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2021-04-28 第204回国会 衆議院 経済産業委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十八日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君    上野 宏史君       神山 佐市君    神田  裕君       工藤 彰三君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    鈴木 淳司君       武部  新君    辻  清人君       冨樫 博之君    西村 明宏君       福田 達夫君    穂坂  泰君       星野 剛士君    三原 朝彦君       宗清 皇一君    八木 哲也君       逢坂 誠二君    落合 貴之君       菅  直人君    松平 浩一君       宮川  伸君    山崎  誠君       高木美智代君    笠井  亮君       美延 映夫君    浅野  哲君       石崎  徹君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 佐藤  暁君    政府参考人    (経済産業省大臣官房商務サービス審議官)    畠山陽二郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           矢作 友良君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           安居  徹君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (特許庁長官)      糟谷 敏秀君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君     ――――――――――――― 四月二十七日  産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第二三号)  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。宮川伸君。
  5. 宮川伸

    宮川委員 おはようございます。立憲民主党宮川伸でございます。  冒頭、新型コロナウイルスインド変異株についてコメントさせていただきます。  インドで今猛威を振るっている変異株でありますが、この変異株日本にも入ってきているのではないか、そして、空港検疫で幾つか見つかっていますが、国内でも一例入っているのではないかというふうに聞いております。このインド変異株、私は、しっかりとこれを抑えないと、またイギリスの変異株と同じように第五波の要因になるかもしれない、また経済に大きなダメージを与えるかもしれないと大変な危機感を持っています。  昨日の質疑の中で、大臣の方から、ゲノムシークエンス解析に関して、今その検査の割合が六・二%というふうに御回答いただきましたが、私はこの数字は余りにも低過ぎるというふうに思っています。それとともに、プローブを作って、PCR検査等のもっと簡便なやり方で早期に発見するということも可能だと思います。技術開発部分や製造の部分に関しては経済産業省かなり力を入れられるところがあると思いますので、是非大臣、企業、事業者を守っていくためにも、このインド変異株がまた蔓延しないように努力をしていただければとお願いをしたいと思います。  それでは、今日は電力システム改革に関して御質問をいたします。  電力システム改革の三本目の柱である発送電分離が四月一日からスタートしまして、総仕上げの段階に来たわけでありますが、電力安定供給確保電気料金最大限の抑制、そして需要家の選択肢や事業者事業機会の拡大、こういったものをやっていくと決めていたわけですが、最大限努力をしていただければというふうに思います。  そういった中で、昨年、容量市場の初めてのオークションが実施されました。この容量市場については、昨年の当委員会大臣と少し議論をさせていただきましたが、私は、この容量市場が、これはオークションの前に議論したんですけれども、古い石炭火力や原発を温存させるような制度にはなっていないか、そういう形にならないかという懸念の下で議論をさせていただいたんですが、少し前になりますが、結果がもう出ておりますので、今日はちょっと検証も含めて質問をしていきたいというふうに思います。  では早速一問目ですが、昨年のオークション約定総額幾らで、これは誰が払うことになっているのか、御答弁いただけますでしょうか。
  6. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  容量市場は、全ての電気事業者が会員となっております電力広域的運営推進機関が主催するオークションでございます。広域機関が全国で四年後に必要とされる供給力容量等を定めた上で、発電事業者等が、電源ごとに、四年後に稼働できる容量と必要な価格を決めて応札する仕組みとなってございます。  お尋ねの、昨年七月のオークションの結果の約定総額でございますけれども、一兆五千九百八十七億円となってございます。  この約定総額に対する支払いでございますけれども、この仕組み自体が、自由化の中で、四年後の電力供給力確保するための制度でございます。ゆえに、この供給力確保義務を負っております小売電気事業者及び一般送配電事業者が支払うこととなってございます。
  7. 宮川伸

    宮川委員 今大臣お聞きのとおり、一兆六千億円近いお金ですが、これは小売がという話ですけれども、実際には、国民支払いとして来るかもしれないわけです。これがどのぐらい国民負担になるのかというところは、ちょっとなかなか、事前議論しても、私もまだちょっと理解ができていないんですけれども、いずれにしても、電力システム改革の中で小売自由化を始めていく中で、小売事業者なのか、あるいは国民に、消費者に対してこの一兆六千億円がかかってくるということをまず御認識をいただければというふうに思います。  その上で、百万キロワットの古い石炭火力の今回のオークションでの収入は、大体幾らぐらいになるのでしょうか。お答えください。
  8. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたのは、オークション約定総額でございました。そのオークションの結果の約定価格自体は、一キロワット当たり約一万四千円となってございます。  古い火力というお話でございますので、二〇一〇年以前に建設された発電設備等、これが全体の約八割を占めるわけでございますけれども、これにつきましては、小売事業者負担激変緩和措置という位置づけで、落札価格の約四割、四二%を減額して支払う仕組みとしてございます。  このため、二〇一〇年以前に建設された石炭火力発電に支払われる価格でございますけれども、一キロワット当たり約八千二百円、百万キロワットの場合は約八十二億円となると認識してございます。
  9. 宮川伸

    宮川委員 ありがとうございます。  そうしたら、次に、古い百万キロワット規模の石炭火力年間維持費というのは幾らぐらいかかるんでしょうか。
  10. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  プラントごとにまちまちでございますので、正確なことはなかなか御答弁しにくいところでございますが、二〇一五年に資源エネルギー庁審議会で行いました発電コスト検証の中の数字を用いて御説明申し上げますと、モデルプラントとしての八十万キロワットの石炭火力年間維持費を八十億円としていたところでございます。  御指摘の、百万キロワットの石炭火力年間維持費について、これはキロワット当たり費用一定だと仮定した場合でございますが、約百億円となるものと認識してございます。
  11. 宮川伸

    宮川委員 ちょっと、事前のレクよりも大分値段が上がっているんですが、私がいろいろな方から聞いている範囲では、そこまで、ちょっとまた後で、この百億円、本当にそうなのかというのをお伺いしたいと思うんですが。  私が最初に聞いていたのは、四十六億円という数字を聞いていたんですけれども、私の認識で、もう一度ちょっと質問したいんですが、今回のオークション上限価格に張りついていますが、今回のオークションで古い石炭火力というのはプラスになっているのかマイナスになっているのか、どういう認識なんでしょうか。
  12. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今、御質問の趣旨をちょっとつかみかねたところなのでございますけれども、約定価格自体上限に張りついてございます。今回は、それにぶち当たっておりますので、上限の約一万四千円になってございます。  それで、古い火力について言いますと、そのうち四割減額をしておりますので、それに相応した形の価格に下がってございます。  先ほどちょっと御懸念を提起いただきましたので、コスト検証との数字の見合いでございますけれども、事前の御説明の中で維持費四十六億円という話も申し上げたかと認識してございます。そことの差異でございますが、八十万キロワットの石炭火力運転維持費の四十年の総額一千八百四十億円ということで、二〇一五年のコスト検証資料で出してございますが、これは、支出を四十年間一定、その上で、割引率を三%として設定していた場合の現在価値の総額でございまして、これを引き直してまいりますと、一年当たり支出が八十億円、百万キロワットに換算すると百億円と、先ほど申し上げた数字になるものでございます。
  13. 宮川伸

    宮川委員 もう一度ですが、ちょっとこれは分かりにくくて、国民が分かるようにしていただきたいんですけれども。一兆六千億円というかなりの大きなお金が動いているわけですから。  それで、元々容量市場というのは、石炭火力維持費を賄うということで、では、その上にプラスアルファでどれだけのお金が乗っかってきているのかという、あるいはこの維持費が賄えないぐらいの結果だったのかというのは、やはり見なきゃいけないことだと思うんです。  ですから、もう一度、今回、上限価格に張りついて、一般的には物すごく高い価格で約定したというふうに言われておりますが、古い石炭火力に関しては、この年間維持費を回収できなかったのか、あるいは余計に市場からお金が取れているのか、どのように認識されているんでしょうか。
  14. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今回の容量市場という仕組み、その場合のオークションについての考え方からちょっと御説明した方がよろしいかと思いますけれども、これはオークションでございますので、売手と買手がございます。といいますか、売り出されているものについて、一定容量供給力確保されるまでに、安い電源からどんどんどんどん積み上げたときに、最終的にどの電源まで確保した場合にその約定する交点が実現できるかということになってまいります。ですので、その供給量ということに至るまでの電源については必要な金額が満たされていることに、通常ならなるはずでございます。  一方で、過去の電源、十年より前の電源については、減額措置を取ってございます。四割減額をした場合に、もちろん、これは逆数入札でより多く入れることができるという設定にはなってございますが、その分、割り引かれたことになってまいりますので、個々案件ごとによって申し上げますと、実質といいますか、コストベースについて、プラスアルファが多く出る設備とそうでない設備というのは個々まちまちになっているというふうに認識してございます。  基本的には、全体の容量を維持していただくための制度でございますので、それ相応な対価として支払えるような価格設定になっているものというふうに認識してございます。
  15. 宮川伸

    宮川委員 大臣、私は、今の答弁は正確じゃないというふうに思っています。もっとしっかりと内容を検証して、本当に取り過ぎていないのか、市場、あるいは、これから顧客の方々にも、消費者の方にも負担が来るかもしれないわけで、取り過ぎていないのか、あるいは足りなかったのか、今の答弁だと分からないわけですね。ですから、もっとちゃんと検証をして、取り過ぎているのかどうか。これが基になって、次の、今年もまたあるわけですが、次のオークションにつながっていくわけだと思います。  ちょっと資料の一というのを御覧いただければと思うんですけれども、これが容量市場幾らで約定するかという図で、委員皆さんもよく御存じだと思いますが、今回はこのAと書いてある上限価格に張りついたわけであります。  ただ、本来は、このBと書いてある斜めのところのどこかで約定する方が設計的にはいいというふうに私は理解をしているわけですが、ここでうまく落ちなくて、上限にぽんと行ったわけです。  ですから、私も専門家じゃないのではっきりしたことが言えないわけですけれども、一般的には、通常ならこのBのところで約定しなきゃいけないのが、上限価格に張りついたので、かなり多く市場からお金が集まったんじゃないかというふうに言われているわけです。  それで、今回、今、答弁では、そこが必ずしも多過ぎたわけではない、会社によって凸凹があるから適当だったというふうに、今、答弁では聞こえているんですけれども、大臣はどういう認識でいらっしゃいますか。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 発電施設ごとによって償却期間も異なればということ、また、コストというものも変わってくると思っております。そういったものをならしてどうしていくかということだと思いますし、四年後の電力需要をいかにして賄うかということも含めて、そういった総合的な観点からこの市場の形成というものをしていかなければならないと思っておりますので、今、審議会で検討していただいていますけれども、そういった中では、できるだけ細かい資料を出して、電源別のものも含めて検討していただくということが重要だと思っております。  ただ、一つ一つ、これが合っているか、これが合っていないかということまで精査をするかどうかということに関しては、まだ、事務方に今確認をさせていきたいと思っております。
  17. 宮川伸

    宮川委員 菅総理が四六%削減と言う二〇三〇年、これも非常にアグレッシブというか、簡単な数字じゃないと思うんです。  そういう中で、私が懸念をしているのは、私は、容量市場で、例えば古い石炭火力、これは減価償却費に関しては既に払い終わっているというものがたくさんあるわけです、それが今回の容量市場かなり収益を上げているんじゃないかというような予想をしているんですね。だから、それが本当にそうなのかどうかということを調べて、報告というか発表していただきたいわけですけれども、そういう形になっていると、古い石炭火力は持っているだけでどんどんもうかるわけですから、この容量市場で。そうしたら、中止に、やめるという話にならないですよね。  二〇三〇年のマイナス四六%ですか、これ、本当に達成できるんですか、この制度で、大臣
  18. 梶山弘志

    梶山国務大臣 非効率な石炭火発についてはフェードアウトするという宣言をしております。そういった中で、十年を超えたもの、減価償却を終えたものという考え方でもよろしいかと思いますけれども、これは四十数%減額をした上でこの容量市場でも計算をしていくということでありまして、フェードアウトする仕組みというものをしっかりとここに入れていかなければならないと私どもも思っております。
  19. 宮川伸

    宮川委員 大臣、もう一度ですが、前回も四二%減なんですが、それで八十億円近いものが、一つの古い石炭火力に今回の容量市場で落ちているんです。この八十億円近いお金が本当に適当なお金だったのかどうか、是非経済産業省検証していただきたいというふうに思います。
  20. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今委員からもありましたので、私もそれは検証してみたいと思っておりますし、償却期間が終わったものが全て利益が出るか、分岐点を超えて利益が出るかというと、やはりメンテナンスに非常に費用がかかるものもあるということも承知しておりますし、そういった面も含めて個々に違いが出てくるものだと思っております。
  21. 宮川伸

    宮川委員 ありがとうございます。またちょっと、その結果を聞いて更に議論させていただければと思います。  次に、一月のスポット市場高騰の問題についてお伺いします。  図の二というのを、これも委員皆さんよく御存じの絵だと思いますが、十二月、一月にスポット市場高騰したということでありますが、これはなぜ長期にわたって価格高騰したというふうに考えられているか、お答えいただけますでしょうか。
  22. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  この冬のスポット市場における価格高騰に際し、電力ガス監視等委員会において、従来の監視に加え、旧一般電気事業者及びJERAに対して、梶山大臣の御指示の下、報告徴収命令をかけ、有識者によるヒアリングを実施するなど、徹底的な調査を進めてまいりました。  その結果、今般のスポット市場価格高騰要因は、実質的な売り入札減少による売り切れ状態が継続して発生する中で、多額のインバランス料金支払いを回避すべく高値の入札が行われたことにより、スパイラル的に買い入札価格が上昇したものであったと認識しております。  また、この売り入札減少要因は、十二月中旬から一月初めにかけては主にLNG燃料制約等発電機出力制約等増加によるもの、また、一月初めから中旬頃にかけては主に厳しい寒さによる需要増加によるものと承知をしております。  長期的な価格高騰は、こうした複数の要因が重なることによって発生したと考えております。
  23. 宮川伸

    宮川委員 このようなことは日本だけでなくて、いろいろなことがあると思いますが、こういった長期にわたって、一か月以上にわたってこういった高騰が起こるというようなことは、海外では起こっているんでしょうか。
  24. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  最近の例といたしましては、今年の二月、米国テキサス州において、寒波影響等を背景に、最大約四百万世帯で五日間にわたる計画停電が実施され、前日市場で一キロワット当たり最大約九百五十円を記録する価格高騰が約一週間継続した事例があると承知しております。また、二〇一四年には、米国北東部卸売電力市場におきまして、一月から二月にかけて、一キロワット当たり最大約二百円を記録する価格高騰が約十日間継続した事例があったことも承知しております。  こうした事例に比べると、我が国におけるこの冬のスポット市場における価格高騰は約三週間にわたり継続しており、期間の長さで見れば、海外前例はないものと承知しております。
  25. 宮川伸

    宮川委員 今、前例はないということでありますが、ですから、これは特別なケースだったのではないかということであります。  新電力が今年一月に支払った額、そして昨年の十一月、ちょっとこれは比較で、額を教えていただけますか。
  26. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  今回の逼迫における市場高騰によって、業界によってのプラスマイナスが出ております。  まず、今御質問いただきました小売の中でいいますと、新電力小売が十一月の段階支払いが五百億円、これが今年の一月では五千五百九十億円と非常に多く拡大しております。  一方で、加えて申し上げますと、独立系発電事業者のサイドは、三百億円の収入が四千九百六十億円に、非常に大きく上昇してございます。
  27. 宮川伸

    宮川委員 大臣、去年五百億円だった支払いが五千五百九十億円の支払いになっていて、十倍、新電力さんたちは支払いが多くなっているわけです。これはとてつもない金額だと思うんですが、これが、新電力さんが独自でかぶるのか、あるいは消費者に回るのかということです。  これは前にこの委員会でも何人かおっしゃっていましたが、こういう中でエフパワーさんが経営破綻をしたということであります。問題は、これが、市場原理に基づいて起こったからもう仕方ないんだということなのか、あるいは、この市場設計自体が何か不備があったのかということであります。これは、先ほどの理由で売り入札が入らなかったからこういうことが起こったわけですけれども、これは本当に売り入札できなかったのか、それほど電気的に危機的な状況だったのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
  28. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御答弁させていただきましたが、旧一般電気事業者スポット市場における入札行動につきましては、当委員会で徹底的に調査分析を行い、公正取引委員会もオブザーバーとして参加する審議会有識者に御議論いただきました。  その結果、先ほど申し上げましたが、長期にわたって売り入札量が低位で推移した理由は、燃料不足懸念等による供給力減少寒波による需要増加等によって、需給がタイトな状況が継続したことによって引き起こされたものと考えられ、相場を変動させることを目的とした売惜しみ等の問題となる行為は確認されなかったというふうに御議論いただいたところでございます。
  29. 宮川伸

    宮川委員 なかなかこれは専門的な話で、私も少ない時間の中で一生懸命勉強したんですが、よく分からないんです。ですから、これももうちょっと国民に分かるように説明をしていただきたいんですが。  例えば、三というお手元の資料を御覧いただきたいです。赤丸で私が示しましたが、例えば、一月七日のものに関して、これは関西電力ですけれども、関西電力供給能力としては四百二十二ギガワットアワー、この能力を持っていた。実際にその日の自社小売需要は、予想していたものは三百八十六ギガワットアワーだったわけですね。実際に需要がどれだけあったかというと、三百五十一ギガワットアワーで、予想していたものより少なかったということなんです。この日は市場関西電力は入れていないんですね。  ですから、全然電気がなくて入れられていないというようにこれだと見えないんですが、この差の三十五ギガワットアワーというのはどうなってしまったんでしょうか。
  30. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  まず、全体の話でございますが、今御指摘いただきました一月七日も含めまして、関西電力を含む旧一般電気事業者の自社需要の見積りの妥当性については、一月七日を含めて、十二月から一月の全ての日の全てのこまについて各社からデータの提出を受け、需要の予測とその実績の差について確認を実施いたしました。それで、その結果を公表するとともに、乖離の特に大きい日につきましては、これが生じた理由について、公正取引委員会もオブザーバーとして参加する有識者による会議においてヒアリングを実施いたしました。  その結果、今御指摘いただきました一月七日以上に乖離の大きかった特定日、関西電力につきましては一月二十日なんですが、その日について、どうして乖離が大きかったかということをヒアリングをさせていただきました。その結果、最新の気象予報に加えて、近日の気象類似日や事前の顧客への休業調査等から需要計画を策定しておりまして、意図的にこれを過大にするといった行為は確認をされなかったところでございます。
  31. 宮川伸

    宮川委員 私の質問は、予想して準備していたものよりも実際に使ったものは三十少なくて、三十五ギガワットアワーのエネルギーが余っているというふうに素人の私は思うんですが、この三十五ギガワットアワーはどこに行ってしまったんですか。
  32. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  二つ答え方があると思うんですが、一つは、待機をさせていまして、実際にはそこにあるフルまで使わなかったということでございます。あともう一つお答えするのは、お金の流れということでございますが、今委員御指摘のような場合、それは、BG部門におきまして余剰インバランスが出るということになります。その結果といたしまして、この日になりますと、関西電力の発電及び小売部門の余剰インバランスで収入になるということというふうに承知しております。
  33. 宮川伸

    宮川委員 これは本当に、昨日いろいろ聞いていたんですけれども、ちょっとここまでの御回答はいただけていなかったので、今、私も、そうなのかと思ったんですが、今の御回答では、フルには使わなかった。フルに使っていないんだったら、その分、何で市場に入れられないのか。いろいろな理由があるのかもしれませんが、だけれども、かつかつでどうしようもなくて市場に入れられなかったのではないということだと思うんです。もう一つは、余剰インバランスに使ったのではないかと。これは関西電力プラスになっているんですよ。もうけになっているわけですけれども。  先ほど言ったように、新電力さんが通常五百億円のところを五千五百億円もの支払いをかぶるような状況の中で、それは関西電力さんが市場に入れなかったから起こったわけですよね、だけれども関西電力さんはもうけているという今答弁だと思うんですが、それで正しいですか。
  34. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  特定日について申し上げました。全体で見ますと、旧一般電気事業者の余剰インバランス自体は、一月に九百三十四ギガワットアワーで、十二月が九百四十七ギガワットアワーで、むしろ減っておりますので、全体として一般電気事業者のBGが非常に余剰インバランスが大きくなったという事実はございません。  あと、もう一つ申し上げなきゃいけないことは、先ほど申し上げましたように、有識者の会合で、一般電気事業者が意図的にこの需要見込みと実績の乖離をつくっているわけではないというのは確認されておりますので。  結果としましては、その一日、こまで見ては余剰インバランスが出るところはあると思いますが、全体として見れば、その前の月と比べて急に大きくなっているとか、そういった事実はございません。
  35. 宮川伸

    宮川委員 私は、別に違反があったとかというのではなくて、市場設計が悪い可能性がないかという視点で議論をしているわけですけれども、ちょっとこれは複雑で分からないんですよ。最初の答弁とだんだん変わってきているなと大臣も思われていると思いますが、もっとしっかり国民に分かるように説明をしていただきたいと思います。  ちょっと時間がなくなってきているので、この間、関西電力、原子力発電所はどういうふうな状況だったでしょうか。
  36. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  この期間、二〇二〇年十二月十五日から二〇二一年一月十六日までの間、需給逼迫の期間でございますが、関西電力の再稼働済みの原子力発電所、高浜三、四号機、大飯三、四号機の計四基、いずれも定期検査中でございまして、稼働していた原子力発電所はなかったというふうに認識してございます。
  37. 宮川伸

    宮川委員 全部動いていなかった。そのうち、私が聞いているのは、二基は十一月に再稼働予定だったんだけれども、再稼働しなかったということでよろしいでしょうか。
  38. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、この定期検査の中で、高浜三、四号機におきましては蒸気発生器の伝熱管に減肉が発見されまして、また、大飯三号機では加圧器スプレー配管に亀裂が発見されております。  このため、規制委員会報告の上で、安全対策に万全を期すために、原因の分析及び必要な対策を実施しておりました。その結果、当初の予定より長期の定期検査となり、その時期には動いていなかったというふうに認識してございます。
  39. 宮川伸

    宮川委員 先ほどの売り入札が入れられなかった理由として、LNGのことをおっしゃっていましたけれども、一つ懸念として、この十一月に再稼働する予定だった原子力発電所が再稼働しなかったので、以前からLNGの予定を立てなきゃいけないけれども、これが間に合わなかった、それで、LNGが、二基の原発が動かない分だけのものを入れられなくて、それで余計に使うような形になって困ったんじゃないかというような話を聞いているんですが、そのような事実はあるんでしょうか。
  40. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  この見積りの中で、今回、燃料の在庫、LNGの在庫という問題が非常に大きな懸念点、課題だというふうに我々も認識してございます。その中では、当然、関西電力としましては、供給力として、十一月再稼働を含めて、稼働予定の発電所が動いている前提で計画も組んでいるでしょうし、それに必要な燃料というのも準備していたと思います。  他方、これも関西電力のみならず、様々な石炭火力のトラブルによって西日本全体の供給力が足りなかったということが基本的な原因でございますので、今や、広域での調整を行うという仕組みの中で、関西電力のエリア内だけの供給力ということで議論できるかどうかということについては慎重に検討しなきゃいけないと思っております。
  41. 宮川伸

    宮川委員 今のとおりに、ちゃんと検証ができていないと思います。そういう懸念点がありますので、そういった、我々は原発ゼロを目指していますが、原発が足を引っ張って、それでLNGの供給が足りなくなって、それによって売り入札が下がって、新電力さんが十倍以上のお金を払わなきゃいけなくなっているような事実がないかどうかということをしっかり検証していただけますでしょうか。
  42. 梶山弘志

    梶山国務大臣 LNGも、発注だけでなくて、やはりアジアで需要が急拡大しているという現実もございます。そういった中での逼迫。そして、更に複合的な要因があったと思います。一つ二つじゃなくて、私は三つ四つ複合的な要因があったと思っております。  さらにまた、高値が出るのは市場ですから仕方ないとしても、それが続くということがやはり異常ということでもありますので、その原因も含めて、市場はどうあるべきかということをしっかりと透明性を持ちながら調査をし、また公表もしてまいりたいと思っております。
  43. 宮川伸

    宮川委員 続きはまた次回の委員会でやりたいと思います。  以上です。ありがとうございました。
  44. 富田茂之

    富田委員長 次に、逢坂誠二君。
  45. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 どうも、立憲民主党の逢坂誠二でございます。  大臣、今日もお世話になります。よろしくお願いします。  今日は、主に大間原発についてやらせていただきたいんですが、その前に核燃料サイクル全般についてお伺いします。  確認ですけれども、使用済核燃料を再処理してMOX燃料をつくる、それでその燃料をもう一回使うという核燃料サイクル、これの推進姿勢は今も変わらず持ち続けているということでよろしいですか。確認です。
  46. 梶山弘志

    梶山国務大臣 結論から申しますと、同じということであります。  資源に乏しい我が国が、安定的かつ安価な電気の供給や気候変動問題への対応などを考えれば、原子力は、安全確保を大前提とした上で、欠かすことができないものと考えております。  原子力発電を利用する以上、使用済燃料が発生するという、現実に、原子力発電を半世紀以上続けてきた結果、全国の使用済燃料は約一・九万トンということで、使用済みを納める容量の約八割を今占めているところであります。今後も安定的かつ継続的に原発を利用するためには、使用済燃料対策は待ったなしの課題であります。  さらにまた、使用済燃料については、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減、資源の有効利用のメリットがあることから、我が国は使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本方針としております。
  47. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 ありがとうございます。  私は、今の大臣説明に一々反論を全部持っておりますので、これは後ほどまたやらせていただきたいと思うんですが、使用済MOX燃料をどうするかということについては、全く今の段階で答えがないんですね。使用済核燃料があるから再処理するんだと。では、使用済MOX燃料が出た場合どうするんだというところについては何の答えもないわけですね、現時点では。だから、それではこれまでの五十年と同じことを繰り返すというふうに私は思っておりますので、この点はまたいずれやらせていただきます。  では、大間についてお伺いします。  まず、政府参考人にお伺いしますけれども、一九九九年八月、大間原発が電源開発基本計画へ組み入れられたわけでありますけれども、この時点で自治体からの同意というのは法的な要件になっていたのかどうか、事実を教えていただけますか。
  48. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の電源開発基本計画は、二〇〇三年に廃止された電源開発促進法三条に基づくものと承知しておりますけれども、その組入れに当たりましては、特定の自治体からの同意というものは法的要件とはなっていなかったものと承知してございます。
  49. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 法的要件となっていなかった。  それでは次に、二〇〇八年四月にこの大間の原子炉設置が許可されたわけですが、この時点で自治体からの同意というのは法的要件になっていたでしょうか。事実関係をお願いします。
  50. 市村知也

    市村政府参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘のとおり、大間原子力発電所、二〇〇八年四月に経済産業大臣によって原子炉等規制法による原子炉設置許可がなされてございます。この当時、自治体の同意というのは法的要件にはなってございませんでした。
  51. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 では、今お答えいただいた両方の政府参考人にお伺いするんですけれども、法的要件ではないということは、自治体との関係はどうであったのか。自治体からはどのような方法で同意なり承認なり理解なりを得たのか。あるいは、自治体と相談をしているとすれば、同意を得た範囲というのはどこなのか。同意ではないのか、理解なのかどうか分かりませんけれども、その辺りのプロセスというのはどういう状況だったのか説明いただけますか。
  52. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  電源開発基本計画の組入れに当たりましては、この大間原発についてでございますけれども、当時の電源開発法第十一条に基づきまして、一九九九年六月に立地県であります青森県知事への意見聴取を行い、同年七月に青森県知事から計画への組入れに関して異議ない旨の意見が提出されたということと承知してございます。
  53. 市村知也

    市村政府参考人 私からは原子炉等規制法の手続の範囲内でお答え申し上げますけれども、原子炉等規制法においては、先ほど設置許可の話を申し上げましたけれども、それ以外の手続についても自治体の同意というのは法的要件ではなかったということと承知しております。
  54. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 要するに、私、今、日本の原子力発電所の立地のプロセスをある程度丁寧に見させていただいているんですが、法的に実は自治体からきちんと同意を得るということは位置づけられていないんですね。これは非常に曖昧なんです。それで、特に炉の設置許可に当たっては、これは全く自治体から聞くというルールはなかった。  それで、電源開発基本計画の組入れに当たっては知事の意見を聞くということにはなっているけれども、当該立地の自治体からは直接聞くというルールにはなっていないんですね。私は、これは非常に曖昧な中で、いろいろなプロセスがあったことは私も承知しておりますけれども、立地が決められているなということを指摘せざるを得ないんですね。  そこで、ちょっと質問の順番を変えますけれども、この大間原発に関して、二〇〇八年四月の原子炉設置許可に至る過程、原子力発電所を造りますよというようなことを決めて最終的に原子炉の設置許可が出るわけですが、その過程の中で、原子炉設置許可以外の手続も含めて、立地自治体からの意見の同意というのは法的要件では全くなかったということでよろしいでしょうかね、ほかの手続も含めて。
  55. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど御答弁申し上げた電源開発基本計画の話を一旦おいておきますと、当省の認識する限りで申し上げまして、原子力発電所の設置についての要件等を定める原子炉規制法を含めて、この原子炉設置許可に至る過程の中で、二〇〇八年四月の時点において自治体の同意は設置の法的要件となっていなかったものというふうに承知してございます。
  56. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 改めて、プロセスの中で自治体からの同意というのは全く要件になっていないということなんです。ただ、これほど重要な施設を設置するのに要件になっていなかったというのは、私は驚くほかはないなというふうに思っております。  そこで、大臣にお伺いしますけれども、大間原発に関してですが、これについて、新規制基準、今、適合申請中でありますけれども、これに適合すれば新規稼働させるという方針には変わりはないでしょうか。
  57. 梶山弘志

    梶山国務大臣 原子力発電所につきましては、大間原子力発電所を含めてどの発電所も、いかなる事情より安全性を最優先し、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認められた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら運転を進めるのが政府の方針であります。  もちろん、原子力発電所の運転を進めるに当たっては、地元の御理解に向けて、事業者自らがしっかりと地域に向き合って信頼を築いていくことが必要であります。国も前面に立ち、エネルギー政策における原子力の意義を含め、丁寧な説明を尽くしてまいります。避難計画につきましても、政府を挙げて策定を支援し、具体化、充実化に取り組んでいくというのが現在の方針であります。
  58. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今の大臣答弁の中で、地元の理解という話がありました。あるいは過去の政府の質問主意書に対する答弁でも、稼働に当たっては立地自治体など関係者の理解と協力を得るというふうに政府は答弁しているわけですが、この場合の、大臣が今おっしゃった地元の理解、地元、立地自治体などというのは、どの範囲を指しているんでしょうか。これは特に大間に関して私今聞いていますので、もし可能であれば、大間について言っていただければ。
  59. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、一般論からですけれども、地元自治体の同意や理解は法令上、再稼働の要件となっていないというのは、今のお話の中で御存じのとおりであります。  また、理解を得る範囲や方法については、各地域の事情が様々であるために、国が法令等によって一方的、一律に決めるのではなくて、各地域の方々とよく御相談しながら対応することとしております。  まず、事業者が、自らがしっかりと地域に向き合い、信頼を重ねていくことが最も重要であると思っております。事業者が真摯に努力を続け、地域との信頼関係を築いていくべきと考えております。  その上で、政府としても、引き続き、立地自治体のみならず周辺自治体も含めて、理解活動を丁寧に進めることが重要と考えております。エネルギー政策における原子力の意義を含め、丁寧な説明を尽くし、幅広い理解が得られるように取り組んでまいりますけれども、周辺自治体というのは、やはり個別の事情によるものもあると思いますので、そういった中で判断がされるものと思っております。
  60. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 では、今大臣がおっしゃる立地自治体というのは、立地自治体と周辺自治体という言葉を使われましたが、立地自治体というのは、まさに原子力のプラントが存在している、その住所地の自治体、そういう理解でよろしいですか。
  61. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、そのプラントが所在する自治体ということであります。それに加えて、周辺自治体についてはそれぞれの事情があるということで、それぞれの原子力発電所において考えていくことだと思っております。
  62. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 では、ちょっと具体例でお話しさせていただきますけれども、大間原子力発電所の場合、まさに青森県大間町がその立地自治体になるわけですが、大臣の言うところの周辺自治体あるいは周辺都道府県として、北海道は入るのかどうか。北海道が入るとすれば、その中で函館市は入るのかどうか。函館はUPZ、三十キロ圏内に入っておりますけれども、これはいかがでしょうか。
  63. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずは、先ほど申しましたように、その立地自治体ということになりますけれども、避難計画の中で五キロ圏内、三十キロ圏内というものも、その地域の事情によって、そういったものは入るか入らないかということを決めていくということだと思います。
  64. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 地域の事情によって入るか入らないかを決めていくべきだと。  それを決めるのは誰なんでしょうか。
  65. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今、大間のお話があったわけでありますけれども、北海道の函館市も含めて、周辺自治体についても、御意向を踏まえつつ、要請に応じて説明を行うなど、丁寧な対応を行うことが必要だと思っております。まずは、丁寧な対応ということで、説明をしていくということが重要だと思っておりますし、いろいろな事例があると思いますけれども、それも含めて、その後、事業者との様々な関わりが出てくるものだと思っております。
  66. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今、周辺自治体の中に、具体的に函館も含めてという答弁がございましたけれども、そうなりますと、当然、都道府県としては、北海道知事とも話し合う案件になるという理解でよろしいんでしょうか。
  67. 梶山弘志

    梶山国務大臣 函館市は北海道でありますから、その説明の必要性はあると思います。
  68. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 ありがとうございます。  それでは次に、この再稼働あるいは稼働について、立地自治体の理解という言葉を繰り返し使われているわけですね。この理解というのは一体どういうことなのか。  私は、立地自治体が、いわゆる平たい、国民の一般的な言葉で言うと同意という言葉を使うわけですけれども、同意と理解というのは違いがあるんでしょうか。そこはいかがですか。
  69. 梶山弘志

    梶山国務大臣 理解とは、エネルギー政策における原子力の意義であるとか、また、原子力発電所の再稼働の必要性等について把握をし、認識を深めていただくという意味であると思っております。  同意や了解といった法令上の行為を意味するものではないと思っております。
  70. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 法令上の同意ではない。もちろん、それはそうですね。法的要件になっていないし、法律に規定もないですから、それは、何々に基づいて同意をするということではないとは思うんですが。  今の話からすると、自治体としては同意はしていないけれども理解は得られたというケースはあり得るんですか。
  71. 梶山弘志

    梶山国務大臣 自治体の同意は、先ほど申しましたように、法令上、再稼働の要件となっておりません。そのため、原子力発電所の稼働に当たっては、立地自治体関係者の理解と協力を得ながら進めることとしております。  政府としては、引き続き、立地自治体のみならず周辺自治体も含めて理解活動を丁寧に進めることが重要と考えており、エネルギー政策における原子力の意義を含め丁寧な説明を尽くし、幅広い理解が得られるように取り組んでいく必要があると思っております。  地元自治体の同意というのは、法令上は再稼働の要件となっておりませんけれども、事業者においては、立地自治体と任意に締結している安全協定に基づき事前の了解等の手続を経ることと認識をしております。
  72. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 事業者は安全手続で自治体の同意を得ることは、それはルール上あることは私も承知しているんですが、あれは、でも、よく読みますと、同意が得られていなくても申請できるんですよね。様式の中に、同意が得られていない場合はそのことを書けということも書いてあるものですから。だから、必ずしも同意が要件になっているというものではないと思うんですが。  ただ、法令上、法的に要件にはなっていないということですが、一般の日本語として同意という言葉は使うと思うんですね。法令上、何条に基づいて同意をしたという行為ではないにしても、例えば、同意というのは、私の手元の国語辞書によれば、他者の行為について賛成ないし是認の意思を表示すること、これは一般的な日本語の意味ですわね。  要するに、こういう言葉は要らないということなんですか、理解ということは。いかがですか。
  73. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  これはもう言葉の解釈で、なかなか難しいところだと思いますけれども、委員お示しいただきました同意ということも、恐らく、その法令の中で、それぞれ求められている要件、その充足すべきこと、手続というのも異なってくるとは思います。  今、先ほど大臣から御答弁申し上げましたけれども、関係者の方々の御理解を得て、御理解なしにはなかなか進んでいけないという中には、その地域の実情実情に応じて、それによって距離及び事情による範囲、程度も違ってくるかと思っております。その中で、具体的な発電所が運転してよいかどうかということについての御理解を得る必要があると考えてございます。
  74. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 実際にその発電所が運転してよいかの御理解を得る必要があると。そうなると、一般市民からしてみると、それは同意したかどうかということになるのではないかと私は思うんですけれども、今日の今までのやり取りを踏まえて、これは後でもう一回精査をさせていただきたいと思います。  それでは、次にお伺いします。事実関係だけ教えてください。政府参考人にお願いします。  大間原発から半径八キロないし十キロ圏内に位置する自治体、それから、大間原発から半径十キロから三十キロ圏内に位置する自治体、それはそれぞれどこか、お示しいただけますか。
  75. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  大間原子力発電所から半径八から十キロメートルの範囲に含まれる自治体は、大間町、風間浦村、佐井村、むつ市の四自治体、また、半径十から三十キロメートルの範囲では、函館市になります。
  76. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それでは、佐藤参考人に聞けばいいんでしょうか、この半径十から三十キロ圏内に位置する自治体、函館市、これが、今回、二〇一三年以降、新規に避難計画を作成する可能性の高い、UPZ内に位置する自治体という理解でよろしいでしょうか。
  77. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、十キロから三十キロ圏内の自治体である函館市につきましては、現行の原子力災害対策指針により追加の対象となりましたけれども、ただ、私、先ほど答弁申し上げた、残りも含めた五つの自治体が新規に避難計画を作成する関係自治体と考えており、しかるべき時期にこれらの自治体などと相談してまいりたいと思っております。
  78. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 さて、そこでなんですが、二〇一三年以降、新規に避難計画を作成しなければならない義務が生じた自治体から、原子力発電所の立地について同意を得ているのか、あるいは、その立地に関して意見を聞くといったような法的な規定はあるのかないのか、この辺り、佐藤参考人でしょうか、いかがですか。これは違うのかな、誰かな。
  79. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  ここの、避難計画については佐藤参考人からお話しした方がよろしいのかもしれませんけれども、避難計画は、災害対策法の下で、原子力災害対策指針の策定の中でも定めるものでございますし、いずれにしろ、災害に対する対応ということで、地元の安全ということで必ず作っていくというお話でございまして、原子力発電所の設置ということについての要件等を定めている原子炉等規制法において、自治体の同意や意見聴取等は設置の法的要件とはなっていない。この点については、委員御指摘の原子力災害対策特別措置法の改正による、二〇一三年三月の前後によって変わっているものではないというふうに認識してございます。
  80. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 これは政府参考人に改めてお伺いするんですけれども、立地のときは法的要件ではなかったけれども、都道府県からも話を聞いて、立地については、一定理解を得た上で立地を決めているわけですね。電源開発計画にも入れているわけですね。  ところが、今回、この避難計画を作成する義務の範囲が広がった。これは、法律で義務の範囲が広がったから、自動的に、さあ、作ってくださいという性質のものでしょうか。私にはそうは思われないんですよ。法的な範囲が広がって新たな義務が生ずるのであれば、原子力発電所の立地についても是か非か、どう思うかというのは意見を聞かなきゃならないんじゃないでしょうか。これを聞かない理由というのは、政府参考人、この辺り、どう考えますか。
  81. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員が冒頭からいろいろと御指摘いただいております電源開発計画、これは、昔と今でちょっと、位置づけといいますか、法の根拠は違っておりますけれども、いずれも、電源開発をしていく、これは原子力のみならず、水力、地熱含めて、この手続の円滑化をしっかりしていくということの観点から定めている地点の指定のお話でございます。  その際に、先ほど、市町村はないというお話ございましたけれども、当然のことながら、市町村に対するいろいろな手続面を含めた総合調整機能も担っている都道府県に対して意見を聞いて、このプロセスに乗っていけるかどうかということについて御意見を聞いた上で地点指定をしているわけでございます。  ですので、このことがある上で、原子力の発電所ということについて、先ほどから御答弁申し上げているような関係者の方々の御理解と御協力を得ていくというような手続というのが必要になってくるというふうに考えてございます。
  82. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 地点指定をするときに都道府県の意見を聞くということは、法律の規定ではないけれども、それはあることは私も承知しておりますし、現段階においても、あれは二〇〇五年でしたかに新しい規程ができて、あの規程の四条の一項第七号だったと記憶していますけれども、そこの所在の市町村の同意を得ることが条件になっているというのは承知しているんですが、例えば大間に関して言うと、地点指定のときは、少なくとも北海道の意見は聞かれていないわけですね、函館の意見も聞かれていないわけですね。  だけれども、今回新たに避難計画の作成義務が生じたわけですよ。法律の改正によって、一方的に義務が生ずることになってしまったわけですよね。そういうときに、きちんとやはり意見を聞くということが必要なんじゃないですか。政府参考人、いかがですか。
  83. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  原子力、先ほど御指摘いただきました電源の開発という意味でいいますと、今、電源の地域開発というところのプロセスは十分進んできているところでございます。  その中で、改めてこのプロセスについてやり直して、様々ほかの手続をやっていく必要はないものというふうに認識してございます。
  84. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 大臣、今の松山さんの答弁は、電源開発、地域開発という観点では、改めてそのプロセスをやり直す必要はないんだという答弁だったように私は理解しているんですが、でも、新たに、三・一一の事故を経て、避難計画の策定の範囲も広がり、原発の事故の影響の及ぶ範囲というのは従前とは全く違っているんだ、そういう状況に今なったわけですよね。  でも、そのときに新たに避難計画作成の義務が生じた自治体について、法律で義務が生じたんだから、自動的に義務なんだから作りなさいよというのは、私は非常に乱暴な感じがするんですね。もちろん自治体には地域の住民の安全を守るという責務が課されておりますから、それは様々なことをしなければならないのは分かるんですが、私、今回のことに関してはやはり少し無理筋なんじゃないかという気がするんですよ。  それはやはり、原発の立地そのものについても問うた上で、その上で避難計画の作成義務ができましたよというならまだ理解できるんですね。しかも、稼働している原発については、なかなかそれは時計の針を昔へ戻すことは難しいんですが、稼働していない原発、例えば今でいうと島根ですとか東通ですとか大間ですとか、こういう原発があるわけですね。  炉の設置許可は出ているけれども稼働はまだしていない、こういうところについては、立地の手続を含めてきちんと丁寧に自治体から話を聞くという必要があるんじゃないでしょうかね。いかがですか、大臣
  85. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、函館市も含めて三十キロ圏内に丁寧に説明をしていくということ、そして、函館市がある北海道についても丁寧な理解と協力を求めていくということだと思っております。
  86. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 丁寧な理解を求めていく、それには、先ほどの松山さんの答弁によれば、稼働の是非も含めてという、稼働への理解も含めてということだったとは思うのですが、私はそれでは不十分だと思うんですよね。立地そのものをやはり問わなければならないのではないかという気がするんですよ。  だって、避難計画の作成と一口に簡単に言いますけれども、これは大変なことですよ。そして、そこの地域に責任を持つ自治体の首長の立場に立ってみると、本当に地域の皆さんの生命や安全が守れるのか、そこは、法律で義務が課されたから取りあえず形式的に避難計画を作っていきましょう、そして避難訓練を繰り返して少しずつバージョンアップしていけばいいんだということでは、私はこれは済まないと思うんです。  そもそも、だから、原発の立地そのものについても是非が問われなければならないのではないか。そこのプロセスには全く関与していなかったわけですから、一九九九年も二〇〇八年も。  これ、もう少し、大臣、丁寧にやる必要があるとは思われませんか。特に稼働していないところ。稼働しているところ、大臣の御地元もいろいろ課題はあることは私は承知しておりますけれども、稼働しているところに今立地の是非ということは少し非現実的だとは思うんですが、稼働していない原発については、その立地の在り方も含めてもう一回見直す必要があるということについて、大臣、いかがですか。
  87. 梶山弘志

    梶山国務大臣 政府の考え方としては、先ほど参考人から話がありましたように、電源開発の円滑な推進のための重要電源開発地点制度や旧電源開発促進法に基づいて、国から都道府県の知事へ意見聴取等を行って、これらを設置してまいりました。これは青森県ということでありますけれども。これには、原子力発電所のみならず、水力や火力、地熱も入るということで、保安林の解除であるとかまた公有水面の活用であるとか、そういったことも含めて県に調整に入っていただくという意味も含めて、こういう形を取らせていただいております。  現在、稼働前の原発であっても既に設置許可が出されている原発につきましては、重要電源開発地点の指定を行う目的が既に達成されているという政府の考え方でありまして、避難の策定という義務が生じたUPZ内の自治体の知事に対して再度意見聴取を行うということはないというのが現在の政府の考え方であります。
  88. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 基礎自治体の立場からしてみると、法律が変わったから、自動的にもう義務が生じたから避難計画を作りなさいというのは、やはりどう考えても承服できない。  前にもお話ししましたけれども、私、以前、原発の避難計画を作ろうとしたんですよ。そのとき、実は止められているんですね、二十五年前。事故が起きないことが前提になっているんだから、そうやっていたずらに住民の不安をあおるなと。そういう経験を私は持っているわけです。そうやって、北海道庁から連絡が来て、慎重に対応願いますと、こういうことだったのが二十数年前ですよ。  そのプロセスを踏まえると、今回義務が生じたから、さあ避難計画を作りなさいと言われるのはほとんど承服できないことだということを申し上げて、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  89. 富田茂之

    富田委員長 次に、山岡達丸君。
  90. 山岡達丸

    ○山岡委員 質疑の時間をいただきました山岡達丸と申します。  まず、大臣にお伺いしたいんですが、新型コロナウイルス、四月二十五日に、三回目となる緊急事態宣言が出されました。十七日間という期間でありますけれども、出されたのは東京とか大阪とか、そうしたところが中心であるわけでありますけれども、緊急事態宣言がこうした大都市に出されれば、必ず全国地方都市、それぞれ影響が出てきているというのは、恐らくここにいらっしゃる委員の皆様全員が経験されているという状況だと思っております。  このことを受けて、政府は、新型コロナウイルス感染症対策本部、四月二十三日に、この一月から三月のいわゆる一時支援金ということに加えて、四月、五月についても、この緊急事態宣言の影響で大幅に売上げが減少したというところに対して、今度は月ごとということでありますが、法人二十万、個人事業主十万ということを発表されているわけであります。  一方で、一月から三月までのこの影響に対しての支援措置も五月三十一日までということで今進んでいるわけでありますけれども、この四月、五月の支援措置というのが、発表はいいんですが、やはり早急な措置というのが、これはどの事業者も望んでおられるということでありますので、まず伺いますが、これはいつ開始しますか。
  91. 梶山弘志

    梶山国務大臣 一月から三月までの措置とはまた別のシステムになるということから、今、業者を決めて、システムをどうしていくかということでありまして、できる限り早くということで私どもも考えております。今朝もこの会議をして、できるだけ早く仕上げるようにということで指示を出したところであります。
  92. 山岡達丸

    ○山岡委員 別のシステムをつくるから、今のお話ですと、また時間がかかりそうだと。ただ、まあ、できるだけ早くというお話はありましたけれども、昨年は、持続化給付金という制度の中で、十二月までのこの一括を全て見て、一気に事業者に対しての支援を行った。今年は、一、二、三月まで行い、四月、五月、また個別に行い、システムが変わるから支援に時間がかかると。これはいかにも、後手後手という言葉が最近よく言われますけれども、次々にやっていくような措置の在り方が事業者にとって必ずしも喜ばしいことじゃないという実態があると私は思うわけであります。  大臣、四月二十一日の国会答弁の中でも、昨年は緊急事態宣言という全国一律の措置があったことに対して持続化給付金という全国一律の制度があったというような趣旨の発言をされておられますけれども、ただ、質問はもう経産省には昨日確認したので私の方で申し上げますが、昨年の持続化給付金制度は、全国に発せられた緊急事態宣言が前提のときに議論が始まったわけではなくて、三月の時点で既に多くの団体からヒアリングをされて、大臣も御記憶にあられると思いますが、そして一律の措置をやるという方向の中で進んできて、四月に緊急事態宣言が発せられるということと重なったから、五月一日という段階でこの大がかりな措置ができたという状況であるわけであります。  一、二、三月をやり、また四月、五月、事態が変わったからやり、地域も変わり、いろいろな状況がこれから先も先行き不明の中でいろいろ起こる中で、私は、去年と同じように一括した持続化給付金の制度、分かりやすくシンプルに売上げだけを見て、全国、困っている方を一律に手を差し伸べられる、この制度を再び実施すべきだと思います。大臣に再び問いますが、いかがでしょうか。
  93. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今年のまた緊急事態宣言、そして蔓延防止の措置というのは、各県単位また市町村単位で行っているものでありまして、そういったものは、やはり要件が少しずつ変わってくるということもあって、システムの変更というものが必要になります。ただ、システムの変更をした後は、今度は自動で受け付けますから、この事務処理というのは非常に早くなるということもあります。  一切そういう変更なしに一律でという要求には今回はならないと私は思って、コロナ本部自体がそういう思いでありまして、機動的にこれに関しては考えていこうと。そして、できるだけ要件の少ない方に、また金額の多い方に寄せていこうということで、合理的な要件の設定というものもしてまいりたいと考えております。
  94. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、大臣の御答弁で、要件が変わりシステムが変わる、そして今年は各自治体のそういう単位でやっているんだというお話は、少なくとも事業者の立場からすれば、それは経済産業省側の理屈であって、政府側の理屈であるように聞こえるんだと思うんですよ。事業者側にとっては、やはり昨年のような分かりやすくシンプルな形でやってもらえれば一番、皆、一時的な危機を乗り越えていけるという思いを持っている、その視点に立って、再び我々は、今後の質疑等も引き続きこの持続化給付金の再支給というのを強く求めてまいりますので、そのことは申し上げさせていただきたいと思います。  今日は、いただいた質問時間の中で、温室効果ガスの削減目標についても少し大臣にお伺いしたいと思います。  菅内閣総理大臣は、四月二十二日に、二〇三〇年度の温室効果ガス、CO2削減目標について、五〇年のカーボンニュートラルと整合的な、野心的な目標ということもあって、二〇一三年度比の二六%削減から四六%削減ということを目指すとして国際社会に表明されたわけであります。  この四六%という根拠について、小泉環境大臣が、おぼろげながら浮かんできた数字というような趣旨の話を、これは衝撃の発言でありましたけれども、されたわけであります。産業界がこの四六%ということに強い懸念を示される中で、余りにもちょっと空気が読めていないような発言だというような思いを持つわけでありますが、今ここで、気候危機への対策に参画していくということは世界の潮流でありますから、日本がその方向とは逆の方向に進んでいくということにならないのはよく分かっているわけでありますが、しかし、構造的な改革を求められているような産業界においては、こういう発言はいかがなものかという声は非常に多く聞かされております。  国際的な温暖化、気候危機というのは対応していかなければなりませんし、日本でも、外交上の関係、観点も含めてそういうところに乗っていくのは分かるんですが、国内の産業と雇用、結果として空洞化が進む、例えば国内の工場が海外に行けば目標達成になるのか、そういう視点でこの経済産業委員会では議論することはできないと思うんですよ。国内の雇用、産業をしっかりと維持、発展させていくということが大前提の中でこのことは進めていくというのが、当然の、共有する思いだと思うんです。  大臣に所見を伺いたいんですけれども、自動車とか鉄鋼とか、いろいろ、それぞれ、様々、業界として発言を出されていますけれども、私が問いたいのは、国内の基盤、国内の雇用、これを維持、発展させると、大臣のお口から、そのことは可能であるし、そういう決意を持っているという思いがあれば、是非この場で伺いたいんですが、いかがでしょうか。
  95. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当然、国内の産業の維持、雇用というものも考えていかなければなりません。そういったことを前提に、産業界、また企業との対話の窓口というものは常に開いた形で、今回のカーボンニュートラル、またNDCというものも対応してきた思いであります。  総理が昨年の十月二十六日にカーボンニュートラルを宣言したときに、気候変動はもちろんのことではありますけれども、やはり国内から製造業が逃げていかないようにしたい、そして、ルール作りにもしっかりと参加をしていかないとそういう状況にはならないというお話を、私は直接いただいております。  そういった中で、国内の製造業が残るためには、非化石の電力の証書が欲しいとか、また、非化石の電力をもっと増やしてほしいとか、それぞれに要望があります。そういった中で、少なくとも、今の状況の中で、非化石を九十倍増やしていく、そして、証書の売買というものを、小売事業者しか買えなかったものを、需要家、消費側、例えば企業が買うことができる、そしてその価格も十分の一にしていくということで、あと、電力価格を安くしていくという課題は残りますけれども、そういったものも含めて対応をしているところであります。  特に、鉄鋼、自動車というのは基幹の産業ということでありますし、しっかりとその変化というものを私どもも応援をしていきたいと思いますし、物づくりの産業の基礎力、また基盤があってこそ、こういった危機対応というものもできるものだと思っております。
  96. 山岡達丸

    ○山岡委員 今、大臣から国内の産業のことについての考え方を伺ったわけでありますが、その一つ先にあるんですけれども、国内で維持できたとしても、これまで歴史的に物づくり産業の地域として支えてきた地域があります。国内でトータルで維持できたとしても、やはりそれぞれの地域にしてみれば、自分たちの町がどういう影響が出るのかというのが極めて大きな関心事であります。  私、北海道、自分の活動エリアに室蘭という町がありますが、鉄の町、物づくりの町というような地域の中で、長年、様々、産業を支えてきたということでありますが、このほど、政府がカーボンニュートラルという方針を出した中で、この室蘭においても、自分たちの町の将来像をどういうふうに描いていくかということを、協議会として、室蘭脱炭素社会創造協議会ということで、カーボンニュートラル化の中の脱炭素の中で物づくりの町がどういうふうに未来のモデルをつくっていくかということを地域で立ち上げているところでもあります。  工業の町で、本当に懸命な努力の中で、何とか様々な対応をしていこうというわけでありますが、こういう地域の町が、やはり、このカーボンニュートラルという中の産業、国内のみならず、各地域がしっかりこれまでの変化の中でもちゃんと根づいて、産業を発展させていく、そういう視点も私は必要だと思っています。  数々、この委員会の場で、大臣には地域の各町のことについての御見解もいただいておりますが、この室蘭始め、製造業が盛んな町を、経産大臣としてどのように守って振興していくか、この場でお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  97. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今委員から御指摘ありましたように、室蘭は脱炭素社会創造協議会というものを設立をいたしまして、経済産業省の地方局もこれには参加をさせていただいております。  今の環境がどう変わっていくのか、その中にどうついていくのか、そしてその地域のまちづくりをどうするかということを皆さんで協議をしていただくということで、まさに日本の縮図として物づくり産業があって、そしてそれを担う人たちがいて、またその人たちの生活もあるという中での取組であると思っております。  製鉄業は鉄鋼の市況によって大きく変わってくる業種でもありまして、今はその市況が悪いということで高炉が閉められたり、そういうことが全国各地であるわけでありますけれども、鉄鋼業としては、炭素を多量に排出する業界ではありますけれども、水素還元、これはかなり技術開発が必要であると思いますけれども、十四の重要分野に入れておりますので、こういったものも技術開発をしていきたい。  さらにまた、今できることということで、電炉での高品質の鋼板の製造ということでも取り組んでいただいております。電炉ですと、スクラップ材を使ってということなので高品質のものはなかなか難しいんですけれども、電炉の中で高品質のものをどう造れるかという取組もしていただいております。  さらに、CO2をいかに排出を減らしていくか。さらに、CO2の回収も含めて、この回収技術というのは日本が一番優れていると思っております。複数の会社がやっておりますけれども、海外からの引き合い、現時点でもあるわけですけれども、その後のカーボンの利用ということも含めて、これも技術開発の中に入っていると思いますので、幾つかの視点があると思いますけれども、複線でこの地域のまちづくりや雇用、産業というものを考えていくということでは、全力で支援をしてまいりたいと考えております。
  98. 山岡達丸

    ○山岡委員 大臣から心強い答弁もありましたが、技術革新は必要ですし、産業も構造改革が必要なんだと思いますが、そこには支えている地域もあって、そこの地域の経済もあり、伝統文化もありますので、その視点も持って産業の政策を実施していただきたいということを強く申し上げさせていただきます。  室蘭の地域は、今、重要分野の一つということで鉄鋼のこともお話しいただきましたが、洋上風力も、港湾を活用して拠点港になれないかということで産業集積もしてきましたし、そういう関連事業の誘致にも取り組もうということも今念頭にあるわけであります。  洋上風力、二〇三〇年までに一千万キロワットということで、北海道の近隣でも二百万キロワット以上が期待されているということであるわけでありますけれども、一方で、地域の努力だけじゃなくて、北海道の立地的な、北方にあるというところから、きちんと電力を運んでくる、いわゆる系統の整備、こういうことが、輸送する状況が整わなければ、その力は地域として発揮できないということもございまして、これは経産省にお伺いしますが、いわゆる北海道の洋上風力、ここに寄せられる期待の点と、そして系統整備の方針、現状について少しお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  99. 茂木正

    茂木政府参考人 北海道については、これは洋上だけではなくて陸上も含めて、風況ですとか、水資源、バイオマス、こういった多くの再エネがありますので、この再エネの拡大の余地を最大限引き出していきたいと私どもも考えています。  実際、例えば、陸上風力の発電だけでいいますと、都道府県別のFIT認定が、今全国一位が北海道であります。  洋上風力については、今委員からも御指摘ございましたとおり、二〇三〇年、四〇年の将来のビジョンというのをお示ししておりまして、例えば二〇四〇年の北海道の導入量の見通しについてもこれは非常に大きいので、この導入可能性を最大限生かしていきたいというふうに考えています。  この大きなポテンシャルを生かすためには、やはり再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定をしっかりやっていくということとともに、大消費地、関東ですとかこういった大消費地に向けて大容量電力を長距離送電するということが必要になってまいります。  このため、北海道と本州を結ぶ地域間連系線について、これは海底送電ケーブルの可能性も含めまして、今、全国各地の再エネポテンシャルを踏まえたマスタープランを検討する中で議論を進めているところであります。  このマスタープランについては、この五月頃には何とか一定の取りまとめの中間整理というのを行う予定でおりまして、その中で、引き続き系統の整備についてもしっかり検討を進めてまいりたいと考えています。
  100. 山岡達丸

    ○山岡委員 五月には中間整理をやるというお話もいただきました。  海底ケーブルといっても、直接結ぶのか、あるいは北本連系線のような増強とか、様々選択肢があると思っておりますが、是非、ポテンシャルを生かすためにも、その整備というのをかなり速やかに進めていただければということを、この場でもお伝えさせていただきたいと思います。  太陽光のパネルもそうなんですが、風力もそうなんですが、設置はいいんですけれども、やはり、さきの委員会でもありましたけれども、果たしてこれが国産でいけるのかどうか。いろいろ再エネの費用をかけて日本で設置しておきながら、その富が海外事業者に流れる。いや、世界的にはそれは正しいのかもしれませんが、しかし、我々、地域をそれぞれにしょっている国会議員の身としては、やはり、自分たちの地域の、あるいは自分たちの国の産業としてしっかりやっていけるのかどうかというのが非常に重要なポイントだということを考えるわけでありますけれども、ここのいわゆる再エネ、新エネ、太陽光、風力、この辺りの国産化ということについてはどのようにして達成するという考え方なのか、経産省に伺います。
  101. 茂木正

    茂木政府参考人 今後、再エネを最大限導入していく中で、やはり、今現在、例えば太陽光パネル、御指摘ありましたとおり、輸入がかなり多いという実態も踏まえますと、導入拡大政策を産業政策としっかり両立させていく必要があるというふうに考えています。  例えば、太陽光については、既存の電池では設置困難な場所に設置できるような薄型の太陽光発電、ペロブスカイトというような技術もございますが、こういった次世代型の太陽電池の開発を進めていきたいというふうに考えています。  これは、三次補正予算でも計上していただきましたグリーンイノベーション基金なども活用しまして、技術の製品化、市場開拓を見通した取組をしっかり支援をして、早期の実用化を図っていきたいと考えています。  また、洋上については、ビジョンの中で、二〇三〇年、四〇年の案件形成の目標を示しておりますけれども、この国内需要を満たしていくためにも、産業の国内のサプライチェーンをしっかり形成していくということを大きな目標に据えています。既に、産業界も国内調達比率を二〇四〇年までに六〇%にするという目標もコミットしていただいているということであります。  残念ながら日本の風車メーカーは今撤退している状態でありますけれども、こうした、欧州の風車メーカーなども含めて、国内にしっかり誘致をしながら、かなりポテンシャルがあると言われる日本のサプライヤーをしっかり束ねて、国内のしっかりとしたサプライチェーンを構成していく。あらゆる政策を総動員して、こうしたサプライチェーンの構築を進めていきたいというふうに考えております。
  102. 山岡達丸

    ○山岡委員 今答弁いただきましたが、是非、既存の産業のこともあるわけでありますが、新しいこの分野がチャンスだというのであれば、その結果として国内産業がしっかり広がっていくということの視点を持って、そして、その上で、各地域で、これまでのいわゆる集積のある、経験も産業集積もあるような地域で、またそれが新たな物づくりとなっていくような、そういうビジョン、プランというのも、どうしても全体のことの議論はあるんですけれども、国内の各地域にどういうふうにそれを根づかせていくかという議論はまだまだこれから行っていかなきゃいけないと思います。  あわせて、今経産省から前向きなお話もあったんですけれども、しかし、現状としては、ほぼゼロからのスタートに近い状況であると思っておりますので、これは是非力を入れて進めていただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。  先ほど大臣答弁でも少し触れていただきましたが、新しい技術のことについて少し触れさせていただきたいんですけれども。  いわゆるカーボンリサイクルの話を先ほどされましたけれども、CCS、CCUSと、カーボンリサイクルもその分野でありますけれども、地中に二酸化炭素を埋める、あるいは空中からつかまえた二酸化炭素をまた別のものに活用する、リサイクルするということも含めて、今、極めて大きな予算を投じて、そしてこの分野の研究を進められようということをしているということは承知しております。  この委員会で何度か取り上げさせていただきましたが、北海道の苫小牧という場所が、まさに、CCS、地中に埋めるということの実証実験の場として、漁協の皆様含めて大きな理解を示して、世界に貢献できる技術に地域としてやっていこうということで進めている中で、そこの設備投資をした、相当な金額設備投資していますから、それを活用して、今度はCCUSとか、いろいろなところに転換できるような状況にしていきたいという期待を寄せているわけであります。  また、この苫小牧は、いわゆるCCS促進協議会というのをつくっていたんですが、CCUS・カーボンリサイクル促進協議会ということに組織を変えて、もちろん経産省の皆様もそこにお招きしながら、いろいろ進めているわけでありますけれども、今日、せっかくの質問の機会をいただきましたので経産省に伺いますが、このCCS、CCUSの取組の進捗、特にこの北海道苫小牧の状況を踏まえて、御答弁いただければと思います。
  103. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  CCUS、カーボンリサイクル、これにつきましては、二〇五〇年カーボンニュートラルを実現するためのキーテクノロジーの一つだというふうに認識してございます。昨年十二月に取りまとめたグリーン成長戦略におきましても、カーボンリサイクル産業を創出していく必要性について言及しているところでございます。  また、経済産業省におきましては、苫小牧市におきまして、日本初の大規模CCS実証試験として、二〇一六年度からCO2の圧入を実施しまして、二〇一九年十一月に、当初目標としていた三十万トンの圧入を達成してございます。あわせて、カーボンリサイクルの導入に向けた実現可能性調査を進めてきたところでございます。  今後、苫小牧を、CCUS、カーボンリサイクル実証拠点というふうに位置づけまして、カーボンリサイクルの一環として、CO2を利用したメタノール製造、この実証に向けた研究開発に取り組むほか、二〇二四年に世界に先駆けた液体CO2の船舶輸送の技術確立を目指すための実証試験、それから、これに伴う関連調査を行うべく、今年の三月から公募を開始したところでございます。  引き続き、苫小牧を拠点といたしまして、段階的に、CCUS、カーボンリサイクルの実証を進めていきたいというふうに考えております。
  104. 山岡達丸

    ○山岡委員 その可能性調査の結果、苫小牧を拠点としてという御発言もいただいて、大変地域にとっては本当に誇らしいという思いですし、大きな期待が寄せられるという状況であるわけでありますので、本当に、地中にCO2を埋めるというのは、ややもすれば地域住民も本当に誤解を持ちかねないような中で、我々の地域の中でいろいろな産業研究をしてほしいということでありますので、引き続き様々な形でコミットしていただきたいと思います。  大臣にお伺いするんですけれども、今回、予算の中で、二兆円に上るカーボンニュートラル基金というのが積まれているわけであります。既に、今の話にもありますとおり、経産省としては、この苫小牧の場所にかなり大きなコミットをしながら研究を進めていただいているわけでありますが、さはさりながら、二〇五〇年に向けて、この二兆円のカーボンニュートラル基金というのが積まれる中で、この基金の活用も、例えば、CCS、CCUS、カーボンリサイクルの分野に活用されていくんだとしたら、苫小牧含めて、そういう研究協力に理解のある地域に、こういうカーボンニュートラル基金を活用した、二兆円の分も活用した研究とか、そういう進展、発展ということについての可能性というのも考えられるのかどうか、大臣にちょっと総合的な見解も含めてお伺いしたいと思います。
  105. 梶山弘志

    梶山国務大臣 CCUS、特にCO2の利活用という点では、これからの研究開発、またイノベーションというのは必要な分野だと思っております。十四の重要分野の中に入っておりますし、二兆円のグリーンイノベーション基金の対象ともなるわけであります。  今、企業、そして研究組織、そしてさらにはアカデミア、また地域からいろいろな申請が来ておりますので、そういった中で選ばせていただきたいと思っておりますけれども、分離回収技術というのは、先ほども申しましたけれども、大体確立はしてきているんですね。そして、それの輸送方法であるとか利活用方法。利活用の中には、コンクリートに混ぜ込む、そしてプラスチックに混ぜ込む、また、人工光合成、さらにはそこからのEフュエルも含めて、様々な提案があるわけでありますけれども、そういったものをつくっていくこと。  また、世界に先駆けて、技術開発、そして実証、実装というものができるようにしてまいりたいと思いますので、地域ぐるみでしっかりと取り組んでいっていただきたいと思いますし、また苫小牧は市長が中心となって苫小牧CCUS・カーボンリサイクル促進協議会を新たに立ち上げたと聞いております。岩倉市長ともやり取りをさせていただきたいと思っております。
  106. 山岡達丸

    ○山岡委員 岩倉市長のお名前が出ましたが、大臣は御同期で衆議院に当選されたというお仲間でもあられるということであるんですけれども、是非、苫小牧という地域、大臣に心を寄せていただきたいと思います。  いわゆる四六%削減のことでいえば、二〇一三年比なわけでありますけれども、二〇一三年の世界のCO2排出量でいえば、中国が二八%、アメリカがおよそ一六%に対して日本は三・八%でありまして、そこから四六%削減というのが、アメリカとか中国に直せば、六%とか一〇%彼らが削減する中で日本が四六%という数字のボリュームでありますから、日本国内のこの四六%達成というのも、国際社会の中で一つ示す上で目標としては必要なのかもしれませんが、しかし、こういう新しい技術は、それ以上に世界のCO2を減らしていくことに大きなインパクトがあるんだということで、是非、国内の削減目標のみならず、こういう技術を世界的に役立てていくという視点の中で、いろいろな、総合的な産業政策というのを考えていただければと思っておりますので、時間が来ましたので今日の質問はここまでとさせていただきますが、引き続き、また機会がありましたときに、大臣に様々質疑をさせていただきたいと思います。  今日はありがとうございました。
  107. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  108. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  コロナ感染の拡大が止まらない。大規模なPCR検査、そして病床確保、ワクチンの接種を本当に進めるということとともに、十分な補償が急務であります。  そこで、梶山大臣に伺いますが、今年四月及び五月の緊急事態宣言、蔓延防止等重点措置の影響を受ける中小、小規模、個人事業者に対する新たな直接支援策の対象事業者と、それから給付の上限月額というのは、これは今年一―三月の一時支援金と同じということになりますか。
  109. 梶山弘志

    梶山国務大臣 政府として、四月二十三日のコロナ対策本部の取りまとめを踏まえて、緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置の影響により売上げが半減した中堅・中小企業者に対して、一時支援金と同様のスキームを活用して、一月当たり法人二十万、個人事業者十万円を上限に売上減少相当額を給付することとしております。  月次支援金という名称の新たな制度として、今、最終の詰めをしているところでありまして、本日の午後にでも発表させていただく予定でありますけれども、具体的には、緊急事態宣言又は蔓延防止等重点措置の対象都道府県の時短要請の対象である飲食店と直接間接の取引がある事業者、又は、不要不急の外出、移動の自粛による直接的な影響を受ける事業者が売上げが大幅に減少している場合に現金を給付させていただくということでありまして、外出の件も入っておりますし、要件については、上限も同じということであります。
  110. 笠井亮

    ○笠井委員 同じスキームで、同じということでありますが、では、この新たな支援金の申請受付というのはいつからということになりますか。
  111. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申し上げたんですけれども、新たなシステムを作る必要があるということで、できる限り早くということで、今朝も指示を出したところであります。  お困りの皆さんが多いということですから、ただ、システムを作ってやらないとその後の処理の流れが全然違うと思いますので、このシステム完成までに少し時間はいただきますけれども、できるだけ早く申請受付開始にしたいと思っております。
  112. 笠井亮

    ○笠井委員 このコロナ対策本部の資料というのがありますが、ここには、今大臣言われましたが、この事業執行スキームというのは現行の一時支援金のスキームを活用するということでありますけれども、この現行の一時支援金のスキームというのは、これはデロイトトーマツが委託を受けてやっているということですけれども、結局、またそこに委託を、並行してやるということになりますか。
  113. 梶山弘志

    梶山国務大臣 入札可能性調査というものをしておりまして、できれば多くの方に手を挙げていただきたいということで情報の開示も行ってきたところでありますけれども、やはりこれは負担が大きい仕事ということにもなります。そういったことも含めて、今のところ、デロイトトーマツということになろうかと思います。
  114. 笠井亮

    ○笠井委員 この現行のシステムを活用して、デロイトトーマツということになりますと、今やっている、五月末までの一時支援金ということで事務をやっているわけですね、そのシステムをある意味改修しないといけないということになりますと、五月末までそれをやった、終わった後にシステムを改修して、そしてそれから、結局、一か月ほどかかるのか分からないけれども、そうすると、そういうタイミングになって申請が受け付けられるということになりますか。
  115. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これは並行して作業をさせております。ですから、そっちが終わってから始まるということではなくて、できる限り早く、終わってからにはなりますけれども、開始が、終わってからという形になると思いますので、できるだけ早く開始をしたいと思っております。
  116. 笠井亮

    ○笠井委員 終わってからになるということでありますので、システム改修があるとなると早くても七月みたいな話になると、もう遅過ぎると。
  117. 梶山弘志

    梶山国務大臣 システムの改修は並行して行っているということであります。ですから、そちらが終わってから全ての作業に取りかかるということではなくて、システムはシステムで取りかかっていますので、できるだけ早く開始をしたいということであります。
  118. 笠井亮

    ○笠井委員 本当にこれは喫緊で待たれているわけですけれども、できるだけ早くというのは大体どれぐらいと、大臣。それを並行してやったとしてもかかる。六月なのか七月なのか、そういうことを、本当にもう今日明日の話です。
  119. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今責任を持って確実なことは言えませんけれども、私の指示は、六月の前半にという思いで指示を出しております。
  120. 笠井亮

    ○笠井委員 それでもやはり遅いなという感じなんですよね。  菅総理は、記者会見で、事業継続に支障が出ることがないようにということを言われたわけですが、この一年耐え続けてきた事業者からは、手厚く、早く、そして補償がないと潰れてしまうと悲鳴が上がっている状況であります。  持続化給付金は、去年の四月七日に緊急経済対策が出て、それを受けて五月一日には申請が開始されたわけで、そのスピード感も今ないんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。四月に決めて、五月から始まったと、一日から。
  121. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これは、事業者に当たることも含めて、事前事業者とのやり取りもさせていただきました。そのところが不透明だということで、様々な御指摘も受けて、改善もしてまいりました。  ただ、やはり、事前にお話をしても事業者が集まらない場合もあるということでありまして、こんな何兆円という形の、例えば持続化給付金であれば五兆円のスキームですから、想定できないことがかなり起こるわけであります。そして、できるだけ早くということで、事前説明会等も行いましたけれども、公平性が足りない、透明性が足りないということもお叱りを受けたわけでありますけれども、そういった中で、できる限りの迅速さというものを求めて今取り組んでいるところであります。
  122. 笠井亮

    ○笠井委員 公平公正にきちんと、できる限りの迅速さということでありますけれども、そこが本当に今問われているんだと思います。  しかも、対象の地域も業種も一時支援金と同じということで先ほどありました、限定的と。しかし、この今回の緊急事態宣言では、菅総理自身も会見で、これまで以上に踏み込んだ対策を実施するというふうに言われまして、これまでの飲食店への対策に加えて、変異株が急速に増えている下で、休業要請も含めた人流、人の流れの抑制につながる、より強い措置が取られたわけでありますが、その影響というのは、やはり、これまでにない、踏み込んだということになると、全国全ての地域や業種に及ばないということを言えますか。
  123. 梶山弘志

    梶山国務大臣 地域の限定、業種の限定はなくするつもりであります。そして、先般、笠井委員からも、人流というものが蔓延防止策の方には入っていないというお話もありました。これは、やはり人流というものも入れていこうということになりました。さらに、いつもお話をさせていただくことでありますけれども、国が一律でやるだけではなかなかカバーできないこともあるという中で、地方創生臨時交付金、更に五千億円の予備費からの手当てというものもして、それぞれの地域に、また地域ごとの事情というものもあるでしょうから、そういった対応もしていただくということで、手当てをしているところであります。
  124. 笠井亮

    ○笠井委員 全国全ての地域、業種に影響が及ぶということは認められました。そして、今、地方のことでいえば、それぞれあるんだということで、地方創生臨時交付金のことで五千億追加というお話がありましたが、それに対しても全国知事会は、感謝するとしながらも、更に実効ある措置を求めているという状況ですよね。  西村大臣もこれまで以上に強い措置というふうに言われていますけれども、実際には人の流れがなかなか止まっていない。今朝も通勤の電車は満員です。もう協力できないという事業者も出てきているということがあります。やはり強い要請に見合う補償がないと効果がないということになってきているのではないか。  だから、全国知事会は、今回の緊急事態宣言を受けた四月二十四日の緊急提言でこう言っております。一年以上の新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加えて、大型連休期間中に首都圏や関西圏での緊急事態宣言が発令されたことにより、対象地域や休業、時短要請の対象となった業種はもとより、観光、宿泊、交通関連の事業者や農林水産業を始め全国の幅広い業種の事業者に深刻な影響が顕著になっていることから、地域によって支援の差が生じることのないよう、全国において持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給を行うことなどを強く求めているわけですよね。  だから、全国に影響がある、業種も全部に関わるとおっしゃりながらも、いや、地域ごとにあるんですと言われるんだけれども、その地域ごとに責任を負っている全国知事会自身が、やはり今、本当に全国的な、国としての給付金の制度を、再支給するということが必要じゃないかと。もう大臣、ここに応えるべきじゃないかと思うんですが。
  125. 梶山弘志

    梶山国務大臣 全国一律ということで考えますと、持続化給付金があり、そして今回の一時給付金、さらに蔓延防止措置に対応する給付金があるわけでありますけれども、それだけで果たして全てを網羅できるのかというと、地域ごとの対策というのも必要だと思うんですね。  協力金は別として、地域ごとの対策のために第三次補正で一兆円を組む、そして、今回また五千億円を追加するということでありますから、当面そういった形での地域ごとの対策というものも必要であると思っております。  ただ、私どもは、総理の指示を受けて、できる限りのことはしたいという中で、前回の議論もありましたけれども、できるだけ寄せていく、二つの制度、三つの制度がある中で、多くの金額が得られるような、また要件ができるだけ簡素になるような形で寄せていくという中で、今、最大限努力をしてまいりたいと考えております。
  126. 笠井亮

    ○笠井委員 地域ごとの対策とは矛盾しないと思います。  同時に、やはり蔓延防止等の重点措置区域の要請もまた相次いでいるという状況です。衆議院には日本共産党と立憲民主党が共同提出した持続化給付金の再支給法案が共同提出されておりますけれども、大臣も、今いろいろ苦労されていると。寄せながら、シンプルにということも、いろいろ議論しました。やはり、そういう中で、今こそ踏み切るべきだということは強く申し上げておきたいと思います。  次に、関西電力による老朽原発の再稼働について質問いたします。  梶山大臣は、昨夜、杉本達治福井県知事とテレビ会談をされまして、ちょうど先ほど十時三十分から県知事の会見が行われているということでありますが、運転開始から四十年を超えた三老朽原発、高浜一、二号機、美浜三号機が我が国で初めて再稼働かという重大局面を迎えております。  原則四十年の運転期間は、東京電力福島第一原発事故の反省から定められたものであります。それをなし崩し的に四十年超の老朽原発の再稼働を認めるというのは、やはりこれは福島事故の教訓に明らかに反するものじゃないかと思うんですけれども、大臣、政治家として、その点、どうお考えでしょうか。
  127. 梶山弘志

    梶山国務大臣 四十年超の規定も、事故後の新しい規制委員会、そして新しい規制基準の中で決められたものであります。一回に限りということでありますけれども、そういった規則になっているわけであります。  福島第一原発の教訓を踏まえて、原子力発電所については、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査し、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めたもののみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくというのが政府の方針であります。  その上で、先ほど申しましたように、四十年を超える運転につきましては、原子炉等規制法において原子力規制委員会の認可を受けることとされておりまして、その際、原子力規制委員会は、通常の審査に加えて、劣化の程度や保全計画の妥当性を厳正に確認するなど追加的な審査を行うと承知をしております。  こうした審査を通じて運転延長の認可を得た高浜発電所一、二号機及び美浜発電所三号機については、原子力規制委員会の厳格な判断を尊重した上で、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくものであり、福島第一原発事故の教訓に反するとは考えておりません。
  128. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣言われた四十年超というのは例外なんですよ。やはり福島事故の教訓から原則四十年、これを決めたというのが大事なポイント。何よりあの事故から十年、今なお福島の苦しみが続く中で、二〇三〇年に向けた脱炭素電源としての原発頼みの加速などとんでもないということであります。再び原発の深刻な事故が起きる可能性がある。原発ゼロが多数の国民世論でありまして、老朽原発の再稼働など許されないということは強く申し上げたいと思います。  大臣、今、世界最高水準ということで新規制基準に適合したものということでの再稼働ということを言われましたが、原子力規制庁に伺います。その中で、竜巻対策というのは、新規制基準で新たに求められたものの一つということですね。
  129. 市村知也

    市村政府参考人 今御指摘のありました竜巻への対策でございますけれども、これは新規制基準の策定に当たりまして、原子炉施設の設計基準で考慮すべき外部事象の見直しというものを行いまして、その際に新たに明示をするということにしたものでございます。
  130. 笠井亮

    ○笠井委員 四月十九日の福井県議会全員協議会で、我が党の佐藤正雄議員は、美浜三号機の竜巻対策工事に従事した溶接工が納期を急がされてずさんな工事を強いられたと告発していることを取り上げました。関西電力は、佐藤議員に文書回答をいたしまして、告発した方が下請会社で溶接作業に従事していた事実を認めました。  大臣は、この件については御承知でしょうか。
  131. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御指摘の件は、四月十九日の福井県議会全員協議会において、県議会議員から関西電力に対し、新聞記事を基にして美浜三号機の竜巻対策工事はずさんな溶接工事であったのではないかという質疑がなされたものと承知をしております。  関西電力からは、その場で、記事の詳細を承知していないとした上で、しっかりと現場を確認し、機会があれば改めて回答したいと答えたと承知をしております。  その翌日、関西電力は、当該県議会議員に対する個別の御説明の機会を設け、国土交通大臣の認定を受けた検査専門機関が超音波検査を、これは非破壊検査等ですけれども、実施して、品質に問題がない旨を確認していること、原子力規制委員会が使用前検査においてそうした品質検査の方法について確認済みであるということから、品質には問題がないと考えていることを直接御説明をしたと聞いております。
  132. 笠井亮

    ○笠井委員 今大臣が新聞記事に基づいて取り上げられたと言われました。その滋賀民報の三月二十八日付によれば、告発したのは美浜三号機の竜巻対策工事に従事した溶接工で、溶接四十年の熟練の方であります。これは実名で告発されておりまして、内容に自信と覚悟があるということでありまして、私の事務所でも報道記事だけではなく、昨年七月に直接話を伺うということでその方から伺って、この方が従事したのは美浜三号機の冷却水タンクの竜巻対策工事だということも確認いたしました。  原子力規制庁に伺いますが、この工事の、つまり三号機の冷却水タンクの竜巻対策工事の安全性というのはどのように確認しましたか。
  133. 金子修一

    金子政府参考人 御指摘の関西電力美浜発電所三号機の新規制基準適合のための竜巻対策工事については、認可された設計及び工事計画に従っているかを、現在、使用前検査で確認を行っているところでございます。  これまでに、新たに設置した建屋の防護のネット、あるいは非常用電源車の固定をするための竜巻対策工事等につきまして事業者検査が終了しているということを確認しておりますので、御言及のあった状況につきましても、事業者での対応の内容を確認した上で、適切に使用前検査を実施してまいりたいと考えております。
  134. 笠井亮

    ○笠井委員 今言われたのは、使用前検査の基本設計方針検査の中で確認したということでありますが、この方の証言によれば、指示された設計書が悪かったので、見た目だけで接着することはできるけれども強度が出ない、根本的にやり直すべきだと忠告をしたんだけれども、発注した建設会社からは、くっついていさえすればいい、二〇一九年十二月末までに仕上げろと言われて、無理だというふうに言ったら仕事を切られたということであります。余りにずさんな工事だったということで、このままでは福島事故の二の舞になるというのがこの方の実感だということでありました。  規制庁に伺いますが、新規制基準では、風速毎秒百メートルの竜巻に耐える強度を持たないといけないということになっておりますけれども、くっついていさえすればいいものだったら、とてもこれは耐えられないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  135. 金子修一

    金子政府参考人 御指摘の基準についてはそのように承知をしておりますけれども、具体的に場所が特定をされて、私どもも確認できるようになりましたら、それは確認をさせていただきたいと思っております。
  136. 笠井亮

    ○笠井委員 確認していないということですよ。  佐藤議員への関西電力の回答、先ほど大臣から言及がありました。ここにその文書がありますけれども、こうあります。佐藤県議会議員様、御報告メモということで文書が渡されまして、溶接部の検査は別会社にて実施し、合格したことを確認しており、品質に問題はないと考えております。当社は、つまり関西電力は、要求仕様どおり製作された部材であることを記録にて確認した後、発電所において組立てを行い、適合性確認検査にて据付け状態について検査を実施しておりますということを言っております。  大臣、今、関電は現場を確認してこういうことで回答したとおっしゃったんですが、つまり、ここに書いてあることは、下請会社が検査している、関電が仕様書どおりだと記録で確認をしていると。そこでくっついていたから問題ないといって、それに規制庁がお墨つきを与えただけではないかということになります。  大臣、ずさんな工事だと具体的な告発があったのに、今、規制庁もまだ確認できていない、それは具体的場所があれば確認すると言ったけれども、していないのに、これをうやむやにして再稼働させていいんでしょうか。
  137. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御指摘の竜巻防護対策を含めて、プラントの安全対策については、原子炉等規制法に基づいて、原子力規制委員会が審査及び検査を通じて規制基準への適合を確認するものと承知をしております。  その上で、美浜発電所三号機については、御指摘のあった竜巻防護壁も含め、関西電力が所定の検査を実施した上で、これは先ほども申しましたけれども超音波の非破壊検査ということですから、そういったものもしっかり、そういった検査に基づいて検収をしているということであります。  それらを含めて、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくという方針に変わりはありません。
  138. 笠井亮

    ○笠井委員 原子力規制委員会による竜巻対策工事の使用前検査というのは、設計に問題がないかを確認するだけであります。この告発に対応した具体的な安全性の調査検証にはならない。先ほども、まだ、具体的に箇所があればそれは調べますということですから。  そんなことでいいのか。運転期間四十年超の原発の初めての再稼働ということになります。しかも、十年間も動いていなかった。しかも、ずさんな工事だったと告発されている。こんなものを動かすのかということになってくると思います。  規制庁に伺います。  特定重大事故等の対処施設の三原発、高浜一、二と美浜の三号機、それぞれの設置期限というのはいつですか。
  139. 市村知也

    市村政府参考人 今御指摘のありました特定重大事故等対処施設の設置に係る経過措置の期限でございますけれども、高浜一号機、二号機については令和三年六月九日、美浜三号機については令和三年十月二十五日でございます。
  140. 笠井亮

    ○笠井委員 高浜一、二号機はもう一か月後ですよね、六月九日。美浜三号機はあと半年後の十月二十五日。  梶山大臣、テロ対策に必要な特重もできていないのに、今再稼働しても、またすぐに止まるということであります。何が何でも動かそうとする。安全神話そのものに立っているんじゃないか。四十年超の老朽原発を動かした実績をつくりたいだけで。大臣も昨日知事と会談されて、これからも原発やりますよと言って、知事も、もう会見は終わったかもしれないけれども、同意するみたいな話になっているんじゃないですか、これは。実績をつくりたいと。
  141. 梶山弘志

    梶山国務大臣 政府の方針は、原子力規制委員会において安全が確認されたもののみ再稼働を図っていくということであります。そして、安全を最優先として、地元の同意を得ながら再稼働をするということでありまして、そういう方針の下に、今回の件も行っているところであります。  高浜一、二号機の特重施設については、今回、関西電力が本年六月の設置期限までに完成できない旨を文書で原子力規制委員会に提出したことは承知をしております。  再稼働の具体的なスケジュールは、一義的に事業者の判断となります。関西電力の森本社長は、昨日のぶら下がり取材において、高浜一、二号機について、地元同意が得られた後に工程を検討していきたいと考えていると回答したと承知をしております。
  142. 笠井亮

    ○笠井委員 三原発のうち、私が今日提起した美浜三号機の問題ですけれども、これについては、具体的告発が現場に携わっている方からあったのに対して、規制委員会ではちゃんとそのことについては確認していないと先ほどあったんですよ。そういう問題が起こっている。  しかも、この美浜三号機の竜巻対策の工事を請け負っているのは、主に関電プラントであります。高浜町の森山元助役が三十年以上も顧問を務めたあの会社であります。同社から森山氏と関係が深い企業に巨額の発注が行われて、その利益が関電幹部に渡った金品の原資となっていたという問題が大問題になりました。  だから、梶山大臣は、ちょうど一年ちょっと前ですよね、去年三月に関西電力に対して業務改善命令を出したんだろうと思うんです。あのときも、出し直したという話もありましたからね。  今年三月二日、それに対して関西電力から大臣宛てに提出された業務改善計画の実行状況に関する報告というのがあります。その中で、では伺いますが、子会社からの発注の透明性確保、ルールの見直しなど厳正化の部分については、何と書かれているでしょうか。
  143. 梶山弘志

    梶山国務大臣 本年三月二日、資源エネルギー庁長官が、関西電力から業務改善計画の実行状況について三回目の報告を受けたところであります。  この報告書では、子会社からの発注の透明性確保として、工事の発注、契約手続等に係る不適切な運用を禁止することを目的とした、子会社に対するルールの見直しなどの取組が記載されているものと承知をしております。
  144. 笠井亮

    ○笠井委員 その中で、更にこう書いてあります。「当社が子会社に発注する案件について、調達等審査委員会委員が審査の対象とした場合、当該案件に係る子会社からの発注についても、審査対象とすることを社内規定に明記しました。十二月十四日の委員会より審査を開始し、グループ全体で、工事の発注・契約に係る業務の適切性および透明性を確保しています。」こう言っているわけですよね。  でも、この「グループ全体で、工事の発注・契約に係る業務の適切性および透明性を確保しています。」と言いますけれども、今回の告発を受けた関西電力の対応のどこが透明性なのかということになります。透明性を確保しているというなら、この溶接工の方が関わった工事の施工体系を全て出させるべきだと。そして、ずさんな工事の告発に自ら蓋をする関西電力は、原発を再稼働する資格を欠いていると言わなければなりません。  梶山大臣は、三老朽原発の再稼働を進める国の方針と対応について福井県知事に御理解をいただくよう改めてお願いするんじゃなくて、関西電力に老朽原発の再稼働こそやめさせるべきじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  145. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申しましたように、国の方針としては、新規制基準を通ったもの、安全を最優先して、そして、地元の理解を得た上で再稼働をさせるということであります。そして、四十年超の原発に関しましても、規制委員会ができて、新規制基準の下に定められたものであり、その法律に沿って今回のことが進められていると考えております。  そして、子会社の話でありますけれども、業務改善命令を出しまして、報告の中で書かれているだけではなくて、コンプライアンス、そして不正をしっかりと把握する力というものは、やはり会社としてしっかりと持っていくための努力はしているということで、確認をしております。
  146. 笠井亮

    ○笠井委員 そのコンプライアンスそのものが問われていると思うんですよ。  それで、規制委員会が確認したからということで、適合しているというような話を繰り返し言われるんですけれども、私は、今の提起した問題を通じても、地元やそれから国民は本当に、この問題が分かったら、理解できないと思いますよ。  この福井の原発をめぐっては、避難計画や、あるいは使用済核燃料の中間貯蔵施設をめぐる問題も、これは決着がついていなくて、むつの方はまだ反対だと言っているわけですから、課題山積なのに見切り発車するということは許されないと申し上げたいと思うんですね。  時間が来たから終わりますけれども、福島原発事故を起こしながらいまだに原発にしがみついているから、世界から取り残されるんだと思うんですよ。  二〇三〇年、五〇年の脱炭素社会に向けて、世界的な流れというのは、事業で使用する電力を一〇〇%再エネとする、RE一〇〇の時代であります。  海外で競争できる企業を増やしていくと、昨日も大臣、そういうことを言われていましたけれども、そういうふうに言うんだったら、この流れに呼応しないと、日本企業は世界のサプライチェーンからはじき出されてしまう。  旧態依然たる原発固執から抜け出して、経産省として、省エネとともに再エネの真剣な取組を進めることこそ一番のポイントだということを強く申し上げまして、この問題、エネルギーの問題については、この委員会でも取り上げて、更に議論していきたいと思います。  終わります。
  147. 富田茂之

    富田委員長 次に、美延映夫君。
  148. 美延映夫

    美延委員 日本維新の会の美延でございます。よろしくお願いいたします。  本日は、事前に打合せしていた順番と少し変えさせていただきますので、どうぞ御了解のほどよろしくお願いいたします。  日本経済の構造転換を促すことを目的として事業再構築補助金が創設されたということでありますが、この点に関して、過去にも、構造転換、国際競争力の強化を図るという目的で、二〇〇三年に、知的財産立国を目指して、知的財産戦略本部が設置されております。また、知的財産推進計画において、中小企業、ベンチャー企業の権利取得等を支援するため、各地域の経済産業局等に地域知財戦略本部を設置されていることと承知しております。  そこで、お伺いしたいのですが、ポストコロナ、アフターコロナを見据えた経済対策として、支援金という制度と並行して、知財戦略を柱とした中小企業、ベンチャー企業の支援を行っていくことも検討すべきでないかと思うんですが、梶山大臣の御所見を伺います。     〔委員長退席、関(芳)委員長代理着席〕
  149. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これから新たな技術というものを技術開発していく上で、知財というものは大変重要なものであります。  例えば、リチウムイオン電池、また全固体電池の開発というもの。リチウムイオン電池は、日本で開発したものでありますけれども、市場は取られている。それで、今後の、次世代型の電池ということで全固体型ということもありますけれども、こういったものの知財、特許というのは日本が一番持っているということでありますが、市場化のところでの投資で負けてしまうということもありますけれども、そのための知財の確保、また保護というものは非常に重要だと思っておりますし、今後の日本の生き方としては、しっかりとそういったものを、例えば金融と併せてどうしていくのか、そして、技術だけ持っていても、その使い方というものも含めて、そういった指導や相談というものにも乗ることも含めて対応してまいりたいと思っております。
  150. 美延映夫

    美延委員 そうなんですよ。今大臣がおっしゃっていたように、そこをしっかりやっていただきたいと思います。  現在、知財を活用した企業向け融資では、全金融機関の総貸出しに対して、どの程度の割合となっているんでしょうか。全金融機関の貸出残高と、知財を活用した貸出残高について教えていただきたいと思います。比率的には非常に小さいとの認識ですが、企業側からすると、なかなか、知財融資というのは、間接金融での資金調達では現状では難しいという認識でよろしいでしょうか。
  151. 糟谷敏秀

    糟谷政府参考人 知財を活用した企業向け融資ということでございますが、特許庁では、知財を持つ中小企業の事業性などを地域金融機関が適切に評価、支援できるようにするために、知財ビジネス評価書を地域金融機関に提供するという事業をやっております。この知財ビジネス評価書といいますのは、中小企業の技術の優位性などについて、知財を中心に専門機関が分析したものでございます。  これまでこの評価書を提供した地域金融機関、大体二百ちょっとありますけれども、これらの金融機関に対して、知財を活用した中小企業への融資をどれだけ行ったかということを調査いたしましたところ、約四割、八十三の機関から回答がありまして、累計で七十八億円ということでございました。  もちろん、この回答がなかった六割の企業、それから独自に融資を行った金融機関もあるとは思いますけれども、金融機関の総貸出残高が約三百五十五兆円ということを考えますと、知財を活用した融資はなお増やす余地があるというふうに考えております。
  152. 美延映夫

    美延委員 三百五十五兆円の中の七十八億ですから、これはもう比較するすべもないと思うんですけれども、そこは是非増やしていただくべきであると思います。  知財の活用という意味においては、模倣品や類似品の排除の効果のみならず、アーリーステージにある企業にとって、特に資金調達もできるよう、政策的に、国を挙げて支援をしていくことも必要と考えます。  確かに、金融面における知財活用が進まない理由としては、多くの場合、知財評価、具体的に当該知財がどの程度の金銭的価値を有するのかが金融機関において評価することに不慣れであって、そのため、当該知財の持つ信用についても過小評価し続けられた点があったとの見方もできます。  ただ、現状を見過ごしていては、この先、知財の金融面での活用は一歩も進まないのではないでしょうか。知財を活用して新事業を行う企業に、特にアーリーステージにある企業の資金不足を解消させ成長を促すという意味でも、十分な資金調達を行う仕組みを国で新たに構築すべきだと考えております。  その際、参考になるのは、信用力に乏しい中小企業の融資を円滑に行うことを目的として行われている信用保証協会のスキームがあります。新たな制度として、銀行が知財に質権を設定して融資を行い、当該融資が焦げついた場合には一定額を補填するような仕組みを構築すれば、銀行も知財融資を進めやすくなるのではないでしょうか。  その際、当該知財が事業内容をカバーしている等の判断について専門家である弁理士さんや学者さんなどの外部人材の評価を行うといった、銀行の与信判断を支援する制度の新設も重要と考えます。  現在、内閣府、経済産業省、金融庁が連携して、中小企業や中小企業を支援する金融機関が経営デザインシートを活用するのを支援するなど、金融庁における知財政策が行われていますが、更に進化させていただき、私の提案も検討していただきたいと思いますが、梶山大臣、いかがでしょうか。
  153. 梶山弘志

    梶山国務大臣 現行の信用保証制度においても、金融機関が知的財産を担保にして融資を行った場合に信用保証協会が保証を付与することは可能であります。  一方、先ほど来議論があるように、知財を活用した中小企業への融資も行われてきてはいますけれども、拡大の余地が大分あるものと承知をしております。  知的財産を担保とする融資をより一層促進するために、金融機関において知的財産の価値が適切に評価をされることが重要であります。このため、特許庁では、知財の外部専門家を活用して、金融機関等の取引先である中小企業が保有する知的財産の優位性などを分析した知的ビジネス評価書を作成し、金融機関等に提供する取組を実施してきているところであります。  この制度の活用を金融機関等に促すことで、知的財産を担保とする融資の拡大を支援してまいりたいと思いますし、議員御指摘のように、各省庁がちょっと連携をしながら、金融庁とも連携をしながら、こういった形のものを広めてまいりたいと思っております。
  154. 美延映夫

    美延委員 大臣是非よろしくお願いいたします。  次に、一時支援金について伺いたいんですけれども、一時支援金の申請は、前回の一月の緊急事態宣言の発令に伴い、飲食店の時短営業や不要不急の外出や移動の自粛により売上げが半減した事業者等を対象に、先月八日から申請が始まっており、一月弱が経過しております。  この一時支援金ですが、地元の有権者の陳情を受けて、四月二日の当委員会では、登録機関の事務局の対応の遅さについて質疑をさせていただきました。  申請開始から今日まで申請が伸び悩んでいると聞いており、私の地元でも、実際に、申請に関しての相談が数件あった程度で、支給されて助かったという声はほとんど聞かれません。  申請開始からこれまでの、直近の申請件数や支給実績を、持続化給付金と比較した上で数字を教えてください。     〔関(芳)委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 飯田健太

    飯田政府参考人 一時支援金と持続化給付金の申請開始から直近、約五十日間でございますけれども、この申請件数についてお答えいたします。  持続化給付金につきましては、昨年五月の一日に申請受付を開始いたしまして、昨年六月十九日まで約五十日間の事務局の集計では、約二百二十二万件の申請を受け付けまして、約百六十四万件の給付を行ったところでございます。  一時支援金でございますけれども、御指摘のとおり、三月の八日から申請の受付を開始いたしまして、四月の二十七日までに、約十五万件の申請を受け付けて、約十一万件給付を行ったところでございます。
  156. 美延映夫

    美延委員 これは、一時支援金と持続化給付金はそれぞれ支給概要が違いますので、単純に比較できるものではないというのは私も理解していますけれども、私の地元でも好評であった持続化給付金と比べると、一時支援金の申請件数は十一万件と、少なさに驚きます。  この持続化給付金と比べた申請件数の数字の少なさ、申請が伸び悩んでいる根拠について、政府はどうお考えでしょうか。
  157. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、制度が違うものでございますので、一概にお答えすることはなかなか難しいと思っておりますけれども、やはり一つには、本年一月の緊急事態宣言というのは、昨年のものとは異なりまして、発令された地域が十一都府県に限定されていて、これまでの経験に基づきまして、飲食につながる人の流れを制限する対策に重点を置いていたということで、おのずとその影響範囲もまた異なっているということが考えられます。  また、民間調査などによりますと、半導体の関連ですとか家庭向けの飲食料関連など、業種によっては景況感が改善しているというものもあるということでございます。  さらに、緊急事態宣言で特に売上げが大きく減少していると考えられる時短営業の要請を受けた飲食店の方々、これは協力金の給付対象となっておりますので、一時支援金の申請対象ではないということもあるかと思います。  こういった状況ではございますけれども、他方で、支給対象であるか否かということを迷っておられる事業者の方々もまだいらっしゃるんじゃないかというふうに思われますので、制度について事業者の皆様にしっかりお伝えするということも大切だと思っております。  分かりやすいチラシでございますとか、登録確認機関を含めた団体、こういったものにそのチラシを設置することでございますとか、あるいは、本日、御覧いただけましたら、新聞に一面広告を全国紙に出させていただいております、こういったマスメディアを通じた周知でございますとか、必要な方に必要な支援をお届けできるように、事業者の立場に立った分かりやすい広報にも努めてまいりたいと考えてございます。
  158. 美延映夫

    美延委員 そこはしっかり広報していただいて、本当に、皆さん、できるだけ、助けられる方はしっかり助けるという体制をお願いいたします。  次に、昨日の地方創生委員会でも私、質疑させていただいたんですけれども、私の地元大阪の繁華街にある、ある地縁団体は、本来行政が行うべき自転車の駐輪対策として、長らく利益を度外視して駐輪場の経営を行ってきました。コロナ禍によって収益が五割減となりまして、持続化給付金の申請を行ったところ、みなし法人であるがゆえに申請をすることができなくなり、地元企業からの寄附金も底をついて、結果として本年の六月に閉鎖することとなりました。全く残念であります。  しかし、今回の自治法の一部を改正する法案で、土地を所有しない地縁団体にも法人格を付与されることとはなりましたが、私の調べたところですと、認可地縁団体に法人格が付与されたとしても、持続化給付金のような支援策を受けられないとのことですが、これはどうなっているのか、ここを明確にちょっと説明していただけますか。
  159. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答えいたします。  持続化給付金でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を下支えする、再起の糧とすることを目的としておりまして、やはり、この目的に合致する方々を対象として給付するというのが原則的な考えでございます。  御指摘ありました認可地縁団体でございますけれども、町内会、自治会などの地域的な共同活動を目的とする団体であって、不動産などを保有するために、市町村長の認可を受けて法人格を得たものであるということでございますが、その認可要件でございますけれども、こちらは、集会施設の管理とか地域社会の維持、形成に資する共同活動を行っていることなどと承知しておりまして、事業性の有無に着目したものではないというふうに承知しております。  持続化給付金の事業の審査は書類を基に行っておりまして、認可地縁団体などを含みます設立登記法人以外の団体につきましては、その活動実態が極めて多様でございまして、書類によって外形的にその事業性を判断、審査する統一的な基準を作ることが非常に難しかったということで、持続化給付金の対象に含めることはいたしませんでした。  他方で、大臣も御答弁いただきましたけれども、地方自治体などで、こういった認可地縁団体などの個々の事業実態を把握できる強みを生かして、当該活動の地域における意義を踏まえて、地方自治体独自で給付金や補助金の支援措置を講じているところもございます。地方創生臨時交付金なども活用いただきながら、それぞれの団体の地域における様々な活動が支援されることが重要だというふうに考えてございます。
  160. 美延映夫

    美延委員 今るる説明いただいたんですけれども、正直なところ、これに関しては私は納得しておりません。ただ、もうこれ以上言っても仕方がないので次に進めさせていただきますけれども。  東京、大阪、京都、兵庫に緊急事態宣言が発令となりました。コロナとの戦いはもう一年を超えて長期間にわたっております。今回の急拡大の要因変異株の発生と言っても過言ではないと考えております。コロナウイルスの変異株は感染力が強いことや若年層でも重症化する可能性があるとのことで、大阪では変異株のウイルスの感染者の約六〇%は三十代以下という発表もありました。  政府分科会の尾身会長は、明らかに今までとは違うフェーズに入った、こうした状況では、感染を減少傾向に転じさせるためには、単に飲食の営業時間を短縮させるだけではなく、接触機会の削減や人が集まる場所を避けること、地域を越えた移動を控えてもらうなどの対策をパッケージで行っていくことが重要になると発言されたと承知しております。  今回の緊急事態宣言で、十七日間という過去二回の緊急事態宣言と比べて期間の短さや感染力が強い変異株ウイルスが広がる中で、今までと同じ対策では感染拡大を十分に抑えられないと思いますが、感染の拡大を防ぎ、国民の命を守ることは最重要なことだと考えます。  あわせて、休業を要請するのなら国がしっかり補填、補償すべきだと考えます。つまり、要請と補償はセットで考えなければならないと思いますが、緊急事態宣言を受けて、梶山大臣の、経済産業大臣としての所感をお聞かせいただけますでしょうか。
  161. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の緊急事態宣言は、ゴールデンウィークの短期集中対策として、感染拡大の主な起点となっている飲食の場面における対策に加えて、人流の抑制につながる強い措置を講じるものであります。こうした措置を講じる上で、影響を受ける方々に対して支援を行うことは、議員御指摘のとおり重要なことと認識をしております。  先週二十三日の政府コロナ本部においては、大きな影響が出ている飲食や宿泊に加えて、今回の休業要請の対象となる小売や文化関係などの事業者に対しまして、資金繰り対策を積極的に行うこととされました。また、飲食店や休業要請に応じた大規模施設や売上げが減少した事業者については協力金や支援金を支給することとされ、各省庁にそれぞれしっかり取り組むよう、総理から指示があったところであります。  今ある中でどういったことが適用できるのか。一つの対策だけではなくて、合わせ技でどうしていくのか。例えば、他省庁の雇用調整助成金も含めた事業の継続であるとか雇用の継続、そういったことも含めて対応してまいりたいと思っておりますし、私どものパンフレットにおいては、経産省所管外のものも含めて、企業やなりわいを維持していく皆様に対応できるような制度について、できる限り周知を図ってまいりたいと思っております。
  162. 美延映夫

    美延委員 よろしくお願いいたします。  続いて、緊急事態発令に際し、中小企業支援策に関する質問をさせていただきます。  昨今、中小企業の倒産、それから廃業増加懸念されております。株式会社帝国バンクの調査によれば、新型コロナウイルス関連倒産は、第三波や緊急事態宣言再発出の影響を受けて、昨年十二月以降急増しております。  具体的な数字を挙げますと、今日は資料をお配りさせていただいていますが、倒産件数は全国で千三百七十件。法的整理が千二百四十四件。具体的な内容は、破産千百七十八件、会社更生法一件、民事再生法五十七件、特別清算八件。業種別に見ると、上位に位置するのが、飲食業二百二十五件、建設業百二十二件、ホテル、旅館業八十七件、アパレル小売七十二件、食品卸売が六十七件。それから、都道府県別では東京が三百二十三件と最多。以下、大阪府百三十八件、神奈川県八十一件となっております。  また、東京商工リサーチの調査でも、コロナ関連破綻は、息切れや諦め型のほか、休業していた企業の債務整理などが進み、引き続き増加の勢いを強める可能性が高いとされています。  今回の緊急事態宣言の影響を受けて、今後、資金繰り支援や融資制度を必要とする事業者が更に増加すると見込まれますが、これまでの政府の資金繰り支援を受けてきた企業には過剰債務という問題も発生しており、コロナ禍の収まらない経済情勢の下では、今後、返済が始まるにつれ経営破綻に追い込まれる企業が続出することも懸念されております。また、融資が可能であっても、返済できるかどうかという不安があったり、高齢化で後継者のいない事業者であったりする場合は、廃業を決断せざるを得ない実態があるとも聞いております。  資金繰り支援は、その後の対応を誤れば、過剰債務問題、倒産の連鎖につながりかねないと思われます。今後の中小企業の資金繰りについてどのような見通しを持っておられるのか、教えていただけますでしょうか。
  163. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答えいたします。  中小企業の資金繰りについてでございますけれども、経済産業省は様々な手厚い資金繰り支援をこれまで行ってまいりました。実質無利子融資の申請件数も、昨年四月から六月でピークとなったわけでございます。足下では、年度末の資金需要などを理由に、申請件数は一時増加しましたものの、ピーク時と比べれば大幅に減少している状況でございます。  それから、コロナの影響が長期化する中で、中小企業の資金繰りDIでございますけれども、コロナ前と比較すると、業種によっては依然厳しい状況にはございます。二〇二〇年四月―六月期のマイナス四八・三、これが底であったわけでございますけれども、今年の一―三月期で見ますと二〇・六と、改善傾向にはございます。  他方で、事業者の業績は、業種や個別企業ごとにかなり様々でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、日本商工会議所の三月の調査ですと、例えば半導体関連ですとか家庭向けの飲食料品関連ですとか、好調であるということでございます。また、東京商工リサーチの調査ですと、三月ですけれども、約三割の中小企業が、コロナ禍前の二〇一九年と比べて、売上げが増加しているというお話もございます。  様々でございますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、企業の不安感を払拭するためにも、当面の資金繰りの万全を期すために、梶山大臣、麻生大臣らとともに、政府系、民間金融機関などに対して、据置期間などが到来する既往債務のリスケについて長期の延長を積極的に提案するなど、実情に応じた最大限柔軟な対応を行うことなどを累次にわたって要請しているところでございます。
  164. 美延映夫

    美延委員 そこはしっかりやってもらいたいと思うんですけれども、結論から言って、融資ではなくて持続化給付金のような直接助成ができる、手元資金が少ない中小零細企業の不安を払拭するような支援の必要性が、私はやはり、この事態になったらあると思うんですけれども、梶山大臣、どうお考えか。
  165. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金は、昨年の状況の中で、使途を限定しないという形で全国対象に、また全企業対象にしたものでありますけれども、今回の蔓延防止対策等はやはり地域が限定をされているということもあり、その中でのでき得る限りの対策は立てていかなければならないと思っております。  ただ、今業況が悪い観光業であるとか、また飲食業、そういったところの融資も五年の据置期間があったんですけれども、できるだけ早く返したいということで、一年以内での設定というものが非常に多いということを聞いております。こういったものの条件変更について柔軟に行うこと、さらにはまた、中小企業といえども、資本性の資金の融資であるとか、そういったものも含めて考えてまいりたいと思いますし、でき得る限りの対策、私どもで考えてまいりたいと思っております。
  166. 美延映夫

    美延委員 是非大臣、よろしくお願いいたします。これに関しては、また改めて質疑をさせていただきます。  本日はこれで終わります。ありがとうございました。
  167. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  168. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。本日もよろしくお願いいたします。  本日は、二十五分間お時間をいただいておりますので、先日、政府の方で発表されました、二〇三〇年に向けた温室効果ガスの削減目標、四六%という数字について質問をさせていただきたいと思っております。  まず、大臣にお伺いをしたいと思いますが、先日、総理の方が気候変動サミットの中でも発言をされましたけれども、二〇三〇年までに二〇一三年度比マイナス四六%という目標を目指す、さらには、五〇%という高みを目指して努力をするというような趣旨の御発言をされましたが、この発言、当然、対外的に総理が発言されましたので、政府としてもオーソライズされたものというふうに理解をしておりますが、それでよいかどうかというところをまず確認させてください。
  169. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先週、地球温暖化対策本部、また気候変動サミットにおいて、菅総理は、二〇五〇年目標と整合的で野心的な目標として、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくということを表明いたしました。  今後、この総理の発言に沿って検討を進め、パリ協定に基づく二〇三〇年の削減目標として国連に提出すべく、政府としての正式な決定を別途行うことになります。  経済と環境の好循環を生み出し、二〇三〇年の野心的な目標に向けて力強く成長していくために、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画の見直しや、投資を促すための刺激策など、集中的に議論を行い、結論を出してまいりたいと考えております。
  170. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  今、世の中的にも、この新たな二〇三〇年目標が設定されたということは大変に大きな注目を集めております。特に産業現場からは、その実現可能性について、ある種の懸念、不安と、それによる産業変革への期待、こういったものが入り交じった感情が今現場にはあるというふうに理解をしております。  今大臣答弁にもありましたように、今回、一つ、第一印象として思いますのは、ともすると、政治主導的な、政治判断的な要素が大変強く見受けられるところであります。  ただ一方で、産業現場からは、今申し上げたような懸念や不安もありますので、その不安を払拭するための質問をこれからさせていただきたいというふうに思います。  まず、この四六%という目標なんですが、いつ、どのような会議で決定されたものなのか、決定に至るプロセスについて少し詳細に御紹介をいただければと思います。よろしくお願いします。
  171. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  二〇三〇年に向けましては、これまでも、地球温暖化対策計画の見直しに向けました中央環境審議会それから産業構造審議会の合同会合、それからエネルギー基本計画の見直しに向けました総合資源エネルギー調査会等におきまして、二〇五〇年カーボンニュートラル目標に向けた議論が進められているところでございます。  例えば、環境省と合同で開催している、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた今後の気候変動対策、あるいは、農林水産分野それから廃棄物分野等における地球温暖化対策の取組、それから、代替フロン等四ガスの削減対策、こういった論点について検討を逐次重ねているところでございます。  また、総合資源エネルギー調査会におきましては、例えば二〇三〇年の省エネ量の見通しにつきまして、従来の五千三十万キロリットル、こういった見通しから、五千八百万キロリットルへの深掘りを見込んで、更なるその深掘りを検討する。あるいは、再生エネルギーの拡大につきましては、環境アセスの要件緩和などの政策強化、こういったものも含めまして、約二千九百億キロワットアワー電源構成にしますと三割前後程度、こういったものを数字として示す、その上で、更なる政策対応によってどの程度の導入拡大が見込めるか、こういった議論を重ねてございます。  それから、原子力につきましても、国民の信頼回復に努めて安全最優先の再稼働を進める、あるいは石炭火力につきましては、安定供給確保を大前提に、できるだけ電源構成の比率を引き下げていく、こういった詳細な議論を重ねているところでございます。  こういった議論の積み重ねを踏まえまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに整合させるよう、野心的な目標として、四月二十二日の地球温暖化対策推進本部におきまして総理より表明されたというふうに考えてございます。
  172. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  今、幾つか会議体を紹介していただきました。中央環境審議会、産業構造審議会、そして総合資源エネルギー調査会等での検討をしてきたということでありますが、私の手元には、先日、三月三十一日に行われた第一回気候変動対策推進のための有識者会議の際に配られた資料がございます。  これは事務局資料なんですが、この中を見ますと、今おっしゃっていたようなそれぞれの会議の名称が書かれているんですが、よく事務方から話を聞いてみますと、今答弁の中にもあったように、例えば環境アセスについては中央環境審議会、そして総合資源エネルギー調査会ではまた別のテーマで検討が重ねられているだとか、本当に会議ごとに取り扱うテーマがばらばらで、どこで何を議論しているのかが産業現場からすると非常に分かりづらいし見えづらい、こういう課題があります。  これから九年後の話、二〇三〇年というのは九年後の話ですので、産業現場と足並みをそろえて、心を合わせて取り組んでいくためには、政府で今何が議論されていて、どういう方向性なのかという情報公開という部分には、より一層気を遣っていただきたいと思うんです。  例えば、内閣官房ですとか経済産業省、環境省のホームページからそれぞれの調査会や審議会のホームページに入り、議事録をチェックすることはできますが、これを是非一か所にまとめていただくなり、そういった対策をこれから取っていただけないものか、そういう声をいただいているんですが、いかがでしょうか。
  173. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  政府のこれまでの議論につきましては、御指摘いただきましたように、各省のホームページでそれぞれの審議会資料等を公表しているところでございます。  ただ、御指摘のありましたような、どのような分かりやすいやり方があるか、しっかり検討していきたいと思います。
  174. 浅野哲

    ○浅野委員 是非お願いいたします。  これはすごく細かな話なんですが、国民あるいは産業現場から見たら、知るすべはそこしかほぼないわけですね。ですから、情報公開をしっかり行っていただきたいと思います。  それでは、次の質問に移りますが、これまでは、二〇三〇年時点での温室効果ガス削減目標の数値は、二〇一三年度比マイナス二六%という数字でありました。これを策定したときに、どういう根拠に基づいてマイナス二六となったのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  175. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  昨年三月に提出いたしました現行の我が国のNDC、これの中では、二〇一五年に策定した約束草案の、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比二六%削減する、この目標を確実に達成する、その上で、この水準にとどまることなく、削減努力を追求していくというふうに記載してございます。  この二六%削減という水準は、二〇三〇年度目標として、現行のエネルギーミックスと整合的に、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏づけのある数字として示したものでございます。  具体的に申し上げますと、二〇三〇年でのエネルギーミックスにおきましては、再生可能エネルギーの電源比率は二二から二四%、あるいは原子力発電は二〇%から二二%とされている等々、その内訳が現行のエネルギーミックスで記載してございます。これによりまして、エネルギー起源の二酸化炭素排出量は、二〇一三年度比で二五%削減できると見込んでございます。  このほかの非エネルギー起源の数値等々も、そこに記載しているという状況になってございます。
  176. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  本日お配りしております資料の三を御覧いただきたいんですが、こちらには、部門別のCO2排出量の現状と目標ということで、二〇一三年度の実績と二〇一九年度の実績、そして、これまでのNDC、二〇三〇年時点でのマイナス二六%を達成した場合のCO2排出量が部門別に掲載されてございます。  今答弁いただきましたように、マイナス二六%によって達成する目標のときには、かなりの裏づけをして、積み上げ型といいましょうか、実現可能性が十分にあるというものでありました。  ただ、今回の二〇三〇年の新たな目標は、そうではない。先ほど大臣からも答弁いただきましたように、かなり、積み上げというよりは、政治主導でまず目標を決めて、そこにどうたどり着くかはこれから考えるんだ、そういうような話でありまして、積み上げ型から、まず目標を設定してバックキャストで実現方法を探るというやり方に大きく政府の目標設定の在り方が変わったものというふうに理解をしております。  次の質問に移りますが、じゃ、マイナス四六%という数字が一体どこから浮かび上がってきたのかというところについて、まず答弁をいただきたいと思います。
  177. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申し上げましたのは手続の話ということでありまして、国連への提出については、政府としての正式な決定を別途行う必要があるということであります。  ですから、あとは、本来ですと、NDCというのはCOP26までに出すものということでありますけれども、アメリカまたEU等が先行して出していくような方針もありました。ただ、それに対しましては、私どもも積み上げをしてきたということであります。産業界との対話というものは、私どもの、経産省で続いているところであります。  二〇三〇年に向けては、総合資源エネルギー調査会、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合等において、二〇五〇年のカーボンニュートラル目標を踏まえて議論が進んでいるということで、先ほど矢作審議官からも説明があったかと思いますけれども、例えば、従来の省エネ量の見通しを五千三十万キロリットルから五千八百万キロリットルに深掘りをしていく、そして、再エネの拡大に向けても具体的な数値を可能性として上げております。これが、削減率、どういった形でつながるかということも説明をしております。  また、原子力の活用ということ、火力発電のフェードアウトということ、そういったものも含めて、あとは、私どもの担当外ですけれども、非エネルギー分野、先ほど委員から提出された資料にもありますけれども、非エネルギー分野がどのくらい可能かということも含めて総理が判断をされたということでありまして、私どもとしては積み上げはしてきているということで、更にまたそれを精緻なものにしていって、正式なものとして国連に提出をするということになります。
  178. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございます。  経済産業省の中では、今大臣がおっしゃられたように、かなり、各分野ごとにどこまで減らせるかということを検討してきて、積み上げをしてきたと。ただ、今回、総理が決断をされた四六という数字自体はその積み上げられる量を超えているという理解を私はしているんですけれども、なかなか、今の御説明を聞いても、じゃ、そもそも何で四六なのかというところについては答えが見出せていない状況であります。  少し、私もいろいろ話を伺いまして、御紹介させていただきますと、二〇一八年に、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが作成した一・五度特別報告書というのがございます。この中では、気候変動に関する国連枠組み条約に加盟する全ての国がもし二〇三〇年までにCO2排出量を四五%減らせれば、そして二〇五〇年までに正味ゼロを達成できれば、この地球温暖化を一・五度に抑えることは不可能ではないというような趣旨の記載をしているんです、この一・五度特別報告書の中で。まず、ここの中で二〇三〇年でマイナス四五%という数字が出てきたわけですね。  さらに、日本の場合なんですが、今のは世界共通でこういう目標はどうですかという提案がされたという話なんですが、日本国内では、二〇一三年度の実質排出量は十四億八百トンでありました。これを二〇五〇年にゼロにするといったときに、二〇一三年の十四億八百トンから二〇五〇年のゼロというところに、一直線、直線を引くんですね。それで、じゃ、二〇三〇年段階でどの程度の量かというのを算術的に出しますと、大体七・五億トン、ちょうどマイナス四五%になるそうなんです。ですから、国際的にこういう目標はどうですかというふうに提案をされた四五%という数字と、もし日本が二〇一三年から五〇年まで直線的に二酸化炭素を減らした場合には、ちょうど二〇三〇年段階では四五%ぐらい減ることになるというところで、ある程度整合が取れるわけです。  ですから、私は、四五%という数値自体には、余り、とっぴな点といいますか、ある程度これまでの議論や国際的な提案の中からも予想ができた水準ではないかと思うんですが、ここからは、じゃ、なぜ四五じゃなくて四六なんだというところが今気になっているところであります。政治判断のさじ加減の範疇だという話なのか、あるいはそこに日本政府としての何らかの意図があるのかということでありますが、これに関して、なかなか答えにくいのかもしれませんが、もし答弁できましたらお願いいたします。
  179. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  どうやって総理の御表明された数値に至ったかという点につきましては、先ほど来答弁させていただいていますとおり、いろいろな議論を積み重ねた上で総理が御決断されたということだと思ってございます。  一方で、今お話のあった、IPCCのお話、これは幾つかのベースが、例えば、IPCCの議論というのは、温暖化ガス全体ではなくて、二酸化炭素、その部分についての分析であったり、議論に幅がある。例えば、二〇三〇年まで、二〇一〇年水準から、例えば四〇%から六〇%、こういった幅を持って減少した場合、地球温暖化を一・五度に抑えられるという可能性が高い、こういった議論の展開になってございます。  したがいまして、結果からいって、この四六%という水準、これはそのIPCCの報告書と見比べましても、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す上で整合的という、その言える材料にはなるだろうというふうには考えてございます。
  180. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございました。  ですから、今日の議論の、これまでの議論の中で、四五か四六かというところはあるんですけれども、おおよそ四五%前後というのが二〇三〇年段階で目指すべき水準だということは、ある一定の妥当性はあると思うんです。問題は、これからそれを実現できるかどうかですから、その計画の具体化作業というのが大変重要になってくると思います。  先ほど大臣も、COP26に向けてというような御発言もありましたけれども、これからどのような日程感、スケジュール感でこの具体化が進んでいくのか、教えていただきたいと思います。
  181. 矢作友良

    矢作政府参考人 お答えいたします。  経済産業省といたしましては、総理の御発言を受けまして、これから、御指摘の目標達成に向けました具体的な方策、計画、これにつきまして、エネルギー基本計画の議論、あるいは地球温暖化対策計画の見直しの中で検討を進めていきたいというふうに思ってございます。  具体的には、現在進められているエネルギー基本計画の見直しの中で、SプラススリーEのバランスを取ることを大前提に議論を進めていきたいと思ってございますけれども、それから、地球温暖化対策計画、この見直しに向けましては、これは経済産業省だけじゃなくて、各省庁含めまして、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合について集中的に議論を進めたいと思ってございます。  特に、エネルギー基本計画の見直しにつきましては、総合資源エネルギー調査会、この基本政策分科会、これは本日もこれから開催する、このエネルギー基本計画の見直しだけでも十一回目になるというところでございますけれども、こういったことも含めて、今後も議論を加速してやっていきたい。  タイミングにつきまして、今決まっているものがあるわけではございませんけれども、今後も六月のG7サミット、あるいは十一月のCOP26、こういった一連の国際会議が予定されている中で、今言ったように議論を集中して、加速化して進めていきたい、このように考えてございます。
  182. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。是非、計画、具体化されましたら、その都度、先ほど申し上げた分かりやすい方法で、国民に対しても、産業現場に対しても、周知をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  残りの時間は、少しテーマを変えまして、水素の話に移りたいと思います。  これからカーボンニュートラル社会を目指すに当たっては、燃料の大規模な転換というのが必要になってまいりますが、今、これまでもそうでしたが、注目されているのは水素。私自身は、今、水素以外にも合成燃料やメタン、メタノール、そしてアンモニア、こういったものが次世代の燃料として活用できるんじゃないかと議論が進んでおりますが、いずれの次世代燃料も、原料としては水素をベースに、触媒で反応させて、メタンやメタノールやそのほかの物質に変換する。ですから、水素というのは非常に基本的な物質でありまして、これをいかに確保できるかというのが安全保障上も大変重要になってくるというふうに思います。  通告していた順番を少し入れ替えさせていただきますが、水素の製造方法として今少しずつ注目が集まっているのは、HTTR、高温ガス炉の活用による水素製造であります。  今日の資料の最終ページに関連記事を掲載させていただいておりますが、赤線が引いてあるところを御覧いただきたいと思いますが、HTTRによって大量、安価に水素を供給できる可能性があるということ、そして、五〇年に天然ガス並みの価格を実現することを目指して、今研究が進められているということであります。  この高温ガス炉を使った水素製造というのが今どこまで進んでいるのか、そして、今後コストの面でどの程度の競争力を持ち得るのか、最新の状況を教えていただきたいと思います。
  183. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  水素を社会実装していくためには、大規模でかつ安価に水素を製造、供給することが重要だと考えておりまして、その中で、高温ガス炉というものは、通常の原子力の軽水炉と異なりまして、冷却材にヘリウムを使うということで非常に安全であるとともに、七百度、八百度といった非常に高温になり、その高温の熱を利用した水素製造ということで今注目を浴びてきているところでございます。大量かつ安価なカーボンフリー水素製造の可能性があるというふうに我々も認識しているところでございます。  日本の中では、委員御指摘のように、JAEAが高温工学試験研究炉、いわゆるHTTRということを保有してございます。高温ガス炉の分野では、世界の中でも先駆けてこの研究開発を進めてきているところでございまして、まさにその施設を活用した形で水素製造の技術開発ができないかということの検討に今着手したところでございます。  二〇三〇年までに大量かつ安価なカーボンフリー製造に必要な要素技術の開発を目指す、開発を支援していくということについて、昨年末に公表しましたグリーン成長戦略においてもこの実行計画を示したところでございます。  水素製造については、コストがやはり大変重要になってまいります。お示しいただきましたように、ノルマル立米十二円ということをJAEAの方でも、これは水素製造に加えて発電とか熱供給も併用することが前提になるわけでございますが、いわゆる天然ガス価格並みにするという試算も示されてございます。  実用化に向けては製造コストの低減も重要な課題でございまして、この試算も念頭に置きながら、高温ガス炉を用いた水素製造技術の開発を支援していきたいというふうに考えてございます。
  184. 浅野哲

    ○浅野委員 水素の国内製造というところに関しては、ほかにもいろいろな手段がありますが、是非経済産業省としても、二〇三〇年に向けて強力に支援をいただきたいと思います。  あと、最後になりますが、エネ庁が作成した二〇三〇年に向けたエネルギー政策の在り方という資料が最近出ました。これの二百八十八ページを見ますと、今、水素のこれからの供給の在り方として、一つは再エネなどを用いた国内での製造、そしてもう一つ海外からの大規模輸入という二つのアプローチが提言されているんですけれども、これは是非、国内製造が大変重要だと思いますし、優先順位も高いと思いますので、その姿勢を明示していただいて、国内製造に対する産業界の投資促進というのは是非進めていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わりたいと思いますが、大臣、よろしいですか。
  185. 梶山弘志

    梶山国務大臣 海外から大部分を輸入している化石燃料に代わって今度は水素を輸入するということでは、日本の将来というのはやはり暗いものになってしまう。やはり国内製造というものを考えた上で、コストをいかに低減できるかということを、技術開発も含めて、全力で取り組んでまいりたいと思います。
  186. 浅野哲

    ○浅野委員 終わります。ありがとうございました。      ――――◇―――――
  187. 富田茂之

    富田委員長 次に、内閣提出産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。梶山経済産業大臣。     ―――――――――――――  産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  188. 梶山弘志

    梶山国務大臣 御説明に先立ちまして、法案の条文案に四か所、条文案以外の参考資料に二十か所の誤りが判明したことにつきましては、国会に法案を提出し、御審議を仰ぐ立場の政府として、誠に申し訳なく、改めて深くおわびを申し上げる次第であります。今後このようなことがないようにしっかりと対応してまいります。  ただいま議題となりました産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  新型コロナウイルスの感染拡大を受け、我が国経済が戦後最大の落ち込みを記録する中、厳しい状況に置かれている事業者に対し、引き続きその事業継続や雇用の維持に必要な支援を行っていく必要があります。他方、世界各国で新たな日常への模索が続く今こそ、我が国が旧態依然とした経済社会システムから本格的に脱却し、グローバルな構造変化へと一気に適応していくチャンスでもあります。  成長戦略としての二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、デジタル化への対応、新たな日常に向けた事業再構築など、山積する課題に対し必要な取組を進めることで、我が国産業の持続的な発展を図ることが重要です。さらに、人口が急速に減少する中、地域の経済や雇用を支える小規模事業者の持続的発展を図りつつ、中小企業から中堅企業への成長を促すことで海外で競争できる企業を増やしていくことが必要です。  こうした状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず、産業競争力強化法の一部改正等です。  第一に、グリーン社会への転換のための施策を講じます。カーボンニュートラル実現に向けた事業者の計画を認定し、脱炭素化効果が高い製品の生産設備への投資や、生産工程等の脱炭素化を進める設備への投資に対する税額控除や計画の実施に必要な借入れに対する利子補給を措置します。  第二に、デジタル化への対応のための施策を講じます。デジタル技術を活用した全社レベルのデジタルトランスフォーメーションに関する事業者の計画を認定し、クラウド技術を活用したソフト、ハードのデジタル関連投資に対する税額控除などの措置を講じます。  第三に、新たな日常に向けた事業再構築のための施策を講じます。コロナ禍などで赤字を被った企業が、カーボンニュートラル、デジタルトランスフォーメーション、事業再構築等に取り組む場合に、事業者の計画を認定し、繰越欠損金の控除上限の引上げなどの措置を講じます。  このほか、コロナ禍を踏まえ、バーチャルのみで株主総会を開催することができる特例や、大型ベンチャー企業への債務保証制度、事業再編、事業再生の円滑化等に関する制度を措置します。  次に、中小企業等経営強化法、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律及び下請中小企業振興法の一部改正です。  第一に、中堅企業への成長促進のための施策を講じます。中小企業の積極的な事業や規模の拡大を促進する経営革新計画の承認制度等について、新たな支援対象類型を創設し、金融支援等を措置します。  第二に、中小企業の経営資源の集約化のための施策を講じます。MアンドAに先立ち実施する調査に係る事項を記載した経営力向上計画を認定し、MアンドA後の簿外債務等のリスクに備えるために積み立てた準備金の金額の損金算入や金融支援を措置します。あわせて、中小企業が所在不明株主の株式の買取り等を行うまでに必要な期間を五年から一年に短縮する特例を措置します。  第三に、中小企業等の経営基盤の強化のための施策を講じます。中小企業者と連携して事業継続力の強化に取り組む中堅企業に対し、金融支援等を措置します。あわせて、フリーランスに見られる取引を始め、より広い取引を下請中小企業振興法の対象とする等の措置を講じます。  また、これらの措置に加えて、独立行政法人中小企業基盤整備機構法について必要な改正を行います。  以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  189. 富田茂之

    富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  190. 富田茂之

    富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、来る五月十二日水曜日午後一時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  191. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る五月七日金曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     正午散会