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2021-03-10 第204回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年三月十日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 あべ 俊子君    理事 伊藤信太郎君 理事 鈴木 貴子君    理事 鈴木 憲和君 理事 辻  清人君    理事 中根 一幸君 理事 阿久津幸彦君    理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君       畦元 将吾君    井林 辰憲君       小田原 潔君    尾身 朝子君       城内  実君    黄川田仁志君       高村 正大君    國場幸之助君       佐藤 明男君    鈴木 馨祐君       鈴木 隼人君    中曽根康隆君       中谷 真一君    野中  厚君       百武 公親君    古田 圭一君       松島みどり君    武藤 容治君       八木 哲也君    簗  和生君       青山 大人君    岡田 克也君       緑川 貴士君    山川百合子君       早稲田夕季君    渡辺  周君       竹内  譲君    穀田 恵二君       浦野 靖人君    山尾志桜里君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    法務副大臣        田所 嘉徳君    外務大臣        鷲尾英一郎君    防衛大臣        中山 泰秀君    外務大臣政務官      國場幸之助君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    外務大臣政務官      中西  哲君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  植松 浩二君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君    政府参考人    (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君    政府参考人    (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       志野 光子君    政府参考人    (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       小野 啓一君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 赤堀  毅君    政府参考人    (外務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化参事官)           大隅  洋君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 石月 英雄君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長)            山田 重夫君    政府参考人    (外務省アジア大洋局南部アジア部長)      小林 賢一君    政府参考人    (外務省北米局長)    市川 恵一君    政府参考人    (外務省欧州局長)    宇山 秀樹君    政府参考人    (外務省中東アフリカ局長)            高橋 克彦君    政府参考人    (外務省経済局長)    四方 敬之君    政府参考人    (外務省国際協力局長)  植野 篤志君    政府参考人    (外務省領事局長)    森 美樹夫君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           高口  努君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房生活衛生食品安全審議官)  浅沼 一成君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君    政府参考人    (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       田中佐智子君    政府参考人    (防衛省防衛政策局次長) 大和 太郎君    外務委員会専門員     小林 扶次君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   國場幸之助君     畦元 将吾君   新藤 義孝君     佐藤 明男君   鈴木 隼人君     古田 圭一君   薗浦健太郎君     鈴木 馨祐君   中曽根康隆君     高村 正大君   簗  和生君     八木 哲也君   青山 大人君     早稲田夕季君 同日  辞任         補欠選任   畦元 将吾君     國場幸之助君   高村 正大君     中曽根康隆君   佐藤 明男君     野中  厚君   鈴木 馨祐君     武藤 容治君   古田 圭一君     鈴木 隼人君   八木 哲也君     簗  和生君   早稲田夕季君     青山 大人君 同日  辞任         補欠選任   野中  厚君     百武 公親君   武藤 容治君     井林 辰憲君 同日  辞任         補欠選任   井林 辰憲君     薗浦健太郎君   百武 公親君     新藤 義孝君     ――――――――――――― 三月九日  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. あべ俊子

  3. あべ俊子

    ○あべ委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. あべ俊子

    ○あべ委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木貴子君。
  5. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 おはようございます。  質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。  限られておりますので、早速質問に入らせていただきますが、まず、大臣通告しておらず大変申し訳ないんですけれども、今日、大臣、もしかしたら予算委員会で取られて、いらっしゃらないかと思っていたところ、大臣が九時からの出席ということで、いらっしゃるのであれば、是非大臣に直接伺いたいと思っていることが一つあるところです。  外交においても、今、力強さと包容力を兼ね備えた、こういった言い方もされますし、大臣もよく、御講演の中でも、包摂というお言葉も使われます。そういった中において、国内でも今注目を集めているテーマ一つ選択的夫婦別氏であります。氏の継承の問題でもありますが、大臣はこの問題についてどのような個人的な見解をお持ちでしょうか。
  6. 茂木敏充

    茂木国務大臣 突然の御質問でありますが、まず、国際的に見て、結婚後、夫婦で同じ氏を名のらなければならない、こういう制度の国というのは限られていると思います。また、これからの社会考えたときに、包容力というか、包摂というか、多様性、これは今まで以上に大切になってくると思っております。  そして、政府としてもこれから制度考えていくということですが、検討に当たっては、既に結婚されている方、これはもちろんでありますけれども、まさに少子化社会を迎える日本において、これから結婚をされる、そういう若い世代がこの問題についてどう考えているんだろうか。私は、選択であれば別姓でもいい、そういう方が若い世代には多いのではないかな、このように考えております。
  7. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  まさに今のこの御発言を見ても、大臣が常々述べられている力強さと包容、もしくは包摂言葉だけではないんだなということが改めて明らかになったのではないのかな、このようにも思っております。  そして、まさにこの観点、今日の質問も、力強さ、そしてまた包容というようなテーマを持って、私自身質問させていただきたいと思います。  次に、北方領土問題、伺わせていただきます。  まず、北方領土におけるコロナ感染状況について、どのように外務省として把握をされているのか、教えてください。
  8. 宇山秀樹

    宇山政府参考人 お答え申し上げます。  これまでに公表されております北方四島における感染者数、これは足し合わせますと二十名となっておりまして、そのうち死者が一名出ております。この死者は、二月一日に色丹島で発生しております。  ただし、全ての感染者が公表されているかは不明でございまして、報道によりますと、二月下旬の時点で、サハリン州関係者が住民の感染の継続と感染率の増加を指摘しているということがございます。
  9. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  見えざるものとの戦いということで、今、ようやくワクチン等々も出てきたわけでありますが、まだまだ予断を許さないというのはどの地域においても同じだと思っています。  ただ一方で、予断を許さないという意味では、このビザなし交流、元島民皆さんはもう平均年齢も八十五歳を超えていらっしゃいます。正直申し上げて、御本人たちのお言葉をかりても、その限られた時間の中で、ふるさとへの思いというものは、もちろん日に日に、年々募っている。こういった中で、昨年は、コロナ感染という状況を踏まえ、ビザなし交流が一度も、元島民皆さん墓参自由訪問もできなかったわけであります。  本年は是非やっていただきたい、そういう思いで我々も、予算の中にも、例えば、移動する船の「えとぴりか」における感染拡大防止策であるとか、PCR検査、これにおける予算というものも計上をしてきたところでもあります。  そういった様々な対策というものを施していただいた上で、そしてまた、ロシア側ともしっかりと協議をしていただきながら、ビザなし交流実施に向けた、その検討ではなくて、実施に向けた協議というもの、どういった状態に今あるのか、是非伺わせてください。
  10. 茂木敏充

    茂木国務大臣 政府として、航空墓参を含め、四島交流事業、これは極めて重要であると考えておりまして、可能な限り例年どおり事業実施していきたいと考えております。  首脳間、外相間を含みます様々なレベルでロシア側にその話はしてきております。私も、前回のラブロフ外相との電話会談でもその話をしっかりとさせていただいたところであります。  新型コロナをめぐる状況、これは見なければならない部分はありますが、日ロ政府間及び我が方と四島側の実施団体間で協議を継続していく考えであります。  コロナ等の支障がなければ基本的に事業はしっかりと実施していく、このことを前提にしながら、高齢者の方等々もいらっしゃるので、それは、注意するところはより注意をしなければいけない、こういう観点から事業実施していきたいと思っております。
  11. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  千島居住者連盟皆さんも、一応、どうなるか分からない、しかしながらそれを待っていては準備が間に合わないということで、募集を募る等々の動きを既に行っていただいております。こういった皆さんの努力というものに対しても報いるような形で、もちろんコロナ現状によりけりではありますけれども、是非とも実施の方向で引き続き外務省には力を発揮していただきたいと強くお願いをさせていただきます。  続いて、ミャンマー問題であります。  質問をちょっと、通告では二問にしておりましたが、一問に合わせてお聞きしたいと思います。  国軍によるクーデターによって、まさに民間といいますか、市民を巻き込み、被害が出ております。また、週末の報道によっても、五百人を超える子供たちが恣意的に拘束をされている、こういった報道も飛び込んできているところでありますが、政府のこの暴力行使に対しての見解、そしてまた、官房長官記者会見において、日本独自の役割を果たしていく、こういった表現もされているところでありますが、どのように日本独自の役割というものを果たしていくお考えなのか、是非明らかにしていただけますでしょうか。
  12. 茂木敏充

    茂木国務大臣 日本政府ミャンマー各地デモにおいて、発砲を含みますミャンマー治安部隊実力行使によって多数の民間人が死傷し、拘束者発生している事態、強く懸念をしております。  二月一日にクーデターが起こりました。そして、その後様々な事態を経ながら、二月二十四日にASEAN非公式外相会談が行われまして、そこで、事態鎮静化に努めてほしい、こういう共同声明が出たわけでありますが、三月になって、むしろ事態の方が悪化する、こういう傾向が見られるわけであります。  こういった今の事態に対する懸念、これは、日本のみならず、ASEANを含みます国際社会で共有されていると考えておりまして、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、民間人に対する暴力が継続されていること、強く非難をいたします。平和的に行われるデモ活動に対して銃を用いた実力行使がなされることは許されることでなくて、ミャンマー治安当局に対して、民間人への暴力は直ちに停止するように強く求めております。  日本ミャンマーに対する最大の支援国であります。そして、ミャンマー民主化プロセス、これを誰よりも後押しをしてきた、こういう自負も持っております。そういった中で、クーデター発生以来、ミャンマー国軍に対しまして、民間人に対する暴力的な対応即時停止アウンサンスーチー国家最高顧問を含みます拘束された関係者の解放、民主的な政治体制早期回復の三点を強く申し入れてきております。  日本として、現地丸山大使はもちろんでありますが、私も、アウンサンスーチー国家最高顧問本人、さらには国軍フライン司令官とも何度もお会いをしている、そういう関係でもあります。国際社会とも連携をしながらミャンマー情勢対応していく、こういうことが重要だと考えておりまして。  事態発生以来、私も、日米日英日豪、さらには、ASEANの中ではリーダー格のインドネシアのルトノ外相であったりとか、今年はブルネイ議長国であります、ブルネイ外相、さらには、一昨日はタイのドーン副首相兼外相タイの場合は国境を接していて、政治的、経済的、また人的交流でも非常に関係が深いということで、それぞれ意見交換をいたしまして、ASEANにおいても今の事態を深刻に捉えている、鎮静化が必要である、情勢等々についても意見交換を行ったところであります。  また、一昨日、ネピドーにおきまして丸山大使ワナ・マウン・ルイン外相に対して我が国の重大な懸念を伝えるとともに、ミャンマー側事態改善に向けた行動を強く求めたところであります。  現地はいろいろな国の大使館があります。恐らく、現地大使大使館関係者で、ミャンマー当局の高官に直接会ったのは丸山大使が初めてだ、このように考えておりまして、そういった様々なルート、それ以外のルートもあるんですけれども、ちょっと、なかなか口外できないのでそこは控えたいと思いますが、そういったところを通じて働きかけというのをしっかり今強めていきたい。  まずは事態鎮静化させなくてはならない。そして、残念ながら、今日、明日に一遍に解決する問題ではないと思っておりますが、様々な対話というものを盛り上げていく、そういった中で、どうにかミャンマーが、民主化プロセス、せっかくここまで来たんだから、もう一度ミャンマー民主化プロセスに戻さなかったら元も子もないじゃないか、こういったことは欧米諸国の方にも話しておりまして、そういったことを国際社会全体で働きかけをしながら、日本としても、日本の置かれた独特の立場というか、重要な役割をしっかりと果たしていきたいと思っております。
  13. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  丸山大使も、現地で、まさに大使館の前で現地言葉皆さんに直接呼びかけられた、こういった報道にも接しているところであります。まさに顔の見える外交、そして、人と人との、まさにそういったこれまでの日本ミャンマーの歴史的な信頼関係というもの、様々駆使していただいて、引き続き取り組んでいただきたいとお願いをさせていただきます。  続いて、外務省孤独対策というテーマ質問をさせていただきたいと思います。  二十六日の予算分科会において、私が坂本孤独担当大臣に、この問題というものは全省庁またがる問題である、関係省庁とするのではなく全省庁で取り組んでいただきたいという質疑の中で、大臣から全省庁で取り組むと力強い御発言をいただいたところであります。  そこで、外務省としての孤独孤立対策への取組方針、若しくは、例えばこういった問題が孤独孤立対策のいわゆるテーマである、こういったことをどのようにお考えでしょうか。
  14. 鷲尾英一郎

    鷲尾大臣 海外在留邦人保護につきましては外務省の最も重要な責務の一つでありまして、外務省では、海外在留邦人の中に孤独孤立の問題に直面されている方がいらっしゃるということを承知をしております。これらの邦人に対しても、必要に応じて支援を行ってきているところであります。  具体的には、様々な問題を抱える邦人がいる場合には、必要に応じまして各在外公館領事が相談に乗りますとか、解決方法について共に考えたり、あるいは本邦家族への連絡支援するということもございます。  こういったことを通じて、問題の解決協力をしてきているところであります。  先生、この問題に大変熱心にお取り組みになっているということを承知しておりますし、私もその問題意識をしっかりと踏まえながら、十二日に行われます孤独孤立に関する連絡調整会議構成員として参加する予定でありますので、今言った観点から議論に積極的に参加してまいりたいと存じます。
  15. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 ありがとうございます。  鷲尾大臣担当になられたということでありますので、是非ここで改めてお願いをさせていただきたいんです。  今、副大臣の御答弁の中にも、邦人保護、必要に応じて孤独孤立対策、しっかりと支援をしていく。  ただ、重要なテーマ一つは、孤独孤立というものは似て非なるものである。つまり、孤立というのは、客観的に第三者が、その人が家族地域社会との交流というものが著しく乏しいと客観的に判断した状態を指す。一方で、孤独というのはあくまでも主観的な感情である。つまり、孤立状態にあっても、その人が孤独である、イコールではない。お山のてっぺんのところで一人で伸び伸び住んでいて、携帯も通じない、だからこそ生き生きと暮らしていらっしゃるという方もいらっしゃるわけです。  孤立に対しての、先ほど述べられた、必要に応じた支援アウトリーチはできると思うんです。ただ、孤独というのは見て分かるものではない。つまり、必要に応じてのプッシュ型の、アウトリーチ型の支援というのが非常に難しい。  そこで、やはり、孤独という主観的な感情を客観的な指標を用いて可視化をしていくというプロセスがあって初めて必要に応じた支援というものができると思うんです。  是非、十二日の金曜日のその調整会議においても、孤独孤立双方にアプローチをする上でも、指標を用いて主観的な感情たる孤独を客観的にしっかりと検証していく、ゆえにEBPMなんだ、だからこそ政策検証ができる、こういった点を鷲尾大臣の御発言の中に入れていただきたいんですが、いかがでしょうか。
  16. 鷲尾英一郎

    鷲尾大臣 今度参加するのが初めての会合でありますので、また状況を見ながら、今の御指摘をしっかりと踏まえながら取り組んでまいりたいと思います。
  17. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 まさに、この問題は政治判断政治家が動かなくてはいけない問題が山積をしていると思っております。是非鷲尾大臣人間力政治力を遺憾なく発揮をしていただきたい。そして、私もその取組を注視させていただきたい、このように思っております。  そこで、海外在留日本人、百四十万人プラスアルファいらっしゃる、こういうことであります。そこで、海外邦人死亡理由というもの、通告を出させていただきましたが、ちょっと時間の関係上、ここはもう私の方から事実関係として述べさせていただいた上で、質問に入らせていただきたいと思います。  最近、二〇一九年統計でいうと、五百二十九名が死亡され、一番多いのが三百三十三名で傷病である。次いで、三十二名で自殺である。そして、三番目の理由事故交通事故等々である。こういったデータが出ております。邦人死亡理由の二番目に多いのが自殺である。私も正直驚いたところでもありますが、ただ、国内においても、この邦人自殺の問題というのは諸外国と比べても常に高い水準を保っているという意味では、やはり海外という慣れない地、新しい土地でのストレスによるもの、若しくは望まない孤独孤立によるものというものは、しっかりと対応しないといけないと思っております。  そこで、外務省としては、この自殺に対して、もちろん自殺といえば厚労省所管にはなりますが、これまでに、厚労省と例えば連携して取り組んできた、なぜ邦人自殺が多いのか、こういったことを検証というのはされたことがあるでしょうか。  これは事務方で。
  18. 森美樹夫

    森政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘いただきましたとおり、一昨年の邦人海外での死亡五百二十九名中三十二名、非常に多うございます。  この原因については様々でございますので、これを残念ながら包括的に検証したという事例はございません。一つ一つ事例に関して、現地捜査当局捜査協力したり、あるいは御家族ケア等に当たってきているところでございます。
  19. 鈴木貴子

    鈴木(貴)委員 引き続き、この問題、これからも海外在留邦人というものは数が増えてくると思っております。そういった観点からも、しっかりと孤独孤立対策の中で取り組んでいただきたいというお願いと、そして、虐待の問題。  今日、本当であれば文科省もお呼びをして質問をさせていただく予定でありましたが、この虐待の問題というのは、例えばロックダウンであるとか、慣れない土地、特に、日本人学校に通っているということは現地言葉に不慣れな御家庭も多い、子女も多いということであります。是非、この孤独孤立対策の中で、そういった観点からも、虐待を未然に防ぐ、若しくは早期発見、こういった観点取組というものをしっかりと盛り込んでいただくようにお願いを申し上げ、時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  20. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、鈴木憲和君。
  21. 鈴木憲和

    鈴木(憲)委員 自由民主党の鈴木憲和でございます。  本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私自身、山形の選出でありまして、今日は、人権の話三つと、そしてもう一つ東日本大震災に対する復興への外務省取組について、お伺いをいたしたいというふうに思います。  まず一点目は、ミャンマー情勢への対応です。  大臣所信の中でも、一番初めの方に、かなりの分量を割いて、ミャンマー情勢に対する日本国政府の、外務省のスタンス、大臣からお話をいただきました。その中で、民間人に対する暴力についてはこれを強く非難するという厳しい表現もあります。  ただ一方、ミャンマーの今の現状を見ますと、先ほど茂木大臣からもお話がありましたが、日に日に状況が改善しているとは決して言い難い、むしろ悪化をしているような感覚があります。  二月の十九日に、現地のNGOになりますけれども、ミャンマー・センター・フォー・レスポンシブル・ビジネスというNGOが、この国軍クーデターに対して遺憾の意を基本的には表明をするという共同声明のようなものを取りまとめて、そして、それを民間企業に、要するに共同で出そうということで、署名をしてもらうというようなことをやっています。  その中身を拝見いたしましたら、何が書いてあるかといいますと、基本的には、従業員の安全、そして人権を尊重すること、表現の自由の尊重、また、例えばですけれども、対話によって現状が改善されることを望む、そしてそれがミャンマー人の意志によって行われることを望むといった、かなり穏当な表現でありながらも、ミャンマー皆さんに寄り添って、そして企業としてどのようなスタンスでいるべきかというような共同声明になっています。  この共同声明に、二月十九日に出されたわけですけれども、どこの企業がしっかりとこれに賛同するということをしているかというと、ネスレ、コカ・コーラ、H&M、フェイスブック、世界中のグローバル企業というのはかなりこれに参加をしていますが、残念ながら、最近まで日本の企業というのがこれになかなか名を連ねていませんでした。ようやく最近になって、クボタであったり、あと大塚製薬が、恐らくこれは直近であると思いますが、ここに参加をしていただいています。  私が思うのは、なかなか、ミャンマー国内状況を改善していただくというのは、当然、今、外交ルートで、丸山大使も始め、日本独自の立場を生かしてやっていただいているんだというふうに思いますが、ただ、やはり現地で、私が思うのは、日本企業のプレゼンスというのは、恐らくほかの国に比べれば圧倒的にミャンマー国内では高いわけです。現地では、日本の企業の皆さんミャンマーの方と一緒に働いているわけです。そうしたことに鑑みると、私は、日本企業のプレゼンスの高さというものもしっかりと生かして、日本企業もこの際一緒になって、この状況が改善できるように働きかけをやはりしていっていただきたいというふうに思うんです。  しかしながら、さっきの、グローバル企業はこういう声明にぱっと乗るにもかかわらず、日本企業はなかなかそこにぱっと乗れないということは、これはなぜかというと、日本の企業はなかなかそこに慣れていないということなんだというふうに思います。思いがないというわけではなくて、どういうふうに振る舞ったらいいかが、まだこういうことに慣れていない。  そうしたことに鑑みますと、私は、この際やはり外務省が、若しくはこれは経産省も含めてということになると思いますが、日本企業も是非一緒になって、指示をするという形ではありませんが、後押しをする形でミャンマー状況が改善できるようにしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますが、この点について外務省見解をお伺いしたいというふうに思います。
  22. 小林賢一

    小林政府参考人 お答えいたします。  日本政府といたしましては、ミャンマーにおいて治安部隊実力行使によって多数の民間人が死傷している事態を深く懸念しております。また、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず民間人に対する暴力が継続されている、このことを強く非難しております。  個々の企業が取るべき行動につきましては、政府から具体的に言及することは差し控えたいと存じますが、最新のミャンマー情勢につきましては、本邦それから現地におきまして日本企業側にしっかりと説明をしてきているところでございます。  なお、現地のビジネス界として現在の情勢を憂慮する声明を出しておりまして、委員御指摘のとおり、最近になりましてこれに参加することを決めた日本企業も出てきていると承知しております。  政府といたしましては、引き続き、現地公館などを通じまして、日本企業の状況把握そして情報提供にしっかりと努めまして、駐在員の安全確保、危機管理などを支援していく考えでございます。
  23. 鈴木憲和

    鈴木(憲)委員 ありがとうございます。  是非日本企業のプレゼンスは高いわけですから、しっかり取り組んでいただきたいと思います。もちろん邦人保護が第一だというふうに思いますが、その先にやはりミャンマーの人に、皆さんを勇気づけるという意味でも是非しっかりやっていただきたいと思います。  私は、これは提案ですけれども、何もこの声明にみんなに乗ってくださいというわけでは私自身なくて、これは日本企業独自で、我々、日本政府も独自の立ち位置があるわけですから、独自で例えば声明を出すとかスタンスを明らかにするということがあってもいいのではないかなというふうに思いますので、是非、その点、現地にもお伝えをいただければというふうに思います。  そして、もう一点は中国との関係です。  中国との関係の中で、大変重要なんだということを大臣所信で述べられています。しかしながら、一方で、中国については、昨今の香港の状況そしてウイグルを始めとした様々な人権侵害に関する事案等が、国際社会では当然問題になっています。  私は、大臣所信にどう述べるかというのは、もちろん総合的な判断の中で、そして分量が限られている中でどうするかということだというふうに思いますが、中国との関係、間違いなく日本にとっては最も大切な二国間関係一つだというふうに思います。大切な関係だからこそ、私はここで、中国との二国間関係の中であえて人権の分野に触れていただきたかったというふうに思いますが、この点、いかがでしょうか。
  24. 山田重夫

    山田政府参考人 お答え申し上げます。  我が国といたしまして、国際社会における普遍的な価値でございます自由、基本的人権の尊重、法の支配、これらが中国においても保障されることは重要であると考えておりまして、こうした我が国の立場につきましては様々なレベルで中国側に働きかけてきております。  また、これまでも繰り返し申し上げているとおり、新疆ウイグル自治区に関して重大な人権侵害が行われているとの報告が数多く出されており、我が国としても新疆ウイグル自治区の人権状況について真剣に懸念いたしております。  また、昨今の香港情勢についても、これまでの一連の事案が、香港が享受してきた民主的、安定的な発展の基礎となる言論の自由や報道の自由にもたらす影響等について、重大な懸念を強めているところでございます。  一方で、先般の衆議院外務委員会における大臣の所信につきましては、一定の時間の制約の中で各地域情勢国際社会の諸課題について言及の必要があり、新疆ウイグル自治区の人権状況及び香港情勢について触れることができなかったという経緯がございます。  いずれにいたしましても、これらの問題の重要性、鈴木委員御指摘のとおりでございます。引き続き、関係国とともに、国際社会が緊密に連携して中国側に強く働きかけていくことが重要であると考えております。
  25. 茂木敏充

    茂木国務大臣 香港そして新疆ウイグル自治区の人権問題、極めて重要でありまして、香港については、一国二制度の下、民主的、安定的に発展していく重要性等々、中国に対しても伝えておりますし、そういった思い国際社会とも共有をいたしております。  新疆ウイグル自治区の問題、一昨年だったと思いますけれども、日中韓の首脳会談がありました際も、当時の安倍総理からも直接、習近平国家主席に対して問題を提起するなど、日本として、中国に対しても直接この問題の重要性、こういったものは提起をしているところであります。  この外務委員会におけます所信でありますけれども、私も、どこまでボリュームを広げていいか、そういう中で迷った部分もあるんですけれども、かなり中国の部分というのを厚くカバーをする中で、例えば、中東は多分文章にすると数行で終わってしまう、アフリカは二行しか言及できなかった、アフリカのことをもっと書きたかった部分がありますし、あとは、今後は、何分ぐらいの所信にすればいいのか、こういったことも考えながら、重要なことを一つ一つ盛り込んでいきたいと思っております。
  26. 鈴木憲和

    鈴木(憲)委員 是非これは、もちろん限られたものの中でということになるのは分かりますが、私も役人をやっていたので、何でこれは入らないんだろうとかいろいろ考えることもありましたが、ただ、何しろ国際社会日本の立場はどうなのかというのは大変注目をしていますので、その辺、是非これからも強いメッセージを発し続けていただきたいというふうに思います。  そして、三点目であります。北方領土交渉について、この大臣所信の中では、交渉責任者として粘り強く交渉に取り組んでいくとの決意がありました。  私自身日本の国会議員としてしっかりとこの取組、後押しをしていきたいというふうに思います。しかし、当然難しい交渉です。難しい交渉であるだけに、私は思うのは、やはり我々も、これは外務省はもちろんだというふうに思いますが、我々国会議員も、ささいなことについてもやはり配慮をしていかなければいけないのではないかということです。  例えばですけれども、今、私自身、自民党の中で人権外交の在り方PTというのをつくりまして、いわゆる人権に対する制裁法、マグニツキー法というふうに言われていますけれども、これについても今後調査をし、見識をしっかりと深めていく予定でありますが、このマグニツキー法という言葉、比較的だんだん最近世の中で使われるようになっています。  しかしながら、このマグニツキー法という言葉自体は、そもそも、弁護士であったロシア人のマグニツキー氏の死に関与したロシア人への制裁を科すために二〇一二年にアメリカで導入をされた法律です。そして、現在、二〇一七年から、グローバル・マグニツキー人権問責法という名前でアメリカでは施行されています。一方で、イギリスでは同様の法律が何と呼ばれているかというと、二〇二〇年国際人権制裁規則、そしてEUでは、EUグローバル人権制裁レジームという名前で同様の措置を行っています。  私たちの国は、ロシアとの間で大変重要な外交課題があります。そういう中で、やはり用語として、日本としても、我々、この課題は一般的な名称で議論をすることが外交上、私はプラスに資する、少なくともマイナスではないというふうに思います。こういった点も含めて、北方領土交渉への茂木大臣の決意を伺いたいというふうに思います。
  27. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、答弁が逆になりますが、北方領土交渉を始め、ロシアとの関係でありますけれども、ロシアとは、政治、経済、人的交流等、幅広い分野で日ロ関係全体を発展をさせていきたい。平和条約締結交渉については、二〇一八年のシンガポールでの首脳間のやり取りをしっかりと引き継いで、領土問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針の下、粘り強く交渉に取り組んでいくという考えに変わりはありません。  正直言って、戦後七十年以上解決をされてこなかった、こういう問題の解決は容易ではないと考えておりますが、私もラブロフ外相との間で、国連総会での会談、そしてG20名古屋での会談、さらには、一昨年の末、モスクワに行きまして、八時間にわたって、恐らく外相会談八時間というのは相当長い時間になると思うんですけれども、交渉等を通じて議論は進んできて、両国でどういう部分が一致できるのかな、また、なかなか立場が違う部分はどうなのかな、かなり明らかになってきて、本来だったら、その後、昨年ですけれども、ラブロフ外相日本に来てもらって、更にその詰めをしたいと思っているところでコロナという状況になってしまったという部分があるわけであります。  いずれにしても、こういったコロナ状況を見ながら、やはり対面でやらないと、なかなかこういう難しい問題というのは進みません。是非そういった交渉、今後も、領土問題を解決して平和条約を締結するという目標に向かって、交渉責任者として全力で取り組んでいきたい。  その上で、御指摘のあったマグニツキー法、制定の過程といいますか、委員のおっしゃるとおりでありますが、他国における人権侵害を理由に制裁を科す制度について、まず、日本政府として導入するかどうかは何にも決まっていないところであります。  確かにアメリカでは、法律に直接関係する個人の名前であったりとか立法を主導した議員の名前、こういうのをつけた法案、これも、例えばグラス・スティーガル法とかシャーマン法とかいろいろな形があるわけでありまして、私も留学時代、ちょうど、上院、ニュージャージー選出のビル・ブラッドレーの事務所でアルバイトをやっていまして、ちょうど法案を作りたがっていたんですよ、ビル・ブラッドレー。かなり、非常に優秀なロードスカラーでもあって、また、ニューヨーク・ニックスのスタープレーヤーでもあって上院議員だったんですけれども、法案を作りたがっていて、結局その法案は成立はしなかったんですけれども、かなり、やはりブラッドレー法というのにしたいという感じがあった。  それはアメリカでありますけれども、日本の場合、なかなか、鈴木憲和法というのができるということは想定できないんじゃないかなと思っておりまして、個人名をつける例というのはない、このように考えておりますが、いずれにしても、様々な状況考えながらそういった問題を考えていく必要があると思っておりまして、委員の御指摘、しっかり踏まえていきたいと思います。
  28. 鈴木憲和

    鈴木(憲)委員 ありがとうございました。  大臣のアメリカ時代の経験も踏まえて御答弁いただいたと思います。我々も、しっかりいろいろなことを考えながら、慎重に検討していかなければいけない課題だというふうに思っています。  最後に、時間もありませんが、東日本大震災からの復興について一点だけお伺いします。  今、日本産食品の諸外国での輸入規制撤廃に向けて、政府、頑張っていただいていると思います。現在、十五の国と地域で今規制が残っていますが、その中でも一番厳しい規制の措置をやっているのが、中国、香港、マカオ、韓国、台湾です。私は、二国間関係、様々ありますから、その中でこれは解決されるべきときが来るときもあるというふうに思います。難しい国とのやり取りというのもあると思います。  しかしながら、一方、そんな中で、先日、台湾については、中国が突然、台湾のパイナップル、収穫直前になって、台湾のパイナップルは禁輸をするという措置をしました。これがニュースになっておりまして、大体約五万トンぐらい台湾から中国にはパイナップルを輸出をしていたわけなんですが、その五万トンの行き先が急遽なくなった際に、台湾としては、もちろんこれを、世界中に助けてくださいということをやるわけです。  そうした結果、どのような報道がこのニューズウィーク・ジャパンでされているかというと、余った大体五万トンものパイナップルのうち、九十六時間後までに大体これが売れたという報道になっています。その記事によれば、世界で最も厳しい食品輸入基準のある日本も、最も早く反応した国の一つだった、日本からの受注が六二%増加をして、そして、今年の対日輸出量は前代未聞の五千トンに達すると予測をしたという記事があります。これは台湾政府当局の人の発言ということで、その記事には載っています。  一方で、台湾は、日本からの原子力発電所の事故を踏まえた対応については、住民投票をして、入れないという措置をいまだにやっています。  あした、東日本大震災から十年なんです。私は、もちろん、相手のところが困っているときに助けるというのは大切なことだというふうに思いますし、これは政府がどうこうということではないというふうに思いますが、ただ、外交というのは、私はそうではない面もあってしかるべきだろうというふうに思うんです。  このような状況を踏まえたときに、震災前は、台湾は日本産食品の有力な輸出先の地域でした。是非、台湾に対し、この一番厳しい規制のまず撤廃、どういうふうにするか、この十年という節目を機に、よりギアを上げて私は政府に取り組んでいただきたいと思います。是非その辺、お伺いをします。
  29. あべ俊子

    ○あべ委員長 石月大臣官房参事官、答弁は簡潔に願います。
  30. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  台湾による日本産食品の輸入規制については、これまで台湾側に対し、日本台湾交流協会を通じて、食品の安全性等に関する各種の情報を提供しつつ、科学的根拠に基づく早期の規制撤廃を働きかけてきております。  台湾の方々が日本産食品の安全性について理解し、規制の早期撤廃につながるよう、今後も、日本台湾交流協会を通じ、あらゆる機会を捉え、粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
  31. 鈴木憲和

    鈴木(憲)委員 是非、今までのやり方を超えて、より強く、もう十年ですから、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。  以上です。ありがとうございます。
  32. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、佐藤茂樹君。
  33. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。  今日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。  私も、先ほどの自由民主党の両鈴木委員質問をされました問題と同様に、茂木大臣が先日の大臣所信で直近の外交課題として挙げられましたミャンマー情勢に対して御質問をさせていただきたいと思います。  まず、二月の一日にクーデター発生いたしまして、一か月以上がたつわけでございます。各地の抗議デモに参加した民間人が、治安部隊の発砲を含む実力行使によりまして、もう既に死者五十人以上、そういう方が、多くの人が死傷いたしました。また、それ以上に、今日の朝日新聞なんかによりますと、現地の人権団体の調査では千八百五十七人拘束されている、そういう報道もあります。  平和的な抗議デモ暴力で封じ込めるやり方というのは、断じて容認するわけにはまいりません。また、国民に銃口を向ける、そういう弾圧というのは一刻も早くやめさせなければいけないと思っております。  日本を含む国際社会は、ミャンマーの平和を取り戻すためにあらゆる方策を講じていただきたい、そのように思うわけでございますが、まず日本政府は、先日、大臣も所信で述べられましたし、加藤官房長官も述べられておりますけれども、国際社会の度重なる呼びかけにもかかわらず、民間人に対する暴力が継続されていることを強く非難します、そういうふうに述べられております。  また、国連の方でも、国際社会としては、国連安保理で、三月五日に非公開の緊急会合で対応協議されましたけれども、イギリスが強く非難するという議長声明案を配付しましたけれども、中国とロシアが慎重な姿勢を示して、協議は継続をすることになりました。  さらに、ASEAN、東南アジア諸国連合は、三月の二日に特別外相会議を開いて、懸念を表明する議長声明を発表されました。  ASEANというのは、本来、内政不干渉ということを創設以来決めておられたんですけれども、今回は、そういう意味では異例の対応をされたわけでございます。  そこで、今日お聞きしたいのは、日本は、このミャンマー情勢に対してどういうスタンス、姿勢を明確にして、どういう日本独自の外交取組をするのかということを是非後でお聞きをしたいと思うんですけれども。  日本は、ミャンマーの建国の父、アウンサン将軍との歴史的きずなを基に関係を築いてきて、歴史的に国軍関係が非常に深い、そういう関係があります。ですから、今までも、対ミャンマー政策ではアメリカやヨーロッパなどと異なる立場を取ってきたと理解しております。  今回、過去の軍事政権時代もそうなんですけれども、アメリカやイギリス、さらにはEUというのは、既に、国軍関係者を対象にした制裁を発動したり、制裁を決定したりということをしておりますけれども、日本は共同歩調を取っておりません。対ミャンマーの一大支援国国軍にパイプを持つ日本役割というのは、そういう意味では、ある意味では世界も注目しているし、大きいと思うんですが、残念ながら、今までのところ、日本の関与が目立っているとか、あるいは功を奏している、そういう結果が出ているとは言えません。  そこで、これから独自のパイプを生かして、このミャンマー事態収拾に、やはり主体的に、より積極的に乗り出すべきときであると。丸山大使がいろいろ努力されているのはよく理解しているんですけれども、そういう現地大使も含めて、これから具体的に、このミャンマー情勢に対して日本はどういうスタンス、姿勢で臨んで、どういう日本独自の外交取組をされていくのかということについて、まず外務大臣に御答弁いただきたいと思います。
  34. 茂木敏充

    茂木国務大臣 申し訳ないんですが、佐藤委員、これまで、二月一日以降、今日までの様々な取組国際社会の中で、私も、米国のブリンケン国務大臣であったりとか、さらにはラーブ外相、そしてオーストラリアのペイン外相ブルネイ、そしてインドネシア、タイのドーン副首相、一昨日も話をしましたが、日本取組、もちろんこういう問題でありますから、それについては非常に高い評価をされ、また、今後連携をしていこうということでも一致をしています。日本がこれまでどうしてきたか、今どういった形で働きかけ国軍に対してもやっているかということについては、各国が耳を傾けてくれている。日本がやっていない、これについては、私は、申し訳ないんですが、それは各国の評価なり全体の状況とは違うな、そのように思っております。  もちろん、今、事態がなかなか好転をしない、むしろ悪化している、こういうことについては懸念を持っておりますし、さらには、平和的なデモに対して銃口が向けられる、こういう事態については厳しく非難をしたい、そのように思っております。  そして、日本として、これはNLDに対しても、それからミャンマー国軍に対しても、様々なルートを持っております。私も、フライン司令官とは直接二度お会いしております。ネピドーでも会っております。そういう関係もある。そういった中で、一つは、やはりこの暴力的な行為を即時停止すること、さらには、アウンサンスーチー国家最高顧問を含む拘束者を解放すること、さらには、民主的な政治体制の回復、この三点、強く求めているところであります。  現地におきましても、各大使館の中で、恐らく、丸山大使ミャンマー語の達人であります。何度もあの地域に赴任をして、現地で様々な人脈を持って、唯一、今のミャンマーの当局の高官と直接話をした大使というのは丸山さんだけですよ。そういったことについては各国の大使ともできる範囲で情報を共有したりとか、そういった活動も続けているわけであります。  日本ミャンマーに対する最大の支援国、これまで、ミャンマー民主化プロセス、これを後押ししてきた、人道支援も行ってきた、こういう状況であります。そんな中で、では各国で今取っていることは何かといいますと、支援を続けるか、それとも制裁をするか、そんな単純な話じゃないんですよ。どういう形で働きかけをしたらミャンマーが一日も早くこの状態を解消して、そして民主化プロセスに戻れるかということで、いろいろな考慮をしながら判断している、そのことは是非御理解ください。
  35. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、続いてミャンマー関係で御質問したいんですけれども、二月下旬ぐらいから各紙が報道してきたんですけれども、政府ミャンマーへのODAについて新規案件を当面見合わせる検討に入った、そういう報道が随時出てきたんですけれども、このような検討や調整に入られたというのは事実なんでしょうか。  また、そのような対応というのは、今、外交努力を続けておられるという大臣の答弁がございましたけれども、欧米のような、そういう制裁という位置づけとは異なるのか、又は同様の措置なのか、政府見解を伺っておきたいと思います。
  36. 植野篤志

    植野政府参考人 お答え申し上げます。  ミャンマーに対する経済協力の今後の対応につきましては、事態の更なる推移を注視し、検討していくということにしておりまして、一部の報道にありますように、新規のODA案件を停止したという事実はございません。  したがいまして、制裁という位置づけでもないということでございます。
  37. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 是非その辺りについては、事態が今後外交努力の中でどう変わっていくのかも見据えながら、高いところからの判断をお願いしたいと思うわけでございます。  もう一つ、先ほど、日本独自の外交努力を続けているんだという大臣お話がございました。そこで、その間でももう一か月以上たってきているわけですね。それで、こういう事態になっても、やはり在留邦人の安全確保というのには万全を期していただきたいと思うわけでございますが、ミャンマーには現在、日本企業も四百社以上進出しているというようにお伺いしておりますし、移動があったといえども、今約二千七百人の在留邦人がおられる、そういうように伺いました。  クーデターが起こってから一か月以上たちまして、軍に対する抗議の意思として出勤をボイコットする不服従運動が続いておりまして、政府機関、公務員もそこに参加されておられるので、政府機関や病院、鉄道、さらには銀行などで職場放棄が広がっておって、例えば銀行なんかもストップしているので給料の支払いが滞っておる、そういうことも様々に報道されておりまして、ミャンマー現地の在住者の仕事や生活にも相当影響が広がってきているという報道がございます。  現在までのミャンマーの在留邦人の仕事や生活の状況、さらには、具体的に在留邦人の安全確保策としてどういうものを取っておられるのか。  そして、今後、事態が更に悪化して緊迫するようになってきたら、私は、やはり危機管理の観点からも、在留邦人等の保護措置であるとかあるいは輸送の対応というものを政府として検討しておく必要があると思うんですけれども、在留邦人の仕事や生活の状況と安全確保策について、外務大臣見解を伺いたいと思います。
  38. 茂木敏充

    茂木国務大臣 これまでのところ、在留邦人に対するけが等の被害がある等の情報には接しておりません。  ミャンマーにおいては、これまで、在ミャンマー日本大使館によりまして、随時、領事メール等にてデモ等に関する情報を発出して、在留邦人に注意喚起と不要不急の外出を控えるように呼びかけてきました。さらには、昨日のことでありますが、三月九日、速報的に注意を喚起するスポット情報、これを発出しまして、商用便による帰国の是非検討していただくように呼びかけたところであります。  政府としては平素から、在外邦人保護や退避が必要となる様々な状況を想定して必要な準備、検討を行っておりまして、邦人保護の強化を図っているところであります。  外務省にとりまして、海外に在留する若しくは渡航する邦人の安全の確保、これは最も重要な責務の一つだと考えております。  特に昨年来、世界的にコロナが拡大をするという中で、在外にいらっしゃる邦人の方の帰国、出国の支援、これは、一月末の、武漢からのチャーター機五機での八百人を超える邦人の帰還から始まりまして、アフリカにおいては、十五か国、十のルートを使って、唯一、当時日本便、定期便が飛んでいたアディスアベバ、エチオピアにそういった人たちに集まってもらってその定期便で帰したりとか、百一か国、一万二千人を超える邦人の出国、帰国支援、こういったことも昨年行ってきて、様々な経験も在外においても積んでいるところであります。  ミャンマー、今後どうしていくか、これは情勢を見ていく必要があると思っておりますが、一般論として申し上げますと、邦人の退避が必要となる事態発生する場合には、まずは、極力、商用定期便が利用可能なうちに在外邦人の出国又は安全地帯への移動、この確保に努めるということだと思っております。その上で、商用定期便での出国が困難、あるいはそれだけでは不十分な状況に至った場合には、個別具体的な状況に応じて、あらゆる可能性を追求しながら、最も迅速かつ安全な手段を活用して邦人の退避支援、最大限努めていきたいと考えております。  そういった中で、ミャンマー情勢について申し上げますと、今後情勢がどう推移していくか、今のところ、けが人等が出ているという情報には接しておりませんが、確かに、映像等を見ますと、かなりもみ合いがあったり、いろいろなところがある。一方で、その映像で映っているところではないところでは平穏な部分というのも確かにあるわけでありまして、その地図というか状況がどうなっていくか、こういったことを見極めながら、また、便の運航状況等も考えながら検討していきたいと思っております。
  39. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 日本の国民の皆さんも、報道が毎日のように出るたびに、やはり、いろいろ、親類もいらっしゃるでしょうし、心配されている方も非常に多いかと思いますので、後れを取らないように、引き続き、やはり在留邦人の安全確保についてはしっかりと万全を期していただきたい、そのように思います。  あと、もう残りの時間が大分短くなりましたけれども、もう一つは、テーマを変えまして、同じく大臣所信で一番冒頭に述べられました、新型コロナの水際対策の強化について万全を期すんだ、そういうふうに外務大臣述べられましたので、今日は厚労省にも来ていただいておりますのでお聞きしたいんですが、新型コロナウイルスの感染拡大の抑制に向けては、これから変異株の対応というのが一つの焦点になってまいります。  変異株というのは、もう御存じのとおり、感染力も高くて、また、変異により、現在接種が始まったファイザー社のワクチンの効果が弱まる可能性がある、そういうようにも言われておりますので、警戒を強める必要があると思うんです。特に、国内の最近の事例を見ると、子供さんが変異株にかかっている比率も、今日らの報道でも非常に高いと、これが従来のものと違うところであります。  今後、そういう感染力の強い変異株が更に広がると、現在の感染対策を続けても感染者数が増加に転じる、そういう可能性もあるわけでございまして、水際対策の強化を進めて更なる変異株の流入を防がなければ、せっかく収まった第三波の次の第四波の到来というものも現実を帯びてくるわけでございます。現に、三月五日現在、既に、国内事例では百九十四例、空港検疫では五十七例の合計二百五十一例、合わせて確認されているわけでございます。  まず、政府は、三月五日に水際対策強化に係る新たな措置を発表されましたけれども、一月八日に発表された従来の措置からどこを強化されたのか、ポイントを御答弁いただきたいと思います。
  40. 浅沼一成

    浅沼政府参考人 お答えいたします。  三月五日に決定、公表されました水際対策強化に係る新たな措置におきましては、全ての入国者に対し出国前七十二時間以内の検査証明の提出と入国時の検査を実施する措置につきましては、当分の間、これを継続することといたしました。  さらに、防疫強化措置といたしまして、順次実施することとしております。  具体的には、検査証明不所持者につきましては、出国時の搭乗を拒否するよう航空会社に要請すること、また、入国者との連絡手段の確認強化といたしましては、空港制限エリア内におきまして、ビデオ通話、位置確認アプリのインストール、連絡先の真正性の確認を実施し、スマートフォン不所持者の方につきましては、スマートフォンをレンタルすることを要請することとしております。  公共交通機関の不使用の徹底をするために全ての入国者に対して提出を求めている誓約書におきまして、使用する交通手段を明記することとした上で、さらに、従来、変異株流行国からの入国者に対しまして実施していた、国が設置するセンターによる健康フォローアップにつきまして、対象者を全ての国からの入国者に拡大するとともに、フォローアップ内容を強化し、位置情報の確認、ビデオ通話の状況確認、三日以上連絡が取れない場合等の民間警備会社等による見回りを実施することと順次させていただきたいと考えております。  また、変異株流行国からの入国者につきましては、入国後三日間検疫が用意いたしました宿泊施設での待機後の検査といたしまして、抗原定量検査に代わり、唾液によるリアルタイムRT―PCR検査実施することとしております。  これらの措置の確実な実施に向けて、関係省庁と連携し、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。
  41. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)委員 そこで、もう質問時間がなくなってきつつありますので質問をやめますが、最後の方に述べられた対象国、ここは、変異株流行国・地域に対して、例えば入国前、入国直後のPCR検査に加えて入国後三日後のPCR検査も課してこられる、そういう防疫措置を取られているんですけれども、私は、その十七か国対象だけでいいのかという問題意識を本当に持っておりまして、既に、外務省からいただいている資料でも、流行国にはなっていないけれども、確認国というのが約九十か国・地域あるわけですね。そういうものはもう時々刻々変化してきていて、変異株というのは、先ほどありましたように、感染力が非常に高い。  そういう状況考えていったときに、従来の流行国ではなくて、やはりもっと確認国にまで更に枠を広げて、そしてしっかりとした網をかけて、この防疫措置を強化することによって水際対策を強化していただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  42. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、阿久津幸彦君。
  43. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 立憲民主党・無所属の阿久津幸彦でございます。  米国では、共和党のトランプ大統領から民主党のバイデン大統領への政権交代が行われました。そして、三月三日、バイデン政権は、米国の国家安全保障及び外交政策に関する国家安全保障戦略暫定指針を発表しました。  日本でも、私ども立憲民主党は、政権交代を実現したときのために、外交、安全保障の基本政策を作成中です。冒頭、その総論部分、ごく一部だけお伝えしたいと存じます。  国際協調と自由、民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を前提に、国際秩序や国際法の諸原則に基づいた積極的な平和創造外交を展開します。健全な日米同盟を外交、安全保障の基軸に多国間協力を推進し、平和で安全なアジア太平洋を実現します。抑止力を維持しつつ、米軍基地の負担軽減や日米地位協定の改定を進めます。  あくまで基本政策原案の一部でございますけれども、私自身は、大枠を見る限り、政権交代しても外交の継続性は十分維持できると考えております。そんな思いでこれからも外務委員会に臨ませていただきたいと考えております。  さて、質問の方に移らせていただきます。  まだ世界レベルで新型コロナウイルスの感染症問題が収まりませんので、冒頭は新型コロナ関連についてお伺いをしたいと思います。  途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスの確保を全面的に支援と述べていますけれども、我が国ができることは何とお考えでしょうか。
  44. 茂木敏充

    茂木国務大臣 新型コロナ感染症、この世界的に拡大している感染症収束のためには、先進国だけではなくて、途上国も含めて、ワクチンの公平なアクセスの確保であったりとか普及を加速していくことが極めて重要であると考えておりまして、ちょうど一か月前、二月九日、日本として、国際的な枠組みでありますCOVAXファシリティーの途上国向けの枠組みへの拠出を増額して、合計二億ドルを拠出することを表明をしたところであります。  我が国は、国内のみならず世界全体で安全で有効なワクチンへの公平なアクセスが確保されることが極めて重要と考えておりまして、引き続き、COVAXファシリティーを含みます国際枠組みに対してできる限りの貢献をしていきたいと思っておりますし、また、この重要性というのを国際社会、各国にも訴えかけていきたいと思っております。  加えて、COVAXの枠組みにおきましては、ワクチンを途上国に届ける、その後、途上国内のコールドチェーン、これが必ずしも整備をされていない、冷凍設備であったり運搬手段、こういった整備が必ずしも十分手当てもされていないことから、このような多国間枠組みを補完すべく、これまでの長期の経験も生かして、ワクチンを一人一人まで届けるラストワンマイル支援、これをかつてないスピードで実施をしていきたいと考えておりまして、昨日決定をしました東南アジア、南西アジア、太平洋島嶼国に対する約四十五億円のコールドチェーン整備のための緊急無償資金協力はその第一歩であると考えております。  今後、新型コロナ対策支援として既に供与しました医療器材や緊急支援円借款も活用しつつ、これまで我が国がJICA専門家等を派遣して能力構築を行ってきた各国の中核病院等、これを拠点としながら、きめ細かい支援によって効果的なワクチン、ワクチン関連の支援実施をしていきたいと思っております。  ワクチンを生産をする、そしてそれをできるだけ多くの国に公平に分配をしていく、さらに配った後に実際にこれを接種してもらう、こういうそれぞれのプロセスにおいて日本として何ができるのか、こういうことを考えながらしっかり対応していきたいと思っております。
  45. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私も、ワクチン接種環境の整備というのをワクチンそのものと同じぐらい大事だというふうに思うんです。特に日本の場合は、自慢の、NGOと外務省との連携もありますし、NGOもうまく連携して、駆使して、これを是非広げていっていただきたいと思います。  一点だけ。これは質問ではないんですが、私は、やはり、日本が自国製のワクチンを作れなかったのは残念でならないんですよね。  それで、今日は、外務大臣というお立場なので余り横からつっついちゃうといけないので。私も、こうすればよかった、ああすればよかったと感じるところが、なぜ自国製ワクチンができなかったというのはありますけれども、茂木大臣もお持ちだと思います。今日は質問しませんけれども、是非そういうことも含めて閣議の中で発言をしていっていただければなおありがたいというふうに考えております。  次の質問に移ります。  外交演説でも、在外邦人等の新型コロナへの配慮について触れてくださっているんですね。新型コロナウイルス感染拡大による在外邦人等への配慮として何か具体的に検討している支援はあるか、お尋ねします。
  46. 森美樹夫

    森政府参考人 お答えいたします。  新型コロナウイルス感染症が拡大する中、海外在留邦人の安全確保、支援の重要性は更に高まっております。この中には、もちろん、生活維持への配慮、あるいは高齢者への配慮等も含まれておると考えます。  先般承認いただきました令和二年度第三次補正予算におきましては、新型コロナ感染症の感染拡大により生活に支障が出ている海外の在留邦人、日系人を支援するため、在外の日本人会、日本商工会議所、日系人団体等を通じました感染拡大防止、あるいはコロナ禍で厳しい状況にあるビジネスの継続等を目的といたしました事業への支援などへの予算を計上しております。  これらの予算を有効に活用して、御指摘いただいた諸点についても取り組んでまいりたいと思っております。
  47. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 国ごとで地域状況はいろいろ違うというふうに思います。是非、きめ細かな配慮、御支援お願いしたいというふうに思います。  続けて、今度は日米関係について御質問させていただきたいと思うんですが、HNS、ホスト・ネーション・サポートの在日米軍駐留経費負担に係る特別協定の改正に当たり、受け止め方としては、バイデン政権はトランプ流を改め現行水準での合意を受け入れてくれたみたいな、大方の見方ではないかと承知しております。  ただ、私はやはり、日米同盟がウィン・ウィンの関係にあること、特に、中国が軍事的、経済的に強大化する中で、日米同盟の米側、アメリカ側のメリットについても丁寧に、繰り返し繰り返し、伝え過ぎるぐらいにアメリカ側に伝えていくべきだというふうに考えているんですが、そこのところをお尋ねしたいと思います。
  48. 茂木敏充

    茂木国務大臣 具体的な交渉の合意に至るまでの詳細なプロセスにつきましては、外交上のやり取りでありますので控えたいと思いますが、当然、これは日本側だけが裨益をする、こういう協定ではないわけでありまして、これによってアメリカ側がどういう利益を享受できるのか、こういったこともしっかり協議の中では議論をさせていただいているところであります。  この現行協定の有効期限が三月末でありまして、それも見据えながら協議を進めてまいりまして、その結果、日米政府は、現行の特別協定を改正して、有効期限を来年、令和四年の三月末まで一年間延長する改正議定書に関して合意をして、二月二十四日には署名を行ったところであります。  インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟及び在日米軍、これは、我が国の防衛のみならず、インド太平洋の平和と安定のためになくてはならない存在、これは日米共通の理解だと思っております。その中で、在日米軍駐留経費というものは、在日米軍の円滑かつ効果的な活動であったり、米軍の地域への前方展開、これを確保する上で重要な役割を果たしてきていると考えております。  私からブリンケン長官に最初に電話をしたときも本件を提起するなど、日米双方が真摯に交渉を重ね、米側にも意義について十分説明できたと思っております。結果として、バイデン政権が発足してこれだけ早いタイミングで合意に至ることができた、このことは、日米同盟に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、日米同盟の信頼性を高めてそれを国際社会に対して発信する、こういった意味でも高く評価をされるものだと思っております。  政府としては、これは年度末に切れるわけでありますから、年度末までのこの議定書の発効を目指して、国会での速やかな御審議をお願いしたいと思っております。
  49. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 これは、たしか韓国との協定は切れたままになっているんですよね。その一方で、日本がきちっとした、議会でも真摯な議論が展開されて、それを経て、きちっと予定どおりというか、理想的な時間軸の中で承認されるということを内外に示すことは私も大事だというふうに考えております。  一点だけ申し上げます。  在日米軍の駐留経費負担が幾らであるか、幾らが相場なのかというのは、これは非常に難しい問題だと思っております。是非科学的なデータに基づいた検証は常に怠らずにお願いできたらというふうに、これはお願いでございますので、他国との比較だけではなくて、実際に人件費を含めて科学的なデータに基づいた検証をしていって、どれぐらいが適切なのかということは是非見ていただければと思います。  次の質問に移ります。  米国バイデン政権の誕生に伴う米国外交の変化をどのように認識し、その変化にどう対応し、何を期待するのか、お尋ねしたいと思うんです。  非常に現時点ではアバウトな質問になってしまっているんですけれども、これまでの間だけでもバイデン政権は世界に随分多くのシグナルを送っていますし、バイデン大統領がどんな世界観で、修正という言葉がいいかどうか分からないんですが、前政権から引き継いだ後、アメリカを中心とする世界の秩序なりルールなり平和をどういうふうに守ろうとしているのか。ここまでの間でも大分分かるところがあると思うんですが、是非大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  50. 茂木敏充

    茂木国務大臣 バイデン政権の外交政策のレビュー、まだ続いているところでありまして、確たるものが表に出ているということではありませんが。  米国では、前政権、トランプ政権が米国第一主義の下、どちらかといいますとスタイルとしてはトップダウンで様々な政策を進めて、そこの中で、外交面では二国間、バイの交渉、これを重視してきた。典型的なのは、TPPから離脱をして、やはりバイでそれぞれやるんだということで、USMCAであったり、また日米貿易協定であったり、様々な形を進めてきたりもしたのでありますが。  これに対して、バイデン新政権、今のアメリカの現状考えますと、コロナ対策であったりとか人種問題、内政を重視しなければいけない、しかし、内政を重視しつつ外交面では国際協調路線を志向している、このように言われていると思います。また、ブリンケン国務長官も同志国、有志国との関係を強化する、こういう考えを示しているところであります。  私自身、バイデン政権の発足後、日米外相電話会談を二回既に行っておりますし、また日米豪印の四か国、クアッドの電話外相会談を行いまして、ブリンケン国務長官との間では、特に緊密な意思疎通を行うことで様々な課題への対応につきましてしっかり連携できていると感じているところであります。特に、自由で開かれたインド太平洋の実現への取組、さらに、中国への対応を含めて、地域国際社会の課題への対応の大きな方向性について、私とブリンケン長官の間でしっかりすり合わせができていると考えております。今後も、菅総理とバイデン大統領、私とブリンケン国務長官など、様々なレベルで日米間の連携を図りながら、日米同盟、より一層強化をしていきたいと思っております。  やはり一つは、共通の価値に基づく国際秩序、こういったものをつくっていく、こういったことで米国としてリーダーシップを発揮し、またインド太平洋についてもしっかりコミットするんだ、そして間違った行動に対してはきちんとシグナルを送る、この方向性は明確になってきているんだと思っております。
  51. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 大臣、その最後のお言葉のまとめで、私も賛成なんですけれども、より踏み込めれば、アメリカも全部ができるわけではないというふうに思っています。ですから、日本なりに補完できる部分、本当にアメリカも喜んでもらえる、世界の安定にもつながるという貢献ができればなおすばらしいなと思っておりますので、ちょっとそれに関わるような具体的な話も幾つか伺っていきたいというふうに思っています。  次に移ります。  そこで、ちょっと一つ課題なのが、中国主導の地域的な包括的経済連携、RCEP協定への日本の参加には慎重な見極めが必要というふうに考えているんですけれども、別に立憲が現時点で賛成だ反対だと言っている意味ではないです、しかし、中国を経済面で更に強大化させ、またインドが参加を見送る中で、RCEPへの日本の先行加入は、自由で開かれたインド太平洋の実現を妨げる懸念はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  52. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、RCEPについてでありますが、長年にわたって交渉を進めてまいりましたが、私もいろいろな通商交渉に関わってきたり見てきたりしておりますけれども、RCEPを中国が主導しているという見方は恐らく余り関係国であったりとかほかの国際社会からもないのではないかな、こんなふうに今考えておりまして、法の支配に基づきます自由で開かれたインド太平洋の実現を行っていく上では、自由で公正なルールに基づく秩序というのは極めて重要だと考えております。  この点、RCEP、これは、物品市場アクセスの改善のみならず、これまでの例えばTPPであったりとか日・EU・EPAと若干異なるのは、かなりここの中にはメコンの諸国なんかも含まれておりまして、発展段階や制度の異なる様々な国々の間で知的財産であったりとか電子商取引等の幅広い分野でルールを整備する経済協定でありまして、自由で公正なルールに基づく秩序を形成する一助になるものだと考えております。  御案内のとおり、十六か国で交渉してきた、ところが、最終的に、インドが幾つかの国内事情もあって参加をできないということになって、十五か国での署名ということにはなってしまいましたが、まずはRCEP協定の早期発効、これを実現させた上で、インドが入ってこられるという余地は残したところでありまして、インドの復帰を内側から働きかけつつ、RCEP協定を通じてインド太平洋地域における経済秩序の形成に主導権を発揮をしていきたい。  当然、中国であってもほかの国であっても、このRCEPに入ったら、RCEPで定められたルール、これをしっかり守っていく、この履行は確保していきたいと思っております。
  53. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私は、ちょっとどうしても中国の存在が余りに大きいので、このRCEPの中で中国を無視して考えられないんですけれども、ちょっと違う角度からお話をします。  米国バイデン大統領は、二月二十四日、半導体など重要部材のサプライチェーンを見直す大統領令に署名しました。アジアなどの同盟国や地域と連携して中国に依存しない調達体制をつくろうという試みだと思うんですけれども、このバイデン政権の戦略にもRCEPというのはかみ合うんですかね。ちょっとお尋ねをします。     〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕
  54. 四方敬之

    四方政府参考人 お答えいたします。  バイデン政権が、サプライチェーンの見直しということで、経済安全保障という観点から半導体等サプライチェーンの見直しを行っているということについて承知をしております。日米関係観点からも、我が国にとっても半導体等の重要な物資の確保というのは重要でございますので、そういう観点から、今後、日米連携ということを進めてまいりたいと思っております。  別途、RCEP協定につきましては、発効しましたら、先ほど茂木大臣からお話がありましたとおり、中国を含めてRCEPのルールを実施していくということでございまして、その中では、知的財産権あるいは投資関連のルールがございますので、それを、関係国、例えばオーストラリア、ニュージーランド等とも連携しながら実施をしていくというふうに考えております。
  55. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 最後の御指摘のルールの部分は、私もまさにそうだと思うんですが、そのRCEPのルールをきちんと中国に本当に守らせることができるのかどうかを、是非、RCEPの質疑も今後ございますので、その中でしっかりと確認していきたいと思います。  一点だけちょっと。済みません、私の正確な情報ではないんですが、昨日、議運のところに官房副長官からRCEPの資料について印刷に欠落があったということで謝罪があったという話が届いているんですが、これはちょっと、いろいろなうわさがうわさを呼んで、十数か所も誤訳が見つかったとかいろいろ言われているんですが、この件を御存じの方、いらっしゃいますか。     〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 四方敬之

    四方政府参考人 お答え申し上げます。  RCEP協定でございますけれども、国会に提出する条約の中で幾つかの部分につきまして、和訳におきまして重複あるいは若干の欠落ということがございました。  それにつきましては議運の方でも御説明をいたしまして、こういうことが再発しないようにということで、外務省といたしましても、これまで以上にこういうミスが起こらないように努めてまいるということで、努力をしてまいりたいと思っております。
  57. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 これは十分御存じのことだと思うんですけれども、誤訳、欠落等があると、全てこういう条約、協定は原文で判断される。中国は特にその辺、神経質ですから、中国も加入するRCEPには特に注意をいただかないとつけ込まれますから、是非その辺、重々お願いをしたいし、また、党としてのいろいろな判断も出てくるかもしれません。  ちょっと次の質問に移ります。  がらっと変わって、日本が政治的、経済的に安定すればするほど、米国には、日本は手のかからない同盟国の優等生に映りがちと思われる。米国バイデン政権に認識してもらうべき我が国を取り巻く外交上の諸課題は何かということをお尋ねしたいと思うんですが、実はこれは、グレン・フクシマさんがいろいろなところでおっしゃっていることなんですね。  グレン・フクシマさんは、バイデン政権は恐らくヨーロッパとアジア、アジアの最大国は日本だ、この二つをかなり重視しながらバランスを取り直すのではないかという持論を持たれていて、日系人ということもありまして、ヨーロッパのバイデン政権への売り込み、接触が物すごいから、日本も頑張りなさいよという御厚意の言葉をおっしゃってくれているんだというふうに思うんですけれども、是非質問にお答えいただければと思います。
  58. 市川恵一

    市川政府参考人 お答えいたします。  米国内、様々、日米同盟に関するいろいろ見方はあろうかと思いますが、そのお立場によってあろうかと思いますけれども、私ども、やはり日米同盟が今ほど必要とされている国際環境はなかろうというふうに思っておりまして、そういう下で、日米間、様々なレベルで意見交換しているところでございます。  まさに日本にとって日米同盟は外交、安全保障政策の基軸でございますし、また同時に、米国にとっても、インド太平洋地域に関与していく上で必要不可欠な同盟という認識であると思います。そういう認識に立ちまして、今後とも地域国際社会の諸課題に緊密に連携していく考えでございますが、とりわけ、このインド太平洋、非常に厳しい安全保障環境でございます。  そういう中にあって、日米間で非常に緊密に議論してございますのは、やはり、まずは日米同盟の抑止力、対処力の強化が必要であるということ。中国、北朝鮮などへの対処、あるいは自由で開かれたインド太平洋を推進していくこと、そのために、日米を基軸としてその他のパートナー国との協調を更に推進していく、そういうことが重要だと思っていますし、更に言えば、日米地域を超えてグローバルな課題について重要な責任を有しておりますので、新型コロナ対策ですとかポストコロナのルール作り、気候変動問題などへの対応、こういったグローバルな諸課題についても日米間できっちりと対応していく必要があるということで、日々努力をしているところでございます。  以上でございます。
  59. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 グレン・フクシマさんによれば、アメリカ側から見るとアジア最大の同盟国は断トツ日本なわけですから、日本から言われれば必ずそれなりの時間を割いて様々な交渉に臨むはずだ、話に臨むはずだ、だから、そこのところは是非遠慮なくやってほしいと。  それから、懸念だけ一つ、ちょっと言いにくいことなんですけれども、茂木大臣に申し上げておきたいと思うんです。  グレン・フクシマさんが、余計なお世話だと言うかもしれないんですけれども、分析ですよ、昨年の大統領選の前にされた分析でいうと、興味深い指摘をされていたんですね。自民党、官僚、経済界、自民党に近いジャーナリストや学者はトランプ再選を明らかに希望していた。  これが事実だとしても、バイデン政権との課題共有はしっかりやってもらいたいと思いますので、一言、当たり前のことだということをおっしゃっていただければと思います。
  60. 茂木敏充

    茂木国務大臣 グレン・フクシマ氏とは昔から親しくて、率直に話ができる関係でありますけれども、もし機会があったら、その点は心配なくと、そのように伝えたいと思います。
  61. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 次に、ちょっと中国の問題に、時間がなくなっているんですが、移らせていただきたいと思います。日中、日台関係まで行ければいいと思うんですが、日中関係現状認識を伺いたいと思います。  政府は、日中関係において戦略的互恵関係という表現を使わなくなったと思うんですが、その理由を教えてください。また、現状の日中関係を端的に表す最も適切と思われる表現は何か、つまり、戦略的互恵関係をもう使わないのであれば、それに代わる何かいいワーズはございますか。
  62. 石月英雄

    石月政府参考人 お答えいたします。  戦略的互恵関係とは、国際社会の平和、安定及び発展に対して責任を負う日中両国が、将来にわたり、二国間、地域国際社会等様々なレベルで互恵協力を全面的に発展させ、両国、アジア及び世界のために共に貢献する中で共通利益を拡大し、それによって両国関係を新たな高みへと発展させていく関係でございます。  中国との間では、戦略的互恵関係考えの下、隣国ゆえに存在する様々な課題をマネージしつつ、大局的な観点から、あらゆる分野で協力交流し、推進してくる、こういうことを進めており、こうした考え方には現在でも変わりはございません。  政府としましては、日中の安定は、二国間だけでなく地域国際社会のために極めて重要であり、共に責任を果たしていきたいと考えており、中国とは今後も二国間、地域国際社会の諸課題について緊密に連携をしていくことで一致しております。  同時に、中国との間には様々な懸案が存在しております。引き続き、首脳会談や外相会談等のハイレベルの機会を活用して、主張すべきはしっかりと主張して、懸案を一つ一つ解決し、また、中国側の具体的な対応を強く求めていく考えでございます。
  63. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 よく分かりました。  戦略的互恵関係という言葉は生きている、だけれども、今までほどしっくりときていない、私の解釈ですよ。なぜなら、やはり中国が経済的に大きくなり過ぎているからなのかなと思うんですけれども、ちょっと茂木大臣に伺いたいんですが、自由と民主主義、法の支配、基本的人権の尊重を前提とする国際協調主義に基づく戦略的互恵関係という表現はいかがでしょうか。ちょっと長過ぎるでしょうか。感想だけ。
  64. 茂木敏充

    茂木国務大臣 全体として間違った表現ではないと思いますが、何かの関係を言うのには若干長いような気もいたします。
  65. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 ありがとうございます。  続けて、中国による尖閣諸島周辺海域等における一方的な現状変更の試み及び領海侵入の目的は何と考えるか、我が国の領土、領海、領空を守るための方策は何かという重要な問題についてお伺いしたいと思います。
  66. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  尖閣諸島は、歴史的にも国際法上も疑いのない我が国固有の領土です。現に我が国はこれを有効に支配しております。尖閣諸島をめぐる解決すべき領有権の問題はそもそも存在いたしません。  中国側の目的についてお答えする立場にはございませんが、中国側の関連動向については常に注視しております。  中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入し、日本漁船に接近しようとする動きを見せていることは誠に遺憾です。断じて容認できません。  尖閣諸島周辺の我が国領海で独自の主張をするといった海警船舶の活動はそもそも国際法違反であり、中国側に厳重に抗議しております。  力による一方的な現状変更の試みは断じて認められません。特に、中国が東シナ海、南シナ海において一方的な現状変更の試みを継続する中、先般施行された海警法につきましては、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでおり、我が国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと考えております。こうした我が国の深刻な懸念を、中国側に対し引き続きしっかり伝えていきたいと考えております。  また、同盟国である米国及び有志国との連携強化は重要であり、米国を始めとするG7、ASEAN諸国を含む国際社会と連携し、力による現状変更の試みに強く反対していきます。  我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、主張すべきは主張しつつ、今後も冷静かつ毅然と対処していきたいと考えております。
  67. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 今後、中国側が海警船に積んだ小型ボートで日本漁船を追い回すようなことも想定されると思うんですね。中国海警船が尖閣諸島周辺を中国の領海だと主張して我が国の漁船などに武器を使う事態には、どのように対処されますか。
  68. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺の我が国領海に侵入するということは、誠に遺憾でございます。  尖閣諸島の周辺の我が国領域内で独自の主張をするといったことは、海警船舶の活動はそもそも国際法違反でありますし、中国側に厳重に抗議してきているところでございます。  引き続き、我が国としましては、同盟国である米国及び有志国との連携強化、G7やASEAN諸国、国際社会との連携、こうしたことにより、力による現状変更の試みに強く反対していく考えでございます。
  69. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 茂木大臣、このやり取りをお聞きになっていていかがでしょうか。今できる、警察官職務執行法第七条で、危害射撃を行えるケースということが議論されたりもしていましたけれども、全体として一言いただけますか。
  70. 茂木敏充

    茂木国務大臣 いずれにしても、我が国の領土、領海、領空、これは断固として守り抜く、固い決意の下、毅然と冷静に対処していきたいと思っております。  それから、戦略的互恵関係を始め、中国との関係をどうしていくか。  これは、先日、長編の歴史ドラマ、日中戦争に至るプロセスとか人間模様を描いた「戦争と人間」、改めて見たんですけれども、どちらの側に立つか、また誰の視点から見るか、日本の側といっても、伍代財閥の立場なのか、軍部の立場なのか、また外交官の役をやっている石原裕次郎の立場なのか、それぞれによって変わってきたりもするところはあるんですが。  間違いなく、日本もそして中国も国際社会の中では大国です。大国としての責任を果たしていく、そのことが国際社会からも期待をされ、中国も、そうすることによって中国自身もよくなり、日中関係もよくなる、このように考えております。
  71. 阿久津幸彦

    ○阿久津委員 私もそこのところは同感で、中国を感情的に敵視したり、ただ単に脅威に感じ過ぎてしまうというのはやはり我が国にとっては適切ではなくて、日本もいろいろな中国にないいいものを持っている、そのことも中国にちゃんと伝えながら、中国とよい関係を結ぶ方向性を、ありとあらゆる手だてを尽くしてこれからも求めていっていただくことを最後にお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。  ありがとうございました。
  72. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、渡辺周君。
  73. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 引き続きまして、立憲民主党の渡辺でございます。引き続き質問をさせていただきます。  先ほど与党の委員からも触れられましたけれども、ミャンマー情勢につきましてお尋ねをしたいと思います。  昨日、マスコミ報道で、これはメディアの言い方ですけれども、ロヒンギャに対して二十億円、千九百万ドルの、クーデター後初、緊急無償資金協力をするということが報道をされました。  これは、あくまでもロヒンギャという言葉はメディアが使った言葉でございまして、例えば、外務省のホームページなどでは、バングラデシュに流出した避難民というような、あるいは、昨年十月の二十三日、外務省のホームページで紹介されておりますけれども、國場外務大臣政務官の挨拶の場合は、ラカイン州からの避難民というような書かれ方がしております。  日本政府は、この人道支援で、国際機関を通じて、赤十字やワールド・フード・プラン、世界食糧機関など国際機関を通じて支援をすると。これまでも、実は日本は、外務省のホームページを見ますと、ODAのところで出てきます。日本は、このロヒンギャを対象にということでよろしいですか。ロヒンギャという言葉日本政府言葉からは出てこないんですけれども、その点については、大臣、いかがですか。ロヒンギャという言葉は、何か使うと都合が悪い事情があるんでしょうか。その点について、いかがですか。
  74. 小林賢一

    小林政府参考人 お答えいたします。  ただいまの議員の御質問につきましては、事前の質問通告をいただいていないというふうに存じますけれども、ロヒンギャという言葉につきましては、それを使う人あるいは聞く人の側でいろいろな解釈が……(渡辺(周)委員「済みません、ちょっと近づいて、話がちょっと聞こえにくいので、マスクなもので、済みませんね」と呼ぶ)申し訳ございません。  委員の御指摘の質問につきましては、事前に通告をいただいていなかったというふうに存じますけれども、ロヒンギャという言葉につきましては、それを使う人あるいはそれを聞く人の側でいろいろな解釈を残すものであるというふうに認識をしておりまして、そういう観点からラカインという言葉を使っているということでございます。
  75. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 これはミャンマー国内法で、ロヒンギャという民族は、ミャンマーのビルマ時代に作られた法律だったかという私の認識でありますけれども、ロヒンギャという民族は、ミャンマーの国家を構成する民族としては名前がたしかないんですよね。  ですから、ただ、一般的には、世界的にも、あるいはメディアもロヒンギャ支援ということになっているんですが、日本としてはこれは使わないということでよろしいんですか。いかがですか。
  76. 茂木敏充

    茂木国務大臣 いずれにしても、人道支援であります。避難民であったりとか困窮している方々の避難でありまして、日本として一般的に、どの地域において、こういう形でありまして、少数民族も含めて、この民族を支援するという言い方は少ない、このように理解いたしております。
  77. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 これは、アムネスティ・インターナショナルやあるいは西側各国も、ロヒンギャということについて、支援について、つまりミャンマー国軍に対する、迫害でありますとか、あるいは右派仏教徒による迫害があって、そこにはロヒンギャという言葉がもう出てくるんですね。日本がそのロヒンギャという言葉を使わないのは、今のミャンマー政府に対する何らかの配慮、配慮と言うと聞こえはいいんですけれども、何かしらの忖度があるのかなというふうに思わざるを得ないんですけれども、どうして日本だけがこの言葉を避けて通るのかということを私は問うておるわけなんです。  もちろん、それ以外にもいろいろな民族がありまして、カチン族だとかなんとかといろいろ難しい名前の方々、私もミャンマーに行ったことがありますから分かります、お土産にいただいた小さなマスコットの木の人形には、ミャンマーを構成するいろいろな、国の民族が民族衣装を着て一つのボードになったものをお土産にいただいたことがあります。  それだけに、ミャンマーの今のこの問題について、やはりアムネスティにしても、西側の各国がロヒンギャに対する迫害について、このクーデターが起きたことによって、再びバングラデシュに逃げている方々もいらっしゃいます。しかし、まだ国内にとどまっている方々もいる。この人たちに対する迫害が更に過熱するのではないかということで、大変懸念される報道も出ているんです。  この点については、やはり問題の本質が分からなくならないように、私は、しっかりとその呼称についても是非検討して統一をしていただきたい。  この呼称についてもう一つ伺いたいのですけれども、昨日の報道によりますと、日本政府丸山大使が面会をしました。外相としてワナ・マウン・ルイン氏、この人を外務大臣として呼ぶということを日本政府は決めたということなんですが、それでよろしいですか、事実確認。
  78. 小林賢一

    小林政府参考人 重ねて恐縮でございますが、ただいまの点につきましても、事前に質問通告をいただいていないというふうに承知をしておりますが、その上で、一昨日、丸山大使がワナ・マウン・ルイン大臣にお会いした……(渡辺(周)委員「済みません、もうちょっと前に」と呼ぶ)申し訳ありません。
  79. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、ミャンマーにおきましては国家安全評議会、これが構成されておりまして、その評議会においては今のワナ・マウン・ルイン氏が外務大臣に指名されているということであります。  我々としては、今の評議会そのものが正当であるかどうか、こういう評価はいたしておりません。ただ、カウンターパートといいますか、ある意味、今のミャンマーの実際に治安等々を担っている責任者の一人である、このように考えておりまして、日本政府として直接にそういった人間に働きかけをする、このことは重要だと思っております。
  80. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 最初に申し上げますけれども、私はあなたらにミャンマー情勢については質問しますというところを要旨で送っていますから、私の間違いがなければ。しかも、そもそも、外務省がそう決めたと報道されていることを、通告がないから答えられませんなんというばかげた答えをしてもらっちゃ困るわけです。  こんなものは、あなた方の所管で、もう既に報道もされているわけですから、そんなことは聞かれるだろうという想像力の下に、ある程度、回答はどこからでも引き出しを開けて答えられるようにしておいていただかないと、そんな一々、こちらもつまびらかに全ての質問を事前に通告するわけじゃありません。だけれども、ミャンマー情勢だったら、この辺はもう既に報道されているベースのことだから聞かれるだろうということは分からなきゃおかしいんですよ。そのことについて、あえて一つ苦言を呈しておきたいと思います。  それで、分かりました、その呼称として、呼称をいじる必要性があるということ。  これは報道によりますと、丸山大使がお会いをされた。報道されているのは、日本は、アウンサンスー・チー氏率いる組織にも、この今回の最高司令官に対しても、両方ともパイプがあるから日本独自のアプローチをしているのだというようなことが報道されているわけなんですけれども、この丸山大使が、先ほど申し上げたロヒンギャの方に対して、昨年、ロヒンギャの方々のことをベンガル人であるというような発言をして、在留ミャンマー人もそうでありますけれども、国際社会からも、その言い方はないだろうと。  元々この人たちは、歴史的にも民族としてしっかりと議会にも代表を送り出して、独自のコミュニティーを持ってきた方々。それが何か、あたかもその国には存在していなかったかのような物言いをされてきたということが、そもそも迫害の背景にもあるんです。  それに対して、非常に親日的なミャンマーの国の方々。言うまでもありませんけれども、戦後補償をいち早く返上して求めなかった国でもあり、様々な、私も、皆さん方もそうだと思います、ミャンマーに行けば、やはり、日本に対する親和性が大変強い国であります。国民の人柄というのも大変おとなしい国民性でありまして、だからこそ、ビジネスチャンスについても、日本が、民政移管後にたくさんの日本企業が進出をしている。そして、ここにある、ミャンマーにあります日本人学校は、世界で二番目にできた、世界で二番目に古い日本人学校なんですね、一九六四年、ですから、昭和三十九年にヤンゴン日本人学校ができたわけでございます。それぐらい歴史の関わりは古いところ。  それがゆえに、今、この国にもたくさんのミャンマーの留学生や、あるいはビジネスチャンスを求めて来る方々、普通にコロナ前、たくさん見受けられました。非常におとなしい方々で、本当に、そういう意味では日本人と非常にハーモナイズできる方々だろうというふうに思っているわけなんです。  ちょっと話はそれましたけれども、そこで、先ほど来、制裁はしていないけれども、当然、事態の進展によっては今後どうするかという、日本政府としてはODAに対する支援というものも考えなきゃいけないんだという答弁がありました。  ただ、私どもは、日本政府は使わないけれどもロヒンギャの方々、バングラデシュの難民キャンプに逃げている方々、半数が子供であります。この人たちが、やはり非常に凄惨な目に遭ってきた、残酷な目に遭ってきた。だから、簡単に国に戻れと言うけれども、もう、その忌まわしい過去を思い出すからその土地には戻りたくないという人たちが実は多いというのは、いっぱいNGOや様々なジャーナリストがこのことについて触れております。  今ここで起きている中で、このクーデターに対して、実は、経済的抵抗をしようということで、ヤンゴンにいる方々はもちろんなんですけれども、例えば、先ほどもどなたか紹介されました公務員ですとか税務署の職員とか、いろいろな職種の方々が、ある意味では仕事をボイコットされて抵抗している。中には、国民が選択した体制ではないんだと、今の体制、軍事政権がですね、市民が、納税や、あるいは国軍系の製品の購入拒否の動きが広がっている。  国軍系の製品というのは、ミャンマー・エコノミック・ホールディングスという、金融とか農業とか鉱山採掘とかいろいろなものを幅広く押さえている複合企業なんですけれども、例えば、ここと取引のある企業に対して、ビール会社のキリンは取引を見合わせるというようなことを先般発表されました。  個々人でいえば、社員が個人所得税を払わない、つまり、税金を払うと軍の資金になるだけだからそれはしないでほしいというようなことで、日系企業の社員も日系企業に対して、個人所得税を払わないでくれというようなことを、声が上がっている、これは日経新聞でおととい紹介されていました。  今現在、多くの日本企業は、日系企業は対応を保留しているということなんですけれども、その点について、日本政府現状を認識していますでしょうか。
  81. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、先ほど来、ミャンマーの少数民族の問題がありました。これはミャンマーだけではなくていろいろな国で、様々な民族、これから構成をされるという中で、少数民族を含めて、その権利等がしっかりと代表される、こういったことは極めて重要だと思っております。そういった中で、日本として民主化等々のプロセス支援していく。  ただ、民族、これを強調することが正しいかどうかというのは、例えば一九九四年のルワンダの問題を見ても、ツチ族とフツ族、こういう対立をどちらかというと欧米があおることによって、あれだけの惨事、当時の人口でいいますと九百万でしたけれども、その中で百万人が亡くなる、そういう事件も起きたわけでありまして、その扱いについては慎重な対応が必要だ、私はそんなふうに思っております。  そういった中で、それぞれの民間企業が現在の状態考えてどういう経営判断をされるか、それはまさに企業の判断ということでありまして、企業も今後は、単に営業活動ではなくて社会的責任、こういったものも考えながら判断をしていくんだろうと思っております。  一方では、政府の立場としては、単純に支援なのか制裁なのか、こういう問題よりも、まず、いかにしてこの深刻な状況鎮静化させて収め、そして、ミャンマーを再び民主化プロセスにどうやってのせていったらいいんだ、このことは、欧米もそうだと思います、それから日本もそうです、ASEAN諸国も。それぞれにどういう働きかけ、どういうやり方が適切で効果的なのか、こんなことを考えながら検討していくということになると思います。
  82. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ミャンマーの会計年度は、以前は日本と同じで四月一日から三月までだったんですが、今、十月から九月三十日までに変わっているんですね。ですから、会計年度的に言うと、その納税を今どうするかということは、直ちにどうということではないんだと私は思います。  私がお尋ねしたのは、ミャンマーの国民の中には、結局、税金を払うとその税が国軍のいわゆる資金源になるから今経済的抵抗をする、いわゆる非暴力ではありますが、町に出て、街頭でデモ行動をする方々もいれば、納税をしないという形で政府に対してダメージを与えようという、今の政府というか、クーデターの暫定政権に対してですね。  それに対して、日本企業で働く人たちが、自分の税金は納めないでくれというようなことがあって、日本企業はそれを、今、対応については保留しているというような報道があったので、それに対して、それは、今の大臣の答弁ですと、社会的責任をそれぞれで考えてくれと言いますが、それならば、日本政府は、今のミャンマークーデターの政権は正当な政権だというふうに認めているのか認めていないのか、もうそこのところがはっきりしないと、いわゆる納税拒否という形の動きが、企業に任されても困ると思う。そこに対してどういう指針をお持ちなのかということを聞いているんですから、そこは、大臣、もう一回お答えいただけますでしょうか。
  83. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、新しい、例えば政権が正式に発足した、そのようには考えておりません。  一方で、この事態を収束させるためには、今の国軍等に対して働きかけをしていくということは必要だ、このように考えております。
  84. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それを、では聞き方を変えますけれども、日本政府として、丸山大使が在ミャンマーの企業等に対してそういう形で一定の指針を何らかで伝えるべきで、それはやっていますか。そうしないと、個々の企業が社会的責任を果たしてくれということを言われても、実際、社員から納税をしたくないんだという板挟みに遭っている方々に対してどう答えていいか分からない中で、そこの対応については、日本政府がやはり一定の方向性を示すべきだと私は言っているんですけれども、いかがですか。
  85. 茂木敏充

    茂木国務大臣 恐らく、事態が今動いております。どういった形で収束をさせていくか、これを考えなきゃならないときに、すぐに全てのことについて今日答えを出すというのは、私は外交的には無理だと思います。先生にそのような見識があるんだったら、私よりも優れた能力をお持ちなんだと思います。
  86. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 もちろん、外交状況について、私どもが、じゃ、ひょっとしたら明日、何らかの形で、今の政権が何らかのステートメントを出して収束に向かうかもしれない、それは否定できません。  ただ、もう一年間の非常事態宣言を出しているわけですから、最長で、これは一年間ですから、あと十一か月ぐらい、今四十日ぐらいクーデターからたちます。ですから、十一か月以上続く可能性もあるわけですね。それはどちらもあり得る話ですけれども。  実際、今ミャンマークーデターをめぐって、日本政府の立ち位置というのが、独自の解決をすると言いながらも、現実、解決がいつになるのか分からない。現実の、今の状況の中で最善の判断をしなければいけない。しかし、国際社会から見れば、解決をしてくれればいいんだけれども、日本だけが何か、はっきり言って、ミャンマーに対しては少しはっきりしない態度なのではないかというような言われ方もあるわけでございます。  この問題をやると、もう二十分たっていますから、ちょっとそろそろこれは区切りにしますよ。でも、そこは是非やってください……(茂木国務大臣「いや、それはないと思うから」と呼ぶ)いや、だけれども、それは……(茂木国務大臣国際社会、聞いているから」と呼ぶ)はい。  じゃ、そこは、この話はまた、今回だけじゃなくてやりますけれども、ただ、このクーデターが起きたことによって、いろいろな新しい問題が噴出しているわけですから。そこをちょっと最後、答えてください。
  87. 茂木敏充

    茂木国務大臣 私も、米国、英国、そして豪州、さらにはASEANリーダー格でありますインドネシア、ブルネイ、さらにはタイ、それぞれのカウンターパートと話をしております。率直な意見交換ができる仲です。初めて会う人というのはいませんから。そういった中で、どう考えても、日本対応が遅れている、こういった声はないと思います。決してそんなことはないと思いますし、例えば、丸山大使にしても、少なくとも、今、この暴動に対して治安当局をどう抑えていくかということについては、国軍関係者であったりとか、今の体制に働きかけるしかないんです。  では、アウンサンスー・チー最高顧問、今、拘束をされて、早期解放を求めておりますけれども、残念ながら、それが政府として今機能しているかというと、正しい、間違っているは別にして、機能していないのも現在の状況でありますから、そこの中で、どの政府をどう認めて、何という判断をどこかの国がしているかというと、していないと思いますよ。決して、日本対応が遅れている、こういう評価では私はない、このように思っております。
  88. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ちょっと、また事態の進展を見ながら、改めてこの問題、是非やりたいと思います。  何で私がこの問題に熱くなったかというと、私の死んだおやじというのがビルマの建国運動に関わったことがございます。アウンサンスー・チーさんが子供だった頃に、うちのおやじはアウンサン将軍とスー・チーさんと同じところに住んでいたという、実はちょっと歴史的な関わりがあるものですから、少しこの問題については私も熱くなったところがあります。ちょっとこのことは、ですから、その思い出でまた改めてやりたいと思う。  ほかの質問でちょっとさせていただきます。いろいろ伺いたいことがあるんですけれども、時間の関係で一点。  先般、二月の二十六日に、中国が台湾のパインの輸入停止を発表しました。害虫検出を、害虫が出たということで、口実にした経済制裁ではないかと台湾の世論が沸騰しました。毎年平均四万トンある対中輸出、これは台湾の栽培量のおよそ一割です。九割が国内消費。蔡英文総統は、九九・七九%が品質検査で合格した、にもかかわらずということで、行政院ですね、内閣が促進PRを行いました。  三・一一、明日で十年になりますが、この三・一一のときに台湾が夜通し国民に支援を呼びかけて、そのお礼をしよう、その恩返しの意味もあって、いろいろなところで、私もネットに書いたところ五百以上の数の反応がありましたけれども、本来、中国に輸出する分の史上最高額、史上最高の量の日本へのパイナップルの輸出が決まったということになりました。  しかし、これは、台湾と日本、もう非常に隣人として、私はあえて隣国と言いますけれども、隣国として大変いい関係にはあるんですが、ただ、一つ、明日で十年になるこの震災の影響で、台湾は、そうはいいながらも、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、アルコールを除く全ての食品が輸入停止となっています。二〇一五年の五月から、台湾政府は強化をしますと。例えば、産地証明書に加えて放射性物質の検査報告書も添付するようにということで要求がされております。  非常に日本と台湾、友好的に、本当にいい関係ではありますけれども、台湾のこの五県に対する全ての食品の輸入停止、あるいは、私ども静岡県ですと、静岡県も含め、東京、愛知、静岡県と大阪、茶類産品、お茶に関係するものは、先ほど申し上げましたように、産地証明書に加えて放射性物質の検査報告書が要求されておる。  決して台湾産パインの支援の見返りではないんですが、私たちは見返りを求めない支援というものがやはり日本の美徳だとは思いますけれども、さはさりながら、ただ、今も、十年たって、友好的間柄にある、最も親和性の高い台湾においてもいまだ、まだこうした輸入規制が続いております。  この点について、十年を契機にして、やはり日本としてこの輸入規制の解除というものを実現すべきだと思いますけれども、外務省としていかがお考えでしょうか。
  89. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘の日本産食品に対する輸入規制の撤廃、これは政府の重要課題でございます。総理及び茂木大臣からも、あらゆる機会を捉え、関係国・地域に対し、日本の食の安全性確保の取組につき説明し、規制撤廃に向けて働きかけてきました。こうした働きかけの結果、昨年はフィリピン、モロッコ、エジプト、UAE及びレバノンが、本年一月にはイスラエルが規制を撤廃しました。規制を導入した五十四か国・地域のうち、現在までに三十九か国・地域で規制撤廃が実現されております。  御指摘の台湾につきましては、福島県等五県産食品に対する輸入停止、また、先ほどございました茶類製品を含むその他一部の食品に対する放射性物質検査証明の添付要求等の措置が継続しているものと承知しております。  台湾側に対しましては、日本台湾交流協会を通じまして、食品の安全性等に関する各種の情報を提供しております。科学的根拠に基づく早期の規制撤廃を働きかけてきているところでございます。  台湾の方々が日本産食品の安全性について理解し、規制の早期撤廃につながるよう、今後も日本台湾交流協会を通じ、あらゆる機会を捉えまして粘り強く働きかけてまいりたいと考えております。
  90. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 その台湾の交流協会が、大使館に当たる日台協会がパイナップルのことについても支援をしているのは、フェイスブック等で出していますね。台湾産のパイナップルを日本でもどうぞというような応援をして、それに対してたくさんの感謝の声が寄せられているとさっき申し上げました。  だからこうだという、別に見返りを求めるわけではないんだけれども、ここまでのことも含めて、十年ですから、せめて台湾は、ほかにも韓国とか中国とか香港とかマカオとか、あと五つの国が輸入規制をかけていることは百も承知でございます。それで、先ほどお話あったような統計は私も持っていますから、どこの国が段階的に輸入規制を解除したかということもよく承知しております。  ですけれども、台湾が、意外なのが、なぜ台湾がということなので、是非このことについては、十年という節目ですから、もう科学的な根拠についても何度も説明をしているはずなんです。実際に、台湾の厚生省に当たる部署ではとっくに緩和するようなことも言っていたんだけれども、結果的にはこのことについてその後ちょっとなし崩しになっているということなので、是非この点については更なる働きかけを続けていただきたいと思います。  ちょっともう時間がなくなりました。  大臣に伺いたいんですけれども、来週十六日に2プラス2が、ブリンケンさんとオースティンさんと2プラス2が東京で行われるという報道があります。今朝の日経新聞ですと、尖閣問題について中国を名指しで取り上げるんだというような報道がありましたけれども、もう既に共同文書の中身は固まっているということでよろしいですか。
  91. 茂木敏充

    茂木国務大臣 主要外交日程については、決まった時点で速やかに発表いたします。また、議論した内容の概要につきましては、会談後発表するということになると思います。  その上で、仮に、バイデン政権発足後のこの早いタイミングで、日米外相会談であったりとか2プラス2において、強固な日米同盟を再確認し、現下の厳しい安全保障環境や様々な課題を抱えている地域情勢国際情勢について議論する機会を得ることができれば大変有意義だと考えております。
  92. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 バイデン大統領、副大統領時代に、オバマ政権が正直、中国に対して対応が後手に回った。それは、パリ協定に中国を何とか協力させるために、やや海洋政策について目をつぶったのではないかというようなことがその後指摘されました。例えば、尖閣における領空について、中国が一方的にあのときにADIZを設定しました。その後、三日後にアメリカが戦略爆撃機を飛ばしてというような若干動きはあったんですけれども、結果として、航行証明を出せという中国の言い方に対して、結果的にその後ノーアンサーであったというようなことが実はございます。  ある意味では、オバマ政権のときの共同責任者である副大統領が今度大統領として就任をされ、特に2プラス2で日本に来る。この尖閣の問題についても相当踏み込んだ話をしていくべきだろうというふうに思います。  そこで、最後にちょっと二つ聞きたいんですけれども、バイデン政権が三月三日に発表した暫定戦略指針、本格的な国家安全保障政策までの当面のつなぎですけれども、北朝鮮の非核化については文言がなかった。核、弾道ミサイルの脅威の低減という言葉にとどまって、保有を前提とした、もう保有を容認したのではないかという見方もあります。このバイデン政権の朝鮮半島非核化についてのスタンス、これを日本外務省としてはどう見ているかということが一点。  それから、北朝鮮については、これは日米韓のオンライン局長会議でも、米朝二国間交渉の継続を要請した、やはり多国間交渉よりも米朝二国間で交渉することが有意義である、あるいは北朝鮮に最も効果的であるということでありました。その点について、四月にも菅総理大臣が訪米するのではないかというような観測記事もありましたけれども、まずは2プラス2の中で、北朝鮮の非核化についてはやはり二国間交渉、アメリカがやはり前面に出るべきであるということ、それから、拉致問題について、バイデン政権が、新政権がどこまで拉致問題を認識しているのかと。  もう御存じのとおり、被害者家族が次々に、横田滋さんを始めとして昨年お亡くなりになりました。もう皆さん御高齢でいらっしゃいます。横田早紀江さんも八十五歳。先般、報道でも見ましたけれども、なかなか全国でかつてのように講演して回るような体力も今は厳しいんだというようなことを、心情を吐露していらっしゃいました。  やはり、北朝鮮の拉致問題についても、是非2プラス2。核と同様に、アメリカから、そこは我々も、もちろん日本が第一義的にやるんだけれども、バイデン政権に対しても、決して融和的な政策を取るのではなく、北朝鮮の拉致問題については早期解決のために一肌脱いでくれということを是非2プラス2の席でお伝えいただきたいわけですが、大臣、いかがですか。
  93. 茂木敏充

    茂木国務大臣 2プラス2について、今の時点で、いつやる、実施する、こういうことについて申し上げられませんが、対北朝鮮については、日本として日朝プロセス、支持をしております。  同時に、拉致問題、拉致、核、ミサイルと包括的に問題を解決していきますが、拉致問題については日本が主体的に取り組む問題であると考えておりまして、菅政権としても最重要課題と考えております。  日米間でもこの問題については議論をしておりまして、拉致問題、御家族皆さんも高齢となる中、早期の解決が必要だと日本からも訴えかけ、アメリカからも拉致問題の改善について全面的な支持を得ているところであります。
  94. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 このアメリカ新政権が人権、人道を標榜するのであれば、まさにこの北朝鮮拉致問題について、先ほどのどなたかもおっしゃいましたウイグルのまさに問題も含めてですけれども、北朝鮮における日本人拉致問題、この問題は是非同格にアメリカに認識を持っていただいて、同等の重みを持って新政権が北朝鮮に対して働きかけをすることを願うばかりであります。  今の北朝鮮の状況というのは、御存じのとおり、新型コロナウイルスの発生から、中国との国境を封鎖しました。中国側の発表によりますと、中朝貿易の総額というのは八割も減ってしまっています。そして、さらには、これまでの経済制裁と度重なる豪雨災害で、もう既に食料の摂取が不足する住民の割合というのは六三%になる。非常に北朝鮮は今弱っています。  ですから、私は何らかの形で交渉を持ちかけるメッセージだと思います。是非その点について、力強く、日本政府、できれば本当に総理が、あるいは外務大臣がユーチューブにでもアップして、北朝鮮に直接メッセージを投げかけるような、それぐらいのことをしてはいかがかと思いますけれども。  なぜ私はここで言うかというと、拉致の委員会が開かれないんですよ、一昨年から。ずっと言っているけれども開かないので、なかなか拉致問題を外務大臣質問する機会がないものですから、是非そのことを訴えたいと思います。  また、どうです、そのぐらいの覚悟を持って、是非主体的にやっていただけませんか。いかがですか。
  95. 茂木敏充

    茂木国務大臣 拉致問題、バイデン政権も、人権政策含めて、極めて重視をしていると思っております。  そして、先ほど申し上げたように、この問題は日本が主体的に取り組む問題だと考えておりまして、時間はない、そういった中で、あらゆるチャンスを逃すことなく取り組んでいきたいと思っております。
  96. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 いや、主体的に取り組む問題であることは当たり前です。ただ、国会のこのせっかくつくった委員会においても開かれないわけで、それは北朝鮮に間違ったメッセージとして、日本の国会では全然議論していないじゃないかということに北朝鮮だって当然、間違ったメッセージになりかねないわけです。北朝鮮は当然この動きを注視しています、そのことを。  だからこそ、是非とも外務大臣には、この2プラス2の場を通して、あるいは日本外交の責任者として主体的に取り組んでいただきたい。最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  97. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、緑川貴士君。
  98. 緑川貴士

    ○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党の緑川貴士です。  私からは、まずコロナウイルス対策ということで、変異株の感染国内各地で相次いで確認されています。感染力も強いとされるこの変異株が広い範囲で感染拡大しています。  この水際対策を更に強化するためにと、政府が、外務省が、新型コロナウイルスの変異株流行国・地域として、これまでのイギリスや南アフリカ、そしてブラジルの一部地域などに加えて、先週新たにヨーロッパなど十三か国・地域を指定して、水際対策の強化対象を十七か国に増やしました。  しかしながら、このほかにも変異株が確認されている八十九の国・地域政府の水際対策の強化対象国として指定されていない現状であります。これらの国・地域からは、既にこの一月だけで四万人近くが入国しています。  そうした状況の中で、昨日の報道によれば、変異株の感染者が確認された自治体が二十五の都道府県に拡大をしました。一月時点では四都県、二十四人にとどまっていました。二月に入って急増しました。変異株のスクリーニング検査は陽性者の一割ほどしか行われていない中で、数がどんどん増えています。本州から九州、四国、北海道まで広がって、昨日までに、変異株の感染者が三百八十人以上に上っているということであります。  これまでに変異株流行国・地域として指定したタイミングも含めて、これは大臣からお伺いしたいんですが、水際対策というのが変異株の国内流入を防ぐ上で十分だったというふうにお考えでしょうか。
  99. 茂木敏充

    茂木国務大臣 変異株の流行国・地域につきましては、その状況というものは政府内でしっかりと共有をしております。  そういったことをするに当たって、在外公館等で収集しました情報というのはしっかり政府全体で共有しているところでありますが、水際対策ということになりますと、何のためにやるのか、国内にそういう変異株が入ってきて流行する、拡大する、これを抑えるためにやる対策でありまして、まさにこれは内閣官房、厚労省を中心に検討する問題だと思っておりますし、入国制限措置そのものにつきましては法務省の所管だ、そのように考えているところであります。  これまでの水際措置の成果ということで、詳しくはそちらにお聞きいただきたいと思うんですが、政府としてということでありましたら、これまで政府全体として、各国の感染状況等を見極めつつ、国民の安心、安全の確保を最優先に、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために必要な水際対策措置を機動的に講じてきております。  変異株の海外での拡大を受けまして、全ての国、地域からの外国人の新規入国、そしてビジネストラック及びレジデンストラックについて、緊急事態宣言が発令されている間、一時停止することといたしました。  これ以上の詳細につきましては、必要であれば、所管の省庁にお聞きいただければと思います。
  100. 緑川貴士

    ○緑川委員 状況確認した上で、最後にやはり検疫強化も、もちろん各省庁横断的にこれは考えながらやっていきますけれども、変異株の流行国の対象に指定するか否かという判断はやはり大臣に任せられている所管でありますので。  これまでの経緯も含めまして、感染力の強いイギリス株がありました。これは当初、イギリス政府が昨年の十二月の十八日に緊急閣僚会合を開いて、その二日後にはEUの専門機関がリスク評価を行って、すぐに発表しています。翌日にはイギリスが詳細な分析結果を公表しています。  しかしながら、ヨーロッパだけではなくてアジアでも徐々に既に感染確認国が広がっていた中で、日本対応というのはやはり鈍いものだったというふうに思います。  日本側の受入れ企業、団体の誓約書の提出を条件としたイギリスからの入国を、確かに十二月の二十四日からは停止をして、南アフリカの入国は二十五日から停止をしているんですが、その国からの日本人、また再入国の外国人などは事前の検査証明と誓約書の提出で入国は認めている状況であります。  イギリス株の輸入リスクは低いというふうに、これは、検疫を見る国立感染研もそういう判断をしていたことが判断を遅らせたというふうに思っています。  イギリスなどを変異株流行国・地域の対象の地域に指定をして変異株の水際対策を強化したというのが、実はその翌々月の二月の五日です。それまでの間に、このイギリス株の流入リスク、そして、変異株が確認されていた八十九の国・地域から入国したことによる流入のリスク、そして、先週、変異株の流行国・地域に指定されたばかりの十三か国・地域から入国する人は最近までは従来どおりの検査で入国できていたわけでありますから、そのルートで流入していたというリスクがやはり考えられます。  今、指定対象になっていない場合の検査では、例えば、感染した後は、すぐ直後にはウイルスの排出量はまだやはり少ないということで、PCR検査でウイルスが十分に含まれた検体というのは採取できない、陽性とならない場合があります。感染直後に入国をした場合は検査の網をすり抜けてしまっているケースがあります。  まずは、この変異株の確認されている国、地域を所管大臣として指定をして、入国後三日後のPCR検査も行う対象を広げるべきではないでしょうか。
  101. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先ほども申し上げたように、疫学的措置として何が必要かにつきましては所管省庁にお尋ねいただければと思います。当然だと思います。
  102. 緑川貴士

    ○緑川委員 これは、各省庁全てにおいて原則として共有していただきたいというふうに思うんですけれども。  予防原則と呼ばれる考え方があります。被害が大きいということが想定されるのであれば、確率、頻度が確かに不確かであったとしても事前の予防的措置を取るという考え方であります。  昨年末に変異株が確認されて、その翌日以降に空港検疫以外でも市中感染が起きて、職場や保育園で変異株のクラスターも起きています。神戸市のように、先月中旬以降の新規感染者の半数以上が変異株と報告する自治体も出てきているわけです。  この被害、影響の大きさを、やはりこれは外務大臣としてもしっかりと共有しながら、各省庁で想定するべき話であるというふうに思っています。  強化対象国に指定をして対策を強化した場合についても、やはり不十分な点があります。これは、強化対象国となった場合でもです。  変異株流行国・地域から入国する場合には、従来の入国前と入国直後のPCR検査に加えて、ウイルスの排出量が比較的少ない無症状感染者も把握できるように、入国三日後のPCR検査を課しています。この検査までは指定の宿泊施設で待機をして、陰性と確認されれば自宅待機に切り替えられることにしていますけれども、ここでもやはり不十分なんです。  まず、入国三日後のPCR検査の場合も、一定割合は感染していても陰性の結果が出る偽陰性になるとされて、検査漏れを完全には防げません。そもそもこの三日間で十分なのかという問題があります。  加えまして、陰性と確認された後の自宅待機についても、これは常時待機しろということは求めていないわけです。二週間の待機期間中でも、飲食物の購入、不要不急に当たらない外出については認められています。  去年からそうしたことで、待機ということはあっても隔離というのは徹底されてこなかったというのが現状だと思います。  この待機期間中の新たな対策としてビデオ通話とか位置確認を毎日行ったとしても、ここをやはり改善していかなければ、水際対策の強化対象にした国、地域からの入国でも結局は感染がにじみ出てしまう、そしてあるいは今後もにじみ出ていく可能性があるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  103. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。  検疫の体制の関係でございますので、厚生労働省より御答弁をさせていただきます。  現在、検疫におきましては、全ての入国者に対して出国前七十二時間以内の検査証明の提出を求めて空港検査を実施するとともに、入国後十四日間の待機等についての誓約書の提出を求めております。  さらに、変異株が流行している国、地域からの入国者につきまして、出国前、入国時の二回の検査に加えて、入国後三日目に追加の検査を実施した上で、入国後十四日間の健康フォローアップを行うためのセンターの設置を委託をいたしまして、入国者の日々の健康状態や自宅等待機の状況確認等を行っているところでございますけれども。  先般、三月五日の政府決定に基づきまして、この健康フォローアップの措置につきまして、全ての国からの入国者に拡大をするとともに、フォローアップ内容を強化をいたしまして、委員に先ほど一部御紹介いただきましたけれども、位置情報の確認を原則毎日行いまして、ビデオ通話による状況確認を行い、三日以上連絡が取れない場合等におきましては民間警備会社等による見回りを実施をすることとしておりまして、これらを順次行ってまいります。  こうしたことを通じまして、変異株への対応を含めて検疫体制の強化を図っていくこととしておりまして、この点につきましては、厚生労働省のアドバイザリーボードにおきましても、三月五日に発表した検疫措置の更なる措置、こうしたものをしっかりやっていくことが必要だということで、評価をいただいているところでございます。
  104. 緑川貴士

    ○緑川委員 やはり私は、その検疫対策の中で、これは再三今申し上げましたけれども、全くお答えになっていないわけです。不十分な点ということに対しての正面からのお答えをいただいておりません。  やはり、水際対策という以上は、所管大臣として入国を許可していくわけですから、隔離の確実性を高めていく必要があります。入国後十四日間、この観察期間中というのは、公共交通機関を利用しない、自宅待機を守ってくださいという点は担保しているんですけれども、空港に到着したときに提出する、やはりこれが、誓約書というものが担保になっているわけですが、誓約書の違反というだけでは、やはり法的な拘束力というのがあるわけではありません。氏名などの公表というペナルティーがあくまで課されるのみになっています。  海外事例等を考えると、比較すると、オーストラリアのバイオセキュリティー法においては、入国者の隔離、移動制限などを行うことができる。新型コロナに対しては、入国者全員、二週間の宿泊施設での隔離を行っていますし、また台湾では、二週間の隔離というのを罰則つきで義務づける、一方で、隔離する場所やそこへの移動手段としては、これは国が提供していく、食事なども国が提供するということで、隔離の実効性を高めている例があります。  こうした例を参考にして、隔離を徹底していくために、これは検疫法の改正も含めて、入国者の協力を得られやすいという環境を政府全体として提供していく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
  105. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  誓約書による取扱いを行っているわけでございますけれども、その誓約書を提出しない者につきましては、検疫所が確保する宿泊施設で十四日間待機することを要請するという取扱いをしております。そして、その上でさらに、その要請に従わない場合には検疫法に基づく停留という措置の対象とし得るという形にしておりまして、そういう意味では、最終的に従わない者等がおれば、それは検疫法の法律に基づきまして強制的な措置に移るという仕組みを設けておりますので、こうした形によりまして実効性を確保してまいりたいというふうに考えております。
  106. 緑川貴士

    ○緑川委員 やはり、私からの問いには正面から答えていただいていないという状況であります。  このままの状況では、やはり変異株が本格的に広がっていく、感染の第四波というのが懸念されます。しかも、今の感染が収まる前にやってくるということになれば、ようやく少しずつ持ち直してきた医療提供体制というものがまた危機的な状況になりかねない。深刻な影響になるということを考えれば、水際対策で水が漏れているというその穴を少しでも塞ぐという取組を、予防原則の観点からお願いをしたいというふうに思います。  国内の変異株の検査についても同じようにちょっと伺いたいというふうに思いますが、変異株の国内感染が、昨日までに、空港検疫を含めて三百八十人以上が確認されています。これは自治体から送られてきた検体を感染研が解析して判明した分であります。  変異株の検査は全ての感染者に対して行われているわけではありません。自治体が一部の陽性者を抽出して検査しています。一割ほどの陽性者からしか抽出されないので、変異株の感染者を全て見つけられていません。これでは、変異株が従来株にどの程度置き換わっているのか、広がってきているのか、把握が不十分です。従来株に置き換わっていく、そうした懸念がある中で、変異ウイルスの監視体制を強化していくために検査体制を拡充して、検体数をもっと増やすべきではないかというふうに思います。  併せて伺いたいと思いますが、空港検疫では抗原定量検査も使用されています。結果が出るまでに時間がかかったとしても、より精度の高いPCR検査に全面的に戻すべきではないか、そういう局面であるというふうに思いますが、御見解いかがでしょうか。
  107. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  まず、変異株への対応として、対応を強化していくべきという御指摘については、我々はまさに同じ考え方でございまして、その観点から、先日、変異株に対するパッケージということで、先ほど御議論がございました水際措置、そして、今御質問にございますサーベイランスの体制、また、それにとどまらず、積極的疫学調査などの感染拡大防止策、一般の方々への普及啓発、研究開発、そうした各般の取組を強化して取り組んでいく必要があるということで、今進めているところでございます。  そして、変異株の監視体制につきましては、現在、国立感染研究所におきまして国内の陽性検体についてのゲノム解析を実施するとともに、変異株のリスク評価、分析を実施しているところでございますけれども、変異株のリスク評価、分析結果に応じて取組を行っておりまして、感染性が増していることが懸念される変異株につきましては、変異株のスクリーニング、これは自治体で、御紹介ございましたように、全陽性患者数の五%から一〇%分の検体を対象に変異株のPCR検査実施をして確認をしていくという取組をしておりますし、その中で、変異株が確認された自治体につきましては、抽出割合を上げて変異株スクリーニングを実施するという取組を進めております。  こうした取組、国立感染症研究所のみならず、地方の地方衛生研究所、民間の検査機関、大学等、こうしたところと連携を取りながら、ゲノム解析、あるいはスクリーニング検査、変異株のスクリーニング、こうした取組を強化をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  また、検疫におけるPCR検査についての取組につきましては、変異株流行国からの入国者について、入国後三日間の宿泊施設での待機後の検査として、これまで抗原定量検査を行っておりましたけれども、これに代えまして、唾液によるリアルタイムRT―PCR検査実施することとしているところでございます。
  108. 緑川貴士

    ○緑川委員 今、自治体のやはり課題としては、これはまだ体制を整えている途中であります。加えて、そもそも検体が保存されていなかったり、収集できていないというケースもあります。検査ができるほどウイルスの遺伝子量というものもやはり十分でないという検体もあるという課題があるということで、これは、早期に国として自治体と連携を取りながら対応していただきたいというふうに思います。  この変異株の中には、コロナ感染したりワクチン接種を受けて抗体を得たとしても、その抗体が十分に働かないという可能性があります。その変異が、E484Kを持つウイルスということが確認されています。  お配りした資料の一を御覧いただきたいんですけれども、国立感染研究所が変異株の状況について定期的に公表している報告書の一部になります。今月三日付の最新の報告ですが、日本における変異株のリスク評価の項目で、この赤線を引いたところ、501Y.V2、これは南アフリカ株です、そして501Y.V3、これはブラジル株、これらについては、抗原性の変化によって、既感染者に再感染のリスクが高まる可能性や、ワクチンの効果に影響を及ぼすリスクを考慮する必要があるというふうにしています。つまりは、抗体が効かない、人の免疫が効きにくくなる。このE484Kという変異を、これは南アフリカ株も持っていますし、ブラジル株も持っている。これまでのワクチン効果が弱まるおそれがあるということです。  そして、市中感染が増えてきている原因と考えられる海外由来の変異株もありますが、E484Kを持っているのは、南アフリカ株でもブラジル株でもない、独自に変異したようなものも国内で出てきているということで、日本人が感染しやすいように今後更に形を変えて変異していく、そういう可能性もあります。  その予兆を捉えるために、変異株の動向を把握できるようなモニタリング検査をこれから強化をしていくことも必要であると思いますし、ワクチンについても、様々に変異するウイルスへのワクチンの有効性というものが課題になってきます。  今、世界で開発中のコロナワクチンは二百以上と言われていますが、日本では、大阪大学でできた製薬ベンチャーのアンジェス、そして塩野義製薬などが開発に取り組んでいます。感染の主流が今、従来株から変異株に置き換わりつつあるんじゃないか、そういう可能性が指摘されている中で、既に承認されたワクチンが感染の収束に向かわせるほどの効果を今後長く持ち得るのか、持続し得るかということが、その確実性というものはありません。  技術はあるのにこれまで後れを取ってきた日本として、その備えに対応し得る形で国産でのワクチン開発を進めていくことが今必要ではないでしょうか。
  109. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  まず、御紹介がございましたけれども、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性がある変異について、確かに報告をされてございますけれども、これに対するワクチンの有効性につきましては、我が国における承認審査において変異株に対する有効性も考慮をしております。  先日特例承認を行ったファイザー社のワクチンについては、薬事・食品衛生審議会におきまして、種々の変異株に対しては一定の有効性は期待できるとされた一方で、様々な変異株に対する有効性については、製造販売後も引き続き情報収集し、必要に応じて情報提供するなど適切に対応するということとされております。  いずれにしましても、こうした変異株に対する対応というのは、全世界、最大の関心を払って今取り組んでいるところでございますので、研究所レベル、行政レベルで連携しながら対応していく必要がございます。  こうした有効性を含めて、引き続き様々な情報を国内外から情報収集しながら、適切に有効性、安全性を確認した上で、必要なワクチンの数量の確保に向けて調整をしてまいりたいというふうに思っております。  一方、御質問がございました国内のワクチン開発の関係でございます。国内の主なワクチン開発、こういう体制をつくっていくことも大変重要でございますが、現在、複数の会社で臨床試験が開始されたほか、年度内に臨床試験を開始する意向を持つ企業もあるというような状況でございます。  これに対しましては、研究開発、生産体制の整備への補助を行っていることに加えまして、様々な、発症予防効果を評価する試験の補助なども行っておりますので、こうした取組を通じまして、国内での開発の基盤整備、これは厚生労働省として後押しをしていきたいということで取り組んでいるところでございます。
  110. 緑川貴士

    ○緑川委員 今、有識者からのいろいろな見解も分かれているところだと思います。詳細な分析結果をまた待ちながら、有効な対策を、やはりワクチン開発も含めて、今後視野に入れて取り組んでいただきたいというふうに思っています。  三次補正で千二百億円を追加計上していますけれども、やはり海外での大規模治験、莫大な費用が必要と言われています。有効性が弱まるとされる変異株の流行に対応するとなれば、やはり更なる開発支援ということが重要になってくるかと思います。  是非、ワクチンは戦略物資であるという認識に立っていただいて、これは全面的に国としててこ入れをしていく。そして、これまで少し周回遅れとも言われてきたワクチン開発、是非日本の水痘ワクチンがかつて初めて開発されたときには話題となりました、途上国など世界へ向けてもワクチン供給ができるというふうなこともしっかり目指しながら挽回を図っていただきたいというふうに思います。  ミャンマー情勢について伺います。  先月一日、軍事クーデターに抗議するデモに対して国軍が発砲を繰り返した。デモ隊の犠牲者が今五十人以上を超えていると言われています。デモ隊弾圧の最前線にいる警察官も抗議の意思を示すという動きが広がっています。混乱がますますと広がっている状況だというふうに思います。  そうした中で、国民の抗議活動というのが輪をかけて広がっています。国軍がそれを弾圧する動きが強まっているということを受けて、在ミャンマー大使として、欧米諸国大使たちからは二月の十四日の時点で、抗議活動への暴力を止めるように求めるという共同声明が出されました。そこに日本の、やはり太いパイプをつくって地道に築いていらっしゃる丸山大使、ここには名前を、共同声明には連ねなかったということです。  民間人への暴力が続いていることを非難し、即時停止を求める日本として、その声明文に書かれていたことは至極まともで、同じ共有するべき文書であったはずですけれども、そこに加わらなかった背景をお伺いしたいと思います。
  111. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ミャンマーの今の事態については深刻な懸念を持っておりますし、民主的なデモに対して発砲を行うということについては強く非難をいたしております。  時系列でいいますと、先生がおっしゃったのは二月の十四日ですが、それより前、二月の九日の日に、日米間でこの問題についてはブリンケン外相協議をして、これを非難するという声明を既に出しております。  さらには、二月の十日、これも二月の十四日より前でありますけれども、インドネシアのルトノ外相と、外相会談においてもそういった形でお互いに合意をして発表しておりまして、決して日本が劣後しているということではなくて、そういう声明より前に、日本としては、考え方、懸念、そして非難、こういう声明を出しているところであります。  なお、現地におきましても、丸山大使、御案内のとおりミャンマー語を駆使いたしますし、さらに、様々な人脈も持っております。そして、各国の大使ともしっかり連携をしながら活動しておりまして、今ミャンマーの当局によって指名をされております外務大臣と言われる人、その高官と会った唯一の大使丸山大使で、しっかり活躍をしていると思います。
  112. 緑川貴士

    ○緑川委員 ミャンマーとは、歴史的な関わり、そして信頼関係の積み上げがあります。独自の立場を持つ日本の具体的な動きに対して、やはり、この共同声明、これは国連もそうですし、日米関係の下でもそうですけれども、世界各国が独自の立場にある日本に対して注目をしているというふうに思います。  ミャンマーが民政に移管する二〇一一年まで民主化運動を長く弾圧した軍政に対しても、欧米各国がこれまで援助を止めて経済制裁を科すという動きに対して、日本はその輪に加わらずに、人道支援などの形でミャンマーを応援してきた歴史があります。それは、ミャンマーに限らずに、アジアの国々で、軍事政権が民主化を弾圧したり、あるいは人権をないがしろにする独裁政権に対しても、日本としては、戦後一貫して制裁など積極的な対応を取ったことがないわけであります。  その上で、資料二を御覧いただきたいんですけれども。  厚労省の方、もう退室されて結構でございます。ありがとうございました。  ミャンマー国民和解担当日本政府代表として選挙監視団のトップを務めた笹川陽平団長のブログから引用していますが、赤線を引いたところ、各国が早急な経済制裁を実施しないことを願うばかりである。制裁が行われれば、ミャンマーの隣国、中国の影響力が増大するのみならず、日本外交方針の一つであるインド太平洋の安全保障の重要拠点を失うことにもなりかねず、日本のこれまでの努力は水泡に帰すことになる。また、アメリカが経済制裁しないよう、外交努力が喫緊の課題と。  現地政府代表を務めてこられた方がこのようにつづっていらっしゃいます。  大臣のお考えからすると、この文章、いかがでしょうか。
  113. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、ササガワ陽平先生です。ササカワではありません。ササガワ陽平先生であります。  笹川会長も、ミャンマーには恐らく百回ぐらい行かれている、ミャンマーの事情については様々御存じでありますし、また、日本財団等々を通じて様々な形の支援も実行されたり、いろいろな形でこのミャンマーの問題に関わっておりますが、笹川陽平氏個人として発表されたこと、これについて私がコメントする立場にありませんが、先ほど申し上げていますように、今、ミャンマーのこの深刻な状況、治安の情勢をどう鎮静化して落ち着かせていくか、これは喫緊の課題です。その次に、どう民主化プロセスを戻していくか、こういったことが重要だ、こういったことでASEAN諸国も欧米も一致をしていると思っております。  そこの中で、どういう働きかけであったりとか、どういう対応というのが我々が目指す共通のゴールに向けて最も効果的なのか、有効なのか。それは、それぞれの国が今までやってきた経過であったり、経験も踏まえてそれぞれ対応していると思っております。  決して今のバイデン政権の対応というのが、ブッシュ政権時代、当時はブッシュ大統領の奥さん、ローラ・ブッシュさんが非常にこのミャンマーの問題については強い思いを持っておりまして、相当厳しい措置も取ったりしました。それと比べた場合に今の措置がどうかというのは明らかなところでありまして、そういう点も含めて、各国とも、どういう形だったらいいのかなと、決して制裁をすることがいいんだとか支援をすることがいいんだではなくて、どうプロセスを動かすか、こういう観点から様々検討していると思っております。
  114. 緑川貴士

    ○緑川委員 大臣おっしゃった、笹川さんがミャンマーに百回いらっしゃっている、やはりその過程の中ではASEAN外交ということが非常に大きく関わっているというふうに思いますし、対ASEAN外交三原則の下で、やはり軍事国にならないということを条件にして、ODAなどの支援を通じながら加盟国とも関係を深めてきた。そのパイプを持つ、自由で開かれたインド太平洋構想で、やはり経済、外交両面での重みも、ASEANの一員としてもミャンマーは増している状況だというふうに思います。深いつながりを持つミャンマーに対して、中国あるいは欧米とも一線を画す繊細なアプローチができるというのがやはり日本の強みだというふうに思います。  一方で、事態はやはり刻一刻と悪化している状況であります。国民の圧倒的な多数が軍の暴挙に反対をしている中で、公務員、医療関係者にも広がっている不服従運動は、経済にもダメージを与えてきています。混迷を深めてきています。民政に移管することで投票とか言論の自由というものを分かったミャンマーの国民というのがやはり軍政時代の感覚には恐らく戻らないだろうというふうに思いますし、国軍の予想を超えた規模で展開されているデモに対しては、国軍も国際的な批判を浴びていながらも圧力を弱めることができない、引くに引けないような状況、決着の落としどころを見出せないような展開にもあるように見えます。  日本の立場として、これは取り組める部分もあるのではないかというふうに思ってちょっと申し上げたいというふうに思うんですけれども。  国軍クーデターというのは、これは選挙で大規模な不正があったということに端を発しています。対して、国の選管というのは、投票を済ませた人は、国連や日本から提供されている簡単に落ちないインクというものを使って、これを指につけて防止策を取っていたということで、決して大規模と言えるような多重投票は起こっていないというふうに真っ向から反論しています。国軍が主張しているような規模の意図的な不正があったということにはならない。  そして、外務省としても、これは笹川団長からの御報告を通じて、国内外の選挙監視団が見守る中でおおむね平穏に投票が行われたという外務省の談話を出して、選挙の結果を認めています。  そうした中で、笹川団長が、何度も面会、ミャンマー側とつながっている、国軍の総司令官とも面会できる間柄である、笹川団長のほかに、先進国の中で唯一、太いミャンマー国軍とのパイプを持つ、現地で地道に関係を築いてきた丸山大使ミャンマー外交の達人とも大臣がおっしゃっている、この方にアプローチをしてもらう。  例えば、国際的な監視の下で総選挙の票を数え直す、有権者名簿などを確認するという作業をして、これは、国軍も、そして、今、国民側も納得するように、選挙結果を確定させる交渉を図るということも事態の収束をさせる手段というふうに思っていますけれども、御見解を伺いたいと思います。
  115. 茂木敏充

    茂木国務大臣 様々なことを想定をしながら働きかけも行っておりますし、今後働きかけをしなければいけない部分もあると思っております。これは、対外的なミャンマーとの対話もありますが、ミャンマー国内で、NLDとそれから国軍の間、この対話というものも必要なんだと思います、今後。  そういったものをいかにつくっていって、じゃ、決着点、ミャンマーにとっての決着点、それから国際社会から見て許容できる決着点というのは何なのか、こういったことを今後模索していく、こういうことになると思います。
  116. 緑川貴士

    ○緑川委員 日本の提案を、仮にこういう提案をした場合に、やはり国軍の出方というのも分かるわけです。  選挙の不正ということを理由としたクーデターが、これは結局選挙結果が正しかったということをお互いに納得するような空気をつくれれば、権力の座に就きたいがためのクーデターであったということが明らかになっていくというふうに思いますし、やはり日本としても、歴史上深いつながりのあるミャンマーに対しては、慎重を期す問題ではありますが、流血を伴う混乱が広がっている中では、今こそミャンマー外交の地道な積み上げの成果として、大臣がおっしゃるように相手の行動をやはり変えていける、そんな意義のある対応政府に求めていきたいというふうに思います。  時間がなくなってまいりましたけれども、日本産の食品などの輸入規制問題への対応についてお尋ねをしたいというふうに思います。  明日で、東日本大震災から十年になります。福島第一原発事故を受けて、やはり東アジアを中心に、今も福島など一部地域の食品、農産物、水産物の輸入停止措置が続いています。日本としては、やはり科学的な根拠に基づいてその安全性を海外に地道に説明して、規制の撤廃を訴えて、これまで事故後に輸入規制を導入した五十四か国・地域のうちの多くは撤廃の方向に行きましたが、依然として、中国、香港、マカオ、台湾、韓国、そしてアメリカの一部地域、輸入を受け入れていません。これらの国、地域は、いずれも農産物の主要な輸出先であります。全体として、やはりそうした輸入国が止めているという以上は大きな打撃になっております。  この海外懸念が払拭されにくい流れになった一つの出来事としては、韓国による福島など県産水産物の輸入禁止措置をめぐる、おととしのWTO判決があります。上級委員会の判断である第二審の判決がパネルによる第一審の判決を取り消して、日本が事実上の敗訴になりました。原発事故に伴う各国の輸入規制が足下で徐々に撤廃されてきたタイミングで、そうした第二審の、覆る判決が下されて、それが輸入の規制緩和の動きを鈍らせた側面があるというふうに私は思います。  この第二審の在り方も、やはり上級委員会の組織の在り方も問題であると思います。常任メンバー七人のうちの四人が空席になっている、判決を下すのにぎりぎりの三人しかいないという異例の審議でありました。そうした中で下された判決というのも、日本の食品の安全性が決して否定されたわけでもない。そして、韓国の輸入禁止措置を不当だと判断した第一審の決定は取り消されはしましたけれども、だからといって、その輸入禁止措置がWTO協定に整合的であると積極的に認めたわけでもないという、非常に曖昧な内容であったというふうに思います。  これは、国際紛争を裁く唯一の国際機関です。WTOの紛争処理機能の実効性にはやはり課題を抱えているという中で、今、ナイジェリア出身のオコンジョ・イウェアラ氏が、WTO改革を旗印に、様々な利害関係を調整することができる交渉能力の高い人物としても日本から期待が寄せられております。
  117. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
  118. 緑川貴士

    ○緑川委員 日本産の食品、農産物、水産物の国際的な風評被害を防ぐために、新たな体制となるWTOの関与を引き出しながら、その安全性を世界に発信をしていくという取組について、最後に大臣からお伺いしたいと思います。
  119. あべ俊子

    ○あべ委員長 四方経済局長、答弁は簡潔に願います。
  120. 四方敬之

    四方政府参考人 委員の御指摘の、韓国による日本産水産物等の輸入規制措置に関するWTO上級委員会の判断につきまして、いろいろな課題が明らかになりました。紛争解決制度を始めとするWTO改革に新しい事務局長と緊密に協力しながら取り組んでまいります。  こうした取組と並行いたしまして、日本産食品に対する輸入規制の撤廃に向け、先ほど委員から御指摘のあったような地域、国で規制撤廃を実現しておりますけれども、本年は震災から十年という大きな節目を迎えますので、一日も早い規制の完全撤廃を実現すべく、全力で取り組んでまいりたいと思います。
  121. あべ俊子

    ○あべ委員長 緑川貴士君、既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
  122. 緑川貴士

    ○緑川委員 済みません。これは大臣通告しておりましたので、一言だけお願いしたいと思います。
  123. 茂木敏充

    茂木国務大臣 オコンジョ新事務局長、大体、呼び方ですね、日本人は間違えてウンゴジと言うんですけれども、ンゴジですね。ンゴジという、ドクター・ンゴジという言い方をするんですけれども、しっかり連携してやっていきたいと思います。
  124. 緑川貴士

    ○緑川委員 終わります。ありがとうございました。
  125. あべ俊子

    ○あべ委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  126. あべ俊子

    ○あべ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小熊慎司君。
  127. 小熊慎司

    ○小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。  質問に入る前に、ちょっと冒頭、お話をさせていただきます。  昨年の大みそか、サンフランシスコで、福島県出身の女性が、犯罪を犯し逃走中の車にひき逃げをされ亡くなりました。痛ましい事件でありましたが、その中、コロナ禍で大変な中だったんですけれども、御遺体を福島県に戻したいという遺族の意向で、多くの方の募金も集まり実現をし、二月に葬儀を済ませて、私も参加をしてきましたが、その際に、市川恵一北米局長、また藤本健太郎課長始め北米一課の皆さん、また森美樹夫領事局長、そして現地の前田徹総領事始め総領事皆さんに大変御尽力をいただいて、無事にふるさとに戻ってこられました。  コロナ禍で本当に対応が大変だったようですけれども、こうした対応に深く、同じ県民として感謝を申し上げたいと思いますし、また、このコロナ禍の中で外交を続ける、また邦人の命と安全を守る、マンパワーが足りていない部分もあると思うんですけれども、これはしっかりまた外務大臣始めお支えをいただきながら、日本外交の進展にしていただきたい。質問に入る前に感謝を申し上げ、大臣からも是非皆さんの労をねぎらっていただきたいというふうに思います。  この後、ちょっとその犯人に対しての民事裁判もやるので、現地で、その支援是非お願いを併せてしておきたいと思います。  では、質問に移ります。  アフリカとの外交ですけれども、このコロナ禍にあって、茂木大臣においては、昨年の十二月、一月と続けてアフリカを歴訪されました。与党内にも、このコロナ禍の中でどうなんだろうという批判の声もあったというふうに一部報道にありましたけれども、私としては、これは大事なことであったというふうに思いますし、海外の一部報道でも、中国のアフリカ外交に一矢報いたというような報道があったというのも見聞をしているところであります。  このコロナの中で、いろいろな不要不急のものが避けなきゃいけないと言われている中で、このアフリカ外交、どのような成果が上がったのか、お聞かせください。
  128. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、小熊委員の御地元の女性、二十代の若さでお亡くなりになった、心からお悔やみを申し上げたいと思っております。  お亡くなりになられた方、そうすると家族の御意向というのをできるだけ尊重するという形で、できる限りのことをさせていただいたつもりであります。小熊委員の方からお話しいただきましたので、関わった人間にもその旨しっかり伝え、今後のフォローアップもしていきたい、こんなふうに思っているところであります。  昨年十二月、アフリカ四か国、次のTICADの開催国でありますチュニジア、さらには、海洋交通の要路でありまして、かつて天正の使節団も帰りに立ち寄ったモザンビーク、さらには地域の大国であります南アフリカ、そして油の流出事故のありましたモーリシャス、この四か国、そして、今年の一月には、今度は東のセネガルからやりまして、西のケニア、二か国を訪問いたしました。日本外務大臣として、二か月間でアフリカ六か国訪問したというのは多分初めてのことだったんじゃないかなと思います。  いずれの国でも、大統領であったりとか首脳、そしてカウンターパートの外相等との間で、TICAD8に向けたアフリカ開発の推進、さらにはコロナ対策であったりポストコロナを見据えたビジネス関係の強化、地域の平和と安定に向けた連携を確認するとともに、自由で開かれたインド太平洋のビジョンの下で協力を進めていくということ、確認を取ったところであります。  法の支配に基づきます自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けて、包容力と力強さを兼ね備えた外交、アフリカでも実践したいと考えておりまして、そういった意味で、アフリカにおいても、また、これまでも日本は、TICADのプロセスを通じて、アフリカ自身取組、アフリカが主導する取組を後押しする、こういった姿勢で高い評価を得てまいりましたが、更に日本のプレゼンスを高め、そしてまたリーダーシップを発揮していく基盤を構築することができたんじゃないかなと思っております。
  129. 小熊慎司

    ○小熊委員 大変私は意義があったことだと思いますし、中国を意識する部分もあると思いますけれども、中国とは切磋琢磨していけばよくて、単に対中国を強く意識するという意味ではなくてやっていけばいいですし、また、中国においてはいろいろな国の開発を行って、これは債務のわなと言われていますけれども、そういう状況もありますから、そういうことに陥らないように、やはり日本がしっかり関わって、正しい国際社会に導いていくというためにも、今後とも、いろいろな制約はありますけれども海外に歴訪していただいて、しっかり日本のプレゼンス、そして国際協調というのを進めていただきたい。その一つの例にこのアフリカ歴訪はなったし、成果が上がったというふうに私も評価するところであります。  次に移りますけれども、東京オリンピック・パラリンピック、これは直近でも海外の観客は入れないという方針が決まったようでありますけれども、今のところ、一部ではホストタウンの地方公共団体が受入れを諦めるというのもあったり、若しくは、その国が事前合宿を、ホストタウンに行くのをやめますという報道もありますが、実際は全国の多くの自治体が、このホストタウンで、今ちょうどこの年度末の議会で予算も審議されていて、一応計上されていると、私の地元でもなっています。  ただ、本当に実施されるかどうか見通しがないということでありますが、開催するということであれば、ホストタウンとの、この事業がいろいろなルールの下で進んでいくのは見えているわけですけれども。  おととい、野党のコロナ対策本部で、この点について私がお聞きしたところ、省庁の方からは個々に対応するというようなお話をいただいたんですが、すごく数が多い中で個々に対応していく、コロナ感染防止ですね、防疫上どうやって地方のホストタウンに行く人たちをしっかり守るのか、また、その地元の人たちとのコロナ対策といったものをどのように今のところ支援をしていくのか、お伺いいたします。
  130. 志野光子

    志野政府参考人 お答えいたします。  御質問いただきましたホストタウンとの関係でございますけれども、これはやはり、ホストタウンのそれぞれの地区の医療体制、防疫体制、それから各地区までの移動の手段、そういうものにもかかっておりますので、先般お答えいたしましたとおり、個々に対応して地方を守るということを考えていかなくてはならないと考えております。
  131. 小熊慎司

    ○小熊委員 ちょっと通告のあれを飛ばして、三番目に行きますけれども。  そうすると、人員、個々にやるというのは本当に大変だと思うんですね、日本全国に広がって。人員は足りるんですかね、大丈夫ですか。
  132. 河村直樹

    河村政府参考人 お答えいたします。  東京大会につきまして、御指摘のホストタウンも含めてでございますが、安全、安心な大会を実現するために、医療体制、コロナ対策を含めた医療体制を確保することが非常に重要と考えております。  当然人員の方が確保が必要なわけでございますが、大会の方で考えますと、具体的なイメージでお示しします。一日当たり医師、看護師の人員について、最も多くの会場で競技が行われます七月二十五日、オリンピックの第三日目でございますが、この日で、医師が三百人程度、看護師は四百人程度でございますが、このうち、新型コロナ感染対策を行うための人員については、医師が百人弱、看護師が百人強の確保を目指して、大会組織委員会の方で調整を重ねていると承知してございます。  いずれにいたしましても、組織委員会において医療機関、競技団体等の意見を伺いながら、医療スタッフの確保について調整、お願いを行っている状況であると伺っておりますので、国といたしましても、引き続き東京都、組織委員会としっかり連携を図ってまいります。
  133. 小熊慎司

    ○小熊委員 済みません、ちょっと、通告がちゃんと、趣旨が伝わっていない。ホストタウンが個々に対応するということですが、ホストタウンを支援していくときに人員が必要だということで質問させていただいているんですが、そこはしっかり確保して、当該公共団体との連携、また情報が、それ、個々に把握するというから情報把握でも大変だと思うので、そこの人員に不備がないように是非していただきたいと思います。  次に移りますけれども、これは昨年の十一月五日に参議院の予算委員会で我が党の白眞勲議員が質疑はしていますが、要人の対応ですね。どういう招待をするかはそのときの答弁でも明らかになっていますけれども、組織委員会、また東京都などが決定するわけでありますけれども、この要人接遇に関しては外務省でも対応を今しているところでありますし、四月からは臨時職員も雇う、また、いろいろな機材の入札も予定をしているところであります。  でも、これは、コロナがなければ何百人ということを想定していましたが、コロナ禍の中でオリンピック時の要人の来訪というのは、どのぐらいを想定して今準備を進めているのか、まず、その規模、人数についてお伺いします。
  134. 志野光子

    志野政府参考人 お答えいたします。  外務省といたしましては、過去の大会での要人の数も参考にしつつ、組織委員会とも連携の上、要人接遇に向けた準備を進めております。  ただ、現下のコロナ情勢もあり、本年夏のオリンピック・パラリンピック時に訪日する要人数について正確に見通すことは現時点では困難であるため、想定数を含め、予断を持ってお答えはできかねます。
  135. 小熊慎司

    ○小熊委員 でも、今言ったように、いろいろな通信機材とかも入札にかけていて、これは数が決まっているわけですよ。それ、最大何人ということがないと入札にかけられないじゃないですか。物理的に、これは何人というのがなければ。だから、それが何人ぐらい。だから、今、それは分からないですよ、このコロナ禍の中でどれだけ来るのか。だけれども、今、外務省が入札にかけているのは、それは何人ということでそういう機材とかを入札にかけているのかという意味では、数字が出るじゃないですか。何人ぐらい。だから、マックスで考えているんですか、当初の予定どおり。どうですか。
  136. 志野光子

    志野政府参考人 お答えいたします。  過去の大会の要人数を参考にしながら、今準備を進めております。  過去の大会でございますけれども、夏のオリンピック大会に出席した過去の首脳級の要人数でございますけれども、二〇一六年のリオが三十九名、二〇一二年のロンドン大会が八十一名、二〇〇八年の北京大会が八十四名、ここら辺を参考にしながら準備を進めております。
  137. 小熊慎司

    ○小熊委員 その際、今いろいろ話題になっていますけれども、あのオリンピックアプリ、ちょっと高いなと思うんですが、それも要人に対しても、その関係者というのも使うのかどうかも含め、これは防疫体制をしっかりした形で迎え入れをつくっていかなきゃいけないですし、その際には是非大臣には首脳外交というのをしっかり果たしていくことが必要ですし、特に、夏のオリンピックの後の冬のオリンピックは北京オリンピックということで、習近平さんが来られたらどうするのかということもありますけれども、是非、これはいい機会として、外交上も成果が上がるように、要人が来た際には努力をしていただきたいというふうに思います。  次に移りますけれども、ちょっと順番を変えますが、自由で開かれたインド太平洋についてお伺いをいたします。  この構想、枠組みというのは非常に重要な、地域の安定、世界の平和、発展のためには重要な枠組みでありますけれども、とりわけ、アメリカ、豪州、そしてまたインド、日本という、このクアッドの枠組みも重要であります。  過日、この委員会でも質疑しましたけれども、オーストラリアとの連携のためには、今まだ締結をしていない円滑化協定、五年も六年も協議していて、もうほぼ詰まってきているんですが、課題の一つに、日本に死刑制度があるということで交渉の課題を越えられていない、暗礁に乗り上げているということもお聞きをしているところであります。  これに関して、一部報道で、もしオーストラリアの兵士が日本国内で死刑相当の罪を犯しても、それは死刑にしないというところを落としどころにして円滑化協定が結ばれるようである見込みであるという報道が昨年なされました。そんなことが法体系的にできるのかどうか、まず確認させてください。
  138. 田所嘉徳

    ○田所副大臣 別異にそういった死刑の運用ができるかどうかということでありますが、日豪円滑化協定を離れて、あくまでも一般論として、我が国において特定の国の外国人についてのみ死刑が適用されないこととすることが許容されるかどうかということであれば、そのような特別な取扱いをする目的や必要性などを含め、様々な観点から慎重な検討を行う必要があるというふうに考えております。
  139. 小熊慎司

    ○小熊委員 ということは、可能性があるということですかね。もう一度確認させてください。  だって、様々な状況って、日本人であれば死刑になるのに、違う場合は外交上の理由とか政治的な理由で死刑を免れるということがあるということを今言われたんですか。
  140. 田所嘉徳

    ○田所副大臣 法務省の姿勢といたしましては、特別な取扱いをする目的や必要性などを含めて、様々な観点から慎重な検討を行う必要があるということでありまして、その各々の、今の質問については、現段階でそれが許容されるかどうか、されないのかというようなことを答えることは困難だというのが法務省の姿勢でございます。
  141. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今、日豪の円滑化協定について交渉を継続中でありまして、交渉の細かい内容についてお答えすることは控えますが、死刑の扱い、日本は死刑の存置国でありまして、豪州が死刑廃止国である。両国の法制度の違い、これを前提に、被疑者の逮捕、引渡しとか、捜査に関する相互協定、これを行う規定をすることを想定しながら交渉を行っております。
  142. 小熊慎司

    ○小熊委員 また次の機会に議論はしたいと思いますが、いずれ、これはやはり、オーストラリア政府は、死刑廃止を外交一つの主張としていくということも言っておられるところでもありますので、これはしっかり交渉の中で議論しなければならないというふうに思います。  とどのつまりは、だから、死刑制度がある日本での司法に委ねるということをオーストラリアがのむか、若しくは日本が死刑制度を廃止するということにならないと、なかなかこの交渉が進まないのではないかなというふうに私は思います。  そこで、次の質問に移りますけれども、大臣も所信で言われたとおり、今、京都コングレスが開かれており、昨日、現地で参加している日弁連の大川副会長とも電話でお話ししましたけれども、政府支援はどうですかと聞いたら、非常に、十分に満足して、最大限の協力をいただいていますということをおっしゃっておられました。ただ、この京都コングレスで、やはり、日本の司法制度は、世界からすると、ちょっといろいろ、二周、三周遅れているというコメントもいただきました。  配付した資料を御覧いただきたいというふうに思いますけれども、OECDの三十七か国のうち、死刑制度があるのは三か国だけです。韓国では、モラトリアムといって死刑が行われていません。実質、死刑が動いていないということであります。もう一方のアメリカは、これは州法でなっていたり、連邦法もありますけれども、多くの州で死刑が廃止になっていたり、また、モラトリアムになっていたりしています。  大臣も所信で言われているように、司法分野での国際的な議論に積極的に貢献していくと言っていながら、この資料にあるとおり、OECDでは唯一の国みたいになってしまっています。これはやはり、いろいろな価値観の外交と言っていながら、ここについては、日本日本人が思う以上に国際社会から、死刑制度があることによってイメージが低下をしていますし、今の円滑化協定にあるように、死刑制度によっていろいろな外交上の課題も発生してしまっているという状況にもなっているところであります。  この点について、京都コングレスが成功裏に終わるためにも、死刑制度の議論をしっかりしていかなきゃいけないというふうに思いますが、この点について、副大臣、何かコメントはありますか。
  143. 田所嘉徳

    ○田所副大臣 死刑制度については、国際的に様々な御意見があることは承知しております。死刑制度の存廃については、国際機関における議論の状況や諸外国における動向等を参考にしつつも、基本的には各国において、国民感情、犯罪情勢、刑事政策の在り方等を踏まえて独自に決定すべき問題であるというふうに考えております。  そういう中で、国民世論の多数が、極めて悪質、凶悪な犯罪については死刑もやむを得ないと考えており、多数の者に対する殺人や強盗殺人等の凶悪犯罪がいまだ後を絶たない状況に鑑みると、その罪責が著しく重大な凶悪犯罪を犯した者に対しては死刑を科することもやむを得ないのであり、死刑を廃止することは適当ではないと考えているわけであります。
  144. 小熊慎司

    ○小熊委員 今、超党派で死刑制度考える議連があって、自民党の河村会長がトップで、鈴木貴子委員もメンバーであって、我々、議連でもいろいろな検証をしていますが、今の答弁とはちょっと相入れないものもあって、犯罪抑止にはつながっていないというエビデンスもあり、それを犯罪状況ということに結びつけるというのは、実は議論としては稚拙だなと思います。この点については、また改めて議論させていただきたいと思います。  いずれにしても、この制度、いろいろな外交上も影響を及ぼす中で、また、日本もいろいろな価値をしっかり共有していくんだと言っていながら、実は言っている割にはここは遅れているという状況もありますから、そうしたものも鑑みながら、是非、国民的な議論、また国会での議論を引き続きやっていきたいというふうに思います。  次に移りますので、副大臣は、委員長、いいです。
  145. あべ俊子

    ○あべ委員長 では、田所法務副大臣
  146. 小熊慎司

    ○小熊委員 この自由で開かれたインド太平洋と、また一方で、中国が主導する一帯一路というのがあります。日本外交としては、民間ベースでインフラの開発を一帯一路とやっていけないかというところも努力されているということでありますが、ただ、インド太平洋、このFOIPに参加している国によって、やはり対中国に対していろいろなスタンスがあるわけですね。それはそうです、その国の事情がありますから。  日本は、一帯一路と別にけんかするわけではなくて、協力できるところは民間ベースでやりましょうというのは正しい方向だと思いますが、どうしても、やはり参加国の中には、対中国包囲網みたいな感じで、それが全部ではなくても、強く押し出してきている国もあります。  そこで、改めてお聞きいたしますけれども、一致しているところは協力というのはいいんですが、違っているところですね、一帯一路とインド太平洋、ここに対して、どう日本外交としては取り組みますか。
  147. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、日本が提唱してきた自由で開かれたインド太平洋、これは二〇一六年のTICAD6で初めて提唱して、いろいろな国に広がってきておりますが、インド太平洋地域、これは、世界人口の半数以上を擁する世界の活力の中核、成長センターだと考えておりまして、このインド太平洋地域において法の支配に基づく自由で開かれた秩序を実現していくことによって、地域全体、そして世界の平和と繁栄を確保していくことが重要だと考えております。  こういった考え方に基づきまして自由で開かれたインド太平洋の実現を目指しているわけでありますが、これは特定の国とか特定の構想を念頭に置いたものではなくて、我が国としては、考え方を共有する国々とも協力してこれを実現していきたいと考えておりまして、この考え方、日米豪印、さらにASEAN、そして欧州、アフリカの国々にも今広がりつつあると考えております。  今年の一月、私、オンライン形式でありましたが、日本外務大臣として初めてEUの外務理事会に出席をいたしまして、この自由で開かれたインド太平洋の考え方とか取組について説明をさせていただきまして、かなり突っ込んだ議論を各国と交わしたところでありますが、ちょうど昨日、ハンガリーの外務大臣、京都コングレスに出ておりましたので、その帰り、東京に立ち寄って、会談をしたんですが、非常にいいプレゼンで、EU各国からも評価が高かった、こういうお話もいただいたところであります。  一方、一帯一路については、我が国としては、この一帯一路というものを否定するものではありませんが、インフラの開放性であったりとか透明性、ライフサイクルコストを考えた経済性であったりとか、債務の持続可能性といった国際社会共通の考え方を十分に取り入れた形で実施されることで、地域と世界の平和と繁栄に前向きに貢献していくことを期待いたしております。  別に、どちらの構想が優れているとか、そういうことを言うつもりはありませんが、我々としては、自由で開かれたインド太平洋、こういう考え方が広まっていくことが地域、世界の平和と繁栄につながる、このように考えております。
  148. 小熊慎司

    ○小熊委員 まさにその方向性でしっかりやらなければいけなくて、一部、陳腐な言い方をすれば右っぽい人が、対中国包囲網だとかいうような発言もありますが、そういうことにくみすることなく、今言ったような方向でやらなければならないと思いますし、また、昨年、菅総理がまとめておられましたけれども、インド太平洋に関するASEANアウトルックの協力関係というのも発表されたところでありますから、こういう連携も必要ですし、大臣も所信でASEAN地域の連携も言っています。  午前中の質疑にもあったとおり、このASEANの中にミャンマーがあって、経済制裁みたいなことはしない方がいいという意見も先ほどの質疑でありました。そういうところで、それで今の状況を改善しようとしても、多分そういう、ミャンマー支援してきて、今の軍部の暴走を止めようとして手を引くと、そこの空白に中国が入り込んでくるというやはり心配はあります。日本政府ミャンマーに対するODAを今一旦止めるというような判断であるわけでありますけれども、こうしたFOIPの枠組みの中でも、ASEANとの連携の中で、ミャンマーというのはしっかり対応していかなければいけないと思います。  言われたとおり、中国と対決するものではありませんけれども、やはり、間違っているものは間違っているというのは言っていかなければいけないということは大臣も言っておられるわけでありますから、是非、特に、答弁でもあって、私も言ったとおり、債務のわなというキーワードもできちゃっているぐらいです。債務超過になる、大臣が言ったように持続可能な債務でなければいけないのに、もう金に物を言わせている側面も中国の一帯一路にはあるわけで、それは世界中にいろいろな波紋を起こしている部分もありますから、その点については、やはり中国に厳しく対峙をしていかなければならないというふうに思います。  競争関係ではないにしても、間違ったことに関してはしっかりくぎを刺していくということがよりよい地域の発展のためになりますし、この構想の、FOIPの哲学の趣旨に合致していくんじゃないかなというふうに思っています。  それで、これは所信でも言及がなかったんですけれども、入りませんよと言っているから、韓国ですね、アジア地域考えれば、韓国との連携というのは非常に重要なんですけれども、今いろいろな問題を抱えていて、戦後最悪の状況だとも言われています。  慰安婦の問題、徴用工の問題はありながらも、自由で開かれたインド太平洋への、韓国は今のところは表向きはやらないと言っているけれども、やはりここは一緒にやろうよと言っていく努力が必要だと思うんですね。韓国抜きにしてこのインド太平洋構想というのは、やはり完全なものにはなっていかないというふうに思います。  この韓国への取組というか、この点については、今全く止まっていますか。水面下でやって、水面下だから言えないのかもしないけれども、まず大臣の、韓国との連携についてお伺いします。
  149. 茂木敏充

    茂木国務大臣 韓国との関係、三つの側面があると思っております。  一つは、対北朝鮮対応、こういったことでは日韓そして日米韓の連携は極めて重要でありまして、これについてはしっかりやっていくということで確認を取っているところであります。  一方、日韓二国間で申し上げますと、御案内のとおり、重要な隣国ではあるんですが、旧朝鮮半島出身労働者問題であったりとか慰安婦問題に関して、韓国によって国際約束というものが破られ、二国間合意が実施をされていない、そういう中で、日韓関係はかつてなく今厳しい状況にあるわけであります。  日本としては、日韓関係を健全な関係に戻すためにも、外交当局間の意思疎通は維持しつつ、日本の一貫した立場に基づいて、韓国側に適切な対応を強く求めてきているところであります。  一方、例えば海洋に関わる問題、自由で開かれたインド太平洋であったりとか、南シナ海で起こっている問題について、韓国側から公式な表明とか考え方というのは、残念ながらまだ聞いたことはありません。  恐らく、なかなか、いろいろな意味で逡巡されているのかどうかは分かりませんけれども、どういう考えであるのかよく見極めた上で、もちろん、先ほども申し上げたように、自由で開かれたインド太平洋、これは考え方を共有する国々に開かれたものでありますから、そういう姿勢の下で、まずは韓国の対応というものを見極めていきたいと思っております。
  150. 小熊慎司

    ○小熊委員 他国のことを余り厳しく言うのは私も避けなければならないと思いますけれども、どう見ても韓国は政治が今混乱をしているし、外交上も、特に韓国の外交は、ちょっと混乱をして、よくない隘路に入っていっているような気もします。米韓関係を見ても、なかなか厳しい局面にもなってきています。  そういう意味では、大臣も新任の大使とまだ会われていないような状況下にあると思いますけれども、今言ったとおり、韓国の外交が混乱をしていますからなかなか難しいんですが、ある意味では、おせっかいかもしれないけれども、韓国に助け船を出して、今混乱している韓国の政情を助けてあげるような何か落としどころを示してあげた方がいいのかなというふうにも思っていますので、そうした方向も、待っているというよりも、韓国の国内が落ち着くような一つの解を日本政府としても考えてあげるというのも一つの手だと思いますし、先ほどの、オリンピックで、もし韓国の要人がオリンピックの際に来た際には、積極的にそれはお会いをして、要人外交をしていただきたいなというふうにお願いをして、次に移ります。  コロナのワクチンへの対応ですが、日本はしっかりリーダーシップを発揮して、COVAXがうまくいくように尽力をされているところでありますが、時間も限られているので、併せて聞きます。  日本も多少そうですけれども、やはり世界中ちゃんと、これは世界を収めなきゃいけないというのはそのとおりであって、日本だけ収まっても、世界で感染が収まらなければこれは解決になっていかない、アフターコロナにならないということですから、世界中協力してコロナ感染を収めていかなければならないという意味では、経済的に国力がない国でもしっかりワクチンが行き渡るようにというこのCOVAXの枠組みはいいことだと思いますし、これに尽力している日本の姿勢も正しいんですが、一方で、その製造国はいろいろな輸出に制限をかけていたり、今のところ、COVAXに大きな影響を与えているとは聞いていませんが、いろいろ懸念をされています。でも、日本だって、やはり日本の接種率を上げなきゃいけないという政治テーマもあります。  この点について、ほかの国も、結局、国際協調と言いながら自国ファーストになっているわけです、接種に関しても。この二つの悩ましい課題に関して、どうしていくのか、お伺いをいたします。
  151. 内山博之

    内山政府参考人 お答え申し上げます。  新型コロナ感染症の収束のためには、国内のみならず、世界全体で、安全で有効なワクチンへの公平なアクセスが確保されることが必要であり、我が国は、そのための国際的な枠組みであるCOVAXファシリティーを支援してきているところでございます。  他方、我が国におきましては、新型コロナウイルスの基本的対処方針に基づき、「ワクチンについては、令和三年前半までに全国民に提供できる数量の確保を目指す」という方針の下、取り組んでいるところでございまして、これまで、三社から三億一千四百万回分の供給を受ける契約の締結に至っているところでございます。  今後、EU域内から我が国へのワクチン輸出が想定どおり進めば、全国知事会が取りまとめた優先接種の医療従事者数が四百八十万人、約四百八十万になると見込みましても、五月前半に、これらの方に二回接種する分、また、六月末までに、六十五歳以上の高齢者の方全員に二回接種する分のワクチン配送が完了すると見込んでございます。  EU域内から我が国に対してワクチンが円滑に供給されることが重要と考えておりまして、引き続き、政府一体となって、ワクチンの供給に支障がないように取り組んでまいりたいと考えております。
  152. 小熊慎司

    ○小熊委員 これはいろいろな国の動きもありますから、国内への対応と、あと、国際的な取組というのがしっかり成立するように頑張っていただきたいと思います。  ただ、もしもその供給が足りなくなったときに、やはり起きてくる議論というのは、ほかの国にやるぐらいだったら、こっちの命を救えよとなるのも、またこれは世間的な感覚で否定もしにくい部分もありますから、しっかり安定的な接種、また協調。あと、やはりこれは日本だけが収まっても仕方ないというか解決になりませんから、そうした国力の弱い国に対する支援も、国内の接種率が上がらない中でもそっちにもやはり努力をしなければならないという大変難しい命題でもありますので、これは、そこをぶれることなく是非進めていただきたいというふうに思います。  百年ぐらい前にスペイン風邪がはやったときに、何度かこの委員会でも紹介していますけれども、私の、会津出身の松江豊寿公が徳島の板東俘虜収容所で人道的な扱いをして、第九の初演につながったという話を何度かしていますが、スペイン風邪がはやって、俘虜たちにもしっかり手当てをして、でも、そのときに、やはり上層部や周りからは日本人が優先だろうということを言われていたんですけれども、人道的な扱いということで平等にやったという例も戦前にあるわけであります。  そうした日本人の美しい精神の下で今回のコロナ対応もしていただきたいと思いますし、そういう意味では、嫌らしい意味でのワクチン外交をするのは、やはりこれは人としてどうかと思いますので、この日本外交、ワクチンの部分でも、ワクチン、人の健康や命を餌にして外交力を高めるということではなくて、今の枠組みの中で、方向性の中で、是非しっかり推進をしていただきたいということをお願い申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  153. あべ俊子

    ○あべ委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時四十分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十一分開議
  154. あべ俊子

    ○あべ委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。穀田恵二君。
  155. 穀田恵二

    ○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。  私は、政府が導入を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの代替策として打ち出したイージスシステム搭載艦のレーダー選定問題について質問します。  昨年十二月十八日に行われた国家安全保障会議及び閣議では、陸上イージスに代わる新たな装備品としてイージスシステム搭載艦二隻を整備し、これを海上自衛隊が保持することなどが決定されました。この陸上イージスの代替策については茂木大臣も、例えば昨年の九月の記者会見で、国家安全保障会議で多角的な議論を行ってきたと述べられています。しかし、イージスシステム搭載艦の導入をめぐって、国家安全保障局で顧問を務めた香田洋二元自衛艦隊司令官を始め、防衛省の元幹部や与党議員の中からも様々な疑問が投げかけられています。  このことからも、イージスシステム搭載艦の導入に関しては、政府の当然の責務として、透明性の確保はもとより国会や国民への十分な説明責任を果たすべきであると思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  156. 茂木敏充

    茂木国務大臣 昨年六月にイージス・アショアの配備プロセスの停止を表明して以来、政府は代替案の検討を進めてまいりました。  その際、政府として検討状況などを適時説明してきたところでありまして、プロセスの透明性の確保、そして国民の皆さんに対する十分な説明責任、極めて重要であると考えております。
  157. 穀田恵二

    ○穀田委員 茂木大臣は、御承知のとおり、国家安全保障会議の中核を担う四大臣会合のメンバーで、イージスシステム搭載艦二隻の整備を決めたお一人であります。今お話あったように、透明性の確保はもとより国会や国民への説明責任を果たす義務がある、責務があるということを指摘しておきたいと思います。  その上で、本日は中山防衛大臣にお越しいただいているので、具体的に以下質問していきたいと思います。  イージスシステム搭載艦のレーダーをめぐっては、防衛省は、二〇一八年七月、陸上イージス用の搭載レーダーとして米国のロッキード・マーチン社が製造するLMSSR、現在のSPY7を選定し、二〇一九年十月、同社の日本代理店の三菱商事と正式契約を締結しています。防衛省は、このSPY7を新たに建造するイージスシステム搭載艦に転用することを計画しています。しかし、レーダーの選定が行われた二〇一八年七月当時、ロッキード社のSPY7は、試作品さえ完成していない構想段階のものでありました。一方、レイセオン社が製造するSPY6は、米海軍が新型イージス艦への採用を正式決定し、生産段階にありました。こうした違いがある中でロッキード社のSPY7が選ばれたという経緯があります。  このSPY7の選定について、さきに触れました元自衛艦隊司令官の香田氏は、防衛省が非常に不透明な選定手続を行ったと批判するなど、自衛隊の元幹部から選定作業の厳正性を問う声が上がっています。  皆さんにお配りしている資料、一枚目。防衛省が公表したレーダー選定の経緯です。資料によれば、防衛省では、二〇一八年二月に選定手続を開始し、六月十二日に米国政府等から先ほどの二つのレーダーの提案を受領。その後、七月二日に課長級の検討チーム会議を開催。その上で、陸上幕僚長から選定案の上申を行い、十七日の構成品選定諮問会議を経て、防衛大臣に答申を行い、七月三十日に防衛大臣がSPY7を選定したとあります。これですよね。  そこで、中山副大臣、こうした一連の選定作業は本当に厳正に行われたのかということをお聞きします。
  158. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  イージスシステム搭載艦の検討に当たりましては、二〇一八年七月に選定したSPY7を含むイージス・アショアの構成品を利活用する方向で考えております。  その上で、二〇一八年のイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定に際して、提案書の提出後の具体的な分析、評価につきましては、陸上幕僚監部の担当者のみならず、長年のイージスシステムの運用経験を有する海上自衛官や技術的知見を有する防衛装備庁の技官等が参加するプロジェクトチームを組んだ上で実施をいたしました。  このチームによる分析作業につきましては、隔離された作業所で実施をされ、省内の関係者は提案企業からの接触を厳しく制限するなど、公平性、公正性が担保されるよう十分に留意をし、実施が行われたものと承知いたしております。  同チームの作業の結果については、陸上幕僚長から大臣に上申された後、事務次官をヘッドとし、内局の担当局長、装備庁長官、各幕僚長なども参加する構成品選定諮問会議で審議し、妥当な結論であるとの答申を得ております。
  159. 穀田恵二

    ○穀田委員 選定作業に関して、私は、先月の九日の予算委員会でも岸防衛大臣質問しました。今は副大臣も、公平性、公正性を担保していると繰り返す。  そこで、角度を変えて聞きますけれども、今の話は大体これを説明しただけなんですね、簡単に言うとね。それは別に書いてんねんやから、それはいいんですよね。  そこで、資料の二枚目と三枚目。私の資料要求に対して、防衛省が提出した「陸上配備型イージス・システムの構成品選定案について」と題する二〇一八年七月付の陸上幕僚監部の文書です。文書全体は、これですが、十二ページあります。そのうちの二枚を今日皆さんにお出ししました。  この文書は、いつ、どこで、どのような目的で使われたものか、お答えいただきたい。
  160. 中山泰秀

    ○中山副大臣 今委員から御指摘いただきました資料は、二〇一八年のイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定におきまして、七月十七日、防衛省において実施されました陸上配備型イージス構成品選定諮問会議で使用された資料でございます。  具体的に申し上げましたら、同資料は、イージス・アショアのレーダー等の構成品の選定に係る提案書の提出後に実施された組織横断的なプロジェクトチームの分析、評価の結果を取りまとめたものであり、陸上幕僚長から大臣に上申された後、事務次官をヘッドとし、内局の担当局長、装備庁長官、各幕僚長なども参加する陸上配備型イージス・システム構成品選定諮問会議における審議の際に使用されたということでございます。
  161. 穀田恵二

    ○穀田委員 中心は、結局、七月十七日の構成品選定諮問会議で陸上幕僚監部が提案したレーダーの選定案だということですよね。簡単なことなんですよ。  問題は、この防衛省から提出された陸幕の選定案を見ると、これを見ていただいたら、ここですよね、「これまでの経緯」と書かれた配付資料三枚目が全て黒塗りで隠されています。  中山副大臣、なぜ黒塗りで隠したんですか。
  162. 中山泰秀

    ○中山副大臣 二〇一八年のイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定における陸上配備型イージス・システム構成品選定諮問会議で使用された御指摘の資料の記載内容につきましては、情報公開法の規定にのっとり、国の機関の内部における審議、検討又は協議に関わる情報であり、これを公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとともに、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあること、自衛隊の装備品等の機能、性能等に関する情報であり、これを公にすることにより、装備品等の質的能力が推察され、自衛隊の任務の効果的な遂行に支障を及ぼして、ひいては我が国の安全を害するおそれがあることから、開示することを差し控えさせていただいたということでございます。
  163. 穀田恵二

    ○穀田委員 私が聞いているのは、この「これまでの経緯」と書かれた箇所をなぜ黒塗りで隠す必要があるのかということなんですね。  レーダー選定の経緯というのは、先ほど示したように、配付資料の一枚目にあるように、公表しているわけですよね。公表しているんですよ。これ、見たら分かるように、全部あるんですよね。それなのになぜ、選定案にある「これまでの経緯」と書かれた箇所を全て黒塗りにする必要があるのか、おかしいんちゃうかと言っております。
  164. 中山泰秀

    ○中山副大臣 先生御指摘の資料の二枚目、「一、これまでの経緯」につきましては、情報公開法の規定にのっとり、国の内部における審議、検討又は協議に関わる情報であり、これを公にすることにより、率直な意見交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとともに、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあること、そういった意味から開示することを差し控えさせていただいたということでございます。  また、繰り返しになりますが、「これまでの経緯」につきましては、情報公開法の規定にのっとり、今こういった形でしっかりと、国民の間に混乱を生じさせない、また、若しくは手のうちを明かさないということも含めて、我が国の安全保障に資する防衛観点からこういった形になっているということに御理解を賜りたい、かように思います。
  165. 穀田恵二

    ○穀田委員 いや、やはり理解できないですね。  繰り返しますけれども、レーダー選定の経緯については、あるように、公表しているわけですよね。今お話があった内容を聞きますと、混乱を生ずる、それから、手のうちを見せる、不安を生じさせる。こういうことになぜなるんですか。一枚目のところについては既に公表しているわけですやんか。これと同じことがなぜ書かれへんで隠すのかということが問題なんでしょう。
  166. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  先ほど来申し上げておりますように、国の機関の内部における審議そして検討又は協議に関わる情報であり、これを公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとともに、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあることから、開示することを差し控えさせていただいてもらっております。  そういった意味で、御指摘は当たらないというのが我が省の見解でございます。
  167. 穀田恵二

    ○穀田委員 今まで三回答えて、最後が違うのは、御指摘は当たらないというだけが違うだけですよね。そんな答弁はないと思うんです。だって、見たら分かるように「これまでの経緯」、経緯とこれは書いてんのやからね。これは何で黒塗りなのか。とすると、国民に不安を生じさせかねないと、逆に不安を生じさせているじゃないですか、あ、前と違うのかいなと。あれっと思うやんか、そうですわね、誰かて。同じことを話しているのに、違うことが真っ黒になっている、片っ方。  ということは、結局、陸幕の選定案にある「これまでの経緯」と書かれた箇所には、国会や国民に公表している以外の経緯に関する内容が記載されているということですか。
  168. 中山泰秀

    ○中山副大臣 今委員から御指摘ございましたけれども、先ほど来、先生が御指摘いただいて、今日、参考資料として配付されているもの、これは、先生御指摘のとおり、私も説明申し上げた、各経緯についてお話を申し上げております。経緯の部分は、既に先生もお手元の資料にお持ちのように、披瀝をされている、公開されている情報であるということでございます。  黒塗りの部分に関しては、先ほど来の理由によって公開ができない情報ということで、区分けをしているということであります。
  169. 穀田恵二

    ○穀田委員 なるほど。そうすると、公開できない中身があると。だから、これとは別の話があるんだということを今お認めになったということですわね。これは極めて重大ですよね。  つまり、普通は、公表している以外の経緯に関する内容が記載されているんだったら、そこだけ黒くすればいいんですよ。ところが、実は、今あったように、「これまでの経緯」とあるものについて言えば公表できるものと公表できないものがあるということだとすると、極めてこれは重大と言わなければならない。だから、公表されていないことがあるんだということなんですね、これを認めた。これは重大だ、一つ。  その上で、レーダーの選定作業は、先ほども何回もおっしゃっているように、公平性、公正性を十分に担保して実施したと言うけれども、選定の経緯さえまともに明らかにせず隠している。これでは、幾ら公平性、公正性を担保したと言われても、それを検証することができないじゃありませんか。  やはり、公平性、公正性を担保したと言うなら、そのことを客観的に検証できるよう、配付資料三枚目の黒塗りの箇所を再考し、提出し直すべきではありませんか。
  170. 中山泰秀

    ○中山副大臣 先ほど委員が御指摘なさったこと、そしてまた私が答弁申し上げたことをそのまま、ある意味、私、先ほど御説明をさせていただいたということでございますので、委員が今御指摘になられましたような部分に関しては、私どもとしては同じか違うかも含めまして公表できないということを先ほど来申し上げているということでございます。
  171. 穀田恵二

    ○穀田委員 委員長、事は、これは二隻で五千億円以上、もしかしたら、ライフサイクルコストでいけば一兆円を超す可能性があると指摘されているイージスシステム搭載艦の選定作業の透明性に関わる問題なんですね。  だから、本委員会に、配付資料の黒塗りの箇所を外し、再提出されるように私は求めたい。理事会で協議していただきたいと思います。
  172. あべ俊子

    ○あべ委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
  173. 穀田恵二

    ○穀田委員 岸大臣は、先月九日の、先ほど述べた予算委員会で、私の質問に対して、ロッキード・マーチン社のSPY7を提案した米国政府、つまり米国ミサイル防衛庁のグリーブス長官が、レーダーの選定結果を公表する直前の二〇一八年七月二十三日に来日し、西田整備計画局長らと面会したということをお認めになりました。  さらに、続く翌日の、十日の予算委員会では、立憲民主党の本多議員の質問に対し、この面会が事務的なもので公表していないものだったことを明らかにしました。問題は、このときの面会の目的が一体何だったのかということなんです。  中山副大臣防衛省はなぜグリーブス長官とレーダーの選定の結果を公表する直前に面会したのか、その目的は何だったのか、お答えいただきたいと思います。
  174. 中山泰秀

    ○中山副大臣 米国ミサイル防衛庁、MDAとは、平素から様々な意見交換等を行い、緊密に連携をしており、その一環として、二〇一八年七月二十三日に、当時のグリーブス米国ミサイル防衛庁長官が来日をされ、当時の整備局長らと面会をしたということでございます。  この面会におきましては、日米の弾道ミサイル防衛に係る意見交換実施をいたしましたが、これ以上の詳細については、相手方との関係もあり、お答えすることは差し控えたいと存じます。  同時に、先ほど委員から御指摘のあった二〇一八年のイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定に係る提案書の提出後の具体的な分析、評価につきましては、陸上幕僚監部の担当者のみならず、長年のイージスシステムの運用経験を有する海上自衛官や技術的知見を有する防衛装備庁の技官等が参加するプロジェクトチームを組んだ上で実施をいたしました。このチームにおきまして、アメリカ側からの提案について、独自の数理的分析により裏づけを取ったほか、また、問題点については米国政府に直接確認をするなどの作業も行ってまいりました。  こうした分析作業について、隔離された作業所で実施され、省内の関係者は提案企業からの接触を厳しく制限するなど、公平性、公正性が担保されるよう十分に留意して実施をしてきております。  また、事務次官をヘッドとし、内局の担当局長、装備庁長官、各幕僚長等も参加する構成品選定諮問会議で審議をし、妥当な結論を得ている、そういった答申であるということをつけ加えて補足をさせていただきます。
  175. 穀田恵二

    ○穀田委員 先ほど言ってはりませんか、そのことについては。それをもう少し詳しく言うただけやないの、そんなもの。こんなもの聞いてへんじゃないですか。だから、平素から行ったということと面会しているということを言っているだけでしょう。その後に、公平性はこういうふうに担保したということで、秘匿しているだの接触してへんだのと言うとるだけですよ。さっき言いはりましたやんか。  そこで、じゃ、聞きますけれども、グリーブス長官との面会というのは、岸大臣も答えたように、レーダーの選定結果を公表する直前なんですよ。長官が、先ほど中山さんが述べているように、弾道ミサイルですか、そういうものの防衛一般について意見交換するためにレーダー選定の直前に来日したわけではないはずだ。この面会では、当然、ミサイル防衛庁自ら提案したロッキード社のSPY7に関して話をしたんじゃないんですか。そこだけ。
  176. 中山泰秀

    ○中山副大臣 アメリカのミサイル防衛庁とは、平素から様々な意見交換等を行い、緊密に連携をしておりまして、二〇一八年のグリーブス当時長官の来日もその一環であります。  また、先日の二月十七日、整備計画局長から現在の米国ミサイル防衛庁長官であるヒル長官にも確認をいたしましたが、米国ミサイル防衛庁は誠実な仲介者としての役割を担っており、SPY7を推すなど、いろいろな疑念が今湧き起こっておるようでございますけれども、そういったことは一切なく、公平公正に業務を遂行したということを我々確認をいたしております。
  177. 穀田恵二

    ○穀田委員 これも繰り返しの答弁になるんですよね。  グリーブス長官は、当時、SPY7を提案したミサイル防衛庁の当事者なんですよね。片や西田局長は、レーダー選定を行う事務方のいわば責任者ですよ。この両者がレーダー選定の直前に面会した、その目的が、平素から行っている一環だ、そんな話が通用しますか。やはり、目的がロッキード社のSPY7に関する話合いであったことは明らかではないか。こうした内容だったからこそ、面会した事実を質問されるまで公表しなかったんじゃないんですか。
  178. 中山泰秀

    ○中山副大臣 二〇一八年七月二十三日、当時のグリーブス米国ミサイル防衛庁長官が来日をし、当時の整備計画局長ら事務方と面会し、日米の弾道ミサイル防衛に係る意見交換実施をした。この訪日の際、大臣、副大臣、政務官含めて面会もしておりません。そしてまた同時に、整備局長らとの面会については事務的なものであったため、当時公表はしておりませんでした。  なぜ公表しなかったのかということも含めますと、米国ミサイル防衛庁とは、先ほど来申し上げているように、平素から様々な意見交換を行っているということでございます。また、緊密な連携もやっています。事務的なやり取りについては常に公表しているわけではありませんし、そういったことで私どもの方は確認をいたしておるということでございます。
  179. 穀田恵二

    ○穀田委員 グリーブス長官がミサイル防衛一般について意見交換を行うためだけにレーダー選定の直前に来日する、およそ信じ難い話ですよね。  そこで、そもそも発注者である防衛省と受注者であるアメリカ側がレーダー選定の直前に、今もあったように常に公表しているものではないと言うんだけれども、それはあらかじめ隠しているわけじゃないですか、我々に対しては。質問しなきゃ答えなかったということでいいますと、つまり、発注者と受注者がレーダー選定の直前にひそかに会っているということ自体が異常だ、だから、ここに選定の厳正性を疑われる行為と言わなければならない。普通、誰かてそう思いまっせ。どうですか。
  180. 中山泰秀

    ○中山副大臣 そういうロジックもあるのかもしれませんけれども、私どもはそのようには考えておりませんし、事実は全然違うということです。
  181. 穀田恵二

    ○穀田委員 そういうロジックがあるということはお認めになった。  大体、桁違いのそういう問題について、選定と同時に、今、システムの議論をしているときに、その問題の受注者と発注者が会うて、ひそかに会っているなんということ自体に全然違和感を覚えへんというのは難儀な話やなと私は思います。そういうところがそっちの常識なんやなということを改めて私はびっくりしたところです。  じゃ、もう一つ伺います。  今お話あったのは、政務三役だとか、そういういろいろな人とは一緒にいてへんということでありましたけれども、もう一度聞きます。じゃ、グリーブス長官と行った面会には、ミサイル防衛庁とともにSPY7を提案したロッキード・マーチン社の関係者も同席したのではないんですか。そこはどうですか。
  182. 中山泰秀

    ○中山副大臣 まず前提としまして、SPY7それからSPY6、これはどちらの提案にも米国のミサイル防衛庁が関わっているところでありまして、MDAがどちらか一方のみを有利にする必然性というのはないというふうに思います。  その上で、特にロッキード・マーチン社それからMDAが癒着していたのではないかというような御指摘に関しては、整備計画局長から現在の米国ミサイル防衛庁長官であるヒル長官にも確認をいたしておりますが、米国ミサイル防衛庁は誠実な仲介者としての役割を担っており、SPY7を推すようなことは一切なく、公平公正に業務を遂行したという回答を得ております。
  183. 穀田恵二

    ○穀田委員 いやいや、その回答は回答であったんか知らぬけれども、それやったらその回答を後で出してくれたらいいけれども、そこまで言うのやったら。  ただ、私が聞いたのは、同席していたんじゃないかと。今言ったのは、ロッキード・マーチン社の関係者も同席していたんじゃないかと聞いているわけですよ。それはお答えになっていないやんか。
  184. 中山泰秀

    ○中山副大臣 その件については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  185. 穀田恵二

    ○穀田委員 一番大事なところで、今こう言わはりましたやんか、7も6も、どっちもあれしてへんのや、こう言わはりましたやんか。それで、7を推進する側のマーチン社が同行していたのかと聞いたら、それは差し控えると。どないしてそういうことが信用できますねんな。そんな、会話したかとか分かりませんやんか。7も6も、どっちもMDAは両方やっているねんからしてへんと。それやったら、7のところを推奨しているロッキード・マーチン社は一緒に来てへんのかと。それは差し控えると言ったら、何のことはない、何でそれで公平性が担保できますねんな。  そんな、そこまで言うのやったら、私、その面会当日のやり取りについては当然記録を作成しているはずです。その面会記録の提出がない限り、今お話ししたように当然の話さえ明らかにできない、それでは疑問を払拭することはできない。  客観的に検証できるように、面会記録の提出を求めたいと思います。約束してください。
  186. 中山泰秀

    ○中山副大臣 いただいた御指摘を一旦省に持ち帰って検討させていただきます。
  187. 穀田恵二

    ○穀田委員 検討させていただくと。面会記録は行政文書です。したがって、これは直ちに提出するよう私は求めたいと思います。  同じ予算委員会で、私の質問に岸大臣は、レーダーの選定手続を開始した二〇一八年二月からロッキード社のSPY7を選定した七月までの間に、防衛省職員と業界関係者等との接触が五百二十九回行われたと明らかにした。これですよね。膨大な記録です。五百二十九回。  配付資料の四枚目は、今月三日に行われた野党合同ヒアリングで、防衛省が、五百二十九回行われたという接触回数の内訳を機関ごとに明らかにした内容です、月別にして提出したものです。これを見ると、陸上自衛隊との接触が全体の五割近くを占めており、次に多いのは内部部局であります。合わせると全体の八割に及んでいます。  そこで確認ですけれども、この業界関係者等との接触で、防衛省職員がロッキード・マーチンやその日本代理店である三菱商事の関係者などから接待を受けたということはなかったんですね。
  188. 中山泰秀

    ○中山副大臣 接触報告にある接触相手方、これは、米国ミサイル防衛庁、それからロッキード・マーチン社、代理人たる三菱商事、そういったものではないかということでございますけれども、機種選定に当たりまして防衛省のどのような職員がどのような相手方とどのような時期にどのような理由により接触したかを公表することは、今後の機種選定業務を適正に行う上で支障となるおそれがあり、また国の安全を害することになるおそれがあることなどから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。接触報告の開示によりまして、例えば今後の機種選定を行う上で不当な働きかけが行われた場合に、選定プロセスがゆがめられ、また国の安全に関わる情報が流出するおそれがあるといったことが懸念されるからであります。  したがいまして、そういったことはないというふうに思います。(穀田委員「出せないということでしょう。接待はないということですか」と呼ぶ)そういったことはないということだと思います。
  189. あべ俊子

    ○あべ委員長 委員長の指名をもって発言してください。
  190. 穀田恵二

    ○穀田委員 はい。  接待はないとおっしゃいました。  じゃ、私、今国会で問題になっているから言っているんじゃないんですよ。私が問題にしているのは、レーダー選定の作業が行われた同じ期間を対象に実施された防衛監察結果、二十九年度それから三十年度、これがあります。見ますと、例えば、業界関係者等との単独接触が許容される場合でないのに業界関係者等と単独で接触していたとか、業界関係者等から働きかけを受けた場合の措置について認識していない職員が存在した、さらに、働きかけを受けた場合の対応措置をあらかじめ業者に周知させる必要があることを知らない職員が散見した、こんなことを書いているんですよ。だから、接待を受けたか受けないかということも含めて、どないして分かりますねんな。  だから、こうしたことがレーダー選定に従事した職員になかったのかどうか。つまり、今言ったように、監察結果報告の中でそういう事例が紹介されているわけですよね、今聞いていただいたよね、そういう事例があるわけですやんか。そうしたことがレーダー選定に従事した職員にはなかったのか、調べたんですか。
  191. 中山泰秀

    ○中山副大臣 実際にイージス・アショアの構成品の選定に係る五百二十九件の接触の中に、特定の者と頻繁に接触しているなど不自然な兆候は見られなかったことから、本件選定事務が公平かつ公正に行われたものと考えております。  また、特にいわゆる供応接待という言葉が先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、そういったものに関して該当するものはないということであります。
  192. 穀田恵二

    ○穀田委員 私は、こういう防衛監察の結果がある、指摘があるんだけれども、これは重要な指摘なんですよね。  それが、防衛監察としてこういうことが起こっているという指摘をしているにもかかわらず、そちらは今、そういうことはなかったと。要するにレーダーの選定に従事した職員にはなかったと言っているんだけれども、もう一遍言います。調べたんですね。
  193. 中山泰秀

    ○中山副大臣 防衛省といたしましては、特定の企業を優遇したり、それから排除したりするということは一切していないということ。  それから、一般的に、機種選定に際し、提案者それから関係企業から必要な情報の収集を行う場合など、職務上必要と認められる接触に該当する場合は可能ですが、その際においても、公正性それから透明性を担保するために、機種選定などに当たり利害関係者を含む業界関係者と会う際には、原則として二名以上で会うこと、それから都度接触報告を作成するなど厳格なルールを定めているということでございますし。  委員からの資料要求も含めて、私ども真摯に受け止めて、調べさせていただいた結果、先生の方に資料をお渡しをしているということと認識しております。
  194. 穀田恵二

    ○穀田委員 調査して出していただいた五百二十九件というのは、そういう事態が起こる前の話なんですよ。  今おっしゃったけれども、そういう事態はない、単独で会うとかそういうことはないと言うけれども、そういう例があるということを平成二十九年、三十年の報告書で書いているわけですやんか。  だから、もう一度聞きますけれども、ほんまにこの指定されている監察報告に見られる内容について調べたんやね。そして、調べたんやったらその内容について明日にでも提出できるはずです、これは、調べた結果一件もなかったと。  しかし、この間、そういうことを、副大臣が調べたかどうかは別として、いわば事務方皆さんの中で、そういうことだったと言ったけれども、後で訂正して、二回も三回も訂正する例があるじゃないですか。  しかも、防衛監察のところで、こういうことが起こっている、今副大臣が言った三つばかりの件がひっくり返っている事態があるということを防衛監察は指摘しているわけですやんか。その内容に基づいて調べたのかと言っているんですよ。
  195. あべ俊子

    ○あべ委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。答弁は簡潔に願います。
  196. 中山泰秀

    ○中山副大臣 ありがとうございます。  御指摘の点についてお調べをさせていただいた上で、今答弁をさせていただいているという認識でございますので、御理解をよろしくお願いいたします。
  197. 穀田恵二

    ○穀田委員 最後に。私は、そうはどうも思えないわけですよ。  こういう内容に基づいて、レーダー選定に関わる職員にはなかったのかと言ったら、前に調べた話をしているだけで、その内容が二十九年、三十年に指摘されているわけですやんか。  なぜ、レーダー選定に関わる部署だけがそういうことはなかったと言えるのかというのはおかしな話なんですね。  私は、最低限、今度のSPY7を提案した米国政府とロッキード・マーチン社関係者との……
  198. あべ俊子

    ○あべ委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。
  199. 穀田恵二

    ○穀田委員 はい。  月別の接触回数を機関ごとにせめて出せと。そして、改めて私は、今言った内容についての真偽をはっきりさせて、資料を求めたいと思います。  終わります。
  200. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、浦野靖人君。
  201. 浦野靖人

    ○浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。  早速ですけれども、質問に入りたいと思います。  一問目は、SDGsについての質問です。  最近、やっとこのSDGsのバッジが何のバッジかということを余り聞かれなくなってきたかなと。当初は、それは何のバッジですかと結構聞かれたりとかしていましたけれども、最近、つけている方も、企業の方々もつけている方がいらっしゃって、結構あちこちで見ますので、やっと普及、そういう認識がしっかりとできているかなというふうに思います。  それで、SDGsに関わる事業、たくさんやらないといけないこと、目標、たくさんありますけれども、そのほとんどがやはり各省庁に、実際の取組は、外務省ではない、厚労省であったり文科省であったり、各省庁に分かれていくわけですけれども、そもそもこのSDGsを取りまとめたというか、国際会議等でしっかり議論をして話をしてきたのは外務省であったわけですから。  このSDGsの取組について、今把握している中で、この分野については非常に前に進んでいるというものから、ここはなかなか進んでいないというものがあると思うんですけれども、全てについて質問はできませんので、二、三点ずつ、進んでいるものとそうでないものと披瀝をしていただきたいなと思いますけれども、よろしくお願いします。
  202. 小野啓一

    小野政府参考人 お答えいたします。  SDGsの達成状況につきましては、国際機関やシンクタンク等、様々な評価を行ってきています。日本が先進的な取組を行っていると評価されている分野もある一方で、更に取組を強化すべき分野というふうに指摘を受けているものもございます。  例えば、昨年の六月に発表されましたベルテルスマン財団及び持続可能な開発方法ネットワークによる報告書におきましては、日本につきまして、教育、インフラ・産業化・イノベーション、平和に関する達成度合いが高いというふうに評価をされる一方で、ジェンダー、気候変動、海洋や陸上の資源、実施手段につきましては達成度合いが低いという評価を受けております。  政府としましては、こうした国際社会からの評価も十分考慮に入れながら、しっかりとSDGsについて進めていきたいと考えております。
  203. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。  高い評価を受けているところもありながら、もう少し頑張っていただきたいという部分もあるとことで、ここで大臣にお聞きしたいことは、そうであるならば、やはり政府として、外務省として、この分野、もう少ししっかりと政府として取り組んでいきたいなという思いを持っておられる分野というのはどういったものなのかというのを、ちょっとお聞かせいただけたらと思います。
  204. 茂木敏充

    茂木国務大臣 浦野委員から、SDGsのバッジ、ようやく認識が高まってきた、こういうお話を冒頭いただきました。  振り返ってみますと、一九七〇年代、経済学者のシューマッハーが、「スモール・イズ・ビューティフル」という著作、日本語のタイトルはたしか人間復興の経済学だと思いますが、それを発表して、大量生産、大量消費、こういう社会の在り方について警鐘を鳴らしたのが五十年前のことであります。  シューマッハーがモデルとしたのは中世のヨーロッパということでありますけれども、アインシュタインの親殺しのパラドックスのように、なかなか時代を戻すというのは難しいという中で、その後も、経済社会活動はより活発になり、その中で国際社会でもサステーナビリティー、こういう概念が生まれ、様々な分野でその危機であったりとか対策の重要性というのが指摘をされるようになってきたんだと思っております。  SDGs、十七の目標を持っているわけでありまして、それぞれに重要でありますが、特に現在、気候変動問題への取組、これは最重要な課題だ、このように捉えております。二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、パリ協定が目指します脱炭素社会の実現をするため、各国と連携しつつ、国際社会取組をリードしていきたいと思っております。  また、今コロナ禍ということでありまして、新型コロナ対策であったりとかワクチンの支援を含みます日本がこれまでも推進してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、これの推進であったり、G20大阪サミット、ここでも取り上げた海洋プラスチックごみ、さらには、人権、難民・避難民、女性の参画、防災など、諸課題にも積極的に取り組んでいきたい、こんなふうに考えております。
  205. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございます。是非、菅政権になってから更に、今大臣がおっしゃったような取組、今回の議会でもプラスチックのごみ関係は法案が出てくるということもありますし、しっかりとやっていきたい、我々もしっかりと議論していきたいと思います。  続いて、ミャンマーにおける邦人の安全確保及び帰国ということなんですけれども、日に日にやはりエスカレートしてきている。今日も、監視カメラにたまたま映っていたという画像で世界に報道されていますけれども、突然家に兵隊がやってきて、もう有無を言わさず連れ出して、トラックに人を乗せて連れ去っていくという映像が流れていました。もう、ちょっと、こういうことが行われると、もうそろそろ怖いなというのが正直な感想です。  今現在、邦人に危機が及んでいるとかそういったお話は、もちろんまだありません。ですが、やはり、いざというときになれば、政府を挙げて邦人の安全確保をしっかりとやっていかないといけないと思うんですけれども、その点について、外務省として段取りをしているのかどうか、もちろんしているとは思いますけれども、お話をお聞かせいただきたいと思います。
  206. 森美樹夫

    森政府参考人 お答えいたします。  ミャンマーにおいては、これまで、在ミャンマー日本大使館より、随時、領事メールなどにおきましてデモ等に関する情報を発出し、在留邦人に注意喚起を呼びかけるとともに、不要不急の外出を避けるよう呼びかけてきております。  また、三月九日には、速報的に注意を喚起するスポット情報というものを発出いたしまして、商用便による帰国の是非検討するよう呼びかけております。
  207. 浦野靖人

    ○浦野委員 今お聞きすると、定期便が就航しているのがあるから、それが週に一回ということで、それに乗って帰ってこられる方もいらっしゃるということなんですけれども、これは、いざ本当に政情が不安定になれば、更にたくさんの方が帰国を希望されると思いますが、そのときは是非、臨機応変に対応していただけたらと思っております。  続いて、所信の中で、デジタル化の推進についてのお話もありました。今、コロナ禍で、外交をどうやってやっていくのか、もちろん世界各国にその都度その都度飛び回るということができなくなっている中で、このデジタル技術の果たす役割というのは、例えば国際会議をウェブでやったりとか、そういうところは想像はすぐできるんですけれども、それ以外に、例えば、なかなか目立たないけれども、外務省としてはこういうことをデジタル技術でカバーしているんですというようなことがあれば、ちょっとお聞かせをいただけたらと思います。
  208. 大隅洋

    大隅政府参考人 お答えいたします。  先ほど委員からも言及がありましたとおり、当省でのデジタル化の例といたしましては、オンラインでのコミュニケーションツールの整備、有効活用というものを行っておるところです。  現在、国外との人の往来が制限され、国内でもテレワークが推奨される環境の中で、このようなツールが業務の効率化、働き方改革の対応に加え、国際会議の開催や各国との意思疎通の円滑化を通じた外交活動の推進に不可欠となっております。  また、国民への良質な領事サービスの提供のため、領事業務におけるデジタル化の推進を進めており、査証、旅券、証明のオンライン申請を導入し、また、領事手数料のクレジットカード納付を実施すべく、必要な作業を行っているところでございます。
  209. 浦野靖人

    ○浦野委員 我が党は在留カード、在留カードは外務省じゃないので言っても仕方がないですけれども、在留カードにマイナンバーをひもづけるべきだというお話とか、デジタルについては、いろいろとできることはまだまだあると思います。  今日、実は先ほど、この直前ですけれども、小泉環境大臣にウェブで、オンラインで提言を交わすということをやってきました。お聞かせいただくと、大臣がそうやってウェブを通じて他党からの提言を受けるというのは今回が初めてだったそうで、その中で逆に小泉大臣から、気候変動のお話だとか、先ほどの海洋プラスチックのお話、法案を出すのでまたよろしくお願いしますと逆に頼まれてしまったんですけれども。  そういった、いろいろと今まで想像していなかったような世界がこれからもやってくる。私、外交をやはり、言うても、人と人が会って話をするというのは非常に重要だと思うんです。それで、やはりウェブで会議をして、それが外部に漏れるんじゃないかとか、どうやったらそういうセキュリティーをきっちりできるのかとか、やはりそういうのは非常に心配な部分はあると思いますので、そういったことを工夫で乗り越えていただけたらなと思っております。  次に、尖閣諸島の有効支配についてのお話をします。  これは、私、予算委員会でも大臣に御答弁をいただいた話ですけれども、その流れで、既成事実を積み上げていくというのは、これは今、中国がずっとやり続けていることです。私たちも、日本の領土を守るために、そういったことをわざとやるべきだというふうに思うんです。  そのうちの一つが、過去に答弁をしていただいた環境の調査だったりとか、そういう、ここは日本の領海だからこういう調査もしますよというのを見せるということだと思うんですけれども。例えば、韓国なんかは、毎日、今日の竹島の天気は何々です、向こうは竹島とは言わないですよ、違う名前で言いますけれども、わざと竹島の天気予報を流しているんです。我々は、それはやはり重要なことだと思います。既成事実を積み上げていく。同じように我々も、尖閣諸島についても竹島についても、天気予報では全然言わないんですよ、全く触れないです、それはやはり、わざと触れるようにしてやっていかないといけない。  これは、外務省外務大臣お願いすることかどうかはちょっと微妙ですけれども、ただ、でも、これは私は、既成事実を積み上げていく外交努力をしていく、そういった流れの一つだと思いますので、その点について、大臣、どう思われますか。もし、それはいいことだというならば、省庁働きかけを、政府働きかけをしていただきたいと思うんですけれども。
  210. 茂木敏充

    茂木国務大臣 尖閣諸島、これは委員も御案内のとおり、歴史的にも国際法上も我が国の固有の領土でありまして、現に我が国がこれを有効に今支配をしているわけであります。  既成事実を積み上げるというと、あたかも何か実効支配の実態をつくっていくように今聞こえる部分もあるので、そこは誤解がないように整理をしていかなければならない。事実は、我が国が有効に支配しているということであります。  ただ、その事実をしっかりと発信をしていく、また、国際社会の理解を更に深めていくということは重要だと思っております。
  211. 浦野靖人

    ○浦野委員 こういった取組是非進めていっていただきたいと思います。  その流れの話ではないですけれども、大臣所信では、韓国に対する、例えば徴用工だとか慰安婦問題だとか、そういったことに関しては言及がありました。ただ、例えば、いわゆる歴史戦ですね、これについて余り、余りというか言及がなかったんじゃないかなと。私は、やはり国連の場で、外務省の国連大使皆さんが、今まで外務省の方々も含めていろいろ取組をしてきていただいていることは重々承知しています。ただ、それがやはり余り効果的に、うまいこといっていないんだろうなと。だからこそ、国際世論でも、なかなかどうして日本の主張が通らないというか、取り上げてもらえない。  私は、それはこれから大臣の下で、これこそ本当にしっかりと反論していただく、国際会議の中できっちりと日本の立場を声を大にしてもっと言っていただきたいというふうに思います。所信になかったので、一度大臣からお話を聞きたいと思います。
  212. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、私の大臣所信の中で、委員が今触れられた言葉は言っておりません。私は、旧朝鮮半島出身労働者問題、このような表現を使わせていただいた、このように思っております。  その上で、日本政府及び外務省として、慰安婦問題を含みます歴史問題についての政府考え方であったりとか、これまでの取組を様々な形で国際社会に対してしっかり説明し、発信をしてきております。また、国連等の国際的な場においては、慰安婦問題等について関係国から提起をされる場合があります。そういう場合に、関係国に申入れを行うとともに、しっかりと答弁権、これを行使する等、我が国の立場を明確に主張してきているところであります。  加えて、対外発信の最前線であります在外公館の体制強化を図りつつ、歴史認識を始めとする分野で、日本の政策であったりとか取組、立場について、様々な地域で、これは例えば、海外に行ってどういうコミュニティー、エスニック上のコミュニティーが強いというのもあります。必ずしも日系人のコミュニティーが強くないところもある。求心力の、移民をしてから百年はたっている地域と三十年の地域というのは違うところがある、こういうのもしっかり認識した上で、様々な地域、そして関係者に対して理解を深める取組を進めているところであります。  歴史戦、こういう表現が正しいかどうかは別にして、これはしっかり日本の国益というのを主張していかなきゃならない。最大限の取組をしていきたいと思っております。
  213. 浦野靖人

    ○浦野委員 詳しく答弁をしていただいてありがとうございます。  これは本当に、我々国民からすれば、外務省が一手に引き受けてこれをやっていただかないと、なかなかできない。  もちろん政府全体として、あらゆる場所で日本という国がどういう国だということをしっかりと発信していただいているということはもう重々承知をしておりますけれども、我々日本国民をおとしめるような発言を繰り返す国だとかそういったところには、我々はまだ日本国内に住んでいますから、そういった圧を受けることはほとんどありませんけれども、やはり海外で生活をしている日本人の皆さんは、いわれのない誹謗中傷を浴びたり、それが原因でいわれのない中傷を受けたりとか、今アメリカなんかでは、ちょっとヘイトクライムで日本人が何か襲われたりとかしているのも少し増えているというような報道もされてきています。  いわゆる歴史的な背景のそういういろいろな誹謗中傷以外にも、日本人に対するそういうヘイトクライムみたいなものも存在しますので、是非そういったことも、外務省もしっかりとこれからもしていただけたらと思っております。  最後になります。これも尖閣諸島に関わるものですけれども、アメリカの国防省のカービー報道官が二十六日、沖縄県の尖閣諸島の主権に関する日本の立場を支持すると、それまでとは全く、踏み込んだ発言をしたので少し色めき立ったところもあったみたいですけれども、すぐに、修正したいということで、これまでの、従来のアメリカの主張を、変わりないということを言い換えました。私は、これは非常に残念なことだったなと思っています。  ただ、これは、施政権という言葉だとか、主権を持っている、こういうの、いろいろありますけれども、尖閣諸島の一部の久場島とか大正島というのは、実はアメリカ軍が射撃場として、訓練場として使用しているところです。例えば、日本の領土じゃなければ、勝手にどこかの国の島を占領してアメリカ軍が射撃訓練を行っているのかという話になりますので、アメリカ軍は、尖閣諸島の一部の島であるこの二島については、日本の領土であるということを十分認識して射撃訓練場に使っていると私は思っています。  この点に、私は、日本の主権をちゃんと持っているからこそアメリカがそういうふうに使っているんだと思っているんですけれども、アメリカはそれを、言葉を濁して、認めているのか認めていないのかよく分からない態度を取ります。  そういったことについて、外務省として、政府として、そのことは、その事実をどういうふうに理解をしているのかというのをちょっとお聞かせいただけたらと思います。
  214. 石月英雄

    石月政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の報道官の発言については承知しております。  米国政府は、尖閣諸島に関する日本の立場を十分理解し、尖閣諸島をめぐる情勢について、我が国の側に立って緊密に連携していくとの立場です。こうしたこれまでと同様の立場に何ら変更はないものと理解しております。このことは、御指摘の報道官の発言において、日米安保条約第五条に基づき、尖閣諸島を含む日本防衛するとの米国のコミットメントは揺るぎなく、米国は現状を変更するあらゆる試みに反対する旨表明していることからも明らかと考えております。  日米間では、首脳間で、日米安保条約第五条の尖閣諸島への適用を含む、日本防衛に対する揺るぎないコミットメントが表明されております。  また、先般行われた日米外相電話会談日米豪印外相電話会談においても一致しているとおり、日米間では、中国海警法を含め、東シナ海における一方的な現状変更の試みについての懸念を共有しており、引き続き連携していく考えです。
  215. 浦野靖人

    ○浦野委員 ありがとうございました。  外務省皆さん大臣始め、日本の国益をしっかりと守っていただけたらと思います。  どうもありがとうございました。
  216. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、山尾志桜里君。
  217. 山尾志桜里

    ○山尾委員 国民民主党の山尾志桜里です。  ミャンマー、ウイグル、そして香港と、コロナ禍で各国がどうしても内向きになっていく中で、一部の地域で悪化する人権弾圧やあるいは権威主義ということで、きちっと国会で議論することが何より今大事だと思うので、今日は人権外交について質問したいと思います。  まず、これは大臣に伺いたいんですけれども、ちょっと先ほどの、国軍外相に任命したワナ・マウン・ルイン氏の呼び方なんですね。  先ほど、午前中の最初の答弁では、外務大臣、この方のことを外務大臣というふうにおっしゃっていて、緑川委員質問では、当局によって指名されている外務大臣と言われている人というふうにおっしゃったのを聞きました。  これはまず、ちょっと、共同通信の報道だと、日本外務省がワナ氏を外相と呼称すると明らかにしたという報道が出ているんですね。ただ、外務大臣茂木大臣、先ほど、そういった形で、必ずしもワナ氏のことを外相と言わなかったので、これは、外務省として決めてはいないんだなと私はほっとしたんですけれども、決めていないのに決めたというふうに国際社会にアナウンスされたのであれば、これは軌道修正する必要があると思います。  そこで、私としては、事実上ここまでは、外相と呼んだり、あるいはホームページにそういう記載をされたことがあるのは事実なんですけれども、そう呼ぶと決めたわけではないということをメッセージするべきだと思います。茂木大臣、まず、呼称をめぐり、外務省としてワナ氏を外相と呼ぶことを決めたという事実はあるんですか。
  218. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ありません。
  219. 山尾志桜里

    ○山尾委員 ないと明確に答弁をしていただきました。  その上で、先ほど茂木大臣は、国家安全評議会においてはワナ氏が外務大臣に指名されている、今の評議会が正当かどうかの評価はしていない、ただ、カウンターパートとして今ミャンマーの治安を担っている本人働きかけることは重要だ、こういうふうにおっしゃいました。  私も、今、茂木大臣が、外務大臣として現行の評議会に対する確たる評価を決めたり発信をするタイミングではないということも含めて理解をしました。適切だと私は思います。  ただ、今の評議会が正当かどうか評価をしていないのに、大臣を始め日本政府がワナ氏を外相と呼び続けると、正当だと評価しているというふうに誤解をされると思いますし、外相と呼ばなくても、それなりの呼び方があれば本人働きかけることは十分可能だというふうに思います。  なので、先ほどのように、当局によって指名されている外務大臣と言われている人とか、国軍によって外務大臣と任命されたワナ氏とか、こういう形でよいかと思いますが、大臣、今後、当面どのように呼称されるおつもりですか。
  220. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ちょっと考えていますけれども、例えばASEAN各国との外相会談でも、相手側も、フォーリンミニスターとかいう、要するに、分かった上でそういう、何か、分かる形で、認識する意味でというか、認めるというよりも、誰かということで使っているというふうに理解をしております。  同時に、今の事態、これを何とかしなければならない。エスカレーションを防いで鎮静化をさせていって、そこの中で民主化プロセスに戻していく、そのためには、国軍もNLDも、いろいろな形でやはり関与していくことが必要でありまして、そういった意味では、働きかけをする幹部の一人ではあるというのは間違いない。さらには、フライン司令官にしても、そういう人間であると思って対応する必要はあると思っております。
  221. 山尾志桜里

    ○山尾委員 分かります。  ただ、こういった国会の場だとか、あるいは、今、ミャンマー日本大使館のホームページ、これは外相という記載がされているんですね、日本語でも。やはりこういった公的な場での呼称についてはちょっと、再検討していただくと言いましたので、検討していただきたいというふうに思います。  その上で、非公式の場でどういった人間関係に基づいてどういった呼称をするということは、様々な外交上の選択肢があることは理解しますので、是非検討お願いできますか。
  222. 茂木敏充

    茂木国務大臣 端的にどう言うかということなんですね、問題は。認めるかどうかは別にして、そこの中でどうするかについて検討したいと思います。
  223. 山尾志桜里

    ○山尾委員 そうしてください。  そして、ホームページ記載も含めて、さらりと修正していただければいいのではないかというふうに思います。  次に、人権侵害制裁法の話をちょっと先にさせていただきたいと思います。  先に質問を言いますけれども、ちょっと役所の方には、この人権侵害制裁法、調査状況はどうなっていますかということ、そして大臣には、どんなことを実際懸念材料として頭に持っていらっしゃるかということを聞きたいんですね。  昨年末、これはEUも導入を決定して、G7では日本だけがこれを持っていない国ということになりました。以前、十一月、茂木大臣質問したときは、一部の欧米諸国を中心に進展していることを十分承知していると本会議で私の質問に答弁をいただいたんですけれども、本当に、その後、四か月足らずで、年末にEUが導入を決めたし、オーストラリアでも与野党共に前向きで議論が進んでいますし、スイスでも議論がスタートしているということで、一部の欧米諸国というよりは、予想以上のスピードでこの制裁法の整備というのが広がっています。  そこでまず外務省にお聞きしますけれども、大臣自身も、十一月に、様々な観点から情報収集や調査研究が必要とおっしゃいました。外務省として、調査の進展状況をこの場で是非お聞かせください。
  224. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  当省といたしましては、米国、カナダ、英国に続き、昨年十二月にはEUも、人権侵害を理由とした制裁措置を可能とする新制度を創設していることを調査しております。そういった調査をしているところでございます。  以上でございます。
  225. 山尾志桜里

    ○山尾委員 何か、外務省が三か月、四か月調査にしてはちょっと物足りない答弁ですけれども、外務大臣、いかがですか。  多分大臣も様々聞いていらっしゃると思うんですけれども、実際、プラスの要素があることは理解していただけていると思うんですが、どんなところが懸念材料だなというふうに考えていらっしゃいますか。これは大臣是非
  226. 茂木敏充

    茂木国務大臣 人権擁護、委員と意見は一緒だと思いますけれども、全ての国の基本的な責務であると考えております。  そういった中で、日本としてこれまでどういうことをやってきたか。もちろん人権侵害に対してはしっかりと声を上げる。一方で、対話であったりとか協力も必要だと思っておりまして、民主化であったりとか人権擁護に向けて努力を行っている、こういう国との間では、二国間の対話であったりとか協力を積み重ねて、自主的な取組、これを後押しをする、こういったことも重要だと思っております。  文脈は若干違うんですが、例えばASEANに対する日本協力、一九六〇年代から大きく評価をしております。何か、価値観を押しつけるというよりも、ASEANにはASEANとしての、またそれぞれの国の文化とか伝統がある、そしてそこの中で一体性を保とうとしている、そういったASEANの主体性を重視する。  また、アフリカにおいても、TICADのプロセスもそうでありますが、アフリカ自身取組、これを後押しする、これを基本にしながら進めてきて、そういった日本外交というのが私は大きく評価されているんだと思います。そういったこれまでやってきた日本外交との整合性をどう保っていくか、こういったことも考えたいと思っております。  一方で、国際社会において今、人権擁護について様々な動きがある、こういったこともしっかり注視をしていきたいと思っております。
  227. 山尾志桜里

    ○山尾委員 今大臣がおっしゃったように、やはり、民主化の前進プロセスにある国、ミャンマーなんかもそうなんだと思います、そういう国に対してはできるだけ対話と協力でそのプロセスを後押ししていく日本のやり方というのは、すごくいいものがあると思うんですね。  ただ一方で、むしろ反民主的な傾向を強め、権威主義的傾向を強めることで自信を強めている国というのは、またちょっと別な面があると思うんです。やはり、そういう国に対しては、声を上げる、つまり、対話と協力の今までの人権外交から半歩ないしは一歩進んで、行動をするツールを持つということが私は必要なんだと思います。  行動できるツールを持つということと、常にいわゆる自動発動的に行動する、制裁するということは全然違う話だと思いますし、それこそアメリカも、サウジアラビアの皇太子に対しては国益の観点から今は制裁はしないというような説明もしながら、それぞれ、この制裁ツールを持つ国々も、自分の国の国益との見合いの中で、きちっと説明をしながら、制裁するしないを運用しているわけです。私は、そういうことが日本もできる国だというふうに思いますので、是非、制裁を科すことができるツールを持つということについては積極的に進めていただきたい。  もう一回だけ、ちょっと大臣に答弁いただきたいんですけれども、例えば今年六月にはG7がありますよね。あと、バイデン政権も、一年内にサミット・フォー・デモクラシーという会合を持つということも言っています。この一年内のサミット・フォー・デモクラシーの中で、やはり、日本が民主主義国の強い同盟国の一員として、同じようにこの制裁ツールを持っているというようなことを描きながら検討を進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  228. 茂木敏充

    茂木国務大臣 山尾委員の今の御意見は御意見として理解できます。  一方で、ある国が一方的に違う国の状況について人権侵害と認定をして制裁を科すような制度を持つかどうか、これについては私は様々な議論があると思いますし、そういうツールを持って、ツールは持ちました、一方でその運用は恣意的にやります、こういう形がいいのかどうかということもよく考えなければならないと思います。そこは、制度を持ちながら、国によっては起こっているんだけれども適用する、国によっては起こっているのに適用しない、それを恣意的に判断するということがどうなのかということも含めて議論が必要だと思います。
  229. 山尾志桜里

    ○山尾委員 分かります。やはり、本当に起きていることが看過できないようなすさまじい人権弾圧が起きていて、それについて客観的な証拠がたくさん集まっているのに、国益の観点から何もしないというようなことが果たして理解を得られるのかどうかとか、様々あると思うんです。  今のような事例一つが、私は、今、中国のウイグルで起きていることというのは、様々な国益を考えても、やはり国際社会として看過してはいけない状況にあるのではないかという事例だというふうに思うんですね。  質問は、やはりウイグルで起きていることについては、とりわけ昨年来、本当に、ASPIのレポートだとか、ドイツの研究家のゼンツ・レポートだとか、あるいはBBCの収容者の女性の実名告白、そして、この数日内も、ABCでやはりフランスに逃げた収容女性が告発したりだとか、あるいはワシントンのNGOも、ここのウイグルで起きている出来事はジェノサイドの五つの要件に全部当てはまるというような報告があったりとか、本当に様々な客観的な証拠だったり研究報告書があるので。  これはちょっと外務省の中でも、何か通常の業務の一環としてこういった証拠を全部きちっと収集し分析して事実認定をしていくというのはなかなか難しいんじゃないかなと思いまして、やはり大臣として、ちょっとこの問題は、しっかりチーム編成なりをしてウイグルの問題を調査をするということが必要な状況に至っているのではないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
  230. 茂木敏充

    茂木国務大臣 新疆ウイグルの人権状況については深刻な懸念を持っております。そして、山尾委員おっしゃるように、様々なレポートそして報道、これが人権侵害等について出されているということも承知をいたしております。  そういった中で、日本国際社会地域で起こっていることについて懸念を持っている事項、さらには注視をしなければいけない事項、こういったことについては、情報の収集、分析、その地域によってなかなかアクセスが難しいとか、いろいろな問題もあるわけでありますけれども、そういったことはしっかりやっていきたい。  ただ、こういう、まさに情報収集でありますから、どういう問題についてチームをつくるとか特別編成にするということ自体がインテリジェンスに関わってくるということで、それ以上の答弁は控えさせていただければと思います。
  231. 山尾志桜里

    ○山尾委員 この場では言わないがチームをつくるというふうに受け止めたいと思いますけれども、収集した情報とか分析結果は、全てを公開しろとは言いませんけれども、やはり今、日本政府として一定程度公開するということを求められていると思いますので、何か内々でやっているだけではなくて、こういった委員会の場も活用しながら、しっかりと示していただきたいというふうに思います。  その上で、よく、ジェノサイド条約を批准していないからこういったジェノサイドの認定なんかができないんだという論調もあるんですけれども、私、これはちょっと違うんじゃないかなと思っていて、一般名詞としてのジェノサイドだったりとか、日本も入っているローマ規程上のジェノサイド、こういったものに該当するかしないかということは、必ずしも条約を批准していなくても、すること自体は可能なんじゃないかと思うんですけれども、この関係というのは一体どう考えたらいいんでしょうか。
  232. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  一般論としまして、ある事案をジェノサイドと認めるかどうかに当たりましては、関連情報を収集し、事実関係を確認した上で、分析した結果等に基づいて総合的に判断する必要があると考えておりますが、ジェノサイド条約を締結しているかどうかとは必ずしも直接の関係はないと考えております。
  233. 山尾志桜里

    ○山尾委員 明確に答弁していただいて、ありがとうございました。その上で、私はジェノサイド条約は批准した方がいいというふうに思うんですね。  やはり、ローマ規程というのは、ジェノサイドや人道に対する犯罪、戦争犯罪について、国際刑事裁判所にかけてきちっと処罰していきましょうねという話で、ジェノサイド条約は、こういったジェノサイドを各国でもきちっと処罰できるように整えましょうという話なので、カバーし切れない面があると思うんですけれども、大臣、ジェノサイド条約締結の必要性の有無について、これについて、今の大臣のお考えはいかがですか。
  234. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、我が国がICCのローマ規程加盟国であるということは委員も御案内のとおりでありまして、また、ジェノサイド条約と、ジェノサイドの認定というか、全ての件について日本が認定するかどうかは別にしまして、別の議論だということは先ほど赤堀氏の方からお答えをさせていただいたところでありますが。  御案内のとおり、ジェノサイド条約、これは締結国に対しまして、集団殺害の行為等を犯した者を国内法により犯罪化する義務、これを課しているところでありまして、この締結ということを考えるに当たっては、ジェノサイド条約を我が国で締結する必要性であったりとか、締結の際に必要となります国内法整備の内容等について、引き続き慎重に考える必要があると思っております。  法律について非常にお詳しいので、法務委員会でもよく議論していただければと思います。
  235. 山尾志桜里

    ○山尾委員 外務省と法務省の消極的権限争いにピリオドを打てるのは、私は茂木外務大臣だと思っているので、こうやってしつこく質問をしております。  これは一つ提案なんですけれども、皆さんのお手元に条約を配りましたけれども、やはり、日本国内法で担保できていない論点というのは、この第三条の(b)と(c)、共同謀議とか扇動、ここの部分はちょっと日本国内刑法で担保し切れていないというところが論点になるんだと思うんですね。  それで、私は、これは提案なんですけれども、この部分を留保して締結することも一つの知恵だというふうに思います。  このジェノサイド条約には、留保しちゃ駄目という条項もないですし、留保するにしてもこの留保しかできませんよという条項もないので、基本的には、両立性の基準ということで、この条約の目的を失わせない留保はつけることが多分できると思うんですね。ここの共同謀議とか扇動というのは日本国内法体系と必ずしも合わないので、ここを留保した上で締結をするということは、私、十分可能だし、その上で、ほかの条約のように留保をつけた上で後で解除するという例も今まで日本もやっていますので、ちょっとそういったことを検討していただくとどうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  236. あべ俊子

    ○あべ委員長 赤堀大臣官房審議官、持ち合わせの時間が経過しておりますので、御協力いただきます。
  237. 赤堀毅

    赤堀政府参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり、ジェノサイド条約において留保に関する規定はございません。  一般論として申し上げれば、条約の締結に関する留保については、当該条約の趣旨及び目的と両立するものである必要があると認識しております。  ジェノサイド条約の締結を考えるに当たっては、我が国におけるジェノサイド条約締結の必要性、締結の際に必要となる国内法整備の内容等につき、引き続き慎重に検討を行う必要があると考えております。
  238. 山尾志桜里

    ○山尾委員 今日はこれで終わりますけれども、是非、知恵をできるだけ出したいと思いますので、前向きな検討をよろしくお願いします。  ありがとうございました。      ――――◇―――――
  239. あべ俊子

    ○あべ委員長 次に、内閣提出在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣茂木敏充君。     ―――――――――――――  在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  240. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ただいま議題となりました在外公館名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  改正の第一は、ベトナムに在ダナン日本国総領事館を新設するとともに、同総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。  改正の第二は、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。  改正の第三は、在勤基本手当の月額について内部の他の職員との関係で必要と認められる範囲内において必要な調整を行うための措置を定めることであります。  改正の第四は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給開始年齢を改めることであります。  以上の改正内容のうち、在勤基本手当の改正及び調整、並びに子女教育手当の支給開始年齢の改定につきましては、令和三年度予算案に計上しているため、四月一日に実施する必要があります。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いします。
  241. あべ俊子

    ○あべ委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十六分散会