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2021-04-02 第204回国会 衆議院 経済産業委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    穴見 陽一君       石川 昭政君   うえの賢一郎君       上野 宏史君    神山 佐市君       神田  裕君    工藤 彰三君       小林 鷹之君    佐々木 紀君       鈴木 淳司君    武部  新君       辻  清人君    冨樫 博之君       西村 明宏君    福田 達夫君       穂坂  泰君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宗清 皇一君       八木 哲也君    渡辺 孝一君       青柳陽一郎君    逢坂 誠二君       落合 貴之君    菅  直人君       松平 浩一君    宮川  伸君       山崎  誠君    高木美智代君       笠井  亮君    美延 映夫君       浅野  哲君    石崎  徹君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣官房副長官      坂井  学君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府参考人    (内閣法制局第四部長)  栗原 秀忠君    政府参考人    (経済産業省大臣官房長) 多田 明弘君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           岩城 宏幸君    政府参考人    (経済産業省経済産業政策局長)          新原 浩朗君    政府参考人    (経済産業省貿易経済協力局長)          飯田 陽一君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二日  辞任         補欠選任   冨樫 博之君     渡辺 孝一君   西村 明宏君     うえの賢一郎君   宮川  伸君     青柳陽一郎君 同日  辞任         補欠選任   うえの賢一郎君    西村 明宏君   渡辺 孝一君     冨樫 博之君   青柳陽一郎君     宮川  伸君     ――――――――――――― 四月二日  原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第五五一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長栗原秀忠君、経済産業省大臣官房長多田明弘君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省大臣官房審議官岩城宏幸君、経済産業省経済産業政策局長原浩朗君、経済産業省貿易経済協力局長飯田陽一君、経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君及び中小企業庁経営支援部長村上敬亮君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。浅野哲君。
  5. 浅野哲

    浅野委員 国民民主党浅野哲でございます。  本日は、時間をいただき、ありがとうございます。  今日は、大きく三つのテーマ議論させていただきたいと思います。事業構築補助金、そして、半導体産業の今後について、最後は、電力DXスマートメーターを取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、事業構築補助金についてなんですが、先日の報道で、二月の企業倒産件数、四百四十六件という数字が出ているんですけれども、前月よりも減ってはいるものの、うち三分の一がコロナ関連倒産だという報道が出ておりました。その一方、あわせて、日銀短観が四月の一日に公表した内容によれば、今後の設備投資計画中小企業についてはまだまだマイナスの数値が出ていて、依然として設備投資に対しては厳しい状況下にあるということが数値としても出されております。  その上でまず大臣にお伺いしたいんですけれども、事業構築補助金という制度は、今回新しく設けられましたが、どういった対象、どういった状況に置かれている事業者に向けての支援策なのか、その対象についての考え方を御説明いただけますでしょうか。
  6. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業構築補助金について御質問がありました。  この補助金アフターコロナウィズコロナ時代経済社会の変化に対応するために、中小企業等思い切った事業構築に対して支援を行うということで、日本経済構造転換を促すことを目的としているところであります。  こうした事業目的に鑑み、本補助金支援対象は、コロナ以前と比べて売上高が一〇%以上減少しているという厳しい事業環境に置かれながらも、新しい事業に活路を見出し、事業拡大を目指す中小企業等を想定しているところであります。  例えば、航空機部品製造している企業が新しく医療機器部品製造に進出するといった意欲ある事業者に対し、補助率最大三分の二で補助上限最大一億円の手厚い支援を行ってまいりたいと考えています。  また、緊急事態宣言の再発令及び延長を受けて、売上高が三〇%以上減少と、より深刻な経営状況にある事業者に対しましては、補助率を引き上げ、最大四分の三ということになりますが、優先採択を行う特別枠措置をしたところであります。  例えば、レストランがお取り寄せ商品をオンラインで販売する、居酒屋が焼き肉店を新たに始めるといった取組を支援する、このようなことを支援することを想定しているということであります。  事業者経営状況に応じた支援をお届けすることで、中小企業等の前向きな挑戦を力強く支援し、日本経済構造転換を推進してまいりたいと考えておりますが、昨年度補正予算においてサプライチェーン補助金というのをつくりました。かなり応募数がありました。ただ、趣旨に合致しているもの、していないものというのがありましたんですけれども、やはり補助があれば設備投資をしたいという意向がある会社かなりあるということでありまして、こういった補助金を通じて設備投資を促してまいりたいと思っております。
  7. 浅野哲

    浅野委員 ありがとうございました。  私も、このコロナショックで、従来の事業形態ではもう通用しない世の中の生活様式社会環境になってきているというのは認識をいたしておりますし、当然ながら、事業内容を改善していくことの必要性というのは、恐らく多くの方々共通認識を持っているんじゃないかと思うんです。  ただ、今大臣もおっしゃいましたが、苦しい状況に置かれている企業が前向きに取り組める、そして構造転換を行っていける環境をしっかり整備することというのが私も重要だと思っていまして、その観点から、今回のこの事業構築補助金内容について、少し細かな部分を確認させていただきたいと思います。  本日お配りした資料の一を御覧いただきたいんですが、こちらには、事業構築補助金適用対象になるかならないかを判断するための例示が、政府が作った資料ですけれども、記載されております。  特に、黄色いマーカーを引いているところについて今日は聞きたいんですけれども、例えば、新分野展開をする場合、こういうところに、この例示に合致する場合には適用にはなりませんというようなことが書いてあるんですが、この(4)のところでは、従来の製品とかサービスに容易な改変を加えたものは駄目ですというふうに書いてあります。そして、(6)は、従来の設備同一設備で行う場合もこれは対象にはなりませんというふうに書いてあります。続いて説明申し上げると、(8)については、市場が同じ市場対象とした場合にもこれは対象になりませんと。  続いて業態転換の方に移りますが、こちらについては、過去に行っていた事業展開の場合にはこちらも対象にはならないという場合なんです。  これは一見するともっともらしいんですけれども、産業現場の声を聞いてみると、少し問題があるなというふうに感じています。  例えば、容易な改変を加えた場合は駄目だと言われた場合、先ほど大臣航空機産業から医療産業に展開する場合を後押ししたいというふうにおっしゃいましたが、例えば、これまで航空機ですとか自動車向けワイヤーハーネスを作っている会社、このワイヤーハーネス技術というのは非常に汎用性が高いので、少し改変を加えるだけで様々な、例えば医療にも転用できることになりますが、例えばなんですが、ハーネスの両端のターミナル部分構造を変えただけでも転用ができるようになるんですね。  ですから、この容易な改変という一言で済ませてしまうとどうしても、新事業展開なんですが、この条件に照らし合わせると駄目だということになってしまうようなケースが出てくるのではないかという懸念をしております。  ほかにも、一番最後に、過去に行っていた事業形態に戻す場合は駄目だということなんですが、分かりやすい例は飲食店です。昔、創業当時はワゴン販売から始めて、店舗を持った。今回、店舗主体でやっていたんだけれども、コロナ禍でテイクアウトや移動販売が増えて、もう一度ワゴン販売も始めようという場合、そういう場合はこれは駄目になってしまう可能性がある文章だと思っています。  ですから、この書き方だとどうしても、事業者自身から見たときに非常に分かりづらいし、前向きに取り組みたいんだけれども、あっ、こんな駄目と書かれていたら駄目なんだと思ってしまう事業者も出てきてしまうと思うので、この表現の妥当性条件妥当性については、是非政府にはより精緻な検討をいただきたいと思うんですが、見解をいただけますでしょうか。
  8. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  まず最初に、いずれにせよ大事な文章なので、引き続き、公募のたびに精緻な検討をというところは、是非その方向でやらせていただきたいと考えてございます。  ちょっと、審査現場のぼやきみたいな話でございますが、我々、逆に言うと、現実にこういう話をいただくのです。先ほど大臣の方から飲食店の例ということだったので、例えばフレンチでいいますと、容易な改変、ソースが変わりました、設備の変更、フライパンが新しいものになりました、昔のイタリアン時代にもう一回戻りますといったようなのが、本当に、これが私どもにとっての再構築でございますというふうに言ってこられる方々がいらっしゃるのもやはり現実でございまして。  最初にお言葉をいただきましたけれども、まさに今だからこそ、ちょっとやはり給付金とは性格が違うと思うんですね。お言葉をいただいたとおり、従来の業態から変えなきゃいけない人にどう思い切って変えてもらえるかという意味では、この文章に込めている我々の思いも、まあ、人それぞれだと思うんですけれども、足の長さは違いますが、それぞれの歩幅にとっての、一歩でも二歩でも、将来の事業資産の形成に向けた事業変革の件をこの際考えてほしいという意味で、ややちょっといろいろな要件が何か組み合わさったような形にはなってございますけれども、考えを上手に引き出すガイダンスになればという思いがございます。  これまで伺ってきた中でも、特にちょっと若干御批判がございまして、競合他社要件というのがあったんですが、競合他社が裏返しで説明できないと新製品が証明できないというのは、さすがに、中小企業の立場から見ると、競合他社がどこにあるのかがそもそも分からないのが中小企業じゃないかというお声もありましたので、三月二十九日にアップデートしたときに、この条件は落とさせていただきました。  こういったようなことも含めて工夫をしながらも、さはさりながら、やはりこれを機会に新しいお客さんを見つけて、新しい業態にちょっとでも、やはり三分の二で六千万まで普通でも出ますというのは我々としてもかなり思い切った補助制度でございますので、是非そこは考える機会にしてほしいということでやらせていただいてございます。  また是非いろいろな現場の声をお届けをいただければ、いろいろ議論させていただきたい、このように考えてございます。
  9. 浅野哲

    浅野委員 思っていたよりも非常に共感できる答弁だったので、大臣にこの後、一言いただこうと思ったんですが、今の姿勢で是非、やはり文章なので、細かく細かく書き過ぎると今度は分かりづらくなってしまうということがあるかと思いますが、当事者にとってみれば非常にそこは重要な文章なので、是非お願いしたいと思います。  次の質問に移りますが、今回の事業構築補助金は、基金設置法人というのを選定するプロセスがございました。私が聞いた内容によれば、これまで二度、その法人を公募したにもかかわらず、二度とも応募がゼロだったということで、最終的には中小機構に委託したということなんです。  この応募が一件もなかったというのは、いささか応募要件が厳し過ぎたり、あるいは初めからある一定の事業者を想定したものだったんじゃないかというような疑念も持たれているわけですけれども、この辺り、どういう要件、厳し過ぎだったのではないかという問題について、政府答弁を求めたいと思います。
  10. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  私ども、大変本件については呻吟をいたしましたので、思いは同じなのでございますけれども、大きくは要件二つございまして、一つは、当然、一兆円ものお金が補助として返ってきまして、普通でいえば課税対象ということになってしまうところ、税制上の問題から、非営利法人でいわゆる税金を払う必要がない、まずここで大きく母体が絞られてまいります。  加えまして、実際、これはやられる方は苦しいんじゃないかと思うんですけれども、これは補助事業でございますので、しかも、年度を越えて柔軟に運用できるようにするために基金という形をとっているわけでございますが、余り申し上げたくはないですけれども、当然、不正とか確定で、ずっと資金回収で追いかけ続けなきゃいけないという案件が残るというのが事業執行現状でございます。  そういう意味では、事業者業務終了の把握や取得財産処分等業務が終わるまでというのは、これは実は何年引きずるか分からないという条件の中で、我々、それはもう二年後は結構でございますとは言えないので、基金管理法人の方には最後まで補助金の正確な確定回収をお願いしなくちゃいけない。  そうしますと、事業者の方から見れば、そのために、あるかないか分からないけれども、担当部隊最後まで残しておかなきゃいけない。今日び人件費が一番つらい項目だと思いますけれども、そういう意味でも大変割に合わないところがある事業でございまして、そういう意味でも、なかなか出てこないというところと、要件は。  現状、さはさりながら、私ども、設置をさせていただきました調達等在り方検討会報告書を踏まえて、外部委員等にもきちっとチェックをしていただいた上でやらせていただいてございますので、基本的には、大変苦しゅうございましたが、これはやむを得ない形で最終的に機構に受けていただいたということではないかというふうに理解をしてございます。
  11. 浅野哲

    浅野委員 ある程度、中長期でしっかりと見ていかなければいけないというところです。今回のような結果になったというところは理解はしましたが、いずれにしても、事業者選定プロセス透明化公平性の確保というのは重要な問題だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。  事業構築については最後質問になりますが、中小機構に決まったということであれば、やはり最後までしっかりとやってもらわなきゃいけません。特に今回、冒頭大臣がおっしゃったように、事業構築補助金を使った事業目的経済構造転換でありまして、決してコロナ禍を乗り越えられればいいというわけではないと思うんですね。その乗り越えた後も持続させていかなければいけないということで、やはり、じゃ、しっかりとした持続性のある対策内容を取っていただかなければいけないと思います、事業者の皆様には。  ですから、伴走型支援というのは従来から中小企業庁はやっていただいていますけれども、この中小機構についても、補助金支給後のフォローアップ、これを改めて徹底していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  12. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回のコロナ禍課題になったこと、デジタルグリーン、レジリエンス、ヘルスケア、様々な課題があるわけでありますけれども、時代はやはり大きく変わってきている。ということは、ビジネスの様式も必ずやはり変わってくる。そういったものに乗り遅れないようにフォローをしていくということもこの事業の大きな目的だと思っておりますけれども、その目的を達成するためには、中小企業が積極的に新分野展開業態転換に取り組んで、新しい事業を通じて収益の拡大を実現することが重要であります。  そのためには、単に計画に従って補助事業を遂行していただくことに加えて、その後の事業化状況をしっかりフォローアップする必要があると考えております。  具体的には、補助事業終了後五年間にわたって、各事業者に対して、補助事業事業化状況経営状況財務状況について年次報告を求めることとしております。  また、補助金申請時に事業計画の策定に参画した税理士、金融機関などの認定支援機関に対しては、必要に応じて、事業者経営状況事業化状況を踏まえて補助事業期間終了後も継続的にアドバイスするように要請をしているところであります。  経済産業省からも、事業構築補助金に加えて、事業者が必要としている施策の活用を通じて事業構築を実現いただけるように、認定支援機関に対して様々な施策メニューを周知をしてまいりたいと思っておりますし、この申請をするに当たっても認定支援機関の力をかりるということになりますので、認定支援機関方々にはこの制度を徹底的に理解をしておいていただくための活動というものを経済産業省としてしているところでもあります。
  13. 浅野哲

    浅野委員 是非お願いいたします。  続いては、半導体産業に関連したテーマに移りたいと思います。  本日の報道だったかと思いますが、キオクシアという半導体メモリー会社がございまして、これはグローバルでもかなりシェアを持っている企業でありますが、ここに対してアメリカの大手二社が買収を打診してきたという事実が分かったということであります。  昨今は、半導体産業をもう一度足腰から鍛え直そう、発展の基礎をつくらなければいけないという議論経済産業省の中でも行われていると思いますけれども、やはり、アメリカはもう既にそういう手を打ってきている。アメリカを始め、アジア諸国台湾も代表的な国ですけれども、諸外国の半導体産業に対する投資規模というのがかなり脅威的なものが今あると思います。  我が国においても、やはり、技術開発投資の促進や人材育成、いろいろな課題があると思うんですけれども、まずはこの半導体産業をもう一度立て直すためにどういう論点が今、政府の中で検討されているのかというのを教えていただけますでしょうか。
  14. 梶山弘志

    梶山国務大臣 半導体の業界、合従連衡と申しますか、場合によっては囲い込みのような形も含めて、それぞれがしっかりと半導体産業というものを掌握していこうと国単位、また企業単位でも行われていると承知をしております。  デジタル化グリーン化が進む中で、自動車から家電、コンピューターなど、あらゆる機器に使用される半導体は、経済社会を支える極めて重要な基盤部品でもあります。さらに、経済安全保障産業全体のサプライチェーン強靱化観点から、その重要性というものは増していると感じております。  米国や欧州では、半導体などの研究開発基盤整備に、かつてない規模の強力な政策支援実施をされております。  このような中、日本半導体産業の足下の状況は、デジタルカメラに使用されるセンサーや、家電などに使用されるパワー半導体などの分野では、世界市場で戦える企業国内にも残っております。また、半導体製造装置素材産業は、国際的に見て日本企業が高いシェアを誇る、日本の強みでもあります。  一方、日本には、スマートフォンなどに使用される高い計算能力を持つ先端ロジック半導体製造拠点が存在しないという状況でもあります。  また、直近の世界的な半導体需要が急増する中で、最先端半導体だけでなく、一世代前、二世代前のミドルエンド半導体供給能力強化が必要であるとも考えております。  このような状況を踏まえて、経済産業省としましても、先端半導体製造技術開発支援、そして、半導体製造工場も含めて、生産拠点多元化するためのサプライチェーン強靱化に向けた支援実施をしております。  また、半導体に関する新たな産業政策検討するために、三月二十四日に、半導体デジタル産業戦略検討会議を開催をしたところでありますけれども、これは民間も含めて、有識者も含めて、関わる方たちに集まっていただいて議論をしていこうということで、これも集中的に議論をして、方向性をしっかりと出してまいりたいと思っておりますけれども、国際情勢有識者の御意見など、様々な点を踏まえて、五月をめどに、半導体政策方向性を取りまとめてまいりたいと思っております。
  15. 浅野哲

    浅野委員 ありがとうございました。  半導体産業に関しては、私は大きく二つのことを同時にやらなければいけないと思っていて、まずは、サプライチェーンの、先ほど多元化と言いましたが、グローバルなサプライチェーン強化と、あとは、国内におけるエコシステムといいましょうか、研究開発から社会実装までのエコシステムをしっかりと国内につくっていくこと、この両方を進めていかなければいけないと思っています。  サプライチェーン強化に対しては、やはり海外との共同プロジェクトというのが、今走っているものもありますけれども、こういったところに日本政府としてももっと強力に支援をすべきではないか、そういう課題意識を持っておりますし、国内エコシステム構築については、今、規制のサンドボックスも今度恒久化されることが検討されておりますけれども、こういった新しい試みに対して、国内半導体技術製品というのをどんどん積極的に活用していくような動きも必要になろうかと思います。  税制優遇予算措置が必要になっていくと思いますが、こういった点に対して、是非政府のより一層の支援を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  16. 梶山弘志

    梶山国務大臣 令和年度補正令和年度補正予算により、NEDOに二千億円の基金設置をしました。先端半導体製造技術開発支援をしてまいりたいと思っております。  先般、台湾企業のRアンドD拠点ということですけれども、これも次世代先端半導体のRアンドDの拠点としていきたいという思いを持っているところでありますけれども、また、先ほど申しましたように、サプライチェーン強靱化というものも必要になってまいりますので、具体的には、サプライチェーンの途絶によるリスクが大きい重要な部品や部素材については、五千億円を超える規模の予算を確保して設備投資支援を行っているところでありますが、サプライチェーン補助金半導体に関するものというのは大体二十件以上の案件がございまして、こういったものを幅広く、手前の工程から後も含めてしっかりやっていきたいと思いますし、これと併せて、民間企業の充実ということも含めて、国がしっかり支援をしてまいりたいと思っております。
  17. 浅野哲

    浅野委員 是非よろしくお願いいたします。  半導体に関しては、やはり、世界各国で同時進行的にいろいろな技術開発競争が今も続いていますけれども、日本の強みというのは、本当に精緻な作り込みやメモリーですとかという部分については、従来、非常に需要もあり、それで成長してきた歴史もあります。  最近は、先端プロセス、先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、先端プロセス技術力という面では、やはり諸外国に後れを取っている状況でありまして、それをキャッチアップするための一つの手法として、現地の海外の研究所などでの情報をいかに国内に持ってくるのかというところは非常に重要な視点だと思っています。ジェトロなどが世界に拠点を持っていますが、ここの更なる有効活用というのが一つの私は課題だと思っていまして、これについては、今後、是非議論をさせていただきたいと思っています。  時間も参りましたので、最後スマートメーターについて一問、させていただきたいと思います。  今、スマートメーター、家庭などの電力使用量をデジタルで計測し、それを集約するようなものが普及をしていますけれども、今、三十分に一回しか計測をしていません。これから電力データをより有効に活用していこうとした場合に、この三十分に一回という計測頻度で本当にいいのかというふうな課題を持っています。  スマートメーターは十年に一回更新しなければならなくて、前回、最初に導入され始めたのが二〇一四年ですから、二〇二四年頃から次の世代スマートメーターになり始めるんですけれども、そのときに、是非この計測頻度を上げて、リアルタイム性を改善すべきだと思うんですね。  それに向けて政府内でも議論が進んでいると聞いているんですが、その状況を聞きたいと思っております。
  18. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、現在、各家庭など需要家の電力量を遠隔で監視できるスマートメーターは、導入を進めておりまして、全国で今七五%、導入が進んでまいりました。今はもう、各エリアとも五〇%を超えたぐらいでございます。二〇二四年度末には全て完了したいと思って進めているところでございます。  今委員御指摘いただきました、どれぐらいの頻度でこれを取るかという観点でございますけれども、これには二つの視点がございまして、一つは、これを需要家の中で、工場ですとかビルとか、こういうところで中の所内管理をどうするかという形でスマートメーターというものが利用されてございます。こちらの方は、今は大体三万件以上の申込みがあって利用されているわけでございますけれども、こちらについては既に一分値、一分間隔でどれぐらい動くかということが計測できる仕組みになってございますので、さらには、その欠損値というものを再取得できるような更なる高度化というものを進めていきたいと思っております。  一方で、委員御指摘の点は、これをマクロとしてデータ管理をどうしていくかというお話でございます。  今、これは実際どういう用途で使うか、ビジネスの目的、若しくは行政用途、これがどういうぐらいのデータの頻度と量が必要なのかということによってくると思います。  現在、様々な利用する分野方々と一緒になって、電力会社のみならず、今、これの使い方の検討をしてございます。当然これはコストとも兼ね合いが出てまいりますので、国際的には実は日本かなり短い頻度で取っているわけでございますけれども、より高度な利用ができていくように、しっかりと検討を進めていきたいと考えております。
  19. 浅野哲

    浅野委員 是非よろしくお願いします。  終わります。
  20. 富田茂之

    富田委員長 次に、美延映夫君。
  21. 美延映夫

    美延委員 日本維新の会の美延でございます。  本日は、質問機会を与えていただきまして、ありがとうございます。  本日は、地域新電力会社を中心に質疑をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。  地域新電力会社は全国に四十社以上あると言われております。この地域新電力会社ですが、我が国における電力システム改革を契機に、地域における再エネルギーの更なる普及や温室効果ガスの削減、地域内資金循環、雇用創出などを目的に、地域の自治体や民間企業が出資して、地域主体の会社です。特に、地方公共団体が出資している自治体新電力は、その多くが地域の電力事業を核として、収益の全てを地域に還元し、地方創生を目指すという役割を担っており、地方創生という観点からも非常に重要な会社だと思われます。  しかし、全国の地域新電力会社は総じて事業規模が小さく、電力調達においては相対取引が困難であり、卸電力取引所に頼らざるを得ないのが状況であります。  他方、この地域新電力は、昨年十二月下旬以降の電力卸取引価格の異常な高騰の影響を受け、経営的に非常に厳しい状況に陥ったと聞いております。  そこで、質問させていただきます。  昨年末の大寒波の影響を受けて、年明けの一月に市場価格が高騰したとのことですが、現在の状況はどうなっているんでしょうか。
  22. 佐藤悦緒

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の卸電力取引市場価格でございますが、昨年十二月上旬までは、一キロワットアワー当たりの一日平均価格が五円から七円程度と平年並みの水準で推移したところでございます。しかしながら、御指摘のように、本年の一月には、一月の平均価格で、これは一月十三日でございますが、最高で百五十四・六円となりまして、また、一月十五日のある時間帯では、これは最高価格でございますが、二百五十一・〇円となるなど、高い水準となる日が多く見られました。  しかしながら、一月下旬からは価格水準も落ち着きました。ちなみに、本日四月二日の平均価格は五・五円、最高価格は七・四円といったように、平時の水準に戻っております。
  23. 美延映夫

    美延委員 平時の水準に戻っているということで、それはよかったんですけれども。  資料をお示ししておりますので、御覧いただければと思うんですけれども、新電力会社であり、二〇一八年四月に契約電力四百万キロワット以上の新電力最大手となっていた株式会社エフパワーが、三月二十四日に東京地裁に会社更生法の適用申請し、同日、保全管理命令及び強制執行等に係る包括的禁止命令を受けました。  既に経済産業省さんにおかれましては、市場価格での上限価格の暫定的な設定や、新電力会社支援のため分割決済の対応をされていることと承知しておりますが、今回の新電力企業の倒産において、どのような見解と、今後どのような対策を取っていくのか、御所見を伺います。
  24. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘ございましたように、大手新電力でありますエフパワーが三月二十四日水曜日に会社更生法に基づく更生手続の申請を行ったことは、承知しているところでございます。  今、新電力についていいますと、二〇一六年に小売の自由化がなされまして以降、市場の参入は非常に拡大しておりまして、現在、事業者の数は七百三社まで拡大し、市場シェアは二割を占めるところまで成長しているところでございます。  まさに委員の御指摘のとおりでございまして、新電力の参入というものは、公正かつ適切な競争を生み、安くて質のいい電力が提供できるようにするため、若しくは地域の新電力方々でいいますと、地域にそれが提供できるために、非常に重要なものだと思っているところでございます。  他方で、電力の供給というものは、やはり需要家の方々にちゃんと電力を届けなきゃいけないということについて、コストとリスクのバランスということをしっかり取らなきゃいけないものだと認識してございます。  今回の件に関して申し上げますと、新電力方々の中で、自分で電源を持たれて、若しくは相対契約によってリスクを管理されていた方もいらっしゃれば、そうではなくて、市場の中の変動にある程度さらされてしまって、他方で、安いコストでという方も、いろいろな方がいらっしゃった。さらには、それを商品の先物取引ですとか先渡し取引、若しくはベースロード市場のような形である程度バランスを取られた方もいらっしゃれば、そうでなかった方もいらっしゃった。  これは、事業の戦略によるところも非常に多かろうと思っておりまして、特に市場の調達度合いの高い方については影響も大きいものというふうに考えております。  私ども経済産業省としましては、先ほど委員も御指摘ありましたように、インバランス料金といいます、この最終的な精算金を延期して分割払いをしていくですとか、政策金融的な支援を積極的に活用していただく、相談窓口を設けていく、こういったことを今取り組んできたわけでございますが、これに加えまして、今後のことが非常に大事だと思ってございます。  委員御指摘のように、これは電力システム改革のある意味成果でございますので、自由化の歩みを止めてはいけない、逆戻りしてはならないと思ってございます。  ですので、こういった市場価格が実需給と乖離した形で高騰していくようなことを防ぐためのセーフティーネットに類するような措置として、今回、インバランス料金を二百円という上限を入れたわけでございますが、こういったものの制度的な措置、これをしっかり取っていくということですとか、こういった需給が逼迫することのないように、安定した発電がなされていくような容量市場のようなものを設けていくですとか、商品先物、ベースロード、様々な市場制度環境整備、こういったことを今しっかりと検討を進めているところでございます。
  25. 美延映夫

    美延委員 自由化の歩みを止めてはいけない、それは私も全くそのとおりだと思います。  それからあと、いわゆる上限の二百円というのがどうなのかということも、ちょっと後でこれは議論させていただこうと思っています。  三月二十七日の大阪版産経新聞で、旧一般電気事業者である関西電力が中期経営計画を策定し発表したとの記事がありました。脱炭素社会の実現に向けて、五年間でCO2を半減するという目標だそうです。  投資計画は、五年間でエネルギー関連で一兆五千億円を投資し、うち再生可能エネルギーに約三割に当たる三千四百億円を充てるとしています。また、原発に関しては現行の七基体制を堅持するとのことです。  原発に関しては、安全対策工事や改良工事には七千百億円を充てて、原発の建て替えを見据えた次世代後継機の技術検討することや、既存原発に比べて安全性が高いとされている小型モジュール炉の調査も盛り込んでいるそうです。  関電の経営は、新電力との競争激化や新型コロナ禍による販売電力量の減少など厳しい事業環境に置かれていると記事にされております。そして、発電コストの安い原子力を積極活用することで競争力を強化する狙いもあると記事は締めくくっております。  私は、この記事を読んで非常に疑問に感じたことが三点ございました。  まず一点目は、原子力は、最終処分の問題や安全対策、それにかかる維持費、事故が起こった場合のリスクを考えた場合、果たして本当に発電コストが安いと言えるのか。  二点目。政府として、経済産業省さんとして、エネルギーのベストミックスを考えた場合、二〇五〇年の脱炭素社会を目指すに当たっては、やはり原子力に頼らざるを得ないと考えておられるのかということ。  そして三点目は、これはあくまでも私の個人的な所感でもあるのですが、国民に再エネ賦課金という形で負担を強いているにもかかわらず、クリーンエネルギーを進める新電力と旧一般電気事業者との間にあつれきが生じており、役割分担が明確化されておらず、結果として、更なる国民への負担が増加するのではないかという危惧であります。  クリーンエネルギーを推進するために電力自由化が始まり、再エネ賦課金なる国民負担が発生し、発送電分離や新電力企業ができたと認識しております。  そこでお伺いいたします。  原子力発電はコストが安いとお考えなのか、また、二〇五〇年の脱炭素化社会を目指すに当たって、原発を継続して利用していくという考えでよろしいのか、政府としては新電力企業を今後どのようにしていきたいとお考えなのか、方針がございましたら、大臣是非教えていただきたいと思います。
  26. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、コストですけれども、直近のコスト検証では、専門家のワーキンググループにおいて丁寧な検討が行われた上で、原子力の発電コストとしてのキロワットアワー当たり十・一円以上という結果を得ております。これは二〇一五年の時点であります。  これは資本費、運転維持費に加えて、賠償や除染、中間貯蔵等の事故リスク対応費用、追加的安全対策費用、核燃料サイクル費用、立地対策や研究開発等の政策経費などを全て含んだもので試算をしております。  また、コスト検証の際に行った費用が増加した場合の感度分析によりますと、福島事故関連費用が十兆円増加した場合、発電コストはキロワットアワー当たり〇・一円から〇・三円の増加、追加安全対策費用は、コスト検証では一基当たり六百一億円が計上されておりますが、これが二倍になった場合、発電コストはキロワットアワー当たり〇・六円増加、核燃料サイクル費用は、二〇一七年に六ケ所再処理工場の事業費が一・三兆円増加したことを踏まえると、キロワットアワー当たり〇・一円増加をいたします。  仮にこれらの増加をコスト試算に反映しても、キロワットアワー当たり〇・八円から一・〇円程度の増加ということになります。このため、直近のコスト検証を踏まえれば、他の電源との比較において、原発は低廉な電源であるという認識を持っているところであります。  なお、電源別の発電コストにつきましては、今週から専門家によるワーキンググループにおいて議論を開始し、最新の状況も踏まえて検討を進めてまいりたいと思っております。  二〇五〇年のカーボンニュートラルは簡単なことではなくて、日本の総力を挙げて取組が必要だと思っております。このため、再生可能エネルギーはもちろん、安全性が確認された原子力を含め、使えるものは最大限活用し、水素、アンモニアなど、新しいプレーヤー、新しい選択肢も追求していくというのが政府の基本的な考え方であります。  例えばEU、イギリス等においても、現時点の技術でできるかできないかというと、なかなかやはりカーボンニュートラルというのは実現は難しいという考え方を持っているわけでありまして、その中で原子力や化石燃料の利用というものも入っております。ただ、化石燃料の利用に関しましては、二酸化炭素を分離、回収をしていくということで、新たな技術開発、大気中に二酸化炭素を放出しないという前提の技術を言っている。さらにまた、当面は原子力発電というものもある程度必要だというような考え方でありますが、日本の場合は、さらにまた資源のない国でありますから、そういったものをしっかり利用した上で二〇五〇年のカーボンニュートラルを目指す。  そして、カーボンニュートラルが達成できた場合に、その次の世代に、どういう形で再生可能エネルギーの比率を更に上げていくかということも考えていただきたいと思いますし、現時点でも、再生可能エネルギー最大限導入するということを第一前提として考えていくということであります。
  27. 美延映夫

    美延委員 私は、再生可能エネルギーを、今大臣最後におっしゃったように、最大限にやっていただきたい、それは本当に思っています。  次に、今年の一月の市場高騰価格について伺いたいと思うんですけれども、電力・ガス基本政策小委員会電力・ガス取引監視等委員会でも議論していただいているところとは承知しておりますけれども、三月二十六日付の電力・ガス取引監視等委員会資料三において、今冬の市場価格高騰について、事務局案における現状市場関連制度についての評価として、一部の反対意見を除き異論はなかったと結論づけ、制度的不備がなかったとしております。一方で、この一部の反対意見として、制度の欠陥はなかったが、市場が未熟だったのであれば、誰もが予測していなかった状況であることも踏まえ、一部の事業者に生じた過剰な利益を遡及的に還元すべきとの意見も出たとまとめられております。  この点に関して、経済産業省さんは、一部の反対意見として、これは何もアクションを起こさないという認識なのでしょうか。  一部の事業者に生じた過剰な利益というのが事実であれば、当然に過剰な損失を被った事業者もいるわけで、それがさきにも提示させていただいた新電力会社の経営難による倒産や新電力会社の資金繰り難にもつながってくるものだと考えられます。  今後、この市場高騰を原因とした第二、第三の新電力会社の倒産が起こることも、これは本当に容易に想像ができます。電力・ガス取引監視等委員会の役目を果たすという意味でも、委員から御指摘のあった意見については、一部であろうが何であろうが検討するのが当然だと考えておりますが、そして、事務局案に賛成、反対だけで議論を終わらすというのは、監視委員会の本来の役割である監視するということに関して意味がなくなってしまうと思いますし、監視委員会の存在意義があるのかとも思ってしまいます。  電力・ガス取引監視等委員会の本来的な役割をしっかり果たしてもらうために、委員御指摘の一部の事業者に生じた過剰な利益を遡及的に還元すべき事項について議論を進めていくべきだと要望しますが、大臣の御所見を伺います。
  28. 梶山弘志

    梶山国務大臣 小売電気事業者が十分な供給力を確保できなかった場合、安定供給を確保するために一般送配電事業者が不足分の供給を行うこととしております。その際、小売電気事業者から一般送配電事業者に対して精算金を支払うことになりますが、この精算金は市場価格に連動して決定されることから、この冬の市場価格高騰を受けて高額な精算金が発生をしたわけであります。  仮に、市場価格高騰に伴い、一般送配電事業者が要した費用を上回る収益を上げるとすれば、広く需要家に還元していくことが適当であると考えております。そのまま利益とするのではなくて、広く需要家に還元をするということでありまして、既に審議会においてもそのような方向性議論を進めているところであり、引き続き検討を深めてまいりたいと思っておりますけれども、精算金が確定するのが一、二か月後ということになりますので、それらを見据えた上でしっかり事業者に託送料金等で返還をしていくという形になると思っております。  事業者に関しましては、全事業者に対して分割の申請をするかどうかということと、あと状況について聞き取り調査をしているところでありますけれども、そういった中で、申請をするのが百五十四社、そして申請なしというのが三百五十六社、全五百十社に確認をしております。登録業者は七百社あるんですけれども、実際、事業をしているのは五百十社ということですので、全てにこれを確認しているということでありまして、五回分割だったものを九回分割にもしました。  さらにまた、資金繰りという点で、コロナ禍での資金繰りの条件変更であるとか、また融資であるとか、そういったものを金融機関に要請しているわけでありますが、さらにまた、こういう状況の中で小売の電気事業者、新電力に対してもしっかり対応してほしいということを私と金融担当大臣名で発出をしているところであります。  そういった中で、市場に関しましても改善点を加えてまいりたいと思いますし、このような形で今、教訓として残っていることを改善に生かしてまいりたいと思っております。
  29. 美延映夫

    美延委員 今の御答弁是非これも前向きに進めていただきたいと思います。  次に、二〇二〇年に開設された容量市場についてお伺いをいたします。  容量市場とは、端的に言って、将来の電力を確保するために火力発電所や水力発電所の建設、維持費用を新電力会社にも負担させる仕組みのもので、拠出金という形で上納されるという認識なのですが、この容量市場について、開設に至った経緯や制度内容について教えていただけますでしょうか。
  30. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の容量市場でございますけれども、これは世界各国、自由化に伴いまして発電容量をいかに確保するかという観点から導入されているものでございます。多くの国で供給力の確保という義務が小売電気事業者に課されているわけでございますが、まさに今回の冬の需給逼迫で生じてきましたように、徐々に、自由化の中で、先々が見えない中で、火力発電所を中心になかなか採算性が取れない、これを確保しなきゃいけないということになってまいります。  一方で、卸電力市場は、今回のような需給逼迫期というのは価格が非常に高騰するわけですけれども、一般的にはFIT、再エネの導入拡大のために導入しております制度によりまして、非常に安い値段で再エネの電気が市場に出てまいりまして、卸値の価格が非常に低迷してまいります。この平時のときの非常に低い卸値では、なかなか火力が、若しくは発電所が維持できないという観点から、これを何とか支持をして、市場に発電量が供給できるような仕組みを導入する、このための仕組みというのが容量メカニズムというものでございます。  仕組みとしては、これを固定の価格で設けるもの、市場に設けるもの、様々ございますが、我が国におきましては、電力の自由化、小売の自由化が二〇一六年になされて以降、審議会の中で議論を積み重ねてまいりまして、昨年の秋に、一回目、二〇二四年度の開始に向けた容量拠出金についてのオークションを行いました。その結果については、今、様々な御指摘も頂戴しておりますので、その見直しを進めているところでございますが、電力の安定供給のために必要な制度だというふうに考えてございます。
  31. 美延映夫

    美延委員 今御答弁いただいたんですけれども、一方で、この拠出金に関しても、全体最適を考えた運用がなされることを要望いたします。恣意的な約定価格にならないよう、また、単なるコスト増となる新電力会社に、ただでさえ今回の市場高騰によって経営基盤が脆弱になっていることを考慮し、悪影響を及ぼさないような形で運営していただくよう、よろしくお願いいたします。  また、再生可能エネルギー規制総点検タスクフォースの皆様から、昨年十二月一日に、緊急提言書や容量市場に対する意見が出されているようです。  私もこれは直接お話を聞いたわけではないんですが、資料を拝見させていただいた程度ですが、いろいろな角度から御意見をよく御検討いただいた上で、適時、状況に合わせて対応いただけるようお願いしたいと考えておりますが、これに関しても御所見をいただけますでしょうか。
  32. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の、河野大臣がなさっていらっしゃいます再エネの関係の制度の総点検という中の一つのテーマとしまして、この容量市場が挙げられてございます。  先ほど御答弁申し上げましたけれども、昨年の秋に一回目のオークションの結果が出たわけでございますが、市場の関係者が想定していたより高めの価格が示されたところでございます。  これを受けまして、この募集量が本当に適切だったのか、若しくは、そのとき要件が適切だったのか、様々な議論がございました。  また一方で、化石燃料、特に、非効率な石炭火力をだんだんフェードアウトしていこうということにつきまして、梶山大臣の方から、二〇三〇年までにフェードアウトということを目指すということの御指示を頂戴している中でございますので、この化石燃料の火力をどう使っていくのかというような議論がされているところでございます。  現在、審議会の中で、これの再検討、見直しということを進めているわけでございますが、カーボンニュートラルという観点から、インセンティブの措置を、本当に同じような形でいいのか、もうちょっと削減すべきではないか、募集量というものが、一方でここまで逼迫がありましたので、この量が妥当なのかどうなのか、若しくは、この価格が高くなり過ぎないようにもうちょっと段階的なものをつくっていくべきではないか、こういう様々な御指摘を頂戴しておりまして、これは真摯に受け止めて、現在、審議中でございます。早々に結論を得て、次に向けた検討策を講じてまいりたいと考えております。
  33. 美延映夫

    美延委員 一旦、以上で終了いたします。
  34. 富田茂之

    富田委員長 以上で、大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  35. 富田茂之

    富田委員長 引き続き、経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。美延映夫君。
  36. 美延映夫

    美延委員 ありがとうございます。  引き続きまして、今の続きの質問をさせていただきます。  今御答弁いただきましたように、化石燃料をフェードアウトさせていく、これはもうそのとおりで、是非やっていただかなければならないと思うんですけれども、次はJEPXについて伺いたいと思います。  電力の自由化に伴い設立された取引所で、新規参入した小売業者は八割以上の電気を調達していると聞いております。先ほども質疑させていただいた市場価格の高騰はこの取引所で起こったわけですが、私の個人的な所見ではありますが、市場というのにはまだ成熟していないという認識であります。  そもそも、市場とは、売手と買手があって、それを仲介する場所で、需要と供給のバランスで価格、値段が決まってきます。確かに、この点でJEPXは市場と言えるでしょう。ただ、市場での商品の価格が高ければ買わないという選択肢を持てないのが、この電力市場の特徴とも言えます。電力の安定供給のためには、買手側は、不足すれば高くても必ず買わなければならないということです。翻って、供給量が、つまり売手側によって価格が決定すると言ってもこれは過言ではないと思います。  この意味において、今冬の市場価格高騰は、停電がどの地域にも起こっていなかったことを勘案すれば、異常な高騰の原因は売手側にあると考えます。恣意的な市場操作があったのか否かはさておき、このような公正でない市場取引においては、国がしっかり規制した上で、公平公正を担保しなければなりません。  既に経済産業省におかれましては、暫定的に上限価格の設定を二百円と設定したところと承知しておりますが、安定供給を前提とした市場価格について、経済産業省は、専門家や各部会での議論を通じてどの程度の上限価格が妥当であると考えておられるでしょうか。四十五円が合理的との御意見もあったと存じますが、御教授いただけますでしょうか。
  37. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  委員の御指摘のとおり、電力の自由化がなされた後に、小売事業者という方、発電事業者という方、そして送配電事業者という方、それぞれの役割というものをしっかりと果たしていただき、安定供給というのが何より重要でございますので、そういう仕組みをつくっていかなければならない。一方で、これまた委員御指摘のとおりでございまして、事業者方々に不測の事態が生じるというのは避けなければならない。  このことを両立していくための制度設計というのも、これは大臣から都度御答弁されておりますけれども、自由化が始まったばかりでございますので、これについての見直し、高度化というのを図っていかなければならないと考えております。  そういう中で、供給力を確保することは小売事業者の義務でございまして、電気事業法の中でもこれを定めているところでございます。  一方で、その際に必要なインバランスの上限、今二百円ということを暫定的な措置で入れたわけではございますが、今回のような暫定的な措置というのが暫定であってはならない、常にある一定の予測可能性の下で市場方々がプレーできるような形にしなければならないわけでございまして、平時においてどれぐらいの上限が妥当なのか、若しくは、予備率と呼ぶんですけれども、市場における供給力がどれぐらいあるかという状況に応じて上限というのを変動させていくべきではないかということで、先ほど、四十円、四十五円、八十円といろいろ数字がございましたが、まさに、かなり技術的、専門的なところでございますけれども、審議会の先生方に御議論を今頂戴しているところでございまして、決してこれは放置するわけではなく、今後安定的な市場の運用ができていくような検討を進めていきたいと思っております。  また、先ほど御質問いただいた容量市場というのは、こういった市場に供出される電力がしっかりと供給力が確保できるための措置としては、これは必要不可欠なものだと考えております。  そういう観点で、今回のようなことが二度と起こらないようにするためにも、供給力を確保するための小売事業者の役割、負担とは何かという観点から、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
  38. 美延映夫

    美延委員 今の値段に関しても検討を進めるということで、これは是非前に進めていただきたいと思います。  次は、現在の市場決済において、スポット市場取引で行った場合は、約定価格と買い付け量を乗じた価格で買い付け料金を二営業日ごとに決済すると聞いております。一方で、インバランス取引で行った取引は、約三か月後に確報値の単価とインバランスで買い付けした量を乗じた価格で決済するとのことです。二営業日ごとの決済と約三か月後の決済の違いにより、実情として、買手側は、自社の資金繰りを勘案した取引として、スポット市場取引がいいかインバランス取引かということを使い分けることも可能だと言えます。  このことも想定してなのか、このインバランス取引においては、計画量との差異によりペナルティーが発生する仕組みにもなっているようです。今冬の市場価格高騰の際には、資金繰り上、やむを得ず、スポット市場取引の買い付け量を減らし、ペナルティーも覚悟でインバランスでの追加買い付けを行った企業も少なくないと聞いております。  今冬の市場価格の高騰におけるペナルティーの結果というべきなのか、速報値と確報値が大きく乖離するということが起こってしまいました。  経済産業省や各専門家会議においても、この乖離については議論をいただいているところと存じますが、公の文書ベースでは、一月のインバランス料金の確報値が平均七十七・六五円と公表され、これまで順次公表されていた速報値の平均五十九・二〇円と比べて大きく乖離した状況となり、速報値を前提として当面の資金繰りを検討してきた小売電気事業者、ひいては需要家へ更なる影響も考えられると公表されております。  しかし、これはあくまでも平均値での話でありまして、スポット値においては、計画差対応補給電力料金の単価として五百六十円という、高騰している市場の一月平均からしても異常な確報値がついて、請求をかけられた例もあるそうです。  この点に関して、経済産業省は、平均値というのではなく、新電力会社がこのような高値決済を余儀なくされている状況を御存じでしょうか。
  39. 佐藤悦緒

    佐藤政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のように、確かに一月のインバランス料金は、速報値で一キロワットアワー当たりの平均値が約五十九円で、確報値で平均七十八円となりました。あと、最高価格も大きく上振れしたのは委員御指摘のとおりでございます。  まず、どうしてこんなことになったかということを御説明をさせていただきます。  これも、先生が御指摘のように、審議会の文書に書かせていただきましたが、私どもが分析を行った結果といたしまして、そもそも、本来、これも先生御指摘ですが、小売事業者や発電事業者計画と実績は一致することが求められますが、この冬は、まず、小売事業者におきましては、スポット市場で売り切れが長期間続いたことによりまして、需要に応じた電気を計画どおり調達できないという事象がございました。また、発電事業者の方におきましては、一般送配電事業者のたき増し指令によって発電実績が変動する事象がありました。  つまり、需要の方と発電実績両方で、速報値で反映されない計画外の事象が発生したということで、インバランス確報値が大きく上振れをしたということでございます。  それだったら、あるいは、今回、こんなことは初めてなのかというふうな御指摘がございますかもしれませんが、これは過去にもインバランス料金が上振れしたことはございました。ただ、今回は、御指摘のように、長期間で価格自体も相当高かったということで、御指摘いただきましたように大きな問題というふうに認識をしております。  それで、今後どうするかということでございます。  これは、これも御認識かもしれませんが、来年度からは実はインバランス料金は大きく仕組みが変わります。そうなりますと、具体的に申しますと、一般送配電事業者が指令した電源のうち最も高い価格にインバランス料金が一致することになりますので、そうなりますと、今回のような、速報と確報が出て、その差が生じるといった事態はなくなります。  だったら、今年度どうするかということになると思いますが、今年度に限りましては、例えば今回のようにスポット市場で売り切れが発生するときは、速報値は上振れをする傾向が過去を見ましても確実にございますので、その際、速報値を公表するときに、更に上振れする可能性があるといった情報をきちんと提供するといったことをしたいというふうに考えております。
  40. 美延映夫

    美延委員 そこはしっかりやっていってください。  それから最後に、安定的な電力サービスを継続する観点から、電気事業者の経営安定は極めて重要との認識であり、電力市場においてリスクヘッジをできる制度検討しているとのことですが、制度設計専門会合において、先物、先渡し、BL市場検討状況について、最後に教えていただけますでしょうか。
  41. 岩城宏幸

    岩城政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘の電力先物についてでございますけれども、この電力先物を活用しまして、あらかじめ定めた価格で電力の調達を行った事業者につきましては、スポット市場の価格変動リスクを一定程度は回避できる可能性がございますので、経済産業省といたしましても、電力先物等の活用を促進すべきである、このように考えているところでございます。  先物市場、先渡し市場、ベースロード市場等のヘッジ手段の活用につきましては、今先生御指摘のとおり、省内の審議会で検討が開始されておりますけれども、今後、先物市場を活用しております事業者の取引ニーズの実態把握に努めまして、先物取引の利用拡大に向けた必要な取組を検討してまいりたいというふうに考えております。  このように、経済産業省といたしまして、電力先物等の活用を促進すべきと考えておりまして、引き続き必要な環境整備を行ってまいりたいと考えております。
  42. 美延映夫

    美延委員 是非これは前に進めてください。  先日の予算委員会でも、私、麻生財務大臣にも質疑させていただいて、我が国においては、国際金融都市を育成し、経済再生を進めていくことになっていると承知しております。  現在、東京、大阪、福岡が名のりを上げています。私は大阪選出の議員であり、関西万博を控える中、日本の経済再生のためにも、商都大阪としての役割を担っていくべきであると考えております。  大阪は、先物市場として米の相場が世界で初めて行われた事例もあります、私の地元なんですけれども。電力の先物市場におかれましても、是非ともこれは大阪でも検討していただけるようお願いしまして、この質疑は終わらせていただきます。  時間がもうないんですけれども、最後に一問だけ、一時支援金の事前申請についてお伺いをいたします。  緊急事態宣言の発令に伴い、飲食店の時短営業や、不要不急の外出や移動の自粛により売上げが半減した事業所等を対象に、先月の八日から申請が始まっております。持続化給付金や家賃支援金と違い、一時支援金の不正受給や誤って受給されないための対策として、金融機関や商工会そして士業の方々などに一時支援金の登録確認機関に登録していただき、申請者の確定申告書や売上台帳などの事前確認を行う仕組みとなっております。  手数料は、高額なところでは支給額の一割も取るところがあり、梶山大臣は、十九日の参議院の予算委員会で、高額と思われる手数料を要求することは、本制度の利用を予定している事業者が厳しい経営環境にあることも踏まえると制度趣旨に反しているとして、事務局が直接無料で受け付けることができるようになり、運用を二十四日から改めたと聞いております。この運用の改正は、私は一定の評価をさせていただきます。  ところで、今回の一時支援金の件で、先日、私の大阪で税理士事務所を営んでいる知人から、この一時支援金の登録確認について相談を受けました。  税理士として中小企業庁の登録確認機関の申請をする際に、登録用メールアドレスを間違って登録してしまい、一時支援金の事務局への登録自体は完了できたのですが、登録確認を行うためのIDやパスワードのメールが事務局から届かないため、登録機関のコールセンターに何度も電話連絡して早期の修正手続を依頼したのですが、半月以上たっても一時支援金の事務局から何ら連絡すらない状態が続いている一方で、一時支援金の登録確認機関のホームページに登録機関として掲載された状態だったそうで、登録確認依頼の連絡が毎日鳴り続いている状態になっていたそうです。やっと先日修正が完了したそうですが。  ちなみに、この私の知人の税理士は、コロナ禍であることを鑑み、全くの無報酬で、いわゆるボランティアで登録確認を受け付けていたということなんですけれども。  そこで質問をさせていただきますけれども、この登録機関事務局の対応の遅さについてはどうお考えでしょうか。  また、登録機関ですら対応が遅いので、申請、支給に関しても対応の遅れが懸念されているところですが、実際のところ、八日から申請が始まっているのですが、支給実績についても教えていただけますでしょうか。
  43. 飯田健太

    飯田(健)政府参考人 お答えいたします。  事前登録確認の件でお尋ねをいただきました。  登録確認機関でございますけれども、御指摘のとおり、不正防止の観点から今回導入しておりますけれども、金融機関、税理士などの士業の先生方、商工会、商工会議所なども含めまして、三月二十六日金曜日時点で約二万三千、登録してございます。  登録に当たりましては、税理士などの士業の方々につきましては、ホームページ上の専用フォーム、そこから登録の申込みをしていただいておりますけれども、その際に、第三者による成り済まし、これを防止する観点から本人確認プロセスを設けております。これは、趣旨は、現にそういうことがあるんですけれども、資格を持たない個人の方が、実在する税理士に成り済まして、事前確認を行うためのアカウントを不正に取得をして事前確認逃れを行おうと、そういったようなことでございますので、本人確認を行っております。  士業の先生方などの場合には電話での本人確認ということでございまして、どうしても登録までに一定の時間を要することがございます。委員御指摘のような事例も私ども承知しておりますので、対応人員を増やすなどにより、順次解消に努めているところでございます。努力してまいります。  申請件数でございますけれども、三月八日に受付を開始いたしました。昨日四月一日時点で約四万二千件の申請を受け付けております。支給につきましては、同じく昨日一日時点で約二・六万件、給付したところでございます。
  44. 美延映夫

    美延委員 時間が来ました。しっかりやってください。  終わります。ありがとうございました。
  45. 富田茂之

    富田委員長 次に、浅野哲君。
  46. 浅野哲

    浅野委員 国民民主党浅野哲でございます。  本日二度目の質疑の機会をいただきました。よろしくお願いいたします。  まず冒頭、一問、先ほどの続きの質問をさせてください。  スマートメーターに関する質問になりますが、以前、千葉県の豪雨災害によりまして、千葉県房総半島が非常に甚大な被害を受けた事案がございました。そのときに、スマートメーターのデータを使って通電していない家を探し当てて、復旧作業につなげたということがあったというふうに聞いております。  これだけ聞くと大変いい話のように聞こえるんですけれども、よくよく聞いてみると、当時、スマートメーターのデータというのは電力会社の中ではエクセルシートにばあっとあって、その中から、一つ一つ手作業で、どこが通電している、していないというのを探し出したという作業があったと聞きました。非常に非効率な作業で時間もかかったそうなんですけれども、せっかくこれからデータ利活用社会、そして、一分間隔での計測というのも既に始まっていると先ほど伺いましたが、これからこのデータをきちっとすぐに活用できるような環境をつくるべきだというふうに思います。  その辺りの環境整備を、是非すぐに始めていただきたいし進めていただきたいと思いますが、これについて政府答弁を求めたいと思います。
  47. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  まず一点、一分間隔だというお話、これは需要家の中のデータでございますけれども、今は三十分単位でという話になっておるわけでございますが、委員御指摘いただきましたように、一昨年の台風十五号の際には、スマートメーターの活用、これは東京電力が最も先に進んでおったこともございまして、何とか早くということで、スマートメーターをとにかく使おうということで努力されたということは我々もよく承知しておりますし、委員御指摘のように、そのとき大変課題が多かったということも聞き及んでおります。  その一つは、まず、各需要家の中での通電情報について、電気事業法上、一般送配電事業者はこれを地方公共団体等に提供してよいものかどうか、目的外利用になるのかどうか、また、個人情報保護法との関係で、個人の同意というのが取れていると考えてよいのかどうなのか、様々な運用面での問題がございました。  このことが最終的な整理がつくまでの間に結構時間がかかってしまい、結局のところ活用の度合いが大きくならなかったという反省がございまして、昨年の通常国会で成立しました改正電気事業法におきまして、災害復旧や事前の備えにスマートメーターから得られる電力データを活用するため、経済産業大臣から一般送配電事業者に対し、地方公共団体や自衛隊等の関係行政機関への電力データの提供を求める制度というものを創設してございます。  また、ここが委員の御指摘の点でございますけれども、このデータの様式ですとか手続というものが定まっていなかったということが、スピードの面において、作業の面において大変に大きな問題となったところであり、先ほども申し上げました法案の審議の中での附帯決議において、災害復旧の現場における実効的かつ迅速な対応が図られるよう、あらかじめデータ提出の様式や手順等を定めるべきとされていましたことを踏まえまして、昨年七月、電力データの提供に係る必要な手続等を明確にした考え方というものを策定、公表するとともに、各自治体の防災主幹部局に対しその周知を行い、また、一般送配電事業者に対し、災害時等に関係行政機関等の求めに応じ電力データを提供するよう要請をしておるところであります。  しっかりとこれが活用できていくように、我々も指導し、かつ、一緒になって取り組んでいきたいと考えてございます。
  48. 浅野哲

    浅野委員 ありがとうございました。是非、昨年の改正内容を実効性を高められるように、よろしくお願いします。  ここから残りの時間は、今回、法案のミスが多発した事案を受けまして、政府の皆様に、原因、そして今後の対策について二、三伺わせていただきたいと思います。  通告の順番を少し調整させていただきまして、坂井官房副長官にまず最初にお伺いをさせていただきます。  今回、この経済産業委員会で取り扱う予定でありました産業競争力強化法については、条文本体にミスが見つかったということで、我々野党は閣議決定のやり直しというのを求めております。それに対して、今、与野党間では議論が並行線をたどっている状況なんですけれども、そもそも、こういった事例が過去になくて、どういう対応をすべきかというルールが明確化されていないことがそもそもの原因というふうに言うことができるかと思います。  今後のためにも、衆議院の先例集はありますけれども、是非政府、与野党間合意の上で、こういったケースにどういうふうに対応すべきかというルールメイキングをするべきではないかというふうに考えておるんですが、これに対して副長官の御意見を伺えればと思います。
  49. 坂井学

    ○坂井内閣官房副長官 まず最初に、今回特に、今御指摘いただきましたように、条文そのものに誤りがあったということでございまして、誠に遺憾であり、改めて深くおわびを申し上げたいと思います。  その上で、閣議決定後に条文の誤りが判明した場合の国会への御報告等の手続につきましては、御指摘のとおり、明文化したルールはないと承知しておりますが、これまでは、速やかに衆参両議院の議案課にお知らせをして、そして訂正について対応を御相談させていただいてきました。  その上で、国会の各方面の御了解をいただいて、こうした条文の誤りにつきましては、政府から国会に正誤通知を行って対応してきたものと承知をしております。  御指摘の産業競争力強化法改正案についての条文誤りは誠に申し訳ないことではございますが、誤りの内容といたしましては、法案の内容に直接影響を与えるものではない、また、前例としても、正誤通知により対応させていただいてきたことなどを踏まえて、政府としては、国会の御了解をいただければ、これまでどおり正誤通知により対応させていただけないかと考えているところでございます。  ルールについての御指摘でありますが、まさしく国会対応についてでございますので、国会において御議論されるものではないかと考えておりますが、政府といたしましては、御理解を得るべく説明を尽くしてまいりたいと思っております。
  50. 浅野哲

    浅野委員 条文本体ではあるけれども、法律の内容に影響を与えるものではないというような発言があったかと思いますが、そこの認識が多分違うんですね。  今回、一か所だけ消す修正だったものが、誤って二か所消えてしまうような条文になっていた。二か所目が消えてしまうと、これは全く違う意味になってしまいますから、そこの認識是非改めていただきたい、私の立場からいえば改めていただきたいし、やはり、条文本体が間違っていますから、改めて閣議決定のやり直しというのが本来あるべき手続なのではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。  では、副長官、この後、ほかの委員会でも質疑があると伺っておりますので、退席されて結構でございます。
  51. 富田茂之

    富田委員長 退席してください。結構です。
  52. 浅野哲

    浅野委員 次の質問に移りたいと思いますが、経産省においては、今取り上げました産業競争力強化法の条文本体にミスがあったということです。私なりに、いろいろ省庁の方々にも話を聞きながら、状況を確認させていただきました。  まず、私が問題意識を持ったのは、法案策定のスケジューリングが過密なのではないかという課題意識であります。  これは全ての法律に対応する話かどうかは分かりませんけれども、毎年、経産省内では、六月頃から基礎的な検討を始めて、秋口から年末までに法案の概要を作り、そして、年明けから閣議決定までの僅か一か月程度の間に、条文の読み合わせやいろいろな承認プロセスが回っていくというフローだと伺いました。  この最後の一か月の間にかなりのチェックをしなければいけない、そこに割ける人数や時間には限りがあるという中で、やはり、この法案作成のスケジューリング、見直す余地はあるのではないかと思うんですね。この点について、まず、政府の、経産省の見解を伺えればと思います。
  53. 新原浩朗

    ○新原政府参考人 まず、今回の誤りにつきまして、国会に法案を提出し御審議を仰ぐ立場として、誠に申し訳なく、深くおわび申し上げます。  御質問にお答えさせていただきます。  一般論として申し上げますと、法案作成の事務については、政策の内容の立案に加えて、閣議決定までの間、これは委員御指摘のとおりでございますが、その立案した内容を正確に反映した条文案の作成が必要となるということで、ほかの政策立案に比べて業務負荷が高いのは事実と認識しております。  その上で、この産業競争力強化法の改正法案についてでございますが、いわゆる支援法というものでございまして、グリーン社会への転換とか、あるいは、デジタル化への対応のための租税特別措置、それから、新たな日常に向けた事業構築のための租税特別措置、さらには、当初予算措置を含む金融支援措置などを核としております。  ポイントになりますのは、租税改正案、税制の改正案ですね、あるいは予算案については、政府の案が年末に固まるものでございまして、そして、その固まった後に、その内容に沿って条文案の作成を本格化する必要がございます。ということで、どうしても若手職員のところに、一月、二月に非常に条文作成の関係で負荷がかかるという状態になっております。予算関連法案の締切日は今年でありますと二月九日でございますので、委員御指摘のとおり、一、二月のところで作業が本格化している、こういう状態でございます。  ただ、この点については、ほかの予算関連法案についても多かれ少なかれ同様の事情にあると考えておりまして、この産業競争力強化法改正案についてだけ、他の予算関連法案と比べて特別にスケジュールが過密であったというふうに申し上げることはなかなかできないのかなというふうに考えております。  いずれにせよ、現在、省庁横断の法案誤りの再発防止プロジェクトチーム、これが立ち上がりましたので、当省としても、今回の経験を踏まえまして、今回の反省に立って積極的に知恵を出して、再発防止に取り組んでいきたいと思っております。
  54. 浅野哲

    浅野委員 余り明確な方向性のある答弁ではなかったように思いますが、予算や税制面の方向性が定まる期間との兼ね合いというところは理解はいたしますが、それでもやはりミスは起こしてはいけませんので、そこは是非対策は検討していただきたいと思います。  時間も限られておりますので、まず大臣にお伺いしたいと思います。  今回、条文本体に誤りが見つかった法案というのは、全て、改正する法案でありました。改正法案の場合は、新旧対照表を作成し、そこの相違があるところを改正条文として起こすわけですけれども、この新旧対照表から改正条文に変換するところの作業、どこがどう違うから何を何と言い換えるという部分でありますが、ここは極めて機械的な作業で対応できるのではないかという見立てを私は持っております。  今、地方行政などでは、RPA、ロボティクス・プロセス・オートメーションという自動化が進んでおりまして、そういった、ある文章からある文章への変換作業についてはどんどん自動化が進んでいます。経済産業省内でも、こうした比較的ルーチンワークの部分についてはそういうものも導入して、職員の負荷軽減やミスの撲滅というものに本気で取り組むべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  55. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の誤りについて、改めて深くおわびを申し上げます。  今回の誤りの再発防止策として、複層的チェックのような取組を一層強化するのはもちろんのことではありますけれども、単に現場の作業の負荷を増やすだけでは再発防止の実効性は確保されないと考えております。このため、御指摘のように、デジタル、ICT技術を積極的に活用していくといった観点を含め、検討していく必要があると思っております。  他方で、政府は、新たに作成する法律案と現行の法律のデータベースを突合して誤りがないかと検証する法令審査支援システムを有しております。今回の産業競争力強化法改正案についても利用しましたけれども、誤りが検出できないものでありました。どのようにすればシステムが改善できるか、省庁横断の法案誤り等再発防止のプロジェクトチームにおいて、実際に法令の立案作業を行う実務担当者などの現場の視点も踏まえて、実効性のある再発防止策を政府一丸となって検討してまいりたいと考えております。  その検討の中で、御指摘のRPA、ロボティクス・プロセス・オートメーション技術も含めて、様々なデジタル、ICT技術の活用も検討していくものと考えておりますが、経済産業省としても、省内の知見や民間事業者とのつながりなどを最大限活用して、積極的に検討してまいりたいと考えております。
  56. 浅野哲

    浅野委員 時間が来てしまいました。  最後に、内閣法制局にも来ていただいておりましたが、改めて、今回、内閣法制局自体の役割としては、やはり条文本体の用語や記述の誤りをチェックする機能が本来あるはずでありまして、是非そこは今後再徹底をお願いして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  57. 富田茂之

    富田委員長 次に、青柳陽一郎君。
  58. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 おはようございます。立憲民主党の青柳陽一郎でございます。  私は議運理事でございまして、経済産業委員会委員ではないんですけれども、本日は是非大臣に直接聞いていただきたい件がありまして、質問の時間をいただきました。委員長、各理事の皆様、委員の皆様に感謝を申し上げまして、質問させていただきたいと思います。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。  今日は、まず最初は、今浅野委員からもありましたけれども、産業競争力強化法の誤りについて、これは一点お伺いしておきたいと思います。  今回の事案は、今浅野委員からもありましたけれども、条文本体の誤りが四か所、参考資料が二十か所に及んでいるということでございます。参考資料や参照条文の誤りについては、いわゆる正誤対応で行うというのも、過去の事例もそういう事例はあるわけですから、一定許容される範囲ですけれども、条文本体のミスというのはやはり重いものですから、これは閣議決定からやり直すべきだという意見が、我々議院運営委員会でもそういう意見が多いということでございますが、先ほど坂井官房副長官から御説明ありましたが、大臣として、この条文本体のミス、閣議決定からやり直すべきだということに対して、大臣のまず所見を伺いたいと思います。
  59. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今回の誤りは、国会に法案を提出し、御審議を仰ぐ立場の政府として、誠に遺憾であり、改めて深くおわびを申し上げる次第であります。  今回の誤りについては、法律案の作成プロセスにおいて、最終的な条文案の確認が不十分であったことが原因であったと考えております。例えば、条文案については、経済産業省の法案作成担当部局、大臣官房総務課、内閣法制局で重層的なチェックを実施していたものの、同一の職員が条文案の作成とチェックに関わっており、条文案の策定に関与していない職員など第三者のチェックが十分ではなかったこと、政府の法令審査支援システムによっても誤りが検出し切れないものがあったこと、スケジュールに追われた面があったことなどが要因になったと考えております。  再発防止策につきましては、そもそも国会に提出する資料には誤りが許されないとの大前提を強く再認識させるとともに、法律案の作成に携わっていない第三者がチェックをするなど重層的かつ実効的なチェック体制を構築し、読み合わせの徹底、スケジュール管理の徹底、法律案の作成プロセスに携わる人員の増強など、十分な確認ができる体制の整備を検討してまいりたいと思っております。  また、誤りがあったことは大変遺憾であります。条文案の誤りにつきましては、国会に向けて正誤で対応し、参考資料の誤りについては、先生方に正誤表を配付することとして御審議をお願いしたいと考えております。
  60. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 正誤対応でということでございました。人間ですから、人間の作業ですから、ミスがあるのは当然、一定仕方のないことですが、是非、再発防止のプロジェクトチーム、省庁横断で立ち上がったということでございますから、しっかり再発防止に向けて取り組んでいただきたいと思います。  もう一つは、貿易保険法、これも法案を提出して取り下げたということでございます。この貿易保険については、昨年の十月に違反事案が担当課長には報告されていた。にもかかわらず、それを担当課長は分かっていながら、法案の策定に入って、提出までした。私はこれも非常に問題がある事案だというふうに思いますので、これは指摘をさせていただきたいというふうに思います。  その上で、経産省、中企庁でもミスがあるということですね。ミスをすれば是非やり直しをしてくださいということを、大臣は今答弁されたわけでございます。ミスがあったら廃案だというのではなくて、それは勘弁してください、正誤対応でやってください、こういうことですね。ということを踏まえていただいて、これからの本題について聞いていただきたいというふうに思います。  家賃支援給付金についてお伺いします。  この家賃支援給付金、この事業目的を、政参人で結構です、お答えいただきたいと思います。
  61. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  家賃給付金は、昨年五月の緊急事態宣言の延長等により、とりわけ厳しい経営状況にある事業者事業継続などを下支えし、地代、家賃の負担を軽減することを目的とし、この目的に沿って定められた給付規程に基づいて、売上げの減少や家賃の支払い等の申請要件を満たした事業者について、事務局による審査、確認を経て給付金を支給する、こういう仕組みであるというふうに承知をしてございます。
  62. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 ちょっと声が小さいので、少し聞き取りにくかったんですけれども、つまり、これは新型コロナウイルスの影響で売上げが急減した事業者を救うための制度ですね、大臣。これは公募型のいわゆる補助事業と違って、審査をして、いいものを選ぶ、駄目なものは落とすということではなくて、要件を満たしている事業者、困っている事業者、売上げが減少した事業者があれば救うための、救わないための制度じゃないんです、救うための制度ですね、大臣。そういうことです。それがこの事業の大きな目的です。救うための制度だというのが大きな目的ということを確認させていただきました。  その上で、本事業の予算総額、申請件数、支給件数、そして予算の消化額、この四点をまず政参人にお伺いしたいと思います。
  63. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  予算額といたしましては、当初約一・九兆円を給付原資として計上させていただき、持続化給付金や一時支援金の財源としての有効活用も図った結果、執行的には約九千九百億円ということでございます。  支援件数でございますが、申請は約百八万件、給付をさせていただきましたのは百四万件、約九千億ということでございまして、ここから給付額を差し引いた約九百億が計上に対する執行残、こういうことになろうかと思います。
  64. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 そうすると、念のため、もう一度確認させていただきますが、予算の未消化額、今九百億とおっしゃいました。私、予算の未消化額は二千億あるというふうに事前の質問通告のときに聞いておりましたが、今九百億とおっしゃいましたか。私は二千億と聞いていますが、そこを確認させていただきたいと思います、再度。  そして、不支給になった件数が今、そうすると四万件ぐらいあるんじゃないかと思いますが、この不支給件数、念のため政参人から御答弁いただきたいのと、この不支給の理由、これも併せてお伺いしたいと思います。不支給件数、不支給の理由、もう一度、予算の未消化額を教えてください。
  65. 村上敬亮

    村上政府参考人 お答え申し上げます。  まず冒頭、二千億が余るというのが最終的に、私お答えさせていただきましたとおり、九百億となった理由でございますが、緊急事態宣言が三月七日から三月二十一日まで延長されたことの影響を踏まえまして、更にその間の対応として、一時支援金の財源として約千二百億円を更に有効活用するということで流用させていただいたものですから、結果として二千億から千二百億を差し引きました約九百億円分が執行残となったということでございます。  次に、不給付件数が何件かということでございますが、こちらは実績として二・四万件でございます。  その理由でございますけれども、もうよく御存じのとおり、給付金の給付要件は、昨年と比べて単月で五〇%以上又は連続する三か月の合計で三〇%以上売上げが減少していること、二〇二〇年三月三十一日時点と申請時点で有効な賃貸借契約が存在すること、及び、直近三か月の支払い実績が確認できることなどを求めてございます。  申請者の方々が家賃支援給付金の給付を受けるためには、これらの給付要件を満たすことが確認できる書類の提出をしていただくということで求めてございますが、確認できない場合は不備として提出書類等の修正を求めるということで、最初に出していただいてからも積極的に修正の機会を、期間とルールを設けて設定をさせていただいてございます。  その際にも、不備の解消でお困りの申請者からの問合せに対しましてできるだけ丁寧なサポートを行いたいというようなことで、不備解消期限までにしっかりそこをやらせていただいた上で、最終的に御対応いただけなかった方や、御対応いただいた場合でも、最終的にいただいた書類が適切な書類が添付されていないなどの理由により、要件たる売上げ減少幅や賃貸借契約の契約期間といった給付要件に合致することが確認できない場合は、不備にもいろいろな理由はあるんだと思いますが、修正対応をお願いした上でも難しかったというケースにつきましては不給付とさせていただいているということでございます。
  66. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 ありがとうございます。  私、経産省さんとか、経産省が委託している団体の対応が悪かったと言うつもりは全くありません、しっかり丁寧に対応していただいたと思います。  その上で、私は、事前の通告のときに、二千億の未消化額というのがあるというふうに伺いましたが、今、答弁では、いずれにしても、未消化額が九百億円残っていると。九百億円残っているんです、大臣。  それから、この家賃支援給付金というのは、最初に確認したとおり、申請要件を満たしていれば支給するものです。今、条件を言っていただきましたが、不支給のうち、そもそも条件を満たしていなければ不支給になるのは仕方ないと思います、それは当たり前のことですが、要件を満たしていても、ミスによってはねられている事案が一定数あるんです。ミスです。経産省もミスします。中企庁もミスします。ミスしたら、やり直してくださいと。駄目ですというんじゃないです。やり直してくださいと、経産省自身が今日この場でお願いしているんですよ。事業者だって、要件を満たしていれば、ミスしたところは、予算の未消化額があるんですから、救ってあげたらいいんじゃないかと思うんです。  その上でお伺いしますが、この家賃支援給付金とか、あるいは持続化給付金もそうですが、これは法律じゃなくて、予算措置です。予算措置というのは、要領が定められて、そして、その要領に沿って規則があるんです。  今、政参人が答えてくれましたけれども、申請スケジュールに間に合わなかったもの、この申請スケジュールというのは、要領でも定められておりません、規則でも定められておりません。何かといえば、内部ルールなんです。明文化されていない内部ルールで申請期限が定められているんです、大臣。どこにも書いていないんですよ、申請スケジュールなんて。  ですから、ミスによって申請スケジュールに間に合わなかったもの、受給要件を満たしているもの、そして、未消化額があるんですから、これは救ってあげるべきじゃないかというふうに思います。  大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
  67. 梶山弘志

    梶山国務大臣 家賃支援給付金におきまして、提出書類など、申請内容に不備があった方に対しましては、マイページやメールに加えて、郵送等により修正期限をお知らせして、その期限内に対応いただくようにお願いをしてまいりました。  この修正期限は、その方が申請された日も勘案しながら、全ての申請者が公平に取り扱われるよう、不備の修正に十分な期間としておおむね四週間程度を確保できるように設定をされたものであります。  家賃支援給付金の事務局は、修正期限が迫っておられる方々には、早ければ再申請から数時間で内容を確認して結果をお知らせするなど、迅速かつ丁寧なサポートを提供してまいりました。  大部分申請者の方には、様々な事情の中で、期限内にしっかりと御対応いただいているわけでありまして、全ての申請者を公平に扱う観点からも、申請者の事情によって期限を過ぎた修正を受け付けることは困難であると御理解をいただきたいと思っております。  これまでも、予算委員会又は当委員会等で、様々な要件の緩和の要請というものもありました。個別の案件について個別で対応するということよりも、もしその件がボトルネックになっているのであればということで私も調査を命令をしたところもありますけれども、期限だけに関しましては、これはもう御理解をいただきたいと思っております。
  68. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 私も、繰り返しますが、委託先の対応が悪かったとか、その委託先の手続が悪いとか、そういうことを言っているわけじゃありません。それから、公平に扱え、これは当然のことですよ。不公平にやれなんて言っているわけじゃないんです。  この申請期限というのは、繰り返しますよ、大臣、内部ルールです、内部ルール。今、要件とおっしゃいましたけれども、要件より低いです、内部ルールですよ。変えられるんです、大臣が変えろと言えば、救ってやれと言えば。ルール、内部ルール。ルールはルールでありますよ。だけれども、事業目的は、要件を満たしているところを救うことがこの事業目的です。  そして、予算の未消化額も、九百億円、まだ未消化で残っているんですよ。そして、要件と規則に沿って公平に、ミスがあったところを救ってやれと大臣がこの場で言っていただければ解決します。それが、大臣、政治家の、政治家としての仕事じゃないですか。  私、地元を回っていて、あるいは地元の事務所に、今回ミスしちゃいましたと、ミスを認めているんです、ミスを認めた上で何とか助けてほしいと泣いて頼みに来る人、一件、二件じゃありませんでした。しかも、そのミスした担当者が、もう本当に泣いているんですよ、大臣。それは、助けられるのは、大臣なら助けられるんです。  繰り返しますよ。その手続に、委託先の手続が問題があったとか言うつもりはありません。公平にやってほしい、その思いはありますよ。だけれども、その内部ルールは大臣の裁量で変えられるんです、未消化額があるんですから。この場で、大臣是非、分かったと、もう一回見直して、受給資格があるけれどもミスによって救えなかったところは救ってやれと、大臣、言ってください。それが大臣、できるんですから。政治家の仕事だと思います。大臣、どうぞ。
  69. 梶山弘志

    梶山国務大臣 申請期限また不備解消の問合せも含めて、ある程度の時間は置いた上でやり取りをさせていただいております。  そういった中で、期限だけはやはり守っていただかなければならないものだと思っておりますし、様々なルールの中で、どんなやはり非常時、危機対応の中でも期限を全体的に延ばしてきた。例えば、持続化給付金申請期限を延ばしたりとかいうのは二、三回ありましたけれども、それは事前にやるものであって、終わった後にできるものではないということ。  いろいろな事情、よく分かりますし、お一人お一人の思いというのも十分に分かりますけれども、期限が過ぎた後に期限をまた変えるということはなかなかやはりできないということで御理解をいただきたいと思います。
  70. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 いや、ちょっとかみ合っていないんですけれども。  それは認めているんです、ミスを。ですから、大臣が救ってやれと言えば救えるんですよ。それを救わないんですか、大臣。経産省だってミスするじゃないですか。ミスはあったでしょう。やり直してくださいとお願いしているんですから。  事業者のミスは許さない。でも、自分たちのミスは許してください。閣議決定もやり直さずに正誤対応で認めてくれとこの委員会でお願いしているのに、事業者のミスがあれば、期限を守らないんだから駄目だと。予算九百億も余っているのに、切り捨てるんですか。  内部ルールあるいは内規、これが実態に合っていないから改善した例なんてたくさんあります。  私、大臣のお父様と同じ派閥にいた松田岩夫さんという初代の経済産業大臣の秘書、秘書官、政策秘書をやっておりました。実態と合わない内部ルールがあれば、実態と合わない内規があれば、その場で内規を変えていましたよ。それが政治家の仕事だと。  私は身にしみて思っています。間近で見ています。大臣が今ここで答弁すればできるんですよ。再度答弁していただきたい。
  71. 梶山弘志

    梶山国務大臣 それは、期限前であればどういったことも、政治家の判断ということでできると思います。期限が終わったものを期限を更に延長する、また、事務局を解散しているものもまたつくり直すということも含めて果たして可能かどうかというと、現実的にはなかなか難しい。政治家としても、この件はおわびするしかないし、御容赦願うしかないと思っております。
  72. 青柳陽一郎

    ○青柳委員 おわびじゃなくて、変えろと言っていただければ大臣はできるということを何度も申し上げているのですが。  私は、梶山大臣に今日期待してこの場に立たせていただきましたけれども、残念ながらがっかりして、これから議院運営委員会理事会に行って、法案のミスの協議をやらなきゃいけない。本当に残念です。  そして、今日十二時から、官房長官にお越しいただいて、議運に、この正誤対応の質問、私が立つことになりました。今の大臣の残念な答弁を胸に、十二時からの議院運営委員会質問させていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  73. 富田茂之

    富田委員長 次に、斉木武志君。
  74. 斉木武志

    ○斉木委員 斉木武志でございます。  私からは、梶山大臣も原子力の立地地域でございますけれども、立地地域の将来像に関して今日は議論をさせていただきたいというふうに思っております。  というのも、梶山大臣、諮問委員会を幾つかお持ちだと思うんですが、原子力小委員会という小委員会の二月の会合、そして三月の会合におきまして、福井県を特出しをして、立地地域の将来へ向けた共創会議、仮称というものをつくって、立地地域の将来像を国と立地自治体が議論をしていく、私はこれは画期的な出来事だと思うんですが、私の記憶では、これはずっとこの数年求めてきたんですけれども、やっとできたなと。これはこの国で初めての試みじゃないかなと思うんですけれども、立地地域と国がその地域の将来像を共に膝を突き合わせて協議しましょう、これは初めてということでよろしいですか。
  75. 梶山弘志

    梶山国務大臣 公式には初めてだと思っております。
  76. 斉木武志

    ○斉木委員 福井県を特出しした理由もちょっとお伺いしたいんですけれども、まず、なぜこの今、二月、三月の原子力小委員会で、この立地地域と将来像を共に描いていきましょうという協議体をつくられる御判断をされたのか、そしてまた何を狙っているのか、お伺いできますでしょうか。     〔委員長退席、中野委員長代理着席〕
  77. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、私の考えとして、少し述べさせていただきますけれども、立地地域、原子力を中心とした発展というものもこれまでやってきたわけですけれども、どうしてもやはり単線になって、原子力を中心に、その関連産業であるとか、単線になってしまうということの中で、産業の複線化というものを図っていかなければ、いつまでも、そこで問題が生ずると、なかなかやはりその地域の経済が成り立たないという課題が出てくるという中で、やはり立地というものも、少し物事、考えを変えて、考えていかなければならないという思いもありました。  エネルギー基本計画の見直しの議論が進められる中で、原子力の持続的な利用システムの在り方を検討するために、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会において議論をしているところであります。こうした中で、二月二十五日及び三月二十二日の小委員会において、立地地域の将来像について検討する共創会議の創設を提案したということであります。  経済産業省としては、中長期的な立地地域の持続的発展に向けて、これまでも様々な支援を行ってきておりますが、さらに、原子力の長期的な利用に当たっては、例えば原子力研究、廃炉支援などの原子力関連の取組に加えて、産業の複線化や新産業の創出など、運転終了後も見据えた立地地域の将来像について、立地地域と国、事業者が一緒に検討していくことが必要であるとの問題意識から、この共創会議の創設を提案したものであります。  小委員会においては、こうした考えとともに、福井県のケースについて、検討テーマ、参加者等のイメージをお示ししました。  具体的な進め方や方向性については、今後、知事を始めとする御地元の意見を伺いながら検討していく予定でありますけれども、原子力立地地域としてたくさんの原子炉を抱えている福井県がある、そして、そういった中で、次の時代をどう考えていくかということもやはり胸襟を開いて話合いをしなければならない、エネルギーに貢献をしてきたという自負もある地域である、そういったことから、新しいエネルギーも含めてどのようなエネルギーの考え方を持っておられるか、それが産業につながるか、また、別の電力を利用する産業であるとか、まるっきり別の産業も含めて検討して、立地地域としてどういうふうにお考えかということも話を聞いてみたいと思っております。
  78. 斉木武志

    ○斉木委員 大臣の御地元の茨城県、そして北は北海道、南は鹿児島県まで、この国には多くの立地自治体がございます中で、福井県を特出しされて先行してやってみようと思われた理由というのは何なんでしょうか。
  79. 梶山弘志

    梶山国務大臣 三月二十二日の原子力小委員会の事務局資料において、福井県は安全審査に合格した四十年超の原子力発電所を複数抱えている、それと、先行していろいろな原子炉の設置というものをしてきたということを先ほど申しましたけれども、立地地域の将来像を議論する場の先駆的な例として取り上げることとして、進め方の案として検討テーマや参加者のイメージをお示ししたということであります。  また、福井県の杉本知事からも同日の小委員会において、将来的に原子力をどう活用していくのか国の考え方を示していただきながら、今後、立地地域が原子力にどう関わっていくのか、また、国や事業者が立地地域の将来にどう関わっていくのかを具体的に議論をしていきたい、そして、地域が将来に希望を持てる計画にまとめ上げていきたいとの御意見もいただいているところであります。
  80. 斉木武志

    ○斉木委員 今、大臣最初、四十年超に触れられましたけれども、このペーパーにも、四十年超原子力発電所を複数抱える福井県のケースについてということで言及されております。  ですので、地元や在京のマスコミからは、これは美浜三であるとか高浜一、二といった、四十年超えの、確かに三基、今福井県内では同意手続であるとか議論が進んでおります。ですので、それに向けての地ならしなんじゃないか、その振興策をまず示して、四十年超稼働の同意を取り付けようというための地ならしなんじゃないのというような指摘が、かなり多くの方が指摘しておるんですが、そういう懸念はないんでしょうか。
  81. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど胸襟を開いていろいろな意見をということですと申し上げましたけれども、地元には地元のまた要望もあると思いますし、原子力に対する考え方もあると思います。  私も、大臣ではありますけれども、先ほど委員からお話がありましたように、立地地域の住人、七、八キロのところに住んでいるということでありますけれども、原子力単線じゃなくて、やはりその地域の在り方はみんなで考えようやという御意見も伺いたいということなんですね。  それをどう見るかというのはそれぞれの見方があるかと思いますけれども、原子力についても地元の御意見を聞きたい、どういう御要望があるのか、どういう思いがあるのかということもお聞きしたい。  さらにまた、将来像、次の世代、どうしていくのか、子供さんたちの世代がここで暮らしていけるのか、また、産業というものをまた新たにつくらなくちゃいけないという思いもお持ちなのか、それに対して、立地地域として先駆的な役割を果たしてきた地域に対して国や事業者がどういうお手伝いをしていくのか、どういう役割を果たしていくのかということを話し合いたいということであります。
  82. 斉木武志

    ○斉木委員 四十年超のためのバーターというか、地ならしみたいなことを言われてしまうと、この会議そのものが色眼鏡で見られてしまいますので、是非そういった誤解を与えないような、胸襟を開いて、まさに複線化ですね、複線化のこと、地元がどういったビジョン、思いを、この十年間特に抱いてきたのかを胸襟を開いて話し合っていただきたいなと思います。  これは予算委員会でも総理に聞いたんですが、総理も新設、リプレースは想定しないと二度おっしゃいましたが、梶山大臣も同じお考えでよろしいですか。
  83. 梶山弘志

    梶山国務大臣 国の方針として、現時点では新設、リプレースは想定をしていないということであります。
  84. 斉木武志

    ○斉木委員 であれば、やはりその複線化ということが必要になってくるだろうなというのが、私、日本現状だと思います。  敦賀市を例に取りましても、担当者と話すと、原子力産業というのは、豊田市におけるトヨタ自動車と同じ位置づけです、最大の雇用の場であり、最大の税収源であると。これが、トヨタの工場が古くなっても建て替えちゃ駄目ですよ、新しくラインを造りたいと言っても、増設も駄目ですよということを言われているのがまさに敦賀市、立地地域ですので、これは普通の経済原則からいったらあり得ないと思うんですね。  国策として、ともかく古くなっても建て替えちゃ駄目だ、こうなったら、やはりほかに生きる道、稼ぐ種、これをつくっていかなきゃいけないというふうに思うのも、私はこれは必然の流れだと思うんですね。  だから、是非そういったことを応援していただきたいし、先般、原発特措法の改正がありまして、我々からは、まさに新エネルギー、ここにうたっていらっしゃる再生可能エネルギーや水素などの新エネルギー産業を立地地域において振興していくということが附帯決議に盛り込まれました。是非これを尊重した立地地域づくりを行っていただきたいなと思っているんですけれども、その一つの例として、これは大臣に初めてお話しすると思うんですが、バーチャルパワープラントというのが今敦賀で進行しております。  東芝の水素マルチステーションが昨年敦賀市で稼働いたしまして、このバーチャルパワープラントというのは何かというと、太陽光とか風力というのは非常に薄い電源が広域に広がっております。これをやはり統合制御して、例えば京都が足りないとか、滋賀が足りないとか、大阪が足りないとか、そういうのを広域で感知をして、足りない地域に太い送電網を生かしてそれを供給していく。広いエリアで見れば、一つの大きな仮想発電所になっている。でも、そのときに一番肝になってくるのは、情報技術やAIなんですね。  どこの地域で電力がどれだけ足りないかというのを自動的に感知をして、それを、原子力で余剰電力や太陽光の余剰電力ができていたものを、水素からもう一回電気に戻して供給をしていく。水素を使うというのは、バッテリーに比べると自然放電がないです。ですので、ロスなく電気に変えたり水素に変えたり。そういった基軸となるものが今敦賀市で稼働していて、関電や北陸電力、これも嶺南の六市町と協業してバーチャルパワープラントというものを今やっております。  今、敦賀市なんかは、要するに、テックの、情報技術産業を新たに飯の種にしたいと言っているんですよ。こういったバーチャルパワープラントというのは日本中で広がっていくでしょう。そういったときに必要なのは、そのソフトウェア。それを、太い電線も来ている、系統にもすぐ流しやすい原子力の立地地域で情報技術産業を欲しいんだと言っていると思うんですが、是非こういったことも、これまでの単に燃やして作るだけではなくて、コントロールしていくテックの部分を原子力の立地地域で産業化していく、こういう可能性とか応援に関して、大臣の御所見を伺いたいんですが。     〔中野委員長代理退席、委員長着席〕
  85. 梶山弘志

    梶山国務大臣 二〇五〇年のカーボンニュートラル、宣言をいたしました。そして、再生可能エネルギー最大限導入をしていくということ、さらにまた、新たなプレーヤーとして、今委員がおっしゃったような水素であるとかアンモニアであるとか、どういう形で製造して、どういう形で輸送して、どういう形で保管をして、どういう形で使用をするかということを、これからの課題であると思っております。  そういったものも含めてしっかり応援をしてまいりたいと思いますし、バーチャルパワープラントに関しましては、グリッドの中でどういう形でAIやIT技術、IoT技術を使っていくかということにもかかってくると思いますけれども、そういったものが可能になれば、やはり非常に、電力の有効利用、資源の有効利用というものも可能になるし、カーボンニュートラルもやりやすくなるということだと思いますけれども、そういう技術開発も含めて民間企業と連携をしていく。そして、地方が手を挙げていただければ、そういった新たなエネルギーの水素やアンモニアの活用方法のモデル地域としての活動というものもあり得るものだと思っております。
  86. 斉木武志

    ○斉木委員 是非、輸入水素の供給元、敦賀港を基軸としてなりたいということも敦賀市などは申し上げておりますので、そういった可能性というのも、是非この協議体で現実的に膝を交えて話し合っていただきたいなというふうに思っております。  大臣の御地元のお話を伺いたいんですが、そうやって、新設、リプレースは考えていない、古くなっても建て替えるなということは、相当いら立ちが私は原子力立地地域にはたまっているなと感じております。主力産業なのに、古くなったらそのまま廃炉だ、じゃ、その後どうするんだと。それに関して、大臣の御地元では大臣に対してどのような声が来ていますか。
  87. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほども申しましたけれども、例えば敦賀地域でも原子力を推進する人たちのいろいろな思いがあるかもしれない、私の地域でもそれはある、ただ一方では違う声もある、そういったものをどう聞いていくかということですけれども、私は、まず原子力、単線だけではなくて、先ほど来委員も賛同していただいておりますし、私も委員の考え方に賛同ですけれども、複線化、産業の複線化を図っていくという選択肢があっていいのではないかと思っております。  それは、今まで立地地域が果たしてきた役割というのは大変大きなものがあります。電力の安定供給、さらにまた、電力多消費の産業が発展する過程において、例えば半導体製造なんかもそうですけれども、大きな役割を果たしてきた。そういったところに対して、次の産業を考えるときにはやはり国も事業者もしっかりと支援をしていくということが必要だと思いますし、そういったことは東海村の近隣も含めて同じような考え方だと思いますし、いろいろな意見をいかに集約していくかということが大切なことだと思っております。
  88. 斉木武志

    ○斉木委員 この課題をめぐっては、本当に、原子力が好きだ嫌いだみたいな感情的な問題も含めて、今、本当に甲論乙駁あると思います。ただ、まさに地元にとってみれば、これは産業であり雇用だと思うんですよ。ただし、私は、原子力が生まれたときと、この原子力を取り巻く環境は大きく変わってしまったと思うんですね。  福井県において原子力が生まれたのは、まさに五十年前の大阪万博ですよ。大阪万博にアトムの灯をともす、原子力の灯をともそうということで、美浜であるとか、大飯、高浜とか、どんどん、敦賀もできていったと記憶をしております。だけれども、今、五十年たってみて、環境が全く変わってしまいました。国は、あの頃はどんどん造れ造れと。F一の事故の前は、民主党政権も五〇%以上は原子力でやると。増設を基調にしていたものが、今は古くなって建て替えも許しませんよという非常に制約の多い産業になっている。  だから、立地地域にとってみれば、はっきり言って飯の種でもあるので、原子力なのか、水力なのか、風力なのか、太陽光なのか、水素なのか、何の電源がこれから五十年後勝っているかは、はっきり言って誰も予測できないと思う。  なので、国も今いろいろな電源をベットしてベストミックスということをやっていますけれども、原子力も一つの選択肢であるし、かつ、そういった水素であるとか、また太陽光、風力も一つの選択肢であるので、やはりこれはコストに優れたものが、安全性とコストの優れたものが勝ち残っていくでしょうから、やはりそういった、まさにおっしゃっている複線化を前提として、立地地域にとっては大きな雇用と税収の種でありますので、それをやはり新設するなというのであれば、複線化というのはこの会議でどんどん推していくということを是非お願い申し上げて、今日は質疑を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  89. 富田茂之

    富田委員長 次に、落合貴之君。
  90. 落合貴之

    ○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。  まず冒頭は、法案の文言のミスが頻発、連発しているということで、その問題から取り上げさせていただきます。  元々、今国会で審議される予定の法案が六十一法案、十一条約、国会全体でありました。このうち二十三法案、一条約でミスが見つかったということで、これは提出予定だったものの四割に及んでいるわけです。経済産業省の法案にもありました。一本でもこういうことがあれば今まではニュースになっていたにもかかわらず、提出法案のうちの四割もというのは、今までの内閣ではなかったことです。  先ほども、官僚の皆さんの働き方のチェックですとか審査のやり方もしっかり見直していくということでしたが、今までと同じやり方でやってきたにもかかわらず、菅内閣になってから急にミスが増えたということで、しかも、先ほども政府参考人で来ていましたけれども、内閣法制局、この法の番人の内閣法制局の審査も、するっと通り抜けてしまっているということです。  菅内閣は官僚の人事を、特に菅総理は著書でも言われていますけれども、官僚の人事をしっかり握って、言うことを聞かない人は左遷も辞さないんだというような、ある意味、強権でやってきたわけですけれども、菅内閣になってから急に官僚機能がしっかり機能しなくなったというのは、政治の側に問題があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  91. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、私どもが提出をいたしました産業競争力強化法等の改正につきましてミスが多数あったことに関しまして、心よりおわびを申し上げる次第であります。  御指摘の閣僚側の問題につきましては、政府全体の立場として見解を申し上げることは難しいわけでありますけれども、経済産業大臣としては、これまでも、政策の立案、調整、決定は、国民の負託を受けて政権を運営する政が責任を持って行い、官は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえて、政に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策立案、調整、決定を補佐するという基本的な枠組みを踏まえて業務を行ってきたと考えております。  先ほども申しましたけれども、今回も様々な要因があったと思っておりますけれども、それらの要因をしっかりと克服していく、そして、二度とこのようなことがないように最大限の努力をしていくというのが私どもの立場であります。
  92. 落合貴之

    ○落合委員 先ほどもあった省庁横断的なチェックというのも、官僚の皆さんの仕事の在り方のチェックなわけですけれども、官僚の皆さんが全部、内閣が替わって入れ替わったわけではなくて、同じ人たちがやっているのに、内閣の閣僚が入れ替わったら四割もミスが出たという。やはり、内閣自体の仕事の仕方、官僚の皆さんとの接し方、これはしっかりと政治側が考えていかなきゃいけない問題だと思います。  それから、経産省は、この法文のミスだけではなくて、貿易保険の法案を取り下げたというようなこともありました。これは、去年の十月には、経産省の課長は日本貿易保険、NEXIに問題があるということを把握していたのに、大臣に上がってきたのは二月でしょうか、四か月もタイムラグがあったわけです。  その間に、この国の国会の今までの慣例として、一月にはこの法案を出したいですと政府の方から国会に提示をするわけですが、その手続も全部終わった後になって、こういう不祥事があって法案を取り下げたいと、これもあり得ないようなことが起こったわけです。  大臣にもっと早く情報が上がっていたら、こういう、やはりやめますなんということにはならなかったわけですので、大臣も経産大臣として、官との接し方に反省するべきがあるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  93. 梶山弘志

    梶山国務大臣 この事案につきましても、しっかりと検証してまいりたいと思っております。  この事案につきましては、貿易保険法の第二十九条第四号において、運用に関して、外国政府及び国際機関の発行する有価証券が対象ということであったんですけれども、現実には、ドイツ連邦政府が法律に基づいて元本、金利の支払いを保証するドイツ復興金融公庫債というものを購入をしておりまして、これがこの法律違反に当たるかどうか、法律に抵触するかどうかという議論をしていたということも聞いておりますし、その進捗管理、今度は、それがやはり違反だろうということで売却をする進捗管理で時間がかかったということも聞いております。事実、私に上がってきたのが二月十八日ということで、これらの経緯も含めて、しっかりと検証してまいりたいと思っております。
  94. 落合貴之

    ○落合委員 法律を作ったり改正していくプロセスが、ある意味混乱しているわけです、菅内閣になってから。これは法治国家の基本も揺るがしかねない、国自体を揺るがしかねない大きな問題だと思いますので、警鐘を鳴らさせていただきたいと思います。安倍内閣ではなかったのに、菅内閣では急に頻発している、大きな問題だと思います。  それでは、コロナ関連の問題に入らせていただきます。  年明けから二か月半、首都圏ですとか、それから近畿圏でも、緊急事態宣言ということで政府がブレーキを強くかけた。全国的にも、不要不急な出歩きはしないでくださいと、経済活動に制限を、緊急事態宣言を出したりですとか、あと口でアナウンスをすることで、全国的に経済にブレーキをかけたわけです。  一方で、その緊急事態宣言の間に、持続化給付金も打切りになり、テナント家賃給付金も打切りになり、あと納税猶予も一年たったので打切りになりというふうに、大玉がどんどんどんどん打切りになりました。  今回も蔓延防止等重点措置適用ということで、三つの府県でしたけれども、これは、全国的に引き続き自粛してくださいと政府がアナウンスをしているわけです。  政府が民間に対して経済活動をある意味するなと言っているにもかかわらず、じゃ、売上げが落ちて立ち行かなくなったところはどうするんですか、それは借金はある程度面倒を見るけれども、それ以外はある意味自己責任ですと。政府が経済活動を止めているのに、そのとばっちりは全部国民に受け止めさせる。耐えられなかったところは、残念ながら努力が不足していますね、若しくは運が悪かったですねと。今政府がやっている政策は、大ざっぱに見るとそういう政策をやっているわけです。  国の事業者をある程度残していかないと、V字回復しようと思ったときに、日本事業者がその需要を受け止められないわけです。日本がV字回復して経済の好循環を生んでいくためには、今苦しい事業者でも、ある程度残していかないとV字回復ができないわけです。そのためには、ブレーキをかけたときに、同時に同じぐらいの支援をしていかなければいけない、これは基本だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  95. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今年の年初に緊急事態宣言が発令されていた地域、それ以外であっても、サービス業、飲食店を中心に中小企業、小規模事業者が大変厳しい経済環境に置かれているものと承知をしております。そういった声は私にも当然入ってまいりますし、また、様々な議員の仲間からも入ってきているところであります。  こうした中小企業、小規模事業者事業継続を支えることは大変重要でありまして、このため、様々な支援措置をしているということであります。  具体的には、協力金も含めて、あと支援一時金、それに、これまでやってきた事業継続のための様々な措置があるということですが、合わせ技で対応してまいりたいと思っておりまして、さらにまた、雇用の維持という点では、私どもの省ではありませんけれども、中小企業、特に雇用の維持ということでは大変関連のある雇用調整助成金というものも、厚生労働省と連携をしながら我々も周知を図っているということであります。  それぞれの地域でどういう支援をしたらいいのか。国としては、全体一律のものしかできないということでありますから、それを最大限どうしていくかということも常に考えているところでありますけれども、一方で、それぞれの地域の事情もあるわけですね。産業であるとか、また雇用の状況であるとか。そういったものに関しては、都道府県と連携をしながら、地方創生臨時交付金、これは、協力金はしっかり手当てをした上で、地方独自の対策ということで一兆円を計上しておりますけれども、そういったものの類型を、好事例を挙げながら、地方と連携をしながら対応をしているところであります。  持続化給付金でも、五〇%以上の売上げ減というものが条件になっておりますけれども、ある地域においては、売上げ減がそれに達しない場合でも、一〇%刻みで地方創生臨時交付金を使って給付をしているところも幾つかあるということでありまして、そういった事例を挙げながら、様々な対策をしっかりとやってまいりたいと思っております。
  96. 落合貴之

    ○落合委員 地方独自に一兆円を自由に使えるようにすると。しかし、それは、国全体のGDPは五百兆以上あるわけですから、五百分の一しかない。しかし、経済のブレーキのかけ方は五百分の一どころではないわけです。ですから、実態より政府がお金を供給している量は断然少ない。  しかも、GoTo事業にそれなりに第三波の中で入れたわけですけれども、実質的に停止しているので、予算に対して実際に執行している額は結構少ないわけです。  先ほどの持続化給付金にしてもテナント家賃給付金にしても、春とか夏に給付の中心が来ているわけですので、第三波で大きな波が来たときは、もうお金の供給は終わっていたわけです。これから第四波の方がもしかしたらもっと大きな波かもしれないというふうに言われている中で、どんどんどんどん手じまいをしつつある。これは、政策を変えていかなければならないと思います。  我々は、先週、持続化給付金を、その仕組みをまた利用して再給付をするべきだ、あと、給付対象ですとか金額ですとかそれから要件も、もう少し実態に合わせて変えるべきだ、もう少し間口を広げていくべきだという我々の野党案を提出させていただきました。  持続化給付金自体はいろいろと問題もあった面もあるわけですけれども、大臣のところにも、持続化給付金、やってくれてよかったという声はたくさん来ていると思います。  こういう仕組みを一回やったわけですから、もう一回、この第三波、そして第四波に合わせて、しっかり事業者にお金を供給していくという必要があると思うんですが、持続化給付金の再支給、大臣、やるべきじゃないでしょうか。
  97. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金は昨年四月の緊急事態宣言を受けて措置をした支援策であります。当時の状況は、緊急事態宣言が再発令された本年一月の状況とは事業者を取り巻く状況が異なるわけであります。昨年四月は、本年よりもより広範な業態事業者が全国にわたって幅広く経済活動を自粛しており、事業の種類、形態によって感染拡大のリスクが大きく異なるという知見も全くないという状況でありました。  あのときも議論を三月末から四月にして、そして補正予算を組んで、補正予算が成立した翌日から申請を開始してということでやらせていただいて、また様々な御意見も野党の皆さんからもいただきましたし、お叱りも受けた。また、そういった中で、ある一定の役割を果たしたものだと思っております。  今回、今年になってからの緊急事態宣言、十一都府県の指定、そして徐々に解除をしていったということ、それで、今回の蔓延防止措置というものも地域を限定してやっていくということで、さらにまた、一月の緊急事態宣言のときの皆様の御意見も参考にさせていただいた上で蔓延防止の対策というものも昨日発表されたところでありまして、私どもの担当になる一時支援金のような対応ということになりますか、別物だと思っておりますけれども、蔓延防止措置の市町村単位でのお話、県単位でのお話があったときに、取引業者への支援というものも、こちらにコロナ本部から来ておりますので、しっかりと詳細の設計をしてまいりたいと思っております。
  98. 落合貴之

    ○落合委員 これは、いいところ、経済が回復してきているところと回復してきていないところがあるというようなお話でしたけれども、持続化給付金は、いいところには給付されないんです。悪いところには給付されるんです。だから、ほかの策よりか、持続化給付金みたいな策を取った方が、大臣がおっしゃるようなことは実現できるわけです。  大臣のおっしゃっているような観点から施策を打っていくんだったら、今までやってきたメニューだったら、持続化給付金が一番、業種も関係なく、本当に困っている人に行くということで、いい策なわけです。  これは、大臣は本当はやりたいけれども、財務省が止めているんでしょうか。
  99. 梶山弘志

    梶山国務大臣 常に対応、対策というものは内閣全体で考えております。  そういった中で、判断の時期ということになるのかなと思いますけれども、なかなかやはり全国一律というのは、本当に全国一律に効果が出るのかどうなのか。助かっているのも事実だと思うんですよ、皆さん。でも、それぞれの地域ごとの事情とか、また、細かい部分に目が行き届くという点を考えると、やはり地方創生臨時交付金、これ一兆円限りじゃないかというと、その前にも出していますし、またこういうものが必要であれば、考える必要は私はあると思っております。
  100. 落合貴之

    ○落合委員 是非、この持続化給付金再支給はかなり有効な手段であると思いますので、これからも取り上げさせていただければと思います。  あと、これは、政府がやりたいということであれば、野党は賛成するはずですので、是非やるべきだということをお訴えをさせていただきます。  それでは、一月に起こりました電力卸売市場の問題について、大臣是非決断をしていただきたいことがありますので、取り上げさせていただきます。  これは先ほど美延委員も取り上げていましたし、おとといは菅元総理も取り上げていました。海外でも、電力を自由に取引をするという仕組みは、電力自由化をしている国はみんな持っているわけです。日本も、安倍内閣のアベノミクスの三本の矢の柱の一つが電力自由化ですというふうに安倍総理もしきりに言っていました。  電力を自由化したことで、今までは発電部門と小売部門を同じ会社がやっていたわけですけれども、小売部門も新しい事業者が入ってこられるようになって、でも発電機能は持っていないので市場から買ったりするというようなことで、卸売市場というのは電力自由化を進めるのであれば絶対に重要な要素なわけです。  これは、法案の審議も前から行われてきましたが、中途半端だ、これだと旧電力会社が新しい電力会社を締め出すこともやろうと思えばできてしまう、だから、電力自由化をするのであれば、公平公正なルールを整備しなければうまく機能しませんということを、私も何回も国会で取り上げてきました。今の仕組みだと、取引に必要な情報が必ずしも市場参加者に公平に伝えられていないと思います。  先ほどから政府参考人答弁等でも、今のルールはそんなに間違いじゃないけれども、もうちょっとよくしていくんだというような答弁の仕方なんですが、私は、今のルールもかなり不十分で、そして、そのルールの不備は、エネ庁の担当者であれば絶対に認識していたと思います。それは、なぜなら、基本的なこともまだルールとして整備されていないからです。  今回、価格が上がってしまったのは、LNGの、天然ガスの在庫が逼迫したということも原因の一つであるというふうに言われています。LNGは発電の中で比率が多いわけなので、常に市場参加者は見ていかなきゃいけないわけですけれども、日本は、LNGの在庫は企業の機密情報の一つだということで、公開を義務づけていません。しかし、これは調べてみていただければすぐ分かりますけれども、ほかの国で電力自由化をやっている国は、そういう情報は絶対に公開しなきゃいけないという仕組みをつくっています。これは、じゃ、需給が将来どうなるか分からないのに取引しろと。しかも、電力の場合は取引しないという選択肢はありませんので、絶対に仕入れないと電力が不足をしてしまうということなので、金融の株とかとは違うわけです。  そういった形で、情報が公平に入手できないのに、もう市場には問題がないと言っていること自体が私はおかしいと思います。これは最低限のルールができていなかった。  それから、取引価格が、要は、電力の場合は急騰しやすいので、キャップをはめておかなきゃいけなかった。これもエネ庁も分かっていたわけです。だから、いずれは導入しましょう、二〇二三年ぐらいにやりましょうかねと言っていたら、今回のようなことが起こったわけです。これは早くやっておくべきだったのに、やっていなかった。  それなのに、今回、いつかは起こると言われていたことが起こったのに、民間の取引ですから民間にお任せをします、我々は、改善はしていますけれども、今までは間違えていませんでしたというような答弁の仕方を経産省はしているわけです。  これは、市場の情報公開も不十分で、やらなきゃいけなかった価格のキャップも決めていなくて、その中で急騰してしまって、七円とか十円で取引していたのが二百円とかそれ以上になってしまった。ほかの国のこの急騰問題を見ても、数日間急騰するというのはありますけれども、一か月近くも急騰したなんというのはないわけで、これは本当になるべくしてなった、市場のルールに欠陥があったと言わざるを得ないと思います。  ですから、民間の小売事業者に責任を押しつけるだけでいいのかなと。原発事故のときもそうでしたけれども、予想できるリスクに対してルールを作っていなかったのに、全部電力会社の責任で、エネ庁は責任ありませんという態度で来たわけですけれども、この電力市場も同じ態度で仕事をしているわけです。  今までルールを作る側にも欠陥があったんだから、少しは小売事業者に何らかの優遇措置を取ってあげる、補償を何らかの形でするか、あと、分割も、九回といっても、コストが二十倍ぐらい上がっているものを九回の分割にするだけじゃ、普通の事業者はそれでも支払いできませんので、もうちょっと先に繰延べするですとか、急騰したある一定額以上の分は、今回はルールができていなかったので国が面倒を見ますですとか、そういった特別な決断を大臣の下で行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  101. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まだ未成熟の市場だと私自身も思っております。二〇一六年に自由化になりました。  そういった中で、予見できるものはいつから直すかということで、激変という形ではなくて、予定をした上で、例えば上限価格は、来年の四月からというものを、これを前倒しするということですが、それらも予見できたんじゃないかということなんですが、複合的な要因が重なったものだと思っております。予見できていればちゃんとやっているわけでありまして、予見できた上で何もしなかった、不作為があったということではないと私自身は思っております。  そういった中で、一番最初に気になったのは需要家に対して高額の請求が行くことということでありますし、そういったことのないように、分割であるとか、ならして支払いをお願いをするとかということで、対策をしていただいている事業者に対してしっかりと対応をしてまいりたいと思っております。  ただ、七百社から新電力はあるわけでありますけれども、実際に取引しているのは五百十社なんですね。五百十社全社に声をかけております。そういった中で、百五十四社からその分割の申請をします、三百五十六社から申請の予定なしということでの回答がありました。  そして、一方ではリスクヘッジをしている会社もあるんですね。市場というもののリスクというものを考えた上でやっていく。安値だけでやって、安い電力料金で利用者の理解を得るというものもありますけれども、やはり市場の仕組みというものを理解した上でリスクヘッジをしている会社もあるという中で、これはなかったことにと、遡及してなかったことにということには私はできないと思っております。  そういった中で、分割であるとか、また、コロナ禍での金融機関へのお願いをしていますが、さらにまた、新電力対応ということで金融機関へのお願いというものも、文書も発出をさせていただいております。  ただ、今回の事案が発生したということですから、しっかりと検討させていきたいと思いますし、これは、私どもも責任を持って市場の整備というものをしていかなければならないと考えております。
  102. 落合貴之

    ○落合委員 大臣答弁書にも、市場のルールには問題がなかったというようなことが……(梶山国務大臣「なくはない」と呼ぶ)なくはないですか。  マーケットで情報が正しく入手できなくて、なのに絶対に買わなきゃいけない、価格上限のキャップもない、そういう状況だったら何かの事態がちょっとでも起これば急騰してしまうということを予見できないことはないわけです。だから、予見ができなかったということはおかしいと思います。誰だって予見ができるんです。せめてキャップだけでもはめておく必要はありました。なので、エネ庁の担当の仕事をしていなかったことが今回の結果につながっているということは、しっかりと認識をするべきだと思います。  残りちょっとしか時間がないですけれども、産業政策について取り上げさせていただきます。  日本産業競争力がどんどんどんどん下がってきてしまっています。デジタル分野も、三十年前は半導体の半分を日本企業が生産していたんです。それがもう今、一〇%ぐらいになりました。太陽光パネルも、十年ちょっと前までは世界の半分を日本が生産していました。今、一%以下になりました。何でこんなに急速に産業が衰退しているんですか。  これは一つの数字なんですが、配付資料を配らせていただきました。金融ビッグバン以降の企業のお金の使い方をグラフにしています。  売上高日本企業はほとんど変わっていないのに、経常利益が三倍になっているんです。なぜかというと、利益を出すために従業員の給料を減らして、設備投資も減らしている。何のためにやっているんですかというと、配当金を六倍にするためにそれをやっているわけです。  金融ビッグバンで、株主を優遇するために人件費を削らせて、会社の将来への投資も削らせて、それだったら人材は日本からいなくなりますし、設備もなくなって、競争力が低下をする。見るからに明らかなわけです、これも。  これは、コーポレートガバナンス改革の結果、こうなりました。それなのに、菅政権はまだこの路線でコーポレートガバナンス改革をやると言っているわけです。私は、更に日本が貧乏になってしまうと思います。  社外取締役の義務化といっても、それがグローバルスタンダードだと経産省は言っているんですけれども、ヨーロッパは義務化していません。義務化しているのはアメリカだけです。社外取締役はファンドから送られてきます。会社の経営に、ファンドに配当しろと言うわけです。  社外取締役の義務化をしたことで、多分、配当の額はもっと増えます。それから、MアンドAを現金を使わなくても株式の交換でできるようになる、そうなると、株もいっぱい持っているところがMアンドAをしやすくなるんです。  更に株、配当が増えるような施策を経産省が旗を振って二十五年間やってきて、更にやろうとしている。ほかの政策を幾ら打っても、ここを変えないとこの国の経済はよくなりません。これも、官僚だけでは方向転換をほぼ百八十度するのは無理なので、政治決断が必要です。大臣最後に、この点についてお願いします。
  103. 梶山弘志

    梶山国務大臣 株主の要求のみを重視するということではなくて、全てのステークホルダーにしっかり対応していくということ。今、低迷しているのは、先ほどありましたように、設備投資の資金、あと研究開発、さらに人材育成、こういったところで資金をかけなさ過ぎたということ。遅きに失したという声もありますけれども、しっかりとこの辺りをやっていくということ。  そして、コーポレートガバナンスは、旧型の日本の経営をやめようじゃないか、もう少ししっかりとした経営軸を考えようじゃないかという中でコーポレートガバナンスというものを考えておりますので、何も株主重視、株式配当重視ということだけではないということを御理解いただきたいと思います。
  104. 落合貴之

    ○落合委員 この決断は政治にしかできないと思いますので、これからも詳しく取り上げさせていただきます。  ありがとうございました。
  105. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  106. 笠井亮

    笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  一昨日、三月三十一日の所信質疑でも取り上げましたが、昨年十月二十八日に経産省の貿易保険監理官が日本貿易保険、NEXIによる法令違反の資金運用について一報を聞きながら、梶山大臣への報告は四か月後の今年二月十八日になってからだった。それまでの経産省の対応の経緯を裏づける資料の提出を求めたところ、大臣からは、できるものはしっかりと出してまいりたいという御答弁がありました。  ところが、梶山経産大臣、今日の質問までに出たのは、NEXI側の、昨年十月二十八日、それから十二月の二つの文書だけです、資料だけです。昨年十月から四か月間の経産省自らの対応に関する裏づけの資料というのは、いまだ一切出てきていない。これでどうやって経産省の対応を検証できるんでしょうか。
  107. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先般の質疑において委員からの質問に対しまして、御指示があった文書に関しましては、できるものはしっかりと出してまいりたいという、私は発言をさせていただきました。そういう指示を出しております。  そういった中で、メールなど経済産業省の職員が作成した資料で、経済産業省側の対応を検証できるものがあればお示しするように、事務方に今朝も指示をいたしました。
  108. 笠井亮

    笠井委員 速やかに、検証できるものを出していただきたい。  大体、経産省は一貫してこの問題を小さく見せようとしてきたのではないかというふうに思います。  去る三月四日に、「日本貿易保険における不適切事案に関する今後の対応について」という文書を公表されたのは経産省、ホームページにも出ました。不適切事案とは一体何のことか、タイトルからはさっぱり分からない。  大臣、この問題の本質は、NEXIが法令で禁じられている投資先への資金運用を行っていたという貿易保険法違反の問題であります。加えて、法令違反に対する経産省の対応が、法律を執行し、NEXIを監督すべき立場から見て適切だったのかということではないかと思うんですが、その点の認識はいかがですか。
  109. 梶山弘志

    梶山国務大臣 不適切事案があったということで発表をさせていただきましたけれども、この中身につきましても、先ほどの質問でも少しお話をさせていただきましたけれども、NEXIの法律においては、外国政府及び国際機関の発行する有価証券が運用の対象だということになっておりますけれども、これに準ずるもの、これと同様のものという感覚で、ドイツ連邦政府が法律に基づいて元本、金利の支払いを保証するドイツ復興金融公庫債というものを買っていた。これについて内部監査において疑義が呈せられたということで、それについて、実際に、これが了とするものかどうなのかという議論をしていたということ、さらにまた、売却をすべしというときの進捗管理が少しおろそかになっていたということだったと思っております。  そういうことも含めて、私への報告が遅れたと承知しております。
  110. 笠井亮

    笠井委員 不適切というよりも、結局は法令に反することをやっていたということが明らかになったのに、不適切事案ということをタイトルにして、そういう、明らかになった下で経産省は発表している。そういう言い方は、この問題は、NEXIの貿易保険法違反と、経産省が是正させる責任を果たさなかったという、極めて重大な問題の本質を隠すものになると思うんです。根本には大臣の監督責任が厳しく問われる問題だと言わなければなりません。  まずその上で伺いますが、貿易保険法の第二十九条第四号は、NEXIの資金運用先を、国債、地方債、政府保証債などに限定してまいりました。二〇一八年九月に施行規則を改正して、外国政府及び国際機関の発行する有価証券の取得も可能になったというのが十七条であります。投資先を拡大した理由というのは何でしょうか。
  111. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。  NEXIにおきましては、非常の危険、あるいは信用の危険に対して事故が起きたときに保険金を支払うという組織でございます。  その上で、企業方々から保険料をお預かりしているわけですけれども、これを将来の支払いに充てるに当たって、外貨建てで資産を保有するということが、今後の財政上も、財政の安定の観点からも重要だということで、御指摘いただきましたとおり、省令で、外国政府及び国際機関が発行する外国証券の保有を認めるという省令改正を行ったところでございます。
  112. 笠井亮

    笠井委員 そういう中で、NEXIは、二〇一八年十一月、一九年二月、一九年五月の三回にわたって、外国政府でも国際機関でもないドイツ復興金融公庫債を購入しているわけです。  昨年十月二十三日に、NEXIの内部監査でこの購入への疑義が提起をされて、二十八日に経産省に照会があったと。そのNEXIが原貿易保険監理官に出したとする文書がありますが、そこには、この債券が外国政府の発行する有価証券の対象として認められるものと考えるというふうにあります。二日後の十月三十日に原監理官は藤井通商金融課長に報告、相談したとしているわけですけれども、経産省も、NEXIの認識、その文書にある認識、これは認められるものであるという同じ認識だったんでしょうか、その当時。
  113. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。  今御指摘ございましたとおり、十月二十八日に日本貿易保険から、この債券、ドイツ復興金融公庫が発行する債券が外国政府の発行する有価証券の対象として認められるものではないかという照会がございましたけれども、私どもといたしましては、それは認められるものではないというふうに判断をしていたと承知しております。
  114. 笠井亮

    笠井委員 そのとき、売却の検討必要性を指摘したというふうに経産省の報告の中にありますが、そういうことですか。
  115. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 最初に照会を受けましたのが十月の二十八日でございますが、その後、担当課長への相談を経て、十一月五日にNEXIに対してそのように指摘をしたというふうに承知をしております。
  116. 笠井亮

    笠井委員 ところが、NEXIの方がその後出した記録というのが提出されましたけれども、その記録には、経産省から当該債券を保有しているのは不適切な状態だと言われたというふうにしか書いていないんですね。十一月と言われたけれども、十二月の中に、NEXIの文書に、不適切な状態だと言われたとしか書いていない。本当に売却の必要性を指摘したんでしょうか。
  117. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 ただいまの委員の御指摘の十二月の資料には、二〇二〇年十一月、経済産業省から当該債券を保有しているのは不適切な状態である旨回答ありという記載がございます。このNEXIが作成した資料になぜ売却の必要性が書いていないのかというのは私ども分かりませんけれども、私どもの方で関係の職員から聴取した限りにおきましては、十一月五日に売却の検討必要性も指摘したというふうに承知をしております。
  118. 笠井亮

    笠井委員 NEXIの文書を見ますと、今局長が言われたように、不適切な状態にある旨の回答ありというふうに書いてあるんだけれども、そこまでで、その上で、NEXIの対応方針の中に、当該債券を売却する方向で監査法人と相談を始めることとしたいと書いてあるんですよ。それはNEXIがそういうことで相談して始めたいということを言っているのであって、じゃ、本当にちゃんとそういう指示をしたのかどうかというのは、どこかに証拠があるんですか。文書で示していただきたいと思いますが、文書はありますか、そうやって十一月に指示したと。
  119. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。  十一月の指摘は口頭で行われたというふうに承知しておりますので、その指摘あるいは指示そのものを文書としては保有しておりません。
  120. 笠井亮

    笠井委員 口頭でやったと。こういう疑義があるといって、それで売却の必要性も指摘したと言っているけれども、それは口頭であったと。ちょっと驚くべき話ですよね。法令違反に関わる、そういう疑いだという話で提起があったことに対して、こんな大事な問題をなぜ口頭で済ませるのか。そうすると、結局、言った言わないということになるじゃないかということになります。  行政は、文書主義が原則であります。これはもう梶山大臣御自身がかつて公文書管理担当の大臣も務められてきたということで、よく御存じなことと思うんですが、経産省の行政文書管理規則は、経緯も含めた意思決定に至る過程並びに経産省の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成しなければならないと。  NEXIに対して売却の必要性を言ったということについては、口頭で、どこにも残っていないと。公文書にはメモも該当するわけですよね。こういう問題をやっているということは大変な問題だと思います。  では、伺いますけれども、貿易保険法第二十九条は、違反の罰則についてはどう規定しているでしょうか。
  121. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答えをいたします。  今いただきました貿易保険法第二十九条の規定に違反した場合の対応でございますけれども、日本貿易保険法第七十六条におきまして、その八号、「第二十九条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。」、このような場合には、「その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与若しくはその職務を行うべき社員又は監査役は、百万円以下の過料に処する。」と規定されております。
  122. 笠井亮

    笠井委員 大臣に伺いますが、経産省は罰則つきの法令違反という重大な問題をいつも口頭で済ませているんですか。
  123. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど委員から御指摘のありました書類には、当該債券を保有しているのは不適切な状態だということを言っております。  これに関して、あと、売却というのは口頭でということでありましたけれども、不適切な状態というのは、それを解消すべきだということでありまして、その口頭でのやり取りがあったということは、双方にそごがある話ではありません。向こうも認めているということであります。  できれば、これは詳しく、不適切な状態であるから解消して売却すべきと書くべきところだったかもしれません。
  124. 笠井亮

    笠井委員 これはちゃんと文書に残さなかったら駄目ですよ。後でNEXIの方が、言わなかった、聞いていない、自分たちは結局不適切なことがあったと聞いたけれども、対応として、NEXIは、我々は売却すると言ったんだ、何も指示は受けていませんよという話になったら大変な話だと思うんですよ。今、大臣、うなずかれている。  では、飯田貿易経済協力局長に伺いますが、局長はいつ誰から何と報告があったんですか、この問題に関して。法令違反という報告を受けたんでしょうか。
  125. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 私が本件について最初に報告を受けましたのは、二月の十五日でございます。これは、担当の課長から、今回の問題となっております二十九条、それからそれに基づく施行規則の関係条文、そしてドイツ復興金融公庫債が何であるか、そしてNEXIがそれをどのように今保有し運用しているのかといったような報告を受けております。(笠井委員「法令違反という報告はあったんですかと聞いています」と呼ぶ)法令違反の可能性があるというふうに報告を受けております。
  126. 笠井亮

    笠井委員 では、そういう報告を受けた中で、昨年十月二十八日にNEXIから経産省に照会してから実に四か月近くもたっていたわけですが、局長からは、これは法令違反だというふうに明確に指摘したんですか。
  127. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 本件については、先ほど申し上げましたとおり、貿易保険法二十九条の規定に抵触するものである、したがって、これは早急に是正する必要があるというふうに指摘をしております。
  128. 笠井亮

    笠井委員 経産省としては、ようやくそうやってはっきりと局長がそういう判断をしたということで、是正せよという話になったと。  経産省の時系列には、局長に報告があったその日、二月十五日に、経産省からNEXIに対し、債券売却、外部弁護士等も活用した他の貿易保険法遵守状況調査を含めた原因究明、再発防止策の策定、ガバナンス全体の総点検を指示したというふうにありますが、誰から誰に指示をされたのか、当然文書による指示をNEXIにやったんでしょうね。
  129. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 今御指摘のありました指示は、私から担当の課長に指示をし、それをNEXI側に伝達をしております。  この指示につきましては、先ほど御案内はありましたけれども、口頭で指示をしたということでございます。
  130. 笠井亮

    笠井委員 口頭で指示して口頭で伝達したということですが、二〇一八年にNEXIの不正入札というのが発覚した問題がありますが、その際には、貿易経済協力局長名でNEXIに文書を発して、次期システム開発業務に係る入札及び関連業務の調達について、外部弁護士を含む調査委員会設置して不正の有無を調査確認し、二〇一八年八月十日までに中間報告を、九月十二日までに最終報告を行うよう、板東当時の社長宛てに指示をしております。文書でしているんでしょう。  なぜ今回は、飯田陽一貿易経済協力局長から黒田篤郎NEXI社長宛ての文書でちゃんと指示しなかったんですか。口頭で伝達して、口頭で課長が指示した。こんなことをやっているんですか、経産省は。
  131. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答え申し上げます。  所管の法人に対する指示については、その事案の内容によって様々な対応があるというふうに考えてございます。  今回の事案に対して口頭で指示をしたということでございますけれども、これは元々NEXIから、その内部監査を端緒として、自主的にという言い方が適当かどうか分かりませんけれども、自ら申告があったことを踏まえて対応を始めたことなどを考慮して、口頭で指示をしたということでございます。
  132. 笠井亮

    笠井委員 様々な事案じゃ済まされませんよ。だって、法令違反ですよ。これでは歴史の検証に堪えられない。ここまで徹底して文書を残さない、出さない、口頭で伝達して指示したと。結局、何か表沙汰になったらまずいことがあるんじゃないかと言われても仕方がないですよ。  NEXIの不正入札問題では、二〇一九年八月に、元顧問が公契約関係の競売等妨害罪の容疑で逮捕されました。当時の経産省の公表資料には、「今回、元顧問が逮捕されたことは極めて遺憾であり、このような事案が二度と発生しないよう、同社が取り組んでいる再発防止策を引き続き実施するよう、指導・監督してまいります。」とあります。しかも、当時の経産省担当官も、今回四か月間も局長に報告を怠った課長と監理官、同じ方です。指導監督どころか、法令違反が露見しないように蓋をするような役割をしたんじゃないかと言われても仕方がない話になってきますよ。  飯田局長は二月十五日に報告を受けた翌日に官房長と次官に報告しておりますが、大臣への事案報告は十八日、三日後です。なぜすぐに大臣に、こういう事態があったことを報告しなかったんですか。
  133. 飯田陽一

    飯田(陽)政府参考人 お答えいたします。  二月の十五日に私は報告を受けまして、その後、先ほど申し上げましたとおり、NEXIに対する指示をしたわけでございますけれども、そういった対応の状況も含めまして大臣に報告するべきと考え、そのプロセスにおいて官房長、次官に報告、説明したということでございまして、結果的に二月十八日に大臣に御報告をすることになったという次第でございます。
  134. 笠井亮

    笠井委員 だって、これだけの法令違反があったことについて局長としては知ったので、何でこんなにたっているのかという思いを持ちながら、ちゃんとこういう指示をしましたと、そう大臣にすぐ言わなきゃいけないじゃないですか。三日も後ですよ。  多田官房長に伺いますけれども、官房長がこの話を局長から聞いたときに、それは重大だと、すぐ一緒に大臣に報告しようとなぜ言わなかったんですか。二月の十七日に、貿易保険法の参議院先議というのを決める議運がありました。それがあったから、まあそれが終わってから、大臣に言うのはと、そういうふうに思ったんですか。
  135. 多田明弘

    多田政府参考人 お答え申し上げます。  今委員御指摘のとおり、私自身、二月の十五日に局長にお話があって、その翌日の十六日に説明を受けました。  私が聞いたときに、これは大きな問題であるというふうに受け止めました。直ちにこれは次官にも報告をしようということでアレンジをさせていただきました。  こちらの出させていただいている資料にもございますが、翌日にNEXIが経営会議が予定をされているという状況であったというふうに承知をしておりまして、そこでこの売却方針を決定する、あるいはこの調査委員会設置する、こういったお話が動いているということでありましたので、そうした動きも含めて大臣に御報告をしようというのがそのときの私ども事務方の打合せの内容であったと記憶をしております。
  136. 笠井亮

    笠井委員 でも、それは本当に、いや、NEXIの対応を見てから大臣にと言っていたら、その間にマスコミから大臣に聞かれたら、知りませんという話になったら大変ですよ、これは。  まず第一報を入れるのが当たり前で、大臣最後に伺いますけれども、この法令違反をめぐるNEXIからの最初の照会、報告から大臣に届くまで四か月あったと。しかも、今言われたみたいに、局長がこれは法令違反だと判断してから三日後までなかったんですよ。こんなに遅れたことについて、どう思われたか。  それから、経産省がこの問題を三月十八日の経産委員会理事会で説明した資料も、結局、当事者の貿易経済協力局による聞き取りのまとめであります。聞き取りのメモだって、これも求めたけれども、これは出さないんですよ。官房長は、理事会でそのときに、組織のガバナンスの問題だと認められました。そういう問題だと私は思います。  梶山大臣がやはりどう感じられたかということと、直接指示をされて、局の中での処理じゃなくて、官房長の下で省として調査し直すべきだと思うんですけれども、その点、いかがですか。
  137. 梶山弘志

    梶山国務大臣 できれば、やはり速やかに私に連絡をしてほしかったというのが私の思いであります。  ただ、その間の理由もいろいろ聞いておりますし、その間のやり取り、今委員からおっしゃったように、文書で言っているもの、電話や口頭で伝えたものということがありますけれども、両者の聞き取りで、その経緯については私も承知をしております。そして、そのやり取りにそごはないということも確認をしているところであります。  本来であれば、しっかり一つ一つの文書に書いてあるのがしかるべきではあると思いますけれども、今回の経過についても、委員が要求する文書に対してはしっかりとお出しをしたいと思っております。
  138. 笠井亮

    笠井委員 終わりますが、文書主義ですからね、行政は。もう口頭でなんという、こういう法令違反を扱っていること自体、それから、その問題を直ちにやはり対応していないという省としての全体の問題、大臣に伝わっていないと。やはり、実態解明と検証が緒についたばかりで、いよいよ国会としての行政に対するチェック機能を果たさなきゃいけないと思います。  委員長にお願いしますが、今回の、今日の質疑も踏まえて、この間に関する経産省の対応を裏づける資料の速やかな提出と更なる徹底審議を求めたいと思うので、理事会で協議をしていただきたいと思います。
  139. 富田茂之

    富田委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  140. 笠井亮

    笠井委員 終わります。
  141. 富田茂之

    富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二分散会