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2021-03-19 第204回国会 衆議院 外務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十九日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あべ 俊子君    理事 伊藤信太郎君 理事 鈴木 貴子君    理事 鈴木 憲和君 理事 辻  清人君    理事 中根 一幸君 理事 阿久津幸彦君    理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君       井出 庸生君    井上 貴博君       うえの賢一郎君    小田原 潔君       尾身 朝子君    大串 正樹君       城内  実君    黄川田仁志君       國場幸之助君    新藤 義孝君       杉田 水脈君    鈴木 隼人君       高木  啓君    中曽根康隆君       中谷 真一君    松島みどり君       簗  和生君    青山 大人君       岡田 克也君    篠原  豪君       津村 啓介君    緑川 貴士君       屋良 朝博君    山川百合子君       渡辺  周君    竹内  譲君       赤嶺 政賢君    穀田 恵二君       杉本 和巳君    山尾志桜里君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    外務大臣        鷲尾英一郎君    外務大臣        宇都 隆史君    国土交通大臣      大西 英男君    防衛大臣        中山 泰秀君    外務大臣政務官      國場幸之助君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    外務大臣政務官      中西  哲君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 藤野  克君    政府参考人    (出入国在留管理庁出入国管理部長)        石岡 邦章君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 曽根 健孝君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 河津 邦彦君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 徳田 修一君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 御巫 智洋君    政府参考人    (外務省北米局長)    市川 恵一君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  植野 篤志君    政府参考人    (海上保安庁警備救難部長)            瀬口 良夫君    政府参考人    (防衛省大臣官房長)   芹澤  清君    政府参考人    (防衛省大臣官房施設監) 杉山 真人君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君    政府参考人    (防衛省人事教育局長)  川崎 方啓君    政府参考人    (防衛省地方協力局次長) 青木 健至君    参考人    (日本放送協会理事)   松崎 和義君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   薗浦健太郎君     大串 正樹君   中曽根康隆君     杉田 水脈君   緑川 貴士君     屋良 朝博君   山川百合子君     津村 啓介君   渡辺  周君     篠原  豪君   穀田 恵二君     赤嶺 政賢君   浦野 靖人君     杉本 和巳君 同日  辞任         補欠選任   大串 正樹君     うえの賢一郎君   杉田 水脈君     高木  啓君   篠原  豪君     渡辺  周君   津村 啓介君     山川百合子君   屋良 朝博君     緑川 貴士君   赤嶺 政賢君     穀田 恵二君   杉本 和巳君     浦野 靖人君 同日  辞任         補欠選任   うえの賢一郎君    井出 庸生君   高木  啓君     中曽根康隆君 同日  辞任         補欠選任   井出 庸生君     井上 貴博君 同日  辞任         補欠選任   井上 貴博君     薗浦健太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件(条約第二号)      ――――◇―――――
  2. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより会議を開きます。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会理事松崎和義君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人といたしまして外務省大臣官房審議官赤堀毅君、大臣官房審議官曽根健孝君、大臣官房参事官河津邦彦君、大臣官房参事官徳田修一君、大臣官房参事官巫智洋君、北米局長市川恵一君、国際協力局長植野篤志君、総務省大臣官房審議官藤野克君、出入国在留管理庁出入国管理部長石岡邦章君、海上保安庁警備救難部長瀬口良夫君、防衛省大臣官房長芹澤清君、大臣官房施設監杉山真人君、防衛政策局次長大和太郎君、人事教育局長川崎方啓君、地方協力局次長青木健至君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申出がございますので、順次これを許します。渡辺周君。
  5. 渡辺周

    渡辺(周)委員 おはようございます。立憲民主党渡辺でございます。  まず、この法案質問に入ります前に、先般行われました2プラス2、三月十六日に行われた2プラス2を受けて、大臣に数問質問をさせていただきます。  直近四回のこれまでの2プラス2の文書では、中国と明示をしてこなかった。大分古い話ですが、オバマ政権時代の二〇一三年の協議では、地域の安定や繁栄のため、中国に責任ある建設的な役割を求めた。  書きぶりとしては、当時の状況を鑑みれば、いろいろ、オバマ政権時代に、北朝鮮の非核化でありますとか、あるいはいわゆるパリ協定への中国の参加、様々な優先課題としてきたことによって、南シナ海を始めとして中国海洋覇権を拡大してきた。こうしたことが、オバマ政権が終わった後の様々な検証の中で、オバマ政権時代の対中あるいは対アジア政策がどうだったのかということは、いろいろ指摘をされております。当時の副大統領であったバイデン大統領が今回就任をして、この八年間の間に中国観は大きく変わったんだろうというふうに思います。  それは、今回、御案内のとおり、中国による既存国際秩序と合致しない行動は、日米同盟及び国際社会に対する政治的、経済的、軍事的及び技術的な問題を提起していることを認識したというような書きぶりから始まって、尖閣へのコミット、それから、その前に海警法への懸念、そして尖閣へのコミット、そして台湾海峡。それから、二〇一六年の国際仲裁裁判所の結論を受け、これが最終的な判断であると、いわゆるスプラトリー諸島中国フィリピンの、当時はフィリピン大統領は今の大統領ではありませんでしたけれども、いわゆる中国の九段線と言われる根拠を否定して、そのことを最後に締めた形で、具体的な地域名前言及されました。  これは、御案内のとおり、尖閣から台湾海峡、そして南沙諸島を結べば第一列島線になるわけでございます。こうしたことでございます。  この八年間で、オバマ政権時代から、当時のバイデン大統領が今、大統領に就任した。この書きぶりも相当、これは極めて厳しい書き方。  その2プラス2に出席をされた大臣、やはり、アメリカの対中国姿勢、そしてアメリカ政権姿勢、これはどのように変わったというふうに、どういう背景があってこのように変わってきたということは分析をされましたでしょうか。いかがでしょうか。
  6. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今週の火曜日、ブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官、両長官が、初めての外遊先として、決して偶然ではなく、よく考えた上で日本を訪問し、日米外相会談、そしてまた2プラス2を開催したわけであります。  そこで、四時間ぐらいかけましてじっくりと議論を行ったわけでありますが、一つはやはり、東シナ海、南シナ海も含めてインド太平洋地域戦略的な環境、以前とは全く異なる次元になっている、こういったことを確認したところであります。  同時に、対中国、唯一の競争相手、このようにバイデン政権は位置づけているわけでありますが、それにしっかり、間違っていることは間違っていると言っていく上では、同盟国そして有志国との結束というのが大きな力になってくる、そこの中でも日米同盟というのは非常に大きな力になる、こういう認識を確認したところであります。  委員の方からも御紹介ありましたが、2プラス2の共同発表におきましても、全体、二ページありますが、その三分の一近くが中国、具体的に言及をしているということでありまして、中国による既存国際秩序と合致しない行動は、日米同盟及び国際社会に対する政治的、経済的、軍事的及び技術的な課題を提起している、閣僚は、ルールに基づく国際体制を損なう地域の他者に対する威圧や安定を損なう行動に反対することを確認した。海警法の問題も書いてあります。そして、日米安全保障条約の第五条が尖閣に適用されること、現状変更を試みる、あるいは、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも引き続き反対するということ。さらには、台湾に対する言及、これも十年ぶりのことであります。さらには、南シナ海、そしてフィリピン中国との、御指摘いただいた仲裁裁判。そして、香港新疆ウイグル人権状況。  中国に関わりまして、日米、さらには国際社会の様々な懸案について、しっかり議論をし、また共同発表に盛り込むことができた、このように考えております。
  7. 渡辺周

    渡辺(周)委員 そういう現状が今あるという中で、説明を受けた、私が党のヒアリング等でも、外務省事務方からも資料をもらって話を聞きました。  日本側が言ってほしいことは大体網羅されたんだというふうにおっしゃっていましたけれども、例えば、国務長官国防長官が最初の訪問国に、いろいろ、ヨーロッパとかもあったんだけれども、日本を選んだ。そして、報道されているところでは、来月に総理が訪米する、対面で会う首脳会談日本が初めてというふうに言われていますけれども、日本への厚遇を私は決して手放しで喜ぶだけではいけないと思うんですね。これは逆に、アメリカ側が求める日本役割と責任の拡大につながっていくだろうというふうに思います。  そこで、この共同発表の中に、日本国家防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力を向上させることを決意した、米国は、核を含むあらゆる種類の米国能力による日本防衛に対する揺るぎないコミットメントを強調したというふうにあるわけでございます。  トランプ政権時代に当時の国防長官が、二〇一九年の八月、エスパー国防長官が、いわゆるINF条約失効した、その直後にアジアを訪問して、アジア各国にこの中距離弾配備することを検討と。幾つかの報道の中で、アメリカ領グアム、あるいはフィリピン、あるいは幾つかの国が挙がる中で、オーストラリアとか、日本可能性があるんじゃないかということが言われました。  あわせて、つい最近ですけれども、三月九日、上院の軍事委員会インド太平洋軍デービッドソン司令官は、台湾への脅威はこれから六年以内に明らかになるだろうというふうに証言をしているわけなんですね。七月に中国共産党は党創立の百年を迎える。そして、これまでも、台湾核心的利益だ、習近平国家主席は、あるいはその執行部は、統一に野心を燃やしている、これはずっと言われてきたわけです。  そこで、この日本防衛に対する揺るぎないコミットメントの中で、トランプ時代に言われた、敬称略で言いますけれども、このいわゆるINF失効、これに伴って、実は、アメリカとロシアが開発や保有をしなかった間に、中国中距離ミサイルが、中距離ミサイルだと射程五百五十キロから五千五百キロ、この中距離ミサイルで圧倒的な優位に立ったという中で、これまでの、まさにINF冷戦終結のシンボルだった、あのINF失効が今度は逆に新冷戦時代の到来という象徴になったと指摘されることもある。  そこで伺いますけれども、アメリカの対中国戦略あるいは台湾防衛可能性から、いわゆる中国作戦遂行抑止戦略としてアジアミサイル配備する、あるいは、日本失効を受けて開発が始まったアメリカ中距離弾配備する可能性、こういうことは、大臣、いかがお考えでしょう。
  8. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず日米同盟でありますけれども、日本が言ってほしいことをお願いしてアメリカに言ってもらう、若しくは、米側から何かを要求されて日本がそれに応じる、そういう関係ではなくて、日米双方同盟強化に向けて自らの役割を踏まえて主体的に取り組んでいくもの、このように深化しているのは、私は間違いないと思っております。  その上で、御指摘地上発射型の中距離ミサイルについては、米国から、直ちに配備する状況にはなく、また、具体的な配備先について検討は行っておらず、さらに、どの同盟国に対してもその受入れや配備に関し打診を行っていない旨の説明を受けているところであります。
  9. 渡辺周

    渡辺(周)委員 トランプ政権時代のまさに中距離ミサイル開発を受けて、当然、このアジア配備するということについて、バイデン政権がこれを引き継いでいるのかどうなのか、この点については、何らかの形で大臣は確認をされていますでしょうか。  もちろん、今の現状で、直ちにという話で、直ちには配備する計画もないし、検討していないと言いますけれども、先ほどの一連文書の中で、やはり、次の台湾有事に備えた形で、何らかのその抑止力として、例えばですけれども、沖縄に中距離弾配備をされるということについて、日本政府として、アメリカがそういうことを考えている、あるいは、そうなった場合に我が国としてどう対応するのかということについては、検討はしていますでしょうか。
  10. 茂木敏充

    茂木国務大臣 バイデン政権として、今、外交政策も含めて、一連政策レビューを行っている。そして、その政策レビューが終わった後に、国家安全保障戦略等というものがその後に検討されるということになってくると思っております。  東アジアそしてインド太平洋地域安全保障環境等々については、今回の日米外相会談、2プラス2でも幅広く議論をさせていただき、そして日本考え方というのもしっかりお伝えをして、ちょうどこの政策レビューが行われているこの時期に米国国務長官そして国防長官が来日して、お互いの考え方をすり合わせることができたということは極めて意味が大きいと思っております。  具体的に、例えばA2ADに対してどうするかとか、細かい議論をどこまで行ったか、これについては、まさに今後の政策であったりとか戦略にも関わってくる問題でありますので、やり取りの詳細については控えたいと思いますが、これからもアメリカとの間でしっかり意思疎通をしていきたい、こんなふうに思っております。
  11. 渡辺周

    渡辺(周)委員 このミサイル配備の問題、あるいは検討されているかどうか。今後、いろいろな動きが出てくる中で、また改めて、一般質疑等もありますから、是非またここで議論をしたいと思います。  それで、ちょっとウイグルの問題について、EUアメリカと歩調を取って中国を制裁すると昨日の夕刊から今朝の朝刊にかけて報道されておりますが、まさに先ほど大臣言及されたウイグルの問題。  つまり、安全保障については、アメリカと今後、密接な関係を持っていく。もう一つは、今度はいわゆる海洋進出についてでございますけれども。今回は、例えば人権という面では、アメリカEU等々といわゆる人権外交を積極的に展開をする中で、こうした経済制裁EUが行う。この点については、もう何回もここでも議論がされておりますけれども、アメリカEU人権問題で中国批判足並みをそろえる中で、日本としてはこの点についてはどうするのかということに尽きます。  2プラス2を受けて、日本にも当然、同調を迫る、日本だけが曖昧な態度というわけにはいくまい。それを考えますと、やはり日本にも何らかの形の同調を求められた場合、日本としてどう考えていくのか。その点については、大臣、いかがですか。
  12. 茂木敏充

    茂木国務大臣 香港さらには新疆ウイグル人権問題、極めて深刻な状況にある、このように考えておりまして、これは日米の間でもそうですけれども、既に御案内のとおり、G7におきましても、香港について、また新疆ウイグル等々についても、外相共同声明、これを発表しているところでありまして、考え方基本的な方向というのは一致をしている、このように考えております。  その上で、人権外交進め方、それは、それぞれの国のやり方というのはあるという部分はあるんだと思うんですね、そこの部分につきましては。そこは、それぞれ役割分担であったりとか、これまで進めてきたやり方の中で進めていく、そのことについて米側日本にどうしてほしい、こういう要求が具体的にあるということはございません。
  13. 渡辺周

    渡辺(周)委員 では、アメリカから具体的にどうしてほしいという話はなくとも、日本として行動を起こすか否かということについて、日本は、それでは、このウイグルの問題、後でちょっと香港の問題を触れますけれども、こうしたウイグルの問題については、日本政府としてはどうしていくかということについてはいかがですか。
  14. 茂木敏充

    茂木国務大臣 深刻な懸念を抱いております。その上で、どうしていくかについてはしっかり検討してまいりたいと思っております。
  15. 渡辺周

    渡辺(周)委員 それは何らかの形で、やはり国連が、例えば人道の査察の問題、こうしたことに、するべきだということが各国で決議をされたり、あるいは国家首脳が、このウイグルの問題については様々なアクションを起こすべきだということを言っています。例えば、遺憾に思うとか、深刻な懸念を抱えている、これはもうみんな分かっているわけでございます。では、具体的に我が国はどうするのかということになったときに、ここは国際社会と協調しながら何らかのやはりアクションを起こすべきだと思います。  ただ、今の大臣の御発言ですと、いつどうするかはちょっと分からないようなお答えでございまして、やはり私はG7足並みをそろえるべきだろうというふうに思うんですけれども、再度伺いますが、日本政府として決意はいかがですか。
  16. 茂木敏充

    茂木国務大臣 G7としての足並みはそろっていると私は先ほども申し上げたとおりであります。  その上で、国際社会の動向等々を見ながら判断をしていく。今日、今の時点で、こういうことをします、こういうことはしませんということを完全に決めているという状態ではございません。
  17. 渡辺周

    渡辺(周)委員 また改めて、このことも深掘りをしながら質疑をしていきたいというふうに思っています。  では、法案についてお尋ねをします。  これは、在日アメリカ軍駐留経費について、この2プラス2の文書の中でも、新たな複数年度合意に向けて取り組むことを指示したというふうに記述をされております。  この複数年というのが果たして何年なのか。今回、一年異例の延長という形になりました。これは、アメリカ政権交代が起きて、ここでも私、取り上げましたけれども、交渉の当事者がトランプ政権なのか、それとも次期バイデン政権なのかという移行期だということも含めて、そしてまた、今年度の予算に間に合わせるためには昨年のうちに決着を急がなければいけなかったという様々な事情があったというふうには思っておりますが。この複数年というのは、従来どおり五年なのか、それとも、例えば二〇二二年度から三年、つまりバイデン大統領在任期間在職期間在職任期ですね、これに合わせるのかということについては、今、交渉の中で、複数年というのは何年ということをある程度念頭に置いて交渉していますでしょうか。
  18. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まずは現行の特別協定の一年間の延長となったわけでありますけれども、バイデン政権発足後のこの早いタイミングで必要な合意に至ることができた、このことは、日米同盟結束に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、日米同盟信頼性を高め、それを国際社会に発信するものだと高く評価をいたしております。  現時点で、来年、二〇二二年四月以降の新たな特別協定交渉内容、その期間がどうなるか、そういったことも含めて、その進め方、予断することは差し控えたいとは思いますが、一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況等を踏まえて、HNSが適切な内容、水準のものとなるよう対応していく考えであります。  もちろん、何にも考えずに交渉に臨むということはありません。それは、様々なシミュレーション、日米貿易交渉のときもそうでありましたし、様々な交渉ではします。しかし、交渉が始まる前に、こんなふうにします、こんなことを考えていますと言ったら、交渉上は不利になるんですよ。交渉基本というのは、いかに自分の情報を少なく出して相手情報をたくさん取るか、また同時に、そういった中で、相手との信頼関係を持ちながら、ゼロサムではなくてウィン・ウィンな交渉にしていくか、これが基本でありますから、この段階で、どういうことを考えていますということは、国益を考えても答弁は控えさせていただきたいと思います。
  19. 渡辺周

    渡辺(周)委員 私も、与党時代防衛省の副大臣を務めました、十三か月やりましたので、この思いやり予算については、私の前任者も含めて、様々な交渉過程があったことも分かっております。いろいろと、当時のこととはいえ、なかなかつまびらかにできないようなこともここではある。当然、辞めても守秘義務がかかっている部分もあります。私、分かっている上で、いろいろ質問をしているんですけれども。  ちょっとここで伺いたいのは、トランプ大統領は、このホスト・ネーション・サポート、思いやり予算について、ボルトンさんの回顧録の中で、四倍の予算を求めたというふうにあるんですね。八十億ドルというふうなことを言ってきたと。  二〇〇四年のアメリカの国防総省の報告資料、これ以降、アメリカは公表をしていないわけでありますが、そもそも、これはこの国会でも議論されています。日本側が負担する以外、在日アメリカ軍駐留経費というのは一体総額幾らで、日本がどれだけを負担していて、アメリカはそもそも幾ら、どれだけかかっているのかという、この総額については、なかなかその実態が分からない。  今、そうした中で、やはり複数年の中である程度先を予見できる形の中で、様々なアメリカ戦略の中で、どうしていくかということも当然出てくるだろうと思いますが、この点について具体的な話をちょっとしますと、一九七八年に六十二億円でそもそも始まったいわゆる思いやり予算、その後、米軍基地で働く労務者のやはり給与の安定というようなことも含めまして、様々な積み重ねがあって、一九九九年には最大の二千七百五十六億円に達しました。二〇二一年度予算は二千十七億円でありますけれども、この思いやり予算という、これは、この名前がもうふさわしいかどうかと思います、これだけの巨額のいわゆる在日米軍駐留に係る経費というものがどんどん肥大化をしてきました。  その中で、先ほど来お話のあったアメリカの対中戦略あるいは対アジア戦略の中で、だんだんだんだん、当初の労務費でありますとかあるいは施設の建設の一部だとかというところが、今後ますます、いわゆる米軍の運用に関わることにまでどんどんどんどんこの思いやり予算が使われるんじゃないか、つまり青天井になっていくのではないかという懸念があるんですね。  そこの点について、かつて財務省の方からも聖域とするなというようなことは、前回の交渉の前に、財政審議会から、厳しい財政状況の下、財政健全化の取組を進める上で、在日米駐留経費負担についても聖域視することなく見直しを行い、その縮減を図る必要があるというようなことが、これは平成二十八年度、二〇一六年予算の編成等に関する建議の中でこのように言われているわけでございます。  私どもも、様々、レジャー性の強いものについて、収益性の図られるものについてはやはり見直していくべきだということで、政権交代前からこの問題に取り組んでまいりました。幾つかの部分については改善をしていったわけでございますが、一つ、ここに、今日は資料を出している。これは古くて新しい問題です。NHKの方にも今日来ていただいておりますけれども、まさに、先ほど申し上げた、聖域視することなく見直しを行いと、財務省が、財政審議会の中で出てきた言葉でございます。  しかし、ここで聖域視されているのかなと思うのが、NHKの受信料の問題なんですね。NHKの受信料のことにつきまして、今お手元に資料を配付しましたけれども、米軍の受信料、これはやはりこの国会でも取り上げられておりますが、「NHKの見解」、アメリカの「軍人や軍属、その家族がNHKの放送を受信できるテレビを設置した場合には、基地内においても、受信契約を結び、受信料を支払わなければならない。」というふうにあります。  今、現状、米軍はNHKの受信料を払っていますか。いかがですか。
  20. 松崎和義

    松崎参考人 お答え申し上げます。  基地内に居住する在日米関係者につきましては、在日米軍が日本のNHKの基地内への立入り等を認めていないため、現在も受信契約の締結を勧奨することができない状況になっております。  NHKでは、一九七八年以来、米軍側と文書や会談による対応を重ね、受信料の性格について説明をし、契約及び支払いについて、協力要請や基地内への立入りの申込みを行ってきました。最近では、二〇二〇年十二月に文書により、在日米軍、それから米国大使館、外務省、総務省、NHKの五者による状況打開に向けた会合の開催を求めておりますけれども、現在、米軍から回答を得られておりません。  今後も、関係機関の協力を得ながら米軍への働きかけに努めてまいりたいということでございます。今はいただいていないということでございます。
  21. 渡辺周

    渡辺(周)委員 そうなんですね。これはもうずっとです。  米軍の言いぶりは、日米地位協定の第十三条、これを根拠に言っておりますけれども、合衆国側は、日本放送協会の放送受信料が一種の租税であり、地位協定の規定、地位協定第十三条の第三項、「合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、これらの者が一時的に日本国にあることのみに基づいて日本国に所在する有体又は無体の動産の保有、使用、これらの者相互間の移転又は死亡による移転についての日本国における租税を免除される。」というふうにある。つまり、NHKの受信料は税金だと言っているわけですね。  しかし、我々は税金だというふうにはこれは思っていないんですが、その点について、この資料にありますように、交渉の経緯、昭和五十三年から五十四年に米軍とNHKが直接の交渉をした。郵便、電話による契約勧奨の実施を求めたり、あるいは文書により基地内への立入りを申し入れている。けれども、一切、この地位協定を根拠にして、NHKの受信料が払われてこなかった。  当然、日本にいて、米軍の方々が朝ドラをどれだけ見ているか分かりませんが、だけれども、BS番組を見れば「ワールドニュース」をやっているわけですよね。これは、アメリカのニュースからイギリスのニュースから、私たちも朝、見ますけれども、世界各国の、これは英語で放送をやっていますよね。当然、情報収集のために見ているであろうと思うんですけれども、今日まで何回となく申入れをしているけれども返事はないんだということです。  この通常国会で放送法が、先般閣議決定をされて、提出をされます。その放送法では、受信料の適正かつ公平な負担を図るための制度の整備ということで、正当な理由がなく規定の期限までに受信契約の申込みをしなかった場合について受信料及び割増金を徴収できるとする事項、これを新たに設置した。これまで執行されたことはほとんどないとは聞いているんですが、延滞利息とは別に受信料の二倍の割増金を求めるということなんですね。受信料の公平な負担をうたう法案を出すけれども、米軍については相変わらず今日のままということなんです。  これはNHKとして、今回、様々な、ほぼ二割の人が受信契約を結んでいないという中で、検討会の中では、届出の義務化なんかを持ち出して、民放からの反対もあって、そんなことをしたらテレビの購入そのものが減るじゃないかというような意見もあって、今テレビ離れ、もうスマホやタブレットがあれば見ることができるようになる、そういう状況の中で、様々なこの徴収についての法案も含めて出すわけですが。  この点について、NHKは今そうあります。日本政府として、米軍に対して、これは租税じゃなくて公共料金、受信料を払うということについて、米軍と本気でどこまで交渉していますか。いかがですか。NHK任せですか。その点については、政府、いかがですか。
  22. 市川恵一

    市川政府参考人 お答えいたします。  まさに今委員指摘のとおりでございますけれども、日米地位協定上、米軍の構成員及び軍属並びにそれらの家族について、NHK受信料の免除等については規定されておりません。  当該構成員等が受信設備を設置する場合には、放送法及びNHKの放送受信規約の規定に基づきまして、放送受信契約を締結しまして放送受信料を支払う義務があるものと政府としては考えております。  外務省としては、これまでもそうですが、総務省及びNHKと連携しつつ、米側に対してこのような受信契約に関する我が国の立場を繰り返し説明してきているところでございまして、この未払い問題を解決すべく、今後とも、引き続き米側に対して申し込んでいくつもりでございます。  以上でございます。
  23. 渡辺周

    渡辺(周)委員 これは、返事がないというのか、それとも同じ回答が来ているのか、どうなんですか、そこのところ。  つまり、この話はもう余りにも形骸化しちゃって、何か、申し入れました、いつものこと、どうせ払ってはくれないんだろうけれども、今までの慣例でやっておこうということなのか、本気でやはり少し、これは根拠はないわけですね、支払わないという。そのことについてはやはり謙虚に受け止めて、アメリカ側考えろということは、これは相当言えるんじゃないかと思うんですね。この点はどうですか。  つまり、これだけ血税が、先ほどから言っているように、どんどんどんどん膨れ上がっていく。思いやり予算名前で始まって、二千億まで今いってしまった。この後ちょっと触れたいと思いますけれども、それ以外にも幾つか、光熱水料の問題でありますとか、あるいは住宅建設における単価の高さだとか、いろいろなことが指摘されているわけですよ。今、国民には公正な負担をと言っているNHKの受信料については払われていない、ここ何十年も。これは累積したら相当な額になると思う。今日はその話は聞きませんが。  この点について、再度、やはり政府の取組、少し本腰入れてやるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  24. 市川恵一

    市川政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、我々政府の立場としては、NHK受信料は地位協定上免除されておらないということでございます。  残念ながら米側の立場は異なるわけでございますけれども、これまでも累次にわたりまして、総務省さん、あるいはNHK自ら、あるいは総務省、NHKと連携しつつ、外務省としても、米側には繰り返し、本件について解決すべく問題を提起してきているところでございますので、この点については、引き続き粘り強くやっていきたいと思っております。
  25. 渡辺周

    渡辺(周)委員 当然、そうなれば、滞納料だとか、あるいは先ほど言っていた何らかの形での水増しで請求をすべきだと思います。是非、その点について、我々もできる限りの後押しをしていきたいと思います。  何よりも、思いやり予算が思い上がり予算などとならないように、もうとにかくアメリカが何でもかんでも要求を出せば、最後はアメリカの様々な運用にまで負担を回すようなことになって、結果的に、先ほどの話で、納税者のやはり理解が得られなくなるような制度になると、これはやはり今後の不公平感、不公正感というものを生むと、私は、在日アメリカ軍に対する在り方についても何らかの国民的な感情の中に複雑な思いが生まれてくるんだろうと、今もありますけれども。その点についてはまた改めて指摘をしたいと思います。  残りの時間で、ちょっと香港の問題を質問したいと思います。  先般、三月十六日に、対中政策に関する国会議員連盟という超党派の議員連盟の中で、私も出てまいりました、まさに先ほど冒頭に大臣がおっしゃったような、ウイグルであるとかチベットであるとか香港であるとかいう様々な人道を抑圧されている、この中国の在り方に対して、日本の国としてどうするのか。  一つには、やはり要望がありました、声明を採択したんですけれども、昨年八月に。制定された国家安全維持法、国安法ですね、これに対して、日本香港と捜査共助の協定を結んでいます。この点について、日本は、この法律、国安法の怖いところは、香港に永住権を持たない人でも、つまり外国人でもこの法律は適用されるという、あってはならぬ法律になっている。例えば、私どもがこういう質問をして、先般来られた香港の民主化運動を日本でやっている在日香港人の方々の運動を後押ししている。そうなったときに、当然、ブラックリストに載れば、我々が香港に行ったときに、香港までは行けるけれども、香港に入国できない。もしかしたら、これは法の解釈というのを日本政府に求めるのは難しいと思いますけれども、例えば香港経由でどこかに行く、トランジットした場合も、ひょっとしたらそこで身柄を拘束されるかもしれないという可能性はなきにしもあらずなんです。  もっと言うと、民主化運動をやっている人たちのフェイスブックにいいねとクリックしたことも、ひょっとしたら、これ、そのままブラックリストに載るかもしれない。好ましからざる人物になってしまうのではないかと思うんですが。  そういう状況の中で、日本の国としてこの在日香港人の方々に何ができるかということについては、日本政府は、当然、この方々が帰国したときに身柄を拘束される可能性がある、そうなった場合に、やはりこの方々を、在留の延長なりをして本国に帰らないように、何とかして、何かの形で保護する必要があるというふうに思いますけれども、日本政府として、今後、民主化運動を進めている人たち、外国にいて不利益を被らないように、どのように対応していけるか。その点について、日本政府は今どう考えていますでしょうか。
  26. 石岡邦章

    石岡政府参考人 お答え申し上げます。  私の方からは、入管法上の在留について答弁させていただきたいと思います。  出入国在留管理庁におきましては、個々の外国人が在留を希望する理由等を踏まえまして、在留資格を決定し、日本での在留を認めておるところでございます。  一般論で申し上げますと、国籍国で生じた事情により帰国が困難であるなどの申出がありまして、人道上の配慮を行うべき必要性が認められる場合は、個別の事情に応じまして、特定活動という在留資格を付与しましてその在留を認めるなど、配慮を行うことになります。
  27. 渡辺周

    渡辺(周)委員 NHKの方、もう質問ございませんので、どうぞ御退室いただいて結構でございます。ありがとうございます。
  28. あべ俊子

    ○あべ委員長 退席して結構です。
  29. 渡辺周

    渡辺(周)委員 それで、勇気を振り絞って、もちろん黒ずくめでサングラスもかけて、もうどなたか分からないような、でも、日々、日本での活動といいながら、非常に、例えば何かネットで監視されているのではないか。例えば、今はSNSで発信するとこれが特定される、それによって、物理的な身辺に対するやはり何らかのリスクを感じながらも、勇気を持って行動していらっしゃる方々がいらっしゃいます。この方々が、今お答えになったのは、迫害の危険にさらされている香港市民に対し入管行政を通じた保護を提供するということでは、若干お答えいただいたと思います。  もう一つ、やはり、彼らが求めている中で、あるいは我々がすべきだといった中で、中国政府及び香港当局との捜査共助の拒否、これは明言できるのかということなんです。つまり、捜査の共助ですね、条約に基づいて要請が来るということを日本政府は想定しているのかどうか。  この香港の国安法で罰せられる行為というのは、日本の法令では言えますよね、言えば、犯罪に当たらない。それは、器物の損壊とかいろいろな、物理的なことがあった場合、暴力を振るわれた場合は状況によるとは思いますけれども。  ただ、この中国のいわゆる国安法では、言論の自由も何もない。我々が日本の国の中で、例えば体制批判をしたり政権批判をした、それは当然の、まあ、度合いの問題はあります、公共の福祉に反しない限り、やはり意思表示をするということは日本ではできるんですけれども、今の香港ではできない。  政治犯であるとか、あるいは、本来そうした、日本では罪に当たらない、双罰性のない行為に関しては免除されるとは聞いてはおりますけれども、国安法違反ということで、もし万が一、中国当局から捜査共助の要請が来た場合は、日本は拒否をするかどうか、その点についてだけ伺いたいと思います。
  30. 曽根健孝

    曽根政府参考人 お答えします。  本件、法務省の刑事局等が主管ではございますけれども、条約の解釈に基づく観点から答弁させていただきます。  この刑事共助条約に基づく個別の刑事共助要請を受託する中央当局である法務省においては、外務省とも、我々とも協議しながら、香港からの個別の刑事共助要請ごとに共助実施の可否を慎重に判断しているということでございます。  政治犯罪に関するものにつきましては共助の拒否事由に当たるものと承知しておりますが、具体的に何が政治犯罪に当たるかについては、個別に、事案ごとに個別の事情を勘案して判断するということになるというふうに考えております。  以上でございます。
  31. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、参考人の方から答弁がありましたが、香港我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーでありまして、一国二制度の下に、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場であります。  基本は、この立場に基づいて個々の事情というものは考えられるべきだと思います。
  32. 渡辺周

    渡辺(周)委員 再度確認ですけれども、この香港の国安法、国家安全維持法、これをベースにした刑事共助については、やはり拒否をする。もちろん、いろいろな事例があります。ただ、今の様々な事例を見ておりますと、もう、いわゆる国家分裂を扇動するものである、あるいは外国人勢力と何らかの形で協力しながら国家の転覆を図っているなと、早い話、判例がないものですから、幾らでもこれができる。  この法律でもし拘束された場合に、例えば、裁判は、これまではコモンロー形式で、いわゆる判例を積み重ねてきた香港のそれまでの司法体制が、今やもう、これは公開されないこともある、ひょっとしたら陪審員も置かれないということ、それぐらい非民主的な法律になっているわけでございます。  ですから、この点については、日本の国が、香港の今度は選挙制度も変えるということが全人代の中で決定をされました。それによって、いわゆる選挙の立候補の自由も制限される、そしてまた、民主派の人たちが著しく議席を減らすことになるだろうというようなことが言われているわけでございますが、再度伺いますけれども、是非、この香港国家安全維持法をベースにしたいわゆる刑事共助条約、この点については拒否をするということ、もちろんケース・バイ・ケースだとは思いますけれども、そうした、全く何をもってして罪とされたか分からないようなことがあるわけで、そのことを是非もう一度確約を、力強いお言葉をいただきたいと思います。  また、日本国内にいる香港の留学生や、様々な縁があって今日本にいる人たちの身を守るということについて、やはり日本は何らかのメッセージを出すべきだと思います。彼らは日本に対して期待をしています。やはり、アジアのあるいは世界の中でも先進的な民主主義国家、自由な国である、そのことについては大変強い期待を持っているわけなんですが、その点について、大臣、最後に是非ともお言葉をいただきたいと思います。いかがですか。
  33. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日本として、民主主義、そして基本人権の尊重、さらには法の支配、こういったことは国際社会共通の重要な価値観だと思っております。その価値観を重視しながら、今後の外交また個別の政策も進めていきたいと思います。
  34. 渡辺周

    渡辺(周)委員 また改めて質疑します。  終わります。ありがとうございました。
  35. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、屋良朝博君。
  36. 屋良朝博

    屋良委員 立憲民主党屋良でございます。よろしくお願いいたします。  今日は、特別協定の中でも、労務費の在り方、そして日本におけるアメリカ軍の運用について質疑をさせていただきたいと思っております。  特別協定は、御案内のとおり、安定的な雇用を確保する目的で日本側の肩代わりが始まったということが背景としてありますけれども、しかし、米側政権によっては、駐留軍経費負担の一貫性と安定性が損なわれる事態も想定しなければならないような状態になっております。それは、取りも直さず、トランプ政権の出現でございました。  まず、米韓協議ではその情勢の劇的な変化が具体的に明らかになったわけでございます。仮に、協定をめぐる日米協議が今後不調に終わるような場合があったとき、労務費の支払いは行われるのでしょうか、お答えください。
  37. 大西宏幸

    大西大臣政務官 屋良委員にお答えをさせていただきます。  あくまでも一般論として申し上げさせていただきますけれども、万が一、特別協定の有効期間内に改正議定書を発効させることができない場合、日本側特別協定に基づいて負担となる労務費については予算を執行できないこととなり、在日米軍従業員の給与の支払いに影響が生じる可能性がございます。  いずれにせよ、政府としましては、いかなる事態にあっても在日米軍従業員の給与を遅滞なく安定的に支給するよう、重要と認識しております。  以上です。
  38. 屋良朝博

    屋良委員 ということは、そういう事態が起きた場合は手だてがない、だから、期限内に、取りあえず、何があっても協定延長させなければならないというふうなことだというふうに理解をさせていただきましたけれども、しかし、これは現実のものとなったわけですね、韓国で。韓国は、一時的ではありましたけれども、従業員八千五百人のうち四千人が一時的に無給休職の立場に追いやられてしまいました。結果として、韓国政府が昨年末までに給与二億ドルを全額負担することで終わっております。  払えるか払えないかということは、従業員二万六千人の立場、身分を考える上で大変重要なことだと思っております。これは生活が懸かっておりますので。ここで、いや、これは何があっても大丈夫だ、雇用者の責任として、給与については、一時的でもいいから日本が立替え払いをするなり何らかの負担行為を講じて、用意がありますからどうぞ安心して職場で頑張ってくださいということを一つメッセージとして発することが大変重要だというふうに考えておりますけれども、そういう観点から、もう一度、同じ質問になって恐縮でありますけれども、用意をすべきではないのかというふうに考えますが、政府の御見解をお願いします。
  39. 市川恵一

    市川政府参考人 地位協定、御案内のとおり、労務費あるいは光熱水料、それから訓練移転という柱立てで構成されてございますが、特別協定ですね、特に労務費に関しましては、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図るということが非常に大事だと思っておりまして、それをもってして初めて在日米軍の効果的な活動を確保できるというふうに政府としては思ってございます。  ということで、今回の改定交渉におきましても、そういう視点を当然のことながら重要視しながら、同時に、厳しい財政状況あるいは厳しい安全保障環境の中できちんと日米同盟関係を強化していく、維持向上させていく、そういう観点から鋭意努力してきたわけでございます。  そういうわけでございまして、今後、二二年四月一日以降の新たな複数年度特別協定交渉をこれから始めるわけでございますけれども、結果を予断することはできませんけれども、いずれにしましても、今申し上げましたように、一層厳しさを増す地域安全保障環境、それから我が国の厳しい財政状況、そして、委員が御指摘になられております在日米軍従業員の雇用の安定、こういった等を重要視しながら引き続き適切に対応していきたいと思っております。  以上でございます。
  40. 屋良朝博

    屋良委員 取りあえず、今お答えの範囲の中では、確約はできない、予断を持って交渉に臨むことができないというふうな一貫した姿勢が分かったわけですけれども。  労務費に関する交渉の中身、それはどういったことなんでしょうか。いろいろあると思います。当然、従業員の上限の設定だとか、それから職種であるとか、IHAとかMLAの転換だとか、そういったことがいろいろあると思うんですけれども、その中身なんですよね。今、安全保障環境だとか財政状況とかということを御説明いただきましたけれども、中身をやはり分かった上で、交渉の中に占める労務費の位置づけというか、そこのところをどうにか何らかの用意をすることというのは可能じゃないかというふうな議論もやはりやっておいた方がいい。  それは、韓国の事例を見ると、準備していた方がいいと私は思いますけれども、その中身についてちょっと教えてください。
  41. 市川恵一

    市川政府参考人 交渉の具体的な中身についてつまびらかにするということは差し控えたいと思いますけれども、繰り返しになりますけれども、在日米軍従業員の安定的な雇用というのは、在日米軍の運用にとって効果的な活動を確保する観点から必要不可欠なものであるというふうに考えております。  特に、現行の協定の改定のときも、まさに在日米軍の安定的かつ効果的な運用、それで、よってもって日米同盟の強化に資するという観点から、まさに必要な基地従業員の方々の分についての労務費を負担する。逆に言えば、例えばレクリエーション施設だとか娯楽性の高いものに関わる労務費というところはこれまでも下げてきているということでございまして、やはり、どのようにしたら日米同盟を強化できるのか、そういう観点から、この労務費の話というのもこれまで議論しているところでございます。
  42. 屋良朝博

    屋良委員 その労務費に関する交渉の中身を私は伺ったのであります。  従業員の、だから、雇用の形態だとか上限だとかといったこと以外に余り想像できないんですよ。これまでの議論はそうだったし、しかも、協定が続いている中でも従業員の数というのは上下してきているわけです、これまでの経緯を見ると。  だから、そういった中で、労務費のほぼ九割を日本が負担しているという現状を見た場合、何かがあっても大丈夫だよというふうなセーフティーネットがやはり雇用安定につながるわけでありまして、それは、雇用だけではなく、先ほど答弁にありましたように、日米同盟信頼性、それにも直結してくるということでございますよね。  米韓協議が難航して従業員の約半分が無給休職となったことに、在韓国米軍の司令官は、米軍作戦に極めて否定的な影響を及ぼすというふうなコメントも出しているわけですね。  これは、同盟の安定性に直結するものだというふうに思っております。協議がいかなる状態にあろうとも、安定的に労働力は提供できますよ、だから皆さんしっかり働いてくださいねというふうなセーフティーネットはやはり必要だと思いますけれども、ここは、大臣、通告はしておりませんでしたけれども、今の議論、どのようにお考えでしょうか。
  43. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、基本的な大きな考え方を申し上げたいと思うんですけれども、例えば、労務費であったりとか訓練費、移転費含め、HNSについては、よく、日米の負担割合がどうなんだ、こういう議論があるんですけれども、私は、まずは、我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割、任務を分担していくことが適切なのか、また、その下で、我が国の負担規模が適切か否か、こういうふうに考えていくのが手順としてふさわしいことだと思っております。  その上で、我が国のHNSの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSでありますから、引き続きそれが重要であるという点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況もあります、また、我が国を取り巻く安全保障環境等、各種要因を総合的に考慮して、主体的に判断していく問題だと考えております。  韓国とのあれがどうだとか、ドイツとのあれがどうだといっても、それぞれ協定内容は違うんですよ。そして、同時に、そこで果たしている米軍の役割も違うわけですよ。置かれている安全保障環境もNATOの場合と日本は全く今違うわけでありますから、そこの中で、まずは、日本はどういう役割を果たす、米軍はどういう役割を果たす、こういう任務があって、そこの中で、日本はこういう役割を果たすんだから、それにどんな費用がかかっていく、こういう発想で、どっちが何%ですから高い、どっちが何%ですから安いと、スーパーの値決めをしているわけじゃないですから、きちんと私はそういう安全保障議論が必要だと思いますね。
  44. 屋良朝博

    屋良委員 大臣、ありがとうございます。  私は、そんなに難しい話をしているようなつもりはなくて、雇用されている方々、雇用主が政府であるということで、そういう関係があるので、日米間の協議がいかようになっても雇用は確保できる、給料は払い続けられるよというふうなセーフティーネットがあれば、労働者も安心して働けるし、しかも、それが同盟の安定にもつながっていくんじゃないかという観点で質問させていただきましたけれども、これ以上なかなか話が深まりそうもないので、次の質問に移りたいと思います。  特別協定の期限を、おおむね、これまでの経過を見ると、五年としたその理由についてお伺いしたいです。
  45. 市川恵一

    市川政府参考人 政府としましては、従来から、日米両国を取り巻くその時々の諸情勢を踏まえまして、期間基本的に五年間に限定した暫定的な性格の特別協定締結してまいりました。  その上で、この三月末で期限を迎える予定である現行特別協定についても、我が国を取り巻く安全保障環境や在日米軍の円滑かつ効果的な運用を安定的に支える必要があるとの観点を含め、日米両国を取り巻く諸情勢を総合的に勘案しまして、その有効期間を五年間としていた次第でございます。
  46. 屋良朝博

    屋良委員 アメリカ国務省のソン・キム次官補代理は、予見可能性や一貫性、安全性をもたらす、同盟関係によって複数年合意がよいことだ、近い将来、複数年合意ができることを期待しているというふうなコメントを出しておりますが、おおむね五年ということの、確固たるというか、これだからですと、その理由というんですかね、そういったことは、その時々の情勢によって総合的に判断して変えていくというふうなお答えを踏まえた上で、先ほど議論させていただいたとおり、協定協議によって労働者の立場が不安定な状態に置かれるということは、やはり僕は解消した方がいいと思っておりまして。  そこで、ちょっと御提案になるんですけれども、労務費のみの期限を少し長めに取ってあげる。特別協定は五年置きでやるけれども、この中で労務費だけ取り出して、その期限を、例えばですけれども、十年ぐらいに延ばしてあげれば、基地従業員が働く期間は大体二十数年から三十年ぐらいでしょう。そうしたら、五年置きでやると五、六回は協定のテーブルの上にのせられるんですね、彼らの立場が。しかし、それを、例えば十年ぐらいにすれば三回ぐらいで済むというふうなことは考えられないんでしょうか。その可能性について御見解を伺いたいと思います。
  47. 市川恵一

    市川政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、我が国政府としましても、在日米軍従業員の安定的な雇用維持を図るということは非常に大事なことだと思ってございます。これによって、在日米軍の効果的な活動を確保をすることができるというふうに考えております。  五年間というのは、先ほど申し上げましたように、その時々の諸情勢を踏まえまして、五年間に限定し、暫定的な性格の特別協定締結してきたわけでございますけれども、そういう中にあっても、我々、在日米軍従業員の安定的な雇用の維持を図るということは常に非常に大事なポイントだと思っておりまして、それが五年なのかあるいは十年なのか、それによって不安定な形にはならないように、まさにそういったことに思いを致しながら、他の要素とともに適切な対応をしてきているところでございますし、これからもそうしていきたいと思っております。
  48. 屋良朝博

    屋良委員 労務費の運用の期限を十年なりに設定するということは、理屈としては可能でしょうか。重ねてお伺いします。
  49. 市川恵一

    市川政府参考人 恐縮でございますけれども、今後、複数年協定について交渉に臨むわけでございまして、そういうことにも関連いたしますと思いますので、その点についてはお答えを差し控えさせていただければと思います。
  50. 屋良朝博

    屋良委員 交渉事なので予断を持ってということにはならないと思いますけれども。先ほど来、韓国の事例を引き合いに出していますけれども、韓国国内で、韓国人労働者を人質に大幅負担増をのむよう韓国を圧迫しているというふうな反発、トランプ政権が韓国に圧力を加えているんだというふうな反発の声が上がっていたというふうに報じられております。  恐らく日本でも、基地従業員に対する給与不払いが発生することを避けようという制約を抱えながら交渉に臨んでいることは想像に難くないという状況だと思います。  そんな中でも、これまで様々な懸案をクリアし、米側との交渉で妥協を引き出し、様々御苦労されているということは、交渉当局者の努力は多としたい、本当に御苦労もおありだというふうに理解はしております。だからこそ、不払い解消の仕組みを用意するとか、そして労務提供の合意の有効期限を少し長めに取ってあげるということで、じっくり協議ができるんじゃないかと私は思ったりするんですね。  労働環境は、やはり基地の中と外では全然違いますよ。間接雇用という非常に不安定な状況に彼らは置かれております。その中で、日本の労働基準法が適用されていない部分もあるわけですね。例えば、三六協定がないとか、労働監督官の立入りが認められないとか、就業規則の作成、届出がないとか。こういった問題というのは、今に始まったんじゃなくてずっと前から指摘されていることなんだけれども、全く改善されていないというのが現状であります。  そこで、方法論をそろそろ話し合ってもいいんじゃないか。今まさに次の合意に向けた交渉が始まっているというふうに理解しております。方法論について、これまでずっと続けてきたような在り方じゃなくて、少し変えるようなことも私は考える必要もあるんじゃないかというふうなことも思ったりするんですけれども、ここは是非、茂木大臣、御見解をお示しください。お願いします。
  51. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ちょっと、方法論を変えるというお言葉が完全に、自分、理解できていないのかもしれないんですが。  いずれにしても、これから複数年度協定締結に向けて交渉が始まるわけであります。交渉を行うに当たりましては、我が国を取り巻きます大変厳しくなっている安全環境、同時に、我が国の厳しい財政状況等々を総合的に勘案して交渉を進めていくということになりますが、まさにこれからの交渉の問題であります。どういうやり方をするか、どういう内容にしていきたいか、このこと自体が今後の交渉にも関わってくるということで、その点については答弁は控えさせていただきたいと思います。
  52. 屋良朝博

    屋良委員 基地のインフラを支えている従業員、彼らの役割というのはやはり大切だというふうなことは、私たちみんな確認し合っているわけなんですけれども、その上で、一つ気になることがあります。  米軍再編が近々始まろうとしています。グアムへの移転とかですね。そういった中で、影響を受ける従業員の数、そしてその対応を教えてください。
  53. 市川恵一

    市川政府参考人 やや繰り返しで恐縮でございますけれども、まず第一に、今後、複数年にわたる協定交渉に取り組むわけでございますので、その交渉方針等に関わることについて申し上げることは差し控えたいということはまず最初に申し上げた上で、御指摘のグアム移転でございますけれども、在沖海兵隊のグアム移転を含む在日米軍再編は、将来的に在日米駐留経費負担について検討する際の考慮要素の一つになると考えております。  しかし、在日米軍再編の主要事業であります在沖縄海兵隊のグアム等への移転や嘉手納以南の主な土地の返還は、いずれも二〇二〇年代に開始あるいは実施される予定でありまして、現時点で、これらの取組がHNSに対し具体的にいかなる影響を与えるかについては、見通しを立てて申し上げることは困難でございます。
  54. 屋良朝博

    屋良委員 済みません、HNSとごちゃ混ぜになって私が質問しているというふうに聞こえたのであれば大変申し訳ないと思いますけれども、これは、御答弁にあったように、二〇年代、もう二〇年代じゃないですか。もういつ始まるか、始まってもいいというか、一般的には二〇年代の半ばぐらいからというふうなことが言われていて、そして、影響を受ける従業員の数も数千人に及ぶんじゃないかというふうなことが言われている。  こういう言われ方をしていると、自分の職場がどうなるのか分からないということがあるわけです。それは、職場の労働環境の不安定化を招くということでありますよ。  もうすぐ始まると言われている米軍再編に向けた何らかの取組あるいは計画、例えば、従業員の配置転換も含めて雇用の安定を図っていくのかなど、様々なやり方があると思うんですね。そういったことを明らかにしておかないと、働く人たちは不安に思ってしまうと思いますよ。  もう一度、これはHNSとは少し切り離したことで、今実際、決まって動こうとしているわけですから、それに対して対応があってしかるべきだと私は思っていますけれども、どうでしょうか。
  55. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  米軍再編に伴う在日米軍従業員の雇用への影響についてでございますけれども、現時点で再編後の労働力の需要や必要とされる業務内容などが明らかになっていないため、予断を持ってお答えすることは差し控えますが、米軍再編特措法第十六条におきまして、米軍再編に当たり、在日米軍従業員の雇用の継続に資するよう、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構を通じた技能教育訓練等の措置を講じることとされております。  また、一般論としてでございますけれども、在日米軍従業員の雇用に影響が生じる場合には、まず他の施設への配置転換等により雇用の継続を図るということとしています。その上で、やむを得ず離職を余儀なくされるような場合には、駐留軍関係離職者等臨時措置法に基づき、関係省庁と緊密に連携をしつつ、各種の援護措置を実施するということにしているところでございます。
  56. 屋良朝博

    屋良委員 具体的に動き出す時期がもう目の前に来ているということなので、是非ともしっかりした取組をもって被雇用者の立場を守る努力をされていただきたいと思います。  それで、次の質問に移りたいんですけれども、用意していた質問は、いろいろな国と比べて、日本の駐留軍経費は結構多額じゃないかというふうなことを質問する予定でしたけれども、先ほどの大臣のお答えで、それは地域地域によって違うし、安全保障環境も違うんだから、そんな一概に比較はできないよというふうなお答えでございました。  ただ、やはり日本の負担というのは、ほかの国々と比べて、数字を見る限りにおいては大きいわけですよ。それをはっきり主張した方が私はいいと思っております。  なぜそう言っているかというと、一昨日、日本時間でいうと昨日ですね、アメリカ会計検査院、GAOが日本と韓国の経費負担についてレポートを出しております。日本側の負担が、二〇一六年から一九年にかけて一・五兆円、それに対して、米側の駐留コストは、同期間、四年間で二・四兆円という報告になっております。  GAO、会計検査院は連邦議会の組織なので、アメリカの議員がこの数字をどのように見るかということだ。これは、しっかりフォローしていった方がいいと思うんですよ。この数字を見ると、どうも私たちが負担しているものが少し過小評価されているような、そんな印象を持つわけですね。  土地代も多分含まれていないと思います。様々、交付金の額なんかも全部ひっくるめると、年間八千億円ぐらいになるというふうな計算方法もあるわけなんですね。それに加えて、土地とか空域とか水域を排他的に使用させている、そういった主権の制約というコストですよね、これも日米同盟のコストというふうに考えた方が当然だと思います。こういったことをアメリカにもっと強くアピールできるんじゃないかというふうな気がしております。  同じく、GAO、アメリカ会計検査院の、ちょっと古いんですけども、一九九三年のレポートを見ますと、横須賀で受け入れている空母艦隊がなければ、西太平洋地域に五隻、空母ですね、五隻、インド洋、アラビア海に九隻の空母を追加配備しなければ現在のプレゼンスは確保できないというふうなことも報告しております。  日本はもっとアピールすべきではないかと私は考えておりますけれども、大臣、どうでしょう。
  57. 茂木敏充

    茂木国務大臣 詳細についてはまた事務方の方から答弁を補足をさせていただければと思うんですが、今お話にありましたGAOの数字でありますけれども、どういう算出根拠なのか、さらには、そこの中に何が含まれるのか、明らかになっておりませんので、その数字自体について評価するのは、現時点では困難だなと思っております。  あと、私の経験からいいますと、GAOという組織、例えばアメリカの議会とか、一般的にどういう形で見られているか、見方はそれぞれだと思いますけれども、かなり自分たちの政策目的で野心的な数字を作ります。いろいろな形で野心的な数字を作る、これは間違いなくて、そういう受け止め方をする議員も、私はアメリカ議会の中では多いのではないかなと思っております。
  58. 屋良朝博

    屋良委員 是非精査していただきたいと思います。私も、昨日出たばかりで、ぱあっとこの総括、アブストラクトを斜め読みしただけで、はっきり一・五兆円と言われていることの中身をよく理解していないんですけれども、取りあえず御紹介ということで、それで、日本はもうちょっとアピールした方がいいんじゃないかというような主張をしたかったということでございます。同盟に対する日本の貢献度を明確にすることで、私は、外国交渉のてこにする努力をして、強めていただきたい、そういう思いで申し上げておりますけれども、その観点で次の質問に移りたいと思います。  米軍の訓練が及ぼす住民への影響、事件、事故の予防に対する日本コミットメントが小さいと指摘されている問題があります。その見解を伺いたいんですけれども、その一例として、お配りした資料の、米軍ヘリの低空飛行、これも既に報じられているので皆さん御案内のとおりだと思いますけれども、こんなことがまだあるんですけれども、それをなぜ変えられないのかというふうなことをちょっとお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
  59. 大西宏幸

    大西大臣政務官 屋良委員にお答えをさせていただきます。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、在日米軍のプレゼンスの必要性、その即応性の維持の重要性については、日米間で認識の一致を見ております。  その上で、日米同盟の維持強化、あるいは在日米軍の安定的な駐留には、地元の御理解と御協力が大前提でございます。このため、在日米施設区域、部隊の運用による地域住民の方々への影響が最小限となるよう、日米間で緊密に連携して取り組んでいるところでございます。  具体的には、政府全体として、関係自治体と緊密に連携しつつ、在日米施設区域周辺における航空機騒音の規制のための合意など、様々な日米合同委員合意の形成、国際約束である環境補足協定及び軍属補足協定締結といった日米間の取組を積み重ねてきております。  さらに、今週十六日に実施した岸防衛大臣オースティン国防長官の会談においても、在日米軍の安定的な駐留と日々の活動には、地域社会の理解と協力が不可欠である、また、米軍の安全かつ環境に配慮した運用の確保が重要であることについて、両閣僚がしっかりと確認しております。  防衛省といたしましては、引き続き、関係自治体、関係省庁及び米側と緊密に連携しながら、事件、事故の防止、環境問題、そして周辺住民の方々の負担軽減に全力で取り組んでまいります。  以上です。
  60. 屋良朝博

    屋良委員 その時々の安保環境のことを説明なさいましたけれども、先生、東京の上空の管制権を米軍がずっと握っていて、もう戦後七十六年たっているんです。安保環境は、その時々、様々変わったはずですよ。だけれども、同じような状態がある。  この写真で御提示している状況ですよ。東京のビルを縫うようにアメリカ軍のヘリコプターーが飛行する。それから、この右下ですけれども、これですね、沖縄で銃を持った兵士が、これは海兵隊ですけれども、民間道路で行軍をしているんですね。行進をしている。このようなことがずっと放置されている。  東京上空、管制権、アメリカ。こんな首都が世界のどこにあるんでしょう。これをずっと放置しているということは、非常に私は問題だと。皆さん、問題意識は共有されると思いますけれども。  今御説明にありました環境補足協定なり、補足協定ですけれども、例えば環境補足協定でいえば、基地の周辺で環境汚染が確認されて、それが基地由来であるという蓋然性が高いにもかかわらず立入調査ができないという状況がずっと続いていて、環境汚染がずっと続いているというようなこともあります。様々そういった問題を細かく言えば、もう時間が全然足りないんですけれども。  それで、お配りした資料の裏面をちょっと御覧いただきたいんです。ここを実はじっくりここで御説明したかったんですけれども、もう時間が迫ってきておりますので、ざっと説明させていただきますと、この左上は、航空機事故、イタリアと日本で起きたときのその後の対応の違い。  イタリアでは、事故現場の空域を廃止したんですよ。低空飛行訓練をやっている航空機が事故を起こした、これは皆さん、もしかしたら御記憶にあると思いますけれども、イタリアのスキー場で、一九九八年、ケーブルを切っちゃって、ケーブルにつり下げられたゴンドラが谷底に落ちちゃって、それで二十人が、観光客、スキー客が即死しちゃった、皆さんお亡くなりになったという大きな事故がありました。その事故の後に、イタリア軍は、国防省は、その空域を全面廃止したんですね。それと、低空飛行の高度を引き上げた。イタリア軍司令官が各アメリカ軍のパイロットに対して飛行許可を毎度毎度出すことになった。その飛行計画を認められなければイタリア軍は飛行を拒否することができるというふうな制度を改めてつくったんですね、この事故をきっかけに。  しかし、沖縄ではどうでしょう。普天間飛行場の隣にあります沖縄国際大学でヘリコプターが落ちたんだけれども、普天間の状況は全く変わらず。オスプレイが配備されました。低空飛行もまだまだ変わりません。そして、小学校のグラウンドにヘリのドアが落下しました。日本政府がやったことは、シェルターを設置したということなんですね。この違いです。何でこんな違いが起きているんでしょう。  もう一つ、低空飛行の問題なんですけれども、右上の表ですけれども、低空飛行情報というのをアメリカ軍はイタリア軍に毎度毎度連絡します。イタリア軍は、イタリア航空局にそれを通知します。イタリア航空局は、航空情報、ノータムとして一般のパイロットに通告するんですよ。そして、みんなで気をつけましょうねと。低空飛行、なかなか極限を想定した飛行が、空軍のパイロット、海兵隊のパイロットがやっていますよ、だから気をつけましょうというふうな情報を一般に提供するんです。しかし、日本の場合はどうでしょうか。そういった情報も全然提供されていない。  しかも、低空飛行空域がどこにあるかも日本では明らかにされていない。日本側の解釈によると、公共の安全にアメリカも配慮しています、アメリカ日本の航空法に準じて活動しているはずですから安全は確保されていますというふうな一方的な解釈を、それを国民に押しつけているというのが状況です。イタリア軍とのこの違いですよ。イタリア軍はもうシステム化している。右下のこの地図ですけれども、この赤く塗られた地域が、低空飛行をアメリカ軍とイタリア軍が行っている空域です。こういったものも全て明らかにされております。  こういった違いが、やはり、どうしてこういうふうなことになっているのかということが、もう戦後この方ずっと疑問であります。  しかも、基地の負担が集中している沖縄においては、そういった違いの中で、非常にあえいでいるというか、被害をまともに受けているというふうな状況なんです。  これは、やはり国として、独立国として、しっかりとした形をつくる、しっかりとした仕組みをアメリカ側交渉してつくっていく、そういった努力が私はとてもとてもほかの国々と比べて足りないのかというふうに言わざるを得ません。  安全保障環境がいろいろ違うというふうな御説明もありますけれども、過去、もう戦後七十六年、この長いスパンで考えた場合、どれだけ前進したのか、どれだけ変わったのか。その都度安全保障環境というのは変わっております。その時々にどれだけ努力したかということの違いじゃないでしょうか。  イタリアとかドイツでは、NATO地位協定があって、もう一つ、その国々が基地をどのように提供するかという……(茂木国務大臣質問しないと時間終わっちゃうよ」と呼ぶ)ああ、今終わりました。  済みません、では、その違いがなぜ起きているのかということを、総括的に、大臣、お答えいただければ。お願いします。
  61. 茂木敏充

    茂木国務大臣 はらはらしていたんですけれども、時間が終わりそうでしたから。  二〇〇四年、沖縄国際大学にヘリが墜落するという事故があったときに、私はちょうど沖縄担当の大臣もやっておりました。極めて危険な事故だったと思っております。  また、委員資料にも、低空飛行、こういう写真もあるところでありまして、こういった問題、日米双方が真剣に受け止めておりまして、在日米軍のハイレベルでのものを含めて、様々なやり取りを行っているわけであります。  米側から受けている説明というのは、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認はされていない、また、飛行に当たっての安全確保は最優先事項でありまして、米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示をしたということであります。  いずれにしても、米側に対して、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていくとともに、航空機の飛行の安全確保について、最優先の課題として日米で協力して取り組んでいきたい。  イタリアの在り方、これは、大きな事故があった、それを契機にということもあると思うんですけれども、それぞれの国によって違う部分はあるにしても、やはり安全な飛行というのは米軍の安定した駐留のためにも極めて重要だと考えておりまして、我々としても、しっかり申入れを続け、協議をしていきたいと思っております。
  62. あべ俊子

    ○あべ委員長 屋良朝博君、申合せの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。
  63. 屋良朝博

    屋良委員 最後の御挨拶だけお願いします。  どうもありがとうございました。  仕組みというのはやはり僕は必要だと思うので、是非ともそこのところも頑張っていただきたい、是非とも日本の外交力を示していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。
  64. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、篠原豪君。
  65. 篠原豪

    篠原(豪)委員 どうもありがとうございます。立憲民主党篠原豪でございます。  本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  大臣に御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず、十二日の代表質問で、最初に負担の正当性を取り上げて、冒頭、日本周辺の安全保障環境の厳しさを考慮すれば、我が国防衛にとって、米軍のプレゼンスを確保することの重要性には疑問の余地がないということを申し上げました、本会議、先週の金曜日のときですけれども。  現在、我が国を取り巻く安全保障環境を見ると、中国海警局の艦艇が尖閣諸島の接続水域の侵入、あるいは領海侵犯を繰り返している現状が、極めて深刻な事態として広く国民に知られています。  そこで、今日、ちょっと海上保安庁の方にも来ていただいていますので、まず聞かせていただきたいと思うんです。  海上保安庁とアメリカの沿岸警備隊が、二月に小笠原諸島周辺で巡視船同士の合同訓練を実施したと聞いています。米国の沿岸警備隊がわざわざ日本に来るというのは、中国を意識した行動としか考えられないんですが、このことについて、どういったことがあって、それで何を意識した行動というふうに捉えていいのかということについて御説明いただければと思います。
  66. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えします。  海上保安庁は、本年二月二十一日、小笠原諸島沖合において、米国の沿岸警備隊の巡視船と合同で情報伝達訓練及び外国漁船の取締りを想定した追跡捕捉、立入検査訓練等を実施いたしました。この訓練は特定の国や地域を対象としたものではなく、お互いの法執行能力の向上を目的としたものであり、今後も引き続き合同訓練を継続し、連携協力の強化を図ることが重要であると考えております。  日米の海上法執行機関である海上保安庁と米国沿岸警備隊は、一九四八年の海上保安庁創設期より深く交流しており、様々な機会を通じて連携協力関係の強化を図ってきたところであります。  海上保安庁といたしましては、自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、法の支配に基づく海洋秩序の維持向上のための取組として、今後とも、日米の海上法執行機関同士の連携協力関係の強化に努めてまいります。
  67. 篠原豪

    篠原(豪)委員 中国は自国領土だと主張していますので、チャンスがあれば、東シナ海と同様、圧倒的な力を背景に、戦火を交えることなく尖閣を実効支配下に置くことも狙っているというふうにも考えられますので、アメリカとの意図、それを明確に今話すことは難しいのかもしれませんが、開かれたインド太平洋、国際的な連携を広めていただいて、深めることが大きな抑止力になるということもこれはちゃんと注目していかないといけないと思いますので、海上保安庁の皆様にもしっかりと頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  米国は、現在、台湾海峡日本周辺が一番危ないと感じているというふうに私も思っています。バイデン大統領が、国家安全保障戦略の策定に向けた暫定的な指針、三月三日に出しました。こういった中でも、中国を対象に、日本とかオーストラリア、NATO、韓国との同盟を最大の戦略的資産だとし、そして、軍事安全保障面で、中国、ロシアに同盟国の力を結集して対抗する姿勢を改めて明確にし、半年ぐらいで国家安全保障戦略を作っていくと。  2プラス2も、今朝方行われたアラスカでの会談も、こういったものに関連をしていく。結構動きが速いんだなというふうに思っていますので、外務大臣も、これまでもいろいろ交渉もされていますし、もう長い間、TPPを含めてやられているので、しっかりとやっていただいていると思いますけれども。  こういった中で、先ほど、これからホスト・ネーション・サポートの話をさせていただくんですが、渡辺周先生からも、思いやり予算が思い上がり予算になっては、ちょっとこれは本末転倒だよみたいな話もありましたですね。確認させていただきたいと思いますが、いずれにせよ、しっかりとアメリカとも力を合わせてやっていくという中で、お話を聞かせていただきたいと思います。  先ほど渡辺委員から、三月九日のデービッドソン司令官のお話がありました。これは、二〇二七年までに中国台湾を侵攻する危険性を示唆したと報道されています。なぜそこまでの危機意識をアメリカが抱くのかというと、東アジアに展開する米国の通常戦力が中国軍に圧倒されてきているという現実があるんだというふうに言われています。そして、状況は更に悪化する方向でいっている。  現在、中国軍の戦闘機は米軍の五倍、二五年には約八倍になります。そして、二五年には、中国軍の空母は米軍の三倍、潜水艦は六倍強、戦闘艦艇も九倍に増えるとされています。  米国防総省は様々な図上演習を実施してきまして、台湾海峡をめぐる図上演習では、ここ数年、米軍のチームがほぼ決まって中国軍チームに勝つことができないというふうになっているそうで、しかも、一八年頃からは、その勝敗がより強い形で結果が出てきているということになっているということで報道されています。  もちろん、米軍の総戦力は中国軍をしのいで、米軍の空母は世界全体で十一隻を抱えて、核戦力でも中国の比では今ありません。しかし、米軍が世界の戦力をかき集めてアジアに持ってくるためには長い時間を要するということで、中国は、米軍が戦力をアジアに移動させる前に紛争を決着させることを目指しているというふうに言われています。  そこで、まず、米インド太平洋軍デービッドソン司令官が、三月九日の議会証言で、中国人民解放軍の建軍百周年となる二〇二七年までに中国台湾を侵攻する危険性を示唆したことをどの程度深刻に受け止めるのかをお聞かせいただきたいと思います。これは事実関係戦略的な話がありますので、外務大臣防衛大臣と、両方聞かせていただければと思います。
  68. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  デービッドソン米インド太平洋司令官が、三月九日の上院軍事委員会の公聴会で、先生御指摘のとおり、中国にとって台湾は野心の一つであり、その脅威は、この十年間、実際には今後六年以内に明らかになる旨発言したことは承知しております。  司令官の発言の一つ一つにコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じますが、台湾をめぐる問題につきましては、我が国として、当事者間の直接の対話により平和的に解決されること、また地域の安定に寄与することを期待するとの立場であります。  その上で、近年、中国が軍事力の強化を急速に進める中、中台の軍事バランスは全体として中国側に有利な方向に変化し、その差に関しては年々拡大する傾向が見られるところ、防衛省としましても引き続き関連動向を注視してまいりたい、そのように考えております。
  69. 茂木敏充

    茂木国務大臣 デービッドソン米インド太平洋司令官、私もお会いをしておりますが、非常に分析力も高く、優れた軍のリーダーだと思っております。外国政府関係者のそれぞれの場所での発言についてのコメントは控えたいと思います。  また、軍事面につきまして、今、防衛大臣の方から答弁もあったところでありますが、外交的に申し上げますと、我が国としては、台湾をめぐる問題が当事者間の直接の対話によって平和的に解決されることを期待をしておりまして、先日行われた日米プラス2においても、日米台湾海峡の平和と安定の重要性について一致をしているところであります。  共同声明に台湾という言葉が入ったのは、恐らく十年ぶりということになるのではないかな。これ自体も一つの大きな私はシグナルになっていると思います。  アメリカとして、バイデン政権の下で、今一連政策レビューを行われて、その上で安全保障戦略等々を作ってこられるということだと思うんですけれども、基本的な考え方として、例えば、一方的に力によって現状変更しようとする勢力に対して我々の強みは何か、アメリカ日本の強みは何かといいますと、やはり同盟であり、結束力なんだ。同志の力があれば、仮に中国のGDPが二三%から二五%に広がり、それが更に広がってきても、今後、アメリカ日本、そして多くの同志国が集まればGDPは六割、七割というレベルに行くわけでありまして、短期的な軍事力の話もありますが、これからはやはり経済力、そして技術、あらゆる面でどう優位を保っていくかということが重要でありまして、そのための結束、これをバイデン政権としても日本としても重視をしていきたい、そんなふうに思っております。
  70. 篠原豪

    篠原(豪)委員 そうしますと、渡辺委員のお話にもあったんですけれども、INF条約で禁止されていた、米インド太平洋軍が今配備していない中距離ミサイル中距離ミサイルを二千発ぐらい中国は、この間、入っていないので、間隙をついてというわけでもない、分かりませんけれども、発射台が五百ぐらいあって、やっているということです。  このために、有事に小笠原諸島からグアムを結ぶ第二列島線へ米空母打撃群が入ることは現状では難しく、沖縄の米軍基地を守るのも難しいというふうにされておりまして、この地域を担当するインド太平洋軍中国軍による先制攻撃を断念させるために、先ほどもありましたけれども、沖縄からフィリピンを結ぶ第一列島線に沿って米軍の対中ミサイル網を築こうと計画書を議会に提出をしています。  こうした状況下に、中国は迎撃が難しいとされる超音速兵器の開発も続けていまして、こうした現状考えると、これはイージス・アショアの話になりますけれども、今、洋上配備に変更するということですが、こういった今の環境を見て、これは議論があったかどうかを確認させていただければと思うんですけれども、南西諸島に配備すべきだみたいな話もこれは考えられたのかと思うんですが、この点についてちょっと副大臣に、中山先生、よろしくお願いします。
  71. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  イージス・アショアの代替案としましては、ブースターを海に落下させるとの観点から、レーダー、SPY7でございますけれども、及び指揮通信システムを陸上に、それから迎撃ミサイル垂直発射装置、いわゆるVLS、これを洋上等に配備する陸上案についても、御指摘のとおり検討を行わせていただきました。  他方で、陸上案につきましては、昨年六月、イージス・アショアの配備に適している代替地を見つけることは困難な見通しである旨発表をさせていただき、それ以降、更に省内において調査を継続するも、適当な代替地はないという結論に至った次第です。  また、陸上レーダーを設置し洋上プラットホームに垂直発射装置を搭載して配備する案についても検討を進めましたけれども、迎撃の成否はイージスウェポンシステム、垂直発射装置間の通信に左右されるとの課題があるほか、配備地により垂直発射装置側に追加で装置が必要となる、結果、全体経費が増加する可能性、加えて、洋上に垂直発射装置を配備する場合、常時持続的な防護体制は定期整備そして気象、海象の影響を受けることになり、海上案と同様の問題を包含するといった論点が存在することを確認することに至りました。  このため、陸上案は困難性が高いものであると考えられ、イージス・アショアの構成品を移動式の洋上プラットホームに搭載する方向で検討を行わせていただき、その結果、昨年十二月の閣議決定におきまして、陸上配備型イージスシステムに代えてイージスシステム搭載艦二隻を整備するということになりました。  以上です。
  72. 篠原豪

    篠原(豪)委員 そうしますと、イージス・アショアは、弾道ミサイルだけじゃなくて、巡航ミサイルとか有人、無人の航空機の脅威にも対応できる能力を持っていますから、中国ミサイルの脅威を考えて対抗をしていくということを、米国が対中ミサイル網の構築を表明している今、そこに日本がそういうものを置いていないということになると、日本にも、対中ミサイル配備に向けて関係国との調整を本格化させると米国はしていますから、この問題は、財政支援の問題もさることながら、配備地が日本の領域内になるということで、そういうふうに言われてくると、恐らく辺野古基地の建設以上に地元の理解を得るのが難しくなってくるんじゃないかということも懸念をしております。  そうなった場合に、今度、今交渉の段階のホスト・ネーション・サポートの協議で米国側からこのことについて何か要請があった場合に、政府が答えるのに、今の感じだと答えに窮するんじゃないか、もし置いてくださいという話になったらと考えますが、現時点でこういった場合に政府としてこれはどのように対処しようと考えているのか、お聞かせくださいと言ってもなかなか聞かせていただけませんが、ちょっと今お話しをさせていただいた中で、このことについて言える範囲で、外務大臣、お話しいただければと思います。
  73. 茂木敏充

    茂木国務大臣 地上発射型の中距離ミサイルについては、米国から、直ちに配備する状況にはなく、また、具体的な配備先については検討は行っておらず、さらに、どの同盟国に対してもその受入れや配備に関して打診を行っていない旨の説明を受けているところであります。  中国ミサイルにつきまして、恐らく、今後、米ロ間のSTARTだけではなくて、軍備管理の枠組みにいかに中国を巻き込むかということは重要だと思っております。これだけミサイル能力も拡大をしてきている、そしてまた不透明さが高まっている中で、米ロ二か国だけではなくて、多国間の枠組みをつくることによって軍縮を進める、こういったことは重要だと考えておりまして、こういった点については米側とも今後よく連携をしていきたいと思っております。  一方で、そういった問題を踏まえて、では今後のホスト・ネーション・サポートの交渉をどうするかにつきましては、まさにこれから交渉を始めるということでありまして、その内容であったりとか進め方につきましては、今後の交渉に影響が出るものですから、お答えは控えさせていただきたいと思います。
  74. 篠原豪

    篠原(豪)委員 次に、十二日の代表質問で、私から、日米同盟によって、我が国の自衛隊が、盾と矛の役割に徹し、たとえ自衛のために必須な行動であっても、自衛隊が他国領域内で武力行使を目的とした軍事作戦を展開することを回避することができるのであれば、米軍の駐留経費をある程度負担することには憲法的な正当性もあるのではないかというふうにお話をいたしました。  そこで、まず確認をさせていただきたいのは、その意味で、日米同盟と専守防衛は一体のものと考えていますので、ここであえて敵基地攻撃という用語は、その定義が曖昧なまま独り歩きしていますので使いませんが、その上で、日米安全保障条約によって、これは二〇〇三年の石破大臣答弁の話なんですが、確認させていただきたいんですけれども、「日米安全保障条約によって盾と矛という関係がございます。私どもは、あくまで盾として日米安全保障条約を理解してまいりました。」「私どもは専守防衛という観点からこれを守るということが日米安全保障条約の趣旨であります」、こうお答えしております。  これは今でも政府の考え方として変わらないのか、認めるのか、端的にお答えいただければと思います。
  75. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  まず、専守防衛といいますのは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略姿勢というものでありまして、我が国防衛基本的な方針であることは委員も御案内のとおりでございます。  また、政府といたしましては、これまで、いわゆる敵基地攻撃について、日米役割分担の中で米国の打撃力に依存をしており、今後とも、こうした日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていないという説明をしてきてございます。  御指摘の、平成十五年一月二十四日の衆議院予算委員会における石破防衛長官の答弁は、これらの考え方について申し述べたものであると考えておりまして、政府としましては、今後とも、専守防衛考え方、それから日米間の基本的な役割分担といったものを変更することは考えてはおりません。
  76. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日米間の基本的な役割分担は変わらない、このように考えております。それをよく、一番分かりやすいので、盾と矛、こういう表現をするんですけれども、仮にこれに例えて言った場合に、安全保障環境は変わってきているのは間違いないわけであります。そうなってきたときに、では、盾の形状が今でいいのか、今の強度でいいのか、今の形でいいのかということはしっかり考えていく必要があると思います。
  77. 篠原豪

    篠原(豪)委員 私が、あえて敵基地攻撃という用語は、その定義が曖昧なまま、いろいろと皆さん考え方が違うということで、これはちゃんと整理した方がいいというふうに実は思っていまして、敵基地攻撃というのは攻勢防御能力のことですから、いわゆる地上目標の正確な把握をするとか、これは衛星が必要であったり、航空機を含む電子戦情報収集体制の充実とか、あるいは、今度、敵防空網の制圧ですね、SEAD、こういったことを、レーダーミサイルだったりARMだったり、あるいは電子戦闘機とか、策源地の正確な破壊をするために、爆撃するためにどうするかということをひっくるめて、例えば、長距離ミサイルが、ミサイルの射程がどうなったかだけという話では、議論はそういうところではないと思っているので、ここはやはりきちっと議論していくべきだと私は思っています。  その上で、今政府がおっしゃっている原則というのはあるわけですから、そこは答弁を変えないということでございますので、そこはしっかりしていただきたいと思いますし。我が党も外交・安保政策の原則と考えている日米同盟と専守防衛は表裏一体のものであると考えていて、そのためには、日米安保条約によって、これは日本が盾と矛の役割を分担することが前提となっていることがこれまでありますので、これまで一貫した政府の見解でもあったということを確認できたことはよかったことだと思っていますので、そのことをお伝えしておきます。ありがとうございます。  HNS負担について、正当性があったとしても、負担額にはおのずと限界があるという話を少しさせていただきたいと思います。  まず、日米安保条約の第六条に、米軍の施設区域提供の義務を受けて、地位協定上は二十四条に、日本が基地提供や地権者補償など義務を負う一方、米側がその他の駐留経費を負担することになっています。ですので、この事実を根拠に、条約上の義務を超えてホスト・ネーション・サポートを負担することはおかしいとする議論もあり得ると思っています。その場合、基地の無償提供義務と米軍の日本防衛義務が釣り合っているということになりますので、そもそもは。  十二日の代表質問で私が聞かせていただいた思いやり予算については、米国アジアへのコミットメント継続を約束する見返りとして実際には支払われてきたというふうに考えています。  先ほど渡辺委員からも少しありましたけれども、歴史的にちょっと思い起こしますと、ニクソン・ドクトリンが一九七一年に発表されて、これは米軍の南ベトナムからの撤退が開始されて間もなくです。そして、二万人の米軍兵力が韓国から撤収、七五年には米軍が南ベトナムから全面撤退に追い込まれ、同時期に坂田防衛長官が、よく答弁でも出てきますけれども、国会で、日米役割分担が必要であり、日米間で協議を開始するということがありました。七六年には、今日の専守防衛につながる基盤的防衛力構想を述べた防衛大綱が策定されまして、ここで初めてですけれども、それを受けて、この専守防衛すなわち戦略守勢で、そして、一九七八年に金丸長官が、米軍の駐留経費の増額、いわゆる思いやり予算を始めた。  これまで、この新たな日米役割分担を定めていたのが一九七八年の第一次ガイドラインで、これは吉田首相が路線を引いた、軽武装の日本防衛するための米軍の有事来援を保障するためのはしごとして冷戦終結まで機能し、そして、これから協定の拡大や特別協定で負担してきた思いやり予算ですけれども、額としてどこまで正当と考えられるのか、米軍の要求のまま上限なく負担させられるのではないかという懸念がこれまでも生じてきたわけです。  在日米軍を維持するための米軍側負担の経費は、極めて具体的に米国側の予算として定められているわけですから、その上限は目に見えます。例えば、米政府の一八会計年度に示された在日米軍経費は約五十三億ドルです。それを全額日本側が負担すれば、負担割合は一〇〇%になるというふうに考えられますが、この負担割合の計算はどういうふうにやっているのかということをお答えいただけますでしょうか。  この五十三億ドルの大半を占めるのが人件費の約二十九億ドル、三千四十五億円で、以下、作戦維持費、これは質疑でも言いましたけれども、基地建設費、米軍家族の経費となっていますが、これは何で聞くかというと、どう考えても、人件費や作戦維持費を外国に依存するのは、アメリカ日本の傭兵になるような話であって、アメリカもこれはよくないと思うでしょうし、基地の建設も、軍事作戦に直結する性格を持つ施設の設備は、これはMILCONと呼ばれる軍事建設予算で賄うことになっていますので、こういったことの負担についてももう余地がないというふうに思っていますので、ちょっとこの辺を整理して教えていただければと思うんですけれども、よろしいでしょうか。
  78. 茂木敏充

    茂木国務大臣 詳細についてはまた市川局長の方からお答えしますが、まず、表現にあった傭兵なんですけれども、古代ローマの時代から様々な形態がありましたけれども、基本的には、傭兵というのは、金銭的雇用関係に基づいて軍隊に参加をして、金銭的雇用主の指揮命令の下で、自らの忠誠心には関わりなく、他国の利益のために戦闘に参加する兵士のことを指すわけでありまして、こういった観点から、現在の米軍が日本の傭兵になる、これは私の常識からすると基本的に全く考えられない、こんなふうに思っております。  それから、先ほどから強調させていただいているんですが、HNSについては、日米の負担割合がどうなるという前に、まず、我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割、任務の分担をしていくか、またその下で我が国の負担規模が適切であるか、これを日本が主体的に考える、こういうことが基本にある、そのように思っております。
  79. 市川恵一

    市川政府参考人 委員がただいま言及なさりました二〇一八年度の米側の発表によります約五十三億ドルという数字でございますけれども、これは、私ども理解しますに、米国防省が海外の米軍基地における米軍費用負担のうち、軍人の人件費、それから維持運用費、軍事建設費、家族住宅費、こういうものを公表しているというふうに承知してございます。  当該資料を踏まえますと、在日米軍の駐留に関連した米軍負担のおおよその額が把握できるのかもしれませんが、同資料には関連経費の全てが盛り込まれているわけではございません。例えば、軍属の人件費などは含まれておりません。また、他方におきまして、いわゆる米軍基地だけではなくて、大使館で費消されている関連経費も含まれている。ただし、この関連経費が何なのかということは、その資料には詳細は記載されてございません。  したがいまして、委員が御指摘なさいました金額というのは米軍経費の全体像を正確に示すものではないというふうに考えておりまして、そういうことから、その数字を根拠に日米の負担割合を云々するというのは適当ではないと考えております。  以上でございます。
  80. 篠原豪

    篠原(豪)委員 そうすると、ちょっと負担割合の問題についてお伺いしたいんですけれども、二〇一五年度は、日本側の負担割合が八六・四%とされているとか、二〇〇二年度の米側資料では、日本は四十億一千ドル、七四・五%という負担がされているというふうになっていますが、これはどういう計算をしてこういうふうな数字が出てくるのかというのをちょっと御説明いただけますでしょうか。
  81. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  在日米駐留経費米側負担額及び日米の負担割合につきましては、米軍の駐留に伴い必要となる経費の範囲の捉え方が日米間で異なることなどから、一概に算定し得るものではないということでございます。  その上で、御指摘の数値八六・四%は、二〇一六年、平成二十八年当時に要求のあった議員のお考えに沿って機械的に、在日米関係費として日本側が負担している経費項目のみを捉えて、日本側の負担割合を日本側が把握している範囲で、単に試算として数値化したものであるというふうに考えます。  当該数値は、防衛予算である在日米関係経費の項目のみを基にその内訳を出したものであり、その他の米側のみが支払っている経費を含めた、在日米軍の駐留に伴い必要となる経費全体の日米の負担割合や項目を示すものではないということでございます。  いずれにしましても、HNSの適切な負担規模につきましては、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSは引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を考慮する必要がある、このように考えております。
  82. 篠原豪

    篠原(豪)委員 負担割合とかを聞くというのは、今後のやはり経費負担、そして交渉姿勢の問題にも関わってくるというふうに思っていますので、ちょっと伺いました。  費用項目で比べると、日本は米軍の施設整備費、従業員労務費、光水熱費を負担していますけれども、韓国は光水熱費を払っていませんし、ドイツ、イタリアを含めたNATOはその全てについて米軍負担となっていますので、こういったことを交渉にやはり反映させていくべきだと思うんですね。  韓国、最初はトランプから五倍の負担を求められたとか、日本は四倍求められたとか言っていますけれども、実際には一三%増の数字で合意したというふうに聞いていますので、バイデン政権が言われているようなところまで実際来ているかというと、そうじゃないかもしれませんので、その辺について、今どの程度のことを考えて、韓国の数字の評価も含めて日本はどうしていくのかということを少し外務大臣に教えていただければと思うんですけれども。
  83. 茂木敏充

    茂木国務大臣 具体的な数字について、他国の間の合意でありますから、私が評価する立場にありませんが、少なくとも韓国の場合は、今回交渉が延びて空白期間ができてしまった、これも事実でありますし、数字的には増額になっているという形であります。  日本の場合、今回、バイデン政権発足後すぐに、本当に短い期間で今回御審議をいただいております合意に達することができたと考えております。  今後の交渉に当たりましては、今、本当に日本が置かれている安全保障がどうなのか、それに対して日本がどう主体的に応えていかないのか、また、アメリカ役割はどういうことがあるのか、こういったことをきちんと議論しながら、さらには、宇宙であったりとかサイバーであったりとか新しい空間、こういった分野での協力はどうなっていくのか。様々な観点があるんだと思いますが、では、どう交渉していくか。内容進め方、これはまさに今後の交渉に関わりますので、今日はお答えは控えさせていただきたいと思います。
  84. 篠原豪

    篠原(豪)委員 済みません、では、時間がないので、私からも今お話がありましたことを少し話させていただきますけれども、考えていただきたいのは、増額要求に応えるために新しい費用項目を別枠で設けるのは本末転倒だと思っています。  イージス・アショアの導入にせよ、F35やE2Dの導入、そして、米側要求に応えることが第一の目的で、今のは費用対効果が二の次になった典型例ですが、小型衛星コンステレーション計画も、今実現可能な技術じゃないので、研究開発を待たなければいけない。  そういった意味で、費用対効果をしっかりと考えていただきながら、そして、日米同盟における日本の貢献が財政に偏っているという批判が米側から提起され続けていますが、実際には人的貢献もやってきていますし、そういったことも含めてちゃんと評価をしていただいて、それは、出している分ですね。あるいは、これから自衛隊の方々が、やはり憲法の制約がありますから、もちろんその制約の中で自衛隊が、我が国が貢献していくということがあるのであれば、そういったことも含めてちゃんとホスト・ネーション・サポートの交渉に当たっていただきたいと思います。  韓国の事例については、やはり、バイデンさんが同盟重視だといって打ち出していますから、そういったことも含めて表れた数字なのかなという評価もできるのかというふうにも思っていますので、そういったことも念頭に、私から申し上げるまでもないかもしれませんが、是非しっかりとした交渉を、思いやり予算が思い上がり予算にならないようにというふうに渡辺先生もおっしゃっていましたから、そこは私もお願いをしたいと思います。  最後に一問だけ、労務関係についてお伺いしたいと思います。  基地従業員の話を先ほど屋良委員がされましたけれども、こういった中で、ミッションエッセンシャルという言葉を御存じでしょうか。そのことについて、政府の見解をお伺いしたいと思います。  これは、基地がテロや化学兵器、生物兵器、放射能を伴う危険にさらされたときに、基地従業員のあなたは出勤しなければなりません、そういう場合でも理由なく出勤しなかった場合は解雇を含む処罰の対象になるかもしれませんよといった書類で、日本人基地従業員がこれに署名させられるという立場にありますけれども、これは、皆さん、防衛省が雇用主であって、ですが、公務員でも自衛隊員でもなくて単なる一民間人にしかすぎないということで。この規定は、日米間の合意事項でも労使協定でも地位協定でもなくて、在日米軍司令が、三六―五〇二という指令書が根拠になっているということでありますので、基地従業員がこのような立場に立たされているということについて、今後、もし有事のときだとか何かあった場合には、彼らの権利がどのように保障されるべきかというふうに政府が考えているかということをお伺いさせていただきます。
  85. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  在日米軍において、御指摘のミッションエッセンシャルというのは、自然災害発生時やコロナ禍なども含めた緊急時等においても、在日米軍の即応性維持のために必要不可欠な要員として位置づけられているものと承知をいたしております。  その上で、このミッションエッセンシャルに一部の在日米軍従業員が指定され、不安を抱いておられる方もいることについては、防衛省としても重く受け止めております。現在、考え方等について在日米軍と協議を行っているところでございます。  なお、在日米軍からは、在日米軍従業員が戦闘行動に関わることはない旨、説明を受けております。  いずれにしましても、本件につきましては、在日米軍従業員の方々の御不安を解消することが、御指摘のとおり重要であると考えております。緊急時等における勤務の在り方についても、今後も在日米軍との調整、確認を行うなど、引き続き真摯に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  86. 篠原豪

    篠原(豪)委員 時間ですので終わりますが、在日米駐留経費の負担の目的が日米同盟の強化ということであるならば、やはり米軍駐留の負の側面に対処することも、これは国民の皆さんの指示をしっかりと仰ぐというためにも、例えば、空域の問題だったら日米協定を変えるとか、それをホスト・ネーション・サポートの交渉の中できちっと話をしていく、俎上に上げていくというのは、これは国民の皆さんから応援していただくためにも、やはり日本の政府にはしっかり頑張っていただきたいと思いますので、そのことを強くお願いを申し上げまして、私の質問とさせていただきます。  今日はありがとうございました。
  87. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、中曽根康隆君。
  88. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 自由民主党の中曽根康隆でございます。(発言する者あり)ありがとうございます。  本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。四十分というしっかりとした時間をいただきました。今までに出た質問とかぶるところもあるかと思いますけれども、有意義な議論をさせていただきたいというふうに思います。  まず、先日開かれました2プラス2についてお伺いをいたします。  今回の2プラス2は、菅、バイデン政権の発足後初めて行われたものでありまして、また、米国の新政権発足から史上最速の開催となりまして、また、米国側の二閣僚にとって初めての外国訪問となりました。  これは、バイデン政権下における米国とのつき合い方を方向づける大変重要な会議であったというふうに思いますけれども、安全保障の観点からどのような成果を得られたとお考えか、また、これはちょっと通告していないんですけれども、せっかくなので、大臣の、日米同盟の意義とかこれからの役割について、もしお聞かせいただければというふうに思います。
  89. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まだバイデン政権発足から二か月たっておりません。そういった中で、外交、安全保障政策を担いますブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官がそろって最初の訪問先として訪日をした。これは史上初のことであります。そして、行われました今回の日米プラス2で、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、率直な意見交換を行って、大きく三点確認できたと思っております。  第一に、両国の日米同盟の揺るぎないコミットメントを新たにしたところでありまして、日米同盟地域の平和、安全及び繁栄の礎であるとの認識に基づき、日米で、豪州やインドを始めとする同志国と連携しつつ、自由で開かれたインド太平洋を推進していくことで一致をしたところであります。  これは、先生の通告のないと言った方の質問にも関連することでありますけれども、もう日米同盟は単に二国間の関係ではないんだ、まさに、この自由で開かれたインド太平洋地域であったりとか、世界全体の平和、安全、そして繁栄の礎、コーナーストーンになっている、こういう位置づけだと思っておりますし、その下で様々な分野の協力を進めていく、この基礎だと考えております。  第二に、地域戦略環境についてじっくりと議論を行いまして、特に中国情勢については、中国による既存国際秩序に合致しない行動日米同盟及び国際社会に対する様々な課題を提起しているとの認識で一致をいたしました。東シナ海、南シナ海を含めて、現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも反対するとともに、中国海警法に関する深刻な懸念も共有したところであります。  地域戦略環境に関しましては、尖閣諸島に対する日米安保条約五条の適用を再確認するとともに、同諸島に対する日本の施政を損なおうとする一方的な行動に引き続き反対する、こういったことも確認をし、さらに、台湾海峡の問題、この重要性にも言及をいたしております。ちょっと、北朝鮮の部分はあるんですけれども、長くなっちゃうので。  第三に、こうした厳しい安全保障環境を認識した上で、役割、任務、能力に関する協議を通じて、日米同盟抑止力、対処力の強化に向けた連携をより一層進めることで一致をしたところであります。  まさにバイデン政権、今、一連政策レビューを行っている、こういう途中の段階で、まずは日本の意見を聞こう、そして、よくすり合わせをしようということで、日米外相会談、そしてまた2プラス2、世界の先陣を切って行うことができた、大変有意義だった、このように考えております。
  90. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 大臣から大変力強い言葉をいただきました。  日米同盟というのは、二国間だけじゃなくて、やはり世界の発展とか繁栄に寄与するべく同盟を組んでいる、それだけの覚悟、コミットメントを持っている同盟だということだと思います。また、大臣おっしゃったとおり、まずは日本に聞こうというその言葉からも分かるとおり、アメリカというのがいかにこの日本というのを重視しているかというのも分かりました。この会談で、中国とか北朝鮮を含むアジア諸国にも日米の強い結束とまた強いメッセージを示すことができたと思いますので、大変評価をしているところでございます。  茂木大臣に任せておけば大抵のことは大丈夫だというような、私、勝手に絶対的な安心感を感じておりますけれども、是非とも引き続き、国益のため、そして世界の発展のために御活躍をいただきたいというふうに思います。  参議院の予算委員会があると思いますので、適当なタイミングで御退室されて結構でございます。  続いての質問でございます。  今回の2プラス2では、両国は、尖閣周辺を含む南西方面での日米共同訓練を積み重ねていく考えが示されました。八十分間の会談で最も時間を割いたのが南シナ海や東シナ海を含む地域情勢でありましたけれども、尖閣周辺では、皆さん御案内のとおり、中国海警局が活動を強めておりまして、日米が共に行動している姿を示すことが抑止力を強化することにも当然つながるというふうに思います。  また、菅首相が四月前半に訪米をして、バイデン大統領日米首脳会談を行う予定というふうになっておりますけれども、これはバイデン大統領就任後、対面で行う初めての首脳会談、その相手日本となるわけでありまして、日米同盟結束を内外に示す非常にいい機会にあるとも考えております。  バイデン大統領中国を最も重大な競争相手と位置づけて、安全保障や経済の分野で日本との連携をより強化していきたいという思惑が当然あるというふうに考えられます。日本も、国力を増す中国と対峙するアメリカに対してどういった貢献ができるかというのがこれからますます問われていくというふうに考えています。  前駐米大使の杉山晋輔氏が先日テレビに出演されていて、こういった趣旨の発言をされていました。同盟は相手と同じことをすることではない、大きな共通目的のためにそれぞれがそれぞれの役割を果たしていくことだと。  日本は、米国に対中強硬姿勢というのをやはり期待をしていると思いますけれども、では、自分たちは一体どうなのか。日本独自の役割というのもやはりしっかりと考え、そして実践をしていかなくてはいけません。  ここで質問ですけれども、東シナ海をめぐる中国の動きに対するアメリカとの協力の在り方について、政府としてどうお考えで、また、米国日本にどういった役割を求めてくるとお考えか、お聞かせください。
  91. 鷲尾英一郎

    ○鷲尾副大臣 日米同盟は、日本外交、安全保障の基軸であります。インド太平洋地域国際社会の平和と安定、繁栄の基盤でもあります。  日米間では、首脳間で、日米安全保障条約第五条の尖閣諸島への適用を含む日本防衛に対する揺るぎないコミットメントが表明されているほか、先般行われました日米外相会談及び日米プラス2におきましても、東シナ海及び南シナ海を始め、現状変更を試みるいかなる一方的な行動にも反対するとともに、中国海警法に関する深刻な懸念を共有しまして、同志国を含め、緊密に連携していくことで一致しております。  今後とも、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、米国を含む関係諸国とも連携し、まず、主張すべきは主張しつつ、冷静かつ毅然と対応していくということでございます。  また、米中関係につきましては、通商問題、技術覇権、人権問題等、様々な分野で意見の対立が見られ、厳しい状況にございます。バイデン政権中国に対して厳しい姿勢を打ち出しているところでございますが、同時に、新型コロナや気候変動問題などへの対応につきましては国際協調が重要であるということも述べておりまして、国際社会共通の課題について米中間でも話合いが進むことが国際社会にとっても重要であると考えております。  先般の日米外相会談では、コロナ対策や気候変動問題に加えまして、イノベーションや国際ルール作りといった共通の課題について、日米で緊密に連携して協力していくことを確認しております。そのような観点から、日本としては、バイデン政権との緊密な協力を進めつつ、同時に中国との安定的な関係を築きまして、中国が大国として責任を果たしていくように働きかけてまいりたいと存じます。
  92. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 ありがとうございます。  今、まさに最後に御答弁いただいたところ、アメリカとはしっかりと結束を持ちつつも、中国とも当然、日本は経済的な面を含めて大きな関係を持っているわけですから、やはりそこのバランスというものを大前提とした上で、結束した日米同盟というのをつくっていっていただきたいというふうに思います。  今回の共同文書は、日米のいわゆる役割の分担、また、日米同盟抑止力を強める具体的な方法について、両国が真剣に考え直すいいきっかけになるというふうに思います。特に、中国に向き合っていく日米両国の強い決意を今回見て取ることができたのは大変うれしいことでした。しっかりと名指しをした上で言うべきことを言うし、また、海警法についても深刻な懸念をちゃんと表明してくれています。  こうした2プラス2の成果を踏まえた上で、同盟関係の非常に大事な問題であり、また本日の議題でもあります米軍駐留経費問題について質問に入らせていただきたいというふうに思います。  この米軍駐留経費の問題において、日本政府は昨年の十月から実務交渉を開始したというふうに聞いております。当時のトランプ政権からは、先ほど来話も出ていますけれども、現行の四倍以上と言われる、日本円にして八千四百億円ぐらいの厳しい要求が来ていたとも言われる中で、アメリカ大統領選も踏まえて、日本政府としてはバイデン政権下での交渉をまとめる方に方針を転換した。これが一つすばらしかったんだなというふうに、今思えば感じます。そして、そのバイデン政権下において、二週間程度でスピード決着となったわけです。本来五年間の負担額を定める特別協定において、二〇二一年度の負担額は過去五年と同水準の二千十七億円として、二二年度以降は今後改めて協議をするということで合意をしたということです。  米国側が大統領選挙があって、状況が大きく変わって、また時間的制約がある中で、今回この合意を得られたというのは大変評価されるべきものでありますし、大臣、政府関係者の皆様に、まず心から本当に敬意を表したいというふうに思います。  しかし、ちょっと厳しい言い方をすれば、これは一年延長という、あくまでも先送りに成功したにすぎないとも言えるわけです、しっかりと本質的な議論及び決着がついているわけではないので。  では、本質的な議論とは一体何なのか。  それは、やはり現下の国際情勢というのをしっかりと踏まえた上で、これからの日米同盟のあるべき姿というのをまずしっかりと話し合う。その上で、日本役割はどういったことなのか。その中で、では、どれくらいの駐留経費の負担が相応なのか。こういったやはり順序がなきゃ駄目だというふうに思うんですね。  そこで、質問でありますけれども、来年度以降の米軍駐留経費の負担額については、政府としてはどのようなスタンスで交渉を進めていくのか。また、バイデン政権との交渉で特に重視する点等がありましたら教えていただきたいと思います。
  93. 市川恵一

    市川政府参考人 お答えいたします。  我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟は、我が国防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在でございます。  そして、米軍の駐留は、日米同盟日米安保体制の中核的要素である中で、在日米駐留経費は、その在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保する上で重要な役割を果たしてきているというのが基本認識でございます。  さらに、安全保障政策の対象が、従来の陸海空という領域から、サイバーあるいは宇宙、こういった新しい領域に広がり、また、その脅威が拡大する中で、日米双方が果たすべき役割が大きくなっている、このようにも考えております。  今委員から御指摘のありましたように、様々な状況、事情、制約の中で、現行協定の一年間の延長と今回はなったわけでありますが、バイデン政権発足後、この早いタイミングで必要な合意を得ることができたことは、日米同盟結束に対する両国のコミットメント、これを示すとともに、日米同盟信頼性を高め、それを国際社会に発信するものだと思いまして、高く評価しているところでございます。  現時点で、二〇二二年四月一日以降の新たな特別協定交渉内容、あるいはその進め方を予断することは差し控えたいと思いますが、いずれにしましても、先日の2プラス2で、お互いに、日米双方認識を共有しました一層厳しさを増す地域安全保障環境、その中で我々がどのような役割分担をしていくか、他方におきまして、我が国の厳しい財政状況、こういったものを踏まえまして、複数年にわたります在日米駐留経費負担、適切な内容、水準となりますようにしっかりと対応していきたいと思っております。
  94. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 ありがとうございます。  米国の国務省のソン・キム次官補代行が、十二日の電話会見で、この二〇二二年度以降の駐留経費日本側の負担について、近い将来、複数年合意ができることを期待していると強調されました。  この複数年合意というのは、もちろん一貫性とか安定性をもたらすというメリットもあるんですけれども、やはり、何か起きたときのその状況に応じて柔軟に対応できなくなるというデメリットもあるわけです。  だからこそ、複数年にするのであれば、しっかりと長期的な視点に立って先を見越した上で、日本の国益を第一に考えた上での交渉を今のうちからしっかりとしていただきたいというふうに思います。  そもそも、一九六〇年に制定された日米地位協定は、基地の維持などを含む駐留経費米側が負担するのが原則というふうになっております。一九七八年、さっきからずっと話が出ていますけれども、一九七八年に、円高とか、又は米国の財政赤字、こういったことを踏まえて、日本側が自主的に負担を始めて、その対象というのが、従業員の給与とか光熱水料とか、徐々に徐々に年々広がっていった。この自主的というのが、いわゆる思いやりと言われるゆえんであります。  しかし、米国では、これを英語でシンパシーバジェットとかコンパッションバジェットとは言わないわけでありまして、要するに、米国的にはこれは、思いやりというよりは当然の負担という認識なんだというふうに思うんです。  そもそも、日米地位協定の二十四条に日米間の経費分担を定めているわけですけれども、米国からの駐留経費増への要求が年々続いていって、もはや、この二十四条の解釈とか運用では対応し切れないぐらいの段階に至っているんじゃないかなとも感じています。本来であれば、この二十四条を根本的に見直すとか、そういった根本的な議論をしてもいいんじゃないかとも思っております。しかし、一九八七年以降、時限法としての特別協定が慣例となって、なかなか本質的な議論というのができないまま今日まで来ているのかなというふうに考えています。  確かに日本安全保障というのはアメリカに大きく依存している、これは事実です。憲法の制約もありますし、自国ではなかなか抑止力を持てない、こういった現状で、アメリカ軍が日本国内に駐留しているということは大変意義がある。そして、それに対する対価としてしっかりと経費負担するというのは当然のことであります。  ただ、米軍にとっても、日本に基地があるということでアジア太平洋地域での有利な立場を保てるとか、又は、権益を確保しているのも事実なわけであります。また、日本側も、安全保障関連法を通して、自衛隊の任務とか活動が以前よりもずっと広がった、限定的ではありますけれども、集団的自衛権の行使も可能となってきた。こういった、日米同盟自体の役割と意義が時代とともに変わってきている。これに伴って、やはり両国の役割というのも当然変化をしていくものだ。今後は、今答弁ありましたよね、サイバーとか宇宙とか、そういった新しい分野でも協力体制というのをつくっていかなきゃいけない。  ここで質問ですけれども、こういったように、安全保障や国際平和協力活動における日本役割というのが過去と比べて格段と高まっている中で、この米軍駐留経費日本側の負担の見直しとか又は減額、こういったことを考え、又はアメリカ側に求めていくことも必要なことではないでしょうか。
  95. 市川恵一

    市川政府参考人 委員指摘のとおり、我が国は、新ガイドラインですとか平和安全法制、こういったことを整備してまいりまして、人的貢献を含めて日米同盟抑止力の一層の強化というものに貢献してきていると考えております。同時に、我が国の在日米駐留経費負担を考える上では、我が国の厳しい財政状況を十分に踏まえつつも、昨今の北朝鮮ですとか中国の動向など、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中で、在日米軍の存在が引き続き不可欠であるという点を考慮する必要がございます。  こうした点を総合的に勘案して、今般、現行特別協定を改正しまして、一年間、有効期間延長するということで日米の意見の一致を見たところでございます。  委員から、日本側負担の見直しあるいは減額を求めることについての質問をされておりますけれども、二〇二二年四月一日以降の新たな複数年度特別協定につきましては、まさに今後の交渉次第ということでありますし、その内容進め方を予断することは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、いずれにしましても、交渉に当たっては、一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況、こういったものを踏まえまして、引き続き適切に対応してまいりたいと思います。
  96. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 ありがとうございます。  これは本当に、この駐留経費のみならず、あらゆる日米関係、そういったものが絡んだ中で出てきている金額だというふうに認識していますので、それは一概には言えないと思いますけれども、ただ、あくまでも国民の税金であるということだけは頭に置いて、しっかりと意義のあるお金として負担をするということだけは是非ともやっていただきたいというふうに思います。  二〇〇四年に米国国防省から公表された報告書、これも先ほどから話が出ていますけれども、これによると、日本の負担は当時七四・五%、韓国が四〇%、ドイツが三二・二%。それからもう十七年たった今、日本の負担というのはもっと増えているのかもしれませんけれども、我が国の負担というのが他国の負担に比べて突出して高い。これは高いことが悪いと言っているわけじゃなくて、これにしっかりとした合理的な理由があるのかどうか、ここら辺はやはりしっかりと検証しておくべきだというふうに思います。  案の定、政府高官によると、バイデン政権は同盟関係を重視する一方で、既に負担増を要求してきているという一部の報道もあります。現在の負担率を考えても、今以上に日本の負担分を増やすことというのが妥当なのかというのは、正直、疑念を持たざるを得ません。  バイデン政権トランプ政権と違うのは同盟国との連携を重視している点でありますけれども、新しい形での役割、これを日本がどう果たせるか、これをまずしっかりと示す、アメリカに何か要求される前に、日本がすべきことを自発的にして、示していくということが非常に大事だというふうに思います。そのためには、政府には長期的な視野に立っていただいて、納税者たる日本国民の理解が得られるような毅然とした態度で交渉していただきたいというふうに思います。  今回、一年間延長合意に至った在日米駐留経費負担額、これは二千十七億円でございます。その内訳を見てみると、二つに大きく分けられる。一つが、そもそも本来の日米地位協定で定められている日本側の負担の範囲ですね。これは、先ほど来から話が出ていますけれども、提供施設整備費とか福利費等を含む労務費とか、いわゆる日本がそもそも負担をしますよと決まっているのが四百七十九億円。そしてもう一つが、特別協定による負担、こちらが千五百三十八億円。  これは数字だけ聞くと、やはり違和感を感じるんですよ。本来自分が持つものが四百七十九で、本来アメリカが持つけれども、自主的に思いやりで出している方が千五百三十八億という、本来の三倍ぐらい自主的な方が多い。  これというのは正常な額なのか、又は正常な比率と言えるのか。ひいては正常な協定と言えるのか。日本はこれまで、地位協定の改正とか、要するに、根本的な議論というのはなかなかできてこなかったと思います。やはり、暫定とか特例とか限定とか、そういったものを繰り返して、なし崩し的に予算が増えてきたんじゃないかなと思います。  質問ですけれども、本当にこれだけの額を自主的に負担することが妥当なのか。また、それぞれの経費が適切に米軍で使われているのかどうかチェックするようなすべがあるのかどうか、又はしているのか、教えていただきたいと思います。
  97. 大西宏幸

    大西大臣政務官 中曽根委員にお答えいたします。  我が国の在日米駐留経費負担のうち、日本側が支払いを行っている在日米軍従業員の労務費や在日米施設区域における提供施設整備費については、我が国関係法令等に基づき適切に予算を執行しております。また、光熱水料等や訓練移転費のように米側が直接支払っている経費については、米側から支払い書類など提出を受け、日本側でしっかりと確認、精査した上で負担額を確定しているものでございます。  その上で、厳しい財政状況の中、委員の御指摘のとおり、予算執行に関する精査は極めて重要と認識しており、引き続き、防衛省として、在日米駐留経費負担の適切な執行に努めていく考えでございます。  よろしくお願いいたします。
  98. 市川恵一

    市川政府参考人 負担額の妥当性ということでございますけれども、委員も御指摘なさいましたように、我が国は、昭和五十三年度以降、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するために、地位協定の範囲内で労務費の一部及び提供施設整備費を負担しております。  さらに、昭和六十二年度以降、我が国は、日米地位協定により米側の負担義務がある経費の一部、具体的には、駐留軍等労働者の基本給等の労務費、光熱水料等及び訓練移転費を、日米両国を取り巻く諸情勢に鑑みまして、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するため、同協定の特則である特別協定締結して負担しております。  インド太平洋地域安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟及び在日米軍は、我が国防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためになくてはならない存在であります。その中で、在日米駐留経費は、在日米軍の円滑かつ効果的な活動、米軍の地域への前方展開を確保する上で重要な役割を果たしてきていると認識しております。  政府としましては、こうした一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況にも十分配慮しながら、国民の理解を得られる内容にするとの観点から米側と真剣に協議を重ねた結果、今般の合意に至っているということでございまして、合意に基づく我が国の負担は適切と考えている次第でございます。
  99. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 ありがとうございます。  私は別に負担をするなと言っているわけでもなく、また、今の負担額が決して多過ぎると言っているわけでもなくて、妥当なのかということだけはやはりしっかりと見ておいてくださいということです。大西政務官からも予算執行の精査をしているという御答弁をいただきましたので、ここは極めて大事ですので、これがないと妥当かどうかも分かりませんので、引き続き、そこら辺はしっかりと政府に取り組んでいただきたいというふうに思います。  いずれにしても、同盟への貢献度というのは決して負担額などの金銭的なものだけでは測れるものではありません。やはり日本側の財政的なものも、もろもろの事情をしっかりと相手米国に伝えて、説明して、役割分担を再確認する必要があるんだと思います。  そういった意味で、この役割なんですけれども、現下の日米における安全保障体制、これはどうしても自衛隊が盾で米軍が矛という分担のイメージが強いと思います。しかし、今後は日本も、この矛について、憲法の枠内でやれることをやはりしっかりやっていくべきだし、だからこそ憲法改正というのも大変重要になってくるわけであります。  例えば、敵基地攻撃能力を保有することで日本独自の抑止力の強化にもつながりますし、万が一、米国の抑止が揺らいだときにも、この能力があればしっかりと抑止ができるわけです。こういった、金銭的協力だけでなくて実務的な面の協力、日本がどれぐらいやっていけるか、どれぐらいそういった形で日米同盟に貢献できるかというのをしっかりと模索する必要があると思いますし、それをすることによって負担軽減の交渉の材料にもなるというふうに思います。  先日の2プラス2でも、日米同盟を更に強化するため、能力向上を決意したと文言が盛り込まれました。  ここで質問ですけれども、今後、盾と矛、この関係の見直しに踏み出すことで、金銭的な負担だけでなく、実務協力も含めた同盟のあるべき姿について議論し直す切り口になると考えますけれども、能力向上を決意したとは具体的にどういうことなんでしょうか。  また、抑止力としての敵基地攻撃能力の保有について具体的な議論に入れるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  100. 大西宏幸

    大西大臣政務官 中曽根委員にお答えいたします。  十六日に実施されました日米プラス共同発表においては、日本国家防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するため、能力を向上させることを決意したとしております。これは、我が国を取り巻く安全保障環境が急激に厳しさを増す中、我が国領土、領海、領空をあらゆる手段で守る決意を示すとともに、日米同盟抑止力、対処力の一層の強化に向け、我が国自身の防衛力の強化に取り組む旨を述べたものでございます。  今般の日米プラス2や日米防衛相会談においては、日米共同訓練の実施、宇宙、サイバー領域を含む全ての領域における協力の深化、拡大抑止の強化など、様々な議論がなされており、かかる分野を含む能力の向上を通じ、日米同盟抑止力、対処能力の強化に努めていく所存でございます。  なお、今般の会談では、抑止力強化の在り方について、引き続き政府内で検討を継続していく旨説明いたしました。  いずれにせよ、日米同盟抑止力強化のため、米側とは引き続き様々な形で連携してまいる所存でございます。  以上でございます。
  101. 中曽根康隆

    ○中曽根委員 政務官、ありがとうございます。  現在、政府・与党内でこの敵基地攻撃能力議論というのはちょっと止まっているというか、先送りにされている感じがありますけれども、これは確かに、国内で反発を招いたり、世論を二分するような可能性もあるテーマだと思います。今年は衆議院選挙も行われるわけでありまして、その後まで先延ばしすべきだという声も確かにあります。ただ、延ばせば、その分、中国とか北朝鮮への抑止力強化が遅れるということにもつながるとも言えると思うんですね。  共同発表で盛り込まれた内容について、決してただの約束に終わらせないためにも、こういった問題、政局に絡めずに、日本の国益をしっかりと守って、国民が平和を享受できるための判断をしていただけるように望みます。  繰り返しになりますけれども、今回、駐留経費の負担について、極めて時間的な制約がある中で一年間の延長合意にこぎ着けたということは大変評価ができることでありますし、政府の尽力に本当に敬意と感謝を表したいというふうに思います。しかし、これからの交渉が本番なわけであります。日本もコロナ禍で財政的に余裕がない中で、米国優位の交渉が進められ、また、無尽蔵に税金が投入されるようなことは絶対に避けなくてはならない。むしろ、米国からの要求をうまく利用して、安保体制の下での日本の、ある意味、自立度を高めることもできるかもしれないというふうに思っております。  これからの日米同盟の意義であるとか、また目的、また双方の役割分担をしっかりと議論して、激変する世界情勢の中でこの同盟が確固たる存在感を示して、日本そして世界の安全保障に寄与するものになるように心から期待をしております。  古来より、情けは人のためならずと言いますけれども、行き過ぎた思いやりも人のためにはならない可能性がありますので、今日いただいたお話をしっかりと含めて、日米同盟結束をより強くするというのは当たり前の話でありますけれども、その上で、日本役割というのをこれからの時代に合わせてやはり変えていく、そしてその上で、どれぐらいの駐留経費負担が相応なのかというのをしっかりと判断していく、それがひいては国民がちゃんと納得する形になっている、そういったことを大前提として、これからの議論をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。  ちょっと二分早いですけれども、これで私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございます。
  102. あべ俊子

    ○あべ委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十七分開議
  103. あべ俊子

    ○あべ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤茂樹君。
  104. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。  一昨日に引き続きまして、今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。  また、茂木外務大臣におかれましては、参議院予算委員会の後、この当委員会に駆けつけていただきまして、大変にありがとうございます。  今日議題となっております在日米駐留経費負担に係る特別協定につきましては、私ども、与党手続も経ておりますので、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。  我々は、今回、日本を取り巻く安全保障環境、またインド太平洋地域を取り巻く安全保障環境も非常に厳しさを増す中で、日米同盟及び在日米軍の存在というのは、我が国防衛のみならず、インド太平洋地域の平和と安定のためにはなくてはならない存在である、そのように考えております。その中で、この在日米駐留経費というのは、在日米軍の円滑かつ効果的な活動を支え、一層強固な日米同盟を実現するのに資するもの、そのように考えているところでございます。  今後は、午前中の議論も種々ありましたけれども、二〇二二年四月以降の新たな特別協定合意に向けてどういう交渉をしていくのか、その交渉が焦点になるわけでございます。  そこで、今日は今後の交渉の在り方について伺いたいんですが、ただ、交渉事ですから、日本側の手のうちを明かしていただく、そういうつもりもありませんし、また必要もありませんが、交渉の在り方として、大きな考え方というものを是非、ここで話せる部分については御答弁いただきたいなと思うんです。  ただ、バイデン政権は、今、対中安保戦略についても、また世界的な戦略見直しについても、練り直す作業をずっと進めている、そのように伺っておるわけでございます。ただ、そのときに、今回の2プラス2のように、アメリカ側日本が緊密に調整をして、単に駐留軍経費の負担問題というお金の問題だけではなくて、日本を取り巻く安全保障環境について更に詰めた認識のすり合わせをしていただいて、その中で、日米協力の在り方、日米同盟のあるべき姿というものを検討して、両国がどのような任務、役割分担をしっかりとするべきか、そういうすり合わせをしていただいて、そのためには、その上で日本の負担規模はどれぐらいが適切なのか、そういう議論をしっかりと腰を据えて議論をし、交渉していただきたい、そのように考えているんですが、二〇二二年度以降の新たな特別協定合意に向けての今後の交渉の在り方について、外務大臣の御認識を伺いたいと思います。
  105. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、佐藤委員の方からお話のありました、我が国を取り巻きます安全保障環境が厳しくなっていること、さらには日米同盟が一層重要性を増していること、そこの中で在日米駐留経費が重要な役割を果たしていることについては、全く同意見であります。  さらに、最近の安全保障環境考えますと、サイバーであったりとか宇宙であったりとか、新たな領域にこういった問題が広がっておりまして、その脅威が拡大する中で、日米双方が果たすべき役割というのは極めて大きくなっていると思っております。  委員おっしゃるように、今まさにバイデン政権において一連政策レビューが行われている、この時期に、国務長官国防長官、初めての外遊先として日本を訪れて2プラス2も開催をいたしまして、こういった日米同盟抑止力そして対処能力をいかに強化していくか、意見のすり合わせをしっかりできたということは非常に重要であったと考えているところであります。  そこの中で、私は繰り返し申し上げているんですけれども、どっちが負担をするか、ゼロサムのゲームではなくて、こういった安全保障環境の中で、日本とそして米国、どういう役割、任務を果たしていくかということについてしっかりした議論を行って、その上で、では日本が果たす役割についてはどういうことがある、それに関わる費用というのは幾らなんだ、こういう議論をしていきたい、こんなふうに思っております。
  106. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今外務大臣おっしゃったように、日米の取り組むべき課題というのも、前回の特別協定のときよりは、先ほど例示されました宇宙、サイバー、さらには電磁波の分野、こういう新しい分野についてもしっかり取り組まなければいけない、そういう時代の要請もありますので、是非そういう分野も横断的にどう取り組んでいくのかということについてもしっかりと含めて、底の深い議論をしていただきたいな、そのようにお願いをしておきたいと思います。  それで、もう一点、今日は北朝鮮政策について、特に日本ではなくてアメリカ政策について後で伺いたいんですが、まず、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル、ICBMの発射実験準備の情報というのがどうなのかということについて伺いたいと思います。  日本で2プラス2の会談が行われているその最中に、三月十七日の夕刊各紙によりますと、アメリカの北方軍のグレン・バンハーク司令官が上院軍事委員会の公聴会で、北朝鮮が近く大陸間弾道ミサイル、ICBMの発射実験を開始するおそれがある、そういう認識を示しまして、警告をした、そのように報じられております。また、アメリカのCNNも同じように、複数のアメリカ政府筋の話として、同様の、北朝鮮がICBMの準備をしている可能性がある、そのように報じまして、警戒を強めている、そのように伝えているわけでございます。  そこで、お聞きをしたいのは、ちょうど同じ時刻に日本では2プラス2も、両長官も来られ、またそれぞれの、国務省また国防省のスタッフも来られておりました。そういう北朝鮮のICBM発射実験開始の情報などの情報交換がアメリカ側からあったのかどうか。また、そういう北朝鮮のICBMの発射実験準備の動向について、日本政府として情報を把握されているのかどうかということをまずお聞きしたいのと、たとえ、そのときに情報交換や説明がなかったとしても、今回、2プラス2というのは本当に異例の早さで、日米が、外務防衛の閣僚がこういう会談をするというような一連の外交日程というのは、アメリカ側日米同盟重視の姿勢というものが明確に表れたことではないかと思うので、北朝鮮の核、ミサイルの発射実験の情報や対応についても、今後緊密な連携を取っていただきたい、そのように考えますが、外務省考えを伺いたいと思います。
  107. 曽根健孝

    曽根政府参考人 お答えいたします。  我が国としましては、北朝鮮の動向について、重大な関心を持って平素から情報収集、分析に努めているところでございます。御指摘の報道に関するものを含めまして、様々な情報に接してきております。  先般の日米プラス2でも、北朝鮮の軍備は国際の平和と安定に対する脅威であるという認識も共有しております。2プラス2を含めて、米国とのやり取りの詳細につきましては、外交上のやり取りということもあり、差し控えさせていただきたいと思いますけれども、引き続き、北朝鮮の対応も含め、米国とは緊密に連携してまいりたいというふうに考えております。
  108. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 そこで、私がちょっと気になりますのは、アメリカバイデン政権の北朝鮮政策なんですけれども、今報道によりますと、徹底的な北朝鮮政策の見直し作業を実施されていて、これから数週間をかけてその作業を完了させる予定だというようには伝わってきているんですが、先日、三月の三日に発表されました国家安全保障戦略暫定指針の中では、中国については圧倒的な量を割いているんですけれども、北朝鮮については、外務省からいただいた資料によりますと、核政策、不拡散の中で、日韓と協力しつつ、北朝鮮の増大する核とミサイル計画の脅威を減らすための外交に力を与える、そう触れているだけなんですね。具体的にどうしていくのかという方法というのは、そこからなかなか見えないところがあるわけであります。  バイデン大統領が副大統領を務めておられたオバマ政権のときというのは、戦略的忍耐と称して、北朝鮮が非核化に向けた具体的な措置を取らない限りは対話に応じない、そういう政策を取られてきました。  結果的には、北朝鮮は、核兵器開発の進展をどんどん進めていた。逆に言うたら、北朝鮮のそういう核兵器開発の進展を許してしまった、そういう批判が日本、韓国だけではなくて、アメリカ国内にも根強いと伺っているわけでございます。  その後、トランプ大統領のときというのは、トップ交渉で北朝鮮の金委員長にアプローチをした、そういう経緯があります。  先日の対面での日米プラス2、またブリンケン国務長官との外相会談、こういうところで、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に対する明確な方針や政策、さらには、どういうアプローチを北朝鮮に対してアメリカはされようとしているのかという具体的な方法について、このオバマ政権のときの戦略的忍耐という政策を踏襲されるのか否かも含めて、どのようなバイデン政権の北朝鮮政策に対する考え方が示されたのか。また、日米でどういう部分合意をしっかりとされたのかということについて、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  109. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今週の日米外相会談そしてまた2プラス2におきましては、北朝鮮情勢についてももちろんじっくりと時間をかけて意見交換を行いまして、北朝鮮の軍備、これが今、ミサイルそして核、経済的には非常に厳しい状況の中でも能力を向上している、こういったことが国際の平和と安定にとって脅威である、こういう認識を確認した上で、北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認いたしまして、北朝鮮に対しまして、安保理決議の下での義務に従うことを求めたところであります。  完全な非核化を進めていく、では、どういう進め方をしていくのか。まさにそのアプローチというのは、それを北朝鮮政策レビューの中で行っているところでありまして、やり取りを行っていますが、まさにこれから米国が、数週間後になるか、いつになるか分かりませんが、発表する政策でありまして、それは今後の交渉にも影響することでありますから、ここでつぶさに申し上げることはできないわけでありますけれども、オバマ政権と同じアプローチを取るとは思っておりません、私は。恐らく、これまでの様々な経験であったりとか、そこで北朝鮮が逆に取ってきた行動、こういったものも踏まえた上での対応をするのではないかな、こんなふうに今考えているところであります。  同時に、北朝鮮に関しましては、核、ミサイルだけではなくて、当然、政権にとって最も重要な拉致問題、これがあるわけでありまして、ブリンケン長官も、拉致家族の皆さんからお手紙がありまして、それをじっくり読まれた、胸を打たれたという話でありまして、拉致問題の即時解決、この必要についても意見の一致を見、また、米国から全面的な支持、これも表明されたところであります。
  110. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 今外務大臣も申されましたし、また私も質問の中で言いましたが、アメリカが今レビューをしている最中だということもありますので、今回の両長官の訪日で、また訪韓で、北朝鮮政策については、一番影響を受けている日本あるいは韓国の意見も相当取り入れるんじゃないかと期待するんですが、しっかりとこれからすり合わせを是非していただきたいなというふうに思います。  話は、次、テーマは大きく変わりまして、新型コロナウイルス感染症に対する日本の貢献ということで外務大臣にお伺いしておきたいんですが、日本政府は、新型コロナウイルス感染が世界に拡大してから、今回発表されました二〇二〇年版開発協力白書「日本の国際協力」の中でも紹介されておりますけれども、例えば、私ども公明党が昨年八月に提言をしたことも踏まえながら、COVAXファシリティーへのいち早い、そういう拠出というものも日本政府はされました。さらには、特許プールを通じた治療薬の供給の促進など、途上国を含めたワクチン、治療薬等への公平なアクセスの確保を支援したということが一点。  さらに、保健医療システムの脆弱な国に対して、保健医療分野での支援を実施したり、国際機関を通じた医療機材の供与や能力構築支援を実施してきておられます。  その上で、先日、三月の九日に、新たな支援として、外務大臣は会見で、途上国への新型コロナウイルスワクチンの関連の支援として、コールドチェーン、低温物流網と言っていいかと思うんですけれども、それを整備することでワクチンが確実に行き渡る体制づくりを目指して、約四十五億円の緊急無償資金協力を実施するということを発表されました。  今既に世界中で承認されているもので、ファイザー社のものであるとか、あるいはアメリカのモデルナ社のものというのは、相当な低温でないと保存したり運搬ができないということもあります。そういうところにしっかりと目をつけられて、日本の強みを生かした、そういう支援ではないかと思うんですけれども、是非、私は、その内容について、さらに外務大臣の思いも含めて答弁していただきたい。  もう一つは、今回は、東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国の二十五か国、そういうことなんですが、私は、そういう地域の二十五か国のみならず、アフリカ諸国であるとか中南米諸国、あるいは中東諸国等、他の途上国にも、そういうニーズがあれば、私は、ちゅうちょすることなく支援の対象国をやはり拡大していくべきではないかと思うんですが、今後のコールドチェーンの支援の在り方も含めて、外務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  111. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今後、ワクチンの接種であったりとか様々な対策によって新型コロナの世界的拡大というものが収束に向かっても、世界のどこかでウイルスが残っていたら、また世界的な感染拡大、この可能性は残ってしまうわけであります。  そこで、日本は、途上国も含めて世界全体でワクチンへの公平なアクセスを確保すべく、公明党の方からも御提言いただいたCOVAXファシリティーの形成を主導して、財政的にも貢献をしてまいりました。  他方、COVAXファシリティーの枠組みというのは、その国に届けるまでなんですね。その国に届けてから、今度は一般の一人一人の人に手当てをする、このためには、今おっしゃったような形のコールドチェーンを整備していくということが極めて重要でありまして、コールドチェーンの整備若しくはラストワンマイル支援、こういったことに日本としてしっかりと取り組んでいきたい。また、この分野というのは、日本のこれまでの経験であったりとか技術、そしてまた設備といったものが生かせる分野だ、こんなふうに考えております。  そういったことを踏まえまして、三月の九日、委員指摘のように、東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国に対する四十五億円のコールドチェーン整備のための緊急無償資金協力、これはその第一弾だ、そのように考えておりまして、こういうものを使いながら、また、これまでやってまいりました医療体制が脆弱な途上国に対する様々な支援の中で、各国の中核病院もあるわけでありますから、そういったものを拠点にしながら、きめ細かい、効果的なワクチンの関連の支援を行っていきたいと思っております。  第一弾と申し上げました。今後、それぞれの国のニーズであったりとか外交上の意義、こういったものも考えながら、更にその対象をどうしていくか検討したいと思っております。
  112. 佐藤茂樹

    ○佐藤(茂)委員 日本は、残念ながら国産ワクチンは後れを取っておりますけれども、今外務大臣がおっしゃったように、やはり、日本のこういう強みを生かした世界への新型コロナウイルス感染症防止のための貢献というものを、是非、積極的に、更にスピード感を持ってやっていただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  113. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、津村啓介君。
  114. 津村啓介

    ○津村委員 米軍ヘリコプターの低空飛行訓練の問題について伺わせていただきます。  今年の二月二十四日以降、新聞紙上で米軍ヘリコプターが再三再四にわたって東京都心を低空飛行している旨の記事が掲載をされています。  三月二日の衆議院予算委員会における共産党宮本徹委員質疑に対しまして、政府は、菅総理が「事実関係をしっかり確認した上で、その上でしっかり対応させます。」「ルールに基づいて飛行するのが当然のことでありますから、そこは事実関係に基づいてしっかり対応させます。」と御答弁になっておられます。  そこで、茂木外務大臣に伺わせていただきますけれども、都心上空の米軍ヘリによる低空飛行につきまして、米軍側に事実関係を確認した結果はそろそろ出ているかと思いますが、いかがでしょうか。また、もしまだ回答を得られていない場合は、今後どのように対応されるのか、伺いたいと思います。
  115. 茂木敏充

    茂木国務大臣 津村委員から御提起いただきました問題、今日の午前中のこの委員会でも議論がありましたので、津村委員にも御出席いただいていればよかったと思っておりますが、改めて御説明を申し上げたいと思います。  御指摘の米軍の飛行について、米側に事実関係を確認しているところでありますが、本件につきましては、日米双方が真剣に受け止めておりまして、在日米軍のハイレベルのものも含めて、様々なやり取りを行っております。  現時点で米側からどういう説明を受けているかということでありますが、一つは、ICAOのルールであったりとか日本の航空法と整合的な米軍の規則に違反する飛行があったことは確認されていない、また、報道されている飛行から時間がたっていることもあり、詳細な事実関係の確認はなかなか容易ではない、もちろん、飛行に当たっての安全確保は最優先事項であり、米軍の飛行はICAOのルールであったり日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われてきている、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示をした、こういう説明でありました。  いずれにしましても、米側に対して、安全面に最大限配慮し、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう強く求めていくとともに、航空機の飛行の安全確保については、最優先の課題として日米で今後も協力して取り組んでいきたいと考えております。
  116. 津村啓介

    ○津村委員 一つ一つ確認していきたいと思います。  報道されておりますこの東京都心における米軍ヘリの低空飛行に関しまして、港区、世田谷区、渋谷区、新宿区等、多くの目撃情報と苦情が寄せられていると仄聞しております。何件把握をされているのか、また、そうした苦情を在日米軍に連絡した件数は何件あるのか。これは防衛省に伺いたいと思います。
  117. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  御指摘の東京都内における米軍機と思われる航空機の飛行に伴う苦情等につきましては、例えば、昨年七月から十二月までの間に、防衛省に対して合計二十五件寄せられております。  防衛省といたしましては、これらの苦情等について、自衛隊機に該当がないことを確認した上で、その内容米側に伝え、地元の皆様の生活に与える影響を最小限にとどめるように配慮を求めております。
  118. 津村啓介

    ○津村委員 二十五件全て在日米軍に伝えたということでよろしいですね。
  119. 中山泰秀

    ○中山副大臣 そのとおりでございます。
  120. 津村啓介

    ○津村委員 平成十一年の日米合同委員合意の解釈につきまして、茂木大臣に伺います。  在日米軍による低空飛行訓練に関する平成十一年の日米合同委員合意の有効性でございますけれども、こちら、皆様にお配りしております資料の七ページにつけさせていただいておりますものが現物でございます。外務省のホームページから取っているものですが、こちらの二ポツに、「在日米軍は、国際民間航空機関や日本の航空法により規定される最低高度基準を用いており、低空飛行訓練を実施する際、同一の米軍飛行高度規制を現在適用している。」と、平成十一年に、現在適用しているということですけれども、これは現在も有効なのかどうか。  政府は、過去に高村大臣が同合意について、米軍は最低安全高度を実質的に守ることになっているし、守らなければならないのは当然と答弁されていますけれども、この認識に大臣、お変わりはございませんか。
  121. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、平成十一年の米軍によります低空飛行訓練に関する日米合同委員会の合意は、現在も有効であります。  そして、今、資料の七ページですか、そこに示されました在日米軍による低空飛行訓練について、一から六項目ありますが、その二について御指摘をいただきましたが、最後の部分、同一の米軍飛行高度規則を現在適用しているということであります。これは先ほども申し上げたとおりでありますが、米軍の飛行、これは、ICAOのルールであったりとか日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、このようなことでございます。
  122. 津村啓介

    ○津村委員 それでは、重ねて伺います。  そういたしますと、今回の事案ではありません、一般論として伺わせていただきますけれども、都心の上空で米軍機が高度三百メートル以下で飛行することは認められ得るのか、認められるとすればどのようなケースがあり得るのか、教えてください。
  123. 茂木敏充

    茂木国務大臣 個別具体的な状況に応じて判断する必要があるのは当然でありますが、一般的にという話でありましたので、一般的にということで申し上げますと、例えば、離着陸の際には、ICAOであったりとか我が国の航空法により規定されている最低安全高度基準は適用されません。  また、上空の天候であったりその他緊急の場合で、危険を避けるために低空飛行をせざるを得ない場合、こういったケースについてはあり得ると考えております。
  124. 津村啓介

    ○津村委員 この日米合同委員合意の定義を少し整理させていただきたいと思います。  航空機についてのこれは合意でございますが、日本の航空法についても言及されています。日本の航空法では第二条にその定義が詳細に定められておりますけれども、この日本の航空法の定義と日米合同委員合意における航空機の定義というものは、一致をしているのか、していないのか。もし一致していないのであれば、本合意における航空機の定義を伺いたいと思います。
  125. 茂木敏充

    茂木国務大臣 合同委員合意において、航空機がいかなるものであるかについて、航空法第二条のような定義が置かれているわけではありません。  その上で、米側と様々なやり取りを行っておりますが、今般、米側から改めて、飛行に当たっての安全確保は最優先であり、従来から、米軍の飛行はICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われているとの説明を受けております。また、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示した旨の説明を受けております。  ICAOのルールそして日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知をいたしておりません。
  126. 津村啓介

    ○津村委員 端的に伺いますけれども、航空法の定義と日米合意の定義にはそごがあるということですか。一致しないものがあるということですか。例えばどういう機種ですか。
  127. 茂木敏充

    茂木国務大臣 よく聞いてください。一致しないものがあるとは言っていません、私は。合同委員合意において、航空機とはと、どういうものが航空機に当たるか、こういうことについて、航空法第二条のような定義が置かれているわけではない、このように申し上げております。
  128. 津村啓介

    ○津村委員 航空法第二条のような定義が置かれているわけでないから聞いているんです。どういう定義なんですか、この合意では。
  129. 茂木敏充

    茂木国務大臣 定義は置かれていないと申し上げております。
  130. 津村啓介

    ○津村委員 合意において、定義のない、つまり、定義できないということを大臣はおっしゃっているんですか。  定義が置かれていないのであれば、どういうふうに理解されているのか、大臣の理解をお答えください。航空機とは何かということを聞いているんです。
  131. 茂木敏充

    茂木国務大臣 飛行の在り方ということについて、安全な飛行でなければならない。じゃ、どこの物体、例えばUFOが入るのかとかドローンが入るのかとかいうことより、米軍が飛行している、これが安全でなければならない。  安全確保が最優先だ、そして、米軍の飛行というものはICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われている、こういう説明でありまして、各部隊には米軍の規則に従った飛行を徹底するよう改めて指示した旨の説明も受けているところでありまして。  よく聞いてください、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知をいたしておりません。
  132. 津村啓介

    ○津村委員 今大臣、ちょっと、何といいますか、冗談めかしておっしゃいましたけれども……(茂木国務大臣「いや、違うよ。ちょっとそれは失礼だよ」と呼ぶ)聞いてください。私は答弁も失礼だと思いますよ。  UFOとかドローンはどうでもいいのかというと、UFOやドローンだって定義に入るかどうか、これは一つの重要な論点ですよ。今、はっきりおっしゃらなかったけれども。  そして、私は、今回、米軍ヘリのことを申し上げているので、では端的に伺いますが、これは今回の事案じゃありません、米軍ヘリが、例えば厚木から六本木のヘリポートに他のルールに全てのっとって飛行した場合、これは合意の中の航空機に当たるわけですよね。
  133. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ですから、繰り返しになって恐縮ですけれども、委員は、委員合意において航空機の定義は置かれているかという質問をされたので、私は、合同委員合意において、航空機について、航空法第二条のような定義が置かれているわけではないと。これは質問にきちんとお答えをしていると思います。  それでは、その飛行の在り方はどうなのかと……(津村委員「飛行の在り方は聞いていませんよ」と呼ぶ)じゃ、いいですよ。(津村委員「速記を止めてください」と呼ぶ)
  134. あべ俊子

    ○あべ委員長 質問を続けてください。
  135. 津村啓介

    ○津村委員 航空機の定義を聞くときに飛行の在り方は関係がないと思います。  航空機に、米軍の今回のヘリ、ブラックホークが入っているか否か、イエスかノーか、伺っているんです。飛行の態様は関係ありません。
  136. 茂木敏充

    茂木国務大臣 明確に御答弁申し上げておりますが、航空機について、航空法第二条のような定義が置かれてはおりません。そのようにお答えしております。
  137. 津村啓介

    ○津村委員 文言上定義が置かれていないのは私も承知しておりますが、米軍ヘリがこの合意に縛られるものかどうかというのは明確な質問だと思います。幅のない質問だと思います。お答えください。
  138. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ですから、定義が置かれていないということでありまして、飛行一般について、そこの中で飛行はどうかということであったら、ICAOのルールであったりとか日本の航空法と整合的な米軍の規則に従って行われる米軍の飛行に例外があるとは承知をしていない。  航空機がどうだと言われても、航空機の定義は置かれていないんです。ただ、飛行についてどうかといえば、例外があるとは承知をしていない。明確に委員の御質問にはお答えいたしております。
  139. 津村啓介

    ○津村委員 それでは、大西さん。  今日の午前中に、国土交通委員会で同じやり取りをさせていただいております。今、皆さんに追加資料としてお配りさせていただいた八ページのものがそれでございます。大西大臣も同席をされていたと思いますので、御確認いただいた上で、このときのやり取りを御紹介ください。赤線の部分です。
  140. 大西英男

    大西大臣 この早刷りの速記録に基づいてお話をさせていただきますと、委員から国交大臣に御質問がありました。それに対して大臣は、米軍ヘリは、都心部においては、建物から換算して高度三百メートル以下で飛ぶことはできないというルールになっているということでよろしいでしょうかというような答弁をいたしました。(津村委員「私が質問したんです」と呼ぶ)そうですね。そのように私も今、指摘をしましたよ。  この答弁につきましては、私ども国交省の認識として答弁されたものと思いますが、米軍の飛行に適用される基準については外務省にお尋ねいただきたいと思います。(津村委員「そんなことは聞いていない、これを紹介してくださいと言っているんですよ」と呼ぶ)  だから、紹介させていただきましたね。(津村委員「いやいや、赤線の部分、これは間違っているんですか」と呼ぶ)
  141. あべ俊子

    ○あべ委員長 津村啓介君、質問を続けてください。
  142. 津村啓介

    ○津村委員 この最後の赤羽大臣の話を私は伺っているんですよ。  私がこの四行を質問したことについて、今、大西さん、読んでくださいましたが、もう一行ございますね。国務大臣が、そのとおりでございますとおっしゃったわけですよね。そうですよね。
  143. 大西英男

    大西大臣 御指摘のとおりでございます。
  144. 津村啓介

    ○津村委員 それでは、外務大臣に伺います。  この赤羽大臣の認識は、誤りはありませんね。
  145. 茂木敏充

    茂木国務大臣 私はその場におりませんでしたので、この議事録だけから理解をするという範囲でありますけれども、赤羽大臣は恐らく、実態としてどうなのか、こういう理解の観点から答弁をされたんじゃないかなと思いますが、法律的に厳密に申し上げますと、米軍については、米軍地位協定の実施に伴う航空法の特例法によりまして、民間航空機の円滑な航空交通を確保することを目的とした規定を除き、適用が除外されております。  ただし、米軍は全く自由に飛行を行っていいというわけではもちろんございません。米軍の運用に際しては、公共の安全に妥当な考慮を行い、安全性が最大限確保されるべきことは言うまでもないわけであります。  そして、米側の飛行がどうなっているか、厳密に定義で申し上げますと、ICAOのルールや日本の航空法と整合的な米軍の規則に従い、安全を最優先に配慮して行われている、このように理解いたしております。
  146. 津村啓介

    ○津村委員 私は、両大臣の御認識が一致していないのではないかというふうに受け止めました。なぜならば、米軍ヘリと明確に私は主語を区切って赤羽大臣に伺ったところ、これは対象になるという意味で、そのとおりでございますとお答えになっている傍ら、茂木大臣は、私が端的に、米軍ヘリがこの日米合意の定義の中に、明文上定義はされていないかもしれませんが、これは法律である以上何らかの縛りがあるはずですから、その枠内に入っているのかという問いに対して、イエス、ノーではお答えになられませんでした。  かなり長いことおっしゃっていましたので、また議事録等を精査する必要があると思いますけれども、端的な、米軍ヘリがこの日米合意のらち内にあるのかないのかということは極めて重要な問題だというふうに思いますし、過去の高村大臣の答弁その他との整合性が問われることだと思います。  在日米軍がどう受け止めているのか、日本政府はどう受け止めているのか、きちっとそれが合致しているのか。そして、国交省と外務省でさえ、私、これは合致しているかどうか非常に怪しいと思いますよ、答弁が合致していないじゃないですか。そのとおりでございますと言えるんですか。
  147. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
  148. 茂木敏充

    茂木国務大臣 赤羽大臣は、実態としての理解を述べられたんだと思っております。私は、厳密な法律論を申し上げております。
  149. あべ俊子

    ○あべ委員長 津村啓介君、申合せの時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
  150. 津村啓介

    ○津村委員 皆さん、今後とも是非御議論いただければと思います。  終わります。
  151. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、赤嶺政賢君
  152. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。  最初に、自衛隊基地からの泡消火剤の流出事故について質問をいたします。  二月二十六日、航空自衛隊那覇基地で、航空燃料保管施設に付設された消火施設から泡消火剤が流出する事故が起こりました。泡消火剤は基地の外にも飛散し、周辺のモノレールの駅や保育園、三キロほど離れた那覇市役所付近でも確認をされています。空自は、事故後、那覇市などに対して、流出した泡消火剤にPFOSが含まれておらず、毒性や損傷性がないことを伝えただけで、触れてしまった場合の危険性や対応方法については一切説明をしていませんでした。  たとえPFOSが入っていなかったにせよ、子供が誤って触れたり誤飲すれば重大な事故になりかねません。触れた際の洗浄の徹底などを呼びかけるべきだったのではありませんか。
  153. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  まず初めに、本事案に関しまして、近隣住民の皆様に御不安を与えており、誠に申し訳なく思っております。  近隣の保育園においては、仮に泡消火薬剤が皮膚に付着した場合には水で洗い流すように注意喚起をしたところでありますが、県や市に対しても同様の説明を行うべきであったと考えてございます。  いずれにしましても、今後、同様のことが発生しないよう再発防止に努めてまいりたい、そのように考えてございます。
  154. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 回収した汚染水について聞きますが、今、どこでどのように保管し、いつまでに処分するのですか。  あわせて、昨年二月のPFOS処理実行計画に基づいて那覇基地全体でこれまでに交換、処分したPFOS含有泡消火薬剤の量と、未交換、未処理の量、今後の処理計画を明らかにしていただけますか。
  155. 杉山真人

    ○杉山政府参考人 お答えいたします。  回収した泡消火薬剤を含む液体は、ドラム缶に入れた上で、漏えいした場合でも地面にしみ込むことがないよう、舗装されている那覇基地内の消防車庫の中で、ブルーシートを敷いた上で保管しております。現在、その液体のPFOSの含有の有無について分析を行っているところでございます。現時点において処分の時期は未定ですが、いずれにしましても、法令に従い適切に処分したいと考えております。  また、令和元年度末に那覇基地で保有していたPFOS含有泡消火薬剤について、PFOS処理実行計画に基づき交換済みの泡消火薬剤の量は約二万リットルであり、そのうち約千八百リットルの処分を完了しております。交換を完了していない泡消火薬剤の量は約千六百リットルでありまして、交換を完了し、基地内で保管されているものを含め、残りの処分量は約一万九千八百リットルとなります。全ての処分の完了時期につきましては、令和三年度末を目標としております。
  156. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 空自は、今回流出した泡消火剤は交換した後のもので、PFOSは含まれていないと説明をしているわけです。ところが、京都大学の原田浩二准教授が基地外に飛散した泡消火剤を分析したところ、一リットル当たり二百四十四ナノグラムものPFOSが検出されております。  政府は、暫定目標値をPFOS及びPFOAの合計で五十ナノグラム以下としておりますが、今回検出された量はその五倍であります。なぜPFOSが検出されたのか、空自の住民に対する説明と矛盾するのではありませんか。
  157. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  防衛省としましては、PFOS処理実行計画に基づきまして、泡消火薬剤を順次PFOSを含まないものに交換をしている最中でありますが、二月二十六日に航空自衛隊那覇基地の外に出た泡消火薬剤は、PFOSを含まない泡消火薬剤であるとの報告を受けておりました。  三月十日の飛散した泡消火薬剤からPFOSが検出されたとの報道を受けまして、翌十一日には回収した泡消火薬剤の分析についての契約を締結したところでございます。  速やかに御指摘内容の分析を行い、PFOSの含有の有無をしっかりと確認してまいりたい、そのように考えてございます。
  158. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 この非常に矛盾した、しかも国の基準を超えたPFOSが含まれていたというのは、住民を不安に陥れる、最初の説明から住民に対しての丁寧な姿勢が足りないなということを強く思います。  防衛省は今、全国の基地あるいは駐屯地でPFOSの処理を進めていますが、同じことを繰り返してはいけないと思います。徹底した事故原因の究明と、再発防止策の全省への周知は急務であります。  そのためにも、現場の自衛隊任せにしないで、防衛省本省が責任を持ち、第三者の専門家も入れた調査体制をつくるべきだと思いますが、この点、いかがですか。
  159. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  今回の件につきましては、那覇基地から様々な報告を受け、防衛省本省、航空幕僚監部共に協力してその対応を検討し、逐次様々な助言を行っているところでございます。  また、先般回収した泡消火薬剤につきましても、速やかにその内容を分析、その上で、その後の調査体制についても検討してまいりたい、このように考えております。
  160. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 中山副大臣、現場は私の自宅の近所なんです。だから、幾らでも情報が入ってくる。それだけ市民の不安が訴えられているということでありますから、徹底してやっていただきたいと思います。  特別協定について質問をします。  政府は、今回、現行協定の有効期間を一年延長し、その上で、二〇二二年四月以降の新たな複数年度協定締結に向けて交渉を継続するとしております。  この間の経緯を振り返って、まず、ただしておかなければならないと思うのは、米軍基地で働く労働者の権利の問題です。  アメリカトランプ政権は、米軍駐留経費の負担を、日本政府には四倍以上、韓国政府には五倍以上に引き上げるよう、法外な要求を行ったことが報じられました。期限までに交渉がまとまらなかった韓国では、基地労働者の約半数、四千人が無給休職に追い込まれました。自分たちの基地を支える労働者に対してこんな扱いをするのかと、非常に強い憤りを覚えたものであります。  翻って、日本はどうかといえば、日本の労働法令が米軍との労務提供契約に十分に反映されず、米軍の判断一つで解雇や非正規雇用への置き換えが行われている実態があります。三六協定や安全衛生委員会の設置についても、いまだに日米間で合意に至っていません。  防衛大臣に伺いますが、同じ日本で働く労働者であるにもかかわらず、働く場所によって労働者としての当たり前の権利が保障されない現状は、直ちに改める必要があると思います。今後、この点、どのように取り組む考えですか。
  161. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  在日米軍従業員の労働条件につきましては、日米地位協定第十二条5の規定に基づき、雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、別段の合意をする場合を除き、我が国の法令で定めるところによることとされております。  その上で、具体的な労働条件は日米間で締結している労務提供契約において規定しており、その内容については、その時々の労働関係法令や労働環境等を踏まえ、適正なものとなるよう、労働組合の同意を得た上で、改正を積み重ねてまいっております。  さらに、労務提供契約に基づきまして、実際に米側が労務管理を行う際にも、労働関係法令等の趣旨を踏まえた適正なものとなりますように、日米間で不断に協議をしております。  防衛省といたしましては、引き続き、御指摘を踏まえ、米側や労働組合と緊密に連携をしつつ、雇用主の立場から、雇用の安定や適切な労働環境の確保に全力を尽くしてまいりたいと思います。
  162. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 適正になるようにこれからも努力していくというお話でありましたが、今の米軍の基地の中で働く労働者に日本の国内の労働法令の全てが適用されていない実態、全駐労もその改善を強く求めてまいりました。引き続きの、本当に、雇用主は防衛省ですから、きちんとした対策を取っていただきたいと強く要望しておきます。  次に、協定の国会審議に当たっての政府の説明責任についてであります。  私は、昨年五月の本委員会で、米軍駐留経費米側負担額が二〇一一年度以降公表されなくなっている問題を取り上げました。先日の本会議でのやり取りを聞いていましたら、相変わらずその点を明らかにしていませんでした。国会に協定の審議を求めるに当たって、日米双方の負担額と負担割合がどうなっているかを明らかにするのは、これは当たり前だと思います。  外務大臣に伺いますが、今回の国会審議に当たって、アメリカ側に対してアメリカ側負担額を明らかにするよう求めたんですか。
  163. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、ホスト・ネーション・サポートについての基本的な考え方を申し上げたいと思います。  日米の負担割合、これを論じる前に、まずは我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割であったりとか任務の分担を行っていくべきなのか、また、その下で我が国の負担規模が適切か否かを考えることが大事だと思っております。  その上で、我が国のHNSの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効率的な運用を支えるHNSは引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、日本として主体的に判断をしております。  日本政府としては、もちろん、交渉の中で米側から提供される情報であったり関連する情報を最大限収集した上で交渉に臨み、その上で、一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、米側と真剣に協議を重ねていきましたが、その具体的なやり取り、そして米側から提供された情報内容につきましては、相手方との交渉、さらには、今後、複数年度協定交渉、これもあるわけでありまして、そういったものへの影響もあることから、差し控えさせていただきたいと思います。
  164. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私が聞いているのは、ごくごく常識的、当たり前のことだと思いますよ。  特別協定を国会で審議をするに当たって、外務大臣は、まず、金額とか負担割合とかじゃない、最初に日米同盟があるんだ、こうおっしゃっておりますが、日米安保条約の下で結ばれている地位協定の枠を外れているのが今度のHNSですよね。特別協定ですよ、これは。暫定的、限定的というわけですよ。  そういう特別協定を審議するに当たって、日米双方の負担額と負担割合がどうなっているかを明らかにするのは、これは当たり前ではないか。その当たり前のことを、国会審議に当たって、アメリカ側に対し米側の負担額を明らかにするよう日本外務省は求めたのかどうか。これは、しかし求めたら交渉事で相手が都合が悪いとか、そんな問題ではないと思いますよ、これは特別協定ですから。いかがですか。
  165. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そうは申し上げておりません。交渉の中で米側から提供される情報であったりとか、関連する情報を最大限に収集した上で交渉に臨んでいる、このようなお話を申し上げました。  国民の税金を使う我が国としてどれだけ負担をするか、我が国が果たすべき役割としてそれが適切であるかどうか、このことはしっかり御審議をいただきたいと思っております。  一方で、どういうやり取りをしたか、それに使った情報はどうなのかということに関しては、相手方との関係、さらには複数年度の今後の交渉もあるわけであります。それへの影響等も当然交渉というものは考えなきゃなりません。全てが終わっているわけではないわけでありますから、そういう観点から差し控えたい、このように申し上げただけです。
  166. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 全ては終わっていないんですが、日本はそういう米軍の駐留経費の額を定めているわけですよね。発表しているわけですよ、日本側は。そうでしょう。米軍の駐留経費の負担額は、日本政府も当たり前に公表している基本的な情報であります。アメリカ政府も、かつては毎年議会に提出する報告書で明らかにしておりました。  アメリカは、これは何で明らかにしたらまずいと、アメリカが言っているのか、日本政府考えているのか、そのまずいと思っているところをもっと具体的に説明してくれませんか。
  167. 市川恵一

    市川政府参考人 お答え申し上げます。  委員が御指摘のとおり、以前、米側は、米側が試算した在日米軍駐留に係る米側の負担額ということを二〇一〇年の時期まで提供しておったわけでございますが、現在そういうことはしておらないということでございます。  なぜ米側がそういうことをしないのかということはつまびらかではございませんけれども、いずれにしましても、先ほど大臣から申し上げましたとおり、私ども、交渉に当たってはでき得る限りの情報収集を行いますし、交渉の中で、米側とのいろいろなやり取りの中で、できる限りの、米側が負担するような情報についても入手した上で交渉を行うということは当然でございます。  ただ、先ほどから大臣が申し上げているとおり、交渉事でございますので、その交渉の中でどのようなやり取りをしているかということは差し控えさせていただきたい、こういうことでございます。
  168. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 米側は公表しない理由をつまびらかにしていないけれども、それは交渉事であるから日本は理解しよう、そういう公表をしていないということを。しかし、交渉の中で米側から得られる情報をできるだけたくさん得ようという努力はしている、そういう話ですね。  これは情けないんじゃないですか。そういう特別協定を結ぶに当たって、地位協定でさえ定められていないようなお金を出すに当たって、こんな交渉やり方しかできないのか、私はそう言いたくなります。  今日、午前中のやり取りの中でも出ておりましたけれども、三月十七日に、アメリカの政府監査院、GAOが日本と韓国の駐留経費負担に関する報告書を公表いたしました。  これによりますと、二〇一九年の米側負担額は五十三・四億ドルとなっています。ところが、そのうちの三十一億ドル、五八%は米軍兵士の給与であります。どこに駐留しようと当然支払うことになる兵士の給与まで駐留経費だと言っている一方で、家族住宅や軍事施設の整備、維持費用は四億ドルにすぎません。  同じ年の日本の負担額は、思いやり予算とSACO関係経費、米軍再編関係経費が合わせて三千九百九億円、施設の借料や周辺対策などで千九百十四億円、基地交付金などで四百十一億円、提供普通財産借り上げ試算が千六百四十一億円、これらを全て合計すると七千八百七十五億円、一ドル百九円で換算をすると七十二億ドルです。  駐留経費の大半を日本が負担する実態になっているのではありませんか。今からでも、米側負担額と日本側の負担割合をきちんと確認して、国会に、本委員会に報告すべきではありませんか。
  169. 市川恵一

    市川政府参考人 お答えいたします。  委員が御指摘になりましたGAOの資料でございますけれども、果たしてこれが米側駐留経費の全体像を表しているかどうかというようなことは、必ずしも明らかではないというところでございます。  例えば、軍属の人件費などは入っておらない一方で、大使館等の費用も入っているというようなことでございますので、その意味で、それを根拠とした概算あるいは計算というのは、一概に適切かどうかということは言いかねると思います。  その上で、先ほど来大臣も申し上げておりますけれども、日米の負担割合を論じる前に、やはり我が国の平和と安全を確保する上で、日米でいかなる役割、任務の分担があるのか、その下で我が国の負担規模、これが適切か否かということを考えることが大事であるということでございます。  今後、複数年度にわたります交渉が行われますが、その際におきましても、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSが引き続き重要であるという点を踏まえた上で、厳しい我が国の財政状況、それから我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮して、主体的に判断してまいりたいと思います。  以上でございます。
  170. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 今私たちが直面しているのは、GAOで米側が出した駐留経費よりも日本側が負担している駐留経費が上回っている、これに疑問を持つのは当然ですよね。  それは、あれが全てではないとか、あるいは、米軍兵士の給与まで入れてこれは何だとか、いろいろな疑問がありますけれども、そういう、国会でやるなら日米同盟の大きな枠を議論しようじゃないか、その後、金額は別だというのでは話が通りませんよ。これは、お互いに負担割合をどうするかというのも重要な議論の核心点ですよ。GAOが出したことをきっかけにして、日本政府駐留経費を全部明らかにせよと米側に求めるべきであります。  政府の責任に関わってもう一点伺いますが、今回の2プラス2に先立って、アメリカの国務省が日米同盟現状に関するファクトシートを公表いたしました。その中で、日本は約五万五千人の米軍人を受け入れているという記述があります。  防衛大臣に伺いますが、防衛省は二〇一三年三月末を最後に在日米軍の駐留人数を公表していません。国際社会における米軍に対する脅威のために情報が提供されなくなったというのが、これまでの防衛省説明でありました。  ところが、今回、こういう形でアメリカ政府自身が公表しております。これまでの説明と矛盾すると思いませんか、明らかにできるということではありませんか、いかがですか。
  171. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  まずは、御指摘の記述について承知をいたしております。米軍人の人数に関する情報についていかなる情報が公表可能かについては、米側判断をするものであり、防衛省といたしましては、その判断の是非についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。  その上で、過去、政府が米側から入手し、公表していた在日米施設区域内外に居住する地方公共団体別の米軍人等の人数については、二〇一四年以降、米側から、国際社会における米軍に対する脅威により、より厳しい考慮が必要であるとして、懸念が示され、政府に対して情報の提供がなされていないというのは委員指摘のとおりでございます。  防衛省といたしましても、米側懸念について一定の配慮が必要と考えますが、在日米施設区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることが重要だと考えております。  防衛省としましては、米軍人等の人数に関わる情報の適切な取扱い等につきまして、関係省庁と緊密に連携しつつ、引き続き米側と協議をしていきたい、そのように考えてございます。
  172. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 米側はちゃんと自分たちを公表しているわけですからね。  資料をお配りしております。防衛省がかつて公表していた二〇一三年三月末までの居住者数の推移です。  軍人を見ると、二〇〇八年三月末には、全国が四万九千三百六十四人、そのうち沖縄が二万四千四百三十九人でした。ところが、二〇一三年三月末には、全国が五万二千七百八十六人、沖縄が二万七千七百九十一人となっています。沖縄で三千人以上が増加し、それがそのまま全体の増加につながっていることが分かります。軍属も全国で千人以上が増え、そのうち半数を沖縄が占めております。  沖縄の負担軽減というのは、総理か外務大臣防衛省から何度も聞かされました。負担軽減と言いながら、現実には駐留人数が増えていたことを示すものであります。その後、公表されなくなりました。  米軍への脅威が理由と言いますけれども、アメリカの国防総省のホームページには、世界各国に駐留する米軍関係者の規模を公表しているサイトがあります。二枚目の資料は、沖縄県がそれを一覧表にまとめたものであります。ここでは、沿岸警備隊などの人数を除外しており、若干のずれはありますが、二〇一三年以降も基本的には増加の傾向にあることが分かります。  二〇二〇年三月時点の日本の駐留人数は五万五千百四十八人となっています。二〇一三年との比較で、二千人以上が増えています。この一方で、この数字は国ごとに公表されているもので、その中で沖縄がどうなっているかは分かりません。  要するに、政府が沖縄の負担軽減を言っているときに、アメリカ政府は独自の判断で駐留人数を増やしている。そうした実態をできる限り隠そうと、米軍への脅威は口実であって、公表するのを、隠すためにやめたという具合にしか受け取れませんが、いかがですか。
  173. 中山泰秀

    ○中山副大臣 先ほど来申し上げておりますけれども、先生御指摘の米軍に対する脅威というのは、ちょうど私が外務大臣を仰せつかっていたとき、いわゆるISILのテロリストの者たちが、当時の連合軍、いわゆる空爆に参加をしたパイロットの住居、氏名、生年月日、そういったものを細かく詳細までインターネット上に公表をし、そして、その者たちの命を奪った者に金を払うというようなプロパガンダに使われていたというテロとの闘いの現実が当時ございました。  したがいまして、そういった脅威というのはいまだに継続をしているものであるという認識が私自身にもございます。  そんな意味を踏まえて、今回のこの米側懸念について一定の配慮が必要だという考え、そして、在日米施設区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることは重要だと政府も考えてございますが、引き続き、先ほど答えたように、関係省庁と緊密に連携しつつ、米側と協議をしていきたい、そのように考えてございます。
  174. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 米側に配慮する余り、結果として、政府が取ってきた沖縄の負担軽減、逆に駐留兵士は増えていた、そんなふうになったら、負担軽減はまやかしで、それを沖縄県民に知られないために公表しなくなった、脅威は口実だったと言われても仕方がないですよ。だって、増えているんですから。負担が増大しているんですから。幾らこんなふうに説明しても、納得できるものではありません。  駐留人数だけではありません。同じ頃には、それまで公表していた米軍基地内外の居住者数の内訳も公表しなくなりました。公表されていたときの推移を見ると、基地の外の居住者数が年々増える一方で、基地内の居住者数は減少していました。日本政府思いやり予算で隊舎や家族住宅を造っているのに、基地の外の景色のいい海岸沿いに住む米軍関係者が増加して、地域住民が不安を訴えるということが起こってきました。そうした実態を、これも隠すために、基地内外の居住者数も公表をやめたのではありませんか。  思いやり予算の審議を行う上で、そもそも、全国と各県、市町村に駐留、居住する米軍関係者がどれだけいるのか、そして、基地の中と外の居住者数や、基地の中の隊舎や家族住宅の入居率、この入居率も明らかにしていく、これは当然ではありませんか。
  175. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  繰り返しになりますけれども、過去、政府が米側から入手し、公表していた各種数字につきましては、二〇一四年以降、国際社会における米軍に対する脅威により、より厳しい考慮が必要であるとして懸念が示され、政府に対して情報の提供がなされておりません。  他方、もちろん、沖縄の負担軽減については、政府として全力を挙げているところでございます。また、これも先ほど副大臣が答弁申し上げたところでございますけれども、防衛省としては、米側懸念について一定の配慮が必要と考えますけれども、在日米施設区域の安定的な使用を確保する観点からは、こうした情報を得ることが重要というふうに考えております。  防衛省といたしましては、米軍人等の人数に係る情報の適切な取扱い等につきまして、関係省庁と緊密に連携しつつ、引き続き米側と協議をしてまいりたいと思っております。
  176. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 思いやり予算で基地の中に隊舎や家族住宅を造ったりしているけれども、実際には基地の外に住んでいる米軍兵士、しかも非常にリゾートですよ、リゾートのところに住んでいる、そういうのが増えている。それも実態が公表されないので、なかなか明らかにならない。  しかし、少なくとも、HNSを審査する上で、家族住宅、基地の中の住宅の入居率、隊舎の入居率、これは国会審議で出すのは当たり前ですよね。ごくごく当然だと思います。外務大臣と私と日米同盟に対する考え方は違いますが、考え方の違いはともかくとして、こんなの、国民の税金を使う以上、審査の対象として資料を出すのは当たり前だということを、さっき努力するという旨のお話がありましたから、是非、これはきちんと公表していただきたいと思います。  次に、今後の交渉についてであります。  先ほどのファクトシートは、次期協定に関して、新たな拡大された複数年合意に向けた交渉が継続している、このように述べております。拡大されたと明記して、日本側負担の拡大を求めるアメリカ政府の姿勢を明確にしています。  そもそも、日本政府が一九八七年に特別協定締結に踏み切ったのは、アメリカの財政赤字が最大の理由でありました。今どうなっているかといえば、債務残高の対GDP比を比較すると、日本アメリカの二倍です。主要先進国の中で、ずば抜けて最悪の水準になっています。しかも、コロナ禍で多くの国民が生活に困窮し、赤字国債の発行額は急増しております。  今後、切り縮められてきた医療機関や保健所の体制の立て直しに予算を振り向けていくことも必要になってきます。地位協定の負担原則に反する特別協定は廃止すべきであって、よもや増額するなどということはあってはならないことだと思いますが、政府は、この点、どういう方針で交渉に臨んでいるんですか。
  177. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。
  178. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国を取り巻きます安全保障環境が厳しくなっていること、さらには我が国の厳しい財政状況、そういったものも踏まえて、しっかり交渉してまいりたいと考えております。
  179. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 終わります。
  180. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、杉本和巳君。
  181. 杉本和巳

    杉本委員 維新の杉本和巳であります。よろしくお願いします。  まず、ちょっとこの場をおかりして恐縮なんですけれども、去る一月十二日に亡くなられました歴史研究家、近現代史の大家であられた半藤一利さん、御冥福をお祈りさせていただきたいと思います。  それで、半藤さんの書物で、茂木大臣は博識なのでもう御存じだと思うんですけれども、この場の皆さんが御存じないことかと思ったので、ちょっと一つトピックスを紹介させていただきます。半藤さんの研究によると、大日本帝国という名前が昔ございました、この名前というものを決めたのは、どこでいつ誰が決めたのかというのが書物にありましたので、読まれた方もいるかもしれませんが、昭和十二年、決めたのは外務省ということが書いておられました。それまでいろいろな呼び方があったんですけれども、この昭和十二年から大日本帝国に統一することになったということでありますが、一方で、これは半藤さんが書いているわけではありませんが、私が調べた限り、英文表記についてはその際にきちっと決まらなかったということがあったようでございます。  その半藤さんではないんですが、多くを歴史から我々は学ばなければならないということで、安保の委員会でトゥキュディデスのわななんかについても大臣質疑させていただいていますが、今日は、ちょっと、所信というか政府四演説でお話は伺っているんですけれども、外交の重要性を、2プラス2もありましたけれども、改めて大臣と共有させていただければということで、冒頭、その基本姿勢というか大臣の思いを伺いたいんですけれども。  歴史を振り返りますと、日露戦争前の日英同盟を結んだのは、第十八代また二十三代外務大臣であられた小村寿太郎さんの存在がありました。一方で、太平洋戦争突入前の国際連盟の脱退、あるいは日独伊三国同盟締結、あるいは日ソ不可侵条約、あるいは日ソ中立条約とも言われますが、この辺りの中心人物は松岡洋右さんという第六十三代の外務大臣でいらっしゃいました。  また日露開戦時に戻りますけれども、外務大臣の任にはなかったんですけれども、後に司法大臣、法務大臣に当たると思いますが、セオドア・ルーズベルト、フランクリン・ルーズベルトさんではない方の、親戚でいらっしゃいましたけれども、このセオドア・ルーズベルト大統領のハーバードの大学の法律分野の同窓であるという縁で、福岡県人、そして、私も知らなかったんですけれども、ニッポン大学、ニホン大学ですね、ニホン共産党さんとも言うしニホン大学とも言うので、我々はニッポン維新の会なんですが、日本大学の初代校長の金子堅太郎さんという方がいらして、この方が、いわゆる、タイミングを見て、米国による日露戦争の停戦講和への道を開くように、アメリカにおいて広義の外交活動をされたということがあったようでございます。  四演説でも伺いましたけれども、平和を希求する日本にあって、抑止力、最近は対処力という言葉も重なるようになりましたけれども、その防衛とともに、あるいはそれ以上に必要不可欠なのは、賢者による、巧者による、よく、あの人はいい人だ、人物だと言われることよりも、その役職にあってその職責を果たすかどうかが私は政治家には求められているのではないかと、僭越ですけれども思っております。  そういった意味で、その外交、的確な外交、あるいは私は積極外交とこの間予算委員会で言わせていただいたんですけれども、極めて重要と感じるところであります。  我が国の平和と繁栄、広く見て、世界の平和と繁栄のために、外交の重要性、また、よく普遍的価値と使われたり基本的価値という言い方をされたりする、このことの共有性の大切さ、ここにおいて、この場をおかりして、菅内閣の最重要閣僚の一人でいらっしゃる、第百四十七代を終えられて、今百四十八代という茂木大臣に改めてその御見識を伺えればと思います。お願いします。     〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
  182. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これまでの歴史を振り返ったときに、力によってではなくて、やはり外交的に物事を解決していく、こういったことが極めて私は重要だと思っております。  アレキサンダー大王、一代にして、マケドニアから始まりましてインドに及ぶ大帝国をつくるわけでありますが、まさに力の象徴であったアレキサンダー大王も、力によって得たものは長続きしない、信頼によって得たものは永遠であるという言葉を残しております。  私も、そういった意味で、対話であったり、そしてまた平和的な解決、これを基本日本外交を進めていきたい。同時に、先生おっしゃるような、民主主義であったりとか法の支配であったりとか基本人権の尊重、こういった価値を広げていく、こういったことも極めて重要だと思っております。  外交は組織でやるものでもありますが、同時に、ある意味人間関係でもある、このように今思っているところでありまして。まさに、私だけではなくて、外務省に所属する全ての人間がそういう思いを持って相手との信頼関係をつくっていくということによって日本のプレゼンスも高まっていくと考えておりますし、今、外務省の職員、そういった思いで真剣に取り組んでくれている、このように確信をいたしております。
  183. 杉本和巳

    杉本委員 ありがとうございます。改めて御見識を伺えてよかったなと思っております。  それでは次に、この議定書承認案件にちょっと入らせていただきます。  何人か御質問されているのに重なる部分もあるかと思いますが、改めて伺いますけれども、一年延長となる現行の議定書等、有効期間が二〇一六年から二〇二〇年の五年間であったものを、有効期間は五年だったということでありますけれども、今般、アメリカ政権交代等の事情から、コロナ禍ということもあるかもしれませんが、一年延長という、はたから見ると暫定的な議定書改正の承認というふうになったと理解させていただいていますが、その先を見据えて、再来年度以降どうされていくのかということが非常に大事ではないかなというふうに思っています。  またちょっと僭越な言い方をして恐縮なんですけれども、歴史を振り返りますと、今二〇二一年でございますけれども、四十年前というと、大体四十年ごとに我々ちょっと考えていく必要があるんじゃないかと実は思っておりまして、一九八〇年、大平総理でした。そして、第何代というのがちょっと多いかもしれないですが、そのときの外務大臣は百三代の大来佐武郎外務大臣でありました。その一九八〇年から更に四十年遡ると、これは申し上げた松岡洋右外務大臣であって、そのときの総理大臣は近衛文麿氏でありました。  四十年前は、茂木大臣も私も、これから政治家にとか、あるいは、志は、いつかと私は思っておったようなときなんですけれども、それからあっという間に四十年がたちました。そして今日を迎えているんですけれども、逆にその一九八〇年から四十年遡ると日本が踏み間違えたときというようなことでもあるので。  ちょっと僭越ですけれども、今回、五年というタームがあるという質疑も、先ほど外務省の方から答弁があったのも聞いておりましたけれども、五年と言わず、やはり日米同盟日米関係というのは十年、二十年、あるいはこの四十年ぐらいを展望して、昨日、桜井よしこさんがテレビで言っておられましたけれども、中国の国力というか人口というかはこれから減っていくのではないか、逆にアメリカは、移民等もあって、若い人が産み、増えているというような状況の中で、だんだん人口が近接していって、また先は、今、中国の台頭が非常に行っているけれども、その先を見れば、やはり普遍的価値を共有する国々というのがまた力を持ってくるんじゃないかというような思いの中で、やはりここは何とかしのいで、そして、抑止力とかそういうものはしっかり蓄えつつも、茂木大臣がおっしゃった、信頼によって得たものは永遠である、不変であるというようなお言葉、大事だと思うので。  そういった意味から、私も今日は浦野代議士に代わって質疑させていただいていますけれども、できれば、勉強をすると、今回の件についても、SACO合意ですか、スペシャル・アクション・コミッティー・オン・オキナワですね、これは平成七年、一九九五年、日米両政府による設置、あるいは、昔を思い出す、いわゆる思いやり予算と言われるような部分、いろいろ、今も赤嶺先生が質疑されたようなこと、いろいろ何層にもわたって今の仕組みができていて非常に分かりにくいというのも確かにあると思います。  そういった意味で、建設的な意味でやはり見直しをしていく必要が私はあると思っておりますので、今のところ、これからは当然検討していくとか、そういう官僚的な答えと言ったら官僚の方に失礼なんですけれども、そういう事務的な答えは全然要らないんですけれども、むしろ、やはり長期を展望する、建設的な見通しを立てていく、あるいは、それこそ申し上げた四十年ぐらい先を見通すとか、あるいは、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、二十二世紀、二一〇一年を見通す日米関係なのか、あるいは日本外交なのか、あるいは日本防衛なのかというような点で、どんな展望をお持ちでこの次の交渉考えていかれるのかを、基本的な部分を確認させていただければと思います。     〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日米同盟杉本委員がおっしゃるように、単に短期的なものではなくて長期的視野に立って議論していく、考えていく必要があると思っております。  恐らく、元々、日米同盟、これが始まったときは日米の二国間関係であった。これが今は、地域の、そして世界全体の平和、安定、さらには繁栄の礎になっている、間違いないわけでありまして、これは深化をしてきているわけであります。長期的なスパンに立ってこういった議論をしていくということは極めて重要だと思っております。  その一方で、安全保障面、様々な技術進展というのがあるわけであります。  振り返ってみますと、例えば、今から五十年ぐらい前、一九六九年になりますけれども、米ソが月に向けて競争をしていた時代、アポロが初めて、アームストロング船長、月に第一歩をしるした。あのときNASA全体で使っていたコンピューターの容量、これは我々が今持っているスマホ一台の容量よりも少なかった、こういう時代であります。ちょっと考えられないようなことでありますけれども。  そういった技術進展等々を考えたときに、どこまで先まで見通せるか、こういったことも考えながらやっていく必要があるのではないかなと思っておりますが、御意見については、拝聴すべき御意見だと思っております。
  185. 杉本和巳

    杉本委員 ありがとうございます。大所高所から御答弁いただいて、かつ、お言葉でいただいているので、大変ありがたく思います。  次に、ちょっと順番を飛ばして、大臣から御答弁いただくようなものを先にさせていただきたいんですけれども、地政学とかそういった分野のことを伺おうと思っています。  約二十年前の数字が、共同防衛に関する同盟国の貢献に関する報告という、これは山尾さんが本会議場で、今ちょっと外されましたが、何でそんな昔のやつをまた数字を言っているんですか、数字とかを取らなきゃいけない、もっと新しい数字があってもいいみたいな質疑をされていたと思いますし、質疑もいろいろあったかと思いますが。その数字、今日の質疑でも何度も出てきましたけれども、日本負担割合はそのときに七四・五、同報告では、他国は、韓国約四〇、ドイツは三三%、イタリア四一%ということです。また、韓国については、二〇〇九年時点で、韓国側負担七一%という数字があるということです。  翻って、数年前の平成二十九年、二〇一七年の一月二十六日の衆院予算委員会議事録によりますと、当時の民進党さんの後藤祐一議員の要求に応じた試算では、総額約二千二百十億のうち日本側負担が千九百十億円支出、すなわち八六・四という数字があったということで、これもまた今日何度か質疑に出ていると思います。  私が言いたいのは、その比率がどうだとかというよりも、数字が独り歩きするというのは適切でないし、相対的な認識は必要だと思いますけれども、各国それぞれ、やはり地理的、歴史的、地政学的な、あるいは地経学とも言われたりもしますけれども、そういった立ち位置が背景にあって、それによってできている負担割合だというようなことを我々は肝に銘じる必要があるんじゃないかと思っていますが、この負担割合について、日本の地政学的な事情というのを外務大臣としていかに御理解をされているか、ちょっと質問が重複しているかもしれませんが、歴史と地政学といろいろ伺って恐縮ですが、お答えいただければと思います。
  186. 茂木敏充

    茂木国務大臣 例えば、ドイツとかイタリアを考えてみますと、一九八九年の冷戦構造崩壊前の状態、特に六〇年代であったりとか、北大西条約機構、これがワルシャワ条約機構と対立をする形で、まさに当時のソ連のSS2が自分たちに向けられている、こういう状況におけるNATOの在り方と今の状況というのは全く異なっていると思います。  さらに、例えば、日米安全保障条約と北大西条約機構のお互いが果たすべき役割というのも違っている。  今の地球儀といいますか国際社会を見たときに、これだけある意味軍事的に拡張する勢力、さらには不透明さを持つ動きがあるのは、やはり我が国周辺、こういう状況であるのは間違いない、こんなふうに思っておりまして、そこの中で、日米同盟であったりとかホスト・ネーション・サポートも考えなければいけないと思っております。  何か、バードンをシェアするというか、負担を、荷車があって、同じ重量のあれをどっちが引っ張っていくかというよりも、どうこの地域の平和と安定に貢献をしていくか。そこの中で、日本はどれだけのコントリビューションをしている、またアメリカはどれだけのコントリビューションをしている、様々な視点から、日米同盟であったり安全保障条約、さらにはホスト・ネーション・サポートというのは議論していきたいな、こんなふうに思っております。
  187. 杉本和巳

    杉本委員 ありがとうございます。勉強にもなります。ありがとうございます。  次に、ちょっと、施設の借用が、今次、審議の中身のところで、一千十八億というふうにありますが、よく言われる、沖縄には全国における米軍専用施設の七〇%が集中、殊に沖縄本島では県土の八%を軍用地が占めているという中で、沖縄の中の地元紙には軍用地の売買の広告が並ぶ、売買が盛んに行われるというふうにも聞こえてきております。  いわゆる借地料を払う形式から、国が買い上げて米側に使っていただくというような形に順次やはり入れ替えていくことを提案したいということなんですが、このことについて、ちょっともう少し話させていただくと、政府・与党は、重要施設周辺及び国境離島における土地等の利用状況の調査及び利用の規則などに関する法律案を準備しているというんですが、今、見通しが立っていないやに聞こえております。  維新としては、同様の法案に更に事前審査を加えて、より厳格な法案を何度も提出し、その法案の必要性を十分に認識しています。  これについては、昨日、小此木担当大臣に維新の提言書を、遠藤国対委員長、足立幹事長代理、浦野政調会長、音喜多政調会長代理という四名が伺って、提言をお持ちしております。  ここの部分についても、ちょっとあえて言うと、基地周辺とか国境の議論なんですよね。私が今日触れたいのは、実は、米軍の土地、米軍基地のその土地の下そのものであり、私が触れたいのは、自衛隊の土地、周辺じゃないんですよ、自衛隊が使っている基地の下の土地の権利、余り大きく言いたくはないんですけれども、実はここの問題もしっかりと我々は目を配っていかないと、この国の安全保障という意味で本当に十分なのかという思いをしております。  それで、今日の審議も、参議院の方では東国対委員長も取り上げて、重要土地立入検査規制の大切さも、これもまた、申し訳ないんですが、我が党が出しているのも、まだもう一歩要るのかなというふうに実は私は思っているんですが、我が党としては、周辺土地、離島ということの事前審査的なところの大事さみたいなところも言わせていただいているということであります。  要は、米軍の土地であれ、日本国防衛省の自衛隊の土地であれ、防衛省の土地であれ、市谷は大丈夫でしょうけれども、しかし、市谷周辺の高いビルにたくさん韓国の人が住んでいるというふうに実は私聞いているんですけれども、別にどこの国という特定をする必要はないと思われますが、日本安全保障上、やはり、外国人の地主、外国人投資家による所有、大いなる危惧を持っておりますけれども、この点についていかなる御見識を政府がお持ちか、これは中山副大臣に御答弁いただけますか。中山さん、お願いしたいんですが、委員長、いいでしょうか。
  188. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  在日米施設区域として米側に提供する土地のうち、民有地及び公有地につきましては、賃貸借契約により使用権原を取得することを基本としており、必要に応じて買収により使用権原を取得をしております。  さらに、合意の得られない土地につきましては、やむを得ず、駐留軍用地特措法の規定によりまして使用権原を取得することといたしております。  その上で、土地の使用権原取得に関して、防衛省といたしましては、引き続き、この方針の下、米軍に対して安定的に施設区域を提供するため、今後とも、土地所有者の御事情や財政状況等を勘案し、適切に対応してまいりたいと考えております。  なお、内閣官房におきましては、現在、安全保障上重要である防衛施設周辺や国境離島等を対象とし、土地等の調査や規制を行うための、先生から御指摘のあった新法をこの通常国会に提出するため検討が行われているものと承知をいたしております。  防衛省といたしましては、防衛施設周辺における土地の利用、管理の在り方は、国家安全保障に関わる重要な問題と認識しているところでありまして、国防上の基盤である防衛施設の機能発揮を万全なものとするため、内閣官房の検討に協力するなど、しっかりと連携の上対応してまいりたいと思っております。  いずれにしましても、引き続き、安全保障上の懸念が生じないよう、米軍に対して安定的な施設区域を提供するとともに、先生から御指摘のあった防衛省・自衛隊の有する土地についてもしっかりと守り抜いていきたい、そのように思います。
  189. 杉本和巳

    杉本委員 ありがとうございます。  今、最後のお言葉、防衛省・自衛隊の土地についてもという副大臣のお言葉、重たいと思います。  それに加えて、私が今日ちょっと提起したのは、今大変力をいただいている米軍の、一坪地主というようなことの中で、沖縄の独特の事情とかあるのは分かっていますけれども、その一坪地主がきちっとした方々によって管理あるいは所有されるのであれば問題ないと思うんですけれども、逆に、やはりいろいろな思惑の中で土地が所有されてしまうリスクというのも、米軍の基地はできるだけ、時代の変化によって、宇宙、サイバー、電磁波とかと変わっていく中で、そんなに広いところは要らなくなっていくとか、いろいろな変化がまた起きてくるかもしれませんけれども。  一方で、本当に大事な、我々を支援してくださっている米軍の基地の下の地主の権利といったものも改めて政府に御認識いただいて、この辺の問題意識も、さらに、今回の法案も出していただきたいし、更に深掘りした法案も我々は与野党を超えて準備していくことが国民の暮らしにもつながるし、また、茂木大臣が言われた信頼をかち取っていく上でも、やはり交渉という部分での、そういった意味での隙間だったり油断だったりということのないようにしていただきたいとお願いをしておきます。  次に、もう時間もだんだんなくなってきたんですが、昨日の読売新聞なんかにも記事があったかと思いますが、尖閣諸島の久場島、大正島が米軍の射爆撃場ということで、大正島は国有地、久場島は民間人所有というふうに聞いていますけれども、昭和四十七年、一九七二年五月十五日から、日米合同委員会において米軍による使用が許されているということです。  そしてまた、米軍がその水域を使用する場合は、原則として十五日前までに防衛省に通告することとなっているということで、この使用状況について質問主意書なども出ているというふうに認識しておりますけれども、そして、昭和五十三年、一九七八年六月以後は、その通告が、事前通告がなされていないという由でございます。  2プラス2もございましたけれども、我々は、しっかりと外交もしていただくんですけれども、防衛の方の抑止力、対処力という意味で行動していくということも大事だと思います。  まずは日本国自身の行動が求められている一方で、やはり、アメリカ姿勢も確認しておくという意味で、なかなかハードルは高いかもしれませんが、この射爆撃場として真に活用するということで、日米プラス2の中でも、ザ・センカク・アイランズという明記もされました。しかし、言葉よりもやはり行動と重ねて申し上げますけれども、この点において、米軍に実際に、いいですよ、そんな大きなのじゃなくても、しかし、訓練にやはり使っていただくということが日本の施政下にまさしくあるということの証左になるということだと思います。  これは、2プラス2で確認いただきましたけれども、より一歩踏み込んだ、お互いの行動という中の提案として、米側にお願いすることとして、この尖閣の射爆撃場という部分を実行していただくという時期に実はもう来ていると私は思っていますので、ここのところ通告がないということしか分かりませんけれども、実際に、やはり共同訓練も大事ですけれども、この尖閣も、日本の施政下で日本のソブリンティーがきちっと及んでいるところでありますので、そういった意味で使っていただくということを促してはいかがと思いますが、いかがでございますでしょうか。
  190. 大和太郎

    大和政府参考人 お答え申し上げます。  尖閣諸島に属する久場島及び大正島につきましては、一九七二年五月十五日の日米合同委員会において合意の上、それぞれ射爆撃場として現在まで米側に提供されているものであります。  防衛省といたしましては、これらの射爆撃場は、引き続き米軍による使用に供することが必要な施設及び区域であると認識していますが、実際の使用に関しては、米軍の所要によって決定されるものと承知をしております。  先生から行動が大事だというお話がありました。自衛隊と米軍は、これまで尖閣諸島周辺を含む南西方面において共同訓練を多数実施してきております。今般の2プラス2が行われました十六日の前日、十五日も、沖縄本島北西の東シナ海上空において、航空自衛隊と米軍の戦闘機の間で防空戦闘訓練を実施しております。  引き続き、こういった訓練によって、自衛隊の戦術技量の向上、日米の共同対処能力の強化を図るとともに、地域の平和と安定に向けた日米の一致した意思そして能力を示していきたいと存じます。  いずれにいたしましても、尖閣諸島は歴史的にも国際法上も疑いのない我が国の固有の領土であります。そして、現に我が国はこれを有効に支配しております。  防衛省・自衛隊といたしましては、領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、米国とも緊密に連携し、どのような取組が有効か、不断に検討、調整を行い、実行に移していく考えであります。
  191. 杉本和巳

    杉本委員 答弁ありがとうございます。  エスカレーションは避けなきゃいけませんけれども、じゃ、共同訓練のときに一緒に射爆してはどうなのかということだって、机上の空論ではなくて、やはり現実に考えていく必要があるということを提案申し上げて、質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  192. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、山尾志桜里君。
  193. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。  今日は長い一日ですけれども、最後のバッターですので、よろしくお願いいたします。  ちょっと最初に、今朝の毎日新聞の朝刊で、ブリンケン国務長官の、日本にいた際のメディアとのオンライン記者会見のことが出ていまして、包括的なことなので、ちょっと茂木大臣にお伺いをしたいと思います。  この記事によると、ブリンケン国務長官が、このHNSの今後の交渉に関して、今後ですね、「複数年を対象にした協定になるだろう。非常に複雑化した環境の中、多くの意味で安全保障のコストはさらに高くなっている」と指摘をしたと。これは、日本のメディアとの東京都内でのオンライン記者会見の中での言葉ということで引用されています。  毎日新聞は、この「多くの意味で安全保障のコストはさらに高くなっている」というブリンケン長官の言葉を引用した上で、「日本側の負担増を暗に求めた。」と評価をしているわけですけれども、茂木大臣にお伺いします。  2プラス2のときにこういった趣旨の言及があったのか、そしてまた、今後こういった負担増を求められるような場面があるとしたら、どのように反論をするべきだと考えておられるか、いかがでしょうか。
  194. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ブリンケン国務長官とは率直な意見交換をさせていただきました。当然、今後、複数年度協定についての交渉をしていくということでありまして、その交渉をするに当たっては、我が国を取り巻きます厳しい安全保障環境であったりとか財政状況等々も考えなきゃなりませんけれども、恐らく、ちょっと私、その記事は拝見していないんですが、そこで言うコストというのは、日本語的なお金というよりも、どれだけの役割を果たすか、これはコストですから、そういう意味で使われているんじゃないかなと思います。
  195. 山尾志桜里

    ○山尾委員 コストという意味合いについて、必ずしもお金のコストだけではない意味で使っていた可能性も十分あるというふうに理解します。  ただ、その上で、本当にこれ以上の負担をするお金があるのであれば、私は、HNSに使うのではなくて、日本の主体的な防衛予算に回すべきだというふうに思っていますので、是非しっかりと交渉していただきたいと思います。  その上で、今日は令和三年度のHNSの議論なわけですけれども、今日は私、質問通告は少ないんですね。情報開示の問題と、あと日・ジブチの地位協定のことです。  情報開示のことを、今日一日、屋良議員や赤嶺議員も質問をされて、拝見をしていると、この件については、茂木大臣、随分口が重いなというふうに思っています。いつものような、茂木大臣ならではの言葉が出てこないなというふうに今日一日見ておりました。  先日、水曜日ですね、大西防衛政務官にお越しをいただいて、質問を用意していたんですけれども行き着かず、大変失礼をいたしましたので、今日はこの続きから入りたいというふうに思っています。  皆さんも御承知のことだとは思いますけれども、こうやって中継でこの議論を見ている国民の方々もいらっしゃいますので、改めて、お手元の資料、まず最初の資料を御覧ください。  これは、平成二十七年度の在日米関係経費に関する日本側負担額等の内訳という、防衛省で出された資料であります。赤マーカーで囲ったところがいわゆるHNS経費であります。  この資料によりますと、分かるところは、この赤マークの一番上の段を見ていただくのがシンプルかと思いますけれども、この平成二十七年度のHNSの総額が約二千二百十億、うち日本側負担が千九百十億、米国側負担が約三百億、そして、この数字をベースにして計算されてここに書かれている総額に対する日本側負担の割合が八六・四%。たまに出てくる八六・四という数字は、この資料が基になっているものであります。  一枚めくっていただいて、今回、令和三年度ですけれども、HNSの日本側負担は二千十七億。これが今議論をされています。  改めて防衛省に聞きます。この平成二十七年度のときと同じ算定方法で計算した場合の、令和三年度の米側負担額は幾らでしょうか。そして、日本の負担割合は何%でしょうか。
  196. 大西宏幸

    大西大臣政務官 山尾委員にお答えを申し上げます。  在日米駐留経費負担、HNS、米側負担額及び日米負担割合に関し、米軍の駐留に伴い必要になる経費範囲については、様々な捉え方があることなどから、一概に算定し得るものではありません。  その上で、御指摘資料は、二〇一六年、当時要求のあった議員のお考えに沿って機械的に、在日米関係経費として日本側が負担している経費項目のみを捉えて、日本側の負担割合を日本側が把握している範囲で単に試算した、数値化したものでございます。  具体的に申し上げれば、資料に記載した数値は、防衛省予算である在日米関係経費の項目のみを基にし、その内訳を出したものであり、そのほかの米側のみが支払っている経費を含めた在日米軍の駐留に伴い必要となる経費全体の日米の負担割合や項目を示すものではありません。  したがって、在日米駐留経費負担として日本側が負担している経費項目のみを捉えて、米側負担額や日本側の負担割合を数値化することは適当ではないと考えております。  このため、御指摘資料と同様の算出方法では令和三年度予算案に関する数値をお示しすることは差し控えさせていただきます。  以上です。
  197. 山尾志桜里

    ○山尾委員 というやり取りをここ数日ずっとしていまして、その上で何とか出てきたのが、皆さんのお手元の資料の最終ページの資料六というものであります。先ほどのも、平成二十九年に後藤祐一議員が要請をして、二年前の平成二十七年の実績値で出された資料なので、今回も、三年度のは出せない、ただ、二年前、令和元年度における米側の金額について出せるところを出してほしいというところまで申し上げたら、これが出てきました。  二つ目の黒丸ですね、令和元年度において米側が以下の金額を支出したと承知していると。ここには、基本給等の労務費が約百五十五億、これだと日本側支出は千二百七十五億なので、この項目だけで見ると日本側負担割合が八九%。そして、光熱水費については、令和元年度の米側支出は百七十八億と出ました。日本側支出はここは二百十九億なので、負担割合は五五%、この項目についてはということになります。ここは明らかになりました。  そこで、お伺いをします。  このHNSは、この二項目プラス三項目、訓練移転費と提供施設整備費と、あと福利費等の労務費、この三項目が出てくれば、少なくとも実績値では、二年遅れで、総額米側負担額、ひいては日本の負担割合を検証できるということになるわけです。この三項目について、令和元年で結構ですので、米側の支出金額、出してください。
  198. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  ここに書かれていないこの三つの項目でございますけれども、こちらについては、米側が公表していないものの当該経費項目に関連して米側が支出している経費がある、そういった場合であっても政府として米側の支出を把握していないということで、便宜的に、米側経費をゼロ、日本側負担割合を一〇〇というふうに記載しておりますところ、米側負担額という観点から、この数字をもって使うのは適切ではないというふうに認識をしております。
  199. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ちょっと説明が分からないんですけれども、では、資料を基にお話を進めますね。  平成二十七年度の資料では、少なくとも、この三項目のうち訓練移転費と福利費等の労務費については米国負担ゼロというふうに出していますよね。どうして平成二十七年では開示できたのに今回は出されないんでしょうか。ゼロではなくなったんでしょうか。
  200. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  ゼロということがちょっと誤解を招いているということかもしれませんけれども、米側が公表していないものの当該経費項目に関連して米側が支出している経費がある場合でも政府として米側の支出を把握していない、数字として書きようがない、把握していないということで、便宜的に米側経費をゼロというふうにしているということでございますので、米側経費がゼロであるということを我々が認識をした上で記載をしているというものではございません。  したがいまして、こちらを、便宜的にゼロというふうにしているということでございますので、ゼロであるという前提でもって議論するのは、ちょっとなかなか、ふさわしくないのかなというふうに認識をしております。
  201. 山尾志桜里

    ○山尾委員 そうすると、この平成二十七年度の資料防衛省が出した資料ですけれども、本来ゼロではないものをゼロとしてしまった、こういう御主張ですか。
  202. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  この試算の資料でございますけれども、日本側が負担している経費項目のみを捉えて日本側の負担割合を示したということでございます。  繰り返しになりますけれども、米側が負担しているようなものであっても我々として把握していないもの、その項目として見たときに把握していないものはゼロという形で出させていただいている、そういう前提で積算をしているということでございます。
  203. 山尾志桜里

    ○山尾委員 これは防衛省が出した資料なので、はっきり言っていただきたいんです。  ゼロと書くべきでなかったものをゼロと書いてしまったということなんですか。つまり、ゼロじゃない可能性がありますよという話なんですか、この平成二十七年度の資料は。
  204. 青木健至

    青木政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど大西政務官の方からも御答弁いたしましたけれども、この資料は、平成二十八年当時に、要求のあった議員のお考えに沿って機械的に、在日米関係経費として日本側が負担している経費項目のみを捉えて、日本側の負担割合を日本側が把握している範囲で単に試算として数値にしたものでございます。
  205. 山尾志桜里

    ○山尾委員 やはり幾ら何でも無責任だと思うんですね。  この不明なものは、提供施設整備費のところ、米側負担額を見ていただくと、ちゃんとバーになっているんですね。もし今のようなお答えであれば、分からないのだということだったら、ゼロと書くべきではなくて、ほかの二項目もバーで書くべきだったんじゃないんですか。  それを、幾ら議員の求めに応じたものと機械的に出したものとはいえ、防衛省のクレジットで出しているわけでしょう。やはりそういう無責任なやり方は、私は本当によくないというふうに思います。  その上で、では防衛省に改めてお伺いします。  これは政務官に伺いますけれども、そうすると、今のお話を聞くと、この二十七年度の資料に基づくと、総額ということで、さっき申し上げたように、総額二千二百十億という数字を防衛省が自分の資料として出しているわけですけれども、実はこれは正確な総額ではない、総額は把握していないという理解で間違いないですか。
  206. あべ俊子

    ○あべ委員長 防衛省青木地方協力局次長。(山尾委員「いやいや、政務官。政務官、どうぞ」と呼ぶ)  まず、政府側を指名しましたので、お願いします。
  207. 青木健至

    青木政府参考人 まず、ちょっと事実関係について改めてお答えを申し上げます。  資料に記載されました数値につきましては、防衛省予算である在日米関係経費の項目のみを基にその内訳を出したものであり、その他の米側のみが支払っている経費を含めた在日米軍の駐留に伴い必要となる経費全体の日米の負担割合やその項目を示すものではございません。
  208. 大西宏幸

    大西大臣政務官 大変申し訳ございません。  同じ答弁になるかも分かりませんけれども、具体的に申し上げれば、資料に記載された数値は、防衛省予算である在日米関係経費の項目のみを基にその内訳を出したものであり、その他の米側のみが支払っている経費を含めた在日米軍駐留に伴い必要となる経費全体の日米の負担割合や項目を示すものではございません。  その上で、防衛省としましては、在日米駐留経費負担の経費項目のうち、米側が令和元年度において、労務費のうち基本給等について百五十五億円、光熱水料等については百七十八億円支出したと承知しています。  しかしながら、この数値はあくまでも日本側として承知している米側の支出額であり、在日米軍の駐留に伴い必要となる経費全体における米側の負担額をお示しするものではございません。  以上でございます。
  209. 山尾志桜里

    ○山尾委員 日本として、防衛省が出した資料について聞いているのに、いや、実は米国はもっと負担している可能性があるんですよ、だから正確じゃないんですよという説明を聞くと、何かまるで米国政府の説明を聞いているような気すらしてきて、やはり極めて何か不本意なんですよね。  その上で、もう一回伺いますけれども、政務官に伺います。  とすると、あの二項目については、令和元年度の米国負担額、出していただきましたけれども、そうしますと、令和元年度のホスト・ネーション・サポート総額については、防衛省は把握をしているんですか、していないんですか。どちらですか。
  210. 大西宏幸

    大西大臣政務官 お答え申し上げます。  我が国のHNS負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるHNSは引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況我が国を取り巻く安全保障環境等の各種要素を総合的に考慮し、判断をしております。  政府といたしましては、交渉の中で米側から提出されている情報や関連する情報を最大限収集した上で交渉に臨み、その上で、一層厳しさを増す地域安全保障環境我が国の厳しい財政状況等を踏まえて、米側と真剣に協議を重ねてまいりましたが、その具体的なやり取りや米側から提供された情報等、内容等については、相手方との関係や今後の交渉の影響もあることから、差し控えさせていただきます。
  211. 山尾志桜里

    ○山尾委員 論理的に考えて、この表の中にも不明という項目があるわけですから、総額については把握していないとしか理解のしようがないんですね。把握していないものを、交渉の過程をつまびらかにできないからお答えできないとおっしゃっているので、把握していないことは恥ずかしいことだという、そんな認識はあるのかなというふうに思ったり、あるいは、ある程度向こうから数値が出されていても、正式なものとして出されたものではないので、把握しているということにはならないのかなというふうに推測をいたします。  この点、皆さんのお手元の資料、今日はほかの委員の方からも出ましたけれども、GAOの資料、この資料を見ていただくと、この数字だけでいいますと、米側の試算というか数字ですけれども、米側が二・四兆、日本側が一・五兆、これを機械的に計算すると、三八%の日本側負担ということになってしまいかねない数字がこのように出ているんですね。  外務大臣にお伺いをいたします。  ちなみに、もう一ページ開いていただくと、これも同じところから出ている資料ですけれども、二〇二一年の日本駐留経費米側コストとして五千七百十六ミリオン、為替レートを百七円で換算すると六千百六十八億円というような数字もこういった形でアメリカ側から出されているということをお伝えをした上で、外務大臣、お伺いします。  この数値については、これだけが走っていっては困りますので、先ほど、今根拠が分からないので現時点で評価を控えたいとおっしゃったのは理解しますが、きちっと検証していただいて、日本政府として必要があれば打ち返しをしていただきたいというのが一点です。  もう一点は、やはり日本の国益と考え方を踏まえて、日本政府として、日本の負担割合を計算し公表していくということに、やはりさすがにここからは取りかかっていただきたい。この一年は大事な交渉期間です。そのことを、やはり今までの延長線上ではなくて取り組んでいただきたい。  この二点、いかがですか。
  212. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しております。御協力いただきます。
  213. 茂木敏充

    茂木国務大臣 山尾委員の御指摘、しっかり踏まえて今後の交渉に臨んでいきたいと思いますが、交渉基本といいますか、一つはよく、いわゆるカー・セールス・ゲームとユニオン・ストライク・ゲームというのがあるわけですけれども、カー・セールス・ゲームにおいては、いかに相手情報をしっかり捉えるかが重要であります。そして、ユニオン・ストライク・ゲームにおいては、いかに協調関係をつくっていくことが重要だ。こういったことも踏まえて交渉に臨んでいきたいと思っております。
  214. 山尾志桜里

    ○山尾委員 今日は終わります。
  215. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  216. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより討論に入ります。  討論の申出がありますので、順次これを許します。阿久津幸彦君。
  217. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立憲民主党・無所属の阿久津幸彦でございます。  在日米駐留経費負担に係る特別協定について、賛成討論を行います。  HNS特別協定は、歴史的経緯もあり、在日米軍の安定的な駐留、円滑かつ効果的な運用を支えるものであり、また、米国政権交代などの影響で、今回は暫定的な一年延長となったことも理解します。そして、在日米軍基地等で働く二万三千人超の日本人の労働者の雇用を守るためにも必要な延長措置考えています。  ただし、在日米軍の駐留に関しては、日本の主権が制約されている地位協定に起因する様々な問題が存在します。日米間の地位協定は、戦後七十年間一度も改定されておらず、米国が他国と締結している地位協定と比較しても多くの制約が残っています。  その一つが、米軍が排他的な基地管理権を持っているため、駐留軍等労働者の労働実態が把握できない環境にあることです。その結果、労働条件の悪化やパワハラなど深刻な問題につながっています。さらに、低空飛行、事故後対策、横田空域の問題など、課題は山積しています。  日米同盟の深化と地位協定の改定は不可分です。まず、日米役割分担、それに基づく負担の在り方をしっかりと議論すべきです。日米が真のパートナー、同盟国となるためにも、地位協定そのものの議論が必要であることを肝に銘じて、米国との交渉に当たるよう政府に求めます。  特別協定の今後の交渉に当たっては、これまでの歴史的経緯と協定の趣旨を踏まえ、米側からの詳細な情報提供や合理的な理由なしに、なし崩し的に負担増に合意することのないよう厳しい姿勢交渉に臨むこと、さらには、議論情報公開を国民に行うことを求め、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  218. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、赤嶺政賢君
  219. 赤嶺政賢

    赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、在日米駐留経費負担特別協定に反対の討論を行います。  第一に、本協定による駐留経費の負担は、本来、日本が負担する義務の全くないものです。  そもそも、日米地位協定二十四条は、在日米軍の維持経費は日本国に負担をかけないで合衆国が負担すると明記しています。  ところが、政府は一九七八年、アメリカ要求に応え、思いやりと称して基地従業員の福利費などの負担に踏み切り、隊舎や家族住宅などの施設整備に広げ、さらに、一九八七年に特別協定締結して以降は給与本体、光熱水費、訓練移転にまで拡大してきました。負担開始以来の総額は八兆円近くに上ります。  政府は特別協定締結当時、アメリカの財政赤字を最大の理由とし、暫定的、限定的、特例的な措置だと説明をしました。我が国自身が巨額の財政赤字を抱え、しかもコロナ禍で多くの国民が生活に困窮しているときに、このような負担を続けることは断じて容認できません。  第二に、政府が本協定に関わる基本情報さえ明らかにしていないことです。  政府は、本協定質疑で、米軍駐留経費米側負担額や日米間の負担割合はおろか、基地内外の居住者数と隊舎、家族住宅への入居率、アメリカ政府自身が公表している在日米軍の駐留人数さえ明らかにしませんでした。これでどうして実質的な質疑ができるのでしょうか。政府は、国会と国民に対する説明責任を果たすべきです。  最後に、先日開催された2プラス2は、既存国際秩序と合致しない行動を取る中国に対抗し、日米同盟抑止力、対処力を強化していく方針を確認しました。軍事対軍事の悪循環に陥ってはなりません。  地上発射中距離ミサイルを始めとする新たな米軍部隊の配備駐留経費負担の更なる拡大には絶対に応じるべきではないということを強調し、討論を終わります。
  220. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  221. あべ俊子

    ○あべ委員長 これより採決に入ります。  日本国アメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定を改正する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  222. あべ俊子

    ○あべ委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  223. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  224. あべ俊子

    ○あべ委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後五時四十七分散会