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2021-03-31 第204回国会 衆議院 経済産業委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月三十一日(水曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長 富田 茂之君    理事 鬼木  誠君 理事 佐藤ゆかり君    理事 関  芳弘君 理事 武藤 容治君    理事 山際大志郎君 理事 斉木 武志君    理事 山岡 達丸君 理事 中野 洋昌君       畦元 将吾君    石川 昭政君       上野 宏史君    神山 佐市君       神田  裕君    工藤 彰三君       小林 鷹之君    佐々木 紀君       鈴木 淳司君    武部  新君       辻  清人君    冨樫 博之君       西村 明宏君    福田 達夫君       穂坂  泰君    星野 剛士君       三原 朝彦君    宗清 皇一君       八木 哲也君    逢坂 誠二君       落合 貴之君    菅  直人君       松平 浩一君    宮川  伸君       山崎  誠君    高木美智代君       笠井  亮君    美延 映夫君       浅野  哲君    石崎  徹君     …………………………………    経済産業大臣       梶山 弘志君    内閣府副大臣       堀内 詔子君    経済産業大臣政務官    宗清 皇一君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君    政府特別補佐人    (原子力規制委員会委員長)            更田 豊志君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 佐藤  暁君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           三浦 章豪君    政府参考人    (経済産業省大臣官房審議官)           岩城 宏幸君    政府参考人    (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   須藤  治君    政府参考人    (経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長) 佐藤 悦緒君    政府参考人    (資源エネルギー庁電力ガス事業部長)      松山 泰浩君    政府参考人    (中小企業庁事業環境部長)            飯田 健太君    政府参考人    (中小企業庁経営支援部長)            村上 敬亮君    政府参考人    (原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官) 山田 知穂君    参考人    (原子力損害賠償廃炉等支援機構理事長)     山名  元君    経済産業委員会専門員   宮岡 宏信君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  経済産業基本施策に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 富田茂之

    富田委員長 これより会議を開きます。  経済産業基本施策に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として原子力損害賠償廃炉等支援機構理事長山名元君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣大臣官房審議官佐藤暁君、経済産業省大臣官房審議官三浦章豪君、経済産業省大臣官房審議官岩城宏幸君、経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長須藤治君、経済産業省電力ガス取引監視等委員会事務局長佐藤悦緒君、資源エネルギー庁電力ガス事業部長松山泰浩君、中小企業庁事業環境部長飯田健太君、中小企業庁経営支援部長村上敬亮君及び原子力規制庁長官官房核物質放射線総括審議官山田知穂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 富田茂之

    富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 富田茂之

    富田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。菅直人君。
  5. 菅直人

    ○菅(直)委員 まず、こういう機会をいただきまして、委員長始め理事皆さんにお礼を申し上げます。  今日は、主に二つのことを取り上げたいと思っております。一つは、卸電力市場価格高騰によるいろいろな影響が出ていますが、そのことについて。もう一つは、原子力損害賠償廃炉支援機構、これがいろいろな役割を果たしておられますが、この在り方がなかなか、私などから見ても、余りにもいろいろなことをやっているのでよく分からない、多分国民皆さんもなかなか分からないのではないか、そういう観点から少し質疑をしていきたいと思います。  まず、資料ですけれども、これは最近の朝日新聞で、新電力エフパワーが破綻したという記事であります。  今回の卸売価格高騰については、いろいろな指摘がありますが、当初は、何か気候のせいとか、天気のせいとか、あるいは再エネ不安定性原因じゃないかとかと言われておりましたが、その後、大分論調も変わってきていますけれども、私が見る限りは、全くそうではなくて、やはり卸売市場が、これは皆さんというか、政府の答申などにも書かれていますが、少なくともきちんと完成形になっていなかった、そのためにいろいろなことが、予想外のことが起きた、こういうふうに思っております。  まず、大臣にお聞きしたいんですが、こういう新電力、特に再エネを中心とした新電力が同じように次々と破綻してしまう可能性について、どのように見ておられますか。
  6. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず、エフパワーお話がありましたけれども、個別の民間企業経営に関する評価、コメントは差し控えさせていただきます。  その上で、一般論として申し上げれば、今冬の卸電力市場価格高騰を受けて、特に卸電力市場から調達依存度の高い新電力などが大変苦しい経営状況になっていると承知をしております。  このため、資源エネルギー庁において、供給実績のある新電力全五百十社に対しまして、供給力不足時の精算金分割払いを可能とする措置の御案内をさせていただいたところであります。五百十社の中で、百五十四社から分割申請予定であるとの回答を、また三百五十六社からは申請予定なしとの回答をいただいたと承知をしております。  このように、事業者により状況は様々であるところでありますが、資源エネルギー庁に設置した新電力専用相談窓口において事業者ごとの個別の御事情を丁寧に伺いながら、引き続き状況を注視してまいりたいと思っております。  このような状況が起きたことについても言及がありましたけれども、やはり様々な要因があったと思いますし、市場の仕組みというものも含めて、これからしっかりと検討していかなければならないと思っております。
  7. 菅直人

    ○菅(直)委員 今、個別企業のことは言いにくいということは、それはそれとして理解できないわけではありませんが。  しかし、もう一つ、たしか一月分のインバランス料金について、これは今年の十二月までの分割払いが可能になったということですが、これは、少なくとも短期的な回避措置としては一歩前進だと思いますが、それでは十分ではないのかと私は思います。  例えば、二月十七日の電力ガス基本政策小委員会でまとめられた市場価格高騰を踏まえたインバランス収支管理在り方では、「インバランス収支扱いについては、収支相償観点から、仮に大きな収支過不足が発生した場合にはその還元調整等検討する」、こういうふうに委員会でまとめられております。  今回、一方では、予想外利益を受けた大手電力会社があり、あるいは、逆に、予想を超えた損失を受けた会社がある中で、このインバランス収支扱いについて、収支相償観点から、仮に大きな収支過不足が発生した場合にはその還元調整方法検討する、これが出されたのは二月の十七日ですから、もう一か月以上たっています。具体的にどういう検討が進んでいるかを大臣にお聞きしたいと思います。
  8. 梶山弘志

    梶山国務大臣 高騰支払い対策ということで、まず、先ほど委員からもお話がありましたように、五回に分割、さらにまた、九回に分割という形にさせていただきました。  小売電気事業者が十分な供給力を確保できなかった場合、安定供給を確保するために、一般送配電事業者不足分供給を行うこととしております。この際、小売電気事業者から一般送配電事業者に対して精算金を支払うことになりますが、この精算金市場価格に連動して決定されることから、この冬の市場価格高騰を受けて高額な精算金が発生をしているということであります。  仮に、市場価格高騰に伴い、一般送配電事業者が要した費用を上回る収益を上げているとすれば、広く需要家還元していくことが適当であると考えております。  既に、審議会先ほどお話がありました電力ガス事業分科会電力ガス基本政策小委員会において議論をしているところでありますが、そのような方向性で、消費者に、需要家還元をするというような方向性議論をまとめているところであり、引き続き検討を深めてまいりたいと思っております。できるだけ早く結論を出してまいりたいと思っております。
  9. 菅直人

    ○菅(直)委員 先ほど申し上げましたように、二月の十七日に先ほど申し上げたようなことが言われているわけです。  今大臣が言われたことで、ちょっと私の聞き間違いかどうか分かりませんが、消費者が負担しろということを言われたんですか。どういう表現、今の表現が、何かちょっと、聞き間違いかもしれませんが、つまりは、値上がりしたんだからその分を価格に転嫁して消費者から取る、そういう趣旨で言われたのか。そうでないとしたら、先ほども申し上げましたが、どういう観点から、収支相償という言葉が使われていますが、つまりは、還元調整検討しているのか。もう一か月たったんですから、ちょっと具体的に方向性、あるいは時期を示してください。
  10. 梶山弘志

    梶山国務大臣 高騰して、高額の請求が小売の方に行くわけであります。その小売に対して分割をという手段を取りました。これは、過去分について対応するということではなくて、分割対応したいと考えております。そして、その高騰によって得られた収益に関しましては需要家還元をするということであります。
  11. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっとよく理解できないんですけれども需要家というのは誰のことを指していますか。消費者ですか。消費者にどうやって還元するんですか、具体的に。どこのお金消費者還元するんですか。答えてください。
  12. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  やや技術的なところでございますので、私の方から御説明させていただきます。  今大臣から御答弁申し上げましたように、今回、インバランス料金が非常に高くなりました。それによって、一般送配電事業者、旧大手電力送配部門でございますけれども、ここが今、送配電事業者になっております。ここに過剰な利益がたまった場合、これについて、小売の、たくさん払った小売事業者に返すのか、若しくは広く全員に対して返すのかという議論がございます。今回については、余剰の利益がたまったものについては広く全体に還元していくべきだというふうに考えてございます。  方法から考えますと、先ほど需要家に最終的には還元されていくことになるわけでございますが、例えば託送料金というところの値下げのところの勘定としてこれをカウントしていくなどの方法があり得ると思いますが、その具体方法については今後検討していくことになるかと認識してございます。
  13. 菅直人

    ○菅(直)委員 今のでもちょっと私にはよく分からないんですが、消費者還元するというのは、それは結構なことですよ。消費者というのは、そういう、例えば、これでいえば新電力エフパワー電力を買っていた人が一時的に高い料金を払わなきゃいけないから、ではその人たちお金を何らかの形で償還するというのは、それは、業者に払うか消費者に払うか、それは選択肢としてあり得ると思います。  しかし、そういうふうに本当に消費者を探し出して、あなたにこれだけ値上がりしたからこれだけ払うということを直接やる、そういう意味で言われているんですか。そのぐらいをやるのであれば、私は、新電力そのものに、調査を今されているはずですから、その的確な金額を補償するのと、結果としては同じじゃないですか。
  14. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  最終的には、利用者である一般国民方々、利用する電気料金が下がるという方向還元していくということになるかと思います。  ただ、委員今御指摘いただきましたような形で、例えばエフパワー消費者方々というわけではございませんで、全ての小売、全体として割り戻した形で、全体的な電気料金が下がる、そのための託送料金が全体的に下がっていく、こういう方向に動いていくように、方式等はこれから検討になりますけれども、あくまでも需要家還元していく。ただ、個別の小売事業者若しくは小売事業者需要家ということではないということを申し上げたいと思います。
  15. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうすると、個別と言われましたが、この新電力エフパワーも、かなり新電力としては大手だというふうに報道でもなされています。  じゃ、そういうところが潰れるのは仕方がないということなんですか。そういうところが、やはり、これはややこのマーケットのまだ不十分性があったから、そういうところが潰れることも何か避けられるような手だてが、今やられようとしていることで、例えば、消費者還元するんだから、本来ならエフパワーがかぶらなきゃいけないものもかぶらないでいいという結果になるのならいいですよ。今の話を聞くと、消費者還元する、それは大いに結構です。では、業者は、新電力業者が潰れるのは仕方ない、そういう意味ですか。
  16. 松山泰浩

    松山政府参考人 お答え申し上げます。  冒頭の、御質問を頂戴しましたエフパワーという個別社についてはコメントは差し控えたいと思いますけれども電力小売事業というものは、結局、電力調達をいかにコストとリスク管理の中で提供していくかという事業戦略の下で行われているもの、小売事業はなされているものと認識しております。  もちろん、これが、事業継続ができないとなりましても、最終的には電気供給というのは確保できるように電気事業法の中で措置してございます。問題は、事業継続がされたときの消費者保護がしっかりなされるかどうか、これは確実に担保していきたいと思っておりますが、小売事業については、私どもも最大限の支援をしていきたいとは考えておりますけれども、こういう中において、事業について影響が大きく出るところ、大きく出ないところというものは、その結果として生じるものというふうに認識してございます。
  17. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く不十分ですね。  つまりは、元の九電力、いわゆる大手電力は、結果的には、わざわざそれを狙ったかどうかは別として、経済的な損失は被らない、場合によっては一時的な利益が上がった。しかし、新電力の中では、もちろんうまくヘッジをしていたところも聞いていますけれども、必ずしもヘッジができていないところは事業そのものが潰れてしまうわけですよ。  私は、もちろん、総理のときにFITを導入することで努力した一人ですから、やはりFITで太陽光とか風力とかを事業としてやってきた。もちろん、それだけで安定的に十分には電力を確保できないから、当然マーケットで買うということもやっておられるわけですから、そういう、特に再エネの多い新電力が結果としてどんどん潰れていくということは、私は再エネの振興に逆行すると。  ですから、消費者還元するものでも、結果としてそれが再エネ業者にとっても負担が軽くなる、そういう道筋ならいいけれども、それと関係なく、事業者はもう勝手なんだということであれば、私はこれは全くおかしいと思いますが、いかがですか。
  18. 梶山弘志

    梶山国務大臣 事業者に対しましては、先ほど申しましたように、九分割、さらにまた、資金調達在り方について金融機関への特別な文書の発出等もしているところであります。  そういった中で、個々の企業経営につきましては言及をいたしませんけれども、そういった中での事象であって、連鎖をしないように私どもはしっかりしてまいりたいと思いますし、委員がおっしゃるように、仕方ないんだということではありませんでして、そういう連鎖が起きないようにどういう手だてをしたらいいかということをこれからも検討してまいりたいと思っております。
  19. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと方面を変えて、今日は公取委にもおいでいただいています。公取委の方も、経産省と一緒になって、いろいろとこの問題についての指針を出されています。  私は、公取委というのは準司法的な性格もあって、まさにこういうときにこそ、国民全体の状況を見て、今の話で言えば、もちろん消費者皆さんに対する保護もそうですが、そういう競争関係にあって大手電力会社に比べてそういうマーケット高騰に打撃を現実に受けているところに対して、やはり何らかの対応が必要だというのは誰の目から見ても明らかなんですから、公取委としてこの問題にどう対応されるおつもりか、お聞きしたいと思います。
  20. 古谷一之

    古谷政府特別補佐人 個別の事例が独禁法に違反するかどうかについてはここでは差し控えさせていただきますけれども、今御指摘がございましたように、公正取引委員会経済産業省が共同で出しております適正な電力取引についての指針に記載されておりますとおり、旧一般電気事業者が不当に電力投入を制限することなどにより、他の小売電気事業者卸電力取引所において電力調達することができず、その事業活動を困難にさせるおそれがある場合などには、独占禁止法に違反することとなります。  この場合、今、不当にと申し上げましたけれども競争者をそのマーケットから排除する目的を達成するための手段として電力投入量を制限するといったような場合がそれに該当すると考えております。  公正取引委員会としましても、今回の卸電力取引所における電力卸売価格高騰した問題につきましては、年末年始から強い関心を持って注視をしております。  引き続き、電力ガス取引監視等委員会とも連携をして、フェアな競争環境の整備が図られるよう努めてまいりたいと思いますし、仮に独占禁止法に違反するような事実が把握できましたならば、厳正に対処をさせていただきたいと思っております。
  21. 菅直人

    ○菅(直)委員 公取委にもう一つお聞きしますけれども、この背景には売り入札減が大きく原因した、その認識公取委も見ておられますか。
  22. 古谷一之

    古谷政府特別補佐人 その点につきましては、電力ガス取引監視等委員会ヒアリング等をして、今、事実関係を把握しておられるというふうに思います。  そういった面もあったんだろうとは思います。
  23. 菅直人

    ○菅(直)委員 経産大臣も聞いておられますけれども、結局、原因は、意図的であるかないかを言っているんじゃないですよ、結果として売り入札が減って高値張りつきを起こして、その背景には、市場制度が不十分で公正な競争環境が整備されていない政策的問題があった、つまりマーケットが未完成であったと、たしか書いてありますよね。  そういう認識があるならば、先ほど消費者還元すると。それはそれで結構ですよ。しかし、こういう原因ということをきちんと分析されているのなら、それによって新電力つまりは、大きな九電力ではないところがそういうことによってばたばたと倒れるのをやはり政策的に何らかするというのは、これは政策的に必要じゃないですか。それが法律上、既存の法律でどうできるかじゃなくて、政策的に今必要なことだと思いますが、大臣、どうですか。
  24. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまでの議論のように、売り札がなかなか入らなかった、少なかったということも高騰一つ要因であります。その売り札が少なかったということが恣意的なのか不可抗力なのかということも含めて、しっかりと審議会で今調査をしているところでありまして、私の方からも、恣意的なものがあるのかどうなのかということも含めて、非常に重要な点だということで、その審査、調査というものをしっかりやるように命じているところであります。  ただ、経営方針はそれぞれ新電力もありまして、そういった中でこういったことも起こったと思いますけれども、こういうことが連鎖がないようにしていきたい、先ほど答弁と同じですけれども、してまいりたいと思っております。  ただ、いずれにせよ、この制度というものを変えていかなければならない。そして、分割等救済策、さらにはまた金融関係ということで、しっかり対応してまいりたいと思っております。
  25. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答弁の中で一番気になるのは、恣意的か不可抗力かと言われましたが、恣意的だと私は言っているんじゃないんですよ。マーケットが不完全で、結果としてそういうことが起きたと。起きたことははっきりしているわけですよ。  だから、恣意的だったら、それはそれこそ公取委の問題になるかもしれません。恣意的でなくても、マーケットがそういうものを予想しなかったからこういうことが起きたのであって、それに対してきちんとした対応をすべきじゃないですかということで。これは政策判断ですから。  私は、どういう答弁になるにしても、この問題はある種、悪くすれば、余りこういう言い方はしたくはありませんが、再エネ潰しではないかということを感じておられる関係者は多いんですよ、結構。やはり再エネの方が新電力は大きいですからね。そうでないというのならば、そうでないような政策的対応を取るべきだと思いますが、もう一度だけ答えてください。
  26. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これは、市場は信頼の下に成り立つわけでありまして、過去の分までは、遡った形は、なかなか対応というのはできないと思っております。  ただ、市場をどう改革していくかということに関しましては、今議論をしているところでありますけれども、幾つかの具体策も含めて私も聞いているところでありまして、これもしっかりと市場の改革、改善というものをしてまいりたいと思っております。
  27. 菅直人

    ○菅(直)委員 全く納得できません。  過去の分はできないと。だから政策的じゃないんですかということを答えているんですよ。今までのルールではそうでしょう。しかし、マーケットがそういう十分に成熟されていない中で予定以外の状況が起きたんですから、それが一部の再エネ業者に集中的にかかっているわけですから。それを、恣意的であるかないかとか、そういうことではなくて、現実に起きている問題に対しての対応を求めているのであって。  これ以上この場で答弁を求めても同じでしょうけれども、この問題はこれだけでは終わりません。もう既に我が党の仲間も何度かこの問題を取り上げていますけれども、少なくとも、経産大臣が思っている思っておられないは別にして、結局は、旧来の九電力が、火力の供給力とか子会社があって、いろいろ自由なことができるけれども、新電力はそれだけの力がないところがどんどん淘汰されてしまうとしたら、それは経産大臣責任でもあるということを申し上げて、次の問題に移りたいと思います。  原子力損害賠償廃炉支援機構というものがあることは、もちろん関係者皆さんはよくお分かりだと思います。  今日は、支援機構山名理事長にもおいでをいただいていますが、東電意思決定、例えば事故を起こした原子炉廃炉に何年かかって、何兆円が必要になるとか、そういったいろいろなことを見通して資金的な意思決定どもされていたり、あるいは、東電が東海第二原発について原電に対して支援するというようなことを決定していたり、そういういろいろな資金的な決定も当然東電はされているわけですが、この支援機構として、そういう意思決定にどのような形で関わっておられるのか、お聞かせください。     〔委員長退席中野委員長代理着席
  28. 山名元

    山名参考人 お答えいたします。  私どもは、原賠廃炉機構法に基づいて、その責任を果たすという業務をやっているわけですが、基本的に、この東電の問題に関しては、総合特別事業計画というものを東電と機構が一緒に作り、最終的に政府の認定をいただいた上で、一つ経営方針としてそれを共有して、東電にその履行を求めるというやり方をしております。  私どもは、この総合特別事業計画をきっちりと東電に果たしていただく、その中で、福島第一関連の責任事業もきちんと完遂していただくことをきちんと監視している、そういう立場から東電に接しているわけでございます。
  29. 菅直人

    ○菅(直)委員 東電の現在の筆頭株主は誰で、持ち株比率は幾らになっていますか。あわせて、国が東電に交付されている交付国債の総額は幾らですか。
  30. 山名元

    山名参考人 東電の株式に関しましては、私どもが総株数のうちの五四・七%、十九億四千万株保有しておりまして、そのうち、議決権比率でいえば五〇・一%の株を保有しているということでございます。
  31. 菅直人

    ○菅(直)委員 交付国債に関しては、これは理事長に聞くのがいいのかどうか分かりませんが、どうなっていますか。
  32. 山名元

    山名参考人 交付国債に関しましては、既に政府から十三・五兆円の交付国債の枠を頂戴しておりますが、このうち、約九兆数千億円を償還した上で、これを東電に資金交付しております。  東京電力は、この資金を使って、被災者に対する賠償、それから除染の費用、中間貯蔵に関わる費用を支払っていくという形になっております。  以上でございます。
  33. 菅直人

    ○菅(直)委員 経産大臣は、この機構との関係を含めてどういう立場ですか。経産大臣ですよ、経産大臣の立場を聞いているんですよ。
  34. 松山泰浩

    松山政府参考人 経産省との関わりで申し上げますと、二〇一七年に新々・総合特別事業計画を定めてございますが、この原賠機構が東京電力に対して関与が求められる福島事業及び早期自立が求められる経済事業等について、関与の仕方は違うわけでございますが、それぞれ、原賠機構と東電との関係でなされております。  一方で、経産省としましては、これに対する国としての出資というものがあるわけでございまして、その株主としての性格、同時に電力事業を所管する大臣としての立場、こういう観点から、この適切な事業の実施というものの監督という形で関わっているものでございます。
  35. 菅直人

    ○菅(直)委員 本当ですか、そのことは。そんな答えが通るのかな。  当機構に係る主務大臣は、内閣総理大臣、経産大臣及び文科大臣であると。主務大臣の一人じゃないんですか。しかも、経産大臣内閣府特命大臣原子力損害賠償廃炉支援機構担当)を兼務し、特命大臣の下に置かれる内閣原子力損害賠償廃炉支援機構の担当室が所管事務を担当している。何でそう答えないんですか。そんな抽象的なことばかり答えて。  つまりは、経産大臣は、私がこれを見る限りは、他の大臣も併任ではあるけれども内閣府特命大臣も兼任して、事実上、この機構の、何といいましょうか、最も大きな権限を握っているのが経産大臣、まあ総理大臣は別としてですね。そういう理解が間違っているのなら、間違っている理由を言ってください。間違っていないなら、そうだと答えてください。
  36. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そのとおりであります。  そして、これは、特別事業計画に関してのまた認定というものも私どもがさせていただきます。
  37. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか。よくその辺りを、ごまかさないでください。経産大臣は、単に経産大臣としてだけではなくて、機構の担当責任者として、そういう立場にあるわけですよ。  そして、更に言えば、じゃ、東電は当機構を介して実質国有化されている、こういう見方を指摘されている人もいます。  先ほど来聞いていますように、株式は少なくとも五〇%以上を所有し、この交付国債というのはなかなか厄介ですが、それも九兆円を交付し、そういうことを全ては担当大臣として了解されているんですよね。大臣、いかがですか。
  38. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そのとおりであります。
  39. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、そういうことからすれば、実質上、東電は当機構を介して国有化されていると言われる状況にあると私も思いますが、それは違いますか。
  40. 梶山弘志

    梶山国務大臣 実質国有化という言葉がいいのかどうか分かりませんけれども原賠機構は、東京電力に対して、総合特別事業計画について、強い関与が求められる福島事業と早期自立が求められる経済事業等では関与の方法に差があるということであります。  経済事業等については、早期自立を促すために体制の合理化を図るといったモニタリングの重点化を行ってきたところであり、個別の経営判断は東電自身の裁量で対応してきたところでありますけれども、福島の廃炉、そして復興ということには強い関与をしているところであります。
  41. 菅直人

    ○菅(直)委員 それならお聞きしましょう。  福島第一の事故を起こした、特に一号から四号機の廃炉について、いろいろと、どのぐらい時間がかかるとかどのぐらいの費用がかかると言われていますが、大臣として、関与されているというのであれば、この一号から四号の廃炉について、期間と費用がどの程度かかるとお考えですか。
  42. 梶山弘志

    梶山国務大臣 期間につきましては、三十年から四十年ということで、二〇四一年から五一年までの廃止措置終了を目指しているということでありまして、現在のところ、廃炉費用というのは八兆円ということであります。
  43. 菅直人

    ○菅(直)委員 今のところではなくて、大臣自身がその程度の費用とその程度の期間でやれると思っておられるんですか。  例えばチェルノブイリ、私も行ってきました。事故が起きて三十五年たっています。現在どういう状況にあるか御存じだと思いますが、かつては石棺というのを造ってかぶせていましたが、それが壊れて、壊れてというか傷んで、大きな金属ドームをかぶせています。外に放射能が漏れないようにはしています。しかし、百年単位その状態で放射能の放出を抑えるというところで、その状態を保つというのが今の方針だと聞いております。  つまりは、三十年とか幾らとかと言っても、チェルノブイリよりもっと激しい事故ですよ。デブリなんというものは、もちろん、型が違いますから同じように比較はできませんが、少なくとも軽水炉でデブリまで出たようなものというのは初めてですから。私は、今の見通しは全く実情に合っていないと思いますが、いかがですか。
  44. 梶山弘志

    梶山国務大臣 今委員からお話ありましたように、燃料デブリの性状というものは、どれだけの分量があるかということも現状では見通していないわけであります。デブリの性状、分量の把握ができない段階において申し上げることは大変困難であると思っております。  ただ、将来的に必要となる資金が見通せるようになってくれば、その時点で、廃炉費用として追加するべきものはしっかりと追加をしていくというのは、現状の方針であります。
  45. 菅直人

    ○菅(直)委員 それなら最初からそう答えられたらどうですか。これだけで大丈夫だ、大丈夫だと。  今ほとんどの場合、大丈夫だ、大丈夫だと言われているんですよ、期間も費用も。しかし、現実には、私から見ると、期間も、チェルノブイリの例から見ても、それではとても無理だし、費用もそれでは無理だと。  結局は、そうでありながら、経産大臣が事実上、経産大臣としてを超えてこの機構というものの責任者になって、そこを通して巨額の金が使われている。しかし、これは予算と違いますので、国会審議の直接的対応になっていません。もちろん、こういう委員会だったらいけますけれどもね。  私は、この在り方は非常に、国民的に見て不自然だと。もっと経産大臣は、責任者であるならば、今のように、こういうふうに言われていますじゃなくて、あなたが一番決める責任者に現実になっているんだから、ちょっとこれは難しいと思いますとか、いやいや、とても二十年や三十年じゃ無理だと思いますとか、いやいや、責任を持ってそれはやれますと、根拠を示すなら示して、そういうことをきちんと言わないと、私は、結果的にしろ、国民皆さんに対して間違った認識を与えることになると思いますが、いかがですか。     〔中野委員長代理退席、委員長着席〕
  46. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほどの八兆円というのは、ある程度の蓋然性をもって積み上げたものでもあります。ただ、デブリの性状が分からない。そして、これらを分かってから、どういう工法、今の工法で大丈夫なのかどうかということも考えていかなければならない。その分かった時点では、しっかりと金額を出すべきものは出していこうということで、そういう方針の下に私が指示をしておるところであります。
  47. 菅直人

    ○菅(直)委員 まあ、余り細かいことを聞いても恐縮ですけれども一つだけ今の言葉を取り上げれば、蓋然性ってどういう蓋然性ですか。私が知る限り、デブリの状況というのは、まだ存在自身をやっとロボットで分かったとか、あるいは、宇宙から飛んでくる線をカウントしてある程度分かったとか、その程度だと私は認識しています。  まだまだ、どこにどれだけの量があって、それを取り出すことができるかどうか、さらには、取り出した場合に、それをどこかが受け入れられると。めちゃくちゃに放射能が高くて、五年、十年じゃそんなに下がりませんから、とてもそんなものを受け入れられる場所はなかなかない。  私は、やはりもうちょっと客観的に考えて、例えばチェルノブイリの場合、百年間はその場所で管理するしかない、そういう方向を出されていると思いますけれども、そういう結論が一足飛びに出ないまでも、何かいつも、いや、このぐらいで済みそうだといって、費用もどんどん、それが二倍、三倍、五倍になり、期間もどんどん二倍、三倍、五倍になる。  それは、我々は十年、二十年たったらもうこの世にいないかもしれません、大臣はまだお若いからあれかもしれない、だけれども、後に残される人のことを考えたら、そういうふうに、見通しもないのに大丈夫、大丈夫と言うことは、現代を生きる政治家としては私は無責任だと思うので、あえてそのことをちょっと申し上げて、何か答弁があれば聞かせてください。
  48. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほど申しましたように、形状もよく分からないということでありますから、それらも含めて、例えば今チェルノブイリの例をお出しになりましたけれども、スリーマイル島の事故の五十倍から六十倍という想定の下にこういう予算を組ませていただいたということであります。  ただ、デブリを、どういう性状かということも分かったときには、もし費用がかかるのであればしっかりとそこは訂正をしていかなければならないと思っておりますし、その後の処理というものも線量によって変わってくるものだと思っておりますので、そういったものが判明し次第、しっかりと対応をしてまいりたいと思っております。
  49. 菅直人

    ○菅(直)委員 余りこういうことは言いたくないんですけれども、スリーマイルと違うんですよ、全然。スリーマイルはメルトダウンが起きていないんですよ、御存じでしょう。失礼しました、メルトダウンは起きたけれども、メルトスルーは起きていないんですよ。つまりは、圧力容器の中で燃料が溶けたんですが、圧力容器を突き抜けて下に落ちた今のデブリの状態にはなっていないんですよ。ですから、圧力容器の中にあったメルトダウンした核燃料を何年かかけて取り出したわけです。ですから、今はもうそういうものは入っていません。全然違うんですよ、事故のレベルが。  ですから、スリーマイルがこうだったからこの程度で何とかなるだろうというのは、認識が全く違います。もし、どこかのお役人がそういうことを教えていたら、それはほとんど間違いを大臣に伝えていますから、そこは気をつけた方がいいですよ。
  50. 梶山弘志

    梶山国務大臣 あの頃、ちょうどチャイナ・シンドロームというような言葉が出たときだと思いますけれども、スリーマイル島の事故に関しましては、やはり十億ドル、大体費用がかかっているんですけれども、その五十倍から六十倍という想定をしたということで、同じものとは想定をしておりません。  ただ、想定以上のものがある可能性もあるということで、そこはしっかりと現実を見ながら対応させたいと思っております。
  51. 菅直人

    ○菅(直)委員 そろそろ時間なので、これ以上は水かけ論はやめますけれども、余りにも、この事故、ちょうど十年たったわけですよ。あしたは、予定どおりいけば、原子力委で東電関係者からも話を聞くことにしていますが、やはり十年たっていろいろなことが改めて分かってきたのと、改めてその処理の難しさも分かってきたんですよ。  ですから、そういう分かってきたことを踏まえて、国民にちゃんと知らせないと、間違った認識のままで、この程度で大丈夫だ、この程度で大丈夫だといって、それが十倍、百倍となりかねない状況が、私は、やはりこの十年の段階でもう一度、経産大臣が、そういう担当の責任者なんですから、もう一回、そういういろいろな専門家の話を聞かれて、きちんと見通しを政治的に持たれてください。技術的には、それは専門家に聞かれるのは大いに結構ですから。  そのことをお願いして、私の今日の質疑を終わりたいと思います。
  52. 富田茂之

    富田委員長 次に、逢坂誠二君。
  53. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二でございます。  今日は避難計画についてやらせていただきたいと思っていますが、議事録を見てみると、避難計画については余り突っ込んだ議論がどうもないようですので、しばらくの間は避難計画に特化して、今日一日だけでは終わらないと思いますけれども、やらせていただきたいと思います。  まず冒頭ですが、基本的な事項を何点か確認をさせてください。  これまでも質疑答弁の中で聞いているものもありますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。  まず一点目、現在立地が許可されている原子炉、これは全て二〇一一年三月十日以前の許可と承知しているけれども、それらの許可において過酷事故を想定したものはあるのかということ。特に具体的に、大間原発は過酷事故を想定していたか、仮に事故が発生した場合でも、その影響は敷地内にとどまる、大間はそういう理解でよいのか、これは規制委員長にお伺いします。
  54. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 お答えをいたします。  二〇一一年三月十日以前というお尋ねですが、東日本大震災以前の旧原子力安全・保安院による設置許可の審査におきましては、旧原子力安全委員会の立地審査指針で定められた当時の重大事故、仮想事故、用語は今と異なりますけれども、重大事故や仮想事故として、環境中に放射性物質が放出されることを前提とした事故を想定しておりました。  大間原子力発電所につきましては、旧原子力安全・保安院の審査において、当時の重大事故、仮想事故が発生した場合でも、非居住区域及び低人口地帯の範囲が敷地内に収まり、当時の基準を満たすことなどを確認した上で、原子炉の設置を許可したと承知をしております。  ちなみに、新規制基準では、当時の重大事故、仮想事故を超えるような事故を想定した基準に基づきまして、対策が機能するかどうかという審査を行っております。
  55. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それで、二点目。これも基本的なことですが、それは二〇一一年三月十日以前のことであったと。今後は過酷事故は発生し得る、そう考えているかどうか、規制委員長と経産大臣、両方にお伺いします。
  56. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 事故は起こり得ると考えて規制を行うのは前提でありまして、その考えの中から過酷事故を除くべきものではありませんので、過酷事故は起きるものとして規制を行っております。
  57. 梶山弘志

    梶山国務大臣 過酷事故は起き得るものと想定をしております。
  58. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 次に、これも基本的な事項ですけれども、二〇一四年の十二月十六日、電源開発株式会社から、大間原発に関して新規制基準への適合審査を受けるため、原子炉設置変更許可申請書及び工事計画認可申請書が提出されております。  この申請書の中では原発敷地外に影響のある事故が想定されているのか、想定されているとすればこの事故はどのような内容か、これは規制庁の政府参考人で構いませんので、よろしくお願いします。
  59. 山田知穂

    山田政府参考人 電源開発株式会社から平成二十六年十二月に申請された、新規制基準適合性に係る大間原子力発電所の設置変更許可申請書においては、新規制基準に基づきまして、炉心が損傷し原子炉格納容器が破損に至る可能性がある各種の事故が想定されてございます。  これらの事故のうち、環境への影響が最も大きいとされてございますのは、原子炉冷却材が流れる配管の破断時に非常用炉心冷却系の機能が喪失し、かつ全ての交流動力電源が喪失する事故でございまして、その場合でも、環境に放出されるセシウム137の放出量は百テラベクレルを下回るといった申請がされてございます。  この想定や対策の妥当性については、今後審査で確認してまいります。
  60. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 想定の事故の妥当性は今後審査で検討するということ、是非しっかりお願いしたいと思います。  そこで、次の質問ですけれども、今年の一月二十日、菅総理が本会議で、国としては、地元の安全、安心の観点から、避難計画がない中での、建設中の原発への核燃料の装荷や再稼働が実態として進むことはないという答弁をしております。  それから、同じく梶山大臣も、昨年の十一月十八日、この衆議院の経産委員会で、しっかりとした避難計画がない中で原子力発電所の稼働が実態として進むことはない、こういう答弁をされているんですが、この二つの答弁について何点かお伺いします。  まず一つは、国の考えるしっかりとした避難計画というのは、これは一体どういうものなのか、大臣のお考えをお示しください。
  61. 梶山弘志

    梶山国務大臣 万が一に備えて、避難計画は、稼働するしないにかかわらず、地域住民の安全、安心の観点から策定をすることが重要であります。  我が国において、地元の安全、安心の観点から、しっかりとした避難計画がない中での、建設中の原発への核燃料の装荷や再稼働が実態として進むことはないと考えており、避難計画の策定をしっかりと支援をしてまいるのが国の役割であると考えています。  避難計画は、一旦策定した後も避難訓練の実施等を通じて不断の改善充実に取り組んでいくものですけれども、しっかりとした避難計画があるというためには、地域原子力防災協議会において、当該地域の緊急時対応が、原子力災害対策指針等に沿った具体的で合理的な内容であることが確認されていることが必要であります。  さらに、建設中の原発への燃料装荷や再稼働までに原子力防災会議において了承されるものと考えております。
  62. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 要するに、原子力災害対策指針に沿うということ、そして地域防災協議会で確認されるということ、これがしっかりとした避難計画の必要条件であるというような答弁に受け止めさせていただきました。  それで、次に、総理答弁の中での、避難計画がない中で、あるいは、大臣も同じく避難計画がない中でと、こういう期限のことに言及をしておりますが、避難計画がない中でというのは具体的にいつまでの時期を言うのか、大臣の考えをお聞かせください。
  63. 梶山弘志

    梶山国務大臣 ない中でというのは、建設中の原発への燃料装荷や、先ほど申しましたけれども、再稼働までの原子力防災会議において了承されていることが必要であるということで、それが了承されていないという状況であります。
  64. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 原子力防災会議で了承されるまでの間は避難計画がない中でという理解でよろしいでしょうか。よろしいですか。うなずいておりますので、それで。
  65. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そういう解釈であります。
  66. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 そこでなんですが、今のその答弁、避難計画がない中での、建設中の原発への核燃料の装荷や再稼働が実態として進むことがないとの答弁、これについては法の根拠はあるんでしょうか。
  67. 梶山弘志

    梶山国務大臣 避難計画の策定は原発の稼働や再稼働の法定上の要件とはなっていませんけれども、地元の安全、安心の観点から、避難計画がない中での、建設中の原発への燃料装荷や再稼働が実態として進むことはない、これは現在の政府の考え方であります。  この政府の考え方は法律の根拠を伴ったものではありませんけれども、実態として、これまで再稼働した原子力発電所については、いずれも避難計画が策定をされています。  将来の内閣においても、過去一貫して、再稼働した原子力発電所には避難計画が策定されているという事実や、過去に内閣総理大臣による国会答弁があった事実を踏まえて対応をしていくものと考えております。
  68. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それでは、法の根拠はないけれども、国会答弁を踏まえて、今後、実態として稼働はないんだ、装荷はないんだということを担保していくということでよろしいですね、改めての確認ですが。
  69. 梶山弘志

    梶山国務大臣 そういうことであります。
  70. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それで、次に、内閣府の防災担当の副大臣にお伺いをしたいんですが、地域原子力防災協議会で地域の緊急時対応を確認するということになっているんですが、ここで、具体的かつ合理的に確認をするということになっておりますが、これは一体どういう意味なのでしょうか。これの説明をお願いします。
  71. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 具体的かつ合理的であるというのは、例えば、原子力災害対策指針等の考え方を踏まえ、要配慮者を含む住民の避難等の実施について、人数を把握した上で、避難先、複数の避難経路、必要な輸送バスの確保策などについて具体的に定められているか、又は、例えば原発からの距離に応じて、避難を始めとする防護措置を実施するという合理的な内容となっているかなどについて、協議会の場で確認をすることとしております。  避難計画を含む緊急時対応については、関係省庁に加え関係自治体等が参画する地域原子力防災協議会において、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ策定された原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的であることを確認しております。  また、原子力災害への備えに終わりや完璧はない、これで実効性があるか、実効性がないかとかいうものではなくて、一度取りまとめた緊急時対応についても継続的な改善、そして見直しを行い、より実効性のあるものにしてまいりたいと思っております。
  72. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今の答弁、幾つか重要なお話をされたと思うんですが、実効性があるとかないとかというものではなくてという答弁をされましたが、実効性があるとかないとかというところは極めて大事なんじゃないでしょうか。  実効性のない計画を形式上定めたからといって、それで原子力発電所の災害に対して安心だと言える状況ではないのではないか。この点、いかがですか。
  73. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 原子力災害への備えには終わりや完璧はないという思いの下で、しっかりと、一度取りまとめた緊急時対応についても継続的に見直しを行って、より実効性がある、そういったものになるようにしていく、そのような所存でおります。
  74. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 要するに、一回、原子力防災会議で了承されてしまったら、一旦計画は策定されたんだから、後はずっと未来永劫的に稼働の条件になるみたいな考え方であっては困ると思うんですよ。そこのところは、やはり、後になって不備が見つかってくれば手直しをするという基本的な姿勢が私は必要だと思っております。この点、後にまた伺わせていただきます。  それでは、先ほど、確認は、具体的かつ合理的とはどういう意味かというところに御答弁をいただいたんですが、もう少し踏み込んでお伺いしたいんです。  私は今、北海道の泊地区のこの緊急時対応のペーパーを持ってきているんですが、これを見ると、例えば、複数の自治体が同じ道路を使って避難をするということになっているんですね。それぞれ個別の自治体の避難計画を見ると、そこの道路を使うのは、そこの、一つの自治体にしか見えないんですが、UPZ内の関係自治体が、ほぼ全てが同じ道路を使うなんというケースがあるわけですよ。  例えば、具体的に言うと、国道二百三十号なんというのはその一つの例なんですが、例えばですよ、こういう複数の自治体が同じ経路を使うなどする。そうすれば、当然車両がふくそうしますね。こういったことも予想しながら地域協議会ではチェックをしているということなんでしょうか。
  75. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  そういった避難経路、そういったものにつきましても、地域協議会では、効率的に、円滑に避難ができるように避難経路を複数用意する、あるいは、一つの自治体が避難する場合も、一つの経路だけではなくて代替の、そこが使えない場合に、じゃ、ほかの経路が使えないかということの代替の経路、そういったものも用意するということで、それらが、今委員おっしゃったように、重ならないように、ふくそうしないように調整するというのも地域協議会の大きな役割だと思っております。
  76. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今御答弁いただいた方、佐藤さんですか、地域協議会でそこまで本当に話し合っていますか。  私は、この計画をよく見させていただきました。確かに複数経路は指定しております。国道二百三十号経由と道央自動車道経由、大きくこの二つのルートがあることは、形式としては二つのルートがあるということは認識はしているんですが、それじゃ、本当にこれがふくそうしないのかどうか、車両をどうやって振り分けるのか、そこまで議論をして地域協議会では確認をしているんでしょうかね。これは議事録を見ても分からない、議事要旨しかないので分からないんですけれども、いかがですか。
  77. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  地域協議会は、確かに、最終的な、ある意味確認という場所でございますけれども、私ども、地域協議会に至るまでに、その下に、地域協議会の下に作業部会というものを設けておりまして、これはホームページとかでその議事要旨などもまた公開しておりますけれども、そうした場で、実際にそこの作業部会で、実務レベルの方でお集まりいただいて、それこそ複数の自治体、関係する自治体全てですね、あるいは関係省庁も参画していただいて、ふくそうしないとかそういったものについて、実際に調整を、これまで取りまとめてきた緊急時対応においては全て調整してきているところでございます。
  78. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今のその答弁ですけれども、それは確認できるものはございますか。例えば、議事録があるとか、議事要旨があるとか、こういう作業をしたとか。  いや、私、この地域のことを思うと、夏の、今の時期だと、道路も広いですし、車線も広いですし、二車線になっていて、何でこんなに広い道路が必要なんだなんていうふうに、もしかすると地域外の方は思うかもしれない。でも、冬に行くと、その道路はもう、あんなに広い二車線あったのに一車線しかないとか。  実は、ゴールデンウィークになると、平時でもこの国道二百三十号というのは渋滞するんですよ。それを、車両が一気に集中するような状況で、それはふくそうしないように確認していますって、本当にそれは可能なんでしょうか。本当に確認しているんですか。
  79. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  私ども、そういった確認については、地元の、やはり自治体の方々のそういった御意見ですね、今委員おっしゃった、どの季節だと、本来、夏だったら二車線だけれども、積雪が残って一車線、そういった事情も勘案して道路の使い方というのは調整してきているところでございます。  ある意味、現地を知らない人間で、そういった避難道路の在り方、経路の在り方などを調整するのではなく、そういった点は、まさに現地の関係自治体、道あるいは市町村、そういった方々の実務レベルの方にお集まりいただいて調整しているところでございますので、そこについて、委員の御懸念のところで、そこの子細についてまで、申し訳ありません、私、把握しているわけではございませんけれども、そうした関わりがあるということにおいては、それなりの実効性というか、そういったものは確認できる、確保できているというふうに感じております。
  80. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 では、佐藤審議官自身が何かの書類を見て、間違いなくこれは確認していますねということを実際に自分で確かめたという上での答弁ではないということでよろしいですか。多分、地元ではそういうことも含めて確認しているであろうという、ある種の予測ということでよろしいですか。
  81. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  正確にということであるならば、私がこの目で一つ一つの道路を確認しているわけではございません。  ただ、私どもが地元と調整するときには、まさに地元の地域の状況と申しますか、その季節季節の実態なども、当然、そういった緊急時対応を取りまとめる上では、何度も調整を重ねてきているわけでございますので、反映されるので、しかるべきだと思っております。
  82. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 若干答弁が曖昧ですけれども。  それでは、次の論点、ちょっとお伺いしますが、この緊急時対応の中には、避難のためのバスを確保するということも、台数が書かれています。ただ、これを細かく読むと、その地域にあるバスの台数がただ書いてあるだけで、具体的にそのバスが、いざ緊急時対応になったときに、どうやって確保するのだということは書かれていないんですよ。  だから、避難するときに、バスの乗り場まで来てください、そこまでは多分、住民の皆さん、歩いていったり何らかの交通手段で行くんでしょうけれども、そこに本当に必要な台数のバスが確保されるという確認は取れているんでしょうか。
  83. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  私ども、そういった避難のためのバスの手当てについても、避難される、バスを利用される方がこれだけの人数いたときに、その人数分のきちきちの台数というよりは、やはり余裕を持って、この余裕の持ち方は地域地域によって多少変わると思いますけれども、余裕を持ってバスを確保するということで調整を行っていますし、そういった調整を行うに当たっては、現地のバス協会なりとそういった覚書のようなものを結んで、そうしたものを優先的に確保できるように、できる限りの手配の準備をしているところであります。
  84. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 今の答弁のとおり、確かに、バスの総台数、全体の台数は、地域の住民の人口よりも多い定員のバスの数が書かれていることは私も理解いたします。それから、バス協会と協定のようなものを結んで、バスを手配していただくための要領というんでしょうか、要綱というんでしょうか、これも存在していることは承知をしております。  でも、それのどこを読んでも、じゃ、具体的にどうやってバスを確保するんだということは書いていないんです。お願いをします、要請しますと書いてあるだけなんですね。しかも、これらのバスは、平時、遊んでいるバスでは多分ないんですね。営業用に使われている、場合によっては観光用に使われている。その地域にないかもしれないわけですね。  こういう状況の中で、全面緊急事態なんということになって、PAZから全員が避難しなきゃいけないとか、UPZについても、これはもうOILの1になっている、だからもう避難しなきゃならないんだとなったときに、本当にこの計画でバスの確保というのはできるんですか。私は、この文書を読む限りは、全くできるようには思えないんですよ。  これを担保する何らかの事実、本当にバスが確保できるんだという事実はどこにあるんですか。
  85. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  私どもは、まず、そうやってバスの台数を確保していく。それで、どこにどのように配置するのかというのは、これは多分に原子力事故の態様によって変わってくるのではないかというふうに考えているところでございまして、実際のバスに乗る集合場所、それはもう、今お手元にある資料に、緊急時対応に記載しておりますけれども、そういった必要最小限のことをまず書き記して、その上で、実際にバスを手配するときには、その時点で最善の手当てをしたいと思っています。  もう一つ委員がおっしゃっている、実際に、その当時、そういった事故のときに、そういった民間の方のバスが十分手当てできないことがあるんじゃないかということでございますけれども、私どもとしては、まずはそういった民間のバスを手配して、それでも足りないというようなときであれば、実動省庁にこれはお願いせざるを得ないというふうには考えているところでございまして、そういう意味で、この緊急時対応を取りまとめるときには、国の関係機関においても、実動省庁の方々にある意味コミットしていただく、参加して、了承していただくというプロセスにお入りいただいているところでございます。
  86. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 バスの話はこれでやめますけれども、審議官、大分無理があるんじゃないですか。地元でバスが調達できないのに、国の実動省庁でどうやってバスが調達できるんですか。地元のバス協会に頼んでもバスが調達できない、それで、霞が関の皆さんに、それじゃバスを調達してくださいって、東京から運ぶんですか。そんな非現実的なことはないですよね。  地元で調達できないのに、その時点で調整しますと。後で今日の速記録をよく読ませていただきますけれども、それじゃ対応できないというのが、私は地元に住んでいる皆さんの偽らざる気持ちだと思いますよ。これは答弁はよろしいです。  それでは、もう一点だけ。  実は、このエリア、観光地でもあるんですね。それで、自治体の人口の倍以上のベッド数を抱えているところもあるわけです。それで、どの程度の入り込みがあるかも分からないというのが、実は特に冬場なんというのは多いわけですね。宿泊の方だけではなくて、それ以外の方も来ておりますので。  こういった場合にどういう対応をするのか。これも私は読みました。そうしたら、なるべく地域外へ早く出ていただく、お帰りいただくと書いてあるわけですよ、平たく言えば。そんな対応って可能ですか。  先ほど私、言いました、車が、住んでいる住民の皆さんだけでもふくそうするのに、例えば、この地域に、一日に三万とか五万とかお客さんが来ている、じゃ、いざ緊急時対応になりましたので地域外へ出てくださいと。その人たちは、多分、避難計画なんというのは頭にない。自由奔放に自分の行きたいルートで走っていくわけですね。  そういうところの調整まで本当に協議会で確認しているんでしょうか。
  87. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  今委員おっしゃった、いわゆる現地での観光客の方々への対応ということでございますけれども、私どもとしては、早めの避難をまずは呼びかけることが原則であるということで、事故のかなり最初の段階で、まずは当地から、対象となる地域、エリアからは退出、いわゆる外に出ていただくということをお願いするということで、そのために、そちらの緊急時対応の中では、そういった観光地における呼びかけとか、そうした情報提供とか、そういったところでしっかりやった上で、できる限り速やかに退出していただく。  それで、早めの段階でございますので、この時点においては、私どもの緊急時対応においては、まだ本格的な、いわゆる五キロ圏内からの避難というのが始まる前にそれに着手していくということを計画しているところでございます。
  88. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 紙の上ではそうなっているらしいということは分かりますけれども、福島第一原発の事故のことを思ったら、果たしてそういう余裕というのはあるのかなというような疑問を持たざるを得ないんですよ。  それでは、どうやって確認をするんだというところについては今日はこれぐらいにとどめさせていただきますが、今日の議事録も見た上で、更にこの点は深掘りをさせていただきたいと思います。  そこで次に、規制委員長内閣府の防災担当副大臣にお伺いをしますが、日本の原子力災害時の避難計画の策定、これが自治体に委ねられている理由を教えてください。
  89. 更田豊志

    更田政府特別補佐人 地域防災計画や避難計画につきましては、地域の実情を熟知していることが極めて重要ですので、そのために地方自治体が策定するものというふうに考えております。
  90. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 同様に、地域防災計画、避難計画は、地域の実情を熟知している自治体が策定することが適切であり、災害対策基本法等において、自治体が地域防災計画、避難計画を作成する責務を有するものとされております。
  91. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 地域の実態をよく分かっている基礎的自治体が作るのが一番妥当なんだ、そういう理由で市町村に委ねているんだということは、私は妥当だと思います。この計画をやはり国が作っても血の通ったものにはならないというふうに思うわけですね。  もう一方で、この質問をちょっとしたいんですけれども、平成二十八年十月十一日の、私の質問主意書に対して、この原発事故の避難計画に関して言うと、災害対策基本法の規定に基づいて作られた防災基本計画、それから原子力災害対策特別措置法に基づいて作られた原子力災害対策指針に従って計画を作れば実効性のある計画が作成される仕組みとなっているということが、この質問主意書の答弁で言われているんですね。  私、この答弁書は、仕組みとしてはそうなっているというふうに理解はするんですよ。要するに、防災基本計画と原子力災害対策指針に基づいて計画を作れば実効性のある計画が作成される仕組みとなっている。仕組みはそうだというふうには理解するんですが、じゃ、先ほどから論点になっている実効性のある計画というのは、これに基づいてやれば必ず作れるのかどうかという辺りについては、これは誰に聞けばいいんでしょうかね。どうぞ。
  92. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 地域防災計画、避難計画については、原子力規制委員会が福島第一原発事故の教訓を踏まえ、かつIAEAの国際基準にのっとって策定した原子力災害対策指針に基づき、地域の実情を熟知している自治体が作成することとなっております。  その上で、内閣府としても、市町村がこうした避難計画等の作成の責務を果たせるよう、関係道府県と連携しながら、要配慮者を含め、避難先、避難手段、避難経路の確保など、市町村の計画の具体化、充実化に向けた支援を前面に立って行っております。市町村のみでは解決が困難な課題も一つ一つ解決していくことで、計画がより実効的なものとなるよう、国としても全力で取り組んでいるところであります。  こうして作成された避難計画は、その作成時点において最善なものであると考えており、御指摘答弁書においては、このような制度的な仕組みについて答弁させていただいたものと承知しております。
  93. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 そうなんですね。仕組みについて答弁しているけれども、内容については必ずしも言及していないわけですね。  だから、地元でいろいろ議論した結果、必ずしも実効性のある計画ができないということもあり得るということだと私は理解するんですよね。先ほどの車両のこと、あるいはバスのこと、あるいは観光客のことも含めると、どう考えてみてもこれは、PAZですぐ出ていってくださいなんてことは無理ですよねということも、私は特に北海道においてはあり得ると思うんですが、その点、副大臣、もし何かあれば、いかがですか。
  94. 堀内詔子

    ○堀内副大臣 地域防災計画、避難計画は、地域の実情を熟知している自治体が策定することというのは先ほど申し述べたとおりでございますが、内閣府原子力防災担当といたしましては、そこに原発があり、核燃料が存在して、リスクがある限り、避難計画は策定しなければならないものと考えて、地域ごとに様々な課題がありますが、そうした課題に、より自治体と緊密に連携して一つ一つ取り組むことにより、自治体が策定できるように支援していく、そういった心構えでいさせていただいております。
  95. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 なかなか苦しい答弁だとは思いますが。  そこでですけれども、自治体においては、災害対策基本法上、この計画は毎年見直すことになっている、検討することになっておりますが、その見直しをした結果、これはどう考えてみても有効に機能する計画じゃない、バスの確保もこのままの規定では不十分だ、あるいは、交通もふくそうして、これはもう予定どおり避難はできないというふうに、地域の実情を熟知する市町村段階で、一回承認は受けた計画ではあるけれども、これはやはり大幅に修正する必要がある、協議会の確認を取り消してほしいなんという要請があった場合、政府はこの扱いはどうするつもりですか。これは政府参考人で。
  96. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  まず最初に、私どもの心構えとして、原子力災害への備えに終わりや完璧はないということで、常に改善を続けていることが重要だ、そういうふうに考えておるところでございます。  このような観点から、原子力防災会議で了承いたしました地域原子力防災計画、避難計画を含む地域の緊急時対応について、更に実効性を高めるために、訓練の結果などを踏まえながら、継続的に改善充実に取り組んでいくこととしております。  したがいまして、このように一旦策定いたしました緊急時対応について改善を行うことは、必ずしも緊急時対応がない状態になることを意味するものではないと考えているところでございまして、地域防災計画、避難計画についても同様であるというふうに考えます。
  97. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 それでは、地域協議会での確認や原子力防災会議でのいわゆる了承ですか、これを取り消すというようなことはないんだ、どんなに地域が言ってきても、一回通っちゃったら、もうそれは、一回確認されているでしょう、了承されているでしょう、だからこれはこれで既に所与の条件として取り消しませんよということなんですか。
  98. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えいたします。  私ども、必ずしも、一旦決めたからもうこれで、セットで、それがあるからもういいんだという意味では決してございません。(逢坂委員「そこは理解します」と呼ぶ)はい。  その上で、作り上げた緊急時対応というのは、今御答弁させていただいていますけれども関係者がある意味コミットして作り上げているものでございますので、その点に対する有効性というか、機能というのは損なわれていないというふうに考えているところでございますので、委員のおっしゃる避難計画がないというのは、私ども認識とはちょっと違うということを申し上げているところでございます。
  99. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 いや、私は避難計画がないと言っているのではなくて、一旦確認された計画であっても、改めて見直してみた、先ほど私が言ったような点、例えば車は本当にふくそうしないのかというような点も含めて見直してみた結果、これはとんでもないことになる、このまま放置しておいたのではきちんと避難できる状況にはならない、だからこれは一旦取り下げざるを得ない、だから確認したのを、もう一回確認するからそれを取り下げさせてほしい、こういうことはあり得るのかということを聞いているんです。
  100. 佐藤暁

    佐藤(暁)政府参考人 お答えさせていただきます。  今委員のおっしゃっている緊急時対応なり避難計画が抜本的に機能しなくなるという状況を私自身がちょっとまだ想像できていないわけでございますけれども、継続的に避難計画、緊急時対応を改善しているという状況においては、例えば、長い間放置しておいて、それが突然状況が大きく変わりましたということであるならば、やはりこれは大きな変更というようなことはあり得るかと思いますけれども、私ども、緊急時対応は、それなりの期間で定期的に改善、修正をしてきているわけでございますので、ある意味ドラスチックな、大きなそういった不備が見つかるということは考えにくいと思っておりますし、そういうことがないように継続的に改善を行うという姿勢でございます。
  101. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 私、この泊地域というのは、私は今ここには住んでおりませんが、元々生まれた地域で、ここに四十年以上暮らしておりましたので、目をつぶっても大体地域のことは分かる、そんなイメージでいるんですよ。その私の目から見て、これを相当丁寧に読みました。それから、それぞれの自治体の避難計画、防災計画も丁寧に読みました。ところが、私の感覚ではこれでは機能するとは思えない。  肝腎な、機能させるところのことが書いていないんですよ。車両の確保は要請する、地元で駄目なら道に要請する、道で駄目なら国にお願いする、そういうことしか書いていないわけですよね。それから、交通が渋滞するかどうかについても何にも書かれていないんですね。それは、複数経路を用意するということが書かれているだけで。だから、本当に機能するのかなという疑問を持つ方がいるのは、私は当然ではないかと思っています。ただ、その際の地域協議会と原子力防災会議との関係は、今日はちょっと結論が出ませんでしたけれども。  そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、地域の実情に精通した自治体が、自分たちが一回作った計画なんだけれども、改めて様々な方の意見も聞いて実態を見てみたところ、これじゃ現場は機能しないと。そのときに、地域協議会と原子力防災会議関係はちょっとおくとしても、地域の方から、この計画じゃ駄目なんだからもう一回ちゃんと作らせてくれというような状況になったときに、そういう状況でも原発は再稼働させるんでしょうか。
  102. 梶山弘志

    梶山国務大臣 まず大前提として、避難計画というのは実効性がなければいけないものだと思っております。例えば、その事故が起こる時間帯、天候、季節、風向き、そして車の渋滞度合い、そして道路の崩落の有無も含めてしっかりと考えていくことが、実効性のある避難計画だと思っております。  そういったものを前提に作られたものであって、その一点、例えばですけれども、渋滞が非常に解消できないような時間帯であるというようなときには、道路をどうするか、迂回路があるのかどうなのかということも含めて改善点を考えていくということになるかと思っております。
  103. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 いや、質問に答えていただきたいんですが、時間が来ましたので最後にしますけれども、私は、自治体からこの計画は機能しないんだ、一回了承はされたけれども、これではまずいんだという声があった中でも原発を再稼働させるんですかということを聞いているんです。
  104. 梶山弘志

    梶山国務大臣 その中身の程度によると思います。例えば、崩落が起こってその道路がなくなってしまったというようなときには、やはり何かしらの措置をしなくちゃならないのかなと思っております。
  105. 逢坂誠二

    ○逢坂委員 この問題、これからの原発を考える上で非常に大事なことだと思いますので、引き続きやらせていただきたいと思います。  ありがとうございます。
  106. 富田茂之

    富田委員長 次に、笠井亮君。
  107. 笠井亮

    ○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。  今国会への政府提出法案の三分の一に誤りが見つかるとは、まさに前代未聞の事態であります。産業競争力強化法改正案には条文に三か所の誤りがあったと、梶山大臣が三月十九日の所信表明の冒頭に謝罪をされました。  ところが、再点検の結果、更に条文に一か所、要綱、新旧対照表、参照条文に二十か所もの誤りが判明したと。大臣がまた三月二十四日に謝罪をせざるを得ないと。あってはならないミスが二度も重なるなど言語道断だと言わなければなりません。  そこで、梶山大臣法律というのは、やはり、国家権力が国民に対して権利や義務を課するというものですよね。条文の誤りを重ねた法案については、当然、撤回しますね。
  108. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これに関しましては、正誤表も含めてしっかりとした対応をした上で、御了解をいただいた上で御審議をいただきたいと思っております。
  109. 笠井亮

    ○笠井委員 撤回せずに正誤表で済まそうというのかと。立法府に対するあからさまな、やはりおごりといいますか、国会軽視だと。  改めて問いますが、まずは法案を撤回していただきたい。
  110. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経済産業省から今国会に提出させていただいた産業競争力強化法の一部を改正する等の法律案につきましては、条文は、最初に三か所間違いがあるということを言いました。ただ、それは第一報ということで、ただいま、その時点で精査中というお話もさせていただきました。結果として、条文に四か所の誤りが判明し、また参考資料についても二十か所の誤りがあることが判明しました。  誤りがあったことに対しては、大変遺憾でありますし、大変申し訳なく思っておりますけれども、形式的なものであるために、条文案の誤りについては国会に向けて正誤で対応し、参考資料の誤りについては先生方に正誤表を配付する形とさせていただき、御審議をいただきたいと考えております。
  111. 笠井亮

    ○笠井委員 形式的では済まされないと思います。国会はやはり、ただ法律を通せばよいというような姿勢というのは、立法機関である国会の足場を掘り崩すもので、私は与党の責任も重大だと言わなけりゃいけないと思うんです。隠蔽、改ざん、虚偽答弁をまかり通らせてきた八年間の安倍政権と、それを踏襲した菅政権の根本姿勢が問われる問題だと申し上げておきたいと思います。  問題はこれだけじゃありません。  日本貿易保険、NEXIの法令違反等の問題が明らかになって、貿易保険法改正案の国会提出が見送られました。国会に対して提出予定と官房副長官が一月に報告していた法案を取り下げるなら、公表前に真っ先に国会に報告しなければならない。ところが、後回しになっていた。私が知ったのも、翌三月五日金曜日の朝刊の報道であります。経産省が説明に来たのも、翌週三月九日火曜日です。一体どうなっているのかと言いたい。  しかも、重大なのは、大臣、ここからですが、昨年十月二十八日、経産省の貿易保険監理官がNEXIによる法令違反の資金運用の件について一報を聞きながら、貿易保険法三十一条に規定された監督責任者たる経産大臣に報告されたのは、実に翌年の、今年二月十八日になってからということであります。四か月間もの経産省の対応の経緯を裏づける資料を出していただきたい、このことを求めてきましたが、一切出してこないんですね。  経産省の対応が適切だったのかどうか検証できないと、国会の行政チェック機能をこれでは果たせないことになるではないか。  梶山大臣、大前提の問題ですから、そうした資料については提出を大臣責任で指示されたいと思いますが、いかがですか。
  112. 梶山弘志

    梶山国務大臣 経過については、先ほど委員がおっしゃったとおりであります。  昨年十月二十八日に担当部局が本事案を認識した後、十一月五日には、NEXIに対して、不適切な状態を解消すべく売却の検討の必要性を指摘をしたということであります。それ以降は、NEXIによる債券売却の影響調査の進捗を確認していましたけれども、進捗管理が行き届かず、時間がたってしまったと聞いております。  その後、二月十五日に担当部局内で貿易経済協力局長に報告、相談があり、それを踏まえてNEXIに対し債券売却、原因究明、再発防止の策定等を指示をし、二月十八日にそれらについて私に報告があったというのが事実であります。  経済産業省対応につきましては、担当部局から省内への情報共有が不十分であった、不適切事案への対応に迅速さを欠いていたと認識をしております。  三月十九日には、私から事務方に対して、今後の事務遂行に遺漏なく万全を期すように強く指示したところであり、今後このようなことがないようにしっかりと対応してまいりたいと思いますし、御指示があった文書に関しましては、できるものはしっかりと出してまいりたいと思っております。
  113. 笠井亮

    ○笠井委員 これは大臣にとっても、四か月後に初めて知って、どうなっているんだという話で、大臣としては経産省にそういった叱責、注意もされて、指示もされたんだと思うんですが、国会の方は大問題ですね。  何度も私も資料を要求しましたが、経産省は、口頭でのやり取りがほとんど、担当者の手元メモの紙っぺらしかないとか、こんなことを言っているんですね。  でも、メモであっても公文書であります。経産省行政文書管理規則は、経緯も含めた意思決定に至る過程並びに経産省の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、又は検証することができるよう、文書を作成しなければならないと規定をされております。これは第十一条です。  やはり速やかな、できるものを出すとおっしゃいましたけれども、速やかな提出を改めて要求したいと思うんです。  委員長、これは理事会で協議していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  114. 富田茂之

    富田委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
  115. 笠井亮

    ○笠井委員 さて、緊急事態宣言が三月二十一日に全面解除されました。しかし、既に急速な感染再拡大が始まっております。本格的な第四波を封じ込めるためには、大規模検査と補償の抜本的強化は待ったなし、こういう状況であります。  日本共産党は、立憲民主党と三月十九日に持続化給付金再支給法案を衆議院に共同提出いたしました。全国知事会も三月二十日に、宣言解除を受けた緊急提言で同様の再支給を求めております。  そこで、中小企業庁に伺いますが、持続化給付金のこれまでの申請件数、給付件数、給付金の総額は幾らになっているでしょうか。
  116. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答えいたします。  持続化給付金の申請件数でございますけれども、三月三十日までに約四百四十一万件の申請を受け付け、四百二十四万件、約五・五兆円をお届けしてきたところでございます。
  117. 笠井亮

    ○笠井委員 衆議院の調査局に伺います。  二月に掲出された、最近の企業動向等に関する実態調査、ここにありますけれども、この有効回答企業数は何件か、そして、持続化給付金について、プラスの評価の特徴についてどのように記されているか、報告してください。
  118. 宮岡宏信

    ○宮岡専門員 御質問をいただきました調査は、衆議院調査経済産業調査室が、株式会社帝国データバンクのTDB景気動向調査を活用して、昨年十一月十六日から三十日にかけて、全国の約二万三千社を対象にインターネットによる調査を行ったもので、一万一千三百六十三社から有効回答を得ております。  この中で、国が実施してきた新型コロナウイルス感染症で影響を受けた企業向けの支援策に対する評価について、自由記入式により回答を求めましたところ、持続化給付金に関しては、プラスの評価として、売上げが半減している最も苦しい時期の給付金であり、非常に助かったとの意見が多く見られました。特に、返済不要のまとまった資金であることを歓迎する声が多く、非常時の緊急資金として当面の事業継続に寄与したとの声が多く見られました。
  119. 笠井亮

    ○笠井委員 今紹介がありましたけれども、私たちにも、一息つけた、それから、事業を続けられるということで、多数の声が寄せられております。  埼玉の接客業者からは、待ってもらっていた取引先や滞納していた家賃も支払った、ずっと我慢していた病院にもようやく行けた、もう謝罪の電話をしなくて済むと思うとそれだけで気持ちが楽になる、路上生活や自己破産という言葉が頭をよぎり、ずっと苦しかった、これでまた前を向いて頑張れるという声を聞きました。  他方で、三月三十一日ですから、年度末の今日もなお、私の事務所のところにも、追加書類を何度も求められて対応し続けている申請者の方の声があり、かなりいらっしゃる。それ自体が事業実態があるあかしです。何度もやり取りしていて、これはないか、あれはないか、これはありますけれどもどうでしょうかとやっている。速やかにそういう方々にも届け切るべきだということは強く申し上げておきたいと思います。  では、衆議院の調査局にもう一問伺いますが、持続化給付金の課題の特徴については、先ほど調査報告でどのように述べられているでしょうか。
  120. 宮岡宏信

    ○宮岡専門員 当該調査における持続化給付金に対する課題としては、損失補填のためには焼け石に水であり、金額が不十分なので、二度目の給付を希望するとの意見が特に多く見られました。
  121. 笠井亮

    ○笠井委員 まさにそういう状況だということが報告されているわけですが、東京のある印刷業者は、昨年四月に売上げが五〇%以上ダウン、二百万円の給付金を受け取ったんだけれども、消費税額二百九万円を納めて消えてしまって、とても足らないと。都内の建設業の女性は、コロナ第三波の影響で仕事が減って、職人は毎日午後三時に帰る、売上げ激減が長期化をして、一度きりの持続化給付金では焼け石に水と、まさに先ほど紹介があったのと同じ言葉が出ておりました。  梶山大臣は、とても足りないとか焼け石に水という実態については御認識されているでしょうか。
  122. 梶山弘志

    梶山国務大臣 先ほどの衆議院の方からのお話があったように、評価されている部分と、あと、さらにはやはり、そういう次の対応というものを期待している声というものもあることを承知をしております。
  123. 笠井亮

    ○笠井委員 それでは、一時支援金が今あるんだというお話がよく出てきて、やり取りがありますが、中小企業庁に伺います。一時支援金の現時点の申請件数と給付件数はどうなっているでしょうか。
  124. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  一時支援金でございます。三月八日月曜日から申請の受付を開始いたしまして、昨日三十日火曜日時点で約三・六万件の御申請をいただいているところでございます。審査が完了したものから順次支払いの手続を進めております。昨日三十日火曜日時点で約一・七万件について給付したところでございます。
  125. 笠井亮

    ○笠井委員 先ほど大臣が、次の対応が必要だということも認識しているとおっしゃったのは、私、非常に大事だと思うんですが、この持続化給付金の申請受付というようなことでいうと、昨年五月一日ですよね、ここでもやり取りになりました、十八万千二百七十二件ということで、初日、わあっと来て、パンクしてつながりにくい状態が続いたということがあったわけですが、それと比べると、一時支援金は圧倒的に申請者がまだ少ないと。これはなぜだと大臣は思っていらっしゃいますか。
  126. 梶山弘志

    梶山国務大臣 持続化給付金については、業種、地域の別なくお支払いをする給付金であったということであります。そして、今回の一時支援金につきましては、緊急事態宣言に基づいて、その影響を受けたところということもありますけれども、やはりまだ周知が足りていないということもあると思いますし、こういったことも含めて、自分がまた対象かどうかということの判断が少し難しい部分もあろうかと思いますので、そういった面について、もっと分かりやすく周知をしていかなければならないと考えております。
  127. 笠井亮

    ○笠井委員 周知という問題は当然あるでしょうけれども、その前段で言われたところでいうと、まさに事業者にとって使いにくい制度になっているということが表れていると思うんですね。  全国知事会の先ほど紹介した緊急提言がこう言っています。「緊急事態宣言対象地域外の地域や営業時間短縮要請の対象となった飲食業以外の業種においても、緊急事態宣言の副次的効果により厳しい影響が生じている。」こう指摘しているわけです。  そこにあるように、緊急事態宣言地域外にも大きな影響が及んでいるというのが今、実態だと。それなのに、一時支援金は、対象についても、対象を地域で限ったものにしているということになっているので、やはり申請できない事業者が多いということになっているんじゃないでしょうか。どうですか。
  128. 梶山弘志

    梶山国務大臣 対象地域は全国各地ということになります。どういった影響を受けたかということになると思いますけれども、例えば飲食店の時短であって、その仕入れの事業者が全国にある場合には、そこの事業者というのも対象になります。  さらにまた、外出や移動の自粛という中で、観光地であって、例えば首都圏であるとか関西圏であるとか、そういったところからの入れ込みというか訪問者数が大宗を占めているというような地域も、旅行関連業種に関しましては対象になっているということであります。
  129. 笠井亮

    ○笠井委員 対象は全国各地で様々あるというふうに言われましたけれども、緊急事態宣言の地域以外の事業者同士の取引については、どんなにコロナの影響を受けていてもこの一時支援金の対象外です。だから、全国知事会の緊急提言も、一時支援金について、緊急事態宣言対象区域の飲食店との取引関係等の要件を撤廃することを求めている。実態を反映して、そういうことを求めているわけですよね。  しかも、伺いたいんですが、梶山大臣、帝国データバンクが三月二十五日に発表した調査結果がありますが、これによりますと、新型コロナウイルス関連倒産というのは、飲食店で百九十五件、それに次いで、建設・工事業で百四件、ホテル、旅館で八十四件、アパレル小売で六十七件、食品卸で六十件ということで、影響は広く及んでいるということになっております。  地域や業種を限定した支援策では到底間に合わないという現実がコロナの下で今あるということになるんじゃないでしょうか。
  130. 飯田健太

    飯田政府参考人 お答え申し上げます。  今回の一時支援金でございますけれども、今、大臣お話し申し上げましたように、緊急事態宣言の影響に伴うと。緊急事態宣言が、今回は政府全体の方針といたしまして、飲食店につながるという形で行われたということに伴う措置でございます。お答え申し上げましたように、業種につきまして、あるいは地域につきまして、非常に幅広く、全国あるいは全ての業種がその支援対象となっているというふうに認識してございます。
  131. 笠井亮

    ○笠井委員 実際にはそうなっていないという現実があるということを言っているんですよ。  手を尽くしていると先ほどもおっしゃったんですけれども、では、要件のハードルの高さも問題であります。一時支援金が売上げ五〇%以上減少を要件にしていることについて、全国知事会も売上げ要件の緩和ということを提言いたしております。  梶山大臣、持続化給付金でもさんざん議論してまいりました。売上げ五〇%以上減少では、支援が必要なのに給付されないという事業者がたくさん、かなり出るんじゃないかと思うんですが、そういう認識はありませんか。
  132. 梶山弘志

    梶山国務大臣 これまでに前例のない給付という形を取らせていただきました。そこで五〇%という線を引かせていただいたということでありますけれども、今委員のおっしゃるような声はいろいろなところから聞こえているのも現実であります。  そういった中で、いつも申し上げることですけれども、地方創生臨時交付金、例えばある県におきましては、四〇%から四九%までの方、また、三一%からその次の段階ということ、一〇%刻みで額を違えて、給付金に代わるものということで出しているところもあるわけであります。  そういった使い方も含めて類型をまた都道府県にも出しておりますけれども、地方創生臨時交付金というものを有効に使っていただきたい。そして、それぞれの地域の特性や業種の特性に合わせて機動的に対応していただきたいということをお願いをしているところであります。
  133. 笠井亮

    ○笠井委員 一定の線引きが必要だから五〇%ということと、あわせて、地方創生臨時交付金の話と地域の特性を生かしてということなんですが、そうした地域といいますか、そこに近いところの、全国知事会自身が要件の緩和が必要だと言っているわけですよね、この一時支援金について。そこは受け止めるべきだと思うんです。  信金中央金庫の調査結果では、中小企業の損益分岐点、これは約八〇%。売上げ二〇%減で利益を失うということになると。五〇%減だったら、事業も、雇用も、生活も、とても維持できない、こうなっちゃうよということだと思うんですよ。  現実に、神戸の小売酒販組合からは、卸業者は薄利多売のビジネスモデル、五割の売上げ減というのはもうもたない状態、要件が厳し過ぎるという悲鳴が上がっております。  やはりここは見直しを検討すべきじゃないか、大変な実態があるんだから。いかがですか。
  134. 梶山弘志

    梶山国務大臣 様々な声を聞いております。そういった中で対応を考えていかなければならないとも考えております。  ただ、この一時支援金につきましては、緊急事態宣言が出されたところの取引業者が、まずは第一義的には仕入れがなくなるということで大変なんじゃないかということから始まりました。そういった中で拡大をしながら、移動や外出の制限というものまで入れていきましょう、また観光地は観光客まで考えていきましょうということで広げてきたということでありまして、この中でなかなか広げるのは大変だなという思いがいたします。  一時支援金に関しては、始まったところが緊急宣言地域の協力金だけではない次の業者ということでやらせていただいたということも含めて、それぞれの地域の在り方、知事会からの要望も存じ上げておりますけれども、やはり地方創生臨時交付金、かなりの額を手当てをしているところでありますので、そういった対応を連携をしていって、そういう対応を取っていただきたいと考えております。
  135. 笠井亮

    ○笠井委員 幾つか言われたんですが、一時支援金という枠ではなかなか大変なところがあるんだったら、別の仕組みと枠組みを考えたらいいということは、やはり、そのまま我々の提起していることでありますし、全国知事会も言っていることなんですね。  事業者はこの一年、やはりもう耐えに耐えて、経営体力を奪われ切っています。何とか耐え抜いた事業者に対して、一年前と全く変わらない要件をつけていけば、これはもう本当に助からない。  売上げ五〇%減のハードルはやはり高過ぎる。現行制度の売上げ五〇%減の要件を緩和して、事業実態、規模に見合った金額を届け切るというのがやはり国の責任だと、本当にそこのところは強く申し上げておきたいと思うんです。  そこで伺いますが、この一時支援金ですけれども、緊急事態宣言地域で売上げが減少した事業者、宣言地域事業者との直接、間接的取引のある事業者、それから外出自粛の直接的な影響がある事業者を対象に一―三月の損失を補うと、先ほど来、答弁でもそういうことを繰り返し言われております。  ところが、三月二十一日に緊急事態宣言が全面解除されたということなんですけれども、その後も、全国の都府県になりますかね、道はまだかもしれませんが、時短とか自粛ということの要請なんかを更に拡大したり延長したりとか、あるいは再要請するということが相次いで起こっております。  昨日も、それから一昨日あたりからですかね、各紙でも、ニュースでもそういうことが相次いで言われて、大阪なんかも非常に今大変な状況で、そういう様々な措置も要請したりもするということになっているし、東京も本当に大変な状況になっています。それから兵庫もそうですし、全国各地、宮城もそうですよね。  いろいろなところが、今、第四波、本当に封じ込めるためにどうするかということで悩まされておられて、検査と併せて何らかのことをやらなきゃいけないということになっていると思うんですけれども。  そういう中、今日は三月三十一日です、いよいよあしたから四月ということになりますが、大臣に伺いたいのは、四月以降、こういう状況がまだ続く中で、そしてさらに、第四波とか、あるいは変異株という問題も出てきたりしていて、ワクチンもなかなか大変だよねとなっている中で、いろいろなことを努力はしているんだけれども、じゃ、そういう中で、国による、中小企業あるいは小規模事業者あるいは個人事業者に対する国からの直接支援ということについては何かあるんでしょうか。  一時支援金も一応、一―三月のやつを五月まででしたかね、そういうことになりますけれども、要するに、一―三月の五〇%という話ですから、その辺のところはちょっと、四月以降、じゃ、新たな直接支援というか、何らかの直接支援策というのがあるのか、四月以降について見ると。減収する、大変になるということに関してですね。そこはどうなっているんでしょうか。
  136. 梶山弘志

    梶山国務大臣 常に感染者の数そして経済の動向を考えながら、ずっと議論をしたり、いろいろな考え方をやり取りをしたりしているわけでありますけれども、今の時点では、まだはっきりしたことは、言えるようなものはございません。
  137. 笠井亮

    ○笠井委員 であれば、貸付けや補助金を活用する体力がもう残っていない状況の中で、四月以降、直接支援が今のところないということであれば、継続的な支援、追加支援は必要なわけで。  三月十九日に日本共産党と立憲民主党が衆議院に提出した持続化給付金の再支給法案、これは、コロナの影響を受けた中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主を支援をして、必要な事業者を誰一人取りこぼすことのないように、給付要件の緩和とか対象拡大、事業規模に応じた加算措置、申請と審査の改善なども提起しております。  全国知事会の緊急提言も、再度の支給や要件緩和、企業規模に応じた支給額の引上げを行うことを求めているわけですね。  大臣、今こそ、この持続化給付金の再支給をやるということで踏み切るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
  138. 梶山弘志

    梶山国務大臣 全国知事会の要請、提言というのは、大変重く受け止めているところであります。それらも含めて今後考えていかなければならないと思っておりますけれども、各政党から、また、この持続化給付金に似た制度も含めて、いろいろな御提案や法案提出というものもありますので、参考にして、我々もしっかりと考えてまいりたいと思っております。
  139. 笠井亮

    ○笠井委員 やはり、コロナの感染の下で、本当に命が問われている、そして、なりわいをどうやって守るか、暮らしを守るかということが大事になっていると思うんですよね。  だから、そういう中で、本当に、一回目の持続化給付金というのは様々ありました、議論大臣ともさせていただきました、予算委員会も含めて。制度や事務局の体制不備等によって、受け取るべき方、事業者が受け取れなかったという大きな課題も残ってきている中で、一方では、先ほど議論もしたように、よかったということがあるわけですが、やはり焼け石に水という事態もある。  だから、ここは本当に、立場の違いがいろいろあったりとか、いろいろな議論があっても、今度こそ、必要な全ての事業者に届け切るために、第二弾の給付金ということについて、やはり大臣、もっと先頭に立って検討する、今の時点でどうかということで、事業者の個々の事情、実態に即した柔軟で迅速な直接支援に踏み出していただきたい、このことを強く求めておきたいと思います。(発言する者あり)
  140. 富田茂之

    富田委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  141. 富田茂之

    富田委員長 速記を起こしてください。  この際、暫時休憩いたします。     午後二時五十五分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕