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2021-04-08 第204回国会 衆議院 原子力問題調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月八日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 渡辺 博道君    理事 伊藤 忠彦君 理事 江渡 聡徳君    理事 津島  淳君 理事 中村 裕之君    理事 細田 健一君 理事 長尾 秀樹君    理事 山内 康一君 理事 中野 洋昌君       井林 辰憲君    石川 昭政君       泉田 裕彦君    岩田 和親君       城内  実君    北村 誠吾君       齋藤  健君    斎藤 洋明君       土井  亨君    西田 昭二君       野中  厚君    福山  守君       古田 圭一君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宮澤 博行君       簗  和生君    吉野 正芳君       荒井  聰君    逢坂 誠二君       菅  直人君    近藤 昭一君       斉木 武志君    日吉 雄太君       宮川  伸君    山崎  誠君       伊佐 進一君    浮島 智子君       藤野 保史君    青山 雅幸君       浅野  哲君     …………………………………    内閣府副大臣       堀内 詔子君    経済産業大臣      江島  潔君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 佐藤  暁君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 保坂  伸君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      山形 浩史君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君    衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      飯野 伸夫君     ――――――――――――― 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   阿部 知子君     近藤 昭一君   足立 康史君     青山 雅幸君 同日  辞任         補欠選任   近藤 昭一君     阿部 知子君   青山 雅幸君     足立 康史君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  原子力問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺博道

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告いたします。  第百九十三回国会原子力問題調査特別委員会理事会決定により、本委員会活動等について専門的見地から助言を求めるため、会員七名から成る衆議院原子力問題調査特別委員会アドバイザリー・ボードを設置いたしました。  本アドバイザリー・ボードにつきましては、各会派の理事等の協議により、今国会においても設置することとなりました。  以上、御報告申し上げます。      ――――◇―――――
  3. 渡辺博道

    渡辺委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力問題に関する件の調査のため、本会期中、アドバイザリー・ボード会員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 渡辺博道

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ――――◇―――――
  5. 渡辺博道

    渡辺委員長 原子力問題に関する件について調査を進めます。  この際、原子力規制委員会活動状況について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長
  6. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 原子力規制委員会委員長更田豊志でございます。  衆議院原子力問題調査特別委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会業務について御説明申し上げます。  原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、様々な課題に取り組んでおります。  まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。  東京電力福島第一原子力発電所事故教訓を踏まえ強化した規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。  このうち、発電用原子炉については、令和二年二月二十六日の東北電力女川原子力発電所号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質加工施設使用済燃料貯蔵施設と再処理施設及び廃棄物管理施設に対して、これまでに十件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。  発電用原子炉運転期間延長については、これまでに関西電力高浜発電所号炉及び二号炉美浜発電所号炉並び日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。  発電用原子炉廃止措置計画については、これまで計十四基に対して認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計七件に対しても、廃止措置計画認可を行いました。  また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、昨年四月から新たな検査制度運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。  東京電力柏崎刈羽原子力発電所において、IDカード不正使用事案に続き、核物質防護設備機能の一部喪失事案発生しました。核物質防護設備機能の一部喪失事案については、核物質防護機能又は性能への影響が大きい案件であると評価し、原子力規制検査に係る対応区分を第二区分から第四区分に変更しました。また、東京電力に対し、根本的な原因特定安全文化及び核セキュリティー文化劣化兆候特定等を行い、特定した内容を踏まえて改善措置活動計画等を六か月以内に提出することを要求しました。あわせて、原子炉等規制法に基づく是正措置等の命令を発出することとし、対応区分を第一区分に変更するまでは、特定核燃料物質の移動を禁ずる方針としました。今後、追加の原子力規制検査により、東京電力改善措置活動監視、指導してまいります。  また、これ以外にも、原子力施設等事故トラブル発生した場合は、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。  以上のとおり、原子力施設等に関する審査検査を順次進めております。  規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策降下火砕物対策火災防護対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。  第二に、東京電力福島第一原子力発電所廃炉に向けた取組監視等について申し上げます。  原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉汚染水対策実施に向け、規制当局としての立場から、積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画審査などに当たっております。  引き続き、処理した水の処分や放射性廃棄物安定保管に向けた取組などが適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。  二月十三日に発生した福島沖地震による外部への影響確認されませんでしたが、一号機及び三号機の原子炉格納容器水位低下処理済水などをためるタンクのずれなどが生じたことに関して、引き続き安全が確保されるよう、対応状況監視してまいります。  また、同発電所事故調査については、現場確認作業や公開の会合で放射性物質等の放出又は漏えい経路原子炉建屋における水素爆発等について検討を重ね、本年三月、中間的な取りまとめを行いました。今後、これまでに得られた知見規制との関係を精査するとともに、調査分析を継続してまいります。  第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリング充実並びに保障措置について申し上げます。  原子力規制委員会では、昨年十月に原子力災害対策指針を改定し、特定重大事故等対処施設運用開始を見据えて緊急時活動レベルを見直したほか、基幹高度被ばく医療支援センター機能強化により、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めるなど、原子力災害対策充実を図っております。  放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材配備等により、緊急時モニタリング体制充実を図っております。また、関係省庁及び関係機関と連携して、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、国内外への情報発信にも努めています。  また、国際約束に基づく国内原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質平和的活動にとどまっているとの評価を継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。  以上、原子力規制委員会業務について御説明いたしました。  本年三月十一日に、東京電力福島第一原子力発電所事故発生から十年となりました。原子力規制委員会は、あのような事故は二度と起こさないという決意の下、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  7. 渡辺博道

    渡辺委員長 以上で説明は終わりました。     ―――――――――――――
  8. 渡辺博道

  9. 渡辺博道

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  10. 渡辺博道

    渡辺委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。泉田裕彦君。
  11. 泉田裕彦

    泉田委員 おはようございます。自由民主党の泉田裕彦です。  本日は、質問の時間を頂戴しまして、大変ありがとうございます。  それでは、早速質問に入らせていただきます。  テロ対策、それから核セキュリティー、これに対応するということは極めて重要であるというふうに思っています。今回の東電のずさんな管理体制の発覚、これは誠に遺憾であります。管理体制不備という点について言いますと、核セキュリティーだけではなく、これまでも、トラブル隠し、メルトダウン隠し、失火、データ改ざん虚偽報告と、不祥事は枚挙にいとまがないということが続いております。  そしてまた、東電については、これまで不祥事が起きるたびに企業風土改善必要性指摘をされてきました。しかし、結果を見てみますと、そのたびごとに出てくるのは、二度と繰り返さない、生まれ変わる等、言葉は躍るものの、実際にこれが達成されたことがない、また不祥事が繰り返されるということが続いております。  そこで、今日の質問は、繰り返し繰り返し不祥事がなぜ東電に起きるのか、安全性を第一に考えた対応がなぜ東電にはできないのか、普通の企業はまず信頼性を確保するということを第一にするわけですが、東電にはなぜそれができないのか、それから虚偽報告もそうですね、なぜ虚偽報告が続くのか、その原因を、背景を考えるための質問とさせていただきたいというふうに思います。  まず、事実関係について確認をさせていただきたいと思います。  侵入検知器不備報告、これは規制委員会では小早川社長まで上がっているという見方を持っているというふうに承知をしておりますが、実際には、小早川社長、この故障の報告を受けたのかどうか、お答えいただきたいと思います。東電は、立地県の知事にメルトダウン隠し、これは虚偽報告した会社であります。国会で引き続き虚偽答弁をするということになると、東電体質というのは、これは歴史に残るということだと思いますので、誠実な答弁を期待したいと思います。
  12. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  核物質防護規定において、私の役割は、核セキュリティー文化の醸成に関わる方針を示すことと、それに対する社長としてのチェックというのが大きな役割だと認識しております。その上で、個々のセキュリティーの不具合の事案につきましては、発電所において管理するというような、今のところのマネジメント体制になっております。  今回の一連の事案につきましては、ID不正使用につきましては、発生の翌日、昨年の九月二十一日に私は事案報告を受けました。また、核物質防護の一部機能喪失につきましては、二月の十八日に事案報告を受けました。  こうしたマネジメント上の課題対応体制自体が妥当かどうかにつきましては、今後の徹底的な原因究明の中でしっかりと調査して、必要に応じて改善を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  13. 泉田裕彦

    泉田委員 報告を受けられたということですけれども、なぜすぐ対処しなかったんでしょうか。
  14. 小早川智明

    小早川参考人 先ほどの繰り返しになりますが、核物質防護に係る不適合につきましては、社長まで報告される運用とはなっておりません。  ただし、核セキュリティー上、何らかの懸念が想定されるような個別案件において、経営層まで個別に報告されるケースはありますが、今回のKK、柏崎刈羽核防護設備について適切な対応を怠っていたという報告は、私は報告を受けておりませんでした。  今回の核物質防護に関わる事案については、私は、核物質防護規定に抵触する可能性がある事案として個別に報告を受け、初めて認識したのは、先ほど申しましたとおり、二月の十八日でございます。  繰り返しになりますが、このような運用が妥当であったかという点も含めて、今後、原因究明分析をしっかり進めてまいりたいと思います。
  15. 泉田裕彦

    泉田委員 膨大な仕事があるので判断はできないというお答えだったと思います。  次に、そうであれば、東電業務がどうなっているかということを考えてみたいんですが、東電が取り組まなければいけない課題は多岐にわたります。まず、福島原発事故原発廃炉、それから汚染水処理被災者支援電力自由化に伴う競合他社との競争力強化LNG等燃料調達、再エネ拡大に伴う系統の在り方の検討、CO2の削減、安定供給のための設備投資、異業種との業務提携、さらには交付国債の返済を含む財務、こういったことも東電ホールディングス社長は考えないといけないということだと思います、ロビー活動も必要でしょうし。それに加えて、柏崎刈羽原子力発電所安全対策検討しなければならない、こういう立場におられるんだと思います。  これで、これは通告しているので計算はできたと思いますけれども、小早川社長不祥事の発覚する前、昨年前半ですね、今指摘した課題、特に原発安全性について振り向けられた時間はどれぐらいあったか、教えてください。
  16. 小早川智明

    小早川参考人 先生御質問の各課題に振り向けた時間につきましては一概にお答えすることはできかねますが、当社グループは、福島への責任を全うすることと、それから電力安定供給を全うすること、その大きな二つの使命があるというふうに認識しております。  その中で、ホールディングの下で送配電を行うパワーグリッド事業、それから、小売を行うエナジーパートナー事業、再エネ事業を行うリニューアブルパワー事業、また、燃料調達発電事業を行う株式会社JERAという各事業会社のトップが責任を持って事業を遂行する形態を取っており、ホールディング社長の私といたしましては、週二回程度の経営会議等を通じ、各社の事業戦略事業の方向について指示をする経営を行っております。  他方、グループ全体の経営のガバナンス……(泉田委員「短くていいですよ」と呼ぶ)特に、廃炉、復興、賠償に関わる福島事業原子力事業につきましては、ホールディング直下仕事として、私が責任を持って執行責任を負っております。  以上でございます。
  17. 泉田裕彦

    泉田委員 大変残念なお答えだったと思います。社長のスケジュールは秘書が管理しているわけですから、安全性についての管理をピックアップして比率を計算することぐらい、すぐできるわけです。国会事前通告したにもかかわらず、それすらやらない。すなわち、知らしむべし、よらしむべしという体質企業体質の中にしみ込んでいるということだと思います。そういうことだから、隠蔽が起きる、虚偽報告が起きる、組織の機能不全が起きる、これの原因の一因になっているということを指摘をしておきたいと思います。  つまり、小早川社長は東京におられて、柏崎刈羽原発のことについては十分考える時間がない、にもかかわらず最後の最終的な投資決定の権限だけ握っている、こういう状況になっているということを指摘しておきたいと思います。  次に、安全神話との関係なんですけれども、原子力発電所対応について、立地地元コマーシャルを打たれています。このコマーシャルは、全体的な印象としてみれば、原子力災害事故が起きた福島教訓を基にしてこういう対応を取りました、よってもう二度と起きませんということを言外に感じさせるようなコマーシャルになっています。他社では、何が起きるか分からないから常に見直しを続けるという動画を制作している会社もあります。  そこで、トラブルは起きないという前提になると、これは、原子力発電所立地自身が、原発事故を起こしませんということで立地を続けてきた経緯というのがあるわけです。それが、トラブルが起きてはならないから、トラブルがあっても隠すというところにつながっていって、福島事故につながったということだと思います。これは、トラブルを今後は起こさないというようなことを印象させるようなコマーシャルを打つと、第二の安全神話になるんじゃないかという懸念もあるわけです。  そこで、経済産業省にお伺いしたいんですけれども、事故は起きる前提で日々取組をするというのが筋だと思うんですが、現在、東電立地地元で流しているコマーシャルをどのように受け止めているか、お伺いしたいと思います。
  18. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  まず、福島第一原発事故について、十分な過酷事故への対応ができなかった、あのような悲惨な事故を、事態を防ぐことができなかったという深い反省はいっときたりとも忘れてはならないということが基本だと思っております。  そうした中で、今般、東京電力において不適正な事案が続いているということについて、私どもとしても大変遺憾に思っているところでございまして、安全確保地元からの信頼ということは、原子力事業を進めていく上での基本中の基本でございます。東京電力には、いま一度、原子力事業者として事案を見詰め直して、その上での原因究明再発防止に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。  その上で、御質問を頂戴しました企業コマーシャルでございますが、個別について、ちょっと直接の評価は避けさせていただきたいと思いますが、私も拝見いたしました。福島第一の事故教訓を踏まえて、事故発生し得るという前提に立った上で、発生時の対策を進めていくという姿勢を示したものだというふうに認識しております。  ただ、広報、CMにおいて重要なことは、これを受け手の方がどう御覧になられるかということだと思っております。委員の御指摘も含めて、様々な御意見にしっかりと耳を傾けながら、いわゆる安全神話に陥ってはならない、そして現状に満足してはならない、安全向上を不断に追求していく姿勢ということを決して忘れずに今後の事業及び広報においても取り組んでいただきたい、このように考えてございます。
  19. 泉田裕彦

    泉田委員 ありがとうございました。  是非、これは何があっても対応するんだ、もう対策したから終わりということではなくて、日々前進をするというようなことをやっていただきたいと思います。  それでは、地震投資判断についてお伺いをしたいと思うんですが、東電では、福島事故の約二年前、十五メートルの遡上高があるという試算を社内でまとめられました。これは、現場からは防潮堤の建設ということを提案されたんですが、結果的には、当時の経営陣が、津波予想報告、これの信頼度確認する必要があるということで先送りになりました。  百歩譲って、津波予想信頼度確認してから防潮堤判断をするということがあるにしても、ほかに打つ手があったんだろうと思います。安価な手続、それから、すぐにでも対応できる、これは新潟県庁でもやったんですが、発電機配電盤を高い位置に一基でも上げておれば、本当にあの福島事故は起きたんだろうか。取れる対策というのはあったはずです。全電源喪失などということを避けるためのことをなぜやらなかったのかという疑問、これは今でも消えないところであります。  そこで、端的に答えていただきたい、長くなくていいですから。小早川社長にお伺いをします。  福島原発事故津波対策を先送りしたことをどう評価しているのか。判断ミスなのか、それともやむを得ない判断だったと思うのか、どちらで判断されているか、お伺いしたいと思います。
  20. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  まず、当時の経営陣判断に関しましては、現在、司法の場でその責任が審理されておりますので、私からの回答は差し控えさせていただきたいと思いますが、当社は、あの事故天災として片づけてはならず、人知を尽くした事前備えによって防ぐべき事故を防げなかったという反省教訓を真摯に受け入れることが重要だと考えております。  私としましては、不確実、未確定な段階でもリスクを低減する取組実施するなどにより、福島第一原子力発電所廃炉をやり遂げるとともに、終わりなき原子力発電所安全性向上を両立させていくことが必要であると考えております。
  21. 泉田裕彦

    泉田委員 裁判があるとなぜ判断ミスだと言えないのかというのは、全然理解できません。あれは、少なくとも何かやるべきだというふうに思ったら、判断ミスと答えないといけないですよね。過去の失敗に真摯に向き合っていないから、二度三度、次々とまた不祥事を起こすということを指摘をしたいと思います。  もう一つ、お伺いしたいと思います、小早川社長に。原発は確率は低くても一度事故を起こすと極めて重大な結果を引き起こす設備、こういう認識をお持ちかどうか、お答えください。
  22. 小早川智明

    小早川参考人 福島第一原子力発電所事故を起こした当事者として、過酷事故により地元や社会の皆様に大変な御迷惑をおかけしていることは十分認識しており、こうした事故を二度と起こさないという強い決意を持って事業を進めております。  事故原因天災として片づけてはならず、人知を尽くした事前備えによって防ぐべき事故を防げなかったという反省教訓を真摯に受け入れ、二度と過酷事故を起こさないために、この決意の下で原子力安全改革プランを着実に推し進めております。  また、あらゆるリスク情報を収集し、知見が十分とは言えない段階であってもその情報を共有し、重大なリスクに対しては、十分に安全であるかを私自らが主体性を持って判断してまいります。
  23. 泉田裕彦

    泉田委員 言葉は躍ります。これは小早川さんだけの責任じゃないんですけれども、歴代の東電社長は同じような立場に置かれていたんだと思うんですよ。原発安全性だけじゃないですよね、いろんなことをやらないといけない。国会に呼ばれれば、俺の責任じゃないのに何でこんなことを言われるんだと思いながら答えていらっしゃるというようなことが見え隠れするような答弁で、大変残念でありました。  次に、東電にお伺いをしたいんですけれども、原発事故の賠償のための交付国債、総額、賠償のために約八兆円ということだと思うので数字はいいんですけれども、返済、いつまでにどのように行う予定でいらっしゃるか、端的にお答えください。
  24. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えします。  原子力損害賠償・廃炉支援機構から資金交付を受けて二〇二一年二月までにお支払いした賠償、除染等の費用は、合計で九・七兆円でございます。二〇一六年十二月の東京電力改革・一F委員会東電改革提言において、廃炉、賠償、除染等に必要な資金については二十一・五兆円程度と試算されていると認識しております。  当社は、引き続き、福島の賠償、廃炉に関わる費用をグループ総力を挙げた経営合理化等で捻出できるよう取り組んでまいります。
  25. 泉田裕彦

    泉田委員 ありがとうございました。  総額二十一兆円ということですけれども、経営、大変ですよね。これを返していかなければいけないということですから、どうしたって利益を上げたくなるということ、これが今置かれている東電立場ということなんだと思います。そうしたら、安全投資しようかという気にどれだけなるんだろうかという疑問、これはやはり感じざるを得ないですよね。  これは過去に遡ってみますと、そもそも、東電が無限責任を負うべきなんだろうかというところの疑問に突き当たるわけであります。  実は、勝俣元会長は、事故発生直後、有限責任、つまり異常に巨大な災害において発生した損害だから有限責任にしてくれということを経産省にお願いをしました。経産省からは、いいよ、異常に大きな災害で責任限定してもいいけれども、その場合は、それ以外は一切東電の面倒を見ないから、東電は潰れることになりますというようなお話があって、結果として無限責任を選択せざるを得なかったという経緯があるわけです。  一体、この賠償若しくは廃炉に係る費用というのは誰が負担すべきなのか。東電の利用者だけが負担すべきなのか。それとも、広く国民全体で、国策で進めてきた原発対応ですから国が責任を持つべきじゃないのか。これは、質問しようと思ったんですけれども、時間がないのでこちらから申し上げます。  原賠法第三条に基づいて、異常に巨大な災害、この天変地異を理由に責任限定するというのは、私、選択肢というか、無限責任を避けた方がいいんじゃないかと思います。  無限責任ってどういうことかというと、経営陣責任を問わないということですよね。そのまま継続をしていくということになるわけです。経営は続くということです。有限責任にしておけば会社は潰れます。ただ、JALと同じように、会社は潰れてもサービスを提供することは可能ということだと思います。  東電を破綻させないという前提でいえば、やはり緊張感なくなりますよね。東電ホールディングスが何で柏崎刈羽安全対策を考えないといけないのかというようなことになっていくということだと思います。事故を起こせば、電力を供給しながら会社としては破綻して役員は責任を取り、被害者には国が責任を持つという方式にした方が、より的確な安全対策を取れるということだと思います。  現在のスキームは問題があるのではないかというふうに思っています。是非、このスキーム、見直さないと、何度でもトラブルを繰り返すんじゃないかという懸念がありますので、ここの見直しを是非、経産省、考えてみていただきたいと要請をしたいと思います。  そこで、もう時間がありませんので更田委員長にお伺いをしたいんですけれども、過去、トラブル隠し、それから虚偽報告対応等、それなりに行動計画を作ってまいりました。今回、改善措置活動の計画、これを提出をすることを求めていますけれども、これで本当にちゃんと生まれ変わることができるんだろうか、私は極めて疑問というふうに思っているんですが。  むしろ、東電は分離して、社長は常に、投資の最終決定権と同時に、万が一事故が起きたら自分も放射能をかぶるんだということで、柏崎刈羽原発の中に勤めている社長がいた方がいいんじゃないかというふうに思っているんですけれども、この原発事業を分離しないで東電ホールディングスが直轄でなぜやらなければいけないのかということの疑問を禁じ得ません。  東電事業者の適格性、これは審査すべきじゃないかというふうに思っているんですが、更田委員長の考えをお伺いしたいと思います。
  26. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  東京電力福島第一原子力発電所事故以前のものも含め、東京電力でなぜ、あえて申し上げれば、他の電力では見られないような虚偽のようなことが行われるのか。これも含めて、それから、先生疑問を持っているとおっしゃいましたけれども、原子力規制委員会も疑問を持っております、これをはっきりさせることが今後の検査であり、また、必要があると判断すれば様々な審査も続けてまいります。  それから、東京電力において柏崎刈羽のような発電事業責任と、それから、東京電力福島第一原子力発電所事故責任を負うというものが分離されることがよいかどうかというのは、これは規制委員会として申し上げることではないかもしれませんが、分離されてしまうことによって福島第一原子力発電所廃炉が切り捨てられてしまうのではないかというような懸念も持っているのは事実でございます。したがいまして、体制の問題というのは非常に難しい問題であるというふうに考えております。
  27. 泉田裕彦

    泉田委員 ありがとうございました。  柏崎刈羽を稼働させて、そこで上がる収益で福島の補償、それから廃炉の作業の費用を賄おうという発想なんだと思うんですけれども、そこには安全思想ということが抜けているんじゃないかと思います。つまり、経営を優先して安全対策をおろそかにするスキームというのが、今の東電ホールディングスが直接原発事業をやるというところの背景にあるということだと思います。  今でも二千億ぐらい年間利益が出ています。十分返していける金額になっているんじゃないかと。これは、返済できないのかどうか、それから、もう一つよく言われるのが、従業員の士気が、廃炉会社に、廃炉会社も分離するとしてですよ、行くことによって士気が下がるというようなことも言われるんですが、原発事業って二十世紀の技術です。残念ながら、今、福島でやっている廃炉作業で技術開発に携わる方が、将来の宇宙開発にもつながるようなクリエーティブなことができるわけで、一概に、廃炉事業とそれから原発の運転、どっちがいいかなんて言えないはずなんですよね。  是非、今のスキーム、問題が多々あるということを認識して、更田委員長には、勧告権があるわけですから、政府の機関に是非今のスキームを見直すような勧告をすることも含めて検討をすることをお願いをして、質問を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。
  28. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、石川昭政君。
  29. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政です。  今日は、テロ対策、それから東海第二に関わる水戸地裁の判決、そして福島原発事故由来のALPS処理水の処分等について、大きく三点についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、テロ対策審査についてでございます。  これは柏崎刈羽の、先ほどの泉田議員の質疑にも関わりますけれども、私も大変危惧しております。様々なこの制度設計、規制について、自由民主党としても様々議論をしてきたところです。それが、現場に行ってみますと、きちっとやっていただいているものと承知しておりますが、その中身が事業者に伝わり切れていないのかな、そういう反省というか危惧を抱いたわけでございます。  核セキュリティーに関しましては、特に、テロ対策ということで、公開しない中での審査が行われているということが今規制庁のスタンスだと思います。これは一定の理解も示すわけですけれども、そんな中で、私も何回か質疑に立つ中で、サイバー攻撃についてちゃんと対策していますかという質問もしたこともございます。その際のお答えは、ちゃんとやっています、それだけなんですね。なかなか中身に踏み込めない、じくじたる思いも抱きながらやっております。  それから、振り返りますと、NRCからB5bのレターが届いていたと後から分かったわけですけれども、これについても、もし広く分かっていれば、きちっと電力会社も非常用電源を屋上に上げるとか適切な対策が行われたのではないかという反省もございます。  そうした中で、委員長にお伺いしたいんですけれども、このセキュリティー対策、事の性質上、公開しないというスタンスは一定理解しますけれども、こういうやり方をしながら、しかしながら事業者の中でミスが見つかったり不祥事が行われたりする、こういうやり方を続けていって、我々はもうむなしい思いを抱きながらやっておるんですけれども、これについて、やり方を少し変えるとか、何か考えを変えるお考えはありますでしょうか。
  30. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  事案の内容ですとか、何がどういうふうに起きているのか、ないしは、テロリズムに対してどういう守り方をして、どう備えているかについて、先生もおっしゃっていただいているように、なかなか公開をすることができません。  というのは、悪意ある第三者に対して弱みを見せることになる、そういった意味で公開ができない。ただ、この公開ができないことによって、やはり監視する目というのはどうしても減ってしまいます。そのことの難しさというのを今回の一連の事案というのは示してくれたんだろうと思っています。  そういった意味で、原子力規制委員会原子力規制庁の中でも、核物質防護に対して、情報の制限はきっちりと確保しながら、やはり関与する目を増やすことが必要であると思っています。  また、組織の外にどうお伝えするか、これは大変難しい問題だろうと思っております。  相矛盾するところの解決ですので、これは今後とも、事案の一つ一つの分析を通じて、どのような情報公開の在り方が望ましいのか、これは規制委員会としても、規制庁としても、努力を続けてまいりたいというふうに思っております。
  31. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  是非、内部で検討していただいて、我々も全てを公開しろと言っているわけではないんです。ちゃんと実効性が担保されている、そして、こういうテロ対策で行われていれば安心だということをしっかり担保していただきたいというのが私の考えでございますので、是非検討していただければと思っております。  次に、東海第二の運転差止め訴訟、先日、水戸地裁で判決が出ました。これについて内容は規制庁も事業者の方も精査をしていると思いますけれども、判決によりますと、深層防護のうち第一から第四の原発に係る設備に関しては過誤、欠落があるとは認められないということでありまして、問題は第五の防護レベル、すなわち避難計画、防災体制、これについてまだ未整備なため、人格権侵害の具体的危険があるということで判決が下ったわけでございます。  つまり、これは、役割としては、自治体であり、国の避難計画、防災計画、こういったことが判決で問題にされたわけでございますけれども、一方で、新規制基準の中で審査しているものは合理性がある、そういう判決でございました。  すなわち、新規制基準審査と避難計画との関係性をどう見ているのかということを、まず委員長から見解をお伺いいたします。
  32. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、原子炉等規制法に基づく審査に関しては、先生の御質問の中にありましたけれども、深層防護でいえば第一層から第四層、要するに、事故を防ぐ、それから万一事故が起きた場合でもその影響を緩和するという、いわゆるプラント側のものについて審査を行っております。しかしながら、どれだけ対策を尽くしたとしても事故は起きるものとして考えるというのが、防災に対する備えとしての基本であります。  プラント側での努力、それから要求の引上げ等に伴ってプラントの安全性は高まっている、しかしながら、どれだけ努力をしても事故は必ず起きるもの、そういった意味で、プラントに対する対策を考えるところと、防災について考えるところというのは、一定程度の、一定程度というか、独立して考えるべきものであるというふうに思っています。これが一緒くたになってしまうと、プラントに安全対策を十分に尽くしたので、防災計画はこのぐらいでいいだろうという考えに陥ってしまう危険もあります。  また、防災計画というのは地域の実情に応じて策定されるべきものでありますので、プラントに対する安全性を見るという責任と、それから防災対策をしっかり策定するという責任というのは独立して考えるべきという性格を持っているものというふうに認識をしております。
  33. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 これまでの答弁どおりだと思いますけれども。  そうしますと、避難計画を立てるということも、国の責任、自治体の責務が生じているわけです。そうしますと、再稼働に対して一定の距離感を置いている首長、自治体は、防災計画はそんなに急いで作る必要がないんじゃないかというような考えも持ち得るわけですね。そうしますと、結果的に、プラントの再稼働が進まない、地域の合意が得られないということにもなってまいります。  その上で、避難計画を是非作ってくださいよ、やってくださいという国のいろいろな後押し、事業、いろいろあると思いますけれども、これについて、内閣府、どういうものがあるか、お話をお伺いしたいと思います。
  34. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  まず、避難計画の策定ということは、地域住民の皆様の安心、安全の観点からも大変重要である、まずはそこが大原則だと思っております。  したがいまして、現在、立地地域ごとに地域原子力防災協議会を設置しておりまして、私どもとして、内閣原子力防災担当では、関係自治体と一体となって避難計画の具体化、充実化を図るとともに、様々な協力や支援を行っているところです。  その具体的な支援としては、原子力発電施設等緊急時安全対策交付金、これで、緊急時における住民の安全を確保するための施設や、あるいは防災業務従事者の安全を確保するための物品の整備などを行っております。  また、原子力災害時の避難をより円滑に実施するための原子力災害時避難円滑化モデル実証事業を平成三十年度から実施しておりまして、この事業の成果を踏まえまして、効果が見込まれるものにつきましては、他地域でも活用できるよう令和三年度の予算の原子力発電施設等緊急時安全対策交付金事業におきまして、新たに緊急時避難円滑化事業を盛り込んでいるところでございます。  そのほかにも、自治体職員などに研修を行っておりますけれども、引き続き、私ども、自治体と連携して、原子力防災体制充実強化に取り組んでまいりたいと思っております。
  35. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 ありがとうございます。  次に、裁判についてお伺いいたしますが、各地で原子力に関わる裁判が提起をされております。  例えば伊方原発でいいますと、松山地裁、広島地裁、それから大分地裁、山口地裁岩国支部と、一つの原発に対して各地裁レベルで提起がされております。その結果として、判決が、常に、却下とか、要するに、それぞれ独立で判断しますから、ばらばらになってくる。しかも、それが上級審に行きますと、どんどん裁判が長期化していきます。司法手続によりまして運転期間がどんどんどんどん減っていくということもあり得るわけですね。  そうしますと、規制庁、規制側として合格したものであっても司法側でストップがかかっているということも今後あり得るわけですけれども、これについて委員長の御見解をお伺いいたします。
  36. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 個別の訴訟についての見解を申し上げるべきとは思いませんけれども、原子力規制委員会としましては、基準の内容であるとか審査の内容については説明責任を負っていると考えております。  したがいまして、こういったものも、特に司法に対するものというわけではありませんけれども、その内容についてできるだけ御説明する努力を続けております。具体的には、ホームページ上でQA方式での説明でありますとかそういったものを続けておりますし、また、自治体の御要望に応じる形で住民説明会等での説明等も行っております。  なかなか説明が難しいというのは実感しておりまして、今後とも努力を続けてまいりたいというふうに思っております。
  37. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 そうだと思います。やはり、裁判官も、高度な科学的な知見がない中で判決文を書かなきゃならない。  私は、二〇〇三年に民訴法改正によって専門委員制度というのが裁判にも導入されましたので、是非、この原子力裁判についてもそういった制度を活用していただきたいというふうに考えております。これについてはお答えは結構でございます。  最後に、福島原発事故由来のALPS処理水の処分についてお伺いします。  昨日、全漁連の岸会長が菅総理と面会をしました。基本的には反対だけれどもということの内容だったようにお伺いしております。  そこで、お伺いしたいのは、いかに風評被害を防ぐかということが最大の我々の関心でございます。そこで、役割として、原子力規制庁として、科学的知見を一般国民の皆様にどう伝えていくのかということをまず一点お伺いし、もう一つ、これは東京電力にお伺いしたいんですけれども、しっかりとした風評被害に対する賠償を行っていただきたいと思います。  例えばですけれども、基金をちゃんとこれだけ積みました、しっかり補償もしますというようなことを説明しないと、やはり、漁業者であるとか観光関係の皆さんは、またあの賠償の手続が必要なのかと十年前のことを思い起こし、フラッシュバックをし、結果的には我々国会議員に苦情が殺到するということがございましたので、こういうことがないように、どのように取り組んでいかれるかということを、二点お伺いして終わります。
  38. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 原子力規制委員会は、これまでにも、仮に十分な希釈を行った上で処理済み水を海洋に放出したとしても、地域の産物であるとかに影響が出るとは科学的に考えられないという見解を示しているところであります。  今後とも、この見解についてきちんとお伝えする努力を続けることと、私たちはモニタリングについても責任を負っておりますので、海洋も含めたモニタリング、これは東京電力規制庁、それから自治体の方々と協力してということになりますけれども、モニタリングについてもきちんと責任を果たしていきたいと思います。  さらには、仮に方針決定された場合には具体的な実施方法について審査を行うことになりますが、その審査内容についても、どういった実行方法で行われるのかということも含めて、きちんとお伝えできるように努めたいというふうに思います。
  39. 渡辺博道

    渡辺委員長 東京電力小早川社長、申合せの時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁をお願いいたします。
  40. 小早川智明

    小早川参考人 先生御指摘のとおり、風評影響を最大限に抑制するべく、地域の皆様、社会の皆様に御要望に沿った正確で適時適切な情報発信の徹底がまず大前提だと考えておりますが、その上でなお処理水処分に伴う風評被害が発生した場合には、原子力損害賠償制度の下、迅速かつ適切に賠償させていただきたいと考えております。  ただ、先生の今の御指摘のとおり、処理水の処分に伴う損害賠償の具体的な考え方につきましては、処分方針決定を踏まえ、今後損害の発生懸念される関係者の皆様の御意見や風評被害の実態を捉えながら、しっかり検討してまいりたいと思います。  以上です。
  41. 石川昭政

    ○石川(昭)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  42. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、中野洋昌君。
  43. 中野洋昌

    ○中野委員 公明党の中野洋昌でございます。  通告に従いまして質問をさせていただきます。  いよいよこの四月から第二期復興・創生期間ということであります。震災から十年、私も経産省の政務官のときには、原子力災害からの復興ということで、担当させていただきました。本当にこの復興というのは、この十年の間で大きく進んできた部分もあるんですけれども、やはり福島原子力災害からの復興というのはまだまだ道半ばでありまして、これを国が本当にしっかりと前面に立ってこれからもやっていかないといけない、こういう新たな決意でおります。  原子力規制庁、規制委員会は、この発足以降、世界最高水準の規制の基準、あるいは政治からの高い独立性や専門性、こういうものを目指して、事故反省を受けてできたものというふうに承知をしています。更田委員長はこの規制庁の発足の当初から御尽力をいただいております。こうした、当初から、この事故からも十年ということでありまして、また、新しく入ってきた方もいらっしゃる、また、職員の方もこの事故の後に、事故の後というか、入ってきた方も多くなってきたんだというふうに思います。  委員長に冒頭質問させていただきたいのは、こうした発足の当初に目指してきたこと、これが、今の原子力規制庁というのが、当初目指してきたものがどこまでできているのか、今、この規制庁の業務というのが、果たして本当に、当初目指してきたことがどのくらいの水準でできてきているのかということについて、まず冒頭、率直にどうお感じになっておられるかというのをちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
  44. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  お尋ねの水準を定量的に申し上げることは難しいといいますか、なかなか不可能なことだと思いますけれども、設置当初に目指したシビアアクシデント対策も含めたきちんとした基準を新たに設けて審査を行う、これは、その後の基準の引上げ、強化も含めてできていると、私自身は一定の自信を持っております。  一方で、やはり自然の驚異を考えることの難しさというのは痛感をしておりまして、地震ですとか津波といった自然現象に対するものには審査に関して予想以上の困難を、具体的には、それが審査期間の長期化という形で表れています。これは、当初思ったものよりも予想を超える困難さがあったと思っております。  また、独立性に関しましては、これまでのところ、原子力規制委員会は高い独立性を持ってその業務を遂行することができていると思っておりますけれども、しかしながら、いわゆる規制のとりこであるとかに戻っていくという危険が去ったというふうには考えておりません。  常にそういった規制のとりこに陥る可能性があるんだということを意識し続ける必要があると思っておりますし、また、安全神話も、安全神話復活を早く摘み取ること、その芽を早く摘み取ること、これは今後とも認識をしておく必要があるというふうに考えております。それを可能にしてきたのは初心でありますので、事故後十年はたちましたけれども、事故発生から十年たちましたけれども、やはり初心を忘れないということが原子力規制委員会原子力規制庁にとって大変重要であるというふうに認識をしております。
  45. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。  率直に御評価いただいたというふうに感じました。そして、委員長がおっしゃった、やはり初心を忘れないというのが非常に、やはり私も大事なんだろうというふうに思います。  常に今の規制の在り方というのは絶対的なものではない、そして常に見直す、こういう姿勢を持って、引き続き委員長にも御職務に邁進をしていただきたいと思いますし、そういう意味では、これから少し取り上げたい、前回の経産委員会との連合審査に引き続いて、柏崎刈羽原発核セキュリティー対策不備、これについて取り上げたいというふうに思います。  まさに、本来であれば東京電力、この事故を起こした事業者として、やはり二度と事故を起こさない、こういう思いでやっていただきたいところですけれども、しかし余りにもずさんな対応であったということで、前回も東京電力も含めて質疑させていただきましたけれども。  改めまして思いますのが、今回、核物質防護事案ということでありまして、なかなか核セキュリティー事案というのが一般に理解が難しいというか、なかなかなじみがない内容で、原子力の安全運転という、原子炉を安全に運転をするという一つの大きな守らなければいけないものがある一方で、核物質の防護、核のテロの対策でありますとか、こうした問題というのは、安全の問題というよりは、むしろ核の不拡散であるとか、あるいは安全保障であるとか、こうした水準で国際社会から求められている、こうしたものを原子力事業者としてはいかに満たしていけるのかということでありますけれども。  先ほど来質疑もありましたとおり、じゃ、具体的に何の基準でどう守るのかということを考えると、これを外に出すと、このぐらいのセキュリティーレベルですということを言ってしまうと、やはり、じゃ、そうするとそれをこうやって破ればいいのかということになってしまうわけでありますので、中身もなかなか表に出せない、どのくらいの対策をやっているかも分からない中でということで、よりこれがなかなか理解が難しいということなんだというふうに思います。  基本的なことも含めて、ちょっと今回、何点か確認させていただきたいんですけれども、核セキュリティーについて、日本の規制がこうした国際的な水準として何を守らなければいけないのか、そして、それを満たしているというのは一体どのように担保されているのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。
  46. 山田知穂

    山田政府参考人 我が国の核物質防護に関する規制要求事項は、国際原子力機関、IAEAが定めております核セキュリティーに関する勧告でございますINFCIRC二二五のリビジョン五というものと整合が図られてございます。  具体的には、原子力施設の周辺に立入り制限区域、周辺防護区域を設け、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施することを求めております。  また、出入口における身分証による従業員等の本人確認ですとか、金属探知機による探知の実施、重要な設備の周辺で作業する場合には二人以上で行うことなどを求めてございます。  なお、各事業者施設の特徴を踏まえて講じた対策の実効性については、原子力規制検査において確認をしているところでございます。
  47. 中野洋昌

    ○中野委員 IAEAの定める基準ということで、そして原子力規制検査で担保するということではあるんですけれども、具体的な中身を聞いていくと詳細には答えられないということになってくるというのが、非常に我々としても悩ましく思っているところであります。  もう一つお伺いをしたいのが、今回のいわゆる核物質防護規定、これは当然守らないといけない規定であり、これが守られていないというのは原子力事業者として非常に大きな問題であるという一方で、安全運転との関わりというのはどういう関係にあるというふうに規制当局として考えているのか。これは、すなわち、委員会でも議論のあったとおり、安全な運転というのは、やはり、外部の目も入る、外のところからもしっかり見られるということで、そういう形でチェックを働かせていくようなものである一方で、セキュリティーがどこまでどうやっていくのかというのは非常に、余り表にも見えないようなところでもあります。  いわゆる核セキュリティー文化、そして安全文化というふうに規制当局としては言っておると思いますけれども、これらの関係について、どういう関係にあると考えてこれから対応していくのか、これは連動していっているのか、それとも全く別個のものであると考えているのか、これについてもお伺いをしたいと思います。
  48. 山田知穂

    山田政府参考人 原子炉等規制法におきましては、安全に関しては、原子力発電所の保安のために必要な措置を保安規定に定めることになってございまして、核セキュリティーに関しては、特定核燃料物質の防護のために必要な措置を核物質防護規定に、それぞれ定めることとしてございます。  保安規定につきましては、公開性、透明性が求められますけれども、先生から御指摘をいただきましたとおり、核物質防護規定については、機微情報については慎重な配慮が必要だということで、性格が異なっておりますので、原子炉等規制法におきましても別の体系として規制をすることになっておりますので、それぞれの体系に従って規制を進めていっているところでございます。
  49. 中野洋昌

    ○中野委員 そうなんですね。規制の体系としても、それぞれの体系として別個に評価をしているということにあるんだろうというふうに思います。  そこで、少し難しいのが、やはり、そういうマネジメント的なところがしっかりしていないということになったときに、では、これはどこまでどういう全体のマネジメントに関わってくるのか、こういうところが非常に難しい判断になってくるのであろうというふうには思っております。  そこで、今回の東京電力核物質防護規定への違反の事案につきまして、最新の状況と今後の対応についてお伺いをしたいというふうに思っておるんですけれども、基本的には、こうした対応区分核物質防護設備機能の喪失に対して第四区分ということで非常に重いものを通知をしていくわけで、それをこれから検査をしていく、こういうことになっていくと聞いております。  これについて、具体的なスケジュール感ですとか、あるいはどのくらいの体制で臨むのかということも含めて、少し具体的に状況を教えていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。
  50. 山田知穂

    山田政府参考人 核物質防護規定遵守義務違反に対する今後の検査については、三月二十三日に開催されました原子力規制委員会において、東京電力に対して、九月二十三日までに根本原因分析の結果の評価並びに安全文化及び核セキュリティー文化劣化兆候特定をした報告書の提出を求めておりまして、追加検査、二千時間をめどにということでございますが、を通じて確認評価をし、その結果を踏まえて必要な規制上の対応を取っていくこととなってございます。  是正措置等の命令につきましては、三月二十四日に開催されました原子力規制委員会において、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に対する原子力規制検査対応区分が第一区分に変更するまでの間、特定核燃料物質の移動禁止の措置を命ずるとの方針が了承されたところでございます。  三月三十一日に開催された原子力規制委員会において、この命令の発出について、行政手続法に基づき、東京電力に弁明の機会を付与することが決定をされまして、同社に同日、通知をされたところでございます。  昨日、本通知に対して、東京電力から、弁明がないとの回答の文書を受け取っておりますので、その内容について改めて原子力規制委員会で御審議をいただきまして、是正措置等の命令が発出されることになるというふうに認識をしてございます。
  51. 中野洋昌

    ○中野委員 ありがとうございます。少し具体的にお話をしていただきました。  こうした是正措置命令については、昨日で確定ということだったというふうに思います。追加の検査についても、二千時間ということで、かなりの時間をかけてしっかりやっていくということであろうというふうに思いますけれども、少しその上で一点確認をしたいのが、東京電力については、福島廃炉汚染水処理水、こうした対策というのも今まさに行っているところであります。これについても、先ほども質問がありましたけれども、昨日、全漁連の会長と総理も直接お会いをされて意見交換もされたというふうに承知をしております。  福島廃炉はまさに復興に直結をする事業でありまして、これが遅れるということは復興そのものが遅れてしまうということでありますので、こうしたことは決してあってはならないというふうにも考えております。  核物質について、移動の禁止の措置ということで命令を出したわけでありますけれども、一点ちょっと確認をしておきたいのが、福島第一原発への廃炉作業、これについて、今回の事案について何か影響があるのか、あるいは、今回の事案を受けて、こうした作業について規制当局としてはどのように取り組んでいくのか、こういうことについても併せて確認をしたいというふうに思います。
  52. 金子修一

    金子政府参考人 東京電力福島第一原子力発電所廃炉作業を進めるに当たりましては、実施計画の変更認可申請を出していただき、我々が審査をするという作業がございます。  この廃炉実施計画審査につきましては、廃炉作業を円滑に進めること、あるいは、施設安全性核物質防護の維持向上に資するものであるという位置づけでございますので、本年三月十七日の原子力規制委員会で、従来同様に進めていくという方針としております。  したがいまして、東京電力福島第一原子力発電所廃炉作業の進捗あるいは継続には影響はないものと認識をしてございます。
  53. 中野洋昌

    ○中野委員 福島廃炉作業は非常に大事でありますので、これをしっかり進めていくということで、確認ができました。  最後に、委員長に二つお伺いをしたいんですけれども、先ほど来、あるいは先日の経産委との連合審査でもありましたとおり、東京電力核セキュリティー不備の問題であります。  私も、多くの委員も感じておるかと思うんですけれども、またかというふうな印象が非常に強いわけであります。毎回、もう二度と繰り返さない、生まれ変わった決意で、まさに毎回毎回そういうことを何か言われている気がして、これは一体、本当に体質改善というのが、非常にこれは根深い問題なのではないか、こういうふうにも感じてしまうようなところもあります。  追加の検査をしっかり、かなりの時間もかけてやっていくということでありますので、今回の検査東電体質の本当の問題が何なのかということがしっかり分かるように、また改善できるように、是非これは厳しく対応していただきたいというふうに思っておるんですけれども、この対応について委員長から答弁いただきたいというふうに思います。
  54. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  一連の事案については、個々の事案に対する知識不足や理解不足といったような捉え方では不十分であろうと思っています。やはり、不祥事が続いていますので、問うべきは組織としての文化であったり姿勢というところまで及ぶべきであろうと思っています。  それだけに、組織や文化というものは押しつけることができないものですから、自ら気づいて、自ら改善する必要がある。そういった点から、まず、東京電力がしっかり自らのことを問い直して、きちんとした報告をしてくれることを期待をしております。  そういった意味で、報告書の提出を、半年間という期間を設けて提出を求めて、また、これをしっかり規制委員会としても精査してまいりたいと思います。  また、検査に関しましては、この報告書の提出を待たずしっかりと進めてまいりたいと思いますし、姿勢、文化となると広範な範囲にわたって、また、二千時間人というような時間は、この時間を達成すればよいというものでは決してありませんので、しっかりと根本となる原因特定できるように、きちんとした検査に努めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 中野洋昌

    ○中野委員 是非よろしくお願いします。  そして、最後に、この核セキュリティー事案、文化を根づかせるというのは、会社にそういうのを促すということだとは思うんですけれども、守秘性も高く、事案の共有もしにくくて、そういう中で、この核セキュリティーの文化が各原子力事業者に定着しているかどうかを確認をしたり促したりしていくという規制の在り方、これは非常に難しいものがあろうかというふうに思うんですけれども、今回の事案を通じて今後どのような取組をしていくのかについても、併せて最後に委員長にお伺いをしたいと思います。
  56. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 二つのことを申し上げます。  まず一つは、情報管理の観点から、閉ざされた集団の中での監視という形になりますので、それだけに、その集団の中でのコミュニケーションが重要であろうと思っています。今後、原子力規制委員会規制庁として、核物質防護事案に関しては、これまで以上に事業者との間の、事業者の状態の把握に努めてまいりたいと思います。  もう一つは、これは具体的な方策としまして、やはり核物質防護に関しては、情報管理を気にし過ぎる余り、専門性のない職員が検査に当たれないというような思いが強かったように思います。今回国会でお認めいただいた新たな検査制度では、常駐する検査官が二十四時間いつでも検査に入れる形になっています。こういった常駐している検査官を核物質防護事案についても活用する、これは既に始めておりますけれども、今後ともこういった活用について前へ進めていきたいというふうに考えております。
  57. 中野洋昌

    ○中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  58. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、浅野哲君。
  59. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日は、与野党の皆様には、質疑順を変えていただく御配慮をいただき、ありがとうございました。  これから質問に入らせていただきますが、まずは、本日は、避難計画についてから質問させていただきたいと思います。  まず、政府の方にお伺いいたしますけれども、原子力関連施設の周辺自治体においては避難計画を策定することが求められておりますが、直近のこの避難計画の策定状況について、全国各地域に原子力関連施設がございますけれども、この策定状況についての最新状況を教えてください。
  60. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  いわゆる避難計画と呼ばれるものには幾つかございます。  まず、原子力災害対策特別措置法第二十八条によって読み替えられる災害対策基本法第四十条及び第四十二条において、自治体は、防災基本計画及び原子力災害対策指針に基づいて、原子力災害に係る地域防災計画を作成しなければならないとされております。  防災基本計画において、この原子力災害に係る地域防災計画につきましては、施設から周囲おおむね五キロ圏内のPAZ及びPAZの外側で施設から周囲おおむね三十キロ圏内のUPZ、この圏内の自治体が作成することとされており、対象となる二十一の道府県及び百三十五市町村の全てで策定済みでございます。  その上で、避難先や避難経路などを具体化する観点から、防災基本計画において、PAZ内の自治体は避難計画を、UPZ内の自治体については広域避難計画をあらかじめ策定することとしております。防災基本計画に基づき策定する避難計画及び広域避難計画については、福島地域の三自治体、東海第二地域の九自治体及び浜岡地域の二自治体の計十四の市町村を除く百二十一の市町村で策定済みでございます。
  61. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  是非皆様には本日お配りさせていただきました資料の三の方を御覧いただきたいと思いますが、こちらに今答弁していただきました内容の一覧表を掲載しております。今ありましたように、福島地域、東海地域、そして浜岡地域においては、まだ一部の地域で避難計画の策定が済んでいないという状況であります。  もう少し踏み込んで、この策定していない地域についての認識を聞きたいと思うんですが、今答弁の中でも触れていただきましたように、この避難計画というのはそもそも法的な位置づけがされております。  資料の四と五の方に、その条文の方を掲載させていただいておるんですが、原子力災害対策特措法二十八条適用後の災害対策基本法の第四十条及び第四十二条にはこのように記載がされております。  まず、都道府県の方は、赤線のところになりますけれども、抜粋して申し上げれば、地域防災計画を作成しなければならないというふうにありまして、下の方に目をやっていただくと、その内容については、避難に関する事項別の計画という記載がされております。これは都道府県のもので、第四十二条、資料五の方に掲載されているものは、これは市町村に対するものですが、こちらも同様の記載がされております。  やはり、避難計画については法的にもこのように明確に位置づけられているものと認識をしているんですけれども、じゃ、先ほど紹介していただいた、まだ策定していない自治体もあるというのもまた現実でありまして、策定していないということはこれらの法律に抵触しているのかしていないのか、それを御答弁いただきたいと思います。
  62. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  委員が今御指摘されましたとおり、避難計画、広域避難計画はあらかじめ策定するものということでございますけれども、東京電力福島第一原子力発電所事故後に改正された防災基本計画に現在はのっとって避難計画を策定するということでございまして、対象となる自治体においては今策定が進んでいる状況でございます。  このため、直ちに災害対策基本法などに抵触するとは考えておりませんけれども、防災基本計画の趣旨に鑑みますと、可能な限り速やかに計画を策定する必要がございます。したがいまして、私どもも関係自治体と一体となって取組を進めているところでございます。
  63. 浅野哲

    ○浅野委員 そうはいいましても、あの事故からもう十年が経過をいたしました。やはり、これは福島での事故教訓を踏まえて法改正をしたものでありますので、しっかりと迅速に対応すべきだと思います。  今できる限り速やかにというような表現もされておりましたけれども、じゃ、その策定に要する期間として、期間に対する言及というのは特段法令の中ではされておりません。政府の認識として、おおむねどの程度の期間内に策定するべきであると考えているのか、その時期の目安についてお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
  64. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  私ども、特段時期について目安というものをお示ししているわけではございませんけれども、この部分は、やはりこの地域防災計画は、現地について、地元について一番熟知している自治体がお作りいただく、そういうこと、さらには、各地域には各地域ごとの事情というものがあるということ、そういうことを踏まえまして、そういう意味で、私ども、自治体と一緒になって、できるだけ速やかに作りたいというふうに、作成していくものというふうに考えておりまして、そういう意味での期限的なものを示しているものではございません。
  65. 浅野哲

    ○浅野委員 地域の事情があることも分かりますし、私、先ほど質疑をされていた石川代議士と同じ茨城でございまして、非常に人口が多い地域でもあります。時間がかかる、そして検討事項が多いのも十分に承知をしておりますが、そうはいっても十年です。十年という期間は決して短い期間ではありませんし、今回、地元の東海第二原子力発電所の水戸地裁の判決以降、様々な議論がされておりますが、一つ私が地元の方に聞いたのは、この避難計画というのは、たとえ再稼働がされなくとも、そこに核物質がある限り作成をしなければいけない、いつ何が起こるか分からない、今策定されていないことに対する不安の声というのもたくさんございます。  これは国民の命を守る取組ですので、できる限り早くという便宜的な表現を使わざるを得ない事情も分かりますが、十年間たってまだなおつくれていないということは厳しく受け止めていただいて、これは国民の安心、安全に関わる話ですので、是非、これまでと同じような取組ではなく、ギアを一段、二段上げるべきじゃないか、そういうふうに考えております。是非よろしくお願いします。  その続きで、じゃ、これからどのような支援を自治体にしていくのか、国としてという考えを聞きたいと思います。  先ほど、本日の資料の最終ページ、資料六にも、現在、避難計画策定に向けた国の支援体制の図を掲載しておりますが、私もこれまでヒアリングを重ねてまいりまして、自治体、そして都道府県、また内閣府防災担当、それぞれの話を聞きました。それぞれを集めて話もしました。一つ思っているのは、これは最終責任の所在がどこにあるんだということなんです。  市町村は、県や国の決定や予算措置がないと動けない、県からしたら、市町村の判断、そして国からの支援がそろわないと動けない、国の方は、自治体が一番分かっているんだから、自治体が自主的に動くのを期待する、こんな言いぶりなわけですよ。だから、皆さんお互い連携はしているんだけれども、果たして最終責任の明確化、そして着実に前進させるという力をどこが発生させるのかというところが極めて分かりづらい構造になっているんじゃないかと思います。  ですから、これまでの十年間はそのやり方でやってきた、でも、現にできていない地域がこれだけある、じゃ、これからどうするんだ、何を変えていくんだ、そういったところについて是非御答弁をいただきたいと思います。
  66. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 政府といたしましては、例えば人口が非常に多い地域では住民の避難先確保が大きな課題である、県内に加えて県外にも避難先を確保するべく、自治体の中で広域避難に係る協議、締結などの取組を進めていたり、また、避難手段として相当数の車両を確保することも大きな課題であるといった中で、自治体やバス会社との緊急協定の締結など、そういった具体的なことを一つ一つ進めているところでございます。  今後、その地域の実情に応じた様々な課題を一つ一つ解決すべく、原子力防災協議会の枠組みの中で、関係自治体と一体となって、原子力防災体制充実強化にしっかりと取り組んでまいりたい、そのような決意でございます。
  67. 浅野哲

    ○浅野委員 是非、目に見える形で改善点というのを示していただきたいということをお願いしたいと思います。  ちょっと改めて一度、政府の参考人の方に確認させていただきたいんですが、先ほど、避難計画が策定されていないという状態が直ちに法令に抵触するわけではないという御答弁でしたけれども、じゃ、これからも策定されない状況が続いた場合、抵触するという可能性もあるんでしょうか。
  68. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  私どもとしては、災害対策基本法という法律に基づいて、市町村にいわゆる避難計画について策定をする責務があるということで理解しておりますので、私どもとしては、その責務が果たせるように、国としてはあくまで徹底的に支援していくという立場でございます。
  69. 浅野哲

    ○浅野委員 ここは明確な答弁をいただけていないと思うんですよね、抵触する可能性があるのかないのかですから。抵触しないように支援していくのは当たり前なんですよ。だから、そこは、そこの認識を自治体や国がしっかりもっとはっきり持つべきだと思うんです。これをこのまま放置すると法に抵触する可能性があるのかないのか。そこは、多分これはやり取りしていても同じような答弁だと思うので、しっかり自治体の皆さんや国自身がその認識をはっきり持って、そして着実にこの防災計画の策定作業を進めていただくようにお願いをしたいと思います。  続いては、東京電力柏崎刈羽核セキュリティーに関して質問をさせていただきたいと思います。  ちょっと質問を少し、時間の関係から飛ばさせていただきますけれども、本日の資料の一枚目の表、資料一のところには、三月十六日に東京電力が発表した柏崎刈羽発電所における核物質防護設備機能の一部喪失事案のプレスリリース資料になります。御注目いただきたいのは、赤線を引いた部分、十五か所のうち十か所で代替措置が不十分な状態が三十日以上あったということがここに書いてあります。  核セキュリティーの観点からすると、具体的な数値というのは余りむやみに出せないのも理解はできますが、ここには十五、十、そして三十日という具体的な数字が三個も出ている。これはなぜ公表できたのか。その理由について教えていただけますでしょうか。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕
  70. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  当社は、基本的な公表スタンスとして、核物質防護事案におきましては、防護措置の脆弱性が解消されないうちは公表を差し控えさせていただいております。また、それが公になることにより核セキュリティー影響が生じる可能性がある情報についても、同様に公表を差し控えております。  今回の公表に当たりましては、三月五日に全ての設備が復旧し脆弱性が解消されたことから、規制庁の判定に関わる事実関係のうち、核セキュリティー影響のない範囲で公表させていただきました。  なお、今後、公表の在り方につきましては、核防護措置の脆弱性が公にならない範囲において適時適切なタイミングでお知らせするよう、原子力規制庁とも相談の上、検討してまいります。
  71. 浅野哲

    ○浅野委員 なぜ核セキュリティーに抵触しないのかという理由部分を聞きたかったんですが、余りここについても答弁ができない、答弁がしにくいというのは事前にも聞いておりましたので、ちょっと私、見方を変えて次の質問をさせていただきたいと思います。  私があらかじめ調査をさせていただいたところ、この三十日以上という日については、既に、本日の資料二を御覧いただきたいんですが、原子力規制庁が作成している核物質防護に係る重要度評価に関するガイドという資料がございますが、この資料の中に三十日という一つの基準となる数字が使われていたんですね。  ここに四つの表が載っていますが、左下の表になります。「物理的防護に関する重要度スクリーニング」という項目の中で、三日未満で物理的防護の機能不全が解消された場合にはグリーンだ、三日から三十日の間に解決した場合には白である、白判定だ、そして、三十一日以上だった場合は黄色以上の判定になるということで、今回は様々な重大な問題も重なって赤判定になったわけですけれども、ここに三日未満、そして三日から三十日、そして三十一日以上という明確な基準値が載っています。  今後、東京電力内で核セキュリティー対策再発防止に向けてどのような対策を取るのかという議論をし、そしてそれを公表することを考えた場合に、当然ながら国会の理解、国民の理解を得なければなりません。そこには透明性ある議論が必要になりますが、ここに規制庁が既に設けている基準値をうまく活用していくのはどうかというふうに思います。  例えるならば、今回、核物質防護が三十日以上機能不全である状態だったわけです。その期間内に点検がされていたかされていなかったのかについては私はちょっと存じ上げませんが、今後の対策を考えるに当たって、例えばこの三日という数字を活用して、三日未満の期間内に必ず機能確認を行う、点検を行うとか、そういう形で明確な対策方針を示していただければ、国民も、既にこの規制庁が緑判定だとしている閾値、それを上回る基準で点検、対策を行うんだということを言っていくことで透明性ある議論ができるんじゃないか、そのようなことを考えているわけであります。  これは一例示でありまして、このような考え方に基づいて、是非今後は透明性ある対策内容の検討そして公表をしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  72. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  先生御指摘機能復旧や代替措置がどのように行われていくかという観点は重要な論点ではありますが、法令要求においては、設備故障時に直ちに十分な代替措置を実施し、速やかに復旧を行うことと認識しております。  今後、こうした法令要求を満たしていくためにどのような対応が必要か、原因究明再発防止策の中でしっかり検討してまいりたいと思います。  情報公開の方針につきましては先ほど申したとおりでございますが、そうした過程において、核セキュリティー影響のない範囲で公表の方針検討してまいりたいと考えております。
  73. 浅野哲

    ○浅野委員 時間が参りましたので、最後はお願いにとどめさせていただきますが。  昨日、東京電力ホールディングス株式会社がこのような資料を公開をいたしました。今回の「核物質防護を含む一連の事案に対する今後の対応方針」という資料なんですけれども、中身を読ませていただきまして、一つ気になることがあります。それは、対策の方向性というのは、今の時点ではそうだろうというようなものなんですけれども、じゃ、これをいつまでにやるのかというところに、時間的な言及がありません。  本日、冒頭、更田委員長の発言の中では、今回の改善措置活動計画等を六か月以内に提出することを要求しましたという発言がございました。明確にこのような期限が切られておりますので、しっかりと時間軸を意識して、これは国民も大変な関心事ですから、そこは是非対応をお願いしたいというふうに思います。  お願いにとどめさせていただきますが、これで私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  74. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、菅直人君。
  75. 菅直人

    ○菅(直)委員 今日は、福島原発事故から十年を経た中での原子力特別委員会ということで、更田委員長に加えて東電小早川社長にもお出ましをいただきまして、どうもありがとうございます。  さて、この十年たった段階で、いろいろな新たな検証が発表されています。  例えば、船橋洋一さんが書かれたこの「フクシマ戦記」上下というのを私も詳しく読んでみました。私自身、当時渦中の人間でしたから、かなりいろんな状況は知っているつもりでしたけれども、例えば、この中で、アメリカ、特に軍が当時どういうことを考えていたのか、当初は五十マイルまでの避難、しかし、海軍は二百マイルまでの避難ということを検討していたというようなことがいろいろと出ておりまして、そういう意味では、この十年を経て、改めて再検証の重要性というものを感じたところであります。  そこで、まず、更田委員長の方に、この事故後、原子力災害対策マニュアルというものを作られておりますけれども、例えば福島原発事故のような過酷事故が再び起きた場合に、放射能のモニタリング実施体制というのはどのようになっているのか。  実は、最近、グレゴリー・ヤツコさん、当時のアメリカのNRCの委員長が日本の新聞にコメントを出しておられますけれども、それなどを読むと、やはり、当時の日本のモニタリングというものに対して、簡単に言えば、十分な情報が全く来なかった。一方で、アメリカでは、エネルギー省の下に被害管理チームが、空中測定システムと呼ばれる航空機モニタリング装置で上空からガンマ線を測って地上一メートルの線量を算出できる能力を備えていたなどと述べておられます。  私も、もちろん二度とああした過酷事故が起きてはほしくないんですけれども、しかし、そういう過酷事故が起きたときに、果たして今のようなモニタリング体制で十分なのかどうか。特にこのマニュアルは、改めて読ませてもらいましたけれども、各省庁が協力するとか自治体と協力するということは書いてありますが、本当にそういうときに、無人飛行機とかヘリを飛ばして実際にモニタリングができる機能、私が考えるところでは、当時のことを思い出してみても、やはりそれは自衛隊にあらかじめそういう装備も備えていただいて、万一のときには、そういう自衛隊が中心となったモニタリングも従来のものと加えてやっていただくような体制が必要じゃないか、そう感じたものですから、これは更田委員長にその見解を伺いたいと思います。
  76. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 先生御指摘の広域のモニタリングにおきましては、確かに航空機モニタリングが大変有効な手法であろうと思っております。  原子力規制委員会は、原子力災害対策マニュアルに基づいて、放射性物質が大量に放出されたような事故に対して航空機モニタリングが必要になった場合は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構と連携をして、必要に応じて、自衛隊等の関係機関支援を受けて、航空機モニタリング実施する体制を整備しております。  このための準備としまして、昨年度は新型コロナ感染症の影響もあって原子力総合防災訓練を行うことができませんでしたけれども、毎年実施をしております原子力総合防災訓練において、防衛省と共同しまして航空機モニタリングに係る実動訓練を実施しておるところでございます。  引き続き、こういった広域のモニタリング体制機能の維持及び強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
  77. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の委員長説明を受けて少し私も安心したんですが、少なくとも、この原子力防災対策マニュアルを読むと、横並びの一つとして自衛隊が書かれていて、自衛隊にそういうときに備えた装備をしっかりと持つことが可能になっているのかどうか、必ずしも明らかになっておりませんでした。  そういった意味で、今の更田委員長のおっしゃることを前提として、やはり万一に備えて、今の日本の場合のモニタリングというのは、私もいろいろ聞いていて、当時から、文部省が管轄しているとか、あるいは、もちろんサイト内は各電力会社が管轄しているとか、今言われた航空機によるモニタリングというのは当時は必ずしも準備されていなかった、当時、私、責任者ですけれども、そういうことを感じておりますので、そこはしっかりと万が一に備えての対応を、今の更田委員長が言われたことの実践を是非お願いをしておきたいと思います。  さて、今日は小早川東電社長においでいただいておりますが、まず、あの十年前の福島原発事故当時、小早川さんはどういう部署でおられましたか。
  78. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えします。  事故当時、私は当時の神奈川支店営業部に所属しておりました。計画停電の対応電力需給が厳しかったことなどもあり、お客様への節電、使用制限のお願いなど、様々なお客様対応に従事しておりました。
  79. 菅直人

    ○菅(直)委員 当時、直接には福島原発事故対応には当たっておられなかったというように、今の答弁も含めてお聞きをいたしております。  そこで、ちょっと具体的なことになるんですが、当時責任者でなかったことは分かった上でお聞きするんですけれども、例えば、二〇一一年三月十二日十五時三十六分に福島の一号機が水素爆発をしたことが、これは東電も含めて認めておられます。しかし、当時、原災本部の本部長は私でしたけれども、その報告は届きませんでした。その報告は、結局、十六時五十分、一時間を経て、日本テレビのテレビ放送で知ったんです。  当時のことですけれども、質問通告に書いておきました、なぜ、この一号機の爆発という大変な出来事が一時間以上も原災本部の少なくとも本部長に届かなかった理由はどこにありますか。
  80. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  当社といたしましては、テレビ会議の映像、音声記録など既に公表できるものは全て公表させていただいております。  その上で、御指摘の水素爆発につきましては、本来、災害時に情報を一元的に集めるオフサイトセンターが機能していなかったこと、全電源喪失に伴い所内連絡用の有線ページング設備、PHS共に使用不能になっていたことなどにより、情報把握及び伝達が非常に困難な状況となっておりました。  その上で、当社は、三月十二日十六時二十七分、政府及び関係自治体に対し、比較的強い揺れを感じたこと及び一号機付近で発煙が上がっていることの通報を行っております。  いずれにいたしましても、情報把握及び伝達が困難な状況であったことから報告が遅れる事態につながったと考えられます。  以上です。
  81. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く答えになっていません。  当時、東電本店からは武黒元副社長が官邸に来て、状況を伝えていただきました。もちろん、それ以外にも原子力安全・保安院の院長も来ていました。しかし、その人たちからも、特に東電から来ていた人たちも、今社長そのものが言われたように、一時間以上ですよ。しかも、一時間たったときに、聞いたのはテレビ放送ですよ。  そうなった理由をちゃんと検証しておいてもらいたいということで質問通告をしたんです。検証していないんですか。
  82. 小早川智明

    小早川参考人 ただいまの繰り返しになりますが、本来、災害時に情報を一元的に集めるオフサイトセンターが機能していなかったこと、全電源喪失に伴い所内連絡用の有線ページング設備、PHS共に使用不能になっていたことなどにより、情報把握及び伝達が非常に困難な状況となっておりました。  いずれにいたしましても、情報把握及び伝達が困難な状況であったことから報告が遅れる事態につながったものと考えております。
  83. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く答弁が変わっていません。電話一本だってかけられるじゃないですか。武黒元副社長に電話一本、こういうことが起きたとかけられるじゃないですか。先ほどのオフサイトセンターのことも私も知っています。オフサイトセンターが機能しなかったといっても、テレビ会議は、つけたとかつけないとか言われていますけれども、テレビ会議は、本店と福島の間ではテレビ会議はつけられるようになっているわけです。  そこで、もう一、二点、話を進めてみたいと思います。  東電本店と福島第一原発などを結んでいたテレビ会議の映像、音声記録について、地震発生の三月十一日十四時四十六分から三十時間余りの記録は今なお公表されていないと理解しています。  事故十年を契機に、小早川社長責任で、東電自身がもう一度この事故を再検証する。その中には、当然ながら、このテレビ会議の映像は、いろいろ説明は聞きました、音だけあるとか絵だけあるとか、こっちだけあるとかあっちだけあるということを言われましたが、幸いにして、先ほどのように、小早川社長は当時の責任者ではありません。逆に言えば、国民の信頼を、東電が、今大変失墜をしている中にあって、もう一度、十年前のことを自らの手でしっかりと再検証する。  そういったテレビ会議の映像が私はどこかには残っていると思います、だって、各サイトが全部、テレビ会議のシステムを持っていたわけですから。そういうことをきちんと再調査して、新たに出てきたものについてはきちんと公開する、それを約束してもらえませんか。
  84. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  当社といたしましては、録画を開始した時点から事故後の一か月程度の間のテレビ会議映像について、存在が確認できたものは全て公開させていただいております。  他方、地震発生から約三十時間の録画につきましては、存在しておりません。  以上でございます。
  85. 菅直人

    ○菅(直)委員 社長、自らの手で再検証されましたか。その説明は、私も嫌というほど聞いています。  しかし、例えば、私が十五日に東電本店に行って、かなり厳しいことを言いました。それも、画像は残っているけれども音声は残っていないといって、いまだに公表されていないんですよ。不自然じゃないですか。  ですから、私は過去のことを聞いているんじゃないんです。今の、現在の東電ホールディング社長として再検証をすべきだと思います。  その中に、今申し上げたようなことも、本当にこの三十時間のが、一番重要なところですよ、会長も社長も日本にはいなかった、多分大混乱だったんでしょう。そういう状況も含めて、しっかりと記録に残すことが、こういう事故に対する検証の意味じゃないですか。今なら十年目ですから、まだ当時の関係者はほとんど生きておられるでしょうから。これが二十年目になったら、もう再検証は不可能です。  ですから、過去のことはお聞きしません。今からもう一度再検証をするということをこの場で約束してもらいたい。もしできないなら、なぜできないのか。過去のことは聞きませんよ。今から再検証すべきだということをお約束してください。
  86. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  まず、既に記録されているものにつきましては全て公開させていただいていることは先ほど述べたとおりでございますが、当社といたしましては、福島原子力事故調査報告書及び福島原子力事故の総括および原子力安全改革プランの報告書の取りまとめを通じ、事故の検証と総括を実施し、事故発生に至るプロセスを解明、公表させていただいております。  当社といたしましては、この報告書と改革プランに基づき、実効性のある取組を進めることが重要だと考えております。
  87. 菅直人

    ○菅(直)委員 これでは、東電に対して国民が信頼を回復するなんてことは不可能じゃないですか。  先ほど申し上げたように、そういう報告が来ていることはよく知っていますよ。しかし、改めて、ある意味では、当時社長という場になかったあなただからこそ、ある意味、白紙の立場で、もう一度調べてくれと部下に対して命令したらどうですか。過去のことの報告じゃないですよ、これから改めて再検証をしてくれと指示をしたらどうですか。
  88. 小早川智明

    小早川参考人 先ほどからの繰り返しになりますが、福島原子力事故調査報告書及び福島原子力事故の総括および原子力安全改革プランを踏まえ、事故の検証と総括を実施し、事故発生に至るプロセスにつきましては解明、公表を既にしております。  事故の根本原因分析し、その背後要因として、安全意識、技術力、対話力の不足という問題があり、安全は既に確立されたものと思い込み、事故備えが不足したという結論に至っております。  当社は、事故反省教訓から安全改革に取り組んでまいりましたが、今後とも、この報告書と改革プランに基づき、実効性のある取組を進めることが重要だと考えております。
  89. 菅直人

    ○菅(直)委員 結局は、再調査を拒否するということですか。
  90. 小早川智明

    小早川参考人 先ほど……(菅(直)委員「同じことではなくて、拒否するということですか」と呼ぶ)私どもといたしましては、これまでの調査で明らかになったものは全て公表させていただいておりますし、その調査の中身につきましては、自社の反省教訓に役立てております。そうした観点から、御質問お答えさせていただきました。
  91. 菅直人

    ○菅(直)委員 まさに調査を拒否する、そういう意味ですね。  では、もう一、二点、同じようなことでお聞きします。  先日のいろいろな報告といいましょうか、中で、NHKのEテレが三月六日に放送した中身、これには少し驚きました。その中では、自衛隊の広中統合幕僚監部運用部長、当時は、その番組の中で、事故一週間後に、東電の勝俣会長、当時から、自衛隊に原子炉管理を任せますと言われたと、その番組の中で証言されています。  これについてもあらかじめ質問通告をいたしておりますが、社長は、そういう事実があったかどうか勝俣元会長に確認されましたか。もし確認されたとしたら、その内容を明らかにしてください。
  92. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  まず、当社事故調査報告書では、そのような事実はございませんでした。  また、本年二月二十二日にNHKより当社広報室に事実関係の問合せがあり、社内関係者に確認をいたしましたが、そのような趣旨の発言があったという事実は確認できなかったため、その旨をNHKには返答しております。  なお、既に退職している者に関しましては、当社は事情を確認する権限もございませんので、確認しておりません。  以上でございます。
  93. 菅直人

    ○菅(直)委員 ということは、勝俣元会長には問合せもしていないということですか。
  94. 小早川智明

    小早川参考人 本人は既に退職しており、当社は事情を確認する権限もございませんので、確認しておりません。
  95. 菅直人

    ○菅(直)委員 政府事故調、民間事故調、国会事故調とあります。  政府事故調は、確かに、調査をするときに、その公表をそのままはしておりません。しかし、その後、しゃべった当事者が公表して結構ですよと言われたものは、全部公表しました。私なども、ヒアリングを受けた当事者です。  当時、吉田所長については、私の記憶が間違っていなければ、報道がいわばすっぱ抜いた形で、そのときの調査に対してしゃべられたことが公表されて、大変大きな、もちろん話題になりました。  今も、政府事故調に対して、東電の当時の社長や会長などの、その中でしゃべったことについては、ほとんど、当事者が了解をしないという形で、公表されていません。  社長として、もちろん今は辞めておられるかどうかは別として、当時は責任者だったんですから、そういう人たちに、やはり、ここまで来て、十年たって、これからのことを考えたら、当時のことをきちんと国民に、いいことも悪いことも知らせるべきだということで、公表を認めるように、社長として当時のそういう関係者に強くお願いをされたらどうですか。
  96. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  政府事故調のヒアリングは非公開を前提として実施されたものと認識しており、内閣府のホームページで公表されているものは、その後、個別に行われた本人への意向確認を踏まえて公表されたものと認識しております。  したがいまして、個人の意思で決めたものであり、会社として強制するべきものではないと考えております。
  97. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、個人として決めたものであるから会社として言う必要がない、そんなことで、今も、今日も問題になったあの柏崎刈羽の問題も、同じことになるじゃないですか。  会社としての責任というのはないんですか。少なくとも、これだけの大きな事故が起きて、今なお大勢の人が避難をし、多分、あの事故を起こした一号機から四号機の、事故炉の廃炉というのは他の廃炉とは全く違いますからね。  私もチェルノブイリを見てきました。いろいろなところを見てきました。チェルノブイリでいえば、事故が起きて三十五年たった今日、改めて大きなドームをかぶせて放射能の飛散を防ぐ。百年間は大体そういう状態で、いわば放射能が、レベルが下がるのを待とう、そういう対策が取られています。  福島についても、いろいろと、二十年とか三十年とかいろいろな日月が言われていますが、私は、チェルノブイリの事故よりも何倍、何十倍と過酷な事故ですし、あのデブリの存在は、とてもではないけれども、それを取り出して、ほかに移すなんということは不可能だと思います。  しかし、そういう状況を含めて、当時のことについて東電が再調査をするということは当然あっていいんじゃないですか。その東電の再調査に対して、さらに、例えば、当時の会長とか社長が再調査に対しても協力しないというのであれば、それはそれをこの場で言ってください。我々が再調査のお願いをいたしました、しかし拒否されました。それならそう言ってください。場合によったら、証人喚問でもして国会に出てきてもらうことも、私は、検討するに、ある意味では価値があるというか、そういう重大なことだと思いますから。  社長として、改めて再調査をする意思があるか、あるいは、そういう皆さんに対して、そういう証言について公表する意思があるか。ないのならないと、なぜないのかも含めて言ってください。
  98. 小早川智明

    小早川参考人 御質問お答えいたします。  先ほどからの繰り返しになりますが、福島原子力事故調査報告書及び福島原子力事故の総括および原子力安全改革プランを踏まえ、事故の検証と総括を実施し、事故発生に至るプロセスにつきましては既に解明し、公表させていただいております。  当社といたしましては、この事故反省教訓から、今後も、この報告書と改革プランに基づき、実効性のある取組を進めることが重要だと考えております。
  99. 菅直人

    ○菅(直)委員 私の聞いたことに答えてください。再調査をしないということですか、あるいは、そういう皆さんに対してお願いをしないということですか。  過去のことを聞いているんじゃないんです。今まではこうだったという説明ばかりじゃないですか。これから再調査をするのか、しないのか。これから、そういう、当時の幹部の皆さんにお願いされるのか、されないのか。これからのことを答えてください。
  100. 小早川智明

    小早川参考人 本当に繰り返しになって申し訳ございませんが……(発言する者あり)
  101. 渡辺博道

    渡辺委員長 質問に答えてください。
  102. 小早川智明

    小早川参考人 既に得られている情報については、映像記録も含めて公開させていただいておりますし、福島原子力事故報告書……(発言する者あり)
  103. 渡辺博道

    渡辺委員長 静粛にしてください。  社長質問に的確に答えてください。
  104. 小早川智明

    小早川参考人 既に事故発生に至るプロセスは解明、公表させていただいているという認識におります。当社といたしましては、この報告書に基づき、実効性のある取組を今後続けてまいりたいと考えております。
  105. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、そこはもう三回も四回も聞きました。その上で、やはり十年たって、いろいろな方がいろいろな新たな当時の状況を検証して、いろいろ発表されています。そういうことを踏まえて、せっかく小早川さんは、当時は直接に関係しなかった、ある意味では中立といったらいいかどうか分かりませんが、そういう立場でおられる人だから、もう一度再調査をすべきではないですかということに対して、イエス、ノーで答えてください。  先ほどのは、過去の話だけじゃないですか。イエス、ノーで答えてください。
  106. 小早川智明

    小早川参考人 既に事故の検証と総括は実施しており、事故発生に至るプロセスを既に解明、公表していると認識しております。(菅(直)委員委員長、これは駄目ですよ」と呼ぶ)
  107. 渡辺博道

    渡辺委員長 ちょっと答えていないと思うので、的確に質問に答えていただきたいというふうに思います。  小早川社長、的確にお願いします。
  108. 小早川智明

    小早川参考人 検証は既に行っているものと認識しております。
  109. 菅直人

    ○菅(直)委員 繰り返しますが、過去のことを聞いていません。これからもう一度再検証をすることは、やれませんか。そして、その中に、当時の会長とか社長に対しても、当時のその調査でしゃべられたことを公表するように要請されませんかと、未来のことを聞いているんです。あなたは、過去はこうだ、ああだと。あなた、社長を続けるんだったら、国民の前でそんなことで通用しますか、本当に。
  110. 小早川智明

    小早川参考人 当社といたしましては、これまでの報告書、改革プランに基づき、実効性のある取組を進めていくことが重要だと考えております。(菅(直)委員委員長、答えさせてください、やらないならやらないで。どっちかなんだから。やるかやらないか」と呼ぶ)
  111. 渡辺博道

    渡辺委員長 じゃ、もう一度ちょっと、菅直人君。
  112. 菅直人

    ○菅(直)委員 だから、再調査をやるかやらないか、少なくとも社長の意思としてですよ、それについてイエスかノーか答えてください。
  113. 小早川智明

    小早川参考人 私どもといたしましては、既に検証は行われているものと認識しております。
  114. 菅直人

    ○菅(直)委員 質疑の時間が来ましたので、あえてこれ以上は同じことを繰り返しませんが、これは、委員長を始め、ここにおられる皆さん、お分かりだと思うんです。  私は、別に十年前のことの責任を暴き立てるためにやってくれと言っているんじゃないんです。ですから、社長も、当時は関係のない立場にいたんだから。しかし、これだけのいろいろな報告が出てみると、当時、私も、もちろん渦中にいましたから、かなりのことは知っていたつもりでしたけれども、それでも、あっ、こういうこともあったのか、ああいうこともあったのかと、たくさんのことが出ています。  一番よく分かっているのは東電なんですよ。しかし、残念ながら、東電は生の情報は、吉田所長の情報がすっぱ抜かれたことによって出た以外では、ほとんどは出ていません。  ですから、証言でなくても、あるいは、そういう偉い人の証言でなくても、まだまだ現場にいた方はたくさん東電におられるはずですから、私は、このことは是非、理事会でも、今のような答弁で済ませるのか、あるいは、場合によったら、これは簡単なことではありませんが、証人喚問で当時の人に来てもらうということも、国会機能としてはあるわけですから、そのことも是非……(発言する者あり)もちろん、総理大臣が呼ばれたら幾らでも出ますけれども、その当時の総理大臣ということであれば出ますけれども、是非そのことを理事会でも検討いただきたい。そのことを申し上げて、今日の質問を終わります。
  115. 渡辺博道

    渡辺委員長 後刻、理事会で検討させていただきます。
  116. 菅直人

    ○菅(直)委員 はい。ありがとうございました。
  117. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、逢坂誠二君。
  118. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。  よろしくお願いします。  今日、私は、避難計画について主に聞かせていただきたいと思っています。  まず冒頭に、大間原発の新規制基準審査申請時に最も影響の大きいものとして想定されている事故、すなわち、原子炉冷却材が流れる配管の破断時に非常用炉心冷却系の機能が喪失し、かつ全ての交流電源が喪失する事故で、環境に放出されるセシウム137の放出量は百テラベクレルを下回る、こういうことが大間原発の新規制基準申請時に事故として想定されているわけでありますけれども、まず規制庁にお伺いします。  この百テラベクレルを下回る事故というのは、福島第一原発事故に比べてどの程度の規模のものなのか、これを教えていただけますか。
  119. 山形浩史

    ○山形政府参考人 お答えいたします。  東京電力福島第一原子力発電所事故では、解析結果などから、環境へのセシウム137の総放出量、すなわち三基合計で約一万テラベクレルであったと評価されております。したがいまして、百テラベクレルは東京電力福島第一原子力発電所事故の約百分の一の規模になります。
  120. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 福島の百分の一程度の規模を想定していると。  それじゃ、重ねて規制庁にお伺いします。  大規模な原子力事故発生したとしても、様々な対策を行った結果、百テラベクレルを下回る対策を講ずることができれば、新規制基準をクリアできるとの理解でよろしいでしょうか。
  121. 山形浩史

    ○山形政府参考人 お答えいたします。  設置許可基準規則解釈、そういうのはございますけれども、重大事故発生した場合において想定する格納容器破損モードというのを定めております。  この想定する格納容器破損モードに対して、セシウム137の放出量が百テラベクレルを下回っていることを格納容器破損防止対策の有効性評価に関する審査ガイドに定めておりますので、今の御質問であります百テラベクレルを下回っていることというのは必要な条件になります。  その他いろいろな審査がございますので、それらも含めて許可の判断をするということになります。
  122. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 ちょっと今、更田委員長が私の質問の最中に首を横に振っていたようなんですけれども、更田委員長、これはどう理解すればいいんですか。ここのところを私は更田委員長から直接お伺いします。
  123. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  ただいま山形対策監からお答えしましたけれども、新規制基準に対する適合性の審査の中では、まず、先ほどお答えした百テラベクレル以下のものというのは、緩和する対策機能したときの、いわゆる成功パスのときの値です。この成功パスの結果が百テラベクレルを下回っているということは確認する必要があって、成功パスでもそれを上回る場合というのは許可することができません。  さらに、その審査の中では、百テラベクレルを上回るような事故が起きた場合の対策についても審査を行っております。  そういった意味で、百テラベクレルを上回る、下回るが合格であるとか不合格であるとかという基準になっているわけではございません。
  124. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今の話をもう少し、後で掘り下げてみたいと思います。  それでは、今の話から判断すれば、これは規制委員長にお伺いしますけれども、新規制基準をクリアすれば、例えば地震とか津波とかテロ、こういうものがあろうとも、百テラベクレル以上の事故発生しないという意味ではないんだということでよろしいですかね。
  125. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 たとえ新規制基準に適合している炉であっても、百テラベクレルを上回るような放射性物質の放出を起こす事故可能性というのを否定すべきではありません。  したがって、先ほどお答えしましたように、百テラベクレルを上回る事故に対しても対策を求めておりますし、さらに、防災を考える場合は、大規模な事故を起きるのは起きるものとして考えることが基本でありますので、これは繰り返しになりますけれども、適合している炉であっても、百テラベクレル以上の放出を起こす事故可能性を否定するべきではないというのが規制委員会立場でございます。
  126. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 よく分かりました。  じゃ、それを踏まえた上で、内閣府の防災担当の副大臣にお伺いしますが、要するに、事業者としては百テラベクレルを下回る規模の事故前提にして申請をしている、だけれども、市町村が避難計画を作る際に、そもそも事業者が想定している事故規模を想定して作るのか、あるいは、それ以上の、今更田委員長が言ったような、もっと重大な事故も起こるんだということを前提にして避難計画を作るべきなのか、内閣府防災担当、いかがでしょうか。
  127. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 市町村は、原子力災害対策指針等に基づいて、当該指針が定める防護措置を実施するための地域防災計画、そして避難計画を作成することとなっておりまして、このいわゆる原子力災害対策指針というものは、東京電力福島第一原発事故教訓を踏まえて原子力規制委員会が策定したものであるということを申し上げます。
  128. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 防災担当をしている割には、余り明確に市町村がどういう前提において計画を作るのかということは言っていただけなかったように思うんですけれども。  内閣府が答えられないということであれば、原子力災害対策指針を作った規制庁はこの点についてはどう考えているんでしょうか。計画をどのレベルで市町村は作ったらいいのかということに関して、お願いします。
  129. 山田知穂

    山田政府参考人 原子力災害対策指針にどのように書かれているかということについて、御説明をさせていただきます。  原子力災害対策指針では、東京電力福島第一原子力発電所事故のような放射性物質の大規模な放出に至る場合も想定して、防護措置の基本的な考え方を示しているところでございます。
  130. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 委員長、面白いですね。内閣防災も規制庁も、市町村が避難計画を作るときにどれを前提にして作るかということを余り明確に言わないんですね。指針の方は大規模なものも想定している、内閣防災は何を答えているのか、余り私にはよく分からない。不思議ですね。  これ、誰に聞いたらいいのか分かりませんけれども、これから自治体が避難計画を作る上で、何を前提にすべきなのか。原子力災害対策指針にはそう書いてありますということだけを言っているんですが、そう書いてあることを前提にして、それじゃ、相当大規模な事故まで想定すべきだという理解で、更田委員長、いいんでしょうか。これは更田委員長に聞くのが適切なのかな。  防災計画はどちらかというと内閣府なんですよね。どうなんですか、これ。市町村が計画を作るときに答えられない、対応できないじゃないですか。どうしたらいいんですか。それとも、市町村が自主的に判断をして、災害の規模についても考えてくださいよと言うなら、それはそれで一つの考え方だとは思うんですが、いかがですか。
  131. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 市町村様につきましては、原子力災害対策指針に基づいて作成していただくようにこちらとしてはお願いしているところでございます。
  132. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 ということは、更田委員長福島並みのことも原子力災害対策指針は考えているんだから、避難計画は福島事故のようなもの、そういう規模まで想定して作るべきだというのが政府の考え方という理解でよろしいですか。
  133. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 災害対策指針を策定する際のときの考え方について申し上げますけれども、その際には幾つかの解析結果等も参照しましたが、その解析結果というのは、東京電力福島第一原子力発電所事故のときの放射性物質の放出を考えております。ですので、大体、セシウム137でいえば一万テラベクレル相当の事故というのをカバーすべく対策指針を考えております。  一方で、具体的な計画を策定するときの想定は、これは必ずしも一つに限らないと思っています。最大の場合に備えておけば最も有効な計画が作れるかというと、必ずしもそうではありませんが、ただ、先生のお尋ねのその最大の想定という点では、対策指針は東京電力福島第一原子力発電所相当の事故というものを考えております。
  134. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 何かよく分からなくなってきましたね。それじゃ、市町村の皆さんはどういう基準で、これはどういう考え方で避難計画を作ったらいいのか、前提条件がぐらぐらするような気がするんです。指針は分かりました。指針の考え方は分かりました。  内閣府としては、それは地域原子力防災協議会で確認をすることになっているんですかね。じゃ、確認するときの考え方というのは何を前提にして確認するんですかね。もし、事務方でもよろしいですけれども、佐藤さんですか、よろしくお願いします。
  135. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  私どもが緊急時対応確認するのは、まさに原子力災害対策指針あるいは防災基本計画などで示している、例えば原子力災害対策重点区域がどのような範囲であるのか、あるいは放射線からの防護措置としてどういった措置をどのようにとっていくかということでございます。  そういったことについて、事故の規模に関係なく、そうしたものをしっかりと書き記してあることを確認しているものでございます。
  136. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 非常によく分かりました。はっきりしないということが非常によく分かりましたので、一回これは議事録を整理して、もう一回、次の機会に改めて質問をさせていただきます。  次に、それでは、福島事故以降、原子力災害対策指針に基づいて市町村が避難計画を定めることが義務づけられたわけですが、これはいつからであるのかということと同時に、原子力災害対策指針に基づく避難計画の義務づけによって、この義務づけがされる前と後で対象になる市町村、幾つ増えたのかということをお知らせください。
  137. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  今二つ御質問いただきました。  まず最初に、市町村が原子力災害対策指針などに基づいて原子力災害に係る地域防災計画を作成することとされたのは、平成二十五年三月十八日でございます。  この日付、平成二十五年三月十八日というのは、原子力規制委員会設置法制定に伴う原子力災害対策特別措置法第二十八条、これは災害対策基本法の規定の読替え適用などがあります、の条文ですけれども、この改正の施行日に当たるものでございます。  続いて、もう一つ御質問いただきました点でございますけれども、原子力災害対策特別措置法に基づき、地域防災計画原子力災害対策編を作成しなければならない市町村は、現在百三十五市町村でございます。  平成二十五年に新たに義務づけられた時点以前においては四十五市町村が対象であったということでございますので、九十の市町村が新たに増えたということでございます。
  138. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 福島以降は九十の市町村で新たに計画をつくらなければならなくなったということだということでありますけれども、今言われた九十の市町村、新たに作成義務が生じた市町村に対して、法改正施行前の段階で、新規にあなたの自治体、あなたの市や町や村は避難計画の策定が必要ですよといったようなことをきちんと説明をして、そういうことについて納得をいただくというようなプロセスを国としては踏んでいるかどうか、これについてお知らせください。
  139. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  原子力災害対策の重点区域を拡大するといった原子力災害対策指針案の概要とか、あるいは、市町村が原子力災害対策指針などに基づいて市町村の地域防災計画の策定が義務づけられますよというようなことにつきましては、道府県の原子力防災担当者連絡会議を通じて、国と関係道府県との意見交換や情報交換を行い、国から関係道府県へ説明し、意見交換を行っていました。  それで、道府県に説明したということですけれども、そもそも道府県については、災害対策基本法の第四条において、その区域内の市町村が行う防災の取組を助け、総合調整を行うことが責務ということでございますので、市町村に対しては道府県から情報共有や意見集約がされていたものと認識しております。  さらに、原子力災害対策指針の今は概要でしたけれども、今度は原子力災害対策指針の案については、規制委員会の平成二十四年度の第六回委員会、日付でいいますと平成二十四年十月十九日の会合で、原発立地道県が構成する原子力発電関係団体協議会及び原子力発電所立地市町村が構成する全国原子力発電所所在市町村協議会から意見聴取が行われるとともに、周辺自治体を含む関係道府県や市町村へも意見照会を行ったという結果の報告があったものと承知しております。  その際のいただいた御意見としては、対象範囲が広がったことを踏まえ、地域防災計画策定における国の積極的関与を求める御意見が寄せられたものと承知しております。  いずれにしても、このような経緯を踏まえて、地域原子力防災協議会の枠組みの下、国と関係自治体が一体となって地域防災計画の具体化、充実化に取り組んでいるところでございます。
  140. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 長々とありがとうございます。規制委員会のことまでお話をいただきました。ふだんは縦割りで言わないはずのところまでしゃべっていただきまして、ありがとうございます。  結論から言うと、原子力発電所の所在市町村や協議会に対しては説明をしている、都道府県にも説明している、だけれども、立地、新たに今度計画を策定する義務が課せられた九十の市町村については、災害対策基本法の四条に基づいて都道府県がやってくれるのかもしれないなという、そういう程度のことですね。  都道府県がやったかどうか確認しているんですか。
  141. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  道府県に対して確認したかということについては、私ども、確認したということは残っておりません。  ただ、災対法の四条、先ほど申し上げたところで、道府県の責務ではございますので、そこのところはしっかりと、本件に限らず、そもそも道府県は、その構成する市町村の事務などを総合調整するというものがそもそもの役割でございますので、そこはその前提でそうしたものが行われるはずであろうということでございました。
  142. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 委員長、はずであろうという非常に曖昧な答弁ですね。分かりました、はずであろうと。  それでは、次に、現在の災害対策基本法上、避難計画の策定が義務づけられている市町村のうち、地域原子力防災協議会で緊急時対応確認されていない市町村、この名前を教えてほしいんですね。  それで、全部言うとすごく時間がかかりますので、あえてちょっと地域を絞ります。三つ、大間原発柏崎刈羽原発、東海第二原発、この中で緊急時対応確認されていないのはどこか、市町村名をお知らせください。
  143. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  まず最初に、大間原子力発電所に係る地域原子力防災協議会は、まだこれは設置されていないために、緊急時対応を取りまとめ、確認することにはなっておらず、対象となる市町村を列記して今お答えできる段階ではございません。  次に、柏崎刈羽原子力発電所に係る地域原子力防災協議会における関係市町村は、柏崎市、刈羽村、長岡市、小千谷市、十日町市、見附市、燕市、上越市、出雲崎町の計九市町村でございます。  そして最後に、東海第二発電所に係る地域原子力防災協議会における関係市町村でございますが、東海村、日立市、ひたちなか市、那珂市、水戸市、常陸太田市、高萩市、笠間市、常陸大宮市、鉾田市、茨城町、大洗町、城里町、大子町の計十四市町村でございます。
  144. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 佐藤審議官、今列挙された自治体名が、協議会でまだ確認されていない自治体ということでよろしいですね。うなずいていただければいいです。よろしい。うなずいていただきましたので、そのとおりだということで。  そこで、副大臣にお伺いしたいんですが、今列挙された自治体、大間ではまだ自治体の名前は決まっていないということでありましたけれども、いつからここは計画を作成すべきなのかというふうに国は考えているのか、また、いつまでに計画を作成すべきなのかと考えているのか。特に、その計画を作成すべき時期、いつまでにというところについては、再稼働に関するものと新設原発に分けて考え方を聞かせていただければと思います。
  145. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 いつからということでございますが、開始時期については、災害対策基本法等において特段の定めはなく、各自治体の判断によるところでございます。  また、作成の期限については、原発が既に立地している地域の地域防災計画、避難計画については、可能な限り速やかに作成する必要があると思っております。また、大間原発のような建設中の原発の場合には、当該原発に初めて燃料棒が装荷される時点までに作成が必要であると思っております。
  146. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 策定の開始はそれぞれの自治体判断で、それから、再稼働に関するところはできる限り速やかに、新設については核燃料が装荷されるまでに作ってほしいというのが国の基本的な考え方だと。  そこでなんですけれども、経済産業大臣にお伺いしたいんですが、梶山大臣が、これは総理も言っているんですけれども、しっかりとした避難計画がなければ核燃料は装荷しないと答弁をしているんですね。この観点から、例えば、原子力事業者というのは、自治体の避難計画の策定、原子力防災会議で了承を待ってから核燃料を装荷するのか、それとも、いや、そうじゃないんだ、事業者の方であらかじめ日程を、これぐらいのところで核燃料を装荷する予定なんだ、だから、それに合わせて自治体では避難計画を作り、原子力防災会議での了承を取ってほしいという立場なのか、この大臣答弁というのは、これはどういう立場なんでしょうかね。  要するに、避難計画を前提にするのか、核燃料を装荷するという日程を前提にするのか、これはどちらなんだ。これは、でも、市町村にとっては非常に大きなことなんですね。避難計画というのは作るのが大変、これは時間がかかりますし、難しいものでありますから、この辺り、いかがでしょうか。
  147. 江島潔

    ○江島副大臣 まず、避難計画でありますけれども、これは原子力発電所の稼働の要件ではないんですが、ただ、地元の安全、安心の観点から、稼働するしない、これに一切かかわらず策定することが必要なものと考えております。  したがいまして、大間原発のように建設中の原子力発電所につきまして、燃料装荷のタイミングによって避難計画の策定時期が決まるという制度では決してございません。  その上で、避難計画がない中での建設中の原発への核燃料の装荷あるいは再稼働というものが実態として進むことはないというふうに考えております。
  148. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今の答弁からすれば、核燃料の装荷のタイミングが避難計画と連動しないかのような答弁に聞こえたんですけれども、それじゃ、自治体は自治体の事情によって避難計画を淡々と作る、それが仮に六か月で作れるのか、八か月かかるのか十二か月かかるのか分からないけれども、それは自治体がまず避難計画を作ることを優先する、そういう答弁でよろしいんでしょうか。
  149. 江島潔

    ○江島副大臣 先ほど申し上げましたように、これは大変に地域の安全、安心の観点から必要なものでありますので、この策定に関しましては、国も自治体と協力をしながら策定に向けて全力を挙げて御支援を申し上げたいと思っています。
  150. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 協力するというのは内閣府防災がいつも言っていることなんですけれども、それは分かるんですが、時期の問題です。  だから、市町村は電力事業者がどう言おうとこう言おうと避難計画を十分に時間をかけて作るということが許されるのかどうか、どっちが前提になるのだということなんですが、これはちょっと機微に富むので、もし事務方が答えられるようでしたら事務方でも構いません。どうですか、この経産省の考え方。これは非常に大事なポイントなんですね。自治体にしてみると、何か事業者に追い立てられるような形で計画を作るということも、これは決して合理的だとは思えないんですね。副大臣も自治体にいらっしゃったのでよくお分かりだと思いますけれども。いかがですか、どなたか。経産省です。
  151. 江島潔

    ○江島副大臣 先ほど内閣大臣からも答弁がありましたけれども、いわゆる策定時期というのは特段の定めは、災害基本法の中には、承知しておりません。あくまで各自治体の判断によるものというふうに考えています。  ただ、その上で、安全、安心の観点から、国も全力を挙げてこの策定に向けてお支えをするという立場でございます。
  152. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 策定開始の時期はそれぞれの自治体の判断だということは分かりました。  ゴールはどこに設定すべきなのかということも、今日の答弁では非常に曖昧でありますけれども、私の感覚からいえば、市町村の防災計画、避難計画を作る責務というのは専ら市町村にあって、特に内閣防災も規制委員会も言っているのは、地域の事情に精通した市町村が避難計画を作るべきだという答弁繰り返し行っていますので、市町村が主体的に判断をしてよい、そうする方が私は妥当だというふうに思っていますが、今日はちょっと答えられなさそうですので、この程度にとどめさせていただきます。でも、この問題は引き続きやらせていただきます。  それから、次に、市町村の避難計画、これそのものが、これは有効に機能するんだ、実効性のあるものだという判断は、まず市町村防災会議で行われるという理解で、副大臣、よろしいでしょうか。
  153. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 お尋ねの順番のことでございますが、地域原子力防災協議会において、地域防災計画、避難計画を含む地域の緊急時対応が、原子力災害対策指針等に照らして具体的かつ合理的であることの確認を行う前に、関係する市町村の市町村防災会議がその地域防災計画、避難計画について確認を行うことになっていると認識しております。
  154. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 市町村がまずは判断をするというのはもちろん、当然のことだというふうに思います。  その上で、一度、地域原子力防災協議会で確認された緊急時対応であっても、市町村が見直した結果、いや、これは、様々な事情を考えたら、実現可能性は乏しい、不十分な避難計画だということを判断することは法律上妨げられてはいませんね。これは、副大臣、いかがですか。
  155. 佐藤暁

    佐藤政府参考人 お答えいたします。  まず、地域防災計画、避難計画については、災対法において、市町村が原災指針に基づき作成するとともに、必要があると認めるときはこれを修正しなければならない、これが災対法などに書いてあります。  したがって、これらの計画、いわゆる地域防災計画、避難計画が原災指針などに基づくものであるかどうかや修正の要否などについては、まずは市町村が判断することになると思います。  その上で、緊急時対応の件でございますけれども、こちらは、関係省庁関係自治体が、地域原子力防災協議会で指針に照らして具体的かつ合理的であるということを確認するとともに、総理を議長とする、全閣僚が構成員となる原子力防災会議において了承することとしております。  したがって、このため、当該市町村が、実現可能性が乏しく不十分な避難計画である、そういう今の御質問ですけれども、と判断する段階において、緊急時対応が取りまとめられることはないと考えております。  その上で、一旦取りまとめられた緊急時対応、これにつきましても、訓練などを通じて課題を抽出し、継続的に改善を重ねております。  したがいまして、実現可能性が乏しく不十分な避難計画であるとみなされる前に改善が行われるもの、そういうふうに承知しております。
  156. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 時間が終わりましたので、これでやめますけれども、不十分な避難計画だとみなされる前に改善をする、不十分だという判断があるから見直すんですよ。みなされる前に改善するんじゃなくて、これはおかしいぞというから見直しが必要だと。これは、災対法の規定もそうですよね、一年に一回検証して、必要があれば修正すると書いてあるのは、そういう意味ですよね。だから、検証した結果不十分だと思うから見直すということなんじゃないですかね。  私は、そのことを申し上げて、今日は、質問時間は終わりましたので、これでやめますが、避難計画については相当問題が多いということだけを改めて指摘をさせていただきまして、終わりたいと思います。  委員長、ありがとうございました。
  157. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、藤野保史君。
  158. 藤野保史

    ○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。  規制委員会は、三月二十四日の定例会合で、東電柏崎刈羽原発における核物質防護設備機能喪失事案を受けて、東電への行政処分方針を決めました。原子炉等規制法に基づく行政処分は「もんじゅ」以来二例目なんですけれども、更田委員長が同日の記者会見で、「もんじゅ」より今回の方が重大だ、規制委員会発足後の命令としては最も大きな判断だと述べていらっしゃいます。  配付資料の一というのは、まさにその規制委員会発足後最も重い命令に関する資料ということになります。今回、そのうち、右側の黄色く塗っている(二)是正措置命令を選んだわけですけれども、同時に、五つ選択肢があるうち、設置許可の取消しというのもあるんですね。  更田委員長は、四月五日の参議院決算委員会で、我が党の武田委員質問に対して、こうお答えになっているんですね、なぜ東電で続くのか、ここがポイントでありますと。私もそこはポイントだと思います。そして続けて、なぜ東電で続くのか、最終的な判断に至るまで、やはりきちんと詰めるべきところは詰めるべきとおっしゃっているんですけれども。  なぜ東電で続くのかという点で、二〇〇二年のデータ偽造、トラブル隠し以降いろいろ起きておりますし、私、大変印象的だったのは、当委員会で、二〇一八年の五月十七日に指摘したんですけれども、柏崎刈羽というのは中越沖地震で液状化が実際に起きているんですね。ですから、今回、設置変更許可、同原発審査の際に、例えばフィルターベント、これはフィルターベント、造ることになったんですけれども、この基礎の部分が液状化するわけで、これは大丈夫かとか、あるいは、そのガスタービンの基礎部分、これは基礎が大丈夫かとか、あるいは海水を取り込むところの取水路、これは大丈夫なのかということが、液状化によって機能を失うのではないかということを聞いたんですが、そのときは、東電は、規制委員会もそうなんですけれども、設置変更許可審査ではなくて、その後の詳細設計、この段階で審査するから大丈夫なんです、その申請、そして審査ということがありまして、私も質問させていただいたんですけれども、やはり東電に着目しますと、技術的にも液状化は実際起きて大丈夫なのかというのを、設置変更許可申請の際には明らかにせずに申請する、こういう姿勢が、今改めて振り返ってみると、あの東電姿勢というのは、技術的にもやはり原発を動かす資格というのがないというふうに改めて感じております。  それで、今回の事案であります。  委員長にお聞きしますけれども、今回は重いとおっしゃったんですが、まだやはり許可の取消しというのがあるわけですね、同じ。私はこれが必要ではないかと思うんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  159. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  設置許可の取消しというのは、その可能性を現時点において否定するものではありません。したがいまして、検査を通じてしっかりと明らかにしていくことがたくさんあります。その結果として、繰り返しになりますけれども、設置許可の取消しというのは一つの可能性として存在しているというのが原子力規制委員会の認識でございます。
  160. 藤野保史

    ○藤野委員 しっかり検査していただきたいと思っております。  経産省にお聞きしたいんですが、私は、今回のこの事案の要因として、やはり経産省による、もう原発再稼働するんだ、もう期限も決めてやるんだ、こういうシナリオが大きく影響していると思っております。  配付資料の二を見ていただきたいんですが、これは前回も御紹介したやつに、更に増えまして、前回は八十回だったんですが、その後も行っているんですね。去年の一月から今年の二月末までで八十七回、柏崎刈羽原発の関連で経産省の幹部が新潟に出張している。薄いオレンジの網かけ部分というのは、そのうち宿泊を伴う、要するに、一泊しているということなんですね。これは四十七件あります。つまり、八十七件のうち、半分以上が宿泊を伴っている。  私も、北陸信越ブロックから送っていただいておりまして、新潟もあるんです。ですから、大体日帰りはできるというのはもう分かるんですね。何で泊まる必要があるのかなというのが率直な疑問なんです。しかも、これだけ多い。  例えば、配付資料の二月六と七というのは、これは三つの当事者にお会いになっているんです。県議会議員、自治体関係者、地元経済団体関係者となっています。確かにこれなら二日かかるかもしれぬなというふうには思います。しかし、他方、一月十六、十七とかは自治体関係者だけですし、二月の三日、四日は地元経済団体関係者だけなんです。ほかにも、そういう単独の面談相手のケースがざっと数えて三十回以上あるんですね。四十七回の宿泊を伴う出張のうち、三十回以上が単独しかこちらには上がってきていないわけです。  保坂エネルギー庁長官にお聞きしますが、何で宿泊が必要だったんでしょうか。
  161. 保坂伸

    保坂政府参考人 お答え申し上げます。  まず出張でございますが、まず私どもの立場としまして、原子力発電につきましては、事業者自らがしっかりと地域に向き合い、信頼関係を築いていくだけではなく、国が前面に立ち、地域や国民の皆様の理解が深まるよう、丁寧に取り組むことが必要と考えております。  そのため、新潟県を始めといたしまして、立地地域の関係者との間では、原子力発電を始めとするエネルギー政策をめぐる課題立地地域の振興について、様々な形で常日頃から意見交換を行っているところでございまして、御指摘の新潟出張につきましても、立地地域の関係者との意見交換を行う目的として実施したものでございまして、他方、宿泊がどうしてかというのは、ちょっと今日、今調べておりませんので、先方の日程とか、会っている人数、会っている人たちが順番にということもあろうかと思いますが、それはちょっと今答えられるものがございません。
  162. 藤野保史

    ○藤野委員 国民の税金を使って出張しているわけですから、報告書というのを書かれると思うんですね、出張されたら。これは是非、求めておりますので、速やかに出していただきたいと思っております。  そのうちの一つについてちょっとお聞きしたいんですが、十一月二十七日、保坂長官自身、小澤首席エネルギー・地域政策統括調整官、そして佐々木エネルギー・地域政策統括調整官の三人が、自民党県議との飲食、意見交換に参加した。これは梶山大臣が、三月十八日の当委員会経済産業委員会の連合審査会で答弁されました。  配付資料の三を見ていただきたいんですけれども、これは信濃毎日新聞、今年の三月二十五日付であります。この日の会食、飲食を報じているんですね。黄色いところがありますけれども、「南海トラフ巨大地震が起きれば、東京湾に集中した火力発電所が全滅する恐れがある。柏崎刈羽にスタンバイしてもらわないと」ということで、これは保坂長官の言葉として報道されております。  長官、お聞きしますが、こういう発言をされたんでしょうか。
  163. 保坂伸

    保坂政府参考人 十一月二十七日に私自身が新潟を訪問いたしまして勉強会及び懇親会を行ったことは事実でございます。  その勉強会の中で、エネルギー基本計画の見直しに係る議論の状況や、菅総理の二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を受けての原子力政策を含めたエネルギー政策の全般についても御説明をしました。その中で、柏崎刈羽原発の位置づけというところの資料がございまして、その御説明の中で、東京電力が、火力発電が東京に集中をしておりまして、南海トラフが起きたときに火力発電が全部落ちたときに柏崎刈羽原発が非常に重要であるということを御発言したことは事実でございます。
  164. 藤野保史

    ○藤野委員 続いて、こう記事があるんですね。「地元の民意に配慮して柏崎刈羽の再稼働を六、七号機に限るよう求めた幹部に、保坂氏が「(他号機が立地する)柏崎市が納得しない」と、さらなる推進姿勢を示す場面もあったという。」こういうことなんですが、長官、こういう発言もされたわけですね。
  165. 保坂伸

    保坂政府参考人 懇親会は、忌憚のない御意見を、地元の方の御意見を賜りたいということで開催させていただいたものでございまして、新潟県内の地域振興に関する御意見、それから柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関しまして、防災体制等、いろいろな、様々な御意見があることを伺いました。  他方、ここの新聞記事にあるような、こんな具体的な話が出たとは記憶してございませんで、七号機の再稼働も見通せない中で、こんな具体的な話をしたかなと思っておりまして、酒を伴う席でございますので、私の記憶も不確かなのかなと思って同席した者にも確認したんですが、このような話は出ていないのではないかということを言っているという状況でございます。
  166. 藤野保史

    ○藤野委員 前半の方は事実で、後半は違うとおっしゃるんですが。  そもそも、なぜ長官がこういうことを、仮に言ったとすれば、言う必要があるのかということが私はポイントかなと思うんですね。  というのは、今、東京電力は、六、七号機以外の原子炉については再稼働申請していないんですね。東電でさえ表では言っていないということを、なぜ長官がおっしゃるのか。これは、私は東電の再建計画にやはり深く関わっているんじゃないかなと思うんですね。  東電の再建計画というのは、これによって東電の収益力を回復させて、様々な、賠償とか廃炉とか除染とか、そういう費用を捻出するという計画であります。そのためには、東京電力は、六、七号機だけでなく、一から五も含めて全部動かすという計画になっていますね。そうしないと、これは賄えないということなんです。  長官、お聞きしますけれども、そういう意味では、この再建計画の立場からすれば、やはりそういう発言があったと考えるのが自然なんじゃないでしょうか。
  167. 保坂伸

    保坂政府参考人 原子力発電につきましては、どの炉を廃炉する、それからどの炉を活用して規制庁に申請を出すというのは、事業者自らが御判断されるものでございまして、私どもがどれを動かすべき、どれを廃炉すべきという立場ではございませんので、仮にこういう話が出たとすれば、それは事業者が自ら御判断をされて、もちろん地元との関係がございますので、御相談されるとお答えをしたんだと思うんですが、そういう話は本当に出ていないのではないか、してはいないというふうに記憶してございます。
  168. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、この記事は、地元の議員は、やはり民意がありますから、よく民意を知っていますから、六、七で何とか収めてほしいと。しかし、それに対して、保坂氏がということなんです。長官が、いやいや、それじゃ一、二、三、四が立地している柏崎が納得しないと。  これは、確かにそういう、確かにというか、柏崎市には一から四号機が立地しているんですね。刈羽村に五、六、七が立地しているわけです。六と七は動かす、申請は出ている。しかし、それでは、柏崎市は何のあれもないわけですね。  そういう意味でいいますと、非常に平仄が合うといいますか、合理的なんですよ、それがいいかどうかは別として。むしろ、それをやらないことが東電の再建計画にも反するし、政府の賠償とか除染とかそういうことも、その費用がなくなってくることになる。  ですから、私、無理のない、ある意味ですよ、それは私たちの立場からすれば違いますけれども、再建計画からすれば、それはそうなるんじゃないですかという質問なんです。ですから、こういう発言をされたんじゃないんですか。
  169. 保坂伸

    保坂政府参考人 大変申し訳ありません。  繰り返しになりますけれども、まず、七号機を動かす、再稼働ができるかどうかもまだ見通せない中で、正直、そういうところの議論まで及ぶところにまだ至っていないというのが私どもの認識でございまして、本当に、県議の皆さんとの関係でもそういう議論になっていなかったと思います。もうそれ以上、何も言った、言わないをこれ以上繰り返すのも大変生産的ではないので、恐縮でございますが。  以上でございます。
  170. 藤野保史

    ○藤野委員 今のはちょっと失礼な発言だと思いますよ。生産的じゃないとか。国会議員が質問しているわけですから。  経産副大臣にもお聞きしたいと思います。  私やはり、政府が、東電を破綻させずに収益力を回復させて回収していくんだ、払うんだという再建計画をお作りになったと。原発事故による費用を原発を動かして賄おうというスキームなわけですね。この下では、やはり七つ全部動かさないと成り立たないわけです。ですから、当面は六、七について。  先日指摘しましたけれども、朝日も毎日も報じておりますが、今年六月までに柏崎刈羽の同意のシナリオ、地元同意のシナリオを描いて、だから、配付資料にあるように、去年も八十回を超えて地元で地ならしをしてきたわけですね。そして、その過程で、もう六月で、六、七はめどがつくだろうと。だから、その過程で、六、七にとどまらず、一から五についても、地元の県議が二の足を踏んでいるのをむしろ背中を押していく、これこそ地ならしというか、これこそ再稼働に向けたまさに働きかけなんですね。再建計画との関係では、これはむしろ自然なんですよ。  江島副大臣にお聞きしますが、八十七回もの新潟入りが行われたというのは、六、七号の再稼働だけでなく、やはり一から五も含めて地ならししていく、こういうことなんじゃないですか。
  171. 江島潔

    ○江島副大臣 決してそういうことではないと承知しています。
  172. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、それじゃ答弁にならないんですけれども。  もう一回お聞きしますよ。もう一回お聞きしますけれども、再建計画があります、東電の。それは、柏崎刈羽を全部動かさないと実現できないんです。これは政府もコミットしているんですね。だから、六、七だけじゃなく、一、五も動かすというのは、私は、そういう立場に立てば合理性があるし、それしかないと思うんです。だから、八十七回も新潟入り、入って、経産省が先頭に立って、エネ庁長官が先頭に立ってそういうことをやってきた。会ったことを認めているんです。そして、先ほど、発言の一部は認めているんです。全体の流れから考えれば、そう考えるのは合理的じゃないですかというのが私の質問です。
  173. 江島潔

    ○江島副大臣 この件に関しては、先ほど長官が答えたとおりでありますが、総論としては、この二〇三〇年のエネルギー基本計画に向けて、やはり原子力はこれだけの発生量は必要という目標を持っておりますので、これは総論としては、ですから、原子力の再稼働というのを進めているということは、これは事実であります。
  174. 藤野保史

    ○藤野委員 いや、私は総論じゃなくて、新潟について聞いているんですね。  全国の原発立地県について、私は同じように出張の資料を求めました。先日その回答をいただきました。それを見ると、去年一年でいえば、新潟がやはり一番多いんです。去年でいえば、はっきり言って多いんです。  副大臣にお聞きしますが、なぜ新潟がほかの県より多いんですか。
  175. 江島潔

    ○江島副大臣 新潟は、やはり柏崎刈羽があるということも一つでございます。やはり、それだけのたくさんの今再稼働を目指している原発立地地域というのは、様々な事情、それぞれによって全部異なると思いますが、やはり資源エネルギー庁として出張をしなければいけない、また協議をしなければいけない案件がたくさんあるんだろうと思います。
  176. 藤野保史

    ○藤野委員 やはり私は、東電の再建計画で、柏崎刈羽原発が動くということはもう決定的だから、これが動かないともう東電は破綻しますから、そういうのが一つと、そしてもう一つは、新潟県民というのは、これまでの様々な選挙で、繰り返し柏崎刈羽原発の再稼働は駄目だという民意を示してきているんです。だからこそ、ほかの県よりも手厚いある意味地ならしが必要だし、東電はもう信用されていませんから、新潟では。ですから、東電とは違う主体が新潟入りして、入ってきたということではないかというふうに思うんですね。  最後に、もう時間が来ましたけれども、配付資料の最後、四を御紹介したいんです。  これは新潟日報の社説の下にある「座標軸」というやつなんです、三月二十五日。黄色のところです、無論、東電はひどいが、国策として原発を推進し、東日本大震災後も全国で再稼働を進める国や政治家の本質的な責任はどうなのか、国が下請の一事業者を批判し、スケープゴートにすることで自らの責任を回避しているようにも見える、これはまさにそのとおりだと思います。  私は、東電原発を動かす資格はないし、設置許可を取り消すべきだし、そして同時に、やはり政府が原発に固執する姿勢を改めるべきだ、このことを強く主張して、質問を終わります。
  177. 渡辺博道

    渡辺委員長 次に、青山雅幸君。
  178. 青山雅幸

    青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。  本日は、貴重な時間、ありがとうございます。早速ですけれども、お伺いさせていただきます。  通告と少し順番を変えて、審査のやり方について、まずお伺いをしたいと思います。  新規制基準に基づく適合性審査、これは当然、電力会社申請をするものですから、その申請に基づいて提出する資料によって審査する、こういうような建前、たてつけなのかなというふうに思っております。各会合などの資料を見ると、必ずそういうふうになっているわけですね。資料としては申請側の電力会社が幾つかの資料を用意する。見てみると、コメント等で、それで不十分だったりすると、またほかの資料を出せみたいな御指示があって、用意していく。そういう流れになっているのかと思うんですけれども、まず、そういう流れでよろしいのかという確認だけ。
  179. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 実態としましては、事業者申請者が、まず書面の資料を用意をしまして、そしてその書面を基に議論を積み重ねて、更に質問等を行いますので、それに対する資料がまた事業者から出てまいります。そうしますと、当初の申請に足らざるところ、ないしは修正すべきところが生まれてきますので、これは審査の後半の段階に入ってからのことが多いですけれども、申請が改められて、補正申請というのがなされます。そしてまたこのプロセスを続けるという形が実態でございます。
  180. 青山雅幸

    青山(雅)委員 ありがとうございます。  そうしますと、やはり申請者の方の用意した資料に基づいて基本的には進んでいくという流れだと思います。  この場合、非常に大事なのが、公正な資料、公平な資料を出すということでございます。全てそうですけれども、例えば科学論文なんか、いろいろ精査すると、かなりの部分に虚偽が入っているというようなことが、審査した後、取下げになったという事例、特に医学論文なんかでよくあるわけですけれども、それは御存じだと思うんですね。  これは別に、今回の原子力規制委員会がやっているものにそういうものが多いと言っているのではなくて、私が申し上げているのは、科学論文一般の性質です。データの捏造があったりとか、そんなことがあって、大きな数が取り下げられるという不祥事国内で度々発生している。  当然ながら、電力会社が提出する資料が正しいとは限らないというのが、普通に考えると思うわけですね。  具体例として、私の地元静岡県の浜岡原子力発電所の新規制基準審査において、活断層評価、今日、ちょっと配付資料で用意すればよかったんですけれども、時間がなくて申し訳ないんですけれども、平成二十六年六月二十日、第百二十回審査会合資料一の一というところに、敷地近傍の活断層評価というので、六十五ページ以下には、近隣の断層について資料が出されている。  そこで一つ問題なのは、まず、用語です。  この中で、各断層の表記がリニアメントとなっているんですね。このリニアメントというのは地質学的にどういう意味を指すかというと、断層と断定される前に、線状模様、地図だとか航空写真などに基づいて、何か直線状のものがある、線状のものがあると。もしかしたらそれは断層かもしれない、そのリニアメントがあることを根拠に地質学者の方は現地調査して、それが断層であるか否かを確認していく手順のようです。  ところが、この浜岡近傍の御前崎段丘の各断層は既に現地調査がなされて、もうこれは上載地層のずれまで確認されて活断層と認定されているもの。「日本の活断層」一九九一という、東京大学出版会が出した活断層について非常に権威がある、ここに載っていれば大抵活断層だろうという話ですけれども、これで活断層であることの確実度が1とされているものが、何の理由もなく、この中部電力の出している資料ではBランク、Cランクと評価がなされている。  一番ひどいのは、この浜岡原子力発電所に一番近接した白羽断層というのがあるわけですけれども、これは長さ二・五キロとされているんですね、「日本の活断層」では。ところが、これが、このリニアメントの評価では〇・一にされている。確実度のランキングをBに落とされた上に、〇・一という著しい過小評価をしているわけです。そもそも活断層ではなくてリニアメントというふうに出されているわけですね。  ここまで来ると資料としての役目を果たさないというか、こういうものを基礎に幾ら原子力規制委員会の方が真摯に公正中立に臨まれても、これはもう審査にならないと思うんですね。この辺について、きちんとそういったちゃんとした資料であるかどうかの担保があるかどうか。そして、こういういいかげんなものを出したときに、規制委員会として何らかのペナルティーを与える、あるいは公表するとか、そういったことまでしていかなければこういうのが改まらないと思うんですけれども、それに関して更田委員長の御見解をお伺いしたいと思います。
  181. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 まず、申請の内容につきまして、当初の申請の内容について明らかにこれは不十分だということで、手続上、正確に私はどう呼ぶか知りませんけれども、突き返した例というのはあります。  炉型の違う炉の解析結果を用いて申請をして行っているようなものは、審査に入るに当たらないというような措置を取ったものもあります。それから、日本原子力発電の敦賀原子力発電所における柱状図、これに関しては明らかに科学的なマナーといいますか常識に反するであろうということで、これは厳しく指摘をして、経緯も含めて検査に入っております。  そういった例もありますし、特に新規制基準への適合というのは、自然ハザードに対する、何といいますか、非常に詳しく調べること、脅威に対して注意深い考慮を求めていますので、当初の申請がなかなか十分なものではないというのは多くの例が見られます。  したがいまして、審査の初期において不備指摘をして改めて申請がなされるということは、幾つものサイトで実際には起きていることでございます。
  182. 青山雅幸

    青山(雅)委員 そういう公平な、公正な目を持ってきちんと見ていただいているということは大変喜ばしいことですし、規制委員会のやり方自体には御信頼を申し上げているところですけれども、ただ、人間ですから、あるいは企業ですから、どうしても申請が下りやすい方向に若干の操作、色合いをつけていくというのはこれは当然あると思うんですね。  そういったことに対してきちんと担保していっていただきたいですし、具体的にそういった不公平な資料が出された場合には、これは注意して、そういったものについてきちんとコメントでやり直させるということも考えた方がいいと思うんですね。  今お答えいただいて、それで私も一安心はしているところではありますが、念のため、今私が申し上げた例についてどういうふうにお考えになるのか。通告してありますので、もし、これは具体的にどういうところがおかしいよというところまでお答えいただければ。
  183. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 浜岡原子力発電所につきましては、通告でいただいて、H断層系を例に挙げますけれども……(青山(雅)委員「いやいや、このリニアメントと今の活断層の件」と呼ぶ)リニアメント。これは、リニアメントですとか断層とか、度々、これは電力事業者一般の習いかもしれませんけれども、できるだけ穏やかな用語を使いたいという姿勢は見られます。  それは、審査を通じてふさわしくない場合には指摘をしておりますし、また、実態をできるだけ正確に伝えることが安全にとっては大変重要ですし、また、許可を得る上でも近道だということを申し上げておきたいというふうに思っております。
  184. 青山雅幸

    青山(雅)委員 更田委員長には、私、ペーパーで今口頭で言ったものを詳しく出してあるものですから、一度御覧になってください。幾ら何でも、二・五キロで活断層確実というものを〇・一キロに評価し直して出すなんということは、これはちょっとあってはならない話だと思うので、中電の資料、この一例のように全てこういうふうにかなり脚色がなっている可能性もあるわけですから、一事が万事という言葉がございます、是非きちんと見ていただきたいと思います。  中部電力、私がなぜ更に厳しく言うかというと、非常に大事な敷地内の断層についてもかなりおかしなことをやっているわけです。  この問題、詳しい方はお分かりだと思うんですけれども、浜岡原発の敷地内には、東西方向に走る、重力すべりでできたと言われているH断層というのがあるんですね。  これは、前から調べると、昭和四十年代に浜岡原発の設置許可申請が出されたときに、敷地内に、私が見たやつはたしか四本だったと思うんですけれども、昨日ちょっと原子力規制委員会の方と話をしたら五本だと言っているので、四本か五本なんですけれども、それが大きく走っているだけだ、こういう地質図を出しているわけです。それを避けるように、原子炉一号機から五号機、今一、二号機は廃炉作業をやってますけれども、ですから、普通の原発のように整然と並んでいなくて、変な格好をして、あっち向いたりこっち向いたりして並んでいるわけです。つまり、これはH断層を避けているわけですね。  それがどういうふうになっていったかというと、平成十九年の六月十三日に浜岡の三、四号機の関連の報告書を出しているんですけれども、それと同じものが出ている、基本的に四本しか載っていないものが出ている。それから、昨日それは規制庁に教えていただいたんですけれども、平成二十七年一月二十六日に規制庁に出されたものも同じということです。  ところが、今回の新規制基準適合性審査に当たっては、これはちょっと驚いたんですけれども、まるで事故に遭った自動車のフロントガラスのように、原子炉建屋直下に物すごくびっしりと網目のように断層が走っている、それを初めて出してきたわけですね。そして、しかも、東西性だけじゃなくて南北性の褶曲活動という、これはA―17断層といって、プレートの横からの押す圧力によってできたと。  中部電力、これは原子力規制委員会がよく指導していただいていると思うんですけれども、当初は活断層じゃないと言っていたものを最終的には活断層と認め、今どう言っているかというと、敷地の中だけは活断層じゃないという世にも不思議な主張をしているわけですけれども、それはさておき、そのフロントガラスがひび割れたようなものを今まで一切出してこなかったんですよね。  これなんかは非常にひどいやり方、ちょっと故意にやっているとしか考えられないんですけれども、このことについてはどうお考えでしょうか。
  185. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えいたします。  H断層系一つを取ってみても、当初申請、私たちの数え方ですけれども、四号機の当初申請があったときに、H―1からH―5まで五本。その五か月弱先の三号機の当初申請のときは、これがH―6から9が追加をされています。  当初申請における出し方が、ある意味、道義に対してどうであるかというのが、極端な場合は疑われるんだろうと思っておりますけれども、浜岡原子力発電所の場合は、まだこの敷地内断層の議論すらも、審査の一番入口のところですら、まだ中間的な結論すら得てはおりませんので、そういった意味で、これからも、まだ、例えばH―9断層については上載地層の確認というのを現在も求めているところでありますので、科学的な正確性もそうですし、十分合理的なデータがきちんと規制当局に対して開示されてきたかなという点は、今後の審査を通じて明らかにできるというふうに考えております。
  186. 青山雅幸

    青山(雅)委員 まさに委員長おっしゃるとおりだと思います。  道義に対してどうかという問題もありますし、きちんとしたデータを出していない、そこをしっかりと規制委員会の方で釈明を求めていって、正しい判断をしていただきたい。  なぜかというと、もうこれは皆さん御承知のとおりですけれども、今、浜岡原発からは、地元にいると分かるんですけれども、西から東に非常に強い風が吹いております。これは気象庁のデータだと、西から東への最多風向が年平均四・八メートルというかなり強い風が吹いています。そして、あそこからですと、駿河湾を越えて、遮るものがなくて、海を通ってそのまま真っすぐ東京方向に行くわけですね。  私ども、秒速四・八メートルで計算すると、僅か十一時間で日本橋まで、百八十九キロですけれども、届いてしまうわけです。つまり、浜岡で事故があった場合には、十一時間後には、仮に放射性物質がまき散らされたとすると、東京にまで届いてしまう。避難といっても、首都圏三千六百万人が避難対象になってしまうわけです。  ちょっと日本にとって、ほかの原発も、どの原発も重要だし、きちんとした審査、あるいは事故がないことが望まれますけれども、何よりもやはり浜岡は、そういった気象条件、地理的条件からいって、本当に慎重な上にも慎重な審査をしていただかないと、仮に福島第一原発と同じような事故が起きたときには、あのときには、やはり風向きが日本あるいは福島県の方にとって若干幸いした部分はあるんですね。  あのとき、私、毎日風向を見ていましたけれども、ほとんどが陸から海に吹く風で、放射性物質が余り人が住むところに降りてこなかった。たまたま、ベントをやったときに、あれは多分北寄りの風だったと思いますけれども、ですからホットスポットができたりしたんですけれども。  平均的にあそこは本当にいつも強い風が東京方向に向いて吹いていますから、是非そこの辺はきちんと見ていただいて、しかも、今言ったように、幾つかの、中部電力は残念ながら不公正な資料を出してきた前科があるわけですから、まだ入口にも入っていないとおっしゃった、入口に入っていったときに是非厳しい目で見ていただきたいと思います。  続けて、ちょっとまた基本に戻って、今度は、新規制基準ではクリフエッジを設定するということはしていないわけですけれども、その考え方について少し御説明いただければと思います。
  187. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  クリフエッジエフェクトというのはストレステストの中で使われる言葉ですけれども、ストレステストで、例えば地震であれば、地震動を徐々に上げていったときに、どこまでの地震動に達したら崖から落ちるような急激な変化が起きるのかどうかといったときにクリフエッジエフェクトという言葉を使っていて、その敷居のことを縮めて、国内ではクリフエッジという呼び方をしております。  それから、お尋ねの中にありました新規制基準に基づく審査の中におきましては、このクリフエッジを超えるような事態に対しても緩和はできるような対策というのを要求をしておりまして、それについて審査を行っております。
  188. 青山雅幸

    青山(雅)委員 確認ですけれども、今の新規制基準の中においてはクリフエッジの設定自体は求めていないということでよろしいんでしょうか。
  189. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 クリフエッジの設定という形で明示を求めているわけではありませんけれども、審査の中では、当然のことながら、どこで大きな変化が起きるかというのを把握する必要がありますので、その評価に関して議論もしておりますし、確認をしておるところであります。  また、クリフエッジそのものについては、安全性向上評価というのの中でストレステストの実施事業者に対して求めているところであります。
  190. 青山雅幸

    青山(雅)委員 今のお答えですと、クリフエッジという言葉は使っていないけれども、実質上それと同じようなことについての評価はさせていただいているということでよろしいですね。今、うなずいていただきました。  時間がなくなってまいりましたけれども、私は、浜岡でもう一つ特殊なのは、日本のどこの原発も、例えば福島第一もそうですけれども、港みたいなものを造って、そこから冷却水を取っている、ところが、浜岡だけは、あそこは遠浅なものですから、それができないものですから、日本の原発の中で唯一、取水塔というものを、沖合三百メートルだったと思いますけれども設けて、そこから水を取り入れている。  これは、今、浜岡は十九メートルだったかな、海抜、巨大な防波堤を設けているわけですけれども、あれは非常に、ある意味、愚の骨頂みたいな話で、取水塔からの導水管を通って、これはサイホンの原理で、十九メートルの津波が来れば、まだその防波堤に達する前にそこから十九メートルの高さの津波が入っちゃうわけですね。そうすると、これは中が水没してしまう。恐らく二メートルか三メートルで、若干海抜より高いところにあるものですから、八メートルくらいかな、浜岡だと。十九メートルが来ると、八メートルか九メートルですか、そのままあふれてくるわけですね。  そうすると、例えば、非常用の設備などが、ポンプ車だとかを設けてあっても、水没しているプールみたいなところに入れないわけですね。それで、また水が引けばいいですけれども、取水路が破断したり何か詰まったりしたら引かないわけですね。そうすると、もし、さっき言ったクリフエッジ的なものが破綻したときにも、じゃ、二次的にそういったことで対応すればいいと言っても、対応できないわけですね、水の張ったたらいの中みたいになっちゃうわけですから。  そういった点については何か考慮はされるんでしょうか。
  191. 渡辺博道

    渡辺委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお答えしてください。
  192. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 今後の審査の中で確認をしてまいります。おっしゃるように、海洋から地中の回廊を通して中に取水槽を設けているケースでは、海上で海水面が上がった時点で、もうサイトの中の、防潮堤の内側の取水槽から水が噴き上げることになりますから、当然、こういった脅威については審査の中で確認をしてまいります。
  193. 青山雅幸

    青山(雅)委員 大変誠実なお答えをいただきました。ありがとうございます。是非、今後ともよろしくお願いいたします。
  194. 渡辺博道

    渡辺委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十七分散会