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2021-04-27 第204回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十七日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 渡辺 博道君    理事 伊藤 忠彦君 理事 江渡 聡徳君    理事 津島  淳君 理事 中村 裕之君    理事 細田 健一君 理事 山内 康一君    理事 中野 洋昌君       井林 辰憲君    石川 昭政君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       城内  実君    北村 誠吾君       齋藤  健君    斎藤 洋明君       土井  亨君    西田 昭二君       野中  厚君    福山  守君       古田 圭一君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宮澤 博行君       簗  和生君    吉野 正芳君       阿部 知子君    荒井  聰君       石川 香織君    菅  直人君       斉木 武志君    日吉 雄太君       宮川  伸君    山崎  誠君       浮島 智子君    太田 昌孝君       藤野 保史君    足立 康史君       浅野  哲君     …………………………………    参考人    (アドバイザリー・ボード会長)    (政策研究大学院大学名誉教授)          黒川  清君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (東京理科大学経営学研究科教授)         石橋  哲君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (国際大学学長国際大学大学院国際経営学研究科教授)          橘川 武郎君    参考人    (アドバイザリー・ボード会員)    (長崎大学核兵器廃絶研究センターセンター長教授)           鈴木達治郎君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   逢坂 誠二君     石川 香織君   伊佐 進一君     太田 昌孝君 同日  辞任         補欠選任   石川 香織君     逢坂 誠二君   太田 昌孝君     伊佐 進一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  原子力問題に関する件(原子力規制行政在り方)      ――――◇―――――
  2. 渡辺博道

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  原子力問題に関する件、特に原子力規制行政在り方について調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として、アドバイザリー・ボード会長及び会員の、政策研究大学院大学名誉教授黒川清君、東京理科大学経営学研究科教授石橋哲君、国際大学学長国際大学大学院国際経営学研究科教授橘川武郎君及び長崎大学核兵器廃絶研究センターセンター長教授鈴木達治郎君、以上四名の方々に御出席をいただいております。  この際、参考人各位委員会代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を賜れれば幸いに存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長許可を得ていただくようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず黒川参考人お願いいたします。
  3. 黒川清

    黒川参考人 このような機会をつくっていただきまして、ありがとうございます。  思い出せばといえばそうなんですが、もうあれから十年の年月がたちました。  お手元に用意した私の書類でございますが、ここにリストがありまして、ちょうど十年ということで、いろんなところから、十年についてといって、いろんなセッションが行われました。世界中で四百を超える原子力発電所もあるわけですし、科学技術とかエンジニアリングには非常に強いはずの日本で起こったので、大変、みんなびっくりしたわけですけれども、私がやったのは、あれは全部公開しておりましたし、英語でも同通を入れていましたから、関係者はかなりあれを見ておりますし、そのことで、いろんなところからのインタビュー、セッションがありましたので、私としては、今日は、どんなことがあったかということをまず御紹介させていただこうと思っております。  お手元のものですが、日本の大新聞、いわゆる朝日、毎日、読売は取材を受けまして、デジタルあるいは新聞に出たものの資料をつけております。そのほかには、ハーバード大学とかUCLAセンターなどがそのセッションを持ちまして、ここにあるのが、そんな中でありまして、半分以上は英語でやっているものですが、一応サイトを書いてありますので、また見ていただければと思っております。  二枚目に行きますと、講演という形でやっているのもありまして、日本外国人記者クラブ、いろんなところでやっているのもあるということを参考にしておりまして、いつでも見られるようにしておりますが、一部だけ今日コピーを添付させていただいておりますので、後でゆっくり見ていただければと思います。  ということで、これから、地球の温暖化その他の問題はあるんですけれども日本で起こったあの事故ということで、一体その後がどうなったのかという話がテーマの中心でありまして、私としては、このようなものが世界的にも、今これについては、相変わらず、どうなっているのかという話は、皆さんがしっかりと学ぼうという気持ちが非常にあるんだろうと思います。  その中で、日本のやったことはどこが悪かったのか、いろんな話についての理解が十分いっていない部分もあるのかもしれません。  もう一つ、今でも問題になっているのは、まず、使ったスペントフュエルをどこに入れるかということですね。これがまたどうなるかというのは大きな問題ですが、始めたときからこれは決めておくべきだったのかもしれませんが、私は、個人的な意見ですが、アメリカヤッカマウンテンを使うかどうかはまだ決まっているわけじゃないので、これは人間の有様としては結構あることなのかもしれないなと思っております。  ヤッカマウンテンにつきましては、ちょうどあの事故が起こり、私ども調査して、私もお会いしましたけれども、そのときのアメリカのニュークリア・レギュラトリー・コミッションのチェアウーマンであったアリソン・マクファーレンという女性ですけれども、非常に背の高い女性ですが、私も、その取材のときと、その後、報告書が出て、ワシントンに呼ばれてしゃべりに行きましたけれども、そのときにもちょっとお会いしましたが、彼女と二人の対談というのもここでやっておりますので、またそれについてもサイトがありますので、また何かありましたら、ここに書いてあるので分かりますけれども、これはUCLAでやったセッションですけれども、そんな人と久しぶりに会ったねなんという話をしましたので。  そういうことで、コミュニケーションと、これから何を学ぶかということについては非常に皆さんが興味を持っているところだということを御報告させていただければと思っております。  それからもう一つは、廃炉をどうするかですけれども、これについても、経験がある人たちもいるので、どれだけ、日本だけではなくて世界の英知と経験を生かすということがすごく大事だろうと思っております。  それからもう一つは、今の処理水の問題ですね。これがまた問題なんですが、既に、トリチウムトリチウムと言っておりますが、前回のこの会議でちょっとお見せしましたけれども、ほかのも全部抜かれているわけではなくて、ラジウムその他がどのぐらいあるかということが新聞にも出てこないというところがちょっと問題だなと思っております。  どのぐらいそれがあって、どのぐらいにすればどうなるのかという話を、透明性がないことにはやはり信用ができないという話と、透明性なしでやっているのは何か理由があるのかなと疑われてしまうところが一番のまずいところだと思いますので、これについてはまた後でアップ・ツー・デートのデータもお出ししようと思いますけれども、そのデータを言わないでトリチウムトリチウムになっちゃっているので、これはすごく日本のPRとしてもまずいと思っております。  そういうのは国会議員さんの問題ではなくてむしろ東電関係人たちの問題だと思うんですが、あの処理水にはどのぐらいのほかの核種があるのかという話は常にやはり知っておかないといけないんじゃないか。それをどうやって処理するのかという話はそれなりのルールがあるはずですので、その辺をきちんとしておくことがすごく大事だなと。  もちろん海外でもトリチウム部分については流しているわけですけれども日本が言っているトリチウム水というのは、トリチウムでないものがたくさん入っているんだという話が一番のイシューで、それがちっとも出てこないところにどういう力が働いているのか私はよく分からないんですが、メディア責任があるぞという話は結構していますので、その辺を是非国権最高機関である国会の方からもプッシュしていただきながら、やはり世界とそれから日本国民理解を得ることはすごく大事なことじゃないだろうかと思っております。  私の意見としては、これは十年たちまして、まだまだ世界の関心は非常に高いということの一片だと思いますけれども、この辺について御報告させていただきました。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手
  4. 渡辺博道

    渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、石橋参考人お願いいたします。
  5. 石橋哲

    石橋参考人 石橋哲でございます。  二〇一九年の十二月に、前回、ここに参上させていただきました。またこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。  資料をちょっと御用意しておりますので、スライドで御覧いただければと思います。  お手元にも資料をお配りいただいておりますので、よろしくお願いいたします。  まず一枚目。  これは、先日というかコロナになる前だったんですけれども、憲政記念館に行って、私、見学してきたものでございます。この写真自体国立公文書館デジタルアーカイブから取ったものでございます。  国会議員先生方皆様御存じのとおり、この写真というのは、我々の日本国憲法前文の前にある文章でございます。  昭和天皇日本国憲法を裁可して公布するときにあった文章です。ここに御注目いただきたい言葉がございます。「日本国民の総意に基いて、」という言葉があるということですね。ここをちょっと覚えておいていただければありがたいと思います。先生方にはもう釈迦に説法なので、あれですけれども。  次のページをまた御覧いただきますと、そこは日本国憲法前文がございます。  ここにも非常に注目したい文章がございます。若干、数行ですけれども、読み上げます。  「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者」、これは先生方ですね、「を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果」を、まあ、広げますということでございます。この「諸国民との協和による成果」というのは、日本以外の国との合意形成してまいります、そういう意思の表れだと思います。ほかの国との合意形成していくということであれば、当然ながら日本国内にも国民の間の合意形成をしていくということをやっていくんだということの宣言だというふうに私は思います。  それを、この二つ目のポツですね、「その権力は国民代表者がこれを行使し、」というふうに書いてあります。この合意形成、諸外国との合意形成、その前提としての日本国内合意形成というのは、我々日本国民がやる、国民代表者を通じてやる、先生方がリーダーシップを取ってやっていただく、そういうことの決意表明であるというふうに私は思います。  なので、先生方国民が厳粛な信託をしているのは、社会的な合意形成をするために是非御活躍いただきたいということであり、決して分断を広げるということではないというふうに強く思うところでございます。  次のページ。  これは、「FACTA」という雑誌に、二〇一九年三月、「読者の声」というところで、私がお声がけをいただいて寄稿させていただいた文章です。当時は、ちょっとかっとしておりましたので、言葉を忖度なく書いております。ちょっと読み上げます。これは二〇一九年の三月です。  「八年前、誰もが誓った「忘れない」は変容したらしい。 一昨年九月、」、ここですね、「原子力特別委参考人として、私は国会事故調が求めた「(提言の)実施計画策定公表を改めて求めた。昨年末」、これは二〇一八年の末に、「同じ場で十五カ月間何ら議論がないことを確認した。国会図書館に保管された事故調資料の開示も忘れたか。 再発防止への「起点」に立つことなく「国会事故調は過去だ」と開き直る「選良」。彼らを「代表」と戴く私たち。今や「忘れない」は、年中行事として費消される、訳知り顔の「玩具」と堕し、日常の至るところに溢れる事故根源的原因思考停止」は、不祥事として噴出する。 二〇二〇年を目前に、いま商業メディアでは、「サムライ」という言葉が氾濫する。「サムライ」とは、湊川の大楠公」、楠木正成公「のように、永劫回帰の中で正しい判断を志す晴朗な覚悟を持つ者だ。自己満足で塗り固めた殻に閉じこもる者ではない。 私たちの自慰の果てに子どもたちは、「サムライ」を「愛する国」をこの国土に見出せるだろうか? お遊戯の時は過ぎた。「忘れない」の先へ。 未来に誇れる「今」を作れるのは「今」を生きる私たちだ。」  先ほど申しましたように、ちょっと頭がかっとなっておりましたので、このような言葉を書き連ねて出しました。  次のページお願いします。  今日は、二〇一一年三月十一日から三千七百一日目でございます。先ほど御覧いただきました二〇一九年の三月の私の言葉のほとばしりから丸二年たちました。前回お呼びいただいたのは二〇一九年の十二月の五日でございました。一年半たっております。  次のページお願いします。  こういう場を頂戴するということをお聞きしましたので、先月、三月二十四日ですね、ちょうど福島浜通りから聖火ランナーが出走する前日です、私、浜通りにお邪魔をしてまいりました。この写真を御覧ください。ここは浪江町請戸地区の三月二十四日の光景です。真ん中には、ちょっと浮き彫りにしたような形で出してありますけれども、これはすぐそこにある伝承館写真です。  皆様、この写真を見て、どのような感覚をお受けになりましたでしょうか。私は、心の中に非常にざらざらしたものを感じました。このざらざらしたものを大切にしていかなければいけないということを強く感じております。  次のページお願いいたします。  私、ここにお邪魔をすると必ず申し上げることですので、先生方はもう耳にたこができていることだと思いますけれども事故調はたかだか半年間しかありませんでした、できなかったことはたくさんあります。  アメリカ連邦議会は、ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスに対して調査依頼を出して、二年間の福島原発事故調査を、二年間の調査を二回回しています。計四年です。私どもは半年でした。  契約期間は限られておりましたので、できないことはたくさんあります。報告書、今お手元にお配りいただいておりますダイジェスト版には、扱わなかった事項ということも列挙してあります。このようなこともまだまだ積み残しであると思います。  では、次のページお願いいたします。  そこでは、意思決定プロセス判断プロセス透明性公開性を担保することが大事であるということを考え、それを実行するために、フルセット七つ提言を申し上げている次第でございます。ここには、やっていただきたいこと、やっていただく際のやり方、全て書いてあります。  これは何を解決するのかということなんですけれども、次のページお願いいたします。  こちらは、国会事故調報告が書いている「問題解決に向けて」というところでございます。ここも、前回も前々回も申し上げておりますので、先生方はよくお知りのことだと思いますけれども事故根源的原因はここにあるというふうに私は考えております。  この三行目ですね。これらの背後にあるのは、自らの行動を正当化し、責任回避を最優先記録を残さない不透明な制度、組織、さらにはこれを許容する法的枠組みであった、関係者に共通していたのは無知と慢心であり、国民の安全を最優先とせず、組織の利益を最優先とする組織依存マインドセットであった、思い込み、常識であったということです。この根本原因解決なくして、再発防止は不可能であるということも申し上げております。これは二〇一二年の七月の五日に先生方に納品をさせていただいた提言でございます。  この解決するための方法として、先ほど申し上げた七つ提言を実行していただき、それによって、意思決定判断プロセス透明性公開性を担保してくださいということをお願いしてある次第でございます。  次のページお願いいたします。  フルセットでございますので、一遍にできるはずがありませんので、実施計画を速やかに策定し、進捗状況国民公表してくださいということをお願いをいたしました。先ほどの「FACTA」の文章は、まだできていませんということをお伺いしましたので、どうなっているんでしょうかという思いがほとばしって筆が走った、そういう文章でございます。  次のページお願いいたします。  二〇一九年十二月の五日にも同じ言葉を私は述べさせていただきました。これは事故以降の事故調提言に関する経緯の図でございます。  事故が起こって、アメリカに遅れること数か月、九か月目にして国会事故調は設立されました。半年と言われて、七か月ちょっと手前で報告書を御提言した、納品したという形になっております。  そこから、今日で百二か月たちました。実施計画の御議論進捗状況公表につきましては、どこまで進捗されましたでしょうか。この後、是非お伺いさせていただけるものというふうに考えております。  次のページお願いします。  今コロナが来ています。この二〇一一年から十年たった今日、私たちは二〇一一年のときに思い描いた未来を生きているでしょうか。成り行き未来に生きているのではないかというふうに思います。  今コロナが来ています。この先の十年、十年後の未来は、私たちはどのような世界に生きているのでしょうか。成り行き未来を生きているのか、なりたい未来を生きているのか。その分岐点は、今まさにここにあるというふうに思います。  今から二〇一一年を振り返って、何があったのか、それぞれ、この局面に対峙する方々は何をどう考えたのか、今どれをどのように思っているのかを振り返るということは非常に大切なことなのではないかというふうに考えております。  次のページお願いします。  私たちは、忘れないという情緒的な言葉をたくさん吐いてきております。それを繰り返すことによって、忘れていくということを繰り返してきています。風化と復興はコインの表裏です。それを繰り返すということは、他人事化を繰り返しすることによって成り行き未来を今生きているということではないかと思います。  これを、なりたい未来に変えていくためには、きちっと過去を振り返り、私たちは何をしてきたのか、何をしてこなかったのか、それをきちっと記録に残すこと、そのプロセスはまさにこの局面を自分事化するということになりますので、それを集積して浸透させていくことが私たちのなすべきことなのでないかというふうに思います。  次、お願いします。  これも、事故調報告書に書いてある言葉です。これも何度も申し上げておりますので、先生方ももう耳にたこができているということだと思いますけれども、この提言を一歩一歩着実に実行することは、不断の改革の努力を要します。それは、先生方国民未来国民から今を託された国会議員先生方国権最高機関である国会お願いしているので、やっていただくことは当然の前提です。それは、先生方だけではなくて、私たち一人一人の国民が担うべき使命であるということを委員会は確信するということで閉じています。  次のページお願いします。  先生方ももう当然お読みいただいているというふうに思いますけれども国会事故調報告書は高校生も読んでいます。  私たちが今何をなすのかということを真摯に振り返りたいと思います。この後、この二〇一九年の十二月の五日からどのような進捗があったのかということをお聞かせいただくことを楽しみにしております。どうぞよろしくお願いします。  以上でございます。(拍手
  6. 渡辺博道

    渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、橘川参考人お願いいたします。
  7. 橘川武郎

    橘川参考人 皆さん、おはようございます。国際大学橘川と申します。  このような場を与えてくださり、心から感謝いたします。  私は、三・一一から十年以上たちましたけれども、その後の日本原子力政策についてお話をさせていただきたいと思っております。  福島事故があって、原子力政策はゼロベースで出直さなければいけないということが言われました。その際、大原則がありまして、原子力政策原子力規制政策は切り分けるということで、規制政策の方は、一応規制委員会ができましたし、新しい規制基準もできました。ところが、残念ながら、原子力政策の方は、重要な問題が次々先延ばしされているというのが現実なんじゃないかと思います。よって、非常に国民に分かりにくくなっているんじゃないか。その点で、今日は三つの問題を取り上げたいと思っています。  次のページお願いします。  私は、三・一一からずっと、今もそうなんですが、エネルギー基本計画を作る基本政策分科会委員もさせていただいておりますが、そこでもやはり議論がちょっと分かりにくいところがある。いろいろあるんですけれども、今日、大きな問題として、三つリプレースをしない、回避するということがもたらしている問題と、核燃料サイクル一本やりということがもたらしている問題、それから三つ目に、東京電力の手で柏崎刈羽原子力発電所を再稼働させるという方針がもたらしている問題、この三つの点についてお話しさせていただきたいと思います。  それでは、次のページお願いします。  まず、リプレース回避がもたらしている問題ということですが、現在も政府は原子力を重要な施策としておりまして、二〇五〇年のカーボンニュートラルへ向けて、昨年十二月に発表されましたグリーン成長戦略の中の十四の重点分野四つ目の柱として、原子力の、特に新技術新型炉の開発ということを言われておるわけです。  ところが、一方で、今日に至っても、原子力リプレース及び新増設は、しないというよりも、するということを言わないという方針を続けておりまして、これが非常に国民からすると分かりにくいんですね。  今は原子炉等規制法で四十年で基本的には廃炉で、二十年間プラス、許可があった場合は運転可能ということなんですが、現在ある全三十三基が全部六十年運転になったとしても、二〇五〇年の暮れには十八基しか残らない。みんな六十歳を超えてしまうわけです。それから、六〇年になりますと五基になって、六九年で泊三号機が止まりますとゼロになる。そうすると、重点分野だと言われて、脱炭素の重要な選択肢だと言われても、今のままでは選択肢にならない、こういう問題があるわけであります。  端的に言いますと、技術開発はする、小型炉とか高温炉とか核融合とかはやる、でも造らない。こういうことで、これは国民からするとさっぱり分かりにくいんですね。端的に言うと、まさに絵に描いた餅という、そのことわざどおりの状態になっている。こういう問題があると思います。  私、実は反原発でも推進でもない、ちょっと、私はリアリストだと思っていますが、そういう立場なんですけれども、それでも、何らかの形で使い続けるというのならば、やはりリプレースは必要だと思っています。Sプラス三Eといいますが、Sは正式に言うと安全性ではなくて、原子力発電って危険なものですから、その危険性を最小化するという意味だと思うんですが、その最小化という観点から考えると、新しい炉の方がいいに決まっていまして、これは原発に反対する人も意見一致する点だと思います。  ところが、特に日本の場合は、今動いている九基が全部加圧水型の炉で、特にこれが古いんですね、新型炉一つもありません。沸騰水に関しては、五基ほど全国に新しい炉があるわけですけれども、今のところ四基ですね、それで新設しているのが二基あるわけですが、特にもう中国では新しい加圧水炉が、ヨーロッパ型もAP1000と言われるものも動き出している状況の中で、何%であれ使い続けるのなら、やはりリプレースのことを言わないのは無責任なのではないかというふうに思います。  それと、もうちょっとたってから言えばいいんじゃないとか、こういう意見もあると思うんですけれども、過去の歴史を見ますと、造ると言ってから少なくとも三十年ぐらいかかっていますので、もう間に合わないんですね、五〇年のカーボンニュートラルまで。そういう問題があると思います。  私としましては、そういう意味で、リプレースは必要なんですが、逆に言うと、リプレースですから古い炉はどんどん畳んでいく、積極的に畳んでいく。むしろ原子力の依存度はそれで下げていくという、リプレース原子力依存度の低減とを組み合わせるのが正しい道なのではないかと思います。  残念ながら、現在審議されています五〇年の電源ミックス、全体としてはそれほど違和感はないんですが、一か所どうしても腑に落ちないところがありまして、小学生でも分かるんですが、普通に電源ミックスは原子力、火力、再生、こういうふうに分けるものだと思うんですが、再生はちゃんと五割から六割と言われているわけです。火力の中の水素、アンモニアは一割と言われているんですけれども、残りの三、四割を、二酸化炭素を回収して貯留したり利用したりするCCUSつき火力と原子力が一緒になって三、四割なんですね。これはすごくおかしいと思うんです。多分、今のままでリプレースしないという方針で、原子力をきちんと取り出しちゃうと一割以下になってしまうので、それが明示されるのが嫌なのかなというふうに思うんですが、例えば、そういうところにこの原子力政策の分かりにくさがある、これが第一点です。  次のページお願いいたします。  次に、核燃料サイクル一本やりがもたらしている問題であります。  御存じのように、核燃料サイクルは、高速増殖炉のサイクルと軽水炉のサイクルに分かれているわけですが、前者の高速増殖炉のサイクルは、もう既に二〇一六年に「もんじゅ」を廃炉にしましたので、これはなくなっているわけですね。そうすると、残りは軽水炉のサイクルなんですが、これは今のところ、プルサーマルということでちょっとずつプルトニウムを消費するやり方しかないわけです。  もう既に許可が出ています再処理工場が動きますと、ざっくり言うと、年間七トンくらいプルトニウムがつくられますけれども、今のところ四基あるところの平均値ですけれども、年間大体〇・五トンずつくらいなんですね、プルトニウムの処理量が。そうすると、七を〇・五で割ると分かりますが、十四基必要になるわけですが、今四基しかない。電事連は新たに十二基造ると言っていますが、これは実は二〇一〇年に十六基から十八基造ると言って、全然できていないわけで、そこは全く新味がないわけでありまして、率直に言いまして、プルトニウムの平和利用のやり方が見えていない、そういう意味では破綻していると言わざるを得ない状況にあると思います。  日米原子力協定は、一八年で一応固定期間が終わりまして、どちらか一方がノーと言うと廃棄できる状況になっています。日本が非核兵器保有国でありながら再処理をやっていいと国際社会で認められているのは、プルトニウムを平和利用するプランがあるから認められているわけで、それが、今言ったように、まだちゃんとでき上がっていないということになりますと、非常に不安定な状況、かつて同じアメリカ民主党のカーターさんが再処理に対して非常にいちゃもんをつけたことがあるわけですけれども、同じようなことが起こるという可能性もあるのではないかと思っております。  一方で、私はリアリストですので、だったら再処理工場をやめてしまえというのは非現実的だと思っております。というのは、既に〇六年に、まだ竣工はしていないんですけれども、アクティブ試験というものが始まっていまして、もう既に九トンくらいプルトニウムをつくったりなんかしていますし、これはこれで使い切るしかないと思います。  一方で、もう一個造らないと足らないという話なんですが、これはここに書いてあるような、もう既に総事業費が予定を超えて十四兆円というような状況では第二再処理はあり得ない、こういうふうに思いますので、結論からいきますと、核燃料サイクル一本やりではなくて、六ケ所は使えますけれども、プラスして直接処分、一回使ったものは直接地層に埋めるというものと併せて進めるというふうに本当は行くべきなのではないか、こういうふうに思っております。世界的に見ますと、直接処分の方がむしろ主流だというふうに思います。  それでは、最後に三つ目の問題をお話しさせていただきます。東京電力による柏崎刈羽原子力発電所の再稼働がもたらす問題であります。  御存じのように、核物質防護の不備問題で、原子力規制委員会が非常に厳しい処分、事実上再稼働ができないような処分を東京電力に下しました。ただ、私は、今回の件がある以前から、そもそも東京電力が柏崎刈羽を再稼働するというのはおかしいと思っています。  というのは、事故処理費用が、後ほど鈴木先生からもうちょっと詳しい話があると思いますが、最低でも二十一兆五千億かかる。これは東電は払い切れませんので、国民負担になるわけですね。これは国民負担しないと福島の復興ができませんから、やはりせざるを得ないんですけれども国民の側からすると、その前に前提条件がある。東電がきっちり徹底的なリストラをやって初めて国民負担という話に、順番からするとすべきだと思うんです。  それじゃ、徹底的なリストラというのは何かというと、柏崎刈羽の原子力発電所を売ることだと思います、完全に。そして、売ったお金を廃炉の費用にどんと回す。それで足りないと思いますけれども、少なくともそういうことをやらないといけないというふうに思います。  受皿は、これがもう一つ新潟県民を悩ましている問題ですけれども、東京電力は新潟県が供給エリアじゃないわけですね。供給しているのは主として東北電力でありまして、主として供給している人でないと、ある意味で非常にかゆいところまで手が届くような避難計画を作れないわけです。どこに電柱があって、どこにどういう需要家がいるかというのが分かっていない。  そういう意味で、やはり東北電力がどうしても受皿になると思いますが、お金が足りませんので国ということになりますが、国営という道はないと思いますので、例えば日本原電ですね。民間会社ですけれども、今、最大株主が二八%ですかが東京電力、まあ、国有化されていますので、準国営会社なので、その会社が受皿になるということになると思います。  これでも、安定供給には支障はありません。要員は東京電力の社員が新しい会社に移ればいいわけで、安定供給は問題ないし、そして、発生した電力の、こうなると、柏崎刈羽も許可を得ている六号機、七号機の運転が可能になると思うんですが、そこから出てくる電気は中立的な値段でかなりの量を卸市場に送ることができますので、今年の一月起きたような電力の需給の逼迫なんかの問題はある程度緩和することができるのではないかと思います。  それでは、それで東京電力はやっていけるのか、私はやっていけると思います。残る中心はパワーグリッド、送配電の会社とEP、エナジーパートナーですね、配電の会社になりますけれども世界でも最もいいような需要地を舞台にしていますから、十分に収益を上げて、給料、ボーナスも払って、その上で半永久的にずっと賠償金を払い続けるということは可能だと思います。  福島に対する補償もサステーナブルな形でやらなければいけないわけで、これが私は本当の意味での東電の再生の道になるのではないかというふうに思います。これをやれば、何十年かたったら、東電は福島責任を果たしたね、こういう話になるのではないかと思っています。  以上で私の話を終わらせていただきます。(拍手
  8. 渡辺博道

    渡辺委員長 ありがとうございました。  次に、鈴木参考人お願いいたします。
  9. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 長崎大学の鈴木でございます。  今日は、お呼びいただきまして、ありがとうございます。  私からまず最初に、二点お伝えしたいことがあります。  最初に、まず既に黒川先生の方から話がありましたが、十年たちましたが、事故は終わっていないということであります。第二点は、この委員会先生方是非お願いしたいんですが、脱原発及び原子力推進という立場を超えて是非超党派で取り組んでいただきたい、それだけの問題がいっぱいあるということでございます。  では、スライドをお願いいたします。  既に私も三回ぐらいこの会議に呼んでいただいて、脱原発、推進にかかわらず、重要な課題として幾つか、使用済燃料、高レベル廃棄物処分の問題、核燃料サイクル、核テロリズム、規制の在り方国民の信頼回復といった問題についてお話しさせていただきました。  今日は、特に廃止措置と復興の体制改革ということでお話しさせていただきたいと思います。  ポイントは三つですね。一つは、廃止措置を今東京電力が当然責任を持ってやっていくんですが、やはり資金的にも技術的にも東京電力では難しいということで、是非、専門の廃止措置機関というのを検討していただきたい。  二番目は、かかる費用、復興と廃止措置にかかる費用についても、先ほど橘川先生からもありましたが、今のままでは難しい、国民負担が増えていくということで、これも新しい基金構想というのをお願いしたいと思います。  最後に、この全体のプロセスを統合して、廃止措置と復興は非常に密接に関連しているんですが、それらを統合して客観的に評価する委員会というのをつくっていただきたいというのが今日の私のお話です。  次、お願いいたします。  このスライドは、私が原子力委員会にいたときに、事故直後の廃止措置の中長期ロードマップを作る専門部会の報告書の中で原子力委員会が作った文書でございます。  ちょっと読ませていただきますと、この問題は政府が責任を有するということをはっきり書いてあります。それから、国内外の知見を効果的に活用して行うこと。それから、透明性の確保。三番目が大事ですね。これらを評価、監査し、適宜に改善すべき点などを政府に提言する第三者機関、しかも海外の専門家を含む、を設置すべきであるという提言をさせていただきました。最後に、これも大事なんですが、当時どのような体制にすれば一番いいのかという議論がありましたが、一応、責任があるのは東京電力であるということで、民間の東京電力を中心に行うことにしたんですが、やはり、将来、専任の廃止措置機関を設置することも含めて、絶えず新しい、最適な運営体制の確立を政府にお願いしたいというのを原子力委員会として提言していただきましたが、この第三者委員会も、体制の見直しについても議論が進んでいないというのが現状だと思います。  次、お願いいたします。  今、一体、現在の体制はどうなっているのかというのをいろいろ探したんですが、なかなかはっきりした図がなくて、これは私が作ったんですけれども、一目で見ていただいて分かりますように、まず非常に複雑で、司令塔は誰なんだと。一応、東京電力のホールディングカンパニーと、その下にある福島第一廃炉推進カンパニーが中心になってはいるんですが、その隣に、政府が幾つもの委員会をつくって議論されている。こういう状態であります。  先ほどお話がありました処理水については、右の方に特別の委員会があるんですが、ここは政府が意思決定を行うということになっています。これは安倍首相のオリンピック招致委員会のところでの発言が効いておりますが。  いずれにしても、私が一番、まずこれを見て、司令塔がはっきりしない。  もう一つ世界の英知を集める体制になっているかということなんですが、第一廃炉推進カンパニーに国際エキスパートグループというのがあります。これは実は、元々、左にあります技術研究組合の国際廃炉研究開発機構に属していましたが、廃炉カンパニーができてそっちに移ったんですが、ウェブサイトを見ましたが、メンバーが分かりません。どういうレポートを出しているのか見ましたが、出ていません。透明性が、はっきり分かりません。  しかも、この国際廃炉研究開発機構のメンバーを見ますと、国際という名前はついていますが、メンバー企業は全部日本の企業です、十八社、ここに書かれていますけれども。  したがって、私は、この廃炉問題というのは、これまでにない、非常に歴史的にも前例のない難しい作業で、世界の英知を集めることが大事だということで、それを是非もっと実現していただきたいと思います。  次、お願いいたします。  今、中心になっている東京電力については、先ほど橘川先生からもありましたが、信頼が揺らいでいる。私が最も心配している核テロリズムについて起きたこの事件は、大変深刻な事件であります。これは国際的に見ても、核セキュリティーの原点ともいうべき対策が取られていない。当然、規制委員会が厳しい措置を発しましたが、同じ東京電力が廃止措置をやっているということについて、私は非常に懸念を持っております。このような防護措置義務違反を起こすような東京電力に任せておいていいのかというのが、私の懸念であります。  次、お願いいたします。  これは最近行われました世論調査をちょっとまとめてみたんですが、先ほどお話がありましたが、処理水の海洋放出あるいは廃炉の進み方、政府の事故対応、それから原発再稼働、このいろいろな問題について、ほとんど、政府の動向に対する反対意見の方が多い。これが現状でありまして、こういう状況で、福島の廃止措置及び復興をそのままでいいのかというのが私のポイントであります。  次、お願いいたします。  それで、技術的な問題で申しますと、いろいろあるんですが、私、今日申し上げたいのは、実は、事故直後のロードマップを議論しているときに、一体、最終の状態、エンドステートと言われていますが、更地にするのか、それはできるのか、正直全く分からないということで、今、政府のロードマップを見ましても、曖昧になっています。確かに、デブリが取り出せるかどうか分からないということなんですが、とにかく、一応、原則としては、全部取り出して最終的には更地にしようという努力目標はありますが、よく分からない。  最近、去年の暮れですが、原子力学会が中間報告で出したレポートがあります。これはすばらしいレポートですので是非読んでいただきたいんですが、初めて専門家が公式に、最終状態についてどのような選択肢があるかということを議論いたしました。  大事なことは、更地にできなかった場合、やりたいと思ってもできなかった場合どうするかというときに、一つ選択肢として、チェルノブイリのような石棺にする、あるいは、TMIがそうですけれども、しばらく放置して、TMIは、スリーマイル島はもう使用済燃料を取り出していますけれども廃炉をするのをしばらくおいておいて、安全に保管してからやるという、この選択肢によって廃棄物の量が大きく変わってきます。  この放射性廃棄物の量は、この原子力学会の資料によりますと、通常の原発廃炉の十倍以上になると。これでは大変なコストにもなりますし、作業も大変だということで、この最終状態についての議論を始める必要がある。そのためには、地元の方々との意見交換、ステークホルダーによる討議機会の整備というのを原子力学会が提言されていますので、是非読んでいただきたいと思います。  次、お願いいたします。  このようなことを考えまして、私としては、事故を起こした東京電力から独立させて、新しい信頼される廃止措置機関というのをつくることを検討していただきたい。  現場の作業員の方々に対して、私は、非常に高い敬意と感謝の気持ちでいっぱいであります。非常にリスクを冒して作業をされております。そういった方々のモラルを向上させる意味でも、東京電力の帽子ではなくて、新しい廃止措置機関の帽子で頑張っていただきたい。それから、新しい技術者を雇う意味でも、東京電力ではなくて新しい廃止措置機関ということで、新しい技術者をどんどん集めていくということが大事ではないか。  それから、透明性、信頼性を高める意味でも、今の組織ではなかなか難しい。  一つモデルとしては、イギリスの原子力廃止措置機関という、これは国の機関でありますが、当時もこの議論が少し行われました。  でも、なかなか、国の方が廃止措置の責任を持つということに対して抵抗がありました。私としては、是非この廃止措置機関を国が責任を持って行えるような形にしていただきたい。  それから、信頼関係の確保という意味でも、こういう機関にすることが大事ではないかと思います。  次、お願いいたします。  次に、資金の問題なんですが、これは現在の資金確保の絵なんですけれども、この原賠・廃炉機構が、東京電力、右の赤いところですね、原子力事業者にお金を、資金を交付して、これは、借金ではなくて、資金を出して、負担金という形で返しているということなんですが、この仕組みで本当にうまくいくのかどうか。これもひとつ複雑で、一般の方になかなか説明が難しいんですが。  次、お願いいたします。  これは、二〇一五年の十二月に東電の一F問題委員会というところが出した報告書の中にある図なんですが、二十二兆円という数値を、そのとき、それまでの十一兆円から二倍に増えたわけですけれども、この中身を見ていただきますと、東京電力が十六兆円、それから、ほかの電力が四兆円、国民負担が二兆円になっています。その前提は、東京電力が毎回年間〇・五兆円の収益を上げる、五千億円ですね、これが本当に可能なのか。これは橘川先生の方がお詳しいと思うんですが、東京電力が毎年五千億はなかなか難しい。多分、今三千億ぐらいだと思うんですけれども、これを実現するのは大変難しい。しかもこれは、前提、賠償は四兆円となっていますが、もう賠償は八兆円か九兆円になっています。だから、二十二兆円で終わるかどうかも分からない。  次、お願いいたします。  これは、私が一緒になって報告書を出させていただいた日本経済研究センター廃炉措置のコストの推定値なんですけれども、汚染水、処理水を海洋放出しないでトリチウムを分離した場合が一番高い、これは分離コストが非常に高い。  これは、日本で「ふげん」という研究炉がありましたが、そこで、重水炉なので、トリチウムの分離技術の試験をやっておりました。そのときのコストを基につくった数値なので、現実にここまでかかるかどうかは分かりませんが、トリチウムの分離技術が非常に高いということで、これだけ高い金額になっております。  それから、政府の二十二兆円との違いは、政府の二十二兆円の中には、放射性廃棄物の最終処分のコストが入っておりません。それを加えますと、何もしないでも、汚染水を海洋放出した場合でも、四十兆ぐらいかかる。  それから、先ほどのエンドステートの話ですが、すぐに廃炉をしないで、四十年、五十年おいておいてからやった場合、こうすると三十五兆円に下がる、こういうことですね。  次、お願いいたします。  スリーマイル島のときの費用をどう調達したか。  これは、金額的にまだ非常に少ない、一千億ぐらいなので少ないんですが、当時の議論を見ますと、電力会社が基本的には負担する。廃止措置基金というのは、これは日本でもありますけれども、電気料金で回収する仕組みになっているんですが、事故を起こしたということで、足りない分を資金調達しているわけですね。  右手の図にありますように、電力会社以外に、保険金とか、それから海外からもお金を集めているんですね。日本も、このGENDという仕組みの中に、電力十社、重電三社、原研などが、金額的には少ないんですけれども、資金を出しているということであります。  今も、実はその推定費用、不足しているということです。いまだに議論が続いています。それから、アメリカの場合は、電力会社の販売ということで、電力会社がTMIを、発電所を売るということもやっておりますので、なかなか難しい状況にありますが、今のところ、二〇三七年までかかるということになっております。  次、お願いいたします。  それから、チェルノブイリの事故の場合は、旧ソ連、ウクライナ共に資金が足りないということで、欧州復興開発銀行が中心になって、責任を持って資金調達及び廃炉の仕組みを考えるということで、二つ基金ができております。一つは、原子力安全基金。ここに、これはG7がつくったんですけれども、どういう国が協力しているか、書かれております。次に、最近シェルターを造ったわけですが、このシェルターを造るときにも、シェルター基金というのをつくって、これは全部、いろいろな国がやはり参画しております。  これらを見て分かりますように、廃止措置というのは大変お金がかかりますので、国際協力でやるという仕組みを考えてはどうでしょうかというのが私の提案です。  では次、お願いいたします。  したがって、廃止措置、今、東京電力の会計の中に組み込まれていますが、これを切り離して、透明性を高めた廃止措置・復興基金をつくっていただきたい。これも、管理も東電から離す、それで透明性を高めて、資金調達も海外からの寄附も含めてやってみる、こうやって国民の負担を最小化していきたいというふうに考えております。  次、お願いいたします。  最後になりますが、事故は終わっていないということなんですけれども、復興については、このすばらしい法律、皆さんが作られた、国会で、超党派で作られた子ども・被災者支援法、これを是非思い出していただいて、被災者がどのような選択をしても適切に支援する。今、帰還しないという決定をした被災者には支援が打ち切られるという実態が続いています。これは、やはりあってはならないことだと思います。  それから、国の責務も書かれています。こういうことで、この子ども・被災者支援法にのっとって、廃止措置、復興に取り組んでいただきたい。  最後のスライドをお願いいたします。  全体のプロセスを誰が評価するのか、これはまさに、私は国会の役割が大きいと思います。是非、独立した第三者機関、廃止措置の復興評価委員会というのを国会が検討していただいて、この信頼のあるプロセスにしていただきたいというのが私のお願いであります。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手
  10. 渡辺博道

    渡辺委員長 ありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 渡辺博道

    渡辺委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。
  12. 津島淳

    ○津島委員 自由民主党の津島淳でございます。  本日は、アドバイザリー・ボードの先生方、四名の先生方、おいでいただきまして、まずはそれぞれの立場からの御意見を頂戴いたしました。こういう機会をいただけましたこと、心より感謝を申し上げ、また、こうして質疑に立たせていただけるということは、非常に私にとってありがたいことでございます。  改めて、委員長理事、そして委員皆さんに感謝を申し上げるところでございます。  私の地元というのは、青森県の第一選挙区、県庁所在地の青森市と、それから、原発関連施設が立地している下北半島というのが前回の選挙から選挙区に加わりました。ですので、初当選以来、二回の選挙というのは、直接その立地自治体というのは選挙区ではなかった、そういう感覚で有権者の皆さんとエネルギー問題に対して議論をしていた。  ただ、もちろん立地県とすれば、原発あるいはサイクル政策というのは進めていかなければならない、いや、進めましょうということを言っておったんですが、いよいよ立地自治体が選挙区に入ってくると、より直接の対話の機会というのが増えてくる。  私、思うんですが、原発を進めるか否かということを抜きに、どうも、この場での議論、永田町、霞が関の議論で地元の声というのがどうしても通っていないな、地元の皆さんが置き去りにされているというところが時に国に対する不信というものにつながりかねない、そういう危惧を持ちます。ですので、できるだけ私は、こういった国会での質疑の場で地元の声というのを紹介するようにしようとまず心がけているところであります。  もう既に原発誘致というものが決まって半世紀、四半世紀、そういう歴史がある中で、ある意味、立地自治体の住民の若い世代、多くは、原発施設があって当たり前、あるのが普通の状態で生まれ育っている、そういう世代がだんだんと増えてきています。つまりは、原発を入れるかどうかを決めるときに、それこそ身内同士が真っ二つに分かれて議論した、そういう歴史がだんだんと過去のものになりつつある。  石橋先生が今日もおっしゃっておられる、過去を、声をしっかり蓄積をしてデータとして残し、そこから何を読み取るのか、分析をして次なる政策に生かすということは大変大事なことであるし、その声を集めているのはほかの誰でもない我々国会議員。やはり、日常的にやっていること、そこから何を読み取って、どう生かしていくのか、まさに大事なことだ、そういう私どもの仕事の原点というものを改めて考えさせられる、今日、石橋先生のお話を聞いて思ったところでございます。  そして、どうしてもこの原子力をめぐる問題で二項対立の議論になりがちであるというのも、これはちょっとお互いに、相手の意見、私からすれば、反原発、脱原発の方のおっしゃることというのにやはりしっかり耳を傾けた上で、でも、私は、私自身の信念でもってやはりこの国には原子力というものが必要だと思うし、じゃ、それを国民的に合意を得て進めていくためには何をやらなきゃいけないのか、政治が何をなすべきなのかということを、真剣に答えを出していかなければ、ただ今までの延長線上で物事を進めようとしてもそれは理解は得られぬと思うところでございます。  ですから、大事なことは、意思決定をするときにどういう議論がなされ、結果どういう決定に至ったのかということ、プロセスを透明化することというのはすごく大事なことです。  私は、だから、この委員会議論こそメディアがこぞって中継をして、全国民が、こういう議論をしているんだ、真摯な議論をしているんだということをやはり知ってもらった上で、国民皆さんも、私は、原発しようがないな、原発進めようか、あるいはそうではない方もいらっしゃる、そういう流れにしていくということが必要だと思っております。  二十分時間いただいて私の演説で終わらせるのは非常にもったいないので、これからできるだけ四人の先生方に、お一人一問ぐらいはお聞きしていければと思っております。  まず、ちょっと個別の話にも入ってまいるんですが、今私が基本的に申し上げたこと、そして改めて、石橋先生に、私も、この国会事故調報告書、震災、事故から十年ということで読ませていただいて、そして、実は今、我々、危機管理の真っただ中にあるわけですね。原発事故とはまた違う種類の危機に直面をしている。そういう中にあって、十年前のあのときの政府の対応というものを客観的に見て、どこに一番問題があったのか。  私は、ちなみにそのときは落選中で、より今よりは国民に近い立場で、一連の政府の対応というのを見ていました。見て、考えて、自分だったらこうする、こういうことを提言した、いろいろ考えていました。  情報の提供が非常に限られて、一方的であった。三月十一日のあのときは、珍しく太平洋側に雪が降る、つまり、日本海側から季節風が吹く、それが冬の当たり前の天気であった。そうじゃなかったですね、あのときは。むしろ、太平洋から風が入ってくる、陸地に向かって吹くようなそういう天気であったときに、同心円状の避難、最初の避難の対象地域の設定ということは、あれはやはりおかしい。気象条件等を考慮して当然に設定をすべきであったような、つまり、そういったことから、当初のシミュレーションというものが全くできていなかった。これは、政治の側がしっかり教訓とすべきことだろうと思っております。私はそういう、そのとき思ったことは今でも思っているし、それは何とかしなければいけないというふうに思っています。  石橋先生に、あのときの教訓ということを、報告書にも込められたと思いますが、問題点をいま一度明確に御指摘いただけるとありがたく存じますが、いかがでしょうか。
  13. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  今の津島先生の御質問は、多分、一言ではお答えし切れないということだと思います。ですから、この報告書フルセットで御回答しているということだと思います。  今、私たちコロナの災禍の真っただ中にいます。私にはあの福島原発事故の現象と非常に重なって見える部分があります。  確かに、二〇一一年の三月十一日、我々は、先生方もそうですし、日本政府もそうですし、国民側もそうだと思いますけれども、あのような事故が起こるということ、分かっていたはずなのに、可能性は十分認識されていたであろうはずなのに、知らないふりをしていたというのが事実だと思います。  このコロナ、感染症が大きな影響を及ぼすかもしれないということは、例えばあのゲイツさんがグローバルな基金を立てていらっしゃったりして、皆さん分かっていたはずです。それに対して効果的な手だてが、今たくさんの方々が御尽力をいただいていて、医療従事者の方も日夜、必死の御努力をいただいているところですけれども、必ずしも、ほかの国でうまくいっていると評価されているのに比べるとそこまでの対応はできていないというのが事実だと思いますので、それも分かっていたのに知らないふりをしている、そこが一番の問題ではないかと思います。  発生原因は幾つかあります。原発事故でも、人為的災害であったり人為外の災害であったり、若しくは内部事象であったり外部事象であったり、いろいろなことがあります。発生原因ごとに起こってくる経過というのはそれぞれ違うのかというと、恐らく共通の部分はたくさんあると思います。事象を縦割りで所管省庁ごとに対応していくのではなくて、発生事象がその後どのような進展をしていくのか、共通事項は何なのかという横串の目線で対策を考えていくということが、実はすごく大事なんじゃないかというふうに思います。  以上でございます。
  14. 津島淳

    ○津島委員 石橋先生、ありがとうございます。  KYという言葉があって、空気を読まないんじゃなくて、危険予知。今は、前に言った空気を読まない方で思い浮かべる人が多くなってしまいましたが、実は、危険予知をKYといって、いろいろな企業の安全活動の一つの指針である。そして、ハインリッヒの法則というのがあって、重大なインシデントが起こるときには、必ず小さなインシデントの積み重ねによって、結果、重大なインシデント、事象が起こる、だから、小さな事象を見逃さないようにしよう、そういうことが基本であって。  私は、そして危機管理については、亡くなられました佐々淳行先生の御著書を読んで一つ印象残っている飛び報告という、平時の指揮命令系統の中で手順を追って報告をしていたら間に合わなくなる、万が一にもその対象者がその場にいなかったら帰ってくるまで報告が遅れることになります、そんなことをしていたら危機がどんどん事態が進行してしまうから、いなかったら飛び越してその上の人に、直接トップに報告する、それをいとわない、そういう姿勢が大事だという、非常に印象に残っています、こうしたこと。そして横串をしっかり通していくということ。  何よりもの教訓であって、そうしたことを今の事態そして次なる事態にどう生かしていくかというのを、それをしっかり生かせる状況にしていかなければ次の世代にも申し訳が立たぬ、私はそういうふうに思っております。ですので、引き続き、そういった考え方で議論をこの場でもさせていただけたら本当にありがたいなと思います。  そして、今度は黒川先生に、ALPS処理水の海洋放出の決定について、諸外国との関係、そして我が国の取るべきスタンス、そういった観点から質問します。  科学的にいろいろ言われている、いわゆる多核種除去装置、ALPSによる処理水については、トリチウム以外の物質については取り除くことができる、そして、トリチウムというものは非常に現代の技術でも取り除くのは難しい。まずそこは共通認識をこの場で持たせていただいた上で、こういった措置は世界の原発において同様の措置が取られている、これも共通認識で持たせていただいて、じゃ、今回の福島のをどうするんだという。  トリチウムを含んだ処理水については、規制基準はもちろん、WHOの飲料水の基準よりも薄めて、希釈して放出しますということ、これは、私が得た情報では、韓国もそのことは分かっている。内部で韓国政府はそういった情報を分かっていて、当初、猛反発をしました。しかし、欧米の反応というのは、おおむね好意的な、そして妥当なものだ、そういう論評が多くございました。韓国も、例えば米国のケリー特使が訪韓したときに協力を打診したのがうまくいかなかったということが、今、かの国は方針を転換し、当初の猛反発から何やら条件闘争に入りそうな、そんな気配がいたしております。  私は、日本政府として、とにかく定期的に透明性を持ってデータを出し続け、海洋放出の妥当性ということを示す、これは対外的にもそうですし、何よりも、私も地元の漁師さんとの対話ということの中でいろんな懸念をいただきます。福島だけじゃない。東北というのは、西日本方々から、あるいは世界から見れば、福島も青森も同じ東北なんですね。ということは、福島の問題は青森の問題であって、私はそういう漁師さんの気持ちが痛いほど分かる。だからこそ、じゃ、なすべきこととして、徹底的に透明性を持たせてデータを出していくことが重要だと思うんですが、黒川先生の御見識をいただきたいと思います。
  15. 黒川清

    黒川参考人 御指摘ありがとうございます。  実は、前回のときに、佐藤さんという方をお呼びして、しゃべってもらいました。そのとき彼は、処理水にどのぐらいほかの核があるのかという話を、見せていただいたので、それをまたお送りします、最近のデータも。  やはり、それは隠す必要はないんだけれども、それが出てこないというところに一番問題があるわけで、後で出たときに大騒ぎになる。先生のおっしゃるとおり、やはり透明性が大事ですので、元のあるデータをそのまま出した上でやっていただきたいなというのが私の主張で、皆さん新聞もそうですけれどもトリチウムトリチウムと言っているから間違っちゃうわけで、トリチウムはどこでも流していますよね。だけれども、今、汚染水が流れてきちゃっているので、これを処理したらトリチウムだけのはずはないわけで、それがどのぐらいあるのかということを常に透明性を持っていればいいわけで、それが後で分かっちゃったときには、この濃度ならいいんだよと言っても、先生のおっしゃるとおり、透明性が、出たときに違って出たら、途端にもう信頼がなくなっちゃう、これが私が一番恐れていることなので、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  16. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございます。  透明性ということは、かつて私はフランスのラ・アーグの再処理を視察したときに、日々のデータをちゃんとつまびらかにしているというところ、非常に地味なことなんですけれども、これは大事なことだというふうに感銘を受けた記憶がございます。  それから、今、黒川先生おっしゃった、元を断たなきゃいけない、福島の話です。元を断たなきゃいけないという、地下水の動きをしっかり解明して、できるだけ止めるということをやらないと、処理水の元の汚染水が生まれる状態も止めていかなきゃいけないということも私は大事だと思っています。そういったことも全部つまびらかにしていくということが極めて重要なことであろうというふうに思っております。  質問時間、あと三分ほどですので、ちょっと今度は、リプレース、そして廃炉、これは実は私はセットだと思っています。原発はもう要らないという方は、もう廃炉だけで十分だろう、リプレースはという話はあるかもしれませんが、いやいやと。やはり、新しい知見を入れた、新しい技術で造った炉というものを、今造っているのであれば、大間がそうですが、これを生かしていく方が、相対的なリスクという部分では低いのではないかという議論は、これはあり得ると思うんですね。そして、新しいものに置き換えるということを議論せずにエネルギーのベストミックスということを考えるのは、これは非現実的。これは、誰しも、それはそうだよねと納得いただけることだと思うんですね。  さあ、じゃ、廃炉ということは、いずれにしろ日本が避けては通れない。これはいつかはやらなきゃいけない。  私は、かつて、この委員会、あのときは高木先生、そして吉野先生、そして藤野先生も御一緒でした、アメリカに視察に行かせていただきました。なかなか面白い面々だと皆様お感じになるかもしれません。勉強になりました。  アメリカでは、結局、廃炉になる炉をその電力会社から切り離しちゃうんですね。だから、廃炉に関する負担というものをその電力会社からなくすということ、このことについて、アメリカのモデルというのを、橘川先生と鈴木先生、特に鈴木先生は福島廃炉ということに特化してお聞きしますけれども、それぞれ、ちょっとお一言ずついただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  17. 橘川武郎

    橘川参考人 時間がないので手短にお答えさせていただきます。  私は、アメリカ日本の非常に大きな違いは、例えばスリーマイルでも、二つ炉があって、片方がメルトダウンしたんですけれども、八年ぐらいたったらそれをまた、もう一個の炉は使っているわけですね。非常に現実的な、調整能力が高いやり方をしていると思いますが、その大きな力は海軍の力だと思います。そういう、日本の場合に、第三者的な調停を行う人がいないというところが日米間の一番大きな違いだと思っております。  以上です。
  18. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 アメリカ原子力発電所の廃止措置、一般的には日本と同じで電力会社がやる責任を持っておりまして、ただ、費用については、電気料金から回収するもので基金をつくるという制度になっています。スリーマイル島の事故の廃止措置については、御指摘のとおり、特別の措置が行われておりまして、不足分をほかのところから調達していいと。ただし、基本は民間が責任を持つということであります。  以上です。
  19. 津島淳

    ○津島委員 ありがとうございます。  以上で終わりにいたします。どうもありがとうございます。
  20. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、浅野哲君。
  21. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日は、アドバイザリー・ボードの皆様には、お忙しい中、大変貴重なお話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。本日お話しいただいた内容も含めて、これから少し質問をさせていただきたいと思いますが、私からは、まず黒川参考人石橋参考人にお伺いをしたいと思っております。  冒頭おっしゃっておりましたように、東日本大震災から十年が経過をいたしました。当委員会も、この事故調提言を受けて発足をし、それ以降様々な議論をしてまいっておりますが、私自身は三年半前の選挙で初当選をした身ですので、そこから三年半、この委員会に所属をして、議論の経過を見させていただいております。それ以前の議論についても議事録等で勉強させていただいておりますが、本日も石橋参考人からありましたように、この十年間、この委員会が、当初、提言の一に込められた思いに対して、どのような評価、思いを皆様が持たれているかというところを、まず最初にお二人から伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  22. 黒川清

    黒川参考人 私は本当に原子力とかそういうところは全く素人だったんですけれども、あの事故が起こったときに私はアメリカで十四年、大学のキャリアをつくっていましたので、アメリカのナショナルアカデミーの方のメディスンのメンバーになっておりましたので、あそこは、必ず何かがあったときに、政策もそうですし、ナショナルアカデミーが、これはリンカーンがつくっているんですけれども、これをつくったときに、あなたたちは、そういういろんなところの科学者たちなんだから、政府の法律とか政策について常に評価をし、また提言をしてくださいということを最初に言っておられるんですね。  だから、このアカデミー、これは今学術会議ですけれどもアメリカではそのナショナルアカデミーがそういうリンカーンのイニシアチブでできているんですね。それが、マンデートとして、政府について、いろんなクリティカルなことを言ってくださいという話をしているので、僕はそれを必ずやるようになっているんです。  ところが、イギリスの場合もそうですけれども、トニー・ブレアのときにイラク戦争に参戦しましたよね。だけれども、あれはちゃんとしたプロセスを取っていなかったんじゃないのかという話を、やはりこういう独立な委員会を作って、十四か月かかって、あれは確かにちゃんとしたプロセスを踏んでいなかったという結果を出しています。トニー・ブレアは、辞めていましたけれどもまだ元気でしたから、そんなことはないんだと言っていたけれども、みんな無視しちゃいましたね。だから、その行政のプロセスとかそういうことを、必ずインディペンデントな委員会をしてやるという、非常に健全なところがあるなと。  これが、私たちがやったのは、国会が新しい法律を作って、独立した人に調査をやらせたという話自身が日本では初めてなんですね。だから、私が名指しされたのは、私は本当に素人なのに、そういうやり方を知っていたので、なるべく全部公開してやったというのもそうなんですけれども、そういう意味で、かなり歴史的な違いがあるなと思っています。  ですから、あれをきっかけに、またこういう独立した委員会をどんどんどんどんつくるといいんじゃないかなとおっしゃっているのが、実を言うと、今の大島衆議院議長があるところにコメントをされておりまして、議運というのはすごく大事だと。衆議院も参議院も議運が大事なんだけれども、これをもっと活用しろと。活用するときに、何も国会議員だけじゃなくて、ほかの人たちも入れたらいいんだよ、その一番いい例が国会事故調だということをおっしゃっているんですね。  私、だから、去年ですけれども、大島先生のところにお話しに行っていろいろ話をしていったら、そのとおりなんだよとおっしゃっていましたけれども、これが初めてだったということ自身に、日本の、行政をチェックするとか、メカニズムが十分じゃないなというのは、それは、国会の先生たちだけではやはりいろんなところが、限りがあるので、私、国会事故調をやっているときに非常に感じたのは、あのときは民主党政権ですけれども、役所の人も呼んでいろいろ聞きました。議員さんも呼びました。菅総理も呼びましたけれども、私があのとき一番感じた違いは、役所の人たちと違いを感じたのは、やはりさっきのお話どおりに、国会議員の方は、皆さん選ばれてきますので、いろんな違ったスペクトラムの、選挙をする人たちのことを知っているわけですよ。だから、議員さんに質問しているときの返事が、非常に国民に近い答えをされるんですね。ところが、役所の人というのは全然やはり違うんですね。あれで、私は呼んでいろいろな話を委員会のときに聞いたときに、あっ、こんなに違うんだ、最初から違うということをすごく感じました。  それで、やはり議員さんの力の多様性、それから、地元の人たちの、多様な人たちをリプレゼントして、代表しているんだなということを本当にあのとき感じて、どこかに書いたことがありますけれども、役所の人とは全然違うなという、その感覚が私は大事だと思って、先生がおっしゃることは一つ一つがすごく私、腑に落ちたような気がするし、先生の言うこともそうだと思ったので、余計なことも言いましたけれども、そういうことでございました。それで、大島議長にもちょっとお時間をいただいて、その話をちょっとしに行ったことがございます。  ありがとうございます。
  23. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  今のこの衆議院の原子力問題調査特別委員会のこれまでの活動をどう評価しているかというお言葉だったと思いますので、まず先生はどのように評価されているんでしょうかということをまずお伺いしたいんですけれども、質問してはいけないというふうに初めにお伺いしましたので、是非いつか教えていただきたいというふうに思います。  今お手元にお配りしてくださっております国会事故調ダイジェスト版というのがございます。これをちらっと見ていただきますと、めくっていただいた二ページ目の一番上に、「提言一 規制当局に対する国会の監視」という項目がございます。当委員会はこの提言一に基づいてできたというふうにお伺いをしております。  このタイトル、「規制当局に対する国会の監視」というところが非常に大きく出ていますので、この委員会そのものは原子力規制委員会若しくは原子力規制庁を監視するのだとされているというふうに、当初のこの委員会の設置のときの与野党申合せでそのようになったというふうにお伺いをしております。  ただ、実際、これは中身を御覧いただきますと、別添でついております付録二というのも今回お配りさせていただいておりますが、この3)のところ、多くの問題に関し、実施状況について監視活動を行う、国会による継続監視が必要な事項として本編に添付と書いています。この「本編に添付」というのが、付録二の必要な事項というものでございます。  項目を御覧ください。規制委員会、規制庁を監視するだけでできるとは思えません。何のためにこれがあるかというと、規制のとりこが再び生じないように、国民代表である立法府の先生方が行政府を監視、監督してください、そういう体制をつくってくださいということを申し上げております。  さて、それをするためにはこの提言七つを全部やってください、フルセットですというふうに申し上げているんですが、先ほども御覧いただきましたとおり、先ほどのダイジェスト版の九ページ目の右側です、「提言の実現に向けて」というところがあります。第一パラグラフの四行目ですね。「当委員会国会に対してこの提言の実現に向けた実施計画を速やかに策定し、その進捗の状況を国民公表することを期待する。」と書いております。  先ほども御質問させていただきましたけれども、ああ、質問してはいけないんですね、私の意見として申し述べさせていただきましたけれども実施計画の御議論はどこまで進捗されていらっしゃいますでしょうか。二〇一九年の十二月の五日、私は同じ質問を、たしか三回目、させていただきました。是非その進捗をお聞かせいただきたいというふうに思っております。意見でございますので。  以上でございます。
  24. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  今いただいた御意見を踏まえて、私としても、今後の当委員会の内容については引き続き改善に貢献できるように全力を尽くしてまいりたいと思っております。  次の質問ですけれども、当委員会の役割の一つとして、石橋参考人がおっしゃったように、規制行政の監視というのがございます。次は橘川参考人に少し御意見をいただきたいと思っておりますが、さきの柏崎刈羽原子力発電所での核防護設備の不全の事案がございました。現在、この委員会でも規制当局に関連質疑を行っているところでありますが、私が今日伺いたいのは、そもそもこの不全が発覚した経過を聞いておりますと、どういう異常が起こったときに報告するかというルールがいまいちまだ不完全であったのではないか、そのような懸念を持っております。あくまでも事業者の裁量性にある程度委任をした形で報告を求めていた結果、ほかの事業者は一つ一つ丁寧に報告していたのに対して、今回、東京電力は、これまでは包括的に報告していたので詳細が伝え切れなかったというような話も聞いております。  こうしたことを聞くと、規制側が事業者の裁量に任せる部分については再点検をする必要があるのではないかということ、また、少しこの問題に関連して、これから規制委員会は約二千時間に及ぶ審査、調査を行うということになっていますが、二千という数字がなぜ出てきたのかというと、このガイドラインに二千という数字が書いてあるからなんですが、やや画一的ではないかというような印象も持っております。やはり異常の内容に応じてしっかりそれにふさわしい調査時間を確保するのが筋であろうかと思います。  そういったことを考えますと、この規制行政の在り方について、事業者側の裁量に任せ過ぎていた部分があるのではないか、そして、その規制側の対応としても、個別の事案によらず、やや画一的な数字が、二千という数字が今回書かれていることを見ると、やはりこの規制の行い方について私は課題感を持っているんですが、橘川参考人の御意見、この件について御開陳いただければと思います。
  25. 橘川武郎

    橘川参考人 御質問ありがとうございました。  まず、今回の件は、いろいろ、裁量に任されている問題の中のいろいろある中で、それ以前の問題なんですね、全て。先ほど言いましたけれども、危険性の最小化というのが原子力を動かすときの大前提なので、そこの本当に大前提に関わる問題なので、これはほかの問題とちょっと区別して考えた方がいいんじゃないか、それぐらいの深刻な問題があると思います。物によってはいろいろな規制の中で裁量に任せた方がかえって進むというような部分があると思いますけれども、この核防護のことに関して言うとそれは違うんじゃないかというふうに思います。  それから、二千時間の件は、私、専門家でないので、専門家でない人間が割と何でもしゃべっちゃうところが有識者の問題だと思っていますので、私、文科系の歴史家なので、そこのところはお答えできません。  ただ、一般論として、規制委員会について私が思っていることは、反原発派の人も推進派の人も両方文句を言っているんです、規制委員会に対して。ということは、規制委員会は頑張っているんじゃないかというのが私の意見であります。
  26. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  私も今回の不全の事案については、本来やるべきことをやっていなかったという原因、ここに対しては大変遺憾に思っていますし、しっかり再発防止を、私としてもこの委員会の中で対策の内容についても深めていきたいと思っております。  続いては、鈴木参考人に、核燃料サイクルについてお話を伺いたいと思います。  本日、お話しされたテーマは別でしたけれども、以前この当委員会でお話しされた内容、大変私も印象に残っておりまして、全量再処理を見直し、部分再処理というところ、また本日、橘川参考人におかれましては直接処分の併用ということもおっしゃっておりました。  選択肢としては検討をすべきだというふうに、私、現在思っておりますが、この直接処分というものについては、じゃ、可逆的なものなのか不可逆的なものなのかという論点もあると思います。私自身は、やはりエネルギーに関してはあらゆる選択肢を常に持っておくべきである、これから技術の進歩に従って使えるものは使う、捨てるならそのまま捨てたままにするという選択肢も検討に値するのではないかと思うんですが、この処分の際の不可逆性、可逆性についてどのようにお考えを持っていらっしゃるか、是非お願いいたします。
  27. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。  直接処分をしようが、再処理した後のガラス固化処分であっても、今、可逆性ということは非常に重要なテーマになっております。  というのは、今の知見でできる範囲のことをやるということなんですが、長い期間を考えますと、将来の知見で、あるいはやっているうちに不都合が出るかもしれないということで、ガラス固化体にしても、今の基本計画、放射性廃棄物処分の基本計画の中にも、可逆性を考慮するということになっています。だから、地層処分全体の考え方として、そのような可逆性の考え方は今重要になっているかなというのがまず第一点でございます。  それから、将来エネルギーが必要なときどうするかという御質問については、そのときは、多分、原子力発電所がたくさん動いているという前提だと思うんですね。そうすると、使用済燃料は、新しい使用済燃料がいっぱい出てまいりますので、そちらの使用済燃料をまず使う方が当然優先されると思います。それでも十分にプルトニウムが回収できるはずですので、わざわざ地下にあるものを取り出して利用するよりは、新しい使用済燃料のプルトニウムを使った方が効率的だということで、海外で、将来の資源のことを考えている場合でも、直接処分はとにかくやる、もし必要になったら、将来のための再処理の技術新型炉技術開発は行う、こちらの方が合理的ではないかと私は考えております。  とにかく、今、使用済燃料で再処理に適さないものがもう既に出ておりますので、これをどうするかと考えた場合には、当然、直接処分はもう不可避であるというふうに考えておりますので、是非これを法律で可能にできるように国会で検討していただきたいと思います。  以上です。
  28. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  時間が残り少なくなってきましたので、次が最後の質問になりますが、もう一問、鈴木参考人にお伺いしたいと思います。  人材の確保、技術の伝承についてであります。  本日、皆様のお話の中には余りありませんでしたけれども、全員が恐らく共通する問題意識ではないかというふうに思います。  十年前の事故から、当時、例えば、施設を責任を持って稼働する責任者であった人たちというのは、既に十歳年を重ねておりまして、産業の現場でいえば、十年たつと世代が一つ変わります。だんだんと時間が経過していくと、当時の経験を有する人材がいなくなる、そして引き継ぐ者も少なくなっていく。現に、大学でもこの原子力関連の学科に入学希望する学生が減っているという話も伺います。  これについてどのように対応していくべきなのか、お考えをいただければありがたいです。
  29. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 ありがとうございます。  この件、以前、たしか、この国会、この委員会でも発言させていただいたと思うんですが、三つほどあります。  まず、どのような人材が本当に今後必要なのかというニーズの把握ですね。これをまずすることですね。  そのときに、原子力技術全般というふうに考えるのではなくて、今最も必要なのは、今動いている既存原子力発電所の安全確保等、それから廃棄、廃止措置や廃炉、これは確実に必要なものなので、これについても人材確保を考えていかなきゃいけない。一番最後に、多分、新規原発の人材確保になると思うんですね。その優先順位を間違えないこと。というのは、新規原発に必要な人材と、廃止措置や廃棄物処分、運転に関わる人材は違ってきます。  それから第二に、人材確保といったときに、将来の世代を考えた場合には、当然ながら、研究基盤、これを維持することが大事だ。  これは、当時の事故直後の原子力委員会提言にも出ていますし、最近の原子力委員会原子力白書にも書かれているんですが、今までの研究開発がどうしても、核燃サイクルとか高速炉とか、プロジェクト志向なんですけれども、そうではなくて、しっかりと将来の技術、革新技術を維持できるような人材確保ができるような研究基盤のインフラを確保する、これが二番目の問題です。  最後に、原子力産業なんですけれども、海外を見ていますと、国内だけで維持するということではなくて、国際協力で人材を確保するという仕組みも必要ではないか。  これは、当時も、原子力産業の方々にお話を伺ってみますと、いずれ日本原子力市場が大きくならないかもしれないということで、人材確保を、海外からちゃんと調達する、あるいは海外での経験を有効に使うということを考えておられますので、何も国内だけで維持する必要はないのではないか。  このような幾つかのポイントを考えながら、おっしゃるとおり、これは大変重要な問題ですので、これも推進、脱原発かかわらず検討していただきたいと思います。
  30. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございました。終わります。
  31. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、中野洋昌君。
  32. 中野洋昌

    ○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  貴重な御質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  そして、本日は、アドバイザリー・ボードの黒川先生、石橋先生、橘川先生、鈴木先生、本当にいつも大所高所から様々な御意見を頂戴をして、本当に感謝しております。  とにかく、この原子力をめぐる課題というのは、本当に、賛成、反対、いろんな御意見がある、非常に合意形成の難しいテーマであるというふうに思っております。であるからこそ、やはりこうしたアドバイザリー・ボードの先生方を始め、忌憚のない様々な御意見をこの国会の場で議論をしていくというのは本当に貴重な機会だというふうに思っております。  今日は、何点か先生方に、今日発表していただいたことも踏まえて御質問させていただきたいと思います。  まず、ALPS処理水の問題について、冒頭、少しお伺いをしたいと思います。黒川先生と鈴木先生の方に、今日の発表で触れておられましたので、少しお伺いをしたいと思っております。  私も、復興委員会にもずっと所属をし、また経済産業の政務官の方もさせていただき、原子力災害の復興ということでやってまいりました。このALPS処理水をどうするかというのが非常に大きな、本当に難しい課題としてずっと残っておりまして、何とかしないと復興が進んでいかないということがある一方で、やはり、地元の方から、特に風評被害始め、本当に大変な懸念をいただいている中でどう進めていけばいいのかという中で、政府が海洋放出ということで決定をしたというふうに理解をしております。  先ほど黒川先生がおっしゃっていただいた、まさに透明性をしっかり確保していくというのがすごく大事だと思っております。  大体、この海洋放出でいろんな御意見があるんですけれども、先ほど先生おっしゃっていただいた、トリチウム以外の核種についてはどうなっているのかというのを、やはり安心をしていただけるデータを出していかないといけない、この透明性というのは本当に大事なことだと思います。それだけ、東電あるいは政府に対して、なかなか原子力の信頼性というのが回復できていないということの裏返しなのかなというふうに思ってもおるんですけれども。  他方で、それがなかなか理解が進まないがゆえに、やはり風評被害というのを非常に恐れ、現場の皆さん、本当に苦慮されていまして、ですから、もっと保存をしていけないのかですとか、あるいはトリチウムを除去するようなこともできないかですとか、やはりいろんな意見が出てくるんだと思うんです。  他方で、私もこれを地元などで説明をするときに、なかなかそういう、基本的な理解のところも含めて、やはり専門的な知識でありますので、トリチウムを含む水がそもそも世界中で海洋放出されているし、そもそも今までの日本においても、原発のあるところからは普通に、今でも当たり前のように出ている、そんなものであるというふうな説明をさせていただくんですけれども、何となく嫌だなというふうな、やはりそんな御意見も非常に強いものであります。  ですので、少し黒川先生、鈴木先生にお伺いをしたいのが、今回の、政府が海洋放出をするということを決めたこプロセス、あるいはその決定そのものについての御評価と、また、こうしたことをどうやって国民に向かって今後アプローチを、アプローチというか、この問題について風評を払拭するような取組を政府が進めていく上で、どうした点に留意をして、また、どういった情報を発信をしていくべきなのか等含めて、御意見是非お伺いをしたいというふうに思います。
  33. 黒川清

    黒川参考人 私は、本当に素人でこんなことを言っちゃいけないんですけれども、実は、あの事件が起きてから、NEDOか何かの会で呼ばれてしゃべったときに、上から水が流れてくるから大変なんですよね、だから、その水をどうやってバイパスさせるかというのがすごく大事で、それは太田道灌でもできるテクノロジーがあるじゃないかという話をしたんですね。  つまり、あそこから両側に溝を造って水を流してしまえば、あそこはどんどんドライランドになってくるわけですから、最終的にドライになれば、海の側にもコンクリを入れて、最終的にあそこを全部コンクリ詰めにできるじゃないの。水が来るからいけないわけで。  それを言っていたら、途端に、水を凍らせるんだという話が出たじゃないですか。あれがあるならもう電力がなきゃ続かないだろうと言っているのに、何でそんなばかなことをやるんだという話を経産省のちょっと友達に言ったんですけれどもね。  太田道灌のようにバイパスしてしまえば、あそこは乾くので、それをやろうという話を、これはまだバイアブルらしいんですけれども是非、それを少し、また先生のところにも御説明、資料がありますので、ちょっとそういうことを少し、やはり国会の方でしていくのはすごく大事かなと。あそこをドライにしてしまうのが一番大事なので、私も、福島に行くと、タンクがどんどんどんどん増えているのを見ると、いずれ福島県はみんなタンクだらけになっちゃうのかねなんという話を、つい感じてしまいますよね。  だから、そういう意味では、やり方はまだあると思うので、是非そっちの方をまた先生方に考えていただければなと思いました。
  34. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 トリチウムの毒性、確かに弱いものでありますし、多分、体内に取り込まなければそれほど危険性はないということで、希釈して海洋放出というのは、私は合理的な案だとは思います。  問題は、黒川先生がおっしゃいましたように、トリチウム以外の放射性核種が混じっている可能性があるということですね。  実は、千五百ベクレル・パー・リッターという基準なんですが、これは国の基準の四十分の一というふうに報道されていますが、これは実は違うんですね。経産省の資料を読んでもそういう言葉は出てこないです。千五百ベクレル・パー・リッターというのは、ほかの放射性物質も入っているという前提で、ほかの放射性物質からの被曝も考慮して、トリチウム分は千五百ベクレル、これを合計したら年間一ミリシーベルトになるという、そういう設定なので、四十分の一にしたのではなくて、ほかのと合わせて、千五百ベクレルなので、ここを間違えないでいただきたい。  ということは、透明性はもちろん大事でありまして、ほかの放射性物質がどれだけ入っているかというのを必ずチェックする必要がある。ここが不信感が残っていますと、多分、この海洋放出そのものが疑問を持たれるということなので、これはまず第一です。  それから、決め方の問題なんですが、政府と東京電力が地元の方の反対があるうちは処分しない、決定しないという約束を二〇一五年に交わしていらっしゃるんですが、これを破ってしまったふうに解釈されています。ここが一番の問題でありまして、決め方の問題が残っていると思います。この不信を解消するのは大変だと思います。  それで、私としては、決定されたわけですけれども、この信頼回復のためには、やはり一つは、きちんとした第三者機関をつくって監視する仕組みをつくる。コミュニケーションも、政府と東京電力と地元の方の間に立ってコミュニケーションを図るような組織をつくっていただいて、これが私が今日提案した組織一つの例なんですけれども。  三番目は、これから実際の放出までにまだ二年あるということなので、この期間を利用して、引き続き対話の促進とそれから代替案ですね、これは三十年、四十年かかりますので、これから引き続き、今黒川先生がおっしゃった根本的問題の解決も含めて、海洋放出以外の代替案も是非検討していただきたいというのが私の希望です。  以上です。
  35. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  率直に様々な御意見をいただきまして、ありがとうございました。  やはり、いろんな意味で、信頼を取り戻す、信頼をされるようなことをやらないといけない。そういう意味では、第三者でしっかり監視をしていただくということも大事でありましょうし、とにかくしっかり議論を尽くすというふうなことも大事になってくるんだろうということを、お二人の先生方の御意見を頂戴をして非常に感じたところであります。  続きまして、廃炉あるいは東電の問題、これについても少しお伺いをしたいというふうに思います。  鈴木先生の方からは、廃炉に関して、やはり独立した委員会というふうな御指摘もありました。事故から十年たちまして、率直に、恐らく、責任の所在というか、実際に費用が賄えるかどうかも含めて、その辺りがはっきりしていないというふうな御指摘なのかなというふうにも思っておるんですけれども廃炉進捗、私も現場も、福島第一も何度か行かせていただきましたけれども、確かに、発災当初と比べれば、もうかなりいろんな作業は進んでいる状況だとは思いますけれども、この十年の廃炉の取組の進捗の率直な評価というか、そして、どういった点が一番御懸念をされているのかということについて、改めて鈴木先生にお伺いできればと思います。
  36. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 まず率直な感想ですけれども、十年間、大きな事故もなく確実に一歩一歩前進しているということで、私は現場の方々の御努力に深い敬意と感謝を表したいと思います、本当に大変な作業をしていらっしゃるということで。何よりも、二度と放射性物質を環境に出さないという大きなテーマ、それから、まだ実際に環境に出されたのは二%しかない、九八%の放射性物質がまだあそこにあるわけですから、大変なリスクを抱えつつ作業していらっしゃるわけなので、この点はまず第一に評価させていただきたいと思います。  一方で、やはり東京電力さん一社でやるのは、最初から私はそう思っていますが、なかなか難しいことがいっぱいある。日本のメーカーさんも頑張ってやっていらっしゃるとは思うんですが、本当に世界の英知を集めてやっているのかということについては、まだやはり疑問があります。先ほど黒川先生から御指摘がありましたが、汚染水を発生させない仕組みについても、まだ方法があるのではないか。この点が、いろいろな委員会があって議論されているとは思うんですが、もっと透明性を持って、もっと国際的な知恵を集めて検討していただきたいということで、今日私は提案させていただいたということであります。  以上です。
  37. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  東電一社でやるのはというふうな御意見。確かに、世界の英知を結集してやらないといけないということでもありますし、そうした技術的なこと、あるいは費用的な部分についても、鈴木先生からのいろいろな御心配の御意見だというふうに思っております。  確かに、廃炉の費用一つ見ましても、当初の、やはり東電にしっかりと責任を果たしてもらうというふうな議論の中でということだとは思うんですけれども、やはり東電が負担をする部分というのがもちろんかなりありまして、そして、それをどういう形で二十二兆円ということでこれを見ていくかというので、やはり東電の株式の売却益ですとか、あるいはこれからの東電の経営改革みたいな議論が費用の中にも入っているという状況であります。  ですので、東電そのものの体質改善というものが非常に大きなテーマかと思いますので、これについて橘川先生と鈴木先生にまたお伺いできればと思うんですけれども、東電のこうした経営の問題、非常に大きな問題となっていますのが、やはり柏崎刈羽の問題だと思っております。  先ほど鈴木先生から、現場の努力は本当に敬意を表するということでお話しいただきました。私も、廃炉の現場の皆様は、地元とも連携をしながら、本当に大変な作業をやっていただいているということで、非常に思っておりました。ですので、そうした中で、今回、柏崎刈羽、核セキュリティーの事案ですとか、こういう問題が出てきて大変残念だったというのが私の率直な思いでもあります。  今回、核セキュリティーの事案の中で、これから原子力規制庁の調査が入っていく中で、それは何が原因なのかというのを徹底的に究明をし、また、体質を改善していただかないといけないというのは当然ではあるんですけれども、この東電の在り方、また、この柏崎刈羽の再稼働という問題も含めて、どのようにお感じになって、そしてどういう対策を取っていかないといけないのか。  橘川先生からは、東電が事実上もう一回やるのはやはり無理ではないかというふうな御意見もいただきましたけれども、改めて、お二人の方にお伺いできればと思います。
  38. 橘川武郎

    橘川参考人 東電の体質改善が必要だ、こういう議論。間違ってはいけないのは、その体質改善、経営再建のためには柏崎刈羽を再稼働しないと駄目だ、こういう議論にすぐなりがちなんですね。そこが間違っていると思います、ボタンのかけ方。  東電はもう柏崎刈羽からはいなくなる、これが本当の意味の東電の体質改善だし、私は、柏崎刈羽は、六、七号機は最新鋭のABWRですし、一号機と五号機は中越沖地震に対する対応が済んでいて、特に、二〇一一年の夏の東北の阿賀野川の水害で東北電力の水力発電所が壊滅したときに、マイナス九%という供給力が一週間も続いたときに、全部、柏崎刈羽の一号機、五号機が当時運転していて、それが震災直後の東北を救ったというこういうストーリーもあるわけですから、個人的には、一、五、六、七は動かし、二、三、四は廃炉というのが私の意見ですけれども、そのためにも、東電に出ていってもらわない限り柏崎は動かない、こういうふうに私は思います。  それと、まさに現場は、柏崎も含めて、事故のときの福島第一、第二も含めて、本当に頑張っています。電力問題の本質は、高い現場力と低い経営力のミスマッチ、これに尽きると思います。
  39. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 東電の改革問題が何のために必要なのかということなんですけれども、これが、廃炉のためということで、福島の廃止措置のためということになってしまいますと、やはりどうしても無理がある。東京電力が一民間電力会社としてやるべきことをやるというのは当然でありますが、この廃止措置というのは一電力会社ができる問題ではない。これは、東電が中心になろうが、誰が中心になろうが、やはり世界の英知を集める仕組みが必要だし、お金も足りない、そこが一番根本的な問題であります。東電が改革されれば廃止措置がうまくいくかというと、私は、そういう問題ではないと考えております。  したがって、廃止措置をもう一度しっかり、本当に今うまくいっているかどうかということを検証した上で、東京電力には、これは何なのかということを考えていただきたいと思います。
  40. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  時間がもう少しでありますので、最後に、橘川先生に、バックエンドの処分の問題について一問お伺いをしたいと思います。  これも、原発賛成、反対にかかわらず、やはり必ず、今既に使用済核燃料があるわけでありますので、何らかの形で結論を出さないといけないというのは、これはやはりそういう問題であるというふうに認識をしております。  その中で、先生の御指摘の中で、核燃サイクルと直接処分との併用ということで御意見を頂戴をしております。もう少し、その意図するところというのをちょっと確認をしたいんですけれども。  核燃サイクル、当然サイクルでプルトニウムが出てくるので、それが実際に処理できないではないかという、そうした御指摘も踏まえながらのこの併用という御意見なのかなというふうにも思ったんですけれども、もう少し、この核燃サイクルと直接処分のメリット、デメリットも含めて、この結論に至られた、もう少し詳しくそこをお伺いできればと思いましたので、よろしくお願いいたします。
  41. 橘川武郎

    橘川参考人 まさに今御指摘のとおりなんですが、今のままで核燃料サイクル一本やりということになってしまいますと、国際社会に対して、出てくる、できるプルトニウムの量と、消費されるプルトニウムの間に、ずれちゃうんじゃないかという、こういうごく普通の疑問が出ると思いますので、だったら直接処分と併用する、これしかないのではないか、こういう考えであります。
  42. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  済みません、時間が参りましたので、石橋先生にはちょっと御質問できなくて恐縮なんですけれども、しっかり、今日いただいた御意見も含めて、更に国会議論を深めていきたいというふうに思いまして、以上で終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  43. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、藤野保史君。
  44. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  今日は、アドバイザリー・ボード会員皆様、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。  今年は三・一一から十年目の節目と、黒川委員長も御指摘されました。  私も、改めて、今日の御提言もお聞きしながらもですが、今日の委員会の前に、この事故調報告書を改めて読ませていただきまして、ところどころ、非常に今に当てはまるというか、まさに今の事態と重なる思いをしながら読ませていただきました。  先ほど来、東電の柏崎刈羽原発の核物質防護機能喪失の話が出ておりまして、これは、四月十四日に規制委員会が是正措置等の命令というものを出しております。  これはまさに、これより重いものは設置許可の取消しというものしかないぐらい重いもので、更田委員長も、規制委員会発足以降、最も重大な処分だというふうにおっしゃっております。  私の当委員会での質問に対して、東電はもう設置許可を取り消すべきじゃないかと私、質問しましたら、更田委員長は、今後の検査の過程に応じて、そういった議論というものが出てくるということも否定はしないという答弁をされておりまして、ですから、東電に対して設置許可の取消しもあり得る、そういう重大な事態が今、目の前で進行しているというふうに私は認識をしております。  今日、まずお聞きしたいのは、問題は、こういった東電に原発を再稼働させようと、政府が、経産省やエネ庁が、まさに東電ができないこと、あるいは関電ができないこと、これを代わっていろいろやってきているということなんです。  今日お配りしている資料は福井のやつなので、後で見ていただければと思うんですが、先日の当委員会では、新潟県に、去年の一月から今年の二月末までで八十七回も、エネ庁長官を始め、柏崎刈羽の関連で幹部が新潟に出張している。夜、飲み会までやって、二次会までやっているということも紹介させていただいたんですけれども、そういうことを新潟ではやってきた。  今日は、福井でも同じようなことをやっているということを紹介させていただきたいんですが、それが配付資料の一であります。  実は、今日、四月二十七日というのは、今日の夕方十八時から、梶山経産大臣が、福井県知事、杉本知事とウェブで懇談をして、いわゆる地元再稼働の最後の仕上げ、美浜三号、高浜一、二号、これの知事同意を得るための懇談がまさに今日十八時から行われます。  問題は、実はこれはもう最終的な仕上げなんですけれども、ここに至るまで、経産省は、もう何年もかけて、福井県でも同じような地ならしをしてきた。  配付資料の一がそれなんですが、これ、二〇一九年四月一日からに限って、資料を経産省からいただきました。実に百十回、あそこは原発も多いですので、出張しているということが明らかになりました。  この中で、ちょっと黄色く塗らせていただいている二枚目の十月十六日、二〇二〇年十月十六日というのがあるんですが、これは、保坂エネルギー庁長官、小澤エネルギー庁首席エネルギー・地域政策統括調整官始め五人が福井入りして、県知事、美浜町長、高浜町長と面談しております。この百十回のうち、これだけのメンバーが一気に入ったというのはこの十月十六日なんです。  配付資料の二と三を見ていただきますと、東京新聞と地元の福井新聞なんですが、まさに、東京新聞であれば、左側の方にありますけれども、黄色く塗っている、この日を境に、この日というのは十月十六日です、この日を境に、関電が四十年超運転を目指す美浜原発三号機、高浜原発一、二号機の再稼働をめぐる議論が一気に動いたと。そして次の、配付資料三ですが、これは福井新聞。これは、二人の町長、美浜町長と高浜町長がそれぞれ、再稼働の議論が今日から始動したと口をそろえたというふうに報じられております。つまり、政府が議論を始動させている、スイッチを押しているということなんですね。  問題は、そのスイッチを押す十月十六日の前後に、例えば、前だと二〇一九年からだけで見ても七十回入っている、十月十六日の後には約四十回入って、まさに積み上げというか地ならしをしている。ちょうどこれは関電の原発マネーの還流の時期とも重なりますので、関電が表立ってできない様々な調整をやっていたというふうに思います。  それで、黒川参考人と鈴木参考人にお聞きしたいんですけれども、もちろん、電力事業者というのは様々な、やはりそれは営利事業ですから、そういう動きをするというのは理解できなくはないというか、そういうものだという、側面があると思うんです。ただ、やはり、政府がここまで地ならしで動いていた、この政府の果たしている役割というのは率直に言ってどう見たらいいのか、お考えをお聞かせいただければと思います。
  45. 黒川清

    黒川参考人 これ、福井には何であんなにたくさんあるのかというのは不思議ですよね。だから、何があるのかというのは、今までの歴史的な背景があるんじゃないかと思いますが、分かりません。  少なくとも、まだ私よりもうちょっと上の方たちは、福井には大地震があって津波もありましたよね、何であんなところにあんなにたくさん造っているのかなというのは私も理解できなくて、何かあるんだと思いますね。  だから、そこまでは、ちょっと私の範囲ではないんですけれども是非これは、やはり政府をチェックしているのは国会ですから、三権分立しているというのは国会こそが政府のパフォーマンスをきちっとやる役割があるわけで、それを私が前から言っているのに、日本の三権分立は形だけで政府をちゃんとチェックしていないんじゃないかと言っているのはそういう意味なのでございまして。  是非そこのところは、やはり国会是非力を出していただきたいのは、あそこにあんなに、ちっちゃな湾に三つもあって、「もんじゅ」もそうじゃないですか、近くにあって、地震の歴史があるんですよ。少なくとも大地震があったわけなので、そこに何であんなにごたごたあるのかなというのは、私も疑問であります。  これはすごいなと思いますよね。何かあるんじゃないかと思います。
  46. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 貴重な資料をありがとうございました。  一つ目の印象は、何か事故前と余り変わっていないなという。  それから二番目は、私は、これは交付金制度ということをやはり国会として考えていただきたいかなと。これも、原発の今後を考えたときに果たして今のままでいいのか、原子力依存度を下げていくということであれば、それに沿った交付金制度に変える必要があると。今のままだと、これは、交付金は、御存じのとおり、石油危機直後に原子力を拡大するために導入した制度ですので、これの見直しが必要かなというのが二番目。  三番目は、四十年で廃炉するという基準なんですが、これはたしかこの委員会でも御質問いただいた記憶があるんですが、そもそもこれは科学技術的には余り意味がない期限ですね。海外でも、科学技術的に決めているというよりは、経済性とか社会的な要請で決めているケースが多いです。  したがって、規制委員会資料がついていましたが、四十年というのは一つの区切りにして、きちんと評価するということが大事ではないかなと思います。
  47. 藤野保史

    ○藤野委員 ありがとうございます。  続いて、今、鈴木参考人からもありましたけれども、いわゆる四十年ルールについて、これは是非四人の参考人全員にお聞きしたいと思います。  原子炉等規制法の第四十三条の三の三十二というのはこう規定しておりまして、発電用原子炉を運転することができる期間は、最初に使用前事業者検査の確認を受けた日から起算して四十年とするというふうに規定をしております。運転する期間はというふうになっていて、それは四十年とする、こういう条文であります。  これは、いわゆる原発事故を受けて、日本で初めて原発の運転期間を法律で定めた、それまではなかったものであります。実際、同法に基づいて、東海第二原発等々は延長申請を、この使用前検査を受けて合格した日から起算した日時で審査も受け、パスもしている、そういう運用もされてきております。  配付資料の四を見ていただきますと、規制委員会は昨年の七月二十九日に、この条項に関する見解というのを発表しております。一番左の上の方に、何でこういう見解を出したのかということがこの文書自身で説明していまして、「この意見交換は、事業者側から、」、これはATENAとかそういう組織なんですが、「事業者側から、運転期間延長認可の審査に関し、」云々かんぬんで、「一定の期間を運転期間から除外してはどうかとの提案がなされたことに端を発するものである。」という性質の、そうやって始まったんだというふうに規制委員会自身が言っております。  意見交換自身は、私、いいと思うんです。議論することはどんどんやったらいいし、いいと思うんですが、ただ、それを通じて規制委員会という組織が何で新たな見解を出したのか、何でこういう見解を出したのかということが問題かなと思っております。  というのは、この見解、いろいろ書いてあるんですが、ポイントはこの二つかと思います。一つは、黄色く塗っている左側の三のところで、「運転期間を四十年とする定めは、このような原子力規制委員会の立場から見ると、かかる評価を行うタイミング(運転開始から一定期間経過した時点)を特定するという意味を持つものである。」、期間じゃなくてタイミングだという解釈変更というかあれなんですね。  もう一つは、右側の六のところで、「このように、現行制度における運転開始から四十年という期間そのものは、上記3.の評価を行う時期として唯一の選択肢というものではなく、」「立法政策として定められたものである。」ということでありまして、要するに、条文上は、四十年、期間というふうに明示されているんですが、いやいや、それはもう、期間じゃなくて、評価を行うタイミングだと。  これは何のことかよく分からないと思うので、電気新聞を紹介したいと思うんですが、電気新聞の二〇二〇年七月三十一日付。実はこれは、七月二十九日にこの見解が出ておりまして、電気新聞は七月三十一日付なんですが、その前の日、自民党の原子力規制に関する特別委員会というのが三十日に行われております。この特別委員会の井上委員長が発言したのを三十一日に電気新聞が紹介していまして、こう言っているんですね。「井上委員長は「四十年」の運転期間は「寿命」ではなく、運転期間延長認可のための「身体検査」を行うタイミングとの認識を強調。規制委の文書でも同様の見解が明確化されたことを高く評価した。」こうあるんですね。  つまり、高く評価されている。それはもう、条文上は、先ほど言った原子炉等規制法の条文では、四十三条の三の三十二では、運転することができる期間は四十年とするとなっているわけですけれども、これはタイミングだ、寿命ではなくて身体検査のタイミングだと。  これは、条文から見れば、縦にしても横にしても斜めにしてもタイミングとは私、読めないと思うんですが。政府とか与党とかが言うならいいんです、ああ、政府は駄目なんだけれども、条文ですから。いろいろな立場の人がいろいろなことを言うのはいいんですが、規制委員会がこれをタイミングという見解を出したというのは、私、これは重大じゃないかと思うんですが、皆さんはどのように、鈴木参考人からお聞かせいただければ。
  48. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 私も質問されたんですね、たしかこの国会、この委員会で。  それで、科学技術的に考えれば、規制委員会のおっしゃっていることは多分正しい。四十年というのは、技術的に限界が来るわけじゃないので、審査する必要が必ずあるわけですけれども、それを法律で四十年と決めたということだと思うんですね。問題は、それがどうしても推進派と反対派の道具に使われてしまうというところだと思うんですね。そのときも私、発言したんですが、原子力規制委員会は、与えられた仕事をきちんとするという意味でやっておられるというふうに解釈しております。  この問題を議論するときに、国会で多分議論する上で重要な点は、やはり、脱原発であろうが推進であろうが、規制委員会の独立性ということをどうやって担保するかということの視点で議論していただければと思います。  私自身、個人からいいますと、何回も申しますが、科学技術的に四十年というのは余り意味がないので、常に、実は、元々の安全規制は毎年チェックするということになっているんですね。これが、毎年新品みたいにしなきゃいけないということで、過剰規制だということで、それが緩和された経緯がありますので、海外から見ても、毎年新品じゃなきゃいけないということはないので、やはり状態を見ながらチェックするということなので、そういう意味では、規制委員会のおっしゃっていることは技術的には正しいかなと思います。
  49. 橘川武郎

    橘川参考人 私は文科系なので、鈴木先生が言うことは否定できないんですけれども、この国会を通って、原子炉等規制法を変えて四十年規制になったわけですね。これは、私は当然だったと思います。何といっても福島第一の一号機が爆発したのがあの事故の最大の問題だったわけですが、七一年三月に運転開始したものが四十歳の誕生月に爆発したわけです、まさに四十年たったとき。そういう状況を考えれば、こういう規制が入ったのは当然だと思います。  それに対して、今、割と、推進派の立場の人から、運転していない期間は外した方がいいんじゃないかとか、六十年じゃなくて、もっと、八十年に延ばした方がいいんじゃないか、こういう意見が出ているということは承知しています。それはもしかすると科学的に正しいのかもしれない。だけれども、そういう意見が出ること自体が、原子力がもう駄目だということを僕は示していると思います。そんなこそくなことを言わないで、きっちり新しい炉を建てるんだということを言わないで、そんな何か古い炉をどんどん延ばしていくというやり方を言うこと自体が、もう原子力の終えんを示しているんじゃないかと私は思います。
  50. 石橋哲

    石橋参考人 石橋でございます。  今の御質問は、また事故調ダイジェスト版ですけれども、三ページ目に提言五というところがございます、「新しい規制組織の要件」の「2)透明性」というところに尽きるのではないかというふうに思います。様々な議論はきっとあるのでしょう、そこにはいろいろな判断があるのでしょうということなんですけれども、そこに疑念を差し挟まれるというのは、まさに透明性の欠如、プロセス公開性の欠如にほかならないというふうに思います。  この提言五の2)には、様々な意思決定プロセスから、電気事業者等の利害関係者の関与を排除する、全ての意思決定プロセス、参加者等々を先生方に対して報告をするということが書いてあります。それを実効性を持たせるためにも、提言四のところに、電気事業者に対して立入検査を含む監査権限を国会が主導してつくってくださいというふうに書いてあります。是非、この提言の実行をお願いしたいと思います。  以上です。
  51. 黒川清

    黒川参考人 特にありませんけれども、実は、あれをやって、私は素人だったんですが、あれをやっているうちに、終わってからIAEAに呼ばれてしゃべりました。  それから、スウェーデンのヴァッテンフォールというのはドイツの原発だかを造っているところですが、みんな、IAEAはだんだん、事故があるたびにルールを変えてくるわけですよね、やはり安全が一番大事ですから、ところが、日本はそれをちゃんと守っていないということを知っていましたよ。それで、もちろん、あそこは、二番目にお金を出しているのがあの頃は日本ですから、経産省の人が来ているわけですけれども、どうしてやらないのというと、いや、日本じゃ事故が起こらないことになっているからというので、何だか理解できないなという話をしていました。  だから、外でそういうことが分かっているときに、ああいうことが起こったときの信用が、やはりすごくまずいなと思いました。  だから、ああいう意味では、さっきから言っているように、今のようなネットの時代だとやはり透明性公開性というのは物すごく大事で、これが違ったときの信用のがた落ちというのは物すごい大事なことだなと思います。  特に、原発というエネルギーは世界共通の資産ですから、オペレーターもレギュレーターも同じようにやって当たり前なので、私もアメリカのときは、そのときしゃべりましたけれども、これからはオペレーターもやはりローテーション、一、二年いろいろな国に行ってやると、いざとなったときにすぐに自分たちで、お互いに、英語が共通になりますけれども、できるので、是非一、二年交換してどんどんどんどん回ったらどうだと言ったら、ヨーロッパの人たちアメリカの人も、それはグッドアイデアだなんと言ってくれます。  そういうことをやはり自発的に電力会社がやってほしいなというのが私の提言しておるところであります。  ありがとうございます。
  52. 藤野保史

    ○藤野委員 終わりますが、黒川参考人の配付資料で、規制のとりこの問題も残ったままだという指摘がありまして、私、こうならないように力を尽くしたいということを述べて、質問を終わります。
  53. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、足立康史君。
  54. 足立康史

    ○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  今日は、先生方、ありがとうございます。  それぞれ貴重な御意見を賜りましたので、私の方からも、先生方お一人お一人に御質問申し上げたいと思うんですが、ちょっと順番を、橘川先生、鈴木先生、黒川先生、石橋先生の順でお願いをしたいと思います。基本的には、お一人、参考人先生方にそれぞれ御質問するんですが、ほかの方も、ちょっとそれ待て、俺も言いたいというのがありましたら、遠慮なく挙手いただければ、お願いしたいと思います。  まず、橘川先生から、リプレースの話が先ほどもございました。これは、もし推進するのであれば、しっかりと、うやむやにするんじゃなくて、リプレース議論を正面からした方がいいと私も思っています。  それはそうなんですが、加えて、次世代炉の議論があります。例えば小型の次世代炉、高速炉とか、あるいは核融合炉とか、そういう議論が、少なくとも米国やいろいろなところで議論があり、実際に実用化のところまでもう来ているという報道もあります。私は、今ある、現在の炉のリプレース議論、新しい最新の炉ということもあるわけですが、いわゆる小型の次世代炉、安全性の高いと言われている小型の次世代炉にもっと焦点を当てて、小型の高速炉、あるいは核融合炉、まあ核融合炉というのはもうちょっと先だと思いますが、そういう議論をもう少し国会でもすべきだと思っていますが、橘川先生、どうお考えでしょうか。
  55. 橘川武郎

    橘川参考人 どうもありがとうございます。  私がリプレースと言ったのは、必ずしも軽水炉から軽水炉のリプレースだけではありません。軽水炉から新型炉リプレースも含めております。例えば美浜で小型炉を造るとか、大飯で高温炉を造るとかというのも含めて、そこの場所が同じであればリプレースという言葉を使っておりますので。  先ほども言いましたけれども技術開発はするんだけれども造らないという、これだと、投資決定が絶対できないと思うんですよね、普通に考えまして。あるいは、お金を出す金融機関だってお金を出せないと思いますので。割と小学生でも分かる理屈だと思うんですけれども、とても分かりにくいというか、袋小路にはまっているような気がいたします。  以上です。
  56. 足立康史

    ○足立委員 今、橘川先生の方から、自民党と公明党は小学生以下だというコメントをいただきまして、私も同感でありますので、一応付言をしておきたいと思います。  そういう、いろいろな意味で先延ばしをしているんだと。特に、橘川先生は、規制委員会ができて、原子力規制政策については一定変化があったが、原子力政策そのものはやはり先延ばしではないかという議論がございまして、私も全く同感でございます。  そのときに、私が一番、まあ、後ほど処理水の話もさせていただきたいと思いますが、鈴木先生が廃止措置の話を何度か、度々していただいています。最終の状態、更地の問題、ありますが、私は、今回の処理水の問題を見ていると、処理水でさえ十年かかっているわけですね。何で十年かかったのか私は分かりません、野党ですので。  それから、更に言うと、私がよく強調しているんですが、除染廃棄物、除染土、これを、当時、三十年後県外と決めた細野豪志議員が、ツイッターで、いやいや、もうそれは現実的じゃないと、大量に県外に持ち出すのは現実的ではない、だから再生利用なんだっておっしゃっていますが、再生利用一つ取っても今止まっています。今実証をやっていますが、福島県外に再生利用で除染土を持ち出すということは実現していません。処理水でさえ十年。もっと難しい除染廃棄物は全くめどが立たない。三十年後というけれども、二〇四五年が期限だそうでありますが、もう五年たっています。  更に言うと、廃炉廃棄物が出てきますね。更地というけれども、だって、福島第一原発、廃炉するわけですね。すると廃炉廃棄物が出てきます。除染廃棄物じゃなくて廃炉廃棄物が出てきます。  更に言うと、高レベル放射性廃棄物、使用済燃料の最終処分場は決まっていません。北海道がいろいろ議論をしていますが。  そういう中で、もう更地は無理、更地は不可能だと私は個人的には思っていますが、その辺、どんな御意見でしょうか。
  57. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 最終の状態について、更地は無理というふうに思われることももっともだと思いますが、これもなかなか決められないというか、当時もそうだったんですが、基本的に地元の方々の希望は更地にしてほしいということだったので、これを目標にするということで動いてきていると。ただ、御指摘のとおり、調べれば調べるほど難しいということが分かってきていますので、私としては、十年たったんだから、一体どういう選択肢があるのかということについて議論を始めたらどうだという、この原子力学会の提言というのを是非検討していただきたいなと。  廃棄物、この報告書にも、実際にどれぐらいの量が出るかというのは出ています。もう大変な量が出てまいりますので、ちょっと、通常の原発の十倍以上というふうに一応書かれていますが、これをどうやって減らしていくかということですね。その選択肢もいろいろ書かれていますので、これは技術的な選択肢についてきちっと議論をしていただきたい。これを、私はやはり東電だけではなくて、国会とか、私が提案している廃止措置機関を作れば、そこで透明性を持って議論していただくのがいいかなと。  小型炉について、ちょっとよろしいでしょうか。小型炉の議論は、もう八〇年代からあります。なぜ実現していないのかというと、これは買う電力会社がいないんですね、現実に。これを解決しないとなかなか難しい。  それから、橘川先生から、技術開発するけれどもリプレース、建てないというのはおかしいという御意見がありましたが、私はちょっと違いまして、技術者の立場からいいますと、技術開発というのは、うまくいくかどうかを試すためにあるんですね。最初からもう分かっていれば、電力会社が発注します。でも、研究開発するということは、本当にこれがうまくいくかどうかを試すためにやるので、研究開発するけれども駄目になる可能性も当然ある。そのときには諦めるという判断も必要です。  小型炉については、何回もこれまでも議論されていますが、電力会社が発注しない。今回は分かりません。でも、最終的にリプレースの決定を国がするのか電力がするのかを決めないと、これはやはり誰かが最終的に購入するという、投資をするという決定をしなきゃいけないですね。研究開発は国がやって成果を出す。そのときに、うまくいくんであればやればいいし、これは民間がやればいいし、うまくいかないんであれば、国が決定するなら決定する、こういう仕組みが必要ではないかと思います。
  58. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  小型炉を、私も、ちょっと勉強不足というか、メーカーと議論たこともあります。例えば東芝の技術陣とその実現可能性について、直接お越しをいただいて議論たこともあります。例えば、更に言えば、小型高速炉であれば、発電のための小型炉だけでなくて、使用済燃料の毒性を低減させるために使える炉という面もありますので、私はやはり次世代炉には期待をしているという立場であります。ありがとうございます。  次、黒川先生、今日はありがとうございます。  冒頭、黒川先生の方からトリチウムのことで、いろいろ政府がちょっと何か隠しているんじゃないか、要は情報開示が十分じゃないという趣旨だったと思いますが、コメントをいただきましたが、私の理解では、少なくとも経産省は、今あそこで出ている水については、どういう核種がどれぐらいの割合でまだ残っているかということは、私、グラフで見たこともあるし、それはしっかり開示されていると思います。  今、ちょっと席を外して、経産省の私の友人に、あの黒川先生が何かちょっと隠しているんじゃないかと言っているぞ、これは大変な問題だから、影響力が大きいので、大丈夫だと言っていいなと言ったら、言ってください、全て出していますと。少なくとも私の経産省の友人はそう今言っています。  私はマスコミの問題が大きいと思いますね。マスコミがいろいろ科学的な情報をちゃんと整理して言わない。もちろん黒川先生がおっしゃるように、私も同感のところがあるんです。例えば、福島皆様にいろいろ説明していますと言いますね。福島の方はよく分かっているんです。でも、風評ですから、分かってもらわないといけないのは消費者です、国民です。だから、国民にちゃんと説明していないじゃないかという議論もあるし。  それから、例の、最近はポピュラーになってきたあの世界地図ですね。世界のどの地域でどれだけのトリチウムを出しているかという地図は、ようやくポピュラーになってきましたが、あれを国会で最初に取り上げたのは私でありまして、もう一つ、実は日本地図があるんです。  日本地図は、経産省に幾ら言っても作ってくれませんでした。でも、それをいろいろなところにある公開データで、日本地図を我が党で、日本維新の会で私が作りました。それはいまだに政府の作成じゃないんです。日本維新の会の作成の日本地図があります。  それを見ると、当然ですが、これはまた変な風評につながってはいけませんが、デブリに触れた水と同じような、ほぼ同じような核種が混ざっている水は、通常の原発からは出ませんが、再処理施設からは出ています。だから、青森では三キロ先の沖までパイプで出して、そういういろいろな核種、トリチウム以外の核種が入っているものが出ることがもうオーソライズされています。  それから、先ほどの黒川さんがおっしゃったトリチウム水というのは、少なくとも一時批判があって、大分前から経産省は、トリチウム水というのは誤解を招く、何かほかがないみたいに見えるから、そうじゃなくて、ALPS処理水と言うと。今タンクにある中でも、ALPS処理水と言えるものは一部です。これから何回も何回も除去して、基準以下にして出すんだということですから、私はいわゆるALPS処理水については科学的には問題ないということで理解しているんですが、やはり黒川先生は、いや、それは疑義があるんだということでしょうか。
  59. 黒川清

    黒川参考人 私は専門ではないので分かりませんが、私が聞いたところでは、あそこのレジンでやりますよね。ところが、あれは福島が起きたときに、あれを元々、買ってきた元は、カリフォルニアのベンチャーの会社だったんですね。だから、こんなことが起こるのは予想してやっていたのかななんて思って、非常に感心した覚えがあるんですよ。  だから、そういう意味では、あれはレジンだと、だから、トリチウムと言っているときに、どこでも、見れば、ほかのがどのぐらいあるかということをきちんと見えるようにしておくのが大事なんじゃないですか。それも含んでトリチウム水と言っているんですということは、はっきり言えばいいわけなので。  さっきおっしゃったように、どこまで薄めればほかのやつも大丈夫だという先生がおっしゃったような話がある、そういうふうに分かりやすく言っておくことが大事じゃないかなと思います。
  60. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  この処理水に絡んで、もう政府は一応、一応というか、一旦、福島第一原発沿岸というか、その敷地から流す、こういうことを決められましたが、先ほどもどなたかおっしゃったように、これからまだ長い期間やりますから、イノベーションも起こるかもしれない。いろいろ変えていったらいいと思うんですが、私たちは、とにかく、そういうALPS処理水なのであるから、法律改正をして、全国で分かち合えないかと。東京湾、大阪湾という議論がありますが、そういう議論をまだ諦めずにやり続けています。  これも御専門ではない部分もあるかもしれませんが、全国で分かち合う。要は、福島の外に、私は、除染廃棄物を県外はもう無理だと言っているんです。でも、処理水であれば、法律改正して、若干金をかければ、大量じゃなくてもいいので、一部の処理水福島県外の沿岸に持ち出すことは可能であり、それをすることが風評の、むしろそれによって国民全体が、処理水ってどういう水だということに関心が深まって、それで初めて風評は解消されていく、こう思いますが、黒川先生はこの私たちの、全国で分かち合うんだ、処理水はと。これは、四人の先生方、賛否だけを教えていただければ。お願いします。
  61. 黒川清

    黒川参考人 ですから、やはり、いわゆるトリチウム水とか処理水というふうに言わないと、何のことを言っているのか分からないと思いますね。私が見てみて、ちょっと専門家に聞いてみたら、いや、このぐらいありますと、前回、佐藤さんを呼んだときに、こんなのがこのぐらいありますよと見せていたので、それをすぐに分かるようにしておくのが一番大事かなと思います。  やはり、新聞で書いてあるのは処理水とかトリチウム水だけなので、これはちょっと、非常に分かりにくいなとは思いますけれども。それはやはり、是非国会の方で、行政の方にしっかり言うように言っておけばいいんじゃないのかなと思います。
  62. 石橋哲

    石橋参考人 それを決めるのは先生方だと思います。  以上です。
  63. 橘川武郎

    橘川参考人 今の情報の限りでは、賛成とも反対とも言えません。
  64. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 まず、情報公開の件なんですが、経産省のウェブサイトとTEPCOの、東京電力のウェブサイトに全部は出ていませんね。出ているのは、報告書の中に、一回処理したときにどれぐらいほかの放射性物質が残っているかというグラフは出ていますし、東京電力のサイトには、データとして、ちょっと探すのは難しいですけれども処理水データが出ています。ただし、それが出されたのは、二〇一八年に新聞報道で出てからです。それまで出ていなかったので、そういう不信感が残っているということです。  私は、全国でやるということは、それはほかの方々が納得してくださればやってもいいかもしれませんが、リスクという考え方からすれば、拡大します。だから、やはり私は、リスクを最小化するというのが一番大事なので、そこを考えてやっていただきたいというふうに思います。
  65. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございます。  ちょっと時間がなくなってきましたが、石橋先生、成り行き未来、なりたい未来ということで、オーラルヒストリー集積の重層的推進ということをおっしゃっていただいています。これはとても大事だと思うんですが、例えば、ちょっとこれは同じかどうか分かりませんが、政府事故調の柳田邦男先生も、単にシステムの欠陥の問題の指摘だけではなくて、総合調査をしていくべきなんだみたいなこともおっしゃっていて、何か通じるものを感じます。  ちょっとこれは大事だと思うんですが、改めて、石橋先生のここのお訴えを、もう一度、ちょっと抽象的なので、具体的にどうしていくことが、イメージとしてお持ちか、あれば教えてください。
  66. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  済みません、ここの表現が分かりにくいというのは、まずおっしゃるとおりだと思います。  今、事故を忘れないとか、いろいろな言葉があふれていましたが、もう一か月たちましたので、既に薄れつつあるような気がしてきましたけれども。  まさに事故は今でも起き続けています。この事故は、先生方、若しくは電力会社、経産省の方の中で起こっているだけではないと思います。被災された方、例えば、全然、一見違うところに住んでいる、私、今、首都圏に住んでいますけれども、私も事故後の世界に生きています。それぞれがどのように事故を受け止めたのか、あの二〇一一年の三月十一日のときに、あの光景を見て、自分はどういうふうな未来を思い描いたのか、十年後ですね。  じゃ、それを実現できているのか。できていれば、できていた要因をきちっと残す。できていないのであれば、何でできていなかったのか、そのできていなかったことをリカバーするためには何をするべきなのかというその知見がこの十年、日本中、世界中、いろいろな人たちの頭の中や経験の中に埋もれているはずです。それを一つ一つ拾って、集積して、未来に政策として生かしていく。コロナ後の十年、未来をつくっていく。そういうための道しるべになるはずだというふうに思いますので、そのような取組を、是非国会主導でやっていただけるとありがたいなというふうに思います。
  67. 足立康史

    ○足立委員 ありがとうございました。  先生方からは、とにかく国会ちゃんとせいというメッセージを度々いただきますが、今の国会は万年与党と万年野党の国会ですから余り期待できません。その新しい五五年体制を壊すために私たちは頑張っていますので、また見守っていただければと思います。  ありがとうございました。
  68. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、山崎誠君。
  69. 山崎誠

    ○山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。  長時間にわたりまして、今日は、本当にありがとうございます、貴重な御意見をいただきました。今までいろいろ、エネルギーの問題、原発の問題を考えてきておりますが、示唆に富むお話であります。二十分ということで残り是非おつき合いをよろしくお願いを申し上げます。  いろいろ私も考えてきたんですが、一点、今日のプレゼンテーションの中で、鈴木先生からトリチウムの分離のお話が出てきたじゃないですか、今ずっとお話がありました。試算の中で、海洋放出せずにトリチウム分離をしたコストということで計算されています。  私たちの認識は、トリチウムの分離技術というのは確立していなくて、これは経産省の皆さんなんかとずっと議論していて実用化できないんだというお話だったんですが、先生は、これは「ふげん」の例を引かれたようでありますが、技術的にどういう御認識でいらっしゃるのか、確認したいと思います。
  70. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 「ふげん」でやったやつは研究開発なので、今すぐその「ふげん」でやった技術を実用化するという段階にはないと思います。  ただ、トリチウムの分離は、重水炉を持っているカナダとか、現実に商用規模で行われていますし、全く不可能というわけではないです。技術的にはいろいろ提案もありますし、ロシアの提案もありますし、最近はベンチャーからも提案が出ていますので、私は、技術的には可能だと。ただし、実際に福島でやろうと思えば、それなりに実証試験が必要だなということで、今すぐというわけではありませんが、将来の可能性というのは当然考えていくべきだと思います。  ただ、分離してもトリチウムが消えるわけではないので、どこかに貯蔵しなきゃいけないのと、結局、薄くなるだけでやはりその処理水の中にはトリチウムは少しは残りますので、どこまで薄くするのかという議論は必要だと思います。
  71. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  これは非常に大事なアドバイスでありまして、我々、とにかく放出を考える前に他の方法についてちゃんと検討すべきだということはずっと議論しておりまして、その光を見るような御発言でした。ちょっとこれもまた持ち帰らせていただいて、経産省などとも議論を深めたいと思います。  それで、私は今日、ちょうど石橋先生からもお話がありまして、忘れない、情緒的な反復による忘却ではなくて、きちっと災害の原点、定点観測のようなことをやるべきだ、そういうお話をいただきました。  そういう意味で、改めて今、私、十年目で議論させていただいているのが、一つは、最悪のシナリオ、福島の原発のあの事故の最悪のシナリオ。今日資料を配付をさせていただいた一ページ目、これは菅元総理の最近の本からチャート、地図をいただいたんですが、この最悪のシナリオについて、鈴木先生は、原子力委員会にいらして、近藤駿介委員長のすぐそばにいらっしゃったはずですので、このシナリオについて、どういうことだったのか、今どういうふうにお感じになっているのか、ちょっと端的にお話しするのは難しいかもしれませんが、御所見をいただけるでしょうか。
  72. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 正直申しまして、当時、私どもも含めて、このシナリオ検討については存じ上げていなかったんです。本当にごく少数のメンバーで、近藤委員長は、委員長ではなくて個人として、自分でやられたということで、当時、私自身は存じ上げていなかったです。発表された後、やはりショックを受けました。  ただし、当時も、こういう定量的な分析ではないですが、四号炉の使用済燃料についてはすごい心配をしておりまして、海外からも問合せがいっぱいありまして、ここまで定量的な計算はしていませんでしたが、四号炉の使用済燃料プールに水があるかないかということが、決定的な差が出るだろうということで大変懸念したことは事実であります。
  73. 山崎誠

    ○山崎委員 この最悪のシナリオが回避できた理由、これについては、いろんな今分析も進んでいると思います。  例えば、二号機が圧力爆発をしなかったのはなぜか。偶然、脆弱な部分から抜けたのではないか。それで放射能は広がってしまったわけですけれども、大爆発は避けることができた。それから、四号機のプールも、いろんな理由はあるんでしょうけれども、例えば、水素爆発が起こったけれども、ちょうどいい具合の水素爆発で、屋根が飛んだだけで本体には影響なくて、屋根が空いたので水が入れやすくなったとか、非常に幸運、ある意味、奇跡的に最悪の事態が回避できたというふうに私は認識をしているんですが、鈴木さん、いかがでしょうか。
  74. 鈴木達治郎

    ○鈴木参考人 御指摘のとおり、幸運が幾つか重なったということがあると思います。  私としては、その後、使用済燃料のプール貯蔵についての危険性を十分認識しましたので、できるだけ早く乾式貯蔵に移管するということが大事ではないかと。これは原子力発電が停止していても起こり得ることなので、やはりできる範囲でプール貯蔵から乾式貯蔵に移管することが大事だと思っています。
  75. 山崎誠

    ○山崎委員 黒川先生、この最悪のシナリオについて御所見をいただけますでしょうか。
  76. 黒川清

    黒川参考人 特にありませんが、やはり、失敗ではないですけれども、この事故から学ぶというのがすごく大事だと思うんですね。だから、そういう意味では、学ばなかったじゃないかというのは最悪の状況だなと思います。  これが例えば日本の非常にドメスティックな問題ならまだ世界は知らないかもしれないけれども、原子炉が四百四十もあって、みんなこれを気にしているときに、日本がそんなことをしたらすごくまずいんじゃないかなというのが私の考えで、できるだけ、今透明性がすごく大事で、ちょっとでも隠したのが分かっちゃったときのレピュテーションリスクというのは物すごい大きなところだと思いますので、是非これは立法府が頑張ってほしいなというのが私の希望です。
  77. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  それで、私、実は、さきの経産委員会で、この事故の被害の大きさ、これは日本を本当に壊滅させるほどの被害が想定された、それもその確率は決して低くなかった、逆に言うと奇跡的に最悪の事態を回避できたんだという認識で、これは、福井地裁の樋口裁判官の御著書がありまして、それでいろいろ学ばせていただいて質問している中で、資料の二の方なんですが、耐震基準についてというお話であります。  この図を本から取りましたけれども日本では、いわゆる千ガルを超えるような地震、大きな地震が多発をしているというのは事実であります。そして、原発の耐震基準は、残念ながら、基準地震動、それよりも低いものがたくさんあります、六百五十、六百二十、七百。それでよしとして動いている原発がたくさんあるというのが現実であります。  それで、これは気象庁の方なんかもお呼びをして、じゃ、例えば、この敷地に基準地震動を超えるような地震が起きる、まあ、起きないということを保証できるかといえば、当然できない。電力会社などの説明では、表面の揺れと地下の揺れは違う、地下に基礎を打っているので、地上の揺れだけで判断しないでくださいと言うんですが、これは、ここの樋口裁判官の分析でもありますけれども、逆転することもあるし、必ずしもそれが当てはまるわけではないので、そういう意味では、地震動をどこに基準を置くかというのは、ある意味、最悪を想定して設定すべきではないか。  この樋口さんの本の中では、例えば住宅メーカーは、これは図にありますけれども、三井ホーム五千百十五ガル、住友林業三千四百六ガルという極めて高い、ある意味最悪の地震にも耐えられるようにということでハウスメーカーは努力されているわけですが、原発は、先ほど言いましたように、六百あるいは七百というお話でした。  私は、ここをどう解釈されるかというのもお聞きはしたいんですが、資料の三を見ていただきたいんですね。  この質問をしました。圧倒的に基準地震動が小さ過ぎるんじゃないか、じゃ、これを超える地震が起きたときにどうするんだという質問をしました。そうしたら、規制庁の方からこういう回答があったんです。基準地震動による地震力に対して十分な余裕を有した設計とするように求めております、基準地震動を超えた場合でも一定範囲であれば直ちに危険な状況になるとは考えてございません。これは、規制庁の方です。規制当局の方が、十分な余裕があります、一定の範囲であれば直ちに危険な状況になるとは考えていないと。基準地震動を一定程度超える場合でも、炉心損傷などは防止できるというふうに承知しておりますという解釈なんですね。  私はびっくりしました。規制するのであれば、これだと、やはり数字をきちっと示すのが筋ですよね。  その後、追加で質問していくと、明確な基準というものを我々自身が決めているわけではございませんけれども、実際に評価をいたしますと、一番低い発電所でも五割ほどの余裕はあるということは承知しておりますと。  これが規制なんですよ、今の。この実態、ちょっと、黒川参考人、どうお考えですか。
  78. 黒川清

    黒川参考人 やはりしっかりしたことを決めてほしいですよね、文章にしても。だから、そこが一番の問題だと私も思っています。  だから、おっしゃるとおり、私が返事する立場ではないですけれども、やはり、これを全部英語で書いたらどう思われるかということなんですよ。
  79. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  規制のとりこというお話がありました。規制庁と今いろんなやり取りをしている。私は規制委員会は頑張っているのではないかと期待をしているんですが、規制庁と話をしていると、今のようなことが平気でぼろぼろ出てくるんです。  この間、規制委員会委員長も、私、残念な発言があって、セキュリティーの不正事案が出ましたよね。何が起きたか、多分何かしら、監視カメラか何かか分かりませんけれども、壊れていて四か月ですか止まっていた、そういう事件が起きた。私、これはどうするんですか、これはほっておくわけにいかないじゃないですか、どうするんですかと聞いた。いや、でも、数百もあるカメラを我々は検査することはできません、電力会社から問題の報告があるまで我々は何もできないに近いことを委員長がおっしゃるんですよ、ちょっと議事録は持ってきませんけれども。  私は、今のこの規制が、残念ながら、あの震災の直後につくった規制からかなり劣化している。このセキュリティー事案に対して、東京電力の安全文化とか安全意識の劣化だって評価する規制庁が私は本当に規制の劣化が起こっているのではないかなというふうにすごく思っているんですが、黒川参考人、いかがでしょうか。
  80. 黒川清

    黒川参考人 私の言う立場ではないかもしれませんけれども、本当にそうで、今やはり世界中が地球温暖化とかいろんなことで原子力をやるということをある程度チョイスとして仕方がないかもしれませんが、この科学技術とエンジニアリングの非常にレピュテーションの高かった日本がそんなこともやっているのかという話は非常にダメージが大きいと思いますね。  ですから、それを日本語だから多分何も誰も読めないでいるのかもしれないですけれども、やはりルールは英語でも一緒になって出すということはすごく大事だなという気がします。  なぜかというと、事故か何か起きたときに、そういうエキスパートとすぐにコミュニケーションしなくちゃいけないわけですよ。私、アメリカでも言ったし、アメリカ国会でもしゃべりましたけれども、そういう話で、言葉のブロックがあるんじゃないかなと思います。これがやはり責任を取る立場の人がちゃんと取っていないということが分かってしまいますものね。  だから、さっき言ったように、IAEAの人たちも、そのルール、リコメンデーションを日本はちゃんとやっていないということを知っていましたよ。それを今直っているのかといえば、そういう人たちに聞くと、いや、十分じゃないと思いますねと多分言ってくるんじゃないかなという気もします。ですから、是非、先生も言ってみたらどうかなと思います。
  81. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  私は本当に、今はやりの言葉ではないですが、忖度のとりこになっているように思うんですよ。要するに、原発を動かさなきゃいけないと。いや、政府はああ言っている、原発は動かさなきゃいけない。私はこれは更田委員長にも確認をして、いやいや、どんな理由があろうとも安全最優先で止めるものは止める、そうはおっしゃるんですけれども、規制当局のこの地震の判断を見ても、明らかに電力会社の言いなりです。  だから、これでは私は原発を動かせないというふうに強く思いまして、これは橘川参考人にお聞きしたいんですけれども、この今の議論は、合理的、橘川先生がいつも言う現実的な考え方からして、こういう基準で原発を動かす、今のような規制の在り方で原発を動かすということは許されるでしょうか、合理的でしょうか。
  82. 橘川武郎

    橘川参考人 私、お答えする立場ではないんですが、ちょっと先生とは違う意見を持っていまして、志賀の現状ですとか泊の現状を見ますと、非常に規制委員会は電力会社に対して厳しい立場を取っていると思います。よって、規制当局が電力会社の言いなりだという考えを私は持っていません。先ほども言いましたように、両サイドから批判されていますから、根本的には規制当局は頑張っているんじゃないかというのが私の理解であります。
  83. 山崎誠

    ○山崎委員 ちょっと残念であります。  基準地震動の話を是非お答えいただきたかったなと思うんですけれども、私は、橘川参考人は原発を含めたエネルギーミックスということが一つ現実的なソリューションとしては有効ではないかというお考えかとは思うんですが、例えば今のようなリスクを踏まえてもやはり原発は動かすべきなのか、そしてまた、先ほど危険度最小化という話がSの中で出てきたんですけれども、私はこの事故のリスクの大きさを勘案をすると、危険度最小化、これが掛け算で、確率で求められる世界の中で議論すべきことなのかどうか、そこは私は非常に疑問であります。  例えば、地震は起きないと言い切ってしまって、その確率はもしかしたら小さいかもしれない、でも、一旦起きてしまったら、本当に日本壊滅、世界が本当に影響を受けるというようなお話なのではないかと思っております。  申し訳ないんですけれども、この辺りの考え方はどういうふうに整理をされたらよろしいでしょうか。
  84. 橘川武郎

    橘川参考人 何度も申していますように、原子力というのは危険なものだと思います。日本ほど地震、津波がないとしても、航空機の墜落のリスクとかというのは世界中ありますので、当然、今言われたような問題は世界で通用する話だと思いますが、しかし、エネルギー、日本は資源小国でありますし、私はやはり選択肢は多い方がいいと思っていますので。だからといって、原子力をなくせという話ならば、世界に四百四十基原子力があるという現実を考えたら、世界人たちはやはりその中でいろいろ選択をしているというのが実態なんじゃないか、こういうふうに思いますので、直ちに先生の意見に私は賛成はできません。
  85. 山崎誠

    ○山崎委員 石橋参考人に。  資料の中で八ページ組織の利益を最優先させる組織依存マインドセットがあるという事故調の引用をされました。私は、まさに今原発がこうやって動こうとしているのは一番ここが大きいのではないか、もちろん、いろんな合理的な判断というのは余地はあるのかもしれないけれども、一番大きいのはここだと思うんですが、御見解をいただけますか。
  86. 石橋哲

    石橋参考人 ありがとうございます。  今御引用いただきました、今日の資料の八ページ目の四角で囲んでいるところは、原子力発電の問題にかかわらず、日本中で様々な不祥事とかが起こっていますけれども、全てに共通しているところだと思います。飲み屋に行けば、テーブルごとに事故原因があると思います。  今日の先生方の御議論を聞いていてまず思うのは、一番初めに私が御質問さしあげた、実施計画の策定の御議論はどこまで進んだのか、国民に対する進捗状況公表はどこまで進んだのかということについての御議論、御質問、御報告のようなお言葉、一言もないというのが、まさにこの四角に書いてあるところではないかというふうに思います。  以上です。
  87. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  我々の、超党派で原発ゼロの会というのがあって、事故調の準備会をずっと開いておりまして、今も、いまだに準備会であります。そういう意味では、国会、何もやっていないわけではなくて、サボっているわけではないんですが、残念ながら、先ほど足立さんのお話もありました、まだまだ我々の力不足ということだと思いますので、大いに反省をしながら、是非国会事故調再開を目指してこれからも活動していきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  88. 渡辺博道

    渡辺委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会