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2021-04-07 第204回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月七日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あべ 俊子君    理事 伊藤信太郎君 理事 鈴木 貴子君    理事 鈴木 憲和君 理事 辻  清人君    理事 中根 一幸君 理事 阿久津幸彦君    理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君       岩田 和親君    小田原 潔君       尾身 朝子君    大野敬太郎君       城内  実君    黄川田仁志君       國場幸之助君    新藤 義孝君       鈴木 隼人君    薗浦健太郎君       中曽根康隆君    中谷 真一君       松島みどり君    簗  和生君       青山 大人君    岡田 克也君       緑川 貴士君    山川百合子君       渡辺  周君    竹内  譲君       穀田 恵二君    浦野 靖人君       山尾志桜里君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    外務大臣        鷲尾英一郎君    外務大臣        宇都 隆史君    防衛大臣        中山 泰秀君    外務大臣政務官      國場幸之助君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    外務大臣政務官      中西  哲君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  木村  聡君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  伊吹 英明君    政府参考人    (金融庁総合政策局参事官)            井上 俊剛君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 堂薗幹一郎君    政府参考人    (外務省大臣官房長)   石川 浩司君    政府参考人    (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       志野 光子君    政府参考人    (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       小野 啓一君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 赤松 秀一君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 吉田 泰彦君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 田島 浩志君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 遠藤 和也君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 原  圭一君    政府参考人    (外務省経済局長)    四方 敬之君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  植野 篤志君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (外務省領事局長)    森 美樹夫君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           大坪 寛子君    政府参考人    (海上保安庁総務部長)  宮澤 康一君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   黄川田仁志君     大野敬太郎君   中谷 真一君     岩田 和親君 同日  辞任         補欠選任   岩田 和親君     中谷 真一君   大野敬太郎君     黄川田仁志君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. あべ俊子

  3. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あべ俊子

    ○あべ委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城内実君。
  5. 城内実

    城内委員 自由民主党の城内実でございます。  本日、十分か二十分ぐらいかなと思いましたら、三十分も時間をいただきましたこと、あべ委員長、そして伊藤信太郎筆頭理事、また、阿久津筆頭理事始め与野党の理事皆様委員皆様に心から感謝申し上げたいと思います。  三十分もあるので、調子に乗ってたくさん質問を用意しましたが、もしかしたら空振りになるかもしれませんが、その際、政府参考人の方、お許しください。  さて、茂木敏充外務大臣におかれましては、就任以来、コロナ禍にもかかわらず、外国訪問二十三か国、そして日本で実施した対面での外相会談が計九回、そして、先日は日中電話外相会談もございましたし、また、日米プラス2といった重要な会議もございました。こうした茂木大臣の精力的な外交への取組に対しまして、改めて敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。  私、自民党外務委員会担当国会対策委員長であります。外交日程がしっかりこなせるように、もちろん外務委員会も大事ですから、委員会外交日程、両方成立するように、板挟みにならない程度に、しっかり大臣をお支えしていきたいと思っております。  さて、最初の質問でございますけれども、外交実施体制強化についてであります。  私、平成二十六年、自民党外交部会長をしておりましたが、そのとき、自民党外交再生戦略会議というのがございました。議長が高村正彦外務大臣事務局長外交部会長の私、また、外交調査会長衛藤征士郎先生にも御協力いただきながら、中間取りまとめというのを出させていただきました。  その中で、外交実施体制の飛躍的な拡充というところで、こういう一文が入りました。スクラップ・アンド・ビルドの原則は、在外公館新設については適用せず、必要性優先順位等を精査しつつ、主要国並みになるよう大幅に拡充するということであります。いわば、スクラップ・アンド・ビルドじゃなくて、ビルド・アンド・ビルドということであります。  ちなみに、それ以前に、自民党外交力強化に関する特命委員会というのがございまして、当時、森喜朗委員長、そして事務局長は何と茂木敏充、今の外務大臣であります。そのときに、英仏並み、百五十の大使館をつくる、今後十年、定員二千人純増という目標設置されました。茂木大臣に布石を打っていただいたおかげで、私も微力ですけれども、更にそれをバトンタッチする形で、平成二十六年のこの中間取りまとめができたわけでございます。  今チェックしましたら、もう百五十か国は大使館設置は超えていました。百五十三か国。なかなかやるなというふうに感じております。  しかし、実は、今、中国が問題になっていますけれども、中国大使館設置しているけれども日本がまだ大使館設置していない国、平成二十六年のときには三十六か国あったんです。私、当然これはもうゼロになっているかなと、少なくても三か四公館。今、一体、もう一度言いますけれども、中国大使館設置しているけれども日本がまだ大使館設置していない国というのは何か国あるんでしょうか。
  6. 石川浩司

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  そもそも、我が国と国交のない北朝鮮をも含めまして、二十八か国というふうになっております。
  7. 城内実

    城内委員 二十八か国という数字に今私は愕然としました。  ちなみに、中国を承認していない国は、結構、太平洋島嶼国とかカリブ海にあるんですよ。だから、日本を承認している国よりも中国を承認している国の方が少ない。にもかかわらず、こんな差が起きているということ自体が私はおかしいんじゃないかなというふうに思っております。  ちなみに、外務省からいただいた資料、ちょっと古い資料かもしれませんが、日本の、先ほど大使館百五十三公館と言いましたけれども、大使館総領事館政府代表部を合わせると、現在、日本は二百二十九公館。今申しましたように、たしかパラオとか、そういった国は中国そのものを承認していないんですよ。にもかかわらず、何と中国は二百八十三公館と数で圧倒しているわけです。これは、私、いかがなものかなと思います。  そして、私、二〇〇九年にエリトリアという国に行きました。何かアフリカ北朝鮮と言われていますけれども、行ってみたら、まあ、大統領は独裁的な方ですけれども、思ったよりもそんな独裁的で抑圧されている感じではありませんでした。このエリトリアという国が何と日本に、二〇〇三年、大使館を開設しているんです。私がエリトリアを、たしか当時外務大臣だったと思いますけれども、訪問した時点では、エリトリア大使館がないんですね。何でかというと、日本企業がまだ出ていないとか、いろいろな理由が挙げられましたけれども、当たり前でしょうと。大使館がないところに日本企業がそんな簡単に行くわけないじゃないと。だから、鶏が先か卵が先かみたいなくだらない議論はやめてくださいという話をしました。ようやく、兼勤駐在官事務所ができることになりました。  では、質問ですが、相手国日本大使館を置いているけれども、まだ日本大使館現地にない国は何か国あるんでしょうか。
  8. 石川浩司

    石川政府参考人 お答え申し上げます。  八か国でございます。
  9. 城内実

    城内委員 いや、エリトリアって金持ちの国ではないんですよね。ODA対象国ですよ。こういった国が節約をしながら少人数でこの東京のど真ん中の一等地に大使館を置いているにもかかわらず、我が国は何をやっているんだと、私はこれを強く感じます。ですから、こういった国をもう早くなくしていただきたい。  例えば、私が以前訪問したトリニダード・トバゴという国があります。この国は、ちょっとこれまた古い資料かもしれませんが、兼轄国が何か国もあるんですね。アンティグア・バーブーダ、ドミニカ国、グレナダ、ガイアナ、セントビンセント、セントクリストファー・ネービス、セントルシア、スリナムと、兼轄国が八か国。そのうち中国大使館を置いているのが五か国。もう置いてあるんですよ、中国日本は置いていないんです。こういうことをやはりまずなくしていくことが大事だと思います。  ちなみに、日本大使館設置していないが、日本大使館があり、かつ、中国がその国に大使館設置している、そういう国も何と五か国もありまして、それが今言ったエリトリアコンゴ共和国、トーゴ、リベリア、レソト、この五か国については、私はもう五年以内に大使館設置すべきだというふうに思っております。  そしてまた、人員の件ですけれども、二千人純増という目標にはまだまだ全然達成しておりません。平成二十六年、外務省定員五千七百八十七人、令和三年時点で、済みません、正しい数字か分かりませんが、六千四百三十人という数字がございます。まだ六百五十人ちょっとしか増えていないんですね。  特に、今、コロナ禍で、在外公館在留邦人にとっての駆け込み寺になっているわけです。ある国で、日本大使館がない、駆け込み寺中国大使館みたいな、何かしゃれにならないようなことが起きてしまう可能性も、今言ったカリブの国ではあり得るわけですよ。そういうことを放置していること自体がおかしいと私は思います。  ちなみに、外交安全保障は車の両輪と言われております。今、中国の話をしましたけれども、日本中国、総兵力、日本が約二十三万人、中国は約九十八万人、約四倍です。第四、第五世代戦闘機日本が三百九機、中国は千八十機というのが防衛省資料にあります。約三倍。軍事力がこれだけ違うんですよ。ですから、せめて外交力中国並みかそれ以上にしないと、歴史認識の問題について後で時間があれば触れますけれども、どんどん押し込まれてしまうというふうに思います。  いずれにしましても、これからも、在外公館数そして外務省人員定員純増、これをしっかりやっていただきたいと思います。この点について、茂木大臣の意気込みをお聞きしたいと思いますが、お願いします。
  10. 茂木敏充

    茂木国務大臣 城内委員には、委員会の運営を含め様々な形で、外務省のOBということもあり、また国対という立場もあり、いろいろ御尽力いただいていること、改めて感謝を申し上げます。  私は、二〇〇二年から二〇〇三年まで外務大臣を務めさせていただいて、その後すぐに大臣を経験しまして、党の方に戻って、また外交に携わるようになったんですけれども、党の方で。そのときに、城内委員に冒頭御指摘いただいたように、日本外交実施体制はどうなのかと。  一つショッキングだったのは、やはりアフリカですね。見たときに、アメリカだけではなくて中国大使館が大半の国にあるのに対して、残念ながら日本の、これからアフリカとの外交といいますか関係を強めていくという中で、全然大使館がない。そしてまた、太平洋島嶼国においても極めてこの数が、日本と友好な国が多いのに少ないということで、外交力強化特命委員会、これをつくりまして、百五十大使館体制を一日も早く目指すということで、それまで毎年一つできるかできないかという公館を、五つとかそういうレベルで、急ピッチで整備をしてきた。これが十五年ぐらい前のことでありますが、まだ道半ばだ、こういう思いは持っているところであります。  我が国が直面する多様な外交課題、その範囲も広がっております。これへの対応強化して、国際社会においてリーダーシップを発揮する。また、我が国立場、様々なものでありますが、歴史戦を含め、そういった我が国立場への理解を促進し、さらに、新型コロナの厳しい状況においても、在留邦人安全確保、昨年一年間は、相当それぞれの公館はこれに力を入れてきました。また、現地に進出する日本企業の支援といった重要課題に機動的に対応するためには、外交実施体制の一層の強化が必要だと考えておりまして、こういった観点から、二百五十公館、この実現を念頭に、在外公館の数の増加であったりとか人員拡充体制強化に努めてきたところであります。  先日御審議をいただいた在外公館名称位置給与法改正案において、在ダナン総領事館新設、これもこういった取組の一環だと考えておりまして、そして、城内委員外交部会長として携われました二〇一四年五月の自民党外交再生戦略会議中間取りまとめにおいて、百五十大使館体制にのっとり、必要な大使館総領事館設置を加速すると御提言をいただいたわけでありますが、おかげさまで、大使館の数は、この百五十を超えて、先ほど御指摘のあった百五十三というところまで来ているわけであります。  また、定員につきましても、令和三年度要求の結果、七十二名の純増を認めていただいて、六千四百三十名となっております。  しかし、あえて国は言いませんが、主要国と比して、我が国在外公館数及び外務省定員数、依然として不十分だと考えておりまして、引き続き、日本外交を積極的に展開していく上で、在外公館増加といった質の強化に加えて、業務の一層のシステム化デジタル化も進めつつ、貴重な人材、人でなければできない外交活動というのは当然あるわけでありまして、こういった外交活動に重点的に配置するといった質の向上も必要であると考えておりまして、今後とも、質、量両面から外交実施体制強化し、戦略的な外交を展開していきたいと思っております。
  11. 城内実

    城内委員 大臣、是非よろしくお願いします。  もちろん、財務省、総務省、そういった省庁としっかり調整しながら、ニーズがあればどんどん増やしていくということを是非やっていただきたいと思いますし、我々もバックアップいたします。  次に、中国における一連人権問題についてです。  言うまでもなく、内外で、新疆ウイグルにおける収容所の問題、一説には約百万人以上が収容所に入れられている、そういう報道もあります。しかも、劣悪な環境下で暴力や拷問が行われている。そして、北京語以外の言語の使用が禁じられている。さらには、中国共産党を賛美する歌を歌うことを強制される、自己批判の作文を書くことを強制されている。さらには、不妊手術出生管理。こういった報道情報が世界中を今駆け巡っております。  そしてまた、チベットでは、これも長年同じような、拘禁拷問、暴行、不妊手術、ございました。  さらには、南モンゴルについては、同じように、恣意的な逮捕拘禁。そして、昨年九月に、南モンゴル言語歴史政治経済、この三分野での学校教育、これをモンゴル語ではなくて北京語で行わせようとしています。いわゆる漢族化、これの流れができております。  さらには、香港におきます反体制活動を禁じる香港国家安全維持法、これが施行されて、今まさに、香港の議会である立法会が形骸化しております。無力化しております。反対勢力の方々が逮捕されております。こういう状況がございます。  同時にまた、法輪功の皆さんが不当な理由逮捕拘禁され、その臓器が外貨稼ぎで売買されているという情報もございます。  こうした、まさに民族大量虐殺、ジェノサイド、エスニッククレンジングという民族の浄化を堂々と行っている。この中国に対しては、やはり日本としても厳しい対応をせざるを得ないというふうに思っております。  今日、ミャンマーについても質問しようと思いました。ミャンマーについても、人権弾圧、もっともっと、ODA新規停止どころじゃなくて厳しい対応をしなければいけないと私は思いますが、ミャンマーについては、映像がこちらに届く。  ところが、新疆ウイグルとかチベット南モンゴルは、徹底的に管理されて、情報が統制されて、そういった映像もなかなか流れてこない。命懸けでそういう映像が時々私たちのところにも流れてきますけれども、とんでもないですよ、これ。こういうことを放置していいのかということがございます。  EUイギリスアメリカカナダが大変厳しい対応をしております。あのドイツですら、私、十年ドイツにおりましたけれども、フォルクスワーゲン始めドイツ車の非常にいい市場ですから、中国に対しては大甘だったメルケル政権ですら、足並みをそろえている。アメリカでは、ウイグル人権法が制定されました。  こうした中、やはり、我が国中国人権侵害に対する制裁措置、これをしっかりやるべきだと思いますし、中国側に強く働きかける、そういう表現はもうそろそろやめていただいて、こんなの中国にとっては馬耳東風、そういう感じだと思いますよ。彼らに言うだけでは、はい、分かりましたではなくて、内政干渉をやめろと言われるだけですから、しっかりと具体的な、損失を伴う圧力をかけるべきだというふうに思います。  ちなみに、最近、私の近所の方からお手紙が来まして、こういうふうに言っておりました。  「なぜ中国が今行っている人権問題に対して、他国と同調して抗議の声を上げないのでしょう。ウイグル人南モンゴル人チベット人チベット仏教弾圧香港民主化の若者への対応、その他、南沙諸島等々、どれを取っても日本として看過してはならない事柄だと感じています。尖閣諸島を日本は自国の領土として断固死守する気概があるのでしょうか。以前、我が家の団らん時に、もし日本ウイグルチベット香港のようになったらどうするという話題になりました。そのとき、主人は、」ちなみにこの方は女性です、「きっぱりと、そのときは家族三人で命を絶つまでだ、中国が今ウイグル人などへ行っている行為を受けるぐらいなら死んだ方がましだと言いました。一市井の団らん時に出る会話ではないと思います。しかし、今、国民はそこまでこの国の行く末に不安を抱いているのです。」  こういう手紙。これだけじゃないんですよ。この種の手紙が、これは私の近所の人です、全国から私のところに来ております。  是非厳しい対応を、今申しましたEUイギリスアメリカカナダとともに足並みをそろえてやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
  12. 茂木敏充

    茂木国務大臣 この問題の深刻さは十分理解していると思います。同時に、EUアメリカカナダというお話をされましたが、恐らく、アジアの国々の中で、中国新疆ウイグルの問題、さらには香港の問題、人権状況、一番厳しく声を上げているのは日本であるのは間違いない、こんなふうに考えております。  我が国としては、国際社会における普遍的な価値であります自由、基本的人権の尊重、法の支配、これが中国においても保障されることが重要であると考えておりまして、こうした我が国立場につきましては、一昨日の日中外相会談、予定より長くなりまして一時間半、電話で一時間半ということになりましたが、私から直接、王毅国務委員に伝達をしているところであります。  特に国際社会から懸念が高まっている新疆ウイグル自治区に関しては、重大な人権侵害が行われているとの報告が数多く出されておりまして、我が国としても、新疆ウイグル自治区の人権状況については真剣に懸念をしております。  会談の中で、王毅国務委員の方から、別の話で、透明性中国透明性を高めているという話があったので、違った活動においてもきちんと透明性を高めてほしい、こういったことを私の方からも明確に申し上げたところであります。  また、香港をめぐる情勢については、昨年の国家安全維持法制定以降の一連の動きに加えて、三月十一日の全国人民代表大会における選挙制度の変更についての決定に関しても、翌日にG7外相声明を発出するなど、これまで我が国国際社会とともに強い懸念を表明してきたところであります。  結構、このG7外相声明を出すのも、イギリスとヨーロッパの国といいますか、溝がある状況でありましたから、かなり苦労して、イギリスラーブ外相、そしてフランスのルドリアン外相、私が間に入っていろいろ調整をしたり、そういった形でG7として結束したメッセージも出したところであります。  今般、国際社会の強い懸念にもかかわらず、全国人民代表大会常務委員会において、香港における選挙制度に関する香港基本法の規定が変更されたこと、これにも重大な懸念を強めております。  そして、冒頭申し上げましたが、アジアの中の国で、では、近隣の国を見てください。2プラス2をやっても全く中国のチの字も出ない、こういう状況日本状況はかなり違うんじゃないかなと思っておりまして、昨年の十月には、国連総会の第三委員会において、我が国は、香港新疆ウイグルに関する共同ステートメントアジアから唯一の参加国として参加して、新疆の人権状況及び香港情勢に関する深刻な懸念を表明したところであります。  さらに、二月二十三日には、人権理事会におきまして、私から深刻な懸念を表明するとともに、中国に対して具体的行動を強く求めてきたところであります。  日本だけではなくて、いろいろな国が中国との経済的な関係もあります。さらには、今後、国際社会が直面する気候変動問題、これは、最大のCO2排出国である中国、この取組というのは重要であると思っております。しかし、経済がある、気候変動がある、だからといって基本的な価値で譲ることはない、こういう強い姿勢で臨んでいきたいと思っております。
  13. 城内実

    城内委員 ありがとうございました。是非強い姿勢で、今大臣からお言葉がありましたように、臨んでいただきたいと思います。  時間がありませんので、最後に、いわゆる従軍慰安婦問題について質問させていただきたいと思います。  昨年九月に、私の第二のふるさとでもある、十年近く住んでいたドイツ、その首都のベルリン市ミッテ区に、平和の像と称する慰安婦像が建てられてしまいました。ミッテ区、ミッテというのは真ん中ですから、日本でいえば千代田区、千代田区のど真ん中の皇居の前の日比谷公園にそのようなものを建てられた、そういう感覚です。どこかの山間僻地ならまだしも、ど真ん中に堂々と建てられました。これは、中山間地域とか田舎に建てられる像の百倍ぐらいのインパクトがあると私は思っています。  これに対して、当時の八木ベルリンの駐独大使、そして今、柳大使、頑張っておられます。特に今の柳大使におかれましては、仄聞するところによると、ミュンヘン総領事のときに、フライブルクの市長にかけ合って、その市内に建てられた慰安婦像を撤去させた功績があります。  ちなみに、フライブルク市長は、緑の党、どちらかというとかなりリベラルな方でありますが、しっかりと説明をしたら撤去に動いてくれたというふうに私は伺っております。  まだこのミッテ区の像が撤去されておりません。私自身、かつてドイツにおりましたので、とてもこれはもう許せないという気持ちになりまして、ドイツのあらゆる私の人脈、中央政府の大臣五名、連邦議会議員四十八名、州政府関係者、ミッテ区の政府の方々、区議会議員、元ドイツ大統領のヴルフさん、計百十二名にドイツ語で手紙を書きました。今日当委員会を傍聴しているスタッフのブッシュマン君というのは、オーストリア人でドイツ語ができますから、私の下手くそなドイツ語を直してくれて、しかも動画まで発信しました。それでも撤去がなかなかできない。  さらには、一月にはソウル地裁で元慰安婦の損害賠償裁判、これは日本に対する賠償命令の判決が出ました。これも私も憤りを禁じ得ないということで、自民党外交部会が作った決議を英語とドイツ語に訳して、東京の、ある数か国を除いた百五十二か国の大使にお送りしました。幾つか返事も返ってきて、話を聞きたいと。ちょっとこれは、これ以上詳しく言うと手のうちが分かるので言いませんけれども、そういう活動を行っております。  ですから、是非、外務省におかれましては、今こそしっかりと対応するチャンスじゃないかと思っています。中国が今、人権でこれだけたたかれているときだからこそ、ちょっと待ってくれと、日本のこの歴史認識に対する誤解を解く、私は今、最大のチャンスだと思っております。河野談話そのものを見直すチャンスが今、もう一度言いますけれども、中国に矛先が向いているからこそ、考えていくべきじゃないかなというふうに思っております。  ちなみに、いろいろ調べたら、外務省で、英語のみならず、フランス語とか中国語、韓国語、いろいろな、様々な言語でパンフレットを作っているということが分かりました。私が外務省にいたときと比べて、よくぞここまでやってくれるなと。  しかし、それを活用するのは誰でしょうか。もちろん、我々かもしれないけれども、主に、冒頭申しました在外公館大使館員であります。大使以下、外務省出身者、あるいは他省庁から出向してきた方々が一丸となって、毎日とは言わないまでも、そういうパンフレットを使って、片言の英語でもいいじゃないですか、もうパンフレットに中身が書いてあるんだから。どこかの隣の国みたいに、いきなり歴史認識の問題について語り合おうと言うと向こうは引いちゃいますけれども、おいしいおすしなどをごちそうしながら、お酒が入ったほろ酔い加減のときに、私はいつもそういうふうにしておりますけれども、ところでさみたいな話で、えっ、あなたの歴史認識ってそんなものだったの、実はこうなんですよと、これは結構、二、三十分かかるんですけれども、最後に、そうだったのか、よく分かったと。そういうことを在外公館でやってくださいよ。冒頭、応援したじゃないですか。それをやってこその人員公館数の増強の応援です。  ところが、残念ながら、実態は、各省から来る方々はほとんど設宴をしなかったり外務省任せ、何か、本省で頑張ったから二年間遊んできなさいみたいな、そういう実態があるんですよ、実は。(発言する者あり)いや、本当ですよ。  個人情報がありますから誰とは公開しないにしても、何月何日にどのパンフレットを持ってどこの公館で誰が何をやったかというのを全部、以前、私、外交部会で言いましたが、マトリックスにして、この公館は大使が頑張っているから、もう一回大使をやってもらおうかとか、この出向者は何もやっていなくて駄目だから、もうその省庁からの公館への出向は要らないとか、そういうこともやる段階に入っていますよ。  それを是非やっていただきたいと思いますし、今日は鷲尾副大臣が来ていらっしゃいますので、一言、私の今の見解について、間違っているとか、それはおかしいとかと言うかは別として、何か一言コメントをいただけますか。
  14. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。
  15. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 委員には、常日頃、慰安婦問題に対しまして大変な御尽力をいただいておりますことに心から感謝を申し上げたいと思います。  また、対外発信の最前線である在外公館体制強化、これを外務省としてはしっかりと図りながら、歴史認識を始めとする分野で、日本の政策や取組立場につきまして、地域ごとの特徴を踏まえた上で、様々な関係者に対し、理解を深める取組を進めております。  その観点からも、今ほどおっしゃっておられました、在外公館に赴任する各省庁からの出向者に対しても、外務省において、慰安婦問題を始めとする歴史問題について事前に研修を行いまして理解を深めてもらうようにしておりまして、引き続き在外公館が一体となって取り組んでまいりますことを、この場をおかりをいたしまして、お約束を申し上げます。  以上です。
  16. 城内実

    城内委員 是非よろしくお願いします。  以上をもちまして質問を終わります。
  17. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、小田原潔君。
  18. 小田原潔

    ○小田原委員 自民党の小田原潔であります。  本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  今年に入り、私だけではなく、少なからぬ人たちが、我が国を取り巻く外交環境、そして安全保障環境が今までになく大きく変わっていくのではないかと感じている方も多いと思います。  特に、今年に入ってからでありますが、三月の三十日、全人代常務委員会において、香港選挙制度の見直しに関する愛国者による香港統治案を全員一致で承認をしたり、記憶に新しいところでは、三月二十九日、台湾の防空識別圏に中国軍機が十機侵入をした。一月の二十八日には、中国国防省の報道官が、台湾独立は戦争を意味すると口にした。また、三月十八日、アラスカでは米中外相会談で異例な応酬、見ている我々が戸惑うほどのものでありました。そして、二月一日に中国海警法が施行された。  今年に入って、中国の覇権志向に拍車がかかり、対外姿勢にも急速な変化が起きているように見えるのですけれども、政府としてどのように分析をされているか、是非大臣から御所見をいただきたいと思います。
  19. 茂木敏充

    茂木国務大臣 中国側の行動の背景について、大国になった中国の威信を高めたい、若しくは、現在の国際秩序をより自国に有利なものにしたいなど、様々な見方というのはあるんだと思っております。  その行動の背景には、中国の内政上の課題というのは当然ある。これはどの国でもそうでありますけれども、外交的な政策の変更をするのには、内政が絡んでいることもあります。さらには、外交政策そのもの、経済政策、様々な要因があると考えられ、分析結果を断定的に申し上げることは困難だと思っております。  その上で、中国との安定した関係は、日中両国のみならず、地域及び国際社会の平和と繁栄のために重要でありまして、日中、世界第二位、第三位の経済大国として、地域及び国際社会の諸課題に取り組んでいく責務というのを共有をしておりまして、両国が国際社会のルールにのっとってその責任をしっかり果たして、国際社会の期待に応えていくことが重要だと考えております。  一昨日の日中外相電話会談においても、王毅国務委員との間で、両国が共に責任ある大国として地域、国際社会に貢献していくことの重要性を確認をしております。中国との間には様々な懸案が存在しておりますが、引き続き、首脳会談外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張し、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていきたいと考えております。  先日のアラスカの会談、その後、全体では八時間ぐらいの会談になった模様でありますけれども、冒頭、相当激しいやり取りがあったわけであります。その後のやり取りの詳細について私の方からこの場でつまびらかにすることは控えたいと思いますが、少なくとも、お互いの考え方そして相手に対する見方、これが率直に伝わったのは間違えないと考えておりまして。  日本も、こういったハイレベルの対話を通じて、意見が完全に一致しているわけでありません、そういった中で、日本としての考え方、また私が聞いている国際社会全体の懸念、こういったものも中国に率直に伝える、また中国側のそれに対する反応というのを聞くというところから、様々な問題の解決というのが見えてくるのではないかなと思っております。
  20. 小田原潔

    ○小田原委員 ありがとうございます。  自民党では、四月の一日に、国防部会、国土交通部会、安全保障調査会の連名で、尖閣諸島を始めとする我が国の領土、領海、領空を守り抜くための緊急提言というのをまとめております。ここで幾つかの懸念を示しているところでありますが、海警法が国際法に違反しているおそれがあるということや、海警局の船が七十六ミリ機関砲を搭載しているとか、一万トン級の船舶の運用が確認されるとか、物騒だということを懸念しているわけですが、私は、今日、この質問で、向こうの装備が物騒だからという懸念もさることながら、もっともっと我が国固有の懸念を気にしなければいけないということを明らかにしたいというふうに思います。  まず、中国海警法のどういう点が国際違反だというふうに外務省が認識しているか、あわせて、もし違反しているという認識があるのであれば、我が国政府はその懸念や問題点を国際社会に有効な形で発信しているのか、教えてください。
  21. 岡野正敬

    岡野政府参考人 海警法につきましては、国際法との整合性の観点から、問題がある規定を含んでいると考えております。  例えば、第三条は海警法の適用範囲に関する規定でございますけれども、そこで用いられている、中国の管轄海域及びその上空の意味するところが不明確であります。仮に中国が主権等を有さない海域で海警法を執行すれば国際法違反になります。  また、第二十一条でございますけれども、外国軍艦、公船による中国国内法令の違反行為に対して法執行業務を行う旨及び外国軍艦、公船に対して強制退去、強制引き離し等の措置を講じる権利を有する旨規定していますけれども、国際法上、一般に、軍艦及び公船は執行管轄権からの免除を享有しており、海警法が免除を侵害する形で運用されれば国際法に違反することになります。  もう一つだけ指摘させていただきますと、第二十二条というのがございますが、国家の主権が海上において違法な侵害を受ける場合等に、武器の使用を含む全ての必要な措置を講じる権利を規定しております。その上で、四十九条、五十条で一定の制約を課しております。  国際法上、武器の使用に際しては、一般に比例性及び必要性の要件が必要となってきますが、中国海警局が、国際法上必要とされる比例性、必要性の要件も満たさずに過剰な武器使用をするということは、国際法に違反することになります。  委員我が国関係で御指摘されましたので、その関連でもう一つだけつけ加えさせていただきますと、海警法であろうとその他の法律であろうと、日本の主権を有する海域で中国が国内法に基づき独自の主張に基づいて管轄権を行使しようとすることは、日本の主権を侵害するものでございます。
  22. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 恐縮でございます。  委員御指摘の国際社会への発信という点につきまして、補足をさせていただければと思います。  御指摘のとおり、国際社会への発信、各国との連携強化、非常に重要と考えております。我が国として、米国を始めとするG7やASEAN諸国を含む国際社会と連携し、力による現状変更の試みに強く反対していくという考えでございます。  例えば、先般行われました日米外相会談日米プラス2におきましても、東シナ海、南シナ海を含め、現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも反対するとともに、中国海警法に関する深刻な懸念を共有し、同盟国を含め緊密に連携していくということで一致をしておるというところでございます。  ほかにも多くの首脳会談外相会談等で、海警法に関しまして、懸念の表明、共有等をしておるというところでございます。
  23. 小田原潔

    ○小田原委員 ありがとうございます。  私も、二か国間ですとか、一部、マルチによる共同の海警法に対する懸念の表明には目を通させていただきました。しかし、他国の懸念の主要な部分というのは、航行の自由が脅かされるのではないか、自国の漁船や商船が海警法に基づいて海警局の船舶に危害を加えられるのではないかという懸念が主たるものであろうと考えます。  一方、我が国は、それに加えて、全く別の懸念があろうと思います。それは、我が国固有の領土である尖閣諸島に対する接近や上陸や侵略行為が行われるのではないか、その前哨行為に当たるのではないかという懸念が、他国の懸念とは一線を画するものではないかと思います。海上保安庁のホームページを見ても、ここへ来て、海警局の船が領海侵犯又は接続海域への航行を増やしているという情報を公開しています。  難しいのは、軍艦と公船には管轄権の免除が認められていますから、我が国の法律が適用できないということになります。外国の公船が、仮に尖閣諸島への上陸を強行した場合、出ていってもらわなきゃいけないわけですけれども、抵抗したり、若しくは、むしろ公務を執行しようとすると危害を加えようとしたりした場合は、警察官職務執行法を準用して武器の使用が認められるわけですが、武器の使用には、凶悪な罪を犯しているのが明らかな場合という条件があります。  上陸をしようとするプロセスで、どこか凶悪な罪とみなすことができるのであれば、その法的根拠は何か、教えてください。
  24. 宮澤康一

    宮澤政府参考人 お答えいたします。  国連海洋法条約第二十五条では、無害でない通航を防止するため、沿岸国が自国領海内において必要な措置を取ることができると規定されており、この規定は軍艦等にも適用されます。  同時に、そのような必要な措置は、当該外国政府船舶が有する免除を侵害しない範囲で行わなければならず、当該外国政府船舶の侵害行為との比例性が確保されたものでなければならないと解しております。  その上で、海上保安庁の対応について、一般論として申し上げれば、外国政府船舶への対応については、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難です。  ただし、海上保安庁は、領海において外国政府船舶が無害通航に当たらない航行を行っている場合には、当該外国政府船舶が有する免除を侵害しない範囲で、当該外国政府船舶の侵害行為との比例性を確保しつつ、必要な措置を取ることができるものと解しております。  国際法上、許容される範囲内において、海上保安庁法第二十条第一項で準用する警察官職務執行法第七条の要件に該当する場合には、警察比例の原則に基づき、武器を使用することは排除されないと認識しております。
  25. 小田原潔

    ○小田原委員 ありがとうございます。  元々、海上保安庁の任務というのは、海上保安庁法の第二条で、海上における励行、海難救助、海洋汚染などの防止、航行の秩序の維持、犯罪の予防及び鎮圧、犯人の捜索、逮捕、船舶交通に関する規制ですとか、標識に関する事務その他海上の安全確保ということでありまして、領土、領海を守るという任務はないと思います。これは、警察の任務が、治安の維持ではあるけれども、領土を取り返すとか、そういう任務がないのと同様であると思います。  一応、平成二十四年の七月二十七日の衆議院の国土交通委員会の答弁において、領海や排他的経済水域において海上保安庁が行っている警備業務について、所管業務として明確化するという答弁があります。これに基づいて、恐らく、領海に侵入する政府の公船ですとか外国船への中止、退去要請などの業務が、正面業務として任務及び所管事務規定に新たに規定されたということだと思うのですが、これは領海に来た船を追い払うということにすぎないと私は思います。  したがって、どちらが先に発砲するかも別にして、要するに、向こうがでかい砲を持っていようが、こっちがでかい砲を持っていようが、警察比例の原則を仮に守ったとしても、公船に対する海上での危害射撃というのは国際法上では既に戦闘行為に当たるのではないかと思いますが、見識をお聞かせください。
  26. 岡野正敬

    岡野政府参考人 一般論として申し上げますと、国際法上、船舶は免除を有します。外国政府の船舶が日本の領海内で国際法違反を行っている状況の下においては、国際法上の要件を満たす形でこれを排除するために限定的な実力を行使すること、これにより国際法上問題が生じるとは解されないというのが我々の立場でございます。  これに基づいて海上保安庁が一定の措置を取った場合には、それは国際法上認められた正当な法執行活動とみなされる、位置づけられるものと考えております。
  27. 小田原潔

    ○小田原委員 我が国の優秀な警察官が外国で活躍することはできません。同様に、外国の警察官も我が国で活躍することはできません。しかし、我が国が本当に直面している危機というのは、我が国の領土、領海において、あたかも外国の警察が外国の領土、領海として法執行機関の行動を取ろうとしていることにどう対処するかということであろうと思います。  三月の二十六日に、自民党会議で海上保安庁の第三管区海上保安本部長さんが来られまして、御自身の尖閣の現場での任務体験を教えてくださいました。感涙にむせぶほど感動した報告でありました。ホームページですとかテレビの報道などですと、確かに、侵入している件数、延べ隻数は増えているように見えます。しかしながら、現場では、今のところ、常に相手方のチームの数ですとか、今どこを通ってどういう航路を取りそうだということを正確に把握し、毎回例外なく相手を凌駕する若しくは少なくとも同等の体制で臨み、必ず追い払っているという報告でありました。その現場の緊張感とみなぎる責務に、聞いていた我々は大変胸を打たれ、また、こういう人たちを私たちが支えなければいけないという思いを新たにしたところであります。  しかしながら、今のところはそれで済むということと、これからもそれでいいんだということとは別でありましょう。また、その本部長さんのお言葉や態度の中に、必ず追い払うということと、必ず無血で任務を遂行するということがありました。すなわち、武器の使用というのは極力避けたい、やりたくないという思いが満ち満ちておりました。  実は、「警察官によるけん銃の適正使用のために」という、二〇一一年度時武英男賞というのを受賞された、時武英男先生というのは刑事法の大家だそうですが、論文があります。  この論文はなぜ書かれたかというと、警察の方が書いたんじゃないんですけれども、拳銃の使用に対する過度に抑制的な意識を払拭するという点がいまだ効果的な解決に至っていない、使用をちゅうちょ、忌避してしまうのが現状であるということから書かれた論文でありまして、最後、まとめのところで、拳銃使用に関する現状の課題として、拳銃使用の可否を判断する際、警棒を所持していたか、銃口を相手に向けたか、警察官及び相手方の人数比、相手方は凶器を所持していたか、多岐にわたる項目があって、現実的に拳銃使用をした場合、そのことが審査されるというか、戦目付に問われることになるわけであります。また、現実的に、各都道府県警において例規及び訓令といった形で要件の具体化はあるが、条件による場合分けは細分化されていて多岐にわたる上、いまだその具体化は十分であるとは言い難い、結果的に、警察官による拳銃使用が適法になる基準については、複雑かつ実用性に欠けたものにならざるを得ないという論文でありました。  陸上で活動している警察官ですら、このように拳銃使用というものに対しては大変な制約と心の葛藤があるということが見て取れる論文であります。  結果的には、全ての現場において、深刻な事態、これは三種類しかないと思います、絶対に逃がしちゃいけないか、自分がやられそうか、ほっておくと誰かがやられちゃうかという判断を、瞬時に個人の決断によく言えば委ねている、悪く言えば押しつけているというのが現状ではないでしょうか。同じことを海上保安官にも押しつけることが本当にできるのかということを考えなければいけないと思います。  したがいまして、私自身は、突き詰めると、海上保安庁の巡視船が国際法に違反せずに外国公船に危害射撃をすることはできないのではないかと思うんですけれども、ここは是非大臣に御見識をいただきたいと思います。
  28. 茂木敏充

    茂木国務大臣 一般論として申し上げますと、国際法上、政府船舶は免除を有するわけでありますが、当該政府船舶が我が国の領海内で国際法違反を行っている状況下におきましては、国際法上の要件を満たす形で、これを排除するために限定的な実力を行使することによりまして、国際法上問題が生じるとは解されないと思っております。
  29. 小田原潔

    ○小田原委員 ありがとうございます。  懸念の本質は、武器使用よりも、すなわち七十何ミリ砲を持っているとか向こうの船がでかいとかいうことよりも、中国が領土だと一方的に主張する尖閣諸島を奪取される可能性が高まったというふうに認識するべきであろうと思います。私の一番初めの質問はそこにあったわけであります。  国家の意思に基づく接近や上陸は、もはや我が国の国内法で犯罪というよりは侵略であって、主権の侵害と考えるべきではないかと思いますが、ここも大臣に是非御見識をいただきたいと思います。
  30. 茂木敏充

    茂木国務大臣 正確に答弁したいと思いますので、順番を追ってお話をさせていただきますと、まず、尖閣諸島、これは小田原委員もよく御存じのとおり、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国の固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配をしております。尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題はそもそも存在しないわけであります。  そして、尖閣諸島周辺の我が国領海には、当然に我が国の主権が及んでおります。そして、尖閣諸島周辺の我が国領海内で中国海警船等が尖閣諸島に関する独自の主張や我が国の主権と相入れない活動をすることは、国際法上認められた無害通航には当たらないわけでありまして、このため、政府としては、こうした活動を国際法違反であると考えております。  そして、ここからが委員の御質問に直接関係するんですが、仮に、外国の国家機関が日本の領土に不法上陸することがあれば、それは当然、我が国の主権侵害ということになります。
  31. 小田原潔

    ○小田原委員 ありがとうございます。  私の強い懸念は、この海警法ですとか、海上保安庁に尖閣の警備をしてもらうということは、ほかの海上警備とは質が異なるのではないかということであります。  海上保安庁の本来の業務は確かに不審船を捕まえるとかいうことでありますが、事尖閣諸島という、地政学的にもデリケートで、その活動によっては国際的な秩序が変わってしまうと誰もが認識している、だから中国の船が来るんでしょうけれども、を守り切れという任務を警察業務に任せるというのは余りに酷ではないかというのが、私の懸念の中心であります。  尖閣諸島に仮に外国人が上陸し、海上保安庁の皆さんは、絶対そんなことはさせない、ゴムボートが降りたらこっちもゴムボートを出すというんですが、武器を使用しない限り、上陸をしてしまって、仮に防衛出動を下令できたとしても、ただ単に家を建てて炊事、洗濯して、学校を造ったみたいなことをされた場合、このような侵害行為に対し、もしも警察で対処できないから自衛隊に下令をお願いしたということになったとしても、全くもって平和裏に暮らしているようなことをされると、その人たちをおんぶしたりだっこしたりして出ていってもらうということにはならないでしょう。  どうやって政府はこういう事態を招かずに防ぐのか。特に、一度上陸されたものを取り返すという任務は、追い払うという任務に比べてはるかに苛烈な現場に隊員たちを送り込むことになると思います。  重ねて、武力攻撃に至らない侵害行為に対し政府はどのように対応するのか、教えてください。
  32. あべ俊子

    ○あべ委員長 内閣官房松本内閣審議官、答弁は簡潔に願います。
  33. 松本裕之

    松本政府参考人 お答えいたします。  警察、海上保安庁、自衛隊などの関係機関の対応につきましては、個別の事案の態様によって異なってくるものでございますし、また、対応の詳細につきましては、我が方の手のうちを明らかにするおそれがありますことから、大変恐縮でございますが、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  その上で、一般論として申し上げれば、武力攻撃に至らない侵害への対処について、我が国の領土、領海の治安の維持は、警察又は海上保安庁が第一義的に対処することとされております。これら警察機関では対応が不可能又は著しく困難である場合には、海上警備行動や治安出動の発令を受けた自衛隊が、警察機関と連携しつつ対処することとなるところでございます。  政府といたしましては、切れ目のない十分な対応を行うため、引き続き、警察機関、自衛隊の体制強化と能力向上を図り、国民の生命財産及び我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然と対応してまいります。
  34. 小田原潔

    ○小田原委員 終わります。ありがとうございました。
  35. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、渡辺周君。
  36. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。  まず冒頭、外務大臣にお尋ねをいたします。  菅総理大臣と米国バイデン大統領の首脳会談が十六日にも開かれるということでございます。今朝の読売新聞の報道では、この首脳会談で、経済協力と気候変動、それから安全保障の三本柱にした共同文書を出すと、読売新聞独自ネタとして報道されています。  この点については聞きません。首脳会談が終わった後の当委員会での質疑の中で是非質疑をしたいと思います。今尋ねても、恐らく、報道は承知しているけれども、中身についてここでつまびらかにすることは避けるといって、大体そういう答えでしょうから、時間がもったいないので聞きません。  そこで、今報道された経済協力、気候変動、安保という大変大きなテーマ、これは我々も注視をしますが、当面の課題であります東京五輪、オリパラについて、首脳会談では議題として出てくるのでしょうか。その点はいかがでしょう。
  37. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、首脳会談の成果文書、これは当然、首脳会談を踏まえてということになりますけれども、私も今日、新聞をそれぞれ読んでおりますけれども、必ずしもそのとおりではないかもしれないな、こういう思いを持ちながら紙面は拝見をいたしました。  その上で、オリパラについてでありますが、首脳会談で行う議題については調整中ということでありますが、これまで、各国との首脳会談の際には、総理から安全、安心な東京大会を実現する決意を述べて、米国を始め各国首脳から支持を得てきた、これは事実であります。
  38. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ということは、もう既にアメリカの大統領から支持を得たということで、あえてここでもう一回、首脳会談で東京オリパラに対しての支持の取付けは、当然、改めて要請する、議題にするということで理解してよろしいんですか。
  39. 茂木敏充

    茂木国務大臣 議題として扱うかどうかは、例えば、同じ議題について確認していることを再度確認する場合もありますし、しっかり確認しているので確認をする必要がないと考えるものもあるわけでありまして、それは首脳会談の中で判断をされることだと思っております。
  40. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もうオリンピックまで日がないんですね。これは御存じのように、予選期限というのは六月二十九日まで、選手の登録は七月五日。開会式が七月二十三日だとすると、これはもう日は二か月強ということになっている、予選期限が。  そんな中で果たしてオリンピックができるのかどうかということについては、先日、私、池江璃花子選手の、二年前に大きな病気を発症してから涙の復活劇を遂げてオリンピックの代表になった、あの姿を見て、やはり心を打たれました。涙が出ました。何としても東京オリンピックを開催したいな、晴れ舞台を、やはりあそこで克服した姿を見たいなというふうな思いでございます。それは皆さん一緒だと思います。ただしかし、もう時間は限られているわけでございます。  是非、アメリカが選手を派遣するかということについては、私はやはり支持を取り付けるべきだと思いますけれども、大臣はお考えはいかがですか。
  41. 茂木敏充

    茂木国務大臣 アメリカの支持、これは明確であると思っております。そこの中で、平和の祭典に参加をする選手、それは個々に、当然自分の意思で参加をされると思っております。  多くのアスリートにとって、四年に一回の舞台ということで、研さんを積み、練習を重ね、池江璃花子さんのように、ああいった厳しい、十九歳にして病気を患いながら、本当に努力をされて、なかなか筋肉が戻らない中でも、自分に合った新しいバタフライの泳ぎ方等々によりまして、すばらしい記録を樹立される、胸を打たれるものがありました。  是非、安心、安全な大会であるとともに、感動を生む、そういう東京大会にしたいと思っております。
  42. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ですから、リオデジャネイロ・オリンピックのときに一番選手団が参加しているのはアメリカです。アメリカは五百五十四人、主催国のブラジルが、五年前、四百六十五人、フランスが三百八十五人、そしてインドが百二十四人なんです。  どうしてこの国を例に挙げたかというと、このオリンピックにたくさんの選手を派遣した国が、今コロナの感染者数の、実はこの数字というのは、世界で一番感染者数の多いのが御存じのとおりアメリカです。もう数字は言いません。次がブラジルです。次がインドですということになります。そして、次がフランスなんです。  つまり、今まさにコロナの変異株によって新たなまた危機が来ている中で、この大国がこれだけの感染者が累積している、そして、この国がリオデジャネイロ・オリンピックで相当な数の選手を出してきたわけでございます。  北朝鮮が、どういう理由か知りませんけれども、何か、オリンピックに参加しないと。まあ、はっきり言って、北朝鮮が来ることは余り大勢に影響はないと思うんですけれども、やはり、こうした国々が今このコロナの中で戦っている、我が国としても水際対策として防疫をやらなきゃいけない。しかし、オリンピック開催の日は迫っているという中で、私は、やはり外務省として、それぞれの国にオリパラ出場の意思というのを確認するべきだと思うんです。  様々な外交ルートを通じて参加の意向というものを打診をしなければいけないと思うんですが、当然、首脳が会うときには、首脳にもそのことについては確認というか、お願いをしたい。そして、各国に対して、国内のコロナ対策と併せて、オリンピック参加の意向というのはどうなんだということは外務省はやっているんですか。いかがですか。
  43. 伊吹英明

    伊吹政府参考人 お答え申し上げます。  三月にIOCの総会、理事会というのが開催をされていまして、その中で各国のNOCが参加する会議というのがありまして、そこで東京大会に対して皆さんから、きちんと支持をして参加をするということはIOCに対して表明をされているということでございます。
  44. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 IOCじゃなくて、日本国の外務省として、各国に大使館があるわけですよね。当然オリンピックのことについてはもう議題になっているはず、議題というか、当然テーマとして話題の中心になるとすれば、ここで、日本は開催をする、そのときに日本は開催しますとこれまでももうずっと答弁をされてきまして、私も何回も国会で質問しました。  もう精神論じゃなくて、具体的にできるかどうかというときの段取りにも入らなきゃいけない時期に来ているわけですから、各国の大使館を通じて、外務省としてその意向は確認をしていますかということを尋ねています。
  45. 志野光子

    志野政府参考人 お答えいたします。  先ほど内閣官房の方からも話がありましたけれども、我々の方としても、IOCを通じまして、各国のNOCそれから国際競技連盟の方から、是非、オリンピックの選手、アスリートの皆様が東京大会を目指して頑張っているというお話を聞いております。  各在外公館におきましても、各国の首脳、外相あるいはスポーツ担当大臣、渉外担当大臣の方々とお会いする際には必要な情報提供等に努めており、IOC、大会組織委員会、東京都などと緊密に連携して準備の方を進めてきております。
  46. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 昨日にも報道されていますが、この数日、国際水泳連盟が日本国内で開催する予定だった幾つかの、最終予選を兼ねた国際的な大会が中止になった。その中止になった理由には、国際水泳連盟が言っているという報道をBBC等が報道していますが、複数の国で日本大使館が参加選手らに対してビザを発給していない点、あるいはコロナ対策の費用の負担の問題などなど、受け入れる側に何か不満があったということで中止をしたということでございますが、それは事実ですか。
  47. 森美樹夫

    ○森政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘になった大会でございますが、東京オリンピック競技会に向けた大変重要なイベントでございまして、政府としても、この大会参加者による我が国への入国を認める方向で調整を行ってきたところでございます。  また、中止の意向を伝えたという点でございますけれども、この件に関しましても、大会主催者である国際水泳連盟、FINAのホームページによりますと、FINAオリンピック予選の再割当ての決定は検討中であるという四月二日付の声明が掲載されておりまして、その詳細については政府の関係部局で確認中でございます。
  48. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 いや、だから、国の意気込みとは別に、実は現地大使館はビザを発給しなかったということが言われているんですけれども、それだと、それこそ総理を始め日本政府の方々が、とにかくオリンピックをやるんだということで言っている。だけれども、選手が予選会すら来ることができない。もっと言えば、テスト大会ですか、このテスト大会というのは本番さながらの、当然、同じ施設を使って本番さながらの大会をやることによって、その運用のある意味リハーサルをする。このテスト大会も、例えば水球ですね、五輪テスト大会が延期になったと。それは、やはり来日が困難だということなんですが。  つまり、テスト大会で来日困難なのに、どうやってオリンピックをやるんだという話ですね、極端なことを言えば。  現場の大使館も、これはちょっと後で言いますけれども、出入国、入国に関しては特に特例が認められているわけではないので、当然、テスト大会であろうが予選であろうが、選手のビザが発給されない。これは、現場でそのように判断したというのは、日本政府としてちゃんと意思が疎通されてそういう判断になったということになるんですか。いかがですか。  現場の判断ですか。それとも、日本政府の本国に聞いた結果、テスト大会であろうとも、二週間の隔離期間があって、当然、国内での必要な防疫上の、要は、PCR検査なりをして陰性が証明されていない、日本に来ても入国後十四日間は待機しなきゃいけない、そういうことを考えればビザは発給できないということになったんですか。いかがですか。
  49. 森美樹夫

    ○森政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘の点でございますが、いささか鶏と卵の感がございますけれども、水泳飛び込みの東京五輪の最終予選の開催が決定されれば、参加選手等に向けて査証を発給するという方向で審査を行いますところ、大会の開催が決定されたという事実をもって査証の発給に移るということになりますので、これは、まだ大会を中止する云々の議論が出ておる状況でございますので、まず事実関係を確認いたしまして、大会開催ということになりましたら査証を発給する運びになるものかと存じます。
  50. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 鶏と卵の話なんて、そんなのんきなことを言っている場合じゃなくて、もう日は迫っているわけです。  はっきり言って、四割を超えるまで予選会が開かれていなくて、選手の登録も行われていないわけですね。その理由というのは分かりますよ、はっきり言って、世界がこんな状況で、どうやって大陸を移動して、あるいは国をまたいで予選をやるんだということで、物理的に厳しいのはよく分かっています。  日本の国がここまでやるぞと言い続けてきて、それで、実際、テスト大会も予選もあって、もう既に日程が決まっているわけじゃない、その日程に沿って行こうとしたら、とにかく、国際水泳連盟の発言を取れば、複数の国というか幾つかの参加国で、参加選手団に対して日本大使館がビザを発給しなかったんだと。  それは当たり前ですよね。つまり、必要な措置を講じていなければビザは発給できませんと。だったら、オリンピックのテスト大会をやるなんということは、当然環境整備をしてやるべきですよね。それはやっていなかったんですか。  つまり、どうなっているのか。日本国を挙げてやっているのか、一丸となって。そういうことじゃないんですか、どうなんですか。そこは、例えばJOCなんか、外務省とそういう話をしているんですか。いかがですか。
  51. 伊吹英明

    伊吹政府参考人 水泳のテストイベントについて、スポーツ庁が中心となって調整をしているところでございますけれども、その中で、FINAそれからIOCと調整をして、今、アンダーレビューという形になっているということでございます。
  52. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 またこの問題はやりますけれども、つまり、オリンピック、最後、もう一回聞きますよ。オリンピック関連の選手、関係者の入国というのは特例はないんですね。でも、特例をつくらないと、この状況でいったら東京オリンピックはできませんよね。そこはどうなっているのか。それはどういう話合いになっているんですか。  このことについて、外務省も、内閣、首相官邸も、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策の調整会議というのがありました。だけれども、昨年の九月四日から始まって、六回やったんですけれども、去年の十二月二日でホームページも更新が途絶えているんですよ。もう四か月たっていますよね。  その中に書かれているのが、この中間報告として、出入国に対して必要な防疫上の措置を講じた上で、入国を認めて、入国後十四日間の待機期間中の活動を可能とする仕組みを整備すると書いています、四か月前に。だけれども、入国できないんですから、どうするんだという。  オリンピック開催、本当に本気でやる気があるのかどうなのか。そこは、本当にオール日本で、オール・ジャパンでやっているんですか。そこのところをちょっともう一回確認したいんですけれども。
  53. 伊吹英明

    伊吹政府参考人 今、委員から御指摘がありましたとおり、新型コロナ対策調整会議をやっておりまして、昨年の十二月に中間取りまとめということをさせていただいております。  その後、今議論にもなっていますけれども、変異株の問題が出てきておりまして、そうなりますと、昨年の十二月に一回決めていますので、変異株の状況というのは反映されないスキームになっているということでございます。  今、その対応をするための実効的な対策というのを進めておりますけれども、昨年の十二月に取りまとめた方法というのは、基本的にアスリートを中心にして議論しておりまして、大会をやるには、アスリート以外にたくさんの大会関係者、この人たちも入ってきますので、そういうものも含めて結論を出していきたいというふうに思っています。  今、水泳の話がありましたけれども、国際的な大会という意味では、例えば、皆さんが記憶に新しいところで、サッカーの日韓戦が行われて、そのときは、韓国の選手、スムーズに入国をして、一試合して帰国をされていますので、そのときには、日本の選手も欧州から帰国をして、スムーズに対抗戦の方に参加をしているという状況もございます。
  54. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 何か非常にのんきに話して、もう四月ですよ。オリンピックの開会式は七月ですよね。  それで、さっき言ったように、リオ・オリンピックに参加選手をこれだけ出している国が、今、感染者数でいうと上位四か国になっているわけであります。アメリカとブラジルとインドと、あるいはヨーロッパ、フランスもね。  だから、最後にちょっと申し上げたいのは、大使館に、とにかく選手のワクチンは優先してくれ、オリンピックは絶対やりますから、選手を派遣してくださいと。やはりその確認を、本当に意向を示す。オリンピック、本当はもう無理じゃないかと各国が思っている節があるんだったら、そこは全力を挙げて、ぎりぎりまでやはり私は実現に向けて努力すべきだと思いますので、是非そこは外務省が、外務省もオリンピックの前までは、グローカルな取組といって、ホストタウンのことなんか随分紹介していましたよね、いろいろな国がこんなことをやっていますといって。最近ぱたりと、もう外務省のホームページの中にはオリンピック関連が出てこなくなってしまったんですけれども、そのことはちょっとまた別の機会に。  最後に、ちょっと別の質問をします。  これは当委員会の所管でないことは百も承知の上でやるんですけれども、先般、閣議決定をされました重要土地等調査法案、これについて伺いたいと思いますが、これは、もう時間がありませんので、WTOには抵触しないということの確認を一つ。  それともう一つ、経済的社会的観点から留意すべき事項というのは一体何なのか。つまり、注視区域、特別注視区域を指定するに当たっては、経済的社会的観点というのは留意しなきゃいけない。これは多分、市ケ谷だとか朝霞だとか、練馬駐屯地だとか三宿駐屯地だとか、東京の中でど真ん中にある防衛省施設、ここは、この基本方針を決める中で外されるのかと思いますが、よもやそんなことはないと。つまり、指定されなかったら、その法の目的自体が達成できなくなるじゃないか。  この経済的社会的観点というのはどういうことかということを、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  55. 木村聡

    木村政府参考人 お答え申し上げます。  まず一点目、法案とWTOルールとの整合性について御答弁申し上げます。  安全保障上のリスクとなり得ます土地建物の利用につきましては、その主体が我が国資本であるかあるいは外国資本であるかにかかわらず、適切に対応する必要があるものと考えてございます。  このため、今般の法案では、昨年担当の小此木大臣の下に設置いたしました有識者会議の提言も踏まえた形で……(渡辺(周)委員「短く。もう時間がないので答えだけ下さい」と呼ぶ)はい。内外無差別の形で、安全保障上の観点からリスクのある土地等の所有、利用の実態を調査いたしますとともに、必要に応じて利用規制を行うこととしてございます。  内外無差別の原則を定めたWTOルールとも整合的な制度設計になっているものと考えてございます。  続きまして、経済的社会的観点についてのお尋ねについてでございます。  御指摘ございました注視区域等の指定に際しましては、安全保障と自由な経済活動の両立を図りますために、指定に伴います区域の社会経済活動への影響を安全保障上の要請に基づく合理的かつやむを得ない範囲に限定する必要があるものと考えてございます。  御指摘ございました経済的社会的観点とは、例えば、重要施設の周辺に密集市街地が形成されている場合には、指定に伴います当該市街地の住民や事業者への影響に配慮することなどを想定しているところでございます。  具体的内容につきましては、法案成立後に閣議決定いたします基本方針におきまして、重要施設の周辺の地理的特性に応じた区域設定の考え方など、政府として、安全保障と自由な経済活動の両立の観点から留意すべき事項を盛り込むこととさせていただいているところでございます。  以上でございます。
  56. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 この先の質問をしても、恐らく、これからその基本方針を決める中で議論するということになるんでしょうけれども、これ、例えば総理官邸はどうなるのか。自衛隊の最高指揮官である菅総理が、今、赤坂議員宿舎に住んでいますけれども、あるいは制服や背広組のトップの人たちが例えば官舎に住んでいた場合、そこはどうなるのか。盗聴される可能性は十分ありますよね。  そうすると、これは相当な数の対象になると思うんですけれども、この経済的社会的なことを余り配慮し過ぎたら、法目的が達成できなくなるんじゃないかと思うんですね、あっちこっちが例外をつくっちゃって。そこのところは議論されたんでしょうか。  もう一回、では、最後、尋ねます。  総理官邸であるとか、あるいは自衛隊の幹部が住んでいる官舎であるとか、総理や防衛大臣が住んでいる例えば私邸があった場合、そこは対象になるんですか。いかがですか。
  57. あべ俊子

    ○あべ委員長 内閣官房木村内閣審議官、答弁は簡潔に願います。
  58. 木村聡

    木村政府参考人 はい。  この法律案は、防衛関係施設等の重要施設でありますとか国境離島等が有します重要な機能を阻害する土地等の利用を防止することを目的としてございます。  御指摘でございました、例えば総理の官邸でございますとか議員宿舎等々につきましては、今申し述べた法目的に照らしまして、それ自体我が国防衛の基盤あるいは領海の基線等となる機能を持っていないということに鑑みまして、それらの周辺区域を本法案に基づく調査等の対象には含めなかったということでございます。  以上でございます。
  59. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 外国資本によって我が国に静かなる侵略が起きていくということは、これは我々も水源地の確保等で取り組んでまいりました。ですから、非常に同意する部分もございますけれども、ただ、その辺の抽象的なところをもうちょっと詰めなければこの法案について何とも判断しかねる、そのことを申し上げて、また改めてこの法案をこの委員会でもやることを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  60. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、山川百合子君。
  61. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。立憲民主党・無所属の山川百合子でございます。  今日は、二つお聞きしたいと思います。  まず前半は、前回の質問の際にお聞きしたことなんですが、大臣からは半分は所管外ということでちょっと御答弁いただけなかったことについて、私の話が少しざっくりし過ぎていたのかなということもありまして、もう一度、そのことをもう少し細かく分けてお聞きしていきたいと思いますので、是非御答弁をいただければありがたく思います。  前回のポイントは、新型コロナ感染症対策において、日本の国産開発ワクチンが日本の国民を救うだけではなくて日本の重要な外交ツールとして国際貢献できるのではないかというところで御質問をさせていただきました。  それで、前回御答弁をいただいた大臣、参考人の方もそうですが、大臣に最後の御答弁をいただいた中で、現在行っている三つの取組について御紹介がございました。  COVAXファシリティーの形成を主導していること、そしてラストワンマイルを支援していること、それからクアッドでの取組、この三つの御紹介がございました。  こういった日本取組は、自国民さえ救えばいいという考え方ではない。また、自国民の救済を最優先としているわけでもなく、広く途上国にもワクチンが公正配分されるように支援する、また、特定の国家による独占的な影響力の行使を防止する取組でありまして、このことは高く評価しておりますし、これをもって日本のワクチン外交と言えなくもないというふうにも思います。  しかし、国産開発ワクチンがあれば、自国民の生命を海外のワクチンの供給に左右されることはないし、COVAXのような取組も、自国のワクチンによってより積極的に途上国に貢献できるし、またさらに、日本が供給国になれば、特定の国による独占的な供給の脅威におびえる必要もないというふうに思います。  そもそも、世界有数の創薬力があり、世界の中でも優れたポテンシャルを持つ日本が、自国のワクチンがないということをもって日本外交力を弱めるということにはならないのか。ちょっと強い言い方になるかもしれませんが、ワクチンがなければワクチン外交もないという言い方。ちょっと強めに言わせていただくと、もう少し言えば、日本だったらもっとできるのではないか、人間の安全保障を掲げる日本外交にふさわしい、日本だからこそ、より誠実に国民と世界に貢献できる分野ではないかという思いを込めて、大臣に、このことについて、国産開発ワクチンがなければワクチン外交もないのではということについて、御見解をお伺いできればと思います。
  62. 茂木敏充

    茂木国務大臣 新型コロナ、これが世界的に収束に向かっても、仮に世界のどこかでウイルスが残っていれば、再拡大の可能性というのは残念ながら残るわけであります。  そのために、ワクチンの生産、そして分配、接種、大きく挙げるとこの三つのプロセスがあると思うんですが、ここに至りますプロセス全体において、公平なアクセスの確保、途上国を含めて、重要であると考えております。  そして、この三つの中で、まず、生産につきましては、現在、日本独自に開発から生産まで行っている新型コロナのワクチンはいまだない、これは事実であります。  一方、分配につきましては、日本として、COVAXファシリティーの枠組みづくりから積極的に貢献をして、途上国向けの枠組み、AMCに対して、既に合計二億ドルの拠出を行っております。  そして、最後、一人一人の接種に至ります供給については、途上国国内のコールドチェーンの整備は必ずしも十分ではないわけでありまして、COVAXファシリティー等の多国間の枠組みを補完すべく、これまでの日本の長年の経験と世界トップクラスの技術や設備を生かして、ワクチンを一人一人に届けるラストワンマイルの支援をかつてないスピードで実施をしていきたい、そのように考えております。  そして、クアッドの枠組み、こうした国際的な取組を、例えば、インドであったら生産に関しては世界一位であったりとか、アメリカ日本の資金拠出、さらには、太平洋島嶼国でいいますと、オーストラリアが様々な支援をこれまでも行ってきております。そして日本のラストマイル支援という形で、こういった国際的な枠組みを補完するものとして位置づけております。  日本の製薬メーカーの能力がどれだけであるかと。かつて、一九八〇年代、武田薬品はファイザーより大きな会社でありました。日本の会社というのが世界のランキングで上位に上っておりましたが、残念ながら、今は上位二十位にも入らない。どうしてそういう状況になっているかについては、厚生労働省にお尋ねください。
  63. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  今、三つだと。生産、分配、接種で、分配、接種のところではいろいろと協力はしているけれども、生産についてはいまだない、その原因については厚労省に聞いてくれということのお答えをいただいたようには思うんですけれども。  今はない中でこれだけのことをやっているということはよくよく存じているつもりでありますし、そのことは日本の国際貢献としてとても大きな意味があるとは思っているんですけれども、しかし、今はないけれども、今後、新しい、新興感染症ですね、またどんなものが起こってくるかも分からないし、今回の新型コロナというのは、これまでの感染症対策とは違って、これまでは、これだけの感染症の脅威というものが日本の国民にとって我が事ではなかったというふうに思うんですね。ところが、今回の特徴というのは、先進国でまず爆発的な感染になって、先進国においても人ごとではなくて、世界全体を巻き込んだものであるということを私たちは突きつけられていると思うんです。  それで、私、社会的介入というふうな言い方をちょっとしてみているんですけれども、公衆衛生とか、あるいは政府のいろいろな政策ですね、緊急事態宣言を出すとかあるいは三密を避けるといったような、そういう取組日本ではある程度功を奏しているように、比較をすれば思えるわけですが、欧米などでは、例えばロックダウンをしても感染拡大が止まらないとか、非常に、かつてない問題に先進国の私たちも直面している。  そういう中で、残されている対策としては、やはりワクチンの接種しかないんじゃないかというところにまで今来ているんじゃないかと思うんですね。だからこそ欧米では、ワクチン開発に物すごい力を入れて、通常は五年かかるようなところを一年で開発して、今接種を行っている。  日本は、社会的介入である程度抑制はできているけれども、やはりそれだけでこの状態からの出口を見出すことはできていない中で、であれば、日本もやはりワクチン開発に力を入れること、そのことが日本外交力を強めるためにもすごく重要なんじゃないかという視点なんですね。  それで、どういうことかを厚生労働省に聞いてくださいというのは、確かにそこの部分はそうかもしれないんですが、外交ツールとして、日本の国産のワクチンが国際貢献に、大いに貢献することができる。それは、国際協力の分野でもよく表れていると思うんですが、日本は、自国のことだけじゃなくて、やはり他国のことを本当に考えて行う援助というのができる、あるいはしてきたし、できる国だというふうに私は思っているんですね。政府の援助もそうだし、NGO等、市民、国民の援助もそうなんですけれども。  だからこそ、人間の安全保障を掲げる日本外交で、日本国産のワクチンが外交ツールとして非常に重要ではないか、今は確かにないけれども、そのことについて茂木大臣のお考えを是非伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
  64. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、感染症がどういう国を直撃してきたか。最近でいえば、エボラ等は途上国が中心でありますけれども、有史以来の歴史を振り返ってみますと、むしろ感染症は、先進国そして人口密集地を直撃してきました。それによって、例えば政治経済の中心地が変わるということで、国際的なパワーバランスが変わってきたわけであります。  典型的なのはペストでありまして、ペストは近代以前の欧州でも少なくとも二回流行しておりますけれども、これによって欧州のパワーバランスというのはかなり変わっていった。  一回目、六世紀のペストのときは、ギリシャ、ビザンチン、ここが感染の中心になりましたから、ここから文明というか政治の中心というのが西欧の方に移る形になります。  さらに、十四世紀のペストにおきましては、西欧でも地中海側が感染の中心でありましたから、むしろパワーの方はそれより北の方に移っていく、こういう大きな変化が起こっているわけであります。  そして、十四世紀のペストにおきましては、欧州の人口の三分の一が奪われる結果になりまして、絶望した人々が既存の絶対的な権威、すなわち、当時でいいますとローマカトリックになるわけでありますが、それに対する信頼を失い始め、これがルネサンスであったり宗教改革、さらには絶対王政、この誕生につながっていった。  日本においても天然痘がはやりました。大きな社会現象になり、人口のやはり三分の一ぐらいが亡くなる、これも都市部でありました。これによって、経済が相当厳しい状況になりまして、貴族社会の持っていた権威というのが揺らぎ、そして、必要性から土地の私有制が認められるようになる、そういう中で、仏教が中心になり、そしてまた武家社会が台頭してくる。  大きな変化というのは生まれているわけでありまして、必ずしも感染症というものが途上国で起こるという問題ではないと思っておりますが、少なくとも、今の新型コロナにつきましては、先進国、途上国を含めてこれが拡大する、こういう状況になって、これは、先進国においても医療体制であったりとかワクチンも含めた様々な防御体制、この脆弱さを明らかにしましたが、途上国においてはそういった脆弱さがより明らかになったということで、冒頭私が申し上げたように、どこかでウイルスが残っている限りは再拡大のリスクというのはあるわけでありますから、そういった意味でも、日本としてでき得る限りの支援をしていきたい。  先ほど厚労省にお尋ねくださいと言ったのは、委員の方が製薬会社の話をされたので、製薬会社のこの何十年かの国際競争力といいますか順位を申し上げて、それについては所管は厚労省になると思うので厚労省にお尋ねくださいと言ったわけでありますが、現状において、日本でワクチンが製造されていない、これは事実であります。  そうなると、されていればできたであろう外交ができないというのも事実でありますけれども、しかし、外交というのは、今ある様々な資源、ワクチンそのものがなくてもできるような支援、これをやっていくことによって日本外交力を最大化する、こういったことが重要だと考えておりまして、国際的な枠組み、COVAXをつくる、そこに資金拠出をする、さらにまた、ラストワンマイルの支援を日本の持っている技術等々で行うということをやっております。  こういった日本取組は、私も昨年来、恐らく百人ぐらいの外務大臣電話会談であったりとか直接の面談も行っておりますけれども、日本取組については高く評価されている、このように感じております。
  65. 山川百合子

    ○山川委員 日本取組が高く評価されているということはそのとおりだと思いますし、そのことは私も誇りに思うわけでありますが。  済みません、最後、今日は細かく用意してきたんですが、時間もたって、歴史的なことも御説明いただいてありがとうございます。  やはり、今は国産のワクチンがない、そして、今の現状の中で、今あるもので支援を最大化するというようなことはすごくよく分かるんですが、今後またどういう新興感染症が起こってくるかが分からない中で、嫌らしい意味ではなくて、国際貢献を本当に日本だったらこの分野でできるという積極的な意味で、外交ツールとしてワクチンを開発していくこと、これは省庁横断的に、外交外務省であり、厚労省であり、あるいは基礎研究といったら文科省であり、あるいは経産省も含めてなんでしょうか、省庁横断的に国産ワクチンの開発にもっと力を入れていくことが必要なんじゃないかという私の思いなんですが、これについて、いかがでしょうか。最後、伺えればと思います。     〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  66. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ワクチンの開発そして生産の主体、例えばファイザーであったりとかアストラゼネカ、さらにはベンチャー企業まで、民間企業であったりオックスフォード大学であったり大学等の研究機関であったり、各国でそういったワクチンの開発そして製造を主導している主体というのは違っていると思っております。  また、インドのように、これまでの経緯もあって、企業が順次様々なワクチンの生産能力を拡大して、今、世界の中でもワクチンの製造拠点になっているような国もあるわけでありますが、外務省としてこの一年数か月、新型コロナの世界的な感染の状況、それに対して各国でどういう対応が取られているか、また、ワクチンの製造、開発、接種、こういった状況についても様々な情報を収集し、分析をしておりますけれども、どこかの国の外務省、国務省等々が主導してワクチンの開発、生産を行っている、こういう事例には私は接しておりません。アメリカで国務省が中心になってワクチンを作っているという話を聞いたこともありませんし、イギリス外務省が中心になってワクチンを作っているという話も聞いたことはありません。  ただ、やはりこれは国全体としての危機の問題でもあると考えておりまして、省庁を挙げて政府全体として取り組むべき問題だと思っております。
  67. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  最後に省庁全体として取り組むべき問題と認識しているという御答弁をいただけて、ありがたいというふうに思います。是非よろしくお願いをいたします。  それでは、ちょっと後半の部分が、もう残りの時間が少なくなってしまったんですが、人権外交とハーグ条約について、大きくは四つ伺っておきたいというふうに思います。  読売新聞、三月二十四日の報道だったと思います、日本人の子供たちが相当数、国際養子縁組によって海外に出国している実態があるとのことでした。養子縁組あっせん業者を介して海外に出国しているということのようです。あと五分なので、はしょっていきますけれども。  養子縁組などによって海外に出る子供たちの人権が守られることは、子どもの権利条約に照らしても、そして、自らの権利をなかなか主張できない日本国民である子供たちの生存権や人権を擁護する観点からも、外務省、法務省、厚労省がそれぞれ実態把握しているべき問題というふうに思っておりますが、それぞれ、余り把握していない、ほとんど把握していないと。  それで、厚労省の方は少し把握しているということのようなので、まず、その実態がどうであるかということと、併せて伺ってしまいますが、実態を十分に捕捉できていない現状について、大臣の御見解を、御所見を伺いたいと思います。
  68. 大坪寛子

    大坪政府参考人 まず初めに、厚生労働省からお答え申し上げます。  民間の養子縁組のあっせん機関の許可制度、これは平成三十年にいわゆるあっせん法が導入をされまして、その四月以降、法律上の報告義務に基づく調査を行っております。その結果、許可を受けたあっせん機関による調査の報告では、成立した養子縁組のうち、養親が国外に居住している場合の件数は、平成三十年度及び令和元年度においていずれもゼロ件であるというふうに承知をしております。
  69. 堂薗幹一郎

    ○堂薗政府参考人 お答えいたします。  いわゆる国際養子縁組については、海外の裁判所で成立している事例も多いものと思われまして、法務省においてそのような養子縁組の成立状況を把握することは困難な状況にございます。
  70. 森美樹夫

    ○森政府参考人 外務省からお答えいたします。  国際養子縁組、それから特別養子縁組については、ただいま厚生労働省、それから法務省から御答弁があったとおりでございますけれども、外務省としては、いずれの制度も所管しておらず、お尋ねの実態については把握しておりません。
  71. 山川百合子

    ○山川委員 では、ちょっと時間もないので、大臣に、それぞれの省庁が把握していないことについての所見を伺おうと思ったんですが、ちょっと後で併せて伺いたいと思います。  次に、海外から日本への子供の移住についての、逆のパターンですね、伺いたいと思いますが、日本人が国際結婚して相手国で子供を養育していたケースにおいて、夫婦間のトラブルなどで、片方の親が相手国のもう片方の親の同意なしに子供を日本にいわゆる連れ去るということがハーグ条約違反であるという、国際問題に発展しているというふうに私は認識しております。  ハーグ条約というのは、戦争などの事情が相手国に存在した場合は子供の引渡しに応じる必要はないなどと、子供の人権を客観的に守るルールとなっていますが、日本人による子供の連れ去りという問題について、外務省としてはどのように対応をしているのか。  そして、国際結婚が破綻し、日本に連れ戻された子供の監護については日本の裁判所が決定権を持っているようだが、このことについて。  そして、三番目に、これらの問題は、日本は拉致加害国だと批判されることにもつながっているとの指摘がありますが、北朝鮮による拉致被害の問題を国際世論を動かすことで解決しようとしている我が国にとっては、この指摘は見過ごしていい指摘ではないというふうに思います。このような指摘について、茂木大臣はどのように受け止めておられ、またどのような反論をなさるのか、御見解を伺います。  三つ併せて伺わせていただければと思います。
  72. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国は、ハーグ条約が発効して以降、ハーグ条約の対象となる事案について、条約に基づいて、各締約国との協力を通じて適切に対応してきていると考えております。  また、昨年四月には、子の返還の強制執行手続の実効性を確保するなどを目的に、条約実施法の改正法が施行されたと考えております。  それぞれの人権の問題、子供の権利、重要でありますけれども、この問題、それぞれの国で様々な取組が進んでおりますけれども、これと私は拉致問題を同一に語るというのはいかがなものかなと思います。全く違う犯罪について、あれだけ非道なことをやっている、小さな子供たちを勝手に連れ去って親と引き離し、何十年もそのままにしている、こういう拉致問題と同列に語られる問題では全くないと思っております。
  73. 山川百合子

    ○山川委員 ちょっと、質問したことに御答弁をまだ参考人からいただいていないですが、簡単にいただいてもよろしいですか。質疑時間終了と書いてありますが。
  74. あべ俊子

    ○あべ委員長 法務省堂薗大臣官房審議官、答弁は簡潔に願います。
  75. 堂薗幹一郎

    ○堂薗政府参考人 いわゆる子の連れ去りに関するハーグ条約の締約国間におきましては、国境を越える不法な子の連れ去りがあった場合には、ハーグ条約に基づき、原則として、常居所地国、すなわち、その子が元々居住していた国にその子を返還し、その国の裁判所において子の監護権等に関する判断がされていることというふうに承知しております。  我が国はハーグ条約を誠実に遵守しており、ハーグ条約締結国から我が国に不法に子が連れ去られた場合についても適切に対応がされているものというふうに承知しているところでございます。
  76. 山川百合子

    ○山川委員 ありがとうございます。  それでは、ちょっと次回に回させていただいて、共同親権と単独親権の問題が国際社会の常識とかけ離れているのではないかという指摘がありまして、それについてまた別の機会に伺っていきたいというふうに思います。  今日はありがとうございました。
  77. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、穀田恵二君。
  78. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。  初めに、北朝鮮をめぐる問題について茂木外務大臣質問します。  今月二日に行われた日米韓三か国の安全保障担当の高官協議は、共同声明で、北朝鮮の核及び弾道ミサイル計画に関する懸念を共有し、非核化に向けた日米韓の緊密な協議を通じてこれらの課題に対処し解決するというコミットメントを改めて確認するとともに、朝鮮半島の平和と安定の維持のための協力が必要不可欠であることで一致したということを明らかにしています。  また、三か国は米国の北朝鮮政策の見通しについて協議したとし、今回の協議を経て、バイデン政権が近く北朝鮮政策の見直し作業を終えるとされています。  茂木大臣北朝鮮の完全かつ検証可能で不可逆的な核放棄を始めとする朝鮮半島の非核化は、関係国の対話と交渉の最大の目標にされるべきだと思うが、基本的な大臣の御所見を伺いたいと思います。
  79. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国として、国連安保理決議に従って、北朝鮮によります全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄、いわゆるCVIDを求めていく方針に変わりはありません。  先般の日米プラス2におきましても、朝鮮半島の完全な非核化へのコミットメントを再確認するとともに、北朝鮮に対しまして、このCVIDが明記をされております国連安保理決議の下での義務に従うことを求めたところであります。  今後も、日米、そして先日、安全保障担当補佐官の会議もありましたが、日米韓の三か国で緊密に連携して、中国、ロシアを含む国際社会とも協力しながら、関連する安保理決議の完全な履行を進め、北朝鮮の非核化を目指していきたいと思っております。
  80. 穀田恵二

    ○穀田委員 高官協議の共同声明は、拉致問題の早期解決についても議論したとあります。  菅総理は、今月十六日に予定されている日米首脳会談で、日米同盟の協力の中で進めていくことを確認したいと述べていますが、日本北朝鮮と日朝平壌宣言を結んでいます。関係国と今お話がありましたが、関係国とも連携しながら平壌宣言に基づく外交解決を目指す努力を強めるべきだ、そのことを改めて主張しておきたいと思います。  次に、前回、四月二日の当委員会での質疑に続き、政府が陸上イージス代替策として導入を進めるイージスシステム搭載艦のレーダー選定問題について、中山副大臣にお聞きしたいと思います。  私は、前回の質問で、防衛省がロッキード・マーチン社のレーダー選定の直前の二〇一八年七月二十三日に行われた米国ミサイル防衛庁のグリーブス長官と西田整備計画局長らとの会談のやり取りを記した文書、会談記録と言ってもいいでしょう、について、防衛省が提出を拒否している問題をただしました。  その際、防衛省情報公開法に基づき定める審査基準には、基本的考えとして次のとおり定めていることを指摘しました。「基本的考え方」には、「ある行政文書に一部不開示情報が含まれていた場合においても、これをもって当該行政文書そのものを不開示とすることは法の許容するところではなく、この場合には原則として部分開示により対応する。」このように定めています。  中山副大臣、この規定に照らせば、私が再三提出を求めているグリーブス長官との会談記録についても、米側との関係などを理由に提出を拒むことは、情報公開法に反する行為であって、法的に許されない。したがって、部分開示により対応すべきではないんですか。お答えいただきたいと思います。
  81. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  御指摘の会談記録につきましては、提出するよう御依頼をいただいておりますが、その取扱いについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の五条の規定に倣いまして、これを公にすることにより米側との信頼関係が損なわれるおそれがあるほか、我が国の安全が害されるおそれがあることから、その内容を公表することは困難であることを御理解いただきたい、そのように思います。
  82. 穀田恵二

    ○穀田委員 前回もそうなんですけれども、今回もそうなんですが、問題は、内容の秘匿性にすり替えてもらっては困る。  防衛省自らが定める「基本的考え方」では、行政文書の内容に一部不開示情報が含まれているとしても、文書そのものの提出を拒むことは法的に許されません。したがって、会談記録については、一部黒塗りしてでも提出するというのが防衛省の取るべき態度ではないんですか。
  83. 中山泰秀

    ○中山副大臣 毎回同じ内容を回答させていただいておりますけれども、グリーブス長官と西田局長が面会をした記録、これに関しては、会談記録という形であったこと、これは両者の名前が出ているわけでございますので、会ったという事実はあるわけでございますけれども、それ以上の中身に関しては、先ほど来申し上げている理由によって開示できないということでございます。
  84. 穀田恵二

    ○穀田委員 中山副大臣は、いわば黒塗りする理由を繰り返しているにすぎないんですね。  私が指摘しているのは、防衛省の規定では黒塗りしてでも出すことになっているんじゃないかということを聞いているわけですよね。だから、全然かみ合っていないわけです、答弁が。内容の秘匿性にすり替えてはならないということを私は何回も言っているわけですよ。  大臣は、グリーブス長官との会談記録は、前回も、四月二日ですけれども、こう言っているわけですね。保秘性が、保秘のレベルが高いというわけです。  それじゃ聞きますけれども、会談記録の保秘レベルは一体どの程度のものなのか。特定秘密指定なのか、省秘指定なのか、お答えいただきたいと思います。
  85. 中山泰秀

    ○中山副大臣 改めて申し上げますけれども、この会談記録の提出については、その取扱いというのは理事会で御協議いただくものとまずは承知をいたしております。  防衛省としては、当該会談記録の内容を公表することは困難ではありますけれども、理事会で協議していただく内容を踏まえて、どのような形で対応できるか、この件について検討させていただきたいとは考えております。  他方で、情報については注意情報ということでございます。(穀田委員「もう一度」と呼ぶ)注意情報ということでございます。
  86. 穀田恵二

    ○穀田委員 注意情報だと。  そこで、皆さんのところにお配りしている資料の二枚目を見ていただきたいと思います。これは、私の資料要求に対して防衛省が二〇一九年五月に提出した「イージス・アショアの候補地について」という戦略企画課作成の文書であります。保秘レベルは秘指定ですけれども、防衛省は一部黒塗りで提出しています。  理事会の話にしては駄目ですよ。このように、防衛省は、保秘のレベルがたとえ秘指定であったとしても提出しているわけです。こうした過去の経過からも、グリーブス長官との会談記録そのものの提出を拒否するということは余りに不当です。  これは、全部コピーするわけにいかなかったから一つ目だけやりましたけれども、こういうふうに出ているわけですよね、ちゃんと秘と書いて。それで、これは黒塗りの資料を含めて全部出ているわけですよね。だから、出さない理由は全くないということなわけです。だから、不当じゃないかと思います。
  87. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  穀田先生の方からも、今、資料は全部あえて参考で出さなかったという御指摘ございましたけれども、まさにこの資料というのは五ページの資料でありまして、そのうちの一部はこのように、本当にノリ弁当みたいになっていますけれども、あと、これ以後のページ、前後含めて、部分開示をしているということでございます。  今回も、局長の名前、長官の名前はしっかり開示をしておりまして、内容については公開するわけにはいかないということで先ほど来御答弁申し上げているということで、御理解をいただきたいと存じます。
  88. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、それは違いますよ。話をずらしたらあきません。やり取りの文書と言っているんですよ。  これは、これまで提出されたのは、今言いますけれども、この秘指定の文書だけじゃないんですよ。私が防衛省に言って資料要求したものでいいますと、保秘のレベルが特定秘密指定であっても出ているわけですよ、こんなふうに。特定秘密指定であっても出ています。そして、その文書を全部足しますと、それこそ数十センチの、数十種類であり、三十センチになります、私が持っているのは。だから、それだけの量の文書を、特定秘密指定であっても提出してきた。  ところが、グリーブス長官との会談記録を言っているんです。面接した記録を言っているんじゃないんですよ。会談記録、やり取りについて、その文書について、防衛省自らが定める審査基準で情報公開法に反するとしている、にもかかわらず、提出そのものを拒否している。ほかの話にすり替えちゃ駄目なんですよ。それを出しなさい。余りに不当だ。いかがですか。
  89. 中山泰秀

    ○中山副大臣 出せないものは出せないということでございます。特定秘密、注意云々かかわらず、出せないというものは出せないということです。
  90. 穀田恵二

    ○穀田委員 そこまでして会談記録の、会談記録なんですね、出せないものは出せないんじゃなくて、出すべきものなんだということははっきりさせなあかん。  皆さん、間違ったらあきませんよ。会談記録の黒塗りを全部外せと言っているんじゃないんですよ。黒塗りでいいから出しなさいと言っているんですよ。  だから、会談記録の提出をかたくなに拒否するには、実は別の理由があるんじゃないですか。つまり、既に会談記録を廃棄しているんじゃないか、非開示部分を一部黒塗りして提出しようにも、できないんじゃないんですか。
  91. 中山泰秀

    ○中山副大臣 文書自体はございます。  ただし、先ほど来申し上げたように、五条の三項によって出せないというふうに申し上げているわけです。
  92. 穀田恵二

    ○穀田委員 何度も言いますけれども、内容の秘匿性の話をしているんじゃないんですよ。全然分かっていない、あなたは。  では、聞きますけれども、会談記録はあると。そうすると、一体、どの部署が作成し、現在保存しているのか。直接御覧になっているわけだから、答えられるはずだと思います。
  93. 中山泰秀

    ○中山副大臣 防衛省防衛計画課の方が所持しているということです。
  94. 穀田恵二

    ○穀田委員 それなら、防衛計画課が提出できるはずだと思います。私は、直ちに出すべきだと思います。  何度も言いますように、内容の秘匿性の話をしているんじゃないんですよ。会談記録を保存しているのが事実だったら、一部黒塗りにしてでも提出できるはずだ。ところが、それをかたくなに拒み、提出そのものを拒否するというんだったら、下手したら廃棄しているんじゃないかというのを疑わざるを得ないから聞いているわけですよね。  防衛省自らが、情報公開法に反すると定める審査基準を無視し、もし、こういう形で提出しないとするのであれば、この間出されている様々な文書、行政文書でこんなことが許されれば、今後、防衛省にとって都合の悪い行政文書は幾らでも提出を拒否することが可能になってしまう、そういう問題なんだということなんですよね。だから、そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。  中山副大臣は、米国ミサイル防衛庁のグリーブス長官について、現在のヒル長官にも再三再四確認したが、誠実な仲介者としての役割を担っている、ロッキード社のSPY7を推すようなことは一切なかったと繰り返し強調されました。  そこで、私もグリーブス長官について調べてみました。  グリーブス長官は、防衛省がレーダーの選定を行っていた二〇一八年二月から七月までの間に、米議会で二回、三月には上院軍事委員会で、四月には上院歳出委員会国防小委員会で証言しています。その内容は、いずれも、ロッキード社が製造した長距離識別レーダー、LRDRの能力をすばらしいアセットだと称賛するものでありました。  グリーブス長官が称賛したLRDRはSPY7と同じ技術を用いたもので、防衛省がSPY7を選定した理由もまさにそこにあった。このことを見ても、グリーブス長官がSPY7を推奨する立場にあったことは明らかであります。  しかも、中山副大臣が再三持ち出す現在の長官のジョン・ヒル氏ですけれども、彼は、防衛省のレーダー選定当時、グリーブス長官の下で副長官を務めていた人物ではありませんか。そのような立場にあった者がグリーブス氏を誠実な仲介者と述べたからといって、長官と副長官の関係なんだから、そんなの何の裏づけにもならないじゃありませんか。
  95. 中山泰秀

    ○中山副大臣 私は先日、今穀田先生が御指摘なさったように、グリーブスMDA長官、当時、がSPY7、当時LMSSRを採用するよう働きかけたとの事実はないというふうに申し上げました。  現在の整備計画局長から現在の米国ミサイル防衛庁、MDA長官であるヒル長官にも何度も確認をして、御指摘のグリーブス長官の訪日時を含め、米国ミサイル防衛庁は誠実な仲介者としての役割を担っており、公平公正に業務を遂行したところ、米国ミサイル防衛庁が圧力をかけた事実は一切ないという回答を得ております。  いずれにしても、二〇一八年に実施したイージス・アショアのレーダーなどの構成品の選定において、SPY6とSPY7の比較を行った際に、SPY7は、より広いエリア、それからより高い高度において探知可能で、同時により多くの目標を追尾できるといった基本性能に加え、後方支援、経費についても高い評価を得ており、総合的に評価した結果、SPY7を選定したということであります。  したがって、米国のミサイル防衛庁から圧力を受けたとか、かけたとか、あとは米国議会での証言内容、私は、そのお二人の関係も含めて、穀田先生が御推察するような認識と私の持っている認識とは全く違うということでございます。
  96. 穀田恵二

    ○穀田委員 認識の話をしているんだったら、私は事実をまず述べている。ファクトを述べた。  つまり、副大臣は誠実な仲介者と言うから、そういうことはあり得ないと。少なくとも、米議会でこれを推奨する立場に立っている。それから、ヒル長官という、そういうことを述べた証言をあなたは引用されるけれども、その方は当時の長官と副長官の間でやっていた人で、何らそういうことについて誠実な仲介者という位置づけの論証にはならぬということを言っているわけです。論理の問題を言っているわけです。  グリーブス長官は、米議会で、ロッキード社のLRDR、先ほど述べたように称賛する証言を行っているわけですよね。このLRDRというのは、SPY7と同じ技術を用いて製造されたもので、今るるお話ありましたけれども、防衛省がSPY7を選定した理由もまさにそこにあったわけです。そのことからも、グリーブス長官がSPY7を推奨する立場にあったことは事実なのです。  しかも、そのグリーブス氏を誠実な仲介者などと言うことについて、先ほど述べたように、現在のヒル長官、何かというと何回もすぐ現在の長官の話をしはるわけやけれども、簡単に言うと前の部下なんですよね、一緒にやっていた人なんですよ。そういう意味でいいますと、グリーブス長官の今お話ししたように副長官を務めていた方であるわけです。そんな立場にあった人が、幾らグリーブス氏を誠実な仲介と述べていたからといって何の裏づけにもならない、それは世の中の常識だということを言っておきたいと思います。  更に議論を進めたいと思います。  配付資料の一枚目にありますように、防衛省が示したレーダー選定に関する主な経緯です。ここにあるように、防衛省は、二〇一八年六月十二日に二つの提案、SPY7については米国ミサイル防衛庁とロッキード社から、SPY6についてはミサイル防衛庁から、それぞれ受領したと説明してまいりました。  そこで確認しますが、防衛省では、二つのレーダーの提案を受領した六月十二日以前にロッキード社からSPY7、当時はSSRの提案を受けたことはないと述べていますが、それは間違いありませんね。
  97. 中山泰秀

    ○中山副大臣 昨日、四月六日の野党合同ヒアリングで事務方からお答えを申し上げておりますが、御指摘の点につきまして防衛省内で確認をさせていただきましたところ、イージス・アショアの構成品選定に関わる提案書を受領したのはあくまで六月十二日でございまして、提案要求書の発出、二〇一八年四月十六日以降、二〇一八年六月十二日までに防衛省が米国政府などからレーダーに関わる提案を受けたという事実はございません。
  98. 穀田恵二

    ○穀田委員 果たして本当なのかということであります。  二〇一八年二月十一日付の産経新聞を見ると、ロッキード社のブラッド・ヒックス担当副社長がインタビューに応じ、ソリッド・ステート・レーダー、つまりSSRを日本側に提案していると明らかにしています。  中山副大臣は、今、事務方との話や、るるされましたけれども、この件について事務方から説明を受けていないんですか。
  99. 中山泰秀

    ○中山副大臣 穀田先生が今日御質問なさるということに関連して、一連のいろいろな話を私ども共有はさせていただいておりますが、産経新聞の具体的な報道内容に関しては、私は残念ながら承知は今現在いたしておりません。
  100. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、報告は一般論として受けたけれども、その事実は知らないということですね。これは、知らないということでは済まない問題だと思います。  産経新聞の電子版には、取材に応じたヒックス担当副社長の発言の詳細が掲載されています。それを見ますと、ヒックス氏は、防衛省にはロッキード・マーチン社が開発中のSSRの御提案をしている、こう述べています。私どもとしてはMDA、ミサイル防衛庁を通じてデータを提供していると述べている。まさに公表しているわけですね、こういう形で。  防衛省は、先ほど来お話しのように、二〇一八年六月十二日以前に提案を受けたことはないと言いますけれども、ロッキード社の担当副社長は、二〇一八年二月の時点で既に防衛省にSSRの提案をしてきたと公言しています。防衛省の説明と違うんじゃないですか。
  101. 中山泰秀

    ○中山副大臣 いろいろな御紹介等は存在をしているということだそうでございますが、具体的な提案という意味では、それには当たらないというふうに考えてございます。
  102. 穀田恵二

    ○穀田委員 今の話だと、これは知っているということになるんですか。何か、提案に当たらない、説明だと。そういう、話をそこから、いろいろ聞いて、ごまかしちゃ駄目ですよ。  だから、今までの防衛省の説明と違うじゃないかということを聞いているわけですよ。
  103. 中山泰秀

    ○中山副大臣 今までの防衛省の説明と違うんじゃないかという御指摘でございますが、違いません。
  104. 穀田恵二

    ○穀田委員 どう違わないんですか。彼らは少なくとも、私どもとしてはロッキード・マーチン社が開発中のSSRの御提案をしている、説明を受けたかどうかは知らぬけれども、していると。あわせて、私どもとしてはMDA、ミサイル防衛庁を通じてデータを提供していると明確に述べているわけです。  だから、今お話ししたように、提案している、データを提供しているということは、事実と違うじゃないですか。
  105. 中山泰秀

    ○中山副大臣 私ども防衛省としましては、今先生御指摘のロッキード・マーチン社の副社長の話ということよりも、ロッキード・マーチン社とMDA、それから防衛省を含めて、先ほど来申し上げているように、また、先日来申し上げているように、総合的にこの日本のミサイル防衛を、能力を高めるという形で、ほかのSPY6、7も含めて、全ての候補に対して公平公正に案内をし、そしてそれの提案を受けているということには変わらないということでございます。  提案要求書の発出であります二〇一八年の四月十六日以降、二〇一八年の六月十二日までに防衛省が米国政府などからレーダーに関わる提案を受けた、そういった事実は、これは先ほど来申し上げているように、ないということでございます。
  106. 穀田恵二

    ○穀田委員 何回も言いますけれども、ないと副大臣は言っておられる。しかも、非常に微妙でして、ロッキード社とMDAには総合的に云々かんぬん、いろいろ話を聞いていると。  私は、そういうことを言っているんじゃないんです。ファクトを言っているんです、事実。相手方は、少なくともヒックス担当副社長は、産経新聞のインタビューに答えて、ロッキード・マーチン社が開発中のSSRの御提案をしていると、提案している、それから、MDA、ミサイル防衛庁を通じてデータを提供していると述べているわけです、明確に述べているわけですよ。  だから、先ほどあったように、ロッキード社とMDAと総合的に判断している、聞いているとかいうんじゃなくて、事実を彼は言っている、そういう指摘をしているということとなりますと、今までそういうことを提案を受けたことはないし、これは六月の十二日以降しか聞いていないということは、明らかに、そのことを副大臣が信じるかどうか別ですよ、そういうことについて事実と違うじゃないかということだけははっきりしているじゃないですか。
  107. 中山泰秀

    ○中山副大臣 いかなるお言葉を、先ほど来いろいろ先生から御指摘を受けているんですけれども、私ども防衛省の認識としましては、提案ではなくて紹介を受けていることでありまして、それ以上でも以下でもないということでございます。
  108. 穀田恵二

    ○穀田委員 では、紹介は受けたということですか。
  109. 中山泰秀

    ○中山副大臣 紹介は受けたということです。
  110. 穀田恵二

    ○穀田委員 これはまた重大ですよね。だって、今まで、そういう話について、提案やその他について受けたことはないと。提案と言おうが紹介と言おうが、事実、そういう話の接触があったということだけは極めて重大問題としてある。今までの事実は違うということがはっきりしたということだと思います。  私は、今お話がありましたけれども、ヒックス氏は、ロッキード社ではミサイル防衛などを扱うRMS事業部の担当副社長という立場でインタビューに応じているんですね、虚偽を語ったとは到底考えられないです。  このヒックス氏の発言に基づけば、防衛省は、二〇一八年二月の時点で既に、ミサイル防衛庁、ロッキード社からSSR、つまりSPY7の提案を受けていたということになるわけです。しかし、そのことを故意に隠して一連の選定手続を進めていたことになります。  ですから、中山副大臣、改めて事実関係についてきっちり調査して明らかにすべきじゃありませんか。今までそういうことについては一度も言ってこなかったわけですよ。そういう指摘をしたら、今度は、そういう提案を受けたんじゃないか、データが行っているじゃないかということを相手が言っている、そうしたら、紹介を受けた、こういうふうに変わってきていますよね。  事実と違う、そんな事実はないと言っていたものが、少なくとも紹介を受けたということに話が変わってくるということだけは、この数分間の事実で明らかですよね。したがって、事実関係をきっちり調査し、明らかにすべきではありませんか。
  111. 中山泰秀

    ○中山副大臣 まずは、提案要求書に基づいて提案をされたということはないということでございます。  先生から、今いろいろ御懸念、表明がございました。この点に関しては、私の方もしっかり防衛省の方と交通整理をさせていただいて、また御報告もさせていただきたいというふうに思います。
  112. 穀田恵二

    ○穀田委員 ここにある文言を、書いていますけれども、少なくとも六月十二日までは受けたことがないという話をるる何回も言っているわけですよ。それに対して、肝腎のロッキード社の担当副社長が提案しているし、データを提供していると公言しているわけですよ。そのことについて、あれほど、こういう問題について、私が、少なくとも六月十二日以前はなかったのかと何回も聞いているわけですやんか、この間ずっと。それについて、なかった、なかった、なかったと言っているわけじゃないですか。  そういうことからしますと、一体全体何を根拠に話をしていたんだと。聞かれたら、いや、それは紹介だと言うのじゃ話にならぬと思いますよ、私は。もう知らなかったということでは済まされない。もちろん事務方は知っているから、まあ、知らなかったと言って、次はちらっと言って、今度は、紹介を受けたと、こういうことを。それはあかんですよ、やはり。  少なくとも、なぜこれを問題にしているかというと、私は一貫して、この問題がSPY7先にありきではなかったのかという問題意識から聞いているわけですやんか。そのことは皆さんも知っているわけですよ。だから、一貫して事実を否定していた。その事実と違うということが明らかになると、これは提案じゃなくて紹介だでは済まされないと思います。  しかし、紹介があったということだけは事実だということだけは、今までと違う内容があったということははっきりしたと思うんです。  したがって、私は、このことから、二〇一八年二月二十七日から開始したという防衛省のレーダー選定の経緯から、主な経緯、書いていますよね、最初からロッキード社のSPY7ありきで行われたんと違うか、出来レースだったんと違うかということの重大問題だと思うんです。  したがって、私は、副大臣として、事実関係を徹底して調査し明らかにすることは当然の責務だと思います。先ほど調べるとおっしゃっていましたから、きちんと調べて、その事実について、そんな、提案だ何だ、データだなんてごまかさずに、今までと違う中身があったということは明らかになっている、そういう下での正確な回答をお願いして、終わります。
  113. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、浦野靖人君。
  114. 浦野靖人

    ○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いします。  関西弁の人の質疑の後の関西弁なので、ほっとしますけれども。なかなか関西弁を使わぬと質問する関西の人が割と多いので、関西弁使ったらええと思うんですけれども。(発言する者あり)興奮したとき、ついつい。  一つ目の質問は、この間の委員会でちょっと時間が足りなくて後回しにした慰安婦問題について質問をさせていただきたいと思います。  今日はたまたま、韓国では大きな選挙の投票日が、二つの選挙の投票日が今日ということで、朝からニュースにもいろいろなっていましたけれども。  韓国のソウル中央地裁が日本政府に対して元慰安婦の女性らへの賠償を命じた判決が、一月の二十二日に控訴期限を迎えて、二十三日午前零時に確定をしました。  地裁判決は、故人を含む十二人の元慰安婦に、請求どおり一億ウォン、約九百五十万ずつ支払うようにと命じた。日本政府は、訴えの却下が相当だとして公判に出席しなかったということなんですけれども、日本側の立場は、一つは、国家は他国の裁判権に服さないという国際法上の主権免除の原則に反する、二つ、二〇一五年の日韓両国政府による合意に反するというものですけれども、これらを踏まえて、判決に対して加藤官房長官ら政府は、対抗措置を含めてあらゆる選択肢を検討している旨表明をされています。  それはどういうことかというと、訴訟を国際司法裁判所、ICJに持ち込むことを検討しているということなんですけれども、その進捗状況がまずどうなっているのか。竹島問題もそうですけれども、韓国は応じないということになると思いますけれども、日本は諦めずに、ICJこそ解決の場という姿勢を取り続けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  115. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  本年一月の慰安婦訴訟判決は、国際法及び日韓両国の合意に明らかに反するものであり、極めて遺憾であり、断じて受け入れることができません。  日本といたしましては、韓国に対し、国家として自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講ずることを引き続き強く求めているところでございます。この点につきましては、判決確定直後、直ちに発出いたしました外務大臣談話においても明確にしているところでございまして、日本政府としては、まさにあらゆる選択肢を視野に入れて、毅然と対応してまいるという考えでございます。  その上で、具体的な検討内容につきましては、今後の対応に関わることであり、差し控えさせていただければと考えております。
  116. 浦野靖人

    ○浦野委員 冒頭に韓国の選挙の話に触れましたけれども、韓国は、与党が選挙に負けそうになると、日本とのこういった問題をぶり返して、また同じことを言ってくるわけですね。  二〇一五年の日韓両国政府による合意も、元慰安婦問題を不可逆的に解決ということで、存命だった元慰安婦の七割以上が日本政府から賠償金をもう既にもらっているわけですね。そういった事実は全く無視。韓国の外務大臣ですか、外相がまた徴用工の問題とかも蒸し返して、これは日本の問題だという、ちょっとよく分からないことを言っていましたけれども。  そういった韓国の妄想にはつき合い切れないと思っていますので、しっかりと日本立場、例えば、ICJですね、二〇一二年に、イタリア最高裁が第二次世界大戦中に強制労働させられたイタリア人への賠償をドイツ政府に命じた判決を、主権免除を理由に否定しているわけですね。こうした判例があります。だから、これは必ずICJに持ち込むということを日本政府は諦めずにやっていただきたいと思います。  続いて、日中韓サミットについて質問します。  日中韓サミット、令和元年の十二月から開催されています。世界的なコロナの感染拡大、あと、先ほどちょっと触れた徴用工問題などが解決していない現状で、開催の環境整備が整っていないというのは理解はするんです。今触れていたような慰安婦問題とかもあります。ただ、日韓中サミットは、だからこそ重要だと思っているんですけれども、政府はどのようにお考えですか。
  117. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  日中韓サミットのような首脳会合につきましては、様々な準備が必要でございます。  日中韓サミット、日程等につきましては、現時点では何ら決まっておらないというところでございますけれども、地域の平和と繁栄に大きな責任を共有する日中韓の三首脳が一堂に会し、日中韓の具体的な協力、地域の諸課題について議論をするということは有意義だと考えております。  委員御指摘ございました二〇一九年に開催されました日中韓サミットでは、北朝鮮、貿易・投資に関するルールづくり、科学技術、SDGs、文化・人的交流における取組について確認をされておるというところでございますし、日中韓サミットの枠組みの下で、経済、文化、スポーツ等、幅広い分野での具体的な協力も進めてきておるというところでございます。
  118. 茂木敏充

    茂木国務大臣 前回の日中韓サミットは、中国が議長国として開催をされました。私も出席をさせていただきましたが、今、遠藤参事官の方からもありましたように、地域の平和、安定や繁栄のために、日中韓連携というのは極めて重要だと思っております。  その上で、こういったサミット、G7でもそうですけれども、やはり議長国がきちんと様々な調整に当たって開催できるような環境をつくるということが極めて重要だと思っておりまして、もちろん日本としても協力したいと思っておりますが、次回といいますか、次の議長国は韓国が務める、このように理解をいたしております。
  119. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  韓国にボールがあるということだと思いますので、これは、今そうであるならばなかなか難しい感じかなとちょっと拝察をしますけれども、是非、行われたときは、しっかりと日本立場を主張していただけたらと思います。茂木大臣だったら大丈夫だとは思っていますけれども、よろしくお願いします。  続いて、ニューヨーク州における娯楽用大麻の合法化の報道が、つい先日ありました、三月三十一日にありました。  アメリカは州単位で娯楽用大麻を合法化していっている、これはどんどん増えていっているわけですけれども、この報道の中で、外務省から在留邦人及び観光客に対して、日本の大麻取締法は国外でも適用されるということですので、その州でオーケーになっていても、日本人が手を出したら駄目ということで、それを注意してほしいという勧告を行うとのことですけれども、具体的にどういうふうに注意勧告を行うのかということと、また、ニューヨーク州のほかに合法化されているところ、アメリカ国内そして海外を含めてどれぐらいあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  120. 森美樹夫

    ○森政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘いただきましたとおり、在ニューヨーク総領事館は、四月一日付の領事メールにおきまして、国外で大麻をみだりに栽培したり、所持したり、譲り受けたり、譲り渡したりした場合、日本の大麻取締法により罰せられる場合がある旨の注意喚起を行っております。加えて、この領事メールにおきましては、ニューヨーク州の在留邦人や観光客に対し、大麻が合法化されている国、地域であっても絶対に手を出さないようにとの呼びかけを行っております。  二点目に御質問のございました世界の状況でございますが、外務省として包括的に調査を行っているわけではございませんが、厚生労働省が作成した資料によりますと、平成三十一年一月の時点でございますけれども、娯楽用大麻の利用が国として合法化されている国は、ウルグアイ及びカナダの二か国となっております。また、米国におきましては、十五の州で、各州の州法上、合法とされております。
  121. 浦野靖人

    ○浦野委員 一方で、日本でも、一部大麻の使用を、どのレベルの大麻の使用を認めるのかどうかという議論もないことはないので、これから状況が変わるかもしれないけれども、現行法ではそういうことになっていますので、ほんまにちゃんとそれで皆さんの耳に入っているのかな、認識をちゃんとしてもらえているのかなというのはちょっと不安ですけれども、是非、周知をしっかりとしていただけたらと思っています。  次に、観光についてなんですけれども、今現在でも世界中でコロナの感染の拡大がまだまだ収束しない中で、海外旅行に行くということもなかなかやはりみんな難しいと思います。  そもそも、日本在外公館というのは、日本の魅力をその国に伝えるというお仕事はもちろん一番あると思うんですけれども、在外公館があるその国のいいところ、こんなところだよというのを日本に伝えるというのも逆に仕事なんじゃないかなと思っています。  このコロナ禍の中で、今までやったらちょっと考えられなかったリモート観光というのが今できています。別に、大使とか在外公館の皆さんが暇しているとは思っていません、お忙しいとは思うんですけれども、私、これは提案なんですけれども、是非、在外公館の皆さんが、その国の、赴任されている国の魅力を、こういうリモート観光みたいなのを、民間では今結構はやっています、そういったものを、リモートだからこそ在外公館の人たちもできるんじゃないかなと思っているんですけれども、そういった取組をしたらどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  122. 赤松秀一

    赤松政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、外務省といたしましては、従来より在外公館を拠点とした任国における日本の魅力や見どころの発信ということには力を入れてきているところでございます。  またその一方で、日本国内におきましても、例えば、幅広い層の国民を対象にいたしました、国際情勢講演会、学生と語る、高校講座、外交講座などの取組を実施して、様々な国の外交政策や国際情勢の紹介を行ってきております。  令和二年度におきましては、新型コロナ対応として、オンラインでこれらの講座を実施したため、可能な場合には海外から、大使を含めまして在外公館の職員が講師を務めて、任国の魅力や見どころも交えた臨場感のあふれる講座を行うことができておりまして、なかなか幸い好評を得ております。  そのほかにも、外務省及び在外公館のホームページでは、大使や総領事を含む外務省職員が様々な国に赴任した際の体験談等を任国の文化や魅力を交えて紹介しておりますし、また、ソーシャルメディアの上でも、各国の様々な事情に親しんでもらえるような発信に努めてきておるところでございます。  いずれにいたしましても、委員の御指摘も踏まえまして、今後とも、日本国民の諸外国への関心を高めるために、大使及び在外公館を活用しながら、様々な取組を積極的に行ってまいりたいと考えております。
  123. 茂木敏充

    茂木国務大臣 いい提案だと思います、私は。  それで、少し今堅い形で言っていましたけれども、もっとビジュアルで見えていいなと思えるというところが世界にもたくさんあります。もちろん日本にもあるわけでありますけれども。  チュニジアという国に行くと、もうこれは地中海世界の中でも、ローマと覇権を争った時代の交易の文化であったりとか、また、ハンニバルが造った軍港がまだ残っているというところがあって、本当に、ああ地中海なんだなと感じるところで、恐らく、何となく日本の人ですと、アフリカなのかと、マグレブという地域でありますけれども、そういう感じで捉えられるかもしれませんけれども。  そういった魅力をそれぞれの公館から発信をして、恐らく若干、実際に日本の方々が海外に観光に行ける状況になるのに時間がかかると思いますので、少しその試行的なものから始めて、本格的に国際的な人の往来、これが再開された際には、それぞれの公館において、自分が見ていいと思ったこと、大使だけではなくて若い館員の皆さんであったりとか、さらには現地職員の皆さんも、そういったサイト上にそれぞれの人間が感じる魅力とかそういったものを掲載してアピールしていく、これは極めて重要なことだと思っています。
  124. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  今の大臣の御答弁で、すごく何か想像というかイメージが膨らんだと思いますので、是非どこからか一度試しに始めていただけたらなと思います。  次に、TPPについて質問をしますけれども、ちょっと時間が、多分これで最後になってしまうかもしれません。積み残したやつはまた次の一般とかでやりたいと思いますけれども。  菅総理が日米首脳会談で訪米します。アメリカは、トランプ大統領時代にTPP交渉から離脱をしました。今回、オバマ政権の副大統領だったバイデンさんが大統領になったということで、これはTPPを積極的に推進する立場だったと思います。  報道でも、サキ報道官が、トランプ前政権が離脱したTPPについては、バイデン大統領は、TPPは完全ではなかったと認識し、より強力で改善されたものにしなければならないと信じているということを述べて、アメリカが復帰する場合は再交渉が必要になるという立場を改めて示したとありました。  TPPの議長国である日本として、今回の日米首脳会議でTPP復帰への要望等のお話を行うのか。議題にないとしたら、今後アメリカに対して復帰の働きかけはしていくのか。これは、茂木大臣がまさにタフネゴシエーターとして関わったTPPだと思いますので、是非日本としては、決意固く、アメリカにTPPに参加してもらえるようにお話をするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  125. 茂木敏充

    茂木国務大臣 アメリカがTPPから離脱をする、一時漂流をしてしまうのではないかという中で、日本が主導してTPP11、合意に達し、そして既に発効をしたところであります。  その後、米国とは、日米貿易交渉を行う際に、経済のグローバル化が一番進んでいる、そしてまた技術革新も進んでいるのはアメリカだ、このTPPにアメリカが戻ることは、アメリカの雇用を増加させ、アメリカの経済にとってもプラスになるんだと、交渉の過程でも何度も申し上げてきたところであります。残念ながら、トランプ政権ではそのような形にならなかったわけであります。  また、バイデン政権の現状の通商政策、基本は、まずは国内の雇用政策等を重視し、それまでは新たな通商交渉は行わない、こういうことであると承知をいたしておりますが、当然、日米首脳会談におきましては、様々な分野、これは経済の分野も含めて議論が行われると思っておりまして、今後、様々な機会に、この経済通商政策についても緊密に連携していきたいと思っております。
  126. 浦野靖人

    ○浦野委員 時間が来ましたかね。もうすぐだと思います。  それでは、質問を終わります。
  127. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、山尾志桜里君。
  128. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。  人権国家の標準装備として、一つは、政府に人権侵害理由とした制裁手段を与える人権侵害制裁法、そしてもう一つ、G7の中で日本を除いてスタートをし、あるいは検討が始まっているのが、企業に人権尊重を一定の形で義務づける人権デューデリジェンスの法制化、この二つが今両輪として、各国家がこういったツールをそろえようとしているわけです。  今日は、後者の人権デューデリジェンスの話をしたいんですけれども、ちょっとその前に大臣に一点だけ。人権侵害制裁法の話をこの委員会でも大臣と議論をしているわけですが、総理が、延期されましたけれども、今月訪米をされます。ここで、日米中国にどういう形で連携をして事に当たるかということは大きなテーマになるでしょうし、この連携の一つの手段として、共に制裁ということも考えようじゃないかという話題が出る可能性は十分にあると思うんですね。恐らく茂木大臣も、菅総理とそういったことを見越して、今回の訪米ではどの程度の方向性を打ち出すかということを準備されていると思うんですけれども、今この段階で、その準備状況や方向性、菅総理とすり合わせている内容について、お答えできる範囲で教えていただけたらと思います。
  129. 茂木敏充

    茂木国務大臣 対中国との関係といいますか、どう対応していくか、極めて重要な問題だと思っております。  バイデン政権として、価値観を共有する同盟国そして同志国との結束の下で、中国に対して様々な面での働きかけを強めていく。その一つには、やはり力による一方的な現状変更の試みの問題もあります。さらには、香港で起こっていること、新疆ウイグル人権の問題、こういったことも働きかけが必要だ、こんなふうに考えているところであります。  首脳会談においてどういった議論が行われるか、まさにこれは今後調整もしますし、首脳会談でありますから、トップ同士が率直な意見交換をするということが極めて重要だと思っております。  その上で、中国に対して、やはり経済面であったりとか、さらには気候変動等、協力を求める。また、中国はCO2についての最大の排出国でありますから、中国取組が必要なのは間違いありません。  ただ一方で、そういった分野で中国の協力を取り付けるのと引換えに、民主主義であったりとか基本的な人権の尊重、法の支配、こういう普遍的な価値で譲ることがあってはならない、こういう原則はしっかり確認しながら日米で連携していきたいと思っております。
  130. 山尾志桜里

    ○山尾委員 特に基本的人権というところでは譲ってはならないというふうに思います。法の支配そして民主主義については、もしかしたら各国一定の幅があり得るとは思いますけれども、人の自由、そして命が奪われるという基本的人権の問題は、やはり普遍的だということで、譲らないでいただきたいと思うんですね。  その上で、皆さんのお手元に、資料一ということで、諸外国の人権侵害制裁法の概要、これは調査室が作ってくださいまして、とてもいい資料なのでシェアしたいと思ってお配りをいたしました。是非大臣にも見ていただきたいというふうに思います。  これは、アメリカカナダイギリスEU、ここら辺が法のたてつけを作ったこと、そして運用も開始していることで、日本だけがG7で残っちゃったよねという状況になっております。  縦を見ていただくと、いろいろ項目はありますけれども、共通して言えるのは、主な制裁対象者というのが、これは国家ではなくて個人あるいは団体であって、これが、永世中立国であるスイスでも、国家に網かけせずに、加害した個人や団体にピンポイントでかけるスマート制裁だということで議論が開始しているゆえんになっています。そして、その制裁メニューについては、おおよそ、やはり私たちも議論している入国規制、そして資産凍結というものが主なメニューになっています。  もう一ページめくっていただくと、制裁事例、これは、是非見ていただくと、よく対中の文脈で制裁を語られることが確かに多いんですけれども、それ以外の国に対しても、ミャンマー、サウジ、トルコ、あるいはロシア、南スーダン、ベネズエラ、ベラルーシなどなど、それぞれの国がどういった国のどういった加害行為に対して運用しているのかということも参考までに見ていただければというふうに思います。  昨日、本当の超党派での、人権外交を超党派で考える議員連盟というのが発足をいたしまして、この制裁法、議員立法で成立ということを目指しておりますが、私は、閣法で出していただけるなら、それでも構わないと思うんです。やはり、こういう制裁ツールをタイミングを逸さずに持つということが極めて大事だと思いますので、是非、立法府そして内閣の方でも御検討いただきたいというふうに思います。  その上で、もう一つの今日のテーマなんですけれども、これは企業に対して、人権デューデリジェンス、要するに、自分のサプライチェーンを含めて、直接、間接に人権侵害に加担をしてしまっていないかということをしっかりと調査をし、そういった加担行為が起きないように予防する仕組み、これを整え、公開するという仕組みについてであります。  御質問をいたします。  日本でも、昨年、ビジネスと人権に関する行動計画というもの、NAPと言われるものを作りました。私の手元にあるんですけれども、作ったことはいいんですけれども、残念ながら、ちょっとガイドラインとして抽象性が強いのと、あるいは、時期とか目標が明確でないというふうに感じております。  二〇二〇年から二〇二五年までの計画となっていますが、御質問します、これは二〇二五年までにどういった目標を具体的に達成しようとしている計画なんでしょうか。
  131. 田島浩志

    田島政府参考人 お答えいたします。  昨年十月に、外務省が中心となって関係省庁とともに作業して、ビジネスと人権に関する行動計画を策定しました。  この行動計画の実施や周知を通じて、ビジネスと人権に関する関係府省庁の政策の一貫性を確保するとともに、責任ある企業行動の促進を図り、企業行動により人権への悪影響を受ける人々の人権保護促進、ひいては国際社会を含む社会全体の人権の保護促進に貢献すること、日本企業の企業価値と国際競争力の向上及びSDGs達成への貢献につながることを目指しております。  そして、委員御指摘のとおり、行動計画の期間は五年とされており、行動計画の実施状況を毎年関係府省庁連絡会議において確認することとされています。また、関係府省庁とステークホルダーとの間の対話の仕組みを立ち上げることとなっております。  このような行動計画に含まれている仕組みに基づく議論を踏まえながら、ビジネスにおいても人権に関する配慮がしっかり行われるよう、政府として取り組んでまいりたいと存じます。
  132. 山尾志桜里

    ○山尾委員 心意気やよしという感じなんですけれども、やはりこういう行動計画を定めるからには、いついつまでに、この規模の企業については何割程度まで人権尊重に対する方針を表明し、PDCAサイクルを回して、それを公開していくということを実行することを目指すというような、やはり、そういう期限と数値を明らかにした目標設定がないと動いていかないというふうに思うんですね。  例えば、具体的なところをお伺いします。  昨年三月にASPIが出した報告書ですけれども、世界の有名企業八十三社のサプライチェーンに組み込まれている中国の企業で、八万人以上のウイグル人が強制労働させられているというレポートが出されました。日本企業十一社も名指しをされました。  外務省に伺います。こういったNAPで、大企業に対しては特にそういった人権尊重の取組への期待を表明した政府としては、こういった名指しをされた各企業がこの指摘に対してどういった調査、事実認定、対処、情報公開したのか、どのように把握をされているんでしょうか。
  133. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  外務省として様々な情報収集を行う中で、個別の企業とも日頃から様々なやり取りを行ってきておりますけれども、対外的に公表する前提で個別の企業とやり取りを行っているわけではないということから、その具体的な内容、個々の事例についてお答えするということは差し控えさせていただければと思います。  その上で、各企業におかれましても、基本的には、人権を含めたコンプライアンスへの配慮等を表明されていると認識しております。
  134. 山尾志桜里

    ○山尾委員 人権を含めたコンプライアンスへの配慮を表明しているというだけでは足りていないから、こういう指摘が行われ、そういう指摘に対して、やっているのならやっていると、ちゃんと説得力ある反論が、各企業、難しくてできていないわけですよね。  これは、やはり政府のサポートが必要なんだというふうに思います。例えば、イギリスなんですけれども、これは政府の方からウェブサイトでガイダンスもしています、企業に対して。どういうガイダンスをしているかというと、ウイグルにサプライチェーンを持つビジネスは、ウイグル人その他、強制労働プログラムの実態に当たる証拠があるため、レピュテーション上リスクをはらみますというようなガイダンスを政府が発表しているわけですね。  まさに日本企業がそういったレピュテーションリスクにさらされ続けている中、日本政府として、こうした情報提供によって方向性の指針を出したり、企業に対するサポートを具体化したり、そういう取組はなされないんでしょうか。
  135. 遠藤和也

    遠藤政府参考人 お答え申し上げます。  政府として、本件による在中国日本企業の経済活動への影響を含めて、引き続き、様々、関連の情報を収集するとともに、日本企業中国国内における正当な経済活動が確保されるよう、個別の状況に応じて適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えております。
  136. 山尾志桜里

    ○山尾委員 具体的に何も言っていない答弁が続いているわけですけれども、各国は、本当に企業をサポートするために具体的な取組をどんどん進めているんですね。  今、さっき申し上げたのはイギリスの例ですけれども、例えばアメリカなんかでは、国務省と国際NGOが連携をして具体的な情報提供をするサイトがあって、サプライチェーンで労働者の権利が侵害されていないかどうか、それをきちっと守るための、企業が守るべきノウハウみたいなものもきちっとウェブで公開をしている。  こういう、やはりもう具体的なサポートを日本企業は必要としていると思うんです。ASPIが指摘した十一社についても、かなり返答もまちまちで、こういった事実は認定できなかったけれども、あればきちっと対応するという答弁をしているところや、今もなお一切回答していないという大企業もあるんです。ここは、企業を私ただただ非難するつもりじゃなくて、やはり各国のように外務省がきちっとサポート、具体的なものをしないと、企業だって難しいですよ、それは。ウイグルで何が起きているかなんて調査できないですもの。そういったことを日本政府にやっていただきたいんですね。  その上で、皆さんのお手元に、資料二というのをつけました。これは、諸外国の人権デューデリジェンスの法制化がどういうふうに進んでいるかという資料です。  右上に、二〇一一年、ビジネスと人権に関する国連指導原則というのができましたという箱があって、次に、二〇一三年頃から各国で行動計画、NAPを作る動きがありましたという箱があって、今、NAPの策定に前後して各国で人権デューデリジェンスの法制化が進んでいますよ、こういう分析で、そのとおりだと思います。  日本は、この真ん中の、とにかくまず計画を作りましたというところで、二〇二〇年、作ったわけですが、その次の段階へ進んでいかざるを得ないというふうに思うんですね。  これを見ていただくと、イギリスアメリカ、フランス、オランダ、オーストラリア、EUドイツカナダG7ではイタリアがまだ法制化していませんけれども、EUが、今年にはEUとしてこの法制化をやると明言をしたことで、またG7の中で具体的な取組のない国が日本という状況になっています。  これは、先ほどから申し上げているように、政府による企業のサポートが大前提ですし、こういった義務化の対象、最初はやはり一定の大規模な企業だというふうに思いますけれども、こういった法制化も今後検討する必要があるのではないかと思いますが、最後に茂木大臣、見解を伺います。
  137. 茂木敏充

    茂木国務大臣 委員御指摘のとおり、普遍的価値であります人権の尊重、我が国外交政策の中でしっかりと位置づけて、世界における人権状況の改善により積極的に貢献していくことが求められていると思っております。  恐らく、環境と人権の問題、若干時間のずれがあって、環境については、国も二〇五〇年カーボンニュートラルを目指す。そして、もうすぐ二〇三〇年目標も出す。企業にとっても、これは環境問題への配慮であったりとか、どこまで環境問題に対してきちんと対応しているか、それが消費者からも見られる、そういう時代になってきました。  一方で、人権の分野でいいますと、では、そこまで行っているかというと、なかなか、残念ながら、これは決して企業の責任にするつもりはないんですけれども、そういう意識がまだないのではないかな。行動計画ができた中で、こういった点が重要なんだということも指摘をしておりますが、恐らく、政府と企業の対話等々を通じて、こういった問題に応えていくことが企業価値を上げることにもつながっていくんだ、こういう環境醸成をする中で次のステップを考えていきたいと思っております。  いきなり何か目標を掲げても、どうも意識とのギャップがあったらなかなかそれは実行できませんので、ステップ・バイ・ステップですけれども、しかし、そこの中でこのステップというのは加速していく必要がある、こんなふうに思っています。
  138. 山尾志桜里

    ○山尾委員 時間が来ました。  環境と併せて人権問題が消費者行動を左右するという状況は、もう間もなく生まれると思うんですね。その兆しも見えています。ハードローから始めるのが大変だったら、資料につけましたけれども、ソフトローから、それこそ東証のコーポレートガバナンス・コードに環境指針が入るという動きがありますけれども、これに人権の指針、第一歩を入れ込むとか、これは是非金融庁ともよく相談をして、前に進めていただきたいというふうに思います。  ありがとうございました。      ――――◇―――――
  139. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。     ―――――――――――――  地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  140. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ただいま議題となりました地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十四年十一月、東南アジア諸国連合の構成国十か国、オーストラリア、中国、インド、韓国及びニュージーランドとの間で、この協定の交渉を開始することについて一致し、平成二十五年五月から交渉を行いました。その結果、令和二年十一月十五日に、インドを除く十五か国代表により、各国において、この協定の署名が行われました。  この協定は、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を拡大させるとともに、知的財産、電子商取引等の幅広い分野での新たなルールを構築すること等を内容とする経済上の連携のための法的枠組みを設けるものであります。  この協定の締結により、世界の成長センターであるこの地域と我が国とのつながりがこれまで以上に強固になり、我が国及び地域の経済成長に寄与することが期待されます。また、世界で保護主義や内向き志向が強まる中、自由貿易体制の維持強化を更に推進していくとのメッセージを世界に向けて発信することにもなると考えます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。
  141. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会