全文化における劣化の兆候といった要素についての指摘がなされています。  例えばですけれども、リーダーシップ在り方、どのようなリーダーシップが発揮されているか、あるいは、組織内において懸念や異論を発言しやすい、表明しやすい環境が整えられているかどうか、更に言えば、組織内のコミュニケーションですとか、そういった個々の要素について、一つ一つ東京電力柏崎刈羽原子力発電所における体制状況といったもの、更に言えば、東京電力がこういった点についてどのような改善を図ろうとしていて、東京電力自らの力によって改善がなされる環境になっているかどうかを追加検査の中で見てまいりたいというふうに考えております。  安全文化核セキュリティー文化について改善が図られているかどうか、これは大変重要なポイントでありますので、しっかりと追加検査で確認をしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 岩田和親

    岩田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  20. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、斎藤洋明君。
  21. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 自由民主党斎藤洋明でございます。  同僚の岩田委員に引き続きまして、原子力問題に関連しまして質問させていただきたいと思います。質問機会をいただきまして、ありがとうございます。  まず、東京電力に、柏崎刈羽原発IDカード不正使用核物質防護設備機能の一部喪失事案に関連しまして二点お伺いしたいと思います。  まず一点目でございます。この事案に対する対応に今取り組んでいただいていると思いますが、今現在の社内での取組状況についてお尋ねします。
  22. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  本事案につきましては、根本的な原因究明と抜本的な改革に向けまして、本社発電所一体となりまして、全力を挙げて今進めているところでございます。  三月下旬からは、原子力立地本部長の牧野と、新潟本社代表の橘田、さらには本社スタッフ発電所に駐在をしまして、本社発電所一体となった合同チームによりまして調査実施しているというところでございます。  また、原子力発電所を保有いたします他の電力会社核セキュリティー担当者と連携いたしまして、核防護に関するルールとかあるいは取組事例を相互に評価する取組を四月から開始してございます。  今後は、社外有識者によります第三者の視点からも原因究明改善取組について評価、助言をいただきながら、九月二十三日までに原子力規制庁報告書を提出する予定でございます。  以上でございます。
  23. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 今現在の取組状況についてお答えをいただきました。  特に、他の電力会社取組をベンチマーキングしていくということについては非常に大事だと思いますので、積極的に取り組んでいただきたいと思いますし、また、特にお願いをしたいのが、この問題、社内の文化を変えていくという大変な取組なわけですが、頭を幾ら大きくしても現場の状況改善されなければ本末転倒になってしまいますので、是非社内を挙げて、意思決定などはスリムにしなければいけない部分もあるのでしょうから、そこは総合的な注意を払っていただきたいと思います。  関連してもう一点お尋ねしたいと思います。  この問題に対応するためには、広く現場の意見に耳を傾けていただきたいと考えております。ここで申し上げます現場というのは、施設管理ですとか警備ですとか、既に指摘されておりますが、原子力運転部門と他の部門との意思疎通におろそかな部分があったのではないかという御指摘も既にされております。原発に関わるあらゆる部署とのコミュニケーションももちろんでありますし、下請事業者の方ですとか、その先にいらっしゃる方々、その他様々取引先があるかと思います。そういった多様な階層から意見を酌み取るための努力が必要ではないかと考えますが、そういった点についてどのように取り組んでおられるか、お尋ねします。
  24. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えをさせていただきます。  先生御指摘のとおり、現場の意見に耳を傾けるということは、実効性ある改善措置計画を策定する上でも非常に重要というふうに考えてございます。現在、社長を含め経営層が発電所所員と直接対話を行ってございまして、やはり現地現物の視点で、一連の事案原因究明とか、あるいは組織文化をつくり直すための課題の洗い出しというものに努めてございます。  あわせまして、今先生も御指摘がありましたとおり、協力企業の皆様、これは大体、今約七百社程度ございますが、それも対象にしたアンケートをこれから実施したいというふうに考えてございます。幅広く組織課題について御意見を伺うということをしたいというふうに思います。  また、自社に閉じることなく、他電力さんとかあるいは他業界の国内外の外部専門家の指導というものを得ながら、良好な事例を積極的に取り入れていくということも今後は考えたいと思います。  以上でございます。
  25. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 ありがとうございます。  これはなかなか大変なこと、言うはやすしですが行うは大変なことだと思います。協力企業、下請関係にある企業から見れば東京電力さんは発注者であるわけです。発注者に対して、ここを改善した方がいいんじゃないかと言うというのは、物すごく平時であってもリスクのあることです。これはすごく大事だと思うんですが。  というのは、原発の問題に限らず、例えば官公庁の発注に関わる問題の改善をしたいと我々が思っても、なかなかそこは口を開いてもらえない。これは非常に信頼関係も要りますし、ましてや、直接発注者である東京電力さんの側に、現場はこういう問題があるとかこうしてほしいという声を言うというのは大変なことであります。ですけれども、この壁を打ち破らなければいわゆる安全文化の定着には到底つながらないと思いますし、例えば協力企業のその先のその先で働いていた方々のルポですとか市販されているものを読んでも、いろいろな課題があって、だけれどもそれは重層的な下請関係の中でなかなか上に上がっていかないということが拝察できるわけであります。  もちろん、そういう構造はよく頭に入った上でどうやって改善するかということをやっておられるんでしょうから、是非そこは取り組んでいただきたいということと、あともう一点、私の方からお願いをしたいのは、東京電力さんの若手の社員の方々に是非こういうヒアリングをやっていただきたいと思っていまして。  というのは、若手の方々は、これから経験を積んで社内でポストが上がっていく中で、若いうちに、協力先企業でどんな問題があるのか、どういうことが起きているのかということを知っておくのは非常にプラスになることだと思いますので、是非そういった取組考えていただきたいと思います。  安全文化のことにつきましては先ほど岩田委員質問でもやり取りがございましたが、私はとりわけコミュニケーションの問題が非常に大事だと思っておりますので、是非継続的によろしくお願いしたいと思います。  続きまして、原子力の問題に関連しましてお尋ねをしたいと思います。今度は政府にお尋ねしたいと思います。  私は、政府による福島第一原発のALPS処理水の放出方針、これにつきましては復興に向けて非常に意義のあるものだと評価をしています。ただし、風評被害防止はしっかり行わなくてはならないという意味では、国内外への情報発信は非常に重要だと考えております。この点につきましては、事業者任せにするのではなくて、国がしっかり取り組むことは当然重要なわけでありますが、今現在の取組についてお尋ねをしたいと思います。
  26. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  ALPS処理水の海洋放出実施に当たっては、風評影響を最大限抑制するため、できるだけ多くの方々や国際社会の理解を得ることが重要でございます。  このため、特にALPS処理水の安全性について、御指摘のように、政府が前面に立って、科学的な根拠に基づく丁寧な説明や、客観性と透明性の高い情報発信を行うことが重要と認識しております。  この観点から、例えば、ALPS処理水に関する意見交換や説明会の開催を行い、双方向のコミュニケーションの場を設けることはもとより、リーフレットや解説動画等の広報コンテンツを作成し、地元自治体での配付に加え、SNSやネットメディア、ホームページ等を活用した発信を行うことでより幅広い方々へ効果的に発信すること、また、外国政府に対して在京外交団や在外公館、国際会議の場などを通じた説明を行うことや、経済産業省や外務省等のホームページで広報資料の英語での掲載を行うことなどといった取組を一層強化し、地元のみならず、国内外の様々な世代の方に対する分かりやすい情報発信に努めていく所存でございます。
  27. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 是非、これは今すぐできることではなくて、二年程度後をめどにということでありますが、この間を生かして国内外の理解の促進に努めていただきたいと思っています。  風評被害対策、とりわけ漁業者への対応がしっかり必要になってくると思います。私の祖父も漁業者でございましたので、漁師が漁ができない、海に出られない、あるいはせっかく捕ったものが市場で不当に評価されるということの問題は私も非常によく分かっているつもりであります。是非こういったことにつきましては情報発信に努めていただきたいと思います。内容は私は非常に妥当だと思っていますし、重要だと思っていますので、是非御努力をお願いしたいと思います。  続きまして、電力市場全体の問題につきましてお伺いしたいと思います。  我が国の電力料金が高止まりをしているということが、我が国の産業競争力、そして我が国の国民生活の質に直結しているという問題意識を持っております。再エネを導入拡大していきますと、賦課金もますます増大していくということも懸念されます。  我が国の一般用あるいは産業用の電気料金を国際的に比較した場合、どういうふうに評価しておられるのか。それと、再エネ導入促進のみをいたずらに進めていくと国民負担が大きくなることが想定されますが、こういった点につきまして政府の見解をお尋ねしたいと思います。
  28. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今お尋ねがございました電気料金でございますけれども、東日本大震災以降、多くの原子力発電所が停止してまいりました。一方、火力発電所からのウェートが非常に大きくなりました関係で、燃料費が非常に増加してまいっております。  また、FIT制度の導入によりまして再エネが導入拡大したわけでございますけれども、同時に国民の皆様方に負担いただく賦課金というもののウェートも非常に大きくなってございまして、二〇二〇年度で申し上げますと年間二・四兆円の負担が生じているという状況でございます。  現在の電気料金単価でございますけれども、二〇一九年で申し上げますと、一キロワットアワー当たり二十七・六円というのが家庭用の電気料金、産業用が十七・九円となってございます。これは震災前の大体三割ほど上昇した水準でございます。  国際的にこれを比較してみた場合、IEAのデータに基づいて申し上げますと、家庭用で例を取って申し上げますと、日本が二十七・六円でありますのに対しまして、フランス、ここは原子力がより比率が高いわけでございますが、二十一・七円。アメリカは、化石燃料の価格が低うございますので、より安く十四・二円。国といいますか、公社が電力小売を行っている韓国の場合は十一・二円。アメリカが十四・二円、韓国は十一・二円と、かなり低い数字になってございます。  今後、カーボンニュートラル社会の実現ですとか社会経済活動に対する電力の安定供給確保のためには一定程度の将来を見据えた投資が必要になってくるわけでございますので、更に今後コスト負担の増大がまだ生じ得るということも見込まれるところでございまして、こういう中で、委員指摘のように、産業競争力また国民生活の安定ということを考えますと、電力コストの削減、抑制というのは大変重要な課題だと認識してございます。  このため、安全性を最優先とした原発の再稼働でございますとか、再エネのコスト低減に向けた技術開発などなど、様々な対策を講じてまいりたいと考えてございます。
  29. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 ありがとうございます。  国際競争力という観点から見て、電力価格が高止まりしていて、更に将来上昇するリスクがあるというのは非常に大きな問題だと思っております。是非、この点、環境を整えて改善していっていただきたいと思いますし、例えばデータセンターを地方にとか、そういう報道もありますが、データセンターにしても、あるいは金融事業にしても、電力価格というのは非常に事業を展開する上で重要になります。例えば製造業では特に減免措置なんかも一定程度はありますけれども、例えば小売業のコストに占める電力料金というのも非常に高い、これも大きな問題になっております。是非安定的な電源の確保をしっかりやっていただきたいと思います。  再生可能エネルギーの大量導入のために送電網を強化しなければならないという試算の中で、最大四・八兆円程度必要になるという試算も先日示されております。仮にこの費用を電力料金に上乗せした場合、先ほどは産業用について主に触れましたが、消費者負担はどういうふうになるんでしょうか。
  30. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今委員の御指摘がございました送電網整備に係る費用四・八兆円というのが先日、電力広域的運営推進機関から出されたわけでございますが、これは、現在、日本全国の電力網のマスタープランと今後の増強整備の方針を示すものの中間整理の中で大規模に整備を行った場合の一つの試算として示されたものでございますので、今後、再エネ導入のポテンシャルですとか電源立地の変化等を念頭に置きながら、今後どうなっていくかというのはまだはっきりしたことは申し上げられないわけでございますけれども、仮に、この四・八兆円という試算につきまして、一定の仮定で減価償却期間を、これは二十二年とか三十六年とかいろいろあるわけですけれども、二十二年間で均等負担するというような形の機械的試算で申し上げますと、キロワットアワー当たり大体〇・二六円、上乗せの負担が生じるところになるものでございます。  なお、このマスタープランの策定におきましては、増強に伴いますコストというのが生じるわけでございますが、併せて便益が社会全体で生じるわけでございます。例えば、再エネですとかより安価な電気が日本全国に一番メリットのある形で使われるということになりますと、よりコストの高い燃料が使われることが抑制されるわけでございます。ですから、電力の料金として見ますと、先ほど申し上げた導入にはプラス一定の負担ということがございますけれども、一方で電気料金、消費者の方々がメリットを受けるところも出てまいります。  いずれにしましても、社会全体の便益でメリットとデメリットもしっかり検証しながら、負担をできるだけ抑制しながら、こういう未来形のインフラ整備ということに取り組んでまいりたいと考えております。
  31. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 それでは、関連して最後にお尋ねします。  再生可能エネルギーの中でも水力はかなり成熟したエネルギー源と言えると思いますけれども、太陽光や風力は季節的な変動も非常に大きくて、安定性に懸念があるというふうに考えております。再生可能エネルギーの比率を高めるにしても、電力全体は安定供給しなければいけないわけで、また、値段の面も非常に重要だと思っておりますが、その担保のための政府の取組についてお尋ねします。
  32. 茂木正

    茂木政府参考人 エネルギーは基本的には全ての社会経済活動の土台ということでございますので、再エネが増えていく中でも、スリーEプラスSのバランスを取りながら安定供給をしっかり確保するということはいかなる状況下においても最重要課題であるというふうに考えています。  他方、このスリーEプラスSの全てを満たす完璧なエネルギー源というのはないわけでございまして、今後の技術革新などの不確実性を踏まえますと、再エネだけではなくて、原子力、火力など、あらゆる選択肢を追求しながらカーボンニュートラルを目指すということが重要だと考えています。  その上で、再エネでございますが、これはエネルギー安全保障にも寄与できる重要な脱炭素の国産エネルギー源でありますので最大限導入を進めてまいりたいと考えていますが、一方で、これを導入していきますと、太陽光や風力の、今御指摘があったように出力変動がございますので、こうした安定供給上の課題にもしっかりと対応していく必要があります。  具体的には、例えば蓄電池の導入拡大ですとか水素の活用を通じて新しい調整力を入れていくとか、電力需給に応じた売電を促すFIP制度を入れていくことで再エネ自体を電力市場に統合していくとか、あるいは、将来稼働できる発電所の確保に必要な費用を安定的に確保するための容量市場、こういったものを整備して供給力や調整力をしっかり確保していく、こういった総合的な対策にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えています。
  33. 斎藤洋明

    斎藤(洋)委員 何事もバランスかと思いますので、よろしくお願いします。  以上で質問を終わります。
  34. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、中野洋昌君。
  35. 中野洋昌

    ○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。  私は本日は、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の中でのALPS処理水の海洋放出、これについて今日は主に経済産業省を中心に質問させていただきたいと思います。  政府の方で方針も決定をいたしまして、処理水の入っているタンクというのはやはり廃炉のプロセスの中で非常に一つのリスクにもなってまいりますし、また、このプロセスを進めていく上で何らかの形で処理していかないといけない、そして残された時間の問題もあるということでございますので、私は、この政府の方針の決定自体はやはりやむを得ない部分があるのかなというふうに思っております。  その中で、前回、四月の二十七日にアドバイザリー・ボードの先生方からもいろいろな御指摘を、質疑の中で処理水の問題に対して取り上げさせていただきまして、様々な御指摘がございました。今日は、そこでいただいたいろいろな御指摘も含めて、委員の先生方も既に御承知のことも多いかとは思いますけれども、確認的なことも含めて質疑をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  一点目は、まずは、処理する前の、汚染水をどうやって減らしていくか、こういうところであります。資料も配付をさせていただいておりまして。  資料の一枚目が汚染水の発生する仕組みということで、御承知の先生方ばかりだと思いますけれども、一応配らせていただきました。冷却に使われる水というのは、もちろんそのまま回収をして、処理をしてまた冷却に使うということでありますので、汚染水の具体的な発生源としては、地下水が流れ込んでくる、あるいは雨水が入ってくる、こうして新たに建屋の中に入ってくるものというのがくみ上げられて処理をされて、これが処理水ということで、タンクがどんどん増えてくるというわけでございます。  アドバイザリー・ボードの先生方の議論の中でも、汚染水をそもそも減らす取組というのをどんどんどんどんやっていってほしいんですというふうな、黒川先生ですとか、そんな御指摘もございました。もちろん、政府の方も、廃炉に当たっては、汚染水対策としては一丁目一番地で、そもそもこれを減らすということが取組の大きな柱の一つであったというふうに思いますけれども。  まず、現状の汚染水を減らす取組状況、これについて経産省にお伺いをしたいと思います。
  36. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  福島第一原子力発電所では、燃料デブリを冷却するために冷却水を循環して注水しております。これらの水は、原子炉建屋に汚染水としてたまっているという状態にございます。  これに加えまして、先ほど御指摘がありましたように、山側から海側に流れております地下水や原子炉建屋の破損部分に降る雨水などが建屋内に流れ込み、建屋内にたまっている汚染水と混ざること等によりまして新たな汚染水が日々発生している状況にございます。  なお、地下水につきましては、建屋内の汚染水の流出を防止するために、地下水位が常に建屋内の汚染水よりも高くなるように管理を行うことで、地下水を建屋内に流し込んでいるという状態にございます。  この汚染水の発生量を減らしていくべく、これまで、地下水の流入量低減のための地下水バイパスや凍土遮水壁の構築、雨水の浸透防止のための建屋カバーの設置や敷地舗装、建屋の中の汚染水の水位低下と併せて、地下水位を下げるための凍土遮水壁による囲い込みとサブドレーンによる地下水のくみ上げなどの重層的な対策を着実に進めてきております。  これらの対策の結果、汚染水発生量は、対策開始前の二〇一四年五月には一日当たり約五百四十立米であったものが、中長期ロードマップで求めている二〇二〇年内に汚染水発生量を一日当たり百五十立米に抑制するとの目標を達成し、二〇二〇年の平均では一日当たり約百四十立米まで抑制することができたという状態となっております。  以上でございます。
  37. 中野洋昌

    ○中野委員 今、現状について簡単にお話をしていただきました。元々一日五百四十立米が入っておりましたものが、目標は二〇二〇年に百五十まで減らすということを、先ほどは、今百四十立米ということで、目標どおり低減できているということを御説明いただいたわけであります。  アドバイザリー・ボードの中でもお話がありましたのが、もっともっとこれを減らしていけば、将来的には汚染水の発生そのものをなくせるのではないか、こういうことをもっとやってほしいんだというふうな御指摘もございました。  今一日百四十立米まで減らせたということで先ほどお話もございましたけれども、では、これから更なる汚染水の低減に向けてということについては、どのような目標で、あるいはどのような方策があり得るのかということにつきましても新川審議官に御答弁いただきたいと思います。
  38. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  今後につきましてでございますが、建屋周辺への雨水の浸透を低減するため敷地舗装を引き続き進めることや、建屋に降り注ぐ雨の浸透防止のため一号機原子炉建屋に屋根を設置すること、原子炉建屋内の汚染水の水位と地下水位を共に下げることで汚染水が建屋から流出することを防ぎつつ地下水の流入を抑制すること等の取組によりまして、更なる汚染水発生量の低減に努めてまいる所存でございます。  こうした対策を取ることにより、中長期ロードマップでマイルストーンとして掲げておりますように、二〇二五年内までには汚染水の発生量を一日当たり百立米まで抑制するということを目指しております。  以上でございます。
  39. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  雨水の取組を更に進めるというお話ですとか、汚染水の水位を、建屋内のものを下げる、あるいは地下水位を下げる、どっちもやらないといけないんですけれども、確かに、地下水位を下げ過ぎると建屋の方の水位が高くなって逆に外に流れ出てしまうという問題もありまして、いろいろな廃炉の工程の中で難しい部分だとは思うんですけれども、二〇二五年までに更に百立米まで減らすというふうなお話もいただきました。  審議官はその先の話というのは特にされなかったんですけれども、恐らく、この先どんどん減らしていくという中においては、やはり、デブリの取り出しですとか廃炉工程の中の様々な状況がどう進んでいくかということも含めての検討、議論になっていくかというふうに思います。長期的にはどんどん減らしていくという取組を進めるという中で。  他方で、仮にゼロになったとしても、タンク自体が敷地内にあるということ、やはりそれ自体はリスクなわけでありますし、そのプロセスの中で何とか処理しないといけないというのはありますので、いずれにしてもALPS処理水への何らかの形での対応というのは求められるわけではありますけれども、減らす取組についてお話をしていただきました。  他方で、処理水の海洋放出というところであります。よくある誤解として、ALPS処理水を流すのは危ないんじゃないかという誤解はよくございます。  そこで、トリチウムが入っている水というのは、通常、ほかの原発も含めて、一定の基準を満たした形で海洋放出をするというのは世界中で行われていることであるということはよく説明をさせていただきます。一定御理解もいただいているのではないかというふうに思います。  前回、アドバイザリー・ボードの中で話題になりましたのが、トリチウム以外の核種についてはどうなのかということが話題になりました。これをしっかりチェックする必要がある、ここの部分の透明性というのがしっかりされていないと、ここに不信感が残っていると海洋放出そのものに不信感を抱かれるのではないか、そういうふうな御指摘委員の先生からございました。  一応資料の方で、これは経済産業省が既に公表している資料ですので、トリチウム以外の核種がどうなっているかということは実際に経産省としては公表している、別に隠しているわけではなく、それは公表しているというふうに私は理解をしております。一部、前回の議論の中では、それがちゃんとしているのか、こういうふうな指摘もあったわけでありますけれども。  まず、トリチウム以外の核種の入っている情報についての公開、どのようにしているかというのを経産省の方から答弁いただきたいと思います。
  40. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  地元の方々を始め、国内外の理解を得ていくためには、ALPS処理水に関して、科学的根拠に基づく丁寧な説明や、客観性と透明性の高い情報発信を行うことが重要であると考えております。  御指摘のトリチウム以外の核種の存在につきましては、東京電力において過去にデータの公表は行っていたものの、公表内容が分かりにくい、情報発信の仕方が悪いといった御指摘を受けた経緯がございます。こうした指摘につきましては、しっかりと受け止め、その都度改善を図っており、できるだけ分かりやすく情報発信を行うように取り組んでいるところでございます。  こうした取組の結果、現状では、トリチウム以外の核種も含めたタンクに保管されている水の性状について、随時インターネットで公表するとともに、説明会や意見交換等におきましても丁寧に発信をしているところでございます。
  41. 中野洋昌

    ○中野委員 確かに過去には、余り公表できていないんじゃないかということでニュースになったこともありまして、改善をしていただいている、都度都度、状況に応じてしっかり公開あるいは説明をしているというふうな御説明がございました。  その上で、今後、海洋放出ということをやっていくに当たって、もう一つ指摘が出ましたのが、やはり地元の方の御理解をしっかり得ないといけないということでありまして、ここが一番の問題である、こういう指摘もありました。  そのためには、やはり、しっかりとした第三者が監視をするような仕組みというのが非常に大事である。これは、廃炉プロセス全体でというふうな御指摘もございましたけれども、やはりまずは放出に当たってというふうなことだというふうに私も捉えております。第三者がどのように関与して、あるいは監視してこの作業をしていくのか、この必要性についての指摘がありますけれども、これについては経産省はどのように捉えられていますか。
  42. 新川達也

    新川政府参考人 お答え申し上げます。  ALPS処理水の海洋放出に当たりましては、放出前の準備から実際の放出、その後の海洋等の状況確認に至るまで、実施主体であります東京電力任せにすることなく、政府がしっかりと監視をし、また、IAEA等の外部の目による確認も入れ、客観性、透明性を確保しつつ実施していくことが大切と考えております。  具体的には、まず、処分に係る施設設備の設置や具体的な放出計画については原子力規制委員会が厳格に審査を行うこととなりますが、さらに、IAEAによるレビューも受け入れる、また、実際の放出に際して、既に千五百回以上の放出実績を持ちますサブドレーンと同様に、ALPS処理水に含まれる放射性物質濃度につきまして、東京電力に加えて第三者機関も分析し、毎回公表する、放出後の海洋等のモニタリングについては政府、福島県等がそれぞれ実施するとともに、東京電力のモニタリングのための試料採取や検査に地元の農林水産業者や自治体関係者関与できるようにする、また、IAEAの協力も得て、モニタリングの手法や分析能力の信頼性を確保する取組も行うということとしております。  こうした取組を通じて、客観性、透明性を最大限高め、地元の皆様の不安を払拭するとともに、国民、国際社会の理解を得られるように対応してまいりたいと考えております。
  43. 中野洋昌

    ○中野委員 東電任せにしないというのは本当に当然のことだと思います。先ほど、計画の策定に当たっての、政府、規制委に加えてIAEAということのお話がございました。モニタリングも含めて、地元の業者、自治体、本当に地元の関係者の方にもしっかり目を入れていただくということが極めて大事だというふうに思います。  その上で、トリチウム以外の核種、よく、通常の炉から排出されるものと事故炉のものは違うんだ、こういう指摘もあります。  配付した資料の中で経産省が既に公表しているように、トリチウム以外の核種というのはいろいろ入っているわけですね。その中で、コバルトやマンガンなどは通常炉の排出でも検出されるということで、通常の排出でもトリチウム以外の核種というのがもちろん入っているということがあります。よく言われるセシウム、ストロンチウムあるいはヨウ素、これは事故炉から検出されるんだということなんですけれども。  再処理工場、これも当然、使用済みの燃料を破砕して、それを溶かして再処理していくという工程を経ておりますので、これも別に再処理工場からの放出ということであれば出ているというものだというふうに理解をしております。  トリチウム以外の核種の浄化する前後の数値というのも経産省が既に公表しているわけであります。よく言われる、事故炉からこういう水が出るのが駄目なんだということも指摘はあるんですけれども。  規制庁更田委員長に確認したいんですけれども、トリチウム以外の核種の海洋放出、今回のALPSの処理水の放出計画をされている、もちろん計画がこれから固まってきて審査を経た上でということではあるんですけれども、これについては、規制庁としては人と環境に対する影響をどのように考えているか、これをもう一度確認したいと思います。
  44. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  規制基準を満足する形で実施する限りにおいて、今回の海洋放出が人や環境に与える影響はないというのが原子力規制委員会の見解であります。
  45. 中野洋昌

    ○中野委員 規制基準を満足する形で、もちろん計画上そうなればということでありますけれども、そこはしっかり規制委に確認をしていただくとして。  そういう意味では、トリチウムもそうですし、それ以外の核種についても規制値を満たす形であればいろいろな形で放出はされておりますし、そして人と環境への影響はないと考えているというのが規制考え方であります。他方で、これを御理解いただくというのがやはり一番大変なわけでありまして。  地元の皆様からの御要望としては、これを、地元の理解醸成というのは当然なんですけれども、やはり、国民及び国際社会、ここにしっかりと理解をしていただかないと、なかなか非常に地元としては本当に厳しい状況だというふうな、そういう御指摘もございますし、また、風評被害というものの対策で、あるいは仮にそれが生じた場合の損害賠償、こうしたものも含めて東電がしっかり対応する、こういう様々な対策を万全にとにかくやっていかないと、これは本当に大変な判断であるということで御要望をいただきます。  こうしたものへの対応についてということで、最後に、今日は経産省宗清政務官に来ていただいておりますので、是非答弁をいただきたいと思います。
  46. 宗清皇一

    宗清大臣政務官 お答えをさせていただきます。  漁業関係者の皆様方、また地元の皆様方に御理解を得られるように努力をし続けるということが大切である、この考え方は一貫して変わらないわけでございます。  また、今回の基本方針決定後も、実際の放出が始まるまでには設備の工事や規制への対応を含めまして二年程度の時間が必要になります。放出までの二年程度の時間を最大限活用させていただきまして、地元の方々の御懸念を払拭し、理解を深めていただくべく、徹底的な広報活動に取り組んでまいりたいと思います。  また、広報に加えまして、ALPS処理水の処分による風評の影響を受ける方々の御意見をしっかりと受け止めまして、産業やなりわいの復興に向けた歩みを決して止めないという強い決意を持って、国が前面に立って風評の払拭に取り組んでまいりたいと思います。  具体的には、先ほど新川審議官の方から申し上げましたが、詳細は申し上げませんけれども、まずは、科学的な根拠に基づく客観的な情報を透明性高く発信することによりまして国内外の消費者の皆様方の理解醸成していくこと、また、国際ルールに基づく国内の規制基準の遵守と第三者による徹底したモニタリングを実施してまいります。また、風評の影響を未然に防ぐための販路開拓等の支援、そして、万が一風評被害が生じた場合のセーフティーネットとしての賠償など、これまでの風評対策の経験から、確実に必要な対策をしっかりと実施してまいります。  加えまして、新たな風評の影響に対応するために各関係省庁が参加いたしますワーキンググループを立ち上げているところでございまして、今後、福島県を皮切りに、宮城県、茨城県などの現地において、地元自治体や、農林水産業また観光業、流通業などの方々から、基本方針決定直後の状況変化や追加すべき対策などについて御意見を直接伺ってまいりたいと思います。  こうしたありとあらゆる取組を通じまして、継続的に追加対策の必要性を検証いたしまして、機動的に実施していくことで風評対策対応に万全を期してまいりたいと考えております。
  47. 中野洋昌

    ○中野委員 とにかく風評被害というところの対策が一番重要でございますので、是非よろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  48. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、阿部知子君。
  49. 阿部知子

    ○阿部委員 立憲民主党の阿部知子です。  本日、私は、原子力施設における核セキュリティー在り方についてお尋ねをいたします。  本年に入り、柏崎刈羽での他人のいわばIDを不正使用して中央制御施設近くに入ってしまった事案に端を発しまして、核セキュリティーがこのような状態では非常に心もとないということで、この委員会でも何回か取り上げられております。  まず冒頭、この柏崎刈羽ですが、お手元に新聞記事がございますが、実は、二〇一五年にも同じように父親のIDを用いまして周辺防護区域に入っていたということが報道されました。今年の五月九日に報道。続報が続いておりますが、私がお手元に配っておりますのは五月十四日の朝日新聞の記事でございます。  今日は東京電力にもお越しいただきましたので、まずお尋ねいたしますが、この記事に記載されているところによりますと、東電は、二〇一五年の八月ですけれども、父親のIDを使って入構した事案原子力規制庁と新潟県警に通報したと報道されておりますが、間違いないでしょうか。
  50. 文挾誠一

    文挾参考人 お答えさせていただきます。  二〇一五年のIDカード取り違えの事案につきましては、原子力規制庁と新潟県警に通報した記録は確認されてございませんが、IDカード誤使用の再発防止のために二〇一五年九月に社員及び協力会社へ発信をいたしました再発防止周知文書におきまして、IDカード誤使用による事案発生後、規制庁及び新潟県警に通報した旨の記載がございます。このことから通報が行われたものと考えてございます。  以上でございます。
  51. 阿部知子

    ○阿部委員 通報記録そのものは見つからなかったけれども、他の社内の記録において通報したという事実はあったということですね。ところが、これは、原子力規制庁の方には全く資料がないという神隠しのような事態になっております。  そもそも、東電さんは、この間、他にはありませんか等々、原子力規制委員会からも調査の依頼が来ていると思いますが、この事案を知られたのは報道によってでしょうか。確認です。
  52. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  事案発生後、速やかに原子力規制庁及び新潟県警に通報を行うということとともに、再発防止の観点から社員とか協力会社に注意喚起を行いましたというのは先ほど申し上げさせていただきました。当時の運用に基づきまして、脆弱性が公にならないよう、公表は控えていたという事実がございます。  今般、報道機関による問合せを受けまして改めて調査いたしましたところ、二〇一五年九月になりますが、当時の社員及び協力会社への再発防止周知文書にて事案の概要が記されていたことから、当社としても事案発生の事実をここで認識したということでございます。  以上でございます。
  53. 阿部知子

    ○阿部委員 大変残念なことに、東電自らが気づいたわけではない、メディアの報道がきっかけである、規制庁には通報をしたんだという記録はあるけれども、規制庁にはない。  さて、こういう事態を前にいたしますと、非常に核セキュリティー在り方が私は足下から揺らいでしまうと思いますが、そもそも、今の段階になって東電の皆さんはこの事案を、お父さんのIDで入ってしまったというものは東電の中にございます核物質防護規定に違反するような事案と認識しておられるのか、どうでしょう。現時点と発覚して分かった時点でどうでしょう。
  54. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  二〇一五年の事案につきましては、直ちに核防護規定違反になるものというふうには考えてございませんが、他人のIDカードを保有した者を、防護区域への入域は防げたとはいえ、周辺防護区域まで入域させたことにつきましては大変重く受け止めてございます。社員とか協力会社に対する再発防止周知文書を発出する等の再発防止策の徹底に今努めているところでございます。  以上でございます。
  55. 阿部知子

    ○阿部委員 これがまた困るんですね。直ちには認識していないけれども、後から言われれば重大だと認識する、それでは管理にはならないんだと思うんですね。私は医者なんですけれども、ヒヤリ・ハットとよく言いますが、大きな事故が起こる前に、それに類似するような、続きそうなものはできるだけ集積して次の事故を防ぐというのが事故対策の基本なんだと思います。  それともう一点、東電に確認ですが、私はこんなに何もかも消えちゃったのはおかしいと思ったので、これは、直ちに核物質防護規定違反じゃないとしても、いわゆる不適合事案として自治体にも通報されていますよね。そこの自治体の記録の確認はなさいましたか。
  56. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  確認をいたしましたが、自治体への通報もしてございません。  以上でございます。
  57. 阿部知子

    ○阿部委員 そうすると、ますます自治体は不安になるわけですよ。警察には通報されたと御自身がおっしゃったので。こういう原子力施設自治体理解があってこそ。だから、不適合事案でも、例えば、今の御回答のように核物質防護規定違反とは直ちに思えなくても、不適合事案自治体に通報するとなっているんですから、その姿勢を改めてもらわないと、本当にこれまでの東電への不信は取れないと思うんですね。  更田委員長にお伺いいたしますが、委員長は今この事案を御覧になって、原子力規制委員会として、いわゆる核物質防護事案として検討すべきものに入ると思われるでしょうか、いかがでしょう。
  58. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、当時は今と制度も違いますけれども、当時、担当部門がこれが違反に当たると判断をすれば、原子力規制委員会に対して報告をすることになっています。一方、その当時、担当部門はこれは違反には当たらないという判断をしたということで、規制委員会報告をしていなかった。  そして、今の時点でということですが、御質問にもありますように、記録が残っていませんので、原子力規制委員会議論をしたり判断をするというのは難しい、できない状態にあります。
  59. 阿部知子

    ○阿部委員 私は今お聞きになってどうかということをお尋ねいたしましたが、今委員長はそこには明確にお答えではないですが、やはり、公文書管理の在り方として、記録が消えちゃうという事態をどうやってでも防がなきゃならないと思うんですね。  原子力規制庁にも公文書管理法にのっとる文書管理記録がございまして、私はこれを、例えば、原子力規制庁には記録がないないとおっしゃいまして、いただきましたお答えは、委員長も御存じですけれども、記録が送られてきたとしても、当時の保存期間が三年なのでもはや手元にはないんだというお答えでありました。私はこれもおかしいと思うんです。  全ての記録は捨てるとき、廃棄処分するときには何を捨てたかを書かなくちゃいけないから、では廃棄簿にはどうなっていましたかとお尋ねしたところ、恐縮ですが、時間がないので短絡的に申しますと、これは実は三年保存というところじゃなくて、一年保存にも満たない文書なので何を捨てたかも書いていないということで、本当にあったかなかったかも、どこに行っちゃったかも、どうしたかも分からないということになってしまいました。  二〇一七年には行政文書に関するガイドラインで一年未満でもある類型のもの以外はちゃんと処分の方法を決めるということになって、当時よりは今は進歩したと思いますが、私はそれでもなお十分ではないと思っております。本当にこういう通報の記録が三年でいいのか。それは核セキュリティー事案になり得るものでありますから、ここの改善について更田委員長にお伺いいたします。
  60. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  先ほどの答弁でもお答えをしましたけれども、核物質防護事案というのは、やはり、それを見張る目が限られている、規制のみならず社会からの監視にも限界があるというこの特徴を踏まえれば、文書の保存に関してはいわゆる安全上の問題よりも一層の注意が必要であろうということ、これは今回の規制当局としての率直に申し上げて学びであります。  したがいまして、核物質防護事案に係る文書管理期間についての見直し規制庁に指示したところでございます。
  61. 阿部知子

    ○阿部委員 是非そのようにしていただきたい。きちんと、幅を持った管理期間の中で、捨てても記録を残す、あるいは捨てるのはとんでもないのですけれども、そもそもどこへ行っちゃったか分からないみたいなことは絶対になくしていただかないと、検証ができなくなります。  さて、規制庁にお伺いいたしますが、規制庁では、こうした核物質防護規定違反のチェックについて二〇二〇年四月に仕組みを変えられました。今ある赤、黄、白、緑に変えられました。この前後でこうした核物質防護規定違反の分かった件数というのを各々教えてください。発足以来のものと、変更以降のものと。
  62. 山田知穂

    山田政府参考人 原子力規制庁発足から新検査制度が始まる以前においては十一件、新検査制度発足以降においては十件でございました。
  63. 阿部知子

    ○阿部委員 規制方法を変えた以前の約八年間、二〇一二年から二〇二〇年までの八年間と、この一年間の件数がほぼ同じということなんですね。これを見ると、やはり規制在り方というものの重要性というものが浮かんでくると思うんです。そこに注目して、記録も残して、方法を改革していく。  今日はせっかく東電がお越しですから、二〇二〇年四月一日から現在までの十件のうち、先ほど、五施設、八事案、柏崎刈羽を除くと言われましたが、東電が関与する十件のうちの件数は幾つでしょう。
  64. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  新検査制度に移りまして、事案の件数は六件でございます。
  65. 阿部知子

    ○阿部委員 そう申しますと、十件のうち六件、東電は一番大きな電力会社でありますけれども、いろいろな事案があって、あったからこそ、そこに神経が集中されて、やはりより見つかりやすくなっているということなんだろうと思います。  東電にも御尽力いただいていますが、その姿勢が全ての電力会社に行き渡るように、ここは是非規制委員長に御尽力いただきたいですが、この間の核物質防護在り方について先ほど少し見直しの観点を挙げられましたが、もう一度お願いいたします。
  66. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 元々、核物質防護に対する規制というものの歴史が浅いこと、さらに、繰り返し申し上げますが、情報共有の難しさもあって、事業者間の意識、それから規制当局事業者間の間の意識のギャップ、そういったものについて改めて確認をしていく必要があるだろうと思いますし、また、事業者自身も事業者間での意識ばらつきをなくす努力をすると思いますが、その中で、規制当局もしっかりコミュニケーションを取って、事業者間の意識の違いといったようなものをなくしていく努力を図ってまいりたいというふうに思います。
  67. 阿部知子

    ○阿部委員 今の委員長の御指摘、私はあえて東電は件数が多いということを指摘させていただいた上で、ある意味東電は事業者としてアンテナを高くせざるを得なくなっていますが、他はどうであるかということは正直まだまだ私は懸念が残っております。  お手元の資料の二枚目を開けていただきますと、委員長のお手元にもありますが、これは五月十九日の原子力規制委員会の資料ですけれども、ここには、当該期間、一年を四区分にした中の四区分目のところで幾つ事案があったかで、当然ながら東電が一番多いわけです。一、四、五。ところが、例えば三番目の中部電力の浜岡にしても、また二番目の伊方にしても、不注意というか、非常に初歩的な、しかし重大なことにつながりやすいことが出てくるわけです。  ちなみに、一言申し添えれば、浜岡では例えば、施設の写真を撮りに来た市民を、また逆に写真を撮ってというようなことまでしていて、やるべきことが違うと私は思います。自分たち核セキュリティーのまず入口をちゃんとしてよねと。作業のために必要のある者が一時立入り承認手続の一部を経ず入構。すなわち、ここにいる者は身内に甘くて、外にばかり、警戒するなとは言いませんが、身内文化というものを私はやはり根本から打破していかなければいけないと。  今日御紹介したのもお父さんのID、それから、発覚の元になった去年の九月のも仲間のIDですね。顔も違うのに通過させちゃうわけですね。やはり、外への警戒と同様、中の文化、ここをどうするかが原子力問題では実は福島事故につながる根本だと。私は、村意識とか言われましたし、カルチャーを変えないと安全性は出てこないと思います。  私は、委員長に最後にお願いしたいですが、公文書管理の在り方、起きたことを記録に残すことと同時に、文化風土を変えていく、このためのお取組をお願いしたいですが、最後の御答弁をお願いいたします。
  68. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 いわゆる安全文化ですとか組織文化をどのように図るか、さらにそれが健全な状態に、さらにはより改善していくにはどうするか、これは非常に難しい取組ではありますけれども、本当に原子力の安全を維持していく上で基本となる要素でありますので、検査、さらにはコミュニケーションを通じてしっかりと確認してまいりたいと思いますし、また、規制当局自身の安全文化についても私たちは常に自省する姿勢というのを失わないようにしていきたいと思います。
  69. 阿部知子

    ○阿部委員 最後におっしゃっていただいたように、規制庁自身も甘いと思います。文書があったかないかも分からないとか、とてもこれでは規制庁になれませんので、よろしく御指導のほどお願い申し上げて、質問を終わります。
  70. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、宮川伸君。
  71. 宮川伸

    ○宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。  今日は、福島第一原発の汚染水について最初に御質問させていただきます。  ALPS処理水が飲めるかどうかということが議論になったりしておりましたが、私も市民の方から本当に飲めるのかという質問を受けることがあります。しかし、今のところ政府がどういうふうに考えているのかというのがはっきり分からない部分がありますのでお聞きをしたいんですが、江島経産副大臣、ALPS処理水というのは飲んでも大丈夫なんでしょうか。
  72. 江島潔

    ○江島副大臣 委員も工学部の御出身ということで、少し化学的なお話ができることを大変うれしく思っております。  まず、ALPS処理水でありますけれども、処理水のトリチウム濃度に関しまして、現在は福島第一原発のサブドレーンからの排水濃度の運用目標であります千五百ベクレル・パー・リットル以下とするとしておりまして、これはWHOの飲料水水質ガイドラインの七分の一に相当するということでございます。したがいまして、今委員がおっしゃったことは決して的外れではないというふうに思っております。
  73. 宮川伸

    ○宮川委員 今、飲んでも大丈夫だという御答弁だというふうに理解をしますが、この間、幾つか疑問点も指摘をされているので、もう少しお聞きします。  ALPS処理水の中には他の核種も幾つか残されているということであります。今日の資料の二枚目にまとまったものが、東電さんが出しているものですけれども、全部でトリチウムも入れて六十四核種に関して調べられている。一回では取り切れなくて二回取ったケースがJ1―C群、J1―G群というので、二つ例があるみたいですけれども、二回目にALPSで処理した場合においても、ここに一部、検出限界以上のものがリストにあるわけです。例えばルテニウム106とかヨウ素の129とか炭素の14とか、こういうものが検出をされているわけですが、こういったものが含まれていても飲んでも大丈夫だということでよろしいんでしょうか。
  74. 江島潔

    ○江島副大臣 御指摘のトリチウム以外の核種についてでございます。  まず、希釈前に確実に規制基準値を下回るまでALPSを通じて浄化しておりまして、さらに、トリチウムの希釈に合わせまして、少なくとも百倍以上に希釈をすることにしております。  今回の基本方針では、このような対応を取ることによりまして十分に安全性を確保できるというふうに考えております。したがいまして、トリチウム以外の個別の核種それぞれについて、WHOが定める飲料水基準との比較を行うということはしておりません。  ちなみに、今御指摘の、いただいた資料にあります第二次処理試験の結果でありますけれども、ルテニウムとかアンチモンとかヨウ素など、検出限界値を上回った、つまり検出されたという核種でありますけれども、これも、トリチウム濃度に合わせて、いわゆる千五百ベクレル以下というものに合わせて希釈をしますと、間違いなくWTOが定める飲料水の水質ガイドラインに定められている基準は大幅に下回る結果となると考えております。
  75. 宮川伸

    ○宮川委員 飲んでも大丈夫なんでしょうか。もう一度、そこをもう少し国民に分かりやすく、飲んでも大丈夫なのか、はっきり言っていただけますでしょうか。
  76. 江島潔

    ○江島副大臣 同じことの繰り返しになるかもしれませんが、トリチウムの濃度を基本方針で求める水準まで希釈しましたら、ALPS処理水を飲んだとしても放射線による健康影響は考えられないということでございます。
  77. 宮川伸

    ○宮川委員 飲めるという御答弁だというふうに思います。  もう一つ、よく私が聞かれるのは、先ほど千五百ベクレル・パー・リットルとおっしゃっていましたけれども、例えばEUは、トリチウムが百ベクレル・パー・リットル以下の水にしてくださいよと。アメリカは七百四十。こういう数字があるというふうに聞いているんですが、EUは百ベクレル・パー・リットルという基準なのに、本当に千五百で飲んで大丈夫なんでしょうか。
  78. 江島潔

    ○江島副大臣 今委員が御指摘いただきましたEUの百ベクレルという基準でありますけれども、これは、飲用する際に遵守しなければいけない規制値というものではなくて、仮にトリチウムの濃度が一定値を超えた場合にはトリチウム以外の核種の存在を追加的に調査しなければいけない目安の基準として百ベクレルというものが設定されております。つまり、百ベクレル以上あるものはほかのものも調べなさい、そういう基準であります。  一方で、WHOの基準というものは、一リットルに対して一万ベクレル以下であれば飲料水基準としていいよというふうに言っておりますので、百ベクレルとWHOの一万ベクレルというのは全く意味合いが違うということになります。
  79. 宮川伸

    ○宮川委員 今の日本政府の考え方としては飲んでも大丈夫だという御答弁だったと思います。EUの百ベクレル・パー・リットルのほかにもあるのかという中で、今のALPS処理水にはいろいろなものがあるということですので、また専門家の方々に議論いただければというふうに思います。  先に進みます。海洋放出をしていくということでありますが、まず、先ほど中野議員の方からも質問がありましたけれども、汚染水が出続けていれば、ずっと流していかなきゃいけなくなってしまうわけです。ですから、非常に重要なポイントは、汚染水をいかに増やさないか、止めるか、これがしっかり考えていかなきゃいけないことだというふうに思います。  資料四というのをつけさせていただきましたが、現状でどのぐらいの汚染水が出ているかというのは先ほど答弁がありましたので時間の関係上省きますが、百四十立米・パー・デーということで、資料の四のところにも書かせていただいています。  これが例えばゼロにできればこれ以上増えないわけですから、例えば今あるものをしっかり管理して、トリチウムの半減期は十二年ということでそんなに長くないわけですから、保管をするという可能性も出てくると思います。あるいは、流していくのも数十年かかるというような、かなり長い期間流していくことになるわけですから、その間にもしゼロにできれば、その時点で海洋放出を止めることもできるかもしれないわけです。ですから、ゼロにどうやればできるのかというのをしっかり議論する必要があるわけであります。  更田委員長にお伺いしたいですが、ゼロにしていく、止水していくためにどのようなことが考えられるんでしょうか。
  80. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  まず、止水するためには、現在は、先ほどの答弁の中にもありましたけれども、循環型ではありますけれども、いわゆる元炉心の辺りの位置、溶融デブリ等があるところに今、水をかける、かけ流しの状態になっています。  したがいまして、かけ流しを終えて空冷の状態に持っていかなければならないんですが、空冷の状態になるということには様々なまた御懸念もあります。例えばダストであるとかそういったものの懸念も高まるでしょうし、空冷に持っていくための慎重な配慮が必要でありますので、何度か試験等をして、給水を止めたときにどう温度が変わるかというようなものを試しておりますけれども、これをまず慎重にやっていく必要がある。  それから、地下水の流入以外にも、今後とも廃止措置を進めるに当たって水は随分使いますので、そういった意味で、水の管理の在り方というものについて、最終的にデブリの取り出しに向かうときにどのくらいの水が必要なのか、水をためる必要があるのか、ないしはないのかといったところについての議論を深める必要があるだろうというふうに思っています。  それから、直接的なお答えとしては、現在、建屋への止水に関して、一部に関しては方策が立っていますけれども、主要な原子炉建屋等を完全に止水するというところに関しては、具体的かつ詳細な技術的なめどが立っているわけではないというふうに考えております。
  81. 宮川伸

    ○宮川委員 更田委員長にもう一問。  今の凍土壁、これも十分なのかという議論もあると思います。そういう中で、橘高先生等が、もう少しセメントミールなんかでしっかり造るべきじゃないかと。最初は粘土質で造るという案とかもありましたが、そうやって、もう少し凍土壁のところをしっかりしたものに変えるとか、そういう議論というのはないんでしょうか。
  82. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  現在の凍土壁は、完全に止めるというよりは、流量減少のための装置であるというふうに捉える方が正確だろうと思っています。そのために、凍土壁計画時点から凍土壁ではなくてコンクリのようなものでしっかりした壁を造るということも議論はなされましたけれども、今後は、建屋により近い位置での壁を造る造らないなどといったことは技術的な可能性として議論の対象となり得ると考えております。
  83. 宮川伸

    ○宮川委員 江島副大臣にお伺いします。  ALPS処理水を流していくということが決まったということでありますけれども、私は、こういう議論をしっかりとして、だけれども間に合わないからこうだというような説明が必要だと思うんですが、私は、少なくとも、更田委員長もドライアップの話なんかもしていますが、もっとやれることがあるんじゃないかと思いますけれども、今、更田委員長がおっしゃられたようなことをどのぐらい考えて海洋放出の結論に達しているんでしょうか。
  84. 江島潔

    ○江島副大臣 汚染水を少なくするということは、一貫して経産省も考えて取り組んでいるところであります。  まず、今委員長からの説明がありました幾つかのいろいろな対策等を取りながら、当初、二〇一四年には一日当たり五百四十立方メートルの汚染水が発生をしていたわけでありますけれども、今日現在、約百四十立方メートルまで減少させてきております。これは様々な取組をした結果でありまして、さらに、中長期ロードマップの中におきましては、二〇二五年までには汚染水の発生を一日当たり百立方メートルまで抑制するということを目指しているところです。
  85. 宮川伸

    ○宮川委員 それをもっと私はアグレッシブにやれると思うんです。これだけ今ALPS処理水の問題があるわけですから。もう少ししっかり見直して、もっと早く止水できないかどうか御検討いただけないでしょうか、副大臣
  86. 江島潔

    ○江島副大臣 更に減らすべきという御意見でございます。  私どもも、抜本的に汚染水の発生量を低減させるためにということで幾つか対策考えております。先ほど更田委員長からもお話がありました、燃料デブリの注水による冷却の停止、いわゆる空冷の方式。それから、閉鎖型の冷却ループの実現、これは、新たに加えないわけですから、出てくるものもなくなるということです。それから、もちろん究極的には燃料デブリの取り出しをするということであります。時間がかかるということは御案内のとおりでありますけれども。  これらの対策にはまだまだそれぞれに超えなければいけないハードルがたくさんございますので、今幾つか挙げた抜本的な対策というものには、実現にはまだ少し技術的に解決しなければいけない課題があると思っておりますが、引き続き全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。
  87. 宮川伸

    ○宮川委員 是非よろしくお願いいたします。  次の質問に移りたいと思います。次の質問は、日本原子力研究開発機構、JAEAのウラン廃棄物の件でございます。  原子力規制委員会の方も、JAEAの人形峠環境技術センターのウラン濃縮原型プラントなどの加工施設の廃止措置計画を認可しておりますけれども、東濃地科学センターの分も含めて、そこにある濃縮ウランやウラン残土、イオン交換樹脂などの廃棄物をどういうふうにするのかという問題が上がっています。現状について端的に御説明いただけますでしょうか。
  88. 堀内義規

    堀内政府参考人 お答え申し上げます。  日本原子力研究開発機構、原子力機構において、東濃地科学センター及び人形峠環境技術センターに保管されておりますウラン鉱石などは、過去に研究開発を目的として入手した海外のウラン鉱石のほか、過去の研究活動に伴い発生したウランを吸着した樹脂などで、天然ウラン鉱石と同程度のウランを含んでいると聞いております。  原子力機構は、これらについて、海外の製錬施設に譲り渡し、ウラン燃料として有効利用することも含めた様々な対応を検討しているところと承知しております。
  89. 宮川伸

    ○宮川委員 三谷政務官にお伺いしたいんですが、今おっしゃられたように、こうやって廃棄物をアメリカで処理しようというような議論がされているみたいですが、日本で出た廃棄物をアメリカで処理するというようなことで本当によろしいんでしょうか。
  90. 三谷英弘

    ○三谷大臣政務官 お答えいたします。  日本原子力研究開発機構においては、東濃地科学センター及び人形峠環境技術センターに研究開発目的で集められたウラン鉱石等について、海外の製錬施設においてウラン燃料として有効利用できることから、海外の製錬事業者に譲り渡すことも含めた検討を行っているというふうに承知しております。これはまだ計画ということで、現時点で決まっているということではありませんけれども。  文部科学省といたしましては、原子力機構における検討を注視させていただくとともに、仮に原子力機構が資源の有効利用の観点から海外の製錬事業者に譲り渡すことに決定した場合、関係する法令や国際条約等の観点からしっかりと検討が行われるように指導監督してまいりたい、そのように考えております。
  91. 宮川伸

    ○宮川委員 もう一度、政務官、ウラン鉱物だとかウランとかというもの以外に、例えばイオン交換樹脂、こういうもので取ったようなものもあるんです。これは廃棄物なんじゃないんですか、政務官。
  92. 三谷英弘

    ○三谷大臣政務官 お答えいたします。  様々なものが含まれているというふうには承知をしておりますが、その中で、製錬技術というものが我が国の中にあれば、それを生かして、しっかりとそれを燃料として有効利用していくということも可能ではございますけれども、そういった技術が現在日本にはございませんので、海外でそういったものを燃料として有効利用するために持っていくということと承知しております。
  93. 宮川伸

    ○宮川委員 製錬してウランを取ったとしますね、ウラン以外のほとんどのものが残りますが、これを日本に持って帰ってくるんですか、政務官、今の説明では。
  94. 堀内義規

    堀内政府参考人 お答えします。  海外の製錬施設において処理されたものについては、出たものをそこで利用するということと、出てきたウランと分けられたものについては製錬施設で処理されるというふうに理解しておりますが、今現在、まだ、海外の製錬施設に譲り渡しといったことをするということについては様々な対応を検討しているところではあります。
  95. 宮川伸

    ○宮川委員 政務官、今お答えを聞いたと思いますが、日本で閉鎖していって、やりどころがないイオン交換樹脂みたいなものをアメリカに持っていって、そのまま全部捨てちゃうというようなケースじゃないんですか、今の話は。
  96. 三谷英弘

    ○三谷大臣政務官 委員の御懸念の点は理解をいたします。しかしながら、今回持っていくもの、まだ現時点では計画段階ということで決定しているわけではありませんけれども、そういったものをしっかりと持っていってウラン燃料として精製するという観点から引き受けるという会社が出てくるとすれば、それはそれでビジネスの話ですからやっていただければよいかなというふうには思っておりまして、そういったことを、どういうところからウランを造っていくのか、燃料としてのウランを造るのか。例えば、様々なところを掘っていくということもできるでしょうし、ウランが含まれているものを有効利用するという形でも、それは出てきたものがウランですので、それがビジネス上採算に合うということであれば、それはやるということなんだろうというふうに理解をしております。
  97. 宮川伸

    ○宮川委員 ホワイトメサ製錬所というところが今話題に上がっているわけですが、この近くにはユートマウンテン・ユート先住民のホワイトメサ保留地があって、長年、製錬所からの排ガスや排水などの汚染に悩まされている、環境NPOのグランドキャニオントラストから、日本から廃棄物を持ってくることはやめてほしいという趣旨の、私も読みましたが、手紙も届いているということであります。  現地の方々の話もしっかり聞くべきだと思いますが、政務官、現地の方々のお話を聞くつもりはありますでしょうか。あるいは、指導をするつもりはありますでしょうか。
  98. 三谷英弘

    ○三谷大臣政務官 お答えいたします。  我々といたしましては、現時点でまだ決定されているということではないということを前提としてお答えさせていただきますけれども、そういった海外の製錬事業者に譲り渡す場合におきましても、原子力機構におきまして御指摘のような周辺環境には悪影響を与えないようにということで対処することが重要であるという観点から、現地の様々な法令に従うように監督をしてまいりたいと考えております。
  99. 宮川伸

    ○宮川委員 時間になりましたが、江島副大臣に申し上げたいんですが、放射性レベルがそんなに高くないものなんです、これは。このものですら国内で処理できなくて仕方なく海外に持っていこうというような状況なのに、原子力発電所から出る廃棄物に関しては、これよりはるかに高いレベルなんですね。ですから、私は、廃棄物をどう処理するのかということを議論するのとセットでやらなければと。この前、梶山大臣は二〇三〇年までに原発を三十基動かすとおっしゃっていましたが、ちゃんと、廃棄物をどうするのかをしっかり議論して国民に説明していただきたいということをお願いして、私からの質問といたします。  どうもありがとうございました。
  100. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、日吉雄太君。
  101. 日吉雄太

    ○日吉委員 立憲民主党・無所属の日吉雄太です。  今日は、厚労省、そして経産省もお越しいただきまして、コロナ禍の問題をまず二問お伺いさせていただきます。  コロナの患者は軽症患者、中等症患者、重症患者に分類されますが、中等症患者でお亡くなりになる方がとても多い状況です。それは、重症化する過程で家族が過度の延命治療を求めないこともあり、重症患者に分類されないままお亡くなりになるからです。  重症患者への分類は、集中治療で人工呼吸器の装着が条件になっています。しかし、治療、看護という意味では中等症患者に対しても重症患者と同レベルの対処をしていることから、中等症患者についても重症患者に近い診療報酬であったり支援であったりするべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。先日、地元の医療機関の先生方にお話を伺いましたが、これが現場の感覚だと思います。いかがでしょうか。
  102. 間隆一郎

    ○間政府参考人 お答えいたします。  ただいま委員が御指摘になられましたように、今、入院されている方全体については、最終的には人工呼吸器などを装着して重症患者になって亡くなられるケースが全体として多いと思います。  ただ、その中で、今委員の御指摘がありましたように、御高齢の方の場合には、御本人に負担になるということから、御本人あるいは御家族の判断としてそういうものをつけずに最期をお迎えになるケースがあるというふうに承知しております。  その上で、新型コロナ患者を受け入れる医療機関をしっかり支援していくことは大変重要だというふうに考えておりまして、これまでも、患者受入れのための病床確保料など約四・六兆円の予算を計上して支援に取り組んできております。  その上で、特に二つ取り上げて申し上げますが、特に昨年末から、新型コロナ患者の受入れ病床を割り当てた医療機関に対して、新型コロナ患者さんや疑い患者さんの対応に当たる医療従事者を支援し、受入れ体制を強化するために、緊急的な措置として、これまでの病床確保料に加えて、一床当たり最大千九百五十万円、中等症患者用の病床は最大九百万円の強力な支援を実施してきております。これは体制が違うのでなかなか同じというわけにいきませんが、強力に進めているところでございます。  また、診療報酬につきましても、例えば、酸素吸入を行うなど呼吸不全管理が必要だよという患者さんの場合には、重症患者さんだけじゃなくて中等症の患者さんも含めまして、診療報酬の救急医療管理というものを五倍相当と、かなり大幅に引き上げるなどの対応を行っております。  いずれにいたしましても、委員の御指摘のように、中等症患者さんも含めましてコロナ入院患者を受け入れている医療機関に対する支援を行うなど、地域医療の提供体制を確保するために引き続き必要な取組をしっかりと進めてまいりたい、このように考えております。
  103. 日吉雄太

    ○日吉委員 今御説明いただきまして、いろいろな対応をしていただいているということは分かるんですけれども、多分、現場の感覚としては、やはり看護、治療に関する負担というのは重症患者に近いものを中等症患者についても感じている、だからこそそこに対する支援、診療報酬についても少しでも近いようなものにしていただきたい、こういう声が大きいので、是非御検討いただけたらなと思います。  また、コロナ禍で医療機関が逼迫している状況がありますが、そもそも病院経営は、八割から九割の病床が埋まっていなければ赤字になる前提で診療報酬が決まっているそうです。したがって、採算を確保するためにはどうしても稼働率を上げなければなりません。日頃からいっぱいいっぱいの業務の中で、そこにコロナという有事が起こったわけですから、医療機関が逼迫するのもある意味当然の話です。だからこそ、日頃から有事に対応できる余裕を確保しておくことが必要だと思います。  しかし、これは非常に大きなテーマでございますので、診療報酬についても、また別の機会にじっくり議論をさせていただきたいと思います。また、国民皆保険制度、医療、医師の育成について、様々な問題に関わってくることだと思います。  もう一問。今度は、コロナでお亡くなりになった方の御家族は直接お見舞いもできず、また御臨終に立ち会えず、さらには葬儀に際して通常よりも十万円近く加算された金額が請求されるそうです。もっと寄り添った対応といいますか、この特別的な費用に対して補助をすることができませんでしょうか。
  104. 山本和徳

    山本政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、コロナでお亡くなりになった方の葬儀から火葬までの取扱いに当たりましては、今委員が御指摘のとおり、御遺族の御心情の面でも様々ございますけれども、これに加えて、消毒用品や消毒作業に係る人件費、葬儀から火葬までを執り行うまでの安置料など、これまでに比べてコロナの感染拡大防止のために追加費用が生じております。  このような状況を踏まえまして、自治体によりましては、当該自治体において新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用いたしまして、葬儀場に対する感染対策備品の購入や、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方の御遺体の安置所の設置といった費用を支援しているものと承知しております。  また、コロナへの対応として、より広い文脈になりますけれども、経済産業省といたしましてもIT導入補助金により非対面型ビジネスモデルへの転換やテレワーク環境の整備のためのITツールの導入経費の支援も行っておりまして、葬儀事業者関係の皆様にも御活用いただいております。  経済産業省といたしましては、引き続き、厚生労働省とも連携いたしまして、コロナでお亡くなりになった方の葬儀等に係る費用を含めた実態の把握に努めまして、必要な対応を検討してまいる所存でございます。
  105. 日吉雄太

    ○日吉委員 各自治体対応しているところもあり、そしてまた葬儀会社の方に支援をしているということですけれども、そもそも、そこでお亡くなりになられた方、その御家族の方々への葬儀費用の支援という意味で、是非国としての対応を御検討いただきたいなというふうに思います。  この二問につきましては終わりますので、御退室いただいて結構です。  続きまして、原子力問題について質問をいたします。  まず、東京電力にお伺いいたします。  私は原発を廃止する立場ですが、一たび事故が起これば致命的な大惨事になりかねない原発は極めてリスクが高いと言わざるを得ません。しかし、廃止するとはいえ、そこにはクリアしなければならない様々な問題があると思います。それらは電力会社だけで対処できるわけではなく、国が責任を持って解決しなければならないことも多々あるのではないかなと考えます。  あのような原発事故を二度と起こしてはいけません。また、事故によって東京電力の社員の方々も大変苦しい思いをされたのかなというふうに思います。皆さんにも二度と同じ苦しさに直面してもらいたくはありません。  そこで、質問です。電力事業者の立場から、そもそもの質問ですが、どのような条件がそろえば原発を廃止することができると考えられますでしょうか。
  106. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。当社といたしましてはというお答えをさせていただきたいというふうに思いますが。  当社は、福島第一原子力発電所事故責任をまず全うするということ、それと低廉で安定的かつCO2の排出が少ない電気をお客様に届けるという、二つの使命と責務というものを負っているというふうに考えてございます。  その中で、原子力発電は、準国産エネルギー源といたしまして、経済性の面からも、安定供給の面からも優れたベースロード電源であると考えております。また、発電時にCO2を排出しないということから、カーボンニュートラルな社会の実現に向けては必要な電源というふうに考えてございます。  以上でございます。
  107. 日吉雄太

    ○日吉委員 必要な電源というお話は分かりました。分かりましたというのは、主張は分かったんですけれども、ただ、そうではなくて、なくても大丈夫だというような条件がそろえば原発をやめてもいいと東京電力さんとしては考えられているのかどうか、教えていただけますか。
  108. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  大変恐縮でございますけれども、繰り返しになりますが、当社といたしましては、原子力発電所は大事な電源だというふうに思ってございます。それは、先ほど御説明したとおり、この電源は低廉かつCO2の少ない電気をお客様に提供するために欠かすことのできない電源だというふうに考えてございますし、これは当然ながら、先ほど来御説明しているとおり、地元の御理解と安全性というものが大前提でありますので、私どもといたしましてはこの大前提の下に原子力発電所の稼働をさせていきたいというふうに考えてございますが、今、一連の不祥事、不適切事案を発生させてございます、ですので、まずは信頼の回復というものに全力を挙げていきたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  109. 日吉雄太

    ○日吉委員 信頼の回復は分かったんですけれども、低廉なエネルギーが安定的に供給できるようになった場合には、ほかにそういうエネルギーがあるのであれば別に原発をやめてもいいんですか。原発よりもコストの安いものを安定的に供給できるエネルギー、それがあるのであれば原発はやめるんですよね。
  110. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  エネルギーの安定供給のためには、やはり適切な電源ポートフォリオというのが必要だというふうに考えてございます。ですので、先生がおっしゃられるようにいろいろな課題が克服されればということを前提とすればということでありますけれども、我々は、まだまだ基本的にはいろいろな問題が発生していると。ですので、再生可能エネルギーを大量に導入するということに当たりましても、系統の面とかいろいろなことを手当てしなければいけないというふうに考えてございますので、現時点におきましては、基本的に原子力発電所というものは必要な電源であるというふうに私どもは考えてございます。  以上でございます。
  111. 日吉雄太

    ○日吉委員 今、現時点でとおっしゃられましたけれども、技術的に本当に再生可能エネルギーだけで安定的に電力を供給できるようになった場合には、そのときは原発をやめてもいい、こういうことでよろしいですか。
  112. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  済みません、何度も同じことを申し上げて恐縮ですけれども、基本的にはエネルギーポートフォリオを最適にしていくということが我々電力会社に今求められているというふうに思います。ですので、安定的に電気を供給していくためには、それぞれの電源のそれぞれの特性というものがございまして、そういうものを勘案しながら電源ポートフォリオを考えていくということでございます。  以上でございます。
  113. 日吉雄太

    ○日吉委員 今のはちょっと分からなかったんですけれども。原発を除いた中でのポートフォリオで安定的に供給できるのであれば原発は要らないと思うんですけれども、いかがですか。
  114. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  当社といたしましては、とにかく、今の原子力発電所というものについては、何度もお答えさせていただいて恐縮でございますが、安全と地元の御理解というものを大前提に、原子力発電所というものはこれからのカーボンニュートラルな社会の実現のためには必要だというふうに考えてございます。  以上でございます。
  115. 日吉雄太

    ○日吉委員 必要だと考えられているのは結構なんですけれども、そうではなくて、技術的に安定供給が原発がなくてできるということになれば別に要らないわけで、それこそ、事故を起こしたということから考えますと、やめるという選択はもちろんあるわけですよね、できるのであれば。
  116. 文挾誠一

    文挾参考人 済みません、お答えさせていただきます。仮定の話について申し上げることはなかなか難しいことでありまして。  我々東京電力の立場としましては、先ほど来から御説明したとおり、原子力発電所というものについては、とにかくお客様に安定的にCO2の少ない電気をお届けする、しかも低廉なですね、ということが必要だということと、これからのカーボンニュートラルな社会の実現のためにはやはり原子力というものも必要ではないかというふうに考えております。  以上でございます。
  117. 日吉雄太

    ○日吉委員 技術的にカーボンニュートラルを実現できる発電が原発とそれ以外のものがあった場合に、原発は選ばないということでいいんですよね、選ばなくてもいいわけですよね。
  118. 文挾誠一

    文挾参考人 済みません、何度も同じことを申し上げて大変恐縮でございますけれども、基本的に仮定の話についてはそのときに検討するということになるというふうに考えてございますけれども、当社としての考えを御説明させていただきますと、先ほど来から御説明したとおり、お客様にとって、望まれているCO2の少ない電気を安定的に安く供給するということの一つの選択肢としてやはり原子力が重要な電源であるというふうに考えていることと、二〇五〇年に向けてカーボンニュートラルな社会を実現するということのためにはやはり貴重な電源であるというふうには考えてございます。  以上でございます。
  119. 日吉雄太

    ○日吉委員 現時点ではそう考えられているんですけれども、将来のことは分からないとおっしゃられましたので、技術的に原発以外で安定供給ができるのであれば、原発をやめていただきたいということを申し上げます。  時間がなくなってきましたので更田委員長にお伺いしますけれども、原発を廃炉にすることで何か技術的な課題というか問題はありますか、廃炉にするに当たって。福島事故炉は別にしまして。
  120. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 先生のおっしゃっている廃炉というのが廃止措置という意味でありましたらば、福島第一原子力発電所のような過酷な事故を経験していない通常の原子力発電所の廃止措置に技術的な課題はないというふうに認識しております。
  121. 日吉雄太

    ○日吉委員 例えば一斉に全部廃炉にするということも可能なんでしょうか。
  122. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 仮定の話ではありますが、恐らくは人の問題がかなり厳しくなるであろうと思います。一つ発電所の廃止措置でも数十年という計画がなされておりますので、そういった意味で、一斉に廃炉となると人の問題はあろうと思います。  もう一つは、むしろ廃止措置そのものよりも、廃止措置に伴って発生する廃棄物の行き場、これをどこにどう保管して、最終的にどこへ持っていくというところが大きな課題になるだろうというふうに認識をしております。
  123. 日吉雄太

    ○日吉委員 廃棄物の処分はどこにするのかということが課題だと今おっしゃられましたけれども、廃棄物を処分する場所が決まれば、処分についての問題、クリアしなければいけないことというのは、何か認識されているものというのは今あるんですか。
  124. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 放射性廃棄物も第一種、第二種に分かれますけれども、第二種を更に三つに分けてございます。三つのうち、その中でも最も線量の高いもの、これを、L1廃棄物という言い方をしておりますけれども、中深度、中くらいの深さのところに埋める、これに関する基準整備が今大詰めといいますか、進めているところでありまして、規制当局としてはまずこの基準を整えることが重要であろうと。廃止措置に伴って出てくる廃棄物の幾分かはL1に相当しますので、これが一つ課題。  さらに、ガラス固化体のような高レベル廃棄物ですが、この最終処分については閣議決定がなされておりまして、その閣議決定の基本方針に沿って、安全確保上の課題、条件といった事項を順次示していくということが閣議決定でなされておりますので、この基本方針に基づいて対応してまいりたいというふうに考えております。
  125. 日吉雄太

    ○日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、技術的には廃炉、廃止措置が可能である、処分の問題はありますけれども。東京電力さん、電力事業者さんにくどくど質問して大変恐縮でしたけれども、一緒に廃炉に向かって取り組んでいきたいというふうに思っております、原発をなくすために。そのために何をクリアしていくのかということを考えていきたい、こういうことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  126. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、藤野保史君。
  127. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  私は、福井県の老朽原発についてお聞きをします。  関電の高浜一、二号、美浜三号、いずれも四十年を超える原発であります。四十年ルールがある下で、本来であればやはり廃炉にすべき原発なんですね。しかも、これまでこれらの原発は十年以上動いていなかったという特徴もあります。つまり、四十年以上を超える老朽原発であり、十年以上休眠していた原発である。これまで日本の原発が経験したことのない、ある意味未知の危険を抱えた原発が来月下旬に再稼働しようとしている。私たちは再稼働すべきでないと思っております。  問題は、政府が来月下旬の再稼働に向けて重大な地ならしを何個もやってきたということであります。  配付資料一を見ていただければと思うんですが、前回も紹介しましたけれども、二〇一九年四月一日から二〇二一年二月二十六日までのエネ庁幹部による福井県の原発立地自治体への出張についての資料です。計百十回に達しているんですね。エネ庁は新潟などにも入っているんですけれども、新潟に次いで多いのが福井県なんです。その中で、まず、裏の黄色い部分、二〇二〇年の十月十六日に着目していただきたいんですが、保坂長官始め幹部五人がこの日に福井入りをしまして、県知事、美浜町長、高浜町長と面談しております。  この面談について各紙が報じているんですが、配付資料の二は東京新聞、いろいろ書いてありますが、十月十六日、この日を境に関電が四十年超運転を目指す美浜三号、高浜一、二号の再稼働をめぐる議論が一気に動いたというところを紹介しております。  配付資料の三は地元の福井新聞で、いろいろ書いていますけれども、両町長がというところですね、両町長が再稼働の議論が今日から始動したと口をそろえたということなんです。十月十六日というのは、福井県の四十年を超える原発議論がこの日から一気に動いたとか、そういう日だということであります。  その上で、今日質問したいのは、配付資料の一の薄く青く塗っている部分であります。今年の一月三日、まだ三が日も明けないうちに小沢典明エネルギー庁首席エネルギー・地域政策統括調整官が福井入りしたことを皮切りに、一月三日から数えますと十六回ですか、これだけ集中的にエネ庁幹部が福井に入っております。保坂長官にお聞きしますが、なぜこの時期に集中的に福井入りしたんでしょうか。
  128. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  原子力発電につきましては、事業者自らがしっかりと地域に向き合うだけでなく、国も前面に立ちまして、地元や国民の理解が深まるよう、丁寧に取り組むことが重要でございます。そのため、立地地域関係者原子力を始めエネルギー政策をめぐる課題につきまして様々な形で常日頃から意見交換を行っておりまして、その中で立地自治体にもお伺いをしております。  御指摘の福井県につきましては、関西電力の美浜三号機及び高浜一、二号機に関しまして、昨年十月、福井県や美浜町、高浜町に対しまして再稼働に関する政府の考え方やエネルギーミックスの実現に向けた四十年超運転の必要性を御説明し、その後、昨年十二月までに、美浜町及び高浜町での住民説明会などを経て、両町の議会から再稼働に関する了解の判断が示されたところでございます。こうした中で、二〇二一年春以降順次安全対策工事が完了していく見通しであったことなども踏まえつつ、地元への丁寧な説明を更に進めていくため、立地自治体と様々な意見交換を行っていたものでございます。
  129. 藤野保史

    ○藤野委員 一般論ばかりなんですが、ちょっとこちらで紹介したいんですね。今、十二月までに説明会が終わったと言いましたけれども、十二月に何が起きたか。  実は、福井県知事というのは従来、使用済核燃料、福井で生まれた核のごみは県外に出せ、その候補地を提示しろということを再稼働の前提として要求してきたんです。つまり、県外候補地、再稼働、これはセットであって、ある意味再稼働に向けたほかの立地県にはないハードルだったんです。このハードルを越えるために、実は電事連が昨年十二月に、まさに十二月にですね、青森県むつ市の中間貯蔵施設を各社で共同利用するという案を公表しました。ところが、この電事連の共同利用案に対して、当のむつ市から市長を始め強い反対の声が上がったんですね。県外候補地というハードルが越えられない可能性が出てきたんです。そこで、政府が動いた。  ちょっと飛びますけれども、配付資料の六を見ていただきたいんですが、朝日新聞、二〇二一年四月二十九日付ですけれども、黄色く塗っている部分が、まさに、年明けに政府が動いたとあるわけです。経産省資源エネルギー庁の担当者らが正月三が日から何度か福井入りした、県関係者は国は必死になっていると感じたというふうにあるんです。まさにこうやって再稼働に向けてスイッチを押した、十月十六日に議論が一気に加速し始めた、しかし、十二月にむつ市から強烈な反対を受けるわけですね。何とかせなあかんということで、三が日が明ける前から十六回も二月十二日までに入っているんです。  この地ならしの仕上げが二月十二日なんですね。この日、関電の森本社長が、梶山大臣はリモートで参加されて、保坂長官は現地に行かれて関電の社長と一緒に知事に相対するわけですね、知事に対して、二〇二三年までに県外候補地を確定させる方針だということで、要するに太鼓判といいますか、お墨つきといいますか、社長だけじゃ心もとないからエネ庁長官、そしてリモートで梶山大臣も、二〇二三年までにやりますよと。  配付資料の六は、そのときの様子をこう報じております。保坂長官はむつ市長に説明すると語った、梶山経産相も関電とともにしっかり取り組むと話した、杉本知事は一定の回答と評価、この後、知事は県外候補地と再稼働の議論を切り離していったというんです。ここなんですね。今まではセットだったんです。県外候補地を示すことと再稼働の議論はセットだよ、前提だよと言っていたのが、この二月十二日の大臣とエネ庁長官の同席した方針、二〇二三年までに示すという方針を受けて切り離すということに変わったんですね。大きく局面が変わりました。  今日問題にしたいのは、この二月十二日の方針なるものが実は現実の見通しがないということなんですね。配付資料の七を御覧いただきたいんですが。  むつ市長の宮下宗一郎市長が、受け入れないと。黄色く塗っているところですけれども、可能性はゼロだと明言して、協議の余地はないとの姿勢を強調したとあるんですね。私、なるほどなと思ったのは、下の方の黄色く塗っているところなんですが、私たち自身で誘致したのとは決定的に違う、市の未来を自分たちで決める権利をないがしろにするやり方はあり得ないとおっしゃっているんです。これは私は当然だと思うんです。  電事連が、今まで単独利用だったものを、共同利用という案を勝手に出して、そこに関電も乗っかってくる、というか関電への助け船なんですけれども、むつ市の頭越しにやられた。自分たちの未来を自分たちで決める権利をないがしろにされているという市長のお言葉は、私はそのとおりだと思います。  長官にお聞きしますが、可能性はゼロとおっしゃっているんですね。二月十二日に福井県知事に示した方針は空手形なんじゃないか。空手形を切って福井県を強引に説得したということになるんじゃないですか。
  130. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  関西電力につきましては、使用済燃料の県外搬出に向けて、ほかの地点も含めてあらゆる可能性を追求する旨を表明しているものと承知してございます。  今後の具体的な見通しや方針についての具体的なコメントは差し控えますが、国として、事業者と連携しながら、関係者理解確保等に主体的に対応してまいりたいと考えているところでございます。
  131. 藤野保史

    ○藤野委員 全く答えていないんですね。  要するに、再稼働に賛成かどうかは関係ないんです。推進の方も、反対の方も。県知事が説明しているわけですね、知事選があって、こうこうこういうふうにしますと。議会でも答弁されている。まさにセットで、ずっと前の知事から来ているわけです。もっと言えば、前の前の知事から来ているわけです。それがまさに、全く相手の自治体の同意もないまま、二〇二三年なんという勝手な話をして、むつ市の市長も怒っている。これは県民全体との約束をほごにするものであって、推進、反対を超えて許される話ではないと思います。  ですから、当然、福井県民の代表である県議会でも問題になりました。知事が勝手にエネ庁長官や大臣と合意をしたということについての異論が出たんですね、三月議会で。配付資料の六にもう一回戻っていただきたいんですけれども、黄色いのでいえば下の段になるんですが、県外候補地提示を再稼働議論の前提としていた知事が切り離しに態度を変えたことを議会側は疑問視、三月、同意は得られないまま議会は終わったとあるんですね。  率直に言いまして、県議会の与党議員皆さんがどのような思惑だったのかというのは本当は分かりません。分かりませんけれども、少なくとも県議会で知事の姿勢が問題視されたことは事実であります。ですから、知事も困るんですね。大臣も困ります、当事者ですから。  ここで、再び国が助け船を出すんです。続くところを読んでいただきたいんですが、四月六日、杉本知事は畑孝幸議長と面談した、そこで知事が説明したのが国からの新たな交付金だった、老朽原発が再稼働する際に立地県に一原発当たり二十五億円を支払う内容だった、県の担当者はマックスでつけてきたと言った、議論は加速した、こうあるんですね。  配付資料の八は、実際に私たちが求めたら出てきた資料であります。保坂長官、お聞きしますけれども、一発電所につき最大で二十五億円を交付するという方針があるんですけれども、一体いつ、どこで、どういう検討を経て決定されたんでしょうか。
  132. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  エネルギー基本計画の中でも、政府としては再稼働の原発を取り巻く環境変化が立地地域に与える影響の緩和に対応することとしておりまして、これまでも再稼働等に対して交付金を措置してきたところでございます。運転延長による四十年超運転は我が国においてこれまで例がないものでございまして、立地地域に対して通常の再稼働とは異なる対応が必要であるということでございます。  こうしたことを踏まえまして内部で検討し、四十年超運転という新たな稼働状況の変化が立地地域に与える影響を踏まえまして、予算の範囲内で一発電所当たり最大二十五億円の交付金を措置するとの方針を四月六日までに資源エネルギー庁において決定し、福井県に対してお伝えをしたところでございます。
  133. 藤野保史

    ○藤野委員 内部でとか、四月六日までにとか、そういうことは聞いていないんですね。要するに、二十五億ものお金がどういう過程で決まったのか。  配付資料の九を見ていただきますと、そもそも公文書管理法というのは、第一条で、公文書が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源である、こういうふうにしまして、第四条、下のところで、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程に関する文書を作成しなければならない、こう規定しております。二十五億円に関わる意思決定、これに関わる過程に関する文書というのはあると思うんですけれども、そういうのはあるんですね。
  134. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  予算の範囲内で一発電所当たり最大二十五億円の交付金を措置するとの方針は、資源エネルギー庁としての資料で決定いたしまして福井県に対してお伝えをしたものでありまして、これについては、先ほど議員が御紹介された、議員に提出させていただいているものでございます。  その上で、交付金の具体的な内容につきましては、予算事業でありますことから最終的には交付金の交付規則において詳細を決定する予定でございまして、この交付規則については省内の文書決裁を今後経ることになるということでございます。
  135. 藤野保史

    ○藤野委員 今後経るということなんですが、私はこの質問に先立って、例えば稟議書とかあるいは決裁書とか、そういうのがあるんでしょうと聞いたんですよ。じゃ、それはあるんですか、今後手続に入るということは。
  136. 保坂伸

    保坂政府参考人 大臣に対しまして随時、資源エネルギー庁から状況の御報告を行ってはおりますが、こうした中で、交付金の対応に関する庁内での検討状況についても大臣に対して御報告をしましたが、資料につきましては、四月六日までに資源エネルギー庁において決定した方針を福井県に対して資料を提出してお伝えしたものでございます。
  137. 藤野保史

    ○藤野委員 結局ないということなんです。事前の私たちへの説明も、稟議書もない、決裁文書もない。要するに、四月六日までに内部で決めたというところにとどまっているんですね。  先ほど、一月三日、正月三が日から二月十二日まで十六回出張したと言いましたけれども、じゃ、この出張に関する復命書なり報告書、これはあるんでしょうか。
  138. 保坂伸

    保坂政府参考人 現在資料を精査中でございまして、まだ資料の整理ができておりません。
  139. 藤野保史

    ○藤野委員 これもふざけた話なんですよ。私はこの質問に先立って、復命書はあるはずだと。  というのは、配付資料を御覧いただきたいんですけれども、なかなか歴史がある話で、配付資料の四に「官庁綱紀の粛正について」という文書がありまして、一九七九年に空出張とかがいろいろ問題になって、何とかしなきゃいけないというので当時の大平首相が指示を出して、全省庁に対してこの文書が出されたんです。そこの中に、黄色く塗っているところにありますけれども、職員の出張に関し、出張報告についても原則として文書による復命を励行すると。こう決まっているわけです。ですから、当然作るべきなんです。長官御自身が行っているわけだし、幹部が集中的に行っている。何のために行ったのか、そして成果は何なのか。  もう一つ紹介しますと、次の配付資料の五は文科省の例です。文科省は、例えば三番目に、当該出張によりどのような成果を得たかを端的に記載することと書いてあるんですよ。ですから、これだけ出張されている皆さんがどんな成果を得たのかを書かなきゃいけない。  ところが、今回、この四十年超の老朽原発を動かすに当たって様々なハードルがあった、むつ市からの反発とか議会の反発とか。そのたびに国が出ていって助け船を出すわけですよ、出張という形とかいろいろありますけれども。しかし、その記録は私たちが求めても全く出てこない。復命報告書も出てこないし、二十五億円の検討の過程の文書も出てこないんです。  長官にお聞きしますけれども、今年、エネルギー基本計画改定されます。我々は原発ゼロの立場ですけれども、仮に原発が必要だというのであれば堂々と議論したらいいと思うんです。それなのに、その議論の根底になるような資料は我々が求めても出てこない。  相手方の自治体可能性はゼロと言っているのに、その自治体を核のごみの候補地にするような空手形を切る。国民の税金を二十五億円使うのに、その経過もひた隠しにする。率直に言って、こういうやり方でしか推進できないのが原発だということなんです。私はこういうエネルギー源に未来はないと思いますよ。四十年ルールの形骸化や四十年ルールの例外の既成事実化にここまでして、過程まで隠して経産省が先頭に立って行う。私はおかしいと思うんですけれども、長官、どうですか。
  140. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  繰り返しになって恐縮でございますが、原子力発電につきましては、事業者自らがしっかりと地域に向き合うだけでなく、国も前面に立ち、地元や国民の理解が深まるよう、丁寧に取り組むことが重要ということで私どもも回っているところでございます。  御指摘の資料につきましては担当部局において確認を進めておりまして、該当する資料の特定や個人情報の有無など確認すべき事項の整理など、作業及び関係部局との調整に時間を要しているところでございます。
  141. 藤野保史

    ○藤野委員 昨日今日に要求した資料ではありません。私はこの問題をずっと、アドバイザリーのときから同じ資料でやっていまして、ずっと要求しているんです。それでも出してこないんです、要するに。調整とか言いますけれども。  やはりこういうやり方でしか動かせないようなエネルギー源に日本は頼っちゃ駄目なんですよ。そういう意味で、核燃サイクルも破綻していると今日は言っていませんけれども、核燃サイクルも破綻しています。ですから、仮にこういう無理押しが通っても未来がない、こういうエネルギーではなく、やはり再生可能エネルギーを始めとして未来ある方向に国の知恵と力を使うべきだ、このことを主張して、質問を終わります。
  142. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、足立康史君。
  143. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  未来がないと。原子力に未来がないとは私は思いません。未来がないのは共産党でありましてね。あっ、ごめんなさい、共産党の言っていること。共産党の言っていることに本当に私は未来がないと。  何でかというと、やはり、行政監視も重要なんだけれども……(発言する者あり)あれなんですよ、だから、維新以外の……(発言する者あり)いや、偉そうに言うけれども、共産党の皆さんは本会議場でいつも何を叫んでいるの。ちょっと二重基準が甚だし過ぎると思いますので、余り過剰反応せずに。結局、国民の皆様に私たちが……(発言する者あり)いや、議会を汚しているのは共産党だろう。(発言する者あり)
  144. 渡辺博道

    渡辺委員長 静かに。  質疑者は、質問をどうぞよろしくお願いします。
  145. 足立康史

    ○足立委員 はい、質問を続けます。(発言する者あり)分かった、ちゃんとするから。藤野さん、もういいじゃない。  ちょっと辟易しているんですよ、最近、この国会。最近よく、官僚の皆様が、霞が関の魅力がどうという議論があるけれども、二つ理由があると思っていましてね。一つは、やはり国会が大したことをしていないということですね。もう一つは、ただ、幾ら国会がだらしなくても、官邸が、政府・与党がちゃんと未来に向けて仕事をしていたら官僚たちは集まってきますよ。  そういう観点から私が今日御質問するのは次世代炉です。英米を見ていれば、どんどん、今の軽水炉なんか誰も固執していませんよ、次の次世代炉、小型炉、高速炉、いろいろなものを。それも単に研究しているだけじゃありません。それぞれの規制官庁あるいは推進のエネルギーの所管の官庁が、まさに政策のフレームを、具体的な実用化に向けた歩み出しをもうしています。  今日は、これは誰。誰と聞かれてもあれだよね、松山さんじゃないか。まだ質問していないから何か分からないよね。日本でそういう次世代炉の実用化に向けた取組が見えてこない、どうなっているか御紹介をいただきたいと思います。ごめんなさい、大変失礼しました、江島副大臣、爽やかなお召し物で。よろしくお願いします。
  146. 江島潔

    ○江島副大臣 参議院に比べて衆議院の独特な雰囲気にちょっと気押されているところがございますが、次世代炉の実用に向けた現状課題について少しお話しさせていただきます。  まず、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現に向けましては、再エネのみならず、原子力を含めたあらゆる選択肢を追求することが重要と思っております。  原子力のイノベーションというのは大変大きな政策課題であると考えています。委員が御指摘になりましたように、米国、欧州、それから中国やロシアといった諸外国でも大規模な予算支援も含めたイノベーションが加速をしております。これらを踏まえた我が国としての取組が大変重要ではないかと考えます。  こうした中で、日本は、出力が小さく、安全性を高めると同時に初期投資を抑える可能性があるものとして注目されている小型モジュール炉、いわゆるSMRと言われているタイプのもの、燃料を溶けにくい構造として、高温でも安定したヘリウムガスを燃料の冷却に利用することで安全に高温の熱利用を可能とする高温ガス炉、それから、放射性廃棄物の減容化、有害度低減、資源の有効利用という核燃料サイクルの効果をより高める高速炉、このような様々な革新的原子力技術の開発を進めているところでございます。  ちょうど、今日の日経でも、アメリカのニュースケール社にIHIが出資をするというような記事が載ってございました。  このような取組におきましては、限られた予算で効率的に開発を進めるということが大変重要な課題でございます。民間企業同士が連携して研究開発に取り組むプロジェクトに対する我が国としての支援、それから研究機関同士の連携の促進、これらにしっかり取り組むことによって、我が国としては国際連携も活用しながら原子力分野でのイノベーションを推進していきたいと考えます。
  147. 足立康史

    ○足立委員 今おっしゃったのはそのとおりなんだけれども、足下で、例えばグリーン戦略にそれをしっかり位置づけたり、あるいは日米首脳会談でも文書に原子力について記載があったかと思いますが、その辺の御紹介はできない、できないの。やめておきましょうか。
  148. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員指摘のように、次世代炉の開発というのは非常に重要な要素でございまして、二〇五〇年にカーボンニュートラルということを目指していく上では、産業基盤となる次世代のカーボンニュートラル技術の革新というのは非常に重要な要素でございます。  昨年十二月にグリーン成長戦略ということで検討を始めているわけでございますが、その中の一つ原子力産業というものを位置づけてございます。恐らくそのときに念頭にございますものの一つは、アメリカ等で開発が進んでおります小型モジュール炉、SMRというものがございますし、また高温ガス炉、さらに核融合とかですね。今現状の軽水炉技術ということに拘泥することなく、これだけではなくて、やはり国際的な連携も含めながら進めていく必要があるかと思っております。  国際的な連携というのも、先ほど副大臣の方からも御答弁申し上げましたが、非常に重要でございまして、世界と比した場合に、日本はもちろん、規模的なところもございますけれども、しっかりした取組を進めていきたいと考えてございます。
  149. 足立康史

    ○足立委員 日米首脳会談は分かるよね。今は手元にないか、まあいいや、いいよ。日米首脳会談の文書にも日米協力のアイテムの一つが、ちょっと、よろしくお願いします。
  150. 松山泰浩

    松山政府参考人 失礼いたしました、さきに行われました日米首脳会談の中でも、革新的原子力の技術開発については双方協力して進めていく、こういうことで方向性を確認しているところでございます。
  151. 足立康史

    ○足立委員 これも細かい通告ができていないから、松山さん、ごめんね、幾らぐらい予算をつけているか知っている、この分野。分かる、大体。次世代の新しいそういう、原子力、いろいろな、日米首脳会談でも取り上げて。国家戦略でしょう。どれぐらいか、オーダーでもいいよ。ゼロが幾つかをちょっと。
  152. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  恐らく委員が御指摘なされていらっしゃるように、アメリカは非常に多くの、巨額の予算を通じて次世代開発をしているところでございます。ちょっと手元である範囲で申し上げますと、ニュースケールのSMR一号機に対しまして、DOEの方からはこれまで、五百三十ミリオンダラー、約五百三十億、昨年十月、追加支援として一・三五五ビリオンダラー、約千三百五十五億の追加支援をしている。  例えばこういうことにしますと、恐らく御指摘なさろうとしていらっしゃるような日本の形ということでございますが、革新的な技術開発に対しまして、まず高速炉について言うと、令和三年度の予算額で四十三億円、あと、社会的要請に応える革新的な原子力技術開発というところで十二億円というところでございまして、アメリカの方がより巨額な予算投入をしているということは御指摘のとおりでございます。
  153. 足立康史

    ○足立委員 とにかくこういう状況なんですよ。学生さんたちは日本政府に入って仕事をしようと思わないですよ。だから、ちゃんと予算配分も変えて。それで、こういう未来をつくっていくところにお金をもっともっと。ゼロが二つ三つ足りませんよ。  アメリカは有名でありますが、イギリスも五月十一日に、これも報道で承知をしているわけですが、イギリス政府のビジネス・エネルギー・産業戦略省が次世代原子炉、SMRの一般設計評価プロセスを始めたと。  研究しているんじゃないんですよ。もう実用化に向けてみんなが歩み出しているのに、日本だけがぽっとしている。恐らくエネルギー基本計画が障害になっているんですよ。松山さん、そう思わない。エネルギー基本計画でちゃんと、リプレースとか、そういうことをいろいろ言っていないから。だから今みんながこうやって我慢しているわけでしょう、さっき共産党が指摘をしたような。  軽水炉を伸ばしていくのもいいけれども、どんどんどんどん新しい分野に踏み出していかないと。既存のレガシーに拘泥しているだけでは日本は繁栄しないですよ、こんなもの。松山さん、官僚生命はどうでもいいからさ。要は、政治がエネルギー基本計画を仕切らないから駄目なんだ。だって、別にリプレースとかは踏み込まなくてもいいよ、ちゃんと新しい原子力のを。でも、そうか、リプレースみたいなことにゴーサインが出なければ、新しい原子力の技術を実用化に向けて動き出す理屈が立たないよね。  そこでみんなが凍りついているのが日本の今の原子力ですよ。気候変動とか言っているけれども、ほわほわして、骨太方針も見ましたけれども、グリーンとかデジタルとかいろいろやっているけれども、結局、本当の意味での国家戦略が中期戦略ですよ。中期的に日本が繁栄していくための戦略では足りない。ちょっと、松山さん、思いのたけを言ってくださいよ。
  154. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今御指摘いただきました原子力に関する技術開発の未来に向けてということでございますが、現在のエネルギー基本計画の中でも、二〇五〇年に向けて脱炭素化を進めていく上で、次世代のより安全な炉の開発ということを追求していくということは現在も規定しているところでございます。  ただ、今現状において申し上げますと、安全性を第一としまして再稼働をまず進めていくということがベースにございますし、まず現実として、新増設、リプレースというものを想定しているわけではないというのが現時点の状況でございます。  いずれにしましても、現在エネルギー基本計画見直しに向けての検討を進めているところでございまして、二〇五〇年のカーボンニュートラル、未来の社会に向けてエネルギーの形はどうあるべきかということにつきましては、審議会の中の議論、また様々な御議論、御指摘を頂戴しながら鋭意検討を進めてまいりたいと考えております。
  155. 足立康史

    ○足立委員 済みませんね、無理させて。  規制委員長、新しい原子力を推進しようとすれば当然規制基準もアップデートされていかなければならないわけですが、まだそういうところまで来ていない。もしかしたら、ちょっと私も勉強不足ですが、経産省あるいは民間、ただ、先ほどIHIの話がありました。そのお金はどこに行っているか。アメリカに行っているわけですよ。じゃ、なぜ日本で次世代炉に民間のお金が流れ込まないか。それは、経産省もそういうレベルにとどまっているし、規制体系も足踏みをしているからです。  ただ、規制については、それは別に、規制当局がリードするわけにいきませんから。規制当局が一人で、やるぞと言っても仕方ないわけで。それは、民間から対話の申入れがあり、申請があり、要請があり、そして規制当局が必要な枠組みをつくっていくということだと思いますが、これまで次世代炉について何か、規制当局として、何か動きがあれば御紹介ください。
  156. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、次世代炉、特にSMRについては、米国、カナダ、イギリスを始めとして、規制当局もその導入に対応する必要があるために、規制当局間で覚書を交わすなどとして議論が高まっています。また、IAEAもSMRに対する規制に関してのコミュニティーを設けています。  私たちは、特定のSMR、炉型に関心を持っているわけではないんですが、一般にこういった新しい技術に対する議論が行われるときには、規制のための新しいアプローチ、よりよいやり方等の議論がなされますので、こういったところに私たちが耳を塞いでしまうと国際的な議論から後れを取ってしまうおそれがあるということで、IAEAのコミュニティーにはオブザーバーとして参加をしております。  また、新技術に対してどう対応すべきかという一般論ですけれども、SMRに限らず、ATF、アクシデント・トレラント・フュエルと言いますけれども、ああいった燃料が溶けてしまうような事故に至っても水素を出しにくい燃料の開発ですとか、安全面の開発も盛んに進んでいます。こういった新技術の導入を促すというのは規制当局にとっても重要な役割ですので、こういった議論には参加をしているところであります。
  157. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  そういう国際的なアリーナでのいろいろな議論はされているということですが、国内の企業、産業、経産省はちょっとおいておいて、日本の国内の民間からのアプローチはありますか。
  158. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 事業者からの要望があれば、意見交換なり、公開の席上で意見交換をすることに全くやぶさかではありませんけれども、これまでのところ、そのような申出は受けておりません。
  159. 足立康史

    ○足立委員 そうなんです。だから、それは、結局、私の私見ですよ、私の私見で言うと、エネルギー基本計画がブレーキをかけているんです。共産党とか立憲民主党がいろいろ、原発ゼロとか四十年やめろとかいろいろ国会でおっしゃる、それは自由でありますが、チェックはしたらいい。チェックはしたらいいけれども、未来に向けた議論を是非立法府でしていきたい、こう思っているわけです。そうしないと霞が関も崩壊するし、何よりも日本の国力が衰退を余儀なくされると危惧をしている。  今規制委員長からあったように、今、民間は規制委員会にアプローチしていないんです。何をしているか。民間はアメリカに行っているわけです、今日の報道にもあるように、副大臣。この状況を是非何とかしていただかないと、私もまた選挙で悪口を言わざるを得なくなるので、副大臣、ちょっとその辺をしっかりと大臣とも相談いただいて。  また、六月に入ると経済産業委員会でも一般質疑機会があると聞いていまして、久しぶりに私は経産委に出向く予定であります。まさに維新以外の野党による後ろ向きの議論ばかりの国会に異議を申し立て……(発言する者あり)だって、原発ゼロだろう、君たちは。だから、そうじゃなくて、新しい原子力の未来を議論するために経産委に出向きます。  是非副大臣にお願いしたいのは、九日かな、多分、経産委があると思う、まだ決まっていませんが、是非、今日のこの議論を受けて、大臣は造詣が深いと思いますし、大臣ともう少し。いや、先ほどの予算では話にならないですよ。予算があっちもこっちもといって大変だけれども、切るところを切ればいいんです。あるいは日本はお金を刷ることもできるんだから、成長のための投資をいとう必要はありません。すばらしい、今日は与党がいい感じですね。大臣と相談するということでお願いできませんか。
  160. 江島潔

    ○江島副大臣 委員の御意見はしっかり承りました。
  161. 足立康史

    ○足立委員 もう会期末が近づいてきていまして、ほとんど最終盤でありますが、私たちは、今日は原子力の話ですが、社会保障も財政も経済活力も全て、未来をどうつくっていくかという提案をいろいろな各所で今しておりますので、来る解散・総選挙で政府・与党のプランAに対して私たちのプランBをぶつけていくことをお誓いして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  162. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、浅野哲君。
  163. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日最後の質疑者ということで、よろしくお願いいたします。  本日は、大きく二つのテーマ、まず、震災から十年が経過したということで、避難生活者に対するケアの状況についてまず最初に確認をさせていただきたいと思います。  最初の質問ですけれども、十年前の事故以降、今なお福島県外で避難生活を継続している方々は最新の値では二万八千百七十一名に上ると聞いております。今はコロナ禍ということもありますけれども、こうした方々に対するケアが今どのように行われているのか、概要についてまずは政府から説明を求めたいと思います。
  164. 開出英之

    開出政府参考人 お答えいたします。  原子力災害等による県外避難者につきましては、避難生活の長期化や避難者が置かれた状況の多様化が指摘されておりまして、丁寧な支援の継続が重要と認識しております。  具体的には、全国二十六か所の生活再建支援拠点で各種の相談対応を行いまして、その中で、専門的な支援が必要な課題に対しては関係機関と連携して対応しているほか、避難者同士や地域住民との交流会等を開催しているところでございます。また、心のケアのための相談窓口の開設や、避難者の見守りを行う復興支援員等による戸別訪問などの支援に、関係自治体やNPO等と連携しながら取り組んでいるところでございます。  本年三月に取りまとめた復興の基本方針におきましても第二期復興・創生期間以降も丁寧な支援を継続するとしているところでございまして、引き続き県外避難者に寄り添った取組を推進してまいります。
  165. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  相談窓口であったり、コミュニティーでの交流促進であったり、あるいは支援員による戸別訪問、心のケア、いろいろな取組をされているということが分かりましたけれども、少し、まず概要ですので、特に直近の状況、コロナ禍の状況に目を向けていきたいと思います。  先般、NHKが調査したところによりますと、避難生活を続けている方々の中で、コロナ禍が長引く中で外出を控えるようになった、あるいは家族と友人と会えない、そして孤独を感じているという方々がそれぞれ六〇%とか四〇%とかいう数字になっていることが分かりました。非常にやはり孤独、孤立を感じている方々の比率が高いというふうに理解ができますけれども。  今説明いただいた様々な支援策の中で確かに心のケアや交流促進という支援をされているんだと思うんですけれども、やはり、平時の支援策とコロナ禍という中で打つべき対策とで、その内容というのはそのままでは駄目だと私は思うんですね。また、健康不安を抱えている中で誰にも相談できないような状況に置かれている方も中にはいるというふうに聞いております。ですので、こうした方々、避難生活者の心身の健康維持のために必要なコロナ禍だからこその対策、こういった対策は今どのようなことがされているのか。もしされていないのであれば是非検討いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  166. 開出英之

    開出政府参考人 お答えいたします。  原子力災害等による県外避難者の心身の健康維持につきましては、例えば、避難者を対象とした交流会で健康相談コーナーを設けて心身の健康に関するアドバイスを行う、あるいは復興支援員等による戸別訪問に精神科の看護師が同行する、こういった取組のほか、孤立防止が大事でございますので、そのための、例えば地域住民を交えて農作業を行う体験型交流会の開催などの支援が、感染拡大防止策を講じつつ行われているところでございます。  復興庁としても引き続きこうした取組を支援してまいりたいと考えております。
  167. 浅野哲

    ○浅野委員 御説明をありがとうございます。感染拡大防止策を取りつつ交流を続けているということなんですけれども。  避難生活をされている皆様に限った話ではありませんが、人と会えないことに対して孤独感、孤立感を感じている方々がいる一方で、そういった方々にはまた、外に出ることで感染するリスクを恐れている方々もいて、交流を続けているからとはいえ、そこに行けない方々もいらっしゃいますので、どちらかというと戸別訪問であったり、個別のケア体制の強化みたいなものの必要性が高まっているというふうに感じております。コロナ禍はすぐに解決するものではないと思いますし、是非その辺りの十分なケアをお願いしたいと思います。  続いてのテーマに移りますが、二つ目のテーマは、原子力人材の維持確保、技術の継承について伺っていきたいと思います。  こちらは、四月二十七日、アドバイザリー・ボードの参考人の方々から、私から今後の人材の確保や技術の継承についてどういった課題感があるかという質問をさせていただきました中で、鈴木参考人の方から次に申し上げる三点について御提言をいただきました。本日は、その三点について政府の考え方をお伺いしていきたいと思います。  まず一点目なんですけれども、今後の原子力関連産業を支えるために必要な人材像の的確な把握が必要だという指摘がございました。現在、政府としてどういう人材ニーズがあるのか、どのような把握をされているのかについて、まずは答弁を求めていきたいと思います。
  168. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  原子力発電事業というものは非常に大きなプラントであり、かつ、建設から事業の実施、さらには廃棄物の処理、対策を含めまして非常に大きな、時間軸についても非常に長いプロセスの中でこれをしっかりと支えていかなければならないというふうに考えられるものでございます。  そう考えますと、必要となる人材像といいますと、発電所の建設、また、でき上がった後の安全かつ着実なる運転、保守、さらには核燃料のサイクルに関するもの、廃炉や廃棄物対策といった、それぞれの分野のそれぞれの専門性を持った人材が必要になる。すなわち、研究開発を担う研究者の方々、設計、製造、保守等を担う技術者の方々、また発電所の現場を支えていただいている作業の従事者の方々、こういった様々な職種の人材が必要となるわけでございまして、かつ、こういった方々によって支えられているものだというふうに考えているところでございます。  そうした中で、東京電力福島第一の事故以降、技術継承ですとか現場経験を蓄積するための機会が減少しているというのは事実でございまして、原子力産業を支える人材の高齢化、減少といった課題に直面している現実を考えますと、今申し上げましたそれぞれの人材の、すなわち研究開発という部分、そういうところについて言えば、軽水炉の安全性向上ですとか、放射性廃棄物の減容化、有害度の低減、様々な技術に関しまして研究開発をするところをしっかりと応援していかなければならない。  また、今度はメーカーの方々も中心になってくるわけでございますが、機器、燃料等の設計、製造、保守といった技術の部分についての、メーカーの方の技術の方への技能の伝承といった部分を支えていくようなプログラムを作って、かつ支えていかなければならない。  そしてまた、実際の現場という意味でいうと、これを支えていただいている方が非常に重要になってくるわけでございますので、現場人材、保守、メンテナンス、こういったことに対する研修等の支援、現在様々講じておるところではありますけれども、実際に生じております課題ということを直視しながら、更なる向上が図れないかということを委員会での御議論等も踏まえながらしっかりと検討していきたいと考えてございます。
  169. 浅野哲

    ○浅野委員 研究開発、そして技術者、また作業者の皆様、要するに川上から川下まで全体が必要なんだというような御答弁だったと思います。  二つ言いたいことがありまして、一つ目は、そういった中でも特にこれから需要が急激に増えていくであろう廃炉やバックエンド事業についてはより喫緊の課題がございますし、やはり川上から川下の作業をされる方々の中でも特に戦略的な意識を持っていただきたいというのが一つです。  二つ目は、事前にいろいろ事務方の方から聞いておりますと、それぞれ技術分野によって担当する経済産業省内の所管部署が異なっていて、部署ごとにターゲットとしている人材の種類が違うんだと。だから、どこか一つの部署がこれから育てるべき人材像の全体を把握しているわけではないという課題が今回分かりましたので、是非そこは経済産業省として全体をしっかり包括的に把握して、これからの人材育成戦略をしっかりと検討できる体制を整えていただきたいというふうに思います。  更問いになってしまいますが、この二点について、もし何か所見があればいただきたいと思います。
  170. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員の御指摘は、私どもの今現状課題というところの御指摘として深くしっかり受け止めて対応してまいりたいと思います。  恐らく、それぞれの分かれたテーマごとに、予算の執行ですとか、現場はそれぞれが向き合ってやっているというところだと思います。ただ、やはり、人を育成し、相手となるところは同じような研究機関であったり企業であったり現場になってくるわけでございますので、人の育成、産業の基盤の整備ということはしっかり取り組んでいきたい、まとめて統合化しながら政策を形成していきたいと考えます。  また、研究開発のところは特に中心になってくるとは思いますけれども、社会的な要請の高い部分、特に委員指摘のようにバックエンドですとか廃棄物の処理というところは大変喫緊の課題だと考えています。ですので、研究開発をこれから進めていくというところにつきましても、社会の要請といいますか、政策的な要請といいますか、こういうことをより我々もよく重視しながら、国の方が方針を示しながら、研究開発の進むべき道ということについては我々がリーダーシップを取るつもりでしっかりと検討を、もちろん現場の声若しくは産業の声というところを聞きながら進めてまいりたい、このように考えます。
  171. 浅野哲

    ○浅野委員 是非よろしくお願いいたします。  続いて、今、産業基盤が大事だという御発言もありましたが、人材確保や育成に向けた産業基盤、まさに事業基盤だったり研究基盤だったりする、いろいろな種類の基盤がありますけれども、これまで、国の取組としては、研究開発については多くがプロジェクト型でした。  例えば、核燃料サイクルのプロジェクト、あるいは高速炉のプロジェクト、こういったプロジェクト単位で人を集めてそこで人材育成をする、そのプロジェクトが終われば、また別のプロジェクトに移っていったりするということなんですけれども。それでも十分長い時間軸で取り組むプロジェクトではあるものの、マクロ的な視点で見れば単発のプロジェクトなんですね。だから、持続的に技術の積み重ね、蓄積がしていけるような研究開発基盤というのをしっかりと持つべきじゃないか。  先ほど、新型炉の開発ですとか新技術の開発に関するやり取りもありましたけれども、例えばそういうものも一つのやり方でしょうし、基礎研究の部分に重点を置いた研究基盤整備をする、これも人材育成のためには欠かせないことだと思っております。  こういった産業基盤の在り方、もっと踏み込んで言うと高等教育ですね、今日、文科省にも来ていただいていますが、学校教育の段階から、そして社会に出た後の研究開発、技術開発までを含めて、どういった継続的な技術開発、人材開発基盤を持つのか、この辺りについて政府の考えをお伺いしたいと思っております。
  172. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員の御指摘につきましては、私もよく分かるところでございます。ただ、ちょっと悩むところもございまして。  結局、具体的に物事を進めていくということになりますと、どうしてもプロジェクトをベースとしながら、関係する企業の方々、技術者の方々にお集まりいただきながら開発をしていく、課題を克服していくということにならざるを得ないという面もございます。ただ、御指摘いただきましたように、そのときに、プロジェクトが乱立していって、結果的に目標が達成できなくなってしまう、若しくはそれが変わっていってしまうということになりますと、なかなか、せっかく行っていました国主導のプロジェクトというのが意味を成さなくなるところかと思います。  そういう中で考えますと、私どもが今検討している中身について申し上げますと、やはり原子力のイノベーションということを、社会的な要請、今対応していかなければいけない課題ということをしっかりと念頭に置きながら、すなわち、例えば原子力のイノベーションについて言いますと、安全性、信頼性、効率性という発電の事業に関する最終的なゴールでございますとか、再生可能エネルギーとどう共存していくかというような形での制御の技術に関するものですとか、若しくは水素の製造ですとか熱利用という多目的利用のようなものですとか、さらにはバックエンドの話、様々な目標、社会的な要請、ゴールというものをしっかりと念頭に置きながら、委員が御提案いただいておりますように、小型炉のお話でありますとか、若しくは高温ガス炉、高速炉といった、一つの炉の開発というターゲットかもしれませんけれども、国としてのビジョン、若しくは長期的なビジョンというものをしっかり示していくことが、恐らく、民間の企業の方々、研究者の方々の創意工夫、知恵を生かしながら一つの目標として進めていくための非常に重要な鍵なのかなというふうに考えてございます。  まさに今エネルギー基本計画議論を進めているところでございますが、そういう視点をしっかり踏まえながら、国が進むべき道、研究開発、人の育成ということを進めていく上での方向性というものをしっかり念頭に置き検討を進めていきたい、これをしっかり示していけるように努力していきたいと考えてございます。
  173. 堀内義規

    堀内政府参考人 お答えいたします。  将来にわたる技術革新の推進や、原子力の安全確保、信頼性の向上に当たっては、大学や研究機関における人材の育成、基礎・基盤的な研究開発、これらを支える研究基盤の構築に総合的に取り組んでいくということが必要であるというふうに認識してございます。  このため、文部科学省におきましては、多様な原子力分野で活躍できる共通基盤的な人材育成を進めるため、大学や高等専門学校などが連携しまして、共同カリキュラムの開発や単位互換の推進、講義資料のオンライン化、さらに、原子力施設や大型実験施設等の共同利用による実習機会内容の充実などを進めてございます。それについては国際原子力人材育成イニシアティブ事業というものを実施してやらせていただいておりまして、そこで基盤的な教育機能を補完する拠点を形成する取組をしっかりと支援させていただいてございます。  また、原子力システム研究開発事業というものがございまして、大学等の研究者が産学官でチームを組んで、戦略的に原子力分野の課題に取り組む研究開発や、実用化に向けた技術的ボトルネックを解消する研究開発などを進めることで、将来の技術革新に向けた研究開発や若手研究者の育成に取り組んでいるところです。  さらに、国立研究開発法人であります日本原子力研究開発機構におきまして、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉に向けた中長期的なニーズに対応する研究開発、原子力の安全性向上のための研究開発、原子力イノベーションに資する革新炉に関する研究開発など、中長期的な観点から基礎・基盤的な研究開発を総合的に推進するとともに、これらに必要な試験施設等の研究基盤の維持、構築を図っておるところでございます。  文部科学省としましては、経済産業省とも連携しながら、引き続き原子力の人材育成や将来の技術革新に向けた取組をしっかり進めていきたいと思ってございます。
  174. 浅野哲

    ○浅野委員 私が一つ気にしておりますのは、プロジェクト型ですと、様々な政治判断によって、例えば五年なら五か年計画でそのプロジェクトが積み上げてきたものが、六年目以降は日の目を見なくなる可能性がある。やはり研究というのは長期的に継続してこそ研究開発、技術開発から実用化までつながるものですから、ある程度大規模化も必要だと思いますけれども、先ほどの議論にありましたように。だけれども、継続性の担保というものはしっかり、これもまた重要な要素だと思いますので、是非そこも、人材がいなければ、何をするにしてもやる人がいなくなってしまいますから、ここはしっかり守っていかなければいけないというふうに思います。  時間も参りましたが、最後に一問だけ。国際的な連携協力による人材の確保、育成ということも、前回、参考人の方から指摘をいただきました。国際的な連携協力による人材の育成に関しての考え方、そしてその中における国内事業者の役割について、是非、最後に一問、政府の見解を伺いたいと思います。
  175. 渡辺博道

    渡辺委員長 申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。
  176. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  国際連携協力の原子力分野の話でございますが、今、グローバルに様々なプロジェクトが、実際の開発のプロジェクトもそうでございますし、研究開発のプロジェクトも進んでいるところでございます。今や国境がない時代でございます。大学、企業、そして政府、関係機関、グローバルに具体の案件及び研究開発について取組が進んでいるところでございますので、これに対してしっかり後押しができていくように、政府としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。
  177. 浅野哲

    ○浅野委員 終わります。ありがとうございました。
  178. 渡辺博道

    渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会