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2021-05-14 第204回国会 衆議院 経済産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月十四日(金曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君    上野 宏史君       神山 佐市君    神田  裕君       工藤 彰三君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    鈴木 淳司君       武部  新君    辻  清人君       冨樫 博之君    西村 明宏君       福田 達夫君    福山  守君       穂坂  泰君    星野 剛士君       細田 健一君    三原 朝彦君       宗清 皇一君    八木 哲也君       逢坂 誠二君    落合 貴之君       川内 博史君    後藤 祐一君       松平 浩一君    宮川  伸君       山崎  誠君    高木美智代君       笠井  亮君    美延 映夫君       浅野  哲君    石崎  徹君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    環境大臣        笹川 博義君    厚生労働大臣政務官    大隈 和英君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  藤井 敏彦君    政府参考人    (内閣官房成長戦略会議事務局次長)        野原  諭君    政府参考人    (内閣官房内閣情報調査室内閣審議官)       池田 克史君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局官房政策立案総括審議官) 藤本 哲也君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   田辺  治君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 猪原 誠司君    政府参考人    (金融庁総合政策局審議官)            伊藤  豊君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋子君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           志村 幸久君    政府参考人    (林野庁森林整備部長)  小坂善太郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房商務サービス審議官)    畠山陽二郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           中原 裕彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           後藤 雄三君    政府参考人    (経済産業省経済産業政策局長)          新原 浩朗君    政府参考人    (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君    政府参考人    (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     風木  淳君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (特許庁長官)      糟谷 敏秀君    政府参考人    (中小企業庁次長)    奈須野 太君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (国土交通省道路局次長) 宇野 善昌君    政府参考人    (国土交通省自動車局次長)            江坂 行弘君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   工藤 彰三君     細田 健一君   冨樫 博之君     福山  守君   菅  直人君     後藤 祐一君   松平 浩一君     川内 博史君 同日  辞任         補欠選任   福山  守君     冨樫 博之君   細田 健一君     工藤 彰三君   川内 博史君     松平 浩一君   後藤 祐一君     菅  直人君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第二三号)      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤井敏彦君、内閣官房成長戦略会議事務局次長野原諭君、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官池田克史君、公正取引委員会事務総局官房政策立案総括審議官藤本哲也君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長田辺治君、警察庁長官官房審議官猪原誠司君、金融庁総合政策局審議官伊藤豊君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君、厚生労働省大臣官房審議官小林洋子君、厚生労働省大臣官房審議官志村幸久君、林野庁森林整備部長小坂善太郎君、経済産業省大臣官房商務サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房審議官中原裕彦君、経済産業省大臣官房審議官矢作友良君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省大臣官房審議官後藤雄三君、経済産業省経済産業政策局長原浩朗君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長風木淳君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源燃料部長南亮君、特許庁長官糟谷敏秀君、中小企業庁次長奈須野太君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、国土交通省道路局次長宇野善昌君、国土交通省自動車局次長江坂行弘君及び環境省大臣官房審議官白石隆夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。
  5. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 立憲民主党後藤祐一でございます。  今日は差し替えで、経済産業委員会質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。  私、元々経済産業省出身でございまして、同期があそこにたくさん並んでおります。御出世おめでとうございます。  それでは、早速、産業競争力強化法案について聞きたいと思いますが、まず、カーボンニュートラル実現に向けた設備投資促進税制についてなんですが、これは、法律だと設備となっていて、ハードだけが対象になっているのがちょっと残念なんですね。  今、こういったエネルギーを節約するなんというのはソフトウェアですとかいろいろな形でやり得ると思うんですけれども、例えば、センサーがあって、メーターがあって、それをコントロールするソフトウェアがあって、それを動かすコンピューター端末があってといったような、一連のエネルギーマネジメントシステムとして設計されているようなものがあった場合に、今回の産業競争力強化法改正案の二条第十三項の生産工程効率化等設備としてどこまで読めるんでしょうか。
  6. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  カーボンニュートラル投資促進税制でございますけれども、これは、例えば、工場のボイラーを高性能なものに更新する、あるいは化石燃料を使っていたような自家発電設備から再生可能エネルギーを使う自家発電設備に変更する、こういった炭素生産性向上にはハード面の影響が大きいといったことを念頭に置いて対象範囲を設計したものでございます。  このため、この税制対象となる産業競争力強化法第二条第十三項に規定します生産工程効率化等設備、この範囲につきましては、機械装置器具備品建物附属設備構築物、これに区分される償却資産となるわけでございます。  したがいまして、議員から御指摘のございましたセンサーとかメーターとかコンピューター端末、こういったものは、機械装置あるいは器具備品として所定の要件を満たせば税制対象になり得るということでございますけれども、ソフトウェア単独では対象とならない、このように考えてございます。
  7. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 パソコンまではオーケーなんですね。センサーメーターパソコンまではいいと。ただ、ソフトウェアの方にむしろ非常にお金がかかるような場合もあるでしょうから、ちょっと残念なんですが。  新原経済産業政策局長、お越しいただいておりますけれども、今言ったようなエネルギーマネジメントシステム全体として、むしろDX投資促進税制の方で、例えばDとXの方の要件、両方満たしていれば対象となり得るんでしょうか。
  8. 新原浩朗

    新原政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のような問題意識は確かにありまして、したがって、このDXの方の税制、このDX認定要件等と、それから企業変革要件でございますが、これを満たせば、センサーメーター、それからコンピューター端末ソフトウェア等が一体的に構築されたマネジメントシステムも、その要件を満たす限りにおいて、デジタル投資であればデジタルの方の税制適用対象とさせていただきたいというふうに考えております。
  9. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 これは是非、二つ並んでいるわけですから、いろいろな形での投資があると思いますので、こっちで駄目だったら、こっちで大丈夫ですよということが分かるように、うまく運用していただきたいと思います。  その上で、ちょっと心配なのが、今のDXの方の投資促進税制要件として、クラウド技術活用というのが、いただいた資料なんかをベースに見ると、マストであるかのようにも見えるんですが、クラウドの形でないようなソフトウェアの導入、あるいはクラウドではないけれども、ほかの企業情報連携を図っているような形のDX化、いろいろな形があると思うんですが、このDX投資促進税制認定に際してクラウド技術活用というのは、これはマストなんでしょうか。
  10. 三浦章豪

    三浦政府参考人 お答え申し上げます。  お尋ねのDX投資促進税制要件でございますけれども、インターネットなどを介してオープンにデータ処理保管等を行うことができる技術クラウド技術というふうに位置づけまして、その活用税制適用一つ要件としております。  その上で、こうした技術クラウドサービスとの親和性が高いということで、要件を満たすシステム、多くの場合はクラウドサービス活用して構築されることが想定されるわけですが、オープンにデータ処理保管等を行うことができる技術活用という要件を満たすものであれば、他の企業が提供するクラウドサービスを利用しない自社のシステムや、そこに導入するソフトウェアを排除するというものではございません。  こうした要件、若干分かりづらい側面もあるかもしれませんので、分かりやすい資料をきちっと作成をして、そうしたものを使いながら、説明会等の開催を通じて制度の周知徹底、しっかりと努めてまいりたいと思います。
  11. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 今の答弁、すごく前向きなというか、いただいた資料だとクラウドマストのように読めますよね、それをうまく答弁で直していただいたと思いますので、是非資料をできれば作り直して、広く読めるんだということを周知徹底いただきたいというふうに思います。同期の三浦さん、ありがとうございました。  続きまして、テレワーク支援策なんですが、これまでも会社側投資については、中小企業経営強化税制デジタル化設備C類型)といったもので、特にコロナに入ってからは広く認められているんですが、従業員のおうちの方でお金がかかった場合、税制上の優遇はどうなっているのかということについては、実は、国税庁FAQで相当認められたんですが、これはしれっとやっていて、余り周知されていないような気がするんですね。  これは、従業員側のおうちで発生する事務用品についても、会社から支給されて、その従業員所有権が移らなければその分はいいですよとか、通信費電気料金もプライベートの分とうまく仕分できれば半分ぐらいいいですよとか、あとレンタルオフィス代ですとか、こういったものが所得税のカウントにおいて課税されない、給与としてカウントされないというFAQが出ているので、これは実はすごく大きなことだと思うんですが、余り知られていないような気がするんですね。  是非これは、知事なんかがテレワークお願いしますと言うだけじゃなくて、実は税金上も相当できるようになっていますのでということも併せて周知いただければと思いますが、これは梶山大臣是非お願いしたいと思います。
  12. 梶山弘志

    梶山国務大臣 新しい日常への対応や働き方改革の観点から、企業テレワークを進めることは非常に重要であると考えております。  議員指摘のとおり、本年一月に国税庁は、従業員負担テレワーク費用企業が支給した際の所得税の取扱いについての解釈を公表しております。  通信費扱い、また仕分の仕方、解釈、また計算の方法等について公表しているわけでありますが、経産省としても、事業者に対してテレワークの呼びかけ等を行う際に、御指摘解釈について積極的に周知をしてまいりたいと思っておりますし、経済団体等を通じて、いろいろな団体を通じてテレワーク徹底というものをお願いしておりますので、そういう団体も含めて、しっかり周知をしてまいりたいと思っております。
  13. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 是非お願いします。テレワーク税制と検索すると、会社側の方の、経産省が頑張って作った方のばかり出てくるんですよ。所得税の話、全然出てこないんですね。なので、是非そこはお願いしたいと思います。  続きまして、中小企業者定義に行きたいと思いますが、今回の法案ですと、中小企業等経営強化法関係です。  まず、ちょっとこれは御紹介しなきゃいけないのは、おととしの予算委員会で、キャッシュレスポイントというのがあったんですけれども、キャッシュレスポイントを受けるために、私、元々経済産業省流通産業課課長補佐だったんですが、今は流通政策課となっていますが、資本金一億円以下になれば、これは対象になるので、減資して一億円以下にしてキャッシュレスポイントをやるところが出てくるんじゃないですかと言って、当時、世耕経大臣に質問したら、そんな経営者があったらお会いしてみたいという答弁をされたんですけれども。  現在、どうですか、皆さん。いっぱいやっていますでしょう。それはだって、使えるものを使わないのは、下手に使わなかったら、株主代表訴訟とかいろいろなことになり得るわけですから。ちょっと、あのときの世耕大臣の認識はいかがなものかと思うのと、あとは、このキャッシュレスポイントだけではなくて、今も、JTB始め、税制上の目的資本金を一億円以下に減資するという会社はかなり出てきているわけですね。  JTBみたいに、今の状況ですと、背に腹は代えられないという意味で、コロナの今の状況においてはやむを得ないのかもしれませんが、やはり資本金というのは、もうあっという間に、ぽっと、もちろん取締役会とか株主総会とかいろいろなものが必要なのかもしれませんが、手続を取れば変えられちゃうわけですよね。それでもって、実質的には大企業中小企業扱いになって中小企業支援策を受けられるというのは、コロナの今は余りいじらない方がいいかもしれません、JTBも救ってあげなきゃいけないし。だけれども、これが一段落したところで、やはり、この中小企業支援策資本金の多寡で決めるというのは余り望ましくないと思うんですが、いかがでしょうか、梶山大臣
  14. 梶山弘志

    梶山国務大臣 中小企業の多様で活力のある成長発展を効率的に支援するために、中小企業基本法で、資本金額従業員数を用いて中小企業のおおむねの範囲を示して、具体的な施策支援対象は個別に定めることとしております。  実際、中小企業政策は、規模拡大への支援や、地域コミュニティーを支える事業者への支援取引適正化、災害、危機対応支援など、多岐にわたっております。  中堅企業成長した中小企業は、まず資本金額を増加させつつ事業を拡大し、その上で従業員数を増加させるというパスに沿って成長することが多いという、このために、今般の改正では、こうした企業実態を踏まえて、規模拡大に資する支援策に限って、資本金によらずに、中小企業定義よりも従業員基準を引き上げた新たな支援対象類型を創設することとしました。  このほかの施策については、個別施策ごと目的に応じて支援対象は様々であるものの、少なくとも現時点では、外部からの把握が容易であるということ、そして、変動が少ないために安定的に対象を画することができるという資本金額も引き続き基準として用いることが適切であると考えております。
  15. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 でも、変動しているじゃないですか、大臣。大幅に、たしか、JTBは二十何億円から一億円にぽんと下げちゃったわけですよね。  今回の経営強化法改正で、特定事業者というのが業種ごとに、これは常時使用する従業員数で実質的な中小企業者を判断していると思うんですね。これは、資本金じゃなくて従業員数でやっている方がまだいいと思うんですが、実は、従業員数より、やはり売上高がいいと思うんです。  というのは、従業員数が増えるというのは、これは、その会社だけじゃなくて、社会全体にとって、働く方にとっても、やはり雇用というのは別のメリットがあって、実際、中小企業基本法においては、国民経済の健全な発展及び国民生活向上というのが法目的になっているわけで、雇用を増やすこと自体はすごくポジティブにやはり考えなきゃいけなくて、中小企業要件を満たすために従業員を減らすようなことがあってはならないわけですね。  そういう意味では、私は、資本金は一番よくなくて、従業員数もできれば避けて、やはり売上高というのが一番、そういう意味では、中小企業要件を判断する上では適切なのではないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 企業規模を判断する上で売上高一つ指標となり得ますが、変動が大きいことから、安定的に支援対象を画することが困難であると考えております。また、卸売業不動産業など仕入れ高が大きい業種については、企業規模に比して売上高が大きくなるとの課題もあります。  このため、中小企業政策対象を画する指標として、比較的変動が小さく、外部から把握が容易な資本金額従業員数を採用しております。  先ほど委員から、資本金についても動かすじゃないかということがありましたけれども、そういった場合については、過去三年の平均の売上高が十五億円以上であれば適用外とするというようなことも含めて、まずはやはり資本金従業員数ということで見るのが適当であると思っております。
  17. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 最後のは所得じゃなかったでしたっけ。所得ですよね。税法上は、売上げじゃなくて所得ですよね。  資本金だけでやると税法上ちょっといかがなものかということで、税法上にそういう規定が後で加わったということを見ても、やはり資本金というよりは従業員数売上高も私は、キャッシュレスポイントのときは売上高で後で補正しましたよね、というように、資本金はできればやめて、従業員数でもいいです、売上高、この辺り、組み合わせでもいいです、そういう検討をちょっと、コロナが終わったところでかもしれませんが、是非中小企業者要件については、実質大企業というところがやはり対象にならないような、真の中小企業定義していただきたいというふうに思います。  続きまして、同じく流通業なんですが、今回のコロナ支援策に行きたいと思いますけれども、畠山商務サービス審議官、お越しいただいています。同じく同期で局長。霞が関中で唯一の平成四年入省の局長だと思いますが、官房総務課長からいきなり局長ですからね、前代未聞なんですね。済みません、余計なことを申し上げました。  四月二十八日の内閣委員会で、百貨店に対する給付金が二十万円というのは幾ら何でもひどいでしょうと。一日一千万円単位で売り上げている百貨店にこれは幾ら何でもひどいでしょう、増額すべきだということを四月二十八日に求めて、その後、五月七日ですか、千平米当たり二十万円と。これでも不足ではあるんですが、あとはテナントはプラスということで、増額されたことは一定の評価をしたいと思いますが、これは私、元流通産業課、今流通政策課課長補佐出身として、経産省、もっと頑張ってくれないとと思うんですね。  担当の畠山君、どうですか。
  18. 畠山陽二郎

    畠山政府参考人 お答え申し上げます。  今般の緊急事態宣言に関連しまして、百貨店業界、それからショッピングセンター業界からは、政府に対して、営業を継続させてほしい、あるいは支援措置の増額も含め実態に即した支援をお願いしたい、そして、何よりも窮状への理解を求めるというような、こういう様々な声をいただいていたところでございます。  こうした業界からの要望は、経済産業省からも、内閣官房始め関係省庁に、四月以降、当初から随時お伝えもし、それから窮状についても訴えてきたところでございます。  経済産業省といたしましては、引き続き、大規模商業施設経営状況を注視しつつ関係省庁と連携して対応させていただきたい、このように考えております。
  19. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 百貨店なんて全国で百単位しかないんですから、飲食店の額に比べれば総額は大したことないんですから、是非、ここは最初から頑張っていただきたかったなと思います。  続きまして、一時支援金、六十万円のやつですね、これについて伺いたいと思いますが、同じく同期の飯田健太事業環境部長にお越しいただいておりますけれども、六千五百五十億円の予算が現在確保されておりますけれども、予備費を含めて、振り込み済みになっているのは直近確認できる程度で大体一割ぐらいというのを聞いておるんですが、お幾らぐらいでしょうか。  六、七百億円ぐらいしか、つまり予算で用意されているものの一割ぐらいしか出てきていない、振り込まれていないということなんですが、これは何でなんでしょうか。実際、申請しているけれども滞っているのか、あるいは申請そのものが少ないのか。あるいは、申請が少ないとすれば一体その理由はなぜなのか。どのように分析しているでしょうか。
  20. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  一時支援金でございますけれども、今お話ありましたが、五月十三日木曜日までに約二十五万件の申請を受け付けて、約十八万件、約七百億円、一割強です、給付を行っております。一日当たり申請件数は、最初は一日千件ぐらいだったんですが、今、一万件をちょっと超えるぐらいになって、だんだん増えてきてはおります。  ただ、いずれにせよ、申請件数が少ないということは事実でございまして、原因は幾つかあろうかと思います。一概にお答えすることは難しいんですが、やはり、まず一つは、一時金、本年一月の緊急事態宣言を受けてですけれども、対象の発令された地域が、昨年の緊急事態宣言とは異なりまして、十一都府県に限定されているということでございます。  それから、特に売上げが大きく減少していると考えられる時短営業の要請を受けた飲食店、これは協力金の対象になっておりますので、こちらの一時支援金申請対象ではないということも大きいかと思います。  それから、景況感が改善している業種も中にはございます。例えば、半導体関連ですとか、家庭向けの飲食料品関連ですとか。あるいは、調査なんかによりますと、約三割の中小企業コロナ前の二〇一九年と比べて売上げが増加している、こういったようなこともあろうかと思っております。  ただ、まだ御申請いただいていない方も多数いらっしゃるかと思いますので、しっかり広報活動に努めながらやってまいりたいと思っております。
  21. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 これは、知らないんですよね。地元を回っていると、え、何それという方がやはりまだ多いんです。  去年の持続化給付金は、大臣がゴールデンウィーク明けに二百万円と言ったら、ええっと。これはみんな知っていたんですよ。でも、この一時給付金はやはり知らないんです。そういうことをふだんから考えている人はそうなんですけれども、商工会議所なんて行ったことないよというような会社からすると、知らないんですよね。  結構、ここにいる、与党の先生方もそうだと思いますけれども、地元で先生方が、地方議員も含めて歩いて何か教えているみたいな、そんな状況なのが現実だと思いますので、今度、月次支援金是非ちょっとこれは大々的にもう少し宣伝をしていただく必要があるんじゃないかなと思います。  続きまして、厚生労働省、大隈政務官、お越しいただいております。ありがとうございます。  コロナ支援策でもう一つ大きいのは雇用調整助成金ですが、特に飲食店なんかですと、こういうことになるんですね。一人しか、店長さんだけが正社員、あとはバイト。雇用調整助成金はどうなるんですか。あるいは、この前私がお邪魔したお店、結構大きな規模のお店なんですけれども、アルバイトをすごくいっぱい雇っているんですけれども、社長と専務とあと一人、社員がいる。雇用調整助成金は、その三人のうちの社員の分だけいただきましたと。そうなりますよね。これだと、一番きつい、この飲食店もそうだし、零細企業であればあるほど、一人とか三人とか正社員がいないところは雇調金が行っていないんですよね。  是非、一定人数以下の事業者については、今のようなケース、例えば、一人しか正社員がいなくて、その人が社長であるとか店長であるとか、あるいは三人しかいなくて一人しか雇調金の対象になる職員がいないというような場合は、社長だったり店長だったり専務だったりするかもしれないけれども、実質的には同じように食事を作って振る舞っている仕事、変わらないようなケースも多いと思うんですね。  是非、こういったものについては、例外的に認められているケースもあると聞くんですけれども、こういう場合だったら認められるということも含めて、是非、役員の休業についても雇調金の対象にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 大隈和英

    ○大隈大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えいたします。  雇用調整助成金は、事業主の雇用維持の取組を支援する制度でございまして、事業主からお支払いいただいている雇用保険料を基本的な原資として実施しているものでございます。  このため、対象となる労働者は助成金を受けようとする事業所における雇用保険の被保険者に限られてございまして、役員については原則として被保険者にならないために、報酬支払い等の面から見て労働者的な性格が強く、雇用関係があると認められた者に限って被保険者となるというふうに考えております。  御指摘の、事業の規模に応じて、人数に応じてということは考えていないわけですけれども、ただし、役員であっても、同時に、例えば工場長ですとか、従業員としての身分がありまして、報酬支払い等の面から見て労働者的な性格が強い、雇用関係があると認められる場合には被保険者となるケースがございます。  いずれにしても、法令の適用に当たりましては、個々のケースについて実態を見てしっかりと判断してまいりたいというふうに考えております。
  23. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 今の非常に重要な答弁でして、雇調金の対象とみなされるケースもあり得るということですね。  どういう場合であれば雇調金の対象となり得るのか。例えば、従業員と同じような仕事をしているとか、出勤簿をちゃんと押してやっているとか、勤務時間が定められているとか、いろいろな外形標準があると思うんですね。こういった場合は、まあ、役員なんだけれども、被保険者みなしでできますよみたいなことをちょっと示していただいて、特に今、雇調金が最後の救いみたいになっているところがありますから、ちょっとコロナの間は緩めに運用していただいた方がいいと思いますが、こういう場合は認められるというのを、ちょっとガイドラインみたいなものを示していただけないですか、世の中に。
  24. 志村幸久

    志村政府参考人 いずれにしても、雇用調整助成金は、労働局等、一線の現場で支給しておりますので、いずれにしても、利用者さん、事業主さんにとって、しっかり解釈を示して、使い勝手のいいような対応に努めたいというふうに考えております。
  25. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 使い勝手というか、特に飲食店の場合、すごく深刻なんですよ。聞いてみてください、雇調金の対象になり得る社員がどれだけいるか。見た目で、働いている人が山のようにいても、ほとんど非正社員で、正社員の人が何人いるか。で、実は社長だったり専務だったりするんですよ。是非、ちょっと、分かりやすい、こういう場合が認められるというのを、厚生労働省として示していただきたいというふうに思います。  続きまして、経済安全保障について伺いたいと思いますが、経済安全保障は当然大事で、これは法制度的に実はやらなきゃいけないことが二つあるというふうに思っています。  一つは秘密特許です。これからいろいろな先端的な技術を開発していく、あるいはほかの国と一緒にやっていくといったときに、それをちょっと防衛との関係にも使える、民生にも使えるといったようなときに、秘密特許にしなきゃいけない。諸外国ではそういう制度がほとんどあるという中で、日本にはその制度はありません。  これについては、内閣官房さん、特許庁、防衛省、いろいろなところが関わるので、なかなか検討が難しいというふうにも聞いておるんですが、ちょっと時間がないので、藤井内閣官房審議官、お越しになっておられると思いますけれども、これは是非検討の場を、内閣官房中心になるんでしょうかね、つくっていただいて、進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  26. 藤井敏彦

    藤井政府参考人 お答え申し上げます。  特許出願の公開制度につきましては、イノベーションの促進と技術流出防止をいかに両立していくかという問題がございます。  御質問の検討の体制でございますが、内閣官房である私ども国家安全保障局経済班が総合調整を既に行っております。具体的には、私どものところに各省庁が集まっていただいて、議論をしているということでございます。  引き続き、関係省庁、力を合わせて必要な検討を進めていきたい、かように考えてございます。
  27. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 どこの場で検討するかということの一歩目が決まっているようでございますので、是非これは、もちろん内容的にはよく審査しながらやっていかなきゃいけないところがあると思いますが、検討を進めていただければと思います。  それと、もう一つひっかかるのが、これはデュアルユースと言われる、防衛関係あるいは民生向け両方に使えるような先端技術、AIなんかもそうですよね、こういったものを進める上で、特に国際的な共同開発なんかを進める場合に、民間人のセキュリティークリアランスというのが取れない。  つまり、特定秘密保護法で、特定秘密を扱う人は適性評価、セキュリティークリアランスを受けなきゃいけないんですが、なかなか、そういったデュアルユースの技術なんかはそもそも技術として対象にならなかったり、民間人が受けにくいといったことがネックになっていると聞きますが、まず、現行の特定秘密保護法で、今言ったようなデュアルユースに使えるような技術を民間で開発している場合に、特定秘密に指定できるんでしょうか。これは池田内閣審議官ですね。
  28. 池田克史

    池田政府参考人 お答えいたします。  特定秘密の指定対象は基本的に行政機関が保有している情報であり、適性評価の対象となるのも行政機関が指定した特定秘密を取り扱う者ということになります。  民間部門が保有している民生技術については原則として特定秘密の対象とはならず、したがって、これを取り扱う者が特定秘密保護法に基づく適性評価を受けることは、現行法の下ではございません。
  29. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 これは、ずるして、うまくしゅっとやっちゃうということはしないということですね。やはり難しいですよね。  だとすると、我々として本当にこれは是非というふうに言えるかどうかはちょっと別として、本当にこれを進めるのであれば、民間人のセキュリティークリアランスは、新法なり、あるいは特定秘密保護法を大幅に改正するなり、必要ということでしょうか。これは、藤井審議官、お願いします。
  30. 藤井敏彦

    藤井政府参考人 お答え申し上げます。  昨年七月に閣議決定されました統合イノベーション戦略二〇二〇、ここにおきまして、科学技術、産業競争力を最先端レベルで維持するために、国際共同研究開発を円滑に推進する、我が国の技術的優越性を確保、維持する、そういった視点が重要だとされており、そういった観点から、いかなる情報保全の在り方が適切であるかということを検討を進めるということになってございます。  引き続き、本件につきましても、私ども国家安全保障局が関係省庁と協力をしながら、現在、検討を進めているところでございます。
  31. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 これは、私、特定秘密保護法ができたときの与野党協議、中谷さんなんかとやっていたんですが、是非、どういう設計になるかを含めて、慎重、かつ、必要なものについては検討をということなんだと思います。  最後に、人権外交と企業のリスクということについて伺いたいと思います。  ウイグルにおける人権侵害に対して、制裁を実施する規定はないと加藤官房長官が三月二十三日にお答えになられていますが、この人権侵害に関与した人物に対するビザの発給停止、これは多分できるんじゃないかと思うんですね。財産の凍結、あるいは、人権侵害に使われてしまうような品目を日本から輸出する、あるいは強制労働で製造されたものを輸入する、こういったものを外為法なりで止めるといったことはそもそも可能なんでしょうか、梶山大臣
  32. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、査証事務につきましては、日本国の利益及び安全の維持並びに日本国の外交政策の円滑な実施に資するとともに、外国に渡航し、又は滞在する日本国民の利益を衡量して運用することを原則としております。  査証発給の可否については、この運用原則に基づいて、外務大臣等の裁量により判断をしているところでありまして、人権侵害を理由とする査証発給の拒否についても、運用原則に照らし合わせて、個別具体的に判断することになると承知をしております。
  33. 後藤祐一

    後藤(祐)委員 現行でできるのであれば、これは外交的な判断が必要だと思いますが、これは、議連なんかもできてきておりますので、必要な法律を整えるということと併せて、是非対応すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。  質疑時間が来ましたので、ちょっと質問にはしませんが、諸外国では、人権デューデリジェンス法というものができてきております。このウイグルの話でも、H&Mなんかが中国でバッシングを受けたりしていますので、このルールを守っていれば大丈夫なんだというルールをむしろ作ってあげる方が、会社にとってはある意味リスクの回避にもなると思いますので、この人権デューデリジェンス法、これも必要ではないかということを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 富田茂之

    富田委員長 次に、逢坂誠二君。
  35. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。  大臣、今日もよろしくお願いします。  冒頭、先ほど後藤委員が質問された件で、一時支援金ですけれども、そもそも知らないということに加えて、一時支援金は知っていても、そもそも自分は該当にならないと思っている人がむちゃくちゃ多いんですね。特に、緊急事態宣言が発せられていない地域においては、緊急事態宣言が出ていないところなんだからもう該当にならないんだということを頭から思い込んでいる方が相当おられます。  現に、私も地元の商工会を歩いてみると、商工会ですら、いや、うちはもう当たらないんだ、逢坂さん何言っているの、当たらないに決まっているでしょうみたいな感じなんですよ。それで、私がV―RESASの話とかをして、例えばこういう外形的なデータがあって、例えば、私のところは渡島とか檜山とかいうところなんですが、渡島の北も南も全部当たりますからと説明すると、本当なんですかという話になるわけですね。  だから、そこのところは、もう少しやはりPRをしていただかなきゃいけないというふうに思いますし、それから、次のハードルが、これはもう大臣御承知のことだと思いますが、確認機関ですね。確認機関のトラブルがやはり相当多いんですね。実際に、地元の信用金庫に行ったり、いろいろなところに行っても、いや、あなたのはやれませんよというようなことがあったりするわけで。  この二点、是非大臣、うまくやらないと、せっかくの制度が、使える人が使えないということになりますので、何らかの対応をいただけませんか。
  36. 梶山弘志

    梶山国務大臣 周知につきましてはしっかりとしなければならないと思っておりますし、新聞等での周知もしておりますけれども、商工会、商工会議所を通じて今回支援をしていただいておりますので、更にまたそういった周知をしてまいりたいと思っております。  さらに、確認機関ということでありますけれども、これは事務局にも確認をできる機能を持たせました。これまでも税理士会であるとかそういったところにお願いをしているわけでありますけれども、金融機関によっては、やはり自分の顧客じゃなければというところもありますので、選択肢が幾つかあって、ここでは必ずできるということも含めて周知をさせていただきたいと思いますし、しっかりと対応いたします。
  37. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 大臣、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。  それでは、今日の本題に入りたいと思うんですが、私は、政治の役割は国民の命と暮らしを守ることだと思っています、命と暮らしを守ること。そして、更に言うならば、命と暮らしを守る上で、やはり最終的に国民が幸せでなければならないというふうに思うんですね。  その際に経済というのはやはり非常に大事でありまして、経済がしっかりうまく回っていないと、これはやはり国民の命も暮らしも守ることはできないというふうに思います、当たり前の話なんですけれども。ただ、それじゃ、例えば、GDPが大きくなっていれば国民が幸せなのか、命と暮らしを守れるのか、あるいは企業がもうかっていれば国民が幸せなのかというと、やはりそれはそうではないだろうと。  だから、経済がどんどん元気になることは大事だけれども、どういう元気のなり方がいいのか、経済の在り方、どうすることが最終的に国民の命と暮らしを守り、幸せに暮らせるのか、ここのところをやはり十分に考えておかなければならないというふうに思うんですね。  その点で、大臣が思う経済社会の在り方といいましょうか、どういう経済であらねばならないのか、どういう思いで様々な法案を出されているのか、そこのところをちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
  38. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経済というのは非常に重要でありまして、企業にしても、産業にしても、業界にしても、さらにまた国にしても、上がる税収も含めて、しっかりパイを増やしていくことが重要であると思っております。  それと、政治の役割というのは、その分配について、しっかりと行き渡るようにしていくということでありまして、企業が活動して、そしてその分配というものは、株主もあるでしょうけれども、やはり従業員にしっかりとした適正な賃金を払うということもあります。  そういった中で、足りないところはやはり国の制度で補っていくということにもなりますでしょうし、その原資をつくるためにしっかり経済を発展させなければならない、そして制度をしっかりとしなければならない。また、後押しするその時々の制度というものも対応していかなければならないと思っております。
  39. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 従業員にしっかり給料を払うこと、あるいは分配という話もございました。あるいは、従業員にきちんと給料が払えないようなときは、例えば政治の力でそれを補正していくというような趣旨のことも話されたと思います。  私はやはり、最終的に一人一人の国民に、きちんとした、生活に足るだけのお金がうまく回る仕組みをどうつくるかということだと思うんですね。そこをやはりしっかり頭に置いておかないと、企業だけがもうかる、GDPが伸びるということだけを考えていたのでは、最終的には国民の命と暮らしは守れない、国民は幸せにならないというふうに思いますので、今の話も含めて、是非常にそのことを念頭に置いて経済政策を考えていただきたい、そう思います。  もう一つなんですが、私が子供の頃、大臣とは年代がちょっと違いますけれども、まあ大体似たようなもので、小学校の教科書に、日本は加工貿易の国だということが書かれておりました。資源の乏しい国だから、海外から資源を輸入して、それを加工して海外に売っていくんだということでありましたけれども。  そういう観点でいって、確かに、今回、産業競争力強化法改正案を出されていて、その柱がグリーンとデジタルということにはなっているんですが、私は、グリーンもデジタルも重要だと思います、これは力を入れるべき分野だと思うんですが、これはある種の一つの手段、グリーンもデジタルも、売りであると同時にある種の手段だと思うんですけれども。  こういう、企業を強化することを通して、日本の国というのは、海外に向かっての売りになる、それは一体どういうものなのか、どこに力点をこれから置いて進んでいくべきなのか。この辺り、大臣にお考えがあればお聞かせ願いたいのと同時に、海外に向かってはこうだ、国内に向かってはこういうものがあるのではないかということがあれば、お聞かせいただけますでしょうか。
  40. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、グリーンとデジタルということでありますけれども、今回のコロナ禍において、日本の産業基盤の脆弱性というものがあらわになってまいりました。そういった中の一つデジタルがあると思っております。  そして、世界の潮流として、テーマ、環境ということで皆さんが取り組んでいるということでありまして、まずはビジネス環境を整えるという意味でグリーンとかデジタルというものは非常に重要だということで、このインフラを整えて、さらに、これに関わる産業についてはここがまた成長のチャンスでもあると思っております。  一方で、それだけではなくて、その基盤に基づいてどういうサービスや新商品を、新製品を生み出していくかということが、日本の今までの蓄積した物づくりの力の発揮しどころであると思っております。  例えば、これに関わるわけですけれども、パワー半導体とか、そういう省エネ部品を使いながら、日本の技術を使いながら、グリーンの面でも側面的に応援していくということもあるでしょう。例えば、あとは、今まで若い国民が多かったわけですけれども、今高齢化になっている。高齢化の人たちが望むようなサービスというものもあるかもしれない。そういったものが、デジタルを使いながらできるものもあるかもしれない。  そして、さらに、海外に向けては、このグリーンとデジタルと、またさらにヘルスケアであるとか強靱化であるとか、そういったものを競争しながらも、日本発の新しい商品、サービスというものが出ていくようにしなければならないと思っておりますけれども、それにはまた企業をどう育てていくかということもあります。従来の企業の中で、変化に対応できる企業はありますけれども、そうでないところは、残念ながら、やはりその事業を諦めたりする場合もあるわけであります。  そういったところの、しっかり対応できるようなベンチャーを育てていって、さらにまたこれが中堅、大手企業になっていって、雇用というものをしっかりと確保できるような仕組みづくりというものを描きながら、対応してまいりたいと思っております。
  41. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 一口に私は売りという言い方をしましたけれども、なかなか簡単なことではないというのは事実だと思います。ただ、これからの社会、多分、日本がたくさん物を作って、安く物を世界に売っていくという時代では必ずしもないんだろうと思うんですね。やはり、知の集積とか、この技術がなければやれないんだというような付加価値の高いものをどう売っていくかということが一つの鍵になると思っていますけれども、今日の答弁も踏まえて、これから先、更に議論を深めてまいりたい、そう思います。  そこで、社会を考えるとき、経済を考えるときに、やはり現状認識というのはしっかり持っておかないと判断を誤る、政策を誤ると思っているんですが、安倍内閣のときは、安倍総理は、総雇用所得が増えたとか、所得がいい調子になっているんだということをよく喧伝されておられましたけれども、でも、冷静に考えてみると、ここ三十年余り、日本人の賃金は伸びていないのではないか。先進国の中でも唯一賃金が伸びていないのは日本だけではないかという指摘はあまた、いろいろなところで行われているわけですね。  国会の答弁として、安倍前総理の口からなかなかそういうことは言いづらかったのかもしれませんけれども、現状、それじゃ、本当に日本の賃金というのは増えているのか。特に個人、一人に置き換えたときに、日本の賃金は私は増えているようには思われないんですが、この点に対する大臣の認識はいかがですか。
  42. 梶山弘志

    梶山国務大臣 長きにわたっての景気の低迷、そしてデフレ状況の中で、この三十年間、賃金が上がらない傾向が続いてきたと思っております。  こうした中で、二〇一二年の安倍政権の成立後、今委員からも御言及ありましたけれども、最低賃金を上げる努力をしてまいりました。そういった中で、この七年間で、全国加重平均で百五十二円の引上げができたと思っております。  他方、OECDによりますと、一九九一年の一人当たりの実質賃金の水準を一〇〇とした場合に、日本は二〇一九年の水準が一〇五にとどまるのに対して、英国は一四八、米国は一四一まで上昇しております。先進国の中で、日本の一人当たりの実質賃金が十分に伸びていないことは事実であると考えております。  そういった中で、景気を、経済をよくするためには国内の消費をどうするかということも含めると、やはり、賃金を上げていく、そして底上げをしていく、特に若い世代の方たちの賃金を上げていくということに方向性を持ちながら、経済政策というものを考えていかなければならないと思っております。
  43. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 率直に日本の賃金が諸外国に比べて上がっていないということを御発言いただきましたけれども、非常にこれは私は重要な認識だと思うんですね。  ここの認識をしっかり持った上で、それは政治のパフォーマンスとして、政治のアピールとして、いや、実は賃金は我々の内閣になって上がりましたよと言うことは、それはまああるんでしょうけれども、でも、現実はやはりしっかり見る必要があると思っているんですね。  この間、私は日本の社会を見ていて、経営者の目線で見ると、やはり企業収益を上げるためになるべく人件費を抑制したい、なるべく人件費を下げていくことが最終的に企業収益につながっていくんだということをやってきているように見えるわけです。そして一方で、株主に配当するということになると社長さんなんかも評価されますので、とにかく、給料はある一定程度で抑制しながら株主に配当するというところに随分力点があったのかなというふうに思っているんですが。  人件費の低下というのは、会社の経営を考えるとそれはある一定程度喜ばしいことかもしれませんが、これはもう当たり前のことなんですけれども、中長期的に見ると、人件費が下がっていくと国民の物を買う力がどんどんどんどん低下していく、これは当たり前といえば当たり前のことであります。そうなれば、最終的に消費に結びつかない。  だから、中長期的に見ると、人件費の低下は最終的に経営者の首も絞めているのではないか、悪循環に陥っているのではないか、今の日本社会はその状況になっているのではないかという印象を持つんですが、大臣、この辺りについていかがですか。
  44. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員のおっしゃること、もっともだと思っております。そして一方で、人材もやはり集まりにくくなるということもあると思います。今後、悪いスパイラルに入る方向でそういったものが続くとなるわけでありまして、ここでやはり方向性を変えていかなければならないという中で、やはり、賃金を上げていくということと、そして新たな分野で会社の伸び代というものを考えていくということも重要であると思っております。
  45. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 一昨日のこの委員会で、大臣はこのように答弁されておられました。企業が収益を上げて、それが賃金の形で分配され、国民の所得や消費が増えることで成長が進むという分配をすることによる成長と、企業成長することで賃金支払いのパイが増えるという成長からの分配が循環することで、成長と分配の好循環が実現するという考え方を取っています。特に賃上げは成長と分配の好循環を実現するための鍵であり、政府として積極的に取り組んでまいりました。こういう答弁を、一昨日、この場でされておるんですが、企業が収益を上げて、それが賃金の形で分配される、これは今うまく機能しているんでしょうかね。  私の見るところ、企業が収益を上げてもうまく賃金に回っていないのではないか、そういう印象をどうしても持たざるを得ないんですが、この点、大臣、いかがでしょうか。
  46. 梶山弘志

    梶山国務大臣 企業が次なる投資というものがなかなかできないような状況にある、そういった中で、やはり人件費にも、その利益、出たものを回せずにいるということもあるかと思います。更にまたそういったものが悪循環になっているということで、好循環をつくっていきたい、好循環を常に目標にして産業政策というものを考えていきたいということであります。
  47. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 好循環を目標にするというのは私も全くそのとおりだと思うんですが、もう一歩踏み込んでお伺いしたいんですけれども、賃金がうまく分配されない、その原因、理由というのはどういうところにあると見ていますかね。
  48. 梶山弘志

    梶山国務大臣 産業や企業にもよると思いますけれども、日本全体でやはりデフレの傾向にあったことというのが一つあると思います。そういった中で、先ほども申しましたけれども、もう一つは、やはり、企業やその業種が将来をなかなか見通すことができないような状況でもあったということ、そして大型の投資もできなかったというのが、これがまた悪循環に陥った原因だと思っております。  こういったことも含めてテーマを決めて、例えば先ほど話がありましたグリーンとかデジタル、これはあくまでもビジネスのインフラを整えるものだと思っておりますけれども、そういったテーマを決めて、ここで成長できる産業があり、またそれを使って成長したり新しい商品やサービスを生み出す力をつくっていくということが、後押ししていくということが、私どもの仕事であると思っております。
  49. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私、ここでやはり一つは、非正規雇用というのはどうしてもこれは考えざるを得ないのだと。考えざるというのは、ここの課題を考えなきゃいけないんだと思うんですね。  経営者にしてみると、非正規雇用というのはある一定程度使いやすい仕組みであると思います。景気が悪くなって会社の収益が悪くなれば、早めに解雇をすることが場合によっては可能ですし、あるいは、賃金もある一定程度に抑制することができるわけですが、非正規雇用のデメリット、非正規雇用の課題、これについて、それじゃ、政府参考人からお願いします。
  50. 新原浩朗

    新原政府参考人 お答え申し上げます。  今、コロナ禍の影響の中で、正規雇用者、これについては、女性の正規雇用者の増加も含めて、二〇二〇年三月、前年同期に比べて五十四万人増加しております。これに対して、今委員が言われた非正規雇用者については、二〇二〇年三月、前年同期と比べて九十六万人の大きな減少になっております。特に宿泊、飲食での影響が大きい、また、女性の二十代から四十代の非正規雇用の方々への影響が大きくなっております。  他方で、こういう方たちに私どももいろいろアンケートとかを取っているわけでありますが、非正規雇用を選択した理由を問うてみますと、都合のいい時間に働きたいとか、あるいは家事、育児、介護と両立しやすいのでそれを選択しているとか、通勤時間が短いといった優先順位が高く出てまいります。したがいまして、時間的制約がかなりきついので、フルタイムの職業を紹介したからといって労働移動が必ずしも可能になるケースばかりではないというふうに思っております。  そう考えますと、少子高齢化の中で多様な働き方の選択を用意するということと、その働き方の選択によって、ある選択をしたときに不利益を被らないようにしていくことが大切だというふうに思っております。  そういう意味で、正規雇用者と非正規雇用者の同一労働同一賃金制の立法化、あるいは先ほど大臣から御答弁申し上げました最低賃金、これは全国加重平均を千円になることを目指して引き上げるということになっているわけでございます、こういう点。あるいは、かつてのようにフルタイムで正社員というふうに考えずに、短時間の正社員の導入とか、あるいは勤務時間の分割シフト制の普及とか、多様な働き方というところについて産業界にも協力をお願いしていかなければならないというふうに思っております。
  51. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 非正規雇用の課題、いろいろあると思うんですが、今、新原さんからいろいろお話しいただきましたけれども、確かにそういう雇用を望んでいる方もいるとは思うんですけれども、非正規雇用の課題というのはやはり、自分の賃金が将来どうなるのか、なかなか予見可能性、見通すことができないということがあると思います。  それからもう一つは、非正規の職員の方に対して企業経営者は基本的には人材育成の投資はしない、社員教育のようなことは基本的にしないわけです。そうなりますと、働き手としての蓄積、経験が高まっていくということがなかなかなりにくいのも私は非正規の問題だと思います。あるいは福利厚生、こういう点でも、非正規の方々は必ずしも十分ではない。それからもう一つ問題なのは、根本的に、非正規ですから、職が不安定だということもあると思うんですね。こういう課題を非正規の方は抱えている。  特に私は問題だと思うのは、働き手としての蓄積がなかなか、経験値あるいはその職能、これが高まっていく機会が少ないというところが私は最終的には大問題だと思うんです。これも中長期的に見たら私は日本の力を弱めるというふうに思うんですね。この点は是非もう少し長い目線で考えなきゃいけないなと思っています。  それで、今日、後半のテーマでやりたいのは人口減少なんですけれども、お手元に資料を用意させていただきました。  実はこれは今年の初めの予算委員会で多少やったんですけれども、議論が必ずしも深まりませんでしたので、改めてここでやらせていただきたいんです。  日本の今の出生数、これが約八十数万人。ピーク時は二百七十万人、これは一九四九年、昭和二十四年であります。このときに二百七十万人ですから、今はピーク時の三分の一にも満たないというのが日本の実態なんですね。  ところが、それじゃ、生まれる子供の数、御夫婦が結婚したときに生まれる子供の数はどうなっているのかというのを見ると、大臣、このグラフを見てください、裏にあります、両面コピーしておりますので。これを見ていただくと、一九七二年、ちょうど札幌オリンピックの頃です、このころから五十年余り、結婚したカップルに限っていえば大体お二人なんですよ。だから、生まれる子供の数というのは、この五十年ぐらい、御夫婦に限って見ると、変わっていないということなんですね。  だから、子育て支援というのは私すごく大事だと思います、幼稚園や保育所を充実したり、様々手当を出したりというのはすごく大事なんですけれども、子育て支援よりも前に、実は日本の少子化の問題があるのではないかというふうに私は思っています。  そこで、次のところ、日本の婚姻数です。  婚姻数は、一九七二年当時、約百万件、年間に百万件婚姻していました。現在はそれが六十万を切るような状態になっている。そもそも結婚する方が減っているということが大きな問題なんですね。だから、結婚しさえすれば、先ほどのこのグラフのように、ある一定程度、お二人程度はお子さんをもうけておられる。でも、今は結婚の数そのものが減っているというところが大きな問題だと思うんです。  そこで、それじゃ、結婚は何に起因するのかなと。内閣府の調査によれば、結婚したくないという人はそんなにいらっしゃらない。どちらかというと、結婚を望んでいる人の数は結構いらっしゃるわけです。  そこで、このグラフを見ていただきたいんですが、直線三本のグラフですね。これは実は、雇用の形態による有配偶者率であります。赤い線が正規職員。三十代から、三十四歳までの間を見ると、正規職員の有配偶者率は約六割。ところが、これが非正規になると、非正規も、パート、アルバイトとそれ以外に分けておりますけれども、二割台、あるいはパート、アルバイトだと一五%程度ということで、職の在り方によって随分有配偶者率が変わるということなんです。  それから、もう一つのグラフを見てください。これは男性の年収別の有配偶者率を見たものでありますけれども、これを見ても一目瞭然でありますけれども、所得が高い方が有配偶者率は高いんだということなんですね。だから、やはりお金が少ないというところは、私は、なかなか結婚できない、望む方が結婚できないことの背景にあるのだろうというふうに思うわけです。  そこで、じゃ、従業員の給料を増やせばいいだろうということなんですけれども、労働分配率のデータもつけましたけれども、労働分配率は、明らかなとおり、大企業資本金十億以上のところは労働分配率は五割程度。だから、まだ場合によっては余力があるのかもしれない。ところが、資本金一千万から一億程度のところは労働分配率七六%。これは企業によってばらつきがありますけれども、小さい企業だったら八割いっているところもあります。そういうようなところもあって、だから、企業に対して一律に、非正規を正規にしろとか、従業員の給料を上げろということを言っても、うまくいかないのではないかというふうに私は思うんですね。  そこで、先ほど大臣のお話の中にもありましたけれども、若い人の給料を増やしていくことが大事だという話がありましたけれども、私もそれは全く同感でありまして、これは予算委員会のときに使った資料なものですから、何かちょっと仰々しいあれでありますけれども、私は、若い人への支援というのは社会全体にプラス効果があるだろうというふうに思っています。  一つは、結婚適齢期とか子育て世代の人たちにお金を増やしてあげるということ。それは、給料で増やすのか、いろいろな方法はあると思いますけれども、望む方が結婚しやすいということですよね。人口減少対策にもなっていく。  それからもう一つは、若い方々は限界消費性向が高い。所得が増えれば増えた分だけ、消費に回す割合、率が高いわけですから、若い方々に払ったお金はすぐ、もう一回マーケットの中で回るということになりますわね。  それから、若い方々に支援すると、よく高齢者の皆さんから、何だ、高齢福祉をないがしろにするのか、若い者だけに応援するのかということを言われがちですけれども、私はそうは思わない。若い方々の収入が増えていくと、社会保険料が増えますし、社会保障の基盤がしっかりしていくことになりますから、そうなれば、それは全世代にとってプラスになるということだと思っています。  だから、私は、若い方々の職を安定化させること、それから、将来の予見可能性のある給与というか賃金というか、そういうものをつくっていくことが非常に大事なことになるのではないか。それが、先ほど大臣が、日本の経済の好循環をつくるときに、消費が先なのか給料を上げるのが先なのか、いろいろなことがありましたけれども、私は、若い皆さんを応援していくというところが大きなポイントになるのではないかと。  そこで、大臣是非お伺いしたいんですが、若い皆さんの職を安定化させて、予見可能性のある将来の所得、それをどうやってこれから保障するというか、そういう見通しのある働き方のできる社会にしていくか、その点について、大臣、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  52. 梶山弘志

    梶山国務大臣 日本の企業は、これまで、やはり年功序列ということもあって、年次が上がれば上がるほど給与が上がるような給与体系を取ってきたわけでありますけれども、他国においては、やはり一番お金がかかる子育て世代のところでピークが来るようにしているということもあります。  そういったものをしっかりと根づかせていくことと併せて、中小企業等でしっかり利益が出るような、例えば、固定費が上がったとき、それが転嫁できるような、また税も転嫁できるような仕組みというものも非常に大切だと思っております。  ただ、給与のみならず、あとはどういう方法でそれを応援できるかということで、地方においては、地方創生の中で、やはり、若い人たちの、子育て世帯の住宅を造ったり、あと、共働きの人たちのための、子供を預かる、土曜、日曜も含めて、食事も含めて、預かるような保育園の仕組みとか、町ぐるみでやっているようなところもあります。  そういったものの合わせ技だとは思っておりますけれども、やはり、若い世代、結婚を望めば結婚ができる、そして子供さんを望めば子供さんをつくることもできる、そして子供さんの成長に合わせて車も買い換えたり、部屋もリフォームしたりということで、必ずやはり消費というのは出てきますから、その町にも日本の国にもプラスになるという思いで、やはりこの世代をしっかり増やしていかなければならないと思いますし、人口問題は一朝一夕にはいきませんけれども、そういった環境づくりをしていくことが経済産業省としても大変重要な役割だと思っております。
  53. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 大臣、今言いましたとおり、人口問題というのはやはり子育て政策だけでは解決しないんですね。それは、子育て政策の適用を受けられる方は、国内では条件のいい方だというふうに思わざるを得ないんです、今のこの私が示したデータを見ると。  だから、そういう意味でいうと、働き方をどうするのか、職の在り方をどうするのか、収入をどうするのかというところが大きなポイントだと思いますので、その意味で、私、経済産業省の力は非常に大きいと思うんです。役割は大きいと思いますので、是非、今日の私の指摘も踏まえて、これからの政策も御検討いただきたい。  以上で終わります。ありがとうございます。
  54. 富田茂之

    富田委員長 次に、川内博史君。
  55. 川内博史

    川内委員 川内でございます。  委員長理事の先生方のお許しをいただいて、発言の機会をいただきましたこと、本当にありがとうございます。  産業競争力強化法ということで、グリーン、デジタル、とても大事なことだろうというふうに思います。  他方で、私、今の逢坂先生の議論とも相通ずる部分があるんですけれども、大臣にこんなことを申し上げるのは、もうそんなことは知っているよというお話だろうというふうに思うんですけれども、財務省さんにお作りいただいた資料で、経常利益の資本金別における割合の推移という資料を財務省さんにお作りいただいて、ちょっとびっくりしたんですけれども、平成元年度は、日本全体の経常利益の中で、資本金一億円以上の会社がどのくらいその利益を取っているか、五八・九%。一億円未満のお会社が四一・一%。  それが、平成の三十年の間に、平成三十年度はどうなっているか。これは法人企業統計を財務省に分析してもらったんですけれども、一億円以上のお会社が日本全体の経常利益の七三・八%を取っている。一億円未満のお会社が二六・二%。特に小企業、一千万円未満の資本金会社になると、平成元年度の経常利益の割合は一二%、平成三十年度になるともう四・三%ですね。  要するに、平成の時代というのは、大企業中小企業の利益を吸い取って大きくなったということも言えるし、あるいは、例えばデジタル投資にしても、政府は年間一兆円ぐらいデジタル投資をするわけですけれども、そのうち七五%が競争性のない入札だ、落札率もほぼ一〇〇%に近いと。大きな会社ほど競争していないんじゃないかと思うんですよね。  他方で、このコロナで明らかになったとおり、飲食、宿泊、バス、タクシー、旅行業、これらの業種というのは今大打撃を受けている。支えているのは、非正規、女性、フリーランスという人々が支えているということで、これは国内産業ですから、国内でも激烈な競争になっているわけですね。食堂とかレストランとか、やはり、安い値段でも何でこんなにおいしいんだろうみたいな、お弁当をコンビニで買っても、何でこんなに安いのにこんなにおいしいんだろうみたいな、そういう、今、日本経済の状況で、実は中小企業は激烈な競争にさらされる、そして大企業から利益を吸い上げられる。  しかし一方で、本当に日本の経済を牽引してもらわなきゃいけない大企業が、様々な補助金とか、このグリーン、デジタルでもそうですけれども、税制の優遇措置とかを受けて、ますます利益を吸い取っていくという流れになってしまうのではないか。それではよくないねというふうに思うし、特にこのコロナをどう乗り切っていくのかというのが日本の中小企業、小規模企業にとってむちゃくちゃ大事だというふうに思うんですよ。  そこで、ひとつ事実関係を事務方の方に教えていただきたいんですけれども、持続化給付金に替えて事業再構築補助金というものを今度つくったよ、一回目の公募をしたよ、申請が締め切られたというふうに聞いておりますけれども、その一回目の締め切られた事業再構築補助金の申請数、そして申請金額、予算対応した対予算比率について教えていただければというふうに思います。
  56. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  事業再構築補助金の一次公募につきまして、電子申請システムに到達している値、速報値としては合計約二・二万件ということでございます。それから、申請金額の合計という意味では、約五千七百億円程度ということでございます。全体の三次補正におけるこの事業予算という意味では、総額一兆一千四百八十五億円というふうになっております。
  57. 川内博史

    川内委員 持続化給付金みたいに、システムが一時使えなくなりましたよ、電話はつながりませんよと、事務局の問題はいろいろあったにせよ、そういう状況ではない、淡々と受け付けられたと。それで、まだ予算の、対予算比率も余裕があるという状況だと思うんですね。  やはり、今政府として何をすべきなのかということを考えたときに、日本の、さっきからずっと議論も出ていますけれども、非常に厳しい状況に置かれている業種というのはもうはっきりしてきているし、例えば旅行業でも、大手の旅行業さんなんかはGoToの事務局をしますとか、あるいは大規模接種会場の事務局をしますからみたいな形で、結構国からお仕事を受けて何とかしのいでいっていますね。しかし、中小はもうどうにもならないという状況だと思いますし、旅館、ホテルもそうだし。  じゃ、そういうところをどうするんですかということを考えたときに、ちょっとでも支援していくということが大事だというふうに思うんですけれども、コロナの納税猶予の制度というのがあったじゃないですか。コロナ特例で、いろいろな税金とか保険料を払えない場合に猶予しますよということで、国税の猶予金額が一兆五千億ぐらいあるんですね。地方税が四千億、猶予額が。保険料が、健康保険料と年金保険料で、合計で約一兆円猶予されている。だから、全体で、国税、地方税、保険で三兆円ぐらい今猶予されている、コロナ特例でということなんです。  このコロナ特例が終わって、しかし、今現に緊急事態宣言中ですから、厳しいところは業況が回復する見込みはなかなか立たない。そうすると、もう一年猶予してくださいよということになるわけですね。ところが、もう一年猶予してくださいよということになると、これはもうコロナ特例が終わっているので、猶予してもらうには金利が一%つくんですよ、金利が一%つく。それは、国からすれば、それでもまけてやっているんだ、本則はもっと高いんだ、まけてまけて一パーにしているんだというんだけれども、三兆円の一パーだと三百億ですからね。  こういう状況の中でも、納税猶予や保険料猶予に特例が終わったから金利取るよというのは、私は、中小企業や小規模企業にとって、それはちょっと、何とかお願いしますよという話ではないかというふうに思うんですけれども、是非、日本の経済界を牽引する、あるいは中小企業、小規模企業を牽引していただく梶山大臣に、財務大臣や総務大臣あるいは厚労大臣関係大臣に、ちょっとこれは何とかしてよ、頼むよ、言われているんだということで、御協議をいただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  58. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員がおっしゃるように、この延滞税ですけれども、従来、本則が八・八%を一%にしているということでありますけれども、でも取っているじゃないかということなんでしょうけれども。  そういう形で対応しているということなんですけれども、ただ、大変皆さん厳しい状況であるということも事実でありますので、資金繰りも含めて、常に、財務大臣、金融担当大臣の麻生大臣と、また西村大臣とも連携をして、次なる対策をどうしようかということは議論をしておりますので、そういった際に、またお話をさせていただければと思っております。
  59. 川内博史

    川内委員 是非、問題提起していただいて、対処していただきたいというふうに思います。  そこで、私どもは、もう一回持続化給付金を実行していただきたいということを累次にわたって申し上げさせていただいているわけですけれども、他方で、不正がないようにしましょうねということも同時に申し上げているわけです。  今日、警察庁の方に来ていただいているので、持続化給付金あるいは家賃支援給付金で、刑事事件、詐欺罪などとして立件した件数、そしてまた金額というものを、現時点における取りまとめを教えていただきたいと思います。
  60. 猪原誠司

    猪原政府参考人 お答えをいたします。  持続化給付金に関する詐欺につきましては、警察では、本年四月三十日時点におきまして八百四十一件を検挙し、立件総額は約八億三千七百万円になっているところであります。  家賃支援給付金に関する詐欺につきましては、警察では、同日時点におきまして七件を検挙し、立件総額は約千五十万円になっているところでございます。  この種犯罪は、新型コロナウイルス感染症の拡大により影響を受ける事業者の方々への支援に乗じる悪質なものと考えており、今後とも、全国の警察において、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいる所存でございます。
  61. 川内博史

    川内委員 さらに、経済産業省さんの方で持続化給付金と家賃支援給付金でもし心当たりのある人は返してねと自主返還の申出を受け付けていただいているというふうに思いますけれども、それらの合計件数、合計金額について教えてください。
  62. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  持続化給付金に関しては、昨日、五月十三日の時点において一万七千七百三十件の返還の申出がございまして、うち一万二千七百二十四件、合計約百三十六億円の返還を受けております。  また、家賃支援給付金でございますけれども、同日、昨日の時点において八百九十三件の返還の申出がございまして、うち八百四十一件、約五・八億円の返還を受けているところでございます。
  63. 川内博史

    川内委員 合計給付した給付金額に比べたら、還付される額というのは、こんなことを余り大声で言っちゃいけないですけれども、やはり日本人というのは真面目なんだなというふうに私は評価してよいのではないかと。だから、もう一度、本当に今厳しい状況にある皆さんに持続化給付金の再支給というものを政府として御検討をされるべきではないかというふうに思うんですね。  去年は全部に緊急事態宣言がかかったので物すごい数の申請があった。今回は、厳しい状況に置かれている事業者というのは非常にはっきりしてきているので、去年のような申請件数にはならないのではないか、ある程度限定されていくのではないかというふうにも私ども見ておりますので、是非経済産業省としても総理と御相談いただいて、前向きな御検討をいただきたいというふうに思うんです。  今、持続化給付金、家賃支援給付金についてのことをお聞かせいただいたんですけれども、実は持続化と名前がつくものはもう一つ、持続化補助金というのもあるわけでございまして、中小企業生産性革命推進事業ということで、これも何千億という予算がついているわけですけれども、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、これがものづくり補助金と呼ばれるものですね。小規模事業者持続的発展支援事業、これが持続化補助金と呼ばれるもの。サービス等生産性向上IT導入支援事業、これはIT導入補助金と呼ばれるもの。この三つの補助金のそれぞれの予算額、そしてこの補助金を配っている団体について教えていただけますでしょうか。
  64. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘中小企業生産性革命推進事業において、ものづくり補助金、持続化補助金、それからIT導入補助金の三つの補助金を、令和元年度補正予算及び令和二年度一次、二次及び三次の補正予算において執行しているというところでございます。  それぞれの補助金の事務局は、実施主体の中小企業基盤整備機構から補助金の交付を受けているということでございます。  予算額ということですが、恐らく契約額ということだと思うんですけれども、ものづくり補助金の事務局は全国中小企業団体中央会でございます。事務局経費の契約額は約百三十三億円というふうになっております。持続化補助金の事務局は日本商工会議所及び全国商工会連合会というふうになっております。事務局経費の契約額は合計約三百三十一億円になっております。IT導入補助金の事務局は、一般社団法人サービスデザイン推進協議会ということでございます。事務局経費の契約額は合計で約五十二億円というふうになっております。
  65. 川内博史

    川内委員 持続化補助金でも家賃支援給付金でも警察の方にお世話になるようなことも出てきているということでございますけれども、これらの補助金については、そういう、この場合は補助金ですから、補助金適正化法違反などが疑われる事例についてはないということでしょうか。それとも、あるということでしょうか。
  66. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  今私が申し上げた令和元年度補正予算、それから令和二年度の一次、二次、三次の補正予算については、委員指摘のような補助金適正化法上問題となる事例については、現時点ではまだ確認されていないということでございます。  ただ、過去に、持続化補助金でございますけれども、過大に補助金が支払われていたのではないかという疑いがあったことから、こちらについては昨年の六月に補助金適正化法に基づく立入検査を行っております。
  67. 川内博史

    川内委員 これは持続化補助金に限らず、経済産業省として、あるいは中小企業庁として、全国的にしっかりと御調査をされるという御予定なのかどうか、おつもりなのかどうかということも併せてちょっと御見解を教えていただけますか。
  68. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま私が申し上げた持続化補助金における過去の補助金の過大な請求ということに関しては、現在、立入調査結果を踏まえて、その原因であるとか、あるいはほかに同種のことがなかったかどうかということについてしっかり調べて、同じことが繰り返されないように対処してまいりたいというふうに思っております。
  69. 川内博史

    川内委員 よろしくお願いをしたいというふうに思います。  ところで、持続化補助金と家賃支援給付金、これの事務費が現在までのところどのくらいになっているのかということについても併せて御報告をいただいておきたいというふうに思います。
  70. 奈須野太

    奈須野政府参考人 持続化補助金の事務局経費でございますけれども、現時点で、一般社団法人サービスデザイン推進協議会に対して約六百六十五億円、それから、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に対して約二百三十八億円の概算払いを行っているというところでございます。  今後、残務の処理が終わりますれば、確定検査を行って、最終的に私どもが払う金額を確定して精算するという予定でございます。
  71. 川内博史

    川内委員 大臣、今、サービスデザイン推進協議会には事務費で六百六十五億円ですか、支払ったよと。支払った額ですよね。これは、さんざんやりましたけれども、D社に行くわけですけれども、D社さんも本社ビルを売却しなきゃいけないぐらい大変だよということで、それは大変だろうというふうに思いますが、しかし、こういう形で国の事務を請け負って、とにかくみんながこの場面は生き延びなきゃいけない場面なので、生き延びていただきたいというふうに私も思うし、そういう今状況を教えていただいた。  他方で、日本全国の中小・小規模企業、特に飲食、旅館、ホテル、バス、タクシー、旅行業というのは、皆さんはほとんど支援がないわけですよね。じゃ、そういうところには、自己責任だよ、我慢してね、融資もあるからねと。  しかし、もう既に日本政策金融公庫のコロナ特別融資は、リーマン・ショックのときの三倍、融資実行額が出ている。融資の実行件数を見ましても、政府の御努力で四千万から六千万に二千万枠を増やしたよ、だから、みんな頑張ってねということになっているけれども、実質的には、この三月、四月、五月、融資の実行件数というのは伸びていないんですよ。伸びていないんです。ということは、もう目いっぱいみんな恐らく借りちゃっているんですよ。だから、これ以上はなかなかもう貸せないよという状況になっているのではないか。  そういう状況の中で政府として何ができるかということを考えたときに、持続化給付金の再支給というものは、私は、政府としてどうしてもお考えいただかなければならないことではないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  72. 梶山弘志

    梶山国務大臣 川内委員を始め、様々な委員会でそういうお話、野党の皆さんから法案も提出をしたということも含めてお聞かせいただいているわけであります。それだけ、大変、皆さん、それぞれの事業者が苦しんでいるということは、我々も同じ思いを持っているところであります。  今回、例えば、イベントとか、そういうところも、例えば持続化給付金では二百万が上限でしたけれども、キャンセル料二千五百万を上限にしてお支払いする、さらにまた、キャンセルにかかったものも、固定経費もお支払いをしていく。さらに、直接国ではありませんけれども、地方自治体を通じて協力金という形で積み増しをしているということで、知事会からの御要望をいただきましたけれども、その都度応えているということでありまして、そういった形で、一律のものではなくて、それぞれの地域業種状況というものを見ながら対応する方式を今は取っているところでありまして、この一律のものがいいのかどうかというのは、なかなか難しいところだと思っております。
  73. 川内博史

    川内委員 賢明なる梶山大臣ですから、私がこんなことを申し上げるのはもう甚だ僭越なんですけれども、こういう緊急事態において、こういうことをしたらこの補助金をつけるからね、こういうことをしたらこの補助金をつけるからねというふうにするよりも、こういう緊急事態における正しい考え方というのは、私はばらまきだというふうに思うんですよ。  例えば、病院に対する支援で、緊急包括支援交付金というのを政府としては制度として仕組んでいらっしゃるけれども、四兆六千億、総理もいつも、四兆六千億つけているんだ、四兆六千億つけているんだとおっしゃるんだけれども、実際に、今、現段階で病院にまでその支援が届いているのは、実行されているのは二兆円ぐらいなんですね。半分にまだ満たないんです。二兆円以上が、二兆六千億円以上が病院に届かずに、まだ執行残として残っているという状況。だから、例えば大阪などでは、なかなか受け入れる病院がなくて、自宅で急変する、あるいは搬送中に急変するというような事態も起きているのではないかと思うんですよね。  だから、やはりこの状況をいかにしてみんなで生き延びていくのかということについて、政府としてもう一度再考をしていただく必要があるというふうに私は思っておりますので、大臣にも、ああ、川内はそういうふうに言っていたなということを頭の中に置いておいていただければというふうに思います。  最後の質問ですけれども、ちょっとさっき問いを抜かしてしまったんですけれども、奈須野次長に。  最近、行政事業レビューシートを訂正されていらっしゃいますね、日本商工会連合会が絡むものについて。その経緯、なぜかということについて教えていただきたいと思います。
  74. 奈須野太

    奈須野政府参考人 お答え申し上げます。  まず、私、先ほど持続化給付金と申し上げるところを持続化補助金というふうに間違って述べてしまいました。おわびして、訂正いたします。  お尋ねでございますけれども、今回の先生の国会の御質問に当たりまして、事前にいろいろ資料のお尋ねがございました。その中に、全国商工会連合会が関係する事業の委託先に関するものがございました。その資料をまとめて提出するに当たって、これに関連する事項について、行政事業レビューシートの記載事項についても併せて確認を取ったということでございます。  その際、昨年の様々な御議論を経て開催された調達等の在り方に関する検討会の報告書などの結論も踏まえまして、直近のレビューシートだけじゃなくて、過去のレビューシートに遡って委託先などの履行体制について詳細に記載しようというふうに考えまして、データの更新を行ったという次第でございます。
  75. 川内博史

    川内委員 大臣からも一言いただけますか。
  76. 梶山弘志

    梶山国務大臣 昨年の持続化給付金の際に、いろいろな御指摘をいただきました。また、経産省が執行する事業についてもしっかりと規則に基づいてやっていこうということで、先ほど奈須野参考人から話がありましたように、調達等の在り方に関する検討会、約半年かけて議論して、しっかりとした契約、また、透明性を持つ情報公開ということにやっておりますので、しっかりとこれらを守って、直すべきものは直してまいりたいと思っております。
  77. 川内博史

    川内委員 終わります。ありがとうございました。
  78. 富田茂之

    富田委員長 次に、斉木武志君。
  79. 斉木武志

    ○斉木委員 斉木武志です。  まず、本日は、産競法の案文の懸念事項から御質問をしたいというふうに思っております。  それは、債権譲渡に関する通知の特例が盛られておるんですが、これに関しては、我が会派の部会でも政調でも非常に多く意見が出されました。  これ、どういう案文かといいますと、経産省さんが持ってきたのがこのポンチ絵なんですけれども、ある債権があります。例えば百万円とかの借金の求償権。こういったものを債権譲渡人が新しい債権会社に譲渡した場合、こういった、携帯電話、皆さんお持ちだと思うんですが、スマートフォンなどにはショートメッセージサービスというものが、SMSと言われますけれども、携帯の番号にひもづいてメールが送れるようなシステムが設けられております。この番号にひもづいたショートメッセージサービスで、新しい会社に百万円の債権を譲渡しましたよというふうに通知をしたら、これでもって、民法第四百六十七条第二項に規定する確定日付のある証書による通知とみなすということが今回の改正案に盛られているんですね。  このことが、私は、フィッシングメールとか詐欺と混同されないかなというのがまず一点、懸念事項がございます。  これは私のスマートフォン、そのショートメッセージサービスを見てみると、たまたま、私は昨日、誕生日でして、久しぶりに母から入っているお祝いのメッセージであるとか、あとは必ず相手の顔が思い浮かぶ人から、例えば配偶者であるとか地元の支援者であるとか、非常に近しい方からのメッセージが多いし、あとは、ドコモ、au、ソフトバンクを始めとしたキャリアからの新しいプランの御案内みたいな売り込みのメール、たまにフィッシングメールなんかが混在している、非常に身近なメールサービスなんです。  ここに、こういった今回法律で規定をしているような、債権を譲渡しましたみたいな、こういったメール、重要、何々様、大切なお知らせにつき、御確認願います、通知人株式会社△△△は、この日をもって株式会社△△△が貴殿に有していた下記の債権を下記譲受人に譲渡いたしましたので、御通知申し上げますみたいな、ある意味、非常にかしこまった、非常にいかめしい文面のものが来たら、これはフィッシングメールと思うんじゃないか。  皆さん、例えば、アマゾンの会費の期限が切れたので更新してくださいとか、クレジットカード番号を聞き出すようなものが来ると思います。はっきり言って、そういったものは、ここ、通知のメッセージ画面のスレッドを見て、あっ、これは怪しいからと皆さん削除して開きませんよね。そういうことで感染を防止したり、URLをプッシュして詐欺に巻き込まれるのを防いでいるのが、今、皆さんの、国民のスタンダードかなというふうに私は思います。ですので、まず、こういった通知が来たら、スレッドの状態でもう削除して見られない、通知にならないんじゃないかという懸念が一つあります。  それと、もう一つは、この経産省さんの御説明文を見ると、御通知申し上げますというんですが、これは旧債権人の名義で出しているんですよ。ということは、これが来たら、慌てて旧債権人に、じゃ、百万円払っちゃいましたという誤認払いも生じかねないなというふうに思っております。  そうしたら、その百万円を返したはずなのに、また新債権人の方から百万円の求償が来て、合わせて二百万円払わなきゃいけないとか、こういったときの消費者の誤認払いをどう保護するのか、こういった点も非常に問題があるんじゃないかということが部会や政調でも多く提起されました。  まず、この点の誤認、そして、通知として成り立たない、フィッシングメールと誤認されてしまうようなケース、こういった懸念事項を大臣、どうお考えでしょうか。
  80. 梶山弘志

    梶山国務大臣 本特例の施行に当たっては、議員指摘のように、消費者の利益に十分配慮することが必要であると認識をしております。  このため、本特例を利用する事業者に対して債権譲渡通知の真正性の確保をするための措置を求めるということ、また、本特例を利用する事業者と当該サービス利用者との間における契約等において過誤払いが生じないよう十全な措置を取ること、万が一にも過誤払いが生じてしまった場合には、速やかに債権者に受領した金額を返還することを求めるなどの必要な手当てを行ってまいりたいと考えております。  また、経産省としては、制度の周知、これは大変、周知が重要であると思っております。それと、注意喚起を十分に行うとともに、その他の悪用事例などへの対処について、関係省庁と連携してしっかりと対応を図ってまいりたいと思っております。
  81. 斉木武志

    ○斉木委員 今大臣後段におっしゃいましたいわゆる便乗詐欺、これも非常に懸念されるなと思います。新しい制度をお上がやったといったら、上に政策あれば下に対策ありですからね。民間のまさに特殊詐欺グループなどが、こういったショートメッセージサービスで今度こういう通知がオーケーになった、国が認めた、じゃ、それを装ってフィッシングメールを送りつけてやれというのは、容易に想像できるわけです。だから、こういったいわゆる便乗詐欺をどう防いでいくのか。  今日は審議官にも来ていただいていますので、その辺り、何か腹案はございますか。
  82. 中原裕彦

    中原政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘をありがとうございます。  本件の特例によってなされる通知と申しますのは、いわゆる債権譲渡の通知でございまして、事実状態を伝える観念の通知でございまして、履行の請求を行うものでは必ずしもないわけではございます。  しかし、御指摘のように、こうしたサービスに乗じて、そうした詐欺のような、架空請求のようなものが更にその上になされることのないように、経済産業省といたしましても、制度の周知や注意喚起を十分行いまして、そして、その他の悪用事例などについても、関係省庁としっかりと連携をして対応してまいりたいというふうに存じております。
  83. 斉木武志

    ○斉木委員 具体的なプランまではちょっと聞けませんでしたけれども、そういうところも含めて、スレッドごと削除されてしまうであるとか、先ほどもおっしゃっていた、じゃ、その百万円を債務者に返してあげなさいであるとか、そういったものをビルトインした業者しか認めませんよとか、こういった実効性の担保、不正の防止というのは非常にこの新しい制度には重要だと思っておりますので、是非その辺りを、まあ政府側がこうやって決意も示しておりますので、例えば附帯とか、この後の協議も、与党側にも是非、この防止策というのは特段の配慮を願いたいなというふうに思っております。  では、次の質問に参ります。  次は、ちょっと全体的な、先ほど逢坂委員からも御質問のあった、日本人の平均賃金、下がっているじゃないかという視点からお伺いをしたいなというふうに思っております。  ここに、先ほど逢坂先生が言っていたことは数字でも裏づけられるんですね、厚生労働省が毎月勤労統計調査というものを行っております。この数字を見ると、過去二十五年間にわたって、日本人の賃金というのは、右肩下がりに、もう真っ逆さまに下がってきております。  これは平成二十七年を一〇〇とした数値で実質賃金と名目賃金を出しておるんですが、一番高かったのが、この三十年間でいうと平成八年、九年、一九九六年あたりですね、一一四・九でした。現在、令和二年、最新の値でいきますと、九八・六まで下がっております。名目賃金でいきますと、平成九年、一九九七年が一番高かった、一一三・九でした。それが直近、令和二年の値ですと、一〇〇・九まで。いずれも、一一四・九から九八・六、これが実質賃金、一一三・九が一〇〇・九、名目賃金、この二十五年間、もうストレートにずうっと下がってきているんですね。  やはりこれが、一番、日本人のまさに懐にどれだけお金があるかを示す、どれだけのお金が、サラリーが日本の勤労者に払われているかという値ですので、これだけだだ下がりに下がってくるということは、それだけ日本人の財布に余裕がなくなってきている。ですので、やはりこれは、日本の消費が低迷をしたり景気が低迷をする大きな原因だろうということは、どなたも容易に推測がつくと思います。  今日取り上げたいのは、じゃ、そうした中で、実は来月から最低賃金の議論、これは昔「あまちゃん」をやった方が今キャラクターとして使われておりますパンフレットですが、地域別最低賃金の議論というのも始まってまいります。まず、最賃の議論というのが、中央で六月から議論が始まりまして、そして、八月は地方の議論も始まっていくというタイミングです。  非常に懸念されているのが、今コロナなので、今年は引上げの議論すら不要ではないかというような意見もあるというふうに伺っておりますが、これは、本年のこの最賃の議論の方向性、引上げの議論すら必要ないという方向なのかどうか、担当官、いかがでしょうか。
  84. 小林洋子

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  昨年度の中央最低賃金審議会の報告書においては、今年度の最低賃金の審議に関する記述がございまして、具体的に申し上げますと、「来年度の審議においては、新型コロナウイルス感染症等による様々な影響を踏まえながら、経済の好循環継続の鍵となる賃上げに向け、」「賃上げしやすい環境整備に不断に取り組みつつ、最低賃金についてはさらなる引上げを目指すことが社会的に求められていることも踏まえ、議論を行うことが適当と考える。」とされているところでございます。  今年度の最低賃金改定に当たりましては、こうした昨年度の報告の趣旨を踏まえつつ、今後、議論を行ってまいりたいというふうに考えております。
  85. 斉木武志

    ○斉木委員 ただ、私が懸念しているのは、まさに、これはその前段に、「令和二年度地域別最低賃金額については、新型コロナウイルス感染症拡大による現下の経済・雇用・労働者の生活への影響、中小企業・小規模事業者が置かれている厳しい状況、今後の感染症の動向の不透明さ、こうした中でも雇用の維持が最優先であること等を踏まえ、引上げ額の目安を示すことは困難であり、現行水準を維持することが適当との結論を下すに至った。」というのが令和二年度の議論でした。  これは極めて異例のことだと思うんですけれども、今おっしゃったのは、これは賃上げの方向を維持しますというニュアンスなんですけれども、こういうふうに引上げ額の目安を示すことは困難なんという結論が今年も出てくると、非常にこれは今後の議論に影響、地方の議論にも影響を与えますので、こういうことはないという解釈でよろしいんでしょうか。
  86. 小林洋子

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  今年度の最賃、最低賃金の改定に当たりまして、今の時点では具体的な結論がありきということではございません。
  87. 斉木武志

    ○斉木委員 非常に守りの答弁でしたけれども、是非最初におっしゃった、やはりこうした中でも上げていくんだという決意、私、これは非常に重要だと思うんですよ。  やはり、消費が何でへこむのか。給料が下がるという将来への不安ですよね。最賃の引上げを議論せずみたいな議論が出てくると、これはもう、日本の経済、先行き厳しいから、もらえるお金も全部、まあ、十万円の特別定額給付金も貯蓄に回ってしまったとか、指摘もございます、もらえるお金は全部貯蓄に回すというような消費性向になってしまう可能性はございますので、経済政策の面からも、それは上げていくんだ、格差を縮めていくんだということを是非御議論いただきたいなと思います。  実際に、私は、これは地方の労働力不足を招いているなと感じるときがあるんですね。これは最賃一覧なんですが、日本の加重平均は九百二円とおっしゃっていますけれども、実は七百九十二円とか七百九十三円の、七百九十円台の県が四十七分の十六なんですよ。十六県は七百円台の非常に低い、九州が多いですけれども、低い最低賃金になっていて、これが地方の労働力不足になっていると私は感じております。  例えば外国人技能実習生や特定技能一号の方が日本のどこの工場に行こうかということを考えたときに、この最賃の表を見るそうなんですね。最賃近傍で働く方は、自分がどれだけサラリーをもらえるかがこの表で分かってしまう。トップは東京、千十三円です。二位が神奈川、千十二円です。そのほか、七百九十二円、七百九十三円の、七百九十円台の県が十六県ある。明確にこの差があるわけです。そうすると、より給料がもらえる九百円、千円の県から行って、七百円台の県は目もくれないというのが人材関係の方の証言なんですね。  これは、そういった十六県は、人材を獲得するという面で非常に競り負けているなというふうに思うんですが、まず大臣、こういった地方の人材不足につながっているというような認識、経産大臣としてはございますでしょうか。
  88. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当然、賃金の多寡というものが雇用につながると思いますし、また、あと業種によっての、作業によっての人手不足というものもあろうかと思います。
  89. 斉木武志

    ○斉木委員 ですので、私は、全国一律というのを実はやっている国が多いんだというのも御提案申し上げたいなと思います。  同じ厚生労働省の担当者に調べてもらいました。こちらに、諸外国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリア、主要先進国の値を取ってもらったんですが、この五か国中、実は三か国が全国一律最低賃金を採用しているんですね。イギリスは八・九一ポンド、全国一律で千三百五十九円。ドイツは九・五〇ユーロ、千二百三十九円、これも全国一律です。オーストラリア、十九・八四オーストラリア・ドル、これは千六百五十九円、全国一律です。  単純平均で今日本は八百四十四円ですので、オーストラリアの二分の一ですよ、最低賃金の。これで見ても、日本はいかに賃金が安くなってしまったか愕然とするところなんですが、さらに、これが全国一律なんですよ。東海岸、シドニーに行こうが、パースに行こうが、メルボルンに行こうが、どの都市に行っても千六百五十九円はもらえる。だから、人口や人材の偏重が、労働力の偏重が起こりにくい。  でも、例えば卑近な例で比べますと、私は福井県が地元なんですが、福井県の高浜町というのは京都と接しております。西に行くと舞鶴なんですね。そうすると、高浜町、福井県は最賃は八百三十円です。でも、市境を挟んで京都に一歩入ると九百九円なんです。だから、高浜町のパート労働者の方、高校生とか主婦の方は、コンビニでバイトをするときには舞鶴に入って勤めるんですね。何でかというと、圧倒的に賃金が高いからです。九百九円と八百三十円を比較して、九百九円の京都府に入ってコンビニで勤める、これが実態なんです。  ということは、こういった安いところ、これは福岡と佐賀でも言えます。佐賀は七百九十二円です。福岡は八百四十二円。当然、越境してコンビニに勤める。だから、こういったやはり安い賃金に人は来ませんので、高いところにパート労働者も行く。こういった最賃の低い県から高い県への、府境、県境での人手不足というのを招いている側面もあると思うんですが、まず、厚生労働省、この辺りの見解はいかがでしょうか。
  90. 小林洋子

    小林政府参考人 お答え申し上げます。  労働市場におきまして、賃金水準、賃金相場があるべき水準より低い場合には、先ほど大臣からもお話ございましたように、企業にとっては労働需要が高まって、労働者にとっては労働供給を減らすということで、人手不足の一因にはなり得ると思いますけれども、県の移動、地方から都市への移動の原因というのは仕事の理由もありますけれども、それ以外、家族とか、家族に関連する移動や教育の移動なんかもございますので、最低賃金に限って言えば、最低賃金付近で働いていらっしゃる労働者の方というのは非正規の方が多うございますので、正規の方と比べると、お仕事を理由で県をまたいだ移動をされることは正規の方よりは少ないということもございますので、最低賃金の地域間格差が労働移動に及ぼす影響は、あり得ると思いますけれども、限定的ではないかなというふうに考えております。
  91. 斉木武志

    ○斉木委員 あり得るけれども限定的とよく分からない答弁ですけれども、大臣にもちょっと伺いたいんですが、やはり最賃近傍というとコンビニのまさに非正規労働者、パートの方はまさに非正規労働者です。そういった方が、要するに、京都のコンビニは人が採れるけれども、隣接する福井県高浜町では人が採れないとか、これは実際起きてきている現象ですので、やはり経済のかじ取り役としては、地方の人材不足、認識されていると思います。  これを解消するときに、分かりますよ、中小企業、地方ほど売上げが大都市や大企業に比べて少ない。でも頑張って、それは私も、例えば地元の女性事務員は千円は出していますよ、八百三十円ですけれども、最低賃金。そうじゃないと人は来ないし、やはり安い賃金に人は来ませんので、頑張って、そこは企業も頑張って上げていくこと、この表の七百九十二円から千十三円を埋めていくこと、全国一律も視野にやはり埋めていくことが、地方の中小企業の人手不足を解消するにも、絶対、私は不可欠ではないかな、日本の経済の好転にも不可欠ではないかなと思うんですが、大臣の御所見はいかがですか。
  92. 梶山弘志

    梶山国務大臣 自民党、自公の政権において、賃金の底上げというものは、常に意識をしながらやってきたテーマでもあります。しかし、それぞれの地域によって、企業の体力にも格差があるということも含めて、一律というのは、今のところ、なかなかやはり難しいのかなと私自身は思っておりますけれども、底上げはしていかなくちゃならない。やはり、これは必ず、少しずつでも底上げをしていって、賃金が上がるような状況をつくっていくというのが私どもの使命であると思っております。
  93. 斉木武志

    ○斉木委員 自公政権においても、二十五年間、実質が一一四・九が今九八・六ですので、ずっと二十五年間ストレートに下がってきている実質、名目賃金。  これは政権政党を問わずに、やはり日本人の方々がいら立っているのは、この三十年、失われた二十年、三十年と言いますけれども、まさにこれですよ、右肩下がりの給料ですよ。ここが好転しない限り、国民の方は納得しないし、安心してお金を使おうとも思えません。やはりここをどう上げていくのか。言葉だけじゃなくて、この数字が、一一四・九が九八・六ですから、今や。これを少なくとも一〇〇に戻して一一〇、一二〇に上げる、こういう努力がやはり我々には必要なんだろうなというのを改めて、私、今日、痛感をいたしました。これは党派を超えて、やはりやっていかなきゃいけない課題だと思います。  それともう一つ、こういった、給料安いよというのは業界からも、いろいろな業界から今聞かれていまして、例えば、私、地元で自動車板金の業者の方と話してきたんですが、ここ三十年、工賃単価が一円も上がっていないということを聞きました。  これはどういうことかといいますと、レーバーレートというふうに業界で言われているんですが、皆さん、自動車ユーザーだと思うんですけれども、自動車の損保会社で必ず保険に入っていると思います。万が一事故を起こしたときには、その工賃単価、要するに、この損保会社が千葉県の市川市に十四社で自研センターという団体を持っておりまして、板金、塗装に係る標準的な作業時間を損保会社が算定する。バンパー交換だったら二十分とか、ドアノブだったら三十分とか、全部指定しているんですね、車種ごとに。細かい本ができております、見せてもらいましたけれども。  これが、熟練工の方でもできないような非常に厳しい短時間の見積りになっているであるとか。やはり非常に、板金工、整備士の方が売上げが上がらない。実際にこれは、全業種平均に比べて自動車整備士や自動車板金の方の平均賃金が著しく低いというのもありまして、非常になり手不足になってきていまして、実際に数で見てもすごく下がってきているんですよ。  日本自動車車体整備協同組合というところ、板金工の集まりですけれども、グラフを見ても、平成二十二年が六千三百四十七社あったのが、今、令和二年は四千三百十六なんですね。どんどんどんどん減ってきている。これは、一因には、自動車が事故を起こしにくくなった、ぶつからない車になっているというのもございます。  これから自動車がどんどん進化をしていけば、当然ぶつからなくなってくる。ますます、その中で工賃を損保会社から据え置かれてしまったら、事故は減るわ、給料は上がらないわ、これはもう維持できないということで、実際に減っていっているんですよ、物すごい勢いで。  これをどうやって維持していくのかというのは大きな課題だと思うんですけれども、担当官、どうでしょうか、この維持に関して御意見はありますでしょうか。
  94. 江坂行弘

    江坂政府参考人 お答えいたします。  自動車整備業におきましては、令和二年度の有効求人倍率が四・五倍ということで、人材不足の状況が厳しくなっております。  このため、国土交通省としても、これに対しまして、自動車整備士の必要性、魅力に関する広報の強化とか、あと、社会的な貢献度の高さに関する、高校を訪問して自らPRをするとか、そういう活動をしているところでございます。  他方、ネットワークの維持ということなんですけれども、これに関しましては、確かに、最近、自動車の先進技術向上しておりまして、被害軽減自動ブレーキなどが搭載されますと衝突事故が減るということがあるんですけれども、ただし、その機能が適切に維持されない場合には、誤作動をして急ブレーキがかかって、かえって事故を起こしてしまうということも実際起こっております。  このため、この先進安全技術を搭載した車両に対しまして、これまでとは違った電子的な整備をきちんとやらなければいけないということがございまして、このため、昨年四月に、こういった先進技術の整備を事業として行う際に国の認証を必要とする特定整備事業制度というのを構築いたしました。  まずは、この制度の円滑な運用を図るために、先進技術について、整備士に対する講習の開催でございますとか、あと地域事業者が連携して開催する勉強会への支援なども行っているところでございます。  国交省といたしましては、このような取組を通じまして、今後も、先進技術が普及した車社会におきましても、安全、安心を支える整備事業サービスのネットワークの維持に努めていきたいと考えております。
  95. 斉木武志

    ○斉木委員 もう一つ、金融庁にも伺いたいんですね。  とはいっても、やはり、千葉県市川市で損保会社十四社が行っている株式会社自研センターの作業指数や工賃単価のはじき出し、見積り、これがブラックボックス化しているんじゃないかという指摘もあるんです。要は、損保会社は支払いを抑えたいから、短時間でできますよ、バンパー交換も十分、二十分でできますよ、でも、実際は三十分、四十分かかると、穴が空いてしまう。  こういったところに車体整備事業者や整備士の方々も入って、納得のいく工賃単価、作業指数の設定というのが必要じゃないかという声もいただいているんですが、その辺り、見解はどうでしょうか。
  96. 伊藤豊

    伊藤政府参考人 お答えいたします。  委員指摘のとおり、自研センターにおきまして、損保会社が共同出資している会社でございますけれども、作業指数というものを定めて、それで、指数の設定に当たっては、実際の修理作業を行って所要時間を計測したりとか、それから、指数をつくるだけではなくて指数の妥当性を評価するため、車体整備事業者実態調査も実施しているというふうに聞いております。  他方で、やはり、保険会社は保険契約における義務を履行する必要があるということでございます。この場合の履行といいますのは、きちんと車を直していただくということでございますので、そこをしっかりと確保するような契約をしていただいて、しっかり車を直して保険義務を果たしていただくということは金融庁として確保しなければいけないところだと思っておりますので、基本的に、この料金につきましては、民民の交渉で個々に決まるというふうに承知しておりますけれども、金融庁は、さっき申し上げたような観点から、よく見ていきたいというふうに思っております。
  97. 斉木武志

    ○斉木委員 これは、民民とはいいますけれども、圧倒的に大きな民と圧倒的に小さな民との契約なんですよ。  損保会社というのは、北海道から沖縄までネットワークを仕組んでいますね、巨大資本です。一方で、板金工場というのは、まさに腕を、たたき上げのおやじさんが五人、多くて十人で回しているような工場、町工場ですよ。そこが損保会社十四社に対抗できるなんというのは、なかなかこれは想像できないし、文句を言ったら、事故の修理を回してもらえなくなるんじゃないかというおそれもあるわけですね。  だから、この力関係の差というのを是非御認識をいただいて、そこは、適切な指数の在り方というものも、国としてもやはり手助けをしていく必要があるんじゃないかなということは申し上げさせていただきたいと思います。  実際に、日本自動車整備振興会などからは、平成二十八年度から外国人技能実習生、令和元年度からは特定技能一号ですね、外国人の受入れを開始したところですが、深刻な人材不足の事態はいまだ改善されておりませんという要望も来ております。  自動車産業のまさに担当大臣として梶山大臣にお聞きしたいんですが、こうして、なかなか、三十年、やはり作業指数、工賃が据え置かれているというのは、私はこれは非常にかわいそうだと思いますよ。それでは人も雇えないよと。もう板金工や整備士に出す給料が払えないという声も来ております。なおかつ、自動車が事故を起こさなくなってきて、なかなか、整備や板金の数も減ってきて、業者も減ってしまっている。  こうした中で、やはり自動車産業が、事故は必ず起きるわけです。私の福井では豪雪がございました、半年前に。豪雪の雪害車、屋根がへこんだ、雪下ろしが遅れて屋根がへこんだのも、半年、一年待ちだというんですよ、直すのに。やはりこれは、板金とか整備の業界が人手不足になっているということの証左だと思うんですね。  やはり、自動車社会を維持していくためには、こうした修理、メンテナンスもネットワークを維持する必要があると思うんですが、梶山大臣、この辺りの人手不足や賃金の低下、三十年据置き、こういったものをどうお考えでしょうか。
  98. 梶山弘志

    梶山国務大臣 自動車産業、裾野の広いという形で、五百五十万人とも言われていますけれども、その中の一部が整備ということだと思っております。  賃金に関しましては、それぞれの役割、その所管の官庁との連携というものもありますけれども、やはり、産業として賃金を上げていくということは全部共通でありますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。
  99. 斉木武志

    ○斉木委員 是非、日本の自動車社会を維持するためにも必要なネットワークだと思いますので、そこは意を用いて経産省としても取り組んでいただきたいなと。省庁連携の取組を求めたいというふうに思っております。  最後に一点お聞きいたします。  商店街も行ってきたんですね。商店街は今苦しんでいます。来客が減っている、飲食はほとんどシャッターが下りています。  その中で、地元の福井県敦賀市というところは、国道八号線という、国道に隣接してアーケードを持っておるんですが、その全国の商店街で、国道にアーケードがある場合には道路占用使用料というものを国に対して納めなければいけない。でも、アーケードがなければ、歩道だけだったら一円もかからないんですよ。アーケードがあるだけで年間三十数万円払わされて、なおかつ、今年は何か、国道の整備をしたとかで値上げをされてしまったと。そうなると、今、組合も、シャッター通りが増えて、全国の商店街がそうだと思います、組合員数が減ってきています。その中で、アーケードをどう維持するかというのが物すごく負担になって、組合員数が減れば減るほど一店当たりの負担金は重くなるわけです。  これで、アーケードを置くだけで使用料を何十万も国に取られるんだったら、じゃ、いっそのこと撤去しちゃおうか、当然そういうモチベーションにならざるを得ないと思うんですね。  全国の、北海道から沖縄までアーケードを撤去したいのであれば国道使用料据置きもいいんですけれども、商店街がなかなか芳しくない中でアーケードを維持しようというのであれば、この道路占用使用料というのを、戦後変わっていないらしいですけれども、これもちょっとコロナ禍だし、見直しをしていく必要はあるかなと思うんですが、まず国土交通省の見解をお聞かせ願えますか。
  100. 宇野善昌

    宇野政府参考人 お答え申し上げます。  道路占用料は、公共用物である道路の継続的かつ独占的な利用によって占用者が受ける利益を徴収するという考え方の下、基本的に全ての占用物件について、一般的な土地利用における賃料相当額を徴収しているところでございます。  商店街に設置されるアーケードについては、これにより沿道店舗の利用客等が雨風をしのぐことができることとなり、占用者にとって利益があるため、占用料を徴収することとしております。  ただし、直轄国道におけるアーケードの場合は、沿道店舗の利用客等のみならず一般的な道路利用者も恩恵を受けることを踏まえ、特例的に通常の算定方法による占用料の額から八割を減額し、また、積雪が特に甚だしい地域及び降灰地域の場合には、九割を減額することとしております。  このように、アーケードの占用料については、道路交通の利用に寄与する度合いに応じて八割以上を減額する特例措置が講じられているものであり、引き続き制度を適切に運用してまいりたいと考えております。
  101. 斉木武志

    ○斉木委員 まさに福井県は九割減なんですが、それで一割しか払っていないのに、年間三十四万も負担しているんですよ。本則だったら、三百四十万なんてとても払えないと思うんですけれども。  最後に、大臣、全国の商店街の応援者として、こういった道路負担金というのは、アーケードを維持するつもりであれば、お上も考えてほしいという声はあると思うんですが、いかがですか。
  102. 梶山弘志

    梶山国務大臣 全国の商店街によって事情は異なると思っております。元気な商店街もありますし、だんだんだんだんやはり寂れてきている商店街もある。そういった商店街に対して活性化するための支援をさせていただいているということでありますけれども、このアーケードの件については国土交通省ということでありますけれども、その活用も含めて、どういう形にすべきかということを私どもでも考えてみたいと思います。
  103. 斉木武志

    ○斉木委員 是非コロナ禍で売上げが落ちている商店街に値上げなんという、非常に厳しい、もうちょっと時局を見ろよ、我々の懐具合、営業状況を考えろよという声は頻々と上がっておりますので、是非、そういう小さな声に耳を傾けていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  104. 富田茂之

    富田委員長 次に、山崎誠君。
  105. 山崎誠

    ○山崎委員 こんにちは。立憲民主党、山崎誠でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。  産業競争力強化法等改正案ですが、ちょっとその前に一件、どうしても取り上げさせていただきたい案件がありますので、そちら、通告では五番になりますが、お話をさせていただきたいと思います。  実は、メガソーラーの事案であります。  今、皆さん御存じのように、太陽光発電、大変重要な発電ではありますが、メガソーラー、いわゆる環境を著しく破壊をする開発についての問題が全国で持ち上がっています。そうした疑いの強い案件の一つとして、宮城県の丸森町の事例を皆さんに共有いただきたいと思います。  実は、これは私、四月の二十七日に環境委員会で御質問させていただいて、環境アセスの問題でございますので、その点で御質問をしたんです。そのときの議論と、実際に今起こっていることが、ちょっと私にとっては大変遺憾な状況が起こっています。その点をちょっと改めてたださせていただきたいと思います。  資料一は、見ていただきたいんですが、これが事業の概要、地図であります。  丸森町は、宮城県の、福島に接する、森に包まれた町であります。そこで今、この森林を大きく切り開く、巨大なメガソーラーのプロジェクトが進行しようとしている。  地図を見ていただいて、大きな二つのエリアに分かれてこの事業というのは今計画をされていまして、上が、仙南プロジェクトということで、二万八千を超えるキロワット、下が、丸森プロジェクトということで、二万七千六百二十六キロワットですかね、この二つに分かれています。  実は、アセスメントは、四万キロワット以上で法アセスになります。この二つ、分かれていることによって、アセスの対象にならない、第一種、第二種とも環境アセスの対象にならないということであります。  これは、この二つに分かれることが環境アセス逃れではないか、そんなような疑いも持たれていて、これは二つ合わせると、先ほど言ったように、五万五千ですから、一種の環境アセスにかかる。敷地の広さは東京ドームの二十五個分という、巨大なプロジェクトであります。  それから、この丸森町というのは、二〇一九年の十月、台風十九号のときに大変な大きな被害を出した地域であります。土砂災害、家屋の浸水、倒壊、道路の冠水。十一人もお亡くなりになられた。そういう地域なんですね。また、この地域というのは、元々水害も繰り返してきている地域なので、住民の皆さんは、このプロジェクトが動くことによっての環境破壊、そしてまた、そうした水害、自然災害の危険というものに非常に今懸念を示されている。  丸森町は、反対の立場で、議会も含めて声を上げていらっしゃるということであります。論点は三つ今ありまして、一つは、環境アセスを何でやらなくていいんだ、今、やらない方向に動いている、何で環境アセスをやらなくていいのかというのが一つと、あと、森林法で定めている林地開発許可を取ろうとしているんですけれども、これは許可を与えていいのかどうか、それから、FIT認定を与えていいのかということが、三つ論点になっていることであります。  それで、さきの環境委員会で、私、このお話をずっとしたときに、この環境アセスを何でやらなくていいんだというお話をしたときに、これは、地図で見ていただいたとおり、便宜上分かれているんですけれども、例えば次の資料二を見ていただくと、組織体制表がありまして、この真ん中にライズアップという会社があって、その下にHK―ONEという会社がありまして、例えばこのHK―ONEの担当者が説明会で二つのプロジェクトを一緒に説明をして、一体でとにかく事業は進んでいて、ただ、形式上、事業者は分かれている。そして土地、これは五百メーターぐらいの距離でありますが、分かれているという形なんですね。  これは一体でやはり環境アセスの対象というふうに見る方が、環境を守るという意味でも正しい方向ではないかということで御質問をさせていただきました。  江島副大臣からは、こんなような答弁をいただいたんですよ。ちょっと読み上げます。経済産業省としては、宮城県からいただいた当該の二つのプロジェクトに関する情報をもって判断をする限りでは、事業者が別であるということなどから、これは一連の事業とは言えずに、対象外として判断していますので、宮城県には近日中にその旨を回答する予定ではありますが、まあ、別々の事業だということで環境アセスの対象外だという判断を示そうとしているが、続きです、太陽光発電設備の設置形態が非常に多様化しておりまして、まさに委員が御指摘をいただいたような、いわばそういうアセスをしなくてもいいというような条件設定というものが今現在に起きておりますので、この件に関しましては、同一発電所等の判断基準につきましては、これは環境省とともに改めて検討を行っていきたいと思いますというお話だったんです。  私は、当然これは、一体でやはり検討するべき余地があるのではないか、一体ということは環境アセスが必要だ、そういう事業として検討する余地があるのではないかということで江島副大臣は判断されたと私は思ったんですよ。  そして、小泉大臣もいらっしゃいますので、環境アセスの立場から、所管する環境省の立場から御質問しました。そうしたら、今先生が言われたこの案件についても、先ほど江島副大臣からもお話がありましたが、本来だったら法アセスの対象となるべきなのに、いわゆるアセス逃れ、そういったものが起きないように、経産省と環境省でも早急に検討をして、考え方を改めて整理する必要があるだろうと感じていますという御答弁なんですよ。  この案件についてもですよ、この案件についても、アセス逃れなどということが起きないように、考え方を改めて整理する必要があると。だから、私は、私がお話ししたような、要は、これは一体で環境アセスというものについてやはり対象にすべきではないかということを検討いただけると思ったんです。  そうしたら、この質問の直後に、経産省の電力安全課から宮城県に返事が返ってきました。四―二という資料なんですけれども、要するに、問合せがあった、この問合せの内容についてはまた後で触れますけれども、問合せに答えて、当該事業が一体であるとは判断できず、したがって、環境アセス、環境影響評価法に定める第一種事業に該当するとは言えないと答えちゃっているんです。環境アセスの対象じゃないと答えちゃっているんですよ。  これが、私が質問した直後に、見計らったように出ているので、それを昨日の夜知りまして、ちょっと、これはさすがに、今お話ししたような、少なくとも検討をして、検討をした結果、やはりこれは別事業にしましたというのならまだ分かります。でも、本当に検討したんですか。この事業を本当に検討していただいて、これは一つのモデルケースだと思いますよ、これは本当にこの通知というのが正しい判断だったのか、それをちょっとお二人にお聞きしたいんですけれども、まず梶山大臣、どうですか。
  106. 梶山弘志

    梶山国務大臣 江島副大臣が申し上げましたのは、多分、一般論でのお話だと思うんですね。  経済産業省では、太陽電池発電所の設置形態の多様性等を踏まえて、環境影響評価法の趣旨が徹底されるように、同一発電所等の判断基準の在り方について環境省とともに改めて検討を行っていく予定だということで、この個別の件ではなくて、そういう一般論の答えをしたと思います。  そして、今回の宮城県からの問合せというのは、宮城県における林地開発許可や条例アセス等の行政手続を進める上での参考として、同県が経済産業省に見解を求めたものでありまして、当省としては、その段階で、外形上、この書類のみで判断しますと、宮城県が得ていた情報に基づいて判断をすると、先ほどのような判断をしたということであります。  国内では数多くの太陽光発電所の計画があるために、これらの一つ一つのプロジェクトの詳細情報を事前に入手するのは困難であると思っておりまして、経産省では、事業者による発電設備の工事計画届出において、環境アセスを含めた関係法令の遵守や安全基準への適合性などを詳細に情報を確認しているところであります。  工事計画の届出時点で環境アセスの要件に該当すると判断されれば、事業者に対してその実施を求めることになります。
  107. 山崎誠

    ○山崎委員 今のお話は大事で、まだ工事計画を出していないんですよ、届出。だから、届出が出た段階で、今の大臣のお話は、もう一回検討して、環境アセスの要否については判断の段階があるということでよろしいですね。それだけ確認させてください。
  108. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そのとおりであります。
  109. 山崎誠

    ○山崎委員 済みません、副大臣にもお越しいただいています。笹川副大臣、ちょっと。
  110. 笹川博義

    ○笹川副大臣 今御指摘の丸森町の事業について、これは、環境省としては環境影響評価法に基づく事業者に対する報告徴収等の権限は有しておりません。事業者からの相談を受けていない状況であるため、詳細な事実関係については承知はいたしておりません。  しかしながら、今、四月二十七日の環境委員会で議員から示された情報等々を基に考えれば、今、経産大臣からもお話がありましたから、環境省としても、最終的な環境省としての見解を示すことは今時点では困難ではありますが、本案件について、事業目的、構想、決定の時期などが同一ではないという合理的な説明を可能とする情報は見当たらないように推察されます。したがって、事業者において環境影響評価の対象となる一連の事業に該当しないことを合理的に説明されない場合は、一つ事業として、法に基づく環境影響評価を実施する必要があるというふうに考えております。  環境省としては、本事業に限らず太陽光発電所全体に係る法アセスの対象となるべき一連性の判断の基準について、今後、やはり経産省とも速やかに検討を進めていかなきゃならぬ、また考え方を整理していかなきゃならないというふうに考えております。
  111. 山崎誠

    ○山崎委員 今のお話で、私、これは先ほど読みましたけれども、小泉大臣は完全に、この案件についても、先ほど江島副大臣からもお話がありましたが云々かんぬんで、経産省と環境省でも早急に検討して、考えを改めて整理する必要があるだろうと。この案件についてもとおっしゃっていますからね。  経産省の言い分はどちらかというと次のステップかもしれませんが、私はこれを読む限りは、お二人とも、この案件もちょっと問題だな、検討しようという、私は当然そういう思いで受け取ったもので、ありがとうございますと言って終わっているんですけれども、その後にさっきの話です。だから、私は、これは改めて、もう一回、この答弁も踏まえて、この案件も含めて検討していただきたいと強くお願いをします。  大臣、どうですか。
  112. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申しましたように、参考意見をこのときは求められたということでありまして、この後の工事計画の提出時点で環境アセス要件に該当すると判断されれば、事業者に対してその実施を求めていくことになります。
  113. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  今のお話で、資料の四―二というのが、ちょっとページが余りきれいになっていないんですが、資料の四―一、四―二というのがありまして、四―一が、これが宮城県から経産省に問合せがありましたと。こういう事業があるんですけれども、工事計画届等又は環境アセスメントの要否の判断に係る同一発電所及び同一工事に該当するか否かの判断の目安についてどうでしょう、この二つの事業はどういうふうに扱うべきか判断をお示しくださいというのが来ました。この書類です。  見ていただくと、対象事業が二つ、(一)(二)と並んでいて、事業者が(一)(二)と二つ並んでいて、照会事項としては、「上記二つの事業環境影響評価法に定める第一種事業に該当するか否か」。ずばり環境アセスが必要かと聞いているんですよ。で、「二事業に関する一体性の判断を含む」と。これは、分かれているけれども一体じゃないかな、別々に考えて大丈夫ですかと聞いてきているんです。よろしいですか。地元の皆さんも、これは一体で考えなきゃ駄目だよという声がたくさん上がっているから、そういう当然のお問合せをしたんだと思いますよ。  それで、四―二の回答を見ると、この資料を見ると、下線を引きましたけれども、「事業者が別で、管理が同一か否かの情報はないことや他の判断基準に照らす材料もないことから、「同一発電所である」との判断はできない。よって、当該事業が一体であるとは判断できず、したがって環境影響評価法に定める第一種事業に該当するとは言えない。」と言い切っちゃっているんですよ。  これは、情報がなければ、判断できないと言うのが正しいんじゃないですか。情報がなければ、判断ができないと言うのが私は正しいと思うんだけれども、それを環境アセスに該当するとは言えないと言っちゃっているんですよね。これは大臣、おかしくないですか。情報が足りないんだったら、情報を出しなさい、そう言わなきゃいけないし、情報がなければ、判断できませんと言うのが筋です。これを受けて、宮城県は、ああ、環境アセスは対象じゃないんだなと判断して、森林法に基づく林地開発の話なんかが進んでいっているわけですよ。  大事なんです、これは。いかがですか。
  114. 後藤雄三

    後藤政府参考人 お答え申し上げます。  今回、宮城県からの問合せを受けて、その情報に基づいて、一体性があるかどうかというところは、その情報に基づく限りにおいて一体性があるとは判断できないと言った上で、一体性があると判断できない以上、一種事業とすることもできないということを申し述べたものでございます。  以上です。
  115. 山崎誠

    ○山崎委員 それは苦しくないですか。だから、一体であると判断できないと言うのは分かりますよ、それは。判断できない、だから環境アセスは要らないよと言っているんですよ。これは私は絶対おかしいと思います。  じゃ、もう一回。ちょっと別なことを聞きたいんですよ。これは、実を言うと、次の、六の資料をつけたんです。六―一、二、三、これは、電力安全課が作っている目安、今お話にあった、発電所が同一かどうか、その判断、要は今のような事案をどういうふうに解釈したらいいかというのを、目安を示しているんですけれども、これは何ですか。目安というのは何ですか。通知ですか、規則ですか。何ですか、これは。
  116. 後藤雄三

    後藤政府参考人 これは、経済産業省電力安全課長の名の下に、同一発電所を判断する場合にどのように考えるかというのを明らかにしたものでございまして、ここに書かれておりますとおり、同一構内にあるのか、あるいは設備が近接しているのか、あるいはその事業の管理主体が同一であるのかといったようなところを明らかにした文書でございます。
  117. 山崎誠

    ○山崎委員 何なんですか、これは、だから。課長が出した何なんですか。課長が出した、では、法的な根拠、理由は何ですか、これは。
  118. 後藤雄三

    後藤政府参考人 これは、地方支部等におきましてもその同一性についての判断というのは個々の案件についてしなければならなかったりするわけですけれども、そういったときの判断の目安として地方支部局等に通知をしたものでございます。
  119. 山崎誠

    ○山崎委員 笹川副大臣にお聞きしたいんですけれども、参考人でも構いませんけれども、資料五につけたんですけれども、これは環境影響評価法の二条に同じような、いわゆる事業の一体性に関する評価の問題がありまして、それについて、これは逐条解説を取ったんですけれども、特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更及び工作物の新設及び増改築、この一連性が問題なわけですよ。この一連性の判断については、これは下線を引いています、工事の実施場所や時期によるものではなく、事業目的が同一であり、かつ、構想及び決定の時期が同一か否か等により、総合的に判断されるものでありますと。後ろの方に行きます。また、事業者が複数であっても事業目的、構想及び決定の時期が同一であれば、一連の事業とみなされる場合がありますと書いているんですよね。これは、私はすごくリーズナブルな判断だと思うんですよ。  今回の事業は、場所が分かれていて事業は分かれているけれども、実質的には同一の事業体が準備をして、説明もFITの認定も同じタイミングで全部進んでいるんですよ。  だから、私は、環境影響評価法の二条のこの判断というのがあるので、それと先ほど言った目安とが余りにも違うので、これは目安、この法律に違反していませんか。
  120. 白石隆夫

    白石政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどお示しになられました経産省の目安でございますけれども、太陽光発電所が環境アセスの対象になったという制度改正を行いましたのは令和二年の四月からでございまして、それよりも前に設定されたものでございます。  環境アセスとなるかどうかということは、事業者についてかなり手続上の差異がございますけれども、我々といたしましては、環境アセスの対象となるかどうか、このお示しになられましたコンメンタールにありますとおり、一連性の判断につきまして、事業目的が同一であり、あるいは構想、決定の時期が同一か否かによって総合的に判断されるべきであるということで変わってございません。  お示しになられましたその経産省の目安につきましても、このような考え方に基づいて、経産省と一緒に逐次必要な見直しを提案してまいりたいというふうに考えてございます。
  121. 山崎誠

    ○山崎委員 これは明らかに、経産省のこの目安というのは、私は環境省のこの解釈範囲、ゆがめていると思います。  これは何が書いてあるかというと、例えば、一体の土地の中に柵をつけて、不自然に柵をつけて二つに分けるようなのは駄目ですよと言っているんですよ。それはもう、これは正しいと思います。  だったら、逆に解釈すると、じゃ、そうじゃなくて、分かれちゃったらオーケーになっちゃうんですよ。管理がどうのと入っていますけれども。分かれちゃったらオーケーになっちゃって、さっきの照会に対する回答になっちゃっているんですよ。環境アセスしなくていいですよと。  そうじゃないでしょう。環境影響評価法の二条の解釈によって、これはちゃんと判断しなきゃいけないんです。それが私は経産省の取るべき正しい態度だと思うんですよ。大臣、どうですか。
  122. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、書類のみをもって、参考までに意見をということで、これは出させていただいたということであります。  そして、先ほどから申し上げていますけれども、工事計画の届出時点で私どもは正式に関わっていくということになるかと思います。
  123. 山崎誠

    ○山崎委員 大臣、この回答、出し直してくださいよ。この回答、出し直してください。  このままだと、今までの情報の判断はこうかもしれないけれども、工事計画を見て、環境影響評価法の二条に照らして、環境アセスについての要否については改めて判断しなければいけないというのをちゃんと宮城県に伝えてくださいよ。
  124. 梶山弘志

    梶山国務大臣 宮城県もいろいろ考えた上での話だったと思います。そして、最後に経産省の意見を聞きたいということだったと思います。そして、出された書類を見る限りではこういうことだということで出させていただきました。  ただ、私も経緯を詳細には承知しておりませんから、今委員がおっしゃったような経緯をちょっと確認をさせていただきます。
  125. 山崎誠

    ○山崎委員 是非確認していただいて、これは出し直しは絶対必要だと思いますよ。絶対必要だと思います。  これは、宮城県は環境アセスメント第一種事業に該当するか否かを聞いてきているんですよ。それに対して、必要ないと答えちゃっているんですよ。与えられた情報だけでは分からないというところを、あえて書いちゃっているんですよ。  今お話ししたとおり、私は、この目安もおかしいので、即刻訂正、修正していただきたいんですけれども、どうですか。
  126. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事の経緯の詳細も確認をしてまいりたいと思います。
  127. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。  もう一つ、今日は林野庁からもお越しいただいているので。これも大問題なんですよ。今、実を言うと、工事計画の前に、森林法の林地開発許可が進んでいて、もう一部許可が出ているというふうに話を聞いていて、この事業、先ほどもちょっと詳細、本当は写真とかもいろいろお示ししたいんですが、本当に、地域の、台風の影響などもあって、洪水などが本当に頻発する地域で、ここにこれだけの巨大な太陽光発電所を造って森を開いたら大変なことになるというのは容易に想像できるんです。  それについて、これが、申し訳ないけれども、林地開発許可が出てしまうんだったら、何でもありになっちゃう。ちょっと言葉が雑で申し訳ないんですけれども、どうお感じですか。
  128. 小坂善太郎

    ○小坂政府参考人 お答えいたします。  農林水産省では、森林法に基づき、まず、水源涵養とか、先生御指摘のように防災の観点からというように、非常に重要な森林については保安林に指定しまして、保安林自体は開発行為を厳しく規制しております。  さらに、それ以外の森林につきましても、民有林で一ヘクタールを超える開発を行う場合は、林地開発許可制度により、都道府県知事が災害の防止措置などの要件について審査し、許可することとなっています。  こういった中、この林地開発許可制度につきまして、太陽光発電施設の設置を目的とした開発によって、大規模な森林伐採であるとか、例えば地域住民の反対運動が起こる、そういう事例が見られることから、農林水産省におきましては、太陽光発電の特殊性を踏まえた開発の在り方について有識者の方々に御検討いただきまして、令和元年十二月に、都道府県に技術的助言として太陽光発電に対応した許可基準の通知を行いました。こういうことを受けて、宮城県始め都道府県においては新たな基準に基づく運用が進められているところでございます。  引き続き、こういうような県と国との役割分担の下、都道府県への指導助言を行って、この林地開発許可制度が適切に運営されるように努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  129. 山崎誠

    ○山崎委員 ここで、もう時間がありませんので、詳細を詰めることができないので、また機会を見つけてと思うんですけれども、この案件が本当に通ってしまうと、何というんですか、本当に水害のリスクというものをどう担保したらいいのか分からなくなるというふうにすごく思います。ここはちょっと是非、自治事務だから県の判断だというのはいろいろなところで聞かれる話なんですけれども、林野庁としてのスタンス、いろいろ対応していただいているのは分かりますが、現実ともう一回向き合っていただきたいと強くお願いをする次第であります。  それから、時間が、これで終わりそうで大変申し訳ないんですが、最後、もう一つは、FITの認定でありまして、この事業者の中核にいる方が、実は、二の組織体制図の真ん中にHK―ONEという会社があって、ここの代表取締役ですかね、原田さんという方が贈賄の容疑で逮捕されて、それで略式命令が下って五十万円の罰金が決まったということが今言われています。要は、贈賄、犯罪を犯したということが確定しているわけですよ。それで、この人は何をやったかというと、地元の区長さんに贈賄をやって、この事業を賛成に回ってくれということで口を利こうとした、まあ、区長さんは受け取らなかったという話ですけれども、それが立件されたわけですよね。  こういうときに、この事業自体を、FIT認定が、いいんでしょうかと。法令違反は認定取消しの事由になるというふうに聞いておりますが、例えばこのような犯罪行為が事業者の中で中核的な人から起こっていることに対して、FIT認定、そのままでいいのか。この人は、実は事業主体の社員ではないんだよと言っているんですけれども、真ん中にいて事業統括をして、これまでのいろいろなプロジェクトを仕切ってきた人なんですよね。そういう人が、たまたま社員じゃないから、FIT認定はそのままでいいのかと。  どういうふうにお感じですか。私は、これは少なくとも報告徴収などを受けて、この人がどういう立場で、どういう、この事業に関わって、FIT認定にふさわしい事業なのかどうかは判断いただかないといけないと思うんです。
  130. 梶山弘志

    梶山国務大臣 再エネ事業地域において長期安定的に実施されるためには、地域と共生を図りながら適正に事業が行われることが大前提であります。  再エネ特措法では、認定基準として、自治体が定めた条例を含む関係法令の遵守を定めています。法令違反が確認された場合には、認定事業者に対して個別に指導や改善命令を行うほか、必要に応じて認定を取り消すこととしております。違反の内容や認定事業者との関係性などの詳細について確認を行って、必要に応じて適切に対応をしていくということになります。
  131. 山崎誠

    ○山崎委員 ありがとうございます。是非、事情をやはり確認いただいて、認定にふさわしいかどうかの御判断をどこかでしていただきたいと思います。  済みません、今日はいろいろな準備をしていたんですが、これで終わってしまいました。宮城県もいろいろ動いています。本当に林地開発の許可が出そうであります。なので、このお話というのは大事でありますので、是非これは出し直しを、もう一回、切にお願いをいたしまして、私の質問を今日は終わります。  ありがとうございます。
  132. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  本日は、産競法等改正案が下請振興法の対象取引類型を拡大していることに関連をしまして、フリーランスの権利保障について伺いたいと思います。  昨年二月四日の予算委員会で、私はウーバーイーツ配達員の実態を基に、労災保険もない、最低賃金もない、労働組合をつくって団体交渉を申し入れても拒否されるといった、働き手の権利が保障されていない問題を取り上げました。その中で、命綱をつけずに高層ビルの窓拭きをやっているようだ、そういう配達員の声を突きつけて、これが健全な働き方と言えるのかとただしました。当時の安倍総理は、答弁の中で、そうした形で広がることは決していいとは思っていないと言われました。  梶山大臣、その場におられた。安倍総理の答弁を覚えておられると思うんですが、総理と同じ認識ということでよろしいでしょうか。
  134. 梶山弘志

    梶山国務大臣 同じ認識であります。
  135. 笠井亮

    ○笠井委員 昨年二月の質問時点では、ウーバーイーツの利用というのは、全国で十都市、配達員は一万五千人ということだったんですが、それがコロナ禍の下で、今や全国三十五都道府県、配達員は十万人にまで急拡大をしております。  安倍前政権は、こうした雇用によらない働き方を、働き方改革や多様な働き方などと持ち上げて、広げようとしてまいりました。菅政権も同様に、昨年の十二月、成長戦略実行計画で新しい働き方の実現の第一にフリーランスを掲げて、一層拡大するという方針であります。  ところが、長引くコロナ禍の影響で、女性や非正規労働者、フリーランスなど、平時から弱い立場の人々にしわ寄せと矛盾が集中していると。一昨日の当委員会の参考人質疑で、日本総研の翁理事長も、そこをサポートする政策を実現してほしいと痛切に言われました。  梶山大臣、やはり、現実に起きている課題をできるだけ救済する、これは当然大事だと思うんですが、そうですよね。
  136. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そのとおりでありまして、それから検討も続けております。  そういった中で、フリーランスというのは、御自分の意識も含めて様々であることも事実であります。  他方、こうした働き方については、契約書面が交付されていないケースがあるなど、取引適正化からの課題や労働政策上の保護についての課題があると認識をしております。これらにつきまして、多様な働き方の一つとして、フリーランスの働き方を希望する方が安心して選択できる環境を整備していくことが重要だと考えております。
  137. 笠井亮

    ○笠井委員 まさにそのとおりと、現実に起きている課題についてはできるだけ救済できるような方向で検討したいと。これは、大臣御自身が昨年四月の答弁でも強調されました。誰一人として取り残さないためにも、まず実態をしっかりつかむことが大事だ、必要であります。  そこで、内閣官房に聞きます。昨年二月の予算委員会の私の質問の後に、内閣官房がフリーランスの実態調査を行っております。調査期間、サンプル数、それから試算の結果ですね、従業者数、これはそれぞれどうなっているか。そして、その後の施策にこれらがどう活用されたか、端的に答弁をお願いします。
  138. 野原諭

    ○野原政府参考人 お答え申し上げます。  調査につきましては、ウェブモニターを用いたインターネット調査の形式で、十五歳以上、七十五歳未満の方を対象に、二〇二〇年二月十日から三月六日まで実施をいたしました。  回答状況につきましては、回答数が十四万四千三百四十二サンプル、うちフリーランスの方が九千三百九十二サンプルでございまして、最後の質問まで調査に御回答いただいたフリーランスの方は七千四百七十八サンプルでありました。  同調査では、フリーランスを、実店舗がなく雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得ている方というふうに定義をいたしまして、フリーランスの人数を、本業の方が二百十四万人、副業の方が二百四十八万人、合計約四百六十二万人と試算をしたところでございます。  また、フリーランスの取引先とのトラブルの内容や書面の交付状況等に関する調査結果を踏まえまして、フリーランスとして安心して働くためのガイドラインを策定するとともに、フリーランスとしての仕事を原因とする病気やけがをしたことがある方というのが二割になるという結果を踏まえまして、労災保険の特別加入に関する対象拡大を行ったところでございます。
  139. 笠井亮

    ○笠井委員 昨年、この調査の後、六月二十五日の全世代型社会保障検討会議第二次中間報告では、フリーランスの適正な拡大を図るために、四つの項目についてのルール整備を行うとしています。一点目の実効性のあるガイドラインの策定については、三月二十六日に、内閣官房と公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省連名のガイドラインが取りまとめられました。今、ガイドラインと話があったやつです。その内容を端的に紹介してください。
  140. 野原諭

    ○野原政府参考人 ガイドラインの内容でございますが、昨年末に内閣官房と、委員から御紹介があった、公取、中小企業庁、厚生労働省連名で案を作成しまして、十二月二十四日から一月二十五日まで意見公募を実施いたしまして、三月二十六日に策定したところでございます。  ガイドラインの内容といたしましては、発注事業者とフリーランスとの取引について、独禁法、下請代金法適用に関する考え方を整理いたしまして、問題になりやすい行為類型を、問題となり得る行為の想定例つきで明確化をいたしました。それから、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上、雇用に該当する場合には、労働関係法令が適用されることも明らかにいたしました。そういう内容でございます。  内閣官房におきまして、関係省庁と連携して、ガイドラインの内容を分かりやすく紹介したパンフレットを作成したところでございまして、フリーランスの方にも、発注事業者の方にも内容が行き届くよう、関係省庁と連携して周知徹底していきたいと考えております。  以上でございます。
  141. 笠井亮

    ○笠井委員 このガイドラインは、フリーランスの定義を、先ほども答弁でありましたが、実店舗がなく雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者というふうにしております。  そこで、その中で、ウーバーイーツの配達員のような、単発、短期の仕事を請け負ういわゆるギグワーカーも含まれるということになりますか。
  142. 野原諭

    ○野原政府参考人 委員お尋ねのギグワーカーにつきまして、世の中でいろいろな用語としては用いられているものではございますが、令和元年の成長戦略実行計画では、技術の進展により、インターネットを通じ、短期、単発の仕事を請け負い、個人で働く新しい就業形態をギグエコノミーと呼ぶというふうに記載をしておりまして、ギグワーカーがこうした働き方をする方を指すのであれば、フリーランスガイドラインで定義をしたフリーランスに該当するものというふうに考えております。  なお、短期、単発の仕事を請け負うのではなく、雇用形態で行っている場合は、雇用関係法上の労働者ということになるというふうに考えております。
  143. 笠井亮

    ○笠井委員 公正取引委員会に伺いますが、ウーバーのようなプラットフォーマーの方は、これは仲介事業者に当たるということですか。
  144. 藤本哲也

    藤本政府参考人 お答えいたします。  個別の事案については答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン、このガイドラインにおける仲介事業者とは、発注事業者とフリーランスの間の取引などの仲介サービスを提供する事業者うち、仲介サービスの規約に基づき、フリーランスなどのサービス利用者から仲介に対する手数料や仲介サービスの利用料を徴収する、こういうビジネスモデルを取る事業者を言っております。  仲介事業者に該当するか否かにつきましては、個別の事案ごとに判断されるということになります。
  145. 笠井亮

    ○笠井委員 公取委にもう一問伺いますが、ガイドラインには、仲介事業者が遵守すべき事項として、規約の変更を一方的に行うことでフリーランスに対して不当に不利益を与えることになれば、優越的地位の濫用として問題となるとあります。  ウーバーイーツの場合、配達の報酬はウーバー側が設定したものでありまして、メールの告知のみで急に減額されることもあったと。報酬が減れば長時間働かなければならない。配達員にとっては死活問題ですけれども、圧倒的な力関係のために応じざるを得ない、これが実態となっております。  今、ウーバーがこの五月十日から全国で導入した新報酬体系が報酬の大幅減をもたらすと大問題になっております。先行実施されていた地域では、一件の配達が百円台だったり、配達距離に関係なく一律三百円とされる事例が数多く報告をされています。  そこで公正取引委員会に伺いますが、時給換算すれば最低賃金を大幅に下回る報酬水準ということになりますけれども、一方的な、しかも最賃を下回る報酬の決定というのは、これはガイドライン上も問題ではないかと思うんですが、そのことはどうでしょうか。
  146. 藤本哲也

    藤本政府参考人 お答えいたします。  個別の事案については、答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、先ほど先生も御指摘のとおり、規約の変更を一方的に行うことにより、自己の取引上の地位がフリーランスに優越している仲介事業者が、フリーランスに対して正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えることとなるときには、優越的地位の濫用として問題となる、こういう考え方をガイドラインにおいて示してございます。
  147. 笠井亮

    ○笠井委員 これまでの報酬体系は、ウーバーイーツの場合、ウーバーの場合、飲食店から料理を受け取る受取料金と、それからお客さんに渡す受渡し料金と、届け先までの距離に応じた距離報酬といった内訳が明示をされておりました。  ところが、新しい仕組みでは、配達にかかる時間や距離、それから繁忙状況などを基にウーバー側が決めて、配達員には内訳が示されなくなったということになっております。  そこで梶山大臣に伺いますが、ウーバー側は、配達員らでつくる労働組合、ウーバーイーツユニオンの抗議にもかかわらず、このやり方の全国での導入を通知しておりまして、こんな一方的なやり方が許されるなら安心して働きようがないと思わないか、その点。  ウーバーは巨大プラットフォーマーであります。昨年のプラットフォーマー取引透明化法の審議の際に、我が党はギグワーカーに対する不当行為を防止するための措置について速やかに検討し所要の措置を講じることなどを盛り込んだ修正案を出しましたけれども、まさにそういう形での何らかの措置が、検討すべきときが来ているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  148. 梶山弘志

    梶山国務大臣 デジタルプラットフォーム取引透明化法は、デジタルプラットフォームの中でも、取引実態等を踏まえ、特に取引の透明性、公正性を向上させる必要性が高い分野を政令で定めて規律の対象とすることとしております。また、イノベーションと規律のバランスを確保する観点から、一律の禁止行為等は規定をしておりません。  内閣官房デジタル市場競争本部における各種調整や様々な評価の結果を踏まえて、本年四月にオンラインモール市場やスマートフォン等におけるアプリ市場を規律対象として運用開始をいたしました。  他方、仕事と個人のマッチングを行うデジタルプラットフォームについては、市場の状況取引実態について、この法律で同様に規律対象とするべきとの実態が明らかとなっているものではなく、現時点で規律の対象とする予定はありません。  むしろ、御指摘のギグワーカーを含むフリーランスについては、独禁法、労働関係法令など、様々な観点が関係することから、内閣官房を中心に検討した結果、本年三月に関係省庁がフリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドラインを策定をしたということであります。ガイドラインにおきましては、独禁法や労働関係法令の適用関係について、デジタルプラットフォームが注意するべき事項も含めて整理をされていると承知をしております。  今後も、関係省庁と協力しながら、多様な働き方で、安心して働くことのできる環境整備を進めてまいりたいと思います。
  149. 笠井亮

    ○笠井委員 多様な働き方で、安心してやっていけるというのは大事なことだと思うんですが、一昨日の参考人質疑で、川上資人弁護士からも、対応の必要性というのは高まっているということについては御意見がありました。  ウーバーイーツなどの労務提供型のプラットフォーマーを特定プラットフォーマーに指定したとしても、事業者に課されるのは経産省への報告義務や苦情受付体制の整備くらいで、大きな義務を発生させるものではないんですね。逆に、公平性、透明性を確保することで信頼性向上につながるんじゃないかと思うんですけれども、そういう改めての検討というのが要るんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  150. 梶山弘志

    梶山国務大臣 デジタルプラットフォーム取引透明化法の中で検討するかどうかは別にして、こういった課題についてはやはりしっかりと検討していかなければならないと思いますし、課題は解決をしていかなければならないと思います。
  151. 笠井亮

    ○笠井委員 是非、課題解決という立場で、検討をお願いしたいと思います。  さらに、川上参考人からは、フリーランスの取引の不安定さの原因には、常に契約の一方的終了の危険にさらされているために、契約終了を恐れて、他の不当な行為に対しても声を上げられないという状況に置かれているということがあるという指摘がありました。  一方的な契約終了の事例を伺ったところ、理由も告げずにウーバーイーツ配達アプリのアカウントを停止された配達員の例、全国にヨガ教室を展開しているヨギーのインストラクターが、会社が新たにつくった有料講習と認定資格の義務づけについておかしいと声を上げたら、受持ちのクラスをゼロにされた例などが紹介をされました。こんな事例が数えられないほどあるということを参考人が言われました。  梶山大臣に伺いますが、ガイドラインでは、一方的な発注取消しというのは優越的地位の濫用として問題となり得るというふうにしておりますけれども、昨年の大臣の御答弁のとおり、現実に起きている課題である一方的な契約終了についても、これはガイドラインでもきちっと対応して救済すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  152. 野原諭

    ○野原政府参考人 フリーランスのガイドラインの中にも、類型として五というのがありまして、一方的な発注の取消しという項目がございます。発注事業者が、正当な理由なく、一方的に、フリーランスに通常生ずべき損失を支払うことなく発注を取り消す場合等について、そういう意味では、一定の要件がある場合について、優越的地位の濫用として問題になるということを明記しておりまして、一方的な契約終了のものも、要件に当たる場合にはガイドラインの対象になるというふうに考えております。
  153. 笠井亮

    ○笠井委員 その辺はより明確にした方がいいというふうに思います。  ガイドラインについて言えば、あくまで指針であって、実効性のある立法措置が必要になってきます。  公正取引委員会に伺いますが、昨年六月の第二次中間報告では、ルール整備の二点目に、下請代金支払遅延等防止法の改正を含めて立法的対応の検討を行うというふうにしておりますけれども、その検討状況はどういうふうになっているでしょうか。
  154. 田辺治

    田辺政府参考人 お答えいたします。  委員指摘の第二次中間報告や、成長戦略実行計画におきまして、資本金一千万円以下の企業からの発注などフリーランスの保護を図る上で必要な課題について、下請代金支払遅延等防止法の改正を含め立法的対応の検討を行うとされたことを受けまして、内閣官房関係省庁とも連携し、検討を行っているところでございます。今後、フリーランスの保護のための立法的対応に向けて必要となる課題について、その実態の詳細を把握した上で更に検討を進めることとしております。
  155. 笠井亮

    ○笠井委員 この実態把握対応を進める上でも、大臣、基本は、権限のある下請検査官、これを確保することが大事だということだと思うんです。  第二次中間報告では、中小企業庁と公正取引委員会の増員などにより、独禁法や下請代金法の執行を強化するというふうに明記されておりますけれども、専任の下請検査官は、中小企業庁でいうと、昨年が五十八人が今年も五十八人。公正取引委員会の方は、昨年が百四人が今年も百四人ということで、増えていないんですね。据え置いたままになっている。  フリーランス、たくさんの方々がいらっしゃって、こういう問題がいっぱい起こっているのに増えていないということなので、これはきちっと人員を増やして執行体制を強化するように強く求めたいと思うんですが、その点いかがでしょうか。
  156. 梶山弘志

    梶山国務大臣 実態的な調査ができるように努力をしてまいりたいと思います。
  157. 笠井亮

    ○笠井委員 是非やっていただきたいと思います。  ILOが今年二月に発表した、変容する仕事の世界におけるデジタル労働プラットフォームの役割というのがありますが、これによりますと、二〇一〇年から二〇年の十年間でギグワーカーは五倍に拡大をいたしました。どうやって働き手の権利を守るのか、各国で真剣な検討が行われております。  イギリスでは、最高裁で、配車サービス、ウーバーテクノロジーズの運転手が同社の従業員認定された。スペインでは、アプリを利用した食事宅配の配達員を従業員とみなすライダー法が発効いたしました。欧州委員会は、ギグワーカーの権利や労働条件の改善に向けて、労働組合や企業側との協議を開始をいたしました。  梶山大臣、日本でもギグワーカーやフリーランスにどう人間らしく働く権利を保障するか、やはり実効ある対策が急がれると思うんですが、その点は急ぐと。よろしいですね。
  158. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど来、参考人からもお話がありますように、いろいろな検討をした上で三月二十六日にガイドラインを公表いたしました。ガイドラインというのは守られなければ意味がないわけでありますから、それぞれ対応していく人たちをしっかり守ることができるような対応もしてまいりたいと思います。
  159. 笠井亮

    ○笠井委員 その上で、より実効あるものというのには法的整備ということも必要だと。各国やっているということで、是非やっていただきたいと思います。デジタル問題担当のベステアー欧州委員は、全ての人を擁護し、安全に尊厳を持って働けるようにするべきだ、こう述べておって、まさにこの立場で対応を急ぐことを強く求めておきたいと思います。  そこで、関連して、フリーランスの問題で直接支援のことについて伺いたいと思うんですが、フリーランスに対して人間らしい働き方を保障するとともに、直面するコロナ禍への支援をしっかり行うことは急務であります。  梶山大臣に伺います。フリーランスが現時点で活用できる直接支援策、国によるものは一時支援金ということになるということでよろしいですか。
  160. 梶山弘志

    梶山国務大臣 多様な働き方の拡大や少子高齢化の中で、働き手の増加などの観点から、フリーランスの役割は今後ますます重要になると認識をしております。  昨年来、委員とも議論をしていますけれども、持続化給付金の中でもフリーランスの扱いというもの、かなり多様だということも含めて、これも決めていかなくてはならないと思ったものであります。  このような観点から、内閣官房や公正取引委員会、厚生労働省など関係省庁と連携して、発注事業者と受託するフリーランスとの取引における、下請代金法や独禁法上の問題行為や労働関係法令の適用範囲などを明らかにしたガイドラインを三月にまとめたところであります。  フリーランスにも多く見られる取引などを新たに下請振興法の対象としたところであり、所管大臣が指導助言を行うことがこれは可能となってくるわけであります。  今回のコロナ禍の支援ということでありましたけれども、一定の条件が合えば、持続化給付金も得られたわけであります。当然、同様に、一時支援金も月次支援金も同様の条件の中で受けられるということであります。
  161. 笠井亮

    ○笠井委員 昨年五月に開始された持続化給付金ですが、今大臣も触れられましたやり取り、大分いろいろさせていただきました。  当初、事業所得を主たる収入とする事業者のみとされましたけれども、その中で対象外となった多くのフリーランスの声を受けて、雑・給与所得事業者へと拡充をされました。これ自体は喜ばしいということで喜ばれたんですけれども、いざ制度が開始されてみると、国保加入が必須条件であったり、被扶養者では対象外、事業所得が一円でもあると駄目だということで、対象外となってしまった事業者が数多くおりました。  一時支援金やこれから申請を受け付ける月次支援金、これについてもやはり同様の要件がある。制度のはざまに取り残されて、結局、持続化給付金も一時支援金も受け取れない、あるいは月次支援金も受け取れなくなるフリーランスというのがいらっしゃるので、こういう方々を国としてどう支えるかというのは大きな課題だと思うんですが、その点、どうお考えでしょうか。
  162. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金と同様の要件でということを申しましたけれども、独立した個人事業者と同等の経営実態がある方に限定する必要があるということで、これらを確認する観点から、業務委託の契約書等に加えて個人事業主が加入する国民健康保険の加入状況により、雇用されていないこと、家族の扶養を受けていない者であることを確認する必要があると思っております。  あくまでも、独立した個人事業者と同等の経営実態があるということを証明する必要があるということであります。
  163. 笠井亮

    ○笠井委員 もう大臣とはさんざんやり取りしまして、やはり独立した経営実態というところをどこで確認するかということが大事な点だと思うので、そこは是非、やはり必要な方に届けられるようにやっていただきたいと思うんですね。  自治体の支援策もあるんですけれども、これもまちまちで、例えば、大阪のフリーランスでスポーツインストラクターの方は、自治体の協力金は飲食店に特化をされて、大阪の場合ですね、主に固定費補填などであって、結局活用できる支援策が自治体からはないという方もいらっしゃる。国もなかなか大変ということになる。広島の個人事業主からは、自治体の支援策は国の支援策に上乗せするものが多くて、国の支援策から漏れた事業者は結局漏れたままということで、何も支援がないという声も上がっているんですね。  だから、ここは本当にきめ細かく、一人一人の個人事業主、フリーランスの方々をどうするか、国としてきちっとやはり支援するということで検討が必要だと思います。  最後に大臣に伺いますが、やはり多種多様な働き方がある中で、国の支援策がその現状になかなか見合うものになり切っていない。全国知事会は、五月十日に、また改めて緊急提言を出されました。もはや全国での緊急事態宣言も視野に入り得る深刻な状況に至っている、そういう認識に立って緊急の提言をされているんですけれども、そういう点では、一時支援金はもちろんのこと、現在準備中の月次支援金についても、支援対象地域も含めた支給対象の拡大や、支給額の上限引上げ、売上要件の緩和などを図って、困っている全てのフリーランスが活用できる制度へと、やはり一歩でも二歩でも改めていくということが必要じゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
  164. 梶山弘志

    梶山国務大臣 全国知事会からは、予算も含めて、都度、要請書が来ております。そういった要請書に対しましてしっかりと予算で応えていくということで、先方とのやり取りは頻繁にさせていただいております。  今回また来ているということでありますけれども、今の状況を鑑みてどういったことができるのか、最大限知恵を絞ってまいりたいと思います。
  165. 笠井亮

    ○笠井委員 最大限知恵を絞る、これは本当に今大事なことだと私も思います。長引くコロナ禍で、もう一年以上たっている中でのことですし、本当に、一人一人の事業者、個人事業者、フリーランス、今日をどうつなぐかとなっている状況だ。  大臣が冒頭にも強調されました、現実に起きている課題は改善しなければいけない、まさにそのとおりで、持続化給付金で浮き彫りとなった課題が今でも改善されていないのは、やはり困っている多くのフリーランスが取り残されてしまっているということになると思うんですね。  ですから、コロナ禍の影響は全国に及ぶ。そして、誰一人取り残さないように要件を緩和をして、そういう下で緩和をして、支給額も見直して、手厚い十分な補償を行うべきだというふうに思います。  私、何度でも言いますが、やはりそういった二回目の持続化給付金こそ今だというふうに申し上げて、今日の質問を終わります。
  166. 富田茂之

    富田委員長 次に、美延映夫君。
  167. 美延映夫

    美延委員 日本維新の会の美延でございます。  先日に引き続きまして、ベンチャー支援の在り方について、まずお伺いしたいと思います。  ベンチャー支援の在り方を議論いたしますときに大きな課題になりますのが、一つ目は資金面、そして二つ目は人材面の問題であります。  一つ目の資金面では、産業競争力強化法に基づいて設置された官民ファンドの産業革新投資機構がベンチャー企業に対する投資を行っていますが、我が国のベンチャーキャピタル投資の金額や件数、ほかの先進国、特にアメリカと比べると非常に小さな状況であります。また、我が国では、投資家が未上場のベンチャー企業に対して投資する手段が少なく、ベンチャー企業側としても資金調達の場が乏しいとされております。この面に関して何か対策が打てないのか。  二つ目は、人材面。将来の起業家を育成する教育の問題のほか、新卒一括採用と日本型終身雇用により人材の流動性が低い問題、失敗が許されない社会風土や、身近に成功した起業家がいないといった様々な理由から、起業を希望する方が少ないとされています。  これらの構造的とも言える様々な課題についてどのように現状を把握しているのか、まずは梶山大臣にお伺いいたします。
  168. 梶山弘志

    梶山国務大臣 委員おっしゃるように、ベンチャーの課題というのは、資金調達の円滑化、人材育成等が課題であるものと思っております。  資金面の課題としては、ベンチャーキャピタル投資額を見ますと、米国ではコロナ禍の中でも二〇一九年の十五兆円から二〇二〇年に十六・七兆円へと投資額が増加している一方、我が国においては投資額が二〇一九年二千二百億円と小さく、さらに、二〇二〇年千五百億円へと減少しております。投資件数も二〇二〇年に千二百件にとどまっていることを踏まえますと、資金調達環境の整備を図ることが必要であると思っております。  政府としては、これまでの産業革新投資機構、JICによるベンチャー企業投資、オープンイノベーション促進税制により大企業からベンチャー企業への資金提供を加速させていますけれども、これに加えて、本改正法案におきまして、ベンチャー企業の大型資金調達を支援すべく、民間金融機関からの融資に対する債務保証制度の創設、オープンイノベーションのグローバル展開を促進するために、国内ファンドにおける海外投資拡大のための特例措置の創設等を盛り込んでいるところであります。  また、人材面の課題としては、政府でもよく有識者からお話を聞いたり経験をした方からお話を聞いたりしているんですけれども、日本の起業家に対するアンケート結果によりますと、日本で起業が少ない原因として、失敗することに対する危惧が強いこと、また、身近に起業家がいない、経験談なんかを聞けない、また、そういった面での人材の育成というものができていないということが課題として指摘をされているところであります。  政府としては、兼業、副業の解禁促進や、経営者保証ガイドラインの見直しなどを通じて、失敗に対する危惧の緩和に取り組んでいるところであります。また、次世代のイノベーションを担う人材をシリコンバレーに派遣する事業を通じて、起業の機運醸成等を図っているところでもあります。  資金や人材といった構造的な課題に対して、本法案予算税制を総動員して、しっかりと対応してまいりたいと考えています。
  169. 美延映夫

    美延委員 今大臣いろいろお話しいただいたんですけれども、この間の、実は参考人質疑のときにも少しお話しさせていただいたんですけれども、私が地方議員の時代に、ある庁舎の土地で、いわゆるベンチャー企業を考えている方が集まって、その方とお話しするような機会があったんですけれども、結局、それから、その方々がすごい有名な企業になったとかというような話がなかなか聞けていないというのが、やはりこれは課題じゃないかなというふうに思っていますので、是非、やはり育てるということは本当に大切やと思いますので、よろしくお願いいたします。  やはり、申し上げたように、資金面と人材面の問題は、今も言いましたように、我が国のベンチャー企業を巡る状況でなかなかネックオフできていないというのが印象です。これらの課題に対する支援策として、産業競争力強化法中小企業等経営強化法では、本改正案による改正事項以外にも様々な創業支援やベンチャー支援に関する施策が措置されているところだと承知していますが、このほかにも、経済産業省では予算事業等により、多様なベンチャー支援策を推進しているものと承知しております。しかし、諸外国でベンチャー企業が成功しているのを例として制度を検証し、我が国においても、現在の制度をより抜本的、根本的に改革していくことも必要でないかと考えます。  ポストコロナを見据え、前例のない規模の大胆な施策を打ち出し、正の循環、すなわち新しい事業やベンチャー企業が次々に生まれてきて成長するシステムをつくり上げていく必要があるのではないでしょうか。  昨今の世界の状況を見ていますと、十年前までは名前も知らなかったような企業がベンチャー企業としてぐんと成長しており、驚くべきスピードで状況が変化しております。そこで、一つ一つ施策の内容や規模を抜本的に拡充する必要性及び今後の方向性について、もう一度、大臣から御所見を伺えますでしょうか。
  170. 新原浩朗

    新原政府参考人 お答えいたします。  先日、委員の方から、今日も未上場の企業についての資金調達について言及されました。これは、私ども、非常にシリアスな問題だというふうに認識しております。  それで、いわゆる新規株式公開、上場、先日もちょっと言及されたところですが、その調達額を見ますと、日本の場合、やはり一件当たり、アメリカの十分の一ぐらいになっているように感じます。しかも、コロナ禍でそれが減少してきているという状態にあると思っております。  日本の上場、IPOですと、上場後に市場で成立する株価、いわゆる初値でございますが、それと、起業家が受け取る金額、株を売り出す公開価格、比較しますと大分差がありまして、起業家の資金調達額が少なくなるという構造問題があるというふうに思っております。この点については、抜本的な検討が必要だろうというふうに思っています。  それとともに、日本以外の国では、創業間もない未上場の企業が、特別目的会社という形態を使って、短期間のうちに上場して、資金調達を行う方法が拡大しております。もちろん、投資家保護が大前提でございますけれども、こういうことも含めて検討が必要だと思っていまして、今夏の成長戦略において、ベンチャー企業を生み出して、かつ、その規模を拡大する環境の整備を大きな柱として位置づけて、経産省としてもその柱の立案にしっかりと協力していきたいというふうに思っております。
  171. 美延映夫

    美延委員 そこはしっかりお願いいたします。  次に、今まで直接的な支援として休業要請支援金等が手厚くされております外食企業がある一方、外食産業、観光業に係る事業者等にとっては、一時支援金という制度がありますが、直接な支援が十分とは言えない状況ではないかと考えます。  そこで伺います。  四月からの緊急事態宣言の延長で影響が長期化する中、周辺の事業者への直接的な支給、第二弾となる支給や新たな支援策を検討されているのかどうか、教えていただけますでしょうか。
  172. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経済産業省では、これまで、本年一月から三月に発令されました緊急事態宣言の影響により売上げが半減した事業者に対して、一時支援金給付してまいりました。  これに加えて、本年四月以降の緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置に伴う支援として、飲食店の休業、時短営業や、不要不急の外出、移動の自粛により売上げが大幅に減少した事業者に対して、一月当たり法人二十万円、個人事業者十万円を上限に、売上減少相当額を月次支援金として給付することとしております。  厳しい状況に置かれている事業者の皆様に対し、速やかに給付できるように準備を進めてまいりたいと思っております。ただ、この月次支援金は、該当すれば何回でも月ごとに申請をできるということでもありますし、しっかりと周知をした上で運用をしてまいりたいと思っております。
  173. 美延映夫

    美延委員 しっかりよろしくお願いいたします。  中小企業の資金繰り支援として、公庫や保証協会経由の融資が、当初、三千万上限で緊急対策として実施されました。その後、上限額は、昨年六月には四千万、そして本年一月には六千万まで引き上げられました。  そこでお伺いいたします。  この上限額の設定はどういう基準で行ったのでしょうか。あわせまして、上限額を引き上げたタイミングはどういうタイミングだったのでしょうか。教えていただけますでしょうか。
  174. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答えいたします。  まず、昨年三月、制度開始当初における実質無利子融資の上限額についてでございますけれども、これは、東日本大震災時に措置した実質無利子融資の上限額と同じ金額ということでございます。あわせて、これは、日本公庫の国民事業中小企業、商工中金、この各制度を併用可能な制度というふうにしてございます。  その後は、今委員指摘のとおり、段階的に上限額を引き上げておりまして、昨年七月には、当初発令された緊急事態宣言の再延長や新型コロナの影響の長期化による資金需要の増加などを踏まえまして、御指摘のとおり、日本公庫の国民事業を三千万から四千万、それから、日本公庫の中小事業それから商工中金をそれぞれ一億円から二億円に引き上げました。  また、さらに、今年一月には、緊急事態宣言の再発令というものを踏まえまして、日本公庫の国民事業を四千万から六千万、日本公庫の中小事業それから商工中金につきましてそれぞれ二億円から三億円に引き上げて、資金繰り支援について拡充してきているところでございます。
  175. 美延映夫

    美延委員 ありがとうございます。  地元からもいろいろとお声をいただいており、そんな中で、具体的に少しお話しさせていただきたいんです。  従業員十五名ぐらいを抱える事業者があります。この事業者はホテルや外食産業に野菜や果物を卸しておられます。仮に、従業員さんの給与が一人四十万、それから売上高人件費率が五〇%の事業者であるとして、推定売上げは月商千二百万円、年商ベースでは一億四千四百万。  それから、コロナの影響で昨年の四月より売上げが五〇%以上減少していることは容易に想定できますが、仮に五〇%減少したとすれば、月間で六百万円の減収で、月間の売上げは六百万円。従業員さんの雇用を維持し続けるなら、人件費を払うのがやっとの状況です。取引先がホテルや外食産業で一〇〇%を占めるなら、これは当然、五〇%の減収では済まないと思います。  企業として資金繰りを回していくためには、平常時経常利益率一〇%で経費は一千八十万、五〇%の減収を前提とすれば、毎月の赤字が四百八十万円となり、資金が不足します。もちろん、この前提では借入返済を含めておりません。  毎月四百八十万円の資金不足が昨年の四月から続いているとすると、現時点で十四か月が経過しており、六千七百二十万の資金が不足していることになります。これはあくまでも一例ですが、この事業者にとってみれば、既に、借入上限枠は六千万円ではもう不足するということになります。  月商千二百万円の事業者ですらこのような状況ですから、これ以上の売上げがある事業者であればなおさら資金が不足することになり、経営が立ち行かなくなることになってしまうことになると思います。  そこで伺います。  今年一月に融資の上限額を六千万円に引き上げたところではありますが、長引くコロナの影響で、事業者は資金繰りも限界に来ていると思われます。更なる上限額引上げを検討すべき時期ではないかと考えますが、検討状況をお知らせくださいますでしょうか。
  176. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  大変厳しい状況にある事業者の方がたくさんいらっしゃるということは承知をしております。  先ほど申し上げましたように、実質無利子無担保融資につきましては、現在、日本公庫の中小事業、国民事業、それから商工中金、実施しているところでございます。  また、最初にマクロで申し上げたいと思いますけれども、今年三月末時点での公庫国民事業におきまして、貸付平均額は約一千二百億円。無利子上限額六千万円を超えて利用している方々、いらっしゃるんですが、極めて少ない状況になってございます。  その上で、無利子上限額六千万円というのは、これは日本公庫の国民事業におけるものでございます。これを突破される方もいらっしゃるわけでございますけれども、仮にこの金額で足りない場合であっても、先ほどちょっと御説明申し上げましたように、無利子上限額三億円の日本公庫の中小事業、あるいは商工中金、これも上限額三億円ですけれども、この実質無利子融資を併用することが可能となっておりまして、したがって、ほかで借りていただくことは可能でございます。  またさらに、これも事業者さんによって適用の可否はあると思いますけれども、実質無利子融資に加えまして、長期にわたって元本の返済が不要となる劣後ローンにつきましても昨年八月から措置しているところでございます。  まずはこういった既存の制度をしっかりお使いいただけるように、私ども、更に周知を進めてまいりますけれども、引き続き、事業者の資金繰り状況を注視しながら、感染状況や資金繰りの状況を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
  177. 美延映夫

    美延委員 今、それ以外にもお金を借りられるところがある、そういうお話をいただいたわけですけれども、非常に厳しいというところは全く事実でありますので、是非ここは検討していただきたいと思います。  昨年九月九日にオンラインで開かれた第二十七回産業構造審議会総会で委員の方が御指摘されていたことを引用させていただきますと、コロナが収束して、アクセルを踏もうとしたときに、ほとんどの飲食店や宿泊施設が倒産してなくなってしまっていれば、魅力のない観光産業になってしまうのではどうしようもない、倒産させないための支援を整理して、例えば、休業や業態転換をしやすくするサポートや事業再編のためのサポートを組み入れていくような取組も必要でないかということであります。  私が思いますに、倒産させないためにやるべきことは、これは当たり前のことなんですけれども、企業の資金繰りを安定させること、これに尽きると思います。繰り返しになりますが、そのためにも、アフターコロナを見据えて、企業を存続してもらうために、裾野を広く、誰もが使いやすい融資制度の上限を、本当に柔軟に引き上げていただきたいということです。  企業を倒産させない、雇用を守り、来るべき経済の復活の際にはしっかりと企業に稼いでいただけるような体制を国でつくり、借りたお金も十分返していけるような好景気に導いていかなければならない、これに全力を尽くすべきだと思います。  この点に関して、先ほど答弁いただいた検討状況も踏まえて、例えば上限の引上げ額とか、それから、具体的に大臣からどういうことを考えているかということをお教え願えますでしょうか。
  178. 梶山弘志

    梶山国務大臣 上限額については、今年になって引き上げたということであります。  先ほど事例に出された企業であったとすれば、多分中小事業ということになると思いますので、上限額はもっと高いところということになりますし、従業員の方は雇用調整助成金ということになると思います。そういったことも含めて対応ができるような形になると思います。  上限額の更なる引上げというお話がありましたけれども、大体、今までの融資の中で、国民事業であれば、上限額に張りついているのが〇・〇五%の事業者、中小事業であれば二・二三%ということで、ある程度これで足りているのではないか。  上限額を変更することにつきましては今の時点では考えていないということでありますけれども、どういった制度を使ったらいいのか、どういうふうな効率的な使い方をしたらいいのかということは、また、国民金融公庫等でしっかりと指導をするように、また相談に乗るようにということでこちらからも申し添えておきますので、しっかり対応していただければと思っております。
  179. 美延映夫

    美延委員 ここは、大臣、丁寧に指導していただけるようよろしくお願いいたします。  次に、社会保険料等の支払い猶予制度の対象期限延長について厚労省に伺います。  現在、厚生年金保険料等の猶予制度として納付猶予特例を設けて、コロナウイルス感染症の影響で企業経営に苦しむ企業支援しています。  まず、この納付猶予制度を利用している事業者はどれぐらいの数あるのか、教えていただけますでしょうか。
  180. 日原知己

    日原政府参考人 厚生年金保険料等の納付の猶予の特例についてでございますけれども、日本年金機構におきましては、事業所からいただきました申請に基づきまして、令和三年三月二十六日までに、約九・八万事業所につきまして許可をさせていただいているところでございます。
  181. 美延映夫

    美延委員 ありがとうございます。  現在、無担保、延滞金なしで一年間猶予をする仕組みでありますが、対象期間は、昨年の一月から十二月までの厚生年金保険料が対象になっていると承知しておるんですが、今年に入ってからも、緊急事態宣言は既に二度発出されております。変異株が猛威を振るっており、収束の兆しは残念ながらまだ見えません。事業者、特に新型コロナで影響を受けている外食、観光に関する企業にとっては、先ほども御紹介申し上げましたように、資金面でも既に限界であります。  従業員雇用を守り、そして、企業事業者を倒産させないために、対象期間を、令和三年一月からしかるべき、延長をすべきでないかと思うんですが、厚労省さんの見解を伺えますでしょうか。
  182. 日原知己

    日原政府参考人 厚生年金保険料等の納付の猶予の特例につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症を踏まえまして、税制対応と同様の措置として設けられていたものでございます。  厚生年金保険料等につきまして、この納付猶予の特例の期限後、なおその納付が困難な事業所につきましては、従来から設けられております既存の猶予の仕組みの活用によりまして、事業所の状況に応じて分割納付も認めるなど、柔軟に対応していくこととしておりまして、こうした既存の猶予の仕組みにつきまして周知広報に努めているところでございます。
  183. 美延映夫

    美延委員 そこをしっかりしていただきまして、できるだけ、厳しい形ではなくて、企業側の、事業者側の意見をしっかり聞いてあげていただきたいと思います。よろしくお願いします。  あと一分しかないので、一問だけ、RCEPに関してお伺いしたいと思います。  昨年の十一月十五日に署名され、二月二十四日に閣議決定、そして、先日、四月二十八日に参議院本会議で承認されました。私も十一月の二十日に当委員会でRCEPに関して質疑させていただきましたが、今後、発効までの日本国内におけるスケジュールや準備はどのように行っていくのでしょうか。現段階で分かっていることを教えていただけますでしょうか。
  184. 広瀬直

    広瀬政府参考人 お答え申し上げます。  RCEP協定、去る四月二十八日に国会で承認をしていただいたところでございます。  今後のスケジュール、なかなか確たることは申し上げられませんけれども、関連する政省令の整備などの必要な手続を行った上で、日本の受諾書を寄託者であるASEAN事務局長に寄託する、こういうことになります。  RCEP協定の発効でございますけれども、ASEAN十か国のうち過半数の六か国、そしてASEAN以外の五か国のうち過半数の三か国以上が寄託した日の後六十日というふうに定められております。他のRCEP署名国の国内手続によりますので、現時点で発効の時点は見通せませんけれども、可能な限り早期に発効させることが重要であるという認識は各国間で共有されておりますので、協定の早期発効と全ての締約国による着実な履行に向けて、引き続き関係国と連携をしてまいりたいと思ってございます。
  185. 美延映夫

    美延委員 ありがとうございます。  時間が来ましたので、RCEP協定に関してはまた次回、続きをさせていただきます。  どうもありがとうございました。
  186. 飯田健太

    飯田政府参考人 済みません。先ほどの御答弁の中で、公庫の国民事業の貸付平均額約一千二百億円と申し上げたようでございますけれども、一千二百万円の間違いでございます。大変失礼しました。
  187. 美延映夫

    美延委員 どうもありがとうございました。
  188. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  189. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。  本日、最後の質疑の番となりますが、よろしくお願いいたします。  本日も、私は、今回の法改正で創設される下請中小企業取引機会創出事業者認定制度について、まずは何点か質問させていただきたいと思います。  先日の参考人質疑の中では、この認定事業者の機能についても少し参考人の皆様と意見交換をさせていただいたんですが、今回つくることになったこの認定制度を使って事業を行う事業者というもののビジネスモデルというのは、実際には従来からある商社の機能にかなり類似をしている、というか、同じなんじゃないかというような印象を強く受けております。  改めて、まずは、今回の認定事業者と、従来から一般的に言われているいわゆる商社というものが、何が違うのか、その辺りを整理してまずは教えていただけますでしょうか。
  190. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、改めまして、下請中小企業取引機会創出事業者でございます。先日も御答弁申し上げましたけれども、どんな事業者かということですが、提携する中小企業の強みを分析、把握をする、自らが発注者から一括して委託を受け、提携する中小企業の中から最適な企業を選定して再委託する、これによって、提携する中小企業者に対しまして取引機会の創出のための必要な助言や情報提供も行いつつ、従来の取引関係に依存しない、中小企業者技術力などを生かした新たな取引機会の創出や適正な価格形成などの取引の透明化を期待する、こういうことでございます。  御指摘の商社でございます。これも多様なビジネスがあるんだと思いますけれども、例えば、特定の分野において、地域内の中小企業の強みを把握しながら、自らが発注者からの委託を受けて最適な企業に再委託を行うといった、同様の取組を実施している商社も存在しているというふうに認識してございます。  そのため、今回の認定基準でございますけれども、取引対価の決定に当たって十分に協議を行う、あるいは中小企業の強みを生かした適切な再委託を行う、こういった振興基準に定める事項を踏まえて事業を遂行すると認められる場合には、商社が下請中小企業取引機会創出事業者として認定されるという場合も想定されます。
  191. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  結論から申し上げれば、従来の商社の中にも、この認定事業者で想定されている働きと同じ働きをする事業者は存在をしているということなんですが、ちょっと通告内容からは漏れてしまうんですが、今回この認定を受けますと、様々な支援策支援メニューが用意されております。税制優遇や具体的な支援措置があるわけですけれども、従来からある商社がこの認定事業者と同じ働きをしている場合、商社自体も認定を受け得るというふうに考えることができるわけですけれども、こうした従来からもう既に存在している大きな企業、商社がこの認定を受けることによって今回用意した支援メニューを活用することを想定しているのか。  これまでの説明を聞いていますと、どちらかといえば、いわゆる新興企業でそういった機能をビジネスモデルとして行っている者に対しての支援メニューであるというニュアンスが強かったわけなんですけれども、今の話ですと、従来からある大きな企業、商社に対しても適用し得るような理屈になってしまうと思うんですが、この辺りはどのように整理をしておりますでしょうか。
  192. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今、私の方から御説明申し上げました商社というのは、いわゆる地域商社みたいなところを典型的に想定してございます。  もちろん、これから制度は認定基準なども整えてまいりますのでその中でということになりますけれども、大企業のいわゆる大きな商社さんがこういった事業をされるというよりは、今委員指摘のとおり、地域のそういった方々が、あるいはベンチャーの方々がされるということを典型的に想定してございまして、そのような基準にしてまいりたいと考えております。
  193. 浅野哲

    ○浅野委員 どうぞ、そこの辺りは十分に御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。  次の質問なんですが、本日お配りをした資料の一を御覧いただきながら質問させていただきます。  今回、この認定事業者の特徴としては、先ほど答弁いただいたように、まず受注を受けて、周囲に存在している様々な事業者の強みを分析し、それを分析結果に基づいて再発注をするということになります。  私は、従前から指摘申し上げているように、再発注する際には透明性、公平性がしっかりと担保されていなければいけないというところはこれまで何度も申し上げてきましたが、それを条文上どこが表しているのかといいますと、この十五条の一項の三になります。赤枠で囲っておりますが、具体的には、「相当数の中小企業者に対し、取引の機会の創出のために必要な助言及び情報の提供を行うこと。」が条文上明確にされております。  これによって透明性、公平性を担保するという意図がここに含まれているんだと思うんですけれども、ただ、この透明性、公平性の定義というのは非常に、言うのは簡単なんですが、証明が難しい。ですので、この条文の中でどのようにその運営上反映させていくのかといったところについて、政府の考え方を確認させていただきたいと思います。
  194. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、十五条の一項に、次に掲げる事業を行う者は、申請により、経済産業大臣認定を受けることができるということになってございます。  御指摘のとおり、こうした取組はしっかりやっていただく必要があるわけでございますけれども、やはり具体的な認定基準は十五条の第三項になるわけでございます。第三項第一号の例えば省令なんかで書くわけでございますけれども、これは、下請中小企業の振興を図るという本法の法目的に鑑みた経済産業省令などを定めてまいりたいというふうに思っております。  これまでいろいろ御指摘をいただいたことの中でいいますと、例えば認定事業者が再委託を行う事業者、これを著しく誰かに偏っていつも発注する、こういうことは防ぎたいわけでございますけれども、これは具体的に申し上げますと、この第十五条の第一項の一号を御覧いただきますと、認定事業者はあらかじめ定めた方法により決定した中小企業者に再委託をするということとされておりますけれども、このあらかじめ定めた方法が再委託を行う中小企業を公平な考え方で選定するというものであることをしっかり第三項の方で確認したい、これが一つ目でございます。  それから、赤枠で囲っていただいているこの第三号でございますけれども、再委託をする見込みのある相当数の中小企業者に対して助言や情報提供を行う、これが偏ったものになってしまってはいけませんので、こういったことがしっかり公平に行われるということを確認するための規定も設けてまいりたいと思っております。  それから、この間、先日委員からも御指摘いただいたんですが、じゃ、今度新しく入ろうというふうにする方々が公正に取り扱われないということは防止する必要があると思っておりまして、これは十五条三項の一号を御覧いただきますと、下請中小企業取引の機会の創出に資することとありまして、これは一部だけではなくて、広く下請中小企業取引の機会の創出につながるということで経済産業省令を定めることにしておりますので、御指摘の、新たに取引に入ろうとする事業者を排除することがないように取り組むということを確認する規定も設けてやってまいりたいと思います。  そのほかにも、振興基準に沿った取組を行うことを確認するための規定を検討してまいりたいと思います。これは、先日、御答弁申し上げましたように、更新制でございますとか、事業実施中の報告徴収、指導助言、こんなことも活用しながら行ってまいりたいと思っております。
  195. 浅野哲

    ○浅野委員 具体的に御答弁いただきましてありがとうございました。  今、最後にちょっと触れていられました報告徴収について次は質問させていただきたいと思うんですが、やはり省令であらかじめ基準を定めて、それをしっかりと運用していただくことは当然だと思います。事業者にもしっかりそれを守っていただくことは当然だと思いますが、やはりそれでも、外部の点検というのは私は必要ではないかと思います。  今回、一枚おめくりいただきますと、十七条の方には報告徴収に関する規定が設けられておりまして、経済産業大臣は報告を求めることができるというような定めになっております。  今日伺いたいのは、今、いろいろな観点からこういうところに配慮していくというような御答弁をいただきましたが、では、それを確認するためにどのような事項についての確認をしていくのか、報告を徴収していくのか、こういったところの考え方を確認させてください。
  196. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員指摘のとおり、認定事業者の報告を求めるわけですが、これは定期的な報告ということではございませんで、例えば、私どもの下請かけこみ寺というものがございます、そちらに下請事業者から相談がされるということでございますとか、あるいは、下請Gメンによって下請中小企業に対する調査なども行っております。こういった中で、不適切な行為が懸念される場合に速やかに実態を確認する、その中でこの報告徴収規定を使ってまいりたいと思っております。  例えば、先ほども申し上げましたけれども、認定事業者の提携する企業とか取引機会を得られる企業が極端に偏っているという場合もございます。あるいは、認定事業者からの一方的な原価低減要請がございますですとか、あるいは百二十日を超える手形サイトでの支払いが行われているでございますとか、あるいは、認定事業者に自分の技術情報を伝えたら、それが漏えいしているですとか、そういった下請振興法上の不適切な情報を得た場合には、この規定に基づく報告を求めて、必要に応じて改善に向けた指導や認定の取消しなど、厳正に対処してまいりたいと考えております。
  197. 浅野哲

    ○浅野委員 その方法は必要だと思います。  その上で、ちょっと私の意見を申し上げますと、例えばかけこみ寺に対する通報できる体制を整える、もう一つは下請Gメンを活用して第三者の目で点検を行うこと、これはどちらも必要だと思うんです。ただ、この二つに欠けているものは、事業者自身の自律的な改善の取組という観点が抜けているのではないかというふうに思うんです。  ちょっと通告には含まれていませんが、その観点でいえば、今回、二年ごとの更新制というのが取られる予定なんですけれども、この制度をうまく活用することによって、事業者の自律的改善というのを促すような仕組みにすべきではないか、このようにも思うんですが、その辺りのお考えを聞かせてください。
  198. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員から御指摘ありましたように、その認定制度を活用して、次の認定を更新していくために、事業者自らがしっかりとした取組を行うということは非常に大事だと思っております。  そのように制度を運用してまいりたいと思いますし、認定事業者ともそのようなコミュニケーションをしてまいりたいというふうに思っております。
  199. 浅野哲

    ○浅野委員 どうぞよろしくお願いいたします。  次の質問に移りますが、これまでは認定事業者自身にフォーカスを当てた質問だったんですが、今度は、この認定事業者取引をする事業者がどういう事業者なのかというところを確認させてください。  認定事業者に発注をする側の事業者もいますし、認定事業者から仕事をもらう側の事業者もこの場合存在することになると思いますが、そういった事業者は、何らかの手続を経て、その取引の輪の中に入っていくような形なのか、それとも、そうでないのか、こういったところを御説明ください。
  200. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  認定事業者取引を行う事業者につきましては、法制度上の限定は特にございません。特に下請の方に関して申し上げますと、できるだけ多くの下請中小企業者取引機会の創出を促していきたいというふうに考えてございます。  その上でなんですが、まず実態面で申し上げますと、例えば、今、既にこうしたビジネスを行っている方々につきましても、やはりそのビジネスで成功するためにはかなり相当数の、数百に及ぶ下請中小企業と連携するということがビジネスの成功のためにまず必要となってまいりますので、まず認定事業者自身が広く探していくということがあろうかと思います。  しかしながら、こうした事業者の情報収集が及ばないところにも高い技術力を持っている中小企業が存在すると思いますので、政府としても、認定事業者と提携することができると考えられる中小企業を発掘していこうということを思っておりまして、例えば、認定された事業者中小企業庁のウェブサイトなどで公表することで、中小企業自らがアプローチをするという道をまずつくっていきたいと思っております。  それから、これも先日も少しお話がありましたけれども、中小企業経営者の中には、自分の技術力とか生産能力を把握したり見える化する、言語化するということにそもそも意識が向いていなかったり、あるいは積極的に提携を持ちかけていくことに不慣れな方々も多いと思っております。  したがいまして、この事業計画の作成などを通じて、個々の中小企業者が本来有する強みでございますとか、あるいは今後の事業展開の方向性というものを明らかにするために、よろず支援拠点でございますとか、あるいは地域の商工会議所だとか、認定支援機関がございますので、そういったサポートも引き続き促してまいりたいと思っております。  成功事例をちゃんと積み重ねていくということが周知のためにも大事だと思っておりますので、しっかり事例の積み重ねと広報に努めてまいりたいと思っております。
  201. 浅野哲

    ○浅野委員 よろしくお願いいたします。  おっしゃったように、中小企業の社長さんは、必ずしも自己PRがうまい方ばかりではない、自社の強みを対外的に発信することが得意ではない方々もたくさんいらっしゃるのもまた事実でありますから、そこをどうカバーしていくのかというのは大変重要な観点だと思います。  その観点で、次、もう一問、この認定事業者について、最後の質問になりますが、先日の参考人質疑の際には、地方の銀行あるいはコミュニティーバンクといった地域密着型の金融機関というのが大変多くの情報を持っているという事実がございまして、この地銀やコミュニティーバンクを活用して、地域中小企業取引機会の創出に資するような取組にできないのかといった話もございました。  事務方に事前に確認しましたら、地銀やコミュニティーバンク自身は再発注側にはなれないということですので、認定事業者になることは難しいというのが今回の法体系になるんですけれども、ただ、認定事業者と地方銀行が連携をすることによって、効率的に地域の強みを持っている中小企業を発見したり、あるいは、うまく地域循環型の経済を構築するということができるのではないかというふうに期待をしております。  この認定事業者と金融機関との連携といったものは是非進めていただきたいと思うんですけれども、これに対する見解をお伺いしたいと思います。
  202. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回創設しました下請中小企業取引機会創出事業者認定制度は、中小企業の持っている強みを生かすとともに、中小企業の下請構造からの脱却、取引における交渉力強化を目指すために重要な役割を担うものであります。  この認定事業者は、例えば、自らが機械製造に要する加工や衣服の製造等を受託した上で、提携する最適な中小企業を選定して再委託するとともに、工程管理や品質管理等も一貫して請け負うことが可能なメーカー等を想定しております。  このように、認定事業者は自らが業務を受託する必要があるため、地銀が認定事業者そのものになることは難しいと思いますが、近年、中小企業支援に注力する地銀も増えていると承知をしております。事業のマッチングなんかもよくやっていますし、そういった事業にも精通している地銀もあるということでありますけれども、これは更にまた専門性が高いということと、目利き力が必要だということもありますので、地銀が直接この認定事業者になることは難しいと思っております。  地域の様々な中小企業とネットワークを持つ地銀が認定事業者と連携を進めることで、下請中小企業取引機会の創出が一層図られるものと考えているところであります。  また、地銀は中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う認定支援機関でもあります。そのため、経済産業省としては、地銀等の支援機関に対して、認定事業者と下請中小企業の橋渡しについて協力要請等を行い、隠れた強みを有する地域中小企業者の発掘を促進するなど、認定事業者の取組がより効果的なものとなるように後押しをしてまいりたいと思っております。  商社というのは、やはりそこの技術の橋渡しをするということと、本来、例えば商社とか卸売事業者というのは、金融面での機能も果たしてきているわけですよね。ですから、サイトの長い決済だというものを短めに出して、またしっかりそこで利益を出すということもあるでしょうし、いろいろな連携の在り方はあると思いますけれども、これからまたしっかりと、これは運用してまいりたいと考えております。
  203. 浅野哲

    ○浅野委員 是非よろしくお願いいたします。  これが全国各地域の循環型経済につながるというふうに期待を込めておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次はテーマを変えまして、DX投資促進税制について一問質問させていただきます。  これまで、私は、クラウド技術活用というものが認定要件に含まれていることに対して、ハードルが高過ぎるのではないかという指摘をさせていただきました。この間も、経産省の職員の方と何度も議論をさせていただいたんですが、クラウド技術というふうに、今回、わざわざ記載をしている。クラウドではなくクラウド技術というふうに記載をしているところに少しポイントがあるのではないかというふうに今感じております。  改めて、今回、クラウドではなくクラウド技術活用というふうに記載をしたその意図、そして、じゃ、クラウド技術というのはどういう定義を持っているものなのかというのを改めて教えていただきたいと思います。
  204. 新原浩朗

    新原政府参考人 今、この税制の中で、インターネット等を介してオープンにデータ処理保管等を行うことができる技術、これをクラウド技術というふうに位置づけております。その活用税制適用一つ要件とさせていただきました。  それで、私も同僚から、委員と大分意見交換をさせていただいたということを聞いておりまして、その中で論点になったところについてお答え申し上げると、今のようなクラウド技術活用したシステムであれば、自社のシステムであっても税制の適用要件を満たすというふうに整理をさせていただきたいと思います。  それから、二つ目でありますが、また、そのシステムが、構築当初は社内のみアクセス可能なクローズドのものであったとしても、他者とのデータ連携の必要が生じた際に、インターネット等を通じてデータ連携が容易なシステム構成となっていれば、これも税制適用要件を満たすこととさせていただきたいと思っております。  同僚からそういうふうに報告を受けておりますので、そういうふうにさせていただこうというふうに思います。
  205. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  やはり、これからDXを取り組もうとしている事業者にとっては、最初から社外とのやり取りが必ずしも必要じゃないケースもあるということを、やはりこれまで課題視してきたわけです。  今御答弁にありましたように、最初構築した当初は、内に閉じた、社内に閉じたネットワークシステムだったとしても、将来的に外にも拡張できるような要件を備えているのであれば認定要件を満たすというふうな理解ができるものだと思いますので、その点、確認させていただきました。ありがとうございました。  時間も残り僅かになってきましたので、最後に、税額控除、DX投資促進税制カーボンニュートラル投資促進税制に適用される税額控除について、最後、質問させていただきたいと思います。  前回は、一〇%というのは、アメリカは三〇%だ、一〇%というのはもう少し何とかならないかという指摘をさせていただきました。御答弁も、これは国内では大変高い水準だという御答弁。そこは、是非、将来的に検討を続けていただきたいと思うんですが、もう一つ、今日聞きたいのは、今回、DX税制とカーボンニュートラル税制を合算して、法人税額の二〇%までは税額控除しますということなんですね。そちらでもキャップをはめているということなんですが、この二〇%というのは、なぜ二〇%なのか。これは私、正直、もうこれだけDXだとかカーボンニュートラルと言われているんですから、せめてこのキャップは外してもいいんじゃないかと思うわけですけれども、その点、政府の見解をお伺いしたいと思います。
  206. 新原浩朗

    新原政府参考人 これも、同僚から委員といろいろ意見交換させていただいたことの報告を受けております。その際も議論になったようでございますが、無論、控除税額の上限を設けない方が制度を幅広く活用できるということは、これは事実だというふうに思います。  他方で、今回設けさせていただいた理由なんですけれども、今日も審議にありましたけれども、カーボンニュートラルとデジタルトランスフォーメーションというのは、かなりの程度、親和性があるわけでございます。したがって、両方使うことがかなり想定されるわけでございます。それで、その上で、特定の企業が極端に大きな金額の優遇を受けることに一定の歯止めをかけるという意味で、これをかけさせていただきました。  二〇%の税額控除というのは、要するに二割棒引きにするわけでございますので、かなりの税制でございます。日本の税制の中でいうと、例えば、類似の税制でいうと省エネ税制、これは税額控除はございません。特別償却だけでございました。それから、IoT税制、これはデジタルの方ですけれども、これも税額控除があったんですけれども、控除率が三%から五%というような税制でございました。今回は、カーボンニュートラルの方ですと最大一〇%の控除率になるので、先ほど委員自身が言われましたように、この前、私もその説明で、前例のない措置となっております。  そういう意味で、趣旨は非常に委員のあれと共感するところはあるわけでございますけれども、その上限をかけたということについて是非御理解を賜りたいというふうに思っております。
  207. 浅野哲

    ○浅野委員 時間が参りましたので終わりますが、税制優遇だけが全てではないとは思います。そのほかにも、是非活用を促進する工夫をほかにもされていると思いますので、その点を改めてお願い申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  208. 富田茂之

    富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時一分散会