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馬淵委員長 平成二十八年度
決算及び
平成二十九年度
決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
平成二十八年度及び
平成二十九年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書に関する議決案
本院は、両年度
決算について、予算
執行の実績とその効果、
会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の
執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の
努力を要する
事項などが見受けられる。
次の
事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な
措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 官民ファンドについては、株式会社農林漁業成長産業化
支援機構では出資等の実績がないまま解散したサブファンドが見受けられた。ガバナンスの強化及び情報公開を行うとともに合理化を検討すべきである。また、国からの役職員の出向の在り方について疑念が抱かれないよう
見直しを検討すべきである。
2
新型コロナウイルス感染症対策については、今後も引き続き、治療薬や
ワクチンの早期
承認に努めるとともに、
感染症対策の現場を含めた医療・介護等に対する
支援、様々な職種の特性や給与体系に対応した形での雇用に対する
支援、観光需要の創出や消費の活性化等を含めた事業継続に対する
支援等を、
地域格差と地方公共団体の自由度にも配慮しつつ、迅速かつ十分に講じるべきである。一方で、
支援事業の事務を民間に委託する場合には、公正さが疑われないよう徹底すべきである。
また、
国民が我が国の
感染状況を的確に理解し得るよう、正確な情報を多様な媒体を通じて発信すべきである。
3 高校生等奨学給付金については、除籍処分など高校生に学業上の不利益が発生していたことに鑑み、
政府は都道府県を通じ
学校に対し制度の周知徹底を図るべきである。また、代理受領制度に代わる制度改善を検討すべきである。
教育設備については、公立工業高等
学校の測量設備等の老朽化の実態把握を行うとともに、近年の技術革新に合わせた設備の更新が可能となるよう新たな補助制度の創設を検討すべきである。
東京オリンピック・パラリンピック競技大会については、
政府は関連性が疑われる予算の防止に努め、情報公開を徹底するとともに、開催に向けて、アスリートに配慮し、必要な
支援策を講じるべきである。
4 社会保障制度改革については、高齢化や働き方の変容による社会構造・価値観の変化を見据え、年金、医療、介護の各分野において、ICTの導入を
支援するとともに、制度の重点化・効率化を図るべきである。
5 核燃料サイクルについては、もんじゅ廃炉を含め
政府・民間合わせて約十一兆円が投じられたにもかかわらず、その具体的な見通しが明らかでない。今後、再処理施設の在り方やプルトニウムの利用見通しを含め、
国民的議論を喚起して検討を進めるべきである。
6 河川管理については、ごく短い堤防の未整備区間が長期間進捗しないといったことのないよう、未整備区間を早期に完成させるべきである。また、一級河川については、中抜け区間も含め、国による一体管理に向けた検討を進めるべきである。
地域公共交通確保維持事業については、
地域実態を踏まえた運用に必ずしもなっていない点を改め、補助要件の緩和を検討すべきである。
新たな住宅セーフティネット制度については、制度の活用が低調であることを踏まえ、自治体等から聞き取りを行い、至急改善策を講ずるべきである。
7 在日米軍
関係経費の負担については、新たな特別協定に係る米国との交渉に当たっては、大幅な増額や新規経費が含まれぬよう厳格に対応すべきである。
8 規制改革に当たって、
政府は形式主義的な制度・慣行を率先して
見直し、テレワークなどを含めたデジタル化を積極的に推進し、我が国を災害や非常事態に強いイノベーティブな社会構造としていく方策を早急に採るべきである。
9
学校法人森友学園に対する国有地の売却等については、決裁文書の改ざんなどが明らかになり、
国民の信頼を著しく失わせたことは極めて遺憾である。このような事案の再発を防止するため、
政府は
国有財産の管理に当たり、法令に基づく
手続、公文書の管理、情報公開を徹底すべきである。
10 「桜を見る会」については、招待者の選定基準や選定プロセスが曖昧であったこと、その結果、招待者数が増加し開催経費が予算額を大きく上回ったことは遺憾である。
政府の公式行事を行う場合には、
国民の疑念が生じないよう、招待者の選定基準を明らかにするなど運営方法を見直すべきである。
11 予備費については、憲法に定められた財政民主主義の
観点から懸念が生じることのないよう努めるべきである。
二
会計検査院が検査報告で
指摘した不当
事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の
措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当
事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
三
決算のうち、前記以外の
事項については不法又は不当な収入支出は認められないため
異議がない。
政府は、今後予算の作成及び
執行に当たっては、本院の
決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
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