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2021-04-14 第204回国会 衆議院 経済産業委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月十四日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君    上野 宏史君       門山 宏哲君    神山 佐市君       神田  裕君    菅家 一郎君       工藤 彰三君    小林 鷹之君       佐々木 紀君    鈴木 淳司君       高木  啓君    武部  新君       辻  清人君    冨樫 博之君       西村 明宏君    福田 達夫君       穂坂  泰君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宗清 皇一君       八木 哲也君    逢坂 誠二君       落合 貴之君    菅  直人君       本多 平直君    松平 浩一君       宮川  伸君    山崎  誠君       高木美智代君    笠井  亮君       美延 映夫君    浅野  哲君       石崎  徹君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣府副大臣       堀内 詔子君    外務副大臣        鷲尾英一郎君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    環境大臣政務官      神谷  昇君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 佐藤  暁君    政府参考人    (金融庁総合政策局審議官)            伊藤  豊君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           小林 洋子君    政府参考人    (水産庁増殖推進部長)  黒萩 真悟君    政府参考人    (経済産業省大臣官房長) 多田 明弘君    政府参考人    (経済産業省大臣官房技術総括保安審議官)    太田 雄彦君    政府参考人    (経済産業省大臣官房商務サービス審議官)    畠山陽二郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           萩原 崇弘君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           福永 哲郎君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (経済産業省通商政策局長)            広瀬  直君    政府参考人    (経済産業省貿易経済協力局長)          飯田 陽一君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            茂木  正君    政府参考人    (資源エネルギー庁資源燃料部長)        南   亮君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (特許庁長官)      糟谷 敏秀君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君    政府参考人    (国土交通省自動車局次長)            江坂 行弘君    政府参考人    (環境省大臣官房審議官) 森光 敬子君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房審議官)          金子 修一君    政府参考人    (原子力規制庁原子力規制部長)          市村 知也君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   神山 佐市君     菅家 一郎君   福田 達夫君     高木  啓君   落合 貴之君     本多 平直君 同日  辞任         補欠選任   菅家 一郎君     門山 宏哲君   高木  啓君     福田 達夫君   本多 平直君     落合 貴之君 同日  辞任         補欠選任   門山 宏哲君     神山 佐市君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、政府参考人として内閣大臣官房審議官佐藤暁君、金融庁総合政策局審議官伊藤豊君、厚生労働省大臣官房審議官小林洋子君、水産庁増殖推進部長黒萩真悟君、経済産業省大臣官房長多田明弘君、経済産業省大臣官房技術総括保安審議官太田雄彦君、経済産業省大臣官房商務サービス審議官畠山陽二郎君、経済産業省大臣官房審議官萩原崇弘君、経済産業省大臣官房審議官福永哲郎君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省通商政策局長広瀬直君、経済産業省貿易経済協力局長飯田陽一君、経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長茂木正君、資源エネルギー庁資源燃料部長南亮君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長松山泰浩君、特許庁長官糟谷敏秀君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君、国土交通省自動車局次長江坂行弘君、環境省大臣官房審議官森光敬子君、原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官山田知穂君、原子力規制庁長官官房審議官金子修一君及び原子力規制庁原子力規制部長市村知也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。
  5. 山崎誠

    山崎委員 こんにちは。立憲民主党・無所属、山崎誠でございます。  貴重なお時間ですので、早速質問に入りたいと思います。  ちょっと通告の順番を変えまして、二番目の、東京電力福島第一原発ALPS処理水海洋放出についてということでお話をお聞きしたいと思います。  この問題、我々は、長らく、様々な場面で経産省の皆さん議論をさせていただき、現場の声なども細かく、現地の出身の議員も含めてお話を聞いてきました。本当に、この原発事故、十年たちましたけれども、この汚染水の問題が象徴するように、大変な、やはりまだまだ課題山積ということで、この問題についてどういうふうに決定をしていくのかというのは非常に注目をしておりました。  突如、私たちに言わせれば突如、十三日の関係閣僚会議決定ということで、実は、先週の金曜日の九日の日に、地元紙では、海洋放出決定だというような号外も飛び交いました。ということで、我々、急遽、申入れを行いました。江島大臣申入れをさせていただいて、お受けはいただいたんですよ、夕方。ですが、そのときには、まだ何も決まっていませんと。私、そのとき、実はある筋から、こういう報告書の、十三日に出るようなもののひな形も固まっているという話も聞いていたので、江島大臣、こういうものは御存じないですかと。一切知りませんというお話だったんですよ。  やはり、こういう議論進め方、申し訳ないですけれども、分かっていることを、今進んでいることを誠実に御説明をいただくことが何よりも、風評被害だとかそういうことを考えても、必要な対応だと私は思うんです。  大臣、昨日、福島にも行かれたんでしたよね。大変お忙しい中で対応されているのは分かりますが、今までの経緯の中で、私が今話したのは一例でございます、皆さん議論進め方に問題があったのではないか、残念ながら。世論は今沸騰であります。大変、いろいろなマスコミも注目をしているし、反対の運動も起こっている。漁協皆さんも、反対意思を曲げてはいません。  こういう事態について、梶山大臣、どうお考えか。どう責任をお感じですか。
  6. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の決断というのは大変重い責任が伴うものであるという思いを持っております。  このALPS処理水汚染水が発生をして、処理をした上で浄化したものをALPS処理水と呼ぶわけでありますけれども、この件に関しましては、六年間にわたってALPS委員会において議論をしてまいりました。そして、昨年の二月に結論が出たということでその報告書が出たということでありまして、その後に、様々な形で議論をしてきたところであります。  ALPS処理水につきましては、検討を行う中で、御指摘のように、様々な方法検討すべきだという御意見もいただいてきたところでありますけれども、そういった中で様々な方面からの御意見をいただき、さらにまた、漁協に関しても、漁業関係者に関しても、ずっと議論はしてきたわけなんですね。そして、議論をしていく中で、反対という意思表示もいただきました。  そういった中で、タンクの容量の問題、そしてこれからの廃炉作業問題等も含めて、タイミングということで、昨日、結論を出させていただいたということであります。  これから、作業が始まるまでに二年間ございますので、まだまだ不十分だという意見も私は大変重く受け止めておりますので、広報も含めて、しっかりとまた皆さんに御理解いただけるような対応をしてまいりたいと考えております。
  7. 山崎誠

    山崎委員 いろいろな、我々も提案させていただいている専門家皆さん。私、三月の二十二日でしたか、現場にも行ってきました。見てきたのは、例えばタンクを置くスペースが本当にもう限界なのか。もちろん、限られた中でいろいろな計画があるのは分かっております。あるいは、敷地外タンク設置可能性などはどうなんだろうということで、何度も現場も見せていただいて、その可能性についてのやはり検証、これを真摯に進めていただきたいというのは、私の本当に切なる思いであります。  もう一つ分離技術。これについても、確かに小委員会議論は出ている。その後も、皆さんにお聞きをすれば、検討はしているけれどもいいものが見つからないというお話でありますが、この辺りをどのぐらいの力を入れて検討してきたのかというのがやはり問われると思うんですよ。  例えば、この地域外保管について、地域皆さんとどういう御相談をされて、どういう交渉をされて、この可能性について検討なされたのか、ちょっとお聞きをしたいと思います。
  8. 梶山弘志

    梶山国務大臣 福島第一原発廃炉を進めるためには、放射性物質によるリスク計画的かつ継続的に低減させていくことが極めて重要であります。処理水保管を継続することは、長期にわたって管理し続けなければならないことから、望ましい対応とはまず考えておりません。  これまでの検討でも、ALPS委員会報告書では、周辺の中間貯蔵施設予定地タンク設置することについて、難しいと指摘をされているところであります。  また、ALPS委員会の取りまとめの後に、地元自治体からは、中間貯蔵施設の整備は地権者皆様の御理解をいただきながら進めてきたものであり、用途、目的の変更を行うべきでないという立場も示されているところであります。これらにつきましては、福島県、そして立地市町村と連携を取りながら中間貯蔵施設としての御理解を得てきたものであり、その自治体がそういう立場も示されているということでありまして、これについても、ALPS委員会のみならず、その事後についても検証したということであります。  あと、トリチウム分離技術につきましては、やはり今の段階ではまだ実験室レベルであるということであります。ただ、これは、もし実用化できれば私は採用をしたいと思っておりますので、この実証以降の取組というものをしっかりと見極めてまいりたいと思っております。
  9. 山崎誠

    山崎委員 今の地域外保管についての可能性ですね、私も、これ、担当の方から新聞記事なんかをもらいました。こうやって反対意見はありますという御説明なんですよ。確かに反対をされているんでしょう。  私が言いたいのは、こういう方々にどういうアプローチをされて、どういう交渉をされて、本当に可能性が、こういうことだったら受け入れていただけないんだろうか、こういうことではどうだろうかという議論がなされたかなんですよ。  海洋放出について反対している市町村の方もいますよね。市町村の首長さん、大勢いらっしゃいます。漁協の方もいらっしゃいます。その反対と、ここで言っている、区域外保管について受け入れたくないという方々意見と、この反対は、私はどちらがどうということは言いたくないですが、同じ反対なわけですよ、煎じ詰めれば。  どこをどういうふうに説得をして、よりいい結論に達するかという意味では、私は、区域外皆さんに対してのアプローチがまだまだ見えないんです。海洋放出ありきで、元々、タンク貯蔵を継続したくない、早く海に放出をしたい、そういう結論ありきの議論ではないか、すごくそのように感じてならないんですよ。そこに不信があるんです。  長期保管という話がありました。トリチウム半減期十二年です。我慢はもちろん要りますが、保管を続けることによって放射線リスクを小さくすることができる物質だと思います。きちっと計画を立てて、保管長期化、それに対応する計画を立てていくということは、私は一定可能だと思うんですよ。そういったことが、私は、きちっと議論ができていない、なかなか姿が見えない。海洋放出ありきの議論が、この小委員会議論した結論だ、それが一番優先されるというのはおかしいと思うんです。  私たちは昨年の小委員会報告書を受けて、こういう手があるでしょう、こういう意見もありますよと何度もお願いをしているんですけれども、それについての検討の、私はやはり誠意が見えない。それが、今回の結論が唐突に見える最大の理由だと、私はそのようにも思います。  もう一つ、この放出レベルの話で、今、千五百ベクレル・パー・リットルという基準にして放出をするというお話がございます。この基準意味、これは規制庁にお答えいただいた方がいいかもしれません、簡潔に。
  10. 金子修一

    金子政府参考人 御指摘サブドレーン排水でありますとか、これから放出予定をされますALPS処理済み水も含めまして、東京電力福島第一原子力発電所の中で発災以降に発生しました瓦れき汚染水等からの放射線につきましては、敷地境界における実効線量が一年当たり一ミリシーベルト未満となるように規制で求めております。  こういった状況の下で、御指摘の水準というのは、東京電力サブドレーン等排水を行うに当たって、運用目標として設定をしております。  今後、今回のALPS処理水については、政府基本方針を踏まえて東京電力実施計画の認可を申請してまいりますので、規制当局として公開の会合でその内容を厳正に審査をして、その後の検査でも東京電力取組を確認してまいります。
  11. 山崎誠

    山崎委員 これは、今、東京電力が決めた基準でありまして、これからこの放出海洋放出を決めていく中でまた審査があって、これで正しいのかどうかという検証もあるはずです。流し方、放出の仕方、時間的な対応、そういったことがあって初めてこの基準が決まるわけでありますが、私は、何でこれが閣僚会議の資料の中に入っているのかがすごく不思議なんですよ。  今のような位置づけの、東京電力が勝手に決めた基準をこの中に取り込むというのは、私はおかしいような気がします。どういう根拠でこれを取り入れたんですか。
  12. 須藤治

    須藤政府参考人 お答えをいたします。  これから処理水処分を行っていくのは東京電力であります。それに先立ちまして、廃炉につきましては国も前面に立って対応するということでございますので、東京電力がこれから処分に当たっての具体的な設備あるいは放出の考え方を、政府として、まさに基本方針としてお示しをするというのが今回の閣僚会議決定意味づけでございます。  その中で、千五百ベクレルと書いておりますのは、まさに今現実に、サブドレーンで千五百ベクレル未満ということで放出をしてございますので、今ある数値以下で行うということを政府意思として表明したものでございます。
  13. 山崎誠

    山崎委員 そういう記述に是非してほしいんですよ。東京電力はこういう基準で今やっている、この後、この基準については規制委員会の方できちっと審査がある、そういう想定を私はちゃんとしてほしい。  元々、今の御説明で、これは非常に分かりにくい話なんですけれども、一ミリシーベルトという放射能の被曝の限度というものを考えたときに、今、福島原発事故の後、様々な放射線被曝可能性がずっとある中で、トリチウムはこのくらいの枠ではないかという想定で割り当てている数字が、私は千五百ベクレル・パー・リットルという数字だろうと。  ですから、ある意味福島特殊事情の中で許容される範囲というのは、これは千五百より多いかもしれませんよ。でも、限定される中で運用しなきゃいけないというのが今の状況だと思うんですよ。  何が言いたいかというと、この基準が、六万ベクレルという許される基準よりも四十分の一だとか、WHOの定める飲料の基準の七分の一でしたっけ、そういうようなお話をされて、いかにも小さな基準に抑えているから大丈夫なんです、そういう議論を発表しているのではないかと。少なくとも、今、そういう声が聞かれます。麻生財務大臣もそのようなことをおっしゃっていましたよね、飲んでも大丈夫と。そういう情報風評を呼び、誤解を生み、不信を生むんじゃないですか。  今御説明いただいたような基準設定の仕方というのが科学的、合理的になされて、それでこの数字ができていると。単に安全を見て四十分の一に決めたわけではないんですよ。その辺り、いかがですか。
  14. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今言ったようなことにつきましては、例えば、千五百ベクレルというのは放射性物質数値、そして、シーベルトミリシーベルトというのは被曝した際の数値ということであります。そういったものをより分かりやすく広報をしていくということも大変重要であると私は思っておりまして、そういった広報の仕方をこれから指示をしているところであります。  委員おっしゃるように、分かりやすく、その数値、特に専門用語であるとか単位であるとかというものは分かりにくい部分もございますので、そういったものを明確にしていく必要があると思いますし、ただ飲んでも大丈夫だというような言葉だけでは理解をしていただけないものだと思っておりますし、我々は、科学基準に基づいたしっかりとした広報をしていかなければならないと思っております。
  15. 山崎誠

    山崎委員 これは新たな安全神話のような話になってしまって、結局、いろいろなところで、今ネット社会ですから、こういう情報もどんどん流れていく中で、今日のこの質疑を見てくださっている方もいると思います。決して、飲んでいいとかそういう話ではない。そういうことはきちっと政府としてもコントロールしていただかないと、これは大きな波紋になっていくと思います。  それから、水産庁の方にお越しいただいています。  私は単純にお聞きをしたい。漁業者を守る水産庁立場として、この閣議の報告にどういう立場で臨まれたのか。賛成したのか、反対したのか。どうですか。
  16. 黒萩真悟

    黒萩政府参考人 お答えいたします。  原発事故以来、復興に向け懸命に取り組まれている漁業関係者皆様には御労苦と御心配をおかけしているところでございます。海洋放出により風評被害が生じることを懸念されているお気持ちは当然のことであります。  今般の基本方針では、先般の総理との会談で漁業者から求められたことも考慮してあり、漁業者を始め国民皆様に対して処理水安全性処分方法などを周知し、風評を生じさせないための最大限の努力を行うこと、そして、放出に際しては、安全性を厳格に確保し、第三者の目も入れつつ、透明性高く監視するとともに、年間トリチウム放出量管理目標値を下回る数量に限ること、さらに、仮に風評被害が発生した場合には、東京電力が適切な賠償を行うことを約束すること等が明記されているところでございます。  漁業関係者皆様が特に懸念されている風評影響につきましては、風評を生じさせないことがまず重要であり、政府全体として風評被害の防止のために十分な対策検討していくこととしております。  具体的には、これまでも実施してきた、生産、加工、流通、消費、それぞれの段階での支援策を引き続き行うほか、昨日の関係閣僚会議設置決定された基本方針の着実な実施に向けた関係閣僚等会議において、関係者皆様の御意見をお聞きしながら、追加的な対策検討していくということとしております。  処理水放出までの二年間、漁業者を始め国民皆様の御懸念が払拭できるよう、水産庁としても全力を尽くす気持ちでございます。
  17. 山崎誠

    山崎委員 御丁寧にありがとうございます。  水産庁としては、これは賛成したんですね。了解をしたということでいいですね。その前提だと思いますよ。  ですから、これは、私は、漁業者に対しての責任というのは、経産省の梶山大臣だけではなくて、当然のことですけれども、この関係閣僚皆さんにはそれぞれ責任がある。特に、農水省の皆さん、これからの風評、あるいはその払拭のための様々な取組に全責任を持って取り組んでいただかなきゃいけない。その覚悟を是非お持ちをいただきたいということを申し添えたいと思います。  いろいろお聞きをしたいんですが、これは、今福島の問題にとどまっていますが、これから、ほかの原発でもこのトリチウムというのは流れていると言われています。六ケ所村、これは、再処理の工場が動き出すと、実に今ある福島の量の十倍のトリチウムを一年間で流すような計算になる、ざっくりですけれども。そういうトリチウムが流れることに対して、これも恐らくこの福島の経験で日本人はいろいろなことを学びました。これは、どういうふうにこの六ケ所村のトリチウムについて御説明をし、対応するのか、大臣、お願いします。
  18. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今委員がおっしゃったように、例えば健全炉、健全な原子炉においても、こういった冷却水等も含めて海洋放出をしているわけであります。特に、型式の違いでもその差はありますし、特に重水炉であるとか再処理というのはそれも多くなるということでありまして、ただ、これも国際基準に従って海洋放出をしているというのは国際間の取決めでもありますし、そういった中で地域皆さんの御了解もいただいているということであります。
  19. 山崎誠

    山崎委員 これは、どういう立場になってこのトリチウムというものを見るかによって議論が大きく変わるんですよ。大きく変わるんです。(発言する者あり)いや、科学だという話もありますよ。でも、トリチウムによる影響があるという論文だってありますよ。あります。それは科学的な分析でそういうデータを出している科学者もいるんです。どの論文を信じるか、どういう見解を信じるかによってこのトリチウムについての評価も変わるんですよ。その前提をきちっと持って議論にしないと、本当に不信が広がるばかりですよ。こういう論文、こういう論文、見ながら正しい評価をしていただかないと、本当にこの先も私は日本は大変なことになると思います。そういったことを是非考えながら、この福島対応についても、誠意を持って対応をいただきたいと思います。  時間がなくなってまいりましたので、もう一問、別なテーマを一つ取り上げさせていただきます。一番目のお話であります。  太陽光発電のメンテナンスについて、今どういう状況かというのを少しお聞きをしたいと思います。  一つは、今、太陽光発電がたくさんできていまして、そのメンテナンスに資格が必要、電気主任技術者が必要ということで、その対応にメンテナンスの業界の方は非常に苦労されています。特に、中型から大型になると第二種の免許を持っている主任技術者が必要だということで、なかなか人がいらっしゃらないということで苦労されていると。そういった実態について、どういうふうに今後メンテナンスを効果的、効率的に進めていく、もちろんメンテナンスの質も確保しなければいけませんし、どういう対応を取っていくべきかというのが、ちょっと今日議論したい一つのポイントであります。  今、この電気主任技術者、メンテナンスの中でどういう役割を担っているのか。そして、その数について、今不足しているというお話もありますが、どういうふうに把握されているか、お聞きしたいと思います。
  20. 太田雄彦

    太田政府参考人 お答え申し上げます。  太陽電池発電設備の適切なメンテナンスは、設備の汚損、異常、不具合等を早期に発見し、稼働率の維持及び安全性の確保を担保するために重要でございます。  一方で、太陽電池発電設備につきましては、台風等の災害時における太陽電池パネルの飛散とか、パネルを支える架台の破損などの事故が報告されてございまして、中にはメンテナンス不良が疑われる事案も存在いたします。  こうした事故の防止及び事故への対応のため、電気工作物の設置者には電気保安に関する専門知識を有する電気主任技術者を選任するとともに、保安規程を定めまして、適切なメンテナンスを行うことが義務づけられるところでございます。  それから、近年、再エネ発電設備の増加を背景にしまして、電気設備保安業務が増大しておりますので、他方で、保安業務に従事する者の高齢化が進むとともに、新たに就職する方の減少も見込まれる中、保安業界の構造的な人材不足が懸念されているところでございます。  こうした状況を踏まえまして、太陽光発電設備につきましては、監視カメラ等の活用、こうしたテクノロジーの活用を導入した遠隔点検の導入とか、保安管理業務を受託する際に必要な実務経験年数を必要な講習を受けることを条件に短縮するとか、あるいは業務を、受託可能な設備の範囲を拡大するなどして、人材確保と業務効率化の両面を推進しているところでございます。
  21. 山崎誠

    山崎委員 これは、私、例えば電気主任技術者、三種、二種、一種とあるわけですけれども、じゃ何人主任技術者はいらっしゃるのかとお聞きをすると、正確な答えは返ってこないんですよ、大臣。今、入口の管理はしているんですよ。資格を取った人の管理はしている。だから毎年何人増えたというのは分かるんです。でも、例えばお年寄り、高齢になって、もう仕事をしない方、極端な話、亡くなられたような方、全然把握されていないんです。だから、今、何人実働でこの主任の方が、技術者が活躍しているかというのが分からないんです。昨日お聞きをしました。  私は、この制度自体、今お話ありましたけれども、形骸化しているのではないか。現場の話を聞くと、そういう方が必要なので、そういう方から雇ってくれと売り込みがあって、それで雇って、結構な金額を取られて、実際にやるのは書類に判こを押すだけみたいな、そういう形骸化が見られるのではないか。これは一例かもしれません。こういった実態は、やはり正していかなきゃいけないと思うんですよ。  それで、もっと言うならば、例えば、今二種というものが決められていて、例えば三種の資格を持っている人は、二種の設備とはやはり違うので対応ができませんというような話があります。三種の方は、若い方でもたくさん取られている。例えば、三種の資格プラスアルファの講習を受けたり、プラスの対応をすることで、例えば二種に近い、太陽光発電に限って、こういう技術、こういう知識、こういうものをつけておけば例えば三種の方でも対応できるとか、そうした運用を、現実に合わせて対応することというのはあると思うんですが、いかがですか。手短に。
  22. 太田雄彦

    太田政府参考人 お答え申し上げます。  まず、御指摘の、具体的な状況を精緻に把握していないというところは、私どもも、委員指摘のとおり、実際にマクロの数だけではなくて、技術者の地域偏在性や発電設備ごとの過不足、実際に、ミクロのところの過不足につきましても、詳細な調査を今年度中に実施することにいたしております。  それから、御質問のもう一つの点でございますけれども、いろいろな、電気技術者の不足の中で、やはり民間の取組も活用していくべきということで、民間において進められているいろいろな専門知識の技術を有した資格者を養成する仕組みともよく連携しながら、未然防止と効果的なメンテナンスの在り方について、今後検討してまいりたいと思います。
  23. 山崎誠

    山崎委員 ここは、今までの制度の柔軟な運用とか見直しとか、是非そういうタイミングかと思います。というのは、太陽光発電とか風力だとか、数がやはり莫大になってきていますし、いろいろな地域でいろいろな主体が電気事業をやっている、そういう時代になってきていますから、この保守というのは大事。もっと言うと、固定価格買取り制度で、国民負担でできた発電所が、やはり二十年と言わず、三十年、三十五年、きちっと運転ができるということは、これは国民的にも大きなメリットですよね。それを担保するのがこの保守の世界だと思います。  そういった観点からも、是非、この分野の見直し、充実、柔軟な運用、現場に即した対応を取っていただくことを強くお願いをいたします。  時間になりましたから終わります。とにかく汚染水処理水の問題については、まだまだ議論が足りない、十分な対応ではないということを申し添えて、今後の対応を求めて終わりにいたします。  ありがとうございました。
  24. 富田茂之

    富田委員長 次に、斉木武志君。
  25. 斉木武志

    ○斉木委員 斉木武志です。  今日は、少し質疑の中身を変えなければいけないと思いました。というのも、昨夜、当委員会に関わる重要なニュースが各社で報道されました。公正取引委員会が電力そしてガス各社に調査に入った、独禁法違反の疑いということでございます。  具体的に申しますと、中部電力と中部電力ミライズ、東邦ガスの三社が、愛知県などの中部地区で、一般家庭向けなどの電力料金そしてガス料金について、お互いにここまでの価格にミニマム、設定しましょう、価格をこれ以上引き下げないようお互いに申合せをしていた疑いがあるという事案。  そして、もう一つが、その中部電力と関西電力、中国電力が、二〇〇〇年以降に自由化された大規模施設や中小ビル向けの電力の小売について、お互いの営業エリア、中国エリア、中部電力、関西エリアでは、お互いに相手のエリアには越境して新規顧客を獲得しないよう、お互いに不可侵条約を申合せをしていた疑いがあるということで、昨日、公正取引委員会が各社に調査に入ったということでございます。  報道によりますと、五社とも公正取引委員会の立入検査を受けたことを認めているということでございます。  ここまでが報道されている中身なんですけれども、今日は、その取引を監視すべき経産省の組織であります電力・ガス取引監視等委員会に来ていただいております。  こうした独禁法違反、不可侵条約であったり、価格カルテル、まさに電力とガス会社がネゴシエーションをしていたという嫌疑が持たれているわけですが、こうした事案は電力・ガス取引監視等委員会はいつ把握されましたか。
  26. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  報道で初めて知りました。
  27. 斉木武志

    ○斉木委員 私も、二時間前にレクをしたので愕然としました。報道で知りました。まさに、電力・ガス取引監視等委員会というのはどういうものなのか、こちらに委員会のパンフレットがございますので、できたのが二〇一五年九月で、電力、ガス、熱供給の小売自由化に当たって市場の監視機能等を強化し、市場における健全な競争を促すためにできた組織ですと冒頭うたっていらっしゃいます。主要な事務は、所掌事務、電気、ガスの消費者の利益の保護、既存事業者、新規参入者間の健全な競争の確保、これが所掌事務ですとうたっていらっしゃいます。  その電力、ガス、まさに電力とガス、今回でいえば中部電力、中部電力ミライズ、そして東邦ガスの三社ですね。お互いに、電気も売っていた会社がガスを売り始めて、ガスを売っていた会社が電気に入ってきた。これは、自由化の企図する、自由な競争と電力の料金の低下を狙って我が国として始めた電力自由化のあるべき姿です。  しかし、お互いに、じゃ、利益が出ないから、東邦ガスさん、中部電力さん、お互いにガスと電力の料金はここまでにしましょうよということを申合せをしていたという疑いは、これはまさに消費者利益の保護に反しているのではないでしょうか。事務局長、答弁を。
  28. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど答弁させていただきましたように、報道で知ったということで、まだ事実関係に関しまして詳細な把握はしておりません。  それを前提で申し上げますが、今回の公正取引委員会の立入検査は、独禁法上第三条のカルテル行為で立入検査に入ったというふうに承知をしております。ちなみに、この法律第三条のカルテル行為でございますが、先生も御案内のように、電力取引の適正なガイドラインの電力事業パートでは一切記載がなく、直接的な監視対象とはなっていないというふうに承知をしております。
  29. 斉木武志

    ○斉木委員 では、電取は要らないんじゃないでしょうか。電力、ガス取引の適正監視を図って、消費者利益の保護と、新しく入ってくる人も適正に、新電力や新ガス会社が適正競争できるようにするというのが目的にあるんですよね。それが、報道で初めて知りました、私の仕事ではありませんというのは責任放棄だと思うんですが、大臣、今の事務局長の答弁、どうお感じになりますか。
  30. 梶山弘志

    梶山国務大臣 昨年来、電取委の在り方についていろいろ斉木議員ともやり取りをさせていただきました。そういった中で、自由化が進んできて、電取委の在り方というものも検証していく必要があるということで、私どもも検証をさせていただいたところであります。電取委は、勧告十件、建議二十八件を実施をした、そして、昨年度だけでも相談対応二千五百七十二件を適切に行って、機能しているという評価をされているところであります。  ただ、議員の今日の論点はまた別なところでありまして、今回の事案のような独禁法第三条違反に関する事案につきましては、公取のみに調査権限が認められており、電取委には調査権限が認められておりません。  他方で、電取委が電気事業法に基づく監視を行う中で把握した事案についても、独占禁止法違反のおそれがある場合には公取に情報提供するなどの対応を行ってまいりました。例えば、通報等で電取委にそういった情報があれば公取委に知らせるということでありますけれども、公取からは逆には流れてこないということもありまして、そういった中での電取委の機能を果たしているということであります。
  31. 斉木武志

    ○斉木委員 ただ、その電取委さんが報道で初めて知った、びっくりしましたというような、監視機関に情報が上がってこないことは問題なんじゃないですか。そうではないということですか。
  32. 梶山弘志

    梶山国務大臣 端緒がどこにあったかということ、例えば消費者からの通報であるとか、そういったものもあろうかと思いますし、内部からの通報ということもあろうかと思います。そういった中で上がってくるものと上がってこないものがあるのではないかと推察をしております。
  33. 斉木武志

    ○斉木委員 私は、電取委の組織体制、特に事務局の組織体制そのものに問題があるのではないかと思っておるんですね。昨年の電気事業法の改正論議の中でもそれはしつこく申し上げました。三条委員会にしたらどうか、ノーリターンルールを作ったらどうかということです。  先ほど、公正取引委員会の方とも話をいたしました。電取委の方とも話をいたしました。びっくりしたのは、モチベーションが全く違うんですよ。電取委の方は、四十五人ぐらいたしか事務局員がいらっしゃって、たしか全員経産省プロパー職員、経産省に入ってきて、また二年したら経産省に戻る。昨年私のところにレクに来た方も、今、経産省の中にまた戻っていると聞いておりますが、経産省のプロパー職員が電取委に二年間在籍してまた戻る、こういうルーチンの一環として人事異動が行われているということでよろしいでしょうか。
  34. 佐藤悦緒

    佐藤(悦)政府参考人 お答え申し上げます。  事務局は本省に六十五名程度おりまして、そのうち、二十五名が外部人材でございます。外部人材の中では、弁護士、公認会計士、銀行等から来ている方、あと、さらに、当局には課長ポスト、本当の課長の名前の課長ポストが三つ、総務課長を入れて三つございますが、原課は二つであります。その二つの課長ポストのうち、一つ公正取引委員会からも来ていただいておりますし、外部の専門的な人材の方もきっちり活用しているというふうに考えております。
  35. 斉木武志

    ○斉木委員 さっき私のところに来られた二名の電取の職員の方は、お二人とも経産省に採用されて、また経産省に戻りますという方でした。  だから、やはり一番問題なのは人事だと思うんですよ。何で当委員会は原子力規制庁をつくったんでしょうか。原子力安全・保安院が経産省の中にあって、まさに福島第一原発事故規制のとりこですね、推進官庁の中に規制官庁があって、バッテリーが地下にあるとか、福島第一のバックアップ体制の不備すら見抜けなかった。こういった事故の教訓を基にして、我々は三条の、そしてノーリターンルールの規制庁をつくったと私どもは把握をしております。  ですので、やはり二年で経産省本省に戻る人が、電力業界の問題を、推進官庁に戻って、これは規制官庁でわいわいやってですよ、こういうカルテルの問題や不可侵条約の問題をやって、経産省本省の人事局に目をつけられるようなことはしたくない、二年で感化なく過ごしてまた本省に戻って出世コースに乗りたい、それが人情です。  一方で、公正取引委員会の方というのは全くモチベーションが違いまして、公正取引委員会の方というのは、公正取引委員会にまず採用されて、そこで一生キャリアを終えるわけですよ。四百人ぐらい、八百人かな、人員もいらっしゃいます。やはりモチベーションが高い。やはりこういった独占禁止法に違反するような事案というのは、まず消費者である国民の利益を損なう、競争がなくなれば産業の発展性、創造性も損なう、だから、こういった悪を摘発して、公にして、改善命令なり課徴金を出すことが国民の利益の保護になるし、日本の発展になる、産業の健全な競争を促すと。  だから、やはりそれは公取の中で人事評価されるからですよ。頑張って、こういう不正事案、カルテルを摘発し、そして課徴金命令を課し、これは、公正取引委員会の職員は評価されて、昇進します。でも、電取委に経産省から出向している職員がこんなことをしたら、経産省に戻してもらえないかもしれない。  だから、ノーリターンルールが必要なのはまさにそこなんですよ。原子力規制庁というものができたのは、安全・保安院の職員がバッテリーが地下にあることを見逃してしまう、津波の高さを見逃してしまう、こういったものは当然だと思うんですよ。だって、自分が本省でエリートコースに乗りたかったら、そういう問題を指摘しない方が有利だからですよ。やはり、ノーリターンルールがあって、もう一生自分は経産省に戻れないというふうになったら、どんどんどんどん、今の規制庁のように頑張って問題点を指摘できると思いますよ。  だから、やはりこのノーリターンルールというものをこの電取委に作らないといけないんじゃないですか。もっと言えば、八条じゃなくて三条委員会に独立をさせる必要もあると思うんですが、ノーリターンルールを作る必要性に関して大臣はどうお考えですか。
  36. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、これは独禁法第三条違反に関する事案ということであります。  このことにつきましては公正取引委員会の専権であるということでありまして、電取委は、公正な競争をするために自由化になった電力、ガスにつきまして、しっかりと制度について見ていく、そして先ほど申しましたように、委員とのやり取りの中で、電取委の在り方というものも議論をしてまいりました。  私は、今、私が、所管の官庁の大臣が人事権を持っているわけでありますけれども、この中で、自由化の中で電取委の役割を果たしていきたいと思っております。
  37. 斉木武志

    ○斉木委員 そういった答弁は、たしか昨年の委員会で聞いたんですよ。たしか、その後、私に一回、電話番号を変えたとおっしゃいましたね。  この後ろのパンフレットも、中身は全く一緒で、ここにシールだけ貼られている。経産省の代表番号だったんですよ、電力・ガス取引監視等委員会というのは。そういうところに内部通報が来るわけないじゃないですか、推進官庁の代表番号に。だから、私が指摘をして、電話番号を変えましたと。でも、いまだに別館の三階にありますね。  今年度、引っ越しをするというふうに言っていましたが、外形だけ変えても駄目なんですよ。中身の職員を替えないと、人事を変えないと、本省に戻るんですよ、二年で。本省に戻りたい人は、どうやって推進官庁である電力行政の問題点を指摘できますか。無理でしょう、出世したかったら。意欲のある、出世欲のある経産官僚ほど、ここで頑張ろうとは思えませんよ。長としてどうですか。
  38. 梶山弘志

    梶山国務大臣 昨年御指摘があったのは、外形上、やはりこういうことでは全然その役割を果たせないんじゃないかということでありましたから、まずは電話番号を変えて、今年の八月にはまた移転もする予定であります。  そういった中で、今電力の事業者、小売、発電も含めて、千四百社以上あるわけですね。以前は十社程度であったものが千四百社以上ある。体制もやはり考えるべきだ、外部人材も登用すべきだということで、外部の法務の専門家、また財務の専門家ということも数多く入れる形になってきております。  そういった中で、しっかりとした機能を私は果たせるものだと思っております。
  39. 斉木武志

    ○斉木委員 大臣の考え方は、世界では少数派ですよ。  では、各国の事例、ちょっと挙げてみます。  アメリカは連邦エネルギー委員会、FERCというところが担当していて、職員数が千三百七十人、そして委員長一名、委員最大四名で構成し、委員の任期は五年である。そして、準立法機能、規制制定権をそこは持っております、FERCが。そして、準司法機能、違法行為の訴追権限も持っている独立行政委員会です。FERCの決定は大統領も連邦議会も再審査できないが、連邦裁判所のみ再審査が可能、要するに司法だけが介入できるぐらい独立性の高い委員会になっているのがアメリカの規制委員会です。  そして、フランス、エネルギー規制委員会、CREというものがあります。こちらも、あらゆる政府機関から独立した機関、要するに日本の公取のような、三条委員会のような機関です。委員はその任期中に、倫理上の問題があった場合を除き、解任されません。そして、委員の任期中は、電気、ガス業界での就職は不可です。株式の保有も不可です。また、任命前五年間は電気、ガス関係団体に所属していないことがそもそも条件とされている。これだけ独立性の高い委員会なんです。  イタリア、電力・ガス規制局、AEEGと言います。これもあらゆる政府機関から独立した機関です。  主要先進国は、三条委員会が当たり前なんですよ。ノーリターンルールは当たり前、なおかつ再就職も不可、これだけ強い独立性を設けているから、どんどんどんどん摘発できるんじゃないですか。推進官庁に戻りたがっている人にそれができますか。
  40. 梶山弘志

    梶山国務大臣 それはその時々の使命感を持ってできるのではないかと思っておりますけれども、委員がおっしゃったように、命令、告示等の制定権を有するのは三条委員会、そして、八条委員会はこれらを有していないということであります。  電気、ガスの自由化が始まり、そして六年が経過をいたしました。そういった中で、これからどうしていくかということは常に検討していかなければならないと思っておりますし、電力の在り方というものも、これで自由化が全て終わりということではなくて、今後検討していくべきテーマであると考えております。
  41. 斉木武志

    ○斉木委員 大臣は、そもそも電力自由化の意義をどうお考えでしょうか。何のために電力自由化をやって、何を狙っているんでしょうか。
  42. 梶山弘志

    梶山国務大臣 電力・ガスシステム改革によって、地域の再エネ電気を供給する新電力など、多様な事業者が参入をしてきております。消費者の皆様は様々な電気の購入先や料金のメニューを選ぶことができるようになりました。こうした電力、ガスの自由化によるメリットが、より多くの需要家に行き届くことが重要、そのためにも、まずはそういうことを妨げるようなことがあってはならないという中で、監視をしているものだと思っております。そして、自由化があるということであります。
  43. 斉木武志

    ○斉木委員 今の答弁を聞いて、この電気事業法の総則の第一条にある、この電気事業法というのは電気事業をまさに総括する法律ですけれども、この一条の目的規定の第一文、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発展を図るというふうにうたっているんです。  もう、電気の使用者の利益保護が、まず国民の利益の保護ですね、これが第一の目的であるということは御理解いただいているということでよろしいでしょうか。
  44. 梶山弘志

    梶山国務大臣 理解をしております。
  45. 斉木武志

    ○斉木委員 その観点から見れば、今回、公正取引委員会指摘を、今疑いを持って調査を始めている事案、電力会社とガス会社が最低価格をお互いに、電力とガスはこれぐらいで売りましょうというネゴシエーションをすること、及び、関西電力、中国電力、中部電力が今回は挙げられておりますけれども、お互いのエリアには入らないから、こっちにも入ってこないでねという不可侵条約を結ぶこと、これは使用者の利益の保護にかなっているとお考えでしょうか。
  46. 梶山弘志

    梶山国務大臣 それはかなっていないということでありまして、さらにまた、カルテル等の疑いありということで公取が調査をしているものだと存じております。
  47. 斉木武志

    ○斉木委員 大臣は、この件に関して何らか、各社等に助言なり指導なりは行いましたでしょうか。
  48. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事務方からは、事業者に対して、公取の調査に協力をするよう指導したとの報告を受けております。
  49. 斉木武志

    ○斉木委員 今日、大臣とやり取りをさせていただいて、やはり私は、梶山大臣が、通常国会、昨年だったと思いますけれども、電取の在り方、考えますよと言っていて、その電力・ガス取引監視等委員会が、電力とガスの間のネゴシエーション、餅つき大会すら監視できなかった、公取さんの動きで初めて知りましたという状況、これはやはり存在そのものが、電力とガスの取引の監視すらできない委員会ですから、ちょっとこの趣旨からいっても、名前からいっても、余りに期待される効果を果たしていないと思うんです。  独禁法は独禁法だから、いいんじゃないかみたいなことをおっしゃいましたけれども、この電力・ガス取引監視等委員会の所掌事務が、電気、ガス消費者の利益の保護というのをまさにうたっているわけですよ。電気事業法の一条の目的規定と一緒です。  今、反するとおっしゃいましたよね。ということは、これは、当然の所掌事務として、本来動かなきゃいけない事案なんじゃないですか。というか、本来感知できなきゃいけない事案だと私は思うんですが、それでも独禁法だからいいんだとおっしゃるんでしょうか。
  50. 梶山弘志

    梶山国務大臣 共通する課題だと思っておりますけれども、三条委員会か八条委員会かの違いによって調査権があるなしというものもございます。そういった中で、公正取引委員会調査の推移を見守りながら、何が組織的な、また機能的にまずいのかということも含めて議論をして、検討していかなければならないと思いますし、もし何かあれば、やはりそういう是正を図っていくということも重要な仕事であると思っております。
  51. 斉木武志

    ○斉木委員 昨年もこのやり取りはしているんですよ、一年前に。たしか一年前の六月だったと思いますけれども、していて、改善しますと大臣はこの委員会でおっしゃいました。何ら改善できていなかったとお思いになりませんか。電話番号を変えただけじゃないですか。
  52. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まずはすぐ直せるところから直そうということで、外形のところで斉木委員からの御指摘がありましたので、すぐにそれは変えさせていただきました。  ただ、公正取引委員会と電取委では、おのずとやはり役割が違うと思っております。同じ案件について一緒に調査するということも、調査権限があるなしで、できないと思っておりますし、斉木委員は、多分、公取の役割をこちらがしっかりとやらなくちゃいけないということなのかもしれませんけれども、まずは公取でそういった指摘があった、政府内でまたそういった仕事の取り合いの部分もある、取り合いというのは整合の部分があろうかと思いますけれども、役割をしっかりと見極めた上で、電取委の役割はしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
  53. 斉木武志

    ○斉木委員 先ほど、アメリカ、フランス、イタリアの事例を紹介いたしましたけれども、このような三条的、ノーリターンルールあり、再就職不可規定あり、これが最も独立性が高い委員会だと思うんですが、こういった絵姿は日本ではなじまない、若しくは日本には必要ないとお考えでしょうか。
  54. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そうは思っておりませんけれども、それぞれの職員について、利益相反等があれば、しっかりとそれは注意をしていくということになりますし、そういったことのないように、それぞれの組織において、それぞれの使命を果たしていくということだと思っております。
  55. 斉木武志

    ○斉木委員 ちょっと議論が平行線に今入っておりますので、私としては、やはり一年前に大臣が、まさに電取委の独立性や機能を含めて見直していきますよと言って、今回、報道で初めて知りましたというのは、余りにもやはり国会に対してずさんな対応ではないかということを私は申し上げさせていただきたいし、やはり当委員会としても、委員長に申し上げたいんですけれども、電力・ガス取引監視等委員会が本当にこの所掌事務の第一項に掲げている電気、ガスの消費者の利益の保護にかなった組織になっておるのか、そして、公取委があるからいいんですよみたいなことを大臣はおっしゃるけれども、電力・ガス取引監視等委員会というのは、じゃ、要らないじゃないですかという議論になりかねません。  我々は、原子力・安全保安院がワークしていなかった、機能していなかったから規制庁をつくったわけです。同じようにすればいいじゃないですか。なぜできないんですか。大臣に聞きたい。
  56. 梶山弘志

    梶山国務大臣 新しい組織をつくるという前提で見直しをしているわけではありません。外部の委員会検討をしていただきました、この組織について。そして、人員の構成についても見ていただきました。そして、機能を果たしているかどうかについても見ていただきました。その上で、中立性を保っている、しっかりと機能しているという評価をいただいたところでありますが、それも多分、外部委員会も当てにならぬというお話になるんでしょうけれども、そういった検討はしているということであります。  そして、公取委がやるものを全てこちらが承知していなければならないということにはならないと思っております。公取委の端緒となるようなことをこちらがつかめば、公取委への通報なり、また情報提供というものはさせていただいております。しかし、それが分かっていないから、この組織が要らないということにはつながらないと思っております。
  57. 斉木武志

    ○斉木委員 問題は、機能していなかったということなんですよ。これだけ大きな、お互いに不可侵条約を結んだり、電力会社とガス会社が電力料金とガス料金、地域の最低料金まで決めちゃうみたいな、明らかに電気事業法第一条、消費者の利益の保護に反しているし、電力・ガス取引監視等委員会が所掌事務の第一項に掲げている消費者利益の保護にも反しているわけですよ。  やはりこれは、私は、国民にとって大きな逸失利益も生まれる話ですので、委員長に改めて御提案したいんですけれども、この電力・ガス取引監視等委員会、我々、先の通常国会で修正案も出させていただきました、この在り方、ノーリターンルールを規制庁と同じように設けるべきではないか、八条ではなくて三条の検討をすべきではないか、こういったことを集中的に議論する質疑というものもやはり設けざるを得ないのではないかということを御提案させていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  58. 富田茂之

    富田委員長 この委員会で今おっしゃられた質疑をしろという御趣旨ですか。
  59. 斉木武志

    ○斉木委員 これに関して質疑を設けるという。
  60. 富田茂之

    富田委員長 後刻、理事会で各党の理事の御意見を聞いて決定していきたいというふうに思います。
  61. 斉木武志

    ○斉木委員 ありがとうございます。  かなり後半は、ちょっと水かけ論に近い平行になりましたけれども、やはり我々は国民の代表として選出されている議員でありますし、大臣も、大臣であり議員である。やはり国民の利益の保護というのは、これは我々の至上命題なんですよ。だから、それが果たされていないし、公取が調査に入ったら、報道で知りましたという監視委員会は、そもそもちょっとこれは見直しが必要だぐらいのことは国民感情としてあると思うんですね。そこのところは虚心坦懐に受け止めていただいて。  一年前に相当言いました。相当議論しました。それが、電話番号しか変わっていなくて、報道で知りましたみたいな。いや、ノーリターンルールないじゃないですか。では、逆に何が変わったんでしょうか。何が変わりましたか。
  62. 梶山弘志

    梶山国務大臣 人材の、人員の構成も含めて見直しをして外部人材を導入するということで、法律の専門家、また財務の専門家も数多く入れているところであります。そういった形と、あと斉木委員から御指摘のありました、同じ場所ではとても通報なんか入らないねというお話でしたので、電話をすぐに変え、また、それは御指摘があったから変えたんですよ。私、これだけで済まそうとは思っていません。そういった中でこの夏には移転もする予定でありますが、電力会社がやったことについては消費者の利益に反することだという事実は間違いのない事実だと思っております。
  63. 斉木武志

    ○斉木委員 そこの事実認識は最低限一致しておりますので、是非、今後、我々は国民の利益の代弁者として、国民が不当に利益侵害されないように、会社間で最低料金申合せをしたり、不可侵条約を結んで、違うエリアでは違う業者と締結、契約ができないとか、こういったことはやはり電力自由化の精神にもとると思いますので、これに関してはしっかりと今後も質疑させていただくということを申し上げさせていただいて、なおかつ、そのための時間というのも取っていただきたいということを申し上げて、今日は質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  64. 富田茂之

    富田委員長 次に、逢坂誠二君。
  65. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。  今日も原発の避難計画を中心に、落ち着いて少しやり取りをさせていただきたいと思っていますが、その前に大臣、一点だけ。  福島第一原発汚染水の関係ですけれども、今回、政府は海へ放出する決定をしたわけですが、これは何年ぐらいかけて放出する予定なのかということと、この費用は誰が負担するのかということ、この二点、もし大臣、今の時点で所見があればお伺いします。
  66. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これからの汚染水の、まず処理水の手前の汚染水の発生量にもよると思いますけれども、数十年かけてということになると思いますけれども、中長期のスケジュールの中で、それに見合うような形で処理ができるのではないかと思っております。  東電の費用ということであります。
  67. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 報道でしか私はまだ知り得ておりませんけれども、大体百倍に希釈をするということのようであります。となれば、今、タンクが千基ほどあるわけですね、大ざっぱに言って。だから、十万基のタンクの分を捨てるということになるわけですね。  仮に、三十年であれを捨てるとすれば、一日当たり、千三百五十トンタンクに換算して九基分ぐらいを海に捨てるということになるんですね。これは時間に換算しますと、一時間五百トン以上のいわゆる汚染水、希釈されているとはいうものの、それを捨てる、それを三十年続けるということにならないと十万基のタンクは解消されないのではないかなと私は概算で思うんですよ。  だから、これは相当長期にわたってしっかりしたモニタリングもしなければならないし、そこも十分に説明をしなければ、相当大変な作業になると思っているんですけれども、その辺りの覚悟、いかがですか。
  68. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、この決断というのは大変重い責任が伴うものであると思っております。政府全体に責任があるということであります。  そして、今あるタンクのものは、まだ再浄化が必要なものもありますけれども、浄化しているものであって一応基準に達しているものであっても、トリチウムの濃度というのはまだ、薄いものもあれば濃いものもあるということであります。そういったものをしっかりと把握して、均質なものにして放出をするという形になりますし、そのモニタリングの在り方というのも、東電のみならず、自治体であるとか、環境省であるとか、また国際機関であるとか、そういったところの実行と、さらにまた評価というものもしていただきたいと思いますし、東電なりの拡散のシミュレーションをしておりますけれども、それについても国際機関、IAEAに評価をいただくということでお約束をいただいているところでありまして、これから具体的に詰めてまいりたいと思っております。  また、東電からも近日中にそういった詳細の計画についての報告、発表があるはずであります。
  69. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 この問題はもうこれでやめますが、国際機関からのお墨つきを得たからそれでいいというものでは多分ないんですね。多分、やはり、地元の皆さん国民皆さんが納得をするということ、あるいは近隣の国の皆さんも納得をするということが最大のポイントだと思いますので、そこは大臣、しっかりとやっていただきたい。答弁はもうよろしいですので、よろしくお願いいたします。  そこで、避難計画なんですけれども、実は、四月八日、原子力特別委員会でも避難計画についてやらせていただきました。そのときに、内閣府の副大臣からの答弁で、市町村は、原子力災害対策指針等に基づいて避難計画を作成する。それから、更田委員長からは、最大の想定という点では、対策指針は福島第一原発相当の事故を考えておりますと答弁をする前に、最大の場合に備えておけば最も有効な計画が作れるかというと、必ずしもそうでもありません、更田委員長はこういう答弁をしているわけです。  この答弁を踏まえて、私は、市町村立場に立つと、どのような事故を想定してその避難計画を作るかということは非常に重要なんですが、そのことについては政府は明示的には言っておらないというふうに思うんですが。  市町村立場では、今副大臣が答弁したようなこと、あるいは更田委員長が答弁したようなことを踏まえて、どういう計画を作るかということは市町村が判断するということでよいのかどうか。まず規制庁、お願いします。
  70. 山田知穂

    山田政府参考人 原子力災害対策指針では、東京電力福島第一原子力発電所事故のような放射性物質の大規模な放出に至る場合も想定し、防護措置の基本的な考え方を示してございます。  このため、原子力災害対策指針に沿って避難計画を策定するということで、東京電力福島第一原子力発電所事故のような、結果的に放射性物質の大規模な放出に至る場合を想定する避難計画が策定されることになると考えてございます。
  71. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 防災担当の副大臣、いかがですか、今の点。
  72. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 先日お答え申し上げましたように、市町村は、原子力災害対策指針等に基づき地域の防災計画、避難計画を作成することとなっております。そして、その対策指針につきましては、ただいま規制庁がお答えしたとおりだと思っております。
  73. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それじゃ、今の話からすれば、市町村は具体的な、このぐらいの規模を想定して計画を作るとかということではなくて、災害対策指針に沿ってやれば福島第一原発事故程度の規模に対応できる避難計画ができるんだ、そういう理解で、規制庁、いいですか。
  74. 山田知穂

    山田政府参考人 原子力災害対策指針に沿って避難計画を策定すれば、東京電力福島第一原子力発電所の事故のような事故を想定をした避難計画になるというふうに考えてございます。
  75. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 そこで、そういう答弁をいただいたので、内閣府の副大臣に改めてちょっとお伺いしたいんですけれども。  災害対策指針に沿って計画を作れば福島程度の事故にも対応できる計画ができるというのが、今の規制庁の答弁なんですよね。ただ、以前から私が繰り返し言っているとおり、今回、新たな規制基準に基づいて計画を作る自治体というのは九十ほど増えたわけですね、以前よりも。こういう九十ほど増えた自治体というのは、災害対策指針に沿って計画を本当にきちんと作ることができるのかどうかというところが最大のポイントだと思うんですよ。  だから、この九十の自治体というのは、規制庁立場としては、指針に沿えば、きちんとした、福島事故にも対応できるような計画ができると。じゃ、防災担当の立場として、九十の市町村は本当に災害対策指針に沿ったきちんとした計画を作り得るのか。それは、全部作り得るんだということなのか、そうではないんだ、場合によってはそれがなかなか簡単ではないところもあるかもしれない、そういう姿勢で防災担当として臨むのでは、私、結果が大幅に違ってくると思うんですよ。  変な、避難計画神話みたいな、避難計画さえできればうまくいくんだみたいな神話に陥らないためにも、本当に九十の市町村がそれをやれるのかどうか、その辺り、どう基本姿勢をお持ちなのか。今、規制庁からそういう答弁があったものですから、あえて聞かせていただきたいんですが、いかがですか。
  76. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 私どもといたしましては、いわゆる地域防災計画、避難計画は、地域の実情を熟知している自治体が作成することが適切であり、そういった意味で、自治体皆様地域防災計画や避難計画を作成する責務を有しているものと思っております。  そのようにしていっていただけるためにも、いわゆる原子力災害対策指針に基づいてしっかりと定めていただきたい、そのように思っているところでございます。
  77. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 この問題、通告していないので、今日はこれ以上詰めませんが、規制庁がああいう答弁をしたものですから、指針に沿ってやればそれは対応できるんだという言い方をしたので、では指針に沿う計画が全ての自治体で作れるのかというところはやはり問題になるわけですよ。そこはよく、後でまた、後でというのは後日、またやりたいと思いますので、よろしくお願いします。  それでは、次に、大間原発についてお伺いしたいんですが、大間原発に係る地域原子力防災協議会は設置されていないために、緊急時対応を取りまとめ、確認することにはなっておらずという、これは現時点の話でありますが、これは四月八日の原子力特別委員会内閣府からの答弁でありました。  これについて改めてお伺いするんですが、大間原発に関する地域協議会をいつ設置するのかとか、構成員はどうするのか、関係道府県はどこか、関係市町村などは、こういったものはどのような経過で決められるのか、現時点での見通しがあればお伺いしたいと思います。
  78. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  まず、地域原子力防災協議会の位置づけでございますけれども、平成二十七年三月に、内閣府の政策統括官原子力防災担当の文書によりまして、「地域原子力防災協議会の設置について」というものが出されています。これ及びその原子力防災会議決定に基づいて、内閣府政策統括官原子力防災担当が、道府県や市町村が作成する地域防災計画、避難計画などの具体化、充実化を支援するために、原子力発電所の所在する地域ごとに、課題解決のためのワーキングチームとして設置したものであります。  この協議会の設置に当たりまして、その構成員は、関係省庁の審議官級及び関係道府県の……(逢坂委員「分かっている事実はいいので」と呼ぶ)はい。もうちょっとだけいいですか、済みません。そして、オブザーバーとして関係市町村及び電力事業者が参加することとしておりますが、地域ごとの課題や実情に応じて柔軟に設定するということでございます。  それで、仮に大間原子力発電所に係る地域原子力防災協議会を設置する際には、関係自治体の意向や、あるいは原子力規制委員会による審査状況を勘案しながら、設置の時期や構成員などについて検討してまいりたいというふうに考えております。
  79. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 関係自治体をどういうふうに決めるのかと聞いたのに、関係自治体の意向を聞いて決めるというなら、答弁になっていないんですよね。  だから、政府として、関係自治体はまず、じゃ、この程度だと考えているのであれば、それを言っていただければいいし。それを決めないと関係自治体に聞けないわけですから。  では、政府の方でどういうふうにしてこれを自治体に聞くということを内部で決定するのかというところ、そこはいかがですか。それとも、今の時点ではよく決まっていない、これから考えるんだというのであれば、それはそれでも構いません。
  80. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  まず、関係自治体の点について申し上げますと、やはりこれは、原子力災害対策指針に基づいて、いわゆるUPZ、発電所からおおむね三十キロ圏内、あるいはPAZ、五キロ圏内、そうした自治体をまずは関係自治体として考えていくことになると思います。  それと、実際の見込みでございますけれども、これは、簡潔に御答弁申し上げますと、やはり、現状においてはまだ、大間原子力発電所の見通しというんですか、そういったものが決まっていない状況におきましては、しかるべき時期に関係自治体などと相談して検討してまいりたいというふうに考えております。
  81. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 では、時期についてはまだ未定だということでよろしいですね。はい、うなずいていただきました。ありがとうございます。  それでは次に、ちょっと毛色の違う話なんですが、原子力の問題を議論するときに、炉年という考え方があります。一基の原子炉を十年間動かすと十炉年という言い方をするわけですが、この炉年についてお伺いしたいんですけれども、十年前に福島第一原発の三つの原子炉から百テラベクレル以上のセシウム137が放出される事故が発生した、これは御案内のとおりでありますが、この事故は、炉年という考え方でいけば、何炉年に一回程度発生した事故というふうに規制庁は見ているのか、お願いします。
  82. 市村知也

    市村政府参考人 お答え申し上げます。  原子力規制においては、先生御指摘のような何炉年に一回というような発生頻度、あるいは発生確率のような議論、こういう考え方を用いることがございます。  ただ、これはプラントの安全対策の改善につなげることを目的にしたものでございまして、お尋ねのような、過去に発生してしまった事故について用いるものではないと考えてございます。
  83. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 過去に発生した事故については用いるものではない、そういう理解なんですね。よろしいですね。うなずいております。はい。この答弁を基に、また後日いろいろやらせていただきますので、よろしくお願いいたします。  それでは次に、また話は戻るんですが、今回新規に避難計画の作成義務が生じた九十市町村についてお伺いしたいんですけれども。  国としてはこの新規に作成義務が生じた市町村に対して直接は義務が生じたことは説明していない、ただし、災対法の四条において、都道府県は市町村が行う防災の取組を助ける、あるいは総合調整を行う、こういう規定があるので、当該市町村に対しては都道府県から情報共有や意見集約がなされていたものと国は認識しているというふうに答弁をされたと承知しているんですが、これでよいかどうかと、ただし、この情報共有や意見集約について、どのように具体的に行われたのか、そういうことについては国は確認はしていないということでよろしいですか。
  84. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  まず、新たに生じた九十自治体に対しての直接的な説明をしていないがというところでございますけれども、私ども、今、対象となりましたその九十の市町村全てに対して新規に義務が生ずることを直接説明した記録というものについては、私ども内閣府で現在把握できる範囲においてはちょっと確認できていないところでございます。  他方、原子力災害対策重点区域を拡大するといった原災指針の内容、あるいは市町村が原子力災害対策指針に基づき市町村地域防災計画の作成が義務づけられることについては、国と関係道府県との意見交換や情報提供を行う場で、国から関係道府県へ説明し、意見交換も行っているところです。  その際、道府県は、災対法第四条において、その区域内の市町村が行う防災の取組を助け、総合調整を行うことが責務とされており、市町村に対しては道府県から情報共有や意見集約がされていたものと認識しておるところでございまして、このような道府県の市町村に対する総合調整の役割というのは、そもそも地方自治法の第二条第五項にも規定されているところでございます。  それに加えて、御質問の、具体的に確認していないのかということについては、また繰り返しになりますけれども、内閣府で現在把握できる範囲においては、個々の道府県の具体的な取組まで確認できていないところでございます。
  85. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 はい、了解でございます。災対法四条の規定に基づいて都道府県がやったかどうかは、具体的には確認していないということですね。分かりました。  では次、これも前回、佐藤さんが御答弁なさって、規制委員会のことも御答弁なさったのでちょっとびっくりしたんですが、原子力災害対策指針案については、規制委員会の平成二十四年十月十九日の第六回委員会で、周辺自治体も含む関係道府県や市町村へも意見照会を行ったという結果の報告があったものと承知しております、こういう答弁をされた、非常に具体的な答弁をされました。  それではお伺いするんですが、例えば北海道においては、具体的にどの市町村に対して、誰がどのような手法で意見を聞き、集約したのか、その意見の内容、これらについて御紹介いただきたいし、記録があれば、その有無についても教えていただきたい。
  86. 山田知穂

    山田政府参考人 お尋ねいただきました原子力災害対策指針案に対する意見照会でございますけれども、原子力規制庁から、原子力災害対策指針たたき台を関係の道府県に送付して、道府県及び道府県を経由した市町村意見照会を行って、十八道県及び十五市町村からいただいた意見を平成二十四年度の第六回原子力規制委員会報告をしてございます。  北海道からいただいた御意見の記録につきましては、道又は市町村意見の区別はできないんですけれども、防護対策のための指標について、自治体が防護対策を講じるための指標を明らかにすべきですとか、今後原子力規制委員会検討を行うべき事項については、時期を明確にし、指針において明記すべきことなどについて御意見をいただいているところでございます。
  87. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 了解でございます。それを踏まえて、また後日、深掘りさせていただきます。ありがとうございます。  そこでなんですが、今度は大臣にお伺いしたいんですけれども、実は先日の原子力特別委員会で、副大臣の方からの御答弁の中にこんな話がありました。  建設中の原発について、核燃料の装荷のタイミングによって避難計画の策定時期が決まるという制度では決してございません、策定時期というような特段の定めは災害基本法の中には承知しておりません、あくまで各自治体の判断による、こういう答弁を副大臣がされたんですが、これについて、大臣の見解をお伺いしたいんですけれども。  そういう答弁であるならば、もし仮に電力事業者が、我が社としてはいついつまでに核燃料を装荷したいんだ、だから市町村皆さんにその時期を目指してなるべく計画を作ってほしい、避難計画を作ってほしいなんということを仮に言われたとしても、それに市町村は従う義務はないということでよろしいですね。
  88. 梶山弘志

    梶山国務大臣 地元の安全、安心の観点から、市町村は、災害対策基本法や防災基本計画等に基づいて、避難計画をあらかじめ策定するものとされています。  大間原発のように建設中の原発の場合に、事業者による燃料装荷の時期との関係について申し上げれば、原子力防災を担当する内閣府としては、核燃料により原子力災害が生じるリスクを踏まえれば、当該原発に初めて燃料が装荷される時点までに避難計画を策定する必要があるとの考え方であると承知をしています。  したがいまして、事業者が燃料装荷の時期を示した場合には、その時期を踏まえて、市町村の方では避難計画の策定が進められるものと認識をしており、政府としては、それをしっかりと支援をしていくことが重要であると考えております。  その上で、これまでも答弁していますとおり、地元の安全、安心の観点から、避難計画がない中で、建設中の原発への核燃料の装荷や再稼働が実態として進むことはないと考えております。  江島大臣の答弁ということでありますけれども、法定されていないということでの表現であったと思っております。
  89. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私も、法定されていないということを改めて確認をしたいわけです。  今の大臣の答弁をもう一歩深めたいんですけれども、仮に電力事業者がいついつまでに装荷したいというふうに言った、関係自治体の方もそれを目指して避難計画作りをやる、それに対して国もいろいろと、特に内閣府中心に支援をしてくれるんだという理解はしているんですが、だからといって、それぞれの市町村が、その電力会社が装荷をしますよと言った時期までに避難計画を作らなければならないという義務は生じませんねということです。
  90. 梶山弘志

    梶山国務大臣 市町村は、災害対策基本法に基づいて、先ほど申しましたけれども、避難計画をあらかじめ策定をするものとされております。  大間原発のように建設中の原発の場合には、避難計画の策定期限について申し上げれば、原子力防災を担当する内閣府として、先ほど申しましたように、核燃料により原子力災害が生じるリスクを踏まえれば、当該原発に初めて燃料が装荷される時点までに避難計画を策定する必要があるとの考え方で承知しております。  したがいまして、事業者が燃料装荷の時期を提示した場合には、その時期を踏まえて、市町村の方では避難計画の策定が進められるものと認識をしております。政府としては、それをしっかり支援をしていくということが重要であると考えております。
  91. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 先ほどの答弁と同じなんですが。だから、そこを私、もう一歩聞きたいんですよ。  多分、自治体皆さんは、事業者の皆さんがいついつまでにと言うと、それを踏まえて様々計画を作る努力は私はすると思うんです、災対法上も義務がかかっていますし。だけれども、その期限までに作れないことも私はあると思うんです。だから、その期限までに作るということは義務化されているものではありませんねという確認をしたいんです。
  92. 梶山弘志

    梶山国務大臣 法律上、義務という形にはなっておりませんけれども、災対法上のあれは必要なんですよ、避難計画は。ただ、燃料装荷というタイミングで捉えて避難計画をという点については法律上の定めはございませんけれども、住民の安全という点から考えますと、市町村でしっかり策定されるものだと思っております。
  93. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 いや、大臣のおっしゃることは分かるんですよ。誠実に様々なものに対応しようとする意味で、電力会社はいついつまでに燃料装荷したい、そうしたら、市町村の方も、いついつまでに、その時期までに何とか計画を作りたい、そういう努力をしたとしても計画が作れないことだってあるわけですよ、様々な理由によって。だから、仮に電力会社が期限を区切ったとしても、そこまでに作らなければならない義務はありませんねということ、市町村にはないですねということを確認したいんです。
  94. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業者が提示する燃料装荷等の時期を踏まえつつ、市町村の方で避難計画策定が進められる中においても、議論の結果、予定どおりに十分な内容の計画が策定されない場合もあると思います。そうした場合には、燃料装荷等が実態として進むことはないという趣旨を答弁をしているということでありまして、協議の中でそういったものは考えていく、個別に考えていくということになろうかと思います。
  95. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 個別の問題の話をしているのではなくて、仮に事業者が期限を示したとしても、その時期までに市町村には避難計画を作る義務は生じませんねということを法的に確認をしているんです。
  96. 梶山弘志

    梶山国務大臣 法律的にはありません。
  97. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 本来これは担当は内閣府だと思うんですけれども、内閣府も同じ見解でよろしいですか。仮に事業者が燃料装荷の時期を示したとしても、市町村はそこまでの間に避難計画を作る義務は法的には生じないということでよろしいですか。
  98. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 防災基本計画上、市町村はあらかじめ避難計画を作成するものとされておりまして、地域ごとに様々な課題があったり、いろいろあると思いますけれども、そうした課題に自治体と緊密に連携しながら一つ一つ取り組んで、自治体が策定できるように支援していく、そのように思っております。
  99. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 支援するという話は、もう十分それを踏まえた上で、支援もいろいろいただくでしょう、様々なアドバイスもいただくでしょう、だけれども、事業者がここまでに燃料を装荷したいと言ったときに、避難計画を作成する市町村がその時期までに避難計画を作成しなければならないという義務は法的には生じませんねということを防災担当にお伺いしているんです。経産大臣からそういう答弁はいただきましたから、内閣府も一緒かということを聞いているんです。
  100. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 ただいま大臣がおっしゃったことと同様に認識しております。
  101. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 了解であります。  仮に電力事業者が燃料装荷の時期を明示したとしても、関係する市町村はその時期までに避難計画を作成する義務というのは法律上は生じないという確認をさせていただきました。  大臣、何かございますか。時間が迫っておりますので、簡潔にお願いします。
  102. 梶山弘志

    梶山国務大臣 災害対策基本法に基づいて避難計画をあらかじめ作るという義務は生じておりますけれども、そういった形で、法律上、原子力に関する避難計画の策定義務というものは話合いの中で行われているということであります。
  103. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 話合いの中で行われる、それは多分そうだと思います。私が何度も確認したかったのは法的な義務は生じないねということでありますので、それについては前に答弁いただきましたので、了解いたしました。  それで、時間がもう残り少ないので、規制庁にお伺いします。  原子力災害対策指針の中で、屋内退避を想定するのはどのような場合かということと、UPZの場合はまず屋内退避が前提かということ、そして、屋内退避においては、例えばですよ、木造住宅ではどの程度放射線量が遮断できるのか、そしてその根拠は何か、以上について事実を教えてください。
  104. 山田知穂

    山田政府参考人 屋内退避は、原子力災害対策重点区域のそれぞれごとに、PAZにおいては、全面緊急事態に至った時点で原則として避難を実施するが、避難よりも屋内退避が優先される場合に実施する必要があるとされております。  なお、避難よりも屋内退避が優先される場合としては、避難の実施により健康リスクが高まる者が、健康状態に影響せずに避難できる準備が整うまでの間、屋内退避を実施する場合や、自然災害等による影響などにより避難の実施が困難な場合等がございます。  UPZにおいては、全面緊急事態に至った後、段階的な避難やOILに基づく防護措置を実施するまでは屋内退避を原則実施することになってございます。  UPZ外においては、UPZ内と同様に、事態の進展等に応じて屋内退避を行う場合があるとされてございます。  続きまして、UPZはまず屋内退避が前提かという点でございますけれども、原子力災害対策指針においては、UPZについて、全面緊急事態に至った後、段階的な避難やOILに基づく防護措置を実施するまでは屋内退避を原則実施することになってございます。  最後に、屋内退避の効果でございますけれども、屋内退避による内部被曝の低減効果については、建物の特徴や立地、放射性物質放出時の気象条件等により異なるところでございますけれども、米国環境保護庁による研究によれば、屋内退避によって、木造家屋においては七五%低減することができるとされているところでございます。
  105. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 規制庁、改めて確認します。これで最後にしますが、七五%低減するということは四分の一程度被曝ということだと思うんですが、屋内退避をするということは、一定程度の被曝前提にしている、一定程度の被曝は避けられない、そういう理解でよろしいですか。
  106. 山田知穂

    山田政府参考人 原子力災害対策指針の目的は、緊急事態における原子力施設周辺の住民等に対する放射線の重篤な確定的影響を回避し又は最小化するため、及び確率的影響リスクを低減するための防護措置を確実なものとすることとされてございまして、原子力災害時の被曝をゼロにすることを意図しているものではございません。
  107. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 了解いたしました。ありがとうございます。今日の答弁も踏まえて、また深掘りをさせていただきます。  ありがとうございます。
  108. 富田茂之

    富田委員長 次に、本多平直君。
  109. 本多平直

    本多委員 立憲民主党本多平直でございます。  私の選挙区、地元で、二か所で、高レベル放射性廃棄物、いわゆる核ごみの処分場をめぐる調査が開始をされています。なかなか全国的なニュースにはなっていないんですが、北海道においてはこのニュースが新聞に載らない日がないくらい、地域のみならず全道的に大きな話題になっています。  この問題について質問したいということを山岡筆頭理事にもお願いをして、今日は特別に時間をつくっていただきました。感謝を申し上げます。ありがとうございます。  さて、大臣とこの問題について議論をしていきたいと思うんですけれども、今調査が始まっている私の選挙区の二か所についての私の考えをまずは申し上げておきたいと思います。  一か所は、非常に村全体が火山に近くて適地ではなくて、村のごく一部が、NUMO、経産省さんも適地と言っている色がちょっとあるんですけれども、そこはもう海に面した崖でして、非常に実現性がないな。学者によれば、ここの海側にも断層が走っているということで、非常に、素人の私でも分かる、適切な土地ではない。  もう一か所の町についても、有名な、地図にもきちんと載っているような断層がある、真ん中に走っている町でありまして、ここもそもそも文献調査などするまでもなく適地ではないという考えで、私は、多くの地域皆さんとともに、この二か所に処分場を造る、調査をするということにも反対を明確にしています。  更に言えば、我が北海道は二〇〇〇年に条例を作っています。短い条例なんですけれども、後段のところだけ読ませていただきますと、「私たちは、健康で文化的な生活を営むため、現在と将来の世代が共有する限りある環境を、将来に引き継ぐ責務を有しており、こうした状況の下では、特定放射性廃棄物」、これは核ごみのことだと思うんです、「特定放射性廃棄物の持込みは慎重に対処すべきであり、受け入れ難いことを宣言する。」こういう条例を全国で唯一我が北海道は持っています。  この条例を持っている北海道でこういう調査をしているということについて、大臣、どうお考えですか。
  110. 梶山弘志

    梶山国務大臣 以前に、科学的特性マップというのを示させていただきました。そして、その中で文献調査ということを募っておりまして、そういった中でのこの二か所であったと思っております。  文献調査は、あくまでも文献による調査、そして、これまでに知り得ている調査資料などによる調査ということで、最終処分議論をするための調査ということでありまして、この次の段階、約二年と言われておりますけれども、次の段階に行くときには、首長さんの、また自治体の判断ということで、反対があれば前に進まないということを、私どもの名前で道にも当該町村にもその文書を送っているところであります。
  111. 本多平直

    本多委員 そうなんですよね。残念ながら文献調査という一段階目は開始をされてしまいましたが、次の段階、概要調査に行くときには北海道の知事の意見も聞く、当然知事はこの条例を踏まえるということで、私は、この先の経緯は、私としてはありがたいことに、大臣としては残念なのかもしれませんが、明らかだと思っています。  そして、自民党さんが推薦をして当選をされた知事も、この問題に関しては、次の段階調査に行くのは反対をするということも明言をされています。しっかりこの姿勢を貫いて、私は、北海道にこのことを持ち込むということにはそもそも反対であると、大臣も、知事の反対があればその先には行かないということも今明言をいただきました。  さて、たまたま私も、地元に二か所が来たので、一生懸命この半年間勉強を続けているんですが、そもそも、この今の場所の決め方自体のスキームに問題があるのではないか。この二か所がどうこうという話からちょっと離れまして、このスキーム自体、今日原発をもしやめても、今出ているごみは何とかしなければいけないという面もあるので、どこかに決めなきゃいけない。しかし、この法律を作ったのは二〇〇〇年です。二十年間たっても場所が決まっていないというのが現実なんですけれども、そもそもスキームにいろいろな問題があるんじゃないかと私は思っています。  そのうち、まず一つ目について大臣議論したいんですが、日本のエネルギー行政、特に原子力発電をめぐる政策は、あの福島第一原発の事故で大きく転換をしました。我々、一定程度やむを得ないと思っていたところからゼロという方向に転換をした者もいますし、推進をしていた方でも、一定の、安全規制は相当強化しなきゃいけない。これは、いろいろな意味で、あの事故で我々は原子力をめぐる政策について大きく転換をした。これは、ゼロ派であろうが推進派であろうが一緒だったと思うんですね。  ところが、これは我々もなかなかそこまで手が回らなかったということもあるんですが、実は、この最終処分場をめぐるスキームに関しては、あの事故を経てもですよ、二〇〇〇年に法律を作って、十年前にあの事故があって、全く変わらないスキームのまま、場所を二十億出すから調査させろといって探しているわけですよ。  このスキームをそのままでいいのかということに関して、大臣、率直にどうお思いでしょうか。
  112. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、先ほど委員もおっしゃったように、各地域にある原子力発電所のサイト内に使用済み燃料が大体スペースの七割から八割来ているということ、いずれにしても、これを処理をして、処分をして、廃棄をしなくちゃならないという課題があるということであります。そういった中で、引き続き二〇〇〇年以降もこういった形で最終処分地のスキームというものを続けてきたということであります。  変える必要があるかどうかというのは、まず、処分しなくちゃならないというのは大前提の上で、どうしていったらいいのかというのは今後もやはり常に考えていく必要があると思っております。
  113. 本多平直

    本多委員 一つは、安全基準がないということは前回予算委員会でも議論をさせていただきました。規制委員会の更田委員長も、作るということを明言していただきました。前は、安全神話で、原発でさえ非常に緩い基準だった。これは今厳しくなっている。当然、それ以上に危険なものを埋める処分場ですから、更田委員長にはしっかり基準を早急に作ってほしいという、基準の話もあるんですね。  今、大変、大臣からは、スキーム自体も、もう二十年決まっていないわけですから、法律を作ってから。そしてあの事故を経ているわけです、ちょうど十年のところで。しっかりこの処分場のスキームについても考えていくという、いい答弁をいただいたと思うんですが、これを考えるときに、一つ、是非ともしっかり全文を読んで参考にしていただきたい資料が二つあります。  菅総理のおかげで非常に有名になった日本学術会議という、任命拒否問題で有名になった会議が、二〇一二年、これは民主党政権の末期ですけれども、提言を出しています。そして、それのフォローアップとして、二〇一五年にも同じテーマで、核ごみの最終処分場についての提言を出しています。そんなに長くないので、是非これは大臣にも全文をきちんと読んでこの議論に参加をしていただきたいと思うんですが、私は非常に示唆に富むことを述べていると思います。  私、これに参加をされた学者の方とも電話でお話をしました。私もちょっと全面的に賛成できない、何か奥歯に物が挟まったところがあるなと思ったので率直に聞いたら、確かにこれは原発を、つまり推進、しばらく残さなきゃいけないという方も入っていた。これは、ちょうどあの事故の前に議論が始まって、あの事故を挟んで結論が出ているんですね。あの事故を見て、これは相当、原発を脱原発にしていかなきゃいけないという学者の方もいた。両面の人が入っているので、若干議論が混ざっているところもあるかなと私は思うんです。とはいえ、非常に示唆に富んでいて、そのうちの大きな柱が二つあります。  一つが、総量規制という考え方が入っているんです。つまり、要するに、原発、これだけ危険なものの処分場を引き受けてくれとどこかの地域に言う以上、原発をやめるということをもう宣言しないと、なかなかこんなものは受け入れられないんじゃないかという思いからの発想です。  ただ、大臣、推進派の方もいますから、原発を続ける場合でも量をしっかり抑制をする。つまり、幾らでも今後出していくよというと、その一か所で足りるのか、そのせっかく引き受けたものがどんどん増設されるんじゃないか、こういう不安につながって、引き受けてくれないよと。それから、もうちょっと倫理的に言うと、こんな、処分場を引き受けるところがないようなものを、やめると宣言したらそれでようやく場所探しが始まるんじゃないかと。  実は、諸外国で、引受地が決まっている決まっているという話がありますけれども、それは、実はもうゼロを宣言した上で、これまで出ちゃったものはみんなの責任で探しましょうと。  私も、そう言われたら少し、これは一歩進むんですけれども、そう言わない前に、総量規制という、これに入っている考え方がないまま、これからどこまでいつまで原発をやるか分かりませんと。これは一か所目なのか、取りあえず造ってそこがどんどん増えていくのか、百年、二百年原発が続いたらごみどうするんだという話がいつまでも続くんですね。  この総量規制という考え方をしっかりまず入れない限り、なかなか住民の理解は得られないんじゃないかというのが、学術会議皆さんの、脱原発派も推進派もいたと思うんですけれども、一致した結論だったんですが、この総量規制という考えを、まず前提を入れるべきだ、これについて、大臣、いかがでしょうか。
  114. 梶山弘志

    梶山国務大臣 原子力発電に賛成か反対かということにも関わってくると思っております。  日本学術会議が二〇一二年と一五年にこれを提言したということで、私も大変不勉強で申し訳ないんですけれども、本多議員からの質問があって、その中身、ある程度読ませていただきました。また詳細に全部読ませていただきたいと思っております。  日本学術会議が提言した総量規制とは、高レベル放射性廃棄物の総量に着目をしているということでして、それを望ましい水準に保つ観点から、総量の上限の確定などという考え方が提示されていると思っております。  資源に乏しい我が国にとって、電力の安定かつ安価な供給や気候変動対策への対応等の観点から、原子力の利用が欠かせない、ある一定程度の利用が欠かせない中で、総量規制を選択することは、原子力利用に上限を設けることにつながりかねず、現在の私どもの考え方としては、責任あるエネルギー政策を実行していく観点から、適切な選択ではないと考えております。ただ、一つの見識であるとは思っております。  最終処分は、原子力発電の賛否にかかわらず、日本の社会全体で必ず解決しなければならない重要な課題である、こういったことを立場を超えてやはり議論をしていくことは大変重要なことでありまして、私、前にも申し上げたんですけれども、川幅の広い両岸で、相手の声も聞こえない、石を投げても届かないようなところでお互いに言っていたのでは何の進歩もない、やはりある程度腹を割って、虚心坦懐、話していくということが必要なのではないかと私自身も思っておりますので、一つまた参考にもさせていただきたいと思います。
  115. 本多平直

    本多委員 大臣から、今、総量規制の考えを取るということはすぐには言えない、原発を進めていくお考えをお持ちのようですから、私とはそこは明確に違うわけですけれども、この問題はどこかで解決をしていかなきゃいけない、時間をかけていかなきゃいけない課題だと私も思っています。  ただ、一方で、そういう理解あることを言うと、原発をやめてほしいと思う、応援してくださる皆さんからいうと、処分場を造ったらまたやるよ、どんどん続けるよという声も出てくるんですよ。今日決めて、今まで出たものを処分するのだって大変なんですよ、これから場所を決めるの。ところが、場所を決めれば、現にやりたい人はいるわけですから、どんどんやられるよという説もある。  こういう中では、大臣、幾ら頑張って、NUMOの皆さんが頑張っても、北海道の二か所は私は論外なんですが、これからも場所は決まらない。ですから、この学術会議の両方の立場の学者が入った提案、総量規制というのをしっかり考えて、処分の問題を取り組んでいくべきだと思います。  そして、この二つの提言の大きな柱の一つは暫定保管という考えです。科学者方々が入っている組織であります。しかし、非常に科学に対して謙虚であるべきだと。今現に動いている原発でも安全神話の時代があり、そして、あの福島状況を我々は見たわけです。十万年後まで安全にならないと言われているこの核ごみについて、今の知見だけで、埋めるのが一番だ、地層処分という方法が一番だと世界で言われているという、ふわっとした、これこそ安全神話だと私は思うんですけれども、こういう結論を出すのではなくて、この提言書では五十年、私が電話で話した方は、五十年じゃちょっと短いよ、どっちみち造るのに結構時間がかかるから、もうちょっとの時間、暫定保管という考え方を提案されています。  今の、原発のそばのプールで冷やしている方法というのは非常に不安定。ですから、地上にきちんとした施設を造って、五十年とか何十年と時間を決めて、その間に科学の知見が発達をしてくる。最終処分、日本のこの火山国、地震国の地層の中に処分をするのが本当にいいのかどうか、そういうことを可逆性を持って判断をする。時間の余裕を取れというのが責任なんです。  モラトリアムというと、猶予というと逃げのように聞こえるんですけれども、私はやはりこれを読んで、この十万年という時間が、これから先、安全になるまでかかるものの処理のスキームを決めるには、ここで五十年、六十年、七十年、モラトリアムの期間、暫定保管という期間をつくるというのは非常に合理的なのではないかと私は思ったんですが、大臣はいかがでしょうか。
  116. 梶山弘志

    梶山国務大臣 この暫定期間というのは、多分、再処理をして、ガラス固化体にして、それを暫定的に地上で五十年ぐらいというお話なんでしょうけれども、可逆的な意味合いもあるということでありますけれども、今考えている最終処分も、取り出すことができるような可逆的な考え方というものを入れているところでもあります。  いろいろな考えがあると思いますし、やはり、東日本大震災、福島第一原発の事故から多くの方の考え方が変わったというのは私も肌で感じているところでありまして、そういった中で、今あるものをどう処分をしていくのか、そしてその工程においてどういう考え方でやっていくのかというのは考えていかなければならないと思っております。
  117. 本多平直

    本多委員 いろいろな選択肢を狭めずに、時間をかけるというのは、いろいろなことに時間をかけるというのを逃げと取ることもあるんだけれども、私は、この問題に関しては実は合理的なんじゃないかということで、しっかりと提案をさせていただきたいと思います。  こうしていろいろなことを考えている中に、例えば、普通、ごみというのは自分で出したところで処分するのが一番倫理的なわけですが、世界でこの処分場の問題、みんな考えています、取り組んでいるんですが、本当にこの日本で、火山があり、地震がある、プレートがプレートに潜り込んでいる、この不安定な地盤の日本でやることが私は実は正義か、この問題をずっと考えていたときに、報道で、最近、カナダの元首相が、ウランを自分たちは売っているから、場合によっては日本の最終処分場を引き受けることを、政府間ではない、民間対民間で少し議論しようなんて話をしていたということが大きく報道されました。  大臣、この件は御存じですか。
  118. 梶山弘志

    梶山国務大臣 報道の範囲内で知っておりますし、民間レベルでの話ということであります。  政府としては、使用済み燃料や高レベル放射性廃棄物の海外での処分検討しているという事実はないということを申し添えさせていただきます。
  119. 本多平直

    本多委員 私も、すぐに、自分の選挙区の中に造られるのが嫌だから外国へ持っていけというような単純なことを言うつもりはないんですが、十万年のテーマですから、いろいろな課題を、やはり選択肢を狭めずに考えるべきだと思っているんです。  そこで、面白いことに、ずっと、条約で外国に持っていくのは駄目なんだと言われてきたんですけれども、本当にそうなのかと。私も詳しく条約本文を読んでみたら、どこにもそんなことは書いていないんですね。  それで、今日は外務副大臣にお越しをいただいております。  日本で発生した核のごみを、この国際条約で、他国で処分するということは法的に禁止されていますか。
  120. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 本多委員指摘の条約は放射性廃棄物等安全条約でございますけれども、放射性廃棄物は、その管理の安全と両立する限り、それが発生した国において処分されるべきものであることを確信する旨、規定しておりますけれども、これは前文の規定となっておりまして、国際法上の義務を定めたものではありません。
  121. 本多平直

    本多委員 そうなんですね。これについて、なかなか、経済産業省の事務方は、精神の方は言うんだけれども、法的な義務はないということを私には明確に言わないので、今日、お忙しい中、外務副大臣に来てもらうことになっちゃったんですよ。  大臣了解されましたか。
  122. 梶山弘志

    梶山国務大臣 この条約の在り方、また考え方については理解をいたしました。
  123. 本多平直

    本多委員 ですから、倫理的にはそうなんですけれども、国民への説明のときに、条約で海外には持っていけないことになっているみたいに、私も信じていたんですよ、最近まで、このカナダの件で報道が出てくるまで。  しかし、こういうチョイスもあるし、それは決して、何か自分だけの都合ではなくて、火山と地震の日本と大陸で固い地盤がある国と違うわけですから、私は幅広く検討もしていくべきではないかということは提案をしておきたいと思います。  最後に、時間になったので、ちょっと大臣に、前回、予算委員会で、お互いの認識がすれ違ったままで終わって、やはり、素人の人でも分かるような、一般の方でも分かるような議論が大事だと思うんですけれども、十万年前って日本はどんな地形だったかという議論をしたんですが、ちょっと食い違っちゃったんですね。  いろいろ、国会図書館にも調べてもらって、私も資料を集めたんですが、説はいろいろあるんですけれども、やはり十万年前というと日本は大陸とつながっていた、これは一応確認して、共通理解にしませんか。
  124. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先般の予算委員会でちょっと見解が違ったということで、調べてまいりました。  十万年前の日本列島が大陸と陸続きであったとの御指摘につきましては、確かに、氷期においては、海面低下や氷床発生の影響により、地表面では一部が陸続きになっていた時期があったとの見解もあると承知をしております。  しかし、高レベル放射性廃棄物の地層処分は地下三百メートル以上の深さで行うものであり、地層処分安全性については、主に断層活動や地殻変動の要因となるプレート運動などを考慮すべきものと承知しております。  これらは主に地表面で生じる海面低下や氷床発生とは直接的な関係はないと考えられるということで、こうした見解を述べさせていただきました。
  125. 本多平直

    本多委員 ありがとうございます。  これぐらい、いろいろなプレートのことを言っていますけれども、日本がシベリアとつながったり朝鮮半島とつながっているようなぐらい大きな地形が変わっている時期まで安全にならない。三百メートルだから安心という話は、今度、もし機会があったら、またやらせていただきたいと思います。三百メートルって本当にそれほど深いのかということも、しっかりと続けて議論を、地元の課題でもありますから、引き続きやっていきたいと思います。  今日はここまでにします。ありがとうございました。
  126. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  127. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  菅政権は、昨日、四月十三日、東京電力福島第一原発の放射能汚染水海洋放出する方針を決定いたしました。福島県内外の自治体、議会、それから、漁業、水産業を始め様々な事業者、消費者など、広範な反対や不安を無視して強行したことに、日本共産党は強く抗議をし、撤回を求めます。  前日の十二日の日に、梶山大臣に党国会議員団として申し入れた際に、私も申し上げたんですが、福島など深刻な打撃を受けた地域復興は途上にある。そして、暮らしとなりわいの再建のために懸命の努力が続けられている。汚染水海洋放出はこれまで積み上げられてきた努力を無にしかねない。政府が新たな被害をつくり出すことは復興に逆行するものである。賠償を含めた対策実施も東電任せであり、その実効性に何の保証もない。今やるべきは海洋放出の準備ではなくて、タンク増設等の対策を取りつつ、汚染水問題解決に向けて、内外の英知を結集することだ。これに政府が真剣に取り組むように、冒頭、梶山大臣に強く求めておきたいと思います。  その上で、まず、貿易保険法違反への対応について、何点か質問します。  四月九日にNEXIの外部調査委員会調査報告書が公表されました。伊藤鉄男弁護士を委員長とする三名の委員会により、役職員を含む関係者のヒアリング、紙媒体、電子媒体の資料精査の結果を取りまとめたものであります。  そこで新たに明らかになった事実を確認したいと思います。  経産省は、これまで、NEXIが法令違反のドイツ債を保有していたことを昨年十月二十八日に初めて聞いたと説明してまいりました。二〇一八年九月に資金運用先を拡大する省令改正の後、毎月、NEXIから資金運用の状況を記載した資料が提出されていたが、そこには外債の区分が米国国債、国際機関債の二つしかない。銘柄までは記載されていないために、NEXIがドイツ債を保有していることは分からなかった。NEXIから出されたのはこの資料のみだ、そう説明してきたわけであります。  ところが、今回の外部調査委員会報告書の二ページから三ページのところではこうあります。NEXIは、経産省に、定期的に、NEXIによるKFW債、ドイツ債ですね、この保有が記載された経営会議及び取締役会に対する報告資料を提出しており、こう書かれているわけです。  経産省には提出を受けた別の資料があるのか、その中にはNEXIがドイツ債を保有していたことが書かれているんじゃないですか。いかがでしょうか。
  128. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えをいたします。  今委員指摘のNEXIが定期的に経済産業省に提出していた資料でございますけれども、これは、NEXIが月二回開いております経営会議、これは社外取締役以外の取締役、監査役あるいは幹部が参加している会議でございます、こちらの会議における報告資料、それから通常月一回開かれております取締役会において用いられた会議の資料、こういったものをNEXIが、NEXIにおける経営方針の検討状況について経済産業省に対して共有する目的で、参考資料として任意で経済産業省に提出されていたものでございます。  この中には、先ほど申し上げましたとおり、経営方針や人事に関する審議、決議事項、こういったものに加えまして、今御指摘のございましたとおり、資金管理実績などの報告事項も経営会議、取締役会に報告されておりますので、それに関する資料が含まれてございまして、その中に、一部でございますけれども、今回問題になりましたドイツ復興金融公庫債の保有について示した記述があるというふうに承知をしております。
  129. 笠井亮

    ○笠井委員 そうしますと、昨年十月にNEXIから報告を受けて初めて分かった、これまでのそういう説明というのは誤りだったということですか。
  130. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えをいたします。  先ほど申し上げた資料は、今申し上げましたとおり、参考資料として任意で経済産業省に提出されている資料でございまして、その資料、分量でいいますと通常二百ページぐらいの大部な資料でございます。その中の一ページにKFW債を持っているという記述が一行あったということでございまして、私ども、この資料につきましては、経済産業省としてその内容について逐一確認することを目的として受領していたものではございませんので、したがいまして、私どもといたしましては、KFW債の保有についてしっかりと承知はしていなかったというふうに承知をしております。
  131. 笠井亮

    ○笠井委員 参考資料とか、任意とか、大部にわたる、二百ページだというような、そこに一行だけあったから分からなかったなんというのは通用していないですよ。だって、監督官庁に対して報告しているわけですから。  最初にドイツ債を保有していると書かれている報告書を受け取ったのは、じゃ、いつですか。
  132. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えをいたします。  この債券の保有につきましては、四半期に一度、経営会議又は取締役会に報告されていたというふうに承知をしております。  その意味で、今御質問がありました最初の資料につきましては、二〇一九年の一月二十二日に経営会議報告された資料が、その恐らく翌日であったかと思いますけれども、NEXIの方から提供されたというふうに承知をしております。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 ちゃんと提供されている資料だと報告が出ているのに、漫然と資料を受け取ってチェックできていなかった経産省の監督責任が問われると思います。  四月九日に経産省は「貿易保険法違反への対応について」ということを公表いたしました。飯田貿易経済局長名でNEXIに対して厳重注意したということが明らかにされておりますが、これはきちんと文書で注意と指示を行ったということですね。よもや口頭ではなかった。
  134. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えをいたします。  今御指摘ございました四月の九日でございますけれども、今般の法令違反事案を受けまして、元々NEXIに対して業務全般についての徹底した調査検証と再発防止策の決定実施ということを求めていたところでございますが、四月の九日にNEXIから、外部調査委員会調査結果、それを受けた再発防止策、あるいは社内の処分について報告がありました。  私どもといたしましては、その機会に、この報告を受けまして、四月九日付で、貿易経済協力局長名の文書で、NEXIに対して法令違反事案について厳重に注意をするとともに、再発防止策の速やかな実施、そして、その実施状況について期限を付して報告を求めたところでございます。
  135. 笠井亮

    ○笠井委員 局長名のNEXIへの厳重注意文には、昨年十月以降の対応に迅速性をNEXIは欠いていたという指摘をしているわけですが、私は、その指摘はそのまま経産省自身にもはね返ってくる問題だと思います。  梶山大臣に伺いますが、今後の経産省対応ということについて、NEXIの監理の在り方について検討していく予定というふうに経産省は言っておりますけれども、具体的には何をどのように検討していくんでしょうか。
  136. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今般の法令違反事案の対応に当たりましては、経済産業省とNEXIとの間で、法令の解釈等に関するやり取りを主に口頭で行っていたことを含め、問題解決に向けた進捗管理が不十分だったと認識をしております。  このような認識の下、例えば、経済産業省とNEXIの間で法令に関するやり取りは当然のことながら文書で行うなど、文書主義の原則を徹底するとともに、省内における情報共有を円滑に進めるなどの対応が考えられます。  このほかにも、実効的なNEXIの監理のための必要な措置についても検討をしてまいりたいと思っておりますし、できるだけ早く結論を出した上で実行をしてまいりたいと思っております。
  137. 笠井亮

    ○笠井委員 今回のNEXIの法令違反は、貿易保険法改正案の国会提出見送りがなければ明らかにならず、うやむやにされていたかもしれないということであります。  梶山大臣、NEXIの監理の在り方の検討は当然なんですけれども、文書主義の原則をおろそかにして口頭で済ませてきたことを、担当者や一部局の問題ではなくて、経産省全体の問題として捉えるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  138. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまでも意思決定に関するものに関しましては文書でしっかりと残しておくということで徹底はしてきているところでありますが、その前後のやり取りについて、重要なやり取りということが出てくると思いますので、そこの聞き取りも含めて、やり取りについてはそごはありませんでしたけれども、いずれ、やはりほかの事案が起きたような場合にはそういったところでそごが出がちだということでありますから、お互いに文書としてしっかり残すということ、念のために、やはりお互いに残す文書の確認というものも公文書としてしておくべきであると思っております。
  139. 笠井亮

    ○笠井委員 ちょうど一年前に、関西電力に対する電気事業法に基づく業務改善命令を発出する手続で、エネ庁が虚偽公文書を作成していたことが大問題になりました。さらに、その過程で、大臣の直属機関である電取委の対応の瑕疵も明らかになった。こんなことを繰り返していては、行政が国民から信頼されなくなります。  経緯も含めた意思決定に至る過程並びに経産省の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成しなければならないと、経産省自身が文書管理規則の規定があるわけで、これを徹底して、今大臣言われましたけれども、後世にも説明責任を果たせるように、しっかり対応していただきたいと思います。  次に、コンビニのバリアフリー化について質問いたします。  先日、視覚障害者の方々から切実な訴えがありました。コンビニはとても便利で生活に欠かせない存在で、自宅から一番近い場所にあり、スーパーに比べて店舗も狭くて、そして物の配置を覚えやすいからだということなんですね。しかし、その頼りのコンビニが今、利用しにくくなっている。例えば、入店した途端に、今忙しいから後で来て、こう言われて利用を断られた。欲しい商品が買えなかった。機械端末が使えないというものなどがあります。  梶山大臣に伺いますが、これらの課題解決というのは、やはり誰一人取り残さないというSDGsの上でも重要じゃないかと思うんですが、いかがですか。
  140. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当然重要であります。コンビニを運営している大手の会社も、SDGsを掲げている会社が大半だと思っております。そういった中で、自社での取組というものがしっかりとできるようにということでまた取り組んでまいりたいと思いますし、後ほどあるかもしれませんけれども、そういった取組に対しまして、コンビニの会社に対しまして、私どももできるだけ具体的にお話をした上で、また、障害者の方々との話合いの場というものも持たせているところであります。     〔委員長退席、中野委員長代理着席〕
  141. 笠井亮

    ○笠井委員 全日本視覚障害者協議会、全視協などは、一年半前からコンビニ事業者との直接の懇談を希望していたんですが、直近でいうと、コロナ禍ということもあって、実現できずに困っておりました。  今年二月十四日に、私も同席して、所管官庁の経産省に伝えて、その仲立ちで、三月二十二日にローソン本部との懇談ができました。そこで、ローソンのSDGsの担当者も、いろいろな努力もしているという話もされまして、そして、視覚障害者の声に熱心に耳を傾けてくれて、新商品開発だけでなく、どんな方にも商品を売る開発もすごく大事だと気づきがあってよかったということで、双方から喜ばれる機会になりました。  大臣、こうした意見交換の場が今後も必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  142. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これはおっしゃるとおりでして、先ほども申しましたように、大手企業の大部分がSDGsの取組をしているということを自ら宣言をしているわけでありますし、こういった目の前の取組ができなくては、やはりその宣言も無駄になってしまうということだと思いますし、ほかの大手にも働きかけて、やってまいりたいと思います。  今、ローソンの話が出ましたけれども、チケットなんかの自動発券機も音声でやる必要があるということを向こうも気づいたということでありまして、逆に、ビジネスチャンスというか、物を売る範囲が広がったということでも喜んでいると思っております。
  143. 笠井亮

    ○笠井委員 大臣も具体的なことを念頭に既に答弁されていますが、視覚障害者の要望は大きく三つです。一つは、やはり人についてです。  視覚障害者にとっては、買物の手助けになる従業員の声かけや誘導、案内などが必要でありますが、実際、今、コンビニは慢性化した人手不足で、忙しいからと断られたり、後回しにされる場面も多々あるということであります。  また、コンビニにとって、真面目な働き手として本当に欠かせないのが外国人スタッフなんですね。実際に懸命に働いておられる。ただ、やはり日本語に不慣れだったり、あるいは文化、生活習慣などの違いもあるということで、例えばシャケおにぎり下さいというふうにお願いすると、何種類か持ってきて、どれがシャケと書いてありますかというふうに視覚障害者の方に言われてしまったり、あるいは香典袋が欲しいと言うと、手提げの紙袋やエコバッグなどを差し出されたりしたこともあったということなんですね。  そういう点では、視覚障害者が置き去りにされる問題の解決が、人の問題でも必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
  144. 梶山弘志

    梶山国務大臣 おっしゃるとおりで、お客様とのマッチングというのは非常に重要だと思っております。そして、働き手不足のコンビニ業界において、またそういったことが、議員がおっしゃるようなことが出ているということは、やはり今の状況というものを映し出しているような気がいたします。  デジタル技術というのが発展をしてきましたけれども、そこへの誘導であるとか、コンビニの方の、お店にいる方たちへの教育や、そして、デジタル技術をどう便利に使っていくかということも含めて、障害者の方々了解の上で、そういったものが導入されるということは望ましいものだと思っております。
  145. 笠井亮

    ○笠井委員 今、デジタル技術ということをおっしゃいました。要望の二つ目は、まさに機器と技術開発の問題です。  コンビニに限らず、小売業界全体の人手不足解消の切り札として、セルフレジとか、自動発券機などのタッチパネル式の決済端末を積極的に取り入れるということでやられておりますが、ところが、視覚障害者にとっては、画面に表示された選択肢が見えずに、利用目的を選択し、画面にタッチし、次の操作に進むことができないと。店員のサポートなしに全く使えないということでありまして、触ってもつるつるなだけで、とにかく手も足も出ないというのが率直な思いで、これらの機器というのは、やはり、視覚障害者の利用を想定した設計になっているのか、こう問われると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。
  146. 畠山陽二郎

    ○畠山政府参考人 お答え申し上げます。  昨今、御指摘のように、小売業における人手不足の進展などを背景に、コンビニやスーパーなどの小売店で、セルフレジなどの導入を進めているところでございます。  コンビニにおきましては、例えば音声ガイダンス機能を有するATMを導入している事業者、こういう事業者もおりますけれども、一方で、多くのセルフレジなどの機器は、視覚障害者に配慮した機能を備えた設計とはまだなっていないというのが実態だというふうに承知をしております。  こういったことを受けて、業界団体でお客様対応マニュアルというのを作成しておりまして、障害者の方の機器操作の援助ですとか、あるいは、体の不自由なお客様に安心してお買物いただくための応対方法についても盛り込んでいるところでございます。  こうしたマニュアルはもちろん存在しているんですが、これが徹底をされるということが大事だと思っておりまして、このマニュアルに基づく取組を各事業者が従業員に徹底していくための指導あるいはその研修なども実施をしておりまして、その徹底を図っているところでございます。
  147. 笠井亮

    ○笠井委員 マニュアルで、いろいろな形で、指導が徹底するという話をしましたが、端末を利用するには店員の補助が不可欠ということになると思うんです、今もお話ありましたが。忙しそうで声をかけてもらえない、それから、クレジットも、暗証番号などを口頭で教えるわけにいかない、最低限自分でできることは自分でするような仕組みにしてほしいということも、やはり切実な要望なんですね。この点でも、やはり、視覚障害者が置き去りにされている問題というのは放置せずに、解決しないといけないと思うのですが、いかがですか。
  148. 畠山陽二郎

    ○畠山政府参考人 これはコンビニに限らずですけれども、コンビニにおいても、そういう、どういう事例があったのか、それから、どういう応対をしたのかという事例集も作成しておりまして、これも、業界にその徹底をし、それからその周知をし、どんな対応をしたのかということも刈取りをしております。そういうことをまたほかの事業者にも徹底をするということを通じて、まず手助けのところはしっかり対応していく、こういうことが必要かと思います。  一方で、先生おっしゃいますように、機器の方で対応をする必要があるというところもあるところでありますので、先ほどATMの事例などで申し上げましたけれども、そういう障害者の方が使いやすい機器というのが導入されるということも、これは推奨されるべきだ、このように考えております。     〔中野委員長代理退席、委員長着席〕
  149. 笠井亮

    ○笠井委員 三つ目の要望ですが、やはり当事者の声を反映してほしいということであります。これは本当に大事です。  コンビニのバリアフリー化を推進する際には、このガイドラインというのがあって、それを生かして、とことん視覚障害者などの声を反映することが大事だと思うのですけれども、内閣府が、昨年十月に、障害者差別解消法の見直し検討に係るヒアリングというのをやっておりますけれども、三十四事業者団体と十九障害者団体から聞き取りをしているということがあります。  しかし、その中にはコンビニフランチャイズのチェーンの団体がない、それから、弱視者の団体はあるんですけれども、全盲の人がいる団体についてはその聞き取りの中に入ってない。今からでも、やはり大事な問題ですから、ヒアリングをして、政策に生かすべきではないか。これは政府としてやるというので内閣府が取りまとめていると思うんですが、それをやるべきだと思うんですけれども、その点はどういうふうにお考えですか。
  150. 畠山陽二郎

    ○畠山政府参考人 お答え申し上げます。  障害者の方の差別的な取扱い、あるいは、安心して買物ができるようにする環境を整えることは、これは極めて大事でございますし、そういうところで、先ほどローソンの話もございましたけれども、実際、障害者の方の御意見をお伺いをして、気づきの機会が得られるということもあるので、ここは意見を聞くということを積極的にやっていくべきだと思いますし、そういうことで、業界の方ともお話をさせていただければと思っております。
  151. 笠井亮

    ○笠井委員 是非、法改正に向けてのヒアリングでもやっていただきたい。  大臣に伺いますが、これまでも、新しい生活機器が開発されるたびに、視覚障害者団体は、自分たちの使い勝手を検証して、使いにくければ事業者に指摘をして改善を求めてきた。その結果、銀行や郵便局のATMにも音声案内とテンキーが取り付けられて、設置台数も大幅に増えてきた。こうやって改善されたのはうれしいんだけれども、こうやって作ってしまう、開発する前に聞いてほしかったというのが率直な願いだということでありまして、買物が困難な当事者、それからコンビニ業界、そして経産省の三者は、是非、同じテーブルに着いて、専門家も交えながら、ソフト面、ハード面での課題解決に本格的に乗り出すべきじゃないかと思うんですが、これ、いかがでしょうか、大臣。前向きにちょっとお願いします。
  152. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当事者全部が同じテーブルに着いて話し合うことは大変重要だと思っております。  経産省では、本年三月に、障害者差別解消法に関するオンライン研修会を実施をいたしました。政府からの情報発信だけでなく、小売関係の業界団体や障害者団体の方にも御参加いただく形で開催をいたしました。当事者間の建設的対話や、対話の先にある共生社会の実現についてディスカッションを行ったところであります。  こういったことを通じて、障害者の方が不便に感じていることを、やはり店舗で実現をさせていく、それが実行可能なものにしていくということは大変重要なことだと思っております。  ただ、一気に全店舗というわけにはいきませんから、例えば、コンビニであれば、障害者対応、視力の障害がある方の対応店舗とか、そういうことで少しずつ増やしていくということも重要なのではないか、そういう表示というものも重要だと思っておりますので、委員の御意見を参考に、しっかりと業界と連携をして、障害者の方も入れた上で、お話をさせていただきたいと思います。
  153. 笠井亮

    ○笠井委員 最後にもう一点ですが、障害となっている事柄を取り除くことが社会に求められているという考え方に立って、政府が率先して、やはり困った事例をなくさなければいけないと思うんですね。障害者権利条約、それから障害者差別解消法などの視点で、経産省として、やはり、コンビニのユニバーサル改善への責務を果たすことが大事だと思うんです。  そこで、経産省には、技術開発の予算もあります、それから、JISのような規格で共通化を促進する施策もある。是非、視覚障害者など当事者の声を反映して、それをベースにして、障害者に配慮した製品、サービス、生活環境の充実、普及に、一層促進を図るべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか、その点。
  154. 梶山弘志

    梶山国務大臣 全ての面でバリアフリーというのは、ソフト面も、ハード面も、非常に重要なことだと思っております。  そういった機器開発も、そういう小売店舗を展開する企業、また障害者の方と連携をし、何が必要なのかということを見極めた上で、こういったものを開発してまいりたいと思いますし、それが、逆に日本の強みになる可能性もあるとは思っております。
  155. 笠井亮

    ○笠井委員 時間になったので終わりますが、やはり、この項目の冒頭に申し上げました誰一人取り残さないというSDGsからも、経産省として全力で取り組むように、重ねて求めておきたいと思います。  終わります。
  156. 富田茂之

    富田委員長 次に、美延映夫君。
  157. 美延映夫

    美延委員 日本維新の会の美延でございます。  最初に、梶山大臣、恐縮なんですが、質問通告していないんですけれども、本日も委員からも質問がございました、福島第一原発ALPS処理水を二年後に海洋放出されるということで、昨日、福島県知事と面会されたと報道で聞きましたが、これは、例えば風評被害の問題とか、問題は山積だと思うんですが、科学的根拠に基づいて、説明責任をしっかり果たしていっていただきたいと思うんですが、大臣の御所見を伺えますでしょうか。
  158. 梶山弘志

    梶山国務大臣 海洋放出決定いたしました。このことは、安全であること、そして風評被害をできるだけ起こさないこと、そして最小限に食い止めること、そういったことを念頭に対策を立てていきたいと思っております。  安全面ということは、実際の面での安全もありますし、皆様の受取がしっかりとできるような科学的根拠に基づいて、そして、客観性を持った広報というものも重要だと思っておりますので、委員の御指摘のとおりしっかりと心がけてまいりたいと思います。
  159. 美延映夫

    美延委員 大臣、済みません、ありがとうございました。  それでは、まず、事業再構築補助金についてお伺いしたいんですけれども、この終わりの見えない新型コロナの感染状況を鑑み、家賃支援給付金や持続化給付金など、事業継続を目的とした支援金だけでは限界が見え始めている状況を考えた上で、アフターコロナを見据えて、産業の新陳代謝を促し、収益性の高い産業に労働転換を促す狙いがあると言えますが、先週の経産委員会でも、事業再構築補助金の質問に対して、ウィズコロナ、アフターコロナ時代の経済の変化に対応するために、中小企業等の思い切った事業再構築に対して支援を行うことで、日本経済の構造転換を促すことを目的としているという政府側の答弁がありました。  これはごもっともな御意見だと思うんですけれども、また反面、わらをもすがる思いで現状を維持するのがもう精いっぱいの中小企業が、設備投資や事業、業態転換をするということは、よほどの決断がないとこれは難しいと思います。  コロナ禍における業績悪化は、これは事業者のせいでも誰のせいでもないと思います。いわば不可抗力だと思うんです。企業の思い切った事業再構築を支援といった考え方もこれは一考だと思いますが、コロナ禍において雇用を守っていく意味においても企業の現状を守るということが必要だと思うんですが、大臣の御所見を伺えますでしょうか。
  160. 梶山弘志

    梶山国務大臣 最近の中小企業の景況感、全体としては持ち直しの動きがあると言われておりますけれども、やはりそれは、それぞれの地域やまた産業によって異なるものがあると思っております。  半導体関連では、企業のデジタル化を追い風として景況感は改善しましたけれども、ほかの宿泊業や飲食業は依然として厳しい状況が続いているということであります。  コロナ後のことということで事業再構築補助金ということを作らせていただきました。これは、新たな展開を考える人たちにしっかりと支援をしていくということでありますが、従来の仕事もしっかりしてまいりたいということであれば、これも支援をしていかなければならないと当然のことながら考えております。  こういったところには、持続化補助金やものづくり補助金等の支援措置もありますし、例えば、今まで作ってきたものを更にまた工場を造りたいということであれば、サプライチェーン補助金ということで、かなりのこれは応募数があります。さらにまた、資金繰りということでかなり柔軟な対応を、条件変更も含めてできるようにということで、そういった面も含めて、大変厳しい中ではありますけれども、数の上では倒産が抑えられているという数値も出ております。  ただ、実態は大変厳しいものがあると思いますけれども、そういったことの成果も見ながら、こちらも機動的に対応してまいりたいと考えております。
  161. 美延映夫

    美延委員 大臣、そこはもうしっかりよろしくお願いいたします。  次に、成功率という観点から少し質問させていただきたいんですけれども、思い切った新分野の展開や事業、業態転換を推し進めるというような取組は一般的にどの程度成功するのか、成功率というものをやはり考えていかなければならないと私は思います。  仮に思い切った事業、業態転換をして、事業再構築が失敗に終わった場合はどうなるのでしょうか。まず思いつくのは、事業再構築に際して金融機関から借り入れた分が更なる負担になり得るということです。最悪の場合は、事業の資産の売却にもつながりかねないと思います。事業再構築補助金は、補助金額が多額になる分、融資額も多くなり、失敗時のインパクトはかなり大きくなると思いますが、失敗時のリスクについて、政府の見解をお聞かせいただけますでしょうか。
  162. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  先生からも、今、よほどの決断を引き出す補助金と、まさにその趣旨でございます。その分だけ、自己負担だって、小さい人にとっての百万も、中小企業と中堅の人にとっての数千万も、自己負担分はいずれにせよ重い。  この事実は重たく受け止めておりますが、片方で、補助制度だけで設計しようとしますと、結果的に、失敗した方が補助が手厚いというような、失敗をしたケースだと更に自己負担分も支援が出ますという設計はなかなかやりにくいところがございまして、基本は、補助制度は補助制度で、補助率は補助率、ここはもう維持するつもりでございます。  その上で、まず第一に、まず失敗しないように、事前で、今回、認定支援機関から、来てくださいとお願いしていますが、独りよがりにならずにプロの意見を聞かないと申請できないという手続を置いてみましたり、それから、実際に三千万以上の大型案件ですと、ちゃんと金融機関の伴走をお願いするような形にいたしましたり、それから、金利負担というお話は今いただきましたけれども、自己負担分について少しでも、当初二年間〇・五%引き下げる公庫の融資制度でございますとか、信用保証料も引き下げるといったようなところで、補助制度とはまた別の形での資金繰り支援ということも手厚くし、かつ、最終的には、補助事業は十二から十四か月でございますので、終わった後も、フォローもしっかりと、認定支援機関等々の方々に極力伴走してくださいというふうにお願いするといったようなところで、補助制度とは別の形で何とかそのリスクを下げられるように我々も工夫してまいりたい、このように考えてございます。
  163. 美延映夫

    美延委員 今のお答え、是非よろしくお願いいたします。  少し前なんですけれども、平成二十九年度にシンクタンクが、中小企業・小規模事業者の成長に向けた事業戦略等に関する調査に係る委託事業報告書という資料を出しています。この資料の中で、今から申し上げるデータがあります。あくまでも参考資料ですので、御承知おきいただきたいと思うんですけれども。  初めの問いは、新事業を意思決定してから成果が出るまでどの程度時間がかかりましたかという問いなんですけれども、三年未満が四二・八%、三年から五年、三五・三%、五年から十年、一五・六%、十年以上、一・六%。三年未満ですぐに成果が出たという企業は四二・八%に上りますが、過半数は、やはり三年から十年かかったということを回答されているわけなんです。  成果が出るまでに時間がかかるということは、資金面にも当然影響はあると思うんですけれども、同時に、社員のモチベーションにも影響があると思われます。結局、人材の面でも、社員のモチベーションの低下により退職が出て、結果として、企業全体の士気にも大きく影響するかと思われます。人材の側面から新規事業を考えますと、ノウハウや技術を持つ人材に尽きると思います。  同じく、先ほどの資料で、新規事業展開における課題をそれぞれ当てはまるものをお知らせくださいという設問に対して、必要な技術、人材が不足している、三三・二%、販路開拓が難しい、二八%、市場のニーズの把握が難しい、二三・三%、新規事業展開に必要なコスト負担が大きい、二一・九%となっており、コストの問題よりも、実は、ノウハウや技術を持つ人材が不足していることが課題となっていることが分かります。  事業再構築補助金は、資金面では有効な手段と思いますが、それだけではノウハウや技術を持つ人材不足の解消にはならないと思います。  そこで質問したいんですけれども、事業再構築のポイントは、資金補助もさることながら、必要な人材確保だと思われますが、その辺はどうお考えでしょうか。
  164. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  そのとおりであると思ってございます。やはりそういったアンケート、御紹介いただいたような結果が出てきますのは、やってみてから気づくというケースが多いということが大きな原因の一つかと。  やはり中小企業の経営者の皆様、腕では勝負してきていますが、ペンでは勝負してこられていない方が多いので、ちょっと抽象化能力という言い方がいいかどうか分かりませんが、事前にきちっと抽象化して、現実と理想のギャップを、そこから足りないものをちゃんと言葉に落として検証する、このプロセスがないまま取りあえずやってみる、やってみたら、やはり案の定、薄々思っていたんだけれども人がいなかったな、こういう方が現に三割以上いらっしゃる、こういうことではないかというふうに思ってございます。  そういう面も含めまして、事前に認定支援機関や金融機関とちゃんと経営戦略を言語化してから来てほしいというところをお願いしましたり、補助金の中でも運用はいろいろ気をつける必要はございますが、新たにそのために人材を、コンサルティングも含めて外部の専門家を雇う費用というところもきちっと経費計上を認めたり、それから、その後のフォローアップでもきちっとそこを、補助金の期間中だけでなくきちっと手当てするようにと。いろいろな形で腕一本の人に、きちっと言葉でも、見える化でも勝負できるようにということを伴走してまいりたいと思いますので、御紹介いただいたようなアンケートと同じような結果に今回はならないように極力頑張ってまいりたい、このように思ってございます。
  165. 美延映夫

    美延委員 本当に今のお答えはすごく期待しておりますので、よろしくお願いいたします。  では次に、今回、経済産業省で日本貿易保険に関する二つの不祥事を受けて貿易保険法の改正案を取り下げられましたが、その二つの事案の全容及び原因についてまず説明していただけますでしょうか。
  166. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたとおり、今回提出を予定しておりました日本貿易保険法の改正案につきましては、二つの法令違反の事案ということで、NEXIの業務実施体制の強化を優先して法案の提出を見送ることとした次第でございまして、いろいろ御迷惑をおかけして申し訳ないというふうに思っております。  その原因でございますけれども、一つ目の、外国債券の保有につきましては、NEXIが、貿易保険法施行規則において保有が認められております外国政府及び国際機関が発行する有価証券には該当しないドイツ復興金融公庫債を、二〇一八年十一月から二〇一九年五月にかけて三回にわたって取得していたというのが一つ目の事案でございます。  二つ目は、保険料の誤徴収でございまして、経済産業大臣に届け出ている保険料率規程とは異なる方法で端数処理を行いまして保険料を計算していたものでございまして、これによりまして、独立行政法人に移行した後、具体的には二〇〇一年以降を確認したところ、二〇〇四年以降で四十七件の保険料の誤徴収が発生したものでございます。  その原因でございますけれども、外部弁護士から成る調査委員会報告でも指摘されているとおりでございますが、社内の個々の担当部署において法令の適合性の確認、法令遵守の確認が十分に行われていなかったこと、そして二つ目に、個々の担当部署の業務を監督する複層的な体制が十分に構築されていなかった、あるいはそれが活用されていなかったことが原因であるというふうに考えております。
  167. 美延映夫

    美延委員 次に、ドイツ復興金融公庫債の取得が不適切だったということなんですけれども、これまで日本貿易保険では、投資等による余剰金の運用に関し、その妥当性や法規への適合についてどのように確認していたのでしょうか。例えば、経済産業省や第三者機関等の外部機関において個別の投資について事前事後に確認する等の措置を取られていたのかどうか、教えていただけますでしょうか。
  168. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えいたします。  日本貿易保険におきましては、こうした資金の運用について、通常ですと、専門家である証券会社の意見を踏まえまして、資金運用の担当者が購入する債券を選定します。これを、副社長を長とする資金管理運用会議に付議をいたしまして、必要に応じて、金融の専門家から成るアドバイザリーグループの助言も得ながら、運用先の妥当性の確認が行われてきたというふうに承知しております。  しかしながら、このドイツ復興金融公庫債の購入に当たりましては、三点ございますけれども、一つは、資金管理運用会議に上程されたからには、担当部署において法令チェック済みであるとの理解に基づき購入を決定したということでございまして、担当者が十分な確認を行わないまま上程したわけでございますけれども、それがそのまま購入につながったということでございます。  二つ目には、こういった内容につきましては、経営会議、取締役会、あるいは先ほど申し上げましたアドバイザリーグループといった社内の他の組織による確認があるのではないかというふうに思われるわけですけれども、実際にはこの個別銘柄に関する確認は行われなかったということでございます。  三点目、今委員指摘のございましたように、経産省への照会はあったのかということでございますけれども、このドイツ復興金融公庫債につきましては、経済産業省に対して、その法令解釈について照会することもなかったというふうに承知をしております。
  169. 美延映夫

    美延委員 それに対して再発防止はどうお考えなのか、併せて教えていただけますか。
  170. 飯田陽一

    飯田政府参考人 お答えをいたします。  今回、まず、日本貿易保険におきましては、この外国債券の問題を受けまして、調査委員会を設けて原因の究明を行い、さらに、調査委員会から再発防止策についての提言を受けているわけでございますけれども、これを受けまして、一つには、先ほど申し上げました現場での対応力を強化するために、担当役員から社長への決裁ラインの高度化、証券会社との購入可能債券リストの共有、資金運用担当者に対する研修を実施するというふうに聞いております。  また、社内におけるチェック機能を強化するために、業務と管理、チェック機能を分離するということで、財務グループを総務部に移管するというふうにお聞きをしております。  また、法令全体を確認するという意味で、新しく法務・コンプライアンスグループを新設しておりますし、また、先ほどのアドバイザリーグループにつきましては、購入の前の事前承認を必ず行うということと、このアドバイザリーグループの中に法令の専門家を入れるといった再発防止策を講じるというふうに聞いております。  さらに、法令遵守全般につきましては、コーポレートガバナンス委員会の構成を見直すなど、再発防止策を策定して、四月の九日に経済産業省宛てに報告があったところでございます。  これを受けまして、経済産業省としては、厳重に注意するだけでなく、その再発防止策の速やかな実行、その実施状況報告を求めたところでございまして、今後、NEXIをしっかりと指導監督してまいりたいと考えております。
  171. 美延映夫

    美延委員 本件の経済産業省の対応でありますが、経済産業省では、十月下旬に日本貿易保険から報告を受けた後、局長への相談まで三か月以上の時間を要したと聞いております。  今回、経済産業省内での情報共有が遅れたのも法案見送りの一因になったものと承知しておりますが、経済産業省において、今回どのような組織的な問題があったか検証し、今後どのように改善を図っていくべきなのか、そして、経済産業として検討していること、それから、事前にマスコミに情報が流れてしまったことについて大臣はどうお考えか、教えていただけますでしょうか。大臣の御所見をお願いいたします。
  172. 飯田陽一

    飯田政府参考人 まず最初に、実際にアクション、動かすまでに大きく時間がかかったことについては大変申し訳なく思っております。  その背景といたしましては、事案を早急に解決するという意識が不十分なままに進捗管理を行ったことがあったということがあると思っておりまして、そういった問題が再発しないようにするために、省内での情報共有の在り方、あるいはNEXIとの間の文書のやり取りを含めた管理の在り方について、省内でしっかりと検討して対策を講じていきたいというふうに考えております。
  173. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど局長からお話がありましたように、再発防止策をしっかりとやってまいりたいということと、事前にマスコミに流れたことに関しましては大変申し訳なく思っておりまして、皆様に改めておわびを申し上げる次第であります。  管理体制をしっかりとしていくということ、そして、この件について、他の分野においてもしっかりと認識をした上で、業務の改善や管理というものをしっかりとしてまいりたいと考えております。
  174. 美延映夫

    美延委員 大臣、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  175. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  176. 浅野哲

    ○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  今日は、大きく三つのテーマで質問させていただきます。  まず最初は、ALPS処理水について伺います。  本日の委員会の中でも度々この問題が取り上げられてきておりますが、私からも、まず冒頭、昨年のたしか十月頃、このALPS処理水処分方針が間もなく決まるかもしれないというような報道が出され、結果、その時点では決まらず、ここに来て方針が決まったという経緯がございました。  この間、やはりどういったところが論点になったのか、どういった検討を行ってきたのか、この半年間の内容について少し御紹介をいただきたいと思います。
  177. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまで繰り返し申し上げてきたとおり、ALPS処理水処分は、福島第一原発の敷地が逼迫する中で、もはや先送りできない課題であると考えております。この決定に向けて、直近に至るまで様々な方との意見交換を継続しつつ、いただいた御意見に応えるべく、関係省庁において検討を行ってきたところであります。  先ほど、昨年の十月時点のお話をされましたけれども、あの時点ではまだ、関係箇所との話合い、何か所かあるということと、なかなか、内容につきましてもまだそこまで熟していないという思いで延期をさせていただいたところであります。  十月以降は、関係省庁における議論を積み上げた結果、安全性について、科学的な根拠に基づく情報透明性高く発信をし、説明を尽くす広報活動を行うこと、環境省を中心に新たな専門家会議を立ち上げるなど、モニタリング体制の抜本的拡充を図ること、風評影響を未然に防ぐための漁業の販路開拓などの支援措置、万が一風評が生じた場合の丁寧な賠償等に取り組むことにいたしました。  また、三月二十三日に私自身がIAEAのグロッシー事務局長と面談をし、ALPS処理水処分する場合には、その安全性について厳しい目で確認をいただくとともに、その結果を透明性高く国際社会に発信をしていただくことを約束をしたところであります。  さらに、四月七日に総理と私が全漁連の幹部の方々と面会をし、反対であるとの立場は変わらないという全漁連からの発言がありました。その上で、安全性についての科学的根拠に基づく情報発信や徹底的な風評対策を行うこと等を強く求める等の要望を直接お伺いをしたところであります。  さらに、決定後ではありますけれども、昨日、福島を訪れまして、福島県漁連の皆様からは、やはり断固反対であるという声をいただき、また、その中でも、自分たちはこの地域に住んで漁業を続けていくという考えしかないんだ、そういった我々の思いというものもしっかり理解した上で様々な対応というものもしてほしいということを強く言われて、この決断には大変重い責任が伴うものだなということを感じたところであります。  こうした検討などを積み重ねてきた結果として、風評被害に対する懸念が強い中でこの決断に至ったということでありますけれども、安全性の確実な担保と万全なモニタリング体制の整備、漁業者などの御懸念の把握と徹底した風評対策という二点について確保できると判断をし、関係閣僚会議において最終的な政府方針の決定に至ったということであります。
  178. 浅野哲

    ○浅野委員 詳細な経緯の御説明、ありがとうございました。  私からは、次の質問としては、風評被害対策について特に質問させていただきたいと思います。  今、大臣は、これまでも関係事業者の声を聞き、そして先日も現地に行って聞いてきたというような話をされておりました。私の身近にいる漁業関係者も同じようなことを言っておりましたが、やはり、この風評被害を未然に対策するとはいえ、本当に出ないかといえば、そこの点についてはかなり悲観的に見られているのが実際の状況であります。ですから、今のうちから、その対象となる方々にどのような解決策を示すのか、ここはとても関心が強く持たれているところでもあります。  本日お配りした資料の一を御覧いただくと、こちらは、先日政府が定めた基本方針の中で、風評被害が生じた場合の対策の部分を抜粋したものになります。私、この赤線を引いたところに御注目いただきたいんですが、「画一的に賠償期間や地域、業種を限定することなく、被害の実態に見合った必要十分な賠償を迅速かつ適切に実施すること。」というような記載がございます。  まさにこれはそのとおりなんですけれども、ここでは、私は、福島県内のみならず周辺都道府県の漁業者も同じように風評被害を受けている実態もあります、是非、ここに書いてあるとおり、画一的、あるいは地域、業種を限定せずに柔軟に対応していただきたいと思うんですが、この風評被害に対して、現時点で、どのような措置の方向性、ここにも書いてありますが、これを補足する部分がありましたら、是非御答弁をいただきたいと思います。
  179. 梶山弘志

    梶山国務大臣 十年前の事故が起こった際、これは実害と風評被害が発生をいたしました。そして、太平洋岸ということで、北海道、青森、岩手、宮城、そして福島、茨城、千葉というところで大きな被害が発生をしたものと承知をしております。私も、当時、野党の議員でありましたけれども、茨城の漁業者また加工業者等と連携をしながら、その補償、対応ということもさせていただいた記憶がございます。  今回も、そういったところを、やはり沿岸地域全てが対象であると思っております。さらにまた、この太平洋沿岸だけでなくて、やはり、風評というのは、大変、人の気持ち、買う側の気持ちというものもありますから、いろいろな形で起こる可能性があります。そういったものを画一的に考えずにしっかりと対応をしていこうということと、立証責任を相手方に寄せずにしっかりやっていく。経済産業省も、しっかりそこの間に入った上で、できればやはり漁協の単位であるとかそういった形で、しっかりと皆さんが分かりやすいような説明をした上で、補償も迅速に、機動的にしてまいりたいと考えております。
  180. 浅野哲

    ○浅野委員 ありがとうございます。  今、後半で立証責任の部分に触れていただきましたが、この資料一の一番上の段落の最後に、この風評被害に関して「以下の観点から東京電力を指導する。」という文章がございます。経産省の事務方に事前に確認をしましたところ、この立証に関しては、東京電力に対する指導をしっかりやりますというような答えをいただきました。  だけれども、今大臣も少し似たようなことをおっしゃいましたが、東京電力はあくまでも賠償請求をされる側、そして漁業者は賠償請求をする側ですので、される側を指導するだけではやはり不十分だ、その賠償請求をする側の立証能力をしっかりと支えてあげられるような支援を政府は本来するべきではないか、私はそう思っていますので、今、答弁の中でも、そういった趣旨の発言をされたと思いますが、改めてそこの部分の御認識を確認させてください。
  181. 梶山弘志

    梶山国務大臣 当事者と所管官庁の経産省という立場からこういう言葉遣いをしたと思っておりますけれども、私どもは、漁業者またそれに関連する事業者、また実際の風評被害を受けた方たちと一緒になってその立証のお手伝いをさせていただくとか、また、交渉もさせていただくとか、そういった形で、我々が中に入った形で、分かりやすいような形で、この賠償、作業というものも機動的に行ってまいりたいと考えております。
  182. 浅野哲

    ○浅野委員 是非よろしくお願いいたします。  続いて、モニタリング検査について、神谷政務官に本日はお越しいただいておりますので、お伺いしたいと思いますが、やはり、これから、今の立証責任を果たすため、そして国内外に実際の科学的、客観的根拠をしっかりと示すためには、モニタリングをどう行うのかという観点が非常に重要になると思いますので、このモニタリングの具体的な方法について、できるだけ簡潔に教えていただけますでしょうか。
  183. 神谷昇

    ○神谷大臣政務官 浅野委員にお答えいたします。  昨日決定いたしました、いわゆるALPS処理水処分に関する基本方針におきまして、風評被害を最大限抑制するための放出方法といたしまして、新たにトリチウムに関するモニタリングを漁場や海水浴場等で実施するなど、放出前及び放出後におけるモニタリングを強化、拡充することが盛り込まれています。  環境省では、これまで、福島第一原発の事故に関して、セシウムに関するモニタリングを実施してまいりましたが、新たに海域でのトリチウムのモニタリングを実施いたします。  今後、政府設置されましたモニタリング調整会議、これは環境大臣が議長でございまして、私が副議長でございます。この調整会議において具体的な実施方法を早急に検討し、関係省庁等が連携したモニタリング体制の強化を図ってまいります。  これまでにいただいた御意見、御懸念などをしっかりと受け止めまして、福島県の皆様を始めとする関係者に安心していただけるように、透明性、客観性の視点を最大限重視したモニタリングを実施し、結果を公表することによりまして、風評被害の抑制につなげてまいります。
  184. 浅野哲

    ○浅野委員 このモニタリングは、やはりとても重要になると思うんです。なかなか目に見えない、感覚的にしか恐怖を感じられないこの脅威を数値化をする、それによって客観的、科学的な理解拡大につなげるということは、とても、まず極めて重要な課題になっていくと思います。それは、国内の国民を安心させるのみならず、海外に対しても非常に重要な取組になると思います。  例えば、ちょっと分かりやすい例で言うと、今、この福島第一原子力発電所にたまっているトリチウムの総量というのは約八百六十兆ベクレルだそうなんですが、これを一年間に二十二兆ベクレル以内の範囲内で放出するという計画が今あると思います。じゃ、これがどのくらいの量なのかというと、海外の、国内外の原子力施設と比較した場合に、例えばフランスのラ・アーグ再処理工場からは、一年間に一京、一京です、一京三千七百兆ベクレル、そして、中国の大亜湾原子力発電所からは四十二兆ベクレル、韓国の古里原子力発電所からは四十五兆ベクレルといったものが日常的に出されている。これと比較して二十二兆ベクレルがどうなのか、そして、風評被害という観点ではどのような打ち出し方をしていけばいいのか。  ですから、数値化をすることが極めて大事だということをお伝えしたいわけですけれども、それによって、相対比較、そして安全性の感覚的な把握ができるようになると思いますので、是非ともここは、今後とも議論をさせていただきたいということをお願いさせていただきます。  では、次のテーマに移りますが、次はRCEPに移りたいと思います。  本日は電子商取引を取り上げていきたいと思いますけれども、今、RCEP協定が結ばれる内容は、これまでTPPやいろいろな自由貿易協定が結ばれてきましたが、特にソースコードの開示要求を禁止しないような内容になっています。これから、ビッグデータ解析だとか人工知能の利活用、様々なプログラム、ソースコードがとても重要な資産となる時代が来る中で、このソースコードの開示要求を禁止しないというのはとても懸念が残るような状況になっているかと思います。  そこで伺いたいのは、万が一ソースコードの開示要求がされた場合、どのような対応ができるのか、そして、これは併せて聞いてしまいますが、協定がちゃんと履行されているかどうかを、どうしっかりと確認していくのか、ここについて政府の見解を伺いたいと思います。
  185. 広瀬直

    広瀬政府参考人 お答え申し上げます。  RCEP締約国におきまして、ソースコードの開示要求など、日本の企業が懸念を持つ事例が発生した場合には、まずは二国間対話などの機会を通じまして、問題解決に向けて適切に、そうした事例が発生した国に働きかけをしていきたいと思ってございます。  御指摘のとおり、電子商取引章におきましてはソースコードの開示要求の禁止規定は含まれておりませんけれども、RCEP協定に基づきまして、電子商取引に関する対話という場がございます。ここで、ソースコードを含めまして、現在、新たな問題について各国と検討を行うということになっておりますし、また、この対応の結果というのは、協定の一般見直しにおきまして考慮されるということが規定をされてございます。  今後、この電子商取引に関する対話を含めまして、RCEPの枠組みの下で開催される各種のプロセス、これを迅速に立ち上げまして、ソースコードの開示要求に関する規律導入に向けて各国と議論を進めたいと思ってございます。  あわせまして、履行状況の確認、実効性の確保という観点では、RCEPにおきましては合同委員会というものが設置されておりまして、協定の実施、運用に関する問題を検討したりとか、あるいは協定の解釈、運用につきまして意見の相違がある場合には協議するというメカニズムが導入をされてございます。また、この合同委員会の下部組織として、協定がカバーする個別の委員会がございまして、電子商取引章を含めまして、協定の運用状況につきまして監視を行うといった機能が働いてございます。  今後、ルールを守らない国が出てきた場合には、例えば豪州、こうした国などとも連携をしまして、この委員会での検討、討議、監視を通じまして、ルールの遵守をしっかりと求めていきたいと思ってございます。
  186. 浅野哲

    ○浅野委員 本日の資料三の方に電子商取引に関する対話条項というのがございます。赤線を引いてある一番左側を御覧いただきたいんですけれども、ここには、例えばソースコードの開示要求を含む新しい問題が生じた場合には、今後、RCEP協定を見直す際に、その対話の結果行われる勧告を考慮するという条項がございます。  つまり、一回対話をして何らかの方向性が決まったテーマ、物については次のRCEP協定改定時にしっかり考慮をするということがここに明記されていますので、ある種、この条項をうまく活用して、今まだ起こっていない問題については是非対話をして方向性を出し、次の改定時に生かしていく、こういうプロセスを大事にしていただきたいと思います。  時間がなくなってきましたので、一問、大臣にちょっとお願いを含めて質問させていただきますが、現在、やはり人権問題、人権デューデリジェンスの観点が非常に注目を集め始めています。RCEP協定の中には、こういった強制労働や児童労働などの項目が明記されておりません。今後に向けての議論になりますが、人権問題について配慮義務、責務といったものを是非検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  187. 梶山弘志

    梶山国務大臣 RCEP協定につきましては、今衆議院の方で、委員会で御審議をいただいているところであります。  RCEP協定は発展段階や制度が異なる多様な国々が参加する経済連携協定であり、交渉の結果として、労働に関する規律は設けられませんでした。  いずれにせよ、我が国としては、国際社会における普遍的な価値である自由、基本的人権の尊重、法の支配等を重視しております。その観点から、RCEP協定発効後も、どのような対応が可能か、先ほどの件と同様に、各省庁と連携しつつ、参加国と議論をしてまいりたいと考えております。
  188. 浅野哲

    ○浅野委員 どうもありがとうございます。  では、最後の質問になるかと思いますが、特許庁長官に、少し通告順を変えまして、質問させていただきます。  本日の資料五には中国の特許出願数の推移が書かれておりまして、近年、かなりの数が出ております。ですけれども、中国に対する質問は今日は少し飛ばさせていただきまして、もう一枚めくると、こんな中においても、蓄電技術分野については日本が世界トップを今走っています。これをいかに伸ばしていくか、そして社会実装していくのかという観点で、是非、特許庁長官としてのお考えを伺わせていただきたいと思います。  また、中小企業に限定されている出願関係費用の減免制度、これは是非大企業も含めて対象に加えていただきたいと思うんですが、その辺りも併せてお願いいたします。
  189. 糟谷敏秀

    糟谷政府参考人 まず、後の方で中小企業の減免制度について御質問いただきましたけれども、特許等の産業財産権制度については、特許特別会計によって一般会計から独立して、収支相償の原則により運営されているわけでございます。このため、仮に特定の技術分野について新たな免除制度などを創出する場合には、ほかの技術分野への出願人などの負担を増やさざるを得ないという問題がございます。また、特許の出願や審査は、内外無差別で実施することが求められております。こうした観点から、特定の技術分野の強化の手段として特許料金の軽減を行うということについては慎重な対応が必要であろうかというふうに思っております。  電池分野における特許の出願、日本はこれまで件数としては多いわけですけれども、これに決して甘んじることなく、蓄電池のサプライチェーンの強化や技術力向上に向けた国内投資に対する支援ですとか、あと、グリーンイノベーションの基金による全固体電池などの次世代電池の開発を始めとした野心的な研究開発に対する支援、こうしたことを取り組むということで進めているところでございます。
  190. 浅野哲

    ○浅野委員 これで終わりますが、知財についても、是非今後とも引き続き議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  191. 富田茂之

    富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時七分散会