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2021-05-27 第204回国会 衆議院 科学技術・イノベーション推進特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年五月二十七日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 田嶋  要君    理事 石川 昭政君 理事 関  芳弘君    理事 西村 明宏君 理事 松島みどり君    理事 八木 哲也君 理事 津村 啓介君    理事 緑川 貴士君 理事 濱村  進君       井林 辰憲君    今村 雅弘君       小渕 優子君    尾身 朝子君       大岡 敏孝君    国光あやの君       小泉 龍司君    小寺 裕雄君       繁本  護君    田畑 裕明君       高木  啓君    竹本 直一君       出畑  実君    渡海紀三朗君       中村 裕之君    中山 展宏君       馳   浩君    細田 健一君       宮下 一郎君    簗  和生君       岡本 充功君    吉良 州司君       城井  崇君    末松 義規君       中川 正春君    山岡 達丸君       吉田 宣弘君    畑野 君枝君       青山 雅幸君    高井 崇志君     …………………………………    国務大臣    (情報通信技術IT政策担当)         平井 卓也君    国務大臣    (知的財産戦略担当)    (科学技術政策担当)    (宇宙政策担当)     井上 信治君    内閣府副大臣       三ッ林裕巳君    厚生労働大臣      山本 博司君    衆議院委員部長      花島 克臣君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  冨安泰一郎君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  十時 憲司君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  大西 友弘君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  内山 博之君    政府参考人    (内閣大臣官房審議官) 村手  聡君    政府参考人    (内閣沖縄振興局長)  原  宏彰君    政府参考人    (内閣科学技術イノベーション推進事務局統括官)            柳   孝君    政府参考人    (内閣府健康・医療戦略推進事務局次長)      渡邉その子君    政府参考人    (内閣宇宙開発戦略推進事務局長)        松尾 剛彦君    政府参考人    (内閣府日本学術会議事務局長)          福井 仁史君    政府参考人    (金融庁総合政策局政策立案総括審議官)      井藤 英樹君    政府参考人    (総務省大臣官房審議官) 阿部 知明君    政府参考人    (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       佐々木祐二君    政府参考人    (総務省総合通信基盤局電波部長)         鈴木 信也君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           川中 文治君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           塩崎 正晴君    政府参考人    (文部科学省大臣官房審議官)           長野 裕子君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           志村 幸久君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           横幕 章人君    衆議院調査局科学技術イノベーション推進特別調査室長           但野  智君     ――――――――――――― 委員の異動 五月二十七日  辞任         補欠選任   杉田 水脈君     繁本  護君   宮下 一郎君     細田 健一君   岡本 三成君     吉田 宣弘君 同日  辞任         補欠選任   繁本  護君     国光あやの君   細田 健一君     宮下 一郎君   吉田 宣弘君     岡本 三成君 同日  辞任         補欠選任   国光あやの君     小寺 裕雄君 同日  辞任         補欠選任   小寺 裕雄君     高木  啓君 同日  辞任         補欠選任   高木  啓君     杉田 水脈君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 田嶋要

    田嶋委員長 これより会議を開きます。  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官冨安泰一郎君、内閣官房内閣審議官大西友弘君、内閣官房内閣審議官十時憲司君、内閣官房内閣審議官内山博之君、内閣大臣官房審議官村手聡君、内閣沖縄振興局長原宏彰君、内閣科学技術イノベーション推進事務局統括官柳孝君、内閣府健康・医療戦略推進事務局次長渡邉その子君、内閣宇宙開発戦略推進事務局長松尾剛彦君、内閣日本学術会議事務局長福井仁史君、金融庁総合政策局政策立案総括審議官井藤英樹君、総務省大臣官房審議官阿部知明君、総務省情報流通行政局郵政行政部長佐々木祐二君、総務省総合通信基盤局電波部長鈴木信也君、文部科学省大臣官房審議官川中文治君、文部科学省大臣官房審議官塩崎正晴君、文部科学省大臣官房審議官長野裕子君、厚生労働省大臣官房審議官宮崎敦文君、厚生労働省大臣官房審議官志村幸久君、厚生労働省大臣官房審議官横幕章人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 田嶋要

    田嶋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  4. 田嶋要

    田嶋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾身朝子君。
  5. 尾身朝子

    尾身委員 おはようございます。自由民主党、群馬一区の尾身朝子です。  本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。  まず、第六期科学技術イノベーション基本計画について伺います。  科学技術基本法が一九九五年に制定されてから二十五年以上が経過し、昨年、抜本的な改正が行われました。人文科学のみに係る科学技術及びイノベーション創出基本法の対象に加えるとともに、基本計画において、研究者人材確保及び養成の取組を示し、名前も科学技術イノベーション基本法変更されました。これらにより、人文社会を含む科学技術振興イノベーションとが一体的に推進される体制が整ったと言えます。  本年度からスタートした第六期科学技術イノベーション基本計画は、まさにこの基本法改正を踏まえて策定された初めての基本計画です。私も非常に期待しております。  基本計画の中身も、基本法改正を反映させたものであり、かつ、社会状況変革対応した内容になっています。何よりも、研究開発投資目標が、これまでの目標を大幅に超えて、五年間政府研究開発投資三十兆円、官民合わせた投資総額百二十兆円とされています。これが明記されたことは大いに評価できるものです。これも、科学技術イノベーション担当を担う井上大臣始め関係者皆様の御尽力のたまものであると考えており、心より敬意を表したいと存じます。  一方で、こうした計画実行に移すことが何より重要であり、実行なくしてはせっかくの計画が絵に描いた餅になりかねません。  このような中、まさに令和三年度は第六期基本計画初年度として極めて重要な年です。国際的な競争はますますすさまじく、諸外国においては米国、中国、EUなどが科学技術関係投資を大幅に引き上げている中で、日本が後れを取ることは許されません。世界情勢変化対応した、戦略的で大胆かつ迅速な研究費の配分などが求められています。  ソサエティー五・〇を真の意味実現するとともに、経済安全保障の考え方の下、戦略的不可欠性確保するための研究開発なども強化すべきです。  ここで、井上大臣にお伺いいたします。  第六期科学技術イノベーション基本計画推進に向けた大臣としての御決意、及び、計画に掲げられた政府研究開発投資三十兆円実現への取組について、お聞かせください。
  6. 井上信治

    井上国務大臣 科学技術イノベーションをめぐる各国間の覇権争いの激化や気候変動による災害の激甚化などの脅威が現実化する中、それに対応すべき我が国デジタル化の遅れや研究力低下が懸念されるとの厳しい現状認識の下、本年三月、第六期科学技術イノベーション基本計画を取りまとめました。  この基本計画では、ソサエティー五・〇を実現するための社会変革研究力強化を図るため、世界レベル研究基盤の構築のための十兆円規模大学ファンドカーボンニュートラル実現のための二兆円のグリーン基金など大胆な政策を盛り込むとともに、五年間政府研究開発投資総額を三十兆円、官民合わせて百二十兆円という、第五期を大きく上回る規模目標を設定しております。  諸外国において科学技術イノベーションへの投資が大きく伸びている中、我が国においても、カーボンニュートラル実現コロナ対応などを進めるため、昨年度の科学技術関係予算は一昨年度から約三・五兆円増しの九・二兆円とするなど、社会からの要請に応えるため、しっかりと予算確保しました。  諸外国との熾烈な競争を勝ち抜く観点からも、関係府省と連携し、科学技術イノベーション政策の恒常的な質の向上をしっかり進めるとともに、民間投資を呼び込みつつ、政府予算を着実に確保し、投資目標達成に向けて努力してまいります。
  7. 尾身朝子

    尾身委員 大変心強いお言葉、ありがとうございました。  次に、大学改革大学ファンドについてお伺いします。  大学は、これまで、イノベーションの源泉となる知の創出という点で社会に大きな貢献をしてきました。第六期を迎え、同計画に記載された人文社会科学自然科学を融合した総合知創出、ますます深刻化する地球規模での課題解決において、大学の果たすべき役割はより一層大きくなると考えます。  このような中、研究大学における研究開発投資を抜本的に拡充するための十兆円規模大学ファンド創設は、我が国大学競争力低下財政基盤脆弱化を解決し、今までの制度に風穴を空けるものとして、大きな期待を持って受け止められています。  十兆円ファンド運用益を上げるためにはある程度の時間が必要です。成果を表すまでの間、博士後期課程学生研究環境充実キャリアパス確保は待ったなしの状況であることを忘れずに、しっかりとした予算措置が必要です。  同時に、大学ガバナンス改革が求められます。現状研究大学を支える財政基盤は決して十分なものであるとは言えません。世界トップクラス研究大学と伍していくためには、年間数%での持続的な成長実現する経営が必要です。優れた研究者が必ずしも優れた経営者とは限りません。研究大学自体変化を求められており、経営研究を両立させるための方策が急がれます。  ここで、大臣にお伺いします。  この大学ファンドを速やかに実効あるものとするための大臣の御決意を伺います。また、自民党もかねてから主張しているように、ファンド達成に向けて一刻も早く十兆円規模への拡充実現すべきと考えますが、この点についても大臣の御見解をお聞かせください。
  8. 井上信治

    井上国務大臣 博士後期課程進学者数が減少をし、諸外国トップ研究大学年間数%で事業規模を拡大する中、我が国大学成長率は低迷しており、世界と伍していくためには優秀な人材確保と戦略的な事業規模成長が不可欠です。  本大学ファンドは、我が国研究大学経営体として自立し、世界と伍する大学成長することで、絶えずイノベーション創出される仕組みを構築することを目的としています。ガバナンスも含めて、必要な大学改革内容について、本年三月に設置した世界と伍する研究大学専門調査会議論を踏まえ、新たな法的枠組みを早急に検討の上、次期通常国会への法案提出を目指してまいります。  大学ファンドは、科学技術イノベーション政策の切り札です。今後、自民党における御議論や昨年十二月八日に閣議決定された総合経済対策を踏まえ、大学改革を強力に推進するとともに、来年度の概算要求等も視野に入れて、早期に十兆円規模ファンド実現してまいりたいと思います。
  9. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。大変力強いお言葉、本当にありがとうございます。  続いて、沖縄科学技術大学院大学OISTについて伺います。  OISTは、二〇一一年に設立されて、今年で十年という節目を迎えました。国際共同研究国際頭脳循環実現する国際研究拠点として年々その存在感を増し、世界トップクラス研究を継続しています。  その証左として、昨年のネイチャーインデックス誌が発表した研究機関等における科学論文の質において、カリフォルニア工科大学、カルテックなどに並び立って、日本で一位、世界で九位にランクづけされました。  また、地元沖縄企業との共同研究スタートアップの設立など緊密に連携を図り、さらにはイノベーションパーク計画なども着実に進められています。  平井大臣が所管されるサイバーセキュリティーの分野でも、持てる海外ネットワークを駆使して世界最高レベル研究者を招聘し、研究を進めています。  設立されてから僅か十年でこれだけの成果を上げるのは、世界でも類を見ません。このように科学技術イノベーション国際研究拠点として世界に冠たるOISTが、更に卓越した存在として高みを目指すために、科学技術振興観点からも、日本政府一丸となっての継続的かつ力強い支援が不可欠です。  ここで、お伺いします。  このように国際的に認められる成果創出しているOISTに対しては、政府による確実かつ手厚い予算措置が必要です。御見解をお聞かせください。
  10. 原宏彰

    原政府参考人 お答えいたします。  沖縄科学技術大学院大学OISTにおきましては、世界最高水準を目指し、科学技術に関する教育研究推進してきております。  先生御指摘のとおり、研究レベルに関しては、先ほど、ネイチャーインデックス二〇一九でございますけれども、質の高い論文輩出率に関し、世界九位、日本一位にランクインするなど、成果を上げております。  これまでも、OISTについては、沖縄振興政策の重要な柱の一つといたしまして、その運営等に必要な経費を確保してまいりました。  今後とも、沖縄振興及び自立的発展並びに世界科学技術発展に寄与することを目指して設立されたOISTが、所期の目的達成することができますよう、運営について不断の改善を行いながら、その発展を適切に支援してまいりたいと考えております。
  11. 尾身朝子

    尾身委員 OISTがこれからもしっかりと発展し続けるためには、政府の確固たる予算措置による支援が必要だというふうに考えておりますので、是非ともよろしくお願いいたします。  次に、ムーンショット研究開発制度について伺います。  二〇一八年に研究開発力強化法改正され、JSTNEDOAMED農研機構といったファンディングエージェンシーが、個別の法改正なしに、柔軟に基金を造成できるようになりました。  その中で、内閣府主導の下、政府が定めた七つの野心的なムーンショット目標達成に向けて、それぞれのプログラムディレクターリーダーシップにより、研究が強力に推進されています。  例えば、JST汎用量子コンピューターNEDO農研機構地球温暖化食料対策といった点での持続可能な世界実現AMEDの百歳まで健康に生きるという目標は、いずれも今後の社会に極めて重要なものであり、私自身、非常に期待しております。  井上大臣は、健康・医療政策全般も担当しておられます。AMEDムーンショット取組には、例えば医学と量子連携老化細胞除去など、革新的な研究が含まれています。  これらのように、ムーンショット型研究開発は、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発推進するという制度趣旨のみならず、現在まさに目標に沿った魅力的な研究内容推進されているところであり、予算確保充実も含め、井上大臣リーダーシップ是非とも牽引していただきたいと考えております。  ここで、大臣にお伺いいたします。  ムーンショット研究開発の更なる充実強化は重要であると考えておりますが、予算確保も含めたお考えをお聞かせください。
  12. 井上信治

    井上国務大臣 ムーンショット型研究開発制度は、超高齢化社会地球温暖化問題などの深刻な社会課題に対し、国が野心的な目標を設定して、挑戦的な研究開発推進するもので、未来社会を見据えた極めて重要な制度だと認識しています。  これまで七つ目標を設定し、研究開発を着実に進めています。今後は、環境、農業、AI、ロボット、量子、健康、医療など、諸外国問題意識を共有する分野において、国際連携強化やターゲットの柔軟な変更なども通じて、研究開発を強力に推進してまいります。  また、未来のポストコロナ社会を見据えて、若手研究者などのアイデアを生かしながら、新たなムーンショット目標の設定に向けて検討を進めているところです。  今後とも、関係府省、関係法人が一体となって本制度の強力な推進を図ってまいります。
  13. 尾身朝子

    尾身委員 ありがとうございました。  今大臣が述べられましたように、これからどのような研究目標が発生してくるか分からないというのが現実状況だと思います。それに対して、柔軟な研究目標変更並びにそれに対する予算拡充というもの、それが是非とも必要だというふうに私も考えておりますので、よろしくお願いいたします。  最後に、スタートアップについて一言言及したいと思います。  新型コロナウイルス感染症への対応や、カーボンニュートラルに向けた取組強化、グローバルな課題への対応が急務となるなど、変革に柔軟に対応していくことが極めて重要です。  こうした激動の中、新産業創出するのはスタートアップであると言っても過言ではありません。世界中で、スタートアップが極めて短期間に大企業をしのぐほど急成長し、産業構造のみならず、都市構造やライフスタイルまでも変革する大きな潮流を形成する事例もあまたあります。  このことから、スタートアップをいわば我が国伸び代として捉え、第六期計画でも記載されているように、科学技術イノベーション政策上の重要課題として、スタートアップ形成によるイノベーションエコシステムをつくっていくことも重要です。このことも申し上げたいというふうに思います。  我が国が第六期科学技術イノベーション計画の下、ソサエティー五・〇を実現し、これからも成長していくためには、基礎研究人材育成など、科学技術イノベーションの力を一層発展させることが不可欠です。  世界の中で今後とも科学技術イノベーション立国日本であり続けるために、井上大臣始め関係者皆様の御尽力を期待するとともに、私も全力で取り組んでいくことをお約束申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。
  14. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、濱村進君。
  15. 濱村進

    濱村委員 公明党の濱村進でございます。  本日は井上大臣を中心にお話をさせていただきたいと思いますが、柳参考人も答弁いただきますけれども、まず、第六期科学技術イノベーション基本計画について触れておきたいんです。  先ほど尾身先生からもありましたが、いわゆる人社が、人文社会が入ったということは非常に大きな影響があると思っているんですけれども、この第六期科学技術イノベーション基本計画の中において、冒頭に、課題認識のようなことが、るる記載があります。ですので、まず今の現状認識を確認しておきたいと思っているんですが、この中に、情報社会限界露呈現状認識として示されております。  元々、工業社会ソサエティー三・〇で、その後、ソサエティー四・〇が情報社会ということで、今、ソサエティー五・〇に向けて政策をしっかりやっていこうという流れにある中で、今現状ITプラットフォーマーが、従来の商慣行であったりルールにとらわれないビジネスモデルあるいはサービスを行って、経済活動を行っているという状況です。こうしたところによって得られた恩恵というものもたくさんあると私は思っております。  このいわゆるメリットというところにおいて、まず、こういうメリットがもたらされましたねということもちゃんと認識しなければいけないと思っております。その上で、それを上回って余りある情報社会限界露呈ということでないと、なかなか、情報社会限界露呈と言われてしまうと、何だろうなと身構えちゃうんじゃないかなと思いますので、その辺り、メリットデメリット、両方示していただいた上で是非論じていきたいというふうに思っております。  ですので、まず、井上大臣には、この現状認識についてお示しをいただいた上で、課題認識についてもお答えいただきたいと思います。
  16. 井上信治

    井上国務大臣 インターネットスマートフォンクラウドの普及による情報化社会ソサエティー四・〇では、メリットとして、世界の様々な情報を容易に入手でき、生活のあらゆる面で活用が進むとともに、ビジネスの面でも業務の効率化が進みました。  一方で、デメリットとして、基幹となるプラットフォームはGAFAに代表される海外ITプラットフォーマーに集中し、格差が拡大したこと、サイバー犯罪やテロなど新たな不安の出現情報化流れに取り残される情報弱者出現などの、社会格差や不安、分断が生じております。  このため、三月に閣議決定した第六期科学技術イノベーション基本計画では、現状認識として情報社会限界を述べるとともに、社会の真のデジタル化を最重要課題一つと位置づけました。  具体的には、デジタル庁創設など政府の率先したデジタル化、官民によるデータ利活用環境の整備、小中学生段階からデータAIのリテラシーを身につけ、社会のあらゆる分野で活躍する人材育成、こういったことを打ち出し、我が国が目指す社会としてソサエティー五・〇を位置づけ、その具体化を進めることとしております。
  17. 濱村進

    濱村委員 インターネットによってもたらされたことも非常に多くあると思っておりますし、そうしたところをどう活用するかというのが日本はなかなかうまくできなかったんじゃないか。ビジネスモデルあるいはサービスに落とし込むというところにおいて、なぜできなかったかというところをしっかり更に研究していくことは私は必要だろうと思っています。  そういう意味において、どちらかというと、今まではルールというものを受け身で企業方々は捉えておられたところを、今、スタートアップのような方々は、ルールは一旦ちょっとおいておいて、どうすれば世の中で必要とされているものを提供できるかを考えて、それがルールにどう適合していくのかというアプローチに変わってきているように思っています。  そういう意味でも、私も個人的には、新しいスタートアップ方々とかが、このビジネスモデルはこの法律にこういう抵触の仕方をするんじゃないかというようなお話を受けるものですから、そこはこうやって解釈すればいいんじゃないかということで、役所の皆さんとも相談をしながら進めてきたところでございます。こうした取組をしながら、新しいビジネスモデルルールサービスをつくっていかなければいけないと思っております。  次に、基本計画の中に、「マテリアルは、我が国科学技術イノベーションを支える基盤技術であるとともに、」云々かんぬんあって、一方、近年、マテリアルをめぐる国際競争が熾烈になり、従来、我が国がこの分野で有していた強みが失われつつある中、残された強みを生かしつつ、戦略的な取組強化する必要があるとの認識の下、マテリアル革新力強化戦略に基づいて施策を推進するということになっておりますが、これは具体的に何を推進されるのか、お伺いいたします。
  18. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  マテリアルは、我が国科学技術イノベーションを支える基盤技術であるとともに、リチウムイオン電池や青色発光ダイオードなど、我が国がこれまで数多くのイノベーションを生み出し、世界の経済社会を支えてきた重要な分野であります。我が国強みであるこの分野の優位性を失うことがあってはならないと認識してございます。  このため、統合イノベーション戦略推進会議において決定した、二〇三〇年の社会像、産業像を見据えた政策パッケージであるマテリアル革新力強化戦略に基づいて、関係省庁が一体となって取り組むこととしてございます。  例えば、大学等の先端的な共用設備から創出されたデータを各機関の枠組みを超えて共有、活用する仕組みづくりや、データ活用した革新的な材料開発、製造プロセスのデータベース構築や、次世代の電子機器、高性能半導体にも必要となるセラミックス等の性能向上に向けた基盤技術開発などに取り組んでいるところでございます。  これらの取組を着実に推進することで、我が国国際競争力の強化につなげてまいりたいと考えてございます。
  19. 濱村進

    濱村委員 まず、こういうマテリアル分野とかというのは社会実装が遅いので、第六期だけではなくて、長期的にしっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。  その上で言うならば、マテリアルだけで注目していても、なかなかそれをどう生かすかというところには広がりません。ですので、そういうマテリアルを生かすエコシステムをつくっていく、あるいはエコシステムの中に入っていくということが重要なんじゃないかなと思っております。  そこで伺いたいのが、投資と回収のサイクルが長いもの、短いもの、それはそれぞれございます。ですので、両方投資をしていくことが重要だと思っております。投資回収のサイクルが長いものだけに投資していると、結果が出ないねといって見向きされなくなっちゃう、科学技術が。でも、一方で、短期的にサイクルを回して回収できるようなものもあれば、ああ、こういうシーズを使って回収できているんだねということで、投資意欲が更に向上していくことが期待されるわけです。今の世の中は早いサイクルも求められるので、こればかりはやはり、基礎研究が大事だということが分かっていたとしても、長い回収サイクルのものだけにこだわっているわけにはいきません。  その上でちょっと伺いますが、その分野におけるプレーヤーをちゃんと育てていくことが私は重要だと思っておりますし、そのプレーヤーがちゃんと居場所を確保するエコシステムが重要だと思っております。ですので、企業において自前主義を排して、これはしっかり見直さなければいけないと思っているんですが、先進的に技術、知識を保有する者をいろいろな形で活用していかなければいけないと思っております。こういう形を形成していくためにどのように取り組まれるのか、伺います。
  20. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  近年、組織の壁を越えて新しい取組にチャレンジするオープンイノベーションは、イノベーション創出の重要な柱となっております。また、新たな産業創出するためには、スタートアップもその多様性と機動性からイノベーションの重要な担い手と認識しております。  内閣府におきましては、昨年七月、スタートアップエコシステム拠点都市を選定し、現在、関係省庁と連携して、集中的な支援強化しているところでございます。  さらに、中小企業技術革新制度、いわゆる日本版SBIR制度につきまして、イノベーション創出観点から、昨年の法改正において、内閣府を司令塔とした省庁横断の取組強化するための抜本的な見直しを行い、各省庁が連携して、スタートアップや中小企業を通じたイノベーション促進に戦略的に取り組むこととしてございます。  今後とも、関係省庁と連携しつつ、価値共創型の新たな産業創出する基盤となるイノベーションエコシステムの形成に向けて取り組んでまいります。
  21. 濱村進

    濱村委員 イノベーションエコシステムの形成、非常に重要です。SBIRをもっと活用しなければいけないと思っております。是非取組をお願いしたいと思います。  今、経済安全保障の話が非常に高まってきております。経済安全保障の確立というものと我が国経済の発展というのは両立させなければいけません。そのためには戦略的な投資が必要だと思っております。日本人材イノベーションエコシステムの中に入っていって、その上で、重要技術であったり知識、そういうコミュニケーションをしていく中で、この人は分かっていないなという人に認定されちゃうと、なかなか話の輪に加えてもらえなくなっちゃいます。ですので、そういう輪の中に入っていくことが非常に重要だと思っております。  その上でお伺いしたいのが、日本人材は、相手方国というとあれなんですが、いろいろな懸念国も経済安全保障の話になるとどうしても出てくるわけでございますので、そういう相手がどのような国の方か、あるいは、この方がどういう背景を持っているかということも含めて、例えば研究資金はどこから出ているんだっけとかということも含めて、よくよく分かった上でいろいろな知識を吸収していくということが私は重要だと思っております。  得るものを得なければいけない。日本は今、はっきり言って遅れていますから、遅れているので、その遅れているという前提にちゃんと立って、いろいろなところから情報を入手して、ぎりぎりのところの人から情報を得ていくことも重要だと思っております。その上で、守るべきものは守るということがしたたかな戦略だと私は思っております。  どのように取り組まれるのか、伺います。
  22. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、我が国経済の持続的成長経済安全保障確保の両立を図ることは重要であると認識してございます。  我が国経済の持続的成長のためには、科学技術イノベーションは重要な役割を担っております。独創的で卓越性が高い研究成果創出するには、個々の研究者が多様な主体と知的交流を図り、刺激を受けることができる環境実現することが重要であります。  このため、世界の優秀な人材を引きつける魅力ある研究拠点の形成や、国際共同研究推進を図っていくなど、研究力の抜本的強化のための様々な取組を着実に進めております。  他方、経済安全保障確保に当たっては、我が国技術的優越を確保、維持することが重要であります。  このため、重要技術の明確化を図り、重視すべき技術分野への重点的な資源配分を進めるとともに、多様な技術流出の実態に応じた段階的かつ適切な対応を講じ、総合的な安全保障の確保を図る必要があり、制度面も含めた枠組み、体制の構築について検討等を実施しているところでございます。  引き続き、関係省庁と密接に連携を図り、必要な取組を着実に進めるとともに、研究力の抜本的強化による我が国経済の持続的成長経済安全保障確保を両立させるべく、その適切なバランスに配慮しつつ、政策や施策の具体化を図ってまいります。
  23. 濱村進

    濱村委員 時間が来たので終わりますが、あらゆるリスクに対して、回避、許容、転嫁、軽減、そういう対処を取ってきたわけですが、これからは、そこの、ターゲットとするリスクが、許容の幅とかを厳密に精査する必要があると思います。ゼロ、一〇〇じゃなくて、その中の間でどう振る舞っていくか、これが重要になってくると思っておりますので、是非取組をお願いしたいとお願い申し上げて、終わります。  ありがとうございました。
  24. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、中川正春君。
  25. 中川正春

    ○中川委員 立憲民主党の中川正春です。  質問の機会を与えていただいたこと、感謝を申し上げたいというふうに思います。  また緊急事態宣言が延長されました。コロナをどんなふうに抑えていくか、ここで正念場が来ているんだというふうに思います。今日は、科学技術という観点から、私たちあるいは政府のコロナに対する対策というのを改めて検証をしていく機会にしていければということで、改めてこの課題を取り上げさせていただきました。  地元を歩いていると、国民の、今のコロナに対する対策、この関連の中でいつも出てくる質問というか、これだけ日本科学技術あるいは医療というものが進んでいるにもかかわらず、なぜ、中川さん、こんなふうになるんだということが出てくるんですが、その中でも特に二つの課題があるというふうに思うんです。一つは、検査体制というものが何でこんなに遅れてきたのか、あるいは、諸外国と比べて日本の検査の数というのはこんなものでいいのかということ。  いろいろな統計が出てきていますけれども、これぐらいの検査の数で統計を出すということは、ひょっとしたら、私たちの周辺にもう既に感染というのが大きく広がっていて、抗体を持っている人たちも含めて、日本状況というのはちょっと我々が想定しているような形と違うんじゃないかという不安ですね。それに対して、今の検査体制というのがそれを説明するだけの基盤になっているのかどうか。これは誰が考えても少ないんですよ。なぜそうなのかということ、そこのところをいわゆる科学的な見地からどう説明するのかということを、この機会にちょっと議論をしていきたいというふうに思います。まずそこから答えてください。
  26. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 御答弁申し上げます。  新型コロナウイルス対応における検査に関してでございますけれども、特に、一年ほど前、感染の拡大が見られた時期におきまして、医師が必要と判断された方に対しましてPCR等の検査が迅速に行えない地域が生じていたという御指摘があり、そのときには、保健所の業務の過多、あるいは検体採取機関の不足、検査機関のキャパシティー不足といった課題が挙げられたところでございます。  こうした課題、指摘を踏まえまして、検査体制の拡充につきまして、各段階ごとに、例えば、保健所の体制強化、業務の外部委託の推進ですとか、検体採取の不足に対しましては、検査の分析能力の拡充のための大学や民間検査機関の活用の促進ですとか、あるいは、検査機関のキャパシティーの不足という点に関しましては、新しい技術、抗原定量検査などの活用ですとか、プール検査の導入ですとか、あるいは抗原簡易キットという新しい簡易なキットの活用といった取組などを進めてきたところでございます。  こうした検査体制、地方衛生研究所に限らず、民間検査機関や医療機関等に、PCR検査機器の設備補助などにも取り組んできているところでございまして、検査体制の整備をこの間ずっと取り組んできたところでございます。  現在、こうした取組の結果、我が国の一日当たりのPCR検査の検査能力は、一年ほど前、昨年、目詰まりが指摘された時点では約一万件、検査能力としてはあったところ、直近では二十万件を超えるほどとなっているところでございます。  また、最近の取組といたしましては、感染拡大地域における医療機関や高齢者施設などでクラスターが発生した場合の影響を鑑みまして、こうした施設での検査の実施計画を策定して検査を行っていただくという取組ですとか、あるいは、抗原検査キット、こうしたものを確保いたしまして、高齢者施設等の従事者で症状がない方に対する早期の発見につながるような取組をするなど、様々な形でこうした検査に関する取組を進めているところでございます。  引き続きその検査体制の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
  27. 中川正春

    ○中川委員 今日は責めているんじゃないんです。誰もが、検査体制は十分じゃなかったということ、これは認識しているわけですから、そこをしっかり分析をして次の体制に整えていかなければならない。そういう意味で、どこが問題であったのかというのをはっきりと答えていく、あるいは、さっきの答えでは全く分析ができていないということだと思うんですが、そこのところをしっかりやっていかなきゃいけないということだと思うんです。  一つ、私が懸念しているところを答えていただきたいんですが、最初の頃は、最初の頃というのは去年の二月から三月ぐらいにかけては、私たちも思い出したらそういうことなんですけれども、国立感染症研究所と、それから地方衛生研究所、保健所を含めてですね、この二つが検査拠点で頑張っていて、一日に大体九百とか一千とか一千五百、二千、多いところで七千というような形で、形態があったんですよね。それが、今さっき説明があったように、今年になって二十万から一日でできますよと。これを担っているのはどこかといったら、民間の検査なんですよ。  この統計で、そっちから出してもらったところでいうと、民間の検査会社が頑張っていて、二十八万とか、多い日には三十六万とかという形でやっておるんです。片方、国立感染研究所というのはもう最近はゼロですよ。完全に移っているんですよね、検査の対象が。これはどういうふうに説明するんですか。
  28. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 お答え申し上げます。  先ほどの答弁と少し重なるところはありますけれども、やはり、委員御指摘のように、検査機関のキャパシティーの不足というところが指摘をされてきた中で、民間の検査機関の活用などの促進を図ってきたところでございます。民間検査機関における検査機器の導入などにも補助などを行いまして、やってまいりました。  先ほど御紹介いただきましたように、現在、二十万件検査能力として持っているもののうち、かなりの割合は民間の検査会社が担う形になっております。二十万件の検査能力のうちの大体六割程度は民間の検査会社が担うという形になっているかと思います。  こうした取組は、地方衛生研究所が外部に委託する部分もございますし、あるいは、地域の診療・検査医療機関を受診するような仕組みを通して、保健所を介さない形の仕組みも取り入れていますので、そうした中で民間の検査機関に活躍いただいている部分というのがあろうかと思います。
  29. 中川正春

    ○中川委員 これは、検査機器があったにもかかわらず、それを使うという発想が行政サイドに出ていなかったということに帰結するんじゃないかというふうに思うんです。疫学的あるいは感染症法の法律の体系の中でこういうパンデミックのような非常事態というのを想定せずに、ふだんのいわゆる体制ということの中でこれをやろうとして、そこを超えることができなかった、初期では。最初からいろいろ民間ではあるにもかかわらず、そこは、使うという発想がいわゆる行政のサイドに出てこなかったというふうな問題があったんじゃないかということを指摘しておきたいと思う。  これは、システムと、それから制度運用の課題なんだと思うんです。今、コロナで初期の段階からずっと問われているのは、常時体制で、法律で決められたようなシステムがあって、それを超える形でパンデミックが起こったときに、それに対する準備がしてなかった、いわゆるシステムとしてその準備がしてなかったということの一つの例示なんだというふうに私は解釈しているんですけれども、そこはそういうふうに取ることはできませんか。どうですか。
  30. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 委員御指摘のとおり、この新型コロナウイルスへの対応が始まった当初、かなり検査能力のキャパシティーが不足をしていたのは事実でございますので、そういう意味では、これだけのパンデミックに対応する体制が初期の段階では十分でなかったということは、御指摘は当たっていると思います。  こうしたことを踏まえまして、当初から、予算措置などを講じまして、行政機関あるいは民間検査機関も含めまして、設備整備等の取組を進めてきたというところでございます。
  31. 中川正春

    ○中川委員 もう一つ、そうした観点で考え直していかなきゃいけないところがあるのは、疫学的検査と、それから行政検査、そして社会検査、この発想なんだと思うんですよね。  今、基本になっている検査の対象というのが、患者が発症したということに対して、医師が指示をして、それで、その患者が感染をしているかどうかというのをチェックするというのが疫学的検査というふうに理解をしているんですけれども、それから広げて、濃厚接触者あるいはその周辺にある人たちに対してやりなさいよと、クラスターをずっと追っていく方法、これが日本が集中的に取ってきた、そういうやり方だというふうに理解をしています。  それを超えて、市長だとかあるいは地方自治体のそれに責任を持っている部署が、この職種、例えば消防関係の職員であるとか、あるいは学校の先生、保育所の先生、あるいは高齢者の施設等々に対して、そこで発生はしていないけれども予防的に全部チェックしなさいというふうな形で取っていく、世田谷だとか広島で、後半の部分、最近になってからですけれども始まってきた、そういうチェックの仕方と、両方あるんだと思うんですが、国の体制の中でこうした広がりを持ってチェックをしていくという発想というのがなかなか、私たちも提案をしても、それぞれの領域で否定されてうまくいかなかったということなんです。  今、ここについてはどのような整理をされているのかということ、国として。地方自治体は独自のチェックシステムが始まっていますけれども、国として今どの立場にあるのか、改めて聞かせてもらいたいと思います。
  32. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 委員御指摘ございました、まず、積極的疫学調査、これはクラスター対応などを含めて非常に重要な役割を、また大変な御苦労を現場におかけしておりますけれども、これにつきましては、速やかに陽性者を発見するという観点から、濃厚接触者を対象として行っていただいているところでございます。  また、御指摘の中でございました、検査に至る道程で保健所を必ず介さなきゃいけないという当初の仕組みについていろいろ御指摘があった中で、昨年の九月上旬には、都道府県に体制整備を依頼いたしまして、かかりつけ医などの身近な医療機関に直接電話相談をいただいて、地域の診療・検査医療機関を受診する仕組みの導入なども行ってまいりました。  また、後段で委員御指摘ございました、幅広く検査を行うというところに関しましては、感染の拡大しているような地域におきまして、医療機関や高齢者施設、あるいはこうした方、高齢者や基礎疾患を有する方が多い障害者施設などで検査が実施されるように、集中的な検査の実施計画というものを作っていただいて、広く検査を行っていくような取組も行っているところでございます。  また、厚生労働省ではございませんけれども、内閣官房の方で、モニタリング検査という形で、民間の事業所や大学等も対象にいたしまして、感染の動向などを把握するというような意味合いも含めまして、広く検査を行うような取組も最近では行っているところでございまして、検査の体制の整備に伴いまして、こうした様々な形の検査を提供する、受けられる仕組みというものを整備してきているという状況でございます。
  33. 中川正春

    ○中川委員 だから、ここのところもはっきりしないんですよ。地方自治体がそれをやる場合に誰がそのコストを負担するのかということについても、はっきりしていないんです。私、改めて担当に聞いたんですが、そこのところ、今整理はどうなっているんですか。行政検査、社会的検査についての国の負担というのはどうなっているんですか。
  34. 宮崎敦文

    宮崎政府参考人 行政検査の費用負担に関しましては、感染症法の規定により、都道府県等が支弁した上で、国においては都道府県等が支弁した費用の二分の一を負担するというのが原則ではございますが、残るその二分の一の自治体の負担分につきましては、内閣府の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、これによりまして、行政検査の地方負担額を算定基礎として、全額、交付限度額に算定される仕組みとしておりまして、できる限り地方の負担を減らして、検査が行われるように取り計らっているところでございます。
  35. 中川正春

    ○中川委員 この検査というのは、更に、社会的な検査も含めて、今の状況の中で徹底的にやるべきだと私は思うんです。それだけに、はっきりとしたメッセージを出していく、地方で計画を立てて、その計画でオーケーということを国から了承すればやってもよろしいよというようなまどろっこしいことをやっていないで、これは積極的にやりなさいというふうな形で指示をするということが今求められていることだというふうに思うんです。それを改めて指摘をさせていただいて、この質問にしておきたいというふうに思います。  次に、災害時あるいはこういうパンデミックにおいて、専門家の助言あるいは専門家の知見というのが一つの基本になって私たちの政治的判断があるわけですが、そのときのその専門家の立場というのがどう整理されているか、その観点から少し質問をしていきたいと思います。  尾身先生が専門家の立場から、今、テレビの前でも総理と並んで、あるいは担当大臣と並んで説明をして、その上で我々もその判断に基づいて様々行動しているわけでありますが、この言葉というのは、法律的に、法律で整理した中で、これは意見として聞いている、いわゆる意見表明なのか、助言なのか、あるいは諮問したということに対する答えなのか、いろいろ考えられるんだと思うんですが、これは法的な位置づけというのは今どうなっているんですか。
  36. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  まず、私の方から、一般論として、政策検討に当たり科学的な知見を活用することについてお答え申し上げたいと思います。  気候変動や生物多様性の劣化、激甚化する大規模自然災害、パンデミックへの対応など、世界全体が直面している様々な問題の脅威が現実化している状況だと考えております。  このような、より複雑で予見することが難しい現代の課題解決を図るためには、一般論として申し上げれば、政策決定に当たり、自然科学のみならず人文社会科学を含めた総合知活用し、検討していくことが極めて重要と考えてございます。
  37. 中川正春

    ○中川委員 申し訳ない、全然答えになっていないんだけれども。  そういう法的な、いわゆる整理はしていない、そういう解釈でいいわけですか。
  38. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  それぞれの事象に応じて、例えば、法律に基づいて審議会、有識者が加わった会合等を設置するもの、そして、それについて、その法律の中で、それぞれの対象となる事項に応じて、その御発言の重み、提言なのか勧告なのか等、それぞれの事項に応じて定められていくものと考えてございます。
  39. 中川正春

    ○中川委員 定められていくものと考えておりますだから、定めなきゃいけないんですよ。それが定められていないんでしょう、今。  私たちは、非常に、何というか、融和的な考え方をする民族なんだろうというふうに思うんですよね。そんな中で、何となく、専門家の話を聞いて、それに対して、総理大臣がこんなふうに決断しました、あるいは政治的に内閣の方からこういうふうに整理をしましたというのが出てきて、ああ、そうですかといって受け止めているわけですけれども、これは本来、いろいろな矛盾というか、考えなきゃいけないところが出てきているんだと思うんですよ。  このコロナの過程でも、それこそブレーキとアクセルと一緒に踏んでいるじゃないかというふうな状況の中で、GoToトラベルとかGoToイートとかいうふうなものが、まだパンデミックを実際にしっかりと抑え込んでいない時点の中でやられた。そのときに、専門家が責任を持って発信をしている情報というのは何だったかといったら、やはり、もっとしっかりやらなきゃいけない、コロナを抑え込んで、その上での経済対策だというような整理は専門家の中では必要だという意識は相当広がっていた。それを私たちも聞いていた。にもかかわらず、政治的には、総合的にいろいろなことを判断して、ここまでの経済対策はやりたいというふうなことが出てきたりもしているんです。そのときに、どこまで専門家の助言あるいは考え方というのが政治を縛るかというふうなこと。  これは、原子力対策なんかでも、事故が起きたときに、班目さんがいろいろ専門的な見識の中で物を言わなきゃいけなかったんだけれども、私から見たら、班目さんは物を言っていなかった、そこが一つの大きな問題でもあったというふうにも思うんです。  だから、そういうことをいろいろ考えていくと、やはり法的な整理というのはちゃんとしておいて、その中でどこまでそれが拘束をするのかというふうなことも、その事象に応じていろいろな運用規定というのはあるんだろうけれども、やはり今考えておかなきゃいけないということだというふうに思います。そこのところを指摘しておきたいと思います。  まだ大分あったんですけれども、時間が来てしまったようでありますので、ここで今日は終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  40. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、津村啓介君。
  41. 津村啓介

    ○津村委員 日本科学技術政策の最大の弱点は、立法府と行政府における関心の薄さと担当部局の貧弱さにあります。  大きな背景として、政治家が科学技術に関心が薄いこと、また、科学者がいわゆる科学コミュニケーションと呼ばれます政治、社会とのコミュニケーションに必ずしも熱心でないことがあると思いますけれども、日本の国益を考えるべき私たち政治家は、せめて科学技術政策推進体制を整えていくことが仕事であり、役割だと思います。  平成期の日本は、科学技術政策にとって大変冬の時代だったと思います。九五年の科学技術基本法制定の後、今、六期の基本計画が策定されている、これは一定の成果を上げていると思いますが、問題は二〇〇一年の省庁再編でありまして、省庁再編で科学技術庁が解体された後、科学技術政策を専門とする官庁は基本的に霞が関になく、あえて言えば内閣府科技部局がこれに当たりますし、担当大臣がいらっしゃるわけですけれども、その下に、科学技術政策のといいますか、内閣府のプロパーの職員は四人しかいないという状況がございます。  衆議院では、二〇〇〇年までは科学技術委員会が常任委員会として設置されておりましたけれども、二〇〇〇年から二〇一一年までは、文部科学委員会を除けば、直接、科学技術政策を担う委員会はなく、二〇一一年になってようやく、特別委員会として科学技術イノベーション推進委員会ができた。  他方、参議院では、一九九七年まで特別委員会がございましたが、今は担当の委員会はございません。大臣が参議院に行かれることも少ないと思います。  こうした中で、大臣に伺わせていただきますけれども、まず最初に、衆議院に科学技術イノベーション推進委員会が設置された経緯と、こうした中での期待される役割について伺いたいと思います。  前もって私から三点だけ申し上げますが、配付資料として二枚目、三枚目におつけしておりますものを是非委員の皆さんも、この委員会が設置された特異な経緯について是非共有させていただきたいんですけれども、これは、ポイントとしては三つ申し上げたいと思います。  平成二十三年といいますのは二〇一一年ですが、その一月の議運理事会におきまして、確認事項の下にこの委員会は設置されております。民主党政権期、いわゆる原発事故の直前ですけれども、スパコン問題等の反省を踏まえまして、科学技術政策を再強化するという大きな目的がございました。  また、二つ目、申し上げたいのは、これは当時野党だった公明党の遠藤乙彦議員の大きなお働きによるものだということ。  そして、第三に、ここも後ほど事務局にお尋ねしますけれども、当時は、4にございますように、「従来の委員会審査の慣例、政局の動きにとらわれず、アドバイザリーボード等の設置を含め、有識者・専門家の意見を積極的に聴取できるような形態を考える。」となっております。様々な議論が初代の川内委員長の下でございました。  それでは、大臣に伺いますけれども、この特別委員会がいかに特別なものなのかということについてお答えいただきたいと思います。
  42. 井上信治

    井上国務大臣 委員質問のこの特別委員会の設置された経緯、また期待される役割ということで、基本的にはこれは立法府のことだとは思いますけれども、衆議院科学技術イノベーション推進特別委員会については、第百七十七回通常国会において設置されたと承知しております。設置に当たっては、従前、科学技術政策に関する衆議院での議論内閣委員会、文部科学委員会を中心に行われてきましたが、科学技術政策イノベーション政策に焦点を当てて議論を行うための委員会として、公明党の遠藤乙彦議員の提案を受け、当時の与野党の協議の結果、特別委員会として設置されたという経緯があったと承知をしております。  また、平成二十三年、当時の川内博史委員長の発言、及び、この委員会における遠藤委員及び当時の玄葉国務大臣のやり取り、並びに、委員会の設置に先立ち、議院運営委員理事会において、アドバイザリーボードの設置を含め、有識者、専門家の意見を積極的に聴取できるような形態を考える等の確認事項を申し合わせたことは承知をしております。この委員会が政策提言機能をしっかり発揮する役割を担うとの問題意識を踏まえ設置されたとの認識を共有しております。  いずれにしても、科学技術イノベーションに関して活発な議論をする場が特別に設置されていることは、大変意義深いものと考えております。
  43. 津村啓介

    ○津村委員 ありがとうございます。  これまでの経緯、アドバイザリーボードの経緯も含めてお述べいただきました。  配付資料の三ページ、皆さん是非御覧いただきたいんですけれども、当時、この特別委員会では、この左上のところにございますけれども、提言機能を強く持たせようという話がありましたり、また、委員会として、国家戦略レポートという言い方もしていますが、何か報告書のようなものを出していこうということも当時、議論がありましたし、当時の大臣からも、それを期待するというお言葉があり、今、その認識を共有しているという井上大臣のお言葉もいただきました。  来週には、半導体産業に関連して当委員会で参考人質疑が、委員長の御発案もあって持たれますし、なかなか報告書というところまではいかないかもしれませんが、この委員会を活発に運営していこうという志は今にも脈々と継がれているものでありますけれども、今国会で我々の任期は終わるかもしれませんが、今後の、次の世代の科学技術委員会のメンバーの皆さんにおかれても、是非この委員会を、活発な、そして提言機能も含めた、あるいはアドバイザリーボードの活用といったことも当初から予算議論もしておりますので、是非、志高く、日本科学技術政策を、この委員会を一つの中心として推進していただきたいということを述べておきたいと思います。  事務局に一つ伺わせていただきますが、当時、相当活発な議論をしまして、予算の話も、当時、私、与党の筆頭だったんですけれども、させていただいたことがあります。当時の経緯を少し御紹介いただきたいと思います。
  44. 花島克臣

    ○花島参事 お答えいたします。  当時の与党筆頭理事である津村筆頭より、科学技術イノベーション推進特別委員会においてアドバイザリーボードのメンバーに謝金等を支払うことになった場合、年度総額で六百万円程度を要することになっても対応が可能か、事務局に検討の御指示がございました。  事務局において検討を行い、与野党で合意されれば、旅費を含め対応が可能であると回答した経緯がございます。
  45. 津村啓介

    ○津村委員 議事録に残ることですから補足をさせていただきますが、今、主語を与党筆頭だった津村さんというふうに、私のことだけを言っていただきました。  それは、外形的にはそのとおりなんですが、その前段には、内容を必ずしも公開できないのだと思いますけれども、理事懇、理事会での様々な議論があって、当時野党だった、まさに公明党の方々であったり、自民党方々であったり、みんなで盛り上げていこう、科学技術は大事だよねという文脈の中で、こういうお金の話までちゃんと詰めていこうということになって、私が与党筆頭として事務方に御依頼をしたという経緯がございます。  私が何か独り先走って議論したわけではもちろんありませんし、今お話があったように、六百万円でも支出できるというところまでの話が詰まっていたということであります。  不幸にして、その後、原子力発電所の事故の対応等に追われて、この委員会は、まだ当時、原子力特別委員会はありませんでしたので、当委員会で様々な対応を余儀なくされた結果、このアドバイザリーボードの議論というのは宙に浮いたままになっておりますけれども、今大臣も認識共有と言っていただきましたように、この委員会というのはまだまだ大きな可能性をはらんだ委員会でございまして、今後、この委員会をもっともっと活性化していくべきだということを議事録に残しておきたいというふうに思っております。  それでは、次、問三、皆さんにも質問要旨を出させていただいております。ちょっと一旦順番を入れ替えまして、問四の方に行かせていただきますが、今、立法府の課題を申し上げましたけれども、行政府においても私は大きな課題があると思っております。  先ほど申し上げましたように、配付資料の九番を御覧いただきたいんですけれども、今、井上大臣の下にいらっしゃる科学技術イノベーション推進事務局の職員の方々は合計五十三人いらっしゃいます。一般職の方々あるいは任期付の方も含めて五十三人の方が、井上大臣科学技術イノベーション推進の部分でのいわば部下でありますけれども、この方々の……(発言する者あり)
  46. 田嶋要

    田嶋委員長 少し御静粛にお願いします。
  47. 津村啓介

    ○津村委員 この方々の出身官庁の内訳を見ますと、御覧のように本当に様々で、日本の様々な分野の知見を集めるということは大変重要なんですが、では、プロパーの職員の方々はどういう構成になっているかといいますと、内閣府の方は六人しかいらっしゃらない。うち、総理府、経済企画庁出身の方々等も含めてですから、元々、内閣府プロパー職員として科学技術政策を将来担う可能性があるという認識の下、入ってこられた方は四人、うち、1種、総合職の方は一人という状況になっております。  一枚戻っていただきますと、八ページですけれども、省庁再編前後の文科省及び科学技術庁並びに内閣府の理系人材がどういう推移になっているかといいますと、全体としては若干増えているんです、平成十三年の前後で見ていただきますと。このうち、それ以前は十人前後ですが、大体、科技庁が八人、九人、そして文科省が毎年二人という状況でした。それが、その後、十二、三人、ずっと続いていますけれども、これはほとんど文科省でありまして、内閣府では、省庁再編後の二十年間で八人しか理系の人材を採用していないということであります。  これでは、将来、自分は日本科学技術政策を担ってやろうという方が霞が関に何人、毎年入ってきているんだと。文科省に入る方というのは、やはり大きく教育行政というところがまずありますので、科学技術政策にも当然御関心があるとはいえ、それはやはり部分でありまして。  その更に一枚前に戻っていただきたいんですけれども、元々、省庁再編当時の考え方としては、科学技術庁は大きくは文部科学省に移管されるものの、その一部、総合調整の機能は内閣府にあるということで、だからこそ井上さんが大臣としているわけですよね。井上さんが大臣として内閣府にいる意味というのは、文科大臣じゃないんですから。そこにはスタッフがいないんですよ。採用していないんですよ。これはおかしくないですか。  私は、旧経済企画庁は内閣府にやはり入っていますよ。でも、毎年六、七人、経済職の方を採って、その方たちは旧経済企画庁の方々と同じマインドで、志で、今、経済財政諮問会議運営されているわけじゃないですか。そして、井上さんの下にも総合科学技術イノベーション会議があるわけですよ。その担い手というのが各省庁からの完全な寄せ集めでいいのか。もちろん、たくさんの知見を集めるべきだけれども、やはり、内閣府でそういう専門人材を毎年二人でも三人でも採ってきちっと育てていく、その方々が総合調整のエキスパートとなって、日本科学技術政策のど真ん中を動かしていくということがあるべき姿だと思うんですよ。  大臣は、内閣府の大臣はたくさんいらっしゃるから任命権というのは難しいんでしょうけれども、しかし、例えば、来年からでも一人でも二人でもそういう人材を採ろうじゃないかということを官房長に言えばいいじゃないですか、事務次官にも。採用のパンフレットを拝見させていただきましたけれども、ちゃんと総合科学技術会議と書いていますよ。でも、そこに実際には四人しかそういう人がいないというのはおかしいじゃないですか。  大臣科学技術のプロパーの人材を採ってくださいよ。どうですか。
  48. 井上信治

    井上国務大臣 科学技術政策は、多様な政策課題を担う内閣府において重要な政策分野一つと認識しており、様々な政策課題に適切に対応していくためには、高度な専門的知識を反映した政策の企画立案が求められております。多くの有識者に御活躍いただいている重要会議などを支える事務局においては、多様なバックグラウンドや専門性、企画立案能力などを備えた人材確保が必要と認識しております。  委員もおっしゃったように、内閣府職員の採用、育成に関することは残念ながら私の所管外ではありますけれども、科学技術政策の司令塔である総合科学技術イノベーション会議等を支える事務局として十全に機能するよう、これまでも、関係省庁を始めとして内外の組織の幅広い協力を得るため、行政の内外の人材の幅広い登用を図ってきております。  今後とも、他省庁、民間企業等の人材も含め、適材適所の人材登用に引き続き努めていくものと承知しております。
  49. 津村啓介

    ○津村委員 皆さん、五ページと六ページを見ていただきますと、これは自民党さんの提言でございます。内閣府の司令塔機能を強化しようという問題意識は、自民党さんも、そして私も、みんな共有している話で、この課題は与野党対決ではなく、むしろ与野党共通の大きな政策課題だと思っていますし、これは推進体制の大きな絵を描くだけじゃなくて、やはり担う人材が必要ですので、井上大臣にも是非御努力いただきたいと同時に、この委員会には将来の科学技術担当大臣が何人もいらっしゃると思うんですよ。是非、今後とも、どなたが科学技術担当大臣になられてもこの視点をお持ちいただいて、あるいはほかの内閣府の大臣になられても、この内閣府の採用というのはすごく大事なんですよ。是非皆さん、共有していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  時間が迫っておりますので、最後、一問だけ学術会議の話をさせていただきます。  任命の問題も大変重要でありますし、今後ともフォローさせていただくんですけれども、今、民間で非常に注目すべき動きがございます。十ページを御覧いただきますと、日本版AAAS設立準備委員会というものが今活発に動いております。  これは、アメリカでは、この真ん中の「組織の位置づけ」とございますけれども、アカデミーと普及団体ということで、米国科学アカデミーをいわばサポートする、あるいは、より、先ほど申し上げました科学コミュニケーションのようなことを、科学者の政治、社会への関心を高め、国民の科学への関心を高める工夫として、これはAが三つでAAASというんですけれども、組織が、様々なフェスティバルだとか、いろいろなことをやっているんです。そういったものを、日本学術会議の組織改革、今ちょうど、大臣、この四月から、学術会議からの提言を受けて、今、CSTIでやっていると思うんですけれども、そのいわば車の両輪的な形で、是非この民間のAAAS設立の動きをサポートしていただきたいということをお願いしたいのと、これは学術会議の……
  50. 田嶋要

    田嶋委員長 津村先生、申合せの時間が来ていますので、手短に。
  51. 津村啓介

    ○津村委員 分かりました。まとめます。  梶田さんも応援団の一人になっておられるわけですけれども、梶田さんは今日お忙しいと聞いているので、事務局長に代読していただくんですが、この動きをどう支えていくか、そして、学術会議の組織問題をどう考えているのか、梶田さんの御意見を伺いたいと思います。
  52. 福井仁史

    福井政府参考人 事前に御質問要旨をいただきましたので、会長の梶田隆章の見解を確認してまいりましたので、代わって御答弁をさせていただきます。  まず、日本学術会議の在り方につきましては、学術会議としまして、去る四月二十二日の総会において、「学術会議のより良い役割発揮に向けて」を取りまとめて、井上大臣にもお届けしたところでございます。  また、五月二十日に開催されました総合科学技術イノベーション会議の有識者議員によります日本学術会議の在り方に関する政策討議、これにおきましても、この報告書の内容を、私、梶田会長のことでございますが、から御説明をさせていただき、意見交換が行われました。  日本学術会議におきましても、報告書に記載されているとおり、不断の見直しを通じて国民の幅広い理解や支持の下でナショナルアカデミーとしての機能をよりよく発揮できるよう、改革を進めてまいりたいと考えております。  日本版AAASにつきましては、日本学術会議会長に就任する前から賛同者として名を連ねておりますが、広く、科学者のみならず科学を支える人は誰でも参加できる形態を取って、人類の福祉向上と持続的な繁栄を目的とするこの取組は、広く社会皆様に科学を還元していくことに大いに役立つ提案であると考えております。  私は、国や人類社会の将来の方向性を決める際に科学や学術が大きな役割を果たす時代になってきたと考えております。日本学術会議の会長として、また、一人の研究者として、今後ともこの使命の達成に取り組んでまいりたいと考えておりますとのことでございます。
  53. 津村啓介

    ○津村委員 ありがとうございました。  終わります。
  54. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、緑川貴士君。
  55. 緑川貴士

    ○緑川委員 皆様、お疲れさまでございます。立憲民主党・無所属の緑川貴士です。  科学技術イノベーションの領域というところで、米中対立の先鋭化に見られるような国家間の覇権争いの主戦場になってきている。そして、大きな自然災害を引き起こす気候変動、また、人の往来が活発化してパンデミックのリスクが顕在化する、こうした世界が抱えてきた様々な課題が今、現実の脅威になってきています。そこに社会経済のデジタル化の急激な波が押し寄せてきて、情報格差が富の格差を広げている状況、一人一人の幸福を脅かす状況が生まれている中で、それを打開していくというのが、第六期の科学技術イノベーション基本計画で、ソサエティー五・〇を実現する上での大きな柱の一つになっているということです。  それを打開していくために、誰もが能力を伸ばせる教育、それを生かした多様な働き方ができるような環境をつくっていく。その一つの方策として、その人が希望すれば適切なリカレント教育を受けられるように、仕事につなげていく、それを仕事につなげていくという考え方ですけれども、基本計画の進捗を図る指標というものの一つに、大学、専門学校などにおける社会人受講者の数を来年度までに百万人にするという目標がございます。  現在では、二〇一七年度までの数字しか出ていないんですが、五十一万人ということで、足踏みが続いてきているという印象です。これを来年度には倍にしていくという意欲的な目標ではあるんですけれども、政府としてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。
  56. 井上信治

    井上国務大臣 働き方の多様化やキャリアの複線化、さらには、コロナ禍を契機とした新たな日常の出現など、リカレント教育を取り巻く環境が大きく変化する中、希望する社会人が多様で質の高いリカレント教育が受けられる環境実現することは、人材の流動性を高め、社会全体として知の循環を促進し、新たな価値の創造につなげるための重要な鍵となります。  第六期科学技術イノベーション基本計画に掲げている目標値に対する現状としては、大学、専門学校等における社会人受講者数の数値は二〇一七年度時点では約五十一万人となっております。  このため、現在、関係省庁の役割分担の下、大学、専門学校などにおける社会のニーズを踏まえた、産学連携による実践的、専門的な教育プログラムの開発促進、実務家教員の育成活用ITIT活用分野における人材育成、スキル転換の支援、キャリアコンサルティングの充実によるキャリア選択の支援など、各施策の有機的な連携充実に取り組んでおります。  今後、教育訓練休暇制度活用促進や、大学等によるリカレントプログラムの充実など、産業界と大学、専門学校等の教育界との連携も図りながら、目標達成に向けてリカレント教育の充実に努めてまいります。
  57. 緑川貴士

    ○緑川委員 一七年度ということで、ちょっと前なんですね、やはり。一八年度の数字が出てくるのがこの夏というふうに聞いていますので、また、この状況、数字を見て改めて議論していければというふうに思っております。  学び直しのための給付金、先ほど大臣もおっしゃるような講座の開講、こうした文科省所管の様々な施策を組み合わせて活用してもらう、金銭の負担を抑えながら学び直しを後押ししていくということがやはり重要になっています。  文科省所管のこういうプログラムとか講座、これは、専門的、実践的な講座として文部科学大臣が認定している講座であれば、厚労省が所管する教育訓練給付制度のうちの専門実践教育訓練給付の対象になっている場合が多いです。この専門実践教育訓練給付というのは、受講者のキャリア形成を更に後押ししていくために費用の給付率の引上げなどもこのほど行われています。  ニーズのあるプログラムが不足しているというこれまでの声を受けて、来年度中には、IT分野を含め、講座の数も五千に増やしていくということで、拡充が行われるということ自体は、その受講者に適した講座をしっかり選べるように、これをサポートしていく仕組みがあること、そして生産性を高める講座をしっかり国が後で検証して見直しを図るということが前提であるならば、選択の幅を広げていくということは私は歓迎をしたいというふうに思います。  その上で伺いたいのが、専門実践教育訓練のうち通信制、夜間制でない講座を初めて受講するケースで、その人が離職しているという場合には、失業手当の日額八割ほどを訓練の修了まで受け取ることができるという制度が、教育訓練支援給付金という制度があるんですが、これがちょっと制限がありまして、受講を始めた年齢が四十五歳未満でなければ受給することができません。  お配りしている資料の1を御覧いただきたいんですが、今、失業者の現状です。  先月に発表された今年三月の労働力調査。完全失業者の数は百八十八万人です。前の年の同じ月よりも十二万人増えて、コロナの影響がありました、十四か月連続で増えています。  資料の下の年齢階級別完全失業者の数は、特に昨年に比べて失業者が増えているというのは赤枠で囲っているところです。男女共に四十五歳以上の年齢層です。  こうした年齢層の方も急速に変わっていく雇用ニーズにしっかり対応できるように、訓練の修了まで長い期間が必要な専門実践教育訓練に収入の不安なく、腰を据えて励めるように、この支援給付金の対象年齢を四十五歳以上に引き上げていく必要が私は出てきているんじゃないかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
  58. 志村幸久

    志村政府参考人 お答えさせていただきます。  御指摘の教育訓練支援給付金は、教育訓練を受ける費用負担に加え、教育訓練の受講に伴う諸経費の負担について、離職者の訓練受講中の基本手当が支給されない期間について支給されるものであり、平成二十六年度以降、時限的な特例措置として実施しております。  本制度は、若年の労働者に長期の教育訓練の期間中の支援が必要であることを考慮し、訓練修了後にその成果を一定以上の期間において生かせる者として、四十五歳未満の離職者を支給対象としております。  限られた財源の中でこれ以上の対応は困難であるということを御理解いただきたいと思います。
  59. 緑川貴士

    ○緑川委員 社会人の受講者数を増やすというのは、これは若年層だけじゃないわけですよね。百万人、まず目標の中で倍ほどの人数にしなければならないわけです。それを若い人たちだけで、給付金が足りないからといって、その数を倍に増やしていくことがそれでできるんでしょうか。  リカレント教育の中でも、特にこの教育訓練です。自己啓発型というのは、これは政府も認めているんですが、新たな職に就いた場合に収入を増やすことができる、そういう効果があるということを内閣府も認めているわけですよね。成長分野への円滑な労働移動を促せるというのが教育訓練なわけです。ですから、この教育訓練支援給付金というのは非常に、私は今の状況で大事になってきているというふうに思っております。非正規で雇用保険に加入している中高年の離職がコロナで増えているわけですから。そしてまた、健康寿命が今まさに伸びている中で、これからまだまだ働き盛りで新たな学びを重ねてより長く働いていこうという方が増えているわけですよね。そういう声に応えていただけませんか。
  60. 志村幸久

    志村政府参考人 今、コロナ禍の雇用対策の中で、非常に、雇用調整助成金を始めとして、雇用の維持から、まさにこれから出てくるというか、既に出ているわけですけれども、離職者に対する攻めの雇用対策ということで、離職者に対する訓練とか、あるいは在籍出向の支援とか、いろいろやっていますけれども、いずれにしても、限られた雇用保険財政等の中で、まあ一般会計も見ていただいていますけれども、しっかり重点的にやっていかなくちゃいけないということでございましてですね。  ただ、御指摘の教育訓練給付につきましては、確かに、離職者、一年内の離職者でも利用できるという面がございます。ございますが、基本的には在籍の労働者が自分の学びということでやっていっておりますので、そういった場合に、常にちょっと、中長期的なということで、中長期的なキャリア形成ということであれば、やはりちょっと若年の方にインセンティブを振っているという傾向がございまして、また繰り返しでございますけれども、限られた財源の中でなかなか対応は難しいというふうに考えております。
  61. 緑川貴士

    ○緑川委員 自分のための学びということを、今、それで大丈夫なのかという不安が、老後二千万円の問題もありました。やはり、貯蓄ということも含めて、これからもっともっと働いていきたいという意欲もある方が多いと思います。人生の後半戦をしっかりお支えをいただいて、雇用形態を問わず望むところへスムーズな転職ができる、そういうようにこの給付制度産業構造変化に合わせて、若年層に対して講座を増やしていくというだけじゃなくて、労働市場の構造の変化にも是非柔軟に御対応いただきたいということを強く求めていきたいと思います。  残りの時間は、ちょっと、初夏を迎えていますので、涼しい話題に移りたいというふうに思っておりまして、南極観測についてお伺いをします。  来月で発効から六十年を迎えるというのが南極条約であります。日本は一九五〇年代から一貫して南極観測を続けてきたんですが、戦後の、当時、主権を回復して間もない日本が純学術的な国際協力プロジェクトの国際地球観測年、IGYで南極観測に参加をできた、南極条約の策定にもその当時に関わって、十二の原署名国のうちの一つとして関わることができたのは、戦前に、明治の末に南極点の到達を目指した、私、地元は秋田なんですけれども、秋田県出身の白瀬矗中尉の功績が大きいというふうに思います。日本初の南極探検家として一九一〇年に白瀬中尉は南極観測のルーツである学術探検を行い、長い航路の末に南極の地に足を踏み入れて、大和雪原と命名した地があるんですけれども、その地点に日章旗を掲げました。  現代の南極観測で科学的な成果を上げる大きなきっかけをつくった白瀬中尉の取組に対する大臣の御認識、そして宇宙研究から気象、生物、氷床など様々な研究を進められてきた南極観測の重要性についてもお考えを伺いたいと思います。
  62. 井上信治

    井上国務大臣 今から百年以上前に白瀬矗中尉率いる南極探検隊によって実施された探検は、現在まで六十年以上にわたる日本の南極観測のルーツであり、深く敬意を表したいと思います。  我が国は、これまで、大気、海洋、雪氷などの各分野における地球の諸現象に関する研究、観測を長期にわたり継続的に実施し、オゾンホールの発見、過去七十二万年間地球規模の気候、環境変動の解明につながるアイスコアの採取など、人類にとって重要かつ様々な成果を上げております。  質の高い観測データを継続して取得、公開している南極地域観測は、地球温暖化など地球規模での環境変動の解明に貢献するものであり、その重要性はますます高まっていると認識しています。
  63. 緑川貴士

    ○緑川委員 御答弁ありがとうございます。  白瀬という名前で、今、昭和基地に近い、南極で最大級の流速のある白瀬氷河、そして、一九八〇年代の南極観測船が初代「しらせ」なんですが、これで四代目に今なっています、二〇〇九年から就航しているんですが。この船名の由来になっている。  南極については、やはり、人間が住まない、南極というのは手つかずの自然が残っている、大気や氷、海など地球環境を正確に捉えられる貴重な大陸でありまして、国家間で協力をしながら各国の観測隊が様々な研究や観測をそこで行っているんですが、大臣おっしゃるような貴重な研究材料であるオーロラや隕石を始め、地球の周りの現象を捉えやすいということで、南極は宇宙の窓とも呼ばれています。  日本は、御紹介いただいたようなアイスコア、氷床深層コアの掘削の成功、そして、六十年以上の南極観測の歴史の中では、先ほど紹介したオーロラの立体観測、オゾンホールの発見、隕石の採集、本当に様々、世界に誇る成果を上げてきているというのが日本の南極観測の事業であります。  特に、やはり南極観測というのは科学の最前線だと思います。宇宙から見た、観測できる、私たちが受け取ることができるメッセージというのは光だけではないということが、最近、この十年でも分かってきていて、時空のゆがみの変動を伝える重力波、そしてあらゆる物質をすり抜ける素粒子のニュートリノ、こうしたものが宇宙から届いている。つまり、異なる種類の情報で多面的に宇宙を理解することができるようになっている。これは大きな転換だ。基礎科学において新たな軸が加わるというのは、まさにイノベーションであるというふうに思います。  更なる進歩を続けるために、若手の研究者育成に向けて、今、大学院生、学生の参加も積極的に受け入れているというのが南極観測隊でありますが、今年の二月、帰ってきました。昭和基地での任務を終えて南極観測隊が帰国したんですが、南極に向かうのは、例年であれば、オーストラリアを経由して、そこで一年分の食料や燃料、観測に必要な機械を積み込んでから「しらせ」に乗って南極に向かうという日程なんですが、今回は、コロナの影響で往復路共にオーストラリアには寄らず、南極観測で初めての無寄港での航海となりました。  現地でも、活動の期間、内容をやはり縮小することになりましたけれども、今回どのような取組成果があったのか、政府として、今回の南極観測の取組の受け止めを伺いたいと思います。
  64. 長野裕子

    長野政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、昨年秋に日本を出発した第六十二次隊につきましては、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を踏まえ、南極観測にとって最優先の長期連続観測のための越冬隊の交代、それから物資の輸送を確実に行うといった計画としたところでございます。しかしながら、コロナ感染拡大防止のため、委員の御指摘のとおり、可能な限り感染リスクを下げる観点から、観測史上初めて、無寄港そして無補給での派遣となったところです。  そのため、南極における活動期間の短縮や観測隊の規模縮小となりましたが、必要な観測や研究を着実に実施し、例えば、国際共同による大気精密観測を主導するとともに、過去五年間で最大級のオゾンホールを観測し、また、極限状況でも短期間で設営可能な居住ユニットの実証研究といった研究などを行うなど、一定の成果を上げることができたところでございます。  また、今回の活動を通じ一人の感染者も出すことなく、本年二月に帰国することができました。ひとえに、観測隊員、「しらせ」乗組員など、関係者尽力のたまものと認識してございます。  現在、昭和基地では第六十二次の越冬隊が活動を実施中であり、文部科学省としましても、今回の実績や経験を踏まえ、本年秋に出発する第六十三次隊の計画検討などにより、引き続き、関係省庁が連携し、期待される成果が得られるよう、南極地域観測の継続的な実施に努めてまいる所存でございます。
  65. 緑川貴士

    ○緑川委員 おっしゃるような、非常に厳しい条件の中で、最大効率で取り組まれてきたというのをお伺いしました。  業務の合理化、見直しというのは、ある意味、次にいい形で、時間を大切に使うんだという意識がより高まったというふうに思うわけなんですが、他方で、重要な観測業務もやはりあったと思います。ヘリを使った氷床の観測、そして東京海洋大の観測船の海鷹丸との共同観測、これも来期以降に持ち越しになったということを聞いております。そして、温暖化で融解が懸念されているのがトッテン氷河、東南極にあるこの氷河に設置をしている観測機器も回収ができなかったということですので、これがやはり、主要命題、非常に重要な温暖化の仕組みを解明するというこの計画是非遅れが出ないように求めていきたいというふうに思っております。  来期について、大臣、またお伺いしたいんですけれども、この南極観測隊の活動で積み残しになっているこうした業務がございました。この活動の負担が、どんなに効率的に運営をしても、観測事業を行っても、制約が出てくるところは現実としてあるわけです。この観測体制をどのように充実させて活動を支援していくお考えでしょうか。
  66. 井上信治

    井上国務大臣 地球温暖化など地球環境変動の解明には、南極地域観測の継続的な実施が必要不可欠であると認識しています。  コロナ禍の制約の中でも、今期の南極地域観測隊は、越冬隊の交代や物資の輸送を着実に実施するとともに、一定の観測研究成果を上げております。  この秋に派遣予定の次期南極観測隊においても、現在、文部科学省を中心に計画検討されており、コロナ禍の制約を見据えつつではありますが、最大限の研究観測を着実に行い、引き続きの成果を上げられることを期待しております。
  67. 緑川貴士

    ○緑川委員 コロナは、十一月の派遣が決まるときでも当然やはり続くわけですので、こうした中で、今後、観測隊の活動は非常に難しいものがやはりあると思います。感染が続く国から改めて出ていくわけですから、前回とまた違うわけですよね。是非安全に、効率を上げるんですけれども、慎重な業務もあると思いますし、安全に観測事業を続けていただきたいというふうに思います。  最後に、北極についてお尋ねをしたいと思うんですが、資料をお配りしています。裏の方ですね。国立極地研究所の資料を載せているんですが、最近になって分かってきたことがまたございます。  二〇一八年について専門家の解析が進められているということで、新潟、福井、富山などで記録的な豪雪がありました。これは、北極での海氷の減少とそれに伴う温度の大幅な上昇というものが北半球の偏西風の流れを変えて、寒気の吹き出しが強まって、それがはるか遠くの日本列島にまでその影響がやってきているということが最近分かったということでございます。  南極には南極条約のようなものが、北極における北極条約というのはなくて、北極評議会、ACというものがあるんですが、日本は八年前にオブザーバー国としてACに参加しています。日は浅いんですけれども、観測技術の高い日本が、トップの閣僚会合に対して提示できるような基礎情報とかエビデンスを持っている重要な国に位置づけられております。  他方で、今、北極海では、観測データが不足しているという空白区が多い中で、北極海航路においても持続可能な形で航路を実現することができるのか、航路を阻む海氷がどのぐらいの厚さなのか、そういう予測が、これは研究を更に深めていく必要があるというふうに思いますし、日本の観測技術をAC参加国に提供しながら、この観測のネットワークの連携を主導していける、日本はそういう立場であるというふうに思っています。  この観測のネットワーク、体制を一層強化していくことが、大臣、必要ではないでしょうか。
  68. 井上信治

    井上国務大臣 委員御指摘のとおり、北極海は観測データの空白域となっており、科学的知見の充実が喫緊の課題と認識しています。我が国としては、第六期科学技術イノベーション基本計画において、氷海域での調査、観測技術の向上を目指すこととしております。  本年五月八日、九日には、第三回北極科学大臣会合が日本で開催をされました。萩生田文部科学大臣出席した同会合においても、国際連携による北極域の観測の重要性を各国間で改めて確認したと聞いております。  政府としては、引き続き、我が国強みである科学技術を生かして、北極域における科学的知見の充実や持続可能な利活用などに貢献してまいりたいと思います。
  69. 緑川貴士

    ○緑川委員 北極政策ということも、政府は最近になって打ち出していますけれども、この研究、観測に係る予算拡充を含め、政策を進める上では、やはり最後は、国民の理解の上で政策が進むものになります。  南極では、例えば、これまで事業が続けてこられた、これは白瀬中尉の功績。昭和期の観測では、犬ぞりの先導犬として活躍したタロとジロの実話。日本人にはこれは非常に親しみがあります。その観測隊の苦難を描いた映画とかテレビドラマも日本で放送されましたけれども、国民が南極に親しみを持つことができているのは、国策として観測事業を続けてきたことにあるというふうに思います。  最後にお伺いしたいんですが、北極観測隊というものはないんですけれども、南極での取組を考えれば、継続的に教員を派遣するということがやはり重要で、その経験を基に教員が授業をして、それを聞いた国内の子供たちが興味を持って、将来、研究者の担い手になる、そんなきっかけを北極でもしっかりつくっていく必要が出てきているんじゃないか。  将来を見据えた研究人材育成、北極政策への国内の関心を高めていくことを国としてどのように進めていくのか、最後にお伺いしたいと思います。
  70. 井上信治

    井上国務大臣 気候変動対策や持続可能な利活用観点からも重要である北極域研究を加速していくため、研究人材育成や国内理解の醸成は不可欠と認識しています。  このため、北極域研究加速プロジェクトにおいて、若手研究人材育成支援するとともに、研究者による講演会などを通じて国民の理解醸成に努めているものと承知しています。  また、第三回北極科学大臣会合においても、人材育成の重要性を各国間で確認するとともに、我が国からは、我が国としても北極に関わる若手人材育成強化に取り組んでいくことを発言し、各国からも高い関心が寄せられていると聞いております。  政府としては、南極地域観測の持続的な実施や成果なども踏まえつつ、北極分野での人材育成と国内理解の醸成に努めてまいります。
  71. 緑川貴士

    ○緑川委員 今ある研究成果を土台に、次の世代にしっかり引き継いでいただきたいというふうに思います。  極地研究を入口にして、宇宙とか、さらには基礎科学の分野でも研究人材が活躍をしていく、そんな将来を期待していくことを強く求めて、質問を終わります。
  72. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、末松義規君。
  73. 末松義規

    ○末松委員 立憲民主党の末松義規でございます。  今日は、初めてこの科学技術特別委員会で質問させていただきます。  まず、ちょっと、三つのテーマについてお話をさせていただくものですから、簡潔な答弁をまたお願いをしたいと思います。  まず一番目ですけれども、今、コロナ、ワクチンの話なんですけれども、地元を回っていて感じるのは、多くの声を聞くのは、ワクチンの接種が遅いということと、それから、医療先進国だと自慢している日本がどうして自前のワクチンを作れないのかと。確かに、モデルナとか、日本で代理生産をやるようなこともありますけれども、日本企業のワクチンというものが作れていない。これはどういう原因なのか、そこをまずお伺いしたいと思います。
  74. 山本博司

    ○山本副大臣 ありがとうございます。  厚労省としては、日本発の優れたワクチンの開発、事業化を進めるために、AMEDで、事業研究からワクチンの開発等の実用化研究も含めて、幅広く研究開発支援したところでございます。  例えば、令和二年度第一次補正では百億円、令和二年度では第二次補正で五百億円計上しておりまして、そうしたものを活用しながら進めている次第でございます。  一方で、委員御指摘のように、ワクチンの開発の対応に関しまして、遅れているとのお話がございました。  先日、五月二十五日に開催されました医薬品開発協議会におきまして、ワクチン開発・生産体制強化に関する提言が取りまとめられました。  その提言の中におきまして、ワクチンの研究開発、生産体制等の課題ということで挙げられておりまして、例えば、最新のワクチン開発が可能な研究機関の機能であるとか人材であるとか産学の連携が不足しているということ、さらには、ワクチン開発への戦略的な研究費配分の不足、さらには、輸入ワクチンを含め迅速で予見可能性を高める薬事承認の在り方等、また、ワクチン製造設備投資のリスクの観点、さらには、シーズ開発やそれを実用化に結びつけるベンチャー企業とかリスクマネー供給主体の不足、こういったことが指摘されているところでございます。  引き続き、こうした提言を踏まえまして、国内での開発の基盤整備、しっかりと後押ししてまいりたいと思います。
  75. 末松義規

    ○末松委員 余り時間を取りたくないんですけれども、ここでは。何か、今のを聞くと、いかに日本が駄目かというのを並べ立てられている感じがするわけですけれどもね。  私、ちょっとすごい疑問を持っていたのは、アビガンにしても、これはずっと、今でも承認されていないわけですよ。これは、中国が、特許とともに彼らに渡して、中国では大活躍をした。また、ロシアにも渡って大活躍している。でも、アビガンと同様の機能を持つレムデシビルは、昨年、財務金融委員会で質問したんですけれども、五月四日に申請して五月七日に承認されているんですよ。ああいう海外のものは、日本人の、そのときに治験者が四人しかいなかった、それでも一挙に許可をしている。何かそこはおかしいと思うんですよね。  だから、その承認体制、いろいろなワクチンで厚労省も過去、裁判に負けて痛い思いをしたというのもあるし、ちょっとそこはやや過剰に過ぎる警戒感を持っているような気がするんです。そうすると、結局は緊急時に全く対応できない。今おっしゃられた全部、いろいろなできないことがまた日本に起こってくる。じゃ、今からその課題を解決するのに何年かかるんだという話になるわけですよ。そこをちょっと、過去の反省として、急いでくれませんかね。
  76. 山本博司

    ○山本副大臣 今委員が御指摘された内容も含めて、この提言等の中にも含まれている次第でございます。  その意味では、こうした提言や、与党の皆様からも提言等いただいておりますので、国内のワクチン開発をどう進めていくかということで、しっかりと政府としても取り組んでいきたいと思います。
  77. 末松義規

    ○末松委員 与党だけじゃなく、野党の提言も是非しっかりと把握してくださいね。  じゃ、先をちょっと急ぎますので、今度は、遺伝子の組み換えの食品あるいはゲノム編集食品の安全性について聞きたいと思います。  こういった遺伝子組み換えとかゲノム編集なんというものは、自然界で生成されていないですね。遺伝子組み換えだと、新たな遺伝子をいろいろなところに組み込んでいく、あるいは、ゲノム編集食品というのは、完全体であるゲノムをいわば壊して、別のものにやっていくということでございますから、これについて、こういった人工的なもの、自然界にないものを食していった場合、短期的には影響は出ないかもしれないんだけれども、子供とか孫への長期的な影響で、本当に大丈夫なのか、妙な形の奇病とかいろいろな人体への悪影響が出てくるんじゃないか、これをみんな心配しているわけですよ。  これは、安全性というのはどういうふうに、長期的な影響ですよ、どういうふうに確認をして、確保していくんですか。
  78. 山本博司

    ○山本副大臣 遺伝子組み換え食品に関しましては、食品衛生法や食品安全基本法に基づきまして、食品安全委員会の食品健康影響評価の手続が行われて、その後、厚労省におきまして食品健康影響評価を経た旨の公表が行われたのみ流通する取扱いとしている次第でございます。  ゲノム編集技術応用食品につきましては、従来の品種改良技術を用いた食品と比べた安全性等の観点から、ゲノム編集技術の応用食品のうちで、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化により得られるものは開発者等から届出を求めて公表することとしておりまして、一方、従来の品種改良技術では起こり得ない範囲の遺伝子変化のものにつきましては、つまり外来遺伝子が組み込まれたもの等につきましては、遺伝子組み換え食品として安全性審査の対象とするとしているところでございます。  委員御指摘の長期的な安全性についての考え方はどうなのかということでございますけれども、この遺伝子組み換え食品、ゲノム編集技術応用食品につきましては、今説明したとおり、現時点においての科学的な知見に基づいて安全性を確保する取扱いをしているところでございます。また、遺伝子組み換え食品についても、必要に応じて生殖に及ぼす影響等も確認することがございます。  いずれにしても、こうした食品の摂取による長期的な安全性につきましては、それらの食品の利用の実績、また今後の科学的知見の充実、国際動向、こういったことも注視しながら、必要な対応を進めていきたいと思います。
  79. 末松義規

    ○末松委員 核心部分がやはりお答えいただけないというか、結局は、要するに、長期的というのは長期的な時間がたたないと分からないよねというのが、多分これが本質的な回答だと思うんですよね。だから、そこはちょっと、副大臣の言ったことに対してごまんと反論もあるんだけれども、何か今、時間が六分間ぐらい削られているので、そこで、次にまた質問をさせていただきます。  こういう、危ないよねという懸念を持つ方に対しては、しっかり、買うか買わないかの選択、これをはっきりさせていかないとよくない。  そこで、消費者庁の副大臣に聞きたいんですけれども、食べたくないよという人がいても、これは遺伝子の改変による食品なのかどうか、これはどうも、話によると、表示しなくていいというような結論をこの調査部会で出したという話がありますけれども、これは何でそういうことになるんですか。
  80. 三ッ林裕巳

    ○三ッ林副大臣 お答えいたします。  遺伝子組み換え食品につきましては、厚生労働省における安全性審査を経たもののみが国内で流通可能となっております。これにつきましては表示を義務づけております。また、ゲノム編集技術応用食品のうち、厚生労働省の整理において安全性審査の対象となるものについても、同様に表示を義務づけております。  一方、それ以外の厚生労働省への届出の対象となるゲノム編集技術応用食品については、表示の義務化を行う場合、表示の違反について科学的な検証が不能であることに加え、表示を義務づけている国等はない中で、書類による情報伝達等の社会的な検証を行うことは困難等の課題があります。  このため、現時点におきましては、当該ゲノム編集技術応用食品について表示の義務づけを行うことは難しいが、ゲノム編集技術応用食品であるか否かを知りたいという消費者ニーズに応えるため、事業者に対して積極的な表示等の情報提供に努めるよう求めているところでございます。  なお、今後、流通実態や諸外国の表示制度に関する新たな知見等が得られた場合には、必要に応じて表示の在り方の見直しを検討してまいりたいと思っております。
  81. 末松義規

    ○末松委員 要は、結局、技術的なことは消費者庁も分からないわけでしょう。農水省の研究所か何かに頼っているし、あるいは世界的にも、さっき副大臣が言われたように、要するに、分かった段階で順次規制をしていこうという考え方だったら、そこはちょっとまずいと思うんですね。だから、そこは、少なくとも、遺伝子組み換え食品ですとか、あるいはゲノム編集食品ですとかいうことぐらいの注意喚起をさせるようなことはやっていかないと。  何か、副大臣の答弁を聞いていると、全部、企業に任せますねと。それは、できるだけやってよねという話というのは、ちょっと行政としては無責任な気がするんですけれども、いかがですか。
  82. 三ッ林裕巳

    ○三ッ林副大臣 お答えいたします。  現在、遺伝子組み換え食品は外来遺伝子を導入している食品であります。また、ゲノム編集技術応用食品のうち安全性審査の対象となるもの、これも外来遺伝子を導入しているもの。外来遺伝子を導入していないものは、自然界でも起こり得るものとして、これを海外では表示もしていない。  そういったことですけれども、例えばギャバトマトとかこういったものは、外来遺伝子を入れないで、遺伝子を編集技術でカットしただけなわけで、これはある意味自然界でも起こり得るわけで、こういったものに対しては、今後、消費者庁としては、まあまだ出回っていないですけれども、出回ってくるようなことがあれば、それに対して表示の義務とかそういったことを考える、こういったことを考えているところであります。
  83. 末松義規

    ○末松委員 ギャバトマトというのも、ある程度、ばちっとカットして人工的にやっているわけなんですけれども、これが自然界でも起こり得ると本当に言えるのか。そこは技術的に、本当に今の技術で確認できるのかできないのか、私はすごく疑問があるんですよ。勝手に自分たちでやっていて、これは自然界で起こるよねと、誰がそんなに検証なしに言えるんだと。そういうのもあるので、ここでそちらを別に強烈に責める気はないけれども、とにかく疑わしきは網をかけて、一応、これはゲノム編集食品なんだね、じゃ自分の判断でできるよねというぐらいのことは、ゲノム編集食品を全部駄目だと言う気はないけれども、そこはきちんと、その表示は、消費者の選択権は是非確保してください。要望しておきます。  そして、次に、海外からの食品について、これは日本と同じような基準でやっているんですか。海外でそういった遺伝子食品なんかやった場合、これは本当に、元をただして追及していくようなことがされているのか。あるいは、彼らの表示にそのまま依拠して、それを信頼してやっているのか。そこはどうですか。
  84. 三ッ林裕巳

    ○三ッ林副大臣 お答えいたします。  日本国内で販売等される食品につきましては、原則として、海外からの輸入品も含めて、食品表示法に基づく食品表示基準に従い、表示を行う義務を負っております。  遺伝子組み換え表示が義務づけられた食品につきましては、食品表示法に基づく食品表示基準において表示すべき事項を定めております。表示の信頼性を確保するため、この食品表示基準に違反する表示がなされていた場合、食品関連事業者に対して指示、命令、罰則等の措置を行うことができる旨、食品表示法にて規定しております。海外からの遺伝子組み換え食品もこのとおりであります。  また、このような法令上の規定に基づいて、国、都道府県等によって適切な監視指導を実施しているところであります。
  85. 末松義規

    ○末松委員 適切な監視指導というのは、言葉はいいんですけれども、それをやろうとすると、かなり膨大な人的な組織的ネットワークというのが必要になってくるので、そこはできるだけ人もそっちに割いていただいて、国民の食の安全、これは基本なので、是非よろしくお願い申し上げます。  ちょっと、そこの食品については最後なんですけれども、どうも私なんかが見ると、グローバル企業あたりがかなり、いろいろなロビー活動を通じて、この食品について、遺伝子食品あるいはゲノム食品、いいじゃないかというような、そんなパワーを持ち過ぎているんじゃないかと思うんですけれども、世界的な基準作りとか審査システムというのは本当に客観性ということに堪えられるようなシステムになっているんですか。
  86. 山本博司

    ○山本副大臣 遺伝子組み換え食品の安全性の国際的な基準ということでございますけれども、二〇〇三年の第二十六回コーデックス、国際食品規格委員会総会におきまして、モダンバイオテクノロジー応用食品のリスク分析に関する原則、これが採択されておりまして、これに基づいて、現在、日本を含めて各国がそれぞれの状況に応じて規制を行っている次第でございます。  ただ、ゲノム編集技術応用食品に関しましては、各国で規制の検討とか運用が開始された段階でございまして、現時点において国際的な基準は存在していない状況でございます。  今後も、こうした国際的な動向を注視しながら、必要な対応を進めてまいります。
  87. 末松義規

    ○末松委員 日本人というのはやはり食に対して非常に敏感で、しかも、何か、美的感覚から始まって繊細な神経を持っているので、是非世界に物申していくということを、日本のセンスが基準になるような形で、その安全性についてもやっていただきたいということを改めてお願い申し上げます。  次に、ちょっと最後になりましたけれども、もっとこれに時間を割きたかったんですけれども、日本科学技術のセキュリティー、これの確保なんですけれども、いろいろな国が日本技術、スパイ活動とかハッキングとかを通じてどんどん抜き取っている、日本はそういった意味で天国だというふうに言われているわけですけれども、我が国において、民間企業科学技術のセキュリティーとかそういったものは、日本の方で、国の方で何かやっておられますか。
  88. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  政府といたしましては、国際的な技術流出問題の顕在化といった状況を踏まえ、我が国技術的優越の確保、維持、研究開発成果の大量破壊兵器等への転用防止、研究の健全性、公正性の自律的な確保といった観点から、技術流出の防止に取り組むことは重要な課題と認識しております。  具体的には、安全保障貿易管理の観点から、日本企業等が有する技術が安全保障上の機微技術に当たる場合には、外為法に基づき、当該企業による海外への技術提供等を規制しております。  これに加え、政府研究開発事業につきましては、機微な技術の流出を防ぐ観点から、事業の特性を踏まえつつ、安全保障貿易管理体制の構築を事業実施の要件とするなどの取組を進めているところでございます。  また、企業が持つ営業秘密の不正持ち出し等につきましては、不正競争防止法におきまして、民事上、刑事上の措置を取ることができるなど、同法によって企業が保有する技術情報を保護しております。  さらに、研究者研究機関における研究の健全性、公正性を自律的に確保する観点から、本年四月に、研究インテグリティーに関する方針を統合イノベーション戦略会議において決定したところでございます。今後、研究コミュニティーの意見も丁寧に聞きながら、競争研究費事業の共通的なガイドライン等の早期改定に向けて調整しているところでございます。  なお、重要インフラ事業者等につきましては、サイバー攻撃や自然災害等に起因する重要インフラサービス障害の発生を可能な限り減らすため、サイバーセキュリティ戦略本部が定める重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第四次行動計画等に基づき安全基準等の継続的改善を行うなど、各業法におきまして必要に応じて相応の保護を求めているところでございます。
  89. 末松義規

    ○末松委員 時間が来たので終わりますけれども、この前、数年前か、「スノーデン」という映画を見て、日本の重要なインフラに全部バグを組み込んで、そして日米関係が悪くなったらそれを発動させるんだというようなことをスノーデンが実際にやったというようなことを本でも書いていましたけれども、そういうことも含めて、日本のセキュリティーが守られるように是非よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  90. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、高井崇志君。
  91. 高井崇志

    ○高井委員 国民民主党・無所属クラブの高井でございます。  今日は、井上大臣平井大臣、本当に聞きたいことはたくさんあるんですけれども、二十分しかありませんので、井上大臣にはちょっと聞く時間がないということで、済みません、お休みいただいて、平井大臣中心に聞きたいと思います。  まず、平井大臣には、内閣委員会でデジタル関連法をかなり議論させていただきました。その中で、当時から私も質疑で申し上げてきたことを、今回、国民民主党として法案にまとめて提出しようということで、ちょっと皆さんにはまだ未定稿なので配れていないんですけれども、大臣にはお渡ししてあって。  ちょっと概略を説明しますと、まず、データ基本権についてしっかり規定をするということ。そして、自己に関するデータの利活用推進。あるいは、自己に関するデータ取扱いに係る本人同意の徹底。それから、情報銀行の利活用情報銀行は、今総務省がやっていますけれども、法律上何の位置づけもないんですね、これをしっかり明確に位置づける。それから、自己に関するデータへのアクセス履歴の本人開示。そして、プロファイリングの実施及びその結果の利用に関する規制。さらには、デジタルプラットフォームに関する環境整備。そして、データポータビリティーの確保データ保護機関の設置。  どれも非常に重要なテーマが多岐にわたって、説明するだけで二十分かかってしまいそうなんですけれども、割愛をしますが、大臣には事前にお渡ししておりますので、この法案について大臣の御所見をお聞かせください。
  92. 平井卓也

    平井国務大臣 私も、ペーパーをいただいたので、目を通させていただきました。  議員立法として提出された後、国会において必要な議論が行われるということですので、現時点で突っ込んだコメントは差し控えたいというふうに思いますが、ちょうどデジタル改革関連法案が十二日に成立して、デジタル庁スタートまでにもう百日を切ったんですね。今、包括的なデータ戦略、これが非常に重要だと考えておって、取りまとめています。その議論の中で各委員先生方等々が指摘している内容も、この中にまた入っております。  いずれにしろ、デジタル化の進展に伴い、データの価値は絶対に高まるというふうに思いますし、個人情報の保護の重要性もますます重要になってくる。保護と利活用の適正なバランスということと、データが最終的にお金を生む時代になってきたときに、データをどのような形で利用するのが一番フェアなのか。安倍首相が提唱されたデータ・フリー・フロー・ウィズ・トラスト。このトラストのところをどのようにつくっていくかということと、確かに、データを一番使うのはAIになってくると思うんですね。そうなったときに、適正なデータをどのようにAI側に供給していくのか。そして、元々、データを出している側から見ると、そのデータがどのように使われたのかということにやはり関心があると思うんです。  そういう意味で、委員問題意識は共有しておりますので、今後ともいろいろと議論をさせていただければと思います。
  93. 高井崇志

    ○高井委員 ありがとうございます。  委員問題意識は共有とおっしゃっていただきましたので、我々も小さな党ですから、議員立法で、しかも中身がもう議員立法の中身じゃありませんので、是非、来年閣法で、そのままそっくりぱくっていただいて結構ですので、是非出していただきたいと思います。  それでは次に、これも平井大臣に聞きたいんですが、今、いろいろなアプリとかシステムが、各省庁がつくっていますね。  つい先日も、厚労省の水際対策、一番今重要なところのアプリが、OELが不具合が多発した。これで、実は、海外から二万一千人の方を十四日間自宅待機を確認しなきゃいけないうち、何と四割の八千五百人が確認できない、位置情報を提供されていない、返答がないということが私の質疑で明らかになった。しかし、八千五百人のうちの結構な数がこのアプリの不具合でできなかったということもあって、これは本当に大問題だと思います。  あるいは防衛省も、大規模接種システム、これは防衛省がつくったけれども、やはり不具合が起こった。あるいはCOCOAとか、いろいろ今までも、各省庁がそれぞれアプリをつくる。なかなか、やはり各省庁、専門家がそんなにおりませんから、そして、短期間でつくらなきゃいけないところでミスが起こるのも仕方ない面もあるんですけれども、しかし、やはりあってはならないことであります。  私は、やはり、こういったアプリとかシステムは、各省がそれぞれやるんじゃなくて、もうデジタル庁がしっかりこれをやる。そして、今まだデジタル庁はできていませんけれども、しかし、コロナは現在進行形で起こっていますから、やはり内閣官房IT室というところがありますから、そこがしっかりこのアプリやシステムにコミットする。いろいろなシステムが並列して同じようなシステムができるという問題も、そうすることで解消できると考えますけれども、大臣、いかがですか。
  94. 平井卓也

    平井国務大臣 新型コロナウイルス対策のために整備されたシステムは、各省庁で緊急的に整備されたものが多いと思います。IT総合戦略室の関わりも非常に中途半端であった面もあります。  COCOAは、我々で引き取って、順次改修をして、今、順調に動いています。  そして、OELに関しても、全くかんでいないのでこのシステムの詳細は知りませんが、発注自体が、システム発注ではなくてサービス、役務の提供の契約になっていると推察します。そういう意味で、これはシステムの発注ではないということだと思います。  防衛省の予約システムにしても、あれもシステム発注というふうな見方をするべきではない。要するに、作業のオペレーションを外注するというのに近いと思っています。  オリンピック・パラリンピックのアプリも、あれはシステム発注というふうには見るべきではないのかなと思っていて、こういう国民全ての皆さんに使っていただく、重要で、なおかつ省庁横断でというようなものは、これは、デジタル庁が自ら発注する、若しくは各省と一緒になってつくっていくということになると思っています。  その先駆けとして、これは河野大臣の下で、我々、VRSというワクチン接種の記録台帳を基本的にはクラウド上で管理をして、それぞれの各自治体が持った形のまま使えるというものを、今後、例えば接種証明を出したりとか、まあ霞が関クラウドと言われるものの先駆けになるものだと思っています。  そういう意味で、今回よく分かったのは、各庁がばらばらにつくってしまいますと大抵うまくいかないわけでございまして、我々デジタル庁で応募して民間から入ってきたスタッフの皆さんには、アプリケーションを自らつくれる方々もいらっしゃいますし、今までのような丸投げではなくて、完全な要件定義をきっちりできるスタッフの下でこういうものをつくっていきたい、こう思っております。
  95. 高井崇志

    ○高井委員 全くそのとおりで、大臣が認識していただいておりますので、デジタル庁ができてからと言わずに、既に現在進行形で動いているものについても、本当にOELなんかは水際対策の肝ですから、こういったものは是非積極的に関わっていただきたい。システムじゃなくても、アプリであっても、やはり発注者がよく理解していないとこういうことが起こるということかと思いますので、是非検討いただきたいと思います。  次に、ワクチンパスポートの件を聞きたいと思いますが、これも非常に、今のVRSとも連動して、私は是非これは、ただ、徹底的な、やはり差別を起こさない、ワクチンを打った打たないで差別が起こらないような、しっかりガイドラインを整備した上で活用するということだと思いますけれども、ただ、ワクチンパスポートをせっかくつくっても、紙で何か一々やるなんてことは是非やめていただきたい。スマートフォンに搭載すれば、それで簡単に、ぱっと示していろいろな活用ができる。  これは、繰り返しますけれども、差別につながらない形で、今はできないけれども、ワクチンを打った方はプラスアルファでできるようになる。何か商品がもらえるとか、そういうこともあるでしょうし、あるいは、今は八時までしか飲食店へ入れないけれども、ワクチンパスポートがある方についてはそれ以降も可能にする。そうすれば、お店だって、飲食店だってそれで助かるわけですから、私は両方にとってメリットがあると思いますので。  しかし、そのためには、紙で一々やるんじゃなくてスマートフォンに搭載するということが何より大事だと思いますが、いつからスマートフォン搭載は可能になりますか。
  96. 大西友弘

    大西政府参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御指摘いただきましたワクチンパスポートでございますけれども、これは、新型コロナワクチンを接種した際にその証明を発行いたしまして、海外との出入国、あるいは今委員から御指摘ございました国内での諸活動に関連して、その接種証明というものを活用できないかという課題でございます。  ワクチン接種証明をどうやって活用するかということにつきましては、現在、国際機関あるいは諸外国の中でも様々な議論や動きがございますし、また、今委員がまさにおっしゃられましたけれども、接種を受けられない方への不当な差別につながらないようにするといった課題もございます。  したがいまして、今現在、御指摘をいただいたスマートフォンへの搭載といった問題を含めまして、接種証明の具体的な内容につきまして、今、内閣官房の方で、関係各省の調整を図りながら、国内外の議論、各国の対応状況等を注視して、知見を収集しながら検討を進めていく、まだ現時点でそのようなことでございますので、いつからというのはまだちょっと具体的にお答えできないので、御容赦いただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  97. 高井崇志

    ○高井委員 制度内閣官房で加藤官房長官の下でつくるということでいいと思うんですけれども、今言ったように、スマホに載るかどうかというのは極めて大事だし、やはりシステムの面は、平井大臣是非ここはもう間違いなく関与、しかもVRSと連動するというんですから、これはもう間違いなくIT室がやっていただかなきゃいけませんので、これも本当に失敗が許されないプロジェクトだと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。  次に、ちょっと時間がなくなってきましたので、フィンテックのことを聞きたいと思います。今日、金融庁に来ていただきました。  実は、二〇一六年、一七年ぐらいに大改正があって、フィンテックは非常に盛り上がって、私も当時、法改正にも関わって、随分質問もさせていただいて、金融庁はかなり前向きな、当時、池田局長で、非常にフットワーク軽く、フィンテック業界の集まりにもどんどん参加されたりとか意見交換などもして、非常にフィンテック業界からも評判がよかったんですけれども、どうも最近、私も聞くと、ちょっと金融庁が、フットワークも余りよくないし、何となくやはり銀行寄りじゃないかというような指摘があります。  平井大臣は、フットワーク軽く、フィンテックの方々ともよく交流していただいているようですけれども、ちょっと金融庁がそういう指摘があるんですけれども、今、金融庁はどのように考えていますか。
  98. 井藤英樹

    井藤政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、二〇一七年には銀行法等を改正いたしまして、フィンテックの動きが世界規模で進展していることを踏まえまして、銀行とフィンテック企業のオープンイノベーション促進に向けた措置を講じてございます。  ただ、その後もいろいろ取組をやっていまして、例えば、昨年、二〇二〇年の法改正におきましては、百万円超の高額送金を取り扱うことが可能な資金移動業の類型を創設しましたほか、一つの登録で銀行、証券、保険の全ての分野サービスを利用者にワンストップで提供する金融サービス仲介業を創設するなど、利用者の保護を確保しつつも、フィンテック企業などが多様な金融サービスを提供できるような制度整備に取り組んできてございます。  フィンテックスを活用したイノベーションに向けてチャレンジをサポートしていくというのは引き続き極めて重要な課題だというふうに認識してございまして、フィンテックサポートデスクについては、これは二〇一五年十二月から設置していますけれども、引き続き継続して様々な相談を受けているところでございまして、最近でもいろいろな相談を受けさせていただいてございます。  金融庁といたしましては、先生に最近どうしているんだと言われるようなことは、なかなか、じくじたる思いもちょっとございますので、引き続き、安全性の確保、利用者保護に留意しつつも、イノベーションの進展に向けてフィンテックを活用した取組支援してまいりたい、そのように考えてございますので、今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
  99. 高井崇志

    ○高井委員 いっときに比べるとフィンテックという言葉を聞くことも少なくなったわけですけれども、しかし、もう分かっていると思いますけれども、非常に重要な分野ですので、是非金融庁には力を入れていただきたいということと、あと、平井大臣是非、通告したら、役所の皆さんに担当外だから答弁は書けませんと言われたんですけれども、書かなくても平井大臣はもうよく分かっているので通告は要らないと思いますと言ってありますけれども、今の金融庁の答弁も聞いて、是非金融庁にもっとハッパをかけていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  100. 平井卓也

    平井国務大臣 フィンテックの推進は金融庁の所管ですが、デジタル化推進する立場として、フィンテックに対する取組が加速することを大いに期待しています。  私の地元の地銀もフィンテック企業連携して新しいサービスをスタートさせたり、ローカルにおいてもいろいろそういうものがスタートしていると思います。また、ブロックチェーンに関しても今日は提言を受けるというスケジュールも入っていますが、金融部門というのは非常にデジタル化の中において国民に対してのメリットを大きくできるというふうに思っておりますので、この分野が更に加速化されることを期待しております。
  101. 高井崇志

    ○高井委員 是非ここは本当に金融庁とも連携して、金融庁がちょっと嫌がるぐらい、デジタル庁が口を出していただいて主導的にやっていただかないと、なかなか、金融庁は銀行がありますから、やはり銀行の意見がどうしても重視される面は分からなくはないので、是非デジタル庁に頑張っていただきたいと思います。  それでは、時間がもうなくなってきたので、今日は総務省から実は私の尊敬する先輩がお二人来ていただいていますので、ちょっと時間の関係で二問まとめて聞きたいと思います。  一つは、日本郵政が、総務省が有識者会議ですばらしい提言を出しています。日本郵政、非常に今大変な状況なんですけれども、しかし、今後のやはり発展のために、日本郵政はあらゆる情報を持っていますよね、もちろん住居の情報もあるし、そして、郵貯、簡保の契約者情報もある。こういったものをビッグデータ化する、そして情報銀行のビジネスをやっていくというのは、私は非常に総務省はいい提言を出されたなと思いますけれども、今後どう進めていくか、あるいは日本郵政をどう考えているかみたいなことも、是非、佐々木部長からお答えをいただきたいと思います。  それと、ちょっと関係はないですけれども、鈴木部長からは、電波、6G、これが非常に、5Gは、私は残念ながらちょっとやはり世界に比べて遅れてしまったんじゃないかな、総務省はなかなかそう言わないんですけれども、やはり一般的な受け止めは、ちょっと遅れたんじゃないかと。6Gこそは、これは世界のトップを走っていただきたい、これからですから。その決意是非お伺いしたいと思います。  お二人、それぞれ順番にお答えください。
  102. 佐々木祐二

    ○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。  日本郵政の関係についてでございますけれども、総務省では、昨年十一月から、デジタル時代における郵政事業の在り方に関する懇談会を開催しておりまして、デジタル化の進展を踏まえ、国民、利用者の利便性向上や地域社会への貢献など、郵政事業が今後果たしていく役割などについて検討を行っております。  本年三月に公表した中間整理の中におきまして、日本郵政グループのデータ活用の具体的なサービスのイメージの一つといたしまして、利用者の代理人としての情報銀行となり、利用者の同意の下、十分な情報管理措置を講じつつ、郵便・物流、貯金、保険などのデータ活用して、グループ外の関係企業、自治体などと連携をしつつ、見守り、遠隔医療診断、保険サービスなどを地域住民へ提供することが挙げられております。  日本郵政グループにおきましては、中期経営計画、先日公表されましたけれども、その中でもデジタル技術活用ということは大変大きな柱として捉えていると認識しておりますけれども、データ活用した既存業務の効率化、利便性の向上に加えまして、情報銀行に限らず、新たなデータ活用ビジネスによる収益源の多様化、多角化に向けまして、データ管理やセキュリティー確保、個人情報保護などを含めた幅広い検討を進めて、日本郵政グループの企業価値向上、郵政事業のユニバーサルサービスの安定的な提供の確保への寄与、こういったことを期待しておるところでございます。
  103. 鈴木信也

    鈴木政府参考人 ビヨンド5G、いわゆる6Gに関しましてお答え申し上げます。  我が国がこの分野リーダーシップを発揮するためには、研究開発の初期段階から、グローバル展開を意識し、海外パートナーとの連携による研究開発や国際標準化活動を強力に推進することにより、グローバル市場の獲得につなげていくことが必要と考えております。まさに委員御指摘のとおりだと考えてございます。  こうした考え方に立ちまして、総務省では、令和二年六月にビヨンド5G推進戦略を策定し、必要な取組を進めているところでございます。  具体的には、令和二年度第三次補正予算、ビヨンド5G研究開発促進事業による海外の戦略的パートナーとの連携も視野に入れた研究開発推進や、また、昨年末設立されましたビヨンド5G新経営戦略センター、そしてビヨンド5G推進コンソーシアム、これらを通じました産学官一体となった戦略的な知財標準化活動などの推進を有機的に連携させて取り組むことで、引き続き、ビヨンド5Gの市場において我が国企業が高い国際競争力を発揮できるよう、努めてまいります。
  104. 高井崇志

    ○高井委員 時間になりましたので、終わります。質問できなかった皆さん、申し訳ありませんでした。  ありがとうございました。
  105. 田嶋要

    田嶋委員長 次に、青山雅幸君。
  106. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。  本日は、大変貴重な質問の機会、ありがとうございます。  我が国の将来、帰趨を制していくのはやはり科学技術発展というところにあると思います。しかしながら、本当に我が国研究者を取り巻く状況というのは、いろいろなところで大変な困難さを増している。  細かい点で一つ指摘させていただくと、論文の購読費や掲載料が値上がりしているという面がございます。余りこれは表に出てきていないお話としてございます。  知っている方は知っている、知らない方は知らないという話ですけれども、科学分野における業績とは、そのよしあしは別として、論文が雑誌に掲載されること、これで評価が高くなっていくわけですね。その中でも有名雑誌に掲載されれば一生安泰とか、そういうような状況があるわけです。  ですから、一般の小説だとかいろいろな著作物であれば、作家というのは、それを本なり雑誌に載せてもらって、それが売れることによって著作権が入ってくる、また、雑誌社なども、それでもうかるから、人気な作家は大事にしていく、あるいは将来見込みのある人は大事にしていく、こういうようなパワーバランスが働いているわけですけれども、これとは違うバランスが研究分野では働いている。  研究者は日々何にしのぎを削っているかというと、まず、自分の論文がよい雑誌に掲載されるようにしのぎを削っている。数年前に、ある方の論文が画期的な発明だということで、非常に著名な雑誌に載った。NHKが朝のトップニュースでそれを紹介して、後に、それがどうも根拠が怪しかったということで大騒ぎになったことがございます。それだけ、まず、例えばノーベル賞とか著名な賞を取る前段階として、著名な雑誌に掲載されることが研究者にとっては大変大事になってくるわけですね。  そんな中で、余り知られておりませんけれども、学術誌が値上がりしているということがございます。三十年前に比べると、およそ六倍以上の値段になっているということです。困るのは、大学図書館の予算を当然逼迫させるわけですね。それから、そういうふうに雑誌が高くなることによって、利用者の雑誌に対するアクセス可能性が妨げられるという事態も生じてきます。  これに対してカウンターな動きもございまして、雑誌を完全にオープンアクセス化しようとする雑誌側の動きや、優れた研究であればどこであっても評価されるということで、論文公開サイトに公表する研究者側の動きもあったりする。  これに対して、さらに、既存雑誌側も、ウェブで論文にアクセスできるオプション、これをハイブリッドOAというようですけれども、このオプションに追加の掲載料を求めるなどして、そういう動きもあり、十分な打開策、解決策が確立しているとは言い難いような状況にございます。  こういった問題について、政府がきちんと問題意識を有しているとすれば、どのような対応を行われているのか、あるいは今後行われる予定があるのか、文科省にお伺いしたいと思います。
  107. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 お答えいたします。  学術誌を取り巻く問題につきましては、購読価格の上昇が常態化していることに加えまして、近年のオープンアクセスの急速な進展に伴いまして、論文インターネットで公開し閲覧できるようにするための論文処理費用も求められるようになるなど、より問題は拡大、複雑化してきていると認識をしているところでございます。  こうした状況の下で、大学等の研究者が学術誌へのアクセスの維持に苦慮している、そういう状況を踏まえまして、文部科学省におきましては、科学技術・学術審議会の下にジャーナル問題検討部会というものを設置いたしまして、学術誌を取り巻く諸課題について検討を行いまして、今年二月に審議の取りまとめを行ったところでございます。  その取りまとめにおきましては、こうした経費の最適化を図る観点から、各大学等の研究機関においては、機関の特色や研究戦略等を踏まえ、現行の契約内容が最適なものであるかどうかを精査していただき、最適な学術誌の契約の形を定めるといったこと、また、個別機関ごとの契約交渉ではなく、同じような契約状況の機関がまとまって契約主体のグループ化を図ること、さらに、各機関が契約している学術誌の情報を機関間でお互いに共有しまして、足りない部分を補い合えるようなネットワークを構築することなどの具体的な取組が示されたところでございます。  文部科学省としましては、こうした具体的な取組が前進するよう、大学等の関係研究機関と連携して対応してまいりたいと考えてございます。
  108. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 今お聞きしますと、文科省も問題を認識しており、一定の取組をしているということでございます。  この問題、続けさせていただきますと、今、文科省も認識されているとおり、学術雑誌の高騰によって、同じ研究分野研究者同士が研究を共有できないという状況が生じつつある。高いから買えないという話ですね、簡単に言うと。それが最大の懸念であります。  そんなところ、イギリス、フランスを含む十八の政府研究助成機関、これは二〇二一年五月二十六日現在ですけれども、政府研究助成機関によるイニシアティブ、コアリションSは、自身が助成した研究プロジェクトにより生み出された学術論文について完全にオープンアクセスであることを要求するプランSというものを公表し、二〇二一年一月に発効しております。これがお手元にお配りした配付資料、ここにプランS十の指針というものが書かれております。  そもそも、研究者にとっては、最初に申し述べたとおり、自己の論文が自己の作成したものであることが明示された形で流通することにこそ価値があって、その論文によって著作権的な利益、要はその論文による著作権料が入ってくるということは極めて副次的なものであることから、このプランSの第一項にあるとおり、クリエーティブコモンズは研究分野にまさにマッチするものであると考えられます。  このクリエーティブコモンズについて若干の解説をいたしますと、インターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が、この条件を守れば自分の作品を自由に使って構いませんという意思表示をするためのツールであります。このクリエーティブコモンズライセンスを利用することで、作者は著作権を保持したまま作品を自由に流通させることができ、受け手はライセンス条件の範囲内で再配布などができるというものであって、非常に使い勝手がいいものだと考えられます。  こういったプランS、これは、コアリションSに加わっている政府研究助成機関から助成を受けた研究者は、研究成果を何らの査読なしにネット上にアップロードすることを求めるものではなくて、しっかりと査読がされる学術誌でありながらも掲載論文を無料で公開するオープンアクセス方針の学術誌に投稿することを求めるものであって、既存の権威雑誌に対する間接的な圧力になるもの、カウンターになるものと考えられます。  我が国としても、そういった雑誌に対して圧力をかけることが必要かは別に判断するとして、こういった国際協調の体制、今御紹介したコアリションSに加わるなど、そういったことも検討する必要があるんじゃないかと思います。先ほど御紹介のあった提言にはそれは入っていなかったようですけれども、そういったことに関して、井上大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  109. 井上信治

    井上国務大臣 国際的に見ても、世界的な出版社によるジャーナルの購読料等の負担増は問題となっており、その対策として、御指摘のように、諸外国が共同して論文のオープンアクセス化を進展させる動きがあることは認識しております。  このような論文のオープンアクセス化に加え、学術情報の流通については、査読前の論文であるプレプリントの活用や、研究データの公開、共有が進展するなど、急速に変化をしております。  このため、我が国としては、国際動向も注視しつつ、論文のオープンアクセス化を促す取組検討するとともに、研究データを共有、公開するプラットフォームの整備などを進めているところです。  このようなことを通じて、関係省庁と連携しつつ、我が国研究者が諸外国の学術情報に適切にアクセスできるとともに、日本の卓越した研究成果海外に積極的に発信できる環境をつくってまいりたいと思います。
  110. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 中国がいろいろな分野で本当にアメリカと肩を並べ、一定の場合には抜いている、それは理由があるわけですね。この科学雑誌の分野も、前にNHKだったと思いますけれども、報道されていましたけれども、非常に力を入れて取り組んでいる。そういったところで日本は後れを激しく取っているわけですね。  今の話でも、もう一つの解決方法がありまして、この間、ABC予想が解決したと大きく報道されました。京都大学の望月教授が証明したと言われているわけですけれども、これはどこが取り上げたかというと、京大数理研が発行する国際的な数学誌、PRIMSに掲載されたわけですね。  今申し上げたとおり、中国では、自分のところの研究者のそういう発表の場を確保するために、学術誌をどんどん自前で作り出しているんですね。我が国でも、先ほどから申し上げているオープンアクセスが担保された学術誌を立ち上げていく、そういう考え方があろうかと思いますし、是非やっていくべきだと思うんですけれども、これについて、井上大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  111. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 先ほど申し上げました文部科学省で行われた検討会におきましても、先ほど先生の方から話がありましたプランSであるとか、あとOA二〇二〇とか、いろいろな話題が上がりました。  そういう中の一つとして、我が国としても雑誌を作っていくといったような話もございましたけれども、まず直近の問題として、今非常に研究者が苦しんでいるということについては、やはり経費を何とかすべきだということで、今回、先ほどちょっと取組というのを紹介させていただいたところでございまして、先ほど先生の方から指摘がありました将来的なそういった雑誌の発行というようなものも、一応その検討の中には入っているというところでございます。
  112. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 コロナの問題もそうなんですけれども、テンポが遅過ぎるんですね。そんなことをやっているうちに、どんどんどんどん後れを取って、国内の優秀な研究者はどんどんどんどん国外に行ってしまう。アメリカだけじゃなくて、中国もそうです。背景には財政難、きちんと負担すべき税率を上げずに、社会保障費を全部国債に頼ってきたものですから、全ての分野、特にこういう研究、教育分野で全然予算が伸びがない、それが日本を圧迫している、どんどん泥沼化しているわけですけれども、今の御答弁を聞いていてもその一端が大変うかがわれた。非常に残念としか言いようがありません。  もう一問お聞きしたいと思います。  政府はマイナンバーカードの普及を進めておりますけれども、今振り返ると、マイナンバーカード自体がスタート地点を少し間違えてしまったんじゃないかと思っております。  大体、住民基本台帳カードの後継ということから、プラスチックカードという時代遅れな形態を取っているというところに問題がある。また、今は、皆さん、お財布さえ持ち歩かない方がおられます。私も実はそうです。スマホを持ち歩かないことの方が生活に不便である。  もう一つは、マイナンバーを券面に表記してしまったので、これは、いろいろなところに出すときに、マイナンバーはみだりに他人に見せてはならないという観念がありますので、それを取得すること自体を、要るということを、制度当初から大量に生んでしまったということがあります。  これも何でこうなったかというと、自分でマイナンバーを書くというアナログな場面を想定したからであって、ICチップに情報が入っていて、それだけ見ても何も分からないよというような形にしちゃえばよかったわけですね。結果として、マイナンバーを手書きした際にはマイナンバーカードのコピーを紙で添付するなどという、本当に時代遅れ的なことをやっているわけですけれども、デジタル・ガバメント実行計画という壮大な計画を作った以上、当面の間は現行のマイナンバーカードでいくことになろうと思いますけれども、中期的にはより利便性と安全性が両立したツールにしていくことを検討すべきではないかと思いますが、総務省の御見解をお伺いしたい。
  113. 阿部知明

    阿部政府参考人 お答えいたします。  マイナンバーカードは、行政機関のみならず、民間事業者の方々とも対面でもマイナンバーの確認と身元確認を一枚で行うことができるよう、物理的なカードとして発行することとされてございます。  ただ、御指摘のように、利便性にも配慮しまして、マイナンバーカードの信頼性を基礎としまして、今国会で成立させていただきました電子証明書のスマートフォンへの搭載を可能とする改正法によりまして、カード所持者がスマートフォンのみでオンラインでの行政手続が可能となる仕組みをつくることとしてございます。  また、御指摘ございましたマイナンバーの券面表記でございます。  行政機関や民間事業者が本人からマイナンバーの提供を受ける際、マイナンバーが記載された書類との確認が義務づけられてございます。官民の様々な手続において券面に記載されているマイナンバーが用いられておりますことから、直ちに券面に記載しないとすることは難しいのではないかと考えてございます。  しかしながら、マイナンバーカードの利便性の向上は重要な課題でございます。今後の技術の進展の状況なども踏まえつつ、更に利便性や安全性に配慮したものになるように検討していきたいと考えてございます。
  114. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 スピード感を持って取り組んでください。今、日本企業が全部負け組になっているのも、スピード感がないからなんですね。物すごい速さで世界は移り変わっています。科学技術イノベーションの進展がまさにそこで、支配的なOSや技術が物すごい頻繁に、速く移り変わるわけですね。  マイナンバーカードの導入時にはブロックチェーン技術を今ほど重視していなかったと思いますし、行政のデジタル化は前例踏襲の行政機構とは本質的に性質が異なるものであることを認識していないと、時々あります、インターネットエクスプローラー以外では動かないというような、物すごい時代遅れな状況が延々と残り続けることになる。今申し上げたとおり、遠からずマイナンバーカードも時代遅れになるから、前時代の残滓が大量に残されただけという、無駄が重なっただけということにもなりかねません。  デジタル・ガバメント実行計画も適宜修正されるものと思いますけれども、根底から前提が覆る、そういうデジタル革命みたいなことはしょっちゅう起こるわけですね。そうなったときには潔く方向性を変えるアジャイル型の計画であるべきだと思いますけれども、このデジタル・ガバメント実行計画に対する大臣の向き合い方、今言ったようなところ、根本的なところです、平井大臣にお伺いをしたいと思います。
  115. 平井卓也

    平井国務大臣 委員のおっしゃるとおり、デジタライゼーションのスピードが物すごく速いし、テクノロジーの進歩も速いし、今回の新型コロナで、イノベーションのスピードは十倍ぐらい速くなったと思います。  ですから、このデジタル化に関する計画も、一つのものに固執していたのではもう全く駄目なので、適切に見直すという規定を入れさせていただいた上で、委員の御指摘のとおり、アジャイル的な要素を入れながら作っていくべきだ、そのように思っております。
  116. 青山雅幸

    ○青山(雅)委員 非常にいろいろなことをよく把握されている平井大臣に、是非日本がこのまま世界に取り残されないように引っ張っていっていただきたいと期待を込めて、これで質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。     〔委員長退席、津村委員長代理着席〕
  117. 津村啓介

    ○津村委員長代理 次に、畑野君枝君。
  118. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。  井上信治大臣に今日は伺います。  第六期科学技術イノベーション基本計画上の基礎研究、学術研究の位置づけについて伺います。  第五期科学技術基本計画第四章「科学技術イノベーションの基盤的な力の強化」では、「国の政策的な戦略・要請に基づく基礎研究は、学術研究と共に、イノベーションの源泉として重要である。このため、国は、政策的な戦略・要請に基づく基礎研究充実強化を図る。」としていました。  一方、第六期科学技術イノベーション基本計画は、第二章2「知のフロンティアを開拓し価値創造の源泉となる研究力強化」(1)「多様で卓越した研究を生み出す環境の再構築」の部分で、我が国研究環境に関する現状認識をこのように述べています。「真理の探究、基本原理の解明、新たな発見を目指す「基礎研究」と、個々の研究者の内在的動機に基づき行われる「学術研究」の卓越性・多様性こそが、価値創造の源泉であり、国家の基盤的機能の一つとして、これらを維持・強化するための研究環境や、人文社会科学も含んだ総合知創出活用する枠組みを整備することが不可欠である。」このように述べております。  基礎研究、学術研究の位置づけについて、国の政策的な戦略、要請に基づいた場合に基礎研究充実強化を図るとしてきた第五期基本計画の路線に対して、第六期基本計画では、国の政策的な戦略、要請に関わりなく、基礎研究、学術研究支援していく方向に転換していくということなのでしょうか。それとも、第六期も第五期と同様の方向性なのでしょうか。まず伺いたいと思います。     〔津村委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 井上信治

    井上国務大臣 基礎研究は、多様で卓越した知を生み出す、イノベーションの源として大変重要であり、我が国はその振興に取り組んできております。  昨年改正された科学技術イノベーション基本法においても、新しい現象の発見、解明や独創的な新技術創出などをもたらす基礎研究推進において国が果たす役割の重要性を規定しました。  このようなことを踏まえ、第六期科学技術イノベーション基本計画において、真理の探究、基本原理の解明、新たな発見を目指す基礎研究の卓越性、多様性こそが価値創造の源泉であるとして、その振興に向けた取組を取りまとめたところです。  今後とも、関係省庁と連携しながら、基礎研究振興に努めてまいります。
  120. 畑野君枝

    ○畑野委員 基礎研究振興に努めていくという御答弁でした。  国は政策的な戦略、要請に基づく基礎研究充実強化を図るとした第五期基本計画の下で、それでは基礎研究をめぐる状況はどうなったかということです。  科学技術・学術政策研究所、NISTEPが四月九日に発表した科学技術状況に係る総合的意識調査、NISTEP定点調査二〇二〇は、第五期科学技術基本計画期間中の日本科学技術イノベーション創出状況変化を指数化して把握した調査ですけれども、その中に、学術研究基礎研究研究費マネジメントの状況という項目があります。  一、研究者の内在的動機に基づく研究は、現代的な要請に十分応えるように行われていると思いますか。二、科学研究費助成事業は、研究者が新たな課題を積極的に探索し、挑戦することに十分寄与していると思いますか。三、我が国において、将来的なイノベーションの源としての基礎研究の多様性は、十分に確保されていると思いますか。四、我が国基礎研究について、国際的に突出した成果が十分に生み出されていると思いますか。五、基礎研究を始めとする我が国研究開発成果イノベーションに十分つながっていると思いますか。  こういう項目で、学術研究基礎研究状況に関する五つの質問のうち、二以外の四つの質問で指数の低下が大きいんです。特に評価が下がっているのが、三の、我が国において、将来的なイノベーションの源としての基礎研究の多様性は、十分に確保されていると思いますかという質問です。評価を下げた理由として言われているのは、まとめに書かれているのは、選択と集中の影響と、競争的資金を獲得しやすいテーマへの偏向ということです。  意見を少し御紹介します。プロジェクト指向が強くなり、基礎研究に対する支援が少ない。目先の結果の追求が重視され、成果を得るまでに長期間かかる基礎的な研究への支援が不足している。以前よりも選択と集中の程度が増して、基礎研究の多様性は失われている。競争的資金、選択と集中的発想は、予算の集中を招き、日本全体の基礎研究力をそいでいる。成果を求めて選択と集中をすればするほど基礎研究の多様性は失われる。事業化、商品化を求めることはイノベーションにとって将来性をなくすなどです。  伺いますが、国の政策的な戦略、要請に基づいた研究に重点化する研究費競争的資金化や選択と集中は、研究力低下させ、研究の多様性を失わせ、結果としてイノベーションにも結びつかないというのが現場の研究者の偽らざる声、実感だと思います。井上大臣は、こうした声をどのように受け止められますか。
  121. 井上信治

    井上国務大臣 まず、御指摘のとおり、科学技術・学術政策研究所の報告書においては、基礎研究、学術研究状況に関して厳しい現状認識が示されていることは承知しています。  我が国研究力強化を図るには、多様で卓越した知を生み出す基礎研究、学術研究振興とともに、若手を中心とする研究者研究に専念できる環境をつくることが重要です。  このため、本年三月に策定した科学技術イノベーション基本計画において、基盤的経費を始めとした機関の裁量で使用できる財源の確保充実、野心的な構想に専念できる環境を長期的に提供することで破壊的イノベーションをもたらし得る成果創出を目指す創発的研究支援事業の推進、内在的動機に基づく人文社会科学研究推進により多層的、多角的な知の集積を図るといった取組を位置づけたところです。  内閣府としては、関係省庁と連携し、これらの施策にしっかりと取り組むことで、多様な知の創出、拡大に向けて、基礎研究、学術研究振興研究環境充実を図ってまいります。
  122. 畑野君枝

    ○畑野委員 そこで、大臣、確認なんですけれども、これまでの選択と集中や研究費競争的資金化の方向性は見直していく、第六期基本計画がせっかく、真理の探究、基本原理の解明、新たな発見を目指す基礎研究と、個々の研究者の内在的動機に基づき行われる学術研究の卓越性、多様性というふうに言ったわけですから、そういった趣旨を生かすようにしていく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
  123. 井上信治

    井上国務大臣 具体的な政策をどのように振興していくかということは、しっかりこれからも検討してまいりますけれども、いずれにせよ、この基礎研究、学術研究、これは非常に重要だと思っていますので、しっかり振興してまいりたいと思います。
  124. 畑野君枝

    ○畑野委員 次に、若手研究者の問題です。  若手研究者研究環境の改善は、第五期期間中も繰り返し指摘されてまいりました。私も、質問で求めてまいりました。先ほど紹介したNISTEPの調査では、大学や公的研究機関における若手研究者や女性研究者の活躍できる環境整備では改善に向けた動きが見られるという結果が明らかにされています。  第六期基本計画では、若手研究者の置かれた研究環境に対する現状認識として、博士後期課程への進学率の減少、若手研究者の不安定な雇用、研究者研究時間の減少など、若手を始めとした研究者の置かれている環境の改善は大きな課題となっている、優秀な学生が経済的な側面やキャリアパスへの不安、期待に沿わない教育研究環境等の理由から博士後期課程への進学を断念する状況は、現在、大学研究現場に蔓延している漠然とした停滞感の象徴であり、中期的に我が国競争力をそいでいる、加えて、研究の多様性向上の観点から女性研究者の活躍が期待されているが、全研究者に占める女性研究者の割合は諸外国に比べて低い水準にあると述べています。  中でも、キャリアパスへの不安という観点は重要だと思います。後期博士課程修了後の、大学研究機関、あるいは企業研究職など、安定した雇用環境の下で自らの研究を十分に行える環境の整備が必要です。  ところが、政府の国立大学改革では、不安定な任期付雇用を増やすようなことが進められているということです。  そこで、文部科学省に伺います。  政府は、運営費交付金の基幹経費について、成果に係る客観、共通指標に対する実績に応じて再配分する仕組みを二〇一九年度から導入しました。この客観、共通指標には若手教員比率がありまして、任期付教員もカウントされるため、若手の任期付教員を増やせば比率が上がるということになるわけです。  例えば、京都大学の二〇一八年度の監事監査に関する報告書では、若手教員も十年たてばもはや若手ではなくなるとして、若手の任期付教員が任期後に常勤職になれる割合を限定し、それ以外は雇い止めするように求めている。国の施策によって、若手研究者の安定的な研究環境に逆行するようなことが行われているというのが現状です。  今、第四期中期目標期間の運営費交付金の在り方について議論をされておりますけれども、任期付教員を増やすような共通指標は見直すべきではないかと思いますが、いかがですか。
  125. 川中文治

    川中政府参考人 お答えいたします。  研究者キャリアパスは個々の状況により様々でございますが、一般的には、一定期間、任期付のポストで切磋琢磨し、基礎的な研究能力を向上させた後に、公正な評価を得て、任期なしのポストを得るという流れが多いと認識してございます。  研究力強化におきましては意欲ある若手研究者確保が重要ですが、我が国若手研究者の割合は減少傾向にあることを踏まえまして、第六期科学技術イノベーション基本計画におきましても、若手研究者育成、活躍促進に向けて、キャリアパスの明確化やテニュアトラック制の積極的な活用が盛り込まれており、これらの取組を通じて、大学本務教員に占める四十歳未満の教員の割合が三割以上となるということを目指すということとされているところでございます。  そうしたことを踏まえまして、国立大学法人運営費交付金の配分に当たっての評価指標の一つ若手研究者比率を設け、各大学の実績を評価しているところでございます。  なお、第四期の運営費交付金の在り方につきましては、現在、文部科学省において、評価指標の在り方も含めまして、有識者による検討会を設けて検討を行っているところでございます。  先ほど京都大学の例が示されましたが、京都大学では、御指摘の、京都大学の監事監査報告書だと思うんですけれども、こうしたことを踏まえまして、若手重点戦略定員事業が優秀な教員採用計画を活性化する起爆剤として非常に優れた取組であるとした上で、若手教員も十年たてばもはや若手ではなくなる、優秀な研究者育成、採用計画の中で、常に若手教員を採用できるような循環システムを構築することが重要である、拡充された若手教員ポストのうち何%にテニュアを与えるかといった全体像を描き、テニュア審査基準を定めることが望ましいといった記載がなされているところでございまして、意欲と能力のある若手研究者が継続的に任期のないポストに採用されていく仕組みに向けた提言がなされているものと承知しているところでございます。
  126. 畑野君枝

    ○畑野委員 問題点を指摘しましたので、今後、是非検討してください。  運営費交付金については、一、客観的に算定できる基礎的な部分、二、各大学の特有のミッション実現のために必要な部分、三、各大学の実績状況等に基づいて配分される部分の三つの枠組みに整理する方向で議論が行われていると伺っております。  国立大学協会からは、実績に基づく配分は、指標の評価を高くする方向に一律的にかじを切った経営をせざるを得なくなり、多様性が損なわれるなどの問題点が指摘されており、基幹的な運営費交付金の一部を毎年度傾斜配分する仕組みは廃止すべきだとしております。  こうした意見を踏まえて、見直しを進めるべきではありませんか。
  127. 川中文治

    川中政府参考人 お答えいたします。  国立大学法人運営費交付金における、成果を中心とした実績状況に基づく配分につきましては、国立大学成果や実績を相対的に評価することを通じまして、一層の経営改革を推進するため、令和元年度から導入したものでございます。  文部科学省といたしましては、国立大学における教育研究の継続性や安定性の確保は重要と認識している一方で、そうした観点とのバランスに留意しつつ、国民や社会に対して成果、実績を示し、それに基づく評価により配分する部分も必要であると考えているところでございます。  第四期の運営費交付金の在り方については、現在、文部科学省において有識者による検討会を設けて検討を行っているところでございますが、その中では、第四期に向けて更に各大学教育研究活動や法人全体としての経営の改善に向けた努力を促す仕組みという観点から、用いる指標や、評価に当たってのグループ分け等について、見直しの検討が必要ではないかといった意見も出ているところでございます。  今後、この検討会の議論を踏まえまして、また、国立大学の意見も伺いながら、第四期において、各国立大学の自律的な経営を支える運営費交付金の在り方について検討してまいります。
  128. 畑野君枝

    ○畑野委員 渡し切りでやるということがきちっとされていないということを含めて、この間の、本当に運営費交付金が減らされてきた、これを元に戻して更にという声に是非応えて、検討していただきたいと思います。  次に、博士課程修了者のキャリアパス環境整備でもう一つ触れたいのが、国立研究開発法人理化学研究所における職員の大量雇い止め問題です。  理化学研究所で働く職員の八割弱は、有期雇用職員であります。二〇一三年四月から労働契約法の無期転換ルールが導入されていますが、同年十二月に大学研究開発法人の研究者、教員等については無期転換権が発生するまでの期間を十年に延長する特例が設けられ、二〇一四年四月から導入されました。  そもそも無期転換ルールは、労働者が申し込めば有期雇用を無期雇用に転換し、雇用の安定を図ることがその趣旨です。ところが、理研は、この制度が導入されると就業規則を改定し、有期雇用の事務系職員には五年、研究職員には十年の雇用上限を一方的に押しつけるようなことを行いました。  今年の二月現在で、雇用上限がある事務系職員は五百八十二人、研究職員は二千二百六十八人にも上ります。これらの職員が、今後数年間に次々と雇用期間の上限を迎え、雇い止めされることになる。理研は、予算もあり、研究プロジェクトが継続していても、雇用上限が来たことを理由に雇い止めをしようとしていると伺っております。  理研の非正規雇用問題を解決するネットワークから萩生田光一文部科学大臣にも要望書が出されておりますが、この皆さんが実施したアンケート調査では、八七%が、雇用上限のみを理由とした雇い止めは不合理だと回答しています。  実は、いただいたパンフレットがあるんですけれども、この中に、理研で、新元素百十三番、ニホニウムを発見した森田浩介さんが文を寄せておられまして、もしも当時の理研がこのような雇用制度であったらニホニウムを発見することができなかったと思いますとおっしゃっているんです。森田さんは、現在、九州大学大学院教授で、元理研の労働組合執行委員長であったということなんですね。  伺いますけれども、こうした雇い止めは、雇用問題としては言うまでもなく、理研の研究力の維持発展を考えれば非常に大きな問題と考えますけれども、文科省、いかがですか。
  129. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 お答えいたします。  理化学研究所におきましては、研究開発プロジェクトの改廃等が生じても機動的に対応することができる人員の構成の観点、また、人材の流動性を伴う頭脳循環等を図る観点などを踏まえつつ、これまで、労働組合との協議も含め、適切に、職員との対話を重ねた上で、雇用上限を定めていると承知しているところでございます。  理化学研究所の研究力の維持発展観点からは、国家的、社会的ニーズの高い研究推進するために、プロジェクトの改廃等の都度、適切な人材を結集させていくことが求められておりまして、人材の流動性を一定程度確保していくことが必要であるというふうに認識してございます。
  130. 畑野君枝

    ○畑野委員 それでは、雇用の安定をどういうふうにするんですか。  ちょっと伺いますけれども、国立研究開発法人の研究職の雇用環境がこんな任期付雇用では、研究者を目指そうという学生は増えるはずがありません。雇用上限を撤廃するように理研に求めるべきではありませんか。希望する非正規職員の安定した雇用を確保するために、無期転換した場合の人件費の増額分を確保してほしい、そういう声をいただいております。いかがですか。
  131. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 お答えいたします。  独立行政法人である理化学研究所におきましては、法人の自主性、自律性の下に業務運営が行われることが基本となってございます。  法人の職員の雇用につきましても、研究成果の最大化のための法人としての経営方針と総合的な判断の下に、労働関係法令に基づき、法人において適切に判断すべきものと考えているところでございます。  また、無期転換をした場合の人件費につきましても、法人である理化学研究所できちんと対応していただくものと承知しているところでございます。
  132. 畑野君枝

    ○畑野委員 それでは、一体、理研の雇用をどういうふうに守ろうと考えているのか。もう一回確認です。どうするつもりですか。
  133. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 繰り返しとなりますけれども、理化学研究所は、法人として、自主性と自律性の下に業務を運営するということでございますので、理化学研究所において適切に判断をしていただきたいということでございます。
  134. 畑野君枝

    ○畑野委員 国としての支援はどういうふうに考えているんですかということです。
  135. 塩崎正晴

    塩崎政府参考人 国としては、必要な経費は理化学研究所の方に運営費交付金等として配分をさせていただいているところでございます。
  136. 畑野君枝

    ○畑野委員 それも含めて、こういったことが起こらないように、ちゃんと対策支援をしていただきたいということを申し上げておきます。  次に、第六期科学技術イノベーション基本計画、安全、安心に関するシンクタンク機能について伺います。  第六期科学技術イノベーション基本計画は、安心、安全に関する新たなシンクタンク機能の体制を構築し、今後の安全、安心に係る科学技術戦略や重点的に開発すべき重要技術等の政策提言を行う、そのために、二〇二一年度より新たなシンクタンク機能を立ち上げ、二〇二三年度をめどに組織を設立し、政策提言を実施するとしています。  この新たなシンクタンク機能は、どのような議論を踏まえて第六期基本計画に盛り込まれたのか、伺います。
  137. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のシンクタンク機能につきましては、イノベーション政策強化推進のための有識者会議「安全・安心」の下に、シンクタンク機能検討ワーキンググループを令和二年三月に設置し、我が国及び国民の安全、安心の実現に向け、戦略的に育てるべき重要技術等に関する政策に資する提言を行うために、必要な機能の検討を行ったものでございます。  検討結果につきましては、国及び国民の安全・安心の確保に向けた科学技術活用に必要なシンクタンク機能に関する検討結果報告書として取りまとめ、本年四月の統合イノベーション戦略推進会議において報告されたところでございます。  本報告書を踏まえ、現在、新たなシンクタンク機能を本年度中に立ち上げるべく、関係府省庁と連携しつつ、準備を進めているところでございます。
  138. 畑野君枝

    ○畑野委員 このシンクタンクが政策提言を行うとされる安全、安心に係る科学技術戦略や重点的に開発すべき重要技術とは、具体的に何でしょうか。軍事研究や軍事転用可能な技術なども含まれるのでしょうか。
  139. 柳孝

    ○柳政府参考人 お答え申し上げます。  昨年七月に閣議決定された統合イノベーション戦略二〇二〇や本年三月に閣議決定された第六期科学技術イノベーション基本計画においては、安全、安心の対象として、大規模化、長期化、激甚化する自然災害、感染症の世界的流行、国際的なテロ、犯罪や、サイバー攻撃といった課題が示されているところでございます。  こうした課題を解決するために、安全、安心の視点から育て、守るべき重要技術としては、例えば量子AIマテリアルといった先端的な基盤技術が想定されるところでございます。
  140. 畑野君枝

    ○畑野委員 新たなシンクタンクについて議論したワーキンググループの構成員は七人いるんですけれども、そのうち三人は、防衛政策、安全保障政策などに関わる方ですよ。だから、このシンクタンクは、軍事転用に資する民生分野研究を見つけ出して、それを利活用するための政策提言を行うことも目的としていると言わざるを得ません。  日本科学技術を軍事に結びつけようという政府の動きに対して、軍事研究を行わないとした日本学術会議政府に従わせようという意図が、今回の任命拒否問題の背景にあると私は言わざるを得ません。  大臣に伺います。  井上大臣は所信挨拶で、日本学術会議の在り方の見直しについては触れましたが、委員の任命拒否問題については一切触れませんでした。  日本学術会議の「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」は四月二十二日に公表されましたが、百五人の任命が九十九人にとどまっている現状は、任命行為が法的には終了した状態とは言えないというふうに思います。  大臣はどのように認識されていますか。
  141. 井上信治

    井上国務大臣 日本学術会議法は、定年による退職を定めるなど、会員が二百十人いる状態を常に満たしていることを求めているものではないと認識しています。また、実際に欠員のある状態においても、会員の推薦や会長の互選など、日本学術会議において必要な意思決定は行われていると承知をしております。  なお、先般の日本学術会議会員の任命行為が終了したか否かにつきましては、内閣総理大臣の権能であることから、私が答弁する立場にはありませんが、官房長官が、推薦された者の扱いを含めて任命権者である内閣総理大臣が最終判断したものであることから、一連の手続は終了しているものと考えていると答弁されたことは承知しています。
  142. 畑野君枝

    ○畑野委員 日本学術会議からは、詳しい説明も受けていないということです。  そこで、伺います。  二〇一八年九月二十日付で学術会議事務局が作成した、内閣法制局の見解を求めることとした経過についてというものがあります。二つのことが書かれておりますが、その二つ、おっしゃってください。
  143. 福井仁史

    福井政府参考人 回答させていただきます。  先生御指摘のもの、内閣法制局の見解を求めることとした経緯についてという平成三十年九月二十日付の文書かと思います。既に昨年十二月に御要求のありました議員のところに提出済みのものでございますが、この中で、学術会議の方から内閣法制局の方に、次の二点について見解を伺いたいというメモがございます。  二点。1日本学術会議から内閣総理大臣に推薦された補欠会員の候補者一人について内閣総理大臣が会員に任命しないことが法的に許容されるか否か、2今後、選考、任命手続の見直しにより、日本学術会議から一人の会員の欠員当たり複数名を内閣総理大臣に推薦することとした場合、内閣総理大臣が推薦順位が下位の者を任命することが法的に許容されるか否か、この二点について伺いたいとしているところでございます。
  144. 畑野君枝

    ○畑野委員 つまり、一貫した解釈だとおっしゃっているんだけれども、であるならば、こんなことを法制局にお伺いを立てる必要はないんですよね。法解釈をねじ曲げるための後づけの理屈だと言わなくてはなりません。  私は、日本学術会議の推薦どおり、直ちに六名を任命すること以外に解決の方法はないということで、菅義偉総理大臣に一刻も早く会員の任命を行うように進言し、この異常事態を解消するよう井上大臣からも役割を発揮していただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。      ――――◇―――――
  145. 田嶋要

    田嶋委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術イノベーション推進の総合的な対策に関する件、特に我が国の半導体産業を取り巻く諸状況及び科学技術イノベーション推進の今後の在り方について調査のため、来る六月一日火曜日午前九時、参考人として国立研究開発法人理化学研究理事原山優子君、成城大学社会イノベーション学部・研究科教授、一橋大学名誉教授、日清紡ホールディングス社外取締役中馬宏之君、微細加工研究所所長湯之上隆君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 田嶋要

    田嶋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る六月一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会