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2021-04-15 第204回国会 衆議院 憲法審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日令和三年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    会長 細田 博之君    幹事 岩屋  毅君 幹事 江渡 聡徳君    幹事 小林 鷹之君 幹事 齋藤  健君    幹事 新藤 義孝君 幹事 中谷  元君    幹事 奥野総一郎君 幹事 山花 郁夫君    幹事 北側 一雄君       秋葉 賢也君    石破  茂君       稲田 朋美君    大串 正樹君       大塚  拓君    鬼木  誠君       城内  実君    黄川田仁志君       後藤田正純君    佐藤ゆかり君       柴山 昌彦君    鈴木 淳司君       関  芳弘君    長島 昭久君       丹羽 秀樹君    野田  毅君       福井  照君    船田  元君       務台 俊介君    盛山 正仁君       森  英介君    山下 貴司君       山田 賢司君    今井 雅人君       大串 博志君    近藤 昭一君       辻元 清美君    照屋 寛徳君       中川 正春君    長妻  昭君       広田  一君    本多 平直君       道下 大樹君    谷田川 元君       大口 善徳君    國重  徹君       赤嶺 政賢君    本村 伸子君       馬場 伸幸君    玉木雄一郎令和三年四月十五日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    会長 細田 博之君    幹事 岩屋  毅君 幹事 江渡 聡徳君    幹事 小林 鷹之君 幹事 齋藤  健君    幹事 新藤 義孝君 幹事 中谷  元君    幹事 奥野総一郎君 幹事 山花 郁夫君    幹事 北側 一雄君       秋葉 賢也君    石破  茂君       稲田 朋美君    大串 正樹君       大塚  拓君    鬼木  誠君       門山 宏哲君    城内  実君       黄川田仁志君    後藤田正純君       高村 正大君    佐藤ゆかり君       繁本  護君    柴山 昌彦君       鈴木 淳司君    関  芳弘君       長島 昭久君    野田  毅君       福井  照君    船田  元君       務台 俊介君    盛山 正仁君       森  英介君    山下 貴司君       山田 賢司君    今井 雅人君       大串 博志君    近藤 昭一君       武内 則男君    中川 正春君       長妻  昭君    広田  一君       本多 平直君    道下 大樹君       谷田川 元君    大口 善徳君       國重  徹君    赤嶺 政賢君       本村 伸子君    足立 康史君       馬場 伸幸君    山尾志桜里君     …………………………………    議員           逢沢 一郎君    議員           中谷  元君    議員           船田  元君    議員           北側 一雄君    議員           馬場 伸幸君    議員           井上 一徳君    衆議院憲法審査会事務局長 神崎 一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 一月十八日  辞任         補欠選任   玉木雄一郎君     山尾志桜里君 二月一日  辞任         補欠選任   丹羽 秀樹君     門山 宏哲君 四月一日  辞任   広田  一君 同日             補欠選任              足立 康史君 同月二日  辞任         補欠選任   馬場 伸幸君     美延 映夫君 同日  辞任         補欠選任   美延 映夫君     馬場 伸幸君 同月五日  辞任         補欠選任   辻元 清美君     広田  一君 同月十五日  辞任         補欠選任   野田  毅君     高村 正大君   福井  照君     繁本  護君   照屋 寛徳君     武内 則男君 同日  辞任         補欠選任   高村 正大君     野田  毅君   繁本  護君     福井  照君   武内 則男君     照屋 寛徳君     ――――――――――――― 一月十八日  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案逢沢一郎君外五名提出、第百九十六回国会衆法第四二号)  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案原口一博君外二名提出、第百九十八回国会衆法第九号) 三月十五日  憲法改悪反対し、第九条を守り、生かすことに関する請願藤野保史紹介)(第三一〇号)  日本国憲法の全条項を守り生かすことに関する請願赤嶺政賢君紹介)(第三一一号) 四月八日  改憲発議反対することに関する請願小宮山泰子紹介)(第七二〇号) は本憲法審査会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案逢沢一郎君外五名提出、第百九十六回国会衆法第四二号)  日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸問題)      ――――◇―――――
  2. 細田博之

    細田会長 これより会議を開きます。  第百九十六回国会逢沢一郎君外五名提出日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案につきましては、第百九十六回国会におきまして既に趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 細田博之

    細田会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――  日本国憲法改正手続に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 細田博之

    細田会長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。
  5. 新藤義孝

    新藤委員 自民党の新藤義孝でございます。  この法案につきましては、改めて状況を御説明したいと思いますが、三年前に、平成三十年の七月五日でございます、各党出席の下、円満に提案理由説明を聴取して、二年前から、採決前提として、野党側が要求していたCM規制に関する民放連参考人質疑を実施するなど、様々な取組を行いながら、この審議に向けて努力をしてまいりました。しかし、この採決前提の約束も果たされないまま、昨年十一月にようやく質疑に入りまして、本日で三回目になったわけでございます。  そもそも、この法案は、平成二十八年に行われました公職選挙法改正、この内容国民投票法に反映させるものであり、内容的な議論は当時の倫理選挙特別委員会において尽くされております。本審査会における議論も、ここ二回の質疑で多くの与野党議員から指摘されているように、既に尽くされている、このように思っております。  本日は、改正案趣旨につきまして、これまでの審議の中で一部委員から指摘があった二点について改めて内容確認質問をいたしますので、提出者から御説明お願いしたいと存じます。  まず、期日投票時間の弾力化、そして繰延べ投票期日告示期限見直し、これは、地域事情に最も精通する市区町村選管選択の幅を広げ、その時々、場所柄といった具体的事情を踏まえた柔軟な対応を可能とすることで有権者投票しやすい環境を実現しようとするもの、このように理解をしております。  例えば、期日投票時間の弾力化に関しては、会社員や学生の利用が多い地域では通勤通学の時間に合わせて開始時刻を早めたり、ショッピングセンター期日投票所を置く場合にはその閉店時間に合わせて終了時刻を遅くしたりすることができる。また、繰延べ投票期日告示期限見直しに関しましても、投票日の日曜日だけが悪天候であることが確実な状況で、月曜日が休日である場合には、月曜日に繰り延べることで国民投票機運が続いている中での投票が可能となるなど、単に告示期間を短くすることだけに意義があるのではない、このように思っておりますし、今の二点は、現状国民投票ではできないということになっているわけでございます。  この前提に、まず、一点目の質問でございますが、昨年の法案質疑における一部委員指摘として、改正の結果、コアタイム中、通しで開いている期日投票所がなくなり、投票時間も短くなる、災害発生後、拙速に国民投票をさせられるというものがありました。私はそのような指摘は当たらないと考えておりますが、期日投票時間の弾力化や繰延べ投票期日告示期限見直し趣旨と効果について、改めて提出者に御説明お願いしたいと思います。  また、頻繁に行われる一般選挙と数年に一度しか行われない国民投票とは事情が違う、投票環境が異なってもよいというような趣旨発言もあったのかもしれません。  これにつきましては、一般選挙国民投票憲法上同じ参政権に属する国民の権利であります。投票環境向上など外形的な部分では限りなく同じ取扱いをすべきであって、国民投票においては一般選挙並み投票環境向上が必要ないということは、主権の直接の発露である国民投票においては、あってはならないと考えております。そもそも、自由な国民投票運動を基礎として制度が成り立っている憲法改正国民投票においては、より投票しやすい環境整備されなければならないという要請はより一層当てはまるのではないか、このように思うわけであります。  そこで、二点目の質問であります。  公選法においては、本法案が対象とする七項目に加え、新たに二項目追加改正が行われ、既に施行済みでございます。公選法改正済みのこの二点についても、いずれこの国民投票法議論が必要である、このように思いますが、この国民投票手続につきましては、社会情勢国民生活の変化に応じて随時アップデートしていくべきものであります。まずは早急に本法案成立させて、一つ一つ着実に公選法との投票環境上の格差を解消していくべきと私は考えておりますが、提出者考えを伺いたいと思います。  そして、この法案取扱いでございますが、さきの臨時会における与野党幹事長国対委員長会談で、この国会で何らかの結論を得ると合意がなされております。何らかの結論とは採決を意味することは衆目の一致するところでありまして、私たちはこの法案採決を二年前から審査会を開催するごとに提案をしております。立憲民主党と共産党を除く与野党の各会派からは、既に採決に同意をいただいているところでございます。  本審査会においては、与野党が交わした合意に基づいて速やかな採決を早急に行っていただきますようにお願いを申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  6. 逢沢一郎

    逢沢議員 新藤議員質問お答えを申し上げます。  御指摘の本改正案趣旨については、まさに、全体の姿、今日までの流れについて、新藤議員から今発言をしたとおりでございますが、新藤委員指摘のとおり、御質問につきましては、投票時間を短くすることや告示期間を短くすることだけに意義があるのではなく、地域の実情や個別具体事情に応じた対応をも可能とするもので、その意味で、全体として投票環境向上に資する内容整理をさせていただきました。つまり、投票環境整備する、投票をしやすくする、もちろん、一人でも多くの方に投票をしていただく、投票率が高い方がいい、そういう思いを込めたこの法案の中身になっているということを、改めて提出者として申し上げさせていただきます。  その前提として、投票環境向上のような事項につきましては、新藤先生指摘のように、一般選挙国民投票とでは基本的な相違はない、一般選挙国民投票との間に基本的な相違はないということを改めて与野党共通認識に是非していただきたい、そう願っております。  すなわち、そもそも選挙は、議院内閣制を取る我が国において、主権者たる国民がその代表者を選出する民主主義の根幹たる行為でございますし、他方国民投票は、憲法改正に対し、主権者たる国民がその意思を直接に表示する行為であって、そこには、人を選ぶか、まあ、比例代表では政党を通じて人を選ぶ、そして、憲法改正反対賛成か、その意思表示を通じて、つまり、政策を選択するかの違いはございますけれども、主権者たる国民国政参画といった行為重要性について優劣があるわけではない、改めてそのように申し上げます。
  7. 中谷元

    中谷(元)議員 御指摘の既に公選法措置されている二項目につきましては、この七項目案成立後、各党合意を踏まえまして、可及的速やかに国民投票法においても措置すべきものだと考えております。  そもそも、投票環境向上のような事項は、国民利便性向上観点から、不断に検討見直しが図られていくべきものでありまして、これで終わりではなくて、引き続き検討がなされるべきものだと考えております。
  8. 細田博之

    細田会長 次に、本多平直君。
  9. 本多平直

    本多委員 立憲民主党本多平直でございます。  私も、新藤議員がおっしゃったように、基本的に、憲法改正国民投票も普通の選挙と同じやり方でやるということに関しては一致をしています。  しかし、今、新藤議員が図らずもおっしゃいましたけれども、限りなく同じということは、何か違いがあることはあり得るという発言だと思います。それから、逢沢議員発言の中にも、基本的相違はないともおっしゃりました。つまり、相違があることもあり得る、そういう前提で私は議論をしたいと思っています。公選法基本同じでいいんだけれども、ここを同じにしていいのかという問題点です。  それで、私が一番強く感じているのは、期日投票がしにくくなるのではないか。一般皆さんが、役所、市役所役場期日投票所理解している方が非常に多い中で、そこを八時半から八時まできちんと開けておくということをしなくてよくなる、どこか別な、ショッピングセンターが開いていればよい、こういう改正が今回されようとしています。  私は、これは非常に問題だと考えているので連日追及をしていますが、まず、その前提として、提出者は、今、期日投票というのが大体どのぐらいの割合を占めているのか、正確な数字じゃなくていいですけれども、認識した上でこういう提案をされているんですか。
  10. 逢沢一郎

    逢沢議員 正確な数字は今手元にございませんけれども、期日投票割合は、年を追うごとに、選挙のたびにと言っていいんでしょうか、かなりのウェートを占めるようになっていると思います。直近国政選挙では三割を超える、あるいは、一昨年の統一地方選挙でも、選挙区、地域にもよりますけれども、三割、場合によっては四割を超えたところもあった、そのように記憶をいたしております。  大きな割合を、ウェートを占めているのは確かですね。
  11. 本多平直

    本多委員 きちんと認識した上で、期日投票をしにくくするこういう法案を出しているということは、非常にびっくりいたしました。  数字をきちんとお知らせいたしますけれども、例えば、二〇一三年の参議院選挙有権者のうちの一二%、ということは、投票に行った方の二三%は期日投票でした。そして、一番直近の、ここにいる我々が選ばれた衆議院選挙では、有権者の二〇%、投票に行った人の割合でいくと三七%が期日投票だったんです。  これだけの多くの方が使っている制度なので、何か重箱の隅をつついて言っているような認識では困るんです。  これは多くの方が、期日投票というのは、小さな市や町では、一か所の場合は市役所町役場であることが多いんです。この場所を八時半から八時まできちんと開けて、ほかにいろいろなメニューをつくるのは私は賛成です。ショッピングセンターに行ったついでに、ああ、ここにあったから憲法改正投票をしてみよう、こういう方を増やすのはいいんですが、これまで必ず選挙に行っていて、固定客として、期日投票場所役場だと思い込んでいる多くの国民にとって、別な場所が開いているから役場を閉じていい、大事な国民投票でこんな法律を出している理由はなぜですか。
  12. 逢沢一郎

    逢沢議員 期日投票で事前に投票を済まされる方のウェートが大変大きくなっていることは、今、本多先生からも改めてお話をいただきました。  であるからこそ、投票環境整備という点においても、この期日投票利便性期日投票を有効に活用していただく、その環境整備も、もちろん法案提出者として非常に大切なことだというふうに考えて、この法案提出させていただきました。  市役所もいろいろな場所にございますよね。どの投票所期日投票所として市民に開放するか。ショッピングセンターがいいのか、駅前がいいのか。市役所が目抜き通りにあれば、やはり市役所委員指摘のようにフルに開けておく、恐らく選管としてはそういう判断になるでしょう。場合によっては市役所が少しへんぴなところにあるかもしれない。そういったときには、市民の、有権者利便性、人の流れ、そういうものをそれぞれの自治体選管責任を持って判断をし、つまり、投票しやすくする、我が町においてはどのような判断が適切なのか、そのことをきちっと判断をしていただき、適切に国民投票が行われる、そのような状況を確保していただきたいということで、法案提出させていただきました。  是非、御理解のほど、よろしくお願いをいたします。
  13. 本多平直

    本多委員 投票に行った方の三七%が期日投票を使っている現状で、へんぴなところでも車で行くんですよ、田舎の皆さんは。市役所に、国民投票改正賛成反対という思いを持って、仕事が終わった後の七時に役場に行って、閉まっていることを可能にする、そんな法律、全く合理性がないですよ、今の提出者説明を聞いても。  それから、繰延べ投票の話も、これは平日に国民投票させることを前提にお考えなんですか。
  14. 逢沢一郎

    逢沢議員 繰延べ投票期日をどのように選ぶか。これも、なぜ繰延べ投票をしなければならないのか、自然災害のケースが多いということが想定をされるわけでありますけれども、例えば、たまたま、日曜日、その週のうちに休日があれば、国民投票に対する関心がまだ冷めないうちにできるだけ早く、しかし、周知徹底するということは非常に大切でありますから、そのことを周知をしっかり徹底をしながら、その週の休日に投票する、あるいは、場合によっては、判断においてウィークデーを選択するということもあるかもしれない、そのように申し上げておきたいと思います。
  15. 本多平直

    本多委員 今、質問に答えていただいていないんですよ。平日もあり得るということは答えたんですね。本当にそれでいいですか。  それから、月曜日が祝日の場合にしても、日曜日に投票所投票できないような、過去に国政選挙で二回だけですよ、繰延べ投票なんてあった。しかし、災害地にとっては、日曜日に投票所が使えないぐらいの災害を受けたところに、機運が盛り上がっているからというだけの理由で、月曜日に大事な国民投票をさせるんですか。
  16. 逢沢一郎

    逢沢議員 それは、各自治体選管が、責任を持って、物理的に投票ができないような、投票所が壊れちゃっている、そういうときに無理やりその日を投票日に設定をする、そんな不合理な選択があり得るとは私は思えませんね。  投票環境をきちんと整備をする、どの期日を選べば最もその当該自治体有権者の方に投票がしていただけるか、周知徹底も図らなければならない、物理的な投票所の確保も図らなければならない、これはもう当然のことですね。
  17. 本多平直

    本多委員 全く納得ができません。災害が起こった翌日に、どう、わずか、土曜日に告示をして、台風が来て、月曜日に投票させる。国民投票にこんな理由を、市長選挙では認めたのは、早く決めなきゃいけないという判断はあるかもしれない、任期切れが間近だったら。しかし、国民投票は待ちましょうよ、きちんと一週間。こんな改正合理性はない。  まだまだ全然お答えになっていないと思いますので、引き続き議論させてください、もう時間は終わりましたので。自由討議の際に、機会があったら続けて議論させていただきます。
  18. 細田博之

    細田会長 それでは、次に、大口善徳君。
  19. 大口善徳

    大口委員 公明党の大口善徳でございます。  この通常国会でやっと憲法審査会が開会される、会長会長代理、また幹事皆様の御尽力に敬意と感謝を申し上げる次第でございます。  昨年二回行われた本審査会での質疑、また、今、新藤筆頭からも整理をいただきました。この公選法並び措置を講ずるいわゆる七項目案については十分に質疑を尽くされているのではないか、そうであるなら速やかに採決を行うべきではないかと考えるところでございます。  その上で、次の議論のステージとして、例えば、CM規制の在り方やインターネットを用いた国民投票運動への対処などが、既に本審査会でも取り上げられているところであります。これらの議論は、国民投票運動の自由と国民投票の公平公正のバランスをいかに図っていくかという慎重な検討が必要な事項であり、本審査会において、各会派の御意見をいただきながら議論を重ねていくべき問題であると思います。この点については、先国会自由討議で私からも発言させていただいたところでもあります。  また、新藤筆頭がこれまで何度もこの審査会の場で御発言されているとおり、CM規制を始めとする国民投票法議論とともに、憲法本体議論同時並行で行っていくものと承知をしております。今、いろいろ最高裁の判決等も出ておりまして、憲法問題がいろいろ議論されております。こういうことにつきましても、この審査会でしっかり議論していくということが国民の期待に応えることではないか、このように考えております。  他方で、公選法並びということであれば、七項目以外にも検討すべき項目があるということは、委員皆様方認識を共有しているところであります。  令和元年成立した改正公選法は、選挙における管理、執行の合理化を図る観点から、災害時など、選挙期日の直前に開票区を分割しなければならない場合における開票立会人選任要件手続に変更を加え、また、投票管理者投票立会人なり手不足を解消するため、その選任要件を緩和する等の措置を講ずるものであります。  この二項目内容は、国民投票法においても、実際に国民投票が実施されるまでに同様に措置されるべきであると考えます。この二項目についてどのようにお考えか、七項目案提出者である北側幹事に御見解をお伺いしたいと思います。
  20. 北側一雄

    北側議員 大口委員お答えをいたします。  まず、現在審査されております国民投票法改正項目につきましては、先ほど来お話があるとおり、もう三年前に提出をされまして、審議をされているところでございまして、この七項目案については、早急な成立お願いしたいということを申し上げたいと思います。  その前提の下で、公選法改正の方で既に成立をしております二項目、こちらにつきましては、一つは、台風影響等投票箱を離島から本土の開票所に送ることができないときはどうするのかとか、又は、人口減少等に伴う投票立会人なり手不足にどのように対処するのか、こういう課題に対して、選挙であれ国民投票であれ、変わるものではないと考えますので、この令和元年改正公選法と同様の措置が取られるべきものと認識をしております。  現在、この二項目のほかにも、倫選特の方では、選挙の際に投票所に足を運ぶのが難しい高齢者障害者投票機会を確保するため、郵便投票の範囲をこれまでの要介護五の人から要介護四や三の人にまで拡大することを内容とする公選法改正案、これが議論をされておりまして、法案提出はまだでございますが、野党の皆様にも働きかけをしているというふうに聞いているところでございます。  大口委員指摘の二項目や今申し上げた郵便投票の拡大など、必要となる項目につきましては、与野党の協議を踏まえながら今後とも検討を進めていくべきものと考えております。  いずれにせよ、まずは、現在審議されております七項目案について早急な成立お願いしたいと思いますし、国民投票法という手続議論憲法本体議論とを同時並行でこの審査会では行っていくことがこの審査会の役割であるというふうに認識をしております。  以上です。
  21. 大口善徳

    大口委員 時間が終わりましたので、以上で終わります。
  22. 細田博之

    細田会長 次に、赤嶺政賢君
  23. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  私たち日本共産党は、国民が改憲を求めていない中、改憲原案の作成を任務とする憲法審査会は動かすべきではないという立場です。  憲法について言えば、改憲のための議論ではなく、憲法と現実の政治との乖離を正し、憲法の平和主義、基本的人権の尊重といった原則をどう生かすかという観点であり、それは各常任委員会で大いに議論すべきだと思います。  同時にまた、憲法について議論する前提は、国民の政治に対する信頼です。  ところが、安倍政権に続き、菅政権の下でも、政府と行政の腐敗が次々と明らかになっています。総務省の違法接待問題、吉川元農水大臣の収賄事件、河井夫妻の選挙買収事件など、疑惑と腐敗は数え切れず、国民の不信が高まっています。  提出者に伺いますが、国民が政治に対する不信感を増している下で、改憲や改憲につながる整備議論は、その大前提を欠いているのではありませんか。
  24. 逢沢一郎

    逢沢議員 赤嶺先生御指摘のとおり、憲法改正や、また、まさに今この場所がそうでございますけれども、憲法改正につながる法整備議論は、国民の政治への信頼が大前提であることは言うまでもないと思います。  そもそも、憲法調査会が設置されて以来、国家の最高規範である憲法に関する議論は、政局にとらわれることなく、国民の代表である国会議員が主体性を持って行うべきとの与野党の共通認識に基づいて、熟議による合意形成がなされてきたと承知をいたしております。  実際、本法案につきましても、昨年の臨時国会で二回、そして、本日のまさにこの場で質疑が行われ、議論が重ねられておりますけれども、このような憲法審査会における議論そのものが国民の政治に対する信頼につながる、ここで真摯な議論をし、そして結論を得るべく努力をする、その姿勢と議論国民に対する信頼につながる、そのように申し上げさせていただきたいと思います。
  25. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 現実に起こっている腐敗と疑惑の問題は脇に置いて、憲法審査会だけは静かに議論しようと言ってみても、これはとても、政治に対する国民の信頼は、得られるどころか、ますます政治不信を拡大していくばかりであります。私は、安倍、菅政権による政治の腐敗の下で、憲法議論する前提を欠いているということを強く指摘しておきます。  国民投票法について、幾つかまとめて質問をいたします。  前回、私が最低投票率について質問したのに対し、提出者は、最低投票率の規定がないことは問題だとは考えていないと答弁されました。その理由として、ボイコット運動や民意のパラドックスなどを挙げられましたが、少ない投票率で改憲できることは民意を酌み尽くすことに反するのではないかという指摘には、正面から答えられませんでした。その後の自由討議では、自民党の委員からも、最低投票率や絶対得票率など、国民の意図を反映させる方法を真摯に考えるべきだという趣旨発言がありました。  問われているのは、どう国民の意図を酌み尽くし、反映させるかということだと思いますが、その点をどう考えておられるか。  また、民意を酌み尽くす上で、公選法並びでいいのかということが問われなければなりません。  この間の国政選挙では、当日投票所の削減と投票所の閉鎖時刻の繰上げが進んでおります。  衆議院選挙では、二〇〇〇年に五万三千四百三十四か所あった投票所が、二〇一七年には四万七千七百四十一か所へと、五千六百九十三か所も減っております。有権者からは、投票所の距離が遠くなり、投票のハードルが高くなったという声が上がっており、投票率の低下にもつながっています。  一方で、閉鎖時刻を繰り上げた投票所は、二〇〇〇年に四千六百四十四か所だったのが、二〇一七年には一万六千七百四十七か所に増えています。県によっては、県庁所在地や都市部も含め、投票所の九割で閉鎖時刻を繰り上げているところもあります。  投票所の数や投票時間の保障は、有権者投票権の行使、投票機会の公平を確保する上で極めて重要です。公選法の体系に倣って作られた国民投票法の下でも、同様に、投票所の削減、閉鎖時間の繰上げによる投票環境の悪化が起きるのではないかと思いますが、その点、提出者はどのように認識しておられますか。
  26. 逢沢一郎

    逢沢議員 赤嶺先生にお答えを申し上げたいと思います。  国民投票の結果が主権者である国民意思をできる限り反映したものになるようにすることは、大変重要なことでございます。投票率が低いことは望ましくないということは、もちろんそのとおりでございます。  しかし、これを制度的に担保しようといたしますと、最低投票率制度の導入ということになると考えられますが、この点につきましては、前回の委員会でも答弁をさせていただきました、検討しなければならない点が多くあるということは既に申し上げているとおりでございますし、また、山花会長代理も、御自身のブログの中で、この最低投票率について見解を述べておられます。また、立憲民主党の枝野代表も、かつて国会でもこのテーマについての発言もございます。時間の関係でそのことについて詳しくは触れませんが、指摘をしておきたいと思います。  できるだけ多くの国民から投票において意思を示してもらえるように、国民に対する周知徹底し、そして国民投票運動において適切に働きかけ、投票率向上させる努力を与野党の努力の中で行ってまいりたいと思います。  また、投票所の削減あるいは投票所閉鎖時刻の繰上げ等々の問題について御指摘をいただきました。  過疎化や市町村合併の影響を受けまして、当日投票所の統廃合が行われている地域があることは、もちろん承知をいたしております。各市町村選管判断期日投票所や共通投票所を弾力的に設置することによりまして、有権者投票機会が決して奪われることがないよう、それぞれの選管が適切に配慮をされているものと認識をいたしております。  また、当日投票所の閉鎖時刻の繰上げにつきましては、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限りできるとされており、投票機会を奪うような形での閉鎖時刻の繰上げは、制度上も認められていないということを確認いたしておきたいと思います。  したがいまして、当日投票所の削減や投票所の閉鎖時刻の繰上げは、投票率の低下に必ずしもつながるわけではなく、国民投票におきましても、投票人の投票機会を十二分に確保するため、選挙と同様の取組が各自治体選管で行われるものと認識をいたしております。
  27. 細田博之

    細田会長 次に、足立康史君。
  28. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。  本日、こうして憲法審査会が開催され、国民投票法改正案の審査を行えることについて、関係の皆様に感謝を申し上げたいと思います。  ただ一方、この間、政局を持ち込まないというこの憲法調査会以来の伝統が一部野党の取組で滞ってきたことは、大変遺憾に思います。  特に山花会長代理におかれては、野党筆頭というお立場もあるのは承知をしていますが、会長代理としての役割を果たしてこられなかったことについても苦言を呈しておきたいと思います。今日はこうしてお座りをいただいていますので、感謝を申し上げたいとは思います。  さて、国民投票法については、再三申し上げているように、既に審議が尽くされており、直ちに採決に入るべきという立場であります。この憲法審査会が今申し上げたような経緯で手をこまねいている間に、先ほどからもございました、公職選挙法改正事項が積み上がってきている、こういう状況であります。  本改正案については、直ちに採決して、可決、成立を図るべきだと考えますが、馬場伸幸提出者に御意見を伺いたいと思います。
  29. 馬場伸幸

    馬場議員 足立議員お答えをいたします。  国民投票法改正案提出から三年足らずがたちました。この間、憲法審査会の開会数は、八国会でたったの九回です。実質討議も計八時間余り。御指摘のとおり、審議はもう十分尽くされていると思いますので、この当たり前の宿題をさっさと片づけて、一刻も早く結論を出すべきであると思います。  特に、さきの臨時国会では、自民党と立憲民主党の幹部のお二人が、次の国会では憲法審査会の場で何らかの結論を得るというお約束を公党間でされておられます。聞き及ぶところによると、最近では、立憲民主党は、廃案をすることも一つの結論であるというような御発言をされているやに仄聞をいたしております。  政治の世界の当たり前の話をきちっと守っていただかないと、その政党に対する信頼というものも、私は、著しく低下をする、まともな話ができないという状況になると思いますので、私からも、前回の憲法審査会で、採決を求める動議を提出させていただいておりますので、是非、その点も含めてよろしくお取り計らいのほど、お願いをしたいと思います。
  30. 足立康史

    足立委員 ありがとうございます。  直ちに採決と私たちが申し上げているのは、審議が尽くされているということに加えて、中身の議論を急がなあかんということです。  やはり、コロナも含めて様々な課題が浮き彫りになってきております。もちろん我が党は三項目提案をしておりますが、緊急事態条項も含めて検討を急ぐ、そのためにも、国民投票法改正案採決、直ちに採決すべきと考えておりますが、馬場伸幸委員の見解を伺います。
  31. 馬場伸幸

    馬場議員 いかなる緊急事態下においても、法律の制定、予算の議決及び政府の統制といった国会の機能を維持することは、緊急事態に適切に対処するために必要不可欠であると考えています。  この点、諸外国の議会では、新型コロナ禍への対応としてオンライン審議を導入した例も多いと聞いています。一方、我が国では、オンライン出席が、憲法五十六条一項が定める本会議の定足数、総議員の三分の一以上の出席に含まれるのかどうかという論点があるところであり、新藤筆頭幹事幹事懇談会で喫緊の課題として問題提起をしていただいたにもかかわらず、議論が全く進んでおりません。  また、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際には、法律で地方選挙を延期し、首長、議員の任期を延長できましたが、憲法四十五条、四十六条に定められている国会議員の任期の延長は、憲法改正しなければ対応ができません。  加えて、昨今の新型コロナパンデミックのことを見ても、感染症対策のための私権制限の限度が議論となりつつあります。もちろん、現行でも、憲法十三条により、公共の福祉のため必要な場合には合理的な限度において私権を制限することは可能であると解釈されていますが、抽象的な公共の福祉概念に頼るのではなく、より具体的な制限事由を明文で規定する方がよいとの指摘もあり、緊急事態における人権制約の在り方についても議論する必要があると考えられています。  したがって、足立委員指摘のとおり、憲法における緊急事態条項の創設に関する検討は待ったなしの状況にあります。そのためにも、今後は、毎週定例日には必ず審査会を開き、各党が真摯に憲法に向き合って討議を重ねるべきであり、それが審査会に課せられた使命であると考えています。
  32. 細田博之

    細田会長 次に、山尾志桜里君。
  33. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾です。  まず一点、井上議員にお伺いをいたします。  投票法、七項目なんですけれども、本多委員から引き続き指摘がありましたが、私から二点申し上げると、一点目は、一般選挙憲法改正国民投票、人を選ぶ、そして政策を選ぶ、その点に違いはあっても、やはり投票機会として同じように重要だという点に違いはないと思うんですね。そう考えていくと、少なくとも、投票機会をどのように保障するのかということについて、違いを見出すような理由は今ないというふうに思うんです。  なので、一般選挙のときに同様な法改正賛成をしていったのは、結局、投票機会の充実のためには、国が一律に決めるよりも、やはり、自治体判断を一定程度信頼をしてそちらの判断に委ねた方が投票機会の拡大に実質的につながるだろう、こういう趣旨賛成をした方は、みんな一定程度共有をして、賛成をして、成立させたのだと思うので、そう考えていくと、やはり、七項目の実質的な議論というのは、前回同様、終了しているというふうに思っていまして、是非、何事も実質的議論にはたたき台が必要ですので、七項目を早く採決成立をさせた上で、本題であるCM規制だとか、あるいは外国人寄附規制、既にこの国会でも付託をされていますので、是非、付託されている法案をたたき台として実質的な議論を始めるべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  34. 井上一徳

    ○井上(一)議員 山尾委員お答えいたします。  山尾委員指摘のとおり、まずは七項目案を早急に採決成立させ、その上でCM規制などについて速やかに議論を開始することが重要だと考えております。  インターネットを含むCM規制等については、旧国民民主党が提出された法案をたたき台に議論を始めることも有意義だと考えておりますが、幹事会メンバーが中心となって、党内での議論を踏まえた様々なアイデアを持ち寄って、それを基に論点整理を進めることも一案ではないかと考えているところです。  以上です。
  35. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ありがとうございました。  あと一点なんですけれども、これは馬場委員とそして船田委員にお伺いをしたいというふうに思います。  次なる大事な議論であるインターネットを含めたCM規制なんですけれども、やはり、一点目、馬場委員なんですが、ケンブリッジ・アナリティカ事件の内部告発者であるブリタニー・カイザーという方、この方はイギリスの議会でも証言に立たれた方ですけれども、やはりそうした方を、コロナ禍ですので、外国の方でもありますので、オンラインで参考人として意見交換をさせていただくというようなことをやっていただくのがいいのではないかというふうに思っています。  このケンブリッジ・アナリティカ事件というのは、御案内のように、フェイスブックから入手した巨大なビッグデータと、そしてアルゴリズムを駆使して、投票行動を変えやすいターゲットに対して、その人が一番行動を変えやすいように、一番最適なソーシャルメディアを使って、一番よかろう時間帯に、一番いいメッセージ広告を送るということをやって、アメリカの大統領選挙、そしてブレグジットに影響を与えたと言われています。  そして、受け取った人は、それが余りにプライベート過ぎて、広告なのかメッセージなのかも分からなかった。そして、この会社そのものはかなり多国籍でありまして、フェイスブックからのデータの入手にはロシアが関与していたというような指摘もされています。  そういう意味で、やはり直接民主的制度の公正を担保するために、この事件を通じて、広告とは何なのか、その規制のあるべき姿、そして、一国の民意を操作するプロセスにおいて外国からの資金や人材がどのように関与していったのか、そういったことを実例に基づいてヒアリングしていくということは大変有意義だと思うんですけれども、そういったことについてどうお考えになっているか。  そして、船田委員は、どちらかというと思想の自由市場ということを極めて重視されていて、余り規制ということには積極的ではないというふうに感じていますし、大変一理もあると思います。  ただ、こういった時代において、国境を越えてデジタルプラットフォームが活動し、直接、国民個人に働きかけて行動変容を促していくような時代には、国家からの自由を土台に置きつつも、一定程度、国家による自由というか、思想の自由市場という大前提を維持するための必要な規制、これもやはり十年前よりも今必要となっているんじゃないかな、若干、力点を置くべき場所が変わってきているんじゃないかなという気もします。  この二点について、それぞれコメントをいただければと思います。
  36. 馬場伸幸

    馬場議員 まず、国民投票法改正案について、山尾志桜里議員の御質問お答えいたします。  国民投票法改正案については、粛々と議論を進め、一刻も早く結論を出すべきであり、その上で、毎週木曜日の定例日に憲法審査会を開催し、憲法の中身に関する討議を粛々と、かつ精力的に進めていくべきであるということに対して、山尾委員、また国民民主党と我々が完全に一致しているということを歓迎したいと思います。  その上で、CM規制を始めとする国民投票の公正を確保するための議論については、まず各党内で十分な議論が必要であると思われますし、それを受けて幹事懇等で論点整理を先行させていくべきではないかと考えています。  その際、御提案のブリタニー・カイザー氏等の各界の有識者からのヒアリングについては、幹事懇等で十分に協議していくべき事項であると考えています。
  37. 船田元

    船田議員 山尾議員からの御指摘のありました点、まさに、デジタルトランスフォーメーション、非常に早急に進んでいるわけでありまして、現在の法律が出された平成十九年に比べれば、非常にこれは大きな変化があると思っております。  そういう中で、やはり、巨大プラットフォーム、GAFAのようなものでありますが、そういうところが様々なデータ、情報を集めて、そして、その人その人一人一人に適切なというか、物を買うようなときに非常に有効な広告をし、あるいは様々な記事を発することによって、その人が必要でないものも買わせてしまう、そういった事例も出ております。  それが物ならいいですけれども、それが言論とか思想とかそういったものに作用するということもあり得るし、現にあると私は思っておりますので、やはりそこは、国家からの自由も大事ですけれども、国家による一定の自由、議論形成あるいは思想形成のための自由というのも、やはり国が保障する必要は、私は一定程度あるというふうに思っておりますので、この点につきましては、是非、七項目のこの改正案成立の後に、これは当然議論をしたいと思っておりますので、そこはよろしくお願いしたいと思っております。  以上です。
  38. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ありがとうございました。      ――――◇―――――
  39. 細田博之

    細田会長 次に、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。  本日は、日本国憲法及び憲法改正国民投票法を巡る諸問題について自由討議を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。  発言は自席から着席のままで結構でございます。また、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。  なお、幹事会の協議により、一回当たりの発言時間はおおむね五分といたします。委員各位の御協力をお願いいたします。  発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。  それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。
  40. 新藤義孝

    新藤委員 ただいまの法案質疑に際しても、様々、これからの憲法審査会をどのように進めていくべきか、こういった御示唆をいただいたのではないかと思っております。  私どもがこの七項目憲法改正国民投票法改正案採決しましょうと言うのは、これはまさに、これまでの与野党の筆頭間協議の中でも、この七項目審議が終わってしまうと国民投票法議論が終わるのではないかという野党の皆さんの御心配がありました。それに対して、私は、この国民投票法というのは、手続たる性質からして、社会情勢や時代の状況によってアップデートしていかなければならない、ですから、それはこれで終わりではないんですと。ましてやCM規制は、CM規制、プラス、ネット規制も含めて、ネットに対する考え方も含めて、新しい課題が出てきている。だから、このことをきちんと議論をすることを前提として、まずは手続法たる投票環境向上については一回結論を出しましょうと。  その上で、その手続に対しても、まだ、更に、時代に応じて、先ほど北側先生からもお話がありました、大口先生からもありました、もう既に二項目公選法改正されてしまっているんですから、これを合わせるか否かの議論もしていかなきゃならない。こういう合意の下に、二年前です、これは。ところが、そこから、なぜかここまで、CM規制を始めとして国民投票法議論は進めていくと申し上げたにもかかわらず、採決のみがストップされてしまう。そして、そのために、審査会を開会するのにも物すごい努力が要る。このことをやはり早く払拭しなければならない。  一つには、国民投票法というのは、外形的な、手続法たる、投票環境向上があります。もう一つは、CM規制などの投票の質の向上というのがあるんです。このそれぞれの観点から議論は続けていくんだと。  改めて私は、何度も申し上げていますけれども、そのことを訴えて、その上で、かつ、この投票法の問題が片づかないので憲法本体はまだ先だというのは、これまた全くおかしな話で、そもそも憲法審査会というのは、日本国憲法と、そして日本国憲法改正手続に関する国民投票法、この二つを議論しましょうというのが役割ですから。ですから、同時並行で進めていこう、憲法本体論議を進める、そのためにも、まずは一つ一つ手続はきちっと責任を果たしていこうではないかということでございます。  今日、特に、前回も申しましたが、資料を御覧いただきたいと思います。一つの参考といたしまして、CM規制議論は、もう具体的なこういう論点整理まで、緒についているということでございます。  四つのカテゴリーに整理をさせていただきましたけれども、まず、一つ目のAは、法的規制を行うということでございます。それから、二つ目のBというのは、自主的取組に委ねるという方法です。そして、三つ目は、その折衷的な法案として、各事業者の自主的取組を後押ししつつ、そのための法的措置を定めるという形で、きちんとCM規制を行うということを法的に担保しつつ、その内容については自主的なガイドラインとか、そういったものを含めて作成できるのではないか、こういうことを整理させていただきました。そして、四つ目は、これらを組み合わせて、国民投票広報協議会の広報活動を充実強化するだとか、様々な知恵が出せるのではないか。  まず、これはたたきでございますけれども、こういったものを参考にいただきながら、実質的な議論をもう早速始めようではないか、毎週、定例が決められているならば、そこはきちっと開催していこう、このことをお願いしたいと思います。  そして、その上で、私も改めて申しますけれども、このCM規制に関する今後の国民投票法議論については、いろいろなお考えがあると思います。しかし、国民のための投票制度をきちんと定めるのですから、この憲法審査会の中で、特に幹事懇メンバーを中心にして、いろいろなアイデアを出しながら論点整理をして、そして、一つの方向性に向かって議論を収れんさせていく、その努力をする中から新しい作業ができるのではないか。私は、この国民投票法のよりよい改善ができるのではないか、このアプローチを進めていきたい。  このことは何度も申し上げておりますし、各委員からも御提案をいただいておりますけれども、私としては、改めて、そういう作業の形をつくって、そして、進めていこうではないかということでございます。何よりも、政局から離れて、国民のための憲法に対する議論を深めていく、このことをしっかりと受け止めていかなければなりません。  一方で、憲法調査会ではございません。発議権のない調査会と、そして、私たちはもっと大きな責任を持って審査会というものを運営するようになっております。ですから、そのときには、やはり議論を尽くした上できちんと手続を進めていくということも、私は国民に対する責任だ、このように思っておりますので、是非、委員各位の御理解をいただいて、この憲法審査会を前に進めていけるようにお願いを申し上げて、まず冒頭の御発言とさせていただきます。  ありがとうございます。
  41. 道下大樹

    道下委員 立憲民主党道下大樹です。  発言機会をいただき、感謝を申し上げます。  私は、コロナ禍における投票権について、意見を申し上げたいと思います。  国民投票法改正案、いわゆる七項目について、細田博之議員は、二〇一八年七月五日のこの憲法審査会において、次のように提出理由を述べられています。  平成二十八年に、公職選挙法の数度にわたる改正により、投票環境向上のための法整備がなされています。本法案は、このような既に実施されている投票環境向上のための公職選挙法改正と同様の規定の整備を、国民投票についても行うものであります。  しかし、残念ながら、投票環境向上のための法整備とは言えない点があることは、先ほど本多議員質疑で述べられたとおりでございますし、それに対する明確な答弁はございませんでした。審議が尽くされていない、結論を出すには至っていないということは、皆様御承知だというふうに思っております。  そして、今、このコロナ禍において、公職選挙法の不備により投票できない人が発生している状況になっています。新型コロナウイルス検査で陽性となり、保健所からの指示により宿泊療養若しくは自宅療養を余儀なくされ、外出できず、投票できない。憲法で保障された選挙権が行使できないという重大な事態であります。  コロナが感染拡大してきたこの間の、例えば昨年七月の東京都知事選挙、今年三月に行われた千葉県知事選挙など、既に行われた地方選挙の多くで、宿泊施設や自宅で療養中だったコロナ陽性者には、コロナ特措法や厚生労働省の基準により外出自粛要請に応じる努力義務が課せられており、投票を断念した方が数多くいらっしゃいます。  そして、今、三つの国政選挙が行われています。公職選挙法違反で有罪が確定した河井案里元参議院議員の当選無効に伴う参議院広島選挙区再選挙、羽田雄一郎参議院議員が新型コロナウイルスに感染して死去したことに伴う参議院長野選挙区補欠選挙、そして、農林水産大臣在任中に五百万円の賄賂を受け取ったとして収賄罪で在宅起訴された吉川貴盛元衆議院議員議員辞職に伴う衆議院北海道二区補欠選挙であります。  総務省は、三月十日に、宿泊施設に期日投票所や不在者投票記載場所を設けることは可能とする通知を各選管に通知しました。また、政府は、公職選挙法上、投票のための外出を禁止していない、自宅療養者は、宿泊施設や病院等への移行、あるいは個別に投票所に来てもらうよう工夫すれば、投票は可能という見解であります。  しかしながら、地方の選管からは、現実的ではないという意見が出されております。期日投票は、原則、宿泊施設がある市区町村居住者しか投票できず、また、投票所の運営に関わる選管職員がコロナに感染し、もしそれがクラスターとなれば、選挙事務どころではなくなるという感染リスクにも懸念を示しています。  そこで、地方の選管が国に求めているのが、宿泊、自宅療養者の郵便投票です。衆議院北海道二区補欠選挙を行う北海道選挙管理委員会並びに札幌市選挙管理委員会は、新型コロナウイルス感染症により宿泊療養をしている方、自宅療養をしている方の投票権行使の機会を確保するため、早急に郵便投票の対象者とするよう、法制度改正などを国に要望しました。  この点について、私も、去る四月六日の衆議院総務委員会におきまして、質問と要望をいたしました。しかしながら、総務省からの答弁は、郵便投票については、法律要件が規定をされており、運用上、そのままの形で行うということは難しいというものでした。つまり、公職選挙法改正しない限り投票できないというものでございます。  政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身会長は、昨日の衆議院内閣委員会並びに厚生労働委員会で、今の状況はいわゆる第四波と言って差し支えないと思うと答弁されました。コロナウイルスも、感染力の強い変異株が主流になりつつあり、コロナ収束の見通しは全く立っていません。さらに、コロナワクチン確保と接種の具体的スケジュールも定まっていません。  今年秋までには必ず行われる衆議院総選挙、また、七月には東京都議会議員選挙が予定されています。総選挙に至っては、全国が対象となり、現在行われている三つの国政選挙をはるかに上回る候補者と陣営が選挙活動をし、全ての有権者が対象になるわけで、このまま自宅療養者が投票できなくなるというものをそのままにしておくこと、また、限られた選管職員で、現状の宿泊療養施設における期日投票所、不在者投票記載場所の運営は大変厳しくなるという意見が出ております。  憲法学が専門の大学教授は、投票権が侵害された憲法違反の状態と言えるとした上で、秋までには衆議院選挙が行われるため、公職選挙法改正も含めた制度見直しが必要と指摘しています。  自宅療養者が投票できない状況は、国民投票法においても同様です。公職選挙法に合わせるだけでは、この状況は解消できません。公選法改正による速やかな対応が求められているのはもちろんではありますが、憲法改正国民投票法憲法違反の状態であるというのは放置されるべきではないという意見を申し上げ、終わりといたします。
  42. 國重徹

    國重委員 公明党の國重徹です。  発言機会をいただきまして、ありがとうございます。  まずは、七項目案、これは国民参政権行使の在り方に関する課題でありまして、一日も早い採決を私も求めたいと思います。  その上で、今日は、憲法制定時には想定されていなかった課題を通し、簡潔に意見を述べたいと思います。  まず、同性婚と憲法についてです。  先月十七日、札幌地裁におきまして、同性カップルに一切の法的保護を認めない民法等の規定に対し、憲法に違反するとの判決が出されました。  憲法二十四条一項は、婚姻は両性の合意のみに基づいて成立することを定めております。この規定について、多くの学説は、憲法二十四条一項は異性婚のみについて言及したものであり、同性婚を異性婚と同程度に保護するものではないが、禁止するものでもないと。つまり、同項は同性婚の法制化を許容していると解釈しているものと考えられます。  先般の札幌地裁判決も、憲法二十四条一項について、多くの学説と同様、許容説に立ちました。そのため、同性婚が法制化されていない状態が直ちに二十四条一項に違反するものとはされておりません。  その上で、性的指向は自らの意思に関わらず決定される個人の性質であり、性別や人種などと同様、人の意思によって選択、変更できないものであることなど、様々な事実を挙げ、同性カップルに対して、婚姻によって生じる法的効果の一部すらも享受する法的手段を提供していないことは、憲法十四条一項に違反するとされました。  今後、立法府において、このような憲法制定時には想定されていなかった同性婚についても、真摯に議論をしていく必要があります。  我が党におきましても、先日、性的指向と性自認に関するプロジェクトチームの下、同性婚検討ワーキングチームが設置され、私がその座長に就任をいたしました。今日もこれに関する会議を開催いたしますが、議論の土台となる共通認識を確立しながら、着実に議論を進めていきたいと思います。  次に、感染症の拡大と憲法についてです。  新型コロナの感染拡大を受けて、議会の母とも言われている英国議会では、上院、下院共に、遠隔審議投票ができるようになりました。  日本でも、感染拡大を避けるために三密回避が求められている中で、このようなオンラインによる出席の是非も議論をされております。この点、憲法五十六条一項は、「総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」と定められており、この「出席」という文言について、解釈が分かれています。  まず、長谷部恭男早稲田大学教授は、出席の意義は全国民を代表するという国会議員の職責と切り離せないものであり、見える形で物理的に存在する必要があるとして、オンラインでの国会出席は憲法に違反するとしています。  他方、宍戸常寿東京大学教授は、議場に集まることが原則であるとしつつ、審議に参加して表決し、その様子が公開される議会制の本質的要素を満たせば出席と見て差し支えないとして、オンラインでの国会出席も認め得るとしております。  憲法制定当時は国会にオンラインで出席するようなことは技術的に想定されておらず、情報通信技術の進展があったればこそ生じている論点です。今後、感染の更なる拡大によって、我々国会議員の多くが出席できなくなり、国会が機能しなくなってしまうおそれもあり得ます。危機意識を持って、このような議論も迅速かつ精緻に進めていかなければなりません。  以上に述べたように、同性婚やオンラインでの国会出席といった新たな問題が出てきておりますが、これらにとどまらず、憲法をめぐる様々な問題において、憲法制定時には想定できなかった事態が生じているということを改めて申し上げたいと思います。時代の変化を見据えた憲法議論をしていくことは、我々憲法審査会に課せられた重要な責務であります。  まずは七項目案を早急に採決し、その後、CM規制憲法本体議論同時並行で行っていく中で引き続き真摯な議論を交わせることを願い、私の意見表明といたします。
  43. 本村伸子

    本村委員 日本共産党の本村伸子です。  国民投票法をめぐる問題について、三点意見を申し述べたいと思います。  与党の方から、公職選挙法並びの七項目は、投票環境向上のためのものだから、すぐに採決し、次のステップに進めばいいという話が出ておりますけれども、憲法改定の手続法が公職選挙法並びでいいのか、公職選挙法並びに国民投票法を変えれば本当に全ての国民皆様の意見を反映する仕組みになるのか、法体系の根本から議論するべきではないかというふうに思います。  最低投票率の問題、投票運動の制限、CM規制の問題など、重要な課題が残っていると思います。したがいまして、旧国民民主党の皆様提出をされました法案を含めて、十分かつ慎重な議論が必要だと思います。  二つ目は、同時に、今政治がやるべき最優先の課題は、新型コロナ対策です。改憲や国民投票法ではありません。  コロナの感染拡大が各地で深刻になっています。この事態に対し、憲法の見地からどう対応するのか。それは、憲法を変える議論ではないと思います。国民、住民の皆様の命と暮らしを守り、憲法が規定する生存権を保障するために、具体的にどういう施策が必要かを議論することだと思います。  兵庫県の医療現場からは、阪神間は完全に医療崩壊しました、在宅の死者も出ています、酸素飽和度八〇%の方が酸素もなしで在宅で空かないベッドを待っています、切実な声が上がっています。今でも、ベッドも医師も看護師も足りません。  ところが、菅政権は、病床削減を推進する地域医療構想に固執をし続け、消費税財源で一〇〇%補助をつけて病床削減を推進する法案をこの国会で強行しようとしています。  コロナ禍で中小・小規模事業者から生きるか死ぬかの悲鳴が上がっているのに、新しい産業等への人材の移動を阻害する等の懸念があると、持続化給付金や家賃支援給付金を打ち切り、雇用調整助成金の特例措置も縮小する計画です。補償を含め、中小・小規模事業者の支援を抜本的に強めるべきです。  学生さんからも悲鳴が上がっています。愛知県内のある大学でのフードバンクでは、約四百人の学生が並んだそうです。学生さんの要望の一番は、お米が欲しいという声です。緊急に今すぐ食料支援や学費半額、学生給付金などを行い、ひとしく教育を受ける権利を保障し、若い人を追い詰めている現実こそ変えるべきです。  こうした一つ一つの問題に応えることこそ、緊急に政治に求められていると思います。  三つ目に、こうした議論をする上で、政治への国民の信頼が不可欠だということです。  安倍政権の下で、森友、加計学園問題、桜を見る会をめぐる問題など、行政の私物化が繰り返されてきました。いずれも、いまだに全容が解明されておりません。  国会で虚偽の答弁を繰り返した安倍前総理は、桜を見る会前夜祭の政治資金収支報告書の不記載を認め、議院運営委員会で弁明しましたが、このとき野党が求めたホテル発行の明細書などの資料は、いまだに提出されておりません。  河井克行元法務大臣と案里前参議院議員による大規模選挙買収事件では、自民党本部が提供した政党交付金を含む一億五千万円が買収に使われたのではないかという疑惑はそのままです。  菅政権の下でも、東北新社やNTTによる総務官僚への違法接待により行政がゆがめられたのではないかということが問われています。さらに、現職の武田総務大臣の会食、歴代大臣、副大臣、政務官がNTTから接待、会食を受けていたことが明らかになっています。吉川元農水大臣の収賄事件、前文部科学副大臣の接待問題など、汚職と腐敗は挙げれば切りがありません。  ところが、安倍、菅政権は、一切まともな説明をしておりません。それどころか、公文書の破棄、改ざん、隠蔽するなど、国会を軽視し、民主主義を土台から突き崩しています。  憲法議論する大前提である国民の信頼を取り戻すことこそ焦眉の課題であるということを指摘して、意見表明とさせていただきます。
  44. 足立康史

    足立委員 日本維新の会の足立康史です。  本日は、国民投票法改正案について審議し、法案提出者の一人として答弁した我が党の馬場伸幸委員とともに、新型コロナウイルス感染症の蔓延という脅威に対応する中で、緊急事態条項に係る議論を今こそ深める必要があること、そして、そのためにも、国民投票法改正案の速やかな可決、成立を図り、憲法改正原案に関する実質的な審査に入るべきこと等について指摘をしました。  私からは、改めて、新型コロナ対応を通じて私たちが考えたこと、感染症との闘いが憲法論議に与える重要な示唆について申し述べたいと存じます。  いわゆるポストコロナ、ウィズコロナという言葉に象徴されるように、昨年来のコロナ危機を通じて、私たちは、平時と有事、日常と非日常との線引きが実は絶対的なものではなく、状況に応じて変わり得る相対的なものであるということに気づかされました。  ポストコロナであれ、ウィズコロナであれ、これらの言葉が強く示唆するのは、有事の後に以前と変わらない平時に戻るとか、非日常の後に以前と変わらない日常が戻ってくるということはないかもしれないということであります。以前とは異なる新しい日常にあっては、平時と有事の線引き、日常と非日常との線引きもおのずと変化するということであります。  こうした平時と有事との線引きを相対化する観点から、東大社研の林知更教授は、いわゆる緊急事態条項に関連し、当該条項を持つか持たないかという単純な二者択一ではなく、もう少し多様な可能性が存在している、非常事態という憲法上の特別なモードを設定する立場も、これを拒否する立場も、可能な選択肢の一つにすぎないと喝破しています。つまり、大事なことは、基本権保護や権力統制の水準を維持しながら、どこまで法の枠内で難局への対応を可能にし、超法規的な権力の出現する地点まで簡単に突破されない法秩序の厚みを獲得するかであるというのであります。  この憲法審査会においても、現行憲法を絶対視する余り、緊急事態という憲法上の特別モードを設定する議論を拒否する意見、さらには、もっと手前で、憲法改正論議自体を拒否する意見さえ散見されます。  しかし、コロナ禍にあって私たちが改めて認識したのは、既存の法秩序の枠内では状況に対処できない事態がいかに危険かということでした。  例えば、民主党政権時代に制定された新型インフル等特措法において、緊急事態に関連する規定が十分でなかったために、同法を改正し、蔓延防止等重点措置等を整備するまでの間、新型コロナの蔓延拡大に直面した全国の知事たちは、特措法に根拠のない独自の緊急事態宣言を乱発し、法的根拠の薄弱な協力要請を繰り返さざるを得ない事態に追い込まれました。  つまり、コロナ禍を通じて私たちが学んだことは、法律であれ憲法であれ、平時とは異なる緊急事態における統治に係る規律が十分でない中にあって、国民の権利や自由への制限がなし崩し的に恒常化されていくことこそ、私たちは恐れるべきだということであります。平時から、最悪の事態を想定し、必要な権限や手続に係る十分な規定を設け、憲法法律に権利保護や民主的統制に係るメカニズムをしっかり組み込んでおくことこそが重要なのであります。  こうした憲法の中身の議論を前に進めるためにも、国民投票法改正案については直ちに採決し、速やかに可決、成立を図るべきであると訴え、私からの発言といたします。  ありがとうございます。
  45. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。  先ほど来、やはり手続と本体の議論同時並行ということが発言で聞かれていますし、私も必要だと思います。  そこで、本体の議論のテーマ設定について参考にしていただきたく、皆様のお手元に資料を配らせていただきました。  これは、国民民主党が昨年末、十月九日から十二月三日にかけて十二回、国民の参加と公開の下、原則誰でも参加自由、ネットでのライブ中継あり、フルオープンで開催をした憲法調査会、その中でまとめてきた憲法改正に向けた論点整理の概要であります。あわせて、これは四日間という短い期間のパブコメであったんですけれども、九百三十一件の国民の意見をいただいて、それも大変参考にしております。  大きく掲げたテーマですけれども、まず考え方として、先ほど國重委員からも、やはり人権カタログが時代の変化に対応し切れていないのではないかという趣旨で伺いましたが、私たちも、そこはやはりしっかり見極めて、必要なアップデートをしていくべきだという考え方。そしてまた、統治の分野は、国際比較から見ても極めて文言が少なくて規律密度が低いがゆえに、やはり三権分立のゆがみに対応できていないので、そこを埋めていくような、そういう作業を検討すべきではないかと考えています。  そこで、大きく掲げたテーマが三つ。一つは、デジタル時代の人権保障としてデータの基本権、そして、両者の合意による婚姻の保障ということで、同性婚についても掲げています。二点目が地方自治。そして、三点目が統治、三権のリバランスであります。  そして、これらは、コロナ禍が継続する中で、この検討の必要性というのは、本当に、より可視化をされたんじゃないかと思っています。感染拡大と社会生活の両立にはデジタルツールが不可欠ですけれども、データ基本権の保障など、プライバシーへの信頼あってこそ、こういったデジタルツールの機能が働くということだと思います。  コロナ対策のリーダーシップでも、国と地方でどういう権限配分が適切なのか、今、錯綜が続いております。  あわせて、飲食店に対して、十分な補償がないままに、罰則を伴う時短要請、命令、あるいはマスク会食の義務化というのが措置をされていますけれども、これらは本当に財産権の保障や営業の自由に反しないのでしょうか。検討が必要だと思います。  あわせて、今回のコロナ対策の法源となっている改正特措法ですが、国会承認なしに緊急事態宣言も重点措置も取ることができ、しかも、罰則対象の行為が、政令に指定が丸投げされていますので、私たち国会議員も知るいとまのないところで、罰則つきで、飲食店に対して、今後はマスク会食も駄目です、アクリル板も設置しなきゃ駄目ですというふうに命令することが可能になっていますし、それを可能にしたのは国会議員です。  緊急事態宣言には国会承認が必要と自民党の改憲草案で考えていたあの方針は、一体どこに行ったんでしょうか。あるいは、その自民党の改憲草案にすら、緊急時に国民の権利制限を内閣に丸投げするから緊急事態条項は駄目だと批判をしていた方は、今回の特措法をどう評価して賛成しているんでしょうか。是非議論をさせていただきたいと思います。  先ほど足立委員からもありましたけれども、私たち国民民主党も、検討すべき論点で緊急事態条項を挙げました。  今、コロナ禍という緊急事態で感じるのは、緊急事態条項が危険なのではないということです。むしろ、緊急時の権力行使において、実体面、手続面で枠づけをきちっとしているまともな緊急事態がないこと、それを平時に冷静に議論していない状況こそが危険な状態を今生んでいるというふうに思いますので、少なくとも、コロナ禍が継続している今、日本社会でどんな憲法上の課題が生まれているのかを整理する作業が開始されるべきですし、各国の緊急事態条項がコロナ禍でどのように機能していたり、どんな課題が生まれているのかということは、事務局のサポートも受けて、国際的な状況を調査すべきだというふうに思います。  最後に、このようにやはり本体の議論が極めて重要ですので、伺いたいんですけれども、新藤筆頭山花会長代理、そして、もしよければ北側幹事にも、同時並行のために、例えば週二回に定例日を増やすとか、あるいは、手続はこの審査会で進めて、分科会をつくっていくとか、幾つかの方法があると思いますが、どんな方法を考えていらっしゃるか。あるいは、幹事会でその点についてしっかり議論を進めたいと思っていますが、御意見を伺います。
  46. 新藤義孝

    新藤委員 山尾委員から建設的な御提案をいただいたと思います。  まず、この憲法審を定例日でやると。しかし、大臣の出席が求められないわけですから、本来、予算委員会とも切り離しても、開催が可能な状況になっております。  しかし、現実には、毎年、私も三年この筆頭をやらせていただいておりますけれども、衆議院の予算委員会があるから駄目、そしてその後は、参議院の予算が、しかも、基本質疑まではと言われ、基本質疑が終わると、いや、参議院の予算が終わっていないから駄目と。いつも四月になってしまうんですね。  ですから、まずは、定例日にきちんと開催をしようと。特に、幹事懇のメンバーの中からも、定例日にきちんとやってくれという御意見は何度も出ております。ですから、まず、審査会の開催をきちんとやっていくことが重要だ、これが第一です。  その上で、議論がどんどん増えていくし、例えば、憲法改正賛成反対は別にして、意見をおっしゃりたいという方はいっぱいいらっしゃって、自由に討議するならすごく議論が盛り上がるんですね。だから、もっと定例日を増やしたっていいではないか、この御意見は傾聴に値すると思っておりますが、いずれにしろ、まずその前に、定例日が開かれないんですから、そこから含めて、やはり筆頭間の協議をしっかりとやっていかなければならないな、このように私は考えております。
  47. 細田博之

    細田会長 今出されている問題については、ちょっと幹事会でもまたお話を。今後の審査会の在り方ですから。今ここで議論をしていると、かなり時間がかかりそうですので、また幹事会で、与野党議論をしていただきたいと思います。
  48. 野田毅

    野田(毅)委員 冒頭、今、新藤先生がおっしゃった、全くそのとおりで、できれば、この憲法審査会は、政治的なことは横へ置いて、純粋に憲法論議を真面目にやろうじゃないかということで始まったと思っています。  私は久しぶりに発言をさせていただくんですが、私が最初に国会に議席をいただいたのは昭和四十七年なんですよ。そして、初当選して、その翌年、田中内閣でしたが、予算が上がって最初に田中当時総理がおっしゃったのが、実は小選挙区制なんです。我々一年生が呼びつけられて、何で小選挙区かという話を言われたのは、憲法改正なんだということでした。  ちょうど私どもが当選したときには、沖縄返還、それから日中国交正常化、とりあえず戦後は一段落した、しかしまだ残っているじゃないかというのが、靖国神社の国家護持の問題と、それから憲法改正だったんです。  爾来、憲法問題は、折に触れて、いろいろありました。そういう中で、ほとんど私も、政治活動の中で憲法問題とは、中心にいたこともあります。いろいろな場面で検討しておりますが、ただ、総じて感じますのは、まずは前文から本当は変えなきゃいかぬのですよ。  釈迦に説法と思いますが、日本国憲法は、よくポツダム宣言をというのだけれども、それもありますが、一番根本は国連憲章なんですよ。  国連憲章は、ドイツが終わった後、そして、直ちに、当時のいわゆるユナイテッドネーションズ、連合国が、そのまま同じユナイテッドネーションズということで国際連合ということに、日本語名は変えたけれども英語は変わっていないんですね。そして、国連憲章ができたのが、二十年の、沖縄戦の直後ですよ、六月二十六日に調印されております。  したがって、そのときはまだ、だから、旧敵国条項があるのは当たり前であって、だから、ソ連を含めて、言うなら善玉、悪玉の二分法の中で、悪玉連中が再びよからぬことをやるなら敵国としてやっつけるぞと。そして、ソ連を含めて善玉連合だったんですね。これを受けて作られているのが、日本国憲法の前文であります。  ただ、その後、もう既に翌年には、チャーチルが鉄のカーテンということで表現したように、既に第二次大戦が終わって一年後には、米ソの冷戦構造がどんどん広がってきた。  だけれども、日本国憲法ができた当時は、まだまだ、中国は中華民国です。中共政権ができ上がったのは昭和二十四年です。そして、朝鮮半島はどうか。まだまだ混乱状態であります。まだ統一した統治機構はありませんでした。昭和二十三年になって初めて、李承晩率いる韓国が宣言をし、そして、それから一か月遅れて、金日成の北朝鮮が建国を宣言する。まだ朝鮮戦争が始まる前なんです。そのときにできた憲法であります。  そして同時に、占領国、GHQの支配下にありますから、日本の国会で決めても、マッカーサーの指令に基づいてそれは覆されたわけで、基本的に主権はなかったわけです。天皇陛下でさえ覆されるわけですから。  だから、そういう中で、言うなら主権回復ということが日本の悲願であった、統治権をいかに戻すか。それが、昭和二十七年、御承知のとおり四月二十八日に、沖縄については、非常に、沖縄の気持ちからすれば、そのときに切り離されたという思いがあります。  そういう中で、要するに憲法は、当時からいろいろ議論がありましたが、自民党は、だから、鳩山内閣ができて、まさに結党の原点が自主憲法制定だった。この中には、ある程度恨みがあります。日本国として、外国から押しつけられた憲法は、言うなら日本の矜持からすれば許し難いものがあるから、自主憲法制定が柱でした。  しかし同時に、その後、冷戦になり、時代は変わってきました。今、そういう意味で、昔と同じ憲法にしようという人はほとんどいないと思います。それよりも、当時の時代環境と随分変わりました。米ソの冷戦構造も終わった。そして、ソ連も崩壊をした。いろいろな国際環境が変わった。朝鮮半島の情勢も変わっている。経済力も安全保障環境もみんな変わっている。あるいは、国内問題でも新たな課題が出てきている。  今の憲法の条項を、成文憲法ですから、英語で書いた日本国憲法、これは変わっていないんですよね。だから、今、日本が行っていることは、英語で書いた憲法と全然違うことをやっているわけですよ。成文憲法ですから、これはどういうことだ、日本はいいかげんだねと。書いてあることとやっていることが全然違うじゃないかということは、安全保障の問題もそうです。  ただ、我々が若い頃は、自衛隊、今は戦車とみんな言っていますが、当時は特車と言っておったわけです。それから、階級だって、大佐、中佐、少佐とやっていたのが、今は一佐、二佐、三佐。いろいろ言葉をちょっと変えて、いろいろ工夫している。  それは当然、我々は、憲法あって国滅びる、国民滅びるというわけにいかないという現実があるだろうから、言葉は悪いけれども、解釈改憲のオンパレードで今日までやってきた。それは、私学助成にせよ何にせよ、みんなそうなんですよ。  ですから、本来なら、時代が変わったのなら、もう余り昔に戻るとかそんな話じゃなくて、冷静に、世界の情勢がみんな変わっているんだから。そういうことで、本当は与野党を超えて、政局を超えてやらなきゃならぬ、今、そういう時代になっているんじゃないのと。私は、本当にそう思いますね。そうでなければ、一体、日本国憲法って何じゃいな、書いてあることとやっておることが違うぞと、成文憲法なんですから。そのことを、釈迦に説法とは思いますけれども。  まあ、我が党はみんな分かっているとは思うんだ。だから、本当はしなきゃいかぬのは分かっておるけれども、少し遠慮ぎみに、せめて四項目ぐらいはどうかねぐらいで恐る恐る出しているのが今の現状だ。だから、本当に根っこからどうなのということを議論してほしいというのが、少し時間が過ぎたかもしれませんが、まだ申し上げたいことは本当は山ほどあるんだけれども、ちょっと時間の関係がありますから、この程度にしたいと思います。  ただ、残念なのは、憲法がどうかということを今決めているのは、政治じゃなくて最高裁なんですよ。最高裁が違憲か合憲かを決めてしまっている。それはまあ、そういうことですよね、憲法体系は。だけれども、本当にそれでいいのかということでもあるんですね。  だから、同じ文言の中で、条文は変わっていないんだけれども、合憲だったものがいつの間にか違憲になっちゃうということになるということであれば、今後、あらゆるものがみんな、現状を政治的に判断をした結果ということになるんじゃないか。そうなると、今のままでいくと、超法規措置ということが必ず出てくる。  今の憲法の中でどうしても変えられないのは、四十五条と四十六条、国会議員の任期だけは数字が入っておりますので。数字が入っているものは、なかなか解釈改憲ができない。ここだけはやはりしておかなきゃいかぬですね。  いろいろな問題点がありますので、ちょっと問題提起だけ申し上げて、発言を終わります。  ありがとうございました。
  49. 大串博志

    大串(博)委員 立憲民主党大串博志です。  昨年秋のこの憲法審査会の場で、私は、審査会の前身たる憲法調査会を立ち上げられたときの会長、中山太郎先生の英知に触れさせていただきました。すなわち、国会における憲法議論は、立場の異なる間においても静かな環境下で議論が進むように、野党側にも十分配意した運営をしなければならないという考えで始めていらっしゃった。その考えは今でも重要で、ずっとこの憲法審査会にも引き継がれているということを申し上げました。是非、この通常国会における憲法審査会の運営においても、この辺を銘記していただきたいと思います。  この点からいうと、先ほど、山花会長代理が役割を果たしてこなかったというような発言もありましたが、むしろ逆で、この中山先生の英知に従って、静かな環境下で野党側にも十分配意した運営となるように大汗をかいていたというのが現状だと思います。そういった、むしろ大汗をかかなくていいように、是非与党の皆さんにも理解をしていただいて運営に当たっていただきたいと思います。  いわゆる七項目案についておおむね問題ないという考え方が示されてきたという発言がありますが、さきの国会において私からも、あるいは今日、本多委員からもありました、憲法改正手続という特段の過程で、本当に公選法並びということでいいのかと。これは詰めた議論が必要だと思います。  先ほど本多委員が言われたような期日投票弾力化、あるいは、こういったことが投票環境を逆に悪化させてしまうんじゃないかという懸念にどう応えるかというようなことは大きな問題です。さらには、洋上投票や在外投票に関する改正内容についても、通常の選挙じゃなくて憲法改正に係る国民投票だというときに本当に同じように考えていいのかという問題は、大変しっかり議論されるべきだと思います。  この点で、すなわち、公選法に基づく投票憲法改正国民投票における投票が性格として同じなのかという基本的な論点、私は非常に大事だと思います。先ほど新藤幹事は、同じ参政権に基づく国民の権利と言われました。逢沢提出者は、主権者たる国民国政参画という点で変わりないというふうに言われました。本当に同じ参政権なのでしょうか。  憲法改正国民投票は、通常の選挙における参政権というよりは、国民主権原理に基づいて国民が有する憲法制定権力の発露として捉えるべきであって、その基本的な性格の違いを一旦きちんと皆さんで共有した上で、その上で、公選法並びで本当にいいのかという技術的な論点に入っていく、そういう根本論と技術論、両方議論しなきゃならないんじゃないかと私は思います。  また、私たちから繰り返し課題として言っていましたテレビCM規制の問題、あるいはインターネット規制の問題、これは国民投票法策定時から大きな課題で残っていますので、旧国民民主党提案CM規制改正法案、これが提出されていますので、是非、同時並行審議をしていただきたいと思います。  何らかの結論を得るということでありますけれども、これは何らかの結論を得るです。それ以上でもそれ以下でもありません。ましていわんや、CM規制等の論点が議論されないまま、七項目案改正案だけ採決するということを意味するものではありません。  現実的に見て、実際の憲法改正国民投票の可能性が目の前に迫っているというわけではないというのは誰の目にも明らかだと思います。すなわち、議論の時間が限られているわけではありません。そのような環境ですから、特にCM規制も含めた十分な議論を、みんなが納得いくように議論を尽くすべきだと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  50. 盛山正仁

    ○盛山委員 初めて発言機会を頂戴しました。誠にありがとうございます。  今日も活発な議論がなされたところでありますけれども、先ほど野田委員の方からも御発言がありましたが、日本国憲法は、昭和二十二年五月に施行されて以来、一度も改正されておりません。施行後約七十四年が経過して、第二次世界大戦後の焼け野原の状況から、今日の豊かな社会に我が国の社会状況は大きく変化しております。それにもかかわらず、憲法について一度も手直しもないということ自体が通常ではないように私には感じられます。  諸外国におきましても、憲法は、時代の変化に応じて改正されていると思います。我が国の憲法だけが、世界と比較すると特異な状況にあるということではないでしょうか。また、それは、私自身も含めてでございますが、ここにおられる議員だけではなく、国会議員全体の責任ではないかと私は思います。  安全保障、緊急事態条項、環境、両院制その他、国民皆様とともに議論を深めていくべき論点は多々ございますが、発言の時間が限られておりますので、実質的な憲法論議は別の機会に譲ることとしまして、本日は、憲法改正法案がまとまった場合の手続法である国民投票法改正法案について、私見を述べさせていただきます。  まず、平成二十八年の公選法の一部を改正する法律は既に施行されておりますので、先ほど来いろいろ議論はございましたが、これと同様の、投票人名簿の閲覧制度等の七項目に関する平成三十年に提出されました国民投票法改正法案については、おおむね合意されているのではないかと私は理解しておりますので、速やかに採決がなされるべきものと考えております。  この七項目以外の論点につきましては、令和元年公選法の一部を改正する法律も既に施行されておりますし、これと同様の、天災等における安全、迅速な開票等に関する国民投票法改正法案も、速やかに検討がなされるべきと考えます。  また、これ以外の論点につきましても、各党間での御意見の調整を進めていただき、そして、この俎上にのせていただければと思います。  委員各位におかれましては、それぞれのお考えがあろうかと思いますが、国民投票法のせっかくの改正機会なのだから、この際あれもこれもと多くの論点を盛り込むべきであるという考え方に、私はくみしません。  私は、バリアフリーや障害者対策に関わってまいりました。平成十八年に国連総会で採択されました障害者権利条約は、その条約交渉の段階で、多くの障害者団体、そして百五十ほどの政府、そして政府間でもいろいろな対立がございましたが、その調整をいたしましたドン・マッケイという議長が、パーフェクト・イズ・ジ・エネミー・オブ・グッド、完璧を求めればよい結果は生まれないという言葉を標語に、采配を振るわれました。ア・パーフェクト・コンベンション、完璧な条約ではなく、短時間でまとめることが大事であるとの強い意思を持って、各国あるいは各団体間の協調と妥協を図られた結果、障害者権利条約が結実したものであります。  私は、国民投票法改正につきましても、この考え方が当てはまるものであると考えております。合意ができたところから少しずつ改正を重ねて、よりよいものに仕上げていくべきではないでしょうか。  現在俎上にのせられている手続法の七項目の部分につきまして、一日も早く成立させるべきと申し上げまして、私の発言とさせていただきます。  ありがとうございました。
  51. 細田博之

    細田会長 自由討議が始まりましたのが十時五十三分ですから、おおむね一時間と考えますと十一時五十三分をめどにしたいと思いますが、引き続き御発言を願います。  ただ、御希望の方が多いようですが、全員にというわけにはまいりませんので、あらかじめ御了承いただきたいと思います。
  52. 奥野総一郎

    ○奥野(総)委員 発言機会をいただきまして、ありがとうございます。  幹事を務めております奥野でございます。  まず、この国民投票法改正について大事なことは、できるだけ多くの方が投票できる、利便性向上を果たしていくということ。それから、投票の結果にゆがみがない、きちんと民意が吸い上げられるような仕組みになっている。これは、投票の質という言い方をされていましたけれども、質を担保するということがやはり大事だと思います。  これなくしては、どんなにいい憲法の中身の議論、私も、いろいろ憲法議論すべき点はあると思っています、ここでは申しませんけれども。どんなにいい議論をしても、どんなにいい成案を得たとしても、きちんとした結果が投票に反映されないということでありますから、問題です。  ですから、まずは、きちんとした国民投票法、時代に合った国民投票法を作っていくということが大事ではないかと思います。  そういう意味で、何らかの結論という話がございましたけれども、何らかの結論ということは、その中には、七項目についてそのまま採決をするという意味ではなくて、CM規制などをきちんと盛り込んでいく、あるいは外国人の寄附規制、あるいは資金の透明化等、我々、原口さんと私で出した法案の中身について、いろいろ盛り込んでいますが、そういったことについて議論をし、国民投票法の中に盛り込んでいくということも何らかの結論の一つではないかというふうに思います。  ですから、そこも考えていただきたい。採決をただ言っているだけではないということを申しておきます。  それから、新藤筆頭が、採決前提に民放連からのヒアリングを行ったというようなこともおっしゃっていましたが、その採決前提として、我々は、CM規制について、きちんと検討が担保される、実現が担保されることを前提採決という話があのときあったんですが、その点についてはいまだ果たされていないということだと思います。  二年たったとおっしゃいますが、二年前からこの議論をちゃんとやっていれば、今頃いいものができていたはずなんですよ。この七項目にこだわって、一切動かさないということを言い続けてきた結果、二年の月日が無駄になってしまったんじゃないですか。どうですか、皆さん。きちんと議論をしていれば、今頃終わっていますよ。憲法の中身だって議論に入れたはずじゃないですか。(発言する者あり)定例日も、我々はきちんと、今日も応じますし、来週も、採決さえ前提でなければ応じてもいいと思っているんですよ。  ということで、中身については、先ほど井上……(発言する者あり)静粛に願います。井上提案者の方からも我々の法案について、山尾さんからも後押しいただきましたけれども、速やかに我々の出している法案についても議論をしてもいいと。やり方についてはいろいろおっしゃっていましたけれども、速やかに議論をすることも可だというふうに提案者の側もおっしゃっていました。  また、逢沢さんも、前回、CM規制その他の新しい問題についても、丁寧な議論を繰り返しながら取りまとめていく作業が大事だと認識している、こういうふうに御発言をいただいているわけであります。  ということで、今この七項目を急いで採決しても、結局、憲法の中身を議論しても、公正な投票が担保されないということじゃないですか。だったら、急いで中身に入る必要はなくて、徹底的に、この際、国民投票法議論をして、いいものを作るというのはどうですか、皆さん。これが担保されない限り、私は、採決にはまだまだほど遠いんだと思いますよ。  以上、発言をお許しいただきまして、ありがとうございました。
  53. 城内実

    城内委員 多くの自民党議員の方が手を挙げている中、選んでいただきまして、ありがとうございます。  簡潔に申し上げます。  憲法審査会では、手続に関する国民投票法議論憲法改正の中身の議論がこれまで行われてまいりました。  国民投票法項目案につきましては、昨年の臨時国会におきまして、趣旨説明から二年半、八国会という長い月日を経て、ようやく質疑が開始されました。そして、本日、提出から九国会目となる今国会において、やっと三回目の法案質疑が行われるに至ったこと、高く評価しております。  これまでに尽力されてこられた歴代憲法審査会長、幹事の先生方を始め関係者の皆様に、改めて敬意を表します。  七項目案につきましては、既に公選法で実施されている投票環境整備国民投票法でも行うものであり、本日の質疑を聞いていても、議論はほぼ尽きていると率直に感じております。  七項目案は、投票環境利便性向上といった民主主義の基盤に関わるものであり、速やかに採決することが国会の責務と考えております。  他方で、テレビやラジオのCM規制の在り方につきましては、論議が進められる中で、ネット広告やSNS等、様々な新しい論点も明らかになっております。  新藤筆頭から本日お配りいただきました、整理いただいた四つの論点を基に、しっかりと、かつ速やかに熟議を重ねていく必要があると考えております。  同時に、憲法そのものの中身の議論も並行して行うことは、私たち国会議員の責務であると考えております。  現行憲法が施行されて七十四年近く、時代は大きく変わり、国民認識や取り巻く環境も大きく変化し、新たな問題点が明らかになっております。そうした問題点や改善点を議論し、論点を国民皆さんに提示していくのは、憲法九十六条により憲法改正の発議権を独占する国会の責務であります。  ちなみに、私は、幼少期も含め、西ドイツ及びドイツに十年弱おりましたが、ドイツでは、憲法に当たるドイツ基本法が六十五回改正されております。このことはドイツに視察に行かれた本審査会の先生方も十分認識されておられると思います。  さて、既に多くの委員から御指摘はありますが、世界中が新型コロナウイルス感染症による危機に直面し、緊急事態における国会機能の維持に関する課題が明らかになっております。  感染症の大流行や大規模自然災害、そしてまた、アジアの某大国が最近とみに覇権主義、拡張主義に走っている、武力を背景にした現状変更の試み、また、北朝鮮の核開発、ミサイル開発、こうした中、緊急事態において国民の生命と財産を守るために、諸外国の憲法では、当然、緊急事態に備えた規定があります。  緊急の対応が必要であるにもかかわらず、国会が機能しないという最悪の事態が発生する前に、私たちは、この問題に対し、正面から向き合わなければなりません。  また、前々回の自由討議の際に務台委員からも御指摘がありましたが、地域の人々のよりどころとなっている神社仏閣は、災害により被災しようが、コロナの影響で参拝者が激減して運営難になろうが、憲法に定められた政教分離の観点から、公的支援は行われないという実情があります。  政府のコロナ対策支援である持続化給付金の対象が、憲法二十条や八十九条の政教分離の観点から、公益法人の中で宗教法人のみが除外されたのであれば、これは極めて不合理と言わざるを得ません。私も、じくじたる思いで地元の方々に御説明をいたしました。  憲法で定められていることが今を生きる国民の生活、社会とかけ離れているのであれば、私たちは改善に向けて議論を速やかに進めるべきであります。憲法について、改正すべき、すべきでないの二元論ではなくて、様々な論点について徹底的に議論を詰めていく必要があると思います。  しかし、憲法において、論点は、前文、第一章第一条から最後の条文まで、極めて多く存在しております。  例えば、憲法第一章第一条において、天皇を元首として規定すべきであるという考え方があります。これに対して、そもそも古来より、天皇陛下の主たるお役目は祭祀であり、祭祀の長としてお祭りすること、内外の平和を祈ることであります。したがって、元首、英訳するとヘッド・オブ・ステートと規定してしまうことは、天皇陛下の本来の役割を矮小化しかねず、諸外国に対しても誤解を与える、あるいは、天皇はあくまでも天皇であり、エンペラーそのものではなく、また国家責任を負うヘッド・オブ・ステートそのものでもなく、祭祀と元首のお役目を併せ持つ、世界に二つとない存在であるという考え方を持っていらっしゃる方もいます。私は、個人的には、こうした考え方も十分考慮すべきと考えます。  いずれにしましても、こうした日本の国柄に関する論点や、今を生きる国民の生活、社会に生じている問題についても、しっかりと議論をすべきであります。  最後に、我が党では、今の自衛隊をそのまま憲法に位置づける自衛隊の明記を始めとする憲法改正の条文イメージ、たたき台素案を発表させていただいております。丁寧に論点を洗い出し、議論を深めた上でしっかりと結論を出していく姿勢が、コロナ禍において、今だけ、金だけ、自分だけという新自由主義的な考え方や行き過ぎたグローバリズムが見直されつつあるこの激動の時代にこそ求められると私は信じております。  今後は、定例日には毎回必ず憲法審査会を開催し、国民市民の目線に立って、国民市民のための憲法改正論議が積極的に行われることを切に期待し、私の発言を終わります。  ありがとうございました。
  54. 細田博之

    細田会長 本日の自由討議は既に一時間を超えて、予定の時間は超えておるわけでございまして、ただいま与野党間の筆頭間で協議もしております。今後の自由討議取扱いにつきまして、また、これを踏まえまして、幹事会等において協議をいたしたいと存じます。  これにて本日の自由討議は終了いたしました。  次回は、来る二十二日木曜日審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十六分散会