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2021-04-23 第204回国会 衆議院 環境委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月二十三日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 石原 宏高君    理事 勝俣 孝明君 理事 菅家 一郎君    理事 土屋 品子君 理事 福山  守君    理事 牧原 秀樹君 理事 生方 幸夫君    理事 源馬謙太郎君 理事 江田 康幸君       秋本 真利君    畦元 将吾君       安藤  裕君    加藤 寛治君       金子万寿夫君    神谷  昇君       神山 佐市君    武村 展英君       百武 公親君    古田 圭一君       細野 豪志君    宮澤 博行君       八木 哲也君    近藤 昭一君       関 健一郎君    堀越 啓仁君       横光 克彦君    斉藤 鉄夫君       田村 貴昭君    串田 誠一君       森  夏枝君     …………………………………    環境大臣         小泉進次郎君    環境大臣        笹川 博義君    環境大臣政務官      宮崎  勝君    環境大臣政務官      神谷  昇君    政府参考人    (環境省地球環境局長)  小野  洋君    政府参考人    (環境省自然環境局長)  鳥居 敏男君    政府参考人    (環境省総合環境政策統括官)           和田 篤也君    参考人    (小田原市長)      守屋 輝彦君    参考人    (Fridays For Future KagoshimaJapan) 中村 涼夏君    参考人    (東京大学未来ビジョン研究センター教授)     高村ゆかり君    参考人    (北海学園大学経済学部教授)           上園 昌武君    環境委員会専門員     飯野 伸夫君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   小島 敏文君     宮澤 博行君   務台 俊介君     安藤  裕君   森  夏枝君     串田 誠一君 同日  辞任         補欠選任   安藤  裕君     務台 俊介君   宮澤 博行君     神山 佐市君   串田 誠一君     森  夏枝君 同日  辞任         補欠選任   神山 佐市君     加藤 寛治君 同日  辞任         補欠選任   加藤 寛治君     小島 敏文君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第四七号)      ――――◇―――――
  2. 石原宏高

    石原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案審査のため、参考人として、小田原市長守屋輝彦君、Fridays For Future KagoshimaJapan中村涼夏君、東京大学未来ビジョン研究センター教授高村ゆかり君及び北海学園大学経済学部教授上園昌武君、以上四名の方々に御出席いただいております。  この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。  まず、守屋参考人中村参考人高村参考人上園参考人の順に、それぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは、まず守屋参考人にお願いいたします。
  3. 守屋輝彦

    守屋参考人 おはようございます。小田原市長守屋輝彦でございます。  本日は、環境委員会においてこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。小田原市が推進をしております脱炭素社会に向けた取組につきまして御紹介するとともに、地球温暖化対策推進に関する法律改正案に対する意見を申し述べさせていただきます。  小田原市の取組につきましては、お手元の資料に基づいて順に御説明いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、一ページ目を御覧ください。  小田原市は、都内からの良好なアクセスの立地にあって、森、里、川、海がコンパクトにまとまっており、この自然特性に裏打ちされた歴史、文化、産業が息づく地方都市です。この地域を持続可能なものにし、よりよい形で次世代に引き継いでいくことが自治体としての究極の目標でございますが、達成に向けて必要不可欠な地域資源である再生可能エネルギー活用については、市の重要課題として位置づけております。  二ページを御覧ください。  このページは、条例制定計画策定などの環境整備の段階的な発展をお示ししております。  小田原市の脱炭素社会に向けた政策特徴は、積極的な公民連携にあります。一貫した目標を示して、民間事業者の自立的な取組促進、牽引していくことが行政の役割であり、市が時代の潮流を捉えたメッセージやコンセプトを打ち出すことで、様々な形の支援も含めた環境を整備することが前提となると考えております。  二〇一二年、小田原市では、持続可能な地域社会構築には再エネ活用が必要不可欠との考えの下、組織体制の変更を行いました。環境政策の一分野であったエネルギー政策を中心に据え、これに取り組む専門部署を創設、政策上のプライオリティーを高めて以降の取組を進め、現在に至っております。  二〇一四年には、エネルギー政策の基本的な方向性を定めた小田原再生可能エネルギー利用等促進に関する条例を、そして、翌二〇一五年には、具体的な施策実施に向けた小田原エネルギー計画を策定いたしました。  そして、二〇一九年十一月に、全国で七番目、都道府県、政令市を除けば全国で一番最初に、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを表明し、長期的な視点で、従前の枠を超えた取組推進に注力をしているところでございます。  三ページ目を御覧ください。  こちらは、先ほど申し上げました、小田原市の再エネ条例の概要でございます。この中で、再エネ地域固有資源として捉えるとともに、地域活性化等に資するように利用すべきとしております。そして、再エネ事業に対する支援、特に市民の参加など一定条件を満たす再エネ事業者を認定し、奨励金交付を行っております。  四ページを御覧ください。  このスライドは、地域においてどのような連携が生まれたのかをお示しした資料でございます。  出発点となったのは、二〇一一年に設立された小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会です。この協議会には市内エネルギー事業者地域金融機関、有識者などが参加し、地域主導の再エネ事業創出に向けた検討が行われました。この検討地域エネルギー発電事業者設立などにつながっております。小田原市は事務局として、この協議会の運営を担い、論点整理意見集約などを実施してまいりました。  また、二〇一六年には、電力小売自由化を受けて、地産電力地域に届けるモデル、小田原箱根エネルギーコンソーシアム民間主導構築され、地域電力小売事業が開始することにつながりました。  その後も、二〇一九年に、後に御説明いたしますEV事業をきっかけに、市内外関係事業者を広く集めたオープンイノベーションを目指す連絡会議を開催し、新たな企業連携などの創出につながっております。  また、二〇二〇年には、小田原市と箱根町において、行政のみならず、議会、自治会商工会議所を巻き込む形で、まさに地域一丸となった、いわゆる気候危機宣言である気候変動に対するワンチーム宣言を行っております。  次に、五ページを御覧ください。  小田原市のこれまでの取組を、大きく五つのステップに分けてお示しをしております。  特徴といたしましては、先ほどの地域が主体となった推進体制に、市外の企業技術との連携が組み合わさること、エネルギーマネジメント前提とした再エネ促進になります。  まずは、二〇一四年、地域エネルギー事業者により、市民出資の手法を組み入れたメガソーラー事業創出いたしました。二〇一六年には、地域電力小田原市にできることにより、この地産電力地域に届けるとともに、その売上げの一部を地域貢献活動に充てる仕組み構築しております。  以降のステップでは、再エネ導入しやすくするエネルギーマネジメントに取り組んでいるものでございます。  現状市内の再エネ主力太陽光発電になりますが、これは時間帯や気象条件変動しやすい特性があり、大量に導入していくためには、蓄電池等変動を吸収することが重要となってまいります。この課題に対処するためには、ステップ三で、小学校に設置した複数の蓄電池を同時制御すること、そして、ステップ四ではシェアリングサービス活用する電気自動車を動く蓄電池として制御することで、面的なエネルギーバランスの調整を行う事業に着手をしております。  さらに、直近では、市の公園施設などが集まる限られた限定的なエリアにおいて、非常時に太陽光発電設備と大型の蓄電池によって配電網を独立運用する、地域マイクログリッド事業を進めているところでございます。  次に、六ページを御覧ください。  脱炭素社会に向けて、まず直近の二〇三〇年の目指すべき方向性についてお示ししたものでございます。  二〇五〇年のカーボンニュートラル実現から逆算すると、二〇三〇年の断面においても現状の再エネ導入量からの大幅な拡大が必要になってまいります。とりわけ直近の数年間で自立的な導入拡大基調に乗せていくことが後年の爆発的な再エネ導入拡大に不可欠であります。  小田原市としては、二〇三〇年までに太陽光発電設置可能な屋根の三分の一程度への導入を目指すこととし、この三月には、二〇三〇年の目指す姿とその実現に向けた工程表から成るロードマップの中で、環境エネルギー分野先導領域として位置づけており、まさに地域一丸となって取組を進めている状況でございます。  七ページを御覧ください。  今後の取組におきまして重要となる点をお示ししたものでございます。  まず、再エネ大量導入を進めていくためには、個別施設等電力需要に見合った量で導入するのではなく、ポテンシャルの最大限の導入を促すこと、駐車場耕作放棄地等活用など、再エネ導入適地自体拡大していくことが発電側において重要な視点であると考えております。  これにより出てくる余剰電力や再エネ変動を、系統線EV、デジタル技術活用して、地域全体で余すことなく活用するエネルギーマネジメント仕組み構築が必要となります。  そして、束ねた地域の再エネEVシェアリング事業など象徴的な電力需要に充当し、地産地消かつ脱炭素型のサービス創出することで、域内での好循環をつくり出していくことが重要であります。  以上申し上げました小田原市の取組を踏まえまして、今般の改正法案に対して三点、意見を述べさせていただきます。  まず一点目は、地方公共団体実行計画における目標設定についてでございます。  法案では、再エネ利用促進施策実施目標設定が新たに規定されるものとなっております。  小田原市におきましては、二〇一五年に、条例に基づき、小田原エネルギー計画を策定し、これを基盤として再エネ導入促進施策推進を図っており、本日御説明させていただいた小田原市の取組におきましても、事業者への政策予見性を高めるという点で有効に機能しているものと考えております。したがいまして、この流れを後押ししていただくことは全国自治体にとっても有用なものであり、目標設定を設ける改正案賛同をいたします。  一方で、小田原エネルギー計画のような既存計画への整合、一定整備を終えているところへの配慮も必要であると考えます。策定済み計画に対しても法の定める目標等として準用するなど、法の適用に当たって配慮いただければと考えます。  二点目は、地域炭素化促進区域指定についてでございます。  小田原市では、協議会などを活用して、再エネ導入促進必要性を共有するプロセスを経験し、その重要性を認識しているところでございます。促進区域指定につきましても、自治体からの明確なメッセージを発信するものとして有用なものであり、区域指定を設ける改正案に基本的に賛同をいたします。  一方で、御説明申し上げたとおり、小田原市は、太陽光発電地域内での効果的利用に適した小規模分散型電源主力の再エネとして導入拡大促進していくことを打ち出しているところでございます。こうした小規模分散型の電源主力としていく小田原市にあっては、あらゆる導入可能場所ポテンシャル最大導入エネルギーマネジメントを両立させていくことが重要となります。  大規模な再エネ導入を円滑に進めていくための促進区域指定だけでなく、例えば、市街地全域といった小規模分散の再エネ導入可能なエリアにおいてポテンシャルを最大限引き出すこともまた必要なアプローチであると考えております。こうした地域実情に応じ、例えばポテンシャルを有する地域全体を促進区域指定するなど、柔軟な運用ができるよう配慮いただけますと、地域での脱炭素化に向けた取組の一層の促進に資するものと考えております。  三点目は、地域炭素化認定事業についてでございます。  地域に裨益する事業を誘導していくことは大変重要な施策であると認識しておりまして、事業認定を設ける改正案賛同いたします。  小田原市も、条例において、地域貢献性の高い再生可能エネルギー事業を認定する制度を運用し、認定事業の公表、奨励金交付を行っております。ただ、実情といたしましては、市が付与できるインセンティブには限界があり、認定事業を増やしていく上で課題を感じているのが率直なところでございます。  エネルギー関連制度市場動向を踏まえ、自家消費型事業を対象とするなど、条例改正等の対応も図ってきたところではございますが、改正案認定制度との相乗効果によって、より地域に裨益する事業への誘導が図られる点は歓迎するところでございます。とりわけ、地域の手が行き届かない部分、市独自の支援に加え、新たに、認定事業に対する財政的なインセンティブの付与を併せて行うことで、既存取組との相乗効果にもつながるものと考えておりまして、是非御検討いただければと存じます。  以上でございます。  二〇五〇年のカーボンニュートラル実現、これは大変高い目標でございますけれども、一方で、真に持続可能な地域社会、そのありようをデザインする大きなチャンスであるとも受け止めております。市民事業者連携し、市はこれを牽引しながら、地域一丸となって取組推進してまいりたいと考えております。  衆議院環境委員会の皆様の一層のお力添えを申し上げまして、御説明を終わらせていただきます。  本日は、どうもありがとうございました。(拍手)
  4. 石原宏高

    石原委員長 ありがとうございました。  次に、中村参考人にお願いいたします。
  5. 中村涼夏

    中村参考人 皆さん、おはようございます。早急な気候変動対策を求める若者の運動、Fridays For Future KagoshimaJapanでオーガナイザーをしています鹿児島大学二年の中村涼夏です。  今回は、参考人として、二〇三〇年NDC発表の翌日というタイミングに機会をいただけたこと、感謝いたします。  私が環境問題を感じるときはいつでも、当たり前を失うことに気づくときです。鹿児島県の指宿市で生まれ、一時期種子島にも住んでいた私は、保育園帰りに母とエメラルドグリーン色の海に通うことが日課でした。しかし、親の転勤で名古屋に引っ越し、海を見たとき、信じられませんでした。そこには、鼻をつくような臭いと、黒く海底の見えない、工場が建ち並ぶ下に広がる海があったのです。私が知っている当たり前の海ではありませんでした。人の手でここまで自然環境を変えてしまうことができるんだ、身をもって実感したのです。そのような体験もあり、高校二年生から生物多様性保全に関わりましたが、当時は、気候変動に対し、生物多様性の一つの問題にすぎないと過小評価をしていました。  しかし、二〇一九年、高校三年生の夏、スウェーデンの少女、グレタの言葉、あなたたち大人は、子供たちを愛していると言いながら、その目の前で子供たち未来を奪っているのですや、私たちの家が燃えているを聞き、私たちの当たり前に存在するはずの未来気候変動によって脅かされていることを知りました。  そして、この気候変動という恐怖は、決して私たち意見ではなく、科学者の声であり、現在実際に起こっている事実なのです。  NASAは、世界平均気温が十九世紀後半から既に一・二度以上上昇したと報告しています。地球温暖化が現在の速度で進行すると、早ければ二〇三〇年に気温が一・五度に達する可能性が高いとIPCCは警鐘を鳴らしています。気候危機から国民を守るためには一・五度目標に整合する対策を実行することが政府の責務です。  これを果たすためには国内温室効果ガス排出を二〇三〇年までに二〇一三年比で六二%を削減する必要があるとクライメート・アクション・トラッカーは報告しています。これまで二酸化炭素を排出してきた歴史的経緯を考慮すると、それ以上の削減が求められます。地球温暖化気候変動は、その被害の大きさから気候危機として認識され、取り組まなければいけない問題です。国連は、地球温暖化が生きる権利や食料、水、住宅、市民権参政権など、あらゆる人権影響を及ぼす可能性があると発表しています。  昨日、菅首相から、二〇三〇年NDCを二〇一三年比四六%にするとの発表がありました。私は、この数値を聞いたとき、皆さん方大人に、あなたたち未来と命はないと宣告されたように感じました。絶望しました。このNDC四六%という目標は、気候危機から国民の命を守るという責任を放棄したように思えます。結局は、海外からの圧力と内部の既得権益のみによって決められてしまったのです。若者の声を積極的に聞き入れたい、そんな表面だけの口約束はもう十分です。  このような状況を踏まえて、私たちは皆、気候正義という考えを大切にしなければなりません。この正義とは、悪に対する正義ではなく、英語のジャスティスや公正、フェアな状態を表す概念です。正義の対義語は不正義です。世界温室効果ガス排出量は、日本を含む裕福な一〇%の国々が四九%を排出し、最も貧しい五〇%の国々はたったの一〇%しか排出していません。世界は今、不正義にあふれ返っています。  日本CO2を一人当たり十八分の一しか排出していないバングラデシュでは、千九百万人以上の子供気候変動によって命の危機にさらされています。そうした海面上昇や洪水、干ばつなどが深刻化する地域に住み続けることができなくなってしまった気候変動難民も、今後数百万人単位で増え続けます。国連によると、その中でも、世界全体で気候変動により移動を余儀なくされた人々の八〇%が女性だったと報告されています。また、アメリカなどでは、人種的なマイノリティーが特に大気汚染の深刻な地域に追いやられるという構造が起きています。これは、日本環境基準の低い国々に低効率の石炭火力発電設置し、現地大気汚染、住民の健康被害を悪化させていることと通底しています。  世界で五番目に多くCO2を排出している日本が、さきに述べたような気候変動難民の増加に寄与していることは自明です。日本は、こうした理由で住みかを放逐された人々を保護する責任があるにもかかわらず、彼らを送還するような仕組みづくりがされています。気候危機は、最近改正された入管法など、関連がないように思える問題にも大きく関わっているのです。  気候危機は、既に日本を襲っています。二〇一八年のグローバル気候リスク指標で、台風熱波などの災害から最も影響を受けた国として日本が挙げられました。これは、日本が既に気候危機の渦中にあることを表しています。  それを裏づけるかのごとく、二〇一九年の台風十九号は、死者九十名、住居の全半壊や浸水を合わせて七万四千件を超える甚大な被害をもたらしました。また、この被害の数字の奥には、その人に関わる家族や友人、大切な人々が存在するのです。私たち気候変動対策を早急に行うのは、全ての人の平等な人権を保障し、全ての生き物の平等な命を犠牲にしないためだということを決して忘れてはいけません。  そして、気候危機は、日本国内においても至る所の不正義を顕在化させてきました。  皆さんは、二〇一九年の台風十九号の際、三名のホームレスの方々避難所への受入れを拒否されたことを御存じでしょうか。これは、災害時に社会的に排除されてきた人々が差別を受ける構造を浮き彫りにしたと言えます。また、防災観点も、災害に強い住居災害保険防災グッズの用意ができるのも経済力があることが大前提です。また、気候危機は、既に、ジェンダー格差を更に広げてしまいます。例えば、女性災害時、家事などで他人の世話を強いられることが少なくありません。これは世界においても共通です。  そして、気候危機時代を生き抜くのは、紛れもなく私たち将来世代です。私たちは、既にコロナ対策で発行された国債がのしかかっているにもかかわらず、今後増え続ける気候災害経済損失も被ります。少子化対策など必要だと言われていますが、そんな経済気候変動状況の中で子供を産みたいと思う人はどれほどいるでしょうか。皆さんの年金を払う将来世代が生きられないかもしれないという世界をつくり出しているのです。  しかし、こうした格差は国政の場にもはびこっています。  中でも、エネルギー政策に関する審議会では、偏った人選の委員により一面的な判断が行われていることに不信感を抱かざるを得ません。中でも、委員会は高齢の方が多く、将来世代である私たち若者視点を持つには非合理的です。  私たちが求めているのは、格差構造にはびこる不正義を認識し、それを正すような政策です。そのために、若者だけでなく、気候変動被害を受けやすい人々など、多様な層からの意見を受けることが必要です。世界でも日本でも気候市民会議が行われ、公的でなくてもそういった事例は幾つもあります。意見箱設置パブリックコメントなど形式的な制度ではなく、ステークホルダーに知識を与え、その上で公正な形で意見を反映させる制度が必要です。気候変動政策という複雑で多くの側面を持つ問題は、一部の人の意見ではなく、対話を重視した議論によってつくられるべきです。  これは、国や地方における議員の皆さんの真剣な議論対策を広く国民に伝え、新たな視点を得ることだけでなく、政策を正しく評価し、更に国民の意識を高めるための鍵となります。  現在、エネルギー政策は、火力や原子力、実用的でない技術に依存しています。それらは、大気や海洋、環境汚染など様々な問題をはらみ、地域世代などの格差構造に深く依存しています。  しかし、審議会では、倫理的観点を単なる感情論として拒絶し議論をする余り、現地環境汚染や将来世代に果てしのないツケを残してしまっています。  アメリカ環境正義専門とした部署設置化石燃料産業からの公正な移行への積極的投資など、各国のグリーンニューディール政策からも見て取れるように、気候変動対策において倫理観の重みは増しています。こうした倫理的観点を受け止め重んじることは、日本気候リーダーシップを取り、世界を牽引する上でも欠かせないものとなります。  世界気候変動対策に大きな後れを取る今の日本において、大きな変化をもたらすために果たすべき重要な役割があります。それは、民主的な政策決定プロセスを再構築し、カーボンニュートラル達成に向けたビジョンを市民とともに描くことで、国民の求める未来像をつくり出すことです。倫理的、経済的、科学的にも整合性のあるNDCや再エネ導入目標をバックキャストで策定することによって、エネルギー政策及び気候変動対策議論をより前進させることができます。これは、私たちの目指す、格差からの逃避という静かな暴力も気候危機もない社会への大きな一歩です。  こうした未来のために温暖化対策推進法の果たす役割は非常に大きいと考えています。その上で、温暖化対策推進改正案に対する私たちの問題意識を主に四点、述べさせていただきます。  一点目は、二〇五〇年までの脱炭素社会実現目標ではなく基本理念に位置づけたにもかかわらず、NDCが四六%と、明らかにこの改正案に整合性のある数字ではないことです。首相官邸主導だからといって、省庁横断的な取組がなされていないことは、これからの脱炭素化に暗雲が差します。  二点目は、計画の再評価と見直しの必要性が述べられていないことです。改正案では計画の制定や事業推進を進めていますが、これが再評価、見直しされていなければ、目まぐるしく変わる社会情景や科学の進歩、気候危機に対応した計画になり得ません。現に、計画の見直しをする予定がないと言っている自治体は少なくありません。こうした計画的手法にも再評価し、見直すシステムを温暖化対策推進法の中で位置づけるべきです。  三点目は、現在の改正案では、自治体協議会にて市町村が必要とする者のみが参加できるとしていることです。しかし、私たち影響する問題だからこそ、私たちができる限り政策決定に関わるべきだと思います。その点から、先ほど述べた国の審議会の問題解決案と同様に、ステークホルダーに知識を与え、その上で公正な形で意見を反映させることがこの法案では必要です。基本理念に、地球温暖化対策推進の主体として国民が先頭に掲げられるとしているならなおさらでしょう。  四点目は、事業計画の認定と円滑化と題した関係法案のワンストップサービス化によって、適切な科学的な評価がなくなり、気候変動の解決以前に、人や生物、環境に悪影響を及ぼす可能性が十分に高まっている点です。保全区域の設定だけでなく、現在ある国立公園やその他地域生物多様性観点から、適正な評価、また、設置する地域市民の理解と安全の確保、将来世代を見据えた再生可能エネルギー設置が必要です。果たして、これを法として自治体に任せておくべきでしょうか。気候変動を解決する手段で、見えない誰か、生物に対し、格差構造から成る静かな暴力を振るうことは決して許されません。  気候危機は、見えづらい格差に立ち向かう問題です。頭では分かっていても、緊急性を実感することはなかなか難しいかもしれません。だからこそ、私たちの想像力が必要です。今までの社会システムを疑い、想像力を働かせるために、当事者の声が不可欠です。社会的弱者や静かな暴力の被害になっている人々の声を聞き、市民を巻き込んだ政治を行うことで、解決の第一歩となります。  一・五度目標実現は、皆さんを含む私たち全員にとって、大切な人と自分自身、その命が懸かっている問題、安定した年金が懸かっている問題、人生設計を大きく揺るがす問題です。今だからこそ、まだ間に合うのです。  気候危機も静かな暴力もない社会へ、一緒に変化になりましょう。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  6. 石原宏高

    石原委員長 ありがとうございました。  次に、高村参考人にお願いいたします。
  7. 高村ゆかり

    高村参考人 東京大学の高村でございます。  本日は、環境委員会意見を述べる機会をいただきましたことをお礼申し上げます。  私の方、資料事務局がお配りいただいておりますけれども、昨日、菅総理から、二〇三〇年の目標について表明がありました。五〇年カーボンニュートラルと整合的な三〇年の目標ということで、一三年度四六%削減、そして、更に五〇%の高みに向けて挑戦をするというものであります。  その中でも、再生可能エネルギーなど脱炭素電源の最大限の活用地域の脱炭素化への支援といった点についても触れられております。  次の三枚目のスライドでございますけれども、先生方よく御存じのとおり、温暖化対策推進法の改正については大きく三つのポイントがございます。一つは、パリ協定、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の規定、そして、地域の脱炭素化に貢献する事業促進する計画認定制度の創設、脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化、オープンデータ化の推進でございます。  私は、こうした温暖化対策推進法改正の背景についてお話を申し上げた後に、改正の内容について意見を述べさせていただきます。  次のスライドにございますように、カーボンニュートラルに向けて、現在、世界が大きく動き出しております。これは、二〇一五年に合意をされ、一六年に日本も締結をいたしましたパリ協定の長期の目標の一・五度に気温上昇を抑えるという目標に整合をする、二〇五〇年カーボンニュートラルに向かう大きな動きでございます。  御存じのとおり、昨年の十月、二〇五〇年カーボンニュートラル、菅総理の演説は、国会でも大きな与野党超えた支持を得て、受け入れられたものと理解をしております。  次のスライド、五枚目でございますけれども、先ほど小田原市、守屋市長からもありましたように、現在、実に多くの自治体、人口でいきますと一億一千万を超える規模の自治体が、二〇五〇年二酸化炭素排出ゼロを宣言をするに至っております。  次のスライド以降は、日本企業の動きでございます。  サイエンス・ベースド・ターゲットという国際的なイニシアチブを御紹介をしておりますけれども、スライドの七枚目、こちらは、日本に本社を置く企業で、パリ協定の長期目標と整合的な目標、二〇五〇年カーボンニュートラルも含む、こうした長期的なパリ協定と同じ整合的な目標を掲げる企業が国際的に認められたものとしても既に九十七社、準備をしている企業も三十社に及んでいます。  スライドの八枚目では、こうした目標を達成するために、再生可能エネルギー電気一〇〇%で事業を行うことを明確に約束をする企業でございます。  スライドの九枚目と十枚目は、こうした国際的イニシアチブの外でも、既に、ガス会社、電力会社、JRあるいはJAL、こうしたエネルギーを供給する事業者や、エネルギーを多く使いながら自分たちでも発電、エネルギーの供給をしている事業者が、五〇年カーボンニュートラルに向けて大きく動いているということでございます。  冒頭に、五〇年の目標に整合的な三〇年目標ということをお話をいたしました。スライドの十一枚目は、既に、国に先駆けて、野心的な三〇年目標を掲げる企業が多数出てきているということでございます。  それでは、なぜ企業がこうしたカーボンニュートラルに動いているのかということでございますけれども、気候変動影響、とりわけ昨今の気象災害などに感じられる気候変動の悪影響の現実化への懸念というのがまずございます。しかしながら、もう一つ非常に重要な点は、企業にとって気候変動問題にいかに取り組んでいるか、排出をしないで事業ができるかどうかということが、取引先からの企業の評価や株式市場における企業の評価を左右するに至っているという点でございます。  一つの例として、スライドの十三に、アサヒグループホールディングス、飲料食品メーカーのアサヒグループホールディングスの目標を御紹介をしております。  スコープ1、2と書いておりますが、こちらは、アサヒグループホールディングスが、自らの事業から直接排出をする排出量について、一九年比五〇%の削減を三〇年目標として掲げております。さらに、その下にスコープ3の排出量というのがございますけれども、これは、アサヒグループホールディングスが取引をしている企業の排出量についても削減目標を持っているということでございます。このことは、排出をしないで事業ができるということが取引先から選ばれる、そういう状況が現在生じているということであります。  この動きは世界的にも広まっておりまして、スライド十五、十六でマイクロソフトとアップルの取組を御紹介をしておりますけれども、マイクロソフト社は、今年の七月までに、取引先選定のプロセスにおいて、取引先候補の排出量がどうなっているかを見ながら取引先を選定する、そういうプロセスを開始をいたします。  アメリカ・アップル社は、アップル製品の製造について、排出をしないで、再生可能エネルギーを利用した製造をサプライヤーに対して求めております。日本企業でも、こちらに御紹介をしていますように、既に昨年の段階で八社が再生可能エネルギー一〇〇%でのアップル製品の製造ということを約束をしております。  スライドの十七枚目は、トヨタ自動車のケースでございます。  今、モビリティーの分野で電動化が大きく進んでおりますけれども、電動車への対応は、車製造全体のプロセスにおけるCO2の排出量を増やす可能性がある。それを減らすためにも、再生可能エネルギーの入手可能性やコストの低減ということが必要であり、これが自動車分野、モビリティーの分野における産業競争力に関わる問題であるという指摘をしています。  スライドの十八、十九枚目のところでは、日本に本社を置く企業が、こうした環境を重視をする、とりわけ再生可能エネルギーでの事業をする企業を選択をして、そのサプライチェーンをつくろうとしている、そういう動きを御紹介をしております。  日本企業は、こうした再生可能エネルギーを調達をして事業してほしいというふうに要請する大きなグローバル企業の下で、取引先として選ばれているケースが多くございます。もしそれができないということになりますと、実に八兆円を超えるような規模の事業機会の損失につながる可能性があるということでございます。  それはスライドの二十に御紹介をしておりますが、残念ながら、日本は、電力一単位当たりのCO2排出量が先進国の中でも最も高い国の一つでございます。  もう一つ、企業が二〇五〇年カーボンニュートラルに先駆けて動いている理由の一つが金融投資家の動きでございます。  スライドの二十一に御紹介をしておりますけれども、ESG投資、環境や社会、企業の統治を考慮をした投資の動きが強まっておりますが、とりわけその中でも、気候変動に対して大きな関心が寄せられております。  企業は、投資家から、経営において気候変動をどれだけ考慮をしているかということが問われ、情報を公開、開示をすることが求められるようになっております。その情報に基づいて、投資家、金融機関が投融資を行うという動きでございます。  こうした動きを踏まえて、スライドの二十三でございますけれども、需要家、エネルギーの需要家でございます事業会社や、あるいは、その立地となっております地域から、再生可能エネルギーの二〇三〇年目標の引上げ、温暖化目標の引上げについて強い意見が出てきております。  スライドの二十四枚目から、今回の温暖化対策推進法改正について意見を申し上げたいと思います。  まず一点目の、パリ協定、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の規定の追加というのは極めて重要だというふうに考えております。  それは、国、国民地方公共団体、事業者、あらゆる主体がその実現を共通のものとして目指すビジョンを明確にし、そこに向けて取組を進めるというためであります。それが各主体の行動を促すとともに、非常に重要な点だと思いますが、脱炭素社会に必要なインフラ、社会の在り方を支えるお金の流れ、投資の予見可能性をとりわけ事業者に対してつけていくという点であります。  日本の場合、エネルギー起源の、エネルギーの利用に伴うCO2の排出量が、温室効果ガス排出量の八五%ございます。エネルギーインフラ、発電の設備も含めたエネルギーインフラといった、立地をし、それを建て、運用していく時間の長いものについて、長期的な政策の見通しをつけていくということが、こうしたインフラの転換を進めていく大きな動機になってまいります。法にこれを定めるということが、国の政策の安定性と予見可能性を高めるものと考えます。  スライドの二十五枚目に、地域の脱炭素化に貢献する事業促進する計画認定制度についてでございますが、こちらは、再生可能エネルギー導入の現在の課題の一つが土地の制約の問題であり、社会において再生可能エネルギー事業が受け入れられるかという社会的受容性の問題、課題があるという観点から、非常に重要な制度の創設だというふうに考えます。  本来、再生可能エネルギー導入は、先ほどの小田原市からの意見陳述にもありましたように、導入の仕方によって、地域にとって大きなメリットをもたらします。  スライドの二十七の例を御覧いただきたいと思います。千葉県の匝瑳市、これは地域の住民が主導したものでありますけれども、再生可能エネルギーの買取り制度を利用して、荒廃農地に発電事業を行い、そこで得られた収益を、若い農業従事者が有機農法で農業をしていくための支援をする、そして、荒廃農地に放棄されたごみの撤去などの地域環境改善に使われている例でございます。  スライドの二十八枚目は千葉県の睦沢の例でございますけれども、こちらは、環境省、経産省の支援を得て、地域の天然ガスを使いながら太陽光などを組み合わせた再生可能エネルギー地域での再生可能エネルギー事業でございます。二〇一九年の台風十五号時に停電をしたときに、電力インフラの地域の重要な防災拠点として、ここで提供される電力エネルギーというのが住民の停電期間中の生活を支えたという例でございます。  そして、スライドの二十九が、環境省の支援事業だと理解をしておりますが、京セラのゼロエミッションデータセンターを北海道と石狩市が誘致をしている例であります。これは、再生可能エネルギーが豊かな地域において、電力多消費型のデータセンターを誘致をすることで地域に雇用を生み出す、そうした取組でもございます。  こうした制度が、こうした区域の指定を通じて促進事業が認定をされ優遇される仕組みというのが、地域主導地域再生可能エネルギー導入をしていく上で大きな役割を果たすことを期待をしております。  スライドの三十枚目でございますけれども、企業の排出量データのデジタル化、オープンデータ化についてはもちろん、先ほど御紹介しましたように、企業のこうしたデータが開示をされることが、企業の評価を投資家、金融機関、取引先に対して明らかにしていく上でも役に立っていくというふうに考えます。  最後、スライドの三十一枚目でございます。  今回の法改正に当たって、是非先生方に、この法改正の後に、その実施に当たって御検討いただきたいという要望を込めております。  改正案そのものは非常に重要だと思いますけれども、やはり、基本理念と整合的な施策導入が引き続きなされるかどうかについて、是非その点について確保をいただきたいという点でございます。これは、対策全体としての効果とともに、それぞれの対策がこうした二〇五〇年カーボンニュートラルに整合しているかどうかという点です。  もう一つは、地方自治体支援でございます。とりわけ市町村に対して、情報と人材と資金の支援というのをお願いしたいと思います。  最後は、促進事業を促すインセンティブとして、温対法上も様々なインセンティブを用意をされておりますけれども、再生可能エネルギー事業に関して言いますと、送配電網へのアクセスですとか再エネの買取り制度での優遇なども省庁を超えて御検討いただきたいというふうに思います。  以上でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
  8. 石原宏高

    石原委員長 ありがとうございました。  次に、上園参考人にお願いいたします。
  9. 上園昌武

    上園参考人 おはようございます。北海学園大学の上園でございます。  お手元の資料を見ていただきたいと思います。  三枚目のスライドになります。  昨日、菅首相は、二〇三〇年の排出目標を二〇一三年比で四六%削減に引き上げるということを発表しました。非常に重要な政策決定をされたというふうに評価いたします。  しかしながら、三枚目のスライドにありますとおり、パリ協定の目標、すなわち脱炭素社会を達成するためのカーボンバジェット、これを推計しますと、一・五度あるいは二度の気温上昇にとどめるためには、日本は残り八年から十二年程度でこのバジェットを使い切ることになります。使い切ると気温上昇が進んでいき、気候危機に陥ります。  カーボンバジェットを過剰消費しないためには、二〇三〇年までに急速な排出削減を達成し、脱炭素社会の道筋をつけることが不可欠です。日本でも、政府が温対法など政策を強化し、排出量取引制度導入炭素税等で脱石炭、電力の脱化石、再エネ化を進めていくこと、さらには省エネ規制を進めていくことで全体の排出削減を確実に達成し、それを生かして自治体カーボンニュートラル地域経済の発展につなげる必要があります。  地域によって排出が大きく異なります。四枚目のスライドを見ていただきますと、大分県や山口県は、産業部門からの排出量が県全体の七割以上を占める工業県になります。一方、農業県や、東京等の大都市などの特徴があります。このように、地域の排出特性再生可能エネルギーの普及可能性、省エネ対策可能性を踏まえた脱炭素化取組を進めていく必要があります。  脱炭素化社会を進めていくために再エネの大幅な普及が不可欠になりますが、スライドの五枚目を見ていただきますと、様々な課題があります。  日本では、再エネ普及は、地域での専門知識やノウハウの不足、資金調達の困難さ、さらには、スライドにありますように、表の課題などが要因で頓挫することが多く見られます。  一方、本日御紹介したいヨーロッパのオーストリアのエネルギー自立地域づくり、これは、省エネエネルギー消費量を大幅に削減した上で、再生可能エネルギーを一〇〇%自給していく取組になります。このエネルギー自立地域づくりでは、中間支援組織が大きな役割を果たしています。特に小規模自治体では、どのような理念や目的を掲げて、誰がどのようにサポートし、誰がどのように事業実施していくのかという点を見ていきたいと思います。  小規模自治体で不足している点は、スライドの六枚目にありますように、大きく三点書いております。第一が知恵や知見、ノウハウに関わるもの。第二が人材です。人に関しては、専門家や担い手、さらにはコーディネーターというところがあります。特に、地域内で事業を進めていく上で、住民や事業者、役所などと意見調整していくコーディネーターがいません。第三に資金調達となります。  それでは、オーストリアの事例を見ていきたいと思いますけれども、八枚目のスライドを見てください。  まず、日本自治体支援特徴が左のピラミッドの図に示しておりますけれども、日本の場合、トップランナー支援という特徴があると考えております。内閣府の環境モデル都市などの事業は、優れた計画や実績を持つ自治体に対して事業予算が配分されます。そして、事業運営や計画作りは外部の力に依存して、住民参加が弱い傾向にあると考えております。  このやり方の限界は、自治体に高い意欲と能力がなければ取組のレベルアップが困難であるということです。また、左のピラミッドの真ん中の空白部分がありますけれども、これらに位置する自治体がこの脱炭素取組を始めようとしても、頼る先がないというところです。スタート地点に立つことさえ難しいということです。  それに対して、右側のオーストリアでは、レベル別の支援プログラムが用意されています。どの自治体でも、目的や能力などに応じてこの支援プログラムを選択できます。ニーダーエスターライヒ州を例にすると、ピラミッドの底に基盤となる州の政策があります。これは全ての自治体が取り組まなければいけない政策になります。そこから更にレベルアップしていくためには、外部の力をかりることになるんですけれども、地域主導で取り組むということが前提になっています。そのため、住民参加が強い取組自治体が多くなり、地域協働が進んでいます。  時間の制約で詳細は割愛しますけれども、九枚目のスライド、これは支援プログラムの中で最もレベルの高いe5といいますけれども、このプログラムがあります。e5は、空間計画戦略や公共の建築物、施設等、六つの領域で自治体取組を審査し、質保証をしています。  そして、次の十枚目のスライドになりますけれども、オーストリアの国の別のプログラムとして、スライドの十枚から十一、十二枚目に、小規模自治体向けの気候エネルギーモデル地域、以下KEMというふうに略しますけれども、このKEMというプログラムがあります。  この取組は、奇抜で斬新なものというのは余り見当たらなくて、日本でも工夫すれば実施できるものばかりがあります。十枚目にその例が書いておりますけれども、ポイントとしては、自治体や住民、事業者などと対話して、地域に合う形で事業が行われています。住民からの要望が多かった電気自動車のカーシェアリングとか市民参加型の太陽光発電などを、地域協働で事業計画して運営しています。  十一枚目のスライドを見ていただきますと、KEMは、地域での気候エネルギー戦略、コンセプトづくりというものを進めていくボトムアップ型のプログラムになっています。オーストリアは、人口が数百人から二千人程度の非常に小さな村が多くあります。そこで、KEMでは、平均して九つの小さな町や村が連合体をつくって、モデル地域というものを形成しています。  各自治体は、気候エネルギーコンセプトというエネルギー計画を策定する必要があり、住民や地域主導計画を決めていかなければなりません。このコンセプトの中にCO2排出削減目標設定して、それに必要な対策も決めていくということになります。  しかし、人口が千人程度の小さな村には、こういった専門能力を持つ人がいませんし、どのように計画事業を立てていけばよいか、そういったことが分かる人がいないということになります。そこで、このプログラムでは、KEMマネジャーという人が三年間雇用されて、計画事業づくりを進めるということになっています。このKEMマネジャーという人は、地域に入って橋渡し役を務めます。日本地域おこし協力隊などの制度がありますけれども、自ら現地事業をつくっていくということはオーストリアの場合はしない、あくまでも黒子役のコーディネーターに徹して、自らは計画を主導して立てるということはしない、そういう仕組みになっています。  このKEMマネジャーは、コミュニケーション能力にたけているということが条件となっています。また、国や州、EUなどの補助金や助成システムを熟知しているということで、各当該の自治体取組にふさわしい助成金のプログラムを申請し、獲得して資金を調達していくということをしております。  しかし、このKEMマネジャーという人は、必ずしもエネルギーや都市計画等の専門家ではありませんので、州の公的な第三者機関、エネルギーエージェンシーと呼びますけれども、ここから専門的な情報やノウハウなどを提供してもらう、それを政策立案として生かしていく、そういう支援があります。  このときに重要なのは情報の透明性や情報公開の原則ということになりますし、エネルギー自立ということを進めていくためにはあらゆる政策情報が必要となりますので、市民がその情報にアクセスできる、市民参加が可能となるような、オーフス条約の三つの権利ということが確立していることが大きいというふうに見ております。  このイメージとして、スライドの十二枚目にイラストがありますけれども、一番上の、自治体と住民や事業者が協働していくために、先ほど言いましたKEMマネジャーという人がコミュニケーションの橋渡し役を務めて、エネルギーエージェンシーが知恵や知見を提供していくという構図になっております。それと、国や州、EUが脱炭素の基本的な政策の枠組みを提示して資金を提供していくということになっていて、オーストリアでは、小さな自治体であっても、脱炭素取組をどんどん進めていく、こういう中間支援組織が充実しているということを特徴として見ております。  続きまして、脱炭素の社会構造改革ということで話をしていきます。  十四枚目のスライドを見ていただきたいと思います。  このグラフには、二〇一五年に実施されました、世界市民一万人を対象にした意識調査が行われました。その中の一つに、あなたにとって気候変動対策はどのようなものかという設問があります。これに対して、世界の六六%の人は、気候変動対策は生活の質を高めるというふうに回答しています。しかし、日本市民の一七%が生活の質を高めるというふうに答えているんですが、六〇%が生活の質を脅かすというふうに回答しております。  なぜ世界日本の意識が真逆の結果になったのかということを考えないといけないわけですが、最大の理由は、我慢の省エネに原因があるんじゃないかというふうに考えられます。最近まで暖房を使っていたわけですけれども、我慢の冷暖房の設定温度というのは非常につらくて、生活の質を下げてしまいます。こういった不快で生活の質を引き下げる取組というのは、長く続かないのは当たり前ではないかということです。  国や地域によって家庭のエネルギー消費に違いがあって、それは十五枚目のスライドにグラフがあります。冬が寒いドイツや北米諸国あるいはヨーロッパ諸国では、家庭でのエネルギー消費量の七割が暖房という特徴があります。これは私が今住んでいます北海道も同じ傾向にあります。  ゼロエネルギー住宅というのは生活の質を向上させるわけですけれども、ドイツなどでは標準装備となっているトリプルガラス、三重窓、それと保温性の非常に高い壁や断熱材によって熱を逃がさないので、暖房消費を大きく減らしても室内が暖かくて快適になっています。  それと、欧州では、低所得者や社会的弱者のエネルギー貧困、燃料貧困とも呼ばれますけれども、これが大きな政治課題になっています。  十七枚目のスライドを見ていただきますと、欧州では、ドイツでは、低所得者層の世帯収入に占めるエネルギーコストの割合が五%から七%を占めて、家計を圧迫しているという調査結果が出ています。  EUは、二〇〇九年にこのエネルギー貧困の緩和に向けて様々な政策等を出してきています。十八枚目のスライドを見ていただきますと、二〇一二年のエネルギー効率指令、これは省エネ政策になりますけれども、エネルギー貧困世帯を優先して省エネ対策実施していくということが盛り込まれています。これはSDGsの第一目標の貧困の解消にもつながるものであり、誰も取り残さないという理念とも一致するというふうに考えております。イギリスでは、冬の推奨室温というのは、居間だと二十一度とか寝室が十八度というふうにされていますけれども、日本の我慢の省エネでは、イギリスに行けば基本的人権を侵害するというふうにも見られるわけです。  こういった、断熱性能を向上させる、そういった省エネ取組というのは非常に重要になってきているわけです。  最後に、まとめさせていただきますけれども、十九枚目と二十枚目のスライドを御覧ください。  三点、簡潔に述べますけれども、一つは、都市や地域再生の手段として気候変動対策に取り組んでいくということがまさに必要になっています。多くの地域では、少子高齢化や人口減少など、大きな社会課題に直面しているわけですけれども、脱炭素社会への移行は、社会構造変革という理念、そこには持続可能性や生活の質の向上、それと公平性、気候正義に基づいた取組として行う必要があると思います。  第二に、脱炭素社会への取組というのは生活の質を向上させるという点で、この脱炭素社会というのは安全で豊かな暮らしを実現するということ、このことを念頭に置いて取り組む必要があります。  とりわけ、エネルギー貧困の解消のためには、社会的弱者の省エネ対策推進が基本的人権観点からも必要不可欠ではないかと思います。ですから、日本ではエネルギー貧困の実態ということをまず明らかにしなければいけないんですが、実はほとんど分かっておりませんので、まずは実態調査から始まっていく必要があります。  最後、第三点ですが、中間支援組織を生かして、住民参加で地域の脱炭素社会構築するということが必要になっていると思います。先ほど述べましたように、オーストリアの事例というのは、そういう点では日本でも非常に参考になるんではないかと思いますので、この後の温対法の改正をめぐって、是非御検討をお願いしたいと思います。  どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
  10. 石原宏高

    石原委員長 ありがとうございました。  以上で参考人方々からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  11. 石原宏高

    石原委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。古田圭一君。
  12. 古田圭一

    ○古田委員 自由民主党の古田圭一でございます。  中国ブロックの比例の選出でございます。  四人の参考人の皆様、先ほどは大変貴重な、またいろいろな角度からの御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。  これから幾つか質問させていただきますけれども、先ほど述べられたことと重複する部分があるかと思いますけれども、補足説明等を加えていただければというふうに思います。  まず最初ですけれども、皆さんにお聞きしたいと思います。二〇五〇年カーボンニュートラルの基本理念についてお伺いをしたいと思います。  菅総理が、昨年秋の臨時国会で、二〇五〇年までの脱炭素社会実現、すなわち二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を行って以来、我が国の取組は加速しているというふうに思います。昨日も、先ほど高村先生からありましたように、菅総理が、二〇一三年に比べて、二〇三〇年、温室効果ガスを四六%削減するという野心的な目標を表明しました。  今回の改正案では、基本理念として、二〇五〇年までの脱炭素社会実現が明記されておりますけれども、これは脱炭素化への取組を強く後押しするものというふうに考えております。  脱炭素社会実現を目指す強い意思が法律の条文として明確化されたことに対して、改めて各参考人の評価を伺いたいというふうに思います。守屋参考人から順番にお願いしたいと思います。
  13. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すという非常に高い目標でありますけれども、やはり目標が明確になるということは、私たち自治体が様々な政策を推し進めていく上で大変強い後押しになるというふうに考えております。  と申しますのも、先ほど御説明させていただきましたように、本市においても、再エネ条例を作って、条例に基づく計画を作って、そして計画に基づく様々な奨励の施策をつくってきたからこそ、様々な民間事業者が一緒になってやっていこうという一連のこの仕組みができたということは、やはり高い目標があったからだというふうに思いまして、本市においても、二〇一九年に全国で七番目にカーボンニュートラルの宣言をさせていただいたということ、これがまさに国と県と自治体が更に強力に同じ方向を向いて進めていくという上では、その広がりというものを非常にこれから期待するところでございますので、非常に今回の取組を高く評価しているところでございます。また是非御支援をいただければと思います。  ありがとうございます。
  14. 中村涼夏

    中村参考人 カーボンニュートラル宣言を基本理念としたことに対しては、一定評価はしているものの、二〇三〇年四六%というNDCの数値の発表は、私たちでは野心的だとは思っておらず、未来を、カーボンニュートラル実現できる科学的な根拠が全く示されていないなというのが実際のところです。  私は、二年前からこの気候変動に対して声を上げてきたのですが、その中でNDCが二年間ずっと変化してきませんでした。その中で、四六%、科学的根拠もなく、気候正義に基づくわけでもない数値に、また、四五%から一%上がった、その一%は何だったのかというのも私たちにとっては疑問に思っています。是非、四六%ではなく、もっと野心的に取り組んでいただければと思います。  二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、皆さんと一緒に歩んでいけたらなと思います。よろしくお願いします。
  15. 高村ゆかり

    高村参考人 古田先生、御質問ありがとうございます。  二〇五〇年カーボンニュートラルという基本理念、この長期の目標を明確にするということは、二〇五〇年カーボンニュートラルというのは決して簡単な目標ではございません。私たちの今の社会の延長線上では到底達成できない目標でございます。言い換えれば、カーボンニュートラル、脱炭素社会実現に向けて、大きくこの社会と経済の在り方を変えていくための目標でございます。  その意味で、明確に法にそれを規定をするということは、社会の各主体、これは国、国民、そして民間主体、地方自治体も含め、何がその変化のための課題なのかということを明確にし、共有をする意味がまずあると思います。課題の共有なくして、その解決策というものは見つけることができないというふうに思うからです。  二つ目は、先ほど意見陳述の中で申し上げましたけれども、OECDを始めこれまでの研究の中でも、とりわけ脱炭素に向けたインフラの整備、インフラの転換をしていく、まさにこれはエネルギー、交通、都市、様々なインフラを変えていくためには、明確な長期の目標を示すという役割を国が果たすということが非常に重要であるという指摘であります。これは、先ほど申し上げました、事業者が持っているインフラであれば、あるいは自治体が持っているインフラも、どういうタイミングで、どういうものを造っていくかということを明確に示すということが必要だからです。  法律に定めるということは、先生方御存じのとおり、最もこの政策の長期的な安定性を確保する政策上の手段だというふうに思っております。  以上でございます。
  16. 上園昌武

    上園参考人 御質問ありがとうございます。  先ほど私の説明でも行いましたけれども、この二〇三〇年の目標は非常に野心的な目標設定したということなんですが、あくまでも通過点であるということと、急速に排出削減をしなければいけないということで、この後、まさに真価が問われていくということになっております。  脱炭素社会の基本理念というお話でしたので、ちょっと一つ違う観点から申し上げたいと思うんですが、二十五年ほど前に書かれていた「サステイナブルシティ」という本があるんですけれども、これはヨーロッパ、EUの都市計画、持続可能な地域づくりのことを書かれた本なんですが、その中で日本の都市計画地域計画ということに対して人がいないというふうにその書かれた先生が御指摘されました。  この脱炭素社会というのは、CO2削減ということが非常に大きな課題になるわけですが、単にCO2を減らせばいいということではなく、先ほど高村先生もお話になりましたけれども、社会構造改革をしていくという、インフラを変えていくという中で、私たちが生活をどういうふうによりよくできるか、それがないとこれだけ劇的な社会構造変革というのはできないだろうと思います。多くの国民の人も、前よりもよくなるという実感を持たせるということがまさに必要だというふうに考えております。  それと、中村さんの説明の中でもありましたように、気候正義という公平な社会、これはSDGsそのものになると思いますので、その観点がまさに基本理念に必要じゃないかということを重ねて申し上げたいと思います。  以上です。
  17. 古田圭一

    ○古田委員 ありがとうございました。  次に、地域炭素化促進事業の実効性の向上について各参考人にお伺いしたいと思います。  今回の法改正では、新たに地域再生可能エネルギー活用した地域炭素化促進事業推進のための計画認定制度が創設されることとなっております。こうした仕組み構築し、脱炭素化促進事業を進めていくことは、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に当たり、非常に重要なことというふうに思われます。  新たに導入される地域炭素化促進事業推進のための計画認定制度の実効性を高めていくために必要なことというのはどういうふうなことがあるか、お伺いしたいというふうに思います。今回もまた守屋参考人から順番にお願いしたいと思います。
  18. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  事業をいかに進めていくか、これも先ほどの一部と重複するわけなんですが、本市も、条例に基づいて計画、そして計画に基づいて施策、そしてその施策をより進めるために様々なインセンティブを整えさせていただきました。  例えば、再生可能エネルギー事業奨励金というものがあるんですが、これは、固定資産税相当額をいわゆる交付金として事業者にお支払いするということでこの事業推進を後押しするということでございますけれども、こういったものを更に市民参加型にすることによってそのインセンティブの幅を広くするというような取組がございまして、やはりこういうものがこの事業推進していくという上で大切でございます。  でも、それはやはり、事業を認定する、その事業の効果が、そもそもこの自治体の中でどういう政策の中に位置づけられていて、どういう効果が認められるからだということ、これは認定事業者にとって、その事業実施する方にとってだけではなくて、その事業を見ている他の事業者市民に対しても非常にいい影響を与えていて、それならばということで今度次の事業者がまた出てくるということですので、是非この事業を認定して、認証して、それで事業を進めていくというサイクルを、それを自治体が一緒になって進めていくという取組が大切だと思っておりますので、そのような観点で是非御期待を申し上げるところでございます。  以上です。
  19. 中村涼夏

    中村参考人 事業推進に当たって、先ほどと同様になってしまうのですが、市民の理解は本当に必要だと思います。その中でも、特に若者をクローズアップして言うと、気候変動という事実は知っていても、どこが問題で、何をすればいいのか、果たして社会はどう変わるべきなのかというものを授業でも習ってきません。ヨーロッパに関しては、気候変動に対しては義務教育化がなされていて、これは大きな理解だと思っています。私自身、十二歳年下の妹がいますが、社会問題について私より学んでいるなという点が大きいと思います。  今後、理解を市民として深めていくためにも、若者自体に適正な教育と理解ができるステップを踏めるような段階が必要なのかなと。そこで親自身も子供たちから学ぶことは多いということ、大きいと聞いているので、是非、そういうところからも推進していただければと思います。  以上です。
  20. 高村ゆかり

    高村参考人 古田先生、ありがとうございます。  この地域炭素化事業計画・認定の実効性を上げるという点では、法改正で導入をされた後の制度にしっかり命を吹き込んでいただきたいというふうに思っております。  一つは、自治体への支援でございます。都道府県も含めて、特に、中心になります市町村への支援というものをお考えをいただきたいというふうに思います。  再生可能エネルギーポテンシャルを理解をする、あるいは目標設定をする、実際に事業を形成する、その間に住民の合意をどういうふうに形成していくか、環境影響に配慮ができるか、様々な課題自治体のところにございます。ここに適切な支援、私は情報と人材と資金と申し上げましたけれども、支援をしていただくということが必要かと思います。  もう一つは、こうした地域と協力をして再生可能エネルギー事業を形成する事業者への事業環境整備でございます。  先ほど意見陳述の中で、とりわけ二点申し上げました。やはり一つは、再生可能エネルギー事業促進をするために、送電網へのアクセスや利用について、再生可能エネルギーと親和的なルールに変えていくこと、そして、土地利用等も含めて、他省庁の様々な手続、今回、ワンストップ化の工夫がされておりますけれども、それを迅速に進めていただきたいというふうに思います。  最後、もう一つは、買取り制度を利用して再エネ事業を行うケースが地域でも多いと思いますけれども、買取り制度におけるこうした温暖化対策推進法の下での認定を受けた事業へのインセンティブづけということもまた経済産業省とともに御検討いただく、そういうことを通じた命の吹き込みをお願いしたいと思います。
  21. 上園昌武

    上園参考人 私の方から、先ほどの意見陳述と重なるところがありますけれども、結局、トップレベルの自治体というところは既に優れた取組があるわけですが、その他多くの自治体というのはこれから始めていくわけなので、そこをどうやって下から底上げをしていくかという支援がまさに必要じゃないかということです。  そのやり方として、オーストリアの中間支援組織という仕組みを御紹介したんですけれども、日本では、じゃ、どうしたらいいかということをちょっと具体的にお話ししますと、この温対法の関係でいいますと、全国の都道府県に、全ての都道府県に地球温暖化防止活動推進センターがございますけれども、これは非常に大きなネットワークがあります。そこに、先ほどのオーストリアの例えば中間支援組織、この幾つかの機能をつけていく、例えば政策のコミュニケーション、政策提案機能を取り込んだような組織形態にできないか、この辺りも御一考いただければと思っております。  以上です。
  22. 古田圭一

    ○古田委員 ありがとうございます。  先ほど中村参考人が言われましたけれども、隣におられます土屋先生が、是非、環境を学校の教科へということを言われておりまして、私たちもしっかり頑張りたいと思います。  今日は、参考人、どうもありがとうございました。
  23. 石原宏高

    石原委員長 次に、堀越啓仁君
  24. 堀越啓仁

    ○堀越委員 立憲民主党・無所属の堀越啓仁でございます。  本日は、参考人の皆様には遠いところから時間を割いていただきまして、当委員会に御参加いただきまして、本当にありがとうございます。そして、先ほどの意見陳述におきましても貴重な御意見を賜りましたこと、心から感謝を申し上げたいと思います。  先ほど来、意見陳述においても皆さんから御発言をいただいたところ、それから、先ほど古田委員の方からもお話があったところ、質問があったところと重複するところがあることを御容赦いただいて、私の方でも念押しの意味でも御発言をいただきたいというふうに思っております。  二〇五〇年カーボンニュートラル、これを実現するためには、相当高い目標がやはり必要なんだというふうに思っておりまして、これは、政府だけではなくて、国民全体で取り組まなければいけない大きな課題であるというふうに思っております。  そんな中で、今回の本改正案につきまして、皆様方から意見をたくさん賜ったところではありますが、やはり、これで十分なのか、あるいは積み残した課題があるのか、その点について、率直な皆さんからの御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
  25. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  二〇五〇年カーボンニュートラルというのは非常に高い目標ですけれども、先ほどもお話しさせていただいたように、高い目標を掲げるということは、やはりこれは大変意義があることでございます。できるからどう、できないからどうじゃなくて、そのためにやるんだという、まさにそこに国民が一丸となって進んでいくということで大変歓迎をするところでございますが、では、目標が高ければそこに到達するかというと、その道のりは大変厳しいものでございまして、いかにこれを実行していくか。  そして、やはり、この二〇五〇年というのは、今から見ると大分先の話ですよね。それよりももっと身近な目標がやはり必要になってくる。ですから、二〇三〇年までにどこまで到達していくか。そして、二〇三〇年といってもやはり十年先ですから、では、あと五年間で私たちは何をやるかというと、これはやはり、自治体にとっても市民にとっても非常に緊張感がありますし、リアリティーが湧いてくるんですよね。  ですから、今回は、法改正、基本的に賛同するところでございますけれども、是非、この短期間で細かい目標をそれぞれの自治体において定める、まあ、計画ということも盛り込まれるというふうに思いますが、でしたら、今度は、その計画を後押しするような政策を是非お願いしたいというふうに思います。  今も様々、自治体への支援、情報であるとか、人材であるとか、資金の支援が必要だということも高村先生の方からの御指摘もあったわけでございますけれども、是非地域実情に合った支援策を講じていただきたいというふうに思います。  以上です。
  26. 中村涼夏

    中村参考人 二〇五〇年カーボンニュートラルは、私たちが生きていく中で最低限の目標だと思っています。  先ほど、二〇三〇年の目標は野心的ではないことを踏まえ、また、野心的な実効政策を行う上で大切なのは、政策国民を置いていかないことだと思っています。その点では、政策事業などを推進していく上で、見直しや、それをまたチェックして、また見直して、振り返って、何度もそれを繰り返していく、そして、見えない誰かや生物が本当に苦しめられていないかを、もう一度何度も、短期間ではありますが、繰り返していただいて、取りこぼしのないように、一人も誰も取り残さないような政策実行をお願いしたいと思います。また、そこの中で市民の声を是非反映させていただきたいと思います。  以上です。
  27. 高村ゆかり

    高村参考人 堀越先生、ありがとうございます。  積み残した課題があるかという御質問をいただきました。  今回の温対法改正は、地域において、地域が主体的に排出を削減し、とりわけ再生可能エネルギー導入拡大をしていく、促進をしていく制度環境整備としては、一定の保障をしたものだというふうに思っております。しかし、先ほど申し上げましたように、それに命を吹き込む支援というのをどういうふうに具体化するかというところは、法改正を終えた後でも継続した課題として残る問題だと思います。  もう一つ申し上げますと、先ほど、送電網の問題ですとか買取り制度について申し上げました。つまり、地域のこうした脱炭素あるいは再生可能エネルギー拡大が進んでいくためには、温対法で所管をしている範囲を超えて、エネルギー政策ですとか住宅、建築物の政策、例えばこうしたものと呼応しながら進めることが、地域の脱炭素化を進めるものだというふうに思います。こうした統合化ができるのは、まさに政策を形成をされる国会であり、ここに私は大きな期待をいたします。  以上でございます。
  28. 上園昌武

    上園参考人 御質問ありがとうございます。  積み残した課題というのはたくさんあるのはもちろんだと思うんですけれども、この温対法の改正という観点で、私の意見陳述の中で非常に危惧している点は、やはり小規模自治体取組をどうやって後押しをしていくかということになります。  その中で、知恵や知見とか、人材、人の問題だったり、資金、この三点をスライドでも挙げさせていただいておりますが、とりわけ人の部分でいうと、担い手とか、それとコーディネーターの役割をどうするか。  議員の先生方は、地域に入って、いろいろな地域づくりに関わっているそういう場面に実際に遭遇されていると思うんですけれども、実際の地域に入っていったときに、たくさんの反論とか、いろいろな問題が出てくるんですが、そこをどういうふうに調整していくかというところが難しいわけです。  このコーディネーターという役割が実は、地域レベルで対策を進めようとしたときに、非常に重要になってくるんじゃないかなというふうに考えております。コーディネーター役の人があちこちにできることによって、地域での対話ということが進むと思います。一方通行の政策というか、それをやるだけじゃなくて、対話をどうやって進めるか、この点が非常に重要じゃないかと思っております。  以上です。
  29. 堀越啓仁

    ○堀越委員 ありがとうございます。  皆さん、共通して言えることは、やはり、自治体計画が求められる、そういった制度の整備というのが本改正案で進むというところの一方で、やはりそれは、国の後押しやサポート、その後の継続した関わりというのが重要だというところを、今いただきました。本当に私もそのとおりだというふうに思っています。国の責務をやはりこれからも強くしていかなければいけないんだろうというふうに思います。  その中で、先ほど中村さんの方からありましたように、やはり、私たち気候変動の、気候危機の問題というのは、世代を超えて、長期的視点で、真剣に向き合っていかなきゃいけない大きな課題だというふうに思っています。  そんな中で、先ほどの諸外国の例もありました。私たちは、温室効果ガスを排出しているトップファイブの国であり、世界に対して責任があるということに立ち返って考えれば、やはり世代を超えて意見を集約する、障害者も当然そうですし、高齢者、そういった方々ももちろんそうですし、若者というところも是非これは確実に聞いていかなければいけない、オープンな会議の場の設置が私も非常に重要だというふうに思っています。  この点について、先ほどからも言及がありますが、それこそ次世代の代表である中村参考人と、そして、現役世代で、今改正案検討会で座長代理を務めておられます高村参考人から、それぞれ御意見を賜りたいと思います。
  30. 中村涼夏

    中村参考人 ここで重要になってくるのは、私たちFridays For Futureやほかの若者団体が会議を開くのではなく、できるだけ国や自治体からやることで国民の意識の改革がボトムアップ的にできると考えています。  また、そういう意味では、札幌の気候市民会議の例が一つ大きくありますので、是非そちらを参考にしていただきたいのですが、やはり一つ、低所得者だったりだとか、そういうデータがまだない中で、日本の中でも格差が起こっているという中で、若者だけではなく、本当に今皆さんが生きていく中で必要な政策を、ステークホルダー、一つ一つをちゃんと当てはめて、取りこぼしのない、人たちを選んで、できれば大きな会議を開いていきたい、市町村ぐらいの大きさで開いていただければなと思います。よろしくお願いします。  以上です。
  31. 高村ゆかり

    高村参考人 ありがとうございます。  先生御指摘の、世代を超えた意見を広く集約するという点は、温暖化対策に限らず、様々な政策の場面で、とりわけ将来の世代に関わるような長期的な課題にとっては必須であるというふうに思います。  審議会のプロセスは、それぞれの法令に基づいた政策決定を行うためのプロセスでございますので、そこでの、どういうふうに意見を集約をしていくか、どのように委員を選んでいくかということが一つの課題だと思いますけれども、既に、温暖化対策計画、これは国の二〇三〇年に向けた温暖化対策計画の見直しをしている経済産業省、環境省の合同ワーキンググループ、合同の会合では、本日、御一緒に意見陳述をしておりますFridays For Future皆さんも含めて、若者世代皆さんも含めた幅広い方のヒアリングを行っております。  恐らくこうした審議会プロセスと連結した、あるいは審議会プロセスと歩みを、共同したといいましょうか、そうした形で、できるだけ広い、とりわけ将来の世代、次世代意見を集約をするという努力を、とりわけ温暖化問題の文脈ではしていくことが必要だというふうに思います。
  32. 堀越啓仁

    ○堀越委員 ありがとうございます。  今回、NDC発表になりましたけれども、その発表に合わせて、この環境委員会でも私も質問の際に発言させていただきましたが、ピースフルクライメートストライキというのが国会前でデモをやられていました。私も、四十八時間、結局、ハンガーストライキ、参加させていただいたわけですけれども、若い人たちの今気候危機に対する問題意識は相当高い。  そして、それを本来私たちはもっとしっかり聞かなければいけないという点においても、これはやはりオープンな会議設置するという法制度が私は必要だろうというふうに思っていますし、昨今、気候変動影響を受けるのは社会的に今弱い立場に置かれている人たち、私も作業療法士というリハビリテーションの現場で十二年いました。そういう高齢者の方々から被害を受ける、障害を持っておられる方々から被害を受けるということがあるので、これは、私は、そういう意味でもしっかり意見を聞いて、それが反映されるような法制度が必要だというふうに思っています。  時間的に最後の質問になると思うんですが、この再生可能エネルギーは、やはり二〇五〇年カーボンニュートラルを進めるに当たって絶対に必要なものだというふうに思いますが、一方で、これは生物多様性が失われたりとか、あるいは景観が非常に悪くなったりとか、あるいは、当然ですけれども、自然破壊、希少な野生動物、こういったものに影響が及ぶということは、これはやはりあってはならないことだというふうに思っています。  地域再生可能エネルギー導入されていく、これはもうやはり当然必要なことでありますし、それがなされない限りは二〇五〇年カーボンニュートラルは達成できないというふうに思います。しかし、こういう自然の景観が既に損なわれるような、いわゆるトラブルというのも実際は起こっているわけでありまして、そういう観点から、この生物多様性とか自然の景観、そういったものが保たれるような措置が私は必要だというふうに思うんですが、その辺り、鹿児島県の種子島、大自然で過ごされたという中村参考人から率直な意見をいただきたいと思います。
  33. 石原宏高

    石原委員長 中村参考人、残り一分ぐらいなので、答弁短めにお願いします。
  34. 中村涼夏

    中村参考人 短めに。  今日、私だけではなく、後ろにいるFridays For Future Sendaiの時任の方は、丸森町のメガソーラー発電の問題に対し声を上げています。このように、市民の声の反映も大事ですし、私のパーソナルな話になってしまいますが、十二歳離れた妹と私の感じている海の違いはとても大きいです。そういう意味では、次世代に残すのは、どういうことを残していきたいのかというのを踏まえた上で、国立公園の法改正もされるというふうに、法改正というか規制緩和もされるということで考えていただいて、環境アセスに関してもちゃんと科学に基づいて行っていただきたいと思います。  以上です。
  35. 堀越啓仁

    ○堀越委員 時間が来ました。貴重な御意見、ありがとうございました。
  36. 石原宏高

    石原委員長 次に、斉藤鉄夫君。
  37. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。  今日は、四人の参考人の皆様、本当にありがとうございます。  早速質問に入らせていただきます。  まず、高村参考人に、自治体による再エネ促進区域設定の意義についてお伺いいたします。  再エネ導入のための促進区域設定するように今回努めるということとされております。どうしても、そういう地域設定し、大規模なものを考えてしまうんですけれども、各住宅の上に太陽光パネルを置くとか、小水力発電とか、小規模なものをたくさん置くということも、私は、生活を、それを楽しみながら再エネ導入を進めていくという意味で非常に重要だと思います。  この促進するエリアを示していくことの意義と効果、また、あわせて、促進区域設定することの自治体にとってのメリット、また、自治体インセンティブを与えるということも必要かと思いますが、その御見解をお伺いしたいと思います。
  38. 高村ゆかり

    高村参考人 斉藤先生、どうもありがとうございます。  今回の法改正において、区域を設定をし、再生可能エネルギー導入を進めていくというこの制度導入は、先ほど堀越先生からもあった最後の質問にも私は応える点だと思います。  地域において、確かに、再生可能エネルギー導入が望ましくない形で行われているケースが残念ながらないとは言えません。しかしながら、むしろ、この再生可能エネルギー導入されることで、斉藤先生がおっしゃいましたメリット、先ほど御紹介いたしましたけれども、地域のレジリエンスを高めるですとか、あるいは、場合によっては地域課題解決に応える、そうした地域にとって大きなメリットをもたらす形で再生可能エネルギー導入をされるということは十分可能だと思います。  そのためには、地域が自らどのような形で地域づくりに資する再生可能エネルギー導入ができるのかということを考えるきっかけとして、この区域指定事業の認定というのが役に立つというふうに思っております。  もちろん、景観、生物多様性は非常に重要です。同時にやはり考えないといけませんのは、現在の生物多様性の喪失の大きな三つ目の原因というのが気候変動であるという点であります。  したがって、再生可能エネルギーをいかに、こうした生物多様性ですとか、地域と調和した形で導入をしていくか、これは再生可能エネルギーそのものが悪いわけではなくて、その導入の仕方を我々は注意して慎重に進めなければいけないということだというふうに思います。  そうすることで、地域課題生物多様性、こうした環境、関わる環境問題に共に対応しながら気候変動に対処していくということが可能になるというふうに思います。  特に、自治体のメリットとしましては、温対法の中では、手続のワンストップ化、あるいは様々な支援ということでありますけれども、繰り返しになりますが、とりわけ、こうした地域再生可能エネルギー導入にとって、送配電網へのアクセスや利用のルールの整備、さらには再エネの買取り制度の下でのインセンティブづけなどのような、環境省所管を超えたほかの省庁の施策におけるインセンティブづけ、誘導ということと連携をしていくということが非常に重要だというふうに思っております。  以上でございます。
  39. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございます。  次に、守屋市長と上園先生にお伺いしたいと思いますが、今回、再エネ目標設定ということが、中核市以上については義務づけ、小さい市町村については努力義務という形になっております。この自治体が再エネ目標設定する意義や効果、また課題についてお伺いしたいのと、それから、これは、先ほどのお話にもありましたけれども、国からの支援等が必要になってくるかと思います、どのような支援が必要か、この点について、ちょっと重複するかもしれませんけれども、お伺いしたいと思います。
  40. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  やはり、この目標設定するということは、非常に大きな意味があるというふうに思います。本市も、早めにこの条例を作って計画の中で目標設定したということが多くの後に続く事業推進につながったということを、今私も、ここでお話しさせていただいて、改めて、過去を振り返りながら、その思いを強くしたところでございますので。  そうすると、様々なプレーヤーが、あっ、こういう方向に我々の自治体は行くんだなということを促進することになるし、その政策予見性を高めるという意味では非常に効果のあることだというふうに思っておりますので、努力義務かもしれませんけれども、是非、多くの自治体でこの計画目標設定が進むことを願っているわけでございます。  一方で、課題もないわけではございません、どうやって進捗していくかということに。ただ高いだけの目標を掲げるだけではなくて、じゃ、どのくらい進んでいるのかということを、しっかり進捗の過程というものもやはり市民にお伝えしなければならないなというふうに思っておりますので、そこら辺とセットで進めなければならないだろうというふうに思っております。  それから、支援ということになると、ついつい、私の立場としてはお願いベースになってしまうかもしれませんが、本当に、私たちも、自前の努力でできることはたくさんしておるんですが、特に今は、このコロナ禍において、例えば財政調整基金を取り崩して生活者の支援等も手厚くしているところでございまして、そうすると、そこに投入する人も資金もなかなかそう潤沢にないというのが実情でございますので、是非そこら辺の御支援をいただきたいというふうに思います。  あと、やはりこの仕組みづくりですよね。この仕組みづくりをどうしていくか。これも、恐らく自治体においてそれぞれ違うんだというふうに思いますし、一口に再エネといっても、本市においては主に太陽光発電をメインにしておりますが、自治体によっては小水力発電をメインにしたり、若しくはバイオマスをメインにしたりする、それぞれの地域の恐らく特性があるというふうに思いますので、その特性を引き出すような支援というのをやはり国と自治体が協力しながら進めていくということが大切なのかなというふうに思います。そうすると、多くのプレーヤーがまた生まれてくるのではないかなと考えております。  以上です。
  41. 上園昌武

    上園参考人 御質問ありがとうございます。  再エネ目標設定に関しての意義。市町村でこれを目標に掲げる意義というのは、非常に大きいと思います。  つまり、昨日の菅首相の国としての脱炭素という表明は、国の全体な話なんですけれども、各自治体、自分たちの住んでいる地域で具体的な目標設定するということは、まさに身近に感じる、そういう政策になっていますし、地域課題をどうしていくかということを考えていく大きなきっかけになる。いろいろな意味で、この意義というものはあると思います。  ただ、課題としては、例えば市とか町レベルで再エネ目標、普及目標を決めるといったときに、当然、市町村というのは大きな地域になりますので、例えば自治会レベルというと、町内会レベルというと、ちょっと小さ過ぎるかもしれないんですが、小学校区域ぐらい、非常に小さな範囲での再エネは何ができるかということを考える。  全くないかもしれませんけれども、たくさん、実はバイオマスがあったり、風力ができるとか、そういうことを地域の、本当に小さな単位での取組をつくっていく、こういうことを、調査もしながら、そこの住民の人たちと一緒に対話をして、協議をして、それを進めていくような、事業化していくような、そういうことがこれから必要になってくるんじゃないかと思います。  どのような支援が必要かというと、市民対話という市民参加の仕組みをつくっていくときに、先ほど私の意見陳述にもあったとおり、専門家であったり、いろいろな支援が、資金の面とかあるんですが、やはりコーディネーターの役割が必要だと思います。  地域のレベルになると、こっちがいいとか、あっちがいいとか、これは駄目だとかという、当然、具体的な、対立意見につながるようなことも出てくると思います。そこを、少しずつというか、対話を進めることで、実際に事業ができる場合もあるし、できない場合もあるし、いろいろな計画修正も出てくると思うんですが、そのことによって、地域の人たちが納得できるような、そういう仕組みということが、この再エネ目標を市町村で作っていくときに必要になってくるんじゃないかというふうに考えております。  以上です。
  42. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。  次に、中村参考人にお伺いします。  次の質問は中村参考人にお伺いしますが、そのほかの先生でも、意見がある方は是非お答えいただきたいと思うんですが、森林の話です。  今回の法改正とは直接関係ありませんけれども、森林吸収源、これも非常に、今の日本の排出量の三%から六%の範囲の中の話ですので、大きな柱にはなりませんが、しかし重要な項目であると思っております。  私の地元は森林の豊かな地域で、今山が荒れ果てていまして、地域の方が、このカーボンニュートラルを、森林整備という、山を再生させる、森林を再生させるということに結びつけられないのかという御意見を結構聞くんです。  ということで、先ほど中村さんが海の話をしていただきましたけれども、山の話をしていただけますでしょうか。よろしくお願いします。
  43. 中村涼夏

    中村参考人 本当にこれもパーソナルな話になってしまうのですが、私の祖父は鉄砲を使う猟師の方を趣味としてやっています。大きく環境も変化しているというふうに言っていて、気候変動は、生き物にも精通をしているので、こういう意味では、今回の法整備が、人だけではなく命全体として捉えて、命を守るための気候変動対策だとしたら、この森林などの整備も含まれるのではないかなと、自然環境も、海もそうですし、と学んでいても感じます。  以上です。  ありがとうございました。
  44. 高村ゆかり

    高村参考人 ありがとうございます。  森林吸収源の整備というのは、当然国の政策としても非常に重要だと思いますけれども、今回の文脈の、温対法の改正の中での地域にフォーカスをした形でもやはり重要性を増し、また、区域や認定事業との関係でも可能性があるのではないかと思っております。  一つの事例が北海道の下川町の事例かというふうに思いますけれども、六十年間町で森林を順々に、伐採といいましょうか、利用しながら、それをマテリアルとしても木材としても、そして最終的にはエネルギーとして使っていく、そうした形の、自治体が主導した適正な森林管理の計画事業をされております。こうしたものが地域の、先ほどの再生可能エネルギー促進、こうした区域の指定事業認定と結びついていく可能性があるのではないかというふうに思っております。  先ほど斉藤先生からありました、もう一つの申し上げ損ねた点を申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  45. 石原宏高

    石原委員長 どうぞ。
  46. 高村ゆかり

    高村参考人 区域指定となりますと、どうしても平地を想定をいたしますけれども、本日、意見陳述で御一緒しております小田原市などは、屋根置きの太陽光というのも一つの再エネ促進の区域として指定をして促進をしていくということを計画考えていらっしゃるというふうに理解をしておりまして、そういう意味では、様々な地域状況ポテンシャルに応じた再生可能エネルギー促進制度整備となるのではないかということを期待をしております。  以上でございます。
  47. 斉藤鉄夫

    ○斉藤(鉄)委員 今日は本当にありがとうございました。  我々立法府にある者も皆さん方と一緒に頑張っていきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。
  48. 石原宏高

    石原委員長 次に、田村貴昭君。
  49. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  四人の参考人皆さん、今日は貴重な意見陳述をいただき、ありがとうございます。  最初に上園参考人に質問させていただきます。  お話がありましたように、気候変動対策に対して、世界の全体で六六%の人が生活の質を高める、一方で、日本においては生活の質を脅かす、これが六割を占めている、この結果には正直驚きました。国民の意識が変わっていくに当たって、先生からは、ヨーロッパのゼロエネルギー住宅への支援が必要だとか、そういったものが紹介されました。  エネルギー貧困の解消に向けて、日本においてまず何が必要か、先生はまず調査からと言われましたけれども、制度的にはどういったものが効果を発揮していくか教えていただきたいと思います。  あわせて、オーストリアの中間支援組織には大変感心いたしました。KEMマネジャーは、日本においてはどういう立場、職業の人が担っていくのがいいと考えられるか、これについても教えてください。
  50. 上園昌武

    上園参考人 御質問ありがとうございます。  まず一点目についてなんですけれども、この気候変動対策というのは生活の質を高めるということが日本以外の国では非常に多く実感としても感じられているということだと思うんですが、やはり、寒い地域、特に断熱改修で居住空間が快適になったという、そういう実感があると思いますし、発展途上国だと、例えば電気が十分になかったところに太陽光パネルをつけるとかで電気が通ったとか、そういうこと、本当に生活の質が上がっていくという、そこが大きかったんじゃないかと思います。  この生活の質を引き上げるということとともに、先ほどの御指摘のエネルギー貧困については、日本では十分に実態が分かっていないというところです。この間、私も自治体の関係者の方と何度かお話をする機会があったんですが、エネルギー貧困という話をしても、お一人だけそれはよく知っていますと言われたんですが、ほとんど知らないんですね、自治体関係者、エネルギー、温暖化の関係の政策者も。なぜ知らないかといったときに、そもそもそういう発想がないということもあるかもしれないんですが、やはり社会通念として知られていないというところが大きいのかと思います。  この実態調査をまずやった上で、じゃ、何が対策として必要なのかと。例えば、所得階層でやはりエネルギー貧困の割合がいろいろ違ってくるとか、どの地域、狭い範囲の地域で実態を見ていけば何が必要かということも見えてくると思います。  一つ、例として、どういうことができるかということなんですが、当然、低所得者層の方は持家に住んでいる割合が非常に少ないと思います、そうすると賃貸の住宅に住んでいるわけなんですが、この公営住宅とか賃貸住宅の断熱規制を強めていくということ、これは必要だと思います。少なくても、公営住宅であれば、都道府県だったり市営住宅、そういったところで断熱規制を強めていく。そのことによって、冷房や暖房等の消費削減にもつながりますし、これからどんどん暑くなってきますので、夏場、冷房を使わないで、命を脅かすということになってきますので、しっかりと遮熱をするとか、そういったことを社会住宅、公営住宅で進めていくということは、国や自治体としての政策でもできるんではないかというふうに考えております。  それと、二つ目、KEMマネジャーなんですが、ちょっと私、先ほど、質疑のときにお話をしたんですが、温対法の関係でいえば、地球温暖化防止活動推進センターがあるんですけれども、そこの機能というかネットワークを生かすということが出てくると思います。  ただ、そこに活動されている推進員の方は、必ずしもそういうコミュニケーションとかコーディネーターという役割を現状としては担えないのかなと思うので、そこに新しい人をつけていくということになると思うんですが、やはり大事なのはコーディネーターですね。これが、コーディネートができるかどうかということが非常に重要になってくるかと思いますので、対立をあおるとか、そういう特定の事業を進めるという形じゃなく、やはり地域の人たちが、あるいは、そこには事業者企業も当然入ってくると思いますし、自治体関係者もいますが、どういうことを進めたいかということをしっかりと組み込んでいく、そういう役割の人がKEMマネジャーには必要じゃないかと思っております。  以上です。
  51. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ありがとうございました。  続いて、中村参考人にお伺いします。  気候正義を大切に、そして全ての人の命に平等な人権をという御指摘に、私も胸を打たれました。Fridays For Future皆さん若者皆さんが、先ほど高村先生からもお話あったんですけれども、政府の機関の中にも入っていって、いろいろ意見を言われていると。その意見は通じているとお考えでしょうか。  ここを何とか聞き入れていただきたい、これだけは、例えば、これから気候変動とか、それから再生可能エネルギー導入とか、いろいろな対策を打っていくときに、若い人たち、当事者、住民の声を入れてほしいというのは、今日かなり強調されましたけれども、その点も含めて、御要望をお伺いしたいと思います。
  52. 中村涼夏

    中村参考人 御質問ありがとうございます。  私自身も、温対の会合の方にオンラインで出席をさせていただきました。これはすごい、一つ画期的なことであるとは思っていて、オンラインで開催することで、私、今日鹿児島から新幹線で来ているのですが、いろいろなところからアプローチができるかなと思います。  では、果たして私たち意見が通じているかと申し上げますと、私自身はそうは思っていません。ある一種のパフォーマンスなのかなとも思っております。私たちは、小泉大臣とも三回ほど意見交換をさせていただきましたが、対話ではなく一方通行のキャッチボールでした。また、それが実施されたかと言われますと、そうではないと思います。ただのパフォーマンスだなと感じているので、是非そういうのを真摯に、緊急性があるからこそ実行に移してもらいたいのと、私たち意見というか訴えであって、科学の声を聞いていただく、これが今後本当に重要になっていくと思います。  以上です。
  53. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ありがとうございました。  続いて、守屋参考人にお尋ねします。  二〇五〇年カーボンニュートラルを目指して、CO2排出ゼロを宣言したゼロカーボンシティーがどんどん増えてきました、三百七十程度でしょうか。しかし、再生可能エネルギー導入目標を持つ自治体というのは限られているというところであります。せっかく手を挙げたゼロカーボンシティー、この自治体が、具体的な行動に今から踏み出すにはどうした点が大事なのか、何がポイントか、何の支援が必要なのかということを教えていただければと思います。
  54. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  二〇五〇カーボンニュートラルを多くの自治体が手を挙げてきたということは、本当に大きなうねりになっているんだというふうに思います。本市は比較的早く手を挙げさせていただきましたが、やはりこういう宣言に手を挙げるというのは責任が伴うわけです。手を挙げたはいいけれども、後、何もやっていないんじゃないかでは、これは市民に説明ができません。でも、私たちがそこで手を挙げることができたのは、先ほどお話ししたように、この十年間で、条例を作り、計画を作り、事業実施してきた、だからこそ、高いハードルだけれども、みんなで頑張っていこうということがやはり議会や市民に伝わったんだというふうに思います。  今回の法改正で、中核市以上が整備計画計画の義務化、そして、一般市町村は努力義務なんですけれども、これがやはり、法律ができたということで、努力義務だけれども、多くの市町村が計画作りに取り組むきっかけになるというふうに思いますし、私は、今、市長という立場ですけれども、恐らく議会からも、今回の法改正で、たとえ執行部がこの計画を作らなくても、議会から、いや、うちの町でもこの計画を作るべきじゃないか、そういう声がきっと上がってくるというふうに思うんですよね。  となると、今度は、じゃ、どういう計画にしましょうか、目標はどうしますか、目標設定したら本当にできるんですかという、いい意味の政策の競争が生まれるというふうに思っておりますし、あと、ここで繰り返しになってしまうんですけれども、じゃ、計画を作ったら本当にできるんですか、やはり財源はあるんですかということに、どうしても自治体の現場としてはそこに行き着いてしまうので、そこに対しては、国からこういう支援措置がありますということは、やはり現場にとって、決断をするというためにも大変大きな励みになるので、是非そこら辺も御理解いただきたいというふうに存じます。  ありがとうございます。
  55. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 ありがとうございます。  それでは、論議になっています、昨日、菅首相が表明した、二〇三〇年度において二〇一三年度比で四六%の削減ということでありますけれども、これは二〇一〇年度に置き換えると四二%なんですよね。非常に私は低いな、もっと高めの目標を持つべきだというふうに考えているんですけれども、そうはいってもなかなか難しいという御意見もあります。  環境NGOのクライメート・アクション・トラッカーは、一・五度目標と整合する日本目標水準というのは、二〇一三年度比でするならば六二%だというふうに打ち出しています。目標値を上げていくならば、それにこしたことはないと思うんです。イギリスやEU諸国のように野心的な目標を持つためには何をクリアしなければいけないのか。  できるだけ参考人皆さんにお伺いしたいんですけれども、何が障害となっていて、何がネックになっていて、ここをこう変えれば高めの目標に近づけるといったところについて、御意見を聞かせていただきたいと思うんですけれども、最初に高村先生、お願いします。
  56. 高村ゆかり

    高村参考人 田村先生、どうもありがとうございます。  一番難しい御質問をいただいたかもしれません。  私、二〇一三年度比四六%、そして五〇%を目指して挑戦をするというこの水準というのは、数字上どう見えるかはともかく、日本にとっては極めて今の現状からすると大きく変わらなければいけない、そういう目標だというふうに思っております。今からいきますと、毎年これまで減らしてきたものと比べても、かなり上積みした削減が必要です。恐らく五千万トン以上毎年減らしていくようなそういう規模感であります。  それでは、更にその先も見ながらどうやって大きな削減を目標を掲げやっていけるかということですけれども、恐らく一つは、二〇五〇年カーボンニュートラルに向かってどういう道筋を日本が歩んでいくのかということを長期的に明確にしていくということではないかと思います。  例えば、イギリスの例がございます。イギリスは、二〇三〇年六八%、三五年七八%、九〇年比で削減をするという目標発表し、あるいは法定化をしておりますけれども、これは今から二〇三五年ですから、長期の視点で五〇年カーボンニュートラルに向かってどういうふうに減らしていくかという道筋を専門家、独立した専門家の意見を聞きながら、その助言を得て国が決めていくという仕組みが整っているからです。  そうでないと、今、これから五年先三〇%減らすといったような目標は、数字としては出せても、実際のエネルギーを変え、産業構造を変え、社会の在り方を変えていくには非常に難しいというふうに申し上げたいと思います。  その意味で、長期的な視点でいかにカーボンニュートラルに向けた道筋を国としてつくっていくかというところが非常に重要な鍵ではないかというふうに思っております。  以上です。
  57. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 上園先生はいかがですか。
  58. 上園昌武

    上園参考人 何が障害かというと、もう本当に、今、高村先生がおっしゃったようなことがまずあるわけなんですが、最終的に脱炭素社会というものをどういうふうにイメージをする、つくっていくのかというところがまず大事だと思います。  そのときに理念、倫理とか、どういった観点でその計画考えていくかということになるんですが、その理想像に向けてバックキャストで進めていくということがまさに必要になっています。二〇三〇年というと、中期目標でもなく、かなり短期の目標になってきますので、そこに向けてどうしていくかというところは現実には非常にハードルが高くなるんですけれども。  私、十年以上、ドイツとかオーストリア等で調査、こういうエネルギーとか温暖化対策の調査をしているんですが、そこで何度か同じことを聞かされたことがあるんですが、反対者は当然いる、しかし、二割の猛烈な賛同者がいれば大きく変わるんだという、非常に現状としては打破しなければいけない壁というのはあるんだけれども、そこをまずつくっていくことが実は地域づくり、脱炭素化取組として必要じゃないかということになると思います。  それと、もう一点申し上げますと、日本の脱炭素社会の中で原子力をどうするかということは大きな政策課題だと思います。原子力というのは、御存じのとおり、放射能の問題、事故の問題等ありますし、いわゆる核のごみの問題もあったりしますので、これをどうするかというのは国民の中でも議論は分かれると思いますけれども、脱炭素社会と同時に原子力の扱い、脱原発をどう進めていくか。  そのために何が必要かというと、再エネを普及するということもあるんですが、やはり省エネ対策、これは既存技術も相当まだ日本では余地があるというふうに、私だけじゃなくて、ほかの共同研究者と一緒に調査して、研究結果でも出てきています。脱原発を進めながら脱炭素社会をどう進めていくか、このことがこれから必要になってくるというふうに考えております。  以上です。
  59. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 時間が参りました。参考人皆さん、本日はありがとうございました。  終わります。
  60. 石原宏高

    石原委員長 次に、串田誠一君。
  61. 串田誠一

    串田委員 日本維新の会の串田でございます。  今日はどうも貴重な御意見をありがとうございます。  まず最初に、守屋参考人にお聞きをしたいと思うんですが、なぜ小田原なんだろうということで、もちろん、市長のリーダーシップということはすばらしいなと思うんですけれども、私も神奈川県が地元でございまして、小田原といいますと北條五代祭りということで、五月三日、毎年行われているんですけれども、今年もちょっと中止になってしまうということで、一番市長が残念がられているのかなと思うんですが、武者行列、本当に壮大で、私も見学させていただいたことがあります。  そしてまた、小田原といいますと二宮尊徳、歩きながら本を読んでいるということは有名ですけれども、実は大変な農政家でございまして、そういう意味で、なぜ御紹介させていただいたかと申しますと、北條五代というのは、奇跡の百年ということで、あの戦国時代に余り争いが起きないということでありましたし、二宮尊徳の場合にも、周囲の農民の方々の力を結集していくということで実現していたわけでございます。  小田原の中のロードマップというところに、先導領域としての位置づけというところに教育というのがありまして、地球温暖化対策というのは、行政と民間企業だけじゃなくて、やはり市民の協力も得なければならないんだろうなというふうに思うんですが、その点で、小田原というのは以前からそういう歴史的な部分も感じると思うんですけれども、市長として、この問題を解決するに当たっての市民の協力、これはどんなふうにお考えでしょうか。
  62. 守屋輝彦

    守屋参考人 ありがとうございます。  北條五代と、そして二宮尊徳翁のお話を引き出していただいて、本当に、地元の市長として大変うれしく思います。  というのは、やはりそういう歴史があって今の小田原市ができているんだということを、私も常々、様々な政策を進めていく上で実感しているところでございます。まさに北條五代は、四公六民ということで、今で言う税制をすごく下げて、民を思う政治を行っていたということでございますし、まさに二宮尊徳翁は民の立場である、ただ、逆に政の方に入っていったわけなので、そういう伝統が今に息づいているということは私も常々感じております。  本市が行っている再生可能エネルギーも、公民連携が非常にうまくいっているということ、もちろん、自治体がリーダーシップを発揮して計画を作るということはそうなんですけれども、でも、それを、じゃ、一緒にやろうよという民の力が大変大きくなってきているということ、その民というのは事業者だけではなくて、それを支える市民もあります。  一番最初にできた太陽光パネルも、ファンドで多くの市民の方が自らのお金を出して、出資して、この再生可能エネルギーをつくっていきたい、事業者に言わせれば、当初よりもあっという間に予定額に達した、それだけのパワーがあるというふうに思っております。  今、二〇三〇ロードマップも御披露していただいて、四つの先導領域の中に教育を入れているのは、やはりそれを、今日は中村参考人みたいに若い方もいらっしゃいますけれども、若者の力だとかというふうに広げていくということがまさに大切になっていきます。二〇五〇年になると私は八十四歳になってしまいますので、じゃ、この時代をどうつないでいくかということも非常に大切だと思います。  そして、本市が行っているものも、今までの質疑を聞いておりますと、やはり少し市民からすると難しいとか、数字だとか、余り聞きなれない言葉が入ってくると、やらなきゃいけないんだけれども、何かちょっと難しいねと立ち止まっちゃうということがあると思うんですね。  でも、今私たちが行っているEVのシェアリング、これはすごく入口としては分かりやすいわけですよね、自分で車を持たなくても、使いたいときだけEVをシェアする。実は、市役所にもそれが置いてあって、それは太陽光発電で充電をして乗っている、そして、それで充電したやつを使わないときは、今度、市のエネルギーとして使っている。  実は、見えないところで、自分の車を所有しないで、EVシェアリングサービスを使うことだけで、これだけ再エネの普及、そして気候変動に対して寄与していくんだと。ひょっとしたら、それは使うときには気づかないかもしれないけれども、後から振り返ったら、自分のたった一つの行動がそういう社会変革につながっているということ。  だから、入口を余り難しくせずに、非常に分かりやすい様々な事業を進めていかなければならないと思いますし、そうしていくと、やはりプレーヤーの数が圧倒的に増えていきます。  先ほどお話ししたように、本市は、どうしても、再エネというと太陽光に重点を置かざるを得ません。となると、もちろん、公共施設だとかというところもそうなんですけれども、それぞれの個人住宅にも、どうやって進めていくかなんというのもこれからの課題でございまして、やはりここは、市民の力を発揮していきたいと思っております。  以上です。ありがとうございました。
  63. 串田誠一

    串田委員 大変分かりやすい説明をありがとうございます。  そしてまた、EVシェアリングというのが、この問題に関して、私も読ませていただいたときに、災害にも大事だなという、電気の供給において、個別にそういうような電気がシェアリングされていくということも非常に大事なことなんだろうなというふうに、さすが市長としてよく考えられているなというふうに思ったわけでございますが。  次に、中村参考人にお聞きをしたいと思うんですけれども、中村参考人環境とともに生物に対しても大変興味を持たれているということで、私はやはり、これは、生物を保全するということは、先ほど堀越議員からも質問がございましたけれども、そこは大事だと思うんですが、環境に対して非常に興味を持たれているというその若者は、動物に対しても同じような感覚を持っているのか。それとも、中村参考人は、種子島にもいらっしゃったというのは、そういう環境に非常に親しまれていることなんだと思うんですが、そうでない若者、都市部にいる若者もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、その方々も、やはりこの問題は動物と直結しているんだという認識を持っているのか。その点の実感をお聞かせいただければと思います。
  64. 中村涼夏

    中村参考人 御質問ありがとうございます。  私たちFridays For Futureは、全国各地に、支部ではないんですけれども、集まったところがJapanというところになっています。そういう意味では、都市部ではない地域には動物や自然などを愛する人たちが多いなというふうには感じる一方で、都市部の人たちは、どちらかといえば、海外からの影響とかを受けて、命が危ないというところで入ってくるという違いはあると感じています。  そういう意味で、目的は結構それぞれです。私も水産学を大学で学んでいますが、今日来ている時任の方は森林学、経済学を学んでいたり、いろいろな人たちが集まっている中で、余り、動物と直結する人は少ないのかなと思います。  でも、やはり多面的な問題をはらんでいる気候変動ですので、解決することに悪いわけがないので、みんな全力で声を上げているというのが私たちの運動です。  以上です。
  65. 串田誠一

    串田委員 その生物に関して高村参考人にもお聞きをしたいと思うんですけれども、先ほど森林の話がありましたが、実は、地球環境というのは畜産にも非常に大きな影響があって、それの飼料などは海外から輸入されているのが非常に多い。そうすると、国内CO2吸収だけではなくて、海外のCO2吸収をするところを破壊することを日本自身が放置していてはいけないのではないかというような観点が私はあるんですが、フードテックというのを、私、議連にも入っているんですけれども、その点についての高村参考人の御意見をお聞かせいただけないでしょうか。
  66. 高村ゆかり

    高村参考人 串田先生、どうもありがとうございます。  御指摘の点というのは非常に重要だと思っております。といいますのは、私たちが食べている食料、あるいは畜産用の飼料、それから、それだけでなく、我々が使ういろいろな製品というものは、海外で製造されて、場合によっては輸入をされているというものが少なからずございます。  そういう意味では、日本国内の温室効果ガス、二酸化炭素を削減していくということと同時に、私たちの生活と社会を営んでいく際に必要となっているこうした食料ですとかあるいは製品、これらがどういう環境負荷を海外で生じさせているか、二酸化炭素を排出しているか、こうした点についても、やはりしっかり分かる、理解をしながらそれを選択をしていける、そうした仕組みというのが必要ではないかと思います。  その意味で、海外も含めた製品や食料、こうしたものから起因して排出をされる二酸化炭素、温室効果ガスというものが目に見える形で消費者に伝わる、そういう仕組みというものも検討される必要があるのではないかというふうに思っております。
  67. 串田誠一

    串田委員 次に、上園参考人にお聞きをしたいんですけれども、「自治と分権」というところに、参考人が、費用対効果を示す地域経済分析を試算することが自治体に求められるという御意見がございました。  本当にこれは大事だな、しっかりと分析をしないと対策も取れないということだと思うんですけれども、自治体がこの分析に足踏みをすると言っているのか、それとも、現実に進められているのか、現状、そして、もしこれが行われていないとするならば何が阻害要因なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  68. 上園昌武

    上園参考人 御質問ありがとうございます。  私の拙い論文を読んでいただいてありがとうございます。  費用対効果の分析、これは本当に政策としてきちんと論議しなければいけないことなんですが、国政においても、実はきちんとした政策論議というのはされてこなかったんじゃないかと思うんですね、この地球温暖化対策についても。  特に地域レベルになると、何が課題かというと、データが非常にない。市町村単位になるとほとんどデータが分からなくて、町レベルになればほとんど分からないと思います。都道府県だと、御存じかと思うんですが、産業連関分析というデータがありますので、それである程度のことは分かるんですけれども、狭い、小さな自治体になると、そこの数字が出てこないというところが大きな阻害要因ということになると思います。  ですから、これはやはり調査をしっかりとして、地域研究をまず進めないと、この費用対効果の分析というのが地域レベルではできないというところが問題かと思います。  RESASという計算手法があるんですが、それは一つの方法として今注目されてきていますし、それと、費用だけじゃなくて効果がどうなのかというところが実は気候変動対策で非常に重要なポイントになってきていると思いますので、コストが高いから無理だ、やらないという議論がよくあったわけですが、こういう対策の効果が経済的にもある、雇用がどれぐらい生まれるということが目に見えて分かると地域での取組も進むと思いますので、これは私を始めとした研究者の役割かもしれませんけれども、きちんと地域レベルでの政策研究、これがまさに求められているというふうに考えております。  以上です。
  69. 串田誠一

    串田委員 高村参考人にお聞きをしたいんですが、日刊工業新聞に、昨年十一月、十二月、日本のインフラについて述べられておりまして、日本が非常にその点で進展しにくい状況になっているような記載があります。  日本が、一番この問題が進展するに当たって、阻害要因といいますか抵抗要因といいますか、そのインフラというのは何なんでしょうか。
  70. 高村ゆかり

    高村参考人 御質問ありがとうございます。  とりわけ、脱炭素、低炭素にインフラを変えていくということは、これは、エネルギー、投資、産業、様々な場面で必要になってくるものです。これらは、つくるのにも時間がかかりますし、一度つくると、恐らく、今つくりますと多くのものが二〇五〇年にも残るものであります。  その意味で、今私たちが決めるインフラの在り方というものが、しっかり二〇五〇年カーボンニュートラルと整合するものであるということを確認をすることが必要だと思います。  先ほど意見を申し上げましたけれども、残念ながら、二〇五〇年カーボンニュートラル、昨年示されたばかりで、そういう意味では、一つの指標というのが私たちの目の前にあるわけですけれども、そこに至る道筋というものがまだ国として明確になっていないように思います。  今回、三〇年の目標、その水準はともかく、一つの道筋が示されたというふうに思っておりますけれども、とりわけ、インフラの形成を担う事業者が、将来、脱炭素、低炭素の社会、インフラになっていくんだということが分かるシグナルというものを政策から出していただくことが必要だと思います。  一つは、こうした目標、あるいは、今ちょうど、環境省、経産省、それぞれ議論をされている炭素の価格づけといったような手法についても検討する必要があるのではないかというふうに思っております。
  71. 串田誠一

    串田委員 大変参考になりました。どうもありがとうございました。
  72. 石原宏高

    石原委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  速記を止めてください。     〔速記中止〕
  73. 石原宏高

    石原委員長 速記を起こしてください。     ―――――――――――――
  74. 石原宏高

    石原委員長 引き続き、内閣提出地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、本案に対し、生方幸夫君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。源馬謙太郎君。     ―――――――――――――  地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  75. 源馬謙太郎

    ○源馬委員 ただいま議題となりました地球温暖化対策推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。  初めに、修正案の趣旨について御説明申し上げます。  私たちは、将来世代に対して、また、地球にいる全ての生き物に対して、気候変動問題に最重要課題として取り組んでいると胸を張って言えるでしょうか。日本は、最先端の技術があり、豊富な人材もありながら、乾いた雑巾論を振りかざして気候変動対策が後手に回り、今となっては技術も追いつかれてしまい、再生可能エネルギー分野などでの競争力も失われてしまいました。  気候変動、いや、気候危機に対して国民一人一人が納得し、自覚を持って取り組むことができるよう、政府は、理念を示し、率先して省エネルギーや再生可能エネルギー導入など自ら施策を行うとともに、国民議論を行い、その結論に従って施策を速やかに行うべきです。ところが、今回の政府案にはこのような観点が非常に乏しく、これまでの施策の延長でしかありません。これでは二〇五〇年カーボンニュートラル実現は極めて難しいと言わざるを得ません。このままでは将来世代に豊かな未来を残すことはできません。今豊かな地球に生きる私たちが全力を尽くすため、修正案を取りまとめました。  以下、修正案の概要を御説明いたします。  第一に、地域炭素化促進事業について、地域炭素化促進事業地域における経済活動への還元等に配慮しつつ行われること、地域の脱炭素化のための取組エネルギーの使用の合理化が含まれること等を明記することとしております。  第二に、基本理念として、予防的な取組方法による早期の対応、地域住民等の多様な主体の参加と協力、情報の適切な公開、将来の国民の負担の軽減及び国際的協調等について規定することとしております。  第三に、国及び地方公共団体の責務として、国民及び住民の意見施策に反映させるため、広く意見を求めるための制度の整備等に努めることとしております。また、事業者は、講じた温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置に関する情報を公開するように努めることとしております。  第四に、地球温暖化対策計画の国会への報告についての規定を追加することとしております。  第五に、地球温暖化対策推進本部に、国民からくじで選定された委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くこととしております。討議会は、本部長の諮問に応じ、二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現のための施策の在り方等について調査審議し、本部長に対して建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないこととしております。また、討議会に、専門的な知見を補うため、専門補助員を置くことができることとしております。  第六に、国及び地方公共団体の施策として、エネルギーの使用の合理化又は再生可能エネルギーの利用を目的とした国及び地方公共団体の施設の改修を計画的に実施する旨の規定を追加することとしております。  第七に、地方公共団体実行計画の記載事項として、地域炭素化促進事業促進区域に加え、「地域環境の保全等のため地域炭素化促進事業の対象としない区域」を追加することとしております。  第八に、地方公共団体実行計画等への住民の意見の反映等についての規定を追加することとしております。  第九に、政府は、地球温暖化に伴う気候変動に起因する影響危機的な水準にあることに鑑み、気候変動に関する法制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすることとしております。  第十に、政府は、地域炭素化促進施設の設置に関する区域の設定及びその効果の在り方について検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとすることとしております。  以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。  委員各位の御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。
  76. 石原宏高

    石原委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  77. 石原宏高

    石原委員長 この際、お諮りいたします。  本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として環境省地球環境局長小野洋君、環境省自然環境局長鳥居敏男君、環境省総合環境政策統括官和田篤也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 石原宏高

    石原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  79. 石原宏高

    石原委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。  質疑の申出がありますので、順次これを許します。関健一郎君。
  80. 関健一郎

    ○関(健)委員 立憲民主党、関健一郎です。  質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。  修正案の質疑に入る前に、冒頭、大臣にお尋ねを申し上げます。ちょっと事前の通告と質問の順番を変えさせていただきます。  まず、COP26、十一月のグラスゴーの会議で議長を務めるアロック・シャルマ氏ですね、日経の、日本経済新聞のインタビューに対して、以下のように話していました。二〇三〇年の温暖化ガス削減目標について、一三年比五〇%前後が妥当ということをおっしゃっていました。  御案内のとおり、四六%という目標が出されたんですけれども、先ほどの参考人の皆様の意見の中でも出ましたけれども、これは決して野心的と言えるものではないという意見もあることが明らかになりました。そして、国連の数字によると、地球全体の温室効果ガスの削減幅、これは二〇一〇年比ですけれども、二〇三〇年までに四五%削減しないと一・五度目標というのは達成できないよという一つのメルクマールを示しています。これに合わせると、今回政府発表されたものは、日本は四一%、つまり、国連の最低限やらなきゃねという平均の数字よりも下回っているということが明らかになりました。バナナのたたき売りではないですから、何でも出しゃいいというものじゃないですけれども、国際基準に、そしてロジカルに、科学的根拠に基づいた、国際社会でも納得のいく数値目標を示す必要があるのではないでしょうか。  大臣、スペインに行かれたときも、海外の気候変動に対する日本への風当たりの強さは肌で感じられたと思います。このグラスゴーを前に、一定の、明確な、分かりやすい、科学的根拠に基づいた目標設定するべきではないでしょうか。御所感を伺います。
  81. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 御質問ありがとうございます。  まず、端的に御質問にお答えをすれば、国際的に評価に堪え得る、そういう二〇三〇年目標を昨日、総理から発表していただく形ができたと思っております。  今、関先生が言及されたイギリスのCOP26議長を務めるアロック・シャルマ氏とは、今週の月曜日に来日されましたので、日本でお会いをしています。そして、総理とシャルマ氏がお会いしたときにも私は同席をしています。そのシャルマ氏からも、昨日、早速ツイッターで、日本の今回の総理による二〇三〇年目標を歓迎するツイートをしていただき、そして、アメリカのジョン・ケリー氏も、同じくツイッターで日本の評価を早速上げていただいています。  国連気候変動事務局のエスピノーザ事務局長も、早速明確に、英語で言うと「I hope others follow your example.」、これはどういうことかというと、世界日本のような意欲的な目標を高めたようなこの事例に沿ってやってもらいたい、まさに日本のことをエグザンプルという形で明示してくれているんですね。  ですので、もちろん、高い目標を上げている方からすれば、今回の目標がどうかという声もあるかもしれません。しかし、総じて国際社会の評は高く、そして、大臣就任以降、日本環境先進国の復権に向けて変えていきたいと言った私としては、昨日、気候サミット、アメリカ主催の中で、二十数か国出席した中、日本は四番目に国として発言の機会を持っています。今までマラソンでいえば先頭集団にはいなかった日本が、私は先頭集団に戻ってきた、ジャパン・イズ・バックであると言ったのはそういう思いです。
  82. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  環境王国の復権、私も心からサポートをしてこの質問をしているんですけれども、客観的なデータだけお示しを、私は評価をしていますよ、もちろんしていますけれども、じゃ、専門家が言っていた一九九〇年を前提として、一・五度目標にするためにといって、それぞれのEUなりアメリカ設定している数字を一九九〇年基準にすると、EUの削減幅は五五%です、イギリスは六八%、日本は三九%です。もちろん一歩踏み出したことは間違いないです。今、先頭集団に入って、その中で一番を取るための取組を更に加速をしていただきたいと思います。  次の質問に移ります。  その延長線上ですけれども、グテレス事務総長、これも日経でしたけれども、二〇四〇年までの石炭火力発電の全廃というのが必要だということを新聞の中でお話をしていました。もちろんプラスチック製のスプーンを廃止する、これは大事です。ライフスタイルの改善、変革は大事です。ただ、これが、じゃ、全体の何パーセントを削減するのか。  その上で、二〇四〇年までに全廃すべきだという話が出ています。もちろんストローを紙にするとか、プラスチックのストローをなくす、これも大事ですけれども、歩留りがいいというか、費用対効果の高い、削減効果の高いところは、やはり石炭火力発電の全廃というところなのではないでしょうか。  これも、十一月の会議前に、その環境先進国、先頭集団でトップに立つ一つのメッセージとしてはとても明瞭な国際社会へのアピールになると思いますが、一歩踏み込んだ具体的な姿勢を示す意向があるのでしょうか。お尋ねします。
  83. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 私は、大臣就任以降、安倍政権下でも石炭政策の見直しに取り組んできました。それは、石炭政策が全く動かない日本に対する評価が、日本の前向きな評価ができる部分さえもかき消されてしまっていることに対する不利益を大きく感じたからです。そして、これからも脱炭素電力分野で進めることが不可欠なことは、先生がおっしゃるとおりです。  その上で、非常に私は意義があったと思うのは、先般の菅総理の訪米において日米の気候パートナーシップが結ばれて、その中で、世界の脱炭素化を力強く進めるべく、官民の資本の流れを気候変動に整合的な投資に向け、高炭素な投資から離れるよう促進することなどについて一致した、これを日米共に掲げたこと。その中で、総理、昨日もぶら下がりで、中間目標発表された後のぶら下がりで言っていましたけれども、とにかく再エネを優先する、そういった発信をされています。  その同じ思いで電力分野の脱炭素化、これは梶山経産大臣連携をしながら政府全体でまとめ上げていく必要はありますが、いずれにしても、今回打ち出した四六%、そして五〇%の高みを挑戦をする、これと整合するエネルギーミックスをつくっていかなければいけませんので、しっかりと経産大臣とも連携をして組んでいきたいと思います。
  84. 関健一郎

    ○関(健)委員 環境王国の復権、私も委員の一人として心からその復権を望んで、実りある質疑をこれからも続けていきたいと思います。これに関しては以上です。  修正案に関してお尋ねをします。  今回、この修正案、なぜ修正案を提出する必要があったのか、具体的な違いについてお尋ねします。
  85. 生方幸夫

    ○生方委員 質問ありがとうございました。  修正案の趣旨説明にもありましたように、気候危機に対し国民一人一人が納得し、自覚を持って取り組むことができるように、政府は、理念を示し、率先して省エネルギーや再生可能エネルギー導入など自ら施策を行うとともに、国民的論議を行いその結論に従って施策を速やかに行うべきです。ところが、今回の政府案にはこのような観点が非常に乏しく、これまでの施策の延長でしか残念ながらありません。これでは二〇五〇年にカーボンニュートラル実現することは極めて難しいと言わざるを得ません。  一九九七年のCOP3以来、日本は最先端の技術があり、豊富な人材もありながら、乾いた雑巾論を振りかざして、気候変動対策を十分に行ってこなかった結果、技術も追いつかれてしまい、再生可能エネルギー分野などでも競争力が失われてしまいました。  このままでは、将来世代に豊かな未来を残すことはできません。今、豊かな地球に生きるために私たちが全力を尽くすために修正案を取りまとめました。  修正案の主な内容は、具体的に説明いたしますと、第一に、基本理念として、予防的な取組方法による早期の対応、地域住民等の多様な主体の参加と協力、情報の適切な公開、将来の国民の負担の軽減及び国際的協調等について規定することにいたしております。  第二に、地球温暖化対策計画の国会への報告についての規定を追加することにしております。  第三に、地球温暖化対策推進本部に、国民から無作為に抽出をされた委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くことにしております。討議会は、二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現のための施策の在り方等について調査審議し、本部長に対し建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないことにしております。  第四に、生物多様性や景観などを守る必要もあることから、地域炭素化促進事業促進区域に加え、促進事業の対象としない区域を追加することといたしております。  第五に、検討条項です。もはや地球温暖化ではなく、気候変動気候危機です。法律名も気候危機対策というふうに変更するべきではないかというふうに私は思っております。また、しっかりとしたゾーニングができるようにもするべきです。これらの点について、今後、政府で討議を進めてもらうよう検討条項を設けたところです。  与党の皆さんにも十分納得いただける内容であり、是非とも御賛同いただければというふうに思っております。
  86. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございました。  国民的論議が必要とされるという御主張がありました。幾つかありましたけれども、この国民的論議の必要性について質問をさせていただきます。  討論型世論調査という言葉がありますけれども、例えば、今、国際社会が地球温暖化対策に向けてみんなで取り組んでいるのはほにゃらら協定です、さて、何協定でしょうと地元でクイズを出すと、半分ぐらいの人は答えられないんですね。だから、物すごい、パリ協定の中の数字まで詳しく知っていて、日本政府は具体的な計画があるのかというところまで勉強している方もいれば、ロンドン協定と答えちゃう人もいるわけです。こんな中で無作為に電話調査をしていると、ぱっと言われて、はいと答える人はなかなかいないし、その回答のクオリティーにも大分差が出てきてしまいます。  そして、過去にいろいろなダムとか、環境問題というのは、感情論とか、ねじれて戻らないということになりがちですので、こういう分野こそロジカルに、科学的根拠に基づいた議論を進めていかなければいけないと思うんです。  そうした中で、今、全然分かっていない人も分かっている人も無作為に選んで、ひとまず専門家の意見をしっかり聞いてもらって、私はこうしたいけれども、こういう意見もあるのね、僕はこうしたいけれども、ああ、こういう対案もあるのかということを悩みながら落としどころを見つけていくという議論の手法が、ヨーロッパでも進んでいると聞きます。  先ほどの国民議論、あと二百人の対策討議会という言葉がありましたけれども、国民の皆様全体の知識の共有を上げていくとともに、理解が深まる、参加型の対策にしていくための取組について教えてください。
  87. 生方幸夫

    ○生方委員 我々が政権を取っていたときに討論型世論調査というのを行いまして、その手法は私は非常によかったというふうに思っております。  今回の温対法の改正案についても、一番先に国民を掲げておりますので、国民皆さんの理解と協力がなければ、二〇五〇年のカーボンニュートラルはもちろん達成できないわけです。  国民の参加をどういうふうに求めていくのかというときに、私たちは、審議会だけでは不十分だろうというふうに思っております。  なぜそうかというと、審議会というのはステークホルダー中心の構成となっており、審議会ステークホルダー間の利害調整的な場になっているのが多いように思われます。一般国民の感覚からかけ離れた結論が妥協によって生み出されることもあり、そうならないように、欧州で取っているような方法が有効ではないかというふうに私たち考えております。  欧州では、ステークホルダー間の調整とは別に、無作為抽出をベースに選ばれた市民議論を行う仕組みが取り入れられつつあります。気候変動に関して言えば、フランスやイギリスの気候市民会議があります。専門家の助言を受けながら真摯な議論を行い、提案を取りまとめ、政策に反映をさせております。  そこで、修正案では、フランスやイギリスの気候市民会議に倣い、地球温暖化対策推進本部に、国民からくじで選定された委員二百人により組織する地球温暖化対策討議会を置くことにいたしております。討議会は、本部長の諮問に応じ、二〇五〇年までのカーボンニュートラル実現のための施策の在り方等について調査審議し、本部長に対して建議を行うこととし、本部は、討議会が述べた意見を尊重しなければならないこととしております。また、討議会に、専門的な知見を補うため、専門補助員を置くことができるようにいたしております。  このような制度日本でも定着し、市民による討議、熟議が行われ、政策国民と共有された形で進むことを期待いたしております。
  88. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  地球温暖化対策という目に見えづらい領域、そして、高度な知識を求められるからこそ、皆さんが勉強する中で一緒にみんなで悩んでいこうという仕組みにすることがとても大切なんだと思います。ですから、この討論型世論調査というのをしっかり組み込むように、大切さについて今御答弁いただきました。  続きまして、もう一問だけさせていただきます。  生態系や生物多様性についての規定です。  自然公園法の中でも、大臣御答弁されましたが、環境省は、自然に指一本触れさせないわけではない、要は保護と活用の好循環。自然への影響をゼロにしたければ、人間がいなきゃいいわけです。でも、私たちも地球の中で繁栄をしていきたい。要は、その選択だと思うんです。  今回の法律案に関して、もちろん活用は大切、その一方で保護もしなければいけない。生態系、生物多様性に関する積極的な保護規定、設置をする必要があるのではないでしょうか、御所感を伺います。
  89. 生方幸夫

    ○生方委員 今法律案の中には促進地域を設けるというふうになっておりますが、それだけでは我々は不十分だというふうに考えておりまして、促進地域と同時に保全区域もきちんと設けなければいけない。それをすみ分けることによって、今言った生物多様性等をしっかり守っていかなければいけないというふうに思っております。
  90. 関健一郎

    ○関(健)委員 ありがとうございます。  泥仕合にならないためにも、保護と活用の好循環、守るべきところはしっかりと守る、そして、活用するとか共存、自然に生かされた中で共存をしていくということが必要だということを確認をさせていただきました。  まだ時間ありますよね。最後にもう一問だけさせていただきます。  今回、国会が関与する仕組みについて盛り込まれていないと認識をしています。政府が、菅総理が積極的な政策を打ち出しているのは歓迎すべきですし、私も高く評価をしていますが、じゃ、全く急に後ろ向きの総理大臣になったときとかどうなっちゃうのか。つまり、変更があるたびに、それは国会で議論をされる必要性があると思います。御所感を伺います。
  91. 生方幸夫

    ○生方委員 これは二〇五〇年までというような非常に遠い目標でございますので、その間、我々は政権交代があることを期待をいたしております。政権が替わったからといって二〇五〇年のカーボンニュートラルが失われるというようなことはございませんから、そのたびそのたびに国会がきちんと関与するということは是非とも必要だというふうに思っております。  三年ごとに見直すということになっておりますので、三年ごとに、どういう成果があり、どういう成果が上げられなかったか等を含めて国会で説明をすることによって、我々は国民の代表でありますから、その国民の代表がきちんと、どこまで進んで、どこまで進んでいなかったかというのをチェックすることがどうしても我々は必要だというふうに考えて、国会での報告を求めるというのが修正案の趣旨でございます。
  92. 関健一郎

    ○関(健)委員 未来への重要な透明化を担保することの必要性を指摘をしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  93. 石原宏高

    石原委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十八分休憩      ――――◇―――――     午後零時二十三分開議
  94. 石原宏高

    石原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。近藤昭一君。
  95. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 立憲民主党の近藤昭一でございます。  今日もまた質問の機会をいただきまして、感謝申し上げたいと思います。  限られた時間でありますので、早速質問に入りたいと思います。  先ほど、同僚議員であります関健一郎議員からも質問がありましたが、なぜ修正案を出したか、そして政府原案との違いはということでありましたが、先ほど網羅的に御説明いただきましたので、特に必要なところ、修正すべきところが出してあるわけでありますが、改めて、特に提出者の思いと、そして特徴、大事な点を御説明いただければと思います。
  96. 生方幸夫

    ○生方委員 どうも質問ありがとうございました。  我々、修正案を出させていただいたんですけれども、修正案を出す前提として、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、本当に今の政府案でカーボンニュートラル実現できるのかどうかというところに最初の疑問符があるわけですね。  菅総理の発言などを聞いていると、やはりカーボンニュートラルが目的なのか、カーボンニュートラルのための技術革新をして経済成長することが目的なのか、この二つがどうも判然としないんですね。  一番いいのは、カーボンニュートラル実現しながら、当然、経済成長も技術革新も達成するというのが一番いいんでしょうけれども、今までの経緯を見ると、どうしても目的が最後は経済成長の方になっちゃって、そうするとカーボンニュートラルが置いていかれる心配があるんじゃないかと。  我々は、もちろん両方達成するのが一番いいんですけれども、両方達成できない場合どちらに優先順位を据えるのかといえば、二〇五〇年のカーボンニュートラルは、これは国際公約ですから、何が何でも達成をしなければいけない。ただ、国政を担う与党としては、やはり経済成長も達成しなければいけないということで、ともすれば、その相克の中で経済成長のみに力を置いてしまって、二〇五〇年のカーボンニュートラル実現できなくなってしまう心配があるのではないかというのが、この修正案を出させていただいた一番の目的なんですね。  もちろん修正案そのものの中にこうしたことは書いてはございませんが、主たる我々の込めた思いというのはそこにあるというふうに思っております。  先ほどの関議員のお答えとも重なる部分があるんですけれども、わざわざ理念の中に国民を一番最初に置いたということであれば、国民参加ということがきちんと担保されていなければいけない。ただ言葉だけで国民というふうになっていてなかなか国民参加が担保されていないということで、それをきちんと位置づけなければいけないというのが我々の、討議会というのを設置しなければいけないということとか、あるいは、二百人抽せんで選んで、いろいろな方の多様な意見も聞きながら、多様な方を巻き込んでいって、また、巻き込んでいかなければカーボンニュートラルは達成できないというような思いを込めてございます。  あと、国会の関与ですけれども、先ほども申し上げましたが、これは政府としての公約ですから、政権が替わっても何が何でも二〇五〇年には達成をしなければいけない、そのためには、国民の代表たる国会に対してそのときの政府がきちんと、三年ごとに発表する、見直すということでございますので、三年間どういうことが行われ、どういうことが達成できて、でも残念ながらこのことは達成できなかった、だから次の三年でこれはカバーしなければいけないというようなことを、国会できちんと説明をしていただいて、我々を通じて国民も理解をする、理解を深めるという仕組みがどうしても必要だというふうに思いましたので、国会に三年ごとに報告をするというようなことも加えさせていただきました。  以上です。
  97. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございます。  私は、政治というものは生活だと思っているんです、生活を守ると。ただ、その生活を守るという中に、大きく言えば二つあるんだと思うんですね。  それは、一つは、やはり経済があって、経済が生活を支えていく、もちろんその生活の在り方というのはいろいろ議論があるし、私は、質実たる生活というか、華美にならない、ぜいたくはし過ぎない、物はどんどん使うということではなくて、質実たる生活だと思うんですが、ただ、大概、大きく言うと、そうした生活を支える経済をしっかりとしてほしいこと。  そして、もう一つ。まさしく生活でありますから、小泉大臣子供の頃のことをおっしゃって、地元の海のことをおっしゃっていましたが、実は私も、生まれたのは名古屋市内ですけれども、母親の実家が知多半島の先に内海という海の町がありまして、ですから、子供の頃よくそこで遊んで、私も、しっかりと環境問題に取り組まなくちゃいけないと思っていた一つに、原体験というか、やはりそういう子供の頃のあれがあるんですね。  そうしたことがあるものですから、生活の中に、やはりそうした経済の部分と、そしてまさしく環境、自分の周りにあるそうした豊かな環境というものがあると思うんです。  そういう意味では、よく二兎を追う者は一兎をも得ずみたいなことじゃなくて、この問題というのは、環境問題というのはやはり、二兎を追って、生活という部分でいうと、環境をしっかり守りつつ、そして経済も発展というか守っていかなくちゃいけない、こういうことで、しっかりと二兎を追っていくということになるんだと思います。  そして、今、生方提出者からのお話は、そうした経済の部分にちょっと偏らないように、しっかりと保護の部分も考えていかなくちゃいけない、そのためにこの修正案を出した、多くの方に参加してもらう、まさしく、小泉大臣もおっしゃっているように、国民が先頭に立って、国民が主役としてやっていくんだ、こういうことであり、その仕組みづくりの中での修正だと思うんです。  それで、私の方から一つ、今の豊かな環境に守られた生活という観点で一つ確認したいんですが、修正案にあります、第八の地域炭素化促進事業の保全区域の設置というところに関連してであります。  これは関さんからも言及がありましたけれども、ここで、修正案で想定されている保全区域のイメージというのはどういうことでしょうか。イメージするそれでは、いわゆる保全区域というのは促進区域から除外されるのか、ここのことを確認したいのでありますけれども。
  98. 生方幸夫

    ○生方委員 政府案の中には、促進地域というのがわざわざ組み込まれています。これは、再生エネルギーを普及させるためには、促進地域というのを設定して、その中で大いに再生エネルギーを活性化させようという思いです。  ただ、さはさりながら、今言った生活という面でいうと、その中で我々も生活をしているわけで、どうしてもここは守らなければいけない地域、例えば、我々が住んでいる真ん中に風力発電所が仮にできたとすれば、やはり騒音の心配とか、あるいは台風が来たときに羽根が飛んでしまうんじゃないかというようなおそれもありますので、やはり生活をきちんと守らなければいけないとか、あるいは生物多様性をきちんと守っていかなければいけないというような意味を込めて保全区域というのを設ける。  これは、例えば国立公園なんかが景観を売り物にしている中で、そこへ太陽光がばあっと斜面にいっぱいにできてしまえば、それはやはり景観を阻害するということになって国立公園の趣旨から離れてしまうというようなこともございますので、そうしたことを含めて、わざわざ、ここだけはもう駄目ですよという、いわば禁止区域を保全区域として設定することによって、自然環境、大きな意味での日本全体の自然環境のバランスを保とうというのが保全区域を設定するということの趣旨でございます。
  99. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございます。  そうすると、そういう中で、国立公園とかはどういうような考え方であるんでしょうか。
  100. 生方幸夫

    ○生方委員 基本的に、国立公園内に促進区域設定するということは多分大臣も想定はしていないというふうに思いますから、我々は、あえて国立公園内を保全区域に設定しなくても、国立公園はやはり国立公園としてしっかり守られておりますので、そこをあえて保全区域に設定する必要はないというふうに思います。  例えば、北海道の例なんかでいうと、海岸に風力発電所を造る、風力発電所はある程度の幅を置いて造らなければいけないですから、そうなりますと、こっち方は何か世界遺産にも登録しようかというような遺跡にひっかかってしまうような部分にまで行かなければいけないという計画になっているというような話も聞きましたので、そうすると、世界遺産に指定されるような地域からは最低でも何キロかは離れていなければいけないという意味で、そういう比較的人間がたくさんいるような地域世界遺産に指定されるような場所があった場合は、そこから何キロ以内は保全区域とする、具体的にはそんなようなことをイメージしているというのが我々の考え方です。
  101. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 ありがとうございます。  今、そうした守るべきところというところで、イメージというか考え方をお話をいただいたわけであります。  先般の、この前の環境委員会でも同僚の川内議員からも質問がありましたが、改めてちょっと確認をしたいと思います。  日本を代表する自然の風景地が守られてきた国立・国定公園において、先ほど申し上げた、地球環境局長、四月の二十日の環境委員会です、答弁では、促進区域から外れる想定として国立公園の特別保護地域が挙げられました。  この中で、第一から第三種の特別地域についてはどのように考えておられるのか。別の言い方をすると、では、どこまでは認めるというか、何かお考えが、どのように持っておられるのか。第一から第三地域、あるいは普通地域についてお聞かせをいただきたいと思います。
  102. 小野洋

    ○小野政府参考人 お答え申し上げます。  四月二十日の環境委員会におきましては、促進区域に含めることがふさわしくないようなエリアの一つの例で、現在の想定といたしまして特別保護地区というのを例として答えさせていただきました。  ただ、これは現在の想定ということで、現時点で、当然ながら、何を含めるかとか何が含まれないかということについて決定をしているわけではございません。この法案が成立した暁には、促進区域設定に関する環境省令の詳細について検討していくということになります。  その際には、委員御指摘ございました、第一種から第三種の特別地域の取扱いも含めまして、専門家の意見聴取などを行い、再エネ種ごとの特性を十分に踏まえまして、施設の立地場所、規模、立地形態、さらには自然環境への影響等、これらを十分検討して、その基準を定めてまいりたいと考えております。
  103. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 局長から答弁があったこと、内容をお聞きすると、甚だ不安と懸念を持つわけであります。まだ決まっていない。だから余り議論はしにくい。だけれども、審議会等々となると、それが、懸念していたことが起きてしまうということを、私もこの間経験をしてきています。  それで、今冒頭申し上げました、私は、やはり温暖化対策、本当にこれが、温暖化が進むことによって失うものがたくさんあるわけでありますから、これをしっかり進めていかなくちゃいけない。しかし、同時に、その過程で自然が破壊されていくということは、やはりこれは本末転倒になってくると思うんです。  大臣も、この温対法に関する委員会、あるいは様々なところで発言なさっていると思いますけれども、今言及ありました特別地域であっても、特別保護地区と同等程度に優れた景観や自然環境があるわけです、先ほど言及させていただいた。ですから、私は逆に言うと、特別保護区を拡大すべきだというふうに思っているんですね、より幅広く。そうでなければ、やはり日本の国立公園、国定公園が守られていかない。  大臣もおっしゃっているわけです。世界の国立公園ランキングトップ二十五に日本はないと。何とかこれを変えたいと大臣もおっしゃっているわけですね。でも、それは結局スポットだけで、そこだけではなくて、やはり全体的な大きな流れの中で、今、私の考えで言うと、保護地区等々が拡大をされていく中で、そして特に、特にと言うとあれですが、世界にも知られるような公園ができていくということだと。日本の中でも世界遺産に指定されているところはあるわけでありますが。  子供の頃の経験というのを先ほども申し上げましたが、私も、残念ながらまだ行ったことがないんですけれども、子供の頃、高校生の頃に、アメリカのヨセミテ公園の写真を見て、こんなにすばらしい公園があるのかと。アメリカ日本では国土というか地勢が違いますから単純には比較できないわけでありますが、ただ、見た、その壮大、雄大な自然と、何か、そこをある種守っているというか、国立公園として守っているというか、そうしたものが、施策がしっかりとしているだろうなというふうに思ったわけです。  そういう意味では、今申し上げました、私は、むしろ特別保護地域拡大すべきだと思っています。特別保護地区を拡大すべきだ、さっきこれからだとおっしゃった第一、第三種特別地域、そして普通地域、ここの保全はしっかりとしなくちゃいけないと思っているんです。  そういう意味で、改めて大臣の、国立・国定公園における大規模な再エネ施設の建設についてどのように考えておられるのか。先ほど触れた核心部のこともありますが、やはり、私は、促進地域以外の多くも基本的には保全すべきだと、保全するという前提。  今日、この午前中に参考人に来ていただいて、若い世代から、一体上の世代は、これまでの世代は何をやってきたのか、あるいは、今、これからに向かって何を、ちゃんとやっているのかという厳しい意見がありました。  そういうことで、改めて小泉大臣考えと決意をお聞きしたいのであります。
  104. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 まず、国立公園などの核心部において、大規模な再エネ施設によって自然のダメージが大きいもの、こういったものは進めることは全く考えていません。  一方で、日本の国立公園というのは、イメージは先生が言ったヨセミテやイエローストーンとは全く違って、国民生活、地域の方の住民生活が、また経済活動も含めて、あるので、例えばそういったお宅や工場とかの屋根置きの太陽光などが否定されるべきものでは全くないというふうに思います。  また、トップ二十五の国立公園の世界のランキングで日本がない、これは変えたいと思っていて、これについては、最近、林野庁と、国有林の部分が随分国立公園の中は多いものですから、一緒に何かできないかということで、担当部局の間では一定の合意を見ることができたので、近々、野上大臣と私の方から具体的な協力の中身について発表をしたいと思っています。そのことによって、ワールドクラスの国立公園を日本の中でも実現をさせていきたいと考えています。  今後、先生がおっしゃるように、国立公園というのは保護が大事だ、それはよく分かります。そのためにも大事なのは、都会の在り方も変えていかなければなりません。  今まで都市は、福島の原発事故の前はそうでしたけれども、原発から、大規模な電源から都会に対して太い送電線で流してきて、そのことによって我々の都市の生活が回る。しかし、これからは、都会だって、東京だって自ら電力を生んでいく、そういう都市の在り方に変わっていく必要があると思っています。  ですので、今後、二〇三〇年目標を達成するためにも、とにかく使えるところは徹底的に屋根置きを都会も含めて進めていくことに対して、国民皆さんに対しても御理解を求めていかなければ、守るべき自然も守れないんじゃないかと思っています。全力で取り組んでいきたいと思います。
  105. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 大臣、ちょっと私の挙げた例がよくなかったかもしれません、ヨセミテ公園というのは。ただ、私は、アメリカのそういうあの国土の中での保護の仕方というのはすばらしいと思ったんですね。ですから、逆に言うと、私は、まさしく今大臣もおっしゃった、日本アメリカは違っていて、日本の国立公園というのは完全に分けているんじゃなくて、その中に人が生活しているんだ、こういうことであったんです。  ただ、やはり、だからこそ、逆に言うと、日本なりの、日本としての国立公園あるいは保護地区というのを守っていかなくちゃいけない。でないと、どんどんどんどん、やはり逆に言うと、変な言い方ですが、アメリカ的な、アメリカというか、そういうふうに押し返していかなくちゃいけないのに、混在することを、混在というかあれを認めていくと、私はやはりそこで違う課題が出てくると思うんです。  大臣、そういうことでいうと、かなり規制を弱めていこう、そんなイメージでいらっしゃるんですか。
  106. 石原宏高

    石原委員長 小泉大臣、申合せの時間が経過しておりますので、手短にお願いいたします。
  107. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 守るべきものは守る、ただし、そこに対して、まだ再エネが自然の保護においてダメージを与えないところで活用できるところは活用できるのではないかと思います。ただ、今回の自然公園法の改正などもありますが、その中で、いろいろな計画があったとしても、要件として自然の破壊をしない、こういったことが要件となっていますので、そこはしっかりと守っていきたいと思います。
  108. 近藤昭一

    ○近藤(昭)委員 どうもありがとうございました。  是非、守るべきところ、そして、この修正案にもありました、そこでやはり国民皆さんの声をしっかりと受け止めていただきたい、そういう仕組みをつくっていただきたい、そう思います。  ありがとうございました。
  109. 石原宏高

    石原委員長 次に、田村貴昭君。
  110. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。  地球温暖化対策推進法並びに修正案について質問します。  まず最初に、小泉大臣にお伺いします。  昨日、菅総理は、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指す、更に五〇%の高みに向けて挑戦を続けていくと発言しました。四六%というのはどういう数字なんでしょうか。なぜ四六%なんでしょうか。
  111. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 梶山大臣と私の間でも様々積み上げの作業もやってまいりました。ただ、この積み上げも、野心的な積み上げの作業をやってまいりました。  こういった中で、昨日、総理は、二〇三〇年目標発表された後にぶら下がりの場で今の田村先生のような問いを問われて、積み上げの作業などやっている中で四六%というのが視野に入ってきたという表現をされましたが、私は全くそのとおりだと思います。野心的ではありますが、視野に入ってきた。そういった中で、今回四六%、しかし一方で、更に五〇%の高みに挑戦し続けるという、四六%しかもうできないんだというメッセージではなく、挑戦し続ける、この意思が国際社会に発信されたことが私は非常に大きいことだと思っております。
  112. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 野心的な引上げ、積み上げプラス政治判断もあったというふうにも聞いております。四六%の数字の根拠や内訳についてはまだ出されていませんので、今後、私も聞いていきたいと思います。それを基に、二〇五〇年カーボンニュートラル、そして一・五度目標達成、これが可能なのかどうかはまた議論させていただきたいと思います。  同時に、菅総理の昨日の発言に対して、これではまだ不十分だという意見が早くも出ています。大臣にお伺いしたいのは、そういう声もやはりしっかり聞くべきだというふうに思います。  一例を言いますと、しかしながら、パリ協定の一・五度の気温上昇に抑制するためにはこの目標では十分ではない、この削減目標は半減に届かず、その実現の筋道の議論は従来型で、一・五度との整合性に欠けるものである、こういった指摘を出す環境団体もあります。また、環境NGO、クライメート・アクション・トラッカーは、一・五度目標と整合する日本目標水準については二〇一三年度比で六二%とする、こういう発表もあるわけであります。今日の午前中の参考人質疑でも、この目標値では納得できないという参考人意見もありました。  その声にもやはり真摯に耳を傾けるべきだ。絶えず、二〇五〇年カーボンニュートラルと一・五度目標の達成に整合できるものなのか、そこに立ち返り検証していく。さっき大臣言われましたけれども、これしかできないじゃなくて高みを目指す。ですから、目標値というのは必要に応じて改善されていくし、上げていくということは私は当然あるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  113. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 今日も午前中、参考人で次世代意見を述べられたと聞いています。私としては、今回の目標は、本当に最大限まで、極めて野心の高い、そういったものを政府として打ち出すことができたと思っていますが、より危機感の強いそういった声に対しても、今回の数字の意義、そして五〇%ということに触れた意義、これをしっかりと御説明をさせていただきたいと思います。  ただ一方で、これも改めて申し上げたいのは、パリ協定というのは国連の条約事務局が関わっています。そこのエスピノーザ氏がさっき私も紹介をしましたが、こういうツイートを流しているんですね、昨日ですけれども。「Thank you PM Suga for announcing an ambitious NDC with a 46% reduction target by 2030. I thank you for your commitment to continue efforts to meet the goal of cutting emissions by 50%. I hope others follow your example.」  日本がまさに好事例として、ほかの国々がこれに従ってもらいたいという発信を国連事務局長がやられているんですね、条約事務局長が。今回の数字というのは、まさにそれほどのインパクトを持って世界にとどろいています。先頭集団に入ったこの環境先進国としての日本が、これから実行、しっかりと政府を挙げてやっていきたいと思います。
  114. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 今大臣が挙げられたのはまだツイートの段階での話なので、これから国際会議とか、いろいろな検証が行われていくと思います。  先ほど言いましたように、やはりいろいろな意見に、これではまだ少ないんじゃないかという意見にはちゃんと真摯に向き合っていただきたいと思います。  続いて、前回、四月二十日の質疑で、脱炭素化事業促進区域を定める際の基準として、環境影響評価の配慮書手続と同等以上の環境への配慮がなされるかと私質問したんですけれども、再度質問します。  促進区域考える上で、自然公園については、普通地域、特別地域、特別地域についても、特別保護地域や利用調整地区、一種、二種、三種地区と、保全の重要性に応じて区域分けがされています。その中でも、特別保護地区は、生態系の保全上、特別地域の中でも最も厳しい規制がかけられています。こうした特別保護地区の保全を適切に行う上でも、ほかの特別地域や普通地域をバッファーゾーン、緩衝地帯として適切に保全していく必要があります。促進区域から除外されるべきという指摘もあるわけです。  質問します。  環境省令や都道府県の基準で示される事項をより適切に実施するために、ガイドライン等でより詳細に定めていくとのことでありましたけれども、ガイドラインではどのような事項が定められていくんでしょうか。
  115. 小野洋

    ○小野政府参考人 お答えいたします。  委員からただいま御指摘ございましたガイドラインにおきましては、促進区域設定に関する環境省令、この内容あるいは考え方、さらには、都道府県の基準を定めるに当たっての考え方、それから、市町村が定める地域環境保全のための取組の具体例などについて、発電設備の種類ごとに示すことを想定しております。  例えば、現状での想定でございますけれども、自然公園法に基づく国立・国定公園、それから、都道府県立自然公園の特別地域及び普通地域の扱いをどうするか、それから、騒音などの生活環境への配慮に係る離隔距離等の数値の設定をどう考えるか、希少な動植物とその生息、生育地の扱いや、広域を移動する鳥類などに係る自然環境への配慮をどうするか、こういった事項の考え方などを解説していきたいと思っております。  今後、促進区域設定に関する環境省令やガイドラインの内容について、専門家の意見聴取なども行いまして、再エネ種類ごとの特性を踏まえた施設の立地場所、規模、立地形態、自然環境への影響等を十分考慮して、既存の法制度との整合も図りながら検討を進めてまいりたいと考えております。
  116. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 省令、基準、ガイドラインでしっかりと自然環境への配慮をしていただきたいというふうに思います。  次に、修正案提出者についてお伺いします。  今日、午前中も参考人質疑議論になったところですけれども、低所得者世帯ほどエネルギーコストが高いとされています。こうしたエネルギー貧困の問題について、提案者はどのように考えておられるでしょうか。また、省エネルギー、再生可能エネルギー利用、回収では、この問題を改善する視野は入っているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  117. 生方幸夫

    ○生方委員 私も、今日の参考人意見で、エネルギー貧困という言葉を本当に初めて聞きまして、昔だったら、夏暑い、冬寒いというのは、我々が小さい頃は当たり前の話だったんですけれども、今の人たちは、夏もちゃんと涼しく、冬は暖かくというのが当たり前で、その当たり前を実現するためには電力の力をかりなければいけないということで、その電力代が払えなければ、夏なんかで熱中症で亡くなっちゃう、それはエアコンの代金が払えなかったからというような悲惨な事故が毎年ありますので、その辺について、十分我々も配慮をしていかなければいけないというふうに思っております。  定義は、日本では、光熱費支出が収入の一〇%以上になる世帯が百三十万世帯あるというふうに言われておりまして、これをエネルギー貧困世帯というふうに呼んでもいいんじゃないかというふうに思っております。  日本の住宅、特に古い賃貸住宅は断熱がほとんど行われておりませんので、収入が低い世帯ほど光熱費が高まるというような構造になっております。中長期的なエネルギー価格の高騰というのが予想される中、こうしたエネルギー貧困に直面している人たちの住宅を耐熱構造に造り替えていく必要があるというふうには思います。  さはさりながら、貧困世帯ですから、改修するお金が十分にない、光熱費が払えないのに、改修するお金というのはもちろん当然少なくなってしかるべきだというふうに思いますので、その改修のためには政府が何らかしらの手を差し伸べる必要があるというふうに我々は考えております。
  118. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 環境省にもお尋ねします。  脱炭素社会実現に再エネ導入、省エネ促進は不可欠であります。省エネ化が進めば、エネルギー消費量が減って、光熱費の負担額も減少します。しかし、低所得者世帯ほど収入に占める光熱費の負担割合が高い傾向にある。低所得者には、省エネ対策を行う経済的余裕がないのも事実です。この打開が必要なんです。  午前中の参考人質疑で、上園昌武参考人エネルギー貧困の問題を指摘しました。大臣にもお尋ねするので、ちょっと紹介します。それは、エネルギー費用が家計を圧迫するため、電気などを十分に利用できず、健康的で快適な生活水準を維持できない状態、これをエネルギー貧困だと定義されています。  上園参考人は、低所得者などの省エネ対策促進が不可欠だが、日本ではエネルギー貧困の実態がほぼ不明であるために、まずは実態調査から始めていく必要がある、こういう指摘を今日いただいたところであります。  そこで、大臣に伺います。  低所得者世帯の省エネ対策促進が不可欠だという認識は、大臣、共有できるでしょうか。そして、エネルギー貧困の実態については、把握する、そして分析する、実行計画策定のために自治体にもこうした情報を提供して一緒に取り組んでいく必要があろうかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  119. 小泉進次郎

    ○小泉国務大臣 それは大事な論点だということは、私は共有できるところだと思います。  そして、家庭からのCO2排出量やエネルギー消費量の実態を把握するために、全国の世帯を対象に政府の一般統計調査として家庭部門のCO2排出実態統計調査、これを実施しており、世帯収入別のエネルギー消費量なども含めて把握をしているところです。  今先生から自治体の話もありましたが、今後、家庭CO2統計の情報や、自治体が取り組んでいる優良な省エネ対策事例、自治体内での部局間連携に関する考え方なども整理しながら、地方公共団体実行計画の策定マニュアルを改定していきたいというように思います。  今日の朝、閣議の後の記者会見でも、熱中症対策における高齢者の問題も話しました。それは、亡くなっている九割の方が高齢者で、そのうち九割の方が室内で亡くなって、さらに、九割の方がエアコンを使っていない。この要因が、中には、寝ているときにエアコンを使うことが健康に悪いというふうに思われてしまっている方もいると思いますが、一方で、光熱費の節約のために使わずに、結果命を落とされてしまっているケースがあるとしたら、そういったことを防いでいかなければいけないというのも熱中症対策においては大事なことだと思っています。  今後、孤独、孤立という観点も、一人でお住まいの高齢者の方にありますから、熱中症と孤独、孤立、さらに、先生がおっしゃる貧困、こういったところも、我々、気候変動対策の中でも重要な論点だと考えております。
  120. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 エネルギー貧困問題を是非正面から受け止めて、そして対応をしていただきたいと思います。  続いて、地域炭素化促進事業における住民参加のことについて伺います。  まず、修正案提出者にお伺いします。  地域炭素化促進事業の住民の関与に関する事項というのがありますけれども、これはどういうことを想定しているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
  121. 生方幸夫

    ○生方委員 地域炭素化促進事業に関しましては、景観や生物多様性影響を与える懸念がある事業計画されることも十分あり得るというふうに考えております。  加えて、どんな事業であれ、周辺住民の理解なしに事業を進めれば、結局のところ、事業の進展が遅れたり、事業の変更を余儀なくされたりすることもあり、当初に合意を得ておければ、そのようなことは避けられるというふうに考えております。  そこで、自治体実情に応じた形で、地域炭素化促進事業への住民の関与の在り方について、地方公共団体実行計画に記載し、それに沿った形で住民の関与を得て、地域炭素化促進事業が行われるようにするという趣旨の規定をしたところでございます。  具体的には、事業者が脱炭素化促進事業を進めていく上で住民とどのような形で向き合うつもりなのか、その方策を明記してもらうことを想定しているところであります。  その記載内容が地方公共団体実行計画に適合しない場合には、地域炭素化促進事業計画が認定されないということも想定をいたしております。
  122. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 続いて、環境省にもお尋ねします。  自治体の脱炭素化に向けての実行計画について、専門的知見を反映することとともに、ステークホルダー、利害関係者、特に住民を巻き込んで策定していく、そうすると、実効ある計画につながっていくと考えます。  今回、全ての市町村に実行計画策定を求めますけれども、この住民の参加という点について、どのように保障されますか。
  123. 和田篤也

    ○和田政府参考人 お答え申し上げます。  環境省としましては、まず、この法案の運用に当たりまして、地方自治体委員言及のございました地方公共団体実行計画、この策定に当たっての協議会仕組みの一環の中で、事業者、住民に加えまして、さらには学識経験者といった専門知識を有する方なども踏まえた幅広いステークホルダーの参画も確保しながら、地域の様々な主体の関与の前提で、計画の策定や具体的な施策を進めていくといったことを考えているところでございます。  それがうまくいくようにということで、地方公共団体実行計画のガイドラインといったものをお示ししてまいりたいと思っています。  なお、現行でも非常に、いわゆるグッドプラクティス的なものとしても、例えば、専門的な知見として、長野県において、学識経験者の参画を求めながら二〇五〇ゼロカーボンの戦略を定めたり、さらには、札幌市、川崎市などにおきましても、気候市民会議といったようなフレームワークを使って、住民とのフラットな情報、意見交換なんかも行える、こういうようなことも踏まえまして、今後、適切な制度運用になるように取り組みたいと思っております。
  124. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それは分かりましたけれども、再エネ導入を急がんがために、ややもすればトップダウン型になってしまう、そして、役所からの号令で事が進んでいってしまう、私は、そういったことをやはり懸念する一人でもあります。  ですから、こうしたことがないように、やはり合意が得られるためにはいろいろな工夫が要ると思うんですけれども、その工夫について何を考えておられますか。
  125. 和田篤也

    ○和田政府参考人 お答え申し上げます。  今まさに委員御指摘のありました、これは再生可能エネルギーなど、再生可能エネルギーだけに限ったことではございませんけれども、地域のいわゆる温暖化対策計画を練り上げるに当たっては、いわゆる地域の合意形成というキーワードが極めて重要であるという御指摘、全く、環境省としても、中心的な重要事項であると考えております。  したがって、合意形成がいかに円滑にいくのか、まずはしっかりとした事実情報確認をお互いにした上で、フラットな関係で、多様なステークホルダーから情報、意見交換を行った上で、合意形成がしっかりと促進されるようにといったことに取り組んでまいりたいと思っております。
  126. 田村貴昭

    ○田村(貴)委員 それは、時々、しっかり検証していかなくてはいけないと思います。  時間が参りました。  以上で今日の質問は終わります。
  127. 石原宏高

    石原委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時四分散会