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2021-04-06 第204回国会 衆議院 安全保障委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    令和三年四月六日(火曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 若宮 健嗣君    理事 小田原 潔君 理事 大塚  拓君    理事 長島 昭久君 理事 宮澤 博行君    理事 山本ともひろ君 理事 重徳 和彦君    理事 村上 史好君 理事 浜地 雅一君       岩田 和親君    江渡 聡徳君       大岡 敏孝君    大串 正樹君       大西 宏幸君    大野敬太郎君       門山 宏哲君    神山 佐市君       黄川田仁志君    塩谷  立君       竹本 直一君    中谷  元君       西銘恒三郎君    原田 憲治君       山下 貴司君    柿沢 未途君       篠原  豪君    武内 則男君       本多 平直君    屋良 朝博君       佐藤 茂樹君    赤嶺 政賢君       杉本 和巳君    大塚 高司君     …………………………………    外務大臣         茂木 敏充君    防衛大臣         岸  信夫君    内閣官房長官      坂井  学君    内閣府副大臣       赤澤 亮正君    防衛大臣        中山 泰秀君    外務大臣政務官      鈴木 隼人君    厚生労働大臣政務官    こやり隆史君    国土交通大臣政務官    鳩山 二郎君    防衛大臣政務官      大西 宏幸君    防衛大臣政務官      松川 るい君    会計検査院事務総局第二局長            山口  亨君    政府参考人    (内閣官房内閣審議官)  松本 裕之君    政府参考人    (内閣官房内閣参事官)  山本 英貴君    政府参考人    (内閣官房領土主権対策企画調整室土地調査検討室長)           中尾  睦君    政府参考人    (警察庁長官官房審議官) 猪原 誠司君    政府参考人    (外務省大臣官房審議官) 曽根 健孝君    政府参考人    (外務省大臣官房参事官) 有馬  裕君    政府参考人    (外務省総合外交政策局長)            山田 重夫君    政府参考人    (外務省アジア大洋局長)            船越 健裕君    政府参考人    (外務省アジア大洋局南部アジア部長)      小林 賢一君    政府参考人    (外務省経済局長)    四方 敬之君    政府参考人    (外務省国際法局長)   岡野 正敬君    政府参考人    (厚生労働省大臣官房審議官)           岩井 勝弘君    政府参考人    (海上保安庁総務部長)  宮澤 康一君    政府参考人    (海上保安庁警備救難部長)            瀬口 良夫君    政府参考人    (防衛省防衛政策局長)  岡  真臣君    政府参考人    (防衛省整備計画局長)  土本 英樹君    政府参考人    (防衛省地方協力局長)  鈴木 敦夫君    政府参考人    (防衛装備庁長官)    武田 博史君    安全保障委員会専門員   奥  克彦君     ――――――――――――― 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   大野敬太郎君     神山 佐市君   照屋 寛徳君     武内 則男君 同日  辞任         補欠選任   神山 佐市君     大串 正樹君   武内 則男君     照屋 寛徳君 同日  辞任         補欠選任   大串 正樹君     黄川田仁志君 同日  辞任         補欠選任   黄川田仁志君     大野敬太郎君     ――――――――――――― 四月五日  防衛省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第一九号) 三月十五日  戦争法安保法制)を即時廃止することに関する請願(穀田恵二君紹介)(第三〇九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  会計検査院当局者出頭要求に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  防衛省設置法等の一部を改正する法律案内閣提出第一九号)  国の安全保障に関する件      ――――◇―――――
  2. 若宮健嗣

    若宮委員長 これより会議を開きます。  この際、岸防衛大臣から発言を求められておりますので、これを許します。岸防衛大臣
  3. 岸信夫

    岸国務大臣 おはようございます。  今国会に提出いたしました防衛省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  国会提出資料に含まれる参照条文において、本来、カナダ軍隊と記載すべき部分のうち、一か所を英国軍隊と記載する誤りがありました。  原因については、資料作成手順の不徹底と作成資料確認不足によるものと報告を受けております。  このような誤りは、法案の御審議をお願いする立場としてあってはならないことであり、誠に遺憾であります。  防衛省として、今後、このような誤りを起こさないよう、再発防止を徹底してまいります。      ――――◇―――――
  4. 若宮健嗣

  5. 若宮健嗣

    若宮委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     ―――――――――――――
  6. 若宮健嗣

    若宮委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。
  7. 西銘恒三郎

    西銘委員 今日は、尖閣諸島に関する質問を行いたいと思います。  地元石垣市の資料によりますと、尖閣諸島には、無人島で住民登録者はおりませんけれども、本籍地としている戸籍数が、この五つの島にトータルで四十八、在籍の人数が七十六名おるという石垣市の資料であります。  そこで、地元石垣市や市議会からは、様々な意見書決議要請等がたくさん出ております。例えば、尖閣に灯台を建設してほしい、あるいは気象観測の施設を設置してほしい、さらには、環境生態系調査をしてほしい、水産資源調査をしてほしい、あるいは漁船避難所を造られないか、さらには最近では、日本台湾関係法を制定してほしいという要望まで出てきております。  そして、尖閣戦時遭難者、一九四五年の六月末から、石垣から疎開船が二隻出ております。疎開船は普通九州に疎開するかと思うんですけれども、石垣からは、当時、台湾に向かって二隻の疎開船が出ております。その疎開船台湾に向かっていく途中で銃撃に遭って、一隻が沈没して、一隻が、台湾と与那国島の間には黒潮の源流がありまして、遭難船がこの黒潮に乗ったのか、魚釣島遭難をした。そこで百何十名余りの方が生き延びていくわけですけれども、銃撃でやられたり、あるいは栄養失調で弱い人たちが、資料によりますと、七十五名ぐらいが島で亡くなっているという話もあります。  そこでの慰霊祭地元市長からはさせてほしいと。一九六九年、昭和四十四年には、当時の市長魚釣島上陸をして慰霊祭を行っているという事実もあります。このように地元からは様々な要望、最近、尖閣地番をそれぞれつけたということで、地番標柱を建立させてほしいという要望もありますが、ここでは総合的に判断をして慰霊祭一本に絞ってお伺いをしたいと思います。  なぜ、魚釣島尖閣戦時遭難者慰霊祭ができないのか。まず、厚生労働省見解伺います。
  8. こやり隆史

    ○こやり大臣政務官 お答え申し上げます。  まず、我々が享受しております平和と繁栄は、祖国を思い、家族を案じつつ、さき大戦において犠牲となられた方々の尊い犠牲の上に築かれたものであることを決して忘れてはならないというふうに思っております。  その上で、戦没者追悼につきましては、これは国内各地で、地方自治体あるいは遺族関係の皆様がそれぞれ慰霊行事実施されているというふうに承知をしているところでございまして、さき大戦の記憶を風化させることなく、次の世代に継承していく上で大切な取組であると理解をしております。  国といたしましては、こうした個々の慰霊行事に対しまして個別に支援をするということではなく、八月十五日におきまして、さき大戦の全戦没者に対し、国を挙げて追悼の誠をささげるために、政府主催による全国戦没者追悼式を開催しているところでございます。  今後とも、全国戦没者追悼式実施することによりまして、全戦没者に哀悼の誠をささげてまいりたいというふうに考えております。
  9. 西銘恒三郎

    西銘委員 沖縄県でも、沖縄県全体での慰霊祭は、慰霊の日、六月二十三日に行っております。石垣石垣で行っておりますが、地元要望としては、昭和四十四年に続いて、是非とも魚釣でやりたいという強い要望であります。ですけれども、政府の、官房長官の公式な答弁では、上陸は認めないということも伺っております。  それでは、少し視点を変えて、尖閣諸島我が国固有領土であると、歴史上も国際法上も。それを、一般論として、国有地である魚釣島政府職員上陸することは可能なのか。昨今、大変現場は厳しい状況が続いておりますが、我が国固有領土である尖閣諸島有効支配強化政府姿勢を明確に示すという意味でも、内閣官房の御答弁をよろしくお願いしたいと思います。
  10. 山本英貴

    山本政府参考人 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、歴史的にも国際法上も尖閣諸島我が国固有領土でございます。現に、我が国はこれを有効に支配しているところでございます。  尖閣諸島及び周辺海域を安定的に維持管理するための具体的な方策につきましては、様々な選択肢があろうかと存じます。実際にどのような方策を取るかにつきましては、戦略的な観点から判断が必要でございますけれども、いずれにしましても、必要な施策ちゅうちょなく適時適切に講じてまいりたいというふうに考えてございます。  今後とも、国民生命財産及び我が国領土領海領空断固として守るという方針の下、冷静かつ毅然対応してまいりたい、そういうふうに考えてございます。
  11. 西銘恒三郎

    西銘委員 一般論として、我が国固有の、国有領土であるところに政府職員が、上陸という言葉が駄目であれば、行くことは可能かどうかぐらいは答えられませんか。一般論ですよ。
  12. 山本英貴

    山本政府参考人 お答え申し上げます。  やや繰り返しになりますけれども、尖閣諸島周辺海域を維持管理する具体的な方策、先生もおっしゃることも含めて、様々な選択肢があろうかと考えてございます。必要な施策ちゅうちょなく適時適切に講じてまいりたいというふうに考えてございます。
  13. 西銘恒三郎

    西銘委員 ちょっと弱いですね。なぜ我が国固有領土上陸できないのか。  次に、中国は、尖閣諸島台湾について核心的利益という表現を使っております。私は、この言葉を、百年かかろうが、二百年かかろうが、必ず領土を奪取するという強い国家意思を明確に示していると理解をしております。昨今の中国尖閣諸島での動きを見ると、私は、百年、二百年どころか、もう五、六年のうちに何か起こるんじゃないかという非常な危機感を感じております。  中国核心的利益という表現を、外務省領土奪取国家意思として認識しているのか。この中国の極めて強硬な姿勢に対する外務省対応を聞かせていただきたいと思います。
  14. 鈴木隼人

    鈴木大臣政務官 中国海警船舶が累次にわたり尖閣諸島周辺我が国領海侵入をし、日本漁船に接近しようとする動きを見せていることは、誠に遺憾であります。  認識についてのお問合せをいただきました。  力による一方的な現状変更試み、これは断じて認められません。尖閣諸島周辺我が国領海内での独自の主張をする海警船舶活動国際法違反であり、中国側に厳重に抗議してきておりますし、先般行われた日米外相会談及び日米プラス2においても強いメッセージを発しているところであります。  我が国領土領海領空断固として守り抜くという決意の下、今後とも冷静かつ毅然と対処してまいります。
  15. 西銘恒三郎

    西銘委員 私は今、こういう尖閣現場、大変厳しい状況下にあると認識はしておりますが、今できることは絶対に中国上陸させないことだというふうに考えております。  外務大臣外交責任者として、国民に対して、絶対に中国尖閣上陸させないんだという強い決意表明、お考えを聞かせてください。
  16. 茂木敏充

    茂木国務大臣 尖閣歴史的にも国際法上も我が国固有領土であります。領有権、議論すべき問題は全くありません。  我が国領土領海領空毅然として守り抜く、その考えは一貫いたしております。
  17. 西銘恒三郎

    西銘委員 海上保安庁現場で頑張っている方々には心から敬意を表します。  中国漁船南シナ海に二百隻いるという報道もあります。フィリピンとの関係が、緊張が高まっているという報道もあります。中国海警局の船が漁船一緒になって、南シナ海でも東シナ海でも同じことを繰り返しているような印象を強く受けます。  そこで伺いますが、中国海警局船舶総数海上保安庁船舶総数がどうなっているのか。さらに、中国海警局の全ての船舶漁船、二百から三百あるという漁船一緒尖閣諸島に襲来した場合、現場を預かる海上保安庁として対応ができるのかどうか。お伺いをいたします。
  18. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えをします。  海上保安庁では、千トン以上の中国海警局に所属する船舶等は、令和二年十二月末時点において約百三十隻あると認識しております。  一方、海上保安庁は、令和二年度末時点において三百八十二隻の巡視船艇を保有しており、そのうち千トン以上の大型巡視船は六十九隻となります。また、平成二十八年十二月に関係閣僚会議において決定された海上保安体制強化に関する方針に基づき、更に大型巡視船七隻を建造中であります。  中国海警局に所属する船舶対応に当たっては、増強整備した勢力も活用しつつ、必要に応じて全国から巡視船を応援派遣して、常に相手隻数より多い巡視船を配備するなど、十分な体制を確保して領海警備に万全を期してまいります。
  19. 西銘恒三郎

    西銘委員 千トン以上の船が六十六隻、プラス三としても六十九隻。百三十隻に物理的に対応できるのかなという不安を国民は抱くと思います。  そこで、国土交通大臣政務官、この状況安全保障環境も総合的に考えると、中国と同数以上の千トン以上の船を持つべきではないかと考えるのが一般的だと思いますが、御見解をお伺いします。
  20. 鳩山二郎

    鳩山大臣政務官 お答えをさせていただきます。  大型巡視船整備につきましては、船舶隻数差だけでなく、中国海警局等の動静など様々な状況を踏まえながら、しっかりと計画的に進めていく必要があります。  そのような中、平成二十八年十二月に関係閣僚会議において決定された海上保安体制強化に関する方針に基づき、大型巡視船整備を計画的に進めており、現在、六十九隻の大型巡視船を保有し、七隻の大型巡視船を建造しているところであります。  いずれにいたしましても、海上保安庁は、一層厳しさを増す情勢の中であっても、我が国領土領海断固として守り抜くため、今後とも、海上保安体制強化に関する方針に基づく体制強化を着実に進め、領海警備に万全を期してまいります。
  21. 西銘恒三郎

    西銘委員 先日、自民党の部会関係で有識者二人から意見を聞く機会がありました。台湾尖閣でどちらが紛争が発生するかという問いに対して、一方は尖閣の方が先だ、一方は台湾の方が先だというような御答弁もあります。  このように、危機管理は最悪を想定しないといけないと思いますが、現場を守る海上保安庁自衛隊との共同訓練はどうなっているのか、お伺いします。
  22. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えをします。  海上保安庁尖閣諸島周辺海域領海警備を円滑に実施していくためには、自衛隊等関係機関連携することが重要であると認識しております。  特に、自衛隊との間では、捜索救助海賊対処共同運用に加え、各種共同訓練等実施連携を深めており、本日も若狭湾において不審船に係る共同対処訓練実施することとしております。本訓練平成十一年度から実施しており、今回で十九回目となります。  引き続き、自衛隊を始めとする関係機関との情報共有連携強化各種訓練の充実など必要な取組を推進し、領海警備に万全を期してまいります。
  23. 西銘恒三郎

    西銘委員 防衛大臣伺いますが、日華議員懇談会は衆参三百名近くの国会議員が超党派で参加をしております。先日の総会で、日本米国台湾戦略対話開催目標活動方針に明記いたしました。尖閣諸島台湾東シナ海南シナ海、この安全保障環境考えると至極自然な流れだと考えております。  そこで伺いますが、尖閣諸島周辺海域での日米合同訓練は行われておりますか。お伺いします。
  24. 岸信夫

    岸国務大臣 自衛隊米軍については、これまでも尖閣諸島周辺を含む南西方面共同訓練を多数実施をしております。  一つ例を申し上げますと、先月十五日にも、那覇の北西部東シナ海上空において、航空自衛隊米軍戦闘機空中給油機との間で共同訓練を行いました。このような訓練によって、自衛隊の戦術の技量の向上米軍との連携強化といったものを図ることができました。これらの取組を通じて、地域の平和と安定に向けた日米の一致した意思能力を示してきていると考えております。  日米共同訓練については、先般の日米防衛相会談においても、日米同盟抑止力対処力を高めるためには、より高度な訓練を通じて、自衛隊米軍の双方が即応性強化していくことが重要であるということで一致したところでございます。  防衛省自衛隊としても、先般の日米プラス2や防衛相会談を踏まえながら、引き続き、各種共同訓練を着実に積み重ねて、日米同盟抑止力対処力を不断に強化するとともに、日米が共に行動するという姿を示してまいりたいと考えています。
  25. 西銘恒三郎

    西銘委員 大臣日米以外に、イギリス、カナダ、オーストラリア、これらも含めた合同訓練をするという予定はありますか。お伺いします。
  26. 岸信夫

    岸国務大臣 近年、我が国と諸外国との防衛協力進展をしてきております。各自衛隊においては、豪州、英国、インド、カナダ、こういった国々軍隊とも、我が国周辺海空域を含む様々な場所において共同訓練実施をしております。  このような防衛協力進展において、これも一例を挙げますと、本年二月、日英プラス2において、空母打撃群東アジア訪問日英防衛協力を新たな段階に引き上げる機会となるように協力していくことを確認しました。この機会共同訓練実施に向けて調整をしていくことで一致をしたところでございます。  防衛省自衛隊として、各国との防衛協力交流進展の中で、各種共同訓練実施に積極的に取り組んでいく考えであります。共同訓練実施するに当たっては、相手方の事情等も踏まえつつ、訓練の内容や実施の時期や場所、規模といったものをじっくり検討してまいりたいと考えます。
  27. 西銘恒三郎

    西銘委員 尖閣周辺台湾海峡を含めたこの地域は非常に危険度が高まっていると私は認識をしております。  この委員会の場で、この状況に対する何らかの決議を取れないものか。委員長にお取り計らいをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  28. 若宮健嗣

    若宮委員長 後刻、理事会で協議させていただきます。
  29. 西銘恒三郎

    西銘委員 私の友人で、尖閣に十二月に行き、二月に行き、つい先日、四月にも行った、過去十五、六回行っている友人の話を聞きますと、かつて中国の船は、尖閣に向かっても、船の甲板の上から手を振ったり写真を撮ったり、非常にのんびり感があったと言っておりますが、最近は、衛星で察知しているのか、接続水域に入る時点でピンポイントで待ち構えている、統制が非常に取れていて、かつてのような甲板上に出てきているような状況は全くないという危機意識を訴えてきております。  さらには、宮古島の漁船なども、尖閣海域に漁業に行って本当に危機感を感じている、こういう厳しい状況にあるということを是非認識して、現場の海保の皆さんには大変心から敬意を表しますが、絶対に中国上陸させないということを守っていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  30. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、重徳和彦君。
  31. 重徳和彦

    重徳委員 立憲民主党安全保障部会長として、安全保障政策に関する所信を申し上げます。原稿は、各委員の席上に配付させていただいております。  私は、我が国を取り巻く現下の安全保障環境の急速な変化と米中二大国時代を見据え、日本国内政治情勢にかかわらず、我が国国際社会で揺るぎない立場を堅持することが不可欠と考え、二大政党政治における安定した政権移管と、先進国としての外交安全保障の在り方に関する大局的な論戦を期すとともに、我が国防衛政策への文民統制民主的コントロール強化することを目的として、この所信を発表するに至った次第です。  我が党は、専守防衛に徹するとともに、国民領土主権を守るため、我が国自身防衛体制整備するとともに、健全な日米同盟外交安全保障の基軸として、多国間協力を推進し、平和で安全なアジア太平洋を実現します。特に、日米関係を重視する米バイデン政権との協調により、抑止力対処力を今まで以上に強化してまいります。  現代の国際社会は、自由と平和、民主主義と人権を尊び、国際秩序の安定のために定めたルールを重視し、法の支配などの基本理念を基調とするものであるべきです。我が党は、厳しい安全保障環境において、こうした基本的価値を共有する世界中の国々と連帯する戦略的国際協調主義を進め、国民生命財産及び我が国領土領海領空断固として守り抜いてまいります。  特に、南西諸島海域等における力による現状変更試みには毅然として対処するとともに、日米豪印に加え、欧州やASEANとの協力関係を強めるために我が国が主体的な役割を果たしつつ、真に実効性ある防衛力強化を実現します。  歴史上も国際法上も明確に我が国固有領土である沖縄石垣市の尖閣諸島周辺において中国公船領海侵入漁船追尾を繰り返していることは、明確な国際法違反です。  特に、本年二月に施行された中国海警法は、定義の不明確な管轄海域において公船を含む他国船舶への武器使用を認めるものであり、国際法を逸脱するものです。  我が党は、いわゆるグレーゾーン事態において、力の空白を生じさせず、切れ目のない対応を取るため、海上保安庁能力向上を進め、米国沿岸警備隊との合同訓練等実施するとともに、過去に野党が提出した領域警備法案参考に、海上自衛隊との連携強化のための新たな法整備を検討するなど、適切に対応する体制整備します。  また、中国との間で偶発的衝突を避けるため、海空連絡メカニズムを機能させるとともに、日米安保条約に基づく米国との連携をより強固なものとし、友好国との実践的な共同訓練など協力体制強化していきます。  そもそも中国との関係は、人の往来、経済、文化の交流が盛んであり、両国が政治外交面でも一衣帯水の良好な隣国関係となることを望みます。  しかしながら、中国の不透明かつ急速な軍事力の増強や各海域における活動は、周辺国の安全保障に重大な懸念をもたらしており、我が国国際社会協調して対処していきます。  香港や新疆ウイグル、チベットなどの問題を抱える中国には、ルールと法の支配を重視する国際社会において、今後、責任ある大国としての振る舞いが求められます。  我が国は、気候変動や災害対策等の分野においても中国との連携強化するなど、非伝統的安全保障政策も推進すべきです。  北朝鮮では、今年一月の朝鮮労働党大会で金正恩委員長が、核先制攻撃能力の高度化や戦術核兵器に言及しました。同国は、我が国を射程に収める弾道ミサイルを数百発保有し、関連する技術や運用能力向上を図っているとされています。三月二十五日に約一年ぶりに弾道ミサイル発射が行われたことは、我が国地域の平和と安全を脅かすものであり、断じて容認できません。  我が党は、引き続き、米国など国際社会連携して、朝鮮半島の完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を目指します。  中国では急速に科学技術水準が向上し、例えば、AI兵器、次世代戦略兵器、自律型ドローン等の開発、また5G等の通信技術の進歩といった状況の中、軍民融合を掲げ、経済的、技術的な覇権の追求と国家安全法制のような体制整備を進めています。こうした背景の下、米国中国との経済的取引等において格段に厳しい措置を取り始めています。  我が党は、こうした経済、技術の進歩が安全保障面に与える影響や米国の動向を十分に考慮するとともに、武力行使を中心とした従来の戦力や戦術が変化しつつあることに的確に対応するため、国内産業界と連携し、我が国の技術の優位性の確保と企業に対する経営規範を指し示すルール形成戦略の強化により、経済安全保障の確立に取り組みます。  また、国際的な取組の進む気候変動問題が化石燃料依存にもたらす変化や、資源国との関係やシーレーンへの影響、環境技術の格差、先進国と途上国との利害衝突などによる国際秩序への影響を見極め、総合的な外交安全保障政策に取り組みます。  防衛施設などの重要施設周辺の土地や対馬などの国境離島、日本各地の農地や山林、水源地などが外国資本に買収される状況がかねてより指摘され、我が国安全保障上の懸念が広がっています。今国会提出の重要土地等調査法案に規定される調査、規制の対象や内容が我が国安全保障にとって実効性あるものかどうか十分に審査してまいります。  我が国防衛産業は多くの課題を抱えています。防衛装備品を米国FMS等の海外調達に過度に依存すれば、防衛予算の国内配分が減り、各企業の利益や研究開発費が減少し、単価上昇や防衛分野からの撤退を招きます。バランスの取れた調達戦略が必要です。  デュアルユースや新領域における優位性確保、装備品の無人化、小型化に対応し得る国内の技術、産業基盤の強化のため、防衛装備庁を中心に、FMS調達の合理化を進めるとともに、研究開発体制を充実させ、技術者を育成し、防衛産業を再編強化する必要があります。  防衛装備品の海外移転については、民主党政権以降、我が国安全保障強化のための共同開発、国際協力の観点から実施する方針が明確化されましたが、今後は、デュアルユース技術を含む重要技術の流出防止に取り組みつつ、世界の最新の状況に適切に対応したスペックの装備品の開発、生産を、国内の産業、技術基盤を整備しつつ行う必要があります。  また、当委員会を中心とした国会の場で防衛装備品への予算配分の議論を深化させるべきです。例えば、昨年十月に発表された米国海軍のバトルフォース二〇四五構想など他国の将来的な動向を注視しつつ、我が国の強みである潜水艦の増強や、多様な任務をこなしコンパクト化、省人化したFFM導入、艦艇の無人化などについて、中期防と関連づけ、戦略的な議論を掘り下げるべきです。  二〇一〇年防衛大綱において、冷戦期以来の基盤的防衛力を動的防衛力に転換し、島嶼防衛などを念頭に、情報収集や警戒監視の能力を高め、限られた防衛力を機動展開して、統合的な部隊運用を行う考え方が取られ始めました。  二〇一三年大綱では、更に多様な活動にシームレスに対応する統合運用の考え方をより徹底した統合機動防衛力が打ち出され、二〇一八年大綱の多次元統合防衛力では、陸海空という従来領域のみならず、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域分野における対処能力を高め、これらを組み合わせた領域横断作戦が掲げられました。  こうした流れを踏まえ、特に、新たな領域分野においては、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にしたハイブリッド戦を含む多様な手段への複雑な対応が求められることから、我が党は、新たな各領域における秩序と安定に資する基本方針を策定すべきと考えます。  宇宙については、早期警戒、通信、測位、偵察機能を持つ各種衛星を各国が増強する中、他国の衛星を無力化するキラー衛星や増加するスペースデブリに対処するため、国際的な宇宙空間の安定的利用ルールを確立し、新たな衛星の打ち上げ等による我が国の宇宙利用の優位性や極超音速兵器等の監視機能を確保する必要があります。  サイバー領域では、防衛組織や政府機関のみならず、民間事業者の情報流出を狙ったサイバー攻撃が日常的に行われ、その攻撃主体も意図も判別困難なケースが多く、従来の専守防衛や武力攻撃の概念との整合が求められます。ハイブリッド戦を含むサイバー攻撃への対処に当たっては、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCと緊密に連携する必要があります。  電磁波は、指揮通信、警戒監視、情報収集、ミサイルの精密誘導等に利用され、近年では電磁波の利用への妨害手段などが増える中、電磁波領域における優越を確保するため、各種システム開発、導入を進める必要があります。  ドローンについては、偵察、情報収集用のみ導入されており、諸外国より遅れているのが実情です。ドローンは、自衛隊員の定員減問題を緩和できるとともに、小型で安価なため、収容、整備、運用に要する施設も小さく、攻撃を受けた際の被害も極小化できます。今後、配備、運用に関する計画を早急に策定すべきです。  3Dプリンターによる小型装備品の製造や部品補給が現実化するなど、軍事科学技術が革命的に進歩する中、最先端の戦略への我が国対応について、国会政府における十分な議論が必要と考えます。  イージス・アショアは、平成二十九年の日米首脳会談後、突如導入を決定された後、ずさんな分析や説明が露呈し、配備予定地との信頼醸成にも失敗した末、ブースター落下制御問題を理由に配備の撤回に追い込まれたものであり、政府の大失態です。  代替策として検討が進められているイージスシステム搭載艦は、費用膨張や技術的な有効性が強く危惧されています。米企業と契約済みのSPY7レーダーの不透明な選定過程についても説明責任が求められます。  また、搭載艦では、イージス・アショア導入の理由としてきた二十四時間三百六十五日の常時監視、防護の役割を果たせず、海上自衛隊の負担軽減どころか、更なる乗組員の確保さえ必要となり、負担を増すものであって、イージス・アショアの代替策とは到底なり得ません。南西諸島等の防衛体制への影響も懸念され、政府我が国安全保障をどこまで真剣に考えているのか疑問です。  我が党は、巨額の国費を伴うイージス・アショア政策の迷走が、もはや取り返しのつかない段階に入りつつあることを強く危惧しており、政府の責任を厳しく追及し、国民の税金の使途を監視する国会の役割を果たしてまいります。  日米同盟は、専守防衛を国是とする我が国防衛力を補完し、米国による拡大抑止によって、東アジアにおける我が国抑止力を確保するものであり、まさに我が国安全保障の基軸です。  日米安全保障条約や日米地位協定などに基づく我が国の役割や負担の在り方については、米国との間で、抑止力を維持しつつ、検証と見直しの議論が必要と考えます。  在日米軍駐留経費負担協定については、現行の特別協定を来年三月まで一年間延長する議案が承認されたところです。  次の数年間の協定延長を議論するに当たっては、他の同盟国との負担割合の比較、米政権の交渉姿勢などの情報を明らかにした上で、他の防衛予算との兼ね合い、最大の負担項目である労務費による現場日本人従業員の処遇を検証することが、日米同盟をより強固にする観点からも重要です。  在日米軍専用施設面積の七割が集中する沖縄の過重な負担を軽減し、各地の基地周辺地域、住民の安心、安全を守るため、米国と真摯に交渉を行い、日米地位協定の改定を進めます。また、他国における地位協定の在り方や実情を参考に、補足協定の締結など住民保護を強化するためのあらゆる方策を検討します。  沖縄の民意を尊重し、軟弱地盤などの課題が明らかになった辺野古移設工事は中止します。その上で、沖縄の基地の在り方を見直し、米国に再交渉を求めます。  世界一危険な基地とされる宜野湾市の普天間飛行場の確実な返還を目指し、民主党政権時の教訓を踏まえ、注意深く進めてまいります。  最後に、我が党は、国家防衛の根幹を担うのは約二十五万人の自衛隊員であり、その処遇や基礎的な任務環境を改善するとともに、高額な装備品調達により、既に保有する装備品の維持整備費にしわ寄せが来る、いわゆる共食い整備により運用に影響が生じる問題などを解決するため、これまで以上に十分な予算配分や制度改善を行うべきと考えます。  以上、安全保障政策に関する所信を申し述べました。  ありがとうございます。  それでは、引き続き、委員長、よろしいでしょうか。
  32. 若宮健嗣

    若宮委員長 どうぞ。
  33. 重徳和彦

    重徳委員 三月五日の防衛大臣外務大臣所信への質疑を、今申し述べました私の所信を踏まえて行いたいと思います。  まず初めに、日米大国時代ということを申し上げましたけれども、そういう新しい時代において、日本の立ち位置をしっかりしなきゃいけないというふうに思っております。  ブリンケン国務長官とオースティン国防長官、このお二人のアメリカの高官との両大臣の2プラス会議が三月十六日に世界に先駆けて行われました。その後、アメリカの両高官は韓国、中国と2プラス2を続けたわけなんですけれども、真っ先に日本との2プラス2を設定したというのは、対日重視の表れだということで素直に喜ぶ向きもありますけれども、日本を重視するから会談を急ぐ、それにはやはり理由があって、世界で見て、台湾海峡とか日本周辺というのが一番危ないんだ、こういうふうに見られている、こういうことでもあると思います。  現に、今月に入って、中国の空母遼寧が、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出た。そして、今朝もニュースでやっていましたけれども、台湾周辺の海域訓練を行ったということも報じられております。  そういう中で、三月三日にバイデン大統領が国家安全保障戦略の暫定指針を発表しました。アメリカから見た中国については、デモクラシー対オートクラシーということで、これは民主主義対専制主義ということで、非常に強い対抗意識をあらわにしております。  一方で、日本を始めとする同盟国に対しましては、これまでのバードンシェアリング、負担を分かち合うという感覚から、シェア・レスポンシビリティー・エクイタブリー、公平に責任を分担するんだ、こういう表現も用いられています。  こうなりますと、これまで主に経費負担を中心に、まあ中心ということもないですけれども、経費負担が常に問題になりながら日米関係というのは続いてきたと思いますけれども、両大臣にお聞きしたいんですが、まず茂木外務大臣には、経費負担、いわゆる日米地位協定二十四条に基づくもの、特別協定に基づくものによる経費負担の在り方も含めて、今後のレスポンシビリティーシェアリングというものについてどうお考えか。  また続いて、岸防衛大臣には、今後の負担の在り方、負担というか責任の分担の仕方に伴って、我が国防衛大綱、中期防といったものも見直すことも視野に含めた、何かしら今後の検討に入っておられるかどうか。この辺りをお聞かせください。
  34. 茂木敏充

    茂木国務大臣 重徳委員の方から、外交安全保障に関する、まさに委員おっしゃった所信表明、大体、私の所信表明の倍のボリュームがあったかと思うんですが、興味深く伺ったところであります。  まず、バイデン新政権の外交政策の特徴でありますけれども、恐らく、トランプ前政権と比べた場合に、強固な日米同盟、これに対するコミットメントというのは全く変わっておりません。ただ、スタイルとすると、トランプ大統領が、一対一、米中とが、こういった中での交渉、こういったものを選好したのに対して、バイデン新政権は、同盟国、同志国、この結束の下で、共通の価値観の下で様々な問題に対処をしていく、対峙をしていく、こういう姿勢を取っている。同時に、一つ一つ物事を積み上げながらゴールに向けて進めていく。  北朝鮮についても、トランプ大統領のときは、ワンショットで金正恩委員長と会う、こういう形でしたけれども、今回の一連のブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官の外遊を見ましても、まずは日本との間で、同盟関係であったりとか、自由で開かれたインド太平洋の問題、また中国を含む地域情勢について認識をしっかりと確認をして、また韓国に渡り、その後アラスカで、これは2プラス2とは呼ばないと思うんですけれども、少なくとも二人と二人で議論をした、こういう形だと思っておりますが。  先日の日米の2プラス2におきましても、厳しい安全保障環境を踏まえて、役割、任務、能力に関する協議を通じて、日米同盟抑止力対処力強化に向けた連携を一層深めていくことで一致をいたしました。また、日本側から、国防及び同盟の更なる強化に向けて、自らの能力向上させる決意を表明し、米側からは、拡大抑止へのコミットメントの再確認というのがあったところであります。  バードンシェアリングからシェアレスポンシビリティーに急に変わったかというと、そういう必ずしも認識ではありませんが、ホスト・ネーション・サポートについて申し上げますと、私は、日米の負担割合、これを論じる前に、まずは我が国の平和と安全を確保する上で、日米がいかなる役割とか任務、これを分担していくか、また、その下で我が国の負担規模というものが適切か否かと考えることが大事だと思っております。  その上で、我が国のホスト・ネーション・サポートの負担規模については、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を支えるホスト・ネーション・サポートというものが引き続き重要である点を踏まえた上で、我が国の厳しい財政状況我が国を取り巻く安全保障環境、間違いなく厳しさを増しているわけでありまして、そういった各種要素を総合的に考慮して、主体的に判断してまいります。  そして、二〇二二年、来年の四月一日以降の新たな複数年度の特別協定については、まさに今後の交渉次第でありまして、その内容であったりとか進め方、これは今後の交渉に影響するものでありますから控えたいと思いますが、いずれにしても、交渉に当たって、今申し上げたような一層厳しさを増す地域安全保障環境、そして我が国の厳しい財政状況等を踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
  35. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、重徳委員立憲民主党安全保障部会長としてのお考えを大変関心を持って拝聴させていただきました。様々な論点について、考えを同じくするものも多々あったかと思います。今後、我が国の平和と安全をしっかり守っていくために、また貴重な御意見を賜ることができれば、このように考えております。  お尋ねの点でございますが、政府として、現行の大綱、中期防の下で、日米同盟の一層の強化に当たっては、我が国が自らの防衛力を主体的、自主的に強化していくことが何よりも不可欠である、こういう前提と考えております。その上で、日米プラス2の共同発表においても、「日本国家防衛を強固なものとし、日米同盟を更に強化するために能力向上させることを決意した。」としています。  今回の2プラス2において、日米共同訓練実施、宇宙・サイバー領域を含む全ての領域における協力の深化、拡大抑止の強化などの様々な議論がなされております。かかる分野を含む能力向上を通じて、引き続き、自らが果たし得る役割の拡大を図るとともに、日米同盟の一層の強化に取り組んでまいりたいと考えます。  大綱、中期防の見直しについては予断を持ってお話しすることは差し控えたいと思いますけれども、日米同盟抑止力対処力強化に向けて、引き続き米国と緊密に連携をしてまいりたいと考えます。
  36. 重徳和彦

    重徳委員 ありがとうございます。  茂木大臣からは、役割と任務というのをまずしっかりと定めた上での経費負担の考え方だというような趣旨の話もございました。岸大臣からは、日米間で能力向上決意、そして、共に共同訓練をやったりして協力をしていくということであろうというふうに受け止めさせていただきました。  そういう中で、やはり今、中国に対する意識というものが非常に、我が国ももちろんそうですが、アメリカが非常に強く打ち出しているというふうに見ているわけなんですが、そういうふうに私もいろいろな資料を見ていたところ、最近気になる新聞記事がございました。今日、配付させていただいておりますが、これは日経新聞の電子版では三月十五日となっております。コメンテーターの秋田浩之氏の論説の中で引用されたデータであります。「対中国、崩れた米軍優位 日米2+2立て直しが急務」という表題の論説でございます。  この配付させていただいた数字は、秋田さんが引用している、作った資料ということと思いますけれども、アジア前方展開の主な海空の戦力においてはもう中国軍が圧倒しているという数字なんですね。  現在においても、例えば主力戦闘機は、アメリカ二百五十機に対して中国が千二百五十機となっております。これから四年後の二〇二五年には千九百五十機にまで増えるんだ、こういう見通しが示されています。それから、空母については、米軍一隻でありますが、中国は現在二隻ですね、先ほど紹介しました遼寧を含めて二隻、これが四年後には三隻に増える。それから、主力戦闘艦艇も米軍は十二隻ですが、中国は六十隻、更に百八隻に増える。潜水艦もアメリカは十隻ですが、中国軍は五十六隻、これから六十四隻になるということで、この数字を見ると、もう本当に圧倒的な差があるように見えます。  そこで、ちょっと通告順が変わるかもしれませんが、岸大臣にお尋ねしたいと思います。  いわゆる通常戦力においてアメリカよりも中国が優位にあるというような認識については、防衛大臣としてどのように捉えておられますか。
  37. 岸信夫

    岸国務大臣 軍事力の水準につきましては、様々な要素を勘案する必要がございますので、一概に数だけをもって比較をすることはできないと思いますが、その上で、中国は今世紀中葉までに世界一流の軍隊の建設をかち取る、こういう目標を掲げております。継続的に高い水準で国防費を増やしておりますし、軍事力の質、量を広範かつ急速に強化しています。こうした中国の軍事力に関して、米国の国防省では、昨年九月に公表した年次報告書において、艦船数、地上発射型弾道・巡航ミサイルの数など、一部の分野において米国を既に上回っている、こういう指摘がございます。  一方で、米国は、本年三月に公表した国家安全保障の暫定的戦略指針において、中国を国際システムに対して持続的に挑戦する潜在的能力を持つ唯一の競争相手として位置づけて、軍事力の近代化、同盟関係等の再活性化を含む方策によって米国の優位性を再構築する、このようにしております。  いずれにしましても、米中の両国の軍事動向については、防衛省としても引き続き重大な関心を持って注視してまいりたいと思います。
  38. 重徳和彦

    重徳委員 今、恐らく岸大臣は全世界における見立てについて御答弁されたと思うんですけれども、特にこの記事そのものがそうなんですが、アジアの前方展開の主な戦略というような観点で見たときに特に如実にその差が表れているという指摘なんですが、アジアにおける通常戦力についてはどのように捉えておられますか。
  39. 岸信夫

    岸国務大臣 アジアにおいて、中国米国との対立ということでございますが、米国中国が安定的な関係を構築していくということが何よりも国際社会の平和と安定の観点から極めて重要である、このように考えております。  防衛省としては、同盟国である米国との強固な信頼関係の下で様々な協力を進めながら、中国には冷静かつ毅然対応し、意思疎通を図ってまいりたいというふうに思います。  いずれにしても、中国の近年の軍事力の急速な伸びということに関しては、様々なバランスに変化を生じている、こうしたことに関して高い関心を持って注視してまいりたいと考えています。
  40. 重徳和彦

    重徳委員 アジア地域における通常戦力の配備状況についてはお答えできないということですか。
  41. 岸信夫

    岸国務大臣 一つ一つについてお答えすることは差し控えたいと思います。  先ほど申しましたけれども、米国も、一つ一つの装備について、中国が既に上回っているものもあるということでございます。その上で、同盟の強化等を通じて安定を確保してまいりたい、このように考えております。
  42. 重徳和彦

    重徳委員 兵力というのは数だけじゃないということも大臣はおっしゃいましたけれども、しかし、やはりそれはベースとなるものだと思いますので、少しこの点については今後私の方でもいろいろと調べてみたいと思いますので、もう少しいろいろなデータに基づいて議論させていただきたいと思います。非常に重要なところだと思いますので、お願いいたします。  それから、ちょっと関連したような話なんですが、茂木外務大臣質問というか提案をしたいんですが、中国に対しまして、私、先ほど戦略的国際協調主義ということを申し上げましたが、やはり、日米同盟だけじゃなくて、様々な国々との連携協調というものが必要だと思います。  台湾以前に、今、中国側から見れば国内問題だと言うのかもしれませんが、香港の問題があるわけです。この点については、特にイギリスは一九九七年に香港を中国に返還したという経緯がありますし、そのときに、今後五十年間は高度な香港の自治というものを約束したはずだということで、大変関心と懸念をイギリス自身が持っているだろうと思われます。  三月十六日に、イギリスが、今後のEU離脱後の安全保障などについての考え方を示した指針として統合レビューというものを発表していまして、そこに、かなり、中国の軍事力増強とか強硬な対外姿勢というものが英国にとってもリスクであるという指摘をしているところであります。今後、空母を東アジアに派遣するというような方針も示されております。  そこで、今度の六月にイギリスでG7が行われます。イギリスとしては、G7に加えて、民主主義国家であります韓国、オーストラリア、インドも加えてD10という、デモクラティック10でしょうか、の枠組みを強化したい、こういう思いもあるようですが、是非、議長国イギリスに対して、我が国にとっても非常に大きな問題であります中国をめぐる安全保障政策、これを議題とすべきだというふうに提案をしてはいかがかと思うんですが、どうでしょうか。
  43. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、G7まで二か月以上あるわけでありまして、これは毎年のG7でもそうですが、この段階で、恐らくこういったテーマを扱うであろうというのは決まっていても、完全にフィックスしてこういう形でやるという段階には至っていないと思っておりまして、今年のG7で扱う議題についても、現在議長国である英国調整中でありますが、その上で申し上げますと、二月十九日のG7の首脳テレビ会議で菅総理から、中国との関係について主張すべきは主張し、中国側の具体的行動を求めていくとの日本の基本的な考え方を説明するとともに、東シナ海及び南シナ海での一方的な現状変更試みについての我が国の懸念についてもしっかりその場で伝えたところであります。  また、英国の三月十六日の話をされましたが、その前、三月十三日にG7の外相間でも香港情勢に関するG7の外相声明発出をいたしまして、中国当局が香港における選挙制度の民主的要素を根本的に損なう決定を行ったことについて、結束して重大な懸念を表明したところであります。  民主主義、そして基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値、これを共有するG7の六月のサミットでは、地域情勢であったりとかコロナ対策、気候変動など国際社会の重要課題について、こうした今申し上げたようなやり取りも踏まえた議論が首脳間で行われることになると考えておりまして、我が国としても、同サミットに向けて積極的に貢献していきたいと考えております。  なお、D10というお話がありましたが、基本的に、G7のどの国も、G7の枠組み自体、これを今変更するという意図は全くありません。ただ、それぞれの議長国の裁量によりまして、いわゆるアウトリーチという形で様々なテーマについて招待国を呼ぶことはできますので、恐らく今年のG7におきましても、テーマによって幾つかの国を招待する、こういったことは十分あり得るのではないかな、そんなふうに思っております。  そして、先ほど重徳委員の方から、中国軍と米軍のアジア前方展開の主な戦力、この表をいただきましたけれども、優れた分析者は数字を見て分析はしません。自分で仮説を立てて、それに合った数字を探して分析を裏づける、これが一般的なんじゃないかなと思っております。  もちろん、米中の間でも、エスカレーションを起こさずに、軍事的な衝突を避けるための外交努力、これを行っていくということが基本でありまして、そういった中で解決策を見出したいと思っておりますが、仮に何らかの形で衝突が起きた場合も、どの地域でどれだけの規模の衝突が起きるか、またその衝突の性格がどういうものか、これによって軍事力の相対的な力というのは決まってまいりますので、この一つの表だけでどちらが上だと判断することは極めて困難だ、そのように思っております。
  44. 重徳和彦

    重徳委員 G7の件、そして今の通常戦力の件、大臣の御見解は分かりました。更にこれは深めていきたいというふうに思っているんです。  残り十分切りました。私、今ほど申し上げました所信の中で提案したのが、この安全保障委員会を中心とした国会の場でもっと我が国防衛装備品の予算配分の議論を深めていくべきだ、内容的にも深めていくべきだということを申し上げております。  岸大臣質問なんですけれども、中期防を見ますと別表があるんですけれども、これはこの間柿沢委員質問されていました、別表を見ると、例えば護衛艦に関して言うと、護衛艦十隻と書いてあるだけなんですね。どういう船なのかも、そして今後どうしていくのかということも何も書いてないわけであります。  それで、実際には、これから、先ほどちょっと申し上げました米海軍のバトルフォース二〇四五、これも中国のA2ADを意識して、無人艦艇を導入したり、小型化したり、軽空母を導入したり、全体的には戦力を分散させていくんだ、こういう方針が出ている。  じゃ、日本はどうするのかということ。そういう戦略があって、その上で、今茂木大臣も言われましたけれども、そういう戦略があった上で、じゃ、どういう船を何隻整備するのかという方針が出てくると思うんですね。  中期防は、本当に、別表に関して言えば非常にさらっと書いてあるだけであります。もっと具体的なポートフォリオを作って、これは提案なんですが、これを国会に提出をして、そこで、非常に大きな予算が絡む話でもありますので、国会説明いただき、それを審議する、こういうことをやってはいかがかと思うんですけれども、大臣はどのように思われますか。
  45. 岸信夫

    岸国務大臣 大綱、中期防においてどこまで詳細に我が国の保有すべき防衛力の水準や装備品の整備数量について規定するかについては、装備品の果たす役割や安全保障環境、透明性の確保の観点を総合的に勘案して判断をしているところでございます。  自衛隊防衛整備は、大綱、中期防の整備計画に基づいて、毎年、毎年度の予算要求及び必要となる法律の改正に係る国会での審議決議を通して実施をしていることから、国会の民主的な統制を確保した形で行われています。  いずれにしましても、国会に対して、我々として説明責任を果たしてまいりたいと考えます。
  46. 重徳和彦

    重徳委員 いずれにしてもでくくられると何もお答えにならないので、ちょっとこちらからも提案してみたいと思いますけれども、今後。  それから、もう一、二点伺いたいと思います。  ドローンなんですね。宇宙、サイバー、電磁波はよく言われるんですが、ドローンに関する整備計画というものがちょっとよく分からないです。  私が今所信で申し上げましたのは、ドローンは偵察、情報収集用のみ導入されており、諸外国より遅れているのが実情であるというふうに申し上げております。  そこで、現状として、今、ドローン、どんなものを保有しているのか。それから、攻撃用のドローンというものは保有していないと認識しておりますけれども、今後どのように考えておられるのか。お答えください。
  47. 岸信夫

    岸国務大臣 ドローンについては、現在、約八百機のドローンを保有をしております。偵察、災害対処などの各種任務を遂行するための情報収集や研究等の目的で使用しているところであります。  今中期防においては、常続監視体制強化のために、海自における艦載型の無人機三機の導入及び空自におけるグローバルホーク三機の導入、また、太平洋側の広域における洋上監視能力強化のために、海自における滞空型無人機の要否についての検討等が明記をされています。  防衛省として着実に取り組んでいるところでございますが、いわゆる攻撃型のドローンについては、現時点で具体的な取得計画はございません。  いずれにせよ、我が国防衛における無人装備の重要性を踏まえて、技術動向や各国の運用状況も踏まえながら、必要な無人機の着実な整備と積極的な活用を進めてまいりたいと考えます。
  48. 重徳和彦

    重徳委員 お聞きのとおり、大変遅れております。攻撃型を配備していないというのはもちろんですが、他国から、あるいは国とは限らないですね、国家なのか民間なのか個人なのか分からない、そういうドローン攻撃に対する防御についてはどのようにお考えなんでしょうか、現実問題として。
  49. 岡真臣

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  ドローンによる攻撃ということでございますけれども、従来から、無人機による攻撃ということが各国で考えられている、あるいは、多数の小型無人機を使うといったようなことをテストしているようなところもある、そういった技術開発の動きもあるということで、経空脅威が非常に多様化してきているんだというふうに私どもとしては思っております。  そうしたものに対して、ミサイル等による対処能力向上であるとか、あるいは高出力エネルギー技術の研究といったことも含めて、総合ミサイル防空能力強化取組を進めることによって効果的、効率的に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  50. 重徳和彦

    重徳委員 ドローンにミサイルでは対応できないと思うんですよね。  時間も来ているので、これで終了させていただきます。ありがとうございました。
  51. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、本多平直君。
  52. 本多平直

    ○本多委員 立憲民主党の本多平直です。  通告していないんですけれども、茂木大臣に一問質問というか、お願いをさせていただきたいんですが、よろしいでしょうか。  今日もちょっと委員会室で聞いていて気になったんですけれども、尖閣諸島の読み方なんですが、私の聞き間違いだったら申し訳ないんですけれども、ずっと他の委員会でも聞いていて、茂木大臣と、それからもっと問題だと思うのは菅総理が、センガクと濁って割と言われているように私は聞こえているんです。  漢字で書けば読み方が違って、そういうことで読める日本語もありますが、ローマ字表記や外国語表記にしますと全然違う言葉になっちゃうおそれもありますので、いろいろ調べてみてもセンガクと読んでいる解説書がないので、是非、センカクと明確に、濁らずに発音していただいた方がいいんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  53. 茂木敏充

    茂木国務大臣 そのように聞こえるようでありましたら、私の発音、若干北関東なまりもあるのかもしれませんが、気をつけるようにいたします。
  54. 本多平直

    ○本多委員 機会がありましたら、菅総理にもお伝えをいただければ幸いです。是非よろしくお願いします。  それでは、予定の質問に行きたいと思うんですが、まず、岸大臣、私の今日の問題意識の一番目は、大体五兆円弱、毎年伸ばしていることの是非は今日はしませんが、この限られた防衛予算をちょっとミサイル防衛に偏重して配分をする傾向が強まっているんだけれども、これは本当にいいのかということを議論をしたいと思います。若干、通告は細かい話をしていたんですけれども、その細かい、射程がどうとかという話をするよりも、ちょっと大きく、本当にこれでいいのか、今ちょうどイージス・アショアが中止されたタイミングでこの問題を考えるべきじゃないかという問題意識で議論をさせていただきたいと思うんですね。  実は、安倍前総理の九月十一日の談話を改めてじっくり読ませていただきました。私、先入観があったので余りちゃんと読んでいなかったんですけれども、きちんと読んだら相当私と認識が一致する点もあったんです。  それは、安倍前総理の問題意識は、北朝鮮の高度化された技術がより既に高度化されて非常に迎撃が難しくなっているということを正直にお認めになっているわけです。それを総理談話という形で出すというのは、ある意味大きな決断だったと思うんですよね。かつ、それが射程の長いミサイルに応用されることも懸念されております、そしてさらに、迎撃能力向上させるだけで本当に国民の命と平和な暮らしを守り抜くことができるのかと。非常に真剣な問題意識で、ここから後が僕は違うんですが。  ここまでのミサイル防衛、今まで頑張ってきたし、私も実は、イージス艦に積んでいるミサイル防衛、これは一定必要だと。アショアはちょっとやり過ぎじゃないか、場所もおかしいんじゃないかということで議論してきましたけれども、今、海上自衛隊の皆さんが頑張っている、イージス艦でやっているようなミサイル防衛を決して否定してこなかったのは大臣にも御理解いただけると思うんですが、ここは一度立ち止まって、しっかり、今いろいろな議員からも指摘があるように、中国東シナ海での動きなど、我々が真剣に対処しなきゃいけない、重点を置いて防衛費をかけなきゃいけない分野があるんじゃないか。  それから、予算委員会でも議論しましたけれども、残念ながら、三年前に指摘したトイレットペーパーの問題一つ、まだ若干解決できていなかった。さすがに岸大臣の任期中にはしっかり解決してもらいますけれども。一方では、私はあくまでトイレットペーパーは一番分かりやすい例として、こんなのはひど過ぎるじゃないかと言っていますけれども、もうちょっと言えば、訓練の弾薬が足りないとか、それから、発射装置は買ったけれども、なかなか予算が下りなくて、撃ち落とすためのミサイルがそんなに数がそろっていない、古くなった飛行機はなかなか改修が進まない、こういういろいろな問題があるわけです。  その中で、ミサイル防衛にだけ、北朝鮮はどんどんどんどん技術を進化させて、我々、幾らお金をかけてもなかなか迎撃が難しく、あちらは簡単なわけですよね、どんどん攻撃するだけの兵器ですから。それを撃ち落とすのを後追いで開発をしていくことの非常に難しさ。  だから、ここにこれからも、つまり、今皆さんが検討している代替策、イージス・アショアの代替策というのは、総経費、大きく見積もれば、当然五千億を超えて、一兆円という話さえあるような巨額のものであります。  この細かい数字は今は分からないということになるので、水かけ論をする気はないんです。ただ、本当にこれ、ちょっと大きな話として、ミサイル防衛というものを、一定のものを持つこと、持ち続けることを否定はしませんが、この先も、ここにのみこの巨額な資金を投じていくという日本の在り方、いかがお考えでしょうか。
  55. 岸信夫

    岸国務大臣 ありがとうございます。  委員御指摘のとおり、まず防衛費、総額五兆余り、これは大きいか少ないかは別として、いずれにしても限りがあります。そうした財源の限りある中で有効に使っていかなければいけない、これはまさに委員御指摘のとおりであって、その中で、国民の平和と安全、そうしたものをしっかり守り抜ける体制を構築していってやらなければいけないと思います。  ミサイル防衛、またその他の中国等々の脅威に対してどういうふうな対処をしていくか、これは様々な、この場でも議論をいただいているところでございますけれども、いずれにしても、バランスを取った形、防衛力の整備というものが必要になります。  ミサイル防衛は、まず北朝鮮ですね、北朝鮮が実際にミサイルを撃ってくる。その中で、先般のミサイルも、これもまた技術的に新しいもの、パレードでも出されたような系統の、また新たな脅威にもなってきかねない。そうした中で、更に将来的には技術がどんどん進んでくる、そうしたことに対してどうやって我が国国民をしっかり守っていくか、これは大変難しいことだと思います。  それで、通常の弾道ミサイルに対する守りとしての、いわゆるBMDの体制をこれまでしっかり築き上げてきて、更に対処できるように、イージス・アショア、あるいはその代替品、こうしたものを今進めているところであります。それは、お金は確かにかかるものです。金はかかるものだけれども、ミサイルという目の前の課題に対してしっかり対処をしていかなければいけない、これは現実であるというふうにも思います。  それに対して、安倍総理の談話ですね、そこにも述べられているとおり、確かに、ミサイルに対して、そのミサイルを撃ち落としていく、これは高い技術も必要ですし、金もかかる話、経済的な面だけを考えたら非常に厳しいところはあるというふうに思います。その中で対処をしながら、米軍との同盟関係強化によってここに対処していく。もちろん、これ、撃たせないためにやっているわけですね。そのための能力を常に向上させていかなければいけないという現実はあるんだと思います。  バランスというものについて、最近、近年、中国の軍事的な強化、質、量ともですね、そういうものに対して実際に対処していかなければいけない、こういう状況もございます。あるいは、尖閣を含む南西諸島の防衛、こういったことにも、これまでと違った脅威、幅が広がった経空脅威も含めて、そういったものに対処していくためにも、当然ながら資金も必要になってくる。ここに対して、バランスよくやっていくということが何より肝腎なんだろうというふうには思います。
  56. 本多平直

    ○本多委員 ありがとうございます。バランスという言葉は、共通の認識に立たせていただいたと思います。  実は、ただ、ここから先の話になると、私、安倍前総理と順番がちょっと違うと思うんですよね。なかなかミサイル防衛だけじゃ駄目なので抑止力強化すると、次の話になっているんですけれども。  実は、ミサイル防衛って、そもそもあれで抑止しているというよりも、やはり北朝鮮から見ると、日本はアメリカと安全保障条約を結んでいるわけです。いざとなったら、日本への攻撃に対しても共同で対応していただける。特にこれまでは、打撃力に関しては、日米安全保障条約の下での米軍、これを頼る。それは別に片務だと私は思っていなくて、首都の周辺にたくさん基地を置き、沖縄の皆さんには面積の割に過重な負担をお願いし、日米安全保障条約を維持して、いざというときのために備えていて、世界でも、例えばベトナムやフィリピンはそんなのないですよね、中国から、北朝鮮から何かされても。でも、我々はそれを、犠牲も払いながら抑止力を確保してきた。だから、普通に考えたら撃たないわけですよ、アメリカがついているんですから。  だけれども、万が一、合理的な判断を失ったときなどのために、撃たれて国民の命に犠牲が出たら困るから、共通の理解の一定のミサイル防衛は持ちましょうという考えだったと思うんですよ。  ところが、何かそれが逆転をして、ミサイル防衛、完璧じゃなかったときにはもっと抑止力強化しようという、ちょっと逆転をしているように感じるんですけれども、これはいかがですか。
  57. 岸信夫

    岸国務大臣 委員おっしゃるとおり、日米同盟強化、そのこと自体が大きな抑止力になっているというふうに思いますし、そのことがあるからこそ、2プラス2や防衛相会談等々で、日米関係強化に対する方策等々についても深めてきているところでございます。  順番がどっちか、これはなかなか難しいところだと思うんですが、北朝鮮に対しても、あなたがもしミサイルで狙ってきても、我々は確実にその一発目を落としますよ、その後は米軍が反撃をしますよ、こういう姿勢がはっきりしているということ自体が抑止力につながるんだろう、こういうふうに思います。  ですから、一発一発を落としていったって切りがない話であるわけですから、そこはやはり最終的には日米同盟の強固なものをしっかり見せていくということが必要であるというふうに考えます。
  58. 本多平直

    ○本多委員 非常に今日は岸大臣認識が共有できてよかったなと思います。  非常に我々も、本土に米軍基地を、本土、もちろん沖縄にも、これだけ置いて、負担を受けながら日米安全保障条約を維持して、抑止力を、世界のどの国にも負けない抑止力だと思いますよ、これは。これを余り軽々しく、何か目的を持っているかのように、もちろん自分でもしっかりやらなきゃいけないんだけれども、何かアメリカを疑っているかのようなことを大々的な文言でやっていくというのは、僕は余りいいことじゃないんじゃないかなという問題意識を指摘をしておきたいと思います。  さて、であるからなんですよね、であるから、一定のミサイル防衛は反対じゃないです。ただ、ここから、私はちょっとこれは党内でも意見が完全に一致しているかどうか分からないけれども、アショアでさえちょっとやり過ぎなんじゃないか、そこまでお金かけてやらなくても、イージス艦の今ある程度でいいんじゃないかと、僕の思いでしたけれども。  しかし、アショアをやめた。アショアのよさは全部消えた。海上自衛隊の人繰りとか、大変さはなくなる。しかし、このまま、今検討をされているイージス・アショアの代替策というのが、幅がある検討をされているわけです。  今、防衛省の方に聞いても、この案、一番ちっちゃくなると、何かとにかく余り能力のない船のようなものを浮かべて、そこにイージス・アショアを載っける、これが一番安い案ですよね。一番高い案は、イージス・アショアの機能もあるけれども、ちゃんといろいろなほかのものも撃ち落とせるような、今のイージス艦にプラスしたような一番強いもの。これは自民党の一部の先生たちなんかが主張されていますよね、どうせ造るんだったらそうした方がいいんじゃないかと。  いやいや、お金がないという観点からいうと、一番安いパターンまで、これはどっちを。十二月末に閣議決定されましたけれども、こんな全然違う幅のあるものを検討中ですと言われて、私たちは全く説明を受けていない、議論もできない状態なんですよ、大臣。  それで、この検討はどこでやっているのかと昨日事務方に聞いたら、整備計画局という一つの局と、海自が持つわけだから海幕が検討しているということなんですけれども、ちょっと大臣、せっかく岸さん、大臣されているんだから、こういう小さな局で検討することなのかと。  私、これ、河野大臣判断が本当にどうだったのかというのはよく分からないですけれども、今の段階では。せっかく一つ区切りがついて、総理大臣も替わられて、談話は残されたけれども、私は、総理の談話から閣議決定まで短過ぎると思います、やはり。九月に出されて、こんな大きな、一兆円かかるかもしれない、日本防衛装備でも多分最高、高くなる可能性があるんですよ、一番高いスペックにすると。安くしたら安くしたで中途半端で、何だと批判が出るようなものなんですよ。こんな大きな検討を、もうちょっと幅の狭い検討だったら事務方任せでいいですよ、こんな幅の広い検討を事務方任せでいいのかということなんですよ。  少なくとも、私は、国家安全保障局というのが本来絡んでこういう大きなことをやるべきだと思いますが、ずっとここ何年か見ていると、国家安全保障局というのは全く信頼できないので。防衛省に、少なくとも、この何とか局じゃなくて、大臣が先頭に立って。こんな全然違うものを造ろうとしているわけですよ。どっちか分からない。もう内部的にはほぼ決まっているのかもしれない。私が知らないだけで、長島先生はもう知っているのかもしれないが、こういう検討を事務方で事務的にやっていいのか。どうですか、大臣
  59. 岸信夫

    岸国務大臣 決して事務方に任せているということではなくて、技術的な問題等々についてはもちろん事務方で検討する部分はありますけれども、これは、私を含めて全省を挙げてやっている問題です。それぞれの時点で私にもちゃんと報告が上がってきております。その中で様々な判断もしているような状況でございます。  ですから、御指摘にあったような局だけでやっているとか、そういうことではございません。ある意味、最も大きなプロジェクトでもありますから、しっかり省を挙げてやっているところでございます。
  60. 本多平直

    ○本多委員 大臣、今年はどこかで衆議院の選挙があります。概算要求もあります。私は、これ、抜本的に、せっかくアショアをやめたんだから、この際、時間をかけても、本格的にミサイル防衛の在り方そのものから見直すべきだと思っています。見直した上でやはり必要だということをしっかり考えてやるべきだと思うので、時間が要ると思うので、私は時間をかけるべきだと思っています。ですから、そうお願いしたいと思いますが、一方で、事あるごとに北朝鮮の脅威だ脅威だ、早くやらなきゃいけないと言っているのに、実はこれは自民党側とか政府はよく言うわけですよ。ところが、皆さんがやっていることは何かというと、逆なんですね。  河野さんがぼんと中止をした。そこは僕は一致しますけれども、その後、検討検討で、十二月にまた検討と。いつこれは、イージス艦にちゃんとアショアの機能も載っけたようなフルスペックでいくのか、単に海に浮かんでいるイージス・アショアにするのか、一番安い。この話はいつ結論を出されますか。
  61. 岸信夫

    岸国務大臣 まず、北朝鮮のミサイル、もう既にそこにあるわけですよね。それに対して、できるだけ早期に我が方のミサイル防衛体制を更に充実させていかなければいけないという状況ではございます。  その上で、防衛省として、早期導入ということについてですけれども、艦の詳細については、日米間での議論、あるいは民間業者も含めて、実際に船を造っていくに際してやはり十分検討していかなきゃいけない。  それから、搭載艦一つ造るにしても、これは時間のかかる話であります、元々、そもそも。ですから、ある程度時間のかかる中で、できるだけ早期に完成ができるように、プロセスを短くできるように今努めているところでございます。
  62. 本多平直

    ○本多委員 日本には、概算要求、単年度予算のプロセスがあります。これは、もし概算要求に間に合うように方向性を出されても、来年度予算が通って、そこから開発費が出て始まっていく。その開発も、少なくとも五年。これは全然新しい船のようなものですから、多分五年以上かかる。  こういうものを、概算要求、私は慎重でいいんですけれども、危機があるあると言っている皆さんが、概算要求までに出せるかどうかということも、めども示されないというのは、どういうスケジュール感でいるのかというのは、私は甚だ疑問です。そのことを指摘をしておきたいと思います。  この安倍談話にちょっと戻りますけれども、安倍談話の前半、北朝鮮のミサイルが、性能がどんどんどんどん向上をしてきて、なかなか迎撃が難しくなっている。今でも、九州の北部や大臣の御地元あたりは届いちゃうかもしれない。しかし、もっと長くなってくると、高性能のものが日本の中央部にも届くようになる、そのことの危機感一緒なんですね。  その後の、どうそれを防いでいくかというものの、抑止力向上、これは総理談話ですからマイルドにされたと思いますけれども、安倍前総理の本意は、敵基地攻撃能力を持つべきじゃないかという含意が入っているということは、大臣もお認めになりますよね。
  63. 岸信夫

    岸国務大臣 談話には、敵基地攻撃能力というような言葉は入っておりません。  いずれにしましても、抑止力をいかに高めていくか、その中で様々な方策があると思いますけれども、そうしたものを総合的に見ながらやっていくということになると思います。今、その検討を、政府内で検討を続けているところであります。
  64. 本多平直

    ○本多委員 敵基地攻撃能力について少し。私、今、さすがに選挙の前にこの方針は出してこないと思っているんですけれども、数少ない議論の機会ですので。  憲法論からもいろいろあるんですけれども、今日は、憲法論、日本に憲法九条がないとして、憲法論を抜きにしても、敵基地攻撃能力を持つというのは、先ほど言った限られた防衛能力、ましてや、我々は日米安全保障条約というものを大きな基地負担を一方で抱えながら維持していて、今のところ、この関係に私は問題性があるとは感じていません。この中で、ここに資源を割くのがいいのかどうかということで、ちょっと大臣のお考えを聞きたいんですね。  つまり、これは別に私、妄想で言っているんじゃなくて、自由民主党は何度も提言しているのは御存じですよね、大臣に。きちんとした、敵基地反撃能力などの言葉で、こういうのを持つべきだ、与党がそういう提言をしているわけです。  私は、二つの観点から、この敵基地反撃能力というのは日本にとっては合理的じゃないということについて、大臣見解をお聞きしたいんです。  まず、北朝鮮に対してです。北朝鮮に対しては、発射地というのが移動式であること、非常に数が多いということです。これは前も申し上げましたけれども、イラク戦争などでも、あの米軍をもってしてすら、イラクの発射基地を全てたたくことはできなかった。発射地を全て、まして移動式のものをたたくことというのはなかなか現実的ではないので、ここに資源を割り振ることは合理的ではないというのが一点です。  それから二点目、対中国に関してです。中国は、日本の全土を射程に収めている中距離ミサイルを多数保持しています。このこと自体、非常にけしからぬことだと私は思っていますが、これが現実であります。そして、もっと恐ろしいことに、核兵器を核保有国として堂々とお持ちであります。こういう国の、何かをあちらがやらかしたときにきちんと反撃をするということは当然、そのために自衛隊に頑張ってもらっているというつもりでありますが、この国と対峙するときに、日米安保で米軍が行動するということはもちろん当然お願いをしていることでありますが、日本が中途半端に敵基地攻撃などをしたら大規模な反撃を受けるおそれがあると私は考えます。  この大規模な反撃を日本の中心部に、こういうことまで覚悟して、今米軍といい関係を築いている中で、わざわざなぜ、ほかにもっと議論することがある。どうやって尖閣をしっかり守るのか、どうやって基礎的な、今日はどうも時間がなくなりそうなので、F15もアメリカ側のFMSでまた遅れている、それからF15の改良も遅れている、それからイージス艦に本当は積みたいSM6という最新鋭のミサイルもなぜかアメリカには売っていただけない、こういういろいろな本当に取り組まなきゃいけない防衛課題がある中で、なぜ私がここで敵基地攻撃能力について議論しなきゃいけないのかというのは、もう甚だ不満なんですよ。合理的じゃない。  だから、北朝鮮の場合は戦術的に現実性がない、中国の場合は、本当に大きな、大局的に、その能力を持ったら日本の受ける被害の方が大きくなるんじゃないか、この二点から検討せよと安倍前総理はおっしゃり、閣議決定でも引き続き検討となっていますが、本当にこんなことを検討していいのか、これについての大臣の率直な思いをお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 岸信夫

    岸国務大臣 いわゆる敵基地攻撃能力については、党でも様々な議論がされています。そのほかでも議論があることは承知をしておるところでございます。  まず、談話にありますのは、あくまで抑止力をいかにして高めるかということであって、敵基地攻撃能力ということではないんですね。  私が言いたいのは、目的は抑止である、相手を攻撃することじゃなくて、撃たせないということの抑止である、その抑止力を働かせるために我々は何をしたらいいか、何をすべきか、そういうことを更に議論していく必要があるのではないか、こういうことだと思っております。  敵基地攻撃能力と一言で言っても、それは簡単にできることではないと思いますし、ミサイルが飛んでいけばいいじゃないかというようなことでもないと思いますね。ターゲットをどうするか等々も含めて相当な積み上げがないと、これはまたその後どうなるかということも含めて、そういうことも議論しないとなかなか敵基地攻撃ということにはならないと思うんですが。  その中で、日本米国の役割分担の中で、我々は、日本日本のすべき役割をしっかり果たしていくということが必要なんだと思います。役割分担を変えるということではなくて、我が国の安全を守るために自国の努力としてしっかり進めていかなければいけないところがある、こういうふうに考えております。  その中で、米国の拡大抑止、これをしっかり利かせつつ、国土を守るという決意をしっかり示していくことが大切なのではないかなというふうに思っています。
  66. 本多平直

    ○本多委員 ありがとうございます。  F15の改修問題やスタンドオフミサイルについても通告をしていて、事務局の方には準備をさせてしまって大変申し訳なかったんですが、その分、大臣からは、今日、紙を読むだけじゃなくて、御自分の言葉でいろいろお考えを聞けて大変よかったと思います。  ありがとうございました。
  67. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、篠原豪君。
  68. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。篠原豪でございます。  質問をさせていただきます。今日は、南シナ海情勢尖閣諸島、そして中国の問題といったところでお話を聞かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  早速質問に入らせていただきます。  フィリピン政府は、三月七日、南沙諸島、スプラトリー諸島の周辺の自国の排他的経済水域内に、海上民兵が搭乗していると見られる中国漁船二百二十隻が集結をし、日中、晴天でも操業しないんですね、操業していないんです、夜間は白色灯を点灯させているということを確認したということでした。二十二日現在も百八十三隻の中国漁船が確認されているということでございます。これに対して、フィリピン政府中国に抗議をしたということでございます。  これは明らかに、中国政府が力で現状を変えようとしている、つまり、係争海域に居座って既成事実を積み重ねて、実効支配を図ろうとする意図があっての行為であると考えます。  政府はこの事実をどの程度深刻に受け止めているのか、そして、このことについて何らかの声明などを発表する予定があるのかについて、まず外務大臣にお伺いをいたします。
  69. 茂木敏充

    茂木国務大臣 南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結をし、南シナ海を利用する日本を含む国際社会の正当な関心事項でありまして、これは単に面している面していないではなくて、通航とかも含めて、これに関係する国際社会の正当な関心事項でありまして、日本としても、力を背景とした一方的な現状変更試みを深刻に懸念するとともに、南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも強く反対いたします。  日本は、これまで一貫して、海における法の支配の貫徹を強く支持をしておりまして、南シナ海をめぐる問題の全ての当事者が国際法に基づく紛争の平和的な解決に向け努力することの重要性、強調しております。  日本としてどう発信しているかということでありますが、御指摘の事案についても懸念を持って注視をしておりまして、三月二十二日の官房長官の記者会見におきましても、懸念を表明するとともに、日本政府立場、今申し上げたような形でありますが、改めて発信しております。  また、昨日、中国の王毅国務委員と一時間半にわたって外相会談を行いましたが、その際も私から直接、王毅国務委員に対して、南シナ海に関する問題、もちろん東シナ海とかほかの話もしたんですが、これに関する深刻な懸念、伝達をしたところであります。
  70. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございます。昨日もしっかりと伝えていただいたということで、安心をしているところでありますが、同じような状況が二〇一九年にも発生したということがありました。  これは何かというと、南沙諸島のフィリピンが実効支配をするパグアサ島付近に、漁業を目的とせずに約二百七十五隻、多いですよね、二百七十五隻、この間は二百二十隻です、の中国武装漁船と軍用沿岸警備船が集結した事件がありました。  中国は、これまで、スービ礁に、これはパグアサ島から十二海里ほどしか離れていないところですけれども、ここに、人工島にして、灯台を始めとする交通管制や三千メートル級の滑走路を引いたりして、問題になったことが以前ありました。  この間に、実はその後に自然に三つ砂州ができたんです、この十二海里の間に。十二海里の間に砂州ができて、パグアサにフィリピンが軍港を造ろうとして、そういうことも考えていたのかもしれないので、そこで、近い十二海里の間でその砂州をどうするかという問題があって、このとき二百七十五隻の船が到来したんです。  ところが、これ、実は引き揚げたんです。そのまま、これまでは通ってきているんですけれども、引き揚げているということになりまして、フィリピンに圧力をかけたんだけれども、このときは引き揚げた。  このことについての評価を外務省としてどういうふうにされているかということ、この中国動きについて聞かせていただければと思います。
  71. 小林賢一

    小林政府参考人 お答えいたします。  南シナ海の動向などにつきましては、政府として重大な関心を持って平素から情報収集、分析に努めておりますが、個別の事案に関する分析について断定的に申し上げることは控えたいと存じます。  その上で申し上げますと、一九九〇年代に中国が事実上支配したミスチーフ礁及び二〇一二年に中国が事実上支配したスカボロー礁と、二〇一九年のパグアサ島の事案とでは、その間に南シナ海に関する情勢が変化していることが指摘できると存じます。具体的には、二〇一六年に比中仲裁判断がなされたこと、そして、南シナ海に関する我が国を含む各国の働きかけや国際社会の関心の拡大などが考えられると思います。  いずれにいたしましても、我が国といたしましては、今後とも、自由で開かれた平和な海を守るため、引き続き、米国やASEAN各国を始めとする国際社会連携していく考えでございます。
  72. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 そうですね。九五年のミスチーフ礁と二〇一二年のスカボロー礁のときとは違うんですね、行動が。なので、それはなぜなのかということだと思うんですが、これは、状況が少しずつ変わってきているんじゃないかということだと思います、大きかったのかもしれませんけれども。私は、その背景として、中国の基本戦略、つまり、強制外交関係していると考えています。  中国が軍事的な圧力を加えることはあっても、中国側からパグアサ島に海上民兵や海軍陸戦隊を上陸させたり、パグアサ島のフィリピン軍施設に、あるいはその艦船に攻撃を加えたりといった軍事攻撃をいきなり加えることは想定していないという基本方針があって、多分、そこまで来て、圧力を加えて、それで強制外交でもって、だから、船を使って圧力で持っていって、ある程度のところ、プレッシャーをかけて、引いてきたんだと思います。  中国の海洋進出は、西太平洋の覇権を確立するためです。大規模な海戦でそれを別に達成しようとしているわけではないということを理解することも大切だと思います。  つまり、近海地域では、米軍が軍事攻撃に踏み切ることがないように、海上民兵や沿岸警備隊を使って海上権益を主張する。米海軍と中国海軍が直接対する機会を与えないようにしているんじゃないかというふうに思っています。あくまでも中国海軍は、背後に控えることで近隣諸国に恐怖感を与えて目的を達成することを原則にしているんじゃないか。  これが中国の、いわゆる戦わずして勝つ作戦、戦略だというふうに思っていまして、我が国がこれを考えるときにも、中国の海洋進出に対処するためにも、この戦わずして勝つという戦略に対抗する必要があるんじゃないかというふうに思いまして、今この島の話をしました。  ここから本題に入ります。海上民兵の問題です。  去年九月に発表された米国防省の年次報告には、第三の海軍と言われる海上民兵について、米国防総省の年次報告にあるんですけれども、戦わずに中国の政治目標を達成する強制的な活動で、主要な役割を果たしていると断定しているんです。私は、むしろ、だから、軍事衝突を避けるための戦略的手段として、海上民兵で武装した漁船群を活用していると言った方が正確なんじゃないかというふうにも考えられると思っているんですけれども。  もちろん、海上民兵は定期的に軍事訓練を受けていますし、自動小銃、これはAK47と、対戦車擲弾発射器、これはRPG―7ですか、だけでなくて、中には、船舶への攻撃に、携帯式防空ミサイルシステムや携帯式対戦車ミサイルシステムまで保有しているものもあると言われています。  しかし、そういう武装があっても、例えば中東を見たときに、航行するタンカー等が海賊対処用に武装することがあるように、民間船であることには変わりませんね、タンカー、民間船のときは。したがって、漁船から攻撃を受けることなく先制的に何かあって武力攻撃をすれば、国際的な非難が出てくるんだというふうに思いますし、中国側に正規軍を投入する格好の口実を与えることになるんだと思っています。  したがって、中国のこういった戦略に乗らないためにも、海上民兵が搭乗している漁船への対応国際法軍隊とみなされる自衛隊ではなくて警察機関である海上保安庁に任せるのかどうかということ、政府はこのことについてどのようにお考えかをお伺いします。これは多省庁にわたりますので、今日は官房副長官にも来ていただいていますので、お話しいただければと思います。よろしくお願いします。
  73. 坂井学

    ○坂井内閣官房長官 個別のケースは総合的に判断すべきであるので、あくまで一般論として申し上げたいと思いますが、武力攻撃に至らない侵害への対処につきまして、領土領海の治安の維持は、御指摘のように、警察機関、海の上であれば海保ということになろうかと思いますが、が一義的な対応の責任を有しております。その上で、海保だけではなかなか難しいといった事態の場合には、海上警備行動や治安出動の発令を受けた自衛隊が警察機関、海保と連携をしつつ対処するということにしております。  武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、このように警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、海上保安庁法や自衛隊法等の既存の法制の下で、海上警備行動等の発令手続の迅速化も図ったところでございます。さらに、関係機関対応能力向上情報共有連携強化各種訓練の充実など、必要な取組を進めております。  政府としては、切れ目のない十分な対応を行うため、引き続き、警察機関、自衛隊体制強化能力向上を図り、国民生命財産及び我が国領土領海領空断固として守り抜くとの方針の下、冷静かつ毅然対応してまいります。
  74. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、篠原委員の議論の前提でありますけれども、中国の基本戦略といいますか、確かに、経済見通しなんかではよく、コーシャスリーオプティミスティック、注意深く、しかし楽観的に、こういう言葉を使うんですが、外交安全保障政策の見通しについては、私は、一方的に楽観的であったり、また悲観的な見解を持つことは適切ではない、その時々の安全保障環境の変化などを常々分析、検討していく必要がある、このように考えております。その上で、本当に軍事的な攻勢をかけないかどうかということよりも、どこまでやって反発を招かないか、こういう部分を見ているということに対しても注意深く対応しなければいけないかな、こんなふうに思っているところであります。  その上で、御指摘の対応については、海上保安庁防衛省からお答えいただくのが適切だと考えておりますが、個別具体的な状況をどう判断するか、それぞれの判断はあると思いますが、一般論で申し上げますと、仮に、領海内で武装した海外漁船群が活動する事態、こういったものが生じた場合、それを排除するために必要かつ合理的な範囲で対応する、これは国際法上許容されるものであると考えております。
  75. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 私は、海上民兵が実際にいるという存在、そして、それが船に乗ってきて、圧力をかけて去っていく、そういった中で、国際法軍隊とみなされる自衛隊じゃなくて警察権でやるときと、その先はどうするかという話、やはりきちっと見ておかないと、議論が何かあったときにちょっと危ないなという気もしているところもあるので、こういう話をさせていただきました。是非、現実的な話というのを今から少しさせていただければと思うんですけれども、ありがとうございます。  次に、海警局巡視船の問題について伺ってまいります。場所を移します。  今申し上げた海上民兵の乗っている武装した漁船の周辺には、中国海警局巡視船が警戒監視しているのが通例だそうです。海警局巡視船の多くは機関砲や対空砲を武装していて、中には、七十六ミリ、一万トンみたいな船を造ったみたいな話もありますし、海軍軍艦を改装したものまであるというふうに……。  済みません、官房副長官、お忙しいと思いますので、こちらで結構です。
  76. 若宮健嗣

    若宮委員長 どうぞ御退室ください。
  77. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ありがとうございました。  失礼しました。  それで、そうした中で、今世間でも、テレビでも、我々のこの委員会でも、もう本当に、二月一日に施行された海警法の問題が緊張を高めていて、不測の事態が起きるリスクも増しているんじゃないか、こういう議論に大分なってきているというふうに思います。  まず、ちょっと法的にお伺いしたいので御質問させていただくんですが、中国海警法国際法に違反しているというふうに主張があります。これは、まず政府も同じ意見かどうかということです。仮に同じ意見であれば、海洋に関しては、慣習法も含めて、国際法の法源というのはいっぱいあるんですよ。その中で、海警法のどの規定が国際法に明確に違反をしていると考えているのか、教えていただければと思います。その際の国際法の法源はどれを示すのか、法文も分かれば教えていただければと思います。
  78. 岡野正敬

    岡野政府参考人 二月一日に施行された海警法については、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでいる、このような形で政府立場を今まで御説明させていただいております。  いろいろな条文があります。多くの問題点は規定の曖昧性によるところでございますけれども、海警法の第三条を見ますと、中国管轄海域及びその上空において本法を適用する旨規定しています。  まず、この管轄海域の範囲が不明確ということでございます。仮に中国主権や管轄権を有さない海域において海警法を施行すれば、それは国際法違反になるということでございます。  例えば、海警法第二十一条ということでございますけれども、中国管轄海域における外国軍艦、公船による中国の法令違反行為に対して法執行業務を行う旨規定し、また、外国軍艦、公船に対して、強制退去、強制引渡し等の措置を講じる権利を有する旨規定しています。これは、国際法上、一般に軍艦及び公船は執行管轄権からの免除を有しており、海警法が、軍艦、公船が許容する免除を侵害する形で運用する場合、国際法に違反することになります。  法源の話がございました。多くは国連海洋法条約に規定されている条文に違反するものでございます。例えば、今申し上げた点は、国連海洋法条約三十二条、軍艦の免除についての規定がございます。これは、慣習国際法を受けて、その内容を確認的に規定したものでございます。  こういうような形で、既存の条文との整合性の問題があるということでございます。
  79. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 そうすると、この中国海警法国際法に違反をするおそれのある部分が含まれているという話ですか。それとも、もう既に違反しているということなんでしょうか。
  80. 岡野正敬

    岡野政府参考人 ただいま申し上げましたように、規定には非常に曖昧な部分がございます。実際、各国のこのような同種の法律においても、曖昧な規定があるところも実態でございます。  それに対してどのように答えるかということでございますが、先ほど申しましたように、国際法の整合性の観点から問題がある規定を含んでいるという形で御説明しております。実際に行動が行われた際に、国際法違反、国際違法行為が生じるということでございます。
  81. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 ですので、行動が実際に行われたときにはそうなるということですね。ありがとうございます。  なぜお話を伺ったかというと、明確に違反だからとかいって、これ、ばあんと次はこっちを撃っていかなきゃいけないみたいな話も結構出てきてもいるんですよ。だけれども、これはやはりちゃんと中を見て適切に対応していかないとよくないのかなということで伺いました。エスカレートして、結果的に武力衝突の危険性を高めることはやはり憂慮しますので、そこのところを確認させていただいたということで、安心しましたということでございます。ありがとうございます。  先ほど、たとえ武装漁船であっても、国際法上、民間船であると言いましたが、海警局はあくまでも組織としては警察機関であって、その巡視船は海上秩序の維持のために海上での法執行活動に当たっています。そうですね。もちろん、副次的に国家安全保障に資する効果もあると思いますが、国家主権防衛を目的とする軍隊とは根本的に異なりますよね。  ですから、海警局巡視船に対して、先制的な武器使用、特に危害射撃というのは余りしない方がいいんじゃないかと思っています。外国公船は治外法権が許される特別な存在ですから、これに危害射撃を加えるということは国際社会から戦闘行為と解釈される可能性が多いと思いますが、こういったときに政府はどういうふうに考えているかということをお伺いしたいと思います。
  82. 岡野正敬

    岡野政府参考人 一般に、国際法上、今御指摘のあった船舶政府船舶という形で定義をされておりますけれども、政府船舶は免除を有するということが決まっております。  ただし、日本領海内においてその政府船舶、外国の政府船舶国際法違反を行っている状況においては、国際法上の要件を満たす形で、それを排除するために、限定的な実力を行使してそれを排除するということをしたとしても、国際法上問題が生じるとは解されないということでございます。
  83. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 その上でお伺いしたいんですが、政府は、二月二十五日、自民党の国防部会で、尖閣への不法上陸の過程で凶悪犯罪とみなせる行為があれば、海保、海上保安官による危害射撃が可能になることがあるというふうに説明したそうですが、これは現場で本当にそうしたことができると思うのかということ、これをちょっとお願いします。
  84. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えします。  一般論として申し上げれば、武器の使用を含む外国政府船舶への対応については、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難でございます。  ただし、国際法上許容される範囲内において、海上保安庁法第二十条第一項で準用します警察官職務執行法第七条の要件に該当する場合には、警察比例の原則に基づき、武器を使用することは排除されないと認識しております。
  85. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 簡単に言えば、尖閣への不法上陸の過程で凶悪犯罪とみなせる行為があれば、海上保安庁による危害射撃が可能ということですね。
  86. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 繰り返しになりますけれども、武器の使用を含む外国船舶への対応につきましては、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難であります。  具体的なケースにつきましては、我が方の手のうちを明かすことになりますので、お答えを差し控えさせていただきます。
  87. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 これは何で伺ったかというと、武力衝突を誘発しかねない事態、重大判断になるんですよ。だから、その判断のところは手のうちを見せないということかもしれませんけれども、これは国際法や憲法に関わる重大な判断になってくる場合もあるわけです、現場で。そういったときに、それが本当に現場でできるのか。  これは海上保安官の判断に任せられているとすれば、それはそれで、それは適切かどうかということもやはり考えないと、武力衝突を誘発しかねない重大事態にするというのが、責任が重いと思うんですよね。なので、判断する人は大変だと思いますから、そういったことも含めて考えていくということなので、これは伺いました。  上陸を目的として海警局巡視船が例えば島に接近しようとした場合、海上保安庁巡視船は当然それを阻止しようとして進路を防ぎますよね。強制的に止めようとすると思うんですけれども、その際、こういった場合に、向こうからの砲撃が海警局からなくても、これは凶悪犯として認定して危害射撃するということも考えられるんでしょうか。個別具体的には答えられないと言っていますけれども、一応ちょっと伺いたいと思います。これは、ケースとしてはあり得るので。
  88. 瀬口良夫

    瀬口政府参考人 お答えします。  海上保安庁におきましては、領海に接近する中国海警局に所属する船舶に対し、領海侵入しないよう警告を実施するとともに、領海侵入した場合には、退去要求や進路規制を行い、領海外へ退去させているところであり、外国政府船舶が有する免除を侵害しない範囲で、当該外国政府船舶の侵害行為との比例性を確保した上で必要な措置が取ることができるものと解しております。  繰り返しになりますが、武器の使用を含む外国政府船舶への対応につきましては、個別具体のケースに即して総合的に判断すべきであり、一概にお示しすることは困難でございます。
  89. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 中国が戦わずして勝つという戦略を持っていて、恐らく、国際的な支持を得るために、中国海軍が対応するのではなくて、あえてこの海警局巡視船にこだわり続けていると思う理由は、これはやはり、これまでも、海警局大型巡視船が相手が軍艦であっても衝突して沈めてしまう体当たり作戦を取るというふうに、こういうふうに公言しているんです。実際にアメリカ海軍駆逐艦に体当たりをしようとした巡視船もありまして、そういった場合、体当たりした場合は、元々そうした事態を想定して鉄板を厚く頑丈に造っている巡視船がスピード重視の軍艦に体当たりすれば、軍艦は沈むかもしれません。  そういった問題があるので、こういった想定からすれば、今言ったようなこともしっかり考えて、海警局の隊員が尖閣上陸試みるような事態の対処には、これは海上保安庁さんにしっかりとやはり最初に対応していただかなきゃいけないということを考えていますので、このことについてお伺いしました。  質問したいんですが、時間がないのと、答えが個別具体的なことについてはという話になりますので、ここは割愛させていただきますが、ここの問題はやはり大事な問題だと思いますので、しっかりと考えながら、適切な議論と適切な対応政府の中で取っていただければと思います。  そして、時間になりますので、最後に一問伺います。軍事的抑止力の問題。  このように、中国は、軍事衝突や対中批判を引き起こすことなく自国領域を拡大するために、初めに海上民兵が搭乗している漁船や海上法執行機関である海警局巡視船を使用します。相対的な能力の劣る相手国に圧力やダメージを与えて、今外務大臣がおっしゃったように反応も見るわけですね。そういったことで目的を達成させる。そして、最終的には、圧倒的に優位な軍事力を投入することを示唆して、戦わずして相手に要求をのませることを常套手段と今しているということでございます。だから、この間は引き下がってきたということでございます。  こうした中国の強制外交を断念させるためには、中国に、軍を展開して事態をエスカレーションさせたとしても、日本側が容易に引き下がりそうになく、本格的な軍事衝突になっても中国が勝つとは限らないというふうに思わせるだけの防衛省自衛隊体制づくりが必要不可欠となります。  これは、我が国だけでは不可能なので、米軍の力も当てにしないといけないことでございますので、こういったところで、どのような状況になれば米軍が介入するのか、それについてどういうふうに調整をしているのか、そのための訓練を含めて現状どのように進捗しているのかということを最後にお伺いして、私の質問とさせていただきます。
  90. 岸信夫

    岸国務大臣 我が国防衛政策は特定の国を脅威とみなして行っているものではございませんけれども、その上で、米国は、先般の日米プラス2を含めて、累次の機会に、日米安保条約五条の下での尖閣諸島を含む日本防衛に対する揺るぎないコミットメントを確認をしてきているというところでございます。  米国との調整、これは詳細についてはお答えを差し控えますけれども、日米では平時から緊密に情報交換を行っているところでございます。切れ目のない形で、日本の平和と安全を確保するための措置をしっかり取っていくということとしておりまして、米軍自衛隊との間でも緊密に連絡を取り、万全の体制を築いているところでございます。  また、自衛隊米軍は、これまでも、尖閣周辺を含む南西諸島、南西方面において共同訓練を多数実施をしてきているところでございます。自衛隊即応性日米の相互運用性、こうしたものを着実に向上させ、引き続き共同訓練を積み重ねていくことで、日米同盟抑止力対処力を不断に強化していきたい、このように考えております。
  91. 篠原豪

    ○篠原(豪)委員 日米同盟を、そしてまた大規模な尖閣諸島防衛の演習も日米でやっていくということも、今年、2プラス2でも、報道等ありますので、またお話を聞かせていただければと思います。  今日はありがとうございました。
  92. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、屋良朝博君。
  93. 屋良朝博

    ○屋良委員 立憲民主党の屋良朝博でございます。  まずは、今国会に提出されております重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況調査及び利用の規制等に関する法律案についてお聞きします。  政府は、略称、重要土地等調査法案としておりますけれども、メディアでは土地規制法案と報じられているものでございます。政府が明確な手続もまだしっかりと明示しないまま、私権制限に関わる法案を提出することに、私、強く懸念を抱かざるを得ないというふうに思っております。  特に、在日米軍基地の七割が集中する沖縄では、戦後、米軍が強制的に土地を奪い基地建設を強行したという背景から、今回の法案は、民間地の多くに規制の網がかけられてしまうのではないかというふうな不安が広がっております。  実は、私の実家も米軍基地の海兵隊基地の近くにありまして、多分、規制がかかると、その対象地域になるんじゃないかなというようなことも思ったりしておるわけですね。  この法案、そもそも十年以上も前に、水源地とか山林を外国人が所有することへの懸念が高まった、それに端を発して、外資による土地の保有を規制、制限すべきではないかという議論が起こった。今回の法律案提出に至ったものと考えられますけれども、結局、森林法とか農地法とかによって土地利用などは規制できるということが分かっているわけでございまして、立法事実とか実効性が非常に今回分かりにくい中身になっているのではないか。具体的な施行の中身についても、今後策定される基本方針に委ねられている。この政府対応というか、中身が明確に示されていない中での国会への提出というのは、どうも私たちの審議を軽んじているのじゃないかというふうに思ったりするわけですね。  私権制限や経済活動へ支障を及ぼすおそれもあることに鑑みて、以下、質問をさせていただきます。  この法案が区域指定するのは自衛隊とか米軍基地とか海上保安本部の周辺や国境離島としておりますけれども、指定区域で所有者らの調査を行うとともに、取引を届出制にすること、そして、機能阻害行為については刑事罰を含めた規制も行うとしております。  まず最初に、そういった規制を伴うような区域指定、何を基準に定めていくのかということをお聞かせください。
  94. 赤澤亮正

    赤澤大臣 本法案において、国境離島など特別注視区域として指定する際の条文上の要件、規制ということをおっしゃいましたので、事前届出の対象になる特別注視区域についてお話ししたいと思いますが、条文上の要件は、国境離島などのうち、その離島機能が特に重要なもの又はその離島機能を阻害することが容易であるものであって、他の国境離島などによるその離島機能の代替が困難であるものというのが十二条の規定でございます。  その上で、政府として閣議決定する基本方針において、今後、国会での御議論もいただいて、特別注視区域の指定に関する考え方について、より具体的に規定をしてまいりたいと考えております。  さらに、実際の指定に当たっては、法律上の要件、それから基本方針に規定する指定の考え方に基づいて個別に評価を行った上で、土地等利用状況審議会の意見を伺った上で指定の要否を判断することとしているところでございます。
  95. 屋良朝博

    ○屋良委員 その基準を今伺ったわけですけれども、これからということで明確な答えをいただけていないということ、まず確認させていただきます。  それから、指定された区域内の不動産の所有者確認については登記簿などを利用するというふうに説明されておりますけれども、それは法務局で登記簿を閲覧すればいいわけであって、届出制といっても、届出をした後に不動産売買の登記簿を閲覧することで捕捉できるのではないかというふうに思うんですね。そういったことが今現在でも可能であるのにもかかわらず、法案がなくては調査が可能じゃないと考える理由は何でしょうか。御説明ください。
  96. 赤澤亮正

    赤澤大臣 まず、前提となる事実関係としてお話をしておきたかったのは、防衛施設周辺や国境離島などにおいて経済的合理性を見出し難い外国資本による土地の取得が発生していることについて、地方議会などでまさに懸念が示されて、国民の間に不安が広がっているものと考えています。  これは答弁資料にありませんが、私の地元でも一番やはり支援者の皆さんとお話ししていて出てくるような話というのは、土地の問題、不安だということはかなり、やはり広がっているというふうに感じます。  そのため、これらの懸念が現実となってからでは安全保障上取り返しがつかない事態となる可能性があるということを重視して、本法案は、これらの実態を把握するための調査及び必要に応じた利用規制を行うことで可能な限りの予防策を講じるためのものであるということでございます。  御指摘のとおり、規制がもちろん強まる部分もあるんですけれども、特別注視区域という限定された区域を、審議会の意見も聞きながら、厳正に、条件に合っているか考えた上で事前届出の対象にするということを考えているものでございます。
  97. 屋良朝博

    ○屋良委員 今御説明にあったように、地方では不安が広まっている、そういった議論の中で、水源地を守るためにはどうするかといった、そんな議論もあったというふうに記憶しておりますけれども、それはそれで、もう既に既存の法律で規制ができるし、監視もできる、利用状況を確認することも可能であるというふうなことなので。  当然、外国企業とか外国人の所有土地が広がっていくということは、それはそれで不安な要素になるとは思いますけれども、ただ、この法律を適用したから一体何が変わるのかというところが、非常に分かりにくいというふうなことを議論させていただいておるんですね。  例えば、機能阻害行為を試みようとする人がちゃんと届け出るんだろうかなと、まずもって思うんですよ。何か悪いことをしようとする人が表に出て、皆さんに、皆さんというか、監視できるようなところに出てくるんだろうかなというふうなことを考えたりするんですね。例えば、登記をするときにも身代わりを使ったり、ダミーを使って登記をしたりとか。  例えば、企業にどのぐらいの割合で外国資本が入っているかということまで確認して登記簿をずっと捕捉していくというのはなかなか難しいと思うし、もう既に防衛省ではちゃんと調べているわけじゃないですか、防衛施設周辺については。そういった事実もあるので、法の実効性がよく分からないというふうに、それが私の率直な受け止めなんですけれども、どうでしょう、これ。
  98. 赤澤亮正

    赤澤大臣 必ずしも御通告にあった質問ではないかと思うんですが、私の思うところを申し上げさせていただけば、やはり先生御指摘のとおり、私権制限との関係で、土地所有権というのは最も基本的な財産権の一つだと思いますので、それとの関係で、制約は厳に必要最小限のものでなきゃいけない、そういう根本原則等は当然念頭に置きながら走っているわけでございます。  しかしながら、先ほど御指摘のあったように、森林法や農地法で見ている部分でない部分は当然あるわけでありまして。市街地にある基地もないわけではございませんし、国境離島といったものが農地法、森林法の対象になっているかというと、なっていないわけで。  我々の問題意識としては、先生が御指摘のあった森林法、農地法の対象になっている部分以外で、やはり国民の不安が生じている部分はかなりあり、むしろ、おっしゃった水源とかいうようなところよりも、防衛関係施設あるいは米軍施設、国境離島、そういったところについて、しかも気をつけながら、とにかくまず調査をしっかりやれるように、それから、事前届出についても、これは怠ればそれなりの罰則が当然ついてくるわけで、じわじわと、やはり規制といいますか調査をし、実態を把握した上で手が打てるようにと。  既に用意されている関係法令を使って対応する場合ももちろん当然あり得るとは思いますけれども、国民の不安に応える形で、一定の制約の下で、こういった形の法案をまとめさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  99. 屋良朝博

    ○屋良委員 法案によって期待される予防措置として伺ったところですけれども、電波障害とかあるいはトンネルの掘削とか、そういったことを説明を聞いている中で例示されました。  電波障害はもちろん既存法に抵触する行為であるわけでして、あと、トンネルを掘るというのは、自分のところの土地をトンネル掘って何が悪いのかというふうなことになるわけでありまして、本法案によって新たに制限が可能となる行為とは一体どのようなものを想定しているのか、その立法事実は何なのかということの質問でございますけれども、御説明いただけますか。よろしくお願いします。
  100. 赤澤亮正

    赤澤大臣 まず、先生の御指摘の中で本当にごもっともだと思うことは多々あって、悪いやつが本当に届けてくるかとか、それはありますよね。トンネルを掘っていて、今掘っていますよといって届けてくるかというと、多分来ないということだろうと思うんですね。それはそのとおりだと思うんですが、やはり事実関係をつかめるようにと。  つまり、登記については必ずしも義務が今ない中で、そこに表示されている人が、法務局に調べをしたところで、その人が、では本当に持っているのか。実は、もう既に買い取って、外国資本の人がとか、外国企業、外国の方にということもあり得ますし、そういう意味では、やはり、ここで言う特別注視区域については、しっかりと事前届出をかけて、罰則もつけて、そのことで、まあ、不穏な動きと言っていいかですけれども、国民の不安に応える形で、そういったものの端緒をつかみたいという思いで作っている法案でございます。  先ほどちょっと申し上げなかったことで言えば、本当に、北海道の千歳基地に近接する地域や、長崎県の対馬市の海上自衛隊対馬防衛隊の隣接地を外国資本が取得したというふうなことが現に起きていて、地域住民の間で不安が広がり、地方議会で議論が行われた事例も出てきていると承知をしておりますし、北海道東北地方知事会など複数の地方公共団体から、安全保障の観点から必要な法整備を求める意見書が提出されているところでもありますので、ここはやはり、立法府として一定の、国民の不安に応える措置が必要ではないかなというふうに考えております。
  101. 屋良朝博

    ○屋良委員 どうも、副大臣、ありがとうございます。率直な答弁、ありがとうございます。  外国籍の企業が土地を取得するということが特段どんな法律に抵触するのかとか、外国だからということで差別をするということは非常に問題が指摘されているところでありますし、戸籍については、所有者不明土地に関する法律が今般成立しましたので、それもしっかりと捕捉できるようになってくるであろうというふうなことだと思うんですね。  だから、よく、僕、立法事実というのは本当に何なんだろうなということ、なぜそれをしつこく聞いているかというと、やはり影響を受けるだろうなと思っている人たちがたくさんいるということです。米軍基地の周りというのは特に規制がないものだから、住宅地がばあっと密集しちゃって、戦後たくさん住宅が建っているわけなので、そんなところをどのように区域を指定していくのかということ、みんな若干不安に思いながら、もしかしたら何も変わらないのかなとも思いながらというふうな状態になっていると思うんですね。  司令部機能とか警戒監視機能を有する自衛隊の駐屯地とか基地などが説明の要旨の中には特記されていますけれども、司令部機能といってもいろいろあると思うんですね。例えば、東京の市谷の防衛省などが指定される。だけれども、司令部のレベルをどこまで持っていくのか。  先ほど、済みません、私の実家の話をしましたけれども、キャンプ・フォスターといって、海兵隊の補給部隊の司令部基地でもあるんですよ。ちょっと離れたところには陸軍のレーダーサイトがあったりして。では、どこまで範囲なのというのが、どういう司令部機能まで持っていくのかとか、よく分からないというふうなことで、その線引きをどうするのかというのを、もう一度、済みません、教えていただけませんでしょうか。
  102. 赤澤亮正

    赤澤大臣 御指摘の点もごもっともな指摘だと思います。  やはり、市谷もそうなんですけれども、与党の中でもかなり、留意事項として、この法律に基づく措置は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、必要最少限度のものとなるようにしなければならないということをわざわざうたうようになっているのは、そこについて本当に大きな議論がいろいろあったからでありまして、そこを踏まえて、今おっしゃったような司令部機能についても、どこを取り上げて特別注視区域にしていくかということは決めていく。  具体的に申し上げると、ちょっと私がここの場で明確に答えづらいのは、これは当然、個別の判断をした上で、土地等利用状況審議会の意見も聞いて最終的に決めていくことになりますので、今、なかなか、それを踏まえずに、あと基本方針もまだ決まっていない段階で、これ以上のことを申し上げることは大変難しいところがあるという点については御理解をいただきたいと思います。  あえて、最初に申し上げた法律の条文は繰り返しませんけれども、基本方針を決め、そして、審議会の審議を経て決まっていくものだということでございます。
  103. 屋良朝博

    ○屋良委員 この間、いろいろ政府の担当者にも説明をいただいてきたんですけれども、要するに、これから基本計画、基本方針ですかを決めて、審議会で議論してというふうなことの繰り返しであったというふうに記憶しておるんですね。さはさりとて、法案がこれからできてくる、指定も決まってくる。  冒頭ちょっと触れましたけれども、沖縄なんか、基地の中に島があるんじゃないかというふうな表現もあるわけでありまして、一キロ範囲指定されちゃったら、本当に安心して、まあ、安心するために指定区域をつくるというふうなことだと思いますけれども、どうも土地利用に影響が出てくるんじゃないかというふうなことを心配しているわけですね。  そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、米軍基地というのは、土地利用や規制に関する国内法が適用されていない、いわば白地の土地であります。土地利用上は国内法が適用されていないのですけれども、その地域周辺に国内法の網をかぶせるという理屈がちょっと理解できないですね、私。何をもって重要施設と規定するのか。基地といっても、先ほど司令部の話をしましたけれども、使用形態は様々で、軍隊との関係の薄い施設も多くあります。そのようなところをどういうふうに仕分していくのかということを伺おうと思っているんですけれども、これからというお話であればこれからという答弁で結構ですので、取りあえず質問させてください。
  104. 赤澤亮正

    赤澤大臣 御質問になかなか十分にお答えできるかというところでありますけれども、おっしゃるように、国境離島とか自衛隊の施設に比べれば、米軍施設の中でどういう機能が果たされているかについては、必ずしも全部公になっていない部分もあるかもしれません。  しかしながら、基地について、先ほどまさに委員おっしゃったように、電波の傍受の妨害であるとか、トンネルを掘るとか、とにかく標準的に考えておかしい定型的な行為みたいなものは当然あるわけで、そういうものについてきちっと警戒が取れるように、基地の中ということではなくて、その周辺の土地について一定の網をかけていくということは、これはあってしかるべきかなというふうに思います。  それをどう仕分していくのか、具体的にこの基地はどうなんだというようなことについては、まさに、御質問の中でおっしゃったように、基本方針が決まり、そして、審議会の審議を経て最終的には決定をしていくということで特別注視区域を設定させていただきたいなというふうに思っております。
  105. 屋良朝博

    ○屋良委員 私たちにも審議をする機会を与えていただきたいと、かねがね、ずっとこの法案を見たときに思っていることなんですけれども、これから決まっていくということで、審議してくださいということで国会に提出されても、なかなかこれは難しいような話だと思っております。(赤澤大臣防衛省も答えを用意しているみたい」と呼ぶ)防衛省もですか。済みません、次に移らせていただいてよろしいですか。ごめんなさい。どうも済みません。
  106. 若宮健嗣

    若宮委員長 防衛省答弁はよろしいですか。
  107. 屋良朝博

    ○屋良委員 はい、ありがとうございます。済みません、時間との関係もありまして。  先ほど来議論になっている尖閣についてちょっとお伺いしたいんですけれども、尖閣諸島は特定国境離島に含まれることになりますか。
  108. 赤澤亮正

    赤澤大臣 尖閣諸島は、定義上、領海基線を有する我が国固有領土ということでありますので、本法に規定する国境離島等に含まれます。
  109. 屋良朝博

    ○屋良委員 ありがとうございます。  明確なお答えをいただけるとは実はちょっと思っていなくて、これから決めるという話の繰り返しかなと思ったものですから。  指定されるとなると、やはり国際関係上どうかな、何か新たな問題の種をそこにまくことにならないのかなというふうなことを考えたりするんですけれども、ここは一度、外交政策上どのように判断すべきかというところを外務大臣にお伺いしたいというふうに思います。
  110. 茂木敏充

    茂木国務大臣 我が国固有領土でありますから、我が国の法律というのは当然適用される、その上でどのような運用を図っていくかは、具体的に所管省庁の方にお尋ねいただければと思います。
  111. 赤澤亮正

    赤澤大臣 先ほど、私、領海基線を有する我が国固有領土であり、本法に規定する国境離島等に含まれるということは申し上げましたが、区域に指定されるかということを問われれば、法律に基づく調査などの措置の対象となる区域の指定は、法施行後に、基本方針も決まり、審議会の意見を伺った上でその要否を判断することとなっているため、現時点お答えすることは困難であるということであります。
  112. 屋良朝博

    ○屋良委員 想定どおりの答弁でございました。ありがとうございます。  これはやはり、これから指定する、あるいは指定しない、何か二者選択になりそうなんですよね、この法案で。そうすると、指定しなければ、これでいいのか、これで日本防衛は大丈夫かというふうな議論が恐らく出てくるだろうし、指定したら指定したで、中国との関係はどうなるんですかというふうな、新たにハレーションを巻き起こすんじゃないかなというふうなことも懸念されるんですね。  実は、そこでどうですかということを外務大臣に聞こうと思ったんですが、先に答弁いただいたのでもう繰り返しませんけれども、やはりこれはちょっと慎重にならざるを得ないんじゃないのかなというふうな気がします。慎重にならざるを得ないのを、実効性を、先ほど来、僕、ちょっと足りないんじゃないですかとか、指定も曖昧じゃないですかというふうなことを議論させていただいているわけですけれども、これはあえて尖閣でまた新たな火種を生むようなことがある、そんなものなのかなという気がしている法案であるということをお話しさせていただいて、次の質問に移ります。  赤澤大臣、どうもありがとうございました。ここで土地に関する質問は終わりますので、御退席いただいても。よろしくお願いします。
  113. 若宮健嗣

    若宮委員長 どうぞ御退室ください。
  114. 屋良朝博

    ○屋良委員 ここで、辺野古の問題についてお伺いします。  二月五日の予算委員会で私、質問に立たせていただきまして、軟弱地盤の問題がある辺野古埋立てに米側が懸念を抱いているのではないかというふうなことを質問させていただいたときに、菅総理が答弁された中で、安倍前総理とオバマ元大統領の最初の首脳会談で米国から要望があったが、普天間飛行場の危険と併せて辺野古移設に対して、たしか当時、申請書を早く出してほしい、そういうものが首脳会談の議題に上がったぐらいでありますと。  この答弁について外務省に問い合わせたところ、首脳会談では、安倍総理より、現行の日米合意に従って作業を進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減を実行していく旨述べた、両首脳は、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めることで一致しましたというふうなことを説明いただきました。  どうも総理の答弁外務省説明が符合しないように思います。  日本の公有水面埋立法に基づき進められている作業の中で、米側の申請手続は、総理がおっしゃるように、含まれているんでしょうか。お答えください。
  115. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の日米首脳会談におきましては、安倍前総理大臣とオバマ大統領との間で、先生から御紹介がありましたとおり、日米同盟強化の方向性について率直に議論が行われ、また、普天間飛行場の移設を含む在日米軍再編については、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めていくことで一致いたしました。  それ以上につきましては、外交上のやり取りであり、お答えは差し控えさせていただければと思います。
  116. 屋良朝博

    ○屋良委員 外務省さん、これははっきりさせておかないと、日本政府の作業にアメリカ政府を巻き込んじゃうことになりますよ。埋立法に基づいてやっている作業、それに何で日本が何か申請書をアメリカに提出しないといけないんですか。  これ、修正するなら修正していた方が僕はいいと思いますけれども、もしそういうおつもりがなければ、そのままの答弁で残置しておいてもいいと思いますけれども、これ、やはりちょっとまずいと思いますよ。アメリカ政府が今回の埋立て、環境面の保護についてもどのように関与しているんですかというのは、アメリカ本国で行われている環境訴訟の中でも審議されたぐらいですから。アメリカ側は、これは日本政府日本政府の手続によってなされていることなので、これは日本政府の責任でなされていることですよというふうに関与を否定しているんですよ。  そういった経緯もあるので僕はあえて伺いましたけれども、今の御説明で、そのままであればそのままで、次の質問に移らせていただきたいと思います。  現在、辺野古側で進んでいる埋立工事で、工事の当初の契約額、昨年度末の最終契約額は幾らになったでしょうか。お答えください。
  117. 土本英樹

    土本政府参考人 お答え申し上げます。  平成二十九年に発注した普天間飛行場代替施設建設事業に係る三件の埋立工事の契約金額につきましては、当初契約時は三件合計で約二百五十九億円であったところ、複数回の契約変更によりまして約四百七十三億円増額し、合計で約七百三十二億円となっているのが今の現状でございます。
  118. 屋良朝博

    ○屋良委員 二百五十九億円が数年の間に七百三十二億円。こんなに大きな増額というのは本当にありなのかというところを、実は会計検査院の方に来ていただきまして見解を求めようと思ったんですけれども、大変恐縮ですけれども、ちょっと時間が来てしまって、最後に質問することがかなわなくなってしまいました。大変申し訳ございません。  最後に一問だけお許しいただきたいんですけれども、外務大臣、三月十九日の委員会で、私、GAO、アメリカ会計検査院の資料を引用して質問したところ、大臣こうおっしゃったんですね。GAOという組織、見方は様々と思いますが、自分たちの政策目的で野心的な数字を作ります、これは間違いなくて、そういう受け止め方をする議員も、私はアメリカ議会の中では多いのではないかと思っておりますと。これはちょっとまずいんじゃないかなと思うんですけれども。れっきとしたアメリカの組織なんですよね、GAO。職員三千人余り、毎年四百億円以上使って仕事をしている人たちなので、そういう野心的な数字を使うとかというのはちょっとまずいのかなと思うんですけれども、大臣、その真意をお聞かせいただきたいです。よろしくお願いします。
  119. 茂木敏充

    茂木国務大臣 野心的、日本語でも英語でも決して悪い表現ではないと私は思っております。  それから、GAOに対する考えでありますけれども、GAOの様々なデータの積極的な公表、それへの評価も含めて、私の海外の友人とのやり取りとか私の経験も踏まえてお話しした点であります。
  120. 屋良朝博

    ○屋良委員 どうもありがとうございます。  国会で今回の法案が中身が分からなくて審議してくれと言っていることと、どっちが野心的なのかなと思ったりするわけですけれども、私は、日本外務大臣がそういうことをおっしゃるというのはちょっと適切じゃないんじゃないかなというふうな気がいたしますということを申し述べて、大変済みません、時間が来ましたので、終わります。  ありがとうございました。
  121. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、赤嶺政賢君
  122. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。  米軍関係者による事件、事故の問題について質問をします。  一月三十一日午前五時過ぎ、那覇市内でキャンプ・コートニー所属の米海兵隊員による強制わいせつ事件が発生をしました。面識のない歩行中の女性を人目につかない駐車場に引き込んで、無理やりわいせつな行為を働いたというものです。被害者の尊厳と人権を踏みにじり、市民の平穏な生活を脅かすもので、絶対に許されるものではありません。  まず、外務省に確認しますが、在日米軍は、米軍関係者による事件、事故の防止策の一環として、いわゆるリバティー制度の下で、米軍兵士の外出や外部での飲酒を規制しております。現在の規制内容、これはどうなっておりますか。
  123. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  お尋ねの在日米軍のリバティー制度は、勤務時間外行動の指針であり、四つの柱から構成されております。  まず、研修でございます。第一に、全ての米軍人は、施設・区域外での自由な活動が認められる前に、日本についての教育研修、責任ある飲酒に関する研修、性犯罪防止、対応に関する研修を受講していなければなりません。  第二に、全ての軍人について、施設・区域外の公の場における飲酒が、毎日午前零時から午前五時まで禁止されております。  第三に、階級が一定以下の軍人につきましては、毎日午前一時から午前五時までの間、外出が禁止されております。  さらに、最後に、階級が一定以下の軍人につきましては、午後十時以降に飲酒を含む活動で施設・区域外に外出する場合には、同伴者を伴わなければならない、いわゆるリバティーバディーを伴わなければならないということとされております。  これらの指針に違反した場合は、統一軍法典に基づく処罰の対象となります。
  124. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 在日米軍は、通常のリバティー制度に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動制限も課しております。それはどういう内容になっていますか。
  125. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  在日米軍は、新型コロナ感染対策を深刻に受け止めており、県や地元の自治体と緊密に連携し、感染拡大防止のための適切な措置を取ってきております。  具体的には、その時々の施設・区域内外の感染状況に応じて、例えば、施設・区域外のレストランなどの施設での飲食の禁止、施設・区域外のバー、居酒屋、ナイトクラブなどへの立入禁止といった措置を取ってきております。  例えば、二〇二一年三月三十日から、第三海兵遠征軍、キャンプ・コートニーのガイダンスでは、以下の事項を禁止しております。  屋内外での大人数での集会、人口が密度が高い地域における大人数が集まる屋内観光アトラクションの利用、施設・区域外のバー、クラブ、ラウンジ、パチンコ、カラオケ、成人向け施設、理容室、美容室、スパ、マッサージ治療、タトゥーの利用、施設・区域外における屋内外での飲食、ボウリング等の施設・区域外の屋内娯楽施設の利用、多数の出店者がいてソーシャルディスタンスを維持できないフリーマーケットの利用、ソーシャルディスタンスを維持できないチャーター船の利用、施設・区域外の屋内外における運動施設、グループでのトレーニング、レッスンの利用及び団体スポーツの実施、以上のようなことが禁止されております。  これらのガイダンスに違反した場合には、厳格に対処されるものと承知しております。
  126. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 その中に、那覇市内の国際通りへの立入禁止、これもありますよね。
  127. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  申し訳ございません。ただいま手元に資料を持ち合わせておらず、その規定につきましては、また確認して後ほど御報告させていただければと思います。申し訳ございません。
  128. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 少し時計を止めていただいて、今確認していただけますか。これはもう通告もしてあることですから。
  129. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  130. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記を起こしてください。  茂木外務大臣
  131. 茂木敏充

    茂木国務大臣 先ほど有馬参事官の方から、密集地への立入りについては、それを控える、こういう答弁をさせていただいたと思います。  恐らく、具体的に国際通りのどこということで御質問があったら、それはお答えできたと思うんですけれども、今確認しているのは、多分、では国際通りのどの地点とか、こういったことで調べてくれ、こういう通告がなかったと思っておりますので、そのような事態になっていると考えております。
  132. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 それは違いますよ。国際通りのどこって、国際通りというのは一マイルですからね。(茂木国務大臣「分かっているよ」と呼ぶ)まあ、茂木大臣はよくお分かりだと思うんですが、そのどこってないですよ、国際通りですよ。そこをちゃんと答えてくれと言っているんですよ。  委員長、ちょっと時計を止めてください。
  133. 若宮健嗣

    若宮委員長 速記を止めてください。     〔速記中止〕
  134. 若宮健嗣

    若宮委員長 じゃ、速記を起こしてください。  外務省有馬大臣官房参事官。
  135. 有馬裕

    有馬政府参考人 申し訳ございません。お答え申し上げます。  那覇市内の国際通りも立入禁止の区域に含まれております。
  136. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 大臣、無理ではないじゃないですか。ちゃんと答えている。(茂木国務大臣「あらゆる地域は無理だと言ったんだよ」と呼ぶ)あらゆる地域じゃないですよ、国際通りですよ、一マイル。  要するに、一定の階級以下の米軍兵士は、リバティー制度の下で、午前一時から五時までの外出が禁止されています。また、外部での飲酒については、コロナ対策の一環として、階級、時間帯を問わず、全て禁止をされているものです。  今回の容疑者は、海兵隊の一等兵です。リバティー制度の外出規制措置の対象であります。犯行時刻は午前五時過ぎで、規制時間帯の直後でありますが、しかも、酒が入った状態で、職務質問を受けたときには、警察官を突き飛ばし、公務執行妨害でも逮捕されています。  外出と外部飲酒の規制措置に二重に違反していた可能性が高いと思いますが、その点、米側からはどのような説明を受けておりますか。
  137. 有馬裕

    有馬政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘の事案につきましては、事案発生後、日本側から米側に対し遺憾の意を申し入れるとともに、捜査への協力及び速やかな情報提供を要請いたしました。米側も本件を真剣に受け止め、在日米軍は地元警察と協力し、その結果、被疑者が逮捕され、起訴されたと承知しております。  米軍のリバティー制度や新型コロナ感染措置との関係につきまして米側に照会いたしましたところ、米側からは、被疑者は現在、裁判に向けて日本側の当局により勾留されており、米側による取調べができていないところ、米側によるいかなる処分も日本側の刑事手続が完了してから行われることになるとの説明を受けております。  いずれにいたしましても、米軍人等による事件、事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであって、あってはならないものと考えております。今後も、米側に対し、様々な機会に事件、事故防止の徹底を求めてまいります。具体的には、隊員の教育や綱紀粛正について更なる努力を求めていくといったことを通じて、日米間で協力して事件、事故の防止に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
  138. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 外務大臣伺いますが、政府は、昨年十一月十日に沖縄県の玉城デニー知事から、相次ぐ米軍関係者による事件に対する抗議の要請を受けております。これはどのような内容でしたか。
  139. 茂木敏充

    茂木国務大臣 赤嶺委員御指摘の昨年十一月の十日でありますが、沖縄県側から、実際には、知事の御意向を受けてということだと思いますが、副知事の方から、橋本沖縄担当大使及び田中沖縄防衛局長に対しまして、米軍関係者によります事件に関して、特に三点の要請があったとの報告を受けております。  その一つは、より一層の綱紀粛正及び教育の徹底を始めとする実効性のある再発防止策を早急に講じるとともに、その内容を県民の皆さんに公表するよう米軍に強く求めること。そして二点目として、被害者への謝罪とともに、適切な補償に万全を期すよう米軍に求めること。三点目でありますが、平成二十九年四月以降開催をされていない米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チーム、CWTを速やかに開催すること。この三点の御要請をいただいたところであります。  米軍人等によります事件、事故、これは地元の皆さんに大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないものと考えております。昨年十一月頃に米軍関係者によります事故が相次いだことは極めて遺憾でありまして、その旨米側に伝えてきているところであります。  平素からあらゆるレベルでこういった米側とのやり取りを行っておりまして、私も、事件、事故防止の徹底につきまして、シュナイダー在日米軍司令官であったりデービッドソン米インド太平洋軍司令官、さらには、先日の2プラス2の機会にもブリンケン国務長官そしてオースティン国防長官に対しても直接申入れを行っているところであります。
  140. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 今外務大臣の御説明にもありましたように、去年の十月の末から僅か二週間の間に、十二件の事件、事故が立て続けに起こっております。さらに、十一月七日にはうるま市内で、キャンプ・ハンセン所属の米海兵隊員が、タクシー運転手の首を絞め、現金を奪い、そのままタクシーを強奪して事故を引き起こすという凶悪事件も発生をいたしました。昨年十一月の要請は、こうした事態を受けて行ったものであります。  当時応対した謝花副知事は、要請の場で、これら十三件の事件、事故のうち八件はリバティー制度に違反している可能性を指摘して、実効性のある再発防止策や、事件、事故防止のためのワーキングチームの速やかな開催を求めました。  ところが、その後、実効性のある再発防止策として示されたものは何もありません。ワーキングチームも開かれていません。外務省、これまで何をやってきたのか。こういう当事者意識を欠いた姿勢が事件、事故の再発を招いているのではないかと思います。ハイレベルで上へ申し上げたとおっしゃっておりますが、肝腎なそういうワーキングチームの要望なんかも全く進展がない。  こういう責任、外務大臣としてどのように認識しておられますか。
  141. 茂木敏充

    茂木国務大臣 ちょっと声がうるさくて、十分聞き取れていないところがあるので……(赤嶺委員「えっ、私の声」と呼ぶ)いや、違います、違います、後ろのあれが響いちゃいまして。ちょっと申し訳ないですけれども、自分が正しく理解していなかったら、もし違っていたら訂正をしていただきたいと思うんですが。  何もやっていない、こういう御指摘を受けたと思いますけれども、例えば、昨年の十二月の十四日には、在沖縄米海兵隊と沖縄防衛局、そして沖縄県庁、並びに外務省沖縄事務所、四者によります飲酒事案防止のための会議が行われ、そこでも建設的な議論が行われたと承知をいたしております。  米軍人軍属によります事件、事故への対応については、御指摘いただきました米軍人・軍属等による事件・事故防止のための協力ワーキング・チームに限らず、今申し上げたような具体的な再発防止に係る関係者間の協議も含め、平素から日米のあらゆるレベルで、様々な機会を通じて米側とやり取りを行っているところであります。  次回のワーキングチームの開催につきましては、現在、関係者との間で調整を行っているところでありますが、こういったワーキングチームの枠組みも含めて、様々な機会を通じて関係者間の協議を行い、事件、事故の再発防止等に全力で取り組んでいきたいと思っております。  隊員の教育、綱紀粛正について更なる努力等も求めていきたいと思います。
  142. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 何らかの会議はやったとおっしゃっておりますが、有効な再発防止策を検討する場として米軍も含めワーキングチームが設けられたということを、これまで私が事件、事故を取り上げるたびに外務省はそういう説明をしてきたわけですよ。ところが、一度も開かれないわけですよ。いつになったら開くか。何もしていないんじゃないかというのはそういうことで、まさにそこから出てきていることです。これはやっていないけれどもあれはやりましたよでは、説明にならないんですよ。  やはり、ワーキングチーム、今調整中ですみたいな同じ答弁を事件、事故のたびに繰り返すのではなくて、いただきたいと思います。  ちょっと警察庁に伺いますが、昨年四月一日から今年三月三十一日までの一年間に、沖縄県内でリバティー制度に基づく外出規制時間帯に発生した米軍関係者による事件、事故、これは何件ありますか。
  143. 猪原誠司

    猪原政府参考人 お答えいたします。  令和二年四月一日から本年三月三十一日までの間に、沖縄県内において午前一時から午前五時までの間に発生しました米軍関係者による事件、事故として、沖縄県警察からの報告により警察庁が把握しているものの件数は二十七件であり、その内訳については、刑法犯十件、道路交通法違反十七件であります。
  144. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 先ほどは、米軍は、身柄は日本の警察にあるから調べられないというようなお話でしたけれども、外出規制時間帯そのものに発生した事件、事故だけでも、今の二十七件ですか、これだけ発生しているという、一年間で。違反が疑われる規制時間帯直後の事件、事故を含めれば、件数は更に拡大をいたします。  昨年の三月二十七日以降、コロナ対策の一環として外部での飲酒そのものが禁止されておりますが、飲酒が絡む事件、事故は、警察庁、何件発生していますか。
  145. 猪原誠司

    猪原政府参考人 お答えいたします。  令和二年四月一日から本年三月三十一日までの間に沖縄県内において発生した米軍関係者による事件、事故で、飲酒下において行われたものについて、沖縄県警察からの報告により警察庁が把握しているものの件数は四十一件であり、その内訳については、交通人身事故二件、道路交通法違反三十九件を把握しております。
  146. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 外務大臣、外出や外部飲酒の規制措置への違反は常態化しているということだろうと思うんですよ。そういう実態があるということは外務大臣もお認めになりますか。
  147. 茂木敏充

    茂木国務大臣 今警察庁の方からも答弁がありましたように、そういった事件、事故が起こっている、そういったことに対して、地元の皆さんに大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないものだと考えております。
  148. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 常態化しているんですよ。  それで、警察庁にもう一点伺いますが、海兵隊は、コロナ対策の一環として、八月二十一日から十二月十六日までの間、那覇市全域への立入りを禁止する措置も取っていました。その間、那覇市内で発生した海兵隊による事件、事故は何件ありますか。
  149. 猪原誠司

    猪原政府参考人 お答えいたします。  令和二年八月二十一日から同年十二月十六日までの間に沖縄県那覇市内で発生した米海兵隊員による事件、事故として、沖縄県警察からの報告により警察庁が把握しているものの件数は六件であり、その内訳については、刑法犯一件、道路交通法違反五件であります。
  150. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 コロナ対策でも違反が常態化していることを示しております。たまたまの事件、事故じゃないんですよ。  外務大臣に強く申し上げたいと思いますが、こうした実態を見たら、外出や外部飲酒の規制措置への違反が常態化もしている。どこに原因があるのか、これを日米間でしっかりと検証して、その検証結果と実効的な再発防止策を県民に示すべきだと思います。そのためにもワーキングチームを直ちに、直ちにですよ、今調整中じゃなくて、開催すべきだと思いますが、いかがですか。
  151. 茂木敏充

    茂木国務大臣 まず、今警察庁の方から、八月から十二月十六日までの事件、事故の発生件数、六件という報告があったと思います。うち交通違反が五件ということでありまして、これをもって事件、事故が多発しているかどうか、これについては様々な評価があると思っておりますが、いずれにしても、事件、事故、これは地元の皆さんに大きな不安を与えるものでありまして、あってはならないことだと考えております。  そして、先ほど赤嶺委員の御質問の趣旨がちょっと聞き取れなかったというのは、このワーキングチーム等云々の関係をおっしゃっている部分が聞き取れなかったので、まず会議をやっているかということで、私は会議をやっておりますという話をして、更にワーキングチームの話まで、ちょっと聞き取れなかった部分はあったんですけれども、恐らく聞きたいんじゃないかなという感じがあったので、そこまでお答えをしたということであります。  その上で、当然ワーキングチーム開催には、関係者、要りますので、その日程調整もありますが、そういった形で調整を行っていきたいと思っております。
  152. 赤嶺政賢

    ○赤嶺委員 これが多いか少ないかと言われて、もうびっくりしていますね。そういういろいろなコロナ対策やリバティー制度で有効的な事件の再発防止だと言われてきて、起こっている件数はまだ少ないじゃないかという程度で外務大臣がおっしゃっているなら、これは……(茂木国務大臣「言っていないじゃないですか、そんなこと」と呼ぶ)だから、おっしゃっているのならということですよ、私の受け止めとして、思います。  警察庁に、この間の事件、事故をまとめた資料をいただきました。それを見ますと、那覇市の強制わいせつ事件やうるま市のタクシー強盗事件以外にも、沖縄市で午前三時台に玄関をこじ開け被害者宅に侵入した事件、北谷町で被害者の腹部をナイフで刺し傷害を負わせた事件、酒気帯び運転で被害車両に衝突し傷害を負わせる事件が発生するなど、重大な事件、事故が頻発していることが分かります。  本当に県民が、米軍絡みの事件、事故について、いつ遭うかもしれない、そういう環境に置かれていることを痛感します。  この間、県内の関係自治体では、事件に抗議する決議意見書が議会で相次いで可決され、リバティー制度の検証や実効性ある再発防止策、ワーキングチームの早期開催を共通して求めています。  こうした要請に応える政府取組が早急に求められているということを外務大臣に強く申し上げておきたいと思います。  終わります。
  153. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、杉本和巳君。
  154. 杉本和巳

    ○杉本委員 維新の杉本です。  最後の質問者、時間二十分しかありませんので、端的なお答えをお願い申し上げます。  諸行無常という言葉があって、その言葉を私が記憶している、平家物語でというようなことの中で、今日も西銘さんから質問があったりとか皆さんから質問があって、二月一日に中国海警法が施行されたということがありました。この二月一日には、ミャンマーが軍事クーデターで今のような混乱状態に入っているということが二月一日です。  そして直近、外務大臣もおっしゃられましたけれども、昨日、四月五日に日中外相の電話会談があって、王毅国務委員とのやり取りをしていただいたという理解をしております。  来週には日独の2プラス2というのが初めて行われるということで、これはテレビ会議ということのようでありますし、日にちが一週間延びましたけれども、四月十六日には顔を突き合わせての日米の首脳会談というのがあるということであります。  もう質問に入らせていただきますけれども、そういう諸行無常の中で、我々は、抑止力対処力向上をしっかりしていかなきゃいけないということであります。  まず、日米安保協議会、2プラス2が先般行われて、共同発表の文書に、日米安全保障条約第五条の下での尖閣諸島を含む日本防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントという文章、和文、英文ともございますが、それと、台湾海峡の平和と重要性といったことが、和文、英文、どちらも明記されているというのを確認させていただいています。  来週予定される日米首脳会談は、面と向かっての、バイデン大統領にとっての初めての極めて重要な、日本にとっても極めて重要な面談。この中において共同文書の準備がなされているという認識をしておりますけれども、今申し上げた二つの、安保の五条の下というところと台湾海峡の平和と重要性、この二点について明記される必要性が当然あると思いますが、この二つのことについての両大臣の重要性の御認識伺いたい。  あわせて、台湾有事ということが言われるようになり始めて、アメリカのインド太平洋艦隊司令長官デービッドソン氏がアメリカの上院で発言をされて、今後六年以内に台湾有事がある可能性がある、それは高いと言ったかもしれないですけれども、こういった状況の中にあって、尖閣の問題が議論されています。そして一方で、台湾有事も今申し上げたようなことがありますけれども、この二つの事象について、どちらが先でどちらが後なのか分かりませんが、尖閣が先に何か行動されて、台湾有事が後から起きるのか、いや、逆に、台湾有事が先にあって、核心的利益という表現が先ほどもありましたけれども、尖閣がその後起きてくるのか、いや、あるいは、全く同時にこれが起きる可能性があるのかという可能性も我々は考えておく必要があると思うんですけれども、尖閣防衛の問題と台湾有事、この点について連動する関係認識。  この二点、まとめて深い話を伺って恐縮なんですが、それぞれの大臣から御答弁をいただければありがたいんですが。順番は委員長にお任せいたします。
  155. 茂木敏充

    茂木国務大臣 盛者必衰のことわりを表すといっても、民主主義、そして基本的人権の尊重、さらには法の支配といった普遍的価値に私は変わりはない、こんなふうに考えております。  十六日に予定されます日米首脳会談におきましては、先日の日米外相会談や2プラス2、そこの中でも、台湾海峡、さらには尖閣への五条の適用の問題、共同発表で盛り込んでおります。こういった成果も踏まえ、日米同盟強化、自由で開かれたインド太平洋の実現、新型コロナ、気候変動、中国をめぐる諸課題や北朝鮮によります拉致問題など、様々な課題について幅広く、日米連携と協力を更に深める機会になると思っております。  当然、首脳会談でありますから様々な準備も進めることになりますが、杉本委員も御案内のとおり、こういったものはかなり時間をかけてぎりぎりまでやるということでありますし、さらに、何らかの成果文書を発表するという場合も、当然、それは会談を踏まえて、会談をやる前にこういう内容の成果文書を出しますということには私はならない、そんなふうに考えております。  その上で、尖閣諸島歴史的にも国際法上も疑いのない我が国領土でありまして、現に、我が国はこれを有効に支配をしております。我が国領土領海領空断固として守り抜くとの決意の下、今後とも冷静かつ毅然と対処していきたいと思っております。  さらに、我が国としては、台湾及び台湾海峡をめぐる問題が当事者間の直接の対話により平和的に解決されることを期待しておりまして、先日行われた2プラス2においても、日米台湾海峡の平和と安定の重要性について一致を見ているところであります。  恐らく、これから五年のスパン、七年のスパンで、何が起こるか、様々なシミュレーションであったりとか考え方というのはあるんだと思います。当然、政府としても、あらゆる事態といいますか、想定しながら、万全の対応というのは考えてまいりますが、どういう行動を取るとか、どういう検討をしていると言うこと自体が今後の対応にも関わってきますので、その点は控えさせていただきたいと思います。
  156. 岸信夫

    岸国務大臣 今外務大臣からも答弁ありましたので、重ならないようにしたいと思いますけれども、今般の十六日の予定されています日米首脳会談においては、先般の日米プラス2の成果等も踏まえて、日米同盟強化についてじっくり議論をする機会になるものと考えております。  中国は、最近、尖閣諸島周辺を含む我が国周辺海空域台湾周辺の海空域の両方で軍事活動を活発化をさせています。台湾をめぐる情勢につきましては、中台の軍事バランスは中国側に大きく傾いていて、また、その差もどんどん広がっているような状況が生じております。  台湾をめぐる情勢につきまして、その安定というものは、南西地域を含む我が国安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。動向については引き続き注視をしてまいりたいと考えております。  同盟国たる米国との強固な信頼関係の下で、様々な協力を進めながら、日米同盟抑止力対処力の一層の強化を図ってまいります。
  157. 杉本和巳

    ○杉本委員 ありがとうございます。  ちょっと今申し上げるのが適切かどうか分かりませんが、最強のタッグで外務、防衛をやっていただいていると思っていますので、是非、引き続きそういった御認識の下に、我が国外交防衛という意味で、抑止力対処力を増していただきたいというふうにお願いします。  今日は、問題意識として、抑止力対処力というのを上げていくという意味で、海保と自衛隊のスムーズな連携というのを考えていくというのは皆共有していると思うんですけれども、法の在り方も、重徳さんの所信にもあったかと思いますが、法整備、必要だというようなことを書いておられました。  一方で、私の問題意識は、ちょっと今日はそこまで踏み込めないと思うんですけれども、国力の低下が周辺国の武力による行動変容を招いてしまうような気もするので、我が国の国力をとにかく下げないで、抑止力対処力を上げていくということをいろいろ考えていく必要があると思っています。  そんな意味で、法の理解を改めてしておきたいと思っているんですけれども、今日も、重徳さんの所信茂木外務大臣は私の二倍の時間お話しされてなかなかしっかり聞きましたというような御答弁だったし、岸防衛大臣も関心を持って拝聴したというお言葉を言っていらっしゃいましたけれども、この重徳さんの所信の中で、三か所、専守防衛という言葉が出てまいりました。  これは防衛省に伺おうと思っているんですけれども、この専守防衛という表現が、皆共有して、もう共通概念で、日本人は分かっているということかもしれないし、この永田町、国会、あるいは霞が関の人はもうみんな共有しているし、日本人全員、専守防衛というのは認識しているんだという概念かと思うんですけれども、一方で、先ほども本多委員から敵基地攻撃能力というようなことがあったり、その重徳さんの文章の中でも、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にしたハイブリッド戦というような表現もあったりして、専守防衛という言葉が三度この文章に出てきたということを申し上げさせていただいたんですけれども。  この専守防衛という言葉がはっきりと法的に書かれているのかというところを問題意識として持つべきであって、今、敵基地攻撃能力だとかハイブリッド型のサイバー攻撃とか、もう想定する事態が変わってきている中で、一方で専守防衛という言葉がずっと生き続けている。むしろ、専守防衛という言葉をしっかり法文上書くことが必要だと思いますし、また、更に踏み込めば、原則として専守防衛とするというぐらいの少し幅広の考え方をしていかないと、我が国抑止力対処力というのはきちっと守っていけないのではないかという問題意識を、別の意見がある方は当然いらっしゃると思いますけれども、私は持っておりますので。  改めて確認したいのは、この専守防衛という表現、法的位置づけ、どこの条文を読み解けばそこに書いてあるのか。防衛白書には書いてあるのは知っているんですけれども、それ以外に一体どこにあるのか。ここを我々は共有しておく必要があるし、法文化しておく必要性はないのかどうかの御認識、この辺を確認したいと思いますが、防衛省の方から御答弁いただければと思います。
  158. 岡真臣

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  専守防衛考え方についての御質問でございますけれども、これは委員も御案内のとおりでございますが、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国防衛の基本的な方針でございます。  憲法の精神ということでございますけれども、憲法九条の下で我が国が自衛のために行う実力の行使及び保持は、急迫不正の事態を排除するため必要最小限度でなければならないということをいうものでございます。  このように、専守防衛につきましては、日本国憲法の精神にのっとったものということが言えようかと思っております。
  159. 杉本和巳

    ○杉本委員 憲法の精神を読み解くのは学者がするべきことであって、行政なりがやはりきちっと法文化していく必要があるのではないかという認識を私は持っているということを申し上げたいと思います。  そんなこと、みんな分かっているし、我が国防衛するための必要最小限度の実力組織という解釈というのは分かるんですけれども、やはり、この専守防衛という言葉が独り歩きしたり独り守りしたり、分からないですね、何か都合のいいときに使われるような形であってはならないと思いますし、むしろ大原則であって、しかし、ただし、それをちょっと、のりを越えることも、我々は今の状況の変化の中では考えていかなければならないという意味からも、問題意識として、この専守防衛という概念について問題意識を私は持っているということを意見陳述させていただきたいと思います。  次に、警察比例の原則という言葉がよく言われます。これも概念なのかどうか。恥ずかしながら、私も昔、民主党が政権を取っていたときに与党側にちょっといさせていただいたことがあったんですが、野党の政調会長、茂木さんもされておられましたけれども、当時は石破さんがされていたような気がするんですけれども、石破さんが警察比例という言葉を君たち知っているかみたいなことを言っていただいて、改めて認識したというのは恥ずかしい状況でありますけれども。  この警察比例の原則という言葉が、やはり概念としてみんな共有しているようにも感じるんですが、その警察比例の原則というのは一体、日本国内で共有しているということかもしれないですが、じゃ、国際法上、これは共有されている意識なのかどうか、認識なのかどうか。  そういったことも含めて、一体どういう法的位置づけによってこの警察比例の原則が国内法、国際法の方はちょっと私、通告していなかったのかもしれないので分かればですけれども、位置づけとして書かれているのか、あるいはどこから読み解けばいいのか。この点について、これは海保さんに伺えばいいのかな、海上保安庁さんから御答弁をいただけますか。
  160. 宮澤康一

    宮澤政府参考人 お答えいたします。  いわゆる警察比例の原則に関し、海上保安官等の武器の使用について申し上げますと、海上保安庁法第二十条第一項において、警察官職務執行法第七条の規定を準用しております。警察官職務執行法第七条では、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」と規定されており、この規定を準用することにより、海上保安官等が武器を使用する際には警察比例の原則に基づき行うことを明示しております。
  161. 杉本和巳

    ○杉本委員 ちょっと通告していなかったんですが、後で事務所にでも教えていただければと思いますが、国際法的にこの警察比例が生きているのかどうかという点は問題だと思っております。  それで、中国が海警法というのをやって、警察比例じゃないじゃないのという、素人的に感じるところがあるわけでございますので、この警察比例の原則というのは国際的にどういう認識をされているかというのを、ちょっと海上保安庁認識を、今日は結構なので、改めて御配下からでも御報告いただければありがたく存じます。  次に、ちょっと類似の表現で、これは余り共有化されていないようなんですけれども、軍警分離の概念というのがあるようで、これは廣瀬肇さんという広島文化学園大学大学院社会情報研究科の二十周年記念論文の中で、「我が国では、海上保安庁海上自衛隊とは、その任務、機能、性質等は、その根本的なところで明確に分かれており、いわゆる「軍警分離」が確立している。」云々とあって、「先進民主主義国、取り分け米英では、軍と警察の機能は明確に分離されており、」という書き方がされているんです。こういう表現をされていつつも、何かアメリカは、沿岸警備隊は軍と連携してかなり強固にやっているような感じがしますし、イギリスでは海岸を守っているのは英国海軍のような気がいたすので、ちょっとその軍警分離という概念は余りないような気もするんですが。  法案のいろいろ検討をしていたところ、軍警分離というような言葉がされて、自衛権と警察権は明確に分かれている、使い分けはしているんだみたいなことがされたんですけれども、事現実を考えると、やはり海保と自衛隊連携というのは、この軍警分離というような言葉、学者さんの言葉であればいいんですけれども、これが逆に、いや、軍警分離というのは今申し上げたような専守防衛だとか警察比例の原則だみたいにまたなっていったら、一体、我が国は、対処力とか抑止力とかいう意味からも、しっかり守っていけるのかなというような私は危惧を持っているんです。  この軍警分離という表現方法を含めて、自衛権と警察権の分離、使い分け、法的根拠、この辺りはどういうふうに理解したらいいのか、これは防衛省から御答弁いただければと思います。
  162. 岡真臣

    ○岡政府参考人 お答え申し上げます。  自衛権と警察権の、どう使い分けられているのか、法的根拠も含めてという御質問かと思いますけれども、まず、自衛隊の任務について申し上げますと、自衛隊法上、自衛隊は、我が国防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当たるものとされておりまして、それぞれについて、自衛隊の行動として具体的な根拠規定が設けられる、こういう形に自衛隊法上なっております。  自衛権と警察権というお話でございますけれども、自衛権ということについて申し上げれば、自衛隊は、自衛隊法第七十六条に規定する防衛出動が下令をされ、武力の行使の三要件を満たす場合において、我が国防衛するため必要な武力を行使することができるということでございます。  他方、我が国の警察権でございますけれども、これは我が国の統治権の一環として行使するものであり、自衛隊においては、自衛隊法第七十八条に基づく治安出動などは、公共の秩序の維持を目的とする行動として、警察権の行使として位置づけられておるところでございます。
  163. 杉本和巳

    ○杉本委員 済みません、もう一問ちょっと予定していたんですけれども、時間となりましたので、次の機会大臣にまた伺えればと思っております。  以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  164. 若宮健嗣

    若宮委員長 外務大臣は御退席いただいて結構でございます。      ――――◇―――――
  165. 若宮健嗣

    若宮委員長 次に、内閣提出防衛省設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。岸防衛大臣。     ―――――――――――――  防衛省設置法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  166. 岸信夫

    岸国務大臣 ただいま議題となりました防衛省設置法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  自衛隊の任務の円滑な遂行を図るため、自衛官定数の変更及び日本国の自衛隊とインド軍隊との間における物品又は役務の相互の提供に関する日本政府とインド共和国政府との間の協定に係る物品又は役務の提供に関する規定の整備等の措置を講ずる必要があります。  以上が、この法律案の提案理由であります。  次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。  まず、防衛省設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、宇宙・サイバー領域における優位性の獲得に必要な部隊の新編や拡充を始めとする防衛省自衛隊体制整備のため、陸海空の共同の部隊に所属する自衛官の定数を百三十四人増加し、統合幕僚監部に所属する自衛官の定数を三人増加し、情報本部に所属する自衛官の定数を四人増加し、内部部局に所属する自衛官の定数を一人増加する一方、陸上自衛隊の自衛官の定数を百五人、海上自衛隊の自衛官の定数を二十二人、航空自衛隊の自衛官の定数を十五人各々削減するものであります。なお、自衛官の定数の総計二十四万七千百五十四人に、変更はありません。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、インドとの物品役務相互提供協定に係る物品又は役務の提供に関する規定の整備を行うものであります。  最後に、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律の一部改正について御説明いたします。  これは、大規模な災害に対処する外国軍隊に対する物品又は役務の提供の対象として、インドの軍隊を追加することに伴う規定の整備を行うものであります。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  167. 若宮健嗣

    若宮委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十三分散会