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2021-04-12 第204回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日令和三年一月十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。    委員長 馬淵 澄夫君    理事 江藤  拓君 理事 大野敬太郎君    理事 小林 史明君 理事 田中 良生君    理事 武村 展英君 理事 手塚 仁雄君    理事 山内 康一君 理事 太田 昌孝君       甘利  明君    井出 庸生君       江崎 鐵磨君    加藤 寛治君       木村 哲也君    鈴木 馨祐君       薗浦健太郎君    田中 英之君       高市 早苗君    武部  新君       棚橋 泰文君    中根 一幸君       村上誠一郎君    森  英介君       山口  壯君    山本 公一君       池田 真紀君    江田 憲司君       斉木 武志君    篠原  豪君       中谷 一馬君    松原  仁君       森田 俊和君    谷田川 元君       高木 陽介君    宮本  徹君       本村 伸子君    あきもと司君       河井 克行君    下地 幹郎君       丸山 穂高令和三年四月十二日(月曜日)     午前八時五十五分開議  出席委員    委員長 馬淵 澄夫君    理事 江藤  拓君 理事 大野敬太郎君    理事 田中 英之君 理事 田中 良生君    理事 武村 展英君 理事 手塚 仁雄君    理事 山内 康一君 理事 太田 昌孝君       甘利  明君    江崎 鐵磨君       加藤 寛治君    木村 哲也君       杉田 水脈君    鈴木 馨祐君       薗浦健太郎君    高市 早苗君       武部  新君    棚橋 泰文君       出畑  実君    中根 一幸君       深澤 陽一君    宮崎 政久君       村上誠一郎君    森  英介君       山口  壯君    山田 賢司君       池田 真紀君    江田 憲司君       尾辻かな子君    斉木 武志君       篠原  豪君    中谷 一馬君       松原  仁君    森田 俊和君       谷田川 元君    伊佐 進一君       高橋千鶴子君    宮本  徹君       本村 伸子君    下地 幹郎君       丸山 穂高君     …………………………………    内閣総理大臣       菅  義偉君    財務大臣         麻生 太郎君    外務大臣         茂木 敏充君    文部科学大臣       萩生田光一君    厚生労働大臣       田村 憲久君    経済産業大臣       梶山 弘志君    国土交通大臣       赤羽 一嘉君    国務大臣    (内閣官房長官)     加藤 勝信君    国務大臣         河野 太郎君    国務大臣    (少子化対策担当)    坂本 哲志君    国務大臣         西村 康稔君    国務大臣         丸川 珠代君    内閣府副大臣       赤澤 亮正君    財務副大臣        伊藤  渉君    内閣大臣政務官     和田 義明君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    会計検査院長       森田 祐司君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  時澤  忠君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  梶尾 雅宏君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  勝野 美江君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君    政府参考人    (特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長)  高田 陽介君    政府参考人    (内閣地方創生推進室次長)           長谷川周夫君    政府参考人    (内閣子ども子育て本部統括官)        嶋田 裕光君    政府参考人    (総務省大臣官房総括審議官)           竹村 晃一君    政府参考人    (総務省情報流通行政局長)            吉田 博史君    政府参考人    (外務省アジア大洋局南部アジア部長)      小林 賢一君    政府参考人    (外務省北米局長)    市川 恵一君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  植野 篤志君    政府参考人    (文部科学省初等中等教育局長)          瀧本  寛君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官)  浅沼 一成君    政府参考人    (厚生労働省医政局長)  迫井 正深君    政府参考人    (厚生労働省健康局長)  正林 督章君    政府参考人    (厚生労働省医薬生活衛生局長)         鎌田 光明君    政府参考人    (厚生労働省労働基準局長)            吉永 和生君    政府参考人    (厚生労働省社会援護局長)           橋本 泰宏君    政府参考人    (厚生労働省保険局長)  浜谷 浩樹君    政府参考人    (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  新川 達也君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (防衛省大臣官房衛生監) 椎葉 茂樹君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    参考人    (独立行政法人地域医療機能推進機構理事長)    尾身  茂君    参考人    (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長)           文挾 誠一君    決算行政監視委員会専門員 橋本 和吉君     ――――――――――――― 委員異動 一月二十日  辞任         補欠選任   小林 史明君     深澤 陽一君 四月一日  委員河井克行君が退職された。 同月十二日  辞任         補欠選任   井出 庸生君     宮崎 政久君   薗浦健太郎君     山田 賢司君   山本 公一君     杉田 水脈君   江田 憲司君     尾辻かな子君   高木 陽介君     伊佐 進一君   本村 伸子君     高橋千鶴子君 同日  辞任         補欠選任   杉田 水脈君     出畑  実君   宮崎 政久君     井出 庸生君   山田 賢司君     薗浦健太郎君   尾辻かな子君     江田 憲司君   伊佐 進一君     高木 陽介君   高橋千鶴子君     本村 伸子君 同日  辞任         補欠選任   出畑  実君     山本 公一君 同日  理事小林史明君一月二十日委員辞任につき、その補欠として田中英之君が理事に当選した。     ――――――――――――― 一月十八日  会計検査院法及び予算執行職員等の責任に関する法律の一部を改正する法律案篠原豪君外十三名提出、第百九十六回国会衆法第二二号)  令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)  令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)  令和年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)  平成二十八年度一般会計歳入歳出決算  平成二十八年度特別会計歳入歳出決算  平成二十八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十八年度政府関係機関決算書  平成二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成二十九年度一般会計歳入歳出決算  平成二十九年度特別会計歳入歳出決算  平成二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十九年度政府関係機関決算書  平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十九年度国有財産無償貸付状況計算書  平成三十年度一般会計歳入歳出決算  平成三十年度特別会計歳入歳出決算  平成三十年度国税収納金整理資金受払計算書  平成三十年度政府関係機関決算書  平成三十年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成三十年度国有財産無償貸付状況計算書  令和年度一般会計歳入歳出決算  令和年度特別会計歳入歳出決算  令和年度国税収納金整理資金受払計算書  令和年度政府関係機関決算書  令和年度国有財産増減及び現在額総計算書  令和年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  平成二十八年度一般会計歳入歳出決算  平成二十八年度特別会計歳入歳出決算  平成二十八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十八年度政府関係機関決算書  平成二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成二十九年度一般会計歳入歳出決算  平成二十九年度特別会計歳入歳出決算  平成二十九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成二十九年度政府関係機関決算書  平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成二十九年度国有財産無償貸付状況計算書  令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)  令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)  令和年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)(第二百一回国会内閣提出)      ――――◇―――――
  2. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 これより会議を開きます。  この際、一言御挨拶を申し上げます。  第二百三回国会におきまして決算行政監視委員長に選任されました馬淵澄夫でございます。  委員各位の御指導、御協力を賜り、公正かつ円滑な委員会運営に努めてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ――――◇―――――
  3. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。  委員異動に伴いまして、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 御異議なしと認めます。  それでは、田中英之君を理事に指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  決算の適正を期し、行政監視機能を果たすため  歳入歳出の実況に関する事項  国有財産増減及び現況に関する事項  政府関係機関の経理に関する事項  国が資本金を出資している法人会計に関する事項  国が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項  行政監視に関する事項 以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会設置及び資料の要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。      ――――◇―――――
  7. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、平成二十八年度決算外二件及び平成二十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、各件について締めくくり総括質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  各件審査のため、本日、参考人として独立行政法人地域医療機能推進機構理事長尾身茂君及び東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長文挾誠一君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官時澤忠君、内閣官房内閣審議官梶尾雅宏君、内閣官房内閣審議官勝野美江君、内閣官房内閣審議官河村直樹君、内閣官房内閣審議官内山博之君、特定複合観光施設区域整備推進本部事務局次長高田陽介君、内閣地方創生推進室次長長谷川周夫君、内閣子ども子育て本部統括官嶋田裕光君、総務省大臣官房総括審議官竹村晃一君、総務省情報流通行政局長吉田博史君、外務省アジア大洋局南部アジア部長小林賢一君、外務省北米局長市川恵一君、外務省国際協力局長植野篤志君、文部科学省初等中等教育局長瀧本寛君、厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官浅沼一成君、厚生労働省医政局長迫井正深君、厚生労働省健康局長正林督章君、厚生労働省医薬生活衛生局長鎌田光明君、厚生労働省労働基準局長吉永和生君、厚生労働省社会援護局長橋本泰宏君、厚生労働省保険局長浜谷浩樹君、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官新川達也君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、防衛省大臣官房衛生監椎葉茂樹君及び防衛省防衛政策局長岡真臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ―――――――――――――
  9. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 質疑に入るに先立ちまして、質疑者各位に申し上げます。質疑時間は申合せの時間を厳守されるようお願いいたします。  また、政府におかれましても、各質疑者質疑時間は限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中英之君。
  10. 田中英之

    田中(英)委員 おはようございます。自民党の田中英之でございます。  まずは、本委員会でこういった形で質問の機会をお与えいただきました委員長始め、この委員会に関わっていただいている皆様方感謝を申し上げたいと思います。  まず、質問に入る前に、新型コロナウイルス感染された皆さんや、また感染によって精神的にちょっと不安定な方々がいるとも聞いております。そういった皆さんの一日も早い御回復と、そして、貴い命がなくなったこともありました。そういった皆様方の御冥福を心からお祈り申し上げる次第でございます。  それでは、早速ではございますけれども、蔓延防止等重点措置に関しての質疑に入りたいと思います。  新型コロナウイルス感染により、本当にしんどい思い、つらい思い、不安な思い、こういったものはいまだ完全には解消されておりません。これまでから国民皆さんには、予防としてマスクを着用していただいたり、また消毒、手洗い、またおうちの方でも換気をしていただいたり、そして外出を控えていただき、外出をした際、食事なんかでも、家庭であっても密にならないようになど、いろいろな行動を取ってきていただいたわけであります。  また、昨年の今頃を思い起こすと、子供たち学校始め学校休校等でありましたし、会社の出勤なんかも抑制をされ、リモートにての授業や仕事をしていただくということもありました。とりわけ印象に残っているのは、飲食店皆さん営業時間を短縮していただくなど、経験をしたことのないそんな日常も送っていただいたというふうに思います。  政府として、国としても対応すべく、様々なことをしていただきました。持続化給付金雇用調整助成金家賃補償、また、先ほどの時間短縮に関しては、協力金といった形で、そしてできる限り早くお渡し、お届けできるように、簡素にしてやっていただきました。  しかしながら、それでも思いどおりにいったことばかりではございません。でも、努力を重ねてきたことは事実であります。  感染症から守るために、ワクチンを確保することにも最善を尽くしてこられたと思っています。二月から医療従事者ワクチン接種が始まり、この四月から、まさに今日でありますけれども、高齢者皆さん接種の動きがスタートするわけであります。このワクチン接種スピード地元に帰っていろいろな皆さんお話をすると、スピードがあったらいいのにな、こんな声も聞くことができます。  緊急事態宣言が二度発令されて、感染者数を始めとする数字が減り、解除となるわけでありますけれども、解除されるとどうしてもこれは増えてしまいます。といったことから、今回、蔓延防止等重点措置が宮城県、大阪府、兵庫県で指定されて、これは四月の五日から五月の五日でございますけれども、そして、加えて東京都、沖縄県、そして私の住まいする京都府も追加されたわけであります。東京都は四月十二日から五月の十一日まで、沖縄県や京都府は五月の五日まで実施されることになっております。  そこで、これは地元でもよく聞きますし、いろいろなところでお聞きするわけでありますが、緊急事態宣言時の措置蔓延防止重点措置との違い、ここについてまずお伺いしたいと思います。
  11. 赤澤亮正

    赤澤大臣 おはようございます。  委員指摘のとおり、感染拡大防止のために、国民皆様には大変な御協力をいただいているところで、私ども、そのことに大変感謝しているということは冒頭申し上げたいと思います。  その上で、委員指摘二つ措置の違いですが、緊急事態宣言というのは、分科会の提言に言うステージ4、いわゆる感染爆発段階で、国を挙げて感染拡大防止に努めるという措置であります。また、蔓延防止等重点措置については、その前の段階で、いわゆるステージ3、感染急増段階において、機動的かつ集中的に対策を講じて緊急事態宣言に至らないようにするというのが基本的な考え方です。  その基本的な考え方に沿って、緊急事態宣言については、幅広い業種への時短要請蔓延防止等重点措置にない休業要請、あるいは全面的な外出自粛要請、全市町村における対策本部設置などを講じることになります。蔓延防止等重点措置については、休業要請はできませんが、期間、区域、業態を絞った営業時間変更などの措置を講じるほか、客に対するマスク着用等感染防止措置の周知、当該措置を講じない者の入場禁止アクリル板設置などの飛沫感染防止等を定めておりまして、今般の蔓延防止等重点措置は、対象地域において、時短要請は二十時まで、イベント開催制限は五千人までとしており、二十時までの時短要請などについては命令、罰則の適用も行われるなど、強い措置であります。いわば地域を限定した緊急事態措置とも言えるものでございます。  国民の命を守るために、必要があるのであれば緊急事態宣言も考えなければならず、ちゅうちょしてはなりませんけれども、そうならないように、蔓延防止等重点措置を機動的に活用し、集中的に対策を講じ、何としても感染拡大を抑えるべく全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  12. 田中英之

    田中(英)委員 ありがとうございます。  今、一つ一つ、この二つのところの違いというものを御説明いただきました。でも、やはり緊急事態宣言蔓延防止措置というのは、若干強弱があって、似ている部分があろうかと思います。  そういった意味では、私自身が実は地元に帰ってよく言われたのが、その中の飲食店皆さんへの協力金の話をやはり言われました。営業時間の短縮協力金でありますけれども、緊急事態宣言時には六万円であったり四万円という一律の額であったというふうに思っています。今回は規模売上高に応じてというふうになると聞いておりますが、この変更されるというところを、いろいろな声を聞いてなされたんだと思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。
  13. 赤澤亮正

    赤澤大臣 委員指摘のとおりでございます。  これまで協力金については、事務負担の軽減や交付手続迅速化観点から一律の支給となっていたところです。それに対しては、全く足りないという声もあれば、一方では、十分にもらい過ぎて申し訳ないというような声もあったわけです。  そういったことを踏まえて、特措法改正に当たっては、国会審議を通じた野党の委員先生方の御指摘もあり、また、附帯決議では、要請に応じたこと、時短要請ですが、その要請による経営への影響度合いなどを勘案して、公平性観点や円滑な執行などが行われることに配慮し、要請に十分な理解を得られるようにするため、必要な支援となるよう努めよという国会からの御指摘もいただいたところです。  それを受けまして、経営への影響度合いなどを勘案して事業規模に応じた支援となるよう見直しを行うこととし、考え方としては、全国の飲食店売上金額に占める平均的な家賃などの固定費負担が約三割となっていることを踏まえ、これをカバーできる水準の支援として、売上高の四割の支援という考えに変えたわけであります。  蔓延防止等重点措置である二十時までの時短要請に応じた場合の協力金は、中小企業では日額四万円、月額換算百二十万円、さらに、事業規模に応じて日額最大十万円、月額換算最大三百万円まで、大企業については、日額最大二十万円、月換算最大六百万円の支援を行うこととしています。中小企業であっても大企業の仕組みを選択することも可能でございます。  この見直しによってより公平になったというふうに考えてございまして、あとはまた、公平ということと円滑な執行附帯決議で御指摘いただいておりますので、今後、円滑な執行に努めてまいりたいと考えてございます。
  14. 田中英之

    田中(英)委員 ありがとうございます。  今御答弁いただいたとおりです。これまでから私自身も、地域性の問題とか、飲食店の開店、閉店の時間帯によってもらえる、もらえないもありましたし、規模等によって不公平感があるということはもう十分、地元に帰ると本当に言われてまいりました。そういった意味では、そこをしっかりと考慮いただく中でこの変更がされるということであります。ただ、手続の上で、今回は少しいろいろと審査をしていただかなければならないんだと思います。でも、できる限り複雑にならないように御配慮はいただければというふうに思いますので、その点、よろしくお願いしたいと思います。  この一年と数か月の間、本当に日本中が努力をしてきたというふうに思っています。緊急事態でなく今回は蔓延防止としての措置になったのは、本当に、国民皆さんお一人お一人が一日一日いろいろな努力を積み重ねてきていただいた、そんな努力の形だというふうに思います。  しかし、先ほどお話がございましたステージ3、ステージ4、ここでの差を考えますときに、ちょっとステージが低くて、措置されることが低く、緩く捉えられてしまいがちだというふうに思います。そんなことにはならないように、これまでみんなで努力をしたそんなあかしだということを政府皆さんからはメッセージとしてしっかりとお伝えいただきたいということを願っておりますし、そして、一足飛びにはなかなか解決はできないというふうに思っておりますが、国民皆さんを本当に力強く守って、一日も早く日常生活というものを取り戻すということ、この決意を菅総理からお願いしたいと思います。
  15. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 新型コロナとの戦いが始まってから一年数か月です。政府としては、国民皆さんの命と暮らしを守るために、全力対策を講じてきました。今議員から御指摘いただきましたように、国民皆さんには痛みを伴う自粛要請に御協力をいただいておりまして、心より感謝を申し上げる次第でございます。  しかしながら、世界規模感染の波は、私たちが想像したものを超えて厳しいものであります。感染の再拡大を防ぐためには、国民皆さんに引き続き緊張感を持って対応していただくことが極めて重要だと考えております。  具体的には、飲食店には、各府県の判断により、引き続き営業短縮に御協力をいただくとともに、席と席との間隔や店内の換気に関してガイドラインの遵守、こうしたものを是非お願いをしたいと思います。  また、国民皆さんにおかれては、四月、五月というのは歓迎会だとか研修、大型連休、行事の多いときであります。大人数の会食についてお控えいただくなど、感染拡大の防止に御協力をいただきたいと思います。  引き続き、国民の命と暮らしを守るという決意の下に、自治体と密接に連携をしながら、感染拡大防止のために全力を挙げて取り組んでまいります。
  16. 田中英之

    田中(英)委員 総理、ありがとうございます。  総理を先頭に、我々国民一丸となってこの新型コロナウイルスにやはり勝ち抜くという、そういったことをしていかなければならないと思います。私も、一国民としてしっかりと、御答弁いただきましたことも踏まえて取り組んでまいるということをお誓い申し上げたいと思います。  それでは、少し話が変わりまして、保育士関係のことについてお伺いしたいと思います。  保育の課題というのは本当にいろいろございます。待機児童の問題もありますし、保育士の処遇改善ということもこれまでからありました。そして、地域に行けば、今、保育士が不足しているということがよく取り上げられます。  今回、ここでは、比較的余り取り上げられることが少ない保育士の配置基準について、ちょっとお伺いしたいと思います。  現在、ゼロ歳児には三人の乳児に一人の保育士、すなわち三対一の形、一歳児、二歳児には六対一、三歳児には二十対一、四歳児、五歳児では三十対一と、全国この規模となっています。この基準でありますけれども、一体いつ作られたのか、そしてこれまでにどんな見直しがあったのか、お伺いしたいと思います。
  17. 田村憲久

    ○田村国務大臣 保育所の保育士の配置基準でありますが、昭和二十三年に、パネルを見せていただくか分かりませんけれども、元々は、ゼロ、一歳児に関しては十対一、二歳児以上は三十対一というような、そういう基準を作りました。  その上で、昭和三十七年、昭和四十三年にそれぞれ、中央児童福祉審議会、ここで意見具申をいただきまして、今の基準であります、今委員言われました、ゼロ歳児に関しては三対一、一、二歳児は六対一、三歳児は二十対一、そして四、五歳児は三十対一、こういう基準が示されたわけでありまして、数度、この基準に向かっていろいろな改定をしてきたわけでありますが、平成十年に現状の形になったわけであります。  平成二十七年に、ちょうど私が大臣をやっているときに、三歳児の配置、これを加算という形で二十対一を十五対一にしたときには、公定価格に加算するということを決めさせていただいた。これは平成二十七年からスタートということでございまして、平成二十七年度からここはこういう形で、より質を向上する、特にこれは消費税財源等々を使ってしっかりやろうということで、今、そのような形の中において運営をいただいているということでございます。
  18. 田中英之

    田中(英)委員 ありがとうございます。  これまで、ゼロ歳児―三歳児のところは、配置基準の見直しというのがずっと検討されて変わってきた。一番端の部分、これは四歳児、五歳児さんのところになるんですけれども、ここの部分というのは、実はこの制度ができて七十年以上全く触られていないということだと思います。  確かに、これは財源が要ることでもありますので、簡単に今までからできなかったというふうには思っておりますけれども、この四歳児さん、五歳児さんの基準の見直しということも、検討はされてきたんですけれども、やはり財源の問題があるということだと思っています。でも、現場では、一人の保育士が三十人の児童の保育を行うということが本当にしんどい状況になっているのも事実でありますので、子供の安全や質の高い保育がちょっと守りにくくなってきているのもこれは実態であります。  四歳児、五歳児の配置基準の見直しによって、安全、質を確保するということだけではございませんで、やはり最近は保育士はしんどい仕事と言われます、重労働。こういったことも見直すきっかけにもなるんだというふうに思っています。  お金での処遇の改善はかなり図っていただきました。残念ながら、去年は〇・三%、人勧の関係で下げざるを得なかったわけでありますけれども、まだ希望を持って頑張って働いていただいています、現場では。それでも、やはり仕事の在り方というものを見直していくためには改善すべき状況にあるということを、まず御認識を再度いただきたいと思います。  ちなみに、京都市なんかは、四歳児が二十対一ですし、五歳児は二十五対一と独自でやっています。そういうこともやっている自治体があるということ。再度申し上げますけれども、財政が厳しい中ということは重々承知しています。でも、この四歳児、五歳児の保育士の配置基準の改善、やはり本腰を入れて一歩踏み出していただきたいと思います。  この点については、坂本少子化担当大臣に御答弁願いたいと思います。
  19. 坂本哲志

    ○坂本国務大臣 三歳児の配置改善につきましては、今厚労大臣が答弁しましたように、平成二十七年度から取り組んでいるところでございますけれども、四、五歳児の配置改善につきましては、今委員指摘のように、〇・三兆円超の質の向上事項という分に含まれておりまして、まだ未実施でございます。  教育、保育の質の向上を進めることは本当に重要であるというふうに考えておりまして、これらの実施につきましては、各年度の予算編成におきまして必要な財源の確保にこれからも努めてまいりたいと思っております。
  20. 田中英之

    田中(英)委員 財源の確保に本当に努めていただきたいと思います。我々も努力します。  財源が確保できた際です、制度の部分では田村厚生労働大臣にお伺いしたいわけでありますけれども、財源が確保できたとなれば、もう一歩前向きに検討いただけるか、この点をお伺いしたいと思います。
  21. 田村憲久

    ○田村国務大臣 今、坂本大臣の方から御答弁がありました。これは、消費税引上げ財源枠外で三千億円確保という中においての話であります。これをしっかりやった上で、配置の基準の見直し、これは質の向上という意味で必要なことではあります。  ただ一方で、配置基準、加算じゃなくて基準を改正しますと、必ず保育士さんをその形で準備をいただかなきゃいけない。今、保育士不足でございますので、そこのところもしっかりと確保できないことには保育所を運営できなくなりますから、そういうことも含めて検討してまいりたいということでございます。
  22. 田中英之

    田中(英)委員 時間となりましたのでこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、小学校が三十五人以下学級、山梨県では二十五人以下学級を一年生でやり始めます。やはり乳幼児、大変でありますので、その点も十分に御配慮いただく中で、これから前向きに検討いただきたいと思います。  終わります。ありがとうございます。
  23. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、伊佐進一君。
  24. 伊佐進一

    伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。  本日、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。  今日は決算委員会でございますので、過去のこれまでを振り返って、その教訓を未来に生かしていくというような委員会であるというふうに思っております。  この一年余り、政府のコロナ対策というのを振り返ってみまして、まだまだ現時点でも課題はございます。だから、そういう点でも、私は与党自身の一員として、合格点だとは私は言えないと思っておりますが、ただ、政府もベストを尽くしているということだろうと思っております。  根本的な悩み、どの政府も、どの国も悩みというのは同じだと思っておりまして、感染防止と経済をどうやってバランスを取っていくかということです。感染防止を本当に重視しようと思えば当然ロックダウンしてしまえばよくて、そうすると経済が死んでしまう。ただ、経済を重視し過ぎると感染が伸びていくということになってしまいます。尾身先生も、宣言を解除したら感染者が増えるのは分かっていたというふうにおっしゃっています。  つまり、数が減って解除しながら経済をまた復活させていって、そして経済がいっても感染者が伸びてくると、もう一回ちょっと厳しめな措置をしていく、こういう波をしながら、最終的には時間を稼いでワクチン接種につなげていく、これはもうどの国も取っている戦略だというふうに思っております。  ただ、世界と違うところはどこか、日本が。私が今じくじたる思いでありますのは、圧倒的に世界と比べて劣後したところは、国産ワクチンです。中国でも国産ワクチンを作り、ロシアでも作り、インドでも作っている、もちろんEUやアメリカも作っているという中で、なぜか日本はできていない。医療先進国だったんじゃないのか、日本は。  こういう中で、最終的には海外から買う、大量に国費を投じて海外の企業にお金を払っている。これ、もし日本の企業にお金を払えるのであれば、これは経済的な効果もあります。そしてまた、税収でも戻ってくるかもしれないという中で、なぜ日本はできなかったのか、こんなに遅れているのか、その理由について大臣に伺いたいと思います。
  25. 田村憲久

    ○田村国務大臣 おっしゃられるとおり、国産ワクチン、他の国のワクチンと比べてスピードが遅いじゃないか、御指摘のとおりであると思います。  今、四つほど臨床試験に入っておりまして、それぞれ、それこそDNAワクチン、メッセンジャーRNAワクチン、組み換えたんぱくワクチン、不活化ワクチン、それぞれの、今いろいろな手法があるわけでありますけれども、国内でも同じような手法で開発が進んでおります。  ただ、スピードという意味からしますと、一つは、やはり海外と比べて、ワクチンメーカー、メガファーマが、ワクチンメーカーは、結構、医療系のベンチャーの技術等々も使いながらやっておられるんですが、日本の場合は、ワクチン会社というのが、そもそも、どちらかというと研究所から出発したようなちっちゃいところといいますか、財政基盤の方がメガファーマと比べると小さいというような、そういうところが多いということが一つ。  それから、やはり新しい技術という意味からすると、例えばSARSでありますとかエボラ出血熱、こういうものの開発を今言われたような新たな技術でもう既にデザインして進めておった、そういう海外の事情がありまして、日本はそういうところが進んでいなかった、こういうこともあろうと思います。  あとは、これは国産メーカーだけじゃなくて、日本でなかなか治験ができないということで、承認自体も若干欧米と比べると遅れたというのは、日本は、感染者が欧米と比べて圧倒的に少ないものでありますから、なかなか第三相の試験という、臨床試験ができなかった、こういうこともございます。  様々な理由があるわけでありますが、こういうところをしっかりと反省をして、我々としては、ワクチン行政、しっかりと進めていって、国内でのいろいろな企業、こういうところに支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 伊佐進一

    伊佐委員 大臣の方から感染者数が少なかったからという言葉もありましたが、私はちょっとそこは疑問を持っておりまして、というのは、第三相に行く前の段階に、つまり第一相にたどり着くのも遅かったわけですから、そこは、私は、もう少し違う理由があると。  多分、さっき言った研究基盤ですね。つまり、平時から、さっきおっしゃったような新しい技術、メッセンジャーRNAワクチンというのは新しい技術でありますが、例えば、アメリカは平時から投資をして、国防の観点、バイオテロというものを意識して海外はやっているわけです。ところが、日本の場合は、ワクチン、薬もそうですが、研究基盤、開発基盤というのが毀損してきているんじゃないか。  我々、診療報酬改定を毎回やるたびに、結局は、その診療報酬自体を支えるために、薬価を削って、そこからお金を持ってきているわけですよね。そういう状況の中では、これがずっと続いていますので、日本で新薬を開発しても得しない、市場の魅力が失われているというんじゃないか。だから、もちろん業界側の問題もあると思います、さっきおっしゃったメガファーマがないとか。  いずれにしても、開発基盤の強化ということ、これはまた後でまとめて総理に伺おうと思いますが、ちょっとその前に、じゃ、今開発している国産ワクチン、これをどう使っていくのかという点です。  一次補正、二次補正で予算を通して、そこで、今、最終段階まで来たということですが、一方で、今、ファイザーは一・四億回分、アストラゼネカは一・二億回、モデルナで五千万回分、合計すれば日本の人口を上回るワクチンを確保しているわけです。そうすると、今支援している国産ワクチン、この位置づけをどう考えるか、どのように使おうとされているのか、伺いたいと思います。
  27. 田村憲久

    ○田村国務大臣 言われるとおりでございます。今承認されているのはファイザーだけでございまして、モデルナとアストラゼネカは今審査中ということでありますけれども。  そういう中で、国産ワクチンにも、言われるとおり、一次、二次補正で、研究開発だけで六百億円、それから生産、この支援に一千四百億円弱、さらには、臨床試験も結構費用がかかりますので、これに千二百億円、これは三次補正の方でいろいろと支援をしようということで予算組みをいたしました。  実際問題、これは、できる、承認されるということになると、結果的には、今、この新型コロナウイルスはいろいろな変異の話がございますから、国内で生産する技術、能力があればそういう変異等々にも機動的に対応できるということもあろうと思います。  それから、もちろん、これは一年で終わるか、一回ワクチンを打って終わるかというのはまだ分からないわけでございまして、インフルエンザのように、毎年ワクチンを打っているような、そういう疾病もございますので、やはり、技術を持っておるということは非常に重要であろうということと同時に、次の感染症に向かっても、そういう技術基盤が国内にあるということ、先ほど申し上げましたけれども、海外はエボラやSARSでそういう技術を養っておられたということ、これが非常に今回、機動的にワクチン開発に役立っているということがございますので、国内メーカーにもそういう技術をしっかり持っていただきたい、こういう部分もございます。  いずれにいたしましても、やはり日本がしっかりとワクチンを開発する能力を持っているということ、これは国際的にも非常に、国際貢献の役割からしても大きい意味があろうと思っております。  感染症に関しては、確かに、言われるとおり、国内メーカーは今まで余りそこに力を入れてこなかった、また、国の方もしっかりと支援をしてこなかったという反省もございます。しっかりとこれからは、感染症も含めて、国内の製薬メーカー等々、いろいろな形で技術を開発できるように、我々といたしましても支援をしてまいりたいというふうに思っております。
  28. 伊佐進一

    伊佐委員 ありがとうございます。  この点も含めて、少し総理に、最後、このワクチンについて伺いたいと思います。  コロナを乗り越えたとしても、これだけグローバル化しているわけで、次の感染症というのはまたいずれ起こるだろうというふうに思っております。そういう意味では、定期的にこういう状況になるということを我々は覚悟した上で、常に構えておかなきゃいけない。だから、今後のワクチン戦略をどうしていくかということは本当に重要なことだというふうに思っております。  そういう意味では、開発基盤の強化だけではなくて、接種体制もどうしていくのか。今、今回は無料です。今後どうするのか。あるいは備蓄をどうするのか。備蓄、今、年間、もう数百億円どころじゃないお金もかかってきます。製薬産業への開発支援もあります。だから、日頃からやるべきことというのはたくさんあるというふうに思っております。  ところが、今、医療を含めた社会保障費というのは、自然増、人口の自然増に抑える、キャップがかかっています。こういう状況の中で、これから必要になってくるワクチン関連の予算というのをどうやって確保するのか。私、外枠で必要だというふうに思っておりまして、基盤強化もそうです、接種体制もそうです、そう考えれば、新法制定を含めて新たな枠組みが必要ではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  29. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 新型コロナを始めとする予期せぬ感染症に対するワクチンについて、国内開発、生産、そして速やかに接種できる体制を確立しておく、このことは危機管理上極めて重要だというふうに考えています。  生産設備の整備の補助など、昨年度の補正予算を含めて、これまでに様々な支援は実施をしております。  今回の状況について検証を行い、その結果を踏まえて、今後も発生し得る新たな感染症への対策も含めて、我が国のワクチン政策が十分な危機管理体制となるように、引き続きしっかりと対応していきたいというふうに思います。
  30. 伊佐進一

    伊佐委員 総理、私、もし人類が滅ぶとすれば、それは核か気候変動か感染症だと思っておりまして、だから、ワクチンというのは本当に国家安全保障だというふうに思っておりますので、落ち着いてから議論しましょうでは、私、遅いと思っています。それだったらいつまでたってもできませんので、是非議論をスタートしていただきたいというふうに思っております。  次に、ちょっと介護の話をしたいと思います。  本日から、高齢者施設、初めて六十五歳以上の方々にワクチン接種する、開始されています。介護現場の皆さん、今、もう必死になって、クラスターが起こらないようにと、もう本当に血のにじむような努力を現場でしていただいております。  この介護現場、今回、コロナで今大変な状況にありますが、後から振り返ったときに、大変な状況だったけれども、でもあれがあったからこうよく変わったなというふうにできないかなとずっと思っておりまして、つまり、ピンチをチャンスに変えれないかと思っております。  今の雇用政策、コロナ禍における雇用支援を見ておりますと、仕事がないから休まざるを得ない、そういうところに休業手当が支払われる、そこに雇調金を入れ、あるいは支援金というのを入れているという状況でありますが、私、働かなくても、とにかく今、取りあえずまず生活費をお渡ししますという状況から、そろそろ、働きたい人が働けるようにという環境をつくっていかなきゃいけないと。  今失業されている方というのは、女性、非正規、サービス業ということです。働ける場所が必要だ。一方で、これは長い課題になっています、介護業界は慢性的に人手不足。二〇二五年には五十五万人不足すると言われています。いろいろなことを今まで政府はやっていただきましたが、決定打にはなっていないという状況だというふうに思っております。  だから、もうこの際、雇用市場を介護業界に大きくシフトしてみたらどうか、そのようなインセンティブを政治が与えたらどうかというふうに思っておりまして、今働きたくても働けない方が介護業界に入っていくきっかけ、一度やってみようかなと思うようなインセンティブを与えることができないかというふうに思っております。  もちろん、厚労省も何もしていないわけじゃなくて、現時点でも様々されていますが、ただ皆さん知らないので、ちょっと今、どういうインセンティブがあるかというのを簡単に説明いただければと思います。
  31. 田村憲久

    ○田村国務大臣 やはり、処遇改善や人材育成、さらには職場環境の改善もやらなきゃいけませんので、ICT導入等々で、職員の方々になるべく負荷がかからないように、こういうこともやっておりますし、外国人の皆様方のお力もおかりをしておったんですが、これは、ちょっと今、コロナでなかなか受入れが難しくなっております。  今言われた、処遇改善のみならずどういうことをやっておるかということなんですが、一つは、他分野から入ってきていただく方々のために、これは貸付けなんですけれども、返済免除つきの貸付け、二年間働いていただければ返済しなくていい、二十万円貸付けみたいな形でこれを進めております。  こういう方々に関しては、他分野からですので、一方で、いろいろと事業者自体が委託事業で、介護の職場等々、見学だとか場合によっては実地体験をしていただく、こういうような取組をやって介護に就職をつなげる場合には、委託費、これを上積みしてお渡しするというようなこともやっております。  それから、福祉系の学校、こういうところを卒業された方々、こういう方々に対しても、同じようにこの貸付けで返済免除つきというのをやっておりますし、更に申し上げれば、これは私の地元の三重県でやっているんですが、高齢者の方々、これを介護助手という形で活用していこうということで、非常にこれは好評でございまして、あらゆる方々を介護の現場でお力添えをいただくということもやっております。  なお、今まで介護の現場で働いておられた方々が離職された、そういう方々をもう一回受け入れる、これも、準備を、いろいろとお金がかかりますので、これは二十万から四十万に数年前貸付金を引き上げまして、これも一定程度働いていただければ返済免除という形でございまして、様々なことをやっておりますので、しっかりとPRをしてまいりたいというふうに考えております。
  32. 伊佐進一

    伊佐委員 そうなんですよね。大臣、様々なことをやっていただいているんですよ。ところが、パッケージとして出ていないので、みんな認識されていないというところがまず一つ大きな問題としてあると思います。  とりわけ、このコロナ禍においては、私、もう一歩踏み込んでやってもいいんじゃないか、そこを柱にしてもう一回パッケージで国民皆さんにお示しするということが大事じゃないかというふうに思っています。  実は、介護の業界というのは今、離職率は大分下がってきました。ほかの産業と同じです。だから、入口さえ広げれば増えていくんじゃないかというふうに思っております。  さっき、貸付金の話もありました。二十万円で二年間働いたら返さなくていいよと。これも私、やはり声を聞くと、二年間ずっと介護で働かなきゃいけないというのが縛りになっていると。例えば飲食業から介護業界に行こうかなと思っても、二年間人生が決まるのは嫌だと。だから、ここをもうちょっと短くできて、一年でもやったら、あっ、やりがいがある仕事だなと思っていただけるんじゃないかと思っております。  この辺であるとか、さっき大臣が言った介護助手。これは介護の働き方改革の一環でありますが、フルで介護業界では働けないけれども、親の介護があるとか子育てがあるとかと、こういうのを業務を切り分けてそこを人材マッチングしていく。これはやっているとおっしゃいましたけれども、今、モデル事業でやられていて、やっている自治体は少ないですね、まだまだ。二百ぐらいという中で、もうちょっと横展開も必要だというふうに思っております。  そういうのも含めて、ちょっと総理にはその思いを伺いたいんですが、やはり、このコロナを、こうして、ある意味機会というふうに捉えて、雇用市場を大きく変革するという思いで、働きたくても働けない人が、介護業界でもいいかな、介護業界で働こうと思えるような、一歩踏み込んだ施策を是非行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  33. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 働きたくても働けないという方をしっかり支えていくという、ここは重要な課題だというふうに思っています。  そういう中で、御指摘いただいています介護分野というのは、今後需要が伸びていく一方で、他の分野に比べて人手不足が著しい分野であることも、これは事実であります。  このために、介護分野で働きたい方が意欲を持って働くことができるように、処遇改善、職場環境の整備、介護の魅力発信など、総合的な取組を行ってきています。  先ほど大臣説明させていただきましたように、今、貸付金制度とか、そういうのも取り入れているんですけれども、しかし実態は、今委員指摘をいただいた、そういう問題もあるということであります。  いずれにしろ、できる限り介護分野に参入をいただくことができるように、様々なそうしたメニューというんですかね、仕組みを取ってここは臨んでいきたい、こういうふうに思っています。
  34. 伊佐進一

    伊佐委員 是非、このピンチをチャンスにというふうに変えていただきたいというふうに思っております。  もう時間になりますので質問はやめて、最後、言いっ放しで終わりたいと思います。  最後、実は総理にも言いたかったのは不妊治療の話でして、不妊治療、我々の提言を本当に多く受け入れていただいて、今、いよいよ来年度から保険適用ということになりますが、私、不妊治療の保険適用、本当はもうちょっと時間がかかると思っていました。  というのは、現場で今使われている治療とか薬剤が、保険適用されていないものが多いんです。それどころか薬機法で承認すらされていないというものが多くて、ここは一個一個ちゃんと適用していかないと現場の治療の質が落ちてしまうということになります。これは、一個でもできないと全体が、当然併用できませんので、全部保険適用から外れるという状況になります。  そういう意味では、ようやくこの調査結果が出て、現場の、どれぐらい使われているかというのがはっきりしましたので、是非、総理には、治療の質を落とさないということを重視して取り組んでいただきたいというふうに、リーダーシップを発揮していただきたいというふうに思っております。よろしくお願いします。  終わります。
  35. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、尾辻かな子君。
  36. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。  今回、この決算行政監視委員会質問の機会を頂戴したことを心から感謝を申し上げたいと思います。今日も池田真紀さんのサポートをいただきながら、菅総理質問をしてまいりたいと思います。三十分しか私、ありませんので、早速質問に入っていきたいと思います。  四月、新しい年度になりました。総理、四月となったら一体どういうことが変わるでしょうかね。四月は、多分このテレビを見ていただいている皆さんも、年金が下がっているんです、介護保険料が六割の地域で上がっています、非常に厳しい、コロナでも大変だけれども、そういった厳しい四月を迎えています。そして、保険証とか、病院も四月で人事異動皆さん部署を異動していますから、今コロナ感染の急拡大の中で、その異動した皆さんが必死の思いで頑張っている、そんな厳しい春を迎えています。  今日は私、総理に、大阪、兵庫に、まずやはり、これはもう緊急事態宣言を出すときが来ている、そのことについてお聞きをしていきたいと思います。  四月の五日から、宮城、大阪そして兵庫は蔓延防止等重点措置、これが適用されていますし、今日から、東京都、そして京都府、沖縄県でも蔓延防止等重点措置が適用されております。大阪、私、地元ですけれども、何と昨日、日曜日で最大の七百六十人という、最多記録をずっと更新しているこの状態が続いていて、非常に危機感を持っております。  まず、総理、今この状況は、総理は、三月十八日に、緊急事態宣言を解除をして、そしてそのときに、二度と感染拡大を起こさない、こう言われたのを覚えておられますか。二度と感染拡大を起こさない、にもかかわらず、今こうしてリバウンド、感染の再拡大が起こっているのではないかと私は思います。これは、私、厚生労働委員会尾身先生にも聞いたら、尾身先生も、確かにリバウンドが起こっているとおっしゃっていました。  まず、総理の現状の認識をお伺いいたします。
  37. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今、大阪についてお話しいただきました。大阪についての認識ということでありますが、まず、現時点においては変異株ですか、の占める容量が極めて高くなる中で感染拡大が急速に進んでいる。そういう意味で、大阪市、あとは大阪府ですか、挙げて、医療、病床の確保、そうしたものに全力で取り組んでおられる。政府としても、そうしたことについては全力支援をさせていただいている。  この蔓延防止重点施策、こうしたことを今行っているわけでありますけれども、こうしたことによって改善することがなればな、そういう思いを今抱いているところです。
  38. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 総理、蔓延防止等重点措置です。  蔓延防止等重点措置は、今、大阪、出ています。ステージ3なんですね。今、大阪はステージ3ではありません。そして、総理にこれは感覚としてお聞きしたいんですけれども、蔓延防止等重点措置と言われて、人々は危機感を持つでしょうか。
  39. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 昨今の大阪の状況をテレビ等で、あるいは地元から、人流の流れというものを私ども毎日報告を受けて確認をしていますけれども、人流は大きく変わってきているというふうに思っています。
  40. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 では、蔓延防止等重点措置という言葉で人々は危機感を持つ、そしてこの状況は改善されると総理は思っておられるということですか。
  41. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 感染状況について、先般、専門家の意見を伺った上で、また大阪市からの要請の中で検討し、蔓延防止重点措置、そうしたことで対応するということを政府としては決定をさせていただきました。
  42. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私は、それで本当に今の感染拡大が止まるのか、収束するのかということをお聞きしております。
  43. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今私が申し上げましたように、大阪府については、先週の月曜日、四月五日から蔓延防止重点措置を適用しており、二十時までの飲食店時短要請など、緊急事態宣言並みの強い措置を講じているというふうに思っています。そして、飲食店の見回り、そうしたことも行い、従来と違うのは、そこはしっかり対応されているんじゃないでしょうか。
  44. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 総理、蔓延防止等重点措置は、蔓延するのを防止する段階なんです。今、大阪は蔓延、兵庫も蔓延、病床逼迫。  このパネルを御覧ください。これは、大阪であったら、一月九日というのが、この前、一月のときに緊急事態宣言を大阪府が要請したときの感染者の数字、そして下が、昨日、大阪府のこれは感染者数の数字です。総理、お手元を見ていただけたら分かると思うんですけれども、これはステージ4なんですよ、ほぼほぼ。  ということは、ステージ4になったら緊急事態宣言だというふうに政府の方もしっかり分けているわけですから、これで緊急事態宣言を出さないというのは、私、おかしいと思います。総理、いかがですか。
  45. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が申し上げましたように、蔓延防止重点措置を講じる際、あるいは緊急事態宣言をする際、そうしたことについては、手続を経て、そうした措置を、宣言なり、措置する、重点措置を行うことになっています。  そういう中で、大阪市につきましては、大阪市からも要請がありました。蔓延防止重点措置を行いたい。そして、それを受けて、政府としても、諮問委員会を開いて専門家の皆さんの御意見を伺った上で、今、蔓延防止重点施策を講じているところであります。  そして、緊急事態宣言というのは、それは当然、必要であれば、そうした手続を経て行うことになっています。
  46. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私、今、総理と議論させていただいて驚いているんですが、総理、一度も蔓延防止等重点措置という正確な名称が言っておられません。重点施策となったり、本当に、総理がコロナ対策本部の責任者としてこれを出しているのに、総理自身がこの言葉を明確に、正確に言えないというのは、私、総理の危機感はどうなっているのかと思うんですね。  先ほど、いや、これは手続です、大阪市から要請があってやるものですというふうにおっしゃっていました。でも、総理は、三月のときに、緊急事態宣言は、東京は総理自身の御判断でたしか延長されたんじゃないですか。あるときは自治体のせいにして、そして、自分が、いや、これはと思うときは延長している、私はそういうふうに思えてなりません。  私、今回、やはり一番思うのは危機感です。危機感が全く総理から伝わってこない、それが一番、人々がまだ大丈夫なんだと思う原因に私はなっていると思います。  今、日本医師会の会長は何とおっしゃっているか。これまでで最大の危機だとおっしゃっているんです。再び緊張感を取り戻さないと駄目だと。  大阪は、医療逼迫がどうなっているか。三次救急が、実は止めているところがあるんです。私は、実は大阪市内で元々、衆議院になる前に、病院で、MSWという、メディカルソーシャルワーカーというんですけれども、医療相談員をしていました。なので、今、大阪市内で三次救急が止まっているということがどれだけ恐ろしいことかというのは、身をもって分かります。つまり、最重症の人の行く場所がない、若しくは、探すのにすごく時間がかかる、助けられる命が今助けられなくなっている状態が大阪で起こっているんだという、この危機感です。  これは、私だけが言っているわけではありません。例えば、在宅医で有名な長尾和宏先生、この方も、既に四月九日の時点で、阪神間は医療崩壊しているとおっしゃいました。あの八割おじさんで有名になった西浦博先生、京都大学、この方も、大阪、兵庫はすぐさま緊急事態宣言を打つべきだと言っています。  ステージはもう4です。変異株もあります。私たちは、緊急事態宣言を早く解除し過ぎたら危ないですよと言い続けてきました。変異株の問題があるんです。三月二十五日に聖火リレーがあるからといって、そんなにすぐに解除したらリバウンドが起こります、まさにそうなったわけです。  総理、もうこの見逃しは許されないと思います。大阪、そして兵庫に緊急事態宣言を出すように、これは西村大臣に指示をしてください。
  47. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 先ほど議員からいろいろ私に対しての指摘がありましたけれども、それは私自身の、最終判断は私です。しかし、蔓延防止重点措置にするとか、あるいは緊急事態を宣言するとか、そうした中においては、当然、自治体の首長としっかりとすり合わせをしています。  これは、自治体でやってもらうことがかなりありますので、自治体の首長の理解なくしてできないですよ。ですから、私が勝手にやっているということじゃないんです。その点、御理解いただきたいと思いますよ。それはどこの県でも首長と調整をしながらこの判断をさせていただいている、そこは是非御理解をいただきたいというふうに思っています。  そういう中で、蔓延防止重点措置を始めたのが四月五日からであります。当然、五日から始めて、それなりの経緯を経て、調整がどうなっているのかという、蔓延防止策が効いているかどうかということを当然確認するわけでありますから、そういう中で、大阪市とも、大阪府とも連携を取っているということは、しっかり申し上げておきたいと思います。
  48. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 総理の今のお答えだと、四月五日から二週間は、大体効果が出るのに二週間ぐらいかかりますから、じゃ、そこまでは、このように病床が逼迫したりステージ4になっても緊急事態宣言は出しません、そうおっしゃっているわけですか。
  49. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 この蔓延防止重点措置でありますけれども、これについては、今回、二十時までの飲食店時短要請、さらに緊急事態宣言並みの強力な措置、これがありますから、必要であればそこは実施できるようになっております。  全ての飲食店の見回り、これは大阪で始めています。そうしたことも、国と連携を、報告をお互いに連携をしながら取り組んでいるところであります。
  50. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 緊急事態宣言を出さない、そしてそれが遅れて人の命がなくなるという事態を、私は非常に危惧しています。もう今、そういう事態が起こっているんですね。  八時までに時短したと言いますけれども、大阪市内はもう十一月からずっと飲食店は時短しているんです。だから、今更八時と言われても、これは続いているだけで、危機感にならないんです。だから言っております。  今回、私、更に危惧しているのが、実は総理の訪米なんですよ。  総理、バイデン大統領と会われる、これは非常に大事なことです。首脳同士が顔を合わせることは、日米同盟についても大事なことだと私も理解しています。しかし、これが四月の十五日から十八日という期間なんですね。  今まで、大体、コロナの対策本部というのは、木曜日とか金曜日に対策本部をして、月曜日に新しい方針で走るということをやってきました。しかし、今週は、総理、後半からおられなくなるんです。じゃ、その間、本当にこれが更にひどくなったときに、一体、コロナ対策本部長がいない、この状態で、どのように意思決定をされるんでしょうか。
  51. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私は、事情が許せば訪米をさせていただきたい、こういうふうなことを国会にお願いするようになるというふうに思います。  ただ、本部長がいないときは本部長代理というのがおります、官房長官でありますけれども。そこで必要であればちゅうちょなく対応するということは、危機管理上、対策はしっかり持っているところです。
  52. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 そうすると、私権制限を伴うような緊急事態宣言蔓延防止等重点措置の拡大を、代理が宣言をされ、そして代理の方が記者会見をするということですか。
  53. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 内閣総理大臣が海外に出るときというのは、例えば、副総理に私の国内不在中は対応してもらう、そして今申し上げましたけれども、このコロナ対策については、本部長代理が官房長官ですから、官房長官が指揮を私の代わりに、対応することになっています。  ただ、海外に行っても、電話なりあるわけですから、そこは危機管理上問題はないというふうに思っております。
  54. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私、これは、コロナの感染拡大は命の危機なんです。災害対策でもそうですけれども、空振りは許されても、やはり見逃しは許されない、これは野球に例えた言い方ですけれども。やはり、今、蔓延防止等重点措置、やはり私は大阪は遅かったと思います。だから今感染拡大しています。  ちょっと総理にお聞きしますけれども、じゃ、一月の緊急事態宣言のときの大阪と今の大阪、どちらの方が感染の状況は厳しいでしょうか。
  55. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 状況は今の方が厳しくなっているというふうに思っています。  ただ、感染対策を始めたのが四月五日でありますから、先ほど、いつも時短、時短と言っていましたけれども、九時までと八時まででは効果が大きく違います。大阪は八時までの時短をやったのが四月の五日からですから、そこについて、大阪府でもそこは状況を見守りたい、こう言っていますから、政府として、やはり地元と連携をしながらこうしたものは対策を講じていかないと、なかなか効果というのは上がらないというふうに思っています。そのように連携しながら対応をしているところです。
  56. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 非常に残念です。今、効果を見ている時期ではありません。  ちょっと一言申し上げたいんですけれども、総理、今度、ゴールデンウィークにもインドとフィリピンに外遊する、そのための調整をされているというふうに聞いております。  ただ、蔓延防止等重点措置は、五月五日とか、東京は五月十一日まで、つまり不要不急の外出を避けてくださいと言っているときに、総理がゴールデンウィークに外遊しているということが国民からどう見えるのかということについて、ここは、一度しっかりとこの外遊のことについては考えていただきたいと申し上げておきます。  ワクチンのことについてお聞きをしてまいります。  今日から高齢者のところでワクチン接種が始まりました。ただ、まだ医療従事者も終わっていないという中では、順番はどうなっていくのかということも非常に気になります。  今日、総理と議論をしたいのは、このワクチン接種がなぜ日本はこんなに遅いのかということを総理にお聞きしたいと思っております。  これは、アワー・ワールド・イン・データ、データで見る私たちというオックスフォード大学の資料ですけれども、ワクチンを少なくとも一回接種した人の割合、日本はG7で最低です。OECDの中でも、ほぼ下の方になっています。全人口の〇・八%しか打てていないんですよ。  何でこんなに、総理、日本はワクチンを打つのが遅いんでしょうか。
  57. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 我が国では、ワクチンの安全性、有効性に最大限配慮をして、欧米諸国のデータのみで判断するのではなくて、日本人を対象とした一定の治験を国内で行うなど、審査承認手続を丁寧に行ったことにより、承認まで時間を要しています。時間が約三か月ぐらい要していますから、接種までの時間を要したものであります。  この点については、国会決議の中でも、政府に対して、国内外で治験を行うということは求められているところであります。
  58. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 ワクチン、やはり遅過ぎるんです。  これがどうなるかというと、次のパネルに行きたいんですけれども、実は、国際通貨基金、IMFが、二〇二〇年、二一年、二二年のGDP実質成長率がどうなるかということを予測しています。  そうすると、見ていただきたいんですが、日本はG7の中で最低の成長率、今年。そして、来年もG7の中で最低の成長率になっています。これはなぜかというと、ワクチン接種が遅いからなんです。ワクチン接種が遅いから、こうして経済が元に戻らない、日常生活が戻らない、だから経済にもマイナスになっている。  総理、経済が大事だから、緊急事態宣言にはいつも慎重な総理なんですけれども、結局、ワクチンが遅いせいで、それが一番日本の経済にダメージを与えているのではないですか。
  59. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 日本のこの政策についてですけれども、海外ではロックダウンなどという全面停止、こうしたことを行えば、このコロナ対策は確かに一番効果があることだというふうに思っています。しかし、そういう中で、日本は、これは専門家の皆さんの御意見も伺った上で、飲食店に的を絞って日本の対策は行いました。結果として、失業率も世界の中で一番低い方であるということも、これ、事実じゃないでしょうか。  そうしてまた、この接種でありますけれども、今日から高齢者の人たちが始まります。日本において、六月末までには少なくとも一億回分を確保できる見通しでありまして、これは医療従事者高齢者などが二回接種する十分なワクチンの量でありますので、ここは一日も早くこうした計画を進めることができるように取り組んでいきたいと思います。
  60. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 答えていただいていないんですね。  総理はさっき、失業者数が日本は少なくてという話をされましたけれども、隠れ失業が実は、野村総研で、女性の隠れ失業が百万人を超え、男性の隠れ失業が四十万人を超えた。つまり、シフトとかが入らなくなった失業者は失業者にカウントされていないからそういうふうになっているということを是非知っておいていただきたいと思います。  今日から高齢者が始まりますけれども、じゃ、総理、これはいつまでに高齢者の方は打ち終わるんでしょうか。
  61. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 政府としては、高齢者への優先接種について、全国知事会などから、段階的に接種範囲を広げて検証、改善を着実に行うなど、供給体制を踏まえた現実的なスケジュールを丁寧に進めてほしい、こういう要望もいただいています。  そういう中で、今日から始めますけれども、六月末までには少なくとも一億回分が確保できる見通しでありますので、そうした中で、地方自治体にお願いをして接種をしているわけでありますので、状況を見ておるわけでありますけれども、少なくとも六月末までには一億回分のワクチンが届けることが、確保することができますので、そこはしっかり、一日も早く終えることができるように取り組んでいきたい、こういうように思います。
  62. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 私は、いつまでに打ち終わるかということを聞いております。
  63. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 いずれにしろ、地方自治体にお願いをしていますので、進み具合というのは、政府としてやはり注視していかなきゃならないと思っています。できるだけ早くお願いを申し上げたい、一日も早く国民皆さんに届けるようにしたい、そういう意味で、六月末までには一億回分を確保することができるということであります。
  64. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 総理がいつまでに打ち終わるかというめどを示していただけないというのは、私、非常に残念でなりません。  やはり、こういうのは、いつまでに打ちますということを言って、そして計画をしていく。そして、じゃ、みんな、ここまで頑張ったらどうにかなるんやな、ここまで何とかしようと思うわけです。  高齢者がいつまでに打ち終わるか分からないということは、じゃ、一般の方々が二回打ち終わるのは一体いつになるのか、総理、めどをお示しください。
  65. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まずは、重症化率の高い高齢者皆さんに対して一日も早く接種をすることが大事だと思っています。  その時期でありますけれども、今日から実は始まるわけでありますけれども、五月の連休明けには数多くのワクチンも日本に入ってくることになっています。そういう接種の状況というのをまず見なければならないということが事実じゃないでしょうか。  そして、遅れているところには、今大臣から、計画を早く出してほしい、そうしたことを政府としては地方自治体にお願いをしながら、今進めていく。  六月末には一億回分が全てそろうということでありますから、その進捗状況によってでありますけれども、一日も早くできるように行うことが政府の役割だというふうに思います。
  66. 尾辻かな子

    ○尾辻委員 めどをやはり示していただくこと、非常に大事だと思います。それでこそ、皆さん、ここまで頑張ったらどうにかなるんだと思います。  総理の発信力、そして危機感へのコミュニケーション、十分取っていただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  67. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 この際、山内康一君から関連質疑の申出があります。尾辻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。山内康一君。
  68. 山内康一

    山内委員 立憲民主党の山内康一です。  菅総理におかれましては、新型コロナウイルス感染拡大という前例のない危機に当たって日々難しい判断を迫られて、大変な重圧だと思います。日々の御奮闘に心から敬意を表しまして、その上で質問させていただきます。  まず、尾辻委員質疑でも、大阪、兵庫の深刻な状況について御指摘がありました。その上で、菅総理の認識をお尋ねしたいと思います。  もう既に第四波に入っているんじゃないかと、多くの国民皆さん、感じていることだと思います。尾身会長も、十日前、四月二日の段階で、既に第四波に入りつつあると発言されております。こういった状況を見ても、ほとんどの国民皆さん、第四波に入っていると認識されていると思うんですけれども、菅総理の御認識をお尋ねします。
  69. 西村康稔

    ○西村国務大臣 まず、現状認識、私からお話し申し上げたいと思います。  非常に、三月下旬以降、中旬ぐらいから、大阪も含めて感染が広がってきている、非常に強い危機感を持っております。特に、変異株の状況が広がってきている、このことについて極めて強い危機感を持っているところであります。流行が起きてきていることは、数字からいって増加傾向にあることは事実であります。  ただ、これを大きな流行にしない、緊急事態宣言を発出するような全国的かつ急速な蔓延、ここにはまだ至っていない、しかし、そうならないようにするために、蔓延防止等重点措置東京も含めて適用するということをした次第であります。何とか、二十時までの時短という、まさに緊急事態宣言と同等の極めて強い措置を講じることによって、緊急事態宣言を発出するような、そういう事態にならないように全力を挙げていきたいと考えております。
  70. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 当然、私も同じ見解ですけれども、全国的には大きなうねりとまではなっていないというふうに思っています。そして、政府としては、強い警戒感を持って、緊急事態宣言を発することのないように、一定の感染状況等を見ながら、蔓延防止措置というものを機動的に行使をして取り組んでいきたいというふうに思います。
  71. 山内康一

    山内委員 今の政府の見解、大きな流行ではない、それから大きなうねりではないということですけれども、恐らくほとんどの国民皆さんの実感とはかけ離れているんじゃないかと思います。そういう大きな流行ではないという甘い認識だからこそ、なかなか感染拡大が止まらないということがあるんじゃないでしょうか。  次の質問に参りますが、朝日新聞の世論調査、この十日、十一日の世論調査によりますと、蔓延防止等重点措置では十分ではないと答える回答が七六%、十分だという回答が一六%と報道されております。世論調査を見ると、七六%、八割近い国民皆さん蔓延防止では十分じゃないと感じていらっしゃるわけですね。  十分じゃない、危機感、緊張感が足りない、そういう状況を招いているのは今の政府の大きな流行ではないという見解ではないかと思うんですけれども、この世論調査の結果、蔓延防止措置では十分じゃない、そういう声が大きいことについて、総理の御認識をお尋ねしたいと思います。
  72. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 そうしたことについては、御意見があるということは素直に受け止めたいというふうに思います。  ただ、政府としては、今行っています蔓延防止措置、こうしたことを機動的に行う。そしてまた、この蔓延防止重点措置というのは、極めて法的にも、今回作らせていただきました、強制力もあるものでありますので、そうしたことをしっかり実現できるように、例えば見回りのチームをつくっていろいろな注意等をするとか、そこは徹底をさせていただくと同時に、検査も、福祉施設での検査とかモニタリング検査とかそうしたことも行う、あるいは変異株にも警戒をする、そうしたことをしっかり行う中で、現在の蔓延防止重点措置の中でしっかり抑えることは抑えていきたいというふうに思います。
  73. 山内康一

    山内委員 例えば見回り隊ですか、そういった活動も意味はあるとは思うんですが、ただ、飲食店の数に比べると、恐らく自治体の職員の数はとても足りていないんじゃないかと思います。それから、蔓延防止措置も強力な措置だとおっしゃいますが、あるいは、総理はどこかで緊急事態宣言並みの強い措置といったことをおっしゃっていると思いますが、並みではなくて、そのままやはり緊急事態宣言を出す、そういう姿勢を示すことが、国民の間にある何となく不十分じゃないかという思いに応え、そして国民の間に緊張感と切迫感、危機感を持ってもらう、そのために重要だと思います。  まず、今の政府の認識、大きな流行にはなっていないという認識、そろそろ改めるべきじゃないかと思います。それについて、改めてもう一度聞かせていただきます。
  74. 西村康稔

    ○西村国務大臣 繰り返しになる部分もありますけれども、変異株が広がってきていることを含めて、私ども、極めて強い危機感を持っております。  特に、御指摘のように、大阪でいえば大阪市、兵庫県でいえば神戸市、宮城県でいえば仙台市、こういったところは、もうその地域だけ限って見れば緊急事態宣言を出してもおかしくないような、それだけの感染が広がって、また病床も逼迫しておりますので、だからこそ、蔓延防止等重点措置で極めて強い措置、これは二十時までの時短、あるいは県全体で五千人までのイベント制限などを含めて、さらに、今総理から申し上げましたように、一店一店回って感染対策を徹底していっています。そして、これは外部委託も含めて、当然職員の方だけでは間に合いませんので、外部委託を含めて徹底的にやっていく、これで感染防止を抑えていきたいというふうに考えております。
  75. 山内康一

    山内委員 今もう緊急事態宣言を出してもおかしくない状況ということを大臣もおっしゃいました。やはりもう出すことが必要だということを指摘しましても、これ以上言っても水かけ論になりますので、次の質問に行きます。  東京オリンピック・パラリンピックの開催についてお尋ねします。  多くの国民皆さんが、本当にオリンピック・パラリンピックを開いて大丈夫なのか、これだけ感染が拡大している、これだけワクチン接種が遅れている、それでも大丈夫かと不安を感じていらっしゃることだと思います。あるいは、例えばオリンピック・パラリンピックに当たっては、医療従事者、かなりの人数を確保する必要があります。これだけ医療崩壊が近いような状況もある中で、医療が逼迫している中で、本当にオリンピック・パラリンピックを安全に開催するだけの例えば医療従事者の確保はできているんでしょうか。大臣にお尋ねします。
  76. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 ありがとうございます。  まず、私ども不断の見直しを行っておりまして、一義的には組織委員会が、この大会の期間中、例えば選手の方のための医務室、あるいは選手村の総合診療所、また競技会場で観客の皆さん向けの救護室等に御協力をいただく医療関係者、これは医師、看護師、また選手村ですとPTさんとか歯科技工士さん、歯科衛生士さん、こういう方も入ります。  特にコロナウイルス感染症対策に係る方、一日に一番たくさん競技があるときで、全国三十二会場で、お医者さんが大体百人、看護師さん百人程度がコロナウイルス感染症に係る医療ということになっているわけですが、一番多いときでですね、こうしたものを地域の医療体制に影響を与えないためにどうやっていくのかということを引き続き協議をさせていただいておりますので、最後までこうした話合いを続けていきたいと思っております。
  77. 山内康一

    山内委員 多くの国民と同時に、多くの国も、本当に開催できるのかと心配されていると思います。北朝鮮は不参加表明がありました。まあ北朝鮮はちょっと特殊な国なんですが、自分の国の選手団の生命を心配するのはどの国も同じだと思います。  そういった意味で、今、日本政府あるいは組織委員会は、どういうふうに各国の組織委員会や外国の参加予定の選手の皆さん説明されているんでしょうか。特に、パラリンピックの場合は、障害をお持ちの方はハイリスクの方もいらっしゃると思います。そういった対外的な発信や説明についてお尋ねしたいと思います。
  78. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 ありがとうございます。  実は、今年の二月に、現在のプレーブックに基づいて、各国オリンピック委員会や国際競技連盟等を対象として、また三月には在京外交団の皆様方にも説明会をオンラインで行っているんですが、正直、感染症、変異株が大きく起きてきたことによって、このプレーブックを四月中に更新することになっておりますので、更新次第、速やかにまた行っていきたいと思っております。
  79. 山内康一

    山内委員 感染が拡大していくと、あるラインを超えると、これはどうしてもやはり開催できないという事態は起こるかもしれないと思うんですが、そういった不測の事態に対する備えというか、どういう状況になったら開催も危うい、そういう基準みたいなものは検討されているんでしょうか、政府内で。
  80. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 委員指摘のとおり、我が国の状況だけではなく、世界の状況を見て判断をしなければいけません。  主催者は、IOC、IPC、また東京の組織委員会、また東京都ということになるわけでございますが、常に状況の変化を把握しながら、最高の環境を用意できるように、また、いろいろな観客の状況についても、予断を持たずにこれからも取り組んでいくことが必要であろうと思っております。
  81. 山内康一

    山内委員 これまでの質疑を聞いても、やはり国民皆さんの不安には十分応えられないと思いますので、是非これから、きちんと説明と、安心してオリンピックを開ける環境づくりに取り組んでいただきたいと思います。  それでは、次に、ミャンマーの情勢についてお尋ねしたいと思います。  ミャンマーでは、二月一日の国軍のクーデターが起きて、アウン・サン・スー・チー氏は拘束され、多くの市民が平和的な不服従運動を展開していますが、それに対して国軍は非常に暴力的な手段で弾圧し、罪のない子供も含めて多くのミャンマーの市民が犠牲になっています。犠牲者、死者はもう六百人を超えたという報道もなされております。  その中で、日本政府の対応についてお尋ねしたいと思います。  例えば、中国のミャンマー大使、陳海大使という方は、基本的には国軍を批判することなく、中国がスー・チー氏と国軍の両方と良好な関係にあって、和解のために建設的な役割を発揮するということを言っているそうです。中国は民主化勢力、アウン・サン・スー・チーさんも国軍も両方パイプがある、チャンネルがある、だから建設的な役割を発揮すると中国は言っているんですね。  実は、これは日本の外務省が言っていることと全く同じです。茂木大臣は、三月十日、衆議院の外務委員会でこのようにおっしゃいました。日本として、国民民主連盟に対してもミャンマー国軍に対しても様々なルートを持っている、私もフライン司令官とは直接二度お会いしている、そういう関係もあるとおっしゃいました。茂木大臣がおっしゃっているのは、国軍とパイプがあるんだということを誇らしげにおっしゃっていたようにお見受けします。  しかし、その国軍のチャンネル、今機能しているとは言えないと思います。日本政府がどれだけ言ったところで国軍がその行動を全く変えていないということは、必ずしもこの国軍のパイプ、今のところ、役に立っている様子はありません。そして、六百人以上の市民を虐殺している国軍の司令官と二回会ったということを自慢げに語られるのはどうなのかなと私は思います。  私は、日本政府は、国軍と国民民主連盟の間に立って、中立的な立場に立つということはむしろ望ましくないと思います。日本はどっちに立つか。日本が寄り添うべきなのは、ミャンマー国軍ではなくてミャンマー国民の方だと思います。昨年十一月の選挙で圧勝したNLDこそが民意の負託を受けた正統な政権であり、暴力で政権を簒奪した軍事政権には正統性がありません。選挙の洗礼を受けて国民の負託を受けることは大切だということは、我々国会議員が一番分かっていると思います。  そういった意味でも、今、正統性の全くない軍事政権と民意の負託を受けた国民民主連盟を同列に並べて対等の当事者のように語るのは、私は間違いだと思います。日本政府はきちんと市民の側に立つということ、そのことを明確に示していくことが必要だと思います。中立という立場は、私はあり得ないと思っています。  是非この場で総理に、我々はミャンマー国民の側に立つ、民主的に選挙で選ばれた政権の側に立つということを語っていただきたいと思います。総理の御認識をお尋ねします。  お二人、お帰りいただいて結構です。
  82. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 では、西村大臣と丸川大臣、御退席ください。
  83. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、我が国としては、ミャンマー各地のデモにおいて、発砲を含むミャンマー治安部隊の実力行使によって多数の民間人が死傷し、拘束者も発生している、この事態に対しては強く懸念を持っておりますし、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、民間人に暴力を続けている、ここを強く非難をします。  それと同時に、我が国は、様々なルートを通じて、ミャンマー軍に対して、民間人に対する暴力的な対応の即時停止、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む拘束された関係者の即時釈放、民主的な政治体制の回復、ここを強く求めています。  こうした日本の対応や独自の役割について、米国また同志国及びASEANを始めとする各国から理解を得ており、我が国としては、引き続き、日本独自の役割を果たし、関係国と緊密に連携をして、アウン・サン・スー・チー最高顧問を含む拘束された関係者の解放、民主的政治の早期回復、こうしたことを強く求めていきたい、同時に、こうしたことを世界にも発信をしていきたい、そういうふうに思います。
  84. 山内康一

    山内委員 政府の見解は、これまでも、強くミャンマー政府に求めるということを繰り返しおっしゃっていますが、強く求めるというふうに受け取られていない節が私はあると思います。それから、独自の役割といいながら、実際には、ほかの西側諸国との連携が取れていない、そのことをある意味独自の役割というふうに言っているんじゃないかと思わざるを得ないような対応がたくさんあります。  中国は軍事政権寄りの立場を取ってきたために、非常にミャンマー国民の間で反中国感情が高まっているということが言われております。元々ミャンマーは、基本的に親日派の方が多くて、日本に対して非常に好印象を持っている国民が多いと思います。しかし、これまで同様、軍事政権に近いというふうな受け取られ方をしてしまうと、将来のミャンマー国民の対日感情の悪化が懸念されると私は思います。  例えばですが、日本の現地の大使が国軍関係者と真っ先に会いました。クーデター後、最初にミャンマー政府の高官と会ったのは日本の大使だというふうに報道されております。  そのことは、実はプラスもマイナスも両方あると思います。もちろん、国軍に説得するために会わなきゃいけないという面もあります。他方で、クーデターを起こした政権の幹部と日本の大使が会うということは、あたかも日本がそのクーデターを起こした政権を承認したかのように受け取られるおそれもあるわけです。軍が任命したいわゆる外務大臣とされる人物に日本の大使が会ったことによって、ミャンマーの市民の中からは、国民が選んだ外務大臣じゃない大臣に日本の大使が会っている、これに対する批判というのがあります。日本は軍政を応援するのかといったような批判も一部あったと報道されております。  さらに、この軍事政権がずっと続くとは私は思いません。いつか民主化勢力が政権の座に就いたとき、軍事政権寄りな対応を取ってきた、あるいは軍事政権に非常に甘い対応を取ってきたというふうに日本が見られることは、長期の国益を損なうんじゃないかと思います。  それから、ミャンマーの国軍に対する国際社会の批判というのは、別にクーデターの後始まったわけではありません。もう既に、二〇一七年のイスラム系の住民であるロヒンギャの人々に対する虐殺でも、国軍は世界中の批判を浴びていました。ロヒンギャ問題は日本ではそれほど報道されておりませんが、国際社会、特にイスラム諸国の間では非常に高い関心が持たれています。余りにも国軍寄りの姿勢を続けていると、国際社会における日本の平和国家のイメージが損なわれるということが懸念されます。  ロヒンギャ問題、そして今年のクーデターと、その後の国軍による市民の虐殺と続いています。国軍とのパイプ、今のところ機能していませんし、これからも機能するとは、私は正直言って思っていません。  今の国軍は、もう越えてはいけない一線を越えていると思います。今の段階で、私は、国軍とチャンネルとか、両者にパイプがあるとか、そういうことを言うのではなくて、アメリカを始めとする民主主義国家と連携して国軍政府に強い圧力をかけるフェーズに入っていると思います。  そういった点に関して、私は、日本がこれから強い立場に出ることは非常に効果があると思います。これまで日本は、非常に軍政に対して、軍事政権に対して融和的な態度を取ってきました。どちらかというと融和的な態度を取っていた日本が強硬な姿勢に転じれば、軍事政権に対する圧力もより一層強まると思います。そろそろ対応を改めて、より強硬な対応を取る時期に来ていると思います。例えて言うと、ふだん温厚な人が本気で怒ると本当に怖いみたいなところがあると思います。  日本はそろそろそういうフェーズに入っていると思いますが、総理の御見解をお尋ねしたいと思います。
  85. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 日本の役割というのは、このミャンマー問題を解決する中で、私は極めて重要な役割を果たせると思っています。  国軍に対して世界がどういう状況でミャンマーを見ているのか、そうしたことをやはり正直にミャンマー軍に伝えて、こうした、国民に銃を向けるのはすぐやめるように、これは日本は言っているわけですから、そんなことをしたらとんでもない、結果的にミャンマーにとっていいことはない、こうしたことも面と向かって日本は言えるわけですから、こうしたことをやはりしっかり私どもが主張していくということもミャンマー問題を解決するための役割ではないかなというふうに思っております。  いずれにしろ、アウン・サン・スー・チー国家最高顧問を含む拘束された関係者の解放、そして、絶対国民に銃を向けちゃならない、あってはならないことですから、こうしたことについてはやはり強く主張することができる。そして、世界の流れ、今ミャンマー軍が世界からどう見られているのか、そうしたこともやはり日本としては真正面からミャンマー軍に説明をして、今のような行動は即時やめるという、そうしたことをやはり強く言う国として日本も役割を果たすことが大事かなというふうに思っています。  ただ、委員の言われたことも十分分かっています。そういう中で、日本の役割というものの中で、民主国家にまた戻ることができれば、できるための努力もしっかりしていきたい、こういうふうに思います。
  86. 山内康一

    山内委員 もちろん、ミャンマー政府に対してきちんと日本の立場を言う、それは大事だと思いますが、主張することと併せ、やはり行動を取らなくてはいけないと思います。  一つは、ODAです。もちろん新規のODA停止は当たり前なんですけれども、併せてもう既に実施中のODAも一旦停止するという措置が必要だと思いますが、今の政府内のODAの検討状況についてお尋ねしたいと思います。
  87. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 経済協力の今後の対応については、事態の推移や関係国の対応を注視しながら、何が効果的であるかの観点から、今、正直、検討しています。  ただ、日本は、今のような状況で、ODAもやめるとか、ミャンマー軍に対していろいろな圧力をかけることというのはできるわけでありますから、そういう中で日本の立ち位置というのをしっかり主張していく、このことが、そして、今のような状況じゃ長続きしない、世界がどこも見放されている、そうしたことをやはり政府として軍に対して強く申し入れる、そうしたことの効果というものも私はあるというふうに思っています。
  88. 山内康一

    山内委員 日本が、世界に見放されるぞとミャンマーに言うことも大事ですが、日本はもう見放さなきゃいけない時期だと思います。  ミャンマーは、国軍が経営する企業グループというのが非常に大きな力を持っていますので、ODAを通してミャンマーの国軍系の企業が潤い、そのお金が国民を弾圧する軍の兵士の給料や武器の購入に充てられる、そういうおそれがあるわけですから、経済制裁というのもそろそろ真剣に考えなきゃいけない。まず第一段階は、まずすぐにできるのはODAだと思います。ODAを止めること、これは非常に大きなメッセージですから、それはやるべきだと思います。検討しているということでしたが、もう検討する段階じゃなくて決断する段階だというふうに思います。  あわせて、私は、ODAだけじゃなくて経済制裁ということも必要な時期に来ているんだと思います。  民間企業の中でも、キリンホールディングスが国軍企業との合弁事業の提携を解消するということを発表しました。企業が人権に配慮する、そのお手本になるようなすばらしい事例だと思いますが、そういった、続く日本企業が増えてほしいと思いますし、政府も、そのような方向を目指して企業に対しても訴えていく必要があると思うんですね。  菅総理は、北朝鮮の制裁法を自ら作られた御経験があると思います。そういう人権問題と制裁、これは非常に密接に絡み、そして非常に効果的だと思いますので、私は、外為法、外国貿易法、既にある法律も含めて、ミャンマーに対する経済的な圧力も同時にかけていかなくてはいけないと思います。  総理、間もなく日米首脳会談に行かれますけれども、アメリカのブリンケン国務長官は三月十日に、ミャンマー国軍系企業に投資している各国企業に対して、投資を見直すべきだと訴えました。ブリンケン国務長官は、国軍系企業への投資を打ち切れば、国民の意思に反して権力を維持する国軍への経済的支援を絶つ手段になるというふうに言っています。  ミャンマー問題、アメリカも相当本腰を入れていると思います。日本がアメリカの同盟国、頼れるアジアの同盟国、それも価値観を共有する同盟国であるということを示すためにも、私は、是非、日米首脳会談に行かれたときには、日本も今アメリカの国務省と同じような対応を考えているということを表明していただきたいと思います。そのことが、私は、日本は西側諸国の一員として、人権や民主主義、法の支配、こういった価値観を重視しているという世界に対するメッセージと、ミャンマー国民に対する応援のメッセージになると思います。総理のお考えをお聞きしたいと思います。
  89. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 日本が今、ミャンマーに対する行動、ミャンマー軍に対する行動、こうしたものも、当然米国とは共有しながら日本はそうした行動を取っているということは事実であります。  まさに、普遍的価値、自由、人権、法の支配というものは、どこにいてもそれは保障されなきゃならないものでありますから、そうしたことについては、首脳会談においても方向性というものは当然一致することであります。
  90. 山内康一

    山内委員 産経新聞の二月二十日の記事がありまして、天安門の過ちを繰り返すなという記事でした。この記事の中にこういう記述が出てきます。八九年に中国が民主化運動を武力弾圧した天安門事件で、欧米が中国に厳しい制裁を科したのに、日本が甘い対応を取り、中国の強権性を助長させた失敗があるということを言っています。そして、同じ過ちを繰り返してはいけないということを言っているわけです。  私も、是非、天安門事件の教訓、民主化運動を弾圧することに対して甘い措置を取ってはいけない、そのことを訴えて、質疑を終わらせていただきます。  以上で終了します。
  91. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 この際、江田憲司君から関連質疑の申出があります。尾辻君の持ち時間の範囲内でこれを許します。江田憲司君。
  92. 江田憲司

    江田(憲)委員 総理、連日お疲れさまでございます。  ただ、この国難に対処できる権限、予算、お金を持っておられるのは総理大臣だけなんですから、本当にもう少し危機意識を持って対応していただきたいと思うんですね。その意味で、今日も厳しいことを申し上げるかもしれませんけれども、御容赦いただければ幸いでございます。  さて、まず、このパネルを御覧いただきたいんですね。総理にとっては御覧になりたくない数字かもしれません。  菅政権、誕生したのは昨年九月十六日ですが、それ以降の感染者数そして死亡者数、何と、全体の八割以上、八四%が菅総理就任以降の感染者、死亡者なんですね。改めて、ここで、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げたいと思います。  総理、総理は、国民の命を預かる、生命を守るという崇高な使命を帯びておられるわけですから、この厳然たる数字をまずどう受け止めておられるか、お聞きしたいと思います。
  93. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私自身内閣総理大臣に就任してから、昼夜たがわず、国民の命と暮らしを守る、そうしたことを私の責務として全力で取り組んできました。そうした中にあって、こうして感染者が増え、また、お亡くなりになる方も増えられております。  こうしたことについては、大変申し訳ない思いの中で、連日この新型コロナ対策を中心に取り組んでいるところであります。
  94. 江田憲司

    江田(憲)委員 おっしゃるとおり、昼夜分かたず一生懸命対応されているんでしょう。しかし、こういう危機対応につきましては、頑張ったけれども駄目でしたは、もう通用しないんですね。よく政治は結果責任と言われますけれども、これが厳然たる結果だということですが、それでは、その要因、なぜ八割以上の方が亡くなるような事態を招いたのか、その要因をどう分析をされておられますか。
  95. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、我が国の対応の仕方でありますけれども、感染者が拡大する中で、世界は、ロックダウン措置を行って、社会経済活動を大きく抑制させて感染拡大を防ごうとしてきた。私たち政府というのは、専門家に伺いを立て、御理解をいただいて、飲食店営業短縮を中心として、めり張りの利いた対策によって感染拡大を抑制する、そうしたことを行っています。感染者数や重症者数は欧米諸国に比較をして相対的に低い水準に抑えられていることは、これは事実じゃないでしょうか。  今年の一月に全国的に感染が拡大し、医療提供が逼迫する中で、緊急事態宣言を発出させていただきました。  感染拡大の要因としては、専門家の皆さんによると、これを明確に断定することは難しいけれども、飲食の場面などで基本的感染予防対策、ここがしっかり行われていないということ、また、気温の低下による影響もあるということでありました。いずれにしろ、そうした対策をしっかり行っていく、そうしたことができていなかったということも、これは事実だというふうに思います。  ただ、私、感染対策に奇策はなくて、政府としては、飲食店対策、検査の拡大、医療体制の確保、こうしたことを粘り強く進めて、地域を絞って重点的に、今、機動的に行っているわけであります。  こうした対策を指揮して、一日も感染状況を収束をさせて、国民皆さんに安心の日常を取り戻すことができる、そのために全力で取り組むのが私の責務だと思っています。
  96. 江田憲司

    江田(憲)委員 飲食店感染防止策が十分でなかった。飲食店のせいですか。国民のせいですか。気温がどうした。気候のせいですか。自分の責任じゃないんですか。私は本当に違和感を今感じましたね。  これは、はっきり申し上げると……(発言する者あり)
  97. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 今、質問中です。
  98. 江田憲司

    江田(憲)委員 今、それから、別に世界との比較を聞いているんじゃないんですよ。安倍政権がほぼ七か月、コロナが発生して。菅政権もちょうど七か月。期間は同じですよ。なのにもかかわらず、八四%の方が亡くなっておられる、その要因は何ですかというふうにお聞きをしたんですよ。それを端的に。それで、飲食店感染防止策が不十分だ、気候がどうだということをおっしゃるのなら、もう答弁は要りません。ほかにおっしゃりたいことがあるんだったら、どうぞ。
  99. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私が今言ったとおりですよ。やはり、専門家の皆さんによるところ、明確に断定することは難しいけれども、飲食の場面等で基本的な感染予防対策がしっかり行われていない、これは私どもの責任でもあると思いますよ、それは協力をしてお願いをすることも。また、気温の低下、これは乾燥すると感染するという、そういうことの影響も考えられるということを私は申し上げたところです。  それで、私自身の責任というのは、そうしたことを徹底することができなかったというのは、やはり私は最高責任者としての責任はあるだろうというふうに思っています。
  100. 江田憲司

    江田(憲)委員 第二波と違って、第三波の特徴は高齢者施設や医療機関にクラスターが多発したということですよ。これはすぐ調べれば分かるんですよ。高齢者施設の感染が五倍になっている、千百七十六件、二波に比べて。医療機関は三倍の九百九十二件なんですよ。  ですから、我々は去年の夏からこういう高齢者施設や医療機関、エッセンシャルワーカーに無償で定期検査をやってくださいとお願いしていたんです、菅総理には。安倍前総理だって、退陣会見、表明の八月にやるとおっしゃったんですよ。高齢者施設と病院は定期検査、徹底的な検査をやりますとおっしゃって退陣をされた。それを受けた菅総理が何にもやらなかったから、特にこの高齢者施設、医療機関を通じて感染が拡大してこういう結果を招いたんじゃありませんか。
  101. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 幾ら何でも、何もやらなかったというのは、私は言い過ぎだと思いますよ。  私は、まず、感染拡大を防ぐためには、必要な方がまずは検査を受け、その結果、感染者を早期に把握をして療養等の対応を行うことが基本であり、重症化リスクの高い方がいる高齢者施設への検査は、ここは重要であると思っていますよ。  そのために、地域感染状況に応じて高齢者施設への検査を積極的に実施するように、昨年の八月にはこれを各自治体に要請しています。そして、費用については、実質的にこれは国が負担しますよ、そういう中でお願いをしています。  また、本年二月になっては、緊急事態宣言の対象区域にあった十の都府県については、三月中旬までを目途に高齢者施設の従業員等に対し集中的にこれは検査を実施しています。さらに、今月からは、十都府県の歓楽街のある大都市はもとより、他の自治体も地域感染状況に応じ、高齢者施設等の従事者等に対し定期的に検査を実施する要請をしているところなんです。  こうした重症化リスクの高い高齢者への感染予防、防止を図る観点から、委員から指摘がありますこの高齢者施設に対しての検査というのはこれからも徹底をしていきたい、こういうふうに思っています。
  102. 江田憲司

    江田(憲)委員 お言葉ですが、昨年やった高齢者施設の検査というのは、クラスターが多発して感染が拡大している地域に限ってちゃんとやりなさいよという通達ですよ。  二月四日、今年になって出したのが、私が申し上げている、いわゆる高齢者施設、医療機関一般に対して、ここにクラスターが発生して感染が拡大する可能性が高いんだから、そこに集中的な検査を、定期検査をやってくださいよというのは、やっと今年二月になってからスタートしたんですよ。それで三月いっぱいまでに報告しろということなんですが。  それではお聞きしますけれども、やっと重い腰を上げたこの三月末までの検査の今の進捗状況はどうですか。終わったんですか。三月末はもう過ぎました。
  103. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 本年二月には、緊急事態宣言の対象区域であった十の都府県において、三月中までを目途に高齢者施設の従事者等に対して集中的な検査を実施をして、二月から三月にかけて、全国で延べ二万六千程度の施設において検査を実施している、このように聞いています。
  104. 江田憲司

    江田(憲)委員 いわゆる高齢者施設に大規模集中検査を三月末までにやるというのは完了したんですか。(発言する者あり)
  105. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 済みません、江田憲司君、もう一度。
  106. 江田憲司

    江田(憲)委員 いや、通達は二月四日に出ていまして、三月いっぱいまでにこういう集中的な高齢者施設の検査をやれと書いてあるんですよ。それはもう完了したんですね。
  107. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 高齢者施設などにおける感染を早期に発見し、クラスターの発生を防ぐために、三月末までに約三万の施設で検査を行います、こう申し上げました。
  108. 江田憲司

    江田(憲)委員 全国の高齢者施設については、検査をやりなさいと、三月いっぱい。  もういいですよ、分かっていないんですから。  私が聞いているのも、都道府県によってまちまちなんですよ。例えば私の地元の神奈川県は、有料ホームや高齢者住宅、三千六百四十施設に限って十万八千人やりました。東京都は、特養や老健施設、八百六十九施設で六万人やりました。もう、まちまちなんですよ。  だから、通達を出せばいいというものじゃなくて、通達を出すときには、都道府県が迷わないように、こういう施設についてやってくださいよとちゃんと基準を決めないからこういうことになっている。これも曖昧で終わってしまっているという実態が今分かったと思います。  そこで提案ですが、今、変異株の感染拡大が続いておりまして、若年層にも感染が拡大しているという状況で、今後懸念されるのは、学校、それから保育園も入るかもしれません。要は、以前も、総理、危機管理の基本は最悪の事態を想定して対応するのが基本だとおっしゃった。だからこそ、学校や保育園、こういった、教師や保育士の皆さんに対して高齢者施設と同じように、こういう定期検査というか集中検査をやるべきじゃないですか、未然に防止するために。どうですか。
  109. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、高齢者は重症化リスクが高いことを踏まえて集中的な検査を実施することにしています。四月から六月にかけて、地域感染状況などに応じて高齢者施設の従事者への検査を定期的に実施するよう要請しています。  子供についてでありますけれども、これは、変異株であっても高齢者のように重症化しやすいというエビデンスが現時点においてあるわけではないことから、保育園や学校は一切定期的な検査の対象にすることを求めておりません。  引き続き、変異株に関する科学的知見を十分に注視しながら、感染防止拡大のために必要な検査の実施に取り組んでいきたい、このように思っています。
  110. 江田憲司

    江田(憲)委員 科学的知見を重視するのは大事なことですが、最終判断は総理大臣がやる。危機管理というのは総理大臣の責任です。  とにかく、最悪の事態、最悪の事態というものは、もうこれは容易に想像されることですね、今、そうやって、現実問題、変異ウイルスの拡大が若年層を通じて拡大しているわけですからね。だから、未然に防止するために、学校や、じゃ、何でためらうのか、私は訳が分かりません。このパネルを見てもらえば、我々、特に立憲民主党は、大規模検査なくして経済再生はなしだ、テスト、テスト、テストだということをずっと去年から訴えてまいりました。去年の十二月のWHOの提言でも、パンデミックの制御に検査は対応の中核であって、明確な目標と感染状況に基づいて戦略的に実施されること。だからこそ、改めて、この高齢者、医療施設、学校等の定期検査というのを今総理大臣に御質問したんですけれども、なかなか、よく分からなかったです、私は。  そこで、今度は変異ウイルスですよ、一番国民皆さんが恐れておられる。  この変異ウイルスの検査について、何ですか、まずPCR検査をやる、通常の。そうしたら、今度は地方の衛生研にその検体を持っていって、そこでまた今度は変異ウイルスの解析をやる。それがまた数時間かかる。そうしたら、今度はそれをまた国立感染研に持っていって、やっと変異ウイルスのゲノム解析をして、これは数日間もかかる。こんな悠長なことでいいんですか、皆さん菅総理。  それから、変異ウイルスの検査を四〇%ぐらいまでやってくださいよと。何で一〇〇%やらないんですか、この変異ウイルス。変異ウイルスというのはまだ未知ですから、早くそれをつかまえて、そして徹底的に追跡をして、それを隔離して封じ込める、そうするのが国の責任だと私は思うんですね。  そういう意味で、そんなまどろっこしい、地方の衛生研とか国立感染研を使わなくても、今どんどん民間で、簡易型の変異型ウイルスを抽出する、特定する検査がもう開発されております。ここで一々言いませんけれども、民間会社の名前は。もう三社も四社も先月発売をしているんです、試薬を。それによれば、とにかく、今流行していると言われているイギリス株、南アフリカ株、ブラジル株、そしてE484Kのような由来不明のものまで含めて、ちゃんと検査できる、しかも一時間以内にできるという民間レベルの検査が、もう開発されて実用化されているわけですから。  是非、総理、リーダーシップで、とにかくこういう変異ウイルス、今一番国民が懸念されているわけですから、これを徹底検査していくということをお願いできませんか。
  111. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 政府として、変異株については当然強い危機感を持って対策を進めています。  先月から全ての都道府県において、既に、短時間で結果ができるスクリーニング検査を実施しており、発生を確認すれば速やかに積極的疫学調査を行い、感染拡大防止の対応をしているところです。  このスクリーニング検査については、最終的に、国立感染研究所で調べているものではありません。スクリーニングの時点で、地方で結果が確定しているということです。  また、このスクリーニング検査の抽出割合については、民間検査機関との連携を進めながら、まずは早急に四〇%まで上げたいということを申し上げていますが、直近のデータで、全国で約三〇%となっています。更に引き上げるようにここは努力をしていくのは、これは当然のことだと思っています。  その上で、現場の状況や対策の効果などを考慮しながら、更にこの割合を引き上げて、必要に応じて新しい試薬を活用することなど、引き続き変異株の国内の監視体制というものを強化をしていきたい、このように思います。
  112. 江田憲司

    江田(憲)委員 是非それは、試薬というのは、聞いてみたら、一試薬一変異らしいんですが、二百円ぐらいらしいんですよ。だから、本当に安い値段で今の既存の変異株ウイルスは全部検査できるので。  それで、四〇%やれば大体の感染状況は分かると専門家はおっしゃるけれども、我々にとっては、やはり変異株を持った方からどんどん広がっていくことを一番恐れているわけですからね。  ですから、一〇〇%に上げてくださいよ、これは安くできるので。この変異株の検査は、PCR検査と同時にできるんですよ、同時に。それで、しかも、一時間以内に結果が分かる。だから、一〇〇%まで上げて、それで、見つかったら、ちゃんとしっかり追跡して、そこで隔離して封じ込める、こういうことを、国民の安心を取り戻すためにも是非そう御答弁いただけませんか。
  113. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 いずれにしろ、この目標についても、専門家の皆さんとの中で理解をいただきながら、何%にするかということは進めていきたいと思います。  今は取りあえず四〇%ということにさせていただいていますので、更に割合を引き上げることにここは取り組んでいきたいと思います。
  114. 江田憲司

    江田(憲)委員 是非これは徹底的にやっていただきたいと思うんですね。  それで、もうコロナは感染スタート、始まってもう一年超たつわけですけれども、政府として、いわゆる感染集積地、エピセンターとも言いますけれども、こういうところは、もう一年以上たちましたから、大体皆さん、全国で政府は把握しているんでしょうね、感染集積地。どうですか。
  115. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、新型コロナ感染拡大状況を早期に検知することは、ここは重要だというふうに思っています。  委員今御指摘いただきました下水中の……(江田(憲)委員「いやいや、まだ指摘していない、それは」と呼ぶ)いや、今エピセンターの話をされましたから。(江田(憲)委員「下水道なんて言っていません。エピセンターを把握しているか」と呼ぶ)いや、エピセンターという話を伺いましたので申し上げていますけれども、コロナウイルスのこれについて、モニタリングについても専門家にも協力いただきながら、政府として検討を進めています。  ただ、我が国のこれまでの感染状況というのは数が少ないということで、水中のウイルス濃度から感染者を推定することは……(江田(憲)委員「いや、それはちょっとまだ聞いていない。聞きますから、次」と呼ぶ)
  116. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 江田君、まだ、指名しますので。  総理、答弁を続けてください。
  117. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 困難だという報告で、私は、実はこのエピセンターという質問があったときに、なぜこれはできないんだという話をしました。  そういう中で、今私が申し上げたとおり、日本は感染者数が少ないからなかなか数値に表れてこないということだったんです。
  118. 江田憲司

    江田(憲)委員 私も素人ですからあれですけれども、要は、簡単に言うと、この一年の間にいろいろな変異ウイルスとかいろいろな状況の変化はありますけれども、何か根雪のようにやはりウイルスというのが潜んでいる地域があるんですね。それは、例えば東京都の新宿区なんかのところですよ。だから、そういうところをいち早く把握して、政府として。そんなに多くないと思いますね、大都市中心にある。そこを徹底検査するもう状況になっていると思うんですね。  それで、ちょっと改めて質問しますけれども、御提案は、最近、下水道検査というのがもう実用化されて実証化段階に、例えば札幌市とか、それから船橋市で、それぞれの大学の協力も得て。これ、聞いてみると非常にいいんですよ。下水道処理場ってありますよね。大体、政令指定都市だけで全国で百五十か所ぐらいあるらしいんですが、その精度が極めて高くて、一万人に一人の無症状者のウイルスがあっても検出できると、その下水道処理場から。  そうすると、さっきのエピセンターをどう探り当てるかという中で、下水道の調査をすれば、あ、この地域はウイルス量が多いから、これは非常に感染拡大しているなというのが分かる。もっと言えば、施設ごとにも分かる。例えば病院とか高齢者施設とか学校とか、マンホールがありますよね、下水の。マンホールで検査をすると、その施設ごとの状況も分かる。しかも、これ、いいところは無症状者の検出もできるんですよ。  だから、これを是非採用していただいて、さっきのエピセンターというか感染集積地を特定をして、それを徹底的に検査をして封じ込める、こういう施策を是非取っていただきたいんです。御答弁ください。
  119. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 私も、実はこのエピセンターという話を聞いたときに、それはいいじゃないか、徹底してという話をしたときに、先ほど私が申し上げましたように、なかなか日本においては数が少ないからその特定をすることはできないということだったものです。  今、江田委員から提案いただきましたように、そうしたことが可能であればそれは是非やりたい、これから大変効果的だというふうに思っていますので、もう一度しっかり私から指示しておきます。
  120. 江田憲司

    江田(憲)委員 是非よろしくお願いします。  これは、やはりこのウイルスというのは無症状者を通じても感染する、なかなか無症状者は検査も受けていただけない、そういう状況ですから、下水道検査は、検査を受ける受けない関係なくしっかり抽出できますので、そこは是非お願いしたいというふうに思います。  さて、もう一つの国民の懸念は病床の確保ですよね。  これも三月二十四日に厚生労働省が通達を出しているんですよ。第三波のピーク時の二倍程度の感染者が出てもいいような病床をちゃんと確保してくださいね、しかも四月末までに報告をお願いしますよと。  ただ、総理、これは私、官僚だったので分かる、とにかく厚生労働省はあまたの通達ばっかり出す、通達行政。通達を出せばいいと思っているんですよ。あとは都道府県任せ。  だから、今は通常時じゃないので、非常事態として、はい、やってください、病床確保してくださいといったって、この前テレビに日本病院会の相沢会長が出ておられて、まあできません、こんなの、もっと総理が音頭を取ってビジョンを出して、そしてどういう病床調整をするか、医療人材を確保するか、ちゃんと乗り出してやらないと、こんなものできません、通達一片ばっと出して、言われただけじゃできませんとおっしゃっていたんですね。  さっきの第三波の菅政権以降の死亡率だって、思い起こすと、一月には、やはり、救急車は来るけれども搬送先が見つからないとか、病院に入院できないから自宅療養や宿泊療養していた人が亡くなるとか、そういうことがよくありましたので、とにかく総理、もう失敗は許されませんよ。だから、とにかく病床の確保、それだけじゃなくて、医療人材そして設備をしっかり確保する。  これは、実は私、一月の予算委員会で総理に申し上げたんですよ。とにかく、総理大臣、役所はもう本当に通達を出せば、都道府県任せ。そういう状態をもう、レベルを超えました。だから、総理大臣が本部長になって、それで官邸に病院協会、医師会、都道府県代表、保健所代表、そういった関係者を集めて、まず本部をつくりませんか。そのときも総理はおっしゃられた、私は都道府県とも意見交換を逐次やっていますし、医師会とも病院会とも。それは通常時です。非常時は総理大臣が司令塔になって。  それで、よく言われることですけれども、日本には医療資源を統治する司令塔がないとよく言われる。確かにそう。だって、病院の八割は民間病院ですから、行政権限の及びにくい。  しかし、通常時はそれでいいんだけれども、非常時ですから、やはりそんなこと言っていられませんから、総理大臣がヘッドになって、本部長になって、それで病床の、例えば病院の役割分担。重症者は国立病院や大学病院、特定機能病院でやってくださいよ、中等症ぐらいの人は公立病院でやってくださいよ、一般の民間病院やちっちゃい病院は、申し訳ない、大病院や中等症を面倒見ていただいている病院から一般の患者を受け入れたり、回復したリハビリ期の患者を受け入れたりして、こういう病院の役割分担と、そして具体的な病床の調整です、患者の受入れも含めて。  これは、総理、いいモデルがある。よく聞かれるでしょう、松本モデル。見事にやったんですよ、さっきの日本病院会の会長の相沢さんが中心になって。ただ、これも調べてみますと、去年二月から話合いを始めたんだけれども、なかなかまとまらなくて、四月ぐらいに松本市長が乗り出して見事にやったんです。誰かいるんです、こういうキーパーソンが。墨田区もそうですよ、やっていて。ですから、うまくいっているところはいい。うちの地元の神奈川もうまくいっているんです。本部長が、お医者さんでよくテレビに出ている、あの人が全部これをやっているんですよ、調整を。  だから、できているところはいいんです、できているところは。しかし、できていないところもあるんです。そのときに、総理大臣、こういう協議会、本部でそういうのをちゃんと調べていただいて、できていないところは指示する。  総理自らやらなくても、例えば厚生労働省というのは、中央省庁の再編で、昔、地方医務局という、地方厚生局というのがあるんですよ。今何をやっているんですか、この人たち。まさにブロック機関ごとに厚生局があるんです。そういう人たちがその地域ごとの具体的な調整に入ってもらう。  そういうことで本当に病床確保していかないと、これは本当に大変なことになります。本当に危機意識を私、持っています。  是非総理、会談しました、言いましたじゃなくて、ちょっと官邸に本部をつくって、自らやっていただけませんか。お願いします。
  121. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、新型コロナ対策というのは、感染対策のための検査、医療、水際対策、さらに雇用や事業支援生活支援など極めて広範囲な分野に及ぶ対策であり、円滑に進めるためにそれぞれ今担当大臣を置いています。  それで、先ほど四月の話がありました。これは私から大臣に指示をしたものだったんです、今すぐに体制を整えておかなきゃならないと。そうしたことについて、いつ、どうなったかということは、私は必ず報告を受けることになっています。そこは、病院の確保というのは今全力で取り組んでいるところです。  それで、実は私自身政府の本部長として、医療関係、医師会の会長を始め、病院協会の会長、大学病院の関係の会長とか、皆さんにお会いをして、全体の、病院、医療、人材が厳しい局面では、そうした医療関係者の派遣なり、そうした病床というものも実はお願いをしています。  ただ、いずれにしろ、この医療体制、供給体制については、各都道府県で感染の急拡大に対応できるように、コロナ病院、後方支援医療と宿泊療養施設など、これは役割を分担をして感染者を効果的にやっていく。これは、先ほどありましたけれども、神奈川県では、そういう意味で一つの例として、そうしたことについて、それぞれの府県、全国にも広げていくことができればなというふうに思っています。
  122. 江田憲司

    江田(憲)委員 総理、各大臣に指示されたことはいいんです。しかし、その先がどうなっているかというと、さっき申し上げました、大臣は厚生労働省から通達を出させているだけなんです。それだけなんです。そういう状況はもう超えていますから、是非、フォローアップと言わず、早めに、とにかくどこがうまくいっていないのか、病床調整、役割分担、そして医療人材の確保、それを具体的に指示してください。  だから、そういう本部が要るんですよ、本当は。本当につくった方がいいですよ、総理。どうですか。
  123. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 全体の指示は、当然そういうふうに思っています。  ただ、今、内閣の中でも、関係閣僚というのは、随時会って対応策を、方向性を決めていますので、まず、そうした中でしっかりと徹底をすることができるようにしていきたい、こういうふうに思います。
  124. 江田憲司

    江田(憲)委員 それでは、また提案しますが、国自らやることとして、例えば千床クラスの仮設の病院を建てませんか。何か、一時千葉県でも幕張メッセでそういう病院をやろうという計画が、何か発想があったらしいんですが、ついえた。  それから、これはいいとは言いませんけれども、今、例えば築地の市場の跡に大駐車場をオリパラ用に造っているじゃないですか。もう本当に千床クラスの病院、余裕を持って建てられますよ。そこに建てて。欧米では、大体、マサチューセッツ州立病院なんかは千床クラス。大体、イギリスもそうですけれども、そういう大きな病院がある。しかし、日本はなかなかないんですよ。  だから、国自らやることとして、仮設病院を建てて、そこにDMATのお医者さんでもいいですし、自衛隊の医官の方でも看護師、看護官の方でもいいから、やはり、ハードを建ててもソフトの人材が集まらないというのは大阪の例でもあったわけですから、そこを、総理、仮設病院、一千床クラスをどこかに建てて、それでDMATでも自衛隊も活用して、総理自らが医療人材も確保する。設備は、お金を出せばICUとかいろいろできますからね。それを、総理、やりませんか、国民の不安払拭のために。
  125. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、コロナ専門病院の設置については、人員の確保というのが課題になるわけですけれども、都道府県が設置する場合、国としてもここは連携して対応していきたいというふうに思っています。  例えば、私たち、オリンピックの機動隊員の宿舎を改造して、緊急にできる病床を用意しました。しかし、結果的に東京都で利用してもらえなかったんですけれども、ほかの病床があったということで。そうしたことについての意欲を私たち政府として持っているということは是非御理解をいただきたいと思いますし、そうした、都道府県でやるのであれば、その費用は国が支援をさせていただく、今そういう体制を取っております。
  126. 江田憲司

    江田(憲)委員 明確なお答えがいただけないんですけれどもね。  ちょっと時間もなくなってきたので、ワクチンの問題に移りますけれども、先ほど来聞いておりますと、なかなか、高齢者接種用の三千六百万人分のワクチンは六月中には大丈夫ですという以上のことをおっしゃらないんですよ。国民の関心は、その後の、基礎疾患をお持ちの方とか一般の方がいつからワクチン接種を受けられるんだと。その見通しも何にもない中では本当に不安でたまらないですよ。  それで、お聞きしたいんですけれども、ファイザーとの契約、一部報道では、ベストエフォートとしか書かれていない、いついつまでにこのぐらいを供給する義務ではなくてベストエフォート、最大限の努力はすると。本当にそうなんですか、総理、契約は。
  127. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 個別の契約の詳細については、秘密保持契約を締結していることなどから、お答えすることはできませんけれども、ファイザー社とは年内に一億四千四百万分の供給を受ける契約の締結、ここは至っています。  また、ワクチンについては、四月十二日から高齢者接種を開始をし、EU域内から我が国へのワクチン輸出が想定どおり進めば、そういうふうにできることになっていますけれども、六月末までに全ての高齢者の方に二回接種できる数量は配送する準備ができております。そういう中で、自治体の需要に応じ、届けるようにさせていただいています。一日も早く国民皆さんに安全で有効なワクチンというのを届けたい、こういうふうに思っています。  それで、具体的なことでありますけれども、六月いっぱいまでに一億回分は確保しています。そういう中で、これは地方自治体にお願いをしておりまして、地方自治体の進捗具合というのをもう少し、これは五月の連休明けですけれども、そういう中で見ないとなかなか、これは極めて大事なことでありますし、しっかりした確証がなければ申し上げることができませんので、五月の連休ぐらいにその状況をしっかりと報告をしたい、こういうふうに思っています。
  128. 江田憲司

    江田(憲)委員 地方自治体の皆さんに聞くと、鶏が先か卵が先か、要は、政府がちゃんと供給量をできれば一月ほど前に示してくれないと、例えば、五月連休明けから高齢者接種が始まる自治体が多いんですよ、だけれども、今の時点になっても連休明けにどのくらい供給されるのかが分からないから、例えば、接種会場にどのくらい割り当てるか、接種会場を決めたら、今度、曜日や時間ごとに接種回数をどうするか、その上で、予約を取って、それで受け入れるという、時間がかかるんですよ。  ですから、今みたいな言い方だと、だから、三千六百万人分、一億回分は確保しますだけじゃもう地方自治体のオペレーションも立ち行かないので、やはりある程度の、そのとおりいくかどうかは、それはいろいろありますからね、だから、ある程度の見通しを示してくださいということを言っているんですよ、地方自治体のオペレーションのためにも。
  129. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 高齢者接種については本日から開始されて、四月五日の週には都道府県に二箱配送し、その上で、翌週、翌々週には各都道府県に十箱のワクチンを届け、四月二十六日の週には全ての市区町村に一箱ずつ配送することにしております。その後、四月二十六日から五月九日の二週間で四千箱、連休明けの五月十日からの二週間で一万六千箱のワクチンの配送を予定していることを既に自治体にはお伝えをしております。  引き続き、自治体とも緊密に連携しながら、できる限り丁寧な情報を速やかに発信をして、自治体との緊密な連携の下にしっかり行っていきたいと思います。
  130. 江田憲司

    江田(憲)委員 その自治体のオペレーションですが、今、調査によると、約六割の自治体がワクチン接種のための医療人材が足りていないというんです。そこをどうされますか、政府として。しっかり支援すべきでないですか、さっきの話じゃないですけれども。
  131. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 新型コロナ接種に当たっては、医療関係者の確保もこれは重要であるのは当然であり、二月十日に私から日本医師会長にお願いをし、ワクチン接種体制の構築に向けた体制をお願いしたところです。  また、厚生労働省においても、潜在看護職員の活用や僻地へのワクチン接種会場への看護職員の派遣などの確保を用意して、自治体に周知しています。  また、ワクチン接種に必要な医療関係者の確保に係る費用は国が全額負担をさせていただくことであり、そうした体制で自治体に派遣をさせていただきたいと思います。
  132. 江田憲司

    江田(憲)委員 自衛隊の活用は是非やっていただきたいと思いますけれども。  今、医師会に頼んでも、通常診療もございます、コロナ対応をしております、おまけに、これからオリパラへの医師派遣も要請をされるんでしょう。そうした中でワクチン接種もあるというのは、これは本当に大変だと思いますから、是非、万全を期して、総理自ら指導力を発揮していただきたいと思います。  さて、もう時間がないので、アストラゼネカのワクチンについて、ちょっと、ヨーロッパの薬品庁も、血栓との因果関係を認めました。欧州を中心に、一時その接種を停止するというところも多々見受けられます。オーストラリアは、アストラ中心の接種計画を見直して、ファイザーワクチンの契約を倍増したということも聞きます。それから、アストラゼネカのワクチンは、特に南アフリカ種、株には効かないという話もありまして。  これは、まだ日本では認可もされていない、いずれにせよ五月以降でしょうが、このアストラゼネカワクチンについて見直すという政府考え方はありませんか。
  133. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 まず、先ほどの御質問の中で、自衛隊にもお願いしたいと思っています、接種です。  今御指摘をいただきましたアストラゼネカ社のワクチンでありますけれども、接種と血栓症に関する情報について、これは薬事審査の中で、詳細な情報を収集した上でそこは精査、確認の上、承認の可否や、あるいは適正な使用に係る条件等についてここは判断をすることになるというふうに思っています。  その上で、薬事承認がなされれば、別途、審議会において、また接種年齢や接種勧奨等について検討され、その結果を踏まえて、接種の対象者も定められていくというふうに思っています。  ただ、現時点においては、血栓症に関する情報については、やはり、薬事審査の中で、詳細な情報を収集した上で精査、確認の上で、承認の可否というのは判断をしていくというふうに思っています。
  134. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 申合せの時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
  135. 江田憲司

    江田(憲)委員 もう最後になります。  とにかく、国民自粛をお願いをするばかりじゃなくて、政治のやるべきことをやってください。  今日取り上げたのは、まず検査、大規模検査を徹底してやってください。それから、病床の確保も自ら乗り出してやってください。ワクチン接種も、順調にいくようにしっかり汗をかいてください。こういうことが政治の責任だと思うので、とにかく飲食店や観光業界の皆さん国民皆さんに、自粛自粛自粛と言うのが政府の役割じゃないし。それから、役所はみんな常なんだけれども、通達を出せばいいというものじゃないですよ。都道府県に、はい、一片の通達、もう百以上、二百以上、出している、それがころころ変わるときもある、こういう状況ですからね、総理。もっと目を光らせて、総理自ら乗り出さないといかぬ局面ですよ、これは。非常事態なんですから。  是非お願いしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  136. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、高橋千鶴子君。
  137. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。  本日は、東電福島第一原発事故汚染水問題について質問します。  明日、関係閣僚会議で海洋放出することを決めると聞いています。七日、総理と面談した全漁連の岸宏会長は、反対という考え方はいささかも変わるものではないと述べたといいます。  先週末、私も福島県いわき市に行って、漁業者の声を聞いてきました。福島では、今、三月末に試験操業が終わり、いよいよ本格操業に向けた移行期に入ったんです。すぐ隣が茨城という勿来漁協では、四、五年かけて買受人らと話合いを重ね、準備をし、九月には市場を開く、やっとそこまで決めたばかりでした。なぜ今かと、皆さん口々におっしゃいました。  また、総理が全漁連と会った同じ七日、東電の小早川社長は、福島市内の本社ビルで会見を行っています。前日まで、内堀知事や浜通り六町村を訪問して、一連の不祥事についてのおわびを行ってきました。会見では、総理と全漁連との会談について問われ、政府の動きについては承知していないと答えたと報じられています。  十日付河北新報は、原発の安全に関わる相次ぐ不祥事を首長らに謝罪したばかり、トップ会談が翌七日に決定されたことは間の悪さだけでなく、処理水問題への東電不在を印象づけたと指摘をしました。  漁業者にとっては、十年たってようやく本格操業に道をつけたというとき、そして、東電の原発を扱う資格そのものが問われる一連の不祥事続きの中、誰にとってもまさに最悪のタイミングと言えるのではないでしょうか。  総理、明日、海洋放出を決めるのですか。そして、なぜ今か、伺います。
  138. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 処理水に関するこれまでの議論を踏まえた上で、近日中にその方針を決定したいと思っています。具体的な日程は、現在、最終的な調整を行っているところであります。  福島の復興に当たり、処理水の処分は、避けて通れない、いつまでも先送りをすることができない課題だと認識しています。こうした中で、これまで、六年以上にわたる有識者の検討など、議論を積み重ねてきました。また、経済産業省を中心に、これまで、立地自治体、農林水産事業者、流通事業者や観光事業者、皆さんと多くの意見を交換も行ってきたということです。先日、七日には、私自身も、特に風評を強く懸念されている漁業関係者の方々のお話を伺いました。  さらに、これまでにいただいた御懸念を踏まえ、現在、関係省庁において、風評影響に対する対策を検討をしているところであります。こうした対策を積み重ね、政府としては方針を決定したいと思います。
  139. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 まさか、近日中にとだけおっしゃるとは思いませんでした。ここまで報道されていて、あしただということさえ認めない。  じゃ、海洋放出だということもまだ決まっていない、そういう方針をまだ出すつもりかどうかも分からない、そういうことでよろしいですか。
  140. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今申し上げましたように、具体的な日程は、現在、最終調整を行っているというところであります。
  141. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 具体的なことをおっしゃらないので、私は、だったら明日決めるべきではない、そして海洋放出ではない、この立場で質問したいと思います。  資料の1を見てください。  九日付福島民報は、一面トップで「政府が風評作る恐れ」と報じました。これまでも県民は風評被害にさらされてきたのに、政府は有効な手だてを講じなかったばかりか、新たな風評を自らつくり出そうとしている、まさに官製風評と言える、ここまで厳しく指摘をしています。  経過が左上に明記されておりますが、二〇一五年八月、第一原発の原子炉建屋周辺のサブドレーン、井戸みたいなものですが、地下水をくみ上げ、海洋放出する計画を受け入れた際、県漁連は、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わないことと政府に求め、政府は、関係者の理解なしにはいかなる処分も行いませんと約束しています。  今回、完全にこの約束はほごにされたことになります。これで理解を得られたと思っているのでしょうか。  総理にどうしても聞いてくださいと言われましたので、是非聞いてほしいんです。  いわきで水揚げされる魚は、常磐物と築地の目利きたちから選ばれ、おいしさのあかしでもあり、高値で取引されていました。原発事故で操業自粛に追い込まれて以降、試験操業でようやく常磐物を代表する魚、ヒラメが初水揚げしたのは二〇一六年九月のことです。それから徐々に、震災前の水準に引けを取らないところまでこぎ着けてきました。ところが、海洋放出の話が出た途端に、既に仲買人らからは、もう福島の魚は買わないと言われました。それは仲買人が悪いのではなくて、現場で現実に敬遠され、売れなくなるからです。  二十九歳と三十一歳の息子さんがいるという漁師さんが言いました。震災後、息子さんと一緒に瓦れき撤去をやっていた。その仕事がなくなったときに、ほかの若い世代はみんな船を降りたんだけれども、息子さんだけは漁師をやりたいと言ってくれたんです。本当は継がせたくない。でも、この若い人たちに漁師を続けさせてもよいのかと総理に直接聞いてくれと言われました。  総理は、福島の復興なくして日本の復興なしとよくおっしゃいます。若い人たちが引き継いでいけなければ、復興なんてあり得ないのではありませんか。若い人に漁師を続けてもよいと言えますか。
  142. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 漁業者を始めとして、風評影響の懸念から、処理水の海洋放出について反対の声があること、当然認識をしています。  政府としては、こうした声を受け止めて、懸念や不安の払拭に向けて、安全性について科学的な根拠に基づく徹底的な情報発信や説明を尽くすための広報活動、これを丁寧に実施をし、関係皆さんの声に真摯に向き合い、更に万全な対策を講じていくということが大事だと思っています。  処分方針を決定した場合、実際の処分開始までには二年程度の期間があります。この間にも、安全性に問題ないことを国民皆様に理解をいただけるよう、また世界に向けても引き続き努力をしていきたい、こういうふうに思います。
  143. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 だから、さっきの答えはどうなりますか。漁師を続けてと、総理、おっしゃいますか。
  144. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 今、私申し上げましたように、風評被害の影響というものの実態について丁寧に説明をして、科学的根拠に基づく中で御理解を得ていきたいというふうに思います。
  145. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 本当に残念ですよね。その一言さえも言えないのかと思いました。  今、あんたらはどうせ賠償をもらうからいいべと電話が来たりするといわき漁協の職員は悔しがっていました。船を出してこその漁師なんです。賠償では後継ぎはできないんです。そのことを本当に分かってください。安心して漁ができる環境をつくるべきです。  政府は、トリチウム水は安全だから海に流しても大丈夫と言いたいのでしょう。そうは思いません。反対しているのは単なる風評被害を恐れているのだというのも違うと思います。  以下、具体的に質問していきます。  本日は、東電の文挾社長出席をいただいております。ありがとうございました。  最初に、通告しておりませんが、簡単なおさらいです。  政府の中長期ロードマップでは、復興と廃炉の両立を大原則として打ち出しています。汚染水処理問題は、廃炉と一体として、第一原発の廃止措置終了までに終了するということになっています。そのため、燃料デブリを取り出した後の一時保管施設や廃棄物の保管施設などを建設するためのスペースを確保する必要がある。これは昨年十二月一日の復興特別委員会でエネ庁が私に答えています。  タンクを処理したいのはそういう理由もありますね。一言で。
  146. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  一言で申し上げれば、これから四十年の長きにわたりまして福島第一原子力発電所の廃炉作業をやっていきます。そのためには、廃炉から出てきます廃棄物の置場というものについても確保しなければなりません。そういうところを勘案した上で今回のトリチウムの貯蔵については検討してございますので、先生のおっしゃるとおり、そういうことも含めた上での、今回、二〇二二年の夏頃以降基本的に満杯になるというような計画ではございますので、それを踏まえた上での処分ということの検討かというふうに認識してございます。  以上でございます。
  147. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 確認をしました。  今までは、タンクの置場が満杯になるんだ、そこだけが強調されていたと思うんですが、そうではなくて、取り出しをしたら置く場所がない、まずそこが、スペースを空けるということが大きな理由でもあるということ、それがどういう意味をもたらすのか、続けて質問していきたいと思います。  それで、海洋放出するとした場合です。現在サブドレーンで実施しているのは、千五百ベクレル、リッター当たりを基準とする、これを今後もやるということでありましょうか。もしそうした場合、海水で希釈をしながら、現在のタンクが実際になくなるのはおよそ何年かかるでしょうか。お答えください。
  148. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  処理水の処分方法につきましては、いずれの方法によりましても、当社は事故の当事者でありますので、しっかりと責任を持って対処していきたいというふうに考えております。  その上で、先生御指摘の、仮にということでございますが、仮に海洋放出するとした場合のトリチウム濃度につきましては、これは二〇二〇年三月の処理水の取扱いに関する検討素案というものでお示しをしてございますが、地下水バイパス及びサブドレーンの排水の運用基準としてございます水一リットル当たり千五百ベクレル、これは法令で定める告示濃度の四十分の一というふうになりますが、これを参考に検討してまいりたいというふうに考えてございます。  もう一つの御質問でございます、処理年数に何年程度かかるのかという御質問でございますが、これは、タンクに保管している水の放出に関する期間というのは、トリチウムの濃度ということではなくて、一年当たりのトリチウムの放出量により決まってくるというふうに認識してございます。ですので、一年当たりの放出量につきましては、一度に大量に放出をするということではなくて、既存の原子力施設を参考といたしまして考えていきたいというふうに思います。  そうしますと、廃止措置に要する三十年から四十年というのがありますので、これの期間を有効に活用してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。
  149. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 どういう答え方をするかなと思っていたら、廃止措置への三十年から四十年を有効に使うというお答えでございました。  これ、パネルで、皆さんのお手元にも資料があるんですけれども、福島第一原発の事故前の年間放出管理基準が二十二兆ベクレルなんですね。今たまっているタンクは約一千トンなんですけれども、八百六十兆ベクレルだと。これ、当然これから増えていくとか、タンクによっていろいろ違うとか、そういうことはあるんですが、単純計算すると、割り算すると、それは四十年かかるわよねという話なわけ。そして、そのタンク一個を薄めるのには五百基分の海水が必要であるというふうになるわけで、ということは、一個のタンクを薄めて放出するのに、今あるタンクの半分のタンクくらいの海水を使わなきゃいけない、途方もない計画だということです。  ですから、今急いで決めても、たった今、あるいはたった数年でタンクが目の前からなくなるんじゃないんだと。廃止措置の四十年も私、疑っていますが、そのくらいの時間がかかるんだということを今、確認をさせていただきました。  問題は、トリチウムの総量規制がないわけです。海水で薄めても、海水に戻すんだから一緒でしょうとよく聞かれます。絶対そうだと言ってくださらないんですが、五百倍に薄めても、五百倍の量を放出していたら同じことじゃないんでしょうかと。これ、二十二兆、今言ったベクレルに合わせた場合のやつを既に東電は資料として出していますが、原発から南北三キロ、沖合〇・七キロという狭い範囲に収まると。だからアンダーコントロールと言いたいんでしょう。だけれども、そうすると、どこまで狭いと。そこまで濃縮されると、出た水、また取り込んじゃうよね、そういう議論もしてきたじゃないですか。本当に大丈夫なんですか。これは経産大臣に聞きます。
  150. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 仮に海洋放出をした場合という前提でお話をさせていただきますと、こういった形で、この方法、また分量についての正確な評価というものを、IAEAを始めとする国際的な機関、また第三者の目も含めて確認をしていくということになりますので、そういった前提で様々なことを考えていくことになるかと思っております。
  151. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 私が言った、五百倍に薄めても五百倍の量を出しちゃったら一緒だよねということはイコールですか、違いますか。
  152. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 先ほど申しましたけれども、もし仮にそういうことであれば、どういう方法を取ったらいいのか、その方法についても、また、そのモニタリングについても、どういう拡散の状況になるかということも含めて、IAEAを始めとする原子力の第三者的な機関、そしてまた国内においてもそういった第三者の目を活用しながら確認をしていくということになると思います。
  153. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 お認めになったんだと思います。  もう一度東電の文挾社長にお伺いしますが、先ほど、汚染水タンクをどかすのは、取り出した燃料デブリなどの一時保管場所をつくるということを御答弁いただいたと思います。  燃料デブリというのは、様々な化学物質を取り込んで、事故を起こした、溶けた燃料ですから大変な高濃度で、正確に線量を測ることも、どこにどれだけあるかも正確には分かっていないはずです。一号機から三号機までで総量八百トン程度という試算がありますけれども、今回、来年までに試験的にちょっと取り出してみるのは一グラムだということです。本当に取り出すことが正解なのか、それすら解明できていないのではありませんか。
  154. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  端的にお答えさせていただきますが、基本的には、それはできるというふうに会社としては認識しております。  以上でございます。
  155. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 できるとおっしゃいましたが、高レベル廃棄物の置場、それは簡単につくれるものではないし、処分場ももちろん決まっていません。今の原発の高レベルでさえも決まっていないわけですから、それは、それ自体が本当に正解なのかも私は分からないと思いますが、いかがですか。
  156. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  会社としては、当然ながら検討を進めます。今、できると思っておりますので、具体的な検討はこれから進めたいというふうに考えております。  以上でございます。
  157. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 大変な話かなと思いました。  実は、この問題、東電が外に出すんだという話をしたときに、規制委員会はまだそのことを承知していなくて、驚いたということがありました。これだけの重大な決定を重ねて、四十年では実は進まないだろうと、私は正直に認めるべきだと思います。  総理に伺います。  復興と廃炉はセットといいます。しかし、東電福島第一原発事故の廃炉の最終的な姿がどういう姿なのか、これまで私、何度も質問しているんですが、どなたも答えていただけませんので、総理から是非答えていただきたいと思います。
  158. 菅義偉

    菅内閣総理大臣 福島第一原発の廃炉については、原子炉内の状況など不確定な要素が多く、世界でも前例のない困難な課題であることから、現時点で最終的な姿をお示しすることは困難であります。  いずれにせよ、廃炉に当たっては、技術的な問題、課題を解決するだけでなく、地域の復興の将来像も見据えながら検討していくことが重要だと思っています。地元皆さん思いを受け止めながら、廃炉にしっかり取り組んでいきたいと思います。  詳細は経産大臣から答弁させていただきます。
  159. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 地域の声を聞きながらと言いますが、ゴールの姿が見えなくて、いつまで、どうやって走るのか。そういうことなんですよ、問われているのは。首長さんは、更地にしてほしいと言っている方もいらっしゃいますよね。でも、更地にするためには、今ある取り出したもの、廃棄物、これはデブリとかという高レベルじゃないですよ、本当に瓦れきとかのものだけでも、十年後の姿、やっと、大きな廃棄物処理建屋を造るというところが見つかっています。ただし、事故を起こした廃棄物ですから、持っていくところも決まっていません。  そういう中で、四十年という数字だけが独り歩きしているのが現実なんです。もし大臣がお答えできるんだったら、お答えください。
  160. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 福島第一原発の廃炉は、福島の復興の大前提であります。国も前面に立って取り組んでおり、中長期ロードマップに基づいて、二〇四一年から二〇五一年までの廃止措置終了を目指して、安全かつ着実に進めていくこととしております。  この目標に基づいて、例えば、三号機の使用済み燃料取り出しが今年二月末に完了をし、また、二〇三一年内に全ての号機で取り出し完了をできるように取組を継続中であります。  燃料デブリの取り出しにつきましても、英国において、取り出しに使用するロボットアームの開発が進むなど、一歩一歩前進をしております。  一方で、福島第一原発の放射性廃棄物については、性状の把握を目的に、瓦れき等の分析を進めているところであります。全体像の把握は、燃料デブリの取り出しなど、これから廃炉作業が進捗していく中で初めてできるものと考えております。  今後明らかになる廃棄物の全体像について、廃棄物の処理、処分方法を検討していくこととなりますけれども、国としては、福島第一原発から発生する廃棄物が適切に処分されるように、最後まで責任を持って対応してまいりたいと思っております。  不確定の要素が幾つかございます。そういった中で、三十年から四十年というものがもし変更されるのであれば、そのときには、やはりしっかりと皆様説明をした上で考えていくということになろうかと思います。
  161. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 三十年から四十年という数字だけが独り歩きするのはやはりおかしいということが、今のお答えが明確でなかったことからも言えると思います。逆に言うと、タンクを、海洋放出だけを急いで決める必要はないんです。それだけの時間があれば、トリチウムはもっと減衰していくわけですから、新たな道も決まります。ですから、焦って決めるべきではない。重ねて指摘をしたいと思います。  一方で、ちょっと時間がなくなったので、はしょって東電に質問しますけれども、二月十三日の福島沖地震によって、地震計の故障の問題が明らかになりました。この地震計というのは、元々は規制庁が指摘をして、原子炉建屋の長期健全性、つまり、長い廃炉の工程に耐えられるかという意味設置を指導されたんですけれども、これは、三号機の一階と五階に一台ずつ設置して、昨年の四月に設置したら、たった二か月で大雨で水没しちゃって使えなくなった。それを何で、分かっていながら今年まで公表しなかったのか。一つです。  もう一つ。資料の4、5がありますが、屋外の一時保管エリアで、約八万五千基のコンテナのうち、内容物が把握できていないコンテナが約四千基残されているということが判明しました。これはゲル、コンテナが腐食して、コンテナは一般の産業用のコンテナなものですから、腐食して地面に落ちちゃって、これが十三ミリシーベルトだったということが確認をされたわけです。なぜ今になって、内容物の分からないコンテナが四千基も判明したのでしょうか。
  162. 文挾誠一

    文挾参考人 それでは、お答えさせていただきます。  地震計の故障の公表の遅れにつきましては、これは社会の皆様に御不安あるいは御不信を与えてしまったということにつきましては、改めて深くおわびを申し上げたいというふうに思います。  今後は、故障原因が不明でありましても、直ちにその不備の地震計については交換をし、そのときに公表するということをしたいというふうに思いますが、今先生の御指摘の、今回公表が遅れたのはなぜかということでございますが、これは、故障した際の、大変申し訳ございませんが、原因調査を優先してしまったということでございます。ですので、故障の事実の公表並びに、そういうことから、地震計の交換というものが遅れてしまったということでございます。  もう一つ御質問でありますコンテナについてでございますが、これも先生御指摘のとおり、まだ原因は特定されているというわけではございませんが、瓦れき類を収納したコンテナの容器の腐食箇所から放射性物質が容器外に流出した可能性が高いというふうに考えてございます。これは引き続き調査をしてまいります。  その上で、なぜ四千基もの確認をされていないコンテナがあるのかということでございますが、この廃棄物につきましては、廃棄物の管理に関する実施計画というものがございます。これで表面線量率とかあるいは内容物に応じた保管エリアを設定して、管理をしてございました。  御指摘のコンテナ四千基でございますが、これにつきましては、内容物が不燃物瓦れきであることは分かってございますけれども、実はシステム上の管理ができていなかったというのがございます。ですので、システム管理をする前の不燃物のものにつきましては、その不燃物が金属瓦れきなのか、あるいはコンクリート瓦れきなのか、あるいは土砂類なのか、その他のものかということが、済みません、ひもづけされておりません。コンテナと内容物をひもづけする管理ができていないということであります。  この点、この約四千基につきましては、現在、内容物の確認とか点検を行う準備を進めてございます。  以上でございます。
  163. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 地震計については原因調査を優先すると言いながら一年近くも放置をしていた、またもこういうことを繰り返しているということを厳しく指摘をしなければならないと思うんです。  このコンテナは、実際はひもづけされていないものがあったというのは、事故直後の本当に混乱した中で取りあえず入れちゃったということが結局十年間分からなかったということの結論だと思うんですね。だからこそ、十三ミリシーベルト、こういうことが、開けたら怖いというものがあるかもしれない、そういうこと自体が大きく問われるんじゃないか。私は、パトロールをしている協力社員は分からず測っています、この安全性も問わなきゃいけないと思っています。  時間がないので、規制委員会更田委員長に最後に伺いたいと思うんですね。委員長、今の問題にも触れながら答えていただきたいと思います。  大震災と原発事故から十年に当たって、委員長は職員訓示を行っています。本当に規制のとりこになっていてはいけないんだ、事業者を守る立場ではいけないんだということを改めて、委員長お話しされたと思いますが、その趣旨を一言伺います。
  164. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  優れた独立性を備えた規制当局であったとしても、規制のとりこへの恐れは意識され続けるべきであるという旨を訓示の中で申し上げました。そして、事業者のトラブル、不始末ができれば小さく収まってほしいと考えることや、本来追及すべき事業者の責任を自分たちも共有してしまうかのように考えてしまうのは、規制のとりこにつながりかねないマインドであるというふうに注意を喚起したものであります。
  165. 高橋千鶴子

    ○高橋(千)委員 そのことが絶えず絶えず問われてくるのではないか。重ねて指摘をしたいと思います。  今回、実は海洋放出をしたとしても四十年かかるんじゃないかという指摘もいたしました。本当に、自治体の皆さんにしてみれば、本当にきれいにしてもらいたい、それが本当の気持ちだと思います。それに応えたいけれども、そんな簡単じゃないんだ、それが原発事故というものなんだ、そのことをしっかりと皆さんがお認めになるべきだと思いますし、だからこそ、同じことを繰り返してはならない。原発ある限り、同じことを繰り返す可能性があるんだという立場に立って、やはり再稼働はすべきでない、全国の話です、そういうことを指摘をして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  166. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 以上をもちまして平成二十八年度決算外二件及び平成二十九年度決算外二件についての質疑は終局いたしました。  内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。     ―――――――――――――
  167. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 平成二十八年度決算及び平成二十九年度決算についての議決案は、理事会の協議に基づき、委員長において作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。  これより議決案を朗読いたします。     平成二十八年度及び平成二十九年度の一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書に関する議決案   本院は、両年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。  一 予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。    次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。   1 官民ファンドについては、株式会社農林漁業成長産業化支援機構では出資等の実績がないまま解散したサブファンドが見受けられた。ガバナンスの強化及び情報公開を行うとともに合理化を検討すべきである。また、国からの役職員の出向の在り方について疑念が抱かれないよう見直しを検討すべきである。   2 新型コロナウイルス感染症対策については、今後も引き続き、治療薬やワクチンの早期承認に努めるとともに、感染症対策の現場を含めた医療・介護等に対する支援、様々な職種の特性や給与体系に対応した形での雇用に対する支援、観光需要の創出や消費の活性化等を含めた事業継続に対する支援等を、地域格差と地方公共団体の自由度にも配慮しつつ、迅速かつ十分に講じるべきである。一方で、支援事業の事務を民間に委託する場合には、公正さが疑われないよう徹底すべきである。     また、国民が我が国の感染状況を的確に理解し得るよう、正確な情報を多様な媒体を通じて発信すべきである。   3 高校生等奨学給付金については、除籍処分など高校生に学業上の不利益が発生していたことに鑑み、政府は都道府県を通じ学校に対し制度の周知徹底を図るべきである。また、代理受領制度に代わる制度改善を検討すべきである。     教育設備については、公立工業高等学校の測量設備等の老朽化の実態把握を行うとともに、近年の技術革新に合わせた設備の更新が可能となるよう新たな補助制度の創設を検討すべきである。     東京オリンピック・パラリンピック競技大会については、政府は関連性が疑われる予算の防止に努め、情報公開を徹底するとともに、開催に向けて、アスリートに配慮し、必要な支援策を講じるべきである。   4 社会保障制度改革については、高齢化や働き方の変容による社会構造・価値観の変化を見据え、年金、医療、介護の各分野において、ICTの導入を支援するとともに、制度の重点化・効率化を図るべきである。   5 核燃料サイクルについては、もんじゅ廃炉を含め政府・民間合わせて約十一兆円が投じられたにもかかわらず、その具体的な見通しが明らかでない。今後、再処理施設の在り方やプルトニウムの利用見通しを含め、国民的議論を喚起して検討を進めるべきである。   6 河川管理については、ごく短い堤防の未整備区間が長期間進捗しないといったことのないよう、未整備区間を早期に完成させるべきである。また、一級河川については、中抜け区間も含め、国による一体管理に向けた検討を進めるべきである。     地域公共交通確保維持事業については、地域実態を踏まえた運用に必ずしもなっていない点を改め、補助要件の緩和を検討すべきである。     新たな住宅セーフティネット制度については、制度の活用が低調であることを踏まえ、自治体等から聞き取りを行い、至急改善策を講ずるべきである。   7 在日米軍関係経費の負担については、新たな特別協定に係る米国との交渉に当たっては、大幅な増額や新規経費が含まれぬよう厳格に対応すべきである。   8 規制改革に当たって、政府は形式主義的な制度・慣行を率先して見直し、テレワークなどを含めたデジタル化を積極的に推進し、我が国を災害や非常事態に強いイノベーティブな社会構造としていく方策を早急に採るべきである。   9 学校法人森友学園に対する国有地の売却等については、決裁文書の改ざんなどが明らかになり、国民の信頼を著しく失わせたことは極めて遺憾である。このような事案の再発を防止するため、政府国有財産の管理に当たり、法令に基づく手続、公文書の管理、情報公開を徹底すべきである。   10 「桜を見る会」については、招待者の選定基準や選定プロセスが曖昧であったこと、その結果、招待者数が増加し開催経費が予算額を大きく上回ったことは遺憾である。政府の公式行事を行う場合には、国民の疑念が生じないよう、招待者の選定基準を明らかにするなど運営方法を見直すべきである。   11 予備費については、憲法に定められた財政民主主義の観点から懸念が生じることのないよう努めるべきである。  二 会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。    政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。  三 決算のうち、前記以外の事項については不法又は不当な収入支出は認められないため異議がない。   政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。 以上が、議決案の内容であります。     ―――――――――――――
  168. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 これより平成二十八年度決算外二件及び平成二十九年度決算外二件を一括して討論に入ります。  討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。
  169. 本村伸子

    本村委員 私は、日本共産党を代表して、二〇一六年度、二〇一七年度国有財産無償貸付状況計算書の是認に賛成、それ以外は反対、また、同議決案に反対の討論を行います。  本決算は、森友学園への国有地売却と加計学園の獣医学部開設に対する安倍政権の関与を含みます。  会計検査院が二〇一七年十一月に公表した森友問題に関する報告書は、検査院が財務省と国土交通省による文言調整要求を受け入れ、ごみ撤去費用の試算がごみ埋蔵量トン数での表示となり、大問題になりました。  また、会計検査院は、二〇一七年当時、財務省の森友学園決裁文書の真正性について検証していません。森友学園の決裁文書を改ざんさせられて自死に追い込まれた元財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さんが残した改ざん経過を記録したファイルの存在も現在明らかになっています。  会計検査院は、森友学園に関する再検査を行うことを強く求めます。  二〇一七年度決算は、国民会計検査院に対する信頼を大きく損ね、憲法が規定する検査院の独立性をも脅かした重大行為を引き起こした問題を含んでおり、到底是認できません。  安倍元総理が桜を見る会を私物化する過程は、国会の責任で全容を解明するべきです。桜を見る会の前日の夜の懇親会の費用は、八百万円以上を安倍氏側が負担していたことが明らかになり、東京地検特捜部は、懇親会を主催した政治団体安倍晋三後援会の代表だった元公設第一秘書を、懇親会の収支を報告書に記載していなかった政治資金規正法違反の罪で略式起訴し、昨年十二月、罰金百万円の略式命令を受けています。  我が党を含む野党が求めた総理枠のリストを含む全資料の国会提出、この問題に関する安倍元総理、安倍昭恵氏等の関係者の証人喚問を求めます。  第二に、安倍政権は、社会保障費の自然増分を三年間で一・五兆円も抑え込む方針の下、二〇一六年秋の概算要求で六千四百億円の自然増を四千九百九十七億円も削減し、二〇一七年度も削減路線を続けています。さらに、協会けんぽ国庫補助三百二十一億円減も含めた千四百億円もの削減を国民に押しつけました。最低賃金引上げの抜本策もありません。  第三に、軍事費の決算額五兆二千七百四十二億円は、最高額を五年連続更新する大軍拡です。また、経済成長力を口実に、JR東海のリニア新幹線全線開通を前倒しするため三兆円の財政投融資や、総事業費一兆五千九百七十五億円の東京外郭環状道路建設を含む大企業優遇も推進しています。  以上を指摘し、反対討論といたします。(拍手)
  170. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  171. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 これより順次採決いたします。  まず、平成二十八年度一般会計歳入歳出決算平成二十八年度特別会計歳入歳出決算平成二十八年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十八年度政府関係機関決算書並びに平成二十九年度一般会計歳入歳出決算平成二十九年度特別会計歳入歳出決算平成二十九年度国税収納金整理資金受払計算書及び平成二十九年度政府関係機関決算書は、これを議決案のとおり議決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  172. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 起立多数。よって、議決案のとおり議決すべきものと決定いたしました。  次に、平成二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書平成二十九年度国有財産増減及び現在額総計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  173. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  次に、平成二十八年度国有財産無償貸付状況計算書平成二十九年度国有財産無償貸付状況計算書の両件は、これを是認すべきものと決定するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  174. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 起立多数。よって、両件は是認すべきものと決定いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  176. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 この際、各国務大臣から順次発言を求めます。加藤内閣官房長官
  177. 加藤勝信

    加藤国務大臣 ただいま御決議のありました官民ファンドの組織運営の在り方につきましては、これまでも、官民ファンドの運営に係るガイドラインを整備すること等により、ガバナンスの強化、情報公開の充実、経営の合理化及び国からの役職員の適切な出向に努めてまいりましたが、引き続き、ガイドラインを踏まえた検証を行いつつ、官民ファンドの効果的かつ効率的な活用に取り組んでまいります。  また、桜を見る会についての御指摘事項につきましては、御趣旨を踏まえ、政府の公式行事を行う場合には適切に対応してまいります。
  178. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、田村厚生労働大臣
  179. 田村憲久

    ○田村国務大臣 ただいま御決議のありました新型コロナウイルス感染症対策につきましては、治療薬やワクチン審査を優先かつ迅速に行うとともに、現場を含めた医療、介護等に対する支援、労働者の状況に応じた雇用に対するきめ細かな支援などに適切に取り組み、多様な媒体を通じて正確な情報の発信に努めてまいります。  社会保障制度改革につきましては、全世代型の社会保障制度を構築する観点から、各分野の改革、デジタル化による生産性の向上等に引き続き取り組んでまいります。
  180. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、西村国務大臣
  181. 西村康稔

    ○西村国務大臣 ただいま御決議のありました新型コロナウイルス感染症対策につきましては、厳しい影響を受ける事業者に対する事業継続のための支援として、時短要請協力する飲食店に対する規模に応じた仕組みの協力金や、飲食店の時短営業影響を受ける中堅・中小事業者への支援等を講じております。  さらに、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について、地方公共団体の財政力等に応じた配分を行うとともに、地方公共団体が自由度をもって地域の実情に応じたきめ細かな支援を行うことを可能としております。令和二年度第三次補正予算の同交付金も活用し、二十五の道県が独自の事業者への給付金等の支援に取り組んでおります。また、現時点で、二十二の道県が独自の県内旅行の割引事業を実施しており、その上で、感染状況が落ち着いているステージ2相当以下の都道府県が行う県内旅行の割引事業への財政的な支援等を講じることとしております。  御趣旨を踏まえ、引き続き、令和二年度第三次補正予算を含む、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策等を迅速かつ適切に執行するとともに、今後とも、感染状況や経済的な影響を注視し、新型コロナウイルス感染症対策予備費の活用も含め、機動的に必要な対策を講じてまいります。
  182. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、梶山経済産業大臣
  183. 梶山弘志

    ○梶山国務大臣 ただいま御決議のありました新型コロナ感染症対策につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、事業者の事業継続に万全を期すとともに、厳正な執行に努めてまいります。  核燃料サイクルにつきましては、高レベル放射性廃棄物の減容化などの観点から、引き続き進めることが重要だと考えております。現在、エネルギー基本計画見直しに向けた議論が行われており、これを踏まえて今後の進め方を検討してまいります。
  184. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、萩生田文部科学大臣
  185. 萩生田光一

    ○萩生田国務大臣 ただいま御決議のありました高校生等奨学給付金につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、引き続き制度の改善充実を図るよう取り組んでまいります。  公立工業高校等の教育設備につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、都道府県等における産業教育設備の整備の充実が推進されるよう取り組んでまいります。
  186. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、丸川国務大臣
  187. 丸川珠代

    ○丸川国務大臣 ただいま御決議のありました東京オリンピック・パラリンピック競技大会につきましては、御決議の趣旨を踏まえ、引き続き、透明性を確保し、国民皆様の理解が得られるよう丁寧な説明に努めてまいります。また、アスリートが万全のコンディションで大会に臨めるよう、安全、安心な大会開催に向けて、IOCや大会組織委員会東京都などと緊密に連携しつつ、所要の準備を進めてまいります。
  188. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、赤羽国土交通大臣
  189. 赤羽一嘉

    ○赤羽国務大臣 ただいま御決議のありました第六項目のうち、まず、河川管理における堤防の未整備区間につきましては、早期に治水効果が発現できるよう、地域との連携を強化するなどして堤防整備を推進してまいります。また、一級河川の中抜け区間につきましては、例えば、信濃川水系では、令和元年東日本台風の被害を受け、国による権限代行や補助事業を活用し、上流、下流のバランスを図りつつ、国、県が一体的に整備を進めており、引き続き、流域治水の考え方に基づき、流域全体を俯瞰し、国、都道府県、市町村が連携し、河川管理を行ってまいります。  次に、地域公共交通の確保、維持につきましては、昨年改正された地域公共交通活性化再生法の下で、新たに、市町村等が、地域住民の移動ニーズを踏まえて地域公共交通計画等を策定し、これに基づき移動サービスの改善、継続を図る場合には、フィーダー系統への補助を拡大し、支援できる制度を創設したところであり、引き続き、必要な移動サービスの確保、維持を図ってまいります。  さらに、新たな住宅セーフティーネット制度につきましては、国会での御指摘も踏まえて制度の見直しを行い、活用状況が改善されつつありますが、住まいの確保が促進されるよう、現場のニーズを踏まえ、地方公共団体や関係団体等と連携し、積極的に推進してまいります。  以上です。
  190. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、茂木外務大臣
  191. 茂木敏充

    ○茂木国務大臣 ただいま御決議のありました在日米軍駐留経費の負担につきましては、今後の交渉次第であり、その内容や進め方を予断することは控えさせていただきますが、いずれにせよ、交渉に当たっては、一層厳しさを増す地域の安全保障環境や我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、適切に対応してまいります。
  192. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、河野国務大臣
  193. 河野太郎

    ○河野国務大臣 ただいま御決議のありました規制改革につきましては、御趣旨を踏まえ、テレワークなどを含めたデジタル化に対応した、規制、制度の見直しを進めてまいります。現在、規制改革推進会議において、国民企業の円滑な活動を妨げかねない押印原則、対面原則、書面原則などの速やかかつ徹底的な点検、見直しについて議論を深めていただいており、来月までには答申をいただける予定です。今般の決議の御趣旨も踏まえ、必要な規制改革を進めてまいります。
  194. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、麻生財務大臣
  195. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 ただいま御決議のありました学校法人森友学園に対する国有地の売却等につきましては、決裁文書の改ざん等は極めてゆゆしきことであり、深くおわびを申し上げるところです。今回の事態を真摯に反省し、二度とこうしたことが起きないよう、文書管理の徹底や組織風土の改革を進めているところであり、引き続き信頼回復に努めてまいります。国有財産の管理処分の手続につきましては、取引に係る基準の明確化や価格の客観性を確保すべく見直しを行ったところであり、今後も適切に対応してまいります。  次に、予備費につきましては、憲法、財政法等の規定に基づき、引き続き適切に対応してまいります。
  196. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 以上をもちまして各国務大臣からの発言は終わりました。  この際、一言御挨拶申し上げます。  本日をもちまして平成二十八年度決算外二件及び平成二十九年度決算外二件の審査は全て終了いたしました。審査に当たりまして、委員各位の御協力に深く感謝申し上げます。  財務大臣以外の大臣は御退席いただいて結構でございます。      ――――◇―――――
  197. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 次に、令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)(承諾を求めるの件)、令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)(承諾を求めるの件)、令和年度特別会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書承諾を求めるの件)、以上の各件を一括して議題といたします。  財務大臣から各件について説明を求めます。麻生財務大臣
  198. 麻生太郎

    ○麻生国務大臣 ただいま議題となりました令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その1)及び令和年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外一件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、令和元年度一般会計予備費予算額五千億円のうち、平成三十一年の四月十六日から令和二年一月十四日までの間において使用を決定いたしました金額は、二千百三十四億円余であり、その内容は、賠償償還及払戻金の不足を補うために必要な経費等の三十一件であります。  次に、令和二年二月十四日から同年三月二十四日までの間において使用を決定いたしました金額は、二千五百三十四億円余であり、その内容は、新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金等の支給等に必要な経費等三十八件であります。  次に、令和元年度の各特別会計予備費予算総額八千三百四十億円余のうち、令和二年三月十日に使用を決定いたしました金額は、四百二十億円であり、これは、労働保険特別会計雇用勘定における新型コロナウイルス感染症対策に係る助成金の支給等に必要な経費であります。  以上が、予備費使用調書についての概要であります。  何とぞ御審議のほどよろしくお願いを申し上げます。
  199. 馬淵澄夫

    馬淵委員長 これにて説明は終わりました。  次回は、来る十九日月曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十一分散会